(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】進行する紙ウェブにおける紙特有水分制御
(51)【国際特許分類】
B31F 1/36 20060101AFI20220804BHJP
B31F 1/24 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B31F1/36 A
B31F1/24 C
B31F1/24 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504202
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020044872
(87)【国際公開番号】W WO2021026146
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520403901
【氏名又は名称】イントプロ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コーラー, ハーバート, ビー.
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078AA11
3E078BB01
3E078CC12
3E078CC58X
3E078CC62X
3E078CD10
(57)【要約】
コルゲータと関連付けられた各ライナーの物理特性及び大気条件に基づいて個別の紙ライナーのための所望の水分設定値を提供するためのネットワークベースのシステム及び方法が開示される。所望の水分設定値は、各個別の紙ライナーの湿度膨張性に基づく。ひとたび水分設定値が決定されると、調整装置は、最終段ボール製品の後反り特徴を調整するために、各ライナーの水分値を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール製品を製造する方法であって、
a.第1の面シートウェブの含水率を、液体の第1の薄膜を第1の面に加えることによって10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲に調整することと、
b.その後に前記第1の面シートウェブを加熱することと、
c.その後に前記第1の面シートウェブの前記第1の面を波型の中芯の第1の側に接着することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の範囲は11重量%~15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の薄膜は、10ミクロン~50ミクロンの計量された水膜厚さを有する水分付加ローラーの表面に対して伸張下で前記第1の面シートウェブを引き出すことによって加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水分付加ローラーは、超過速度又は不足速度でありながら前記第1の面シートウェブと同じ線方向において、前記第1の面シートウェブに対して100%から少なくとも5%ずれたロール速度比で動作する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の面シートウェブは、15mm~100mmの滞在距離にわたって前記水分付加ローラーに対して引き出される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
d.第2の面シートウェブの含水率を、液体の第2の薄膜を第1の面に加えることにより、10重量%よりも大きく30重量%までの第2の範囲に調整することと、
e.その後に前記第2の面シートウェブを加熱することと、
f.その後に前記第2の面シートウェブの前記第1の面を前記波型の中芯の第2の側に接着することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第1の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
第2の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第2の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
をさらに含み、
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記波型の中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するコルゲータ入力データを供給することと、
前記コルゲータ入力データに基づいて前記中央サイトが前記第1の湿度膨張性属性値及び前記第2の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第1の範囲内の前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を供給することであって、前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第2の範囲内の前記第2の面シートについての第2の調湿設定点を更に供給し、前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は前記協働する湿度膨張性をもたらすように適合されることと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するデータを含むコルゲータ入力データを供給することと、
前記中央サイトから、前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点及び前記第2の面シートウェブについての第2の調湿設定点を受け取ることであって、前記設定点は、前記中央サイトに供給された前記コルゲータ入力データに基づくものであり、前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整はそれぞれの第1の調湿設定点及び第2の調湿設定点に基づいて行われることと、
をさらに含み、
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記波型の中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は、前記コルゲータ入力データを前記中央サイトにおいて利用可能な比較可能データと比較することで決定され、前記比較可能データは観測又は算出された湿度膨張性属性値と事前に相関されたものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
段ボール製品を製造する方法であって、
a.第1の面シートウェブについての第1の湿度膨張性属性値を測定する又は割り当てることと、
b.前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を決定することと、
c.液体の薄膜を前記第1の面シートウェブに加えて含水率を前記水分調整設定値による10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲内とすることによって前記第1の面シートウェブを調整することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記調整ステップに続いて前記第1の面シートウェブを熱処理することでその湿度膨張性を減少させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
進行するウェブを調整する方法であって、
a.波形複合体の作製に使用される第1のライナーに第1の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
b.前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記第1のライナーについての第1の水分設定値を決定することと、
c.液体の第1の薄膜を前記第1のライナーに加えて前記第1の水分設定値に基づいてその含水率を調整することによって前記第1のライナーを調整することと、
を含む、方法。
【請求項14】
d.前記波形複合体の作製に使用される第2のライナーに第2の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
e.前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて前記第2のライナーについての第2の水分設定値を決定することと、
f.液体の第2の薄膜を前記第2のライナーに加えて前記第2の水分設定値に基づいてその含水率を調整することによって前記第2のライナーを調整することと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の水分設定値及び前記第2の水分設定値は、前記波形複合体がひとたび作製されるとその内部の前記第1のライナー及び前記第2のライナーが実質的に一致した湿度膨張性を有するように選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
段成形の方法であって、
データ記憶部内に、優勢な条件及び/又は段ボール製品を製造するためにそれぞれのコルゲータで使用される供給原料に対する複数のそれぞれのコルゲータ入力データセットを集約することであって、各前記コルゲータ入力データセットは、相対湿度、温度、圧力、並びに前記供給原料の組成及び含水率のうちのいずれか又は全てに属するデータ値を含み、前記データセット及び/又はその中の個別のデータ値は、紙ウェブの湿度膨張性を表す湿度膨張性属性値と相関されたものであることと、
特定の段ボール製品を作製するために特定のコルゲータで使用した又は使用される第1の面シートに関連するデータを含む特定のコルゲータ入力データを受け取ることと、
前記特定のコルゲータ入力データを前記データ記憶部内の前記集約されたデータセットと比較し、前記第1の面シートウェブの湿度膨張性挙動を表す第1の湿度膨張性属性値をそこから識別又は算出することと、
前記第1の湿度膨張性属性値に基づき、10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲内となるように含水率を調整するために計算された前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を決定することと、
前記特定の段ボール製品の作製に使用される前記特定のコルゲータに前記第1の調湿設定点を送ることと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記特定のコルゲータ入力データは、前記特定の段ボール製品を作製するための前記特定のコルゲータで使用した又は使用される第2の面シートウェブに関するデータを更に含み、前記方法は、
前記特定のコルゲータ入力データを前記集約されたデータセットと比較することによって、前記第2の面シートウェブの湿度膨張性挙動を表す第2の湿度膨張性属性値を識別又は算出することと、
前記第2の湿度膨張性属性値に基づき、10重量%よりも大きく30重量%までの第2の範囲内となるように含水率を調整するために計算された前記第2の面シートウェブについての第2の調湿設定点を決定することと、
前記特定の段ボール製品の作製に使用される前記特定のコルゲータに前記第2の調湿設定点をおくることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は、作製される前記段ボール製品が作製後の24時間時の曲率半径の相対偏向が5%以下となるように、前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおけるそれぞれの協働する湿度膨張性をもたらすために算出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記特定のコルゲータ入力データは、前記データ記憶部内の前記複数のコルゲータ入力データに追加されるとともに集約され、湿度膨張性属性値と相関される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のコルゲータは互いに競合者であり、前記データ記憶部に集約されたそれらのそれぞれのデータセットは、どの任意の特定のデータセットが任意の特定の競合者から来たか、来たのかどうか、又はいつ来たのかについて競合者が気付かないように匿名化される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
段ボール製品を製造するネットワークベースのシステムであって、関連付けられた段成形動作に特有のコルゲータ入力データを収集するようにそれぞれ適合された複数の遠隔コルゲータ制御端末からインターネットを介してコルゲータ入力データを受け取る中央サイトを備え、前記中央サイトは、前記コルゲータ入力データを記憶するためのデータ記憶手段と、前記コルゲータ入力データを分析してそこから湿度膨張性を判定するためのプロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記湿度膨張性属性値に基づいて前記それぞれの段成形動作のための調湿設定点を割り当てるように更に適合される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年8月5日に出願された米国仮出願第62/882,773号及び2019年11月13日に出願された米国仮出願第62/934,736号の優先権を主張し、これらの内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本出願は、包括的には、段ボール厚紙の製造に関し、より詳細には、段ボール厚紙の製造時の水分及び温度の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
段ボール板紙製品の製造は広く知られている。簡単に説明すると、従来の段ボール板紙構造体は、その最も単純な形態において、ウェブ材料からなる2枚の平坦なシート(「ライナー」と呼ばれる)を、ウェブ材料からなる中間の波型の(すなわち、波形の)シート(「中芯(medium)」と呼ばれる)の対向する段頂部に糊付けすることによって作製される。多くの場合、これは、連続的なプロセスで、水性の澱粉系接着剤であり得る糊の線を中芯の段頂部に塗布し、そしてこれらの糊が塗布された頂部をそれぞれのライナーに貼合することによって行われる。まず、シングルフェーサにおいて中芯の一方側の段頂部に第1のライナーを貼合することによって、片面構造体が作製される。そして、結果として得られる片面複合体は、ダブルバッカへ送達され、ここで対向する段頂部に第2のライナーを貼合することで、完全な三層の段ボール板紙構造体がもたらされる。このようなプロセスは、例えば米国特許第8,398,802号に記載されているように、広く知られている。米国特許第8,398,802号の内容は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0004】
前述のライナー及び中芯のそれぞれ又はいずれかにおいて水分が増加又は減少すると、結果として得られる製品は反る可能性がある。すなわち、紙層から水分が減少することで、層内で個々の紙繊維が収縮することにより、紙が縮小する結果となり得る。逆に、水分が増加することで、個々の紙繊維が水を吸収して膨出することにより、紙が膨張する結果となり得る。従来の段成形における問題の1つは、完成段ボール板紙の反りであった。前述の層、特にライナーにおいて、段成形プロセスに入るときから複合三層構造体となって出るときまでの間、及びその更に後までに異なる量の水が増加又は減少した場合、段ボール板紙は反る傾向にある。すなわち、複合体を構成する対向するライナーが異なる速度で又は異なる度合いに膨張する(又は収縮する)と、複合構造体は、それに適応するとともに接着状態を維持するために、本質的に必ず曲がってしまう。
【0005】
このため、少なくとも対向するライナーの含水率を可能な限り段成形プロセスを出る際の目標含水率又はその付近の含水率に維持することが望ましく、これにより、そのプロセスの間及びそのプロセスの後の両方において、これらの層は互いに相対的に膨張又は収縮しないようになる。首尾よく行われると、結果として、後反りが生じない段ボール板紙複合体となる、すなわち、ひとたび段成形プロセスから出ると反ることのない段ボール板紙複合体となる。残念ながら、歴史的に見ると、これは言うことは容易であるが実際に行うことは難しいものであった。
【0006】
理由の1つとして、接着を容易にするために、典型的に、ライナーの接着面を加熱することで、ライナーを中芯に接着する澱粉接着剤の浸透及びゼラチン化を促すことが挙げられる。また、澱粉接着剤の使用を可能な限り少量にしてコスト及び重量の両方を節減することが業界の動向であった。これは、使用される少量ばかりの接着剤が、隣接する層の対向する接着面内において可能な限り多く浸透して同化しなければならないことを意味する。強力な接着のための浸透及びゼラチン化を確実に最大化するために、典型的に、紙は水の沸点(すなわち、100℃)付近まで加熱される。この加熱によって決定的な段成形パラメータ(澱粉接着による接着)が向上する一方、別の決定的な段成形パラメータである層含水率に悪影響を及ぼす。すなわち、層を加熱することにより、水分が排出される傾向にある。したがって、ライナーは、段成形プロセスに入ったときよりも乾燥し、最初の供給されたときの状態と比して脱水されて段成形プロセスを経ることとなる。その結果、ライナーは、段ボール製品を製造するための処理ステップの前又はその間に縮小する(すなわち、収縮する)傾向にあり得る。ライナーは過度に乾燥する(すなわち、優勢な条件下におけるそれらの自然な状態を下回る含水率にまで乾燥する)ことから、段成形プロセスからひとたび出ると大気中の水分を吸い上げる傾向にある。続く12時間~24時間にわたり、ライナーはライナーから排出された水を再び吸収することから、典型的に2つの要因によって反りが生じる。
【0007】
第1に、各ライナーは、典型的に、ヒステリシスの結果として、大気中の水分をひとたび再吸収しても乾燥前の状態にまで再膨張することはない。これは、ひとたび再加水されても、ライナーは元の寸法に正確に戻らないことを意味する。第2に、対向するライナーは、段成形プロセス時に異なる度合いに乾燥し得る。これは、例えば、ダブルバッカ内の蒸気ドラム又は熱板等の乾燥要素に対して一方が他方よりも長く担持されるからである。また、従来の段成形プロセスにおいて、中芯は多くの場合に全く直接人為的に加熱されないが、両方の対向するライナーはそのように加熱される。これらの要因が組み合わさることにより、波形複合体の異なる層が再加水されるときの段成形後の膨張の度合いに予測不可能又は制御不可能な差異が生じ、これによって反りが生じることとなる。
【0008】
別の難点としては、紙の各タイプによって水分の増加及び減少が固有であることが挙げられる。各公称紙坪量の範囲において、入って来る紙層は幾つかの要因によって異なる。これらの要因には、完成紙料(furnish)、密度、極角、厚み、湿度膨張性(hygroexpansivity)、流体膨張性(hydroexpansivity)、耐湿性、コーティング、引張強度、多孔性、及び含水率が含まれる。含水率及びこれに伴う縮小を制御するためにこれらの要因及び他の要因を特定の供給紙に合わせて調整することは困難であることが証明された。1つの難題は、供給紙が貯蔵される場所の大気条件(例えば、温度及び相対湿度)が紙の水分の増加又は減少の速度に影響を与えることである。別の難題は、異なるタイプの紙では相対湿度膨張特性が異なることである。以下で述べるように、これは、2つの紙ライナーが同じ含水率に調整されたとしても、それぞれのライナー内の紙繊維が異なる速度で水分を増加又は減少させることから、複合構造体の反りが依然として起こり得ることを意味する。
【0009】
紙層の含水率を調整する現在の方法には、(i)相対湿度又は(ii)相対湿度及び紙層の板重量に基づく方法が含まれる。例えば、紙が貯蔵される環境の相対湿度に基づいて紙層についての目標水分率を設定するために以下の関係が用いられる。
H=(相対湿度/10)+1
ここで、相対湿度は%で表される。例えば、RHが70%である場合、紙層についての目標含水率はH=8%となる。
【0010】
代替的に、相対湿度が50%未満、50%、又は50%より高い環境における、片面(SW)段ボールシート及び複両面(DW)段ボールシートについての例示の目標水分率を表1に示す。
【0011】
【0012】
勿論、表1の値は、広い範囲の相対湿度に基づいた許容可能な水分率の範囲を提供することを意図して一般化したものである。上記の関係及び表1のデータについての難点は、各製造者が局地的条件に基づいて目標水分率を変更しなければならないことにあり、これにより、製造者は許容可能な水分率の範囲を広げることを余儀なくされる。この手法を機能させるためには、各製造者は、所望のパラメータを満たす段ボール製品を再現するために、各個別の紙ライナー(又は、望ましい場合には中芯)の特性を常に微調整しなければならない。この微調整には、多くの時間、専門技能、及びリソースが必要となる。
【0013】
上記で組み込まれた‘802特許には、澱粉接着剤による接着を容易にするために、3つの層(2つのライナー及び1つの中芯)のそれぞれにおける含水率を層の加熱及び貼合前に6重量%~9重量%に調整することが記載されている。この水分調整は、‘802特許に記載のような調湿装置を使用して行われる。この調湿装置は、水の均一な薄膜層をそれぞれのライナーの(少なくとも)接着面に加えることで、層が加熱されて隣接する層に接着されるシングルフェーサ又はダブルバッカのいずれかにライナーが供給される前にそれらの含水率を6重量%~9重量%の範囲内に調整する。結果として得られた水の薄膜層は、ライナーの過度の乾燥を防止した。それは水の犠牲表面層であり、段成形に向けてライナーを準備するために導入される熱を最終的に吸収し(及びこれによって蒸発し)、これにより、既に紙繊維に結合された水分を保護及び保存する。この解決法は、多くの場合に機能する。しかし、以前は理解されていなかったが、それは、紙ウェブの水分吸収特性及びそれらに影響を及ぼす大気条件に基づいて改善することができる。
【0014】
例えば、犠牲水分層を使用すると同時に各ウェブ材料層の含水率を6重量%~9重量%に調整したとしても、後反りは依然として幾つかの段ボール製品において観測され得る。
【0015】
また、前述の水分調整と併せて、‘802特許では、幅方向(cross-machine direction)における水分付加を調整してクロスウェブ(cross-web)方向における含水率のばらつきを補い、幅方向における水分のばらつきを可能な限り小さくすることが依然として望ましいものとなり得ると説明されている。実際に、従来のコルゲータは、典型的に、進行する紙ウェブにおける幅方向の水分分布を検知し、低水分帯に対応する不連続な幅方向の箇所に水分を加えることによってその分布を正常化するよう試みる複雑なシステムを有する。目標は、幅方向において効果的にゼロ勾配の水分分布を得ることにある。これにより、ウェブ内における異なる含水率を有する不連続な帯に起因する完成品の幅方向の反りを最小化又は防止することができる。
【0016】
ここで本発明者は、製造プロセスの動作パラメータを常に微調整することなく、また、コルゲータの操作者が後反りに寄与する全ての要因を理解してそれらを手作業により調整しなければならないこともなく、供給されたときのウェブにおける水分のばらつきを補う効率的な方法を発見した。本明細書に開示される本発明者の解決法はまた、進行するウェブの不連続な幅方向の箇所に水分を付加するように設計された、前述の複雑な感知及び局所水分付加機器を使用しない。そのような機器は、高価であるとともに操作が複雑であるばかりでなく、後反りの結果の面で再現性が限られている。
【発明の概要】
【0017】
本発明の1つの態様によれば、段ボール製品を製造する方法が提供される。該方法は、第1の面シートウェブの含水率を、液体の第1の薄膜を第1の面に加えることによって10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲に調整することを含む。該方法はまた、前記第1の面シートウェブを加熱すること、およびその後に前記第1の面シートウェブの前記第1の面を波型の中芯の第1の側に接着することを更に含む。
【0018】
本発明の別の態様によれば、段ボール製品を製造する方法が提供される。該方法は、第1の面シートウェブについての第1の湿度膨張性属性値を測定する又は割り当てることと、前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を決定することとを含む。該方法は、液体の薄膜を前記第1の面シートウェブに加えて含水率を前記水分調整設定値による10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲内とすることによって前記第1の面シートウェブを調整することを更に含む。
【0019】
本発明の別の態様によれば、進行するウェブを調整する方法が提供される。該方法は、i)波形複合体の作製に使用される第1のライナーに第1の湿度膨張性属性値を割り当てることと、ii)前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記第1のライナーについての第1の水分設定値を決定することと、iii)液体の第1の薄膜を前記第1のライナーに加えて前記第1の水分設定値に基づいてその含水率を調整することによって前記第1のライナーを調整することとを含む。
【0020】
本発明の別の態様によれば、段成形の方法が提供され、該方法は、(i)複数のコルゲータから、優勢な条件及び/又は段ボール製品を製造するためにそれぞれのコルゲータで使用される供給原料に関する、複数のそれぞれのコルゲータ入力データセットを受け取ることであって、各前記コルゲータ入力データセットは、相対湿度、温度、圧力、並びに供給原料の組成及び含水率のうちのいずれか又は全てに属するデータ値を含むことと、(ii)前記複数のコルゲータ入力データセットをデータ記憶部に集約することであって、前記データセット及び/又はその中の個別のデータ値は、紙ウェブの湿度膨張性を表す湿度膨張性属性値と相関されたものであることと、(iii)特定の段ボール製品を作製するための特定のコルゲータで使用した又は使用される第1の面シートに関連するデータを含む特定のコルゲータ入力データを受け取ることと、(iv)前記データ記憶部内の集約されたデータセットに対して特定のコルゲータ入力データを比較し、前記第1の面シートウェブの湿度膨張性挙動を表す第1の湿度膨張性属性値をそこから識別又は算出することと、(v)前記第1の湿度膨張性属性値に基づき、10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲内に前記第1の面シートウェブの含水率を調整するために算出される、前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を決定することと、(vi)前記特定の段ボール製品の作製に使用される前記特定のコルゲータに前記第1の調湿設定点を送ることとを含む。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、段ボール製品を製造するネットワークベースのシステムが提供される。該システムは、関連付けられた段成形動作に特有のコルゲータ入力データを収集するようにそれぞれ適合された複数の遠隔コルゲータ制御端末からインターネットを介してコルゲータ入力データを受け取るように適合された中央サイトを備える。前記中央サイトは、前記コルゲータ入力データを記憶するためのデータ記憶手段と、前記コルゲータ入力データを分析してそこから湿度膨張性を判定するためのプロセッサとを備える。前記プロセッサは、前記湿度膨張性属性値に基づいて前記それぞれの段成形動作のための調湿設定点を割り当てるように更に適合される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】複合段ボールシートを作製する方法のための例示の処理ステップ及び関連する機器を示す上位概略ブロック図である。
【
図2】段成形方法において使用することができる一例示の調湿装置100の概略図である。
【
図3】紙ライナーについての温度膨張性属性値を取得及び記録するとともに、データ値に基づいてこのような属性についての予測値を紙に割り当てるために使用することができるネットワークベースのシステムの概略図である。
【
図4】好ましい糊線幅を段サイズに対してインチで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において使用される場合、「5~25」又は「5よりも大きく25まで」等の範囲が与えられる場合、これは、好ましくは少なくとも5又は好ましくは5よりも大きく、別個かつ独立して、好ましくは25以下であることを意味する。
【0024】
個別の紙ライナーの含水率及び他の特徴を図表化することによって個別の紙ライナーの湿度膨張性を決定できることが明らかとなった。そして、異なる属性を有する異なる紙の湿度膨張性の特徴をデータベースに記憶することができる。ひとたび特定の紙の湿度膨張性が決定されると、又はそれが分かっていると(経験的又は予測的に)、個別の紙ライナーについての特定の水分設定値を、複合板における他の紙層について決定されたこのような設定値と組み合わせて、その板の後反り特徴を調整するために確立することができる。これを理解するために、まず、紙ウェブがどのように水を吸収するのか、並びに重要な点として、これらがどのように水を貯蔵し、排出し、移送するのかについての基本的な理解が役に立つであろう。
【0025】
紙ウェブは、ウェブを画成する繊維を入り混ざらせて編み込んだ網から構成される。これらの繊維は、個別の繊維自体の網状組織内に内部繊維空間を画定する。これらの繊維は間隙空間も画定し、この間隙空間は、実質的に、個別の繊維の外側であるが繊維の網によって画成されたウェブ全体の排除体積内に位置する、自由空間又は空隙である。これにより、紙ウェブは、スポンジとよく似たものであって、孔及び細孔の入り組んだシステムを画定する繊維状材料の強い網であり、後者はスポンジ形状内において空隙を構成するものである。
【0026】
スポンジと同様に、紙ウェブは、概して水を2つの方法で保持及び輸送する。これらのうちの第1の方法は表面的なものであり、紙ウェブは、個別の紙繊維の間及び外に画定される間隙空間内であるが繊維網の空隙内において水を吸収及び担持することができる。その間隙空間内での水の吸収及び保持は、流れの仕組みによる影響を大きく受ける(すなわち、ウェブの表面に加えられた水は、重力を含む流体力に応じてその空間内を流通する傾向にある)。間隙空間を通る流れに対する主たる障害は、それに関連付けられた圧力低下であり(表面張力によってウィッキングも生じる)、これは外力を加えること、又は紙ウェブにわたる圧力勾配を増加させることによって克服することができる。吸収された水は、機械力を加えることによって排除することもできる(例えば、紙ウェブを圧縮して体積を縮小し、圧縮不可能な水を間隙空間から排出する)。このような外部圧力下で、液体水は、概して急速かつ容易に間隙空間から流出する。
【0027】
紙が水を保持及び輸送することができる第2の方法は内在的なものであり、ウェブの個別の繊維が水分を吸収及び抽出し、周囲環境の優勢な湿度において動的平衡を実現する。この方法による紙繊維内での水の吸収及び保持は、平衡の原則に基づいており、熱力学の法則によって支配される。したがって、紙繊維内における吸収のための主たる原動力は動圧ではない(単純に水を紙に押し込む又は加圧することによって繊維が効率的に加水されないことを意味する)。むしろ、それは内部繊維空間と周囲環境との間の繊維膜にわたる水分濃度勾配である。ここで、水分は、その勾配並びに特定の紙組成及び繊維多孔性(すなわち、外部からの影響に対して大きな耐性を有する要因)に固有の透過係数に比例する速度で繊維膜を横断する。間隙空間とは異なり、通常、水分がウェブの繊維内に導かれて環境の湿度によって繊維を平衡化させるには長い時間がかかる。繊維による水分の再吸収(又は脱離の場合もある)の遅れ、特に対向するライナーにおける異なる度合いでの遅れは、段成形プロセスから平坦となって現れる段ボール製品が24時間後に後反りを生じる原因となる。
【0028】
熱力学プロセスに基づいて水分が個別の繊維に入るには時間がかかり得るが、澱粉接着剤によってウェブを接着する準備の際の人為的な加熱により、水分は急速に排出され得る。このような加熱により、繊維における水の温度が急速に上昇して水が蒸気に変換され、蒸気は膨張し、液体水よりも速く繊維の外に透過する。とりわけ、濃度勾配及び透過係数という同じ2つの要因が、通常、このような加熱の際においても繊維からの透過を支配する。しかしながら、蒸気の形態において、これら両方の要因は繊維からの水の急速な排除を促す。第1に、個別の紙繊維内で瞬時に蒸気となった水分は、同じ熱によって引き起こされる間隙空間内の水分に起こる現象と同様の現象が伴いやすい。しかし、間隙空間内で生じた蒸気は、除去されるまで、ウェブの多孔質網を通ってすぐに進行する。これにより、放散による紙繊維内から間隙空間への蒸気の除去を促す水分濃度勾配が生じる結果となる。第2に、透過係数は温度に依存するものであり、温度が高くなると、繊維壁を通る蒸気の透過性が高まる。その結果、熱板に対する加熱により、優勢な熱力学系に応じて紙繊維からの水分の急速な除去を促す条件が生まれる。逆に、段成形プロセスを出る際にこのような熱がない場合、この方法によって繊維が脱水された紙ウェブは、それほど急速にその水分を再吸収することはない。これは、段成形プロセスにおける加熱の際に水分は紙繊維内からすぐに除去することができるが、そのプロセスがひとたび終了するとそれほど急速に再吸収されることはないことを意味する。
【0029】
紙ウェブの間隙空間内に吸収された水は、流体膨張、すなわち、繊維網が膨張して間隙空間内の吸収された水分を収容することに伴う繊維の分離による膨出(繊維自体が膨出することに反して)から生じる膨張に寄与する。逆に、紙繊維自体に吸収された水は、湿度膨張、すなわち、個別の繊維が膨張して取り込まれた水を収容することに伴う個別の繊維の膨出から生じる膨張に寄与する。湿度膨張性は、紙繊維内への水の吸収又は紙繊維からの水の排除に基づいて所与の紙(又は紙繊維)が膨張又は収縮する可能性を指す。それは、(i)個別の繊維の特徴及び(ii)完成した紙ライナーの繊維密度に応じた特定の紙の内在的な材料特性である。これらの特徴は、紙が作製されるときの優勢な条件、及びその紙の組成による影響を受ける。これらには、優勢な相対湿度、温度、圧力、及び繊維の化学組成が含まれる。
【0030】
加えて、以下でより詳細に論じるように、所与の紙システムについての湿度膨張性の大きさは、連続的な加湿サイクルにより、少なくとも最初は、作製されたときの湿度膨張性、すなわち元の湿度膨張性から大きく減少することが示された。「加湿サイクル」とは、特定の紙層を構成する繊維への水の吸収及びそれに続く繊維からの水の排除を意味する。これは、湿度膨張による吸収及び脱離の連続的な層を紙層に施すことにより、続く湿度膨張による吸収/脱離サイクルに基づく将来の膨張及び収縮の大きさを効果的に減少させることができることを意味する。不確かではあるが、本発明者は、この観測された現象はヒステリシス効果によるものであり得ると考えている。具体的には、本発明者は、所与の紙層についての有効な湿度膨張性の減少は、紙層の含水率を10重量%よりも大きくなるように高め、隣接する層への接着前にそれを加熱する(例えば、蒸気ドラム又は熱板によって)ことによって実現できることを観測した。観測された減少は、(推定された)ヒステリシスによる連続的な加湿サイクルを通じて実現可能な減少と同様である。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、恐らく、薄膜の計量された水分の付加によって水がまず紙層に加えられるとき、繊維にはその水分を吸収して流体膨張及び湿度膨張の両方によって膨張するのに十分な時間があると考えられる。一方、そのように湿らせた紙層が隣接する層への接着前に蒸気ドラムへの巻き付けによって続けて加熱されるとき、供給された熱エネルギーは、第1の加湿サイクルを効果的に行っている繊維に吸収された水分の少なくとも一部を排出し得る。代替的に、余分な水分が供給されることにより、紙内において、一連の加湿サイクルが蒸気ドラムの上で局所的に行われて(すなわち、水分が蒸発して繊維から排出され、凝縮及び再吸収され、再び蒸発及び排出が起こる)幾つかの急速な加湿サイクルを実現する可能性がある。所与の紙についての湿度膨張性の減少の度合いは、供給されたときの紙の湿度膨張性と比して減少を最大の度合いまで制御できることが発見された。所与の紙層について、湿度膨張性の減少の最大の度合いは、紙自体の特性によって実質的に定まっていると考えられる。また、異なる(例えば、対向する)ライナーは異なる湿度膨張性減少最大値を有し得る。薄膜計量システムによって追加された水分の量及び例えば蒸気ドラムによって導入された熱の量を隣接する層への接着前に微調整することで、このような減少の度合いを各ライナーについての最大値まで、又はその最大値を含む値まで、望ましい場合には対向するライナーの最大値と一致するまで、調整することができる。
【0031】
流体膨張(紙ウェブの隙間の水から)と比して、湿度膨張の大きさ(紙繊維内の吸収に基づく)は、少なくとも加湿サイクルを通じて湿度膨張の可能性を低減する前は、吸収された水の所与の容積については、およそ2~3倍大きい。別の言い方をすると、紙ウェブの繊維内に吸収された水の所与の容積は、同じ容積の水がウェブの間隙空間のみに吸収された場合と比して、およそ2~3倍大きくなる傾向がある。実際には、これは、紙ウェブを加熱する前に加えられた水分の保護コーティングが、繊維結合した水分を蒸発及び排出に抗して均一に分離するのに不十分である場合には、結果として得られる段ボール製品は、紙繊維自体の中における過度の乾燥によって見違えるほど平坦となり得ることを意味する。これらの再膨張が遅延することにより、後反りを引き起こす傾向にある。すなわち、繊維内からの全ての水分が段成形プロセス時に排出されると、繊維内への水分の遅い(平衡に基づく)再取り込みにより、段成形プロセス時におけるいかなる水分調整も全体的に間隙空間内で起こるものとなる。ウェブの間隙空間のみに限定されると、まず6重量%~9重量%内の水分調整を行うと、理想的な含水率範囲内の平坦な板がもたらされるように思われる。しかしながら、ひとたび繊維が水分を再吸収して24時間~48時間後までに平衡状態に戻ると、再吸収が間隙空間に限定された場合と比してウェブは2~3倍偏向しやすくなる。より簡単に説明すると、‘802特許に記載のような段成形プロセス時に意図した6重量%~9重量%に総水分の調整を操作者が行ったとしても、大きな後反りが依然として起こり得る。
【0032】
さらに複雑にしているものは、ヒステリシスによるものと推定される、上記のような加湿サイクルの後に湿度膨張の度合いが変化する(例えば、減少する)という事実である。これについても、以下で更に論じる。しかし、特に、同じ材料からなる又は同じ材料からなっていない対向するライナー間での加湿サイクルの数が分からない又は制御されていない場合、この変動する(推定される)ヒステリシス効果により、対向するライナーの相対湿度膨張が予測不可能で制御されない状態となり、これが予測不可能な反りに寄与する。
【0033】
繊維による再吸収によって予期しない後反りが起こり得るのみならず、それが予期されていたとしても、それを補うための調整は難しいことが証明された。なぜなら、ウェブの正確な最終寸法は、1つのみならず幾つかの変動要因に依存するものであり、これらの変動要因は、正確に予測又はモデル化することが難しいものであり得るからである。これらの変動要因には、以下のものが含まれる。
a)生じ得る繊維内における水分の再吸収の度合い。これは、ウェブにわたって異なり得る。なぜなら、加熱前に加えられる従来の6重量%~9重量%水分の保護層における小さな局所的な変動に基づき、異なるエリアが良好に保護された状態となっているからであり、この狭い範囲は理想的な条件を表す。
b)結果として生じる(及びヒステリシスによるものであると推定される)可変湿度膨張性効果。これは、特に個別の紙層の湿度膨張性に対して更に変動性をもたらし得る。
c)製造者の局所環境に特有の大気条件。
とりわけ、繊維から水分を排出するように紙ウェブを段成形時に過度に乾燥させること(例えば、接着を容易にするために)により、ヒステリシスによって1%以上の幅方向の縮小がもたらされ得る。この縮小は、製造時に利用できる期間中に再加湿又は再加水によって修正できるものではない。紙繊維内における水分の回復は、紙が接着された後にコルゲータの下流で生じるものであり、寸法不安定性が生じ得る。この縮小は均一に起こる一方、所与のウェブについては有限である幅方向において最も顕著となる。加えて、季節的な変化により、紙供給者及びコルゲータの施設のそれぞれにおける大気条件が変化する。例えば、7月の段成形サイトにおける大気条件(例えば、温度、相対湿度等)は、2月の同じサイトにおける条件と異なる。これらの条件は、各紙層についての乾燥の度合いに影響を与えるものであり、したがって、最終段ボール製品に表れる反りの量に影響を与え得る。
【0034】
現時点で理解できることとして、湿度膨張(紙繊維への水分の吸収、又は紙繊維からの水分の抽出につながる)は、後反りに寄与する最も影響の大きい要因である。それは、他の機構を介した紙への水の輸送/紙からの水の輸送と比して膨張又は縮小の度合いが著しく大きくなる結果となるのみならず、同じ波形複合体内における異なるライナー間で予測可能性が最低となり得る。このため、コルゲートマシンに導入して所与の段ボール製品のライナーを形成する紙層の湿度膨張性が分かっている場合、それぞれのこのような層に個別に正しい量の余分な水分を正確に導入することで、それぞれが適切な量を吸収して繊維を過度な乾燥(大きな縮小を得る)から保護し、これらの繊維の状態を調整して(推定される段成形内ヒステリシスサイクルによって)、後反りを防止するためにそれぞれの湿度膨張性を調整/減少させることを確実にすることができる。これを効果的に行うためには、このような層のそれぞれに入って来る水の含水率、段成形サイトにおける優勢な条件、及び完成段ボール製品が貯蔵又は使用される下流の優勢な条件も知っておかなければならない。この情報を用いて、及び高度に分離され正確に計量された水の層を加える機構を段成形システムが有していることを条件として、膨張/収縮の度合い及び速度の双方が波形複合体のライナー間で一致するように、加えられる水分を調整してこれら全ての要因を計算に入れることができる。対向する(又は全ての)ライナーの双方についての膨張の速度及び度合いが一致する場合、それらが膨張/収縮した場合に反りが最小限となる、又は反りが生じない。
【0035】
実際には、これは言うことは容易であるが実際に行うことは難しいものであり得る。なぜなら、上記のように、湿度膨張性は、ライナーごとの膨張特性に対して、又は条件によっては同じライナーであっても異なる時点において、大きな効果及び場合によっては予測不可能な効果があるからである。理解されるように、対向するライナー間の高度に変動しやすい変動要因が一致するようにこれらを互いに調整することは、これらが経験的に測定できるものであったとしても、難しいものであり得る。しかしながら、上でも述べたように、おそらくヒステリシスにより、連続的な加湿サイクルを通じて所与の紙層についての湿度膨張性の大きさが減少する傾向があることがデータで示された。このため、波形複合体の対向するライナーの湿度膨張性を知ることに加えて、コルゲータ内でライナーを隣接する層(例えば、中芯)に接着する前に、例えばヒステリシスの加湿サイクルによって、それらの大きさを減少させることも望ましい。対向するライナーの湿度膨張性を減少させること、及びそれらを中芯に接着する前にそれらのそれぞれの含水率を調整することの両方によって、ライナー間の膨張挙動を一致させるのみならず、大きさを減少させることができる。前者は後反りを減少させる又はなくすことを助ける一方、後者は、一致しない縮小による後反りの偏向が小さくなることから、ライナー間の不完全な水分調整が後反りの発生に最小限寄与し得ることを確実にする。
【0036】
上で説明したような湿度膨張性の減少に加えて、又はこれに併せて、十分に保護性のある液体水の犠牲層を従来から考えられていたものよりも相当に余分に各ライナーの接着面に加えることも好ましい。この余分な水分層は、紙繊維内の結合した水分を少なくとも部分的に分離し、段成形プロセス時に加熱によって過度に乾燥することを防止することができる。これは、紙ウェブ、及び特にライナー内の繊維結合した水分を確実に保存することによって段ボール構造体の後反りを抑制する一助とすることができる。
【0037】
一方で犠牲層をもたらし(繊維を過度の乾燥から保護する)、他方で適切な水分の量に調整して湿度膨張性を所望の度合いに調整する(減少させる)ように水分層の付加のバランスを取ることは、反復プロセスとすることができる。これらの効果に加えて、加えられた水分がどのように紙ウェブの内部応力に影響するのかについても考慮すべきである。供給されたときの紙ウェブは、通常、条件に基づく形成時の内部応力と結果として得られる形成時の繊維構成とを有する。これらの応力により、紙ウェブ内に内部機械力が加わる結果となり、これは、同質でなく、更に後反りを促す付加的な寸法不安定性に寄与し得る。正確な余分な犠牲水分層を加えることは、湿らせた紙が抑制作用下で乾燥してウェブの応力を緩和できるように十分な水分が加えられると、これらの内部応力を減少させる一助とすることもできる。
【0038】
具体的には、紙ウェブが抑制作用下で乾燥すると紙ウェブ内の内部応力を減少させる又はなくすことができることが知られている。本明細書に開示のように相当に余分な水分を加えることによって、このような応力を減少させることができ、これらのウェブにおける紙繊維の応力の緩和を通じてライナーの(及び完成段ボール製品の)全体的な引張強度を増加させることができる。既に論じたように、紙は、湿らせることによって膨出し、そして乾燥することによって収縮し、これは、紙繊維に対して幾分の応力の緩和を内在的にもたらす。また、十分に湿らせた紙ウェブを抑制作用下で(すなわち、伸張下で)乾燥させると、紙繊維を縮小する収縮力が、流れ方向に紙を引き出す引張力に対して作用し、これにより、ウェブ内において相当な量の応力の緩和がもたらされる。例えば、湿らせた紙ウェブは、その坪量に応じて、8kg/メートル~180kg/メートルの範囲の伸張力下で乾燥される。文献において「抑制作用下での乾燥(drying under restraint)」として知られるこの現象は、典型的には、紙の作製において研究されてきたものであり、段成形プロセスにおける紙ウェブの引き出しにおいては研究されてこなかった。しかしながら、本発明者は、ここでも同じ原則が適用されると考える。このため、送達される熱(例えば、ウェブが中芯に接着している箇所の上流にあるプレヒータからの)によって段成形プロセスにおける伸張下で乾燥する、相当に湿らせた紙ウェブ(ウェブ18、19等)は、全体的なウェブ伸張に対して同等となるとともに応力の緩和をもたらす内部収縮力と、流れ方向における引張強度の増大を示す。このプロセスを用いると、入って来るウェブ18、19と比して2.5%~10%の範囲での流れ方向の引張強度の増加が期待される。とりわけ、抑制作用下での乾燥によるこのような引張強度の増加は、既存のプロセスでウェブを調整するときに得られる従来の比較的低い含水率(例えば、段成形プロセスにおけるプレヒータ前の6重量%~9重量%)では観測されない。この現象は、本明細書において開示される、10重量%よりも大きく30重量%まで、好ましくは11重量%~15重量%の範囲内で含水率を調整した場合にのみ観測される。
【0039】
段成形のために犠牲水層を紙ウェブに加えることは知られているが、乾燥の応力が緩和されることのない程度の少量の水が加えられる。また、上記のように、従来のプロセスは、ライナーを過度に乾燥させる傾向がある。合わせて、これらの要因が組み合わさって内部応力を各ライナー内で保持し、これは、ライナーの湿度膨張によって結果として生じる後反りを悪化させるライナー内の寸法不安定性に寄与する。言い換えると、各ライナー内の湿度膨張性及び内部応力の双方を減少させることが望ましい。これら双方は、以下で説明するように、犠牲層内において各ライナーの接着面に加えられる本質的に余分な水分を使用して実現することができる。
【0040】
均一な計量された水分の薄膜を接着面に加えることによってライナーの含水率を従来の許容レベルを超えるレベル(例えば、以下で説明するように、10重量%よりも高く、好ましくは、10重量%よりも大きく30重量%まで)に高めることは、ライナー及び段ボール製品の寸法安定性を改善する一助となることが分かった。開示のシステム及びプロセスはこのような層を加え、これは、繊維結合した水分を分離及び保護する(過度の乾燥及びその結果として生じる湿度膨張による後反りを防止する)、湿度膨張挙動の大きさを減少させる(加熱中における繊維自体内の推定的なヒステリシスサイクルによる)、及び段成形プロセスから出たときに従来の6重量%~9重量%となるように熱板又は加熱ドラム上において抑制作用下で(すなわち、伸張下で)紙ウェブを乾燥させることによって紙ウェブの応力を緩和するのに効果的である。
【0041】
言い換えると、ライナー内の含水率を上昇させ、抑制作用下で乾燥させることにより、繊維結合した水分を保護しながらライナー内の湿度膨張性の大きさを減少させるとともに、紙内の内部応力が緩和され、これら全てがより寸法的に安定した段ボール製品に寄与することになる。ライナーの乾燥のほとんどは、ライナーを中芯と組み合わせる前、例えば、加熱された面上にライナーが伸張下で置かれているときに起こる。例えば、ライナーは、プレヒータ、シングルフェーサの加圧ロール、又はシングルフェーサのベルトの加熱された面の上を通過するときに伸張下で乾燥される。しかし、ライナーの接着面は、澱粉をライナー内に受け入れるために湿ったままとなる。
【0042】
各ライナーの寸法安定性が開示のシステム及びプロセスによって改善されることから、最終的な段ボール製品の特性も改善される。従来のシステムは、不可逆的なクリープ歪みにつながるライナーの非同時性の湿度膨張が生じる結果となり、これにより段ボール製品が不出来なものとなる。ライナーの湿度膨張を低減することにより、段ボール製品の特性が向上し、より安定して長持ちする段ボール製品が結果として得られる。
【0043】
ここで、一例示のコルゲータ構成について簡単に説明する。段成形装置1000のブロック図が
図1に概略的に示されている。例示の実施形態において、段成形装置は、調湿装置100(
図2)と、ウェブ加熱設備200と、シングルフェーサ300と、グルーマシン400と、ダブルバッカ500とを有する。これらの構成部品は、流れ方向に対して上記の順で配置され、中芯材10のウェブがマシン経路に沿って段成形装置1000を通り、ダブルバッカ500を出る完成段ボール製品40を製造する。明らかになるように、中芯材10は、対向する第1の面シートウェブ18及び第2の面シートウェブ19を接着して完成段ボールシート40を製造する波形ウェブとなる。ここで
図1に関して説明及び例示されるコルゲータ構成は、上で引用により組み込まれた米国特許第8,398,802号において詳細に説明されているものと実質的に同じである。同様及び代替的な特徴部を有するとともに‘802特許に記載されている同じ構成を本明細書に開示の方法において利用することができる。具体的には、‘802特許に記載されている調湿装置(紙ウェブを6重量%~9重量%の総水分に調整するために使用される)と同じ調湿装置100(薄膜計量装置130を含む)を使用して、本明細書において説明するように、相当に余分な水分を中芯及びライナー(並びに望ましい場合にはウェブ)の接着面に加えるために使用することができる。調湿装置100は、‘802特許に記載されている方法で操作及び調整することができ、適切に計量された水の薄膜を加えて本明細書において求められる紙ウェブ内における所望の10重量%よりも大きく30重量%までの水分を実現することで、本明細書に開示の驚くべき効果の組み合わせを実現し、非常に改善された寸法安定性をもたらす。
【0044】
図1の第1の面シートウェブ18は、コルゲータを出るときの完成段ボール製品40に第1のライナーを供給する。第1の面シートウェブ18を中芯材10に従来のプロセスで(例えば、‘802特許に開示のプロセスで)加える前に、第1の面シートウェブ18は、上で説明した効果の組み合わせを実現するためにその含水率が調整される。上で説明した効果は、繊維結合した水を保護して過度の乾燥を防止すること、湿度膨張性の大きさを減少させること、及び面シートウェブ18の応力を緩和することであり、これら全ては、必要な余分水分層がひとたび加えられてから熱板又は加熱ローラーに対して抑制作用下で(例えば、伸張下で)乾燥させることによって実現することができる。
【0045】
水分調整は、実質的に連続的な水の薄膜を第1の面シート18に加え、全体的な含水率を調整し、本明細書に開示されているような所望の範囲内に相当に余分な水分をもたらすことによって実現することができる。水層は、シングルフェーサ300においてウェブ18を接着するために糊が加えられた中芯材10のウェブの段にウェブ18を接触させる前に、熱源まで下がる(すなわち、直接接触する)ウェブ18の側に加えることができる。
【0046】
結果として得られる片面ウェブ20(第1の面シート18に接着された中芯材10のウェブからなり、好ましくは双方がここまでに水分調整されている)は、シングルフェーサ300から出て、グルーマシン400に入り、ここで、ダブルバッカ500内で第2の面シートウェブ19を加えるとともに接着できるように残りの露出した段頂部に糊が加えられる。
【0047】
露出した段頂部に糊が加えられた片面ウェブ20は、ダブルバッカ500に入り、ここで第2の面シートウェブ19を露出した段頂部に加えるとともに接着し、結果として得られる両面段ボール組立体が合わせて加圧される。
【0048】
ダブルバッカ500に入る前に、第2のライナーを完成段ボール製品40に供給する第2の面シートウェブ19は、上で説明した第1の面シートウェブ18と同様に調整され、計量された水の薄膜を加え、本明細書に開示されているような範囲内の相当に余分な含水率を実現する。好ましくは、この水分の層は、糊によって中芯材10のウェブの露出した段頂部に接着される第2の面シートウェブ19の接着面に加えられる。
【0049】
複合段ボール製品の少なくともライナー(すなわち、第1の面シートウェブ18及び第2の面シートウェブ19)を形成するウェブの接着面に薄膜の計量された水の層の形態の余分な水分を加えることにより、上で詳細に説明した幾つかの仕組みによって後反り抑制の向上がもたらされると考えられる。すなわち、余分な水分の犠牲層は、繊維結合した水分をライナーウェブ(すなわち、面シートウェブ18及び19)の予熱から少なくとも部分的に分離してライナーウェブを接着の準備ができた状態とし、これにより、段成形プロセスの全体にわたって内在的な含水率の大部分を確保する。また、余分な水分の犠牲層は、複数の(信じられている)加湿サイクルに耐えるのに十分な水を供給することにより、ライナー内の湿度膨張性を減少させるのに有効となり得る余分な水分を加える。そして最後に、余分な水分は、面シートウェブ18及び19が伸張下で、例えば、‘802特許に記載されている加圧ローラー又は熱板に対して乾燥され、抑制作用下で乾燥されることでこれらのウェブの応力が緩和されるのに十分なものとなる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、前述のウェブの含水率は、例えば、以下で説明する中央サイト620によって供給される調湿パラメータを利用することによって、10重量%よりも大きくなるように、好ましくは10重量%よりも大きく30重量%までとなるように、より好ましくは、10重量%よりも大きく20重量%までとなるように、最も好ましくは11重量%~15重量%、又は12重量%~15重量%、又は12重量%~14重量%となるように調整される。中芯層の対向する側に接着するライナー(例えば、面シートウェブ18及び19)が本明細書において開示されているように調整されることが最も重要である。ライナーとは異なり、中芯材のウェブは波形であり、得られる波形部は偏向の蓄積部として機能することができる。このため、中芯における段成形後の偏向は起こりにくくなる。なぜなら、これらは正弦状の波形部によって大部分が占められるからである。また、対向するライナーは、逆方向から中芯を拘束するようにも作用し、中芯層内の後反りの影響も最小化する。しかし、望ましい場合、中芯をここで説明したライナーと同様に調整することができる。
【0051】
それぞれのウェブ18及び19に望ましい水の薄膜を加えるために、好ましくは、水分付加ローラー120がライナー調整装置100の一部として使用される。とりわけ、このライナー調整装置100は、
図2に示されているとともに‘802特許に記載されている、低い含水率を実現しながらも対応する水の層を加えるための調湿装置100と実質的に同じである。ライナー調整装置100に入る際に、ライナー18、19は、任意選択で、まず前伸張機構110を通り、そして、中芯調整装置100を出る前に所望の範囲内において含水率を調整するように水分がライナー18、19に加えられる水分付加ローラー120を通過するように給送することができる。さらに、他の例において、ライナー18、19は、水分付加ローラー120を直接通過するように給送することができる。水分は、第1の薄膜計量装置130を使用して水分付加ローラー120の周面に加えられる。この装置130は、
図2において調湿装置100内に概略的に示されており、非常に正確に計量された液体の薄膜又は層を貯留部からローラー120の表面にコーティングするのに有用である。ここで望まれる含水率を実現するために、好ましくは、付加ローラー120は、その表面上に、5μよりも大きく100μまで、より好ましくは10μよりも大きく50μまでの液体水膜厚さを担持するように計量される。理想的には、装置100の水分付加ローラー120は、これに抗して搬送されるウェブ(18又は19)の面直線速度の90%未満であって、このようなウェブの移動の逆方向の任意の速度を含む面直線速度で動作する。また、そのローラー120に対する紙ウェブの滞在距離(dwell distance)(すなわち、ウェブの部位が水分付加ローラー120に接触する直線経路長さ)は、450メートル/分以下の直線速度に対して、15mmよりも大きく100mmまで、好ましくは50mmよりも大きく80mmよりも小さいことが好ましい。これらの滞在距離範囲は、以下の関係により、450メートル/分を超える直線速度に対しては比例して調整することができる。
(新しい範囲)/(上記の範囲)=(最終直線速度m/分)/(450m/分)
【0052】
水分付加ローラー120に対して進行するウェブの全巻き角及びしたがって滞在距離を調整するための機構及びローラー構成は、従来技術において知られている(例えば、‘802特許に記載されている)。付加ローラー接触の尺度としては滞在時間よりも滞在距離が好ましい。これは、従来の付加ローラーの直径及び従来の段成形プロセスの直線速度(例えば、上記のような450m/分)を条件とすると、滞在時間は、加えられる水分の総量に対して大きな影響を及ぼし得る、進行するウェブと水分付加ローラー120との間の接触の範囲について、大きく異ならない、又は恐らく測定可能な範囲では異ならないからである。一方、付加ローラー120の周方向の接触面積に基づく滞在距離は、より容易に観測、測定、及び制御することができるとともに、所与の段成形プロセスにおける所与の進行するウェブに対して加えられる重量パーセントでの含水率と容易に関連付けられる。
【0053】
相当に余分な水分を進行するウェブに加熱前に加えて接着を容易にすること(例えば、10重量%よりも大きく30重量%までの水分を面シートウェブ18又は19のいずれかに)により、そのウェブの接着面に加えられる薄膜の計量された層として、上記のように大きな利点を提供することができる。第1に、このような水分の層を接着面に予熱前に加えることにより、表面水分の実質的な薄膜は、予熱ローラー又は熱板に接触するとすぐに蒸発する犠牲水分層として作用し、これにより、結果として得られる蒸発した蒸気が紙ウェブを通って上昇し、ここですぐに蒸気(水滴)に再凝縮し、その融合時の熱をウェブに送達する。この方法により、ウェブの外(接着)面のみに最初に加えられる熱エネルギーは、より分散した状態かつより均等な状態で紙ウェブ自体に加えられるとともに吸収され、これにより、ウェブの厚さを通じて温度勾配が減少する。この蒸発及び再凝縮の仕組みはまた、上で説明したように、各ライナーの温度膨張性の減少に効果的に寄与する加湿サイクルをもたらし得る。また、熱エネルギーの大部分は、繊維結合した水分を通過して影響を与えるために追加の熱が利用可能となる前に蒸発の熱を供給するための表面にある犠牲水分層に吸収されなければならないことから、繊維結合した水分は、繊維から完全に蒸発して排出されないように大部分が保護される。また、前述の相当に余分な水分は、熱エネルギーが突破して繊維結合した水分を蒸発させるとともに排出しにくくし、その水分を確保する。
【0054】
犠牲層によって導入された一部の余分な隙間の水分は完成段ボール製品が製造された後に乾燥し得るが、上記のように、結果として得られる流体膨張(収縮)は、全ての繊維結合した水分が排出されて再吸収される場合に生じ得る湿度膨張と比してごく少量となる。隙間の水分の喪失に基づく、及び対向するライナーの減少及び一致した湿度膨張性の両方に基づく、結果として得られる小さい大きさの収縮は、より以下の状態となりやすい。a)対向するライナー(ウェブ18及び19)が余分な犠牲水分層で同様にコーティングされた場合には、均一となりやすい、つまり、対向するライナーが互いにバランスを取るために総後反りがゼロとなることを意味する。b)許容できない後反りとならないように十分に小さくなりやすい。
【0055】
本明細書において開示されている好ましい余分範囲に含水率を調整することによる別の恩恵は、ウェブ輪郭測定センサー、機器、又はフィードバック制御なしにウェブの幅方向の含水率の均一化を自動的に行うことができる点にある。上記の恩恵に加えて、5μよりも大きく100μまでの水膜厚さを有する水分付加ローラー120によって余分な水分を好ましい範囲、例えば、10重量%よりも大きく30重量%までの範囲でウェブ18及び19に加えることは、ウィッキングによるウェブの細孔構造を通じた液体及び蒸発した水分の浸透の改善、及び関連付けられた隙間における吸収を容易にする付加水分の余剰をもたらす。このようなウィッキングは、より乾燥したウェブの幅方向の帯において大きくなる傾向があり、既に十分に湿らせた又は飽和したこのような帯においては最小となる傾向がある。結果として、紙は、その全幅方向の隙間の区域が吸収された水分によって十分に湿らされるまで本質的にその幅方向の含水率を自己均衡する傾向にあり、これにより、本質的に任意の他の幅方向の反り効果を減少及び場合によってはなくすことになる。ここで説明した範囲に余分な水分を加えることにより、これが確実に起こるのに十分な総水分を供給する。
【0056】
したがって、余分に追加された水分の適切なバランスは、既に説明したように紙ウェブの内在的な水分(すなわち、繊維結合した水分)を保護して紙の応力を緩和する、波形複合体の対向するライナーの湿度膨張性を最小化して互いに調整する(また更に後反りを減少させる)、及び製造において又は別様に水分付加ローラー120自体によって導入され得るクロスウェブ方向における局所的な水分勾配を最小化する、協働効果を提示する。逆に、余分な水分が多すぎると(例えば、水分付加後に付加ローラー120上の水膜層が100μ以下である、又はウェブ18、19内にある水分が30重量%よりも大きいという前述のパラメータより高い)、水分層が加えられた接着面に隣接したウェブ細孔構造における引き込みが生じ得る。これにより、上で説明したような浸透及び均一なウィッキングが阻害され得て、これにより、幅方向の紙ウェブの自動自己均一化調整並びに繊維結合した水分の確保の両方に悪影響を及ぼし得る。
【0057】
ここで説明した方法を用いた紙ウェブの幅方向の自動均一化は、線形段成形動作において特に重要なものとなり得る。従来の段成形とは異なり、線形段成形において、中芯は、流れ方向に対して平行に延びる段を有し、これにより、段は、対向するライナーウェブ(18、19)に対し、これらのウェブの長さに対して平行かつこれに沿って延びる糊線に沿って糊付けされる。紙ウェブが通常製造される方法に起因して、収縮の可能性(水分の喪失による)は、幅方向の方が流れ方向よりも3倍高い。これは、主に流れ方向に延びる繊維の方向付けによるもの、及び乾燥させながら流れ方向において抑制作用下で(すなわち、伸張下で)ウェブを維持する方が容易であるという事実によるものである(例えば、速度比を徐々に増加させることによってより乾燥した連続するセクション間の伸張差を大きくすることによる)。
【0058】
このため、進行する紙ウェブ(例えば、ウェブ(複数の場合もある)18、19のうちの一方又は両方)の幅方向における可変の水分帯は、幅方向の反り(縮小)の観点において特に問題となり得る。例えば、他の帯と比して、又は中芯材10のウェブの両側の対向するライナー18又は19に対して、過度に乾燥した、又は異なる速度で若しくは異なる大きさに縮小する帯がある場合、予測不可能かつ制御不可能な幅方向の反りが起こり得る。
【0059】
段が幅方向に延在する従来の段ボール製品において、これらの段は、別様とした場合には可変の幅方向の水分分布によって生じ得る縮小に対して大きく抗する又は反作用する幅方向の強度に寄与する。しかし、線形段成形において、段は流れ方向に沿って、及び完成段ボール製品の長さに沿って延在する。これらの流れ方向の段は、段ボール製品の長さに沿ったそれらの強度に寄与するとともに、幅方向の縮小に対する抵抗がほとんどない。結果として、線形段ボール製品は、同一条件で作成される従来の段ボール製品と比して、幅方向の縮小の可能性が非常に大きくなる。
【0060】
本開示の自動均一化技術は、少なくともライナー材18及び19のウェブに適用されると、均一に湿らせるとともに制御不可能な幅方向における内在的な(結合した)水分の喪失に対して均一に保護されることを確実にすることにより、幅方向の縮小を最小化する、又は効果的になくす。したがって、対向するライナーとして、可変の幅方向の水分帯を有するウェブが線形段成形装置、例えば、米国特許第8,771,579号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に開示のものに供給されたとしても、本明細書に開示のように調整することにより、幅方向の反り又は縮小がほとんど生じない、又は全く生じない状態を実現することができる。
【0061】
重要なことに、前述の幅方向の自動均一化効果は、十分な水分が加えられてそれを可能にする場合であり、余分な水分が多すぎない限りにおいて(すなわち、用途に応じて、10重量%よりも大きく30重量%まで)、説明したようなシステムの動作に内在するものである。これは、ここで説明するように動作するコルゲーションシステムは、ウェブ内における幅方向の含水率を測定して調整するように設計されたウェブプロファイリング装置を排除することができることを意味する。言い換えると、進行するウェブの分散した幅方向の箇所に水分検知センサーを組み込んでフィードバック制御を提供する必要はない。水分を分散してウェブ内における比較的低水分帯に加える必要も同等にない。ここで説明するように動作した場合、調湿装置100は、十分に余分な水を供給して進行する紙ウェブ内の含水率を10重量%~30重量%(より好ましくは、11重量%~15重量%)の範囲内となるように調整するために使用することができ、これにより、ライナー(ウェブ18、19)のそれぞれの接着面上に堅牢な犠牲水分層をもたらし、湿度膨張性を介した後反り制御を実現する。
【0062】
より乾燥した水分帯において余分な堆積した水分を選択的に吸収して自動均一化を実現することは、速いウィッキング及びより乾燥した紙の吸収率により、非常に自動的なものである。しかし、ウェブ伸張も役割を果たし、効果を向上させるために限られた調整が行われる。具体的には、ウェブがローラーを横断するにつれて水分付加ローラー120に対するウェブの伸張が大きくなると、紙ウェブへの水分の移送が大きくなる。所与のウェブにおいて、比較的乾燥した幅方向のウェブ帯は、紙の平均繊維長さよりも紙繊維が短くなる。これは、より乾燥した繊維は典型的に収縮する、又は少なくともより湿った繊維と比して膨出していない状態となるからである。逆に、比較的湿ったウェブ帯は、逆の理由で、ウェブ内の平均繊維長さよりも紙繊維が長くなる。理解されるように、繊維長さが短いと、概して乾燥したウェブ帯において伸張が高度に局所的となり、繊維長さが長いと、概して湿ったウェブ帯において伸張が低度に局所的となる。全体的な結果としては、所与の平均ウェブ伸張(例えば、坪量に応じて、8kg/メートル~180kg/メートルの伸張)において水分付加ローラー120を横断する所与のウェブについては、乾燥した帯が平均よりも高い公称伸張(例えば、12kg/メートル~270kg/メートルの伸張)を有する傾向があり、これにより、付加ローラー120に対して若干より強く伸張することとなる。一方、より湿った帯は、より低い公称伸張(例えば、5.3kg/メートル~120kg/メートルの伸張)を有する傾向があり、これにより、ローラー120に対して若干弱く伸張することとなる。この可変伸張効果は、水分が付加ローラー120上の水膜からより強く高水分帯よりも低水分帯により強く動かされ、したがって、相当に余分な水分をウェブに加えたときの自動均一化効果が高まる。
【0063】
この効果を高めるために、調湿装置100の付加ローラー120と進行するウェブ18、19との間のロール速度比は、ローラー120に対するウェブ伸張を規制する及び高めるために調整することができる。本明細書において使用される場合、このロール速度比は、付加ローラー120の周面の面直線速度と、その面の上(一部)に対して伸張して進行するウェブ18、19の直線速度との比として定義される。したがって、100%のロール速度比は、ローラーの周面の面直線速度がウェブ18、19に対してこれらと同じ方向及び同じ速度で進行することを意味し、それらの間が効果的にゼロとなっていることを意味する。従来の最も多い紙坪量(典型的に45GSM~500GSM)については、本明細書に開示の好ましい水膜厚さ及び滞在距離範囲と合わせて、100%から少なくとも5%ずれたロール速度比(超過速度又は不足速度)、より好ましくは100%から少なくとも10%ずれたロール速度比(超過速度又は不足速度)であってウェブ18、19が進行する方向と同じ方向に付加ローラー120を動作させることが望ましい。理解されるように、後者は、ローラー120が超過速度又は不足速度でそれぞれ動作しているかに応じて、ロール速度比が110%よりも大きい、又は90%よりも小さいことを意味する。理想的には、ロール速度比は、付加ローラー120における局所的なウェブ伸張を段成形プロセスにおける基準ウェブ伸張の15%~30%だけ高めるために、これらの範囲と整合して調整され、後者は、典型的にウェブの最終的な引張強度の10%~25%に維持される。例えば、段成形プロセスにおける基準ウェブ伸張が8kg/メートル~180kg/メートルである場合、付加ローラー120における局所的なウェブ伸張は、9.2kg/メートル~234kg/メートルとなり得る。重要なことに、ロール速度比も、コルゲータ入力データに含むことができるデータ点であり、以下で説明する湿度膨張性属性値に対して相互分類され、このような値を予測的にモデル化するために使用される。
【0064】
水分付加及び浸透により自動均一化を実現する観点からは、動作が超過速度であるか不足速度であるかは重大であるとは考えられていない。したがって、この選択は、コルゲーションシステム全体の上流又は下流の動作に関連する外在的な要因に基づき得るものであり、超過速度動作によって上流のウェブ伸張が増加し、不足速度動作によって下流のウェブ伸張が増加するものと認識される。付加ローラー120の逆方向の動作(すなわち、ロール速度比がマイナスとなる)は、中程度から重い坪量の紙ウェブ、例えば125~325グラム/平方メートル(GSM)以上のものを除いては、概して望ましくない。いずれにしても、70GSMを下回るウェブ坪量については逆方向の動作を避けるべきであると考えられる。
【0065】
重要なことに、ここで説明する高められた寸法安定性及び自己均一化効果は、典型的に好ましい接着面を有するライナーウェブ(すなわち、ウェブ18、19)のそれぞれの表面のみに上記の余分な水分を付加することによって実現されると考えられている。しかし、マシンのレイアウトを考慮して必要な場合には、非接着面に単一の層を加えることによって満足な結果を得ることができる。ライナーウェブ18及び19のそれぞれの両側に水分層を加えることができるが、ここで説明するような水分の付加を接着(又は対向する)面のみに行うことは、流れ方向及び幅方向の両方の後反りを減少させることの記載の2つの恩恵を実現し、これにより、2つの側への付加は不要となり、好ましくないと考えられている。
【0066】
均一な水の薄膜をウェブに加えることによってウェブ内の可変の水分帯を効果的に補えることは特に直感的ではなかった。幅方向のウェブ含水率を局所的に測定及び計量する従来の方法とは対照的に、本発明者は、局所的な測定又は計量なしに、厚さが一定であって均一な余分な水膜をライナーウェブ18、19に加え、自然のプロセスに頼ってウェブ内の幅方向の含水率を平均化する。幅方向の局所的な水分勾配が、従来のように局所的であって量が調整された水分を加えることではなく、ウェブの全幅にわたって厚さが一定の余分な水分層を加えることでなくすことができたことは、驚くべきことであって予期されていなかった。このプロセスを閉ループフィードバック制御なしに実行してウェブ幅にわたる分散した横方向の箇所での水分付加を正確に調整することは、従来のシステムに対する実質的な利点である。なぜなら、局所的な幅方向の水分付加器及び関連付けられたセンサーベースのフィードバック制御ループを組み込むのに必要な大きな投資と運用コストを節減するものであるからである。要するに、幅方向の水分を本質的かつ確実に自動自己均一化されるように自動的に、センサー又は他のフィードバック制御なしにこのプロセスを実行できることは、驚くべき結果であった。
【0067】
また、本明細書に開示の方法は、段ボール製品におけるライナーを製造するための面シートウェブ18及び19に水分を加えるための従来の通念及び業界水準に反して実行される。‘802特許に開示されているように、従来は、これらのウェブを予熱して中芯材のウェブへの澱粉接着を容易にする前にこれらのウェブの含水率を6重量%~9重量%の範囲内となるように調整するものである。追加の水分を加えることは、加熱による脱水から紙を保護するには不要であると考えられた。実際、追加の水分を加えることは、このような余分なものが水及びエネルギーを無駄にし、コストを加えるものになることから、望ましいものではなかった。このような理由から、‘802特許において、ウェブの水分調整は、6重量%~9重量%の範囲内となるように正確に制御される。しかし、本発明者は、追加の余分な水分を加えることによって前述の幅方向の自動均一化効果をもたらすことができ、不良のライナーウェブ供給源ストック(段成形プロセスでの使用に適していないもの)を段ボール製品の作製に適した許容可能に平坦な供給源ストックに本質的に変えるものであることを発見した。同時に、それは、以前には理解されていなかった、又は知られていなかった方法で、波形複合体を構成する対向するライナーの湿度膨張性を調節及び調整して後反りの効果を最小限にするために使用することができるとともに、応力の緩和を紙に導入するために使用することができる。実際、従来加えられていた水分の1.5倍~4倍の水分を、紙ウェブをレベル調整するために、及び内部の可変の水分帯の存在を最小化又はなくすために使用することができ、これにより、従来技術において知られている幅方向の反りを示す完成品の傾向を大幅に減少させる、あるいはなくすとともに、湿度膨張及び応力の効果による縮小に基づく後反りを最小化する。
【0068】
上で説明した寸法安定性及び自動自己均一化の特徴が改善されることに加え、予熱前に面シートウェブ18、19に開示の余分な水分を加えることで、中芯材の中間ウェブにこれらのウェブを結合させるために使用される澱粉の量の減少も可能になり得る。例えば、面シートウェブ18、19(ライナー)内の含水量を‘802特許に開示の6重量%~9重量%の範囲に調整することにより、典型的なC段の中芯及び35#までの紙ストックを全ての3つのウェブ(2つのライナー18、19及び1つの中芯)に使用する場合に、3.5g/m2~6g/m2の澱粉系接着剤付加比率(乾燥時を元にしており、標準的なもののように付随的な水分を除く)に基づき、完成段ボール製品に観測されるような約1.7milの対向するライナーウェブの浸透深さを概して実現する。この付加比率は、完成段ボール製品をもたらすために接着剤として加えられる澱粉の総量を指し、中芯の両側の段への接着剤付加を考慮に入れる。しかし、ここで開示されるように相当に余分な水分を加えると、同じ条件下での各ウェブ18、19の接着面からの澱粉の浸透が25%~35%深い、例えば、約2.1mil~約2.3milまでの浸透を実現することができる。この澱粉深さ浸透の実質的な改善は、ウェブ18、19にひとたび加えられたときの接着剤組成物の低い全体粘度(及びこれに伴うウェブの細孔構造を通じた流れの増加)、及び面下層での澱粉のゼラチン化(すなわち、膨張)の改善によるものと考えられる。そして、これらの効果の両方は、澱粉系接着剤組成物が加えられる接着面から始まって利用可能な相当に余分な水分によるものと考えられる。すなわち、下面紙マトリクス内の自由隙間の水の大きな増加は、増加した(低粘度の)流れによる澱粉細粒のより深い浸透を促すとともに、利用可能な水分を吸収すると2倍の大きさに増大し得る澱粉細粒のより大きなゼラチン化を容易にする。
【0069】
代替的に、開示のプロセスを用いると、従来のプロセスと同等の浸透深さ(例えば、約1.7mil)を実現することができるが、固体ベースでは澱粉が30%少ない。例えば、再びC段について、完成段ボール製品の対向するライナーウェブの両方において約1.7milの浸透を実現するためには、上記と同様に測定された2.1g/m2~4g/m2の澱粉(乾燥時を元にしており、標準的なもののように付随的な水分を除く)のみを加えるだけでよい。
【0070】
同様の澱粉付加比率の約30%の減少は、従来の澱粉付加比率と比して他の段サイズについて同様の約1.7milの澱粉浸透を実現することができる。以下の表2は、様々な従来の段サイズについての典型的なフィート毎の段の数を示しており、C段と比した段/フィートの割合を提供している。なお、これらの値は標準ではなく、中芯における異なるピッチで異なるサイズの段を利用できることに留意されたい。しかし、表2は、様々な従来の段の典型的なピッチについての大凡の糊付加比率を例示している。開示の典型的なピッチによれば、C段はフィート毎に約38個の段を有し、E段は約90個の段を有する。
【0071】
【0072】
90/38.2の比は2.356であり、これは、一目で、表2に係るC段についてはE段の約2.4倍の糊があるべきであることを意味している。実際、段が小さくなると、糊線の数を見ることができ、推定的に、全体の糊付加比率が増加する。しかし、
図4が示すように、段が互いに近くなるにつれて糊線幅も小さくなる。加えて、段高さが小さくなると、糊線厚さが小さくなる。これら2つの要因は、糊線の数(表2に示されている)を増加させることによって予測され得る余分な糊の量と相殺する傾向にあり、これにより、C段に対する段の数の比率と比して糊の消費の現実の違いが減少する。例えば、表2及び
図4における段の間隔及び糊線幅を条件とすると、E段についての糊付加比率はC段のおよそ1.21倍である。他の典型的な比較率は、
図4におけるC段と比較して他の段についても与えられる。
【0073】
本明細書において開示されているように実質的に余分な水分をライナーウェブ18、19に加えることにより、他の段サイズについて対応する糊付加比率を約30%減少させることができるとともに、接着面からおよそ1.7milの工業的に望ましい澱粉浸透(固体ベース)を依然として実現することができる。なお、他のサイズの段のC段と同じ30%の減少を実現するためには、他の段サイズのウェブについての紙坪量が同じでなければならないことから、実際には幾分の可変性があり得る。これは稀なケースであり、異なる重量の紙を非C段のウェブに使用することは、関連付けられたウェブにおける同等の浸透深さを実現するのに必要な澱粉の比例的な減少に影響を与える。しかし、開示のプロセスを使用すると、段ボール製品を作製するための段頂部に対する著しい澱粉付加比率(固体ベース)の減少は、所与の例において浸透深さの喪失が殆どない、又は全くない状態となり得るという基本的な原則は残る。A~Gの異なる段サイズに使用される典型的な紙坪量について、本明細書において開示されているように相当に余分な水分をライナーウェブ18、19に加えると、約25%~35%の澱粉付加比率の減少は、従来のプロセスを使用した場合の同一の条件下で求められる付加比率と比して標準的な約1.7milの澱粉浸透(固体ベース)となることが考えられる。
【0074】
前述の関係をここで認識した上で、所与の例において段ボール製品のためのライナーを供給するためのウェブに加える水分の適切な量を前もって定めるために予測的にこれらの関係を利用するのが望ましい。例えば、特定のライナーウェブの開始時の含水率を知るとともに、開始時の湿度膨張性の挙動及びその挙動が加湿サイクルに基づいてどのように変化しやすいかを理解し、更に抑制作用下で余分に加湿された紙を乾燥させることの応力緩和特徴を理解することにより、そのウェブに加える水分の適切な量をより良好に決定し、開示の恩恵を実現するための望ましい範囲の適切な予熱含水率を実現することができる。異なる開始時の紙ストックについてのこれらの要因及び他の要因を表に配列し、異なる段成形設備における優勢な条件と相互参照することにより、開示の計量された液体層を加えるための適切な調湿設定点を予測的に決定して望ましい後反り挙動についての適切な全体の含水率を実現する、及びそれを調整する(望ましい場合、ゼロに)ためのデータベースを構築することができる。
【0075】
湿度膨張性から開始する。各紙の湿度膨張性は、例えば、経験的関係によって計算することができる。以下の経験的関係は、湿潤環境との平衡化の後の相対湿度の2つの異なる値において観測される紙の固定部位の長さ間の正規化された差として任意湿度膨張性値βを規定する。この場合、βは、その部位(l
0)に100を掛けた標準化長さに対して、85%RH(l
85)~33%RH(l
33)での平衡化からの長さの差として規定される。
【数1】
【0076】
勿論、上記のように、βの値は、連続した加湿サイクルの後に縮小することが期待され得る。これは、長さ値ks及びkzはこのようなサイクルの後に減少し、βが異なる小さい値となり得るからである。また、βの値は、少なくともゆるく温度に依存しやすい。このため、実施に関しては、βのような湿度膨張性についての定量化された値(前記の関係から定量化される)は、既知の制御された環境下で作製された異なる紙の経験的測定により判定された既知の湿度膨張挙動を列挙及び特徴付けするために、及び経験的に測定されていないが、それでもなお同様の条件下で作製される、又は同様の環境エピソードを受ける他の紙の予測された温度膨張挙動に関連付けるために最も良好に使用することができる。上記の関係からのβの定量化された値は、水分調整を調整することができる特定の紙の絶対湿度膨張性を記すのに有用になりにくい。
【0077】
製造の経験的及び環境条件に湿度膨張挙動を等しくするための実質的な共通スケール又はパラメータのセットに対して正規化された、異なるライナーを作製するために使用される異なる紙の湿度膨張性値又は係数を測定又は別様に割り当てることができる場合、所要のライナーの湿度膨張挙動を予測する、及び予測された膨張を実現するために事前接着水分付加を調整する基礎を有することとなる。最も重要なことに、同じ波形複合体において使用される2つの対向するライナーについてのこのような値/係数を知ることによって、それらを互いに調整するための開始点を有することができ、これにより、後反りを効果的かつ再現可能に最小化する、又はコルゲータから出た反り(凹み具合)の所望の(調整された)度合いを維持することができる。これは、対向するライナーが同じ材料でない、同じ厚みでない、同じ供給部からのものでない等の場合であっても当てはまる。すなわち、2つの対向するライナーについての共通の基礎となる湿度膨張性係数を知っていれば、膨張挙動が実質的に一致する最終の波形複合体に向けてそれらを個別に調整できる。明確にするために、湿度膨張性値/係数を算出するための正確な経験的関係は必須ではない。紙の範囲にわたって共通の方法又は関係によってそれぞれこのような値を算出又は導き出すことができるのであれば、それらは、1つの紙層から次の紙層の相対湿度膨張挙動特徴を識別するために全てを関連付けることができ、これにより、所与の波形複合体についてここで説明するライナーごとの調整を行うことができるようになる。
【0078】
異なる紙、環境要因等について湿度膨張特徴のデータベースをひとたび確立すると、各紙カテゴリーと関連付けることができる別の要因は、規定された環境要因又は処理ステップに基づいてその温度膨張の大きさを減少させることができる度合いである。上記のように、個別の紙層の湿度膨張性をできる限り減少させて段成形後の膨張/収縮の大きさを減らすことが望ましく、これにより、任意の後反りの大きさを最小にする傾向となる。しかし、それぞれの造り及び他の要因に基づく異なる初期湿度膨張性を有することができるように、所与の波形複合体の対向するライナーが減少した湿度膨張性についての異なる可能性を有することができるという状態も実現しなければならない。このため、通常、所与の波形複合体の両方のライナーを処理ステップによって減少させることができる最低の共通湿度膨張性を識別することが望ましく、これにより、それらの湿度膨張性をその最低共通値で一致させることができる。
【0079】
本明細書において考えられる一例示のプロセスは、以下のステップを含む。(a)湿度膨張性属性値を測定し、波形複合体の作製に使用されるライナーウェブに湿度膨張性属性値を割り当てる。(b)供給されたときのライナー内にある水分及び想定される段成形後の環境条件を考慮に入れ、ライナーウェブを水分調整し、正確に計量された量の水を導入する。(c)水分調整に続くが隣接する層(中芯)に接着する前にライナーを任意選択で熱処理し、後反りを最小化する又は後反りの所定の度合いを維持するための段成形後の湿度膨張の所望の度合い(ゼロであり得る)を実現するために、水分調整を微調整するとともに湿度膨張性を調整する。既に述べた理由により、ライナーウェブにおける予熱時の含水率の総量は、10重量%よりも大きく30重量%までの範囲内とすべきである。前述の熱処理は、ライナーに連続的な加湿サイクルを加えた場合に観測され得るものと同等に、ライナーの湿度膨張性を効果的に減少させるために利用することができる。実際、所与の条件下における所与の紙ライナーについての湿度膨張性の減少の度合い(紙に対する熱流速及び加熱の滞留時間に基づく、加熱の度合いを含む)は、湿度測定値又は上記のステップ(a)において測定及び割り当てられた特徴の一部として、その紙に相関させることができる。このプロセスは、それぞれの段成形後の温度膨張の度合いが他のものの温度膨張の度合いに基づいて又はこれに一致するように調整するために、コルゲーションマシンにより作製された波形複合体についての両方の対向するライナーに対して行うことができる。この方法により、各ライナーの湿度膨張性を調整して所望の段成形後の膨張を実現できるだけでなく(望ましい場合には実質的に実現しない)、対向するライナーの湿度膨張性も上記のようにそれらの間の最低共通度合いに減少させることができる。
【0080】
所望の波形複合体のそれぞれのライナーの湿度膨張特性が分かっている場合、それらのそれぞれによって得ることができる最低共通湿度膨張性も知ることができる。これに鑑み、また、段成形場所及び完成品が貯蔵及び/又は使用される下流における優勢な条件に鑑み、水分設定値を正確に計量された水の薄膜を各紙ライナーウェブに対するものとして推奨及び加えることができる。結果として、段成形後に紙層の水分が増加又は減少すると(条件に応じて)、各紙層の湿度膨張性が微調整され、これにより、各層の水分が実質的に同じ度合い及び実質的に同じ比率で増加/減少し、層間の寸法変化がいずれも一致し、段成形後の反りが(なくならないとしても)最小化される。
【0081】
上記のように、上記のステップ(a)は、湿度膨張性値を経験的に測定又は算出することによって行うことができる。初期の水分及び段成形段階の前に加えられた水分を知った状態で段成形後の形状変化挙動を測定すること、及び段成形時に供給される熱エネルギーの量を測定することによって、所与の用途における所与のライナーについてのこのような値を算出することが可能となる。しかし、これらの値を直接測定したとしても、上記で明確となる理由により、それらは主に同じ箇所において、及び測定される同じ環境下で段成形される紙について有用となる。異なる優勢な条件下で異なる箇所で測定された紙についての値を関連させる、又は全体的に異なる紙について測定された値に関連させることは、有用性が劣るものとなる。むしろ、1つの紙についての1つの湿度膨張性値を別の紙についての別のこのような値に関連させると、これらの値は、比較対象の紙の間での湿度膨張性調整のための開始点又は軌跡を識別するための基準として最も有用なものとなる。このため、本明細書における本発明者は、同等の条件下で作製及び使用されたものとして知られる他の紙について観測された膨張挙動に基づいて、湿度膨張性属性値をそれらの湿度膨張性挙動を反映した紙ライナーに割り当てることも考える。異なる紙ライナーについての湿度膨張属性値の中央データベースを確立するとともに、これらの属性をそれぞれのライナーについての他の既知又は測定された要因に対して相互分類することにより、挙動が観測された同等の紙及び既にデータベースに保存された対応するデータに基づき、予測的なデータに基づく湿度膨張性属性値を個別の紙に割り当てることができる。
【0082】
この方法により、真の湿度膨張性を反映した、データドリブンの予測的な湿度膨張性属性値を利用し、異なる供給源からのライナー及び同じ波形複合体を作製するのに一致しないライナーを含む、異なる段成形場所で使用されるライナーに割り当てることができる。これらの値は、個別のライナー又は互いに協働する対向するライナーについて、予測可能で制御可能な後反りの度合いを実現するために、適切な量の水分及び熱を導入する水分調整設定を確立又は推奨するために使用することができる。相互分類できる、又は所与の紙についての湿度膨張性属性値と相関することができる、このような他の既知の若しくは測定された要因としては、作製される大気条件、作製された日付及び場所並びに使用された機械若しくは供給機、コルゲータへの移送の時間及び条件、使用されるコルゲータ及びコルゲートマシンでの優勢な条件、水分付加及び加熱を含む特定の水分調整処理が湿度膨張性に影響を与える又は減少させる度合い、段成形後の環境要因、又は測定することができる若しくはデータベース内に図表化することができる任意の他の要因が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
図3は、異なる紙ライナーについての湿度膨張性属性値を取得、記録、及び分類するための例示的なネットワークベースのシステムを示している。システムは、これらの属性についての予測値を、使用されている紙について知られている相互分類済みのデータ値に基づいて、異なる段成形プロセスにおいて使用されている紙に割り当てることができる。湿度膨張性属性値は、上で論じた個別の紙についての測定又は算出された湿度膨張性値とすることができる。例えば、Emtec社(ドイツ、ライプツィヒ市)製のDimensional Stability System(DSS)内に設けられるもの等、商業的に利用可能な装置を使用し、伸張下でウェブを湿らせる及び乾燥させるために1つ以上のモジュールを通じたウェブの循環により、湿度膨張性属性値を測定することができる。DSSは、まず調整可能な伸張下で水ベースの液体を用いて紙のウェブを湿らせ、湿らせたウェブの膨張の動特性を判定するために使用される第1のモジュール(例えば、Emtec社製のWet Stretch Dynamics Analyzer(WSD 02))を有することができる。第1のモジュールは、紙の湿潤性、湿度、及び周囲温度を測定することができるとともに、制限のない期間にわたって最大25%までの湿潤膨張範囲を測定することができる。そして、湿らせたウェブは、第2のモジュール(例えば、Emtec社製のHeat Shrinkage Analyzer(HAS))を用いて乾燥させることができ、これは、230℃までの熱負荷下でウェブの寸法安定性を測定することができる。第2のモジュールは、ウェブの伸張及び縮小をそれぞれ27%及び5%まで測定することができる。第3のモジュール(Emtec社製のPenetration Dynamic Analyzer(PDA))は、水がウェブによって吸収される比率及び深さを測定するために使用することができる。モジュールを通じてウェブを循環させることにより(すなわち、湿潤及び乾燥サイクル)、システムは、コルゲータ上で起こる流体膨張性及び湿度膨張性の両方の変化を模することができる。そして、第1のモジュール及び第2のモジュールを用いて測定された値は、測定された条件下における所与の紙材料についての基準又は初期の湿度膨張性属性値を構成することができる。さらに、モジュールは高い周波数(例えば、ミリ秒範囲)で動作することから、各モジュールの測定値は、システム内における異なる変数の変化の効果を判定するために相関及びモデル化することができる。例えば、システムは、ウェブ内の水の浸透の度合いを調整することが乾燥前又は乾燥時のウェブの湿潤伸張にどのように影響を与えるかをユーザーが見ることができるようにする。測定された湿度膨張性属性値に基づいて、上部及び底部ライナーがコルゲータを出るときのこれらについての開始水分値目標についての予測を行うことができる。これらの目標値を改善し、紙の湿度膨張性を経験的に導き出すために、湿度膨張性属性値は、コルゲータから出てくる平坦な紙となる上部及び底部ライナー紙から出る水分(水分計で測定)と比較される。この平坦性は、操作者によって観測及び記憶することができる、又はレーザー等のオンライン形状測定装置によって定量化することができる。
【0084】
代替的に、又は加えて、及び以下で更に明らかとなるように、湿度膨張性属性値は、その紙の他の既知の若しくは報告された属性値、並びにそれが使用されるマシン、その場所、及び優勢な条件に基づき、特定の状況において使用される特定の紙について経験的に判定及び割り当てることができ、これらは全て、同じ条件のうちの一部又は全てにおいて同じ又は異なる段成形機器上で実行される事前の反復プロセスにおける以前に観測及び記録された湿度膨張性に対して相互参照することができる。例えば、上部及び底部ライナー(又は他の紙の組み合わせ)間における水分の差分値を比較することにより、各紙マシンによって作製された各紙タイプの湿度膨張性を逆算することができる。このような水分差分値を収集することにより、異なる紙のグレードについてそれらの完成紙料を紙供給者がいつ変更したかを判定し、これらの値に基づいて水分パラメータを調整することが可能となる。
【0085】
全てのこれらのデータは、集約され、所与の例における経験的な湿度膨張性属性値をその例に特有の入力に基づいて判定するための経験的相関等の統計的相関及び分析に供することができる。入力は、以下で論じるコルゲータ入力データの一部として特定の例のために供給することができる。代替的に、又は加えて、湿度膨張性属性値は、図表化するとともに、同様の条件下における紙についての既知及び事前に記録された挙動に基づくものであってデータベースに以前に集約及び記憶された同様の属性を有するような入力と相互参照することができる。湿度膨張性属性値は、特定の状況で使用される特定の紙についての真の湿度膨張性を表すものとなる。湿度膨張性属性値が真の湿度膨張性を表すとともに、システムを用いる他の状況(それぞれの条件下の)における他の紙の他の湿度膨張性属性値を一貫して判定するものであれば、湿度膨張性属性値は、上記のような経験的な関係又は図表の相互参照、若しくはこれらの組み合わせによって考案される任意の量とすることができる。湿度膨張性属性値が特定の紙についてひとたび判定されると、以下で論じる、コルゲータ入力データの一部としてユーザーによって供給される、優勢な条件下における特定の紙の適切な水分付加設定点(既知の含水率についての開始及び所望の終了点を含む)を判定するために使用することができる。
【0086】
図3に戻り、中央サイト620は、それぞれのコルゲータに動作可能に接続された個別のコルゲータ制御端末600にネットワーク610を介してリンクされるデータ記憶部(サーバー等)を有し、コルゲータは、地理上の同じ場所又は異なる場所にあり得るとともに、異なる操作者又は会社によって操作され得る。ネットワーク610は、有線又は無線ネットワークとすることができる。ネットワーク610は中央サイト620と各コルゲータ制御端末600との間の安全な通信リンクを介してネットワークを通じて動作することが考えられる。
【0087】
所与のコルゲータの場所における各ライナー(及び望ましい場合には中芯)についての推奨される水分設定点を判定するために、各紙層に関する情報及びコルゲータの場所からの大気条件が評価される。例えば、典型的に使用される紙の各ロールについての特徴的な原データは、多くの場合に「ロールタグ」の形態で紙供給者から提供される。原データは、他の特徴の中でもとりわけ、紙グレード、製造地点を離れる際の含水率、厚み、製造日、紙マシン内のリール位置、リール幅、リール重量、及び紙ウェブ長さを含む。原データは、紙供給者からロールが出荷されたときからの紙の特徴を提供し、これは、段成形の場所への到着時のロールの特徴とは必ずしも同じではない。例えば、紙供給者から出荷されたときの紙ロールの特定の含水率は、出荷及び貯蔵時の大気条件に基づいてコルゲータへ向かう途中で変化し得る。液体膨張及び湿度膨張について上で論じたもの等の幾つかの条件は、出荷及び貯蔵時の紙の含水率に影響を与え得る。例えば、湿度が上昇すると、紙繊維は、平衡動力学に基づいて水を増加しやすくなる。逆に、湿度が低いと、紙繊維は同じ仕組みで水分を失いやすくなる。紙ロールの輸送条件に関する、又は元の日付後の紙の湿度膨張性に影響を与え得る、又は影響を及ぼした他の要因に関するこのようなデータも、収集及び評価され得る。
【0088】
加えて、コルゲータは、使用される特定のコルゲータから出た段ボール製品についての反り及び波成形の特徴に関するデータを知り得る、又は収集し得る。
【0089】
上記のデータの全て(まとめて「コルゲータ入力データ」)は、収集され、所与の波形複合体を製造するためにそれぞれのコルゲータ制御端末600に入力される。そして、コルゲータ制御端末600は、コルゲータ入力データを集約し、ネットワーク610を介して中央サイト620に送信する。この中央サイト620において、プロセッサはそのデータを評価し、中央サイト620内に集約されたデータ点と比較する。データ点は、紙層についての湿度膨張性属性値と相互参照されたものである。中央サイト620は、以下でより詳細に説明する、統計的分析を行い、特定の記憶された湿度膨張性属性値を識別する。この湿度膨張性属性値は、使用される所与の紙についてのコルゲータ入力データ内に受け取られた相互分類された全てのデータ点との比較に基づき、データが記憶された紙を最も表している可能性が高い(以下では「予測的湿度膨張性属性値」)。予測的湿度膨張性属性値に基づき、及びコルゲータ入力データからの他のデータ点(対向するライナー、下流の段成形後の条件等についてのデータ)を知ることにより、中央サイト620は、ライナーの予接着に対して加えられる水分の量及び熱エネルギーの量に関するこのような各ライナーについての「調湿設定点」を判定し、所望の(及び、理想的には対向するライナーが一致する)コルゲータ入力データに基づく段成形後の温度膨張挙動が最も実現しやすくなる。
【0090】
そして、中央サイト620は、これらの調湿設定点をそれぞれのコルゲータ制御端末600に送信し、そしてコルゲータ制御端末600は、それらを使用して、それぞれのコルゲータのための調湿装置を動作させる。このような調湿装置は、例えば、‘802特許から既知であり、上で論じたものであって再び以下でより詳細に説明する、薄膜計量システム及びドラムヒーターを有することができる。
【0091】
開示のネットワークベースのシステムが使用され、異なる紙についてのデータ、及び異なる箇所において異なる条件下で使用される同じ紙についてのデータをより収集することで、所与のコルゲータ入力データのセットに基づく適切な調湿設定点の選択における精度と正確さの両方が高まる。しかし、所与のコルゲータの場所については、例えば、コルゲータ入力データ内における、後反り又はコルゲータにおける突発的な反りに影響を与え得るとともに容易に定量化できず中央サイト620に供給できない条件を補うために、局所的な微調整の幾つかの手法が望ましい場合が考えられる。このため、水分制御設定点を選択するための開示のネットワークベースのシステムを利用する堅牢なシステムも、コルゲータの動作時のこれらの設定点を微調整するために局所的なフィードバック制御の幾つかの手法を利用し得る。
【0092】
レーザーによるもの等、反り検知の様々な方法が、反りを減少させる試みにおいてフィードバック制御ループにおいてコルゲータによって使用されてきた。このような方法は、製造直後に段ボール製品上の反りのレベルを測定することを含む。残念ながら、それら自体によって、方法が信頼できないものであって、ほとんどが効果的ではないことが証明された。なぜなら、段ボール製品の反りの多くが段成形後の期間に起こるからである。段成形後にレーザー形状測定をすぐに行うことは後反りの制御には信頼できない方法であった。しかし、上で説明した実質的に余分な水分の付加を用いることにより、とりわけ、ここで開示されているネットワークベースの制御システムと結合した場合、以前よりも寸法安定性の度合いの高い予測可能かつ信頼可能な寸法安定線が、コルゲータから出てくる波形複合体について利用可能となる。このため、段成形の直後に取られる測定は、段ボール製品の長期の形状及び構成をおおよそ示しやすくなる。
【0093】
開示のシステムを使用し、コルゲータから出てきたとき又はその直後の波形複合体の形態(すなわち、平坦性又は曲率)と比した、24時間時点、好ましくは48時間時点で測定された後反りは、相対偏向(すなわち、反りの度合いを規定する曲率半径の変化)の5%以下、好ましくはこのような相対偏向の3%又は2%以下、最も好ましくはこのような相対偏向の1%以下に減少又は調整され得る。本質的には、既存のコルゲータ上の板の曲率(ある場合)は、これらの期間の間、又は延長した期間にわたり、実質的に平坦なままとなる(又は、折り返された場合、実質的に一定)。このため、相当に減少された観測可能な後反りの度合いにより、コルゲータから出てくる板の形状を正確又は局所的に要求される形態に微調整することができるように、中央サイト620から出てくる調湿パラメータを微調整するためにレーザーベースの(又は他の)段成形後の形状検知システムをここで使用することができる。
【0094】
例えば、変換機器に供給されたときの状態の段ボールシートに対して良好に規定された反り(凸部/湾曲)がある場合、幾つかの下流変換機器はより効率的に動作し得る。本システムを使用して、最終の段成形後の段ボール製品が調整された度合いの凸部、すなわち段成形後のボードの所定の曲率半径を有するように正しい不一致を実現するために、接着される前の所与の波形複合体の対向するライナーに正確な量の相対水分が加えられるように調整するためにレーザー形状測定システムを使用することが考えられる。また、ネットワークベースのシステムが確実に段成形後の寸法安定性を確保することから、段成形の直後に測定された凸部/湾曲の度合いは、段成形後の延長した期間にわたって維持され、これにより、コルゲータから出てきたときの形状は変換機器に導入されるところのものになる。
【0095】
ローカルフィードバック制御システムを利用して中央サイト620から送信される調湿パラメータを微調整することに加えて、中央サイトのデータ記憶部に記憶されている湿度膨張性属性値及びそれらの相関された水分制御パラメータに対して相互分類することができる追加のデータパラメータとして中央サイト620にフィードバック制御データも送信することができる。そして、このようなフィードバック制御データは、次に同じコルゲータサイトが同じコルゲータ入力データを供給して同じ開始材料から同じ複合体を作製するときに別の相互分類されたデータ点となり、これにより、結果として得られる調湿パラメータは、中央サイト620から直接より微調整され、局所的なフィードバック制御の介入の必要を最小限とする。これらはまた、初期コルゲータ入力データの一部として同等のデータを供給した異なるコルゲータサイトについての異なる水分制御パラメータを統計的にモデル化及び算出するために使用することができる。これにより、異なるコルゲータ制御端末600によって制御される異なるコルゲータを動作させるための初期水分制御パラメータの統計的な算出を改善する。
【0096】
上で説明したように、ライナーが中芯材のウェブの対向する側に積層される前に個別の紙ライナーの湿度膨張性をそれらの間の最低の共通湿度膨張性に調整することが可能である。これは、反復プロセスであり得る、すなわち、それぞれを調整するために、対向する層のそれぞれについて得ることが可能な湿度膨張性の減少の最大の度合いが正確に何であるかを判定する。湿度膨張性属性データを集約する開示のネットワークベースのシステムを使用して、これを実現することができる。実際に、特定の調湿パラメータ及び他の優勢な条件に基づく想定される又は最大の湿度膨張性の減少の度合いは、各ライナーウェブについてモデル化することができ、中央サイト620によって記録することができる。そして、中央サイトは、優勢な条件に基づき、対向するライナーウェブについての後続の調湿パラメータを湿度膨張性の減少についてのそれらの最小限の共通値に微調整することができる。所与の複合体における個別の紙ライナーの最終的な湿度膨張性がひとたび一致するように調整されると、それらは最終段ボール製品において同じ比率及び度合いで水分を増加又は減少させる。その結果、段成形プロセスの全体及びその後でそれらの寸法安定性が段ボール製品において維持される。
【0097】
コルゲータ入力データの一部として、コルゲータの場所にあるセンサーは、温度、相対湿度、及び圧力を含む、特定の箇所に固有の周囲データを測定することができる。予測された大気条件は、最終段ボール製品がコルゲータの箇所にどれくらい長く貯蔵されるかに基づき、又は他の既知の下流の条件に基づき、コルゲータ制御端末600に入力することができる。例えば、最終段ボール製品がコルゲータの場所に4日間にわたって貯蔵される場合、最終段ボール製品の製造に続く4日間について予測された大気条件は、コルゲータ制御端末600にコンパイルされたデータに加えられ、中央サイト620に送信されるコルゲータ入力データに組み合わされる。データの一部として、コルゲータはまた、段成形の操作者によって入力することができる、最終段ボール製品の所望の特徴、例えば、段成形後のライナー及び中芯の所望の物理的寸法及び目標含水率等を供給する。
【0098】
ひとたび中央サイト620に送信されると、その場所にあるローカルプロセッサは、データを分析し、対応する予測的湿度膨張性測定値(及びそれらの関連付けられた調湿パラメータ)を検索することができ、いずれも存在しない場合、コルゲータ入力データに基づいてこのような値を算出する(統計的モデリング等によって)ことができる。後者の場合、このような算出された値は、相互分類された予測的湿度膨張性値及び相関された調湿パラメータの新しいセットとして記憶され得て、これらは、以前の実行及び優勢な大気条件からの同様の特徴に基づいて要求される類似のデータが次回に利用可能となる。
【0099】
このような統計的分析は、多変数データセット上のデータベースの抽出を可能とする、多変数統計的プロセス制御に基づくものとすることができる。多変数統計的プロセス制御方法は、プロセス内の所望の変数を識別し、データ内にあるパターンを特定するために使用される。したがって、中央サイト620は、段ボール製品を生成するためのものであって特定の調湿パラメータを使用する後反り制御の有効性についてのフィードバックを供給する以前のプロセスに基づくデータに基づくモデルを有する。コルゲータ制御端末600によって提供されるデータは、中央サイト620のデータに基づくモデルに鑑みて分析される。そして、中央サイト620は、既存のデータと比較していずれかの新しいデータ点が異常であるかどうかを判定する。異常が見つかった場合、中央サイト620は、異常を生じた可能性のある任意の潜在的な変数を識別し、元の原因を特定する。コルゲータ制御端末600によって提供された特定のコルゲータ入力データのこのような分析に続き、中央サイト620にある、又は中央サイト620のプロセッサは、特定のデータがデータセット全体の支配的なものに対して外れ値を構成することに基づいて、将来の予測的湿度膨張性属性値についての将来の判定において特定のコルゲータ入力データをカウントしないかどうかを判定することができる。
【0100】
水分制御設定点が中央サイト620からコルゲータ制御端末600に供給されると、ローカル操作者は、これらの設定点を検討し、それらを受け入れるか、必要と思われる場合にはリアルタイムの調整を行う。このような調整が行われると、それらも、判定若しくは算出された湿度膨張性属性値及びそれらの相関された水分制御設定点に対する相互分類のためのコルゲータ入力データの追加のデータ点として中央サイト620に供給することができる。代替的に、及び自動化されたプロセスの一部として、供給された水分制御設定点は、段成形プロセスの前に各ライナー(及び任意選択で中芯)の水分調整をするためにコルゲータ制御端末600によって自動的に実施することができる。
【0101】
図3に示されているように、複数のコルゲータ制御端末600は、ネットワーク610に接続することができ、更に中央サイト620に並列に接続することができる。各コルゲータ制御端末600がデータを中央サイト620にアップロードすると、蓄積されたデータが中央サイトのデータ記憶部に記憶されたデータに基づくモデル内にコンパイルされる。各使用により、そのモデルにあるデータが増え、中央サイト620によって提供される推奨水分制御設定点がより洗練される。例えば、中央サイト620は、各紙ロールについての原データを含む、以前の段成形プロセスからのデータ、段成形後のライナー及び中芯の所望の物理寸法及び目標含水率、及び段成形及び貯蔵時の大気条件を比較することができる。中央サイト620のデータベースの継続的な拡大に伴い、大気条件及び最終段ボール製品の所望の物理特性に基づいて時間の経過とともに特定の紙についての最適化された水分設定が調整されるにつれ、中央サイト620は、各ライナー及び中芯についての推奨調湿パラメータが寸法安定性の最も高い可能性を提供するように、分析を洗練させる。
【0102】
中央サイト620は、各コルゲータ制御端末600における局所化された入力に対するチェック部としての役割も果たす。例えば、操作者が処理パラメータを自身のローカルコルゲータ制御端末600に入力すると、中央サイト620は、入力パラメータをデータセット及びモデルに基づいて提案するものと比較し、入力パラメータが非現実的な結果、又は予測される現実的な結果からの許容誤差の閾値の外の結果をもたらすように入力パラメータが予測されるかを判定することができる。コルゲータ操作者によるパラメータの入力に基づいてこのような異常がある場合、中央サイト620は操作者に対して警告することができる。これにより、操作者は、中央サイト620によって提案される調湿パラメータを単に受け入れたくない理由があったとしても、データドリブンの予測的モデルに基づく段成形プロセスパラメータを調整することができる。幾つかの実施形態において、監督者は、所定の閾値だけ供給された調湿パラメータからずれることになり得るような、又は所定の閾値を超える追加の後反りがもたらされると予測されるような、操作者によるパラメータ操作の入力を拒否することができる。
【0103】
中央サイト620からの推奨調湿パラメータは、ライナー及び中芯についての含水率を調整する従来の方法と比して利益を提供する。第1に、中央サイト620は、紙供給者からのみでなく、必ずしも互いに知らない又は互いのデータへのアクセスを有さない特定のコルゲータサイト及び他の(競合となるものも)コルゲータサイトから利用可能なデータに基づいて、各個別のライナー及び中芯についてのこのような設定点を推奨する。これにより、いずれの個別のコルゲータにおいても以前は利用可能でなかった製造プロセスにおける異なる段階(紙ロールの製造から、輸送を通じて、段成形へ、及び変換と貯蔵についても)での様々な供給源から集約されたビッグデータセットに基づいて、実際にはいずれの波形複合体について再現可能な段成形後の寸法安定性を提供する紙特有水分制御が得られる。時間の経過とともに、個別のコルゲータ入力データに基づいて算出又はモデル化される調湿パラメータは、微調整を目的としても局所的なフィードバック制御が冗長となり得る程に洗練されることが考えられる。段成形ライナーの湿度膨張挙動についての考慮及び調整のために個別のコルゲータが仕組みを研究及び開発する時間及びコストを大きく減少させるだけでなく、競合者からのデータを含む、別様にはアクセスし得なかったデータに基づいてそれらに設定点を提供することができる。中央サイト620は所与のインスタンスにおいて送達される特定のデータの供給源又は関連付けられた水分制御パラメータに関して個別のコルゲータ制御端末600にデータを供給しないことから、コルゲータ制御端末600は、他の者が何をしているか、又はどこから特定のデータが来たのか気付かない。この方法により、競合するコルゲータは、互いのデータから相互に恩恵を受けながらも互いの動作に対するアクセス又は互いの動作を知ることなくそれぞれの動作を改善することができる。
【0104】
特定のインスタンスにおいて、特定のコルゲータは、そのデータが集約されて他の競合者に対して水分制御パラメータを提供するこのような予測的モデルを提供するために使用されることを拒否する場合があることが認識される。このようなインスタンスにおいて、他のコルゲータ制御端末600が利用可能なビッグデータに基づくモデルは、その特定のコルゲータから分離することができ、これにより、データは他の者のための設定点を供給するために利用可能とならず、また、相互に、ビッグデータはその特定のコルゲータのための設定点を供給するために利用されない。このような場合において、中央サイト620は、依然として不参加のコルゲータからコルゲータ入力データを受け取って集約することができるが、このようなデータは分離され、そのコルゲータに固有の別個のデータファイルに置いて維持され、湿度膨張性属性値の予測的又は統計的モデル及び対応する水分制御パラメータは、コルゲータによって供給されるデータ、又は他の公共利用可能な情報に専ら限定される。
【0105】
ひとたび中央サイト620がコルゲータ入力データの所与のセットについての調湿パラメータを供給すると、コルゲータはこれらのパラメータを実施し、動作を開始(又は継続)することができる。一般に言えば、全てのこのようなパラメータは、後に加熱される紙ライナーの含水率を、そのライナーを隣接する層に接着させて波形複合体を製造する前に、10重量%以上に増加させるために利用される。このような調湿パラメータは、以下で説明する薄膜計量装置によって各紙(ライナー)層に加えられる余分な水分(10%よりも大きい)の塗装重量、及び隣接する層に対する接着前にそこに加えられる熱エネルギーの量(例えば、加熱ドラム、熱板等を介して)を含むが、これらに限定されない。
【0106】
本明細書に開示の方法及びシステムは、情報を処理するとともにコルゲータ制御端末及び段成形装置1000の態様を制御するための演算システムを採用することができる。例えば、
図3に示されているコルゲータ制御端末、ネットワーク、及び中央サイトにおいて、各端末は、最終段ボール製品の準備のためのプロセスに関わる紙ロール及び操作者からデータを受け取る。一般に、演算システムは1つ以上のプロセッサを有する。
【0107】
演算システムのプロセッサ(複数の場合もある)は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素の組み合わせとして実施することができる。ハードウェア要素は、マイクロプロセッサ、通信/ネットワークインターフェース、メモリ、信号フィルタ、回路等を含む、動作可能に結合されたハードウェア要素の組み合わせを含むことができる。プロセッサは、ソフトウェア要素、例えば、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ実行可能コードによって指定された動作を実行するように構成することができる。プロセッサは、本開示に係る機能及び動作を提供するために、任意の装置、システム、又はサブシステムにおいて実施することができる。プロセッサは、任意の数の物理装置/マシンにおいて実施することができる。例えば、中央サイトのコンピュータシステムは、ネットワーク及び各コルゲータ制御端末と通信するために、1つ以上の共有又は専用の汎用コンピュータシステム/サーバを含むことができる。任意選択で、例示の実施形態の処理の一部は、より良好な性能、信頼性、コスト等のためにプロセッサの任意の組み合わせにわたって分配することができる。
【0108】
物理的な装置/マシンは、電気技術(複数の場合もある)の当業者によって理解されるように、集積回路を準備することによって、又は従来の構成要素の回路の適切なネットワークを相互接続することによって実施することができる。物理的な装置/マシンは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等を含むことができる。物理的な装置/マシンは、互いに、及び/又は他のシステム、例えば、インターネット/ウェブリソースと通信するために、有線又は無線のネットワーク、例えば、LAN、WAN、インターネット、クラウド、近距離無線通信等の上に存在してもよい。
【0109】
適切なソフトウェアは、ソフトウェア技術の当業者によって理解されるように、例示の実施形態の教示に基づいて通常の技能を有するプログラマによって容易に準備することができる。したがって、例示の実施形態は、ハードウェア回路及び/又はソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。1つのコンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読媒体の組み合わせ上に記憶されるものとして、演算システムは、例示の実施形態の装置及びサブシステムを制御するためのソフトウェア、例示の実施形態の装置及びサブシステムを駆動するためのソフトウェア、例示の実施形態の装置及びサブシステムを人間のユーザーとインタラクトできるようにするためのソフトウェアを含むことができる。このようなソフトウェアは、デバイスドライバー、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェア等を含むことができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体は、例示の実施形態によって実行される処理の全て又は一部を実行するためのコンピュータプログラム製品(複数の場合もある)を更に含むことができる。例示の実施形態によって採用されるコンピュータプログラム製品は、任意の適切な解釈可能又は実行可能なコードメカニズムを含むことができ、完全実行可能プログラム、解釈可能プログラム、スクリプト、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、アプレット等を含むことができるが、これらに限定されない。プロセッサは、コンピュータ可読媒体を含むことができる、又はコンピュータ可読媒体と別様に組み合わせることができる。コンピュータ可読媒体の例示の形態は、ハードディスク、任意の他の適切な磁気媒体、CD-ROM、CDRW、DVD、任意の他の適した光学媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他の適したメモリチップ若しくはカートリッジ、キャリア波、又はコンピュータが読み取ることができる任意の他の適した媒体を含む。
【0110】
中央サイト及びコルゲータ制御端末は、データを記憶するためのデータベースも含むことができる。例えば、中央サイトは、コルゲータ入力データからの個別のデータパラメータを記憶するための異なるデータベース、又は大気条件、温度、及び相対湿度等のこのようなデータの異なるカテゴリーについての異なるデータベースを有することができる。1つ以上の追加のデータベースを、各タイプの紙についての物理的特徴情報を記憶するために使用することができる。さらに、相互分類又は相関された(若しくは算出された)湿度膨張性属性値を記憶するために更なるデータベースを使用することができる。全てのこのようなデータベースにおけるデータエントリーは、適切なマーカーを使用して相互分類又は相互参照することができる。このようなデータベースは、上で説明したコンピュータ可読媒体上に記憶することができるとともに、任意の適切な手法によってデータを整理することができる。例えば、データは、関係データベース、ナビゲーショナルデータベース、フラットファイル、参照テーブル等に記憶することができる。さらにまた、データベースは、任意のタイプのデータベース管理ソフトウェアによって管理することができる。
【0111】
本発明は、上記の例示的な実施形態を参照しながら記載してきた。変更及び変形は本明細書を読んで理解すれば当業者に想起されるであろう。本発明の1つ又は複数の態様を組み込んでいる例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲内にある限り、そのような全ての変更及び変形を含むことを意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行するウェブを調整する方法であって、
a.段ボール複合体の作製に使用される第1のライナーに第1の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
b.前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記第1のライナーについての第1の水分設定値を決定することと、
c.液体の第1の薄膜を前記第1のライナーに加えてその含水率を前記第1の水分設定値に基づいて調整することによって前記第1のライナーを調整することと、
その後、前記第1のライナーを加熱し、前記第1のライナーを段中芯の第1の側に接着することと、
を含み、
前記第1のライナーにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1のライナー及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような第1の湿度膨張性が内部にもたらされる、方法。
【請求項2】
データ記憶部内に、優勢な条件及び/又はそれぞれのコルゲータで使用される供給原料に対する複数のそれぞれのコルゲータ入力データセットを集約することであって、前記データセットは、ペーパーウェブの湿度膨張性を表すそれぞれの湿度膨張性属性値と相関したものであることと、
前記段ボール複合体を作製するための特定のコルゲータから前記第1のライナーに関する特定のコルゲータ入力データを受け取ることと、
前記特定のコルゲータ入力データを前記データ記憶部内の前記集約されたデータセットと比較し、前記第1のライナーの湿度膨張性挙動を表す第1の湿度膨張性属性値をそこから識別又は算出することと、
前記第1のライナーにおける前記含水率が10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲内となるように調整するために前記(b)において前記第1の水分設定値を決定することと、
前記第1の水分設定値を前記段ボール複合体の作製に使用される前記特定のコルゲータに送ることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各前記コルゲータ入力データセットは、(i)相対湿度、(ii)温度、(iii)圧力、(iv)前記供給原料の組成内容、及び(v)前記供給原料の含水率のうちのいずれか又は全てに属するデータ値を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定のコルゲータ入力データは、前記特定の段ボール複合体を作製するための前記特定のコルゲータで使用した又は使用される第2のライナーに関するデータを更に含み、前記方法は、
前記特定のコルゲータ入力データを前記集約されたデータセットと比較することにより、前記第2のライナーの湿度膨張性挙動を表す第2の湿度膨張性属性値を識別又は算出することと、
前記第2の湿度膨張性属性値に基づき、含水率が10重量%よりも大きく30重量%までの第2の範囲内となるように調整するために計算された前記第2のライナーについての第2の水分設定値を決定することと、
前記第2の水分設定値を前記特定の段ボール複合体の作製に使用される前記特定のコルゲータに送ることと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の水分設定値及び前記第2の水分設定値は、前記第1のライナー及び前記第2のライナーから作製された後の24時間時の前記段ボール複合体の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような前記第1のライナー及び前記第2のライナーにおけるそれぞれの協働する湿度膨張性を内部にもたらすように算出される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の範囲は11重量%~15重量%である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記特定のコルゲータ入力データは、前記データ記憶部内の前記複数のコルゲータ入力データセットに加えられるとともに集約され、湿度膨張性属性値と相関される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のコルゲータは互いに競合者であり、前記記憶部に集約されたそれらのそれぞれのデータセットは、どの任意の特定のデータセットが任意の特定の競合者から来たのか、来たのかどうか、又はいつ来たのかについて競合者が気付かないように匿名化される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の湿度膨張性属性値は、多変数統計的プロセス制御に基づいて算出される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の範囲は11重量%~15重量%である、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
d.前記段ボール複合体の作製に使用される第2のライナーに第2の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
e.前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて前記第2のライナーについての第2の水分設定値を決定することと、
f.液体の第2の薄膜を前記第2のライナーに加えて前記第2の水分設定値に基づいてその含水率を調整することによって前記第2のライナーを調整することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の水分設定値及び前記第2の水分設定値は、前記段ボール複合体がひとたび作製されるとその内部の前記第1のライナー及び前記第2のライナーが実質的に一致した湿度膨張性を有するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のライナーの含水率は、10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のライナーの含水率は、11重量%~15重量%の第1の範囲に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のライナーにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1のライナー及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が1%以下となるような前記第1の湿度膨張性が内部にもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
段ボール製品を製造する方法であって、
a.第1の面シートウェブの含水率を、液体の第1の薄膜を第1の面に加えることによって10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲に調整することと、
b.その後に前記第1の面シートウェブを加熱することと、
c.その後に前記第1の面シートウェブの前記第1の面を段中芯の第1の側に接着することと、
d.第2の面シートウェブの含水率を、液体の第2の薄膜を第1の面に加えることにより、10重量%よりも大きく30重量%までの第2の範囲に調整することと、
e.その後に前記第2の面シートウェブを加熱することと、
f.その後に前記第2の面シートウェブの前記第1の面を前記段中芯の第2の側に接着することと、
さらに、
第1の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第1の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
第2の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第2の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
を含み、
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、方法。
【請求項17】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記段中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するコルゲータ入力データを供給することと、
前記コルゲータ入力データに基づいて前記中央サイトが前記第1の湿度膨張性属性値及び前記第2の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第1の範囲内の前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を供給することであって、前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第2の範囲内の前記第2の面シートについての第2の調湿設定点を更に供給し、前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は前記協働する湿度膨張性をもたらすように適合されることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記段中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するデータを含むコルゲータ入力データを供給することと、
前記中央サイトから、前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点及び前記第2の面シートウェブについての第2の調湿設定点を受け取ることであって、設定点は、前記中央サイトに供給された前記コルゲータ入力データに基づくものであり、前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整はそれぞれの第1の調湿設定点及び第2の調湿設定点に基づいて行われることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は、前記コルゲータ入力データを前記中央サイトにおいて利用可能な比較可能データと比較することで決定され、前記比較可能データは観測又は算出された湿度膨張性属性値と事前に相関されたものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が1%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が1%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
段ボール製品を製造する方法であって、
a.第1の面シートウェブの含水率を、液体の第1の薄膜を第1の面に加えることによって10重量%よりも大きく30重量%までの第1の範囲に調整することと、
b.その後に前記第1の面シートウェブを加熱することと、
c.その後に前記第1の面シートウェブの前記第1の面を段中芯の第1の側に接着することと、
を含み、
前記第1の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような第1の湿度膨張性が内部にもたらされる、方法。
【請求項23】
前記第1の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が1%以下となるような第1の湿度膨張性が内部にもたらされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の範囲は11重量%~15重量%である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の薄膜は、5ミクロンよりも大きく100μmまでの、好ましくは10ミクロン~50ミクロンの計量された水膜厚さを有する水分付加ローラーの表面に対して伸張下で前記第1の面シートウェブを引き出すことによって加えられる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記水分付加ローラーは、超過速度又は不足速度でありながら前記第1の面シートウェブと同じ線方向において、前記第1の面シートウェブに対して100%から少なくとも5%ずれたロール速度比で動作する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の面シートウェブは、15mm~100mmの滞在距離にわたって前記水分付加ローラーに対して引き出される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
d.第2の面シートウェブの含水率を、液体の第2の薄膜を第1の面に加えることにより、10重量%よりも大きく30重量%までの第2の範囲に調整することと、
e.その後に前記第2の面シートウェブを加熱することと、
f.その後に前記第2の面シートウェブの前記第1の面を前記段中芯の第2の側に接着することと、
を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の範囲は11重量%~15重量%である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第1の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第1の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
第2の湿度膨張性属性値を測定する、又は前記第2の面シートウェブに割り当てることであって、前記含水率調整は前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて行われることと、
更にを含み、
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が5%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記段中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するコルゲータ入力データを供給することと、
前記コルゲータ入力データに基づいて前記中央サイトが前記第1の湿度膨張性属性値及び前記第2の湿度膨張性属性値を割り当てることと、
前記第1の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第1の範囲内の前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点を供給することであって、前記第2の湿度膨張性属性値に基づいて前記中央サイトが前記第2の範囲内の前記第2の面シートについての第2の調湿設定点を更に供給し、前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は前記協働する湿度膨張性をもたらすように適合されることと、
を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
中央サイトに、a)前記特定の第1の面シートウェブ、第2の面シートウェブ、又は前記段中芯のうちのいずれか又は全て、b)前記段ボール製品を作製するために使用される機器の特徴、c)優勢な大気条件、又はd)完成時に想定される前記段ボール製品の下流の条件に関するデータを含むコルゲータ入力データを供給することと、
前記中央サイトから、前記第1の面シートウェブについての第1の調湿設定点及び前記第2の面シートウェブについての第2の調湿設定点を受け取ることであって、設定点は、前記中央サイトに供給された前記コルゲータ入力データに基づくものであり、前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整はそれぞれの第1の調湿設定点及び第2の調湿設定点に基づいて行われることと、
を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の調湿設定点及び前記第2の調湿設定点は、前記コルゲータ入力データを前記中央サイトにおいて利用可能な比較可能データと比較することで決定され、前記比較可能データは観測又は算出された湿度膨張性属性値と事前に相関されたものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の面シートウェブ及び前記第2の面シートウェブにおける前記水分調整及びその後の加熱により、前記第1の面シート、前記第2の面シート、及び前記段中芯から作製された後の24時間時の前記段ボール製品の曲率半径の相対偏向が1%以下となるような協働する温度膨張性がそれぞれの内部にもたらされる、請求項28に記載の方法。
【国際調査報告】