(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】コンクリート養生ブランケットおよび抗菌テキスタイル繊維
(51)【国際特許分類】
B28B 11/24 20060101AFI20220805BHJP
C04B 40/04 20060101ALI20220805BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B40/04
C04B40/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547972
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 IB2019059268
(87)【国際公開番号】W WO2020089789
(87)【国際公開日】2020-05-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521183615
【氏名又は名称】セリバンスキー,ドロール
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】セリバンスキー,ドロール
【テーマコード(参考)】
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
4G055BA06
4G112RA03
4G112RD01
4G112RD02
4G112RD03
(57)【要約】
材料の組み合わせである多層のコンクリート養生ブランケットが開示され、このブランケットは、再湿潤する必要なく、コンクリート養生の14日間を超えて高い性能を提供する。抗菌テキスタイル繊維も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート養生ブランケットであって、
コンクリート表面と接触するための少なくとも1つの不織布を含む接触層と、
水バリアとして機能するポリマーフィルムを含むカバー層と、
液体を内部に貯蔵するための超吸収性ポリマー材料を含む貯蔵層であって、前記貯蔵層が、前記接触層と前記カバー層との中間にある、貯蔵層と、を含む、コンクリート養生ブランケット。
【請求項2】
前記超吸収性ポリマー材料が、前記貯蔵層を形成する不織布中の繊維をコーティングしている、請求項1に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項3】
前記超吸収性ポリマー材料が、前記布内に分散された粉末形態である、請求項2に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項4】
前記接触層、貯蔵層およびカバー層が、熱活性化結合剤を用いる積層によって一緒に接合されている、請求項1に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項5】
前記接触層の前記不織布が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン/ポリエチレンコポリマー繊維、もしくはポリアクリロニトリル(PAN)繊維、ナイロン繊維、またはポリエステル繊維のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項6】
前記貯蔵層の前記不織布が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン/ポリエチレンコポリマー繊維、もしくはポリアクリロニトリル(PAN)繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン、またはセルローストリアセテートのうちの1つ以上を含む、請求項2に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項7】
前記不織布が、スパンボンディング、スパンボンディング-メルトブロー-スパンボンディング(SMS)、カーディング、カレンダーボンディング、水流交絡、エアスルーボンディング、ケミカルボンディング、エアレイドプロセス、ニードルパンチ、ステッチボンド、またはウェットレイドプロセスを含むプロセスによって製造される、請求項1および2に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項8】
前記貯蔵層の前記不織布が、約30~3,000グラム/平方メートル(m
2)の範囲内の面積単位あたりの重量のステッチボンドフェルトまたはニードルパンチフェルトのうちの少なくとも1つである、請求項2に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項9】
前記超吸収性ポリマー(SAP)材料が、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムからなる群から選択される、請求項1に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項10】
前記ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムが、前記布に組み込まれる液体もしくは粉末またはSAP繊維のいずれかの形態で適用され、前記ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムが、生分解性または非生分解性のいずれかである、請求項9に記載のコンクリート養生ブランケット。
【請求項11】
コンクリート養生ブランケットであって、
水バリアとして機能するポリマーフィルムを含むカバー層と、
液体を内部に貯蔵するための超吸収性ポリマー材料を含み、コンクリート表面を覆う貯蔵層と、を含む、コンクリート養生ブランケット。
【請求項12】
ポリアミドポリマー繊維であって、各繊維が、
Kgあたり少なくとも40ミリグラム当量のアミノ末端基と、約0.10~15.00%の範囲内の重量含有量でポリマー内部に分散された遷移金属および/またはカチオンと、を含み、
前期繊維が、米国繊維化学染色協会(AATCC)100-2012標準に従って、抗菌テキスタイルとしてテキスタイルを提供するために、テキスタイル布の前記繊維の0.015%~50.0%の範囲内の重量含有量で、前記テキスタイル布内部でブレンドするために構成されている、ポリアミドポリマー繊維。
【請求項13】
前記繊維が、前記テキスタイル布構造内で絡み合っている、請求項12に記載の繊維。
【請求項14】
前記各繊維が、2,000を超えるK錯化値を有する第一級アミノ基との遷移金属カチオン錯体生成を含む、請求項12に記載の繊維。
【請求項15】
前記テキスタイル布中の前記遷移金属および/またはカチオンの含有量が、約5~100ppmの範囲内である、請求項12に記載の繊維。
【請求項16】
前記テキスタイル布の抗菌保護が、3~12カ月間持続する、請求項12に記載の繊維。
【請求項17】
前記テキスタイル布の前記抗菌保護が、AATCC100-2012の機械鮮度標準に従って、60℃で50回の洗濯機サイクル後も持続する、請求項12に記載の繊維。
【請求項18】
錯体金属またはイオンが、0.5ミクロンの中央ディメーターよりも小さいナノスケールサイズである、請求項12に記載の繊維。
【請求項19】
前記各繊維が、デシテックスあたり約3.0~4.5グラムの範囲内の靭性および約60%~80%の範囲内の伸度の半延伸糸(POY)タイプである、請求項12に記載の繊維。
【請求項20】
前記各繊維が、ナイロン6.6ポリマー、ナイロン6ポリマー、およびナイロン6、ナイロン10またはナイロン12のモノマーの任意の組み合わせを含むコポリマーのうちの1つ以上で作製されている、請求項12に記載の繊維。
【請求項21】
ナイロン6.6ポリマーまたはナイロン6ポリマーの各前記繊維が、Kgあたり70ミリグラム当量を超えるアミノ含有量を含む、請求項20に記載の繊維
【請求項22】
前記各繊維が、銅、銀、および銀カチオンからなる群から選択される金属を含む、請求項12および20に記載の繊維。
【請求項23】
各前記繊維が、約0.05~8.00デシテックスの範囲内の厚さである、請求項12に記載の繊維。
【請求項24】
各前記繊維が、約0.1~100mmの範囲内の長さである、請求項12に記載の繊維。
【請求項25】
各前記繊維が、連続糸の形態である、請求項12に記載の繊維。
【請求項26】
各前記繊維が、第二級および第三級アミノ末端基を含む、請求項12に記載の繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月29日に出願された同一所有者による米国仮特許出願第62/752,175号(名称「Textiles for Constriction and Protection and Applications」)に関し、その優先権を主張するものであり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コンクリート養生ブランケットおよび抗菌テキスタイル繊維に関する。
【背景技術】
【0003】
コンクリート中のセメントは、その酸化カルシウムおよび二酸化ケイ素をCSH(カルシウムシリカ水和物)に水和し、コンクリートを硬化させる固体ゲルを形成することにより、コンクリートの強度、耐久性、透水性などの特性が確立される。コンクリートの硬化時間を通して最適な水セメント比を維持するために、水和プロセスに必要な量の水を供給することが重要である。その結果、蒸発または他の原因によるコンクリートからの水の枯渇を防ぐためのあらゆる手段が講じられる。
【0004】
コンクリートの強度の70%が14日後に得られるため、セメントの水和の最も生産的な期間は、キャスティング後10~20日以内である。したがって、コンクリートがその最終強度の少なくとも70%を達成することを確実にするために、コンクリートの水含有量を少なくとも14日間維持する必要がある。この目的のために、従来、コンクリートは、蒸発を防止し、コンクリート中の水位を維持するために、養生ブランケットによって養生される。
【0005】
これらの従来のコンクリートブランケットには欠点がある。第一に、それらは、最大有効時間が14日未満であるため、長い養生時間を保証することができない。第二に、それらは、限られた気象条件下で適切に機能する。第三に、これらのブランケットには、水移送のための穿孔が含まれ、例えば、30℃を超える暑い気象条件下でブランケットの機能を拡張するために、これらの穿孔を通して再湿潤されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、14日を超えて高い性能を提供する材料の組み合わせを使用することによって、ブランケットを再湿潤する必要なく、現代のコンクリート養生ブランケットを改善する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンクリート養生ブランケットの適用範囲を、被覆されたコンクリート表面の処理用の混和剤化学物質の革新的な供給のために拡大する、効果的で、信頼性があり、使用が容易で、安価で持続可能なコンクリートブランケットを提供する。
【0008】
本発明は、高い水容量を有する超吸収性ポリマー(SAP)を使用し、これは、水の制御放出を提供して、長時間にわたってコンクリート表面で高い水飽和度を維持し、セメントの水和反応に十分な量の水分子を供給して、優れた養生コンクリートをもたらす。
【0009】
本発明は、養生ブランケット内にケイ酸塩およびポゾランなどの化学混和剤を溶解するために高い水活性を維持するブランケットを作製し、これらはコンクリートに移動するように設計される。この移動により、硬化、密封、およびコンクリートへの様々な表面処理の適用が可能になる。
【0010】
さらに、ブランケット表面のSAPは、コンクリート毛管との相互作用を引き起こす。これらの相互作用により、養生ブランケットとコンクリートとの間に強力な密着が生じ、これは、垂直および水平のコンクリート要素上の養生ブランケットの位置を安定させる。
【0011】
本発明のコンクリートブランケットは、本発明のブランケットが、現況技術の養生ブランケットを上回るように、はるかに長い養生性能(密閉ブランケット)でより効果的で信頼性の高いコンクリート養生操作、よりシンプルな製造および取り扱い(3または2層のみ)、より容易な適用(軽量、および容易に展延し、より速い吸水、およびブランケットのコンクリートへのよりしっかりとした貼り付き)、より安価および環境に優しい(生分解性SAP、セルロースを使用せずに再生することができるすべてのポリオレフィン材料)製品を可能にする。
【0012】
本発明は、水の蒸発を最小限に抑えながら、14日を超える養生時間を提供するため、従来のコンクリートブランケットをより改善する。その結果、より長い養生時間で追加の水は必要ない。さらに、本発明は、本発明のブランケット内に貯蔵された必要な水の含有量で、(養生時間後の指定されたコンクリート強度のための)養生要件を完了するために必要とされる、一定の水の供給で作用するようにする。また、養生反応に必要な水分子の正確な量の供給は、現在の養生実施における問題であるように、湿潤の過不足に対して正しいW/C比に維持される。
【0013】
本発明は、より薄い布、より少ない吸収重量を含む低コストの材料で作製され、製造するのに安価であるコンクリートブランケットを提供する。
【0014】
本発明は、より大きな面積を被覆する、従来のコンクリートブランケットよりも大きな幅を有するコンクリートブランケットを提供し、これは、そのぬれ性のために、本発明のブランケットがコンクリートにしっかりと付着することを可能にする。本発明のコンクリートブランケットのこの迅速な取り付けは、強風条件下でブランケットを安定化するために、コンクリートブランケットのコンクリートへのしっかりした取り付けを提供する。本発明のブランケットは、垂直方向のコンクリート要素に結合することができる。
【0015】
本発明は、コンクリートを被覆するときに、低温条件下でより速く養生するためにコンクリート温度の上昇を引き起こすコンクリートブランケットを提供する。本発明のコンクリートブランケットは、表面処理のためにコンクリートにコンクリート混和材を組み込み、養生コンクリートに改善されたコンクリート特性を付与する。
【0016】
本発明は、現代技術のブランケットで使用されるように、セルロースを使用することによる複雑さを伴わず、すべてのポリプロピレン成分の容易かつ持続可能な再生を備えるコンクリートブランケットを提供する。
【0017】
本発明は、環境に優しく、無毒であり、安全な廃棄が可能な、生分解性SAPで作製されたコンクリートブランケットを提供する。
【0018】
本発明の実施形態は、コンクリート養生ブランケットに関する。このブランケットは、コンクリート表面と接触するための少なくとも1つの不織布を含む接触層と、水バリアとして機能するポリマーフィルムを含むカバー層と、液体を内部に貯蔵するための超吸収性ポリマー材料を含む貯蔵層であって、この貯蔵層が、接触層とカバー層との中間にある、貯蔵層と、を含む。
【0019】
任意選択で、ブランケットは、超吸収性ポリマー材料が、貯蔵層を形成する不織布中の繊維をコーティングするようなものである。
【0020】
任意選択で、ブランケットは、超吸収性ポリマー材料が、布内に分散された粉末形態であるようなものである。
【0021】
任意選択で、ブランケットは、接触層、貯蔵層およびカバー層が、熱活性化結合剤を用いる積層によって一緒に接合されるようなものである。
【0022】
任意選択で、ブランケットは、接触層の不織布が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン/ポリエチレンコポリマー繊維、もしくはポリアクリロニトリル(PAN)繊維、ナイロン繊維、またはポリエステル繊維のうちの1つ以上を含むようなものである。
【0023】
任意選択で、ブランケットは、貯蔵層の不織布が、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン/ポリエチレンコポリマー繊維、もしくはポリアクリロニトリル(PAN)繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン、またはセルローストリアセテートのうちの1つ以上を含むようなものである。
【0024】
任意選択で、ブランケットは、不織布が、スパンボンディング、スパンボンディング-メルトブロー-スパンボンディング(SMS)、カーディング、カレンダーボンディング、水流交絡、エアスルーボンディング、ケミカルボンディング、エアレイドプロセス、ニードルパンチ、ステッチボンド、またはウェットレイドプロセスを含むプロセスによって製造されるようなものである。
【0025】
任意選択で、ブランケットは、貯蔵層の不織布が、約30~3,000グラム/平方メートル(m2)の範囲内の面積単位あたりの重量のステッチボンドフェルトまたはニードルパンチフェルトのうちの少なくとも1つであるようなものである。
【0026】
任意選択で、ブランケットは、超吸収性ポリマー(SAP)材料が、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムからなる群から選択されるようなものである。
【0027】
任意選択で、ブランケットは、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムが、布に組み込まれる液体もしくは粉末またはSAP繊維のいずれかの形態で適用され、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリルアミドナトリウムが、生分解性または非生分解性のいずれかであるようなものである。
【0028】
本発明の実施形態は、水バリアとして機能するポリマーフィルムを含むカバー層と、液体を内部に貯蔵するための超吸収性ポリマー材料を含み、コンクリート表面を覆う貯蔵層と、を含む、コンクリート養生ブランケットに関する。
【0029】
本発明は、現況技術を前進させる抗菌ナイロン繊維を提供する。この抗菌繊維は、高い抗菌保護、効率、耐久性および堅牢度の遷移金属および/またはカチオンを含む、ポリアミド、または任意の他のアミノ末端基含有ポリマーで作製される。本発明は、求電子性遷移金属カチオンの求核性アミノ末端基(一級および二級アミン)への親和性、およびそれらの錯体結合(遷移金属カチオンとアミノ基との配位子錯体)を形成する傾向に基づき、これらは、反応性遷移金属カチオンを繊維の表面に結合し、それによって繊維上のカチオンを安定化させる。その結果、本発明は、繊維の表面上に高濃度の反応性殺生物剤を維持し、長期間にわたって安定である非常に効果的な抗菌保護を提供する。
【0030】
本発明の繊維は、少ない繊維含有量で、かつ(保護された)テキスタイル中の遷移金属および/またはカチオンが極めて低い濃度で、テキスタイル繊維と混合したときに、様々な繊維を細菌から保護することができる。
【0031】
繊維の表面での、固体状態移動、活性化および金属とポリアミドとの化学的配位のプロセスの組み合わせは、繊維内部に分散した金属を非常に効果的な殺生物剤に変化させる。これらの殺生物剤は、長期持続抗菌活性を有する。ポリアミド繊維中のアミノ基に対する反応性金属またはカチオンの親和性は、過剰な洗浄処理後に、特徴的な長期持続活性および高い堅牢度を有する繊維中でそれを保持する。ナノスケール寸法の金属粒子を使用すると、繊維の表面への金属の移動速度が速くなり、繊維の表面で反応性金属の非常に高い表面積を形成する。
【0032】
本発明は、約8~20ミクロンの範囲内の小さい直径のマイクロファイバーを使用する。これにより、繊維表面の環境にさらされる反応性金属の表面積が増加する。
【0033】
本発明は、繊維中の金属粒子の抗菌効率が高くなるように、結晶化度および配向度が低く、水へのアクセシビリティおよび拡散係数がより高いナイロン繊維の半延伸糸(POY)を使用する。
【0034】
本発明は、遷移金属またはカチオン/ナノ金属/POYマイクロファイバーとの配位のためのポリアミドアミノ基、およびそれらの組み合わせを適用して、反応性繊維とテキスタイルの標準繊維とのブレンドを介してテキスタイルを保護するための高反応性繊維を作製する。このテキスタイルは、非常に低い反応性繊維含有量で、布の重量に対して1%の範囲内で、および銀などの極めて低い金属含有量で、約15~30PPM(100万分の1)の範囲内で、細菌から完全に保護される。これは、高い堅牢度(60℃で50回の洗浄サイクル後の反応性の維持)でテキスタイルの寿命を持続させる。
【0035】
本発明は、その低コストおよび基本的なテキスタイル操作における適用の容易さにより、DuPont DowのSilvadur(商標)などの現代の製品、または他の現代の抗菌技術よりも優れたものとなる。
【0036】
本発明は、テキスタイル繊維における抗菌ナイロンPOY(非延伸加工)繊維の適用を提供する。他の標準繊維とブレンドされるテキスタイル布における抗菌延伸加工ナイロン繊維の含有量は、従来は、布の総重量に対して10%を超えていた。
【0037】
本発明の実施形態は、ポリアミドポリマー繊維に関し、各繊維は、Kgあたり少なくとも40ミリグラム当量のアミノ末端基と、約0.10~15.00%の範囲内の重量含有量でポリマー内部に分散された遷移金属および/またはカチオンと、を含み、この繊維は、米国繊維化学染色協会(AATCC)100-2012標準に従って、抗菌テキスタイルとしてテキスタイルを提供するために、テキスタイル布の繊維の0.015%~50.0%の範囲内の重量含有量でテキスタイル布内部でブレンドするために構成される。
【0038】
任意選択で、繊維は、それらがテキスタイル布構造内で絡み合っているようなものである。
【0039】
任意選択で、繊維は、各繊維が、2,000を超えるK錯化値を有する第一級アミノ基との遷移金属カチオン錯体生成を含むようなものである。
【0040】
任意選択で、繊維は、テキスタイル布中の遷移金属および/またはカチオンの含有量が、約5~100ppmの範囲内であるようなものである。
【0041】
任意選択で、繊維は、テキスタイル布の抗菌保護が、3~12カ月間持続するようなものである。
【0042】
任意選択で、繊維は、テキスタイル布の抗菌保護が、AATCC100-2012の機械鮮度標準(machine freshness standard)に従って、60℃で50回の洗濯機サイクル後も持続するようなものである。
【0043】
任意選択で、繊維は、錯体金属またはイオンが、0.5ミクロンの中央ディメーターよりも小さいナノスケールサイズであるようなものである。
【0044】
任意選択で、繊維は、各繊維が、デシテックスあたり約3.0~4.5グラムの範囲内の靭性および約60%~80%の範囲内の伸度の半延伸糸(POY)タイプであるようなものである。
【0045】
任意選択で、繊維は、各繊維が、ナイロン6.6ポリマー、ナイロン6ポリマー、およびナイロン6、ナイロン10またはナイロン12のモノマーの任意の組み合わせを含むコポリマーのうちの1つ以上で作製されているようなものである。
【0046】
任意選択で、繊維は、ナイロン6.6ポリマーまたはナイロン6ポリマーの各繊維が、Kgあたり70ミリグラム当量を超えるアミノ含有量を含むようなものである。
【0047】
任意選択で、繊維は、各繊維が、銅、銀、および銀カチオンからなる群から選択される金属を含むようなものである。
【0048】
任意選択で、繊維は、各繊維が、約0.05~8.00デシテックスの範囲内の厚さであるようなものである。
【0049】
任意選択で、繊維は、各繊維が、約0.1~100mmの範囲内の長さであるようなものである。
【0050】
任意選択で、繊維は、各繊維が、連続糸の形態であるようなものである。
【0051】
任意選択で、繊維は、各繊維が、第二級および第三級アミノ末端基を含むようなものである。
【0052】
本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。矛盾する場合には、定義を含め、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明のいくつかの実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して本明細書に記載される。特に詳細に図面を参照する場合、示される詳細は、例として、本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることが強調される。これに関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態をどのように実施し得るかを当業者に明らかにする。
【0054】
ここで、図面に注意を向けると、これらの図面では、同様の参照番号または文字は、対応するまたは同様の構成要素を示す。
【
図1】本発明によるコンクリート養生ブランケットの斜視図である。
【
図2A】
図1の線2-2に沿って採られたコンクリート養生ブランケットの実施形態の断面図である。
【
図2B】
図1の線2-2に沿って採られたコンクリート養生ブランケットの別の実施形態の断面図である。
【
図3】本発明による様々な養生段階におけるコンクリートの写真である。
【
図4】本発明による様々な養生段階におけるコンクリートの写真である。
【
図5】本発明による様々な養生段階におけるコンクリートの写真である。
【
図6】本発明による様々な養生段階におけるコンクリートの写真である。
【0055】
付録A(7ページ)、B(2ページ)、C(3ページ)、および、D(3ページ)が、本明細書に添付される。
【発明を実施するための形態】
【0056】
I.コンクリート養生ブランケット
図1、
図2Aおよび
図2Bは、コンクリートスラブ102の表面102aに載置された、例えば、3層(
図2A)のコンクリート養生ブランケット100、および2層(
図2B)の100’を示す。第1の層111は、コンクリート表面102aと接触するためのベースまたは接触層111である。この層111は、例えば、スパンボンド布などの合成不織布から作製される。第1の層111の上には、貯蔵層である第2の層112がある。この貯蔵層112は、例えば、布中の繊維をコーティングするSAP(超吸収性ポリマー)材料を含む合成繊維製不織布である。あるいは、不織布は、布内に分散されたSAP粉末、水を貯蔵するための粉末を含む。第2の層112の上の第3の層113または最上層は、カバー層である。このカバー層113は、例えば、ブランケット100を通る水の蒸発を防止する、高い水バリア特性の合成フィルムである。
【0057】
3つの層111、112、113は、熱活性化結合剤、接着剤などを介して一緒に積層される。
【0058】
接触層111は、接触層111内の好適なサイズ(約10~500ミクロンの範囲内)の孔を介してブランケット100内に水を吸い上げるように機能する。これらの孔は、ブランケット100が水飽和コンクリートと接触しているとき(ブランケット100がコンクリートスラブ上に展延されたときに、水を貯蔵し、養生プロセスの間に水飽和ブランケットから乾燥したコンクリートスポットに効果的に水を戻すため)、ブランケット100の貯蔵層112への水透過(例えば、不織布の液体が2分未満の時間で浸み込むことに基づく急速な水透過)を可能にする。
【0059】
貯蔵層112は、そのSAP材料によって、SAPのポリアイオノマー(例えば、ナトリウム中和ポリアクリル酸、またはポリアクリルアミドポリマー)中の水分子の高浸透圧のために、供給された水の過剰量(その重量の1,000倍まで)を吸収し、膨張したSAPポリマー網状構造中の架橋の圧縮圧力によりバランスがとられている。SAPによるこの構造は、水の取り込みによって引き起こされる貯蔵層112の膨張を制限する。SAPに貯蔵された水分子は、ブランケット100およびコンクリート表面102aを飽和させて、コンクリートの乾燥を防止する。SAPは、例えば、付録A(7ページ)として本明細書に添付される米国特許第6,984,419号に開示されている材料であり得る。
【0060】
カバー層113は、ブランケット100からの水の蒸発を防止して、コンクリート102内の乾燥(セメントの水和による)、または他の水の欠乏(乾燥による)ゾーンへの拡散を通じてコンクリート102に供給するために利用可能なブランケット内の高い水分活性を維持する、高い水バリア特性(非常に低い吸水率および拡散係数)の疎水性(例えば、ポリオレフィン)フィルムである。
【0061】
図2Bに示される本発明の別の実施形態では、養生ブランケット100’は、貯蔵層112およびカバー層113の2層のみで構成される。この養生ブランケット100’では、貯蔵層112は、コンクリートスラブ102と直接接触しており、より高いタイトネスの布構造(例えば、高熱接着不織布)および低いリンティング(連続フィラメント)が適用される。
【0062】
接触層111は、制御された孔径の不織布で作製されているため、水および液体を吸い上げる。例えば、孔径は、約50~300ミクロンの範囲内であり、これらの孔径は、不織布のSMS(スパンボンド-メルトブロー-スパンボンド)製造方法、または布中の孔径を制御する任意の他の不織布製造方法のパラメータを調節することによって達成される。
【0063】
接触層111の孔径は、例えば、1~1000ミクロンでは、10~60秒の範囲内の速度で速い水の吸い上げが可能である。この吸い上げ速度は、従来から知られているセルロース吸い上げ層よりもはるかに速い。
【0064】
接触層111の布(例えば、SMS)は、不織布の吸い上げ性能を向上させるように設計された好適な洗剤(例えば、ドイツのSchill&Zeilacher製のSilastol(商標)163)でコーティングされてもよい。
【0065】
布内の好適な孔径分布と、布表面への吸い上げ仕上げの適用との組み合わせにより、5~10秒の範囲内の「カバーシート浸み込み」試験値で特徴付けられる非常に速い吸い上げ速度まで、吸い上げ性能を向上させることができることが実証されている。
【0066】
貯蔵層112は、貯蔵ブランケット100からコンクリートへの水飽和SAPの脱膨潤に役立つ。貯蔵層112は、セメント中のカルシウムおよび酸化ケイ素のエネルギー的に好ましい水和反応のために必要な水を供給して、養生段階中、コンクリート中に固体カルシウムシリカ水和物(CSH)を形成する。
【0067】
SAP内の浸透圧に対するSAPからコンクリートへの水分子の供給は、コンクリート中のセメントとの水水和反応の自由エネルギー放出によって熱力学的に駆動される。その結果、ブランケット100からの水の供給は、コンクリート強度に悪影響を及ぼす可能性のある余分な水の供給を残さずに、セメントを硬化させるために化学量論的に使用される。
【0068】
膨潤したSAPからの蒸気水分子の供給は、SAP内の浸透圧によって増強され、これは高い圧力によりSAP内の水の化学ポテンシャルを増加させる。
【0069】
密封されたブランケット100に供給される過剰な水蒸気は、ブランケット100の上部の不透過性のカバー層113とブランケット100の下部にあるコンクリートスラブ102との間に蓄積され、高い相対湿度レベルを形成し、これは飽和し、典型的には疎水性カバー層113上の液体水滴に凝縮する。疎水性カバー113は、例えば、
図3に示されるように、核形成剤として反応して、その上に液相を液滴として形成し、(コンクリート表面102に向かって)下向きに流れる水として蓄積するフィルムである。
【0070】
カバー層113のフィルムでの水凝縮は、より低温の透明または白色フィルムを使用すること、およびフィルムを水核剤、例えば、ヨウ化銀でコーティングすることによって影響を受ける。例えば、透明または半透明のカバー層113では、
図3に示すように、フィルム上の液体、例えば、水、液滴(滴)の蓄積が観察される。
【0071】
液体の滴は、ブランケット100を飽和させる液体水相に合流する。コンクリートを湿潤させるためおよび水和反応のために、コンクリート毛管に吸収されていない余分な液体水分画は、貯蔵層112に吸収され、貯蔵層112内の水吸収性SAPを再膨潤させる。
【0072】
水の蒸発/凝縮/再膨潤のプロセスを繰り返すことにより、ブランケットカバー段階中に、元々SAPに吸収された水の貯蔵層112への「還流」サイクルが発生して、典型的には長時間にわたって、大気中への蒸発損失なしにコンクリート層102を効果的に飽和させる。カバー層113上の液滴への凝縮中の水蒸気の凝縮は、それらの蒸気圧を低下させ、大気中への蒸発を防止し、より長いコンクリート養生時間にわたって水を貯蔵層112内に保持する。
【0073】
貯蔵層112内の温度が上昇するにつれて、SAP内の蒸気圧が上昇し、カバー層113内のフィルムバリア上の水のより速い流動化を引き起こし、より多い液体水の含有量でブランケット100、100’を飽和させ、コンクリートを約90~100パーセント湿度などのより高い湿度で維持する。さらに、ブランケット100、100’内の温度は、ブランケット100、100’内のカバー層113によって生成される「温室」効果によって上昇する。
【0074】
さらに、ブランケット100内の「還流」プロセスは、SAPから水を供給してブランケット100を連続的に飽和させ、コンクリートの毛管に拡散させるものであり、ブランケット100内で乾燥化学物質の水和に利用して、化学物質を水和し、溶解させ、水による拡散を介してコンクリート表面102の孔内に移動させて、コンクリートと反応させることができる。
【0075】
この水の「還流」プロセスは、例えば、ブランケット100、100’の貯蔵層112に粉末として組み込まれる、シーラーおよび硬化剤などの典型的な表面仕上げ混和剤を用いるスラブおよびコンクリート要素の表面処理を可能にする。上記のような必要な表面処理のために、シーラーおよび硬化剤は、コンクリート基材102に効果的に施される。シーラーとしては、例えば、ケイ酸リチウムが挙げられ、硬化剤としては、例えば、マイクロシリカが挙げられる。コンクリート混和剤および化学物質はまた、コンクリートに施されてもよく、例えば、エフロレッセンス防止イオン交換体、コンクリート結晶シーラー、コロイダルシリカ、種々の顔料、促進剤、および他の関連するコンクリート添加剤を含んでもよい。
【0076】
カバー層113は、4.6gm/m2/パスカル未満の透過水WVTRの輸送特性を有するようなものである。カバー層113の不透性は、例えば、フィルム厚を厚くし、フィルムを二方向に配向させ、拡散係数を減少させることに加えて、カバー層113の貯蔵層112への接着性をより緊密にし、ブランケット100、100間の重なりをより高めて、コンクリートスラブ102上でブランケット100、100’をより良好にシールすることによって増加する。
【0077】
カバー層113を通る太陽光放射輸送特性は、ブランケット内の温度に影響を与えるために、シリカとの配合によって操作することができる。
【0078】
上で考察されたように、蒸気圧を高め、水の「還流」プロセスを強化するためには、より高い温度が必要とされる。
【0079】
高湿度と組み合わされた高温は、セメントの水和反応(コンクリートのスチーム効果)も促進する。これにより、スラブおよび型ならびに他のプレキャスト用途におけるコンクリートキャストの「オープンタイム」が短縮される。この効果は、遅い水和速度のため、特に低温条件下で重要である。
【0080】
太陽放射とのカバー層113のフィルムの相互作用の制御は、ブランケットの内部層を加熱し、ブランケット内に「温室」効果を生成するために使用される。これは、透明フィルムが、太陽放射を透過させ、貯蔵層112およびSAPの繊維を加熱し、内部で熱を発生させ、ブランケット100、100’内に維持することを可能にすることによって達成される。
【0081】
この効果は、カバー層113のフィルムに「温室」効果シリカ添加剤(例えば、フィルム重量に対して10%)を組み込むことによってさらに強化することができ、これは、太陽からのNIR(近赤外線)放射をブランケット100、100’に伝達し、貯蔵層112から反射されて戻ってくるFIR(遠赤外線)放射を吸収する。
【0082】
より高いSAP温度は、その蒸気圧を約35%の平均蒸気圧上昇で実質的に増加させ、約25℃の周囲外部温度よりも約5℃の温度上昇をもたらす。ブランケット100、100’の内部層の黒色の着色は、ブランケット100、100’内の太陽放射の吸光度および反射率を向上させる。
【0083】
コンクリート温度を低下させるための要件の場合、ブランケット100、100’の温度を低下させるためのカバーフィルムの調整は、カバー層113のフィルム中に分散された白色顔料(例えば、0.5%~10.0%の重量濃度の二酸化チタン)を介して可能であり、太陽光を散乱させ、養生ブランケット100、100’の太陽光の透過および加熱を防止する。
【0084】
3つの層111、112、113の組み合わせは、長期間にわたってコンクリート中の高い水分含有量を維持し、必要な養生に十分な水を供給するブランケット100をもたらす。
【0085】
貯蔵層112内の膨潤した高浸透圧および高温のSAP内の高い蒸気圧は、密封されたブランケット100の容積を、100%に近い相対湿度レベルの高活性水で効果的に満たし、これは、ブランケット内の疎水性フィルムもしくは他の表面上、または養生ブランケットと接触するコンクリート表面上の液滴に飽和および核形成する。
【0086】
コンクリート中のセメントの水和のために消費されなかった過剰な液体の水は、SAP中に再び膨潤し、ブランケット中に保持される。貯蔵(リザーバ)層112内のSAPからの水の高い膨潤および脱膨潤のこの組み合わせは、カバー層113でブランケット100を効果的に密封することにより、大気への水蒸気の損失およびブランケットの乾燥を防ぐのに非常に効果的である。これにより、養生ブランケット100の下のコンクリートにおいて高い相対湿度の時間を長くすることができる。
【0087】
接触層111の水の吸い上げ性能は、コンクリート被覆段階中に飽和コンクリートから水を(貯蔵層112内の)SAPに移送し、養生段階中にセメントの水和反応のために脱膨潤中に水をコンクリートに戻すのに効果的に利用される。接触層111は、(従来のコンクリートブランケットにおける吸い上げ速度と比較した場合に)吸い上げ速度を増加させる。
【0088】
貯蔵層112からコンクリートへのコンクリート混和剤(例えば、水酸化カルシウム、コロイダルシリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、シラン、シロキサン顔料など)の輸送のために、貯蔵層で長時間にわたって水飽和を維持し、大量の液体の水を供給してコンクリートを飽和させる能力が利用されている。(貯蔵層112の)SAPマトリックス内で混合され、不織布のフィラメントをコーティングするか、または不織布内で粉末形態で分散する混和剤化学物質は、凝縮した水によって抽出され、コンクリート102を通して水とともに拡散する。接触層111内の毛管は、コンクリート表面102aと相互作用し、従来の非反応性コンクリートブランケットよりも優れた必要な混和剤表面処理をもたらす。
【0089】
養生ブランケットをコンクリートに結合するためのSAPの適用
実地試験に基づいて、約10~100グラム/平方メートルの含有量のSAP含浸不織布が、被覆されたコンクリートと接触したときに強力な結合を形成することがわかった。これは、より低い表面張力の親水性SAPを介して湿潤されたコンクリートの毛管によるSAP膨潤ゲルの吸引力に関連していると考えられる。生成される強力な結合は、ブランケット100、100’をコンクリート102にしっかりと付着させ、風などの環境要因に対してブランケットを安定化させ、垂直のコンクリート要素の被覆を容易にする。
【0090】
コンクリートからのSAPの剥離に対するコンクリートの最適な湿潤のため、制御されたSAPアイオノマー含有量および架橋密度は、好適な湿潤および粘度バランス、ならびにSAPの弾性率および降伏強度を達成するために組み込まれ、コンクリート表面102aからブランケット100、100’を剥離した後、ブランケット100、100’上にそれを残す。SAPとコンクリート102との間の直接接触は、コンクリートへの混和剤において、SAPから直接被覆されたコンクリート102への化学物質の移動を可能にする。
【0091】
層の強化
接触層111は、制御された孔径分布によって、およびSilastol(商標)163などの界面活性剤で布をコーティングすることによって、吸い上げ能力が最大化されるようになる。貯蔵層112は、架橋ナトリウム中和ポリカリル酸などの高いSAP含有量を含む。さらに、混和剤およびコンクリート添加剤は、架橋前に湿式含浸によって(布の)SAPに、または布の乾式含浸中にSAP粉末と混合した乾燥粉末形態中のいずれかに組み込まれ得る。さらに、貯蔵層112の不織布を黒色で着色することにより、太陽光(太陽放射)の吸収を増加させる。
【0092】
カバー層113は、それが、水の不透性を高め、光の透過性を高めるようなものである。カバー層113のシリカ添加剤は、「温室」効果を引き起こす。カバー層113は、例えば、照射加熱のために黒色であり、光反射および冷却のために白色の二酸化チタンで着色されている。
【0093】
養生ブランケットの製造
カバー層113の製造は、例えば、単層または多層フィルムキャスティングを含み、ポリマーの黒色もしくは白色顔料との、またはシリカ粉末(樹脂の重量に対して5%~10%)などの照射伝達制御剤との任意の配合を伴う。カバー層113は、貯蔵層112のSAP含浸の段階に連続して、押出コーティングプロセスによって貯蔵層112に結合される。
【0094】
貯蔵層112は、溶液重合SAPによる布の連続コーティング、布へのSAPの圧縮、およびコーティングされた布の乾燥を含む方法によって、SAP材料を布に導入することによって作製される。布の連続コーティングは、付録B(2ページ)として本明細書に添付されているH.B.Fuller PD8081H Technical Dataに記載されているように、H.B.Fullerの水性SAPシステムを使用することによって実施してもよい。これは、含浸中のSAPポリマー溶液のその場架橋、コーティングされた布の圧縮および乾燥を伴う。
【0095】
第3の方法は、乾燥粉末SAP粒子(約20~1,000ミクロンMD(中央径))を、2つの不織布の間に粉末粒子を間に維持するのに十分な密度で展延させることを含む。続いて、2つの布を接着剤結合して、2つの布間に結合した一体化したサンドイッチ型のSAP粒子を形成する。SAP繊維は、貯蔵層112の不織布が約30%~100%の超吸収性繊維のブレンドから構成される場合、不織布にブレンドする。
【0096】
貯蔵層112の製造には、SAPの乾燥粉末(フェルト中で約20~2,000ミクロンMD)の分散、粉末含浸フェルトをステッチまたはニードルパンチして、一体化した布の内部に封入された粉末を維持することが含まれる。SAPの乾燥粉末(50~1,000ミクロンMD)は、www.Fibroline.comおよび本明細書に添付されている付録C(3ページ)に記載されているようにFibroline(商標)プロセスを介して布に分散させることができ、貯蔵層112で使用される。混和剤化学物質は、以下の方法
a)約20~100rpmの速度でのSAPポリマー溶液内、またはH.B.Fullerの水性SAPシステム内で化学混和剤の分散体を混合し、続いて布をコーティングする架橋SAP内に化学混和剤分散体を組み込むために布を含浸すること、
b)不織布の結合層間に分散される乾燥粉末SAP粒子と混合した化学混和剤の乾燥粉末粒子のブレンドを展延すること、または、
c)Fibroline(商標)または他の粉末含浸プロセスを介して不織布ステッチボンドまたはニードルパンチフェルトに乾燥粉末SAP粒子との化学混和剤の乾燥粉末粒子のブレンドを乾式含浸すること、
のうちの1つによって、貯蔵層112内の不織布に組み込まれる。
【0097】
コンクリート養生ブランケット100、100’は、例えば、スラブ、床、デッキ、桟橋、型などの水平のコンクリート要素の養生、および壁、柱、スロップ、ティルトアップなどの垂直のコンクリート要素の養生に使用される。
【0098】
水平要素では、キャストコンクリートの熟成は、最終凝結時間を超え、必要とされるスラブの収縮目地の切断および表面仕上げの適用(研磨剤、硬化剤、シーラー、顔料など)後でなければならない。コンクリートの表面は、水に浸漬され、厚さ2~5cmの水の層で覆われなければならない。ブランケットがコンクリート表面の上に展延している間、余分な水を撒くことによってブランケットに直接適用することができる。ブランケットは、円筒型ロールラップからロールを広げることにより、帯状に展延する必要がある。ブランケット幅の寸法は、例えば、約0.5~20.0メートル、好ましくは約1.0~10.0メートルの範囲内である。隣接するブランケット帯の間に、少なくとも約0.30メートルの重なりがある必要がある。配置後、ブランケットを、ブランケット/コンクリート境界面から気泡を分散させるために、ほうきまたはロールを介してコンクリートに押し付ける必要がある。
【0099】
ブランケットの湿潤SAPとコンクリート毛管との間の密着力は、ブランケット100、100’を被覆表面102aにしっかりと結合し、剥離を防止し、垂直要素における養生ブランケットの位置を安定化させる。垂直要素におけるフレッシュコンクリートは、機械的固定具を介してその上部のポイントに固定され、底部までローラ掛けによりコンクリート表面に押し付けられ、要素の基部にボルトで固定された養生ブランケットで被覆される。ブランケットの湿潤SAPとコンクリート毛管との間の密着により、ブランケットは垂直のコンクリート壁にしっかりと結合し、その位置を安定させる。
【0100】
図2Aに戻ると、ブランケット100の3つの層111、112、113は、熱活性化結合剤または任意の他の接着剤タイプを介して一緒に積層されて、急速な水の充填、高含水量の貯蔵、長時間の水の放出、およびコンクリートの保湿の複合効果を生成する。これにより、ブランケット100は、乾燥コンクリートの養生を完了するために必要な水分子、典型的には、1平方メートルあたり約2~4リットルの水を供給することが可能となる。水飽和コンクリートスラブ102を被覆する場合、接触層111は、例えば、1分で1平方メートルあたり1リットルの典型的な速度で、過剰な水を貯蔵層112内のSAP材料に急速に吸い上げ、スラブ102内のコンクリートの養生を完了するために必要な水の量を吸収する。カバー層113の水バリアフィルムは、水蒸気の蒸発を防止し、ブランケット100内で高い水分活性を維持し、これは、水分子をSAPヒドロゲルから化学的に好ましいカルシウム/シリカ水和反応に供給して、養生中にコンクリートの凝固および硬化のための固体CSHを形成する。
【0101】
また、
図2Bに戻ると、例えば、コンクリート養生ブランケット100、100’は、少なくとも約0.5メートルの幅、10メートルの長さの寸法であってもよい。
【0102】
コンクリートブランケット100は、接触層111において、1)不織布を、吸い上げ剤、例えば、1分未満の浸み込み時間値(方法NWSP70.3)をもたらす非洗浄性耐久性界面活性剤でコーティングすることと、2)1~1,000ミクロンの範囲内で布の孔径範囲を制御することと、3)連続フィラメントスパンボンドまたはSMSで製造された高熱接着レベルおよび低リンティングレベルの不織布を使用することと、4)最大で1分までの浸み込み範囲を有する吸い上げ能力の有孔フィルムを使用して、不織布を置き換えることと、によって改変されてもよい。
【0103】
コンクリートブランケット100、100’は、貯蔵層112において、1)布中のSAP含有量を2gm/平方メートルのレベルを上回って増加させて、ブランケット中の60倍重量の水吸収SAPで30MPaコンクリート20cm厚のスラブの養生に必要な最小推定量の水を供給することと、2)ブランケット100、100’の湿潤時のコンクリートへの移動のため、およびコンクリートスラブ102の表面処理のための混和剤として反応性化学物質を組み込むこと(例えば、酸化カルシウム、コロイダルシリカ、マイクロシリカ、リチウム、ケイ酸塩、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、および結晶コンクリートシーラーと、3)層112を黒色の光吸収色で着色することと、によって改変されてもよい。
【0104】
コンクリートブランケット100、100’は、カバー層113において、1)フィルム厚を増大させるか、またはより低い吸水能力および低拡散係数の二重層フィルムまたは二配向フィルムを使用することによって層113のフィルムの水バリア効率を増加させ、23℃および約85%の相対湿度で、2.3~6.3gm/平方メートル/秒/パスカルの範囲内のWVTR(水蒸気透過率)値の水透過レベルのフィルムを得ることと、2)透明な光沢のない非晶質ポリマーでフィルムの光透過性を高めることと、3)層113のフィルムを黒色の光吸収色で着色することと、4)5%~15%の重量比でポリマーシリカをフィルムに組み込んで、NIR放射をブランケット100、100’に伝達し、ブランケット内に温室効果を発生させるためにブランケット100、100’からのFIR放射を遮断することと、5)放射を反射し、低いコンクリート温度を維持するために、層113のフィルムを白色顔料(例えば、二酸化チタン)で着色することと、によって改変されてもよい。
【0105】
コンクリートブランケット100、100’は、それらが1)ブランケット100、100’が湿潤コンクリート102の上に配置されるときに、コンクリートスラブ102から貯蔵層112に水を急速に吸い上げることとであって、例えば、浸み込み速度の時間値が1分未満であることと、2)養生後に滑らかな、汚れのないリントフリーのコンクリート表面を生成することと、3)14日超後にコンクリートスラブを完全に湿った状態に維持することと、4)非被覆対照コンクリートと比較して30%超の圧縮強度値を有する14日養生コンクリートをもたらすことと、5)コンクリートスラブ102のタイトネス、硬度、および/または不透性を高め、および/またはほこりを緩和し、エフロレッセンス、および/または収縮および塑性亀裂を緩和することと、6)養生ブランケット内で生じる温室効果により、ブランケット内の温度を周囲温度と比較して5℃を超えて上昇させることと、7)貯蔵層112が白色顔料でコーティングされるとき、ブランケット内の温度を外部周囲温度を超えて5℃以下に維持することと、8)ブランケット内部の水蒸気圧を周囲条件と比較して少なくとも20%および相対湿度レベルを80%を超えて上昇させ、ブランケット100、100’の完全な湿潤およびそのフィルムバリア上で液滴の凝縮を可能にすることと、9)ブランケット100、100’内の温室効果により、ブランケット100、100’内の温度を外部温度と比較して5℃を超えて上昇させ、ブランケット内部の周囲気圧および水飽和度を少なくとも20%超えて蒸気圧を上昇させ、コンクリート表面で80%の相対湿度を超えて上昇させることと、のうちの1つ以上を提供するようなものである。
【0106】
コンクリート養生ブランケット100、100’は、スラブ、床、デッキ、桟橋、型などの水平のコンクリート要素の養生、および壁、柱、スロップなどの垂直のコンクリート要素の養生に使用されるように設計される。例えば、上述の水平要素では、キャストコンクリートの熟成は、最終凝結時間を超え、必要とされるスラブのスロット切断および表面仕上げの適用(研磨剤、硬化剤、シーラー、顔料など)後でなければならない。コンクリートの表面102aは、水に浸漬され、深さ2~5cmの水の層で覆われなければならない。ブランケット100、100’がコンクリート平面102の上に展延している間、余分な水を撒くことによってブランケットに直接適用することができる。ブランケット100、100’は、円筒型ロールラップからロールを広げることにより、帯状に展延する必要がある。
【0107】
ブランケット100、100’の幅寸法は、典型的には0.5~20.0メートル、好ましくは1.0~10.0メートルの範囲である。例えば、隣接するブランケット帯の間に、少なくとも0.30メートルの重なり(
図1のOL)がある必要がある。コンクリート102の上に配置後、ブランケット100、100’を、ブランケット100、100’/コンクリート境界面から気泡を分散させるために、ほうきまたはロールを介してコンクリート102に押し付ける必要がある。ブランケットの湿潤SAPとコンクリート毛管との間の密着力は、ブランケット100、100’を、被覆されたコンクリート表面102aにしっかりと結合し、剥離を防止し、コンクリート102上の養生ブランケット100、100’の位置を安定化させる。
【0108】
垂直のコンクリート要素では、フレッシュコンクリートは、機械的固定具を介して上部に固定され、底部までローラ掛けによりコンクリート表面に押し付けられ、要素の基部にボルトで固定された養生ブランケット100、100’で被覆される。ブランケットの湿潤SAPとコンクリート毛管との間の密着は、ブランケット100、100’を垂直のコンクリートにしっかりと貼り付け(付着)、コンクリート要素上のブランケット100、100’を安定化させて、その位置を安定させる。
【0109】
コンクリート養生ブランケット100、100’の層111、112、113(ブランケット100の場合)および112、113(ブランケット100’の場合)の製造には、1)高温高圧ロールを使用して3つまたは2つの層をカレンダー処理して、それぞれの層を接着させることと、2)熱/感圧接着剤または任意の他の好適な接着剤システムを適用して、カバー層113を貯蔵層112に結合することと、3)ポリマーの黒色顔料との、または放射伝達制御シリカ粉末(樹脂の重量に対して5%~10%)との任意の配合による、単層または多層フィルムキャスティングと、4)カバー層113のカバーフィルムを、貯蔵層112のSAP含浸に連続して、押出コーティングプロセスによって貯蔵層112に結合することと、5)a)溶液重合SAPによる布の連続コーティング、布へのSAPの圧縮およびコーティングされた布の乾燥、b)含浸中のSAPポリマー溶液のその場架橋、コーティングされた布の圧縮(絞り)および乾燥を伴う、H.B.Fuller(付録B)の水性SAPシステムによる布の連続コーティング、およびc)乾燥粉末SAP粒子(20~1000ミクロンMD)の2つの不織布間で粉末粒子を間に維持するのに十分な密度での展延、続いて、2つの布の接着剤結合による、2つの布間に結合した一体化したサンドイッチ型のSAP粒子の形成の方法のうちの1つを介して、SAP材料を布に導入することと、が含まれる。
【0110】
超吸収性繊維を使用して、ブランケット100、100’の貯蔵層112の不織布は、30%~100%の超吸収性繊維と、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンコポリエチレン、またはポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、またはポリエステルを含む繊維タイプとのブレンドから構成される。
【0111】
貯蔵層112は、1)非結合未加工フェルトにおける布製造中のステッチボンドまたはニードルパンチフェルト内のSAP乾燥粉末(20~2,000ミクロンMD)の分散、布内部に封入された粉末を維持するための粉末含浸フェルトのステッチまたはニードルパンチ、または2)Fibroline(商標)プロセス(付録C)、または他の、および上述した粉末含浸プロセスを介した布内への乾燥粉末SAP(50~1,000ミクロンMD)の分散、のようなプロセスによって作製される不織結合フェルトを含み得る。貯蔵層112は、以下の方法、a)SAPポリマー溶液内、またはH.B.Fullerの水性SAPシステム内で化学混和剤の分散体を混合し、続いて布をコーティングする架橋SAP内に化学混和剤分散体を組み込むために布を含浸することと、b)乾燥粉末SAP粒子と混合した化学混和剤の乾燥粉末粒子のブレンドを展延し、布に導入することと、c)Fibroline(商標)プロセスまたは任意の他の粉末展延プロセスを介して不織布ステッチボンドまたはニードルパンチフェルトに乾燥粉末SAP粒子との化学混和剤の乾燥粉末粒子のブレンドを乾式含浸することと、のうちの1つを伴う、コンクリート102と反応させるための追加の混和剤化学物質を含んでもよい。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本発明の養生ブランケットが、高い水分湿度レベルを維持し、極めて過酷および通常の気象条件で14日を超える長時間にわたって養生するために必要な水を被覆されたコンクリートに供給する能力を示す。
3つの層のコンクリートブランケット100が提供され、以下の層を含む。
接触層層111;
タイプ:ポリプロピレン製スパンボンド不織布;
坪量:20グラム/平方メートル
孔径寸法:200~500ミクロン
貯蔵層112;
タイプ:ポリプロピレン製スパンボンド不織布:
坪量:80グラム/平方メートル
SAPコーティング含有量:20グラム/平方メートル
【0113】
SAPの調製およびコーティング
付録Aに記載されているように、H.B Fuller technologyの水性超吸収性ポリマー(SAP)システムに従って、H.B.Fullerから供給されるPD8081Hを、MEIから供給されるBacote20の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液で架橋し、乾式含浸、パディングおよび乾燥を介して不織布に適用する。浴中のPD8081Hのナトリウム中和アクリル酸ポリマーの溶液を、布の含浸中にその場でBacote20のジルコニウムによって架橋する。室温では、白色のSAPフィルムが布上に形成され、さらに乾燥してSAPコーティング布を形成する。
【0114】
カバー層113は、厚さ50ミクロンの低密度ポリエチレンフィルムを含む。水の透過率:WVTR2.5グラム/平方メートル/24時間(23℃および85%相対湿度)。
【0115】
ブランケットの製造:
貯蔵層112の不織布を、前述したような成分を含む浴中に含浸し、圧縮し、その上に平行ローラから供給される接触層111の不織布を合流させる。合流した両方の布を、30秒の滞留時間で120℃の空気循環乾燥機を通過させ、貯蔵ボビン上で一緒に巻く。
【0116】
次いで、2つの合流した布を、それらの上に連続的に供給される第3のカバー層フィルム113で覆う。カバー層フィルム113を、それらの接触ポイントの前に布間に分散され、次いで、熱圧縮ロールによってフィルム113と不織布層112との間で圧縮される、不連続な点の感圧接着剤で2つの合流した層111、112に接着する。最終的なブランケットを、1.2メートルの円筒に巻いた。
ブランケットの機械的特性:
厚さ:0.8mm
張力:TD:80N/5cm
MD:120N/5cm
伸度:TD:70%
MD:70%
【0117】
コンクリート養生試験
コンクリート養生ブランケット100を、イスラエルのヨルダン渓谷にある「Or Compost」再生工業団地の堆肥処理工場の500平方メートルの床の養生に使用した。この床はフォークリフトおよび大型車両用に設計されている。床は厚さ30cmであり、所定の負荷を克服するのに好適な溶接金網と鉄筋で補強されている。コンクリートは、350kg/立方メートルのセメントの標準B30コンクリートであり、水セメント比は0.45であった。地盤の締め固め、キャスティングおよびレーザースクリードの標準的技法を観察した。
【0118】
最終凝固後、床を10メートル×7メートルの収縮間隔に切断した。養生ブランケットを床切断後に敷いた。床を、2.0~3.0cmの深さの水で飽和させた。幅1.20メートルのブランケットを、巻き付けられた円筒から床の上部に広げた。ブランケットはすぐにコンクリート床に貼り付き(付着)、水を急速に吸着した。水の飽和を維持するために、広げ線の前にホースを通して余分な水を添加した。ブランケットの帯を、隣接するブランケットとの間に30cmの重なりで平行に敷いた。
【0119】
5層の各グループを配置した後、ブランケットを優しく押して絞って(圧縮)、閉じ込められた気泡をブランケットと床との間の界面から分散させた。約200平方メートルの床は、対照として機能させるために被覆しなかった。
【0120】
試験条件
この地域での26日間の気象条件は極めて過酷であり、典型的な砂漠の気温が35~40℃、相対湿度が50%~70%、および夕方の強風であった。床は開放的な場所にあり、太陽光および風にさらされていた。ブランケットは、コンクリートにしっかりと貼り付いて(付着して)いた。ブランケットに接した床の縁にスチールバーを設置して、ブランケットを床に固定した。試験期間中、強風にもかかわらず床からのブランケットの剥離はなかった。
【0121】
7日後、14日後および26日後の観察は、全26日間にわたるブランケット内部のカバー層の透明フィルムへの水滴の蓄積による、全期間にわたるブランケットの飽和を示した(
図3)。
【0122】
被覆されたコンクリートは、水の飽和したブランケット下で高い湿度レベルを維持した。コンクリートは、湿度試験のためにブランケットを除去すると、急速に乾燥し、速やかに水を失った(
図4)。非被覆対照は、1週間未満で乾燥し、塑性収縮亀裂を生じた。被覆されたコンクリートは、ブランケットの除去後に亀裂を生じず、エフロレッセンス汚染なしに滑らかで締まった構造を維持した。
【0123】
2層コンクリート養生ブランケット
ブランケット100’は、接触層111のない、前の3層養生ブランケットと同様である。ブランケット100’は、上記のブランケット100と同様に製造された貯蔵層112およびカバー層113を含む。層112、113を、層間に感圧接着剤の点が点在する2つの層のホットカレンダー処理によって互いに結合した。
ブランケットの機械的特性
厚さ:0.7mm
張力:TD:100N/5cm
MD:160N/5cm
伸度:TD:70%
MD:70%
【0124】
コンクリート養生試験
コンクリート養生ブランケット100’を、イスラエルのBar Lev工業団地の倉庫の地下にある100平方メートルの屋内床の養生に使用した。
【0125】
この床はフォークリフトの通行用に設計されている。床は厚さ20cmであり、収縮目地を必要とせずに35kg/立方メートルの用量で鋼繊維で補強されている。コンクリートは、400kg/立方メートルのセメントの標準B40コンクリートであり、水セメント比は0.50であった。地盤の締め固め、キャスティング、およびレーザースクリードの標準的技法を観察した。
【0126】
養生ブランケットを、機械ごて(helicopter)による平滑化の後に敷いた。床を、水深2.0~3.0cmの水で飽和させた。幅1.20メートルのブランケットを、巻き付けられた円筒から床の上部に広げた。ブランケットを床に付着させるために、ブランケットをほうきでコンクリート床に締め付けた。ブランケットの帯を、隣接するブランケットとの間に30cmの重なり(
図1のOL)で平行に敷いた。約100平方メートルの床は、対照として機能させるため、被覆しなかった。
【0127】
試験結果
温度および湿度条件は、25~30℃、および75%~85%の湿度レベルで正常であった。下にあるコンクリートを養生して7日および14日後、ブランケットは、バリアフィルム層(カバー層113)に蓄積した水滴で依然として飽和していた。養生ブランケットの下のコンクリートは、非常に高い相対湿度で飽和していた。14日後にブランケットを取り外した後、養生したコンクリートは亀裂がなく、わずかな度合いでエフロレッセンスのある滑らかなものであった(
図5)。
【0128】
対照的に、非被覆コンクリート基準床は、7日未満で乾燥し、いくつかの塑性亀裂および高い度合いで白色のエフロレッセンスを有した。
【0129】
コンクリートに接触する貯蔵層112は、複数の点でコンクリート毛管に付着するSAPを介してコンクリート上に強力な結合点を形成した。ブランケット100’をコンクリート表面から剥離すると、一部のSAPはコンクリートに残り、これを散水によって除去した(
図6)。このことは、水平および垂直の被覆構成でブランケットと被覆されたコンクリートとの間の強力な結合を開発するために、SAPがコンクリートに接触する2層ブランケットを使用する可能性を示唆する。
【0130】
II.抗菌テキスタイル繊維
本発明は、ポリマーのアミノ末端基との錯体配位および求電子結合形成により化学的相互作用が可能な遷移金属カチオンを使用することによる、アミノ末端基を含むポリアミドを含むテキスタイルの保護を提供する。これは、より長く、より安定した保護のための、繊維表面上の金属カチオンのより高い安定性を提供する。
【0131】
半延伸糸(POY)(例えば、非延伸加工繊維)をポリアミド錯体金属またはカチオン担体として使用することにより、遷移金属またはカチオンのより高いアクセシビリティおよび効率が達成される。また、テキスタイル構造内部の反応性繊維の含有量が少ないことにより、より低コストおよびより容易なテキスタイル製造が可能となり、テキスタイル布中の少量の遷移金属またはカチオンによって、環境への影響が低減される。本発明は、環境による遷移金属またはカチオンの消費の低減をもたらすクオラムセンシング機構の保護を提供する。
【0132】
本発明では、物理的原理および化学的原理の組み合わせを使用して、殺生物剤の含有量が少なく、テキスタイルに対して効果的な抗菌保護のあるポリアミド繊維を製造する。
【0133】
有効な抗菌剤として知られている遷移金属は、ポリマー濃縮物中の金属のマスターバッチを溶融紡糸中に押出機内のポリマーに注入することによってポリアミド繊維内に分散される。このプロセスは、繊維内に金属粒子を分散させる。周囲条件に曝露されると、金属粒子は、繊維の表面へ固体状態移動し、繊維の表面でより高い濃度を形成する。これにより、繊維内のポリマーの蒸気圧および化学ポテンシャルを平衡化する。このプロセスは、金属が保護された環境に枯渇しているため、必要な金属粒子を繊維の大部分から表面へと連続的に供給する。このプロセスは、繊維内部から保護された環境への金属イオンの内部制御放出機構を構成する。表面の金属は酸化されて、殺生物剤として機能する遷移金属カチオンを形成する。
【0134】
アミンとの遷移カチオンの顕著な錯体生成定数(例えば、銀カチオン/エチルアミン錯体ではK=2,340)、および求核性アミノ基の金属カチオンに対する高い親和性を受けて、繊維の表面における金属カチオンは、ポリアミドポリマーのアミノ末端基との錯体および求電子結合を形成する。これは、繊維の周囲の水性環境への移行に対して繊維表面上の金属カチオンを安定させ、周囲の水へのそれらの溶解を低濃度に制限し、洗濯洗浄サイクルに対するそれらの安定性を増加させる。
【0135】
細菌と繊維表面との間のしっかりした接触のみが、「接触死」機構で細菌を死滅させるために、繊維中のその安定状態から細菌内の別のエネルギー的に有利な結合状態への金属移動を容易にする。
【0136】
本発明者らは、繊維/テキスタイルにおける抗菌保護が長期間持続することを観察した。繊維からの金属の検出可能な損失はなく、抗菌保護は、測定された細菌損失の量と比較して、繊維中の低濃度の金属で有効である。同等の金属損失は検出されなかった。
【0137】
ポリアミド繊維中の遷移金属による抗菌保護の安定性は一意に高い。このことは、保護機構が、細菌への同等の金属移動を伴う「接触死」のみを伴わず、むしろ、細菌集団内の「クオラムセンシング」効果に基づく機構において、非常に効果的な殺菌剤である、水に溶解した金属の非常に少量の消費か、または金属を全く移動しないかのいずれかを伴うことを示唆する。この「クオラムセンシング」効果は、繊維の表面またはその近傍での細菌の定着を防ぎ、保護されたテキスタイルにおける細菌の増殖に歯止めをかける。細菌は、繊維の表面の金属の殺生物剤を感知し、そこに定着または増殖しないように、それらの「クオラムセンシング」伝達システムを通じて信号を互いに検知する。
【0138】
本発明者らは、金属の抗菌効率が高いほど、保護された布においてより低い含有量で使用することができる金属に対する細菌の感受性が高いことを発見した。さらに、本発明者らは、銀カチオンが非常に効果的な抗菌剤であり、長時間および高い堅牢度でテキスタイル中の極めて低い濃度で保護をもたらすことを発見した。
【0139】
以下の実施形態において、本発明の原理を示す。
【0140】
繊維形成は、標準的なナイロン6.6POY溶融紡糸手順を伴い、これには、押出機での加圧添加剤ポートを介したマスターバッチ注入が含まれ、銀金属を繊維に導入することが可能となる。
【0141】
テキスタイルナイロン6.6ポリマーは、35~45の範囲内、典型的には40の相対粘度であり、0.3%の艶消し剤を含み、4,500~5,500の範囲内、典型的には5,000メートル/分の速度で融解紡糸されて、3.2~4.2、典型的には3.8グラム/デシテックスおよび70%~80%、典型的には76%の伸度のPOY繊維を生成する。フィラメント1.25あたりのデシテックスで、繊維のデシテックス/フィラメント数は50/40であり、これはマイクロファイバーの範囲内である。
【0142】
押出中、ポリマーには、押出機内で2~6、典型的には4分の長い滞留時間を介して、ナイロン6.6ポリマー中で均一かつ高分散するように設計された銀金属含有マスターバッチが注入される。マスターバッチでは、銀粒子の担体はナイロン6である。銀粒子は、0.5ミクロン未満などのナノサイズである。
【0143】
ポリマー中のマスターバッチの用量は、1.3%~2.0%の範囲内である。マスターバッチタイプは、Sukano AG製のSUKANO PA am S652である。紡糸されたPOY繊維は、糸に対して0.2~0.6%(典型的には0.3%)のオイルで紡糸仕上げされる。押出繊維中の銀濃度は、約1.500~4,500ppmの範囲内である。
【0144】
上記の範囲内のパラメータを有する典型的な繊維は、イスラエルのMigdal HaemekのNilit Ltd.によって製造されている。これらの繊維は、40/40デシテックス/フィラメント数に延伸加工されるように設計されており、「Body Fresh」の商標名で、身体の発汗および臭いに対するテキスタイルの抗菌保護のためのニットウェアにおける典型的な延伸加工糸として使用される。保護されたニット布は、100%のBody Fresh繊維を含むか、または40%を超える含有量で標準的なナイロン加工糸とブレンドされている。本発明では、細菌からテキスタイルを保護するために、上記の銀含有POY(非加工)繊維を、含有量が10%未満であるブレンドとして使用する。
【0145】
上記製造したPOY繊維を12mmの切断長ステープルに切断した。切断した繊維を、再生ポリエステルおよびビスコース切断繊維の混合物とブレンドし、カーディングし、7ゲージ針のステッチボンド機を用いてポリエステル150/1糸を介して280グラム/平方メートルの布比重の不織布にさらにステッチボンドした。布中のナイロンPOY反応性繊維の含有量は、5.0%および1.0%であった。
【0146】
未処理の対照の布とともに2つの布を、AATCC25922 Escheichia coliについてのテキスタイル材料の抗菌仕上げの評価のための米国繊維化学染色協会(AATCC)100-2012標準試験の後に、細菌耐性試験に供した。
【0147】
本明細書に添付される付録D(3ページ)に示されるように、処理済みビスコース床布シルバーコートと題する図では、5.0%および1.0%の反応性繊維を含む布の両方が試験基準に合格し、24時間後の細菌数の必要とされる3の対数減少を示し、それは試験後26日間続いた。5.0%および1.0%の反応性繊維含有量の試料の間にはわずかな差がある。これは、テキスタイル中の銀濃度が最低限必要とされるレベルに達することが保護を再保証することを意味する。保護は銀の量による化学量論的ではないように思われるため、追加の銀は必要ない。細菌が銀を感知するとすぐに、それらは増殖を停止し、個体群が失われる。これは、保護が、非接触の「クオラムセンシング」機構を介しているという仮定を裏付ける。布中の反応性繊維含量が1.0%で、繊維中の銀含量が0.15%の場合、保護された布中の全銀含量は15PPMである。
【0148】
延伸加工銀含有ナイロン6.6繊維の堅牢度を試験すると、非常に高い値が得られ、これは、銀カチオンとナイロン6.6繊維との間の強力な密着を示した。既に述べたような同じタイプのPOY繊維で作製されたNilit Ltd.の延伸加工Body Freshニットを、AATCC100-2012の標準的な方法に従って、洗濯洗浄に対する安定性について試験した。60℃の洗濯洗浄の50回のサイクル後、標準的な抗菌試験に供したニットは依然として99.9%を超える細菌の減少を示した。これは、ナイロン6.6b繊維への銀結合の安定性を示し、高い堅牢度を提供する。これらの実施形態は、非常に少ない反応性繊維含有量および極めて低い濃度の銀とのブレンドにおけるテキスタイルの保護を容易にする、本発明の繊維の卓越した抗菌有効性および耐久性を証明する。本発明のこれらの結果は、はるかに高い殺生物剤濃度を必要とする他の抗菌システムと比較して好ましい。例えば、ナノ粒子銀は、30~100ppmであり、ゼオライト粒子銀は、80~300PPMであり、繊維埋め込み銀は、2,500~5,000PPMであり、トリクロサンは、1,000~5,000PPMであり、第四級アミンは、1,000~10,000PPMである。
【0149】
本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0150】
当業者には、本発明が、上記で特に示され、説明されたものに限定されないということが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、上記の様々な特徴の組み合わせおよび下位の組み合せ、ならびに前述の説明を読むことによって当業者が想到するであろうそれらの変形および修正の両方を含む。
【国際調査報告】