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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】3D印刷用の食用菓子インク組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/03 20140101AFI20220804BHJP
   A23G 3/54 20060101ALI20220804BHJP
   A23G 1/54 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
C09D11/03
A23G3/54
A23G1/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573238
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020065808
(87)【国際公開番号】W WO2020249506
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】19179726.5
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520372869
【氏名又は名称】ブンゲ・ローデルス・クロックラーン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス・ミュルデル
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・コルネリア・スミト
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マ
【テーマコード(参考)】
4B014
4J039
【Fターム(参考)】
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG11
4B014GG14
4B014GK05
4B014GP02
4B014GP20
4J039AB01
4J039BC19
4J039BC20
4J039BE33
4J039FA07
4J039GA34
(57)【要約】
3D印刷用の食用菓子インク組成物は、20重量%~75重量%の甘味料、好ましくは砂糖と、15重量%~50重量%の脂肪組成物と、を含み、該脂肪組成物は、0重量%~3重量%のラウリン酸(C12:0)と、35重量%~70重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)は、8.0%~40.0%であり、該脂肪組成物は、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で50~90の固体脂肪含有量、20℃で30~75の固体脂肪含有量、および30℃で5~30の固体脂肪含有量を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷用の食用菓子インク組成物であって、20重量%~75重量%の甘味料、好ましくは砂糖と、15重量%~50重量%の脂肪組成物と、を含み、前記脂肪組成物が、
0重量%~3重量%のラウリン酸(C12:0)と、
35重量%~70重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、
前記酸のパーセント割合は、前記脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合している酸を指し、かつ、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、
全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)が、8.0%~40.0%であり、
前記脂肪組成物が、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、
10℃で50~90の固体脂肪含有量、および
20℃で30~75の固体脂肪含有量、および
30℃で5~30の固体脂肪含有量
を有する、インク組成物。
【請求項2】
25重量%~70重量%、好ましくは35重量%~60重量%、より好ましくは43重量%~55重量%の甘味料と、
20重量%~45重量%、好ましくは25重量%~40重量%、より好ましくは25重量%~34重量%の前記脂肪組成物と、を含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記脂肪組成物が、前記組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、
5重量%~18重量%、好ましくは6重量%~16重量%のPPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドと、
40重量%~60重量%、好ましくは45%~58%のPOP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドと、を含み、
Pがパルミチン酸であり、Oがオレイン酸であり、Stがステアリン酸である、請求項1または2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記脂肪組成物が、前記組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、0.08~0.45、好ましくは0.09~0.40の、(PPP+PPSt+PStSt+StStSt):(POP+POSt+StOSt)トリグリセリドの重量比を有し、Pがパルミチン酸であり、Oがオレイン酸であり、Stがステアリン酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記脂肪組成物が、
0重量%~2重量%、好ましくは0重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%、好ましくは45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、
前記酸のパーセント割合が、前記脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合している酸を指し、かつ、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、
全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)が、9.0%~38.0%、好ましくは10.0%~34.0%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記脂肪組成物が、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85、好ましくは60~80の固体脂肪含有量、および/または
15℃で40~80、好ましくは45~75の固体脂肪含有量、および/または
20℃で35~65、好ましくは40~60の固体脂肪含有量、および/または
25℃で20~45、好ましくは25~40の固体脂肪含有量、および/または
30℃で6~25、好ましくは7~20の固体脂肪含有量、および/または
35℃で2~18、好ましくは3~15の固体脂肪含有量を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記脂肪組成物が、エステル交換されたパームオレインとシアステアリンとの、好ましくは、ヨウ素価が52~57であるエステル交換されたパームオレイン30重量%~70重量%と、シアステアリン30重量%~70重量%との、ブレンド物である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記脂肪組成物が、任意選択によりエステル交換されていてもよいパームオレイン画分とパーム中間画分との、好ましくは、ヨウ素価が46~50の任意選択によりエステル交換されていてもよいパームオレイン画分30重量%~90重量%と、ヨウ素価が40~45のパーム中間画分10重量%~70重量%との、ブレンド物である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項9】
ココア粉末、粉乳、植物粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項10】
5重量%~25重量%、好ましくは6重量%~20重量%のココア粉末を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項11】
3D印刷のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の食用菓子インク組成物の使用。
【請求項12】
3D食用菓子製品を印刷する方法であって、
a)脂肪組成物を準備するステップであって、前記脂肪組成物が、
0重量%~3重量%のラウリン酸(C12:0)と、
35重量%~70重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、
前記酸のパーセント割合が、前記脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合している酸を指し、かつ、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、
全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合が、8.0%~40.0%であり、
前記脂肪組成物が、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、
10℃で50~90の固体脂肪含有量、および
20℃で30~75の固体脂肪含有量、および
30℃で5~30の固体脂肪含有量を有する、ステップと、
b)ステップa)で準備された前記脂肪組成物を完全に溶融させるステップと、
c)甘味料、好ましくは砂糖と、任意選択により場合によっては、ココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の成分とを、ステップb)からの溶融させた液体の前記脂肪組成物とブレンドするステップであって、ブレンド物が、20重量%~75重量%の甘味料と、15重量%~50重量%の、ステップa)およびb)からの前記脂肪組成物と、を含む、ステップと、
d)ステップc)で得られた前記ブレンド物を50℃~65℃の温度で混合するステップと、
e)前記ステップd)で得られたインクを27℃~40℃の温度に冷却するステップであって、前記インクが流体である、ステップと、
f)複数の層を含む所定の三次元パターンに従って、前記ステップe)からの流体インクを堆積させるステップと、
g)プラットフォーム上に堆積した前記流体インクを固化温度で固化させるステップと、を含む、方法。
【請求項13】
ステップa)で準備された前記脂肪組成物が、
0重量%~2重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%、好ましくは45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を有し、
前記酸のパーセント割合が、前記脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合している酸を指し、かつ、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、
全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合が、9.0%~38.0%、好ましくは10.0%~34.0%である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)で準備された前記脂肪組成物が、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、
10℃で55~85、好ましくは60~80の固体脂肪含有量、および/または
15℃で40~80、好ましくは45~75の固体脂肪含有量、および/または
20℃で35~65、好ましくは40~60の固体脂肪含有量、および/または
25℃で20~45、好ましくは25~40の固体脂肪含有量、および/または
30℃で6~25、好ましくは7~20の固体脂肪含有量、および/または
35℃で2~18、好ましくは3~15の固体脂肪含有量を有する、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
ステップc)で得られた前記ブレンド物が、ステップd)において52℃~62℃の温度で、好ましくは53℃~58℃の温度で混合される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップd)で得られた前記混合物が、27℃~37℃の温度、好ましくは29℃~36℃の温度、より好ましくは30℃~35℃の温度に冷却される、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~10のいずれか一項に記載の食用菓子インク組成物から得られる3D印刷された菓子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D印刷用の食用菓子インク組成物、その使用、3D印刷された菓子製品、および3D印刷用の食用菓子インク組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナライズされたチョコレートバーやチョコレート様の菓子製品など、カスタマイズされた食品に対する人気がますます高まっている。カスタマイズされた食品は限られた量で必要とされることが多いため、これらの製品が、鋳型成形や、熟練した職人の手などによる、伝統的な方式で製造される場合、食品メーカーにとってはこれらの製品の製造コストが比較的高くなる。
【0003】
3D食品印刷は、カスタム設計された食品の製造効率を向上させるための潜在的な解決手段を提供する一方で、消費者にとって許容可能で支払い可能なレベルにまで製品コストを削減することができると考えられる。
【0004】
3D食品印刷技術としては、インクジェット印刷法、粉末結合積層(powder binding deposition)法、熱溶融積層法(FDM)が挙げられる。インクジェット印刷技術は、熱または圧電ヘッドを使用して、液滴をノズルから押し出すのに必要な圧力を発生させる。粉末結合積層としては、選択的レーザー焼結、選択的熱風焼結、ならびに溶融および液体結合が挙げられる。FDMの適用は一般的に、ピューレなどの軟質材料の印刷や、溶融チョコレートおよびヒドロゲル形成材料の印刷において見られる。可食インクが押出機/シリンジにロードされる。デジタル制御により動作する印刷ヘッドを使用して、ピストンによって力を加え、その結果、インクがプラットフォーム上に堆積する。
【0005】
EP0462093A1は、食用インクで印刷された菓子製品を調製する方法、特に印刷されたチョコレートおよびそれに使用されるインクに関するものであり、該インクは、少なくとも溶媒、懸濁した顔料、糖および界面活性剤を含み、好ましくは親油性物質および乳化剤を含むものである。
【0006】
WO2014/139966は、食用インクで印刷するための、およびインクジェット印刷装置を使用して食用インクを材料に印刷するためのプロセスに関する。その材料は食用材料であり得る。そのインクは、着色料、少なくとも30%の水、少なくとも25%の炭水化物甘味料を含み得、またジオールおよびトリオールの両方を含まないものであり得る。
【0007】
WO2013/068154は、装飾コーティングされた冷凍菓子製品を製造するためのプロセスに関し、そのプロセスは、冷凍菓子にコーティング材料の層を適用するステップと、脂肪ベースのインクをコーティングされた冷凍菓子にインクジェット印刷してパターンを形成するステップと、を含み、その脂肪ベースのインクは、少なくとも70のN10値を有する、脂肪または脂肪混合物である。
【0008】
EP1551930A1は、着色料と、脂肪もしくはワックスを分散できる担体と、脂肪もしくはワックスベースと、を含む、脂肪もしくはワックスベースの食用インクの、食用基材上への高分解能インクジェット印刷を用いて、食用製品上への高解像度画像の作製を開示する。この方法では、圧電印刷ヘッドを利用し、食用製品としては、ワックス研磨された砂シェル表面などの非平面の疎水性表面を有し、その上に100dpi超の、好ましくは300dpi超の解像度を有する印刷画像を有する菓子片が挙げられる。
【0009】
GB1441446Aは、菓子に食用インク組成物を塗布することによる菓子の装飾方法に関する。
【0010】
WO2016/150960は、特定のテクスチャリング剤を含む食品組成物、および3D印刷プロセスにおける該食品組成物の使用に関する。
【0011】
WO2016/168421は、液体、砂糖、および1つ以上のヒドロコロイドから作製される食用材料を開示する。その食用材料は、食用カップ、コンテナ等を形成するために使用することができ、高温または低温の液体を長期間保持することができ、貯蔵寿命が長い。その食用材料を形成する組成物は、3D印刷における食用用途にさらに好適である場合があり得る。
【0012】
EP2727469A1は、チョコレート層などの三次元結晶構造を印刷する方法に関し、印刷後、材料は所望の結晶構造を有する。
【0013】
EP2937206A1は、チョコレート層などの三次元結晶構造を印刷するための方法を記載しており、印刷後、材料は、所望の結晶構造および複数の非ランダムな空洞を有する。
【0014】
CN107410628Aは、3D印刷様の迅速形成型のフォンダン食品材料を開示する。そのフォンダン食品材料は、質量パーセントで、以下の原材料、すなわち綿菓子25%~30%、アイシング55%~60%、バター6%~10%、コーンシロップ4%~6%、タイロース粉末0.5%~1%およびホワイトオイル1.5%~3%を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0462093号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/139966号
【特許文献3】国際公開第2013/068154号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1551930号明細書
【特許文献5】英国特許出願公開第1441446号明細書
【特許文献6】国際公開第2016/150960号
【特許文献7】国際公開第2016/168421号
【特許文献8】欧州特許出願公開第2727469号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第2937206号明細書
【特許文献10】中国特許出願公開第107410628号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
3D印刷プロセスに好適な食用菓子インク組成物を提供し、構造安定性が改善され望ましい外観特性を備える印刷製品を得ることに対するニーズが依然として存在する。また、三次元の食用菓子を印刷するための好適な食用インクを使用する、実行可能かつ効率的な3D印刷方法を提供することに対するニーズも存在する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、20重量%~75重量%の甘味料と、15重量%~50重量%脂肪組成物と、を含む、3D印刷用の食用菓子インク組成物が提供され、該脂肪組成物は、0重量%~3重量%のラウリン酸(C12:0)と、35重量%~70重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸(すなわちトリグリセリドの2位に結合した飽和脂肪酸残基)のパーセント割合(百分率)(Sn-2 SAFA%)は、8.0%~40.0%であり、該脂肪組成物は、ISO 8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で50~90の固体脂肪含有量、20℃で30~75の固体脂肪含有量、および30℃で5~30の固体脂肪含有量を有する。
【0018】
本発明の食用菓子インクは、3D食品印刷に特に有用であることが見出された。本発明の食用菓子インクは、印刷前のテクスチャーおよび粘度が良好であるため、ノズルからスムーズにインクを押し出すことができる。プラットフォーム上に堆積した後でも、そのインクは非常に安定かつ強固な構造を維持することができ、それによりさらなる処理および/またはパッケージングが容易に可能となる。印刷されたオブジェクトもまた、所定のデザインに比較的近いものとなる。特に、本発明によるインクは、驚くべきことに、3D印刷された製品に良好な外観特性を提供する。
【0019】
「3D印刷」という用語は、材料が層状に一緒に添加された状態で、該材料が連結または固化して、所定の三次元オブジェクトを生成させる、自動化されたプロセスを指す。
【0020】
「食用」という用語は、菓子製品などの食品として、または食品の一部として、使用するのに好適であることを指す。
【0021】
「菓子」という用語は、スイーツ(キャンディー)やチョコレートなどの甘味料を含む食用食品を指す。
【0022】
「インク組成物」という用語は、成分を混合することによって調製され、3D印刷に使用する準備ができており、印刷後に適切に固化して事前に設計された3Dオブジェクトを形成する、液体状のペースト材料を指す。「インク」という用語は、3D印刷の文脈で使用するものを指し、必ずしも着色剤(例えば染料)または色の存在を意味するわけではないが、インク組成物が色を有しても、また着色剤を含んでもよい。
【0023】
「甘味料」という用語は、甘い味を提供するために食品に添加される物質を指し、当技術分野で公知である。甘味料としては、ショ糖(一般に「砂糖」とも呼ばれ、精製後または未精製の形態で提供され得る)、グルコース、フルクトース、コーンシロップおよび高フルクトースコムシロップなどのシロップ、蜂蜜、エリスリトールを含むポリオール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、スレイトール、ガラクチトールおよびパラチノース、スクラロース、アセスルファムカリウム、アセスルファム酸およびそれらの塩、アスパルテーム、アリタム、ネオタメ、アドバンタム、シクラメート、サッカリンおよびそれらの塩、ネオヘスペリジン、ステビオールグルコシド、果実抽出物およびそれらの組み合わせが挙げられる。当業者であれば、所望の程度の甘味を達成するために、甘味料の量、または甘味料の組み合わせを調整できるであろう。好ましい甘味料は、ショ糖、グルコース、果糖、コーンシロップなどのシロップ、および高果糖コーンシロップである。特に好ましい甘味料はショ糖である。
【0024】
「脂肪」という用語は、脂肪酸アシル基を含有するグリセリド油脂を指し、いずれの特定の融点も意味しない。「油」という用語は、「脂肪」と同義語として使用される。
【0025】
本明細書で使用される、「脂肪酸」という用語は、8~24個の炭素原子を有する直鎖の飽和または不飽和(モノ-不飽和およびポリ-不飽和を含む)カルボン酸を指す。「脂肪酸」という用語は、遊離脂肪酸およびグリセリド中の脂肪酸残基を包含する。x個の炭素原子およびy個の二重結合を有する脂肪酸は、Cx:yと表されてもよい。例えば、パルミチン酸はC16:0と表されてもよく、オレイン酸はC18:1と表されてもよい。本明細書で言及される組成物中の脂肪酸のパーセント割合は、グリセリド中に存在するトリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドのアシル基を含み、C8~C24脂肪酸の総重量に基づく。脂肪酸プロファイル(すなわち、組成)は、例えば、ISO 12966-2およびISO 12966-4に従ってガスクロマトグラフィーを使用する脂肪酸メチルエステル分析(FAME)によって決定され得る。
【0026】
本発明の脂肪組成物は、本明細書で定義される脂肪酸および固体脂肪含有量の要件を満たす、天然もしくは合成の脂肪、天然もしくは合成の脂肪の画分、またはそれらの混合物から作製され得る。好ましくは、脂肪組成物は、1つ以上の植物性脂肪であるか、またはそれに由来し、任意選択によりエステル交換されていてもよい。
【0027】
本発明のインク組成物は、20重量%~75重量%、好ましくは25重量%~70重量%、より好ましくは35重量%~60重量%、さらにより好ましくは43重量%~55重量%の甘味料を含む。
【0028】
本発明のインク組成物は、15重量%~50重量%、好ましくは20重量%~45重量%、より好ましくは25重量%~40重量%、さらにより好ましくは25重量%~34重量%の脂肪組成物を含む。
【0029】
したがって、本発明の好ましいインク組成物は、25重量%~70重量%の甘味料と、20重量%~45重量%の脂肪組成物と、を含む。本発明のより好ましいインク組成物は、35重量%~60重量%の甘味料と、25重量%~40重量%の脂肪組成物と、を含む。本発明のさらにより好ましいインク組成物は、43重量%~55重量%の甘味料と、25重量%~34重量%の脂肪組成物と、を含む。
【0030】
本発明のさらにより好ましいインク組成物は、25重量%~70重量%の砂糖と、20重量%~45重量%の脂肪組成物と、を含む。本発明のより好ましいインク組成物は、35重量%~60重量%の砂糖と、25重量%~40重量%の脂肪組成物と、を含む。本発明のさらにより好ましいインク組成物は、43重量%~55重量%の砂糖と、25重量%~34重量%の脂肪組成物と、を含む。
【0031】
本明細書で特定されるトリグリセリドの量は、脂肪組成物中に存在する総トリグリセリドに基づく重量パーセントである。トリグリセリドXYZという表記は、グリセリドの1、2、および3位のいずれかに脂肪酸アシル基X、YおよびZを有するトリグリセリドを表す。A2Bという表記は、AABとABAの両方を含み、AB2は、ABBとBABの両方を含む。トリグリセリド含有量は、例えばGC(ISO 23275)によって決定され得る。
【0032】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、好ましくは、組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、5重量%~18重量%のPPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドと、40重量%~60重量%POP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドと、を含み、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0033】
より好ましくは、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、好ましくは、組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、6重量%~16重量%のPPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドと、43重量%~58重量%のPOP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドと、を含み、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0034】
さらにより好ましくは、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、好ましくは、組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、6重量%~14重量%のPPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドと、45重量%~56重量%のPOP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドと、を含み、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0035】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、好ましくは、組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、0.08~0.45、より好ましくは0.09~0.40、さらに好ましくは0.10~0.35の(PPP+PPSt+PStSt+StStSt):(POP+POST+StOSt)トリグリセリドの重量比を有し、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0036】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、0重量%~3重量%、好ましくは0重量%~2重量%、より好ましくは0.1重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)を含み、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づく。
【0037】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物の飽和脂肪酸(SAFA)は、35%~70%、好ましくは40%~65%、より好ましくは45%~60%、さらにより好ましくは50%~60%であり、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸のそれを指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づく。
【0038】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、全飽和脂肪酸のうち、トリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)が、8.0%~40.0%、好ましくは9.0%~38.0%、より好ましくは10.0%~34.0%、さらにより好ましくは11.0%~25.0%である。
【0039】
したがって、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、好ましくは、0重量%~2重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、該パーセント割合は、脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸のそれを指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)は、9.0%~38.0である。本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、より好ましくは、0重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)と、を含み、該パーセント割合は、脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸のそれを指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)は、10.0%~34.0%である。
【0040】
好ましい実施形態では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、0重量%~2重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを含み、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)が、9.0%~38.0%であり、PPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドが5重量%~18重量%であり、POP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドが40重量%~60%重量であり、(PPP+PPSt+PStSt+StStSt):(POP+POSt+StOSt)トリグリセリドの重量比は0.08~0.45であり、該組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0041】
より好ましい実施形態では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、0.1重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを含み、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合(Sn-2 SAFA%)は、10.0%~34.0%であり、PPP、PPSt、PStStおよびStStStの組み合わせトリグリセリドは6重量%~16重量%であり、POP、POStおよびStOStの組み合わせトリグリセリドは45重量%~58重量%であり、(PPP+PPSt+PStSt+StStSt):(POP+POSt+StOSt)トリグリセリドの重量比は0.09~0.40であり、組成物中に存在する総トリグリセリドに基づき、Pはパルミチン酸であり、Oはオレイン酸であり、Stはステアリン酸である。
【0042】
本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で50~90の固体脂肪含有量、20℃で30~75の固体脂肪含有量、および30℃で5~30の固体脂肪含有量を有する。
【0043】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85の固体脂肪含有量、より好ましくは60~80の固体脂肪含有量を有する。
【0044】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、15℃で40~80の固体脂肪含有量、より好ましくは45~75の固体脂肪含有量を有する。
【0045】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、20℃で35~65の固体脂肪含有量、より好ましくは40~60の固体脂肪含有量を有する。
【0046】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、25℃で20~45の固体脂肪含有量、より好ましくは25~40の固体脂肪含有量を有する。
【0047】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、30℃で6~25の固体脂肪含有量、より好ましくは7~20の固体脂肪含有量を有する。
【0048】
好ましくは、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、35℃で2~18の固体脂肪含有量、より好ましくは3~15の固体脂肪含有量を有する。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85の固体脂肪含有量、15℃で40~80の固体脂肪含有量、20℃で35~65の固体脂肪含有量、25℃で20~45の固体脂肪含有量、30℃で6~25の固体脂肪含有量、および35℃で2~18の固体脂肪含有量を有する。
【0050】
より好ましい実施形態では、本発明のインク組成物の脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で60~80の固体脂肪含有量、15℃で45~75の固体脂肪含有量、20℃で40~60の固体脂肪含有量、25℃で25~40の固体脂肪含有量、30℃で7~20の固体脂肪含有量、および35℃で3~15の固体脂肪含有量を有する。
【0051】
食用インク組成物は、該インク組成物の脂肪組成物が30℃または35℃で好ましい範囲内の固体脂肪含有量を有するときに、印刷中にノズルからスムーズかつ制御可能に押し出され、プラットフォーム上に堆積される、特に望ましいレオロジー特性を有すると考えられる。
【0052】
食用インク組成物はまた、インク組成物の脂肪組成物が20℃および/または25℃で望ましい範囲内の固体脂肪含有量を有するときに、プラットフォーム上に堆積された後、3D印刷製品の特に安定かつ強固な構造を提供すると考えられる。
【0053】
パーム油は、画分の溶融挙動に応じて分画することにより、様々な画分に分離し得る。当技術分野で周知であるように、一般に、パームステアリンは、パーム油の硬い画分と考えられ得、またパームオレインは、パーム油の柔らかい画分と考えられ得る。パーム中間画分は、パームステアリンとパームオレインとの間の画分である。様々な画分を識別するために、ヨウ素価を測定してパーム油の各画分を示すことができる。「ヨウ素価」という用語は、100gの油に添加され得るヨウ素のグラム数を指し、AOCS法Cd1-25などの標準法により測定される。
【0054】
好ましい実施形態では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が40~45のパーム中間画分を含む。より好ましい実施形態では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が40~45であるパーム中間画分を10重量%~70重量%含む。さらにより好ましい実施形態では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が40~45であるパーム中間画分を15重量%~55重量%含む。
【0055】
別の好ましい態様では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が46~50のパームオレイン画分30重量%~90重量%と、ヨウ素価が40~45のパーム中間画分10重量%~70重量%とからなる。
【0056】
別のより好ましい態様では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が46~50のパームオレイン画分40重量%~85重量%と、ヨウ素価が40~45のパーム中間画分15重量%~60重量%とからなる。
【0057】
別のさらにより好ましい態様では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が46~50のパームオレイン画分40重量%~85重量%と、ヨウ素価が40~45のパーム中間画分15重量%~60重量%と、からなり、該パームオレイン画分はエステル交換されている。エステル交換は、化学的または酵素的に実施し得る。化学的エステル交換は、例えば、ナトリウムメトキシドを触媒として使用することによって実施し得る。酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼにより触媒され得る。
【0058】
別の好ましい態様では、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が52~57のエステル交換されたパームオレイン画分30重量%~70重量%と、シアステアリン30重量%~70重量%とからなる。シアステアリンは、シアバターから得られるステアリン画分である。より好ましくは、本発明によるインク組成物の脂肪組成物は、ヨウ素価が52~57のエステル交換パームオレイン画分40重量%~60重量%と、40重量%~60重量%のシアステアリンとからなる。
【0059】
本発明による食用菓子インク組成物は、好ましくは、ココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の任意選択の成分をさらに含んでもよい。
【0060】
本発明による食用菓子インク組成物は、好ましくは5重量%~25重量%の、より好ましくは6重量%~20重量%のココア粉末を含む。
【0061】
別の好ましい態様では、本発明による食用菓子インク組成物は、0.1重量%~1重量%、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%の着色料を含む。
【0062】
「乳化剤」という用語は、乳濁液の安定性を動力学的に増加させる物質、例えば、レシチン、ポリリシノレイン酸ポリグリセリン(PGPR)、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノグリセリドおよびジグリセリド、蒸留モノグリセリド、ならびに脂肪酸のプロピレングリコールエステルを指す。
【0063】
本発明によってさらに提供されるのは、3D印刷に好適な食用菓子インク組成物を作製するための方法であり、a)上記で定義された脂肪組成物を提供するステップと、b)ステップa)で提供された該脂肪組成物を完全に融解させるステップと、c)甘味料、好ましくは砂糖と、任意選択により場合によっては、ココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の成分とを、ステップb)からの溶融された液体状の該脂肪組成物とブレンドするステップであって、該ブレンドが、20重量%~75重量%の甘味料と、15重量%~50重量%のステップa)およびb)からの該脂肪組成物と、を含むステップと、d)ステップc)で得られた該ブレンドを50℃~65℃の温度で混合するステップと、e)ステップd)から得られた該混合物を28℃~40℃の温度に冷却するステップであって、該インク組成物が流体であるステップと、を含む。インク組成物は、28℃~40℃の温度で該方法の最後に流動性を有することにより、3D印刷で使用することができる。
【0064】
本発明はまた、3D印刷のための本発明による食用菓子インク組成物の使用に関する。
【0065】
本発明はまた、3D食用菓子製品を印刷するための方法に関し、a)脂肪組成物を提供するステップであって、該脂肪組成物が、0重量%~3重量%のラウリン酸(C12:0)と、35重量%~70重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを含み、該酸のパーセント割合が、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合が8.0%~40.0%であり、該脂肪組成物が、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で50~90の固体脂肪含有量、20℃で30~75の固体脂肪含有量、および30℃で5~30の固体脂肪含有量を有するステップと、b)ステップa)で提供された該脂肪組成物を完全に融解させるステップと、c)砂糖または他の甘味料と、任意選択により場合によっては、ココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の成分とを、ステップb)からの溶融された液体状の該脂肪組成物とブレンドするステップであって、該ブレンドが、20重量%~75重量%の甘味料と、15重量%~50重量%のステップa)およびb)からの該脂肪組成物とを含むステップと、d)ステップc)から得られた該ブレンドを50℃~65℃の温度で混合するステップと、e)該ステップd)から得られたインクを27℃~40℃の温度に冷却するステップであって、該インクが流体であるステップと、f)複数の層を含む所定の三次元パターンに従って流体インクを堆積させるステップと、g)固化温度でプラットフォーム上で該流体インクを固化させるステップと、を含む。
【0066】
「固化温度」という用語は、インク組成物がプラットフォーム上で固化する温度を指す。食用組成インクの固化温度は、一般に15℃~28℃、好ましくは18℃~25℃である。
【0067】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、0重量%~2重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを有し、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合は9.0%~38.0%である。
【0068】
より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、0.1重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを有し、該酸のパーセント割合は、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合は10.0%~34.0%である。
【0069】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で60~80の固体脂肪含有量を有する。
【0070】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、15℃で40~80の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、15℃で45~75の固体脂肪含有量を有する。
【0071】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、20℃で35~65の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、20℃で40~60の固体脂肪含有量を有する。
【0072】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、25℃で20~45の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、25℃で25~40の固体脂肪含有量を有する。
【0073】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、30℃で6~25の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、30℃で7~20の固体脂肪含有量を有する。
【0074】
好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、35℃で2~18の固体脂肪含有量を有する。より好ましくは、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、35℃で3~15の固体脂肪含有量を有する。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85の固体脂肪含有量、15℃で40~80の固体脂肪含有量、20℃で35~65の固体脂肪含有量、25℃で20~45の固体脂肪含有量、30℃で6~25の固体脂肪含有量、および35℃で2~18の固体脂肪含有量を有する。
【0076】
より好ましい実施形態では、本発明による方法のステップa)で提供された脂肪組成物は、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で60~80の固体脂肪含有量、15℃で45~75の固体脂肪含有量、20℃で40~60の固体脂肪含有量、25℃で25~40の固体脂肪含有量、30℃で7~20の固体脂肪含有量、および35℃で3~15の固体脂肪含有量を有する。
【0077】
該方法に従ってステップc)から得られたブレンドは、好ましくはステップd)において、52℃~62℃の温度で、より好ましくは53℃~58℃の温度で混合される。
【0078】
該方法に従ってステップd)から得られた混合物は、好ましくは27℃~37℃の温度に、より好ましくは29℃~36℃の温度に、さらにより好ましくは30℃~35℃の温度に冷却される。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明による3D食用菓子製品を印刷するための方法は、a)脂肪組成物を提供するステップであって、該脂肪組成物が、0重量%~2重量%のラウリン酸(C12:0)と、40重量%~65重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを含み、該酸のパーセント割合が、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合が9.0%~38.0%であり、該脂肪組成物が、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で55~85の固体脂肪含有量、15℃で40~80の固体脂肪含有量、20℃で35~65の固体脂肪含有量、25℃で20~45の固体脂肪含有量、30℃で6~25の固体脂肪含有量および35℃で2~18の固体脂肪含有量を有するステップと、b)ステップa)で提供された該脂肪組成物を完全に融解させるステップと、c)砂糖と、任意選択により場合によっては他の甘味料、および/またはココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香料から選択される1つ以上の成分とを、ステップb)からの溶融された液体状の該脂肪組成物とブレンドするステップであって、該ブレンドが、25重量%~70重量%の甘味料と、20重量%~45重量%のステップa)およびb)からの脂肪組成物とを含むステップと、d)ステップc)から得られた該ブレンドを52℃~62℃の温度で混合するステップと、e)該ステップd)から得られたインクを27℃~37℃の温度に冷却するステップであって、該インクが流体であるステップと、f)複数の層を含む所定の三次元パターンに従って流体インクを堆積させるステップと、g)固化温度でプラットフォーム上で該流体インクを固化させるステップと、を含む。
【0080】
より好ましい実施形態では、本発明による3D食用菓子製品を印刷するための方法は、a)脂肪組成物を提供するステップであって、該脂肪組成物が、0.1重量%~1重量%のラウリン酸(C12:0)と、45重量%~60重量%の飽和脂肪酸(SAFA)とを含み、該酸のパーセント割合が、該脂肪組成物中のグリセリド中のアシル基として結合する酸を指し、C8~C24脂肪酸の総重量に基づき、全飽和脂肪酸のうちトリグリセリドの2位にある飽和脂肪酸のパーセント割合が10.0%~34.0%であり、該脂肪組成物が、ISO8292-1に従う非安定化脂肪の測定において、10℃で60~80の固体脂肪含有量、15℃で45~75の固体脂肪含有量、20℃で40~60の固体脂肪含有量、25℃で25~40の固体脂肪含有量、30℃で7~20の固体脂肪含有量および35℃で3~15の固体脂肪含有量を有するステップと、b)ステップa)で提供された該脂肪組成物を完全に融解させるステップと、c)砂糖と、任意選択により場合によっては他の甘味料と、ならびに任意選択により場合によってはココア粉末、粉乳、植物性粉乳、乳製品粉末、ヨーグルト粉末、カカオマス、バニリン、乳化剤、着色料および香味料から選択される1つ以上の成分とを、ステップb)からの溶融させた液体状の脂肪組成物とブレンドするステップであって、該ブレンドが、35重量%~60重量%の甘味料と、25重量%~40重量%のステップa)およびb)からの該脂肪組成物とを含むステップと、d)ステップc)から得られた該ブレンドを53℃~58℃の温度で混合するステップと、e)該ステップd)から得られたインクを29℃~36℃の温度に冷却するステップであって、該インクが流体であるステップと、f)複数の層を含む所定の三次元パターンに従って流体インクを堆積させるステップと、g)固化温度でプラットフォーム上で該流体インクを固化させるステップと、を含む。
【0081】
本発明はまた、本発明による食用菓子インク組成物から得られる、またはそれから得ることができる3D印刷された菓子製品に関する。
【0082】
本発明はまた、食用製品における、本発明による食用菓子インク組成物から得られる、またはそれから得ることができる3D印刷された菓子製品の使用に関する。
【0083】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは考察は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0084】
本発明の所与の態様、実施形態、特徴、またはパラメータについての優先度および選択肢は、別段文脈が示さない限り、本発明のすべての他の態様、実施形態、機能、およびパラメータについてのありとあらゆる優先度および選択肢と組み合わせて開示されているものとみなされるべきである。
【0085】
以下の非限定的な実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を決して限定するものではない。実施例において、および本明細書を通して、他に示されない限り、すべてのパーセント割合、部分、および比率は重量による。
【実施例
【0086】
実施例1-脂肪組成物
3つの脂肪組成物を調製した。各脂肪組成物を漂白し、脱臭した。
【0087】
パーム油を乾式分画して、ヨウ素価が約35のステアリン画分(POslV35)をヨウ素価が約55のオレイン画分(POflV55)から分離する。ステアリン画分(POslV35)をさらに乾式分画して、ステアリン画分(POslV14)をオレイン画分(POflV47)から分離する。オレイン画分(POflV55)をさらに乾式分画して、ソフトな中間画分(POmlV42)をオレイン画分(POflV64)から分離する。POmlV42をさらに溶媒分画して、ハードな中間画分(POmlV32)をオレイン画分から分離する。ヨウ素価は、AOCS法Cd1-25で測定することができる。
【0088】
脂肪1は、84重量%のPOflV47と16重量%のPOmlV42とのブレンドである。
【0089】
脂肪2は、50重量%の化学的にエステル交換されたPOflV47と50重量%のPOmlV42とのブレンドである。
【0090】
脂肪3は、50重量%の酵素的にエステル交換されたPOflV55と50重量%のシアステアリンとのブレンドである。シアステアリンは、溶媒分画によってシアバターから得られる。
【0091】
2つの比較脂肪組成物を調製した。各脂肪組成物を漂白し、脱臭した。
【0092】
比較脂肪1は、シアバター100重量%である。
【0093】
比較脂肪2は、99重量%のPOmlV32と、1重量%の化学的にエステル交換されたPOslV35の溶媒分画された上部ステアリン画分と、である。
【0094】
脂肪1、脂肪2、脂肪3、比較脂肪1および比較脂肪2の分析結果を表1に示す。
【0095】
【表1-1】
【表1-2】
【0096】
薄層クロマトグラフィー(TLC)およびグリニャール試薬によるトリグリセリドの部分加水分解に基づく方法を使用して、さらにGC-FAME(ISO12966-2およびISO12966-4)により、脂肪1、脂肪2、脂肪3、比較脂肪1および脂肪2の比較を行った。分析結果を、表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例2-菓子用インク組成物の調製
55℃の湯浴に浸漬されたステンレス鋼容器内で、少なくとも3時間かけ、実施例1の各脂肪組成物(脂肪1、脂肪2、脂肪3、比較脂肪1および比較脂肪2)を完全に溶融させた。
【0099】
各菓子インク組成物について、1440グラムの砂糖、210グラムのココア粉末DR74、210グラムのココア粉末NE、210グラムのスキムミルク粉末、12グラムのレシチンおよび0.6グラムのバニリンのプレミックスを調製し、室温に維持した。次に、完全に溶融させた各脂肪組成物930グラムをそれぞれプレミックスに加え、ブレンドした。
【0100】
実験用ボールミル(W-1-S、Wiener BV、オランダ)を準備し、ウォーターバスを使用して55℃に温度調節した。続いて、表3のすべての成分を含む各ブレンドをそれぞれボールミルに加え、全内容物を最高速度で40分間粉砕した。次に、ボールミルを最低速度に設定し、各材料をミルの出口からそれぞれステンレス鋼の容器に回収した。
【0101】
【表3】
【0102】
回収した各材料を、55℃に設定した湯浴に浸漬させたステンレス鋼の容器に保存した。次に、容器を15℃~16℃の水浴に入れ、撹拌しながら、各材料を32℃~35℃の温度に冷却した。それにより、5つの菓子インク組成物を得た(表4)。
【0103】
【表4】
【0104】
実施例3-菓子製品の3D印刷
続いて、実施例2の各菓子インク組成物を、予熱した30mLのプラスチック製シリンジ(直径23mm、40℃)に添加した。このシリンジをすぐに、発熱体を備えたByflow Focus 3Dフードプリンター(Byflow、オランダ)に装着し、シリンジを33~35℃の制御された温度に維持した。3D印刷を開始し、160×160mmの単一壁および高さ10層の、正方形からなるモデル印刷物を作製した。この所定のパターンは、Sketchupで作製し、Slic3rソフトウェアによってG-コードファイルに変換した。印刷ノズルの押し出し直径を1.6mmとし、垂直印刷速度をすべての層で15mm/秒に設定した。シリンジからインクを押し出すために必要な力をプリンターが調整することを可能にするため、最初はオブジェクトから10mmの位置に1つのブリムを印刷した。層の高さを、すべての印刷において1.2mmに設定した。それにより、5つの3D印刷された菓子製品をそれぞれ得た(表5)。
【0105】
【表5】
【0106】
実施例4-3D印刷された菓子製品の評価
すべてのインク組成物は、押出機内での許容可能な粘度を有し、シリンジから押し出し、一定の印刷速度でプラットフォーム上に堆積させることができる。印刷後、各製品の重量および高さを測定した。結果を表6に示す。
【0107】
【表6】
【0108】
比較3D印刷された製品1は、結晶化が非常に遅いため、印刷後にその構造を完全に喪失した。したがって、比較3D印刷製品1の高さを測定することはできない。さらに、比較3D印刷製品2の構造が大幅に崩壊していることが観察された。したがって、比較3D印刷製品2の高さは設計値と比較し非常に低く、一方、3D印刷製品1~3の高さは設計値の12mm(1.2mm×10層)と非常に近いものである。高さの値が低いのは、インク組成物の固化挙動が遅すぎるために、印刷後にオブジェクトの構造が崩壊することによる。固化が遅いインク組成物は、明らかに3D印刷には好適ではない。
【0109】
すべての製品を30分間室温に設定する。30分後、各3D印刷された菓子製品の外観を評価した。評価を表7に示す。
【0110】
【表7】
【0111】
3D印刷製品1~3はすべて、許容できる剛性を示す。3D印刷製品3は、印刷後に非常に優れた硬さを示す。3D印刷製品1~3すべてで層の分離が明確に観察されたが、比較3D印刷製品1~2では層の分離が発生しなかった。3D印刷製品1では平均的な光沢が観察され、3D印刷製品3の光沢は予想外に良好であることがわかった。
【0112】
実施例5-染色された菓子製品の3D印刷
55℃の湯浴に浸漬されたステンレス鋼容器内で、少なくとも3時間かけ、本発明による実施例1の各脂肪組成物(脂肪1、脂肪2および脂肪3)を完全に溶融させた。
【0113】
各菓子インク組成物について、1320グラムの砂糖、300グラムの脱脂粉乳、360グラムのフルクリーム粉乳、18グラムのレシチン、12グラムの着色料、および0.6グラムのバニリンのプレミックスを調製し、温度調節されたキャビネット中で50℃まで予熱した。CHR Hansenから、着色料FruitMax(登録商標)Blue1500OS、SweetColor(登録商標)Pink1150OSSおよびMintGreen300OSを入手した。次に、完全に溶融させた各脂肪組成物930グラムをそれぞれプレミックスに加え、ブレンドした。
【0114】
実験用ボールミル(W-1-S、Wiener BV、オランダ)を準備し、ウォーターバスを使用して55℃に温度調節した。続いて、表8のすべての成分を含む各ブレンドをそれぞれボールミルに加え、全内容物を最高速度で40分間粉砕した。次に、ボールミルを最低速度に設定し、各材料をミルの出口からそれぞれステンレス鋼の容器に回収した。
【0115】
【表8】
【0116】
回収した各材料を、55℃に設定した湯浴に浸漬させたステンレス鋼の容器に保存した。次に、容器を15℃~16℃の水浴に入れ、撹拌しながら、各材料を32℃~35℃の温度に冷却した。
【0117】
続いて、染色された各菓子インク組成物を、予熱した30mLのプラスチック製シリンジ型エクストルーダー(直径23mm、40℃)に添加した。このシリンジをすぐに、発熱体を備えたByflow Focus 3Dフードプリンター(Byflow、オランダ)に装着し、シリンジを33~35℃の制御された温度に維持した。3D印刷を開始し、160×160mmの単一壁および高さ10層の、正方形からなるモデル印刷物を作製した。この所定のパターンは、Sketchupで作製し、Slic3rソフトウェアによってG-コードファイルに変換した。印刷ノズルの押し出し直径を1.6mmとし、垂直印刷速度をすべての層で15mm/秒に設定した。シリンジからインクを押し出すために必要な力をプリンターが調整することを可能にするため、最初はオブジェクトから10mmの位置に1つのブリムを印刷した。層の高さを、すべての印刷において1.2mmに設定した。
【0118】
得られたすべての3D印刷された染色された菓子製品は、良好かつ安定な構造を有し、また望ましい明るい色彩を有する。これらの製品は、食用製品の装飾としての使用に特に好適である。
【国際調査報告】