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特表2022-536095伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
D01F8/14 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572073
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 KR2020006174
(87)【国際公開番号】W WO2020246719
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0066026
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520080171
【氏名又は名称】東レ尖端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INC.
【住所又は居所原語表記】(Imsu-dong)300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ミ ナム
【テーマコード(参考)】
4L041
【Fターム(参考)】
4L041AA08
4L041AA10
4L041AA24
4L041BA09
4L041BA33
4L041BA34
4L041BC03
4L041BC05
4L041BC20
4L041CA05
4L041CA08
4L041CB05
4L041CB28
4L041DD01
4L041DD04
4L041DD08
4L041DD14
(57)【要約】
本発明は、伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に関するもので、より詳しくは、第1成分及び第2成分を複合紡糸して製造される0.60~0.80dl/gの固有粘度及び15~30%のリーソナ収縮率(%)を有するサイドバイサイド複合繊維であって、伸縮性が一層向上しただけでなく、光沢が発生せず、且つタッチ感に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分及び第2成分を複合紡糸して製造されるポリエステル複合繊維において、
前記複合繊維は、0.60~0.80dl/gの固有粘度を有するサイドバイサイド複合繊維であり、
下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%であることを特徴とする、伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【数1】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【請求項2】
前記複合繊維は、下記方程式2により測定された残存収縮率(%)が40~70%であることを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【数2】
前記方程式2において、前記残存収縮率は、複合繊維に1.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、1.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【請求項3】
前記第1成分は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含み、前記第2成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【請求項4】
前記複合繊維は、下記関係式1を満足することを特徴とする、請求項3に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
[関係式1]
0.30dl/g≦|A-B|≦0.80dl/g
前記関係式1において、Aは、第1成分の固有粘度を示し、Bは、第2成分の固有粘度を示す。
【請求項5】
前記複合繊維の断面形状は、ピーナッツ型であることを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【請求項6】
前記第1成分及び第2成分は、それぞれ独立的に、全体重量%に対して消光剤を1.0~3.0重量%で含むことを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【請求項7】
前記消光剤は、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項6に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維。
【請求項8】
第1成分及び第2成分をそれぞれ溶融させる第1段階;及び
前記溶融された第1成分及び第2成分を複合紡糸してポリエステル複合繊維を製造する第2段階;を含み、
製造された複合繊維は、0.60~0.80dl/gの固有粘度を有するサイドバイサイド複合繊維であり、
製造された複合繊維は、下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%であることを特徴とする、伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法。
【数3】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【請求項9】
前記複合繊維は、下記方程式3により測定された満巻率(%)が80%以上であることを特徴とする、請求項8に記載の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法。
【数4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に係り、より詳しくは、伸縮性が一層向上しただけでなく光沢が発生せず、且つタッチ感に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高伸縮性を要求する生地の需要が大きくなるに従ってスパンデックスに対する市場の需要がますます増えている実情である。スパンデックスとは、ポリウレタン系繊維の一種として、ポリエーテルとメチレンジフェニルイソシアネートを重合して溶融紡糸したものであって、スパンデックスは、ゴム紐より軽く耐老化性が強いなど従来のゴム糸以上の品質を有する。
【0003】
また、スパンデックスは、ゴムと類似した弾性を有した珍しい繊維であって、引張強(tensile strength)及び/又は極限強度(ultimate strength)が非常に高いため、糸が簡単に切れず、元の長さの5~8倍も伸び得るほどに伸縮性がある。
【0004】
また、スパンデックスは、汗、油、化粧品でも汚れることがなく、洗濯にもよく耐える。また、スパンデックスは、ゴムとは比べられないほど糸を細く紡ぐことができ、染色性が良い。
【0005】
一方、スパンデックスは、伸縮性に優れて活動するのに楽であり、耐久性、発汗性、乾燥性に優れて肌着、裏地、上着などさまざまな用途で多様に用いられている。また、スパンデックスは、汗をはやく排出する発汗性と乾燥能力が高いため、快適な感じを与える長所がある。
【0006】
しかし、スパンデックスは、価格が高く、熱に弱く、静電気が生じ、耐アルカリ性に問題があり、スパンデックス原糸単独では使用できず、別途のカバーリング工程が必要であるという短所がある。したがって、相対的に厚い生地を得るしかないため、ますます薄い生地を所望する市場の要求に限界があった。
【0007】
このようなスパンデックスの短所を克服するために、伸縮性潜在捲縮糸が提示された。潜在捲縮繊維とは、熱収縮特性が異なる2種のポリマーをサイドバイサイド型(Side By Side)又は芯鞘型(Sheath-Core)で複合紡糸した後、紡糸工程や延伸工程で熱を加えることによって、熱収縮性の差により物理的にコイル模様を作り、スプリングと類似した原理で高度の伸縮性を付与した繊維である。伸縮性においては、既存のスパンデックス繊維に及ばないが、上記で言及したスパンテックスの短所である耐アルカリ性及び形態安定性などに優れ、染色及び後加工工程が容易な潜在捲縮繊維を多く用いている。
【0008】
一方、潜在捲縮繊維として、従来には、粘度差があるポリエステル樹脂を複合紡糸した繊維が提示されたが、このような方法で製造された繊維は、目的とする伸縮性を得るには不足であるという問題点があった。
【0009】
また、高伸縮性のためにポリテトラメチレンテレフタレート(PTT)を潜在捲縮糸に含ませた複合繊維が提示されたが、ポリテトラメチレンテレフタレートは、重合時に所要される単量体の価格が高いため、原料費の上昇により複合繊維自体の製造コストが高くなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような問題点を解決するために案出されたものであって、光沢が発生せず、タッチ感に優れると同時に、優れた伸縮性を有する伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、第1成分及び第2成分を複合紡糸して製造されるポリエステル複合繊維であってもよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むことができる。
【0013】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。
【0014】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維は、下記関係式1を満足することができる。
【0015】
[関係式1]
0.30dl/g≦|A-B|≦0.80dl/g
【0016】
前記関係式1において、Aは、第1成分の固有粘度を示し、Bは、第2成分の固有粘度を示す。
【0017】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分の固有粘度は、0.90~1.30dl/gであってもよい。
【0018】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分の融点は、200~250℃であってもよい。
【0019】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分の固有粘度は、0.40~0.70dl/gであってもよい。
【0020】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分の融点は、230~270℃であってもよい。
【0021】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分は、消光剤をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分は、消光剤をさらに含むことができる。
【0023】
本発明の好ましい一実施例において、消光剤は、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち選択された1種以上を含むことができる。
【0024】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分は、消光剤を全体重量%に対して1.0~3.0重量%で含むことができる。
【0025】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分は、全体重量%に対して消光剤を1.0~3.0重量%で含むことができる。
【0026】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分と第2成分の重量比は、30:70~70:30であってもよい。
【0027】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維の断面形状は、ピーナッツ型サイドバイサイド又は円型サイドバイサイドであってもよい。
【0028】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維の固有粘度は、0.50~0.80dl/gであってもよい。
【0029】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維は、全体重量%に対して消光剤を1.0~3.0重量%で含むことができる。
【0030】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維は、20~180デニールの繊度、12~96のフィラメント数を有することができる。
【0031】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維は、下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%であってもよい。
【0032】
【数1】
【0033】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0034】
本発明の好ましい一実施例において、本発明のポリエステル複合繊維は、下記方程式2によって測定された残存収縮率(%)が45~70%であってもよい。
【0035】
【数2】
【0036】
前記方程式2において、前記残存収縮率は、複合繊維に1.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、1.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0037】
一方、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法は、第1成分及び第2成分をそれぞれ溶融させる第1段階及び溶融された第1成分及び第2成分を複合紡糸してポリエステル複合繊維を製造する第2段階を含むことができる。
【0038】
本発明の好ましい一実施例において、製造された複合繊維は、0.60~0.80dl/gの固有粘度を有するサイドバイサイド複合繊維であってもよい。
【0039】
本発明の好ましい一実施例において、製造された複合繊維は、下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%であってもよい。
【0040】
【数3】
【0041】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0042】
本発明の好ましい一実施例において、第1成分は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及び消光剤を含むことができる。
【0043】
本発明の好ましい一実施例において、第2成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び消光剤を含むことができる。
【0044】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法は、下記関係式1を満足することができる。
【0045】
[関係式1]
0.30dl/g≦|A-B|≦0.80dl/g
【0046】
前記関係式1において、Aは、第1成分の固有粘度を示し、Bは、第2成分の固有粘度を示す。
【0047】
本発明の好ましい一実施例において、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法で製造されたポリエステル複合繊維は、下記方程式3により測定された満巻率(%)が80%以上であってもよい。
【0048】
【数4】
【0049】
さらに、本発明の生地は、上述した伸縮性に優れたポリエステル複合繊維を含む。
【0050】
以下、本発明で用いた用語に対して説明する。
【0051】
本発明で用いられる用語の「繊維」は、「糸(Yarn)」を意味し、通常的な多様な種類の糸及び繊維を意味する。
【0052】
本発明で用いられる用語の「複合繊維」は、複合紡糸して製造された原糸それ自体、又はこれを延伸及び/又は部分延伸した繊維を含む意味で用いる。
【0053】
本発明で用いた「熱処理温度」は、延伸工程で通常的に用いられるゴデットローラーのうち2次ゴデットローラーの表面温度を意味する。
【発明の効果】
【0054】
本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、光沢が発生せず、且つタッチ感に優れる。
【0055】
また、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、優れた伸縮性と光沢がない繊維の使用が必要な多様な製品に適用が可能である。具体的に、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、伸縮性が要求される織物又は編物の原糸として用いるのに適合であると同時にこれを含む生地自体も光沢が発生せず、且つタッチ感が良く、優れた伸縮性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、本発明の好ましい一具現例によるピーナッツ型断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維の模式図である。
【0057】
図2図2は、本発明の好ましい一具現例によるピーナッツ型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維のSEM写真である。
【0058】
図3図3は、本発明の好ましい一具現例による円型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維の模式図である。
【0059】
図4図4は、本発明の好ましい一具現例による円型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維のSEM写真である。
【0060】
図5図5は、本発明の好ましい一具現例による製造工程のフローチャートである。
【0061】
図6図6は、本発明の好ましい一具現例による製造工程の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、多様な相異なっている形態で具現され得、ここで説明する実施例によって限定されない。本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付与する。
【0063】
本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、第1成分及び第2成分を複合紡糸して製造される。
【0064】
本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の第1成分は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むことができる。一例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、ブタノールとテレフタル酸を重合して製造され得る。
【0065】
また、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の第2成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、エチレングリコールとテレフタル酸を重合して製造され得る。
【0066】
一方、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維は、下記関係式1を満足することができ、もし、下記関係式1に記載した範囲を脱することになると、伸縮性の発現が微弱となる問題があり得る。
【0067】
[関係式1]
0.30dl/g≦|A-B|≦0.80dl/g、好ましくは、0.4dl/g≦|A-B|≦0.70dl/g、より好ましくは、0.4dl/g≦|A-B|≦0.60dl/g、さらに好ましくは、0.45dl/g≦|A-B|≦0.53dl/g、最も好ましくは、0.45dl/g≦|A-B|≦0.49dl/g
【0068】
前記関係式1において、Aは、第1成分の固有粘度を示し、Bは、第2成分の固有粘度を示す。
【0069】
さらに、本発明の第1成分は、固有粘度(I.V)が0.90~1.30dl/g、好ましくは、0.92~1.30dl/g、より好ましくは、0.95~1.15dl/g、さらに好ましくは、0.95~1.05dl/gであってもよく、もし、固有粘度が0.90dl/g未満であると、目的とする伸縮性を発現できない問題があり得、1.30dl/gを超過すると、複合紡糸時に製造された複合繊維の曲糸現象が顕著に増加して紡糸操業性が不良となる問題があり得る。
【0070】
また、本発明の第2成分は、固有粘度(I.V)が0.40~0.70dl/g、好ましくは、0.45~0.65dl/g、より好ましくは、0.48~0.60dl/g、さらに好ましくは、0.48~0.53dl/gであってもよく、もし、固有粘度が0.40dl/g未満であると、複合紡糸時に製造された複合繊維の曲糸現象が顕著に増加して紡糸操業性が不良となる問題があり得、0.70dl/gを超過すると、目的とする伸縮性を発現できない問題があり得る。
【0071】
一方、本発明の第1成分は、融点が200~250℃、好ましくは、210~240℃、より好ましくは、220~230℃であってもよく、もし、融点が200℃未満であると、第1成分の結晶性が低下し、製造される複合繊維の強度が低くなる問題があり得、250℃を超過すると、溶融紡糸温度が高くなることによって第1成分の溶融時に熱分解が発生して製造される複合繊維の強度が低下する問題があり得る。
【0072】
また、本発明の第2成分は、融点が230~270℃、好ましくは、240~265℃、より好ましくは、250~260℃であってもよく、もし、融点が230℃未満であると、第2成分の結晶性が低下し、製造される複合繊維の強度が低くなる問題があり得、270℃を超過すると、溶融紡糸温度が高くなることによって第2成分の溶融時に熱分解が発生して製造される複合繊維の強度が低下する問題があり得る。
【0073】
さらに、本発明の第1成分は、消光剤をさらに含むことができる。このとき、消光剤は、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO)及び硫酸バリウム(BaSO)のうち選択された1種以上を含むことができ、好ましくは、酸化チタン(TiO)を含むことができる。また、酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型又はブルカイト型の結晶形態を有することができ、酸化チタンは、前記結晶形態を単独又は混合して含むことができるが、酸化チタンは、結晶形態によって密度、屈折率、光反射及び吸収特性などの特性が異なるので、目的及び用途に応じて適切に区分して用いることができる。また、ポリマー中での分散性や光反射性能などの性能の制御のために表面処理が行われた酸化チタンを含むことができる。
【0074】
また、本発明の第1成分は、全体重量%に対して消光剤を1.0~3.0重量%、好ましくは、1.2~2.5重量%、より好ましくは、1.5~2.0重量%で含むことができ、もし、消光剤が1.0重量%未満で含まれると、光沢抑制効果が低下し、本発明の複合繊維を用いて製造した生地のタッチ感が低下する問題があり得、3.0重量%を超過すると、第1成分内での消光剤の凝集現象が増加して紡糸時に切糸が発生して紡糸操業性が不良となる問題があり得る。また、本発明の第2成分は、全体重量%に対して消光剤を1.0~3.0重量%、好ましくは、1.2~2.5重量%、より好ましくは、1.5~2.0重量%で含むことができ、もし、消光剤が1.0重量%未満で含まれると、光沢抑制効果が低下し、本発明の複合繊維を用いて製造した生地のタッチ感が低下する問題があり得、3.0重量%を超過すると、第2成分内での消光剤の凝集現象が増加して紡糸時に切糸が発生して紡糸操業性が不良となる問題があり得る。
【0075】
一方、本発明の第1成分及び第2成分の重量比は、30:70~70:30、好ましくは、35:65~65:35、より好ましくは、45:55~55:45であってもよく、もし、第1成分の重量比が30未満又は第1成分の重量比が70を超過する場合、第1成分と第2成分のバランスが合わないため曲糸発生がひどくなって紡糸操業性が不良となり、複合繊維の伸縮特性も減少する問題点があり得る。
【0076】
さらに、本発明の複合繊維の断面形状は、ピーナッツ型のサイドバイサイド(side-by-side)又は円型のサイドバイサイドであってもよく、好ましくは、ピーナッツ型サイドバイサイドであってもよい。
【0077】
具体的に、図1は、本発明の好ましい一具現例によるピーナッツ型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維の模式図であり、図2は、本発明の好ましい一具現例によるピーナッツ型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維のSEM写真であって、図1及び図2を参照すると、断面形状がピーナッツ型であり、第1成分101と第2成分102が複合繊維内に含まれている形状を確認することができる。また、図3は、本発明の好ましい一具現例による円型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維の模式図であり、図4は、本発明の好ましい一具現例による円型の断面形状を有するサイドバイサイド複合繊維のSEM写真であって、図3及び図4を参照すると、断面形状が円型であり、第1成分112と第2成分113が複合繊維内に含まれている形状を確認することができる。
【0078】
また、本発明の複合繊維の固有粘度は、0.50~0.80dl/g、好ましくは、0.60~0.80dl/g、より好ましくは、0.60~0.70dl/gであってもよい。
【0079】
さらに、本発明の複合繊維は、20~180デニールの繊度、好ましくは、30~170デニールの繊度、より好ましくは、50~100デニールの繊度、12~96のフィラメント数、好ましくは、20~60のフィラメント数を有することができ、これに特に限定されず、目的によってこれを変更することができる。
【0080】
一方、本発明の複合繊維は、下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%、好ましくは、17~25%であってもよい。
【0081】
【数5】
【0082】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0083】
具体的に、リーソナ収縮率(Leesona shrinkage)は、複合繊維を1次ゴデットローラー速度1,700mpm、温度73℃及び2次ゴデットローラー速度4,400mpm、温度120℃で延伸処理したかせ状態の延伸糸に対して、荷重を20.5g付与して82±3℃の水で10分間熱処理した後、収縮した長さの元の状態の長さに対する百分率であってもよい。
【0084】
また、本発明の複合繊維は、下記方程式2により測定された残存収縮率(%)が40~70%、好ましくは、47~63%であってもよい。
【0085】
【数6】
【0086】
前記方程式2において、前記残存収縮率は、複合繊維に1.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、1.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0087】
具体的に、残存収縮率(Residual shrinkage)(%)は、複合繊維を1次ゴデットローラー速度1,700mpm、温度73℃及び2次ゴデットローラー速度4,400mpm、温度120℃で延伸処理したかせ状態の延伸糸に対して、荷重を1.5g付与して82±3℃の水で10分間熱処理した後、収縮した長さの元の状態の長さに対する百分率であってもよい。
【0088】
本発明の複合繊維は、15~30%のリーソナ収縮率及び40~70%の残存収縮率を満足するとき、最も優れた伸縮性が発現され得、もし、リーソナ収縮率が15%未満であるか残存収縮率が40%未満である場合、伸縮性が低下する問題があり得、リーソナ収縮率が30%を超過するか残存収縮率が70%を超過すると、原糸状態でクリンプ発現がひどくなってフィラメント同士絡み合う現象がひどいため、生地及び編物を製造するとき工程作業性が顕著に低下する問題があり得る。
【0089】
一方、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法は、第1段階及び第2段階を含む。
【0090】
具体的に、図5は、本発明の好ましい一具現例による製造工程のフローチャートであって、図5を参照して説明すると、第1成分及び第2成分を溶融させる第1段階S10を経て複合紡糸する第2段階S11を通じて本発明の複合繊維が製造され得、付加的に、紡糸後に冷却固化段階S12、油剤供給段階S13、熱固定及び延伸段階S14を経ることができる。
【0091】
まず、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法の第1段階は、第1成分及び第2成分をそれぞれ溶融させ得る。このとき、第1成分は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むことができ、消光剤をさらに含むことができる。また、第2成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができ、消光剤をさらに含むことができる。
【0092】
また、製造された複合繊維は、0.60~0.80dl/gの固有粘度を有するサイドバイサイド複合繊維であってもよい。
【0093】
また、製造された複合繊維は、下記方程式1により測定されたリーソナ収縮率(%)が15~30%であってもよい。
【0094】
【数7】
【0095】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0096】
また、下記関係式1を満足することができ、もし、下記関係式1に記載した範囲を脱することになると、製造される複合繊維の伸縮性発現が微弱となる問題があり得る。
【0097】
[関係式1]
0.30dl/g≦|A-B|≦0.80dl/g、好ましくは、0.4dl/g≦|A-B|≦0.70dl/g、より好ましくは、0.4dl/g≦|A-B|≦0.60dl/g、さらに好ましくは、0.45dl/g≦|A-B|≦0.53dl/g、最も好ましくは、0.45dl/g≦|A-B|≦0.49dl/g
【0098】
前記関係式1において、Aは、第1成分の固有粘度を示し、Bは、第2成分の固有粘度を示す。
【0099】
参考として、図6は、本発明の好ましい一具現例による製造工程の模式図であって、第1成分10及び第2成分20は、溶融部で溶融させ得る。
【0100】
次に、本発明の伸縮性に優れたポリエステル複合繊維の製造方法の第2段階は、第1段階で溶融された第1成分及び第2成分を複合紡糸してポリエステル複合繊維を製造することができる。
【0101】
このとき、第2段階の複合紡糸は、第1成分と第2成分が30:70~70:30の重量比で複合紡糸され得、紡糸温度は、好ましくは、250~300℃、より好ましくは、260~280℃であってもよく、紡糸速度は、3000~4500mpmであってもよい。
【0102】
一方、第2段階の複合紡糸は、多様な形態の口金を通じて行うことができ、好ましくは、ピーナッツ型断面形態のサイドバイサイド口金又は円型断面形態のサイドバイサイド口金を通じて断面形状がピーナッツ型のサイドバイサイド又は円型のサイドバイサイドである複合繊維が製造され得る。
【0103】
さらに、第2段階以後、複合紡糸された複合繊維に対して、冷却風の温度は、15~25℃、速度は、25~50mpmで冷却及び固化工程(図6の40)を行うことができる。前記範囲を脱する場合、複合繊維の断面形状の制御が難しく、均斉度を向上させられないという問題点がある。
【0104】
次に、円滑な紡糸及び巻取りのために油剤を供給することができる。油剤供給は、固化領域にガイドを設置したガイド(図6の50)で油剤噴射方式やオイルローラー方式が用いられ得、二つの方式のうちどの方式を用いても構わない。
【0105】
また、前記油剤供給以後に、部分延伸工程又は延伸工程をさらに含むことができる。部分延伸工程又は延伸工程を通じて繊維配向を向上させて一層高い強度を有する繊維を収得することができる。
【0106】
具体的に、図6の二つのローラー(1次ゴデットローラー60、2次ゴデットローラー70)を基準として以下詳しく説明する。
【0107】
前記部分延伸は、1次ゴデットローラー速度2,000~3,500mpm及び2次ゴデットローラー速度2,000~3,500mpm条件で行われ得る。
【0108】
また、前記延伸工程の場合、具体的に、1次ゴデットローラー速度は、1,000~2,500mpmであってもよく、好ましくは、1,400~2,000mpmであってもよい。もし、1次ゴデットローラー速度が1,000mpm未満である場合、原糸の経時変化によって物性が低下する問題点があり、低い1次ゴデットローラー速度により紡糸張力が低いため、それによって切糸が多く発生し得る。もし、1次ゴデットローラー速度が2,500mpmを超過すると、不均一な延伸となることによって、染色不良が発生する恐れがある。前記1次ゴデットローラーの温度は、50~100℃であってもよく、好ましくは、70~80℃であってもよい。
【0109】
次に、2次ゴデットローラー速度は、3,000~5,000mpmであってもよく、紡糸操業性を考慮して、好ましくは、2次ゴデットローラー速度は、3,500~4,500mpmであってもよい。もし、前記2次ゴデットローラー速度が3,000mpm未満である場合、紡糸された原糸の物性、特に、強伸度が低くなり、生産性が低下することになり、5,000mpmを超過すると、2次ゴデットローラーで原糸の震えがひどく発生して切糸が発生する恐れがある。2次ゴデットローラーの温度は、90~150℃であってもよく、好ましくは、110~130℃であってもよい。もし、2次ゴデットローラーの熱固定温度が90℃未満である場合、経時による強伸度などの物性変化が発生する恐れがあり、また、収縮率が高い原糸となって、この後生地で染色加工の進行時に過収縮が発生する恐れがあり、150℃を超過すると、2次ゴデットローラーで糸の震えが大きくなって安定した操業が困難になる恐れがある。
【0110】
一方、本発明の製造方法で製造された複合繊維は、下記方程式3により測定された満巻率(%)が80%以上、好ましくは、満巻率(%)が85%以上、より好ましくは、90%~99.9%であってもよく、満巻率が高いほど紡糸操業性に優れていることを意味する。
【0111】
【数8】
【0112】
このように、本発明の複合繊維は、固有粘度に差がある2種(第1成分及び第2成分)の成分を複合紡糸するにもかかわらず紡糸操業性に優れていることが分かる。
【0113】
また、本発明は、本発明の伸縮性に優れたポリエステル繊維を含む生地を提供する。
【0114】
本発明で用いた用語の前記「生地」は、織物又は編物を全て含む意味である。
【0115】
まず、前記生地は、本発明による伸縮性に優れたポリエステル複合繊維を経糸及び緯糸のうちいずれか一つ以上を用いて製織(weaving)した織物であってもよい。
【0116】
前記製織は、平織、綾織、朱子織及び二重織からなる群より選択されたいずれか一つの方法からなってもよい。
【0117】
ただし、前記織物組織の記載に限定されず、製織での経緯糸密度の場合、特に限定しない。
【0118】
また、前記生地は、伸縮性に優れたポリエステル繊維を含んで編成(knitting)された編物であってもよい。前記編成は、緯編成又は経編成の方法によることができ、前記緯編成と経編成の具体的な方法は、通常的な緯編成又は経編成の編成方法によることができる。
【0119】
以上で、本発明に対して具現例を中心として説明したが、これは、ただし、例示に過ぎず、本発明の具現例を限定するものではなく、本発明の実施例が属する分野において通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性を脱しない範囲で以上に例示されない様々な変形と応用が可能であることが分かる。例えば、本発明の具現例に具体的に示した各構成要素は、変形して実施することができる。そして、このような変形と応用に関係した差異点は、添付した請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【0120】
<実施例1:ポリエステル複合繊維の製造>
【0121】
(1)第1成分として全体重量%に対して酸化チタン(TiO)を1.5重量%で含むポリブチレンテレフタレート(PBT)を準備した。このとき、第1成分は、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する。
【0122】
また、第2成分として全体重量%に対して酸化チタン(TiO)を1.8重量%で含むポリエチレンテレフタレート(PET)を準備した。このとき、第2成分は、254℃の融点、0.50dl/gの固有粘度を有する。
【0123】
(2)複合繊維を製造するために、準備した第1成分の溶融温度を270℃、準備した第2成分の溶融温度を275℃とし、紡糸温度を272℃として複合紡糸し、このとき、第1成分と第2成分の吐出重量比は、50:50とした。延伸のための1次ゴデットローラーの速度は、1,700mpm、温度は、73℃、2次ゴデットローラーの速度は、4,400mpm、温度は、120℃で進行し、巻取速度は、4,340mpmで巻き取って繊度が75デニール、フィラメント数が24であり、全体重量%に対して酸化チタンを1.65%で含む断面形状がピーナッツ型サイドバイサイドである下記表1のようなポリエステル複合繊維を製造した。
【0124】
<実施例2:ポリエステル複合繊維の製造>
【0125】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分ではなく、220℃の融点、0.90dl/gの固有粘度を有する第1成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0126】
<実施例3:ポリエステル複合繊維の製造>
【0127】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、第1成分と第2成分の吐出重量比を50:50ではなく、60:40として用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0128】
<実施例4:ポリエステル複合繊維の製造>
【0129】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、第1成分と第2成分の吐出重量比を50:50ではなく、40:60として用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0130】
<実施例5:ポリエステル複合繊維の製造>
【0131】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、繊度が75デニール、フィラメント数が24であり、全体重量%に対して酸化チタンを1.65%で含む断面形状がピーナッツ型サイドバイサイドであるポリエステル複合繊維ではなく、繊度が40デニール、フィラメント数が24であり、全体重量%に対して酸化チタンを1.65%で含む断面形状がピーナッツ型サイドバイサイドであるポリエステル複合繊維を製造した。
【0132】
<実施例6:ポリエステル複合繊維の製造>
【0133】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、繊度が75デニール、フィラメント数が24であり、全体重量%に対して酸化チタンを1.65%で含む断面形状がピーナッツ型サイドバイサイドであるポリエステル複合繊維ではなく、繊度が40デニール、フィラメント数が24であり、全体重量%に対して酸化チタンを1.65%で含む断面形状が円型サイドバイサイドであるポリエステル複合繊維を製造した。
【0134】
<実施例7:ポリエステル複合繊維の製造>
【0135】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、1.10dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.55dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0136】
<実施例8:ポリエステル複合繊維の製造>
【0137】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、1.20dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.70dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0138】
<比較例1:ポリエステル複合繊維の製造>
【0139】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、0.75dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0140】
<比較例2:ポリエステル複合繊維の製造>
【0141】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、0.85dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.65dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0142】
<比較例3:ポリエステル複合繊維の製造>
【0143】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、1.35dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.35dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0144】
<比較例4:ポリエステル複合繊維の製造>
【0145】
実施例1と同一の方法でポリエステル複合繊維を製造した。ただし、実施例1とは異なり、223℃の融点、0.98dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.5dl/gの固有粘度を有する第2成分ではなく、223℃の融点、1.60dl/gの固有粘度を有する第1成分及び254℃の融点、0.75dl/gの固有粘度を有する第2成分を用いてポリエステル複合繊維を製造した。
【0146】
<実験例1:ポリエステル複合繊維の物性の測定>
【0147】
実施例1~8及び比較例1~4で製造されたポリエステル複合繊維それぞれを下記記載した実験を行い、これを通じて測定された結果を下記表1~3に記載した。
【0148】
<1.強度及び伸度の測定>
【0149】
自動引張試験機(Textechno社)を用いて200cm/minの速度、50cmの破紙距離を適用して測定した。強度及び伸度は、複合繊維に一定の力を加えて切断するまで延伸させたときにかかった荷重をデニールで割った値(g/de)を強度、伸びた長さに対する初めの長さを百分率で示した値(%)を伸度であると定義した。
【0150】
<2.紡糸操業性の測定>
【0151】
紡糸操業性を評価するために、満巻率(%)を通じて測定し、満巻率は、実施例及び比較例でそれぞれ製造したポリエステル複合繊維8kgドラムを満巻として紡糸したときの切糸がないポリエステル複合繊維の収率であって、下記方程式3により測定した。
【0152】
【数9】
【0153】
<3.リーソナ収縮率(Leesona shrinkage、%)及び残存収縮率(Residual shrinkage、%)の測定>
【0154】
リーソナ収縮率及び残存収縮率は、それぞれ下記方程式1及び2により測定した。
【0155】
【数10】
【0156】
前記方程式1において、前記リーソナ収縮率は、複合繊維に20.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、20.5gの荷重を適用した状態で82±3℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0157】
【数11】
【0158】
前記方程式2において、前記残存収縮率は、複合繊維に1.5gの荷重を適用して初期長さ(L)を測定し、1.5gの荷重を適用した状態で82±3℃の温水に10分間浸漬し、3分間乾燥した後に処理後長さ(L)を測定する。
【0159】
【表1】
【0160】
表1から確認できるように、実施例1~4で製造されたポリエステル複合繊維は、満巻率、リーソナ収縮率、残存収縮率が同時に優れるため、紡糸操業性及び伸縮性に全て優れていることを確認することができた。また、実施例1及び2で製造されたポリエステル複合繊維と比較して実施例3及び4で製造されたポリエステル複合繊維の満巻率が多少低下することが分かるが、これを通じて第1成分と第2成分の重量比が50:50で最も良い紡糸操業性を示すことを確認することができた。
【0161】
【表2】
【0162】
次に、前記表2を参照すると、実施例5の場合には、実施例1と比較して、複合繊維の繊度が相異なることにより、伸度が顕著に低下することを確認することができた。
【0163】
また、実施例6の場合には、実施例1と比較して、複合繊維の繊度が相異なっているだけでなく、断面形態が円型であることにより、強度が多少低下し、リーソナ収縮率及び残存収縮率が低下することを確認することができた。
【0164】
また、実施例7及び8の場合には、リーソナ収縮率及び残存収縮率は満足したレベルで発現するが、第1成分と第2成分との固有粘度差が高いことにより、実施例1~4より多少低下した満巻率を示すことを確認することができた。
【0165】
【表3】
【0166】
次に、前記表3を参照すると、比較例1及び2のように、二つの成分の固有粘度差が目標とする固有粘度差の0.30~0.80dl/gより低いと、顕著に低い伸縮性を発現することを確認することができた。
【0167】
一方、比較例3のように、第1成分と第2成分の固有粘度差が目標とする固有粘度差の0.30~0.80dl/gより高いと、複合紡糸時に発生する曲糸のレベルがひどくなり紡糸操業性が相当に不良となって満巻率が30%レベルに低下することを確認することができた。
【0168】
一方、比較例4のように、第1成分と第2成分の固有粘度差が目標とする固有粘度差の0.30~0.80dl/gより高いと、複合紡糸時に発生する曲糸のレベルがひどくなり紡糸操業性が相当に不良となって満巻率が40%レベルに低下し、第2成分の固有粘度が高い場合には、伸縮特性も低下することが分かる。
【0169】
本発明の単純な変形や変更は、この分野の通常の知識を有した者により容易に実施され得、このような変形や変更は、全て本発明の領域に含まれ得る。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、伸縮性に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に関するもので、より詳しくは、伸縮性が一層向上しただけなく、光沢が発生せず、且つタッチ感に優れたポリエステル複合繊維及びその製造方法に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】