(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】自動車用の光学センサのガラス面を洗浄するための装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 120A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572450
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020062477
(87)【国際公開番号】W WO2020244869
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、イザベル
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC01
3D225AC02
3D225AD22
3D225AE10
3D225AF07
(57)【要約】
本発明は、自動車のガラス面(300)を洗浄するための伸縮式洗浄装置(100)であって、少なくとも1つの中空体(110)と、前記中空体(110)内において、展開方向(D)に沿って伸長位置と折り畳み位置との間で摺動するように構成された可動ピストン(120)であって、前記ガラス面を洗浄するための部材を支持するように構成された可動ピストン(120)と、を備える洗浄装置(100)において、前記洗浄装置(100)は、前記中空体(110)を介して搬送された洗浄流体(FN)を噴射するための部材(140)とワイパーブレード(130)とからなる2つの洗浄部材を備え、2つの前記洗浄部材は、前記可動ピストンに堅固に固定されていることを特徴とする洗浄装置(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のガラス面(300)を洗浄するための伸縮式洗浄装置(100)であって、
少なくとも1つの中空体(110)と、
前記中空体(110)内において、展開方向(D)に沿って展開位置と後退位置との間で摺動するように構成された可動ピストン(120)であって、前記ガラス面を洗浄するための洗浄部材を支持するように構成された可動ピストン(120)と、
を備える洗浄装置(100)において、
前記洗浄装置(100)は、前記中空体(110)を介して搬送された洗浄流体(FN)を噴霧するための噴霧部材(140)とワイパーブレード(130)とからなる2つの洗浄部材を備え、
2つの前記洗浄部材は、前記可動ピストンに堅固に固定されている、
ことを特徴とする洗浄装置(100)。
【請求項2】
前記ワイパーブレード(130)は、前記可動ピストン(120)の前記展開方向(D)に対して垂直な横方向軸(X)に主として沿って延び、
前記ワイパーブレード(130)が沿って延びる前記主横方向軸(X)および前記可動ピストン(120)の前記展開方向(D)は、洗浄すべき前記ガラス面(300)が沿って延びる主平面に対して平行な平面に含まれている、
請求項1に記載の洗浄装置(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記噴霧部材(140)は、洗浄流体(FN)を、前記ワイパーブレード(130)の展開方向において当該ワイパーブレード(130)の上流に噴霧するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置(100)。
【請求項4】
中間部品(150、160)が、前記可動ピストン(120)の自由端部に配置され、
前記中間部品は、前記ワイパーブレード(130)に対する支持体を形成するとともに、前記噴霧部材の少なくとも一部に対する支持体を形成するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄装置(100)。
【請求項5】
前記洗浄流体(FN)用の少なくとも1つの出口ポート(125)が、前記可動ピストン(120)に設けられ、
前記中間部品(150、160)は、洗浄流体が前記噴霧部材(140)を通過することを許容する貫通孔(156、168)であって、前記出口ポートの反対側に配置された貫通孔(156、168)を有している、
ことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置(100)。
【請求項6】
前記噴霧部材(140)は、前記可動ピストン(120)に機械的に接続された少なくとも1つの噴霧ヘッド(141)により形成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄装置(100)。
【請求項7】
前記噴霧ヘッド(141)は、前記中間部品(150)に堅固に固定され、
少なくとも1つのトラフ(142)が、前記噴霧ヘッド(141)に形成され、
前記トラフ(142)は、洗浄すべき前記ガラス面(300)の方向において、前記可動ピストン(120)の前記展開方向(D)に対して垂直な垂直方向軸(V)に主として沿って延び、
前記トラフ(142)は、前記中間部品の面とともに、前記洗浄流体(FN)用の通流ダクトの形成に役立つ、
請求項4または5と組み合わせた請求項6に記載の洗浄装置(100)。
【請求項8】
前記噴霧部材(140)は、前記ワイパーブレード(130)に組み込まれた少なくとも1つの噴霧バー(147、148)により形成され、
当該噴霧バーは、前記ワイパーブレード(130)が沿って延びる前記主横方向軸(X)に対して平行に延びる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄装置(100)。
【請求項9】
前記噴霧バー(17、148)は、前記洗浄流体を受容するためのチャンバ(167)に接続され、
前記チャンバ(167)は、前記中間部品(160)に堅固に固定されるとともに、当該中間部品(160)に設けられた前記貫通孔(168)の反対側に配置されている、
請求項5と組み合わせた請求項8に記載の洗浄装置(100)。
【請求項10】
少なくとも1つのガラス面(300)が設けられた少なくとも1つの光学センサを備える少なくとも1つの光学検出システムを備える自動車であって、
車両は、請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの洗浄装置(100)を備え、
少なくとも1つの前記洗浄装置(100)は、前記光学検出システムの前記光学センサの前記ガラス面(300)を洗浄するように構成されている、
自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のセンサ/トランスミッタの洗浄の分野に関し、より詳細には、このような車両の光学検出システムの光学センサのガラス面の洗浄の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の自動車には、ドライバーを支援したり、特定の操作をドライバーに代わって行う運転支援システムの集合体が搭載されている。これらの運転支援システムは、一般に、信号の検出によって起動する。この信号は、光学的、電気的、またはその他のタイプである。光学信号により起動するシステムの場合、システムが起動しなかったり、時宜を得ずに起動したりすることがないように、信号を記録するように配置されたセンサは、汚れが全く許されない。
【0003】
このタイプのセンサを、噴霧装置で噴霧される洗浄剤を使用して洗浄することが知られている。洗浄剤は、センサ上の汚れを溶解することができる。しかしながら、次いで洗浄剤を乾燥させると流体残留物が残り、この残留物が画面に悪影響を及ぼしたり、センサが接続されているシステムを時宜を得ずに危険に起動させたりする可能性がある。
【0004】
そこで、洗浄流体を最初に光学面に噴霧してこの光学面を洗浄し汚れを除去することに加えて、光学面に空気等の乾燥流体を噴霧するようにした洗浄装置が知られている。したがって、特に光学センサのサイズに応じて決められた時間に亘って液体を噴霧することによる洗浄サイクルの直後に、空気が、洗浄装置の端部に配置されたディスペンサ末端部に搬送されて、この末端部を介して光学面に噴霧される。しかしながら、このような空気乾燥は完全に満足のいくものではない。なぜならば、流体の痕跡や、単に洗浄流体を噴霧して空気で乾燥させるだけでは洗浄できない頑固な汚れが依然として残り得るからである。
【発明の概要】
【0005】
本発明はこのような状況に該当し、自動車のガラス面を洗浄するための伸縮式洗浄装置であって、少なくとも1つの中空体と、前記中空体内において、展開方向に沿って展開位置と後退位置との間で摺動するように構成された可動ピストンであって、前記ガラス面を洗浄するための洗浄部材を支持するように構成された可動ピストンと、を備える洗浄装置を提案することにより、少なくとも上述の欠点を改善することを目的とする。本発明によれば、前記洗浄装置は、前記中空体を介して搬送された洗浄流体を噴霧するための噴霧部材とワイパーブレードとからなる2つの洗浄部材を備え、2つの前記洗浄部材は、前記可動ピストンに堅固に固定されている。
【0006】
洗浄装置は、一方が流体の供給を必要とする2つの相補的な洗浄手段を、洗浄流体を搬送するための伸縮式支持体上で組み合わせた点で注目される。伸縮式のノズルを使用することで、洗浄が必要でない場合には、噴霧部材をカメラの視界に入らないようにすることができる。また、ブレードが可動ピストンに配置されていることにより、ノズルの展開、または噴霧部材によってブレードが確実に駆動される。可動ピストンはワイパーブレードに機械的に接続されているため、展開方向における可動ピストンの移動によって、ワイパーブレードも同一の展開方向において移動することを理解されたい。
【0007】
さらに、2つの洗浄手段がピストンからなる同一の可動支持体に堅固に固定されていることで、洗浄動作の間中、およびある洗浄動作から次の洗浄動作まで、ノズルとブレードとの間の距離を一定に維持することができる。これにより、再現性のある払拭条件が得られる。このことは、センサにより取得した画像が車両の操舵に関する決定に利用され得る運転支援の分野において、特に有利である。
【0008】
本発明の一態様によれば、ピストンの展開移動とは、可動ピストンがその後退位置からその展開位置に向かう移動に対応し、可動ピストンの後退移動とは、可動ピストンがその展開位置からその後退位置に向かう移動に対応する。以下に詳細に説明する本発明の種々の実施形態によれば、噴霧部材は、可動ピストンの展開移動中に、移動洗浄流体が洗浄すべきガラス面に噴霧されることを許容する。選択的に、ワイパーブレードの後退移動中に実施される、さらなる洗浄流体の噴霧を提供することができる。
【0009】
本発明の一特徴によれば、前記ワイパーブレードは、前記可動ピストンの前記展開方向に対して垂直な横方向軸に主として沿って延び、前記ワイパーブレードが沿って延びる前記主横方向軸および前記可動ピストンの前記展開方向は、洗浄すべき前記ガラス面が沿って延びる主平面に対して平行な平面に含まれている。
【0010】
本発明の一特徴によれば、少なくとも1つの前記噴霧部材は、洗浄流体を、前記ワイパーブレードの展開方向において当該ワイパーブレードの上流に噴霧するように構成されている。換言すれば、噴霧部材による洗浄流体の噴霧の後に、このように噴霧された洗浄流体は、ワイパーブレードによって常に払拭される。このように、ワイパーブレードの上流で洗浄流体が噴霧されることで、噴霧された洗浄流体が迅速かつ効率的に払拭され得ることを理解されたい。
【0011】
本発明の一特徴によれば、中間部品が、前記可動ピストンの前記自由端部に配置され、前記中間部品は、前記ワイパーブレードに対する支持体を形成するとともに、前記噴霧部材の少なくとも一部に対する支持体を形成するように構成されている。
【0012】
本発明の一特徴によれば、前記洗浄流体用の少なくとも1つの出口ポートが、前記可動ピストンに設けられ、前記中間部品は、前記洗浄流体が前記噴霧部材を通過することを許容する貫通孔であって、前記出口ポートの反対側に配置された貫通孔を有している。洗浄流体用の出口ポートは、可動ピストンの自由端部に、すなわち、洗浄流体を搬送するための中空体であって、内部で可動ピストンが摺動する中空体の外部に延びる端部に設けられる。
【0013】
例えば、ワイパーブレードは、ワイパーゴムを保持する少なくとも1つの構造要素を備え得る。ワイパーゴムの少なくとも一部は、洗浄すべきガラス面に接触することが意図されている。この目的は、このガラス面に噴霧された洗浄流体を払拭することである。既知の態様で、ワイパーゴムは、構造要素により保持された少なくとも1つのヒールと、ヒンジによりヒールに接続された少なくとも1つのリップと、を備え得る。このリップは、ガラス面に接触することが意図されたワイパーゴムの一部を形成する。
【0014】
本発明の第1実施形態によれば、前記噴霧部材は、前記可動ピストンに機械的に接続された少なくとも1つの噴霧ヘッドにより形成されている。例えば、可動ピストンをワイパーブレードに機械的に接続するための中間部品は、噴霧ヘッドをこの可動ピストンに機械的に接続するように適合され得る。換言すれば、本例によれば、中間部品は、可動ピストンに締結されるとともに、ワイパーブレードおよび噴霧ヘッドの両方を保持する。例えば、噴霧ヘッドは、中間部品に溶接され得る。これは単なる例であって、本発明の範囲から逸脱することなく、噴霧ヘッドを中間部品に締結する他の手段が想定され得ることを理解されたい。
【0015】
中間部品は、特に、以下のように構成され得る。ブレードが、この中間部品に形成されたフックに挟まれるとともに、噴霧ヘッドが、中間部品のベースを形成する壁の外面に取り付けられる。前記外面は、ブレードから離れる方向に向かい、ベースを形成する壁は、洗浄流体が噴霧部材に向かって通過することを許容するように構成されている。
【0016】
第1実施形態の一特徴によれば、前記噴霧ヘッドは、前記中間部品に堅固に固定され、少なくとも1つのトラフが、前記噴霧ヘッドに形成され、前記トラフは、洗浄すべき前記ガラス面の方向において、前記可動ピストンの前記展開方向に対して垂直な垂直方向軸に主として沿って延びる。前記トラフは、前記中間部品の面とともに、前記洗浄流体用の通流ダクトの形成に役立つ。
【0017】
第1実施形態のこの特徴によれば、トラフは、噴霧ヘッドの実質的に中央に配置された第1端部と、ヘッドの一側で開口して噴霧オリフィスを形成する第2端部と、を有し得る。噴霧オリフィスを介して、流体はガラスに噴霧される。これら2つの端部は、トラフの延びる垂直方向軸に沿って対向している。ヘッドは、可動ピストンに設けられた出口ポートが第1端部の反対側に開口するように、可動ピストンの端部に締結される。第2端部の付近において、トラフは、互いから離間して延びてフレア形状を呈する2つの壁により画成される。フレア形状により、洗浄流体の噴流を分散させやすくなり、この流体が噴霧されるガラス面の表面積が大きくなる。
【0018】
したがって、上記から、洗浄流体は、可動ピストンに設けられた出口ポートにこの可動ピストンの展開方向に対して平行な方向において到達し、その後洗浄流体は、噴霧ヘッドに形成されたトラフによって、および必要であれば洗浄流体をブレードに向けて角度を付けさせるように構成された傾斜平面によって、可動ピストンから流出すると直ちに洗浄すべきガラス面に向けて方向を変えられることを理解されたい。
【0019】
この第1実施形態によれば、洗浄すべきガラス面全体に亘ってできる限り均一な噴霧となるように、噴霧ヘッドは、有利にはワイパーブレードの延びる横方向に対してワイパーブレードの中央に配置される。
【0020】
本発明の第2実施形態によれば、前記噴霧部材は、前記ワイパーブレードに組み込まれた少なくとも1つの噴霧バーにより形成され、当該噴霧バーは、前記ワイパーブレードが沿って延びる前記主横方向軸に対して平行に延びる。この第2実施形態の一特徴によれば、噴霧バーは、可動ピストンの展開方向において、ワイパーブレードのワイパーゴムに対してオフセットしている。特に、噴霧バーは、この展開方向に対してワイパーゴムの前方に配置されることにより、すなわち、ワイパーブレードよりも中空体から離れることによりオフセットし得る。有利には、噴霧バーのこのような配置より、ワイパーブレードがガラスを払拭する前に、伸縮式装置の展開中に洗浄流体を噴霧することができることを理解されたい。
【0021】
本発明の第2実施形態によれば、前記噴霧バーは、前記洗浄流体を受容するためのチャンバに接続され、前記チャンバは、前記中間部品に堅固に固定されるとともに、当該中間部品に設けられた前記貫通孔の反対側に配置されている。
【0022】
噴霧バーは、ワイパーブレードに形成された少なくとも1つ洗浄流体通流チャネルと、洗浄流体通流チャネルを洗浄装置の外部環境と連通させる少なくとも1つのダクトと、を備え得る。可動ピストンに設けられた洗浄流体用の出口ポートは、少なくとも1つの洗浄流体通流チャネルと流体的に接続している。
【0023】
例えば、可動ピストンに設けられた出口ポートと、ワイパーブレードの端部キャップであって、ワイパーブレードに形成された洗浄流体通流チャネルと流体連通している端部キャップとの間に、チューブが配置され得る。有利には、洗浄流体通流チャネルは、ワイパーブレードの横方向の寸法全体、すなわち、ワイパーブレードの延びる主横方向軸に沿って、かつワイパーブレードの延びるこの主横方向軸に対して平行に測定される、ワイパーブレードの2つの対向する端部間の寸法に亘って延びている。換言すれば、この第2実施形態によれば、洗浄流体は、可動ピストンの出口ポートに搬送され、例えばこの出口ポートと通流チャネルとの間に配置されたチューブを経由してワイパーブレードに形成された通流チャネルに到達し、その後、この洗浄流体通流チャネルと外部環境との間に形成された少なくとも1つのダクトを経由して洗浄すべきガラス面に噴霧されることを理解されたい。
【0024】
第2実施形態の一特徴によれば、噴霧バーは、洗浄流体通流チャネルに沿って分散配置された複数のダクトを備えている。有利には、ワイパーブレードに沿って分散配置された複数のダクトを使用することにより、洗浄すべきガラス面に噴霧される洗浄流体の均一な分布が確保され得るため、このガラス面全体を完璧に洗浄することが確保され得る。
【0025】
この第2実施形態の変形例によれば、噴霧部材は、2つの噴霧バーによって形成され得る。これらの噴霧バーはいずれも、ワイパーブレードの延びる主横方向軸に対して平行に延びるとともに、このワイパーブレードのワイパーゴムの両側に分散配置される。第2実施形態のこの変形例によれば、第1噴霧バーおよび第2噴霧バーは、ワイパーブレードに形成された洗浄流体通流チャネルにより形成された共通部分を備え、特に上述のように通流チャネルと外部環境との間に形成されたそれぞれのダクトの配向によって互いに異なる。有利には、これらの噴霧バーは、同時に、または順次、すなわち続いて作動され得る。「噴霧バーを作動させる」とは、この噴霧バーが洗浄流体を洗浄すべきガラス面に噴霧するようにすることを意味する。
【0026】
また、本発明は、少なくとも1つのガラス面が設けられた少なくとも1つの光学センサを備える少なくとも1つの光学検出システムを備える自動車であって、前記車両は、本発明による少なくとも1つの洗浄装置を備え、少なくとも1つの前記洗浄装置は、前記光学検出システムの前記光学センサの前記ガラス面を洗浄するように構成されている自動車に関する。
【0027】
本発明の適用例によれば、光学検出システムの光学センサのガラス面は湾曲していてもよい。この湾曲したガラス面の母線は、可動ピストンの展開方向と一致する。
【0028】
さらに、本発明は、本発明による洗浄装置を実現する方法であって、制御ユニットが光学検出システムの光学センサのガラス面の汚れ状態に関する情報を受信する少なくとも1つのステップと、制御ユニットが受信した情報に応じてガラス面の洗浄の必要性を判断する少なくとも1つのステップと、制御ユニットが命令を送信して洗浄装置の可動ピストンを展開させ、かつ制御ユニットが命令を送信して洗浄流体を噴霧部材により噴霧させる少なくとも1つのステップと、を備え、この展開が、水圧アクチュエータとして機能する洗浄流体によって水圧的に実施される場合、この流体噴霧命令は、可動ピストンを展開させる命令と同時であり得る方法に関する。本方法は、可動ピストンに保持されたワイパーブレードが、ガラス面に噴霧された洗浄流体を払拭するステップをもたらす。
【0029】
上述の第2実施形態の変形例によれば、ワイパーブレードが2つの噴霧バーを備える場合、洗浄流体が常にワイパーゴムの上流に噴霧されるように、流体は一方の噴霧バーにより噴霧された後、他方の噴霧バーにより噴霧され得る。
【0030】
換言すれば、噴霧された流体が直ちにワイパーゴムにより払拭されるように、可動ピストンが展開段階にある場合、洗浄流体は第1噴霧バーにより噴霧され得るとともに、次いで可動ピストンが後退段階にある場合、洗浄流体は第2噴霧バーにより噴霧され得る。
【0031】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、一方で以下の説明を読み、他方で添付図面を参照して非限定的な例として提供される複数の実施形態を読むことで、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による伸縮式洗浄装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態による伸縮式洗浄装置を示す断面図であって、断面を長手方向および垂直方向の平面で示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態による伸縮式洗浄装置の噴霧ヘッドを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の噴霧ヘッドが取り外された状態の、本発明の第1実施形態による伸縮式洗浄装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態による伸縮式洗浄装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態による伸縮式洗浄装置の長手方向端部を示す断面図であって、断面を長手方向および垂直方向の平面で示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態による伸縮式洗浄装置のワイパーブレードを示す断面図であって、断面を
図6の断面平面とは異なる、長手方向および垂直方向の平面で示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態による伸縮式洗浄装置のワイパーブレードを示す断面図であって、断面を
図6の断面平面に対して垂直な、横方向および垂直方向の断面で示す。
【
図9】
図9は、本発明による伸縮式洗浄装置を実現するための方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明において、「長手方向」、「横方向」、および「垂直方向」という用語は、本発明による伸縮式洗浄装置の配向を指す。長手方向は、伸縮式洗浄装置の可動ピストンの展開方向に対応し、この長手方向は、図面で示す座標系L、V、Tの長手方向軸Lに対して平行である。横方向は、伸縮式洗浄装置のワイパーブレードが沿って延びる主横方向軸に対して平行な方向に対応し、この横方向は、座標系L、V、Tの横方向軸Tに対して平行であり、この横方向軸Tは、長手方向軸Lに対して垂直である。最後に、垂直方向は、座標系L、V、Tの垂直方向軸Vに対して平行な方向に対応し、この垂直方向軸Vは、当該座標系L、V、Tの長手方向軸Lおよび横方向軸Tに対して垂直である。「下(方)」および「上(方)」という用語は、垂直軸に沿った物体の位置を指す。「下(方)」という用語は、本発明による伸縮式洗浄装置で洗浄すべきガラス面に最も近い物体を指定する。
【0034】
図1および
図5はいずれも、本発明の第1実施形態および第2実施形態による伸縮式洗浄装置100を、それぞれ斜視図で示す。本明細書の残りの部分では、「伸縮式洗浄装置」および「洗浄装置」という用語を区別なく使用する。まず、それぞれの具体的な態様を説明する前に、2つの実施形態に共通の特徴について説明する。
【0035】
本発明による洗浄装置100は、洗浄流体を搬送するための少なくとも1つの中空体110であって、主に長手方向に延びる中空体110を備えている。以下でより詳細に説明するように、中空体110は、少なくとも1つの可動ピストン120を収容している。可動ピストン120は、展開の長手方向Dにおいて、展開位置と後退位置との間で可動である。本明細書の残りの部分では、「可動ピストンの展開」という用語は、この可動ピストンがその後退位置からその展開位置へ移動することを指す。「可動ピストンの後退」という用語は、この可動ピストンがその展開位置からその後退位置へ移動することを指す。
【0036】
図示のように、洗浄装置100の中空体110は、洗浄流体FN用の入口113が設けられたカバー112により閉鎖される第1長手方向端部111と、可動ピストン120が少なくとも部分的に延び出る第2長手方向端部114との間で延びている。洗浄流体入口113は、例えば、油圧バス(hydraulic bus)の形態にある自動車の供給ネットワーク、または従来の洗浄流体分配ネットワークに接続される。
【0037】
また、本発明による洗浄装置100は、主に横方向軸Xに沿って延びるとともに、可動ピストン120の自由端部に配置された少なくとも1つのワイパーブレード130を備えている。このワイパーブレード130は、洗浄すべきガラス面300に接触することが意図された少なくとも1つのワイパーゴム132を保持する少なくとも1つの構造要素131を備えている。特に
図1に示すように、ワイパーゴム132は、少なくとも1つのヒール133を備えている。ヒール133を介して、ワイパーゴム132は構造要素131に保持されている。また、ヒール133から、洗浄すべきガラス面300に接触することが意図されたこのワイパーゴムの一部を形成するリップ134が延びている。リップ134は、ヒール133にヒンジ135により接続されていることにも留意されたい。このことにより、特に、リップ134が可撓性を有すること、およびこれによりガラス面300が2つの対向する方向に払拭されることが保証される。ワイパーブレード130は、有利には、可動ピストン120の展開によって洗浄すべきガラス面300が第1方向において払拭され得るように、かつ、この可動ピストンの後退によって洗浄すべきガラス面が第1方向とは反対の第2方向において払拭され得るように、可動ピストン120に機械的に接続されている。したがって、ガラス面300は2回払拭されるため、本発明による伸縮式洗浄装置100により実施される洗浄の効率が向上する。
【0038】
本発明によれば、可動ピストンは、洗浄流体噴霧部材140の支持体も形成している。これにより、本発明による伸縮式装置は、払拭による洗浄システムと流体噴霧による洗浄システムの両方を包含し、これらは一体的に移動する。
【0039】
特に
図2を参照して、伸縮式洗浄装置100の動作原理、すなわちこの洗浄装置100の可動ピストン120の展開および後退を目的として実現される手段について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態による洗浄装置100を示しているが、以下の機能についての説明は、第2実施形態にしたがって製造された洗浄装置100にそのまま転用され得る。
【0040】
図2は、本発明による洗浄装置100を断面においてより詳細に示す。この断面は、長手方向および垂直方向の平面、すなわち、座標系L、V、Tの長手方向軸Lと当該座標系L、V、Tの垂直方向軸Vとを含む平面で示されている。
【0041】
上述のように、洗浄装置100は、洗浄流体を搬送するための中空体110を備えている。中空体110内には、展開方向Dにおいて移動可能である可動ピストン120が収容されている。図面において、可動ピストン120は、その後退位置において示されている。図示のように、可動ピストン120は、中空スペース122を画定する周壁121を備えている。以下でより詳細に説明するように、この中空スペース122は、洗浄流体で充填されることが意図されている。中空体110の第1長手方向端部111を閉鎖するカバー112は、特に可動ピストン120の摺動をガイドする手段として機能するように、可動ピストン120の中空スペース122に延び入るシャフト112aを備えていることにも留意されたい。さらに、第1シール装置123が、カバー112のシャフト112aと、中空スペース122を画定する可動ピストンの周壁121との間に配置されている。より詳細には、カバー112のシャフト112aは、第1シール装置123が受容される環状凹部112bを備えている。図示の例によれば、第1シール装置123は、Oリングの形状を取っている。
【0042】
さらに、可動ピストン120内に設けられた中空スペース122は、異なる断面を有する少なくとも2つの部分を備えている。したがって、中空スペース122は、第1断面S1を有する第1部分122aと、第1部分122aの第1断面S1よりも小さい第2断面S2を有する第2部分122bとに事実上分割され得る。図示のように、カバー112のシャフト112aは、第1部分122a、すなわち中空スペース122のうち、最大の断面を有する部分に収容されている。このシャフト112aは、少なくとも部分的に、中空スペース122の第1部分122aの第1断面S1と同一、または実質的に同一の第3断面S3を有している。換言すれば、カバー112のシャフト112aは、少なくとも部分的に、中空スペース122を画定する周壁121に、より詳細には、この中空スペース122の第1部分122aを画定する当該周壁121の一部分に接触していることを理解されたい。
【0043】
中空スペース122の一方の部分から他方の部分への移行は突然であり、断面の変化は、中空スペース122を画定する周壁121の肩部121aによって達成されている。したがって、中空スペース122の第1部分122aは、長手方向において、一方でカバー112により、そして他方で可動ピストン120の周壁121の肩部121aにより画定されている。また、この中空スペース122の第2部分122bは、長手方向において、一方で周壁121の肩部121aにより、そして他方で洗浄流体の排出を可能とするように設けられた出口ポート125により画定されている。したがって、この出口ポート125は、可動ピストン120の自由端部に、すなわち、中空体110を超えて延びる当該可動ピストン120の端部に形成されている。具体的には、上述のように、可動ピストン120は、少なくとも部分的に、中空体110を超えて延びる。図示のように、可動ピストン120の通過を可能とするように、中空体110の第2長手方向端部114には開口116が設けられている。より詳細には、可動ピストン120がその後退位置にある場合、可動ピストン210の中空スペース122の第2部分122bの少なくとも一部が、この開口116を通過して延びている。可動ピストン120がその展開位置にある場合、中空スペース120の第2部分122b全体が、この中空スペース122の第1部分122aの少なくとも一部とともに、中空体110の第2長手方向端部114を超えて、延びている。
【0044】
この環状凸部126は、より詳細には、可動ピストン120の周壁121により保持されて、この周壁121の全周に亘って延びている。有利には、環状凸部126と可動ピストン120の周壁121とは、一体部品として、すなわち、周壁121または環状凸部126を損傷させることなく分解できない部品として形成される。図示のように、シールリング124が、この環状凸部126に接しており、このリング124は、中空体110の壁115にも接触している。より詳細には、このリング124は、中空体110の壁115に接触して配置された少なくとも1つの外側リップ124aと、可動ピストン120の周壁121に接触して配置された内側リップ124bと、を備えている。これらのリップは、それらの間に溝部124cが形成されるように配置されている。この溝部124cは、洗浄流体を受容することが意図されている。換言すれば、洗浄流体用の入口113は、このリング124において、より詳細には、当該リング124の溝部124cにおいて開口している。
【0045】
最後に、
図2に部分的に示す少なくとも1つの溝127が、可動ピストン120の周壁121に、より詳細には、周壁121の一部であって、中空スペース122の第1部分122aを画定するのに役立つ部分に構成されている。より正確には、この少なくとも1つの溝127は、可動ピストン120の端部から、カバーと、第1シール装置123が受容されている環状凹部112bとの間の長手方向の寸法よりも小さい長手方向に亘って延び、この自由端部において開口している。
【0046】
このようにして、
図2に示す後退位置において、溝127は、長手方向において、カバーと第1シール装置123との間で、これらの溝127が、後退位置における洗浄流体の通流方向に対して、第1シール装置123の常に上流に形成されるようにして延びている。したがって、少なくとも後退位置において、および溝が常に第1シール装置123の上流にある全ての中間位置において、このシール装置123により、洗浄流体FNが中空スペース122の第2部分122bに、ひいては出口ポート125に、不適切なタイミングで到達することが防止され得る。有利には、複数の溝127が、可動ピストン120の周壁121に、より詳細には、この周壁121の内面に、すなわち、中空スペース122に向く面であって、カバー112のシャフト112aに少なくとも部分的に接触する面に、形成されている。以下でより詳細に説明するように、これらの溝127は、洗浄流体FNの通流のためのチャネルを形成するとともに、この洗浄流体が中空スペース122の第2部分122bに、ひいては出口ポート125に到達することを可能にするように構成されている。
【0047】
中空体110は、上述のようにその2つの長手方向端部111、114において開口した円筒状の壁115を有している。したがって、第1長手方向端部111は、カバー112により閉鎖され、第2長手方向端部114は、開口116を通過して部分的に延びる可動ピストン112により閉鎖されている。中空体110の壁115は、中空体110の第2長手方向端部114から第1長手方向端部111に向かって延びるタブ117を有している。前記タブ117は、中空体110に収容されている。以下で説明するように、このタブ117は、可動ピストンの展開をガイドするとともに、可動ピストン120の周壁121に保持された環状凸部126に対するストッパを形成して可動ピストン120の展開を制限し、可動ピストンが中空体110から抜けてしまうことを防止することが意図されている。
【0048】
また、タブ117により、
図2に概略的に示す、第2長手方向端部114と可動ピストンの環状凸部126との間で延びるバネ10を受容するハウジングが画成され得る。バネは、洗浄装置が後退位置にある場合に、その静止位置にあるように構成されている。
【0049】
本発明による洗浄装置100により洗浄が開始されると、洗浄流体FNが、カバー112に設けられた流体入口113を介して中空体110に到達する。そして、洗浄流体は、シールリング、カバー、中空体の円筒状の壁、およびカバーのシャフトによって画定されたチャンバを満たす。同時に、洗浄流体FNは、可動ピストン120の周壁121に設けられた溝127内にも伝播するが、溝127の端部において流体の通流は停止される。
【0050】
チャンバを満たす流体は、リング124の溝部124cに特に流入し、リング124および関連する可動ピストンへの圧力を発生させる。この圧力がバネ10のスラスト力に対抗するのに十分なほど高くなると、流体の圧力により、可動ピストン120が展開方向Dにおいて移動する。可動ピストン120の展開中に、溝127が第1シール装置123を超えて延びることにより、その内部を通流する洗浄流体FNが中空スペース122の第2部分122bに到達することができ、次いで出口ポート125に到達することができ、これにより、洗浄流体が、洗浄装置100から出ることが可能となるステップが存在することを理解されたい。弾性復帰装置を形成するバネ10により、可動ピストンは、ガラス面300の洗浄後に後退することができる。
【0051】
以上から、本例において、可動ピストン120の展開が、洗浄装置の中空体110内に洗浄流体FNが到達することによって制御されることを理解されたい。これは一実施形態に過ぎず、本発明の文脈から逸脱することなく、電気モータまたは他の互換性のある手段を用いて、可動ピストン120を展開および後退させ得ることを理解されたい。
【0052】
上述のように、本装置は、可動ピストンが、ワイパーブレードと、洗浄流体を噴霧するための部材の両方に対する支持体を形成している点に特徴がある。より詳細には、可動ピストン120は、洗浄装置100のワイパーブレード130に機械的に接続されており、出口ポート125は、ワイパーブレード130の移動方向においてワイパーブレード130の上流で洗浄流体を噴霧するように構成された噴霧部材140と流体連通している。本発明による第1および第2実施形態は、特にこの噴霧部材140の形状および構成の観点から、互いに異なっている。
【0053】
次に、
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0054】
上述のように、ワイパーブレード130は、可動ピストン120に機械的に接続されている。図示の第1実施形態によれば、この機械的接続は、ワイパーブレード130の構造要素131をも形成する中間部品150によってなされる。本例において構造要素131は、ワイパーゴム132のヒール133を把持するように構成された2つのフック137を含む固定ゾーンの形態を取っていることにより、洗浄すべきガラス面に接触することが意図された払拭リップ134と、当該ガラス面300の最適な洗浄を保証するようにこの払拭リップ134が回動することを許容するヒンジとが自由になっている。また、
図1に、ワイパーブレード130が、この固定ゾーンをワイパーゴム132のヒール133に確実に保持するための少なくとも1つの端部キャップ136を含むことが示されている。換言すれば、この少なくとも1つの端部キャップ136は、構造要素131とワイパーゴム132とを一体的に保持するのに役立つ。選択的に、ワイパーブレード130は、上述の端部キャップを保持する端部の反対側のワイパーブレード130の端部に配置された、上述のものと同様または同一のさらなる端部キャップを含み得る。
【0055】
図2に示すように、中間部品150は、図示の座標系L、V、Tの垂直方向軸Vに沿って上下に配置された上部151と下部152とを有している。図示のように、ワイパーブレード130の構造要素131を形成する固定ゾーンは、この中間部品150の下部152に、すなわち、洗浄すべきガラス面300に最も近い中間部品の部分に形成されている。この固定ゾーンは、より詳細には、ワイパーゴム132のヒール133を間に挟む互いに対面した少なくとも2つのフック137を有している。この中間部品150の上部151は、U字の全体形状を有している。すなわち、中間部品150の上部151は、少なくとも1つの第1長手方向アーム153と、第1アーム153に平行な少なくとも1つの第2長手方向アーム154と、第1アームを第2アームに接続する少なくとも1つのベース155であって、第1アーム153および第2アーム154に対して垂直または実質的に垂直に延びるベース155と、を備えている。図示のように、このU字形状の上部151は、可動ピストン120の自由端部、すなわち、中空体110を超えて延びるこの可動ピストン120の端部であって、出口ポート125が形成された端部を受容するゾーンを形成している。換言すれば、中間部品150の上部151の第1アーム153および第2アーム154は、ベース155から中空体110に向かって延びていることを理解されたい。また、中間部品150の上部151のU字形状のベース155は、出口ポート125の反対側に配置された貫通孔156を有していることにも留意されたい。
【0056】
最後に、少なくとも第2シール装置128が、可動ピストン120の自由端部と、可動ピストン120のこの自由端部を受容するゾーンを画定するのに役立つ第1および第2アーム153、154との間に配置されている。より詳細には、この第2シール装置128は、可動ピストン120の周壁121の外面に形成された凹部129に配置されている。例えば、この第2シール装置128は、Oリングの形態を取り得る。
【0057】
中間部品150は、少なくとも1つのリム157をさらに備えている。リム157は、可動ピストン150を受容するためのゾーンを形成するU字形状のベース155から、中空体110から離れる方向に延びている。
【0058】
第1実施形態による洗浄装置100の噴霧部材140は、噴霧ヘッド141により形成されている。
図2に部分的に示すように、この噴霧ヘッド141は、中間部品150に設けられた貫通孔156に対面配置されたトラフ142を備えている。換言すれば、この貫通孔156により、可動ピストン150に形成された出口ポート125と、噴霧ヘッド141に形成されたトラフ142との流体接続が可能になることを理解されたい。
【0059】
トラフ142は、噴霧部材に対面するベース155の面とともに、洗浄流体通流チャネルの形成に役立つ。図示のように、このトラフ142は、垂直方向軸Vに対して主として平行に延びていることにより、展開方向Dに対して平行な方向において出口ポート125に到達した洗浄流体FNは、このトラフ142の端壁143によって、洗浄すべきガラス面300に向かって実質的に垂直に方向を変える。
【0060】
図3は、噴霧ヘッド141をより詳細に斜視図で示す。図示のように、トラフ142は、噴霧ヘッドの実質的に中央に配置された第1端部142aと、開放した第2端部142bとの間で延びている。開放した第2端部142bにより、洗浄流体は、洗浄すべきガラス面に噴霧され得る。これらの端部の間で、トラフ142は、その端壁143により、そして第1端部142aで合流する少なくとも2つの側壁144により画定されている。換言すれば、この第1端部142aを閉鎖するのは、これら2つの側壁144の接合部であることを理解されたい。逆に、トラフの第2端部142bにおいては、これら2つの側壁144は互いから離間して延びている。換言すれば、第2開放端部142bは、フレア形状を有している。すなわち、この第2端部142bは、第1端部142aから離れる方向において次第に大きくなる断面を有している。有利には、これにより、洗浄流体の噴霧角度を大きくすることができる。これにより、この洗浄流体をガラス面のより大きな表面積に亘って噴霧することができるため、このガラス面が良好に洗浄される。
【0061】
さらに、図示例において、トラフの第2端部は、このトラフを出る洗浄流体の噴流を分散させたり偏向させたりするように、トラフの出口に配置された傾斜平面に開口していることに留意されたい。この平面の傾斜は、洗浄流体の噴流がブレード130の上流で適切な角度になるように構成されている。
【0062】
トラフ142は、より詳細には、この噴霧ヘッド141が作業位置にある場合に、中空体の方を向く噴霧ヘッド141の面に形成されたスタッド145に構成されている。図示のように、このスタッド145は、スタッドが形成されている噴霧ヘッド141の面の面積より小さい面積を有しており、このスタッド145は、トラフ142の第1端部142aの上方に形成された少なくとも1つの平坦セグメント146を有している。この平坦セグメント146は、中間部品150のリム157と相互作用するように適合されている。リム157を、例えば
図4に示す。
【0063】
したがって、
図4は、噴霧ヘッド141が取り外された状態の第1実施形態による洗浄装置100を斜視図として示す。したがって、
図4は、噴霧ヘッドを受容する中間部品150の面、および、この中間部品150において可動ピストンの出口ポートの反対側に設けられた貫通孔156を特に明瞭に示す。本発明によれば、噴霧ヘッド141は、例えば、中間部品150に溶接され得る。これは、本発明を限定すべきではない単なる一例であることを理解されたい。さらに、中間部品150は、噴霧ヘッドと、より具体的には上述の平坦セグメントと相互作用することが意図されたリム157を備えている。したがって、リム157は、少なくとも1つのラグ158、図示例では2つのラグ158を備えている。ラグ158は、噴霧ヘッドに形成された平坦セグメントと相互作用することにより、噴霧ヘッド141を所定位置に保持することにも役立つ。
【0064】
次に、
図5~
図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
【0065】
まず、
図5は、第2実施形態による洗浄装置100を斜視図で示す。第1実施形態を参照して上述したように、洗浄装置100は、可動ピストン120が内部で摺動する中空の移送体110を備えている。また、洗浄装置100は、洗浄すべきガラス面300を払拭するためのワイパーブレード130を含んでいる。上述のように、このワイパーブレード130は、少なくとも1つの構造要素131と、ワイパーゴム132と、構造要素131とワイパーゴム132とを一体的に保持するように構成された少なくとも1つの端部キャップ136、有利には2つの端部キャップ136を備えている。さらにこのワイパーブレード130は、
図6により明瞭に示す中間部品160によって可動ピストンに機械的に接続されている。
【0066】
図6および
図7はいずれも、本発明の第2実施形態によるワイパーブレード130の断面を示す。これらの断面は、2つの長手方向および垂直方向の平面、すなわち、座標系の長手方向軸Lと垂直方向軸Vとが互いに離間して含まれる平面で示されている。したがって、
図6に示す断面は、中間部品160を通る平面で示され、
図7に示す断面は、中間部品とワイパーブレードの端部キャップのうちの一方との間を通る平面で示されている。
【0067】
この第2実施形態は、噴霧部材140が、ワイパーブレード130に組み込まれた少なくとも1つの噴霧バーによって形成されている点において、特に第1実施形態と異なっている。この噴霧バーは、少なくとも1つの洗浄流体通流チャネル147と、通流チャネル147を洗浄装置100の外部環境と連通させる少なくとも1つのダクト148と、を備えている。洗浄流体通流チャネル147は、ワイパーブレード130に、より詳細にはこのワイパーブレード130のワイパーゴム132のヒール133の上部149に設けられている。ダクト148は、例えば
図7に示されている。より具体的には、噴霧バーは、ワイパーブレードに沿って、2つの端部キャップの間に分散配置された複数のダクト148を有している。図示例において、噴霧部材は、2つの噴霧バーを備えている。2つの噴霧バーは、洗浄流体通流チャネル147により形成された共通部分を有し、かつ、それぞれワイパーブレードに沿って分散配置された複数のダクト148を有している。図示のように、2つの噴霧バー、より詳細にはこれらの噴霧バーのそれぞれのダクト148は、ワイパーゴム132の両側に配置されている。本発明によれば、これらのダクト148は、一度に噴霧バーの一方のみを介した洗浄流体の噴霧を可能とする図示しない閉鎖手段を設けられ得る。したがって、洗浄流体は、ピストンが展開段階または後退段階のいずれにあっても、ワイパーゴムの上流にシステマチックに噴霧され得る。これにより、洗浄流体は、噴霧された直後に払拭される。
【0068】
図6および
図7に示すように、ワイパーブレードの構造要素は、2つのバーテブラ138により形成されている。それぞれのバーテブラ138は、ワイパーゴム132のヒール133に形成されたハウジング139に、より詳細には、洗浄流体通流チャネル147が形成されたヒール133の上部149の下方に形成されたハウジング139に受容されている。
【0069】
図6に示すように、中間部品160は、第1実施形態による中間部品の上部と同一の上部161と、下部162と、を備えている。下部162は、互いに向かって延びる2つのフック163であって、ワイパーブレード130の構造要素を形成するバーテブラ138の一方をそれぞれ把持するフック163を備えている。
【0070】
さらに、この中間部品160は、中空体110から離れる方向に延びるリム166であって、洗浄流体を受容するためのチャンバ167と相互作用するリム166も有している。このチャンバ167は、中間部品に設けられた貫通孔168に対面するように配置されているとともに、可動ピストン120の出口ポート125に対面するように配置されていることに留意されたい。換言すれば、この貫通孔168により、可動ピストン120の出口ポート125と、洗浄流体を受容するためのチャンバ167との流体接続を確立することができる。このチャンバ167は、例えば、中間部品160に溶接され得るとともに、
図7に部分的に示すチューブ164により延長されている。チューブ164により、洗浄流体が受容されるこのチャンバ167を、ワイパーブレード130に形成された通流チャネル147に連通させることができる。
図5に示すように、チューブ164は、洗浄流体を前記キャップに開口する通流チャネルに向けて方向を変えるように構成されたキャップ136まで延びている。これは単なる一実施形態であり、本発明の範囲から逸脱することなく、他の既知の手段によりチャンバは中間部品に固定され得ることを理解されたい。
【0071】
図8に関して、本図は、搬送体から見た断面において、ワイパーブレード130を示す。この断面は、横方向および垂直方向の平面、すなわち、図示の座標系の横方向軸Tおよび垂直方向軸Vが含まれる平面で示されている。したがって、
図8は、可動ピストンの出口ポート125、ならびにワイパーブレード130に形成された通流チャネル147を特に明瞭に示す。図示のように、出口ポート125はチューブ164に接続され、チューブ164自体は端部キャップ136に接続され、端部キャップ136自体はワイパーブレード130に形成された洗浄流体通流チャネル147に流体連通している。洗浄流体は、中空体を出て、チューブ164、端部キャップ136、および通流チャネル147にこの順で到達する前に、可動ピストンに設けられた出口ポート125を通過する。したがって、部分的に示すように、供給チャネル165が、チューブ164に接続された端部キャップ136に形成され、この供給チャネル165は、チューブ164に延び入る第1端部165aと、ワイパーブレードに形成された通流チャネル147に延び入る少なくとも第2端部165bと、を備えている。有利には、このような配置構成により、洗浄液の漏れが制限され得る、さらには防止され得る。
【0072】
最後に
図9は、本発明による洗浄装置100を実現するための方法をブロック図で概略的に示す。図示のように、制御ユニット200は、当該ガラス面の汚れ状態に関する情報201を受信する。この情報201に基づいて、制御ユニット200は、ガラス面を洗浄すべきか否かを決定する。このガラス面の洗浄が必要な場合、制御ユニット200は、第1命令210を送信して洗浄装置100の可動ピストンを展開させる。上述のように、この第1命令210は、洗浄流体を中空体に供給させる命令、またはこの可動ピストンの展開を可能とするように構成された電気モータを始動させる命令に相当し得る。後者の場合、制御ユニット200は、第2命令220も、有利には同時に送信して、洗浄流体を洗浄すべきガラス面に向けて噴霧させる。可動ピストンの展開により、ワイパーブレードは、ガラス面を払拭する。こうして、ガラス面に噴霧された洗浄流体は、直ちにワイパーブレードにより乾燥する。有利には、この払拭により、単に洗浄流体を噴霧するのみでは洗浄できない汚れを洗浄することができる。可動ピストンを展開させる電気モータに関して、中空体110に収容された定位置のリターンスプリングがない場合、可動ピストンがその展開位置に達すると、制御ユニット200は、第3命令230を送信して可動ピストンを後退させ得る。有利には、この可動ピストンの後退により、ワイパーブレードによるさらなる払拭動作が可能となり、ガラス面を実際に洗浄したことが確実に保証され得ることを理解されたい。
【0073】
噴霧オリフィスをゴムの両側に有する本発明の第2実施形態の実現において、第2命令220は、より具体的には、2つの噴霧バーのうちの一方、本例では、ワイパーブレードの移動方向においてワイパーゴムの上流に配置されたダクトを備えた第1噴霧バーに送られた洗浄流体を噴霧させる命令である。制御ユニット200は、可動ピストンの後退シーケンスと同時に、第2噴霧バーにより洗浄流体を噴霧させる第4命令240を送信することが想定され得る。そして、第2噴霧バーのダクトは、ワイパーブレードの移動方向に対してワイパーゴムの上流に位置する。換言すれば、この代替例によれば、洗浄流体の噴霧は、ワイパーブレードの移動方向に応じて適合される。有利には、これにより、ガラス面の2回目の洗浄が可能となり、このガラス面のより効率的な洗浄が保証される。
【0074】
したがって、本発明は、運転支援システムの光学センサのガラス面の洗浄を向上させる単純で安価な方法を提案する。ワイパーブレードおよび噴霧ヘッドの両方に堅固に固定された可動ピストンを有する伸縮式ノズルに機能を統合することで、ノズルの展開に必要な動作と同じ動作でワイパーブレードの前後方向の移動が確保され得る。
【0075】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載および図示されている手段および構成に限定されるものではなく、すべての同等の手段および構成、ならびにそのような手段の技術的に機能的な組み合わせにも及ぶ。特に、噴霧部材およびワイパーブレードの形状および配置は、本明細書に記載された機能性を提供するものであれば、本発明を損なうことなく変更することができる。
【国際調査報告】