(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】自動車用ドラムブレーキ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/00 20060101AFI20220804BHJP
F16D 65/09 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
F16D65/00 C
F16D65/09 S
F16D65/09 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573270
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020067641
(87)【国際公開番号】W WO2020260360
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】102019209518.6
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】テスケ・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ・シュテファン
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA03
3J058AA08
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA24
3J058AA28
3J058AA37
3J058BA78
3J058CA18
3J058CA22
3J058FA05
3J058FA06
3J058FA07
(57)【要約】
自動車用ドラムブレーキ(1)は、摩耗したブレーキ粒子を集めるためのポケット(9)を有している。ポケット(9)は、開口部(11)を介して上部からアクセス可能である。吸引手段(13)を開口部(11)に導入した後、摩耗したブレーキ粒子は吸引によって抜き取ることができる。その結果、摩耗したブレーキ粒子による環境汚染を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動自在に取り付けられるブレーキドラム(2)を有し、径方向内側に面する摩擦面(3)を有し、前記摩擦面(3)の径方向内側に配置されるブレーキライニング(4)を有し、前記摩擦面(3)に対して前記ブレーキライニング(4)に予め負荷を加えるためのアクチュエータ(6)を有し、前記アクチュエータ(6)を保持するためのアンカープレート(5)を有し、前記ブレーキドラム(2)から摩耗したブレーキ粒子を排出するための開口部(11、111、211)を有し、前記ブレーキドラム(2)のためのカバー(7)を有する自動車用ドラムブレーキ(1)であって、前記カバー(7)は摩耗したブレーキ粒子を集めるためのポケット(9)を区切ることを特徴とする、自動車用ドラムブレーキ(1)。
【請求項2】
前記開口部(11、111、211)は、前記カバー(7)の基部領域から離間されることを特徴とする、請求項1に記載のドラムブレーキ。
【請求項3】
前記開口部(211)は、前記ポケット(9)内に突出する集塵ファンネル(220)内に開口することを特徴とする、請求項1又は2に記載のドラムブレーキ。
【請求項4】
前記集塵ファンネル(220)は、2つのブレーキライニング(4)の間で、且つ前記ブレーキドラム(2)の内側の真上に配置され、前記摩耗したブレーキ粒子を集めるための樋形状を有することを特徴とする、請求項3に記載のドラムブレーキ。
【請求項5】
前記カバー(7)は垂直セクション(8)を有し、前記垂直セクション(8)は前記ポケット(9)を形成する部分領域を有し、前記開口部(11、111、211)は前記垂直セクション(8)の上方に配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項6】
前記アンカープレート(5)及び前記カバー(7)は一体に製造されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項7】
前記開口部(11)はプラグ(12)によって閉鎖されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項8】
前記開口部(11、111、211)は、吸引ライン(15、115)のための接続部(14、114、214)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項9】
前記開口部(11、111)はエアフィルタ(18、118)に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項10】
前記開口部(11、111、211)は、内燃機関(117)の吸気管(116)に接続されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項11】
前記ポケット(9)は、その上側に、前記垂直セクション(8)に対して傾斜するセクション(10)を有し、前記開口部(11、111、211)は前記傾斜セクション(10)内に配置されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【請求項12】
前記開口部(111、211)は管状ノズル(119、219)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のドラムブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動自在に取り付けられるブレーキドラムを有し、径方向内側に面する摩擦面を有し、摩擦面の径方向内側に配置されるブレーキライニングを有し、摩擦面に対してブレーキライニングに予め負荷を加えるためのアクチュエータを有し、アクチュエータを保持するためのアンカープレートを有し、ブレーキドラムから摩耗したブレーキ粒子を排出するための開口部を有し、ブレーキドラムのためのカバーを有する自動車用ドラムブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドラムブレーキは、国際公開第2018/054821A1号パンフレットにより公知である。このドラムブレーキの場合、集塵ユニットを備える吸引装置が接続される水平軸を有する開口部が、ブレーキドラムに直接隣接してカバー上に配置されている。吸引装置の目的は、蓄積したブレーキダストを抜き取り、それが環境に放出されることを防止することにある。
【0003】
しかし、公知のドラムブレーキによる欠点は、水平軸を有する開口部の配置が吸引による抜取にとって好ましくないことである。その上、吸引による連続的な抜取が、この開口部の配置では必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、摩耗したブレーキ粒子を簡単な方法で除去できるように冒頭で述べた種類のドラムブレーキを開発する課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明によれば、この課題は、カバーが摩耗したブレーキ粒子を集めるためのポケットを区切ることによって解決される。
【0006】
この構成により、ポケットは、摩耗したブレーキ粒子を蓄積させることを可能にする。意図する時間又は意図するレベルの摩耗したブレーキ粒子に到達した後、それらは、開口部を介して、例えば、吸引による抜取によってポケットから除去することができる。摩耗したブレーキ粒子をポケットから除去することは、特に簡単なことである。吸引による連続抜取は、従って、必ずしも必要とされない。
【0007】
発明の別の有利な発展によれば、開口部がカバーの基部領域から離間している場合、ポケットは構造的に特に単純である。この構成により、摩耗したブレーキ粒子は重力によって開口部の下に集まり、従って、開口部を露出させることにより、摩耗したブレーキ粒子の偶発的な逃げを引き起こすことはない。開口部がアンカープレートの基部領域から離間しているため、摩耗したブレーキ粒子が除去されている間、ブレーキ粒子の意図しない解放は防止される。
【0008】
発明の別の有利な発展によれば、開口部がポケット内に突出する集塵ファンネルに開口する場合、摩耗したブレーキ粒子の排出は特に簡単である。集塵ファンネルは、形成される摩耗ブレーキ粒子を集めることを可能にする。それらが生じるように、摩耗したブレーキ粒子は、従って、ブレーキライニング及びブレーキドラムからなる対から離れて移動し、集塵ファンネルに集められる。更に、摩耗したブレーキ粒子の排出中の流れは、集塵ファンネルによって影響を受ける可能性がある。
【0009】
発明の別の有利な発展によれば、集塵ファンネルが2つのブレーキライニングの間で且つブレーキドラムの内側の真上に配置され、摩耗したブレーキ粒子を集めるための樋形状を有している場合、摩耗したブレーキ粒子の特に確実な収集及び排出は特に簡単である。
【0010】
発明の別の有利な発展によれば、カバーが垂直セクションを有する場合、垂直セクションがポケットの部分領域を形成する場合、及び開口部が垂直セクションの上方に配置される場合、ポケットの寸法を区切ることは簡単なことである。
【0011】
発明の別の有利な発展によれば、アンカープレート及びカバーが一体に製造される場合、カバーは構造的に特に簡単である。
【0012】
発明の別の有利な発展によれば、開口部がプラグによって閉鎖される場合、ドラムブレーキは特に安価である。プラグは点検中に取り外すことができ、吸引による摩耗したブレーキ粒子の抜取のための吸引管をポケット内に導入することができる。
【0013】
発明の別の有利な発展によれば、開口部が吸引ラインのための接続部を有する場合、摩耗したブレーキ粒子の連続的又は不連続的な除去を簡略化することに寄与する。自動車の点検中に、例えば、吸引ラインを接続部に接続することができるか、又は吸引による連続的な抜取のために連続的に接続されたままにすることができる。
【0014】
発明の別の有利な発展によれば、開口部がエアフィルタに接続される場合、摩耗したブレーキ粒子の連続的な抜取が特に簡単である。
【0015】
発明の別の有利な発展によれば、開口部が内燃機関の吸気管に接続される場合、別々に設置しなければならない吸引ファンの配置を回避することが可能である。この構成により、摩耗したブレーキ粒子は、どのような場合でも存在するエアフィルタ内に保持される。
【0016】
発明の別の有利な発展によれば、ポケットが、その上側に、垂直セクションに対して傾斜するセクションを有する場合、及び、開口部が傾斜セクション内に配置される場合、吸引による摩耗したブレーキ粒子の抜取を簡略化することに寄与する。この構成により、上方からのポケットのアクセスの容易さが確保される。
【0017】
発明の別の有利な発展によれば、開口部が管状ノズルを有する場合、吸引ラインを開口部に恒久的に固定することは簡単なことである。
【0018】
発明は、多くの実施形態を許容する。その基本原理を更に説明するために、これら実施形態の幾つかを図面に示し、以下の文章において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ドラムブレーキを通る縦断面を簡略化した形態で示す。
【
図2】
図1のドラムブレーキの第1の実施形態の部分領域を示す。
【
図3】
図2のドラムブレーキに接続するための吸引手段を示す。
【
図4】
図1のドラムブレーキの第2の実施形態の部分領域を示す。
【
図5】
図1のドラムブレーキの第3の実施形態の部分領域を示す。
【
図6】線VI-VIに沿った
図3による実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、回動自在に取り付けられるブレーキドラム2と径方向内側に面する摩擦面3とを有する自動車のドラムブレーキ1を通る縦断面を簡略化した形態で示している。摩擦面3の径方向内側には、ブレーキライニング4がブレーキドラム2に対向して位置している。ブレーキライニング4は、
図6に示すように、対で配置されている。ブレーキライニング4は、アンカープレート5上に保持され、アクチュエータ6によって摩擦面3に圧接させることができる。アンカープレート5は、ブレーキドラム2の部分領域に被せ嵌められるカバー7を有している。摩耗したブレーキ粒子が内部に集まるポケット9が、ブレーキドラム2とカバー7の垂直セクション8との間に配置されている。アンカープレート5は、垂直セクション8の上方に配置された傾斜セクション10に開口部11を有している。検討中の例示的な実施形態においてアンカープレート5と一体に製造されるカバー7は、ポケット9を環境から封止しており、従って、摩耗したブレーキ粒子が環境に侵入することを防止している。
【0021】
図2は、開口部11の領域における
図1のドラムブレーキ1の下側部分領域を拡大して示している。開口部11は、プラグ12によって閉鎖される。プラグ12を取り外した後、
図3に示す吸引手段13を開口部11の接続部14を介して導入することができ、摩耗したブレーキ粒子を吸引によって抜き取ることができる。
【0022】
図3は、
図2の開口部11に接続するための吸引手段13を略図で示している。吸引手段13は、開口部11に導入するための吸引ライン15と、ファン16と、エアフィルタ18とを有している。吸引ライン15が開口部11内に導入されると、吸引ライン15の自由端はポケット9の基部領域まで到達する。摩耗したブレーキ粒子は、次いで、ファン16による吸引によって抜き取られ、エアフィルタ18に集めることができる。
【0023】
図4は、開口部111を有する
図1のドラムブレーキ1の下側部分領域の別の実施形態を示している。開口部111は、吸引手段113が取り付けられる管状接続部114を有している。吸引手段113は、吸引ライン115を介して自動車の内燃機関117の吸気管116に通じている。この場合、吸引ライン115はポケット9の基部領域まで達する。摩耗したブレーキ粒子は、それによって、吸引によって連続的に抜き取られ、内燃機関117のエアフィルタ118内に集められる。吸引ライン115を恒久的に固定するために、接続部114は管状ノズル119を有している。他の点において、実施形態は
図2のものと同じ方法で構成される。
【0024】
図5は、開口部211を有する
図1のドラムブレーキ1の下側部分領域の別の実施形態を示している。
図4による実施形態と同様に、開口部211は、吸引手段(ここでは図示せず)のための管状接続部214を有している。管状接続部214は管状ノズル219を有している。集塵ファンネル220が、上で説明した実施形態の場合と同様に構成されるポケット9内に突出している。集塵ファンネル220は、ブレーキドラム2の摩擦面3の真正面の位置まで突出しており、摩耗したブレーキ粒子を収集する目的のために樋形状を有している。
【0025】
図6は、線VI-VIに沿った
図5による実施形態を通る断面図を示している。ここでは、集塵ファンネル220が2つのブレーキライニング4の間に配置されていることを見て取ることができる。
【国際調査報告】