(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】自己平衡化単一車軸ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
B60P 1/00 20060101AFI20220804BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20220804BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20220804BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20220804BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20220804BHJP
B60P 1/16 20060101ALI20220804BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220804BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20220804BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B60P1/00 C ZHV
B60L1/00 L
B60L15/20 S
B60L50/61
B60K1/02 ZYW
B60P1/16 E
B60K1/04
B60K6/46
B60W10/08 900
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572893
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020065942
(87)【国際公開番号】W WO2020249552
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108578
【氏名又は名称】リープヘル マイニング イクイップメント ニューポート ニューズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ ハンター
【テーマコード(参考)】
3D202
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202EE04
3D235AA11
3D235BB19
3D235CC12
3D235CC16
3D235DD08
3D235DD11
3D235DD37
5H125AA12
5H125AC08
5H125BA06
5H125CA02
5H125CA11
5H125CC01
5H125DD01
5H125EE08
5H125EE53
5H125FF30
(57)【要約】
自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、フレームと、フレームに回動可能に取り付けられたダンプ本体と、自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中に少なくともフレームを支持する単一車軸とを備え、単一車軸は、少なくとも第1車輪及び第2車輪と、少なくとも第1車輪を駆動するための第1電気駆動モータ及び第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータとを有する、推進及び自己平衡化システムとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに傾動可能に取り付けられたダンプ本体と、
少なくとも自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中に前記フレームを支持し、少なくとも第1車輪及び第2車輪を有し、前記第1車輪を駆動するための少なくとも第1電気駆動モータ及び前記第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータを有する単一車軸を含む推進及び自己平衡化システムと、
を備える、自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項2】
前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを制御し、前記第1車輪と前記第2車輪との間の車輪速度差によって前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを操縦するように構成された操舵制御システムをさらに備える、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項3】
前記操舵制御システムが、前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを反対の回転方向に回転するように制御するように構成される、
請求項2に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項4】
自己平衡化制御システムと、
センサと、
前記センサから受信された信号に応じて前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを制御することによって、バランス姿勢で前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを水平にするように構成されたコントローラと、をさらに備える、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項5】
前記自己平衡化制御システムが、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの加速度及び前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックによって横断される地面の等級のうちの少なくとも1つに依存して前記バランス姿勢が変化するように、前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを制御するように構成される、
請求項4に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項6】
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを、自律モードで制御するための制御システムを備え、
前記制御システムが、ミッションを受信するために中央ミッションコントローラと遠隔通信し、前記ミッションに沿って前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを制御するように構成される、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項7】
前記フレームが、運転者のための運転室なしで構成される、
請求項6に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項8】
前記フレームに配置された支持脚と、
少なくとも部分的に前記フレームを支持する少なくとも第1の支持位置に前記支持脚を下降させるためと、前記フレームが単一車軸のみによって支持される少なくとも1つの駆動位置に前記支持脚を上昇させるためとの、少なくとも1つのためのアクチュエータと、
をさらに備える、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項9】
前記アクチュエータが、前記単一車軸の前記第1車輪及び第2車輪の少なくとも一方が地面から持ち上げられる第2の支持位置に前記支持脚を下降させるように構成される、
請求項8に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記支持脚を少なくとも1つの支持位置に機械的にロックするためのロックブラケットを備える、
請求項8に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御システムを備え、
前記制御システムが、運転中に前記支持脚の高さ位置を変化させるように構成される、
請求項8に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するための前記制御システムが、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの加速度及び前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックによって走行する地面の等級のうちの少なくとも1つに依存して、前記支持脚の高さ位置を変化させるように構成される、
請求項11に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するための前記制御システムが、前記支持脚の高さ位置を変化させて、地面に対する前記支持脚の距離を許容距離の範囲内及び/又は許容距離に維持するように構成されている、
請求項11に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項14】
前記支持脚にキャスタ車輪及び脚スキッドのうちの少なくとも1つが設けられている、
請求項8に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項15】
一次動力源として、
前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを駆動するための電気エネルギを生成するためのエンジン及び前記エンジンによって駆動されるオルタネータと、
前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータを駆動するための電気エネルギを供給するバッテリと、
の少なくとも1つのうちの1つをさらに備える、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項16】
質量バランス動作のために前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータに余分な電力を供給するための電気エネルギを蓄積する電気蓄積システム
をさらに備えることを特徴とする、
請求項15に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項17】
フルパワーモードにおいて、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの推進のために、エンジン及びバッテリのうちの少なくとも1つからの最大許容推進力を使用し、
前記フルパワーモードにおいて、蓄電システムと、エンジン及び/又はバッテリのパワーリザーブとのうちの少なくとも1つからの予期しない質量平衡事象のための余分なパワーを提供するように構成されたエネルギ制御システム
をさらに備えることを特徴とする、
請求項15に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項18】
少なくとも第1の制動モードで前記単一車軸ダンプトラックを制動するために、前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータに連結された電気リターダをさらに備え、
前記電気リターダが、前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータによって生成された電気エネルギを使用して、オルタネータを動力源として走行させるように構成され、
前記オルタネータが、制動中に前記単一車軸ダンプトラックの少なくとも1つの寄生電力消費源を駆動するように構成される、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項19】
前記第1車輪及び第2車輪の車輪軸受が、前記フレームに堅固に取り付けられている、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項20】
前記第1電気駆動モータ及び前記第2電気駆動モータが、それぞれ前記フレームに堅固に取り付けられ、
前記第1車輪が、前記フレーム及び前記第1電気駆動モータのうちの少なくとも1つに堅固に取り付けられた前記第1電気駆動モータの出力軸又は第1歯車の出力軸に堅固に取り付けられ、
前記第2車輪が、前記フレーム及び前記第2電気駆動モータのうちの少なくとも1つに堅固に取り付けられた前記第2電気駆動モータの出力軸又は第2歯車の出力軸に堅固に取り付けられる、
請求項19に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項21】
前記第1車輪及び第2車輪の車輪軸受が、サスペンションを介して前記フレームに取り付けられている、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項22】
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを制御するための無線コントローラをさらに備え、
前記無線コントローラが、完全な積み卸し制御及び制限された推進制御を可能にする、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項23】
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを牽引する牽引レセプタクルをさらに備える、
請求項1に記載の自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項24】
フレームと、
前記フレームに取り付けられた荷物運搬部と、
少なくとも自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中に前記フレームを支持し、少なくとも第1車輪及び第2車輪と、前記第1車輪を駆動するための少なくとも第1電気駆動モータ及び前記第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータとを備える単一車軸と、
前記フレーム上に配置された支持脚と、少なくとも前記支持脚を、少なくとも部分的に前記フレームを支持する少なくとも第1の支持位置に下ろすためのアクチュエータと、前記フレームが前記単一車軸のみによって支持される少なくとも1つの駆動位置に支持脚を上昇させるためのアクチュエータを有する推進及び自己平衡化システムと、
を含む自己平衡化単一車軸ダンプトラック。
【請求項25】
フレームと、前記フレーム上に回動可能に取り付けられたダンプ本体と、推進及び自己平衡化システムとを備える、自己平衡化単一車軸ダンプトラックを作動させるための方法であって、
前記推進及び自己平衡化システムは、
少なくとも自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中に前記フレームを支持し、
少なくとも第1車輪及び第2車輪と、
少なくとも前記第1車輪を駆動するための第1電気駆動モータ及び前記第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータとを有する単一車軸を備え、
前記方法は、
前記第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して駆動トルクを発生させることによる前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの駆動工程と、
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの走行中に、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックに、前記駆動トルクと組み合わせた自己平衡化トルクを発生させて自己平衡化を行う工程と、
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運転中に、前記第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して前記第1車輪と第2車輪との間の車輪速度差を発生させることにより、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを操縦する工程と、
を含む方法。
【請求項26】
前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの停止工程と、
支持脚を、少なくとも部分的にフレームを支持する少なくとも1つの支持位置に下げる工程と、
少なくとも1台の前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの前記ダンプ本体に積載して積み込み、前記ダンプ本体を持ち上げて積み卸しする工程と、
をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第1の角度方向に回転するように前記第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御することによって、ダンプミッションの荷重位置及びダンプ位置の一方から前記荷重位置及び前記ダンプ位置の他方への第1の駆動方向への前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの駆動工程と、
自己平衡化単一車軸ダンプトラックの停止工程と、
前記ダンプ本体を積載することによって前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを積載するか、又は前記ダンプ本体を持ち上げることによって前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを積み卸しする工程と、
旋回することなく、前記第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを前記第1の角度方向と反対側の第2の角度方向に回転するように制御することによって、前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックをダンプ位置又は第1の駆動方向と反対側の第2の駆動方向における荷重位置に戻すように駆動する工程と、
をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
中央ミッションコントローラからミッションを受信する工程と、
前記ミッションに沿って自律的に自己平衡化単一車軸ダンプトラックを制御する工程と、を含む前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックの制御システムによって実行される、
請求項25に記載の方法。
【請求項29】
遠隔操縦装置を用いて前記自己平衡化単一車軸ダンプトラックを手動制御する工程をさらに含む、
請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本出願は、「自己平衡化単一車軸ダンプトラック」に関して2019年12月23日に出願された米国仮出願第62/953,164号、及び「自己平衡化単一車軸ダンプトラック」に関して2019年6月11日に出願された米国仮出願第62/859,984号の優先権を主張する。これらの列挙された出願の全内容は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、トラックに関し、特に、鉱山に使用されるオフロードダンプトラック、又は土砂運搬用途に使用されるオンロード又はオフロードダンプトラックなどのダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のダンプトラックは、少なくとも2本の車軸上に支持されたフレームを備える。少なくとも前車軸は、前輪の操舵角を変更するための操舵システムを備える。少なくとも後車軸は、電気駆動モータのような推進システムを備える。
【0004】
従来のダンプトラックには運転室が設けられており、そこから運転者がトラックを制御する。さらに、自律モードを備えているダンプトラックも存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ダンプトラック、特にオンロード又はオフロードダンプトラックのための改良された概念を提供することである。より高い運転効率、より高い生産性、低減された保守コスト、トン当たりの低減されたコスト、及び低減された複雑さを含むことも目的となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これら及び他の目的は、本開示の実施形態によって解決することができる。
【0007】
本開示は、自己平衡化単一車軸トラックのための概念を提供する。
【0008】
一態様では、トラックは、単一車軸を有してもよく、積載された質量体は、車軸の上方に吊り下げられてもよい。この概念は、安定性を維持するのに適した制御を備えた倒立振子設計に基づくことができる。2本の車両軸を橋渡しするために必要とされる構成要素及び構造の固有の減少は、高い積載重量:空車両重量(EVW)の比を提供し、結果として、より高い運転効率、より高い生産性、メンテナンス費用の減少、及びトン当たりの費用の減少をもたらし得る。さらに、複雑さを低減することができる。
【0009】
一態様では、操舵は、車輪速度差によって達成されてもよい。その結果、トラックは操縦性と効率のためにゼロターン半径を持ってもよい。トラックに従来必要であった操舵部品を除去することは、費用、重量及び複雑さを低減する可能性がある。
【0010】
一態様では、トラックは、通常動作中の運搬サイクル中に必要とされる操縦及び時間を最小限に抑えるために、いずれかを優先することなく、どちらの方向にも移動することができる。
【0011】
一態様では、油圧的又は電気的に作動する支持脚を利用して、単一車軸自己平衡化トラックを安定させる方法を提供して、必要なときにトラックを直立状態に保つことができる。これらの脚部は、一旦展開されるとエネルギを必要とせず、効率を改善し、トラックの運転コストを削減することができる。
【0012】
一態様では、トラックは、フレーム上に傾動可能に取り付けられたダンプ本体を備えるダンプトラックであってもよい。ダンプ本体の持ち上げは、油圧傾動シリンダ装置を使用して行うことができる。
【0013】
一態様では、トラックは、ディーゼル、電気化学エネルギ貯蔵、キャパシタ、トロリー、及び他のもの又はこれらの組合せを含む多数のエネルギ源によって動力供給され得る。
【0014】
一態様では、トラックを自律的に制御することができ、オペレータ及びオペレータの快適さに関連する特徴を、従来では2つ以上の車軸にまたがっていた操舵構成要素、サスペンション構成要素、及びメインフレーム構成要素のうちの少なくとも1つと共に除去することができる。これは、コストがより低く、メンテナンスがより少なく、運搬サイクルがより速く、積載質量がより高く、生産性がより高く、その後、トン当たりのコストがより低い、より単純な設計を作り出すことができる。
【0015】
自律制御のトラックは、開始位置から終了位置へ移動するために、事前設定された軌道を使用してもよい。トラックの現在位置を識別し、所定の軌道に沿ってトラックを制御する車両制御システムが提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】トラックの一実施形態の機能部品を示す概略図である。
【
図2】トラックの一実施形態の制御システムの概略図である。
【
図3】第1の機械的概念のトラックを示す斜視図である。
【
図4】第1の機械的概念のトラックを示す(a)側面図及び(b)平面図である。
【
図5】第1の機械的概念のトラックを示す分解図である。
【
図6】第1の機械的概念のダンプ本体が持ち上げ位置にあるトラックを示す(a)面図、(b)斜視図及び(c)側面図である。
【
図7】第1の機械的概念のトラックのダンプ本体を示す(a)平面図、(b)斜視図及び(c)側面図である。
【
図8】第1の機械的概念の支持脚用のロックブラケットを示す模式図である。
【
図9】第1の機械的概念であるトラックの牽引概念の側面図である。
【
図10】第2の機械的概念のトラックを示す斜視図である。
【
図11】第3の機械的概念のトラックを示す斜視図である。
【
図12】トラックを操作する方法に係る第1の実施形態の動作を示す図である。
【
図13】トラックを操作する方法に係る第2の実施形態の動作を示す図である。
【
図14】トラックを操作する方法に係る第3の実施形態の動作を示す図である。
【
図15】トラックを操作する方法に係る第4の実施形態の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2は、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の実施形態に係る機能部品及びそのようなダンプトラックのための制御システムを概略図で示す。
図3~
図11は、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の実施形態に係る機械的構成態様を示す。
【0018】
自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、フレーム2と、このフレーム2上に回動可能に取り付けられたダンプ本体30とを備えることができる。特に、ダンプ本体30は、水平傾動軸31を有するフレーム2上に配置されてもよい。ダンプ本体30は、堆積物74として概略的に示される材料が堆積されてもよい。ダンプ本体30の持ち上げは、少なくとも1つの持ち上げアクチュエータ33によって達成することができる。ダンプ本体を持ち上げることによって、ダンプ本体に含まれる材料をダンプ本体から滑り出させることができる。一実施形態では、ダンプ本体30を持ち上げるために、少なくとも1つの油圧シリンダ33を設けることができる。
【0019】
自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の運動中に少なくともフレーム2を支持する単一車軸3をさらに備え、この単一車軸3は、少なくとも第1車輪4及び第2車輪5と、少なくとも第1車輪4を駆動するための第1電気駆動モータ6及び第2車輪5を駆動するための第2電気駆動モータ7とを備える、推進及び自己平衡化システムをさらに備えてもよい。自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の質量は、空の条件及び荷重条件の両方で、単一車軸の上方に吊り下げられてもよい。
【0020】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を制御し、第1車輪4と第2車輪5との間の車輪速度差によって単一車軸ダンプトラック1を操舵するように構成された操舵制御システム19をさらに備えることができる。
【0021】
一実施形態によると、操舵制御システムは、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを反対の回転方向に回転するように制御するように構成されてもよい。
【0022】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、センサ21と、センサ21から受信した信号に応じて第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を制御することにより、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を制御し、平衡姿勢で単一車軸ダンプトラック1を水平にするように構成されたコントローラ20とを備える自己平衡化制御システムをさらに備えることができる。一実施形態では、センサ21は、加速度計、傾斜計、磁力計、ジャイロスコープ、車輪角速度及び位置のためのロータリエンコーダ、地面検知のためのレーダ/LIDAR、機首方位/速度/位置のためのGPS、積載質量を測定するための圧力変換器、支持脚位置を測定するためのリニアエンコーダ、自律制御関連センサのうちの、いくつかのセンサのうちの1つ又は組合せとすることができる。一実施形態によると、センサは慣性測定ユニット(IMU)であってもよい。
【0023】
一実施形態では、コントローラ20は、マイクロプロセッサユニット、入出力ポート、実行可能プログラムのための電子記憶媒体(例えば、実行可能命令)、及び非一時的読み出し専用メモリを含むマイクロコンピュータであってもよい。コントローラは、通信チャンネル又はデータバスを介して車両システムの様々な構成要素に結合され得る。
【0024】
一実施形態によると、自己平衡化制御システムのコントローラ20は、センサ21のセンサ出力を処理して、単一車軸ダンプトラックの自己平衡化の傾斜を決定し、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を制御して傾斜を所望の傾斜に維持するように構成することができる。
【0025】
望ましい傾斜は、単一車軸ダンプトラックの自己平衡化に関する荷重配分に依存して、単一車軸ダンプトラックの自己平衡化によって決定されるバランスのとれた傾斜であってもよい。特に、バランスのとれた傾斜は、重心が単一車軸の上方に位置して、単一車軸ダンプトラックをバランスのとれた状態に維持するように決定することができる。荷重配分は、車両の運転中に変化することがあり、その結果、バランスのとれた傾斜が等しく変化することがある。これは、トラックのダンプ本体が積載物で不均衡に積載されているためという可能性がある。空運転時には、トラックに集まったゴミ、ダンプ運転後にダンプ本体に残った積載物、又は燃料使用量によって、負荷配分が変化する場合がある。
【0026】
バランスのとれた傾斜は、ダンプ本体の負荷状態を決定するために、ダンプ本体上車輪角速度及び/又はロードセルのような他のセンサデータに基づいて決定されてもよい。車両制御システムは、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を制御して、単一車軸の周りの角加速度が必要でない場合に、バランスのとれた傾斜で、傾斜を維持することができる。
【0027】
車両制御システムによって許容される最大バランス傾斜は、両方向に2°を超えてもよく、両方向に4°を超えてもよく、又は両方向に5°を超えてもよい。車両制御システムによって許容される最大バランス傾斜は、両方向に20°未満、両方向に12°未満、又は両方向に8°未満であってもよい。
【0028】
所望の傾斜は、さらに、単一車軸ダンプトラックを加速し、及び/又は勾配を有する地面上で単一車軸ダンプトラックを、自己平衡化を行うために必要とされる単一車軸の角加速度に基づいて、単一車軸ダンプトラックを自己平衡化することによって決定される角加速度であってもよい。特に、単一車軸の周りの角加速度が必要とされる場合、角加速度は、単一車軸ダンプトラックを加速し、及び/又は勾配を有する地面上で単一車軸ダンプトラックを自己平衡化するために、駆動モータによって生成される角加速度に対抗する単一車軸周りの角加速度を生成するために、重心が単一車軸の前方又は後方に位置するように決定されてもよい。
【0029】
車両制御システムによって許容される最大角加速度は、両方向に10°を超えてもよく、両方向に15°を超えてもよく、又は両方向に20°を超えてもよい。車両制御システムによって許容される最大角加速度は、両方向に40°未満、両方向に35°未満、又は両方向に30°未満であってもよい。
【0030】
一実施形態において、自己平衡化制御システムは、自己平衡化単一車軸ダンプトラックの加速度及び自己平衡化単一車軸ダンプトラックによって横断される地面の等級のうちの少なくとも1つに依存して、単一車軸ダンプトラック上の傾斜が変化するように、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御するように構成することができる。
【0031】
一実施形態において、自己平衡化制御システムは、ダンプトラックが、正の加速度では駆動方向に向かって傾き、減速時には駆動方向に逆に傾くように構成されてもよい。
【0032】
一実施形態では、自己平衡化制御システムは、ダンプトラックが、勾配を有する地面を横断するときに、正の勾配の方向、すなわち、坂側に向かって傾斜するように構成されてもよい。
【0033】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、自律モードで単一車軸ダンプトラック1を制御するための制御システム10をさらに備えることができる。
【0034】
一実施形態では、制御システム10は、ミッションを受信し、ミッションに沿って単一車軸ダンプトラック1を自律的に制御するために、中央ミッションコントローラ100と遠隔通信するように構成されてもよい。
【0035】
一実施形態では、フレームは、運転者のための運転室なしで構成されてもよい。従って、作動時には、単一車軸ダンプトラック1は、常に自律モード又は遠隔操作によって作動することができる。
【0036】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、フレーム上に配置された支持脚34と、少なくとも支持脚34を少なくとも部分的にフレーム2を支持する少なくとも第1の支持位置に下ろし、フレーム2が単一車軸3によってのみ支持される少なくとも1つの駆動位置に支持脚34を上昇させるための、少なくとも1つのアクチュエータ36とをさらに備えることができる。
【0037】
一実施形態によると、アクチュエータ36は、単一車軸3の第1車輪4及び第2車輪5の少なくとも一方が地面から浮き上がっている第2の支持位置に支持脚34を下降させるように構成することができる。
【0038】
一実施形態によると、少なくとも1つのアクチュエータ36は、支持脚34を少なくとも1つの支持位置に機械的にロックするためのロックブラケット37を備えることができる。アクチュエータ36は、例えば、油圧アクチュエータ又は電動アクチュエータであってもよい。
【0039】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、少なくとも1つのアクチュエータ36を制御するための制御システム18をさらに備えることができ、制御システム18は、運転中に支持脚34の高さ位置(高度位置)を変えるように構成される。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御システムは、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の加速度及び単一車軸ダンプトラック1によって走行される地面の等級のうちの少なくとも1つに依存して、支持脚34の高さ位置を変化させるように構成される。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ36を制御するための制御システムは、支持脚34の高さ位置を変化させて、地面に対する支持脚の距離が、許容される距離の範囲内及び/又は許容される距離に収まるように維持するように構成される。一実施形態では、許容距離及び許容距離の少なくとも一方の範囲外の任意の許容距離は、10センチメートルよりも大きくてもよく、又は25センチメートルよりも大きくてもよい。
【0042】
一実施形態によると、単一車軸ダンプトラック1は、少なくとも1つの前部支持脚34と少なくとも1つの後部支持脚34とを有する。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ36を制御するための制御システムは、少なくとも1つの前部支持脚34を第1高さ位置に配置し、少なくとも1つの後部支持脚34を第1高さ位置とは異なる第2高さ位置に配置するように構成される。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ36を制御するための制御システムは、推進動作の開始時に支持脚を地面に接触しない駆動位置まで上昇させ、通常の推進動作時に支持脚を地面に接触しない状態に維持するように構成されてもよい。
【0045】
一実施形態において、少なくとも1つのアクチュエータ36を制御するための制御システムは、特に緊急時の状況において、自己平衡化制御システムが駆動モータの制御によって単一車軸ダンプトラックのバランスを維持することができない場合に、単一車軸ダンプトラックの少なくとも1つの長手方向側で支持脚を下げるように構成することができる。
【0046】
一実施形態では、支持脚34には脚スキッド35が設けられている。
【0047】
一実施形態では、支持脚34にはキャスタ車輪92が設けられている。
【0048】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、一次動力源として、エンジン11と、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7を駆動するための電気エネルギを生成するエンジン11によって駆動される交流発電機12とをさらに備えることができる。
【0049】
一実施形態によると、エンジン11はディーゼルエンジンであってもよい。
【0050】
一実施形態によると、エンジン11の出力軸13は、油圧ポンプ、ベンチレータ及び/又は冷却システムなどの寄生負荷14に機械的に連結されてもよい。機械的連結部15は、例えば、ベルト駆動部、直接連結部、ギヤボックス、駆動軸及び直接連結スプライン連結部の少なくとも1つを介して設けられてもよい。
【0051】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、一次電源として、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを駆動するための電気エネルギを供給するためのバッテリを備えることができる。自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、特に、バッテリ電気自動車(BEV)として、すなわち、エンジンなしに構成することができる。
【0052】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、質量平衡動作のために第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7に余分な電力を供給するための電気エネルギを蓄えるための電気蓄積システム16をさらに備えることができる。
【0053】
一実施形態では、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、フルパワーモードにおいて、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の推進のためにエンジン11及び/又はバッテリからの最大許容出力を使用し、フルパワーモードにおいて、蓄電システム16と、エンジン11及び/又はバッテリのパワーリザーブとのうちの少なくとも1つからの予期しない質量平衡事象のための余分な電力を提供するように構成されたエネルギ制御システム17をさらに備えることができる。
【0054】
一実施形態によると、エンジン11からの最大許容出力は、エンジン11の作動からの最大利用可能出力とすることができる。代替の実施形態では、エンジン11からの最大許容出力は、エンジン11の作動からの最大利用可能出力を下回ることができる。
【0055】
一実施形態によると、電気蓄積システム16は、ウルトラキャパシタを含んでもよい。
【0056】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、少なくとも第1の制動モードで単一車軸ダンプトラック1を制動するために、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7に連結された電気リターダをさらに備えることができ、電気リターダは、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7によって生成された電気エネルギを使用してエンジンとして交流発電機12を作動させるように構成され、交流発電機12は、制動中に単一車軸ダンプトラック1の少なくとも1つの寄生電力消費源14を駆動するように構成される。
【0057】
あるいは、又は加えて、電気リターダは、補助インバータ27を介して寄生電力消費源28に電力を供給するために、制動中に第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7によって生成された電気エネルギを使用するように構成されてもよい。
【0058】
あるいは、又は加えて、電気リターダは、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7によって生成された電気エネルギを、ブレーキチョッパー29及びグリッドボックス22を介して熱に変換するように構成することができる。
【0059】
自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の一実施形態において、第1車輪4及び第2車輪5車輪軸受は、フレーム2上に堅固に取り付けられている。
【0060】
一実施形態では、車輪軸受は、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7の出力軸の回転軸受によって、及び/又は第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7によって駆動される第1歯車8及び第2歯車9の出力軸の回転軸受によって提供されてもよい。
【0061】
自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の一実施形態において、第1電気駆動モータ6及び第2電気駆動モータ7は、それぞれフレーム2上に堅固に取り付けられている。取り付けは、直接であっても、それぞれの歯車を介して行ってもよい。
【0062】
自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の一実施形態では、第1歯車8及び第2歯車9は、それぞれフレーム2上に堅固に取り付けられている。第1電気駆動モータ6は第1歯車8に取り付けられてもよく、第2電気駆動モータ7は第2歯車9に取り付けられてもよく、第1歯車8と第2歯車9は各フレーム2に堅固に取り付けられてもよい。
【0063】
一実施形態では、第1車輪4は、第1電気駆動モータ6の出力シャフト、又はフレーム2及び第1電気駆動モータ6のうちの少なくとも1つに堅固に取り付けられた第1歯車8の出力シャフトに堅固に取り付けられ、第2車輪5は、第2電気駆動モータ7の出力シャフト、又はフレーム2及び第2電気駆動モータ7のうちの少なくとも1つに堅固に取り付けられた第2歯車9の出力シャフトに堅固に取り付けられる。
【0064】
一実施形態によると、歯車8,9のうちの少なくとも1つの出力軸は、歯車の外側ケーシング80,90に設けられてもよい。一実施形態によると、第1車輪及び第2車輪のうちの少なくとも1つのタイヤ40,50をギヤリングの外側ケーシング80,90に取り付けることができる。
【0065】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、第1電気駆動モータ6に接続された第1歯車8と、第2電気駆動モータ7に接続された第2歯車9とをさらに備えることができる。さらに、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、第1車輪4の第1タイヤ40と、第2車輪5の第2タイヤ50とを備えることができ、第1車輪4は、第1歯車の出力軸を形成する第1歯車のケーシング80に取り付けられ、第2車輪5は、第2歯車8の出力軸を形成する第2歯車8のケーシング90に取り付けられる。
【0066】
代替の実施形態では、第1車輪及び第2車輪の車輪軸受は、サスペンションを介してフレームに取り付けられてもよい。
【0067】
一実施形態によると、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、単一車軸ダンプトラック1を制御するための無線コントローラ23をさらに備えることができ、無線コントローラ23は、完全な積み卸し制御及び制限された推進制御を可能にする。
【0068】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、単一車軸ダンプトラックを牽引する牽引レセプタクル55をさらに備えてもよい。牽引レセプタクル55は牽引ボルトの挿入のために構成することができ、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1が非通電であれば、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の荷重を担持する垂直ストッパ56を備えることができる。
【0069】
図10及び
図11は、ダンプトラックを安定させるために使用される支持脚の代替的な機械的構成を示し、支持脚にはキャスタ車輪92が設けられている。
【0070】
これまで、本出願は、フレームに旋回可能に取り付けられたダンプ本体を備えるダンプトラックに関して説明されてきた。しかしながら、本出願の概念は、フレームに旋回可能に取り付けられたダンプ本体を備えるダンプトラックと共に使用されることに限定されず、任意のトラック用途に使用されてもよい。
【0071】
例えば、第2の実施形態では、フレーム2と、このフレーム2に取り付けられたルーフレール30と、自己平衡化単一車軸ダンプトラック1の運動中に少なくともフレーム2を支持する単一車軸3とを備える推進及び自己平衡化システムとを備える自己平衡化単一車軸ダンプトラック1が提供され、単一車軸3は、少なくとも第1車輪4及び第2車輪5と、第1車輪4を駆動するための少なくとも第1電気駆動モータ6と、第2車輪5を駆動するための第2電気駆動モータ7とを備える。自己平衡化単一車軸ダンプトラック1は、フレーム2上に配置された支持脚34と、支持脚34を少なくとも部分的にそれらがフレーム2を支持する少なくとも第1の支持位置に下ろし、フレーム2が単一車軸3によってのみ支持される少なくとも1つの駆動位置に支持脚34を上昇させるための少なくとも1つのアクチュエータ36とをさらに備えることができる。
【0072】
第2の実施形態では、荷台は、フレーム上に堅固に取り付けられてもよい。それ以外の点では、第2の実施形態は、ダンプトラックの実施形態に関して上述され及び以下で説明されるのと同じ特徴を有することができる。
【0073】
自己平衡化単一車軸ダンプトラックを作動させる方法に係る実施形態を
図12~
図15に示す。例えば、
図12~
図15に示された方法を実施するための命令は、コントローラのメモリ上に記憶された命令に基づいて、また
図1を参照して上述されたセンサ21のようなエンジンシステムのセンサから受信された信号に関連して、コントローラ(例えば、
図1に示されたコントローラ20、コントローラ100、及びコントローラ23のようなもの)によって実行されてもよい。制御装置は、後述する方法に従って動作を調整するために、支持脚を下げるためのアクチュエータ(例えば、
図3のアクチュエータ36及び支持脚35など)のような、自己平衡化単一車軸ダンプトラックのアクチュエータを採用してもよい。
【0074】
一実施形態によると、本方法は、フレームと、フレーム上に傾動可能に取り付けられたダンプ本体と、推進及び自己平衡化システムとを備える、自己平衡化単一車軸ダンプトラックを作動させることに関し、推進及び自己平衡化システムは、少なくとも自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中にフレームを支持する単一車軸を有し、この単一車軸は、少なくとも第1車輪及び第2車輪を備え、第1車輪を駆動するための少なくとも第1電気駆動モータと、第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータとを備える。
【0075】
一実施形態において、本方法は、上述又は以下に記載されるように、自己平衡化単一車軸ダンプトラックを動作させることに関する。
【0076】
図12は、本方法に係る第1の実施形態を示す。この方法は、以下のブロックS1~S3を含むことができる。
【0077】
ブロックS1は、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して駆動トルクを発生させることによって、単一車軸ダンプトラックを駆動することを含むことができる。
【0078】
ブロックS2は、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して、駆動トルクと組み合わされる自己平衡化トルクを発生させることにより、単一車軸ダンプトラックを自己平衡化することを含むことができる。ブロックS2は、単一車軸ダンプトラックを駆動するブロックS1と同時に行うことができる。ブロックS2は、特に、センサ出力を読み取り、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して、センサ出力に基づいて自己平衡化トルクを生成することを含むことができる。センサ出力は、単一車軸ダンプトラックの自己平衡化の傾斜を決定するために処理されてもよい。
【0079】
ブロックS3は、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御して第1車輪と第2車輪との間の車輪速度差を発生させることによって、単一車軸ダンプトラックを操縦することを含むことができる。ブロックS3は、単一車軸ダンプトラックを第1の駆動方向に駆動するブロックS1と同時に行うことができる。
【0080】
一実施形態によると、ブロックS3は、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを反対の回転方向に回転するように制御することを含むことができる。
【0081】
図13に示すさらなる実施形態では、本方法は、以下のブロックS4~S7を含むことができる。
【0082】
ブロックS4は、単一車軸ダンプトラックを駆動するステップを含み、単一車軸ダンプトラックは、単一車軸のみに支持される。ブロックS4は、サブブロックとしてブロックS1~S3を含むことができる。
【0083】
ブロックS5は、単一車軸ダンプトラックを停止することを含むことができる。特に、ブロックS5は、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御すること及びブレーキを制御することのうちの少なくとも1つによって、単一車軸ダンプトラックを停止させることを含むことができる。特に、第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータは、制動トルクを発生させるように制御することができ、ブレーキは、制動力を加えて単一車軸ダンプトラックを停止させるように制御することができる。
【0084】
ブロックS6は、支持脚を、少なくとも部分的にフレームを支持する少なくとも1つの支持位置に下降させるステップを含むことができる。
【0085】
ブロックS7は、ダンプ本体に積荷して単一車軸ダンプトラックに積載すること及びダンプ本体を傾動させることによって単一車軸ダンプトラックの積載物を卸すことの少なくとも1つを含むことができる。
【0086】
図14に示すさらなる実施形態では、本方法は、以下のブロックS8~S11を含むことができる。
【0087】
ブロックS8は、第1の角度方向に回転するように第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御することによって、単一車軸ダンプトラックを第1の駆動方向に駆動することを含むことができる。特に、ブロックS8は、積載位置からダンプ位置へ、又はダンプ位置から装填位置へ、第1の駆動方向に単一車軸ダンプトラックを駆動することを含むことができる。荷重位置及び投棄位置は、任務によって定義されてもよい。
【0088】
本出願の実施形態では、ブロックS8は、サブブロックとしてブロックS1~S3を含むことができる。
【0089】
ブロックS9は、単一車軸ダンプトラックを停止することを含むことができる。本出願の実施形態では、ブロックS9は、サブブロックとしてブロックS6を含むことができる。具体的には、本実施形態は、支持脚を少なくとも1つの支持位置に下降させるステップを含むことができ、支持脚は、車両の停止前、停止中、又は停止後にフレームを少なくとも部分的に支持する。
【0090】
ブロックS10は、ダンプ本体に積載して単一車軸ダンプトラックを積荷することと、ダンプ本体を持ち上げることによって単一車軸ダンプトラックをアンロードすることとの少なくとも一方を行うことができる。
【0091】
ブロックS11は、単一車軸ダンプトラックを方向転換せずに第2の駆動方向に駆動することを含むことができる。特に、ブロックS11は、第1の角度方向と反対側の第2の角度方向に回転するように第1電気駆動モータ及び第2電気駆動モータを制御することによって、第1の駆動方向と反対側の第2の駆動方向に単一車軸ダンプトラックを駆動することを含むことができる。
【0092】
一実施形態において、ブロックS11は、ダンプ位置へ、又は荷積み位置からダンプ位置へ、単一車軸ダンプトラックを第2駆動方向に駆動するステップを含んでもよい。
【0093】
本出願の実施形態では、ブロックS11は、移動方向を逆にしたサブブロックとしてブロックS1~S3を含むことができる。特に、実施形態は、単一車軸ダンプトラックを第2の駆動方向に駆動する前、駆動中、又は駆動後に、支持脚を少なくとも1つの移動位置に上昇させることを含むことができる。
【0094】
以下に、単一車軸車両の制動、停止、再加速及び始動の方法を開示する。これらの方法は、特に、フレームと、ダンプ本体と、自己平衡化単一車軸ダンプトラックの運動中に少なくともフレームを支持する単一車軸とを備え、この単一車軸が少なくとも第1車輪及び第2車輪と、第1車輪を駆動するための少なくとも第1電気駆動モータと、第2車輪を駆動するための第2電気駆動モータとを有する、自己平衡化単一車軸トラックと共に使用することができる。一実施形態では、ダンプ本体は、フレームに固定的に、又は旋回可能に取り付けることができる。
【0095】
一実施形態において、本方法は、上述又は以下に記載されるように、自己平衡化単一車軸ダンプトラックを動作させることに関する。
【0096】
これらの方法は、本出願に開示されるさらなる方法とは独立して、又はこれらの方法の一部として使用されてもよい。
【0097】
本出願の一実施形態では、推進動作から車両を制動又は停止することは、第1及び第2の駆動モータを制御して、車両を、前後方向から第1の方向に、特に進行方向に傾斜している推進状態から、前後方向から第2の方向に、特に進行方向から離れて後方に傾斜している制動状態に移行させることを含むことができる。これは、特に、車両が平坦かつ/又は堅固な地面を走行している推進動作から車両を制動又は停止させる場合であり得る。
【0098】
一実施形態では、これは、車両を後方に傾斜させるために、第1及び第2の駆動モータを制御して、車両を前方方向にスピードアップ及び/又は過推進させることを含むことができる。
【0099】
一実施形態では、車両が制動状態にあり、特に後方に傾斜し、最初の走行方向から離れると、ブレーキを制御して制動力を加え、かつ/又は駆動モータを制御して速度を低下させ、かつ/又は車輪に制動トルクを発生させることによって、車両の速度が低下する。
【0100】
本出願のさらなる実施形態では、制動動作から車両を再加速するステップは、車両が、前方方向及び後方方向から外れて第2の方向に傾いている制動状態から、特に進行方向から離れて、前方方向及び後方方向から外れて第1の方向、特に進行方向に向かって傾いている推進状態へ、車両を通過させるように、第1及び第2の駆動モータを制御するステップを含むことができる。これは、特に、車両が平坦かつ/又は堅固な地面上を走行しているブレーキ動作から車両を再加速する場合に当てはまる。
【0101】
一実施形態では、これは、車両を前方に傾斜させるために、第1及び第2の駆動モータ及び/又はブレーキを制御して、車両をさらに減速及び/又はオーバーブレーキすることを含むことができる。一実施形態では、車両が一旦推進状態にあり、特に進行方向に向かって傾いている場合にのみ、車両速度は、車輪に推進トルクを発生させるように駆動モータを制御することによって増加される。
【0102】
本出願のさらなる実施形態では、車両を休止状態から始動させることは、車両を前方及び後方方向から外れ、特に進行方向に向かって第1の方向に傾斜している推進状態に車両を乗り換えるように第1及び第2の駆動モータを制御することを含むことができる。これは、特に、平坦な及び/又は堅固な地面上で車両を始動させる場合に当てはまる。
【0103】
一実施形態では、車両を前方に傾斜させるために、第1及び第2の駆動モータを制御して、車両を進行方向と反対の方向に駆動することを含むことができる。一実施形態では、車両が一旦推進状態にあり、特に進行方向に向かって傾いている場合にのみ、駆動モータは、車両を進行方向に推進するように制御される。
【0104】
図15は、一方法に係るさらなる実施形態を示す。この方法は、単一車軸ダンプトラックの制御システムによって行うことができる。この方法は、ブロックS12及びS13を含むことができる。
【0105】
ブロックS12は、中央ミッションコントローラからミッションを受信することを含むことができる。中央ミッションコントローラは、複数の自律的に制御されるダンプトラックにミッションを提供する鉱山サイトコントローラであってもよい。
【0106】
ブロックS13は、ミッションに沿って単一車軸ダンプトラックを自律的に制御することを含むことができる。
【0107】
本出願の実施形態では、ブロックS13は、サブブロックとしてブロックS1~S11のいずれかを含むことができる。
【0108】
特に、一実施形態において、ブロックS13は、サブブロックとしてブロックS1~S3を含んでもよく、本方法は、車両の位置を決定するステップをさらに含み、ブロックS3において、単一車軸ダンプトラックは、第1車輪と第2車輪との間の車輪速度差を生成することによって、ミッションによって定義される経路に沿って操縦されてもよい。
【0109】
さらに、一実施形態において、ブロックS13は、サブブロックとしてブロックS8~S11を備えることができ、ここで、第1の方向及び第2の方向並びに荷重位置及びダンプ位置は、中央ミッションコントローラから受け取ったミッションによって規定される。
【0110】
さらなる実施形態では、本方法は、無線コントローラを使用して、単一車軸ダンプトラックを手動で制御することを含んでもよい。このような手動制御は、例えば、単一車軸ダンプトラックを駐車位置に操縦するために使用することができる。
【0111】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、輸送目的のために鉱山で使用されてもよい。一実施形態では、自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、10、50、100、又は200メートルトンを超える積載質量を有することができる。一実施形態では、単一車軸ダンプトラックは、120、100、200、又は400メートルトンを超える総車両重量(GVW)を有することができる。
【0112】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、土砂移動用途において使用されてもよい。
【0113】
一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、0.5メートルトンを超える積載質量を有することができる。一実施形態において、自己平衡化単一車軸ダンプトラックは、50メートルトン未満の積載質量を有してもよい。
【0114】
一実施形態において、単一車軸ダンプトラックは、0.5メートルトンを超える総車両重量(GVW)を有してもよい。
【0115】
自己平衡化単一車軸ダンプトラックのさらなる詳細及び実施形態、並びに自己平衡化単一車軸ダンプトラックを作動させる方法については、以下で説明する。
【0116】
一実施形態において、単一車軸自己平衡化トラックは、単一車軸3を有してもよく、積載された質量体は、車軸3の上方に吊り下げられてもよい。この概念は、安定性を維持するのに適した制御を備えた倒立振子設計に基づくことができる。
【0117】
トラックは、複数の支持脚34を有することができ、これらの支持脚は、油圧で作動され、トラックがダンプ、積み込み、駐車されるとき、又は安定性のために他の必要な場合には、完全に展開される。一実施形態では、トラックは、4つの支持脚34を有することができる。代替実施形態では、トラックは、2つ又は3つの支持脚を有することができる(
図11参照)。
【0118】
支持脚は、予定外の事象の場合に落下高さを最小限に抑えるために、推進事象の間、勾配から制御された高さで動作されてもよい。
【0119】
一実施形態によると、トラックは、AC電気駆動システムに電力を供給するディーゼルエンジン11によって動力を供給することができる。トラックは、ダイナミックブレーキのためのグリッドボックス22を有し、さらに、アクティブフロントエンド(AFE)機能を有していてもよい。AFEモードでは、駆動モータ5,6は、制動エネルギを電気に変換する発電機として作用することができる。この電気エネルギは、交流発電機/エンジン軸13を動かして、トラックの寄生電力消費源14に電力を供給するために使用することができる。停止のために、トラックは、重量とコストの利益を目的として乾燥ディスクブレーキシステムを利用することができる。
【0120】
単一車軸自己平衡化トラックの他の構成は、トロリー、バッテリ電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)のような他のエネルギ源構成を使用してもよい。
【0121】
特に、1つの構成において、単一車軸自己平衡化トラックは、バッテリ電気自動車(BEV)であってもよい。このような構成では、単一車軸自己平衡化トラックには、単一車軸自己平衡化トラックの動作全体にエネルギを供給するバッテリが設けられている。特に、このような構成では、単一車軸自己平衡化トラックは、エンジンなしで構成されてもよい。バッテリが空になると、単一車軸自己平衡化トラックが作動不能になっている間に積載することができ、又は単一車軸自己平衡化トラックが連続して作動できるように空になっている場合はフルバッテリと交換することができる。バッテリは、自己平衡化動作期間及び増大した動力を短時間提供するために、ウルトラキャパシタと組み合わせることができる。
【0122】
単一車軸自己平衡化トラックは、オペレータのための運転室を持たない自律型トラックであってもよい。
【0123】
単一車軸自己平衡化トラックは、制動動作中及び/又はエンジンによる推進中にエネルギを蓄積するウルトラキャパシタ16を備えることができる。ウルトラキャパシタ16は、エンジン11及び駆動システムが必要な時間内に供給することができない可能性がある、懸架された質量バランス又は他の必要性のための潜在的な突然の電力要件を満たすことができる。
【0124】
可能な実施形態では、トラックは、
各車輪4,5上の空及び荷重条件下で50%・50%の重量分布がタイヤ寿命を増加させることと、
双方向荷重は、荷重時又はダンプ時の回転を回避し、従ってサイクル時間を短縮することと、
操縦性向上のためのゼロターン半径を有することと、
EVWに対する高い積載質量比により、燃費が向上し、1トン当たりのコストが減少することと、
シンプルな設計により、メンテナンスとタイムロスを短縮することと、
サスペンションやステアリングを使用しないため、機械的及び油圧的な部品点数が少なくなることと、
代替の構成で単一車軸自己平衡化トラックがサスペンションを備えることと、
運転室のない完全自律型トラックで構成要素を減少し、1トン当たりのコストを減少することと、
修理場への運転及び操縦のための有線/無線コントローラ23と、
動力損失又は固着状態でトラックを動かすための牽引レセプタクル55と、
のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0125】
トラックの実施形態の詳細を以下に説明する。
【0126】
-フレーム構成-
図5に示すように、トラックのフレーム2は、ダンプ本体30、持ち上げシリンダ33、エンジン11、燃料タンク42、交流発電機12、油圧ポンプ44、作動油タンク、ラジエータ45、支持脚34、駆動モータ6,7、ウルトラキャパシタ16及び制御キャビネット46を収容することができる。制御キャビネット46は、自律梱包を含むことができる。
【0127】
電気駆動モータ6,7と歯車8,9との組合せによって提供される歯車駆動装置は、フレーム2に直接取り付けることができ、伝統的な軸箱を必要としない。代替の実施形態では、電気駆動モータ6,7は、サスペンションを介してフレーム2に取り付けることができる。
【0128】
トラックのフレームは鋼製でもよい。それは溶接及び鋳造構造を含み得る。フレームは、エンジン、油圧、及び全ての必要なサービス活動の設置及び適切なメンテナンスのための空間を提供する。
【0129】
フレーム2は、無負荷時及びダンプ本体の積載状態の両方において、質量中心が単一車軸3のレベルよりも高い地上のレベルにあるように構成することができる。これにより、単一車軸ダンプトラックの傾斜を利用して加速トルクを吸収することができる。
【0130】
なお、フレーム2とダンプ本体30とは、ダンプトラックが単一車軸に対してバランスをとるように構成されていてもよい。これは、ダンプトラックの積み卸し条件及び積込条件のうちの少なくとも一方又は両方に適用することができる。
【0131】
一実施形態によると、エンジン11は、長手方向においてタイヤ4の間の位置に配置され、かつ/又は垂直方向において車軸3の上方に質量中心を有するように配置されてもよい。他の構成では、エンジンは、単一車軸3の横方向、前方又は後方であってもよい。
【0132】
フレーム2は、左右の側板構造81,82を含むことができる。各側板構造81,82は、その外側に牽引エンジン6,7のための連結部、ダンプ本体30のための軸受点、及びダンプ本体の持ち上げシリンダ33のための軸受点を備えることができる。さらに、側板構造81,82の各々には、前後の支持脚34及び対応するシリンダ36のための軸受点を設けることができる。
【0133】
左側板構造81,82は、下側横方向ビーム83、上側横方向ビーム84によって連結されてもよい。エンジン11は、側板構造と、下側横方向ビーム83及び上側横方向ビーム84との間に収容することができる。
【0134】
一実施形態において、側板構造81,82は、それぞれ、距離要素によって接続された2つ又は3つの平行なプレートによって形成され、プレートの自由端が軸受点を担持する。
【0135】
-ダンプ本体-
ダンプ本体30の一実施形態が
図7に示されている。ダンプ本体30は、水平傾動軸31の周りでフレーム2によって支持され、油圧持ち上げシリンダ33によって持ち上げられてもよい。持ち上げシリンダ33は、符号32においてダンプ本体に取り付けられ、ダンプ本体30を上昇させるために使用されてもよい。ダンプ本体30が下方位置にあるとき、油圧シリンダ33はダンプ本体30又は積載質量の荷重を負担しないことがある。横方向の安定性のためにガイドを設けることができる。下方位置での耐荷重性能のためにパッドを設けることができる。
【0136】
ダンプ本体30及び積載質量は、フレーム及び車軸中心線の上方であってもよい。アセンブリの結果として生じる重心は、フレーム2の上方とすることができ、このフレームは、電気駆動モータ6,7及び構造物を制御してバランスをとれることになる。
【0137】
ダンプ方法は、安定脚部34が展開され、トラックが本質的に安定した状態にある場合にのみ開始することができる。
【0138】
ダンプ本体は、車輪4及び車輪5の上方に配置されたルーフ部72を備えた横方向の両側面に設けられてもよい。代替の構成では、車輪4及び5は、ダンプ本体の底部側の下に部分的に又は完全に配置されてもよい。このような構造では、タイヤ40及び50がダンプ本体の下にしまい込まれるため、設計仕様の全体的な幅が小さくなる可能性がある。
【0139】
ダンプ本体30は、第1縦側壁71及び第2縦側壁73を有することができる。また、本実施形態では、第1縦側壁71及び第2縦側壁73は、異なる傾斜角α及びα’を有していてもよい。より小さい傾斜角αを有する第1縦側壁71は、ダンプ本体が空にされたトラックの縦側に配置されてもよい。
【0140】
ダンプトラックには運転室が設けられていないため、どちらの前後方向にもスペース要件を守る必要はない。また、安全屋根構造は不要である。
【0141】
ダンプ本体30は、安息角βが20°~40°の円錐形堆積物74で満たされてもよい。
【0142】
ダンプ本体は、5立方メートルを超える容量を有することができ、少なくとも10メートルトンの材料を保持することができる。
【0143】
代替の実施形態では、ダンプ本体は、0.5立方メートルを超える能力を有してもよく、少なくとも0.5メートルトンの材料を保持してもよい。
【0144】
-支持脚-
支持脚34は、フレーム2に旋回可能に取り付けることができる。下降及び上昇は、油圧シリンダ36によって提供されてもよい。
【0145】
図1~
図9には、4つの脚部を有する実施形態が示されている。各脚部34には脚スキッド35が設けられている。脚スキッド35は、支持脚34の下端に旋回可能に取り付けることができる。
【0146】
図10に示す実施形態では、前脚キャリヤ91及び後脚キャリヤ93が支持脚として設けられ、それぞれが少なくとも1つの油圧シリンダ36によって下降及び上昇される。
【0147】
前脚キャリヤ91及び後脚キャリヤ93はそれぞれ、フレームを地面で支持するための車輪92を運ぶ。車輪92は、牽引運搬作業中に地上のフレームの支持を可能にする旋回軸を有する。枢動軸は、操舵システムなしで構成されてもよい。
【0148】
図11に示す実施形態では、4輪キャリヤ34が支持脚として設けられており、各々の車輪キャリヤには車輪92が設けられている。車輪92は、牽引運搬作業中に地上のフレームの支持を可能にする旋回軸を有する。ピボット軸は、操舵システムなしで構成されてもよい。
【0149】
代替構成では、2つの車輪及び/又は2輪キャリヤを前側又は後側に設けることができ、一方の車輪及び/又は1つの車輪キャリヤを他方の側に設けることができる。
【0150】
-タイヤ-
各タイヤは、少なくとも10、20又は50メートルトンを支持することができる。一実施形態では、各タイヤは、100メートルトンを超える荷重を支持することができる。代替の実施形態では、各タイヤは、少なくとも0.5メートルトンを支持することができる。一実施形態では、各タイヤは、1メートルトンを超える荷重を支持することができる。タイヤは、ばね及びいくつかの最小の減衰効果を提供し、それによってこのトラックにサスペンションとして作用するであろう。一実施形態では、トラック上に別個のサスペンションがない。代替の実施形態では、サスペンションが提供されてもよい。
【0151】
-エンジン/動力-
トラックはディーゼルエンジンを使用することがある。エンジンは、10個を超えるピストン又は16個を超えるピストンを有することができる。それは、20リットルを超える総量を有してもよい。エンジンは、SCR排気ガス後処理システムを装備することができ、EPA CARB Tier4の排ガス規制に準拠することができる。エンジンは、1000バールを超える圧力で複数回の燃料噴射を可能にすることができる。このエンジンは、一次動力源であってもよい。エンジンは、駆動モータを駆動するための電気エネルギを発生する交流発電機を駆動することができる。
【0152】
代替構成では、単一車軸自己平衡化トラックは、バッテリ電気自動車(BEV)であってもよい。このような構成では、単一車軸自己平衡化トラックには、一次電源としてバッテリが設けられている。
【0153】
エンジン又はバッテリに加えて、トラックはウルトラキャパシタモジュールを有してもよい。
【0154】
ウルトラキャパシタは、エンジン、バッテリ、及び/又はブレーキエネルギによって充電されてもよい。ウルトラキャパシタは、安定性要件のために短時間でトラックに動力を供給することができる。ウルトラキャパシタは、トラックの安定化に必要であり得るディーゼルエンジン及びオルタネータアセンブリ又はバッテリと比較して、電力応答時間を短縮することができる。
【0155】
一実施形態において、ウルトラキャパシタからの電力は、単一車軸ダンプトラックを自己平衡化するために必要な自己平衡化トルクを提供するために使用されてもよい。特に、ウルトラキャパシタからの電力は、エンジン又はバッテリが自己平衡化に必要な電力を供給することができない場合に使用することができる。これは、エンジン又はバッテリの最大出力が不十分であること及び/又はエンジン又はバッテリの出力を十分早く増加させることができないことによるものである可能性がある。
【0156】
油圧駆動式エンジンファン又はベルト駆動式エンジンファン構成を使用してもよい。
【0157】
-油圧システム-
一実施形態によると、ギアの減速なしに機械的に接続された交流発電機12の後部に油圧ポンプ44を取り付けることができる。BEV構成では、油圧ポンプは、別個の電気エンジンによって駆動されてもよい。さらに、油圧システムは、部分的に又は完全に電気システムに置き換えることができる。
【0158】
トラック内には、ブレーキ及び脚部作動の油圧要件に対応するいくつかの油圧アキュムレータが存在することがある。その他の油圧システムには、ギアオイル冷却、制御キャビネット冷却、送風機(油圧の場合)、エンジンファン(油圧の場合)などがある。必要に応じて流れを転用する上記の要件に対応するために、油圧マニホールドを設けることができる。
【0159】
支持脚34は、
図6に示すように、油圧で作動させることができる。支持脚34のための油圧システムは、地面から所定の高さを維持するために、十分な作動率で構成される。代替の構成では、支持脚は、電気アクチュエータによって駆動されてもよい。
【0160】
一実施形態によると、支持脚は、タイヤ又は車輪駆動装置のメンテナンスのためにトラックを持ち上げることができる。支持脚34によるこのジャッキ状態の間、支持脚シリンダ36又は電動アクチュエータのような支持脚のアクチュエータは、トラックの望ましくない動きを確実にしないようにロックアウトされ得る。この目的のために使用されるロックブラケット37を
図9に示す。
【0161】
トラックをジャッキモードで動作させるためには、トラックをジャッキアップするのに必要な一連の動作を保証する有線又は無線遠隔制御インタフェース上で選択を作動させる必要がある。
【0162】
-寄生負荷構成-
推進動力要件に加えて一実施形態において、トラック上の寄生動力は、エンジン11によって提供されてもよい。遅延時間中のトラックの運動エネルギは、AFE機能性を用いてこれらの寄生負荷14,28に動力を供給するために利用することもできる。以下の表2は、標準的な推進条件における寄生電力の推定値を示す。
【0163】
-駆動システム-
上位レベルの駆動システム構成を
図2に示す。方向を切り替えることができる主電動機6,7を備えた制御システム及び交流駆動システムは、トラックの安定性を確保するために使用することができる。主電動機6,7は、パワースタック25及び26によって制御することができる。
【0164】
駆動システムは、AFEモードで機能することができる。
【0165】
トラックの車輪を推進する2つの駆動モータ6,7、各車輪4,5を1つ駆動することができる。主電動機には、トラックを推進し、制動力を吸収し、標準的な作動条件で安定性を維持するのに十分なトルクを与えるべきである。ウルトラキャパシタ16は、吊り下げられたフレーム構成要素をバランスさせるための突然の要件又は他の要件の場合に、ドライブに動力を供給することができる。
【0166】
交流発電機13は、エンジン11の機械的動力を電力に変換し、これをDCバス24に供給することができる。また、主電動機として作用し、AFEモードでエンジン11を駆動する。遅延の間、駆動モータ6,7は、機械的エネルギを電気的エネルギに変換する発電機として作用する。このエネルギは、寄生負荷14の要件に応じて、エンジン11及び交流発電機12を作動させるために使用される。AFEモード中は、エンジンからの給油が遮断され、燃料消費量が減少する場合がある。寄生負荷14又は28によって吸収することができない何らかの未使用の制動電力が存在する場合、それはグリッドボックス22内で消散されることになる。
【0167】
-基盤(インフラ)-
トラックが車軸の上に吊り下げられた質量を有するので、牽引作業は、トラックのために特別に設計されてもよい。
【0168】
図9に示すように、トラックは、牽引ピン58を備えた標準牽引トラック57を牽引及び回収のために使用できるように設計された追加の牽引支持装置55を有することができる。
【0169】
この構成要素は、いずれかの側でトラックを持ち上げるために使用される。保持機構56を設けて、ピン上の制限された重量により牽引ピン55を平衡位置に保持することができる。
【0170】
牽引作業を開始する前に、トラックは「脚下げ」状態にあり、ダンプ本体は空であってもよい。ピン58が保持されると、次いで、油圧を作動させて支持脚34を牽引状態まで上昇させることができる。
【0171】
トラックを完全に無効にするために、全ての蓄積されたエネルギが閉鎖されてもよい。静止位置では、支持脚は展開される。この状態は、タイヤを地面に置いた状態でも、タイヤを地面からはずした状態でもジャッキアップ状態でもある。支持脚油圧シリンダを閉鎖するために、ピストンロッド91に負荷を加え、シリンダ36を伸長位置に機械的に維持することができるブラケット37が設けられている。このブラケット37は、損害を与えない材料で作ることができ、定期的な設置でピストンシール面を損傷させない。
図10は、ロックアウト状態の機構例を示している。
【0172】
トラックの手動操作を可能にするために、無線コントローラ23のための有線又は無線の無線コントロールインタフェースボックスが含まれてもよい。有線接続部は、トラックを安全に運転できる長さにする必要がある。特徴には、完全な油圧制御と制限された推進制御が含まれるべきである。
【0173】
-ブレーキ-
このトラックは、制動エネルギを消散させるために、グリッドボックス22を備えた乾式ディスクブレーキを有することができる。ブレーキディスクは、トラックの内側に取り付けられ、アーマチュア速度で回転することができる。トラックには、AFE機能が装備されている場合もある。ブレーキは、上述したように、交流発電機/エンジン軸13を作動させて補機及びトラック上の寄生負荷を走行させるために利用される主電動機/発電機にエネルギを発生させる。これらの条件下では、エンジンは、エンジン速度を低下させようとして燃料を抜くことができる。これは、燃料消費及び運転コストを低減する。AFEにおいてブレーキからのエネルギが必要とされない場合、それはグリッドボックス22に吸収され得る。
【0174】
AFEブレーキは、トラックを減速させる第1の手段として使用することができる。ブレーキシステムは、自律運転に関連する関連する安全基準及び冗長性基準を満たすことができる。
【0175】
-サスペンション-
このトラックは、部品点数を減らすサスペンションを持たないことがあり、それによってメンテナンスコストを低減することができる。トラック上のタイヤは、そのばね及び制限された減衰効果のためにサスペンションとして作用することができる。トラックに乗っているオペレータはいなくてもよい。オペレータがいないため、力減衰要件は、安定性及び構造的な必要性からのみ生じる。
【0176】
第2の実施形態では、標準的なサスペンションが使用される。
【0177】
-タンク-
燃料タンクは、燃料補給なしでトラックを24時間運転できるように設計することができる。
【0178】
-自動潤滑-
従来、運搬トラックの潤滑を必要とする継手の多くを本質的に除去する設計では、密封ブッシュを使用することにより、自動潤滑システムが不要になる場合がある。継手の多くは、非常に少量しか回転せず、非常にまれにしか回転せず、このタイプのブッシュを実現可能にする。必要と判断された場合は、自動潤滑システムを油圧駆動とすることができる。
【0179】
-アクセス/退出/手すり-
運転室を有しない実施形態では、オペレータ用はしごは存在しない。トラックの脚部34には、1つ以上のサービスはしご又は階段が取り付けられていてもよい。階段は、トラックの脚部34と共に下降し、必要に応じて手すりを有することができる。サービスはしご又は階段は、トラックの主要構成要素へのアクセスを提供すべきである。歩行通路は、低間隔保守エリアに到達するために考慮される。
【0180】
-低電圧電気-
オペレータインタフェースボックスは、アクセス可能であり、保護され、遮蔽される位置に配置されてもよい。オペレータインタフェースボックスは、有線遠隔制御インタフェースポート、診断ポート、バッテリ切断、推進禁止、保守モードにおける限定油圧機能、HMI画面、自律機能診断、及び他の必要な機能のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0181】
通信ケーブル及びその他の重要な信号の配線は、高出力ケーブルからの電磁干渉(EMI)の効力を低減するのに十分なスペースがあるように設計されている。DC24V充電交流発電機を使用してもよい。ワイヤーハーネスは、抵抗噴霧性のために設計され、噴霧圧力洗浄に適合することができる。
【0182】
-積載物計量システム-
別個の積載物計量システムが提供されてもよい。トラックには、積載物の質量と位置を確認するためのセンサが装備されている場合がある。この情報は、制御機能のために提供される可能性がある。
【0183】
別個の積載質量計量システムは、サスペンションを有さない実施形態及びサスペンションを有する一実施形態において提供されてもよい。
【0184】
-運転室-
一実施形態によると、このトラックには運転室が存在しない場合がある。特に、上述したように、トラックは自律的であってもよく、オペレータのための運転台を含まなくてもよい。
【国際調査報告】