IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.の特許一覧

<>
  • 特表-カラーマッチング 図1
  • 特表-カラーマッチング 図2
  • 特表-カラーマッチング 図3
  • 特表-カラーマッチング 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】カラーマッチング
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20220805BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220805BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H04N1/60 300
H04N1/60 020
H04N1/60 160
G06T1/00 510
B41J2/525
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571582
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 US2019037020
(87)【国際公開番号】W WO2020251577
(87)【国際公開日】2020-12-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】モロヴィック,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】アルナバト,ベネディクト,ヨルディ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラミ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイバマン,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ステルブリンク,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】モロヴィック,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】バヴリ,ダン
【テーマコード(参考)】
2C262
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AA24
2C262AB11
2C262AC02
2C262BA02
2C262BC01
2C262EA12
2C262GA29
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057CH18
5B057DA15
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C079HA15
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB12
5C079KA15
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA20
5C079NA03
5C079NA27
5C079PA03
(57)【要約】
特定の例は、カラーレンダリング装置を確認することによるカラーマッチングの方法に関係する。カラー再現性パラメータは、基準および目標カラーレンダリング装置に対して求められる。カラーマッチングパラメータは、目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータと基準カラーレンダリング装置の対応するカラー再現性パラメータとの比較に基づいて、目標カラーレンダリング装置に関して求められる。カラーマッチングパラメータに依存するカラーレンダリング装置が確認される。目標カラーレンダリング装置の色資源は、目標カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングが基準カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングを再現するように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準カラーレンダリング装置を選択し、
目標カラーレンダリング装置を選択し、
前記基準カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータ、及び前記目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを求め、
前記目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータと前記基準カラーレンダリング装置の対応するカラー再現性パラメータとの比較に基づいて、前記目標カラーレンダリング装置のカラーマッチングパラメータを求め、
前記カラーマッチングパラメータに依存する前記目標カラーレンダリング装置を確認し、
前記目標カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングが前記基準カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングを再現するように、前記目標カラーレンダリング装置の色資源を構成することを含む、方法。
【請求項2】
個々のカラーマッチングパラメータを求めることにより、複数の目標カラーレンダリング装置の中から選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標カラーレンダリング装置を確認することは、前記カラーマッチングパラメータを表示して、ユーザの選択を受け取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基準カラーレンダリング装置および/または前記目標カラーレンダリング装置を選択することは、基材のタイプ、利用可能な着色剤、及び印刷速度の1つ又は複数を含む個々の構成パラメータを選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基準カラーレンダリング装置および/または前記目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータは、色域、黒い点の明度、及びカラープロファイルの特性評価の精度の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カラーマッチングパラメータは、色域マッチングのパーセンテージ、色域体積の差、個々の黒い点の明度の差、及びカラープロファイルの精度の差の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記目標カラーレンダリング装置の色資源を構成することは、以下の、即ち、前記基準カラーレンダリング装置および前記目標カラーレンダリング装置のカラー装置リンク;前記目標カラーレンダリング装置のカラー出力プロファイル;及び前記基準カラーレンダリング装置の色空間からのイメージデータのピクセルを、前記目標カラーレンダリング装置の色空間の変更されたイメージデータの対応するピクセルにマッピングするマッピング資源の1つ又は複数を用いて、イメージデータを前記目標カラーレンダリング装置でレンダリングするための前記変更されたイメージデータへ変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
多数の目標カラーレンダリング装置の1つを確認することは、確認された目標カラーレンダリング装置の第1のカラーマッチングパラメータが閾値内にあること、及び前記確認された目標カラーレンダリング装置の第2のカラーマッチングパラメータが多数の基準カラーレンダリング装置の中で最大の正の差を有することを確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数のカラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータのデータベースと、
第1及び第2のカラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを前記データベースから検索して取り出し、その検索して取り出したカラー再現性パラメータの比較に基づいて前記第2のカラーレンダリング装置のカラーマッチングパラメータを求めるための装置比較エンジンと、
前記複数のカラーレンダリング装置からの基準カラーレンダリング装置の選択を受け取り、前記装置比較エンジンに対して、前記第1のカラーレンダリング装置を前記基準カラーレンダリング装置として設定した状態でカラーマッチングパラメータを求めるように命令するカラー選択エンジンであって、前記カラー選択エンジンは、前記複数のカラーレンダリング装置から目標カラーレンダリング装置を選択するために前記カラーマッチングパラメータを使用する、カラー選択エンジンと、
前記目標カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングが前記基準カラーレンダリング装置での前記カラーイメージのレンダリングを再現するように、前記カラー選択エンジンにより選択された前記目標カラーレンダリング装置の色資源を構成するためのカラーマッチングエンジンとを含む、システム。
【請求項10】
前記データベースは、前記複数のカラーレンダリング装置の異なる構成パラメータに対応するカラー再現性パラメータを含み、前記カラー選択エンジンは、前記基準カラーレンダリング装置および前記目標カラーレンダリング装置の選択と共に、個々の構成パラメータの選択を受け取る、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記構成パラメータは、基材のタイプ、利用可能な着色剤、及び印刷速度の1つ又は複数を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記カラー選択エンジンは、前記カラーマッチングパラメータを表示し且つユーザの選択を受け取るようにユーザインターフェースを制御することができる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記基準カラーレンダリング装置がディスプレイモニタであり、前記目標カラーレンダリング装置がプリンタである、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記基準カラーレンダリング装置および前記目標カラーレンダリング装置の双方が、プリンタである、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
プロセッサにより実行された際に、前記プロセッサに以下のこと、即ち、
基準カラーレンダリング装置のしるしを受け取り、
前記基準カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを求め、
複数の候補カラーレンダリング装置の一組のカラー再現性パラメータを求め
前記基準カラーレンダリング装置と前記複数の候補カラーレンダリング装置の選択された1つとの個々の対のカラーマッチングパラメータを、個々のカラー再現性パラメータの比較に基づいて求め、
前記複数の候補カラーレンダリング装置から、前記カラーマッチングパラメータに依存する目標カラーレンダリング装置を選択し、
前記目標カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングが前記基準カラーレンダリング装置での前記カラーイメージのレンダリングを再現するように、前記目標カラーレンダリング装置の色資源を構成すること、を行わせる命令を格納する持続性コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイモニタ及びプリンタのようなイメージレンダリング装置は、LCDスクリーン又は用紙のような媒体上へカラーイメージをレンダリングするために使用され得る。カラーイメージは、デジタルイメージデータとして受け取られることができ、この場合、イメージデータは、イメージのピクセルに関する、色空間の色値(color value)を示す。例えば、赤、緑、青(RGB)イメージは、x方向において第1の数のピクセル、y方向において第2の数のピクセルを有することができ、この場合、各ピクセルは、赤、緑、青(RGB)色空間の値を有する。これらの場合、各ピクセルは、三つ組みの値または三刺激値、例えば、各値が8ビットを用いて表される場合、(125、76、12)のような、0~255の範囲内の3つの変数として表されることができる。カラーイメージをレンダリングするために、イメージレンダリング装置は、その利用可能な色資源に適切である色空間で当該デジタルイメージデータを表す必要がある。例えば、プリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの印刷流体を含むことができ、そのためCMYB色空間内の色を表す。同じイメージデータに基づいて、1つのカラーレンダリング装置によりレンダリングされるカラーイメージは、異なるカラーレンダリング装置によりレンダリングされるカラーイメージと比べて、異なるように見える色を含む場合がある。
【0002】
本開示の様々な特徴は、本開示の特徴を一緒に示す添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】一例によるカラーマッチングシステムの略図である。
図2】一例によるグラフィカルユーザインターフェースの略図である。
図3】カラーマッチングの方法を示す流れ図である。
図4】一例による持続性コンピュータ可読記憶媒体の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
本明細書で説明される特定の例は、様々なカラーレンダリング装置にわたるカラーマッチングの問題に対処する。一例において、異なる基準カラーレンダリング装置によりレンダリングされた同じイメージを実質的に再現する又は少なくとも十分に近似するように、目標(ターゲット)カラーレンダリング装置上でイメージをレンダリングすることは、基準カラーレンダリング装置および目標カラーレンダリング装置の特性(プロパティ)に基づいた客観的な評価を用いて適切な目標カラーレンダリング装置を選択することにより、達成され得る。別の例において、基準カラーレンダリング装置によりレンダリングされたイメージを再現する又は基準カラーレンダリング装置により生成されるカラー(色)を十分に複製するための目標カラーレンダリング装置の能力は、ガイド付きカラーマッチングシステム又は方法を用いて評価され得る。これは、イメージが多くの異なるタイプのカラーレンダリング装置でレンダリングされて眼により評価される広範囲に及ぶ試行錯誤手法に匹敵する。しかしながら、人間は、主観性に陥りやすく、当該プロセスは、多大な時間を必要とし且つコストが高くつく可能性がある。
【0005】
一例において、第1のタイプのプリンタが、距離的に離れた展示会で使用するために先だってポスター、掲示板または他の印刷された素材をレンダリングするために使用されていた場合がある。展示している間に交換が必要とされる場合、同じタイプのプリンタは、展示の場所で利用可能でないかもしれない。この状況において、局所的に利用可能なプリンタの中から、元のポスター、掲示板または他の素材を緊密に再現する可能性が最も高い第2のプリンタを選択することが望ましい。別の例において、古い基材(例えば、用紙の代わりに織物材料)上に印刷されたイメージを大部分再現するイメージを新たな基材上に印刷することが望ましい場合もある。これは、新たな基材上に印刷するための異なるカラーレンダリングプロパティを有する異なるプリンタを選択することにより、達成され得る。別の例において、もはや利用可能でない古いカラーレンダリング装置によりレンダリングされたイメージを再現することができる代替カラーレンダリング装置を選択することが望ましい場合がある。
【0006】
カラーレンダリング装置で生成されるレンダリングカラー出力は、装置の色資源に依存する。色資源の例には、利用可能な基材(例えば、用紙のタイプ、織物、又は3D印刷材料)、有色インク及び/又は染料のセット或いは3Dプリンタ印刷液体のような利用可能な着色剤、利用可能なプライミング剤および/または仕上げ剤(例えば、ニスなど)、プリントヘッドの能力(例えば、出力解像度またはノズル毎の液滴の数)、及び印刷速度が含まれる。ディスプレイモニタにおいて、色資源には、使用される発光技術(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)又は陰極線管(CRT))、画面解像度、飛び越し走査方法、及びリフレッシュ速度が含まれる。また、色資源は、カラーイメージを表すデジタルイメージデータを処理するのに利用可能なカラー処理パイプラインの要素(例えば、イメージカラー値を入力色空間(例えば、RGB)からカラーレンダリング装置に適切な色空間(例えば、CMYK)にマッピングするためのカラーマッピング構成要素またはテーブル)も含むことができる。
【0007】
カラーレンダリング装置のレンダリング能力と特性は、1つ又は複数のカラー再現性パラメータを用いて説明され得る。カラー再現性パラメータの例には、色域、色域体積のサイズ、黒い点の明度、色の一致性、パントン(登録商標)有効範囲、印刷流体用途、コスト、画質、粒子の大きさ、特性評価およびカラープロファイルの精度が含まれる。異なるカラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータは、これら装置に利用可能な色資源に依存する。
【0008】
色域は、カラーレンダリング装置のレンダリング可能なカラーの範囲を表し、多次元色空間の体積として定義され得る。多次元色空間は、装置に依存することができ(例えば、特定のレンダリング装置の物理的特性および/または物理的特質により設定される次元を有することができ)、或いは装置に依存しないことができる(例えばどんなレンダリング装置にも無関係である)。赤、緑、青(RGB)色空間は一般に、装置に依存し、三次元またはチャネルを有し、それぞれは、3つのカラーのうちの1つ輝度を表し、同様に、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(CMYK)色空間は、印刷システムで使用される多数の着色剤に依存する、装置に依存する色空間(例えば、一般的に4次元)である。装置に依存する色空間の例には、CIE-XYZ及びCIE-L色空間のような、国際照明委員会(CIE)により定義されたものが含まれる。
【0009】
特定のレンダリング装置は、特定の色空間の特定の色域を有することができ、例えば、モニタは、モニタにより表示され得る色の全て(即ち、レンダリングされ得るデータ点)を表すRGB色空間の三次元体積を有することができ、プリンタは、プリンタにより表示され得る色の全て(即ち、レンダリングされ得るデータ点)を表すCMYK色空間の三次元体積を有することができる。色域は、使用されるインク、利用される印刷技術、及び/又はインクがイメージをレンダリングするために付着される基材のような、色資源により影響を受ける可能性がある。
【0010】
また、カラープロパティは、幾つかのカラーレンダリング装置に関して他の方法でも説明され得る。例えば、ノイゲバウアプライマリエリアカバレッジ(NPac:Neugebaur Primary areacoverage)空間は、イメージング装置の色出力を制御する印刷制御空間とみなされ得る。また、それは、場合によっては、色空間に対応するとも考えられ得る。NPac空間のNPacベクトルは、ハーフトーンの領域にわたる1つ又は複数のノイゲバウアプライマリ(NP)ベクトルの統計的分布を表す。簡素な二進法(2進構造、即ち、2つの液滴状態:「液滴」または「液滴無し」)プリンタにおいて、NPは、印刷システム内のk個のインクの2の組み合わせの1つである。例えば、印刷装置がCMYインクを使用する場合、8個のNPが存在することができる。これらNPは、以下のように、即ち、C、M、Y、C+M、C+Y、M+Y、C+M+Y、及びW(「白色」または「空白」は、インクが存在しないことを示す)に関係する。看取され得るように、NPは、共通のアドレス指定可能な印刷領域(例えば、印刷可能な「ピクセル」)におけるマゼンタの液滴上のシアンの液滴(2進構造プリンタの場合)のような、2つの利用可能なインクの刷り重ねを含むことができる。また、他の例は、マルチレベルプリンタも採用することができ、例えば、この場合、プリントヘッドは、例えば複数の印刷パス又は印刷バーを介して、N個の液滴レベルを付着することができ、この場合、NPは、印刷システム内のk個のインクのNの組み合わせの1つを含むことができる。NPac空間は、多数の異性体を提供する。異性体は、固定の光源および観察者に関して同じ知覚される色という結果になる反射率と放射特性の多数の組み合わせの存在である。
【0011】
黒い点の明度は、カラーレンダリング装置によりレンダリングされる黒ピクセルの暗さの尺度である。黒い点の明度が高すぎる場合、幾つかの他の色が目に見える場合があり、それは、使用される技術のアーティファクトである場合がある。例えば、シアン、イエロー及びマゼンタのインクを混合することにより、黒をレンダリングするプリンタは、黒色インクを有するプリンタに利用可能な最も濃い黒色を再現することができない場合がある。同様に、LCDディスプレイモニタは、使用されるバックライトに起因して、濃い黒色を再現することができない場合がある。黒い点の明度は、カラーレンダリング装置に達成可能な最小のCIE L値を用いて表され得る。
【0012】
特性評価またはカラープロファイルの精度は、カラーレンダリング装置がカラー(色)を複製することができる精度の尺度であり、例えば、ICC(国際色彩コンソーシアム)のカラープロファイルの精度は、往復精度または精度を用いて測定され得る。カラープロファイル又は他のカラー特性評価方法の精度は、それが如何にしてそれ自体と首尾一貫しているかを判定することにより、評価され得る。この方法は、一組の装置カラー値(例えば、CMYKの均一サンプリング)から始まり、CIE LAB値(国際照明委員会(CIE))のような第1の組の測色値を計算することであり、この場合、Lは、黒色(0)から白色(100)までの明度であり、Aは緑色(-)から赤色(+)であり、Bは青色(-)から黄色(+)である。次いで、プロファイルは、順方向変換(即ち、AtoB)(装置色値からプロファイル接続空間へ)を行うために使用される。次いで、これらCIE LAB値は、(プロファイル逆BtoA資源を介して)CMYKに戻るように変換され、次いでそこから第2の組の測色LAB値に(プロファイルAtoBを介して)変換され得る。第1と第2の組のLAB間の色差統計値を(例えば、CIEΔE2000を用いて)計算することは、プロファイルの往復精度または自己一貫性を定量化する。カラープロファイル精度は、代わりに、上述したような同じプロセスに続くことにより取得され得るが、プロファイルのAtoB資源を介した最後の変換が行われる代わりに、装置カラーデータが出力(例えば、印刷)され、カラー(色)が測定される。色差が、第1の組と第2の、この場合測定された測色の組との間で再び計算される。
【0013】
カラーレンダリング装置間で移行する場合、定義されたカラーは、色空間の間でマッピングされ得る。例えば、カラーイメージは、コンピュータモニタを介してデザインアプリケーションのユーザに示されることができ、RGB色空間のピクセル値として格納され得る。次いで、ユーザは、当該イメージを印刷装置で印刷したいと考える場合がある。印刷装置は4つの着色剤(CMYK)を有することができ、ひいてはCMYK色空間のカラーを表すことができる。この場合、RGB色空間のカラーイメージは、CMYK色空間の印刷イメージに変換される必要がある。従って、三次元の所与の範囲内に定義されたデータ点は、四次元の所与の(及び一般に異なる)範囲へ変換されるべきである。RGB色空間におけるコンピュータモニタの色域は、CMYK色空間における印刷装置の色域にマッピングされるべきである。しかしながら、コンピュータモニタ上でレンダリング可能である(例えば、表示され得る)カラーのセット(一組のカラー)は、印刷装置によりレンダリング可能である(例えば、印刷され得る)カラーのセットとは異なる場合がある。
【0014】
同様に、イメージが1つのタイプのプリンタで以前に印刷された場合に、当該印刷されたイメージを異なるタイプのプリンタ及び/又は異なる基材を用いて再現しようと試みることが望ましい場合がある。しかしながら、利用可能なプリンタでレンダリング可能であるカラーのセットは、大幅に変わる場合があり、及び/又は元のプリンタによりレンダリング可能であるものとは異なる場合がある。
【0015】
本明細書で説明される特定の例は、所望のカラープロパティに基づいて、レンダリングされるカラー出力の複製を容易にする。例えば、基準カラーレンダリング装置で生成されたカラー出力を目標カラーレンダリング装置で再現するカラー出力が、生成され得る。他の例は、基準装置によるカラー出力が目標カラーレンダリング装置で再現され得るか否か、例えばこれが可能であるか否か、又はどの程度マッチング(一致)するカラーが出力され得るかを判断することができる。
【0016】
本明細書で説明される特定の例は、カラーマッチングシステム又は方法を提供し、この場合、異なるカラーレンダリング装置と関連したカラーマッチングパラメータは、客観的比較を行うために使用される。一例において、カラーマッチングパラメータは、目標カラーレンダリング装置が基準カラーレンダリング装置によりレンダリング可能なカラーイメージを十分に再現できるかを確認するために使用され得る。一例において、カラーマッチングパラメータは、複数の目標カラーレンダリング装置の中から、基準カラーレンダリング装置によりレンダリング可能なカラーイメージを再現する可能性が最も高い目標カラーレンダリング装置を選択するために使用され得る。
【0017】
図1は、一例によるカラーマッチングシステム100を示す。カラーマッチングシステム100は、記憶媒体110、ユーザインターフェース115、装置比較エンジン125、カラー選択エンジン130、及びカラーマッチングエンジン135を含む。システム100は、レンダリングされるべきカラーイメージを表すイメージデータ150を受け取ることができる。システム100は、目標カラーレンダリング装置120に結合され得る。
【0018】
装置比較エンジン125、カラー選択エンジン130及びカラーマッチングエンジン135は、制御回路のようなハードウェア、及び/又は本明細書で説明された機能を実行するように構成されたプログラミングの組み合わせとして実現され得る。1つ又は複数のこれらエンジン125、130、135は、記憶媒体110又は他の所に格納されたコンピュータプログラムコードを実行するプロセッサにより実現され得る。
【0019】
記憶媒体110は、基準または目標カラーレンダリング装置として当該システムにより使用され得る多数のカラーレンダリング装置用のカラー再現性パラメータのデータベース145を格納する。カラー再現性パラメータは、各装置の色域、黒い点のそれら個々の明度、及び国際色彩コンソーシアム(ICC)のカラープロファイルのような、カラープロファイルの特性評価の精度を含むことができる。色域内のカラーは、色域値による次元性セットを有するベクトルにより、定義され得る。幾つかの装置色空間は、RGBベース又はCYMKベースである、或いはCIE-XYZ又はCIE-LABのような装置に依存しない色空間であることができる。また、記憶媒体110は、1つの色空間の色域を別の色空間の色域にマッピングする際に使用するためのカラーマッピングテーブル160も含むことができる。
【0020】
プリンタのカラーレンダリング装置の場合、出力色空間は、カラーレンダリング装置に利用可能なインクに依存することができる。また、インクは、着色剤とみなされることもでき、この場合、着色剤は、染料、顔料または塗料のような他のタイプの物質を含む。色空間は、NPac色空間のようなエリアカバレッジ空間であることができる。NPac色空間は、一組のインクにより生成可能なカラーがインクのカバレッジエリア(有効範囲領域)に左右され得ることを認識する。NPacは、印刷解像度領域に関する考えられる出力状態として看取され得る。NPのセットは、それらが動作する装置の構成に依存することができる。これは、利用可能なインク、印刷レベル(付着され得る層の数、二進法が最も簡素)、液滴量、液滴数などへの依存性を含むことができる。エリアカバレッジ色空間を利用することができる印刷パイプラインの一例は、ハーフトーンエリアノイゲバウア分解(HANS:Halftone Area NeugebauerSeparation)パイプラインである。この例におけるカラーマッピングは、測色値をエリアカバレッジ空間内のベクトルへマッピングするためにルックアップテーブルを使用することができる。
【0021】
記憶媒体は、持続性コンピュータ可読記憶媒体であることができ、例えば、本明細書で説明された機能に適したコンピュータ可読コードを有することができる、局所的に維持された又は遠隔的にアクセスされる、ハードドライブ、CD-ROMディスク、USBドライブ、半導体ドライブ又は任意の他の形態の磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、又はフラッシュメモリデバイスであることができる。
【0022】
ユーザインターフェース115は、ユーザに情報を表示する且つ選択または確認のようなユーザ入力を受け取ることができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であることができる。一例によるGUIが図2に示される。GUI200は、それぞれが選択可能なオプションを示す4つの有界領域を含む。上側の2つの有界領域240R及び240Tはそれぞれ、基準カラーレンダリング装置205及び目標カラーレンダリング装置210に対応する。各有界領域240R及び240Tは、複数の基準および目標カラーレンダリング装置のそれぞれを表示することができる。基準カラーレンダリング装置の1つ205H、及び目標カラーレンダリング装置の1つ210Hは、例えば選択された場合、強調表示され得る。下側有界領域240RS及び240TSはそれぞれ、強調表示された基準装置および目標装置に対して選択され得る基材のような、選択可能な色資源オプション215及び220に対応する。やはり、構成は、ユーザにより選択されることができ、強調表示されて表示され得る。色資源の1つ215Hが、上側左の有界領域240Rで強調表示された基準カラーレンダリング装置205Hに対して強調表示されたように示される。色資源の1つ220Hは、上側右の有界領域240Tで強調表示された目標カラーレンダリング装置210Hに対して強調表示されたように示される。また、他の色資源のオプション(例えば、着色剤セット及び印刷速度)も追加され得る。
【0023】
GUI200は、カラーマッチングパラメータ225A~225Dを表示する。カラーマッチングパラメータは、装置比較エンジン125により生成されることができ、強調表示された目標カラーレンダリング装置210Hのカラー再現性パラメータを、強調表示された基準カラーレンダリング装置205Hのカラー再現性パラメータと比較することに基づく。一例において、カラーマッチングパラメータは、225Aにより示されるような基準装置および目標装置の色域体積(色域量)のような、カラー再現性パラメータ間の類似性のパーセンテージによることができる。別の例において、カラーマッチングパラメータは、225Dにより示されるような、目標装置および基準装置の1つ又は複数のカラー再現性パラメータの並んだ表示であることができる。一例において、カラーマッチングパラメータは、個々のカラー再現性パラメータを表す部分的に重なる形状、或いはサイズ、カラー又はプロパティが225B及び225Cにより示されたような対応するカラーマッチングパラメータに依存するバー又はラインのような、グラフィック手段であることができる。
【0024】
一例において、カラーマッチングパラメータ225A~225Dは、複数の目標カラーレンダリング装置の中から、強調表示された基準装置205Hでのカラーイメージのレンダリングを再現する可能性が最も高い目標カラーレンダリング装置を選択するために、システム100のユーザにより使用され得る。前述のように、この選択も、基材のような、個々の選択可能な色資源のオプションの強調表示に依存することができる。カラーマッチングパラメータ225A~225Dは、強調表示された目標カラーレンダリング装置が強調表示された基準装置205Hでのカラーイメージのレンダリングを再現することができるかを確認するために、システム100のユーザにより使用され得る。前述のように、この選択も、基材のような個々の選択可能な色資源のオプションの強調表示に依存することができる。別の例において、カラーマッチングパラメータ225A~225Dは、グラフィカルユーザインターフェースでの表示無しで評価されることができ、例えば、明確なユーザ入力無しで選択を行うために1つ又は複数の閾値と比較され得る。場合によっては、このように行われて決定された選択は、例えばユーザインターフェース150を介して、確認のためにユーザに提示され得る。
【0025】
一例において、第1のカラーマッチングパラメータ225Aは、強調表示された目標装置210Hの表示された基材オプション220の1つ又は複数の色域が、強調表示された基準装置205H及び基材215Hの色域と重なる程度であることができる。95%の数量は、受け入れ可能であると考えられることができ、又は100%が必要とされる場合がある。第2のカラーマッチングパラメータ225Bは、強調表示された目標装置210H及び基材220H(右側)の黒い点の明度と比較される、強調表示された基準装置205H及び基材215H(左側)の黒い点の明度であることができる。このカラーマッチングパラメータは、個々のカラー再現性パラメータに対応する長さを有するバーアイコンを用いて図形で表示され得る。この例において、黒い点の明度は、基準カラーレンダリング装置205H及び215Hと比べて、目標カラーレンダリング装置210H及び220Hにおいていっそう良い(例えば、より濃い)。他のカラーレンダリングパラメータは、標準化されたカラープロファイル225C及び225Dの特性評価の精度を含むことができる。
【0026】
様々な方法が、カラーマッチングパラメータ225A~225Dの1つ又は組み合わせを用いて、目標カラーレンダリング装置および基材を選択するために使用され得る(例えば、95%の最小パーセンテージの色域の重なり225A、他のカラーマッチングパラメータ225B~225Dの何れかにおける基準装置と目標装置との間の最大の正の差)。一例において、95%以上の色域の重なりを有する目標カラーレンダリング装置210及び基材220のグループが求められる。次いで、そのグループから、各目標装置のカラーマッチングパラメータ225B~225Dがパーセンテージで表される又はパーセンテージに変換される場合に、最も大きいパーセンテージが選択される。1つの目標装置の最も大きいカラーマッチングパラメータ(例えば、225B)が120%である(即ち、目標装置のカラー再現性パラメータが基準装置の同じカラー再現性パラメータより20%大きい)が、第2の目標装置のカラー再現性パラメータの最も大きいパラメータ(例えば、225C)が125%である場合、第2の目標装置が選択される。選択プロセスは、ユーザが何らかの入力を提供せずに又は幾つかの入力を提供する状態で、完全に又は部分的に自動化され得る。任意の比較動作で使用される1つ又は複数の閾値は、現在の構成に基づいて動的に予め定義される及び/又は設定され得る。
【0027】
選択ボタン230は、目標装置(及び基材)の1つを選択するために使用され得る。次いで、システムは、基準装置(及び強調表示された基材)により生成されるカラーを再現するために目標装置の色資源を自動的に構成することができる。これは、選択された目標カラーレンダリング装置120が目標装置でカラーイメージを再現することができるように、基準装置でカラーイメージをレンダリングするために意図されたイメージデータ150を、選択された目標装置向けの変更されたイメージデータ155へマッピングするという形態を取ることができる。変更されたイメージデータ155は、カラーマッピングされたイメージデータを含むことができる。
【0028】
目標カラーレンダリング装置120は、一組のインクを用いて基材または印刷媒体上へイメージをレンダリングするために一組のインクを使用するように設計されたプリンタであることができる。目標カラーレンダリング装置120は、一組のインクからのインクを基材上へ付着することにより、イメージを基材上へレンダリングすることができる。本説明の全体にわたって、認められるように、用語「プリンタ」及び「印刷」は、三次元印刷システムにも適用することができ、例えばこの場合、着色剤は、粉末状のポリマー粒子のベッドのような、印刷材料のベッド上へ付着される。イメージをレンダリングするために使用されるインクは、制御された方法で付着され得る。一組のインクは、2つ以上のカラーインクを含むことができる。インクジェットプリンタで使用される一組のインクの一例は、ブラック(黒)、シアン、イエロー及びマゼンタの色(カラー)を含むことができる。異なるカラーレンダリング装置は、装置120に利用可能な色域を生成するために異なるインク色を使用することができる。色域は、カラーレンダリング装置120の構成を変更することにより、変更され得る。一例において、利用可能なインクからカラーを生成することは、ハーフトーン処理により、インクを直接的に混合することにより、又は任意の他の適切な印刷技術により、行われ得る。
【0029】
基材は、用紙、織物、プラスチック、又はインクがイメージをレンダリングするために付着され得る任意の他の媒体を含むことができる。異なる基材は、粘着性、吸収性、光沢度のような、印刷流体の付着に関連した異なる特性(プロパティ)を有することができる。また、基材は、ディスプレイモニタの異なるタイプの画面も意味することができ、それは、解像度、輝度、リフレッシュ速度、反射率のような異なる特性を有することができる。
【0030】
イメージデータ150は、ラスターイメージファイル又はベクトルイメージファイルの形態を取ることができる。ラスターイメージファイルにおいて、イメージは、複数のピクセルにより定義されることができ、この場合、各ピクセルは、所与のカラーモデル内のカラーを表す一連のデジタル値を含む。8ビットRGBモデルが使用される場合、各ピクセルは、0~255までの量を表す3つの8ビット値を含むことができる。ベクトルイメージファイルにおいて、イメージは、一連の幾何学的図形により定義されることができ、この場合、これらの図形は、関連した色値を有する。例えば、正方形は、ピクセル座標Aからピクセル座標Bまで延びるように定義されることができ、関連した8ビットRGB値を有することができる。用語「イメージ」は、文字通りのデジタルイメージに制限されず、テキスト及びタイポグラフィ定義、並びに印刷されるべき他の視覚情報を含むデータであることができる。
【0031】
ひとたび目標カラーレンダリング装置120が選択または確認されたならば、カラーマッチングエンジンが当該装置120用の基材、一組のインク又は他の着色剤、印刷速度、及び他の設定を選択することができる。或る事例において、選択は、例えば基準カラーレンダリング装置に「最も良く」マッチングするイメージデータのレンダリングを可能にするために、一組の1つ又は複数のカラーマッチングパラメータを最適化(例えば、最大化)するために実行され得る。カラーマッチングエンジンは、基準装置によるイメージデータのレンダリングを再現するために目標装置の色資源を構成することの一部として、イメージデータ150を変更されたイメージデータ155へ変換することができる。様々なカラーマッピング資源が利用されることができ、それらには例えば、基準および目標カラーレンダリング装置用のカラー(例えば、ICC)装置リンク、目標カラーレンダリング装置用のカラー(例えば、ICC)出力プロファイル、イメージデータのピクセルを基準カラーレンダリング装置の色空間から目標カラーレンダリング装置の色空間の変更されたイメージデータの対応するピクセルへマッピングするマッピングテーブル160が含まれる。
【0032】
図3は、基準および目標カラーレンダリング装置をカラーマッチングする例示的な方法300の流れ図を示す。ブロック310において、方法は、基準カラーレンダリング装置を選択することを含む。これは、図2において説明されたGUIを用いて実施されることができ、この場合、ユーザは、幾つかの基準カラーレンダリング装置のオプション205を提示されることができ、強調表示することにより又は別のユーザ選択プロセスにより、これらの1つ205Hを選択することができる。別の例において、基準装置は、例えば、特定のイメージを印刷するために以前に使用されたカラーレンダリング装置を決定することにより、又はイメージデータと共に基準カラーレンダリング装置識別子を受け取ることにより、自動的に選択され得る。
【0033】
また、基準カラーレンダリング装置を選択することは、使用される基材、使用される一組の着色剤、印刷速度、インク制限、全カバレッジエリア、パスの数のような、色資源または装置の構成態様を選択することも含むことができる。ブロック310は、カラー選択エンジン130を用いて実施され得るが、他の具現化形態も可能である。
【0034】
ブロック320において、方法は、目標カラーレンダリング装置を選択することを含む。これは、図2において説明されたGUIを用いて実施されることができ、この場合、ユーザは、幾つかの目標カラーレンダリング装置のオプション210を提示されることができ、強調表示することにより又は別のユーザ選択プロセスにより、これらの1つ210Hを選択することができる。別の例において、目標装置は、例えば、利用可能なカラーレンダリング装置のみを決定することにより、又は受け取られたイメージデータで特定された多数のカラーレンダリング装置の1つ(例えば、第1)を決定することにより、自動的に選択され得る。
【0035】
また、目標カラーレンダリング装置を選択することは、使用される基材、使用される一組の着色剤、及び印刷速度のような、色資源または装置の構成態様を選択することも含むことができる。ブロック320は、カラー選択エンジン125を用いて実施され得るが、他の具現化形態も可能である。
【0036】
ブロック330において、方法は、選択された基準カラーレンダリング装置205Hのカラー再現性パラメータを求める(決定する)ことを含む。基準装置のカラー再現性パラメータには、色域、色域体積、黒い点の明度、及びICCプロファイルの往復精度のようなカラープロファイルの特性評価の精度が含まれ得る。基準カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータは、データベース145に格納されることができ、装置比較エンジン125により検索して取り出されることができるが、他の具現化形態も可能である。
【0037】
ブロック340において、方法は、選択された目標カラーレンダリング装置210Hのカラー再現性パラメータを求める(決定する)ことを含む。目標装置のカラー再現性パラメータには、色域、黒い点の明度、及びICCプロファイルの往復精度のようなカラープロファイルの特性評価の精度が含まれ得る。目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータは、データベース145に格納されることができ、装置比較エンジン125により検索して取り出されることができるが、他の具現化形態も可能である。
【0038】
ブロック350において、方法は、目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを、基準カラーレンダリング装置の対応するカラー再現性装置との比較に基づいて、目標カラーレンダリング装置のカラーマッチングパラメータを求める(決定する)ことを含む。例えば、各装置の色域が比較されることができ、重なりのパーセンテージが計算され得る。100%の値は、2つの色域が同じであることを示す一方で、より低い値は、目標装置の色域が基準装置の色域より小さい又は大きいことを示すことができる、及び/又は色域が部分的に重なるが、各色域が他の色域により網羅されていない何らかの色値を網羅する場合があることを示すことができる。ブロック350は、装置比較エンジン125により実現され得るが、他の具現化形態も可能である。カラーマッチングパラメータは、例えば図2のGUI又は異なるユーザインターフェースを用いてユーザに表示され得る、又は自動化アルゴリズムによって使用するために格納され得る。
【0039】
異なる対のカラー再現性パラメータに対応する追加の又は代替のカラーマッチングパラメータが、求められ(決定され)得る。例えば、以下のカラーマッチングパラメータ、即ち、色域体積の差、黒い点の明度の差、カラープロファイルの特性評価の精度の差が求められ得る。これらの差は、パーセンテージの差、所定の単位の個々の値の表示、図2のバー225B~225Cにより示されたような、異なる大きさの可視表示として表され得る。
【0040】
ブロック360において、方法は、カラーマッチングパラメータ(単数または複数)に依存する目標カラーレンダリング装置を確認することを含む。これは、カラーマッチングパラメータ(単数または複数)が所望の範囲内にあることを確認する標識によって実現されることができ、例えば、「MATCH(一致)」アイコン(図示せず)は、選択された基準カラーレンダリング装置および選択された目標カラーレンダリング装置が所定の制限内の又は所定の関係を有するカラーマッチングパラメータを有する場合に表示され得る。次いで、アイコンは、目標カラーレンダリング装置を適切に構成するためにユーザにより選択され得る。このように、ブロック360は、目標カラーレンダリング装置が基準カラーレンダリング装置によりレンダリングされるカラーイメージを再現することに成功する可能性が高いか否かを判断するためにも使用され得る。これは、装置のアップグレードパス又は新たな基材の調達を判断する際に役立つことができる。また、それは、プリンタがディスプレイモニタで看取されるものを十分に再現することができる可能性を判断することにも役立つことができる。
【0041】
別の例において、ブロック360は、カラーマッチングパラメータの所定の制限または関係が達成されているか否かを判断することができ、そうであるならば、自動的に目標装置を構成することができる。更に別の例において、カラーマッチングパラメータは、例えば図2に示されたように、GUI上に目に見えるように表示され得る。次いで、ユーザは、カラーマッチングパラメータが十分であるか否かを判断して、例えば確認ボタン230を選択することにより、目標プリンタの構成を手動で確認することができる。ブロック360は、カラー選択エンジン135により実現され得るが、他の具現化形態も可能である。
【0042】
上述されたように、選択された装置は、基材および利用可能な着色剤のような特定の色資源構成を有する装置に対応することができる。従って、確認は、1つのタイプの基材が同じ又は異なるタイプの基材を用いる異なる基準装置によりレンダリングするカラーを十分に再現することができる状態の目標装置に関係することができる。例えば、双方の装置は、プリンタであることができるが、一方は用紙を使用し、他方は織物基材を使用する。
【0043】
また、ブロック360は、個々のカラーマッチングパラメータ(単数または複数)を用いて、幾つかの基準カラーレンダリング装置および/または幾つかの目標カラーレンダリング装置の中から選択するためにも使用され得る。例えば、選択された目標装置の1つに関する100%の色域マッチング値は、他の目標装置の色域マッチング値が80%~90%の範囲にわたる場合に、選択または確認され得る。カラーマッチングパラメータの組み合わせは、目標装置を確認するために、又は幾つかの目標装置の中から選択するために使用され得る。別の例において、第1のカラーマッチングパラメータのマッチングが閾値を上回り、最も大きい正の差を有する第2のカラーマッチングパラメータ(例えば、黒い点の明度、カラープロファイルの特性評価の精度)が確認される又は選択される。例えば、色域マッチング値が95%より良好である場合、黒い点の最も良好な(最も濃い)明度パラメータを有する目標装置が確認または選択され得る。別の例において、カラーマッチングパラメータが負である又は特定のカラー再現性パラメータ(例えば、ICCプロファイルの特性評価の往復精度)が基準装置のものより低いことを示す場合に、目標装置は確認されることができない。場合によっては、多変数最適化が、複数のカラーマッチングパラメータを最適化するために、例えば、「最も良好な」マッチングを表す各パラメータの極値を見出すために、実行され得る。場合によっては、複数のパレート最適構成が、ユーザによる選択のために及び/又は追加の最適化のために表示され得る。例えば、目標カラーレンダリングの多数の構成が可能であることができ、次いでユーザは使用するインクに基づいた更なる最適化のために(例えば、着色剤の使用量を最小限にするために)オプションを更に選択することができる。
【0044】
ブロック370において、方法は、目標カラーレンダリング装置上でカラーイメージをレンダリングすることが、基準カラーレンダリング装置上でのカラーイメージのレンダリングを再現するように、目標カラーレンダリング装置の色資源を構成することを含む。色資源は、使用されるべき基材、使用されるべき着色剤、及び印刷速度に関する命令を含むことができる。色資源は、カラーイメージに対応するイメージデータを、目標カラーレンダリング装置でレンダリングするための変更されたイメージデータへ変換することを含むことができる。イメージデータは、基準装置に関連した色空間で又は装置に依存しない色空間で定義されることができ、目標装置に関連した色空間にマッピングされ得る。これは、多くの方法で実現されることができ、係る方法には、例えば、基準および目標カラーレンダリング装置に対するカラー(例えば、ICC)装置リンクを用いる;目標カラーレンダリング装置に対するカラー(例えば、ICC)出力プロファイルを用いる;入力色空間(例えば、基準カラーレンダリング装置の、又は装置に依存しない色空間)からのイメージデータのピクセルを、目標カラーレンダリング装置の色空間の変更されたイメージデータの対応するピクセルにマッピングするマッピングテーブル160を用いることが含まれる。目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータは、データベース145に格納されることができ、カラーマッチングエンジン135により検索して取り出され得るが、他の具現化形態も可能である。
【0045】
方法300は、カラー検証と組み合わされることができ、この場合、ひとたび目標装置および基準装置のペアリング又はマッチングが確認されて目標装置が構成されたならば、各装置からのレンダリングされたカラーイメージが、マッチングの精度を判定するために測定される。これは、例えば、各カラーレンダリング装置と関連したカラーマッチングパラメータ、カラー再現性パラメータ又は色資源を重み付けすることにより、後続の確認または選択を改善することに役立つことができる。別の例において、収集されたカラー検証データから導出されたパラメータが、定義されることができ、目標カラーレンダリング装置を確認するための又は目標カラーレンダリング装置の色資源を構成するための追加の入力として使用され得る。
【0046】
図4は、命令を格納する例示的な持続性コンピュータ可読記憶媒体410の略図を示し、当該命令は、プロセッサ405により実行された際に、後述される動作をプロセッサ405に実行させる。第1の組の命令420は、プロセッサ405に、複数の基準および目標カラーレンダリング装置を決定させることができ、使用されるべき基材のような構成情報を含むことができる。当該装置は、データベースにおける一組の装置から及び/又は例えばGUIを用いてユーザ選択により、決定され得る。一例において、基準カラーレンダリング装置は、特定されるカラーレンダリング装置を用いてカラーイメージをレンダリングするためのイメージデータが送られる識別子により、決定され得る。
【0047】
第2の組の命令430は、プロセッサ405に、基準カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを求めさせることができる。第3の組の命令440は、プロセッサ405に、目標カラーレンダリング装置のカラー再現性パラメータを求めさせることができる。これらカラー再現性パラメータは、データベースから検索して取り出され得る。
【0048】
第4の組の命令450は、プロセッサ405に、個々の基準カラーパラメータの比較に基づいて、基準および目標カラーレンダリング装置の対に関するカラーマッチングパラメータを求めさせることができる。カラーマッチングパラメータを求めるための方法は、図3に関連して説明された。カラーマッチングパラメータは、例えば図2のGUIを用いて、ユーザに表示され得る。
【0049】
第5の組の命令460は、プロセッサ405に、カラーマッチングパラメータに依存する複数の候補装置から基準および目標カラーレンダリング装置の対を選択させることができる。これは、図2のGUIに関連して説明されたような、ユーザのガイド付き選択により、実現され得る。選択は、自動選択アルゴリズムに基づいて行われることができ、例えば、閾値内の第1のカラーマッチングパラメータ、及び基準および目標装置の関連したカラーレンダリングパラメータ間の最大の正の差に対応する第2のカラーマッチングパラメータ、及び負でない第3のカラーマッチングパラメータ(例えば、基準装置の関連したカラーレンダリングパラメータが目標装置の同じカラーレンダリングパラメータより小さくない)を有する基準-目標対のような、多数のカラーマッチングパラメータの中での所定の関係における、又は1つのカラーマッチングパラメータにおける「最も良好な」マッチングである。
【0050】
第6の組の命令460は、プロセッサ405に、目標カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングが基準カラーレンダリング装置でのカラーイメージのレンダリングを実質的に再現する又は十分に近似するように、選択された目標カラーレンダリング装置の色資源を構成させることができる。当該再現の精度は、基準および目標装置と関連したカラー再現性パラメータが再現精度を改善するように変更され得るように、テストカラーイメージのレンダリングを用いて測定され得る。再現の精度(例えばカラーマッチングパラメータを求めること及び/又は選択された目標カラーレンダリング装置の色資源を構成すること)を改善するために、他の変数も、測定により変更され得る。
【0051】
本明細書で説明された特定の例は、ガイド付きカラーマッチングシステムのユーザが、基準カラーレンダリング装置によるカラーイメージのレンダリングを再現するために目標カラーレンダリング装置を選択または確認することを可能にする。個々の装置のカラー再現性パラメータは、カラーマッチングパラメータと共に使用されて、選択のための客観的メカニズムを提供する、及び/又は基準および目標カラーレンダリング装置の選択された対間での良好なカラーマッチングの可能性のしるしを提供することができる。これにより、ユーザが、より確信を持って印刷ジョブを利用可能なプリンタに割り当てることが可能になることができ、装置アップグレードの進路を支援することが可能になることができ、基材、及びインク供給元のような他の色資源をいかに変更するのが最も良好であるかを評価することが可能になることができる。
【0052】
上記の説明は、説明される原理の例を例示および説明するために提示された。本説明は、網羅的にする、又はこれら原理を開示された何らかの全く同一の形態に制限することは意図されていない。上記の教示に鑑みて、多くの変更および変形が可能である。理解されるべきは、何れかの例に関連して説明された何らかの特徴は、単独で、又は説明された他の特徴と組み合わせて使用されることができ、その他の例の何らかの特徴と組み合わせて又はその他の例の任意の組み合わせでも使用され得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】