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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】商用車用のホイール回転数センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
G01D5/245 110X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572263
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065452
(87)【国際公開番号】W WO2020245254
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】102019115397.2
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ クルフティンガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴィンディッシュ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス レヒナー
(72)【発明者】
【氏名】プラヴィン ジャワリカー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハウフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ローゼ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077NN04
2F077PP14
2F077VV02
2F077WW03
(57)【要約】
商用車用のホイール回転数センサ(1)は、予め規定された検出方向を有する能動型のパルスセンサ(6)と、このパルスセンサ(6)を少なくとも部分的に取り囲むように形成されたハウジング(8)とを有している。このハウジング(8)は、第1の構成部材(3)と、この第1の構成部材(3)を少なくとも部分的に取り囲むことができると共に第1の構成部材(3)を少なくとも部分的に形状接続的に結合することができる第2の構成部材(7)とを有している。パルスセンサ(6)は第1の構成部材(3)に固定されており、半径方向のケーブルアウトレット(10)は、ケーブル(4)がホイール回転数センサ(1)の軸線(12)の方向と異なる方向に案内されるように、第2の構成部材(7)と一体に形成されている。第1の構成部材(3)は、回転対称の輪郭と異なる輪郭を周面に有する第1の領域(14)を軸線(12)の方向に有しており、第2の構成部材(7)は、第1の領域(14)の周面における輪郭に少なくとも部分的に合致する内側の輪郭を有する第2の領域を有しており、第1の領域(14)の周面における輪郭は、軸線(12)を中心として予め規定された角度ピッチでそれぞれ1つの成形特徴(15)を有しており、これによって、第1の構成部材(3)が、第2の構成部材(7)に対する第1の構成部材(3)の位置決めを、軸線(12)を中心として予め規定された角度ピッチで規定し、これによって、パルスセンサ(6)の検出方向(11)と半径方向のケーブルアウトレット(10)との間に、軸線(12)を中心として予め規定された角度が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車用のホイール回転数センサ(1)であって、
予め規定された検出方向を有する能動型のパルスセンサ(6)と、
前記パルスセンサ(6)を少なくとも部分的に取り囲むように形成されたハウジング(8)と
を備え、
前記パルスセンサ(6)によって、前記予め規定された検出方向(11)において、パルス発生器の運動量が検出可能であり、
前記ホイール回転数センサ(1)は軸線(12)を有し、該軸線(12)の方向は、前記パルスセンサ(6)の前記検出方向(11)に対して直交方向に向けられているように定義されており、
前記ハウジング(8)は、第1の構成部材(3)と、該第1の構成部材(3)を少なくとも部分的に取り囲むことができると共に該第1の構成部材(3)を少なくとも部分的に形状接続的に結合することができる第2の構成部材(7)とを有し、
前記パルスセンサ(6)は前記第1の構成部材(3)に固定されており、
前記ホイール回転数センサ(1)は半径方向のケーブルアウトレット(10)を有し、該半径方向のケーブルアウトレット(10)は、前記軸線(12)に対して半径方向に向けられていて、前記ホイール回転数センサ(1)からケーブル(4)を導出するように形成されており、
前記半径方向のケーブルアウトレット(10)は、前記ケーブル(4)が前記軸線(12)の方向と異なる方向に案内されるように、前記第2の構成部材(7)と一体に形成されており、
前記第1の構成部材(3)は、回転対称の輪郭と異なる輪郭を周面に有する第1の領域(14)を前記軸線(12)の方向に有し、前記第2の構成部材(7)は、前記第1の領域(14)の前記周面における前記輪郭に対して少なくとも部分的に相補的に形成された内側の輪郭を有する第2の領域を有し、
前記第1の領域(14)の前記周面における前記輪郭は、前記軸線(12)を中心として予め規定された角度ピッチでそれぞれ1つの成形特徴(15)を有し、これによって、前記第1の構成部材(3)は、前記第2の構成部材(7)に対する前記第1の構成部材(3)の位置決めが、前記軸線(12)を中心として前記予め規定された角度ピッチで規定可能であるように形成されており、これによって、前記パルスセンサ(6)の前記検出方向(11)と前記半径方向のケーブルアウトレット(10)との間に、前記軸線(12)を中心として予め規定された角度が提供される、
ホイール回転数センサ(1)。
【請求項2】
前記パルスセンサ(6)はAMRセンサを有する、請求項1記載のホイール回転数センサ(1)。
【請求項3】
前記第1の構成部材(3)はプラスチック成形部材として形成されており、前記第2の構成部材(7)は、注型により第1の構成部材(3)をプラスチックで取り囲むことによって形成されている、請求項1または2記載のホイール回転数センサ(1)。
【請求項4】
前記第1の構成部材(3)と前記第2の構成部材(7)とは、同じ材料を含む、請求項3記載のホイール回転数センサ(1)。
【請求項5】
前記予め規定された角度ピッチは80°~100°の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか1項記載のホイール回転数センサ(1)。
【請求項6】
前記予め規定された角度ピッチは40°~50°の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか1項記載のホイール回転数センサ(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のホイール回転数センサ(1)を製造するための方法であって、
第1の構成部材(3)と、パルスセンサ(6)と、ケーブル(4)とを予め組み立てた状態で有する事前組立てアセンブリ(2)を、半径方向のケーブルアウトレット(10)を含めて第2の構成部材(7)を製造するための第2の構成部材用の注型金型内に提供するステップと、
複数の成形特徴(15)のうちの1つの成形特徴を前記第2の構成部材用の注型金型の相応の対応成形特徴内に挿入することによって、前記第1の構成部材(3)を前記第2の構成部材用の注型金型内に位置決めして、前記パルスセンサ(6)と前記半径方向のケーブルアウトレット(10)との間に、軸線(12)を中心として予め規定された所望の角度を確定するステップと、
注型により前記第1の構成部材(3)と前記ケーブル(4)とを取り囲み、これによって、前記半径方向のケーブルアウトレット(10)を備える前記第2の構成部材(7)を前記第1の構成部材(3)を取り囲んで製造するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記事前組立てアセンブリ(2)を製造するための複数の付加的なステップ、つまり、
前記第1の構成部材を製造するために、注型によりバスバー(5)を第1の構成部材用の注型金型内で取り囲むステップ、
前記ケーブル(4)を前記バスバー(5)に接続するステップ、
前記パルスセンサ(6)を前記バスバー(5)に接続するステップ
を含む、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車用のホイール回転数センサ、特に商用車の走行機構に設けられたホイールのブレーキの領域に配置された商用車用のホイール回転数センサに関する。
【0002】
今日、支援システム、例えばABS、ASR、ESPの機能を可能にするためには、車両の個々のホイールのホイール回転数を検出することが必要である。その際、限界状況において相応のアルゴリズムを制御するために、正確な検出が必要となる。ホイール回転数を正確に検出するために、車両の1つのホイールの領域に配置されていて、機械的な伝達による偏差なしに、回転数が可能な限り直接検出されるホイール回転数センサが知られている。
【0003】
乗用車の分野では、例えば回転数に依存した一定の振幅を有する信号をホイール回転数センサで前もって生成する能動型のホイール回転数センサが使用されることが多い。したがって、例えばバスシステムを介して伝送され、制御装置で評価することができるデータプロトコルがホイール回転数センサで前もって生成される。さらに、診断機能を実行することが可能である。しかしながら、商用車の分野では、これまで能動型のホイール回転数センサを使用することが不可能であった。なぜならば、商用車の分野では、乗用車の分野よりも、ホイールの領域でセンサへの熱負荷が大きく、特にホール素子のチップが熱負荷に耐えられないからである。
【0004】
とりわけ、この理由から、能動型のホイール回転数センサのために、「異方性磁気抵抗」効果を伴うチップを有するAMRセンサが使用される。しかしながら、このAMRセンサはホール素子に比べて、パルス発生器の運動量を検出することができる規定された一方の検出方向しか有していないという欠点を有している。これに対して、慣用のホール素子は、規定された検出方向に制限されておらず、あらゆる方向で運動量を検出することができる。したがって、AMRセンサを使用する場合には、ホイール回転数センサを予め規定された位置決めで車両に組み付けることが必要となる。
【0005】
しかしながら、構成スペースの制限に基づき、長く延ばされた形状を有するホイール回転数センサの場合には、このホイール回転数センサの一端にケーブルアウトレットを軸線方向で設けるのではなく、半径方向のケーブルアウトレットを設けることが必要となる。しかしながら、この場合には、既存の構成スペースに応じて、ホイール回転数センサのケーブルアウトレットを、AMRセンサの位置決めに関連して、それぞれ異なる角度位置で設けなければならないという問題がある。このことは製造を高価にしてしまう。なぜならば、例えば、ハウジングが注型法で製造されるホイール回転数センサの場合、それぞれ異なる角度位置のケーブルアウトレットを有するホイール回転数センサに対して、それぞれ異なる金型が必要となってしまうからである。
【0006】
つまり、本発明の根底にある課題は、上記欠点を排除して、より高い熱負荷を伴う領域でも、制限された構成スペース内に使用することができるホイール回転数センサを提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載のホイール回転数センサおよび請求項6に記載の方法によって解決される。従属請求項には、有利な改良形態が含まれている。
【0008】
本発明の一態様によれば、商用車用のホイール回転数センサは、予め規定された検出方向を有する能動型のパルスセンサと、このパルスセンサを少なくとも部分的に取り囲むように形成されたハウジングとを有している。パルスセンサによって、予め規定された検出方向において、パルス発生器の運動量が検出可能であり、ホイール回転数センサは軸線を有しており、この軸線の方向は、パルスセンサの検出方向に対して直交方向に向けられているように定義されている。ハウジングは、第1の構成部材と、この第1の構成部材を少なくとも部分的に取り囲むことができると共に第1の構成部材を少なくとも部分的に形状接続的に結合することができる第2の構成部材とを有している。パルスセンサは第1の構成部材に固定されており、ホイール回転数センサは半径方向のケーブルアウトレットを有しており、この半径方向のケーブルアウトレットは、ホイール回転数センサの軸線に対して半径方向に向けられていて、ホイール回転数センサからケーブルを導出し、半径方向のケーブルアウトレットは、ケーブルがホイール回転数センサの軸線の方向と異なる方向に導出されるように、第2の構成部材と一体に形成されている。第1の構成部材は、回転対称の輪郭と異なる輪郭を周面に有する第1の領域を軸線の方向に有しており、第2の構成部材は、第1の領域の周面における輪郭に対して少なくとも部分的に相補的に形成された内側の輪郭を有する第2の領域を有しており、第1の領域の周面における輪郭は、ホイール回転数センサの軸線を中心として予め規定された角度ピッチでそれぞれ1つの成形特徴を有しており、これによって、第1の構成部材は、結合時に、第2の構成部材に対する第1の構成部材の位置決めが、軸線を中心として予め規定された角度ピッチで規定可能であるように形成されており、これによって、パルスセンサの検出方向と半径方向のケーブルアウトレットとの間に、軸線を中心として予め規定された角度が提供される。
【0009】
能動型のパルスセンサは、センサの検出領域における磁場の変化により発生させられたパルスを検出するセンサである。センサの領域における磁場の変化は、検出領域への磁性体の進入、例えば、永久磁石が取り付けられた回転する磁極ホイールの進入またはセンサの領域における定常磁場の変化によって生じる。この定常磁場は、検出領域への強磁性体の進入によって変化させられる。この場合、周面に複数の歯と溝とを有するパルスホイールが、センサの検出領域で運動させられ、この検出領域を通して運動させられる歯と溝とによる磁場の変化が検出される。この場合には、1つの歯から1つの溝への移行だけでなく、1つの溝から1つの歯への移行も検出することができる。
【0010】
このようなホイール回転数センサによって、例えば、第2の構成部材に対する第2の構成部材用の注型金型内で、パルスセンサの検出方向と半径方向のケーブルアウトレットとの間に、それぞれ異なる角度が割り当てられたホイール回転数センサを可変に製造することが可能となる。
【0011】
ホイール回転数センサの有利な改良形態では、パルスセンサがAMRセンサを有している。
【0012】
AMRセンサは、高い分解能と大きな精度とを提供する。その上、AMRセンサは、別のセンサと比べて、オイル、汚物および周辺温度の影響を比較的受けない。
【0013】
ホイール回転数センサの有利な改良形態によれば、第1の構成部材がプラスチック成形部材として形成されており、第2の構成部材が、注型により第1の構成部材をプラスチックで取り囲むことによって形成されている。
【0014】
注型により第1の構成部材を、第2の構成部材を形成するプラスチックで取り囲むことによって、ホイール回転数センサのハウジングが形成されるので、このようなホイール回転数センサは廉価に製造可能となる。
【0015】
ホイール回転数センサの別の有利な改良形態では、第1の構成部材と第2の構成部材とが、同じ材料を含んでいる。
【0016】
このような回転数センサは、第1の構成部材の材料の熱膨張率と第2の構成部材の材料の熱膨張率とが等しく、これによって、熱負荷の際にホイール回転数センサのハウジング内での内部応力の発生が最小限に抑えられるという利点を有している。
【0017】
ホイール回転数センサの別の有利な改良形態によれば、予め規定された角度ピッチが80°~100°の範囲内にあり、特に好適には90°である。
【0018】
このようなパターンを有するホイール回転数センサの製造可能性は、通常の使用事例に対して、パルスセンサの検出方向と半径方向のケーブルアウトレットとの間に常に適切な角度割当てを提供する。
【0019】
ホイール回転数センサの別の有利な改良形態では、予め規定された角度ピッチが40°~50°の範囲内にあり、特に好適には45°である。
【0020】
このようなパターンを有するホイール回転数センサの製造可能性は、特に制限された構成スペースでの使用事例に対して、パルスセンサの検出方向と半径方向のケーブルアウトレットとの間に適切な角度割当てを提供する。
【0021】
本発明の別の態様によれば、方法は、第1の構成部材と、パルスセンサと、ケーブルとを予め組み立てた状態で有する事前組立てアセンブリを、半径方向のケーブルアウトレットを含めて第2の構成部材を製造するための第2の構成部材用の注型金型内に提供するステップと、複数の成形特徴のうちの1つの成形特徴を第2の構成部材用の注型金型の相応の対応成形特徴内に挿入することによって、第1の構成部材を注型金型内に位置決めして、パルスセンサと半径方向のケーブルアウトレットとの間に、ホイール回転数センサの軸線を中心として予め規定された所望の角度を確定するステップと、注型により第1の構成部材とケーブルとを取り囲み、これによって、半径方向のケーブルアウトレットを備える第2の構成部材を第1の構成部材を取り囲んで製造するステップとを有している。
【0022】
このような方法によって、第2の構成部材用のただ1つの注型金型内で、パルスセンサの検出方向と半径方向のケーブルアウトレットとの間に、それぞれ異なる角度が割り当てられたホイール回転数センサを可変に製造することが可能となる。
【0023】
方法の別の有利な改良形態によれば、方法が、事前組立てアセンブリを製造するための複数の付加的なステップ、つまり、注型によりバスバーを第1の構成部材用の注型金型内で取り囲むステップ、ケーブルをバスバーに接続するステップ、パルスセンサをバスバーに接続するステップを含んでいる。
【0024】
これらのステップによって、ホイール回転数センサの機能部材同士を事前組立てアセンブリ内で廉価に位置固定しかつ接続することが可能となる。この場合、この事前組立てアセンブリは、機能部材を保護するために、さらに廉価に注型により取り囲まれてよい。
【0025】
以下に、本発明を1つの実施例に基づき添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るホイール回転数センサの好適な実施形態の分解図である。
図2】ホイール回転数センサの第1の構成部材が、注型により、半径方向のケーブルアウトレットを備えた第2の構成部材で取り囲まれた状態を示す図である。
図3】保護キャップが組み付けられた図2のホイール回転数センサを示す図である。
図4】ホイール回転数センサの軸線の位置を説明するために、図3のホイール回転数センサを上方から見た原理図である。
図5】ホイール回転数センサの軸線の位置を説明するために、図3のホイール回転数センサを側方から見た原理図である。
図6】第1の構成部材の拡大図である。
図7図6に示した切断の箇所A-Aにおける第1の構成部材の横断面の拡大図である。
図8図6に示した切断の箇所A-Aにおける図3のホイール回転数センサの横断面の拡大図である。
【0027】
図1には、本発明に係るホイール回転数センサ1の分解図が示してある。このホイール回転数センサ1は事前組立てアセンブリ2を有している。
【0028】
この事前組立てアセンブリ2は、第1の構成部材3と、ケーブル4と、バスバー5と、第1の構成部材3に固定された能動型のパルスセンサ6とを有している。
【0029】
このパルスセンサ6は、予め規定された検出方向を有しており、この検出方向において、パルス発生器の運動量が検出可能となる。このことは、パルスセンサの電気的な抵抗が磁場の存在、特に磁場の方向に依存しているという効果に基づいている。パルスセンサ6はAMRセンサを有している。代替的な実施形態では、パルスセンサ6は、予め規定された検出方向を有する別のセンサ、例えば能動型のホールセンサを備えている。
【0030】
第1の構成部材3は注型工程によって製造される。この注型工程では、第1の構成部材3内にバスバー5が埋め込まれ、これによって、第1の構成部材3がプラスチック成形部材として形成されている。第1の構成部材3は、以下に図4および図5に相俟って定義される軸線12の方向に第1の領域14を有している。
【0031】
ケーブル4とパルスセンサ6とは、注型により第1の構成部材3内に埋め込まれたバスバー5に機械的に結合されると共に電気的に接続される。
【0032】
事前組立てアセンブリ2を取り囲むように第2の構成部材7を製造するためには、事前組立てアセンブリ2ひいては第1の構成部材3が、注型によりプラスチックで取り囲まれる。第2の構成部材7は、パルスセンサ6を部分的に取り囲んでいて、第1の構成部材3を完全に取り囲んでいて、この第1の構成部材3に形状接続的に結合されている。第1の構成部材3と第2の構成部材7とは、同じ材料を含んでいて、ホイール回転数センサ1のハウジング8を形成している。
【0033】
代替的な実施形態では、ハウジング8が別の構成要素から形成されている。この場合には、ハウジング8が、パルスセンサ6を完全にまたは部分的に取り囲んでいる。さらに代替的には、第1の構成部材3が、第2の構成部材7によって完全に取り囲まれていないかまたは同じ材料を含んでいない。
【0034】
さらに、ホイール回転数センサ1は、ハウジング8を部分的に覆う保護キャップ9を有している。
【0035】
図2には、ホイール回転数センサ1の第1の構成部材3が、注型により、半径方向のケーブルアウトレット10を備えた第2の構成部材7で取り囲まれた状態で示してある。ケーブルアウトレット10は、ケーブル4をホイール回転数センサ1から導出するために形成されている。
【0036】
図3には、保護キャップ9が組み付けられた図2のホイール回転数センサ1の全体図が示してある。
【0037】
ホイール回転数センサ1の軸線12の位置を説明するために、図4には、図3のホイール回転数センサを上方から見た原理図が示してあり、図5には、図3のホイール回転数センサを側方から見た原理図が示してある。半径方向のケーブルアウトレット10は、第2の構成部材7と一体に形成されており、これによって、ケーブル4は、軸線12の方向と異なる方向で導出される。図示の実施例では、ケーブルアウトレット10は軸線12に対して直角を成して半径方向に導出されている。代替的な実施形態では、ケーブル4が直角を成して導出されていない。
【0038】
軸線12の方向は、パルスセンサ6の検出方向11に対して直交方向に向けられているように定義されている。実質的に軸線対称の細長いホイール回転数センサ1の場合には、軸線12は、軸線対称の細長いホイール回転数センサ1の中心軸線に相当している。軸線12に対して直交方向に配置された平面13は、ケーブル4が、予め規定されたそれぞれ異なる角度でホイール回転数センサ1のハウジングから進出する平面を成している。
【0039】
図6には、矢印A,Aにより記載した切断平面を含む第1の構成部材3の拡大図が示してある。
【0040】
図7には、図6に記載した切断平面A-A、つまり、第1の領域14における第1の構成部材3の横断面の拡大図が示してある。第1の領域14はその周面に、回転対称の輪郭と異なる輪郭を有している。周面は全周にわたって段状であり、太い線で図示した成形特徴15を有している。この成形特徴15は、成形特徴平面16と、この成形特徴平面16を越えて突出した成形特徴凸部17とから形成される。輪郭は、軸線12を中心として予め規定された角度ピッチで成形特徴15を有している。この成形特徴15は、本実施形態では、90°の予め規定された角度ピッチで周期的に4回設けられている。代替的には、成形特徴15は、45°のピッチで設けられていてもよいし、さらに代替的には、任意の大きさの角度ピッチ、特に80°~100°の範囲内または40°~50°の範囲内で設けられていてもよい。
【0041】
図8には、図6に示した切断平面A-Aの箇所における図3のホイール回転数センサ1の横断面の拡大図が示してある。
【0042】
図8には、第1の構成部材3の第1の領域14の横断面と、この第1の構成部材3の第1の領域14の周面における輪郭に対して相補的に形成された内側の輪郭を有する第2の構成部材7の第2の領域の横断面とが示してある。代替的な実施形態では、輪郭同士が部分的に相補的に合致している。この場合には、成形特徴15が、第2の構成部材7の第2の領域の輪郭の相補的な部分に合致している。これによって、組立ての際に、パルスセンサ6の検出方向11と半径方向のケーブルアウトレット10との間に、軸線12を中心として予め規定された角度を提供するために、第2の構成部材7に対する第1の構成部材3の位置決めが、軸線12を中心として予め規定された角度ピッチで可変に規定可能となる。
【0043】
予め規定された角度は、以下に説明するように、注型による取囲みによってハウジング8を製造する際に、注型金型内での事前組立てアセンブリ2の位置決めによって提供される。例えば、第2の構成部材7が、第1の構成部材3を取り囲む第2の構成部材7をクリップ結合により形成する2つの部材から成る代替的な製造法では、第2の構成部材7に、成形特徴15に対する第2の構成部材の相応の対応成形特徴が設けられていてよく、これによって、第2の構成部材7の対応成形特徴への成形特徴15の挿入により、予め規定された角度が提供される。
【0044】
さらに、図7および図8には、バスバー5が、注型により第1の構成部材3内に埋め込まれた状態で示してある。代替的な実施形態では、バスバーが、注型により第1の構成部材3内に埋め込まれているのではなく、別の形態で第1の構成部材3に固定されている。さらに、代替的には、バスバーは、ケーブル4がパルスセンサ6に直接接続されている際には必ずしも必要ではない。
【0045】
ホイール回転数センサ1の製造を以下に説明する。
【0046】
まず、事前組立てアセンブリ2が製造される。このためには、バスバー5が第1のアセンブリ用の注型金型内に挿入され、その後、注型により取り囲まれて、バスバー5が埋め込まれた第1の構成部材3が形成される(図7および図8も参照)。
【0047】
次いで、ケーブル4とパルスセンサ6とがバスバー5に接続される。このことは、溶接を介して行われるかまたは代替的にはろう接もしくは別の適切な結合法、例えば圧着を介して行われる。この状態において、事前組立てアセンブリは、半径方向のケーブルアウトレット10を備えたホイール回転数センサ1にも、軸線方向のケーブルアウトレットを備えたホイール回転数センサ1にも使用するために適している。
【0048】
代替的な方法では、事前組立てアセンブリ2が、例えばバスバー5なしで別の形態で製造される。
【0049】
次いで、半径方向のケーブルアウトレット10を含めて第2の構成部材7を製造するために、第1の構成部材3が第2の構成部材用の注型金型内に挿入されることにより、第1の構成部材3と、パルスセンサ6と、ケーブル4とを有する事前組立てアセンブリ2が第2の構成部材用の注型金型内に提供される。この場合、パルスセンサ6と半径方向のケーブルアウトレット10との間に、軸線12を中心として予め規定された所望の角度が確定されるように、第2の構成部材用の注型金型の相応の対応成形特徴への成形特徴15の挿入によって、第1の構成部材3が第2の構成部材用の注型金型に対して位置決めされる。図示の実施形態では、成形特徴凸部17(図7)が、第2の構成部材用の注型金型に設けられた相応の凹部内に挿入される。
【0050】
この方向付けによって、第2の構成部材用の注型金型内でのパルスセンサ6の位置決めが確定される。図示の実施形態では、90°パターンでのパルスセンサ6の位置決めが可能となる。第2の構成部材用の注型金型は、半径方向のケーブルアウトレット10用の成形区分を不動の位置で有しているので、パルスセンサ6と半径方向のケーブルアウトレット10との間に、軸線12を中心として予め規定された角度が可能となる。
【0051】
次いで、ケーブル4が第2の構成部材用の注型金型の収容部内に挿入され、これによって、ケーブル4が適切な位置に提供されて、注型材料により取囲み可能となる。その後、半径方向のケーブルアウトレット10が形成される。
【0052】
次いで、注型材料が第2の構成部材用の注型金型内に注ぎ込まれ、これによって、パルスセンサ6を備えた第1の構成部材3が注型により取り囲まれ、これによって、半径方向のケーブルアウトレット10が一体に製造された第2のアセンブリ7が製造される。
【0053】
明細書、以下の特許請求の範囲および図面に示した全ての特徴は、個別にも、互いに任意に組み合わせても、本発明にとって重要であり得る。
【符号の説明】
【0054】
1 ホイール回転数センサ
2 事前組立てアセンブリ
3 第1の構成部材
4 ケーブル
5 バスバー
6 パルスセンサ
7 第2の構成部材
8 ハウジング
9 保護キャップ
10 半径方向のケーブルアウトレット
11 検出方向
12 軸線
13 平面
14 第1の領域
15 成形特徴
16 成形特徴平面
17 成形特徴凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】