(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】ロケット起立アーム
(51)【国際特許分類】
B64G 5/00 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B64G5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573433
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 CN2020126216
(87)【国際公開番号】W WO2021088814
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】201911071445.8
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519218187
【氏名又は名称】藍箭航天空間科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 瑜
(72)【発明者】
【氏名】張 彦杰
(72)【発明者】
【氏名】呉 雪
(57)【要約】
本願はロケット起立アームを提供し、ロケット起立アームは起立アーム本体を含み、起立アーム本体の長さ方向に沿って、起立アーム本体にはロケット支持抱持装置、ロケット補助液圧支持装置とロケット後部支点支持調整装置とが順に設置されており、ロケット支持抱持装置は、支持されるロケットの前端を調整可能に支持及び抱持するように構成され、ロケット補助液圧支持装置は、支持されるロケットの中間部をフローティング支持するように構成され、ロケット後部支点支持調整装置は、ロケットの後端を調整可能に支持するとともに、ロケットの起立時の回動及びロケットと発射台との位置決め・ドッキングを調整するように構成されている。本願によれば、ロケットに対する安全、確実な支持と起立が可能で、支持とドッキング過程においてロケットに対する多自由度の調節を容易にでき、ロケットの移載時のドッキングと調整の難易度を有効に下げ、本願によれば、ロケットの発射時間を大幅に短縮し、発射効率を著しく向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケット起立アームであって、
起立アーム本体を含み、前記起立アーム本体の長さ方向に沿って、前記起立アーム本体にはロケット支持抱持装置、ロケット補助液圧支持装置とロケット後部支点支持調整装置とが順に設置されており、
前記ロケット支持抱持装置は、支持されるロケットの前端を調整可能に支持及び抱持するように構成され、前記ロケット補助液圧支持装置は、支持されるロケットの中間部をフローティング支持するように構成され、前記ロケット後部支点支持調整装置は、ロケットの後端を調整可能に支持するとともに、ロケットの起立時の回動及びロケットと発射台との位置決め・ドッキングを調整するように構成されている
ことを特徴とするロケット起立アーム。
【請求項2】
前記ロケット支持抱持装置は支持組立体及び抱持組立体とを含み、前記支持組立体はロケットを支持するように構成され、支持されるロケットの水平径方向に沿って前記起立アーム本体の底部に設置され、前記抱持組立体は前記起立アーム本体の両側上方に設置され、ロケットを抱持するように構成され、
前記支持組立体は、ブラケットと、回転ユニットと、案内ユニットと駆動ユニットとを含み、前記ブラケットは、前記回転ユニットに設けられており、前記回転ユニットは、前記ブラケットを水平に既定角度だけ回転させるように構成され、前記回転ユニットは前記案内ユニットと駆動ユニットとに設置され、前記案内ユニットは支持されるロケットの水平径方向に沿って前記起立アーム本体の底部に設置され、支持されるロケットの水平径方向に沿った前記ブラケットの移動を案内するように構成され、前記駆動ユニットは、前記回転ユニットによって、支持されるロケットの径方向に沿って移動するように前記ブラケットを駆動するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のロケット起立アーム。
【請求項3】
前記抱持組立体は、前記起立アーム本体の両側の上方に対向して設置され、ロケットの上半部を抱持するように構成された二つの抱持アームユニットと、パワーユニットとを含み、前記パワーユニットは、2つの前記抱持アームユニットが収縮してロケットを抱持するように、前記抱持アームユニットにパワーを供給するように構成され、
前記抱持アームユニットは、大抱持アームと、第1抱持クランプと、小抱持アームと第2抱持クランプとを含み、前記大抱持アームの内側には前記第1抱持クランプが接続され、前記大抱持アームは一端が前記起立アーム本体と接続され、他端が前記小抱持アームの一端と接続され、前記小抱持アームの他端には前記第2抱持クランプが接続されており、
前記パワーユニットは、第1油圧シリンダと第2油圧シリンダとを含み、前記第1油圧シリンダは一端が前記起立アーム本体と接続され、他端が前記大抱持アームと接続され、前記第1油圧シリンダは前記大抱持アームを駆動するように構成されており、前記第2油圧シリンダは、一端が前記大抱持アームと接続され、他端が前記小抱持アームと接続され、前記第2油圧シリンダは前記小抱持アームを駆動するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のロケット起立アーム。
【請求項4】
前記ロケット補助液圧支持装置は、液圧システムと、案内支持シリンダと、弾性支持組立体と、ロケットキャリアとを含み、
前記液圧システムは、前記案内支持シリンダを駆動して鉛直方向の支持力を発生させるように構成され、前記案内支持シリンダの上方には弾性支持組立体が設けられ、前記弾性支持組立体の上方にはロケットキャリアが設置され、前記弾性支持組立体は前記ロケットキャリアをフローティング支持するように構成され、前記ロケットキャリアはロケットを支持するように構成され、
前記弾性支持組立体は、位置制限サポータと、フランジ支持座と、キャリア回動座と、ばね取付座と位置制限支持ばねとを含み、
前記位置制限サポータは前記案内支持シリンダの最上部に設けられ、その中心部には前記フランジ支持座が設置され、前記フランジ支持座は第1回動ピンシャフトを介して前記キャリア回動座と接続されており、前記ばね取付座は、前記位置制限サポータの最上面に固定的に設置され、前記位置制限サポータとキャリア回動座の天板との間に位置しており、
前記位置制限支持ばねは前記ばね取付座内に設置され、前記ばね取付座は前記位置制限支持ばねを案内するように構成され、前記位置制限支持ばねは、一端が前記ばね取付座に固定接続され、他端が前記キャリア回動座の天板に接触しており、前記位置制限支持ばねは、前記ロケットキャリアの鉛直方向における自由移動を制限するように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のロケット起立アーム。
【請求項5】
前記液圧システムは、液圧シリンダと、パワー組立体と油源とを含み、前記油源は、ロッド側キャビティ油管及びヘッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダと接続されたパワー組立体に作動油を供給し、前記液圧シリンダは案内支持シリンダと接続されており、
前記液圧シリンダは、液圧シリンダチューブと、液圧シリンダロッドと、ストローク位置制限スリーブと油圧シリンダピンシャフトとを含み、前記液圧シリンダロッドは前記液圧シリンダチューブ内に摺動的に設置され、前記ストローク位置制限スリーブは前記液圧シリンダロッドの長さ方向に沿って前記液圧シリンダロッドに外嵌され、前記液圧シリンダチューブ内での前記液圧シリンダロッドのストロークを制限するように構成され、前記液圧シリンダロッドの最上端は、前記油圧シリンダピンシャフトを介して前記案内支持シリンダと接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載のロケット起立アーム。
【請求項6】
前記パワー組立体は、電磁切換弁と、アキュムレータと、圧力センサと、安全弁と、比例オーバーフロー弁と逆止弁とを含み、
油源は、前記逆止弁を介して前記電磁切換弁の油流入室と接続され、前記電磁切換弁の油戻し室は油タンクと接続されており、前記電磁切換弁の第1作動油室はヘッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダのヘッド側キャビティと接続され、前記電磁切換弁の第2作動油室はロッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダのロッド側キャビティと接続されており、
前記逆止弁と電磁切換弁の油流入室との接続配管には、アキュムレータと圧力センサとが接続されており、前記逆止弁と電磁切換弁の油流入室との接続管路と、油タンクと前記電磁切換弁の油戻し室との接続管路との間には、安全弁と比例オーバーフロー弁とが並列に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載のロケット起立アーム。
【請求項7】
前記ロケット後部支点支持調整装置は、回動支持座と、回転押動ユニットと、支持ユニットと牽引ユニットとを含み、前記回転押動ユニットは前記回動支持座と起立アーム本体との間に設置され、ロケットが発射台による支持に変わってから、前記回動支持座を押動して回転させてロケットの離陸空間をつくるように構成され、前記支持ユニットは前記回動支持座に設置され、ロケットの後部支点を支持するように構成され、前記牽引ユニットは、回動支持座と支持ユニットとに接続されており、ロケットの起立過程において、前記支持ユニットのロケットに対する支持が、前記牽引ユニットのロケットに対する牽引に段階的に切り替えられる
ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のロケット起立アーム。
【請求項8】
前記回転押動ユニットは、第2回動ピンシャフトと、位置制限支持ブロックと駆動シリンダとを含み、
前記回動支持座は前記第2回動ピンシャフトを介して前記起立アーム本体とヒンジ接続され、前記位置制限支持ブロックは前記回動支持座の位置を決めるように構成され、前記駆動シリンダは前記回動支持座を前記第2回動ピンシャフト周りに回転するように駆動するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のロケット起立アーム。
【請求項9】
前記支持ユニットは支持昇降シリンダと端部軸頸座とを含み、前記支持昇降シリンダは一端が前記起立アーム本体と固定接続され、他端が前記端部軸頸座と固定接続されており、
前記支持昇降シリンダの長さ方向の中心軸と前記端部軸頸座の長さ方向の中心軸とが垂直であり、前記支持昇降シリンダは、前記支持昇降シリンダの長さ方向に沿った前記端部軸頸座の変位を調節するように構成され、前記端部軸頸座は、前記起立アーム本体の幅方向に沿ってロケットを支持するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のロケット起立アーム。
【請求項10】
前記牽引ユニットは、調節スクリューと、第1ロッド引張座と、第2ロッド引張座とを含み、
前記調節スクリューは、一端が前記第1ロッド引張座を介して回動支持座と接続され、他端が前記第2ロッド引張座を介して端部軸頸座と接続されており、前記調節スクリュー上には調節ナットとロックナットとが外嵌されている
ことを特徴とする請求項7に記載のロケット起立アーム。
【請求項11】
前記起立アーム本体の支持されるロケットの末端に近い端部に、起立アーム回動軸が設置されており、前記起立アーム回動軸は、前記起立アーム本体が前記回動半座周りに回動できるように、発射台に近い地面に設置された回動半座と協働し、
前記起立アーム本体には、前記ロケット後部支点支持調整装置に近い位置に起立組立体が設けられており、前記起立組立体は発射台に近い地面に設置された起立油圧シリンダ支持座と協働して、前記起立アーム本体を押動して起立させるように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のロケット起立アーム。
【請求項12】
前記起立組立体は、起立油圧シリンダと、起立油圧シリンダ調整装置と起立油圧シリンダピンシャフトとを含み、前記起立油圧シリンダの位置は、前記起立油圧シリンダ調整装置によって前記起立アーム本体の幅方向両側に制限され、前記起立油圧シリンダの上部支点は前記起立アーム本体とヒンジ接続され、前記起立油圧シリンダの下部クレビスは前記起立油圧シリンダピンシャフトを介して前記起立油圧シリンダ支持座とヒンジ接続されており、前記起立油圧シリンダ調整装置は、前記起立油圧シリンダの下部クレビスが前記起立油圧シリンダ支持座とヒンジ接続可能になるように、前記起立油圧シリンダを牽引するように構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載のロケット起立アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はロケット起立の技術分野に属し、具体的にはロケット起立アームに関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙飛行技術の発展に伴い、特にここ数年の商業宇宙飛行の長足の発展で、従来の「三つの垂直」という発射モードは固定した発射塔を必要とする、そのインフラ建設期間が長く、維持コストが高いという欠点が次第に明らかになってきているため、現段階の商業宇宙飛行の発射ニーズに対応するためには、迅速、柔軟且つ低コストの発射モードが必要とされている。
【0003】
海外で成功している商業宇宙飛行企業の多くは「三つの水平」というテスト・発射モデル、すなわち水平組立、水平移送、水平テスト、起立発射という発射モデルを採用している。そのため、ロケットの移載、移送と起立のプロセスにおいてロケット本体を確実に支持、運搬し、ロケット本体が自身の重力以外の他の付加力を受けないようにし、かつ複数の移載を避け、ロケットに対する衝突のリスクを下げることは特に重要且つ肝心になってくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術に存在する問題を少なくともある程度克服するために、本願はロケット起立アームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例によれば、本願はロケット起立アームを提供し、ロケット起立アームは起立アーム本体を含み、前記起立アーム本体の長さ方向に沿って、前記起立アーム本体にはロケット支持抱持装置、ロケット補助液圧支持装置とロケット後部支点支持調整装置とが順に設置されており、
前記ロケット支持抱持装置は、支持されるロケットの前端を調整可能に支持及び抱持するように構成され、前記ロケット補助液圧支持装置は、支持されるロケットの中間部をフローティング支持するように構成され、前記ロケット後部支点支持調整装置は、ロケットの後端を調整可能に支持するとともに、ロケットの起立時の回動及びロケットと発射台との位置決め・ドッキングを調整するように構成されている。
【0006】
上述したロケット起立アームにおいて、前記ロケット支持抱持装置は支持組立体及び抱持組立体とを含み、前記支持組立体はロケットを支持するように構成され、支持されるロケットの水平径方向に沿って前記起立アーム本体の底部に設置され、前記抱持組立体は前記起立アーム本体の両側上方に設置され、ロケットを抱持するように構成され、
前記支持組立体は、ブラケットと、回転ユニットと、案内ユニットと駆動ユニットとを含み、前記ブラケットは、前記回転ユニットに設けられており、前記回転ユニットは、前記ブラケットを水平に既定角度だけ回転させるように構成され、前記回転ユニットは前記案内ユニットと駆動ユニットとに設置され、前記案内ユニットは支持されるロケットの水平径方向に沿って前記起立アーム本体の底部に設置され、支持されるロケットの水平径方向に沿った前記ブラケットの移動を案内するように構成され、前記駆動ユニットは、前記回転ユニットによって、支持されるロケットの径方向に沿って移動するように前記ブラケットを駆動するように構成されている。
【0007】
さらに、前記抱持組立体は、前記起立アーム本体の両側の上方に対向して設置され、ロケットの上半部を抱持するように構成された二つの抱持アームユニットと、パワーユニットとを含み、前記パワーユニットは、2つの前記抱持アームユニットが収縮してロケットを抱持するように、前記抱持アームユニットにパワーを供給するように構成され、
前記抱持アームユニットは、大抱持アームと、第1抱持クランプと、小抱持アームと第2抱持クランプとを含み、前記大抱持アームの内側には前記第1抱持クランプが接続され、前記大抱持アームは一端が前記起立アーム本体と接続され、他端が前記小抱持アームの一端と接続され、前記小抱持アームの他端には前記第2抱持クランプが接続されており、
前記パワーユニットは、第1油圧シリンダと第2油圧シリンダとを含み、前記第1油圧シリンダは一端が前記起立アーム本体と接続され、他端が前記大抱持アームと接続され、前記第1油圧シリンダは前記大抱持アームを駆動するように構成されており、前記第2油圧シリンダは、一端が前記大抱持アームと接続され、他端が前記小抱持アームと接続され、前記第2油圧シリンダは前記小抱持アームを駆動するように構成されている。
【0008】
上述したロケット起立アームにおいて、前記ロケット補助液圧支持装置は、液圧システムと、案内支持シリンダと、弾性支持組立体とロケットキャリアとを含み、
前記液圧システムは、前記案内支持シリンダを駆動して鉛直方向の支持力を発生させるように構成され、前記案内支持シリンダの上方には弾性支持組立体が設けられ、前記弾性支持組立体の上方にはロケットキャリアが設置され、前記弾性支持組立体は前記ロケットキャリアをフローティング支持するように構成され、前記ロケットキャリアはロケットを支持するように構成され、
前記弾性支持組立体は、位置制限サポータと、フランジ支持座と、キャリア回動座と、ばね取付座と位置制限支持ばねとを含み、
前記位置制限サポータは前記案内支持シリンダの最上部に設けられ、その中心部には前記フランジ支持座が設置されており、前記フランジ支持座は第1回動ピンシャフトを介して前記キャリア回動座と接続されており、前記ばね取付座は、前記位置制限サポータの最上面に固定的に設置され、前記位置制限サポータとキャリア回動座の天板との間に位置しており、
前記位置制限支持ばねは前記ばね取付座内に設置され、前記ばね取付座は前記位置制限支持ばねを案内するように構成され、前記位置制限支持ばねは、一端が前記ばね取付座に固定接続され、他端が前記キャリア回動座の天板に接触しており、前記位置制限支持ばねは、前記ロケットキャリアの鉛直方向における自由移動を制限するように構成されている。
【0009】
さらに、前記液圧システムは、液圧シリンダと、パワー組立体と油源とを含み、前記油源は、ロッド側キャビティ油管及びヘッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダと接続されたパワー組立体に作動油を供給し、前記液圧シリンダは案内支持シリンダと接続されており、
前記液圧シリンダは、液圧シリンダチューブと、液圧シリンダロッドと、ストローク位置制限スリーブと油圧シリンダピンシャフトとを含み、前記液圧シリンダロッドは前記液圧シリンダチューブ内に摺動的に設置され、前記ストローク位置制限スリーブは前記液圧シリンダロッドの長さ方向に沿って前記液圧シリンダロッドに外嵌され、前記液圧シリンダチューブ内での前記液圧シリンダロッドのストロークを制限するように構成され、前記液圧シリンダロッドの最上端は、前記油圧シリンダピンシャフトを介して前記案内支持シリンダと接続されている。
【0010】
さらに、前記パワー組立体は、電磁切換弁と、アキュムレータと、圧力センサと、安全弁と、比例オーバーフロー弁と逆止弁とを含み、
油源は、前記逆止弁を介して前記電磁切換弁の油流入室と接続され、前記電磁切換弁の油戻し室は油タンクと接続されており、前記電磁切換弁の第1作動油室はヘッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダのヘッド側キャビティと接続され、前記電磁切換弁の第2作動油室はロッド側キャビティ油管を介して前記液圧シリンダのロッド側キャビティと接続されており、
前記逆止弁と電磁切換弁の油流入室との接続配管には、アキュムレータと圧力センサとが接続されており、前記逆止弁と電磁切換弁の油流入室との接続管路と、油タンクと前記電磁切換弁の油戻し室との接続管路との間には、安全弁と比例オーバーフロー弁とが並列に接続されている。
【0011】
上述したロケット起立アームにおいて、前記ロケット後部支点支持調整装置は、回動支持座と、回転押動ユニットと、支持ユニットと牽引ユニットとを含み、前記回転押動ユニットは前記回動支持座と起立アーム本体との間に設置され、ロケットが発射台による支持に変わってから、前記回動支持座を押動して回転させてロケットの離陸空間をつくるように構成され、前記支持ユニットは前記回動支持座に設置され、ロケットの後部支点を支持するように構成され、前記牽引ユニットは、回動支持座と支持ユニットとに接続されており、ロケットの起立過程において、前記支持ユニットのロケットに対する支持が、前記牽引ユニットのロケットに対する牽引に段階的に切り替えられる。
【0012】
さらに、前記回転押動ユニットは、第2回動ピンシャフトと、位置制限支持ブロックと駆動シリンダとを含み、
前記回動支持座は前記第2回動ピンシャフトを介して前記起立アーム本体とヒンジ接続され、前記位置制限支持ブロックは前記回動支持座の位置を決めるように構成され、前記駆動シリンダは前記回動支持座を前記第2回動ピンシャフト周りに回転するように駆動するように構成されている。
【0013】
さらに、前記支持ユニットは支持昇降シリンダと端部軸頸座とを含み、前記支持昇降シリンダは一端が前記起立アーム本体と固定接続され、他端が前記端部軸頸座と固定接続されており、
前記支持昇降シリンダの長さ方向の中心軸と前記端部軸頸座の長さ方向の中心軸とが垂直であり、前記支持昇降シリンダは、前記支持昇降シリンダの長さ方向に沿った前記端部軸頸座の変位を調節するように構成され、前記端部軸頸座は、前記起立アーム本体の幅方向に沿ってロケットを支持するように構成されている。
【0014】
さらに、前記牽引ユニットは、調節スクリューと、第1ロッド引張座と、第2ロッド引張座とを含み、
前記調節スクリューは、一端が前記第1ロッド引張座を介して回動支持座と接続され、他端が前記第2ロッド引張座を介して端部軸頸座と接続されており、前記調節スクリュー上には調節ナットとロックナットとが外嵌されている。
【0015】
上述したロケット起立アームにおいて、前記起立アーム本体の支持されるロケットの末端に近い端部に、起立アーム回動軸が設置されており、前記起立アーム回動軸は、前記起立アーム本体が前記回動半座周りに回動できるように、発射台に近い地面に設置された回動半座と協働し、
前記起立アーム本体には、前記ロケット後部支点支持調整装置に近い位置に起立組立体が設けられており、前記起立組立体は発射台に近い地面に設置された起立油圧シリンダ支持座と協働して、前記起立アーム本体を押動して起立させるように構成されている。
【0016】
さらに、前記起立組立体は、起立油圧シリンダと、起立油圧シリンダ調整装置と起立油圧シリンダピンシャフトとを含み、前記起立油圧シリンダの位置は、前記起立油圧シリンダ調整装置によって前記起立アーム本体の幅方向両側に制限され、前記起立油圧シリンダの上部支点は前記起立アーム本体とヒンジ接続され、前記起立油圧シリンダの下部クレビスは前記起立油圧シリンダピンシャフトを介して前記起立油圧シリンダ支持座とヒンジ接続されており、前記起立油圧シリンダ調整装置は、前記起立油圧シリンダの下部クレビスが前記起立油圧シリンダ支持座とヒンジ接続可能になるように、前記起立油圧シリンダを牽引するように構成されている。
【0017】
本願の上述した具体的な実施例から分かるように、少なくとも以下の有益な効果がある:本願のロケット起立アームにおいて、起立アーム本体にロケット支持抱持装置、ロケット補助液圧支持装置とロケット後部支点支持調整装置とを設置し、ロケット支持抱持装置によって、支持されるロケットの先端を調整可能に支持し、ロケット後部支点支持調整装置によって、支持されるロケットの末端を調整可能に支持し、ロケット補助液圧支持装置によって、支持されるロケットの中間部をフローティング支持することで、ロケットに対する安全、確実な移送と起立が可能になり、起立アーム本体の構造変形によってロケットに生じる余分な付加力を回避でき、移送とドッキング過程においてロケットに対する多自由度の調節を容易にでき、ロケットの移載時のドッキングと調整の難易度を有効に下げる。
【0018】
本願のロケット起立アームにおいて、起立アーム本体の支持されるロケットの末端に近い端部に起立アーム回動軸を設置し、起立アーム本体上のロケット後部支点支持調整装置に近い位置に起立組立体を設置し、自走式液圧モジュラトレーラによって、起立アーム回動軸と発射台に近い地面に設置された回動半座とのドッキングを位置決めして調整することで、起立組立体は発射台に近い地面に設置された起立油圧シリンダ支持座と協働して、確実に起立アームを押動して起立させ、さらにはロケットと発射台との確実なドッキングを完了させ、本願のロケット起立アームは、移送、位置決めやドッキング、起立といった機能を一つに統合し、ロケットの発射時間を大幅に短縮し、発射効率を著しく向上させることができる。
【0019】
上記の一般的な説明及び以下の具体的な実施形態は、例示的及び説明的なものにすぎず、本願が主張しようとする範囲を限定できるものではないことは、認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の添付図面は、本願の実施例を示す明細書の一部であり、添付図面は明細書の説明と共に本願の原理を説明するために使用される。
【
図1】本願の実施例が提供するロケット起立アームと自走式液圧モジュラトレーラとの共同でロケットを移送する時の状態模式図である。
【
図2】本願の実施例が提供するロケット起立アームと自走式液圧モジュラトレーラとの共同でロケットを発射エリアに移送した時の状態模式図である。
【
図3】本願の実施例が提供するロケット起立アームによってロケットを起立させた時の状態模式図その一である。
【
図4】本願の実施例が提供するロケット起立アームによってロケットを起立させた時の状態模式図その二である。
【
図5】本願の実施例が提供するロケット起立アームにおけるロケット支持抱持装置の構造模式図である。
【
図6】本願の実施例が提供するロケット起立アームのロケット支持抱持装置における案内ユニットの平面図である。
【
図8】本願の実施例が提供するロケット起立アームにおけるロケット補助液圧支持装置の構造模式図である。
【
図9】本願の実施例が提供するロケット起立アームにおけるロケット補助液圧支持装置の断面図である。
【
図10】本願の実施例が提供するロケット起立アームにおけるロケット後部支点支持調整装置の構造模式図である。
【
図11】本願の実施例が提供するロケット起立アームのロケット後部支点支持調整装置における支持ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、添付図面及び詳細な記述を用いて、本願に開示される内容の精神を明確に説明するが、当業者であれば、本願の内容の実施例を理解した上で、本願の内容に教示された技術に基づいて、本願の内容の精神及び範囲を逸脱しない変更及び修飾を加えることができる。
【0022】
本願の例示的な実施例及びその説明は、本願に対する限定ではなく、本願を説明するためのものである。さらに、添付図面及び実施形態において同一又は類似の符号が使用される要素/部材は、同一又は類似の部分を表す。
【0023】
本文で使用される「第1」、「第2」、…等に関しては、特に順序又は順位を表す意味を指すものでもないし、本願を限定するものでもなく、単に同じ技術用語で説明される要素又は動作を区別するためのものである。
【0024】
本文で使用される方向用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、図面の方向を参照するものに過ぎない。したがって、使用される方向用語は、本創作を制限するものではなく、説明するためのものである。
【0025】
本文で使用される「含む」、「備える」、「有する」、「具備する」などは、いずれも開放的な用語であり、すなわち、含むが限定されないことを意図する。
【0026】
本文で使用される「及び/又は」は、記載されたもののいずれか一つ又はすべての組み合わせを含む。
【0027】
本文における「複数の」は、「2つ」及び「2つ以上」を含む。なお、本文における「複数組」は、「2組」及び「2組以上」を含む。
【0028】
本文で使用される用語「おおむね」、「約」等は、わずかに変化できる任意の数量又は誤差を修飾するために使用されるが、これらのわずかな変化又は誤差は、その本質を変えることはない。当業者であれば、前述の数値は実際の需要に応じて調整可能であり、これに限定されるものではないことを理解できるはずである。
【0029】
当業者に本願に関する説明の追加的なガイドを提供するために、本願を説明するために使用されるいくつかの用語は、以下又は本明細書の他の箇所で論議される。
【0030】
図1~
図4に示すように、本出願はロケット起立アームを提供し、ロケット起立アームは起立アーム本体1を含み、起立アーム本体1に支持されるロケットの先端から末端へ向かう方向に沿って、対応するように、起立アーム本体1の先端にロケット支持抱持装置11が設置され、起立アーム本体1の中間部にロケット補助液圧支持装置12が設置され、起立アーム本体1の後端にロケット後部支点支持調整装置13が設置されている。ロケット支持抱持装置11と、ロケット補助液圧支持装置12と、ロケット後部支点支持調整装置13とで、ロケットに対する三点支持を構成する。ロケット支持抱持装置11は、支持されるロケット8の前端を調整可能に支持及び抱持するように構成されている。ロケット補助液圧支持装置12は、支持されるロケット8の中間部を確実にフローティング支持するように構成されている。ロケット後部支点支持調整装置13は、ロケットの後端を調整可能に支持するように構成され、回動、横方向及び長手方向の微調整機能を有し、ロケットの起立時の微細回動と、ロケットと発射エリアとの正確な位置決め・ドッキングに対する調整を可能にする。
【0031】
本願が提供するロケット起立アームは自走式液圧モジュラトレーラ2上に載置可能であり、支持されるロケット8は起立アーム本体1の長手方向に沿って起立アーム本体1の最上部に配置されている。自走式液圧モジュラトレーラ2は、ロケット起立アームを介して支持されるロケットを発射エリアの発射台3に移送する。自走式液圧モジュラトレーラ2は全輪操舵機能を有し、回転半径を最大限に小さくでき、また、減震機能を有し、ロケット本体を確実に保護することができる。
【0032】
発射台3に近い地面には、発射台3との距離に応じて、回動半座4と起立油圧シリンダ支持座5とが近い順に設置されている。
【0033】
図2と
図3に示すように、回動半座4に対応するように、起立アーム本体1の末端、即ち起立アーム本体1の支持されるロケットの末端に近い端部に、起立アーム本体1が回動半座4周りに回動できるように、回動半座4と協働する起立アーム回動軸6が設置されており、起立を容易にする。具体的には、起立アーム本体1の幅方向に沿って、起立アーム本体1のロケット末端に近い一端に、2本の起立アーム回動軸6が設置されている。好ましくは、2本の起立アーム回動軸6は、起立アーム本体1の長手方向の中心垂直平面に関して対称である。回動半座4は、凹型半座構造を採用している。回動半座4は、発射台3の近くに移送されるロケットの水平径方向に沿って2つ設けられている。
【0034】
自走式液圧モジュラトレーラ2が起立アーム本体1を発射台3の近くまで移動させると、起立アーム回動軸6を回動半座4の切欠き内に降下させ、回動座押さえ蓋41により起立アーム回動軸6を回動半座4内に押さえ込むことによって、起立アーム本体1が回動半座4周りに回動できるようになる。
【0035】
図2、
図3に示すように、起立油圧シリンダ支持座5に対応するように、起立アーム本体1には、ロケット後部支点支持調整装置13に近い位置に起立組立体7が設けられており、起立組立体7は起立油圧シリンダ支持座5と協働して、起立アーム本体1を押動して起立させるように構成されている。具体的には、起立組立体7は、起立油圧シリンダ71と、起立油圧シリンダ調整装置72と、起立油圧シリンダピンシャフト73とを備える。起立油圧シリンダ71の位置は、起立油圧シリンダ調整装置72によって起立アーム本体1の幅方向両側に制限されている。起立油圧シリンダ71の上部支点は起立アーム本体1とヒンジ接続され、起立油圧シリンダ71の下部クレビスは起立油圧シリンダピンシャフト73を介して起立油圧シリンダ支持座5とヒンジ接続される。起立油圧シリンダ調整装置72は、起立油圧シリンダ71の下部クレビスが起立油圧シリンダ支持座5にヒンジ接続可能になるように、起立油圧シリンダ71を牽引するように構成されている。起立油圧シリンダ71は、作動油管を介して外部に設けられた油源に接続されている。
【0036】
具体的には、起立アーム本体1は、断面凹形状のトラス構造を採用することができる。支持されるロケット8を起立アーム本体1の長さ方向に沿って起立アーム本体1の凹溝内に載置することができるので、こうして起立アーム本体1とロケットとの複合体の全体高さを低くすることができる。
【0037】
また、
図1に示すように、起立アーム本体1にはさらに、空調管路14、液体酸素充填管路15、メタン充填管路16とガス供給管路17等の硬質管路が設けられており、硬質管路は、起立アーム本体1の凹溝内に配置して、ホースを介してロケットの充填コネクタに接続することができる。
【0038】
また、作業者が操作プラットホーム18にのぼって水平及び起立状態におけるロケットの要部の点検を容易に行うように、起立アーム本体1にはさらに操作プラットホーム18が設けられている。ロケットの起立状態において、作業者は、高所作業車によって操作プラットホーム18に到達することができる。
【0039】
また、起立アーム本体1にはさらに、捕獲されたロケット充填コネクタの跳ね返りを防止するように構成されたコネクタ防護網19が設けられている。
【0040】
発射台3には、ロケットのロケット足とドッキングして、ロケットに対する支持を実現するように構成されたロケット足支持盤31が設けられている。
【0041】
また、ロケットを発射台3とドッキングさせた後、ロケットを発射台3と相対的に安定した状態を維持させるために、発射台3には防風押さえ装置32が設けられている。防風押さえ装置32は、ロケット足を押さえるように構成されている。
【0042】
図5に示すように、ロケット支持抱持装置11は支持組立体及び抱持組立体とを含み、支持組立体は、ロケットを支持するように構成され、支持されるロケットの水平径方向に沿って起立アーム本体1の底部に設置され、抱持組立体は起立アーム本体1の両側上方に設置され、ロケットを抱持するように構成されている。
【0043】
具体的には、支持組立体は支持されるロケットの水平径方向に沿って起立アーム本体1の凹状断面の底部に設置されてもよく、抱持組立体は起立アーム本体1の凹状断面の両側の上方に設置されてもよい。
【0044】
支持組立体は、ブラケット111と、回転ユニット112と、案内ユニット113と、駆動ユニット114とを含む。このうち、ブラケット111は、回転ユニット112に設けられており、回転ユニット112は、後端支点を中心としたロケットの回動変位に適応するように、ブラケット111を水平に既定角度だけ回転させる。回転ユニット112は案内ユニット113と駆動ユニット114とに設置され、案内ユニット113は支持されるロケットの径方向に沿って起立アーム本体1の凹状断面の最下端に設置され、支持されるロケットの径方向に沿ったブラケット111の移動を案内する。駆動ユニット114は、ブラケット111とそれによって支持されるロケットとの位置ずれを調整するために、回転ユニット112によって、支持されるロケットの径方向に沿って移動するようにブラケット111を駆動するように構成されている。
【0045】
一つの具体的な実施例において、回転ユニット112は、回動軸1121と、支持板1122と、位置制限ブロック1123とを含む。ブラケット111は、回動軸1121によって支持板1122と接続されている。回動軸1121は2つ設けられており、支持板1122に垂直な方向の中心軸を対称軸として、2つの回動軸1121は対称に支持板1122に設けられている。位置制限ブロック1123は、ブラケット111の最下端と支持板1122との間に設置され、位置制限ブロック1123の高さ方向の中心軸が、ブラケット111及び支持板1122と同時に直交する方向の中心軸と一致している。位置制限ブロック1123は、ブラケット111が一方側に傾くことを防止するように、ブラケット111の水平回転の限界位置を規制する。
【0046】
図6に示すように、案内ユニット113は、ガイドレール1131と、スライダ1132と、ストッパ1133とを含む。ガイドレール1131は2本設けられており、2本のガイドレール1131は支持されるロケット8の径方向に沿って起立アーム本体1の凹状断面の最下端に平行に設けられている。支持板1122の長さ方向に沿って、支持板1122の底面の両側には、1つのスライダ1132がそれぞれ設けられており、スライダ1132はガイドレール1131上に移動可能に設けられている。ガイドレール1131の両端にはいずれもストッパ1133が設けられており、ストッパ1133は、支持板1122の移動が限界を超えて危険になるのを防止するように、ガイドレール1131上におけるスライダ1132の最大移動距離を制限する。
【0047】
図7に示すように、駆動ユニット114は、ねじ棒1141と、駆動座1142と、液圧モータ1143とを備える。ねじ棒1141は、起立アーム本体1の凹状断面の最下端に設けられ、且つ2本のガイドレール1131の間に平行に設けられている。支持板1122の最下端は、駆動座1142を介してねじ棒1141に接続され、ねじ棒1141は、ねじ棒1141を回転させるように構成された液圧モータ1143と接続されており、ブラケット111とそれによって支持されるロケットとの位置ずれを調整するように、ねじ棒1141は駆動座1142を介して支持板1122をガイドレール1131上で移動させる。
【0048】
当然のことながら、液圧モータ1143によるねじ棒1141の駆動に代えて、電気モータによる駆動又は手動駆動を採用してもよい。
【0049】
抱持組立体は、起立アーム本体1の凹状断面の両側の上方に対向して設置され、ロケットの上半部を抱持するように構成された二つの抱持アームユニット115と、パワーユニット116とを含む。パワーユニット116は、2つの抱持アームユニット115が収縮してロケットを保持することができるように、又は、2つの抱持アームユニット115が展開してロケットを解放することができるように、抱持アームユニット115にパワーを供給するように構成されている。
【0050】
1つの具体的な実施例において、抱持アームユニット115は、大抱持アーム1151と、第1抱持クランプ1152と、小抱持アーム1153と、第2抱持クランプ1154とを含む。大抱持アーム1151の内側には第1抱持クランプ1152がピンシャフトを介して接続され、大抱持アーム1151は一端がピンシャフトを介して起立アーム本体1と接続され、他端が小抱持アーム1153の一端とピンシャフトを介して接続され、小抱持アーム1153の他端には第2抱持クランプ1154がピンシャフトを介して接続されている。第1抱持クランプ1152及び第2抱持クランプ1154の抱持クランプ面の曲率は、いずれもロケットの円周曲率と一致している。大抱持アーム1151と小抱持アーム1153との二重関節配置により、ロケット表面が受ける力を最適化することができる。
【0051】
パワーユニット116は、第1油圧シリンダ1161と第2油圧シリンダ1162とを含み、第1油圧シリンダ1161は一端が起立アーム本体1と接続され、他端が大抱持アーム1151と接続され、第1油圧シリンダ1161は大抱持アーム1151を駆動するように構成されている。第2油圧シリンダ1162は、一端が大抱持アーム1151と接続され、他端が小抱持アーム1153と接続され、第2油圧シリンダ1162は小抱持アーム1153を駆動するように構成されている。第1油圧シリンダ1161と第2油圧シリンダ1162の伸出力により、大抱持アーム1151は第1抱持クランプ1152によってロケットを抱持し、小抱持アーム1153は第2抱持クランプ1154によってロケットを抱持する。
【0052】
ロケットの下半部はブラケット111によって支持され、ロケットの上半部は大抱持アーム1151と小抱持アーム1153によって保持されることにより、ロケットの表面に複数の点で力を受けるため、ロケットを確実に支持して抱持することができる。
【0053】
なお、第1油圧シリンダ1161と第2油圧シリンダ1162は、大抱持アーム1151及び小抱持アーム1153を駆動するために、エアシリンダと電動シリンダに置き換えてもよい。
【0054】
図8に示すように、ロケット補助液圧支持装置12は、液圧システム121と、案内支持シリンダ122と、弾性支持組立体123と、ロケットキャリア124とを含む。液圧システム121は、案内支持シリンダ122を駆動して鉛直方向の支持力を発生させるように構成され、案内支持シリンダ122の上方には弾性支持組立体123が設けられ、弾性支持組立体123の上方にはロケットキャリア124が設置され、弾性支持組立体123はロケットキャリア124をフローティング支持するように構成され、ロケットキャリア124はロケット8を支持するように構成されている。案内支持シリンダ122は下端フランジを介して起立アーム本体1と接続されている。
【0055】
具体的には、
図9に示すように、液圧システム121は、液圧シリンダと、パワー組立体と、油源(図示せず)とを含む。油源は、ロッド側キャビティ油管及びヘッド側キャビティ油管を介して液圧シリンダに接続されたパワー組立体に作動油を供給する。液圧シリンダは、案内支持シリンダ122に接続され、案内支持シリンダ122を駆動して鉛直方向の支持力を発生させるように構成されている。
【0056】
液圧シリンダは、液圧シリンダチューブ1210と、液圧シリンダロッド1211と、ストローク位置制限スリーブ1212と、油圧シリンダピンシャフト1213とを含む。液圧シリンダロッド1211は液圧シリンダチューブ1210内に摺動的に設置され、ストローク位置制限スリーブ1212は液圧シリンダロッド1211の長さ方向に沿って液圧シリンダロッド1211に外嵌され、液圧シリンダチューブ1210内での液圧シリンダロッド1211のストロークを制限するように構成されている。液圧シリンダロッド1211の最上端は、油圧シリンダピンシャフト1213を介して案内支持シリンダ122と接続されている。
【0057】
具体的には、ストローク位置制限スリーブ1212の直径は、液圧シリンダロッド1211の底部の直径以下であり、かつ、液圧シリンダロッド1211の中間部の直径よりも大きい。ストローク位置制限スリーブ1212は、液圧シリンダロッド1211の中間部に外嵌可能であり、液圧シリンダロッド1211の底部を阻止することにより、液圧シリンダロッド1211の液圧シリンダチューブ1210内でのストロークを制限する目的を達成する。
【0058】
パワー組立体は、電磁切換弁1214と、アキュムレータ1215と、圧力センサ1216と、安全弁1217と、比例オーバーフロー弁1218と、逆止弁1219とを含む。油源は、逆止弁1219を介して電磁切換弁1214の油流入室Pに接続され、電磁切換弁1214の油戻し室Tは油タンクと接続されている。電磁切換弁1214の第1作動油室Aはヘッド側キャビティ油管を介して液圧シリンダのヘッド側キャビティに接続され、電磁切換弁1214の第2作動油室Bはロッド側キャビティ油管を介して液圧シリンダのロッド側キャビティに接続されている。逆止弁1219と電磁切換弁1214の油流入室Pとの接続配管には、アキュムレータ1215と圧力センサ1216とが接続されている。逆止弁1219と電磁切換弁1214の油流入室Pとの接続管路と、油タンクと電磁切換弁1214の油戻し室Tとの接続管路との間には、安全弁1217と比例オーバーフロー弁1218とが並列に接続されている。
【0059】
電磁切換弁1214の電源切断時に、作動油は逆止弁1219を介して液圧シリンダのロッド側キャビティとヘッド側キャビティにそれぞれ入り込み、同時に作動油はアキュムレータ1215にも入り、液圧シリンダが差動接続状態となる。パワー組立体は、アキュムレータ1215の作用下で、一定の支持力補償能力を有する。安全弁1217は、パワー組立体の最高圧力、すなわち液圧シリンダの突出力の大きさを制限し、過大な突出力によるロケット本体への損傷を防止するように構成されている。比例オーバーフロー弁1218はパワー組立体の圧力変化をリアルタイムで制御するように構成され、圧力センサ1216は、パワー組立体の圧力をリアルタイムで検出するように構成されている。ロケット8が定位置に起立した後、電磁切換弁1214に電気を通し、アキュムレータ1215内の油液が液圧シリンダのロッド側キャビティ管路を通って液圧シリンダのロッド側キャビティに入り、ヘッド側キャビティの油液が液圧シリンダのヘッド側キャビティ管路を通って油タンクに戻される。
【0060】
図9に示すように、案内支持シリンダ122は、案内支持シリンダチューブ1221と、案内支持シリンダロッド1222と、シリンダロッド位置制限ブロック1223と、駆動油圧シリンダ座1224とを含む。案内支持シリンダロッド1222は案内支持シリンダチューブ1221内に摺動的に配置し、案内支持シリンダロッド1222は液圧シリンダの駆動の下で上下に移動する。案内支持シリンダチューブ1221の幅方向に沿って、案内支持シリンダロッド1222の外壁と案内支持シリンダチューブ1221の内壁との間には、案内支持シリンダロッド1222の回転運動を規制するように構成された2つのシリンダロッド位置制限ブロック1223が対向して設けられている。駆動油圧シリンダ座1224は案内支持シリンダロッド1222の底部に固定的に設置されている。駆動油圧シリンダ座1224は、油圧シリンダピンシャフト1213を介して液圧シリンダロッド1211と接続されている。
【0061】
駆動油圧シリンダ座1224と液圧シリンダロッド1211との接続部に油圧シリンダピンシャフト1213を容易に取り付けるため、案内支持シリンダチューブ1221の側壁に貫通孔が開けられている。貫通孔を通して、油圧シリンダピンシャフト1213を取り付けたり、調整したりすることができる。
【0062】
弾性支持組立体123は、位置制限サポータ1231と、フランジ支持座1232と、キャリア回動座1233と、ばね取付座1234と、位置制限支持ばね1235とを含む。位置制限サポータ1231は案内支持シリンダ122の上方に設けられ、その中心部にはフランジ支持座1232が固定的に設置され、フランジ支持座1232はボルトによって案内支持シリンダロッド1222に固定接続されている。フランジ支持座1232は、第1回動ピンシャフト1236を介してキャリア回動座1233と接続されている。ばね取付座1234は、位置制限サポータ1231の最上面に固定的に設置され、位置制限サポータ1231とキャリア回動座1233の天板との間に位置している。位置制限支持ばね1235は、ばね取付座1234内に設置され、ばね取付座1234は位置制限支持ばね1235を案内するように構成されている。位置制限支持ばね1235は、一端がばね取付座1234に固定接続され、他端がキャリア回動座1233の天板に接触している。位置制限支持ばね1235は、ロケットキャリア124の鉛直方向における自由移動を制限するように構成されている。
【0063】
また、キャリア回動座1233の天板の底面に、位置制限支持ばね1235に対応する位置には、ばね位置制限ブロック1237が設けられている。
【0064】
もう一つの具体的な実施例において、位置制限サポータ1231とフランジ支持座1232とは一体的に成形されてもよい。
【0065】
具体的な実施例において、位置制限支持ばね1235は2本設けられており、ロケットキャリア124の長さ方向に沿って、位置制限サポータ1231の鉛直方向の中心軸を対称軸として、2本の位置制限支持ばね1235は位置制限サポータ1231に対称に設置されている。
【0066】
ロケットキャリア124によるロケット8の表面の損傷を防止するために、ロケットキャリア124の上部支持面にはフェルトパッドが設けられている。
【0067】
図10に示すように、ロケット後部支点支持調整装置13は、回動支持座131と、回転押動ユニット132と、支持ユニット133と、牽引ユニット134とを含む。回転押動ユニット132は回動支持座131と起立アーム本体1との間に設置され、ロケットが発射台3による支持に変わってから、回動支持座131を押動して回転させてロケットの離陸空間をつくるようにして、ロケット後部支持物の迅速な取り外しを実現するように構成されている。支持ユニット133は回動支持座131に設置され、ロケットの後部支点を支持するように構成されている。牽引ユニット134は、回動支持座131と支持ユニット133とに接続されており、ロケットの起立過程において、支持ユニット133のロケットに対する支持が、牽引ユニット134のロケットに対する牽引に段階的に切り替えられる。
【0068】
図10に示すように、回転押動ユニット132は、第1接続板1321と、第2接続板1322と、第2回動ピンシャフト1323と、位置制限支持ブロック1324と、駆動シリンダ1325とを含む。第1接続板1321は起立アーム本体1に設置され、第2接続板1322は回動支持座131の起立アーム本体1に近い端面に設置されている。第1接続板1321は、第2接続板1322とはペアとして使用され、かつ第2回動ピンシャフト1323によってヒンジ接続される。位置制限支持ブロック1324は起立アーム本体1と回動支持座131の底面との間に設置され、回動支持座131の位置を決めるように構成されている。駆動シリンダ1325は一端が起立アーム本体1とヒンジ接続され、他端が回動支持座131の底面とヒンジ接続されている。駆動シリンダ1325は、回動支持座131を、第2回動ピンシャフト1323周りに、起立アーム本体1に支持されるロケットに接近又は離反する方向に回転するように駆動するように構成されている。
【0069】
具体的には、駆動シリンダ1325は、駆動油圧シリンダ又は駆動液圧シリンダを採用することができる。
【0070】
図11に示すように、支持ユニット133は支持昇降シリンダと端部軸頸座とを含み、支持昇降シリンダは一端が起立アーム本体1に固定接続され、他端が端部軸頸座に固定接続されている。支持昇降シリンダと端部軸頸座とはT字状に設置されており、すなわち、支持昇降シリンダの長さ方向の中心軸と端部軸頸座の長さ方向の中心軸とが垂直である。支持昇降シリンダは、支持昇降シリンダの長さ方向に沿った端部軸頸座の変位を調節するように構成されている。端部軸頸座は、起立アーム本体1の幅方向に沿ってロケットを支持するように構成されている。
【0071】
具体的には、
図3に示すように、支持昇降シリンダは、支持シリンダチューブ1331と、昇降ねじ棒1332と、ウォーム1333と、ウォームホイール1334と、昇降シリンダロッド1335とを含む。支持シリンダチューブ1331の起立アーム本体1に接続された一端にはねじ止めキャップが設けられている。
【0072】
昇降ねじ棒1332は支持シリンダチューブ1331内に回動的に設置され、昇降ねじ棒1332のねじ止めキャップに近い一端には深溝玉軸受が設置され、深溝玉軸受とねじ止めキャップとの間には止め輪が設置され、止め輪は深溝玉軸受の位置を制限する。
【0073】
深溝玉軸受の上方には位置制限ナットが配置され、位置制限ナットの上方にはウォームホイール1334が配置され、ウォームホイール1334は平キーを介して昇降ねじ棒1332と接続され、ウォーム1333の一端は支持シリンダチューブ1331を通してからウォームホイール1334と接続されている。位置制限ナットは、昇降ねじ棒1332上の段差と嵌め合い、ウォームホイール1334を昇降ねじ棒1332に押さえて位置決めする。
【0074】
昇降ねじ棒1332の長さ方向に沿って、ウォームホイール1334の最上端と最下端にはいずれもスラスト軸受が設置され、スラスト軸受は昇降シリンダロッド1335の上下両方向の付勢力を受け止めるように構成されている。スラスト軸受の上方には制限位置板が設置され、制限位置板は、昇降ねじ棒1332の起立アーム本体1から遠く離れる方向への移動を制限するように構成されている。
【0075】
昇降ねじ棒1332のネジ止めキャップに近い端部の反対端は、昇降シリンダロッド1335の一端とねじ接続され、昇降シリンダロッド1335のこの端部は支持シリンダチューブ1331内に摺動的に設置されている。
【0076】
支持シリンダチューブ1331のねじ止めキャップが設けられた端部の反対端には第1支持フランジキャップが設置され、第1支持フランジキャップには貫通孔が設けられ、貫通孔の内壁には案内ストリップが設けられ、昇降シリンダロッド1335の他端が貫通孔を通してから、トランジションフランジを介して端部軸頸座と接続される。案内ストリップは、昇降シリンダロッド1335を支持及び案内するように構成されている。
【0077】
昇降シリンダロッド1335が支持シリンダチューブ1331内を摺動する際に回動するのを防止するために、位置制限板と第1支持フランジキャップとの間にある支持シリンダチューブ1331の内壁には、第1案内溝が開けられており、第1案内溝内には第1位置制限ブロックが設けられている。第1位置制限ブロックは、一端が昇降シリンダロッド1335に固定接続され、他端が第1案内溝内を摺動する。
【0078】
昇降ねじ棒1332の回動により、昇降シリンダロッド1335の上下移動が実現される。
【0079】
図11に示すように、端部軸頸座は、シートチューブ1336と、駆動ねじ棒1337と、ハンドル車1338と、支持シリンダロッド1339とを含む。シートチューブ1336は支持昇降シリンダの最上端に固定設置され、且つロケットの支持された場合の水平径方向に一致する。具体的には、シートチューブ1336は、トランジションフランジを介して昇降シリンダロッド1335と接続されている。
【0080】
シートチューブ1336の、支持されるロケット8から遠く離れた端部には支持フランジが設けられている。駆動ねじ棒1337は、一端がシートチューブ1336の外に位置して且つハンドル車1338と接続され、他端が支持フランジを通してからシートチューブ1336内で支持シリンダロッド1339の一端とねじ接続される。ハンドル車1338により駆動ねじ棒1337を回転させ、駆動ねじ棒1337の回転により支持シリンダロッド1339をシートチューブ1336内で伸縮運動させることができる。
【0081】
支持フランジの内壁と駆動ねじ棒1337との間には円錐ころ軸受が設置されている。円錐ころ軸受は、対になって設置され且つ背中合わせに取り付けられて、駆動ねじ棒1337を支持して案内する。
【0082】
円錐ころ軸受のハンドル車1338に近い側に制限ナットが設置され、制限ナットは駆動ねじ棒1337上の段差と嵌め合って、円錐ころ軸受を駆動ねじ棒1337に固定接続する。
【0083】
また、制限ナットのハンドル車1338に近い側には保護カバーが設けられており、保護カバーはシートチューブ1336と固定接続され、シートチューブ1336内の制限ナット、円錐ころ軸受等を保護するように構成されている。
【0084】
制限ナットが円錐ころ軸受をより緊密に押圧しやすくするために、駆動ねじ棒1337の長さ方向に沿って、制限ナットと円錐ころ軸受との間にはパッドプレートが設置されている。
【0085】
シートチューブ1336の、支持されるロケット8に近い端部には第2支持フランジキャップが設けられている。支持シリンダロッド1339の駆動ねじ棒1337と接続される端部の反対端は、第2支持フランジキャップを通してから、端部軸頸と接続される。
【0086】
なお、ハンドル車1338によって駆動ねじ棒1337を駆動する方式を、モータ駆動方式に置き換えてもよいことは、理解できるであろう。
【0087】
支持シリンダロッド1339がシートチューブ1336内で伸縮する際に回動するのを防止するために、支持フランジと第2支持フランジキャップとの間のシートチューブ1336の内壁には第2案内溝が開設され、第2案内溝内には第2位置制限ブロックが設けられている。第2位置制限ブロックは、一端が支持シリンダロッド1339に固定接続され、他端が第2案内溝内を摺動する。
【0088】
一つの具体的な実施例において、
図11に示すように、支持シリンダロッド1339の端部軸頸と接続された端部には押さえキャップが設置されている。押さえキャップは、側壁が開閉可能な筒状構造を採用する。
【0089】
図11に示すように、牽引ユニット134は、調節スクリュー1341と、第1ロッド引張座1342と、第2ロッド引張座1343と、調節ナット1344と、ロックナット1345とを含む。調節スクリュー1341は、一端が第1ロッド引張座1342を介して回動支持座131と接続され、他端が第2ロッド引張座1343を介して端部軸頸座と接続されている。調節スクリュー1341上には調節ナット1344とロックナット1345とが外嵌されている。調節ナット1344を回転させることにより、調節スクリュー1341の長さを変えることができ、調節スクリュー1341が既定長さに調整されると、ロックナット1345により調節スクリュー1341をロックして、調節スクリュー1341の長さが変更されないようにすることができる。
【0090】
具体的には、第1ロッド引張座1342は、位置決めピン1346を介して回動支持座131に固定接続されている。
【0091】
支持昇降シリンダは、端部軸頸座に昇降動作をさせ、調節スクリュー1341は第2ロッド引張座1343を通して端部軸頸座を牽引することで、端部軸頸座による支持の異なる高さ位置に適合させる。また、端部軸頸座は一定の水平調整能力を持ち、水平方向の位置調整を行うようにロケットを駆動することができる。
【0092】
本願のロケット起立アームと自走式液圧モジュラトレーラ2及び発射台3を利用して、ロケットの移送及び起立を行い、ロケットの全発射プロセスが完了するまでの具体的な過程は以下の通りである。
【0093】
S1、移送
自走式液圧モジュラトレーラ2を、その移送速度が10km/hを超えないように遠隔制御する。
【0094】
図1に示すように、ロケットの移送において、ロケット支持抱持装置11、ロケット補助液圧支持装置12とロケット後部支点支持調整装置13とがロケット本体を確実に支持し、ロケット支持抱持装置11における抱持組立体はロケット本体をしっかりと抱持して、ロケットの自由度を制限し、起立組立体7は起立アーム本体1と共に移送される。
【0095】
S2、支持座とのドッキング
図2に示すように、起立アーム本体1が射場に着くと、まず、起立アーム回動軸6が回動半座4の切欠きの真上に位置するように、自走式液圧モジュラトレーラ2により起立アーム本体1の位置をゆっくり調整する。次に、自走式液圧モジュラトレーラ2の高さをゆっくり下げ、起立アーム回動軸6を、回動半座4の切欠き内に降下するまでゆっくり降下させる。最後に、回動座押さえ蓋41により起立アーム回動軸6を回動半座4内に押さえ込み、起立アーム回動軸6と回動半座4とのドッキングを完了させると、起立アーム本体1は回動半座4周りに回動できるようになる。
【0096】
起立油圧シリンダ調整装置72は、起立油圧シリンダ71をゆっくりと降下させ、自走式液圧モジュラトレーラ2の昇降運動に合わせて、起立油圧シリンダ71の下部クレビスを起立油圧シリンダ支持座5の孔と同心にしてから、手動で起立油圧シリンダピンシャフト73を挿入することで、起立油圧シリンダ71と起立油圧シリンダ支持座5とドッキングが完了する。
【0097】
S3、ロケット起立
図3に示すように、作動油管によって起立油圧シリンダ71と油源とを接続し、起立アーム本体1上の液圧駆動を必要とする他の管路を接続する。液圧システムは、起立油圧シリンダ71を緩やかに伸出するように制御し、起立アーム本体1は起立油圧シリンダ71の押圧によって緩やかに起立する。
【0098】
起立アーム本体1が受ける力は、本来の自走式液圧モジュラトレーラ2による支持から起立アーム回動軸6と起立油圧シリンダ71による支持に変わるので、起立アーム本体1にはある程度の撓み変形が生じ、この場合、ロケットは後部支点を中心に反時計回りにわずかに回動し、ロケット補助液圧支持装置12は支持力の大きさをリアルタイムで調整し、起立アーム本体1の変形による影響を克服して、ロケットの支持力に対する要求を満たす。それと同時に、過負荷を防止するために、ロケット補助液圧支持装置12にはさらに最大力制限も設けられている。起立過程において、理論上必要とされる力の大きさに応じて、ロケット補助液圧支持装置12の支持力をリアルタイムで調節することにより、ロケットの荷重が不均一になる現象を防止する。最後に、ロケットが直立状態に起立すると、ロケットの全重量は、ロケット後部支点支持調整装置13により支持されるようになる。
【0099】
S4、発射台3とのドッキング
図3に示すように、起立油圧シリンダ71の押動により、起立アーム本体1はロケットとともにゆっくりと直立状態になる。起立アーム本体1と、発射台3と、回動半座4とに一定の位置ずれがあるため、ロケットの起立後に、ロケット足は発射台3上のロケット足支持盤31と正確に位置合わせできなくなるので、ロケット後部支点支持調整装置13によってロケット足の位置をゆっくりと調整し、ロケット足支持盤31の昇降動作に合わせて、ロケット足を正確に位置合わせして受ける必要がある。それから、防風押さえ装置32が動作を開始してロケット足を押さえることで、ロケットに対する支持は発射台3による支持に変わる。
【0100】
S5、ロケットのロック解除
図4に示すように、ロケットの発射台3へのドッキングが完了すると、ロケット後部支点支持調整装置13がゆっくりと開き、ロケットに対する拘束が解除され、抱持アームユニットがゆっくりと開き、起立アーム本体1をゆっくりと後方へ約5°倒し、ロケット充填コネクタはコネクタ鋼索9を介して引っ張られて、発射前準備状態となる。
【0101】
S6、0s後方倒し
ロケット推進剤の充填が完了した後、ロケット発射の約30分前に、防風押え装置32のロックが解除され、ロケットに対する最後の拘束が解除される。ロケットの0s点火後、ロケット充填コネクタのロックを解除し、起立油圧シリンダ71を収縮させて起立アーム本体1を速やかに後方へ倒すとともに、コネクタ鋼索の移動を駆動し、ロケット充填コネクタは引張り力と重力との二重作用によって、ロケットの離陸漂動空間を回避する。
【0102】
S7、ロケット充填コネクタ脱落防護
起立アーム本体1に設けられたコネクタ防護網19によって、ロケット充填コネクタを捕獲した後のロケット充填コネクタの跳ね返りを防止し、ロケット充填コネクタと離陸最中のロケットとの干渉や衝突を回避することができる。
【0103】
S8、水平回復と撤収
ロケット発射完了後、自走式液圧モジュラトレーラ2を既定場所まで走行させ、起立アーム本体1を再度水平状態に倒して、回動座押さえ蓋41を緩め、起立油圧シリンダピンシャフト73を引き抜き、起立油圧シリンダ調整装置72によって起立油圧シリンダ71を引き上げて、起立アーム回動軸6が回動半座4の切り欠きよりも高くなるように、自走式液圧モジュラトレーラ2をゆっくりと上昇させて、自走式液圧モジュラトレーラ2に、起立アーム本体1とともに発射エリアから離れさせ、整備工場に戻らせることで、発射プロセス全体が完了する。
【0104】
本願のロケット起立アームを用いれば、「三つの水平」のテスト・発射モードにおける、中型液体ロケットの安全な移送と起立を実現し、起立アーム本体1の構造変形によってロケットに生じる余分な付加力を回避し、ロケットの移送とドッキング過程においてロケットに対する多自由度の調節を実現し、ロケットの移載時のドッキングと調整の難易度を有効に下げるとともに、射場に到着後、ロケットを確実に起立させ、ロケットを発射台3にドッキングさせて、空調送風、充填及びガス供給配分管路に取付空間を提供することができる。
【0105】
本願のロケット起立アームによれば、従来の固定式発射塔のアンビリカルアームを省いた。また、本願のロケット起立アームの0s快速後方倒し移動を通じて、ロケットの離陸漂動空間を有効に回避するとともに、ロケット充填コネクタの脱落牽引と防護を実現する。本願のロケット起立アームは、複数の機能を一つに統合し、ロケットの発射時間を大幅に短縮し、発射効率を向上させることができる。
【0106】
以上に述べたのは本願の例示的な具体的実施例のみであり、本願の構想と原則を逸脱しないことを前提として、当業者が行った如何なる均等な変更と補正も、本願の保護範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0107】
1 起立アーム本体、
11 ロケット支持抱持装置、
111 ブラケット、
112 回転ユニット、
1121 回動軸、
1122 支持板、
1123、位置制限ブロック、
113 案内ユニット、
1131 ガイドレール、
1132 スライダ、
1133 ストッパ、
114 駆動ユニット、
1141 ねじ棒、
1142 駆動座、
1143 液圧モータ、
115 抱持アームユニット、
1151 大抱持アーム、
1152 第1抱持クランプ、
1153 小抱持アーム、
1154 第2抱持クランプ、
116 パワーユニット、
1161 第1油圧シリンダ、
1162 第2油圧シリンダ、
12 ロケット補助液圧支持装置、
121 液圧システム、
1210 液圧シリンダチューブ、
1211 液圧シリンダロッド、
1212 ストローク位置制限スリーブ、
1213 油圧シリンダピンシャフト、
1214 電磁切換弁、
1215 アキュムレータ、
1216 圧力センサ、
1217 安全弁、
1218 比例オーバーフロー弁、
1219 逆止弁、
122 案内支持シリンダ、
1221 案内支持シリンダチューブ、
1222 案内支持シリンダロッド、
1223 シリンダロッド位置制限ブロック、
1224 駆動油圧シリンダ座、
123 弾性支持組立体、
1231 位置制限サポータ、
1232 フランジ支持座、
1233 キャリア回動座、
1234 ばね取付座、
1235 位置制限支持ばね、
1236 第1回動ピンシャフト、
1237 ばね位置制限ブロック、
124 ロケットキャリア、
13 ロケット後部支点支持調整装置、
131 回動支持座、
132 回転押動ユニット、
1321 第1接続板、
1322 第2接続板、
1323 第2回動ピンシャフト、
1324 位置制限支持ブロック、
1325 駆動シリンダ、
133 支持ユニット、
1331 支持シリンダチューブ、
1332 昇降ねじ棒、
1333 ウォーム、
1334 ウォームホイール、
1335 昇降シリンダロッド、
1336 シートチューブ、
1337 駆動ねじ棒、
1338 ハンドル車、
1339 支持シリンダロッド、
134 牽引ユニット、
1341 調節スクリュー、
1342 第1ロッド引張座、
1343 第2ロッド引張座、
1344 調節ナット、
1345 ロックナット、
1346 位置決めピン、
14 空調管路、
15 液体酸素充填管路、
16 メタン充填管路、
17 ガス供給管路、
18 操作プラットホーム、
19 コネクタ防護網、
2 自走式液圧モジュラトレーラ、
3 発射台、
31 ロケット足支持盤、
32 防風押さえ装置、
4 回動半座、
41 回動座押さえ蓋、
5 起立油圧シリンダ支持座、
6 起立アーム回動軸、
7 起立組立体、
71 起立油圧シリンダ、
72 起立油圧シリンダ調整装置、
73 起立油圧シリンダピンシャフト、
8 ロケット、
9 コネクタ鋼索
【国際調査報告】