(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】冷却キャップ組立体および冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
A61F 7/10 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
A61F7/10 330A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571910
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020035971
(87)【国際公開番号】W WO2020247532
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521528137
【氏名又は名称】クーラー・ヘッズ・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Cooler Heads Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ディリガン,キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】ワイントローブ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ペルマン,トッド
(72)【発明者】
【氏名】ミロス,ロバート エイチジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,サミュエル エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ,イアン イー
(72)【発明者】
【氏名】ペイア,キース ビー
(72)【発明者】
【氏名】サリナス,リカルド
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA03
4C099GA02
4C099LA07
4C099LA08
4C099LA11
4C099NA09
4C099PA03
4C099PA04
4C099PA10
(57)【要約】
本明細書のデバイス、システム、および方法は、患者の頭部を冷却することに関する。これらのシステムおよび方法は、患者の頭部に巻き付けられるように構成された熱交換器と、熱交換器に解放可能に結合された圧縮組立体とを含む、冷却キャップ組立体を備え得る。圧縮組立体は、筐体と、筐体の内面に結合された膨張可能部材とを備え得る。結合されているとき、膨張可能部材は、筐体と熱交換器との間に位置付けられ得る。熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部に巻き付けられるように構成された熱交換器と、
前記熱交換器に解放可能に結合された圧縮組立体と、を備え、前記圧縮組立体は、筐体と、前記筐体の内面に結合された膨張可能部材とを含み、結合されているとき、前記膨張可能部材は前記筐体と前記熱交換器との間に位置付けられ、前記熱交換器は、前記膨張可能部材から分離しており、かつ前記膨張可能部材に対して可動である、冷却キャップ組立体。
【請求項2】
前記膨張可能部材は、収縮構成および膨張構成を含み、前記膨張可能部材を前記収縮構成から前記膨張構成に移行させると、前記患者の前記頭部に付与される圧力が増加する、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項3】
前記膨張可能部材に結合された流体ポンプをさらに備える、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項4】
前記筐体は、前記膨張可能部材が前記膨張構成にあるときに、逆圧を生成するように構成されている、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項5】
前記圧縮組立体は、前記膨張可能部材が前記膨張構成にあるときに、前記頭部に対して約0.1lb/in
2~約10lb/in
2の圧縮を生成するように構成されている、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項6】
前記膨張可能部材は、複数のチャンバを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項7】
前記複数のチャンバの各々が独立して膨張可能である、請求項6に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項8】
前記膨張可能部材は、上部の膨張可能部分と、第1の膨張可能側面部分と、第2の膨張可能側面部分とを含み、各部分はチャンバを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項9】
前記第1の膨張可能側面部分の長さおよび前記第2の膨張可能側面部分の長さは、各々、前記上部の膨張可能部分の長さよりも長い、請求項8に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項10】
前記第1の膨張可能側面部分の長さおよび前記第2の膨張可能側面部分の長さは、各々、前記上部の膨張可能部分の長さよりも短い、請求項8に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項11】
前記膨張可能部材の側面膨張可能部分は、前記頭部の少なくとも一部分を取り囲むように調整可能に重なり合うように構成されている、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項12】
前記膨張可能部材は、流体バリアを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項13】
前記膨張可能部材は、1つ以上の切れ込みを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項14】
前記膨張可能部材は、少なくとも3つのチャンバを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項15】
前記膨張可能部材は、1つ以上の締結具を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項16】
前記熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項17】
前記熱交換器は、流体バリアセットを含み、前記流体バリアセットの各流体バリアは、前記流体バリアセット内の隣接する流体バリアから約5mm~約15mmである、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項18】
前記流体バリアセットの少なくとも1つの流体バリアの開口部内に配置された、温度センサをさらに備える、請求項17に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項19】
前記流体バリアセットの少なくとも1つの流体バリアは、トーラス形状を含む、請求項17に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項20】
前記第1の側面部分は、第1のアームを含み、前記第2の側面部分は、第2のアームを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項21】
前記上部分、第1の側面部分、および前記第2の側面部分は、各々、第1のローブと第2のローブとを含む、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項22】
第1の部分および第2の部分の前記第1のローブの長さは、前記第1の部分および前記第2の部分の前記第2のローブの長さよりも長い、請求項21に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項23】
前記熱交換器の各部分は、流体チャネルの少なくとも一部分を含む、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項24】
前記第1の側面部分および前記第2の側面部分の長さは、前記上部分の長さよりも短い、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項25】
前記上部分の面積に対する、前記第1の側面部分または前記第2の側面部分のいずれかの面積は、約2:1~約0.5:1である、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項26】
前記上部分は長手方向軸を画定し、前記第1の側面部分および前記第2の側面部分は、前記底部分から前記長手方向軸に対して鋭角で延在する、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項27】
前記熱交換器の1つ以上の端部分は、前記頭部の少なくとも一部分を取り囲むように調整可能に重なり合うように構成されている、請求項16に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項28】
前記熱交換器は、可撓性材料を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項29】
前記熱交換器は、不織布を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項30】
前記熱交換器は、各々が約9mm
2~約100mm
2の断面積を含む1つ以上の流体チャネルを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項31】
前記熱交換器に結合され、前記圧縮組立体の1つ以上の特性を測定するように構成された、1つ以上のセンサをさらに備える、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項32】
前記1つ以上のセンサは、温度センサと圧力センサとを含む、請求項31に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項33】
前記熱交換器は、前記熱交換器の部分の各々に少なくとも1つのセンサを備える、請求項31に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項34】
前記熱交換器は、締結具を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項35】
前記筐体は、剛性材料または半剛性材料を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項36】
前記筐体は、前記膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように構成されている、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項37】
前記筐体は、前記膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように構成された空洞を画定する、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項38】
前記筐体は、半球形のシェルを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項39】
前記筐体は、ヘルメットを含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項40】
前記筐体は、可撓性カバーをさらに含む、請求項35に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項41】
前記筐体は、前記膨張可能部材に結合するように構成された締結具を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項42】
前記可撓性カバーは、締結具を含む、請求項40に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項43】
前記筐体は、患者の前記頭部を受容するように構成された空洞を画定する、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項44】
前記熱交換器と前記患者の頭皮との間に配設されるように構成されたライナーと、
前記圧縮組立体および前記患者に解放可能に結合された締結具と、をさらに備える、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項45】
前記ライナーは、可撓性材料を含む、請求項44に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項46】
前記圧縮組立体に流体結合された冷却ユニットをさらに備え、前記冷却ユニットは、前記熱交換器と、圧縮機と、リザーバと、ポンプとに解放可能に結合された流体接続部を含む、請求項1に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項47】
前記冷却ユニットは、ハウジングと、電池と、前記ハウジングに解放可能に結合された流体リザーバとを備える、請求項46に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項48】
前記冷却ユニットは、前記熱交換器を通して流体を循環させるように構成されている、請求項46に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項49】
前記流体は、水および塩、水およびグリコール、ならびに水およびアルコール、のうちの1つ以上を含む、請求項48に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項50】
患者の頭部に巻き付けられるように構成された熱交換器と、
前記熱交換器に解放可能に結合された圧縮組立体と、を備え、前記圧縮組立体は、筐体と、前記筐体の内面に結合された膨張可能部材とを含み、結合されているとき、前記膨張可能部材は前記筐体と前記熱交換器との間に配置され、前記熱交換器は、前記膨張可能部材から分離しており、かつ前記膨張可能部材に対して可動であり、前記膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させると、前記熱交換器と前記患者の前記頭部との間の接触面積が増加される、冷却キャップ組立体。
【請求項51】
化学療法に起因する脱毛を減らすために頭部の頭皮を冷却する方法であって、
前記頭皮の一部分に熱交換器を巻き付けることと、
圧縮組立体を、前記頭部上および前記巻き付けた熱交換器の上に配置することであって、前記圧縮組立体は、半剛性の外側部材と、前記外側部材に結合された膨張可能な内側部材とを含む、配置することと、
前記膨張可能部材を膨張させて、前記膨張可能部材と前記頭皮との間で前記熱交換器を圧縮することと、を含む、方法。
【請求項52】
前記熱交換器は、前記膨張可能部材から分離しており、かつ前記膨張可能部材に対して可動である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させて、前記頭部に付与される圧力を増加させることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記膨張可能部材が膨張構成にあるときに、前記外側部材を使用して逆圧を生成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記膨張可能部材が膨張構成にあるときに、前記頭部に対して約0.1lb/in
2~約10lb/in
2の圧縮を生成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記膨張可能部材は、複数の独立して膨張可能なチャンバを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記熱交換器がライナーと前記膨張可能部材との間に配置されるように、前記頭皮の前記部分の周囲に前記ライナーを配置することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み、
前記第1の側面部分の端部と前記第2の側面部分の端部とを互いに重ねて配置することと、
前記頭皮の少なくとも前記部分を取り囲むために、前記上部分の端部を、前記第1の側面部分の前記端部および前記第2の側面部分の前記端部に重ねて配置することと、を行う、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記膨張可能部材は、気体または液体によって膨張される、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記膨張可能部材は、手動ポンプを使用して膨張する、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記熱交換器を通して流体を循環させることをさらに含み、前記流体は、約-10℃~約5℃の温度を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記圧縮組立体を使用して、前記熱交換器を前記頭皮から取り外すことをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記圧縮組立体を使用して、前記熱交換器を前記頭皮上に戻すことをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
締結具を使用して、前記圧縮組立体を前記頭皮に解放可能に取り付けることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
冷却キャップ組立体であって、
患者の頭皮から熱を除去するように構成された可撓性の熱交換器であって、温度センサを備える、可撓性の熱交換器と、
上面と底面とを有するポーチを備える膨張可能部材であって、前記底面が前記熱交換器に解放可能に結合されている、膨張可能部材と、
前記ポーチを膨らませるように構成されたポンプと、
前記膨張可能部材の前記ポーチの前記上面に結合された外側シェルと、
前記熱交換器に流体結合された冷却ユニットと、
前記温度センサから温度を受信し、前記温度に基づいて前記ポンプの出力を調整するための命令を含むメモリと、を備える、冷却キャップ組立体。
【請求項66】
前記ポンプの前記出力は、膨張圧力である、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項67】
前記温度は、頭皮温度である、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項68】
前記温度センサは、前記熱交換器の外面、前記熱交換器内、または前記熱交換器の流体チャネル内に配設されている、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項69】
前記熱交換器は、循環流体を含む1つ以上の流体チャネルを含む、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項70】
前記温度は、流体温度である、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項71】
前記温度センサは温度センサセットを含み、前記温度は温度セットを含み、かつ前記ポーチはチャンバセットを含み、前記メモリは、前記温度セットに基づいて、前記ポーチの各チャンバの膨張圧力を独立して調整するための命令を含む、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項72】
前記冷却ユニットは、携帯型である、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項73】
前記冷却ユニットは、解放可能な流体リザーバを備える、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項74】
前記流体リザーバは、ハンドルを備える、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項75】
前記冷却ユニットは、調整可能なハンドルを備える、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項76】
前記冷却ユニットは、電池を含む、請求項65に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項77】
化学療法患者の頭部の頭皮の冷却を制御する方法であって、
冷却キャップを前記頭部に適用することであって、前記冷却キャップは、温度センサを含む可撓性の熱交換器と、前記熱交換器に解放可能に結合された膨張可能部材と、前記膨張可能部材に結合されたシェルとを備え、前記膨張可能部材は、ポーチと、前記ポーチの膨張圧力を増加させるために前記ポーチと流体通信するポンプとを備える、適用することと、
前記温度センサを使用して温度を測定することと、
前記測定された温度に基づいて、前記ポンプを使用して前記ポーチの前記膨張圧力を調整することと、を含む、方法。
【請求項78】
前記温度は、頭皮温度である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記温度センサは、前記熱交換器の外面上、前記熱交換器内、または前記熱交換器の流体チャネル内にある、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記熱交換器は、循環流体を含む1つ以上の流体チャネルを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記温度は、流体温度である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記温度センサは温度センサセットを含み、前記温度は温度セットを含み、かつ前記ポーチはチャンバセットを含み、前記方法は、前記温度セットに基づいて、前記ポーチの各チャンバの膨張圧力を独立して調整することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記熱交換器は、前記膨張可能部材から分離しており、かつ前記膨張可能部材に対して可動である、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させて、前記頭部に付与される圧力を増加させることをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記膨張可能部材が膨張構成にあるときに、前記シェルを使用して逆圧を生成することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
前記膨張可能部材が膨張構成にあるときに、前記頭部に対して約0.1lb/in
2~約10lb/in
2の圧縮を生成することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記膨張可能部材は、複数の独立して膨張可能なチャンバを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項88】
前記熱交換器がライナーと前記膨張可能部材との間にあるように、前記頭皮の前記部分の周囲に前記ライナーを配置することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み、
前記第1の側面部分と前記第2の側面部分とを互いに重ねて配置することと、
前記頭皮の少なくとも前記部分を取り囲むために、前記上部分を、前記第1の側面部分および前記第2の側面部分の上に重ねて配置することと、を行う、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記ポーチは、気体または液体を含む流体を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記熱交換器を通して流体を循環させることをさらに含み、前記流体は、約-10℃~約5℃の温度を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
締結具を使用して前記頭皮に前記圧縮組立体を取り付けることをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項93】
患者の頭皮から熱を除去するように構成された可撓性の熱交換器と、
前記熱交換器に解放可能に結合された膨張可能部材と、
前記膨張可能部材に結合された外側シェルと、
前記熱交換器に流体結合された冷却ユニットであって、電源を決定するように、かつ前記熱交換器を通して流体を循環させるように構成された、冷却ユニットと、
前記決定された電源に基づいて前記冷却ユニットの流体流量を調整するための命令を含むメモリと、を備える、冷却キャップ組立体。
【請求項94】
前記電源は、AC電源およびDC電源のうちの1つ以上を含む、請求項93に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項95】
前記流体バリアセット内の各流体バリアが、約5mm~約10mmの直径を含む、請求項17に記載の冷却キャップ組立体。
【請求項96】
化学療法患者の頭部の頭皮の冷却を制御する方法であって、
冷却キャップを前記頭部に適用することであって、前記冷却キャップは、可撓性の熱交換器と、前記熱交換器に解放可能に結合された膨張可能部材と、前記膨張可能部材に結合されたシェルとを備える、適用することと、
複数の動作状態を含む冷却ユニットを使用して、前記熱交換器を通して温度制御された流体を循環させることと、
前記冷却ユニットの電源を識別することと、
前記識別された電源に基づいて、前記冷却ユニットの前記動作状態を選択することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/856,691号、および2019年8月2日に出願された米国仮特許出願第62/882,429号の優先権を主張し、その各々の内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書のデバイス、システム、および方法は、患者の頭皮の温度を下げることに関する。
【背景技術】
【0003】
脱毛症は化学療法の一般的な副作用であり、外見の目に見える変化と身体的属性の喪失により、一部の患者に苦痛をもたらす場合がある。一部の患者にとって、化学療法による脱毛症はうつ病につながる可能性があり、したがって患者の回復を妨げる可能性がある。それに対応して、化学療法を受けている一部の患者は頭皮冷却治療を受ける。しかしながら、従来の技術は患者の快適さのために最適化されておらず、通常は、冷却デバイスが適切に取り付けられ正しく使用されていることを技術者が確認する、治療センターで実施される。したがって、頭皮を冷却するための追加のデバイス、システム、および方法が望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
ここでは、化学療法と関連付けられた脱毛症を軽減または予防するための冷却を提供するためのデバイス、システム、および方法について説明する。これらのシステムおよび方法は、例えば、冷却素子(例えば、熱交換器)と患者の頭皮との間の接触面積を増加させることができる。これにより、例えば、冷却治療効率を向上させることができる。さらに、本明細書に記載のデバイスおよびシステムは、患者が、自分の都合のよいときに(例えば、自宅で)冷却治療を行うことができるように、コンパクトかつ携帯型であることができる。
【0005】
いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、患者の頭部に巻き付けられるように構成された熱交換器と、熱交換器に解放可能に結合された圧縮組立体とを含み得る。圧縮組立体は、筐体と、筐体の内面に結合された膨張可能部材とを備え得る。結合されているとき、膨張可能部材は、筐体と熱交換器との間に位置付けられ得る。熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。
【0006】
いくつかの変形例では、膨張可能部材は、収縮構成および膨張構成を含み得る。膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させると、患者の頭部に付与される圧力が増加し得る。いくつかの変形例では、流体ポンプが膨張可能部材に結合され得る。いくつかの変形例では、筐体は、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、逆圧を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、圧縮組立体は、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、頭部に対して約0.1lb/in2~約10lb/in2の圧縮を生成するように構成され得る。
【0007】
いくつかの変形例では、膨張可能部材は、複数のチャンバを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、複数のチャンバの各々は、独立して膨張可能であり得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、上部の膨張可能部分、第1の膨張可能側面部分、および第2の膨張可能側面部分を含み得る。各部分は、チャンバを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、第1の膨張可能側面部分の長さおよび第2の膨張可能側面部分の長さは、各々、上部の膨張可能部分の長さよりも長くてもよい。いくつかの変形例では、第1の膨張可能側面部分の長さおよび第2の膨張可能側面部分の長さは、上部の膨張可能部分の長さよりも短くてもよい。いくつかの変形例では、膨張可能部材の膨張可能側面部分は、頭部の少なくとも一部分を取り囲むように、調整可能に重なり合うように構成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、流体バリアを含み得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、1つ以上の切れ込みを含み得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、少なくとも3つのチャンバを含み得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、1つ以上の締結具を含み得る。
【0008】
いくつかの変形例では、熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、流体バリアセットを含み、流体バリアのセットの各々の流体バリアは、流体バリアセット内の隣接する流体バリアから約5mm~約15mmである。いくつかのバリアでは、流体バリアセット内の各々の流体バリアは、約5mm~約10mmの直径を含み得る。いくつかの変形例では、温度センサは、流体バリアセットの少なくとも1つの流体バリアの開口部内に位置付けられ得る。いくつかの変形例では、流体バリアセットの少なくとも1つの流体バリアは、トーラス形状を含む。いくつかの変形例では、第1の側面部分は第1のアームを含み得、第2の側面部分は第2のアームを含み得る。
【0009】
これらの変形例のいくつかでは、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分は、各々、第1のローブと第2のローブとを含む。これらの変形例のいくつかでは、第1の部分および第2の部分の第1のローブの長さは、第1の部分および第2の部分の第2のローブの長さより長くてもよい。
【0010】
いくつかの変形例では、熱交換器の各部分は、流体チャネルの少なくとも一部分を含み得る。いくつかの変形例では、第1の側面部分および第2の側面部分の長さは、上部分の長さよりも短くてもよい。いくつかの変形例では、上部分の面積に対する、第1の側面部分または第2の側面部分のいずれかの面積は、約2:1~約0.5:1であり得る。いくつかの変形例では、上部分は長手方向軸を画定し得る。第1の側面部分および第2の側面部分は、長手方向軸に対して鋭角で底部分から延在し得る。いくつかの変形例では、熱交換器の1つ以上の端部分は、頭部の少なくとも一部分を取り囲むように、調整可能に重なり合うように構成され得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、可撓性材料を含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、不織布を含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、各々が約9mm2~約100mm2の断面積を含む1つ以上の流体チャネルを含むことができる。
【0011】
いくつかの変形例では、1つ以上のセンサが熱交換器に結合され、圧縮組立体の1つ以上の特性を測定するように構成され得る。これらの変形例のいくつかでは、1つ以上のセンサは、温度センサと圧力センサとを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、熱交換器は、熱交換器の各部分に少なくとも1つのセンサを備え得る。いくつかの変形例では、熱交換器は締結具を含み得る。
【0012】
いくつかの変形例では、筐体は、剛性または半剛性材料を含み得る。いくつかの変形例では、筐体は、膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように構成され得る。いくつかの変形例では、筐体は、膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように構成された空洞を画定し得る。いくつかの変形例では、筐体は、半球形のシェルを含み得る。いくつかの変形例では、筐体は、ヘルメットを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、筐体は、可撓性カバーをさらに含み得る。いくつかの変形例では、筐体は、膨張可能部材に結合するように構成された締結具を含み得る。これらの変形例のいくつかでは、可撓性カバーは締結具を含み得る。いくつかの変形例では、筐体は、患者の頭部を受容するように構成された空洞を画定し得る。
【0013】
いくつかの変形例では、ライナーは、熱交換器と患者の頭皮との間に配設されるように構成され得る。締結具は、圧縮組立体および患者に解放可能に結合され得る。これらの変形例のいくつかでは、ライナーは、可撓性材料を含み得る。
【0014】
いくつかの変形例では、冷却ユニットは、圧縮組立体に流体結合され得る。冷却ユニットは、熱交換器、圧縮機、リザーバ、およびポンプに解放可能に結合された流体接続部を備え得る。これらの変形例のいくつかでは、冷却ユニットは、ハウジング、電池、およびハウジングに解放可能に結合された流体リザーバを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、冷却ユニットは、熱交換器を通して流体を循環させるように構成され得る。これらの変形例のいくつかでは、流体は、水(例えば、液体の水、および氷)および塩、水およびグリコール、ならびに水およびアルコール、のうちの1つ以上を含み得、これらは流体の凝固点を低下させ得る。いくつかの変形例では、アルコールに対する水の比率は、約20:1~約5:1であり得る。
【0015】
いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、患者の頭部に巻き付けられるように構成された熱交換器を含み得る。圧縮組立体は、熱交換器に解放可能に結合することができる。圧縮組立体は、筐体と、筐体の内面に結合された膨張可能部材とを備え得る。結合されているとき、膨張可能部材は、筐体と熱交換器との間に位置付けられ得る。熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させると、熱交換器と患者の頭部との間の接触面積が増加し得る。
【0016】
また、ここでは、デバイスについても説明する。いくつかの変形例では、化学療法に起因する脱毛を減らすために頭部の頭皮を冷却する方法は、頭皮の一部分に熱交換器を巻き付け、頭部の上および包まれた熱交換器の上に圧縮組立体を配置することを含み得る。圧縮組立体は、半剛性の外側部材と、外側部材に結合された膨張可能な内側部材とを含むことができる。膨張可能部材を膨張させて、膨張可能部材と頭皮との間の熱交換器を圧縮することができる。
【0017】
いくつかの変形例では、熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させて、頭部に付与される圧力を増加させることができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、外側部材を使用して逆圧が生成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材が膨張構成にあるとき、頭部に対して約0.1lb/in2~約10lb/in2の圧縮が生成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、複数の独立して膨張可能なチャンバを含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器がライナーと膨張可能部材との間に位置付けられ得るように、ライナーが頭皮の部分の周囲に配置され得る。
【0018】
いくつかの変形例では、熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み得る。第1の側面部分の端部と第2の側面部分の端部とは、互いに重ねて配置することができる。上部分の端部は、少なくとも頭皮の部分を取り囲むように、第1の側面部分の端部および第2の側面部分の端部の上に配置することができる。
【0019】
いくつかの変形例では、膨張可能部材は、気体または液体で膨張し得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、手動ポンプを使用して膨張し得る。いくつかの変形例では、流体が熱交換器を通って循環され得る。流体は、約-10℃~約5℃の温度を含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、圧縮組立体を使用して頭皮から取り外すことができる。これらの変形例のいくつかでは、熱交換器は、圧縮組立体を使用して頭皮上に戻すことができる。いくつかの変形例では、締結具は、圧縮組立体を頭皮に解放可能に取り付けることができる。
【0020】
また、ここでは、デバイスについても説明する。いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、患者の頭皮から熱を除去するように構成された、可撓性の熱交換器を備え得る。熱交換器は、温度センサを備え得る。膨張可能部材は、上面および下面を有するポーチを含み得、底面は、熱交換器に解放可能に結合されている。ポンプは、ポーチを膨らませるように構成され得る。外側シェルは、膨張可能部材のポーチの上面に結合され得る。冷却ユニットは、熱交換器に流体結合することができる。メモリは、温度センサから温度を受信し、この温度に基づいてポンプの出力を調整するための命令を含み得る。
【0021】
いくつかの変形例では、ポンプの出力は膨張圧力であり得る。いくつかの変形例では、温度は頭皮温度であり得る。いくつかの変形例では、温度センサは、熱交換器の外面上、熱交換器内、または熱交換器の流体チャネル内に配設され得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、循環流体を含む1つ以上の流体チャネルを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、温度は流体温度であり得る。
【0022】
いくつかの変形例では、温度センサは、温度センサセットを含み得、温度は、温度セットを含み得、ポーチは、チャンバセットを含み得る。メモリは、温度セットに基づいて、ポーチの各チャンバの膨張圧力を独立して調整するための命令を含み得る。
【0023】
いくつかの変形例では、冷却ユニットは、携帯型であり得る。いくつかの変形例では、冷却ユニットは、解放可能な流体リザーバを含み得る。いくつかの変形例では、流体リザーバは、ハンドルを含み得る。いくつかの変形例では、冷却ユニットは、調整可能なハンドルを含み得る。いくつかの変形例では、冷却ユニットは、電池を含み得る。
【0024】
また、ここでは、方法についても説明する。いくつかの変形例では、化学療法患者の頭部の頭皮の冷却を制御する方法は、頭部に冷却キャップを適用することを含む。冷却キャップは、温度センサを含む可撓性の熱交換器を含み得る。膨張可能部材は、熱交換器に解放可能に結合することができる。シェルは、膨張可能部材に結合することができる。膨張可能部材は、ポーチの膨張圧力を増加させるために、ポーチと、ポーチと流体連絡しているポンプとを含み得る。温度は、温度センサを使用して測定され得る。ポーチの膨張圧力は、測定された温度に基づいて、ポンプを使用して調整され得る。
【0025】
いくつかの変形例では、温度は頭皮温度であり得る。いくつかの変形例では、温度センサは、熱交換器の外面上、熱交換器内、または熱交換器の流体チャネル内にあり得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、循環流体を含む1つ以上の流体チャネルを含み得る。これらの変形例のいくつかでは、温度は流体温度であり得る。いくつかの変形例では、温度センサは温度センサセットを含み得、温度は温度セットを含み得、ポーチはチャンバセットを含み得、かつ方法は、温度セットに基づいて、ポーチの各チャンバの膨張圧力を独立して調整することを含む。
【0026】
いくつかの変形例では、熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させると、頭部に付与される圧力が増加する可能性がある。いくつかの変形例では、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、シェルを使用して逆圧が生成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材が膨張構成にあるとき、頭部に対して約0.1lb/in2~約10lb/in2の圧縮が生成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、複数の独立して膨張可能なチャンバを含み得る。
【0027】
いくつかの変形例では、熱交換器がライナーと膨張可能部材との間にあるように、ライナーが頭皮の部分の周囲に配置され得る。いくつかの変形例では、熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み得る。第1の側面部分と第2の側面部分とは重ねて配置することができる。上部分は、少なくとも頭皮の部分を取り囲むように、第1の側面部分および第2の側面部分の上に配置することができる。
【0028】
いくつかの変形例では、ポーチは、気体または液体を含む流体を含み得る。いくつかの変形例では、流体が熱交換器を通って循環され得る。流体は、約-10℃~約5℃の温度を含み得る。いくつかの変形例では、圧縮組立体は、締結具を使用して頭皮に取り付けることができる。
【0029】
いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、患者の頭皮から熱を取り除くように構成された可撓性の熱交換器、熱交換器に解放可能に結合された膨張可能部材、膨張可能部材に結合された外側シェル、熱交換器に流体結合された冷却ユニット、動力源を決定し、熱交換器を通して流体を循環させるように構成された冷却ユニット、および決定された電源に基づいて冷却ユニットの流体流量を調整するための命令を含むメモリを備え得る。いくつかの変形例では、電源は、1つ以上のAC電源およびDC電源を含み得る。
【0030】
いくつかの変形例では、化学療法患者の頭部の頭皮の冷却を制御する方法は、頭部に冷却キャップを適用することを含み得る。冷却キャップは、可撓性の熱交換器と、熱交換器に解放可能に結合された膨張可能部材と、膨張可能部材に結合されたシェルとを含み得る。本方法は、複数の動作状態を含む冷却ユニットを使用して、熱交換器を通して温度制御された流体を循環させるステップと、冷却ユニットの電源を識別するステップと、識別された電源に基づいて冷却ユニットの動作状態を選択するステップと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】冷却キャップ組立体の、例示的な変形例のブロック図である。
【
図1B】冷却キャップ組立体の、例示的な変形例の分解斜視図である。
【
図1C】冷却キャップ組立体の、例示的な変形例のブロック図である。
【
図2A】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図2B】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図2C】患者の頭皮に配置された熱交換器の、例示的な変形例の概略図である。
【
図2D】患者の頭皮に配置された熱交換器の、例示的な変形例の概略図である。
【
図2E】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図2F】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図2G】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図2H】熱交換器を組み立てる際のステップの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2I】熱交換器を組み立てる際のステップの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2J】熱交換器を組み立てる際のステップの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2K】熱交換器を組み立てる際のステップの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2L】熱交換器を組み立てる際のステップの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2M】熱交換器の流体の流れパターンの、例示的な変形例の平面図である。
【
図2N】熱交換器の締結具の、例示的な変形例の概略図を示している。
【
図3A】膨張可能部材の例示的な変形例の平面図である。
【
図3B】膨張可能部材の例示的な変形例の平面図である。
【
図3C】膨張可能部材およびポンプの例示的な変形例の平面図である。
【
図3D】筐体内に保持された膨張可能部材の例示的な変形例の斜視図である。
【
図5】可撓性カバーの例示的な変形例の斜視図である。
【
図6】携帯型冷却プロセスの例示的な変形例の概略図である。
【
図7A】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図7B】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図7C】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図7D】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図7E】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図7F】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図8A】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図8B】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図8C】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図8D】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図8E】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9A】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9B】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9C】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9D】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9E】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図9F】冷却キャップ組み立てプロセスの例示的な変形例の斜視図である。
【
図10】冷却キャップ組立体の例示的な変形例のセンサおよび電力測定値のプロットのセットである。
【
図11A】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図11B】熱交換器の例示的な変形例の概略図である。
【
図11C】熱交換器の例示的な変形例の画像である。
【
図12A】膨張可能部材の、例示的な変形例の概略図である。
【
図12B】第1の構成で筐体内に保持された膨張可能部材の例示的な変形例の底面図である。
【
図12C】第2の構成で筐体内に保持された膨張可能部材の例示的な変形例の底面図である。
【
図12D】第1の構成および第2の構成にある膨張可能部材の例示的な変形例の画像である。
【
図14A】冷却キャップの例示的な変形例の斜視図である。
【
図14B】冷却キャップの例示的な変形例の斜視図である。
【
図14C】冷却キャップの例示的な変形例の斜視図である。
【
図14E】冷却キャップの例示的な変形例の斜視図である。
【
図14F】冷却キャップの例示的な変形例の斜視図である。
【
図15A】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15B】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15C】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15D】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15E】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15F】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15G】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15G】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15H】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15I】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15J】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15K】冷却ユニットの例示的な変形例の外観図である。
【
図15L】冷却ユニットの例示的な変形例の分解斜視図である。
【
図15M】冷却ユニットの例示的な変形例の分解斜視図である。
【
図15N】冷却ユニットの例示的な変形例の分解斜視図である。
【
図16A】冷却ユニットの例示的な変形例の内部図である。
【
図16B】冷却ユニットの例示的な変形例の内部図である。
【
図16C】冷却ユニットの例示的な変形例の内部図である。
【
図16D】冷却ユニットの例示的な変形例の内部図である。
【
図17】冷却プロセスの例示的な変形例の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここでは、患者の頭部の温度を下げるためのシステムおよびデバイス、特に、冷却キャップ組立体を使用して患者の頭皮を冷却するためのシステムおよびデバイスについて説明する。冷却キャップ組立体は、例えば、患者の頭皮から熱を除去するように構成された熱交換器と、熱交換器から分離しており、かつ熱交換器に解放可能に結合された圧縮組立体とを備え得る。例えば、圧縮組立体は、剛性の外側シェルに結合された膨張可能部材を含み得、膨張可能部材は、熱交換器に圧力を付与し、熱交換器と頭皮との間の接触面積を増加させるために膨張し得る。これらのシステムおよびデバイスは、冷却流体の温度、および熱交換器上に配置された圧縮組立体によって加えられる力、のうちの1つ以上を制御するためのセンサデータを生成することができる。
【0033】
また、ここでは、冷却キャップ組立体を組み立てる方法、および冷却キャップ組立体を使用して患者の頭皮を冷却する方法についても説明する。冷却キャップ組立体を組み立てる方法は、頭部の一部分に熱交換器を巻き付けて、熱交換器の上に圧縮組立体を配置することを含み得る。冷却キャップ組立体は、適合性、快適性、および冷却効果もしくは熱伝達の1つ以上を向上するために、各患者に合わせて調整することができる。いくつかの変形例では、組み立てられた冷却キャップ組立体は、圧縮組立体との摩擦ばめを形成し、治療セッションが完了すると、冷却キャップ組立体を単一のユニットとして患者の頭部から取り外し、かつ任意選択で、1つ以上の後続の治療セッションのために単一のユニットとして再適用することができるようにすることができる。概して、冷却キャップ組立体を使用する方法は、患者の頭皮に結合された熱交換器を通して流体を循環させることと、1つ以上の温度および/または力(例えば、圧力)の測定値に基づいて、熱交換器に結合された膨張可能部材の膨張圧力を制御することとを含む。
【0034】
冷却キャップ組立体
ここで説明する冷却キャップ組立体は、患者の頭皮から熱を除去するために患者の頭部に配置するように構成することができる。患者は、冷却キャップ組立体の各部分を調整して、冷却キャップ組立体の適合性および快適性を個人向けにすることが可能であり得る。さらに、冷却キャップ組立体によって頭部に提供される圧縮は、冷却効果および患者の快適さのうちの1つ以上のために調整され得る。一部の患者は、本明細書に記載の冷却キャップ組立体を使用して、臨床現場(例えば、注入センター)内で冷却治療セッションを開始することができる。さらに、冷却キャップ組立体は、患者が臨床現場の外で(例えば、自宅で)冷却治療セッションを実施することができるように、かつ/または臨床現場との移動中に(例えば、自宅から臨床現場への移動中、またはその逆のときに)冷却治療セッションを開始、続行、または終了することができるように、携帯型にすることができる。冷却キャップ組立体は、一般に、ライナー、可撓性の熱交換器、圧縮組立体、およびカバーを含み得る。圧縮組立体は、膨張可能部材および筐体を含み得る。例えば、熱交換器は、膨張可能部材から分離され、かつ膨張可能部材に対して可動であり得る。いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、1つ以上のセンサを含み得、これらのセンサは、コントローラに(例えば、有線または無線で)通信可能に結合され得る。
【0035】
図1Aは、冷却キャップ組立体(110)と冷却ユニット(150)とを含む、冷却システム(100)の変形例のブロック図である。冷却キャップ組立体(110)は、患者の頭皮に取り外し可能に配置され、例えば化学療法治療中に、頭皮の表面温度を下げるように構成され得る。そこに示すように、冷却キャップ組立体(110)は、ライナー(112)、可撓性熱の交換器(120)、および圧縮組立体(145)、カバー(114)、および1つ以上のセンサ(132)を含み得る。圧縮組立体(145)は、膨張可能部材(130)および筐体(140)を含み得る。熱交換器(120)は、一般に、流体が循環して患者の頭皮から熱を除去することができる、流体チャネルを備え得る。圧縮組立体(145)は、熱交換器に所定の力を付与して、例えば、熱交換器と患者の頭皮との間の接触面積を増加させるように構成され得、これは、頭皮と熱交換器内を循環する流体との間の熱伝達を増加させ得る。例えば、筐体は、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、膨張可能部材に反力を提供し得る。
【0036】
ここで説明する冷却ユニットは、ここで説明する冷却キャップ組立体に流体結合して、冷却流体を冷却し、冷却された流体を熱交換器に循環させることができる。例えば、冷却ユニットは、流体(例えば、水、アルコール、グリコール、それらの組み合わせ)を冷却し、貯蔵し、かつ冷却キャップ組立体にポンプで出し入れするための構成要素を含み得る。
図1Aに戻ると、そこに示すように、冷却ユニット(150)は、圧縮機(152)、リザーバ(154)、1つ以上のセンサ(156)、およびポンプ(158)を備え得る。圧縮機(152)は、冷却流体の温度を下げるように構成され得、ポンプ(158)は、冷却流体を冷却キャップ組立体(110)を通して(すなわち、熱交換器を通して)循環させるように構成され得る。1つ以上のセンサ(156)は、コントローラに(例えば、有線または無線で)通信可能に結合され得る。本明細書でより詳細に考察されるように、冷却ユニット(150)は、例えば、流体導管またはチューブ組立体によって、冷却キャップ組立体(110)に流体結合され得る。
【0037】
冷却キャップ組立体(110)に戻ると、
図1Bは、患者(101)の頭皮に配置されるように構成された、冷却キャップ組立体(110)の変形例の分解斜視図である。ライナー(112)は頭皮上に配置され得、熱交換器(120)は、熱交換器(120)の底面または内面が、ライナー(112)を介して頭皮に取り外し可能に結合され得るように、ライナー(112)上に配置され得る。いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体(110)は、ライナー(112)を含まなくてもよく、熱交換器(120)が頭皮に直接配置されてもよい。圧縮組立体(145)は、熱交換器(120)の上に配置され得る。より具体的には、熱交換器(120)から分離され、かつ熱交換器(120)に対して可動であり得る膨張可能部材(130)が、膨張可能部材(130)の底面または内面が熱交換器(120)の上面または外面に接触するように、熱交換器(120)の上(例えば、熱交換器の上部)に配置され得る。上述したように、筐体(140)は、膨張可能部材(130)の上面または外面に結合することができ、したがって、筐体(140)および膨張可能部材(130)は、ユーザの頭部に同時に配置することができる。
【0038】
いくつかの変形例では、カバー(114)は、筐体(140)に(例えば、筐体(140)の外面に)結合され得、筐体(140)および膨張可能部材(130)とともにユーザの頭部に配置され得る。他の変形例では、カバー(114)は、筐体(140)とは別個であってもよく、筐体(140)およびユーザの頭部の上に別々に配置されてもよい。カバー(114)は、冷却キャップ組立体を患者(101)の頭部に解放可能に取り付けることができる締結具を含み得る。いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体はカバー(114)を含まなくてもよく、筐体(130)が、冷却キャップ組立体を患者の頭部(101)に結合するための解放可能な締結具を備えてもよい。
【0039】
結合されているとき、膨張可能部材(130)は、外側シェルを含むかそうでなければ外側シェルとして機能し得る筐体(140)と、熱交換器(120)との間に配置され得る。熱交換器(120)は、膨張可能部材(130)から分離され、かつ膨張可能部材(130)に対して可動であり得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材(130)は、上面と底面とを有するポーチを備え得、底面は、熱交換器(120)に解放可能に結合され得る。膨張可能部材は、ポンプ(図示せず)に結合することができ、ポンプは、ポーチを膨張させるように構成することができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材(130)は、本明細書でより詳細に説明されるように、複数のチャンバを含み得、これらのチャンバは、チャンバを個別にまたは同時に膨張させることができるポンプに結合され得る。膨張可能部材(130)は、1つ以上の弁(142)に結合された流体導管(例えば、流体圧力ライン)のセット(144)を含み得る。例えば、複数の流体導管を含む変形例では、各流体導管は、弁を含むか、さもなければ弁と流体結合され得る。1つ以上の弁(142)は、ポンプ(図示せず)と結合され得る。
【0040】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(130)を収縮構成から膨張構成に移行することにより、冷却キャップ組立体によって患者の頭部に付与される圧力、および熱交換器(120)と患者の頭部(101)との間の接触面積が増加し得る。いくつかの変形例では、圧縮組立体(145)は、膨張可能部材(130)が膨張構成にあるときに、頭部に対して約0.1lb/in2~約10lb/in2の圧縮を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、圧縮組立体(145)は、膨張可能部材(130)が膨張構成にあるときに、頭部に対して、約0.1lb/in2~約8.0lb/in2、約0.1lb/in2~約5.0lb/in2、約0.1lb/in2~約3.0lb/in2、約0.1lb/in2~約2.0lb/in2、約0.1lb/in2~約1.0lb/in2、約0.5lb/in2~約8.0lb/in2、約0.5lb/in2~約5.0lb/in2、約0.5lb/in2~約3.0lb/in2、約0.5lb/in2~約2.0lb/in2、または約0.5lb/in2~約1.0lb/in2の圧縮を生成するように構成され得る。
【0041】
いくつかの変形例では、冷却システムは、冷却システム(例えば、膨張可能部材に結合されたポンプ、冷却流体を循環させるポンプ、冷却ユニット)の1つ以上の構成要素のうちの1つ以上のパラメータが、1つ以上のセンサから受信された情報に基づいて変更され得るように、閉ループシステムであってもよい。例えば、いくつかの変形例では、熱交換器(132)は、複数の温度センサ(132)を含み得る。複数の温度センサ(132)は、コントローラ(140)(例えば、プロセッサ、メモリ)に(例えば、有線または無線接続を介して)結合され得る。コントローラは、温度センサから温度を受信し、この温度に基づいてポンプおよび/または圧縮機のうちの一方または両方の出力を調整するための命令を、含み、かつ/または実行し得る。いくつかの変形例では、コントローラ(140)は、コントローラ(140)に流体結合されたポンプを使用して、膨張可能部材(130)の流体圧力を調整するか、さもなければ制御するように構成され得る。
【0042】
熱交換器
一般に、ここで説明する熱交換器は、熱交換器の中の1つ以上の通路を循環する冷却流体を介して患者の頭皮から熱を除去するように構成することができる。患者の頭部の形状および熱交換器の形状のために、患者の頭皮と熱交換器との間の接触面積に、一貫性がないか、および/または最適ではない場合がある。例えば、循環流体を有する熱交換器の重量および被覆面積は、患者が頭部を動かすときなどに、患者の頭皮を均一に冷却するための圧縮力を提供するのに十分でない場合がある。いくつかの変形例では、熱交換器と頭皮との間の接触面積は、本明細書に記載の圧縮組立体を使用して増加させることができ、これは、冷却治療の有効性を改善し得る。いくつかの変形例では、熱交換器が様々な頭部形状およびサイズを有する複数の患者に適切に適合し、これによって熱交換器と患者の頭部との間の接触面積も増加させ、かつ患者の頭部の冷却治療の効果も高められるように、熱交換器の形状および寸法は、調整可能に構成することができる。いくつかの変形例では、熱交換器は、患者の頭皮に快適に直接配置され得る表面を含み得る。例えば、熱交換器の内面は、テリークロスの表面を含んでもよい。
【0043】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、熱交換器(200)の変形例の、概略上面図および概略底面図(例えば、外側および内側)である。そこで示されるように、熱交換器(200)は、底部分(210)、上部分(221)、第1の側面部分(231)、第2の側面部分(241)、および流体接続部(270)を備え得る。流体接続部(270)は、熱交換器(200)を冷却ユニットに結合するために使用され得、熱交換器(200)の任意の好適な部分、例えば、底部分(210)、上部分(221)、またはいずれかの側面部分(241)、のうちのいずれかに結合され得る。流体接続部(270)は、冷却ユニットの入口および出口に結合するように構成された、チューブなどの流体導管を備え得る。上部分(221)は、頭部の頂頭部および/または最前部を覆うように構成され得、底部分(210)は、後頭部および/または首を覆うように構成され得、かつ第1および第2の側面部分(231、241)は、頭部の左脳半球および右脳半球を覆うように構成され得る。底部分(210)は、ほぼ長方形の形状を有し得、上部分(221)から離れて延在することができる。
【0044】
いくつかの変形例では、上部分(221)、第1の側面部分(231)および/または第2の側面部分(241)は、1つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のアームまたはローブを含み得る。いくつかの変形例では、第1の側面部分(231)、第2の側面部分(241)、および上部分(221)は2つのローブのみを含み得、熱交換器(200)は合計6つのローブのみを含み得る(すなわち、底部分(210)はローブを有さない)。熱交換器の各部分のローブは、患者の頭部の異なる部分を調整可能に覆うようなサイズおよび形状にすることができる。例えば、ローブは、概して細長く(例えば、長さが幅よりも長い)、各々が湾曲したまたは丸みを帯びた遠位端を有し得る。遠位端のうちの1つ以上は、ローブを互いに固定するために使用される締結具(例えば、フック、ループ)を含み得る。各ローブは、底部分(210)から延在し得、患者の頭部への適合および患者の調整を可能にするため、可撓性であり得る。上部分(221)、第1の側面部分(231)、および第2の側面部分(241)が複数のローブを含む変形例では、各部分の各ローブは同じ(例えば、形状、長さ、幅、表面積、および/または遠位端の曲率半径が同じ)であってもよく、または各ローブは異なって(例えば、異なる形状、長さ、幅、表面積、および/または遠位端の曲率半径)もよい。例えば、いくつかの変形例では、上部分(221)、第1の側面部分(231)、および第2の側面部分(241)の各々は2つのローブを含み得、上部分(221)のローブ(220、222)は、互いに同じ長さおよび幅を有し、上部分(221)のローブ(220、222)の長さおよび幅は、側面部分のローブ(230、232、240、242)の長さおよび幅とは異なってもよい(各ローブの長さおよび幅が、熱交換器(200)の近位端に対して測定される場合))。場合によっては、第1の側面部分(231)の1つ以上のローブ(230、232)は、第2の側面部分(241)の1つ以上のローブ(240、242)の鏡像であり得、および/または上部分(221)のローブ(220、222)は、互いの鏡像であり得る。
【0045】
例えば、
図2Aに示されるように、熱交換器(200)の上部分および側面部分は、概してサボテンのような形状または一組の広げられた指の形状を形成し得る。いくつかの変形例では、上部分(221)および底部分(210)は、共通の長手方向軸を画定し得る。第1の側面部分(231)および第2の側面部分(241)は、長手方向軸に対して鋭角で底部分(210)から延在し得る。側面部分の複数のローブは、長手方向軸に対して異なる鋭角を有してもよい。いくつかの変形例では、1つ以上のローブは先細状であってもよい。いくつかの変形例では、ローブは、熱交換器の別の部分から延在(例えば、第1のローブ(230)は底部分(210)から鋭角で延在)するか、または別のローブから延在(例えば、第2のローブ(232)は第1のローブ(230)から延在)するかのいずれであってもよい。いくつかの変形例では、第2のローブの長さに対する第1のローブの長さは、約2:1~約0.5:1であってもよい。いくつかの変形例では、第2のローブの幅に対する第1のローブの幅は、約2:1~約0.5:1であってもよい。
【0046】
図2A~2Bに示される変形例では、上部分(221)は、第1のローブ(220)および第2のローブ(222)を含み得、第1の側面部分(231)は、第1のローブ(230)および第2のローブ(232)を含み得、かつ第2の側面部分(241)は、第1のローブ(240)および第2のローブ(242)を含み得る。そこに示されるように、第1の部分(231)および第2の部分(241)の第1のローブ(230、240)の長さは、第1の部分(231)および第2の部分(241)の第2のローブ(232、242)の長さより長くてもよい。追加的または代替的に、第1の側面部分(231)および第2の側面部分(241)の第1および第2のローブの長さは、上部分(221)の第1および第2のローブの長さよりも短くてもよい。いくつかの変形例では、上部分の面積に対する、第1の側面部分または第2の側面部分のいずれかの面積は、約2:1~約0.5:1である。いくつかの変形例では、熱交換器(200)は、約30cm~約50cmの長さ、および約35cm~約80cmの幅を含み得る。
【0047】
熱交換器(200)は、一般に、底部分(210)、上部分(221)、第1の側面部分(231)、および第2の側面部分(241)のうちの少なくとも1つを通る流体経路を形成する、1つ以上の流体チャネル(図示せず)を備え得る。例えば、いくつかの変形例では、熱交換器(200)の各部分は、流体チャネルの少なくとも一部分を含み得る。場合によっては、熱交換器(200)の各部分は、複数(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の流体チャネルを備える。流体チャネルは、熱交換の部分を通して冷却流体を循環させるのに好適な任意のサイズおよび形状を有することができる。例えば、各流体チャネルは、約9mm
2~約100mm
2の断面積を含んでもよい。使用中、流体チャネルは、患者の頭皮の温度よりも低い温度を有し得る循環流体を含み得る。
図2Mは、熱交換器(200)の流体流れパターンの、一変形例を示している。そこに示される変形例では、熱交換器(200)の各ローブは2つの流体チャネルを含み得、流体は、熱交換器(200)の底部分を通って、熱交換器(200)に入ること(260)および熱交換器(200)から出ること(262)が可能である。
【0048】
少なくとも
図2A、2B、および2Nに示されるように、熱交換器(200)は、熱交換器(200)を所定の形状構成に形成し、かつその構成を保持するように構成された、1つ以上の解放可能な締結具(280)(例えば、フック、ループ、ベルクロ(登録商標)、それらの組み合わせなど)を含み得る。例えば、熱交換器(200)の1つ以上の端部分は、任意の好適な形状またはサイズを有する締結具を含んでもよい。
図2Aおよび2Bは、ローブの遠位端に結合された締結具のセット(280)を示している。例えば、半球形のループ締結具を、熱交換器(200)の第1の面(
図2A)で、各ローブの遠位端に配設することができる。第1の側面とは反対側の、熱交換器(200)の第2の側面(
図2B)では、半球形のフック締結具を4つのローブに配設することができる。さらに、底部分(210)の第2の側面で、ループ締結具を配設することができる。この複数の部分および/またはローブは、異なる部分のフックとループとが重なり合って互いに結合して、熱交換器を患者の頭皮に巻き付けて固定するように操作することができる。
【0049】
いくつかの変形例では、熱交換器(200)は、ナイロン、ウレタン被覆ナイロン、ポリエステル織物、ポリ塩化ビニル(PVC)、ループ布、不織布、それらの組み合わせなどの、可撓性材料を含み得る。これにより、熱交換器(200)の1つ以上の部分を操作および調整して、患者の頭部の形状に適合させ、様々な頭部のサイズの複数の患者に対応することが可能となり得る。
図2Cおよび2Dの側面および正面の概略図に示されるように、熱交換器(200)は、一般に、患者の頭部に巻き付けられるように成形され得る。例えば、熱交換器の1つ以上の端部分は、
図2H~2Lに関して本明細書でより詳細に説明されるように、頭部の少なくとも一部分を取り囲むように調整可能に重なり合うように構成され得る。
【0050】
熱交換器(200)は、互いに結合され得るいくつかの層から形成され得、それらのうちの1つ以上は、熱交換器内に流体通路を形成し得る。
図2Gは、熱交換器(200)の層の一変形例の、一部分の概略断面図である。熱交換器(200)は、患者に対向するように構成された第1の層、最下層(250)と、患者から離れて対向する(例えば、膨張可能部材に対向する)ように構成された第2の層、最上層(254)とを含み得る。第1の層(250)および第2の層(254)は、空洞、および/または第1の層(250)と第2の層(254)との間に1つ以上の流体チャネル(252として概略的に示される)を形成することができ、流体チャネルは、熱交換器の使用中に循環流体を受容することができる。いくつかの変形例では、熱交換器の層は、互いに無線周波数溶接または熱溶接されて、循環流体のための遠回りおよび/または曲がりくねった経路を形成し得、遮水性であり得る。いくつかの変形例では、第1の層(250)および/または第2の層(254)は、ナイロンなどの可撓性材料を含み得る。いくつかの変形例では、例えば、ライナーが使用されない場合、第2の層(254)は、テリークロスおよび/または吸収性布などの柔らかい布を含み得る。追加的または代替的に、いくつかの変形例では、熱交換器(200)の1つ以上の部分(例えば、第1の層(250)もしくはその一部分、および/または第2の層(254)もしくはその一部分)は、任意選択的に、圧縮性材料(例えば、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体)を含んでもよい。圧縮性材料を含む変形例では、圧縮性材料は、熱交換器の1つ以上の層に統合もしくは埋め込まれ得、および/または熱交換器(200)の1つ以上の層の内面および/または外面に取り付けられ得る。圧縮性材料を利用することにより、熱交換器(200)の剛性を高めて、例えば、内部液圧からの座屈に対する抵抗を増加させることができ、かつ/または熱交換器(200)の第1の層(250)と患者の頭皮との間の距離を増加させることができ、これは、凍傷のリスクを低減する可能性がある。
図2Eおよび2Fは、熱交換器(200)の概略面断面図である。例えば、
図2Eは、フック締結具(260)を含む第1の層(250)と、フック締結具(260)およびループ締結具(262)を含む第2の層(254)とを示す。
【0051】
図11Aおよび11Bは、効率的な冷却および流体の流れのために構成された設計を含む、熱交換器(1100)の追加の変形例の概略図である。そこに示されるように、熱交換器(1100)は、底部分(1110)、上部分(1121)、第1のアーム(1130)を含む第1の側面部分(1131)、第2のアーム(1140)を含む第2の側面部分(1141)、および流体接続部(1170)を備える。さらに、熱交換器(1100)の1つ以上の部分は、1つ以上の流体バリア(1150、1152、1154、1156)(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上などの複数の流体バリア)、1つ以上の締結具(1180)(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上などの複数の締結具)、および1つ以上のセンサ(1182)(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上などの複数のセンサ)を含み得る。流体接続部(1170)は、熱交換器(1100)を冷却ユニット(図示せず)に結合するように構成され得、熱交換器(1100)の任意の好適な部分、例えば、底部分(1110)、上部分(1121)、またはいずれかの側面部分(1131、1141)、のうちのいずれかに結合され得る。流体接続部(1170)は、冷却ユニットの入口および出口に結合するように構成された、チューブなどの流体導管を備え得る。上部分(1121)は、頭部の頂頭部および/または最前部を覆うように構成され得、底部分(1110)は、後頭部および/または首を覆うように構成され得、かつ第1および第2の側面部分(1131、1141)は、頭部の左脳半球および右脳半球を覆うように構成され得る。例えば、上部分(1121)は、概して円形または楕円形であり得、第1および第2の側面部分(1131、1141)は、丸みを帯びた(例えば、球根状の)端部を有する概して細長い形状を有し得、かつ底部分(1110)は、概して先細形状を有し得、上部分(1121)および側面部分(1131、1141)から離れて延在し得る。
【0052】
いくつかの変形例では、上部分(1121)、第1の側面部分(1131)および/または第2の側面部分(1141)は、各々、1つ以上、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のアームまたはローブを含み得る。いくつかの変形例では、第1の側面部分(1131)、第2の側面部分(1141)、および上部分(1121)は、合計3つのアームまたはローブを含み得、熱交換器(1100)は、合計3つのアームまたはローブのみを含み得る(すなわち、底部分(1110)はアームを有さない場合がある)。熱交換器の各部分のアームは、患者の頭部の異なる部分を調整可能に覆うようなサイズおよび形状にすることができる。例えば、第1および第2の側面部分の各々のアームは、概して細長く(例えば、長さが幅よりも長い)、各々が湾曲したまたは丸みを帯びた遠位端を有し得る。上部分(1121)は、頭部の形をした、ほぼ円形または楕円形を有し得る。遠位端のうちの1つ以上は、アームを互いに固定するために使用される締結具(例えば、フック、ループ)を含み得る。各アームは、底部分(1110)から反対方向に外側に延在し得、患者の頭部への適合および患者の調整を可能にするため、可撓性であり得る。上部分(1121)、第1の側面部分(1131)、および第2の側面部分(1141)の各々が複数のアームを含む変形例では、各部分の各アームは同じ(例えば、形状、長さ、幅、表面積、および/または遠位端の曲率半径が同じ)であってもよく、または各アームは異なって(例えば、異なる形状、長さ、幅、表面積、および/または遠位端の曲率半径を有する)もよい。
【0053】
図11A~11Cに示されるように、例えば、熱交換器(1100)の上部分および側面部分は、一般に、人型(例えば、かかし)、T字形、および/または十字形のうちの1つ以上を形成し得る。いくつかの変形例では、上部分(1121)および底部分(1110)は、共通の長手方向軸を画定し得、場合によっては、流体バリア(1152)は、概してこの共通の長手方向軸に沿って延在することができる(例えば、流体バリア(1152)は、概して熱交換器(1100)の長手方向軸に沿って延在することができる)。第1の側面部分(1131)および第2の側面部分(1141)は、長手方向軸に対して鋭角で底部分(1110)から延在し得る。いくつかの変形例では、第1の側面部分(1131)および第2の側面部分(1141)は、底部分(1110)に対して概して湾曲した形状を形成し得る。例えば、側面部分は、長手方向軸に対して同じかまたは異なる弓形の角度で底部分(1110)から延在し得る。いくつかの変形例では、アームのうちの1つ以上が先細になっていてもよい(例えば、近位端は遠位端よりも広い幅を有する、遠位端は近位端よりも広い幅を有する、など)。いくつかの変形例では、アームは、熱交換器の別の部分から延在(例えば、第1のアーム(1130)は底部分(1110)から鋭角で延在)するか、または別のアームから延在(例えば、第2のアーム(1132)は上部分(1121)から延在)するかのいずれかであってもよい。例えば、第1のアーム(1130)および第2のアーム(1132)は、長手方向軸に対して約0度~約80度の角度を形成し得る。いくつかの変形例では、第2のアームの長さに対する第1のアームの長さの比は、約2:1~約0.5:1であってもよい。いくつかの変形例では、第2のアームの幅に対する第1のアームの幅の比は、約2:1~約0.5:1であってもよい。
【0054】
いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、約30cm~約50cmの長さを含み得、その間のすべての部分範囲および値、例えば、約35cm~約45cmを含む。いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、約35cm~約80cmの幅を含み得、その間のすべての部分範囲および値を含む。いくつかの変形例では、上部分の直径に対するアームの長さの比は、約3:2~約3:4であり得る。例えば、いくつかの変形例では、上部分(1121)は、約20cmの直径を含み得、底部分(1110)は、約20cmの長さを含み得、各側面部分(1131、1141)は、約25cmの長さを含み得る。
【0055】
熱交換器(1100)は、一般に、底部分(1110)、上部分(1121)、第1の側面部分(1131)、および第2の側面部分(1141)のうちの少なくとも1つを通る流体経路(例えば、流体チャネル)を備え得る。例えば、いくつかの変形例では、熱交換器(1100)の各部分は、流体経路の少なくとも一部分を含み得る。流体経路は、熱交換器(1100)の部分を通して冷却流体を循環させるのに好適な任意のサイズおよび形状を有することができる。使用中、流体経路は、患者の頭皮の温度よりも低い温度を有し得る循環流体を含み得る。
図11Aおよび11Bは、熱交換器(1100)の流体流れパターン(1190、1192)の変形例を示している。そこに示される変形例では、流体は、熱交換器(1100)の底部分(1110)(例えば、底部分(1110)の近位端)を通って、熱交換器(1100)に入ること(1190)および熱交換器(1100)から出ること(1192)が可能である。例えば、流体は、ほぼ反時計回りの方向に、底部分(1110)、第2の側面部分(1141)、上部分(1120)、第1の側面部分(1131)を通って連続的に流れ、底部分(1110)を通って流出することができる。
【0056】
いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、熱交換器(1100)を通る流体の流れを方向づけ、かつ拡張構成で熱交換器(1100)に所定の形状を提供するように構成された、流体バリアを備え得る。本明細書に記載の流体バリアは、均一かつ一貫した冷却を促進するのに役立つ可能性があり、熱交換器(1100)内の流体の貯留を低減する可能性がある。例えば、流体バリアは、所定の流体流路を画定することによって、熱交換器(1100)全体にわたる乱流流体の流れを低減するように構成され得る。さらに、流体バリアは、熱交換器(1100)の1つ以上の部分の拡張を低減するように構成され得る。いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、点状の流体バリア、細長い流体バリア、丸みを帯びた流体バリア、および定形の流体バリアを含むがこれらに限定されない流体バリアセット(1150、1152、1154、1156)を含み得る。例えば、流体バリアは、1つ以上の側壁を含み、熱交換器(1100)の外周(例えば、境界)を画定する壁を含まない、熱交換器(1100)の内部空洞内に溶接することができる。例えば、各バリアは、熱交換器(1100)が拡張構成にある(例えば、流体で満たされている)ときに、熱交換器(1100)が「膨らむ」のではなく、全体にわたって事前定義された厚さおよび形状を維持し得るように、熱交換器(1100)の対向する層(例えば、最上層、最下層)の間で結合され得る。本明細書でより詳細に説明されるように、流体バリアの1つ以上は、溶接プロセスによって形成され得る。
【0057】
いくつかの変形例では、細長い流体バリア(1152、1153、1155)は、熱交換器(1100)の1つ以上の部分および/またはアームを通る流体流路を画定し、熱交換器(1100)に所定の形状を提供し得る。例えば、
図11Aは、縦方向の細長い流体バリア(1152)が、底部分(1110)および上部分(1121)の各々を二分できることを示している。同様に、横方向の細長い流体バリア(1153、1155)は、それぞれ、第1の側面部分(1131)および第2の側面部分(1141)、ならびに上部分(1121)を二分することができる。
図11Aでは、縦方向の細長い流体バリア(1152)は、熱交換器(1100)を通る遠回りの流体経路を形成するように、横方向の細長い流体バリア(1153、1155)の各々と十字形を形成することができる。縦方向または横方向の細長い流体バリア(1152)よりも短い1つ以上の細長い流体バリア(1154)を、横方向および長手方向の細長い流体バリア(1152、1153、1155)の間に形成される交差点のすぐ近くに、それらの領域での流体の背圧(例えば、貯留)を低減するために、配設してもよい。細長い流体バリア(1154)は、横方向または縦方向の細長い流体バリア(1154)に対してほぼ平行かまたは角度を付けることができる。
【0058】
図11Bは、例えば、熱交換器(1100)の交差点および/または湾曲部分の近くで非乱流または層流の流体の流れを促進するように構成された、湾曲した細長い流体バリア(1162)を示す。
図11Cは、
図11Bに概略的に描かれた熱交換器(1100)の画像である。
図11Bおよび11Cに示される細長い流体バリア(1162、1164)は、流体の背圧および乱流を低減するための、1つ以上の曲線を含み得る。細長い流体バリアは、熱交換器(1100)を通る遠回りの流体経路を形成し得る。例えば、
図11Bは、底部分(1110)および第2の側面部分(1141)を通って延在する、第1の細長い流体バリア(1162)を示している。第2の細長い流体バリア(1164)は、第1の側面部分(1131)および上部分(1120)を通って延在する。第1および第2の細長い流体バリア(1162、1164)は、第3の細長い流体バリア(1166)によって結合され得る。横方向の細長い流体バリア(1165)は、第2の細長い流体バリア(1164)に対して十字形を形成することができる。第1および第2の細長い流体バリア(1162、1164)よりも短い1つ以上の細長い流体バリア(1154)を、第1、第2、第3、および横方向の細長い流体バリア(1162、1164,1165、1166)の間に形成される交差点のすぐ近くに、それらの領域での流体の背圧(例えば、貯留)を低減するために、配設してもよい。細長い流体バリア(1154)は、細長い流体バリア(1162、1164、1165、1166)に対してほぼ平行かまたは角度を付けることができる。
【0059】
いくつかの変形例では、流体バリアセットは、流体流路を画定し、熱交換器(1100)に所定の形状を提供するように構成された、離間した流体バリア(1150)の流体バリアパターンを含み得る。例えば、
図11Aおよび11Bは、熱交換器(1100)の空洞全体にほぼ均一に分布され得るトーラス状の(例えば、ドーナツ、ドット、シリンダ)形状を含む、流体バリアセット(1150)を示す。トーラス状の流体バリアの中心(例えば、穴)は、熱交換器内の流体とは流体連通していない。いくつかの変形例では、トーラス状の流体バリア(1150)の1つ以上は、約5mm~約10mmの直径を含み得、他の流体バリア(1150)から約5mm~約15mm離間され得る。例えば、いくつかの変形例では、トーラス状の流体バリア(1150)の1つ以上(例えば、複数、すべて)は、約7mmの直径を含み得、トーラス状の流体バリア間の間隔は、少なくとも10mm(例えば、約10mm)であり得る。いくつかの変形例では、トーラスのセット(1150)は、一般に均一に離間され得る。流体バリアセット(1150)の各流体バリアは、同じかまたは異なる直径を有し得る。追加的または代替的に、流体バリアセット(1150)は、半球形、長方形、三角形、菱形、台形、および他の多角形などの他の形状、またはそれらの組み合わせを含み得る(例えば、複数の流体バリアは、第1の形状(例えば、トーラス形状)を含み得、複数の流体バリアは、第2の異なる形状(例えば、中実の円形)を含み得る)。
【0060】
いくつかの変形例では、1つ以上(例えば、複数、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の流体バリア(例えば、流体バリア(1154))は、細長い流体バリアの各端に結合されたトーラス状または円形の流体バリア(または点バリア)を有する、バーベルまたはダンベル状の形状を含み得る。これらの流体バリア(1154)は、所定の様式で流体の流れを方向付けるように構成されてもよい。例えば、細長い流体バリア(1152、1154)は、交差点及び鋭角部の近傍で流体を層流として、流体の背圧(例えば、貯留、静止点)を低減し得る。熱交換器(1100)内で比較的停滞している流体は、冷却キャップ組立体の効率および性能の1つ以上を低下させる可能性のある、比較的高い温度を含み得る。したがって、細長い流体バリアは、熱交換器(1100)全体にわたる非乱流を可能にし得る。いくつかの変形例では、細長い流体バリア(1152、1153、1154、1162、1164、1165、1166)は、線形または湾曲状であり得、流体バリア端(例えば、トーラス状の流体バリア、点バリア)の直径または幅以下の幅を含み得る。
【0061】
本明細書でより詳細に説明されるように、いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、1つ以上のセンサ(1182)、例えば、温度を測定するように構成された1つ以上のセンサを備え得る。例えば、センサ(1182)は、
図11Bに示されるように、熱交換器(1100)内の1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の所定の場所で、トーラス状の流体バリア(1150)の内側の「ドーナツ穴」(例えば、貫通穴)内に配設され得る。いくつかの変形例では、1つ以上の測定温度が所定の温度範囲または他の基準の外にあるときに、通知が生成されてもよい。例えば、いくつかの変形例では、1つのセンサの温度が、1つ以上の他のセンサと所定の量(例えば、2℃以上の温度差)だけ異なる場合に、患者に通知されてもよい。
【0062】
さらに、いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、熱交換器(1100)を所定の形状構成で形成および保持するように構成された、1つ以上の解放可能な締結具(1180)(例えば、フック、ループ、ベルクロ(登録商標)、それらの組み合わせなど)を含み得る。例えば、熱交換器(1100)の1つ以上の端部分は、任意の好適な形状またはサイズを有する締結具(1180)を含み得る。
図11Aおよび11Bは、アームの遠位端に結合された締結具のセット(1180)を示している。例えば、半球形のループ締結具を、熱交換器(1100)の第1の面で、各アームの遠位端に配設することができる。第1の側面とは反対側の、熱交換器(1100)の第2の側面では、半球形のフック締結具をアームのセットに配設することができる。さらに、底部分(1110)の第2の側面で、ループ締結具を配設することができる。いくつかの変形例では、上部分(1120)の締結具(1180)は、熱交換器(1100)が拡張構成にあるときに、上部分(1120)が凹状または「ボウル」形状を形成することを可能にする、三角形の形状を含み得る。例えば、
図11A~11Cは、熱交換器(1100)の上部分(1120)上の4つの三角形の締結具(例えば、ベルクロ(登録商標))および3つのタブ型の締結具のセットを示している。
【0063】
いくつかの変形例では、この複数の部分および/またはアームは、異なる部分のフックとループとが重なり合って互いに結合して、熱交換器を患者の頭皮に巻き付けて固定するように操作することができる。例えば、側面部分の遠位端(1130、1140)の締結具(1180)は、患者の頭部の側面に巻き付けられて、患者の額上で接触する(例えば、結合する、重なり合う)ことができる。次に、上部分(1120)から突出するタブ状の締結具(1180)を、側面部分(1131、1141)の締結具(1180)に結合して、上部分(1120)を側面部分(1131、1141)に固定することができる。
【0064】
いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、ナイロン、ウレタン被覆ナイロン、ポリエステル織物、ポリ塩化ビニル(PVC)、ループ布、不織布、それらの組み合わせなどの、可撓性材料を含み得る。これにより、熱交換器(1100)の1つ以上の部分を操作および調整して(例えば、包んで)、患者の頭部の形状に適合させ、様々な頭部サイズの患者に対応することが可能となり得る。
【0065】
いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、互いに結合され得るいくつかの層から形成され得、それらのうちの1つ以上は、熱交換器内に1つ以上の流体通路(例えば、流体経路)を形成し得る。例えば、熱交換器(1100)は、患者に対向するように構成された第1の層と、患者から離れて対向する(例えば、膨張可能部材に対向する)ように構成された第2の層とを含み得る。いくつかの変形例では、熱交換器の層は、互いに高周波溶接または熱溶接されて、循環流体のための遠回りの流体経路を形成し得、遮水性であり得る。例えば、高周波溶接は、製造デバイスを使用して、熱交換器の溶接される部分に通電することを含み得る。製造デバイスによって付与される局所的な熱および圧力は、強力な溶接(例えば、結合)を作成し得る。いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)で積層された布を含み得る。
【0066】
いくつかの変形例では、熱交換器(1100)は、ナイロンおよび/または不織布などの可撓性材料を含み得る。追加的または代替的に、いくつかの変形例では、熱交換器(1100)の1つ以上の部分は、任意選択的に、圧縮性材料(例えば、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体)を含んでもよい。圧縮性材料を含む変形例では、圧縮性材料は、熱交換器の1つ以上の層に統合もしくは埋め込まれ得、および/または熱交換器(1100)の1つ以上の層の内面および/または外面に取り付けられ得、これは、例えば、内部液圧からの座屈に対する抵抗を増加させ、および/または凍傷のリスクを低減し得る。
【0067】
圧縮組立体
本明細書に記載の圧縮組立体は、熱交換器と患者の頭皮との間の接触面積を増加させるように構成され得(いくつかの変形例では、接触はライナーを介して行われ得る)、これは、冷却キャップ組立体の冷却効率を増加し得る。ここで説明される圧縮組立体は、一般に、膨張可能部材および筐体を含み得、熱交換器から分離され、かつ熱交換器に対して可動であり得る。別の言い方をすれば、圧縮組立体は、熱交換器とは別個に形成され得、例えば、患者の頭皮への熱交換器の適用中に、熱交換器から取り外されるか、さもなければ物理的に分離され得る。使用中、膨張可能部材の内面は熱交換器に接触してもよく、膨張可能部材の外面は筐体に接触してもよい。膨張可能部材が膨張すると、筐体は、膨張可能部材からの変形に抵抗するように構成され得、かつ圧縮組立体が熱交換器に圧縮力を付与することができるように、反力を作用させるように構成され得る。この圧縮力によって、熱交換器が患者の頭皮の形状によりよく適合するように、例えば、熱交換器を患者の頭皮に押し付けることによって、熱交換器と頭皮との間の接触面積を増加させることができる。例えば、患者の頭皮の輪郭および形状は、熱交換器のアームまたはローブを頭皮に向かって押すための圧力が付与されない限り、アームまたはローブが頭皮の全部またはかなりの部分に完全に接触しないようなものであり得る。この圧力の付与により、熱交換器と頭皮との間の隙間、ずれ、くぼみなどを減らすことが可能になり得る。いくつかの変形例では、圧縮組立体は、1つ以上のセンサを含み得る。
【0068】
膨張可能部材
ここで説明する膨張可能部材は、熱交換器によって患者の頭部に加えられる力を増加させるために、流体を受容して、収縮構成から膨張構成に移行するように構成することができる。
図3Aおよび3Bは、膨張可能部材(300)の変形例の平面図である。膨張可能部材(300)は、底部膨張可能部分(310)、上部膨張可能部分(320、322)、第1の膨張可能側面部分(330、332)、および第2の膨張可能側面部分(340、342)を備え得る。底部膨張可能部分(310)は、患者の首および/または後頭部と位置合わせされ得、上部膨張可能部分(321)は、頭部の頂頭部および/または最前部の上に置かれる。側面部分(331、341)は、患者の頭部に配置されると、頭部の左脳半球と右脳半球を覆うことができる。各部分は、流体(例えば、液体、気体(例えば、空気))で満たされるように構成された、少なくとも1つのチャンバを含み得る。例えば、膨張可能部材は、複数のチャンバ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)を含み得る。例えば、一変形例では、膨張可能部材は、前部中央チャンバ、前部左チャンバ、前部右チャンバ、上部チャンバ、後部中央チャンバ、後部右チャンバ、および後部右チャンバを含み得る。いくつかの変形例では、複数のチャンバの各々は、独立して膨張可能であってもよい。上述したように、膨張可能部材(300)は、収縮構成および膨張構成を含み得る。患者の頭部で使用中、膨張可能部材(300)を収縮構成から膨張構成に移行させると、患者の頭部に付与される圧力が増加し得る。
【0069】
いくつかの変形例では、第1の膨張可能側面部分(330、332)および第2の膨張可能側面部分(340、341)の長さは、上部膨張可能部分(320、322)の長さよりも短くてもよい。本明細書に記載の熱交換器と同様に、膨張可能部材(300)の一部は、頭部の少なくとも一部分を取り囲むように、調整可能に重なり合うように構成され得る。例えば、
図3Bおよび3Dは、筐体(360)内に保持された膨張可能部材(300)の変形例の平面図および斜視図である。膨張可能部材(300)の側面部分および上部分は、ほぼ半球形を形成するように互いに重なり合うことができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材(300)は、筐体(360)に取り外し可能に結合され得る。他の変形例では、膨張可能部材(300)は筐体(360)に固定されてもよい。
【0070】
膨張可能部材(300)は、1つ以上の膨張部分(310、321、331、341)に結合された、1つ以上の流体接続部(例えば、チューブ)を備えることができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材(300)は、流体接続部を介して膨張可能部材(300)の1つ以上のチャンバに流体結合された、手動ポンプをさらに備え得る。他の変形例では、膨張可能部材は、1つ以上の流体接続部を介して、別個のポンプ、例えば、冷却ユニットに含まれるエアポンプに流体結合され得る。いくつかの変形例では、1つ以上の流体導管は、膨張圧力を制御するため、もしくは制御するのを支援するために使用され得る、弁を含んでもよい。
【0071】
図3Cは、流体ポンプ(例えば、エアバルブ(air bulb))(350)を含む膨張可能部材300の変形例を示す。手動ハンドポンプ(例えば、エアポンプバルブ)としてそこに示されている流体ポンプ(350)は、可撓性チューブ(352)を介して流体接続部(354)に結合することができる。可撓性チューブ(352)は、流体ポンプ(350)を作動させて、膨張可能部材(300)の1つ以上のチャンバを、例えば、空気および/または不活性気体を用いて所定の圧力(膨張圧力)まで満たすことができるように、膨張部分(310、321、331、341)における1つ以上のチャンバを、流体ポンプ(350)に流体結合することができる。いくつかの変形例では、流体ポンプ(350)は、患者によって作動されてもよく、これにより、患者は、熱交換器を介して、圧縮組立体によって患者の頭部に加えられる力を調整することが可能になり得る。これにより、冷却キャップ組立体の向上した適応性と快適性が可能になり得、かつ熱交換器と頭皮との間の接触を、ある程度可能にし得る。上述したように、いくつかの変形例では、冷却ユニットは流体ポンプ(350)を含み得る。これらの変形例では、冷却システムはコントローラをさらに備えてもよく、コントローラは、流体ポンプ(350)を使用して、手動で(例えば、ユーザ入力を介して)、および/または動的に(例えば、センサデータを使用して)、膨張可能部材(300)の膨張圧力を制御するように構成されてもよい。
【0072】
いくつかの変形例では、膨張可能部材は、冷却キャップなどの筐体内で膨張および保持されたときに、患者の頭部の形状に適合するように構成され得る。
図12Aは、膨張可能部材(1200)の別の変形例の概略図である。
図12Bは、筐体内に保持されたときの、第1の構成(例えば、非膨張構成)にある膨張可能部材(1200)の変形例の底面図である。
図12Cは、筐体内に保持されたときの、第2の構成(例えば、膨張構成)にある膨張可能部材の例示的な変形例の底面図である。同様に、
図12Dは、第1の構成および第2の構成にある膨張可能部材の、それぞれの例示的な変形例の画像である。
【0073】
図12A~12Dに示される膨張可能部材(1200)は、底部膨張可能部分(1210)、上部膨張可能部分(1220)(例えば、上部チャンバ(1221))、第1の膨張可能側面部分(1230)(例えば、左チャンバ(1231))、および第2の膨張可能側面部分(1240)(例えば、右チャンバ(1241))、流体バリア(1250)、流体接続部(1270)、切れ込みまたは隙間(1242)、および締結具(1280)を含み得る。底部膨張可能部分(1210)は、患者の首および/または後頭部と位置合わせされ得、上部膨張可能部分(1221)は、頭部の頂頭部および/または最前部の上に置かれる。膨張可能側面部分(1230、1240)は、患者の頭部に配置されると、頭部の左脳半球と右脳半球を覆うことができる。各部分は、流体(例えば、液体、空気などの気体)で満たされるように構成された、少なくとも1つのチャンバを含み得る。例えば、膨張可能部材(1200)は、複数のチャンバ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)を含み得る。例えば、一変形例では、膨張可能部材(1200)は、左チャンバ(1231)、右チャンバ(1241)、および上部チャンバ(1221)を含み得る。上述したように、膨張可能部材(1200)は、第1の収縮構成、第2の膨張構成、およびそれらの間の、複数の部分的膨張構成を含み得る。患者の頭部で使用中、膨張可能部材(1200)を第1の収縮構成から第2の膨張構成に移行させると、熱交換器および患者の頭部に付与される圧力が増加し得る。
【0074】
いくつかの変形例では、上部分(1220)は、概して楕円形または円形の形状を有し得る。第1および第2の側面部分(1230、1240)(例えば、ウィング、アーム)は、「ボウル」形状を形成するために凹状であり得る、概して細長い形状を有することができる。底部分(1210)は、概して先細形状を有し得、上部分(1220)から離れて延在することができる。いくつかの変形例では、第1の膨張可能側面部分(1230)および第2の膨張可能側面部分(1240)の(それぞれの長手方向軸に沿った)長さは、上部膨張可能部分(1220)の(上部膨張可能部分の長手方向軸に沿った)長さより長くてもよい。本明細書に記載の熱交換器と同様に、膨張可能部材(1200)の部分は、頭部の少なくとも一部分を取り囲むように、調整可能に重なり合うように構成され得る。例えば、
図12Bおよび12Cは、筐体(1260)内に保持された膨張可能部材(1200)の変形例の、上面図である。膨張可能部材(1200)の側面部分(1230、1240)および上部分(1220)は、ほぼ半球形を形成するように互いに重なり合うことができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、筐体(1260)に取り外し可能に結合され得る。他の変形例では、膨張可能部材(1200)は筐体(1260)に固定されてもよい。膨張可能部材(1260)は、膨張構成で筐体(1260)に保持されているとき、患者の頭部にほぼ均一な量の圧力を付与するように構成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、1つ以上の切れ込み(1242)、隙間、またはへこみを含んで、筐体(1260)内の膨張可能部材(1200)の異なる部分の折り畳み、成形、および/または重なりを助けてもよい。
【0075】
いくつかの変形例では、上部分(1220)および底部分(1210)は、膨張可能部材(1200)を二分する共通の長手方向軸を画定し得る。第1の側面部分(1230)および第2の側面部分(1240)は、長手方向軸に対して鋭角で底部分(1210)から延在し得る。例えば、第1の側面部分(1230)および第2の側面部分(1240)は、長手方向軸に対して約0度~約80度の角度を形成することができる。いくつかの変形例では、第2の部分の長さに対する第1の部分の長さの比は、約2:1~約0.5:1であってもよい。例えば、第1の部分および第2の部分は、互いの鏡像であってもよい。いくつかの変形例では、第2の部分の幅に対する第1の部分の幅の比は、約2:1~約0.5:1であってもよい。
【0076】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、約25cm~約50cmの長さを含み得、その間のすべての部分範囲および値、例えば、約30cm~約40cmを含む。いくつかの変形例では、熱交換器(1200)は、約35cm~約80cm、約50cm~約70cm、約60cm~約70cmの幅を含み得、その間のすべての部分範囲および値を含む。
【0077】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)の1つ以上の部分は、1つ以上の流体バリア(1250)を含み得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、膨張構成で膨張可能部材(1200)に所定の形状を提供するように構成された、流体バリアセット(1210)(例えば、壁、溶接部)を含み得る。本明細書に記載の流体バリアは、膨張可能部材(1200)の、均一かつ一貫した膨張を促進するのに役立つ可能性がある。例えば、流体バリアは、膨張可能部材(1200)の1つ以上の部分の拡張を低減するように構成され得る。各バリアは、膨張可能部材(1200)が膨張構成にある(例えば、流体で満たされている)ときに、膨張可能部材(1200)が「膨らむ」のではなく、全体にわたって事前定義された厚さおよび形状を維持し得るように、膨張可能部材(1200)の対向する層(例えば、最上層、最下層)の間で結合され得る。これは、患者の快適さを助け、冷却効率を高める可能性がある。流体バリアの1つ以上は、本明細書に記載の溶接プロセスによって形成され得る。いくつかの変形例では、流体バリア(1250)の1つ以上は細長くてもよく、概して、チャンバの中点を通って延在し得る。すなわち、流体バリア(1250)は、膨張可能部材の内部空洞内に配置され得る。例えば、流体バリア(1250)は、線形であり、および/または「V」のような形状を形成し得る。
【0078】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)の1つ以上の部分は、膨張可能部材(1200)を所定の形状構成で形成および保持するように構成された、1つ以上の解放可能な締結具(1280)(例えば、フック、ループ、ベルクロ(登録商標)、それらの組み合わせなど)を含み得る。膨張可能部材(1200)は、異なる部分のフックとループとが重なり合って互いに結合して、膨張可能部材を筐体内に巻き付けて固定するように操作することができる。膨張可能部材(1200)の1つ以上の縁部は、複数の部分を互いに締結するために使用される締結具(例えば、フック、ループ)を含み得る。各側面部分は、底部分(1210)から延在し得、患者の頭部への適合および患者の調整を可能にするため、可撓性であり得る。
【0079】
流体接続部(1270)は、膨張可能部材(1200)をポンプ(図示せず)に結合するために使用することでき、膨張可能部材(1200)の任意の好適な部分、例えば、底部分(1210)、上部分(1220)、またはいずれかの側面部分(1230、1240)、のうちのいずれかに結合され得る。流体接続部(1270)は、ポンプに結合するように構成された、チューブなどの流体導管を備え得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、流体接続部を介して膨張可能部材(1200)の1つ以上のチャンバに流体結合された、手動ポンプをさらに備え得る。他の変形例では、膨張可能部材は、1つ以上の流体接続部を介して、冷却ユニットに含まれるエアポンプに流体結合され得る。いくつかの変形例では、1つ以上の流体導管は、膨張圧力を制御するため、もしくは制御するのを支援するために使用され得る、弁を含んでもよい。
【0080】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)の1つ以上のチャンバは、例えば、空気および/または不活性気体で所定の圧力(膨張圧力)まで膨張され得る。いくつかの変形例では、流体ポンプは、患者が作動してもよく、患者は、熱交換器を介して、圧縮組立体によって患者の頭部に加えられる力を調整可能となる。これにより、冷却キャップ組立体の適応性と快適性を向上でき、熱交換器と頭皮との間の接触がある程度可能となる。上述したように、いくつかの変形例では、冷却ユニットは流体ポンプを含み得る。これらの変形例では、冷却システムはコントローラをさらに備えてもよく、コントローラは、流体ポンプ(1250)を使用して、手動で(例えば、ユーザ入力を介して)、および/または動的に(例えば、センサデータを使用して)、膨張可能部材(1200)の膨張圧力を制御するように構成されてもよい。
【0081】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、ナイロン、ウレタン被覆ナイロン、ポリエステル織物、ポリ塩化ビニル(PVC)、ループ布、不織布、それらの組み合わせなどの、可撓性材料を含み得る。これにより、膨張可能部材(1200)の1つ以上の部分を操作および調整して(例えば、包んで)、患者の頭部の形状に適合させ、様々な頭部のサイズの複数の患者に対応することが可能となり得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材(1200)は、ナイロンおよび/または不織布などの可撓性材料を含み得る。
【0082】
いくつかの変形例では、膨張可能部材の1つ以上の膨張部分および/またはチャンバは、独立して膨張および/または収縮することができる。
図1Bに示されるように、例えば、膨張可能部材は、独立して膨張および/または収縮することができる、複数のセグメント化されたチャンバを含んでもよい。これらの変形例では、流体導管(144)を膨張可能部材(130)の各チャンバに結合して、膨張可能部材の各膨張可能部分および/またはチャンバ内の、流体圧力の独立した制御を可能にすることができる。これは、必要に応じて各膨張部分および/またはチャンバの膨張圧力の個別の調整を可能にすることによって、頭部のより均一な冷却を可能にし得る。例えば、所定の膨張圧力まで各チャンバを最初に膨張させた後、熱交換器の各アームまたはローブに結合された温度センサは、頭皮の不均一な冷却を示す温度示度を測定することができる。それに応じて、コントローラは、例えば、それらのチャンバに流体結合されたポンプの出力を増加させるか、さもなければそれらの特定のチャンバに追加の流体を方向付けることによって、温度が上がったアームまたはローブに対応するチャンバの膨張圧力を増加させることができる。
【0083】
筐体
一般に、ここで説明する筐体は、膨張可能部材が収縮構成から膨張構成に移行するときの変形に抵抗するように構成された、表面を含むことができる。ここで説明する筐体は、膨張可能部材が膨張するときに膨張可能部材に反力を作用させることができ、熱交換器とともに使用されるとき、熱交換器によって患者の頭部に圧縮力を付与することを可能にする。膨張構成の膨張可能部材に対する反力として筐体を使用することにより、膨張構成にあるときに膨張可能部材が均一な形状を維持することと、熱交換器と患者の頭皮との間の接触面積を増加させることとを可能にする。
【0084】
図13は、シェル(1310)、ストラップ(1312)、チンストラップ(1314)、ストラップ締結具(1316)、シェル締結具(1318)、膨張可能部材(1320)、および膨張可能部材締結具(1322)を含む、筐体(1300)の例示的な変形例の斜視図である。いくつかの変形例では、シェル(1310)は、半球形またはドーム形であってもよいし、ヘルメットの形態であってもよい。例えば、シェル(1310)は、剛性(例えば、成形プラスチック)または半剛性材料から構成されてもよい。例えば、シェル(1310)は、膨張可能部材(1320)よりも剛性が高くてもよい。
図13に示されるように、シェル(1310)は、膨張可能部材(1320)の少なくとも一部分、およびいくつかの変形例では膨張可能部材(1320)の全体を取り囲むように構成され得る。例えば、シェル(1310)は、膨張可能部材(1320)の少なくとも一部分を取り囲むように、および/または患者の頭部(図示せず)を受容するように構成された、空洞を画定し得る。いくつかの変形例では、シェル(1310)は、本明細書で記載される可撓性カバーによって囲まれ得る。シェル(1310)は、1つ以上の流体接続部が1つ以上の膨張可能部材(1320)および熱交換器(図示せず)に接続することを可能にするように構成された、1つ以上のポート(図示せず)を備え得る。ポートは、冷却キャップ組立体の1つ以上のセンサへの有線接続を可能にするようにさらに構成することができる。いくつかの変形例では、シェル(1310)は、冷却キャップ組立体の1つ以上の電子部品(例えば、プロセッサ、メモリ、PCB、電池、導線、音声出力デバイス、触覚フィードバックデバイス、視覚出力デバイス)を含み得る。例えば、シェル(1310)は、筐体(1300)の耳孔部分の近くに、冷却キャップ組立体の冷却治療に関連する音声通知(例えば、動作状態)を提供するように構成された、音声出力デバイスを備え得る。別の例として、触覚フィードバックデバイスは、冷却キャップに結合された冷却ユニットの電力状態の移行中に振動するように構成され得る。
【0085】
いくつかの変形例では、筐体(1300)は、シェル(1310)を患者に固定するように構成された、1つ以上のストラップ(1312)を備え得る。ストラップ(1312)は、患者の顎の下を包むように構成された、チンストラップ(1314)を備え得る。いくつかの変形例では、チンストラップ(1314)は、快適性のために調整可能であってもよく、かつ1つ以上の剛性および軟質の構成要素を含んでもよい。例えば、チンストラップ(1314)は、冷却キャップ組立体の1つ以上の構成要素に通すことができる。いくつかの変形例では、ストラップ(1312)は、ストラップ(1312)を、シェル(1310)、膨張可能部材(1322)、カバー、および熱交換器(図示せず)のうちの1つ以上に締結するように構成された、ストラップ締結具(1316)(例えば、ループ)を含んでもよい。いくつかの変形例では、シェル締結具(1318)および膨張可能部材締結具(1322)は各々、開口部を含み得、開口部は、ストラップ締結具(1316)がそれを通ってループすることができるように構成されている。
【0086】
図14A~14Fは、筐体(例えば、冷却キャップ)の例示的な変形例の斜視図である。
図14Aおよび14Cはそれぞれ、筐体の側面図および背面図である。
図14Bは、筐体内に膨張可能部材が配設された状態の、筐体の底面図である。膨張可能部材には手動ポンプが結合されている。
図14Dおよび14Eは、膨張可能部材および可撓性カバーが、筐体のより剛性の高いシェルに(例えば、ベルクロ(登録商標)を介して)解放可能に結合され得ることを示している。
図14Fは、筐体のチンストラップの詳細図である。いくつかの変形例では、締結具(例えば、両面フックテープ)が、筐体のシェルを膨張可能部材に固定することができる。
【0087】
図4Aおよび4Bは、筐体(400)の変形例の、内側および外側の斜視図である。いくつかの変形例では、筐体(400)は、剛性材料(例えば、成形プラスチック)または半剛性材料を含み得る。例えば、筐体(400)は、膨張可能部材よりも剛性があり得る。
図4A~4Bに示されるように、筐体(400)は、膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように構成され得る。例えば、筐体(400)は、膨張可能部材の少なくとも一部分を取り囲むように、および/または患者の頭部を受容するように構成された、空洞を画定し得る。いくつかの変形例では、筐体は、半球形のシェルを含み得る(例えば、筐体は、ドーム形状を含み得る)。
図4Aおよび4Bには示されていないが、いくつかの変形例では、筐体は、筐体(および圧縮組立体の全体)を患者の頭部に可逆的に結合することができる、締結具を備え得る。
【0088】
ライナー
一般に、ここで説明するライナーは、患者の毛髪および頭皮のうちの1つ以上に接触するように、および熱交換器と頭皮との間にバリアを提供するように、構成することができる。いくつかの変形例では、ライナーは、薄く可撓性があり、および/または軽量であり得、かつ熱交換器と頭皮との間の熱伝達を可能にし得る。例えば、ライナーは、ニットポリアミドまたはニットナイロンなどの可撓性および/または弾力性材料を含み得る。ライナーは、患者の頭部を受容するように構成された空洞を形成することができるが、筐体とは異なり、ライナーは、順応性であり、特定の構造がない(例えば、柔らかく適合性がある)場合がある。ライナーは、患者の頭皮に適用かつ適合させることができる。いくつかの変形例では、ライナーを頭部に適用する前に、患者の毛髪を頭皮全体に均一に広げ、これによって、より均一に分散された冷却を頭皮に提供するのを助け得る。例えば、患者の毛髪は、患者の部分線を覆うように調整することができ、これは、冷却中に患者の部分線を保護するのに役立つ可能性がある。いくつかの変形例では、ライナーは、所望の構成で毛髪を保持するのを助けることができる。いくつかの変形例では、保湿ローションおよび/またはヘアコンディショナーを、ライナーを適用する前に頭皮に適用して、伝導を向上させ、かつ/または治療中に髪が凍結するのを防ぐことができる。ライナーは、洗浄可能で再利用可能な材料を含み得る。いくつかの変形例では、ライナーは弾性であり得る。ライナーは、熱交換器がライナーに対して可動であるように、患者の頭皮と熱交換器との間に配設することができる。いくつかの変形例では、ライナーは、冷却キャップ組立体が患者の頭部から取り外されたときにライナーが頭皮上に留まることができるように、頭皮との摩擦ばめを形成してもよい。上述したように、いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体はライナーを含まない場合がある。
【0089】
カバー
一般に、本明細書に記載の冷却組立体に含まれる場合、カバーは、圧縮組立体を患者に保持する(例えば、固定する、つなぎとめる)ように構成することができる。例えば、カバーは、冷却キャップ組立体の筐体上に配設され得、冷却キャップ組立体を患者に可逆的に結合することができる締結具を含んでもよい。このようにして、冷却キャップ組立体は、冷却キャップ組立体が熱交換器および患者の頭部に所定の圧力を付与するように、患者の頭部に固定することができる。上記でより詳細に説明したように、膨張可能部材を膨張させて、頭部への圧縮、および熱交換器と患者の頭皮との間の接触面積を、さらに増加させることができる。いくつかの変形例では、カバーは、ネオプレンなどの可撓性で弾性のある材料を含み得、カバーは、必要に応じて拡張し、圧縮組立体を頭部の所定の位置に保持するように構成され得る。いくつかの変形例では、カバーは、圧縮組立体および熱交換器を一緒に患者の頭から取り外すことができるように、圧縮組立体および熱交換器を保持することができる。続いて、冷却キャップ組立体(例えば、圧縮組立体および熱交換器)は、将来の使用中に、単一の部品として患者の頭部上に戻され得る。
【0090】
いくつかの変形例では、カバーは、圧縮組立体(例えば、筐体)に連結固定されてもよく、他の変形例では、カバーは、圧縮組立体に解放可能に結合されてもよい。カバーは、患者が冷却キャップ組立体(例えば、圧縮組立体)を頭部に配置するのを支援し、使用中に冷却キャップ組立体を頭部に固定することを可能にする。いくつかの変形例では、本明細書でより詳細に説明されるように、熱交換器は、圧縮組立体から分離されてもよく、解放可能に結合されてもよい。これらの変形例では、カバーはまた、熱交換器を、患者の頭部から取り外し、患者の頭部に固定および再適用するのを助けることができる。
【0091】
図5は、可撓性カバー(500)の例示的な変形例の斜視図である。そこに示されているように、カバー(500)(例えば、伸張性のキャップ)は、患者の顎の下を包むように構成された締結具組立体(例えば、チンストラップ(510))を含み得る。
【0092】
センサ
一般に、ここで説明するセンサは、例えば、温度または力(例えば、圧力)などの1つ以上のパラメータを測定するように構成してもよく、冷却ユニットおよび/または冷却キャップ組立体の1つ以上の構成要素を制御するために使用してもよい。
図1Bに示されるように、いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体は、1つ以上のセンサ(132)を備えてもよい。この変形例では、1つ以上のセンサ(132)を熱交換器(120)に結合することができ、例えば、熱交換器内を循環する流体の温度、頭皮の温度、および/または熱交換器によって患者の頭皮に加えられる力もしくはその逆の力など、冷却キャップ組立体の1つ以上のパラメータを測定するように構成することができる。いくつかの変形例では、センサは、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の温度センサ、および/または1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の圧力センサもしくは力学センサを含んでもよい。
【0093】
いくつかの変形例では、熱交換器(120)は、熱交換器(120)の各部分に少なくとも1つのセンサ(132)を備え得る。例えば、熱交換器(120)の各アームまたは各ローブが、1つ以上のセンサ(132)(例えば、1つの温度センサ、1つの圧力センサ)を含んでもよい。いくつかの変形例では、温度センサは、熱交換器(120)の外面上、熱交換器(120)内、または熱交換器(120)の流体チャネル内に配設できる。例えば、温度センサは、熱交換器(120)の内側に(例えば、頭皮に対向して)配設でき、圧力センサは、熱交換器の外側に配設できる。センサは、アームまたはローブの遠位端に配設できる。一例では、センサは、熱交換器に結合された6つの温度センサと、冷却キャップ組立体の外部に配置された周囲温度センサとを含み得る。いくつかの変形例では、温度は、頭皮温度および/または流体温度であり得る。いくつかの変形例では、1つ以上のセンサ(132)は、熱交換器上に放射状パターンを含み得る。
【0094】
いくつかの変形例では、1つ以上のセンサはコントローラに結合できる。コントローラは、センサ測定値(例えば、温度、力)を受信および処理して、冷却キャップ組立体を制御するように構成することができる。例えば、膨張可能部材の膨張圧力は、温度測定に基づいてコントローラによって調整できる。
【0095】
いくつかの変形例では、膨張可能部材(130)の各チャンバの膨張圧力は、それぞれのチャンバのうちの1つ以上の測定温度に基づいて、独立して調整されてもよい。いくつかの変形例では、測定温度は、所定の閾値もしくは目標温度、または所定の目標温度範囲と比較され得る。例えば、いくつかの変形例では、患者の頭皮の温度の目標温度範囲は、約3℃~約5℃、または約16℃~約18℃であり得る。頭皮温度のうちの1つ以上が所定の閾値を超える、および/または所定の範囲外である場合、コントローラは、膨張可能部材(130)のチャンバに流体結合された1つ以上の弁および/または膨張可能部材(130)に流体結合されたポンプに命令するかもしくは信号を送信して、1つ以上のチャンバ内の膨張圧力を増加させることができる。特定のチャンバ内の膨張圧力を選択的に増加させると、それらの特定のチャンバに対応する場所で、頭皮と熱交換器との間の接触面積が増加する可能性がある。このようにして、コントローラ、および膨張可能部材(130)に流体結合された1つ以上の弁および/またはポンプは、膨張圧力を動的に制御するように構成され得る。
【0096】
冷却ユニット
上述したように、本明細書で説明される冷却システムは、冷却ユニットを含み得る。冷却ユニットは、冷却流体の温度を下げ、冷却された冷却流体を冷却キャップ組立体(例えば、熱交換器)に移送して、本明細書に記載の冷却キャップ組立体を使用して患者の頭皮温度を下げるように構成できる。
図1Aに示されるように、冷却ユニット(150)は、圧縮機および/または熱電冷却機構(152)(例えば、冷媒を含む蒸気圧縮機)、リザーバ(154)、センサ(156)、およびポンプ(158)(例えば、ギアポンプ)を備え得る。冷却ユニット(150)は、冷却キャップ組立体(110)の熱交換器(120)に流体結合することができ、熱交換器(120)を通して冷却流体を循環させるように構成できる。いくつかの変形例では、流体は、水およびアルコール、または液体水、氷および塩を含み得る。例えば、流体は、イソプロピルアルコールと水との混合物を含んでもよい。いくつかの変形例では、水に対するアルコールの比率は、約5%~約50%、約5%~約30%、約20%~約30%、および約5%~約25%であり得、その間のすべての部分値および範囲を含む。いくつかの変形例では、流体の組成および比率は、リザーバのサイズおよび/または流体の体積に基づいて決定できる。
【0097】
いくつかの変形例では、冷却ユニット(150)は、冷却ユニット(150)が携帯型となり患者の動きが自由になり得るように、コンパクトであってもよい。さらに、いくつかの変形例では、冷却ユニット(150)は、携帯型電源(例えば、電池)を含み得、これにより、患者は、コンセントを利用することなく冷却システムを使用することが可能になり得る。以下の説明から明らかなように、冷却ユニット(150)は、本明細書に記載の冷却システムを、ドライアイスなしで使用することを可能にし、それによって安全性を高め、かつ操作の複雑さを軽減する。
【0098】
上述したように、冷却ユニット(150)は、冷却キャップ組立体(110)に流体結合することができる。例えば、冷却ユニットは、熱交換器(120)に解放可能に結合された流体導管(図示せず)を備え得る。例えば、流体導管(例えば、チューブ組立体、チューブ)は、例えば、約1フィート~約15フィートなどの、所定の長さの可撓性のポリマーチューブのセットを含み得る。場合によっては、冷却ユニット(150)および/または流体導管は、循環する冷却流体の流れを制御するのを助け得る、1つ以上の弁を備えてもよい。いくつかの変形例では、流体接続部は、ポリ塩化ビニル(PVC)および熱可塑性ポリウレタン(TPU)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの変形例では、流体接続部は、弾性および/または積層され得る絶縁布(例えば、ネオプレン)を含み得る、外部シースによって覆われ得る。
【0099】
図1Cは、冷却キャップ組立体(110)および冷却ユニット(150)を含む、冷却システム(100)の変形例のブロック図である。第1の温度T
1の流体(162)(例えば、水、水およびアルコール)は、冷却ユニット(150)から冷却キャップ組立体(110)に出力され得る。第2の温度T
2の流体(160)は、冷却キャップ組立体(110)から冷却ユニット(150)によって受け取られ得る。圧縮機(152)は、熱交換器(120)から戻される循環流体の温度を下げるように構成され得る。いくつかの変形例では、圧縮機(152)は、拡張チャンバを通過する流体を冷却するために使用される冷媒を圧縮するように構成され得る。例えば、流体(160)は、圧縮機(152)に入力され得、圧縮機(152)は、温度T
2よりも低くあり得る温度T
3で流体(164)を出力するように構成され得る。リザーバ(154)は、圧縮機(152)から受け取った冷却された流体を保持するように構成され得る。例えば、リザーバ(154)は、流体(164)が貯蔵され得る容器を含み得、いくつかの変形例では、リザーバ(154)は、氷を含んでもよい。流量計(152)は、圧縮機(152)とリザーバ(154)との間の流体経路に配設することができ、冷却ユニット(150)内の流体の流れを測定するように構成され得る。ポンプ(158)は、冷却キャップ組立体(110)との間で流体を循環させるように構成され得る。例えば、リザーバ(154)の出力は、流体(162)を、冷却キャップ組立体(110)に温度T
3で送り込むように構成された、ポンプ(158)に流体結合され得る。
【0100】
センサ(156)は、使用継続時間、流体の流れ、および/または温度などの1つ以上のシステムパラメータを測定するように構成され得る。例えば、いくつかの変形例では、センサ(156)は、1つ以上の温度センサを含み得、温度センサは、冷却キャップ組立体(110)と圧縮機(152)との間(例えば、冷却ユニット(150)の入口の上、圧縮機(152)とリザーバ(154)との間、リザーバ(154)内、リザーバ(154)とポンプ(158)との間、ポンプ(158)の出口側、および/または冷却ユニット(150)の出口と冷却キャップ組立体(110)との間)の流体流路に結合され得る。1つ以上の温度センサは、冷却ユニット(150)に流入する、冷却ユニット(150)を通過する、または冷却ユニット(150)から流出する流体の温度、例えば、温度T1、T2、およびT3を測定するように構成され得る。いくつかの変形例では、温度センサは、液体不透過性フィッティングに収容されたサーミスタまたは熱電対であってもよい。追加的または代替的に、センサ(156)は、流体流量センサを含み得、流体流量センサは、冷却キャップ組立体(110)と圧縮機(152)との間(例えば、冷却ユニット(150)の入口の上、圧縮機(152)とリザーバ(154)との間、リザーバ(154)内、リザーバ(154)とポンプ(158)との間、ポンプ(158)の出口側、および/または冷却ユニット(150)の出口と冷却キャップ組立体(110)との間)の流体流路に結合され得る。流体流量センサは、冷却ユニット(150)に流入する、冷却ユニットを通過する、または冷却ユニット(150)から流出する流体の流量を測定するように構成され得る。追加的または代替的に、センサ(156)は、流体の流れ、温度、および電力使用量の測定値のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、例えば冷却治療セッションの継続時間をカウントまたは決定するように構成されたタイマを含むか、そうでなければタイマと通信可能に結合され得る。
【0101】
いくつかの変形例では、冷却ユニット(150)は、例えば、センサ(156)測定値、冷却キャップ組立体内のセンサ、および/またはユーザ入力に基づいて、循環流体の流量および/または温度を制御するために、本明細書に記載されるようなコントローラを備え得る。例えば、コントローラは、センサデータを受信し、そのセンサデータに基づいて、冷却ユニット構成要素、例えば、ポンプ(158)および/または圧縮機(152)の出力を変更することができる。上述したように、いくつかの変形例では、冷却ユニット(150)のセンサ(156)は、冷却ユニット(150)を通って循環する流体の流量を測定するように構成された流体流量センサ(例えば、ホール効果センサ)、および/または冷却システムの様々な場所で循環流体の温度を測定するように構成された温度センサ(例えば、サーミスタ、熱電対)を含んでもよい。特に、場合によっては、コントローラは、(冷却ユニットおよび/または冷却キャップ組立体内の)温度センサから複数の温度測定値を受け取り、温度測定値のうちの2つ以上の間(例えば、冷却ユニット(150)および/または冷却キャップ組立体(110)内の異なる場所で測定された、第1の温度と第2の温度との間)の温度差(すなわち、デルタT)を計算するように構成され得る。コントローラはまた、流体流量センサから流体流量測定値を受け取るように構成され得る。コントローラは、温度測定値、計算されたデルタT、および/または流量測定値を、目標測定値(例えば、目標温度、目標デルタT、目標流量)および/または目標測定値範囲と比較するように構成され得、かつ冷却ユニット(150)の1つ以上の構成要素を調整して、所望の結果(例えば、より低い冷却流体温度、より高い冷却流体温度、より低い頭皮温度(冷却キャップ組立体内のセンサによって測定される)、より高い頭皮温度、より低い流量、より高い流量)を達成することができる。例えば、コントローラは、圧縮機(152)および/またはポンプ(158)に送達される電力を調整して、測定された温度、測定された流量、および/またはデルタTを変更(例えば、増加もしくは減少)または維持することができる。圧縮機(152)への電力を調整することにより、圧縮機(152)を出る冷却流体の温度を上げ下げすることができ、一方、ポンプ(158)への電力を調整することにより、システム内の冷却流体の流量を増加または減少させることができる。より高い流量は、概して、より低いデルタTと相関している可能性がある(より速く流体が交換されると、冷却流体と頭皮との間の熱交換の時間が短くなるため)。いくつかの変形例では、冷却部位(例えば、熱交換器内)における冷却流体の目標温度範囲は、約2℃~約4℃であり得、かつ/または冷却ユニット内の冷却流体の目標温度範囲は、約-2℃~約2℃もしくは約0℃~約2℃であり得る。いくつかの変形例では、コントローラはタイマを含み得、コントローラは、例えば、冷却治療セッションの継続時間を決定するように構成され得る。
【0102】
いくつかの変形例では、コントローラは、循環流体の流量および/または温度のユーザ調整を可能にするために、グラフィカルユーザインタフェースを表示することができる。いくつかの変形例では、コントローラは、リザーバに氷を追加もしくはリザーバから氷を除去して、および/または冷却流体を変更して(例えば、水とアルコールの比率を変更して)、冷却流体の温度を変更するように、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザに指示を提供し得る。いくつかの変形例では、コントローラは、例えば、グラフィカルユーザインタフェースを介して受信されたユーザ入力に応答して、圧縮機(152)および/またはポンプ(158)への電力を調整することができる。冷却ユニット(150)に関して上記で説明したが、例えば、コントローラがコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)である変形例においては、コントローラは、冷却ユニット(150)から分離されてもよいことを理解されたい。
【0103】
いくつかの変形例では、冷却キャップ組立体(110)および冷却ユニット(150)は、自己完結型であり、携帯型であり、再利用可能であり、かつ患者によって(例えば、技術者の支援なしに)自己操作されるように構成され得る。上述したように、いくつかの変形例では、冷却ユニット(150)は、患者の携帯性および移動の自由を可能にする、電池を備え得る。
【0104】
図15A~15Kは、冷却ユニット(1500)の例示的な変形例の外観である。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、自己完結型であり、携帯型であり、再利用可能であり、かつ患者によって(例えば、技術者の支援なしに)自己操作されるように構成され得る。上述したように、いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、患者の携帯性および移動の自由を可能にする、電池(図示せず)を備え得る。冷却ユニット(1500)は、ハウジング(1502)、ホイール(1504)、流体リザーバ(1510)、ラッチ(1512)、流体接続部ポート(1520)、ユーザインタフェース(1530)、およびハンドル(1540、1542、1544)を含み得る。ハウジング(1502)は、例えば
図16A~16Dに関して本明細書に記載されるように、冷却ユニット(1500)の内部構成要素を封入し、保護することができる。冷却ユニット(1500)のハンドル(1540、1542、1544)およびホイール(1504)は、患者が連続的な冷却治療を実行しながら、ある場所(例えば、診療所、オフィス、部屋)から別の場所(例えば、交通機関、自宅、別の部屋)に冷却ユニット(1500)を容易に移動することを可能にするので、冷却ユニット(1500)の携帯性を可能にし得る。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、高さ調節が可能なハンドル(1540)および側面ハンドル(1542)を含み得る。ホイール(1504)は、冷却ユニット(1500)が任意の方向に回転することを可能にするように構成することができる。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、車のシートの床(例えば、運転席または助手席の後ろ)、または車のシート自体に適合するように構成され得る。例えば、冷却ユニット(1500)は、約200mm~約500mmの幅、約400mm~約600mmの長さ、および約350mm~約500mmの高さを有し得る。
【0105】
いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、ハウジング(1502)に解放可能に結合された流体リザーバ(1510)を備え得る。いくつかの変形例では、流体リザーバは、約0.5L~約4Lの流体を保持するように構成され得る。例えば、流体リザーバ(1510)は、約3Lの流体を保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体リザーバ(1510)は、約100mm~約300mmの幅、約200mm~約300mmの長さ、および約50mm~約150mmの高さを有し得る。いくつかの実施形態では、流体リザーバは、ユーザが流体リザーバ(1510)を冷却ユニット(1500)のハウジング(1502)から分離することを可能にするように構成された、ハンドル(1544)を備え得る。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、流体リザーバ(1510)をハウジング(1502)に解放可能に係合するように構成された、ラッチ(1512)を備え得る。示されるように、例えば、
図15B~15Gにおいて、ラッチ(1512)は、係合構成と非係合構成との間で遷移するように構成された、ヒンジを備え得る。ラッチ(1512)は、係合構成で流体リザーバ(1510)を覆って、流体リザーバ(1510)の開口部上に流体封止を形成することができる。いくつかの変形例では、ラッチ(1512)は、流体リザーバ(1510)がラッチ(1512)に係合されたときに取り付け信号を生成するように構成された、取り付けセンサをさらに備え得る。冷却ユニット(1500)のコントローラは、取り付け信号が受信されない場合に動作を防止するように構成され得る。
【0106】
いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、流体接続部ポート(1520)を備え得る。いくつかの変形例では、流体接続部ポート(1520)は、冷却ユニット(1500)を冷却キャップの熱交換器(図示せず)に流体結合するように構成された、流体入口および流体出口を備え得る。いくつかの変形例では、流体接続部ポート(1520)は、患者による流体の接続/切断の容易なアクセスおよび視覚化確認を可能にするために、ハウジング(1502)の外面に設置され得る。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1500)は、冷却情報を表示するように、および/または冷却ユニット(1500)の制御を可能にするように構成された、ユーザインタフェース(1530)を備え得る。
【0107】
図15L~15Nは、冷却ユニット(1500)の例示的な変形例の分解斜視図である。特に、
図15Nは、電池(1550)、凝縮器(1560)、システムポンプ(1570)、冷却ポンプ(1580)、および温度センサ(1590)を示している。
【0108】
図16A~16Dは、冷却ユニット(1600)の例示的な変形例の内部図である。いくつかの変形例では、冷却ユニット(1600)は、凝縮器(1610)、冷却ポンプ(1620)、システムポンプ(1622)、電池(1630)、電源入力(1632)、熱交換器(1640)、センサ(1650、1652、1654)、コントローラ(1660)(例えば、回路基板、プロセッサ、メモリ)、および流体入力(1670)を含み得る。凝縮器(1610)は、圧縮ガスを液体蒸気に凝縮するように構成することができる。ポンプ(1620、1622)は、循環流体の温度を下げるように構成された冷却ポンプ(1620)(例えば、圧縮機)と、流体を冷却キャップ組立体(図示せず)との間で循環させるように構成されたシステムポンプ(1622)とを含み得る。いくつかの変形例では、冷却ポンプ(1620)は、拡張チャンバを通過する流体を冷却するために使用される冷媒を圧縮するように構成され得る。流体入力(1670)は、流体リザーバおよび冷却キャップ組立体(図示せず)のうちの1つ以上から流体を受け取るように構成され得る。
【0109】
センサ(1650、1652、1654)は、使用継続期間、流体の流れ、温度、および/または圧力などの1つ以上のシステムパラメータを測定するように構成され得る。例えば、いくつかの変形例では、センサは、流体流量センサ(例えば、流量計)(1650)、温度センサ(1652)、および/または圧力センサ(1654)を含み得る。いくつかの変形例では、システムは、上記のセンサのうちの1つ以上を、複数備えてもよい。1つ以上の流量センサ(1650)を備える変形例では、流量計(1650)は、冷却ユニット(1600)内の流体の流れを測定するように構成され得る。1つ以上の温度センサを備える変形例では、温度センサ(1652)は、冷却ユニット(1600)に流入する、冷却ユニット(1600)を通過する、または冷却ユニット(1600)から流出する流体の温度を測定するように構成され得る。いくつかの変形例では、温度センサは、液体不透過性フィッティングに収容されたサーミスタまたは熱電対であってもよい。1つ以上の圧力センサを備える変形例では、圧力センサ(1654)は、冷却ユニット(1600)に流入する、冷却ユニット(1600)を通過する、または冷却ユニット(1600)から流出する流体の圧力を測定するように構成され得る。
【0110】
いくつかの変形例では、冷却ユニット(1600)は、例えば、冷却センサ測定値、冷却キャップ組立体内のセンサ、および/またはユーザ入力に基づいて、循環流体の流量、圧力、および/または温度を制御するために、本明細書に記載されるようなコントローラを備え得る。例えば、コントローラ(1660)は、センサデータを受信し、そのセンサデータに基づいて、冷却ユニット構成要素、例えば、ポンプ(1620、1622)の出力を変更することができる。特に、場合によっては、コントローラ(1660)は、(冷却ユニットおよび/または冷却キャップ組立体内の)温度センサから複数の温度測定値を受け取り、温度測定値のうちの2つ以上の間(例えば、冷却ユニット(150)および/または冷却キャップ組立体(110)内の異なる場所で測定された、第1の温度と第2の温度との間)の温度差(すなわち、デルタT)を計算するように構成され得る。コントローラ(1660)はまた、流体流量センサから流体流量測定値を受け取るように構成され得る。コントローラは、温度測定値および/または流量測定値を、目標測定値および/または目標測定値範囲と比較するように構成され得、かつ冷却ユニット(1600)の1つ以上の構成要素を調整して、所望の結果(例えば、より低い冷却流体温度、より高い冷却流体温度、より低い頭皮温度(冷却キャップ組立体内のセンサによって測定される)、より高い頭皮温度、より低い流量、より高い流量)を達成することができる。いくつかの変形例では、コントローラ(1660)は、流体の流れ、圧力、温度、および電力使用量の測定値のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて、例えば、冷却治療セッションの継続時間をカウントまたは決定するように構成されたタイマを備え得る。
【0111】
いくつかの変形例では、コントローラ(1660)は、循環流体の流量および/または温度のユーザ調整を可能にするために、ユーザインタフェースを制御することができる。いくつかの変形例では、コントローラ(1660)は、例えば、流体リザーバに氷を追加もしくは流体リザーバから氷を除去して、および/または冷却流体を変更して(例えば、水の比率を変更して)、冷却流体の温度を変更するように、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザに指示を提供し得る。いくつかの変形例では、コントローラは、例えば、ユーザインタフェースを介して受信されたユーザ入力に応答して、凝縮器(1610)および/またはポンプ(1620、1622)への電力を調整することができる。冷却ユニット(1600)に関して上記で説明したが、例えば、コントローラがコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)である変形例においては、コントローラは、冷却ユニット(1600)から分離されてもよいことを理解されたい。
【0112】
図6は、使用中の冷却システムの概略図である。そこに示されているように、患者は、化学療法治療セッション(600)と組み合わせて携帯型冷却システムを使用することができる。例えば、患者は、冷却キャップ組立体を患者の頭部に適用し、医療専門家の支援なしに(例えば、患者自身で)冷却キャップ組立体を冷却ユニットに結合することができる。いくつかの実施形態では、患者は、化学療法注入を受ける前に冷却治療を開始し、化学療法注入を受けている間、冷却治療を継続することができる。冷却ユニットは、患者が冷却治療を受けている間に、基本的な活動(例えば、移動、排泄自制)を実施することを可能にする様式で携帯可能であるように構成され得る。化学療法セッションが完了したとき(602)、冷却システムを患者の自宅または他の目的地に輸送することにより、患者は冷却システムを使用し続けることができる。したがって、患者は、冷却治療セッションを完了するために治療センターに留まる必要はない。冷却ユニットは、例えば、患者の自宅と化学療法治療センターとの間を移動する際に(604)、患者が使用するのに十分な携帯性を備え得る(例えば、好適なサイズおよび重量を有する)。患者は、冷却治療が行われている間(608)、化学療法治療センターの外(例えば、自宅)で、日常の活動の多くを中断することなく続けることができる。いくつかの変形例では、患者は、コンピューティングデバイス(例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップなど)上のグラフィカルユーザインタフェースを使用して、冷却システムを制御することができる。
【0113】
追加的または代替的に、冷却ユニットは、医療カート、バッグ、携帯用ケースなどの中に設置することができ、これらは患者がこれらを容易に輸送するように、ハンドルを備えることができる。
【0114】
コントローラ
上述したように、冷却キャップ組立体および冷却ユニットのうちの1つ以上は、コントローラを備えることができる。追加的または代替的に、システムは、冷却キャップ組立体および/または冷却ユニットと組み合わせて使用され得る、別個のコントローラ(例えば、コンピューティングデバイス)をさらに備え得る。一般に、ここで説明するコンピューティングデバイスは、プロセッサ(例えば、CPU)およびメモリ(1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る)を含む、コントローラを備え得る。プロセッサは、メモリから、および通信チャネルを介して受信されたデータを組み込んで、システムの1つ以上の構成要素(例えば、冷却キャップ組立体(110)、冷却ユニット(150、1600))を制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、膨張可能部材、冷却ユニット(150、1600)の流体ポンプ(158、1620、1622)、および/または冷却ユニット(150、1600)の圧縮機(152)に結合された、流体ポンプを制御するように構成され得る。メモリは、さらに、プロセッサに、本明細書に記載された方法と関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行させる命令をさらに格納することができる。いくつかの変形例では、メモリおよびプロセッサは、単一のチップ上に実装され得る。他の変形例では、それらは、別個のチップ上に実装され得る。
【0115】
コントローラは、冷却システムからのセンサデータおよび他のソース(例えば、コンピューティングデバイス、データベース、ユーザ入力)からの他のデータ(例えば、患者データ、治療データ)を、受信および処理するように構成され得る。コントローラは、測定されたセンサデータおよび/または他のデータ(例えば、患者データ、治療データ、ユーザ入力)に基づいて、膨張可能部材の膨張圧力、循環流体温度、および流量のうちの1つ以上を制御するように構成され得る。コントローラは、データを受信、処理、コンパイル、格納、およびアクセスするように構成され得る。いくつかの変形例では、コンピューティングデバイスは、異なるソースからのデータにアクセスし、かつ/または異なるソースからのデータを受信するように構成され得る。コントローラは、患者から直接入力および/または測定されたデータを受信するように構成され得る。追加的または代替的に、コントローラは、別個のデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ)および/または記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ、メモリカード)からデータを受信するように構成され得る。コンピューティングデバイスは、本明細書でより詳細に考察されるように、ネットワーク接続を介して、またはデバイスもしくは記憶媒体との物理的な接続を介して(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、または任意の他のタイプのポートを介して)、データを受信することができる。コンピューティングデバイスとして、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、携帯型メディアプレーヤー、ウェアラブルデジタルデバイス(例えば、デジタル眼鏡、リストバンド、腕時計、ブローチ、腕章、仮想現実/拡張現実ヘッドセット)、テレビ、セットトップボックス(例えば、ケーブルボックス、ビデオプレーヤー、ビデオストリーミングデバイス)、ゲーム機などの、任意の様々なデバイスが挙げられ得る。
【0116】
コントローラは、様々なタイプのデータを受信するように構成され得る。例えば、コントローラは、患者の個人データ(例えば、性別、体重、誕生日、年齢、身長、診断書など)、一般的な健康情報、またはその他の関連情報を受信するように構成され得る。いくつかの変形例では、コントローラは、患者プロファイルを作成、受信、および/または格納するように構成され得る。患者プロファイルは、患者の好みおよび/または治療セッションに関する履歴データ(例えば、期間、場所、時刻、曜日などの治療セッションの特性、または以前の治療セッションからの、例えば、膨張圧力、冷却流体温度、頭皮温度、および冷却流体流量などの冷却パラメータ)を含み得る。患者プロファイルは、追加的または代替的に、前述の患者固有の情報のいずれを含んでもよい。上述の情報は、コントローラによって受信され得るが、いくつかの変形例では、コントローラは、コントローラがデバイス自体もしくは外部に格納されたソフトウェアを使用して受信した情報からの上記のデータのいずれかを処理するように構成されてもよい。さらに、いくつかの変形例では、コントローラは、本明細書に記載のセンサから受け取った測定値に加えて、患者の個人データ、一般的な健康情報、および/または患者のプロファイル、の組み合わせに基づいて、膨張可能部材の膨張圧力、冷却流体の温度、冷却流体の流量、治療セッション継続時間、または他の治療セッション特性もしくは冷却パラメータを調整するように構成することができる。
【0117】
プロセッサは、1組の命令またはコードを動作させ、かつ/または実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであってもよく、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、画像処理ユニット、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、および/または中央処理ユニットを含んでもよい。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよい。プロセッサは、アプリケーションプロセスおよび/もしくは他のモジュール、システムと関連付けられたプロセスおよび/もしくは機能、ならびに/またはそれと関連付けられたネットワークを動作させ、かつ/または実行するように構成され得る。基礎となるデバイス技術は、様々な構成要素タイプ(例えば、相補型金属-酸化物半導体(CMOS)のような金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合型ロジック(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマー、および金属-共役ポリマー-金属構造体)、アナログおよびデジタル混合技術等)で提供されてもよい。
【0118】
いくつかの変形例では、メモリは、データベース(図示せず)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等であってもよい。メモリは、通信デバイスの冷却ユニット制御、膨張制御、および/または通信と関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能をプロセッサに実行させるための命令を格納することができる。本明細書に記載されたいくつかの変形例は、各種のコンピュータ実施動作を実行するための命令またはコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも称される場合がある)を有するコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ読み取り可能媒体(またはプロセッサ読み取り可能媒体)は、それが、一過性の伝搬信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上に情報を搬送する伝搬電磁波)それ自体を含まないという意味で、非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも称され得る)は、特定の目的または様々な目的のために設計および構築されたものであってもよい。
【0119】
非一時的コンピュータ可読媒体の例としては、以下に限定されないが、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)およびホログラフィックデバイス、光ディスクなどの光磁気記憶媒体、半導体ドライブ(SSD)および半導体ハイブリッドドライブ(SSHD)などの半導体記憶装置、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどのプログラムコードを格納および実行するように特別に構成された、ハードウェアデバイス、が挙げられる。本明細書に記載の他の変形例は、コンピュータプログラム製品に関連し、その製品には、例えば、本明細書に開示される命令および/またはコンピュータコードが含まれ得る。
【0120】
本明細書に記載のシステム、デバイス、および/または方法は、(ハードウェア上で実行される)ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。(ハードウェア上で実行される)ソフトウェアモジュールは、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得、その言語として、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、および/または他のオブジェクト指向型、手続き型、または他のプログラミング言語もしくは開発ツールが挙げられる。コンピュータコードの例としては、以下に限定されないが、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラにより生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、およびインタープリタを使用してコンピュータにより実行される高級命令を含むファイルが挙げられる。コンピュータコードの追加的な例としては、以下に限定されないが、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが挙げられる。
【0121】
いくつかの変形例では、コントローラは、患者および/または医療専門家が冷却ユニットおよび/または冷却キャップ組立体のうちの1つ以上の構成要素を制御することを可能にするように構成された、通信デバイスをさらに備え得る。通信デバイスは、有線または無線接続によりコントローラを別のシステム(例えば、インターネット、リモートサーバ、データベース)に接続するように構成された、ネットワークインタフェースを含むことができる。いくつかの変形例では、コントローラは、1つ以上の有線および/または無線ネットワークを介して他のデバイスと通信してもよい。いくつかの変形例では、ネットワークインタフェースは、1つ以上のデバイスおよび/またはネットワークと通信するように構成された無線周波数受信機、送信機、ならびに/または光学(例えば、赤外線)受信機および送信機を含んでもよい。ネットワークインタフェースは、有線および/または無線で通信することができる。
【0122】
ネットワークインタフェースは、RF信号を受信および送信するように構成されたRF回路を備え得る。RF回路は、電気信号を電磁信号に/電磁信号から変換し、電磁信号を介して通信ネットワークおよび他の通信デバイスと通信することができる。RF回路は、これらの機能を実施するための既知の回路を含み得、それらの回路には、以下に限定されないが、アンテナシステム、RF送受信機、1つ以上の増幅器、チューナ、1つ以上の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどが含まれる。
【0123】
コンピューティングおよび測定デバイスのいずれかを介した無線通信は、複数の通信標準規格、プロトコル、および技術のいずれかを使用し得、これらには、以下に限定されないが、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューション、データオンリ(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、無線フィデリティ(WiFi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージ(例えば、拡張可能メッセージおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、セッション初期化プロトコルフォーインスタントメッセージおよびプレゼンスレバレッジエクステンション(SIMPLE)、インスタントメッセージおよびプレゼンスサービス(IMPS))、ならびに/またはショートメッセージサービス(SMS)、あるいは任意の他の好適な通信プロトコルが含まれる。いくつかの変形例では、本明細書のデバイスは、ネットワークを介して(例えば、NFC、Bluetooth、WiFi、RFIDなどを介して)データを送信せずに、互いに直接通信することができる。
【0124】
通信デバイスは、ユーザ(例えば、患者や、パートナー、家族の一員、医療専門家などの所定の連絡先など)がコントローラを制御することを可能にするように構成された、ユーザインタフェースをさらに備えることができる。通信デバイスは、ユーザが直接および/またはリモートでコントローラとやり取りおよび/または制御することを可能にし得る。例えば、コントローラのユーザインタフェースは、ユーザがコマンドを入力するための入力デバイス、およびユーザが出力を受信するための出力デバイスを含んでもよい。
【0125】
いくつかの変形例では、出力デバイスは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、ELディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電子ペーパ/電子インクディスプレイ、レーザディスプレイ、および/またはホログラフィックディスプレイのうちの少なくとも1つを含むディスプレイデバイスを含んでもよい。
【0126】
いくつかの変形例では、ユーザは、音声デバイスおよび通信チャネルを使用して、他のユーザと通信することができる。例えば、患者は、遠隔地の医療専門家とともに音声通信チャネル(例えば、VoIP通話)を形成してもよい。いくつかの変形例では、音声デバイスは、スピーカ、圧電音響デバイス、磁歪スピーカ、および/またはデジタルスピーカのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0127】
いくつかの変形例では、ユーザインタフェースは、入力デバイス(例えば、タッチスクリーン)および出力デバイス(例えば、ディスプレイ)を含み得る。例えば、入力デバイス(例えば、キーボード、ボタン、タッチスクリーン)のユーザ制御は、ユーザインタフェースによって受信され、次いで、ユーザインタフェースが冷却ユニット(150)に制御信号を出力するために、プロセッサおよびメモリによって処理されてもよい。入力デバイスのいくつかの変形例は、制御信号を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチを備え得る。例えば、入力デバイスは、ユーザが制御信号に対応する入力(例えば、タッチ表面への指接触)を与えるためのタッチ表面を備えてもよい。例えば、ユーザは、冷却治療を開始および停止する、膨張圧力を増加または減少させる、流体温度を上げるまたは下げる、および/または冷却治療セッション継続時間を設定するためのコマンドを入力することができる。
【0128】
タッチ表面を備える入力デバイスは、容量性、抵抗性、赤外線、光学的画像、分散信号、音響パルス認識、および表面弾性波技術を含む複数のタッチ感度技術のいずれかを使用して、タッチ表面上の接触および動きを検出するように構成され得る。少なくとも1つのスイッチを含む入力デバイスの変形例では、スイッチは、例えば、ボタン(例えば、ハードキー、ソフトキー)、タッチ表面、キーボード、アナログスティック(例えば、ジョイスティック)、方向性パッド、マウス、トラックボール、ジョグダイヤル、ステップスイッチ、ロッカースイッチ、ポインタデバイス(例えば、スタイラス)、モーションセンサ、画像センサ、およびマイクロフフォンのうちの少なくとも1つを含み得る。モーションセンサは、光学センサからユーザの動きデータを受信し、ユーザの身振りを制御信号として分類することができる。マイクロフォンは、音声データを受信し、ユーザの音声を制御信号として認識することができる。
【0129】
触覚デバイスは、入力および出力デバイスのうちの1つ以上に組み込まれて、追加の感覚出力(例えば、力フィードバック)をユーザに提供することができる。例えば、触覚デバイスは、触覚応答(例えば、振動)を生成して、ユーザ入力を入力デバイス(例えば、タッチ表面)に確認させてもよい。別の例として、触覚フィードバックは、ユーザ入力がコントローラによって無効にされることを通知してもよい。
【0130】
ネットワーク
いくつかの変形例では、本明細書に記載のデバイスおよびシステムは、例えば、1つ以上のネットワークを介して(例えば、システム内、システム外の)他のデバイスまたはネットワークと通信してもよく、それらのネットワークの各々は、任意のタイプのネットワーク(例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク)であってもよい。通信は、暗号化されていてもまたはされていなくてもよい。無線ネットワークは、いかなるタイプのケーブルによっても接続されていない任意のデジタルネットワークを指すことができる。無線ネットワークにおける無線通信の例としては、以下に限定されないが、携帯電話、ラジオ、衛星、およびマイクロ波通信が挙げられる。ただし、無線ネットワークは、有線ネットワークと接続して、インターネット、他の搬送波音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、ならびにパーソナルネットワークとインタフェース接続してもよい。有線ネットワークは、典型的には、銅ツイストペア、同軸ケーブル、および/または光ファイバケーブルを介して搬送される。多くの異なるタイプの有線ネットワークが存在し、それらには、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットに似たグローバルエリアネットワーク(GAN)、および仮想プライベートネットワーク(VPN)が含まれる。以降、ネットワークは、一般的にインターネットを介して相互接続されている無線、有線、公共、およびプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指し、統合ネットワーキングおよび情報アクセスシステムを提供する。
【0131】
移動通信は、GSM、PCS、CDMAまたはGPRS、W-CDMA、EDGEまたはCDMA2000、LTE、WiMAX、および5Gネットワーキング標準などの技術を包含することができる。いくつかの無線ネットワークの展開では、多重移動無線ネットワークからネットワークを組み合わせ、または移動無線、Wi-Fi、および衛星通信の混在を使用する。
【0132】
方法
また、ここでは、冷却キャップ組立体を組み立てるための方法、および本明細書で説明されるシステムおよびデバイスを使用して頭皮を冷却するための方法についても説明する。本明細書に記載の頭部の頭皮を冷却する方法は、例えば、化学療法に起因する脱毛を低減、予防、または予防するのを助けることができる。例えば、本方法は、冷却キャップ組立体と患者の頭皮との間の熱伝達を増加させ得、したがって、頭皮冷却治療の有効性を向上させ得る。別の例として、これらの方法は、冷却治療療法レジメンに対するユーザのコンプライアンスを高めることができる。いくつかの変形例では、方法は、応答性冷却のための閉ループフィードバックシステムを提供するように構成され得る、冷却キャップ組立体および冷却ユニットの使用を含み得る。これらの変形例では、本方法は、例えば、コントローラを介して、センサ測定値に基づいて、膨張可能部材の膨張圧力、冷却流体の温度、および冷却流体の流量のうちの1つ以上を調整することを含み得る。追加的または代替的に、方法は、ユーザ入力に基づいて上記のパラメータのうちの1つ以上を調整することを含んでもよい。
【0133】
冷却キャップ組立体の組み立て
概して、冷却キャップ組立体を組み立てる方法は、頭部の一部分(例えば、頭皮、頭皮の一部分)に熱交換器を巻き付けて、熱交換器の上および頭部上に圧縮組立体を配置することを含み得る。
図2I~2Lは、熱交換器(200)を患者の頭皮に適用するための組み立てステップの、一変形例の平面図である。熱交換器(200)は、明確にするために患者の頭部とは別個に描かれている。
図2Hは、内側が患者の頭部の上に配置され得る、広げられた構成の熱交換器の外側を示している。底部分(210)は、上部分(221)が頭部の頂頭部および/または最前部の上に置かれた状態で、患者の首および/または後頭部と位置合わせされ得る。側面部分(231、241)は、患者の頭部に置かれると、頭部の左脳半球と右脳半球を覆うことができる。
図2Iに示されるように、上部分(221)の第1および第2のローブ(220、222)は、底部分(210)の上で裏返され得る。第1の側面部分(230)および第2の側面部分(240)の端部は、
図2Jに示すように、側面部分が卵形を形成するように重ねられかつ一緒に保持されることができる。
図2Kに示されるように、上部分の第1のローブ(220)は、第1の側面部分(230)および第2の側面部分(240)の少なくとも一部分の上に折り畳まれ得る。次に、
図2Lに示されるように、上部分の第2の側面ローブ(222)は、上部分(220)、第1の側面部分(230)、および第2の側面部分(240)の少なくとも一部分の上に折り畳まれ得る。締結具は、熱交換器が概して患者の頭皮に適合することのできるキャップのような(例えば、半球形の)形状を形成するように、重なり合った部分を互いに固定することができる。追加的または代替的に、組み立てステップのうちの1つ以上は、テーブルまたは他の表面などで頭部とは別個に実施することができ、熱交換器は、部分的または完全に組み立てられた後に患者の頭部に配置することができる。任意選択で、患者は、熱交換器の部分をさらに調整して(例えば、締めて)、頭部に配置した後の接触面積および快適さを最適化することができる。
【0134】
図7A~7Fは、冷却キャップ組立体を組み立てる方法の変形例の概略図である。
図7A~7Fに示される変形例では、本方法は、例えば、患者の頭皮にライナーを配置し(700)、熱交換器を頭皮の一部分に巻き付け(702)、かつ熱交換器の上に圧縮組立体を適用する(704、706)ことによって、患者の頭部に冷却キャップ組立体を形成することを含み得る。冷却キャップ組立体を形成する方法は、圧縮組立体の上にカバーを適用すること(708)をさらに含み得る。圧縮組立体(例えば、膨張可能部材および筐体)およびカバーの適用は別個のステップ(704~708)として示されているが、いくつかの変形例においては、圧縮組立体とカバーとは、それらを単一のステップで適用することができるように、(例えば、スナップ、バックル、ボンディング、フックアンドループ締結具などを使用して)互いに結合され得ることを理解されたい。
【0135】
より具体的には、冷却キャップ組立体がライナーを含む変形例では、本方法は、頭部の一部分の周囲、例えば、患者の頭皮の周囲にライナーを配置することによって開始することができる。熱交換器は、ライナーの上部に配置することができ(702)、圧縮組立体は、熱交換器がライナーと圧縮組立体との間に配設されるように、頭部上および巻き付けられた熱交換器の上に配置することができる。ライナーが使用されない変形例では、熱交換器は、患者の頭皮と直接接触して配置され得、かつ患者の頭皮の表面と圧縮組立体との間に配設され得る。特に、筐体に結合され得る膨張可能部材(例えば、外側部材、外側シェル)は、熱交換器が、膨張可能部材とライナーもしくは患者の頭皮の表面との間に配設されるように、熱交換器(704)の上に配置され得る。カバーが筐体に固定されている変形例では、カバーは、膨張可能部材および筐体と組み合わせて患者の頭部に配置され得る。カバーがもともと筐体に固定されていない他の変形例では、カバーは、圧迫組立体上で患者の頭部に適用され得る。方法は、締結具(例えば、バックル付きのチンストラップ、フック、ベルクロ(登録商標)など)を使用して、冷却キャップ組立体を患者の頭部に解放可能に結合することをさらに含み得る。
図7Fは、患者の頭部に適用されたかまたは組み立てられた後の、冷却キャップ組立体の部分的な切り欠き断面(710)を示している。
【0136】
上述したように、いくつかの変形例では、頭皮の一部の周りに熱交換器を巻き付けること(702)は、熱交換器が患者の頭部から離れたままである間に、熱交換器を完全にまたは部分的に組み立てることと、完全にまたは部分的に組み立てられた熱交換器を頭部に配置することと、任意選択で、部分的または完全に組み立てられた熱交換器を調整することと、を含み得る。他の変形例では、頭皮の一部分に熱交換器を巻き付けること(702)は、熱交換器が患者の頭部上にある間に、熱交換器を部分的または完全に組み立てることを含み得る。
【0137】
いくつかの変形例では、熱交換器は、圧縮組立体から分離されてもよく、解放可能に結合されてもよい。これらの変形例では、熱交換器は、圧縮組立体を使用して頭部から取り外すことができる。すなわち、熱交換器は、圧縮組立体と熱交換器とが単一の部品として患者の頭部から取り外され得るように、膨張可能部材との摩擦ばめを形成し得る。熱交換器は、将来の治療セッション中に圧縮組立体を使用して頭皮に戻すことができる。カバーを含む変形例では、カバーはまた、熱交換器を、患者の頭部から取り外し、患者の頭部に固定かつ再適用するのを助けることができる。いくつかの変形例では、分解ステップの数を減らすために、圧縮組立体と冷却キャップ組立体の少なくとも1つの他の構成要素(例えば、熱交換器、カバー)との間に摩擦ばめがあってもよい。例えば、熱交換器、圧縮組立体、およびカバーは、患者の頭部から一緒に単一の部品で取り外され、それによって、患者の頭皮にライナーだけを残すことができる。次に、この単一ユニットの冷却キャップ組立体を患者の頭部上に戻し、別の冷却治療セッションを実施することができる。熱交換器および膨張可能部材を事前に調整して患者の解剖学的構造に取り付けるので、組み立てられた冷却キャップ組立体は、最小限の再調整で患者の頭部上部に簡単に配置することができる。
【0138】
図8A~8Eは、冷却キャップ組み立てプロセスの別の変形例の斜視図である。この変形例では、圧縮組立体を受容するためにカバーを開くことができる(800)。特に、筐体または外側シェルは、カバーの空洞に配置され得る(802)。膨張可能部材は、事前に成形されてから外側シェルに配置されてもよく、または外側シェルに配置することによって成形されてもよい(804)。熱交換器は、組み立てられて、膨張可能部材に隣接するカバーの空洞および筐体に配置されることができる(808)。上述のように、熱交換器は、底部分、上部分、第1の側面部分、および第2の側面部分を含み得る。熱交換器の組み立て中に、第1の側面部分の端部と第2の側面部分の端部とを互いに重ねて配置することができる。同様に、上部分の端部は、第1の側面部分および第2の側面部分の端部の上に配置されたときに頭皮の少なくとも一部分を取り囲むように、それらの側面部分の上に配置される。
【0139】
図9A~9Fは、冷却キャップ組み立てプロセスのさらに別の変形例の斜視図である。
図9Aおよび9Bは、患者(900)および頭部の一部を覆うライナー(901)を示している(902)。
図9Cに示されるように、熱交換器(905)は、ライナー(901)上で、頭部に巻き付けられ得る(904)。熱交換器(905)は、コントローラ(950)に通信可能に(例えば、有線、無線で)結合され得る、複数のセンサ(920)を備え得る。膨張可能部材(907)は熱交換器の上に配置することができ(906)、流体導管セット(908)は膨張可能部材(908)に結合することができる。
図9Dおよび9Eに示されるように、膨張可能部材(907)は、複数の独立して膨張可能なチャンバを含み得る。
図9Fは、冷却キャップ組み立てプロセスの分解概略図である(910)。コントローラ(950)は、熱交換器(905)を通る循環流体および/または膨張可能部材(907)の膨張圧力を制御するように構成され得る。流体導管(908)は、膨張可能部材(907)と、コントローラ(950)によって制御される弁(940)との間に結合することができる。弁(940)は、ポンプ(図示せず)に結合することができる。
図9Fに示されるように、ライナー(901)は、頭皮上に直接配置され得、熱交換器(905)および膨張可能部材(907)が同時にまたは連続してライナー上に配置される。
【0140】
冷却システムの使用
概して、本明細書に記載の冷却キャップ組立体または冷却システムを使用する方法は、患者の頭部に冷却キャップ組立体を形成すること、膨張可能部材を膨張させること、および冷却流体を冷却キャップ組立体(例えば、熱交換器)に循環させることを含み得る。いくつかの変形例では、方法は、冷却キャップ組立体の膨張圧力、冷却流体の温度、および/または冷却流体の流量を制御することをさらに含み得る。いくつかの変形例では、閉ループフィードバックシステムを使用して、流体温度、流体流量、および/または膨張圧力を動的に制御して(すなわち、圧縮を制御して)、冷却治療を最適化することができる。
【0141】
上でより詳細に説明されたように、冷却キャップ組立体を形成することは、患者の頭皮にライナーを配置すること、頭皮の一部分に熱交換器を巻き付けること、および熱交換器の上に圧縮組立体を適用することを含み得る。圧縮組立体の上にカバーを取り付けることができ、カバーは、例えば、チンストラップを使用して患者に締結され得る。冷却流体導管を使用して、熱交換器を冷却ユニットに結合することができ、かつ膨張流体導管を使用して、膨張可能部材を流体ポンプ(例えば、エアバルブなどのエアポンプ)に結合することができる。
【0142】
膨張可能部材は、膨張可能部材と頭皮との間の(例えばライナーを介した)熱交換器を圧縮するために、膨張させる(すなわち、収縮構成から膨張構成に移行する)ことができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材を収縮構成から膨張構成に移行させると、熱交換器によって頭部に付与される力(例えば、圧力)が増加する可能性がある。膨張可能部材が膨張構成にあるとき、筐体(例えば、外側部材)を使用して逆圧を生成することができる。膨張可能部材が膨張構成にあるとき、頭部に対して約0.1lb/in2~約10lb/in2の圧縮が生成され得る。いくつかの変形例では、膨張可能部材が膨張構成にあるときに、頭部に対して、約0.1lb/in2~約8.0lb/in2、約0.1lb/in2~約5.0lb/in2、約0.1lb/in2~約3.0lb/in2、約0.1lb/in2~約2.0lb/in2、約0.1lb/in2~約1.0lb/in2、約0.5lb/in2~約8.0lb/in2、約0.5lb/in2~約5.0lb/in2、約0.5lb/in2~約3.0lb/in2、約0.5lb/in2~約2.0lb/in2、約1.5lb/in2~約2.5lb/in2、または約0.5lb/in2~約1.0lb/in2の圧縮が生成され得る。膨張可能部材は、任意の好適な流体、例えば、気体(例えば、空気)または液体(例えば、水)で膨張させることができる。いくつかの変形例では、膨張可能部材は、手動ポンプを使用して膨張させてもよく、他の変形例では、膨張可能部材は、例えば、冷却ユニットにおいて、電気ポンプを使用して膨張させてもよい。
【0143】
冷却キャップ組立体を通して冷却流体を循環させることは、冷却ユニットを使用して熱交換器を介して約-10℃~約5℃の温度で流体を循環させることを含み得る。いくつかの変形例では、流体は、約-2℃~約2℃、または約-2℃~約4℃であり得る。流体は、治療セッションの間、熱交換器を通って循環させることができる。治療セッションには、化学療法治療の投与前の前冷却部分、患者が化学療法治療を受けるために移動している移行部分、患者が化学療法治療を受けている化学療法部分、患者が化学療法治療から別の場所(例えば、自宅)に移動している第2の移行部分、および患者が化学療法治療後の一定期間、頭皮を冷却し続けている後冷却部分が含まれ得る。患者は、治療セッションの各部分にわたって冷却治療を受けることができる。いくつかの変形例では、流体は、約45分~10時間、約1時間~約8時間、約1時間~約6時間、または約1時間~約4時間、循環され得る。冷却システムは、治療セッションの1つ以上の部分(例えば、前冷却部分、化学療法部分、および後冷却部分)中はコンセントに差し込み得るが、移行部分中はコンセントに差し込む必要はない。別の言い方をすれば、冷却ユニットは、冷却治療セッションの移行部分(例えば、患者がある場所から別の場所に移動中)中は電池式であり得る。患者が冷却治療セッションを終了した後、冷却キャップ組立体を頭部から取り外し、後に使用するために格納することができる。いくつかの変形例では、方法は、上述したように、冷却キャップ組立体を頭皮に再適用し、冷却流体を再循環させることをさらに含み得る。
【0144】
いくつかの変形例では、冷却ユニットは、利用可能な電源に基づいて、異なる機能を備えた複数の動作状態(例えば、全出力、減少出力、電池電源)のうちの1つで動作され得る。例えば、冷却ユニットがAC電源に接続されているときは、全出力時にポンプとコンプレッサーがオンになり得、一方、冷却ユニットが電池電源モードのときは、ポンプのみが作動する。
図17は、本明細書に記載の冷却ユニットを制御する例示的な方法を示す状態図である。いくつかの変形例では、冷却プロセス(1700)は、冷却ユニットのポンプおよび圧縮機がオフになっている(例えば、電力を受け取っていない)、電源オフ状態(1702)を含み得る。結果として、冷却ユニットは、流体を循環させること、および/または冷却された流体を冷却キャップ組立体に提供することを抑制され得る。患者またはユーザは、電源オン信号を入力(例えば、電源ボタンを押下)して、冷却ユニットを作動させ得る。それに応答して、コントローラは、システムが電源オフ状態(1702)から電源オン状態(1704)(例えば、電源を入れた状態)に移行することを決定し得る。電源オン状態(1704)に応答して、システムのコントローラは、冷却ユニットにエネルギー投入するために使用される、有効な電源を識別することができる。システムは、システムが最初に主電源を受け取るとき(1722)(例えば、主電源OK、AC電源)に、電源オン状態(1704)から全出力状態(1706)に移行することを決定することができる。主電源は、例えば、電力会社からの壁コンセントに対応する。全出力状態(1706)では、冷却ユニットポンプがオン(例えば、作動)であり、冷却ユニット圧縮機は全出力で動作することができる。例えば、冷却ユニットは、電力制限または機能の損失なしに(例えば、制御ループがアクティブで)動作させることができる。例えば、アクティブな制御ループは、閉ループの温度フィードバックを含み得る。いくつかの変形例では、冷却ユニットの電池は、全出力状態(1706)にある間に再充電され得る。
【0145】
システムは、システムが補助電力を受け取っており、主電源を受け取っていないとき(1724)(例えば、補助電源OK)に、電源オン状態(1704)または全出力状態(1706)から部分出力状態(1708)に移行することを決定することができる。例えば、部分出力状態(1708)の冷却ユニットは、自動車の電源などのDC源から補助電力を受け取ることができる。部分出力状態(1708)では、冷却ユニットポンプがオン(例えば、作動)であり、冷却ユニット圧縮機は、減少出力状態(例えば、全出力状態の約50%~約80%)で動作し得る。例えば、冷却ユニットは、閉ループ制御を用いて所定の電力レベルまで動作し得る。
【0146】
システムは、システムが冷却ユニットの電池電源を受け取り、主電源または補助電源を受け取っていないとき(1730)(例えば、電池OK、主電源または補助電源なし)に、電源オン状態(1704)から電池電源状態(1710)に移行することを決定することができる。電池電源状態(1710)では、冷却ユニットポンプがオン(例えば、作動)であり、冷却ユニット圧縮機はオフである。したがって、流体は循環する可能性があるが、冷却ユニットによって能動的に冷却されることはない。いくつかの変形例では、センサ測定は、アクティブな閉ループ制御なし(例えば、制御ループ監視のみ)で実施され得る。
【0147】
システムは、システムが主電源を受け取り、補助電源を受け取っていないとき(1730)(例えば、主電源OK、補助電源なし)に、部分出力状態(1708)から全出力状態(1706)に移行することを決定することができる。システムは、システムが主電源または補助電源を受け取っていないとき(1728)(例えば、主電源または補助電源なし)に、部分出力状態(1708)から電池電源状態(1710)に移行することを決定することができる。
【0148】
システムは、システムが補助電源を受け取り、主電源を受け取っていないとき(1724)(例えば、主電源なし、補助電源OK)に、電池電源状態(1710)から部分出力状態(1708)に移行することを決定することができる。システムは、システムが主電源を受け取っているとき(1722)(例えば、主電源OK)に、電池電源状態(1710)から全出力状態(1706)に移行することを決定することができる。システムは、電池が所定の電力レベルに達したとき(1732)(例えば、電池低下)に、電池電源状態(1710)から電源オフ状態(1702)に移行することを決定することができる。
【0149】
システムは、システムが主電源または補助電源を受け取っていないとき(1728)(例えば、主電源または補助電源なし)に、全出力状態(1706)から電池電源状態(1710)に移行することを決定することができる。システムは、患者またはユーザが電源オフ信号を入力する(例えば、電源ボタンを押下する)と、任意の電源状態(電源オフ状態を除く)から電源オフ状態(1702)に移行することを決定することができる。
【0150】
上述したように、いくつかの変形例では、ここで説明する方法は、冷却キャップ組立体の膨張圧力、冷却流体の温度、および/または冷却流体の流量を制御または(例えば、手動または自動で)調整することを含み得る。いくつかの変形例では、冷却ユニットは、患者が冷却ユニット(例えば、膨張可能部材ポンプ、循環流体ポンプ)および冷却キャップ組立体のうちの1つ以上を制御することができる、ユーザインタフェースを備え得る。追加的または代替的に、患者は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピューティングデバイスに表示されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を使用して、循環流体の温度および/もしくは流量、ならびに/または圧縮組立体の膨張圧力を制御することができる。例えば、GUIは、システムの様々なセンサによって生成された、温度、力、膨張圧力、および流体流量を含むセンサ測定値を出力し得る。
【0151】
いくつかの変形例では、コントローラは、治療時間、膨張圧力、流体温度、および/または流体流量を動的に制御することができる。例えば、コントローラは、冷却ユニット(例えば、1つ以上のポンプ、圧縮機)に命令するかまたは信号を送信して、1つ以上の冷却パラメータ(例えば、冷却流体の流量、冷却流体の温度、膨張可能部材のチャンバのうちの1つ以上の膨張圧力)を変更することができる。いくつかの変形例では、1つ以上の温度測定値が所定の閾値を超えたときに患者に通知され得、例えば、コンピューティングデバイスまたは冷却ユニットのユーザインタフェースを使用して、1つ以上の冷却治療パラメータを調整するための任意選択が提供され得る。
【0152】
一例として一変形例では、本方法は、患者の頭皮に結合された熱交換器を通して流体を循環させること、および1つ以上の温度および/または力の測定値に基づいて冷却システムの冷却パラメータを調整することを含み得る。いくつかの変形例では、冷却パラメータを調整することは、冷却パラメータ(例えば、膨張圧力、冷却流体の温度、冷却流体の流量)を手動で調整することを含み得る。これらの変形例では、患者は、コントローラ(例えば、携帯電話、タブレット)のグラフィカルユーザインタフェースを使用して、1つ以上の冷却パラメータを制御することができる。これらの変形例のいくつかでは、患者は、測定された温度および/または力に応答してポンプを手動で作動させることによって冷却キャップ組立体の膨張圧力を手動で変更する(例えば、増加させる)ために、グラフィカルユーザインタフェースを使用して通知され得る。例えば、平均測定温度が所定の温度閾値を超えると、ポンプを握る手のアニメーションが、患者のコンピューティングデバイスのディスプレイに表示されてもよい。
【0153】
追加的または代替的に、冷却パラメータを調整することは、コントローラを使用して、測定された温度および/もしくは力(例えば、温度/力の単一の測定値、温度/力の複数の測定値の平均)、ならびに所定の温度および/もしくは力の閾値、最大値、目標値、または範囲、のうちの1つ以上に基づいて、1つ以上の冷却パラメータを動的に(例えば、自動的に)調整することを含み得る。例えば、動的制御が利用される変形例では、平均測定温度が所定の温度閾値を超える場合、コントローラは、上でより詳細に説明されたように、例えば、膨張可能部材に結合された1つ以上の流体弁および/または流体ポンプを使用して、膨張可能部材の膨張圧力を増加させることができる。測定された膨張圧力が所定の圧力閾値を超える場合、コントローラは、膨張圧力が好適な範囲内になるまで膨張圧力を低下させることができる。測定された膨張圧力が目標範囲内にある場合、コントローラは、膨張圧力をその範囲内に維持することができる。追加的または代替的に、1つ以上の温度(例えば、冷却ユニット内で測定された冷却流体の温度、熱交換器内で測定された冷却流体の温度、患者の頭皮上または頭皮のある場所で測定された温度、患者の頭皮上または頭皮のある場所で測定されたいくつかの温度の平均、前述の温度のいずれかの間で計算されたデルタT)が目標値を上回るかもしくは下回る、および/または目標範囲外である場合に、コントローラは、冷却システムの1つ以上のパラメータを調整して、冷却キャップ組立体と患者の頭皮との間の熱伝達を調整する(例えば、増加または減少させる)ことができる。例えば、コントローラは、温度が目標値に達するか、閾値を超えるか、最大値を下回るか、または目標範囲内になるまで、冷却ユニットの圧縮機の出力を調整することによって循環冷却流体の温度を調整することができ、および/または冷却ユニット内の冷却流体ポンプの出力を調整することによって冷却流体の流量を調整することができる。いくつかの変形例では、コントローラが膨張圧力、流体温度、および流体流量のうちの1つ以上を変更したときに、患者に、驚きまたは不安を軽減するために、聴覚的および/または視覚的に通知されてもよい。
【0154】
いくつかの変形例では、本方法は、測定された温度セットに基づいて、膨張可能部材の複数のチャンバの1つの(例えば、各チャンバの)膨張圧力を、独立して調整することをさらに含み得る。例えば、熱交換器の対応する部分の測定された温度または測定された温度の平均が所定の最大温度を超えると、膨張可能部材のチャンバ内の膨張圧力が増加する可能性がある。別の例として、熱交換器の第1のアームまたはローブの測定温度は、コントローラが1つ以上の弁および/または流体ポンプを調整して、アームまたはローブに対応する膨張可能部材のチャンバを膨張させることができるように、所定の最大温度を超えてもよい。これらの変形例では、追加冷却で患者の頭部を正確に標的とすることができる。アームまたはローブの測定された温度が所定の閾値未満に低下すると、コントローラは、チャンバの圧力を維持するか、またはチャンバを所定の圧力まで収縮させることができる。
【0155】
いくつかの変形例では、方法は、各患者の患者プロファイルを生成することをさらに含み得る。患者プロファイルは、様々な患者シナリオに対して実行することができる冷却治療プロトコルのセットを含んでもよい。例えば、静かな治療プロトコルでは、騒音が低減されるように、冷却ユニットの電力消費を低減し得る。最大冷却治療プロトコルでは、熱交換器に所定の最大圧縮を付与し、熱伝達を最大にするために循環流体を所定の最大流量に設定することができる。いくつかの変形例では、患者は治療プロトコルを個人向けにすることができ、かつ/またはシステムは、システムに入力された患者情報に基づいて事前設定された治療プロトコルを調整することができる。患者はさらに、治療時間、膨張圧力、流体温度、および流体流量などの治療パラメータのリアルタイム制御を提供されることができる。さらに、GUIは、熱交換器の組み立て方または巻き付け方、冷却キャップ組立体の患者の頭部への組み立て方および患者の頭部からの分解の仕方、ならびに冷却ユニットを操作して冷却治療セッションを実施する仕方に関する、視覚的な指示を含み得る。例えば、いくつかの変形例では、GUIは、熱交換器の組み立て方、冷却キャップ組立体の組み立て方および/もしくは分解の仕方、ならびに/または冷却治療セッションの実施の仕方をユーザに指示する、視覚的および/または聴覚的(例えば、音声)プロンプトを提供してもよい。
【実施例】
【0156】
図10は、冷却キャップ組立体の一変形例のセンサおよび電力測定値のグラフのセットである。
図10に示されるように、冷却剤の流れ(1000)、温度変化(1002)、電力(1004)(すなわち、抽出電力、使用電力)を含むパラメータは、時間に対してグラフ表示することができる。温度センサ配列(1008)を頭上に配置して、各センサの温度(1006)を時間に対してグラフ表示することができる。
図10の時点Aで、前冷却全出力を付与する。時点Bで、40Wの負荷で電源供給される冷却キャップ組立体を、患者の頭部に適用することができる。時点Cで、冷却キャップ組立体の膨張可能部材を膨張させて、熱交換器と患者の頭皮との間の接触面積を増加させることができる。例えば、膨張可能部材を、頭部への圧縮を増加させるために膨張することができる。時点Dで、騒音を低減し、患者の快適さを増すために、圧縮機の速度を下げることができる。熱交換器内の流体の温度が下がり、冷却キャップと頭皮との接触面積が増加すると、少なくとも冷却療法の効果を維持しながら、熱交換器を通る流体の流量が減少する可能性がある。時点Eで、システムの電源をオフにすることができる。時点CとEとの間で、40Wすべてが除去された定常状態が達成され得る。
【0157】
本明細書の具体的な実施例および説明は、元来例示的であり、本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書で教示された材料に基づいて、変形例が、当業者によって展開され得るが、本発明は、添付された特許請求の範囲によってのみ限定される。
【国際調査報告】