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特表2022-536159高弾性率及び低誘電率を有するポリアミド組成物、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】高弾性率及び低誘電率を有するポリアミド組成物、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20220804BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20220804BHJP
   C08K 7/28 20060101ALI20220804BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20220804BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20220804BHJP
   C08L 55/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
C08L77/00
C08L23/00
C08K7/28
C08K3/40
C08K7/14
C08L55/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573363
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 FR2020050986
(87)【国際公開番号】W WO2020249899
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1906183
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ビゼー, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ペース, クレマンス
(72)【発明者】
【氏名】ポミエ デ サンティ, マリー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03Y
4J002BB05Y
4J002BB07Y
4J002BB12Y
4J002BB15Y
4J002BN05Y
4J002BP01Y
4J002CL03W
4J002CL03X
4J002DL006
4J002DL007
4J002FA046
4J002FA107
4J002FD016
4J002FD017
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、中実及び中空ガラス強化剤の混合物の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとの使用であって、中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、23℃の乾燥状態で少なくとも8GPaに等しい、特に少なくとも10GPaに等しい、特に少なくとも11GPaに等しい弾性率、及び、ASTM D-2520-13に準拠して測定される、少なくとも1GHzの周波数、特に少なくとも2GHzの周波数、特に少なくとも3GHzの周波数、23℃、50%RHで3.5以下、特に3.3以下、特に3.2以下の誘電率Dkを有する組成物の調製のために、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含む、使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実及び中空ガラス強化剤の混合物の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとの使用であって、
前記中実および中空ガラス強化剤の混合物が、
中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含み、
ポリアミド6及び66を除き、
前記使用が組成物の調製のためであり、前記組成物が、23℃の乾燥状態において、少なくとも8GPaに等しい、特に少なくとも10GPaに等しい、特に少なくとも11GPaに等しい弾性率、及び、ASTM D-2520-13に準拠して、少なくとも1GHzの周波数、特に少なくとも2GHzの周波数、特に少なくとも3GHzの周波数、23℃、50%RHで測定される、3.5以下、特に3.3以下、特に3.2以下の誘電率Dkを有する、使用。
【請求項2】
前記組成物の誘電損失(tanデルタ)は、ASTM D-2520-13に準拠して、23℃、50%RHで、少なくとも1GHzの周波数、特に2.4GHzまでの周波数で乾燥試料で測定して0.01以下である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中空ガラスビーズに加えて、円形断面ガラス繊維、扁平断面ガラス繊維、及びそれらの混合物から選択される中実ガラス繊維を含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ガラス強化剤の混合物は、中実ガラス繊維50~95重量%及び中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実ガラス繊維65~95重量%及び中空ガラスビーズ5~35重量%からなる、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記アロイは、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなり、ポリアミド/ポリオレフィン重量比が95/5~50/50である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリオレフィンは、グラフトポリオレフィン、非グラフトポリオレフィン、及びそれらの混合物から選択され、特にそれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
グラフトポリオレフィンの反応単位は、例えば、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のエステル、好ましくは、前記アルキルが1~24個の炭素原子を有し、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの例は、特にメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル;
例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル等の飽和カルボン酸のビニルエステルから選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
グラフトポリオレフィンがプロピレン系である、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
非グラフトポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、1-ヘキサコセン、1-オクタコセン、及び1-トリアコンテンから選択され、好ましくはプロピレン若しくはエチレン、又は例えば、ブタジエン、イソプレン、若しくは1,4-ヘキサジエン等のジエンである、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
非グラフトポリオレフィンがプロピレン系である、請求項6及び9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記アロイは、少なくとも1つのポリアミドと、ポリプロピレン系グラフトポリオレフィン及びポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンの混合物とからなる、請求項5~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記少なくとも1つのポリアミドは、半結晶性ポリアミド、非晶質ポリアミド、及びそれらの混合物から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記アロイは、非晶質ポリアミドである単一のポリアミド、及び少なくとも1つのポリオレフィンからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記非晶質ポリアミドは、式A/XYのポリアミドであり、
式中、
Aは、
少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12アミノ酸、又は
少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12ラクタム、又は
少なくとも1つのC~C36、好ましくはC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12脂肪族ジアミンCaと、少なくとも1つのC~C36、好ましくはC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC~C12ジカルボン酸Cbの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、
XYは、
少なくとも1つの脂環式ジアミン、又は少なくとも1つの直鎖若しくは分岐脂肪族ジアミンX、および
少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸又は少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記非晶質ポリアミドは、11/B10、12/B10、11/BI/BT、11/BIから選択され、特に11/B10である、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
前記アロイは、単一の半結晶性ポリアミド又は2つの半結晶性ポリアミドの混合物と、少なくとも1つのポリオレフィンとからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
半結晶性ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミド、アリール-脂肪族ポリアミド、及び半芳香族ポリアミドから選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
ポリアミドの前記混合物は、脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミドとアリール-脂肪族ポリアミドとの混合物である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
脂肪族ポリアミドは、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12、特に、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、PA12から選択される、請求項17又は18に記載の使用。
【請求項20】
アリール-脂肪族ポリアミドは、MXD6、MXD10、MXD12から選択される、請求項17又は18に記載の使用。
【請求項21】
半芳香族ポリアミドは、PA11/9T、PA11/10T、PA11/12T、PA12/9T、PA12/10T、PA12/12Tから選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項22】
前記アロイは、非晶質ポリアミドである単一のポリアミド、及び、ポリプロピレン系グラフトポリオレフィンとポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンとの混合物からなる、請求項11~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記アロイは、2つの半結晶性ポリアミドの混合物、及びポリプロピレン系グラフトポリオレフィンとポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンとの混合物からなる、請求項11および16~21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記組成物が添加剤を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも1つのプレポリマー、特に単官能NH2、特にPA11系を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
特に射出成形に有用な組成物であって、
請求項1~23のいずれか一項に記載の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなり、ポリアミド/ポリオレフィン比が95/5~50/50である、アロイ30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%;
請求項1~23のいずれか一項に記載の、中実及び中空ガラス強化剤の混合物30~70重量%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%を含み;
ポリアミド6および66を除き、
少なくとも1つのプレポリマー0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤0~5重量%、および
添加剤0~2重量%、好ましくは1~2重量%を含み、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい、組成物。
【請求項27】
自律乗物向け又は相互接続用途向け等の、特にエレクトロニクス向け、電気通信用途向け、又はデータ交換向けの物品の製造のための、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項28】
物品が射出成形によって製造されることを特徴とする、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物の射出成形によって得られる物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高弾性率及び低誘電率を有する組成物を製造するための、中実及び中空ガラス強化剤の混合物の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとの使用、並びにその製造方法及び前記組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自律乗物向けや相互接続用途向け等の、特にエレクトロニクス、電気通信、又はデータ交換用途向けの相手先ブランド製造会社(OEM)は、そのような低誘電率を有する装置の保護又はクラッディングにおいて使用される材料にますます関心を示している。
【0003】
確かに、そのような材料を、例えば、携帯電話のケーシングに一体化する利点は、アンテナ用途でのシグナルの完全性を保証して完全な高速シグナル伝送を確保することである。
【0004】
さらに、データ交換の文脈では、誘電率はできるだけ速いデータ交換を確保するのにできるだけ低くなければならない。
【0005】
従って、そのような用途のための主な課題は、非常に硬い保護又はクラッド材を維持しながら最低の誘電特性を有することである。しかし、硬い保護又はクラッド材を得るために、材料により高い弾性率、従ってより高い剛性を与えるガラス繊維を使用することが多くの場合必要である。
【0006】
それにもかかわらず、例えば、電話シェル中に標準的なガラス繊維が存在すると、前記シェルの良好な剛性は確保されるものの誘電率が著しく上昇してしまい、従ってシグナル伝送が妨害されることが知られている。
【0007】
従って、完全高速シグナル伝送又はできるだけ速いデータ交換を確保するように低誘電率を維持しながら、剛性及び従って高弾性特性の両方を示す材料を有することが必要である。
【発明の概要】
【0008】
従って、前述した問題を本発明によって解決する。本発明は、中実及び中空ガラス強化剤の混合物の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとの使用に関する。前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含み、組成物の調製のために使用される。当該組成物は、23℃の乾燥状態において少なくとも8GPaに等しい、特に少なくとも10GPaに等しい、特に少なくとも11GPaに等しい弾性率、及び、ASTM D-2520-13に準拠して、少なくとも1GHzの周波数、特に少なくとも2GHzの周波数、特に少なくとも3GHzの周波数、23℃、50%RHで測定される、3.5以下、特に3.3以下、特に3.2以下の誘電率Dkを有する。
【0009】
言いかえれば、本発明は、中実及び中空ガラス強化剤の混合物の、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとの使用に関する。前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含み、中実ガラス強化剤を含まない前記アロイ及びガラス強化剤、又は中空ガラス強化剤を含まない前記アロイ及びガラス強化剤を含む組成物に対して、組成物の弾性率を少なくとも保存し誘電率を減少させるために、使用される。前記組成物の23℃での乾燥状態での弾性率は、少なくとも8GPaに等しく、特に少なくとも10GPaに等しく、特に少なくとも11GPaに等しく、前記組成物の前記誘電率は、ASTM D-2520-13に準拠して、少なくとも1GHzの周波数、特に少なくとも2GHzの周波数、特に少なくとも3GHzの周波数、23℃、50%RHで測定され、3.5以下、特に3.3以下、特に3.2以下である。
【0010】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、ポリアミド6及び66を含まない。
【0011】
このように、発明者らは、予想外に、中実及び中空ガラス強化剤と、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイとを組み合わせ、さらに中実及び中空ガラス強化剤の合計に対する中空ガラスビーズを特定割合とすると、少なくとも8GPa、特に少なくとも10GPa、特に少なくとも11GPaの高弾性率、及び3.5以下、特に3.3以下、特に3.2以下の低誘電率Dkを有する組成物を調製することができ、従って、完全高速シグナル伝送を確保することができる、又はできるだけ速いデータ交換を有することができる剛性材料を有することが可能となることが分かった。
【0012】
異なる弾性率(例えば、引張弾性率、曲げ弾性率等)の区別がされる。発明者らは、曲げ弾性率を検討すれば、それは引張弾性率より常に低い。
【0013】
これらの弾性率は、温度及び試料中の水分レベルによって影響される可能性がある。
【0014】
1つの実施形態では、上に定義した弾性率は、曲げ弾性率及び引張弾性率の両方に対応し、曲げ弾性率は2010年のISO178に従って測定され、引張弾性率(又は弾性係数E)は2012年のISO527-1及び2に従って測定される。
【0015】
他の実施形態では、上に定義した弾性率は、曲げ弾性率に相当し、上記のように測定される。
【0016】
他の実施形態では、上に定義した弾性率は、引張弾性率に相当し、上記のように測定される。
【0017】
誘電率は、真空誘電率に対する材料の誘電率εの比として定義される。これはk又はDkで表され、ASTM D-2520-13に準拠して測定される。これは比誘電率である。
【0018】
それは、とりわけ80℃で5日間、予め乾燥した試料で、23℃、50%相対湿度(RH)で測定される。
【0019】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0020】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0021】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0022】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0023】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0024】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0025】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0026】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0027】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0028】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0029】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0030】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0031】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0032】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0033】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0034】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0035】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0036】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率及び曲げ弾性率に対応する。
【0037】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0038】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0039】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0040】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0041】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0042】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0043】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0044】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0045】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0046】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0047】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0048】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0049】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0050】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0051】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0052】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0053】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0054】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、曲げ弾性率に対応する。
【0055】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0056】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0057】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0058】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0059】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0060】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0061】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0062】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0063】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び少なくとも1GHzの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0064】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0065】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0066】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.5以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0067】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0068】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0069】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.3以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0070】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも8GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0071】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも10GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0072】
1つの実施形態では、前記組成物は、23℃で少なくとも11GPaの乾燥弾性率、及び2.4GHzまでの周波数、50%RHで3.2以下の誘電率Dkを有しており、前記弾性率は、引張弾性率に対応する。
【0073】
誘電損失(tanデルタ又はtan(δ))(又は、力率(tanデルタ又はtan(δ))の測定は、組成物の絶縁状態を決定するために使用される。
【0074】
有利には、前記組成物の誘電損失(tanデルタ)は、ASTM D-2520-13に準拠して、少なくとも1GHzの周波数、特に2.4GHzまでの周波数、23℃、50%RHで、乾燥試料で測定するように、0.01以下である。
【0075】
試料を、次いで、特に80℃、5日間予め乾燥し、23℃、50%RHでテストした。
【0076】
1つの実施形態では、前記組成物は、様々な実施形態において上に定義するように、23℃での乾燥弾性率及び誘電率Dk、並びに前記実施形態での前記誘電率と同じ周波数、23℃、50%RHで、乾燥試料で測定するように、0.01以下の誘電損失(tanデルタ)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0077】
中実及び中空ガラス強化剤について
中実ガラス強化剤
中実ガラス強化剤は、中実である限り、任意の形状を有し得ることができる中実(中空に対して)構造を備えたガラス繊維材料である。
【0078】
これらの形状は、断面が円形又は非円形であり得る。
【0079】
円形断面を備えた形状は、その周囲の任意の点で形状の中心に等しい距離を有し、従って完全又はほぼ完全な円を表す形状として定義される。
【0080】
従って、この完全又はほぼ完全な円を有さない任意のガラス形状は、扁平な断面を備えた形状として定義される。
【0081】
扁平な断面形状の限定しない例は、扁平な形状、例えば、楕円、長円形又は繭形、星形、フレーク形、十字形、多角形、環である。
【0082】
中実ガラス形状は、特に、組成物を使用する前に、好ましくは長さが2~13mm、好ましくは3~8mmの短い中実ガラス繊維であり得る。
【0083】
中実ガラス繊維は次のとおりであり得る:
-直径が4μm~25μm、好ましくは4μm~15μmである円形断面を備える、
-又はL/D(Lは繊維の断面の最大寸法を表し、Dは前記繊維の断面の最小寸法を表す)比が2~8、特に2~4の非円形断面を備える。L及びDは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定され得る。
【0084】
中空ガラス強化剤
中空ガラス強化剤は、中空(中実に対して)構造を備えたガラス繊維材料であり、中空である限り、中実ガラス強化剤のように任意の形状を有することができる。
【0085】
中空ガラス形状は、特に、組成物を使用する前に、好ましくは長さが2~13mm、好ましくは3~8mmである短中空ガラス繊維であり得る。
【0086】
中空ガラス繊維は、繊維内の中空(又は孔又は窓)が前記繊維の外径と必ずしも同心でないガラス繊維を意味する。
【0087】
中空ガラス繊維は、次の通りとすることができる:
-直径が7.5μm~75μm、好ましくは9μm~25μm、より好ましくは10μm~12μmである円形断面を備える、
【0088】
中空(「中空」という用語は孔又は窓とも呼ぶことができる)の直径は、中空ガラス繊維の外径と等しくないことは明らかである。
【0089】
有利には、中空(又は孔若しくは窓)の直径は、中空繊維の外径の10%~80%、特に60%~80%である。
-又はL/D(Lは繊維の断面の最大寸法を表し、Dは前記繊維の断面の最小寸法を表す)比が2~8、特に2~4の非円形断面を備える。L及びDは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定され得る。
【0090】
前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含む。
【0091】
1つの実施形態では、前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ10~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ10~35重量%を含む。
【0092】
1つの実施形態では、前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中空ガラスビーズに加えて、円形断面ガラス繊維、扁平断面ガラス繊維、及びそれらの混合物から選択された中実ガラス繊維を含む。
【0093】
1つの実施形態では、前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実及び中空ガラス強化剤の合計に対して中空ガラスビーズ5~35重量%を含み、前記中空ガラスビーズは、中空強化剤の全割合を表す。
【0094】
この最後の実施形態では、前記中実及び中空ガラス強化剤の混合物は、中空強化剤の全体を構成する中空ガラスビーズに加えて、円形断面ガラス繊維、扁平断面ガラス繊維、及びそれらの混合物から選択される中実ガラス繊維を含む。
【0095】
有利には、前記ガラス強化剤の混合物は、中実ガラス繊維50~95重量%及び中空ガラスビーズ5~50重量%、特に中実ガラス繊維65~95重量%及び中空ガラスビーズ5~35重量%からなる。
【0096】
有利には、前記ガラス強化剤の混合物は、中実ガラス繊維50~90重量%及び中空ガラスビーズ10~50重量%、特に中実ガラス繊維65~90重量%及び中空ガラスビーズ10~35重量%からなる。
【0097】
有利には、前記中実ガラス繊維は、非円形断面を備えたガラス繊維である。
【0098】
1つの実施形態において、中実ガラス強化剤は、1MHz~5GHzの周波数でDkが>5、特に1GHzの周波数でDkが>5で、Dfが<0.005であるガラス繊維である。
【0099】
有利には、中実ガラス強化剤は、非円形断面を備え、ASTM C 1557-03に準拠して測定した弾性率が76GPa未満であるガラス繊維である。
【0100】
少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイについて
【0101】
有利には、前記アロイは、少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなり、そのポリアミド/ポリオレフィン重量比は95/5~50/50である。
【0102】
ポリオレフィン:
前記組成物のポリオレフィンは、グラフト(又は官能化)、非グラフト(又は非官能化)ポリオレフィン、又はそれらの混合物であり得る。
【0103】
グラフトポリオレフィンは、反応単位(官能性)を有するアルファオレフィンのポリマーであり得、そのような反応単位は、酸、無水物、又はエポキシ官能基である。例として、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシドによって、又はカルボン酸若しくは対応する塩、又は(メタ)アクリル酸等のエステル(Zn等の金属によって完全又は部分的に中和することができる)によって、又は無水マレイン酸等のカルボン酸無水物によってさえ、それでもなおグラフト化又は共重合若しくは三元重合された前述の非グラフトポリオレフィンが挙げられる。
【0104】
有利には、グラフトポリオレフィンは、例えば、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のエステル、好ましくは、前記アルキルは1~24個の炭素原子を有し、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの例は、特にメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル;例えば、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル等の飽和カルボン酸のビニルエステルから選択される。
【0105】
有利には、上に定義した前記グラフトポリオレフィンは、ポリプロピレン系である。
【0106】
非グラフトポリオレフィンは、典型的には、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、1-ヘキサコセン、1-オクタコセン、及び1-トリアコンテン、好ましくは相溶性で機能性の相溶化剤と混合することができるプロピレン若しくはエチレン、又は例えばブタジエン等のジエン、例えば、マレエート化Lotader(登録商標)又はマレエート化ポリエチレン、イソプレン、又は1,4-ヘキサジエンと混合したポリエチレン等の、アルファオレフィン又はジオレフィンの単独重合体又は共重合体である。
【0107】
特に、アルファオレフィン単独重合体は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、及びメタロセンポリエチレンから選択される。
【0108】
特に、アルファオレフィン又はジオレフィンの共重合体は、エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、エチレン-オクテン等のエチレン/アルファオレフィン重合体から選択され、単独で又はポリエチレン(PE)と混合して使用される。
【0109】
有利には、上に定義した前記非グラフトポリオレフィンは、ポリプロピレン系である。
【0110】
組成物のポリオレフィンは、架橋若しくは非架橋又は、少なくとも1つの架橋及び/若しくは少なくとも1つの非架橋の混合物であり得る。
【0111】
架橋ポリオレフィン
本発明による前記組成物のポリオレフィンは、非架橋ポリオレフィン及び/又は架橋ポリオレフィンであり得、前記非架橋及び/又は架橋ポリオレフィンは、ポリアミドによって形成されたマトリックス中に分散された相として存在する。
【0112】
前記架橋ポリオレフィンは、反応性基を有する2つ以上の生成物のそれら間の反応に由来する。
【0113】
具体的には、前記ポリオレフィンが架橋ポリオレフィンである場合、それは、不飽和エポキシドを含む少なくとも1つの生成物(A)、及び不飽和カルボン酸無水物を含む少なくとも1つの生成物(B)から得られる。
【0114】
生成物(A)は、有利には、不飽和エポキシドを含むポリマーであり、この不飽和エポキシドは、グラフティング又は共重合のいずれかによって前記ポリマーに導入される。
【0115】
不飽和エポキシドは、特に以下のエポキシド類から選択され得る:
-アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル及びイタコン酸グリシジル、アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジル等の脂肪族グリシジルエステル類並びに脂肪族グリシジルエーテル類、及び
2-シクロヘキセン-1-グリシジルエーテル、シクロヘキセン-4,5-ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン-4-グリシジルカルボキシレート、5-ノルボルネン-2-メチル-2-グリシジルカルボキシレート、及びエンド-シス-ビシクロ(2,2,1)-5-ヘプテン-2,3-ジグリシジルジカルボキシレート等の脂環式グリシジルエステル類並びに脂環式グリシジルエーテル類。
【0116】
第一の形態によれば、生成物(A)は不飽和エポキシドでグラフト化されたポリオレフィンである。ポリオレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1単位等の1つ若しくは複数のオレフィン単位、又は任意の他のアルファオレフィン単位を含む単独重合体あるいは共重合体を意味すると理解される。ポリオレフィンの例には以下が含まれる:
-低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)を含むポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン/プロピレン共重合体類;エチレン-プロピレン(EPR若しくはEPM)又はエチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)等のエラストマー性ポリオレフィン類;あるいはモノサイト触媒により得られるメタロセンポリエチレン類;
-スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)ブロック共重合体類;スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ブロック共重合体類;スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロック共重合体類;あるいはスチレン/エチレン-プロピレン/スチレンブロック共重合体類;
-不飽和カルボン酸類の塩類、不飽和カルボン酸類のエステル類、及び飽和カルボン酸類のビニルエステル類から選択される少なくとも1つの生成物とエチレンとの共重合体。ポリオレフィンは、特にエチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、又はエチレンと酢酸ビニルとの共重合体であり得る。
【0117】
第二の形態によれば、生成物(A)は、アルファオレフィンと不飽和エポキシドとの共重合体であり、有利には、エチレンと不飽和エポキシドとの共重合体である。不飽和エポキシドの量は、有利には、共重合体(A)の15重量%までに相当し、エチレンの量は、共重合体(A)の少なくとも50重量%に相当する。
【0118】
より詳しくは、エチレンと、飽和カルボン酸ビニルエステルと、不飽和エポキシドとの共重合体類、及びエチレンと、アルキル(メタ)アクリレートと、不飽和エポキシドとの共重合体類を挙げてもよい。(メタ)アクリレートのアルキルは、2~10個の炭素原子を有する。使用され得るアルキルアクリレート類又はメタクリレート類の例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、及び2-エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0119】
本発明の有利な実施形態によれば、生成物(A)は、エチレンと、メチルアクリレートと、グリシジルメタクリレートとの共重合体、又はエチレンと、n-ブチルアクリレートと、グリシジルメタクリレートとの共重合体である。特に、Arkema社より商品名LOTADER(登録商標)AX8900で販売されている製品を使用し得る。
【0120】
本発明の他の形態によれば、生成物(A)は、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)等の2つのエポキシド官能基を有する生成物である。
【0121】
生成物(B)は、有利には、不飽和カルボン酸無水物を含むポリマーであり、この不飽和カルボン酸無水物は、グラフティング又は共重合のいずれかによって前記ポリマーに導入される。
【0122】
生成物(B)の成分として有用な不飽和ジカルボン酸無水物類の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、及び無水テトラヒドロフタル酸が挙げられる。
【0123】
第一の形態によれば、生成物(B)は、不飽和カルボン酸無水物でグラフト化されたポリオレフィンである。上記の通り、ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、又はブテン-1単位等の1つ又は複数のオレフィン単位、又は任意の他のアルファオレフィン単位を含む、単独重合体又は共重合体である。このポリオレフィンは、特に、生成物(A)が不飽和エポキシドでグラフト化されたポリオレフィンである場合、生成物(A)について上に挙げたポリオレフィン類の例から選択され得る。
【0124】
第二の形態によれば、生成物(B)は、アルファオレフィンと不飽和カルボン酸無水物との共重合体であり、有利には、エチレンと不飽和カルボン酸無水物との共重合体である。不飽和カルボン酸無水物の量は、有利には、共重合体(B)の15重量%までに相当し、エチレンの量は、共重合体(B)の少なくとも50重量%に相当する。
【0125】
具体的には、エチレンと、飽和カルボン酸ビニルエステルと、不飽和カルボン酸無水物との共重合体類、エチレンと、アルキル(メタ)アクリレートと、不飽和カルボン酸無水物との共重合体類を挙げてもよい。(メタ)アクリレートのアルキルは、好ましくは2~10個の炭素原子を有する。アルキルアクリレート又はメタクリレートは、生成物(A)について上記したものから選択され得る。
【0126】
本発明の有利なバージョンによれば、生成物(B)は、エチレンと、アルキル(メタ)アクリレートと、不飽和カルボン酸無水物との共重合体である。好ましくは、生成物(B)は、エチレンと、エチルアクリレートと、無水マレイン酸との共重合体、又はエチレンと、アクリル酸ブチルと、無水マレイン酸との共重合体である。特に、ARKEMA社より商品名LOTADER(登録商標)4700及びLOTADER(登録商標)3410で販売されている製品を使用し得る。
【0127】
前述の第一及び第二の形態による生成物(B)の無水マレイン酸の一部が、部分的に加水分解された場合でも、本発明の範囲外ではない。
【0128】
生成物(A)及び生成物(B)(それぞれ[A]及び[B]として符号化されている)の重量は、[B]/[A]の比が3~14、有利には4~9となるような重量である。
【0129】
本発明による組成物中、架橋ポリオレフィンは、上記の生成物(A)及び(B)、及び少なくとも1つの生成物(C)からも得られ得、この生成物(C)は、不飽和カルボン酸又はアルファ-オメガ-アミノカルボン酸を含む。
【0130】
生成物(C)は、有利には、不飽和カルボン酸又はアルファ-オメガ-アミノカルボン酸を含むポリマーであり、これらの酸のいずれかは共重合により前記ポリマーに導入される。
【0131】
生成物(C)の成分として使用され得る不飽和カルボン酸類の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、及び生成物(B)の成分として上に述べたカルボン酸無水物類が挙げられ、これらの無水物類は完全に加水分解されている。
【0132】
生成物(C)の成分としての使用に適したアルファ-オメガ-アミノカルボン酸類の例としては、6-アミノヘキサン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸が挙げられる。
【0133】
生成物(C)は、アルファ-オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体であり得、有利には、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であり得る。特に、生成物(B)の完全に加水分解された共重合体類が挙げられる。
【0134】
本発明の有利なバージョンによれば、生成物(C)は、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、又はエチレンと、アルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸との共重合体である。(メタ)アクリル酸の量は、共重合体(C)の10重量%まで、好ましくは、0.5から5重量%であり得る。アルキル(メタ)アクリレートの量は、一般に、共重合体(C)の5~40重量%である。
【0135】
有利には、生成物(C)は、Exxon MobilのEscor(登録商標)5000等の、エチレンと、アクリル酸ブチルと、アクリル酸との共重合体である。
【0136】
好ましくは、生成物(C)は、エチレンと、アクリル酸ブチルと、アクリル酸の共重合体である。特に、BASF社より商品名LUCALENER(登録商標)3110で販売されている製品を使用し得る。
【0137】
架橋ポリオレフィン分散相は、もちろん、1つ又は複数の生成物(A)を1つ又は複数の生成物(B)、適宜1つ又はいくつかの生成物(C)と反応させることによって製造することができる。
【0138】
国際公開第2011/015790号明細書に既に記載するように、生成物(A)及び(B)の反応性官能基の反応を加速させるために触媒を使用することができる。触媒の例はこの文献に記載されており、生成物(A)、(B)、及び適宜(C)の総重量の0.1~3重量%、有利には、0.5~1重量%の割合で使用することができる。
【0139】
有利には、生成物(A)、生成物(B)、及び生成物(C)(それぞれ、[A]、[B]、及び[C]として符号化されている)の重量は、[B]/([A]+[C])の比が1.5~8となるようなもの、生成物(A)と(B)の重量は[C]≦[A]となるようなものである。
【0140】
有利には、比[B]/([A]+[C])は2~7である。
【0141】
非架橋ポリオレフィン
本発明による組成物は、少なくとも1つの非架橋ポリオレフィンを含み、前記非架橋ポリオレフィンは、半結晶性ポリアミドによって形成されたマトリックス中に分散した相の形態であり得る。
【0142】
非架橋ポリオレフィンは、上に定義する、例えば、エチレン、プロピレン、又はブテン-1単位若しくは任意の他のアルファオレフィン単位等の1つ又は複数のオレフィン単位を含む単独重合体又は共重合体を意味すると理解される。
【0143】
有利には、前記組成物は、上に定義する少なくとも1つの架橋ポリオレフィン及び上に定義する少なくとも1つの非架橋ポリオレフィンを含む。
【0144】
1つの実施形態では、前記アロイは、少なくとも1つのポリアミド、及びポリプロピレン系グラフトポリオレフィンとポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンとの混合物からなる。
【0145】
ポリアミド:
前記少なくとも1つのポリアミドは、半結晶性ポリアミド、非晶質ポリアミド、及びそれらの混合物から選択される。
【0146】
有利には、前記少なくとも1つのポリアミドは、単一の非晶質ポリアミド、半結晶性ポリアミド、及び2つの半結晶性ポリアミドの混合物から選択される。
【0147】
半結晶性コポリアミドは、本発明の意味では、2013年のISO規格11357-3に従ったDSCによるガラス転移温度、2013年のISO規格11357-3に従ったDSCによる溶融温度(Tm)、及び2013年のISO規格11357-3に従って測定されたDSCによる20K/分の速度での冷却工程中の30J/gを超える、好ましくは40J/gを超える結晶化エンタルピーを有するポリアミドを示す。
【0148】
非晶質ポリアミドは、本発明の意味では、2013年のISO規格11357-2に従ったDSCによるガラス転移温度(溶融温度ではない(Tm))のみを有するポリアミド、又は2013年のISO規格11357-2に従ったDSCによるガラス転移温度、及び2013年のISO規格11357-3に従って測定された示差走査熱量測定DSCでの20K/分の速度での冷却工程の間の結晶化エンタルピーが30J/g未満、特に20J/g未満、好ましくは15J/g未満であるような融点を有する結晶度をほとんど有さないポリアミドを示す。
【0149】
ポリアミドを定義するのに使用される命名法は、2011年のISO規格1874-1「Plastiques-Materiaux polyamides(PA) pour moulage et extrusion-Partie 1:Designation」、特に第3頁(表1及び2)に記載されており、当業者によく知られている。
【0150】
第1の変形例では、前記アロイは、非晶質ポリアミドである単一のポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなる。
【0151】
非晶質ポリアミド:
前記非晶質ポリアミドは、式A/XYのポリアミドであり得、
Aは、
少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12アミノ酸の、又は
少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12ラクタムの、又は
少なくとも1つのC~C36、好ましくはC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12脂肪族ジアミンCaと、少なくとも1つのC~C36、好ましくはC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC~C12ジカルボン酸Cbの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、
XYは、
少なくとも1つの脂環式ジアミン、又は少なくとも1つの直鎖又は分岐脂肪族ジアミンX、及び
少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸又は少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの
重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0152】
前記アミノ酸は、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、10-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、及び11-アミノウンデカン酸、並びにこれらの誘導体から選択され、特にN-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸、特に11-アミノウンデカン酸とすることができる。
【0153】
前記ラクタムは、ピロリジノン、2-ピペリジノン、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウリルラクタムから選択され、特にラウリルラクタムであり得る。
【0154】
前記C~C36脂肪族ジアミンCaは直鎖状又は分枝状であり、特にブタンジアミン、1,5-ペンタメチルジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、1,22-ドコサンジアミン、及び脂肪酸ダイマーから選択される。
【0155】
前記C~C18脂肪族ジアミンCaは直鎖状又は分枝状であり、特に1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、及び1,18-オクタデカンジアミンから選択される。
【0156】
前記C~C12脂肪族ジアミンCaは直鎖状又は分枝状であり、特に1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミンから選択される。
【0157】
前記C10~C12脂肪族ジアミンCaは直鎖状又は分枝状であり、特に1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミンから選択される。
【0158】
前記C~C36、好ましくはC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC~C12ジカルボン酸Cb;
【0159】
前記C4~C36ジカルボン酸Cbは脂肪族で直鎖状であり、特にコハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びドコサン二酸から選択される。
【0160】
前記C~C18ジカルボン酸Cbは脂肪族で直鎖状であり、特にアジピン酸、ヘプタン二酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸から選択される。
【0161】
前記C~C12ジカルボン酸Cbは脂肪族で直鎖状であり、特にアジピン酸、ヘプタン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、及びドデカン二酸から選択される。
【0162】
前記C~C12ジカルボン酸Cbは脂肪族で直鎖状であり、特にスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、及びドデカン二酸から選択される。
【0163】
前記脂肪族繰り返し単位XYでは、前記ジアミンXは、特にビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM又はMACM)、p-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、及びイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)、イソホロンジアミン、ピペラジン、アミノ-エチルピペラジンから選択される脂環式ジアミンであり得る。
【0164】
それは、また、以下の炭素骨格を含み得る:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)、ジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。完全に網羅しているわけではないが、これらの脂環式ジアミンのリストは、刊行物である「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology,Kirk-Othmer,4th Edition(1992),pp.386-405)に示されている。
【0165】
前記脂肪族繰り返し単位XYでは、前記ジアミンXは、特に直鎖状又は分枝状の脂肪族ジアミンであり得、ジアミンCaについて上に定義したものから選択される。
【0166】
前記脂肪族繰り返し単位XYでは、二酸Yは、テレフタル酸(Tと表記される)、イソフタル酸(Iと表記される)、及びナフタレン二酸から選択される芳香族ジカルボン酸であり得る。
【0167】
前記脂肪族繰り返し単位XYでは、二酸Yは、脂肪族ジカルボン酸Yであり得、二酸Cbについて上に定義したものから選択される。
【0168】
単位XYは、ジアミン単位Ca、二酸Cbとは異なることは明らかである。
【0169】
有利には、Aは、少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12アミノ酸、又は
少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12ラクタムの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0170】
有利には、XYは、少なくとも1つの脂環式ジアミン及び少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸又は少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0171】
有利には、Aは、少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12アミノ酸、又は少なくとも1つのC~C18、好ましくはC~C12、より好ましくはC10~C12ラクタムの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、XYは、少なくとも1つの脂環式ジアミン及び少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸又は少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0172】
有利には、Aは、少なくとも1つのC10~C12アミノ酸又は少なくとも1つのC10~C12ラクタムの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、XYは、少なくとも1つの脂環式ジアミン及び少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸又は少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0173】
有利には、前記非晶質ポリアミドは、11/B10、12/B10、11/BI/BT、11/BI、特に11/B10から選択される。
【0174】
有利には、Aは、少なくとも1つのC10~C12アミノ酸又は少なくとも1つのC10~C12ラクタムの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、XYは、少なくとも1つの脂環式ジアミン及び少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸の重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0175】
有利には、前記非晶質ポリアミドは11/BI/BT及び11/BIから選択される。
【0176】
有利には、Aは、少なくとも1つのC10~C12アミノ酸又は少なくとも1つのC10~C12ラクタムの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位であり、XYは、少なくとも1つの脂環式ジアミン及び少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Yの重縮合によって得られた脂肪族繰り返し単位である。
【0177】
有利には、前記非晶質ポリアミドは、11/B10、12/B10、特に11/B10から選択される。
【0178】
有利には、前記アロイは、非晶質ポリアミドである単一のポリアミド、及びポリプロピレン系グラフトポリオレフィンとポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンとの混合物からなる。
【0179】
第2の変形例では、前記アロイは、単一の半結晶性ポリアミド又は2つの半結晶性ポリアミドの混合物と、少なくとも1つのポリオレフィンとからなる。
【0180】
ポリオレフィンは上に定義した通りである。
【0181】
半結晶性ポリアミド:
半結晶性ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミド、アリール-脂肪族ポリアミド、及び半芳香族ポリアミドから選択され得る。
【0182】
「脂肪族ポリアミド」という表現は、ホモポリアミド又はコポリアミドを意味する。それは、脂肪族ポリアミドの混合物であり得ることが理解される。
【0183】
「長鎖」という表現は、窒素原子当たりの炭素原子の平均数が8を超える、特に9~18であることを意味する。
【0184】
1つの実施形態では、前記ポリアミド混合物は、脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミドとアリール-脂肪族ポリアミドとの混合物である。
【0185】
脂肪族ポリアミドは、ラクタムの重縮合によって得られ得、前記ラクタムは、ピロリジノン、2-ピペリジノン、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウリルラクタムから選択され、特にラウリルラクタムとすることができる。
【0186】
脂肪族ポリアミドは、アミノ酸の重縮合によっても得られ得、それは、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、10-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、及び11-アミノウンデカン酸、並びにそれらの誘導体、特にN-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸、特に11-アミノウンデカン酸から選択されることができる。
【0187】
脂肪族ポリアミドは、単位X1Y1の重縮合によって得られ得、式中、X1はジアミンで、Yはジカルボン酸である。
【0188】
X1は、直鎖又は分岐C5~C18脂肪族ジアミンであり得、特に1,5-ペンタメチルジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、及び1,18-オクタデカンジアミンから選択され得る。
【0189】
有利には、使用したジアミンX1は、C6~C12であり、特にブタンジアミン、ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,12-ドデカンジアミンから選択される。
【0190】
有利には、使用したジアミンX1は、C10~C12であり、特に1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、及び1,12-ドデカンジアミンから選択され、Y1は、C6~C18脂肪族ジカルボン酸、特にC6~C12、特にC6~C12であり得る。
【0191】
C6~C18脂肪族ジカルボン酸Y1は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸から選択され得る。
【0192】
C6~C12脂肪族ジカルボン酸Y1は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸から選択され得る。
【0193】
C10~C12脂肪族ジカルボン酸Y1は、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸から選択され得る。
【0194】
有利には、前記脂肪族ポリアミドは、PA6、PA66、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12、特にPA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12から選択される。
【0195】
「アリール-脂肪族ポリアミド」という表現は、上に定義するように、単位X2Y1(X2はアリールジアミンを表し、Y1は脂肪族ジカルボン酸を表す)の重縮合によって得られるポリアミドを意味する。
【0196】
前記アリールジアミンX2は、メタキシリレンジアミン(MXD)及びパラキシリレンジアミン(PXD)から選択され得る。
【0197】
有利には、前記アリール-脂肪族ポリアミドは、MXD6、MXD10、MXD12から選択される。
【0198】
有利には、前記アリール-脂肪族ポリアミドは、MXD10、MXD12から選択される。
【0199】
有利には、前記2つの半結晶性ポリアミドの混合物は、脂肪族ポリアミドとアリール脂肪族ポリアミドとの混合物である。
【0200】
有利には、前記2つの半結晶性ポリアミドの混合物は、PA6、PA66、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12、特にPA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12から選択される脂肪族ポリアミドとMXD6、MXD10、及びMXD12から選択されるアリール脂肪族ポリアミドとの混合物である。
【0201】
有利には、前記2つの半結晶性ポリアミドの混合物は、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、及びPA12から選択された脂肪族ポリアミドとMXD10、MXD12から選択されたアリール脂肪族ポリアミドとの混合物である。
【0202】
「半芳香族ポリアミド」という表現は、特に、欧州特許第1505099号明細書に記載する式の半芳香族ポリアミド、特に式B/ZTの半芳香族ポリアミドを意味し、Bは、上に定義するアミノ酸の重縮合によって得られた単位、上に定義するラクタムの重縮合によって得られた単位、及び式X2Y2に対応する単位から選択され、X2及びY2は上に定義する。ZTは、Cxジアミンとテレフタル酸、特に式A/6T、A/9T、A/10T、又はA/11Tのポリアミド、特にポリアミドPA6/6T、PA66/6T、PA6I/6T、PA11/9T、PA11/10T、PA11/12T、PA12/9T、PA12/10T、PA12/12T、PA MPMDT/6T、PA MXDT/6T、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/10T、PA11/MPMDT/10T、及びPA11/MXDT/10T、並びにブロック共重合体、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)との重縮合によって得られた単位を示し、xは、Cxジアミンの炭素原子の数を表し、xは、4~36であり、有利には6~18であり、有利には6~12であり、有利には10~12であり、Aは上に定義する。
【0203】
Tは、テレフタル酸に相当し、MXDは、m-キシリルエンジアミンに相当し、MPMDは、メチルペンタメチレンジアミンに相当し、BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3BAC及び/又は1,4BAC)に相当する。
【0204】
有利には、半芳香族ポリアミドは、PA11/9T、PA11/10T、PA11/12T、PA12/9T、PA12/10T、PA12/12Tから選択される。
【0205】
有利には、前記少なくとも1つのポリアミドは、単一の非晶質ポリアミド、アリール-脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミドとアリール-脂肪族ポリアミドとの混合物、及び脂肪族ポリアミド、特に長鎖ポリアミドと半芳香族ポリアミドとの混合物から選択される。
【0206】
有利には、前記アロイは、2つの半結晶性ポリアミドの混合物、及びポリプロピレン系グラフトポリオレフィンとポリプロピレン系非グラフトポリオレフィンとの混合物からなる。
【0207】
1つの実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は添加剤を含む。
【0208】
添加剤
添加剤は、組成物の全重量に対して2重量%まで存在し得、特に、それらは組成物の全重量に対して1~2重量%で存在する。
【0209】
添加剤は、触媒、抗酸化剤、熱安定剤、UV安定剤、光安定剤、潤滑剤、難燃剤、核形成剤、鎖延長剤、及び着色剤の中から選択され得る。
【0210】
「触媒」という用語は、鉱酸又は有機酸等の重縮合触媒を示す。
【0211】
有利には、触媒の重量割合は、組成物の全重量に対して、およそ50ppm~およそ5000ppm、特におよそ100~およそ3000ppmで構成される。
【0212】
有利には、触媒は、リン酸(H3PO4)、亜リン酸(H3PO3)、次亜リン酸(H3PO2)、又はこれらの混合物から選択される。
【0213】
抗酸化剤は、特に、0.05~5重量%、好ましくは0.05~1重量%、好ましくは0.1~1重量%の銅錯体系抗酸化剤であり得る。
【0214】
銅錯体という表現は、特に、有機又は無機酸を含む一価又は二価の銅塩と有機リガンドとの間の錯体を意味する。
【0215】
有利には、銅塩は、ハロゲン化水素の第二銅(Cu(II))塩、ハロゲン化水素の第一銅(Cu(I))塩、及び脂肪族カルボン酸の塩から選択される。
【0216】
特に、銅塩は、CuCl、CuBr、CuI、CuCN、CuCl2、Cu(OAc)2、ステアリン酸銅から選択される。
【0217】
銅錯体は、特に、米国特許第3505285号明細書に記載されている。
【0218】
前記銅系錯体は、ホスフィン、特にトリフェニルホスフィン、メルカプトベンズイミダゾール、EDTA、アセチルアセトネート、グリシン、エチレンジアミン、オキサレート、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ピリジン、テトラブロモビスフェニル-A、エポキシ誘導体等のテトラビスフェニル-Aの誘導体、並びにクロロジメタンジベンゾ(a,e)シクロオクテンの誘導体及びそれらの混合物、ジホスホン及びジピリジル又はこれらの混合物、特にトリフェニルホスフィン及び/又はメルカプトベンズイミダゾールから選択されるリガンドをさらに含み得る。
【0219】
ホスフィンは、トリブチルホスフィン等のアルキルホスフィン、又はトリフェニルホスフィン(TPP)等のアリールホスフィンを示す。
【0220】
有利には、前記リガンドはトリフェニルホスフィンである。
【0221】
錯体の例及びそれらを調製する方法は、加国特許第02347258号明細書に記載されている。
【0222】
有利には、本発明の組成物中の銅の量は、組成物の全重量に対して、10重量ppm~1000重量ppm、特に20重量ppm~70重量ppm、特に50~150重量ppmから構成される。
【0223】
有利には、前記銅系錯体は、さらにハロゲン化有機化合物を含む。
【0224】
ハロゲン化有機化合物は、任意のハロゲン化有機化合物であり得る。
【0225】
有利には、前記ハロゲン化有機化合物は、臭素系化合物及び/又は芳香族化合物である。
【0226】
有利には、前記芳香族化合物は、特に、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ブロモスチレン又はクロロスチレンオリゴマー、ポリジブロモスチレンから選択される。
【0227】
有利には、前記ハロゲン化有機化合物は、臭素系化合物である。
【0228】
前記ハロゲン化有機化合物は、組成物の全重量に対して、50~30,000重量ppm、特に100~10,000、特に500~1500重量ppmのハロゲンの割合で組成物に添加される。
【0229】
有利には、銅:ハロゲンのモル比は、1:1~1:3000、特に1:2~1:100で構成される。
【0230】
特に、前記比は、1:1.5~1:15で構成される。
【0231】
有利には、銅錯体系抗酸化剤。
【0232】
熱安定剤は、有機安定剤、又はより一般的にフェノール系(例えば、Ciba社のirganox245、1098、又は1010系)の第1の抗酸化剤、又は亜リン酸塩型の第2の抗酸化剤等の有機安定剤の組み合わせであり得る。
【0233】
UV安定剤は、HALSであり得、それはヒンダードアミン光安定剤又は抗UV(例えば、Ciba社のTinuvin312)を意味する。
【0234】
光安定剤は、ヒンダード型アミン(例えば、Ciba社のTinuvin770)、フェノール酸、又はリン系安定剤であり得る。
【0235】
潤滑剤は、ステアリン酸等の脂肪酸系潤滑剤であり得る。
【0236】
難燃剤は、米国特許第2008/0274355号明細書に記載のハロゲンを含まない難燃剤、及び特にリン系難燃剤、例えば、ホスフィン酸の金属塩、特にジアルキルホスフィネート塩、特にアルミニウムジエチルホスフィネート塩又はアルミニウムジエチルホスフィネート塩、ジホスフィン酸の金属塩、アルミニウムホスフィン酸難燃剤と窒素相乗剤との混合物又はアルミニウムホスフィン酸難燃剤とリン相乗剤の混合物、ホスフィン酸の少なくとも1つの金属塩、特にポリリン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、又は五ホウ酸アンモニウム等のアンモニウム系、又はメラミン、メラミン塩類、メラミンピロホスフェート、及びメラミンシアヌレート等のメラミン系、又はシアヌル酸系、又はジホスフィン酸又は赤リンの少なくとも1つの金属塩、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、又はホウ酸亜鉛、又はホスファゼン、ホスフファム、又はホスホキシナイトライド等の金属ホウ酸塩を含むポリマー、又はこれらの混合物から選択された金属塩であり得る。それらは、また、臭素化又はポリ臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート又は臭素化フェノール等のハロゲン化難燃剤であり得る。
【0237】
核形成剤は、シリカ、アルミナ、粘土、又は滑石、特に滑石であり得る。
【0238】
適切な連鎖制限剤の例は、モノアミン、モノカルボン酸、ジアミン、トリアミン、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラアミン、テトラカルボン酸、並びに各場合にそれぞれ5~8のアミノ又はカルボキシ基、特にジカルボン酸を有するオリゴアミン又はオリゴカルボン酸、トリカルボン酸又はジカルボン酸とトリカルボン酸との混合物である。一例として、ジカルボン酸及びトリカルボン酸としてのトリメリット酸の形態でドデカンジカルボン酸を使用することができる。
【0239】
他の実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は、少なくとも1つのプレポリマー、特に単官能NH2、特にPA11系を含む。
【0240】
有利には、組成物は、単一のプレポリマーを含む。
【0241】
プレポリマー
プレポリマーは、組成物の全重量に対して11重量%まで、特に組成物の全重量に対して0.1~11重量%で存在し得る。
【0242】
プレポリマーは、添加剤として使用される核形成剤とは異なる。
【0243】
「プレポリマー」という用語は、組成物において使用されるポリアミドより数平均分子量が低い必要があるポリアミドのオリゴマーを指し、特に、前記プレポリマーの数平均分子量は、1000~15000g/mol、特に1000~10000g/molである。
【0244】
プレポリマーは、上記と同じ定義の脂肪族直鎖又は分岐ポリアミドオリゴマー、脂環式ポリアミドオリゴマー、半芳香族ポリアミドオリゴマー、芳香族ポリアミドオリゴマー、脂肪族直鎖又は分岐脂環式半芳香族及び芳香族ポリアミドから選択され得る。
【0245】
従って、プレポリマー又はオリゴマーは、以下の縮合に由来する:
-少なくとも1つのラクタム、又は
-少なくとも1つのアミノ酸、又は
-少なくとも1つのジカルボン酸を備えた少なくとも1つのジアミン、又はそれらの混合物。
【0246】
従って、プレポリマー又はオリゴマーは、ラクタム又はアミノ酸を備えたジアミンの縮合に相当しない場合がある。
【0247】
プレポリマーは、また、コポリアミドオリゴマー、又はポリアミドとコポリアミドオリゴマーの混合物であり得る。
【0248】
例えば、プレポリマーは、単官能NH2、単官能CO2H、又は二官能CO2H又はNH2である。
【0249】
従って、プレポリマーは単官能又は二官能酸又はアミンであり得、すなわち、それは、単官能である場合、1つの末端アミン又は酸機能を有し(この場合、他の末端は非官能、特にCH3である)、又は二官能の場合、2つの末端アミン機能又は2つの末端酸機能を有する。
【0250】
有利には、プレポリマーは、単官能、好ましくはNH2又はCO2Hである。
【0251】
それは、また、両方の末端、特にdiCH3で非官能であり得る。
【0252】
1つの実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は以下を含む:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を30~7重量0%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%;
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0253】
他の実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は以下からなる:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を30~70重量%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0254】
1つの実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は以下を含む:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~50重量%、特に35~50重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を50~70重量%、特に50~65重量%、より特に50~60重量%;
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0255】
さらに他の実施形態では、本発明は、上に定義する使用に関し、組成物は以下からなる:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~50重量%、特に35~50重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を50~70重量%、特に50~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0256】
他の態様によれば、本発明は、特に射出成形に有用な組成物に関し、以下を含む:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を30~70重量%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0257】
有利には、前記組成物は、特に射出成形に有用で、以下からなる:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を30~70重量%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0258】
1つの実施形態では、前記組成物は、特に射出成形に有用で、以下を含む:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~50重量%、特に35~50重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を50~70重量%、特に50~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0259】
他の実施形態では、前記組成物は、特に射出成形に有用で、以下からなる:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~50重量%、特に35~50重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を50~70重量%、特に50~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0260】
1つの実施形態では、前記組成物は、ポリアミド6及び66を含まない。
【0261】
上に定義した使用について上に定義した特性はすべて、組成物にそういうものとして有効である。
【0262】
充填剤について
組成物は、また、充填剤を含み得る。想定される充填剤は、カオリン、マグネシア、スラグ、カーボンブラック、膨張又は非膨張グラファイト、珪灰石、酸化チタン及び硫化亜鉛等の顔料、及び帯電防止充填剤等の従来の無機質充填剤を含む。
【0263】
有利には、前記組成物は、特に射出成形に有用で、以下からなる:
上に定義する少なくとも1つのポリアミド及び少なくとも1つのポリオレフィンからなるアロイを30~70重量%、特に35~60重量%、より特に40~50重量%、ポリアミド/ポリオレフィン比は95/5~50/50である;
上に定義する中実及び中空ガラス強化剤の混合物を30~70重量%、特に40~65重量%、より特に50~60重量%;及び
少なくとも1つのプレポリマーを0~11重量%、特に0.1~11重量%;
充填剤を0~5重量%、及び
添加剤を0~2重量%、好ましくは1~2重量%、
前記組成物の各成分の割合の合計は100%に等しい。
【0264】
他の態様によれば、本発明は、自律乗物向け、又は互いに接続される用途向け等の、特にエレクトロニクス向け、電気通信用途向け、又はデータ交換向けの物品の製造のための、上に定義する組成物の使用に関する。
【0265】
有利には、前記物品は、射出成形によって製造される。
【0266】
言いかえれば、本発明は、上に定義する組成物の、特に射出成形による工程を含む、自律乗物向け又は相互接続用途向け等の、特にエレクトロニクス向け、電気通信用途向け、又はデータ交換向けの物品を調製する方法に関する。
【0267】
他の態様によれば、本発明は、上に定義する組成物の射出成形によって得られた物品に関する。
【実施例
【0268】
以下、本発明を、以下の実施例により、これら実施例に限定されることなくさらに具体的に説明する。
【0269】
本発明の様々なポリアミド及びコポリアミドを、ポリアミド及びコポリアミドの合成のための通常の技術に従って調製した。
【0270】
様々なコポリアミドの代表であるCoPa11/10Tの合成:
アミノウンデカン、デカンジアミン、及びテレフタル酸モノマーを、所望の質量比に従って反応容器中にともに装填する。媒体をまず不活性化し、黄変又は二次反応を発生する可能性がある酸素を除去する。熱交換を向上させるために水を充填することも可能である。2つの温度上昇及び圧力プラトーを行う。温度(T°)及び圧力条件を、媒体が溶融ことを可能にするように選択する。メンテナンス条件に達した後に、脱気を行って、重縮合反応を可能にする。媒体は少しずつ粘稠になり、窒素パージ、真空を適用することによって反応水を形成する。停止条件に達し、所望の粘性に関連する場合、撹拌を停止し、押し出し及び造粒をスタートすることができる。
【0271】
表1中の組成物を、以下の一般的なプロトコールに従って調製した(重量%):
【0272】
前記調合物の顆粒の調製のための配合:
少なくとも1つの外側原料入口を備えたCoperion ZSK 26 MC等の二軸押出機
機械温度:270C
スクリュー速度:250rpm
押出機の押出量:16kg/h
【0273】
変形:
ウエハー100x100x2mm3を射出成形によって製造して誘電特性を測定した。以下のパラメーターを使用した:
-ENGEL VICTORY500、160T液圧プレス
-射出温度(供給/ノズル):265C/280C
-金型温度:100C
-保持時間:10s
-材料保持圧力:700バール
-冷却時間:35s
【0274】
ISO527-21Aによるダンベル状試験片を、引張機械的特性の測定のために射出成形によって製造した。以下のパラメーターを使用した:
-ENGEL VICTORY500、160T液圧プレス
-射出温度(供給/ノズル):285C/295C
-金型温度:100C
-保持時間:10s
-材料保持圧力:700バール
-冷却時間:15s
【0275】
本発明の組成物から得られた結果を、以下の表1及び表2に示す:
【0276】
比較組成物を以下の表3に示す:
I1~I9:本発明1~9
C1~C13:比較組成物C1~C13
N/A:未試験
PA11:Rilsan(Arkema)
PA11/10T(重量で28/72)
PA11/B10(重量で10/90)
ポリプロピレンPPH5060:全体からの非グラフトポリプロピレン単独重合体
Orevac CA100:無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(Arkema)
PA oligo:PA11モノNH2
【0277】
抗酸化剤は、フェノール系抗酸化剤を指す。
【0278】
第2の抗酸化剤は、ホスファイト系抗酸化剤に相当する。
NEガラス繊維:日東紡績社製の扁平断面を備えたNE中実ガラス繊維
Eガラス繊維:日東紡績又は日本電気硝子社製の円形断面を備えたE中実ガラス繊維
HMガラス繊維:AGY社製の円形断面を備えた中実繊維(高弾性率ガラス繊維)
ガラスビーズ:Hollowliteガラスビーズ
Dk、tanデルタをASTM D-2520-13に準拠して測定する。
【0279】
引張弾性率(又は弾性係数E)を、2012年のISO527-1及び2に従って測定する。
【国際調査報告】