(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】光学系、及び光学系を製造する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20220809BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220809BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20220809BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
G02B3/00 A
G02B1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021502943
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2019069455
(87)【国際公開番号】W WO2020016393
(87)【国際公開日】2020-01-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ウィルフリッド
(72)【発明者】
【氏名】プシュカ,アガーテ
(72)【発明者】
【氏名】ベルデュッチ,ティンダラ
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
【Fターム(参考)】
2H042AA06
2H042AA15
2H042AA23
2H042AA26
2H042AA28
2H042AA29
2K009AA15
(57)【要約】
【解決手段】本明細書は、放射線を受ける第1の表面(11)及び第1の表面と反対側の第2の表面(13)を有する層(16)を備えた光学系(5) に関する。層は放射線を通さず、第1の表面で開口している完全に又は部分的に開いている孔(18)を有している。光学系は、層を覆うマイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイを更に備えている。光学素子は、1μm~100 μmの範囲内の焦点距離を有する集光レンズとして動作するように夫々構成されている。第1の表面及び第2の表面から等距離の表面と光学素子の焦点との間の距離は、層の厚さの2倍より小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(5) であって、
放射線を受ける第1の表面(11)及び前記第1の表面と反対側の第2の表面(13)を有する層(16)を備えており、
前記層は前記放射線を通さず、前記第1の表面で開口している完全に又は部分的に開いている孔(18)を有しており、
前記光学系は、前記層を覆うマイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイを更に備えており、前記光学素子は、1μm~100 μmの範囲内の焦点距離を有する集光レンズとして動作するように夫々構成されており、
前記第1の表面及び前記第2の表面から等距離の表面と前記光学素子の焦点との距離は、前記層の厚さの2倍より小さいことを特徴とする光学系。
【請求項2】
少なくとも第1の入射角範囲の、前記第1の表面(11)に直交する方向に対する入射角を有する前記放射線の光線を遮断し、前記少なくとも第1の入射角範囲とは異なる少なくとも第2の入射角範囲の、前記第1の表面に直交する方向に対する入射角を有する前記放射線の光線を通すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイは、マイクロメートルサイズのレンズのアレイ、マイクロメートルサイズのフレネルレンズのアレイ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型マイクロレンズのアレイ、又はマイクロメートルサイズの回折格子のアレイを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイは、マイクロメートルサイズのレンズのアレイを有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項5】
前記マイクロメートルサイズのレンズ(14)の焦点面は同一化されていることを特徴とする請求項4に記載の光学系。
【請求項6】
前記マイクロメートルサイズのレンズ(14)は円形又は六角形の基部を有しており、六角形のパターンに従って配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学系。
【請求項7】
前記マイクロメートルサイズのレンズ(14)は正方形の基部を有しており、正方形のパターンに従って配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学系。
【請求項8】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイは、マイクロメートルサイズの非球面レンズのアレイを有していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項9】
前記非球面レンズ(14)は、周縁部分(44)に囲まれた中央部分(42)を夫々有しており、前記周縁部分の曲率半径は前記中央部分の曲率半径より大きいことを特徴とする請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記非球面レンズは、-1の円錐定数、及び前記非球面レンズのピッチの1/3 ~2/3 の範囲内の中心での曲率半径を夫々有していることを特徴とする請求項9に記載の光学系。
【請求項11】
前記レンズは球面レンズであり、前記レンズ(14)の曲率半径は前記レンズのピッチの半分より大きく、前記レンズのピッチより小さいことを特徴とする請求項4~7のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項12】
前記孔(18)の数と同数のマイクロメートルサイズの光学素子(14)を備えており、前記マイクロメートルサイズの光学素子間のピッチが、前記孔間のピッチと同一であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項13】
前記第1の表面(11)に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面と平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔(18)毎に0.1~10の範囲内であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項14】
前記孔(18)は前記光学素子(14)と同様に配置されており、
同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチ(p) が1μm~500 μmの範囲内であることを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項15】
前記第1の表面(11)に直交する方向に沿って測定された各孔(18)の高さが、0.1 μm~1mmの範囲内であることを特徴とする請求項1~14のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項16】
前記第1の表面(11)と平行に測定された各孔(18)の幅が、0.1 μm~100 μmの範囲内であることを特徴とする請求項1~15のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項17】
前記完全に又は部分的に開いている孔(18)を有する前記層(16)と、前記孔と整列した完全に又は部分的に開いている追加の孔(30)を有する追加の層(28)との積層体(10)を備えていることを特徴とする請求項1~16のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項18】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイを覆う被覆体(22)を更に備えており、
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイは前記被覆体と前記層(16)との間に配置されており、
前記被覆体(22)の屈折率が空気の屈折率とは異なることを特徴とする請求項1~17のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項19】
前記被覆体(22)の屈折率は、前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイの屈折率より小さいことを特徴とする請求項18に記載の光学系。
【請求項20】
前記被覆体(22)は、各光学素子と完全に接していることを特徴とする請求項18又は19に記載の光学系。
【請求項21】
前記被覆体(22)は、前記光学素子の最上部のみで各光学素子と接しており、前記光学素子の残り部分と空隙を画定していることを特徴とする請求項18又は19に記載の光学系。
【請求項22】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイと前記層(16)との間に支持体(12)を更に備えていることを特徴とする請求項1~21のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項23】
前記支持体(12)の屈折率が、前記層(16)の屈折率より大きいことを特徴とする請求項22に記載の光学系。
【請求項24】
前記支持体(12)の屈折率が、前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のアレイの屈折率より大きいことを特徴とする請求項22又は23に記載の光学系。
【請求項25】
前記孔(18)は、前記支持体の屈折率より小さい屈折率を有する固体、液体又は気体の材料で充填されていることを特徴とする請求項22~24のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項26】
前記マイクロメートルサイズの光学素子(14)のピッチの半分対前記支持体(12)の厚さの比のアークタンジェントが、前記孔(18)を充填する材料の屈折率対前記支持体の屈折率の比のアークサインより大きいことを特徴とする請求項25に記載の光学系。
【請求項27】
前記孔(18)はテーパ状であることを特徴とする請求項1~26のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項28】
前記光学素子(14)の焦点は、前記第2の表面(13)に対して1μmの範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1~27のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項29】
前記孔(18)毎に、前記第1の表面(11)における前記孔の大きさは、前記孔と対向する前記光学素子(14)により焦点が合わせられる前記第1の表面における前記放射線の大きさと等しいか、又は前記大きさより多くとも10%大きいことを特徴とする請求項28に記載の光学系。
【請求項30】
前記孔(18)毎に、前記第2の表面(13)における前記孔の大きさは、前記孔と対向する前記光学素子(14)により焦点が合わせられる前記第2の表面における前記放射線の大きさと等しいか、又は前記大きさより多くとも10%大きいことを特徴とする請求項28又は29に記載の光学系。
【請求項31】
画像センサ(54)と、
前記画像センサを覆って角度フィルタを形成する請求項1~30のいずれか1つに記載の光学系(5) と
を備えていることを特徴とする画像取得システム(50)。
【請求項32】
前記画像センサ(54)は光検出器(60)のアレイを有しており、
前記光学素子(14)のピッチが、前記光検出器のピッチの半分より小さいことを特徴とする請求項31に記載の画像取得システム(50)。
【請求項33】
光源(72)と、
前記光源を覆う請求項1~30のいずれか1つに記載の光学系(5) と
を備えていることを特徴とする照明、ディスプレイ又は照明システム(70)。
【請求項34】
前記光源(72)は、前記光学素子(14)の焦点を含む面に対して0.1 μmの範囲内に設けられている放射線(74)の放射領域を有しており、
前記孔(18)毎に、前記第1の表面(11)に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面と平行に測定された前記孔の幅の比が5より大きく、前記光学系は放射線を平行にするためのデバイスの機能を果たすことを特徴とする請求項33に記載の照明、ディスプレイ又は照明システム(70)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、光学系及び光学系を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学系は、光線の軌道又は光の特性の変更を可能にするミラー、レンズ、回折格子のような光学素子の集合体である。光学系の適用例として、光学系が画像センサの高感度部分と撮像対象との間に配置されて、撮像対象の鮮明な画像を画像センサの高感度部分に形成することができる画像取得システムがある。別の適用例として、光検出器によって集められる光を制御するために、光学系をフォトダイオードのような1つの光検出器に連結することがある。別の適用例として、光学系が光源、例えばディスプレイスクリーンを覆って、光源によって放射される放射線を変更し、例えば夫々の表示画素によって放射される放射線を角度的にフィルタ処理することを可能にするディスプレイ又は投影システムがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ある場合には、従来の光学系を使用することが不可能である。例えば、画像取得システムの場合、従来の光学系を画像センサの高感度部分と撮像対象との間に配置することができない場合がある。画像センサが1平方センチメートルより大きい有効表面積を占め、撮像対象と画像センサの高感度部分との距離が1センチメートルより小さい場合、この問題が特に当てはまる。
【0004】
画像センサの高感度部分に形成する画像が十分鮮明であるように、撮像対象を画像センサに最も近い場所に置く必要がある。しかしながら、撮像対象と画像センサとの間に距離がある場合があるため、画像センサの高感度部分に形成する画像の鮮明さが、ある用途、例えば指紋の取り込みには不十分な場合がある。
【0005】
従って、厚さを減少した光学系の必要性がある。
【0006】
実施形態の別の目的は、光学系の製造方法を工業規模で実施可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、実施形態は、光学系であって、放射線を受ける第1の表面及び前記第1の表面と反対側の第2の表面を有する層を備えており、前記層は前記放射線を通さず、前記第1の表面で開口している完全に又は部分的に開いている孔を有しており、前記光学系は、前記層を覆うマイクロメートルサイズの光学素子のアレイを更に備えており、前記光学素子は、1μm~100 μmの範囲内の焦点距離を有する集光レンズとして動作するように夫々構成されており、前記第1の表面及び前記第2の表面から等距離の表面と前記光学素子の焦点との距離は、前記層の厚さの2倍より小さいことを特徴とする光学系を提供する。
【0008】
実施形態によれば、前記光学系は、少なくとも第1の入射角範囲の、前記第1の表面に直交する方向に対する入射角を有する前記放射線の光線を遮断し、前記少なくとも第1の入射角範囲とは異なる少なくとも第2の入射角範囲の、前記第1の表面に直交する方向に対する入射角を有する前記放射線の光線を通すように構成されている。
【0009】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイは、マイクロメートルサイズのレンズのアレイ、マイクロメートルサイズのフレネルレンズのアレイ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型マイクロレンズのアレイ、又はマイクロメートルサイズの回折格子のアレイを有している。
【0010】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイは、マイクロメートルサイズのレンズのアレイを有している。
【0011】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズのレンズの焦点面は同一化されている。
【0012】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズのレンズは円形又は六角形の基部を有しており、六角形のパターンに従って配置されている。
【0013】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズのレンズは正方形の基部を有しており、正方形のパターンに従って配置されている。
【0014】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイは、マイクロメートルサイズの非球面レンズのアレイを有している。
【0015】
実施形態によれば、前記非球面レンズは、周縁部分に囲まれた中央部分を夫々有しており、前記周縁部分の曲率半径は前記中央部分の曲率半径より大きい。
【0016】
実施形態によれば、前記非球面レンズは、-1の円錐定数、及び前記非球面レンズのピッチの1/3 ~2/3 の範囲内の中心での曲率半径を夫々有している。
【0017】
実施形態によれば、前記レンズは球面レンズであり、前記レンズの曲率半径は前記レンズのピッチの半分より大きく、前記レンズのピッチより小さい。
【0018】
実施形態によれば、前記光学系は、前記孔の数と同数のマイクロメートルサイズの光学素子を備えており、前記マイクロメートルサイズの光学素子間のピッチが、前記孔間のピッチと同一である。
【0019】
実施形態によれば、前記第1の表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面と平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔毎に0.1~10の範囲内である。
【0020】
実施形態によれば、前記孔は前記光学素子と同様に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチが1μm~500 μmの範囲内である。
【0021】
実施形態によれば、前記第1の表面に直交する方向に沿って測定された各孔の高さが、0.1 μm~1mmの範囲内である。
【0022】
実施形態によれば、前記第1の表面と平行に測定された各孔の幅が、0.1 μm~100 μmの範囲内である。
【0023】
実施形態によれば、前記光学系は、前記完全に又は部分的に開いている孔を有する前記層と、前記孔と整列した完全に又は部分的に開いている追加の孔を有する追加の層との積層体を備えている。
【0024】
実施形態によれば、前記光学系は、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイを覆う被覆体を更に備えており、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイは前記被覆体と前記層との間に配置されており、前記被覆体の屈折率が空気の屈折率とは異なる。
【0025】
実施形態によれば、前記被覆体の屈折率は、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイの屈折率より小さい。
【0026】
実施形態によれば、前記被覆体は、各光学素子と完全に接している。
【0027】
実施形態によれば、前記被覆体は、前記光学素子の最上部のみで各光学素子と接しており、前記光学素子の残り部分と空隙を画定している。
【0028】
実施形態によれば、前記光学系は、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイと前記層との間に支持体を更に備えている。
【0029】
実施形態によれば、前記支持体の屈折率が、前記層の屈折率より大きい。
【0030】
実施形態によれば、前記支持体の屈折率が、前記マイクロメートルサイズの光学素子のアレイの屈折率より大きい。
【0031】
実施形態によれば、前記孔は、前記支持体の屈折率より小さい屈折率を有する固体、液体又は気体の材料で充填されている。
【0032】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズの光学素子のピッチの半分対前記支持体の厚さの比のアークタンジェントが、前記孔を充填する材料の屈折率対前記支持体の屈折率の比のアークサインより大きい。
【0033】
実施形態によれば、前記孔はテーパ状である。
【0034】
実施形態によれば、前記光学素子の焦点は、前記第2の表面に対して1μmの範囲内に設けられている。
【0035】
実施形態によれば、前記孔毎に、前記第1の表面における前記孔の大きさは、前記孔と対向する前記光学素子により焦点が合わせられる前記第1の表面における前記放射線の大きさと等しいか、又は前記大きさより多くとも10%大きい。
【0036】
実施形態によれば、前記孔毎に、前記第2の表面における前記孔の大きさは、前記孔と対向する前記光学素子により焦点が合わせられる前記第2の表面における前記放射線の大きさと等しいか、又は前記大きさより多くとも10%大きい。
【0037】
実施形態は、画像センサと、前記画像センサを覆って角度フィルタを形成する既に定義されているような光学系とを備えていることを特徴とする画像取得システムを更に提供する。
【0038】
実施形態によれば、前記画像センサは光検出器のアレイを有しており、前記光学素子のピッチが、前記光検出器のピッチの半分より小さい。
【0039】
実施形態は、光源と、前記光源を覆う既に定義されているような光学系とを備えていることを特徴とする照明、ディスプレイ又は照明システムを更に提供する。
【0040】
実施形態によれば、前記光源は、前記光学素子の焦点を含む面に対して0.1 μmの範囲内に設けられている放射線の放射領域を有しており、前記孔毎に、前記第1の表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面と平行に測定された前記孔の幅の比が5より大きく、前記光学系は放射線を平行にするためのデバイスの機能を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0041】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0042】
【
図1】開口部を有する層及びマイクロレンズのアレイを備えた光学系の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【
図2】
図1に示されている光学系の、開口部を有する層を示す平面図である。
【
図3】マイクロレンズが1より大きい屈折率を有する媒体に埋め込まれている場合の
図1の光学系の変形例を示す図である。
【
図10】
図1の光学系の別の変形例を示す図である。
【
図11】
図1の光学系の別の変形例を示す図である。
【
図12】開口部を有する層の透過率の変化曲線を示す図表である。
【
図13】異なる形状の孔を有する角度フィルタの光学特性を示す図である。
【
図14】
図1の光学系の他の光学特性を示す図である。
【
図15】シミュレーションのために使用された開口部を有する層及びマイクロレンズのアレイを備えた光学系の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【
図16】
図15の光学系に関して第1の大きさ及び光学パラメータで得られて正規化された透過率の変化曲線を示す図表である。
【
図17】
図15の光学系に関して第2の大きさ及び光学パラメータで得られて正規化された透過率の変化曲線を示す図表である。
【
図18】マイクロレンズの配置の実施形態を示す図である。
【
図19】マイクロレンズの配置の別の実施形態を示す図である。
【
図20】マイクロレンズの配置の別の実施形態を示す図である。
【
図21】球面のマイクロレンズ及び複数の開口部を有する層の1つの開口部のレベルでの
図1の光学系の断面図を左側部分に示し、左側部分に示されているマイクロレンズで得られた焦点スポットの平面図を右側部分に示す図である。
【
図23】画像取得システムの実施形態を示す図である。
【
図24】照明システム又は投影システムの実施形態を示す図である。
【
図25】
図3に示されている光学系を製造する方法の実施形態の工程を示す図である。
【
図30】第1の孔形状を得るためのパラメータを示す図である。
【
図31】第2の孔形状を得るためのパラメータを示す図である。
【
図32】
図3に示されている光学系を製造する方法の別の実施形態の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態で共通の構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有する場合があり、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有する場合がある。
【0044】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが図示され、詳細に記載されている。特に、画像センサの構造は当業者に広く知られており、以下に詳細に記載されない。
【0045】
以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を表す用語、又は「水平方向」、「垂直方向」などの方向を表す用語を参照するとき、特に指定されていない場合、この用語は図面の向き又は通常の使用位置での光学系を指す。
【0046】
「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、特に指定されていない場合、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0047】
透過率は、光学系5 から出る放射線の強度対光学フィルタに入る放射線の強度の比に相当する。以下の記載では、層又は膜を通る放射線の透過率が10%未満であるとき、その層又は膜は放射線を通さないとする。以下の記載では、層又は膜を通る放射線の透過率が10%を超えるとき、その層又は膜は放射線を通すとする。実施形態によれば、同一の光学系に関して、放射線を通さない光学系の全ての要素の透過率は、前記放射線を通す光学系の要素の最も低い透過率の半分より低く、好ましくは5分の1より低く、より好ましくは10分の1より低い。
【0048】
更に以下の記載では、「有用な放射線」は、動作中に光学系を横切り、光学系に関連付けられた光源によって放射されるか又は光学系に関連付けられた検出器によって取り込まれる電磁放射線を表す。以下の記載では、「マイクロメートルサイズの光学素子」は、支持体の表面と平行に測定された最大寸法が1μmより大きく1mmより小さい前記表面に形成された光学素子を表す。以下の記載では、40℃での酸素に対する膜又は層の透過率が1.10-1cm3/(m2・day)より低いとき、その膜又は層は酸素気密性とする。酸素に対する透過率を、「Standard Test Method for Oxygen Gas Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Coulometric Sensor」というASTM D3985法に従って測定してもよい。以下の記載では、40℃での水に対する膜又は層の透過率が1.10-1g/(m2・day)より低いとき、その膜又は層は水密性とする。水に対する透過率を、「Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor」というASTM F1249法に従って測定してもよい。以下の記載では、固体、液体又は気体の材料の屈折率は、有用な放射線の波長領域に関する材料の屈折率に相当する。屈折率は、特に指定されていない場合、有用な放射線の波長領域に亘って実質的に一定とみなされ、例えば有用な放射線の波長領域に亘る屈折率の平均とみなされる。
【0049】
実施形態によれば、複雑な光学系がない状態で画像取得システムの画像センサによって取得される画像の鮮明さを高めるために、一可能性として、角度フィルタの機能を果たして開口部が横切る不透明層を有し、複数の開口部を有する不透明層の1つの開口部と夫々関連付けられているマイクロメートルサイズ又はナノメートルサイズの光学素子のアレイで覆われた単純な構造の光学系で画像センサを覆うことがある。光学素子のアレイは、例えばマイクロメートルサイズのレンズ若しくはマイクロレンズのアレイ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型マイクロレンズのアレイ、又はマイクロメートルサイズ若しくはナノメートルサイズの回折格子のアレイである。
【0050】
マイクロメートルサイズの光学素子がマイクロメートルサイズのレンズ又はマイクロレンズに夫々相当する場合のマイクロメートルサイズの光学素子のアレイを備えた光学系に関して、このような光学系の実施形態を記載する。しかしながら、マイクロメートルサイズの光学素子がマイクロメートルサイズのフレネルレンズ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型レンズ又はマイクロメートルサイズの回折格子に夫々相当してもよい、他のタイプのマイクロメートルサイズの光学素子を用いてこれらの実施形態が実施されてもよいことは明らかなはずである。
【0051】
図1は、光学系5 の実施形態を示す部分的な断面略図である。光学系5 は、
図1の下から上に、
- 例えば平面で平行な上面11及び下面13を有して開口部を有する層10と、
- 開口部を有する層10を覆う中間層12(中間層12は空気膜と取り替えられてもよい)と、
- 中間層12を覆うマイクロメートルサイズの光学素子14のアレイ、例えばマイクロレンズ14のアレイ(そのため、中間層12はマイクロレンズ14のアレイのための支持体の機能を果たすことができ、中間層12及びマイクロレンズ14のアレイはモノリシック型構造に相当してもよい)と
を備えている。
【0052】
図1は、光学系5 を横切る2つの光線R, R' を例として示す。マイクロレンズ14を横切る前の光線Rと上面11に垂直な方向Dとの角度を光線Rの最初の入射角と称し、マイクロレンズ14を横切った後の光線Rと上面11に垂直な方向Dとの角度を光線Rの最終の入射角αと称する。
【0053】
図2は、
図1に示されている開口部を有する層10を示す平面図である。本実施形態では、開口部を有する層10は、開口部とも称される孔18が横切る不透明層16を有している。好ましくは、孔18が不透明層16の厚さ全体に亘って延びているので、孔18は貫通孔である。別の実施形態によれば、孔18は不透明層16の厚さの一部のみ延びて、不透明層16の残り部分が孔18の底部に残存してもよい。しかしながら、この場合、場合によっては充填された孔18を有する集合体では孔18の底部の不透明層16の残り部分の厚さは十分小さく、孔18の底部の不透明層16の残り部分は、有用な放射線を通すとみなされ得る。
【0054】
実施形態によれば、孔18の分散はマイクロレンズ14の分散と同一である。例として、
図2は、マイクロレンズが正方形のパターンに分散している場合に対応する。しかしながら、マイクロレンズ14の他の配置、例えば六角形のパターンが可能である。孔18の高さにも相当する不透明層16の厚さを「h」と称する。不透明層16は入射放射線のスペクトルの全て又は一部を通さない。不透明層16は、動作中に使用される有用な放射線を通さなくてもよく、例えば有用な放射線を吸収及び/又は反射してもよい。実施形態によれば、不透明層16は、可視域若しくは可視域の一部の放射線及び/又は近赤外線及び/又は赤外線を吸収する。光学素子14のアレイを形成する材料の屈折率をn1とする。中間層12を形成する材料の屈折率をn2とする。不透明層16を形成する材料の屈折率をn3とする。孔18の充填材料の屈折率をn4とする。
【0055】
図2では、孔18が円形の断面で示されている。一般に、孔18は、使用される製造方法に応じて平面視であらゆる断面を有してもよく、例えば円形、楕円形又は多角形、特に三角形、正方形若しくは矩形の断面を有してもよい。更に
図1では、孔18は不透明層16の厚さ全体に亘って一定の断面で示されている。しかしながら、各孔18が不透明層16の厚さに亘って異なる断面を有してもよい。孔18がフォトリソグラフィ工程を有する方法によって形成される場合、孔の形状は、照射量、現像時間、フォトリソグラフィの露出源の拡がりのような方法のパラメータ及びマイクロレンズの形状によって調節されてもよい。
【0056】
実施形態によれば、孔18は行及び列に配置されている。孔18の大きさは実質的に同一であってもよい。行方向又は列方向に沿って測定される孔18の幅を「w」と称する。孔の断面が円形である場合、幅wは孔18の直径に相当する。実施形態によれば、孔18は行及び列に沿って規則的に配置されている。孔18のピッチ、つまり、行又は列の2つの連続する孔18の中心間の平面視での距離を「p」と称する。以下に更に詳細に記載されるように、孔の配置はマイクロレンズ14の配置と同一である。
【0057】
不透明層16を形成する材料が完全に吸収する場合、及び孔18の入口の孔18の幅wが孔18の出口の孔18の幅wと同一である場合、開口部を有する層10は、開口部を有する層10の上面11に対する最終入射角が、以下の関係式(1)によって定められる最大最終入射角αmax より小さい有用な入射放射線の光線のみを通す。
tanαmax =w/h (1)
【0058】
開口部を有する層10の開口角「a」は、最大最終入射角αmax の2倍である。開口角aは、完全に吸収する材料の場合に対応する。吸収率が100 %未満の場合がある実際の材料では、開口角aは、関係式(1)から得られた値より大きくてもよい。
【0059】
h/wの比は1~10の範囲内であってもよく、10を超えてもよい。ピッチpは、1μm~500 μm、好ましくは1μm~100 μm、より好ましくは10μm~50μmの範囲内であってもよく、例えば略15μmである。高さhは、0.1 μm~1mm、好ましくは1μm~130 μm、より好ましくは10μm~130 μm又は1μm~20μmの範囲内であってもよい。幅wは0.1 μm~100 μm、好ましくは1μm~10μmの範囲内であってもよく、例えば略2μmである。全ての孔18の幅wは同一であってもよい。変形例として、孔18の幅wは異なってもよい。
【0060】
マイクロレンズ14は集光レンズであり、1μm~100 μm、好ましくは5μm~50μmの範囲内の焦点距離fを夫々有している。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ14は実質的に同一である。実施形態によれば、マイクロレンズ14の最大の厚さは1μm~20μmの範囲内である。
【0061】
マイクロレンズ14及び孔18を組み合わせることにより、2つの重要なパラメータを最適化することが可能になる。より具体的には、このため、視野角を減少させながら、垂直入射での透過率を高めることが可能になる。マイクロレンズ14無しでこれら2つのパラメータを最適化するために、幅対高さの比が非常に低い開口部と大きな充填率とが必要であり、実際、これは達成するのが非常に難しい。マイクロレンズ14を孔18の上に追加することにより、開口部の形状係数及び充填率に関する制約を取り除くことが可能になる。
【0062】
図3は、
図1に示されている光学系5 の変形例を示す断面図であり、この変形例では、光学系5 は、マイクロレンズ14のアレイを覆う被覆体20を更に備えている。被覆体20は、例えば複数の層、例えば2つの層22, 24の積層体を有して上面26を有している。被覆体20は省略されてもよく、その場合、上面26はマイクロレンズ14のアレイの上面に相当する。層22の屈折率は、マイクロレンズ14のアレイの屈折率n1より小さい。変形例として、被覆体20は層22のみを有してもよい。層22の機能は、マイクロレンズ14を保護すること、及び/又は実質的に平坦な面を形成して不図示の上層との組み立てを簡略化することである。層22は、マイクロレンズ14の焦点効果を維持するためにマイクロレンズ14の屈折率より小さい屈折率を有することが好ましい。実施形態によれば、層22の屈折率は1.2 ~1.5 の範囲内であり、マイクロレンズ14の屈折率は1.4 ~1.6 の範囲内である。
【0063】
図4は、
図3に示されている光学系5 の変形例を示す断面図であり、この変形例では、被覆体20は、マイクロレンズ14のアレイに当接する膜に相当する層24のみを有している。この場合、層24とマイクロレンズ14との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズ14の最上部に限定されてもよい。層24は、マイクロレンズ14を保護するため、及び/又は実質的に平坦な面を形成して不図示の上層との組み立てを簡略化するために使用されてもよい。層24は更に、光学系5 を上層に組み立てるための接着層であってもよい。
【0064】
図5は、
図1に示されている光学系5 の別の変形例を示す断面図であり、この別の変形例では、開口部を有する層10は、マイクロレンズ14と反対の不透明層16の側で不透明層16を覆う追加の不透明層28を有しており、孔18と一列に配置された孔30がこの追加の不透明層28を横切る。
【0065】
図6は、
図5に示されている光学系5 の変形例を示す断面図であり、この変形例では、開口部を有する層10は、不透明層16, 28間に配置されて有用な放射線を通す中間層32を有している。一般に、開口部を有する層10は、孔が夫々横切る3以上の不透明層の積層体を有してもよく、隣り合う不透明層の夫々の対の不透明層は一若しくは複数の透明層によって間隔を置いて配置されてもよく又は間隔を置いて配置されなくてもよい。
【0066】
図7は、
図1に示されている実施形態の光学系5 の変形例を示す部分的な断面略図であり、この変形例では孔18の断面が一定ではない。
図7に示されている実施形態では、マイクロレンズ14との距離が増大するにつれて各孔18の断面が減少する。実施形態によれば、孔18は実質的にテーパ状である。実施形態によれば、上面11側の孔18の直径は2μm~10μmの範囲内であり、下面13側の孔18の直径は1μm~5μmの範囲内である。
【0067】
図8は、
図1に示されている実施形態の光学系5 の変形例を示す部分的な断面略図であり、この変形例では、開口部を有する層10が、有用な放射線を少なくとも部分的に通す第1の材料で形成された基層34を有しており、基層34は、有用な放射線を通さない、例えば有用な放射線を吸収及び/又は反射する第2の材料で形成された被覆体36で覆われている。第1の材料は樹脂であってもよい。第2の材料は、金属、例えばアルミニウム(Al)若しくはクロム(Cr)、金属合金又は有機材料であってもよい。この材料は、層16の特性に応じて又は層16の特性に関係なく
図8に示されているように孔の壁を覆ってもよい。
【0068】
図9は、
図1に示されている実施形態の光学系5 の別の変形例を示す部分的な断面略図であり、この別の変形例では、有用な放射線を反射する反射層38が、マイクロレンズ14の反対側で開口部を有する層10の表面を覆っている。
図9では、孔18は、マイクロレンズ14に適合された形状、例えば実質的に円筒状の形状を有する。反射層38は金属層であってもよく、例えばアルミニウム(Al)又はクロム(Cr)の層であってもよい。
【0069】
図10は、テーパ状の孔18に関する
図9と同様の図であり、マイクロレンズ14に対向する各孔18の直径が最大である。
【0070】
図11は、
図9に示されている実施形態の光学系5 の変形例を示す部分的な断面略図であり、この変形例では、反射層38は、マイクロレンズ14の反対側で開口部を有する層10の表面を覆い、場合によっては孔18の内側の側壁を覆う。
【0071】
図9、
図10及び
図11に示されている実施形態により、斜めの光線に対する角度フィルタ5 の遮断、反射又は吸収を高めることが可能になることが有利である。
【0072】
実施形態によれば、層16はポジ型レジストで形成されており、すなわち、放射線に露出するレジスト層の部分が現像剤に可溶性になり、放射線に露出しないレジスト層の部分が現像剤に不溶性のままであるレジストで形成されている。不透明層16は、着色樹脂、例えば着色又は黒色のDNQ-Novolack樹脂又はDUV (深紫外)レジストで形成されてもよい。DNQ-Novolack樹脂は、ジアゾナフトキノン(DNQ )及びノボラック樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂)の混合物に基づいている。DUV レジストは、ポリヒドロキシスチレンに基づくポリマーを含んでもよい。
【0073】
別の実施形態によれば、層16はネガ型レジストで形成されており、すなわち、放射線に露出するレジスト層の部分が現像剤に不溶性になり、放射線に露出しないレジスト層の部分が現像剤に可溶性のままであるレジストで形成されている。ネガ型レジストの例として、エポキシポリマー樹脂、例えばSU-8の名称で商品化されている樹脂、アクリル樹脂、及び非化学量論的チオール-エン(OSTE)ポリマーがある。
【0074】
別の実施形態によれば、層16は、レーザで機械加工可能な材料、すなわちレーザ照射の作用下で分解し得る材料で形成されている。レーザで機械加工可能な材料の例として、グラファイト、厚さが小さい(典型的には50nm~100 nmの)金属膜、プラスチック材料、例えばポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS) 、又は着色されたプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET) 、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN) 、シクロオレフィンポリマー(COP) 及びポリイミド(PI)がある。
【0075】
更に例として、層16は、可視域及び/又は近赤外域の放射線を吸収する黒色樹脂で形成されてもよい。別の例によれば、層16は更に、所与の色、例えば青色、緑色若しくはシアン色の可視光線、又は赤外光を吸収する着色樹脂で形成されてもよい。これは、光学系5 が所与の色の光のみを感知可能な画像センサと共に使用される場合であってもよい。これは更に、光学系5 が可視光線を感知可能な画像センサと共に使用されて、所与の色のフィルタが画像センサと検出対象との間に配置されている場合であってもよい。
【0076】
開口部を有する層10が少なくとも2つの不透明層16, 28の積層体で形成されている場合、各不透明層は前述した材料の内の1つで形成されてもよく、不透明層は異なる材料で形成されてもよい。
【0077】
孔18, 30に、有用な放射線を少なくとも部分的に通す固体、液体又は気体の材料、特に空気、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)が充填されてもよい。変形例として、有用な放射線の光線の波長をフィルタ処理すべく部分的に吸収する材料が孔18, 30に充填されてもよい。そのため、光学系5 は波長フィルタの機能を更に果たしてもよい。このため、光学系5 とは異なる色フィルタが設けられる場合に対して光学系5 の厚さを減少させることが可能になる。部分的に吸収する充填材料は、PDMSのような着色樹脂又は着色されたプラスチック材料であってもよい。
【0078】
孔18, 30の充填材料は、開口部を有する層10と接する中間層12と屈折率を適合させるため、及び/又は構造を堅くして開口部を有する層10の機械抵抗を高めるため、及び/又は垂直入射での透過を高めるために選択されてもよい。更に充填材料は、光学系5 を別のデバイス、例えば画像センサに組み立てることを可能にする液体又は固体の接着材料であってもよい。中間層12が封止膜であることを考慮すると、充填材料は更に、光学系が表面に載置されるデバイス、例えば画像センサの封止のために使用されるエポキシ樹脂又はアクリル系接着剤であってもよい。この場合、接着剤が孔18に充填され、画像センサの表面と接する。接着剤によって、光学系5 を画像センサ上に積層することが更に可能になる。
【0079】
省略してもよい中間層12は有用な放射線を少なくとも部分的に通す。中間層12は、透明なポリマー、特にPET 、PMMA、COP 、PEN 、ポリイミド、誘電性高分子若しくは無機高分子(SiN, SiO2) の層又は薄いガラス層で形成されてもよい。既に示したように、中間層12及びマイクロレンズ14のアレイはモノリシック型構造に相当してもよい。更に中間層12は、光学系5 が取り付けられるデバイス、例えば画像センサの保護層に相当してもよい。画像センサが有機材料で形成される場合、中間層12は、有機材料を保護する水密性及び酸素気密性のバリア膜に相当してもよい。例として、この保護層は、開口部を有する層10と接するPET 膜、PEN 膜、COP 膜及び/又はPI膜の表面上の1μm程度のSiN 堆積物に相当してもよい。中間層12の厚さ、又は中間層12が空気膜と取り替えられる場合の空気膜の厚さは、1μm~500 μm、好ましくは5μm~50μmの範囲内である。中間層12が固体材料の膜に相当する場合、中間層12の厚さは、市販の膜の標準的な厚さに相当してもよく、例えば12μm、19μm、23μm、36μm、50μm又は100 μmであってもよい。開口部を有する層10をマイクロレンズ14と分離する距離に関して他の値が望ましい場合、一可能性として、マイクロレンズ14のアレイを全てのマイクロレンズに共通の基層上に形成し、基層を中間層上に載置して、中間層12及び基層を有する積層体の厚さ全体を調節可能にすることがある。
【0080】
被覆体20は、有用な放射線を少なくとも部分的に通す。被覆体20の最大の厚さは0.1 μm~10mmの範囲内であってもよい。上面26は実質的に平面であってもよく、又は湾曲した形状であってもよい。
【0081】
実施形態によれば、層22はマイクロレンズ14の形状に沿う層である。層22は、光学透明接着剤(OCA) 、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、又は低屈折率の材料、又はエポキシ樹脂/アクリル系接着剤、又はガス若しくはガス状混合物、例えば空気の膜から形成されてもよい。層22がマイクロレンズ14の形状に沿う場合、層22は、マイクロレンズ14の材料の屈折率より低い低屈折率の材料で形成されていることが好ましい。層22は、非粘着性の透明な材料である充填材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、層22は、マイクロレンズ14のアレイに当接する膜、例えばOCA 膜に相当する。この場合、層22とマイクロレンズ14との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズの最上部に限定されてもよい。そのため、層22は、層22がマイクロレンズ14の形状に沿う場合より高い屈折率の材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、層22は、マイクロレンズ14のアレイに当接するOCA 膜に相当し、接着剤は、膜22がマイクロレンズの表面の形状に完全に又は実質的に完全に沿うことを可能にする特性を有する。実施形態によれば、層22の屈折率はマイクロレンズ14の屈折率より小さい。実施形態によれば、層24は、層22に関して既に示された材料の内の1つで形成されてもよい。層24は省略されてもよい。層24の厚さは1μm~100 μmの範囲内である。
【0082】
実施形態によれば、孔18の数と同数のマイクロレンズ14が設けられている。マイクロレンズ14の配置は孔18の配置と同一であることが好ましい。特に、隣り合うマイクロレンズ14の光学的中心間のピッチは孔18の前述したピッチpと同一である。
【0083】
別の実施形態によれば、マイクロレンズ14は、平面視で多角形の基部、特に正方形、矩形、五角形又は六角形の基部を有してもよい。マイクロレンズ14は平面視で実質的に互いに接触することが好ましい。このため、垂直入射での角度フィルタの透過を高めることが可能になることが有利である。別の実施形態によれば、マイクロレンズ14は平面視で円形又は楕円形の基部を有してもよい。
【0084】
マイクロレンズ14の焦点面は同一化されていることが好ましい。マイクロレンズ14の焦点面は、実質的に不透明層16の厚さ分を越えて又は不透明層16から離れて設けられてもよい。実施形態によれば、マイクロレンズの焦点面は、不透明層16の厚さhの0倍より大きく1.5 倍までの範囲内で上面11から離れて設けられている。実施形態によれば、マイクロレンズの焦点面は、実質的に開口部を有する層10の下面13のレベルに設けられており、例えば下面13に対して1μmの範囲内、好ましくは0.5 μmの範囲内、より好ましくは0.1 μmの範囲内に設けられている。実施形態によれば、孔18の断面が一定ではない場合、上面11側の各孔18の入口の大きさは、上面11でマイクロレンズによって屈折する光ビームの直径と等しいか、又はこの直径より僅かに大きく、下面13側の各孔18の大きさは、集束される光の表面積と等しいか、又はこの表面積より僅かに大きい。しかしながら、上面11側の各孔18の入口の大きさは、隣り合うマイクロレンズからの光とのクロストークを回避するために既に記載されている大きさに対して減少してもよい。更に、下面13側の各孔18の大きさは、隣り合うマイクロレンズからの光とのクロストークを回避するため、及び/又は角度フィルタの開口角を減少させるために既に記載されている大きさに対して減少してもよい。
【0085】
実施形態によれば、全てのマイクロレンズ14は同一の形状を有する。別の実施形態によれば、マイクロレンズ14は異なる形状を有する。マイクロレンズ14は、シリカ、PMMA、ポジ型レジスト、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン、エポキシ樹脂又はアクリレートで形成されてもよい。マイクロレンズ14は、レジストブロックのクリープにより形成されてもよい。マイクロレンズ14は更に、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン、エポキシ樹脂又はアクリルポリマーの層の成型、特にUV成型又は熱成型により形成されてもよい。
【0086】
上面11側の各孔18の直径が下面13側の孔18の直径と等しい場合に光学系5 の透過率を高めるために、開口部を有する層10の対称面がマイクロレンズ14の焦点面にあることが望ましい。開口部を有する層10の対称面は上面11及び下面13から等距離の面である。開口部を有する層10の視野角「a」は、各開口部18が、隣り合うレンズからの光線を可能な限り通過させ得ない一方、関連するマイクロレンズ14からの光線を最大数集めるように選択されている。実施形態によれば、開口角「a」は2×arctan(D/2f)より小さいように選択されており、ここで、Dは、マイクロレンズが円形の基部を有する場合のマイクロレンズの基部の直径であり、より一般的にはマイクロレンズの基部の最大寸法である。
【0087】
図12は、平行にされた入射放射線の入射角αに応じた、マイクロレンズ14のアレイがない状態の光学系5 の透過率Trの変化曲線C1を示し、そのため、前述した最初の入射角及び最終の入射角は同一化されている。垂直入射での透過率Tr0 は、0°の入射角αの透過率である。大きな角度での透過率Tr∞は、入射角αが±90°に近づくときに透過率Trが近づく限界である。大きな角度での透過率Tr∞は、不透明層16の表面反射率が大きな角度で増加することを考慮した、不透明層16を形成する材料の透過性を表す。
図12に示されている例では、大きな角度での透過率Tr∞は、実質的に5%である。実施形態によれば、不透明層16の屈折率n3は中間層12の屈折率n2より小さい。別の実施形態によれば、不透明層16の屈折率n3は中間層12の屈折率n2より大きい。有用な放射線を完全に通さない材料では、大きな角度での透過率Tr∞は、実質的に0%である。視野角を曲線C1の半値全幅(FWHM)と称する。光学系5 の対象とする開口部18のクロストークは、対象とする開口部と隣り合う開口部18の出口での光強度と対象とする開口部に入る光の光強度との比に等しい。
【0088】
図13は、
図13の左側部分に示されている円筒状の孔18を有する
図1の角度フィルタと
図13の右側部分に示されているテーパ状の孔18を有する
図7の角度フィルタとの光学特性の差を示す。その他は同一の構造に関して、光線Rの最初の入射角に応じた光の透過率の減少は、テーパ状の孔を有する角度フィルタより円筒状の孔を有する角度フィルタでより遅くなる。従って、円筒状の孔を有する角度フィルタの角度選択性は、テーパ状の孔を有する角度フィルタの角度選択性より低い。一般に、孔18の形状は、特に所望の角度選択性に応じて適合されてもよい。
【0089】
図14は、光学系5 の別の光学特性を示す
図1と同様の図である。実施形態によれば、中間層12を形成する材料と孔18の充填材料とを選択することにより、隣り合う孔18間のクロストークが減少し、最終入射角が大きい光線に関して全反射が中間層12と孔18との界面で得られる。全反射をこの界面で得るために、屈折率n4は屈折率n2より小さいべきである。最終入射角が以下の関係式(2)によって定められる最小入射角α
min より大きい光線に関して、全反射が中間層12と孔18との界面で得られる。
α
min =arcsin(n4/n2) (2)
【0090】
更に実施形態によれば、隣り合う孔18間のクロストークを制限するために、マイクロレンズ14のピッチの半分対支持体12の厚さの比のアークタンジェントは最小入射角αmin より大きい。
【0091】
例として、孔18に空気(1の屈折率n4)が充填されており、中間層12がPMMA(1.48の屈折率n2)で形成されている場合、最小入射角αmin は略42°であり、孔18に空気が充填されており、中間層12がPET (1.65の屈折率n2)で形成されている場合、最小入射角αmin は略37°である。最小入射角αmin が小さい程、全反射を可能にする可能な入射角の数は多くなる。このため、中間層12の所与の厚さに関して、隣り合う孔18間のクロストークを減少させながら、隣り合うマイクロレンズ14間のピッチを減少させることが特に可能になる。更に、屈折率n1が屈折率n2より小さい場合、中間層12は、光を案内して中間層12の厚さに亘って減衰させた後、角度フィルタ5 の側縁部で孔18を通って透過しなかった光を取り除くことが可能な、光のための案内素子になる。
【0092】
垂直入射での透過率Tr0 は、特にマイクロレンズ14の充填率に応じて決められ、すなわち、平面視で領域に存在するマイクロレンズ14によって占める表面積対この領域の表面積の比に応じて決められる。実際、隣り合うマイクロレンズ14を分離する間隙を減少させることにより、垂直入射での透過率Tr0 を高めることが可能になる。
【0093】
図15は、シミュレーションを行うために示され使用された
図3に示されている構成に応じた第1の光学系5 を示す断面図である。第1の光学系5 では、マイクロレンズ14のピッチは20μmであった。マイクロレンズ14のアレイは、最大の厚さが6.5 μmであるマイクロレンズが載置されている1.5 μmの厚さの共通の層を有した。マイクロレンズ14の曲率半径は11.1μmであった。マイクロレンズ14は、
図3の媒体22のように屈折率が1.34の媒体に浸されている。中間層12の厚さは36μmであった。各孔18の入口の直径は8μmであり、各孔18の出口の直径は4μmであった。不透明層16の厚さは15μmであった。本発明者らは、シミュレーションによって垂直入射で得られた透過率が60%であったと決定した。
【0094】
図16は、
図15に示されている光学系5 の正規化された透過率の変化曲線C2を示す。正規化された角度・透過率ピークの最大値の半分での角度として定められる視野角は2.2 °であった。
【0095】
図15に示されている構成に応じた第2の光学系5 が形成されている。第2の光学系5 では、マイクロレンズ14のピッチは12μmであった。マイクロレンズ14のアレイは、最大の厚さが2μmであるマイクロレンズが載置されている1.5 μmの厚さの共通の層を有した。マイクロレンズ14の曲率半径は9.9 μmであった。中間層12の厚さは19μmであった。マイクロレンズ14は、
図1に示されているように屈折率が1の媒体に配置されている。各孔18の入口の直径は5μmであり、各孔18の出口の直径は2μmであった。不透明層16の厚さは10μmであった。本発明者らは、シミュレーションによって垂直入射で得られた透過率が64%であったと決定した。
【0096】
図17は、第2の光学系5 の正規化された透過率の変化曲線C3を示す。視野角は2.4 °であった。屈折率が低い媒体22を備えた第1の光学系5 の構造により、マイクロレンズ14と光学系5 上に組み立てられた部分との間の空隙の存在を回避することが可能になる。しかしながら、媒体22を備えない第2の光学系5 の構造は、製造方法及び光学系5 の組み立てを簡略化することができる空隙を必要とする。
【0097】
図16及び
図17に関連して前述したシミュレーションに関して、マイクロレンズ14は球面であり、隣り合って六角形のパターンに従って配置された。しかしながら、特に以下に更に詳細に記載されるように、マイクロレンズの100 %の充填率が使用される場合、垂直入射での略80%の透過率が得られる場合がある。
【0098】
図18は、夫々のマイクロレンズ14が円形の基部を有するマイクロレンズ14の配置の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、マイクロレンズ14は、マイクロレンズのアレイの周縁部を除いて正方形のパターンに従って行及び列に配置されており、各マイクロレンズ14の縁部39は、点線で示されている正方形内に平面視で内接しており、これらの正方形は他の4つの正方形と共通の辺を夫々有している。そのため、略78%の充填率が得られる。
【0099】
図19は、夫々のマイクロレンズ14が円形の基部を有するマイクロレンズ14の配置の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、マイクロレンズ14は、マイクロレンズのアレイの周縁部を除いて六角形のパターンに従って配置されており、各マイクロレンズ14の縁部は、点線で示されている六角形内に平面視で内接しており、これらの六角形は他の6つの六角形と共通の辺を夫々有している。従って、マイクロレンズ14は、実質的に分離点のみで接触する。このような配置によって、90%の充填率に達することが可能になり、すなわち、正方形のパターンに従った円形の基部のマイクロレンズ14の配置で達することができる充填率よりかなり高い充填率に達することが可能になる。マイクロレンズ14が夫々実質的に球面である場合、マイクロレンズの曲率半径は、マイクロレンズ14のピッチPより小さい。
【0100】
図20は、夫々のマイクロレンズ14が円形の基部を有するマイクロレンズ14の配置の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、マイクロレンズ14は、マイクロレンズのアレイの周縁部を除いて六角形のパターンに従って配置されており、各マイクロレンズ14の理論的な縁部39は平面視で六角形に外接しており、これらの六角形は他の6つの六角形と共通の辺を夫々有している。そのため、隣り合うマイクロレンズ14が部分的に重なり合う。このような配置により、100 %の充填率に達することが可能になり、すなわち、
図19に示されている六角形のパターンの充填率より高い充填率に達することが可能になる。実施形態によれば、マイクロレンズ14が夫々実質的に球面である場合、マイクロレンズの曲率半径は、マイクロレンズ14のピッチPの半分より大きい。実施形態によれば、マイクロレンズ14が非球面である場合、各マイクロレンズは、-1の円錐定数、及びマイクロレンズのピッチの1/3 ~2/3 の範囲内の中心での曲率半径を有している。
【0101】
前述した実施形態では、マイクロレンズ14は円形の基部を夫々有している。しかしながら、円形の基部を有するマイクロレンズ以外のマイクロレンズを使用してもよい。実施形態によれば、正方形の基部又は六角形の基部を有するマイクロレンズ14を使用してもよい。このような配置により、略100 %の充填率に達することが可能になる。しかしながら、高過ぎる充填率を得ること、特に2つの隣り合うマイクロレンズからの光のクロストークを減少させることは望ましくない場合がある。
【0102】
図21は、マイクロレンズ14が球面である実施形態におけるマイクロレンズ14及び複数の開口部18を有する層10の1つの開口部18のレベルでの
図1の光学系5 の一部の断面図を左側部分に示す。
図21は、左側部分に示されている球面のマイクロレンズ14で得られた焦点スポット40の平面図を右側部分に更に示す。マイクロレンズ14の球面収差により、ゼロの最初の入射角の光線は全て1つのポイントに焦点を合わせるわけではない。そのため、焦点スポット40はぼやけた輪郭を有する場合がある。更に、このため、ある光線、特にマイクロレンズ14の周縁部でマイクロレンズ14に達する光線は開口部を有する層10によって遮断されるので、ゼロの入射角での理論的な透過率Tr0 に対して実際に得られるゼロの入射角での透過率Tr0 を減少させる場合がある。角度選択性が更に高くなる。
【0103】
図22は、各マイクロレンズ14が非球面である実施形態の
図21と同様の図である。非球面のマイクロレンズ14は、凹状又は凸状の周縁部分44に囲まれた凸状の中央部分42を有してもよい。非球面のマイクロレンズ14によって、鮮明な焦点スポット40を得ることが可能になる。更に、非球面のマイクロレンズ14によって、開口部を有する層10によって遮断されない光線の数を増加させることが可能になるので、非球面のマイクロレンズ14によって、マイクロレンズが球面である実施形態に対してゼロの入射角での透過率Tr0 を高めることが可能になる。実施形態によれば、周縁部分44は凸状であり、周縁部分44の曲率半径は、マイクロレンズ14の凸状の中央部分42の曲率半径より小さい。更に、非球面のマイクロレンズ14によって、球面のマイクロレンズ14に対して焦点スポット40の大きさを減少させることが可能になるため、孔18の幅wを減少させて、ひいては角度フィルタの選択性を高めることが可能になる。
【0104】
実施形態によれば、反射材料の層を各開口部18の側部に堆積させてもよい。別の実施形態によれば、開口部18の側部を粗面化する方法を実施してもよい。この方法はプラズマに関する方法であってもよい。実施形態によれば、開口部18の側部の算術粗さは10nm~1μmの範囲内である。
【0105】
光学系5 の適用例を、画像取得システムの角度フィルタに関して記載する。
【0106】
図23は、放射線52を受ける画像取得システム50の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム50は、
図23の下から上に、
- 上面56を有する画像センサ54と、
- 角度フィルタを形成して上面56を覆う光学系5 と
を備えている。
【0107】
実施形態によれば、画像センサ54は、
図23の下から上に、
- 支持体58と、
- 支持体58を覆う、光検出器とも称される光子センサ60のアレイと、
- 光検出器60のアレイを覆って、光検出器60のアレイ及び光学系5 の間に配置されて、上面56を画定している電気絶縁層62と、
- 電気絶縁層62と開口部を有する層10との間に接着剤として使用されている透明層64と
を有している。
【0108】
画像センサ54は、導電性トラックと、光検出器60の選択を可能にする不図示のスイッチング素子、特にトランジスタとを更に有している。画像取得システム50は、例えばマイクロプロセッサを有する、画像センサ54によって出力される信号を処理するための手段(不図示)を更に備えている。
【0109】
図23には、光検出器60が、実質的に一定のピッチで間隔を空けて示されている。光検出器60は有機材料で形成されてもよい。光検出器60は、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。光検出器60は無機材料で形成されてもよい。光検出器60は、CMOSトランジスタのアレイに関連付けられた単結晶シリコンフォトダイオード、又はCMOSトランジスタのアレイに関連付けられたアモルファスシリコンフォトダイオードに相当してもよい。実施形態によれば、光学系5 に対向して光検出器60を有する画像センサ54の表面積は1cm
2 より大きく、好ましくは5cm
2 より大きく、より好ましくは10cm
2 より大きく、特には20cm
2 より大きい。画像センサ54の上面56は実質的に平面であってもよい。変形例として、画像センサ54の上面56は湾曲してもよい。
【0110】
絶縁層62は有用な放射線を通す。絶縁層62の厚さは10nm~50μmの範囲内である。絶縁層62は、特に層24が接着層である場合に層22及び層24に関して前述された材料の内の少なくとも1つで形成されてもよい。実施形態によれば、絶縁層62は設けられない。絶縁層62は更に酸素気密性及び/又は水密性を有してもよい。別の実施形態によれば、絶縁層62は設けられず、光学系5 が光検出器60のアレイに直接接する。
【0111】
実施形態によれば、各光検出器60は、400 nm~1,100 nmの波長領域の電磁放射線を検出することができる。全ての光検出器60は、同一の波長領域の電磁放射線を検出可能であってもよい。変形例として、光検出器60は、異なる波長領域の電磁放射線を検出可能であってもよい。
【0112】
特に各光検出器60が、45°未満、好ましくは30°未満、より好ましくは20°未満、更により好ましくは10°未満、特には5°未満の最大入射角より小さい、上面26に垂直な軸芯に対する入射角を有する光線のみを受けるように、画像センサ54を覆う角度フィルタ5 は、上面26に対する入射放射線52の入射角に応じて入射放射線52をフィルタ処理することができる。角度フィルタ5 は、上面26に垂直な軸芯に対する最初の入射角が最初の最大入射角より大きい入射放射線の光線を遮断することができる。
【0113】
実施形態によれば、光検出器60は行及び列に分散してもよい。
図23では、光検出器60のピッチは孔18のピッチと同一である。そのため、各孔18が光検出器60に対向するように、開口部を有する層10が画像センサ54と整列していることが好ましい。実施形態によれば、開口部18の断面の面積対関連する光検出器60の平面視での面積の比は、1/10~1/2 の範囲内である。別の実施形態によれば、孔18のピッチpは、画像センサ54の光検出器60のピッチより小さく、例えば光検出器のピッチの半分より小さく、好ましくは光検出器60のピッチの4分の1より小さい。この場合、複数の孔18が同一の光検出器60に対向して配置されてもよい。別の実施形態によれば、孔18のピッチpは画像センサ54の光検出器60のピッチより大きい。この場合、複数の光検出器60が同一の孔18に対向して配置されてもよい。
【0114】
光学系5 の別の適用例を、照明システム又は表示システムのコリメーションデバイスに関して記載する。
【0115】
図24は、平行にされた光を出力する照明システム70の実施形態を示す部分的な断面略図である。照明システム70は、
図24の下から上に、
- 平行にされていない放射線74を放射する光源72と、
- 光源72を覆って光源72によって放射される放射線74を受ける、前述したような光学系5 と
を備えており、
図24では被覆体20は設けられておらず、開口部を有する層10は光源72とマイクロレンズ14のアレイとの間に配置されている。
【0116】
光源72の放射面は光学系5 の焦点面により近く、好ましくは光学系5 の焦点面に対して0.1 μmの範囲内に設けられていることが好ましい。更に、構想される用途に応じて、所与のマイクロレンズ14に対向する開口部18から出る光線が隣り合うマイクロレンズを横切らないために、層10の孔18の形状係数(高さ対幅の比)が高く、好ましくは5より大きい。実際、この場合、出力光線を平行にしない。前述したように、開口部18のアスペクト比により層10の開き角を調節してもよい。
【0117】
本実施形態では、光学系5 は、光源72によって出力される放射線74を平行にすることを可能にするコリメーションデバイスの機能を果たす。
図24では、光源72は実質的に平面の放射面で示されている。変形例として、光源72の放射面は湾曲してもよい。
図24では、光源72は、光学系5 の下で延びている連続的な光源として示されている。しかしながら、光源72が個別の光源を有してもよく、個別の光源が孔18の内の1つと夫々整列してもよいことは明らかなはずである。
【0118】
図25~
図29は、
図3に示されている光学系5 を製造する方法の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0119】
図25は、マイクロレンズ14のアレイを中間層12上に形成した後に得られた構造を示す。変形例として、マイクロレンズ14のアレイを中間層12とは異なる支持体上に形成してもよく、中間層12が設けられる場合には中間層12を形成する前又は中間層12が設けられない場合には開口部を有する層10を形成する前、この支持体を除去する。実施形態によれば、マイクロレンズ14を製造する際、マイクロレンズ14を形成する材料の層を中間層12又は別の支持体上に形成し、この層を、例えば型を用いて変形してマイクロレンズを形成する。別の実施形態によれば、マイクロレンズ14を成型によって形成する。
図25では、マイクロレンズ14は個別に又は略個別に隣り合って示されている。変形例として、マイクロレンズ14のアレイは、
図14に示されているように全てのマイクロレンズに共通の基層を有してもよい。
【0120】
図26は、被覆体20が設けられる場合に被覆体20をマイクロレンズ14のアレイ上に形成した後に得られた構造を示す。被覆体20が設けられない場合、
図25に関連して前述した工程の後、
図27に関連して以下に記載される工程を直接行ってもよい。実施形態によれば、被覆体20を形成する工程は、
- 層22を形成する材料の液体層又は粘性層をマイクロレンズ14のアレイ上に堆積させる工程(このようにして、液体層はマイクロレンズ14の形状に沿う。この層は、好ましくは自己平坦化する。すなわち、この層は実質的に平面の自由表面を自動的に形成する)、
- 液体層を硬化させて層22を形成する工程(この工程は、層22を形成する材料を、特に熱架橋及び/又は紫外線ビームによる照射によって架橋結合する工程を含んでもよい)、並びに
- 例えば層22上に膜を積層することにより、層22上に又は層22が設けられない場合にはマイクロレンズ層14と接して層24を形成する工程
を有してもよい。
【0121】
図27は、マイクロレンズ14のアレイと反対側に不透明層16を中間層12上に形成した後に得られた構造を示す。不透明層16を液相成長法、カソードスパッタリング法又は蒸着法によって堆積させてもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンのような方法を特に使用してもよい。実施される堆積法に応じて、堆積材料を乾燥させる工程を行ってもよい。
【0122】
図28は、マイクロレンズ14を横切る平行にされた放射線76に不透明層16の一部78を孔18の所望の位置で露出する工程中に得られた構造を示す。
【0123】
図29は、入射放射線76に露出した不透明層16の部分78を現像剤に溶解させて孔18を形成する、不透明層16の現像工程中に得られた構造を示す。このようにして開口部を有する層10が得られる。現像剤の組成は、使用されたポジ型レジストの性質に応じて決められる。
【0124】
この方法は、孔18を充填材料で充填する工程を含むその後の工程を有してもよい。
【0125】
不透明層16を露出するために使用される放射線は、使用されるレジストに応じて決められる。例として、放射線76は、DNQ-Novolack樹脂の場合には略300 nm~450 nmの範囲内の波長を有する放射線であり、DUV レジストでは紫外線である。不透明層16を放射線76に露出する継続時間は、特に使用されるポジ型レジストのタイプに応じて決められ、好ましくは不透明層16の露出部分78が不透明層16の厚さ全体を横切って延びるのに十分である。
【0126】
不透明層16の露出を、マイクロレンズ14を通して行う。得られた孔18の形状は、特に不透明層16を形成する材料の吸収特性及び散乱特性、並びに入射ビームの形状に応じて決められる。実施形態によれば、不透明層16は、好ましくはマイクロレンズ14の焦点面に又はマイクロレンズ14の焦点面の近くに配置される。実施形態によれば、マイクロレンズ14に達する入射放射線76は、実質的に不透明層16のレベルで又は不透明層16の近くで各マイクロレンズ14によって焦点が合わされるように実質的に平行にされる放射線である。マイクロレンズ14を通して不透明層16を放射線76に露出するときに所望の大きさのスポットを不透明層16上に得るために、不透明層16はマイクロレンズ14の焦点面に対して偏移されてもよい。上面26に対する放射線76の傾斜が、画像取得システム50の通常使用中に光検出器によって取り込まれる放射線と上面26とによって形成される平均傾斜に実質的に相当することが好ましい。実施形態によれば、放射線76は実質的に上面26に垂直である。別の実施形態によれば、放射線76は上面26に垂直な方向に対して傾いているため、マイクロレンズ14に対して偏移した孔18を得ることが可能になる。
【0127】
図30は、放射線76が不透明層16を形成する材料によって強度に散乱し、実質的に不透明層16の対称面で焦点が合うときに露出する部分78の形状の例を示す。
図29に示されているような実質的に円筒状の孔18が得られてもよく、すなわち、孔の断面は一定である。
【0128】
しかしながら、前述したように、孔18の断面積は一定でなくてもよい。例として、孔18の形状がテーパ状であってもよい。
【0129】
図31は、放射線76が不透明層16を形成する材料によって軽く散乱し、実質的にマイクロレンズ14に対して不透明層16の下流側で焦点が合うときに露出する部分78の形状の例を示す。
図7に示されているような実質的にテーパ状の孔18が得られてもよい。
【0130】
一般に、樹脂の現像パラメータ及び露出パラメータによって、孔の外形を調節することが可能になる。別の実施形態によれば、入射放射線76は、例えば1°より大きい拡がり角の拡がりを示し、そのため、マイクロレンズ14に達する入射放射線76の拡がり角は調節されて、不透明層16に形成される孔18の幅が調整される。
【0131】
別の実施形態によれば、特に被覆体20が設けられない場合、適宜の屈折率を有する材料の層を露出工程中にマイクロレンズ14のアレイ上に一時的に配置して、露出部分78が所望の大きさを有するようにマイクロレンズ14の焦点距離を変更してもよい。
【0132】
実施形態によれば、例えば、上面26に直交する方向に対して光源の傾きを変更することにより、及び/又は光源をマイクロレンズ14のアレイに近づけるか若しくはマイクロレンズ14のアレイから離すことにより、平行にするか又は平行にしない露出放射線76を放射する光源は、孔18の所望の形状に応じて露出工程中にマイクロレンズ14のアレイに対して移動してもよい。例として、露出放射線76を放射する光源はループ状に移動してもよいため、環状の断面の孔18を得ることができる。このような孔の形状によって、少なくとも第1の入射角範囲の、上面26に直交する方向に対する最初の入射角を有する光線の通過を妨げて、前記少なくとも第1の入射角範囲とは異なる少なくとも第2の入射角範囲の、上面26に直交する方向に対する入射角を有する光線を通す帯域通過角度フィルタを形成することが特に可能になる。
【0133】
実施形態によれば、マイクロレンズ14は、露出放射線76の波長に応じて異なる焦点を有してもよい。レジスト層16はこれらの異なる波長に感応してもよい。変形例として、開口部を有する層10が複数の感光層16, 28の積層体を含む場合、各感光層は特定の波長の放射線に感応してもよい。そのため、露出工程は、所望の形状の孔18, 30を得るために一又は複数の感光層をこれらの異なる波長の放射線に露出する工程を有してもよい。
【0134】
図32及び
図33は、
図3に示されている光学系5 を製造する方法の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0135】
本製造方法の実施モードの最初の工程は、層16が、開口部を有する層10の孔18を充填するための材料の層と取り替えられて、更に有用な放射線を通すネガ型レジストで形成されている点を除いて、
図25~29に関連して前述した工程を有する。
【0136】
図32は、露出工程中に使用された放射線76に露出しなかったネガ型レジスト層の部分を現像剤に溶解させる、ネガ型レジストの現像工程中に得られた構造を示す。従って、露出工程で露出したネガ型レジスト層の部分はパッド80を形成する。現像剤の組成は、使用されたネガ型レジストの性質に応じて決められる。
【0137】
図33は、例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンによって、不透明層16をパッド80間に形成した後に得られた構造を示す。実施形態によれば、不透明層を構造全体、特にパッド80上に堆積させ、パッド80を覆う不透明層の部分を、例えばフォトリソグラフィ、エッチング又はリフトオフの工程によって取り除く。このようにして、パッド80は孔18を不透明層16に画定する。このようにして開口部を有する層10が得られる。実施形態によれば、リフトオフ法の実施は、中間層12と接するパッド80の基部の大きさがパッド80の最上部の大きさより小さいことをパッド80毎に必要とする場合がある。
図32に関連して前述したネガ型レジスト層の露出工程中にマイクロレンズ14の焦点面を中間層12に設けることにより、このような形状のパッド80の製造を行ってもよい。
【0138】
図3に示されている光学系5 を製造する方法の別の実施形態は、特に放射線76がレーザ放射線に相当する場合に層16が放射線76の作用下で分解し得る材料で形成されている点を除いて、
図25~29に関連して前述した工程を有する。このレーザ放射線の照射は、マイクロメートルサイズの光学素子14のアレイの損傷を回避するために十分低く、部分78のレベルで層16を分解するためにマイクロメートルサイズの光学素子14のアレイによって平行にした後に十分高い。
図28に関連して前述した露出工程で放射線76に露出した部分78は、この放射線によって破壊されるので孔18を直接形成する。従って、開口部を有する層10が得られる。
【0139】
実施形態によれば、光学系を製造する方法はロールツーロール法に相当してもよい。別の実施形態によれば、光学系の製造方法はシートツーシート法に相当してもよい。
【0140】
開口部を有する層10が、
図5又は
図6に示されているように孔18, 30を夫々有する少なくとも2つの層16, 28の積層体を有する場合、前述した実施形態の製造方法のいずれかに応じて、孔18を有する第1の層16を最初に形成し、第1の層16の存在を考慮して孔30を有する第2の層28を次に形成する。
【0141】
前述した実施形態の製造方法では、マイクロレンズ14に対する孔18の位置合わせを、孔18を形成する方法自体によって自動的に行うことが有利である。更に、開口部を有する層10が、孔18, 30を夫々有する少なくとも第1及び第2の不透明層16, 28の積層体を有する場合、第1の不透明層16の孔18に対する第2の不透明層28の孔30の位置合わせを、第2の不透明層28の孔30を形成する方法自体によって自動的に行う。
【0142】
図1及び
図2に示されている光学系5 を製造する方法の別の実施形態によれば、開口部を有する層10及びマイクロレンズ14のアレイを個別に形成し、その後、互いに接合する。この場合、開口部を有する層10を製造する方法の実施形態では、着色樹脂層を支持体に堆積させ、フォトリソグラフィにより着色樹脂層にパターンを印刷し、着色樹脂層を現像して、開口部を有する層10のみを保持する。開口部を有する層10を製造する方法の別の実施形態では、開口部を有する層10の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を、フォトリソグラフィ工程によって形成し、開口部を有する層10を形成する材料を樹脂型に充填し、得られた構造を樹脂型から取り除く。開口部を有する層10を製造する方法の別の実施形態では、着色膜、例えばPDMS膜、PMMA膜、PEC 膜、COP 膜を穿孔する。孔18の所望の大きさ及びピッチを得るために、例えば微小針を有する微小穿孔ツールを使用して穿孔を行ってもよい。
【0143】
図8に示されている開口部を有する層10を製造する方法の実施形態は、
- 例えばスピンコーティング又はスロットダイコーティングによって、ポジ型レジスト層を支持体に堆積させる工程、
- フォトリソグラフィによりポジ型レジスト層に開口部を有する層10のパターンを印刷する工程、
- ポジ型レジスト層を現像して孔18を有する基層34のみを保持する工程、並びに
- 特には基層34上にのみ被覆体36を形成する第2の材料を選択的に堆積させる、例えば蒸着させることにより、又は構造全体に亘って、すなわち基層34、孔18の側壁及び孔18の底部に被覆体36を形成する第2の材料の層を堆積させて、次に孔18の底部にある第2の材料を取り除くことにより、基層34及び孔18の側壁上に被覆体36を形成する工程
を有する。
【0144】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。特に、
図5~11に示されている開口部を有する層10の記載された実施形態は、
図18、
図19、
図21及び
図22に関連して前述したマイクロレンズ14のアレイの実施形態と共に使用されてもよい。
【0145】
最後に、本明細書に記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上記に与えられる機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0146】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第18/56709 号明細書の優先権を主張している。
【国際調査報告】