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▶ レニショウ パブリック リミテッド カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20220805BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220805BHJP
   G01B 5/008 20060101ALI20220805BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G01B21/00 E
G01B11/00 H
G01B5/008
B23P19/00 302Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572590
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 GB2020051365
(87)【国際公開番号】W WO2020245598
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】1908127.2
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1911755.5
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリン レイ バレッド
【テーマコード(参考)】
2F062
2F065
2F069
3C030
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062EE01
2F062EE09
2F062FF05
2F062FG07
2F062GG17
2F062HH01
2F062MM06
2F065AA04
2F065BB05
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
2F065MM06
2F065PP04
2F065QQ31
2F069AA04
2F069DD16
2F069GG01
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG62
2F069HH01
2F069HH09
2F069JJ08
2F069JJ19
2F069MM32
3C030DA37
(57)【要約】
物品を製造する方法が開示され、方法は、座標測定機を使用して、すでに所定の位置にある物品の第1部分(70)の三次元点座標測定値を取得することと、第1部分(70)の測定値に依存して、物品の第2部分(80)を、第1部分(70)に対して所定の空間関係に位置決めすることの両方を含む。所定の空間関係は、3以上の自由度で定義される。第1部分(70)に対して第2部分(80)を位置決めすることは、3以上の自由度で第1部分(70)に対して第2部分(80)を移動させるように機械を制御することを含む。機械は、第1および第2部分(70、80)を所定の空間関係に保持し、一方で、第1および第2部分を所定の空間関係に固定する動作を実行するように制御される。第1および第2部分(70、80)が所定の空間関係にあるとき、第2部分(80)は、物品の他の部分と直接接触せず、少なくとも、所定の空間関係に干渉するか、影響を与えるか、または影響を及ぼすような態様で接触しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を製造する方法であって、すでに配置されている前記物品の第1部分の測定値を取得することと、前記第1部分の前記測定値に依存して、前記物品の第2部分を、前記第1部分に対する所定の空間関係に位置決めすることの両方のために、座標測定機を使用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記座標測定機を使用して前記第2部分の測定値を取得することを含み、前記第2部分は、前記第1および第2部分の測定値に依存して、前記第1部分に対する所定の空間関係に位置決めされることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記第1部分の基準フレームを確立するために、前記第1部分の測定値を使用すること、前記第2部分の基準フレームを確立するために、前記第2部分の測定値を使用すること、第1の基準フレームと第2の基準フレームの間の関係を確立すること、および、共通の基準フレーム内における前記所定の空間関係に、前記第1および第2部分を移動させるために、前記確立された関係を使用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記第1の基準フレームと前記第2の基準フレームとの間の関係を確立することは、前記両方の基準フレームに共通する、または、一致する少なくとも1つの点または特徴に関連する位置情報を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法であって、前記共通の基準フレームが、前記第1部分の前記基準フレームであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3、4または5に記載の方法であって、前記第1および第2の基準フレームは、それぞれ、第1および第2の座標系であり、前記確立された関係は、前記第1および第2の座標系間の座標変換であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、前記所定の空間関係が3つ以上の自由度で定義されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分に対して前記第2部分を配置することは、前記測定機を制御して、前記第2部分を、前記第1部分に対して3以上の自由度、例えば、4自由度、または、5自由度、または、6自由度で移動させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値は、3次元測定値であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値は、前記測定機を制御し、3以上の自由度、好ましくは、4自由度、より好ましくは、5自由度、より好ましくは、6自由度で、測定装置を移動させることによって得られることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値は、座標測定値であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値は、点座標測定値であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値は、機械座標またはそこから導出された座標であるか、または、それらを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分に対して前記第2部分を位置決めすることは、一連の異なる機械座標を採用するように機械を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2部分の前記測定値、および、前記位置決めは、同じ機械座標系に基づくことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機が複数の測定トランスデューサを含み、同じ複数の測定トランスデューサが、前記測定値を取得するために、および、それらの測定値に基づいて前記第2部分を位置決めするために使用されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分に対して所定の空間関係で前記第2部分を位置決めすることは、前記測定値に応じて、前記第1および第2部分を所定の空間関係に位置決めするであろう、一組の機械座標を計算すること、および、前記計算された機械座標を採用するように機械を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1および第2部分を前記所定の空間関係に保持するように機械を制御する一方で、前記第1および第2部分を前記所定の空間関係に固定するために動作を実行することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、請求項17に従属する場合、前記第1および第2部分を前記所定の空間関係に保持するように機械を制御することは、計算された機械座標を維持するように前記機械を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法であって、固定操作は、前記第1部分と前記所定の空間関係にあるときに、前記第2部分と接触する固定媒体を適用すること、および、前記固定媒体を活性化して前記第1および第2部分を、前記所定の空間関係に固定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記第1および第2部分を前記所定の空間関係に移動させる前に前記固定媒体を適用すること、次いで、前記第1および第2部分が前記所定の空間関係にあるときに前記固定媒体を活性化することを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20または21に記載の方法であって、前記固定媒体が硬化性接着剤であり、前記固定媒体を活性化することは、前記接着剤を硬化させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20、21または22に記載の方法であって、前記固定操作が溶着プロセスを含み、前記固定媒体およびその活性化は、前記溶着プロセスを実行することの結果であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記溶着プロセスは、レーザー溶着プロセスであることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項に記載の方法であって、請求項3に従属する場合、固定媒体をどこに適用するかを決定するために、前記確立された関係を使用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1および第2部分が前記所定の空間関係にあるとき、前記第2部分は、前記物品のどの他の部分とも直接接触しないことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法であって、前記所定の空間関係にあるときに、前記第2部分と前記物品の任意の他の部分との間に空隙を残すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、請求項20に従属する場合、空隙は、前記固定操作で適用される前記固定媒体によって少なくとも部分的に埋められることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定機が、互いに対して移動可能な第1および第2プラットフォームを含み、前記方法は、前記第2プラットフォーム上で前記第1部分を支持し、前記第1プラットフォーム上で前記第2部分を支持し、前記第1部分に対して前記第2部分を位置決めすることは、前記第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させるように前記測定機を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記第1プラットフォーム上で前記第2部分を支持することは、前記第1プラットフォーム上で支持されるピックアップ装置を使用して、前記第2部分をピックアップすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記ピックアップ装置は把持具を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の方法であって、前記第2部分は、前記第1プラットフォームによって支持されるときに、前記ピックアップ装置に運動学的または疑似運動学的に結合され、一連の運動学的または疑似運動学的特徴が、前記ピックアップ装置に提供されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記ピックアップ装置に提供される運動学的または疑似運動学的特徴は、前記第2部分に提供される、一連の対応する運動学的または疑似運動学的特徴と係合することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32または33に記載の方法であって、請求項2に従属する場合、第2部分の前記測定値を取得するために、前記座標測定機を使用することよりはむしろ、前記第2部分の前記測定値を取得するために、前記第2部分のモデルと、運動学的結合による第1プラットフォームに対する前記第2部分の位置の知識とを用いることを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項29から34のいずれか一項に記載の方法であって、第1プラットフォームは、可動プラットフォームであり、第2プラットフォームは、固定プラットフォームであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項29から35のいずれか一項に記載の方法であって、第1プラットフォーム上で支持される第1プローブを使用して、前記第1部分を測定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記第1プローブを用いて前記第1部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させて、前記第1プローブを前記第1部分との感知関係にもたらすことを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36または37に記載の方法であって、前記第1プローブを用いて前記第1部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを、3以上の自由度、例えば、4自由度、または、5自由度、または、6自由度で、互いに対して移動させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36、37または38に記載の方法であって、請求項35に従属する場合、第1プローブが可動プローブであることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項36から39のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1プローブは、タッチプローブまたは触覚プローブなどの接触プローブであることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記第1プローブは、タッチトリガープローブであることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記第1プローブが、アナログまたは走査プローブ、または、互いに対して、異なるそれぞれの向きに配置される、少なくとも1つの撮像センサ、好ましくは2つまたは3つの撮像センサを有する、カメラベースのプローブであることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項36から42のいずれか一項に記載の方法であって、請求項2に従属する場合、第2プラットフォーム上で支持される第2プローブを使用して、前記第2部分を測定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法であって、前記第2プローブを用いて前記第2部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させて、前記第2プローブを前記第2部分との感知関係にもたらすことを含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項43または44に記載の方法であって、前記第2プローブを用いて前記第2部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを、3以上の自由度、例えば、4自由度、または、5自由度、または、6自由度で、互いに対して移動させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項43、44、または45に記載の方法であって、請求項35に従属する場合、第2プローブは、固定プローブであることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項43から46のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2プローブは、タッチプローブまたは触覚プローブなどの接触プローブであることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、前記第2プローブは、タッチトリガープローブであることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47に記載の方法であって、前記第2プローブは、アナログまたは走査プローブ、または、互いに対して、異なるそれぞれの向きに配置される、少なくとも1つの撮像センサ、好ましくは、2つまたは3つの撮像センサを有する、カメラベースのプローブであることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項43から49のいずれか一項に記載の方法であって、請求項3に従属する場合、前記第1、第2の基準フレームの間の関係を確立するために、第1プローブを第2プローブで測定すること、および/または、その逆で測定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、前記第1プローブを前記第2プローブで測定すること、および/または、その逆は、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させ、前記第1および第2プローブを互いに感知関係にもたらすことを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項43から51のいずれか一項に記載の方法であって、請求項4に従属する場合、第1および第2プローブは、それぞれ、スタイラス先端を含み、共通点または一致点は、第1および第2プラットフォームが、第1および第2プローブのスタイラス先端を同じ位置に配置するであろう、互いに対する位置にある場合、前記第1および第2プローブのスタイラス先端の中心点であることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、前記第1および第2プローブの一方が、タッチトリガープローブであり、第1および第2プローブの他方が、走査またはアナログプローブである場合に、前記タッチトリガープローブの前記スタイラス先端の表面を測定し、または、特徴付けるために、ゼロに外挿する技術を使用すること、および、それから前記スタイラス先端の前記中心点を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項29から53のいずれか一項に記載の方法であって、回転可能なステージ上で前記第2部分を支持することを含み、前記回転可能なステージは、第1プラットフォーム上で支持され、前記第1部分を前記第2部分に対して位置決めすることは、前記測定機を制御して、前記回転可能なステージを前記第1プラットフォームに対して回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項29から54のいずれか一項に記載の方法であって、回転可能ステージ上で前記物品を支持することを含み、前記回転可能ステージは、第2プラットフォーム上で支持され、前記第1部分を前記第2部分に対して位置決めすることは、第2プラットフォームに対して、前記ステージを回転させるように、前記測定機を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項29から55のいずれか一項に記載の方法であって、第1および第2プラットフォームは、前記第1部分に対して前記第2部分を位置決めするために、3以上の自由度で互いに対して移動させられることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項1から56のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分は、前記物品の支持体または基板部分であることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項1から57のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1および第2部分は、前記物品の使用において機能を有する、前記物品の作動部分であり、前記物品の製造中にのみ機能を有する、単なる参照特徴、基準、または、それに類するものではないことを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項1から58のいずれか一項に記載の方法であって、部分が、最終物品の、機能的、および/または、機械的、および/または、光学的に、相互に関連する部分であることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項1から59のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2部分が、結果として生じる物品において、前記第1部分上に支持されることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法であって、請求項20に従属する場合、前記固定操作で使用される前記固定媒体は、前記第1および第2部分との間に提供されることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項1から61のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1および第2部分は、結果として生じる物品において、前記物品のベース部分上に支持されることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法であって、請求項20に従属する場合、前記固定操作で使用される前記固定媒体は、前記第2部分とベース部分との間に提供されることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項1から63のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分は、前記物品のベース部分または基板であるか、または、それを含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項1から64のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分は、前記物品の表面に形成された幾何学的特徴などの、前記物品の特徴、例えば、一体型の特徴であるか、または、それを含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項1から65のいずれか一項に記載の方法であって、前記測定値を取得するためにプローブ以外の測定装置を使用することを含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項1から66のいずれか一項に記載の方法であって、部分の前記測定値を取得することは、前記部分の1つまたは複数の特徴の測定値を取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項1から67のいずれか一項に記載の方法であって、部分の前記測定値を取得することは、前記部分の表面上の1つまたは複数の離散点の測定値を取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項1から68のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、プローブのような感知装置を用いて物体の前記表面上の離散点を感知することによって、物理的対象の幾何学的形状または幾何学的特性を3次元で測定するように適合された機械であることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項1から69のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、前記物品の前記表面上の点の座標を測定するためのプローブなどの座標測定装置を有する機械であることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項1から70のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、非デカルト座標測定機であることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項1から71のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、平行運動学的座標測定機であることを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項1から72のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、複数の伸長可能な脚を含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項1から73のいずれか一項に記載の方法であって、前記座標測定機は、6つの伸長可能な脚を備える、ヘキサポッド座標測定機であることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項73または74に記載の方法であって、前記座標測定機の機械座標は、複数の伸長可能な脚の長さにそれぞれ関連する値を含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項73、74、または75に記載の方法であって、請求項16に従属する場合、前記複数の測定トランスデューサが、それぞれ、前記複数の伸長可能な脚に関連付けられることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項1から76のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2部分と、前記第1部分の前記測定値を取得するための、プローブなどの測定装置が、前記第1部分を測定するとき、および、前記第2部分を位置決めするときに移動させられる前記測定機の共通のプラットフォーム上で同時に支持されることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項1から77のいずれか一項に記載の方法であって、前記物品の1つまたは複数の追加の第2部分について前記方法を繰り返すことを含み、前記方法の各反復実行における前記第1部分は、前記方法の任意の以前の実行から生じた、前記物品の任意の部分または複数の部分であることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法であって、前記方法の反復実行のうちの少なくとも1つにおける第1部分は、前記方法の任意の以前の実行からの少なくとも1つの第2部分を含むことを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項78または79に記載の方法であって、前記測定機を使用して、前記方法の前記反復実行の少なくとも1つにおける前記第1部分の測定値を得ることは、前記方法の以前の実行で得られた前記第1部分の測定値を使用することに及ぶことを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項1から80のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2部分、または、各第2部分は、(a)座標測位機用の伸長可能な脚用のベアリング組立体、または、(b)測定プローブ用のスタイラスのボールまたは先端のいずれかであるか、または、その部分を形成することを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項1から81のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1部分は、(a)座標測位機用の伸長可能な脚用の読取ヘッド、または、読取ヘッドホルダ、(b)測定プローブ用のスタイラスのステムのいずれかであるか、または、その部分を形成することを特徴とする方法。
【請求項83】
複数の部分を有する物品を製造する方法であって、該方法は、
複数の部分のうちの第1の選択された部分について、前記第1の選択された部分を前記物品上に配置するために、少なくとも、請求項1から82のいずれか一項に記載の方法の測定および位置決めステップを実行すること、および、
複数の部分のうちの各々の後続の選択された部分について、前記後続の選択された部分を前記物品上に配置するために、少なくとも、請求項1から82のいずれか一項に記載の方法の前記位置決めステップを実行し、任意選択で、また、前記測定ステップを実行し、前記位置決めステップは、現在の、および/または、任意の以前に選択された部分に対して前記方法を実行するときに取得された測定値を用いることを含むことを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法であって、複数の部分のうちの少なくとも1つが、複数の部分のうちの、他の複数の部分から方法を実行する過程で作成されたモジュールであることを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項1から84のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、座標測定機を含むことを特徴とする製造システムまたは装置。
【請求項86】
座標測定機のコントローラによって実行されると、コントローラが、前記座標測定機を動作させることをもたらし、請求項1から84のいずれか一項に記載の方法を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項87】
請求項1から84のいずれか一項に記載の方法を実行するように座標測定機を制御するためのコンピュータプログラム命令をその中に格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構成要素の自動組み立てのための装置は知られている。例えば、特許文献1は、コンピュータのハードディスクドライブのさまざまな構成要素を組み立てるための装置および関連する方法を記載する。特に、特許文献1は、3つの直交軸(X、Y、および、Z)に沿って移動させられ得るアームを備える、組立装置またはロボットを記載する。可動アームは、構成要素をピックアップするための真空コレット、接着剤分配ノズル、および、付着した接着剤を硬化させるための紫外線光源を搭載する。装置の平坦なベッドに配置されたトレイは、組み立てられる複数の構成要素を運ぶ。使用中、接着剤は、最初に、接着剤ノズルを使用して、第1の構成要素の選択された領域に分配される。次に、2番目の構成要素が真空コレットによってピックアップされ、第1の構成要素に配置される。構成要素は、ローカル撮像システムによって撮像され、互いに対するそれらの位置を確立する。次に、接着剤は、UV光源からのUV放射を使用して硬化される。このようにして、ハードドライブのさまざまなサブアセンブリが、自動的に組み立てられ得る。特許文献1に記載されるタイプの自動組立装置は、特定の構成要素の自動組立を可能にするが、複雑な構造を高精度で組み立てるための、そのような装置の能力は限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6266869号明細書
【特許文献2】独国特許第10055185号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/174966号
【特許文献4】国際公開第2007/144573号
【特許文献5】国際公開第2019/073246号
【特許文献6】国際公開第2005/059471号
【特許文献7】国際公開第2004/005849号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】H. J. J. Braddick著「実験装置の機械設計」、Chapman&Hall、ロンドン、1960年、11-30頁
【非特許文献2】J. G. Skakoon著「正確な制約:どれだけで十分か、どれだけで多すぎるかを知ることは、設計を成功させるための鍵」、Mechanical Engineering、2009年9月、32-36頁
【非特許文献3】M. Orsag、C. Korpela、P. Oh、S. Bogdan著、「座標系および変換」、叢書「産業用制御の進歩」の一部の「空中操作」における章(19-31頁)、2018年(印刷ISBN 978-3-319-61020-7、オンラインISBN 978-3-319-61022-1;https://www.springer.eom/cda/content/document/cda_downloaddocument/9783319610207-c2.pdfからダウンロード)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スチュワートプラットフォームまたはヘキサポッドを使用して、構成要素の配置を実行することが、また、以前に提案されている。例えば、特許文献2は、ヘキサポッドを使用して回転可能なテーブルに取り付けられた基板上に構成要素を配置する手法を記載する。しかしながら、特許文献1と同様に、そのような装置を使用して複雑な物品の高精度の自動製造を実行する能力は限られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、物品を製造する方法が提供され、方法は、物品の第1(すでに組み立てられた)部分の(座標)測定値を取得すること、第1部分の(座標)測定値に依存して、第1部分に対して所定の空間関係で、物品の第2部分を配置することの、両方に、座標測定機を使用することを含む。
【0007】
座標測定機は、物体の点座標を測定するために特に適合されており、機械の作業容積内に(例えば、機械の可動プラットフォーム上で支持される)構成要素を配置するために提供される、位置決め機械とは区別されるべきである。そのような位置決め機械は、物体を位置決めまたは配置する仕事に特に適合されており、測定機能を実行するように特に適合されておらず、少なくとも、物品の表面の点座標を測定するように適合されていない。位置決め機械の一般的な例は、例えば、PCB製造業界で使用される、ピックアンドプレース機械であり、それは、トレイから部分を見ないでピックアップし、それらの部分をPCB基板に配置する。機械が、正しい場所からピックアップしていること、および、PCBが、機械がそれらに存在することを期待する場所にあることを確実にするために、例えば、参照特徴や参照基準を使用する、何らかの位置合わせプロセスが必要とされるが、ピックアンドプレース機械は、すでにPCB上にある部分の何の測定も実行せず、特に、後続の構成要素を配置するとき、そのような測定値に依存しない。
【0008】
本発明の一実施形態は、測定支援製造方法であると見なされ得、方法において、三次元測定機(または、測定機)は、部分を高精度に測定することを、その主な目的として使用されるが、また、なされた測定値に基づき、測定部分に対する他の部分を配置または位置決めする追加機能を与えられる。そのような技術では、製造方法の精度は、座標測定機自体の精度によってのみ制限され、例えば、複雑な、および/または、高価な固定システムに依存しない。さらに、物品上に配置または組み立てられる部分が、物品の表面から離れて保持され、例えば、間隙に硬化性接着剤を塗布して硬化させることによって、所定の位置に固定される、好ましい実施形態では、部分が配置される基板は、基板上に組み立てられる部分の相対的な位置が、完全に、座標測定機からの測定の精度によって決定され、基板または固定具から完全に独立しているため、特に正確に形成または保持される必要がなく、部分は、座標測定機の精度に基づいて、正しい相対位置で、基板上に効果的に「浮く」。座標測定機のこの斬新な使用法は、重要な製造上の利点を提供する。
【0009】
物品の第1部分は、物品の特徴(例えば、一体型特徴)であり得るか、またはそれを含み得、第2部分は、その特徴に対して配置される。言い換えれば、第1部分は、必ずしも物品から分離可能である(または、以前に組み立てられた、または、配置された)部分である必要はなく、代わりに、第1部分は、穴、凹部、突起、または、物品の表面上または表面内に形成された、他のそのような幾何学的形状または特徴など、単に、物品の一体部分であり得る。
【0010】
方法は、座標測定機を使用して、第2部分の(座標)測定値を取得することを含み得、第2部分は、第1および第2部分の(座標)測定値に基づいて、第1部分に対して所定の空間関係に配置される。
【0011】
第1部分の測定値は、第1部分の基準フレームを確立するために使用され得、第2部分の測定値は、第2部分の基準フレームを確立するために使用され得、関係が、第1、第2の基準フレーム間に確立され得、そして、確立された関係は、第1および第2部分を、共通の基準フレーム内で、所定の空間関係に移動させるために使用され得る。
【0012】
第1基準フレームと第2基準フレームの間の関係を確立することは、両方の基準フレームに共通または一致する、少なくとも1つの点または特徴に関連する位置情報を決定することを含み得る。
【0013】
共通の基準フレームは、第1部分の基準フレームであり得る。
【0014】
第1および第2基準フレームは、それぞれ、第1および第2座標系であり得る。確立された関係は、第1、第2座標系の間の座標変換であり得る。
【0015】
所定の空間関係は、3つ以上の自由度で定義(または指定)され得、(第1および/または第2部分の)測定値は、これが達成されることを可能にするために取得され得、そのためのタイプのものであり得る。
【0016】
第2部分を第1部分に対して位置決めすることは、3つ以上の自由度、例えば、4自由度または5自由度または6自由度で、第2部分を第1部分に対して移動させる(または移動させるように機械を制御する)ことを含み得る。第1部分に対して第2部分を位置決めすることは、自由度に数が対応する、機械のいくつかの軸を作動させることを含み得る。例えば、第2部分を第1部分に対して配置することは、機械の4つの軸を作動させる(第2部分を第1部分に対して4自由度で移動させる)、または、機械の5つの軸を作動させる(第2部分を第1部分に対して5自由度で移動させる)、または、機械の6つの軸を作動させる(第2部分を第1部分に対して6自由度で移動させる)ことを含み得る。したがって、第1部分に対して第2部分を位置決めすることは、必要とされる自由度の数に応じて、4軸位置決め、5軸位置決め、または6軸位置決めと称され得る。位置決めは、例えば、回転テーブル上で第1および第2部分の一方または両方を支持することによって、または、レニショー「REVO(登録商標)」プローブヘッドなどの関節式ヘッドを介して、6自由度以上でさえもあり得る。
【0017】
(第1および/または第2部分の)測定は、3次元測定、すなわち、三次元での測定であり得る。
【0018】
(第1および/または第2部分の)測定は、3つ以上の自由度であり得る。
【0019】
測定値は、3つ以上の自由度、好ましくは4自由度、より好ましくは5自由度、より好ましくは6自由度で移動させる(または、移動させるように機械を制御する)ことによって得られ得る。
【0020】
測定値は、3つ以上の自由度、好ましくは4自由度、より好ましくは5自由度、より好ましくは6自由度で、測定装置を移動させる(または、移動させるように機械を制御する)ことによって得られ得る。計測(または、測定)器具は、次に掲げるタイプのものであり得る(例えば、プローブ、接触プローブ、タッチプローブ、タッチトリガープローブ、アナログプローブ、走査プローブ、または、カメラベース測定装置)。
【0021】
(第1および/または第2部分の)測定値を取得することは、機械の3つ以上の軸(または自由度)、例えば、4軸または5軸または6軸を作動させることを含み得る。例えば、機械が6つの伸長可能な脚(6つの軸に対応する)を含む、ヘキサポッド座標測定機である場合、測定値は、6つの伸長可能な脚すべて(6つの軸すべて)を作動させることによって取得され得る。
【0022】
(第1および/または第2部分の)測定値は、座標測定値であり得る。
【0023】
(第1および/または第2部分の)測定値は、点座標測定値であり得る。
【0024】
(第1および/または第2部分の)測定値は、機械座標(または、そこから導き出された座標)であり得る(または、含み得る)。機械座標は、機械座標系内で定義され得る(例えば、部分座標系やグローバル座標系とは対照的に)。
【0025】
第1部分に対して第2部分を位置決めすることは、(機械座標系内で)一連の異なる機械座標を採用するように機械を制御することを含み得る。
【0026】
(第1および/または第2部分の)測定、および、第2部分の位置決めは、同じ機械座標系に基づき得る(または、その中で実行され得る)。
【0027】
座標測定機は、複数の(または、一組の)測定トランスデューサ(例えば、線形、および/または、ロータリーエンコーダー、または、長さ、および/または、角度測定トランスデューサ)を含み得、同じ複数の(または、一組の)測定トランスデューサは、(第1、および/または、第2部分)の測定値を取得する(または、導き出す)ために、および、それらの測定値に基づいて、第2部分を位置決めするために使用される。
【0028】
測定値は、座標測定機の全体的な測定ループに基づき得、または、そこから導き出され得る。これは、例えば、ロボットなどの位置決め機械のエンドエフェクタに取り付けられた、カメラベースまたはレーザーベースのビジョンシステムによって、測定が行われるシステムとは区別されるべきであり、ロボットは、また、多関節ロボットアームを構成する回転ジョイントの回転エンコーダからの測定値を考慮せず、単にビジョンシステムを対象の範囲内に配置し、エンドエフェクタ(および、エンドエフェクタによって保持される構成要素)を、ビジョンシステムからのリアルタイムフィードバックに基づいて、ターゲットに向かって案内する。本発明の一実施形態では、機械によって実行されるときに、第2部分が第1部分に対して所定の空間関係に配置されることをもたらす、完全な一組の機械座標を決定することが可能になる。
【0029】
第1部分に対して所定の空間関係で第2部分を配置することは、(第1、および/または、第2部分の)測定値に依存して、一組の機械座標を計算することを含み得、これは、第1および第2部分を、所定の空間関係で配置し、計算された機械座標を採用するように機械を制御するであろう。機械は、計算された機械座標を、直接的、または、実質的に直接的に、すなわち、実質的に1回の動きで採用するように制御され得る。これは、例えば、別のカメラまたは撮像システムからの視覚的フィードバックに基づいて実行され得るであろう、反復的または増分的な一連の小移動と比較されるべきである。
【0030】
方法は、第1および第2部分を、所定の空間関係に保持するように、機械を制御することを含む一方で、第1および第2部分を、所定の空間関係に固定するように、操作を実行することを含み得る。これは、第2部分が、第2プラットフォームから解放されることを可能にし得る、第1および第2部分は、第2プラットフォームからの支持なく、所定の空間関係に留まる。
【0031】
所定の空間関係で、第1および第2部分を保持するように、機械を制御することは、計算された機械座標を維持するように機械を制御することを含み得る。
【0032】
固定操作は、第1部分と所定の空間関係にあるときに、第2部分と接触する固定媒体を適用すること、および、所定の空間関係にある第1および第2部分を固定するために、固定媒体を活性化することを含み得る。
【0033】
方法は、第1および第2部分を所定の空間関係に移動させる前に固定媒体を適用し、次いで、第1および第2部分が所定の空間関係にあるときに、固定媒体を活性化することを含み得る。
【0034】
固定媒体は硬化性接着剤であり得、固定媒体の活性化は接着剤の硬化を含み得る。
【0035】
固定操作は、溶着プロセスを含み得、固定媒体、および、その活性化は、溶着プロセスの実行の結果である。例えば、固定材料は、溶着プロセスから生じる溶着(例えば、溶融)材料であり得、固定材料の活性化は、溶着材料の硬化または冷却である。
【0036】
溶着プロセスは、レーザー溶着プロセスであり得るが、また、接合プロセス、摩擦溶着プロセス、電子ビーム溶着プロセス、熱風接合プロセス、または電気化学的プロセスであり得る。
【0037】
有利には、第1および第2部分が所定の空間関係にあるとき、第2部分は、物品のどの他の部分とも直接に接触しない(例えば、タッチしない)し、少なくとも、所定の空間関係に干渉するか、影響を及ぼすか、または、影響を与えるであろう方法では接触しない。
【0038】
方法は、所定の空間関係にあるときに、第2部分と、物品の任意の他の部分との間に空隙を残すことを含み得る。
【0039】
空隙は、固定操作で適用される固定媒体によって、少なくとも部分的に埋められ得る。
【0040】
空隙は、好ましくは、少なくとも25μm、より好ましくは、少なくとも50μm、より好ましくは、少なくとも100μmであり、例えば、関係する部分間の重複領域全体の平均として決定される。
【0041】
方法は、確立された関係を使用して、固定媒体をどこに適用するかを決定することを含み得る。
【0042】
機械は、互いに対して移動可能な、第1および第2プラットフォームを含み得、方法は、第2プラットフォーム上で第1部分を支持し、第1プラットフォーム上で第2部分を支持することを含み得る。第1部分に対して第2部分を配置することは、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させるように機械を制御することを含み得る。
【0043】
第1プラットフォームで第2部分を支持することは、第1プラットフォームで支持されるピックアップ装置を使用して、第2部分をピックアップすることを含み得る。
【0044】
ピックアップ装置は、把持具を含み得る。
【0045】
第2部分は、第1プラットフォームで支持される場合、ピックアップ装置に運動学的に(または、少なくとも疑似運動学的に)結合され得る。ピックアップ装置は、第1プラットフォームによって支持されるときに、第2部分と係合する一連の運動学的(または、少なくとも疑似運動学的)特徴を備え得る。第2部分は、ピックアップ装置の運動学的(または、少なくとも疑似運動学的)特徴と係合する、一組の対応する運動学的(または、少なくとも疑似運動学的)特徴を備え得る。ピックアップ装置と第2部分の間の相対的な拘束が、6自由度未満で必要とされる場合、その時には、ピックアップ装置の運動学的(または、少なくとも疑似運動学的)特徴と係合する第2部分の表面は、必要な拘束の程度を達成するために、それに応じて設計され得る。例えば、第2部分がボールであり、ピックアップ装置に対する拘束が、3つの並進自由度(ボールの中心を中心とした3つの自由度での回転は許される)においてのみ必要とされる場合、その時には、十分な運動学的結合が、ピックアップ装置上に運動学的特徴を有することによって達成される(例えば、ボールの接点に対応する球面上に配置された3つの点状の接点)。
【0046】
方法は、第2部分の測定値を取得するために、座標測定機を使用するのではなく、第2部分のモデル、および、運動学的結合による第1プラットフォームに対する第2部分の位置の知識を使用して、第2部分の測定値を取得することを含み得る。
【0047】
第1プラットフォームは、移動可能なプラットフォームであり得、第2プラットフォームは、固定されたプラットフォームであり得る。
【0048】
方法は、第1プラットフォーム上でサポートされる第1プローブを使用して、第1部分を測定することを含み得る。
【0049】
第1プローブで第1部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させて、第1プローブを第1部分と感知関係にもたらすことを含み得る。
【0050】
第1プローブは、可動プローブであり得る。
【0051】
第1プローブは、接触プローブであり得る。第1プローブはタッチプローブであり得る。第1プローブは、タッチトリガープローブであり得る。第1プローブは、アナログプローブであり得る。第1プローブは、走査型プローブであり得る。
【0052】
方法は、第2プラットフォーム上で支持される、第2プローブを使用して第2部分を測定することを含み得る。
【0053】
第2プローブで第2部分を測定することは、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させて、第2プローブを第2部分と感知関係にもたらすことを含み得る。
【0054】
第2プローブは、固定プローブであり得る。
【0055】
第2プローブは、接触プローブであり得る。第2プローブは、タッチプローブであり得る。第2プローブは、タッチトリガープローブであり得る。第2プローブは、アナログプローブであり得る。第2プローブは、走査型プローブであり得る。
【0056】
方法は、第1プローブを第2プローブで測定すること、および/または、その逆を含み得、第1、および、第2の基準フレーム間の関係を確立する。
【0057】
第1プローブを第2プローブで測定すること、および/または、その逆は、第1および第2プラットフォームを互いに対して移動させて、第1および第2プローブを互いに感知関係にもたらすことを含み得る。
【0058】
第1および第2プローブは、それぞれ、スタイラス先端(を有するスタイラス)を含み得る。共通点または一致点は、第1および第2プラットフォームが、第1および第2のスタイラス先端(のそれぞれの中心)を、同じ位置に配置するであろう、互いに対する位置にあるとき、第1および第2プローブのスタイラス先端の中心点であり得る。
【0059】
第1および第2プローブの1つが、タッチトリガープローブであり、第1および第2プローブの他方が、走査またはアナログプローブである場合、方法は、ゼロへの外挿技術を使用して、タッチトリガープローブのスタイラス先端の表面を測定または特徴付けること、および、それから、スタイラス先端の中心点を決定することを含み得る。
【0060】
第2部分は、回転可能なステージ上で支持され得る。回転可能なステージは、第1プラットフォーム上で支持され得る。第2部分に対して第1部分を配置することは、第1プラットフォームに対して回転可能なステージを回転させるように、機械を制御することを含み得る。
【0061】
物品(および、それと共に第1部分)は、回転可能なステージで支持され得る。回転可能なステージは、第2プラットフォーム上で支持され得る。第2部分に対して第1部分を配置することは、第2プラットフォームに対してステージを回転させるように機械を制御することを含む。
【0062】
第1および第2プラットフォームは、3以上の自由度で互いに対して移動させられ得、第2部分を第1部分に対して配置する。
【0063】
第1部分は、物品の支持または基板部分であり得る。
【0064】
第1および第2部分は、物品の使用における機能を有する物品の動作部分であり得、物品の製造中にのみ機能を有する、単なる参照特徴、基準、または、その種の他のものではない。
【0065】
部分は、最終製品の、機能的および/または機械的および/または光学的に、相互に関連する部分であり得る。
【0066】
第2部分は、結果として生じる物品において、第1部分に支持され得る。このように複数の部分が支持される場合、積み重ねまたは直列配置が生成される。固定動作に使用される固定媒体は、第1部分と第2部分との間に提供され得る。固定動作に使用される固定媒体は、第1および第2部分と接触して提供され得る。
【0067】
第1および第2部分は、結果として生じる物品において、物品のベース部分上に支持され得る。第1、および、第2部分は、他方の上に一方が直接支持されないことがあり得る。このように複数の部分が支持される場合、並列または平行配置が生成される。固定動作に使用される固定媒体は、第2部分とベース部分との間に提供され得る。固定動作に使用される固定媒体は、第2部分およびベース部分と接触して提供され得る。
【0068】
部分の並列配置と直列配置の組み合わせが、また、可能である。
【0069】
第1部分は、物品のベース部分または基板であり得るか、または、それらを含み得る。
【0070】
方法は、測定値を取得するために、プローブ以外の測定装置を使用することを含む。カメラなどの測定装置が使用され得る。そのようなカメラベースの測定装置は、ターゲット(つまり、測定される部分)に対する異なるそれぞれの角度または向きで配置された、少なくとも2つ、好ましくは3つの撮像センサを含み得る。非接触測定装置が使用され得る。光学測定装置が使用され得る。
【0071】
部分の測定値を取得することは、部分の1つまたは複数の特徴の測定値を取得することを含み得る。
【0072】
部分の測定値を取得することは、部分の表面上の1つまたは複数の離散点の測定値を取得することを含み得る。
【0073】
座標測定機は、プローブを用いて物体の表面上の離散点を感知することにより、物理的物体の幾何学的配置または幾何学的特性を、3次元で測定するように適合された機械であり得る。
【0074】
座標測定機は、物体の表面上の点の座標を測定するためのプローブなどの、座標測定装置を有する機械であり得る。
【0075】
座標測定機は、非デカルト座標測定機であり得る。
【0076】
座標測定機は、平行運動学的座標測定機であり得る。そのような測定機は、直列ではなく並列に配置された複数の測定および/または駆動軸を有し得、その結果、それぞれの軸に関連する位置決め誤差は、それらが直列運動学的座標測定機に関連するように累積されず、これは、通常、向上された測定精度、より良い測定結果をもたらす。
【0077】
座標測定機は、複数の伸長可能な脚を備え得る。
【0078】
座標測定機は、6本の伸長可能な脚を備える、ヘキサポッド座標測定機であり得る。または、機械は、5本の伸長可能な脚を備える、ペンタポッドであり得る。または、機械は、4本の伸長可能な脚を備える、クァドラポッドであり得る。
【0079】
座標測定機は、直列に配置された複数の回転ジョイントを有する、関節式アームの形態であり得る。これは、一般にロボットアームと称される機械に類似すると見なされ得る。
【0080】
座標測定機は、50μm未満、より好ましくは25μm未満、より好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満、より好ましくは1μm未満の測定精度(または誤差)を有し得る。
【0081】
座標測定機の機械座標は、それぞれに、複数の伸長可能な脚の長さに関連する、および/または、それから導出される値を含み得る。
【0082】
複数の測定トランスデューサは、それぞれに、複数の伸長可能な脚に関連付けられ得る。
【0083】
第2部分、および、第1部分の測定値を取得するための測定装置(例えば、プローブ)は、第1部分を測定するとき、および、第2部分を位置決めするときに移動させられる、機械の共通プラットフォーム上で同時に支持され得る。
【0084】
方法は、物品の1つまたは複数の追加の第2部分について、方法を繰り返すことを含み得る。方法の各繰り返し実行における第1部分は、方法の以前の実行から生じた物品の任意の部分または部分(複数)であり得る。
【0085】
方法の繰り返し実行の少なくとも1つにおける第1部分は、方法の以前の実行からの少なくとも1つの第2部分を含み得る。
【0086】
方法の後続の実行では、方法の以前の実行からの第2部分(それは、新しい第2部分が配置された状態で、それが、既に物品に配置されているため、現在は、第1部分と見なされる)は、座標測定機によって測定され、新しい第2部分を配置するために使用される部分の一つであり得る。また、方法の以前の実行からの第2部分(それが、すでに物品に配置されているため、それは、現在、第1部分)は、方法の後続の実行で測定されず、新しい第2部分を配置するとき、代わりに、物品の他の部分の(新しいまたは以前の)測定値に依存することが可能である。
【0087】
方法の繰り返し実行の少なくとも1つにおいて、第1部分の測定値を取得するために機械を使用することは、方法の以前の実行において取得された、その第1部分の測定値を使用することに及び得る。言い換えれば、第1部分が、方法の以前の実行ですでに測定されている場合、それは、再度測定される必要はなく、第1部分に対してすでに取得された測定値を検索する(そのために、座標測定機、例えば、その機械コントローラを使用する)ことが、単に必要とされる。
【0088】
第2部分、または、各第2部分は、座標測位機の伸長可能な脚のためのベアリング組立体の部分であり得るか、または、その部分を形成し得るか、または、測定プローブのためのスタイラスのボールまたは先端であり得る。第1部分は、座標測位機の伸長可能な脚のための読取ヘッドまたは読取ヘッドホルダの部分であり得るか、または、その部分を形成し得るか、または、測定プローブのためのスタイラスのステムであり得る。
【0089】
したがって、本発明は、座標測位機用の伸長可能な脚、および/または、測定プローブ用のスタイラスを製造する方法に適用可能である。
【0090】
本発明の第2の態様によれば、複数の部分を有する物品を製造する方法が提供され、方法は、複数の部分のうちの第1の選択された部分について、少なくとも本発明の第1の態様による方法の測定および位置決めステップを実行して、物品上に第1の選択された部分を配置し、そして、複数の部分のうちの後続の選択された各部分について、少なくとも位置決めステップを実行し、任意選択で、また、本発明の第1の態様による方法の測定ステップを実行して、物品上に後続の選択された部分を位置決めし、位置決めステップは、現在、および/または、以前に選択された部分に対して方法を実行するときに、取得された測定値を使用することを含む。
【0091】
複数の部分のうちの少なくとも1つは、複数のうちの、複数の他の部分から方法を実行する過程で作成されたモジュールであり得る。
【0092】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1または第2の態様による方法を実行するように構成された、座標測定機を含む製造システムまたは装置が提供される。
【0093】
本発明の第4の態様によれば、座標測定機のためのコントローラによって実行されると、コントローラが座標測定機を動作させて、本発明の第1または第2の態様による方法を実行することをもたらす、コンピュータプログラムが提供される。
【0094】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1または第2の態様による方法を実行するために、座標測定機を制御するためのコンピュータプログラム命令をその中に格納した、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0095】
部分の「位置」は、適切な自由度数に対する部分の位置および/または方向であると理解されるべきである。特に、「位置」および「位置決め」という用語は、並進運動(例えば、X、Y、Zでの運動)のみを説明することに限定されると理解されるべきではなく、並進運動および回転運動の両方、あるいは、関連ある自由度の数に対する、それらの組み合わせを説明することを意図される。例えば、位置が6自由度で定義される場合、その時には、位置と向きの両方が関連する。ただし、位置が3自由度でのみ定義される場合、その時には、これは、向きを含み得、または、含まなくてもよい。本明細書で使用される「位置」および「位置決め」という用語は、それに応じて解釈されるべきである。
【0096】
ここで、例として、添付の図面への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1A】6つの伸長可能な脚を有する、ヘキサポッド座標測定機の概略図である。
図1B図1Aに示されるような、ボトムアップ配置の概略図である。
図1C図1Bのボトムアップ配置の代替である、トップダウン配置の概略図である。
図2】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図3】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図4】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図5】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図6】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図7】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図8】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図9】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図10】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図11】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図12】本発明を具体化する製造方法の様々な段階を示す概略図である。
図13】方法から生じた物品を示す概略図である。
図14】本発明の一実施形態による製造方法を要約したフローチャートである。
図15】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図16】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図17】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図18】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図19】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図20】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図21】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図22】本発明の実施形態における基準フレームの概念を示す概略図である。
図23】本発明を具体化する方法によって製造される、物品の部分のより現実的な配置を示す図である。
図24】本発明を具体化する方法によって製造される、物品のより現実的で実用的な実装を提示する図である。
図25】本発明を具体化する方法によって製造される、物品のより現実的で実用的な実装を提示する図である。
図26】移動プラットフォームの回転中心を変更する際に使用するための、移動プラットフォーム上で支持された物品の部分上の、プローブ一致点と特定点との間のオフセットの決定を示す図である。
図27】ベース部分に物品の追加の第2部分を並べて配置するために繰り返された製造方法を示す図である。
図28】第1部分は、前の実施形態のベース部分のみを含む、図27の代替案を示す図である。
図29図27の並列配置の代替の積層配置を示す図である。
図30図28の並列配置の代替の積層配置を示す図である。
図31】1つまたは複数のモジュールを組み立て、その後、同じ概念を適用して1つまたは複数のモジュールをより大きな全体(または、複雑な製品)に組み立てるために、この概念を使用することを示す図である。
図32】測定スタイラスの製造への本発明を具体化する方法の適用を示す図である。
図33】第2部分の少なくとも1つの点がベース部分に接触している、ベース部分への第2部分の代替の配置を示す図である。
図34】ベアリング組立体のV溝が把持具のボールと運動学的にどのように係合するかをより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
非デカルト座標測定機10は、図1Aに概略的に示される。座標測定機10は、一般に、可動プラットフォーム12および固定プラットフォーム14の間に設けられる、複数の伸縮式または伸長可能な脚16によって、互いに対して、支持され、および、移動させられる、可動プラットフォーム12および固定プラットフォーム14を備える。可動および固定プラットフォーム12、14は、また、ステージ(または構造または部分)と呼ばれ得、伸長可能な脚16は、また、支柱(またはアクチュエータ)と呼ばれ得る。そのような伸長可能な脚16が6つある場合(図1Aに示されるように)、機械は、一般に、ヘキサポッドと呼ばれる。
【0099】
伸長可能な脚16は、通常、ボールジョイント18を介してプラットフォーム12、14に取り付けられ、各脚16は、その一端または両端に、それ自身のボールジョイント18を有するか(図1Aに示されるように)、または、一端または両端で、隣接する脚16とボールジョイント18を共有する。各伸長可能な脚16は、典型的には、一対の管として形成され、一方の管は、駆動機構(例えば、リニアモータ)によって、他方の管内で伸縮的に動かされて、各伸長可能な脚16内の矢印によって示され、例えば、特許文献3に、より詳細に説明されるように、伸長可能な脚16の伸長および収縮を提供する。特許文献4に記載されるように、各支柱の駆動部分と測定部分の間の分離度が、また、提供され得る。
【0100】
可動プラットフォーム12と固定プラットフォーム14との間の様々な相対位置は、異なる量だけ脚16を伸長させることによって達成され得る。任意の瞬間の相対位置は、複数の長さ測定トランスデューサ17によって、各伸長可能な脚16に対してそのようなトランスデューサを1つ備えて、監視される。各長さ測定トランスデューサ17は、読取ヘッドと対にされたエンコーダスケールを備え得、エンコーダスケールは、一対の伸縮管の一方に適切に取り付けられ、読取ヘッドは、他方に適切に取り付けられる。したがって、脚16の伸長は、エンコーダスケールが、読取ヘッドを通り過ぎて移動することをもたらし、それにより、伸長可能な脚16の長さが測定されることを可能にする。コンピュータコントローラ15は、各伸長可能な脚16の長さを設定するように動作し、プラットフォーム12、14の間に必要な相対運動を提供する。そのような長さ測定トランスデューサ17を6つ有することにより、相対位置は、6つの対応するそれぞれの自由度(3つの並進自由度および3つの回転自由度)で測定され得る。
【0101】
ワークピース19は、下部(固定)プラットフォーム14に取り付けられ、測定プローブ13は、上部(可動)プラットフォーム12に取り付けられる。作業容積(または操作容積)11は、上部(可動)プラットフォーム12と下部(固定)プラットフォーム14との間に定義され、測定プローブ13は、伸長可能な脚16の操作によって、作業容積11内に配置される(すなわち、所望の位置に移動させられる)。図1Aの配置は、拡張可能な脚16が、固定プラットフォーム14から可動プラットフォーム12まで、上に延びるので、ボトムアップ配置と呼ばれ得る。この配置は、図1Bに概略的に示される。あるいは、図1Cに概略的に示されるように、トップダウン配置で、伸長可能な脚16は、固定プラットフォーム14から可動プラットフォーム12まで、下向きに伸長し、測定プローブ13は、可動プラットフォーム12の下面に取り付けられ、および、ワークピースは、その下の固定プラットフォーム(または構造)14の別の部分に取り付けられる。これらのタイプの配置は、特許文献5により詳細に説明され、それは、また、ヘキサポッド測定配置と組み合わせた、非ヘキサポッド駆動配置の使用を説明する。
【0102】
次に、図2から図12を参照して、本発明の一実施形態による製造方法が説明されるであろう。方法は、図1Aを参照して説明されたタイプの座標位置決め機械10を利用する、測定支援製造または組み立て方法として説明され得る。図2から12は、以下で明らかになるであろう、方法の異なる段階における機械10を示す。
【0103】
この実施形態の機械10は、一組の伸長可能な脚16、第1プラットフォーム12、および、第2プラットフォーム14を含み、第1プラットフォーム12は、図1Aを参照して、まさに、上記されたように、伸長可能な脚16の動作によって、第2プラットフォーム14に対して移動可能である。したがって、この実施形態では、第1プラットフォーム12は、可動プラットフォームであり、第2プラットフォーム14は、固定プラットフォームである。この実施形態の機械10は、主に、何が、可動プラットフォーム12に取り付けられるか、何が固定プラットフォーム14に配置されるか、そして、もちろん、機械がいかに操作されるかで、図1Aに示されるものとは異なる。
【0104】
支持具22は、クイル20を介して、第1の(可動)プラットフォーム12に取り付けられ、第1の(可動)測定プローブ30、把持具50、および、接着剤塗布具90が、支持具22に取り付けられる。第2の(固定)プラットフォーム14には、第2の(固定)測定プローブ40、ならびに、方法で製造(または組み立て)される、物品の様々な部分60、70、および、80が提供される。三次元機械を二次元のみで概略的に表すことの制限のために、接着剤塗布具90は、図8(それは、接着剤塗布具90が作動する方法の段階である)にのみ示されるが、3つの工具40、50、90の全ては、支持具22上に同時に支持される(したがって、また、クイル20を介して、可動プラットフォーム12上に支持される)。クイル20は、支持具22(および、特に、工具40、50、および90)を機械の作業容積11内の適切な位置に配置するのに適切な長さである。
【0105】
上記の配置では、特に、2つのプローブが存在することが見られ得、第1の(可動)プローブ30は、第1の(可動)プラットフォーム12に設けられ、第2の(固定)プローブ40は、第2の(固定)プラットフォーム14に設けられる。この配置の理由は、以下で明らかになるであろう。第1プローブ30は、スタイラス先端(またはプローブ先端)32を有し、第2プローブ40は、スタイラス先端(またはプローブ先端)42を有する。
【0106】
また、図2に示されるように、組み立てられる物品は、ベース部分60、ベース部分60にすでに固定されている第1部分70、および、第1部分70と所定の空間関係において、ベース部分60に(方法の部分として)配置される、第2部分80を有する。第1部分70は代表的な特徴72を有し、第2部分80は代表的な特徴82を有し、そして、特に、最終物品において、これらの代表的な特徴72、82は、互いに対して正確に配置されることが重要である。ベース部分60(および、それと共に第1部分70)は、第1の支持体21を介して、固定プラットフォーム14上に支持され、第2部分80は、第2の支持体23を介して、固定プラットフォーム14上に支持され、これらの固定支持体21、23は、支持された部分を、測定および/または操作のために、より便利な高さまで持ち上げるためのものであるが、また、支持された部分を、所定の位置に保持するための固定機能を提供し得る。
【0107】
ここで、本発明の実施形態を文脈に置くために、他の既知の製造技術を簡単に参照すると、構成要素をプリント回路基板上に組み立てる場合、構成要素が、回路基板上に、絶対的に、または、他の構成要素に対して、非常に正確に配置されることは、通常、重要ではない。むしろ、構成要素の接点が、回路基板上の正しい対応の半田パッド上に配置されることが、単に、求められ、その結果、構成要素は、半田を介して、その半田パッドと電気的に接触するだろうから、合理的な程度の製造許容誤差が許容される。この点で、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)の大部分の製造は、リフロー半田付け段階を含む表面実装技術を使用して実行される。そのような技術では、基板の半田パッドは、構成要素の配置前に半田ペーストで覆われる。次に、自動化された「ピックアンドプレース」機械が使用され、順に、構成要素を基板の適切なパッドに配置し、各構成要素を解放し、その結果、それは、未硬化の半田ペーストによって、非常に緩く保持される、つまり、構成要素は、ピックアンドプレース機械によって解放される前に、所定の位置に、固定されず、または、しっかりと保持されない。次に、基板は、半田ペーストが、溶融またはリフローする温度に達するまで、基板全体を徐々に加熱する(例えば、加熱ガスまたは赤外線放射を使用する)ための複数の段階を通常含む、リフロー半田付けオーブンに配置される。次に、基板は、ゆっくりと冷却され、すると、溶融半田が固化し、構成要素を、所定の位置にしっかりと固定する。
【0108】
上記のPCBAの製造では、半田パッドの比較的大きなサイズのため、回路基板上の構成要素の配置は、高精度である必要がない。一緒に組み立てられる構成要素が、画像化(例えばビデオ)システムによって撮像されて、それぞれに対するそれらの位置を確立する、特許文献1の画像ベースシステムの方法(さらに、上記される)では、方法は、計算集約的である(したがって比較的遅い)だけでなく、画像ベースの方法のために比較的不正確である。さらに、構成要素は、機械によって解放された後、および、リフロー半田付けオーブンで処理される前に、わずかに位置を変え得るが、これは、正確な空間位置決めは必要とされず、信頼できる電気接続のみが必要とされる、PCBA製造の文脈においては重要でない。
【0109】
本発明の一実施形態では、これらの既知の方法で可能であるよりも、高い位置精度が必要とされること、特に、第1および第2部分70、80が、所定の空間関係において、互いに対して正確に固定されなければならないことが想定される。
【0110】
これを念頭に置いて、図2では、第1部分70(および、特に、代表的な特徴72)が、ベース部分60の表面上の小さな欠陥(例えば、隆起)62のために、ベース部分60に対して、わずかな角度で着座していることが見られ得る。すでに配置された部分に関連する、いかなる位置の不正確さ、または、欠陥にも関係なく、第2部分80(および、特に、代表的な特徴82)は、第1部分70(および、特に、代表的な特徴72)と正確に位置合わせされることが重要である。例えば、上記のPCBAの例のように、単純なピックアンドプレース機械が、第2部分80をベース部分60に配置するために採用されていたなら、そのとき、ベース部分60上の欠陥62の存在は考慮されず、その結果、第2部分80(および、特に、代表的な特徴82)が、第1部分70(および、特に、代表的な特徴72)と正確に位置合わせされることに終わらないであろう。また、画像ベースの方法は、そのような小さな欠陥や不整列を検出することができず、および/または、十分に高いリフレッシュレートで検出することができないであろう。PCBA製造の場合、基板が完全に平面であると仮定することで十分であるが、本発明の実施形態は、不完全な、および/または、非平面の基板またはベース部分60への部分70、80の正確な位置決めに適用可能である。
【0111】
ここで図3を参照すると、第1および第2プラットフォーム12、14は、互いに対して移動させられて、第1プローブ30を、第1部分70との検出関係にもたらす。第1および第2プラットフォーム12、14のこの相対的な動きは、上述されるように、コントローラ15の制御下で、伸長可能な脚16の長さを変えることによって達成される(図1Aを参照)。これは、一連の測定値を提供するために、1つまたは複数の点で、第1プローブ30を用いて第1部分70を測定することに等しい。例えば、第1部分70が、一般に、立方体であることが知られている場合、測定は、第1部分70の各側面で行われ得、どこが側面であり、各側面の平面がどのように方向付けられているかを確立する。さらに、必要に応じて、第1部分70をよりよく特徴付けるために、1つまたは複数のコーナーなどで、測定が行われ得、または、例えば、例として、上面の平面に関する情報を決定するために、必要な場合にのみ、より少ない測定が行われることが、また、可能である。第1部分70のこれらの測定値は、第1部分70の基準フレームを確立するために使用される。第1部分70の測定値は、3次元の点座標測定値である。それらが、第1部分70の位置(3つの並進自由度)と方向(少なくとも1つの回転自由度、好ましくは、3つの回転自由度)の両方を定義するため、それらは、まとめると、3つ以上の自由度での測定であると見なされ得る。
【0112】
図4に示されるように、この実施形態では、ベース部分60は、また、ベース部分60の基準フレームを確立するために、第1プローブ30で測定される。これは、ベース部分60のどこに第2部分80が配置されるべきかを正確に決定するために使用される、1つまたは複数の特徴をベース部分60に配置することが要求される場合に必要であろう。例えば、第2部分80が、その中に、または、その上に、配置されるべき、1つまたは複数の配置特徴(例えば、マーキング、または、くぼみ)が、ベース部分60上に存在し得、その結果、第1部分70に対する第2部分80の位置決めは、部分的には第1部分70の特徴によって、そして、部分的にはベース部分60の特徴によって決定される。
【0113】
第1部分70はベース部分60を含むと、都合よく考えられ得るので、図3および図4は、第1部分70(ベース部分60を含む)の基準フレームを確立するために、プローブ30で、第1部分70(ベース部分60を含む)を測定する、単一のステップを示す。言い換えれば、第1部分70はそれ自体が複数の部分を有し得、それらの複数の部分の、任意のいずれか1つまたは複数は、第1部分の基準フレーム、および、第2部分80が第1部分70に対してどのように配置されるかを決定することに関連し得るであろう。
【0114】
この実施形態では、第1プローブ30は、第2プローブ40と同様に、接触またはタッチプローブである。タッチプローブは、よく知られている。例えば、第1プローブ30で測定を行うために、機械は、スタイラス先端32を測定される物体と接触するように制御される。タッチが感知されると、機械座標(例えば、伸長可能な脚16の長さ)が記録され、これらの機械座標から、タッチポイントのX、Y、Z座標が計算され得る。これは、機械が、機械座標(図1Aに示される、長さ測定トランスデューサ17からの出力など)と、スタイラス先端の座標、または、少なくともスタイラスが取り付けられる支持具の座標とのある種のマッピングを提供するために、較正されていることを想定する。機械の較正手法は、通常、関連する機械のパラメトリックモデルを特定するという目標を共通して有し、このモデルにおいて、複数のパラメータが、機械の形状を特徴づけるために使用される。未較正の値は、最初に機械形状の開始点として、これらのパラメータに割り当てられる。較正中、機械は、様々な異なる姿勢に移動させられる(機械パラメータの現在の推定に基づいて)。姿勢ごとに、較正された測定デバイスが、実際の姿勢を測定するために使用され、想定される機械の姿勢と実際の機械の姿勢との間の誤差の指標が決定され得る。次に、機械を較正するタスクは、既知の数値最適化またはエラー最小化手法(レーベンバーグ・マルカートアルゴリズムなど)を使用して、エラーを最小化する、機械の様々なパラメータの一連の値を決定することに等しい。
【0115】
次に、図5に示されるステップにおいて、第1プローブ30は、第2プローブ40を測定するために使用され(またはその逆)、これらの測定は、第1部分70の上記で決定された基準フレームと、第2部分80について決定されるべき(以下を参照)基準フレームとの間の関係を確立するために使用される。これは、第1プローブ30のスタイラス先端32を、第2プローブ40のスタイラス先端42と正確に同じ位置に配置するであろう、機械の位置(すなわち、第1および第2プラットフォーム12、14の相対位置)である、プローブ一致位置を測定することに等しい。実際にはこれを行うことは可能でないため、代わりに、これは、第2のスタイラス先端42の周りで、第1のスタイラス先端32を用いたタッチ測定によって行われ、どこが一致点(すなわち、第2のスタイラス先端42の中心の位置)であるかを決定するために、球体がこれらの測定に当てはめられる。2つのプローブ30、40は、2つのスタイラス先端32、42が互いに接触したときに、第2プローブ40が、第1プローブ30よりも優先してトリガーすること、または、第1プローブ30が、第2プローブ40よりも優先してトリガーことを確実にするために、異なる剛性であるように配置され得る。
【0116】
上記のように、2つのタッチトリガープローブを使用する、一致プローブ較正は、プローブステムと運動学的ばねのZに対するXとYでの異なる剛性に潜在的に悩まされ得る。これを克服するために、2つのタッチトリガープローブを使用する代わりに、タッチトリガープローブを測定するために、アナログまたはスキャンプローブを用いることが、また、可能である。アナログプローブは、通常、タッチトリガープローブよりも、X、Y、Zで、より均一な剛性または応答を有する。さらに、タッチトリガープローブを測定するために、アナログプローブが使用される場合、例えば、特許文献6または特許文献7に記載されている「ゼロに外挿する」技術が、相手方のプローブの先端表面の非常に正確な測定を提供するために採用され得、その測定から、プローブの一致位置を決定するために、上記のように球体当てはめが実行され得る。外挿は、タッチトリガープローブが外れてトリガーする前に、アナログプローブによって経験されるたわみの範囲内で実行され得る。アナログプローブは、タッチトリガープローブに対して移動させられるか、または、その逆も可能であろう。
【0117】
上記のように、この例では、物品の第1部分70は、すでに、第2の(固定)プラットフォーム14に提供されており、一方、第2部分80は、まだ、支持体23で使用されるのを待っている。次のステップは、第1プラットフォーム12で、物品の第2部分80を支持することであり、その結果、それは、移動させられ、物品の所定の位置に配置され得る。これは、この実施形態では、図6に示されるように、支持具22を介して、第1プラットフォーム12に支持される把持具50を使用して、支持体23から第2部分80をピックアップすることによって達成される。機械は、把持具50を第2部分80に近接させるように(様々な伸長可能な脚16の長さに対する適切な変更によって)制御される。把持具50は、把持具50が第2部分80に近接しているときに作動する吸引パッド52を含み、これは、第2部分80が重力の作用に抗して支持体23から持ち上げられ得る十分な力で、第2部分80を把持具50に保持する。
【0118】
第2部分80に面する把持具50の表面に、把持具50は、把持具50に面する、第2部分80の表面上の、対応する一組の3つのV溝84と運動学的に係合する、一組の3つのボール54を備える。これは、把持具50に対する第2部分80の予測可能で一貫した位置を確実にし、これは、後続の測定ステップを支援する。また、それは、例えば、吸引パッド52の吸引のわずかな損失によって、または、第2部分80が、わずかに押されるために、第2部分80が把持具50からわずかにずれた場合、第2部分80は、再び適切に結合されるとき、正確に同じ相対位置で再び結合するであろうことを確実にする。
【0119】
運動学的設計の概念は、最小数の制約を使用して、本体の運動の自由度を制限することを必要とし、特に、過度の制約を回避することを必要とする。これは、保持装置に対する本体の非常に反復可能な位置決めを確実にし、そして、本体が、予測可能に、反復可能に、既知の方法で、保持装置上に着座するであろうことを意味する。これは、非特許文献1、および、非特許文献2に説明される。理論的な運動学的結合は、実際には可能ではない、純粋な点接触を必要とすることが理解されるであろう。むしろ、実際には、接触は、小さな領域に及ぶであろうし、それは、負荷を分散させるため、有益であると見なされ得、したがって、運動学的結合という用語は、点接触領域よりはむしろ、小さな接触領域を持つ、疑似、または、準運動学的結合をカバーするものとして理解されるべきである。運動学的設計の考慮事項は、なお、小さな領域接触でさえ満たされると見なされ得、実際の接触領域は、関連する適用に依存する。
【0120】
図7に示されるように、第1プラットフォーム12と共に移動するように、第2部分80をピックアップした後、第2部分80が、第2プローブ40で測定され、第2部分80の基準フレームを確立する。これは、今回、測定値が、第2部分80に関連し、測定値が、第2の(固定)プラットフォーム14で支持される、第2プローブ40からのトリガーによって提供されるけれども、図3を参照して上述されたものと完全に同等である。第2部分80の測定値は、3次元の点座標測定値である。まとめると、それらは、第2部分80の位置(3つの並進自由度)と方向(少なくとも1つの回転自由度、好ましくは3つの回転自由度)の両方を定義するため、3つ以上の自由度での測定値と見なされ得る。
【0121】
現在、第1の基準フレーム(すなわち、第1部分70の基準フレーム)と第2の基準フレーム(すなわち、第2部分80の基準フレーム)との間の関係は確立されていないので、第1プローブ30によって取得される第1部分70の測定値は、第2プローブ40によって取得される第2部分70の測定値と、基本的に、独立している。言い換えれば、リンクは、2つの異なるプローブ30、40に関連付けられた、それぞれの測定値の間で、まだ確立されていない。これは、図5に示されるステップから得られた情報が使用されるようになる場合であり、なぜなら、そのステップで決定されたプローブの一致位置が、第1と第2の基準フレーム間のリンクまたは関係を確立したり、共通の基準フレームを確立したりするために使用され得るからである。図8から12に示されるように、2つの基準フレームの間に確立された関係は、後続のステップで使用され、第1および第2部分70、80を共通の基準フレームでの所定の空間関係に移動させ、第1および第2部分70、80を、互いに対して所定の空間関係に固定する。2つの基準フレーム間の関係を確立するというこの考えは、図15から22を参照して、以下でさらに説明されるであろう。
【0122】
図8に示されるように、2つの基準フレーム間の関係が確立されると、いくらかの硬化性接着剤64が、接着剤塗布具90によって、第2部分80が配置されるべきベース部分60に塗布される。次に、図9に示されるように、機械は、第2の(固定)プラットフォーム14に対して第1の(可動)プラットフォーム12を回転させるために(様々な伸長可能な脚16の長さへの適切な変更によって)制御され、その結果、第2部分80は、共通の基準フレーム内で、第1部分70と適切に位置合わせされる。好都合なことに、プラットフォーム12、14の相対回転は、これは必須ではないが、例えば、第2部分80の底部に位置する点86と一致する、固定の回転点を提供するようになされる。
【0123】
次に、共通の基準フレームにおける、第1部分70に対する第2部分80の正しい整列(向き)を実現させるために、確立された関係が用いられると、図10に示されるように、まだ正しい位置ではないが、機械は、共通の基準フレーム内に、正しい空間関係で(位置および向きの両方で)、第2部分80を第1部分70に対して配置するために、第1の(可動)プラットフォーム12を第2の(固定)プラットフォーム14に対して移動させるために(様々な伸長可能な脚16の長さの適切な変更によって)制御され、第1部分と第2部分70、80の間に、間隙が、意図的に残される。未硬化の接着剤64が正しい場所に塗布された状態で、第2部分80は、依然として、第1部分70に対して、機械によって保持および支持されており、未硬化の接着剤64がそれらの間の間隙を埋める。図11に示されるように、把持具50上のUV源が、接着剤64を硬化させるために、接着剤64に紫外線56を印加する。第2部分80は、紫外線に対して少なくとも部分的に透過性であり得る(例えば、プラスチック材料で形成される)か、または、紫外線は、第2部分80の周りに適用され得るか、あるいは、別個のUV源が、支持具22上に、または、機械の他の場所にさえ、設けられ得るであろう。
【0124】
図12に示されるように、接着剤が硬化した状態で、第1プラットフォーム12が第2プラットフォーム14から離れて移動させられ、組み立てられた物品を支持体21上に残し、第1および第2部分70、80は、そのとき、ベース部分60上で互いに正確に固定される。最終的な物品100は、図13にクローズアップされて示され、それは、説明された方法が、ベース部分60の表面での不完全性62の存在にもかかわらず、いかに、第1および第2部分70、80の代表的な特徴72、82の間の所望の整列をもたらしたかを示す。
【0125】
上記の方法は、図14のフローチャートに要約される。
【0126】
固定プローブと移動プローブを使用することの概念、および、2つのプローブによって別々に測定された、2つの基準フレーム間の関係を確立することの思想は、図15-22に概略的に要約される。図2から図12で使用される表現と同様に、図15は、互いに対して移動可能な、可動プラットフォームと固定プラットフォームを示す。もちろん、重要であるのは、どちらか一方の絶対的な位置よりはむしろ、2つのプラットフォーム間の相対的な動きであるため、両方のプラットフォームが、移動可能であり得るであろうし、実際には、固定された一方と、移動するもう一方を有することが、単に便利である。固定プラットフォームは、基準フレームA内で、互いに固定された関係にある、複数の物体およびプローブを支持または担持し、一方、移動プラットフォームは、基準フレームB内で、互いに固定された関係にある、複数の物体およびプローブを支持または担持する。最初は、基準フレームA、Bが相互にどのように関連しているかは不明である。
【0127】
図16では、可動プローブを、固定プラットフォーム上の物品の1つの、点(特徴または角部)との検知関係にもたらすために、可動プラットフォームが移動させられる。この点の座標は、ベクトルa1として記録される。座標は、その特定の姿勢(つまり、可動プローブの先端を、物品の特定の点との接触に置く姿勢)でのプラットフォームの相対位置を定義する、一連の機械座標、例えば、ヘキサポッド機械のそれぞれの伸長可能な脚の長さ、さらに、それらの長さを導出するために使用される、トランスデューサ17からの生の読取値であり得る。ただし、この図では、座標a1が、機械の既知のジオメトリに基づいて機械座標から導出(変換)され、その結果、通常のベクトル演算が適合する、デカルトX、Y、Z座標として記録されることが想定される。
【0128】
次に、図17では、物品の別の点(特徴または角部)が、可動プローブを使用して検知され、点座標が、ベクトルa2として記録される。次に、固定プラットフォーム上の他の物品の点(特徴または角部)が、可動プローブで検知され、点座標a3を有するものとして記録される。それに続いて、図19図21では、可動物品の点または特徴を、固定プローブとの関係を検知することにもたらすために、可動プラットフォームが、移動させられ、それぞれ、点座標b1b2、および、b3の結果をもたらす。
【0129】
そのようなすべての測定のために制御されているのは、一組の同じ伸長可能な脚であり、各点座標は、したがって、一組の共通の機械座標(例えば、一組の脚の長さ)で表されるので、これらの点座標a1からa3、および、b1からb3は、すべて同じ機械座標系内で測定されるが、1つの基準フレームA(または、同等の座標系A)での座標が、別の基準フレームB(または、同等の座標系B)の座標と、地球の基準フレーム(または、座標系)において、どのように関連するかは、まだ、不明である。例えば、同じ基準フレーム内の点が、空間的にどのように関連しているかは既知であるが(例えば、a2a1は、基準フレームA内の、点1から点2までのベクトルである)、異なる基準フレーム内の点が、空間的にどのように関連しているかは不明である(例えば、b2a1は、現時点では有効な考慮事項ではない)。基準フレーム間の関係は、図22に示されるステップで確立される。
【0130】
概念的には、関係は、プラットフォームを移動させ、両方のプローブ先端の検出点(つまり、それらのそれぞれの中心)を同じ点、つまり、地球の座標空間内の同じ位置(一致点)に持ってくることによって確立される。これが生じたと判断されると、2つの基準フレームA、B間にリンクが確立され、両方のプラットフォーム上のさまざまな物品が、共通の基準フレームC(地球の基準フレーム、または、2つの基準フレームAおよびBのうちの1つであり得る)内で、考慮され、相互に関連付けられることを可能にする。
【0131】
図22に示される、一致位置にある場合、この点は、基準フレームAでa4として、基準フレームBでb4として記録される。ただし、これは、また、共通の基準フレームで、点c0として記録され得る。一致点c0は、2つの基準フレームA、Bを効果的に結び付ける。今では、図20で測定された点b2は、共通の基準フレームCで、c0+(b2b4)として表され得、図17で測定された点a2は、共通の参照フレームでc0+(a2a4)で表され得る。
【0132】
ここで、再び、図2から図13の概略図に戻って検討すると、それらの図では、第1および第2部分70、80は、最終物品上において、並べて配置されるように示される(特に、図13を参照)。第1部分70は、代表的な特徴72を有するものとして説明され、第2部分80は、代表的な特徴82を有するものとして説明され、最終的な物品において、これらの代表的な特徴72、82は、互いに対して、高い精度で位置決めされることが重要であることが説明される。次に、図23から図25を参照して、概略的な例の実際の適用が、説明されるであろう。
【0133】
図23は、物品100を構成する部分60、70、80の単純な再配置を示す。図23の描写では、ベース部分60は、長手方向軸90を有する細長い管(この例では、正方形の断面を有する)であり、第1および第2部分70、80は、ベース部分(管)60の長手方向軸90に沿って、一列に配置される。第1および第2部分70、80は依然として概略的に示されるが、代表的な特徴72、82は、長手方向軸90を横切る方向に整列することが、今や、明らかである。ベース部分(管)60は、第1の管60を構成し、物品100は、また、第1の管60の内部で伸縮自在にスライドする、第2の管66(この例では、正方形の断面)を備える。第1部分70は、図1Aに関して上述されたタイプの測定エンコーダの読取ヘッドを表し、対応するエンコーダスケール68が、第2の管66に設けられる。
【0134】
したがって、(上記のように)本発明を具体化する方法によって製造された物品100は、上記の伸長可能な脚16の1つに対応し、その結果、座標測定機10は、別のそのような座標測定機での使用のための伸長可能な脚16を作製するために使用されている。第2部分80は、ベアリングを表し、第2の管66が、第1の管60内でスライドすることを可能にし、代表的な特徴82はベアリングの車軸である。代表的な特徴72は、読取ヘッドの感知部分であり、これは、実際には、最も正確な測定結果のためにエンコーダスケール68に対して正確に整列しなければならず、第1の管60内の第2の管66の整列は、第2部分(ベアリング)80の整列によって定義される。この方法は、第2部分(ベアリング)80が、第1部分(読取ヘッド)に対して、正確に整列することを保証したので、結果は、その中で、エンコーダスケール68が、読取ヘッドセンサー72と正確に整列して動作する、正確に形成された物品(伸長可能な脚)100である。
【0135】
そのような物品100で使用するためのベアリング組立体800のより現実的な描写が図24に示される。ベアリング組立体800は、第2部分80に対応する。ベアリング組立体800は、軸820に支持されたホイール860を備え、軸820は、上記の代表的な特徴82に対応する。上記のV溝84に対応する、運動学的配置特徴840は、ベアリング組立体800の一方の側に設けられ、ホイール860は、ベアリング組立体800の他方の側から最も顕著に突出する。運動学的配置特徴840は、3つのV溝の2組(すなわち、合計6つ)を含み、ベアリング組立体800が、2つの異なる方向で(または、3つのみの回転対称のV溝で、3つの異なる方向のいずれかでピックアップすることが、すでに可能であるので、6つの異なる方向のいずれか1つで)、把持具50(3つのボール54を有する)によってピックアップされることを可能にする。図34は、ベアリング組立体800のV溝840が、把持具50のボール54と、運動学的にどのように係合するかをより詳細に示す。
【0136】
図25は、4つのそのようなベアリング組立体800(4つの第2部分80に対応する)が、いかに、外管600(ベース部分60に対応する)上に組み立てられるかを示し、ベアリング組立体800は、外管600に形成された対応する数の開口(または、ポケット)を通して、部分的に配置される。ベアリング組立体800のフランジ830は、開口610よりも幅広であり、開口610を通過することができず、代わりに、上述されるように、ベアリング組立体800と外管600との間に計画的に残された空隙を埋める接着剤64を介して、外管600上に着座し、外管600によって支持される。ホイール860は、組み立てられたときに開口610を通って突出し、その結果、ホイール860は、内管660(図23の内管660に対応する)に沿って動く。
【0137】
内管660は正方形の断面を有し、内管660の2つの隣接する側面のそれぞれに対して2つのベアリング組立体800が存在する。内管660は、磁気手段によって、ベアリング組立体800と接触して保持され、磁石(不図示)が、各ベアリング組立体800に提供され、内管は、少なくとも部分的に磁性材料で形成される。内管660の第3の側面(図25の図では、ちょうど隠される)には、エンコーダスケール680が設けられる。読取ヘッド取り付けブロック(またはブラケット)700は、外管600に形成された開口630内に設けられ、その取り付けブロック700に読取ヘッド710が取り付けられる。取り付けブロック700は、上記の第1部分70に対応し、読取ヘッドのセンサ部分720は、代表的な特徴72に対応する。電気ケーブル730は、読取ヘッド710に電力を供給し、読取ヘッド710からのセンサ信号を運ぶ。
【0138】
次に、図24および図25に示される、特定の実施形態および特徴に基づいた製造方法が説明されるであろう。この方法は、この実施形態の特定の文脈に関連するいくつかの追加の特徴を伴うが、一般には、例えば、図2から図12を参照して上述されたものと一致し、ただし、これらの追加特徴は、また、上記のより一般的な教示に適用されるであろう。
【0139】
最初に、「クイルオフセット」が決定される。これは、複数の方向に設定された移動プラットフォーム12と一緒の移動プローブ30を使用して、固定ボールの中心を測定することを伴う。ボールの中心は、移動するプラットフォーム12の回転の中心を計算するために使用される。コントローラ15の「クイルオフセット」値は、移動プラットフォーム12が回転するように命令されたときに、回転の中心が、ほぼ移動プローブ先端32になるように調整される。
【0140】
次に、「プローブ一致位置」が決定され、それは、移動プローブ30が、静止プローブ40に対して較正される位置である。移動プローブ30と静止プローブ40との間の関係は、一方のプローブ先端32、42を他方42、32で測定することによって確立される。これは、接触と球体当てはめを使用して中心点を見つけることで行われる。2つのプローブ30、40は、2つのプローブの既知の1つがトリガーするように、異なる剛性のものとして選択される。スタイラス(複数)のたわみは、Zに関して対称であると想定されるため、X-Yの位置はよく知られ、Z位置はよく知られるほどではない(しかし十分に知られる)。
【0141】
次に、管600は、移動プローブ30を使用して測定され、管600の座標系(または、略して「Csys」)を決定し、これは、TubeCsysとして示される。座標系TubeCsysは、上記の第1部分の基準フレームと同等であり、この文脈において、第1部分は、管600および読取ヘッドブラケット700を含む。座標系TubeCsysは次のように決定される。
【0142】
(a)移動プローブ30での、管600の周りのタッチは、管600のシリンダの軸を見つけるために使用される。
【0143】
(b)移動プローブ30での、1つまたは複数のポケット610の前部および後部におけるタッチは、管600のZ軸位置を決定するために使用される。
【0144】
(c)移動プローブ30での、読取ヘッドブラケット700の側面上におけるタッチは、平面と、管600の向きを与えるために使用される平面の軸を当てはめるために使用される。
【0145】
(d)(a)、(b)、および、(c)からの測定値は、管600および読取ヘッドブラケット700の座標系TubeCsysを創出するために使用される。
【0146】
続いて、ベアリング組立体800がピックアップされる。3つのボールおよび吸引カップからなる運動学的ピックアップ構造が使用され、トレイ状支持体23からベアリング組立体800をピックアップする。ベアリング組立体800は、上記のように、3つのV溝の2組を形成する、6つの位置を有する。
【0147】
次に、ベアリング組立体800が、固定プローブ40を使用して測定され、BearingCsysとして示される、ベアリング組立体800の座標系を得る。座標系BearingCsysは、上記の第2部分の基準フレームに相当する。座標系BearingCsysは次のように決定される。
【0148】
(a)ベアリング軸820は、固定プローブ40でのタッチ、および、これらの測定値に当てはめられたシリンダを使用して測定され、軸820のベクトル方向を決定する。
【0149】
(b)軸820の端部は、固定プローブ40でのタッチを使用して測定され、軸820のZ中心を見つける。
【0150】
(c)平面は、固定プローブ30でのタッチを使用して測定され、ベアリング組立体800の方向を与える。
【0151】
(d)(a)、(b)、および、(c)からの測定値は、ベアリング組立体800の座標系BearingCsysを創出するために使用される。
【0152】
その後、移動プラットフォーム12の回転中心は、(移動プローブ先端32から)ベアリング組立体800の底部に移動させられる。これを実現するために、「一致プローブ位置」からBearingCsysの原点までのオフセットが計算され、その後、既知の距離(この特定の例では、これは、Zでマイナス5mm)をオフセットして、ベアリング組立体800の下部(すなわち、ホイール860の下部に)に到達し、これは、図26に模式的に示される。このオフセットは、次に、コントローラ15で「クイルオフセット」に追加され、機械の回転点を、ベアリング組立体800の下部の中心に移動させる。これで、移動プラットフォーム12は、A、B、または、C軸で回転され得(機械は非デカルトであるため、移動プラットフォーム12は、X、Y、Z軸ではなく、A、B、C軸を有する)、ベアリングの下部は固定位置に止まるであろう。
【0153】
次に、UV接着剤のビードが、TubeCsysにおいて、関連するポケット610の周りの管600に正確に塗布される。
【0154】
ベアリング組立体800を正確に所定の位置に移動させるために座標変換が必要であり(これは、上記の第1および第2の基準フレーム間の関係と同等である)、Tは4x4座標変換行列である。
【0155】
T = BearingCsys-1×TubeCsys
座標系の概念、および座標系間の変換は、当業者にはよく理解されるが、更なる説明は、非特許文献3に見られ得る。例として、いくつかの変換行列と操作が、以下に示される。
【0156】
【数1】
【0157】
コントローラ15で行われるであろう、上記のステップのいくつかを説明するために、いくつかの擬似コードが以下に提供される。
【0158】
プローブの一致位置を記憶
point ProbeOffset = (point)CommonData[“ProbeCoincidentPosition”]
ベアリング組立体の座標系を記憶
CSYS BearingCsys = (CSYS)CommonData[“FrontBearingCsys”]
ベアリング点の中心と移動プラットフォームプローブの先端の間のオフセットを計算し、ベアリングの下部に移動
BearingPos = [BearingCsys.M.m30, BearingCsys.M.m31, BearingCsys.M.m32]
offset = ProbeOffset - BearingPos + [0, 0, -5]
ここで、上記説明の[0,0,-5]は、(上記のように)Zでマイナス5mmのオフセットである。
【0159】
チューブの座標系を記憶
CSYS TubeCsys = (CSYS)CommonData[“TubeCsys”]
変換を計算
T = BearingCsys^-l * TubeCsys
Tから角度x、角度y、および、角度zを計算
移動プラットフォーム12の回転点を「オフセット」に移動
SetTipOffset(offset)
移動プラットフォーム12を回転
MoveToAngle(Angles.x, Angles.y, Angles.z, 100, 100)
ローカル座標をTubeCsysに設定、これは、機械がTubeCsys座標系に位置することを可能にし、クイルオフセットをベアリングの下部に移動させると、ベアリングの下部が位置決めされる。
【0160】
mc.SetCsys(TubeCsys)
mc.UseLocalCsys( )
ここで、ベアリング組立体800は、チューブ座標系TubeCsysに対して配置され得る。それは、管600とベアリング組立体800との間に間隙が存在するように配置され、通常、約100pmの間隙が適切である。
【0161】
次に、ベアリング組立体800が所定の位置で硬化される。UV光源は、移動プラットフォーム12に取り付けられる。それは、接着剤を硬化させ、したがって、所定の位置で、ベアリング組立体800の動きを止めるために使用される。
【0162】
上記の実施形態では、第2部分80は、第2プローブ40で測定される。代替の実施形態では、第2部分のこれらの測定値は、代わりに、第1プラットフォーム上で第2部分80を支持するために使用される運動学的結合の再現性および精度による、第1プラットフォーム12に対するその既知の位置および向きから、および、第2部分80の形状に関する知識(例えば、第2部分80のCADモデルから)から、仮定または推測され得る。したがって、本発明の別の実施形態では、第2プローブ40に対する必要性は存在しない。
【0163】
代替の実施形態では、固定および移動タッチプローブを使用することに代え、固定および移動撮像カメラが、代わりに使用され得る。前述の実施形態における一致点の測定と同等に、一方のカメラからの測定値を他方のカメラからの測定値と結び付けるために、一方のカメラ(センサーなど)の主要な特徴が、他方のカメラで撮像され得るであろう。三次元で測定するために、撮像カメラは、対象に対して異なるそれぞれの角度または向きに配置された3つの撮像センサを含み得るか、または、3つの別個の撮像カメラが異なるそれぞれの角度で採用され得る。同様に、縞ベースのシステムのような光学測定装置が、別の実施形態で使用され得、この場合、縞が物体または部分の表面に投影され、これらの縞は、物体または部分の測定値を取得するために撮像され、および、分析されるであろう。
【0164】
上記の実施形態に対する拡張として、物品100は、回転可能なステージ上で支持され得、回転可能なステージ自体は、第2プラットフォーム14上で支持される。次に、第2部分80に対して第1部分70を配置することは、第2プラットフォーム14に対してステージを回転させるように、機械を制御するステップを含み得る。これは、部分が、さもなければアクセスできないであろう異なる側面または表面で、物品100に組み立てられることを可能にし、動作するための6以上の軸(または自由度)を有する、システムを効果的に提供し、すなわち、座標測定機自体からの6軸(または自由度)に加えて、別の回転軸が、回転ステージによって提供される。または、全体で6つの自由度が存在し得、例えば、5つは座標測定機によって提供され、6つ目は回転ステージによって提供される。実際、これらのそれぞれの部分によって提供される軸の、任意の適切な数および組み合わせが存在し得るであろう。配置される物体と部分の一方または両方は、追加の自由度(軸)を提供するために、レニショーREVO(登録商標)プローブヘッドなどの関節式ヘッドを介して、支持され得るであろう。
【0165】
同様に、第2部分80は、それ自体が回転可能なステージ上で支持され得、第2部分80のための回転可能なステージは、第1プラットフォーム12上で支持され、その結果、第2部分80に対する第1部分70の位置決めは、次いで、第1プラットフォーム12に対して第2部分80のための回転可能なステージを回転させるように機械を制御するステップを含み得るであろう。これは、第1部分70のための回転可能なステージと同様に、または、その代わりに提供され得、システムにさらに高い製造の柔軟性を提供する。
【0166】
第1および第2部分70、80の測定値は、それらが、部分(または少なくともその主要な特徴)の位置(3つの並進自由度における)と方向(1つ、2つ、または3つの回転自由度における)の両方を規定するため、3つ以上の自由度での測定であるとして、上記のように説明される。また、測定値が3自由度である場合であっても、既知のシステムに勝る利点が提供され、その結果、測定値は、部分の位置(3つの並進自由度における)を規定するが、部分の方向(回転自由度)を規定しない。典型的なPCBA製造システムでは、基板は平面であると想定され、半田ペーストの塊が比較的大きいために、構成要素の絶対的な高さがほとんど重要ではないので、構成要素の配置は、基板に対して2自由度、つまり基板に対してXとYで、任意の精度にのみ制御される、つまり、単に、構成要素が、半田ペーストに触れるのに十分に近いことを確実にすれば十分である。
【0167】
図27は、ベース部分60に配置された、3つの第2部分80-1、80-2、および、80-3に対して、上記のプロセスが繰り返されたことを示す。
【0168】
第1部分70は、ベース部分60を含むと都合よく見なされ得ることが、上で説明されるので、図3および図4は、第1プローブ30を用いて、第1部分70(ベース部分60を含む)を測定する単一のステップを示す。実際、別の構成では、図28に示されるように、「第1部分」自体は存在せず、ベース部分60のみが存在するため、その例での「第1部分」は、単にベース部分60である。「物体の第一の部分」は、本明細書においては、「既存の、または、すでに組み立てられた、または、既に配置された、物品の部分」と称され得、「物体の第2部分」は、本明細書においては、代わりに、「新しい、または、組み立てられる、または、配置される、物体の部分」と称され得るであろう。さらに、ベース部分60の測定値に基づいて、第2部分80-0が、物品100上に組み立てられると、結果として生じる配置(すなわち、ベース部分60および第2部分80-0)は、そのとき、「第1部分」(すなわち、ベース部分60および第2部分80-0)の測定値に基づいて、別の第2部分80-1を追加する後続のステップのための「第1部分」(または「すでに組み立てられた部分」)と見なされ得る。第2部分80-1を配置する場合、使用される測定値は、単にベース部分60の以前に得られた測定値であるか、または、新しい測定値が、現在配置された第2部分80-0について得られるか、または、これらの測定値の組み合わせが使用され得るであろう。さらに、第2部分80-2、および、80-3を配置する場合も、同様の考察が適用される。
【0169】
したがって、図28に示される例の場合、部分80-0から80-3のすべてが、ベース部分60の上に「浮上して」おり、これらの部分80-0から80-3が、互いに対して、非常に正確に(座標測定機の精度まで)配置され、ベース部60のいかなる欠陥または不規則性によっても影響されないことを可能にする。加えて、図27に示される実施形態とは異なり、部分80-0から80-3は、ベース部分60に直接取り付けられる部分70と整列、または、部分70に対して配置されておらず、むしろ、部分80-0から80-3のすべては、それらの所望の相対的配向で「自由形式」に効果的に配置され、ベース部分60および固定または支持材料64(例えば、硬化性接着剤または溶着)を介して、それらの相対的配向で固定/保持される。これは、非常に正確で柔軟な製造または組み立て方法を可能にする。
【0170】
図29および図30は、それぞれ、図27および図28の並列配置の積み重ねられた代替案を示し、それぞれの新しい第2部分80は、以前の第2部分80の上部に配置される。
【0171】
図31に示されるように、上記の実施形態に対する拡張において、完成品は、図31に示されるモジュール100-2などの、自己完結型モジュールであると見なされ得、それは、いっそう大きな全体(または複雑な製品)の一部を形成するであろう。そのようなモジュール100-2は、それ自体が座標測定機によってピックアップされる「第2部分」と見なされ得、物品の「第1部分」(例えば、第1部分70および/またはベース部分60および/または以前の一連のステップで創出された、別のそのような複数部分のモジュール100-1)と、上記されたものと完全に類似した方法で、所望の空間関係に配置される。このようにして、より複雑な製品110が創出され得る。図31は、また、高度に非平面のベース部分60、および、非平面のベース部分60上の部分の複雑な配置を示し、座標測定機の固有の測定精度と、3つ以上の自由度(つまり、位置と方向)で、互いに対して部分を配置するその機能ゆえに、本発明の実施形態は、これを扱うのに特に適する。
【0172】
上記の実施形態は、固定用媒体として硬化性接着剤を使用するが、溶着が、また、固定用プロセスとして適切であることが留意される。溶着は、部分を一緒に溶融させるために(溶融した材料が固定用媒体)高熱を利用して、材料を接合するプロセスであり、それらが、冷えて融合をもたらすことを可能にする(冷却プロセスは、固定用媒体を効果的に活性化する)。溶着は、母材を溶かさない、ろう付けや半田付けのような低温接合技術とは異なるが、これらは、また、本発明の実施形態における固定プロセスに適した技術である。基材を溶融することに加えて、通常、フィラー材料が接合部に追加されて、溶融材料のプール(溶接プールまたは固定用媒体)を形成し、これは、冷えて基材よりも強力であり得る接合部を形成する。圧力は、溶着を生成するために、熱と組み合わせて、またはそれ自体で、使用され得る。溶着には、ガス炎(化学)、電気アーク(電気)、レーザー、電子ビーム、摩擦、および、超音波を含む、さまざまなエネルギー源が使用され得る。
【0173】
図1Aに示される、長さ測定トランスデューサ17などの、複数の長さ測定(または距離測定または変位測定)トランスデューサを有する座標測定機に参照がなされた。そのような長さ測定トランスデューサは、リニアジョイントにおける相対的な動きを測定するために使用され、機械の2つの部分の間の相対的な動きの尺度を提供する。座標測定機は、また、1つ以上の回転ジョイントを含み得、したがって、また、1つ以上の対応する角度測定トランスデューサを有し得、これは、例えば、座標測定機が、直列に配置された複数の回転ジョイントを有する関節アームの形態(一般にロボットアームと呼ばれる機械と同様)である場合に当てはまるであろう。そのような直列運動学的座標測定機が使用される場合、軸の直列運動学的配置に通常関連する不正確さを回避するために、それは、英国特許出願第1918165.0号に開示されるような機械アーキテクチュアを使用することから利益を受けるであろう。さまざまな長さおよび角度測定トランスデューサは、まとめて、測定トランスデューサと称され得る。これらの測定トランスデューサの出力は、機械の任意の特定の構成または姿勢(例えば、図1Aのプラットフォーム12および14の相対的位置決め)に対する機械座標であると見なされ得るか、機械座標を得るために使用され得る。測定トランスデューサの出力は、機械の構成(姿勢)を決定または読み取るとき(測定操作の場合)と、機械の構成(姿勢)を設定または変更するとき(位置決め操作の場合)の両方で使用される。
【0174】
本発明を具体化する製造方法の一例の適用は上述され、これにおいて、座標測定機は、別のそのような座標測定機で使用するための伸長可能な脚を作製するために使用される。本発明を具体化する製造方法の別の例示的な適用は、上記の、および、図2に示される、プローブ30のような、測定プローブ用のスタイラスの製造のためのものである。
【0175】
そのような用途は、図26に示されるものと同様の概略図であるが、伸長可能な脚よりはむしろスタイラスの製造に適合する、図32を参照して説明されるであろう。スタイラスは、スタイラス先端(またはボール)320が取り付けられるステム310を有し、スタイラスボール320の直径は、2μmほどに小さいものであり得る。スタイラス先端320は、ステム310上に可能な限り正確に(そして同心円状に)配置されることが望ましい。
【0176】
基本的な方法論は上記されたものと同等であり、ここでは再度詳しくは説明されないであろう。図32は、異なるタイプの把持具を有することで図26とは異なり、それは、図32の実施形態では、吸引管500の形態である。吸引管500は、空気が吸引され得る内部チャネル510を有し、それにより、スタイラス先端320を、吸引管500の端部のカップ520に引き込み、保持する。カップ520の内面は、ボール320が、カップ内の予測可能かつ再現可能な位置に着座することを可能にするために、運動学的特徴530を有し得、例えば、図32の点線の輪郭Aに最も明確に示されているように、3つの突起(凹状の部分-球形の表面からの)が、運動学的特徴として好適であろう。これは一種の三脚配置を形成し、これは、非常に安定であり、ボール320がカップ520内に予測可能に着座することを可能にする。3つの点状の接触は、3つの制約を創出し、これは、必要とされるもの以上でもそれ以下でもない(これにより、過剰な制約を回避することで、運動学的設計の考察を満たす)。したがって、3つの拘束により、ボール320は、3つの並進自由度で拘束されるが、3つの回転自由度でその中心の周りを自由に回転し、これは、ボール320が球対称であるため、問題ではない。
【0177】
前の実施形態におけるように、移動プローブ30でステム310の端部を測定した後、プローブ30で得られたステム310の測定値を考慮して、硬化性接着剤(またはろう付けペースト)640の塊が、ステム310の端部に適用される。次に、ボール320は、プローブ30で得られたステム310の測定値を再び考慮に入れて、前述の方法を使用して、ステム310に対して正確に配置される。好ましくは、隙間が、ボール320とステム310との間に維持され、機械は、接着剤640が硬化される間、依然として、互いに対して部分を保持する。これは、図32の点線の輪郭Bに含まれる左側の図に示されるスタイラスをもたらす。
【0178】
また、相対位置が機械によって維持されている間に、例えば、硬化性接着剤に短時間、温風を吹き付けることによって、接着剤640を(完全というようはむしろ)部分的に硬化させることが可能であり、次いで、これに、完全な硬化(焼結)操作が続くが、機械は、すでにボール320を解放しており、部分的に硬化した接着剤640は、部分が焼結ステーションに移され、焼結(完全に硬化)される間、ステム310に対して固定された位置にボール329を保持する十分な強度および保持力を有する。また、接着剤640が、最初に部分的に硬化されることがなくても、部分を固定された相対位置に保持するのに十分な保持力を有することが可能である。
【0179】
この例では、ステム310上のボール320の向きは重要ではないので(ボールは球形であるため)、ボール320とステム310との間に隙間を残すことは必須ではなく、代わりに、図32の点線の輪郭B内に含まれる右側の図に示されるように、ボール320は、ステム310の端部に接触するように配置され得るであろう。この例示的な適用で最も重要なことは、ボール320がステム310と同心に配置されることであり、言い換えれば、ステム310の長手方向軸に対するボール320の半径方向の位置決めが、ステム310の長手方向軸に沿った位置決めよりも重要である。
【0180】
上記から、物品上に配置される部分の周囲全体に残される隙間が存在することは、必ずしも必要でなく、隙間すら少しも必要でないことが明らかである。例えば、本出願の一実施形態は、また、物品に、非常に正確に、非常に厳しい公差で、部分を正確に組み立てることの用途を見出し、必ずしもいかなる隙間も残すことなく、物品上の対応する部分または特徴と、部分を係合させる。これは、例えば、円筒形の突起を有する部分が、円筒形のくぼみまたは穴を有する物品の中または上にしっかりと配置され、突起がくぼみ内にきちんとしっかりと着座する(および接触する)場合であるかもしれない。本発明は、この組み立てプロセスへの新しいアプローチを提供し、これにおいて、座標測定機は、物品の特徴(例えば、円筒形のくぼみ)の3次元測定値を取得すること、それらの測定値に基づいて、物品の特徴に対して所定の空間関係(複数の自由度)で、部分の特徴(例えば、円筒形の突起)を配置するために、多軸位置決め(例えば、4軸、5軸または6軸の位置決め)を使用することの、両方に使用される。
【0181】
配置される部分の周りのいくつかの場所に残される隙間が存在し得るが、他の場所には存在しないことが理解され、例えば、物品の表面上方の高さではなく、物品の表面に対する部分の向きが重要である場合、部分は、ある点(または複数の点)で物品に接触するように配置され得るが、それでも物品に対して所望の方向に保持および固定されるであろう。これは、図33に示され、それは、第2部分80が、円で囲まれた点でベース部分60に接触するように配置されるが、他の場所ではベース部分60から突出して残されるということのみで、図13とは異なり、言い換えれば、第2部分80の周りに全て隙間が存在するというケースではない。これは、ベース部分60の上方の第2部分80の高さは、隆起62などの表面の欠陥の影響を受けるが、ベース部分60(および第1部分などの他の既に配置された部分70)に対するその向きが、まだ制御され得るであろうことを意味する。
【0182】
座標測定機10の動作は、機械10上で動作するプログラムによって、特に、図1Aに概略的に示されるコントローラ15などの座標測定機コントローラ上で動作するプログラムによって制御され得ることが理解されるであろう。伸長可能な脚の制御は、コントローラ15上で動作するプログラムによって提供され得ることが理解されるであろう。そのような動作プログラムは、コンピュータ可読媒体に格納され得、または、例えば、インターネットウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号で具体化され得るであろう。添付の特許請求の範囲は、それ自体で、またはキャリア上の記録として、または信号として、または他の任意の形式で、動作するプログラムをカバーするものとして理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
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【国際調査報告】