(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】流体温度調節可能なトラクションバッテリ、および熱伝達装置のための挿通部を有するバッテリハウジング構造体
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20220805BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20220805BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220805BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220805BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220805BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220805BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/02
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6556
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021570998
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020060522
(87)【国際公開番号】W WO2020239314
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】102019114445.0
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギド・シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ・リッペルハイデ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・エンキルヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・レンツ
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AC22
3D235BB02
3D235BB18
3D235BB20
3D235BB22
3D235BB36
3D235CC14
3D235EE63
3D235HH52
5H031KK08
(57)【要約】
本発明は、特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体(1)を開示し、複数のバッテリセルを収容するための内部空間(3)を取り囲むバッテリハウジング(2)と、流入管(6)、流出管(7)、および流体工学的にこれらの間に配置された少なくとも1つの熱交換部材(8)を有する熱伝達装置(5)と、を有し、熱伝達装置(5)は流入管(6)から熱交換部材(8)を介して流出管(7)へと流体によって貫流することができ、熱交換部材(8)はバッテリハウジング(2)に収容可能である。このバッテリハウジング構造体は、バッテリハウジング(2)が流入管(6)と流出管(7)とを挿通するための少なくとも1つの通過開口部(9)を有し、バッテリハウジング(2)が、少なくとも1つの通過開口部(9)に挿入されて流入管(6)および/または流出管(7)と少なくとも1つの通過開口部(9)との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材(10)を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体(1)であって、
複数のバッテリセルを収容するための内部空間(3)を取り囲むバッテリハウジング(2)と、
流入管(6)、流出管(7)、および流体工学的にこれらの間に配置された熱交換部材(8)を有する熱伝達装置(5)と、を有し、前記熱伝達装置(5)は前記流入管(6)から前記熱交換部材(8)を介して前記流出管(7)へと流体によって貫流することができ、
前記熱交換部材(8)は前記バッテリハウジング(2)に収容可能である、バッテリハウジング構造体において、
前記バッテリハウジング構造体は、
前記バッテリハウジング(2)が前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための少なくとも1つの通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)が、少なくとも1つの前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材(10)を有することを特徴とする、バッテリハウジング構造体。
【請求項2】
前記バッテリハウジング(2)は前記流入管(6)と前記流出管(7)とを共に挿通するための前記通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)は、前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する閉止部材(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
流入管(6)および/または流出管(7)と通過開口部(9)との間の閉止部を形成する。
【請求項3】
前記バッテリハウジング(2)は前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための複数の前記通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)は、それぞれ前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)と前記通過開口部(9)との間の、ならびに前記流出管(7)と前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する、複数の閉止部材(10)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項4】
前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための前記複数の通過開口部(9)が前記バッテリハウジング(2)の一方の側に配置され、
前記流入管(6)と前記流出管(7)とは前記熱交換部材(8)に関して同一の側に延び、それにより、前記流入管(6)と前記流出管(7)とを前記複数の通過開口部(9)へ共に挿通可能であることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記通過開口部(9)が管状の通過開口部(9)として製作され、
少なくとも1つの前記閉止部材(10)が円筒状の閉止部材(10)として製作されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)が可塑的および/または弾性的に変形可能な閉止部材(10)として製作され、
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の通過方向(20)に関して軸方向へ変形可能であり、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の通過方向(20)に関して径方向へ変形可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)に当接するための内側のリング部材(11)と、前記通過開口部(9)に当接するための外側のリング部材(12)と、を有し、
前記内側のリング部材(11)と前記外側のリング部材(12)とは特にV字型の連結部材(13)を介して互いに連結されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)を少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中で係止するために、少なくとも1つの前記通過開口部(9)と少なくとも1つの前記閉止部材(10)とに対応する係止部材(14,15)が構成され、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)を前記流入管(6)および/または前記流出管(7)に係止するために、少なくとも1つの前記閉止部材(10)と前記流入管(6)および/または前記流出管(7)とに対応する係止部材(14,15)が構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記通過開口部(9)と少なくとも1つの前記閉止部材(10)との間に、好ましくは前記閉止部材(10)の環状溝(17)の中で位置決めされるシール部材(16)が配置され、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)と、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と、の間に、好ましくは前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の環状溝(17)の中で位置決めされるシール部材(16)が配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項10】
前記バッテリハウジング(2)はプラスチックハウジングとして製作されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項11】
前記バッテリハウジング(2)は上側シェルと下側シェル(4)とを有する2部分で構成され、少なくとも1つの前記通過開口部(9)は好ましくは前記下側シェル(4)に構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項12】
前記熱伝達装置(5)は全体として剛直なユニットとして製作されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項13】
前記熱伝達装置(5)は一体的に製作されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)と、前記バッテリハウジング構造体(1)のバッテリハウジング(2)に収容される複数のバッテリセルと、を有する、流体温度調節可能なトラクションバッテリ。
【請求項15】
特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体(1)としてのバッテリハウジング構造体(1)を製造する方法において、
複数のバッテリセルを収容するための内部空間(3)を取り囲むバッテリハウジング(2)が準備され、
流入管(6)、流出管(7)、および流体工学的にこれらの間に配置される熱交換部材(8)を有する熱伝達装置(5)が位置決めされ、前記熱伝達装置(5)は前記流入管(6)から前記熱交換部材(8)を介して前記流出管(7)へと前記バッテリハウジング(2)の前記内部空間(3)で流体によって貫流することができ、
前記バッテリハウジング(2)の内側から前記少なくとも1つの通過開口部(9)を通して前記流入管(6)と前記流出管(7)とが挿通され、
前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材(10)によって前記バッテリハウジング(2)が閉止される、
各ステップを含む方法。
【請求項16】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)による前記バッテリハウジング(2)の閉止は、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の上に少なくとも前記閉止部材(10)が押し嵌められることと、前記バッテリハウジング(2)の外側から少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中に少なくとも1つの前記閉止部材(10)が押し込まれることと、を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バッテリハウジング(2)の内側からの少なくとも1つの前記通過開口部(9)への前記流入管(6)と前記流出管(7)との挿通は、前記流入管(6)と前記流出管(7)とが少なくとも1つの前記通過開口部(9)の通過方向(20)に対して斜めに配置されるように前記熱伝達装置(5)が当て付けられることと、前記熱伝達装置(5)がその最終位置へと旋回されることと、を含み、前記流入管(6)と前記流出管(7)とは最終位置にあるとき少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中で通過方向(20)に対して平行に配置されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体に関し、複数のバッテリセルを収容するための内部空間を取り囲むバッテリハウジングと、流入管、流出管、および流体工学的にこれらの間に配置された熱交換部材を有する熱伝達装置と、を有し、熱伝達装置は流入管から熱交換部材を介して流出管へと流体によって貫流することができ、熱交換部材はバッテリハウジングに収容可能である。
【0002】
同じく本発明は、上記のバッテリハウジング構造体と、バッテリハウジング構造体のバッテリハウジングに収容された複数のバッテリセルと、を有する、流体温度調節可能なトラクションバッテリに関する。
【0003】
さらに本発明は、特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としての、上記のバッテリハウジング構造体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術より、流体温度調節可能なトラクションバッテリのためのバッテリハウジング構造体、および、そのようなバッテリハウジング構造体を有する相応の流体温度調節可能なトラクションバッテリが、さまざまな実施形態ですでに知られている。これらは複数の要求事項を満たさなければならない。たとえばバッテリハウジング構造体は、その中に収容されたバッテリセルとバッテリモジュールとを衝突安全式にカプセル封じして、環境に対して遮蔽すべきである。さらにバッテリハウジングは、トラクションバッテリの低コストな製造を可能にすべきであり、バッテリハウジング構造体に収容されたバッテリモジュールの簡易なメンテナンスのためにセットアップされるべきである。
【0005】
トラクションバッテリの温度調節のために、典型的には流体が利用され、すなわち気体または好ましくは液体が利用される。このとき流体からバッテリセルへ、またはその逆に、簡易な熱伝達を行うことができる。その代替として、液体状の流体が蒸発するための熱を吸収させるために、または気体状の媒体が凝縮するときの熱を放出させるために、流体がその凝集状態を変化させる冷却回路が設けられていてもよい。このことは、トラクションバッテリの特別に効率的な温度調節を可能にする。それに応じてトラクションバッテリを温度が高いときに、または作動時に加熱されたときに冷却することができ、または、たとえば周囲温度が低いときに加熱することができる。
【0006】
従来技術では、このような流体温度調節可能なトラクションバッテリ、およびそのようなトラクションバッテリのためのバッテリハウジング構造体は、通常、金属からなるバッテリハウジングを含んでいる。トラクションバッテリの周知のバッテリハウジングは、たとえば溶接またはプレスされた鋼板や鋳造アルミニウムから製造される。熱伝達装置、および流入部と流出部との挿通部を組み付けるために、バッテリハウジングはたとえば連結フランジを有している。バッテリハウジングの内側で、熱伝達装置がその流入部および流出部をもって連結フランジに接続され、バッテリハウジングの外側で、温度調節回路の連結管が連結フランジに接続される。このことは、連結フランジを有するバッテリハウジングの高いコストのかかる製造を必要とする。そのために、たとえば精密加工された面がバッテリハウジングに必要であり、それは、典型的には切削加工によってしか具体化することができない。封止はバッテリハウジングへのねじ止めを通じて行うことができる。しかし、このようなバッテリハウジングの製造は非常に高い費用がかかり、コスト集中的である。熱伝達装置の流入部および流出部との連結のために、さらには温度調節回路の連結管を接続するためにも必要な、ねじ山でのねじ止めも組立費用を上昇させ、それに加えて高いコストと結びついている。これに加えて、バッテリハウジングの内部での熱伝達装置の組立ておよび接続は実行するのが非常に困難となる場合があり、それは、たとえば連結フランジがバッテリハウジングの内部で困難にしかアクセス可能でない場合である。このことは、このようなバッテリハウジング構造体および流体温度調節可能なトラクションバッテリの製造を難しくする。
【0007】
プラスチックや複合材料も、これらが金属に比べてたとえば少ない重量を有することから、このようなバッテリハウジングの製造に使用されることが増えている。しかしながら上に挙げた挿通部は、プラスチックや複合材料から製造されるバッテリハウジングには多くの場合に不向きである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を前提としたうえで、本発明の根底にある課題は、コンパクトな寸法と、高い安定性と、環境要因や汚れの侵入に対する良好な防護と、を有するバッテリハウジング構造体およびトラクションバッテリの簡易な組立てと提供とを可能にする、バッテリハウジング構造体と、このようなバッテリハウジング構造体を有する流体温度調節可能なトラクションバッテリと、このようなバッテリハウジング構造体を製造する方法と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の根底にある課題は、請求項1の構成要件を有するバッテリハウジング構造体によって解決される。バッテリハウジング構造体の有利な実施形態は、請求項1に従属する各請求項に記載されている。
【0010】
より詳細には、本発明の根底にある課題は、特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体によって解決され、複数のバッテリセルを収容するための内部空間を取り囲むバッテリハウジングと、流入管、流出管、および流体工学的にこれらの間に配置された熱交換部材を有する熱伝達装置と、を有し、熱伝達装置は流入管から熱交換部材を介して流出管へと流体とによって貫流することができ、熱交換部材はバッテリハウジングに収容可能である。
【0011】
本発明によるバッテリハウジング構造体は、バッテリハウジングが流入管と流出管とを挿通するための少なくとも1つの通過開口部を有し、バッテリハウジングが、少なくとも1つの通過開口部に挿入されて流入管および/または流出管と少なくとも1つの通過開口部との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によるバッテリハウジング構造体、および流体温度調節可能なトラクションバッテリは、バッテリハウジングの壁部を通して、トラクションバッテリのバッテリセルを温度調節するための流体を簡易に挿通することを可能にする。さらに、バッテリハウジングに熱伝達装置を組み付けるときに、さらにはバッテリハウジング構造体およびこれを用いて製作された流体温度調節可能なトラクションバッテリを使用するときにも、さまざまな利点がもたらされる。たとえば、バッテリハウジングの壁部の連結フランジが不要となる。流入管と流出管とがバッテリハウジングから導出されるからである。それに応じてバッテリハウジングの加工が簡易化される。フランジ結合の場合に熱伝達装置を接続するために、さらには温度調節回路の連結管を接続するためにも、必要なねじ山のねじ止めを省略することもできる。このようなねじ山のねじ止めは組立費用を上昇させ、それに加えて高いコストと結びついている。バッテリハウジングの設計スペースないし組付スペースも、少ししか必要ない。バッテリハウジングの内部で流入管ないし流出管の連結を成立させなくてよいからである。流入管ないし流出管の接続部はバッテリハウジングの外部に位置する。バッテリハウジングの外部では、これら両方の管と温度調節回路の連結管との連結を、通常、簡易に成立させることができる。このことは、バッテリハウジングの表面ないし内部での熱伝達装置の簡易化された組付けを全体として可能にするとともに、車両のトラクションバッテリの温度調節のための温度調節回路への熱伝達装置の簡易な接続を可能にする。流入管と流出管とが挿通されることで、バッテリハウジングの内部ないし表面での熱伝達装置の位置決めを通過開口部によって簡易化することができる。
【0013】
少なくとも1つの閉止部材によってバッテリハウジングが閉止されることで、バッテリハウジング内への汚れや水分の侵入に対する防護が実現されるばかりでなく、これに加えて少なくとも1つの閉止部材により、バッテリハウジングの通過開口部での流入管および/または流出管の一種の「浮動支持」が具体化される。このことは原則として、以下においては通過方向とも呼ぶ、それぞれの流入管ないし流出管の軸方向について該当する。その代替または追加として、それぞれの流入管ないし流出管の径方向で浮動支承を具体化することもできる。このようにして、バッテリハウジングと流入管ないし流出管との間の公差を補償することができる。たとえば、バッテリハウジングと熱伝達装置とがそれぞれ異なる材料で製作される場合に、これらの相違する熱膨張係数を補償することができる。熱伝達装置がバッテリハウジングに直接保持されるのではないので、バッテリハウジングに熱伝達装置を組み付けるときの公差も容易に補償することができる。さらには流入管、流出管、および熱交換部材を有する熱伝達装置を、温度調節回路への接続のためのユニットとして提供することができ、このことは信頼性とフェールセーフティとを向上させるとともに、内部の連結部が省略されることによる潜在的な非密閉性を低減する。さらに、外的な力が流入管と流出管とに対して直接作用するので、バッテリハウジングの損傷を回避することができる。それにもかかわらず発生する閉止部材の損傷は、閉止部材を交換することで容易に取り除くことができる。
【0014】
車両は電気駆動装置を有する任意の車両であってよく、たとえば純粋に電気で作動する車両や、電気駆動装置およびたとえば内燃機関などのその他の駆動装置を有するいわゆるハイブリッド車両であってよい。車両の電気駆動モータの個数および配置は、本発明にとって同じく重要ではない。
【0015】
バッテリハウジングは、さまざまに異なる方式で製作されていてよい。たとえばバッテリハウジングは上側シェルと下側シェルとを有する2部分で構成されていてよく、それにより、好ましくは上側シェルが下側シェルに載置されることによって、バッテリセルの挿入後にバッテリハウジングを閉止することができる。このケースでは、バッテリセルへのアクセスを可能にするために、上側シェルを取り外すことでバッテリハウジングを開くことができる。原則として、これとは逆の取付けも可能である。
【0016】
熱伝達装置は流入管と流出管とを含み、これらの間で流体が熱交換部材を通って循環する。熱交換部材は、熱伝達装置の動作に依存して、バッテリセルから熱を吸収するか、またはこれに熱を放出するための役目を果たす。熱を吸収ないし放出するための動作は、相応の出発温度を有する流体を相応に供給することで調整することができる。それによりバッテリセルを温度調節して、最善の動作を可能にするとともに、その最大の蓄電容量を提供することができる。原則として、複数の熱伝達装置が上述した方式でバッテリハウジングの中に配置されていてもよい。バッテリセルを冷却または加熱するためにだけ熱伝達装置を利用することもでき、それにより、特別に簡易な温度調節回路を利用することができる。それと同時に、熱伝達装置を通じてバッテリセルの均等な温度分布を実現することができる。
【0017】
流体は気体であり、または好ましくは熱容量の大きい液体である。このとき流体から熱交換部材を介してバッテリセルへ、またはこれと逆向きに、熱伝達を行うことができる。その代替として、蒸発するための熱を吸収するために、または凝縮するときに熱を放出するために、流体がその凝集状態を変える冷却回路が設けられていてもよい。このことは、特別に効率的なバッテリセルの温度調節を可能にする。
【0018】
熱交換部材は、バッテリセルへ熱を伝達するために、ないしはバッテリセルから熱を吸収するために、バッテリハウジングの内部空間に配置される。そのために、バッテリセルと熱交換部材との間に接触部材が配置されていてよい。接触部材は、熱交換部材およびバッテリセルと熱的に接触する。接触部材は、典型的には、高い熱伝導率を有する金属、好ましくはアルミニウムから製作される。熱交換部材は、1つまたは複数の管状の流体通路を含むことができる。少なくとも1つの流体通路は長方形の断面を有するのが特別に好ましく、それにより、流体通路の壁部を熱的に良好に接触させることができる。少なくとも1つの流体通路は、典型的には、高い熱伝導率を有する金属、好ましくはアルミニウムから製作される。複数の流体通路が、原則として任意の方式で並列および/または直列に連結されていてよい。1つの流体通路または複数の流体通路が共同でメアンダ状に製作ないし配置されていてよい。複数の流体通路が個別に配置されて、熱交換部材をなすように互いに連結されていてよく、または好ましくは、機械的に固定的に連結された1つのユニットとして熱交換部材を形成することができる。
【0019】
熱交換部材を有する熱伝達装置がバッテリハウジングの底面側で位置決めされるのが好ましく、それにより、熱交換部材の支持を底面側で行うことができる。
【0020】
流入管と流出管を挿通するための少なくとも1つの通過開口部は原則として任意の形態を有することができるが、円形または楕円形の実施形態が好ましく、閉止部材によるバッテリハウジングの閉止を簡易化する。
【0021】
少なくとも1つの閉止部材は、挿入された流入管および/または流出管のもとでの通過開口部への挿入を簡易化する、ある程度の弾性を有するのが好ましい。閉止部材は、異物や水分の侵入に対するバッテリハウジングの閉止を惹起する。さらに閉止部材は、バッテリハウジングの熱的な閉鎖を惹起するのが好ましい。さらに好ましい実施形態では、閉止部材はバッテリハウジングの圧密な閉止を惹起する。
【0022】
流入管と流出管との挿通は、これら両方の管を1つまたは複数の通過開口部に通すことに関わる。流入管ないし流出管がそれぞれの通過開口部に完全に挿通されて案内される必要はない。流入管と流出管との挿通は、流入管と流出管とをいずれもバッテリハウジングの外部で、たとえばすでに述べた温度調節回路に接続することができることによって具体化される。
【0023】
好ましい実施形態では、バッテリハウジングは流入管と流出管とを共に挿通するための通過開口部を有する;そしてバッテリハウジングは、通過開口部に挿入されて流入管および/または流出管と通過開口部との間の閉止部を形成する閉止部材を有する。このとき流入管と流出管とが別々に通過開口部の中に配置されていてよく、それにより閉止部材は、両方の管の各々と通過開口部との間の閉止部を形成する。その代替として、流入管と流出管が構造的なユニットを形成することができる。このとき流入管と流出管とは、たとえば相並んで配置されていてよい。その代替として、流入管と流出管とが同軸に製作されていてよく、流入管が流出管を取り囲むか、またはその逆となる。このケースでは閉止部材は、両方の管のうち外側の管と通過開口部との間の閉止部を形成する。
【0024】
好ましい実施形態では、バッテリハウジングは流入管と流出管とを挿通するための複数の通過開口部を有する;そしてバッテリハウジングは、それぞれ通過開口部に挿入されて流入管と通過開口部との間の、ならびに流出管と通過開口部との間の閉止部を形成する、複数の閉止部材を有する。すなわち、各々の管が通過開口部を通って個別に案内され、各々の通過開口部が閉止部材によって閉止される。原則として、複数の流入管と複数の流出管とが、相応の複数の通過開口部を通して案内されていてもよい。複数の流入管と流出管とが、ただ1つの熱伝達装置の一部であってよい。その代替としてバッテリハウジング構造体は、通過開口部を通ってそれぞれ個別に案内されるそれぞれ1つの流入管とそれぞれ1つの流出管とを有する、複数の熱伝達装置を含むことができる。これに加えて、通過開口部の中での流入管および/または流出管の組合せも可能であり、たとえば2つの流入管が通された通過開口部と2つの流出開口部が通された通過開口部との組合せも可能である。通過開口部への流入管と流出管との共同での挿通に関わる上記の説明が、相応に当てはまる。
【0025】
好ましい実施形態では、流入管と流出管とを挿通するための複数の通過開口部がバッテリハウジングの一方の側に配置される;そして流入管と流出管とは熱交換部材に関して同一の側に延び、それにより、流入管と流出管とを複数の通過開口部へ共に挿通可能である。このようにして、熱伝達装置をバッテリハウジングの中で容易に位置決めすることができる。熱伝達装置の軸方向の運動が、通過開口部への流入管と流出管との挿通を可能にする。熱伝達装置の軸方向の運動を、たとえば旋回運動と組み合わせることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの通過開口部が管状の通過開口部として製作される;そして少なくとも1つの閉止部材は、円筒状の閉止部材として製作される。このように管状の通過開口部は、閉止部材を挿入することができる軸方向の延在を有し、それによってバッテリハウジングの封止が簡易化される。それに応じて閉止部材は、通過開口部の少なくとも1つの軸方向の部分領域にわたって通過開口部を閉止するための円筒状の栓を形成する。原則として、管状の通過開口部と円筒状の閉止部材との対応する任意の断面が可能であり、たとえば円形、楕円形、長方形、あるいは自由に定義可能な断面が可能である。
【0027】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの閉止部材は可塑的および/または弾性的に変形可能な閉止部材として製作され、少なくとも1つの閉止部材は流入管および/または流出管の通過方向に関して軸方向へ変形可能であり、および/または少なくとも1つの閉止部材は流入管および/または流出管の通過方向に関して径方向へ変形可能である。少なくとも1つの閉止部材はゴム弾性的に製作されるのが好ましい。少なくとも1つの閉止部材の変形可能性により、閉止部材を通過開口部へ容易に挿入し、これを確実に閉止することができる。製造時、組立て時、または作動時に生じる公差を容易に補償することができる。少なくとも1つの閉止部材の弾性的な変形は、通過開口部を閉止するために閉止部材を複数回使用するために特別に好ましい。少なくとも1つの閉止部材はポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)、またはこれらの組合せから製造されるのが好ましい。
【0028】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの閉止部材は、流入管および/または流出管に当接するための内側のリング部材と、通過開口部に当接するための外側のリング部材と、を有する;そして内側のリング部材と外側のリング部材とは、特にV字型の連結部材を介して互いに連結される。外側のリング部材は通過開口部での確実な封止を可能にし、それに対して内側のリング部材は、流入管および/または流出管での確実な封止を可能にする。各リング部材の軸方向領域にわたって封止を成立させることができ、それにより、それぞれのリング部材の点状の損傷がシール作用を総体として消滅させることがない。リング部材は、通過開口部での、ないしは流入管および/または流出管への、信頼度の高い閉止部材の取付けを可能にする。連結部材のV字型の構成により、両方のリング部材が径方向へも軸方向へも相互に可動であり得るので、それにより閉止部材によって公差補償を容易に具体化することができる。内側および外側のリング部材は、連結部材よりも高い強度を有するのが好ましい。それに応じて連結部材は、リング部材に比べて高い弾性を有する。それによって公差補償がいっそう簡易化され、それに対してリング部材は、その比較的高い強度に基づき、通過開口部ないし流入管および/または流出管で確実に位置決めすることができる。内側および外側のリング部材は同心的に配置されるのが好ましい。閉止部材は2つの成分を有するように製作されるのが特別に好ましく、2成分射出成形部品として製作されるのが特別に好ましい。それにより、リング部材および連結部材のさまざまに異なる特性を容易に具体化することができ、閉止部材を容易に製造可能である。
【0029】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの閉止部材を少なくとも1つの通過開口部の中で係止するために、少なくとも1つの通過開口部と少なくとも1つの閉止部材とに、対応する係止部材が構成される;および/または少なくとも1つの閉止部材を流入管および/または流出管に係止するために、少なくとも1つの閉止部材と流入管および/または流出管とに、対応する係止部材が構成される。係止部材は、通過開口部の中での、ないしは流入管および/または流出管への、閉止部材の確実な組付けを可能にし、それにより、バッテリハウジングの確実な閉止を実現することができる。対応する係止部材は、たとえば閉止部材を相応の通過開口部から容易に取り出せるようにするために、係止を解消可能であるように製作されるのが好ましい。対応する係止部材は、たとえば係合部材と切欠きとを有するように製作される。対応する係止部材は、互いに噛み合う係止を惹起するように、またはクリップ結合を成立させるように、製作されるのが好ましい。係止ないしクリップ結合の成立は、少なくとも1つの閉止部材の組付けの音響式の管理を可能にする。係止部材はバッテリハウジングに関して外側に配置されるのが好ましく、それによって容易にアクセス可能となる。それにより、たとえば光学式または触覚式の検査によって、それぞれの閉止部材の正しい組付けの簡易な検査を行うことができる。好ましい実施形態では、対応する係止部材は、たとえば操作面を通じて、手動式の係止解除機能を有するように製作される。
【0030】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの通過開口部と少なくとも1つの閉止部材との間に、好ましくは閉止部材の環状溝の中で位置決めされるシール部材が配置される;および/または少なくとも1つの閉止部材と流入管および/または流出管との間に、好ましくは流入管および/または流出管の環状溝の中で位置決めされるシール部材が配置される。シール部材は、少なくとも1つの通過部材での、ないし流入管および/または流出管での、閉止部材の特別に確実な封止をそれぞれ惹起する。それにより、閉止されたバッテリハウジングが、たとえば水分の侵入に対して確実に防護される。環状溝の中でのそれぞれのシール部材の収容は、シール部材の確実な位置決めを可能にする。少なくとも1つの通過開口部と少なくとも1つの閉止部材との間に、および/または少なくとも1つの閉止部材と流入管および/または流出管との間に、それぞれ複数のシール部材が配置されるのが好ましい。複数のシール部材が軸方向で間隔をおいて配置されるのが特別に好ましい。別の好ましい実施形態では、閉止部材はそれぞれのシール部材と一体的に製作される。このとき閉止部材は2成分射出成形部品として製作されるのが特別に好ましく、それにより閉止部材はそれ自体として、特にシール部材の領域で、シール部材とは異なる特性を有することができる。特にそれぞれのシール部材は、良好な封止を可能にするために、高い弾性を有することができる。
【0031】
好ましい実施形態では、バッテリハウジングはプラスチックハウジングとして製作される。それにより、バッテリハウジングを少ない重量で製造することができる。バッテリハウジングは射出成形法で製造されるのが好ましい。バッテリハウジングは一体的に、または複数の別々の部分から製造されていてよい。バッテリハウジングへの熱交換部材の簡易な取付けにより、簡易に製造できるハウジング形態を具体化することができる。このとき、たとえばアンダーカットの省略を行うことができる。それにより、全体としてバッテリハウジングの製造を、可能な限り低い工具複雑性を有する工具によって行うことができる。その代替としてバッテリハウジングは、たとえば金属または複合材料から製作されていてよい。
【0032】
好ましい実施形態では、バッテリハウジングは上側シェルと下側シェルとを有するように2部分で製作され、少なくとも1つの通過開口部が下側シェルに構成されるのが好ましい。上側シェルと下側シェルとを有するバッテリハウジングの提供は、熱伝達装置とバッテリセルとがまず下側シェルの内部ないし表面に組み付けられることによって、トラクションバッテリの簡易な組立てを可能にする。次いで、上側シェルを載置することによってバッテリハウジングを閉止することができる。このとき上側シェルは蓋としての役目を果たす。上側シェルを取り外すことで、交換のために、あるいはメンテナンス目的のために、熱伝達装置やバッテリセルへの簡易なアクセスを具体化することができる。
【0033】
好ましい実施形態では、熱伝達装置は全体として剛直なユニットとして製作され、それにより、熱伝達装置の内部でインターフェースや柔軟なホース区域が回避される。インターフェースや柔軟なホース区域の省略は信頼性およびフェールセーフティを向上させ、潜在的な非密閉性の危険を低減する。
【0034】
好ましい実施形態では、熱伝達装置は追加的に一体的に製作される。それによってフェールセーフティが向上し、潜在的な非密閉性の危険が低減される。
【0035】
さらに、本発明の根底にある課題は、請求項14の構成要件を有する流体温度調節可能なトラクションバッテリによって解決される。
【0036】
すなわち、より詳細には本発明の課題は、上記のバッテリハウジング構造体と、バッテリハウジング構造体のバッテリハウジングに収容された複数のバッテリセルと、を有する、流体温度調節可能なトラクションバッテリによって解決される。
【0037】
バッテリハウジング構造体の利点および実施形態に関わる上記の説明は、このようなバッテリハウジング構造体を有する流体温度調節可能なトラクションバッテリについても相応に当てはまる。
【0038】
さらに、本発明の根底にある課題は、請求項15の構成要件を有する、バッテリハウジング構造体を製造する方法によっても解決される。
【0039】
この方法の好ましい実施形態は、請求項13の従属請求項に記載されている。
【0040】
すなわち本発明の課題の解決は、特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体を製造する方法によってさらに行われ、複数のバッテリセルを収容するための内部空間を取り囲むバッテリハウジングが準備され;流入管、流出管、および流体工学的にこれらの間に配置される熱交換部材を有する熱伝達装置が位置決めされ、熱伝達装置は流入管から熱交換部材を介して流出管へとバッテリハウジングの内部空間で流体によって貫流することができ;バッテリハウジングの内側から少なくとも1つの通過開口部を通して流入管と流出管とが挿通され;流入管および/または流出管と少なくとも1つの通過開口部との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材によってバッテリハウジングが閉止される各ステップを含む。
【0041】
流体温度調節可能なトラクションバッテリおよびバッテリハウジング構造体の利点および実施形態に関わる上記の説明は、このようなバッテリハウジング構造体を製造する方法によって相応に実現することができる。
【0042】
本発明による方法は、流入管と流出管とが少なくとも通過開口部を通して案内され(「差し込まれ」)、それにより熱交換部材をバッテリハウジングの中で簡易かつ快適に位置決めできることによって、熱伝達装置の簡易な組立てを可能にする。たとえば車両のトラクションバッテリの温度調節回路と熱伝達装置との連結を、特にバッテリハウジングの外側から、最終的な位置決めに引き続いて行うことができる。このことは、ミスや応力なしでの容易な組立て、および熱交換部材ならびに熱伝達装置全体の連結を簡易化する。
【0043】
この方法では、特に、熱伝達装置を位置決めするステップと、少なくとも1つの通過開口部へ流入管および流出管を挿通するステップと、を任意の順序で行うことができる。熱伝達装置の位置決めと、流入管および流出管の挿通と、も共通のステップで、または複数の交互の部分ステップからなるシーケンスで、行うことができる。
【0044】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの閉止部材によるバッテリハウジングの閉止は、流入管および/または流出管の上に少なくとも閉止部材が押し嵌められることと、バッテリハウジングの外側から流入管および/または流出管の上で少なくとも1つの通過開口部に少なくとも1つの閉止部材が押し込まれることと、を含む。このように通過開口部の閉止は位置決めから独立しており、さらには熱伝達装置の取付けおよび/または連結からも独立している。たとえば閉止部材をまず流入管および/または流出管の上に押し嵌めておき、後の時点で初めて流入管および/または流出管の上で通過開口部に押し込んで、これを閉止することができる。これに準じて、まず流入管および/または流出管を温度調節回路に接続しておくこともでき、少なくとも1つの閉止部材による少なくとも1つの通過開口部の閉止をこれに引き続いて行うことができる。
【0045】
好ましい実施形態では、バッテリハウジングの内側からの少なくとも1つの通過開口部への流入管と流出管との挿通は、流入管と流出管とが少なくとも1つの通過開口部の通過方向に対して斜めに配置されるように熱伝達装置が当て付けられることと、熱伝達装置がその最終位置へと旋回されることと、を含み、流入管と流出管とは最終位置にあるとき少なくとも1つの通過開口部の中で通過方向に対して平行に配置される。それによって熱交換部材は、バッテリハウジングの寸法にたとえばその底面壁のところで近似的に相当するが、それにもかかわらず簡易かつ快適に位置決めして組み付けることができる寸法を有することができる。
【0046】
本発明のその他の利点、具体的事項、および構成要件は、以下において説明する実施例から明らかとなる。ここでは具体的に次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施形態に基づくバッテリハウジングの下側シェルと熱伝達装置とを含む、車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリの本発明によるバッテリハウジング構造体を示す立体図である。
【
図2】通過開口部と、その中に配置された
図1の熱伝達装置の流入管および流出管と、流入管ないし流出管とそれぞれの通過開口部との間に配置された閉止部材と、を有する、
図1の底面槽の部分領域を示す立体図である。
【
図3】閉止部材が通過開口部に挿入されていない状態にある流出管の通過開口部を通る断面を有する、
図1の底面槽の部分領域を示す立体図である。
【
図4】閉止部材が
図3を逸脱して流出管の通過開口部に挿入されている、
図3と同様に底面槽の部分領域を示す立体図である。
【
図5】流出管の通過開口部およびその中に挿入された閉止部材を、
図4と同様に水平方向の断面で示す立体詳細図である。
【
図6】流出管の通過開口部およびその中に挿入された閉止部材を、
図5と同様に反対の側から示す立体詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の説明において、同じ符号は同じコンポーネントないし同じ構成要件を示しており、したがって、あるコンポーネントに関して1つの図面を参照して行った説明は他の図面にも該当するので、繰り返しての説明は行わない。
【0049】
図1から
図6は、第1の好ましい実施形態に基づくバッテリハウジング構造体1を対象とする。このバッテリハウジング構造体1は、車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリの一部である。
【0050】
バッテリハウジング構造体1は、温度調節可能なトラクションバッテリを構成するために、ここには図示しない複数のバッテリセルを収容するための内部空間3を取り囲むバッテリハウジング2を含んでいる。バッテリハウジング2は、下側シェル4と、内部空間3を閉止するために下側シェル4の上に載置される、ここには同じく図示しない上側シェルと、を有する2部分で構成される。本実施例では、バッテリハウジング2はプラスチックハウジングとして製作されており、射出成形法で製作される。ここでは上側シェルと下側シェル4とは別々の部品として製作されている。その代替として、バッテリハウジング2がたとえば金属または複合材料で製作されていてよい。
【0051】
さらにバッテリハウジング構造体1は、流入管6、流出管7、および流体工学的にこれらの間に配置された熱交換部材8を有する熱伝達装置5を含んでいる。熱伝達装置5は、流入管6から熱交換部材8を介して流出管7へと流体によって貫流することができる。熱交換部材8は、組付けが完了した状態にあるとき、バッテリハウジング2の内部空間3に収容される。熱交換部材8を備える熱伝達装置5は、下側シェル4の内部にバッテリハウジング2の底面側で位置決めするために製作されている。この位置にあるとき、熱交換部材8は下側シェル4に内側で支持される。
【0052】
熱交換部材8は、バッテリセルを冷却または加熱するための熱伝達装置5の動作に依存して、熱をバッテリセルから吸収するため、またはこれに熱を放出するための役目を果たす。熱交換部材8は、好ましくは長方形の断面を有する、1つまたは複数の管状の流体通路を含んでいる。1つの流体通路または複数の流体通路は、典型的には、高い熱伝導率を有する金属、好ましくはアルミニウムから製作される。複数の流体通路が、原則として任意の方式で並列および/または直列に連結されていてよい。1つの流体通路または複数の流体通路が共同でメアンダ状に製作ないし配置されていてよい。複数の流体通路は、熱交換部材8を構成する、機械的に固定的に連結されたユニットとして製作されるのが好ましい。熱を吸収ないし放出するための動作は、相応の温度を有する流体が相応に供給されることで調整することができる。
【0053】
これに加えて、熱交換部材8と、流入管6と、流出管7と、を有する熱伝達装置5は、全体として剛直なユニットとして製作される。追加的に熱伝達装置5は、本実施例では一体的に製作されている。
【0054】
ここでは流入管6と流出管7とは、熱交換部材8に関して同一の側に延びている。
【0055】
流体は、気体または好ましくは液体であってよい。このとき流体から熱交換部材8を介してバッテリセルへ、またはその逆に、熱伝達を行うことができる。その代替として、蒸発のための熱を吸収させるために、または凝縮するときの熱を放出させるために、流体がその凝集状態を変化させる冷却回路が設けられていてもよい。
【0056】
バッテリハウジング2は、流入管6と流出管7とを挿通するための2つの通過開口部9を有している。通過開口部9は下側シェル4に構成されている。2つの通過開口部9は、円形の形状を有する管状の通過開口部9として製作される。それに伴い、両方の管状の通過開口部9はそれぞれ軸方向の延在を有している。より詳細には、2つの通過開口部9は流入管6と流出管7とを挿通するために、バッテリハウジング2の同一の側に配置されている。バッテリハウジング2の外部で、ここには図示しない温度調節回路の連結管と熱伝達装置5との連結を容易に成立させることができる。そのために流入管6と流出管7とが、温度調節回路の連結管と相応に連結される。
【0057】
図2に示すようにバッテリハウジング2は、2つの通過開口部9に挿入されて、流入管6ないし流出管7と、通過開口部9のうちのそれぞれ1つと、の間の閉止部を形成する、2つの閉止部材10を有している。つまり各々の管6,7が個別に通過開口部9に通されており、各々の通過開口部9が閉止部材10によって閉止される。閉止部材10は、異物や水分の侵入に対してバッテリハウジング2の閉止を惹起する。
【0058】
図3から
図5から明らかなとおり、各々の閉止部材10は、流入管6ないし流出管7に当接するための内側のリング部材11を有している。さらに各々の閉止部材10は、それぞれの通過開口部9に当接するための外側のリング部材12を有している。内側のリング部材11と外側のリング部材12とは、V字型の連結部材13を介して互いに連結されている。外側のリング部材12は、内側のリング部材11に対して同軸に配置されている。
【0059】
リング部材11,12によって閉止部材10は円筒状の形態を有しており、それにより管状の通過開口部9に挿入することができ、これを確実に閉止する。このように閉止部材10は、それぞれの通過開口部9を閉止するための円筒状の栓を構成する。
【0060】
閉止部材10は、本実施例では2成分射出成形部品として製作されており、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)、またはこれらの組合せから製作される。2つの相違する成分が使用されることで、内側および外側のリング部材11,12は連結部材13よりも高い強度を有している。それに応じて連結部材13は、リング部材11,12に比べて高い弾性を有している。それにより閉止部材10は全体として、挿通された流入管6ないし流出管7のもとでの通過開口部9への挿入を簡易化する、ある程度の弾性を有している。閉止部材10は可塑的および/または弾性的に変形可能である。変形可能性は、流入管6ないし流出管7の通過方向20に関して軸方向に、および通過方向20に関して径方向に生じる。
【0061】
特に
図6に示すように、閉止部材10を流入管6ないし流出管7で係止するために、閉止部材10の内側のリング部材11に、および流入管6ならびに流出管7に、それぞれ対応する係止部材14,15が構成されている。対応する係止部材14,15は、本実施例では、閉止部材10の内側のリング部材11に構成された係合部材14と、流入管6ないし流出管7に構成された切欠き15と、を有するように製作されている。係止部材14,15は、バッテリハウジング2に関して外側に配置される。
【0062】
対応する係止部材14,15は、それぞれの閉止部材10と流入管6ないし流出管7との間で互いに噛み合う係止を惹起する。対応する係止部材14,15は、係止が成立したときに、流入管6ないし流出管7の上でのそれぞれの閉止部材10の組付けを管理するための音響式のフィードバックが行われるように構成される。さらに、対応する係止部材14,15は係止を解消可能であるように製作される。そのためには、係合部材14を切欠き15から外すだけでよい。
【0063】
さらに
図3から
図5から明らかなように、各々の通過開口部9とそれぞれの閉止部材10との間には、閉止部材10の環状溝17の中で位置決めされたシール部材16が配置されている。より詳細には、閉止部材10の環状溝17は外側のリング部材12に配置されている。シール部材16はシールリングとして製作されており、外側のリング部材12にある環状溝17の中で位置決めされる。
【0064】
同じく
図3から5から明らかなように、各々の閉止部材10と流入管6ないし流出管7との間にも、流入管6ないし流出管7の環状溝17の中で位置決めされたシール部材16が配置されている。シール部材16はシールリングとして製作されており、流入管6ないし流出管7の環状溝17の中で位置決めされる。シール部材16は、閉止部材10と通過開口部9との間で、ならびに閉止部材10と流入管6ないし流出管7との間で、良好な封止を実現するために高い弾性を有している。
【0065】
次に、上に説明したバッテリハウジング構造体1を製造する方法について詳細に説明する。
【0066】
この方法は、取り囲まれた内部空間3に複数のバッテリセルを収容するためのバッテリハウジング2が準備されることをもって開始される。
【0067】
これに続いて、熱伝達装置5がバッテリハウジング2の内部空間3の中で位置決めされる。
図1に示すように、このとき熱伝達装置5はまずバッテリハウジング2に斜めに当て付けられる。それによって流入管6と流出管7とが、両方の通過開口部9の通過方向20に対して斜めに配置される。
【0068】
以上を前提としたうえで、両方の通過開口部9への流入管6と流出管7との挿通がバッテリハウジング2の内側から行われる。そのために熱伝達装置5が、当て付けられた位置からスライド方向18に動かされて、流入管6と流出管7とが両方の通過開口部9へ共に挿入されて挿通されるようにされる。
【0069】
さらに、流入管6と流出管7とが通過開口部9の中で通過方向20に対して平行に配置される最終位置へと、熱伝達装置5を旋回方向19に沿って旋回させる。これに加えて、熱伝達装置5を流入管6および流出管7とともにスライド方向18でさらに通過開口部9を通るように案内することができる。最終位置で熱交換部材8がバッテリハウジング2の底面側で位置決めされ、それにより、熱交換部材8の支持が底面側で行われる。こうして到達された状態が
図3に示されている。
【0070】
これに続いて、バッテリハウジング2が両方の閉止部材10によって閉止される。流入管6ないし流出管7とそれぞれの通過開口部9との間で閉止部が形成される。そのために、両方の閉止部材10が流入管6ないし流出管7の上へ相応に押し嵌められ、閉止部材10の係合部材14が流入管6ないし流出管7の切欠き15に係合するまで、流入管6ないし流出管7に沿ってバッテリハウジング2の外側から相応の通過開口部9に押し込まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 バッテリハウジング構造体
2 バッテリハウジング
3 内部空間
4 下側シェル
5 熱伝達装置
6 流入管
7 流出管
8 熱交換部材
9 通過開口部
10 閉止部材
11 内側のリング部材
12 外側のリング部材
13 連結部材
14 係合部材、係止部材
15 切欠き、係止部材
16 シール部材
17 環状溝
18 スライド方向
19 旋回方向
20 通過方向
【手続補正書】
【提出日】2021-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体としてのバッテリハウジング構造体(1)であって、
複数のバッテリセルを収容するための内部空間(3)を取り囲むバッテリハウジング(2)と、
流入管(6)、流出管(7)、および流体工学的にこれらの間に配置された熱交換部材(8)を有する熱伝達装置(5)と、を有し、前記熱伝達装置(5)は前記流入管(6)から前記熱交換部材(8)を介して前記流出管(7)へと流体によって貫流することができ、
前記熱交換部材(8)は前記バッテリハウジング(2)に収容可能である、バッテリハウジング構造体において、
前記バッテリハウジング構造体は、
前記熱伝達装置(5)が、前記流入管(6)、前記流出管(7)、および前記熱交換部材(8)を含めてユニットとして製作され、
前記バッテリハウジング(2)が前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための少なくとも1つの通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)が、少なくとも1つの前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材(10)を有することを特徴とする、バッテリハウジング構造体
(1)。
【請求項2】
前記バッテリハウジング(2)は前記流入管(6)と前記流出管(7)とを共に挿通するための前記通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)は、前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する閉止部材(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリハウジング構造体(1)
。
【請求項3】
前記バッテリハウジング(2)は前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための複数の前記通過開口部(9)を有し、
前記バッテリハウジング(2)は、それぞれ前記通過開口部(9)に挿入されて前記流入管(6)と前記通過開口部(9)との間の、ならびに前記流出管(7)と前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する、複数の閉止部材(10)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項4】
前記流入管(6)と前記流出管(7)とを挿通するための前記複数の通過開口部(9)が前記バッテリハウジング(2)の一方の側に配置され、
前記流入管(6)と前記流出管(7)とは前記熱交換部材(8)に関して同一の側に延び、それにより、前記流入管(6)と前記流出管(7)とを前記複数の通過開口部(9)へ共に挿通可能であることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記通過開口部(9)が管状の通過開口部(9)として製作され、
少なくとも1つの前記閉止部材(10)が円筒状の閉止部材(10)として製作されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)が可塑的および/または弾性的に変形可能な閉止部材(10)として製作され、
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の通過方向(20)に関して軸方向へ変形可能であり、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の通過方向(20)に関して径方向へ変形可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)は、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)に当接するための内側のリング部材(11)と、前記通過開口部(9)に当接するための外側のリング部材(12)と、を有し、
前記内側のリング部材(11)と前記外側のリング部材(12)とは特にV字型の連結部材(13)を介して互いに連結されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)を少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中で係止するために、少なくとも1つの前記通過開口部(9)と少なくとも1つの前記閉止部材(10)とに対応する係止部材(14,15)が構成され、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)を前記流入管(6)および/または前記流出管(7)に係止するために、少なくとも1つの前記閉止部材(10)と前記流入管(6)および/または前記流出管(7)とに対応する係止部材(14,15)が構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記通過開口部(9)と少なくとも1つの前記閉止部材(10)との間に、好ましくは前記閉止部材(10)の環状溝(17)の中で位置決めされるシール部材(16)が配置され、および/または
少なくとも1つの前記閉止部材(10)と、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と、の間に、好ましくは前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の環状溝(17)の中で位置決めされるシール部材(16)が配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項10】
前記バッテリハウジング(2)はプラスチックハウジングとして製作されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項11】
前記バッテリハウジング(2)は上側シェルと下側シェル(4)とを有する2部分で構成され、少なくとも1つの前記通過開口部(9)は好ましくは前記下側シェル(4)に構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項12】
前記熱伝達装置(5)は全体として剛直なユニットとして製作されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項13】
前記熱伝達装置(5)は一体的に製作されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)と、前記バッテリハウジング構造体(1)のバッテリハウジング(2)に収容される複数のバッテリセルと、を有する、流体温度調節可能なトラクションバッテリ。
【請求項15】
特に車両の流体温度調節可能なトラクションバッテリのバッテリハウジング構造体(1)としての
、請求項1~13のいずれか1項に記載のバッテリハウジング構造体(1)を製造する方法において、
複数のバッテリセルを収容するための内部空間(3)を取り囲むバッテリハウジング(2)が準備され、
流入管(6)、流出管(7)、および流体工学的にこれらの間に配置される熱交換部材(8)を有する
ユニットとして製作された熱伝達装置(5)が位置決めされ、前記熱伝達装置(5)は前記流入管(6)から前記熱交換部材(8)を介して前記流出管(7)へと前記バッテリハウジング(2)の前記内部空間(3)で流体によって貫流することができ、
前記バッテリハウジング(2)の内側から
前記バッテリハウジング(2)の少なくとも1つの通過開口部(9)を通して前記流入管(6)と前記流出管(7)とが挿通され、
前記流入管(6)および/または前記流出管(7)と少なくとも1つの前記通過開口部(9)との間の閉止部を形成する少なくとも1つの閉止部材(10)によって前記バッテリハウジング(2)が閉止される、
各ステップを含む方法。
【請求項16】
少なくとも1つの前記閉止部材(10)による前記バッテリハウジング(2)の閉止は、前記流入管(6)および/または前記流出管(7)の上に少なくとも前記閉止部材(10)が押し嵌められることと、前記バッテリハウジング(2)の外側から少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中に少なくとも1つの前記閉止部材(10)が押し込まれることと、を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バッテリハウジング(2)の内側からの少なくとも1つの前記通過開口部(9)への前記流入管(6)と前記流出管(7)との挿通は、前記流入管(6)と前記流出管(7)とが少なくとも1つの前記通過開口部(9)の通過方向(20)に対して斜めに配置されるように前記熱伝達装置(5)が当て付けられることと、前記熱伝達装置(5)がその最終位置へと旋回されることと、を含み、前記流入管(6)と前記流出管(7)とは最終位置にあるとき少なくとも1つの前記通過開口部(9)の中で通過方向(20)に対して平行に配置されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【国際調査報告】