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特表2022-536256ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法
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  • 特表-ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法 図1
  • 特表-ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法 図2
  • 特表-ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法 図3
  • 特表-ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法 図4
  • 特表-ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてウイルス関連癌を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20220805BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 38/15 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/506
A61K31/167
A61K38/15
A61K31/18
A61K31/4184
A61K31/27
A61K31/4045
A61K31/517
A61K31/513
A61K31/4406
A61K31/4155
A61K31/522
A61P31/12
A61P43/00 111
A61P35/02
A61P7/04
A61K9/20
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570435
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020034951
(87)【国際公開番号】W WO2020243326
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/855,454
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521516581
【氏名又は名称】ヴィラクタ サブシディアリー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】マクエレ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ゲイル,エル.
(72)【発明者】
【氏名】デン,シャオフー
(72)【発明者】
【氏名】スラック,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,マーシャル,スミス
(72)【発明者】
【氏名】トラウガー,リチャード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC27
4C076CC35
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA20
4C084BA01
4C084BA25
4C084BA27
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA53
4C084ZB26
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZB332
4C084ZC202
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC36
4C086BC39
4C086BC42
4C086BC46
4C086CB07
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA53
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA01
4C206JA13
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA53
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZB33
4C206ZC20
4C206ZC75
(57)【要約】
有効性を効果的に提供し、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)治療療に関連する副作用を有効に予防および管理する特定の投与スケジュールおよび量が本明細書に記載される。任意選択で、これらのスケジュールおよび投薬レジメンには、抗ウイルス剤による治療が含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の癌を治療する方法であって、前記方法は、(a)30時間未満の排出半減期を特徴とする、有効量のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、および(b)有効量の抗ウイルス剤を前記個体に投与する工程を含み、ここで、前記個体は治療スケジュールに従って治療され、前記個体は治療スケジュールの少なくとも1回の用量についてHDACiを投与されない、方法。
【請求項2】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも1日間、HDACiを投与されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HDACiが経口投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記HDACiが、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、CDX101、キダミド、ドマチノスタット、およびナナチノスタットからなるリストから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記HDACiがクラスIヒストンデアセチラーゼの活性を阻害する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記HDACiが24時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記HDACiが12時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記HDACiが4時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記HDACiがナナチノスタットである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記HDACiが、約10ミリグラム~約40ミリグラムまでの1日当たりの総用量で投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記HDACiが約10ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記HDACiが約15ミリグラムの1日当たりの総量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記HDACiが約20ミリグラムの1日当たりの総量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記HDACiが約25ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記HDACiが約30ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記HDACiが1日1回投与される、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗ウイルス剤の細胞毒性活性がウイルスキナーゼによって活性化される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ウイルスキナーゼには、エプスタインバーウイルスプロテインキナーゼ、エプスタインバーウイルスチミジンキナーゼ、ヒトヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、またはヒトサイトメガロウイルスタンパク質が含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗ウイルス剤が、アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、およびファムシクロビルからなるリストから選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗ウイルス剤がバルガンシクロビルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗ウイルス剤が、1,800ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗ウイルス剤が、900ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗ウイルス剤が、450ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗ウイルス剤が治療スケジュールの毎日投与される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗ウイルス剤が治療スケジュールの1日以上投与されない、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗ウイルス剤が経口投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも2日間、前記HDACiを投与されない、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも3日間、前記HDACiを投与されない、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも4日間、前記HDACiを投与されない、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも5日間、前記HDACiを投与されない、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記治療スケジュールは1週間の期間を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記治療スケジュールは繰り返される、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記HDACiは食物またはカロリー物質と共に投与される、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記癌は固形組織癌である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記固形組織癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、神経膠芽細胞腫、前立腺癌、腎癌、平滑筋肉腫、膵臓癌、または肺癌である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記固形組織癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、または平滑筋肉腫である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記癌は白血病またはリンパ腫である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記白血病またはリンパ腫はB細胞白血病またはリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記白血病またはリンパ腫はT細胞白血病またはリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記白血病またはリンパ腫は非ホジキンリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記白血病またはリンパ腫はホジキンリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記白血病またはリンパ腫はサイトメガロウイルスのウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記白血病またはリンパ腫は、エプスタインバーウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記個体は血小板減少症に罹患している、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記個体はマイクロリットルあたり150,000血小板未満の血小板計数を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記個体はマイクロリットルあたり50,000血小板未満の血小板計数を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記個体はクレアチニンレベルが上昇している、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記クレアチニンレベルの上昇が、女性の場合は1.1mg/dL、男性の場合は1.3mg/dLを超える、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記個体は、血小板減少症の存在に基づく治療スケジュールに従う治療のために選択される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記個体は、マイクロリットルあたり50,000未満の血小板計数に基づいて選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記個体は、クレアチニンレベルの上昇の存在に基づく治療スケジュールに従う治療のために選択される、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記クレアチニンレベルの上昇が、女性の場合は1.1mg/dL、男性の場合は1.3mg/dLを超える、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
個体におけるエプスタインバー関連リンパ腫を治療する方法であって、前記方法は、(a)有効量のナナチノスタット、および(b)有効量のバルガンシクロビルを前記個体に投与する工程を含み、ここで、前記個体は、治療スケジュールに従って治療され、前記個体は、治療スケジュールの少なくとも3日間、ナナチノスタットを投与されない、方法。
【請求項54】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも4日間、ナナチノスタットを投与されない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記個体は、治療スケジュールの少なくとも5日間、ナナチノスタットを投与されない、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
キットであって、
a)HDACi、および
b)抗ウイルス剤
を含み、ここで、前記キットは複数の経口剤形を含み、前記HDACiおよび前記抗ウイルス剤を含む経口剤形は、単一の経口剤形に同時パッケージまたは同時製剤化され、複数の経口剤形のうちの少なくとも1つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、キット。
【請求項57】
前記キットが複数の経口剤形を含み、前記HDACiおよび抗ウイルス剤を含む経口剤形が同時パッケージされる、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
前記キットが複数の経口剤形を含み、前記HDACiおよび前記抗ウイルス剤を含む経口剤形が同時製剤化される、請求項56に記載のキット。
【請求項59】
前記複数の経口剤形が丸薬、カプセル、錠剤、またはゲルキャップである、請求項56から58のいずれか一項に記載のキット。
【請求項60】
前記HDACiが、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、チダミド、ドマチノスタット、およびナナチノスタットからなるリストから選択される、請求項56から59のいずれか一項に記載のキット。
【請求項61】
前記HDACiがクラスIヒストンデアセチラーゼの活性を阻害する、請求項56から60のいずれか一項に記載のキット。
【請求項62】
前記HDACiが24時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項56から61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項63】
前記HDACiが12時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項56から61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項64】
前記HDACiが4時間未満の排出半減期を特徴とする、請求項56から61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項65】
前記HDACiがナナチノスタットである、請求項56から64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項66】
前記抗ウイルス剤の細胞毒性活性がウイルスキナーゼによって活性化される、請求項56から65のいずれか一項に記載のキット。
【請求項67】
前記ウイルスキナーゼが、エプスタインバーウイルスプロテインキナーゼ、エプスタインバーウイルスチミジンキナーゼ、ヒトヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、またはヒトサイトメガロウイルスタンパク質を含む、請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記抗ウイルス剤が、アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、およびファムシクロビルからなるリストから選択される、請求項56から67のいずれか一項に記載のキット。
【請求項69】
前記抗ウイルス剤がバルガンシクロビルである、請求項67に記載のキット。
【請求項70】
前記複数の経口剤形が約1,800mgのバルガンシクロビルを含む、請求項56から69のいずれか一項に記載のキット。
【請求項71】
前記複数の経口剤形が約900mgのバルガンシクロビルを含む、請求項56から69のいずれか一項に記載のキット。
【請求項72】
前記複数の経口剤形が約450mgのバルガンシクロビルを含む、請求項56から70のいずれか一項に記載のキット。
【請求項73】
前記複数の経口剤形が約20mgのナナチノスタットを含む、請求項56から71のいずれか一項に記載のキット。
【請求項74】
前記複数の経口剤形が約15mgのナナチノスタットを含む、請求項56から71のいずれか一項に記載のキット。
【請求項75】
前記複数の経口剤形が約10mgのナナチノスタットを含む、請求項56から71のいずれか一項に記載のキット。
【請求項76】
前記複数が7またはその倍数を含む、請求項56から75のいずれか一項に記載のキット。
【請求項77】
前記複数の経口剤形のうちの少なくとも1つが抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記複数の経口剤形のうちの少なくとも1つがHDACiを含み、抗ウイルス剤を含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項79】
前記複数の経口剤形のうちの2つが抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項80】
前記複数の経口剤形のうちの3つが抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項81】
前記複数の経口剤形のうちの4つが抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項82】
前記複数の経口剤形のうちの5つが抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない、請求項76に記載のキット。
【請求項83】
前記HDACiがナナチノスタットを含み、前記抗ウイルス剤がバルガンシクロビルを含む、請求項56から82のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年5月31日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第62/855,454号の利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に記載されているのは、有効性を効果的に提供し、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)治療に関連する副作用を予防および管理する特定の投与スケジュールおよび量である。任意選択で、これらのスケジュールおよび投薬レジメンには、抗ウイルス剤による治療が含まれる。
【0003】
本明細書に記載されるのは、一態様では、個体の癌を治療する方法であり、この方法は(a)30時間未満の排出半減期を特徴とする、有効量のウイルス誘導剤としてのヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、および(b)有効量の抗ウイルス剤を上記個体に投与する工程を含み、ここで、上記個体は治療スケジュールに従って治療され、上記個体は治療スケジュールの少なくとも1回の用量についてより少ない投薬量のHDACiを投与される。特定の実施形態において、個体は、治療スケジュールの少なくとも1日間、HDACiを投与されない。特定の実施形態では、HDACiは経口投与される。特定の実施形態において、HDACiは、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、CDX101、キダミド、ドマチノスタット、およびナナチノスタットからなるリストから選択される。特定の実施形態において、HDACiは、クラスIヒストンデアセチラーゼの活性を阻害する。特定の実施形態において、HDACiは、24時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiは、12時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiは、4時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットである。特定の実施形態において、HDACiは、約10ミリグラム~約40ミリグラムまでの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約10ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約15ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約20ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約25ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約30ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、1日1回投与される。特定の実施形態において、HDACiは、1日2回投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤の細胞毒性活性は、ウイルスキナーゼによって活性化される。特定の実施形態において、ウイルスキナーゼは、エプスタインバーウイルスプロテインキナーゼ、エプスタインバーウイルスチミジンキナーゼ、ヒトヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、またはヒトサイトメガロウイルスタンパク質を含む。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、およびファムシクロビルからなるリストから選択される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルである。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、1800ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、900ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、450ミリグラムの1日当たりの総用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、治療スケジュールの毎日投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は経口投与される。特定の実施形態において、個体は、治療スケジュールの少なくとも2日間、HDACiを投与されない。特定の実施形態において、個体は、治療スケジュールの少なくとも3日間、HDACiを投与されない。特定の実施形態において、個体は、治療スケジュールの少なくとも4日間、HDACiを投与されない。特定の実施形態において、個体は、治療スケジュールの少なくとも5日間、HDACiを投与されない。特定の実施形態において、治療スケジュールは1週間の期間を有する。特定の実施形態では、治療スケジュールは繰り返される。特定の実施形態において、HDACiは、食物またはカロリー物質と共に投与される。特定の実施形態では、癌は固形組織癌である。特定の実施形態では、固形組織癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、神経膠芽細胞腫、前立腺癌、腎癌、平滑筋肉腫、膵臓癌、または肺癌である。特定の実施形態において、固形組織癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、または平滑筋肉腫である。特定の実施形態では、癌は白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、B細胞白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、T細胞白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態では、白血病またはリンパ腫は非ホジキンリンパ腫である。特定の実施形態では、白血病またはリンパ腫はホジキンリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、サイトメガロウイルスウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、エプスタインバーウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態では、個体は血小板減少症に罹患している。特定の実施形態では、個体は、マイクロリットルあたり50,000血小板未満の血小板計数を有する。特定の実施形態では、個体はクレアチニンレベルが上昇している。特定の実施形態において、クレアチニンレベルの上昇は、女性については1.1mg/dL、または男性については1.3mg/dLを超える。特定の実施形態において、個体は、血小板減少症の存在に基づく治療スケジュールに従う治療のために選択される。特定の実施形態では、個体は、マイクロリットルあたり50,000未満の血小板計数に基づいて選択される。特定の実施形態において、個体は、クレアチニンレベルの上昇の存在に基づく治療スケジュールに従う治療のために選択される。特定の実施形態において、上昇したクレアチニンレベルは、女性については1.1mg/dLを超え、男性については1.3mg/dLを超える。
【0004】
本明細書に記載される別の態様は、個体のエプスタインバー関連リンパ腫を治療する方法であり、この方法は、(a)有効量のナナチノスタット、および(b)有効量のバルガンシクロビルを上記個体に投与することを含み、ここで、上記個体は、治療スケジュールに従って治療され、上記個体は、治療スケジュールの少なくとも3日間、ナナチノスタットを投与されない。
【0005】
本明細書に記載される別の態様では、(a)ウイルス誘導剤としてのHDACi、および(b)細胞毒性抗癌剤としての抗ウイルス剤を含むキットが提供され、ここで、上記キットは複数の経口剤形を含み、HDACiおよび抗ウイルス剤を含む経口剤形は、別個の経口剤形に同時パッケージされる。本明細書に記載される別の態様では、(a)HDACi、および(b)抗ウイルス剤を含むキットが提供され、ここで、上記キットは複数の経口剤形を含み、HDACiおよび抗ウイルス剤を含む経口剤形は、単一の経口剤形に共製剤化され、複数の経口剤形の少なくとも1つは抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、丸薬、カプセル、錠剤、またはゲルキャップである。特定の実施形態において、HDACiは、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、CDX101、キダミド、およびナナチノスタットからなるリストから選択される。特定の実施形態において、HDACiは、クラスIヒストンデアセチラーゼの活性を阻害する。特定の実施形態において、HDACiは、24時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiは、12時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiは、4時間未満の排出半減期を特徴とする。特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットである。特定の実施形態において、抗ウイルス剤の細胞毒性活性は、ウイルスキナーゼによって活性化される。特定の実施形態において、ウイルスキナーゼは、エプスタインバーウイルスプロテインキナーゼ、エプスタインバーウイルスチミジンキナーゼ、ヒトヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、またはヒトサイトメガロウイルスタンパク質を含む。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、およびファムシクロビルからなるリストから選択される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルである。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、約900mgのバルガンシクロビルを含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、約450mgのバルガンシクロビルを含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、約20mgのナナチノスタットを含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、約15mgのナナチノスタットを含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形は、約10mgのナナチノスタットを含む。特定の実施形態では、複数の経口剤形は、その7つまたは複数を含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの1つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの2つは、抗ウイルス剤およびより低い投与量のHDACiを含む。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの2つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの3つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの4つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態において、複数の経口剤形のうちの5つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットを含み、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルを含む。
【0006】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、およびその添付の図面に対する参照によって得られる。
図1】ナナチノスタット用量保持中の患者における血小板計数の急速な回復を例証する。
図2】健常ドナーの末梢血単核細胞におけるナナチノスタットとエンチノスタットの効力の比較を示す。フローサイトメトリーによって決定された、H3アセチル化を伴う細胞のパーセンテージを示す。
図3】健常ドナーからのPBMCにおけるナナチノスタット処理の結果としてのH3アセチル化の経時変化を示す。
図4】Nstatがガンシクロビルと組み合わされた場合に、ナナチノスタットの細胞毒性活性が約40%増加したことを示す。さらに、この図は、3日間のウォッシュアウト後のNstat活性の期間を例証する。
図5】HDACiおよび抗ウイルス剤の同時パッケージングおよび共製剤化の非限定的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
ウイルス性の癌および腫瘍を治療および/または予防する方法が必要である。多くの患者は、潜伏感染症を患っているが、ここでは、ウイルスは存在しているが、アシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビルなどの一般的な抗ウイルス薬の標的であるウイルスチミジンキナーゼ、ウイルスプロテインキナーゼ、ウイルスポリメラーゼなどのウイルスタンパク質を発現していない。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC阻害剤-HDACi)などのウイルス誘導薬を使用して、対象のウイルス感染細胞におけるウイルスチミジンキナーゼ、ウイルスプロテインキナーゼ、またはウイルスポリメラーゼの発現を誘導または再誘導することができ、次に、対象は細胞毒性癌殺傷剤としての抗ウイルス剤で治療することができる。ヘルペスウイルスおよび/または他の潜伏性ウイルス感染症は、さまざまな癌および/または腫瘍に関連している可能性があるので、細胞毒性剤としての抗ウイルス剤と組み合わせたHDACiで潜伏性ウイルスを活性化することは、そのような状態を予防または治療する上で有用な治療法である。
【0009】
HDACi治療は癌/腫瘍の治療のために有望であるが、HDACi治療は、HDACiで治療されている間、治療決定、患者コンプライアンス、および患者の生活の質に悪影響を与える用量制限毒性と関連し得る。HDACiに関連するいくつかの副作用は、HDACiを利用する効果的な治療法による治療を制限することさえあり得る。本明細書に開示されるのは、HDACi治療に関連する副作用を低減する、HDACiで患者を治療する方法である。これらの方法は、血小板減少症、好中球減少症、白血球減少症、貧血、またはリンパ球減少症などの血液学的副作用のある患者を治療するか、またはそれらの副作用を回避するために特に有用である。これらの方法は、クレアチニンの上昇など、腎臓毒性を示す副作用のある患者を治療したり、または副作用を回避したりするためにも有用である。
【0010】
本明細書で提供されるのは、ウイルス性疾患および癌を治療し、副作用を効果的に低減し、したがって、生活の質を改善し、治療の選択肢を拡大するための方法および組成物である。癌または腫瘍は、潜伏性ウイルス感染症に関連している可能性がある。これらの方法は、HDACiを対象に投与する工程を含むことができる。これらの方法は、HDACiおよび抗ウイルス剤を対象に投与する工程を含むことができる。これらの方法は、ウイルス遺伝子誘導剤、抗ウイルス剤、および1つを超えたの追加の薬剤を対象に投与する工程を含むことができる。これらの方法は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかでの経口HDAC阻害剤および抗ウイルス剤の同時投与を含み得る。
【0011】
これらの方法および組成物は、本明細書に記載の癌のいずれかを治療および/または予防するために使用することができる。本明細書に記載のHDACiおよび/または抗ウイルス剤のいずれかを、提供される発明の方法および組成物において使用することができる。阻害されるHDACは、クラスI HDACのいずれか、例えば、HDAC1、HDAC2、およびHDAC3であり得る。阻害されるHDACは、クラスIIb HDAC、例えば、HDAC10であり得る。HDAC阻害剤はベンズアミドであり得る。ベンズアミドは4SC-202であり得る。ベンズアミドはキダミド(CS055またはHBI-8000としても知られている)であり得る。HDAC阻害剤は、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、CDX101、チダミド、ドマチノスタット、およびナナチノスタットからなるリストから選択できる。HDAC阻害剤はナナチノスタットであり得る。
【0012】
本明細書に記載の1つを超えた追加の薬剤を対象に投与することができる。対象が有するかまたは有すると疑われる状態のタイプに基づいて、追加の薬剤を投与のために選択することができる。
【0013】
本発明の別の態様は、薬剤または薬剤の組み合わせ、例えば、HDACi、抗ウイルス剤、または任意選択で1つを超えたの追加の薬剤を含む医薬組成物の製剤、投与の経路、および有効用量に関する。HDACi、抗ウイルス剤、または任意選択で1つを超えたの追加の薬剤を、別々の医薬組成物で対象に投与することができ、または単一の医薬組成物で共製剤化することができる。医薬の組み合わせは、経口製剤であり得る。経口製剤は、丸薬、カプセル、または錠剤であり得る。特定の実施形態において、丸薬、カプセルまたは錠剤は、共製剤化された用量のHDACiおよび抗ウイルス剤を含むことができる。抗ウイルス剤は、ヘルペス、エプスタインバーウイルス、またはサイトメガロウイルスの抗ウイルス剤であり得る。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、およびファムシクロビルからなるリストから選択される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルである。
【0014】
本明細書に記載されるのは、一態様では、個体の癌を治療する方法であり、この方法は、(a)30時間未満の排出半減期によって特徴付けられる有効量のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、および(b)有効量の抗ウイルス薬を個体に投与することを含み、ここで、個体は、治療スケジュールに従って治療され、個体は、治療スケジュールの少なくとも1日の間、HDACiを投与されない。
【0015】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、個体のエプスタインバー関連リンパ腫を治療する方法であり、この方法は、(a)有効量のナナチノスタット、および(b)有効量のバルガンシクロビルを個体に投与することを含み、ここで、個体は、治療スケジュールに従って治療され、ここで、治療スケジュールの少なくとも3日間、ナナチノスタットを投与されない。
【0016】
HDACi、抗ウイルス剤、または任意選択で1つを超えたの追加の薬剤を投与するための投薬スケジュールに関連する方法もまた提供される。1つを超えたの医薬組成物を、一定の期間にわたって断続的に投与することができる。スケジュールには、HDACiの断続的な投与、および抗ウイルス剤の継続的な投与が含まれる。HDACiの断続的投与は、オンおよびオフ期間、例えば、1週間の期間、HDACiで1、2、3、4、または5日間治療した後、6、5、4、3、または2日間、HDACiで治療しないことを含むことができる。オン期間の投与量は、1日1回または1日2回経口投与することができる。このタイプのスキームで適用される投与量は、30mgQD、25mgQD、20mgQD、15mQD、10mgQD、5mgBID、10mgBID、または15mgBIDを含むことができる。
【0017】
抗ウイルス剤の連続投与を伴う、オンおよびオフ期間を反映するように製剤された経口剤形を含むキットも本明細書に記載されている。例えば、「オン日」はHDACiと抗ウイルス剤とを組み合わせた経口剤形であり、「オフ」日は抗ウイルス剤のみを含む経口剤形である、1週間を超えた相当の治療に伴うパッケージングである。これらのタイプのキットとパッケージングは、利便性を高め、患者のコンプライアンスを向上させることができる。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、(a)HDACi、および(b)抗ウイルス剤を含むキットであり、ここで、キットは複数の経口剤形を含み、経口剤形は、単一の経口剤形に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含み、複数の経口剤形の少なくとも1つは、抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まない。
【0019】
定義
障害に関連する「ウイルス性」、「ウイルス関連」、および「ウイルス誘発性」という用語は、本明細書全体を通して交換可能に使用される。
【0020】
「組成物を入手する」におけるような「入手する」という用語は、組成物(または組成物の薬剤)を購入、合成、または他の方法で入手することを含むことを意図している。
【0021】
「含む」、「含むこと」という用語は、それらに帰する広い意味を有することを意図しており、「含有する」、「含有すること」などを意味することができる。
【0022】
「対象」、「患者」または「個体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、例えば、本明細書に記載の障害に罹患している哺乳動物および非哺乳動物を指す。哺乳動物の例には、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、および他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタどの家畜;ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜;ラット、マウス、およびモルモットなどの齧歯動物を含む実験用動物などの、哺乳動物クラスの任意のメンバーが含まれるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例には、鳥類、魚類などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法および組成物の一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0023】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語、および他の文法的同等の用語には、症状を緩和、抑制、または軽減すること、疾患または状態の症状の、重症度を軽減または抑制すること、発生率を軽減すること、予防的治療、再発を軽減または抑制すること、発症を遅延させること、再発を遅延させること、その疾患または状態の症状を排除または改善すること、疾患または状態の抑制、症状の根本的な代謝原因を改善すること、疾患または状態を抑制すること、例えば、疾患または状態の発症を阻止すること、疾患または状態を緩和すること、疾患または状態の退行を引き起こすこと、疾患または状態によって引き起こされる状態を緩和すること、または疾患または状態の進行を止めることが含まれる。これらの用語はさらに、治療上の利益を達成することを含む。治療上の利益とは、治療されている基礎疾患の根絶または改善、および/または患者に改善が観察されるような基礎疾患に関連する1つを超えたの生理学的症状の根絶または改善を意味する。
【0024】
投薬量は、本明細書では、QD、BIDまたはTIDと呼ばれる。QDは1日1回の投薬を指す。BIDは、列挙されている用量の1日2回の投与を指す。TIDとは、列挙されている用量の1日3回の投与を指す。例えば、10mg BIDは、2つの10mg投与単位が毎日送達されることを意味する。BID用量は、それらが少なくとも約16、12、10、または8時間離れるように間隔を空けることができる。TID用量は、約4、6、または8時間間隔で配置できる。
【0025】
本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」または「予防」という用語、および他の文法上の同等物は、追加の症状を予防すること、症状の根本的な代謝原因を予防すること、疾患または状態を抑制すること、例えば、疾患または状態の発症を阻止することであり、予防を含むことを意図している。これらの用語には、予防的利益を達成することがさらに含まれる。予防的利益のために、これらの組成物は、特定の疾患を発症するリスクのある患者、疾患の1つを超えたの生理学的症状を報告する患者、または疾患の再発のリスクのある患者に、任意選択で投与される。
【0026】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、例えば、治療されている疾患または状態の1つを超えたの症状をある程度緩和するために、所望の結果を達成する、投与される少なくとも1つの薬剤の十分な量を指す。特定の例において、結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生物学的系の任意の他の所望の変化である。特定の例において、治療的使用のための「有効量」は、疾患の臨床的に有意な減少を提供するために必要とされる、本明細書に記載の薬剤を含む組成物の量である。個々の症例における適切な「有効」量は、用量漸増研究などの任意の適切な技術を使用して決定される。
【0027】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、「投与」などの用語は、生物学的作用の所望の部位への薬剤または組成物の送達を可能にするために使用される方法を指す。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内または注入を含む)、局所および直腸投与が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、本明細書に記載の薬剤および方法とともに利用される投与技術には、例えば、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics,Pergamon;Remington’s,Pharmaceutical Sciences(current edition),Mack Publishing Co.,Easton,Paに記載されているものが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の薬剤および組成物は経口投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、非経口的に投与される。
【0028】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載の薬剤の生物学的活性または特性を無効にせず、比較的毒性がない(すなわち、材料の毒性が、材料の利点を顕著に下回る(outweigh))材料を指す。場合によっては、薬学的に許容される材料は、重大な望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、それが含まれる組成物の成分のいずれかと有害な方法で著しく相互作用したりすることなく、個体に投与される。
【0029】
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、本発明の医薬組成物の有効成分(例えば、本発明の化合物)と適合性があり(そして好ましくはそれを安定化することができる)、治療される対象に対して有害ではない、担体およびビヒクルを指す。例えば、本発明の化合物と、特異的でより溶解性の高い複合体を形成する可溶化剤は、化合物の送達のための医薬賦形剤として利用することができる。適切な担体およびビヒクルは、当該分野の熟練者に知られている。本明細書で使用される「賦形剤」という用語は、そのようなすべての担体、アジュバント、希釈剤、溶媒、または他の不活性添加剤を包含する。適切な薬学的に許容される賦形剤には、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠なパラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油エーテル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物はまた、滅菌することができ、所望される場合、本発明の活性化合物と有害に反応しない、補助剤、例えば、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色料、香味料および/または芳香物質などと混合することができる。
【0030】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態を例示することを意図した以下の詳細な説明および例示的な実施例を参照することによって、より完全に理解することができる。
【0031】
ヘルペスウイルス
ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)およびヒトヘルペスウイルス(HHV)6A、6B、7および8を含むDNAウイルスの大きなファミリーであり、これらはヒトにさまざまな疾患を引き起こす可能性がある。ヘルペスウイルスには、溶解性と潜伏性の2つの複製段階がある。一次感染の直後に、宿主による免疫学的監視により、ヘルペスウイルスは潜伏的な感染状態に入り、選択された少数の遺伝子のみが発現する。プロドラッグの毒性代謝物への変換に必要なウイルス酵素チミジンキナーゼ(TK)またはプロテインキナーゼ(PK)が潜伏感染細胞では発現されないので、ガンシクロビル、アシクロビルなどの従来の抗ヘルペスウイルス薬は、これらの潜伏感染細胞には作用しない。本明細書で提供されるのは、いくつかの実施形態において、溶解複製が誘導され、抗ウイルス剤が同時に投与される併用治療である。
【0032】
例えば、インビトロでの患者由来細胞を使用する以前の研究、およびEBV関連リンパ腫を有する一連の患者に関する第I/II相臨床研究からも、この併用療法アプローチの大きな期待が明らかに示されている。EBVとさまざまなヒトリンパ系悪性腫瘍との強い疫学的関連および多くのEBV潜伏遺伝子産物の腫瘍形成活性を実証するインビトロ研究は、EBVとこれらの疾患との因果関係を示唆する。しかし、EBVはこれらのリンパ腫の潜伏感染状態を維持するため、ヌクレオシド類似体ガンシクロビル(GCV)やアシクロビルなどの典型的な抗ヘルペスウイルス薬は、これらのプロドラッグが、それらの活性のために、溶解相EBVタンパク質であるチミジンキナーゼ(TK)またはプロテインキナーゼ(EBV-PK)の発現を必要とするため効果がない。したがって、潜在的なEBVを含むリンパ腫細胞におけるEBV溶解期遺伝子発現の選択的誘導は、抗ウイルス剤への同時曝露と相まって、EBV感染腫瘍細胞またはEBV関連腫瘍細胞に対する細胞毒性の標的化をもたらすため、有望な標的療法として進歩してきた。
【0033】
短鎖脂肪酸および化学療法薬を含む様々な薬剤が、培養細胞においてEBV溶解期感染を誘発するために使用されてきたが、これらのインビトロ研究は、一般に、臨床応用をもたらさなかった。例えば、最近の第I/II相臨床試験では、酪酸アルギニンおよびGCVがEBV陽性リンパ系悪性腫瘍を治療するために使用されている。再発性または難治性のEBV陽性リンパ系腫瘍を有する15人の患者を対象としたこの研究では、4人の患者が完全な腫瘍寛解を達成し、6人の患者が部分的な腫瘍寛解を達成した。しかし、酪酸の急速な代謝には、高用量の継続的なIV投与が必要である。酪酸には汎HDAC阻害活性があり、この活性がEBV-TKタンパク質の誘導に関与していることが確認されている。HDAC阻害剤は、EBV関連腫瘍においてEBV-TKとEBV-PKの両方を誘発し得る。HDAC阻害剤は、腫瘍細胞のCMVプロモーターの活性を高め得る。HDAC阻害剤は、細胞培養および腫瘍における潜在性単純ヘルペスウイルス遺伝子の転写を増加させる可能性がある。近年、いくつかの強力なHDAC阻害剤(HDACi)が抗癌剤としてクリニックでテストされている。場合によっては、HDAC阻害剤はウイルスの溶解期遺伝子発現を誘導し、抗ウイルス剤と組み合わせてウイルス感染細胞を殺傷させる。特定の例では、いくつかの新しい非常に強力な化合物を含むHDAC阻害剤は、EBV溶解期遺伝子発現を誘導し、抗ウイルス剤と組み合わせてEBV感染細胞を殺傷する。場合によっては、HDAC阻害剤はヘルペスウイルスの溶解期遺伝子発現を誘導し、抗ウイルス剤と組み合わせてウイルス感染細胞を殺傷する。
【0034】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤
提供される本発明の方法は、ウイルス感染細胞において遺伝子産物の発現を誘導するための、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)を含む、本明細書で提供される1つを超えたの医薬組成物の使用を含む。発現される遺伝子産物は、ウイルス酵素または細胞酵素またはウイルス感染細胞で主に発現される活性であり得る。標的とすることができる発現産物には、例えば、ゲノムの修復または複製、完全なウイルス粒子の集合、ウイルス膜または壁の生成、RNA転写またはタンパク質翻訳、あるいはこれらの活性の組み合わせのためのDNA複製に関与する酵素が含まれる。これらのプロセスへの干渉は、酵素、好ましくはプロセス内の重要な酵素を誘導し、次に作用することによって実行することができる。
【0035】
特定の実施形態において、本明細書に記載される投薬スケジュールと併せて使用することができるHDACiは、短い排出半減期を有するHDACiである。特定の実施形態では、排出半減期は36時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は30時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は24時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は16時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は14時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は12時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は11時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は10時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は9時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は8時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は7時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は6時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は5時間未満である。特定の実施形態において、排出半減期は、1時間から16時間の間、1時間から14時間の間、1時間から12時間の間、1時間から11時間の間、1時間から10時間の間、1時間から9時間の間、1時間から8時間の間、1時間から7時間の間、1時間から6時間の間、1時間から5時間の間、または1時間から4時間の間である。特定の実施形態では、排出半減期は4時間未満である。特定の実施形態では、排出半減期は、2時間から16時間の間、2時間から14時間の間、2時間から12時間の間、2時間から11時間の間、2時間から10時間の間、2時間から9時間の間、2時間から8時間の間、2時間から7時間の間、2時間から6時間の間、2時間から5時間の間、または2時間から4時間の間である。特定の実施形態では、排出半減期は、3時間から16時間の間、3時間から14時間の間、3時間から12時間の間、3時間から11時間の間、3時間から10時間の間、3時間から9時間の間、3時間から8時間の間、3時間から7時間の間、3時間から6時間の間、3時間から5時間の間、または3時間から4時間の間である。特定の実施形態では、排出半減期は、4時間から16時間の間、4時間から14時間の間、4時間から12時間の間、4時間から11時間の間、4時間から10時間の間、4時間から9時間の間、4時間から8時間の間、4時間から7時間の間、4時間から6時間の間、または4時間から5時間の間である。
【0036】
いくつかの実施形態において、ウイルス誘導剤は、HDAC阻害剤である。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット、ロミデプシン、モセチノスタット、ベリノスタット、プラシノスタット、ギビノスタット、パノビノスタット、CUDC-101、CDX101、キダミド、ドマチノスタット、およびナナチノスタットからなるリストから選択される。特定の実施形態において、HDAC阻害剤はボリノスタットである。特定の実施形態では、HDAC阻害剤はロミデプシンである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、モセチノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤はベリノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、プラシノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、ギビノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、パノビノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、CUDC-101である。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、CDX101である。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、キダミドである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、ドマチノスタットである。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、ナナチノスタットである。ナナチノスタットはCHR-3996およびVRx-3996とも呼ばれ、化学的に同一である。ナナチノスタットの化学式は2-((1R,5S,6s)-6-(((6-フルオロキノリン-2-イル)メチル)アミノ)-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミドである。ナナチノスタットは、選択的クラスI HDAC阻害剤であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,932,246号に開示されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、ウイルス誘導剤は、HDACiである。特定の実施形態において、HDACiは、それが投与される個体の末梢血単核細胞においてヒストン3アセチル化をもたらす。
【0038】
ウイルス関連遺伝子を含む誘導遺伝子
HDACi(発現を誘導する薬剤)は、ウイルスゲノムに直接作用するか、またはウイルス発現に必要な細胞因子を介して間接的に作用し得る。例えば、ウイルス遺伝子発現は、ZTA、RTA、tat、taxなどのウイルス転写因子、AP-1、AP-2、Sp1、NF-κBなどの細胞転写因子、ならびに他の転写活性化因子および/または抑制因子(因子)、コアクチベーターおよびコリプレッサー、ヒストンアセチレーターおよびデアセチレーター、DNAメチラーゼおよびデメチラーゼ、オンコジーンまたはプロトオンコジーン、またはプロテインキナーゼCの発現の調節を通して調節することができる。これらのタンパク質は、調節するように作用し、それによって、特定のウイルスおよび/または他の細胞の遺伝子要素の発現を制御する。本発明の方法によれば、それらの発現の制御は、感染の制御につながる可能性がある。ウイルスと細胞の両方に由来のその他の遺伝子産物は、その発現を誘導剤で調節することができ、それには、プロテアーゼ、ポリメラーゼ、逆転写酵素、細胞表面受容体、主要組織適合抗原、成長因子、およびこれらの産物の組み合わせが含まれる。
【0039】
酪酸の存在下で発現または転写調節が変化する追加の遺伝子には、癌遺伝子myc、ras、myb、ablおよびsrcが含まれる。これらの遺伝子産物の活性、ならびに他の癌遺伝子の活性は、Slamon,J.D.,et al.1984 Science 224:256-62に記載されている。抗増殖活性には、血管新生因子の活性、産生もしく放出、転写調節、または血管新生もしくは成長因子もしくはホルモン制御下の遺伝子の転写を調節する能力の遮断を介して、腫瘍血管新生を抑制する能力も含まれる。どちらも、特に前立腺新生組織形成と乳癌種の両方に対して効果的な治療法となる。転写および/または細胞分化に影響を与えるさらなる活性には、細胞内cAMPレベルの増加、ヒストンアセチル化の阻害、およびゲノムメチル化の阻害が含まれる。これらの各活性は遺伝子発現に直接関係しており、発現の増加は感染細胞を特定の抗ウイルス剤に感作させることができる。
【0040】
他の実施形態では、誘導剤には、EBV関連腫瘍においてEBV-PK活性(BGLF4としても知られる)を誘導するHDAC阻害剤が含まれる。EBV-PK/BGLF4の発現は、細胞を抗ウイルス剤に感作させる。特定の例では、HDAC阻害剤はEBV-PKを誘導する。場合によっては、HDAC阻害剤はEBV-TKおよび/またはEBV-PKを誘導する。場合によっては、HDAC阻害剤はHSV-TKおよび/またはHSV-PKを誘導する。場合によっては、HDAC阻害剤はCMV-PKを誘導する。
【0041】
本発明による予備的なインビトロ研究は、これらの薬物を使用するEBV不死化B細胞および患者由来腫瘍細胞におけるEBV-TK活性の誘導が可能であること、およびこれらの以前に抵抗性であった細胞がガンシクロビル療法に感受性にされることを実証する。EBV-TK/EBV-PKを発現する腫瘍細胞を撲滅するための、EBV-TK/EBV-PKの発現を誘導する誘導剤、およびGCVを用いる、EBVなどのウイルス関連腫瘍の患者の治療は、有効であり、非毒性の治療である。この治療レジメンは、腫瘍の原因である関連するウイルスゲノムに依存しない。理論に拘束されることを望まないが、潜在型のEBVゲノムの存在だけが、腫瘍を、この組み合わせプロトコルに対して感受性にすると考えられている。
【0042】
いくつかの実施形態において、誘導剤は、24時間の治療後に4倍を超えてウイルス遺伝子発現を誘導する。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、24時間の治療後に4倍を超えてTKまたはEBV-PK発現を誘導する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、約48時間、約36時間、約24時間、約18時間、約12時間、約8時間、約6時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約30分後にウイルス遺伝子発現を誘導する。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、48時間未満、36時間未満、24時間未満、18時間未満、12時間未満、8時間未満、6時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、または30分未満でウイルス遺伝子発現を誘導する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、48時間を超えて、36時間を超えて、24時間を超えて、18時間を超えて、12時間を超えて、8時間を超えて、6時間を超えて、4時間を超えて、3時間を超えて、2時間を超えて、1時間を超えて、または30分を超えてウイルス遺伝子発現を誘導する。特定の実施形態において、HDAC阻害剤は、30分を超えてかつ24時間未満の後でウイルス遺伝子発現を誘導する。
【0043】
抗ウイルス剤
本発明の組成物および方法において使用することができる抗ウイルス剤は、例えば、ウイルス感染細胞を著しく損ない、衰弱させ、またはさもなければ破壊する基質および基質類似体、阻害剤および他の薬剤を含むことができる。基質類似体には、アミノ酸およびヌクレオシド類似体が含まれる。基質は毒素または他の殺ウイルス物質と結合体化することができる。阻害剤には、インテグラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、および逆転写酵素阻害剤などの転写酵素阻害剤が含まれる。
【0044】
本発明の組成物および方法で使用することができる抗ウイルス剤には、例えば、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、オセルタミビル(タミフル(商標))、ザナミビル(リレンザ(商標))、アバカビル、アシクロビル(aciclovir)、アシクロビル(acyclovir)、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン(ampligen)、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビル、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、フォサンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、融合阻害剤(例えば、エンフビルチド)、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、III型インターフェロン、II型インターフェロン、I型インターフェロン、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(nexavir)、ヌクレオシド類似体、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピリミジン抗ウイルス薬、サキナビル、スタブジン、相乗的エンハンサー(抗レトロウイルス薬)、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル(バルトレックス(商標))、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、およびジドブジンが含まれる。
【0045】
特定の実施形態では、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、またはバルガンシクロビルである。
【0046】
いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、ヌクレオシド類似体である。ヌクレオシド類似体の例には、アシクロビル(ACV)、ガンシクロビル(GCV)、バルガンシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、リバビリン、ザルシタビン(ddC)、ジドブジン(AZT)、スタブジン(D4T)、ラルニブジン(3TC)、ジダノシン(ddI)、シタラビン、ジデオキシアデノシン、エドクスウリジン、フロクスウリジン、イドズウリジン、イノシンプラノベックス、2’-デオキシ-5-(メチルアミノ)ウリジン、トリフルリジンおよびビダラビンが含まれる。ヒトの療法において特に有望であることを示すいくつかのプロテアーゼ阻害剤の例には、サキニビル、リトナビル、およびインジナビルが含まれる。他の抗ウイルス剤には、インターフェロン(例えば、α-、β-、γ-インターフェロン)、腫瘍壊死因子(TNF)またはインターロイキンなどのサイトカイン、細胞受容体および成長因子アンタゴニストが含まれ、これらは精製または組換え生産することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、3000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、約10mg/日、約20mg/日、約50mg/日、約100mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日、約1000mg/日、約1200mg/日、約1250mg/日、約1400mg/日、約1500mg/日、約1600mg/日、約1750mg/日、約1800mg/日、約1900mg/日、約2000mg/日、約2250mg/日、約2500mg/日、約2750mg/日、約3000mg/日、約3250mg/日、約3500mg/日、約3750mg/日、約4000mg/日、約4250mg/日、約4500mg/日、約4750mg/日、または約5000mg/日の用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、10mg/日未満、20mg/日未満、50mg/日未満、100mg/日未満、150mg/日未満、200mg/日未満、250mg/日未満、300mg/日未満、350mg/日未満、400mg/日未満、450mg/日未満、500mg/日未満、600mg/日未満、700mg/日未満、800mg/日未満、900mg/日未満、1000mg/日未満、1200mg/日未満、1250mg/日未満、1400mg未満/日、1500mg/日未満、1600mg/日未満、1750mg/日未満、1800mg/日未満、1900mg/日未満、2000mg/日未満、2250mg/日未満、2500mg/日未満、2750mg/日未満、3000mg/日未満、3250mg/日未満、3500mg/日未満、3750mg/日未満、4000mg/日未満、4250mg/日未満、4500mg/日未満、4750mg/日未満、または5000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、10mg/日を超えた、20mg/日を超えた、50mg/日を超えた、100mg/日を超えた、150mg/日を超えた、200mg/日を超えた、250mg/日を超えた、300mg/日を超えた、350mg/日を超えた、400mg/日を超えた、450mg/日を超えた、500mg/日を超えた、600mg/日を超えた、700mg/日を超えた、800mg/日を超えた、900mg/日を超えた、1000mg/日を超えた、1200mg/日を超えた、1250mg/日を超えた、1400mgを超えた/日、1500mg/日を超えた、1600mg/日を超えた、1750mg/日を超えた、1800mg/日を超えた、1900mg/日を超えた、2000mg/日を超えた、2250mg/日を超えた、1日2500mg/日を超えた、2750mg/日を超えた、3000mg/日を超えた、3250mg/日を超えた、3500mg/日を超えた、3750mg/日を超えた、4000mg/日を超えた、4250mg/日を超えた、4500mg/日を超えた、4750mg/日を超えた、または5000mg/日を超えた用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、10mg/日を超えてかつ5000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、200mg/日を超えてかつ1000mg/日未満の用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、1日1回(q.d、QD)、1日2回(b.i.d.、BID)、または1日3回(t.i.d.、TID)投与される。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、毎日、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、または週に5回投与される。
【0048】
特定の実施形態において、抗ウイルス剤はガンシクロビルである。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは、3000mg/日の1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、ガンシクロビルは、1日3回、1000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは、約100mg/日、約250mg/日、約500mg/日、約750mg/日、約1000mg/日、約1500mg/日、約2000mg/日、約2500mg/日、約3000mg/日、約3500mg/日、または約4000mg/日の用量で投与される。特定の実施形態において、ガンシクロビルは、100mg/日未満、250mg/日未満、500mg/日未満、750mg/日未満、1000mg/日未満、1500mg/日未満、2000mg/日未満、2500mg/日未満、3000mg/日未満、3500mg/日未満、または4000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは、100mg/日を超えた、250mg/日を超えた、500mg/日を超えた、750mg/日を超えた、1000mg/日を超えた、1500mg/日を超えた、2000mg/日を超えた、2500mg/日を超えた、3000mg/日を超えた、3500mg/日を超えた、または4000mg/日を超えた用量で投与される。特定の実施形態において、ガンシクロビルは、500mg/日を超えてかつ4000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは、1000mg/日を超えてかつ3000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。特定の実施形態において、ガンシクロビルは、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、または毎日投与される。
【0049】
いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、バルガンシクロビルである。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、900mg/日の1日当たりの総量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、1日1回、900mgの用量で投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、1800mg/日の1日当たりの総量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、1日2回、900mgの用量で投与される。
【0050】
バルガンシクロビルおよび他の抗ウイルス剤は、腎臓または肝臓の毒性などの特定の既知の毒性に応答して、より低いレベルで投与され得る。そのような減少は、ラベルの指示に従うことができる。本明細書に記載されている用量のいずれも、そのような毒性に応答して、25%または50%減少させることができる。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、1日2回、450mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、1日2回、450mgの用量で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス治療は、腎臓または肝臓毒性に応答して、中止され得るか、またはスケジュールの1つ以上の用量がスキップされ得る。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間投与されない場合がある。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間投与されない場合がある。特定の実施形態において、スケジュールは7日間である。
【0051】
いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、約100mg/日、約200mg/日、約300mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日、約1000mg/日、約1100mg/日、約1200mg/日、約1300mg/日、約1400mg/日、約1500mg/日、約1600mg/日、約1700mg/日、約1800mg/日、約1900mg/日、または約2000mg/日の用量で投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、100mg/日未満、200mg/日未満、300mg/日未満、400mg/日未満、500mg/日未満、600mg未満/日、700mg/日未満、800mg/日未満、900mg/日未満、1000mg/日未満、1100mg/日未満、1200mg/日未満、1300mg/日未満、1400mg/日未満、1500mg/日未満、1600mg/日未満、1700mg/日未満、1800mg/日未満、1900mg/日未満、または2000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、100mg/日を超える、200mg/日を超える、300mg/日を超える、400mg/日を超える、500mg/日を超える、600mg/日を超える、700mg/日を超える、800mg/日を超える、900mg/日を超える、1000mg/日を超える、1100mg/日を超える、1200mg/日を超える、1300mg/日を超える、1400mg/日を超える、1500mg/日を超える、1600mg/日を超える、1700mg/日を超える、1800mg/日を超える、1900mg/日を超える、または2000mg/日を超える用量で投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、100mg/日を超えてかつ2000mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、500mg/日を超えてかつ1500mg/日未満の用量で投与される。いくつかの実施形態において、バルガンシクロビルは、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、または毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約900ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約800ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約700ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約600ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約500ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約450ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、約400ミリグラムの用量で毎日投与される。特定の実施形態では、バルガンシクロビルは、HDACiが投与されていない日でも毎日投与される。
【0052】
特定の実施形態において、投薬休日は、バルガンシクロビルによる治療に適用することができる。特定の実施形態では、スケジュールは7日間であり、バルガンシクロビルは、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間投与されない。特定の実施形態では、スケジュールは7日間であり、バルガンシクロビルは、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間、450mgの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態では、スケジュールは7日間であり、バルガンシクロビルは、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間、900mgの1日当たりの総量で投与される。
【0053】
方法および組成物
一態様では、本明細書で提供されるのは、ヘルペスウイルス関連状態を治療および/または予防するための方法である。いくつかの実施形態において、状態は、潜伏性ウイルス感染に関連している。特定の実施形態において、ヘルペスウイルス関連状態は癌である。特定の実施形態では、癌は、エプスタインバーウイルスによる感染に関連している。特定の実施形態では、癌は単純ヘルペスウイルスによる感染に関連している。特定の実施形態において、癌は、サイトメガロウイルスによる感染に関連している。特定の実施形態において、この方法は、ウイルス誘導剤(例えば、HDAC阻害剤)および抗ウイルス剤を投与することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤を投与することを含む。特定の実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、共製剤化される。いくつかの実施形態において、この方法は、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤を投与することを含む。特定の実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、別々に製剤化される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤は毎日投与され、一方、HDACiは特定の日にのみ投与される。特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットである。特定の実施形態において、HDACiは、食物または別の栄養補助食品と共に投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、食物または別の栄養補助食品と共に投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、投薬スケジュールの1、2、3、4、5、6、または7日間投与されない。
【0054】
特定の実施形態において、HDACiは、約5ミリグラム~約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態では、HDACiは、約5ミリグラム~約10ミリグラム、約5ミリグラム~約15ミリグラム、約5ミリグラム~約20ミリグラム、約5ミリグラム~約25ミリグラム、約5ミリグラム~30ミリグラム、約5ミリグラム~約35ミリグラム、約5ミリグラム~約40ミリグラム、約5ミリグラム~約45ミリグラム、約5ミリグラム~約50ミリグラム、約10ミリグラム~約15ミリグラム、約10ミリグラム~約20ミリグラム、約10ミリグラム~約25ミリグラム、約10ミリグラム~約30ミリグラム、約10ミリグラム~約35ミリグラム、約10ミリグラム~約40ミリグラム、約10ミリグラム~約45ミリグラム、約10ミリグラム~約50ミリグラム、約15ミリグラム~約20ミリグラム、約15ミリグラム~約25ミリグラム、約15ミリグラム~約30ミリグラム、約15ミリグラム~約35ミリグラム、約15ミリグラムグラム~約40ミリグラム、約15ミリグラム~約45ミリグラム、約15ミリグラム~約50ミリグラム、約20ミリグラム~約25ミリグラム、約20ミリグラム~約30ミリグラム、約20ミリグラム~約35ミリグラム、約20ミリグラム~約40ミリグラム、約20ミリグラム~約45ミリグラム、約20ミリグラム~約50ミリグラム、約25ミリグラム~約30ミリグラム、約25ミリグラム~約35ミリグラム、約25ミリグラム~約40ミリグラム、約25ミリグラム~約45ミリグラム、約25ミリグラム~約50ミリグラム、約30ミリグラム~約35ミリグラム、約30ミリグラム~約40ミリグラム、約30ミリグラム~約45ミリグラム、約30ミリグラム~約50ミリグラム、約35ミリグラム~約40ミリグラム、約35ミリグラム~約45ミリグラム、約35ミリグラム~約50ミリグラム、約40ミリグラム~約45ミリグラム、約40ミリグラム~約50ミリグラム、または約45ミリグラム~約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、約5ミリグラム、約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、約45ミリグラム、または約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、少なくとも約5ミリグラム、約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、または約45ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、HDACiは、最大で約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、約45ミリグラム、または約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。
【0055】
特定の実施形態において、ナナチノスタットは、約5ミリグラム~~約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、約5ミリグラム~約10ミリグラム、約5ミリグラム~約15ミリグラム、約5ミリグラム~約20ミリグラム、約5ミリグラム~約25ミリグラム、約5ミリグラム~30ミリグラム、約5ミリグラム~約35ミリグラム、約5ミリグラム~約40ミリグラム、約5ミリグラム~約45ミリグラム、約5ミリグラム~約50ミリグラム、約10ミリグラム~約15ミリグラム、約10ミリグラム~約20ミリグラム、約10ミリグラム~約25ミリグラム、約10ミリグラム~約30ミリグラム、約10ミリグラム~約35ミリグラム、約10ミリグラム~約40ミリグラム、約10ミリグラム~約45ミリグラム、約10ミリグラム~約50ミリグラム、約15ミリグラム~約20ミリグラム、約15ミリグラム~約25ミリグラム、約15ミリグラム~約30ミリグラム、約15ミリグラム~約35ミリグラム、約15ミリグラム~約40ミリグラム、約15ミリグラム~約45ミリグラム、約15ミリグラム~約50ミリグラム、約20ミリグラム~約25ミリグラム、約20ミリグラム~約30ミリグラム、約20ミリグラム~約35ミリグラム、約20ミリグラム~約40ミリグラム、約20ミリグラム~約45ミリグラム、約20ミリグラム~約50ミリグラム、約25ミリグラム~約30ミリグラム、約25ミリグラム~約35ミリグラム、約25ミリグラム~約40ミリグラム、約25ミリグラム~約45ミリグラム、約25ミリグラム~約50ミリグラム、約30ミリグラム~約35ミリグラム、約30ミリグラム~約40ミリグラム、約30ミリグラム~約45ミリグラム、約30ミリグラム~約50ミリグラム、約35ミリグラム~約40ミリグラム、約35ミリグラム~約45ミリグラム、約35ミリグラム~約50ミリグラム、約40ミリグラム~約45ミリグラム、約40ミリグラム~約50ミリグラム、または約45ミリグラム~約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、約5ミリグラム、約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、約45ミリグラム、または約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、少なくとも約5ミリグラム、約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、または約45ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、最大で約10ミリグラム、約15ミリグラム、約20ミリグラム、約25ミリグラム、約30ミリグラム、約35ミリグラム、約40ミリグラム、約45ミリグラム、または約50ミリグラムの1日当たりの総量で投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、組成物、HDACi、または抗ウイルス剤は、断続的スケジュールで投与される。特定の実施形態において、これは、「投与休日」、「投与保留」または「構造化された治療の中断」を可能にし、これは、ネガティブな副作用の管理を可能にする。適切なスケジュールには、本明細書に記載の方法に従って、暦の上の週の合計期間(例えば、7日)またはその任意の倍数が含まれ得る。特定の実施形態では、HDACiおよび抗ウイルス剤は、スケジュールの少なくとも1、2、3、4、5、または6日間投与され、HDACiの投与量なしまたは減少した投与量は、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間投与される。特定の実施形態において、HDACiおよび抗ウイルス剤は、7日間のスケジュールで、少なくとも1、2、3、4、5、または6日間のスケジュールで投与され、HDACiの投与量なしまたは減少した投与量は、スケジュールの1、2、3、4、5、または6日間投与される。特定の実施形態では、スケジュールは1週間であり、臨床的に適切な結果が決定されるか、またはそれに到達するまで繰り返される。特定の実施形態では、スケジュールは1週間であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上繰り返される。特定の実施形態において、HDACiは、1週間投与され、その後、1週間投与されない。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、1週間投与され、その後、1週間投与されない。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの毎日投与される。
【0057】
特定の実施形態において、HDACiは、34時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、20時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、12時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、6時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、4時間未満の排出半減期を有する。
【0058】
特定の実施形態において、HDACiは、用量が投与されてから48時間後に対象の血液中で検出可能ではない。特定の実施形態において、HDACiは、用量が投与されてから36時間後に対象の血液中で検出可能ではない。特定の実施形態において、HDACiは、用量が投与されてから24時間後に対象の血液中で検出可能ではない。特定の実施形態において、HDACiは、用量が投与されてから12時間後に対象の血液中で検出可能ではない。特定の実施形態において、用量は、約50、40、30、20、15、10、または5ミリグラムである。
【0059】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの1日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの2日間投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの3日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの4日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの5日間投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの6日間投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの1日から6日の間で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの2日から6日の間で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの3日から6日の間で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの4日から6日の間で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの5日または6日間投与される。
【0060】
特定の実施形態において、投与スケジュールは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30日間であり、HDACiは、スケジュールの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29日間投与されない。特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットである。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの毎日投与されるか、または肝臓もしくは腎臓の毒性に基づいて減少され得る。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、ガンシクロビルまたはバルガンシクロビルである。
【0061】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの1日から5日の間で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの2日から5日の間から投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの3日から5日の間から投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの4日または5日間投与される。
【0062】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの1日から4日の間で投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの2日から4日の間から投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、投与スケジュールの3日または4日間投与される。
【0063】
特定の実施形態において、HDACiは、30ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、25ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、20ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、15ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、10ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、20ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、15ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、10ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、5ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、15ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、10ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態において、HDACiは、5ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態では、HDACiは、約5ミリグラムから約15ミリグラムの間のTIDで投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0064】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiを1日間投与し、その後6日間、HDACi治療を行わない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiが2日間投与され、その後5日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiが3日間投与され、その後4日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiが4日間投与され、その後3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiが5日間投与され、その後2日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiが6日間投与され、その後1日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、HDACiは、2、4、および6日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、HDACiは34時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、20時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、12時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、HDACiは、6時間未満の排出半減期を有する。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0065】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは投与スケジュールの1日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、投与スケジュールの2日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、投与スケジュールの3日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、投与スケジュールの4日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、投与スケジュールの5日間投与される。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、投与スケジュールの6日間投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。特定の実施形態において、バルガンシクロビルは、1週間のスケジュールの1、2、3、4、5、6、または7日間投与されない。
【0066】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1日間投与され、その後6日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2日間投与され、その後5日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは3日間投与され、その後4日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは4日間投与され、その後3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5日間投与され、その後2日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは6日間投与され、その後1日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2、4、および6日目に隔日で投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、30ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、20ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、15ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、10ミリグラムでQDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、15ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、10ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、5ミリグラムでBIDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、15ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、10ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、5ミリグラムでTIDで投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、治療スケジュールの1日間投与されない。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0067】
特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで1日間投与され、その後、6日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで2日間投与され、その後、5日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで3日間投与され、その後、4日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで4日間投与され、その後、3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで5日間投与され、その後、2日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、20mg QDで6日間投与され、その後、1日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2、4、および6日目に隔日で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0068】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg QDで1日間投与され、その後、6日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg QDで2日間投与され、その後、5日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg QDで3日間投与され、その後、4日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは、10mg QDで4日間投与され、その後、3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg QDで5日間投与され、その後、2日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg QDで6日間投与され、その後、1日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2、4、6日目に隔日で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0069】
特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで1日間投与され、その後、6日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで2日間投与され、その後、5日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで3日間投与され、その後、4日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで4日間投与され、その後、3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで5日間投与され、その後、2日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは10mg BIDで6日間投与され、その後、1日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2、4、および6日目に隔日で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、治療スケジュールの特定の日に、より低い用量で投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0070】
特定の実施形態において、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mg BIDで1日間投与され、その後、6日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mgのBIDが2日間投与され、その後、5日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mg BIDで3日間投与され、その後、4日間、ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mg BIDで4日間投与され、その後、3日間、HDACi治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mg BIDで5日間投与され、その後2日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは5mg BIDで6日間投与され、その後1日間ナナチノスタット治療が行われない。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは1、2、5、および7日目に隔日で投与される。特定の実施形態では、投与スケジュールは1週間であり、ナナチノスタットは2、4および6日目に隔日で投与される。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、スケジュールの間、毎日投与される。特定の実施形態では、抗ウイルス剤はバルガンシクロビルであり、バルガンシクロビルは、900ミリグラムまたは450ミリグラムの用量で投与される。
【0071】
HDACiは、食物または食事、または一種の栄養補助食品と共に与えることができる。特定の実施形態において、ナナチノスタットは、食物または食事またはある種の栄養補助食品と共に与えられる。HDACiを食物とともに投与することは、HDACiまたはナナチノスタットのCmaxおよび生物学的利用能をさらに高めるために、上記のスケジュールと組み合わせることができる。
【0072】
また、本明細書では、上記の用量スケジュールを効率的かつ容易に実施するための用量パッケージングもまた想定されている。そのようなパッケージングは、例えば、図5に示されている。パッケージングは、例えば、ブリスターパックまたは他の密封可能なパッキングであり得、これにより、所定の日のHDACiおよび抗ウイルス用量にアクセスすることができる。特定の実施形態において、HDACiおよび抗ウイルス剤は、それぞれの製剤が分離されるようにパッケージングされ得る(例えば、1日の用量は、分離されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む)。特定の実施形態において、パッキングは、共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含み得る。特定の実施形態では、パッキングは、共製剤化されたナナチノスタットおよびバルガンシクロビルを含むことができる。そのようなパッケージが本明細書に開示されるスケジュールで利用される場合、HDACiおよび抗ウイルス剤の両方が投与される日には、パッキングは、HDACiと抗ウイルス剤の両方を含む単一の経口投与形態を含み;および抗ウイルス剤のみを投与する日には、パッキングは、HDACiを含まない抗ウイルス剤を含むことができる。このようなパッケージングを本明細書に開示するスケジュールで使用する場合、ナナチノスタットとバルガンシクロビルの両方を投与する日は、パッキングは、ナナチノスタットとバルガンシクロビルの両方を含む単一の経口投与形態を含み;およびバルガンシクロビルのみが投与される日は、パッキングは、ナナチノスタットなしでバルガンシクロビルを含むことができる。
【0073】
本明細書に記載のスケジュールはまた、HDACiまたは抗ウイルス剤の副作用を有する特定の患者に投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、血小板減少症を伴う患者(patent)を選択することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法およびHDACi組成物は、血小板減少症を有する患者(patent)において使用するためのものである。血小板減少症は、一般に、マイクロリットルあたり150,000血小板より下の血小板計数として定義される。特定の実施形態では、患者は、マイクロリットルあたり約50,000;75,000;100,000、または125,000血小板より下の血小板計数を用いて、本明細書の方法による治療のために選択することができる。特定の実施形態では、これらの方法は、HDACi投与の設定されたスケジュールを含まないが、HDACiでの再治療の前に血小板減少症の解決をさらにモニターすることを含む。特定の実施形態において、患者がHDACi毒性のために1つ以上の用量中断を有するか、または14日を超えて中断しなければならなかった場合、本明細書に記載の方法は、HDACi阻害剤の用量減少を含む。用量減少を伴う特定の実施形態では、HDACiはナナチノスタットを含み、用量を減らすことは5mgの増分である。特定の実施形態では、HDACi用量は再漸増される。
【0074】
本明細書に記載のスケジュールはまた、HDACiまたは抗ウイルスの副作用を有する特定の患者に投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、クレアチニンレベルが高い患者(patent)または腎機能障害の別のマーカーを選択することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法およびHDACi組成物は、クレアチニンレベルが高いか、または腎機能障害の別のマーカーを有する患者(patent)において使用するためのものである。女性の場合は1.1mg/dL、男性の場合は1.3mg/dLを超える血清クレアチニンレベルは一般に上昇していると見なされる。特定の実施形態において、個体は、女性の場合は1.1mg/dL、男性の場合は1.3mg/dLを超える血清クレアチニンレベルを有する場合、本明細書に記載のスケジュールに従ってHDACiおよび抗ウイルス剤を受容するように選択される。特定の実施形態では、患者が正常範囲を超える血中尿素窒素レベルを有する場合、本明細書に記載のスケジュールに従って、HDACiおよび抗ウイルス剤を受容するように患者を選択することができる。特定の実施形態では、デシリットルあたり20ミリグラムのBUNが正常範囲を超える。
【0075】
本明細書に記載のHDACiおよび抗ウイルス剤の投与スケジュールはまた、リスクのある個体における特定の副作用を防ぐために前向きに展開することができる。特定の実施形態において、患者は、腎機能障害または血小板減少症の危険因子を有する場合、本明細書に記載のスケジュールに従って、HDACiおよび抗ウイルス剤を投与するように選択することができる。腎機能障害のリスク因子には、既存の腎疾患、腎移植の受容、糖尿病、高血圧、腎疾患の家族歴、高齢、またはアフリカ系アメリカ人、アジア系、ネイティブアメリカン、またはヒスパニック系の民族が含まれる。血小板減少症のリスク因子には、化学療法または放射線療法による以前の治療、貧血または血小板減少症の病歴が含まれる。
【0076】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法およびスケジュールによって治療されるように選択された個体は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して陽性である。
【0077】
ウイルスおよびウイルス誘発性癌の種類
本明細書で提供される方法および組成物は、ウイルス関連癌を治療および/または予防するために使用することができる。感染を引き起こすウイルスは、ヘルペスウイルスファミリー、ヒト免疫不全ウイルス、パルボウイルス、またはコクサッキーウイルスのメンバーであり得る。ヘルペスウイルスファミリーのメンバーは、単純ヘルペスウイルス、陰部疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス8、またはサイトメガロウイルスであり得る。対象は、サイトメガロウイルスまたは単純ヘルペスウイルス感染に関連する冠状動脈状態を有し得る。対象は、エプスタインバーウイルス感染に関連する自己免疫状態を有し得る。対象は、エプスタインバーウイルス感染に関連するリンパ腫または他の癌に罹患し得る。対象は、ヒトヘルペスウイルス8型感染に関連するリンパ腫または他の癌を罹患し得る。対象は、単純ヘルペスウイルス感染に関連する自己免疫状態を有し得る。対象は単純ヘルペスウイルスに関連する癌を有し得る。対象は、サイトメガロウイルス感染に関連する自己免疫状態を有し得る。対象は、サイトメガロウイルス感染に関連するリンパ腫または他の癌に罹患し得る。
【0078】
本明細書に記載の方法は、固形腫瘍または癌を治療するために使用することができる。特定の実施形態において、固形癌または腫瘍は、エプスタインバーウイルスまたはサイトメガロウイルスに関連している。特定の実施形態において、固形癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、神経膠芽細胞腫、前立腺癌、腎癌、膵臓癌、または肺癌である。特定の実施形態では、固形腫瘍または癌は、本明細書では、固形腫瘍癌は、唾液腺癌、鼻咽頭癌、頭頸部癌、胃癌、結腸直腸癌、または平滑筋肉腫である。特定の実施形態において、固形腫瘍または癌は、唾液腺癌である。特定の実施形態において、固形腫瘍または癌は、鼻咽頭癌である。特定の実施形態では、固形腫瘍または癌は頭頸部癌である。特定の実施形態では、固形腫瘍または癌はカポジ肉腫である。特定の実施形態では、固形腫瘍または癌は胃癌である。特定の実施形態では、固形腫瘍または癌は結腸直腸癌である。特定の実施形態において、固形腫瘍または癌は、エプスタインバーウイルスに対して陽性である。特定の実施形態において、固形腫瘍または癌は、サイトメガロウイルスに対して陽性である。
【0079】
本明細書に記載の方法は、血液腫瘍または癌を治療するために使用することができる。特定の実施形態において、血液腫瘍または癌は、白血病またはリンパ腫を含む。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、エプスタインバーウイルスまたはサイトメガロウイルスに関連する。特定の実施形態において、血液癌は、白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、B細胞白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、T細胞白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態では、白血病またはリンパ腫は非ホジキンリンパ腫である。特定の実施形態では、白血病またはリンパ腫はホジキンリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、サイトメガロウイルスウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である。特定の実施形態において、白血病またはリンパ腫は、エプスタインバーウイルス陽性の白血病またはリンパ腫である。
【0080】
製剤、投与経路、および有効用量
本発明の別の態様は、薬剤または薬剤の組み合わせを含む医薬組成物の製剤、投与経路、および有効用量に関する。そのような医薬組成物は、上記のようにウイルス誘発性の癌または腫瘍を治療するために使用することができる。医薬組成物は、ウイルス誘導剤を含むことができる。医薬組成物は、ウイルス誘導剤および1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。医薬組成物は、抗ウイルス剤を含むことができる。医薬組成物は、抗ウイルス剤および1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。医薬組成物は、ウイルス誘導剤および抗ウイルス剤を含むことができる。医薬組成物は、ウイルス誘導剤、抗ウイルス剤、および1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。
【0081】
薬剤またはそれらの薬学的に許容される塩は、単独で、または1つ以上の他の薬剤と、もしくは1つ以上の他の形態と組み合わせて提供することができる。例えば、製剤は、各薬剤の相対的な効力および意図された適応症に応じて、特定の比率で1つ以上の薬剤を含むことができる。例えば、2つの異なる標的を標的とするための組成物において、そして効力が同様である場合、約1:1の比率の薬剤を使用することができる。2つの形態は、同じ投薬単位で、例えば、1つのクリーム、坐剤、錠剤、カプセル、腸溶性コーティング錠またはカプセル、エアゾールスプレー、または飲料に溶解される粉末のパケットで一緒に製剤化することができ、または、各形態は、別個のユニット、例えば、2つのクリーム、2つの坐剤、2つの錠剤、2つのカプセル、錠剤および錠剤を溶解するための液体、2つのエアロゾルスプレー、または粉末のパケットおよび粉末を溶解するための液体等に製剤化することができる。
【0082】
「薬学的に許容される塩」は、1つ以上の薬剤の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは他の場合にて望ましくないものではない塩であり得る。例えば、製薬上許容される塩は、ウイルス誘導剤または抗ウイルス剤の有益な効果を妨害しない。
【0083】
塩は、無機イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの塩を含むことができる。塩には、無機酸または有機酸との塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸との塩が含まれ得る。1つ以上の薬剤がカルボキシ基または他の酸性基を含む場合、それは、無機塩基または有機塩基との薬学的に許容される付加塩に変換できる。適切な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが含まれる。
【0084】
薬学的に許容されるエステルまたはアミドは、1つ以上の薬剤の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは他の場合にて望ましくないものではないエステルまたはアミドであり得る。例えば、エステルまたはアミドは、ウイルス誘導剤、抗ウイルス剤、または追加の薬剤の有益な効果を妨害しない。エステルには、例えば、エチル、メチル、イソブチル、エチレングリコールなどが含まれ得る。アミドには、例えば、非置換アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミドなどが含まれ得る。
【0085】
1つ以上の薬剤および/または薬剤の組み合わせは、さらに他の薬剤とともに投与することができる。薬剤および/または薬剤の組み合わせと同時投与することができる薬剤の選択は、少なくとも部分的に、治療される状態に依存し得る。本発明の製剤における特定の使用のための薬剤には、例えば、炎症状態を治療するために使用される薬物を含む、ウイルス誘発性の癌または腫瘍のための治療効果を有する任意の薬剤が含まれる。例えば、本発明の製剤は、NSAID、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン(acetominophen)、ケトプロフェン、またはアスピリンなどの1つ以上の従来の抗炎症薬をさらに含み得る。いくつかの代替の実施形態では、ウイルス誘発性炎症状態の治療のために、アマンタジン、リマンタジン、ザナミビル、およびオセルタミビルなどの1つ以上の従来のインフルエンザ抗ウイルス剤をさらに含むことができる。HIVなどのレトロウイルス感染症の治療において、本発明の製剤は、プロテアーゼ阻害剤(ロピナビル/リトナビル{カレトラ(商標)}、インジナビル{クリキシバン(商標)}、リトナビル{ノルビル(商標)})、ネルフィナビル{ビラセプト(商標)}、サキナビルハードゲルカプセル{インビラーゼ(商標)}、アタザナビル{Reyataz(商標)}、アンプレナビル{アジェネラーゼ(Agenerase)(商標)}、フォサンプレナビル{テルジル(Telzir)(商標)}、ティプラナビル{Aptivus(商標)})などの1つ以上の従来の抗ウイルス薬、非ヌクレオシドおよびヌクレオシド/ヌクレオチド阻害剤を含む逆転写酵素阻害剤(AZT{ジドブジン、Retrovir(商標)}、ddI{ジダノシン、Videx(商標)}、3TC{lamivudine、Epivir(商標)}、d4T{stavudine、Zerit(商標)}、abacavir {Ziagen(商標)}、FTC{emtricitabine、Emtriva(商標)}、tenofovir{Viread(商標)}、efavirenz {Sustiva(商標)}およびネビラピン{Viramune(商標)})、融合阻害剤T20{enfuvirtide、Fuzeon(商標)}、インテグラーゼ阻害剤(MK-0518およびGS-9137)、および成熟阻害剤(PA-457 {Bevirimat(商標)})をさらに含み得る。別の例として、製剤は、ビタミンC、Eまたは他の抗酸化剤などの1つ以上の補充物をさらに含むことができる。
【0086】
1つ以上の薬剤(またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはアミド)は、それ自体で、または1つ以上の活性薬剤が1つ以上の薬学的に許容される担体との混合または混合物である医薬組成物の形態で投与することができる。本明細書で使用される医薬組成物は、対象への投与のために調製された任意の組成物であり得る。医薬組成物は、例えば、投与可能な調製物への活性薬剤の処理を容易にする、賦形剤、希釈剤、および/または助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して従来の方法で製剤化することができる。適切な製剤は、選択した投与経路に少なくとも部分的に依存し得る。1つ以上の薬剤、またはそれらの薬学的に許容される塩、エステル、またはアミドは、経口、頬側、局所、直腸、経皮、経粘膜、皮下、静脈内、および筋肉内投与、ならびに吸入によるものを含む多数の投与経路または投与様式を使用して患者に送達することができる。
【0087】
経口投与の場合、1つ以上の活性薬剤を、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることにより、1つ以上の薬剤を容易に製剤化することができる。そのような担体は、1つ以上の薬剤が、治療される患者による経口摂取のために、チュアブル錠、丸薬、糖衣錠、カプセル、ロゼンジ、ハードキャンディー、液体、ゲル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル、ウエハーなどを含む錠剤として製剤化されることを可能にし得る。そのような製剤は、固体希釈剤または充填剤、滅菌水性媒体、および様々な非毒性有機溶媒を含む、薬学的に許容される担体を含むことができる。一般に、本発明の薬剤は、所望の投薬単位を提供するのに十分な量の、経口剤形の全組成物の約0.5重量%、約5重量%、約10重量%、約20重量%、または約30重量%~約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%または約90重量%の範囲の濃度レベルで含まれ得る。
【0088】
経口使用のための水性懸濁液は、懸濁剤(例えば、メチルセルロース)、湿潤剤(例えば、レシチン、リゾレシチンおよび/または長鎖脂肪アルコール)、ならびに着色剤、防腐剤、香味剤などの薬学的に許容される賦形剤とともに、1つ以上の薬剤を含むことができる。
【0089】
例えば、大きな親油性部分の存在に起因して、1つ以上の薬剤を溶液にするために、油または非水性溶媒が必要とされ得る。あるいは、乳濁液、懸濁液、または他の調製物、例えば、リポソーム調製物を使用することができる。リポソーム調製物に関して、状態の治療のためのリポソームを調製するための任意の既知の方法を使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Bangham et al.,J.Mol. Biol.23:238-252(1965)およびSzoka et al.,Proc. Natl Acad.Sci. USA 75:4194-4198(1978)を参照のこと。リガンドをリポソームに付着させて、これらの組成物を特定の作用部位に向けることもできる。1つ以上の薬剤を食材、例えば、クリームチーズ、バター、サラダドレッシング、またはアイスクリームに組み入れて、特定の患者集団における可溶化、投与、および/またはコンプライアンスを促進することもできる。
【0090】
経口使用のための医薬製剤は、固体賦形剤として得ることができ、必要に応じて、得られた混合物を粉砕し、望ましい場合、適切な助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを得る。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤、香味料要素、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。崩壊剤は、例えば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩を添加することができる。徐放性製剤として1つ以上の薬剤を製剤化することもできる。
【0091】
糖衣錠コアには、適切なコーティングを施すことができる。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含み得る濃縮糖溶液を使用することができる。染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加して、識別のため、または1つ以上の活性薬剤のさまざまな組み合わせを特徴付けることができる。
【0092】
経口的に使用することができる医薬製剤には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、ならびに、ゼラチン、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた柔らかく密封されたカプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定剤と混合した活性成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性薬剤は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁することができる。さらに、安定剤を加えることができる。経口投与用のすべての製剤は、投与に適した投与量にすることができる。
【0093】
注射の場合、1つ以上の薬剤は、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液を含むがこれらに限定されない水溶液中で製剤化することができる。そのような組成物はまた、1つ以上の賦形剤、例えば、防腐剤、可溶化剤、充填剤、滑沢剤、安定剤、アルブミンなども含むことができる。製剤の方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,latest edition,Mack Publishing Co.,Easton P.に開示されているように、当技術分野で知られている。
【0094】
1つ以上の薬剤はまた、デポー調製物として製剤化することもできる。そのような長時間作用型製剤は、移植または経皮送達(例えば、皮下または筋肉内)、筋肉内注射、または経皮パッチの使用によって投与することができる。したがって、例えば、1つ以上の薬剤は、適切なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂として、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化され得る。
【0095】
1つ以上の薬剤を含む医薬組成物は、局所的に投与されるか、または特定の感染部位またはその近くに注射されると、局所的および局在的効果を発揮することができる。例えば、粘稠な液体、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、軟膏、坐剤、フォーム、またはエアゾールスプレーの直接的な局所適用は、例えば、局所的および/または局在的効果を生み出すために、局所投与のために使用することができる。そのような製剤のための薬学的に適切なビヒクルには、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロールまたはポリエチレングリコール)、脂肪酸のエステル、油、脂肪、シリコーンなどが含まれる。そのような調製物はまた、防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル)および/または抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびトコフェロール)を含み得る。Dermatological Formulations:Percutaneous absorption,Barry (Ed.),Marcel Dekker Incl,1983もまた参照のこと。いくつかの実施形態では、ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤を含む局所/局在製剤を使用して、表皮または粘膜のウイルス誘発性炎症状態を治療する。
【0096】
医薬組成物は、美容上または皮膚科学的に許容される担体を含むことができる。そのような担体は、皮膚、爪、粘膜、組織および/または毛髪と適合性があり得、そしてこれらの要件を満たす任意の従来使用されている化粧品または皮膚科学的担体を含み得る。そのような担体は、当業者によって容易に選択することができる。皮膚軟膏を製剤化する際に、薬剤または薬剤の組み合わせは、油性炭化水素ベース、無水吸収ベース、油中水吸収ベース、水中油水除去可能ベースおよび/または水溶性ベース中で製剤化することができる。
【0097】
本発明による組成物は、水性、水性アルコールまたは油性溶液、ローションまたは血清分散液、水性、無水または油性ゲル、水相中の脂肪相の分散によって得られるエマルジョン(O/Wまたは水中油)、または逆に(W/Oまたは油中水)、マイクロエマルジョン、あるいはマイクロカプセル、微粒子、またはイオン性および/もしくは非イオン性タイプの脂質小胞分散液を含む、局所適用に適した任意の形態であり得る。これらの組成物は、従来の方法に従って調製することができる。本発明による組成物の様々な構成要素の量は、当技術分野で従来から使用されているものであり得る。これらの組成物は、顔、手、体および/もしくは粘膜、または皮膚のクレンジングのための保護、治療またはケアクリーム、乳液、ローション、ジェルまたはフォームを構成する。組成物はまた、石鹸またはクレンジングバーを構成する固形調製物からなり得る。
【0098】
医薬組成物はまた、化粧品および皮膚科学分野に共通のアジュバント、例えば、親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性活性薬剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、香料、充填剤、日焼け止め剤、臭気吸収剤および染料を含むことができる。これらの様々なアジュバントの量は、考慮される分野で従来から使用されているものであり得、例えば、組成物の総重量の約0.01%~約20%である。それらの性質に応じて、これらのアジュバントは、脂肪相、水相、および/または脂質小胞に導入することができる。
【0099】
眼のウイルス感染症は、本発明の薬剤または薬剤の組み合わせを含む点眼液、懸濁液、軟膏または挿入物を用いて効果的に治療することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、耳のウイルス感染は、本発明の薬剤または薬剤の組み合わせを含む耳用溶液、懸濁液、軟膏または挿入物を用いて効果的に治療することができる。
【0101】
1つ以上の薬剤は、懸濁液の形態ではなく可溶性の形態で送達することができ、これにより、作用部位へのより迅速かつ定量的な吸収を可能にすることができる。一般に、ゼリー、クリーム、ローション、坐剤および軟膏などの製剤は、本発明の薬剤へのより広範な曝露を有する領域を提供することができ、一方、溶液中の製剤、例えば、スプレーは、より即時的な短期間の曝露を提供する。
【0102】
局所/局在適用に関連して、医薬組成物は、1つ以上の浸透促進剤を含むことができる。例えば、製剤は、浸透を増加させるか、または透過性バリア、例えば、皮膚を横切る本発明の薬剤または薬剤の組み合わせの送達を助ける適切な固相またはゲル相担体または賦形剤を含むことができる。これらの浸透促進化合物の多くは、局所製剤の分野で知られており、例えば、水、アルコール(例えば、テルペン様(terpenes like)メタノール、エタノール、2-プロパノール)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、テトラデシルメチルスルホキシド)、ピロリドン(例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドン)、ラウロカプラム、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフルフリルアルコール、L-α-アミノ酸、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、脂肪酸、脂肪アルコール(例えば、オレイン酸)、アミン、アミド、クロフィブリン酸アミド、ヘキサメチレンラウラミド、タンパク質分解酵素、α-ビサボロール、d-リモネン、尿素およびN,N-ジエチル-m-トルアミドなどが含まれる。追加の例には、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、モノラウリン酸グリセロール、アルカン、アルカノール、オルゲラーゼ(ORGELASE)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、および/または他のポリマーが含まれる。医薬組成物は、1つ以上のそのような浸透促進剤を含むことができる。
【0103】
局所(local)/局在(topical)適用のための医薬組成物は、1つ以上の抗菌性防腐剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、有機水銀、p-ヒドロキシ安息香酸、芳香族アルコール、クロロブタノールなどを含むことができる。
【0104】
胃腸ウイルス感染症は、本発明の薬剤または薬剤の組み合わせを含む、経口または直腸送達された溶液、懸濁液、軟膏、浣腸剤および/または坐剤を用いて効果的に治療することができる。
【0105】
呼吸器ウイルス感染症は、本発明の薬剤または薬剤の組み合わせを含むエアロゾル溶液、懸濁液または乾燥粉末を用いて効果的に治療することができる。吸入による投与は、インフルエンザなどの肺のウイルス感染症の治療において特に有用である。エアロゾルは、呼吸器系または鼻腔を通して投与することができる。例えば、当業者は、本発明の組成物が、適切な担体、例えば、薬学的に許容される噴射剤に懸濁または溶解され得、そして鼻スプレーまたは吸入剤を使用して肺に直接投与され得ることを認識する。例えば、ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤を含むエアロゾル製剤は、例えば、鼻スプレーまたは吸入剤としての投与のために、推進剤または溶媒および推進剤の混合物に溶解、懸濁または乳化することができる。エアロゾル製剤は、当技術分野で従来から使用されているように、美容的または皮膚科学的または薬学的に許容される推進剤など、圧力下で許容可能な任意の推進剤を含み得る。
【0106】
経鼻投与用のエアロゾル製剤は、一般に、滴またはスプレーで鼻腔に投与されるように設計された水溶液である。鼻溶液は、一般に等張性であり、約5.5~約6.5のpHを維持するためにわずかに緩衝されるという点で鼻分泌物に類似し得るが、この範囲外のpH値をさらに使用することができる。抗菌剤または防腐剤も製剤に含めることができる。
【0107】
吸入用のエアロゾル製剤および吸入剤は、鼻または経口呼吸経路によって投与されたときに、薬剤または薬剤の組み合わせが対象の呼吸樹に運ばれることができるように設計することができる。吸入液は、例えば、噴霧器によって投与することができる。微粉末または液体の薬物を含む吸入または送気は、例えば、分配を助けるために、推進剤中の薬剤または薬剤の組み合わせの溶液または懸濁液の医薬エアロゾルとして呼吸器系に送達することができる。推進剤は、ハロカーボン、例えば、フッ素化塩素化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、およびヒドロクロロカーボンなどのフルオロカーボン、ならびに炭化水素および炭化水素エーテルを含む液化ガスであり得る。
【0108】
ハロカーボン推進剤は、すべての水素がフッ素で置き換えられているフルオロカーボン推進剤、すべての水素が塩素および少なくとも1つのフッ素で置き換えられているクロロフルオロカーボン推進剤、水素含有フルオロカーボン推進剤、および水素含有クロロフルオロカーボン推進剤を含むことができる。ハロカーボン推進剤は、1994年12月27日に発行された、Johnson、米国特許第5,376,359号、1993年3月2日に発行された、Byron et al.、米国特許第5,190,029号、および1998年7月7日に発行された、Purewal et al.米国特許第5,776,434号に記載されている。本発明において有用な炭化水素推進剤には、例えば、プロパン、イソブタン、n-ブタン、ペンタン、イソペンタンおよびネオペンタンが含まれる。炭化水素のブレンドもまた推進剤として使用できる。エーテル推進剤には、例えば、ジメチルエーテルならびにエーテルが含まれる。本発明のエアロゾル製剤はまた、1つより多くの推進剤を含むことができる。例えば、エアロゾル製剤は、2つ以上のフルオロカーボンなど、同じクラスからの1つより多くの推進剤、または、フルオロ炭化水素および炭化水素など、異なるクラスからの1つより多く、2つより多く、3つより多くの推進剤を含むことができる。本発明の医薬組成物はまた、圧縮ガス、例えば、二酸化炭素、亜酸化窒素または窒素などの不活性ガスとともに分配することができる。
【0109】
エアロゾル製剤はまた、他の成分、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ならびに界面活性剤または他の成分、例えば、油および洗剤を含み得る。これらの成分は、製剤を安定させたり、および/またはバルブ部品を潤滑したりするために役立ち得る。
【0110】
エアロゾル製剤は、圧力下でパッケージすることができ、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末、および半固体製剤を使用してエアロゾルとして製剤化することができる。例えば、溶液エアロゾル製剤は、(実質的に)純粋な推進剤中の、または推進剤と溶媒の混合物としてのウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤などの薬剤の溶液を含むことができる。溶媒は、薬剤を溶解するため、および/または推進剤の蒸発を遅らせるために使用することができる。本発明において有用な溶媒には、例えば、水、エタノールおよびグリコールが含まれる。適切な溶媒の任意の組み合わせを使用することができ、任意選択で防腐剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分と組み合わせることができる。
【0111】
エアロゾル製剤はまた、分散液または懸濁液であり得る。懸濁液エアロゾル製剤は、本発明の薬剤または薬剤の組み合わせ、例えば、ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤、ならびに分散剤の懸濁液を含み得る。本発明において有用な分散剤には、例えば、トリオレイン酸ソルビタン、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチンおよびコーン油が含まれる。懸濁液エアロゾル製剤はまた、潤滑剤、防腐剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分を含み得る。
【0112】
エアロゾル製剤は、エマルジョンとして製剤化することができる。エマルジョンエアロゾル製剤は、例えば、エタノールなどのアルコール、界面活性剤、水および推進剤、ならびに薬剤または薬剤の組み合わせ、例えば、ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤を含み得る。使用される界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であり得る。エマルジョンエアロゾル製剤の一例は、例えば、エタノール、界面活性剤、水および推進剤を含む。エマルジョンエアロゾル製剤の別の例は、例えば、植物油、モノステアリン酸グリセリルおよびプロパンを含む。
【0113】
本発明での使用のために適した医薬組成物は、有効成分が有効量で、すなわち、少なくとも1つのウイルス誘導性炎症状態を有する宿主において治療的および/または予防的利益を達成するために有効な量で存在する組成物を含むことができる。特定の用途のために有効な実際の量は、治療される1つまたは複数の状態、対象の状態、製剤、および投与経路、ならびに当業者に知られている他の要因に依存する。ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤の有効量の決定は、本明細書の開示に照らして十分に当業者の能力の範囲内であり、日常的な最適化技術を使用して決定することができる。
【0114】
ヒトにおける使用のための有効量は、動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることが見出されている循環、肝臓、局所および/または胃腸の濃度を達成するように製剤化することができる。当業者は、特に本明細書に記載の動物モデルの実験データに照らして、ヒトでの使用のために有効な量を決定することができる。動物データおよび他のタイプの同様のデータに基づいて、当業者は、ヒトのために適切な組成物の有効量を決定することができる。
【0115】
本発明の薬剤または薬剤の組み合わせに言及する場合の有効量は、一般に、以下の医療または製薬分野における様々な規制または諮問機関(例えば、FDA、AMA)あるいは製造業者または供給業者のいずれかによって推奨または承認された用量範囲、投与様式、製剤などを意味し得る。
【0116】
さらに、ウイルス誘導剤および/または抗ウイルス剤の適切な用量は、インビトロ実験結果に基づいて決定することができる。
【0117】
当業者は、特定の薬剤の投与の効果を患者においてモニターすることができる。例えば、HIVまたはEBVウイルス負荷レベルは、CD4細胞計数の測定などの当技術分野で標準的な技術、および/またはPCRによって検出されるウイルスレベルによって決定することができる。他の技術は当業者には明らかである。
【0118】
本開示はキットを提供し、このキットは1つ以上の容器を含むことができ、このキットは、適切なパッケージに本開示の方法で言及されるHDAC阻害剤、抗ウイルス剤または追加の薬剤の任意の組み合わせを含むことができる。キットには使用説明書が含まれてもよい。HDAC阻害剤または抗ウイルス剤は、本明細書に開示される任意の濃度で存在することができ、本明細書に開示される任意の経路による投与のために、または本明細書に開示される任意の製剤にパッケージすることができる。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、キット内の適切なパッケージもしくは容器に一緒にパッケージされる。キットは、便利な投与または投薬、およびそれらの管理のためのものであり得る。いくつかのさらなる実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、単回投与での医薬組成物として一緒に製剤化される。いくつかの代替の実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、別個の医薬組成物として製剤化される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤の医薬組成物は、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回以上、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、1ヶ月に4回、またはより多くの投薬のためにパッケージされ、そして、抗ウイルス剤の医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回以上の投薬のためにパッケージされる。いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、HDAC阻害剤なしで投与または摂取される。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤および抗ウイルス剤の治療過程は、以下の通りであり得る:HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、治療の第1の日、第2の日、第3の日、第4の日、第5の日またはそれ以上の日のいずれかに同じ医薬組成物中で一緒に摂取または投与され、抗ウイルス薬は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13日以上のいずれかに単独で摂取または投与される。いくつかのさらなる実施形態において、治療過程は以下の通りであり得る:HDAC阻害剤および抗ウイルス剤は、治療の第1、第2、第3、第4、第5またはそれ以上の日のいずれかで、同時に、または1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、またはそれ以上、時間的に間隔をあけてのいずれかで、異なる医薬組成物中にて別々に摂取または投与され;そして抗ウイルス薬は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、またはそれ以上のいずれかで、単独で摂取または投与される。いくつかの実施形態において、キットにパッケージされたHDAC阻害剤は、ナナチノスタットである。いくつかの実施形態では、抗ウイルス薬はガンシクロビルであり、他の実施形態では、それはバルガンシクロビルである。いくつかの実施形態では、治療過程は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回以上の反復で繰り返される。
【0119】
本明細書に記載のキットは、複数の経口剤形を含み得、ここで、経口剤形は、HDACiおよび抗ウイルス剤を含む。特定の実施形態では、複数とは7またはその倍数を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化された、HDACiおよび抗ウイルス剤を含む1つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む6つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む2つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む5つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む3つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む4つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む4つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む3つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む5つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む2つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、単一の形態に共製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む6つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む1つの経口剤形を含む。パッケージは、これらの量のいずれかの7の倍数を適切に含み得る(例えば、1、2、または3ヶ月分の投与量を提供するキット)。経口剤形は、毎日、1日1回、1日2回、または1日3回投与するために配合され得る。特定の実施形態において、HDACiは、ナナチノスタットを含む。特定の実施形態において、経口剤形に組み込まれるナナチノスタットの量は、5ミリグラム、10ミリグラム、15ミリグラム、20ミリグラム、25ミリグラム、30ミリグラムを含む。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、バルガンシクロビルを含む。特定の実施形態において、経口剤形に組み込まれるバルガンシクロビルの量は、450ミリグラム、900ミリグラム、または1,800ミリグラムを含む。
【0120】
本明細書に記載のキットは、複数の経口剤形を含み得、ここで、経口剤形は、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む少なくとも2つの経口剤形、および抗ウイルス剤を含み、HDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む6つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む4つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む5つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む6つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む4つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む8つの経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む3つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む10個の経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む2つの経口剤形を含む。特定の実施形態において、キットは、別々に製剤化されたHDACiおよび抗ウイルス剤を含む12個の経口剤形、ならびに抗ウイルス剤を含み、およびHDACiを含まないかまたは減少量のHDACiを含む1つの経口剤形を含む。パッケージは、これらの量のいずれかの7の倍数を適切に含むことができる(例えば、1、2、または3ヶ月分の投与量を提供するキット)。経口剤形は、1日1回、1日2回、または1日3回投与するために配合され得る。特定の実施形態において、HDACiは、ナナチノスタットを含む。特定の実施形態において、経口剤形に組み込まれるナナチノスタットの量は、5ミリグラム、10ミリグラム、15ミリグラム、20ミリグラム、25ミリグラム、30ミリグラムを含む。特定の実施形態において、抗ウイルス剤は、バルガンシクロビルを含む。特定の実施形態において、経口剤形に組み込まれるバルガンシクロビルの量は、450ミリグラム、900ミリグラム、または1,800ミリグラムを含む。
【0121】
本発明のキットは、適切なパッケージングに入っている。適切なパッケージングには、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟なパッケージング(例えば、密封されたマイラー(Mypar)、ブリスターパック、プラスチックバッグ)などが含まれるが、これらに限定されない。吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)またはミニポンプなどの注入装置などの特定の装置と組み合わせて使用するためのパッケージもまた企図されている。キットは、滅菌アクセスポートを備えていてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを備えたバイアルであり得る)。容器はまた、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、HDAC阻害剤である。HDAC阻害剤はナナチノスタットであり得る。容器は、第2の薬学的に活性な薬剤をさらに含み得る。この第2の薬学的に活性な薬剤は、抗ウイルス剤であり得る。抗ウイルス剤は、ガンシクロビルまたはバルガンシクロビルであり得る。
【実施例
【0122】
実施例1-HDACiと抗ウイルス治療とを組み合わせた臨床試験
ナナチノスタット(Nstat)(以前はCHR-3996として知られていたVRx-3996)は、HDAC 1-3に対して活性であるが、HDAC 6に対しては活性でない、クラス1選択的、経口、ヒドロキサメートヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。
【0123】
オントラクト(Ontract)(NCT03397706)は、フェーズ1b/2、非盲検、用量漸増(3+3設計)研究であり、その後、EBV関連リンパ腫患者の経口N+VGの推奨されるフェーズ2用量(RP2D)での拡大段階が続く。試験した投与スケジュールを以下の表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
主な目的
・フェーズ1b:N+VGの安全性、忍容性、およびR2PDを決定する
・フェーズ2:R2PDの安全性と忍容性を評価し、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の初期評価、病期分類、および反応評価に関する推奨事項によって客観的反応率(ORR)を評価する:Lugano Classification(Lugano)およびRECIL 2017、セントラルレビューによる
二次目的
・フェーズ1b/2:ガンシクロビルのNおよびPKの薬物動態(PK)を評価する
・フェーズ2:腫瘍反応までの時間、反応期間、腫瘍進行までの時間、および無増悪生存期間を評価する
探索的結果
・フェーズ1b/2:必要に応じてウイルス負荷(CMV、EBV、HHV-6、HHV-8、HIV)の変化、EBV潜伏/溶解プロファイルおよびゲノムメチル化状態、ヒストンH3アセチル化(PBMC)の変化を評価する
主要な適格基準
・組織学的サブタイプに関係ない、再発性/難治性の病理学的に確認されたEBV+リンパ腫(EBER-ISH)またはリンパ増殖性疾患、これは以下を含む:
o同種造血細胞移植(alloHCT)または固形臓器移植(SOT)後のEBV関連移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)
oHIV+感染症を含む、EBV関連リンパ増殖性疾患(LPD)および後天性免疫不全症に関連する悪性腫瘍
o免疫不全に関連しないEBV関連リンパ腫およびLPD
・測定可能な病気の存在
・年齢≧18歳、0から2のECOGパフォーマンス状態、適切な血液、腎臓、および肝臓の機能
【0126】
以下で試験に登録された個体の人口統計学的データを表2に示し、コホートおよび強度による投薬を表3に示す。
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
コホート1(10mg、BID)は、2人の患者における4つの異なる血液学的用量制限毒性に基づく最大耐量を超えた。コホート2(5mg BIDまたは10mg QD)では、用量制限毒性はなく、用量保持も少なかった。表4に示すように、血小板減少症が最も一般的な用量制限毒性であった。血小板最下点(ナディア)は、3~5日間の用量保持後に急速に回復した。図1を参照のこと。これは、患者が1、2、3、4、または5日間HDACiで治療され、かつ6、5、4、3、または2日間治療されないスケジュールに従った治療が、血小板減少症などの血液学的副作用を制限する可能性を示した。
【0130】
【表4】
【0131】
全体として、客観的応答は、すべての用量コホートにおいて、ならびにB細胞およびT細胞リンパ腫全体で観察された。表5を参照のこと。抗腫瘍活性の証拠は、PETによって評価可能な18人の患者のうち10人でPETによって観察された。主要な反応は8週目の最初のスキャンで観察された。興味深いことに、約4ヶ月目に2人の患者で偽進行が観察され、その後に主要な反応(CR、PR)が続き、免疫監視反応を示している可能性がある。2人の患者では、CRまたはPRの全身反応を維持しながら皮膚の進行が観察された。治療の2週間後に皮膚がきれいになった1人の患者は治療を中止し、無病のままであった。HIV+患者では、評価可能な3例のうち3例が進行している。
【0132】
【表5】
【0133】
実施例2-Nstatは他のHDACiよりも強力であり、治療は長期のヒストンアセチル化を生じる
ヒトで実施された実験において、表6に示されるように、ナナチノスタットは約2時間のT1/2を有する。研究に登録された患者に、所定の用量で経口ナナチノスタットおよびバルガンシクロビルを投与した。薬物動態研究のための血液サンプルは、サイクル1の1日目に、ナナチノスタットの最初の投与から30分、1、2、4、6、および24時間後に採取した。ナナチノスタットの血清濃度は、Inotiv,Inc.においてアッセイされ、終末半減期を含むPKパラメータは、Phoenix WinNonlin v.8.1ソフトウェアを使用して計算された。
【0134】
【表6】
【0135】
ナナチノスタット、ロミデプシン(FK228)、エンチノスタット(MS-275)、スベラニロヒドロキサム酸(SAHAまたはボリノスタット)、またはトリコスタチンA(TSA)についてのHDAC阻害のIC50は、インビトロヒストンアセチル化アッセイで決定した。簡単に説明すると、すべての化合物をDMSOに溶解する。化合物の一連の希釈液をHDACアッセイバッファー中の10%DMSOで調製し、5μlの希釈液を50μlの反応液に加えて、DMSOの最終濃度がすべての反応で1%になるようにした。化合物は、HDACアッセイバッファー、5μg BSA、HDAC酵素(表7を参照)、および特定のHDACiを含む混合物中で、RTにて1時間、2連でプレインキュベートした。1時間後、HDAC基質(BPS Bioscience)を最終濃度が10μMまたは2μMになるように添加することにより、酵素反応を開始した。酵素反応は37℃で30分間進行した。酵素反応後、50μlの2×HDAC DeveloperをHDAC酵素の各ウェルに添加し、プレートを室温でさらに15分間インキュベートした。Tecan Infinite M1000マイクロプレートリーダーを使用して、360nmの励起と460nmの発光で蛍光強度を測定した。
【0136】
HDAC活性アッセイは、各濃度において2連で実施した。蛍光強度データは、コンピューターソフトウェア、Graphpad Prismを使用して分析した。化合物が存在しない場合、各データセットの蛍光強度(Ft)は100%の活性として定義した。HDACが存在しない場合、各データセットの蛍光強度(Fb)は0%の活性として定義した。各化合物の存在下でのパーセント活性は、次の式に従って計算した:%活性=(F-Fb)/(Ft-Fb)、ここで、F=化合物の存在下での蛍光強度。
【0137】
次に、一連の化合物濃度に対する%活性の値を、方程式Y=B+(T-B)/1+10(LogEC50-X)×ヒルスロープ)を用いて生成したシグモイド用量反応曲線の非線形回帰分析を使用してプロットし、ここで、Y=パーセント活性、B=最小パーセント活性、T=最大パーセント活性、X=化合物の対数、ヒルスロープ=傾きの係数またはヒル係数であった。IC50値は、最大パーセントの半分の活性を生じる濃度によって決定した。
【0138】
【表7】
【0139】
これらの実験の結果を表8に示す。全体として、他のHDACiと比較して、Nstatは、試験した他のすべてのHDACiと比較した場合、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC5、HDAC8、およびHDAC9の高い効力阻害を示す。
【0140】
【表8】
【0141】
ナナチノスタットは、多くのHDACiと比較して、HDACとしての効力が高く、半減期が短い。これらの特性を考慮すると、ナナチノスタットは、断続的なスケジュールまたは投与量を保持するスケジュールで展開できる可能性がある。薬物動態の観点から用量保持を実施することが可能かどうかを判断するために、末梢血単核細胞を健常ボランティアから単離し、ナナチノスタットまたはエンチノスタット(半減期が約36時間のHDACi)のいずれかで処理した。H3のアセチル化はNstat活性の薬力学的バイオマーカーであるので、H3のアセチル化を処理細胞において調べた。図2に示すように、Nstatは、100nMの用量でも、ヒストン3アセチル化のレベルの上昇を誘導する点で、エンチノスタットよりもはるかに強力であった。図3に示すように、H3アセチル化に対するこの効果は、10nMまで下げた用量でも長続きした。
【0142】
ナナチノスタットは、ガンシクロビルと組み合わせると、EBV感染細胞株における細胞毒性を増加させる。図4に示すように、この効果は、Nstatを除去した後でも見られる。P3HR1バーキットリンパ腫細胞を、DMSO(溶媒対照)またはNstatとともに3日間インキュベートした。その後、細胞培養物を洗浄し、ガンシクロビル(GCV)をさらに3日間再供給した。すべてのテスト条件は3連で実行した。細胞死は7AAD染色によって測定した。
【0143】
全体として、これらのデータおよび実験は、治療効率を維持しながら、有害反応を適切に制御するために、NstatのようなHDACiの休薬期間を実施することができるという合理性を提供する。
【0144】
実施例3-HDACiと抗ウイルス治療を組み合わせた臨床試験
以下の実施例は、進行したエプスタインバーウイルス関連固形悪性腫瘍を有する対象における経口投与されたナナチノスタットおよびバルガンシクロビルの非盲検、用量漸増および拡大研究の説明である。
研究の母集団
局所進行性または転移性のEBV関連固形腫瘍の患者であって、以下を含むが、これらに限定されない。
・EBV関連胃腺癌
・EBV関連鼻咽頭癌
主な目的
・ナナチノスタット/バルガンシクロビルの安全性および忍容性を判断する
・ナナチノスタット/バルガンシクロビルの推奨されるフェーズ2用量(RP2D)を決定する
・客観的応答率(ORR)に基づいて活性を評価する
二次目的
・ナナチノスタットの薬物動態(PK)パラメータを評価する
・バルガンシクロビルのPKパラメータを評価する
・応答までの時間を評価する
・応答期間を評価する
・無増悪生存期間(PFS)を評価する
・全生存期間(OS)を評価する
探索的目的
・該当する場合は、治療(サイトメガロウイルス、EBV)を伴う定量的ポリメラーゼ連鎖反応によってウイルス量の変化を評価する
・EBV潜伏/溶解プロファイルを評価する
【0145】
治療レジメン
ナナチノスタットの初期用量は、4週間のサイクルで毎週7日のうち4日間、毎日20mgであり、忍容性およびDLTの欠如に基づいて、用量漸増コホートを毎日30mgおよび40mgにする。バルガンシクロビルは毎日900mgで継続的に投与する。用量は、毎週のブリスターパッケージにパッケージ化してもよい。図5を参照のこと。
【0146】
研究設計
バルガンシクロビルと組み合わせたナナチノスタットのRP2Dを定義し(フェーズ1b)、次いで進行した固形悪性腫瘍におけるこの組み合わせの有効性を評価する(フェーズ2)ための2部構成のフェーズ1b/2研究。フェーズ1b(用量漸増)は、各用量コホートで最大6人の患者が登録される、ローリング6設計に従う。
・3人の患者がDLTなしで28日間のサイクルを完了した場合、次のコホートを登録できる
・1例のDLTが観察された場合、コホートは6~8人の患者を含むように拡張される。
・6人の患者に1例のDLTが観察された場合、コホートは許容できる安全性があると見なされ、次のコホートが登録のために開かれる。
・6人の患者で2例のDLTが観察された場合、MTDを超えている。
治験薬の毒性以外の理由で最初の28日サイクルを完了しなかった患者は、交代することができる。RP2DおよびORRの忍容性を確認するために、最大30人の追加の患者のフェーズ2(拡張)が登録される。すべての患者(フェーズ1bおよび2)は、RECIST1.1基準を使用して応答について評価する。臨床試験には最大50人の患者が登録される。
主要な包含基準
・組織学的または細胞学的に確認された局所進行性または転移性EBV関連固形腫瘍の確認診断を受けた患者で、そのための標準的な治療法が有効でないか、利用可能か、許容可能か、または忍容性でない
・RECIST1.1に従って、コンピューター断層撮影(CT)スキャンまたは磁気共鳴画像法(MRI)で、評価可能な疾患または少なくとも1つの測定可能な病変がなければならない
・スクリーニング時に18歳以上の男性または女性
・検査値のスクリーニング:
oヘモグロビン≧9g/dL
o好中球絶対数≧1500細胞/mm
o血小板計数≧100,000細胞/mm
o総ビリルビン≦1.5×ULN
oアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ≦2.5×ULN。(肝転移が存在しない限り、最大5×ULNが許容される)
o血清クレアチニン≦1.5mg/dLまたは推定糸球体濾過率(eGFR)≧60mL/分/1.73m
o国際標準比(INR)またはプロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULN(PTまたはPTTが抗凝固薬の使用目的の治療範囲内にある限り、患者が抗凝固療法を受けている場合を除く)
o活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦1.5×ULN(PTまたはPTTが抗凝固薬の使用目的の治療範囲内にある限り、患者が抗凝固療法を受けている場合を除く)
・臨床検査および脳画像検査によって確認されたCNSに向けた治療後、少なくとも4週間進行の証拠がない場合、治療された安定したCNS転移(軟髄膜癌腫症を含む)の患者は許可される。発作予防の使用は許可されている
・米国国立がん研究所の有害事象共通用語基準(NCI CTCAE)バージョン5.0(脱毛症およびグレード2末梢神経障害を除く)によるグレード0または1への、以前の治療による臨床的に重大な毒性作用の解決。
・Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンス状態が2以下
【0147】
実施例4-ナナチノスタット錠剤製剤
本明細書に記載の方法およびキットによれば、ナナチノスタットは、単剤の即時放出錠剤として製剤化することができる。単剤錠剤における投薬量の処方の非限定的な例を以下の表10に示す。製造プロセスは、典型的な医薬品の造粒/ブレンド/圧縮/コーティングプロセスである。
【0148】
【表9】
【0149】
実施例5 HDACiと抗ウイルス剤の共製剤
抗ウイルス剤およびHDACiを有する即時放出の固定投与錠剤製剤を開発するための実験を行った。これらの実験は、錠剤のかさ/タップ密度、粒径分布、ブレンドの均一性、硬度、および崩壊時間を評価した。造粒/ブレンド/圧縮/コーティング製剤製造プロセスを、さまざまな比率と強度の固定用量錠剤を製造するために開発した。20mgのナナチノスタット/450mgのバルガンシクロビルの固定用量錠剤の一実施形態を表10に示す。
【0150】
【表10】
【0151】
20mgのナナチノスタット/450mgのバルガンシクロビルの固定用量錠剤の溶解プロファイルを表11に示す。
【0152】
【表11】
【0153】
異なる強度および比率を有する錠剤を製造し、プロセスの変更を評価し、流動特性、粒径および密度について粉末ブレンドを最適化するための実験も実施した。最終ブレンドから得られた錠剤は、物理的に(圧縮プロファイル)、化学的に(アッセイ/不純物、含水量、溶解)特徴付けられ、長期安定性研究に供した。2つの即時放出、固定用量錠剤、すなわち10mgのナナチノスタット/450mgのバルガンシクロビルおよび20mgのナナチノスタット/900mgのバルガンシクロビルの製剤の処方を表12に示す。
【0154】
【表12】
【0155】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかである。多数のバリエーション、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく、今や当業者によって想到される。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。
【0156】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、発行済み特許、および他の文書は、個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、または他の文書がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれたテキストに含まれる定義は、本開示の定義と矛盾する範囲で除外される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】