(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-16
(54)【発明の名称】組織の湿式保存
(51)【国際特許分類】
A01N 1/02 20060101AFI20220808BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A01N1/02
A61L27/36 100
A61L27/36 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573278
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020037056
(87)【国際公開番号】W WO2020252068
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517415528
【氏名又は名称】アクソジェン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】サディク、ミンディ イー.
【テーマコード(参考)】
4C081
4H011
【Fターム(参考)】
4C081AB11
4C081AB13
4C081AB16
4C081AB18
4H011CA01
4H011CB05
4H011CB08
4H011CD02
(57)【要約】
組織の湿式保管のためのシステムおよび方法が提供される。一実施形態において、組織の湿式保存用溶液は、約0.1%~約50vol%のジメチルスルホキシド(DMSO)および1つ以上の1価または2価金属陽イオンの可溶性塩を含み得る。湿式保存組織、および、最終的な使用のための湿式保存組織の調製方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1vol%~約50vol%ジメチルスルホキシド(DMSO)と、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのうちの1つ以上の可溶性塩、または他の1価または2価金属陽イオン塩とを含む、組織の湿式保存用溶液。
【請求項2】
約2vol%~約15vol%のDMSOを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
約2vol%より多いDMSOを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
約5vol%より多いDMSOを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
約10vol%より多いDMSOを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
前記1つ以上の可溶性塩は、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する請求項1に記載の溶液。
【請求項7】
ナトリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウムを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項8】
カリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウムを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項9】
カルシウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウムを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項10】
マグネシウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.09~約0.11g/Lの塩化マグネシウムを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項11】
ナトリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.2~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウムを含む請求項1に記載の溶液。
【請求項12】
前記溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み、前記1つ以上の可溶性塩は、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する請求項1に記載の溶液。
【請求項13】
組織の試料を調製することと、
約0.1vol%~約50vol%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのうちの1つ以上の可溶性塩、または他の1価または2価金属陽イオン塩と
を含む溶液中に前記組織の試料を保管すること
を含む、組織を保存する方法。
【請求項14】
前記組織の試料は神経組織である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記神経組織は、ヒト神経組織または動物神経組織のうちの1つである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組織の試料は、ヒト血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記組織の試料は、動物血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記組織の試料を調製することは、前記組織を脱細胞化することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液は、約2vol%より多いDMSOを含む請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記溶液は、約5vol%より多いDMSOを含む請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液は、約10vol%より多いDMSOを含む請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の可溶性塩は、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する請求項13に記載の方法。
【請求項24】
ナトリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項25】
カリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項26】
カルシウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項27】
マグネシウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.09~約0.11g/Lの塩化マグネシウムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項28】
ナトリウムの前記1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウムを含む請求項13に記載の方法。
【請求項29】
前記溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み、前記1つ以上の可溶性塩は、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する請求項13に記載の方法。
【請求項30】
約0.1vol%~約50vol%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する、1つ以上の可溶性塩と
を含む溶液中に配置された組織試料を含む湿式保存組織。
【請求項31】
前記1つ以上の可溶性塩は、
約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウム;
約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウム;
約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウム;
約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウム;および/または
約0.09g/L~約0.11g/Lの塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項32】
前記組織の試料は神経組織である請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項33】
前記神経組織は、ヒト神経組織または動物神経組織のうちの1つである請求項32に記載の湿式保存組織。
【請求項34】
前記組織の試料は、ヒト血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項35】
前記組織の試料は、動物血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項36】
前記組織の試料を調製することは、前記組織を脱細胞化することを含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項37】
前記溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項38】
前記溶液は、約2vol%より多いDMSOを含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項39】
前記溶液は、約5vol%より多いDMSOを含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項40】
前記溶液は、約10vol%より多いDMSOを含む請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項41】
前記組織は、少なくとも部分的に前記溶液中に浸漬される請求項30に記載の湿式保存組織。
【請求項42】
湿式保存組織試料を使用する方法であって、
約0.1%~約50vol%ジメチルスルホキシド(DMSO)と、1つ以上の可溶性塩とを含む溶液から前記組織の試料を除去することであって、前記1つ以上の可溶性塩は、
約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、
約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、
約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または
約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオン
のうちの1つ以上を提供する、前記除去することと、
前記組織中の前記DMSOの量を減少させて所定の閾値未満に残留量にすることと
を含む、方法。
【請求項43】
前記1つ以上の可溶性塩は、
約2.5g/L~150g/Lの塩化ナトリウム;
約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウム;
約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウム;
約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウム;および/または
約0.09g/L~約0.11g/Lの塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含む
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記組織の試料は、神経組織である請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記神経組織は、ヒト神経組織または動物神経組織のうちの1つである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記組織の試料は、ヒト血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記組織の試料は、動物血管組織、泌尿器組織、腱、または筋肉組織のうちの1つ以上を含む請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記組織の試料を調製することは、前記組織を脱細胞化することを含む請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含む請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記溶液は、約2vol%より多いDMSOを含む請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記溶液は、約5vol%より多いDMSOを含む請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記溶液は、約10vol%より多いDMSOを含む請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記組織中のDMSOの残留量は50mg以下のDMSOである請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、組織の保存に関連し、より具体的には、液体培地を使用した組織の保存に関連する。
【背景技術】
【0002】
生体組織は、インビボ移植に使用される場合、同等の人工デバイスと比較して改善された機能的性能を提供することがよくある。しかしながら、組織グラフトの入手可能性および使用は、固有の供給制約と、採取、輸送、および保管のロジスティック上の懸念とによって制限されることがある。臨床移植での使用のために適切であり得る組織の採取、送達、および保管を可能にする様々な技術が開発されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、開発された技術の多くは、ドナー組織を例えば、40℃未満、より具体的には、-80℃など極低温で保管および輸送するための特殊な冷蔵装置の使用を必要とすることがある。そのような要件は、利用可能な組織を使用することができる施設を頻繁に制限することがあり、最終使用の臨床施設への組織の輸送を複雑にすることがある。また、乾燥組織を水で戻すことを含む追加のステップおよび手術前の準備時間を必要とする乾燥保存組織よりも、湿式保存組織で作業できることがより望ましい。本開示と整合するいくつかの実施は、そのような問題を克服および/または低減して、より容易に使用可能な湿式保存組織を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施によれば、組織の湿式保存用溶液は、約0.1vol%~約50vol%のジメチルスルホキシド(DMSO)を含み得る。本溶液はまた、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのうちの1つ以上の可溶性塩または他の1価または2価金属陽イオン塩を含み得る。
【0005】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。溶液は、約2vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約5vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約10vol%より多いDMSOを含み得る。
【0006】
1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.57Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供し得る。ナトリウムの1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。カリウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウムを含み得る。カルシウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウムを含み得る。マグネシウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.09~約0.11g/Lの塩化マグネシウムを含み得る。ナトリウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.2~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウムを含み得る。
【0007】
溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供する。
【0008】
別の実施によれば、組織を保存する方法は、組織の試料を調製することを含み得る。組織の試料は、約0.1vol%~約50vol%のDMSOを含む溶液中に保管され得る。溶液はまた、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのうちの1つ以上の可溶性塩、または他の1価または2価金属陽イオン塩、特にアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの塩を含み得る。
【0009】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。組織の試料は、神経組織であり得る。神経組織は、ヒト同種移植神経組織および/または動物神経組織のうちの1つであり得る。組織の試料は、ヒト血管組織、泌尿器組織、腱、および筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料は、動物血管組織、泌尿器組織、腱、および筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料を調製することは、脱細胞化(decellularizing)することを含み得る。
【0010】
溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。溶液は、約2vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約5vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約10vol%より多いDMSOを含み得る。
【0011】
1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供し得る。ナトリウムの1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。カリウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウムを含み得る。カルシウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウムを含み得る。マグネシウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.09~約0.11g/Lの塩化マグネシウムを含み得る。ナトリウムの1つ以上の可溶性塩は、約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウムを含み得る。
【0012】
溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供し得る。
【0013】
別の実施によれば、湿式保存組織は、約0.1%~約50vol%のDMSOを含む溶液中に配置された組織試料を含み得る。溶液はまた、1つ以上の可溶性塩を含み得る。1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供し得る。
【0014】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウム、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウム、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウム、約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウム、および/または約0.09g/L~約0.11g/Lの塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含み得る。
【0015】
組織の試料は、神経組織であり得る。神経組織は、ヒト神経組織および/または動物神経組織のうちの1つであり得る。組織の試料は、ヒト血管組織、泌尿器組織、腱、および/または筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料は、動物血管組織、泌尿器組織、腱、および/または筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料を調製することは、組織を脱細胞化することを含み得る。湿式保存組織試料は、最終的にヒトに、または動物に移植され得る。
【0016】
溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。溶液は、約2vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約5vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約10vol%より多いDMSOを含み得る。組織は、少なくとも部分的に溶液中に浸漬され得る。
【0017】
別の実施によれば、湿式保存組織試料を使用する方法は、約0.1%~約50vol%のDMSOを含む溶液中に配置された組織の試料を除去することを含み得る。溶液はまた、1つ以上の可溶性塩を含み得る。1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を提供する。本方法はまた、組織中のDMSOの量を減少させて所定の閾値未満にすることを含み得る。
【0018】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。1つ以上の可溶性塩は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウム、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウム、約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウム、約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウム、および/または約0.09g/L~約0.11g/Lの塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含み得る。
【0019】
組織の試料は、神経組織であり得る。神経組織は、ヒト神経組織および/または動物神経組織のうちの1つであり得る。組織の試料は、ヒトの血管組織、泌尿器組織、腱、および/または筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料は、血管組織、泌尿器組織、腱、および/または筋肉組織のうちの1つ以上を含み得る。組織の試料の調製は、脱細胞化することを含み得る。
【0020】
溶液は、約2vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。溶液は、約2vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約5vol%より多いDMSOを含み得る。溶液は、約10vol%より多いDMSOを含み得る。
【0021】
包装されたとき、組織中のDMSOの量は50mgを超え得るが、移植前、組織中のDMSOの量は約50mg以下であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示において、用語「~に基づく」は、「少なくとも部分的に~に基づく」を意味する。単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で特に指示がなければ、複数の指示対象を含む。用語「例示的な」は、「理想」ではなく「例」の意味で使用される。用語「含む(comprises、comprising、includes、including)」またはそれらの変形は、列記要素を含むプロセス、方法、または製品が必ずしもそれらの要素のみを含むとは限らないが、明示的に列記されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置が本来的に有する他の要素を含み得るような非排他的な包含をカバーすることを意図している。相対的な用語「約」は、記載または理解された値の±10%の変動の可能性を示すために使用される。加えて、値の範囲を記載する際に使用される用語「間」は、当該記載の最小値および最大値を含むことを意図している。
【0023】
一般に、本開示と整合する実施形態は、組織を保存するためのシステムおよび方法に関係し得る。例えば、開示されたシステムおよび方法は、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持しながら組織試料を保存可能にし得る。いくつかの実施において、組織の構造的完全性および/または機能的安定性の維持は、組織のインビボ移植の成功を可能にし得る。例示的な実施形態と整合して、保存される組織試料は、約50%未満のDMSOと1価および/または2価陽イオンおよび/または塩から選択されるものとを含む溶液に保存され得る。いくつかの実施において、本明細書に記載される溶液中での組織試料の保管は、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持しながら、組織の長期室温保管および/または一般的な冷蔵温度での保管を可能にし得る。
【0024】
本開示と整合して、様々なタイプの組織が保存され得る。例えば、例示的な例の実施形態によれば、開示されたシステムおよび方法は、例えば、その後、インビボ移植(および/または他の任意の適切な使用)に使用され得る神経組織を保存するために利用され得る。様々な追加のおよび/または代替の実施形態において、開示されたシステムおよび方法は、限定するものではないが、血管組織、泌尿器組織(例えば、膀胱壁、尿管組織、尿道組織)、骨格組織(例えば、骨、軟骨、靭帯、筋膜、腱)、筋肉組織(例えば、横紋筋および/または平滑筋組織)、皮膚、硬膜、心筋、神経組織、腸、歯肉などを含む他の組織を保存するために利用され得る。いくつかの例示的な実施形態において、組織は、例えば、臨床的修復および/または修復処置での使用を目的とした、採取されたヒト同種移植神経組織を含み得る。ヒト同種移植神経組織に加えておよび/または代替として、本明細書のシステムおよび方法はまた、動物の神経組織、および様々な他のヒト組織および/または動物組織と関連して利用され得ることを理解されたい。例示的な一実施形態によれば、神経組織または別のタイプの組織に関わらず、動物組織は、反芻動物からの組織を含み得る。
【0025】
いくつかの実施において、例えば、組織の意図された最終用途に基づいて1つ以上の特定の組織タイプを単離し得る様々なプロセスを介して、保存のために組織試料は調製され得る。例えば、例示的な一実施形態において、組織は、インビボ移植のために意図された神経組織を含み得る。そのような一実施形態において、組織はドナー(例えば死体など)から採取され得、洗浄および処理して、目的の組織を単離し得る。例示的な実施形態において、採取されたヒト神経組織は、洗浄され得る(例えば、脂肪および/または抗原を含む他の無関係な非神経組織および成分を除去するために)。さらに、採取された神経組織は、組織を脱細胞化するために、様々な化学的および酵素的プロセスを受け得る。組織試料を洗浄し、かつ、脱細胞化するために様々なプロセスが利用され得、したがって、本開示は、任意の特定の調製プロセスに限定されることを意図するものではないことが理解されたい。保存用の組織試料の調製のための適切な一例示的方法論は、「Method for Decellularization of Tissue Grafts」と題された米国特許第9,572,911号に記載され、その全体の開示は参照によって本明細書に援用される。しかしながら、組織試料の調製のための様々な他の方法が使用され得ることを理解されたい。
【0026】
組織試料が所望の方法で保管するために調製されると(例えば、洗浄および/または脱細胞化および/または任意の他の処理ステップを介して)、その組織試料は、組織の長期保存を可能にし得る、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持する保存溶液中に配置され得る。一般に、本開示は、湿式保管アプローチを提供し、それによって組織は、組織保管の期間中、保存溶液中に配置され得る。いくつかの実施において、保存溶液で少なくとも部分的に満たされ得るリザーバ(例えば、任意の適切な液体封じ込め容器を含み得る)に組織を包装することによって、組織保管の期間中、組織は保存溶液中に配置され得る。そのようなある実施と整合して、保存溶液中に配置された組織は、組織の保管期間中、少なくとも部分的に保存溶液に浸漬されたままであり得る。いくつかの実施形態において、組織を保存溶液で飽和させることにより、組織を保存溶液中に配置し得る。その後、保存溶液で飽和された組織は、保管中の組織の乾燥速度を防止および/または低減し得る適切な包装構成で密封され得る。そのような実施において、飽和組織は保存溶液中に配置され得るが、包装は、飽和組織自体の外側に遊離した保存溶液を比較的ほとんど含まないか、または全く含まない場合がある(例えば、リザーバおよび/または他の液体封じ込め容器を少なくとも部分的に満たし得る保存溶液に組織が少なくとも部分的に浸漬され得る実施形態と比較して)。組織は、所望のレベルの飽和を達成するために好適な期間保存溶液に浸漬することによるなど、任意の適切な方法において、保存溶液で飽和させ得る。
【0027】
一般的に上述したように、いくつかの実施形態と整合して、組織は、密閉された容量の保存溶液に組織を保持し得る液体封じ込め容器に保管することができる。いくつかの実施形態において、組織の周囲の保存溶液の容量を最小限にし得る。例えば、組織は、保存溶液で飽和され、その後、組織試料の周囲に限定されるか、または全く過剰でない液体量を提供し得る液体封じ込め容器に含まれ得る。異なる液体封じ込め容器および異なる保持量の保存溶液(例えば、組織試料のサイズおよび/または体積に関連して)を利用する様々な実施が達成され得ることが理解されるであろう。適切な液体封じ込め容器の例には、限定するものではないが、密封されたバイアル、密封されたホイルポーチ、剥離可能および/または破裂可能なフィルムまたはホイルシールを備えたプラスチックブリスター包装、または任意の他の適切な液体封じ込め容器が含まれ得る。
【0028】
いくつかの実施において、組織試料は、例えば、保存溶液中に配置される前後のいずれかに滅菌され得る。例示的な実施形態において、組織試料は、保存溶液を含む液体封じ込め容器中に密封され得、続いて例えば、一般的に知られる方法において、ガンマ線を使用して滅菌され得る。いくつかの実施において、ガンマ線による滅菌は、例えば、-80℃のオーダーの温度など低温で実行され得るが、そのようなパラメータは、利用するその滅菌プロセスによって異なり得る。さらにいくつかの実施形態において、インビボ移植の前に組織試料中の保存溶液の1つ以上の成分の量は、組織試料中のその成分の所望の残留量を提供するために、所定の閾値以下に低減され得る。例えば、いくつかの実施形態において、組織試料は、例えば、残留保存溶液の量を所望の閾値以下に減少させるために、攪拌の有無にかかわらず、1つ以上の吸液プロセスおよび/またはリンスプロセスを受け得る。そのような例と整合して、インビボ移植時に、組織試料を液体封じ込め容器から取り出し得、乳酸リンガー液(Lactated Ringers Solution、「LRS」)、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)または他の適切なリンス溶液/液体などの適切なリンス溶液を含むリンス槽に配置され得る。いくつかの実施形態において、組織試料の移植の前に、1つより多いリンス溶液が利用され得、および/または1つより多い吸液および/またはリンス操作が実行され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の吸液および/またはリンス操作を実行して、組織試料中のDMSO量を所望の閾値残留量以下に減少させ得る。例示的な一例の実施形態において、組織試料をリンスして、組織試料中のDMSO量を移植前に50mg以下に減少させ得る。例えば、例示的な一例のリンスプロトコルでは、組織試料を100mLの0.9%塩化ナトリウムリンス溶液(例えば、通常の生理食塩水溶液)で10分間洗浄して、DMSO量を50mg以下に減少させ得る。他の吸液および/またはリンスプロトコルを利用して、異なる残留量のDMSOを有する組織試料を提供し得ることが理解されたい。いくつかの実施形態において、1つ以上のリンス操作を実行して、組織試料中の保存溶液の1つ以上の他の成分の量を、所望の残留閾値量以下に減少させ得る。
【0029】
上述したように、様々な実施形態と整合して、本開示と整合する保存溶液中の組織試料の湿式保管は、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持しながら組織を長期保管可能にし得る。例えば、本開示と整合する保存溶液中に保管された脱細胞化ヒト神経組織は、組織試料内の個々の神経内膜管の構造に基づいて、神経突起伸長バイオアッセイおよび神経内膜管評価の組織学的評価を使用して評価されるように、良好な安定性を示した。
【0030】
述べたように、いくつかの例示的実施において、組織試料の構造的完全性および機能的安定性は、本開示と整合して保存溶液内で長期保管期間にわたって維持され得る。例えば、いくつかの実施において、本開示と整合した保存溶液は、保管された組織の約2年のオーダーの有用な貯蔵寿命を達成することができる場合がある。組織タイプ、保管条件、およびその溶液配合に応じて、より長いか、またはより短い有用な貯蔵寿命が達成され得ることが理解されたい。いくつかの実施において、組織試料の構造的完全性および/または機能的安定性は、極低温保管を使用することなく、本明細書の保存溶液を使用して達成され得る。例えば、いくつかの従来の組織保管アプローチは、保管プロセスの一部として低温を利用し得る。例えば、いくつかの保管プロセスは、約-80℃のオーダーの保管温度を利用し得る。いくつかの実施形態において、本開示と整合する保存溶液は、室温での、および/または容易に入手可能な従来の冷蔵システムで達成可能な冷蔵レベルでの組織の長期保管を可能にし得る。様々な実施形態と整合して組織の長期保管は、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持しながら、約10℃~約30℃、および、より具体的には、15℃~約30℃の範囲の温度で達成され得る。他の実施によれば、より低いか、またはより高い保管温度が利用され得る。そのような温度で組織の長期保管を達成する能力は、極めて低い保管温度が可能な特殊な冷蔵装置にアクセスできない可能性のある臨床環境に役立ち得る。同様に、そのような温度で組織の長期保管を達成する能力は、特殊な低温輸送を必要とせずに、組織の輸送を容易にし得る(例えば、組織試料を調製する可能性のある製造施設から臨床施設などの最終用途環境へ)。
【0031】
例示的な実施形態において、組織の湿式保存用の溶液は、組織の構造的完全性および/または機能的安定性を維持しながら組織試料の長期保管を可能にし得る様々な塩と組み合わせたDMSO溶液を含み得る。一実施形態において、溶液は、溶液の約50vol%未満のDMSOを含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶液は、約0.1vol%~約50vol%のDMSOを含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶液は約15vol%未満のDMSOを含み得る。いくつかの実施において、溶液は、溶液の約2vol%より多いDMSOを含み得る。他の例示的な複数の例によれば、溶液は溶液の約2vol%~約15vol%のDMSOの、任意の濃度のDMSOを含み得る。例えば、溶液は、溶液の約5vol%のDMSO、溶液の10vol%の、および溶液の約2vol%~約15vol%のDMSOの任意の他の増分値を含み得る。さらに、様々な実施において、溶液は、例えば、溶液の約2vol%~約10vol%のDMSOを含み得る。いくつかの実施において、溶液は、溶液の約2vol%~約5vol%のDMSOを含み得る。いくつかの実施において、溶液は、溶液の約5vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。いくつかの実施において、溶液は、溶液の約10vol%~約15vol%のDMSOを含み得る。いくつかの実施において、溶液は、溶液の約5vol%~約10vol%のDMSOを含み得る。
【0032】
一般的に上述されたように、湿式保存溶液は、様々な1価陽イオンおよび/または2価陽イオンおよび/または塩(例えば、溶液中で様々な1価陽イオンおよび/または2価陽イオンを提供し得る)のうちの1つ以上を含み得る。本開示に好ましい塩のそれぞれが解離することが認識されているので、本明細書に使用されるとき、したがって用語「溶液」または「湿式保存溶液」は、DMSOおよび溶液を形成するために使用される可溶性塩の溶液、ならびにDMSOおよびそれらの塩の解離から提供される独立した1価および/または2価陽イオンおよび/または陰イオンの溶液を指し、それらを含むために使用される。例えば、溶液は、限定するものではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および/または亜鉛など1つ以上の異なる1価金属陽イオンおよび/または2価金属陽イオンを含み得る。一実施形態において、溶液は、1つ以上の陽イオンの寄与体として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム、および/または塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含み得る。他の実施形態において、異なる塩が陽イオンの寄与体として利用され得ることが理解されたい。一例示的な例において、1つ以上の可溶性塩は、約43mM~約2.6Mのナトリウム陽イオン、約2.7mM~約5.4mMのカリウム陽イオン、約0.9mM~約2.7mMのカルシウム陽イオン、および/または約0.945mM~約1.2mMのマグネシウム陽イオンのうちの1つ以上を含み得る。
【0033】
いくつかの例示的な例の実施形態において、溶液は、約2.5g/L~約150g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶液は、約2.5g/L~約12g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶液は、約2.5g/L~約6g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶液は約6g/L~約12g/Lの塩化ナトリウムを含み得る。
【0034】
いくつかの例示的な例の実施形態において、溶液は、約0.2g/L~約0.4g/Lの塩化カリウムを含み得る。一例示的な例の実施形態において、溶液は約0.3g/Lの塩化カリウムを含み得る。いくつかの例示的な例の実施形態において、溶液は約0.1g/L~約0.3g/Lの塩化カルシウムを含み得る。一例示的な例の実施形態において、溶液は約0.2g/Lの塩化カルシウムを含み得る。いくつかの例示的な例の実施形態において、溶液は約0.09g/L~約0.11g/Lの塩化マグネシウムを含み得る。一例示的な例の実施形態において、溶液は約0.1g/Lの塩化マグネシウムを含み得る。いくつかの例示的な例の実施形態において、溶液は約0.2g/L~約0.8g/Lの重炭酸ナトリウムを含み得る。一例示的な例において、溶液は、約0.4g/Lの重炭酸ナトリウムを含み得る。様々な実施形態において、前述の塩および/または前述の塩によって与えられる陽イオンのうちの1つ以上は、溶液から除外され得る。さらに、いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の塩および/または陽イオンが含まれ得る。
【0035】
前述の例示的な実施形態のいくつかは、神経グラフト用途で使用するために神経組織を保存するという文脈で説明されてきたが、本明細書で記載される原理、特徴、および/または利点は、他のタイプの組織および/または他の意図された用途のための組織に等しく適用し得ることが理解されたい。溶液、組織、および保存方法論は、様々な改変、変形、および置換され得ることも理解されたい。したがって、本開示は、開示された例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲全体が与えられるべきである。
【国際調査報告】