(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】昆虫粒子を含むバイオマス組成物、その製造方法及び前記バイオマス組成物の使用
(51)【国際特許分類】
C05F 1/00 20060101AFI20220805BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20220805BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20220805BHJP
C05F 3/00 20060101ALI20220805BHJP
C05F 5/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C05F1/00
A23K10/20
A23K10/30
C05F3/00
C05F5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572466
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 NL2020050354
(87)【国際公開番号】W WO2020246877
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520220755
【氏名又は名称】プロティックス ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】PROTIX B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ギリス, ヤコブス ヘンリクス アントニウス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ワイツ, ラモン レネ
【テーマコード(参考)】
2B150
4H061
【Fターム(参考)】
2B150AA20
2B150AB02
2B150CD21
2B150CD34
2B150CE01
2B150CE02
2B150CE05
2B150CE07
2B150CE12
2B150CE16
2B150CE17
4H061AA01
4H061AA02
4H061AA03
4H061CC31
4H061CC35
4H061CC41
4H061EE02
4H061EE61
4H061EE65
4H061FF08
(57)【要約】
本発明は、昆虫粒子又はウォーム粒子を含むバイオマス組成物に関する。昆虫粒子は、例えば、ハエの幼虫、特にアメリカミズアブ種の幼虫に由来する。昆虫粒子は、例えば、昆虫を粉砕することによって提供される。バイオマス組成物は、例えば、根菜の粉砕された穀物及び/又は塊茎部分を含む。また、本発明は、昆虫粒子又はウォーム粒子を含むバイオマス組成物を提供する方法にも関する。更に、本発明は、肥料、バイオ燃料、動物飼料の製造におけるバイオマス組成物の使用に関する。更に、本発明は、バイオマス組成物を含むこのような肥料、バイオ燃料、飼料に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物。
【請求項2】
前記植物性バイオマスが、穀物又はその成分、根菜の塊茎又はその一部若しくは成分、木、例えばおがくず、細断された枝、果実、野菜、作物、植物、又はその断片、成分若しくは部分のうちの1つ以上である、請求項1に記載のバイオマス組成物。
【請求項3】
穀物が、小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米のうちの1つ以上であり、及び/又は、根菜の塊茎が、ビート、ジャガイモ、茎、ニンジンのうちの1つ以上である、請求項1又は2に記載のバイオマス組成物。
【請求項4】
前記植物性バイオマスが、小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米などの穀物の粉砕穀物及び/又は小麦粉を含み、及び/又は、前記植物性バイオマスが、ビート、ジャガイモ及びニンジンの1つ以上などの根菜の塊茎を含み、前記根菜の塊茎が、好ましくは、例えば根菜の根の微粒子化された、破砕された、粉砕された、スライスされた、切削された、及び、細断された塊茎のいずれか1つ以上の部分で提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項5】
前記昆虫粒子が、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有し、前記平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項6】
前記昆虫粒子が、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項7】
前記昆虫粒子が、10mm~40mm×3mm~10mm×0.4mm~4mmの平均粒径を有する、請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項8】
前記バイオマス組成物に含まれる前記昆虫粒子が、アメリカミズアブ幼虫粒子を含み又はアメリカミズアブ幼虫粒子からなり、これらの粒子が、17mm~22mm×5mm~6mm×1mm~2mmの平均サイズを有する、請求項1~4、6又は7のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項9】
前記植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する切削された穀物、粒子状穀物又は穀粉を含み、前記平均粒径が篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定され、及び/又は、前記植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する、請求項4に記載の根菜の塊茎の部分を含み、前記平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項10】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~70%、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で1%~65%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%、例えば5%~70%及び10%~65%の量の水などの液体を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項11】
前記バイオマス組成物が、水、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で10%~60%、又は、重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の水などの液体を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項12】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項13】
前記昆虫が、幼虫、例えばアメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブの幼虫である、請求項1~12のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項14】
粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、昆虫の成体、成虫、昆虫の胚のいずれか1つ以上を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項15】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量で0.01%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で2%~15%、最も好ましくは重量で3%~10%の昆虫を含み、前記昆虫が好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項16】
昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物を提供するための方法であって、
a.昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を用意するステップと、
b.穀物を切削するための波形ローラミルを用意するステップと、
c.ステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を、ステップbのミルのフィーダに供するとともに、バイオマス組成物が得られるように前記混合物を切削するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
ステップaの前記昆虫が幼虫、好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップaの植物性バイオマスが、ジャガイモ、ビート、ニンジンなどの根菜の粉砕穀物又は小麦粉及び塊茎粒子などの粒子状穀物のうちの少なくとも一方、好ましくは少なくとも1つの粉砕穀物又は少なくとも1つの粉砕穀物とビートの粒子状ジャガイモ又は塊茎粒子との混合物を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ステップbにおいて、前記波形ローラミルが溝付きローラを備えるミルである、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~60%、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で1%~40%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%の量の水などの液体を更に含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて10%~60%の水又は重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の量の水などの液体を更に含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記混合物の重量で0.5%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で2%~15%、最も好ましくは重量で3%~10%の昆虫を含み、前記昆虫が、好ましくは、アメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブ幼虫である、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、昆虫の成体、成虫、昆虫の胚のいずれか1つ以上を含む、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
1時間当たり1トン~100トン、好ましくは1時間当たり2トン~50トン、より好ましくは1時間当たり3トン~30トン、最も好ましくは1時間当たり4トン~20トンのバイオマス組成物を提供する、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項16~25のいずれか一項に記載の方法で得られるバイオマス組成物又は請求項16~25のいずれか一項に記載の方法で得られるバイオマス組成物。
【請求項27】
飼料、飼料素材、飼料原材料、バイオガスなどのバイオ燃料、バイオディーゼル、バイオエタノール、肥料、肥料の原材料、建材、発電プラントに燃料を供給するための燃料を含むバイオマスの製造における、請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物の使用。
【請求項28】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む、発電プラントに燃料を供給するための燃料含有バイオマス。
【請求項29】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む肥料。
【請求項30】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む飼料又は飼料原材料。
【請求項31】
前記飼料又は飼料原材料が、幼虫、好ましくはアメリカミズアブ幼虫などの昆虫の飼育のための供給原料として適している、請求項30に記載の飼料又は飼料原材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫粒子又はウォーム粒子を含むバイオマス組成物に関する。昆虫粒子は、例えば、ハエの幼虫、特にアメリカミズアブ(black soldier fly)種の幼虫に由来する。昆虫粒子は、例えば、昆虫を粉砕又は切削することによって、例えばローラ切削によって提供される。バイオマス組成物は、例えば、根菜の粉砕された穀物及び/又は塊茎部分を含む。また、本発明は、昆虫粒子又はウォーム粒子を含むバイオマス組成物を提供する方法にも関する。更に、本発明は、肥料、バイオ燃料、動物飼料の製造におけるバイオマス組成物の使用に関する。更に、本発明は、バイオマス組成物を含むこのような肥料、バイオ燃料、飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばウシ、家禽、ブタの現在の飼育は、乳、肉、卵などの食品だけでなく、例えばこれらの飼育動物のための飼料源を栽培するために適用される土壌を肥料化するために使用される貴重な肥料も提供する。更に、肥料は、直接的な人間の消費又は例えば建設、バイオディーゼル生産などでの使用のために、作物、野菜、穀物、果実、樹木などを培養するために肥料又はその原材料として適用される。現在、大規模な産業昆虫飼育のための、例えばカトルベース又はブタベースの産業規模の飼育が、少なくとも部分的に置き換えられているため、生産される肥料の量が減少する可能性がある。肥料源としての肥料、又は「グリーン」エネルギー生産のためのバイオマスなどの不足は、解決策を必要とする昆虫由来の製品経済への切り替えの効果である。
【0003】
肥料から生産されたメタン、植物廃棄物から生産されたバイオディーゼル、フライ脂肪、エレファントグラスなどのバイオマス、林業から生じる廃棄物などのバイオマス、サトウキビ、サトウダイコンなどから生産されたバイオエタノールなどの「グリーン」エネルギー源又は担体の生産は全て、家畜の大量飼育からの(下降していく)廃棄物の流れ、食品生産の廃棄物、こぼれた食品又は飼料、林業の副生成物、例えば農業及び園芸及び醸造所からの廃棄物の流れ、飼育場動物の屠畜の副生成物、及び/又は例えばバイオエタノール生産がヒトなどの貴重な食品源の供給と競合するように、他の方法で、例えばヒト食品にも適用することができる供給原料の使用に依存している。バイオディーゼル、バイオエタノール、(バイオ)メタン(バイオガス)の製造のための供給原料の供給の減少は、これらのエネルギー担体の製造を妨げる。
【0004】
発電プラントは、従来、天然ガス及び天然油及び石炭などの化石燃料を燃料とする。現在の傾向は、必要な量の化石燃料の少なくとも一部を、木材、おがくず、穀物の処理後に残っている廃棄物などのバイオマスで置き換えることであるが、化石燃料と混合するためのこのようなバイオマスの需要は増加しており、供給は限られている。
【0005】
したがって、例えば農業、園芸、林業における肥料目的のための肥料の供給の減少に関連する、及び、例えばバイオガス生産のためのバイオマスの供給源としての用途のための肥料の供給の減少に関連する、及び、例えばバイオエタノール生産のための供給原料の使用に関連するこれらの前述の問題の少なくとも1つに対する解決策が必要とされており、この供給原料は、例えば人間が消費するための食品原料の供給源として、及び/又は発電プラントに燃料を供給するための化石燃料とバイオマスとの混合物における用途のためのバイオマスの供給に等しく価値のある目的地を有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昆虫は、タンパク質回収及び有機残渣回収のための最も有望な手段のうちの1つと考えられている。示唆された用途において提案される種の代表的な例としては、アメリカミズアブ(Hermetia illucens)、イエバエ(Musca domestica)、及び、ミールワーム(Tenebrio molitor L.)が挙げられる。
【0007】
本発明の目的は、家畜の産業規模の大量飼育からの移動、及び、それに由来する生成物の消費の上述の欠点の少なくとも幾つかに対する解決策を、例えばタンパク質、脂肪の需要を満たすことを目的とした飼育の代替アプローチに提供することである。更に、本発明の目的は、グリーンエネルギー生成物の生産の上述の欠点の少なくとも幾つかに対する解決策を提供することである。更に、本発明の目的は、使用済み化石燃料の総質量に対して少なくともある割合のバイオマスを用いて、例えば発電プラントに燃料を供給することの上述の欠点の少なくとも幾つかに対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、この目的は、本発明に係る昆虫粒子又はウォーム粒子及び植物性バイオマスを含むバイオマス組成物を提供することによって達成される。
【0009】
本発明の第2の態様では、この目的は、昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物を提供するための方法であって、
a.昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を用意するステップと、
b.穀物を切削するための波形ローラミルを用意するステップと、
c.ステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を、ステップbのミルのフィーダに供するとともに、バイオマス組成物が得られるように混合物を切削するステップと、
を含む方法を提供することによって達成される。本発明の方法によって提供されるバイオマス組成物は、上述の問題の少なくとも一部に対処する用途に適している。
【0010】
本発明者らによって提供される、例えば家畜飼育、グリーンエネルギーの生産、バイオマスによる発電プラントへの燃料供給に関する上述の問題の少なくとも幾つかに対する解決策は、産業規模の昆虫飼育に前記解決策を適用する機会と一致し、それにより、例えば家畜飼育、グリーンエネルギーの生産、バイオマスによる発電プラントへの燃料供給に関する上述の問題に対する解決策の適用は、産業規模の昆虫飼育への小規模昆虫繁殖の拡大を妨げることに関する少なくともある程度の現在存在する問題を克服することと一致する。したがって、本発明のバイオマス組成物の適用は、経済的に実現可能な規模への昆虫の繁殖の拡大を可能にし、少なくともそれに寄与する。
【0011】
したがって、本発明者らは、ここで、例えばウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、家禽、魚に由来する肉の現在のライブストック繁殖に基づく消費からタンパク質及び油などの昆虫に基づく製品の消費への少なくとも部分的な切り替えの実現可能性に寄与する、産業規模の昆虫飼育に必要な資源の消費の改善、飼育場の衛生に関する廃棄物管理、並びに人間、動物、植物及び環境に対する処理のリスクの封じ込め、昆虫繁殖の真円度などに関する昆虫飼育の効率の改善に寄与する方法及び手段も開発した。
【0012】
本発明の第3の態様において、この目的は、本発明に係るバイオマス組成物の使用によって、又は、本発明の方法で得られたバイオマス組成物の使用によって、飼料、飼料素材、飼料原材料、バイオガスなどのバイオ燃料、バイオディーゼル、バイオエタノール、肥料、肥料の原材料、建材、発電プラントに燃料を供給するための燃料含有バイオマスの製造において達成される。
【0013】
本発明の第4の態様において、この目的は、発電プラントに燃料を供給するための燃料含有バイオマスを提供することによって達成され、燃料含有バイオマスは、本発明に係るバイオマス組成物を含む又は本発明の方法で得られる。
【0014】
本発明の第5の態様において、この目的は、本発明に係る又は本発明の方法で得られるバイオマス組成物を含む飼料又は飼料原材料を提供することによって達成される。
【0015】
昆虫の大規模な繁殖及び飼育は、廃棄物、死んだ昆虫、経済的な生存能力又は価値を失った昆虫、腐敗した昆虫飼料、排泄物、糞便などの流れの副産物として生じる。家畜、例えばウシ、ブタ、ニワトリの現在の大量飼育と同様に、昆虫飼育に関連するそのような廃棄物は、飼育場の昆虫繁殖/飼育区域から廃棄されなければならない。昆虫の大量生産から生じる廃棄物の流れは、多くの場合、昆虫由来物の一部又は完全な昆虫(死んでいるか生きているか)さえも含み得るので、そのような廃棄物は、関係する(国内、欧州、その他)当局によって施行された厳しい規制に従って処理されなければならない。例えば、オランダを含む欧州連合の国々において、生きている動物、動物の死体及び動物の残留物を含む飼育場廃棄物の処分、処理及び破壊は、厳密に規制されており、例えば動物の残留物を焼却することなどによる死体の完全な破壊を含む。産業的な大規模な昆虫飼育に関して、そのような規制は、現在の規制に従って、冷却貯蔵などによる飼育場での収集及び貯蔵、並びに昆虫の死体の廃棄などの対策を講じなければならないため、最適な昆虫飼育条件を妨げる。このような厳しい動物の死体及び動物の残留物の処分の規制に適応することは、幼虫などの死亡昆虫が、幼虫などの昆虫を含む飼料基材などの混合物の一部として提示されることが多いため、産業昆虫飼育にとって更に厄介である。したがって、昆虫の死体のみを当局に提供することは妨げられるとともに分離ステップ及び洗浄ステップを必要とし、これは、このような廃棄物の局所的な処理に起因して汚染、感染などのために飼育場で局所的なリスクをもたらす可能性がある。昆虫のサイズに起因して、例えば毎日、毎週又は更には毎月処分及び破壊されるべき昆虫の屠体の体積又は質量は、例えば家禽、ブタ、ヤギなどの現在の飼育と比較して比較的制限される可能性があるが、死亡した昆虫が考慮される場合には飼育場で適時に適切且つ効率的な廃棄物管理が依然として重要であることを考慮すると、例えば感染、臭気などのリスクの封じ込め及び管理が重要である。しかしながら、例えば毎日のような昆虫排泄物の即時処分は、単離された昆虫の屠体が考慮される場合には廃棄物の体積が比較的小さいため、収集、輸送、及び破壊のためのコストが高くなる。
【0016】
本発明者らは、この時点で、驚くべきことに、昆虫粒子を含むバイオマス組成物が提供されるように、飼料基材、すなわち植物性バイオマスとの関連で、昆虫の大量飼育中に廃棄物として発生している又は特定の昆虫繁殖ステップの副産物である(飼育場での)生きた昆虫及び死んだ昆虫の処理が、労働の観点、時間消費の観点、及び資源の効率的な使用及び再利用の観点のいずれもから、産業規模の昆虫飼育場又は昆虫繁殖工場での効率的且つ効果的な廃棄物管理のためのアプローチを提供するだけでなく、同時に、原料バイオ材料の貴重な供給、又は例えば施肥目的、燃料発電プラント、グリーンエネルギーの生産のためのすぐに使用可能な最終生成物バイオマス材料のいずれをも提供し、前記処理されたバイオマスの比較的障害のない処分を可能にすることを確証した。
【0017】
定義
「周囲の」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、何かを取り囲むものを指す。したがって、周囲空気は、本発明に係る生昆虫輸送装置を取り囲む空気を指す。
【0018】
「昆虫」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、昆虫の全ての段階、例えば、蛹、成虫、新生幼虫、幼虫、前蛹を指す。更に、簡潔にするために、昆虫という用語は、特に明記しない限り、又は通常の科学的意味が言及されていることが文脈から明らかである場合を除き、一般に、アメリカミズアブなどのハエを含む節足動物、及びダニを含む節足動物にも関する。本発明の文脈における昆虫という用語は、節足動物、ダニ、ハエ、及び、アメリカミズアブ(Hermetia illucens)、特にその幼虫段階、イエバエ(Musca domestica)、ミールワーム(Tenebrio molitor L.)、レイウィング(例えば、Chrysoperla carnea))、甲虫類(例えば、Cryptolaemus montrouzieri)、任意の種類の肉食昆虫(例えば、Macrolophus pygmaeus)、他の昆虫、例えば花粉媒介動物(例えば、オニオンフライ、Delia antiqua)、及び、任意の種類の肉食甲虫(例えば、温室ローブビートル、Dalotia coriaria)、並びに、テレストリックフライ種を指し得る。
【0019】
「粒子」という用語は、現在の本文を通してその通常の科学的意味を有し、ここでは、体積、密度又は質量などの幾つかの物理的又は化学的特性に起因し得る小さな局所的な物体を指す。本発明の文脈において、粒子に関しては、巨視的粒子が参照される。昆虫粒子及び粒子状昆虫の文脈において、粒子という用語は、断片化された昆虫、頭部、翼、脚、身体部分、表皮、胸郭、腹部、腸などの昆虫の部分、(キチン)外骨格(部分)、切断された昆虫、破砕された昆虫、凍結乾燥された昆虫又はその部分、分解された昆虫、崩壊した昆虫、死虫を加熱した後に得られたような乾燥された昆虫、昆虫を焼却した後に残ったものなど、並びに変形した昆虫、例えば、昆虫、卵殻、卵内容物などを圧縮、ハンマーで打つ、切削する際に変形した昆虫、歪んだ昆虫などを示す。
【0020】
「粒子状」という用語は、現在の本文を通してその通常の科学的意味を有し、ここでは、粒子状昆虫、昆虫の粒子状幼虫、粒子状穀物、小麦粉、切削昆虫などの粒子から構成される何かを指す。
【0021】
「バイオマス」という用語は、本文を通してその通常の科学的意味を有し、ここでは、例えば(グリーン)エネルギー生産、熱生産に使用される、又は、製品の原料として様々な産業プロセスで使用される植物材料又は動物材料を指す。バイオマスは、意図的に栽培されたエネルギー作物(例えば、ミスカンサス、スイッチグラス)、木材又は森林残渣、食用作物からの廃棄物(ムギワラ、バガス)、園芸(ヤード廃棄物)、食品加工(トウモロコシ穂軸)、動物飼育(窒素及びリンに富む肥料)、又は下水プラントからの人間の廃棄物であり得る。
【0022】
「植物性バイオマス」という用語は、本文を通してその通常の科学的意味を有し、ここでは、草、木材、小麦、穀物一般、米、ジャガイモ、サトウキビ、果物、作物、野菜、根菜、ビート、ニンジンなどの植物材料であるバイオマスを指す。
【0023】
篩分析(又はグラデーション試験)は、粒子状材料(粒子状材料)の粒度分布(グラデーション)を、粒子状材料が徐々に小さいメッシュサイズの一連の篩を通過できるようにするとともに、それぞれ個々の篩によって保持される粒子状材料の量を全質量の一部として計量する(ASTM C136/C136M-14 Standard Test Method for Sieve Analysisに従って実行され、これは「Book of Standards」、第04.02巻に掲載されている規格のバージョンであり、最後の変更は2014年12月1日にASTMによって承認されている)ことによって評価するために使用されるプラクティス又は手順である。
【0024】
「生きている」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、健康な状態にあって通常の平均寿命が期待される生物を指す。
【0025】
「グリーンエネルギー」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、エネルギーの人間による使用が将来の世代が自身のニーズを満たす能力を損なうことなく現在のニーズを満たすという原理に関する持続可能なエネルギーを指す。一般的には、グリーンエネルギーは、水力、地熱、バイオマス及びバイオ燃料、風力、太陽熱加熱、太陽光発電、海洋エネルギーから誘導されるか又はそれらの助けを借りて生産されるエネルギーを指し、可変再生可能エネルギーのための技術を可能にする。
【0026】
「バイオ燃料」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、石油、チャー石炭、化石ガスなどの化石燃料の形成に関与する非常に長い巻回の地質学的プロセスによって生成される燃料ではなく、バイオマスから現代のプロセスを通して生成される燃料を指す。
【0027】
ローラの文脈における「波形」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここではローラの外面上の一連の平行な隆起部及び溝を指す。
【0028】
ローラの文脈における「溝切り」又は「溝付き」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、カラム、すなわちローラの外面に垂直に延びる溝を指す。
【0029】
ローラの文脈における「溝の螺旋」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、ロールの表面上の水平線に対する溝の傾斜角を指す。
【0030】
「微粒子化された」という用語は、その通常の科学的意味を有し、ここでは、物質又は化合物又は凝集体又は穀物又は粒子が、物質などに何らかの力、圧力などを加えることによって微粒子化されることを指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】単一の1組の波形ローラと、原料バイオ廃棄物を受けるための容器と、ローラミルによって切削された粉砕バイオ廃棄物を受けるための容器とを備えるローラミルを示す。
【
図1B】
図1Aに示されるローラミルの波形ローラの表面の詳細を示し、波形ローラは、非対称の歯を有する波形溝付きローラであり、切断角度はバック角度よりも小さい。
【
図1C】波形ローラのローラ軸線及び溝の螺旋を示している、
図1Aに示されるローラミルの波形溝付きローラの上面図を示す。
【
図1D】
図1Aに示されるローラミルの変形例を示し、ローラミルは波形ローラのセットを備え、ローラは、螺旋のない直線状の平行に延びる溝を備える。
【
図1E】
図1Dに示されるローラミルの波形ローラの表面の詳細を示し、波形ローラは、対称的な歯を有する波形溝付きローラであり、切断角度と背面角度は本質的に同じである。
【
図1F】波形ローラ表面におけるローラ軸線及び螺旋のない直線平行に延びる溝を示している、
図1Dに示されているローラミルの波形溝付きローラの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図面に関連して説明されるが、本発明は、それに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。描かれた図面は、単なる概略図であり、非限定的である。図面において、幾つかの要素のサイズは、例示目的のために誇張されて縮尺通りに描かれない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
【0033】
別段に規定されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。更に、明細書本文及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素間を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的な順序を表わすためではない。これらの用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、また、本発明の実施形態は、本明細書中で説明され又は例示される以外の順序で動作し得る。
【0034】
更に、明細書本文及び特許請求の範囲における上端、下端、上方、下方などの用語は、説明目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、また、本明細書中で説明される本発明の実施形態は、本明細書中で説明され又は例示される以外の向きで動作し得る。
【0035】
本明細書中に記載される本発明の実施形態は、別段に明記されなければ、組み合わせて及び協働して動作できる。
【0036】
更に、様々な実施形態は、「好ましい」又は「例を挙げると」又は「例えば」又は「特に」と称されるが、本発明の範囲を限定するものとしてではなく、本発明を実施できる典型的な態様として解釈されるべきである。
【0037】
請求項で使用される「備える」という用語は、その後に列挙される要素又はステップに限定されると解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除しない。この用語は、言及されたような述べられた特徴、整数、ステップ、又は、構成要素の存在を指定するものとして解釈される必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、又は、構成要素、或いは、これらのグループの存在又は付加を排除しない。したがって、「A及びBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではなく、むしろ本発明に関しては、装置の唯一の列挙された構成要素がA及びBであり、更に、特許請求の範囲は、それらの構成要素の同等物を含むものとして解釈されるべきである。
【0038】
本発明の一態様は、昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物に関する。
【0039】
一実施形態は、植物性バイオマスが、穀物又はその構成要素、根菜の塊茎又はその一部分又は構成要素、木、例えば、おがくず、細断された枝、果実、野菜、作物、植物、又はその断片、構成要素又は部分の1つ以上である、本発明のバイオマス組成物である。
【0040】
一実施形態は、穀物が小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米のうちの1つ以上であり、及び/又は根菜の塊茎がジャガイモ、茎、ビート、ニンジンのうちの1つ以上である、本発明に係るバイオマス組成物である。無論、粒子状穀物、野菜、植物、樹木(の一部)、種子を提供するのに適した他の穀物、野菜、植物、根、樹木(の一部)、種子なども、植物性バイオマスの供給源として等しく適している。本発明者らは、特に、粒子状昆虫及び植物性バイオマスを含む本発明のバイオマス組成物の提供が、昆虫が、昆虫の(成熟)幼虫、例えば、成熟幼虫、例えば、15~20日齢のアメリカミズアブ、(粒子状)穀物及び場合により根菜の(粒子状)塊茎と組み合わされたアメリカミズアブの(成熟)幼虫である場合、農業、グリーンエネルギー生産などにおける前記バイオマス組成物の適用に適していることを立証した。
【0041】
一実施形態は、植物性バイオマスが、小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米などの穀物の粉砕穀物及び/又は小麦粉を含み、及び/又は、前記植物性バイオマスが、ビート、ジャガイモ及びニンジンの1つ以上などの根菜の塊茎を含み、前記根菜の塊茎が、好ましくは、例えば根菜の根の微粒子化された、破砕された、粉砕された、スライスされた、切削された、及び、細断された塊茎のいずれか1つ以上の部分で提供される、本発明によるバイオマス組成物である。
【0042】
一実施形態は、昆虫粒子が、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有し、平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法(バージョン2014年12月1日)で決定され、及び/又は、植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する、請求項4に記載の根菜の塊茎の部分を含み、平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、本発明に係るバイオマス組成物である。一実施形態は、昆虫粒子が、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有し、平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法(バージョン2014年12月1日)で決定され、及び/又は、植物性バイオマスが、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有する本発明に係る根菜の塊茎の部分を含み、平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、本発明に係るバイオマス組成物である。
【0043】
或いは、3mm~40mmの平均粒径は、粉砕昆虫粒子のような巨視的粒子の長さ、幅、高さを測定するための従来の手段を使用して決定することができる。例えば、3mm~40mm(長さ、幅、高さ)のサイズ範囲を有する昆虫粒子のサイズは、(n)(電子)ノギス又は定規を使用して測定される。例えば、昆虫は、アメリカミズアブの幼虫などの成熟幼虫である。例えば、そのような幼虫は、そのような無傷の幼虫、例えば生きている幼虫を粒子状幼虫に移す前に、約20mm(長さ)及び約5mmの断面)の平均サイズを有する。例えば、本発明のバイオマス組成物中の幼虫粒子、例えば、アメリカミズアブ成熟幼虫(例えば14~23日齢)は、8mm~23mmの長さ、4mm~7mmの幅及び0.4mm~3mmの高さを有する。一般的には、本発明のバイオマス組成物を構成する昆虫粒子がアメリカミズアブ幼虫粒子である場合、そのような粒子の少なくとも一部のサイズは、例えば17mm~22mm×5~6mm×1mm~2mmである。更に、随意的に、昆虫粒子の更なる画分は、平均サイズがより小さい粒子状幼虫、例えば平均サイズが50マイクロメートル~500マイクロメートルの粒子として提供される。この更なる画分は、例えば、アメリカミズアブ幼虫などの幼虫の腸などの昆虫の粒子状腸として提供される。
【0044】
一実施形態は、昆虫粒子が、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有する、本発明に係るバイオマス組成物である。
【0045】
一実施形態は、昆虫粒子が、10mm~40mm×3mm~10mm×0.4mm~4mmの平均粒径を有する、本発明に係るバイオマス組成物である。
【0046】
一実施形態は、バイオマス組成物に含まれる昆虫粒子が、アメリカミズアブの幼虫粒子を含む又はアメリカミズアブの幼虫粒子からなり、これらの粒子が、17mm~22mm×5mm~6mm×1mm~2mmの平均サイズを有する、本発明に係るバイオマス組成物である。
【0047】
バイオマス組成物中のこれらの範囲内のサイズ又はサイズを有する昆虫粒子は、環境又は人間がバイオマス組成物と接触しているときに、例えば環境又は人間に脅威を与えない非屠畜施設廃棄物としてバイオマス組成物の廃棄を可能にするのに十分に小さい。したがって、本発明によれば、バイオマス組成物に含まれる昆虫粒子の粒径は、ヒト対象がバイオマス組成物と接触しているときに、バイオマス組成物がヒト対象に健康上のリスクをもたらさないようなものである。更に、バイオマス組成物中の昆虫粒子の(小さい)サイズのために、バイオマス組成物は、例えば欧州連合の規制の下で非有害物質として等級付けされる。これにより、面倒で費用集約的な安全対策を必要とせずにバイオマス組成物の廃棄が可能になる。更に、アメリカミズアブの幼虫などの無傷の全昆虫のサイズに対する昆虫粒子のサイズに起因して、バイオマス組成物は、例えば肥料、バイオ燃料などとしての使用に適している。バイオマス組成物の含水量と、バイオマス組成物の重量に基づく昆虫粒子の相対量との選択された組合せに起因して、バイオマス組成物は、驚くべきことに、本発明の方法によって提供され、昆虫粒子を有するバイオマス組成物は、これらの範囲内の粒径を有する。一般的には、含水量は、バイオマス組成物の質量に基づいて重量で10%~65%、例えば約50%である。本発明の方法は、驚くべきことに、一般的にはバイオマス組成物の含水量がバイオマス組成物の質量に基づいて重量で10%~65%である場合、これらのサイズ範囲内のサイズを有する昆虫粒子へのアメリカミズアブの幼虫の粉砕に適している。
【0048】
一実施形態は、植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する切削された穀物、粒子状穀物又は穀物粉を含み、平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法(バージョン2014年12月1日)を用いて決定される、本発明に係るバイオマス組成物である。そのような細粒粒子は、ブタを飼育するための供給原料として提供される消費者粉又は切削された穀物と同様に、発電プラントにおけるバイオ燃料などのバイオマス組成物の効率的な適用に寄与し、園芸における肥料として、及び例えばバイオマス組成物中に粒子形態で含まれる昆虫などの昆虫を飼育するための飼料の提供における飼料原材料として寄与する。例えば、アメリカミズアブ幼虫の飼育は、生廃棄物の供給源、すなわち幼虫の大部分が収穫される飼料基質中の生きている成熟幼虫及び死んだ成熟幼虫を送達する(例えば、飼料基材を含む容器内で飼育された幼虫の数の90%~99.9%、飼料基材は、穀物の混合物、単粒、穀物とジャガイモ及び/又はビートの混合物などからなる)。そのようなバイオ廃棄物は、粒子状幼虫を含む飼料基材の混合物が提供されるように切削又は粉砕され、この混合物は本発明に係るバイオマス組成物である。一般的には、本発明のバイオマス組成物で適用される粒子状アメリカミズアブ幼虫は、幼虫の表皮、(粒子状)幼虫の腸、圧縮及び/又は変形された幼虫を備え、そのような圧縮及び変形された幼虫は、一般的にはそれらの腸を欠いている。例えば、粒子状幼虫(昆虫粒子)の少なくとも一部は、平坦な「ゴースト」幼虫として存在し、腸を欠いており、腸が表皮から事前に押し出されるという事実のために平坦な収縮した外観を有する。
【0049】
一実施形態は、バイオマス組成物が、水、好ましくはバイオマス組成物の重量で10%~60%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の水などの液体を更に含む、本発明に係るバイオマス組成物である。そのようなバイオマス組成物の供給源は、例えば、組成物の重量で35%~40%の水を含み、例えば、穀物、作物、ジャガイモ、ビートなどの野菜飼料原材料を含む飼料基材であり、これは、幼虫、一般的にはアメリカミズアブの幼虫などの昆虫の(質量)飼育に以前に適用され、飼料基材は幼虫などの昆虫が豊富である。そのような幼虫は、死んでいるか若しくは生きているか、又は死んでいるものと生きているものとの組合せであり、そのような幼虫に加えて、例えば幼虫の表皮も存在する。本発明のバイオマス組成物を提供するために、幼虫を含むこのような湿式飼料基材は、例えば穀物粉(穀物粒子)及び水の状況で昆虫粒子が提供されるように微粒子化ステップに供される。微粒子化ステップは、一般的には、ローラ粉砕機、例えば波形ローラミルを使用した切削などの粉砕及び切削を含む。
【0050】
一実施形態は、バイオマス組成物が、水、好ましくはバイオマス組成物の重量で1%~10%、より好ましくは重量で2%~8%、最も好ましくは重量で3%~6%の水などの液体を更に含む、本発明に係るバイオマス組成物である。本発明のそのようなバイオマス組成物は、一般的には、水分を廃棄し、最初に提供された本発明のバイオマス組成物の含水量を低下させるための乾燥又は凍結乾燥ステップに既に供されている。そのような低含水量バイオマス組成物は、例えば、存在する水が蒸発するように予め加熱ステップに供され、それにより、例えばバイオマス組成物の重量で4%~5%の含水量を有するバイオマス組成物が提供される。初期含水量の少なくとも一部を蒸発又は廃棄するための本発明のバイオマス組成物の乾燥は、例えば、当技術分野で公知の空気乾燥、屈折乾燥、加熱などの手順を使用して確立される。
【0051】
昆虫がアメリカミズアブの幼虫などの幼虫である、本発明に係るバイオマス組成物が好ましい。一般的には、幼虫は成熟した幼虫であり、これは、そのような幼虫が前蛹になる直前の成長の齢及び段階にあることを意味する。そのような成熟幼虫は、最大サイズであり、脂肪及びタンパク質などの貴重な化合物の含量が最大である。そのようなアメリカミズアブの成熟幼虫は、例えば、高い栄養価、高い油含有量、ミネラル含有量、例えば、まさに同じ種類のアメリカミズアブの幼虫を飼育するための飼料原材料の供給源として幼虫を適用するのに有益なアミノ酸組成物、又は別の節足動物の幼虫を有する。アメリカミズアブ成熟幼虫などの幼虫を考慮する場合、本発明のバイオマス組成物は、一般的には、アメリカミズアブ幼虫の粒子状腸及び/又は腸を欠くこのような幼虫の体を含む。
【0052】
一実施形態は、バイオマス組成物が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、成虫、成体昆虫、昆虫の胚、成熟幼虫、昆虫の腸、キチン外部骨格、翼、脚、頭、胸郭、腹部のうちの1つ以上から選択される任意の1つ以上の昆虫粒子を含む、本発明に係るバイオマス組成物である。これらの部分、断片などのいずれかは、単独で、又は列挙された更なる部分、断片、粒子と組み合わせて、植物性バイオマスと組み合わせて、肥料源、発電プラント用燃料、例えば幼虫を飼育するための飼料原材料、家畜用飼料を製造するための飼料原材料などを提供する。
【0053】
一実施形態は、バイオマス組成物が、バイオマス組成物の重量で0.01%~25%、好ましくは重量で0.5%~20%、より好ましくは重量で1%~15%、最も好ましくは重量で2%~10%の昆虫を含み、昆虫が好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、本発明に係るバイオマス組成物である。例えば、植物性バイオマスが、ジャガイモ及び/又は(部分、粒子)ビートと任意に混合された少なくとも穀物である場合、質量/質量基準での昆虫断片の含有量は、バイオマス組成物の総重量に基づいて0.8%、~3.5%の昆虫である。一般的には、昆虫は、前蛹に変態する前の、好ましくは48時間未満、より好ましくは24時間未満、最も好ましくは12時間未満の、10日齢~25日齢又は72時間未満の段階の成熟アメリカミズアブ幼虫などの幼虫である。このようにして、粒子状幼虫は、本発明のバイオマス組成物中の植物性バイオマスを、例えば脂質、脂肪、タンパク質などで最適に富化する。
【0054】
一実施形態は、バイオマス組成物が、バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~60%、好ましくはバイオマス組成物の重量で1%~40%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%の量の水などの液体を更に含む、本発明のバイオマス組成物である。
【0055】
一実施形態は、バイオマス組成物が、バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~70%、好ましくはバイオマス組成物の重量で1%~65%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%、例えば5%~70%及び10%~65%の量の水などの液体を更に含む、本発明のバイオマス組成物である。
【0056】
一実施形態は、バイオマス組成物が、水、好ましくはバイオマス組成物の重量で10%~60%又は重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の水などの液体を更に含む、本発明のバイオマス組成物である。一般的には、バイオマス組成物中の液体が水である。一般的には、バイオマス組成物の含水量は、バイオマス組成物の重量に基づいて10%~35%、例えば約50%である。
【0057】
一実施形態は、バイオマス組成物が、バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、本発明のバイオマス組成物である。一般的には、バイオマス組成物の乾物含有量は、バイオマス組成物の重量に基づいて35%~90%、例えば約50%である。
【0058】
一実施形態は、昆虫が、幼虫、例えば、アメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブの幼虫である、本発明のバイオマス組成物である。
【0059】
本発明の第2の態様は、昆虫粒子又はウォーム粒子とバイオマスとを含むバイオマス組成物を提供するための方法であって、
a.昆虫及びバイオマスを含む混合物を用意するステップと、
b.粒子を切削するためのローラミルを用意するステップと、
c.ステップaの昆虫及びバイオマスを含む混合物を、ステップbのミルのフィーダに供するとともに、バイオマス組成物が得られるように混合物を切削するステップと、
を含む方法に関する。
【0060】
ローラミルは、好ましくは波形ローラミルである。更により好ましいのは、波形溝付きローラミルが適用される本発明の方法である。波形ローラの表面の溝は螺旋状溝であることが好ましい(
図1Cも参照)が、直線状の平行溝を有する波形ローラも本発明の方法に適用可能である(
図1Fも参照)。そのようなローラミルは、穀物切削の技術分野で知られている。本発明者らは、ここで、驚くべきことに、昆虫と、例えば穀物と、場合により更なる穀物及び/又はジャガイモ及び/又はビートとの混合物が、好ましくは波形ローラミルなどのローラミルに供給されるときに効率的に切削及び粉砕されることを確証した。本発明の方法では、一般的には15%(重量基準)の水分含有量を有する乾燥生成物、例えば小麦及びトウモロコシなどの穀物、並びにトウモロコシ及び米などの一般的には14%以下の水分含有量を有する乾燥生成物の粉砕及び切削のために設計され、したがってそれらに適した波形ローラミルが適用されるが、少なくとも昆虫とバイオマスとの混合物の効率的な粉砕が確立される。
【0061】
驚くべきことに、本発明のバイオマス組成物を提供するために適用された供給原料、すなわち、生きている幼虫及び死んだ幼虫及び穀物並びに場合によりジャガイモ又はビートの比較的湿った塊(水分含有量は、一般的には、供給原料の総質量の少なくとも40%)は、比較的乾燥した穀物(水分含有量は、一般的には、穀物の総重量に基づいて14%以下)のために波形ローラミルを使用して効率的に粉砕され、ローラが濡れたり、詰まったり、(部分的に)粉砕された材料又は粉砕されていない供給原料材料の汚れによって詰まったりすることはなかった。ローラミルは、数時間から数日にわたって稼働及び切削することができ、幼虫/穀物のトンを中断されることなく及び妨害された粉砕に関連するいかなる困難も伴わずに処理(切削)する。対照的に、本発明者らは、本発明のバイオマス組成物を製造するための供給原料の含水量と同様又はそれより高い比較的高い含水量を有する供給原料の微粒子化、切削、粉砕、スライスなどのために特別に設計された方法及び装置が、本発明のバイオマス組成物の提供に適していないことを立証した。すなわち、例えば、従来のペレタイザー、従来のマルチクラッカー、従来の破砕機、従来のピンミル、従来のスクリュープレス、従来の肉挽き機、及び従来のハンマーミルは、全て当技術分野で知られており、本発明のバイオマス組成物を提供するための本発明の方法で適用される供給原料の微粒子化には全て適していないことが判明した。当技術分野で知られているこれらの微粒子化技術の適用に関するこれらの失敗の更なる詳細については、以下の実施例セクションも参照されたい。穀物用の波形ローラミル以外のこれらの方法及び物質の微粒子化のための手段の最も一般的な欠点は、供給原料中の粒子及び/又は(部分的に)加工された供給原料による切断、ハンマー加工、スライスなどのための手段の目詰まりであり、これは、波形ローラ切削加工以外の試験されたこれらの微粒子化方法の適切な適用には明らかに高すぎることが判明した。
【0062】
本方法のステップaの混合物によって構成されるバイオマスは、好ましくは植物性バイオマス又は植物系バイオマスである。ウシの肥料、家禽の肥料、ブタの肥料などのバイオマス、卵、肉、動物全体、魚などに由来する乳製品又はその成分に関連する有機バイオマスもまた、本方法のステップaの昆虫及びバイオマスの適切な混合物を提供するのに十分であり得る。本発明者らは、本方法のステップaの混合物を提供するために、死虫若しくは生きている幼虫又はそれらの混合物と、場合により幼虫の表皮と混合された植物性バイオマスとの混合物を試験し、そのような混合物が、本方法のステップcのときに安定な自由流動性バイオマス組成物を提供することを見出した。
【0063】
一実施形態は、ステップaの昆虫が幼虫、好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、本発明の方法である。一般的には、本発明によれば、昆虫は、アメリカミズアブの死んだ成熟幼虫と生きた成熟幼虫の混合物、又は幼虫の任意の他の供給源である。死亡した昆虫のみ、又は生きている昆虫のみからなる昆虫の供給源、例えば10日齢~23日齢、好ましくは15日齢~23日齢、例えば10~16日齢のアメリカミズアブ幼虫が同様に好ましい。
【0064】
一実施形態は、ステップaの植物性バイオマスが、ジャガイモ、ビート、ニンジンなどの根菜の粉砕穀物又は小麦粉及び塊茎粒子などの粒子状穀物のうちの少なくとも一方、好ましくは少なくとも1つの粉砕穀物又は少なくとも1つの粉砕穀物とビートの粒子状ジャガイモ又は塊茎粒子との混合物を含む、本発明の方法である。植物性バイオマスなどと昆虫との混合は、(波形)ローラミルを適用することによる混合物の効率的で邪魔にならない切削に特に適していることが実証された混合物を提供する。すなわち、混合物の数トンは、半連続切削プロセス又はバッチ式切削サイクルで切削可能であり、例えば粘着性及び粘着性の粒子状昆虫の付着によってローラミルが詰まることなく、数トンのバイオマス組成物、すなわち本発明のバイオマス組成物を提供する。動作中の波形ローラミルなどのローラミルの詰まりは、そのようなバイオマス製品の重量で15%を超える含水量を有するペースト、作物、野菜などを切削するときに直面する一般的な問題である。一般的には、ローラ表面に製品の汚れが蓄積するために必要な洗浄ステップを必要とせずに、本発明の方法において(波形)ローラミルを使用して、穀物及び幼虫などの昆虫の混合物を用いて、長時間の粉砕及び切削が行われる。本発明者らは、昆虫と植物性バイオマスとの混合物が、例えば植物性バイオマスが穀物を含む場合、及び例えば混合物中の昆虫が、例えば昆虫の表皮、昆虫の断片とは別に、成熟した幼虫を含む場合、微粒子昆虫を含む小麦粉を提供するローラ切削に非常に適していることを立証した。
【0065】
一実施形態は、ステップbにおいて、波形ローラミルが溝付きローラを含むミルである、本発明の方法である。そのような波形溝付きローラミラーを適用した場合、1時間当たりのトン単位の切削プロセスのターンオーバーに関して、及び動作中のローラミラーの目詰まりの回避に関して特に良好な結果が観察された。昆虫がアメリカミズアブ成熟幼虫である場合、及びバイオマスが、場合によりジャガイモ又はビート(部分、粒子)と混合された小麦などの穀物などの植物性バイオマスである場合、従来の波形ローラミルを用いて、本発明の方法を使用することにより、最大5、5トン/時間の代謝回転が達成された。そのような従来の波形(溝付き)ローラミルは、一般的には、約80cm~200cm、好ましくは100cm~150cmの長さを有する2つのローラ、例えば100cm又は150cmの長さを有する波形溝付きローラを有するローラミルを有するが、200cmを超える長さを有するローラも本発明の方法での使用に適しており、ローラの直径が20cm~40cm、一般的には約25cmであり、水分含有量が一般的には穀物の重量の約14%である穀物を考慮した場合の処理能力が、ローラが100cmの長さ及び25cmの直径を有する場合、8~25トン/時である。本発明の方法では、約32°などの約20°~45°の切断角度α、約55°~75°の背面角度β、一般的には約65°、75°~130°の角度和、2/cm~4/cmの波形数を有する溝付き波形を含む波形溝付きローラミルが有益に使用され、(溝付き)波形の深さは0.75mm~1mmである(
図1A~
図1Cも参照)。好ましくは、波形はねじれた波形であり、溝付きローラは、ローラの表面上に通常6%~12%のねじれ又は螺旋を有する波形を有する。直線状に延びる平行な波形であるが、溝付きローラは、ローラの表面上にねじれ又は螺旋のない波形を有するが、本発明の方法にも適用可能である(
図2E~
図2F)。本発明の方法で適用される波形ローラミラーの2つのローラ間の速度差は、一般的には1:1(
図1D)~と1:2.5(
図1A)、例えば1:1.2、1:1.5又は1:2である。ステップaの混合物を粉砕するための波形ローラミラーを適用する場合、第1のローラの速度と第2のローラの速度との間にこのような速度差(すなわち、2つのローラはrpmで異なる速度で作動している)を適用すると、バイオマス組成物の製造に関して、最大5.5トン/時の回転率が達成された。2つの溝付きローラ間の距離は、一般的には0.7mm~1、7mm、好ましくは約1mmであり、方法のステップaの混合物が成熟幼虫、例えばアメリカミズアブ幼虫、及び/又は成熟幼虫などの生きている昆虫の死体を含む場合、目詰まりの回避及び波付きローラの表面への幼虫の腸などの残留昆虫の付着の回避に関して良好な結果が得られた。
【0066】
本発明の方法では、例えば、少なくとも1つの粉砕穀物を含む幼虫及び幼虫供給原料の混合物として提供される、生きているか又は死んでいるかのいずれかの約20mmの長さ及び約5mmの断面を有するアメリカミズアブの成熟幼虫又はそれらの混合物は、切削時に腸から排出される屠体について長さ10~21mm、幅4~6mm及び高さ0.5~3mmの一般的な寸法を有する粒子状幼虫に切削され、腸粒子が幼虫の体内から押し出され、そのような腸粒子は、0.01mm~0.9mm、好ましくは0.02mm~0.8mm、より好ましくは0.05~0.6mmの平均粒径などの粒子状幼虫より小さい平均寸法を有し、平均粒径は、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法(2014年12月1日版)で決定される。或いは、平均粒径は、当技術分野で公知の従来の(電子)定規又は従来の(電子)キャリパーを使用して等しく好都合に決定することができる。ステップaのバイオマスは、一般的には植物系バイオマス、より具体的には切削された穀物である。
【0067】
一実施形態は、バイオマス組成物が、0.01mm~0.9mm、好ましくは0.02mm~0.8mm、より好ましくは0.05~0.6mmの平均粒径を有する幼虫粒子を含み、平均粒径が、の篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法(バージョン2014年12月1日)で決定される、本発明のバイオマス組成物又は本発明の方法である。一実施形態は、バイオマス組成物又は提供されるバイオマス組成物が、アメリカミズアブ幼虫粒子も更に含み、これらの粒子が、17mm~22mm×5mm~6mm×1mm~2mmの平均サイズを有する、本発明のバイオマス組成物又は本発明の方法である。そのような粒子のサイズは、一般的には、従来の(電子)定規又はノギスを使用して測定される。
【0068】
一実施形態は、この方法のステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、例えば、方法のステップaの混合物の重量に基づいて3%~75%、好ましくはバイオマス組成物の重量で4%~70%の水、より好ましくはバイオマス組成物の重量で8%~60%、最も好ましくはバイオマス組成物の重量で12%~50%の含水量の水などの液体を更に含む、本発明に係る方法である。例えば、混合物は、本発明の方法のステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物の総重量に基づいて42%の~52%の水分を含む。驚くべきことに、この方法は、ステップaの混合物中の植物性バイオマスとしての昆虫と穀物の湿潤穀物又は湿潤粉との混合物との使用にも等しく適用可能である。これは、乾燥トウモロコシ、乾燥トウモロコシ、乾燥大麦などの穀物の重量に基づいて9%~14.5%の一般的な水分含有量を有する通常の乾燥穀物での個々の使用に適用可能だからである。すなわち、混合物の重量に基づいて、例えば、約2%~3%など、混合物の重量に基づいて1%~5%の量の昆虫の混合物と、混合物の重量に基づいて40%~50%、一般的には約45%の水分含有量を有する1つ以上の粉砕穀物とが、例えば、100cm(長さ)及び25cm直径のローラを備えた波形ローラミラーにより、1mmの距離を隔てて、溝付き波形を用いて、それぞれ100rpm~300rpm及び200rpm~600rpm、一般的にはそれぞれ250rpm及び500rpmの一般的なローラ速度1及びローラ速度2で、妨げられずに切削される。或いは、ローラ1及びローラ2のローラ速度は等しい、すなわち、本方法では速度差は適用されない。例えば鋼製のローラが適用される場合、破砕され、圧縮され、切断された昆虫、昆虫の腸粒子、湿潤穀物の付着は、本発明の方法によって完全に回避される。したがって、本発明の方法では、バイオマス組成物の重量の約45%もの高さの水分含有量を含むバイオマス組成物の提供がもたらされるが、波形ローラミルは、軟質小麦、デュラム小麦、コーン、トウモロコシ、ライ麦、オート麦、大麦、キビ、モロコシ、ソバ、麦芽などの乾燥穀物から乾燥小麦粉を提供するように設計され適切であり、これらは全て、例えば幼虫と、場合により水と混合されて混合物の重量の少なくとも25%の最終水分含有量になる場合、本方法のステップaの混合物の一部であり得る。
【0069】
一実施形態は、ステップcに続くステップdを更に含む、本発明に係る方法であり、ステップdは、本発明のバイオマス組成物が、例えば小麦の穀物などの湿った穀物、例えば小麦の穀物の粉の水分含有量に類似して、バイオマス組成物の重量に基づいて45%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、例えば12%~14%などの水分含有量を与えられるように、例えば太陽熱による加熱、バイオマス組成物の上及び/又はそれを通る(高温の)空気の吹き付けによる、与えられたバイオマス組成物の乾燥からなる。本発明の方法によって提供されるバイオマス組成物又は本発明のバイオマス組成物は、当技術分野で公知の乾燥技術及び装置を適用して、凍結乾燥、凍結乾燥、屈折乾燥などの際に乾燥バイオマス組成物として与えられてもよい。
【0070】
一実施形態は、ステップbにおいて、波形ローラミラーが1mmの距離を隔てて配置された波形ローラを備え、2つのロールは、ローラがシャープモードに合わせてシャープであるように互いに対して配置される、本発明の方法である。本発明者らは、幼虫と穀物との混合物を考慮する場合、及び処理量を考慮する場合、すなわち本発明のバイオマス組成物の最大5、5トン/時間を考慮する場合に、特定の高速切削を達成した。一般的には、本発明の方法で提供されるバイオマス組成物中の幼虫粒子の重量は、バイオマス組成物の重量で1%~4%、例えば1.5%~3%、例えば約2%である。ステップcの切削において、例えば2つの穀物の混合物、又は単一種の穀物中のこのような量の幼虫の混合物を約45%の含水量まで濡らすと、本発明のバイオマス組成物の迅速で信頼性のある連続的な流れが得られる。アメリカミズアブの成熟幼虫が方法のステップa.において(生きた及び/又は死んだ)昆虫の供給源として提供される場合、一般的には及び好ましくは約80~220匹のそのような幼虫が混合物のkg当たり存在し、混合物は、一般的には、混合物の総重量に基づいて40%~50%の水分を含む。そのような1kgの混合物あたりの幼虫の数は、切削中の丈夫なペースト又は粘着性の生地のような組成物の形成を妨げ、そうでなければバイオマス組成物製造の高スループットを妨げる。
【0071】
一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、混合物の重量で0.5%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で1.5%~15%、最も好ましくは重量で2%~8%の昆虫を含み、昆虫が好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、本発明の方法である。この方法は、1mmなどの0.6~1、4mmの距離を隔てて配置された波形ローラ間の空間を詰まらせることなく、方法のステップcにおける高スループットに関して、昆虫及び植物性バイオマスの有益な組合せの選択を可能にする。好ましくは、ローラは、1mm離れた距離に配置された波形溝付きローラなどの波形ローラである。
【0072】
一実施形態は、ステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、昆虫の成体、成虫、昆虫の胚のいずれか1つ以上を含む、本発明の方法である。この方法は、ステップcにおける切削のための、列挙された昆虫由来又は昆虫系構成成分の1つ以上を含む任意の混合物の関与に対する耐性が高い。これは、バイオマス組成物の成分を考慮する場合に高い自由度を提供し、これは本発明の方法で得られる。昆虫の種類及び供給源は、本発明の方法を実施するときに製造されたバイオマス組成物の所望の用途に基づいて選択することができるだけでなく、例えば、ステップaの混合物中の原材料の水分含有量及び粒径は、製造されたバイオマス組成物の意図された使用に関連して明らかな必要性に基づいて調整及び選択することができる。本発明者らは、混合物の総重量に基づいて約1%、1、5%、2%、2、5%、3%、4%の昆虫など、昆虫、水及び穀物からなる混合物の重量に基づいて約45%の含水量まで水で湿潤した切削穀物中のアメリカミズアブ幼虫の質量百分率の範囲からなる混合物を試験した。波形ミラーロールを用いた混合物の粉砕は有効且つ効率的であった。
【0073】
本発明の一実施形態は方法であり、この方法は、ステップc又はステップdに続くステップeを包含し、ステップeは、本発明の方法を昆虫の混合物及び穀物などのバイオマスの供給源に適用したときに製造されるバイオマス組成物の低温殺菌又は滅菌を含む。
【0074】
図1には、本発明の方法のステップcで適切に適用することができる波形ローラミラーが示される。
図1Aには、乾燥穀物(穀物の重量に基づいて14%未満の水分)を切削するように構成された波形ローラミラー装置1の断面側面図が示される。本発明の方法のステップaに係る混合物の供給流aは、粉砕されるバイオマスストックを収容するためのレセプタクル12にレセプタクル開口部12aを通して供給される。レセプタクル12は、ローラ10、11からなるローラ対19の上方に配置され、レセプタクル12は、レセプタクルホルダ18内に保持された、ローラのストックを受けるための漏斗形状の容器である。バイオマスストック20の流れbは、容器12の底部に配置される開口部13を通ってローラに供給される。バイオマスストック20は、ローラ10の上面10aと、ローラ11の上面11aと、ローラ10の底面10bと、ローラ11の底面11bとの間の1mmの小さな通路に入っている。駆動軸線r2が方向d2にnrpmの速度で動作すると、ローラ10が反時計回りに回転し、同時に駆動軸線r1が方向d1にn/2rpmの速度で動作すると(軸線r2の回転速度と比較して半分の速度)、ローラ11が時計回りに回転する。ローラは、1mmのローラ隙間距離を隔てて配置される。切削隙間は、一般的には、約0.15mm~約3.5mm、例えば0.2mm~3.1mm、0.5mm~2.7mm、0.8mm~2.3mm、約1mm、1.2mm~1.9mm、又は約1.6mmの間で選択されるが、約1mmが、強靭で損傷耐性のあるアメリカミズアブ幼虫、一般的には9~18日齢を含むバイオマス供給原料のハイスループット粉砕に好ましい。切削隙間は、幼虫が造粒され、プレスされ、空にされ、破砕され、細かくされ、それによって幼虫を効率的に死滅させ、微粒子化するような距離に設定される。ローラは、ローラが鋭利な様式から鋭利な様式で動作するように、互いに相対的に配置される。バイオマスストック20は、バイオマスの小麦粉21に切削(粉砕)され、この小麦粉21は、ローラ10、11の底面10b、11bで重力を加えられると、2つのローラの間の通路の下方に配置される第2の容器14の受け入れ開口14aを通って粉砕バイオマス21の一定の流れcとして、ローラのセットを取り囲むケーシングの底面17で自由に流れる。切削されたバイオマスストック21は、レセプタクル14内に保管され、切削/粉砕されたバイオマスストック21は、微粒子化されたバイオマスストックの流れdが得られるようにバルブ15を操作すると、レセプタクル14の底部14bに配置された出口開口部16を介して波形ローラミラー装置1から取り出すことができる。波形ローラミラーローラ10及び11は、溝付き波形で表面が覆われ、溝付き波形の螺旋は12°である。
【0075】
図1Bには、ローラミラー装置1の波形溝付きローラの詳細が示される。前部角度α(α)、後部角度β(β)、ピッチp、溝eの深さ、並びに波形の鋭い頂部22が表示される。
【0076】
図1Cでは、ローラ軸線r1、r2、波形の鋭い頂部22を有する隆起部s、並びに溝付き波形sの12°の螺旋を示す角度デルタ(δ)を示す、1つのローラ10、11の上面図が表示されている。
【0077】
図1Dでは、本発明の方法のステップcで適切に適用することができる波形ローラミラーが表示されている。
図1Dには、乾燥穀物(穀物の重量に基づいて14%未満の水分)を切削するように構成された波形ローラミラー装置1の断面側面図が示されている。本発明の方法のステップaに係る混合物の供給流aは、粉砕されるバイオマスストックを収容するためのレセプタクル12にレセプタクル開口部12aを通して供給される。レセプタクル12は、ローラ10’、11’からなるローラ対19の上方に配置され、レセプタクル12は、レセプタクルホルダ18内に保持された、ローラのストックを受けるための漏斗形状の容器である。バイオマスストック20の流れbは、容器12の底部に配置される開口部13を通ってローラに供給される。バイオマスストック20は、ローラ10’の上面10aと、ローラ11’の上面11aと、ローラ10’の底面10bと、ローラ11’の底面11bとの間の1mmの小さな通路に入っている。方向d2にnrpmの速度で駆動軸線r2を動作させると、ローラ10’が反時計回りに回転し、同時に、方向d1にnrpmの同じ速度で駆動軸線r1を動作させると、ローラ11’が時計回りに回転する(軸線r2の回転速度と比較した場合に速度差はない)。ローラは、1mmのローラ隙間距離を隔てて配置される。ローラは、ローラが鋭利な様式から鋭利な様式で動作するように、互いに相対的に配置される。バイオマスストック20は、バイオマスの小麦粉21に切削(粉砕)され、この小麦粉21は、ローラ10’、11’の底面10b、11bで重力を加えられると、2つのローラの間の通過路の下方に配置される第2の容器14の受け入れ開口14aを通って粉砕バイオマス21の一定の流れcとして、ローラのセットを取り囲むケーシングの底面17で自由に流れる。切削されたバイオマスストック21は、レセプタクル14内に保管され、切削/粉砕されたバイオマスストック21は、微粒子化されたバイオマスストックの流れdが得られるようにバルブ15を操作すると、レセプタクル14の底部14bに配置された出口開口部16を介して波形ローラミラー装置1から取り出すことができる。波形ローラミラーローラ10’及び11’は、溝付き波形で表面被覆され、溝付き波形の螺旋は0°である(
図1F)。2つのローラの溝(波形)22’は、ローラ表面の垂直に対して、溝の山の両側で本質的に同じ切断角α及び後方角αを有する対称断面を有する歯(
図1Eの断面図を考慮する場合)を備える。
【0078】
本発明の方法における適用のために、適用されるローラミルの波形ローラは、一般的には、合金化又は非合金化鋳鉄、又は炭化タングステン波形ローラ、又はクロムめっき又はクロム鋼波形ローラなどの鋳鉄チルドロールであり、鉄ローラが好ましい。ローラ表面は、通常、ミルの切断力及びせん断力を支持する溝で溝が切られている。2つの対向するローラ間の粉砕は、ミルに供給される材料に及ぼされるせん断力及び圧縮力に関連する。一般的には、ローラ直径は225~300mmであり、約250mmが好ましい。ローラの長さは、一般的には1000mm~2000mmであるが、より短いローラ及びより長いローラも適用可能である。一般的には、速度差は1:1(ローラ速度に差はない)又は1:2(第2のローラは第1のローラの2倍の速度で回転する)である。ローラ速度(ローラの周速度)は、一般的には、30rpm~1000rpm、例えば90rpm~850rpm、150rpm~500rpm、又は250rpm~350rpmである。1:1より大きい速度差は、ローラ間の材料に及ぼされるせん断応力の蓄積をサポートする。
【0079】
本発明の方法のために、波形ローラミルは、ローラを覆うケーシング18を随意的に備え、供給原料供給容器12を随意的に備え、粉砕バイオマス組成物を受け入れるための容器14を随意的に備え、基本的に、本発明の方法の場合、波形ローラミルは、ローラのセットと、生きている幼虫及び死んだ幼虫を含むバイオマス供給原料を受け入れるためのローラの上方の開口部と、本発明のバイオマス組成物を分配するためのローラの下方の開口部とを備える。
【0080】
随意的に、本発明の方法で得られたバイオマス組成物が添加剤を含むように、供給原料が波形ローラミルによって粉砕される前に、添加剤が供給原料流a又はbに添加される。そのような添加剤は、一般的には、フミン酸、フルボ酸、窒素含有化合物、無機化合物、酢酸、海藻抽出物、植物、キトサン、バイオポリマー、真菌、細菌、有機又は合成肥料などの生物刺激剤、生物防除剤、殺虫剤、すなわち除草剤、殺真菌剤及び殺虫剤、pH調整剤、UV安定剤、乳酸、シリカなどの吸収性ポリマー、ベントナイト及び超吸収性ポリマー、炭酸カルシウム、タルクから選択される植物成長添加剤、土壌調整添加剤、増量剤及び/又は種子保護添加剤から選択される1つ以上の添加剤である。
【0081】
本発明の方法で得られたバイオマス組成物が添加剤を含むように、供給原料を波形ローラミルによって粉砕した後、随意的に、且つ代替的に又は付加的に、添加剤を本発明のバイオマス組成物の流れcに添加する。そのような添加剤は、一般的には、フミン酸、フルボ酸、窒素含有化合物、無機化合物、酢酸、海藻抽出物、植物、キトサン、バイオポリマー、真菌、細菌、有機又は合成肥料などの生物刺激剤、生物防除剤、殺虫剤、すなわち除草剤、殺真菌剤及び殺虫剤、pH調整剤、UV安定剤、乳酸、シリカなどの吸収性ポリマー、ベントナイト及び超吸収性ポリマー、炭酸カルシウム、タルクから選択される植物成長添加剤、土壌調整添加剤、増量剤及び/又は種子保護添加剤から選択される1つ以上の添加剤である。或いは、このような添加剤は、バイオマス組成物に供される任意の乾燥ステップの後に添加され、及び/又は添加剤は、使用直前にバイオマス組成物に添加され、例えば、コンテナ内、例えば、飼育場又は発電プラントの近くなどにバイオマス組成物を貯蔵した後など、バイオマス組成物の流れdに添加される。これは、一般的には、添加剤が、例えば、分解、微生物の過剰増殖などの影響を受けやすい場合、すなわち、本発明の方法で得られる非乾燥又は乾燥バイオマス組成物よりも貯蔵寿命が短い場合に適している。
【0082】
本発明の実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~60%、好ましくはバイオマス組成物の重量で1%~40%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%の量の水などの液体を更に含む、本発明の方法である。
【0083】
一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、バイオマス組成物の重量に基づいて10%~60%の水又は重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の量の水などの液体を更に含む、本発明の方法である。一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物の重量に基づいて10%~60%の水又は重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の量の水などの液体を更に含む、本発明の方法である。一般的には、液体は水である。一般的には、含水量は、(本質的に同じである)昆虫及び植物性バイオマスを含むバイオマス組成物又は混合物の重量に基づいて重量で10%~65%である。
【0084】
一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、本発明の方法である。一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、本発明の方法である。
【0085】
一実施形態は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物が、混合物の重量で0.5%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で2%~15%、最も好ましくは重量で3%~10%の昆虫を含み、昆虫は好ましくは、好ましくは、アメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブの幼虫である、本発明の方法である。一般的には、アメリカミズアブの幼虫は、蛹化の0.5~2日前の齢及び発達段階にある。したがって、予め飼育し、その後一定時間冷却(例えば、2℃~12℃の温度で)し、その後再び29℃~36℃の温度まで温めた幼虫は、本発明の方法に幼虫を供するため及び/又はバイオマス組成物を提供するためにも適用可能であるが、数日での幼虫の齢は、このような幼虫が低温で冬眠状態に保たれた日数で示された10~20日を超え得る。
【0086】
したがって、本発明の方法及び本発明のバイオマス組成物を用いて得られる又は得ることができるバイオマス組成物は、例えば、乾燥バイオマス組成物として提供される。このような乾燥バイオマス組成物は、包装、バルク容器での保管、例えば飼育場又は発電プラントの敷地に適しており、乾燥した生体材料組成物は、より低い水分含有量及び適用可能な乾燥技術の滅菌活性のために、ストックパイル打ち時の貯蔵寿命が改善され得る。一般的には、本発明の乾燥バイオマス組成物又は本発明の方法で得られた乾燥バイオマス組成物は、粉末であるか、又は顆粒として提供される。
【0087】
本発明の方法で得られる又は得ることができるバイオマス組成物及び本発明のバイオマス組成物は、例えば、飼料の供給源として、又は飼料原材料若しくは飼料補助物質の供給源として、例えば家禽、ブタ、昆虫の幼虫、例えばアメリカミズアブの幼虫に給餌するために適用するのに適している。
【0088】
一般的には、本発明の方法は、1トン~100トンのバイオマス組成物/時間、好ましくは2~50トン/時間、より好ましくは3~30トン/時間、最も好ましくは4~20トン/時間を提供する。
【0089】
本発明の一態様は、本発明の方法で得られるバイオマス組成物又は本発明の方法で得られるバイオマス組成物である。本発明の方法は、農業、園芸などにおいて、及び本発明の方法に従ってステップaの混合物中に適用された幼虫などの全く同じ昆虫の飼育においてさえ、好適に適用されるバイオマス組成物の製造をもたらす。また、生きている昆虫、例えば、成熟したアメリカミズアブ幼虫などの生きている幼虫が本方法の切削プロセスステップcに供される場合であっても、これらの頑丈で硬い幼虫は破砕され、それらの腸が残りの屠体から押し出され、それにより、粒子状昆虫が得られ、それにより、他の方法では非常に死滅しにくいアメリカミズアブの幼虫を迅速且つ確実に死滅させる方法が得られる。混合物の重量に基づいて約45%の水分を含むとともに、混合物の重量に基づいて約2%のアメリカミズアブの幼虫(又は加湿飼料基材1kg当たり約100~150匹の幼虫)を含む切削穀物の飼料基材の混合物を用いて方法を適用することは、ステップcにおいて、例えば飼料原材料としてのバイオマス組成物の使用が考慮される場合には栄養価に関して、発電プラント用の燃料としてのバイオマス組成物の使用が考慮される場合にはエネルギー値に関して、バイオマス組成物からバイオ燃料の生成が考慮される場合にはカロリー値に関して高い値を含むバイオマス組成物を提供した。更に、本発明者らは、長さ100cm(直径25cm)の波形ローラミラーを適用することによって、方法のステップc後の生存率が0.0%になるように、アメリカミズアブ幼虫などの生きている幼虫が非常に効率的に死滅することを立証した。これにより、有益には、本発明の方法を適用することによって、多数の用途に適した製品が製造され、したがって、原料、屠体、生きている動物からなる厄介な廃棄物が、畜産業、産業規模の昆虫飼育、林業、農業、園芸、発電プラントの燃料供給、メタン、ディーゼル、エタノールの生産のいずれかにおける施肥の必要性のための高価値最終製品又は高価値原料に変えられる。幾つかの用途において、本発明の方法の乾燥ステップdは、本発明の乾燥バイオマス組成物が提供されるように、有利に適用される。
【0090】
したがって、本発明の一態様は、飼料、飼料原料、飼料原料、バイオガス、バイオディーゼル、バイオエタノールなどのバイオ燃料、肥料の原材料、建築材料、発電プラントに燃料を供給するための燃料を含むバイオマスの製造における本発明に係るバイオマス組成物の使用に関する。
【0091】
したがって、本発明の一態様は、本発明に係るバイオマス組成物を含む、発電プラントに燃料を供給するための燃料含有バイオマスに関する。
【0092】
本発明の一態様は、本発明に係るバイオマス組成物を含む肥料に関する。
【0093】
一実施形態は、肥料が、フミン酸、フルボ酸、窒素含有化合物、無機化合物、酢酸、海藻抽出物、植物、キトサン、バイオポリマー、真菌、細菌、有機又は合成肥料、生物防除剤、農薬、すなわち除草剤、殺真菌剤及び殺虫剤、pH調整剤、UV安定剤、乳酸、シリカ、ベントナイト及び超吸収性ポリマーなどの吸収性ポリマー、炭酸カルシウム、タルクから選択される植物成長添加剤、土壌調整添加剤、増量剤及び/又は種子保護添加剤から選択される添加剤のいずれか1つ以上を更に含む、本発明に係る肥料である。
【0094】
本発明の更なる態様は、本発明に係るバイオマス組成物を含む飼料又は飼料原材料に関する。
【0095】
一実施形態は、ミネラル、抗生物質、薬剤、ビタミン、酵素、防腐剤、水などのいずれか1つ以上が更に補充された、本発明の飼料又は飼料原材料である。
【0096】
一実施形態は、飼料又は飼料原材料が、幼虫、好ましくはアメリカミズアブ幼虫などの昆虫の飼育のための供給原料として適している、本発明に係る飼料又は飼料原材料である。本発明の方法の適用は、昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物を提供するのに適しており、ここで、昆虫粒子の供給源は、例えば、アメリカミズアブ幼虫である。より一般的には、本発明のバイオマスは、バイオマス中の昆虫粒子の供給源として節足動物の粒子状断片を適切に含む。一般的には、本発明のバイオマスは、レイクウィング(例えばクリソペルラカルネア(Chrysoperla carnea)、例えばその幼虫又は卵を含む。ハチ目(例えば、Cryptolaemus montrouzieri)、例えばその幼虫又は卵、カメムシ(例えば、カニクイザル(Macrolophus pygmaeus))、例えば卵又は若虫、その飛行不能若虫、オニオンフライ(Delia antiqua)などの送粉体、ハキリバチ、ダロチアコリアリア(Dalotia coriaria)などの有害甲虫、及び、陸生ハエ種、例えばその卵又は幼虫の種のいずれかに由来する粒子を含む。必要に応じて、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「昆虫」という用語は、共通の定義に従って昆虫が具体的に言及されることが文脈から明らかでなければ、例えば、アメリカミズアブなどのハエ、より具体的には、アメリカミズアブの(幼虫又は蛹化後の後期幼虫)幼虫を覆う「節足動物」として読むことができる。当業者であれば分かるように、本発明のバイオマスは、節足動物、例えば昆虫の幼虫形態とは無関係の、虫などの他の種の断片又は粒子も適切に含むことができる。
【0097】
本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図面に関連して説明されるが、本発明は、それに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0098】
本明細書中に記載される本発明の実施形態は、別段に明記されなければ、組み合わせて及び協働して動作できる。
【0099】
本発明を幾つかの実施形態に関して説明してきたが、本明細書を読んで図面を検討すると、本発明の代替、修正、置換、及び、均等物が当業者に明らかになると考えられる。本発明は、例示された実施形態に決して限定されない。添付の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱することなく、変更を行うことができる。本発明の特定の実施形態を例示する実施例が先に記載されている。それらは、本発明の範囲を限定することを決して意図していない。
【実施例】
【0100】
例1
本発明の実施形態
第一に、適用された機械の完全な目詰まり及び不十分に微粒子化された昆虫の付着(以下の実施例2及び3を参照)に起因して、不可能であることが判明した、肥料スクリュープレス又は肉挽き機を使用して本発明に係るバイオマス組成物を提供する。これらの失敗は、昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物と、肥料スクリュープレス又は肉挽き機で定期的に処理される製品との間の類似性に照らして驚くべきことであった。
【0101】
切削した穀物と、混合物の重量に基づいて2%のアメリカミズアブ幼虫(混合物1kg当たり約100~150匹の幼虫)と、混合物の重量に基づいて45%の水との混合物を切削及び粉砕するためにローラミラーを適用した。
【0102】
ローラミラーは、波形溝付きローラ(クラブラー/クラッカーDFZL~1000.ビューラー)を有するミラーであった。2つのローラの長さは1000mmであった。ローラの直径は25cmであった。ロール隙間は1mmとした。スループットは5.5トン/時であった。ローラ速度は、二つのローラについてそれぞれ250rpm及び500rpmに設定した。溝の螺旋は12%であった。
【0103】
運転中、2つのローラ間の隙間の目詰まりは観察されなかった。スループットは、実行の時間にわたって一定のままであった。水、飼料基質及び生きている幼虫及び死んだ幼虫及び幼虫の表皮の粉砕混合物は、穀物粉、粒子状幼虫ゴースト(腸が押し出された体)、粒子状腸、粒子状の昆虫の表皮(断片)を含む、運転範囲(時間)中一定の品質の均一なバイオマス組成物として提供された。
【0104】
驚くべきことに、粒子の重量に基づいて86%以上の乾燥質量含有量を有するように乾燥状態で穀物を切削するように設計された波形ローラミラーを動作させると、混合物が昆虫及び切削された穀物と混合物の重量に基づいて45%の比較的高い水分含有量とを含む状態で、微細に微粒子化された昆虫及び穀物粉の連続的な連続流がもたらされた。
【0105】
波形ローラミラーは、1対のローラを用いて鋭利な様式から鋭利な様式で動作させた。ロール隙間を1mmで一定に保ち、2つのローラ速度もまた、運転中に一定に保ち、1時間当たり最大5、5トンの本発明のバイオマス組成物を提供した。製造されたバイオマス組成物中に生存している生存幼虫は検出されなかった。
【0106】
例2
本発明の一部ではない比較例I
実施例1で試験した混合物の比較的高い含水量を考慮して、市販の肉挽き機の用途を使用して、以前のアプローチを試みた。肉は、一般的には、肉の重量に基づいて56%~73%の水分含有量を有する。したがって、本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来の肉挽き機を適用することによるミンチステップに供することにより、湿った飼料基材に含まれる生きているアメリカミズアブ幼虫が効率的に死滅し、挽いた幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストが得られると仮定した。
【0107】
しかしながら、肉挽き機の適用時にバイオマス組成物のバッチを適切に製造することができる前に、機械は、肉挽き機に含まれるスクリュープレスの詰まりのために動作を停止した。スクリュープレスの表面に飼料基材中の切り刻んでいない幼虫の汚れが観察され、適切な操作を妨げた。
【0108】
したがって、肉挽き機技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの破砕され、切断され、切り刻まれ、損傷した幼虫の粘着性に起因して、肉挽き機の内部が強靭な昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0109】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための肉挽き機の適用は不可能であった。この結果及び失敗に基づいて、発明者らは、ミンチに供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、肉挽き機の適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【0110】
例3
本発明の一部ではない比較例II
実施例1で試験した混合物の比較的高い含水量を考慮して、市販されている肥料スクリュープレスの適用を使用して、以前のアプローチを試みた。このような肥料スクリュープレスは、一般的には、一般的には、肥料の重量に基づいて少なくとも70%の水分含有量を有する肥料で動作する。したがって、本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来の肥料スクリュープレスを適用することによってスクリュープレスステップに供することにより、湿った飼料基材に含まれる生きているアメリカミズアブ幼虫が効率的に死滅し、プレスされた幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストが得られると仮定した。
【0111】
しかしながら、肥料スクリュープレスの適用時にバイオマス組成物のバッチを適切に製造することができる前に、機械は、肥料スクリュープレスに含まれるスクリューロールの詰まりのために動作を停止した。飼料基材中のプレスが不十分な幼虫の汚れが、肥料スクリュープレスのロールの表面に観察され、適切な更なる操作を妨げた。
【0112】
したがって、肥料スクリュープレス技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの破砕、切断、切り刻んだ、抑制された、損傷した幼虫の粘着性に起因して、肥料スクリュープレスが強靭な昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0113】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための肥料スクリュープレスの適用は不可能であった。この結果及び失敗に基づいて、発明者らは、スクリュープレスに供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、肥料スクリュープレスの適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【0114】
例4
本発明の一部ではない比較例III
実施例1で試験したバイオマス混合物中の穀物粒子の存在を考慮して、市販のペレタイザー(カール、タイプ33~390)を適用して、以前のアプローチを試みた。ロールを含むそのようなペレタイザーは、一般的には、一般的には比較的低い水分含有量を有する粉末で動作する。本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来のペレタイザーを適用することによってペレット化プレスステップに供することにより、湿った飼料基材に含まれる生きているアメリカミズアブ幼虫が効率的に死滅し、プレスされた幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストが得られると仮定した。
【0115】
しかしながら、バイオマス組成物のバッチをペレット化プレスの適用時に適切に製造することができる前に、機械は、ペレット化プレスに含まれるペレット化ロールの詰まりのために動作を停止した。ペレット化プレスのロールの表面に、飼料基材中の不十分にプレスされた幼虫の汚れが観察され、適切な更なる操作を妨げた。
【0116】
したがって、ペレット化プレス技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの破砕され、切断され、切り刻まれ、抑制され、損傷した幼虫の粘着性に起因して、ペレット化プレスは、丈夫で粘着性のある昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0117】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための本発明の方法におけるペレット化プレスの適用は不可能であった。結果及び失敗に基づいて、本発明者らは、プレスに供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、ペレット化プレスの適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【0118】
例5
本発明の一部ではない比較例IV
実施例1で試験したバイオマス混合物中の穀物の存在を考慮して、市販のマルチクラッカー装置(AgriCracker、AC 200型)の適用を使用して、以前のアプローチを試みた。刃の鋭い縁部が反対側の列の軸線に向いて互いに対向して配置された円形刃ナイフの2つのラインを備えるそのようなクラッカーは、通常、比較的低い水分含有量を有する穀物、豆、種子で動作する。本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来のクラッカーを適用することによってクラッカーステップに供することにより、穀物を含む湿った飼料基材に含まれる生きたアメリカミズアブ幼虫が効率的に死滅し、プレスされた幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストが得られると仮定した。
【0119】
しかしながら、バイオマス組成物のバッチがマルチクラッカーの適用時に適切に製造され得る前に、機械は、クラッカーに含まれるクラッキングブレードの詰まりのために動作を停止した。飼料基材中のプレスが不十分な幼虫の汚れがクラッカーのブレードの表面に観察され、適切な更なる操作を妨げた。
【0120】
したがって、クラッカー技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの破砕、切断、切り刻んだ、抑制された、損傷した幼虫の粘着性に起因して、マルチクラッカーは、丈夫で粘着性のある昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0121】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための本発明の方法におけるマルチクラッカーの適用は不可能であった。この結果及び失敗に基づいて、本発明者らは、クラッキングに供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、クラッカーの適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【0122】
例6
本発明の一部ではない比較例V
実施例1で試験したバイオマス混合物中の非常に損傷しにくい幼虫の存在を考慮して、市販のローラ破砕機装置(オランダのボンガー)の適用を使用して初期のアプローチを試み、石及び石炭などの材料を破砕するために適用した。突出部が設けられ、ローラ表面の突出部が対向するローラの方を向くように互いに対向して配置された2つのローラを備えるそのようなローラ破砕機は、一般的には、一般的には比較的低い含水量を有する比較的硬い材料で動作する。本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来の破砕機を適用することによる破砕ステップに供することにより、穀物を含む湿った飼料基材に含まれる生きているアメリカミズアブ幼虫の効率的な分配及び引き裂き並びにプレス及び死滅をもたらし、プレスされて死んだ幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストを提供するであろうと仮定した。
【0123】
しかしながら、破砕機の適用時にバイオマス組成物のバッチを適切に製造することができる前に、破砕機に含まれるローラの詰まりのために機械は動作を停止した。破砕機のローラの表面に、飼料基材中のプレスが不十分な幼虫の汚れが観察され、適切な更なる操作を妨げた。
【0124】
したがって、破砕技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの破砕され、切断され、切り刻まれ、抑制され、損傷した幼虫の粘着性に起因して、破砕機は、丈夫で粘着性のある昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0125】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための本発明の方法における石破砕機の適用は不可能であった。この結果及び失敗に基づいて、本発明者らは、破砕に供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、破砕機の適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【0126】
例7
本発明の一部ではない比較例VI
実施例1で試験したバイオマス混合物中の高度に湿潤した非常に損傷耐性の幼虫の存在を考慮して、市販されており、食品及び農産物などの比較的高い含水量を含む切削材料に適用されるピンミリング装置の適用を使用して、以前のアプローチを試みた。ピンミリングは、粉砕、サイジング、解凝集及び/又は均質化の手段である。ピンミリングは、粗粒から400メッシュまでの狭いサイズ範囲で、広範囲の食品、化学品、医薬品、栄養補助食品、鉱物及び農業製品(小麦粉用途での昆虫、卵及び幼虫の粉砕を含む)に適用される。ピンが設けられ、ブレードのピンが反対側のブレード表面を指すように互いに対向して配置された2つのブレード又はディスクを含むそのようなピンミルは、一般的には、比較的乾燥した材料及び比較的湿潤した材料の両方で動作する。本発明者らは、実施例1に詳述されているような混合物を、従来のピンミルを適用することによってピンミリングステップに供することにより、穀物を含む湿った飼料基材に含まれる生きているアメリカミズアブ幼虫の効率的な分配及び引き裂き並びにプレス及び死滅をもたらし、プレスされた死んだ幼虫及び小麦粉穀物の均質なペーストを提供するであろうと仮定した。更に、ピンミル技術は、幼虫を噛み砕くのに適していると宣伝されているからである。
【0127】
しかしながら、バイオマス組成物のバッチがピンミルの適用時に適切に製造され得る前に、機械は、ピンミルに含まれるピンを備えたブレードの詰まりのために動作を停止した。飼料基材中の切断が不十分な幼虫の汚れがピンミルのディスクの表面に観察され、ピンに付着し、適切な更なる操作を妨げた。
【0128】
したがって、ピンミリング技術を適用する際の本発明に係るバイオマス組成物の提供は失敗した。アメリカミズアブの粉砕及び切削及び損傷した幼虫の粘着性に起因して、ピンミルは丈夫で粘着性の昆虫の残留物で完全にブロックされ、機械が本発明のバイオマス組成物に似たものを連続的に出力するのを妨げると結論付けられた。
【0129】
したがって、本発明のバイオマス組成物を提供するための本発明の方法におけるピンミルの適用は不可能であった。この結果及び失敗に基づいて、本発明者らは、ピンミリングに供されたバイオマス供給原料の総重量に対する比較的低い乾燥質量%が、ピンミルの適切な動作のためには低すぎると仮定した。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物
であって、前記昆虫粒子が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、成虫、成体昆虫、昆虫の胚である、バイオマス組成物。
【請求項2】
前記植物性バイオマスが、穀物又はその成分、根菜の塊茎又はその一部若しくは成分、木、例えばおがくず、細断された枝、果実、野菜、作物、植物、又はその断片、成分若しくは部分のうちの1つ以上である、請求項1に記載のバイオマス組成物。
【請求項3】
穀物が、小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米のうちの1つ以上であり、及び/又は、根菜の塊茎が、ビート、ジャガイモ、茎、ニンジンのうちの1つ以上である、請求項1又は2に記載のバイオマス組成物。
【請求項4】
前記植物性バイオマスが、小麦、トウモロコシ、コーン、大豆、脳、米などの穀物の粉砕穀物及び/又は小麦粉を含み、及び/又は、前記植物性バイオマスが、ビート、ジャガイモ及びニンジンの1つ以上などの根菜の塊茎を含み、前記根菜の塊茎が、好ましくは、例えば根菜の根の微粒子化された、破砕された、粉砕された、スライスされた、切削された、及び、細断された塊茎のいずれか1つ以上の部分で提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項5】
前記昆虫粒子が、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有し、前記平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項6】
前記昆虫粒子が、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項7】
前記昆虫粒子が、10mm~40mm×3mm~10mm×0.4mm~4mmの平均粒径を有する、請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項8】
前記バイオマス組成物に含まれる前記昆虫粒子が、アメリカミズアブ幼虫粒子を含み又はアメリカミズアブ幼虫粒子からなり、これらの粒子が、17mm~22mm×5mm~6mm×1mm~2mmの平均サイズを有する、請求項1~4、6又は7のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項9】
前記植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する切削された穀物、粒子状穀物又は穀粉を含み、前記平均粒径が篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定され、及び/又は、前記植物性バイオマスが、0.1mm~4mm、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.5~1mmの平均粒径を有する、請求項4に記載の根菜の塊茎の部分を含み、前記平均粒径が、篩分析用のASTM C136/C136M-14標準試験方法で決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項10】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~70%、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で1%~65%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%、例えば5%~70%及び10%~65%の量の水などの液体を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項11】
前記バイオマス組成物が、水、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で10%~60%、又は、重量で10%~65%、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の水などの液体を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項12】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項13】
前記昆虫が、幼虫、例えばアメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブの幼虫である、請求項1~12のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項14】
粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、昆虫の成体、成虫、昆虫の胚のいずれか1つ以上を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項15】
前記バイオマス組成物が、前記バイオマス組成物の重量で0.01%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で2%~15%、最も好ましくは重量で3%~10%の昆虫を含み、前記昆虫が好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオマス組成物。
【請求項16】
昆虫粒子又はウォーム粒子と植物性バイオマスとを含むバイオマス組成物を提供するための方法であって、
a.昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を用意するステップと、
b.穀物を切削するための波形ローラミルを用意するステップと、
c.ステップaの昆虫及び植物性バイオマスを含む混合物を、ステップbのミルのフィーダに供するとともに、バイオマス組成物が得られるように前記混合物を切削するステップと、
を含み、
前記昆虫粒子が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、成虫、成体昆虫、昆虫の胚である、方法。
【請求項17】
ステップaの前記昆虫が幼虫、好ましくはアメリカミズアブの幼虫である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップaの植物性バイオマスが、ジャガイモ、ビート、ニンジンなどの根菜の粉砕穀物又は小麦粉及び塊茎粒子などの粒子状穀物のうちの少なくとも一方、好ましくは少なくとも1つの粉砕穀物又は少なくとも1つの粉砕穀物とビートの粒子状ジャガイモ又は塊茎粒子との混合物を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ステップbにおいて、前記波形ローラミルが溝付きローラを備えるミルである、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて0.5%~60%、好ましくは前記バイオマス組成物の重量で1%~40%の水、より好ましくは重量で2%~30%、最も好ましくは重量で3%~20%の量の水などの液体を更に含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量に基づいて10%~60%の
水、より好ましくは重量で20%~50%、最も好ましくは重量で30%~45%の量の水などの液体を更に含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記バイオマス組成物の重量で20%~99%、好ましくは重量で25%~97%、より好ましくは重量で30%~95%、最も好ましくは重量で35%~90%の乾物含有量を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、前記混合物の重量で0.5%~25%、好ましくは重量で1%~20%、より好ましくは重量で2%~15%、最も好ましくは重量で3%~10%の昆虫を含み、前記昆虫が、好ましくは、アメリカミズアブの幼虫、例えば、孵化後10~20日齢のアメリカミズアブ幼虫である、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
昆虫及び植物性バイオマスを含む前記混合物が、粒子状の昆虫の排泄物、昆虫の糞便、昆虫の表皮、昆虫の卵、昆虫の卵殻、昆虫の蛹、昆虫の前蛹、昆虫の成体、成虫、昆虫の胚のいずれか1つ以上を含む、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
1時間当たり1トン~100トン、好ましくは1時間当たり2トン~50トン、より好ましくは1時間当たり3トン~30トン、最も好ましくは1時間当たり4トン~20トンのバイオマス組成物を提供する、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項16~25のいずれか一項に記載の方法で
得ることができるバイオマス組成物
であって、
前記昆虫粒子が、3mm~40mm、好ましくは5mm~30mm、より好ましくは8~20mmの平均粒径を有する、バイオマス組成物。
【請求項27】
飼料、飼料素材、飼料原材料、バイオガスなどのバイオ燃料、バイオディーゼル、バイオエタノール、肥料、肥料の原材料、建材、発電プラントに燃料を供給するための燃料を含むバイオマスの製造における、請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物の使用。
【請求項28】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む、発電プラントに燃料を供給するための燃料含有バイオマス。
【請求項29】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む肥料。
【請求項30】
請求項1~15又は26のいずれか一項に記載のバイオマス組成物を含む飼料又は飼料原材料。
【請求項31】
前記飼料又は飼料原材料が、幼虫、好ましくはアメリカミズアブ幼虫などの昆虫の飼育のための供給原料として適している、請求項30に記載の飼料又は飼料原材料。
【国際調査報告】