(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】フラックス入りろう材、その製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B23K 35/40 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
B23K35/40 340C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573220
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2021116828
(87)【国際公開番号】W WO2021228286
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202010927570.0
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517301232
【氏名又は名称】鄭州机械研究所有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】龍 偉民
(72)【発明者】
【氏名】鍾 素娟
(72)【発明者】
【氏名】張 雷
(72)【発明者】
【氏名】董 顕
(72)【発明者】
【氏名】張 冠星
(72)【発明者】
【氏名】糾 永涛
(72)【発明者】
【氏名】郭 艶紅
(72)【発明者】
【氏名】呉 博悦
(57)【要約】
本発明は、ろう材の技術分野に関し、特に、フラックス入りろう材、その製造方法及び製造装置に関する。フラックス入りろう材の製造方法において、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充した後、乾燥処理するステップを含み、ここで、前記目地フラックス入りろう材の製造は、U形ろう材帯内に固形のフラックスを充填した後、圧着して前記目地フラックス入りろう材を形成することを含む。本発明は、目地フラックス入りろう材を得た後、液状のフラックスを目地フラックス入りろう材に充填することで、フラックス入りろう材の芯部におけるフラックスの少ない又は無い部分の補給を実現し、フラックス入りろう材の空芯率を極力低下させ、製造されるフラックス入りろう材の製品の品質安定性を向上させる。本発明の装置は、連続的にフラックス入りろう材を製造するのに有用であり、構造が簡単で、調整や制御が容易であるとともに、生産効率が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックス入りろう材の製造方法であって、
目地フラックス入りろう材の目地から、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充した後、乾燥処理するステップを含み、ここで、前記目地フラックス入りろう材のの製造は、U形ろう材帯内に固形のフラックスを充填した後、圧着して前記目地フラックス入りろう材を形成する、
ことを含むことを特徴とするフラックス入りろう材の製造方法。
【請求項2】
前記乾燥処理は、低温乾燥と高温乾燥とをこの順に行うことを含み、
前記低温乾燥の温度が50~150℃であり、前記高温乾燥の温度が150~350℃であり、前記低温乾燥の時間が30~120sであり、前記高温乾燥の時間が30~120sである、
ことを特徴とする請求項1に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【請求項3】
前記ろう材は、銀系ろう材、銅系ろう材のいずれか1種又は複数種を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【請求項4】
前記目地の幅は、0.01~0.2mmである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【請求項5】
目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充することは、
前記目地フラックス入りろう材を液状のフラックスに30~120s浸すことを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフラックス入りろう材の製造方法により製造されたフラックス入りろう材。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフラックス入りろう材の製造方法を実施する装置であって、
搬送ユニットと、フラックス補給ユニットと、乾燥ユニットとを含み、
前記搬送ユニットは、巻出し装置、巻取り装置及びガイドロール群を含み、
前記フラックス補給ユニットは、ワイヤ供給口及びワイヤ排出口が側壁に設けられたストッカーを含み、
前記巻出し装置、ワイヤ供給口、ガイドロール群、ワイヤ排出口、乾燥ユニット及び巻取り装置は、順に設けられている、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
更に、圧延ユニットと、粉末仕込みユニットとを含み、
圧延ユニット、粉末仕込みユニットは、巻出し装置とフラックス補給ユニットの間に順に設けられ、
前記圧延ユニットは、ろう材帯を圧延成形加工することによりU形ろう材帯に加工するための圧延ロールと、U形ろう材帯を圧着して目地フラックス入りろう材を形成するための圧着ロールとを含み、
前記粉末仕込みユニットは、圧延ロールと圧着ロールとの間に設けられ、U形ろう材帯のU形溝に粉末を落とすためのものである、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記乾燥ユニットは、低温乾燥ユニットと高温乾燥ユニットとを含み、
前記低温乾燥ユニットは、低温乾燥管と、前記低温乾燥管の外周に設けられたヒータ線とを含み、
前記高温乾燥ユニットは、前記低温乾燥管に接続される高温乾燥管と、前記高温乾燥管の外周に設けられたヒータ線とを含む、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイドロール群は、前記ストッカー内に互いに平行に設けられた第1ガイドロール、第2ガイドロール及び第3ガイドロールを含み、
前記第2ガイドロールの水平位置は、前記第1ガイドロール及び前記第3ガイドロールよりも低く、
前記第2ガイドロールの水平位置は、前記ワイヤ供給口及び前記ワイヤ排出口よりも低い、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろう材の技術分野に関し、特に、フラックス入りろう材、その製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀ろう材は、融点が適切であり、溶接作業性に優れ、強度、靭性、導電性、熱伝導性、耐食性に優れた最も汎用性のあるタイプのろう材である。
【0003】
従来のろう付は、ワイヤやリボン状の銀ろう材にフラックスを付着したり、加熱前にワークに予めフラックスを塗布したりしていたため、ろう材の使用量が確保できず、かつ溶接不良が発生しやすく、これに伴うリワーク、リペアー、更には廃止による銀ろう材や原材料の無駄が生じ、製造コストが増大する。また、ろう材にフラックスを付着したり予めフラックスを塗布したりするため、1回のろう付前作業が増え、工程や作業時間が増加し、ろう付工程における変数が増加し、溶接製品の一致性や品質の安定性に影響を与える。
【0004】
近代の製造業においてろう付コストの管理の強化(人的コストが増加する人的溶接に代わり、自動化溶接が行われつつあることや、銀ろう材使用量の精密管理)や、企業環境の責任への外部からの関心が高まりつつあり、フラックス入りろう材は、このような産業上のグレードアップニーズに応えるべく現れたものである。
【0005】
フラックス入りろう材は、帯状の銀ろう材で一定割合の粉末フラックスを被覆してなる。従来の中実ろう材に比べて、フラックス入りろう材は、自身にフラックスを有しているので、ろう付時におけるフラックス添加工程が減り、溶接効率が高く、成分調整が柔軟であり、省エネルギーで材料が節約され、フラックス使用量が少なく、汚染が少なく、ビード成形の美観が良い等の利点を有する。しかし、フラックス入りろう材は、成形時にフラックスの充填むらが発生し、フラックスが少ない、更には空芯の現象が発生しやすい。
【0006】
市場で大量に使用されているシーム付きのフラックス入りろう材は、フラックスがろう材管内に充填され、加熱により、フラックスの低融点成分が分解、溶融して互いに反応するが、フラックス入りろう材の構造上の特殊性(フラックスの吸湿防止のために、ろう材管の合わせ目が緊密である)により、溶接中に飛散現象を起こし、特に中間部で分解又は溶融したフラックス成分が膨張して、ろう材の端部から飛散する。フラックス入りろう材又はフラックス入り銅ろう材は、芯部のフラックスがホウ砂(Na2B4O7・10H2O)、ホウ酸(H3BO3)、フッ化カリウム(KF)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、フッ化水素カリウム(KHF2)等の成分からなる。フッ化カリウムが吸湿し、加熱されることにより水蒸気を発生して膨張する。ホウ砂が200℃以上に加熱すると、含まれる結晶水が蒸発し、結晶水が蒸発すると、ホウ砂は、激しく沸騰し、次の反応が起こる。Na2B4O7・10H2O→Na2B4O7+10H2O。ホウフッ化カリウムは、水蒸気の作用により急速に加水分解し、白色の煙を生成する。H3BO3は、無水ホウ素と水蒸気とに熱分解し、化学反応は、H3BO3→B2O3+H2Oである。フッ化水素カリウムは、300℃程度に加熱すると、フッ化カリウムとフッ化水素とに熱分解する。発生したフッ化水素ガスは、体積膨張し、化学反応は、KHF2→KF+HFとなる。飛散したフラックスは、作業者の健康を損なうばかりでなく、溶接後にワーク表面に飛散したフラックス残渣が洗浄し難く、継手を腐食し易い。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、従来の製造方法における製品の品質安定性が悪いという技術的課題を解決するためのフラックス入りろう材の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、空芯率が低く、製品品質に優れたフラックス入りろう材を提供することにある。
【0010】
本発明の第3の目的は、構成が簡単で、取り扱いが容易で、効率的に有利な、フラックス入りろう材の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的を達成するために、特に以下の技術的手段を採用する。
【0012】
フラックス入りろう材の製造方法であって、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充した後、乾燥処理するステップを含む。ここで、前記目地フラックス入りろう材の製造は、U形ろう材帯内に固形のフラックスを充填した後、圧着して前記目地フラックス入りろう材を形成することを含む。
【0013】
本発明のフラックス入りろう材の製造方法は、目地フラックス入りろう材を得た後、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを充填することにより、フラックス入りろう材の芯部におけるフラックスの少ない又は無い部分の補給を実現し、フラックス入りろう材の空芯率を極力低くして、製造されるフラックス入りろう材製品の品質安定性を向上させる。
【0014】
また、本発明により得られたフラックス入りろう材は、液状のフラックスを補給した後に乾燥処理を行うことにより、その後の溶接工程における飛散が大幅に低減される。
【0015】
本発明の好適な実施形態において、前記乾燥処理は、低温乾燥と高温乾燥とを含む。前記低温乾燥の温度は、50~150℃であり、前記高温乾燥の温度は、150~350℃である。前記低温乾燥の温度は、50~145℃であり、前記高温乾燥の温度は、155~350℃であることが好ましい。前記低温乾燥の温度は、70~90℃であり、前記高温乾燥の温度は、290~310℃であることが更に好ましい。例えば、前記低温乾燥の温度は、80℃であり、前記高温乾燥の温度は、300℃である。
【0016】
本発明の好適な実施形態において、前記低温乾燥の時間は、30~120sであり、前記高温乾燥の時間は、30~120sである。
【0017】
更に、低温乾燥を行ってから高温乾燥を行う。
【0018】
本発明の具体的な実施形態において、前記ろう材は、銀系ろう材、銅系ろう材のいずれか1種又は複数種を含む。
【0019】
実際の操業において、BAg30CuZnSn、BAg30CuZn、BAg20CuZnSn、及びBAg20CuZnのうちの任意の1つ以上の混合物を使用することができる。
【0020】
本発明の具体的な実施形態において、前記フラックスは、主にホウ砂及びホウ酸からなる。更に、前記フラックスは、フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム及び/又はフッ化水素カリウムを更に含む。
【0021】
実際の操業において、フラックスの種類は、実際の状況に応じてろう材に合わせて選択し、実際の需要に応じてフラックスの成分の配合比などを調整する。
【0022】
具体的な実施形態において、前記フラックスは、QJ101、QJ102、及びYJ2のいずれかである。
【0023】
前記QJ101は、質量パーセントで、ホウ酸30%及びホウフッ化カリウム70%からなる。前記QJ102は、質量パーセントで、フッ化カリウム42%、ホウフッ化カリウム23%及び無水ホウ酸35%からなる。前記YJ2は、質量パーセントで、ホウ砂25%及びホウ酸75%からなる。
【0024】
本発明の具体的な実施形態において、前記目地フラックス入りろう材は、目地の幅が0.01~0.2mmである。
【0025】
本発明の具体的な実施形態において、前記U形ろう材帯の製造方法は、ろう材帯に対して圧延成形加工によりU形ろう材帯を形成することを含む。
【0026】
本発明の具体的な実施形態において、前記ろう材帯は、厚さが0.18~0.25mmであり、幅が5.5~8mmである。
【0027】
本発明の具体的な実施形態において、前記目地フラックス入りろう材は、前記固形のフラックスの重量パーセントが8~20%である。
【0028】
ここで、該重量パーセントとは、前記目地フラックス入りろう材全体に占める固形のフラックスの重量パーセントであり、目地フラックス入りろう材の重量は、U形ろう材帯及びその内部に充填された固形のフラックスの重量が含まれる。
【0029】
本発明の具体的な実施形態において、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充することは、前記目地フラックス入りろう材を液状のフラックスに浸すことを含む。更に、30s~120sで浸す。
【0030】
本発明は、上記いずれかの製造方法により製造されたフラックス入りろう材を提供する。前記フラックス入りろう材は、空芯率が低く、品質安定性に優れ、かつ溶接中の飛散が大きく低下する。
【0031】
本発明は、上記のいずれかに記載のフラックス入りろう材の製造方法を実施する装置を更に提供する。該装置は、搬送ユニットと、圧延ユニットと、粉末仕込みユニットと、フラックス補給ユニットと、乾燥ユニットと、を含む。前記搬送ユニットは、巻出し装置、巻取り装置及びガイドロール群を含む。前記圧延ユニットは、圧延ロールと、圧着ロールと、を含む。前記フラックス補給ユニットは、ワイヤ供給口及びワイヤ排出口が側壁に設けられたストッカーを含む。前記巻出し装置、圧延ロール、圧着ロール、ワイヤ供給口、ガイドロール群、ワイヤ排出口、乾燥ユニット及び巻取り装置は、順に設けられている。前記粉末仕込みユニットは、圧延ロールと圧着ロールとの間に設けられる。
【0032】
本発明の装置は、ろう材帯が巻出し装置に巻設される。ろう材帯は、圧延ロール、圧着ロール、ワイヤ供給口、ガイドロール群、ワイヤ排出口、乾燥ユニットを経て巻取り装置に巻取られる。具体的には、製造開始後、ろう材帯が巻出し装置により巻き出されて一定の送り速度で圧延ロールに搬送され、圧延ロールがろう材帯を圧延成形加工することによりU形ろう材帯に加工し、粉末仕込みユニットを通過する際に、粉末仕込みユニットがフラックス粉末をU形ろう材帯のU形溝に落下させ、更に、圧着ロールにより圧着されて目地フラックス入りろう材を形成する。目地フラックス入りろう材は、液状のフラックスを貯溜したストッカーにワイヤ供給口から供給され、ガイドロール群のガイドロールによって搬送方向を変えられ、液状のフラックスを目地フラックス入りろう材に充填させるように、液状のフラックスに含浸され、更にガイドロール群のガイドロールによって搬送方向を変えられて、ワイヤ排出口からストッカーから排出され、乾燥ユニットに供給されて乾燥処理される。乾燥処理が完了した後、得られたフラックス入りろう材を巻取り装置により巻取り、製品を得る。従来の目地フラックス入りろう材を本発明の方法で改善することも可能である。その場合、目地フラックス入りろう材製品を直接巻き出し、その後、直接、フラックス補給ユニットに入ってフラックスを補給し、乾燥ユニットで乾燥して巻き取られる。従来のフラックス入りろう材の空芯率を低下させることができ、その分、改良後のフラックス入りろう材製品の品質安定性を向上させることができる。
【0033】
実際の操業において、ワイヤ供給口及びワイヤ排出口の配置により、ストッカー内の液状のフラックスの充填高さは、ワイヤ供給口及びワイヤ排出口の水平の高さよりも低くなる。そのため、ガイドロール群により、目地フラックス入りろう材の搬送方向を調整し、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを効果的に補給することを保証する。
【0034】
本発明の具体的な実施形態において、前記ガイドロール群は、前記ストッカー内に互いに平行に設けられた第1ガイドロール、第2ガイドロール及び第3ガイドロールを含む。更に、前記第2ガイドロールの水平位置は、前記第1ガイドロール及び前記第3ガイドロールよりも低い。前記第2ガイドロールの水平位置は、前記ワイヤ供給口及び前記ワイヤ排出口よりも低い。目地フラックス入りろう材は、ワイヤ供給口から前記ストッカーに入り、第1ガイドロール、第2ガイドロール、第3ガイドロールを順に経て、ワイヤ排出口に達する。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、上記ストッカーのワイヤ排出口の外側に、フラックス掻き取りダイが設けられている。余分なフラックスを掻き取るためのものである。前記フラックス掻き取りダイの構造は、入口領域、圧縮領域、サイジング領域及び出口領域の4つの部分に分割されている。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、前記乾燥ユニットは、低温乾燥ユニットと高温乾燥ユニットとを含み、前記低温乾燥ユニットは、低温乾燥管と、前記低温乾燥管の外周に設けられたヒータ線と、を含み、前記高温乾燥ユニットは、前記低温乾燥管に接続される高温乾燥管と、前記高温乾燥管の外周に設けられたヒータ線と、を含む。
【0037】
低温乾燥管と高温乾燥管とを設けることにより、フラックス入りろう材は、低温乾燥管と高温乾燥管とを順に通過して乾燥処理される。実際の操業において、前記低温乾燥管と前記高温乾燥管とは、完全な1つの管であり、外部に異なるヒータ線を設けることによって低温乾燥の領域と高温乾燥の領域とに区分されてもよく、2つの独立した管が対応して接合されていてもよい。
【0038】
更に、前記乾燥ユニットは、前記低温乾燥ユニットのヒータ線及び前記高温乾燥ユニットのヒータ線にそれぞれ電気的に接続された温度制御部を更に含む。ヒータ線の加熱温度を制御し、更に低温乾燥管内の乾燥温度が50~150℃、高温乾燥管内の乾燥温度が150~350℃となるように低温乾燥管及び高温乾燥管内の乾燥温度を調節する。
【0039】
本発明の具体的な実施形態において、前記低温乾燥管及び前記高温乾燥管の厚さは、いずれも2~20mmであり、前記低温乾燥管及び前記高温乾燥管の材質は、いずれも銅である。
【0040】
本発明の具体的な実施形態において、前記低温乾燥管と前記高温乾燥管との合計長さは100~2000mmである。好ましくは、前記低温乾燥管の長さは、50~1000mmであり、前記高温乾燥管の長さは、50~1000mmである。
【0041】
本発明の具体的な実施形態において、前記乾燥ユニットは、保温ボックスを更に含み、前記低温乾燥ユニット及び前記高温乾燥ユニットは、前記保温ボックスに設けられている。保温箱は、乾燥ユニットの温度安定性を確保するとともに、外部への熱の放散を防止し、省エネルギー化を図るものである。
【0042】
本発明の具体的な実施形態において、前記粉末仕込みユニットは、貯留タンクと計量器とを含む。前記貯留タンクの底部には電磁バルブが設けられ、前記電磁バルブが前記計量器に電気的に接続されている。更に、前記粉末仕込みユニットは、前記貯留タンクに接続された補給タンクを更に含む。貯留タンク内の固形のフラックスが不足した場合に、補給タンクは、貯留タンク内に材料を補給するために用いられる。
【0043】
実際の操業において、実際に必要とされる粉末の仕込み量に応じて、計量器により電磁弁の開き量を制御し、固形のフラックスの仕込み量を調節する。同じフラックス入りろう材を連続的に生産する場合には、基本的には仕込み量は、一定である。フラックス入りろう材を変更する場合には、仕込み量等を実態に応じて調整する。
【0044】
本発明の具体的な実施形態において、ろう材帯の移動速度は、0.025~2m/minである。
【発明の効果】
【0045】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は、以下の通りである。
(1)本発明は、目地フラックス入りろう材を得た後、液状のフラックスを目地フラックス入りろう材に充填することで、フラックス入りろう材の芯部におけるフラックスの少ない又は無い部分の補給を実現し、フラックス入りろう材の空芯率を極力低下させ、製造されるフラックス入りろう材の製品の品質安定性を向上させる。
(2)本発明では、液状のフラックスを補給した後に、所定の乾燥処理を行うことにより、その後の溶接工程における飛散を大幅に低減できる。
(3)本発明の装置は、連続的にフラックス入りろう材を製造するのに有用であり、構造が簡単で、調整や制御が容易であるとともに、生産効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に用いられる図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は、本発明の実施形態の一部であり、当業者であれば、創造性のある作業を付することなく、これらの図面から他の図面を取得することができることは明らかである。
【0047】
【
図1】本発明の実施例に係るフラックス入りろう材の製造装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例に係るフラックス入りろう材の概略構成図である。
【
図3】本発明の実施例に係るフラックス掻き取りダイの概略構成図である。
【
図4】本発明の実施例による異なる乾燥処理プロセスのろう材の飛散比較図である。なお、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ実施例4、実施例5及び実施例1に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の技術手段を図面及び具体的な実施形態を参照して明確且つ完全に説明するが、当業者は、以下に記載される実施例が本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではなく、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解できる。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。実施例中、具体的な条件に言及しないものは、通常の条件又は製造者が提案する条件に従って行った。試薬や装置は、メーカーが記載されていないものについて、市販品として入手可能な市販品である。
【0049】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す向き又は位置関係は、図示に基づく向き又は位置関係であり、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及された装置又は要素が特定の向き、特定の向きで構成及び動作しなければならないことを示し又は示唆するものではないので、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。更に、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のためだけに使用され、相対的な重要性を示す又は暗示するものと理解されるべきではない。
【0050】
本発明の説明において、特に明示的に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「接続」という用語は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体的接続のいずれでもよい。機械的接続であっても電気的接続であってもよい。直接的に接続されていてもよいし、介在物を介して間接的に接続されていてもよいし、両素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、本発明における上記用語の具体的な意味を具体的に理解することができる。
【0051】
図1は、本発明の実施例によるフラックス入りろう材の製造装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施例によるフラックス入りろう材の製造装置は、搬送ユニットと、圧延ユニットと、粉末仕込みユニット3と、フラックス補給ユニットと、乾燥ユニット6と、を含む。
【0052】
前記搬送ユニットは、巻出し装置1、巻取り装置7及びガイドロール群を含む。前記圧延ユニットは、圧延ロール2と、圧着ロール4と、を含む。前記フラックス補給ユニットは、ワイヤ供給口51及びワイヤ排出口52が側壁に設けられたストッカー5を含む。
【0053】
前記巻出し装置1、圧延ロール2、圧着ロール4、ワイヤ供給口51、ガイドロール群、ワイヤ排出口52、乾燥ユニット6及び巻取り装置7は、順に設けられている。前記粉末仕込みユニット3は、圧延ロール2と圧着ロール4との間に設けられる。
【0054】
更に、前記ガイドロール群は、前記ストッカー5内に互いに平行に設けられた第1ガイドロール41、第2ガイドロール42及び第3ガイドロール43と、を含む。更に、前記第2ガイドロール42の水平位置は、前記第1ガイドロール41及び前記第3ガイドロール43よりも低い。前記第2ガイドロール42の水平位置は、前記ワイヤ供給口51及び前記ワイヤ排出口52よりも低い。目地フラックス入りろう材51は、ワイヤ供給口51から前記ストッカー5に入り、第1ガイドロール41、第2ガイドロール42、第3ガイドロール43を順に経て、ワイヤ排出口52に達する。
【0055】
本発明の装置は、ろう材帯8が巻出し装置1に巻設される。ろう材帯8は、圧延ロール2、圧着ロール4、ワイヤ供給口51、第1ガイドレール群41、第2ガイドレール群42、第3ガイドレール群43、ワイヤ排出口52、乾燥ユニット6を経て巻取り装置7に巻取られる。具体的には、製造開始後、ろう材帯8が巻出し装置1により巻き出されて圧延ロール2に搬送され、圧延ロール2がろう材帯8を圧延成形加工することによりU形ろう材帯8に加工し、粉末仕込みユニット3を通過する際に、粉末仕込みユニット3内のフラックス粉末がU形ろう材帯のU形溝に落下し、更に、圧着ロール4により圧着されて目地フラックス入りろう材を形成する。目地フラックス入りろう材は、液状のフラックス9を貯溜したストッカー5にワイヤ供給口51から供給され、ガイドロール群の第1ガイドレール群41、第2ガイドレール群42によって搬送方向を変えられ、液状のフラックス9を目地フラックス入りろう材に充填させるように、液状のフラックス9に含浸され、更に第3ガイドレール群43によって搬送方向を変えられて、ワイヤ排出口52からストッカー5から排出され、乾燥ユニット6に供給されて乾燥処理される。乾燥処理が完了した後、得られたフラックス入りろう材を巻取り装置47により巻取り、製品を得る。
【0056】
ここで、前記目地フラックス入りろう材の概略構成図を
図2に示す。
図2からわかるように、圧着ロール4によって圧着した後に、目地を有し内部に固形のフラックスが充填されたフラックス入りろう材がろう材帯8の両側に突き合わせて形成する。
【0057】
更に、上記ストッカー5のワイヤ排出口52の外側に、フラックス掻き取りダイが設けられている。余分なフラックスを掻き取るためのものである。
図3に示すように、前記フラックス掻き取りダイは、中空の筒体構造を有し、その中空の内部を順に入口領域71、圧縮領域72、サイジング領域73及び出口領域74の4つの部分に分割する。フラックス入りろう材は、入口領域71からフラックス掻き取りダイに入り、圧縮領域72に圧縮されて余分のフラックスが除去され、それからサイジング領域73を通過して所定の直径に達し、出口領域74を通過して、フラックス掻き取りダイを通過して次工程に進む。
【0058】
更に、前記乾燥ユニット6は、低温乾燥ユニットと高温乾燥ユニットとを含み、前記低温乾燥ユニットは、低温乾燥管62と、前記低温乾燥管の外周に設けられたヒータ線64と、を含み、前記高温乾燥ユニットは、前記低温乾燥管62に接続される高温乾燥管63と、前記高温乾燥管の外周に設けられたヒータ線64と、を含む。
【0059】
低温乾燥管62と高温乾燥管63とを設けることにより、フラックス入りろう材は、低温乾燥管62と高温乾燥管63とを順に通過して乾燥処理される。実際の操業において、前記低温乾燥管62と前記高温乾燥管63とは、完全な1つの管であり、外部に異なるヒータ線を設けることによって低温乾燥の領域と高温乾燥の領域とに区分されてもよく、2つの独立した管が対応して接合されていてもよい。
【0060】
更に、前記乾燥ユニット6は、前記低温乾燥ユニットのヒータ線及び前記高温乾燥ユニットのヒータ線にそれぞれ電気的に接続された温度制御部を更に含む。ヒータ線の加熱温度を制御し、更に低温乾燥管内の乾燥温度が50~150℃、高温乾燥管内の乾燥温度が150~350℃となるように低温乾燥管及び高温乾燥管内の乾燥温度を調節する。
【0061】
更に、前記低温乾燥管62及び前記高温乾燥管63の厚さは、いずれも2~20mmであり、前記低温乾燥管62及び前記高温乾燥管63の材質は、いずれも銅である。
【0062】
更に、前記低温乾燥管62と前記高温乾燥管63との合計長さは100~2000mmである。好ましくは、前記低温乾燥管62の長さは、50~1000mmであり、前記高温乾燥管63の長さは、50~1000mmである。
【0063】
更に、前記乾燥ユニットは、保温ボックス61を更に含み、前記低温乾燥ユニット及び前記高温乾燥ユニットは、前記保温ボックス61に設けられている。保温箱は、乾燥ユニットの温度安定性を確保するとともに、外部への熱の放散を防止し、省エネルギー化を図るものである。
【0064】
更に、前記粉末仕込みユニット3は、貯留タンクと計量器とを含む。前記貯留タンクの底部には電磁バルブが設けられ、前記電磁バルブが前記計量器に電気的に接続されている。更に、前記粉末仕込みユニット3は、前記貯留タンクに接続された補給タンクを更に含む。貯留タンク内の固形のフラックスが不足した場合に、補給タンクは、貯留タンク内に材料を補給するために用いられる。実際の操業において、実際に必要とされる粉末の仕込み量に応じて、計量器により電磁弁の開き量を制御し、固形のフラックスの仕込み量を調節する。同じフラックス入りろう材を連続的に生産する場合には、基本的には仕込み量は、一定である。フラックス入りろう材を変更する場合には、仕込み量等を実態に応じて調整する。ここで、計量器は、従来の計量器が用いられる。
【0065】
以上の実施形態において、巻出し装置によってろう材帯を巻き出すことを例として説明し、本発明のフラックス入りろう材の製造プロセスを説明した。他の実施形態において、従来の目地フラックス入りろう材を出発原料として、圧延、粉末仕込み及び圧着(上記実施例と比較して、圧延ユニットと粉末仕込みユニットとがない)を経ることなく、巻出し装置によって該目地フラックス入りろう材を巻出し、直接、フラックス補給ユニットに入ってフラックスを補給し、その後、乾燥ユニットを経て巻き取られる。
【0066】
(実施例1)
本実施例は、下記のステップを含むフラックス入りろう材の製造方法を提供する。
(1)幅8mm、厚さ0.22mmのBAg49Cu16Zn23Ni4.5Mn7.5ろう材帯を巻出し装置によって圧延ロールに送り、圧延ロールで圧延してU形ろう材帯を形成する。
(2)U形ろう材帯を粉末仕込みユニットに搬送し、固形のフラックスとU形ろう材帯に対するフラックスとの質量比が10%となる割合でU形ろう材帯に固形のフラックスQJ102を投入する。固形のフラックスを添加したU形ろう材帯は、圧着ロールに搬送されて圧着され、目地フラックス入りろう材を形成する。
(3)液状のフラックスQJ102を貯溜したストッカーに、ワイヤ供給口から目地フラックス入りろう材を供給し、ガイドロール群で液状のフラックスに目地フラックス入りろう材を60s浸し、液状のフラックスを隙間に補給する。
(4)補給処理されたフラックス入りろう材は、引き続き乾燥ユニットに送られ、低温乾燥処理と高温乾燥処理とが順次行われる。前記低温乾燥処理の温度は、80℃であり、低温乾燥処理の時間は、60秒である。前記高温乾燥処理の温度は、300℃であり、高温乾燥処理の時間は、60秒である。
(5)乾燥処理が完了したフラックス入りろう材を巻取り装置によってスプール(spool)に巻き取る。
【0067】
なお、全期間におけるろう材帯の移動速度は、1m/minである。
【0068】
(実施例2)
本実施例は、実施例1の製造方法を参照しているが、ただし、ろう材帯をBAg30CuZnSn、フラックスをQJ101とした点のみで異なる。
【0069】
(実施例3)
本実施例は、実施例1の製造方法を参照しているが、ただし、ろう材帯をBCu84MnNi、フラックスをYJ2とした点のみで異なる。
【0070】
(実施例4)
本実施例は、実施例1の製造方法を参照しているが、ただし、(4)ステップにおいて、補給処理されたフラックス入りろう材が引き続き乾燥ユニットに送られ、低温乾燥処理のみが行われ、前記低温乾燥処理の温度が80℃であり、低温乾燥処理の時間が60秒であるという点のみで異なる。
【0071】
(実施例5)
本実施例は、実施例1の製造方法を参照しているが、ただし、(4)ステップにおいて、補給処理されたフラックス入りろう材が引き続き乾燥ユニットに送られ、高温乾燥処理のみが行われ、前記高温乾燥処理の温度が300℃であり、高温乾燥処理の時間が60秒であるという点のみで異なる。
【0072】
(比較例1)
比較例1は、実施例1の製造方法を参照しているが、ただし、ステップ(3)とステップ(4)とが含まれないという点のみで異なる。
【0073】
(実験例1)
異なる実施例及び比較例によって製造されたフラックス入りろう材を性能を比較するために、製造したフラックス入りろう材をそれぞれステンレス鋼継手(304ステンレス鋼)のろう付に適用し、GB/T11363-2008ろう付継手試験法によって引張強度を測定した。測定結果を表1に示す。
【0074】
【0075】
また、製造されたフラックス入りろう材を目視検査すると、比較例1の製造方法により製造したフラックス入りろう材は、空芯やフラックスが少ない場合があり、空芯の場合には、溶接後の引張強度が50MPa以下と極めて低く、製品の品質安定性が劣る。また、液状のフラックスを単独で用いてフラックス入りろう材を製造する場合、工程が複雑で生産効率に大きな限界があり、また、加工される一本の長さに限界があり、コストが高く、フラックスの含有量の制御が容易でないという欠点がある。
【0076】
溶接工程における飛散を検証するために、実施例1、実施例4及び実施例5のフラックス入りろう材の溶接後の溶接部の形状を調べた。
図4に示すように、(a)は、低温乾燥処理のみを用いた実施例4であり、(b)は、高温乾燥のみを用いた実施例5であり、(c)は、低温高温複合プロセスを用いた実施例1である。図中の白丸は、飛散物を表す。低温乾燥処理又は高温乾燥処理を単独で用いた場合の溶接工程において、両者を同時に用いる場合に比べて飛散の程度が高い。
【0077】
最後に、上述の各実施例は、本発明の技術手段を限定するものではなく、説明するためのものである。前記の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者にとって、前記の各実施例に記載の技術手段を変更したり、その中の一部又はすべての技術的構成の均等代替をしたりすることができる。これらの変更や代替は、対応する技術手段を本質的に本発明の各実施例の技術手段の範囲から逸脱させない。
【0078】
(付記)
(付記1)
フラックス入りろう材の製造方法であって、
目地フラックス入りろう材の目地から、目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充した後、乾燥処理するステップを含み、ここで、前記目地フラックス入りろう材のの製造は、U形ろう材帯内に固形のフラックスを充填した後、圧着して前記目地フラックス入りろう材を形成する、
ことを含むことを特徴とするフラックス入りろう材の製造方法。
【0079】
(付記2)
前記乾燥処理は、低温乾燥と高温乾燥とをこの順に行うことを含み、
前記低温乾燥の温度が50~150℃であり、前記高温乾燥の温度が150~350℃であり、前記低温乾燥の時間が30~120sであり、前記高温乾燥の時間が30~120sである、
ことを特徴とする付記1に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【0080】
(付記3)
前記ろう材は、銀系ろう材、銅系ろう材のいずれか1種又は複数種を含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【0081】
(付記4)
前記目地の幅は、0.01~0.2mmである、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【0082】
(付記5)
目地フラックス入りろう材に液状のフラックスを補充することは、
前記目地フラックス入りろう材を液状のフラックスに30~120s浸すことを含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のフラックス入りろう材の製造方法。
【0083】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載のフラックス入りろう材の製造方法により製造されたフラックス入りろう材。
【0084】
(付記7)
付記1~5のいずれか1つに記載のフラックス入りろう材の製造方法を実施する装置であって、
搬送ユニットと、フラックス補給ユニットと、乾燥ユニットとを含み、
前記搬送ユニットは、巻出し装置、巻取り装置及びガイドロール群を含み、
前記フラックス補給ユニットは、ワイヤ供給口及びワイヤ排出口が側壁に設けられたストッカーを含み、
前記巻出し装置、ワイヤ供給口、ガイドロール群、ワイヤ排出口、乾燥ユニット及び巻取り装置は、順に設けられている、
ことを特徴とする装置。
【0085】
(付記8)
更に、圧延ユニットと、粉末仕込みユニットとを含み、
圧延ユニット、粉末仕込みユニットは、巻出し装置とフラックス補給ユニットの間に順に設けられ、
前記圧延ユニットは、ろう材帯を圧延成形加工することによりU形ろう材帯に加工するための圧延ロールと、U形ろう材帯を圧着して目地フラックス入りろう材を形成するための圧着ロールとを含み、
前記粉末仕込みユニットは、圧延ロールと圧着ロールとの間に設けられ、U形ろう材帯のU形溝に粉末を落とすためのものである、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
【0086】
(付記9)
前記乾燥ユニットは、低温乾燥ユニットと高温乾燥ユニットとを含み、
前記低温乾燥ユニットは、低温乾燥管と、前記低温乾燥管の外周に設けられたヒータ線とを含み、
前記高温乾燥ユニットは、前記低温乾燥管に接続される高温乾燥管と、前記高温乾燥管の外周に設けられたヒータ線とを含む、
ことを特徴とする付記7又は8に記載の装置。
【0087】
(付記10)
前記ガイドロール群は、前記ストッカー内に互いに平行に設けられた第1ガイドロール、第2ガイドロール及び第3ガイドロールを含み、
前記第2ガイドロールの水平位置は、前記第1ガイドロール及び前記第3ガイドロールよりも低く、
前記第2ガイドロールの水平位置は、前記ワイヤ供給口及び前記ワイヤ排出口よりも低い、
ことを特徴とする付記7又は8に記載の装置。
【符号の説明】
【0088】
1-巻出し装置、2-圧延ロール、3-粉末仕込みユニット、4-圧着ロール、5-ストッカー、6-乾燥ユニット、7-巻取り装置、8-ろう材帯、9-液状のフラックス、41-第1ガイドロール、42-第2ガイドロール、43-第3ガイドロール、51-ワイヤ供給口、52-ワイヤ排出口、61-保温ボックス、62-低温乾燥管、63-高温乾燥管、64-ヒータ線、71:入口領域、72-圧縮領域、73-サイジング領域、74-出口領域。
【国際調査報告】