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特表2022-536403デイジーチェーンを備えたRFIDシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】デイジーチェーンを備えたRFIDシステム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/08 20060101AFI20220805BHJP
   H01Q 3/24 20060101ALI20220805BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H01Q21/08
H01Q3/24
G06K7/10 240
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574807
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2020055674
(87)【国際公開番号】W WO2020254993
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】2019902158
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】マードック、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ポン、タイ ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ナゲンドラ、ガネーシュ
(72)【発明者】
【氏名】サン、ユーシン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA11
5J021AB04
5J021CA04
5J021CA06
5J021DB05
5J021FA31
(57)【要約】
【解決手段】RFIDシステム(200)は、RFIDリーダ(202)と、アンテナアレイ(204)と、長さ補償ユニット(215)と、を備える。RFIDリーダ(202)は、RFIDアンテナに質問するように構成される。アンテナアレイ(204)は、連続するケーブルリンク(208)を介してRFIDリーダ(202)と接続可能な2つ以上のRFIDアンテナ(206)を含む。RFIDアンテナ(206)の各々は、ケーブルリンク(208)と関連する。各ケーブルリンク(208)は所定の長さを持つ。長さ補償ユニット(215)は、RFIDアンテナ(206)の各々と関連し、RFIDリーダ(202)と各RFIDアンテナ(206)との間のケーブルの全長を、当該全長が有効ケーブル長となるように調整するように構成される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDアンテナに質問するように構成されたRFIDリーダと、
連続するケーブルリンクを介して前記RFIDリーダに接続可能な2つ以上のRFIDアンテナを備えるアンテナアレイと、
前記RFIDアンテナの各々と関連する長さ補償ユニットと、を備え、
前記RFIDアンテナの各々は、前記ケーブルリンクの各々と関連し、
前記ケーブルリンクの各々は、所定のケーブル長を持ち、
前記長さ補償ユニットは、前記RFIDリーダと各RFIDアンテナとの間のケーブルの全長を、当該全長が有効ケーブル長となるように調整するように構成されることを特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
前記RFIDアンテナの各々は、アンテナインピーダンスを持ち、
前記RFIDアンテナに関連する前記ケーブルリンクの各々は、ケーブルインピーダンスを持ち、
前記アンテナインピーダンスと前記ケーブルインピーダンスとは異なり、
前記RFIDアンテナの各々と、関連するケーブルリンクの各々とはインピーダンス不整合となっており、
前記長さ補償ユニットは、前記RFIDリーダと前記各RFIDアンテナとの間のケーブルの全長を、前記インピーダンス不整合により生じる反射が所定の位相を持つように調整するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記各RFIDアンテナのアンテナインピーダンスは、有効ケーブル長に沿って、レジスタンスを持つが実質的にリアクタンスを持たない最終インピーダンスに変換されることを特徴とする請求項2に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
前記アンテナインピーダンスは、アンテナレジスタンスに等しく、リアクタンスを持たず、
前記アンテナインピーダンスは、有効ケーブル長に沿って、リアクタンスを含む中間インピーダンス値に変換され、
最終インピーダンスは、実質的にアンテナレジスタンスに等しく、リアクタンスを持たないことを特徴とする請求項2または3に記載のRFIDシステム。
【請求項5】
第1制御信号を前記アンテナアレイに送信することにより、前記RFIDアンテナの1つを一度にアクティブにするように構成された制御器をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項6】
前記RFIDアンテナの各々に関連するバイパススイッチをさらに備え、
前記バイパススイッチは、前記第1制御信号に応答し、前記各RFIDアンテナをバイパスするか、または前記各RFIDアンテナを各RFIDリーダに接続することを特徴とする請求項5に記載のRFIDシステム。
【請求項7】
前記ケーブルの全長は、前記2つ以上のRFIDアンテナのうちのどれがアクティブアンテナであるかに応じて可変であり、
前記ケーブルの全長は、前記RFIDリーダと前記アクティブアンテナとを接続するための各ケーブルリンクの和であることを特徴とする請求項5または6に記載のRFIDシステム。
【請求項8】
前記アクティブアンテナに関連する前記長さ補償ユニットは、
前記RFIDリーダと前記アクティブアンテナとの間のケーブルの全長を、当該全長が有効ケーブル長となるように調整することを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
前記長さ補償ユニットは、前記ケーブルの全長の延長または短縮を模擬するリアクティブな電気部品の構成を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記2つ以上のRFIDアンテナのうちの1つはアクティブアンテナであり、
前記有効ケーブル長は、前記ケーブルの全長と、前記アクティブアンテナの前記長さ補償ユニットにより与えられた補償長との和であり、
前記有効ケーブル長は、規定長に実質的に等しいことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項11】
前記長さ補償ユニットの各々は、異なる補償長を持つように構成され、
前記長さ補償ユニットの各々の補償長は、前記長さ補償ユニットと前記RFIDリーダとの間のケーブルリンクの数の関数であることを特徴とする請求項10に記載のRFIDシステム。
【請求項12】
前記長さ補償ユニットの各々の補償長は調整可能であることを特徴とする請求項10に記載のRFIDシステム。
【請求項13】
前記アンテナアレイの2つ以上のRFIDアンテナは、連続するケーブルリンクを介して、デイジーチェーンで接続されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項14】
前記制御器は、少なくとも1つの前記長さ補償ユニットに、調整可能な補償長を設定するための第2制御信号を送信することを特徴とする請求項5に記載のRFIDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2016年2月16日出願の豪州特許出願第2019902158号に基づく優先権を主張する。当該出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
本開示は、広くは無線周波数アンテナに関し、より具体的で非限定的な実施の形態として、無線周波数識別システムのためのアンテナ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)システムは、通常、RFIDトランスポンダ(または「タグ」)と通信可能な1つ以上のアンテナと、RFIDリーダ(または「質問器(interrogator)」)と、を含む。アンテナは、RFIDタグに無線周波数(RF)信号を送信する。RFIDタグからの応答はすべてアンテナにより受信され、さらなる処理のため、リーダに中継される。
【0003】
例えば倉庫の棚での広域かつ大規模な在庫追跡のような、複数のアンテナが使われるRFIDシステムでは、アンテナの操作は、通常、アンテナと通信する1つ以上のリーダによって制御される。図1Aは、従来技術のシステムを示す。この場合、大規模な棚100は、4つのオーバーラップするアンテナ104を有する。これらのアンテナの各々は、ケーブル103を介して、RFIDリーダ101のポート102に接続される。RFIDリーダ101は、アンテナ104の各々と通信する。アンテナ104は、棚100に存在する可能性のあるRFIDタグを識別するために、RF信号を送信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1Aに示されるような従来技術のシステムの欠点は、複数のアンテナを備えたシステムが多くのケーブルを使う点にある。なぜなら個々のアンテナコイル104は、RFIDリーダと接続するために、それぞれの長さに応じたケーブル103を必要とするからである。これは非常に扱いにくく、広いスペースを必要とする。
【0005】
本明細書に含まれるいかなる議論、動作、材料、デバイス、物品その他の全部または一部も、先行技術の基礎の一部を形成するもの、各請求項の本出願の優先日前に存在した関連分野の共通一般知識であると認めるものとは解釈されない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある態様では、RFIDシステムが与えられる。このRFIDシステムは、RFIDアンテナに質問するように構成されたRFIDリーダと、連続するケーブルリンクを介してRFIDリーダに接続可能な2つ以上のRFIDアンテナを備えるアンテナアレイと、RFIDアンテナの各々と関連する長さ補償ユニットと、を備える。RFIDアンテナの各々は、ケーブルリンクの各々と関連する。ケーブルリンクの各々は、所定のケーブル長を持つ。長さ補償ユニットは、RFIDリーダと各RFIDアンテナとの間のケーブルの全長を、当該全長が有効ケーブル長となるように調整するように構成される。
【0007】
RFIDアンテナの各々は、アンテナインピーダンスを持つ。RFIDアンテナに関連するケーブルリンクの各々は、ケーブルインピーダンスを持つ。このとき、アンテナインピーダンスとケーブルインピーダンスとは異なってもよい。その結果、RFIDアンテナの各々と、関連するケーブルリンクの各々とはインピーダンス不整合となっている。長さ補償ユニットは、RFIDリーダと各RFIDアンテナとの間のケーブルの全長を、インピーダンス不整合により生じる反射が所定の位相を持つように調整するように構成されてもよい。
【0008】
各RFIDアンテナのアンテナインピーダンスは、有効ケーブル長に沿って、レジスタンスを持つが実質的にリアクタンスを持たない最終インピーダンスに変換されてもよい。
【0009】
アンテナインピーダンスは、アンテナレジスタンスに等しく、リアクタンスを持たなくてもよい。アンテナインピーダンスは、有効ケーブル長に沿って、リアクタンスを含む中間インピーダンス値に変換されてもよい。最終インピーダンスは、実質的にアンテナレジスタンスに等しく、リアクタンスを持たなくてもよい。
【0010】
システムは、第1制御信号をアンテナアレイに送信することにより、RFIDアンテナの1つを一度にアクティブにするように構成された制御器をさらに備えてもよい。システムは、RFIDアンテナの各々に関連するバイパススイッチをさらに備えてもよい。このバイパススイッチは、第1制御信号に応答し、各RFIDアンテナをバイパスするか、または各RFIDアンテナを各RFIDリーダに接続してもよい。ケーブルの全長は、2つ以上のRFIDアンテナのうちのどれがアクティブアンテナであるかに応じて可変であってもよい。ケーブルの全長は、RFIDリーダとアクティブアンテナとを接続するための各ケーブルリンクの和であってもよい。アクティブアンテナに関連する長さ補償ユニットは、RFIDリーダとアクティブアンテナとの間のケーブルの全長を、当該全長が有効ケーブル長となるように調整してもよい。
【0011】
長さ補償ユニットは、ケーブルの全長の延長または短縮を模擬するリアクティブな電気部品の構成を備えてもよい。有効ケーブル長は、ケーブルの全長と、アクティブアンテナの長さ補償ユニットにより与えられた補償長との和であってもよい。有効ケーブル長は、規定長に実質的に等しくてもよい。
【0012】
長さ補償ユニットの各々は、異なる補償長を持つように構成されてもよく、長さ補償ユニットの各々の補償長は、長さ補償ユニットとRFIDリーダとの間のケーブルリンクの数の関数であってもよい。
【0013】
長さ補償ユニットの各々の補償長は、調整可能であってもよい。
【0014】
アンテナアレイの2つ以上のRFIDアンテナは、連続するケーブルリンクを介して、デイジーチェーンで接続されてもよい。
【0015】
制御器は、少なくとも1つの長さ補償ユニットに、調整可能な補償長を設定するための第2制御信号を送信してもよい。
【0016】
本明細書全体を通じて、「備える」またはその変形の「備えている」という用語は、指定された要素、整数もしくはステップ、または、要素、整数もしくはステップのグループが含まれることを意味するが、他のいかなる要素、整数もしくはステップ、または、他のいかなる要素、整数もしくはステップのグループも排除されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面を参照しながら、例示のみを用いて、本開示の実施形態を説明する。
【0018】
図1A】従来技術のRFIDシステムの模式図である。
【0019】
図1B】別の従来技術のRFIDシステムの模式図である。
【0020】
図2A】直列に接続されたアンテナを備えるRFIDシステムの模式図である。
【0021】
図2B図2AのRFIDシステムに使われるバイパススイッチの模式図である。
【0022】
図2C図2AのRFIDシステムに使われるバイパススイッチの別の模式図である。
【0023】
図3A】インピーダンス不整合なアンテナおよびケーブル構成を備える回路の模式図である。
【0024】
図3B図3Aの回路のインピーダンスを表すスミスチャートである。
【0025】
図4A】短縮された長さのケーブルを備える回路におけるインピーダンスの模式図である。
【0026】
図4B】延長された長さのケーブルを備える回路におけるインピーダンスの模式図である。
【0027】
図5A】延長された回路のための長さ補償を備える回路の模式図である。
【0028】
図5B図5Aに従うインピーダンスを表すスミスチャートである。
【0029】
図6A】短縮された長さのケーブルを備える回路におけるインピーダンスの模式図である。
【0030】
図6B図6Aに沿ったインピーダンスを表すスミスチャートである。
【0031】
図7】長さ補償ユニットの実施の形態を示す模式図である。
【0032】
図8】長さ補償ユニットの実施の形態を示す模式図である。
【0033】
図9】長さ補償ユニットの別の実施の形態を示す模式図である。
【0034】
図10】長さ補償ユニットのさらに別の実施の形態を示す模式図である。
【0035】
図11】局所ユニット制御器を備える長さ補償ユニットの実施の形態を示す模式図である。
【0036】
図12】局所ユニット制御器を備える長さ補償ユニットの別の実施の形態を示す模式図である。
【0037】
図13】RFIDサブシステムの実施の形態を示す模式図である。
【0038】
図14図13のRFIDサブシステムの実施の形態を示す別の模式図である。
【0039】
図15】較正回路の実施の形態を示す模式図である。
【0040】
図16】較正回路の別の実施の形態を示す模式図である。
【0041】
図面において、同様の要素には同様の符号を付す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1Bは、図1Aとは別の従来技術のアンテナ構成120を示す。このアンテナ構成120は、直列構成を用いることにより、使われる配線の量を減らすことを目的としている。図1Bに示される例は、リーダ126に接続される3つのアンテナ124を備える棚122である。ケーブル128およびバイパススイッチ130は、連続するアンテナを接続し、リーダ126に接続される。典型的には、このタイプの構成は、各バイパススイッチ130を用いて各棚で電源をタップオフすることにより、電源供給されたすべてのアンテナを保つ。アンテナ124の各々は、特定のアンテナ124にユニークなアドレスを付与する制御メカニズムによりアクティブにされる。このアプローチは、電源使用の点だけでなく、アドレスシステムの複雑さの点でも非効率的である。
【0043】
典型的には、従来のRFIDシステム(例えば、図1Aおよび図1Bに示されるもの)は、インピーダンス整合したシステムとして動作するように構成される。アンテナ104、124の入力インピーダンスは、ケーブル103、128のインピーダンスに整合する。ケーブル103、128のインピーダンスは、リーダ101、126のインピーダンスに整合する。RFシステムの場合、インピーダンス整合は、設計を簡略化し、電力伝送を最大化するために行われる。しかしRFIDシステムでは、インピーダンス整合したシステムは、動作の帯域幅が狭く、従ってデータレートが低いという欠点を持つ。アンテナコイルを用いるRFIDシステムの場合、質問信号は振動する磁場である。質問磁場はリアクティブであるため、最大電力伝送は有用な性能尺度とはならない。なぜならリアクティブな質問磁場には、損失がないからである。回路損失はすべて抵抗損失に起因し、質問信号の有用な部分を構成しない。電力伝送を最大化することは、損失を最大化することと等価であり、これはリアクティブシステムでは有用でない。このため、本明細書で提案する解決手段は、インピーダンス整合していないRFIDシステムである。
【0044】
インピーダンス不整合動作。
【0045】
インピーダンス不整合RFIDシステムでは、RFIDリーダの出力インピーダンスは、接続ケーブルのインピーダンスと整合しない。そして接続ケーブルのインピーダンスは、RFIDアンテナのインピーダンスと整合しない。このタイプの不整合には、広帯域かつ高データレートの動作を実現できるという利点もある。
【0046】
接続ケーブルは、典型的にはインピーダンスZo=50オームの同軸ケーブルである。しかし、他のタイプのケーブルが使われてもよい。アンテナは、典型的には数オーム(例えば、2オーム以上5オーム以下)といった低インピーダンスの同調コイルである。ケーブルに接続されると、アンテナ206およびケーブルは、インピーダンス不整合となる。同様に、リーダの出力インピーダンスも10オームといったように低い値を持ち、やはりケーブルのインピーダンスと不整合となる。アンテナインピーダンスは、ケーブルに沿って伝達される。このときケーブルが特定の的確な長さであれば、伝達されたインピーダンスは予測可能な値となる。典型的なインピーダンス不整合システムの欠点は、ケーブルが特定の的確な長さを持たなければならい点にある。1つの選択肢として、的確な長さが与えられるように、ケーブルリンクごとに追加的なケーブル長を与えるという方法がある。しかし、これにより配線は巨大化する。従って、ケーブル長が要求される規定長でなくても、信頼性のある不整合動作を実現する方法が見つかれば有用だろう。
【0047】
システム概観。
【0048】
図2Aは、複数のアンテナ(例えば、複数の棚212を備えるキャビネット210に設置されるアンテナ)を備えるRFIDシステム200を示す。RFIDシステム200は、RFIDリーダ202と、制御器222と、を備える。いくつかの実施の形態では、RFIDリーダ202は、制御器222に電源を供給する。いくつかの実施の形態では、制御器222はRFIDリーダ202の一部である。
【0049】
いくつかの実施の形態では、RFIDシステム200は、RFIDアンテナに質問するように構成されたRFIDリーダ202を備える。さらにRFIDシステム200は、連続するケーブルリンク208を介してRFIDリーダ202に接続可能な2つ以上のRFIDアンテナ206を有するアンテナアレイ204を備える。ケーブルリンク208の各々は、特定のケーブル長を持つ。RFIDシステム200はまた、RFIDアンテナ206の各々と関連する、長さ補償ユニット215を備える。長さ補償ユニット215は、RFIDリーダ202と各RFIDアンテナ206との間のケーブルの全長を、有効ケーブル長となるように調整する。RFIDシステム200は、RFIDアンテナ206の各々と関連するバイパススイッチ214を備える。バイパススイッチ214の各々は、各RFIDアンテナ206をバイパスするか、各RFIDアンテナ206をRFIDリーダ202に接続するかのいずれかの動作が可能である。いくつかの実施の形態では、バイパススイッチ214および長さ補償ユニット215は、機能分担可能な(例えば、局所的な分担制御器を有する)組み合わされたユニットを形成する。
【0050】
このように、アンテナ206は、デイジーチェーン構成で、直列に接続される。RFIDアンテナ206の各々は、各ケーブルリンク208および各長さ補償ユニット215を介して、RFIDリーダ202に接続される。RFIDシステム200では、各アンテナ206へのケーブル長は段々と延長され、典型的なインピーダンス不整合動作に必要な特定の単一の規定長とは異なるものとなる。可変なケーブルの全長は、長さ補償ユニット215を含むことによって実現される。長さ補償ユニット215は、ケーブル長を効果的に加算または減算することにより、有効ケーブル長を、インピーダンス不整合動作に必要な規定長と実質的に等しくすることができる。
【0051】
RFIDアンテナ206の各々は、アンテナインピーダンスZAを持つ。そして各アンテナに対応するケーブルリンク208は、ケーブルインピーダンスZoを持つ。アンテナインピーダンスZAは、ケーブルインピーダンスZoと異なる。従って、RFIDアンテナと、対応する各ケーブルリンクとは、インピーダンス不整合となる。RFIDアンテナ206に対応する長さ補償ユニット215は、RFIDリーダ202と各RFIDアンテナ206との間のケーブルの全長を調整するように構成される。その結果、RFIDアンテナ206とケーブルリンク208とのインピーダンス不整合に起因する反射が、所定の位相を持つように制御される。反射の位相は、RFIDリーダ202およびRFIDアンテナ206の動作に影響を与える。位相が適切な値を持てば、反射がRFIDリーダ202に到達したときのインピーダンス変換は適切なものとなる。
【0052】
このように、図2Aのシステムは、ケーブル長に要求される規定長でなくても、インピーダンス不整合動作および長さ補償ユニット215を用いて、信頼性のあるインピーダンス不整合動作に必要な電気的な調整を実現する。
【0053】
長さ補償。
【0054】
RFIDリーダ202から見てケーブル長が適切な規定長となるように、すなわちケーブル長が正確な固定的な長さでなくても信頼性のあるインピーダンス不整合動作ができるように、長さ補償ユニット215は、必要な電気的な長さ調整を行う。長さ補償ユニット215は、ケーブルが短過ぎるときは電気的にケーブルの余分な長さに相当するものとして、ケーブルが長過ぎるときは電気的にケーブルの「負の」長さに相当するものとして機能する。
【0055】
図3Aは、RFIDアンテナ501のインピーダンスZ1がR1で与えられる実施の形態を示す。RFIDアンテナ501のインピーダンスは、ケーブル502のインピーダンスと整合しない。インピーダンスZ1は、ケーブルの長さ方向に離れると、Z2に変換される。Z2の値は、ケーブルの遠位端でR2+jXとなる。RFIDリーダから見た全インピーダンスは、-jXのインピーダンスを持つ長さ長さ補償ユニット503によって調整される。その結果、RFIDリーダから見た全インピーダンスZ3は、Z2と等しくなる。
【0056】
図3Bは、スミスチャート300である。このスミスチャート300は、アンテナ(点A)に始まり、ケーブル(点B)を通り、長さ補償ユニット503(点C)を含むインピーダンスの変化を表す。
A:Z1=R1
B:Z2=R2+jX
C:Z3=R2
【0057】
図3Aおよび図3Bに示される実施の形態は、ケーブルの規定長(これは、典型的には、1.5メートルといった比較的短い長さであり、波長の1/8未満である)と独立である。ケーブルの長さが変化すると、RFIDリーダから見たインピーダンスは、RFIDリーダの性能にとって最適ではなくなる。例えば、図4Aに示されるように、より短いケーブル402では、負荷インピーダンスZ3はR2-jX1となる。一方、より長いケーブル404では、負荷インピーダンスZ3はR2+jX2となる。
【0058】
アンテナアレイ204内で異なるRFIDアンテナ206が選択されると、接続配線の特性は変化する。なぜなら、変化するケーブルの長さは、RFIDリーダ202からアクティブアンテナとして選択されるアンテナまでの長さに含まれるからである。例えば、第1アンテナ206.1が第1バイパススイッチ214.1を介してRFIDリーダ202に接続された場合と、第3アンテナ206.3が第3バイパススイッチ214.3を介してRFIDリーダ202に接続された場合とでは、ケーブルの全長は異なるだろう。
【0059】
RFIDリーダ202は、所定の負荷インピーダンスZLで動作するように構成される。従って、アンテナアレイ204内で異なるRFIDアンテナ206が選択されると、ケーブルの全長が変化することにより、RFIDリーダ202から見た全インピーダンスは変化するだろう。RFIDリーダ202から見た全インピーダンスを所定の負荷インピーダンスZLに実質的に等しい値かそれに近い値に調整するために、RFIDリーダ202とアクティブアンテナ220との接続部に含まれる長さ補償ユニット215は、長さ補償を行う。この長さ補償により、RFIDリーダ202から見た全インピーダンスは、所定の負荷インピーダンスZLと実質的に等しくなる。このように、どのアンテナがアクティブアンテナとなっても、RFIDリーダ202からは同じ有効ケーブル長に見える。
【0060】
RFIDアンテナのアンテナインピーダンスは、レジスタンスを持つが、リアクタンスを持たないものであることが望ましい。インピーダンス不整合動作に関しても、このアンテナレジスタンスが、接続ケーブルに沿って、レジスタンスを持つがリアクタンスを持たない(言い換えれば、ゼロ位相の)インピーダンスに変換されることが望ましい。しかし、図4Bに示されるように、接続ケーブルが長過ぎたり短過ぎたりすると、変換インピーダンスはリアクタンスを持つ。
【0061】
図5Aに示されるように、いくつかの実施の形態では、長さ補償ユニットは、受動素子構成510を用いて、ケーブルの全長の増加を補償する。図5Aに示される回路のインピーダンスは、図5Bのスミスチャート512で表される。ここでは、インピーダンスの変化は以下の通りである。
A:-jΔXインピーダンス補償を含む:Z1=R1-jAX
B:追加的なΔlが保証される:Z2=R2
C:ケーブルの規定長に従う:Z3=R3+jX
D:デフォルトのプレ補償-jXを含む:Z4=R3
【0062】
図6Aに示されるように、いくつかの実施の形態では、長さ補償ユニットは、受動素子構成610を用いて、ケーブルの全長の増加を補償する。図6Aに示される回路のインピーダンスは、図6Bのスミスチャート612で表される。ここでは、インピーダンスの変化は以下の通りである。
A:Z1=R1
B:jΔXインピーダンス補償を含む:Z1=R1+jAX
C:ケーブルの規定長に従う:Z3=R4+jX
D:デフォルトのプレ補償-jXを含む:Z4=R4
【0063】
図2Aに示されるようなRFIDアンテナ206のアンテナアレイ204に関連した長さ補償ユニット215のセットのために、キャパシティブ要素および/またはインダクティブ要素の様々な異なる構成が使われてもよいことが理解されるだろう。図7に示されるある実施の形態700では、5つのRFIDアンテナ206が、ケーブルリンク208を介して直列に接続される。RFIDリーダから、アクティブアンテナとして選択されたアンテナまでのケーブル長は、初期ケーブル長11とアクティブアンテナ220η×ΔIη’までの長さとの和に等しい。
【0064】
この実施の形態では、デフォルト補償長は以下の通りと考えられる。
l=l1+Δl1+Δl2
より短い最初の2つのアンテナの接続ケーブルは、それぞれ、加算的な補償長Δl1+Δl2およびΔl2を必要とする。より長い最後の2つのアンテナの接続ケーブルは、それぞれ、減算的な補償長-Δl3および-Δl3-Δl4を必要とする。
【0065】
このために、中間アンテナ704に関連する-jXのデフォルト補償を与える長さ補償ユニット702の構成が使われる。そして、次式に従うキャパシティブの補償ユニット706およびインダクティブの補償ユニット708が、それぞれ、リーダに対して中間アンテナ704より遠くおよび近くに配置される。
【数1】
【0066】
このようにして、長さ補償ユニットは、必要に応じてケーブルの全長の延長または短縮を模擬するリアクティブな電気部品の構成を備える。
【0067】
バイパススイッチング。
【0068】
制御器222は、バイパス制御信号をアンテナアレイ204に送信することにより、RFIDアンテナ206の1つを一度にアクティブにする。制御器222は、バイパススイッチ214を制御することにより、RFIDアンテナ206を切り替える(スイッチする)。バイパススイッチは、バイパス制御信号に反応し、各RFIDアンテナをバイパスするか、または各RFIDアンテナをRFIDリーダに接続する。
【0069】
いくつかの実施の形態では、例えば3ビット制御線が与えられてもよい。この場合、各デイジーチェーンの位置でアンテナ間の切り替えが可能となる。別の実施の形態では、RF、DCおよび制御信号の組み合わせが、制御器222からデイジーチェーンケーブルを通ってアンテナアレイ204まで送信される。このバイパス制御信号により、選択されたバイパススイッチ214は、アンテナ220と一緒に選択された長さ補償ユニット215内で切り替えを行うことができる。いくつかの実施の形態では、制御信号は、国際公開第2009/149506AI(この内容は、参照として本明細書に組み込まれる)に開示された方法を用いて、RF信号および/またはDC電源信号の上で搬送される。いくつかの実施の形態では、制御信号は、DC電源信号(このDC電源信号はまた、バイパススイッチ214を操作する局所ユニット制御器1102に電源を供給する)に組み入れられる。この点については、本明細書の別の箇所で、図12を参照して詳述する。いくつかの実施の形態では、制御器222からの制御信号は、局所アンテナ制御器1310(これについては、本明細書の別の箇所で、図13を参照して説明する)の動作を制御してもよい。RFIDリーダ202とRFIDアンテナ206との間の通信は双方向通信(例えば、制御器222、1202、1310のうちの1つ以上を介した双方向通信)であることが理解できるだろう。
【0070】
RFIDリーダ202のRFIDアンテナ206への接続、あるいは代替的にRFIDリーダ202のRFIDアンテナ206を通り越したケーブル208への接続は、バイパススイッチ214を介して行われる。例えば図2Bおよび図2Cは、図2Aに示されるシステム200の第1バイパススイッチ214.1を示す。スイッチ214.1は、ケーブルリンク208.1を第1アンテナ206.1に接続するか、またはアンテナ206.1を通り越してケーブル208.1をケーブル208.2(これは、第2アンテナ206.2につながる)に接続するかすることができる。図示された例では、第2アンテナ206.2がアクティブアンテナ220として選択されている。各バイパススイッチ214は、選択されたアクティブアンテナ220をリーダ202からのケーブル208に接続し、同時にスイッチ214に続く次のケーブル208を切断するように動作する。すなわち、この例では、スイッチ214.2がケーブル208.3を切断する。代替的に、バイパススイッチ214がアンテナ206をバイパスするように設定されると、スイッチ214は、各アンテナを切断し、前後のケーブルリンク208を接続する。これにより、リーダ202は、デイジーチェーンに沿った次のアンテナに接続することができる。この例では、スイッチ214.1が、アンテナ206.1をバイパスし、ケーブル208.1と208.2とを接続するように設定される。
【0071】
いくつかの実施の形態では、バイパススイッチは、ピンダイオードを使って実現されてもよい。別の実施の形態では、バイパススイッチは、リレーを使って実現されてもよい。
【0072】
調整可能な補償。
【0073】
いくつかの実施の形態では、制御器222は、長さ補償ユニット215を制御する。このとき、各長さ補償ユニットの補償長は調整可能である。
【0074】
図8図12は、調整可能な長さ補償ユニットの実施の形態を示す。
【0075】
図8(これは、調整可能な補償構成800の第1の実施の形態を示す)に示されるように、長さ補償は、スイッチを用いてインピーダンス値を選択できるようにすることにより、調整可能となる。図示される長さ補償構成は、シャントスイッチ802を用いて選択可能な2値重み誘導性インピーダンスを有する。誘導性インピーダンスは、jXのステップで、0から+j7Xまで調整可能である。
【0076】
図9は、調整可能な補償構成900の第2の実施の形態を示す。調整は、それぞれインダクタンス902およびキャパシタンス904を用いて、正および負の方向に行うことができる。シャントスイッチ802を用いて、2値重み誘導性インピーダンスがそれぞれ選択可能である。直列された全インピーダンスは、jXのステップで、-j3Xから+j4Xまで調整可能である。
【0077】
図10は、調整可能な補償構成1000の第3の実施の形態を示す。調整は、インダクタンスおよびキャパシタンスの代替的な組み合わせを用いて、正および負の方向に行うことができる。シャントスイッチ802を用いて、2値重み容量性インピーダンスがそれぞれ選択可能である。直列された全インピーダンスは、jXのステップで、-j4Xから+j3Xまで調整可能である。
【0078】
いくつかの実施の形態では、シャントスイッチ802は、ピンダイオードを使って実現されてもよい。別の実施の形態では、シャントスイッチ802は、手動で操作される機械的スイッチを使って実現されてもよい。別の実施の形態では、シャントスイッチ802は、リレーを使って実現されてもよい。応用上は、機械的ラッチリレーを使うこともできる。この場合、切り替えはまれであり、リレーはラッチで設定したままにしておくことができる。これは、応用上は、電源投入時に調整が行われ、その後アレイ内で特定のアンテナが選択されると調整が行われ、好ましくは電源停止時に設定が保存される、といったものである。
【0079】
図11は、別の実施の形態に係る長さ補償ユニット1100を示す。ここでは、RF、DCおよび制御信号の組み合わせが、リーダ202からデイジーチェーンケーブルに沿ってアンテナアレイ204まで送信される。選択されたバイパススイッチ214は、制御信号を用いて、選択された長さ補償ユニット215内で切り替えを行うことができる。制御信号は、DC電源信号に組み入れられる。DC電源信号は、バイパススイッチ214を操作する局所ユニット制御器1102に電源を供給する。制御信号1104はまた、長さ補償ユニット1100のシャントスイッチ802を制御するために、局所ユニット制御器1102の動作を制御してもよい。このようにして、局所ユニット制御器1102は、(リーダの制御器222の制御の下で)長さ補償を調整することができる。
【0080】
図12は、図11に示されるものと同じRF、DCおよび制御信号の組み合わせ1104を用いる、別の実施の形態に係る長さ補償ユニット1200を示す。ここで図示されるように、リーダ202がアンテナ206の選択を解除すると、バイパススイッチ214は、長さ補償ユニット1200を切断する。しかし、ユニット制御器1102はアクティブであり続け、スイッチ214を「バイパス」状態に保つことができる。これにより、リーダ202は、次のアンテナのユニット制御器と通信することができる。このプロセスが、次のアンテナでも繰り返される。このようにしてリーダ202は、連続的なデイジーチェーンを用いて、反復的にすべてのアンテナ206と通信することができる。電源が切られると、すべてのスイッチ214は、開放状態に切り替えられる。これによりリーダ202は、デイジーチェーン内でアンテナ206.1と自動的に接続される(第1スイッチ214.1のデフォルト設定のため)。これらの連続的な制御および動作のプロセスは、繰り返すことができる。
【0081】
図8図12は、構成ごとに3つのシャントスイッチを示す。しかし必要な長さ調整に応じて、3ビットの制御や、図8図12より多いまたは少ないスイッチが使われれもよい。
【0082】
局所制御器。
【0083】
図13および図14は、アンテナサブシステム1300の実施の形態を示す。これらのサブシステムは、例えば、図2Aに示されるキャビネット210の棚212の1つと関連してもよい。
【0084】
サブシステム1300は、第1多重器1306を介してチューナ1304と通信し、第2多重器1308を介して長さ補償ユニット215およびバイパススイッチ214と通信する、複数のアンテナ1302を有する。サブシステム1300は、局所アンテナ制御器1310を有する。局所アンテナ制御器1310は、チューナ1304、第1多重器1306、第2多重器1308、アンテナ1302(第1多重器1306および第2多重器1308を介して)、長さ補償ユニット215およびバイパススイッチ214(例えば、長さ補償ユニット215を介して)の動作を制御する。
【0085】
図11および図12の実施の形態に示されるように、サブシステム1300は、RF、DCおよび制御信号の組み合わせ1104を受信する。リーダ202がアンテナ206の選択を解除すると、バイパススイッチ214は、長さ補償ユニット1200を切断する。しかし、局所アンテナ制御器1310はアクティブであり続け、スイッチ214を「バイパス」状態に保つことができる。これにより、リーダ202は、次のアンテナの局所アンテナ制御器と通信することができる。
【0086】
チューナ1304は、チューニングキャパシタンスを調整することにより、アンテナコイルの共鳴周波数を調整する。これにより、アンテナコイルは、共鳴状態に調整される。この調整がされると、アンテナの入力インピーダンスは、低い真の値となる。なぜなら望ましいアンテナは、低いレジスタンスを持ち、リアクタンスを持たない直列共鳴コイルだからである。
【0087】
いくつかの実施の形態では、サブシステム1300は、例えば棚212および/またはキャビネット210のためのユーザインタフェースを提供するために、1つ以上の追加的なデバイス、ディスプレイ、センサ、インジケータ等に操作可能に接続されてもよい。インジケータライトはタグがどこに設置されているかを示してもよく、ディスプレイは棚212等に関するピッキング情報を提供してもよい。
【0088】
較正。
【0089】
操作の前、例えばRFIDシステム200の設置時またはシステムの電源投入時に、必要なケーブル長補償に対する調整を確認するために、初期有効長が測定される必要がある。
【0090】
図15は、較正回路1500の第1の実施の形態を示す。図16は、較正回路1600の第2の実施の形態を示す。長さ補償ユニット215のアンテナ端部1504に短絡型較正スイッチ1502を設置することにより、リーダ202は、長さ補償を設定または較正することができる。較正スイッチ1502は、局所制御器(例えば、局所アンテナ制御器1310)を介したリーダの制御器222の命令により閉じる。一旦閉じると、リーダ202は、RF信号の位相及び強度をモニタし、これをアクティブなアンテナに送信することができる。スイッチ1502は、低インピーダンス負荷として振る舞う。位相(および強度)は、この値に合う必要がある。言い換えれば、RF電流は比較的高い値となり、電圧は比較的低い値となる。そして電流と電圧との位相差は、ゼロ(同相)となる必要がある。補償長が短すぎたり長過ぎたりした場合は、電流値が低くなり、逆に電圧値が高くなり、電流と電圧との位相差が正または負となるだろう。リーダの制御器222は、上記の位相差がなるべくゼロに近くなるように長さ補償ユニット215のシャントスイッチ802を調整する。この調整がされたポイントで、長さ補償は最適な設定となる。
【0091】
アンテナまたはケーブルが物理的に移動または交換されない限り、長さ補償は固定値となるだろう。従って大抵の場合、長さ補償の設定は、一旦設定されると変わらないだろう。このような応用の場合、機械的なラッチリレーを使うことができる。この場合、リレーはラッチされ、設定が維持される。この場合、調整は電源投入時に行われ、以後の調整は必要に応じて低頻度で行われる。好ましくはこの設定は、ラッチリレーにより、電源停止時にも維持される。
【0092】
長さ補償の不平衡動作から平衡動作への変更は、長さ補償ユニット215とアンテナ206との間にバランを設置することによって実現できる。ケーブル208、長さ補償ユニット215は、不平衡状態で動作する。一方、アンテナ206は、平衡状態で動作する。平衡動作は、アンテナ206での干渉およびアンテナ206からのストレイカップリングを減らすことができる点で有利であることが分かった。図15の回路は、不平衡動作を実現する。図16の回路は、平衡動作を実現する。
【0093】
前述の実施形態には、本開示の広い一般的な範囲を逸脱することなく、多くの変形および/または改良が可能であることを当業者は理解するだろう。従って本実施形態は、いかなる意味においても説明を目的とし、限定を目的としないことを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】