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特表2022-536362左心房圧管理のための流体バイパス導管
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】左心房圧管理のための流体バイパス導管
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/06 20130101AFI20220805BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20220805BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220805BHJP
【FI】
A61F2/06
A61F2/07
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573562
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020031139
(87)【国際公開番号】W WO2020251700
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/860,623
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジー・ヴァルデス
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097AA16
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD09
4C097EE06
4C097MM09
4C267AA05
4C267AA56
4C267CC08
4C267CC19
4C267DD01
(57)【要約】
左心房圧を管理する方法が、経カテーテルアクセス経路を介して患者の心臓の右心房へ送達カテーテルを前進させるステップと、心臓の左心房内へ心房間中隔壁を貫通して送達カテーテルを前進させるステップと、送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップと、心房間中隔壁を通過させて送達カテーテルを引き抜き、それにより左心房内において流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、心房間中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、心臓から送達カテーテルを引き抜くステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心房圧を管理する方法であって、
経カテーテルアクセス経路を介して患者の心臓の右心房へ送達カテーテルを前進させるステップと、
前記心臓の左心房内へ心房間中隔壁を通して前記送達カテーテルを前進させるステップと、
前記送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、
肺静脈に対して前記流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップと、
前記心房間中隔壁を通して前記送達カテーテルを引き抜き、それにより前記左心房内において前記流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、
前記心房間中隔壁に対して前記流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、
前記心臓から前記送達カテーテルを引き抜くステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記流体バイパス導管を介して前記肺静脈から前記右心房へ血液をチャネリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肺静脈から右心房へ血液をチャネリングするステップは、左心房圧の降下を達成する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、前記肺静脈に関連する生体組織中に前記流体バイパス導管の前記遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記流体バイパス導管は、
前記肺静脈から心房間中隔まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、
前記自己拡張性形状記憶金属フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密のカバーと、
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記心房間中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、前記流体バイパス導管の前記近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、前記自己拡張性形状記憶金属フレームの直径よりも大きい直径を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アーム部材により前記流体バイパス導管の前記遠位端部に対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して前記流体バイパス導管の前記遠位端部をアンカリングするステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
肺静脈と心房間中隔との間に長手方向に延在するように寸法設定された自己拡張性円筒状フレームと、
前記自己拡張性円筒状フレームの少なくとも一部分の周囲に配設されたカバーと、
前記自己拡張性円筒状フレームの第1の端部部分に関連付けられた第1のアンカーと、
前記自己拡張性円筒状フレームの第2の端部部分に関連付けられた第2のアンカーと、
を備える、流体バイパス導管。
【請求項9】
前記第1のアンカーおよび前記第2のアンカーの少なくとも一方が、生体組織中に埋設されるように構成された複数のかえしを備える、請求項8に記載の流体バイパス導管。
【請求項10】
前記第1のアンカーは、前記肺静脈内に前記自己拡張性円筒状フレームの前記第1の端部部分をアンカリングするように構成され、前記第2のアンカーは、心房間中隔中の開口内に前記自己拡張性円筒状フレームの前記第2の端部部分を保持するように構成される、請求項8または9に記載の流体バイパス導管。
【請求項11】
前記第1のアンカーは、ステントを備え、前記第2のアンカーは、前記心房間中隔中の前記開口の直径よりも大きい拡張時寸法を有する自己拡張性ワイヤフォームを備える、請求項10に記載の流体バイパス導管。
【請求項12】
前記カバーは液密である、請求項8から11のいずれか一項に記載の流体バイパス導管。
【請求項13】
前記第1のアンカーに対して結合された第3のアンカーをさらに備える、請求項8から12のいずれか一項に記載の流体バイパス導管。
【請求項14】
前記第3のアンカーは、第2の肺静脈の内壁に対して前記第1のアンカーをクリップ留めするように構成されたクリップ形状部を備える、請求項13に記載の流体バイパス導管。
【請求項15】
前記第1のアンカーおよび前記第3のアンカーは、ステントアンカーであり、前記第1のアンカーは、ブリッジ構造体を介して前記第3のアンカーに対して物理的に結合される、請求項13に記載の流体バイパス導管。
【請求項16】
前記カバーは、流体流を通過させ得るように構成された1つまたは複数のアパーチャを有する、請求項8から15のいずれか一項に記載の流体バイパス導管。
【請求項17】
前記自己拡張性円筒状フレームは、軸方向拡張性部分を有し、前記軸方向拡張性部分は、前記自己拡張性円筒状フレームが展開構成にある場合に、前記自己拡張性円筒状フレームの長さを変化させるように軸方向への収縮および拡張が可能になるように構成される、請求項8から16のいずれか一項に記載の流体バイパス導管。
【請求項18】
僧帽弁を通り肺静脈と心室中隔との間に長手方向に延在するように寸法設定された導管形状部であって、
第1の端部部分、
第2の端部部分、および
僧帽弁の弁尖同士の間の空間を占めるように構成された弁尖スペーサ部分を備える中央部分
を備える、導管形状部と、
前記導管形状部の前記第1の端部部分に関連付けられた第1のアンカーと、
前記導管形状部の前記第2の端部部分に関連付けられた第2のアンカーと、
を備える、流体バイパス導管。
【請求項19】
前記弁尖スペーサ部分は、前記導管形状部を補強するように構成された1つまたは複数の補強構造体に関連付けられる、請求項18に記載の流体バイパス導管。
【請求項20】
前記1つまたは複数の補強構造体は、前記導管形状部の前記中央部分の少なくとも一部分を覆うカバーの一部である、請求項19に記載の流体バイパス導管。
【請求項21】
前記第1のアンカーは、前記肺静脈内に前記導管形状部の前記第1の端部部分をアンカリングするように構成され、前記第2のアンカーは、心室中隔中の開口内に前記導管形状部の前記第2の端部部分を保持するように構成される、請求項18から20のいずれか一項に記載の流体バイパス導管。
【請求項22】
左心房圧を管理する方法であって、
患者の心臓の右心室へ送達カテーテルを前進させるステップと、
心室中隔壁を通して前記心臓の左心室内に前記送達カテーテルを前進させるステップと、
前記心臓の僧帽弁を通り前記心臓の左心房内に前記送達カテーテルを前進させるステップと、
前記送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、
肺静脈に対して前記流体バイパス導管の前記遠位端部をアンカリングするステップと、
前記僧帽弁および前記心室中隔壁を通して前記送達カテーテルを引き抜き、それにより前記左心房および前記左心室のそれぞれの中に前記流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、
前記心室中隔壁に対して前記流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、
前記心臓から前記送達カテーテルを引き抜くステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記流体バイパス導管を介して前記肺静脈から前記右心室へ血液をチャネリングするステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記流体バイパス導管の中央部分の弁スペーサ部分を使用して前記僧帽弁の弁尖間の間隙を少なくとも部分的に充填するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記血液をチャネリングするステップおよび前記間隙を充填するステップは、前記心臓における左心房圧および僧帽弁逆流の両方を低減する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、前記肺静脈に関連する生体組織中に前記流体バイパス導管の前記遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含む、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記流体バイパス導管は、前記肺静脈から心室中隔まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、前記自己拡張性形状記憶金属フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密であるカバーと、を備える、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記心室中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、前記流体バイパス導管の前記近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、前記流体バイパス導管の直径よりも大きい直径を有する、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
アーム部材により前記流体バイパス導管の前記遠位端部に対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して前記流体バイパス導管の前記遠位端部をアンカリングするステップをさらに含む、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
左心房圧を管理する方法であって、
経カテーテルアクセス経路を介して患者の心臓の右心房へ送達カテーテルを前進させるステップと、
前記心臓の冠状静脈洞の口を通り前記冠状静脈洞内へ前記送達カテーテルを前進させるステップと、
前記心臓の左心房から前記冠状静脈洞を隔てる壁部中の開口に通して前記送達カテーテルを前進させるステップと、
前記送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、
肺静脈に対して前記流体バイパス導管の前記遠位端部をアンカリングするステップと、
前記左心房から前記冠状静脈洞を隔てる壁部中の前記開口を通して前記送達カテーテルを引き抜き、それにより前記左心房内において前記流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、
前記左心房から前記冠状静脈洞を隔てる壁部に対して前記流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、
前記心臓から前記送達カテーテルを引き抜くステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記流体バイパス導管を介して前記肺静脈から前記冠状静脈洞へ血液をチャネリングするステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、前記肺静脈に関連する生体組織中に前記流体バイパス導管の前記遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記流体バイパス導管は、前記肺静脈から前記左心房から前記冠状静脈洞を隔てる前記壁部まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、前記自己拡張性形状記憶金属フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密であるカバーと、を備える、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、前記流体バイパス導管の前記近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、前記左心房から前記冠状静脈洞を隔てる前記壁部中の前記開口の直径よりも大きい直径を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アーム部材により前記流体バイパス導管の前記遠位端部に対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して前記流体バイパス導管の前記遠位端部をアンカリングするステップをさらに含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記流体バイパス導管を使用して前記左心房の拡張を阻止するステップをさらに含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、「FLUID BYPASS CONDUIT FOR LEFT ATRIAL PRESSURE MANAGEMENT」と題する2019年6月12日に出願された米国仮特許出願第62/860,623号に基づく優先権を主張する。その仮特許出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に医用デバイスおよび医療手技の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
流体圧力などの心腔に関連するいくつかの生理学的パラメータは、患者の健康の見通しに対して影響を及ぼし得る。特に、心臓流体圧力が高いと、一部の患者において心不全および/または他の合併症をもたらす恐れがある。したがって、場合によっては、心臓の特定の心腔内の圧力を下げることにより患者の健康を改善させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、左心房で流体をチャネリングすることにより左心房を少なくとも部分的に迂回させることによって左心房圧の降下を促進するための1つまたは複数の方法および/またはデバイスについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実装形態では、本開示は左心房圧を管理する方法に関する。この方法は、経カテーテルアクセス経路を介して患者の心臓の右心房へ送達カテーテルを前進させるステップと、心臓の左心房内へ心房間中隔壁を貫通して送達カテーテルを前進させるステップと、送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップと、心房間中隔壁を通過させて送達カテーテルを引き抜き、それにより左心房内において流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、心房間中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、心臓から送達カテーテルを引き抜くステップとを含む。
【0006】
この方法は、流体バイパス導管を介して肺静脈から右心房へ血液をチャネリングするステップをさらに含み得る。例えば、肺静脈から右心房へ血液をチャネリングする前記ステップは、左心房圧を降下させる。いくつかの実施形態では、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、肺静脈に関連する生体組織中に流体バイパス導管の遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、流体バイパス導管は、肺静脈から心房間中隔まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密のカバーとを備える。例えば、心房間中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、流体バイパス導管の近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、フレームの直径よりも大きい直径を有する。この方法は、アーム部材により流体バイパス導管の遠位端部に対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップをさらに含むことが可能である。いくつかの実装形態では、この方法は、流体バイパス導管デバイスを使用して左心房の拡張を阻止するステップをさらに含む。
【0008】
いくつかの実装形態では、本開示は、流体バイパス導管に関する。この流体バイパス導管は、肺静脈と心房間中隔との間に長手方向に延在するように寸法設定された自己拡張性円筒状フレームと、円筒状フレームの少なくとも一部分の周囲に配設されたカバーと、円筒状フレームの第1の端部部分に関連付けられた第1のアンカーと、円筒状フレームの第2の端部部分に関連付けられた第2のアンカーとを備える。
【0009】
第1のアンカーおよび第2のアンカーの少なくとも一方が、生体組織中に埋設されるように構成された複数のかえしを備え得る。いくつかの実施形態では、第1のアンカーは、肺静脈内に円筒状フレームの第1の端部部分をアンカリングするように構成され、第2のアンカーは、心房間中隔中の開口内に円筒状フレームの第2の端部部分を保持するように構成される。例えば、いくつかの実装形態では、第1のアンカーは、ステントを備え、第2のアンカーは、心房間中隔中の開口の直径よりも大きい拡張時寸法を有する自己拡張性ワイヤフォームを備える。カバーは液密であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、流体バイパス導管は、第1のアンカーに対して結合された第3のアンカーをさらに備える。例えば、第3のアンカーは、第2の肺静脈の内壁に対して第1のアンカーをクリップ留めするように構成されたクリップ形状部を備え得る。いくつかの実施形態では、第1のアンカーおよび第3のアンカーは、ステントアンカーであり、第1のアンカーは、ブリッジ構造体を介して第3のアンカーに対して物理的に結合される。カバーは、流体流を通過させ得るように構成された1つまたは複数のアパーチャを有することが可能である。いくつかの実施形態では、円筒状フレームは、軸方向拡張性部分を有し、軸方向拡張性部分は、円筒状フレームが展開構成にある場合に、円筒状フレームの長さを変化させるように軸方向への収縮および拡張が可能になるように構成される。
【0011】
いくつかの実装形態では、本開示は、流体バイパス導管に関し、この流体バイパス導管は、僧帽弁を通り肺静脈と心室中隔との間に長手方向に延在するように寸法設定された導管形状部を備える。この導管形状部は、第1の端部部分と、第2の端部部分と、僧帽弁の弁尖同士の間の空間を占めるように構成された弁尖スペーサ部分を備える中央部分とを備える。流体バイパス導管は、導管形状部の第1の端部部分に関連付けられた第1のアンカーと、導管形状部の第2の端部部分に関連付けられた第2のアンカーとをさらに備える。
【0012】
弁尖スペーサ部分は、導管形状部を補強するように構成された1つまたは複数の補強構造体に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の補強構造体は、導管形状部の中央部分の少なくとも一部分を覆うカバーの一部である。いくつかの実施形態では、第1のアンカーは、肺静脈内に導管形状部の第1の端部部分をアンカリングするように構成され、第2のアンカーは、心室中隔中の開口内に導管形状部の第2の端部部分を保持するように構成される。
【0013】
いくつかの実装形態では、本開示は、左心房圧を管理する方法に関する。この方法は、患者の心臓の右心室へ送達カテーテルを前進させるステップと、心室中隔壁を貫通して心臓の左心室内に送達カテーテルを前進させるステップと、心臓の僧帽弁を通り心臓の左心房内に送達カテーテルを前進させるステップと、送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップと、僧帽弁および心室中隔壁を通過させて送達カテーテルを引き抜き、それにより左心房および左心室のそれぞれの中に流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、心室中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、心臓から送達カテーテルを引き抜くステップとを含む。
【0014】
この方法は、流体バイパス導管を介して肺静脈から右心室へ血液をチャネリングするステップをさらに含んでもよい。いくつかの実装形態では、この方法は、流体バイパス導管の中央部分の弁スペーサ部分を使用して僧帽弁の弁尖間の間隙を少なくとも部分的に充填するステップをさらに含み得る。例えば、血液をチャネリングするステップおよび間隙を充填するステップにより、心臓における左心房圧の降下および僧帽弁逆流の軽減の両方が実現され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、肺静脈に関連する生体組織中に流体バイパス導管の遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含む。流体バイパス導管は、肺静脈から心室中隔まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密であるカバーとを備えることが可能である。
【0016】
いくつかの実装形態では、心室中隔壁に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、流体バイパス導管の近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、流体バイパス導管の直径よりも大きい直径を有する。この方法は、アーム部材により第1のアンカーに対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップをさらに含み得る。
【0017】
いくつかの実装形態では、本開示は、左心房圧を管理する方法に関する。この方法は、経カテーテルアクセス経路を介して患者の心臓の右心房へ送達カテーテルを前進させるステップと、心臓の冠状静脈洞の口を通り冠状静脈洞内へ送達カテーテルを前進させるステップと、心臓の左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部中の開口に通して送達カテーテルを前進させるステップと、送達カテーテルから流体バイパス導管の遠位端部を展開するステップと、肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップと、左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部中の開口を通過させて送達カテーテルを引き抜き、それにより左心房内において流体バイパス導管の中央セグメントの少なくとも一部分を露出させるステップと、左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップと、心臓から送達カテーテルを引き抜くステップとを含む。
【0018】
この方法は、流体バイパス導管を介して肺静脈から冠状静脈洞へ血液をチャネリングするステップをさらに含むことが可能である。肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップは、肺静脈に関連する生体組織中に流体バイパス導管の遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを埋設するステップを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、流体バイパス導管は、肺静脈から左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部まで延在するように寸法設定された自己拡張性形状記憶金属フレームと、フレームの少なくとも一部分を覆って配設された少なくとも部分的に液密であるカバーとを備える。例えば、左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部に対して流体バイパス導管の近位端部をアンカリングするステップは、流体バイパス導管の近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張するステップを含み、ワイヤコイルは、左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部中の開口の直径よりも大きい直径を有する。この方法は、アーム部材により第1のアンカーに対して結合されたアンカーを使用して他の肺静脈に対して流体バイパス導管の遠位端部をアンカリングするステップをさらに含むことが可能である。
【0019】
本開示を概説するために、本明細書においては特定の態様、利点、および新規特徴が説明される。かかる利点の必ずしもすべてが、特定の実施形態により実現され得るわけではない点を理解されたい。したがって、本開示の実施形態は、本明細書において教示されるような1つの利点または利点群を実現または最適化するが、本明細書において教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも実現することなく実施されてもよい。
【0020】
様々な実施形態が、例示を目的として添付の図面に示されるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示の種々の実施形態の様々な特徴は、組み合わせることによりさらなる実施形態を形成することが可能であり、このような実施形態も本開示の一部に含まれる。すべての図にわたって、参照数字は、参照される要素同士の対応性を示すために繰り返し使用される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ヒトの心臓の断面図である。
図2】ヒトの心臓の上から下に見た心房断面図である。
図3】1つまたは複数の実施形態による流体バイパス導管デバイスが中に植え込まれた心臓を示す図である。
図4-1】1つまたは複数の実施形態による左心房圧を降下させるためのプロセスを示す流れ図である。
図4-2】1つまたは複数の実施形態による左心房圧を降下させるためのプロセスを示す流れ図である。
図5-1】1つまたは複数の実施形態による図4のプロセスに対応した心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの断面画像を示す図である。
図5-2】1つまたは複数の実施形態による図4のプロセスに対応した心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの断面画像を示す図である。
図6】1つまたは複数の実施形態による流体バイパス導管デバイスの一実施形態を示す図である。
図7】1つまたは複数の実施形態による流体バイパス導管デバイスが中に植え込まれた左心房の上から下に見た図である。
図8】1つまたは複数の実施形態による複数の肺静脈内に係入された導管アンカーを示す図である。
図9-1】1つまたは複数の実施形態による左心房圧を降下させるためのプロセスを示す流れ図である。
図9-2】1つまたは複数の実施形態による左心房圧を降下させるためのプロセスを示す流れ図である。
図10-1】1つまたは複数の実施形態による図9のプロセスに対応した心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの断面画像を示す図である。
図10-2】1つまたは複数の実施形態による図9のプロセスに対応した心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの断面画像を示す図である。
図11】1つまたは複数の実施形態による一体化された流体バイパス導管および弁スペーサデバイスが中に植え込まれた心臓を示す図である。
図12】1つまたは複数の実施形態による、高左心房圧および僧帽弁逆流を治療するためのプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用される表題は、便宜上の理由のみによるものであり、特許請求される本発明の範囲または意味に対して必ずしも影響しない。本開示は、心臓の1つまたは複数の心腔を迂回することにより左心房圧を降下させるためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【0023】
以下、特定の好ましい実施形態および実施例を開示するが、本発明の対象は、具体的に開示される実施形態にとどまらず他の代替的な実施形態および/または使用にまで、ならびにその修正形態および均等物にまで範囲が及ぶ。したがって、本明細書に基づき得る特許請求の範囲は、以下に説明される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書において開示されるいずれの方法またはプロセスにおいても、その方法またはプロセスの行為または操作は、任意の適切な順序において実施され得るものであり、いかなる特定の開示された順序に対しても必ずしも限定されない。様々な操作が、特定の実施形態の理解を促すことの補助となり得るように、複数の別個の操作として順に説明される場合があるが、説明の順序は、それらの操作が順序依存的なものであることを示唆するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される構造体、システム、およびデバイスは、一体的な構成要素としてまたは別個の構成要素として具現化されてもよい。様々な実施形態の比較を目的として、これらの実施形態の特定の態様および利点が説明される。かかる態様または利点の必ずしもすべてが、特定の実施形態により実現されるわけではない。したがって、例えば、様々な実施形態が、本明細書において教示されるような1つの利点または利点群を実現または最適化するが、本明細書において同様に教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも実現することなく実施されてもよい。
【0024】
以下は、本明細書において開示される特定の本発明の特徴および実施形態に関連するヒトの心臓の解剖学的構造体に関する一般的な記述を含むが、これは本開示の特定の態様に関するコンテクストを提示するために含まれる。ヒトおよび他の脊椎動物において、心臓は、4つのポンプ心腔を有する筋器官から一般的になり、これらのポンプ心腔間の血流は、様々な心臓弁すなわち大動脈弁、僧帽弁(または二尖弁)、三尖弁、および肺動脈弁により少なくとも部分的に制御される。これらの弁は、心周期の各期(例えば弛緩および収縮)の間に存する圧力勾配に応答して開閉することにより、心臓および/または血管(例えば肺血管、大動脈等)の各領域への血流を少なくとも部分的に制御するように構成され得る。
【0025】
図1および図2は、本発明の開示の特定の態様に関連する様々な特徴/解剖学的構造を有する一例の心臓1の水平方向から見た断面図および垂直方向から見た断面図をそれぞれ示す。心臓1は、4つの心腔からなり、すなわち左心室3、左心房2、右心室4、および右心房5を備える。中隔と呼ばれる筋壁が、左側の心腔を右側の心腔から隔てる。具体的には、心房中隔壁部分18(本明細書においては「心房中隔」、「心房間中隔」、または「中隔」と呼ばれる)が、右心房5から左心房2を隔て、心室中隔壁部分17(本明細書においては「心室中隔」、「心室間中隔」、または「中隔」と呼ばれる)が、右心室4から左心室3を隔てる。心臓1の下方先端部19は、心尖と呼ばれ、第5肋間隙内の鎖骨中線上に一般的に位置する。心尖19は、図中において特定されるより広い心尖領域39の一部とみなすことができる。
【0026】
左心室3は、心臓1の主要なポンプ心腔である。健康な左心室は、一般的に円錐状または先端の尖った形状を有し、横幅に広い(左心室の最大幅部分における両壁部25、26間に延在する横軸に沿った)のではなく縦に長く(大動脈弁7(図1には図示せず)から心尖19へ向かう方向に延在する長手方向軸に沿って)、心底15から先端または心尖19へ下がるにつれて断面直径および/または周長が小さくなる。一般的に、心臓の心尖領域39は、左心室領域内および/または右心室領域内に位置するが僧帽弁6および三尖弁8の遠位に位置し心臓の先端部19の付近に位置する心臓の底部領域となる。
【0027】
左心室3からの血液のポンプ送給は、圧搾動作および捻転動作により実現される。圧搾動作は、左心室3の側壁14と中隔17との間で行われる。捻転動作は、心臓の周囲において周方向またはらせん方向に延在する心筋線維によるものである。これらの線維は、収縮することにより心臓の長手方向軸を中心として心尖19から心底15にかけて心筋層の角度変位勾配を生じさせる。結果的に得られる力ベクトルは、大動脈弁7を流れる血流に対して約30~60度の角度で延在する。心臓収縮は、心尖19から見た場合に心底15に対する心尖19の反時計回り方向回転として現れる。こういった心臓収縮は、左心房2および左心室3のそれぞれの充填容積との関連において、結果として少なくとも心周期の特定の期間中に心臓の左側において比較的高い流体圧力を生じさせ得る。その結果について、以降で詳細に論じる。
【0028】
心臓の4つの弁は、心臓内の血液循環を支援する。三尖弁8は、右心室4から右心房5を隔てる。三尖弁8は、一般的に3つの弁葉または弁尖を有し、心室収縮(すなわち収縮期)の間は閉じ、心室拡張(すなわち拡張期)の間は開くため有利となる。肺動脈弁9は、肺動脈11から右心室4を隔て、一般的に収縮期の間には血液が右心室4から肺に向かってポンプ送給され得るように開き、拡張期の間には血液が肺動脈から右心室4内へと漏れ戻るのを防ぐように閉じるように構成される。肺動脈弁9は、一般的に3つの弁葉/弁尖を有する。僧帽弁6は、一般的に2つの弁葉/弁尖を有し、左心室3から左心房2を隔てる。僧帽弁6は、一般的に拡張期の間には左心房2内の血液が左心室3内へと流れ得るように開き、収縮期の間には血液が左心房2内へと漏れ戻るのを防ぐように閉じるように構成され得る。大動脈弁7は、大動脈12から左心室3を隔てる。大動脈弁7は、収縮期の間には血液が左心室3から退出して大動脈12に進入し得るように開き、拡張期の間には血液が左心室3内へと漏れ戻るのを防ぐように閉じるように構成される。
【0029】
房室(すなわち僧帽および三尖)心臓弁は、一般的に弁下組織(図示せず)に関連するものであり、この弁下組織は、これらの各弁の弁尖を固定することにより弁尖の適切な交連を助長および/または促進し、これらの弁尖の逸脱を防ぐ、腱索および乳頭筋の集合体からなる。乳頭筋は、例えば心室壁からの指状突出部から一般的になり得る。心室(3、4)の周囲を、酸素を多く含む血液を心筋へと供給する複数の動脈22と、この血液を心筋から右心房5へと冠状静脈洞16を経由して戻す複数の静脈28とが囲む(図2を参照)。冠状静脈洞16は、左心室3の上方部分のほぼ周囲に延在する比較的大きな静脈であり、右心房5へ戻る血液のための還流導管を形成する。冠状静脈洞16は冠動脈口14にて終端し、この冠動脈口14を通り血液は右心房に進入する。
【0030】
左心房2の主要な役割は、肺(図示せず)から戻る血液のための保持腔として機能すること、および心臓の他のエリアへ血液を輸送するためにポンプとして機能することである。左心房2は、肺からの酸素を多く含む血液を肺静脈23、26経由で受領する。肺静脈23、26から左心房2内に集められた酸素を多く含む血液は、僧帽弁6を通り左心室3に進入する。一部の患者においては、左心房2の壁部は、右心房5の壁部よりも若干厚い。脱酸素化された血液が、下大静脈29および上大静脈19を通り右心房5に進入する。次いで、心臓の右側が、肺の周囲の肺動脈中へとこの脱酸素化された血液をポンプ送給する。肺動脈において、新鮮な酸素が血流中に入り、この血液は肺静脈網を介して心臓の左側へ移動し、最終的には図示するように左心房2に終着する。
【0031】
心不全
心臓の解剖学的構造体に関する特定の生理学的条件または生理学的パラメータは、患者の健康に影響を及ぼし得る。例えば、うっ血性心不全は、心臓および/または身体を循環する血液の移動が比較的遅いことに関連する症状であり、これは、特に心臓の左側において1つまたは複数の心腔内の流体圧力を上昇させ得る。その結果、心臓は、身体需要を満たすために十分な酸素をポンプ送給することができない場合がある。
【0032】
心臓の様々な心腔は、圧力上昇に対して、身体にポンプ送給するための血液をさらに多量に保持しようと伸張する、または比較的剛直になるおよび/もしくは肥厚化する場合がある。最終的に、心壁は脆弱化し、効率的なポンプ送給ができなくなる恐れがある。いくつかの例では、腎臓が、心臓の非効率化に対して、身体に流体を保持させようとする場合がある。腕、脚、足首、足、肺、および/または他の臓器の中に蓄積された流体は、身体にうっ血を引き起こす恐れがあり、これがうっ血性心不全と呼ばれる。一般的に、左心房圧が、うっ血性心不全リスクとの比較的高い相関性を有し得る。さらに、左心房圧の上昇と肺うっ血との間にも比較的高い相関性が一般的にみられ得る。急性非代償性うっ血性心不全が、罹患率および死亡率の最も高い要因であり、したがってうっ血性心不全の治療および/または予防は、医療ケアにおいて重要な懸案事項である。本開示の実施形態は、左心房圧が高い患者の左心房圧を降下させることによりうっ血性心不全を治療および/または予防する役割を果たし得る。
【0033】
一般的に、拡張期心不全および/または収縮期心不全に関連する心室充填圧力の上昇は、入院に至る兆候が発生する前に生じ得る。例えば、一部の患者に関しては、入院の数週前に心圧の指標が現れ得る。したがって、本開示の実施形態による左心房圧および/または左心室圧の降下は、有利には、入院リスクおよび/または心不全の開始リスクを低下させるための予防措置として実施され得る。
【0034】
高左心房圧の判定は、任意の適切なまたは望ましい方法で実施され得る。呼吸困難は、息切れまたは呼吸を十分にはできない感覚を特徴とする心圧の指標に相当する。呼吸困難は、心房圧の上昇の結果として生じる場合があり、これにより圧力維持のために肺内に流体がうっ滞する場合がある。したがって、呼吸困難の兆候に対応して本明細書に示される左心房圧を降下させる解決策を実施することが望ましい場合がある。追加的にはまたは代替的には、実施形態または本開示による左心房圧の降下は、直接的および/または間接的な圧力(例えば左心房圧)モニタリングおよび/または介入により、呼吸困難の兆候および/または他の兆候/合併症の現れる前に実施されてもよい。例えば、左心房圧モニタリングが、左心房内などの心臓の1つまたは複数の心腔内に植え込まれたまたは配設された1つまたは複数のセンサを使用して実施されてもよい。いくつかの実装形態では、左心房圧は、心臓の他の心腔または血管の測定値から導き出されてもまたは推定されてもよく、例えば右心房圧、右心室圧、肺動脈圧、および/または肺動脈楔入圧の中の1つまたは複数の測定値などのこの測定値が、左心房圧の代替値になり得る。
【0035】
流体バイパス導管インプラントデバイスおよびプロセスを利用した左心房圧降下
上述のように、左心房における圧力上昇は、特定の心不全症状および肺うっ血に相関性を有し得る。左心室の拡張期心不全、収縮期心不全、および弁疾患などを含む様々な医学的症状により、左心房圧の上昇がもたらされる恐れがある。さらに、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)および駆出率が低下した心不全(HFrEF)は共に、左心房圧の上昇を伴い生じ得る。これらの症状に対しては、左心房圧の降下が有利に働き得る。さらに左心房圧の降下は、左心室における収縮期前負荷を一般的に低下させる。また有利には、左心房圧の降下は、肺循環における圧力除去をさらに可能にすることにより、肺水腫リスクを低下させ、呼吸を改善し、および/または患者の安楽性を高める。有利には、本開示の実施形態は、左心房圧を降下させるためのシステム、デバイス、および方法を提供する。いくつかの実装形態では、左心房圧の降下は、通常であれば左心房から左心室内へと流れ、収縮期の間に大動脈弁を通り排出され、左心房を通り例えば心房間中隔または冠状静脈洞を通り右心房内へなど心臓の右側に関連する流路へと流れることになるある血流量をシャントすることにより実現される。本明細書では、左心房においてかかるシャントを実現するように構成された流体バイパス導管デバイスおよびこの流体バイパス導管デバイスを使用する方法が開示される。
【0036】
図3は、流体バイパス導管デバイス50が中に植え込まれた心臓1を示す。本開示の実施形態は、患者の脈管のあるエリアから他のエリアへ血流をシャントまたは迂回するように構成され得る、図3に示すデバイス50といくつかの点において同様であり得る流体バイパス導管インプラントデバイスを植え込むためのシステム、デバイス、および方法に関する。例えば、有利には、本開示の実施形態は、左心房2または心臓の左側に関連する他の腔もしくは管と流体連通状態にあるエリアから、心臓の右側へと血流をシャントし、それにより左心房圧を降下させることを伴い得る。かかる方法は、流体バイパス導管デバイス50の第1の端部52(例えば遠位端部)を肺静脈26および/または肺静脈口25の上または中へアンカリングすることを伴い得る。流体バイパス導管デバイス50の第2の端部54(例えば近位端部)は、心房間中隔壁18または心室中隔壁17の中におよび/またはそれらを貫通してアンカリングされて、肺静脈26および/または左心房2から例えば右心房5内へなど心臓の右側内への流体アクセスを提供し得る。
【0037】
いくつかの実装形態では、本開示によるプロセスが、デバイスの第1の端部が肺静脈および/または肺静脈口の中にまたはそれらに対してアンカリングされる一方で、インプラントデバイスの対向側の端部または部分が冠状静脈洞へのアクセスを提供する壁部または解剖学的構造体に対してアンカリングまたは固定されるように、流体バイパス導管デバイスを植え込むことを伴う。すなわち、有利には、流体バイパス導管デバイスは、1つまたは複数の肺静脈と冠状静脈洞との間の流体結合を実現し得ることにより、心臓の左側から心臓の右側(例えば右心房)へと冠状静脈洞を介して血流をドレインすることを可能にし得る。
【0038】
上述のように、肺静脈23、26は、肺(図示せず)から心臓1へ酸素を多く含む血液を送る。一般的に、最も大きな肺静脈は4つの主要な肺静脈23、26(図1および図2を参照)であり、各肺から2つの肺静脈が左心房2内へとドレインする。これらの肺静脈は、肺循環の一部である。2つの主要な肺静脈が、各肺門から起始し、3つまたは4つの気管支静脈のそれぞれから血液を受領し、左心房2内へとドレインする。一般的に、下方の主静脈および上方の主静脈が、各肺へとドレインして、図1および図2に示す4つの主要な静脈を形成する。図1および図2に示すように、左肺静脈26および右肺静脈23は、一般的に後方左心房壁を通り左心房2に進入する。
【0039】
さらに図3を参照すると、流体バイパス導管デバイス50は、肺静脈からの血流が少なくとも部分的にはインプラントデバイス50のルーメンまたはチャネル55内において右心房5内へチャネリングされ、それにより左心房2および/または左心室3を少なくとも部分的に迂回するように、構成および/または形状設定され得る。心房中隔壁18に対する装着は、バイパスインプラントデバイス50の内部チャネル55を経由して心房中隔18を血流が通過することが可能になるようになされ得る。例えば、インプラントバイパスチャネル55が中隔壁18を貫通するように、穴または開口が中隔18中に形成され得る。
【0040】
インプラントデバイス50の端部は、任意の適切なまたは望ましい方法で肺静脈および/または中隔壁などの各標的組織に対して縫合またはアンカリングされ得る。本明細書において、「肺静脈」という用語は、肺静脈口、血管内部、および肺静脈口を囲む左心房組織の一部分を示し得る。さらに、本明細書において説明されるような流体バイパスインプラントデバイスおよび/またはこのデバイスに関連する1つまたは複数のアンカー特徴部による肺静脈との装着または係合は、肺静脈口、血管内部、および/または肺静脈口を囲む左心房組織の一部分を少なくとも含む、肺静脈に関連する任意の組織と、流体バイパスインプラントデバイスおよび/またはこのデバイスに関連するアンカーとの係合または装着に関するものである点を理解されたい。肺静脈26および/またはこの肺静脈26に関連する肺静脈口25の中に流体バイパスインプラントデバイス50をアンカリングすることにより、肺静脈26からの血流は、インプラントデバイス内において右心房5内へとチャネリングされ、それにより左心房2を迂回することが可能となる。本明細書において、「に関連付けられた」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って使用される。例えば、第1の特徴、要素、構成要素、デバイス、または部材が、第2の特徴、要素、構成要素、デバイス、または部材「に関連付けられた」ものとして説明される場合には、第1の特徴、要素、構成要素、デバイス、または部材は、直接的または間接的にかかわらず、第2の特徴、要素、構成要素、デバイス、または部材に対して物理的に結合される、装着される、連結される、一体化される、少なくとも部分的に内部に埋設される、または他の方法で物理的に関係付けられることを表すものとして理解されたい。本明細書においては、特定の実施形態が、右側および/または上方の肺静脈に対して流体バイパスインプラントデバイスをアンカリングすることに関連して開示されるが、本明細書において開示される実施形態は、左心房または心臓もしくは身体の他の腔へと開口したおよび/または関連した任意の肺静脈または他の血管に対して、流体バイパスインプラントデバイスおよび/またはそのアンカー特徴部をアンカリングするまたは植え込むことを伴い得る点を理解されたい。
【0041】
心房中隔壁18に対する装着は、血液がバイパス導管デバイス50の内部チャネル55を経由することにより心房中隔18を貫通して流れることが可能になるようになされ得る。例えば、インプラントバイパスチャネル55が中隔壁18を貫通するように、穴または開口が中隔18中に形成され得る。導管デバイス50が単一の肺静脈26に係合された状態では、この肺静脈26を経由して左心房2へと供給される血液全体の中の一部のみが、心臓1の右側へと別ルートにて送られ得る。いくつかの実装形態では、1つの肺静脈との係合により、肺から右心房5および/または右心室4への酸素を多く含む血流全体の中の約25%が分流され得る。
【0042】
図3では、単一の肺静脈がデバイス50により係合されるものとして示されるが、いくつかの実装形態では、このデバイスは、2つ以上の肺静脈に対して結合されてもよく、または2つ以上の流体バイパス導管インプラントデバイスが、降圧を向上させるために使用されてもよい。例えば、デバイス50は、マニホルドタイプの構成を有してもよく、その場合にはこのデバイスの複数の遠位チャネルが、共に組み合わされ、中隔壁中の開口付近へ向けられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、インプラントデバイス50は、1つまたは複数のアンカーが各端部に関連付けられたチューブ状または部分的にチューブ状の部材または部分59を備えてもよい。このチューブセクション59は、有利には自己拡張性のチューブ構造体からなるものであってもよい。さらに、流体バイパス導管50は、このチューブ状構成要素(例えば内部フレーム)59の少なくとも一部分の周囲に位置する液密カバーを備えてもよい。いくつかの実装形態では、チューブ状部分59は内部フレームを備えない。流体バイパス導管50の一方の端部52(例えば遠位端部)が、肺静脈26および/または肺静脈口25の中に植え込まれ得る。導管デバイス50の対向側の端部54(例えば近位端部)が、肺静脈26から右心房5内へ導管デバイス50のチャネル55を介した流体アクセスを提供するために、心房間中隔壁18を貫通して植え込まれ得る。いくつかの実施形態では、心房間中隔壁18を貫通する流体アクセスを提供するのではなく、導管デバイス50は、肺静脈26および/または肺静脈口25の中に植え込まれてもよく、一方でデバイス50の対向側端部は、冠状静脈洞16内へのチャネル55を介した流体アクセスを提供するための位置において左心房の壁部中に植え込まれてもよい(図2および図10を参照)。
【0044】
流体バイパス導管デバイス50は、4つの肺静脈の中の1つまたは複数に連結しまたは分岐部を設け、中隔壁18を貫通してこれらの静脈から右心房5内へ直接的に血流を転送またはシャントする、バイパスチャネルとしての機能を果たし得る。1つまたは複数の肺静脈から右心房へ血流を迂回させることにより、通常であれば左心房を充填し左心房内の流体圧力を上昇させる流体は、代わりに右心房内へとチャネリングされ、それにより左心房圧が降下し、したがって心不全および/または他の健康上の合併症のリスクが低下し得る。
【0045】
流体バイパス導管デバイス50の遠位端部52に関連付けられたアンカー特徴部53は、任意のタイプの組織アンカーまたは係合特徴部であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アンカー特徴部53は、例えば1つまたは複数の自己拡張性ステント特徴部などの摩擦嵌め組織係合アンカーである。流体バイパス導管デバイス50の近位端部54に関連付けられたアンカー特徴部51は、アンカー特徴部53と同様のまたは異なるタイプのアンカー特徴部であってもよい。例えば、アンカー特徴部51は、中隔18中の開口よりも大きい幅または直径寸法を有し、デバイス50の近位端部54がこの開口を通り左心房2内へ引き込まれるのを防止するように構成された、1つまたは複数のワイヤ形状部および/またはコイル形状部を備え得る。
【0046】
流体バイパス導管デバイス50は、いくつかの実装形態に従って植え込まれた場合に、左心房2の望ましくない拡張または膨張を阻止し得る。すなわち、流体バイパス導管デバイス50は、有利には左心房2および/または心臓1の他の心腔が望ましくない拡大に起因して膨張または拡張するのを防止する役割を果たし得る。例えば、流体バイパス導管50(例えばその金属フレーム(図6のフレーム37を参照)および/または流体バイパス導管の他の構成要素)は、起こり得る左心房の拡大を防ぐための張力デバイスとして機能し得る。いくつかの実施形態は、自己拡張性形状記憶金属フレームおよび/または少なくとも部分的に液密なカバーを備える。図3では流体導管デバイス50の様々な特徴が示されるが、特徴が図示および説明される他の特徴のいずれとも無関係に実装されることが可能である点を理解されたい。
【0047】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の流体バイパス導管インプラントデバイスを使用して左心房圧を降下させるためのプロセス400を示す流れ図である。図5は、1つまたは複数の実装形態によるプロセス400の態様を示すための、図4のプロセス400に関連した心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの特定の断面画像を示す。
【0048】
ブロック402で、プロセス400は、経カテーテルアクセス経路を介して経皮的に患者の右心房5へ送達カテーテルおよび/または送達シース40を前進させることを伴う。例えば、右心房5へのアクセスは、下大静脈29または上大静脈19を介して行われ得る。例えば画像502に示すように、送達カテーテル40は、上大静脈19から入口開口21を通りまたは下大静脈29から入口開口27を通り右心房5へ前進され得る。本明細書において、「カテーテル」および「シース」という用語は、それらの広範かつ通常の意味に従って使用され、体内挿入に適した任意のタイプのチューブを示し得る。本明細書のいくつかのコンテクストでは、「カテーテル」および「シース」は、実質的に互換的に使用される場合がある。
【0049】
明瞭化のために図5には図示しないがまたは本明細書において詳細には説明されないが、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスを展開および/または植込みするためのプロセスは、送達カテーテル40を展開する前に関連アクセス経路にガイドワイヤを導通することを伴い得る。ガイドワイヤが経路を形成すると、誘導シース(図示せず)がこのガイドワイヤに沿って患者の脈管内へと送られ得る。例えば、この誘導器の誘導は、拡張器の使用により実現され得る。有利には、誘導シースは、失血を防ぐために止血弁を提供し得る。
【0050】
送達カテーテル40は、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイス60を中に収容し得る。ブロック404で、プロセス400は、左心房2へアクセスするために心房間中隔18を貫通して送達カテーテル40を前進させることを伴う。例えば、送達カテーテル40は、心房中隔18中に開口を形成および調製するように機能し得る。いくつかの実装形態では、別個の配置カテーテルまたは送達カテーテルが、流体バイパスインプラントデバイスを送達するために使用され得る。他の実施形態では、送達カテーテルは、穿孔調製および流体バイパス導管デバイス配置の両方のためのカテーテルとして使用され得る。本願では、「送達カテーテル」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って使用され、これらの機能の一方または両方を有するカテーテルまたは誘導器を表し得る。ブロック406で、プロセス400は、肺静脈または肺静脈口25の中へまたはそれに隣接する位置へ送達カテーテル40を前進させることを伴う。
【0051】
ブロック408で、プロセス400は、カテーテル40内において輸送された流体バイパス導管デバイス60の遠位端部を肺静脈26および/または肺静脈口25に対してアンカリングすることを伴う。導管デバイス60は、ルーメンを画定する略チューブ状の本体またはスリーブを備え得る。導管デバイス60の遠位端部は、流体入口としての役割を果たし得る。導管デバイス60の遠位端部は、1つまたは複数のアンカリング特徴部63に関連付けられてもよく、このアンカリング特徴部63は、肺静脈26に対して導管デバイス60をアンカリングするために使用され得る。アンカー特徴部63は、肺静脈26に対しておよび/またはその中にアンカリングするための例えば1つまたは複数のかえしタイプもしくはコークスクリュータイプの組織アンカーおよび/またはステント形状部を備え得る。
【0052】
流体バイパス導管デバイス60は、標的となる肺静脈を効果的に流体封止するように肺静脈26、25にまたはその中に植え込まれ得る。代替的には、導管デバイス60の遠位端部が、血液が流通し得る間隙または空間を導管デバイス60の周縁部の周囲に備えるように、肺静脈または肺静脈口に植え込まれ得るまたはアンカリングされ得る。かかる間隙または空間は、意図的におよび/または故意に与えられてももしくは実装されてもよく、または導管デバイス60の不完全な封止もしくはアンカリングの結果として自然に得られるものであってもよい。プロセス400は、最初に肺静脈内に導管デバイス60を植え込み、次に中隔18内にデバイス60の近位端部を植え込むことを伴うものとして説明されるが、いくつかの実装形態では、流体バイパス導管デバイス60は、最初に中隔18に対してアンカリングされ、その後肺静脈の中の1つまたは複数が、所望のまたは理想の拍出量または圧力降下を実現するものとして特定され、かように特定された静脈が、導管デバイス60に対して結合されてもよい。
【0053】
上述のように、右側からの2つおよび左側からの2つによる4つの別個の肺静脈が、左心房2中へと血液をチャネリングし得る。したがって、各肺静脈は、左心房2内への進入流の全体の中の一部分のみに個別に関与する。いくつかの実施形態では、標的となる肺静脈26は、心臓の左側から右側へシャントされる血流量を最適化するように選択され得る。例えば、プロセス400は、肺からの進入血液流の所望部分をバイパス導管デバイス60に通して供給する所望の1つまたは複数の肺静脈を選択することを伴い得る。一部の患者においては、単一の肺静脈に対して結合された流体バイパス導管デバイスが、左心房2内への進入する血流の約25%を心臓の右側へとチャネリングし得る。したがって、左心房圧は、中隔または心房壁を経由して単一の肺静脈と右心房または右心室との間に本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスを植え込むことにより、約25%または0~25%の間のいずれかの他のパーセンテージだけ降下し得る。
【0054】
ブロック410で、プロセス400は、心房間中隔18へとおよび/または心房間中隔18を貫通して送達カテーテル40を引き戻し、それにより流体バイパス導管60の中央チャネル部分を展開し、左心房2内にこの中央チャネル部分を露出させることを伴う。有利には、バイパス導管デバイス60は、少なくとも部分的に自己拡張性を有してもよく、ジャケットまたはカバーを備えてもよく、このジャケットまたはカバーは、薄いPTEF材料もしくは同様のもの、または生体組織からなるものであってもよい。導管デバイス60の中央部分は、少なくとも部分的に剛性のフレームを備えることが可能であり、このフレームは、スリーブまたはカバーにより覆われた拡張性レーザ切断金属フレームおよび/または1つもしくは複数の環状フープを備え得る。このフレームは、様々な図面に示され本明細書内の特定のコンテクストで説明されるように、デバイス60の導管形状部の少なくともある長手方向部分にわたり、断面形状に関して略円筒状であることが可能である。有利には、導管デバイス60の中央部分は、少なくとも部分的に可撓性を有してもよく、所望の(例えば少なくとも部分的に湾曲状の)形状へと事前形成されてもよい。導管デバイス60は、送達カテーテル40から導管デバイス60を押し出すおよび/または導管デバイス60に対して送達カテーテル40を後退させることにより、送達カテーテルから前進され得る。いくつかの実装形態では、送達カテーテル40の少なくとも一部分を貫通して軸方向に延在するプッシャーデバイスが、カテーテルから導管デバイス60を展開するのを支援するために使用され得る。
【0055】
ブロック412で、プロセス400は、導管60の内部流体チャネルが肺静脈26から心房中隔18を貫通し右心房5内へ経路を提供するように、心房間中隔18に対して流体バイパス導管デバイス60の近位端部をアンカリングすることを伴う。導管デバイス60の近位端部に関連付けられたアンカー特徴部61は、拡張コイルもしくは拡張アーム、または中隔壁18の組織内に埋設されるように構成されたかえしタイプアンカーを含む、任意のタイプのアンカー特徴部であってもよい。本明細書における本説明のいくつかの部分が心房中隔18を貫通したシャントに焦点を当てているが、いくつかの実施形態では、シャントは左心房2と冠状静脈洞との間の左心房壁を貫通するものであってもよく、その場合に、心臓の右側へのシャントが冠状静脈洞およびテベシウス弁を経由して右心房5内へなされるものである点を理解されたい。
【0056】
ブロック414で、プロセス400は、患者の心臓から送達カテーテル40を引き抜き、それにより画像514に示すように流体バイパスインプラントデバイス60を植え込まれた状態に留置することを伴う。心臓の右側に比べて心臓の左側が一般的により高圧の状態にあるため、右心房から心臓の左側への流体逆流は、安定状態で植え込まれた条件においては一般的には発生しない。送達カテーテルが引き抜かれると、有利には、流体バイパス導管デバイス60は、上述のように心臓の左側から心臓の右側へのシャントを実現することが可能となる。
【0057】
図6は、1つまたは複数の実施形態による流体バイパス導管デバイス30の一実施形態を示す。導管デバイス30は、本明細書において開示される実施形態による自己拡張性インプラントデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、流体バイパス導管デバイス30は、自己拡張性ステントまたは自己拡張性フレーム構成要素37を備え、この自己拡張性ステントまたは自己拡張性フレーム構成要素37は、本明細書において説明されるように例えば円筒状断面導管などの導管を形成するように形状設定および構成され得る。本明細書においては、自己拡張性フレームおよび導管が説明されるが、いくつかの実施形態では、流体バイパス導管デバイスが、バルーン拡張型のものであってもよく、または送達カテーテルからの展開後の拡張を必要としなくてもよい。さらに、本明細書においては経カテーテルプロセスが説明されるが、いくつかの実施形態では、左心室へのアクセスが外科的アクセスまたは低侵襲性アクセス(例えば経胸アクセスなど)により実施されてもよい。
【0058】
フレーム37により形成された導管の両端部32、34が、それぞれ1つまたは複数のアンカー構成要素31、33に対して結合され得るおよび/または他の方法で関連付けられ得る。図6に示すデバイス30は、拡張構成において示される。圧縮構成または収縮構成において、このデバイス30は、大腿アクセスまたは頸静脈アクセスにより心房間中隔を貫通して横断しまたは他の経路を経由して左心房へ至るカテーテルを使用して、標的植込み位置へと輸送可能であってもよい。図6の画像は、かえしタイプ組織アンカー31、33を示す。しかし、任意のタイプのアンカーが、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスとの関連で使用され得る点を理解されたい。
【0059】
本明細書においては、単一の流体バイパス導管デバイスおよび/または単一の肺静脈のみの中に植え込まれた流体バイパス導管デバイスを示す特定の実施形態が開示されるが、いくつかの実装形態では、流体バイパス導管デバイスが、2つ以上の肺静脈と流体連通状態に植え込まれてもよい。例えば、かかる実装形態は、2つの別個の導管デバイスを使用してもよく、または2つ以上の肺静脈内に植え込むために複数の遠位導管開口/入口を有する単一の導管デバイスを使用してもよい。追加の肺静脈が、所望の圧力降下機能を実現するために分岐部を設けられてもよい。
【0060】
図6に示す組織アンカー31、33および本開示の他の実施形態に関連して説明される組織アンカーは、任意の適切なまたは望ましいタイプの組織アンカーであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、流体バイパス導管デバイスに関連付けられる組織アンカーが、ループ、コイル、またはらせん等の事前成形されたワイヤフォームからなり、このワイヤフォームは、送達カテーテルから展開された場合に比較的幅広の組織アンカープロファイルを呈するように構成され得る。使用され得る他のタイプの組織アンカーとしては、ステント等の張力嵌め組織アンカーもしくは抵抗嵌め組織アンカー、埋設後に埋設された組織からのアンカー先端部の引抜きに抵抗するように構成された先端特徴部を組み込み得るかえしタイプ組織アンカー、コークスクリュータイプ組織アンカー、および/または当分野において既知であってももしくはなくてもよい他のタイプの組織アンカーが含まれるが、それらに限定されない。
【0061】
本明細書において詳細に説明されるように、有利には、流体バイパス導管デバイス30は、患者の左心房を横断するのに十分な長さLを有するように寸法設定され得る。例えば、流体バイパス導管デバイス30は約2~5cmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、デバイス30の長さLは約4cmである。いくつかの実施形態では、導管デバイス30は可変長さを有するように構成され、導管の長さは心房の収縮に対応して適合または適応し得る。すなわち、有利には、流体バイパス導管デバイス30は自己拡張性の特徴を有して構成され、これにより心房の拡張および/または収縮がフレーム37および/またはデバイス30の他の構成要素によって吸収されることが可能となり得る。いくつかの実施形態では、有利には、流体バイパス導管デバイス30はカバー39を備え、このカバー39は、フレーム37の中にまたは外に配設されてもよく、少なくとも部分的に液密であってもよく、それにより導管デバイス30の中央部分/中央セグメント35を通る血流の送給またはチャネリングを助長し得る。図6では、流体バイパス導管デバイス30の様々な特徴が示されるが、かかる特徴は、図示および説明される他の特徴のいずれとも無関係に実装され得る点を理解されたい。
【0062】
図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による流体バイパス導管デバイス70が中に植え込まれた左心房2の上から下に見た図を示す。図7に示す導管デバイス70は、本開示の実施形態の任意のものに組み込まれ得る様々な特徴を備える。例えば、導管デバイス70は、アコーディオンタイプ衝撃吸収特徴部78を備え、この特徴部78は、本明細書において詳細に説明されるように導管デバイス70の内部フレームおよび/またはカバー79の一方または両方の一部であってもよく、またはそれらに組み込まれてもよい。この特徴部は、一般的には導管デバイス70の軸方向収縮に対して軸方向に収縮するようにおよび/または導管デバイス70の軸方向収縮を許容するように構成され得る。例えば、特徴部78は、カバー79と一体化され導管デバイス70の長手方向への拡張および収縮を許容し得る複数のプリーツ層からなるものであってもよい。有利には、衝撃吸収特徴部78は、心房2の収縮に関連した導管の長手方向長さの短縮を許容するように圧縮可能であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、導管デバイス70は、心房2内への流体流出を可能にするためにカバー79中に1つまたは複数の穴またはアパーチャを備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、導管デバイス70の圧力降下効果を調節するために、カバー79および/または導管デバイス70の1つもしくは複数の構成要素への選択的開口の形成を可能にし得る。すなわち、導管デバイス70は、調節可能シャント機能を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、導管デバイス70は、カバーおよび/または導管デバイス70の他の特徴部の中の特定の穴またはアパーチャなどの調節可能シャント機構を備えもよく、これらの穴またはアパーチャは、デバイス70もしくは環境の圧力上昇または他の変化に応答して重畳構成において相互に対して多少なりともオフセットされた状態になり得る。したがって、いくつかの実施形態では、導管デバイス70内の(または外の)圧力上昇により、結果としてカバー79および/またはデバイス70の他の構成要素の中の開口がより大きく広げられ得るようになり、それによりさらなる血液が導管70から心房2内へと流れることができるようになる。いくつかの実装形態では、導管デバイス70および/またはその1つもしくは複数の構成要素において実施される軸方向回転が、血流の制限または開放を行う役割を果たしてもよく、これにより導管デバイス70の特徴が変更される。調節可能シャント特徴部が、導管デバイス70および/またはその1つもしくは複数の構成要素に多少なりとも血流に対する透過性を持たせる役割を果たす任意の形状またはタイプの機構を備えてもよい。いくつかの実施形態では、導管デバイス70は、特定の高圧条件下での拡張に対応する順応特徴を有し得る。
【0064】
本明細書において詳細に説明されるように、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスの組織アンカリング構成要素または組織アンカリング部分が、任意の既知の組織アンカリングデバイスまたは組織アンカリング機構を含む、任意の適切なまたは望ましい形状部または機構を備えてもよい。図7に図示する実施形態では、有利には、導管デバイス70は、導管デバイス70の近位端部部分72(または遠位端部部分74)に関連付けられた拡張可能(例えば自己拡張性および/または形状記憶金属)アンカー71を備える。例えば、拡張性アンカー71は、拡張構成において、心房中隔18中の開口85の直径および導管デバイス70の直径の一方または両方よりも大きな直径dを有してもよく、それによりアンカー71は、導管デバイス70を定位置に保持し、導管デバイス70の近位端部72が心房中隔18中の開口85を通り左心房2内へ引き込まれるのを防止する。
【0065】
導管デバイス70の遠位端部74などの一方の端部が、ステント73または同様の構造体もしくはデバイスなどの張力/抵抗アンカーに関連付けられてもよい。例えば、ステント73は、図示するように肺静脈26内において拡張され得る。いくつかの実施形態では、導管デバイス70は、2つ以上の肺静脈に対してアンカリングされ得る。例えば、アンカー73または導管デバイス70の遠位端部部分74が、クリップまたはアーム特徴部76に関連付けられてもよく、このクリップまたはアーム特徴部76は、例えば図示するように肺静脈24の内壁に対してクリップ留めされるなど、隣接する肺静脈24および/もしくはその肺静脈口25bの中に配設されるまたは隣接する肺静脈24および/もしくはその肺静脈口25bに対して他の方法でアンカリングされるように構成され得る。クリップまたはアーム部材76は、導管デバイス70の軸に対して径方向内方力を印加するように構成されて、それにより第2の肺動脈弁24に対する導管デバイス70の追加的なアンカリングをさらに与えてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、隣接し合う肺静脈同士の間のアンカリングが、図8に示すように隣接する肺静脈24内において張力/抵抗アンカー87を使用することにより実現されてもよい。図8では、第1のアンカーステント83が、第1の肺静脈26内において展開され、ステント83は、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイス(図示せず)の遠位端部部分に関連付けられるおよび/または結合される。第1のアンカー83は、隣接する肺静脈24内で展開された第2のアンカー87に対して結合され、第1のアンカー83および第2のアンカー87は、少なくとも部分的に剛性および/または可撓性であり得るブリッジ部材またはアーム部材86により相互に対して結合される。いくつかの実施形態では、ブリッジ/アーム部材86は、アンカー83、87に対して相互方向に力を誘導する形状記憶特徴および/または弾性特徴を有する。アンカー83、87のいずれかまたは両方が自己拡張性ステントであってもよい。二次アンカー87およびブリッジ/アーム部材86の実装は、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスのアンカリングに改善をもたらす役割を果たし得る。様々な特徴を図7および図8に示したが、かかる特徴は、図示および説明される他の特徴のいずれとも無関係に実装され得る点を理解されたい。
【0067】
冠状静脈洞を介した流体バイパス
心房間中隔を貫通して心臓の右側へ肺静脈を流体結合するために流体バイパス導管デバイスを使用する代わりに、本明細書において開示される原理は、冠状静脈洞を経由して心臓の右側へ1つまたは複数の肺静脈を流体結合することを含む他の植込み構成に対しても適用可能である。図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による冠状静脈洞に対して1つまたは複数の肺静脈を流体結合するように構成された1つまたは複数の流体バイパス導管インプラントデバイスを使用して左心房圧を降下させるためのプロセス900を示す流れ図である。図10は、1つまたは複数の実装形態によるプロセス900の態様を示すための図9のプロセス900に関連付けられた心臓の解剖学的構造体および特定のデバイスの特定の断面画像を示す。
【0068】
ブロック902で、プロセス900は、経カテーテルアクセス経路により患者の心臓の冠状静脈洞16まで送達カテーテル40を前進させることを伴う。上述のように、様々なアクセス経路が、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスを展開するように心臓内および心臓周囲においてカテーテル(および関連するガイドワイヤ)を操縦するために使用できる。例えば、アクセスが、上方から鎖骨下静脈または頸静脈のいずれかを経由して上大静脈19、右心房5内へと進み、そこから冠状静脈洞16内へと進むものであってもよい。代替的には、アクセス経路は、大腿静脈内から起始し、下大静脈29を通り心臓内へ通ずるものであってもよい。さらに他のアクセスルートが使用されてもよく、有利にはその中のいくつかのルートは経皮切開を利用するものであり、カテーテル40は、一般的にはシール誘導器を介してこの経皮切開から脈管内に挿入され、このシール誘導器により医師は、体外からデバイスの遠位端部を制御および誘導することができる。送達カテーテル40は、冠状静脈洞口66を通り冠状静脈洞16内へと前進され得る。
【0069】
ブロック904で、プロセス900は、左心房2から冠状静脈洞16を隔てる壁部67を貫通して送達カテーテル40を前進させることを伴う。送達カテーテル40は、左心房の壁部67中に開口を形成および調製するように機能してもよく、別個の配置カテーテルまたは送達カテーテルが、流体バイパス導管デバイスを送達するために使用される。代替的には、展開カテーテル40が、穿孔調製および流体バイパス導管配置の両方のためのカテーテルとして使用され得る。
【0070】
冠状静脈洞が左心房の周囲に広く隣接しているため、壁部67中に開口65を配置可能な位置は多様である。開口65のための部位は、例えばCTスキャンまたは蛍光透視検査もしくは血管内冠状動脈エコー(IVUS)などの放射線撮影技術等の非侵襲性診断手段により事前に判定されるような、特定の患者の組織が比較的薄いまたは比較的低密度であるエリア内において選択されてもよい。
【0071】
ブロック906で、プロセス900は、カテーテル40内で輸送される流体バイパス導管デバイスの第1の端部を標的の肺静脈26および/または関連する肺静脈口25内にアンカリングすることを伴う。プロセス900は、アンカリングのために送達カテーテル40から流体バイパス導管デバイスの遠位端部を展開することを伴い得る。導管デバイス80は、ルーメンを画定する略チューブ状の本体またはスリーブを備え得る。導管デバイス80の遠位端部は、流体入口としての役割を果たし得る。導管デバイス80の遠位端部は、1つまたは複数のアンカリング特徴部81に関連付けられてもよく、この1つまたは複数のアンカリング特徴部81は、肺静脈26に対して導管デバイス80をアンカリングするために使用され得る。アンカー特徴部81は、例えば肺静脈26に対しておよび/またはその中にアンカリングするための1つまたは複数のかえしタイプ組織アンカーもしくはコークスクリュータイプ組織アンカー、および/またはステント形状部などを備えてもよい。肺静脈26に対して流体バイパス導管80の遠位端部をアンカリングすることは、流体バイパス導管80の遠位端部に関連付けられた1つまたは複数のかえし組織アンカーを、肺静脈26に関連付けられた生体組織内へ埋設することを伴い得る。いくつかの実装形態では、このプロセスは、アーム部材またはクリップ部材によりアンカー特徴部81に対して結合されたアンカーを使用して別の肺静脈に対して流体バイパス導管80の遠位端部をアンカリングすることを伴う。
【0072】
流体バイパス導管デバイス80は、標的となる肺静脈を効果的に流体シールするように肺静脈26、25にまたはその中に植え込まれ得る。代替的には、導管デバイス80の遠位端部が、血液が流通し得る間隙または空間を導管デバイス80の周縁部の周囲に備えるように、肺静脈または肺静脈口に植え込まれ得るまたはアンカリングされ得る。かかる間隙または空間は、意図的におよび/または故意に与えられてももしくは実装されてもよく、または導管デバイス80の不完全な封止もしくはアンカリングの結果として自然に得られるものであってもよい。プロセス900は、最初に肺静脈内に導管デバイス80を植え込み、次に左心房2と冠状静脈洞16との間の壁部67中にデバイス80の近位端部を植え込むことを伴うものとして説明されるが、いくつかの実装形態では、流体バイパス導管デバイス80は、最初に壁部67に対してアンカリングされ、その後肺静脈の中の1つまたは複数が、所望のまたは理想の拍出量または圧力降下を実現するものとして特定され、かように特定された静脈が、導管デバイス80に対して結合されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的となる肺静脈26は、心臓の左側から右側へシャントされる血流量を最適化するように選択され得る。例えば、プロセス900は、肺からの進入血液流の所望の部分をバイパス導管デバイス80に通して供給する所望の1つまたは複数の肺静脈を選択することを伴い得る。
【0074】
ブロック908で、プロセス900は、冠状静脈洞16および左心房2を隔てる壁部67へとおよび/または壁部67を貫通して送達カテーテル40を引き戻し、それにより流体バイパス導管80の中央チャネル部分を展開し、左心房2内にこの中央チャネル部分を露出させることを伴う。有利には、バイパス導管デバイス80は、少なくとも部分的に自己拡張性を有してもよく、ジャケットまたはカバーを備えてもよく、このジャケットまたはカバーは、薄いPTEF材料もしくは同様のもの、または生体組織からなるものであってもよい。導管デバイス80の中央部分は、少なくとも部分的に剛性のフレームを備えることが可能であり、このフレームは、スリーブまたはカバーにより覆われた拡張性レーザ切断金属フレームおよび/または1つもしくは複数の環状フープを備え得る。有利には、導管デバイス80の中央部分は、少なくとも部分的に可撓性を有してもよく、所望の(例えば少なくとも部分的に湾曲状の)形状へと事前形成されてもよい。導管デバイス80は、送達カテーテル40から導管デバイス80を押し出すおよび/または導管デバイス80に対して送達カテーテル40を後退させることにより、送達カテーテルから前進され得る。いくつかの実装形態では、送達カテーテル40の少なくとも一部分を貫通して軸方向に延在するプッシャーデバイスが、カテーテルから導管デバイス80を展開するのを支援するために使用され得る。
【0075】
ブロック910で、プロセス900は、導管80の内部流体チャネルが肺静脈26から壁部67を貫通し右心房5内へ経路を提供するように、心房2と冠状静脈洞16との間の壁部67に対して流体バイパス導管デバイス80の近位端部をアンカリングすることを伴う。導管デバイス80の近位端部に関連付けられたアンカー特徴部82は、拡張コイルもしくは拡張アーム、または壁部67の組織内に埋設されるように構成されたかえしタイプアンカーを含む、任意のタイプのアンカー特徴部であってもよい。左心房から冠状静脈洞を隔てる壁部67に対して流体バイパス導管80の近位端部をアンカリングすることは、流体バイパス導管80の近位端部に関連付けられたワイヤコイルアンカーを拡張することを含んでもよく、このワイヤコイルは、左心房2から冠状静脈洞16を隔てる壁部67中の開口65の直径よりも大きな直径を有する。
【0076】
ブロック912で、プロセス900は、患者の心臓から送達カテーテル40を引き抜き、それにより画像911に示すように流体バイパスインプラントデバイス80を植え込まれた状態に留置することを伴う。心臓の右側に比べて心臓の左側が一般的により高圧の状態にあるため、右心房5から心臓の左側への流体逆流は、安定状態で植え込まれた条件においては一般的には発生しない。送達カテーテルが引き抜かれると、有利には、流体バイパス導管デバイス80は、上述のように心臓の左側から心臓の右側へのシャントを実現することが可能となる。例えば、プロセス900は、肺静脈26から冠状静脈洞16へ流体バイパス導管80を介して血液をチャネリングすることをさらに伴う。
【0077】
上記で詳細に説明したように、本開示の実施形態による流体バイパス導管デバイスは、心房間中隔を貫通した流体結合を実現し得るものであり、この心房間中隔は、心房との近接性および経中隔アクセスプロセスがよく知られているという観点から、導管アンカリングにとって好都合な位置を提供し得る。しかし、塞栓が心臓の右側から左側へ移動する可能性が一般的に存在し、これは卒中リスクを伴う。かかる事象は、例えば咳、くしゃみ、バルサルバ法、または排便などの不連続的な事象の最中などに右心房圧が左心房圧を超過した場合にのみ一般的に生じる。中隔の解剖学的な位置により、塞栓は、圧力勾配の反転が起きた場合のように右心房と肺静脈との間を自然に移動することが可能となる。これは、導管デバイス内の弁またはフィルタ要素により緩和され得るが、塞栓が対向側へ移動するリスクは依然として存在し得る。
【0078】
冠状静脈洞を介した流体結合は、いくつかの利点をもたらし得る。例えば、冠状静脈洞は、様々な理由により塞栓の存在する可能性がはるかに低くなり得る。第一に、冠状血管系から右心房内へドレインされる血液がほぼ毛細血管を通過したばかりのものであるため、この血液は基本的に濾過された血液である。第二に、右心房中の冠状静脈洞口は、テベシウス弁と呼ばれる疑心弁によりしばしば部分的に覆われる。このテベシウス弁は常に存在するわけではないが、一部の研究によれば、60%超の心臓に存在し、冠状静脈洞への天然のフィルタとして機能することにより右心房圧の急上昇時に塞栓の進入を防止し得ることが判明している。第三に、冠状静脈洞と冠状静脈洞からドレインされる右心房との間の圧力勾配が一般的に非常に低く、すなわち右心房内の塞栓は、右心房内に留まる傾向がある。第四に、塞栓が冠状静脈洞に進入した場合に、右心房と冠状血管系との間の勾配が、右心房と左心房との間の勾配よりも一般的にはるかに大きい。ほとんどの場合において、塞栓は、右心房圧が正常に戻るまでは冠状血管系をさらに下方へと移動し、次いで右心房に直接戻る。
【0079】
冠状静脈洞を介して血液を迂回させることのいくつかのさらなる利点は、冠状静脈洞の解剖学的構造体が、中隔に比べて移動性がより低いおよび/または安定性がより高い点である。さらに、心房間中隔にではなく冠状静脈洞と左心房との間の壁部中に開口を形成することにより、他の治療用の後の経中隔アクセスのためにこの中隔が保存される。経中隔アクセスを残しておくことにより、大きな利益を得ることができる。なぜならば、心不全患者は、心房細動および僧帽弁逆流などの複数の他の共存症をしばしば患っており、これらの症状を治療するための療法のいくつかが経中隔アプローチを必要とするからである。さらに、冠状静脈洞内に左心房血液を分流することにより、洞圧が少量だけ上昇し得るため、それにより冠状血管系内の血液が心臓を通りより低速で移動し、潅流および酸素の移送を高め、これにより心臓の効率が改善されるおよび/または臨死状態の心筋の回復を助けることができる。
【0080】
流体バイパス導管デバイスと一体化された弁スペーサ
上述の様々な実施形態は、1つまたは複数の肺静脈から心臓の右側へ血流をシャントするための手段を提供する。いくつかの実施形態が、肺静脈から右心房へ血流をシャントすることを伴うが、本開示による本発明の解決策は、1つまたは複数の肺静脈から右心室へ心室中隔を貫通して血流をシャントすることも可能にする。かかるシャントは、図11に示すような流体バイパス導管デバイス90を使用して実現され得るものであり、この流体バイパス導管デバイス90は、血流シャントおよび僧帽弁尖スペーサ機能の両方を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、図11に示すような導管デバイスの弁尖スペーサ部分99が、導管デバイス90に関連付けられ、導管デバイス90の特定の補強構造体(例えばフレームワイヤ)に関連付けられ得る。
【0081】
図11は、流体バイパス導管デバイス90が中に植え込まれた心臓1を示す。流体バイパス導管デバイス90は、図示するように肺静脈26および/または関連する肺静脈口25の中にまたはそれに隣接して植え込まれた場合に、肺静脈26から右心室4へ血流をシャントすることにより左心房圧を降下させるように構成される。流体バイパス導管デバイス90の遠位端部94は、任意の適切なまたは望ましい方法で肺静脈26および/または肺静脈口25に対してアンカリングされてもよく、導管デバイス90の近位端部92は、心室中隔壁17に対しておよび/またはそれを貫通してアンカリングされて、肺静脈26および/または左心房2から心臓の右側への流体アクセスを提供する。
【0082】
肺静脈26と心室中隔17との間のアクセスは、図示するように僧帽弁6を介して実現され得る。導管デバイス90の中央部分99が、僧帽弁尖52、54間の弁内位置に配設および維持された状態では、有利には、中央部分99は、弁尖スペーサとして機能することにより僧帽弁逆流を軽減させ得る。例えば、導管デバイス90の中央部分99は、僧帽弁逆流を生じさせ得る僧帽弁尖52、54間の間隙を少なくとも部分的に充填することができる。すなわち、一部の患者においては、僧帽弁6が弁口で逆流を生じ、これが心臓の効率に悪影響を及ぼす、および/または1つもしくは複数の他の内科的合併症を結果としてもたらす。
【0083】
いくつかの実施形態では、導管デバイスの少なくとも中央部分99が、弁尖52、54間の所望の容積部または空間を占めるように拡張可能である。例えば、中央部分99は、所望のスペーサ形態/形状へと事前形状設定されてもよい。いくつかの実装形態では、僧帽弁6内に導管デバイス90の中央部分99が存在し形成されることにより、弁の解剖学的構造に対して実質的な変更は生じないが、有利には、天然弁尖が接合するための新たな表面を中央部分99が提供するように弁尖に対して封止表面が提供される。導管デバイス90の中央部分99は、任意の適切なまたは望ましい形状および/または寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、導管デバイス90の中央部分99は、例えば12mm、15mm、または18mmなど、10~20mmの間の最大直径を有する。
【0084】
さらに図11を参照すると、流体バイパス導管デバイス90は、肺静脈26からの血流が少なくとも部分的にインプラントデバイス90のルーメンまたはチャネル内において右心室4内へとチャネリングされ、それにより左心房2および/または左心室3が少なくとも部分的に迂回されるように構成および/または形状設定され得る。心室中隔壁17に対する装着は、バイパス導管デバイス90の内部チャネルを介した中隔17を貫通する血流が可能になるようになされ得る。例えば、インプラントバイパスチャネルが中隔壁17を貫通するように、穴または開口が中隔17中に形成され得る。
【0085】
インプラントデバイス90のこれらの端部は、任意の適切なまたは望ましい方法で肺静脈および/または中隔壁などのそれぞれの標的組織に対して縫合またはアンカリングされ得る。いくつかの実施形態では、インプラントデバイス90は、それぞれの端部に関連付けられた1つまたは複数のアンカーを有するチューブ状部分または部分的チューブ状部分を備える。このチューブ状セクションは、中央弁尖スペーサ部分99を含むとみなすことができるが、有利には自己拡張性チューブ状構造体を備え得る。さらに、流体バイパス導管90は、チューブ状フレーム構成要素の少なくとも一部分の周囲に液密カバーを備え得る。いくつかの実施形態では、チューブ状部分は、内部フレームを備えない。このフレームは、1つまたは複数の補強構造体から少なくとも部分的に形成されることが可能であり、この補強構造体は、流体バイパス導管インプラントデバイス90および/またはその弁尖スペーサ部分99の導管形状部を補強するように構成される。1つまたは複数の補強構造体は、導管形状部90の中央部分99の少なくとも一部分を覆うカバーの一部であることが可能である。
【0086】
流体バイパス導管デバイス90の各端部に関連付けられたアンカー特徴部91、93は、任意のタイプの組織アンカーまたは組織係合特徴部であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アンカー特徴部91、93は、例えば1つまたは複数の自己拡張性ステント特徴部などの摩擦嵌め組織係合アンカーを備える。これらのアンカー特徴部91、93は、導管デバイス90の各端部を所望の位置に保持する役割を果たす幅または直径寸法を有する1つまたは複数のワイヤおよび/またはコイルを追加的にまたは代替的に備えてもよい。様々な特徴部が図11に示されるが、かかる特徴部はいずれも、図示および説明される他の特徴のいずれとも無関係に実装され得る点を理解されたい。
【0087】
図12は、本開示の1つまたは複数の実施形態による高左心房圧および僧帽弁逆流を治療するためのプロセス1000を示す流れ図である。ブロック1002で、プロセス1000は、経心尖アクセス経路を介して心臓の右心室へ送達カテーテルを前進させることを伴う。図12では経心尖アクセス経路が説明されるが、いくつかの経皮手技を含む任意のアクセス経路が右心室へアクセスするために使用され得る点を理解されたい。
【0088】
ブロック1004で、プロセス1000は、左心室にアクセスするための心室中隔を貫通して送達カテーテルを前進させることを伴う。ブロック1006で、プロセス1000は、僧帽弁を通り左心室から左心房内へと送達カテーテルを前進させることを伴う。ブロック1008で、プロセス1000は、他の実施形態に関連して本明細書において説明されたものと同様の様式で、標的となる肺静脈の付近に送達カテーテルを前進させることを伴う。
【0089】
ブロック1010で、プロセス1000は、送達カテーテル内に少なくとも部分的に保持された流体バイパス導管デバイスの第1の端部(例えば遠位端部)を標的となる肺静脈および/またはこの肺静脈に関連する肺静脈口に対してアンカリングすることを伴う。ブロック1012で、プロセス1000は、僧帽弁および心室中隔へとならびに/または僧帽弁および心室中隔を貫通して送達カテーテルを引き戻すことを伴う。ブロック1014で、プロセス1000は、心室中隔に対して流体バイパス導管デバイスの第2の端部(例えば近位端部)をアンカリングすることを伴う。例えば、流体バイパスインプラントデバイスの近位端部は、中隔の右心室側にてまたはそれに隣接して心室中隔に対してアンカリングされ得る。流体バイパス導管デバイスの両端部が正常にアンカリングされた後に、送達カテーテルは心臓から引き抜かれ得る。
【0090】
他の実施形態
実施形態によっては、本明細書において説明される任意のプロセスの特定の行為、事象、または機能が、異なる順序で実施されることが可能となり、追加されてもよく、統合されてもよく、またはすべて省略されてもよい。したがって、特定の実施形態では、説明されたすべての動作または事象がプロセスの実施にとって必須であるとは限らない。
【0091】
本明細書では、特定の標準的な解剖学的位置用語が好ましい実施形態に関連して使用される。本明細書では、「外方の」、「内方の」、「上方の」、「下方の」、「の下の」、「の上の」、「垂直方向の」、「水平方向の」、「頂部の」、「底部の」、および同様の用語などの特定の空間相対用語が、あるデバイス/要素または解剖学的構造体の別のデバイス/要素または解剖学的構造体に対する空間関係を説明するために使用されるが、これらの用語は、図面に示されるような要素/構造体同士の間の位置関係を説明するために記述を容易にする目的で使用される点を理解されたい。空間相対用語は、図面に示される配向に加えて使用時または動作時の要素/構造体の種々の配向を包含するように意図される。例えば、別の要素/構造体「の上の」と説明される要素/構造体は、対象となる患者または要素/構造体の他の配向に対してはかかる他の要素/構造体の下にまたは横に位置する位置に相当し得る、およびその逆となり得る。
【0092】
本明細書において使用される条件語、中でもとりわけ「可能である(can)」、「あり得る(could, might)」、「してもよい(may)」、「例えば(e.g.,)」等は、別様のことが明示されない限りまたは用いられるようなコンテクスト内で別様に理解されない限り、その通常の意味において意図され、特定の特徴、要素、および/またはステップを特定の実施形態は備えるが他の実施形態は備えないことを伝えるように概して意図される。したがって、かかる条件語は、特徴、要素、および/もしくはステップが1つもしくは複数の実施形態にとっては必ず必要であることを示唆するようには、または1つもしくは複数の実施形態が、筆者による情報提供もしくは積極的な示唆がある場合もしくはない場合にかかわらず、これらの特徴、要素、および/もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか否かもしくは任意の特定の実施形態で実施されることとなるか否かを判断するための論理を必ず含むことを示唆するようには一般的には意図されない。「備えている」、「含んでいる」、および「有している」等の用語は、同義語であり、それらの通常の意味において使用され、オープンエンドの様式で非排他的に使用され、追加の要素、特徴、行為、および動作等を排除しない。また、「または」という用語は、例えば列挙された要素を繋ぐためなどに使用される場合に、その列挙中の要素の中の1つ、いくつか、またはすべてを意味するように、非排他的な意味で(および排他的ではない意味で)使用される。「X、Y、およびZの中の少なくとも1つ」という表現などの接続語は、別様のことが明示されない限り、アイテム、項、要素等がX、Y、またはZのいずれかであり得ることを伝えるために一般的に使用されるようなコンテクストで理解される。したがって、かかる接続語は、特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZのそれぞれが存在することを必要とすることを示唆するように一般的には意図されない。本明細書において、列挙された要素の中の少なくとも2つの間で使用される「および/または」という用語は、列挙された要素の中の任意の1つまたは複数を意味する。例えば、「A、B、および/またはC」という表現は、「A」、「B」、「C」、「AおよびB」、「AおよびC」、「BおよびC」、または「A、B、およびC」を意味する。
【0093】
特定の序数用語(例えば「第1の」または「第2の」)が参照の容易化のために用いられる場合があるが、物理的な特徴または順序を必ずしも示唆するものではない点を理解されたい。したがって、構造物、構成要素、動作等の要素を修飾するために使用される序数用語(例えば「第1の」、「第2の」、「第3の」等)は、その要素の任意の他の要素に対する優位または順位を必ずしも示唆せず、むしろ一般的には同様または同等の名称を有する(その序数の使用がない場合に)他の要素からその要素を識別し得る。さらに、本明細書において、不定冠詞「1つの(a, an)」は、「1つ(one)」ではなく「1つまたは複数」を示唆する場合がある。さらに、ある条件または事象「に基づき」実施される動作は、明記されない1つまたは複数の他の条件または事象に基づき実施される場合もある。
【0094】
本明細書において開示される様々な方法およびプロセスに関連して、特定の順序の動作またはステップが図示および/または説明されるが、図示および/または説明される様々なステップおよび動作は、任意の適切なまたは望ましい時間的順序で実施されてもよい点を理解されたい。さらに、図示および/または説明される動作またはステップはいずれも、任意の所与の方法またはプロセスから省かれてもよく、図示/説明される方法およびプロセスは、図面または説明に明示されない追加の動作またはステップを含んでもよい。
【0095】
上記の実施形態の説明においては、本開示を簡素化し様々な本発明の態様の中の1つまたは複数の理解を支援するために、時として様々な特徴が単一の実施形態、図、または説明において共にグループ化される点を理解されたい。しかし、この開示方法は、任意の請求項がその請求項内に明示されているものよりも多数の特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書において特定の一実施形態で図示および/または説明されるあらゆる構成要素、特徴、またはステップは、あらゆる他の実施形態に対しても適用可能であり、またはあらゆる他の実施形態と共に使用することが可能である。さらに、いかなる構成要素、特徴、ステップ、または構成要素、特徴、もしくはステップの群も、各実施形態に対して必須でもまたは不可欠でもない。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲で請求される本発明の範囲は、上述の特定の実施形態により限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を公正に解釈することのみによって決定されるべきであることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 心臓
2 左心房
3 左心室
4 右心室
5 右心房
6 僧帽弁
7 大動脈弁
8 三尖弁
9 肺動脈弁
11 肺動脈
12 大動脈
14 側壁、冠動脈口
15 心底
16 冠状静脈洞
17 心室中隔、心室中隔壁、心室中隔壁部分
18 心房中隔、心房間中隔、心房中隔壁、心房間中隔壁、心房中隔壁部分
19 下方先端部、心尖、先端部、上大静脈
21 入口開口
22 動脈
23 肺静脈、右肺静脈
24 肺静脈
25 壁部、肺静脈口
25b 肺静脈口
26 壁部、肺静脈、左肺静脈
27 入口開口
28 静脈
29 下大静脈
30 流体バイパス導管デバイス
31 アンカー構成要素、組織アンカー、かえしタイプ組織アンカー
32 端部
33 アンカー構成要素、組織アンカー
34 端部
35 中央部分/中央セグメント
37 フレーム、自己拡張性ステント、自己拡張性フレーム構成要素、自己拡張性フレーム要素
39 広い心尖領域、カバー
40 送達カテーテル、送達シース、展開カテーテル
50 流体バイパス導管デバイス、流体バイパス導管、バイパス導管デバイス、インプラントデバイス、導管デバイス、流体導管デバイス、バイパスインプラントデバイス、流体バイパスインプラントデバイス
51 アンカー特徴部
52 第1の端部、遠位端部、端部、僧帽弁尖
53 アンカー特徴部
54 第2の端部、近位端部、端部、僧帽弁尖
55 ルーメン、チャネル、内部チャネル、インプラントバイパスチャネル
59 チューブ状部材、チューブ状部分、部分的チューブ状部材、部分的チューブ状部分、チューブセクション、チューブ状構成要素、内部フレーム
60 流体バイパス導管デバイス
61 アンカー特徴部
63 アンカリング特徴部、アンカー特徴部
65 開口
66 冠状静脈洞口
67 壁部
70 流体バイパス導管デバイス
71 自己拡張性アンカー、形状記憶金属アンカー
72 近位端部、近位端部部分
73 ステント、アンカー
74 遠位端部、遠位端部部分
76 アーム部材、アーム特徴部
78 アコーディオンタイプ衝撃吸収特徴部
79 カバー
80 流体バイパス導管デバイス
81 アンカー特徴部、アンカリング特徴部
82 アンカー特徴部
83 第1のアンカーステント、ステント、第1のアンカー
85 開口
86 ブリッジ/アーム部材
87 張力/抵抗アンカー、二次アンカー、第2のアンカー
90 流体バイパス導管デバイス
91 アンカー特徴部
92 近位端部
93 アンカー特徴部
99 弁尖スペーサ部分、中央弁尖スペーサ部分、中央部分
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11
図12
【国際調査報告】