(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品用の安定したラッパー
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20220809BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20220809BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20220809BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220809BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20220809BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
A24B15/16
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021571565
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 IB2020055368
(87)【国際公開番号】W WO2020250108
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジョワイユ ティエリー
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB02
4B043BB22
4B043BB28
4B043BC05
4B043BC20
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4B162AB14
4B162AC14
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】
ニコチンを含むエアロゾル発生基体(12)と、エアロゾル発生基体の周りに配置されたラッパー(50)とを含むエアロゾル発生物品(10)。ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
ニコチン、およびグリセリンを含む少なくとも約10%のエアロゾル形成体を含むエアロゾル発生基体と、
前記エアロゾル発生基体の周りに、かつ前記エアロゾル発生基体と接触して配置されるラッパーであって、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を備える、ラッパーと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記紙層が、約1.0マイクロメートル/gsm~約1.2マイクロメートル/gsmの範囲内の厚さ/坪量を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記紙層が、約50マイクロメートル未満、または約40マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記紙層が、約25gsm~約45gsm、または約35gsm~約40gsmの範囲内の坪量を有する、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記紙層がPVOHまたはシリコンを含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記紙層が、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記紙層がPVOHを含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記紙層がシリコンを含む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生基体がゲル組成物を含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記ゲル組成物が大量のグリセリンを含む、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記ゲル組成物がキサンタンガムを含む、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生基体が均質化したたばこ材料を含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記均質化したたばこ材料が、たばこ材料と、約1パーセント~約5パーセントの結合剤と、約5パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体と、を乾燥質量基準で含む、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記エアロゾル発生基体が、金属誘導発熱体を含む、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生基体が、複数の金属誘導発熱体を含む、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生物品で使用されるラッパーに関し、ラッパーは、高い紙密度を有し、またエアロゾル発生基体とともに利用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした加熱式エアロゾル発生物品では、エアロゾルは、熱源と接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい、物理的に分離されたエアロゾル発生基体もしくは材料に、熱源からの熱を伝達することによって発生する。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷却されるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
エアロゾル発生基体を包むために使用される紙は、エアロゾル発生物品を通過する主流煙またはエアロゾル中に見出されるエアロゾル形成体、水、およびその他の液体化合物、または紙の周りにある湿気または水分を吸収することができる。吸収された液体は、紙を汚す、または弱化する場合があり、またエアロゾル発生物品の外観および構造完全性に悪影響を及ぼす。加熱式エアロゾル発生物品は、これらの加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体中のエアロゾル形成体のレベルが高いことに起因して、特に湿潤および破損しやすい。加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル構成成分がラッパーによって吸収される際に特に膨張しやすく、加熱装置からの取り外しの困難につながる。加熱式エアロゾル発生物品は、それらがしっかりと受容され、そしてその後加熱装置から取り外される時、特に破断しやすい。
【0004】
特に高いレベルの液体形成体またはエアロゾル形成体を含有するエアロゾル発生物品に対して、視覚的および機械的に安定した、巻かれたエアロゾル発生基体を提供することが望ましいことになる。
【0005】
エアロゾル発生基体中に含有される水または化合物を吸収することによって膨張しないラッパーを含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【0006】
エアロゾル発生基体中に含有されるグリース化合物に対してグリースバリアを提供するラッパーを含むエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【0007】
また、このラッパーが、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルの味覚に影響を及ぼさないことも望ましいことになる。
【0008】
また、このラッパーが、発熱体に近接する場合に、容易に燃焼しないことも望ましいことになる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記に述べた望ましい技術的利点のうちの一つ以上を少なくとも部分的に解決することであってもよい。
【0010】
本開示によると、ニコチンを含むエアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の周りに配置されたラッパーとを備えるエアロゾル発生物品が提供される。ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を備える。
【0011】
本開示によると、ニコチンおよび少なくとも約10%のエアロゾル形成体(グリセリンを含む)を含むエアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の周りに配置され、かつエアロゾル発生基体と接触するラッパーと、を備えるエアロゾル発生物品が提供される。ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を備える。
【0012】
本開示によると、エアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体を備えてもよい。エアロゾル発生基体は、ラッパーを含んでもよい。ラッパーは、エアロゾル発生基体の周りに配置されてもよい。ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を含む。
【0013】
紙層は、約1.0マイクロメートル/gsm~約1.2マイクロメートル/gsmの範囲内の厚さ/坪量を有することが好ましい。紙層は、約50マイクロメートル未満、または約40マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。ラッパーは、約25gsm~約45gsm、または約35gsm~約40gsmの範囲内の坪量を有する紙層を含む。
【0014】
紙層は、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量、および少なくとも約30度の水接触角を有することが好ましい。紙層は、少なくとも約40度、または少なくとも約45度の水接触角を有してもよい。
【0015】
「MD」という用語は、ラッパーの機械方向を指す。機械方向は、紙ストックが製紙機械の中へと、かつこれを通して流れる方向である。機械方向は、抄紙機から巻き取られる紙のロールの円周方向である。機械方向はまた、布目方向とも呼ばれる場合もある。
【0016】
「CD」という用語は、ラッパーの横方向を指す。ラッパーの横方向は、ラッパーの平面内方向である。ラッパーの横方向は、ラッパーの機械方向と直交する。
【0017】
紙層は、約2.5以下のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。紙層は、約2.2以下、または約2以下のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。紙層は、約1.8~2.2の範囲内のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。
【0018】
ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有し、また方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも1個のキットオイルサンプルに対して陰性の結果を有する紙層を備えることが好ましい。紙層は、方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも5個のキットオイルサンプル、または10個すべてのキットオイルサンプルに対して陰性の結果を有してもよい。
【0019】
ラッパーは、二つの紙層を含み、第一の紙層は第一の厚さ/坪量値を有し、また第二の紙層は第二の厚さ/坪量値を有し、そして第一の厚さ/坪量値は第二の厚さ/坪量値より小さいことが好ましい。第一の厚さ/坪量値は、1.2マイクロメートル/gsm未満であってもよく、またラッパーは、約80マイクロメートル未満の総厚さを有してもよい。
【0020】
紙層は、PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンを含むことが好ましい。紙層は、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンの添加は、ラッパーのグリースバリア特性を改善する場合がある。
【0021】
「シリコン」という用語は、シロキサンを指す。シリコンまたはシロキサンは、ポリジメチルシロキサンを含むことが好ましい。
【0022】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。たばこの均質化したたばこ材料は、たばこ材料と、約1%~約5%の結合剤と、約5%~約30%のエアロゾル形成体と、を乾燥質量基準で含んでもよい。
【0023】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、ゲル組成物を含んでもよい。ゲル組成物は、大量(重量基準)のグリセリンを含んでもよい。ゲル組成物は、キサンタンガムを含んでもよい。
【0024】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、金属誘導発熱体を含んでもよい。金属誘導発熱体は、複数の金属誘導発熱体を含んでもよい。金属誘導発熱体は、金属誘導加熱リング要素を含んでもよい。
【0025】
ラッパーは、単一の紙層で形成されてもよい。ラッパーは、二つの紙の層から形成されてもよい。ラッパーは、三つ以上の紙の層から形成されてもよい。
【0026】
ラッパーは、エアロゾル発生基体の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または好ましくはほぼ全長(長さ全体)を覆うことが好ましい。ラッパーは、エアロゾル発生基体全体を覆うことが好ましく、またエアロゾル発生基体を超えては延びない。
【0027】
ラッパーが二つ以上の紙層を有する場合、第一の紙層は、本明細書に記載の特有の特性を有してもよく、また第二の紙層は、従来の紙層と見なされてもよい。第二の紙層は、好ましくは第一の紙層の外側に配置されてもよい。別の方法として、第一の紙層は、第二の紙層の外側に配置してもよい。本明細書に記載の特有の特性を有する第一の紙層は、エアロゾル形成基体と接触していることが好ましい。
【0028】
ラッパーが二つ以上の紙層を有する場合、第一の紙層は、本明細書に記載の特有の特性を有してもよく、また第二の紙層も、本明細書に記載の特有の特性を有してもよい。ラッパーを形成するすべての紙層は、本明細書に記載の特有の特性を有してもよい。特に、ラッパーを形成する一方または両方の紙層は、PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンを含んでもよい。ラッパーを形成する一方または両方の紙層は、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。
【0029】
有利なことに、本明細書に記載のラッパーを含むエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通過する煙またはエアロゾル中の湿潤、水、エアロゾル形成体、またはグリースの吸収を低減する場合がある。結果として、高いレベルのエアロゾル形成体がエアロゾル発生基体に含まれている時でさえも、エアロゾル発生物品のラッパー部分の膨張、目に見える汚れ、および物理的な弱化が低減される場合がある。
【0030】
有利なことに、エアロゾル発生物品は、膨張を回避する視覚的および機械的に安定した、巻かれたエアロゾル発生基体を提供する。これは、加熱装置の中へと挿入される場合がある加熱非燃焼式エアロゾル発生物品のために特に有用である。エアロゾル発生物品ラッパーは、発熱体に近接する場合、燃焼に抵抗し、それ故に誘導発熱体はエアロゾル発生基体全体を通して組み込まれてもよい。
【0031】
「エアロゾル発生物品」という用語は、本明細書では、エアロゾル発生基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルを発生し、かつ消費者に送達する物品を意味するために使用される。本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0032】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが炎を紙巻たばこの一方の端に付け、もう一方の端を通して空気を吸う時に点火される。炎によって提供された局在化した熱と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素は、紙巻たばこの端部の点火を引き起こし、そしてその結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品では、エアロゾルは風味発生基体(たばこなど)を加熱することによって発生される。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成基体への熱の伝達によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本開示によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中へと挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP0822670号に記載されている。
【0033】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品との組み合わせを指す。
【0035】
「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを発生または放出する能力を有する物質を指す。エアロゾル発生基体は、固体、ペースト、ゲル、スラリー、液体であってもよく、または固体、ペースト、ゲル、スラリー、および液体化合物の任意の組み合わせを含んでもよい。好ましくは、エアロゾル発生基体は固体、またはゲル組成物である。エアロゾル発生基体は、好ましくは、ニコチンを含んでもよい。
【0036】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体およびマウスピースを備えてもよい。マウスピースはフィルターを備えてもよい。チッピングラッパーは、フィルターをエアロゾル発生基体に結合してもよい。
【0037】
エアロゾル発生基体は、固体組成物であってもよい。この組成物は、植物系材料を含んでもよい。エアロゾル発生基体は、たばこを含んでもよく、またたばこは加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出される、揮発性のたばこ風味化合物を含有することが好ましい。エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料と、エアロゾル形成体と、結合剤とを含んでもよい。
【0038】
ニコチンは、約0.5~約10重量%のニコチン、または約0.5~約5重量%のニコチンの範囲内でエアロゾル発生基体中に存在してもよい。好ましくは、エアロゾル発生基体は、約1~約3重量%のニコチン、または約1.5~約2.5重量%のニコチン、または約2重量%のニコチンを含んでもよい。
【0039】
エアロゾル発生基体は、風味剤を含んでもよい。植物材料は、エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾルの味覚に風味を付与する場合がある風味剤を提供する。風味剤は、エアロゾルの感覚刺激性の品質に影響を与える任意の天然または人工の化合物である。風味剤の供与源の非限定的な例としては、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、コーヒー、茶、シナモン、クローブ、ココア、バニラ、ユーカリ、ゼラニウム、リュウゼツラン、およびジュニパー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
エアロゾル発生基体は、精油を含んでもよい。精油は、エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾルの味覚に風味を付与する場合がある風味剤を提供する場合がある。適切な精油としては、オイゲノール、ペパーミントオイル、およびスペアミントオイルが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい精油は、オイゲノールである。精油は、少なくとも約0.1重量%、または少なくとも約0.5重量%、または少なくとも約1重量%の量で、エアロゾル発生基体中に存在してもよい。精油は、約0.1重量%~約10重量%、または約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約2%の範囲内でエアロゾル発生基体中に存在してもよい。
【0041】
エアロゾル発生基体は、ゲル組成物を含んでもよい。「ゲル」という用語は、室温における固体を指す。この文脈において「固体」とは、ゲルが安定したサイズおよび形状を有し、かつ流動しないことを意味する。この文脈において室温は摂氏25度を意味する。ゲルは、定常状態において流動を呈さない実質的に希釈系として定義されてもよい。重量基準で、ゲルはほとんど液体であってもよいが、にもかかわらずそれらは液体内の三次元架橋ネットワークに起因して固体のような挙動を示す。流体内の架橋が、その構造(硬度)をゲルに与える。このようにして、ゲルは、液体粒子が固体媒体内に分散した固体内での液体の分子の分散であってもよい。
【0042】
ゲル組成物は、固体媒体を形成するゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリンなどのエアロゾル形成体、およびグリセリン中に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、固体媒体を形成する少なくとも二つのゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリン、およびグリセリン中に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、増粘剤、および固体媒体を形成するゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリン、ならびにグリセリン内に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、ニコチン、エアロゾル形成体、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。ゲル組成物は二価のカチオンをさらに含んでもよい。
【0043】
「増粘剤」という用語は、25℃の50重量%の水/50重量%のグリセリンの混合物の中へと0.3重量%の量で均一に添加された時に、ゲルの形成をもたらすことなく粘度を増加させ、混合物が流体の状態に留まる、または流体のままになる化合物を指す。好ましくは、増粘剤とは、25℃の50重量%の水/50重量%のグリセリンの混合物に0.3重量%の量で均一に添加された時に、0.1s-1の剪断速度において、ゲルの形成をもたらすことなく、粘度を少なくとも50cPs増加させ、好ましくは少なくとも200cPs増加させ、好ましくは少なくとも500cPs増加させ、好ましくは少なくとも1000cPs増加させ、混合物が流体の状態に留まる、または流体のままになる化合物を指す。好ましくは、増粘剤とは、25℃の50重量%の水/50重量%のグリセリンの混合物に0.3重量%の量で均一に添加された時に、0.1s-1の剪断速度において、ゲルの形成をもたらすことなく、粘度を添加の前より少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも100倍より高く増加させる、混合物が流体の状態に留まる、または流体のままになる化合物を指す。
【0044】
本明細書に列挙される粘度値は、ブルックフィールドRVT粘度計を使用して、ディスクタイプRV#2スピンドルを25℃にて6回転/分(rpm)の速度で回転させて、測定することができる。
【0045】
「ゲル化剤」という用語は、50重量%の水/50重量%のグリセリンの混合物に約0.3重量%の量で添加された時、均一にゲルへと導く固体媒体または支持マトリクスを形成させる化合物を指す。ゲル化剤としては、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「水素結合架橋ゲル化剤」という用語は、水素結合を介した非共有架橋結合または物理的架橋結合を形成するゲル化剤を指す。水素結合は、水素原子への共有結合ではなく、分子間の静電気的な双極子-双極子引力の一タイプである。これは、N、O、またはF原子などの極度の電気陰性原子に共有結合された水素原子と別の極度の電気陰性原子との間の引力からもたらされる。
【0047】
「イオン架橋ゲル化剤」という用語は、イオン結合を介した非共有架橋結合または物理的架橋結合を形成するゲル化剤を指す。イオン架橋は、非共有相互作用によるポリマー鎖の会合を伴う。反対の電荷を有する多価分子が静電気的に互いに引かれる時に、架橋ポリマーネットワークを生じさせると、架橋ネットワークが形成される。
【0048】
ゲル組成物はエアロゾル形成体を含む。理想的には、エアロゾル形成体は、関連付けられたエアロゾル発生装置の動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である。適切なエアロゾル形成体としては、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセリンモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。多価アルコールまたはその混合物は、トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオールおよび、グリセリン(グリセリンもしくはプロパン-1,2,3-トリオール)またはポリエチレングリコールのうちの一つ以上であってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンであることが好ましい。
【0049】
ゲル組成物は、グリセリンなどの大量のエアロゾル形成体を含んでもよい。ゲル組成物は、水とグリセリンとの混合物を含んでもよく、ここでグリセリンはゲル組成物の大部分(重量基準で)を形成する。グリセリンは、ゲル組成物の少なくとも約50重量%を形成してもよい。グリセリンは、ゲル組成物の少なくとも約60重量%、または約65重量%、または約70重量%を形成してもよい。グリセリンは、ゲル組成物の約70重量%~約80重量%において形成してもよい。グリセリンは、ゲル組成物の約70重量%~約75重量%において形成してもよい。
【0050】
ゲル組成物は、水を含まない、または低いレベルの水しか含まないことが好ましい。ゲル組成物が水を含まない、または低いレベルの水しか含まない場合、ゲル組成物は、より高いレベルの、エアロゾル形成体、ゲル化剤、増粘剤、およびニコチンなどのその他の化合物を含んでもよい。また、水を含まない、または低いレベルの水しか含まないゲル組成物はより簡単でもあり、気化に必要なエネルギーがより少ない。水を含まない、または低いレベルの水しか含まないゲル組成物から形成されたエアロゾルは、ユーザーによってさほど高温ではないと知覚される可能性がある。ゲル組成物は、約40重量%未満の水を含むことが好ましく、約30重量%未満の水を含むことが好ましく、約25重量%未満の水を含むことが好ましい。ゲル組成物は、約20重量%未満、または約15重量%未満、または約10重量%未満、または約5重量%未満の水を含んでもよい。ゲル組成物は、いくらかの水を含むことが好ましい場合がある。組成物がいくらかの水を含む場合、ゲル組成物はより安定である。ゲル組成物は少なくとも約1重量%、または少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%の水を含むことが好ましい。ゲル組成物は少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%の水を含むことが好ましい。ゲル組成物は約15重量%~約25重量%の範囲内の水を含むことが好ましい。
【0051】
ゲル組成物は、水素結合架橋ゲル化剤およびイオン架橋ゲル化剤であるゲル化剤を含んでもよい。ゲル組成物は増粘剤をさらに含んでもよい。ゲル化剤は、エアロゾル形成体が分散されていてもよい固体媒体を形成してもよい。ゲル化剤は、エアロゾル形成体および水がその中に分散されていてもよい固体媒体を形成してもよい。水素結合架橋ゲル化剤およびイオン架橋ゲル化剤と組み合わされた増粘剤は、驚くべきことに、固体媒体を支持し、かつゲル組成物が高いレベルのグリセリンを含む時でさえもゲル組成物を維持するものと思われる。
【0052】
ゲル組成物は、約0.4重量%~約10重量%の範囲内のゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約0.5重量%~約8重量%の範囲内のゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約1重量%~約6重量%の範囲内のゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約2重量%~約4重量%の範囲内のゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約2重量%~約3重量%の範囲内のゲル化剤を含んでもよい。
ゲル組成物は、約0.2重量%~約5重量%の範囲内の増粘剤を含んでもよい。約0.5重量%~約3重量%の範囲内の増粘剤が好ましい。約0.5重量%~約2重量%の範囲内の増粘剤が好ましい。約1重量%~約2重量%の範囲内の増粘剤が好ましい。
【0053】
ゲル組成物は、約1重量%~約8重量%の合計量でゲル組成物中に存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、ゲル組成物は、約2重量%~約6重量%の合計量でゲル組成物中に存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、ゲル組成物は、約3重量%~約5重量%の合計量でゲル組成物中に存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。
【0054】
ゲル組成物は、各々約0.3重量%~約3重量%の範囲内でゲル組成物中に独立して存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、ゲル組成物は、各々約0.5重量%~約2重量%の範囲内でゲル組成物中に独立して存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、ゲル組成物は、各々約1重量%~約2重量%の範囲内でゲル組成物中に独立して存在する、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。
【0055】
増粘剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、ラムダカラギーナン、またはデンプンのうちの一つ以上を含んでもよい。増粘剤はキサンタンガムを含むことが好ましい場合がある。
【0056】
ゲル組成物は、約0.2重量%~約5重量%の範囲内の増粘剤(キサンタンガムなど)を含んでもよい。好ましくは、キサンタンガムは、約0.5重量%~約3重量%の範囲内であってもよい。好ましくは、キサンタンガムは、約0.5重量%~約2重量%の範囲内であってもよい。好ましくは、キサンタンガムは、約1重量%~約2重量%の範囲内であってもよい。
【0057】
水素結合架橋ゲル化剤は、ガラクトマンナン、ゼラチン、アガロース、またはコンニャクガム、または寒天のうちの一つ以上を含んでもよい。水素結合架橋ゲル化剤は、寒天を含むことが好ましい場合がある。
【0058】
ゲル組成物は、約0.3重量%~約5重量%の範囲内の水素結合架橋ゲル化剤(寒天など)を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約0.5重量%~約3重量%の範囲内の水素結合架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約1重量%~約2重量%の範囲内の水素結合架橋ゲル化剤を含んでもよい。
【0059】
イオン架橋ゲル化剤は、低アシルジェラン、ペクチン、カッパカラギーナン、イオタカラギーナンまたはアルギネートを含んでもよい。イオン架橋ゲル化剤は、低アシルジェランを含むことが好ましい場合がある。
【0060】
ゲル組成物は、約0.3重量%~約5重量%の範囲内のイオン架橋ゲル化剤(低アシルジェランなど)を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約0.5重量%~約3重量%の範囲内のイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約1重量%~約2重量%の範囲内のイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。
【0061】
ゲル組成物は二価のカチオンをさらに含んでもよい。好ましくは、二価のカチオンは、溶液中の乳酸カルシウムなどのカルシウムイオンを含んでもよい。二価のカチオン(カルシウムイオンなど)は、例えば、イオン架橋ゲル化剤などのゲル化剤を含む組成物のゲル形成を支援する場合がある。イオン効果は、ゲル形成を支援する場合がある。二価のカチオンは、約0.1~約1重量%の範囲内で、または約0.5重量%でゲル組成物中に存在する場合がある。
【0062】
ゲル組成物はさらに酸を含んでもよい。酸はカルボン酸を含んでもよい。カルボン酸はケトン基を含んでもよい。好ましくは、カルボン酸は、レブリン酸または乳酸などの約10個未満の炭素原子、または約6個未満の炭素原子、または約4個未満の炭素原子を有するケトン基を含んでもよい。このカルボン酸は三つの炭素原子(乳酸など)を有することが好ましい。乳酸は、驚くべきことに、類似のカルボン酸をも上回るほどにゲル組成物の安定性を改善する。カルボン酸は、ゲル形成を支援する場合がある。カルボン酸は、貯蔵中のゲル組成物内のニコチン濃度の変化を低減させる場合がある。
【0063】
ゲル組成物は、約0.1重量%~約5重量%の範囲内のカルボン酸(乳酸など)を含んでもよい。好ましくは、カルボン酸は、約0.5重量%~約3重量%の範囲内であってもよい。好ましくは、カルボン酸は、約0.5重量%~約2重量%の範囲内であってもよい。好ましくは、カルボン酸は、約1重量%~約2重量%の範囲内であってもよい。
【0064】
ニコチンがゲル組成物内に含まれる。ニコチンは、遊離塩基形態または塩形態で組成物へと添加されてもよい。ゲル組成物は、約0.5~約10重量%のニコチン、または約0.5~約5重量%のニコチンを含んでもよい。好ましくは、ゲル組成物は、約1~約3重量%のニコチン、または約1.5~約2.5重量%のニコチン、または約2重量%のニコチンを含んでもよい。ゲル製剤のニコチン構成成分は、ゲル製剤の最も揮発性が高い構成成分であってもよい。一部の態様では、水はゲル製剤の最も揮発性が高い構成成分であってもよく、そしてゲル製剤のニコチン構成成分はゲル製剤の二番目に揮発性が高い構成成分であってもよい。
【0065】
エアロゾル発生システムは、熱源と、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の下流にある少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気吸込み口と物品の口側の端との間に延びる気流経路とを備えてもよい。熱源はエアロゾル発生基体の上流にあることが好ましい。熱源はエアロゾル発生装置と一体型であってもよく、また消耗品であるエアロゾル発生物品はエアロゾル発生装置内に解放可能に受容されてもよい。
【0066】
熱源は、可燃性熱源、化学的熱源、電気的熱源、ヒートシンク、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。熱源は電気的熱源であってもよく、エアロゾル発生基体の中へと挿入することができるブレードの形態に形作られることが好ましい。別の方法として、熱源はエアロゾル発生基体を包囲するように構成されてもよく、またこのように、中空円筒の形態、またはその他のこうした任意の適切な形態であってもよい。別の方法として、熱源は可燃性熱源である。本明細書で使用される場合、可燃性熱源は、使用中にそれ自体が燃焼して熱を発生させる熱源であるが、これは紙巻たばこ、葉巻たばこ、またはシガリロとは異なり、エアロゾル発生基体の燃焼は関与しない。可燃性熱源は、炭素、および金属過酸化物、超酸化物、または硝酸塩などの点火補助剤を備えてもよく、金属はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0067】
エアロゾル発生基体は、誘導発熱体もしくはサセプタ、または複数の誘導発熱体もしくはサセプタを含んでもよい。誘導発熱体またはサセプタは、交番電磁場または変動電磁場の存在下で加熱する。加熱が誘導加熱による場合、変動電磁場は、エアロゾル発生物品を通して、誘導発熱体またはサセプタに伝達され、これにより、サセプタまたは誘導発熱体が、変動場を熱エネルギーへと変換し、それ故にエアロゾル発生基体を加熱する。
【0068】
誘導発熱体またはサセプタは、エアロゾル発生基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度へと誘導加熱することができる任意の材料から形成されてもよい。誘導発熱体またはサセプタは金属または炭素を含んでもよい。好ましい誘導発熱体またはサセプタは、強磁性材料(例えばフェライト鉄)、または強磁性の鋼もしくはステンレス鋼を含んでもよい。誘導発熱体またはサセプタは、アルミニウムを含んでもよい。誘導発熱体またはサセプタは、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス20鋼から形成されてもよい。異なる材料は、類似の値の周波数および磁界強度を有する電磁場内に位置付けられた時に、異なる量のエネルギーを散逸させる。誘導発熱体またサセプタは、摂氏250度を超える温度まで加熱されることが好ましい。しかしながら、誘導発熱体またはサセプタは、サセプタと接触している材料の燃焼を防止するために、摂氏350度未満に加熱されることが好ましい。
【0069】
誘導発熱体またはサセプタは、本明細書に記載のラッパーは有利なことに燃焼に抵抗するため、エアロゾル発生基体のラッパーに近接して位置してもよい。
【0070】
「マウスピース」という用語は、消費者の口と接触するように設計されているエアロゾル発生物品の部分を示すために、本明細書で使用される。マウスピースはフィルターを含んでもよいエアロゾル発生物品の部分とすることができ、または一部の事例では、マウスピースは、チッピングラッパーの範囲によって画定することができる。他の事例では、マウスピースは、エアロゾル発生物品の口側の端から約40mm延びる、またはエアロゾル発生物品の口側の端から約30mm延びるエアロゾル発生物品の一部分として画定することができる。
【0071】
「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生基体から引き出され、かつマウスピースを通る際のエアロゾルの方向に関して記述されるエアロゾル発生物品の要素の相対的な位置を指す。
【0072】
「ラッパー」または「紙ラッパー」という用語は互換的であり、またエアロゾル発生基体を含有するため、またはエアロゾル発生物品の形状を維持するためにエアロゾル発生基体を囲み、かつ紙で形成された、ラッピング材料の一つ以上の層を指す。ラッパーは、エアロゾル発生物品の外部表面上に染みができるのを軽減する。ラッパーは、エアロゾル発生基体と接触することが好ましい。
【0073】
「疎水性」という用語は撥水特性を呈する表面を指す。これを決定するための有用な一つの有用なやり方は、水接触角を測定することである。「水接触角」は、従来は液体を通して測定された、液体/蒸気界面が固体表面と交わる所の角度である。これは液体による固体表面の湿潤性を、ヤングの式を介して定量化する。
本開示は、エアロゾル発生物品で使用されるラッパーに関し、ラッパーは、高い密度を有する紙層を有し、またエアロゾル発生基体とともに利用されてもよい。本開示によると、ニコチンを含むエアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の周りに配置されたラッパーとを備えるエアロゾル発生物品が提供される。ラッパーは、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を含む。
【0074】
ラッパーは、約0.8マイクロメートル/gsm~約1.2マイクロメートル/gsmの範囲内の厚さ/坪量を有する紙層を備えることが好ましい。紙層は、約1.0マイクロメートル/gsm~約1.2マイクロメートル/gsmの範囲内の厚さ/坪量を有してもよい。紙層は、約1.0マイクロメートル/gsmの厚さ/坪量を有してもよい。紙層は、約0.9マイクロメートル/gsmの厚さ/坪量を有してもよい。紙層は、約1.0マイクロメートル/gsmの厚さ/坪量を有してもよい。紙層は、約1.1マイクロメートル/gsmの厚さ/坪量を有してもよい。紙層は、約1.2マイクロメートル/gsmの厚さ/坪量を有してもよい。
【0075】
紙層は、約50マイクロメートル未満、または約40マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。紙層は、約10マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。紙層は、約20マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。紙層は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。紙層は、約35マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。紙層は、約35マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。紙層は、約40マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲内の厚さを有してもよい。
紙層は、約25gsm~約45gsmの範囲内の坪量を有してもよい。紙層は、約30gsm~約45gsmの範囲内の坪量を有してもよい。紙層は、約35gsm~約45gsmの範囲内の坪量を有してもよい。紙層は、約35gsm~約40gsmの範囲内の坪量を有してもよい。
【0076】
一実施形態では、紙層は、約35gsmの坪量および約37マイクロメートルの厚さを有する。この紙層は、約1.06の厚さ/坪量値を有する。
【0077】
紙層は、PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンを含むことが好ましい。一実施形態では、紙層はPVOH(ポリビニルアルコール)を含む。PVOHは、表面コーティングとして紙層に適用されてもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の外部表面上に配置されてもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の外部表面上に配置され、かつその上に層を形成してもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の内部表面上に配置されてもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の内部表面上に配置され、かつその上に層を形成してもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の内部表面および外部表面上に配置されてもよい。PVOHは、エアロゾル発生物品の紙層の内部表面および外部表面上に配置され、かつその上に層を形成してもよい。
【0078】
紙層は、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。紙層は、PVOHを含む表面処理を含んでもよい。紙層は、シリコンを含む表面処理を含んでもよい。この表面処理は、紙層の外部表面に適用されてもよい。この表面処理は、紙層の内部表面に適用されてもよい。この表面処理は、紙層の外部表面および内部表面に適用されてもよい。PVOHまたはシリコンの添加は、紙層のグリースバリア特性を改善する場合がある。
【0079】
エアロゾル発生基体は、ゲル組成物を含んでもよい。ゲル組成物は、グリセリンなどの大量のエアロゾル形成体を含んでもよい。ゲル組成物は、ニコチン、少なくとも約50重量%のグリセリンまたは少なくとも70重量%のグリセリン、少なくとも約0.2重量%の水素結合架橋ゲル化剤、少なくとも約0.2重量%のイオン架橋ゲル化剤、および少なくとも約0.2重量%の増粘剤を含んでもよい。ゲル組成物は、キサンタンガムを含んでもよい。
【0080】
エアロゾル発生基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。たばこの均質化したたばこ材料は、たばこ材料と、約1%~約5%の結合剤と、約5%~約30%のエアロゾル形成体と、を乾燥質量基準で含んでもよい。
【0081】
エアロゾル発生基体は、金属誘導発熱体を含んでもよい。金属誘導発熱体は、複数の金属誘導発熱体を含んでもよい。金属誘導発熱体は、金属誘導加熱リング要素を含んでもよい。
【0082】
本明細書に記載のラッパーは、消費者に見えるエアロゾル発生物品上の染みの形成を低減および阻止する場合があることが意図されている。染みは、湿度の高い環境における保管に伴いまたは消費中に、エアロゾル発生物品上に現れる可能性があることが観察されている。染みは、ラッパーを構成するセルロース系繊維のウェブ内へと懸濁または溶解したいずれかの色付きの物質を含む水またはエアロゾル形成体の吸収によって生じる可能性がある。いかなる理論にも束縛されるものではないが、水またはエアロゾル形成体は、紙のセルロース系繊維と相互作用し、そして繊維の組織を変化させ、結果として、明るさ、色、および不透明度などの光学的特性、ならびにラッパーの引張強さ、浸透性などの機械的特性に局所的な変化をもたらす。
【0083】
本明細書に記載のラッパーは、エアロゾル発生物品の膨張を低減し、かつ防止する場合があることが企図される。エアロゾル発生物品の膨張を低減または防止することは、エアロゾル発生物品を損傷することなく、エアロゾル発生物品を加熱装置から確実に挿入および取り外すように、エアロゾル発生物品の有用性を改善する。
【0084】
ラッパーは、エアロゾル発生物品の円筒状の形態を維持するのを補助するために、エアロゾル発生基体の周りに配置される、エアロゾル発生物品の部分である。ラッパーは、エアロゾル発生基体のプラグの長さの少なくとも約50%にわたって、エアロゾル発生基体を収容してもよい。ラッパーは、エアロゾル発生基体のプラグの長さの少なくとも約90%にわたって、エアロゾル発生基体を収容することが好ましい。ラッパーは、エアロゾル発生基体のプラグの長さの少なくとも約100%にわたって、エアロゾル発生基体を収容することがより好ましい。
【0085】
このラッパーは、ある範囲の浸透性を示してもよく、浸透性がないことを含む。紙巻たばこ用紙の浸透性は国際標準の試験方法ISO 2965:2009を利用して決定され、結果は1平方センチメートル当たりの毎分立方センチメートルで提示され、「コレスタ単位」と呼ばれる。本明細書に記載のラッパーの浸透性は、約1~約10コレスタ単位、約5~約20コレスタ単位、または約1~約5コレスタ単位の範囲内であってもよい。
【0086】
ラッパーは、紙、木材、布地、天然繊維および人工繊維などの任意のセルロース系材料から形成されてもよい。ラッパーは、炭酸カルシウムなどの充填剤を含まないことが好ましい。ラッパーは、少なくとも90重量%セルロース系材料から形成されることが好ましい。ラッパーは、少なくとも95重量%セルロース系材料から形成されることが好ましい。
【0087】
紙層は、紙、木材、布地、天然繊維および人工繊維などの任意のセルロース系材料から形成されてもよい。紙層は、炭酸カルシウムなどの充填剤を含まないことが好ましい。紙層は、少なくとも90重量%セルロース系材料から形成されることが好ましい。紙層は、少なくとも95重量%セルロース系材料から形成されることが好ましい。
【0088】
紙層の表面は、少なくとも約30度、または少なくとも約35度、少なくとも約40度、または少なくとも約45度の水接触角を有してもよい。疎水性または水接触角は、TAPPI T558試験を利用して決定され、そして結果は界面接触角として提示され、また「度」で報告され、そしてほぼ0度からほぼ180度の範囲を取ることができる。
【0089】
紙層は、約2.5以下のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。紙層は、約2.2以下、または約2以下のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。「MD」という用語は、紙層の機械方向を指す。機械方向はまた、紙層の布目方向とも呼ばれる場合もある。「CD」という用語は、紙層の機械方向に対して直交する、紙層の横方向を指す。
【0090】
紙層は、方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも1個のキットオイルサンプルに対して陰性の結果(目視可能な染みがない)を有してもよい。紙層は、方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも5個のキットオイルサンプル、または10個すべてのキットオイルサンプルに対して陰性の結果を有してもよい。
【0091】
ラッパーは、二つの紙層を含んでもよく、第一の紙層は第一の厚さ/坪量値を有し、また第二の紙層は第二の厚さ/坪量値を有し、そして第一の厚さ/坪量値は第二の厚さ/坪量値より小さい。第一の厚さ/坪量値は、1.2マイクロメートル/gsm未満であってもよく、またラッパーは、約80マイクロメートル未満の総厚さを有する。
【0092】
ラッパーは、二つの紙層を含んでもよく、第一の層はエアロゾル形成基体と接触し、そして第二の層は第一の層に重なり、かつエアロゾル形成物品の外表面を形成する。第一の層は、1.2マイクロメートル/gsm未満の第一の厚さ/坪量値を有してもよく、また第二の層は、1.2マイクロメートル/gsmより大きい第二の厚さ/坪量値を有してもよい。
【0093】
ラッパーは、二つの紙層を含んでもよく、第一の層はエアロゾル形成基体と接触し、そして第二の層は第一の層に重なり、かつエアロゾル形成物品の外表面を形成する。第一の層は、1.2マイクロメートル/gsm未満の第一の厚さ/坪量値を有してもよく、また第二の層は、1.2マイクロメートル/gsm未満の第二の厚さ/坪量値を有してもよい。
【0094】
ラッパーは、二つの紙の層を含んでもよく、第一の層はエアロゾル形成基体と接触し、そして第二の層は第一の層に重なる。第一の層は、PVOH(ポリビニルアルコール)もしくはシリコンを含んでもよく、またはPVOHもしくはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。第二の層は、PVOH(ポリビニルアルコール)もしくはシリコンを含んでもよく、またはPVOHもしくはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。第一層と第二の層の両方は、PVOH(ポリビニルアルコール)もしくはシリコンを含んでもよく、またはPVOHもしくはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。第一の層のみが、PVOH(ポリビニルアルコール)もしくはシリコンを含んでもよく、またはPVOHもしくはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。第二の層のみが、PVOH(ポリビニルアルコール)もしくはシリコンを含んでもよく、またはPVOHもしくはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。
【0095】
エアロゾル発生物品は、本明細書に記載のラッパーによって囲まれたたばこの装填を含んでもよいエアロゾル発生基体を含む。エアロゾル発生基体は、任意の適切な形態にある、任意の適切なタイプ(複数可)のたばこ材料またはたばこ代用品を含んでもよい。エアロゾル発生基体は、フルキュアたばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント葉たばこ、特殊たばこ、均質化したたばこもしくは再構成たばこ、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。エアロゾル発生基体は、たばこカットフィラー、たばこ葉身、ボリュームエクスパンデッドもしくはパフトたばこなどの加工たばこ材料、カットロールドもしくはカットパフトステムなどの加工たばこ茎、均質化したたばこ、再構成たばこ、キャストリーフたばこ、またはこれらのブレンド、およびこれに類するものの形態で提供されてもよい。「たばこカットフィラー」という用語は、本明細書でたばこ葉の葉身部分から主に形成されたたばこ材料を示すために使用される。「たばこカットフィラー」という用語は、本明細書で、タバコ属の単一の種と、たばこカットフィラーブレンドを形成するタバコ属の二つ以上の種と、の両方を示すために使用される。
【0096】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、再構成たばこもしくはキャストリーフたばこ、または両方の混合物を含んでもよい。「再構成たばこ」という用語は、たばこの微粉、たばこダスト、たばこ茎、または前述のものの混合物などのたばこ副産物から作製することができる紙様の材料を指す。再構成たばこは、たばこ副産物中の可溶性の化学物質を抽出し、残ったたばこ繊維をシートへと加工し、次いで濃縮された形態の抽出した材料をシートの上へと再塗布することによって作製することができる。「キャストリーフたばこ」という用語は、本明細書では、当業界で周知のプロセスから結果として得られる製品を指すために使用され、これは挽いたたばこ粒子および結合剤(例えば、グアー)を含むスラリーを支持表面(ベルトコンベアなど)の上へとキャスティングすること、スラリーを乾燥させること、および乾燥したシートを支持表面から取り外すことに基づく。これらのタイプのエアロゾル発生基体を製造するための例示的な方法は、米国特許第5,724,998号、同第5,584,306号、同第4,341,228号、同第5,584,306号、および同第6,216,706号に記載されている。均質化したたばこは、巻かれてロッドを形成する前に捲縮され、巻き込みされ、折り畳まれ、または別の方法で圧縮されてシートへと形成されてもよい。例えば、本発明で使用するための均質化したたばこ材料シートは、回転可能な一対の捲縮ローラーを備えるスイス特許第691156号に記載されているタイプの捲縮ユニットを使用して捲縮されてもよい。しかし、当然のことながら本発明で使用するための均質化したたばこ材料シートは、均質化したたばこ材料シートを変形または穿孔するその他の適切な機械類およびプロセスを使用して、きめが施されてもよい。
【0097】
エアロゾル発生物品で使用されるエアロゾル発生基体は一般的に、紙巻たばこなどの燃焼式喫煙物品より高いレベルのエアロゾル形成体(複数可)を含む。湿潤剤も、「エアロゾル形成体」と呼ぶことができる。エアロゾル形成体は、使用時に、エアロゾルの形成を容易にし、かつ実質的にエアロゾル発生基体の使用温度において熱分解に対して抵抗性である任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。適切なエアロゾル形成体は当業界で公知であり、そして多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセリンモノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはこれらの混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)であり、そして最も好ましくはグリセリンまたはグリセリンである。エアロゾル発生基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0098】
エアロゾル発生基体は、高いレベルのエアロゾル形成体を有してもよい。本明細書で使用される場合、高いレベルのエアロゾル形成体とは、約10重量%を超える、または好ましくは約15重量%を超える、またはより好ましくは約20重量%を超えるエアロゾル形成体含有量を意味する。エアロゾル発生基体はまた、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約30重量%、または約20重量%~約30重量%のエアロゾル形成体含有量を有することもできる。エアロゾル発生基体はまた、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約30重量%、または約20重量%から、および約30重量%のグリセリン含有量を有することもできる。
【0099】
エアロゾル発生基体は、少なくとも約1重量%、または少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%、または少なくとも約7重量%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約12重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約18重量%のエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル発生基体は、約1~約20重量%、または約5~約20重量%、または約10~約20重量%の範囲内のエアロゾル形成体を含んでもよい。
【0100】
エアロゾル発生基体は、少なくとも約1重量%、または少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%、または少なくとも約7重量%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約12重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約18重量%のグリセリンを含んでもよい。エアロゾル発生基体は、約1~約20重量%、または約5~約20重量%、または約10~約20重量%の範囲内のグリセリンを含んでもよい。
【0101】
ゲル形態のエアロゾル発生基体は、大量のエアロゾル形成体、好ましくはグリセリンを有してもよい。ゲル組成物は、固体媒体を形成するゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリンなどのエアロゾル形成体、およびグリセリン中に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、固体媒体を形成する少なくとも二つのゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリン、およびグリセリン中に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、増粘剤、および固体媒体を形成するゲル化剤、固体媒体中に分散されたグリセリン、ならびにグリセリン内に分散されたニコチンを含んでもよい。組成物は安定なゲル相を形成する。ゲル組成物は、ニコチン、エアロゾル形成体、増粘剤、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤を含んでもよい。ゲル組成物は二価のカチオンをさらに含んでもよい。
【0102】
ゲル組成物は、グリセリンなどの大量のエアロゾル形成体を含んでもよい。ゲル組成物は、水とグリセリンとの混合物を含んでもよく、ここでグリセリンはゲル組成物の大部分(重量基準で)を形成する。グリセリンは、ゲル組成物の少なくとも約50重量%を形成してもよい。グリセリンは、ゲル組成物の少なくとも約60重量%、または約65重量%、または約70重量%を形成してもよい。グリセリンは、約70重量%~約80重量%のゲル組成物において形成してもよい。グリセリンは、約70重量%~約75重量%のゲル組成物において形成してもよい。
【0103】
本明細書に記載のラッパーは、エアロゾル発生基体の周りに配置される。ラッパーは、加熱式エアロゾル発生物品を通して空気が吸い込まれる際に、エアロゾル形成体化合物および水のラッパーへの吸収を減少させることができる。
【0104】
好ましくは、エアロゾル発生物品は、概して円筒状であってもよい。これは、エアロゾルの滑らかな流れを可能にする。エアロゾル発生物品は、例えば、4ミリメートル~15ミリメートル、5ミリメートル~10ミリメートル、または6ミリメートル~8ミリメートルの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品は、例えば、10ミリメートル~60ミリメートル、15ミリメートル~50ミリメートル、または20ミリメートル~45ミリメートルの長さを有してもよい。
【0105】
エアロゾル発生物品の引き出し抵抗(RTD)は、とりわけ、通路の長さおよび寸法、開口のサイズ、内部通路の最も収縮された断面積の寸法、ならびに使用される材料に応じて変化する。エアロゾル発生物品のRTDは、50水柱ミリメートル(mm H2O)~140水柱ミリメートル(mm H2O)、60水柱ミリメートル(mm H2O)~120水柱ミリメートル(mm H2O)、または80水柱ミリメートル(mm H2O)~100水柱ミリメートル(mm H2O)であってもよい。物品のRTDは、体積流量が口側の端で17.5ミリリットル/秒である定常状態下で、内側長軸方向通路を横断した時の、物品の一つ以上の開口と口側の端との間の静圧の差を指す。標本のRTDは、ISO規格6565:2002に記載の方法を使用して測定することができる。
【0106】
本明細書で使用されるすべての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用されるある特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0107】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0108】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は概して、「および/または」を含む意味で用いられるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0109】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、制約のない意味で使用され、概して「含むがこれらに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「備える(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0110】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生物品の概略断面図である。
【
図2】
図2は、別のエアロゾル発生物品の概略断面図である。
【
図3】
図3は、別のエアロゾル発生物品の概略断面図である。
【
図4】
図4は、別のエアロゾル発生物品の概略断面図である。
【
図5】
図5は、エアロゾル発生システムの概略断面図である。
【
図6】
図6は、エアロゾル発生システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
図1~
図4に図示するエアロゾル発生物品は、上述のエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の一つ以上の実施形態を例示する。概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、また図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を図示する。しかし、当然のことながら図面に図示されていない他の態様も、本開示の範囲および趣旨に収まる。
【0113】
図1のエアロゾル発生物品10は、たばこプラグを含むエアロゾル発生基体12、中空のセルロースアセテートチューブ14、ポリ乳酸フィルターセグメント16、およびセルロースアセテート材料から形成されたマウスピースセグメント18を例示する。これらの四つの要素は、紙層で個別に巻かれる。特に、エアロゾル発生基体12は、本明細書に記載したように、第一の紙層50で巻かれる。これらの四つの要素は、端と端を接する長手方向の整列で配設される。
【0114】
エアロゾル発生基体12、中空のセルロースアセテートチューブ14、ポリ乳酸フィルターセグメント16は、一緒に結合され、そして第二の紙層20によって囲まれて中間物品を形成する。マウスピースセグメント18は、チッピングペーパー25により中間物品に結合されて、エアロゾル発生物品10を形成する。第一の紙層50および第二の紙層20は、本明細書に記載したように、ラッパーを形成するために協働してもよい。
【0115】
エアロゾル発生物品10は、口側の端22と、口側の端22に対して物品の反対側の端に位置する上流の遠位端24とを有する。
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12を加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0116】
図2のエアロゾル発生物品100は、同軸の整列で配設された四つの要素:遠位端103における高い引き出し抵抗(RTD)の端プラグ600、エアロゾル発生基体124を囲む第一の紙層500、流体ガイド400、および近位端101におけるマウスピース170を備える。これらの四つの要素は逐次的に配設され、かつ第二の紙層110によって囲まれて、エアロゾル発生物品100を形成する。エアロゾル発生物品100は、近位端または口側の端101、および近位端101からエアロゾル発生物品100の反対側の端に位置する遠位端103を有する。第一の紙層500および第二の紙層110は、本明細書に記載したように、ラッパーを形成するために協働する。
【0117】
図3のエアロゾル発生物品100は、誘導加熱だけでなく、ブレード様の発熱体を用いた加熱にも適した、エアロゾル発生物品100の一例の切り取り図を例示する。
【0118】
エアロゾル発生物品100は、近位端101におけるマウスピース170と、流体ガイド400と、くぼみ700と、エアロゾル発生基体124を囲む第一の紙層500と、端プラグ600と、を近位から遠位へと順番に備える。この実施例では、エアロゾル発生基体124は、ゲルおよびサセプタ(図示せず)を備える。この実施例におけるサセプタは、エアロゾル発生基体124の長軸方向軸に沿って中央に位置する単一のアルミニウム細片である。エアロゾル発生物品100の遠位端103をエアロゾル発生装置200(
図6を参照のこと)の中へと挿入すると、これによりエアロゾル発生物品100の部分は、エアロゾル発生装置200(
図6を参照のこと)の誘導発熱体230(
図5を参照のこと)に近接するように位置付けられる。誘導発熱体230によって生成される電磁放射は、サセプタによって吸収され、かつ第一の紙層500内のエアロゾル発生基体124の加熱を補助し、次に、エアロゾル発生物品100の近位端101に陰圧が加えられる時に、エアロゾル発生基体124からの材料の放出を、例えば、通過するエアロゾルの中へと同伴されたニコチンの放出を、補助する。流体、例えば空気は、開口(図示せず)を介して外側長軸方向の通路831に入り、空洞700へと、次いでエアロゾル発生基体124へと移動し、ここで流体はエアロゾル発生基体124と混合し、かつニコチンを同伴した後、空洞に戻り、そして次に流体ガイド400の内側長軸方向の通路(図示せず)を介した後、近位端101において出る。
【0119】
この実施例では、第一の紙層500は、エアロゾル発生基体124を囲み、かつ第一の紙層500は、第二の紙層110によって囲まれる。第一の紙層500および第二の紙層110は、本明細書に記載したように、ラッパーを形成する。エアロゾル発生基体124は、ゲル組成物を含んでもよい。
【0120】
図2および
図3に例示されるこのエアロゾル発生物品100は、
図5および
図6に例示されるように、エアロゾル発生装置200とともに使用されてもよい。
【0121】
図4のエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12、中空のセルロースアセテートチューブ14、中空の管状セグメント16、およびマウスピースセグメント18を例示する。エアロゾル発生基体12は、本明細書に記載したように、第一の紙層50で巻かれる。これらの四つの要素は端と端を接して長軸方向に整列して配設され、かつ第二の紙層20によって囲まれて、エアロゾル発生物品10を形成する。第一の紙層50および第二の紙層20は、本明細書に記載したように、ラッパーを形成するために協働してもよい。
【0122】
エアロゾル発生物品10は、口側の端22と、口側の端22に対して物品の反対側の端に位置する上流の遠位端24とを有する。
図4に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12を加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適している。
【0123】
エアロゾル発生基体12は、約12ミリメートルの長さ、および約7ミリメートルの直径を有する。エアロゾル発生基体12は円筒状の形状であり、かつ実質的に円形の断面を有する。エアロゾル発生基体12は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を備える。均質化したたばこ材料のシートは、乾燥基準で10重量パーセントのグリセリンを含む。中空のセルロースアセテートチューブ14は、約8ミリメートルの長さ、および1ミリメートルの厚さを有する。マウスピースセグメント18は、フィラメント当たり8デニールのセルロースアセテートトウのプラグを備え、かつ約7ミリメートルの長さを有する。
【0124】
中空の管状セグメント14は、約18ミリメートルの長さ、および約100マイクロメートルの管壁の厚さを有する円筒状の管として提供される。エアロゾル発生物品10は、マウスピースセグメント18の上流端から約5ミリメートルのところに提供された通気ゾーン26を備える。それ故に、通気ゾーン26は、エアロゾル発生物品の下流端から約12ミリメートルのところにあり、かつ中空の管状セグメントの上流端から約13ミリメートルのところにある。それ故に、通気ゾーン26は、エアロゾル発生基体12の下流端から約21ミリメートルのところにある。
【0125】
図5~
図6は、エアロゾル発生物品100およびエアロゾル発生装置200の実施例を例示する。エアロゾル発生物品100は、近位端または口側の端101および遠位端103を有する。
図5では、エアロゾル発生物品100の遠位端103は、エアロゾル発生装置200の容器220内に受容される。エアロゾル発生装置200は、エアロゾル発生物品100を受容するように構成された、容器220を画定するハウジング210を含む。エアロゾル発生装置200はまた、好ましくは締まり嵌めによってエアロゾル発生物品100を受容するように構成されたくぼみ235を形成する発熱体230も含む。発熱体230は、電気抵抗加熱構成要素を備えてもよい。加えて、装置200は、電源240と、発熱体230の加熱を制御するために協働する制御電子機器250と、を含む。
【0126】
発熱体230は、エアロゾル発生物品100の遠位端103を加熱してもよい。この実施例では、エアロゾル発生基体124はニコチンを含むゲルを含む。エアロゾル発生物品100を加熱することは、エアロゾル発生基体124にニコチンを含有するエアロゾルを生成させ、エアロゾルは近位端101においてエアロゾル発生物品100から移動して出ることができる。エアロゾル発生装置200は、ハウジング210を備える。
図5~
図6は、正確な加熱機構を示してはいない。
【0127】
一部の実施例では、加熱機構は、熱がエアロゾル発生装置200の発熱体230からエアロゾル発生物品100へと伝達される伝導加熱によるものとすることが可能である。これは、エアロゾル発生物品100がエアロゾル発生装置200の容器220内に位置付けられ、かつ遠位端103(エアロゾル発生基体124が位置する端であることが好ましい)および、それ故にエアロゾル発生物品100がエアロゾル発生装置200の発熱体230と接触する時、簡単に行うことができる。特定の実施例では、発熱体はエアロゾル発生装置200から突出し、かつエアロゾル発生物品100の中へと貫通してエアロゾル発生基体124と直接接触させるのに適した加熱ブレードを備える。
【0128】
この実施例では、加熱機構は、エアロゾル発生物品100がエアロゾル発生装置200の容器220内に位置する時、発熱体が管状要素によって吸収されるラジオ磁気放射を発する誘導による。
【0129】
エアロゾル発生物品100がエアロゾル発生装置200内に、かつ発熱体230上に解放可能に受容されると、エアロゾル発生装置200が作動して、エアロゾル発生基体124をおよそ摂氏375度の温度へと加熱する。ユーザーがエアロゾル発生物品100の口側の端101を吸うと、エアロゾル発生基体124から放出された揮発性化合物は、エアロゾル発生物品100を通して下流に引き出され、そして凝縮してエアロゾル発生物品100のマウスピース101を通してユーザーの口の中へと引き込まれるエアロゾルを形成する。ラッパー500、110は、エアロゾルからのエアロゾル形成体および水分に反発してラッパー500、110の汚れおよび弱化を減少させる。
【0130】
第一の紙層50、500は、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有する紙層を含む。第一の紙層50、500は、約1.0マイクロメートル/gsm~約1.2マイクロメートル/gsmの範囲内の厚さ/坪量を有することが好ましい。第一の紙層50、500は、約50マイクロメートル未満、または約40マイクロメートル未満の厚さを有してもよい。第一の紙層50、500は、約25gsm~約45gsm、または約35gsm~約40gsmの範囲内の坪量を有してもよい。
【0131】
第一の紙層50、500は、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量、および少なくとも約30度の水接触角を有することが好ましい。第一の紙層50、500層は、少なくとも約40度、または少なくとも約45度の水接触角を有してもよい。
【0132】
第一の紙層50、500は、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量と、約2.5以下CD/MDの破断伸び比を有することが好ましい。第一の紙層50、500は、約2.2以下、または約2以下のCD/MDの破断伸び比を有してもよい。
【0133】
好ましくは、第一の紙層50、500は、約1.2マイクロメートル/gsm以下の厚さ/坪量を有し、また方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも1個のキットオイルサンプルに対して陰性の結果を有することが好ましい。第一の紙層50、500は、方法Tappi 559cm-02クラシカル方法2002の少なくとも5個のキットオイルサンプル、または10個すべてのキットオイルサンプルに対して陰性の結果を有してもよい。
【0134】
ラッパーは、第一の紙層50、500および第二の紙層20、110を含み、第一の紙層50、500は第一の厚さ/坪量値を有し、第二の紙層20、110は第二の厚さ/坪量値を有し、そして第一の厚さ/坪量値は第二の厚さ/坪量値より小さいことが好ましい。第一の厚さ/坪量値は、1.2マイクロメートル/gsm未満であってもよく、またラッパーは、約80マイクロメートル未満の総厚さを有してもよい。
【0135】
第一の紙層50、500は、PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンを含むことが好ましい。第一の紙層50、500は、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンの添加は、ラッパーのグリースバリア特性を改善する場合がある。
【0136】
第二の紙層20、110は、PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンを含むことが好ましい。第二の紙層20、110は、PVOHまたはシリコンを含む表面処理を含んでもよい。PVOH(ポリビニルアルコール)またはシリコンの添加は、ラッパーのグリースバリア特性を改善する場合がある。
【0137】
上述の例示的な実施形態は限定するものではない。上述の例示的な実施形態と一貫性のあるその他の実施形態が、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】