(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】組織送達のための材料の分析
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20220804BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220804BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220804BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220804BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20220804BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220804BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220804BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20220804BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20220804BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220804BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220804BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220804BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20220804BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20220804BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220804BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20220804BHJP
【FI】
C12Q1/02
A61K45/00
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/711
A61K9/14
A61K48/00
A61K47/28
A61K47/24
A61K47/10
C12N15/11 Z
C12N15/113 Z
C12N15/88 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572358
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2020035730
(87)【国際公開番号】W WO2020247382
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521530576
【氏名又は名称】ガイド セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】サゴ,コリー デーン
(72)【発明者】
【氏名】クハブラ,ミリオニ バルワンクマール
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA20
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4C084AA17
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4C084NA13
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4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA06
4C086MA41
4C086NA05
4C086NA13
(57)【要約】
標的組織への薬剤の送達に適した材料を同定するための組成物および方法が、本明細書に記載される。これらの組成物および方法は、材料のライブラリーを、薬剤を標的に送達する能力について同時にスクリーニングすることができる。本組成物および方法はまた、薬剤が薬剤の機能に十分な方法で送達されることを確認するために使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の送達のための送達ビヒクルを特徴付ける方法であって、
(a)異なる化学組成を有する複数の脂質ナノ粒子(LNP)送達ビヒクルを製剤化するステップであって、各々の異なるLNP送達ビヒクルは:
(i)LNP送達ビヒクルによって少なくとも2種の非ヒト哺乳動物の細胞の細胞質に送達されたときに検出可能なシグナルを生成する生物学的に活性な分子;および
(ii)各々の前記LNP送達ビヒクルの化学組成を同定する化学組成識別子を含む、ステップ;
(b)非ヒト哺乳動物の少なくとも1つの種の複数の組織に、複数のLNP送達ビヒクルを投与するステップ;
(c)検出可能なシグナルを生成しない細胞から、検出可能なシグナルを生成する前記非ヒト哺乳動物の複数の組織からの細胞を選別するステップであって、前記検出可能なシグナルを生成する前記細胞も、組織型または細胞型を示す細胞表面タンパク質の存在または不在に基づいて選別される、ステップ;ならびに
(d)前記検出可能なシグナルを生成する選別された前記細胞における化学組成識別子を同定して、選別された前記細胞における前記LNP送達ビヒクルの化学組成を決定し、前記LNP送達ビヒクルの前記化学組成を、前記LNP送達ビヒクルを含む前記組織または細胞型と相関させるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記LNP送達ビヒクルが、送達される薬剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2種の非ヒト哺乳動物が、マウス、ラット、および非ヒト霊長類から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤が核酸薬剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸薬剤が、RNA、DNA、またはRNAとDNAの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記検出可能なシグナルが、前記細胞において典型的に発現される遺伝子の下方制御を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記下方制御が、β-2-ミクログロブリン、CD47、CD81、AP2S1、LGALS9、ITGB1、ITGA5、CD45、TIE2、MGAT4B、MGAT2、VAMP3、およびGPAA1のうちの1つまたは複数の発現の低下をもたらす、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
検出可能なシグナルを生成する前記生物学的に活性な分子が、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはDNA導入遺伝子である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記DNA導入遺伝子がshRNAを発現する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検出可能なシグナルが、前記細胞において典型的に発現される遺伝子の上方制御を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
検出可能なシグナルを生成する前記生物学的に活性な分子が、mRNAまたはDNA導入遺伝子である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記mRNAが、未修飾mRNAと比較して、前記検出可能なシグナルの生成を増強する、および/または免疫原性を減少させる修飾mRNAである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記修飾mRNAが、5’末端キャップ、5’非翻訳領域(UTR)、3’-UTR、3’-ポリアデニル化、コドン最適化、および塩基修飾のうちの1つまたは複数を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化学組成識別子が核酸バーコードである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記LNP送達ビヒクルの前記化学組成を同定するために前記核酸バーコードをシーケンシングするステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のLNP送達ビヒクルが投与される前記非ヒト哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
検出可能なシグナルを生成する前記生物学的に活性な分子がDNA導入遺伝子を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
検出可能なシグナルを生成する前記生物学的に活性な分子が、細胞特異的プロモーター、小分子RNAプロモーター、3’-UTR、3’-ポリアデニル化、小分子RNAポリメラーゼ末端、および前記化学組成識別子から選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学組成識別子が、核酸バーコードおよび任意選択でバーコードタグを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
検出可能なシグナルを生成する前記生物学的に活性な分子が:
5’ - プロモーター - 導入遺伝子 - 3’UTRおよびポリA - 小分子RNAポリメラーゼ末端 - BCのタグ - バーコード - 小分子RNAプロモーター - 3’;
5’ - 小分子RNAポリメラーゼ末端 - BCのタグ - バーコード - 小分子RNAプロモーター - プロモーター - 導入遺伝子 - 3’UTRおよびポリA - 3’;
5’ - 小分子RNAプロモーター - バーコード - BCのタグ - 小分子RNAポリメラーゼ末端 - プロモーター - 導入遺伝子 - 3’UTRおよびポリA - 3’;
5’ - バーコード - プロモーター - 導入遺伝子 - 3’UTRおよびポリA - 3 ’;ならびに
5’ - プロモーター - 導入遺伝子 - 3’UTRおよびポリA - 3’ + バーコード
から選択される少なくとも1つによって表される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脂質ナノ粒子送達ビヒクルを含むがこれに限定されない送達ビヒクルを特徴付けるための方法および組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ヒトの病気の治療および検出のためのナノ粒子の開発は、このクラスの生体材料市場の爆発をもたらすと予想される。mRNAを運ぶナノ粒子は、外来核酸送達を防ぐために進化した動的なハードルに遭遇する。これらの課題を克服するために、脂質ナノ粒子(LNP)には2つの方法の化学的多様性が与えられる。第1に、様々なイオン化性、pKa、および疎水性を備えた数千の化合物を合成することができる。第2に、各化合物は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、コレステロール、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、またはその他の成分を添加することにより、数百の化学的に異なるLNPに製剤化することができる。
【0003】
数百から数千のLNPを含むナノ粒子ライブラリーは、インビトロでスクリーニングできる。このプロセスは、インビボ(生きている動物中の)送達を予測する場合、より効果的である。インビボmRNA送達は、拍動血流、不均一な血管系、および腎臓、脾臓、肝臓、リンパ管、および免疫系によるクリアランスによって影響を受ける可能性がある。バーコード技術は、LNP生体内分布を定量化したが、これは細胞質核酸送達に必要であるが十分ではない。より特には、標的細胞に達する薬物の3%未満が一般に細胞質に漏れ、ナノ粒子がエンドソームに漏れるか否かを変える遺伝子は、各細胞型で異なる可能性がある。結果として、生体内分布の測定のみでは、細胞質または核への薬物の機能的送達を予測することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの障害を克服するために、所望の指向性を示し、特定の細胞または組織に機能的な積荷を送達する送達ビヒクルを特徴付け、スクリーニングするための方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の特許請求の範囲は、参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願WO2019/089561(以下、「‘561出願」)の主題への改善を記載する。特許請求の範囲で使用される様々な用語は、当業者によって理解されるような通常の意味を有し、したがって、‘561出願に記載された定義を含む。例えば、CD47およびCD81は、哺乳類対象の体内の様々な細胞の表面に存在する分化タンパク質のクラスターである。
【0006】
粒子送達ビヒクルを特徴付けるための方法は、以下の特許請求の範囲に記載されており、追加の実施形態は、本明細書に記載される。記載される方法は、分子が特定の細胞または組織型に送達されるときに検出することができる機能を有する生物学的に活性な分子を使用する。細胞内で生物学的に活性な分子の機能を検出することは、対応する送達ビヒクルの製剤が機能的な積荷を細胞に送達することができることを示す。これらの方法で使用され得る代表的な生物学的に活性な分子には、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、mRNA、DNA導入遺伝子、ヌクレアーゼタンパク質、ヌクレアーゼmRNA、小分子、エピジェネティック調節因子、および表現型調節因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
様々な実施形態では、生物学的に活性な分子は、LNP送達ビヒクルによって少なくとも2種の非ヒト哺乳動物の細胞の細胞質に送達されたときに検出可能なシグナルを生成することに基づいて選択される。したがって、そのような生物学的に活性な分子を含み、非ヒト哺乳動物の第1の種(例えば、マウスまたはラット)の特定の細胞型または組織に送達することができることが見出されるLNP送達ビヒクルは、非ヒト哺乳動物の第2の種(例えば、非ヒト霊長類)の対応する細胞型または組織にも送達することができる。
【0008】
一実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、ベータ-2-ミクログロブリンの発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0009】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、CD47の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0010】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、CD81の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0011】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、AP2S1の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0012】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、LGALS9の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0013】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、ITGB1の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0014】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、ITGA5の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0015】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、CD45の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0016】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、TIE2の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0017】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、MGAT4Bの発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0018】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、MGAT2の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0019】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、VAMP3の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0020】
別の実施形態では、生物学的に活性な分子の投与は、GPAA1の発現の低下をもたらす下方制御をもたらす。
【0021】
いくつかの実施形態では、化学組成識別子は、各々の異なる送達ビヒクル製剤に特有の化学組成を同定するために、各々の異なる送達ビヒクル製剤に含まれ得る。例えば、化学組成識別子は、核酸バーコードであり得る。核酸バーコードの配列は、それが積まれる送達ビヒクルを製剤化するために使用される化学成分と相関しているので、核酸バーコードが配列決定されると、バーコードを送達した送達ビヒクルの化学組成が同定される。
【0022】
生物学的に活性な分子としてのsiRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の送達のためのLNPの一実施形態は、次に例示されるような、バーコードがsiRNAまたはASOから分離されている2成分系を含むLNPである:siRNA+バーコード
【0023】
生物学的に活性な分子としてのmRNAの送達のためのLNPの一実施形態は、
図5に例示されるような、2成分系を含むLNPである。
【0024】
様々な実施形態では、バーコードは、生物学的に活性な分子に組み込むことができるか、またはバーコードは、
図6に示される様々な実施形態において例示されるように、生物学的に活性な分子から分離され得る。
【0025】
機能的な積荷を送達する送達ビヒクルを特徴付けるための組成物および方法が提供される。多くの送達ビヒクルは積荷を細胞に送達することができるが、積荷はエンドソームまたはリソソームに閉じ込められる可能性があり、効果的に非機能的にされる。開示された組成物および方法は、有利には、薬剤を所望の細胞または組織に送達するだけでなく、その機能的形態で積荷を送達する送達ビヒクル製剤を同定することができる、単一の実行で複数の送達ビヒクル製剤をアッセイする能力を有する。例えば、積荷が核酸である場合、細胞内での核酸の発現は、細胞の細胞質または核に送達されたときに核酸が機能的であることを示している。
【0026】
一実施形態では、本方法は、レポーターおよび化学組成識別子を含む送達ビヒクルを含む。本方法は、異なる化学組成を有する複数の送達ビヒクルを製剤化するステップを含む。一実施形態では、100を超える、または250を超える異なる送達ビヒクル製剤が、1回の実行でアッセイされる。送達ビヒクルは、細胞によって取り込まれるように製剤化されている。送達ビヒクルは、それが非ヒト動物の細胞の細胞質または核に機能的に送達されると検出可能なシグナルを生成することができるレポーター、および送達ビヒクルの化学組成を同定する組成識別子を含む。レポーターは、細胞内で発現されると検出可能なシグナルを生成することができるタンパク質をコードするmRNAなどの核酸であり得る。例えば、タンパク質は、細胞内で検出可能な物質を生成する蛍光タンパク質または酵素であり得る。
【0027】
本方法は、複数の送達ビヒクルをプールし、非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、または非ヒト霊長類などの実験動物に投与するステップも含む。複数の送達ビヒクルの投与の後、検出可能なシグナルを生成する非ヒト哺乳動物の複数の組織からの細胞は、検出可能なシグナルを生成しない細胞から選別される。一実施形態では、細胞は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して選別される。いくつかの実施形態では、検出可能なシグナルを生成する細胞はまた、組織型または細胞型を示す細胞表面タンパク質の存在または不在に基づいて選別される。代表的な細胞表面タンパク質には、分化タンパク質のクラスターが含まれるが、これらに限定されない。細胞表面タンパク質に対するフルオロフォア-コンジュゲート抗体は、細胞上の細胞表面タンパク質を検出して細胞を選別するために使用される。
【0028】
本方法はまた、検出可能なシグナルを生成する選別された細胞内の化学組成識別子を同定して、選別された細胞内の送達ビヒクルの化学組成を決定し、送達ビヒクルの化学組成を選別された細胞上の細胞表面マーカーに基づく粒子を含む組織または細胞型と相関させるステップを含む。一実施形態では、化学組成識別子は核酸バーコードであり、配列は、例えば、ディープシーケンシング技術(ハイスループットシーケンシングまたは次世代シーケンシングとも呼ばれる)を使用して決定される。
【0029】
送達ビヒクルが特徴付けられると、それらを使用して、それを必要とする対象の細胞に積荷を送達することができる。積荷は、核酸およびタンパク質を含むがこれらに限定されない生物学的に活性な薬剤であり得る。例示的な薬剤には、mRNA、siRNA、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは粒子、例えばナノ粒子である。ナノ粒子は通常1ミクロン未満の直径を有する。一実施形態では、ナノ粒子は、20nmから200nmの直径を有する。一実施形態では、粒子は脂質ナノ粒子である。
【0031】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、3つの成分:(1)レポーター;(2)化学組成識別子;ならびに(3)ペプチド、脂質、ssRNA、dsRNA、ssDNA、dsDNA、またはポリマーからなる群のうちの1つ、を含むコンジュゲートである。3つの成分は、コンジュゲート内で任意の配置にすることができる。例示的なレポーターには、siRNA、mRNA、ヌクレアーゼmRNA、小分子、エピジェネティック調節因子、および表現型調節因子が含まれるが、これらに限定されない。エピジェネティック調節因子は、分子が細胞に送達されると、細胞内のDNAの構造に検出可能な変化を引き起こす可能性のある分子である。例示的なエピジェネティック調節因子には、DNAシーケンシング(例えば、ATAC-seq)を使用して分析できる方法で、細胞内のDNAのクロマチン構造を変化させるタンパク質が含まれる。表現型調節因子は、分子が細胞に送達されると、細胞の構造または挙動に検出可能な変化を引き起こす可能性のある分子である。例示的な表現型調節因子には、細胞の変化、例えば細胞形態を誘導する分子が含まれる。化学組成識別子は、上記のように核酸バーコードであってもよい。
【0032】
別の実施形態は、送達ビヒクル、核酸バーコード、および細胞の細胞質または核に送達されると、生物学的に活性なレポーターを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは脂質ナノ粒子である。他の実施形態では、送達ビヒクルはコンジュゲートである。
【0033】
さらに別の実施形態は、次の式による核酸バーコード組成物を提供する:
R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-R1
式中、
R1は、ホスホロチオエート結合を持つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを表し、
R2は、第1のユニバーサルプライマー結合部位を表し、
R3はスペーサーを表し、
R4は、デジタル液滴PCRプローブ結合部位を表し、
R5はランダムなヌクレオチド配列を表し;
R6は核酸バーコード配列を表し、
R7はランダムな核酸配列を表し;および
R8は、第2のユニバーサルプライマー結合部位を表す。
【0034】
別の実施形態は、本明細書に開示される1つまたは複数の核酸バーコードを含む医薬組成物を提供する。
【0035】
1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。実施形態の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】質量比10:1でsiCD45およびDNAバーコードを持つように製剤化された192個のLNPの直径分布を示すプロットを示す図である。
【
図2】192個のLNPのプール内のカプセル化および非カプセル化siRNAの濃度を示すヒストグラムを示す図である。
【
図3】1.5mg/kg siRNAの用量でsiRNAおよびCD45を持つ201個のLNPのプールを投与された2匹の異なるラットから抽出された骨髄組織間のLNP送達に関連する入力を超える正規化倍数を示すプロットを示す図である。
【
図4】1.5mg/kg siRNAの用量でsiRNAおよびCD45を持つ201個のLNPのプールを投与された2つの異なる非ヒト霊長類(NHP)から抽出されたFACS単離骨髄単球間のLNP送達に関連する入力を超える正規化倍数を示すプロットを示す図である。
【
図5】mRNAのLNP送達のための2成分システムを示すダイアグラムを示す図である。
【
図6】バーコードを生物学的に活性な分子に組み込むか、それを分離させたままにするための様々な任意選択を示すダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示の実施形態を詳細に記載する前に、他に示されない限り、本開示は、特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセスなどに限定されることがなく、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみの目的であって、限定することを意図してはいないことも理解されたい。論理的に可能である場合には異なる順序でステップを実行することができることも、本開示においては可能である。
【0038】
値の範囲が提供される場合、各々の介在値は、文脈が明確に他の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間での、下限の単位の10分の1まで、および、その記載された範囲の任意の他の記載された値または介在値は、本開示の範囲内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さな範囲に独立して含まれることができ、また、記載された範囲において特に除外された制限を条件として、本開示内に包含される。記載された範囲が制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除外する範囲も、開示に含まれる。
【0039】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料も、本開示の実践または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料がここに記載されている。
【0040】
本明細書で引用される全ての出版物および特許は、個々の出版物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、出版物が引用されている方法および/または材料を開示および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。出版物の引用は、出願日の前の開示のためであり、本開示が前の開示のためにそのような出版物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立に確認する必要がある。
【0041】
本開示を読むと当業者に明らかであるように、本明細書に記載および図示した個々の実施形態の各々は、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、任意の他のいくつかの実施形態の特徴から分離または組み合わせることができる個別の成分および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な他の任意の順序で実行することができる。
【0042】
以下の実施例は、当業者に、本明細書に開示および請求される方法の実行方法およびプローブの使用方法の完全な開示および説明を提供するために提示されるものである。数値(例えば、量、温度など)の精度を確保するための努力が払われているが、ある程度の誤差や偏差を考慮するべきである。他に示されない限り、部分は質量部分であり、温度は℃であり、圧力は大気圧であるか、または大気圧に近い。標準温度および圧力は、20℃および1気圧と定義される。
【0043】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0044】
I.定義
本明細書で使用される場合、「生物活性剤」は、生物学的または化学的事象を変更、阻害、活性化、またはその他に影響を与える化合物または実体を指すために使用される。例えば、生物活性剤は、対象の細胞に送達されると、治療または診断活性を有する化学的実体または生物学的生成物であり得る。化学的実体または生物学的生成物は、有機または無機分子であり得る。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、修飾されたか、または修飾されていないポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、生物活性剤はペプチドまたはペプチド模倣物である。場合によっては、生物活性剤はタンパク質である。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、アンチセンス核酸、RNAi(例えば、siRNA、miRNAまたはshRNA)、受容体、リガンド、抗体、アプタマー、またはそれらの断片、類似体、もしくは変異体である。いくつかの実施形態では、生物活性剤は、治療的または診断的遺伝子をコードする核酸を含むベクターである。生物活性剤には、抗エイズ物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制剤、抗ウイルス物質、プロテアーゼ阻害剤および逆転写酵素阻害剤を含むがこれらに限定されない酵素阻害剤、融合阻害剤、神経毒、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン剤、潤滑剤、鎮静剤、抗けいれん剤、筋肉弛緩剤および抗パーキンソン物質、チャネル遮断薬を含む鎮痙剤および筋肉収縮薬、縮瞳薬および抗コリン作用薬、抗緑内障化合物、抗寄生虫および/または抗原虫化合物、細胞増殖阻害剤および抗接着分子を含む細胞外マトリックス相互作用の調節剤、血管拡張剤、DNA、RNAまたはタンパク質合成の阻害剤、抗高血圧剤、鎮痛剤、抗発熱剤、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤、抗血管新生因子、抗分泌因子、抗凝固剤および/または抗血栓剤、局所麻酔薬、眼科薬、プロスタグランジン、抗うつ剤、抗精神病物質、制吐剤、および造影剤が含まれ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、生物活性剤は薬物である。本発明での使用に適した生物活性剤および特定の薬物のより完全なリストは、Axel KleemannおよびJurgen Engelによる「Pharmaceutical Substances: Syntheses, Patents, Applications」、Thieme Medical Publishing、1999年;「Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals」、Susan Budavariら編、CRC Press、1996年、およびUnited States Pharmacopeia-25/National Formulary-20、United States Pharmcopeial Convention, Inc.、Rockville Md.、2001年に見出すことができ、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
本明細書で使用される「生体分子」という用語は、天然に生じたものかまたは人工的に作られたか(例えば、合成または組換え技術によって)にかかわらず、自然界(例えば、生物、組織、細胞、またはウイルス)で一般的に見られる分子(例えば、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、核タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ステロイドなど)を指す。生体分子の特定のクラスには、酵素、受容体、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、成長因子および走化性因子などの細胞応答調節因子、抗体、ワクチン、ハプテン、毒素、インターフェロン、リボザイム、アンチセンス剤、プラスミド、siRNA、mRNA、miRNA、DNA、およびRNAが含まれるが、それらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、「生分解性」ポリマーは、生理学的条件下で分解する(すなわち、体内で除去または処理され得るモノマー種またはオリゴマーにまで下げる)ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびポリマー生分解副産物は、生体適合性である。生分解性ポリマーは必ずしも加水分解性である必要はなく、完全に分解するには酵素作用が必要な場合がある。特定の実施形態では、生分解性ポリマーは、エンドソームによって分解される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「機能的に発現される」という用語は、転写され、翻訳され、翻訳後修飾され(該当する場合)、タンパク質が機能するように細胞内に配置されるコード配列を指す。
【0048】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを指す。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され得る。典型的には、ポリヌクレオチドは少なくとも2つのヌクレオチドを含む。DNAおよびRNAはポリヌクレオチドである。ポリマーには、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、C5-プロピニルシチジン、C5-プロピニルウリジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化された塩基)、挿入された塩基、修飾された糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-メトキシリボース、2’-アミノリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、非天然塩基対(UBP)、または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-Nホスホルアミダイト結合)が含まれ得る。天然または修飾ヌクレオシドの鏡像異性体も使用することができる。核酸には、核酸ベースの治療薬、例えば、核酸リガンド、siRNA、ショートヘアピンRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー、およびSPIEGELMERS(商標)、全ての内容が参照により本明細書に組み込まれるWlotzkaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2002、99(13):8898に記載されたオリゴヌクレオチドリガンドが含まれる。核酸はまた、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)、および非ホスホジエステルヌクレオシド間結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはチオジエステル結合)を含み得る。特に、核酸には、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNAまたはそれらの任意の組み合わせが、限定されることなく含まれ得る。
【0049】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって一緒になって連結された少なくとも3つのアミノ酸の一連を指すために交換可能に使用され得る。ペプチドは、個々のペプチドまたはペプチドの集合体を指す場合がある。ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸(すなわち、天然には生じないが、ポリペプチド鎖に組み込むことができる化合物)、および/またはアミノ酸類似体を含むことができる。また、ペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸は、例えば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション、官能化、または他の修飾などのためのリンカーのような化学的実体の追加により修飾され得る。修飾には、ペプチドの環化、D-アミノ酸の取り込みなどが含まれ得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ペプチド模倣物」は、通常のペプチド化学の何らかの変更を含むペプチドの模倣物を指す。ペプチド模倣物は、通常、安定性の増加、有効性の増加、送達の増強、半減期の増加など、元のペプチドの何らかの特性を増強する。既知のポリペプチド配列に基づいてペプチド模倣物を作製する方法は、例えば、米国特許第5,631,280号;第5,612,895号;および第5,579,250号に記載されている。ペプチド模倣物の使用は、所与の位置に非アミド結合を有する非アミノ酸残基の組み込みを含み得る。本発明の一実施形態は、化合物が適切な模倣物で置き換えられた結合、ペプチド骨格、またはアミノ酸成分を有するペプチド模倣物である。適切なアミノ酸模倣物である可能性がある非天然アミノ酸のいくつかの非限定的な例には、β-アラニン、L-a-アミノ酪酸、L-v-アミノ酪酸、L-a-アミノイソ酪酸、L-£-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、Ν-ε-Boc-N-α-CBZ-L-リジン、Ν-ε-Boc-N-a-Fmoc-L-リジン、L-メチオニンスルホン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、N-α-Boc-N-5CBZ-L-オルニチン、Ν-δ-Boc-N-α-CBZ-L-オルニチン、Boc-p-ニトロ-L-フェニルアラニン、Boc-ヒドロキシプロリン、およびBoc-L-チオプロリンが含まれる。
【0051】
「多糖」、「炭水化物」、または「オリゴ糖」という用語は、糖のポリマーを指すために交換可能に使用され得る。典型的には、多糖類は少なくとも2つの糖を含む。ポリマーは、天然糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、リボース、およびキシロース)および/または修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース、およびヘキソース)を含み得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、天然に生じるか、または人工的に(例えば、化学合成を介して)作られたかにかかわらず、比較的低分子量を有する分子を指すために使用される。通常、小分子は有機化合物である(すなわち、炭素を含む)。小分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心、および他の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボニル、複素環など)を含み得る。いくつかの実施形態では、小分子は単量体であり、約1500g/モル未満の分子量を有する。特定の実施形態では、小分子の分子量は、約1000g/モル未満または約500g/モル未満である。好ましい小分子は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて生物学的効果を産生するという点で生物学的に活性である。小分子には、放射性核種および造影剤が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、小分子は薬物である。好ましくは、ただし必須ではないものの、薬物は適切な行政機関または取締機関によって、ヒトまたは動物での使用について、安全および効果的であるとすでに見なされているものである。例えば、人間への使用が承認された薬品は、FDAによって、参照により本明細書に組み込まれる21C.F.R.§§330.5、331から361、および440から460の下で列挙されており、獣医学的使用についての薬品は、FDAによって、参照により本明細書に組み込まれる21C.F.R.§§500から589に列挙されている。全ての列挙された薬品は、本発明に対しての使用が許容されると見なされる。
【0053】
「対象」という用語は、投与または治療の標的である任意の個人を指す。対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、特にヒトであり得る。したがって、対象は、ヒトまたは獣医患者である可能性がある。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある対象を指す。
【0054】
「治療的に有効」という用語は、使用される組成物の量が、疾患または障害の1つまたは複数の原因または症状を改善するのに十分な量であることを指す。このような改善には、低下または変更が必要であるのみであり、必ずしも排除する必要はない。
【0055】
II.粒子送達ビヒクルを特徴付けるための方法
特定の細胞の細胞質に機能的な積荷を送達する所望の指向性を持つ製剤を同定するために、ビヒクル送達製剤を特徴付ける方法および組成物が提供される。開示された方法および組成物は、細胞に送達されたときに検出することができる機能を有するレポーターを使用する。細胞内のレポーターの機能を検出することは、送達ビヒクルの製剤が機能的な積荷を細胞に送達することを示している。化学組成識別子は、各々の異なる送達ビヒクル製剤に含まれ、各々の異なる送達ビヒクル製剤に特有の化学組成を追跡する。一実施形態では、化学組成識別子は、核酸バーコードである。核酸バーコードの配列は、それが積まれる送達ビヒクルを製剤化するために使用される化学成分とペアにされ、核酸バーコードが配列決定されると、バーコードを送達した送達ビヒクルの化学組成が同定される。代表的なレポーターには、siRNA、mRNA、ヌクレアーゼタンパク質、ヌクレアーゼmRNA、小分子、エピジェネティック調節因子、および表現型調節因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
A.インビボ方法
一実施形態は、異なる化学組成を有する複数の送達ビヒクルを製剤化するステップを含む、薬剤のインビボ送達のための送達ビヒクル製剤を特徴付けるためのインビボ方法であって、各々の送達ビヒクルは、非ヒト哺乳動物の細胞の細胞質に送達されたときに検出可能なシグナルを生成することができるレポーター、およびビヒクルの化学組成を同定する組成識別子を含む、方法を提供する。本方法はまた、複数の送達ビヒクルをプールして非ヒト哺乳動物に投与するステップを含む。本方法はまた、検出可能なシグナルを生成しない細胞から、検出可能なシグナルを生成する非ヒト哺乳動物の複数の組織からの細胞を選別するステップであって、検出可能なシグナルを生成する細胞も、組織型または細胞型を示す細胞表面タンパク質の存在または不在に基づいて選別される、ステップを含む。細胞が選別された後、本方法は、選別された検出可能なシグナルを生成する細胞内の化学組成識別子を同定して、選別された細胞内の送達ビヒクルの化学組成を決定し、送達ビヒクルの化学組成を、送達ビヒクルを含む組織または細胞型と相関付けるステップを含む。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは粒子状送達ビヒクルであり、他の実施形態では、送達ビヒクルはコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、本方法は、ハイスループットスクリーニングアッセイである。
【0057】
複数の送達ビヒクル製剤のプールは、典型的には、例えば、静脈内注射または筋肉内注射によって非経口的に投与される。
【0058】
あるいは、組成物は、例えば、動脈内、吸入、皮内、皮下、経口、鼻腔、気管支、眼、経皮(局所)、経粘膜、腹膜、直腸、および膣内経路などの他の経路によって投与されてもよい。いくつかの実施形態では、材料は、特定の組織部位に到達するためだけでなく、特定の送達経路のために最適化される。
【0059】
投与後の定義された期間の後、組織または細胞が収穫され、ソーティングのために処理される。場合によっては、レポーターまたは標識に陽性の標的細胞が単離される。他の場合、例えば、材料が構成的レポーター導入遺伝子の阻害剤を含む場合、レポーターまたは標識に対して陰性の標的細胞が単離される。次に、これらの細胞に存在する材料を同定するために単離してもよい。いくつかの実施形態では、材料は、組織に存在した材料を同定するために使用される関連したバーコードを放出するように処理される。細胞ごとに存在する総材料の量も定量化してもよい。あるいは、またはさらに、非標的細胞または臓器からのサンプルを収集し、同じプロセスにより材料を同定することができる。このようにして、非特異的な組織標的化などの望ましくない生物物理化学的特性を持つこれらの材料を同定し、濃縮のその後のラウンドから排除してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、細胞に存在する核酸バーコードを同定するためにアッセイされ、そのことにより、対応する材料を同定する。場合によっては、これには、例えば、PCR増幅に続いて次世代シーケンシング(NGSまたはディープシーケンシング)を使用したバーコードの配列決定が含まれる。
【0061】
レポーター陽性細胞の単離に使用されるプロトコルは、使用されるレポーターシステム、ならびに細胞源(例えば、インビボ組織/血液およびインビトロ細胞培養)に基づいて異なる。組織および細胞は、生きている動物または死後の動物を用いて単離してもよい。組織および臓器の全体または一部を動物から抽出してもよい。生検は細胞の供給源であってもよい。細胞は、心臓穿刺または眼窩後部採血を含む様々な経路からの血液から単離されてもよい。単離は、酵素的方法(例:トリプシン、様々なコラゲナーゼ、および組み合わせ)および/または機械的方法(例:遠心分離、乳鉢および乳棒、細断、粉砕)によって行ってもよい。得られた細胞懸濁液は、供給源に依存して、不均一または均一の細胞型のいずれかである可能性がある。次に、これらの懸濁液は、多数の基準(例えば、細胞型、細胞マーカー、細胞周期、レポーター状態)に基づいて同時にまたは順次に分離することができる。これは、蛍光支援細胞ソーティング、磁気支援細胞ソーティング、遠心分離、および親和性ベースの細胞単離(例えば、抗体-DNAコンジュゲート、抗体-ビオチン)によって行ってもよい。細胞は、単一細胞またはバルク集団に単離され得る。バーコードがその後、細胞から単離される。これは、クロマトグラフィーまたは溶液ベースの方法によって行うことができる。バーコードは、最初にサイズの違いもしくは他の特徴を介してゲノムDNAから分離されるか、またはゲノムDNAが分解される可能性がある;あるいは、ゲノムDNAは乱されない状態であってもよい。抽出されたバーコードは、さらなる分析のために濃縮または希釈されたままにしておいてもよい。このバーコード抽出物は、直接、配列決定してもよいし、PCRによって増幅して、より多くのコピーを作成してもよい。バーコードは、サンガーシーケンシング、次世代シーケンシング(Illumina、Roche 454、Ion torrentなど)、またはNanoporeベースのシーケンシング方法で配列決定できる。
【0062】
所望の組織の機能的標的化を実証する一方で、任意選択で非標的化器官による低レベルの取り込みを実証するこれらの製剤は、濃縮され得る。スクリーニングは、例えば、アッセイの解像度を改善するために、数回繰り返してもよい。さらに、濃縮のための対応する材料を選択するために、特定の標識からのより高いまたはより低いレベルのシグナルを要求することによるスクリーニングの強度を改変してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、本方法は、機能的標的化を実証するために示されたものに基づいて、送達ビヒクルの新しいライブラリーを作成または生成することをさらに含む。開示された方法はこのように、材料の生物物理学的特徴を最適化するために使用することができる。最適化のためのパラメータには、サイズ、ポリマー組成、表面親水性、表面電荷、および材料表面上の標的化剤の存在、組成、および密度の任意のものが含まれ得るが、これらに限定されない。新しいライブラリーは上のように分析されて、どの最適化が効果的であったかを決定するために使用することができる。
【0064】
一実施形態では、送達ビヒクルは、マイクロ流体デバイスを使用して製剤化されたナノ粒子である。化学組成1のナノ粒子1は、レポーターmRNAおよびバーコード1を担持するように製剤化される。化学組成2のナノ粒子2は、レポーターmRNAおよびバーコード2を担持するように製剤化される。このプロセスをN回繰り返し、化学組成Nを持つナノ粒子Nが、レポーターmRNAおよびバーコードNを担持するように製剤化される。ナノ粒子1を構成する化学成分は、1つのガラスシリンジにロードされる。バーコード1およびレポーターmRNAは、別のシリンジにロードされる。シリンジの内容物は、ナノ粒子シリンジについては200μL/分、バーコードおよびレポーターmRNAシリンジについては600μL/分の流速で混合される。ナノ粒子は、次に、0.00001~0.01mg/mLの濃度で滅菌1X PBSに希釈することによって特徴付けられる。この時点で、ナノ粒子の流体力学的直径ならびにそれらの自己相関曲線がDLSを使用して分析される。ナノ粒子は次に、再生セルロース膜に透析され、次に高分子量(>100kDa)セルロース膜に透析される。次に、ナノ粒子を、0.22μmフィルターを通して滅菌ろ過し、滅菌済みプラスチックチューブにロードする。
【0065】
ナノ粒子は次にマウスに投与され、2時間から168時間後の時点で、マウスが犠牲にされる。
【0066】
一実施形態では、レポーターmRNAはGFPをコードする;この場合、GFP+細胞が単離され、この時点は2~48時間の範囲となる。
【0067】
別の実施形態では、レポーターmRNAは、tdTomatoをコードする。この場合、tdTomato+細胞が単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。別の実施形態では、レポーターはRFPである。RFP+細胞は単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0068】
別の実施形態では、レポーターはBFPである。この場合、BFP+細胞は単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0069】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面に発現される遺伝子であるICAM-2である。この場合、ICAM-2+細胞はICAM-2抗体(BioLegend clone 3C4)を使用して単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0070】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面で発現され得る遺伝子であるMHC1である。この場合、MHC1+細胞は、MHC1抗体(クローンERMP42)を使用してMHC2+マウス株(すなわち、002087)から単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0071】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面上で発現され得る遺伝子であるMHC2である。この場合、MHC2+細胞はMHC2抗体(クローンIBL-5/22)を使用してMHC1+マウス株(すなわち、003584)から単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0072】
別の実施形態では、レポーターは、細胞質で発現されるタンパク質であるホタルルシフェラーゼである。この場合、ルシフェラーゼ+細胞はルシフェラーゼ抗体(クローンC12またはポリクローナル)を使用して単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0073】
別の実施形態では、レポーターは、細胞質で発現されるタンパク質であるレニラルシフェラーゼである。この場合、ルシフェラーゼ+細胞はルシフェラーゼ抗体(クローンEPR17792またはポリクローナル)を使用して単離され、この時点は2~48時間の範囲になる。
【0074】
さらに別の実施形態では、レポーターはCreである。この場合、ナノ粒子はCreレポーターマウス(例えば、Lox-Stop-Lox-tdTomato Ai14マウス系統)に注入され、tdTomato+細胞が単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0075】
一実施形態では、レポーターsiRNAはsiGFPである。この場合、ナノ粒子はGFP陽性マウス(例えば、JAX 003291)に投与される。GFPlow細胞は単離され、この時点は2~96時間の範囲になる。
【0076】
別の実施形態では、レポーターはsiRFPである;この場合、ナノ粒子はRFP陽性マウス(例えば、JAX 005884)に投与される。RFPlow細胞は単離されており、この時点は2~96時間の範囲になる。
【0077】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面に発現される遺伝子であるsilCAM-2である。この場合、ICAM-2low細胞はICAM-2抗体(BioLegend clone 3C4)を使用して単離され、この時点は2~96時間の範囲になる。
【0078】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面に発現される遺伝子であるsiCD45である。この場合、CD45low細胞はCD45抗体を使用して単離される(BioLegendクローン102|およびこの時点は2~96時間の範囲になる。別の実施形態では、レポーターは細胞上で発現される遺伝子であるsiCD47である。この場合、CD47low細胞はCD47抗体(BioLegendクローン miap301)を使用して単離され、この時点は2~96時間の範囲になる。
【0079】
別の実施形態では、レポーターは、細胞表面に発現される遺伝子であるsiTie2である。この場合、Tie2low細胞はTie2抗体(BioLegendクローン TEK4)を使用して単離され、この時点は2~96時間の範囲になる。他の実施形態では、レポーターsiRNAはマイクロRNAである。
【0080】
一実施形態では、レポーターsgRNAはsgGFPである。この場合、ナノ粒子は、Cas9-GFPを発現するマウス(例えば、JAX 026179)に投与される。GFPlow細胞は単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0081】
別の実施形態では、レポーターはsglCAM-2であり、細胞表面で発現される遺伝子であるCas9発現マウスに注射される。この場合、ICAM-2low細胞は、ICAM-2抗体(BioLegendクローン 3C4)を使用して単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0082】
別の実施形態では、レポーターはsgCD45であり、細胞表面で発現される遺伝子であるCas9発現マウスに注射される。この場合、iCD45low細胞は、CD45抗体(BioLegendクローン102)を使用して単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0083】
別の実施形態では、レポーターはsgCD47であり、細胞表面で発現される遺伝子であるCas9発現マウスに注射される。この場合、CD47low細胞はCD47抗体(BioLegendクローンmiap301)を使用して単離され、この時点は2~96時間の範囲になる。
【0084】
別の実施形態では、レポーターはsgTie2であり、細胞表面で発現される遺伝子であるCas9発現マウスに注射される。この場合、Tie2low細胞はTie2抗体(BioLegendクローンTEK4)を使用して単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0085】
別の実施形態では、レポーターは、sgLoxPであり、Cas9-Lox-Stop-Lox-tdTomato発現マウスに注射される。tdTomato+細胞が単離され、この時点は2~120時間の範囲になる。
【0086】
適切な時点で、マウスの組織が消化され、機能的レポーター分子に陽性の細胞が単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、動物を犠牲にし、組織を切断し、そして以下を含むがこれらに限定されない組織を消化するための酵素を加えることによって単離される:コラゲナーゼタイプI、IV、XI、およびヒアルロニダーゼ。次に、組織を37℃の温度で15~60分間振とうし、40、70、または100μmのストレーナーで濾して個々の細胞型を単離する。いくつかの実施形態では、細胞は、蛍光活性化細胞ソーターを使用して、細胞型または組織型によって選別される。
【0087】
次に、細胞を溶解して内部のバーコードを単離する。いくつかの実施形態では、細胞は、DNA抽出プロトコル、例えば、QuickExtract(商標)にさらされる。この実施形態では、細胞はその後、サンプルを示す指標を加えるPCRを使用してDNAシーケンシングするために準備され、磁気ビーズを使用して精製され、4nM濃度に希釈されたPhiXコントロール配列(lllumina機器を使用する場合)に加えられ、MiniSeq(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)、またはその他の次世代シーケンシング機器を使用して配列決定される。
【0088】
他の実施形態では、細胞は、RNA抽出プロトコル、例えば、OligoTex(登録商標)キットにさらされる。この実施形態では、逆転写酵素を細胞に適用して、任意のRNAをcDNAに変換する。この時点で、cDNAは、サンプルを示す指標を加えるPCRを使用してシーケンシングするために準備され、磁気ビーズを使用して精製され、4nM濃度に希釈されたPhiX(登録商標)コントロール配列(lllumina機器を使用する場合)に加えられ、MiniSeq(登録商標)、MiSeq(登録商標)、NextSeq(登録商標)、またはその他の次世代シーケンシング機器を使用して配列決定される。
【0089】
B.インビトロ方法
別の実施形態は、送達ビヒクル製剤を特徴付けるインビトロ方法を提供する。この実施形態では、遺伝子の発現を防ぐように改変された遺伝子、例えば、蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む細胞または細胞株を使用することができる。送達ビヒクル中のレポーターは、リコンビナーゼもしくはヌクレアーゼ、またはリコンビナーゼもしくはヌクレアーゼをコードする核酸であり得る。送達ビヒクルがレポーターを細胞に送達すると、リコンビナーゼまたはヌクレアーゼは、改変された遺伝子を修復して、蛍光タンパク質が発現される。細胞は、いくつかの異なる組織からの細胞の不均一なプールである可能性がある。送達ビヒクルの投与後、蛍光を発する細胞、および組織または細胞型について同定するために、細胞を選別することができる。核酸バーコードは、様々なタイプの細胞から単離し、それらを送達した送達ビヒクルの化学組成を同定するために配列決定することができる。
【0090】
III.送達ビヒクル
A.代表的な送達ビヒクル
別の実施形態は、送達ビヒクル、化学組成識別子、例えば核酸バーコード、および細胞の細胞質に送達されたときに生物学的に活性であるレポーターを含む組成物を提供する。組成物は、任意選択で標的化剤を含む。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは脂質ナノ粒子である。他の実施形態では、送達ビヒクルはコンジュゲートである。レポーターは、siRNA、mRNA、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、小分子、エピジェネティック調節因子、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0091】
一実施形態では、送達ビヒクルは、ペグ化されたC6からC18のアルキル、コレステロール、DOPE、化学組成識別子およびレポーターを含む。さらに他の実施形態では、送達ビヒクルはコンジュゲートである。
【0092】
1.ナノ粒子送達ビヒクル
以下の例示的な送達ビヒクルは、開示された組成物および方法で使用することができ、レポーターおよび化学組成識別子を含む。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるTurnbull ICら、Methods Mol Biol、2017 1521:153~166頁に記載されているようなリピドイドナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるKaczmarek JCら、Angew Chem Int Ed Engl.2016 55(44):13808~13812頁に記載されるようなポリマー脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるChahal JSら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 1 13(29):E4133~42に記載されるようなデンドリマー-RNAナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるDong Yら、Nano Lett.2016 16(2):842~8頁に記載されるようなポリ(グリコアミドアミン)ブラシである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるEltoukhy AAら、Biomaterials.2014 35(24):6454~61頁に記載されるような脂質様ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるDahlman JEら、Nat Nanotechnol.2014 9(8):648~655頁に記載されるような低分子量ポリアミンおよび脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるDong Yら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 111(11):3955~60頁に記載されるようなリポペプチドナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるZhang Yら、Adv Mater.2013 25(33):4641~5頁に記載されるような、脂質修飾アミノグリコシド誘導体である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるYan Yら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 113(39):E5702~10に記載されるような機能性ポリエステルである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるZhou Kら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 113(3):520~5頁に記載されるような分解性デンドリマーである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるHao Jら、J Am Chem Soc.2015 137(29):9206~9頁に記載されるようなリポカチオン性ポリエステルである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるSiegwart DJら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 108(32):12996~3001頁に記載されているようなカチオン性コアおよび可変シェルを備えたナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるZhang Xら、ACS Appl Mater Interfaces.2017 9(30):25481~25487頁に記載されるようなアミノエステルナノ材料である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるZuckerman JEら、Nucleic Acid Ther.2015 25(2):53~64頁に記載されるようなポリカチオン性シクロデキストリンナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるDavis ME.Adv Drug Deliv Rev. 2009 61(13):1189~92頁、またはGaur Sら、Nanomedicine.2012 8(5):721~30頁に記載されるようなカンプトテシン(camptothecin)のシクロデキストリン含有ポリマーコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるSorkin MRら、Bioconjug Chem.2017 28(4):907~912頁に記載されるようなオリゴチオエーテルアミドである。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるPorel Mら、Nat Chem.2016年6月;8(6):590~6頁に記載されるような大環状分子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるAlabi CAら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 110(32):12881~6頁に記載されるような脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるZamboni CGら、J Control Release.2017 263:18~28頁に記載されるようなポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるGreen JJら、Acc Chem Res.2008 41(6):749~59頁に記載されるようなポリ(P-アミノエステル)(PBAE)である。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、本教示のために参照により組み込まれるSemple SCら、Nat Biotechnol.2010 28(2):172~6頁に記載されるような安定な核酸脂質粒子(SNALP)である。いくつかの実施形態では、材料はアミノ糖である。一実施形態では、材料は、本教示のために参照により組み込まれるTanowitz Mら、Nucleic Acids Res.2017 Oct 23;Nair JKら、Nucleic Acids Res.2017 Sep 15;およびZimmermann TSら、Mol Ther.2017 Jan 4;25(1):71~78頁に記載されるようなGalNAcである。
【0093】
2.コンジュゲート送達ビヒクル
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルはコンジュゲートシステムである。コア材料は、ペプチド、脂質、ssRNA、dsRNA、ssDNA、dsDNA、ポリマー、ポリマー/脂質の組み合わせ、ペプチド/脂質の組み合わせ、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0094】
一実施形態では、レポーターは、コンジュゲート送達ビヒクルにイオン結合している。レポーターは、水素結合、ワトソン-クリック塩基対、または疎水性相互作用によってコンジュゲート送達システムに結合できる。
【0095】
例示的なレポーターには、siRNA、ヌクレアーゼタンパク質、mRNA、ヌクレアーゼmRNA、小分子、およびエピジェネティック調節因子が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、レポーターは、細胞において検出可能な表現型の変化を引き起こす。例えば、レポーターは、細胞に、形態、代謝活性、遺伝子発現の増減などを変化させることができる。
【0096】
B.送達ビヒクルの製剤化
【0097】
一実施形態では、開示された方法で使用される送達ビヒクルは、粒子状送達ビヒクルである。例えば、送達ビヒクルは、脂質ナノ粒子を含むがこれに限定されないナノ粒子であり得る。一実施形態では、粒子送達ビヒクルは、レポーターおよび化学組成識別子をカプセル化する。他の実施形態では、レポーター、化学組成識別子、またはその両方が送達ビヒクルにコンジュゲートされる。
【0098】
一実施形態では、ナノ粒子は、生体材料を、チューブ内で合成または市販脂質と、100%エタノールなどの有機溶媒と共に組み合わせ、それらを混合することによって製剤化される。第2のチューブ内では、レポーターおよび化学組成識別子が組み合わされ、通常は緩衝液内で、混合される。次に、2つのチューブの内容物を混合してナノ粒子を生成する。チューブ1の生体材料は、イオン化可能な脂質、ポリマー、ペプチド、核酸、炭水化物などであり得る。参照によりその全体が組み込まれるChen Dら、(2012) Rapid discovery of potent siRNA-containing lipid nanoparticles enabled by controlled microfluidic formulation. J Am Chem Soc 134:6948~6951頁に開示されているように、マイクロ流体デバイスを使用して、様々な異なる製剤を迅速に生産することができる。
【0099】
別の実施形態では、核酸(mRNA、DNAバーコード、siRNA、およびsgRNA)を緩衝液、例えば10mMクエン酸緩衝液で希釈する一方で、脂質アミン化合物、アルキルテール化PEG、コレステロール、およびヘルパー脂質をエタノールに希釈した。ナノ粒子スクリーンの場合、レポーターおよび化学組成識別子、例えばDNAバーコードは、10:1の質量比で混合される。質量比は、実行ごとに最適化できることが理解されよう。クエン酸塩およびエタノール相は、それぞれ600μL/分および200μL/分の流速でシリンジ(Hamilton Company)によってマイクロ流体デバイス内で組み合わされた。全てのPEG、コレステロール、およびヘルパー脂質はAvanti Lipidsから購入した。
【0100】
材料の生物物理学的および化学的特徴は、送達ビヒクルを製剤化するために使用される。最適化のためのパラメータには、サイズ、ポリマー組成、表面親水性、表面電荷、および材料表面上の標的化剤の存在、組成、および密度の任意のものが含まれ得るが、これらに限定されない。これらまたは他のパラメータが変化する送達ビヒクルのライブラリーは、組み合わせ技術を使用して生成されてもよい。各材料または材料の集団に固有の標識を提供するために、組み合わせ技術を使用してもよい。脂質アミン化合物を変化させることにより、送達ビヒクルのための多数の異なる製剤を達成することができ、PEGのモル量、PEGの構造、および粒子中のコレステロールのモル量を粒子間で変化させる。
【0101】
1.代表的なポリマー
送達ビヒクルは、様々な材料から製剤化することができる。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、ヘルパー脂質を含む。ヘルパー脂質は、送達ビヒクルの安定性および送達効率に貢献する。ヘキサゴナルII相の形成に有利な円錐形状のヘルパー脂質を使用することができる。一例は、積荷のエンドソーム放出を促進することができるジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。円筒形状の脂質ホスファチジルコリンを使用して、LNPのインビボでの適用に重要な二重層の安定性を高めることができる。コレステロールは、インビボでのLNPの安定性だけでなく細胞内送達を改善するヘルパーとして含めることができる。PEG化脂質を含めることで、インビトロでのLNPコロイド安定性およびインビボでの循環時間を向上させることができる。いくつかの実施形態では、PEG化は、PEG部分が血液循環において徐々に放出されるという点で可逆的である。脂肪酸やコレステリルヘミコハク酸(CHEMS)などのpH感受性陰イオン性ヘルパー脂質は、LNP表面電荷の低pH誘導変化およびエンドソーム放出を促進することができる不安定化を引き起こす可能性がある。
【0102】
開示された送達ビヒクルを製造するために使用できる代表的な材料には、ポリ(エチレングリコール)、コレステロール、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-O-1’-(Z)-オクタデセニル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-O-1’-(Z)-オクタデセニル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1-(1Z-オクタデセニル)-2-ドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1-パルミトイル-2-(5’-オキソ-バレロイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-(9’-オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-ヘキサデシル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-(10-ピレンデカノイル)-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-(10-ピレンデカノイル)-2-(5,5-ジメトキシバレロイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(ジピロメテンホウ素 二フッ化物)ブタノイル](アンモニウム塩)、1-パルミトイル-2-(5,5-ジメトキシバレロイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[4-(ジピロメテンホウ素 二フッ化物)ブタノイル](アンモニウム塩)、2-((2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)エチル水素ホスフェート、2-((2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)エチルエチルホスフェート、i-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジコレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-コレステリルカルボノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-パルミトイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-O-ヘキサデカニル-2-O-(9Z-オクタデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-O-ヘキサデカニル-2-O-(9Z-オクタデセニル)sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(アンモニウム塩)、1-O-ヘキサデカニル-2-O-(9Z-オクタデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアルニン(1-O-hexadecanyl-2-O-(9Z-octadecenyl)-sn-glycero-3-phosphoethanolarnine)、1-O-ヘキサデシル-sn-グリセロール(HG)、1,2-ジ-O-フィタニル-sn-グリセロール、1,2-ジ-O-フィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジ-O-テトラデシル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)、1,2-ジ-O-ヘキシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-0-ドデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-O-トリデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-O-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-O-オクタデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-O-(9Z-オクタデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジ-O-フィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1-O-オクタデシル-2-O-メチル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1’,3’-ビス[1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1’,3’-ビス[1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1’,3’-ビス[1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1’,3’-ビス[1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1’,3’-ビス[1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1,3’-ビス[1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1’,3’-ビス[1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ]-sn-グリセロール、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’-ホスフェート)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’-ホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-(ホスホイノシトール-3-ホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’,5’-トリスホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’,5’-ビスホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’ビスホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’-ホスフェート)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’,5’-トリスホスフェート)、1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,5’-ビスホスフェート)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’,5’-トリスホスフェート)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’,5’-ビスホスフェート)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’、5’-ビスホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’,5’-トリスホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’,5’-ビスホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオイノシトール-3’,5’-ビスホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’,4’ビスホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-5’-ホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-4’-ホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール-3’-ホスフェート)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール、1,2-d イステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール(1,2-d istearoyl-sn-glycero-3-phosphoinositol)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)、1-オレオイル-2-(6-((4,4-ジフルオロ-1,3-ジメチル-5-(4-メトキシフェニル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-2-プロピオニル)アミノ)ヘキサノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール-4.5-ビスホスフェート、1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)、1-トリデカノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオ-イノシトール)、1-パルミトイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール、1-(10Z-ヘプタデセノイル)-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ミオイノシトール)、1-ステアロイル-2-hydrm,y-sn-グリセロ-3-ホスプル1オイノシトール、1-アラキドノイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスホイノシトール、D-ミオ-イノシトール-1,3,4-トリスホスフェート、D-ミオイノシトール-1,3,5-トリホスフェート、D-ミオ-イノシトール-1,4,5-トリホスフェート、D-ミオ-イノシトール-1,3,4,5-テトラホスフェート、1-(10Z-ヘプタデセノイル)-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-[ホスホ-L-セリン]、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
2.生体適合性ポリマー
特定の実施形態では、送達ビヒクルは、生体適合性ポリマーから製造されるか、または生体適合性ポリマーを含む。様々な生分解性および/または生体適合性ポリマーが当業者によく知られている。開示された組成物および方法での使用に適した例示的な合成ポリマーには、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(乳酸コ-グリコール酸)、ポリ(アリレート)、ポリ(無水物)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ炭酸塩、ポリ(プロピレンフメレート)(poly(propylene fumerates))、ポリ(カプロラクトン)、ポリアミド、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリラクチド、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoates)、ポリグリコリド、ポリケタール、ポリエステルアミド、ポリ(ジオキサノン)、ポリヒドロキシブチル酸塩、ポリヒドロキシバリレート(polyhydroxyvalyrates)、ポリ炭酸塩、ポリオルト炭酸塩、ポリビニルピロリドン)、生分解性ポリシアノアクリル酸塩、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリアルキレンコハク酸塩、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(無水マレイン酸)、生分解性ポリウレタンおよび多糖類が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、材料はポリエチレングリコール(PEG)を含む。特定の実施形態では、材料を作製するために使用されるポリマーは、PEG化されている(すなわち、ポリエチレングリコール部分にコンジュゲートされている)。
【0104】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、FDAによって「一般に安全と認められたもの;Generally Recognized as Safe」(GRAS)と同定された材料から形成されている。
【0105】
3.天然に存在するポリマー
多糖類やタンパク質などの天然に存在するポリマーを使用して、開示された送達ビヒクルを生産することもできる。例示的な多糖類には、アルギン酸塩、デンプン、デキストラン、セルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸およびその誘導体が含まれる;例示的なタンパク質には、コラーゲン、アルブミン、およびゼラチンが含まれる。デンプン、デキストラン、およびセルロースなどの多糖類は、未修飾であってもよいし、または水和状態での特徴、溶解性、もしくはインビボでの半減期のような1つまたは複数の特性に影響を及ぼすために、物理的もしくは化学的に修飾されていてもよい。特定の実施形態では、材料はタンパク質を含まない。
【0106】
他の実施形態では、ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、それらのコポリマーであるポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、およびこれらの任意の混合物などのポリヒドロキシ酸を含む。特定の実施形態では、材料は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)を含む。特定の実施形態では、材料はポリ(乳酸)を含む。特定の他の実施形態では、材料は、ポリ(グリコール酸)を含む。これらのポリマーは、外科用縫合材料として、および放出制御デバイスとしてのヒト臨床使用が承認されている合成ポリマーのうちの1つである。それらは加水分解によって、代謝および排泄される可能性のある生成物に分解される。さらに、PLAとPGAの共重合は、グリコール酸と乳酸の共重合比率を変えるだけで、数日から数年までの分解速度の大きなスペクトルを有する利点があり、PGAよりも疎水性が高く、結晶性がより低く、より遅い速度で分解される。
【0107】
非生分解性ポリマーを使用して材料を生産することもできる。例示的な非生分解性であるが生体適合性のポリマーには、ポリスチレン、ポリエステル、非生分解性ポリウレタン、ポリ尿素、ポリビニルアルコール)、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリアクリレート、非生分解性ポリシアノアクリレート、非生分解性ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、およびポリ(エチレンオキシド)が含まれる。
【0108】
4.官能化ポリマー
上記のポリマーのいずれも、ポリ(アルキレングリコール)、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリ(プロピレングリコール)(PPG)、または任意の他の親水性ポリマー系で官能化することができる。あるいは、またはさらに、それらは、特定の末端官能基、例えば、ポリ(アルキレングリコール)または他の材料が結合され得るように末端カルボキシル基を有するように修飾されたポリ(乳酸)を有し得る。例示的なPEG官能化ポリマーには、PEG官能化ポリ(乳酸)、PEG官能化ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、PEG官能化ポリ(カプロラクトン)、PEG官能化ポリ(オルトエステル)、PEG官能化ポリリジン、およびPEG官能化ポリ(エチレンイミン)が含まれるが、それらに限定されない。経口送達用の製剤に使用される場合、ポリ(アルキレングリコール)は、誘導体化された化合物の胃腸の安定性を増加することによって部分的に、多くの薬理学的に有用な化合物の生物学的利用能を増加することが知られている。粒子送達システムを含む非経口的に投与される薬理学的に有用な化合物の場合、ポリ(アルキレングリコール)は、部分的にこれらの化合物のオプシン化を減少させ、それによって免疫原性クリアランスを低下させ、部分的に免疫細胞によるこれらの化合物の非特異的クリアランスを減少させることによって、安定性を増加させることが知られており、その機能は、体から外来材料を取り除くことである。ポリ(アルキレングリコール)は鎖であり、数百ダルトン程度の短さであるか、または数千以上の分子量を有する可能性がある。
【0109】
上記の修飾および非修飾ポリマーの任意の共重合体、混合物、および付加物も、使用することができる。例えば、疎水性領域および陰イオン性または他の方法で親水性領域を有する両親媒性ブロック共重合体を使用することができる。異なるタイプの非共有または共有相互作用に関与する領域を有するブロック共重合体も、使用することができる。あるいは、またはさらに、ポリマーは、特定の官能基を有するように化学的に修飾されてもよい。例えば、ポリマーは、ヒドロキシル、アミン、カルボキシ、マレイミド、チオール、N-ヒドロキシ-スクシンイミド(NHS)エステル、またはアジド基で官能化されてもよい。これらの基は、ポリマーを親水性にさせるため、または以下に記載するように表面を修飾するために使用される材料との特定の相互作用を達成するために使用することができる。
【0110】
当業者は、ポリマーの分解速度を制御するために、分子量および架橋の程度を調整できることを認識するであろう。放出速度を調整するために分子量および架橋を制御する方法は、当業者によく知られている。
【0111】
5.非高分子材料
送達ビヒクルはまた、非ポリマー材料、例えば、金属、および半導体から生産され得る。例えば、特定の組織にコントラスト剤または造影剤を提供することが望まれる場合には、粒子状薬剤をポリマー担体と組み合わせる必要がない場合がある。
【0112】
送達ビヒクルの表面化学は、当業者に知られている任意の技術を使用して変えることができる。表面の親水性および表面電荷の両方を改変することができる。ポリマー材料の表面化学を改変するためのいくつかの方法は、上で議論されている。シランまたはチオール分子を使用して、特定の官能基をポリマーまたは非ポリマー材料の表面につなぎ留めてもよい。例えば、親水性(例えば、チオール、ヒドロキシル、またはアミン)または疎水性(例えば、パーフルオロ、アルキル、シクロアルキル、アリール、シクロアリール)基を表面につなぎ留めてもよい。酸性または塩基性基を材料の表面につなぎ留めて、それらの表面電荷を改変してもよい。例示的な酸性基には、カルボン酸、窒素ベースの酸、リンベースの酸、および硫黄ベースの酸が含まれる。例示的な塩基性基には、アミンおよび他の窒素含有基が含まれる。これらの基のpKaは、例えば、酸性または塩基性基の隣に電子供与基または電子吸引基を含めることによって、または共役または非共役環に酸性または塩基性基を含めることによって、酸性または塩基性基の環境を調整することによって制御することができる。あるいは、材料は、例えば、過酸化物、過マンガン酸塩、酸化酸、プラズマエッチング、または他の酸化剤を使用して酸化させて、それらの表面のヒドロキシルおよび他の酸素化基の密度を増加させることができる。あるいは、またはさらに、水素化ホウ素、チオ硫酸塩、または他の還元剤を使用して、表面の親水性を低下させることができる。
【0113】
6.サイズ範囲
送達ビヒクルは、細胞が粒子を取り込むことを可能にする任意のサイズであってよい。例えば、粒子は、約1nmから約1000μm、または約1から約50nm、または50から100nm、または約100から約500nm、または約500から約1000nm、または約1μmから約10μmの直径を有することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、スクリーニング方法は、目的の細胞、組織、または器官に機能的な生物活性剤を送達するのに適した特徴について、マイクロ粒子(1~10ミクロンの間の直径を有する)またはナノ粒子(1~1000nmの間の直径を有する)をスクリーニングするために使用される。
【0115】
アッセイの実行ごとに特徴付けられる送達ビヒクルの数は、アッセイで使用される非ヒト哺乳動物のサイズに依存して、少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、450、500またはそれ以上であり得る。
【0116】
7.標的化剤
いくつかの実施形態では、標的化剤を使用して、送達ビヒクルを目的の組織または細胞にさらに正確に方向づけることができる。したがって、開示された送達ビヒクルは、組織標的化部分、細胞標的化部分、受容体標的化部分、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0117】
当業者は、関心のある組織が健康な組織である必要はなく、動脈硬化の領域または血管系の不安定なアンセロマプラークなどの腫瘍または特定の形態の損傷または病変組織であり得ることを認識するであろう。標的化剤は、組織の任意の部分または成分を標的にすることができる。例えば、標的化剤は、腫瘍または他の組織細胞上のエピトープまたは抗原、インテグリンまたは他の細胞付着剤、酵素受容体、細胞外マトリックス材料、または特定の組織内のペプチド配列に対して親和性を示し得る。標的化剤には、抗体および抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、またはF(ab’)2フラグメント、または単鎖抗体)、核酸リガンド(例えば、アプタマー)、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)、葉酸、トランスフェリン、アジアリコタンパク質、炭水化物、多糖類、シアル酸、糖タンパク質、または脂質が含まれ得るが、これらに限定されない。標的化剤は、細胞表面に見られる細胞表面受容体、タンパク質または糖タンパク質に特異的に結合する、天然または合成の任意の小分子、生物活性剤、または生体分子を含み得る。いくつかの実施形態では、標的化剤は、オリゴヌクレオチド配列である。特定の実施形態では、標的化剤は、アプタマーである。いくつかの実施形態では、標的化剤は、天然に存在する炭水化物分子または炭水化物のライブラリーから選択されるものである。潜在的な標的化剤として使用するためのペプチド、炭水化物、またはポリヌクレオチドのライブラリーは、当業者に既知の技術を使用して合成してもよい。様々な高分子ライブラリーも、InvitrogenおよびCambridge Peptideなどの会社から購入してもよい。
【0118】
標的化剤は、共有相互作用によって材料にコンジュゲートさせることができる。例えば、ポリマー材料は、カルボキシレート基で修飾されてもよく、その後、アミノ化された標的化剤、またはアミノ化されるように修飾されたものが、EDCまたはDCCなどのカップリング試薬を使用してポリマーにカップリングされる。あるいは、ポリマーを修飾して、活性化NHSエステルを持たせてもよく、これを次に、標的化剤上のアミン基と反応させることができる。標的化剤を材料にカップリングさせるために使用できる他の反応性基には、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、マレイミド、チオール、NHSエステル、アジド、およびアルキンが含まれるが、これらに限定されない。次に、標準的なカップリング反応を使用して、修飾された材料を、相補的な基を有する第2の材料(例えば、アミノ化ポリマーにカップリングされたカルボキシル修飾標的化剤)にカップリングすることができる。無機材料から製造された材料は、自己組織化単分子膜形成材料を使用して任意のこれらの基を持つように修飾して、所望の官能基を表面につなぎ留めることができる。
【0119】
あるいは、標的化剤は、非共有相互作用を介して直接的または間接的に材料に結合させることができる。非共有相互作用には、静電相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理吸着、ホスト-ゲスト相互作用、および水素結合相互作用が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
8.核酸バーコード
一実施形態は、核酸バーコードを提供する。核酸バーコードは、DNAポリメラーゼへのアクセスを増加し、順方向および逆方向のプライマー部位のDNA二次構造を最小化し、完全にランダム化されたヌクレオチド領域を分離することでG-四重らせん形成を最小化するように合理的に設計できる。
【0121】
一実施形態は、以下の式に従った核酸バーコードを提供する。
R1-R2-R3-R4-R5-R6-R7-R8-R1
ここで、R1は、ホスホロチオエート結合を持つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを表し、
R2は順方向ユニバーサルプライマー結合部位を表し、
R3はスペーサーを表し、
R4は、デジタル液滴PCRプローブ結合部位を表し、
R5はランダムなヌクレオチド配列を表し;
R6は核酸バーコード配列を表し;
R7はランダムな核酸配列を表し;
R8は逆方向ユニバーサルプライマー結合部位を表す。
【0122】
一実施形態では、核酸バーコードは、ホスホロチオエート結合を含まない。
【0123】
別の実施形態では、R3は、以下の配列NHNWを有し、ここで、Nは、A、T、G、またはCであり;WはAまたはTであり;およびHはA、T、またはCである。一実施形態では、R5は以下の配列NWNHを有し、R7は以下の配列NWHを有し、ここで、NはA、T、G、またはCであり;WはAまたはTであり;HはA、T、またはCである。
【0124】
本明細書で使用される場合、「核酸バーコード」という用語は、バーコードに固有の一連のヌクレオチド(「バーコード配列」)および任意選択で他のバーコードに共通の一連のヌクレオチドを含む核酸配列を有するオリゴヌクレオチドを指す。共通のヌクレオチドは、例えば、バーコードを単離および配列決定するために使用することができる。したがって、場合によっては、バーコード配列は、例えば、ユニバーサルプライマー部位などの上流および下流プライマー部位に隣接する。ポリヌクレオチドは、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。各々の送達ビヒクル製剤は、独自固有の核酸バーコードとペアになる。固有の核酸バーコードは、送達ビヒクル製剤の化学組成とペアになっており、核酸バーコードをシーケンシングすることにより、特定のビヒクル送達製剤を生産するために使用されるその特定の化学組成を同定することができる。
【0125】
バーコードは、5~100ヌクレオチドの長さ、約5~約90ヌクレオチドの長さ、約5~約80ヌクレオチドの長さ、約5~約70ヌクレオチドの長さ、約5~約60ヌクレオチドの長さ、約5~約50ヌクレオチドの長さ、約5~約45ヌクレオチドの長さ、約5~約40ヌクレオチドを含むことができる。核酸バーコードは、開示された送達ビヒクルに共有結合または非共有結合で結合させることができる。いくつかの実施形態では、核酸バーコードは、送達ビヒクルによってカプセル化される。
【0126】
別の実施形態は、本明細書に記載の核酸バーコードのうちの1つまたは複数を含む医薬組成物を提供する。
【0127】
本発明の多くの実施形態が説明されてきた。
【0128】
それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変を施すことができることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【実施例】
【0129】
[実施例1]
共通に発現している内分泌受容体を改変すると、インビボでナノ粒子が再標的化される
材料および方法
以下の例は、「‘561出願」で説明されているバーコードおよびスクリーニング手法を利用している。
【0130】
LNP製剤
脂質ナノ粒子成分は、指定された脂質成分モル比で100%エタノールに溶解された。核酸(NA)積荷を10mMクエン酸塩、100mM NaCl、pH4.0に溶解した結果、NA積荷の濃度は約0.22mg/mLになった。いくつかの実施形態では、NA積荷は、機能的NA(例えば、siRNA、アンチセンス、発現DNA、mRNA)ならびにレポーターDNAバーコード(以前Sago、2018 PNASに記載されたような)の両方を1:10から10:1の機能的NA対バーコードの質量比で混合させたものからなる。この実験では、機能性核酸は遺伝子CD45を標的としたsiRNAであり、10:1の質量比で混合された。このsiRNA配列は、マウス、ラット、NHP、およびヒトの間で交差反応性がある。LNPは、11.7の全脂質対NA質量比で製剤化された。LNPは、Precision Nanosystems NanoAssemblr SparkおよびBenchtop機器を製造業者のプロトコルに従って使用して、脂質およびNA溶液をマイクロ流体混合することによって形成された。異なる流量を使用して混合している間は、水性溶媒対有機溶媒2:1または3:1の比率を維持した。混合後、LNPを回収し、PBSで希釈し(約1:1 v/v)、PBS中で20kDaフィルターに対して4℃で8~24時間、透析を使用してさらに緩衝液交換を行った。この最初の透析後、各々のLNP製剤は、サイズおよび多分散度を測定するためにDLSを介して特徴付けられ、LNPの亜集団のpKaはTNSアッセイを介して測定された。特定の直径および多分散度の範囲内にあるLNPをプールし、さらに100kDaの透析カセットに対して4℃で1~4時間PBSに対して透析した。2回目の透析後、LNPを、0.22μMフィルターを使用して滅菌ろ過し、さらなる使用のために4℃で保存した。
【0131】
LNPの特徴付け
DLS-LNP流体力学的直径および多分散度百分率(PDI%)は、ハイスループット動的光散乱(DLS)(DynaProプレートリーダーII、Wyatt)を使用して測定された。LNPを1X PBSで適切な濃度に希釈し、分析した。
図1は、siCD45およびDNAバーコードを10:1の質量比を有するように製剤化された192個のLNPの直径分布を示し、各ドットは、個別のLNPの直径である。
【0132】
濃度およびカプセル化効率 - NAの濃度は、製造業者の取扱説明書に従ってQubit microRNAキット(siRNAについて)またはHS RNAキット(mRNAについて)によって決定された。カプセル化効率は、溶解していないLNPおよび溶解したLNPを測定することによって決定された。
図2は、192個のLNPのプールのカプセル化および非カプセル化siRNAの濃度を示す。
【0133】
ラットへのLNP投薬
LNPは、1.5mg/kg siRNA負荷量の用量で尾静脈への注入により、オスのSprague Dawleyラットに投与された。上に記したように、他の実施形態では、LNPは、尾静脈へのボーラス注射によって、または皮下、筋肉内、皮内、髄腔内、硝子体内、網膜下、鼻腔内、または噴霧を含む他の投与経路によって投与することができる。
【0134】
ラットについてのFACS
選択した組織(例えば、肝臓、肺、心臓)を、プロテイナーゼの混合物を使用して機械的および酵素的に消化し、70uMフィルターに通して単一細胞懸濁液を生成した。他の組織(例えば、脾臓)を機械的に消化して、単一細胞懸濁液を生成した。全ての組織をACK緩衝液で処理して赤血球を溶解し、フローサイトメトリーおよびFACSソーティングのために蛍光標識抗体で染色した。全ての抗体は市販の抗体であった。BD FACSMelody(Becton Dickinson)を使用して、全てのサンプルを、フローサイトメトリーを介して取得し、ソーティングの前にゲートを生成した。
【0135】
通常、ゲート構造はサイズ→単一の細胞→生細胞→目的の細胞であった。T細胞はCD3+として定義され、単球はCD11b+として定義され、B細胞はCD19+として定義された。肝臓では、LSECはCD31+、クッパー細胞はCD11b+、肝細胞はCD31-/CD45-と定義された。siRNA研究では、標的遺伝子(CD45)の下方制御をゲートした。ビヒクル(生理食塩水)投与ラットからの組織を使用して、ソーティングのためのゲートを設定した。正しい表現型を持つ各々の細胞サブセットの20000個までの細胞が、1XPBS中に選別された。ソーティングの後、細胞を遠心分離によりペレットにして、Quick Extract DNA Extraction Solution(Lucigen)を製造業者のプロトコルに従って使用してDNAを抽出した。DNAはシーケンシングまで-20℃で保存された。
【0136】
DNAシーケンシング
DNA(ゲノムおよびDNAバーコード)は、QuickExtract(Lucigen)を使用して単離され、前述のように、Illumina MiniSeqを使用して配列決定された(Sagoら、PNAS 2018, Sagoら、JACS 2018, Sago, Lokugamageら、Nano Letters 2018)。FACSで単離されたサンプルでカウントしたDNAバーコードの頻度は、注入した入力の頻度で正規化した。これらのデータは、「入力を超えた正規化された倍数」としてプロットされ、値「1」は、注入量と同じ頻度でFACS単離サンプルに現れるLNPを表し、同じ注入プールでの他のLNP集団と比較した、測定された細胞型への中立指向性を示したことを表す。
図3は、1.5mg/kgのsiRNA用量でCD45およびDNAバーコードを標的とするsiRNAを持つ201個のLNPのプールを投与された2つの異なるラットから抽出された骨髄組織における201個の化学的に異なるLNPの各々の送達に関連する入力を超えた正規化された倍数を示している。
図3において、各ポイントは個別のLNPを表す。
【0137】
ラットおよび非ヒト霊長類でのスクリーニング
NHP中のLNPのスクリーニングでは、LNP製剤、LNP特徴付け、投与、細胞型単離、およびDNAシーケンシングの同じ一般的な手順が実行された。NHPはラットよりも顕著に大きくなる可能性があるため、siRNAの全質量は動物の質量または表面積に応じてスケールアップすることができる。
図4は、1.5mg/kgのsiRNA用量でCD45およびDNAバーコードを標的とするsiRNAを持つ201個のLNPのプールを投与された2つの異なるNHPからの骨髄単球FACSにおける201個の化学的に異なるLNPの各々の送達に関連する入力を超えた正規化された倍数を示している。
図4において、各ポイントは個別のLNPを表す。
【0138】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、開示された発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される刊行物およびそれらが引用されている資料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0139】
当業者であれば、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【国際調査報告】