(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ニーム抽出物並びにウロリチンA及びBの相乗作用組み合わせの抗糖尿病活性
(51)【国際特許分類】
A61K 36/58 20060101AFI20220805BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220805BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20220805BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A61K36/58
A61P3/10
A61K31/047
A61K31/353
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524012
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 US2019059774
(87)【国際公開番号】W WO2020097014
(87)【国際公開日】2020-05-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505208444
【氏名又は名称】ナトレオン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーララガヴァン,ムルガナンダム,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】セン,チャンダン,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】カリディンディ,サニャーシ,アール.
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA02
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4C206NA14
4C206ZC35
(57)【要約】
ウロリチンA及びウロリチンBを含む組成物を投与することによりヒト対象における2型糖尿病の症状を治療する方法が提供される。ニーム抽出物を含む組成物を投与することによりヒト対象における2型糖尿病及びメタボリックシンドロームの症状を治療する方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2型真性糖尿病を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、食後血糖又は空腹時血糖を低減させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記血糖を、プラセボと比較して約20%だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約62.5mg~約3000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約125mg~約2000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約250mg~約1000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約8週間~約12週間にわたり投与することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記水性抽出物は、前記組成物の総重量に基づき約3重量%の総フラボノイド及び7重量%以上のミオイノシトール一リン酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、さらに、HbA1cをプラセボと比較して約20%だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、さらに、HOMA-IRにより測定されるインスリン抵抗性を、プラセボと比較して50%超だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項10】
2型真性糖尿病を罹患する糖尿病個体における内皮機能不全を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる前記個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、内皮機能を改善することを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体における一酸化窒素(NO)の血中レベルの少なくとも約10~12%の増加が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体におけるグルタチオン(GSH)の血中レベルの少なくとも約15~20%の増加が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体におけるマロンジアルデヒド(MDA)の血中レベルの少なくとも約8~12%の減少が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体におけるC反応性タンパク質(hsCRP)の血中レベルの少なくとも約20%の減少が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体におけるインターロイキン-6(IL-6)の血中レベルの少なくとも約10%の減少が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法において、前記改善される内皮機能としては、前記糖尿病個体におけるTNF-アルファの血中レベルの少なくとも約9%の減少が挙げられることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約62.5mg~約3000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項10に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約125mg~約2000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項10に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約250mg~約1000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項10に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約8週間~約12週間にわたり投与することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項10に記載の方法において、前記水性抽出物は、前記組成物の総重量に基づき約3重量%の総フラボノイド及び7重量%以上のミオイノシトール一リン酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
メタボリックシンドロームの症状を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、食後血糖又は空腹時血糖を低減させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記血糖を、プラセボと比較して約4~6%だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約62.5mg~約3000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約125mg~約2000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約250mg~約1000mgの1日用量範囲で提供することを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、インドセンダン(Azadirachta indica)の前記水性抽出物を、約8週間~約12週間にわたり投与することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法において、前記水性抽出物は、前記組成物の総重量に基づき約3重量%の総フラボノイド及び7重量%以上のミオイノシトール一リン酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法において、さらに、HbA1cをベースラインと比較して前記個体において約2%だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項22に記載の方法において、さらに、HOMA-IRにより測定されるインスリン抵抗性を、ベースラインと比較して前記個体において10%超だけ低減させることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項22に記載の方法において、さらに、内皮機能を改善し、それとしては、前記個体におけるC反応性タンパク質(hsCRP)の血中レベルの少なくとも約10%の減少が挙げられることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニーム抽出物を使用する2型糖尿病及びメタボリックシンドロームの症状の改善に関する。本発明はまた、ウロリチンA及びウロリチンBの組み合わせを使用する2型糖尿病の症状の改善に関する。本発明はまた、ニーム抽出物を使用し、並びにウロリチンA及びウロリチンBの組み合わせを使用して血糖レベルを低減させる方法に関する。ウロリチンA(3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン)及びウロリチンB(3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン)の相乗作用組み合わせが、特に有効な比で提供される。特定の濃度のニーム抽出物も提供される。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、世界的に蔓延しつつある。糖尿病を管理するために利用可能ないくつかの処方薬の利用可能性にかかわらず、副作用をほとんど有さず、又は全く有さず、追加の利益を有するより良好な医薬が常に必要とされている。天然産物はこのような欠陥を満たし得るが、それらが天然産物であるという理由だけでなく、ヒトがそれらを囲う植物と同時進化してきたため、その結果として、それらの身体は天然産物のホリスティックな治癒特性により良好に応答し得る。このような天然産物の2つのクラスは、(1)ニーム(インドセンダン(Azadirachta indica))抽出物;並びに(2)それぞれ化学的に3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロンとしても公知であるウロリチンA及びBである。
【0003】
ウロリチンは、堆積岩からの腐植質滲出液に由来するシラジット中に存在する生物活性剤である。新たな研究は、これらの分子が、動物の胃腸管中の微生物叢により生成されるエラジタンニンの代謝産物でもあることを示している。本研究において、驚くべきことに、3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロンの特定の比における組み合わせが、相乗作用的な有意な抗糖尿病効果を示す一方、遺伝性糖尿病動物において個々のウロリチンが有意な効果を有さないことが見出された。ストレプトゾトシン誘導糖尿病動物において、両方のウロリチンは、抗糖尿病活性を示した。
【0004】
インドセンダン(Azadirachta indica)は、ニーム、ニツリー(nitree)、又はインディアンライラックとして一般に公知であり、センダン科(Meliaceae)マホガニーの樹木である。これは、アザディラクタ属(Azadirachta)の2つの種の一方であり、インド亜大陸、すなわち、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、及びモルディブを原産とする。これは、典型的には、熱帯及び亜熱帯地域中で生長する。ニーム樹木は、イラン南部に位置する島部でも生長する。この果実及び種子は、ニーム油の資源である。
【0005】
ニーム樹木から作製される産物は、それらの医薬特性のために二千年にわたりインドにおいて使用されてきた。ニーム産物は、シッダ医学並びにアーユルベーダ及びユナニ医学における主成分とみなされ、特に皮膚疾患のために処方される。ニーム油は健常な毛髪、肝機能の改善、血液の解毒、血糖レベルの平衡のためにも使用される。ニーム葉は、湿疹及び乾癬などの皮膚疾患を治療するためにも使用されている。
【0006】
ニーム抽出物は、多くの前臨床研究、例として、糖尿病に関する研究の対象である。本研究において、ニーム葉及び小枝の水性抽出物を、ストレプトゾトシン誘導糖尿病動物における、及び遺伝性糖尿病動物におけるその抗糖尿病活性について判定した。多くの産物は、ストレプトゾトシン誘導糖尿病動物に対して機能するが、遺伝性インスリン欠損動物に対しては機能せず;しかしながら、本出願の抽出物は、両方のタイプの動物において機能した。
【0007】
2型真性糖尿病(2型糖尿病としても公知)は、高血糖、インスリン抵抗性、及びインスリンの相対的欠落を特徴とする長期代謝障害である。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるCauses of Diabetes,NATIONAL INSTITUTE OF DIABETES & DIGESTIVE & KIDNEY DISEASES(June 2014)参照。一般的な症状としては、口渇の増加、頻尿、及び原因不明の体重減少が挙げられる。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるDiagnosis of Diabetes and Prediabetes,NATIONAL INSTITUTE OF DIABETES & DIGESTIVE & KIDNEY DISEASES(June 2014)参照。症状としては、空腹感の増加、疲労感、及び治癒しない疼痛も挙げることができる。症状は緩慢に生じ始めることが多い。高血糖からの長期合併症としては、心疾患、卒中、盲目をもたらし得る糖尿病性網膜症、腎不全、及び切断をもたらし得る四肢の血流不良が挙げられる。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるDiabetes Fact Sheet,WORLD HEALTH ORGANIZATION(August 2011)参照。高浸透圧高血糖状態の突然発症が生じ得;しかしながら、ケトアシドーシスは希少である。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるF.J.Pasquel & G.E.Umpierrez,Hyperosmolar hyperglycemic state:a historic review of the clinical presentation,diagnosis,and treatment,37 DIABETES CARE 3124(2014);O.A.Fasanmade,et al.,Diabetic ketoacidosis:diagnosis and management,37 AFRICAN J.OF MEDICINE & MEDICAL SCIS.99(2008)参照。
【0008】
2型糖尿病は主に、肥満及び運動不足の結果として生じる。一部の人々は、他の人々よりも遺伝的にリスクがある。2型糖尿病は糖尿病の症例の約90%を占め、他の10%は主に1型真性糖尿病及び妊娠性糖尿病に起因する。1型真性糖尿病において、膵臓中のインスリン産生ベータ細胞の自己免疫誘導損失に起因して対照血糖に対するインスリンの低い総レベルが存在する。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるTHE AUTOIMMUNE DISEASES 575(Ian MacKay & Noel Rose,eds.,Academic Press 2014);Chapter 17:Pancreatic hormones & diabetes mellitus,in GREENSPAN’S BASIC & CLINICAL ENDOCRINOLOGY(9th ed.,David G.Gardner & Dolores Shoback,eds.,McGraw-Hill Medical 2011)参照。糖尿病の診断は、血液試験、例えば、空腹時血漿グルコース、経口糖負荷試験、又は糖化ヘモグロビン(A1C)による。
【0009】
2型糖尿病は、標準体重を保ち、定期的に運動し、適切に摂食することにより部分的に予防可能である。治療は、運動及び食事変更を伴う。血糖レベルが適切に低下しない場合、典型的には医薬メトホルミンが推奨される。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるN.M.Maruthur,et al.,Diabetes Medications as Monotherapy or Metformin-Based Combination Therapy for Type 2 Diabetes:A Systematic Review and Meta-analysis,164 ANNALS OF INTERNAL MEDICINE 740(2016);A.Saenz,et al.,Metformin monotherapy for type 2 diabetes mellitus,COCHRANE DATABASE OF SYSTEMATIC REVIEWS(2005)参照。多くの人々は、最終的にはインスリン注射も要求し得る。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるA.J.Krentz & C.J.Bailey,Oral antidiabetic agents:current role in type 2 diabetes mellitus,65 DRUGS 385(2005)参照。インスリンを受けている者において、血糖レベルの定型的な確認が助言され;しかしながら、これは抗糖尿病ピル剤を服用している者において必要とされ得ない。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるU.L.Malanda,et al.,Self-monitoring of blood glucose in patients with type 2 diabetes mellitus who are not using insulin,COCHRANE DATABASE OF SYSTEMATIC REVIEWS(2012)参照。減量外科手術は、肥満の者において糖尿病を改善することが多い。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるS.Cetinkunar,et al.,Effect of bariatric surgery on humoral control of metabolic derangements in obese patients with type 2 diabetes mellitus:How it works,3 WORLD J.OF CLINICAL CASES 504(2015);S.Ganguly,et al.,Metabolic bariatric surgery and type 2 diabetes mellitus:an endocrinologist’s perspective,29 J.OF BIOMEDICAL RESEARCH 105(2015)参照。
【0010】
2型糖尿病の割合は、肥満と並行して1960年以降、顕著に増加している。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるSusan Moscou,Getting the word out:advocacy,social marketing,and policy development and enforcement,in MARIE TRUGLIO-LONDRIGAN & SANDRA B.LEWENSON,PUBLIC HEALTH NURSING:PRACTICING POPULATION-BASED CARE 317(2d ed.,Jones & Bartlett Learning 2013)参照。2015年時点で、1985年における約3千万人と比較してその疾患と診断されたおよそ3億9千2百万人の人々が存在した。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるGBD 2015 Disease and Injury Incidence and Prevalence,Collaborators,Global,regional,and national incidence,prevalence,and years lived with disability for 310 diseases and injuries,1990-2015:a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015,388 THE LANCET 1545(2016);S.Smyth & A.Heron,Diabetes and obesity:the twin epidemics,12 NATURE MEDICINE 75(2006)参照。典型的には、これは中年又は高齢において発症するが、2型糖尿病の割合は若年層において増加している。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるH.Tfayli & S.Arslanian,Pathophysiology of type 2 diabetes in youth:the evolving chameleon,53 ARQUIVOS BRASILEIROS DE ENDOCRINOLOGIA & METABOLOGIA 165(2009);Giuseppina Imperatore,et al.,Projections of Type 1 and Type 2 Diabetes Burden in the U.S.Population Aged<20 Years Through 2050,35 DIABETES CARE 2515(2012)参照。2型糖尿病は、10年短い平均余命を伴う。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるWILLIAMS TEXTBOOK OF ENDOCRINOLOGY 1371(12th ed.,Shlomo Melmed,et al.,eds.,Elsevier/Saunders)参照。
【0011】
糖尿病を管理するために利用可能ないくつかの処方薬の利用可能性にかかわらず、副作用をほとんど有さず、又は全く有さず、追加の利益を有するより良好な医薬が常に必要とされている。天然産物はこのような欠陥を満たし得るが、それらが天然産物であるという理由だけでなく、ヒトがそれらを囲う植物と同時進化してきたため、その結果として、それらの身体は天然産物のホリスティックな治癒特性により良好に応答し得る。このような天然産物の2つのクラスは、(1)ニーム(インドセンダン(Azadirachta indica))抽出物;並びに(2)それぞれ化学的に3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロンとしても公知であるウロリチンA及びBである。
【発明の概要】
【0012】
一実施形態において、2型糖尿病の症状を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、プラセボと比較して食後血糖若しくは空腹時血糖を低減させ、及び/又はHbA1cを低減させることを含む方法が記載される。一実施形態において、メタボリックシンドロームの症状を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、プラセボと比較して食後血糖又は空腹時血糖を低減させ、内皮機能を改善する一方、ベースラインと比較してHbA1c及びhsCRPを減少させることを含む方法が記載される。
【0013】
別の実施形態において、2型真性糖尿病を罹患する糖尿病個体における内皮機能不全を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、インドセンダン(Azadirachta indica)の水性抽出物を含む治療有効量の組成物を投与し、内皮機能を改善することを含む方法が記載される。
【0014】
別の実施形態において、2型糖尿病の症状を治療し、又は予防する方法において、それが必要とされる個体に、ウロリチンA及びウロリチンBの組み合わせを含む治療有効量の組成物を投与することを含む方法が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、ニーム抽出物(50mg/kg)、ウロリチンA(10mg/kg)、及びウロリチンB(2mg/kg)の補給の0、4、5、6、及び7週間後の空腹時血糖(「FBG」)に対する効果を表す棒グラフを示す。棒は、群の平均±SD(それぞれの群においてn=3~5)を表す。棒グラフ凡例は、左側から右側まで読まれ、以下のとおりデータ棒の順序に対応し、左側から右側に見て(1)プラセボ、(2)ニーム、(3)3,8-ジ-OH-DBP、(4)3-OH-DBP、(5)3,8-ジ-OH-DBP+3-OH-DBPである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ニーム産物は、シッダ医薬並びにアーユルベーダ及びユナニ医薬における主成分とみなされ、特に皮膚疾患のために処方される。ニーム油は健常な毛髪、肝機能の改善、血液の解毒、血糖レベルの平衡のためにも使用される。ニーム葉は、湿疹及び乾癬などの皮膚疾患を治療するためにも使用されている。ニーム抽出物は、多くの前臨床研究、例として、糖尿病に関する研究の対象である。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、糖尿病の症状、例として、限定されるものではないが、高血糖レベルを罹患するヒト個体の治療におけるニーム抽出物の有用性を実証する。
【0018】
ニーム(インドセンダン(Azadirachta indica))樹木は、インドでは神聖なものとみなされ、インド亜大陸において遍在する。この樹木の様々な部分は様々な生物活性構成要素を提供し、それとしては、アザジラクチン、ニンボリニン、ニンビン、ニンビジン、ニンビドール、ニンビン酸ナトリウム、ゲデュニン、サラニン、及びクエルセチンが挙げられる。葉は、ニンビン、ニンバネン、6-デスアセチルニンビネン、ニンバンジオール、ニンボリド、アスコルビン酸、n-ヘキサコサノール及びアミノ酸、7-デスアセチル-7-ベンゾイルアザジラジオン、7-デスアセチル-7-ベンゾイルゲデュニン、17-ヒドロキシアザジラジオン、及びニンビオールのような成分を含有する。クエルセチン及びβ-シトステロール、ポリフェノール性フラボノイド、新葉は、抗菌及び抗真菌特性を有することが公知であり、種子は、有価な構成要素、例として、ゲデュニン及びアザジラクチンを保持する(Mohammad A.Alzohairy,“Therapeutics Role of Azadirachta indica(Neem)and its Active Constituents in Diseases Prevention and Treatment,”Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine,Volume 2016,Article ID 7382506,11 pages参照)。この植物の様々な部分並びに様々な抽出溶媒及び方法は、様々な生物活性組成物を有する抽出物を生じさせる。多数の生物学的及び薬理学的活性、例として、抗菌、抗真菌、及び抗炎症、低血糖、抗胃潰瘍、及び抗癌活性が報告されている。ニームは、種々の腫瘍抑制遺伝子(例えば、p53、pTEN)、血管新生(VEGF)、転写因子(例えば、NF-κB)、及びアポトーシス(例えば、bcl2、bax)の活性をモジュレートする。ニームは、炎症促進酵素活性、例として、シクロオキシゲナーゼ(COX)、及びリポキシゲナーゼ(LOX)酵素の調節を介して抗炎症としての役割も担う。
【0019】
本発明の一実施形態において、Natreon,Inc.から入手可能なPhytoBGS(登録商標)は、血糖管理用のインドセンダン(Azadirachta indica)(ニーム)葉及び小枝の水性抽出物(1:1w/wの比)である。前糖尿病における12週間の期間の無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験において、空腹時及び食後血糖レベル並びに内皮機能の尺度の屈折率を12週間の終了までに、500mgのBID用量においてプラセボ群と比較して有意に減少させることが示された。この用量において、これはまた、ベースライン値と比較してHOMAインスリン抵抗性、糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベル、酸化ストレスバイオマーカー、hsCRP、IL-6及びTNF-αを有意に減少させた。
【0020】
PhytoBGS(登録商標)は、既に安定的用量のメトホルミンを受けている2型糖尿病患者(T2DM)における別の12週間の期間の無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験においても、空腹時及び食後血糖レベル、HOMAインスリン抵抗性、HbA1c、hsCRP及び全ての酸化ストレスパラメータを、試験された全ての用量、125mg、250mg及び500mg BIDにおいて、12週間の終了時に有意に改善することが本明細書において示された。本試験において、試験されたパラメータの多くと同様に4週間及び8週間において有意な結果が得られた。
【0021】
一実施形態において、本発明は、ウロリチンA及びウロリチンBを含む組成物において、ウロリチンBとウロリチンAとの重量/重量比は、約0.2:1~約1:1である組成物を記載する。医薬又は栄養組成物は、許容可能な担体又は賦形剤を含めることにより調製することができる。
【0022】
代替的な実施形態において、本発明は、ニーム抽出物を含む組成物を記載する。医薬又は栄養組成物は、許容可能な担体又は賦形剤を含めることにより調製することができる。
【0023】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒト対象における糖尿病の症状を治療する方法における使用のためのものである。
【0024】
糖尿病の症状としては、限定されるものではないが、高血糖レベルを挙げることができる。
【0025】
シラジットは、海洋生物及び微生物代謝産物と混合された岩石の層により圧縮された岩石腐植土、岩石鉱物、及び有機物質から構成される。これは、ヒマラヤ山脈中の岩石から、1000~5000メートルの範囲の高地において、黒色塊状物として滲出し、紀元前3500年まで遡ると、伝統的なインド医学体系であるアーユルベーダにおいてマハラサ(maharasa)(特別な活力剤)と呼ばれている。シラジットは、ジベンゾ-α-ピロン(「DBP」)及びジベンゾ-α-ピロン色素タンパク質とともに、主成分としてフルボ酸を含有する。
【0026】
シラジットの2つの主要なDBP構成要素成分は、3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(「ウロリチンA」、或いは「3,8-(OH)2-DBP」としても公知)及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(「ウロリチンB」、或いは「3-(OH)-DBP」としても公知)である。これらの化合物の両方を、Natreon,Inc.の受託製造所において99%の純度までカスタム合成した。
【0027】
シラジットに由来するフルボ酸複合体は、コア核としての還元及び酸化型の両方の酸化ジベンゾ-α-ピロン(DBP)並びに部分構造単位としてのアシル化DBP及び脂質をフルボ酸(「FA」)とともに含む、天然発生の低及び中分子量の化合物の集合体である。沖積層源に由来するフルボ酸複合体材料はDBPを欠き;その代わり、沖積層のフルボ酸のコア核は安息香酸から構成される。
【0028】
したがって、シラジットの活性成分は、ジベンゾ-α-ピロン及び関連代謝産物、小ぺプチド(非タンパク質アミノ酸を構成する)、いくらかの脂質、及び担体分子(フルボ酸)を含有する。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるS.Ghosal,et al.,Shilajit Part 1-Chemical constituents,65 J.PHARM.SCIS.772(1976);S.Ghosal,et al.,Shialjit Part 7-Chemistry of Shilajit,an immunomodulatory ayurvedic rasayana,62 PURE APPL.CHEM.(IUPAC)1258(1990);S.Ghosal,et al.,The core structure of Shilajit humus,23 SOIL BIOL.BIOCHEM.673(1992);米国特許第6,440,436号明細書(及びそれに引用される参照文献);米国特許第6,869,612号明細書(及びそれに引用される参照文献)参照。
【0029】
シラジット(例えば、PrimaVie(登録商標))は、アーユルベーダにおいて多様な臨床的病態に対して広く使用されている。ヒマラヤ山脈及び隣接地域の孤立した村に住む人々は、何世紀にもわたり、シラジットを単独で又は他の植物治療との組み合わせで使用し、糖尿病に伴う問題を予防し、撲滅してきた。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるV.P.Tiwari,et al.,An interpretation of Ayurvedica findings on Shilajit,8 J.RES.INDIGENOUS MED.57(1973)参照。さらに、これは酸化防止剤であるため、細胞毒性の酸素ラジカルにより誘導される膵島細胞への損傷を予防する。例えば、それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれるS.K.Bhattacharya,Shilajit attenuates streptozotocin induced diabetes mellitus and decrease in pancreatic islet superoxide dismutase activity in rats,9 PHYTOTHER.RES.41(1995);S.K.Bhattacharya,Effects of Shilajit on biogenic free radicals,9 PHYTOTHER.RES.56(1995);S.Ghosal,et al.,Interaction of Shilajit with biogenic free radicals,34B INDIAN J.CHEM.596(1995)参照。糖尿病の間のグルコース、脂肪、及びタンパク質代謝の異常は、高脂血症の発症をもたらすことが提案されている。ある研究において、シラジットは、ラットの脂質プロファイルにおける有意な有益な効果を産生した。例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるN.A.Trivedi,et al.,Effect of Shilajit on blood glucose and lipid profile in alloxan-induced diabetic rats,36 INDIAN J.PHARMACOL.373(2004)参照。
【0030】
考察のとおり、シラジットは種々の疾病を治療するために使用されてきた。これは、性能向上剤としても推奨される。フルボ酸(FA)は、植物の生物学的系、動物、及びヒトにおける多くの重要な役割、例として、(a)ミネラル及び栄養素のバイオアベイラビリティの改善;(b)電解質としての機能;(c)毒性物質、例として、重金属の解毒;(d)酸化防止剤としての機能;並びに(e)免疫機能の改善を誘発することが報告されている。さらに、ジベンゾ-α-ピロンは、ミトコンドリア内部での電子伝達に関与し、したがってより多くのATPの産生を促し、エネルギーの増加をもたらすことが仮定されている。
【0031】
別の態様において、本発明は、糖尿病の症状、例として、限定されるものではないが、高血糖レベルを罹患するヒト個体の治療における、3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(3-OH-DBP)、3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(3,8-(OH)2-DBP)、又はそれらの組み合わせの有用性を実証する。
【0032】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するために提供され、本発明の他の実施形態に適用可能である。当業者は、本発明の任意の所与の実施形態について手順を変えること、例えば、順序若しくはステップ及び/又は使用される成分の量を変えることが必要であり得ることを認識する。
【実施例】
【0033】
3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンA)、3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンB)、シラジット、及びニーム抽出物の高糖尿病効果を判定するため、以下の実験をストレプトゾトシン誘導糖尿病動物及び遺伝性糖尿病動物においてニーム抽出物及びウロリチンの両方に対して実施した。
【0034】
試験1:雄及び雌マウスにおけるストレプトゾトシン誘導糖尿病に対するニーム抽出物の効果。
【0035】
試験2:雄及び雌マウスにおけるストレプトゾトシン誘導糖尿病に対する3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンA)及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンB)、並びにそれらの特定の比における組み合わせの効果。
【0036】
試験3:遺伝性糖尿病マウスにおける血糖レベルに対するニーム抽出物、3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンA)、3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンB)、並びにウロリチンの特定の比における組み合わせの効果。
【0037】
実施例1(試験1)
試験1の目的:雄及び雌マウスにおけるストレプトゾトシン誘導糖尿病に対するニーム抽出物の効果を試験すること。
【0038】
体重、食物摂取量、水分摂取量、及び空腹時基礎血糖レベルを、糖尿病の誘導前に計測した。糖尿病は、クエン酸ナトリウム緩衝液、pH4.5中のストレプトゾトシン(65mg/kg体重)の単一腹腔内投与により誘導した。ストレプトゾトシン投与の5日後、空腹時血糖レベルを推定した。230±20mg%の血糖レベルを有するマウスを本試験について検討した。雄及び雌マウスをそれぞれ以下の群に分けた:
1.ビヒクル対照(「Veh Con」)
2.ストレプトゾトシン(「STZ」)
3.ニーム50+STZ
4.ニーム100+STZ
5.ニーム250+STZ
6.メトホルミン250+STZ。
【0039】
ストレプトゾトシン誘導高脂血症後、治療レジメンを2週間実施した。ニーム抽出物を0.3%のカルボキシメチルセルロースナトリウム(「CMC」)中で懸濁させ、50mg/kg体重、100mg/kg体重、及び250mg/kg体重の用量において2週間、経口投与した。同様に、メトホルミンを0.3%のCMC中で懸濁させ、250mg/kg体重の用量において2週間、経口投与した。治療スケジュールの間、体重並びに食物及び水分摂取量を規則的間隔においてモニタリングした。空腹時血糖(「FBG」)、HbA1C、血漿コレステロール、及びトリグリセリドレベルを2週間、毎週モニタリングした。結果を平均±SEM(n=4、それぞれの性から)で表現した。GraphPad Prism 4.0ソフトウェアを使用してデータを一元ANOVAとそれに続くテューキーの検定に供して統計的有意性を確立した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001)。
【0040】
表1.ストレプトゾトシン誘導雄糖尿病マウスの血糖レベルに対するニーム抽出物の効果。
【0041】
雄ニーム+STZ及びメトホルミン+STZ処理マウスのFBG(mg%)を、ビヒクル対照マウス及びストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスと比較した。FBGレベルは、STZ誘導糖尿病雄マウスにおいて有意に(***p<0.001)増加した。ニーム抽出物(ニーム50、ニーム100、ニーム250)及びメトホルミン(Met 250)による処理は、STZ誘導増加糖レベルを有意に(#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001)減衰させた。
【0042】
表2.ストレプトゾトシン誘導雌糖尿病マウスの血糖レベルに対するニーム抽出物の効果。
【0043】
雌ニーム+STZ及びメトホルミン+STZ処理マウスのFBG(mg%)を、ビヒクル対照マウス及びストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスと比較した。FBGレベルは、STZ誘導糖尿病雌マウスにおいて有意に(***p<0.001)増加した。ニーム抽出物(ニーム50、ニーム100、ニーム250)及びメトホルミン(Met 250)による処理は、STZ誘導増加糖レベルを有意に(#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001)減衰させた。
【0044】
表.ストレプトゾトシン誘導雄及び雌糖尿病マウスのHbA1Cレベルに対するニーム抽出物の効果。
【0045】
雄及び雌ニーム+STZ及びメトホルミン+STZ処理マウスのHbA1C(%)を、ビヒクル対照マウス及びストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスと比較した。HbA1Cレベルは、有意であった(*p<0.05)。ニーム抽出物(ニーム50、ニーム100、ニーム250)及びメトホルミン(Met 250)による処理は、STZ誘導糖尿病雄及び雌マウスにおいてHbA1CレベルのSTZ誘導増加を有意に(#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001)減衰させた。
【0046】
実施例2(試験2)
試験2の目的:雄及び雌マウスにおけるストレプトゾトシン誘導糖尿病に対する3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンA)及び3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンB)、並びにそれらの特定の比における組み合わせの効果を試験すること。
【0047】
体重、食物摂取量、水分摂取量、及び空腹時血糖(血液を12時間の絶食後に回収した)を、糖尿病の誘導前に測定した。糖尿病は、クエン酸ナトリウム緩衝液、pH4.5中のストレプトゾトシン(50mg/kg体重)を腹腔内投与することにより誘導した。ストレプトゾトシン投与の5日後、空腹時血糖を推定した(12時間の絶食後)。血糖レベル250±20mg%を有するマウスを以下の試験のために検討した。雄及び雌マウスを以下の4つの群(n=8)に分けた:
i.ビヒクル対照(Con Veh)(0.3%のCMC)
ii.ストレプトゾトシン(STZ)誘導糖尿病対照
iii.3-OH-DBP(ウロリチンB)+STZ
iv.3,8-(OH)2-DBP(ウロリチンA)+STZ。
【0048】
ストレプトゾトシン誘導高脂血症後、治療レジメンを1か月実施した。3-OH-DBP(ウロリチンB)及び3,8-(OH)2-DBP(ウロリチンA)をそれぞれ0.3%のCMC中で別個に懸濁させ、10mg/kg体重の用量において1か月間、経口投与した。1か月の処理の間、体重並びに食物及び水分摂取量を定期的間隔においてモニタリングした。FBG(12時間の絶食後)を15日間隔において2回推定した。結果を平均±SEM(n=8)で表現した。GraphPad Prism 4.0ソフトウェアを使用してデータを一元ANOVAとそれに続くテューキーの検定に供して統計的有意性を確立した(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;#p<0.05、##p<0.01、###p<0.001)。
【0049】
表5.ストレプトゾトシン誘導糖尿病雌マウスの空腹時血糖(mg%)に対する3-OH-DBP(ウロリチンB)及び3,8-(OH)
2-DBP(ウロリチンA)の効果。
【0050】
雌3-OH-DBP+STZ及び3,8-(OH)2-DBP+STZ処理マウスのFBGを、ビヒクル対照マウス及びストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスと比較した。FBGは、5日目(誘導後)にビヒクル対照群と比較してSTZ群において有意に(***p<0.001)増加し、動物の高脂血症状態を示した。3-OH-DBP及び3,8-(OH)2-DBPによる処理は、STZ誘導増加糖レベルを有意に(###p<0.001)減衰させ、抗糖尿病活性を示した。
【0051】
表6.ストレプトゾトシン誘導糖尿病雄マウスの空腹時血糖に対する3-OH-DBP及び3,8-(OH)2-DBPの効果。
【0052】
【0053】
雄3-OH-DBP+STZ及び3,8-(OH)2-DBP+STZ処理マウスの空腹時血糖を、ビヒクル対照マウス及びストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスと比較した。
【0054】
FBGは、5日目(誘導後)にビヒクル対照群と比較してSTZ群において有意に(***p<0.001)増加し、動物の高脂血症状態を示した。3-OH-DBP及び3,8-(OH)2-DBPによる処理は、STZ誘導増加糖レベルを有意に(###p<0.001)減衰させ、抗糖尿病活性を示した。
【0055】
実施例3(試験3)
試験3の目的:遺伝性糖尿病マウスにおける血糖レベルに対するニーム抽出物、3,8-ジヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンA)、3-ヒドロキシ-ジベンゾ-α-ピロン(ウロリチンB)、並びにウロリチンA及びウロリチンBの特定の比における組み合わせの効果を試験すること。
【0056】
糖尿病マウス(db/db、11週;n=3~5)の5つの群に以下を補給した:
A.プラセボ
B.ニーム抽出物(用量:50mg/kg)
C.3-OH-DBP(ウロリチンB)(用量:2mg/kg)
D.3,8-(OH)2-DBP(ウロリチンA)(用量:10mg/kg)
E.3,8-(OH)2-DBP(ウロリチンA)(用量:10mg/kg)及び3-OH-DBP(ウロリチンB)(用量:2mg/kg)のブレンド。
【0057】
空腹時血糖レベルを規則的間隔においてモニタリングした。
【0058】
本試験の結果は、遺伝性糖尿病マウスにおける空腹時血糖に対するニーム抽出物及びDBP誘導体(ウロリチンA及びウロリチンB)の効果を実証し、これを
図1に示す。
【0059】
ニーム抽出物(50mg/kg)の補給は、db/db動物における空腹時血糖レベルを減少させた。DBP誘導体は単独では空腹時血糖レベルのいかなる変化も示さなかったが、3,8-(OH)2-DBP(用量:10mg/kg)及び3-OH-DBP(用量:2mg/kg)のブレンドは、初期における血糖レベルの有意な減少を示した。この症例において使用されるマウスモデル(db/db;Leprdb/dbとしても公知)は、レプチン受容体遺伝子をコードする糖尿病(db)遺伝子中の点突然変異を有する遺伝性マウスモデルであることに留意すべきである。高脂血症は、遺伝子突然変異に起因してそれらの動物において、糖尿病が主に食習慣及び座りがちな生活様式に起因して発症するヒトと異なり、持続する。これは、後期における3,8-(OH)2-DBP及び3-OH-DBPのブレンドの跳ね上がりの復帰の理由を説明し得る。
【0060】
一実施形態において、ウロリチンA及びウロリチンBの組み合わせは、医薬又は栄養配合物として調製することができる。ウロリチンBとウロリチンAとの例示的な重量/重量比は、約0.2:1~約1:1の範囲であり得る。好ましい実施形態において、ウロリチンBとウロリチンAとの重量/重量比は、約0.2:1~約0.6:1の範囲であり得る。
【0061】
本明細書に記載の実施例によれば、上記のウロリチンB及びウロリチンAの相乗作用組み合わせの1日用量は、ヒト対象において約1.5mg/kg~約8.0mg/kgの範囲であり得る。別の実施形態において、1日用量は、ヒト対象において、約1.5mg/kg~約10.0mg/kgの範囲であり得る。
【0062】
一実施形態において、上記のウロリチンB及びウロリチンAの相乗作用組み合わせの1日用量は、ヒト対象において約100mg~約1000mgの範囲であり得る。好ましい実施形態において、上記のウロリチンB及びウロリチンAの相乗作用組み合わせの1日用量は、ヒト対象において約100mg~約500mgの範囲であり得る。
【0063】
試験3において観察された相乗作用は、哺乳動物対象において同等の用量範囲で実施する場合、試験1及び2と類似の様式で示されることがさらに予測される。ウロリチンB及びウロリチンAの相乗作用は、ヒト対象における糖尿病の症状、例として、限定されるものではないが、増加した血糖レベルを治療する方法において観察されることがさらに予測される。
【0064】
一実施形態において、ニーム抽出物は、医薬又は栄養配合物として調製することができる。
【0065】
本明細書に記載の実施例によれば、ニーム抽出物の1日用量は、ヒト対象において1日当たり約62.5mg~約3000mgの範囲であり得る。別のより好ましい実施形態において、1日用量は、ヒト対象において1日当たり約125mg~約2000mgの範囲であり得る。最も好ましい実施形態において、1日用量は、ヒト対象において1日当たり約250mg~約1000mgの範囲であり得る。
【0066】
試験3においてニーム抽出物について観察された空腹時血糖レベルの減少は、糖尿病の症状、例として、限定されるものではないが、増加した血糖レベルを治療する方法において観察されることがさらに予測される。
【0067】
実施例4-2型糖尿病の臨床試験
2型真性糖尿病を有するヒト対象における血糖コントロール、内皮機能不全、バイオマーカー及び血小板凝集に対するニーム抽出物の効果の評価。
【0068】
試験目的
主要目的:メトホルミン治療を受けている2型DMを有する患者における空腹時血糖(FBS)、食後血糖(PPBS)及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)に対するニーム抽出物(NE)による12週間の処理の効果を試験すること。
【0069】
副次目的:内皮機能及びバイオマーカー、例として、一酸化窒素(NO)、グルタチオン(GSH)、マロンジアルデヒド(MDA)、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、脂質プロファイル、及び血小板凝集に対する効果を試験すること;HOMA-IR及び炎症促進性サイトカイン-IL6、TNFアルファに対する効果を判定すること;並びに安全性及び忍容性を判定すること。
【0070】
試験集団
メトホルミン療法を受けている2型DM患者を、主にNizam’s Institute of Medical Sciences(NIMS)の総合診療外来部門からリクルートした。本試験は、Dept.of Clinical Pharmacology and Therapeutics(CP&T,NIMS),Panjagutta,Hyderabad,India.Protocol no.CPT/04NEEM/DM/01において実施された。
【0071】
選択基準は、以下のとおりである:30~65歳であり、且つインフォームドコンセントを与え、プロトコル関連試験手順に従う予定の男性及び女性対象;110~126mg/dLの空腹時血漿グルコース;6.5%~8%の糖化ヘモグロビン(HbA1c);スクリーニング前の直近8週間、安定的用量の抗糖尿病治療(メトホルミン1500~2500mg/日)を受けている患者;≦6%だけのRI指数の減少として報告された内皮機能不全を有する患者-(サルブタモール負荷試験);並びに直近6か月でいかなる治験薬も受けていない対象。
【0072】
除外基準:治験責任医師により顕著とみなされる異常な血液学的又は生化学的パラメータを有する対象;コントロール不良の糖尿病(HbA1c>8%及びFBS>210mg/dl);コントロール不良の高血圧(SBP>180mmHg及びDBP>100mmHg);血清トリグリセリド>500mg/dl;AST及びALT、基準値上限の>3倍の上昇;1.5mg/dlよりも高い血清クレアチニン;任意の他のダイエタリー若しくはハーブ系サプリメントの服用;又は試験における参加が健康に有害であり得ると医師が感じる任意の医学的病態。
【0073】
試験設計は、無作為化二重盲検並行群試験である。
【0074】
試験処理群
スクリーニング後、全ての適格患者を12週間の二重盲検下の以下の4つの処理群のいずれかに無作為化した。
【0075】
群A-同一プラセボの1つのカプセル剤、BID(それぞれのカプセル剤は、微結晶性セルロース300mg、クロスカルメロースナトリウム20mg、ヒュームド二酸化ケイ素5mg、ステアリン酸マグネシウム5mgを含有する)、すなわち、食後1日2回-午前及び夜間に服用。
【0076】
群B-125mgのニーム抽出物(NE)を含有する1つのカプセル剤、BID(それぞれのカプセル剤は、125mgのニームの水性抽出物、微結晶性セルロース175mg、クロスカルメロースナトリウム10mg、ヒュームド二酸化ケイ素3mg、ステアリン酸マグネシウム3mgを含有する)、すなわち、食後1日2回-午前及び夜間に服用。
【0077】
群C-250mgのニーム抽出物(NE)を含有する1つのカプセル剤、BID(それぞれのカプセル剤は、250mgのニームの水性抽出物、微結晶性セルロース50mg、クロスカルメロースナトリウム10mg、ヒュームド二酸化ケイ素3mg、ステアリン酸マグネシウム3mgを含有する)、すなわち、食後1日2回-午前及び夜間に服用。
【0078】
群D-500mgのニーム抽出物BID(NE)を含有する1つのカプセル剤(それぞれのカプセル剤は、500mgのニームの水性抽出物、微結晶性セルロース50mg、クロスカルメロースナトリウム10mg、ヒュームド二酸化ケイ素3mg、ステアリン酸マグネシウム3mgを含有する)、すなわち、食後1日2回-午前及び夜間に服用。
【0079】
全ての処理は、メトホルミンによる既存の治療へのアドオン療法として使用した。
【0080】
プラセボカプセル剤及びニーム抽出物カプセル剤を、Natreon,Inc.,New Brunswick,New Jersey,USA.inにより供給した。
【0081】
本明細書において使用されるニーム抽出物は、約2.3~3.7%w/w(平均3.0%w/w)の総フラボノイド(例として、クエルセチン-3-O-グルコシド、クエルセチン-3-O-ルチノシド、アペゲニン(apegenin)ルチノシド、ルチン誘導体)、約7.3~11.3%w/w(平均9.3%w/w)のミオイノシトール一リン酸、約5.2~7.7%w/w(平均6.6%w/w)の総ポリフェノール、及び6.3~13.1%w/w(平均10.1%w/w)の総アミノ酸(例として、アルギニン及びメチオニン)を含む、Natreon,Inc.製のPhytoBGS(登録商標)として入手可能なインドセンダン(Azadirachta indica)(葉)の標準化水性抽出物である。仕様:約7重量%以上のミオイノシトール一リン酸及び約1重量%以上のフラボノイド。
【0082】
転帰尺度
主要尺度:12週間の治療法について少なくとも1%だけのHbA1cの低減;並びに少なくとも10mg/dlだけの空腹時血糖(FBG)及び食後血糖(PPBG)の低減。
【0083】
副次尺度:全ての処理群における12週間における屈折率の6%超の変化により評価される内皮機能不全の変化;全ての処理群における12週間の治療法の終了時のベースラインからの酸化ストレスバイオマーカー一酸化窒素(NO)、グルタチオン(GSH)、マロンジアルデヒド(MDA)、炎症性バイオマーカー-高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、及び血小板凝集の変化;12週間の処理についてのインスリン抵抗性(HOMA-IR)及び炎症促進性サイトカイン-IL6、TNFアルファの変化;並びに試験薬の安全性及び忍容性評価。
【0084】
方法
対象を、書面によるインフォームドコンセントの署名後にスクリーニングした。80人の適格対象を等比で4つの試験配合物にそれぞれ無作為化した:群A(プラセボ BD=BID)、群B(NE 125mg BD)、群C(NE 250mg BD)及び群D(NE 500mg BD)。全ての登録対象は、医師により処方された直近8週間にわたる安定的用量の併用薬を受けており、同じ併用薬を本試験全体にわたり継続した。
【0085】
対象は、無作為化来院から12週間、4つの試験薬のいずれか1つによる治療を受けた。スクリーニングは、初回来院時に行った。無作為化(2回目来院)は、初回来院の1週間以内に行った。3及び4回目来院は、治療法の4及び8週間後のフォローアップ来院であった。5回目来院(処理終了)は、処理の12週間の終了時であった。患者は、絶食条件下で来院ごとに部門に報告した。スクリーニング又は初回来院において、本試験についての詳細の説明後、書面によるインフォームドコンセントを参加についてそれぞれの対象から得た。
【0086】
次いで、対象のデモグラフィックデータ、既往歴、及びバイタルを記録した。内皮機能の評価を、サルブタモール負荷試験を使用してMicro Medicalシステムにより非侵襲的に行った。対象は、絶食条件下で研究施設に報告した。血液サンプルを空腹時血糖、HbA1c、安全性評価、脂質プロファイル、hs-CRP、バイオマーカー推定、血小板凝集、HOMA-IR及び炎症促進性サイトカイン-IL6、TNFアルファのために抜き取った。対象に朝食を提供した。朝食の2時間後、血液サンプルを食後血糖の推定のために採取した。対象に、2回目来院について翌週以内に施設に報告するように依頼した。
【0087】
2回目来院は、無作為化来院であった。選択/排除基準を満たす対象を、事前の無作為化スケジュールに関する4つの処理の1つを受けるように無作為化した。バイタルを記録し、身体検査を実施した。対象に、任意の併用薬の使用及び有害事象の点を尋ね、それを症例報告書に記録した。対象に無作為化スケジュールのとおり試験薬を投薬し、4週間後の次回のフォローアップ来院に来るように依頼した。
【0088】
後続のフォローアップ来院、3回目来院(4週目)及び4回目来院(8週目)において、対象をレビューした。バイタルを記録した。身体検査を実施した。併用薬の任意の変更、任意の有害薬物反応をCRFに記録及び記入した。試験薬のコンプライアンスをそれぞれの来院時にピルカウントにより評価した。内皮機能不全をサルブタモール負荷試験により判定し、血液サンプルを空腹時及び食後(PP)血糖(朝食の2時間後)の推定のために回収した。任意のADR、特に低血糖症の徴候、及び症状を尋ね、症例報告書(CRF)に記録した。試験薬をスケジュールのとおり投薬した。
【0089】
処理期間の終了である5回目来院(12週目)において、バイタルを記録し、身体検査を実施した。試験薬のコンプライアンスをピルカウントにより評価した。報告された任意の有害薬物反応を記録した。内皮機能(RI)を評価し、血液サンプルを全てのバイオマーカーの推定及び安全性評価のために回収した。
【0090】
FBG、PPBG、バイオマーカー(MDA、NO、GSH、hsCRP)、屈折率(RI)を、ベースライン、及びそれぞれの来院時に推定した。HOMA-IR、IL-6、及びTNFアルファをベースライン、4及び12週間において判定した。HbA1c、血小板凝集、及び脂質プロファイルをベースライン及び12週間の処理において推定した。
【0091】
評価の方法
内皮機能の評価:サルブタモール負荷試験。デジタル容積プレチスモグラフィを用いるサルブタモール負荷試験を使用してChowienczyk et al.,“Photoplethysmographic assessment of pulse wave reflection:blunted response to endothelium dependant beta 2-adrenergic vasodilation in type 2 diabetes mellitus,”J.Am.Coll.Cardiol.(1999 Dec)34(7):2007-14;及びNaidu,et al.,“Comparison of two β2 adrenoceptor agonists by different routes of administration to assess human endothelial function,”Indian J.Pharmacol.(2007)39:168-9により報告されているとおり内皮機能を評価した。患者を5分間の休息後に伏臥位で検査した。右手の人差し指上に配置された940nmにおける赤外光を伝送するフォトプレチスモグラフ(Pulse Trace PCA2,PT200,Micro Medical,Kent,UK)を使用してデジタル容積パルス(DVP)を得た。100Hzのサンプリング周波数を有する12ビットアナログ・デジタル変換器を使用してプレチスモグラフからのシグナルをデジタル化した。DVP波形を20秒間の期間にわたり記録し、DVPの収縮後期/拡張早期部分の高さをDVPの振幅の割合として表現して屈折率(RI)を得、これはMillasseau et al.,“Determination of age related increases in large artery stiffness by digital pulse contour analysis,”Clinical Science(2002)103:371-377により詳述されている手順のとおりである。DVP記録を取り、屈折率(RI)の3つの測定値を計算し、平均値を決定した。患者に400mcgのサルブタモールを吸入により投与した。15分後、RIの3つの測定値を再度得、サルブタモールの投与前後の平均RIの差を内皮機能の評価に使用した。サルブタモール後のRIの≦6%の変化を、内皮機能不全とみなした。結果を以下の試験データまとめの表8に提示する。
【0092】
バイオマーカーの判定;血小板凝集試験;特別試験及び安全性パラメータ
一酸化窒素レベルを、Miranda,et al.,“A Rapid,Simple Spectrophotometric Method for Simultaneous Detection of Nitrate and Nitrite,”NITRIC OXIDE:Biology and Chemistry(2001)Vol.5,No.1,pp.62-71に記載のとおり分光光度的に推定した。MDA及びグルタチオンのレベルを、それぞれVidyasagar,et al.,“Oxidative stress and antioxidant status in acute organophosphorous insecticide poisoning,”Indian J.Pharmacol.(April 2004)36(2):76-79、及びG.L.Ellman,Arch.Biochem.Biophys.(1959)82:70-77(original determination)に記載のとおり分光光度的に推定した。hsCRP(高感度C反応性タンパク質)を、ELISA法により決定した。サンプルを、適切な標準的技術を使用するヘモグロビン、血中尿素、及び血清クレアチニン、肝機能検査、脂質プロファイル[総コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、超低密度リポタンパク質(VLDL-C)及びトリグリセリド]の決定のために一晩絶食後に回収した。ADP及びコラーゲンを用いる血小板凝集試験は、血小板凝集測定試験、すなわち、(Chronolog透過光血小板凝集測定)を使用して行った。TNFアルファ及びIL6は、市販のELISAキットを使用して推定した。HOMA-IR(インスリン抵抗性についてのホメオスタシスモデル評価(Homeostatic Model Assessment for Insulin Resistance))は、インスリン抵抗性についての近似式である。これは、空腹時インスリン(mIU/L)×空腹時グルコース(mg/dL)/405の式を使用して推定される。3未満のHOMA-IR値は正常のインスリン抵抗性を示し;3~5の値は中等度のインスリン抵抗性を示す一方、5超の値は重度のインスリン抵抗性を示す。以下の試験データまとめの表8の結果を参照。
【0093】
データ分析。データは、平均±SDとして表現する。群内分析は、対応のある「t」検定を使用して行った。群間で、分析はANOVAを使用して行った。群間の事後分析は、テューキーの検定を用いて行った。<0.05のp値を統計的に有意とみなした。統計的分析は、ソフトウェアGraphPad Prism 8を使用して行った。
【0094】
サンプルサイズ:5%のアルファエラーのマージン、80%の検定力で、且つ5%のスクリーン不成功及び10%のドロップアウト率を想定して10mg/dLのPPBGの低減を検出するため、合計94人の患者をスクリーニングした。
【0095】
試験の結果
合計94人の対象をスクリーニングし、80人の適格対象を試験に登録した。合計78人の対象が、12週間の処理を完了した。群C(NE 250mg BD)からの2人の対象が、初回フォローアップ前に試験からドロップアウトした。一方の対象は、別の都市に移ったためドロップアウトした。他方の対象は、同じ都市の遠方の土地に転勤したため、移動上の理由を挙げてドロップアウトした。表1のデモグラフィックデータは、無作為化された全ての対象を示し、したがってそれぞれの群において20人である。さらに、表2~表14は、試験を完了した対象のデータを含む。したがって、群A(プラセボ BD)の合計20人の対象、群B(NE 125mg BD)の20人の対象、群C(NE 250mg BD)の18人の対象及び群D(NE 500mg BD)の20人の対象が、12週間の試験処理を完了した。
【0096】
4つの試験群のデモグラフィック特徴を、表7に示す。ベースライン特徴、例として、年齢及びボディマスインデックス(BMI)において処理群間に有意差は存在せず、そのことは均一集団を示す。
【0097】
結論
本試験において、表8に示されるとおり、ニームの水性抽出物は、FBG、PPBG、HbA1c、及びHOMA-IRのレベルを有意に減少させた。これは、屈折率(RI)の改善により推定される内皮機能とともにストレスのバイオマーカーMDA、NO、及びGSHも有意に改善した。hsCRP、IL6、及びTNFアルファのレベルの顕著な改善も見られた。測定を4、8及び12週間において行った。
【0098】
FBG、PPBG、HbA1c、及びHOMA-IRのレベルの有意な改善は、ベースライン及びプラセボと比較して4、8及び12週間の終了時に群B(NE 125mg BD)、群C(NE 250mg BD)及び群D(NE 500mg BD)について観察された。群A(プラセボ BD)について効果は見られなかった。群間分析により、上記のパラメータにおいて群C及び群Dは群Bよりも良好であることが観察されたが、群Dは、群Cよりも良好な応答を実証した。
【0099】
RIの推定により測定された内皮機能不全は、ベースラインと比較して4、8、及び12週間において群B、群C、及び群Dについて有意な改善を示した。群Aは、いかなる効果も示さなかった。さらなる群間の分析時、群C及び群Dは、群Bよりも良好な応答を示すことが観察され、群DはRIにおいて最大の改善を実証した。
【0100】
酸化ストレスのバイオマーカーMDA、NO及びGSHも、有意に改善した。
【0101】
群B、群C、及び群DについてのGSH値は、ベースラインと比較して4、8、及び12週間の処理において有意に改善した。群Aは、いかなる効果も示さなかった。4及び8週間における群間分析は、プラセボと比較して群B、群C、及び群Dについて有意性を示した。12週間において、プラセボ及び処理群と比較して群C及び群Dについて有意性が着目された。
【0102】
MDAのレベルは、ベースラインと比較して4、8、及び12週間の処理において群B、群C、及び群Dについて有意な改善を示した。群Aにおいて、統計的に有意な改善は見られなかった。4及び8週間における群間分析は、プラセボと比較して全ての処理群についてMDAレベルの改善におけるいかなる有意性も示さなかった。12週目において、群Dのみがプラセボと比較して有意な効果を示した。処理群間では有意性は観察されなかった。
【0103】
一酸化窒素レベルは、ベースラインと比較して4、8、及び12週間の処理において群B、群C、及び群Dについて有意に改善した。群Aは、いかなる有意性も示さなかった。プラセボ及び処理群について群間比較をNOについて行った場合、統計的有意性は見られなかった。
【0104】
炎症性マーカーhsCRPのレベルの改善は、ベースラインと比較して群B、群C、及び群Dについて4、8、及び12週間において観察された。群Aは、いかなる改善も示さなかった。hsCRPの群間分析は、4及び8週間において群B及び群Cがプラセボと比較していかなる有意性も示さないことを示した。その一方、群Dはプラセボ及び他の処理群と比較して有意性を示した。12週目において、群B、群C、及び群Dは、プラセボと比較してhsCRPレベルの有意な改善を示した。群Dは、プラセボ及び他の処理群と比較して最大応答を示した。
【0105】
炎症促進性マーカーIL-6のレベルの改善は、ベースラインと比較して群B、群C、及び群Dについて4及び12週間において観察された。群Aは、いかなる改善も示さなかった。群間分析は、プラセボと比較して4及び12週間の両方において群B、群C、及び群Dについて有意であった。処理群間で有意性は観察されなかった。
【0106】
炎症促進性マーカーTNFアルファレベルも、ベースラインと比較して群B、群C、及び群Dについて4及び12週間において有意な改善を示した。プラセボ群において効果は見られなかった。TNFアルファの群間分析は、プラセボについて及び処理群間で有意性を示さなかった。
【0107】
12週間の処理の終了時の血小板凝集阻害パーセント(%阻害)を決定した。ADP(10μM/ml)及びコラーゲン(2μg/ml)を使用する血小板凝集の正常範囲は、60%~90%である。薬物が血小板凝集に影響するか否かを示すため、阻害パーセントの30%超の変化が存在すべきである。血小板凝集に対する効果は、処理群のいずれについても観察されなかった。
【0108】
来院スケジュールのとおり実施された全ての安全性の血液学的及び生化学的パラメータは、ベースライン及び処理の終了時において4つ全ての処理群について基準値内であった。群B(NE 125mg BD)の1人の患者及び群D(NE 500mg BD)の1人の患者は、対症的治療により消退した軽度GI障害を報告した。いずれの群の対象も、有害事象に起因して試験を中断しなかった。
【0109】
本試験において使用された医薬は、十分に忍容された。重度有害事象は報告されなかった。対象はいかなる有害事象によっても試験を中断せず、それは本試験において使用された治療の好ましい安全性プロファイルを示唆する。
【0110】
本試験の知見は、ニームの水性抽出物が2型DM患者においてアドオン薬として高脂血症の管理において有用であり得ることを示す。さらに、これは、RI及びバイオマーカーの変化により証明されるとおり2型DMの心血管合併症を改善すると思われる。
【0111】
表9は、ベースライン(B)及び12週間の平均%変化(M%C)を示すPhytoBGS T2DM試験(NIMS)データのまとめを示す。
【0112】
12週間にわたるニーム抽出物の投与は、メトホルミンに加え、2型糖尿病患者におけるFBG、PPBG及びHbA1Cレベルを減少させ、それらのレベルをほぼ正常としたことに留意すべきである。処理後の測定値は、以下のとおりであった:FBG:97.3±3.7(p≦0.0001);PPBG:159.3±7.1(p≦0.0001);HbA1C:6.26±0.4(p≦0.0001)。
【0113】
実施例5-メタボリックシンドロームにおける臨床試験
メタボリックシンドロームを有するヒト対象における血糖コントロール、内皮機能不全、バイオマーカー及び血小板凝集に対するニーム抽出物の効果の判定。
【0114】
本試験の方法及び処理レベル及び処理群は実施例4と同じであったが、但し、本試験においてメタボリックシンドローム指針に適合する対象を登録した。
【0115】
4つの試験群のデモグラフィック特徴を、表10に示す。ベースライン特徴、例として、年齢及びボディマスインデックス(BMI)において処理群間で有意差は存在せず、そのことは均一集団を示す。
【0116】
表11は、12週間の処理後にプラセボと(群間で)比較した血糖及び屈折率データのまとめを示す。
【0117】
表12は、12週間の処理後にベースラインと(群内で)比較した酸化ストレスバイオマーカー及び他の血液測定データのまとめを示す。
【0118】
本発明の栄養組成物は、栄養学的に許容可能な担体との組み合わせで投与することができる。このような配合物中の活性成分は、1重量%~99重量%、或いは0.1重量%~99.9重量%を占め得る。「栄養学的に許容可能な担体」は、配合物の他の成分と適合性であり、使用者に有害でない任意の担体、希釈剤、又は賦形剤を意味する。一実施形態によれば、好適な栄養学的に許容可能な担体としては、エタノール、水性エタノール混合物、水、果実、及び/又は野菜ジュース、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体との組み合わせで投与することができる。このような配合物中の活性成分は、1重量%~99重量%、或いは0.1重量%~99.9重量%を占め得る。「薬学的に許容可能な担体」は、配合物の他の成分と適合性であり、使用者に有害でない任意の担体、希釈剤、又は賦形剤を意味する。
【0120】
送達系
好適な剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液剤、散剤、ガム、及び菓子が挙げられる。舌下送達系としては、限定されるものではないが、舌下及び舌上の溶解錠、液滴、及び飲料が挙げられる。可食フィルム、親水性ポリマー、経口溶解性フィルム、又は経口溶解性ストリップを使用することができる。他の有用な送達系は、経口若しくは鼻腔スプレー又は吸入器などを含む。
【0121】
経口投与のため、シラジット、ウロリチンA、ウロリチンB、又はそれらの組み合わせは、錠剤、カプセル剤、ピル剤、散剤、顆粒剤、又は他の好適な剤形の調製のための1つ以上の固体不活性成分とさらに組み合わせることができる。経口投与のため、ニーム抽出物は、錠剤、カプセル剤、ピル剤、散剤、顆粒剤、又は他の好適な剤形の調製のための1つ以上の固体不活性成分とさらに組み合わせることができる。例えば、活性剤は、少なくとも1つの賦形剤、例えば、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、又は滑沢剤と組み合わせることができる。他の有用な賦形剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、マンニトール、キシリトール、甘味料、デンプン、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、シリカ、ゼラチン、二酸化ケイ素などが挙げられる。
【0122】
したがって、本発明の構成成分は、慣用の補助剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投与量の形態に入れることができる。このような形態としては、全て経口使用のための固体、特に錠剤、充填カプセル剤、散剤、及びペレット形態;並びに液体、特に水性又は非水性液剤、懸濁液剤、乳濁液剤、エリキシル剤、及びそれが充填されたカプセル剤;直腸投与用の坐剤;並びに非経口使用のための無菌注射用液剤が挙げられる。このような医薬組成物及びその単位剤形は、慣用の成分を慣用の比率で追加の活性化合物又は成分の有無にかかわらず含み得、このような単位剤形は、用いるべき目的の1日投与量範囲に見合う任意の好適な有効量の活性成分を含有し得る。
【0123】
本発明の構成成分は、種々の経口及び非経口剤形で投与することができる。以下の剤形が活性構成成分として本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩のいずれかを含み得ることは当業者に明らかである。
【0124】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するため、薬学的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれでもよい。固体形態製剤としては、散剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分注可能な顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は封入材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0125】
散剤において、担体は、微粉砕活性構成成分との混合物である微粉砕固体である。錠剤において、活性構成成分は、必須の結合キャパシティを有する担体と好適な比率で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0126】
散剤及び錠剤は、好ましくは、5又は10~約70パーセントの活性化合物を含有する。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。用語「製剤」は、活性構成成分が担体の有無にかかわらず担体により包囲され、したがってそれと会合するカプセル剤を提供する担体としての封入材料を有する活性化合物の配合物を含むものとする。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、ピル剤、カシェ剤、及びトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、ピル剤、カシェ剤、及びトローチ剤を、経口投与に好適な固体形態として使用することができる。
【0127】
液体製剤としては、液剤、懸濁液剤、及び乳濁液剤、例えば、水又は水-プロピレングリコール液剤が挙げられる。例えば、非経口注射液剤製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤として配合することができる。したがって、本発明による化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は連続注入による)のために配合することができ、アンプル、プレフィルドシリンジ、小容積注入、又は添加された保存剤を有する複数回投与容器の単位用量形態で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液剤、液剤、乳濁液剤などのような形態を取り得、配合剤、例えば、懸濁化剤、安定剤、及び/又は分散剤を含有し得る。或いは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水による使用前の構成のための、無菌固体の無菌単離により、又は溶液からの凍結乾燥により得られる粉末形態であり得る。
【0128】
経口使用に好適な水性液剤は、活性構成成分を水中で溶解させ、好適な着色剤、フレーバー、安定剤及び増粘剤を所望により添加することにより調製することができる。経口使用に好適な水性懸濁液剤は、微粉砕活性構成成分を粘性材料、例えば、天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他の周知の懸濁化剤により水中で分散させることにより作製することができる。
【0129】
口内の局所投与に好適な組成物としては、着香基剤、通常、スクロース及びアカシア又はトラガカント中の活性剤を含むトローチ剤;不活性基剤、例えば、ゼラチン及びグリセリン又はグルコース及びアカシア中の活性成分を含む香錠;並びに好適な液体担体中の活性成分を含むマウスウォッシュが挙げられる。
【0130】
液剤又は懸濁液剤は、慣用の手段、例えば、点滴器、ピペット、又はスプレーにより鼻腔に直接施与される。組成物は、単一又は複数回投与形態で提供することができる。気道への投与が目的とされる組成物、例として、鼻腔内組成物において、化合物は、一般に、例えば、5ミクロン以下のオーダーの小さい粒子サイズを有する。このような粒子サイズは、当技術分野において公知の手段により、例えば、微粒子化により得ることができる。
【0131】
医薬製剤は、好ましくは、単位剤形である。このような形態において、製剤は、適切な量の活性構成成分を含有する単位用量に細分化される。単位剤形は、包装製剤、区別される量の製剤を含有する包装、例えば、バイアル又はアンプル中の包装錠剤、カプセル剤、及び散剤であり得る。さらに、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、若しくはトローチ剤自体であり得、又はそれは包装形態の適切な数のそれらのいずれかであり得る。
【0132】
経口投与のための錠剤、カプセル剤、及びトローチ剤並びに経口使用のための液体が、好ましい組成物である。鼻腔への又は気道への施与のための液剤又は懸濁液剤が、好ましい組成物である。表皮への局所投与のための経皮パッチが好ましい。
【0133】
配合及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出すことができる。
【0134】
経口投与のための固体栄養組成物は、場合により、上記列挙の栄養組成物、成分、又は化合物に加え:担体材料、例えば、トウモロコシデンプン、ゼラチン、アカシア、微結晶性セルロース、カオリン、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、アルギン酸など;崩壊剤、例として、微結晶性セルロース、アルギン酸など;結合剤、例として、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースなど;並びに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン油、タルク、ワックス、油、コロイダルシリカなどを含有し得る。このような賦形剤の有用性は、当技術分野において周知である。
【0135】
1つの好ましい実施形態において、栄養組成物は、液体の形態であり得る。この実施形態によれば、液体組成物を作製する方法が提供される。
【0136】
炎症、感冒及び/又はインフルエンザを予防及び/又は治療する方法と関連する経口投与のための液体栄養組成物は、水又は他の水性ビヒクル中で調製することができる。上記列挙の成分又は化合物に加え、液体栄養組成物は、懸濁化剤、例えば、メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカント、ペクチン、ケルジン(kelgin)、カラギーナン、アカシア、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどを含み得る。液体栄養組成物は、上記列挙の成分又は化合物と一緒に、湿潤剤、甘味料、並びに着色剤及び着香剤を含み、又は含有する液剤、乳濁液剤、シロップ剤、ゲル剤、又はエリキシル剤の形態であり得る。種々の液体及び粉末栄養組成物は、慣用の方法により調製することができる。種々のレディ・トゥ・ドリンク配合物(「RTD」)が企図される。
【0137】
投与の経路
組成物は、任意の好適な経路、例として、限定されるものではないが、経口、舌下、バッカル、眼、肺、直腸、及び非経口投与により、又は経口若しくは鼻腔スプレー(例えば、吸入用蒸気、液滴、又は固体粒子の吸入)として投与することができる。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、嚢内(例えば、膀胱に対する)、皮内、経皮、局所、又は皮下投与が挙げられる。本発明の範囲内に、薬物の全身又は局所放出を後に生じさせる制御配合物の患者の体内の医薬組成物の設置も企図される。例えば、薬物は、循環への制御放出のための、又は局所部位への放出のためのデポ剤中で局在化させることができる。
【0138】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻腔、肺、局所(例として、バッカル及び舌下)、経皮、膣若しくは非経口(例として、皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射、又は注入)投与に好適なもの、又は吸入若しくは吹送による投与、例として、散剤及び液体エアロゾル投与、又は徐放系による投与に好適な形態のものであり得る。徐放系の好適な例としては、マトリックスが成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態であり得る本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられる。
【0139】
目下特許請求される発明を記載する文脈(特に特許請求の範囲の文脈)における用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び同様の参照対象の使用は、本明細書に特に示されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含するように解釈すべきである。本明細書における値の範囲の引用は、本明細書に特に示されない限り、その範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す短縮法として機能するにすぎないものとし、それぞれの別個の値は、それが本明細書に個々に引用されるように本明細書に組み込まれる。用語「約」の使用は、およそ±10%の範囲で記述値を上回り、又は下回る値を説明するものとし;他の実施形態において、値は、およそ±5%の範囲で記述値を上回り、又は下回る値の範囲であり得;他の実施形態において、値は、およそ±2%の範囲で記述値を上回り、又は下回る値の範囲であり得;他の実施形態において、値は、およそ±1%の範囲で記述値を上回り、又は下回る値の範囲であり得る。先行範囲は文脈により明確にされるものとし、さらなる限定は含まれない。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に特に示されない限り、又は特に文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意及び全ての例、又は例示的言語(例えば、「例えば」)の使用は、本発明をより良好に説明するにすぎないものとし、特に特許請求されない限り、本発明の範囲に対する限定を提供するものではない。本明細書の言語は、任意の非特許請求要素を本発明の実施に必須なものとして示すと解釈すべきでない。
【0140】
上記の明細書において本発明をそのある実施形態との関連で記載し、説明の目的のために多くの詳細を提示してきた一方、本発明は追加の実施形態の影響を受けやすいこと、及び本明細書に記載の詳細の一部を本発明の基本的な原理を逸脱せずに、かなり変えることができることが当業者に明らかである。
【0141】
本明細書に引用される全ての参考文献は、参照により全体として組み込まれる。本発明は、その主旨からも本質的な特性からも逸脱せずに他の特定の形態で具現化することができ、したがって本発明の範囲を示すものとして上記の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【国際調査報告】