(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】眼鏡用マウント
(51)【国際特許分類】
G02C 5/22 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
G02C5/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571981
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2020063880
(87)【国際公開番号】W WO2020244918
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】102019000008262
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥージ,アンペリオ
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AC02
(57)【要約】
本発明は、眼鏡用マウントに関する。該マウントは、側方突起部(4)と、対応するロッド(5)と、を有する前フレーム(2)を備える。ロッドと突起部の各対は、第1の連結要素(6)および第2の連結要素(7)と、第1の連結要素(6)に拘束されるインサート部(12)と、を備える。インサート部(12)内には、凹部(17)が画定される。凹部(17)は、第1の連結要素(6)に対する移動の間に第2の連結要素(7)のヘッド部(11)を少なくとも部分的に受容するように意図されている。インサート部(12)上には、連結運動中にヘッド部(11)と接触することができる肩面(22)が画定される。これにより、第2の連結要素(7)は、インサート部(12)と第1の連結要素(6)との間で案内されて接触するようにマウント上のロッドが開位置と閉位置との間を移動することができ、突起部(4)とロッド(5)との間のヒンジ運動を実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前フレーム(2)を備える眼鏡用マウントであって、
前記前フレーム(2)は、ロッド(5)にそれぞれ連結するための側方突起部(4)を有し、前記突起部は、前記ロッド(5)の各々と前記前フレーム(2)とを連結接続させ、
前記ロッドと前記突起部の各対において、前記ロッド(5)および前記突起部(4)のうちの一方は、前記ロッド(5)および前記突起部(4)のうちの他方にある第2の連結要素(7)に連結結合することができる第1の連結要素(6)を備え、前記第1の連結要素(6)および前記第2の連結要素(7)は、前記ロッド(5)と対応する前記突起部(4)とをヒンジ接続させ、
前記第1の連結要素(6)の各々は、第1の部分(6a)を備え、前記第1の部分は、前記第1の部分に対向する位置および前記第1の部分から離間する位置で前記第1の部分(6a)上に折り畳まれた第2の部分(6b)まで延在し、前記第2の部分(6b)は、1対のアーム(8)を備え、前記1対のアーム(8)は、互いに離間して平行に延在し、前記アーム(8)の自由端(8a)まで延在し、
前記第2の連結要素(7)の各々は、端部ヘッド部(11)まで延在する本体(10)を備え、前記ヘッド部(11)は、前記アーム(8)の前記自由端(8a)において前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)と前記第2の部分(6b)との間で受容され、
前記マウントは、前記第1の連結要素(6)および前記第2の連結要素(7)から構造的に独立しているインサート部(12)をさらに備え、前記インサート部(12)は、前記第1の連結要素(6)に拘束され、前記インサート部(12)の部分(16)は、前記ヘッド部(11)と前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)との間に配置されて前記第1の部分に対向し、前記インサート部(12)内には、前記第1の連結要素(6)および前記第2の連結要素(7)の相対的な連結運動中に前記ヘッド部(11)を少なくとも部分的に受容するように意図された凹部(17)が画定され、前記インサート部(12)上には、前記ヘッド部が前記凹部に係合しているときに、連結運動中に前記ヘッド部(11)と接触することができる肩面(22)が画定され、これにより、前記マウント上の前記ロッド(5)が開位置と閉位置との間を移動する間に、前記インサート部(12)と前記第1の連結要素(6)の前記第2の部分(6b)との間で案内されて接触するように前記第2の連結要素(7)を前記位置から移動させたり、前記位置に移動させたりして、前記突起部(4)と前記ロッド(5)との間のヒンジ運動を実現することができ、
前記ヘッド部(11)は、前記ロッドが前記開位置と前記閉位置との間を移動する間に、前記アーム(8)と前記インサート部の前記部分(16)との間の位置に留まり、前記閉位置において、前記肩面(22)に接触して前記凹部(17)に係合することを特徴とする、
マウント。
【請求項2】
前記第1の連結要素(6)の前記アーム(8)は、弾性降伏を有し、前記第1の要素(6)に対する前記第2の要素(7)の回転運動中の前記ヘッド部(11)の動きによって、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)と前記第2の部分(6b)とが互いから離れるように移動して、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)に対する前記第2の部分(6b)の弾性戻り応力が生成される、請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
前記インサート部(12)は、プラスチック材料から形成される、請求項1または2に記載のマウント。
【請求項4】
前記第1の連結要素(6)は、平板形状構造から作製され、前記第1の要素(6)の前記第2の部分(6b)は、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)上に実質的に180°折り畳まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項5】
前記ヘッド部(11)は、平板形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項6】
前記ヘッド部(11)は、互いから離間する1対の枝部(20)を有し、前記枝部は、前記ヘッド部(11)の共通部分(21)から同じ方向に突出する、請求項1~5のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項7】
前記凹部(17)は、中央の壁によって隔てられた2つの空隙によって画定され、前記枝部の各々は、前記空隙にそれぞれ係合することができる、請求項6に記載のマウント。
【請求項8】
前記インサート部(12)には、少なくとも1つの平板形状の基部(13)が設けられ、前記基部(13)は、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)に形成された対応する開口部(9)に形状が合うように係合して、前記インサート部(12)を前記第1の連結要素(6)と一体化させる、請求項1~7のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項9】
前記インサート部(12)は、互いに離間して平行に延在する1対の突出部(23a,23b)を備え、前記突出部の各々は、前記第2の部分(6b)の対応する前記アーム(8)に隣接するように横方向に延在し、これにより、前記第2の連結要素(7)の前記本体(10)は、前記ロッド(5)が前記開位置と前記閉位置との間を移動する間に、前記突出部(23a,23b)の間で受容されて案内される、請求項1~8のいずれか1項に記載のマウント。
【請求項10】
前記インサート部(12)は、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)と前記第2の部分(6b)との間に画定された空間から、前記第1の連結要素(6)の前記第1の部分(6a)上で前記第2の部分(6b)が折り畳まれる領域まで延在する、請求項4に記載のマウント。
【請求項11】
前記第1の連結要素(6)および/または前記第2の連結要素(7)は、金属製のプレートから形成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の主請求項1の前文に記載された特徴を有する眼鏡用マウントに関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡用マウントの具体的な技術分野において、前フレームへのロッドの連結が、互いに回転可能に接続されるピンとアイレット座部を有するヒンジ装置によって実現され、このような装置のヒンジ要素が、ロッドおよびマウントの突起部(lug)に適切に一体化されている眼鏡用マウントが知られている。
【0003】
このような解決策は、従来技術によって様々な形態で提供されてきたが、ねじやヒンジピンが望ましくない形で緩む可能性があること、ヒンジ連結に必要な構成要素を複数作製する必要があること、必要な構成要素によって寸法が決まること、およびヒンジ装置の重さが軽量タイプのマウントに使用するのに適していないことなど、いくつかの制限がある。
【0004】
マウントの前突起部にロッドを連結するための解決策も知られているが、上述したタイプの従来型のヒンジ構造を提供するものではない。その一例がフランス共和国特許出願第1009345号に記載されている。ここでは、突起部にロッドを弾性的にロックするように連結させるためのシステムが記載されている。前突起部に対向するロッドの端部は、相互に弾性のある動作を提供するのに十分な長さを有する3つの異なる部分に分割されている。中央部分の折り畳まれた端部は、側方部分と共に、マウント上に設けられたピン成形物の周りで連結するようにロッドを保持する。
【0005】
別のタイプの解決策が、特開2011-095691号に記載されている。ここでは、突起部に対向するロッドの端部に、1つまたは複数の弾性のあるシート状の細長い要素が切断によって得られる。これらの要素は、それらの折り畳まれた端部で、突起部を貫通して得られた対応する開口部に係合するように配置される。これにより、マウントの突起部上でのロッドの連結を保持することができる。
【0006】
別の既知の解決策が、本出願人に代表されるイタリア国特許出願第102015000060759号に記載されている。ここでは、突起部へのロッドの連結は、従来の解決策よりも安定した結合部によって実現される。これは、装着感を向上させるのにも適している。しかしながら、このような解決策は、組み立てられた構成要素がヒンジ運動中に相互に接触することに関連するいくつかの制限がある。
【0007】
実際、相対的な滑動で相互に接触するように配置されたロッドと突起部の金属部分では、ロッドが繰り返し回転する際の摩擦により、表面的な磨耗が生じる場合がある。
【0008】
ヒンジのライフサイクルにおいて摩耗現象が生じて、その結果、関連する部品の表面が損傷すると、ヒンジの機能性が損なわれて、接合部の規則正しい連結動作が損なわれる可能性があるだけでなく、局所的に審美的効果も損なわれる可能性がある。
【0009】
また、経済的、技術的および/または審美的効果の理由から、機械的強度があまり高くない表面処理をヒンジに施した場合、摩耗による審美的効果の低下が顕著になる。
【0010】
突起部(前フレーム)および/またはロッドが、色付きワニスや薄い装飾用フィルム(例えば、デジタル印刷で装飾されたポリマーフィルム)でコーティングされた材料(一般的には金属)、またはいわゆるPVD(物理蒸着法)処理が施された材料から形成される場合、審美的効果が損なわれる可能性が高くなる。
【0011】
本明細書に記載の仕上げやコーティング用カバーは、全体として装飾だけに限られない機能を有し、特に厚さが薄いことを特徴としている。この厚さは、相対的な滑動中に接触する構成要素による、連続した層の局所的な除去によって、容易に影響を受けることがある。実際、表面のコーティングが多かれ少なかれ深くまたは頻繁に除去されることによって、実質的に審美的効果が損なわれ、完全に除去されることによって、基板(下地)の外観にまで影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、上述した従来技術を参照して記載した制限を克服するように構造的および機能的に設計された、マウントの前部においてロッドを連結するための要素を有する眼鏡用マウントを提供することである。
【0013】
この目的および以下でより明らかになるその他の目的は、添付の特許請求の範囲に従って作製された眼鏡用マウントによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主な態様によれば、眼鏡用マウントは、前フレームを備える。前フレームは、ロッドにそれぞれ連結するための側方突起部を有する。突起部は、ロッドの各々と前フレームとを連結接続させる。ロッドと突起部の各対において、ロッドおよび突起部のうちの一方は、第1の連結要素を備える。第1の連結要素は、ロッドおよび突起部のうちの他方にある第2の連結要素に連結結合することができる。第1の連結要素および第2の連結要素は、ロッドと対応する突起部とをヒンジ接続させる。第1の連結要素の各々は、第1の部分を備える。第1の部分は、第1の部分に対向する位置および第1の部分から離間する位置で第1の部分上に折り畳まれた第2の部分まで延在する。第2の部分は、1対のアームを備える。1対のアームは、互いに離間して平行に延在し、アームのそれぞれの自由端まで延在する。第2の連結要素の各々は、端部ヘッド部まで延在する本体を備える。ヘッド部は、アームの自由端において第1の連結要素の第1の部分と第2の部分との間で受容される。マウントは、第1の連結要素および第2の連結要素から構造的に独立しているインサート部をさらに備える。インサート部は、第1の連結要素に拘束される。インサート部の一部分は、ヘッド部と第1の連結要素の第1の部分との間に配置されて第1の部分に対向する。インサート部内には、第1の連結要素および第2の連結要素の相対的な連結運動中にヘッド部を少なくとも部分的に受容するように意図された凹部が画定される。インサート部上には、ヘッド部が凹部に係合しているときに、連結運動中にヘッド部と接触することができる肩面(shoulder surface)が画定される。これにより、マウント上のロッドが開位置と閉位置との間を移動する間に、インサート部と第1の連結要素の第2の部分との間で案内されて接触するように第2の連結要素を上記位置に移動させたり、上記位置から移動させたりして、突起部とロッドとの間のヒンジ運動を実現することができる。ヘッド部は、ロッドが開位置と閉位置との間を移動する間に、アームとインサート部との間の位置に留まり、閉位置において、肩面に接触して凹部に係合する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な一例として示すいくつかのこの好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【
図1】本発明の実施例に従って作製された眼鏡用マウントの斜視図である。
【
図2】マウントの対応する前突起部に一方のロッドを連結することに関連する、
図1のマウントの細部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図3】マウントの対応する前突起部に一方のロッドを連結することに関連する、
図1のマウントの細部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図4】マウントの対応する前突起部に一方のロッドを連結することに関連する、
図1のマウントの細部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図5】
図2~
図4に示す対応する構成要素の細部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図6】
図2~
図4に示す対応する構成要素の細部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図7】
図2~
図4に示す構成要素のさらなる細部を拡大して示す正面図である。
【
図10】相対的な回転運動中のロッドと突起部の相対的な位置を明確に示す、
図9に示す細部の部分斜視図である。
【
図11】相対的な回転運動中のロッドと突起部の相対的な位置を明確に示す、
図9に示す細部の部分斜視図である。
【
図12】相対的な回転運動中のロッドと突起部の相対的な位置を明確に示す、
図9に示す細部の部分斜視図である。
【
図13】本発明によるマウントの一実施形態の変形例の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述した図を参照すると、参照符号1は、本発明の一実施形態に従って作製された眼鏡用マウントを全体として示している。眼鏡用マウント1は、レンズ3を保持するための前フレーム2を備える。また、前フレーム2には、対応するロッド5と前フレームとを連結接続するための、互いに反対側にある1対の側方突起部4が設けられる。
【0017】
ロッドと突起部の各対の連結接続のために、ロッドおよび突起部のうちの一方は、参照符号6で示す第1の連結要素を備え、ロッドおよび突起部のうちの他方は、参照符号7で示す第2の連結要素を備える。これにより、第1の連結要素6および第2の連結要素7は、ロッドと対応する突起部とをヒンジ接続させることができる。
【0018】
本明細書に記載する好ましい実施例において、第1の連結要素6はロッド5上に設けられ、第2の連結要素7はマウントの突起部5上に設けられる。ただし、逆に、第1の連結要素および第2の連結要素がそれぞれ突起部上およびロッド上に設けられている実施形態も可能である。
【0019】
構造的および機能的な同一性のために、第1の連結要素および第2の連結要素と、マウントの前フレーム2の対応する突起部6との連結結合に関して、一方のロッド5のみについて以下で詳細に説明する。
【0020】
図に示すように、好ましくは、ロッド5および対応する突起部4は、薄い平板形状を有する。すなわち、ロッド(および対応する突起部)の断面は、眼鏡を着用したときにユーザの側頭部領域に対して実質的に平行に測定されたロッドの高さ寸法を有し、これは、高さに対して横方向に測定されたロッドの厚さよりもはるかに大きい。厚さが薄い部分の形状は、好ましくは金属であるその材料と共に、ロッドの特に軽い長手方向の延在部にわたって、ロッド全体に高い軽量性と低減された寸法を提供する。これにより、審美的効果がかなり高い全体的なデザインをマウントに提供することができる。これに関連して、ロッドとマウントの前フレームを形成するには、金属シート構造が特に適している。
【0021】
以下の説明で明らかになるように、厚さが薄い平板形状は、第1の連結要素6および第2の連結要素7の構築においても提供される。
【0022】
第1の連結要素6は、ロッド5の本体と一体的に形成された、またはロッド5の本体に接続可能な第1の部分6aを備える。第1の部分6aは、第2の部分6bまで延在する。第2の部分6bは、所定の距離で第1の部分6aから離間して対向するように、第1の部分6a上に折り畳まれている。このような構成は、例えば金属シートから得られた実質的に平坦なロッドの平板状構造から開始して、第1の連結要素の第1の部分6a上に第2の部分6bを約180°折り畳むことで、得ることができる。
【0023】
第1の要素6の第2の部分6bは、互いに離間して平行に延在する1対のアーム8を備える。1対のアーム8は、第1の部分に対する第2の部分の折り畳まれる領域から、アームのそれぞれの自由端8aまで延在する。
【0024】
参照符号9は、第1の連結要素の第1の部分6aを貫通する開口部を示している。開口部の機能は、以下で明らかになるであろう。
【0025】
第2の連結要素7は、好ましくは突起部4と一体的に形成された本体10を備える。本体10は、突起部の反対側で、拡大された端部ヘッド部11まで延在する。連結要素間の結合において、ヘッド部11は、アーム8の自由端8aで第1の連結要素6の第1の部分6aと第2の部分6bとの間で受容されて、以下で説明する動作モードにおいて、ロッドと突起部との間のヒンジピンの機能を実質的に果たす。
【0026】
また、マウント1は、全体として参照符号12で示すインサート部を備える。インサート部12は、第1の連結要素および第2の連結要素から構造的に独立しており、第1の連結要素6に拘束されるように設計されている。
【0027】
インサート部12は、共に組み立てられたときに、第1の連結要素と第2の連結要素との間に挿入されて受容されるように設計されており、ロッドと突起部との間のヒンジ結合の機能を実現するようにそれらと協働する。
【0028】
インサート部12は、平板形状の基部13を備える。この基部13上でインサート部本体14が延在している。インサート部本体14は、第1の連結要素6の第1の部分6aと第2の部分6bとの間に画定される空間内に少なくとも部分的に収容されるように意図されており、さらに、アーム8の領域を越えて、基部13上で延在する肩部15まで延在している。
【0029】
好ましくは長方形の平面を有する基部13は、要素6の第1の部分6aに形成された開口部9に形状が合うように係合するように設計されており、インサート部12と第1の連結要素6とを一体化させる。
【0030】
参照符号16は、インサート部の本体14の部分を示している。この部分は、例えば
図2~
図4に明らかに示すように、要素6および7が組み立てられた状態にあるときに、要素7のヘッド部11と、ヘッド部に対向する要素6の第1の部分6aとの間に残るように意図されている。
【0031】
また、インサート部の本体14内には、全体として参照符号17で示す凹部が画定されている。凹部は、インサート部の部分16に連続する位置に形成され、第1の要素6と第2の要素7との間の相対的な連結運動中に、ヘッド部11を少なくとも部分的に受容するように意図されている。
【0032】
より詳細には、凹部17は、壁19によって隔てられた2つの空隙18aおよび18bによって画定される。空隙は、この壁に関して鏡面対称となっている。
【0033】
ヘッド部11は、互いから離間している1対の枝部20を有する。枝部20は、本体10に接続するように意図されたヘッド部の共通部分21から同じ方向に突出する。
【0034】
枝部20は、凹部17を画定する空隙18aおよび18bにそれぞれ係合することができる。
【0035】
また、インサート部の肩部15には、肩面22が画定される。肩面の外郭は、インサート部本体14に対して垂直に延在し、凹部17に近接する。その主な機能は、ヘッド部が凹部17内の係合位置にあるときに、ロッドと突起部の連結運動中にヘッド部11に接触することである。
【0036】
連結要素6および7の間のインサート部12の形状と位置により、マウント上のロッド5が開位置と閉位置との間を移動する間に、インサート部12と要素6の第2の部分6bとの間で案内されて接触するように第2の連結要素7を上記位置に移動させたり、上記位置から移動させたりして、突起部とロッドとの間のヒンジ運動を実現することができる。このヒンジ運動について、ヘッド部11は、ロッドが開位置と閉位置との間を移動する間に、アーム8とインサート部の部分16との間の位置に留まり、閉位置において、肩面22に接触して凹部17の空隙18aおよび18bに係合する。
【0037】
第1の連結要素6のアーム8は、その材料および/またはその形状により、特定の弾性降伏を有するように配置される。第1の要素6に対する第2の要素7の回転運動中のヘッド部11の動きによって、第1の連結要素6の第1の部分と第2の部分とが互いから離れるように移動して、第1の連結要素6の第1の部分6aに対する第2の部分6bの弾性戻り応力が生成される。
【0038】
また、第2の部分6bの弾性のあるアーム8が加える圧力は、インサート部12の寸法によって引き起こされる弾性反応によって生成される(且つ横方向に作用する)。この圧力によって、インサート部12は、要素6の第1の部分6aにおいて、ロッド本体に固着されたまま維持され、インサート部は、実際、ロッドと一体化している。
【0039】
参照符号23aおよび23bは、インサート部12の本体14から延在する1対の突出部を示している。突出部23aおよび23bは、互いから離間して平行に延在する。突出部の各々は、要素6および7の間でインサート部12を組み立てた後に、要素6の第2の部分6bの対応するアーム8に隣接するように横方向に延在する。このような構成によって、第2の要素7の細長い本体10は、ロッドが開位置と閉位置との間を移動する間に、突出部23aおよび23bの間で受容されて案内される。すなわち、突出部23aおよび23bは、横方向の案内機能を果たす。これにより、要素6および7の組み立てと相対的な回転運動がより安定する。
【0040】
インサート部12は、例えばプラスチック材料などの適切な材料から好都合に形成される。これにより、ロッドと突起部との間のヒンジの基本的な構成要素である、一般的には金属から形成される連結要素6および7を、磨耗や表面的な劣化から保護することができる。特に、連結要素6および7の間にインサート部の部分16を配置することで、ロッドの回転中にヘッド部11と連結要素6の第1の部分6aとが直接滑動接触することを防止することができる。これにより、第1の部分6aを摩耗や表面的な劣化の現象から保護することができ、その結果、その要素は、時間の経過とともに、表面の損傷や審美的効果の明らかな欠落などの兆候を示さない。
【0041】
インサート部12は、射出成形または鋳造を用いて、プラスチック材料から好都合に形成されてもよい。このようにして、事前に着色された材料でインサート部を得ることができる。すなわち、インサート部は、表面着色処理を適用することなく、金型からの抽出時にその最終的な色を示すことができる。実際、射出成形を用いて、事前に着色されたプラスチック原料(射出顆粒)を使用して、または代替的に、「天然」の原料顆粒と着色剤(いわゆるマスターバッチ顆粒、または適切な顔料の粉末)の混合物を使用して、物体を製造することが知られている。
【0042】
同様に、プラスチック材料を鋳造して成形する分野において、事前に着色された樹脂や、着色機能を有する物質を混ぜた樹脂を鋳造して成形品を着色することが知られている。
【0043】
また、代替的に、単純な形状の半製品(例えば事前押出シートなど)を機械的に加工することで、プラスチック材料のインサート部12を得ることもできる。
【0044】
この場合、最初の半製品は既に最終的な色となっている。例えば、既に着色されている押出シートは、射出成形で得られるものと同様の方法で使用されてもよい。
【0045】
体積全体に色がついているので、ある程度の摩耗があったとしても、事前に着色されたプレスチック製のインサート部12は、表面の損傷や相対的な審美的効果の明らかな欠落などの兆候を示さない。
【0046】
実際、インサート部から取り除かれた材料の表面層の厚さに関わらず、インサート部は、常に同じ開始色を示し続ける。
【0047】
インサート部12と第1の連結要素6および第2の連結要素7との組み立ては、次の一連のステップで行われる。まず、インサート部12を第1の要素6の第1の部分6aと第2の部分6bとの間に部分的に挿入し、アーム8の端部の領域で特定される口部から、部分6aおよび6bの180°折り畳まれた領域の方向に、インサート部を第1の要素上に滑動させる。このような部分的な挿入によって、第2の要素7のヘッド部11を、アーム8の自由端においてインサート部上に一時的に配置することができる。続くステップでは、ヘッド部の枝部20を、アーム8の対応する端部の下方に挿入して、これらの端部が弾性的に広げられる。その後、要素6および7の間にインサート部12を完全に挿入し、基部13を開口部9に係合させる(インサート部12を第1の連結要素6に拘束するのに適している)ことで、組み立てが完了する。
【0048】
開位置と閉位置との間で突起部に対してロッドを回転させるヒンジの動作は、
図10~
図12に示すシーケンスを参照して以下に説明するように行われる。
【0049】
図10に示すロッドの開位置から開始して、突起部に対してロッドを回転させることで、理論上のヒンジ軸(
図4ではXで示されている)を中心としたヘッド部11の回転運動を決定することができ、インサート部の部分16上にヘッド部が滑動接触し(
図11ではこの回転における中間位置が示されている)、約90°の回転が完了してロッドの閉位置(
図12に示す)が実現されるまで、ヘッド11が回転する。この位置において、ヘッド部11は、その枝部20を介して、インサート部12に設けられた凹部17の内側に当接し、肩面22を有する肩部15に接触する。したがって、肩面22は、選択された幅を超えるようなロッドの回転を制限する手段として作用する。さらに、この位置において、アームの弾性的な反発が加える圧力(ヘッド部の回転によって第1の部分6aから離れているため、弾性的な戻り作用が生じる)が、インサート部に形成された凹部17の空隙内でヘッド部11(およびそれとともに突起部)をブロックすることができる。これにより、閉位置におけるロッドのための一種のストッパが得られる。
【0050】
さらに、中央の壁19によって隔てられた凹部17の空隙内の枝部20の係合により、ヘッド部11およびそれとともに突起部4は、上記組立体に拘束される。これにより、ロッド5に平行な方向への活動が防止され、ロッドに対する突起部の安定した位置決めを確保することができる。
【0051】
図13は、本発明の変形例におけるマウントのさらなる実施例を部分的に示す斜視図である。この変形例が上述した実施例とは主に異なるのは、インサート部12に、ロッドの長手方向の延長線上に沿って並んで配置された2つの基部13aおよび13bがある点である。基部は、上述した実施例と完全に同様の方法で、連結要素6の第1の部分6aに形成された開口部9aおよび9bにそれぞれ形状が合うように係合するように配置され、インサート部12を要素6と一体化させる。
【0052】
第1の連結要素6の対応する開口部に係合する2つ以上の基部を設けることで、特に審美的効果を実現することができる。また、各基部の自由表面、すなわちロッドの外側に向けて見える表面は、異なる方法で(適切な色で、または幾何学的な装飾モチーフで、または商標やロゴなどで)装飾されるように意図されていてもよい。
【0053】
また、基部と、相互に係合するための対応する開口部との異なる配置が提供されてもよい。
図13の変形例の代替例として、例えば、ロッドの長手方向の展開軸に対して横方向に基部を並べて配置してもよく、他の配置も可能である。
【0054】
図に示さないさらなる変形例において、基部13は、第1の連結要素6の第1の部分6aに形成された沈み込んだ止まり座部(代替的に、上述した貫通開口部9)に形状が合うように収容され、わずかな干渉を持って固定されるように結合が行われてもよい。これにより、インサート部12を第1の連結要素6と一体化させることができる。この変形例において、上記の実施例とは異なり、インサート部の基部13は、ロッドの外側からは見えない。
【0055】
これにより、本発明は、上述した目的を達成し、既知の解決策よりも有益な数々の利点を得ることができる。
【0056】
主な利点は、本発明により、ヒンジピンのないロッドの連結システムにおいて、マウント上の最大開位置および閉位置で、ロッドが全体的に移動している間に、ロッドと突起部との間の相対的な結合の安定性が得られることである。これは、同時に、ロッドが繰り返し回転する際の結合部分の摩擦による表面的な摩耗による、構成要素の表面の損傷を防ぐことができる。これにより、接合部の通常の機能が損なわれる可能性と、局所的に審美的効果が損なわれる可能性を回避することができる。
【0057】
別の利点は、上述した操作性の良さは、マウントへの組み立てを容易にする、軽量且つ限定的な大きさを有する構造で得られるため、特に薄くて軽量のマウントにも適用することができることである。
【国際調査報告】