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特表2022-536408アルコール誘発性皮膚紅潮の治療および緩和のための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】アルコール誘発性皮膚紅潮の治療および緩和のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/415 20060101AFI20220805BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220805BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220805BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20220805BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20220805BHJP
   G01N 33/98 20060101ALI20220805BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220805BHJP
   C12Q 1/32 20060101ALI20220805BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20220805BHJP
【FI】
A61K31/415
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/68
A61K9/48
A61K9/50
A61K9/28
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/46
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/24
A61P17/00
A61P9/00
A61P1/08
A61P25/06
A61P1/12
A61P1/04
A61P25/02
A61P17/04
A61P37/08
A61P11/02
A61P11/08
A61P11/06
A61P27/02
A61P11/00
A61P35/00
A61P15/14
A61P25/28
A61P25/16
A61P9/12
A61P9/10
A61P21/02
G01N33/497 A
G01N33/98
G01N33/53 M
C12Q1/32
C12Q1/6827 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515975
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020034273
(87)【国際公開番号】W WO2020237172
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/852,000
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521512985
【氏名又は名称】イーケイワイジェイ コンサルティング ツー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、エドワード ケイ.ワイ.
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA26
2G045CB22
2G045DA13
2G045DA29
2G045DA74
2G045FA34
2G045FB06
4B063QA13
4B063QA17
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4C086ZA68
4C086ZA71
4C086ZA73
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本願は、アルコール誘発性皮膚紅潮を含むアルコール誘発性過敏反応の予防および治療に使用するための医薬組成物に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の4-メチルピラゾール、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物であって、前記医薬組成物は経口投与用に構成されており、前記医薬組成物は、4-メチルピラゾールの臭気をマスキングするのに有用な少なくとも1つの薬学的に不活性なコーティングをさらに有する、医薬組成物。
【請求項2】
請求項1記載の医薬組成物において、前記少なくとも1つの薬学的に不活性なコーティングは、ヒドロキシアルキルセルロース、粘着防止剤、可塑剤、糖、メタクリレートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、および水溶性ポリマーからなる群から選択されるものである、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、粉末、錠剤、ロゼンジ、チューインガム、丸薬、カプセル、マイクロカプセル、カプレット、口腔内崩壊錠、浸透圧制御放出型経口送達システム、またはそれらの組み合わせから選択される経口剤形として構成されている、医薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の医薬組成物であって、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤、L-アスコルビン酸、L-スレオニン、またはこれらの組み合わせをさらに有する、医薬組成物。
【請求項5】
請求項4記載の医薬組成物において、前記鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸(IP6)、またはそれらの組み合わせを有する、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の医薬組成物において、前記薬学的に許容される担体は水である、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1記載の医薬組成物であって、味覚マスキング剤、臭覚マスキング剤、またはそれらの組み合わせをさらに有する、医薬組成物。
【請求項8】
請求項1記載の医薬組成物において、前記治療有効量の4-メチルピラゾールは、約10mg/kg~約20mg/kgの間の量である、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1記載の医薬組成物において、前記治療有効量の4-メチルピラゾールは、約0.1μmol/Lの血漿濃度をもたらす量である、医薬組成物。
【請求項10】
治療有効量の4-メチルピラゾールまたはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物であって、前記医薬組成物は経皮投与用に構成されている、医薬組成物。
【請求項11】
請求項10記載の医薬組成物であって、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤、L-アスコルビン酸、L-スレアニン、またはこれらの組み合わせをさらに有する、医薬組成物。
【請求項12】
請求項11記載の医薬組成物において、前記鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸、またはそれらの組み合わせを有する、医薬組成物。
【請求項13】
対象のアルコール誘発性過敏症反応を治療および/または予防する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記アルコール誘発性過敏症反応は、紅潮、心拍数上昇、動悸、低血圧、吐き気、めまい、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、意識混濁、蕁麻疹、全身性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支収縮、喘息性気管支収縮の悪化、心血管虚脱、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アナフィラキシー、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、およびこれらの任意の組み合わせから選択される、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記アルコール性紅潮は、顔面の赤み、皮膚温度の上昇、心拍数の上昇、拡張期血圧の低下、またはそれらの組み合わせによって特徴づけられる、方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記医薬組成物は、前記対象がアルコールを消費する前に投与される、方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、前記医薬組成物は、前記対象がアルコールを消費する約60分~約15分前に投与される、方法。
【請求項18】
請求項13記載の方法において、前記医薬組成物は、前記対象のアルコール消費と同時に、または前記対象がアルコールを消費した後に投与される、方法。
【請求項19】
対象におけるアルコールから生成したアセトアルデヒドを除去する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項20】
対象の口腔、食道、胃、大腸、またはそれらの組み合わせにおける、アルコールから生成したアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項21】
対象のアセトアルデヒド血中濃度を低減および/または除去する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項22】
対象の消化管からアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項23】
対象におけるミトコンドリアアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)を阻害する方法であって、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項24】
対象におけるアルコールの消費に起因する疾患または障害のリスクを低減する方法であって、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記疾患または障害は、上部気道消化管がん、消化管がんまたは乳がんから選択される、方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法において、前記上部気道消化管がんは、食道がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、頭または首のがんを有する、方法。
【請求項27】
請求項24記載の方法において、前記消化管がんは、胃がんまたは大腸がんを有する、方法。
【請求項28】
請求項24記載の方法において、前記疾患または障害は、遅発性アルツハイマー病、高血圧症、心筋梗塞、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および脳虚血を有する、方法。
【請求項29】
対象におけるアセトアルデヒドのヒスタミン放出効果を阻害する方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項30】
対象におけるアルコール誘導性アセトアルデヒド産生をブロックする方法であって、前記方法は、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項31】
請求項13~30のいずれか1つに記載の方法において、前記対象は、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子のヘテロ接合またはホモ接合である、方法。
【請求項32】
請求項13~30のいずれか1つに記載の方法であって、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について前記対象をテストする工程をさらに有する、方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、前記Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について前記対象をテストする工程は、前記対象から呼気サンプルを入手する工程と、前記呼気サンプル中のアルコールレベルおよびアセトアルデヒドレベルを測定する工程と、前記呼気サンプル中のアセトアルデヒドレベルとアルコールレベルの比を決定する工程であって、アセトアルデヒドレベルとアルコールレベルの比が約23.3以上であることが、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を示すものである、決定する工程と、前記対象が約23.3以上のアセトアルデヒドレベルとエタノールレベルの比を有する場合、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程とを有する、方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記呼気サンプル中のエタノールおよびアセトアルデヒドレベルを測定する工程は、半導体ガスクロマトグラフィーによって行われる、方法。
【請求項35】
請求項33記載の方法において、前記呼気サンプルは、アルコールの消費後に得られるものである、方法。
【請求項36】
請求項32記載の方法において、前記Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について前記対象をテストする工程は、前記対象から生物学的サンプルを得る工程と、前記生物学的サンプルからゲノムDNAを分離する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を特定する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子が存在する場合に、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程とを有する、方法。
【請求項37】
請求項33記載の方法において、前記生物学的サンプルがスワブサンプルである、方法。
【請求項38】
請求項33記載の方法において、前記生物学的サンプルが血液サンプルである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月23日に出願された米国仮出願第62/852,000号からの優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本出願は、治療有効量の4-メチルピラゾール、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物であって、該医薬組成物が経口投与用に構成されており、該医薬組成物が、4-メチルピラゾールの臭気をマスキングするのに有用な少なくとも1つの薬学的に不活性なコーティングをさらに有する、医薬組成物に関するものである。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの薬学的に不活性なコーティングは、ヒドロキシアルキルセルロース、粘着防止剤、可塑剤、糖、メタクリレートコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、および水溶性ポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、粉末、錠剤、ロゼンジ、チューインガム、丸薬、カプセル、マイクロカプセル、カプレット、口腔内崩壊錠、浸透圧制御放出型経口送達システム、またはそれらの任意の組み合わせから選択される経口剤形として構成される。いくつかの実施形態では、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤、L-アスコルビン酸、L-スレオニン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに有する。いくつかの実施形態では、鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸(IP6)、またはそれらの任意の組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は水である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、味覚マスキング剤、臭覚マスキング剤、またはそれらの組み合わせをさらに有する。いくつかの実施形態では、4-メチルピラゾールの治療有効量は、約10~約20mg/kgの間の量である。いくつかの実施形態では、治療有効量の4-メチルピラゾールは、約0.1μmol/Lの血漿濃度をもたらす量である。
【0003】
いくつかの実施形態は、治療有効量の4-メチルピラゾールまたはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物であって、該医薬組成物が経皮投与用に構成されている医薬組成物に関するものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤、L-アスコルビン酸、L-トレアニン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに有する。いくつかの実施形態では、鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
【0004】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるアルコール誘発性過敏性反応を治療および/または予防する方法に関するものである。いくつかの実施形態では、アルコール誘発性過敏症反応は、紅潮、心拍数上昇、動悸、低血圧、吐き気、めまい、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、意識混濁、蕁麻疹、全身性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支収縮、喘息性気管支収縮の悪化、心血管虚脱、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アナフィラキシー、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、アルコール性紅潮は、顔面の赤み、皮膚温度の上昇、心拍数の上昇、拡張期血圧の低下、またはそれらの任意の組み合わせを特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がアルコールを消費する前に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がエタノールを消費する約60分から約15分前に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がエタノールを消費するのと同時に、または対象がエタノールを消費した後に投与される。
【0005】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるエタノールから形成されるアセトアルデヒドを除去する方法に関するものである。
【0006】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象の口腔、食道、胃、大腸、またはそれらの組み合わせにおいて、エタノールから形成されるアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法に関するものである。
【0007】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象のアセトアルデヒド血中濃度を低減および/または除去する方法に関するものである。
【0008】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象の消化管からアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法に関するものである。
【0009】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるミトコンドリアアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)を阻害する方法に関するものである。
【0010】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるエタノールの消費によって引き起こされる疾患または障害のリスクを低減するための方法に関するものである。
【0011】
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、上部気道消化管がん、消化管がんまたは乳がんから選択される。いくつかの実施形態では、上部気道消化管がんは、食道がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、頭または首のがんを有する。いくつかの実施形態では、消化管がんは、胃がんまたは大腸がんを有する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、遅発性アルツハイマー病、高血圧症、心筋梗塞、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および脳虚血を有する。
【0012】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるアセトアルデヒドのヒスタミン放出効果をブロックする方法に関するものである。
【0013】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるアルコール誘発アセトアルデヒド産生をブロックする方法に関するものである。いくつかの実施形態では、対象は、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu487lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子のヘテロ接合体またはホモ接合体である。
【0014】
いくつかの実施形態は、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程をさらに有する。いくつかの実施形態では、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程は、対象から呼気サンプルを入手する工程と、前記呼気サンプル中のエタノールおよびアセトアルデヒドレベルを測定する工程と、前記呼気サンプル中のアセトアルデヒドレベルとエタノールレベルの比を決定する工程であって、アセトアルデヒドレベルとエタノールレベルの比が約23.3以上であることが、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を示すものである、決定する工程と、前記対象が約23.3以上のアセトアルデヒドレベルとエタノールレベルの比を有する場合、本明細書に開示される医薬組成物を前記対象に投与する工程とを有する。いくつかの実施形態では、呼気サンプル中のエタノールレベルおよびアセトアルデヒドレベルを測定する工程は、半導体ガスクロマトグラフィーによって行われる。いくつかの実施形態では、呼気サンプルは、アルコールの消費後に得られる。いくつかの実施形態では、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程は、前記対象から生物学的サンプルを得る工程と、前記生物学的サンプルからゲノムDNAを分離する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を特定する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子が存在する場合に、本明細書に記載の医薬を対象に投与する工程とを有する。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルはスワブサンプルである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、血液サンプルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願は、アルコール誘発性皮膚紅潮を含むアルコール誘発性過敏反応の予防および治療に使用するための医薬組成物に関するものである。
【0016】
エタノールという化学名でも知られるアルコールは、社会的、娯楽的、薬事的に様々な目的で消費されている。本明細書では、「アルコール」と「エタノール」という用語は互換的に使用されている。アルコールの過剰摂取は、肝臓、脳、骨格筋、心筋などの様々な組織に障害をもたらし、公衆衛生上、かなりの罹患率と死亡率の原因となっている。このようなアルコールの影響の多くは、アルコール代謝の過程で生成されるアセトアルデヒドによってもたらされる。アセトアルデヒドは、アルコール脱水素酵素(ADH)によってアルコールが酸化されてアセトアルデヒドとなり、ミトコンドリアの肝酵素であるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって速やかに酢酸に代謝されるという2段階の経路を経る。
【0017】
ADHおよびALDH遺伝子には、アルコール酸化能力の個人差を調整する多型が存在する(Bosron et al., Hepatology 1986, 6, 502-510)。東アジアの人々は、ADH酵素をコードするアルコール脱水素酵素サブタイプ2(ADH22)のアミノ酸がR47Hに置換された変異対立遺伝子を持っている(Matsuo et al., Carcinogenesis 2006, 27(5), 1018-1023; Tamakoshi et al., Alcohol 2003, 38, 407-410)。H47 ADH酵素は「超活性」であり、「典型的な」対立遺伝子(ADH21)がコードする活性の低いR47 ADH酵素よりも約40倍高いVmaxを示す(Bosron et al., Hepatology 1986, 6, 502-510; Yoshida ct al., Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 1991, 40, 255-287)。ADH22対立遺伝子は、アセトアルデヒドの蓄積と関連している(Crabb et al., Proc.Nutr.Soc.2004, 63(1), 49-63)。
【0018】
また、東アジア人には、E487Kのアミノ酸が置換されたALDH酵素をコードするアルデヒド脱水素酵素サブタイプ2(ALDH22、Glu487lys、ALDH2487lys、Glu504lys、または、rs671とも呼ばれる)の変異対立遺伝子が存在する(Chen et al., Am. J. Hum. Genet. 1999, 65(3), 795-807)。K487 ALDH酵素は、典型的な対立遺伝子(ALDH21)にコードされるより活性の高いE487 ALDH2酵素と比較して、アセトアルデヒド除去率が40~90%低下するような活性低下を示すため、変異対立遺伝子を発現する人はALDH2活性が低下または欠如することになる。
【0019】
アセトアルデヒドは、顔面紅潮、頻脈、息切れ、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などの急性症状に加え、上部消化管がん、乳がん、肝疾患、アルツハイマー病、高血圧、心筋梗塞などの長期的な健康リスクを高めると言われている(Visapaa, Gut 2004, 53, 871-876; Yokoyama et al., Jpn. J. Clin. Oncol. 2003, 33(3), 111-121; Ohsawa et al., J. Hum. Genet. 2003, 48, 404-409;およびそれらの引用文献を参照)。ALDH2活性が低下または欠如しているALDH2*2対立遺伝子を発現している人は、少量のエタノールを飲むと、例えば顔面紅潮、頻脈などのアルコール関連過敏症を示す(Goedde et al., Hum. Genet. 1992, 88, 344-346; Xiao et al., J. Clin. Invest. 1995, 96, 2180-2186)。したがって、ALDH2活性が低下または欠如している人々のアセトアルデヒドレベルを下げることは、これらの人々がエタノールを摂取したときに経験する急性系および長期的な健康リスクを軽減するのに役立つと考えられる。
【0020】
4-メチルピラゾール(ホメピゾールまたは4-MPとしても知られている)は、アルコールを酸化する酵素であるアルコール脱水素酵素(ADH)を阻害する。ADHによってエタノールがアセトアルデヒドに酸化され、さらにアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)によって酢酸に酸化されるという2段階の代謝除去経路の一部として、アルコール類を酸化する酵素である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法で使用するための化合物は、医薬組成物として処方されてもよい。本発明の医薬組成物は、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを有し得る。このような組成物は、任意に、アルコール誘発性皮膚紅潮を含むアルコール誘発性過敏反応の予防および治療に有用な少なくとも1つの追加治療剤を有し得る。
【0022】
本発明の化合物は、アルコール誘発性皮膚紅潮を含むがこれに限定されないアルコール誘発性過敏反応を含む本明細書に記載の疾患を制御するために、また疾患を治療するために、あるいは影響の進行や重症度を軽減するために、従来の方法で採用することができる。このような治療方法、その投与量レベルおよび要件は、当業者であれば利用可能な方法および技術から選択することができる。 例えば、本発明の化合物は、アルコール誘発性皮膚紅潮を含むアルコール誘発性過敏反応を有する、または感受性のある患者に投与するために、薬学的に許容されるアジュバントと組み合わせて、その症状の発生および重症度を軽減するのに有効な量で投与してもよい。
【0023】
本明細書で開示されている各実施形態において、化合物および方法は、そのような治療を必要としている対象と共に、または対象上で利用することができ、これは「それを必要とする」とも呼ばれることがある。本明細書で使用される句「それを必要とする」は、対象が特定の方法または治療の必要性があると識別され、治療がその特定の目的のために対象に与えられたことを意味する。
【0024】
用語「患者」および「対象」は互換性があり、本発明の化合物で治療される可能性のあるあらゆる生物を意味すると考えられる。そのため、用語「患者」および「対象」は、任意の非ヒト哺乳類、霊長類またはヒトを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒトなどの哺乳類である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人、子供、または幼児である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、ヒトである。
【0025】
本明細書使用される用語「組み合わせ」、「結合」、および関連する用語は、本発明に従った治療剤の同時または逐次的な投与を意味する。例えば、記載された化合物は、別の治療剤と同時にまたは順次、別々の単位剤形で投与してもよいし、一緒に単一の単位剤形で投与してもよい。したがって、本発明は、記載された化合物、追加の治療剤、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを有する単一の単位剤形を提供する。2つ以上の薬剤は、患者または個人が両方の薬剤に同時に曝される場合、典型的には「組み合わせて」投与されると考えられる。多くの実施形態では、2つ以上の薬剤は、患者または個人が特定の標的組織またはサンプル(例えば、脳内、血清内など)において治療上適切なレベルの薬剤を同時に示す場合に、「組み合わせて」投与されると考えられる。
【0026】
用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、本発明の化合物とともに患者に投与されても、その薬理活性を破壊しない非毒性の賦形剤を意味する。これらの組成物に使用できる薬学的に許容される賦形剤は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、羊毛脂を含むが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物に使用できる薬学的に許容される賦形剤は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、羊毛脂、α-トコフェロール、ポリエチレングリコール1000コハク酸塩などの自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)、またはその他の類似のポリマーデリバリーマトリックスを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医学博士などの臨床医が求める組織、系、動物、個体、またはヒトにおける生物学的または薬理学的な反応を誘発する活性化合物または医薬品の量をいい、以下の1つ以上が含まれる:(1)疾患の予防;例えば、疾患、病態、または障害の素因があるかもしれないが、まだ疾患の病理または症状を経験していない個体において、疾患、病態、または障害を予防すること、(2)疾患の抑制;例えば、疾患、病態、または障害の病理または症状を経験している、または示している個体において、疾患、病態、または障害を抑制すること(すなわち、病理および/または症状のさらなる発達を阻止すること)、(3)疾患の改善;例えば、疾患、状態、または障害の病理または症状を経験または示している個体において、疾患、状態、または障害を改善すること(すなわち、病理および/または症状を元に戻すこと)が含まれる。いくつかの実施形態では、治療有効量の化合物は、特定の化合物の1日の投与量を表す。いくつかの実施形態では、特定の化合物の1日投与量は、1日1回の投与量として投与されてもよいし、1日を通して投与される等量または不等量の2つ以上の投与量に分割されてもよい。
【0028】
本明細書に記載の化合物は、その酸付加塩を形成することができる。本明細書に記載された化合物の塩は、医薬品として使用するためには、薬学的に許容されるべきであることが理解されるであろう。適切な薬学的に許容される塩は、当業者には明らかであり、J. Pharm.Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものが含まれ、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機酸で形成される酸付加塩がある。本発明は、可能なすべての化学量論的形態および非化学量論的形態をその範囲内に含む。本明細書に記載された化合物の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の有機酸または無機酸からの、従来の非毒性の塩または化合物の第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性の塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、および、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。他のケースでは、記載された化合物は、1つまたは複数の酸性官能基を含み得るものであり、したがって、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は、同様に、投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにおいてその場で調製することができる、あるいは、遊離酸形態の精製化合物を、適切な塩基、例えば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、アンモニア、または薬学的に許容される有機第1級、第2級もしくは第3級アミンと別々に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリ塩、アルカリ土類塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などが含まれる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれる。
【0029】
本明細書に記載の化合物は、結晶性または非結晶性の形態で調製することができ、結晶性の場合には、任意に、例えば水和物として溶媒に溶解してもよい。本発明は、化学量論的な溶媒和物(例えば、水和物)だけでなく、可変量の溶媒(例えば、水)を有する化合物もその範囲内に含まれる。本明細書に記載されている特定の化合物は、立体異性体(例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマー)で存在することが可能であり、本発明は、これらの立体異性体のそれぞれ、およびラセミ体を含むそれらの混合物にも及ぶ。異なる立体異性体は、通常の方法で互いに分離してもよいし、または、任意の異性体を立体特異的または不斉合成によって得てもよい。また、本発明は、任意の互変異性体およびそれらの混合物にも及ぶ。
【0030】
本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、ここでは好ましい方法、装置、および材料について説明する。
【0031】
また、本発明の化合物は、神経変性疾患を含むがこれに限定されない本明細書に記載された状態に対して、長期間にわたって個体を治療または保護するための組成物および方法に使用することができる。この化合物は、医薬組成物におけるこのような化合物の従来の利用と一致する方法で、単独で、またはこの発明の他の化合物と一緒に、このような組成物に採用されてもよい。例えば、本発明の化合物を、ワクチンに従来から採用されている薬学的に許容されるアジュバントと組み合わせ、予防的に有効な量で投与することにより、神経変性疾患を含むがこれに限定されない本明細書に記載された疾患に対して長期間にわたって個体を保護することができる。
【0032】
本出願は、治療有効量の4-メチルピラゾール、またはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物であって、該医薬組成物が経口投与用に構成されている医薬組成物に関するものである。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、4-メチルピラゾールの臭気をマスキングするのに有用な少なくとも1つの医薬的に不活性なコーティングをさらに有する。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物をカプセル化することができる。いくつかの実施形態では、カプセル化媒体は、カプセル、ソフトゲルキャップ、ゲルキャップ、コーティング、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、コーティングは、フィルム、ワックス、ワニス、グレーズ、ポリマーコーティング、糖コーティング、多糖類ベースのコーティング、腸溶性コーティング、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的に不活性なコーティングは、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、粘着防止剤、可塑剤、糖類、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、および水溶性ポリマーからなるグループから選択される。粘着防止剤の例としては、タルク(Alphafil 500)、二酸化ケイ素、シリカヒドロゲル、微結晶セルロース、ステアリン酸アルカリ、デンプン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤の例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、トリアセチン、グリセリルトリアセテート、クエン酸アセリルトリエチル、クエン酸トリエチル、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、アルギン酸、エチルセルロース樹脂、ゼラチン、グアーガム、液体グルコース、メチルセルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ゼイン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル-クロトン酸コポリマー、アクリル酸エチル-メタクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、粉末、錠剤、ロゼンジ、チューインガム、丸薬、カプセル、マイクロカプセル、カプレット、口腔内崩壊錠、浸透圧制御放出型経口送達システム、またはそれらの組み合わせから選択される経口剤形として構成される。
【0036】
経口投与に適した本明細書に記載の製剤は、カプセル、カシェ剤、錠剤、ロゼンジ(通常はショ糖とアカシアまたはトラガカントなどのフレーバーベースを使用)、粉末、顆粒、または水性または非水性液体中の溶液または懸濁液の形である。また、本発明の化合物を有効成分として所定量含有するトローチ(ゼラチンとグリセリン、ショ糖とアカシアなどの不活性基剤を使用)および/または洗口液などとしても利用できる。また、本明細書に記載の化合物は、ボーラス、なめ薬またはペーストとして投与してもよい。
【0037】
経口投与用の固形剤(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)では、有効成分は、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれか:デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、ケイ酸などの充填剤または増量剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアなどの結合剤、グリセロールなどの湿潤剤、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、非イオン性界面活性剤などの湿潤剤、カオリン、ベントナイトクレイなどの吸着剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤、着色料と混合される。カプセル、錠剤、丸薬の場合、医薬組成物は緩衝剤を有し得る。また、同様のタイプの固体組成物を、ラクトースや乳糖、高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いたソフトシェルおよびハードシェルのゼラチンカプセルの充填剤として用いることもできる。
【0038】
錠剤は、圧縮または成形によって作られ、任意に1つ以上の付属成分(賦形剤)を用いてもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、または、架橋カルボキシメチルセルロース)、界面活性剤、または、分散剤などを用いて調製することができる。成形された錠剤は、粉末状の化合物の混合物を不活性な液体希釈剤で湿らせた適切な機械で作ることができる。固体担体を使用する場合、調製物は、錠剤の形態、粉末またはペレットの形態でハードゼラチンカプセルに入れた形態、またはトローチやロゼンジの形態にすることができる。固体担体の量は様々で、例えば、約0.01~800mg、好ましくは約0.01mg~400mg、約または3mg~約400mgである。液体担体が使用される場合、調製物は、例えば、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、アンプルなどの滅菌注射液、または非水性液体懸濁液の形態であることができる。組成物がカプセルの形態である場合、例えば、ハードゼラチンカプセルシェル内で前述の担体を使用する任意の通常のカプセル化が適切である。
【0039】
糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒などの錠剤やその他の固形剤は、任意に、腸溶性コーティングや医薬製剤技術でよく知られているその他のコーティングなどのコーティングやシェルを施したり、調製したりすることができる。また、所望の放出プロファイルを得るために比率を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/または微粒子などを用いて、活性成分を徐放するように製剤化することも可能である。急速放出のための製剤化、例えば凍結乾燥も可能である。殺菌は、例えば、バクテリア防止用のフィルターでろ過するか、または殺菌剤を使用直前に無菌水や他の無菌注射剤に溶解できる無菌固体組成物の形で組み込むことによって行うことができる。また、これらの組成物は、任意に乳白剤を含み、活性成分を消化管の特定の部分でのみ、または優先的に、任意に、遅延して放出するような組成であってもよい。使用可能な埋込組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分は、適切であれば、上述の賦形剤の1つ以上を用いてマイクロカプセル化された形態にすることもできる。
【0040】
本発明の化合物を経口投与するための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシルを含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物が含まれ得る。
【0041】
不活性な希釈剤のほかに、口腔用組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香料、着色料、着香剤、保存料などのアジュバントを含み得る。
【0042】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含むことができる。
【0043】
治療に使用するために必要な活性成分、またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択した特定の塩だけでなく、投与経路、治療される状態の性質、患者の年齢や状態によっても異なり、最終的には担当の医師や臨床医の判断に委ねられる。一般的に、当業者は、典型的には動物モデルであるモデル系で得られた生体内データを、ヒトなどの別のモデルに推定する方法を理解している。状況によっては、これらの推定は、哺乳類、好ましくはヒトなどの他の動物と比較した動物モデルの重量に基づいているだけかもしれないが、より多くの場合、これらの推定は、単に重量に基づいているのではなく、むしろ、様々な要因を組み込んでいる。代表的な要因としては、患者の種類、年齢、体重、性別、食生活、病状、投与経路、採用する特定の化合物の活性、有効性、薬物動態、毒性プロファイルなどの薬理学的考察、薬物送達システムを利用するかどうか、急性または慢性の病状を治療するか、予防を行うか、あるいは本発明の化合物に加えて、さらに活性のある化合物を薬剤の組み合わせの一部として投与するかどうかなどを含む。本発明の化合物および/または組成物を用いて病状を治療するための投与レジメンは、上に引用したような様々な要因に応じて選択される。したがって、実際に採用される投与レジメンは大きく変化する可能性があり、したがって好ましい投与レジメンから逸脱する可能性があり、当業者であれば、これらの典型的な範囲外の投与量および投与レジメンを試験することができ、適切な場合には、本発明の方法において使用することができることを認識するであろう。
【0044】
望ましい用量は、単回用量で、または適切な間隔で投与される分割用量、例えば、1日に2回、3回、4回、またはそれ以上のサブ用量として好都合に提示される。サブ用量自体は、例えば、いくつかの離散的な緩い間隔での投与に、さらに分割されることができる。一日の用量は、特に適切と思われる比較的多量の投与を行う場合、いくつかの、例えば2、3、または4回の部分投与に分割することができる。必要に応じて、個人の行動に応じて、示された1日の用量から上方または下方に逸脱することが必要となる場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤(クルクミン/ケルセチン/IP6)、L-アスコルビン酸、L-スレオニン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに有し得る。いくつかの実施形態では、鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸(IP6)、またはそれらの任意の組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は水である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、味覚マスキング剤、臭覚マスキング剤、またはそれらの組み合わせをさらに有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、4-メチルピラゾールの治療有効量は、約0.1~約200mg/kgの間の量である。いくつかの実施形態では、4-メチルピラゾールの治療有効量は、約10~約20mg/kgの間の量である。さらに他の実施形態では、4-メチルピラゾールの治療有効量は、約0.01μmol/L~約10μmol/Lの血漿濃度をもたらす量である。さらに他の実施形態では、4-メチルピラゾールの治療有効量は、約0.1μmol/Lの血漿濃度をもたらす量である。
【0047】
本明細書の実施形態は、治療有効量の4-メチルピラゾールまたはその薬学的に許容される塩、水和物、多形体、もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを有する医薬組成物にも関するものであり、この医薬組成物は経皮投与用に構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、n-アセチルシステイン、アンペロプシン、Withania somifera/アシュワガンダ、L-シスチン、S-アセチルグルタチオン、モリブデン、鉄、亜鉛、鉄キレート剤(クルクミン/ケルセチン/IP6)、L-アスコルビン酸、L-スレアニン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに有し得る。いくつかの実施形態では、鉄キレート剤は、クルクミン、ケルセチン、イノシトールヘキサキスリン酸、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
【0049】
また、本明細書では、対象におけるアルコール誘発性過敏性反応を治療および/または予防する方法であって、該方法は、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、アルコール誘発性過敏症反応は、紅潮、心拍数上昇、動悸、低血圧、吐き気、めまい、頭痛、嘔吐、下痢、胃の不調、運動失調、意識混濁、蕁麻疹、全身性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支収縮、喘息性気管支収縮の悪化、心血管虚脱、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、アナフィラキシー、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、アルコール性紅潮は、顔面の赤み、皮膚温度の上昇、心拍数の上昇、拡張期血圧の低下、またはそれらの任意の組み合わせを特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がアルコールを消費する前に投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がアルコールを消費する約60分から約15分前に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象がアルコールを消費するのと同時に、または対象がアルコールを消費した後に投与される。
【0051】
また、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象のアルコールから生成したアセトアルデヒドを除去する方法も開示されている。
【0052】
また、本明細書では、本明細書に記載された医薬組成物を投与する工程を有する、対象の口腔、食道、胃、大腸、またはそれらの組み合わせにおいて、アルコールから形成されるアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法が記載されている。研究によると、アセトアルデヒドは消費直後の血流ではなく、これらの部分に最も多く存在することが示されている(Salaspuro M P, Acetaldehyde, microbes and cancer of the digestive tract.Crit Rev Clin Lab Sci 2003; 40:183-208; Salaspuro M. Acetaldehyde as a common denominator and cumulative carcinogen in digestive tract cancers.Scand J Gastroenterol 2009; 44:912-25; Salaspuro M. Acetaldehyde and gastric cancer.J Dig Dis 2011; 12:51-9)。
【0053】
また、本明細書では、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象のアセトアルデヒド血中濃度を低減および/または除去する方法が記載されている。
【0054】
また、本明細書では、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象の消化管からアセトアルデヒドを低減および/または除去する方法が記載されている。
【0055】
また、本明細書では、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるミトコンドリアアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)を阻害する方法が記載されている。
【0056】
また、本明細書では、本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を有する、アルコールの消費によって引き起こされる疾患または障害の対象におけるリスクを低減する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、上部気道消化管がん、消化管がんまたは乳がんから選択される。いくつかの実施形態では、上部気道消化管がんは、食道がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、頭または首のがんを有する。いくつかの実施形態では、消化管がんは、胃がんまたは大腸がんを有する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、遅発性アルツハイマー病、高血圧症、心筋梗塞、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、および脳虚血を有する。
【0057】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示された医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるアセトアルデヒドのヒスタミン放出効果をブロックする方法に関するものである。
【0058】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示された医薬組成物を投与する工程を有する、対象におけるアルコール誘導アセトアルデヒド産生をブロックする方法に関するものである。
【0059】
いくつかの実施形態では、対象は、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子のヘテロ接合またはホモ接合である。
【0060】
いくつかの実施形態では、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程をさらに有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程は、前記対象から呼気サンプルを入手する工程と、前記呼気サンプル中のアルコールレベルおよびアセトアルデヒドレベルを測定する工程と、前記呼気サンプル中のアセトアルデヒドレベルとアルコールレベルの比を決定する工程であって、アセトアルデヒドレベルとアルコールレベルの比が約23.3以上であることが、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を示すものである、決定する工程と、前記対象が約23.3以上のアセトアルデヒドレベルとアルコールレベルの比を有する場合、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を前記対象に投与する工程とを有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、呼気サンプル中のアルコールおよびアセトアルデヒドレベルの測定は、半導体ガスクロマトグラフィーによって行われる。
【0063】
いくつかの実施形態では、呼気サンプルは、アルコールの消費後に取得される。
【0064】
いくつかの実施形態では、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在について対象をテストする工程は、前記対象から生物学的サンプルを得る工程と、前記生物学的サンプルからゲノムDNAを分離する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子の存在を特定する工程と、Glu487lys、ALDH22、ALDH2487lys、Glu504lys、またはrs671と呼ばれるアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)対立遺伝子が存在する場合に、請求項1または請求項12記載の医薬組成物を対象に投与する工程とを有する。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルはスワブサンプルである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、血液サンプルである。
【0065】
前述の発明は、理解を明確にする目的で、例示および実施例を用いてある程度詳細に説明してきたが、当業者にとっては、特定の変更および修正が実施されることは明らかであろう。したがって、説明および実施例は、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示は、その特定の好ましいバージョンを参照してかなり詳細に説明してきたが、他のバージョンも可能である。したがって、本願発明の精神および範囲は、本明細書に記載された好ましいバージョンの説明に限定されるべきではない。
【0066】
本明細書に記載されているものと類似または同等の組成物、材料、および方法を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な調製物、方法、および材料が本明細書に記載されている。本明細書に記載されているすべての刊行物は、その全体が参照により組み込まれている。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。さらに、以下で説明する特定の実施形態は例示に過ぎず、限定することを意図していない。
【0067】
概要および図面を含む本明細書に開示されているすべての特徴、および開示されている任意の方法またはプロセスのすべての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。概要および図面を含む本明細書に開示された各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同じ目的、同等の目的、または類似の目的を果たす代替の特徴で置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示された各特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。本明細書に記載されたものに加えて、本願発明の様々な変更が、前述の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更も、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0068】
特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されている、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修正されていると理解されるべきである。本明細書では、用語「約」は、所定の値のプラスマイナス10%を意味する。例えば、「約50%」とは、45%~55%の範囲を意味する。したがって、反対の指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数を考慮し、通常の丸め手法を適用して解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、数値には本質的に、それぞれのテスト測定における標準偏差に起因する一定の誤差が含まれている。
【0069】
本明細書で値の範囲を記載することは、その範囲内にある各個別の値を個別に参照するための略記法として機能することを意図しているに過ぎない。 本明細書で別段の指示がない限り、各個別の値は、本明細書で個別に述べられているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意のおよびすべての例、または例示的な言語(例えば、「~など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別の方法で請求される本発明の範囲に制限を与えるものではない。本明細書のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0070】
本明細書に開示されている本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるものではない。各グループのメンバーは、個別に、またはグループの他のメンバーや本明細書に記載されている他の要素と任意に組み合わせて参照し、請求することができる。便宜上および/または特許性の理由から、グループの1つまたは複数のメンバーがグループに含まれたり、グループから削除されたりすることが予想される。そのような包含または削除が行われた場合、本明細書は修正されたグループを含むものとみなされ、添付の特許請求の範囲で使用されているすべてのマーカッシュグループの書面による説明を満たすことになる。
【0071】
本発明の特定の実施形態は、本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の態様を含めて、本明細書に記載されている。もちろん、これらの記載された実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が適宜そのような変形を採用することを期待しており、本発明者は、本明細書に具体的に記載されていない方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明には、適用法で認められているように、添付の特許請求の範囲に記載されている主題のすべての変更および同等物が含まれる。さらに、本明細書に別段の記載がない限り、あるいは文脈上明らかに矛盾しない限り、上述した要素のあらゆる可能な変形の組み合わせが本発明に包含される。
【0072】
本明細書で開示されている特定の実施形態は、「有する」ではなく、「からなる」または「本質的にからなる」という表現を用いて、特許請求の範囲でさらに限定することができる。出願時のものであれ、補正により追加されたものであれ、特許請求の範囲で使用される場合、移行用語「からなる」は、特許請求の範囲で指定されていない要素、工程、または成分を除外するものである。移行用語「本質的にからなる」は、特許請求の範囲を、指定された材料や工程、および基本的かつ新規な特性に実質的な影響を与えないものに限定する。このように請求された本発明の実施形態は、本明細書に本質的にまたは明示的に記載され、本明細書で有効である。
【0073】
最後に、ここに開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示したものであることを理解していただきたい。採用され得る他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例示として、本発明の代替構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本発明は、正確に示され、説明されたものに限定されない。
【国際調査報告】