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特表2022-536198PTFEライナーを有するカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】PTFEライナーを有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61L 29/08 20060101AFI20220804BHJP
   A61L 31/10 20060101ALI20220804BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220804BHJP
【FI】
A61L29/08 100
A61L31/10
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507579
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020040646
(87)【国際公開番号】W WO2021025814
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】16/534,020
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507152349
【氏名又は名称】ゼウス インダストリアル プロダクツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】ワハブ,ザヒドゥル
(72)【発明者】
【氏名】アルピザール,ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コックス,ジェフリー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレズ,ローレンス,シー.
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラスト,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】サルバドール,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラヴィンダー
(72)【発明者】
【氏名】ターヴィレ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラグラ,フランクリン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC08
4C081BB05
4C081BB07
4C081CA132
4C081DA03
4C081DC03
4C081EA04
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB03
4C267BB12
4C267CC08
4C267GG04
4C267GG31
4C267GG36
4C267HH01
4C267HH14
4C267HH15
(57)【要約】
本開示は、強度、可撓性、及びサイズの有利な組み合わせを有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブを有するカテーテルを提供する。そのようなチューブは、0.001インチ以下の平均壁厚、5000psiを超える破断時での引張応力、及び、21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率を有する特徴を示すことができる。これらのチューブは、独立して(すなわち、カテーテル内ではない)設けることもでき、種々の用途に使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁で囲まれた通路を有し、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有するカテーテルであって、該PTFE管状ライナーは、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテル。
【請求項2】
壁で囲まれた通路を有し、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有するカテーテルであって、該PTFE管状ライナーは、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.23℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテル。
【請求項3】
壁で囲まれた通路を含み、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを含むカテーテルであって、該PTFE管状ライナーは、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、
を有するカテーテル。
【請求項4】
前記PTFE管状ライナーの平均壁厚が0.0002インチから0.0008インチである、請求項1~3のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項5】
前記PTFE管状ライナーが、21℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項1~4のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項6】
前記PTFE管状ライナーが、23℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項1~5のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項7】
前記PTFE管状ライナーが、耐摩耗性表面を含む、請求項1~6のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項8】
前記PTFE管状ライナーが、潤滑性表面を含む、請求項1~7のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項9】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブであって、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.21℃及び37℃を含む、21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
【請求項10】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブであって、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.23℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
【請求項11】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブであって、
a.0.001インチ以下の平均壁厚、及び
b.5000psiを超える破断点での引張応力、及び
c.37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
【請求項12】
前記平均壁厚が0.0002インチから0.0008インチである、請求項9~11のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項13】
前記チューブが、21℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項9~12のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項14】
前記PTFE管状ライナーが、23℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項9~13のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項15】
前記PTFEチューブが、耐摩耗性表面を有する、請求項9~14のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項16】
前記PTFEチューブが、潤滑性表面を有する、請求項9~15のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項17】
前記PTFEチューブが、医療装置に具備されている、請求項9~16のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項18】
前記医療装置が、カテーテルである、請求項17に記載のPTFEチューブ。
【請求項19】
平均引張弾性率が100,000psi以下である第一のセグメントと、25,000psi以下であるが2,500psiより大きい引張弾性率を有する第二のセグメントとともに、0から50%の伸びの間に2つの異なるセグメントを有する特徴的な引張曲線を有し、PTFEチューブが5%の伸びで3000psi以下の引張応力を有する、請求項9~18のいずれかに記載のPTFEチューブ。
【請求項20】
平均引張弾性率が100,000psi以下である第一のセグメントと、25,000psi以下であるが2,500psiより大きい引張弾性率を有する第二のセグメントとともに、0から50%の伸びの間に2つの異なるセグメントを有する特徴的な引張曲線を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブであって、該PTFEチューブが5%の伸びで3000psi以下の引張応力を有する、PTFEチューブ。
【請求項21】
前記引張強さは、10%の伸びで4000psi以下である、請求項20に記載のPTFEチューブ。
【請求項22】
金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層が約0.001インチ以下の平均厚さを有し、破断時での平均引張応力が5,000psiを超え、21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間の全ての温度において、100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
【請求項23】
金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層の平均厚さが約0.001インチ以下であり、破断時での平均引張応力が5,000psiを超え、23℃において100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
【請求項24】
金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層の平均厚さが約0.001インチ以下であり、破断時での平均引張応力が5,000psiを超え、37℃において平均貯蔵弾性率が100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
【請求項25】
前記金属コア及びPTFE層の両方が、形状が実質的に円筒形である、請求項22~24のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【請求項26】
前記金属コア上のPTFE層が、50フィートの最小連続長を有する、請求項22~25のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【請求項27】
前記PTFE層が21℃と37℃との間において3,000psi/以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項22~26のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【請求項28】
前記PTFE層が23℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、請求項22~27のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【請求項29】
耐摩耗性を有する、請求項22~28のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【請求項30】
潤滑表面性を有する、請求項22~29のいずれかに記載の金属コア上のPTFE層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)を有する薄壁カテーテルライナーを有するカテーテルの分野、及びそのようなカテーテルに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管治療では、侵襲を最小限に抑えたカテーテルベースの手段、特殊な器具及び技術を用いる。これらの手段で使用されるカテーテルは、一般的に内壁にコーティング又はライナーを使用して、滑らかな内面を提供する。これらの装置に関連した滑らかな内径(ID)は、ステント、バルーン、アテローム切除又は血栓除去装置のような種々のカテーテル技術に対して、それらの装置がカテーテル内腔の狭い範囲に押し込まれるときの摩擦を減らすのに有益である。カテーテルIDが十分な潤滑性を有していない場合、ステントのような装置は、装置がカテーテル内腔を通って押し込まれるときにライナーに損傷を引き起こす可能性がある。カテーテルIDの潤滑性の増加の効果は、カテーテル装置が管腔を通過するときのカテーテル装置の展開力の減少であり、成功する処置の可能性を増加させる。カテーテルライナーの機械的特性も極めて重要である。例えば、特定の装置(例えば、分流チューブ、塞栓形成、動脈瘤架橋、足場及び血栓除去装置)が圧縮状態でカテーテルを通過するとき、高い引張強度及び降伏強度が必要とされ得る。圧縮された形状は、外向きの半径方向の力を生じ、これは、IDとの摩擦を生じさせ、一般的に、そこを通るデバイスの送達を困難にする。一方、ライナーの高い柔軟性は、カテーテルが鋭利なねじれ及び回転(例えば、脳血管系及び膝下(BTK)用途)を伴う脈管構造を通過しなければならない場合にしばしば望ましい。この状況では、中程度の引張強度を有する高可撓性ライナーが、低可撓性/高剛性を有する高張力ライナーよりも望ましいことが多い。
【0003】
例えば、このようなカテーテル装置内で使用するための内壁(ベースライナー)材料として、様々な材料が追求されてきた。検討されている材料の1つは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。PTFEは、優れた耐薬品性、高温耐性、生体適合性、及び非常に低い摩擦係数/高い潤滑性を含む多くの有益な特性を有するので有益である。
【0004】
カテーテル用途内で使用するための公知のPTFE系材料は、様々な欠点を有する。例えば、ある種の押出PTFEチューブは、十分に薄い壁及び十分に高い引張強度で製造することができるが、高い剛性及び高い引張弾性率値を示し、例えば、可撓性が重要である用途において、それらを不適当なものにする。例えば、特許文献1を参照されたい。同様に、改良された押出PTFEチューブは、高い引張強度を有するが、高い引張強度が得られる方法のために望ましくない剛性を有することが報告されている。特許文献2を参照されたい。浸漬塗布及び薄皮延伸PTFEベースのライナーは、PTFE分散から調製されており、より高い柔軟性を示すが、比較的低い引張強度を有する。さらに、浸漬コーティング法は、煩雑で生産性が低い(塗装・焼結を繰り返す必要がある)。さらに、浸漬被覆チューブは、PTFE粒子の分離の結果として、典型的には、比較的低い耐摩耗性を有し、したがって、これらのチューブのIDは、しばしば、劣った潤滑性を有する。
【0005】
十分な強度を有する柔軟なPTFEベースのチューブと、そのようなチューブを調製するための方法であって、例えば内壁 (ベースライナー)用途での使用に適した材料にする方法を提供することが有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,183,098号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0025562号
【発明の概要】
【0007】
本開示は、PTFE小繊維の機械方向への配向が限定された(中間の引張強度及び低い引張弾性率をもたらす)、平均壁厚が0.001インチ未満の押出ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブを提供する。開示されたチューブの非常に薄い壁及びそのようなチューブの低い弾性率値のために、いくつかの実施形態において、それらは、望ましくは浸漬被覆PTFEライナーと同様の柔軟性を有するが、浸漬被覆PTFEライナーよりも良好なID潤滑性及び耐摩耗性を示すことができる。種々の実施形態において、開示されたチューブによって示された特性の組み合わせは、以下にさらに詳細に記載されるように、開示されたチューブの薄い壁の厚さ及び低い絶対値が、従来の薄壁押出(「自由押出し」)PTFEライナーよりも著しく柔軟なチューブ/ライナー製品を提供するので、柔軟性のために設計されたカテーテル内を含めて、カテーテル内での使用に特に適したものにすることができる。本明細書の一部は、カテーテルライナーのようなチューブを特に参照して記載されていることに留意されたい。しかしながら、本明細書に開示されたチューブ及び方法は、他の状況においても適用可能であることが理解され、カテーテルにおける使用に限定されない。
【0008】
一態様では、壁で囲まれた通路を有し、さらに通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有し、PTFE管状ライナーは、a)0.001インチ以下の平均壁厚及びb)5000psiを超える破断時での引張応力、及びc)21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテルが提供される。一態様では、壁で囲まれた通路を有し、さらに通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有し、PTFE管状ライナーは、a)0.001インチ以下の平均壁厚及びb)5000psiを超える破断時の引張応力、及びc)23℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテルが提供される。一態様では、壁で囲まれた通路を有し、通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーをさらに有し、PTFE管状ライナーは、a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断時の引張応力、及びc)37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテルが提供される。いくつかの実施態様において、PTFE管状ライナーの平均壁厚は、0.0002インチから0.0008インチである。いくつかの実施態様において、PTFE管状ライナーは、21℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す。いくつかの実施態様において、PTFE管状ライナーの平均壁厚は、0.0002インチから0.0008インチである。いくつかの実施態様において、PTFE管状ライナーは、23℃から37℃の間で3,000psi/℃以下の貯蔵率の変化を示す。いくつかの実施態様において、PTFE管状ライナーは、耐摩耗性表面及び/又は潤滑性表面を有する。
【0009】
別の態様では、0.001インチ以下の平均壁厚、及び5000psiを超える破断点での引張応力、及び21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブが提供される。別の態様では、0.001インチ以下の平均壁厚、及び5000psiを超える破断点での引張応力、及び23℃において100,000psi以下の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブが提供される。いくつかの実施態様において、平均壁厚は、約0.0002インチから約0.0008インチである。いくつかの実施態様において、チューブは、21℃と37℃との間で3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す。いくつかの実施態様において、チューブは、23℃と37℃との間で3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す。ある実施形態では、チューブは耐摩耗性表面及び/又は潤滑性表面を有する。このようなチューブは、例えば、医療装置(カテーテルを含むがこれに限定されない)に含まれ得る。
【0010】
別の態様では、金属コアの上にPTFE層であって、該PTFE層は、0.001インチ以下の平均厚さを有し、5,000psiを超える破断時での平均引張応力、及び、21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において、100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す金属コアの上にPTFE層が提供される。例えば、そのようなPTFE層は、23℃及び/又は37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率を示し得る。ある実施形態では、金属コア及びPTFE層は両方とも実質的に円筒形状である。いくつかの実施態様において、金属コア上のPTFE層は、50フィートの最小連続長さを有する。いくつかの実施態様において、PTFE層は、21℃と37℃との間で3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す。いくつかの実施態様において、PTFE層は、23℃と37℃との間で3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す。金属コアの上のPTFE層は、ある実施形態では、耐摩耗性を及び/又は潤滑表面を有し得る。好ましい実施形態では、これらの実施形態について報告された値は、(報告された値がPTFE層に特徴的に関連するように)金属コアを除去することによって測定される。
【0011】
別の態様では、平均引張弾性率が100,000psi以下である第一のセグメントと、25,000psi以下であるが2,500psiより大きい引張弾性率を有する第二のセグメントとともに、0から50%の伸びの間にある2つの明確なセグメントを有する特徴的な引張曲線を有し、PTFEチューブは5%の伸びで3000psi以下の引張応力を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブが提供される。そのような実施形態のいくつかは、引張応力は、10%の伸びで4000psi以下である。
【0012】
本開示は、限定されるものではないが、以下の実施形態を含む。
実施形態1:壁で囲まれた通路を有し、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有するカテーテルであって、該PTFE管状ライナーは、a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断点での引張応力、及びc)21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテル。
実施形態2:壁で囲まれた通路を有し、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン (PTFE)管状ライナーを有するカテーテルであって、該PTFE管状ライナーは、a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断点での引張応力、及びc)23℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテル。
実施形態3:壁で囲まれた通路を有し、さらに該通路内にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管状ライナーを有するカテーテルであって、該PTFE管状ライナーが、a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断点での引張応力、及びc)37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するカテーテル。
実施形態4:前記PTFE管状ライナーの平均壁厚が0.0002インチから0.0008インチである、前記先行するいずれかの実施形態のカテーテル。
実施形態5:前記PTFE管状ライナーが21℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、前記先行するいずれかの実施形態のカテーテル。
実施形態6:前記PTFE管状ライナーが23℃と37℃との間において3,000 psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、前記先行するいずれかの実施形態のカテーテル。
実施形態7:前記PTFE管状ライナーが耐摩耗性表面を有する、前記先行するいずれかの実施形態のカテーテル。
実施形態8:前記PTFE管状ライナーが潤滑性表面を有する、前記先行するいずれかの実施形態のカテーテル。
実施形態9:a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断点での引張応力、及びc)21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において100,000psi未満の貯蔵弾性率、有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
実施形態10:a)0.001インチ以下の平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断時の引張応力、及びc)23℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
実施形態11:a)0.001インチ以下であるの平均壁厚、及びb)5000psiを超える破断点での引張応力、及びc)37℃において100,000psi未満の貯蔵弾性率、を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
実施形態12:前記平均肉厚が、0.0002インチから0.0008インチである前記先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態13:前記チューブが、21℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態14:前記チューブが23℃と37℃との間において3,000psi/℃以下の貯蔵弾性率の変化を示す、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態15:耐摩耗性表面を有する、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態16:潤滑性表面を有する、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態17:医療装置に具備されている、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態18:医療装置が、カテーテルである上記実施の形態のPTFEチューブ。
実施形態19:平均引張弾性率が100,000psi以下の第一のセグメントと、25,000psi以下であるが2,500psiを超える引張弾性率を有する第二のセグメントとともに、0から50%の伸びの間に二つの異なるセグメントを有する特徴的な引張曲線を有し、前記PTFEチューブが、5%の伸びで3000psi以下の引張応力を有する、先行するいずれかの実施形態のPTFEチューブ。
実施形態20:平均引張弾性率が100,000psi以下である第一セグメントと、25,000psi以下であるが2,500psiより大きい第二セグメントとともに0から50%の伸びの間に二つの異なるセグメントを有する特徴的な引張曲線を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブであって、該PTFEチューブが、5%の伸びで3000psi以下の引張応力を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ。
実施形態21:引張強さは、10%伸びで4000psi以下である先行する実施形態のPTFEチューブ。
実施形態22:金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層が約0.001インチ以下の平均厚さを有し、破断点での平均引張応力が5,000psiを超え、21℃及び37℃を含む21℃から37℃の間のすべての温度において、100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
実施形態23:金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層が約0.001インチ以下の平均厚さを有し、破断点での平均引張応力が5,000psiを超え、23℃において100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
実施形態24:金属コア上のPTFE層であって、該PTFE層が約0.001インチ以下の平均厚さを有し、破断点での平均引張応力が5,000 psiを超え、37℃において100,000psi未満の平均貯蔵弾性率を示す、金属コア上のPTFE層。
実施形態25:前記金属コア及びPTFE層の両方が、形状が実質的に円筒形である、いずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
実施形態26:前記金属コア及びPTFE層が、50フィートの最小連続長を有するいずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
実施形態27:前記PTFE層が、21℃と37℃との間において貯蔵弾性率の変化が3,000 psi/℃以下である、いずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
実施形態28:前記PTFE層が、23℃と37℃との間において貯蔵弾性率の変化が3,000psi/℃以下である、いずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
実施形態29:耐摩耗性を有する、いずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
実施形態30:潤滑性表面を有する、いずれか先行する実施形態の金属コア上のPTFE層。
【0013】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下に簡単に説明する以下の詳細な説明及び添付の図面を読むことによって明らかになるであろう。本発明は、上述の実施形態の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の任意の組み合わせ、ならびに本開示に記載された任意の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴又は要素の任意の組み合わせを含み、そのような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に結合されているかどうかは問わない。本開示は、開示された本発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、文脈が明確に他のことを指示しない限り、結合可能であることを意図しているとみなされるように、全体的に読むことを意図している。本発明の他の態様及び利点は、以下から明らかになるであろう。
【0014】
本発明の実施形態の理解を提供するために、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、参照番号が本発明の例示的な実施形態の構成要素を参照している添付図面を参照する。図面は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示のチューブの一般的な概略図であり、関連するパラメータを有し、チューブの1つの断面端面の拡大概略図である。
図2】比較チューブに関連するものと比較して、本開示の範囲内にある特定のチューブに関連する種々の物理的パラメータの表である。
図3】本開示のチューブ(実施例1)及び3つの比較例についての引張応力対引張ひずみ(伸張)のグラフである。
図4図3のグラフの領域の拡大図である。
図5】本開示のチューブ(実施例2)及び2つの比較例の引張応力対引張ひずみ(伸張)のグラフである。
図6図5のグラフの領域の拡大図である。
図7】本開示のチューブ(実施例1及び2)及び比較例の貯蔵弾性率対温度のグラフである。
図8図7のグラフの領域の拡大図である。
図9図8のグラフの領域の拡大図である。
図10図9のグラフの領域の拡大図である。及び
図11】本開示のチューブ(実施例1及び2)及び比較例の貯蔵弾性率対温度を比較したデータの表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、全体を通し完了されており、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0017】
本開示は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む押出しチューブを提供し、以下により完全に本明細書で概説する特定の物理的特性を有する。本開示の実施形態は、平均壁厚、貯蔵弾性率値、及び引張強度(例えば破断点における引張強度)に関連する特定の特性を有し、これらは本開示に特に関連する特性であり、以下により詳細に説明する。
【0018】
提供されるチューブの一般的な概略図を図1に示す。チューブの形状は一般に円筒形である。「L」は、製造されたときのチューブの長さを示し、所望の長さ「1」(図示せず)のチューブを提供するように処理、例えば切断することができる。図1の右側の拡大領域は、チューブの内部の断面図である。図示のように、「管腔」は、チューブの内部領域、すなわち、開口径路/空洞(例えばカテーテル装置を通すことができる)である。管の内径は、「ID」として示され、管の内壁上の点から管の内壁上の反対側の/最も遠い点までの平均距離である。「OD」として示される管の外径は、管の外壁上の点から管の管腔を通って管の外壁上の反対側の/最も遠い点までの平均距離である。したがって、OD値からID値を引いた値を2で割ると、チューブの平均壁厚が得られる。また、チューブの代表的な「壁厚」、「内壁面」及び「外壁面」も図1に示されている。
【0019】
特定の実施形態では、本開示は、薄壁厚の押出しPTFEチューブを提供する。例えば、いくつかの実施態様における壁の平均厚さは、約0.001インチ未満である。いくつかの実施態様において、開示されたチューブの平均壁厚は、約0.0002インチから約0.001インチ、約0.0003インチから約0.001インチ、約0.0004インチから約0.001インチ、又は約0.0005インチから約0.001インチなど、約0.0001インチから約0.001インチであり得る。
【0020】
壁の厚さは、典型的には、チューブの円周の周り又はチューブの長さ(L又は1)に沿って大きく変化しない。このように、壁の厚さは、一般に、実質的に均一であると説明することができる。いくつかの実施形態における壁許容差は、例えば、公称壁0.0003インチから0.001インチ以下に対して+/-0.0001インチから+/-0.0003インチであり得る。いくつかの実施形態では、本開示に従って提供されるチューブ上の任意の所与の点において、壁厚は約0.001インチ未満である。いくつかの実施形態において、本開示に従って提供されるチューブ上の任意の点において、壁の厚さは、約0.0002インチから約0.001インチ、約0.0003インチから約0.001インチ、約0.0004インチから約0.001インチ、又は約0.0005インチから約0.001インチなど、約0.0001インチから約0.001インチである。いくつかの実施形態では、壁の厚さは、例えば、約0.0001インチから約0.0008インチであってもよい。約0.0002インチから約0.0008インチ、又は約0.0002インチから約0.0006インチであってもよい。
【0021】
チューブの長さは、様々に変化し得る。いくつかの実施形態において、製造されたままのチューブは、少なくとも約50フィートの長さであり得る。上述したように、長さLは特に制限されず、図1に概略的に示されているようなチューブは、いくつかの所望の長さ1の複数のチューブに切断するなど、加工することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるチューブの長さ1は、カテーテル用途、例えばライナーとしての使用に適した長さである。例えば、いくつかの実施形態では、長さ1は、約12インチから約20インチなど、約6インチから約20インチである。同様に、ID(内腔の直径を決定する)は変化することができ、いくつかの実施形態では、カテーテル用途、例えばライナーとしての使用に適したサイズである。
【0022】
本明細書で提供されるチューブは、一般に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を有する。様々なPTFE樹脂が市販されており、それらの樹脂は、特定の実施形態で使用して、本明細書で提供されるPTFEチューブを提供することができる。有利なことに、種々の実施形態では、チューブは本質的にPTFEからなり、すなわち、追加の成分(充填剤等)がチューブに意図的に添加されない。本明細書で提供されるチューブは、典型的には、いかなるかなりの量の潤滑剤(これは、いくつかの実施形態において、チューブを調製する方法において使用され得るが、以下により十分に説明される。)を含まない。
【0023】
本明細書で提供される押出チューブは、一般に、典型的なPTFEチューブ(一般的には、製造後の二次工程として所望の強度を提供し、その強度を高めるために延伸される)によって示される高い機械方向の配向を示さない。標準的なフリーの押出しライナーはまた、それ自体を形成するために使用されるペースト押出しプロセスによって課される固有の機械方向の配向のために強靭である。典型的には、押出しチューブは、機械方向に少なくとも部分的に、例えば実質的に整列したPTFE小繊維を有する。本明細書に提供されるチューブは、いくつかの実施形態において、独特の柔軟性を示すことができ、例えば、ある種のカテーテル用途を含むが、これらに限定されない、チューブが角及び湾曲部を曲がらなければならない用途において、特に有用である。ポリマー分子の配向度を定量するいくつかの方法には、X線回折、示差走査熱量測定(DSC)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法、ラマン分光法及び複屈折分光法が含まれるが、これらに限定されない。引張試験は、高分子材料の配向を定性的に同定するための間接的方法でもある。
【0024】
一例として、小繊維の配向の程度は、いくつかの実施形態において、ラマン分光法を用いてPTFE押出し物中で定量することができる。ほとんど又は全く配向していない材料の場合、ラマン分光法は、一般に、2つの偏光幾何学的配置(つまり、押出し方向に平行又は垂直)の間の全てのラマンシフトにおける散乱強度の差を示さず、好ましい配向(等方性)がないことを示す。配向を示す押出材料の場合には、主要なラマンシフトにおける2つの偏光形状の間に散乱強度の差がしばしば存在する。したがって、いくつかの実施形態では、2つの偏光形状間の主要なラマンシフトにおけるラマン散乱強度の比を使用して、好ましい小繊維配向の指標(例えば定量的尺度)を提供することができる。1の比率は等方性又は優先配向のないことを示す。一方、比率が1より大きい場合は、押出方向に平行な方向の優先配向を示す。
【0025】
本明細書に提供されるチューブは、一般に剛性が低く(例えば、約37℃の体温で)、体内での使用に適している。
【0026】
上述のチューブの実施形態(参照される平均壁厚を有する)は、特定の温度で種々の貯蔵弾性率値を有することができる。一定範囲の温度(以下の特定の値を含むが、これらに限定されない)にわたる貯蔵弾性率値は、図7及び図8に明確に示され、図9と10に示す拡大/拡大図でより明確になっている。そのような管の実施形態のいくつかは、37℃で100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満の貯蔵弾性率を有する。いくつかのチューブは、37℃で90ksi(すなわち、90,000psi未満)未満、80ksi(すなわち、80,000psi未満)未満、又は70ksi(すなわち、70,000psi未満)未満の貯蔵弾性率を有する。
【0027】
特定のチューブの実施形態は、21℃から37℃までの範囲の温度の全ての温度で100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満の貯蔵弾性率を示し、例えば、限定されないが、いくつかのチューブは、35℃で100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満の貯蔵弾性率を有する。30℃での貯蔵弾性率が100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満のチューブもあり、25℃での貯蔵弾性率が100ksi(すなわち、10万psi未満)未満のチューブもあり、23℃で貯蔵弾性率が100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満のチューブもあり、又21℃で貯蔵弾性率が100ksi(すなわち、100,000psi未満)未満のチューブもある。
【0028】
例えば、本明細書で提供されるいくつかのチューブは、23℃で約20,000psiから約100,000psi、例えば、23℃で約30,000 psiから約100,000psi、23℃で約40,000psiから約100,000psi、又は23℃で約50,000psiから約100,000psiの貯蔵弾性率を有する。本明細書で提供されるいくつかのチューブは、37℃で約20,000psiから約100,000psi、例えば、37℃で約30,000psiから約100,000psi、37℃で約40,000psiから約100,000psi、37℃で約20,000 psiから約90,000psi、37℃で約20,000 psiから約80,000psi、又は37℃で約20,000psiから約70,000psiの貯蔵弾性率を有する。
【0029】
いくつかの実施態様において、室温(~23℃)から体温(37℃)までを含む21℃から体温(37℃)までの間で、開示されたチューブ(例えば、基準平均壁厚及び/又は一般貯蔵弾性率の値が上記)は、約3,000psi/℃(3ksi/℃)以下であって残存する、温度変化に対する感度が低い貯蔵弾性率を示す。このようなチューブのいくつかは、21℃と37℃との間、より具体的には23℃と37℃との間で、貯蔵弾性率の変化を示し、2,800psi/℃以下、2,500 psi/℃以下、2,200psi/℃以下、2,000psi/℃以下、又は1,800psi/℃以下(例えば、23℃と37℃との間の貯蔵弾性率の変化が1,000psi/℃から3,000psi/℃、例えば1,000psi/℃から2,000psi/℃)である。ある種のそのようなチューブでは、これらの温度値(すなわち、23℃と37℃の間)間の貯蔵弾性率の総変化は、約10,000psiから約30,000psi又は約10,000psiから約25,000psiなど、約30,000psi以下(例えば、約25,000psi以下)である。いくつかの実施態様において、チューブは、それらと同様の柔軟性を有することができる。同様の特徴(例えば、同程度の大きさ、壁の厚さ等)を有する浸漬被覆PTFEライナーによって示される。
【0030】
本開示に記載されるチューブは、いくつかの実施形態において、(例えば、参照された平均壁厚値及び貯蔵弾性率値に加えて)中程度と考えられる引張強度を有する。いくつかの実施態様において、PTFEチューブは、約5,000psi(約5ksi)以上の破断時の引張強さを有する。さらに、いくつかの実施態様において、チューブは、5%伸びで約3,000psi以下の引張応力値及び10%伸びで約4,000psi以下の引張強度値を有する。特定の実施形態では、製品はまた、平均引張弾性率が100ksi以下である第一のセグメントと、25ksi以下であるが2,500psiより大きい引張弾性率を有する第二のセグメントとを有するとともに0から50%の伸びの間に2つの別個のセグメントを有する特徴的な引張曲線を有する。
【0031】
いくつかの実施態様において、PTFEチューブは、高い潤滑性及び耐摩耗性を有する。このような特徴は、様々な方法で特徴付けることができる。一般的に、摩耗とは摩擦による材料の摩耗であると理解されている。摩擦は、初期材料をこすったり、引っ掻いたりすることによって発生する。耐摩耗性は、摩擦が表面に加わったときに摩耗を防ぐ材料特性である。耐摩耗性は、材料依存性及び加工依存性であると理解されている。
【0032】
摩耗及び擦り切れを定量化するために使用される方法は、試料の形状及び用途に応じて様々である。特定の実施形態では、試験される材料又は試料は、2つの表面が接触するように、別の材料に対して位置決めされる。一方の材料は、指定されている限りほとんど何でもかまわない。一般的な材料には、研磨された金属表面、金属ピン、サンドペーパー、又は同じ材料が含まれる。そして、接触面間に摩擦が生じるように一方又は両方の材料を移動させる。テスト方法に応じて、一定時間後、定義された回数、又は指定された不良モードに達するまで、テストの終了を定義できる。一部の破壊モードには、一定の質量損失、初期材料厚さに対する一定の材料厚さの減少、引張特性損失、又は絶縁特性損失が含まれる。選択した試験方法にかかわらず、2つ以上の材料の相対的耐摩耗性は、2つのサンプルを同じ試験条件に供し、試験条件が試験材料に及ぼす影響を比較することによって決定することができる。本開示のチューブを定義するために使用することができる耐摩耗性を評価する様々な方法としては、
www.element.com/materials-testing-services/abrasion-and-wear, www.lectromec.com/test/cable-cable-abrasion,及び
https://www.en-standard.eu/csn-en-3475-51l-aerosdace-series-cables-electrical-aircraft-use-test-methods-part-511-cable-to-cable-abrasion/に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。参考として(例えば、ピン摩耗試験(例えば、ASTM G132を使用)、ゴムホイール摩耗試験(例えば、ASTM G65を使用)、テーバー摩耗試験(例えば、ASTM D1044及びASTM D4060を使用)、ブレードオンブロック摩耗試験、医療装置摩耗試験、及びピンオンディスク摩耗試験(例えば、ASTM G99、ASTM G133、及びASTM F732を使用)を含む)が含まれる。もう一つの実例的な方法は、EN3475 Method511であり、これは、一般的に、材料(例えば、本明細書に提供されるワイヤ被覆PTFE又は比較試料)を同じタイプの別のサンプルと接触するように固定具内に配置することを有し、配線間に絶縁不良箇所の電流が検出されるまで、両端を固定し、サンプル自体を振動/摩擦させる。
【0033】
本開示に従って提供されるチューブは、様々な実施形態において、一般的に耐剥離性及び/又は耐摩耗性の問題を有する浸漬被覆チューブを含む市販のチューブよりも高い耐摩耗性及び高い潤滑性を示す。例えば、以下の実施例3から5を参照されたい。さらに、このようなチューブは、様々な実施形態において、例えば、実施例1及び2に示されているように(特に、そこに示されている引張弾性率及びDMA蓄積弾性率データを参照されたい)、従来のPTFE「自由押出し」PTFEライナーよりも高い柔軟性を示す。有利には、このような改良された特性は、本開示のチューブ、特に、薄い平均壁厚のチューブ、例えば、本明細書に記載される範囲内(例:0.001インチ未満)で示される。したがって、チューブは、例えばPTFEカテーテルライナーとしての使用を含めて、広く適用可能である。
【0034】
本開示はさらに、PTFEチューブ、例えば、上述の物理的特性を示すチューブを製造する方法を提供する。この方法は、一般に、ペースト押出プロセスを含み、PTFEは、金属基体上、例えば、ワイヤを含むが、これに限定されない、に押出される。PTFEのペースト押出法は一般的に知られており、次のようないくつかの段階を含む:(1)ペースト調製又は潤滑剤との樹脂混合;(2)前処理;(3)ペースト押出;(4)脱気;(5)焼結である。本明細書に開示されるワイヤコーティングペースト押出物に適した微粉末PTFE樹脂は、典型的には非ホモポリマーであり、>300の還元比で押出され得る。この目的に適した例示的な樹脂としては、ダイキンF205、F201、F201L、F208、及びF207樹脂、ダイノンTF2071、TF2072、及びTF2053樹脂、ケモアステフロン640XT X、641XT X、CFP6000 X、62XT X、6C X、及び6CN X、ならびに旭硝子CD090E、及びCD097Eが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の製品及び方法は、そのような樹脂に限定されず、任意のPTFE樹脂を本開示の範囲内で合理的に使用することができることを理解されたい。例えば、Fluoroplastics,Vol.1(エブネサジャド、サウスダコタ州(アメリカ合衆国))、Applied Polymer Rheology (Kontopoulou,M)、Processing of Dyneon PTFE Fine powder (3M(商標) Dyneon(商標))、Processing Guide:Fine Powder PTFE (INOFLON)、Paste Extrusion of Polytetrafluoroethylene fine powder resin (Ariawan, A.B.,Ph.D.ブリティッシュコロンビア大学博士論文)、Ohshika他に対する米国特許第10,183,098号,及びInamoto他に対する米国特許第8,377,352号)、を参照されたい。これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
PTFE微粉末は、冷蔵して取り扱いに注意しても、輸送・保管時にわずかに圧縮されるため塊状になる。冷たい樹脂を粗い金網でふるいにかけると、これらの塊を崩すのに役立つ。PTFE微粉末は剪断されるため、取り扱いには細心の注意が必要である。いくつかの実施形態では、PTFE微粉末を押し出すために、アイソパー(C、E、G、H、J、K、L、M、N、P、V)、ノベック(7100、7200、7300、7500、7700)、ナフサ、シェルゾル340HT、シェルゾル142HT、ミネラルスピリット200HT、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロ-2-ブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロ-2-ブチルエーテル、ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)-、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデフルオロヘキサン、フラン、2,3,3,4,4-ペンタフルオロテトラヒドロ-5-メトキシ-2,5-ビス[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル]-、パーフルオロオクタン、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロトリブチルアミン、1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロ-N,N-ビス(ノナフルオロブチル)ブタン-1-アミン、C5-18,Perfluoro N-Alkyl Morpholimes、3M(商標)Fruorinert(FC-770、FC-3283、FC-40、FC-43、FC-70、FC-75、FC-77)などのような潤滑剤又は有機溶媒と均一に混合される。用いられる潤滑材は開示される方法の文脈に特に限定されない。例えば、Fluoroplastics,Vol.1(エブネサジャド、サウスダコタ州(アメリカ合衆国))、Applied Polymer Rheology(Kontopoulou,M)、 Processing of Dyneon PTFE Fine powder(3M(商標)Dyneon(商標))、 Processing Guide:Fine Powder PTFE(INOFLON)、Paste Extrusion of Polytrafluoro ethylene (Ariawan, A.B., Ph.D.ブリティッシュコロンビア大学博士論文)、3M(商標) Thermal management fluids(3M)、U.S.Patent No.10,183,098 to Ohshika他, and U.S.Patent No.8,377,352 to Inamoto他.を参照されたい。その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
潤滑剤含有量は、一般に(しかし、これに限定されないが)混合物の全体積に対して約35から45%である。潤滑剤の含有量は、脱揮発工程での脱離が容易かつ迅速になるようにできるだけ低くすべきであるが、押出圧力が過度に高くなるほど低くすべきではない。これはPTFEの薄壁の押出でしばしば問題となる。ペースト混合物中の潤滑剤の量を増加させることは、押出機圧力を妥当な/最大限度内に維持するのに役立つ。濡れ性/表面張力及び粘度は、PTFEペースト押出の圧力に大きな影響を与え得る潤滑剤の2つの特性であり、従って、それらに応じて変更することができる。PTFEをさらに濡らす潤滑剤は、押出機の圧力を下げるのに役立つ。同様に、粘度の低い潤滑剤を使用すると、押出機の圧力を下げることができる。
【0037】
押出工程の前に、押出物中の欠陥を防止するために、PTFE/潤滑剤ペーストから少なくともいくらかの空気(有利には、できるだけ多くの空気)を除去することが一般に重要である。したがって、予備成形工程において、混合物は、典型的には、予備成形物又はビレットと呼ばれる形状(例えば、円筒形状)にプレスされる。これらの予備成型物は一般的に非常に弱く、容易に破損又は変形する可能性があるため、取り扱いには注意が必要である。予備成型は、有利には、潤滑剤の蒸発を防止するために、製造直後(例えば、直ちに)に押出機に装填される。
【0038】
特定の実施形態では、円筒状の予備成形物は、ペースト押出機の押出シリンダー/バレルに挿入され、次いで、ラムの助けを借りてダイを通してプレスされる。チューブ及びワイヤの押出しは、一般に、後部に取り付けられたバレル内にマンドレルの存在を必要とする。本開示によれば、金属基板(例えばワイヤ)は、このマンドレルを介して供給される。このペースト押出プロセスに使用される金属基板(例えばワイヤ)の材料は、特に限定されず、いくつかの実施形態では、銅(例えば、アニールされた銅ワイヤ)、めっき銅(例えば銀めっき銅線)、ニッケル、ステンレス鋼、ニチノールなどであり得る。
【0039】
押出されたペースト材料は、押出機ヘッドを通して案内されるワイヤを同時に被覆する。好ましい実施形態では、加工中に押出圧力が変化すると同時に、その機械設計は、ラム速度及び押出速度が一定のレベルに維持されることを保証する。
【0040】
押出後、絶縁体/PTFE被覆における残留潤滑剤は、潤滑剤/溶剤の沸点以上に加熱して完全に除去されればならない。この工程は、例えば、生産物を脱揮発炉に通す(又は生産物をその中に入れる)ことによって行われる。
【0041】
脱揮発後、生産物は通常PTFEの融点(約345℃)以上に設定した焼結炉で加熱する。生産ライン速度及びPTFE層の厚さに依存して、オーブンは一般的にこの温度よりもかなり高い温度に設定される。焼結炉内の製品に潤滑剤が完全に含まれていないことが重要である。焼結炉では、PTFE粒子が溶融して付着する。製品が冷却されると(例えば、焼結炉から出る/取り出される際に)、PTFEは溶融状態から固体状態になる。このようにして設けられたPTFE層/コーティングは、そこから除去されたPTFEチューブに関して本明細書に記載したような物理的特性(例:壁厚、貯蔵弾性率値、引張強度特性)を有利に有することができることが理解される。
【0042】
次に、冷却されて被覆されたワイヤを延伸し、ワイヤからPTFE被覆が除去される。PTFEコーティングを除去するための1つの方法は、コーティングされたワイヤの2つの遠位位置におけるPTFEコーティングの小部分の除去を含み、金属ワイヤを露出させる。露出した2つの金属位置をクランプし(例えば、インストロン引張機を使用して)、ワイヤを引き伸ばすことができる。この工程の間に目標とされる延伸の程度は、通常、少なくとも約5%であり、最大延伸パーセンテージは30%である(又は、ワイヤが破断する直前まで、または被覆ワイヤの外径がPTFEと金属ワイヤとの結合を破断するのに十分に小さくなるまで)。ワイヤが十分に引き伸ばされると、PTFEコーティングは通常、チューブ状に容易に滑り落ちる。除去されたコーティングは、独立したチューブ(長さL)の形態であることが好ましい。このチューブは、例えば、特定の用途のために、所望により、長いチューブをより短い長さ1に切断することによって、任意に加工することができる。
【0043】
本発明者らは、ワイヤのような金属基板上にPTFEを押出して、PTFE小繊維の機械方向の配向性がほとんど導入されないことを見出した。この特徴は、例えば、高い機械方向配向性を示す自由押出チューブとは対照的である。このようにPTFEコーティングを押出すこと/焼結すること、次いでコーティングを除去することによって、(本明細書で上述したように)特に有益な特性の組み合わせを示すチューブを容易に得ることができる。特に、本発明者らは、非常に低い壁厚を有するチューブがこのようにして得られ、これは、上に概説した強度及び柔軟性の特徴を示し、非常に薄い壁のPTFEチューブを製造するための特に有益な手段、例えばカテーテル用途に使用するための手段を提供することを予期せずに発見した。
【実施例
【0044】
PTFEチューブは、以下に記載された具体的な実施例に従って調製した。Bluehill 3 v3.73.4823オペレーティングシステムを実行するインストロン5965デュアルコラムメカニカルテスターを用いて、PTFEチューブの引張特性を測定した。テストは、2インチゲージ長に設定された滑らかな面の差し込みを有する空気圧式グリップに取り付けられた20Ibfロードセルを使用して、2インチ/分の速度で実施された。少なくとも5つの試料を試験し、平均の結果を図2の表に報告する。解析中、最初のセグメントの引張弾性率を決定するために、0から5%の伸び/引張ひずみの間に直線を当てはめた。第二セグメントの引張弾性率を決定するために、10から50%の伸び/引張ひずみの間に直線を当てはめた。比較例1及び2は、第2の別個のセグメントを有さなかった。その結果、10から50%の引張ひずみの間で直線を適切にフィットさせることができず、結果として第二セグメントの弾性率データが得られなかった。
【0045】
膜張力の取り付け具(film tension fixture)を有するティーエイインスツルメントのQ800 DMAを用いて、金属コアから分離されたPTFEチューブの熱機械的特性を測定した。関心の主な特性は貯蔵弾性率(E’)であった。-100℃から300℃までの温度走査を等温保持下で-100℃で5分間行った。試料を3℃/分の一定速度で加熱し、 1Hzの固定周波数引張振動で15pmの一定振幅で変位させた。得られたDMAデータをティーエイインスツルメントのTRIOSソフトウェアv4.3に導入した。実施例1の特性を比較例1、4、及び5(下記参照)と比較するデータを図3及び4(10は実施例1を表し、12は比較例1を表し、14は比較例4を表し、16は比較例5を表す)に示す。実施例2の特性を比較例2及び3(下記参照)と比較するデータを図5及び6((18は実施例2を表し、20は比較例2を表し、22は比較例3を表す)に示す。製造された全てのチューブ(実施例1及び2、並びに全ての比較例を含む)の貯蔵弾性率特性を図7から11(24は実施例1を表し、26は実施例2を表し、28は比較例1を表し、30は比較例2を表し、32は比較例3を表し、34は比較例4を表し、36は比較例5を表す)に示す。
【0046】
実施例1:
PTFEペースト押し出しプロセスで(中~高還元率低分子量の等級の樹脂を用いて)、0.0005インチ厚のPTFE層を、アニールされた0.0169インチODの銅ワイヤ上に押し出し、続いて潤滑剤を蒸発させ、ワイヤ上でPTFEを焼結させた。PTFE層の厚さは以下のように測定した。被覆ワイヤの外径(OD)をレーザで測定した。PTFEコーティングは、ワイヤを伸ばすことなく1箇所で除去した。露出したワイヤのODをレーザで測定した。これらのOD値に基づいて、PTFE管の壁厚を計算した。ワイヤとPTFE層との間に空隙が存在しないこと、コーティングは平滑であり、ワイヤと良好に結合されていることを確認した。次に、アニールされた被覆されたワイヤは、上記したように延ばされ、PTFEコーティング(チューブ状)は、PTFE層を変形させたり損傷させたりすることなくワイヤから除去され、チューブ状の独立したPTFE製品を得た。次いで、この試料を、例えば引張及びDMA試験のために適当な長さに切断した。図3及び4を参照。
【0047】
実施例2
実施例1に記載したプロセスは、使用した金属コアが、外径/ODが0.071インチの焼きなまし銅ワイヤであることを除いて、PTFEチューブを製造するためにも使用した。引張試験とDMA試験もこの試料で行った。図参照。5及び6参照。
【0048】
比較例1
ワイヤ基材が使用されなかったことを除き、実施例1及び2のプロセスに概略基づいて、PTFEペースト押し出しプロセスを使用して、IDが0.0167インチであり、壁厚が0.00057インチである薄壁PTFEチューブ(「自由押し出しチューブ」)を製造した。引張試験とDMA試験もこの試料で行った。
【0049】
比較例2
比較例1で参照したPTFEペースト押し出しプロセスを使用して、IDが0.0684インチ、壁厚が0.00052インチの薄い壁PTFEチューブを作製した。引張試験とDMA試験もこの試料で行った。
【0050】
比較例3
PTFE浸漬被覆/キャストフィルムプロセスを用いて、0.071インチの外径を有するアニールした銅ワイヤ上にPTFE層を被覆した。PTFE層の厚さは、以下のように測定し、0.00068であった。被覆ワイヤの外径(OD)をレーザで測定した。PTFEコーティングは、ワイヤを伸ばすことなく1箇所で除去した。ODを再びレーザで測定した。これらのOD値に基づいて、PTFEチューブの壁厚を計算した。ワイヤとPTFE層との間に空隙が存在しないこと、コーティングは平滑であり、ワイヤとよく結合されていることを確認した。その後、アニールしたワイヤを延伸し、PTFE層を変形又は損傷することなく除去した。このようにして得られたPTFE製品はチューブ状であった。次に、このサンプルを引張試験及びDMA試験のために適当な長さに切断した。
【0051】
比較例4
比較例3と同様のプロセスを用いて、外径0.0169インチのアニールした銅線上にPTFE層を被覆した。PTFE層の厚さは0.00057インチであった。その後、アニールしたワイヤを延伸し、PTFE層を変形又は損傷することなく除去して、チューブ状のPTFE製品を得た。次に、このサンプルを引張試験及びDMA試験のために適当な長さに切断した。
【0052】
比較例5
これは競争力のあるサンプルであり、外部業者から調達したものであり、PTFE層の厚さが0.00067インチである0.0169インチの外径を有するアニールされた銅ワイヤ上にPTFE層を有していた。アニールしたワイヤを延伸し、PTFE層を変形又は損傷することなく除去した。このようにして得られたPTFE製品はチューブ状であった。次に、このサンプルを引張試験及びDMA試験のために適当な長さに切断した。
【0053】
結果
図2から6に示すように。実施例1及び2(それぞれ、線10と18)は、比較例のサンプルと比較して、「中間の」引張強度を有した。実施例1と2の両方について、引張強度は、10%の伸びで4000psi以下であった。図のデータに示されるように。実施例1及び実施例2(それぞれ、線24と26)は、23℃及び37℃を含む21℃から37℃の間の全ての温度で100,000psi未満の貯蔵弾性率を有した。これらの実施例は、23℃から37℃までの貯蔵弾性率の全体的な変化が約30,000psi以下(例えば、約25,000psi以下)であり、及び/又は23℃と37℃との間の貯蔵弾性率の変化が3,000psi/℃以下であった。
【0054】
本発明の多くの変更及び他の実施形態は、本発明が関連する当業者には、前述の説明に提示された教示の利点を有することが想起されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用するが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】