(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ダイカスト機用油圧装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/32 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B22D17/32 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567919
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020058368
(87)【国際公開番号】W WO2020229033
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517338205
【氏名又は名称】ビューラー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイドラー、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】エーベルレ、ビート
(72)【発明者】
【氏名】ハーシェ、ルーカス
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、油圧媒体用の主入口開口部(5a)及び主出口開口部(5b)を有するベースブロック(5)と、また、コア牽引モジュール(6)、コア牽引リリーフモジュール(13)、ブースタモジュール(8)、二次運動モジュール(9)、及び真空モジュールからなる群から選択された、ベースブロック(5)に流体接続された少なくとも2つの異なるモジュール構成要素と、を備える、ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための装置(4)に関する。本発明は、このような装置を有するダイカスト機(1)と、ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための方法と、に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための装置(4)であって、
ベースブロック(5)であって、
好ましくは前記ベースブロック(5)の後側に配置されている油圧媒体用の主入口開口部(5a)及び主出口開口部(5b)と、
前記ベースブロック(5)の上部領域及び下部領域に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部(5c、5d、5e、5f)と、を有し、前記主入口開口部(5a)及び前記主出口開口部(5b)が、前記ベースブロック(5)内のライン(5a1、5a2、5b1、5b2)によって前記接続開口部(5c、5d、5e、5f)に接続されている、ベースブロックと、
コア牽引モジュール(6)、コア牽引リリーフモジュール(13)、ブースタモジュール(8)、二次運動モジュール(9)、及び真空モジュールからなる群から選択される少なくとも2つの異なるモジュール構成要素であって、
上部領域及び下部領域に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部(6a、6b、8a、8b、9a、9b)と、内部にこれらの開口部を接続するラインと、を有し、
前記モジュール構成要素(6、8、9、13)のうちの少なくとも1つが、前記モジュール構成要素(6、8、9、13)の対応する前記接続開口部(6a、6b、8a、8b、9a、9b)が前記ベースブロック(5)の対応する前記接続開口部(5c、5d、5e、5f)との流体接続を形成するように、前記ベースブロック(5)の前記上部領域又は前記下部領域に配置され、
前記少なくとも2つの異なるモジュール構成要素(6、8、9、13)が、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続するための接続部(6d、6e、8d、8e、9c、9d)を有する、モジュール構成要素と、
前記ベースブロック(5)及び/又は前記モジュール構成要素(6、8、9、13)の接続されていない入口開口部及び出口開口部(5c、5d、5e、5f、6a、6b、8a、8b、9a、9b)を閉鎖するためのエンドプレート(12)と、
を備える、装置(4)。
【請求項2】
少なくとも1つの追加のモジュール構成要素(6、8、9、13)が、モジュール構成要素(6、8、9、13)の空き上部領域又は下部領域に配置され、追加のモジュール構成要素が、コア牽引モジュール(6)、コア牽引リリーフモジュール(13)、ブースタモジュール(8)、二次運動モジュール(9)、及び真空モジュールからなる群から選択され、前記上部領域及び前記下部領域に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部(6a、6b、8a、8b、9a、9b)と、内部にこれらの開口部を接続するラインと、を有し、
前記追加のモジュール構成要素(6、8、9、13)が、前記追加のモジュール構成要素(6、8、9、13)の前記対応する接続開口部(6a、6b、8a、8b、9a、9b)が隣接する前記モジュール構成要素(6、8、9、13)の前記対応する接続開口部(6a、6b、8a、8b、9a、9b)との流体接続を形成するように、隣接する前記モジュール構成要素(6、8、9、13)の前記上部領域又は前記下部領域に配置され、
前記追加のモジュール構成要素(6、8、9、13)が、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続するための接続部(6d、6e、8d、8e、9c、9d)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベースブロック(5)と前記2つの異なるモジュール構成要素、場合によっては追加のモジュール構成要素(6、8、9、13)とが、締結手段、好ましくは1つ以上のねじロッド(11a、11b)によって接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの追加の接続部を有する分配ユニット(6l、6l’)が、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続するための少なくとも1つの接続部(6d、6e、8d、8e、9c、9d)上に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ベースブロック(5)が、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続するための接続部(5h)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ベースブロック(5)及び/又は前記少なくとも1つのモジュール構成要素(6、8、9、13)が、前記接続部(5h、6d、6e、8d、8e、9c、9d)への油圧媒体の流れを変更するための少なくとも1つのユニット、好ましくは弁(5g、6g、6i、8g、8h、8i、8l、9e)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ベースブロック(5)及び/又は前記少なくとも1つのモジュール構成要素(6、8、9、13)が、少なくとも1つの動作要素(6h、8h、8m)を有し、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続するためのモジュール構成要素(6、8、9、13)に設けられた全ての接続部(6d、6e、8d、8e、9c、9d)と、全ての動作要素(6h、8h、8m)とが、一方の側、好ましくは、前記主入口開口部(5a)及び前記主出口開口部(5b)とは反対の側に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(4)を備えるダイカスト機(1)であって、前記装置が締結手段によって前記ダイカスト機(1)上に配置されている、ダイカスト機(1)。
【請求項9】
前記ダイカスト機(1)が、エネルギーモジュール用の少なくとも1つの受容フレームを更に備え、前記受容フレームが、
前記ダイカスト機上に前記受容フレームを締結するための締結手段と、
エネルギーモジュール(5、6、7、8、9、10)を受け入れるための少なくとも1つ、好ましくは1~3個の列と、を備え、各列が、好ましくはそれぞれの端部において、それぞれの接続部品又はエネルギーモジュール(5)によって互いに接続されている2つのプロファイル部品を含み、四角形の、好ましくは矩形の内部空間を形成しており、
前記列が、その内部空間内に前記エネルギーモジュール(5、6、7、8、9、10)を配置するための手段を有し、複数の列が存在する場合、互いに接続されており、
前記ダイカスト機(1)上に前記受容フレームを締結するための前記締結手段が、受容フレームの外側面を形成する列上に配置されており、前記受容フレームが、前記締結手段を介して前記ダイカスト機(1)に締結されており、好ましくは、前記ダイカスト機(1)と前記ダイカスト機(1)に隣接する列との間に隙間を形成しており、
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(4)が、前記ダイカスト機(1)に隣接する前記受容フレームの前記列に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載のダイカスト機。
【請求項10】
前記装置(4)が、前記装置(4)の前記ベースブロック(5)が下部において前記列の前記プロファイル部品を接続するように、前記ダイカスト機に隣接する前記受容フレームの前記列に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のダイカスト機。
【請求項11】
1~5個のコア牽引モジュール(6)が前記ベースブロック(5)の上方に配置され、1~5個のブースタモジュール(8)が前記コア牽引モジュール(6)の上方に配置され、1~5個の二次運動モジュール(9)が前記ベースブロック(5)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のダイカスト機。
【請求項12】
前記ダイカスト機が、両側に、前記受容フレームを有する可動プラテン(3)を有し、装置(4)が、前記ダイカスト機(1)に隣接する前記受容フレームの前記列に配置されていることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のダイカスト機。
【請求項13】
前記装置(4)が、前記可動プラテン(3)の一方の側に、エジェクタシリンダを接続するための接続部(5h)を有するベースブロック(5)を備えることを特徴とする、請求項12に記載のダイカスト機。
【請求項14】
ダイカスト機(1)、好ましくはダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための方法であって、
前記ダイカスト機(1)上に、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(4)を設ける工程と、
前記装置(4)の前記ベースブロック(5)に油圧媒体を導入する工程と、
少なくとも1つのモジュール構成要素(6、8、9、13)及び/又はベースブロック(5)において、前記ダイカスト機(1)の油圧式構成要素に接続された少なくとも1つの接続部(5h、6d、6e、8d、8e、9c、9d)を通じて前記油圧媒体を移送する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記油圧媒体の前記移送が、少なくとも1つのユニット、好ましくは弁(5g、6g、6i、8g、8h、8i、8l、9e)によって変更されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ダイカスト機は、十分に既知である(例えば、Brunhuber,Praxis der Druckgussfertigung[The Practice of Die Casting Manufacturing],Berlin,3rd edition 1980を参照されたい)。ダイカスト機では、2つの半体からなる成形型が高圧下で閉じられ、溶融金属(又は金属合金)が閉じられた成形型に導入され、鋳造材料の固化の後に、完成したダイカスト部分を成形型を開くことによって取り出すことができる。成形型半体は、固定プラテン及び可動プラテン上に配置されており、成形型は、固定プラテンに向かうガイドカラム上の可動プラテンの対応する移動によって閉じられる。
【0003】
ダイカスト機の鋳造成形型の動作については、ダイカスト機の対応する構成要素に油圧媒体を供給するために、モジュールがダイカスト機上に設けられている必要がある。通常、これらのモジュールは、固定プラテン及び/又は可動プラテンの画定された非占有領域に配置されている。モジュール用に利用可能な領域は小さく、一般に、対応するモジュール用のみに使用されることができ、他のエネルギーモジュール用には使用されない。エネルギーモジュール用の領域の配置は、ダイカスト機の種類、すなわち、特定のダイカスト機において利用可能な空間に依存する。
【0004】
図1は、先行技術によるダイカスト機の正面図を概略的に示す。ダイカスト機1は、(ここでは、例として、固定)プラテン3と、可動プラテン(図示せず)を移動させるためのガイドカラム(図示せず)用のプラテン3内の開口部2と、を備える。ダイカスト機に電気エネルギーを供給するためのモジュール10、コアプラーを動作させるためのモジュール6、冷却用のモジュール7、及びブースタを動作させるためのモジュール8は、プラテン2の側部に配置されている。様々なモジュールは、ダイカスト機全体にわたって分散される。個々の油圧モジュールは、機械フレーム内に配置された油圧ラインにパイプとホースを介して複雑な様式で接続されなければならない。接続されたモジュールに応じて、従来の油圧接続又は特別な設計が使用されるべきである。先行技術で使用される手順は、あまり順応性が高くなく、時間のかかる組み立てを必要とする。
【0005】
必要とされる追加のエネルギーモジュールは、可能であっても、ダイカスト機のわずかな残りの空き領域においてのみ配置され得るため、従来のダイカスト機の改造は相当な労力を伴う。空間問題及びホースを使用する既存の配線又は供給に起因して、既存のエネルギーモジュールを再配置することは可能であるが多大な労力を伴う。
【0006】
それぞれの機械サイズは、異なるインターフェースを有するため、異なる機械サイズへの改造も、従来のエネルギーモジュールでは容易に可能とはならない。
【0007】
米国特許出願公開第2001/0035277(A1)号は、共通のエネルギーモジュールを介していくつかの射出成形ユニットを動作させることを提案する。しかしながら、この解決策は、莫大な量の空間を占め、更に、複数のダイカスト機は通常、相互に十分近接して動作されないため、嵩高なダイカスト機にとっては明らかに不適切である。
【0008】
本発明の目的は、空間要件が少なく、簡易で、順応性が高く、容易に改造可能な構造を有する油圧式機械の構成要素の必要な供給を提供するダイカスト機用装置を提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、請求項1に記載のダイカスト機によって達成される。
【0010】
詳細には、本発明は、ダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための装置に関し、この装置は、
ベースブロックであって、好ましくはベースブロックの後側に配置されている油圧媒体用の主入口開口部及び主出口開口部と、ベースブロックの上部領域及び下部領域に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部と、を有し、主入口開口部及び主出口開口部が、ベースブロック内のラインによって接続開口部に接続されている、ベースブロックと、
コア牽引モジュール、コア牽引リリーフモジュール、ブースタモジュール、二次運動モジュール、及び真空モジュールからなる群から選択される少なくとも2つの異なるモジュール構成要素であって、上部領域及び下部領域に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部と、内部にこれらの開口部を接続するラインと、を有し、モジュール構成要素のうちの少なくとも1つが、モジュール構成要素の対応する接続開口部がベースブロックの対応する接続開口部との流体接続を形成するように、ベースブロックの上部領域又は下部領域内に配置され、少なくとも2つの異なるモジュール構成要素が、ダイカスト機の油圧式構成要素に接続するための接続部を有する、モジュール構成要素と、
ベースブロック及び/又はモジュール構成要素の接続されていない入口開口部及び出口開口部を閉鎖するためのエンドプレートと、を備える。
【0011】
本発明は、ダイカスト機全体にわたって予め分散された全ての油圧モジュールを、本明細書で油圧タワーと称される単一のブロックに組み合わせるという概念に基づく。この油圧タワーは、油圧媒体を供給するために1つの接続部しか必要としない。油圧タワー内では、油圧媒体は、全てのモジュール構成要素を通って延びるラインを通じて個々のモジュール構成要素に分配される。再循環された油圧媒体は、油圧タワー内で合わせられ、単一の接続部を通って油圧タワーから流出し、ダイカスト機から離れるように誘導される。
【0012】
このようにして、ダイカスト機に供給を行うために必要なパイプやホースの数を大幅に削減することができる。加えて、様々な数及び種類のモジュール構成要素を、本発明による油圧タワー内で組み合わせて、順応性、省スペース、及び容易な改造性を大幅に向上させることができる。また、全てのモジュール構成要素が1つの場所で組み合わされるため、ダイカスト機の動作が簡易化される。ダイカスト機のいわゆる「設置面積」が最適化される。
【0013】
本発明による油圧タワーは、好ましくは、本出願人によって同日に出願された「Die casting machine with energy frame」と題する欧州特許出願に記載されているように、ダイカスト機上の受容フレーム内に配置することができる。
【0014】
本発明によれば、ダイカスト機は、好ましくは、2つのプラテンのダイカスト機又は3つのプラテンのダイカスト機である。
【0015】
ダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための構成要素は、それ自体既知である。これらの構成要素は、油圧媒体が供給され、この油圧媒体を、対応する機械構成要素に制御された方法で移送する構成要素である。
【0016】
鉱油、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、水グリコール混合物、又はリン酸エステルなどの無水液体などの、通常の液体を油圧媒体として使用することができる。
【0017】
上述のように、先行技術で使用されるこのような構成要素は、油圧媒体を供給及び排出するための別個の接続部を有しており、すなわち、別個の供給パイプ又はホースを各構成要素に置く必要がある。対照的に、本発明によるモジュール構成要素は、単一のブロックである油圧タワーに組み合わせることができるように設計される。
【0018】
本発明による油圧タワーは、単一の構成要素のみを介して外部から油圧媒体が供給される。この構成要素は、本発明ではベースブロックと称される。ベースブロックは、好適な材料(例えば、金属材料)で作製された、好ましくは直方体又は立方体のハウジングを有する。重量の理由から、ベースブロックは、好ましくは中空体である。
【0019】
本発明によるベースブロックは、好ましくは、本出願人によって同日に出願された「Die casting machine with energy frame」と題された欧州特許出願に記載されているように、ダイカスト機に直接又はダイカスト機上に配置された受容フレーム内にブロックを締結するための手段を有する。これらの手段は、好ましくは、締結ねじを受け入れるためのボアホールである。これらの手段は、特に好ましくは、ベースブロックの側面に配置される。
【0020】
本発明によるベースブロックは、油圧媒体用の主入口開口部と主出口開口部とを備える。これらの主開口部は、好ましくは、邪魔になり得る大型のパイプ又はホースが油圧タワーの前側に設けられないように、ベースブロックの後側に配置される。
【0021】
本発明によるベースブロックの主開口部は、従来のように、例えば接続部として設計され、通常のパイプ又はホースに従来の封止方式で接続することができる。スリーブジョイントが、例として本明細書で言及される。
【0022】
本発明によるベースブロックには更に、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部が、上部領域及び下部領域に設けられる。したがって、本発明によれば、ベースブロックの上部領域及び/又は下部領域にモジュール構成要素を配置することが可能であり、これにより、ベースブロックから接続開口部を通して油圧媒体を供給することができる、又は、油圧媒体をベースブロックに戻すことができる。
【0023】
この目的で、以下に説明するように、追加のモジュール構成要素は、ベースブロックの接続開口部に厳密に嵌合及び封止するように、すなわち流体的に接続され得る対応する接続開口部を有する。
【0024】
本発明による流体接続は、流体、好ましくは油圧媒体が、妨げられずに漏れることなく流れることができる2つのライン間の接続として理解されるべきである。これらの流体接続は、従来の方式で、例えば、封止リングを備えたクランプ接続によって実現することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、ベースブロック及びその上部及び/又は下部領域に配置されたモジュール構成要素は、締結手段によって接続される。この目的で、締結ねじ又は差込み型接続部を受け入れるためのボアホールが、好ましくは、ベースブロックの上部及び/又は下部領域に設けられ、対応する締結ねじ又は差込み型接続部が、モジュール構成要素の対応する上部及び/又は下部領域に配置される。
【0026】
本発明によれば、ベースブロック及びその上部及び/又は下部領域に配置されたモジュール構成要素は、特に好ましくは、1つ以上のねじロッドによって接続される。これらのねじロッドは、モジュール構成要素の対応するボアホールを通して誘導され、ベースブロック及び/又はモジュール構成要素の対応する端部ボアホール内にしっかりと配置される(例えば、ねじ込まれる)ことができる一端を有する。ねじロッドの他端は、モジュール構成要素内に固定されるか、又はモジュール構成要素の上部領域の外側に配置され、既知の方式で(例えば、ねじ接続を介してナットで)締結することができる。ねじロッドを有する変形は、特に安定した油圧タワーをもたらす。
【0027】
ベースブロックの主入口開口部及び主出口開口部は、ベースブロック内のラインによって接続開口部に接続される。これらのラインは、従来の方式で、例えば、パイプの形態で、又は鋳造部品などの中実体の形態のベースブロックのボアホールの形態で設計される。
【0028】
本発明の代替的な実施形態によれば、ベースブロックは、ダイカスト機の油圧式構成要素に接続するための追加接続部を有することができる。この場合、ベースブロックは、油圧媒体を他のモジュール構成要素に分配するだけでなく、ダイカスト機の油圧式構成要素を制御するように機能する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、エジェクタシリンダは、ベースブロックの補助により作動される、すなわち、鋳造プロセスが終了した後に鋳造部品が鋳型から放出されるダイカスト機の可動プラテンに設置されるシリンダである。
【0030】
この代替的な実施形態では、好ましくは、油圧媒体の流れを変更するためのユニット、好ましくは弁を介して追加の接続部に至る二次ラインは、主開口部からベースブロックの上部及び下部領域の接続開口部に至るベースブロック内のラインから分岐する。
【0031】
エジェクタシリンダなどの機械構成要素に供給される油圧媒体の量は、油圧媒体の流れを変更するためのユニット、好ましくは弁を使用して調整することができる。必要に応じて、これは、単純な黒白弁(black and white valve)、位置決め弁、又は比例弁であり得る。このような弁は既知である。
【0032】
黒白弁は、例えば、エジェクタシリンダをその端部位置に移動させ、再び戻すことができる4/3方向ソレノイド弁であり得る。
【0033】
位置決め弁は、3つの弁の組み合わせからなることができ、これにより、シリンダの所定位置への非常に正確な移動が、例えば±1mmの精度で達成され得る。例えば、4/3方向ソレノイド弁(主弁)と2つの2/2方向ソレノイド弁(二次弁)との組み合わせが配置されて、主弁が閉鎖位置にあるとき、緊急時には油圧媒体が二次弁を介して流れ、ライン内の過剰な圧力を防止することができる。
【0034】
比例弁は、シリンダの位置決定の関数として、シリンダの非常に正確な移動及び位置決めを可能にする、統合型制御を有する4/3方向ソレノイド弁であり得る。
【0035】
弁は、ベースブロックの主開口部が位置する側に配置されることが好ましい。ベースブロックをエジェクタシリンダなどの機械構成要素に接続するための追加の接続部は、好ましくは、後方に向かって位置合わせされてベースブロック上に横方向に配置される。追加の接続部は、従来のパイプ又はホースに従来の封止方式で接続することができる。スリーブジョイントが、例として本明細書で言及される。
【0036】
少なくとも1つの追加のモジュール構成要素は、上述のように、ベースブロックの上部領域に配置される。この追加のモジュール構成要素は、コア牽引モジュール、コア牽引リリーフモジュール、ブースタモジュール、二次運動モジュール、及び真空モジュールからなる群から選択されてもよい。
【0037】
本発明によれば、コア牽引モジュールは、好ましくは、ベースブロックの上部領域に配置される。
【0038】
コア牽引モジュールは、可動コア(又は、一般的に可動成形部品)を成形型内で移動させるコア牽引シリンダを制御するために使用される。鋳造される鋳造部品の成形型は、これらの可動コアを用いて変更することができる。コア牽引モジュールは、成形型の開口部を通じて機械的に取り出されないコア(又は、一般的に成形部品)を、成形型から外へ油圧で移動させるために使用される。
【0039】
可動コア及びコア牽引シリンダは、十分に既知である。一般に、いくつかの、例えば1~10個、好ましくは1~5個のコア牽引シリンダ及び可動コアが、ダイカスト機の鋳造成形型に提供される。関連するコア牽引モジュールが、コア牽引シリンダ毎に設けられる。本発明によるコア牽引モジュールは、コア牽引シリンダを移動させるために使用することができ、好ましくは、減圧を実行するために更に使用することができる。
【0040】
本発明によるコア牽引モジュールは、好適な材料(例えば、金属材料)で作製された好ましくは直方体又は立方体のハウジングを有する。重量の理由から、コア牽引モジュールは、好ましくは中空体である。本発明の好ましい実施形態によれば、コア牽引モジュールをベースブロックに接続するために、締結ねじ又は差込み型接続部が好ましくは、コア牽引モジュールの下部領域に配置される。上に配置されたコア牽引モジュールの対応する締結手段を受け入れるためのボアホールは好ましくは、コア牽引モジュールの上部領域に設けられる。しかしながら、本発明によれば、上記のようにねじロッドを誘導することができる連続的なボアホールが、コア牽引モジュールに設けられることが特に好ましい。加えて、本出願人によって同日に出願された「Die casting machine with energy frame」と題する欧州特許出願に記載されているように、コア牽引モジュールをダイカスト機に直接、又はダイカスト機上に配置された受容フレーム内に締結するための手段を、コア牽引モジュールの側面に設けることができる。これらの手段は、好ましくは、締結ねじを受け入れるためのボアホールである。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、コア牽引モジュールを持ち上げるための手段が、コア牽引モジュールの上部領域に設けられる。この手段は、好ましくは、クレーンによって、コア牽引モジュールに締結されたケーブルでコア牽引モジュールを持ち上げることができるように、アイスクリュー又はフックを固定的に配置するためのボアホールである。
【0042】
本発明によるコア牽引モジュールは、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部を上部領域及び下部領域に有する。ベースブロックの上部領域に配置されたコア牽引モジュールの場合、これらの接続開口部は、上述のように、ベースブロックの対応する接続開口部に流体接続される。コア牽引モジュールの接続開口部は、ベースブロックの上述の接続開口部と同様に設計される。
【0043】
本発明によるコア牽引モジュールは、その内部に、上部領域及び下部領域の接続開口部を互いに接続するラインを有する。いくつかのコア牽引モジュールが重なって配置される場合、全てのコア牽引モジュールは、内側ラインを介して互いに接続されて、ベースブロックによって油圧媒体を供給することができる、又はベースブロックに油圧媒体を戻すことができる。
【0044】
コア牽引シリンダは、コア牽引モジュールを使用して作動される。この目的で、油圧媒体の流れを修正するためのユニット、好ましくは弁を介してコア牽引シリンダの接続部につながる二次ラインは、コア牽引モジュールの下部領域内の接続開口部からコア牽引モジュールの上部領域の接続開口部につながるコア牽引モジュール内のラインから分岐する。
【0045】
弁は、好ましくは、コア牽引モジュールの後側に配置される。コア牽引モジュールをコア牽引シリンダに接続するための接続部は、好ましくは、コア牽引モジュールの前側に配置され、したがって作業者にとって容易にアクセス可能である。追加の接続部は、従来のパイプ又はホースに従来の封止方式で接続することができる。スリーブジョイントが、例として本明細書で言及される。
【0046】
本発明の更なる実施形態によれば、好ましくは、コア牽引モジュールの側面に追加の接続部を設けることができ、これらの接続部はまた、油圧媒体の流れを変更するためのユニット、好ましくは弁を介して油圧媒体を供給する、又は油圧媒体を戻すことができる。
【0047】
弁は、例えば、コア牽引シリンダをその端部位置に移動させ、再び戻すことができる4/3方向ソレノイド弁であり得る。
【0048】
利用可能な接続部の数を更に増加させるため、分配要素を、好ましくは、少なくとも1つの接続部上に設けることができる。この分配要素は、例えば、コア牽引モジュールの接続部に流体接続された入口と、機械構成要素に接続するための少なくとも2つの出口と、を有する。
【0049】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明によるコア牽引モジュールは、圧力を低減する機能を有する。この場合、コア牽引モジュールは、加圧油圧媒体を備えてベースブロックからきているラインと、上記の弁との間に配置される減圧弁を更に備える。減圧弁は、十分に既知である。減圧弁は、好ましくは、動作要素、例えば回転制御を使用して制御することができる。動作要素は、好ましくは、コア牽引シリンダ用の接続部に隣接して、コア牽引モジュールの前側に配置される。
【0050】
更に、本実施形態によれば、コア牽引モジュールは、圧力を測定するための接続部を備えてもよい。コア牽引モジュールに加えられた圧力を判定し、必要に応じて減圧弁を使用して圧力を変更するために、圧力計などの従来の圧力測定器具をこの接続部に接続することができる。圧力測定のための接続部は、好ましくは、コア牽引シリンダの接続部に隣接して、コア牽引モジュールの前側に位置する。
【0051】
本実施形態によれば、複数のコア牽引モジュールが油圧タワー内に設けられた場合、各コア牽引モジュール内の圧力を別個に判定及び変更することが可能である。
【0052】
本発明の更なる実施形態によれば、安全モジュールをコア牽引モジュール上に設けることができ、この安全モジュールは、油圧回路内で上記の弁とコア牽引シリンダとの間に配置され、それ自体の重量によって引き起こされるコア牽引シリンダの不所望の運動を防止する。
【0053】
本発明による油圧タワーでは、設けられる全てのコア牽引モジュールは、好ましくは、ベースブロックの上部領域に重ねて配置される。連続的な油圧流が、ベースブロック内及び全てのコア牽引モジュール内に存在するラインによって可能である。
【0054】
好ましい実施形態によれば、コア牽引リリーフモジュールが、コア牽引モジュール又は複数のコア牽引モジュールの上方、すなわち、最上位のコア牽引モジュールの上部領域に配置される。ライン内に存在する圧力は、例えば、機械構成要素への接続が容易に解除され得るように、コア牽引リリーフモジュールを使用して、油圧タワーからタンクに放出することができる。この目的で、コア牽引リリーフモジュールは、最上位のコア牽引モジュールの上部領域の接続開口部に流体接続することができ、リリーフ弁につながるラインを有する。リリーフ弁が作動されると、ラインはタンクに接続される。本発明によるコア牽引リリーフモジュールは、好適な材料(例えば、金属材料)で作製された好ましくは直方体又は立方体のハウジングを有する。重量の理由から、コア牽引リリーフモジュールは、好ましくは中空体である。リリーフ弁は、好ましくは、後側、すなわち、油圧タワー内の接続部及び動作要素とは反対の側に配置される。
【0055】
本発明の代替的な実施形態によれば、コア牽引リリーフモジュールの代わりに、最上位のコア牽引モジュールの上部領域内の接続開口部を閉鎖するためのエンドプレートを更に有してもよい。このプレートは、接続開口部を閉鎖するために必要な寸法を有する好適な材料(例えば、金属材料)で作製されたプレートであり、例えば螺旋接続部によって、最上位のコア牽引モジュールの上部領域に締結することができる。
【0056】
本発明による油圧タワーは更に、少なくとも1つのブースタモジュール、例えば1~10個、好ましくは1~5個のブースタモジュールを備えることができる。ブースタモジュールは、固化前に鋳造成形型内の鋳造材料を追加的に加圧し、圧縮するために、ブースタシリンダを作動させる機能を果たす。
【0057】
本発明によるブースタモジュールの設計は、コア牽引モジュールに関する上記の陳述が同様に適用されるように、減圧弁を有する上述のコア牽引モジュールに実質的に相当することが好ましい。加えて、ブースタモジュールは、好ましくは、絞り弁を有する。2本のラインは、ブースタモジュールを通って下部領域の接続開口部から上部領域の接続開口部まで通じるラインから分岐し、2つのラインのうちの一方は、油圧媒体の流れを変更するために、ユニット、好ましくは弁、特に好ましくは4/3方向ソレノイド弁を介して接続部のうちの1つにつながる。弁を離れた後、他方の分岐ラインは、まず減圧弁を通して誘導され、次いで、他の接続部へ誘導される前に、それ自体既知の絞り弁を通る。このように、ブースタシリンダのピストンチャンバ側は、追加の弁を使用して標的化されて影響され得る。
【0058】
追加の絞り弁の場合、動作要素、例えば回転制御装置が制御のために設けられることもまた好ましい。動作要素は、好ましくは、ブースタシリンダの接続部に隣接して、ブースタモジュールの前側に配置される。本発明による真空モジュールの設計は、コア牽引モジュールに関する上記の陳述が同様に適用されるように、減圧弁を有する上述のコア牽引モジュールに実質的に相当することが好ましい。
【0059】
ブースタモジュールは、好ましくは、コア牽引モジュールの上方に配置される。この場合、上記のエンドプレートは、最上位のブースタモジュールの上部領域に配置される(かつ、最上位のコア牽引モジュールの上部領域には配置されない)。
【0060】
本発明による油圧タワーは、少なくとも1つの真空モジュールを更に備えることができ、これにより、鋳造成形型内の真空に影響を与えるシリンダを作動させることができる。
【0061】
本発明による油圧タワーは、少なくとも1つの二次運動モジュールを更に備えることができる。二次運動は、主な油圧機械運動(鋳造成形型の閉鎖など)に関係しない機械構成要素の油圧式運動を意味すると理解される。ダイカスト機における例示的な二次運動としては、ガイドカラム用の固定プラテンにおけるクランプ機構の運動、クランプシリンダの運動、成形型キャリアの水平移動のためのシリンダの運動、又は鋳造成形型を放出するためのシリンダの運動などが挙げられる。
【0062】
二次運動モジュールは、好ましくは、ベースブロックの下方に配置され、1つの二次運動モジュールは、コア牽引モジュールのベースブロックの上部領域への流体接続と同様に、ベースブロックの下部領域に流体的に接続される。
【0063】
いくつかの二次運動モジュールが油圧タワー内に存在する場合、それらのモジュールは好ましくはユニットとして組み合わされ、ベースブロックの下部領域に配置される。上述のコア牽引モジュール及びブースタモジュールと同様に、二次運動モジュールはまた、例えば螺旋接続部によって、又は好ましくは、二次運動モジュール内のボアホールを通して誘導される1つ以上のねじロッドによって、互いに及びベースブロックにしっかりと接続される。
【0064】
本発明によれば、ベースブロックの下部領域(二次運動モジュールが存在しない場合)又は最下位の二次運動モジュールの下部領域の接続開口部を閉鎖するためのエンドプレートが存在する。このプレートは、接続開口部を閉鎖するために必要な寸法を有する好適な材料(例えば、金属材料)で作製されたプレートであり、例えば螺旋接続部によって、ベースブロックの下部領域(二次運動モジュールが存在しない場合)又は最下位の二次運動モジュールの下部領域に締結することができる。加えて、本出願人によって同日に出願された「Die casting machine with energy frame」と題する欧州特許出願に記載されているように、ダイカスト機又はダイカスト機上に配置された受容フレームに二次運動モジュールを直接締結する手段を、二次運動モジュールの側面に設けることができる。これらの手段は、好ましくは、締結ねじを受け入れるためのボアホールである。
【0065】
本発明による二次運動モジュールは、好適な材料(例えば、金属材料)で作製された好ましくは直方体又は立方体のハウジングを有する。重量の理由から、二次運動モジュールは、好ましくは中空体である。
【0066】
本発明による二次運動モジュールは、油圧媒体を排出及び導入するための接続開口部を上部領域及び下部領域に有する。ベースブロックの下部領域に配置される二次運動モジュールの場合、これらの接続開口部は、上述したように、ベースブロックの対応する接続開口部に流体接続される。二次運動モジュールの接続開口部は、ベースブロックの上述の接続開口部と同様に設計される。
【0067】
本発明による二次運動モジュールは、その内部に、上部領域及び下部領域の接続開口部を互いに接続するラインを有する。いくつかの二次運動モジュールが重なって配置される場合、全ての二次運動モジュールは、内側ラインを介して互いに接続され、ベースブロックによって油圧媒体を供給することができる、又はベースブロックに油圧媒体を戻すことができる。
【0068】
二次運動モジュールを使用してシリンダを作動させることにより、二次運動をトリガする。この目的で、油圧媒体の流れを修正するためのユニット、好ましくは弁を介してシリンダの接続部につながる二次ラインは、二次運動モジュールの下部領域内の接続開口部から二次運動モジュールの上部領域の接続開口部につながる二次運動モジュール内のラインから分岐する。
【0069】
様々な二次運動モジュールは、それぞれの二次運動を実行するために、二次運動モジュールに設ける必要がある弁の種類及び数が異なる。特定の二次運動に必要とされる弁構成は、当業者に既知である。
【0070】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、上記の油圧タワーにおいて、ダイカスト機の油圧式構成要素及び全ての動作要素に接続するためにモジュール構成要素に設けられる全ての接続部(すなわち、側面に配置される全ての二次接続部を除く主接続部)は、一方の側、好ましくは主入口開口部及び主出口開口部とは反対の側に配置される。したがって、油圧タワーの前方に立っている操作者は、容易に油圧タワーを操作し使用することができる。
【0071】
既に上述したように、本発明による油圧タワーは、ダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するために提供される。したがって、本発明はまた、締結手段によってダイカスト機上に配置された上記の少なくとも1つの装置(油圧タワー)を備えるダイカスト機に関する。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によれば、ダイカスト機は、エネルギーモジュール用の少なくとも1つの受容フレームを更に備え、受容フレームは、
ダイカスト機上に受容フレームを締結するための締結手段と、
エネルギーモジュールを受け入れるための少なくとも1つ、好ましくは1~3個の列と、を備え、各列が、好ましくはそれぞれの端部において、それぞれの接続部品又はエネルギーモジュールによって互いに接続されている2つのプロファイル部品を含み、四角形の、好ましくは矩形の内部空間を形成しており、列が、その内部空間内にエネルギーモジュールを配置するための手段を有し、複数の列が存在する場合、互いに接続されており、
ダイカスト機上に受容フレームを締結するための締結手段は、受容フレームの外側面を形成する列上に配置されており、受容フレームは、締結手段を介してダイカスト機上に締結されており、好ましくは、ダイカスト機とダイカスト機に隣接する列との間に隙間を形成しており、上述の装置(油圧タワー)は、ダイカスト機に隣接する受容フレームの列に配置されていることを特徴とする。
【0073】
本発明の意味の範囲内のエネルギーモジュールは、エネルギーを、例えば、電気エネルギーの形態で、又は加圧された油圧媒体の形態で、ダイカスト機の構成要素に供給することができる装置である。このようなエネルギーモジュールは、従来公知であり、利用可能である。これらは基本的にボックス形状であり、電流又は油圧媒体を供給及び放出するための接続部と、場合によってはスイッチ、制御ノブなどの動作要素を有する。
【0074】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、上述の装置(油圧タワー)は、装置のベースブロックが下部において列のプロファイル部品を接続するように、ダイカスト機に隣接する受容フレームの列に配置される。
【0075】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、1~5個のコア牽引モジュールがベースブロックの上方に配置され、1~5個のブースタモジュールがコア牽引モジュールの上方に配置され、1~5個の二次運動モジュールがベースブロックの下方に配置される。
【0076】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、ダイカスト機は、両側に受容フレームを有する可動プラテンを有し、装置(油圧タワー)が、ダイカスト機に隣接する受容フレームの列に配置される。この場合、装置は、特に好ましくは、可動プラテンの一方の側に、エジェクタシリンダを接続するための接続部を有するベースブロックを備える。
【0077】
このような受容フレームを有するダイカスト機は、本出願人によって同日に出願された「Die casting machine with energy frame」と題する欧州特許出願に詳細に記載されている。
【0078】
本発明は更に、ダイカスト機の油圧式構成要素に供給を行う、及び/又は油圧式構成要素を制御するための方法であって、
ダイカスト機上に上述した装置(油圧タワー)を設ける工程と、
装置のベースブロックに油圧媒体を導入する工程と、
少なくとも1つのモジュール構成要素及び/又はベースブロックにおいて、ダイカスト機の油圧式構成要素に接続された少なくとも1つの接続部を通じて油圧媒体を移送する工程と、を含む、方法に関する。
【0079】
本発明によれば、油圧媒体の移送は好ましくは、少なくとも1つのユニット、好ましくは弁によって変更される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
本発明は、非限定的な図面を参照して以下でより詳細に説明されている。以下のものが示されている。
【
図1】
図1は、先行技術によるダイカスト機の正面図である。
【
図2】
図2は、本発明による油圧タワーの概略図である。
【
図3】
図3は、個々のモジュール構成要素を締結するためのねじロッドを有する本発明による油圧タワーの一実施形態の概略図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明による油圧タワーのベースブロックの一実施形態の概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明による油圧タワーのベースブロックの別の実施形態の概略図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明による油圧タワーのコア牽引モジュールの実施形態の概略図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明による油圧タワーのコア牽引モジュールの別の実施形態の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明による油圧タワーのブースタモジュールの一実施形態の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明による油圧タワーの二次運動モジュールの実施形態の概略図である。
【0081】
図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、先行技術によるダイカスト機の正面図を概略的に示す。ダイカスト機1は、(ここでは、例として、固定)プラテン3と、可動プラテン(図示せず)を移動させるためのガイドカラム(図示せず)用のプラテン3内の開口部2と、を備える。ダイカスト機に電気エネルギーを供給するためのモジュール10、コアプラーを動作させるためのモジュール6、冷却用のモジュール7、及びブースタを動作させるためのモジュール8は、プラテン2の側部に配置されている。様々なモジュールは、ダイカスト機全体にわたって分散される。個々の油圧モジュールは、機械フレーム内に配置された油圧ラインにパイプとホースを介して複雑な様式で接続されなければならない。
【0083】
図2は、本発明による油圧タワー4の概略図である。この油圧タワー4は、主入口開口部5a(図示せず)と主出口開口部5bとを有するベースブロック5を備える。
図2に示す実施形態によれば、ベースブロック5は弁5gを有し、この弁により、例えばエジェクタシリンダを制御するために、制御された方式で油圧媒体を追加の接続部5(図示せず)に送達することができる。
【0084】
(この実施形態では)5つのコア牽引モジュール6のブロックが、ベースブロック5の上部領域に配置される。コア牽引モジュール6はそれぞれ、前側にコア牽引シリンダに接続するための接続部6d、6eと、後側に弁6iとを有し、この弁により、制御された方式で油圧媒体を接続部6d、6eに送達することができる。弁6iは、圧力レギュレータ6hを介して調節することができる。
【0085】
コア牽引モジュール6は、接続開口部(
図2には図示せず)を介してベースブロック5及び相互に流体接続されて、それにより、油圧媒体は、ベースブロック5から全てのコア牽引モジュール6を通って循環し、接続部6d、6eを介して送達されることができる。
【0086】
コアリリーフモジュール13は、最上位のコア牽引モジュール6上に配置される。上述したように、コアリリーフモジュール13は、リリーフ弁(
図2には図示せず)を使用して、油圧タワー4内の油圧ライン内の圧力を緩和する機能を果たす。
【0087】
(
図2の)4つのブースタモジュール8のブロックは、コアリリーフモジュール13の上部領域に配置される。ブースタモジュール8はそれぞれ、前側にブースタシリンダに接続するための接続部8d、8eと、後側に少なくとも1つの弁8iとを有し、この弁により、制御された方式で油圧媒体を接続部8d、8eに送達することができる。弁8iは、圧力レギュレータ8hを介して調節することができる。各ブースタモジュールは、対応するレギュレータを有するそれぞれの減圧弁(
図2には示さず)及び絞り弁を追加で有することができる。
【0088】
ブースタモジュール8は、ベースブロック5、コア牽引モジュール6、コアリリーフモジュール13に、及び接続開口部(
図2には図示せず)を介して互いに流体接続されて、それにより、油圧媒体は、ベースブロック5から全てのブースタモジュール8を通って循環し、接続部8d、8eを介して送達されることができる。
【0089】
油圧タワー4を通るラインを閉鎖するためのエンドプレート12は、最上位のブースタモジュール8の上部領域に締結されている。
【0090】
(
図2の)3つの二次運動モジュール9のブロックは、ベースブロック5の下部領域に配置される。ブースタモジュール9はそれぞれ、前側に二次運動シリンダに接続するための接続部9c、9dと、後側に少なくとも1つの弁ブロック9eとを有し、この弁ブロックにより、制御された方式で油圧媒体を接続部9c、9dに送達することができる。
【0091】
油圧タワー4を通過するラインを閉鎖するためのエンドプレート12は、最下位の二次運動モジュール9の下部領域に締結されている。
【0092】
図3は、個々のモジュール構成要素を締結するためのねじロッドを有する本発明による油圧タワーの一実施形態の概略図である。長さの異なるねじロッド11a、11bが、モジュール構成要素5、6、8、9、13のボアホールを通じて誘導される。ねじロッド11a、11bの一方の端部11dは、モジュール構成要素の端部ボアホールに締結される、例えばねじ込まれる。ねじロッド11a、11bの他方の端部11cは、溝によって固定される。この実施形態に示される方法では、モジュール構成要素の堅固な接続が確保される。油圧タワー4は非常に安定しており、ダイカスト機の動作中に生じる力に耐える。
【0093】
図4Aは、本発明による油圧タワー4のベースブロック5の実施形態の概略図である。
【0094】
ベースブロックは、ライン5a1及び5a2(例えば、中空体のパイプ又は中実体のボアホール)を介して、ベースブロック5の上部領域の接続開口部5cとベースブロック5の下部領域の接続開口部5eとに流体接続された主入口開口部5aを有する。主入口開口部5aを通じてベースブロック5に導入される油圧媒体は、接続開口部5c、5eを通じて、ベースブロック5の上部領域又は下部領域に配置されたモジュール構成要素(ここでは図示せず)に分配することができる。
【0095】
ベースブロック5は、ライン5b1及び5b2を介して、ベースブロック5の上部領域の接続開口部5dとベースブロック5の下部領域の接続開口部5fとに流体接続された主出口開口部5baを更に有する。油圧媒体は、ベースブロック5から、主出口開口部5bを介してタンク(図示せず)内に誘導することができる。誘導して出される油圧媒体は、ベースブロック5の上部領域又は下部領域に配置されたモジュール構成要素(ここでは図示せず)の接続開口部5d、5fを通じてベースブロック5に導入することができる。
【0096】
図4Bは、本発明による油圧タワー4のベースブロック5の別の実施形態の概略図である。このベースブロック5は、ベースブロック5を機械構成要素、好ましくはエジェクタシリンダに接続するための接続部5hと接続部5hへの油圧流の調節のための弁5gとが、ベースブロック5上に配置されている点で
図4Aに示す実施形態と異なる。二次ラインは、上記で詳細に説明したように、ライン5a2、5b2(
図4Bには示さず)から弁5g、及びそこから接続部5hにつながる。
【0097】
図5Aは、本発明による油圧タワー5のコア牽引モジュール6の実施形態の概略図である。
【0098】
コア牽引モジュール6は、その内部に、コア牽引モジュール6の上部領域の接続開口部6a、6b、及びコア牽引モジュール6の下部領域内の接続開口部(図示せず)に流体接続されたライン(図示せず)を有する。二次ラインは、上で詳細に説明したように、ライン(図示せず)から弁6i内に、又は減圧弁6gを介して弁6g内へ、及びそこから接続部6d、6eにつながる。接続部6d、6eは、コア牽引シリンダに接続することができる。
【0099】
減圧弁6gは、圧力レギュレータ6hを使用して調節することができる。また、コア牽引モジュール6の前側には、圧力測定用の接続部6fが設けられており、この接続部には、圧力計などの従来の圧力測定器具を接続することができる。
【0100】
図5aによる実施形態では、アイスクリューを受け入れるためのボアホール6c(図示せず)が、コア牽引モジュール6の上部領域に設けられている。コア牽引モジュール6は、このようなアイスクリューを使用して、簡単に持ち上げて設置したり取り外したりすることができる。
【0101】
図5aによる実施形態では、追加の二次接続部6j、6kが1つの側面に設けられる。これらの二次接続部は、接続部6d、6eと同様に油圧接続され、任意の油圧分配器(図示せず)に接続する機能を果たす。
【0102】
図5Bは、本発明による油圧タワー5のコア牽引モジュール6の別の実施形態の概略図である。このコア牽引モジュール6は、利用可能な接続部の数を増加させるため(この場合は2倍)、分配要素6l、6l’が接続部6d及び6eのそれぞれの上に配置されているという点で、
図4Aに示す実施形態と異なる。
【0103】
図6は、本発明による油圧タワー5のブースタモジュール8の実施形態の概略図である。
【0104】
ブースタモジュール8は、その内部に、ブースタモジュール8の上部領域の接続開口部8a、8b、及びブースタモジュール8の下部領域の接続開口部(図示せず)に流体接続されたライン(図示せず)を有する。二次ラインは、上で詳細に説明したように、ライン(図示せず)から弁8i内に、又は減圧弁8g及び絞り弁8lを介して弁8g内へ、及びそこから接続部8d、8eにつながる。接続部8d、8eは、ブースタシリンダに接続することができる。
【0105】
減圧弁8gは、圧力レギュレータ8hを使用して調節することができる。絞り弁8lは、レギュレータ8mを使用して調節することができる。また、ブースタモジュール8の前側には、圧力測定用の接続部8fが設けられており、この接続部には、圧力計などの従来の圧力測定器具を接続することができる。
【0106】
図6による実施形態では、アイスクリューを受け入れるためのボアホール8c(図示せず)が、ブースタモジュール8の上部領域に設けられている。ブースタモジュール8は、このようなアイスクリューを使用して、簡単に持ち上げて設置したり取り外したりすることができる。
【0107】
図6による実施形態では、追加の二次接続部8j、8kが1つの側面に設けられる。これらの二次接続部は、接続部8d、8eと同様に油圧接続され、任意の油圧分配器(図示せず)に接続する機能を果たす。
【0108】
図7は、本発明による油圧タワーの二次運動モジュール9の実施形態の概略図である。
【0109】
二次運動モジュール9は、その内部に、二次運動モジュール9の上部領域の接続開口部9a、9b、及び二次運動モジュール9の下部領域の接続開口部(図示せず)に流体接続されたライン(図示せず)を有する。二次ラインは、上で詳細に説明したように、ライン(図示せず)から弁ブロック9eに、及びそこから接続部9c、9dにつながる。接続部9c、9dは、二次運動シリンダに接続することができる。
【国際調査報告】