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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】筋ジストロフィーを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7125 20060101AFI20220809BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220809BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
A61K31/7125
A61P21/00 ZNA
A61K31/7088
A61K48/00
A61K31/712
C12N15/113 Z
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573441
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 US2020038483
(87)【国際公開番号】W WO2020257489
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/863,456
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501237039
【氏名又は名称】サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】オニール, ギルモア
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA94
4H045AA50
4H045CA40
4H045EA28
(57)【要約】
約80~約300mg/kgアンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することによる、筋ジストロフィーを治療する方法が記載される。一実施形態では、組成物は、既存の治療方法で生じるより低い頻度で投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクソンスキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療する方法であって、前記ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含み、前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約80mg/kg~約300mg/kgで投与される、方法。
【請求項2】
前記アンチセンスオリゴマーが、ジストロフィンプレmRNAのエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53標的領域のスキッピングを誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの前記標的領域が、アニーリング部位として指定され、前記塩基配列およびアニーリング部位が、以下の
【表9-1】
【表9-2】
のうちの一つまたはその医薬的に許容される塩から選択され、配列番号1~51のそれぞれの各TおよびUは、チミンまたはウラシルである、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基配列におけるそれぞれのTおよびUが、チミンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アニーリング部位が、H51A(+66+95)である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記アニーリング部位が、H53A(+36+60)またはH53A(+36+56)である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記アニーリング部位が、H45A(-03+19)である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
前記アンチセンスオリゴマーが、式(I):
【化7】
に記載の構造、またはその医薬的に許容される塩を有し、式中、
それぞれのNuは、一緒になってターゲティング配列を形成する核酸塩基であり;
式(I)中のTは、
【化8】
から選択される部分であり;
は、C~Cアルキルであり、1~(n+1)および5’~3’のそれぞれのNuは、配列番号1~51の一つにおける核酸塩基に対応する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基配列におけるそれぞれのTおよびUが、チミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(I)のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートにおける前記T部分が、
【化9】
である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記アンチセンスオリゴマーが、遊離塩基形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約50mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約100mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約150mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約200mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約250mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約300mg/kgで投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、週1回投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約24週間投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約48週間投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約144週間投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、全身投与用に製剤化される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、静脈内投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒト対象が男性である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ヒト対象が、7~13歳である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療が、前記ヒト対象におけるジストロフィン陽性線維数を増加させる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、24週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、48週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、144週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記治療が、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される、前記ヒト対象におけるベースラインと比べて、歩行運動の喪失を低減する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
歩行運動が、ベースラインと比べて、維持される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
歩行運動が、ベースラインと比べて、改善される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記治療が、ベースラインと比べて、前記ヒト対象における肺の機能の喪失を低減し、前記喪失が、努力肺活量(FVC)における%年間低下率として測定される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
肺の機能が維持される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アンチセンスオリゴマーが、エテプリルセンである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記アンチセンスオリゴマーが、ゴロディルセンである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記アンチセンスオリゴマーが、カシメルセンである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
エクソンスキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象に投与することを含む、ヒトにおいてエクソンスキッピングする方法であって、前記ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含み、前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、用量約80mg/kg~約300mg/kgで投与される、方法。
【請求項39】
前記アンチセンスオリゴマーが、ジストロフィンプレmRNAのエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53標的領域のスキッピングを誘導する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの前記標的領域が、アニーリング部位として指定され、前記塩基配列およびアニーリング部位が、以下の
【表10-1】
【表10-2】
のうちの一つまたはその医薬的に許容される塩から選択され、配列番号1~51のそれぞれの各TおよびUは、チミンまたはウラシルである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記塩基配列におけるそれぞれのTが、チミンである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記アニーリング部位が、H51A(+66+95)である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記アニーリング部位が、H53A(+36+60)またはH53A(+36+56)である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
前記アニーリング部位が、H45A(-03+19)である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項45】
前記アンチセンスオリゴマーが、式(I):
【化10】
に記載の構造、またはその医薬的に許容される塩を有し、式中、
それぞれのNuは、一緒になってターゲティング配列を形成する核酸塩基であり;
式(I)中のT’は、
【化11】
から選択される部分であり;
は、C~Cアルキルであり、1~(n+1)および5’~3’のそれぞれのNuは、配列番号1~51の一つにおける核酸塩基に対応する、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記塩基配列におけるそれぞれのTまたはUが、チミンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
式(I)の前記アンチセンスオリゴマーにおける前記T部分が、
【化12】
である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約50mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約100mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約150mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約200mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約250mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約300mg/kgで投与される、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、週1回投与される、請求項38~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約24週間投与される、請求項38~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約48週間投与される、請求項38~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、最大約144週間投与される、請求項38~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、全身投与用に製剤化される、請求項38~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、静脈内投与される、請求項38~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ヒト対象が男性である、請求項38~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記ヒト対象が、7~13歳である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記治療が、前記ヒト対象におけるジストロフィン陽性線維の数を増加させる、請求項38~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、24週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項38~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、48週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項38~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、144週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項38~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記治療が、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される、前記ヒト対象におけるベースラインと比べて、歩行運動の喪失を低減する、請求項38~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
歩行運動が、ベースラインと比べて、維持される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
歩行運動が、ベースラインと比べて、改善される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記治療が、ベースラインと比べて、前記ヒト対象における肺の機能の喪失を低減し、前記喪失が、努力肺活量(FVC)における%年間低下率として測定される、請求項38~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
肺の機能が維持される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記アンチセンスオリゴマーが、エテプリルセンである、請求項38~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記アンチセンスオリゴマーが、ゴロディルセンである、請求項38~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記アンチセンスオリゴマーが、カシメルセンである、請求項38~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
エクソンスキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療する方法であって、前記ヒト対象に、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物を投与することを含み、前記アンチセンスオリゴマーが、用量約80mg/kg~約300mg/kgで投与される、方法。
【請求項75】
前記アンチセンスオリゴマーが、ジストロフィンプレmRNAのエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53標的領域のスキッピングを誘導する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの前記標的領域が、アニーリング部位として指定され、前記塩基配列およびアニーリング部位が、以下の
【表11-1】
【表11-2】
のうちの一つまたはその医薬的に許容される塩から選択され、配列番号1~51のそれぞれの各TおよびUは、チミンまたはウラシルである、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記塩基配列におけるそれぞれのTおよびUが、チミンである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記アニーリング部位が、H51A(+66+95)である、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記アニーリング部位が、H53A(+36+60)またはH53A(+36+56)である、請求項76または77に記載の方法。
【請求項80】
前記アニーリング部位が、H45A(-03+19)である、請求項76または77に記載の方法。
【請求項81】
前記アンチセンスオリゴマーが、式(I):
【化13】
に記載の構造、またはその医薬的に許容される塩を有し、式中、
それぞれのNuは、一緒になってターゲティング配列を形成する核酸塩基であり;
式(I)中のT’は、
【化14】
から選択される部分であり;
は、C~Cアルキルであり、1~(n+1)および5’~3’のそれぞれのNuは、配列番号1~51の一つにおける核酸塩基に対応する、請求項74~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記塩基配列におけるそれぞれのTが、チミンである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
式(I)の前記アンチセンスオリゴマーにおける前記T部分が、
【化15】
である、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約50mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約100mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約150mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約200mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約250mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、用量約300mg/kgで投与される、請求項74~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記医薬組成物が、週1回投与される、請求項74~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記医薬組成物が、最大約24週間投与される、請求項74~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記医薬組成物が、最大約48週間投与される、請求項74~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記医薬組成物が、最大約144週間投与される、請求項74~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記医薬組成物が、全身投与される、請求項74~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記医薬組成物が、静脈内投与される、請求項74~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記医薬組成物が、リン酸緩衝生理食塩水を含む、請求項74~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記ヒト対象が男性である、請求項74~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記ヒト対象が、7~13歳である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記治療が、前記ヒト対象におけるジストロフィン陽性線維の数を増加させる、請求項74~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、24週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項74~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、48週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項74~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記ヒト対象が、ベースラインと比べて、144週目により高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する、請求項74~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記治療が、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される、前記ヒト対象におけるベースラインと比べて、歩行運動の喪失を低減する、請求項74~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
歩行運動が、ベースラインと比べて、維持される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
歩行運動が、ベースラインと比べて、改善される、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記治療が、ベースラインと比べて、前記ヒト対象における肺の機能の喪失を低減し、前記喪失が、努力肺活量(FVC)における%年間低下率として測定される、請求項74~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
肺の機能が維持される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記アンチセンスオリゴマーが、エテプリルセンである、請求項74~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記アンチセンスオリゴマーが、ゴロディルセンである、請求項74~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記アンチセンスオリゴマーが、カシメルセンである、請求項74~107のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年6月19日に出願された米国仮特許出願第62/863,456号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表への言及
【0003】
電子的に提出された配列表(名称:4140_032PC01_Seqlisting_ST25;サイズ:12,950バイトおよび作成日:2020年6月17日)の内容は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0004】
本開示は、ヒト対象における筋ジストロフィーを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、重篤な、進行性に衰弱する、最終的に致死性のX連鎖神経筋疾患である。DMDは、細胞外基質の筋線維の細胞骨格アクチンを結合するタンパク質複合体の決定的に重要な部分である、ジストロフィンの欠如をもたらす、機能性ジストロフィンタンパク質の不存在、またはほぼ不存在によって特徴付けられるジストロフィン遺伝子の変異によって引き起こされる。ジストロフィンの不存在下で、DMDを有する患者は、予測可能な疾患経過をたどる。罹患した患者、典型的には男児は、生後数年で筋力低下を発症し、小児期に歩行能力を失い、通常、10代後半に呼吸補助を必要とする。機能性能力の喪失は、自立の喪失および介護者の負担の増加につながる。一度失われると、これらの能力は、回復することができない。グルココルチコイドの使用などの、標準治療の改善にもかかわらず、DMDは、最終的に致死性の疾患であり、患者は、20代半ばから後半に呼吸不全または心不全で死亡する。
【0006】
DMDにおける筋肉組織および機能の進行性の喪失は、筋細胞の構造および機能において重要な役割を果たすタンパク質である機能性ジストロフィンの不存在またはほぼ不存在によって引き起こされる。DMDの治療の可能性のある治療アプローチは、軽度のジストロフィン異常症であるベッカー型筋ジストロフィー(BMD)によって示唆される。両方のジストロフィン異常症は、DMD遺伝子の変異によって引き起こされる。DMDにおいて、「アウトオブフレーム」変異として言及される、プレmRNA読み枠を破壊する変異は、機能性ジストロフィンの産生を妨げる。BMDにおいて、「インフレーム」変異は、読み枠を破壊せず、内部で短縮された機能性ジストロフィンタンパク質の産生をもたらす。
【0007】
これらの「アウトオブフレーム」変異を回復させる重要なアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを利用して、DMD遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の分子変異を除外するか、またはスキップすることである。DMDまたはジストロフィン遺伝子は、ヒトの体内で最大の遺伝子の一つであり、79のエクソンからなる。アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)は、DMD遺伝子の変異のスキッピングを誘導するために、プレmRNA、典型的には、エクソンの特定の領域を標的とし、それにより、これらのアウトオブフレーム変異をインフレームで回復させて、内部で短縮されたが機能性ジストロフィンタンパク質の産生を可能にするように特別に設計されている。
【0008】
Exondys 51(登録商標)(エテプリルセン)は、エクソン51スキッピングが、読み枠を回復させ、ジストロフィンタンパク質の機能性短縮形態を産生するのに適している、DMDを有する患者においてヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51をスキップするよう設計されたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)である。米国食品医薬品局(FDA)は、2016年に、エクソン51スキッピングに適しているDMD遺伝子の確認された変異を有する患者におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療のためのEXONDYS 51(登録商標)(エテプリルセン、配列番号1)を承認した。EXONDYS 51(登録商標)の推奨用量は、35~60分間の静脈内注入として週1回投与される30mg/kgである。
【0009】
しかしながら、患者においてDMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーを治療する改善された方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソンスキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。
【0011】
一実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。
【0013】
一実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0014】
別の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0015】
一実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。
【0016】
別の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するヒト対象におけるDMDを治療する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。
【0017】
本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、mRNA読み枠を回復させて、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象におけるジストロフィン産生を誘導する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。
【0018】
一実施形態では、本開示は、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、mRNA読み枠を回復させて、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象におけるジストロフィン産生を誘導する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、mRNA読み枠を回復させて、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象におけるジストロフィン産生を誘導する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0020】
一実施形態では、本開示は、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、mRNA読み枠を回復させて、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象におけるジストロフィン産生を誘導する方法を提供し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。
【0021】
本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、mRNAプロセッシング中にジストロフィンプレmRNAから44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を排除する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。
【0022】
一実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、mRNAプロセッシング中にジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を排除する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。
【0023】
別の実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、mRNAプロセッシング中にジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を排除する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0024】
別の実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、mRNAプロセッシング中にジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を排除する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0025】
別の態様では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、ジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を結合させる方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約80~約300mg/kgの用量で投与される。
【0026】
一実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、ジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を結合させる方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態ではエテプリルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約100mg/kgの用量で投与される。
【0027】
一実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、ジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を結合させる方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約200mg/kgの用量で投与される。
【0028】
一実施形態では、本開示はまた、対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するヒト対象において、ジストロフィンプレmRNAからエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53を結合させる方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、エテプリルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、ゴロディルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。方法の一実施形態では、カシメルセンは、約300mg/kgの用量で投与される。
【0029】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩(例えば、エテプリルセン)は、約100mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。
【0030】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。
【0031】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。
【0032】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与され、医薬組成物は、週1回投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0033】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約24週間、最大約48週間、最大約60週間、最大約80週間、最大約100週間、最大約120週間、最大約140週間、最大約150週間、最大約160週間、最大約180週間、または最大約200週間投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約144週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも120週間、少なくとも144週間、または少なくとも164週間投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、病気が持続する間投与される。
【0034】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。
【0035】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。
【0036】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0037】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。
【0038】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。
【0039】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0040】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。
【0041】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。
【0042】
一実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約24週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約48週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。なお別の実施形態では、方法は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を最大約144週間投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0043】
一部の実施形態では、theアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、全身投与用に製剤される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、静脈内注入として投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、35~60分かけて静脈内注入として投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、筋肉内投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、経口投与される。
【0044】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、男性ヒト対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)である。
【0045】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、男性ヒト対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)である。
【0046】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、男性ヒト対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)である。
【0047】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、医薬的に許容される担体をさらに含む。一部の実施形態では、医薬的に許容される担体は、リン酸緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水を含む生理食塩水溶液である。
【0048】
一部の実施形態では、本開示の方法は、ヒト対象におけるジストロフィン陽性線維数を増加させる。他の実施形態では、本開示の方法を用いて治療されたヒト対象は、より高い北米外来評価(NSAA)総スコアを達成する。一部の実施形態では、より高いNSAAスコアは、ベースラインと比べて、約24週、約48週、約60週、約80週、約100週、約120週、約140週、約150週、約160週、約180週、または約200週において達成される。一実施形態では、より高いNSAAスコアは、ベースラインと比べて、約144週目において達成される。別の実施形態では、より高いNSAAスコアは、ベースラインと比べて、約164週目において達成される。
【0049】
一部の実施形態では、本開示の方法は、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される、ヒト対象においてベースラインと比べて、歩行運動の喪失を低減する。一部の実施形態では、歩行運動は、ベースラインと比べて、維持される。他の実施形態では、歩行運動は、ベースラインと比べて、改善される。
【0050】
なお他の実施形態では、本開示の方法は、ベースラインと比べて、ヒト対象における肺の機能の喪失を低減する。肺の機能の喪失は、努力肺活量(FVC)における%年間低下率として測定することができる。
【0051】
一部の実施形態では、本開示の方法は、ステロイドなどの、別の治療剤を、対象に投与することを含む。
【0052】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、静脈内注入として、用量約100mg/kgにて、週1回、最大24週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0053】
ある特定の他の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、静脈内注入として、用量約100mg/kgにて、週1回、最大48週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0054】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、静脈内注入として、用量約100mg/kgにて、週1回、最大144週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0055】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、静脈内注入として投与される、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、用量約200mg/kgにて、週1回、最大24週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0056】
ある特定の他の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、静脈内注入として投与される、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、用量約200mg/kgにて、週1回、最大48週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0057】
ある特定の他の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、静脈内注入として投与される、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、用量約300mg/kgにて、週1回、最大48週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0058】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、静脈内注入として投与される、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、用量約200mg/kgにて、週1回、最大144週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【0059】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有するDMDを有するヒト対象に、静脈内注入として投与される、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、用量約300mg/kgにて、週1回、最大144週間投与することを含む。一実施形態では、ヒト対象は、7~13歳(包括的)の男性である。方法の一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、エテプリルセン、ゴロディルセン、またはカシメルセンである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本特許または出願ファイルには、カラーによる少なくとも一つの図面が含まれる。カラー図面を伴うこの特許または特許出願公報の複写は、請求および必要な料金の支払いに応じて、特許庁により提供される。
【0061】
図1図1は、高用量のエテプリルセンの投与後のhDMD Δ52 mdxマウスにおける%エクソン51スキッピングにおける増加を示す。
【0062】
図2図2は、高用量のエテプリルセンの投与後のhDMD Δ52 mdxマウスにおけるジストロフィン産生を示す。
【0063】
図3図3は、高用量のエテプリルセンの投与後のhDMD Δ52 mdxマウスにおける握力検査の結果を示す。
【0064】
図4図4は、高用量のエテプリルセンの投与後の四頭筋、心臓、および横隔膜における非ヒト霊長類(NHP)におけるエクソンスキッピングを示す。
【0065】
図5図5は、高用量のエテプリルセンの静脈内または皮下投与後の四頭筋におけるNHPにおけるエクソンスキッピングを比較する。
【0066】
図6図6は、増加する濃度のゴロディルセンで処理した染色した筋管培養物の画像(赤色のミオシン重鎖および緑色のジストロフィンを含む)を提供する。
【0067】
図7図7は、異なる処置濃度でのジストロフィン染色強度測定のハイコンテンツな解析結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明の実施形態は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するように特異的に設計されたアンチセンス化合物を投与することによって、DMDおよびBMDなどの、筋ジストロフィーを治療する改善された方法に関する。ジストロフィンは、筋機能において重要な役割を果たし、様々な筋肉関連疾患がこの遺伝子の変異型を特徴とする。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される改善された方法は、DMDおよびBMDに見られる変異ジストロフィン遺伝子などのヒトジストロフィン遺伝子の変異型において、エクソンスキッピングを誘導するために使用され得る。
【0069】
変異によって引き起こされる異常なmRNAスプライシング事象により、これらの変異ヒトジストロフィン遺伝子は、欠陥のあるジストロフィンタンパク質を発現するか、または測定可能なジストロフィンを全く発現しないかのいずれかであり、これは様々な形態の筋ジストロフィーを引き起こす状態である。この状態を治療するために、本発明のアンチセンス化合物は、変異ヒトジストロフィン遺伝子の予めプロセシングされたRNAの選択された領域にハイブリダイズし、そうでなければ異常にスプライシングされたジストロフィンmRNAにおいてエクソンスキッピングおよび差次的スプライシングを誘導し、それにより、筋細胞が機能性ジストロフィンタンパク質をコードするmRNA転写物を産生することを可能にする。ある特定の実施形態では、結果として生じるジストロフィンタンパク質は、必ずしも「野生型」の形態のジストロフィンではなく、むしろ、内部の先端を切断されたが機能性または半機能性の形態のジストロフィンである。
【0070】
筋細胞における機能性ジストロフィンタンパク質のレベルを高めることによって、これらおよび関連する実施形態は、筋ジストロフィー、特にそのような形態の筋ジストロフィー、例えばDMDおよびBMDなどの予防および治療に有用であり、これらは、異常なmRNAスプライシングによる欠陥のあるジストロフィンタンパク質の発現を特徴とする。本明細書に記載される方法は、筋ジストロフィーを有する患者に改善された治療選択肢をさらに提供し、関連する形態の筋ジストロフィーを治療する代替的な方法よりも有意かつ実用的な利点を提供する。例えば、一部の実施形態では、改善された方法は、以前のアプローチより高い用量にて、および/または長い期間、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するためのアンチセンス化合物の投与に関する。
【0071】
したがって、本発明は、患者においてエクソンスキッピングを誘導することによって、DMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーを治療する改善された方法に関する。一部の実施形態では、エクソンスキッピングは、ジストロフィンプレmRNAのエクソンにおける標的配列に選択的に結合する、エテプリルセンなどの、電荷が中性のホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む、有効量の組成物を投与することによって誘導される。一部の実施形態では、本発明は、DMDまたはBMDを治療する方法に関し、ここで、有効量の組成物、例えば、約80mg/kg~約300mg/kgは、疾患を治療するのに十分な期間にわたる、エテプリルセンなどの、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、転写物における一つまたは複数のエクソンまたはその部分に相補的である。ある特定の実施形態では、一つまたは複数のエクソンまたはその部分は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53、および任意のその組み合わせからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン51、エクソン45、またはエクソン53のスキッピングを含む。
【0073】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン53のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン45のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン44のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン50のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン51のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン52のスキッピングを含む。
【0074】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物における一つまたは複数のエクソンまたはその部分に相補的である。一部の実施形態では、一つまたは複数のエクソンまたはその部分は、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、エクソン53からなる群から選択される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン51、エクソン45、またはエクソン53のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン51のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン45のスキッピングを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン53のスキッピングを含む。
【0075】
ジストロフィン遺伝子における様々な変異は、エクソン51スキッピングに適している。エクソン51スキッピングに適している、以下のエクソンにおける変異の非限定的な例は、例えば、45~50、47~50、48~50、49~50、50、52、52~63を含む(ライデンデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベース、Leiden University Medical Center、オランダ)。患者がエクソンスキッピングに適しているDMD遺伝子における変異を有するかどうかを決定することは、十分に当業者の理解の範囲内である(例えば、Aartsma-Rus et al.(2009) Hum Mut 30:293-299を参照)。
【0076】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン51のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン51の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表1】
配列番号1~6のそれぞれのTおよびUは、それぞれチミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともチミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともウラシルである。ある特定の実施形態では、アニーリング部位は、H51A(+66+95)である。
【0077】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン53のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン53の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表2】
配列番号7~16のそれぞれのTおよびUは、それぞれチミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともチミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともウラシルである。ある特定の実施形態では、アニーリング部位は、H53A(+36+60)である。ある特定の実施形態では、アニーリング部位は、H53A(+36+56)である。
【0078】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン45のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン45の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表3】
配列番号18~34のそれぞれのTおよびUは、それぞれチミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともチミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTおよびUは、両方ともウラシルである。ある特定の実施形態では、アニーリング部位は、H45A(-03+19)である。
【0079】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン44のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン44の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表4】
配列番号35~41のそれぞれのTは、チミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、チミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、ウラシルである。
【0080】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン50のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン50の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表5】
配列番号42~50のそれぞれのTは、チミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、チミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、ウラシルである。
【0081】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、ジストロフィン転写物のエクソン52のスキッピングを含む。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、アニーリング部位として指定されるジストロフィン転写物のエクソン52の標的領域に相補的である塩基配列を含み、塩基配列およびアニーリング部位は、以下から選択され、
【表6】
配列番号51のTは、チミンまたはウラシルである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、チミンである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるTは、ウラシルである。
【0082】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、式(I)に記載され、
【化1】
またはその医薬的に許容される塩であり、式中、それぞれのNuは、一緒になって、ターゲティング配列を形成する核酸塩基であり、Tは、以下で定義され、1~(n+1)および5’~3’のそれぞれのNuは、以下の一つにおける核酸塩基に対応し、
【表7-1】
【表7-2】
アンチセンスオリゴマーにおけるそれぞれのUおよびTは、独立して、チミンまたはウラシルである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーにおけるそれぞれのTおよびUは、チミンである。
【0083】
方法の一実施形態では、アニーリング部位は、H51A(+66+95)、H53A(+36+60)、H53A(+36+56)、またはH45A(-03+19)である。
【0084】
式(I)のアンチセンスオリゴマーの5’末端に結合したT部分は、
【化2】
から選択され、式中、Rは、C-Cアルキルである。
【0085】
一実施形態では、方法は、読み枠を回復させ、機能性のより短い形態のジストロフィンタンパク質を産生するためのエクソン51スキッピングに適しているDMDを有する患者におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51をスキッピングさせるよう設計されたPMOである、エテプリルセン[配列5’-CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG-3’](配列番号1)を投与することを含む。エテプリルセンは、CAS登録番号1173755-55-9で登録されている。化学名には、以下が含まれる。RNA、[P-デオキシ-P-(ジメチルアミノ)](2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコ)(2’a→5’)(C-m5U-C-C-A-A-C-A-m5U-C-A-A-G-G-A-A-G-A-m5U-G-G-C-A-m5U-m5U-m5U-C-m5U-A-G)、5’-[P-[4-[[2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]カルボニル]-1-ピペラジニル]-N,N-ジメチルホスホンアミデート]およびP,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-5’-O-{P-[4-(10-ヒドロキシ-2,5,8-トリオキサデカノイル)ピペラジン-1-イル]-N,N-ジメチルホスホンアミドイル}-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアニリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコシチジリル-(2’a→5’)-P,3’-ジデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコチミジリル-(2’a→5’)-P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコアデニリル-(2’a→5’)-2’,3’-ジデオキシ-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコグアノシン。エテプリルセンの構造は、以下のように示されている。
【化3】
【0086】
一実施形態では、方法は、そのコード名「SRP-4053」によっても知られるゴロディルセンを投与することを含む。ゴロディルセンは、塩基配列5’-GTTGCCTCCGGTTCTGAAGGTGTTC-3’(配列番号7)を有するPMOである。ゴロディルセンは、CAS登録番号1422959-91-8で登録されている。化学名としては、オール-P-アムボ-[P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコ](2’a→5’)(G-T-T-G-C-C-T-C-C-G-G-T-T-C-T-G-A-A-G-G-T-G-T-T-C)5’-[4-({2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}カルボニル)-N,N-ジメチルピペラジン-1-ホスホンアミデート]が挙げられる。ゴロディルセンの構造は、以下のように示されている。
【化4】
【0087】
一実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、そのコード名「SPR-4045」によっても知られ、塩基配列5’-CAATGCCATCCTGGAGTTCCTG-3’(配列番号17)を有するPMOである、カシメルセンである。カシメルセンは、CAS登録番号1422959-91-8で登録されている。化学名としては、オール-P-アムボ-[P,2’,3’-トリデオキシ-P-(ジメチルアミノ)-2’,3’-イミノ-2’,3’-セコ](2’a→5’)(C-A-A-T-G-C-C-A-T-C-C-T-G-G-A-G-T-T-C-C-T-G)5’-[4-({2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}カルボニル)-N,N-ジメチルピペラジン-1-ホスホンアミデート]が挙げられる。
【0088】
カシメルセンの構造は以下のように示されている:
【化5】
【0089】
明確にするために、本開示の構造、例えば、エテプリルセン、ゴロディルセン、およびカシメルセンの上記の構造は、5’から3’まで連続的であり、構造全体をコンパクトな形態で描写する利便性のために、「中断A」、および「中断B」と表示された様々な図の中断が含まれている。当業者によって理解されるように、例えば、「中断A」の各表示は、これらの点における構造の図の続きを示す。当業者は、上記の構造における「中断B」の各場合について、同じことが当てはまることを理解する。しかしながら、図の中断のいずれも、上記の構造の実際の不連続を示すことを意図しておらず、当業者もそれらがそのように意味するものと理解しないであろう。
【0090】
本開示の実施形態は、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩をそれ自体または医薬組成物として投与することによって、DMDおよびBMDなどの、筋ジストロフィーを治療する方法に関する。ジストロフィンは、筋機能において重要な役割を果たし、様々な筋肉関連疾患がこの遺伝子の変異型を特徴とする。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、DMDおよびBMDに見られる変異ジストロフィン遺伝子などのヒトジストロフィン遺伝子の変異型において、エクソンスキッピングを誘導するために使用され得る。
【0091】
変異によって引き起こされる異常なmRNAスプライシング事象により、これらの変異ヒトジストロフィン遺伝子は、欠陥のあるジストロフィンタンパク質を発現するか、または測定可能なジストロフィンを全く発現しないかのいずれかであり、これは様々な形態の筋ジストロフィーを引き起こす状態である。この状態を治療するために、アンチセンスオリゴマーは、変異ヒトジストロフィン遺伝子の予めプロセシングされたRNAのエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53にハイブリダイズし、そうでなければ異常にスプライシングされたジストロフィンmRNAにおいてエクソンスキッピングおよび差次的スプライシングを誘導し、これにより、筋細胞が、機能性ジストロフィンタンパク質をコードするmRNA転写物を産生することを可能にする。ある特定の実施形態では、結果として生じるジストロフィンタンパク質は、必ずしも「野生型」の形態のジストロフィンではなく、むしろ、先端を切断されたが機能性または半機能性の形態のジストロフィンである。
【0092】
筋細胞における機能性ジストロフィンタンパク質のレベルを高めることによって、これらおよび関連する実施形態は、筋ジストロフィー、特にそのような形態の筋ジストロフィー、例えばDMDおよびBMDなどの予防および治療に有用であり、これらは、異常なmRNAスプライシングによる欠陥のあるジストロフィンタンパク質の発現を特徴とする。本明細書に記載される方法は、筋ジストロフィー患者に治療選択肢をさらに提供し、関連する形態の筋ジストロフィーを治療する代替的な方法よりも有意かつ実用的な利点を提供する。例えば、一部の実施形態では、方法は、以前のアプローチよりも高用量および/または長い期間、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するための、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩の投与に関する。
【0093】
したがって、本開示は、ヒト対象においてエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングを誘導することによって、DMDおよびBMDなどの、筋ジストロフィーを治療する方法に関する。一部の実施形態では、エクソンスキッピングは、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することによって誘導され、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、DMDまたはBMDを治療する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0094】
一部の実施形態では、エクソンスキッピングは、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することによって誘導され、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、DMDまたはBMDを治療する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0095】
一部の実施形態では、エクソンスキッピングは、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することによって誘導され、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、本開示は、ヒト対象に、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む、DMDまたはBMDを治療する方法に関し、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kg、約125mg/kg、約150mg/kg、約175mg/kg、約200mg/kg、約225mg/kg、約250mg/kg、約275mg/kg、または約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。
【0096】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、週1回投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、週2回投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、毎月1回投与される。
【0097】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、週1回投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、週2回投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、毎月1回投与される。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、週1回投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、週2回投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、毎月1回投与される。
【0099】
一部の実施形態では、方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約24週間、最大約48週間、最大約60週間、最大約80週間、最大約100週間、最大約120週間、最大約140週間、最大約150週間、最大約160週間、最大約180週間、最大約200週間投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約144週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも120週間、少なくとも144週間、または少なくとも164週間投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、病気が持続する間投与される。
【0100】
一部の実施形態では、方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約24週間、最大約48週間、最大約60週間、最大約80週間、最大約100週間、最大約120週間、最大約140週間、最大約150週間、最大約160週間、最大約180週間、最大約200週間投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約144週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも120週間、少なくとも144週間、または少なくとも164週間投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、病気が持続する間投与される。
【0101】
一部の実施形態では、方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、最大約24週間、最大約48週間、最大約60週間、最大約80週間、最大約100週間、最大約120週間、最大約140週間、最大約150週間、最大約160週間、最大約180週間、最大約200週間投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約144週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも120週間、少なくとも144週間、または少なくとも164週間投与される。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、病気が持続する間投与される。
【0102】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当該分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が、本開示の実施または試験で使用され得るが、好ましい方法および材料が記載される。本開示の目的のために、以下の用語が以下に定義される。
【0103】
I.定義
「約」とは、基準の数量、レベル、値、数、頻度、割合、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%ほどまで変化する数量、レベル、値、数、頻度、割合、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0104】
「アンチセンスオリゴマー」、「アンチセンス化合物」および「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、それぞれ塩基対合部分を有し、塩基対形成部分にワトソン-クリック塩基対形成によって核酸中の標的配列(典型的にはRNA)にハイブリダイズさせて、標的配列内の核酸:オリゴマーヘテロ二本鎖を形成させるサブユニット間結合によって結合された、環状サブユニットの配列を指す。
【0105】
用語「モルホリノオリゴマー」または「PMO」(ホスホルアミダート-またはホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー)は、モルホリノサブユニット構造から構成されるオリゴヌクレオチド類似体を指し、(i)構造は、一つのサブユニットのモルホリノ窒素を、隣接するサブユニットの5’外環式炭素に結合させている、1~3原子長、好ましくは、2原子長、好ましくは、非荷電またはカチオン性の、リン含有結合によって一緒に連結され、(ii)それぞれのモルホリノ環は、塩基特異的水素結合によって、ポリヌクレオチドにおける塩基に結合するのに有効なプリンまたはピリミジン塩基対部分を生じる。モルホリノオリゴマーの合成、構造、および結合特性は、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号、同第8,299,206号および同7,943,762号(カチオン性結合)に詳述されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
「エクソン」とは、タンパク質をコードする核酸の定められたセクション、あるいは前処理された(または前駆体)RNAのいずれかの部分がスプライシングによって除去された後でRNA分子の成熟形態で表される核酸配列を指す。成熟RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)、またはrRNAもしくはtRNAなどの非コードRNAの機能性形態であり得る。ヒトジストロフィン遺伝子は、約79のエクソンを有する。
【0107】
「イントロン」は、タンパク質に翻訳されない核酸領域(遺伝子内)を指す。イントロンは、前駆体mRNA(プレmRNA)に転写され、その後成熟RNAの形成中にスプライシングにより除去される、非コードセクションである。
【0108】
「エクソンスキッピング」は、概して、エクソン全体、またはその一部が所与の前処理されたRNAから除去され、それによって、タンパク質に翻訳される成熟mRNAなどの成熟RNA中に存在することから除外されるプロセスを指す。したがって、スキップされたエクソンによってコードされるタンパク質の部分は、発現されたタンパク質形態では存在せず、典型的には、依然として機能性であるが、タンパク質の改変された形態を産生する。
【0109】
「ジストロフィン」は、ロッド状の細胞質タンパク質であり、筋線維の細胞骨格を、細胞膜を通して周囲の細胞外マトリックスに連結するタンパク質複合体の重要な部分である。ジストロフィンは複数の機能ドメインを含有する。例えば、ジストロフィンは、約アミノ酸14~240にアクチン結合ドメイン、および約アミノ酸253~3040に中央ロッドドメインを含有する。この大きな中央ドメインは、α-アクチニンおよびスペクトリンと相同性を有する約109アミノ酸の24個のスペクトリン様三重らせん状要素によって形成される。リピートは、典型的には、ヒンジ領域とも呼ばれる四つのプロリンが豊富な非リピートセグメントによって中断される。リピート15および16は、ジストロフィンのタンパク質切断のための主要な部位を提供するように見える18アミノ酸の伸長によって分離される。ほとんどのリピート間の配列同一性は、10~25%の範囲である。一つのリピートは、三つのα-ヘリックス:1、2および3を含有する。α-ヘリックス1および3はそれぞれ、7つのヘリックスターンによって形成され、おそらく疎水性界面を介してコイルドコイルとして相互作用する。α-ヘリックス2は、より複雑な構造を有し、グリシンまたはプロリン残基によって分離される四つおよび三つのヘリックスターンのセグメントによって形成される。各リピートは二つのエクソンによってコードされ、典型的にはα-ヘリックス2の最初の部分におけるアミノ酸47と48の間のイントロンによって中断される。他のイントロンは、通常はヘリックス-3上に散乱されて、リピート中の異なる位置に見られる。ジストロフィンはまた、システインが豊富なセグメント(すなわち、280アミノ酸中15個のシステイン)を含んで、約アミノ酸3080~3360でシステインが豊富なドメインを含有し、粘菌(キイロタマホコリカビ)α-アクチニンのC末端ドメインと相同性を示す。カルボキシ末端ドメインは、約アミノ酸3361~3685にある。
【0110】
ジストロフィンのアミノ末端はF-アクチンに結合し、カルボキシ末端は筋鞘でジストロフィン結合タンパク質複合体(DAPC)に結合する。DAPCには、ジストログリカン、サルコグリカン、インテグリン、およびカベオリンが含まれ、これらの構成要素のいずれかにおける変異は、常染色体遺伝性筋ジストロフィーを引き起こす。DAPCは、ジストロフィンが存在しない場合に不安定化され、その結果、メンバータンパク質のレベルが減少し、よって進行性の線維損傷および膜漏出に至る。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)およびベッカー型筋ジストロフィー(BMD)などの筋ジストロフィーの様々な形態において、筋細胞は、主に不正確なスプライシングをもたらす遺伝子配列における変異に起因して、変化したおよび機能性に欠陥のあるジストロフィンの形態を産生するか、またはジストロフィンを全く産生しない。欠陥のあるジストロフィンタンパク質の優勢な発現、あるいはジストロフィンまたはジストロフィン様タンパク質の完全な欠乏は、上述のように、筋変性の急速な進行をもたらす。この点に関して、「欠陥がある」ジストロフィンタンパク質は、当技術分野で公知のように、DMDまたはBMDを有する特定の対象において産生されるジストロフィンの形態によって、または検出可能なジストロフィンが存在しないことによって、特徴付けられ得る。
【0111】
「エクソン53スキッピングに適している」とは、対象または患者に関して本明細書で使用される場合、ジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピングがないことにより、リーディングフレームがアウトオブフレームとなり、それによりプレmRNAの翻訳が妨げられて、対象または患者がジストロフィンを産生することができなくなる、ジストロフィン遺伝子の一つまたは複数の変異を有する対象および患者を含むことが意図される。エクソン53スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の、以下のエクソンにおける変異の非限定的な例としては、例えば、エクソン3~52、4~52、5~52、6~52、9~52、10~52、11~52、13~52、14~52、15~52、16~52、17~52、19~52、21~52、23~52、24~52、25~52、26~52、27~52、28~52、29~52、30~52、31~52、32~52、33~52、34~52、35~52、36~52、37~52、38~52、39~52、40~52、41~52、43~52、42~52、45~52、47~52、48~52、49~52、50~52、54~58、54~61、54~63、54~64、54~66、54~76、54~77、またはエクソン52の欠損が挙げられる。患者がエクソンスキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するかどうかを決定することは、十分に当業者の理解の範囲内である(例えば、Aartsma-Rus et al.(2009)Hum Mutat.30:293-299,Gurvich et al.,Hum Mutat.2009;30(4)633-640、およびFletcher et al.(2010)Molecular Therapy 18(6)1218-1223を参照)。
【0112】
「エクソン45スキッピングに適している」とは、対象または患者に関して本明細書で使用される場合、ジストロフィンプレmRNAのエクソン45のスキッピングがないことにより、リーディングフレームがアウトオブフレームとなり、それによりプレmRNAの翻訳が妨げられて、対象または患者が機能性または半機能性ジストロフィンを産生することができなくなる、ジストロフィン遺伝子の一つ以上の変異を有する対象および患者を含むことが意図される。エクソン45スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子における変異の例としては、例えば、エクソン7~44、12~44、18~44、44、46、46~47、46~48、46~49、46~51、46~53、46~55、46~57、46~59、46~60、46~67、46~69、46~75、および46~78における変異が挙げられる(ライデンデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベース、Leiden University Medical Center、オランダ)。患者がエクソンスキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するかどうかを決定することは、十分に当業者の理解の範囲内である(例えば、Aartsma-Rus et al.(2009)Hum Mutat.30:293-299、Gurvich et al.,Hum Mutat.2009;30(4)633-640、およびFletcher et al.(2010)Molecular Therapy 18(6)1218-1223を参照)。
【0113】
本明細書で使用される場合、「機能」および「機能性」などという用語は、生物学的、酵素的、または治療的機能を指す。
【0114】
「機能性」ジストロフィンタンパク質とは概して、DMDまたはBMDを有する特定の対象に存在するジストロフィンタンパク質の「改変」型または「欠損」型と比較した場合典型的に、別の様相で筋ジストロフィーの特徴である筋組織の進行性分解を低減するのに十分な生物学的活性を有するジストロフィンタンパク質を指す。ある特定の実施形態では、機能性ジストロフィンタンパク質は、当該技術分野の通常の技術に従って測定されるように、野生型ジストロフィンのin vitroまたはin vivoの生物学的活性の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%(それらの間の全ての整数を含む)を有し得る。一例として、in vitroでの筋培養におけるジストロフィン関連活性は、筋管サイズ、筋原線維の組織化(または崩壊)、収縮活性、およびアセチルコリン受容体の自発的クラスター化に従って測定され得る(例えば、Brown et al.,Journal of Cell Science.112:209-216, 1999を参照)。また、動物モデルは、疾患の病因を研究するための貴重なリソースであり、ジストロフィン関連活性を試験するための手段を提供する。DMD研究に最も広く使用されている動物モデルのうちの二つは、mdxマウスおよびゴールデンレトリバー筋ジストロフィー(GRMD)イヌであり、それらの両方がジストロフィン陰性である(例えば、Collins & Morgan,Int J Exp Pathol 84: 165-172, 2003を参照)。これらおよび他の動物モデルが使用されて、様々なジストロフィンタンパク質の機能活性を測定することができる。ジストロフィンの切断型、例えば、本開示の特定のエクソンスキッピングアンチセンス化合物により産生されるそのような型が含まれる。
【0115】
語句「医薬的に許容される」は、妥当な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内にあるそれらの化合物、物質、組成物、および/または投薬形態を指すために本明細書において用いられる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」という語句は、無毒性、不活性固体、半固体もしくは液体充填剤、希釈剤、封入材料、または任意の種類の製剤補助剤を意味する。医薬的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、製剤者の判断に従って、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、スクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルナトリウムセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐剤ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコールエステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギニン酸;発熱性物質除去蒸留水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム;着色剤;離型剤;コーティング剤;甘味剤;香味剤;芳香剤;防腐剤;および酸化防止剤がある。
【0117】
ジストロフィン合成または産生の「回復」という用語は、概して、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療後の筋ジストロフィー患者における、切断型ジストロフィンを含むジストロフィンタンパク質の産生を指す。一部の実施形態では、治療は、患者における新規ジストロフィン産生をもたらす。一部の実施形態では、治療は、対象における正常のジストロフィン陽性線維の数を増加させる。治療後の患者のジストロフィン陽性線維の割合は、既知の技術を使用して筋生検によって決定され得る。例えば、筋生検は、患者の上腕二頭筋などの好適な筋肉から採取され得る。
【0118】
陽性ジストロフィン線維の割合の分析は、治療前および/もしくは治療後、または治療過程全体を通した時点において実施され得る。一部の実施形態では、治療後の生検は、治療前の生検と対側の筋肉から採取される。治療前および治療後のジストロフィン発現分析は、任意の好適なジストロフィンアッセイを使用して実施され得る。一実施形態では、免疫組織化学的検出は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などのジストロフィンのためのマーカーである抗体を使用して、筋生検からの組織切片上で実施される。例えば、ジストロフィンのための高感度マーカーであるMANDYS106抗体が使用され得る。任意の好適な二次抗体が使用され得る。
【0119】
一部の実施形態では、ジストロフィン陽性線維の割合は、陽性線維数を、カウントした総線維数で割ることによって計算される。正常な筋肉試料は、100%のジストロフィン陽性線維を有する。したがって、ジストロフィン陽性線維の割合は、正常の割合として表され得る。治療前の筋肉ならびに復帰突然変異線維におけるジストロフィンの微量レベルの存在を制御するために、治療後の筋肉におけるジストロフィン陽性線維をカウントする場合、ベースラインは、各患者からの治療前の筋肉切片を使用して設定され得る。これは、その患者の治療後の筋肉切片におけるジストロフィン陽性線維をカウントするための閾値として使用され得る。他の実施形態では、抗体で染色された組織切片は、Bioquant画像分析ソフトウェア(Bioquant Image Analysis Corporation,Nashville,TN)を使用したジストロフィン定量化にも使用され得る。総ジストロフィン蛍光シグナル強度は、正常の割合として報告され得る。さらに、モノクローナルまたはポリクローナル抗ジストロフィン抗体を用いたウェスタンブロット分析を使用して、ジストロフィン陽性線維の割合を決定することができる。例えば、Novacastraからの抗ジストロフィン抗体NCL-Dys1が使用され得る。また、ジストロフィン陽性線維の割合は、サルコグリカン複合体(β、γ)および/または神経NOSの構成成分の発現を決定することによっても分析され得る。
【0120】
個体(例えば、ヒト対象などの哺乳類)または細胞の「治療」は、個体または細胞の自然経過を変更する試みにおいて使用されるあらゆる種類の介入である。治療は、限定するものではないが、医薬組成物の投与を含み、予防的に、または病理学的事象の開始もしくは病原体との接触の後に、行い得る。治療は、ある特定の形態の筋ジストロフィーにおけるような、ジストロフィンタンパク質に関連した疾患または状態の症状または病理に対する任意の望ましい効果を含み、例えば、治療されている疾患または状態の、一つまたは複数の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善を含み得る。また、治療されている疾患もしくは状態の進行速度を低下させること、その疾患もしくは状態の発症を遅延させること、またはその発症の重症度を低減することを対象とし得る、「予防的」治療も含まれる。「治療」または「予防」は、必ずしも疾患もしくは状態またはその随伴症状の完全な根絶、治癒、または予防を示すものではない。
【0121】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別段の定めがない限り、飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。ある特定の実施形態では、アルキル基は、第一級、第二級、または第三級炭化水素である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子、すなわち、C~C10アルキルを含む。ある特定の実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子、すなわち、C~Cアルキルを含む。この用語は、ハロゲン化アルキル基を含む、置換アルキル基および非置換アルキル基の両方を含む。ある特定の実施形態では、アルキル基は、フッ素化アルキル基である。アルキル基が置換され得る部分の非限定的な例は、当業者に既知であるように、例えば、参照により本明細書に組み込まれるGreene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991で教示されるように、保護されていないか、または必要に応じて保護されているかのいずれかの、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、もしくはヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、アルキル基は、メチル、CF、CCl、CFCl、CFCl、エチル、CHCF、CFCF、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、および2,3-ジメチルブチルからなる群から選択される。
【0122】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシル、および2-アントラシルなどの6~14個の環原子を有する芳香族環基を指す。「アリール」環は、一つまたは複数の置換基を含有してもよい。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用されうる。「アリール」はまた、芳香族環が一つまたは複数の環に融合される、融合多環式芳香族環系を含む。有用なアリール環基の非限定的な例としては、フェニル、ヒドロキシフェニル、ハロフェニル、アルコキシフェニル、ジアルコキシフェニル、トリアルコキシフェニル、アルキレンジオキシフェニル、ナフチル、フェナンチル、アンスリル、フェナントロ等、ならびに1-ナフチル、2-ナフチル、1-アンスラシル、および2-アンスラシルが挙げられる。また、本明細書で使用される場合、「アリール」という用語の範囲内には、芳香族環が、例えば、インダニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなどの一つまたは複数の非芳香族環に融合された基も含まれるが、ここでラジカルまたは付着点は、芳香族環上にある。
【0123】
「アシル」という用語は、C(O)R基(式中、Rは、本明細書で定義されるH、アルキル、またはアリールを意味する)を指す。アシル基の例としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、および類似の基が挙げられる。
【0124】
「相補的な」および「相補性」という用語は、ワトソン-クリック塩基対ルールによって互いに関連する二つ以上のオリゴマー(すなわち、それぞれが核酸塩基配列を含む)、またはオリゴマーと標的遺伝子配列の間のものを指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’→3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’→5’)」に相補的である。相補性は、「部分的」であり得、所与の核酸塩基配列の全てには満たない核酸塩基が、塩基対合則に従って他の核酸塩基配列とマッチされる。例えば、一部の実施形態では、所与の核酸塩基配列と別の核酸塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であり得る。あるいは、例を続けると、所与の核酸塩基配列と別の核酸塩基配列との間に「完全な(complete)」または「完全な(perfect)」(100%)相補性が存在し得る。核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意な影響を与える。
【0125】
一部の実施形態では、本開示の方法を用いた治療は、新規のジストロフィン産生を増加させ、治療なしで予測される歩行不能を遅らせるか、または低減する。例えば、治療は、対象の歩行能力(例えば、歩行の安定化)を安定化するか、維持するか、改善するか、または増加させ得る。一部の実施形態では、治療は、例えば、McDonald,et al.(Muscle Nerve,2010;42:966-74、参照により本明細書に組み込まれる)によって記載される6分間歩行試験(6MWT)によって測定されるように、患者の安定した歩行距離を維持するか、または増加させる。6分間歩行距離(6MWD)の変化は、絶対値、変化率、または%予測値の変化として表され得る。健康な同等者の典型的なパフォーマンスと比較した6MWTにおけるDMD患者のパフォーマンスは、%予測値を計算することによって決定することができる。例えば、%予測6MWDは、男性の場合、以下の方程式を使用して計算され得る:196.72+(39.81×年齢)-(1.36×年齢)+(132.28×身長(メートル))。女性の場合、%予測6MWDは、以下の方程式を使用して計算され得る:188.61+(51.50×年齢)-(1.86×年齢)+(86.10×身長(メートル))(Henricson et al.PLoS Curr.,2012,version 2、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療は、患者のベースラインからの安定した歩行距離を増加させる。
【0126】
DMD患者の筋機能の喪失は、正常な小児の成長および発達の背景に反して起こり得る。実際に、DMDを有する小児は、進行性筋肉障害にもかかわらず、約1年の過程にわたって6MWT中の歩行距離の増加を示し得る。一部の実施形態では、DMD患者からの6MWDは、定型発達の対照対象、ならびに年齢および性別が一致した対象からの既存の標準データと比較される。一部の実施形態では、正常な成長および発達は、標準データにフィッティングされた年齢および身長に基づく方程式を使用して説明され得る。そのような方程式を使用して、DMDを有する対象における6MWDをパーセント予測(%予測)値に変換することができる。ある特定の実施形態では、%予測6MWDデータの分析は、正常な成長および発達を説明する方法を表し、若年齢(例えば、7歳以下)における機能の増加が、DMD患者における能力の改善ではなく安定を表すことを示し得る(Henricson et al.PLoS Curr.,2012,version 2(参照により本明細書に組み込まれる))。
【0127】
一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療は、治療なしで予想され得るDMD患者における進行性呼吸筋機能障害および/または不全を遅らせるか、または低減する。一部の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療は、治療なしで予想され得る換気補助の必要性を低減または排除し得る。一部の実施形態では、疾患の経過を追跡するための呼吸機能の測定、ならびに可能性のある治療介入の評価には、最大吸気圧(MIP)、最大呼気圧(MEP)、および努力肺活量(FVC)が含まれる。MIPおよびMEPは、それぞれ、吸入中および呼気中に人が発生させることができる圧力レベルを測定し、かつ呼吸筋力の感度尺度である。MIPは、横隔膜の筋力低下の尺度である。
【0128】
一部の実施形態では、MEPは、MIPおよびFVCを含む他の肺機能検査における変化の前に低下し得る。ある特定の実施形態では、MEPは、呼吸機能障害の早期指標であり得る。ある特定の実施形態では、FVCは、最大吸気後の努力呼気中に排出される空気の総体積を測定するために使用され得る。DMD患者において、FVCは、10代前半まで身体的成長と同時に増加する。しかしながら、成長が病気の進行によって遅くなるまたは不良になり、筋力低下が進行すると、肺活量は下降期に入り、10~12歳の後、年間約8~8.5パーセントの平均速度で低下する。ある特定の実施形態では、予測MIPパーセント(MIPは体重で調整)、予測MEPパーセント(MEPは年齢で調整)、および予測FVCパーセント(FVCは年齢および身長で調整)は、支持的分析である。
【0129】
本明細書で使用される場合、「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢に投与される」という語句は、中枢神経系への直接の投与以外の、化合物、薬物、または他の材料の投与を意味し、これにより患者の系内に入り、ひいては代謝および他の類似のプロセス、例えば、皮下投与などの対象となる。
【0130】
II.治療方法
本開示は、ヒト対象においてエクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングを誘導することによって、DMDおよびBMDなどの、筋ジストロフィーを治療する改善された方法に関する。これらの方法では、エクソンスキッピングは、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を、それ自体または医薬組成物として投与することによって誘導され、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、約80~約300mg/kgの用量で投与される。
【0131】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、1日当たり体重1キログラム当たり用量約80mg~約300mgまたは1日当たり体重1キログラム当たり用量約100mg~約200mgで投与される。場合によっては、300mg/kgを超える用量が必要である場合もある。一部の実施形態では、投与のための用量は、約80mg~300mg/kgである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、用量約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、約150mg/kg、約155mg/kg、約160mg/kg、約165mg/kg、約170mg/kg、約175mg/kg、約180mg/kg、約185mg/kg、約190mg/kg、約195mg/kg、約200mg/kg、約205mg/kg、約210mg/kg、約215mg/kg、約220mg/kg、約225mg/kg、約230mg/kg、約235mg/kg、約240mg/kg、約245mg/kg、約250mg/kg、約255mg/kg、約260mg/kg、約265mg/kg、約270mg/kg、約275mg/kg、約280mg/kg、約285mg/kg、約290mg/kg、約295mg/kg、または約300mg/kgで投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、投与は、静脈内(i.v.)注入を介したものである。
【0132】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、1日当たり体重1キログラム当たり用量約80mg~約300mgまたは1日当たり体重1キログラム当たり用量約100mg~約200mgで投与される。場合によっては、300mg/kgを超える用量が必要である場合もある。一部の実施形態では、投与のための用量は、約80mg~300mg/kgである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、用量約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、約150mg/kg、約155mg/kg、約160mg/kg、約165mg/kg、約170mg/kg、約175mg/kg、約180mg/kg、約185mg/kg、約190mg/kg、約195mg/kg、約200mg/kg、約205mg/kg、約210mg/kg、約215mg/kg、約220mg/kg、約225mg/kg、約230mg/kg、約235mg/kg、約240mg/kg、約245mg/kg、約250mg/kg、約255mg/kg、約260mg/kg、約265mg/kg、約270mg/kg、約275mg/kg、約280mg/kg、約285mg/kg、約290mg/kg、約295mg/kg、または約300mg/kgで投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、ゴロディルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、投与は、静脈内(i.v.)注入を介したものである。
【0133】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩は、1日当たり体重1キログラム当たり用量約80mg~約300mgまたは1日当たり体重1キログラム当たり用量約100mg~約200mgで投与される。場合によっては、300mg/kgを超える用量が必要である場合もある。一部の実施形態では、投与のための用量は、約80mg~300mg/kgである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、用量約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約105mg/kg、約110mg/kg、約120mg/kg、約125mg/kg、約130mg/kg、約135mg/kg、約140mg/kg、約145mg/kg、約150mg/kg、約155mg/kg、約160mg/kg、約165mg/kg、約170mg/kg、約175mg/kg、約180mg/kg、約185mg/kg、約190mg/kg、約195mg/kg、約200mg/kg、約205mg/kg、約210mg/kg、約215mg/kg、約220mg/kg、約225mg/kg、約230mg/kg、約235mg/kg、約240mg/kg、約245mg/kg、約250mg/kg、約255mg/kg、約260mg/kg、約265mg/kg、約270mg/kg、約275mg/kg、約280mg/kg、約285mg/kg、約290mg/kg、約295mg/kg、または約300mg/kgで投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約100mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、カシメルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、投与は、静脈内(i.v.)注入を介したものである。
【0134】
所望される場合、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の有効な1日用量は、それ自体または医薬組成物としてのいずれかで、日、週、月、または年を通して適切な間隔で別々に投与される、2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上のサブ用量として投与されてもよい。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、1年、2年、3年、4年、または5年に1回投与されてもよい。ある特定の状況において、投与量は1日1回の投与である。ある特定の実施形態では、投与は、機能性ジストロフィンタンパク質の所望の発現を維持するために、必要に応じて、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヵ月毎に1回または複数回の投与である。一部の実施形態では、投与は、1週間に1回の、1回投与である。一部の実施形態では、投与は、2週間に1回の、1回投与である。様々な実施形態では、投与は、毎月の1回または複数回の投与である。なお他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、毎月1回投与される。他の実施形態について、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月に1回投与されてもよい。
【0135】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、規則的な間隔、例えば、1日1回、2日に1回、3日に1回、3~7日に1回、3~10日に1回、7~10日に1回、1週間に1回、2週間に1回、毎月1回で投与される。例えば、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、静脈内注入により週1回投与されてもよい。別の例では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、静脈内注入により月1回投与されてもよい。アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、より長期、例えば、数週間、数ヶ月または数年にわたり、断続的に投与されてもよい。治療レジメンは、イムノアッセイ、他の生化学的検査、および治療中の対象の生理学的検査の結果に基づいて、指示されたように調整されてもよい(用量、頻度、経路など)。
【0136】
様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、用量約100mg/kgで毎週投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約125mg/kgの用量で毎週投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約150mg/kgの用量で毎週投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約175mg/kgの用量で毎週投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で毎週投与される。様々な他の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約300mg/kgの用量で毎週投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約100mg/kgで毎週投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約200mg/kgで毎週投与される。本明細書で使用される場合、毎週は、1週間毎の当該技術分野で一般に認められた意味を有すると理解される。
【0137】
様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、用量約100mg/kgで、隔週で投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約125mg/kgの用量で、隔週で投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約150mg/kgの用量で、隔週で投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約175mg/kgの用量で、隔週で投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で、隔週で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約100mg/kgで、隔週で投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約200mg/kgで、隔週で投与される。本明細書で使用される場合、隔週は、2週間毎の当該技術分野で一般に認められた意味を有すると理解される。
【0138】
様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、用量約100mg/kgで2週置きに投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約125mg/kgの用量で2週置きに投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約150mg/kgの用量で2週置きに投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約175mg/kgの用量で2週置きに投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で2週置きに投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約100mg/kgで2週置きに投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約200mg/kgで2週置きに投与される。本明細書で使用される場合、2週置きとは、三週間に1回の当該技術分野で一般に認められた意味を有すると理解される。
【0139】
様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、用量約100mg/kgで毎月投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約125mg/kgの用量で毎月投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約150mg/kgの用量で毎月投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約175mg/kgの用量で毎月投与される。様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、約200mg/kgの用量で毎月投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約100mg/kgで毎月投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、静脈内注入を介して用量約200mg/kgで毎月投与される。本明細書で使用される場合、毎月は、月毎の当該技術分野で一般に認められた意味を有すると理解される。
【0140】
当該技術分野で理解されるように、毎週、隔週、三週間毎、または毎月の投与は、本明細書で考察されるように、1回または複数回の投与または部分用量であってもよい。
【0141】
ある特定の実施形態では、静脈内注入の時間は、約15分間~約4時間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約30分間~約3時間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約30分間~約2時間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約1時間~約2時間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約30分間~約1時間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約60分間である。一部の実施形態では、注入の時間は、約35~60分間である。
【0142】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、組成物は、最大約24週間、最大約25週間、最大約26週間、最大約27週間、最大約28週間、最大約29週間、最大約30週間、最大約31週間、最大約32週間、最大約33週間、最大約34週間、最大約35週間、最大約36週間、最大約37週間、最大約38週間、最大約39週間、最大約40週間、最大約41週間、最大約42週間、最大約43週間、最大約44週間、最大約45週間、最大約46週間、最大約47週間、最大約48週間、最大約49週間、最大約50週間、最大約51週間、最大約52週間、最大約53週間、最大約54週間、最大約55週間、最大約56週間、最大約57週間、最大約58週間、最大約59週間、最大約60週間、最大約61週間、最大約62週間、最大約63週間、最大約64週間、最大約65週間、最大約66週間、最大約67週間、最大約68週間、最大約69週間、最大約70週間、最大約71週間、約72週間、最大約73週間、最大約74週間、最大約75週間、最大約76週間、最大約77週間、最大約78週間、最大約79週間、最大約80週間、最大約81週間、最大約82週間、最大約83週間、最大約84週間、最大約85週間、最大約86週間、最大約87週間、最大約88週間、最大約89週間、最大約90週間、最大約91週間、約92週間、最大約93週間、最大約94週間、最大約95週間、最大約96週間、最大約97週間、最大約98週間、最大約100週間、最大約105週間、最大約110週間、最大約115週間、最大約120週間、最大約125週間、最大約130週間、最大約135週間、最大約140週間、最大約145週間、最大約150週間、最大約155週間、最大約160週間、最大約165週間、最大約170週間、最大約175週間、最大約180週間、最大約185週間、最大約190週間、最大約195週間、または最大約200週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約24週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約48週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約144週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、最大約168週間投与される。
【0143】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、組成物は、少なくとも約24週間、少なくとも約25週間、少なくとも約26週間、少なくとも約27週間、少なくとも約28週間、少なくとも約29週間、少なくとも約30週間、少なくとも約31週間、少なくとも約32週間、少なくとも約33週間、少なくとも約34週間、少なくとも約35週間、少なくとも約36週間、少なくとも約37週間、少なくとも約38週間、少なくとも約39週間、少なくとも約40週間、少なくとも約41週間、少なくとも約42週間、少なくとも約43週間、少なくとも約44週間、少なくとも約45週間、少なくとも約46週間、少なくとも約47週間、少なくとも約48週間、少なくとも約49週間、少なくとも約50週間、少なくとも約51週間、少なくとも約52週間、少なくとも約53週間、少なくとも約54週間、少なくとも約55週間、少なくとも約56週間、少なくとも約57週間、少なくとも約58週間、少なくとも約59週間、少なくとも約60週間、少なくとも約61週間、少なくとも約62週間、少なくとも約63週間、少なくとも約64週間、少なくとも約65週間、少なくとも約66週間、少なくとも約67週間、少なくとも約68週間、少なくとも約69週間、少なくとも約70週間、少なくとも約71週間、約72週間、少なくとも約73週間、少なくとも約74週間、少なくとも約75週間、少なくとも約76週間、少なくとも約77週間、少なくとも約78週間、少なくとも約79週間、少なくとも約80週間、少なくとも約81週間、少なくとも約82週間、少なくとも約83週間、少なくとも約84週間、少なくとも約85週間、少なくとも約86週間、少なくとも約87週間、少なくとも約88週間、少なくとも約89週間、少なくとも約90週間、少なくとも約91週間、約92週間、少なくとも約93週間、少なくとも約94週間、少なくとも約95週間、少なくとも約96週間、少なくとも約97週間、少なくとも約98週間、少なくとも約100週間、少なくとも約105週間、少なくとも約110週間、少なくとも約115週間、少なくとも約120週間、少なくとも約125週間、少なくとも約130週間、少なくとも約135週間、少なくとも約140週間、少なくとも約145週間、少なくとも約150週間、少なくとも約155週間、少なくとも約160週間、少なくとも約165週間、少なくとも約170週間、少なくとも約175週間、少なくとも約180週間、少なくとも約185週間、少なくとも約190週間、少なくとも約195週間、または最大約200週間投与される。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む組成物は、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも120週間、少なくとも144週間、または少なくとも168週間投与される。なお他の実施形態では、医薬組成物は、病気が持続する間、投与される。
【0144】
いくつかの文献報告により、独立して床から起き上がる能力の喪失と、翌年のうちの歩行運動の続く喪失との間の、DMD患者における関連が示唆されている(Bushby and Connor(2011)Clin Investig(Lond.)1(9):1217-1235およびHenricson et al.(2013)Muscle Nerve 48(1):55-67)。したがって、本明細書に記載される方法のいずれかは、仰臥位から独立して起き上がる能力を失った患者を治療することを含み得る。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療の少なくとも1年前に、仰臥位から独立して起き上がる能力を失っている。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療開始の1年以内に、仰臥位から独立して起き上がる能力を失っている。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、治療開始の2年以内に、仰臥位から独立して起き上がる能力を失っている。
【0145】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれかは、たとえ患者が、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療中に、仰臥位置から起き上がる能力を失っていても、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた治療を継続することを含む。
【0146】
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、10秒より長い立ち上がり時間を有する。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、15秒より長い立ち上がり時間を有する。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、20秒より長い立ち上がり時間を有する。
【0147】
アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩が、エクソン44、エクソン45、エクソン50、エクソン51、エクソン52、またはエクソン53スキッピングを含む、本開示の方法の効果を分析するための臨床転帰としては、ジストロフィン陽性線維(PDPF)の割合、6分間歩行試験(6MWT)、歩行不能(LOA)、ノーススター歩行評価(NSAA)、肺機能検査(PFT)、外部の支持なしで(仰臥位から)立ち上がる能力、de novoジストロフィン産生、および他の機能性尺度が挙げられる。
【0148】
一部の実施形態では、本開示の方法は、6分間歩行試験(6MWT)によって測定される、方法を用いて治療されるヒト対象における疾患の進行を遅延させる。
【0149】
一部の実施形態では、本開示の方法により、方法を用いて治療されるヒト対象において肺の機能を維持すること、または肺の機能の喪失を低減することが可能になる。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、肺の機能は、最大呼気圧(MEP)として測定される。一部の実施形態では、肺機能は、最大吸気圧(MIP)として測定される。一部の実施形態では、肺機能は、努力肺活量(FVC)として測定される。
【0150】
一部の実施形態では、本開示の方法は、mRNA読み枠を回復させて、DMDを有するヒト対象におけるジストロフィンタンパク質産生を誘導する。タンパク質産生は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ウェスタンブロット分析、または免疫組織化学検査(IHC)によって測定され得る。一部の実施形態では、異なる筋肉群由来組織(例えば、四頭筋、横隔膜、二頭筋、皮膚、心臓など)を、ホモジナイズ(例えば、TissueLyserによって)し、RNAを単離し、PCR(例えば、液滴デジタルPCR、「ddPCR」)のため処理して、エクソンスキッピングのレベルを決定することができる。一部の実施形態では、ウェスタンブロット分析は、Schnell et al.,“Challenges in Interpreting Dystrophin Content byWestern Blot”,USNeurology,2019;15(1):40-6に記載されるとおり、実施することができ、その開示は、その全体が本明細書に取り込まれる。
【0151】
一部の実施形態では、本開示の方法によって治療されるべきヒト対象は、男性である。一部の実施形態では、ヒト対象(例えば、男性)は、約6ヶ月~約4歳(包括的)である。一部の実施形態では、ヒト対象は、少なくとも6(例えば、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、30、または36)月齢である。一部の実施形態では、ヒト対象は、4歳以下である。一部の実施形態では、男性ヒト対象は、7~13歳(包括的)である。他の実施形態では、男性ヒト対象は、7歳未満である。他の実施形態では、男性ヒト対象は、13歳を超えている。
【0152】
本開示の方法はまた、別の治療剤と組み合わせて、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む。追加の治療剤は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の投与の前、同時または続いて投与されてもよい。追加の治療剤は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、もしくはその医薬的に許容される塩と同じ組成物において製剤化されてもよいか、または異なる組成物においてであってもよい。例えば、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、ステロイドおよび/または抗生物質と組み合わせて投与されてもよい。ステロイドは、グルココルチコイドまたはプレドニゾンであってもよい。投与され得る他の薬剤には、患者の細胞およびDMDのマウスモデル(G.Kendall et al.Sci Tranl Med 4 164ra160(2012)、参照により本明細書に組み込まれる)におけるアンチセンス介在性エクソンスキッピングを強化することが示されているダントロレンなどのリアノジン受容体の拮抗薬に示される。
【0153】
一部の実施形態では、本開示の方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を、それ自体またはHan et al.,Nat.Comms.7,10981(2016)(その全体が、参照により本明細書に取り込まれる)において提供される、同じ組成物または別個の組成物のいずれかにおける、炭水化物との医薬組成物として同時投与することを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、5%ヘキソース炭水化物と同時投与されてもよい。例えば、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、5%グルコース、5%フルクトース、または5%マンノースと同時投与されてもよい。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、2.5%グルコースおよび2.5%フルクトースと同時投与されてもよい。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、5体積%の量で存在するアラビノース、5体積%の量で存在するグルコース、5体積%の量で存在するソルビトール、5体積%の量で存在するガラクトース、5体積%の量で存在するフルクトース、5体積%の量で存在するキシリトール、5体積%の量で存在するマンノース、各々が2.5体積%の量で存在するグルコースとフルクトースの組み合わせ、ならびに5.7体積%の量で存在するグルコース、2.86体積%の量で存在するフルクトース、および1.4体積%の量で存在するキシリトールの組み合わせから選択される炭水化物と同時投与され得る。
【0154】
様々な実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、それ自体または医薬組成物として、治療上有効量の非ステロイド性抗炎症化合物と同時投与される。一部の実施形態では、非ステロイド性抗炎症化合物は、NF-kB阻害剤である。例えば、一部の実施形態では、NF-kB阻害剤は、CAT-1004またはその医薬的に許容される塩であり得る。様々な実施形態では、NF-kB阻害剤は、サリチル酸塩とDHAのコンジュゲートであり得る。一部の実施形態では、NF-kB阻害剤は、CAT-1041またはその医薬的に許容される塩である。ある特定の実施形態では、NF-kB阻害剤は、サリチル酸塩とEPAのコンジュゲートである。様々な実施形態では、NF-kB阻害剤は、
【化6】
、またはその医薬的に許容される塩である。
【0155】
一部の実施形態では、非ステロイド性抗炎症化合物は、TGF-b阻害剤である。例えば、ある特定の実施形態では、TGF-b阻害剤は、HT-100である。
【0156】
III.製剤
本開示による方法は、アンチセンスオリゴマー、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物としての、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の投与を含む。核酸分子の送達のための方法は、例えば、Akhtar et al.,1992,Trends Cell Bio.,2:139;およびDelivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,ed.Akhtar;Sullivan et al.,PCT WO94/02595に記載されている。これらおよび他のプロトコールは、エテプリルセンを含む、実質的に任意の核酸分子の送達に利用され得る。
【0157】
ある特定の実施形態では、本開示は、一つまたは複数の医薬的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と一緒に製剤化された、治療上有効量のアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む、医薬的に許容される組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0158】
一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.1~約99%アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される賦形剤と一緒に含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約1~約90%アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約5~約70%、約5~約60%、約5~約50%、約5~約40%、または約5~約30%アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約10~約80%、約10~約70%、約10~約60%、約10~約50%、約10~約40%、約10~約30%、または約10~約20%アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む。他の実施形態では、医薬組成物におけるアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の濃度は、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約35mg/ml、約40mg/ml、約45mg/ml、約50mg/ml、約55mg/ml、約60mg/ml、約65mg/ml、約70mg/ml、約75mg/ml、約80mg/ml、約85mg/ml、約90mg/ml、約95mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、または約200mg/mlである。一実施形態では、医薬組成物におけるアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の濃度は、約50mg/mlである。
【0159】
本開示の方法における投与に適した医薬組成物は、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得、以下:(1)経口投与、例えば、浸漬液(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば口腔、舌下、または全身吸収を標的とした錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト、(2)例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液または徐放性製剤としての、例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または硬膜外注射による非経口投与、(3)例えば、皮膚に適用するためのクリーム、軟膏、または制御放出性パッチもしくは噴霧剤としての局所適用、(4)例えば、ペッサリー、クリーム、もしくは発泡体としての膣内投与または直腸内投与、(5)舌下投与、(6)眼内投与、(7)経皮投与、あるいは(8)経鼻投与に適合されたものを含む。
【0160】
医薬的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、(1)糖類、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン、(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオ脂および坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギニン酸、(16)発熱性物質除去蒸留水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物、ならびに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を用いた製剤に好適な薬剤の追加の非限定的な例としては、PEGコンジュゲート核酸、リン脂質コンジュゲート核酸、親油性部分を含有する核酸、ホスホロチオエート、様々な組織への薬物の侵入を増強することができるP糖タンパク質阻害剤(Pluronic P85など);生分解性ポリマー、例えば、埋め込み後の徐放性送達のためのポリ(DL-ラクチド-コグリコリド)ミクロスフェア(Emerich,D F et al.,1999,Cell Transplant,8,47-58)Alkermes,Inc.Cambridge,Mass.;および負荷ナノ粒子、例えば、血液脳関門にわたって薬物を送達することができ、神経取込み機構を変化させることができる、ポリブチルシアノアクリレートからなるもの(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry,23,941-949,1999)が挙げられる。
【0162】
本開示はまた、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾、分岐、および非分岐、もしくはそれらの組み合わせ、または長期循環型リポソームもしくはステルスリポソーム)を含有する、表面修飾リポソームを含む組成物の使用を特徴とする。これらの製剤は、標的組織における薬物の蓄積を増加させるための方法を提供する。このクラスの薬物担体は、単核細胞貪食系(MPSまたはRES)によるオプソニン化および排除に抵抗し、それにより、封入薬物の血液循環時間の延長および組織曝露の増強を可能にする(Lasic et al.Chem.Rev.1995,95,2601-2627、Ishiwata et al.,Chem.Pharm.Bull.1995,43,1005-1011)。そのようなリポソームは、おそらく溢血および血管新生標的組織における捕捉によって、腫瘍に選択的に蓄積することが示されている(Lasic et al.,Science 1995,267,1275-1276、Oku et al.,1995, Biochim.Biophys.Acta,1238,86-90)。長期循環型リポソームは、特にMPSの組織に蓄積することが知られている従来的なカチオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態および薬力学を増強する(Liu et al.,J.Biol.Chem.1995,42,24864-24870、Choi et al.,国際PCT公開第WO96/10391号、Ansell et al.,国際PCT公開第WO96/10390号、Holland et al.,国際PCT公開第WO96/10392号)。また、長期循環型リポソームは、肝臓や脾臓などの代謝的に攻撃的なMPS組織において蓄積を回避するそれらの能力に基づいて、カチオン性リポソームと比較して、より大きい程度まで薬物をヌクレアーゼ分解から保護する可能性が高い。
【0163】
さらなる実施形態では、本開示は、米国特許第6,692,911号、同第7,163,695号、および同第7,070,807号に記載される、送達のために調製されたアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩、組成物を含む。この点に関して、一実施形態では、本開示は、単独で、あるいはPEG(例えば、分岐もしくは非分岐PEG、または両方の混合物)と組み合わせて、PEGおよび標的化部分と組み合わせて、あるいは架橋剤と組み合わせた上記のいずれかの、リシンおよびヒスチジン(HK)のコポリマーを含む組成物中のアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩(米国特許第7,163,695号、同第7,070,807号、および6,692,911号に記載)を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、グルコン酸修飾ポリヒスチジンまたはグルコニル化ポリヒスチジン/トランスフェリン-ポリリシンを含む組成物中のエテプリルセンを提供する。当業者であれば、HisおよびLysに類似した特性を有するアミノ酸が組成物内で置換され得ることも認識するであろう。
【0164】
一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)は、医薬的に許容される塩として投与することができる。この点における「医薬的に許容される塩」という用語は、アンチセンスオリゴマーの比較的無毒性の無機酸および有機酸付加塩を指す。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1-19を参照)。医薬的に許容される塩は、例えば、無毒性の有機酸または無機酸からの化合物の従来的な無毒性塩または第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来的な無毒性塩としては、無機酸に由来するもの、例えば、塩酸塩、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など;ならびに有機酸から調製された塩、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸(salicyclic)、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸(isothionic)などが挙げられる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩が含まれ、ならびに塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれる。(例えば、上記のBergeらを参照)。
【0165】
湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤、防腐剤、および酸化防止剤も組成物中に存在し得る。
【0166】
医薬的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど、および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0167】
本開示の方法における使用に適した製剤としては、経口、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、直腸、膣、および/または非経口投与に好適な製剤が挙げられる。製剤は、便利に単位剤形で提示され得、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る有効成分の量は、治療される宿主、特定の投与様式に応じて異なる。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る有効成分の量は、概して、治療効果をもたらす化合物の量である。概して、100パーセントのうち、この量は、有効成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲である。
【0168】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を調製する方法は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を、担体、および任意選択で、一つまたは複数の副成分と関連付ける工程を含む。概して、製剤は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を、液体担体、もしくは微粉化固体担体、またはそれらの両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0169】
経口投与に好適な本開示の製剤は、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、トローチ(風味付けした基剤、通常はスクロースおよびアカシアもしくはトラガカントを使用)、散剤、顆粒剤、または水性もしく非水性液体の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水の液体エマルションとして、またはエリキシル剤もしくはシロップとして、または香錠(不活性塩基、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアを使用)として、および/または口内洗浄液として、などの形態であり得、それぞれが、有効成分として、予め決められた量のアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含有する。アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与され得る。
【0170】
経口投与のための本開示の固形剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒剤、トローチなど)において、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、一つまたは複数の医薬的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア、(3)保湿剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物および界面活性剤、例えば、ポロキサマーおよびラウリル硫酸ナトリウム、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、および非イオン性界面活性剤、(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、およびそれらの混合物、(10)着色剤、ならびに(11)放出制御剤、例えば、クロスポビドンまたはエチルセルロースのうちのいずれかと混合され得る。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。類似の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した、軟質および硬質シェルのゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられ得る。
【0171】
錠剤は、任意選択で、一つまたは複数の副成分との圧縮または成型によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製され得る。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成型することによって作製され得る。
【0172】
本開示の医薬組成物の錠剤および他の固体剤形、例えば、糖剤、カプセル、丸剤、および顆粒剤は、任意に、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶性コーティング、および医薬品製剤技術で周知の他のコーティングを用いて獲得または調製され得る。また、それらは、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して、その中の有効成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化され得る。それらは、例えば、凍結乾燥など、迅速放出のために製剤化され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過によって、または使用直前に滅菌水中もしくはいくつかの他の滅菌注射用培地中に溶解され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意に不透明化剤を含有し得、消化管のある特定の部分においてのみ、または消化管のある特定の部分において優先的に、任意に遅延した様式で、有効成分(複数可)を放出する組成物であり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。有効成分はまた、適切な場合、上記の賦形剤の一つまたは複数を有するマイクロカプセルの形態でもあり得る。
【0173】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の経口投与用の液体剤形としては、医薬的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物など、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有し得る。
【0174】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに防腐剤などのアジュバントも含むことができる。
【0175】
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0176】
直腸投与または膣投与のための製剤は、坐剤として提示され得、これは、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、またはサリチル酸塩を含む一つまたは複数の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得、これは室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔で溶解し、活性化合物を放出する。
【0177】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の局所投与または経皮投与のための製剤または剤形としては、散剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、滅菌条件下で、医薬に許容される担体と、および必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤、または噴射剤と混合され得る。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有し得る。
【0178】
散剤および噴霧剤は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。噴霧剤はさらに、クロロフルオロ炭化水素などの通例の噴射剤、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素を含有することができる。
【0179】
経皮パッチは、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の体内への制御送達を提供するというさらなる利点を有する。そのような剤形は、オリゴマーを適切な培地中に溶解するか、または培地中に分散させることによって作製され得る。吸収促進剤もまた、皮膚にわたる薬剤の流れを増加させるために使用され得る。そのような流れの速度は、当該技術分野で公知の方法の中でも特に、速度制御膜を提供すること、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に薬剤を分散させることのいずれかによって制御され得る。
【0180】
非経口投与に適した医薬組成物は、一つまたは複数の医薬的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射用溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含んでもよく、これらは、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有し得る。用いられ得る好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合に必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。一実施形態では、医薬組成物は、リン酸緩衝生理食塩水を含む。
【0181】
これらの医薬組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。主題のオリゴマーに対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことによって確保され得る。また、糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含むことが望ましい場合もある。さらに、注射用剤形の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤を含むことによってもたらされ得る。
【0182】
場合によっては、薬物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、当該技術分野で既知の方法の中でも特に、水溶性が乏しい結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、順に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。
【0183】
注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中でアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製され得る。ポリマーに対するアンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の比率および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体内組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を封入することによっても調製され得る。
【0184】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、本明細書に記載され、かつ当該技術分野において既知のような、イオン導入、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性ミクロスフェアなどの他のビヒクルへの組み込みが挙げられるが、これらに限定されない、当業者に既知の様々な方法によって細胞に投与することができる。ある特定の実施形態では、マイクロ乳化技術を利用して、親油性(非水溶性)医薬剤のバイオアベイラビリティを改善し得る。例としては、Trimetrine(Dordunoo,S.K.,et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy,17(12),1685-1713,1991、およびREV 5901(Sheen,P.C.,et al.,J Pharm Sci 80(7),712-714,1991)が挙げられる。利点の中でも特に、マイクロ乳化は、循環系の代わりにリンパ系への吸収を優先的に誘導し、それにより肝臓を迂回し、肝胆道循環における化合物の破壊を防止することによって、増強されたバイオアベイラビリティを提供する。
【0185】
シクロデキストリンは、6、7、または8グルコース単位からなる環状オリゴ糖であり、それぞれギリシャ文字α、β、またはγによって示される。グルコース単位は、α-1,4-グルコシド結合によって連結される。糖単位の椅子型配座の結果として、全ての二次ヒドロキシル基(C-2、C-3における)が環の一方の側に位置する一方で、C-6における全ての一次ヒドロキシル基は、他方の側に位置する。結果として、外面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にする。対照的に、シクロデキストリンの空洞は、それらが原子C-3およびC-5の水素によって、ならびにエーテル様酸素によって覆われているため、疎水性である。これらのマトリックスは、例えば、17α-エストラジオールなどのステロイド化合物を含む、様々な比較的疎水性の化合物との複合体形成を可能にする(例えば、van Uden et al.PlantCell Tiss.Org.Cult.38:1-3-113(1994)を参照)。複合体形成は、ファンデルワールス相互作用および水素結合形成によって起こる。シクロデキストリンの化学的性質に関する一般的なレビューについては、Wenz,Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.,33:803-822(1994)を参照されたい。
【0186】
シクロデキストリン誘導体の物理化学的性質は、置換の種類および程度に大きく依存する。例えば、それらの水溶性は、不溶性(例えば、トリアセチル-ベータ-シクロデキストリン)から147%可溶性(w/v)(G-2-ベータ-シクロデキストリン)の範囲である。さらに、それらは多くの有機溶媒に可溶性である。シクロデキストリンの特性は、それらの溶解性を増減させることによって、様々な製剤構成成分の溶解度の制御を可能にする。
【0187】
多数のシクロデキストリンおよびそれらの調製のための方法が記載されている。例えば、Parmeter(I)ら(米国特許第3,453,259号)およびGrameraら(米国特許第3,459,731号)は、電気的中性シクロデキストリンについて記載した。他の誘導体としては、カチオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(II)、米国特許第3,453,257号]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms、米国特許第3,420,788号)、およびアニオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許第3,426,011号]が挙げられる。アニオン特性を有するシクロデキストリン誘導体のうち、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオスルフィン酸、およびスルホン酸は、親シクロデキストリンに付加されている[Parmeter(III)、上記参照]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体は、Stellaら(米国特許第5,134,127号)によって記載されている。
【0188】
一態様では、製剤は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩から形成されるミセルと、ミセルが約100nm未満の平均直径を有する少なくとも一つの両親媒性担体とを含有する。より好ましい実施形態は、約50nm未満の平均直径を有するミセルを提供し、さらに好ましい実施形態は、約30nm未満またはさらに約20nm未満の平均直径を有するミセルを提供する。
【0189】
全ての好適な両親媒性担体が企図されるが、現在好ましい担体は概して、一般的に安全と認められている(GRAS)状態を有し、かつ本開示の化合物を可溶化すること、および溶液が複雑な水相(ヒト胃腸管に見られるものなど)と接触する後の段階でマイクロ乳化することの両方ができる担体である。これらの要件を満たす両親媒性成分は、通常、HLB(親水性-親油性のバランス)値が2-20であり、それらの構造は、C-6からC-20の範囲の直鎖脂肪族ラジカルを含有する。例としては、ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリドおよびポリエチレングリコールがある。
【0190】
両親媒性担体の例としては、飽和および一不飽和ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリド、例えば、完全または部分的に水素化された様々な植物油から得られるものが挙げられる。そのような油は、有利に、トリ-、ジ-、およびモノ-脂肪酸グリセリド、ならびに対応する脂肪酸のジ-およびモノ-ポリエチレングリコールエステルからなり得、特に好ましい脂肪酸組成物としては、カプリン酸4~10、カプリン酸3~9、ラウリン酸40~50、ミリスチン酸14~24、パルミチン酸4~14、およびステアリン酸5~15%が挙げられる。別の有用なクラスの両親媒性担体としては、飽和もしくは一不飽和脂肪酸(SPAN(登録商標)シリーズ)または対応するエトキシ化類似体(TWEEN(登録商標)シリーズ)を有する、部分的にエステル化されたソルビタンおよび/またはソルビトールが挙げられる。
【0191】
Gelucireシリーズ、Labrafil、Labrasol、またはLauroglycol(全てGattefosse Corporation、サンプリエスト、フランスによって製造および流通)、PEG-モノ-オレイン酸、PEG-ジ-オレイン酸、PEG-モノ-ラウリン酸およびジ-ラウリン酸、レシチン、ポリソルベート80など(米国および世界中の多くの企業によって製造および流通)を含む市販の両親媒性担体が、特に有用であり得る。
【0192】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の送達は、本開示の組成物を好適な宿主細胞に導入するために、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞などを使用することによって起こり得る。特に、本開示の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、ナノ粒子、または同様のもののいずれかに封入されて、送達用に製剤化され得る。そのような送達ビヒクルの製剤化および使用は、既知かつ従来的な技術を使用して行われ得る。
【0193】
リポソームは、水性内部区画を取り囲む少なくとも一つの脂質二重層膜からなる。リポソームは、膜の種類およびサイズによって特徴付けられ得る。小型単一ラメラ小胞(SUV)は、単一膜を有し、典型的には直径が0.02~0.05μmの範囲であり、大型単一ラメラ小胞(LUV)は、典型的には0.05μmよりも大きい。大型オリゴラメラ小胞および多重ラメラ小胞は、複数の、通常は同心性の膜層を有し、典型的には0.1μmよりも大きい。いくつかの非同心膜を有するリポソーム、すなわち、より大きい小胞内に含有されるいくつかのより小さい小胞は、多胞体小胞と呼ばれる。
【0194】
本開示の一態様は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を含有するリポソームを含む製剤に関し、リポソーム膜は、増加した担持能力を有するリポソームを提供するように製剤化される。あるいは、または加えて、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、リポソームのリポソーム二重層内に含有され得るか、またはその上に吸着され得る。アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、脂質界面活性剤と凝集され、リポソームの内部空間内に担持され得る。これらの場合、リポソーム膜は、活性薬剤-界面活性剤凝集体の崩壊効果に抵抗するように製剤化される。
【0195】
本開示の一実施形態によると、リポソームの脂質二重層は、ポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化された脂質を含有し、これによりPEG鎖は、脂質二重層の内面から、リポソームによって封入された内部空間へと延在し、かつ脂質二重層の外部から周囲環境へと延在する。
【0196】
界面活性剤および活性薬剤の凝集体(対象の活性薬剤を含有するエマルションまたはミセルなど)は、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩を分散し、および/または可溶化するために、リポソームの内部空間内に閉じ込められ得る。界面活性剤は、様々な鎖長(例えば、約C14~約C20)の生体適合性リゾホスファチジルコリン(LPG)を含むがこれに限定されない、任意の好適な脂肪族、脂環式、または芳香族界面活性剤から選択され得る。PEG-脂質などのポリマー誘導体化脂質は、ミセル/膜融合を阻害するように作用するため、また界面活性剤分子へのポリマーの添加が界面活性剤のCMCを減少させ、ミセル形成を助けるため、ミセル形成にも利用され得る。マイクロモル範囲のCMOを有する界面活性剤が好ましく、より高いCMC界面活性剤を利用して、本開示のリポソーム内に閉じ込められたミセルを調製し得る。
【0197】
本開示によるリポソームは、当該技術分野で既知の様々な技術のいずれかによって調製され得る。例えば、米国特許第4,235,871号、公開PCT出願第WO96/14057号、New RRC,Liposomes:A practical approach,IRL Press,Oxford(1990),pages 33-104;Lasic DD,Liposomes from physics to applications,Elsevier Science Publishers BV,Amsterdam,1993を参照されたい。例えば、本開示のリポソームは、リポソーム中で所望の誘導体化脂質の最終モルパーセントに相当する脂質濃度で、親水性ポリマーで誘導体化された脂質を予め形成されたリポソームに拡散することによって、例えば、予め形成されたリポソームを脂質グラフトポリマーから構成されるミセルに曝露することによって、調製され得る。親水性ポリマーを含有するリポソームはまた、当該技術分野で既知のように、均質化、脂質場水和、または押出技術によって形成され得る。
【0198】
別の例示的な製剤化手順において、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩はまず、疎水性分子を容易に可溶化するリゾホスファチジルコリンまたは他の低CMC界面活性剤(ポリマーグラフト脂質を含む)中での音波処理によって分散される。次いで、アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩の得られたミセル懸濁液を使用して、好適なモルパーセントのポリマーグラフト脂質またはコレステロールを含有する乾燥脂質試料を再水和する。次いで、脂質およびアンチセンスオリゴマー懸濁液は、当該技術分野で既知の押出技術を使用してリポソームに形成され、得られたリポソームは、標準的なカラム分離によって封入されていない溶液から分離される。
【0199】
本開示の一態様では、リポソームは、選択されたサイズ範囲において実質的に均一なサイズを有するように調製される。一つの効果的なサイズ決定方法は、選択された均一な孔径を有する一連のポリカーボネート膜を通してリポソームの水性懸濁液を押し出すことを伴い、膜の孔径は、その膜を通した押出によってもたらされるリポソームの最大サイズに概ね相当する。例えば、米国特許第4,737,323号(1988年4月12日)を参照されたい。ある特定の実施形態では、DharmaFECT(登録商標)およびLipofectamine(登録商標)などの試薬を利用して、ポリヌクレオチドまたはタンパク質を細胞に導入し得る。
【0200】
本開示の製剤の放出特性は、封入材料、封入薬物の濃度、および放出調節剤の存在に依存する。例えば、放出は、例えば、胃にあるような低pH、または腸にあるような高pHでのみ放出するpH感受性コーティングを使用して、pH依存性になるように操作され得る。腸溶性コーティングは、胃を通過した後まで放出が起こらないように使用され得る。異なる材料に封入されたシアナミドの複数のコーティングまたは混合物を使用して、胃内で初期放出を得て、続いて腸内で後の放出を得ることができる。放出はまた、塩または細孔形成剤を含むことによっても操作され得、これは、カプセルからの拡散による水取込みまたは薬物の放出を増加させることができる。薬物の溶解性を修正する賦形剤は、放出速度を制御するためにも使用され得る。マトリックスの分解またはマトリックスからの放出を増強する薬剤も組み込まれ得る。それらは、薬物に添加され得、別個の相として(すなわち、微粒子として)添加されるか、または化合物に応じてポリマー相に共溶解され得る。ほとんどの場合、量は、0.1~30パーセント(w/wポリマー)であるべきである。分解促進剤の種類としては、硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸、およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、および水酸化亜鉛などの無機塩基、ならびにプロタミン硫酸塩、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどの有機塩基、ならびにTween(登録商標)およびPluronic(登録商標)などの界面活性剤が挙げられる。マトリックスに微細構造を付加する細孔形成剤(すなわち、無機塩および糖類などの水溶性化合物)が、微粒子として添加される。範囲は、典型的には、1~30パーセント(w/wポリマー)である。
【0201】
リポソームでの使用に好適な親水性ポリマーは、容易に水溶性であり、小胞形成脂質に共有結合することができ、かつ毒性作用なしにin vivoで耐容性がある(すなわち、生体適合性である)ものである。好適なポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも呼ばれる)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも呼ばれる)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー、およびポリビニルアルコールが挙げられる。ある特定の実施形態では、ポリマーは、約100もしくは120ダルトン~最大で約5,000もしくは10,000ダルトン、または約300ダルトン~約5,000ダルトンの分子量を有する。他の実施形態では、ポリマーは、約100~約5,000ダルトンの分子量を有する、または約300~約5,000ダルトンの分子量を有する、ポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、ポリマーは、750ダルトンのポリエチレングリコールである(PEG(750))。ポリマーは、その中のモノマーの数によっても定義され得、本開示の好ましい実施形態は、少なくとも約三つのモノマーのポリマー、三つのモノマーからなるそのようなPEGポリマー(約150ダルトン)、を利用する。
【0202】
本開示での使用に適し得る他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、および誘導体化セルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0203】
ある特定の実施形態では、本開示の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリ(ブチック酸)(butic acid)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、多糖類、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、ならびにそれらのブレンド、混合物、またはコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
【0204】
また、取込みは、腸内の粒子の滞留時間を変化させることによっても操作され得る。これは、例えば、粒子を粘膜接着性ポリマーでコーティングするか、または封入材料として選択することによって達成され得る。例としては、遊離カルボキシル基を有するほとんどのポリマー、例えば、キトサン、セルロース、および特にポリアクリレート(本明細書で使用される場合、ポリアクリレートは、アクリレート基、ならびにシアノアクリレートおよびメタクリレートなどの修飾アクリレート基を含むポリマーを指す)が挙げられる。
【0205】
アンチセンスオリゴマー(例えば、エテプリルセン)、またはその医薬的に許容される塩は、外科用もしくは医療用のデバイスまたはインプラント内に含まれるように製剤化され得るか、またはそれによって放出されるように適合され得る。ある特定の態様において、インプラントは、オリゴマーでコーティングされ得るか、または別の方法で処理され得る。例えば、ヒドロゲル、または生体適合性および/もしくは生分解性ポリマーなどの他のポリマーを使用して、本開示の組成物でインプラントをコーティングし得る(すなわち、組成物は、ヒドロゲルまたは他のポリマーを使用することによって医療デバイスと共に使用するように適合され得る)。医療デバイスを薬剤でコーティングするためのポリマーおよびコポリマーは、当該技術分野で周知である。インプラントの例としては、ステント、薬剤溶出性ステント、縫合糸、人工器官、血管カテーテル、透析カテーテル、血管グラフト、人工心臓弁、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、IV針、接骨および骨形成用デバイス、例えば、ピン、スクリュー、プレート、および他のデバイス、ならびに創傷治癒のための人工組織マトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
記載される投与経路は、当業者が最適な投与経路を容易に決定することができるため、指針としてのみ意図される。in vitroおよびin vivoの両方で、機能性の新しい遺伝子材料を細胞に導入するための複数のアプローチが試みられている(Friedmann(1989)Science,244:1275-1280)。これらのアプローチとしては、発現する遺伝子の修飾レトロウイルスへの組み込み、(Friedmann(1989)、上記、Rosenberg(1991)Cancer Research 51(18),suppl.:5074S-5079S)、非レトロウイルスベクター(例えば、アデノ関連ウイルスベクター)への組み込み(Rosenfeld,et al.(1992)Cell,68:143-155、Rosenfeld,et al.(1991)Science,252:431-434)、またはリポソームを介した異種プロモーター-エンハンサーエレメントに連結された導入遺伝子の送達(Friedmann(1989)、上記、Brigham,et al.(1989)Am.J.Med.Sci.,298:278-281、Nabel,et al.(1990)Science,249:1285-1288、Hazinski,et al.(1991)Am.J.Resp.Cell Molec.Biol.,4:206-209、およびWang and Huang(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),84:7851-7855)、リガンド特異的、カチオン系輸送システムとの結合(Wu and Wu(1988)J.Biol.Chem.,263:14621-14624)、またはネイキッドDNA、発現ベクターの使用(Nabel et al.(1990)、上記)、Wolff et al.(1990)Science,247:1465-1468)が挙げられる。導入遺伝子の組織への直接注射は、局所発現のみをもたらす(Rosenfeld(1992)、上記、Rosenfeld et al.(1991)、上記、Brigham et al.(1989)、上記、Nabel(1990)、上記、およびHazinski et al.(1991)、上記)。Brighamらのグループ(Am.J.Med.Sci.(1989)298:278-281およびClinical Research(1991)39(要約))は、DNAリポソーム複合体の静脈内または気管内のいずれかの投与後のマウスの肺のin vivoトランスフェクションのみを報告している。ヒト遺伝子治療手順のレビュー文献の一例は、Anderson,Science(1992)256:808-813である。
【実施例
【0207】
上記の開示は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によってある程度詳細に記載されてきたが、本開示の教示を踏まえて、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修正がそれに対して成され得ることは、当業者に容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、例示としてのみ提供されるものであり、限定するものではない。当業者であれば、実質的に類似した結果をもたらすように変更または修正され得る様々な重要ではないパラメーターを容易に認識するであろう。
【0208】
実施例1.hDMD Δ52 mdxマウスモデルにおける高用量エテプリルセン処置
エテプリルセンを、ヒト化DMD mdxマウスモデルにおいて試験し、エクソン52欠損-YAC導入遺伝子を有するヒトDMD(hDMD Δ52マウス)を、マウス染色体5に組み込んだ。このモデルは、Hoen et al.,“Generation and Characterization of Transgenic Mice with the Full-length Human DMD Gene,”J.Biol.Chem.,2008,283(9):5899-5907に記載され、その開示は、その全体が本明細書に取り込まれる。
【0209】
ヒトDMD遺伝子におけるエクソン52の欠損は、枠プレmRNAから生じる。hDMD Δ52マウスは、エクソン51スキッピング薬剤に適している。DMD患者について示したとおり、エテプリルセンを、hDMD Δ52マウスにおけるジストロフィンプレmRNAのエクソン51に結合するよう設計し、mRNAプロセッシング中にこのエクソンを除外する。エテプリルセンによるエクソン51のスキッピングは、タンパク質翻訳中にジストロフィンmRNAの読み取り枠を回復させると予期する。これは、筋膜に局在し、損傷から筋肉を保護することができ、ならびにジストロフィー性筋線維における力を改善することができる、内部が短縮したジストロフィンタンパク質の産生を可能にすることを意図する。
【0210】
実験設計
hDMD Δ52マウスを、1(500もしくは960mg/kg)、4(500もしくは750mg/kg)、および8週間(500もしくは750mg/kg)または8週間、週1回(QW)のビヒクルまたはエテプリルセンの静脈注射で処置した。マウスにおける500、750、および960mg/kg用量での血漿曝露は、ヒトにおける100、150、および192mg/kg血漿曝露と同等である。これは、マウスとヒトとの間の5:1の用量/曝露関係の差異に基づく。
【0211】
結果
患者における100~200mg/kgと同じ範囲における曝露でのエテプリルセンの4および8回の週1回投与後のhDMD Δ52マウスにおけるエクソン51スキッピング、ジストロフィン産生、および握力試験の結果を、図1~3に示す。
【0212】
hDMD Δ52 mdxマウス(n=6)におけるパーセントエクソン51スキッピングを、液滴デジタルPCR(ddPCR)を使用して測定した。簡潔に述べると、四頭筋、横隔膜、二頭筋、皮膚および心臓を、TissueLyserによりホモジナイズし、RNAを単離し、ddPCRのために処理して、エクソンスキッピングのレベルを決定した。図1は、エテプリルセンが、hDMD Δ52マウスにおける%エクソン51スキッピングを増加させることを示す。
【0213】
hDMD Δ52 mdxマウス(n=6)におけるジストロフィン産生を、以下の方法に従い測定した。NCH緩衝液中で調製したタンパク質可溶化物を、Jessキットと共に提供される0.1×試料緩衝液中0.2μg/μlに希釈した。野生型標準曲線を、0.1×試料緩衝液中の0.2μg/μlの濃度で、プールしたジストロフィー可溶化物中に希釈したプールした野生型可溶化物を使用して調製した。それぞれの試料4μlおよび調製した蛍光5×マスターミックス1μlを、PCRプレートに加えた。次いで、プレートを、95℃で5分間インキュベートし、次いで、氷上に置いた。次いで、試料3μlを、製造業者が示す並びで、Jessプレートに添加した。プレートの残りを、ミルクを含まない抗体希釈剤を使用して、製造業者の指示に従って調製した。
【0214】
一次抗体カクテルを、ミルクを含まない抗体希釈剤において、ジストロフィン抗体(ab154168)を1:1000、およびα-アクチニン(ab254074)1:50を一緒に希釈することによって調製した。二次抗体カクテルを、20×NIR抗マウス抗体(Protein simpleから得た;Beekman et al.,“Use of capillary Western immunoassay(Wes)for quantification of dystrophin levels in skeletal muscle of healthy controls and individuals with Becker and Duchenne muscular dystrophy,”PLOS One,Apli 11,2018、その内容を、その全体を本明細書に取り込む)を抗ウサギ化学発光抗体(Protein simple)において希釈することによって調製した。プレートを装填したら、それを、Jessに配置し、66~440kDa 25キャピラリーモジュールを、装置に挿入した。次いで、化学発光と蛍光の両方のプログラムを使用して、アッセイを実行した。実行後、それぞれのウェルについて、ジストロフィン(308kDA)のピーク面積をアクチニン(106kDa)のピーク面積で割ることによって、ジストロフィンをアクチニンに対して正規化した。直線を標準曲線に合わせ、その直線の方程式を使用して、ヒト化DMD WTマウスと比較したジストロフィンのパーセントを見出すことによって、パーセントWTを計算した。図2は、エテプリルセンが、hDMD Δ52 mdxマウスマウスにおけるジストロフィン産生を増加させることを示す。
【0215】
握力検査は、げっ歯類が出した最大ピーク力を測定する。グラムで測定し、オペレーターが、取り付けられたセンサーから導かれる基盤目にわたり直線に沿ってマウスを描くことによって、ピーク力を得る。動物を、基盤目の端で放し、最大の力測定値を得る。それぞれの検査日毎に、3回測定値を得て、平均して、結果を得る。結果を、動物の体重に対して正規化する。マウスを、研究の開始日に試験して、ベースラインを決定し、マウスを装置に慣らす。図3は、エテプリルセンが、hDMD Δ52 mdxマウスにおける機能を改善することを示す。
【0216】
実施例2.非ヒト霊長類における高用量エテプリルセンの安全性および有効性
本実施例は、1回の注射当たり用量5、40、および320mg/kgで、12週間にわたり、週1回、カニクイザルに、静脈内(IV)または皮下(SC)のいずれかで投与したエテプリルセンの安全性および有効性を評価する。
【0217】
実験設計
計60匹のオスおよびメスのカニクイザルを研究において使用し、以下に示すとおり、それぞれの用量群当たり12匹(オス6匹およびメス6匹)を伴った。すべての動物は、静脈内ボーラス注射(IV)注入または皮下注射(SC)のいずれかを毎週、12週間受け、次いで、エクソンスキッピングによって表される薬力学(PD)を、研究の終わりに評価した。
【0218】
群1の動物に、ビヒクル対照を投与した。群2~4は、IVボーラスとして用量レベル5~320mg/kgでエテプリルセンを投与した。群5は、用量320mg/kgのSC用量としてエテプリルセンを投与した。ヒトにおける用量320mg/kgは、NHPにおける320mg/kgによってもたらされるAUCおよびCmaxPKと同等であるAUCおよびCmaxPKをもたらすと予想する。NHPで観察した用量と線形曝露関係に基づき、ヒト200mg/kg用量は、類似のAUCおよびCmaxPKを示すと予想する。
【表8】
【0219】
すべての動物を、臨床観察および体重測定を用いて試験全体を通してモニタリングした。血液試料に関する臨床病理評価を、前検査、4週目、ならびに終末剖検および回復剖検前にすべての動物に対して行った。臨床病理評価のための尿試料を、前検査、ならびに終末剖検および回復剖検前にすべての動物に対して行った。血液試料(およそ4.8~5.8mL)を、大腿静脈から採取した。血液パラメーターの評価のためK3EDTAを、凝固パラメーターの評価のためクエン酸ナトリウムを含有するチューブに、試料を採取した。血清分離器を、臨床化学試料のため使用した。約16時間、ケージ下に置いたスチールパンを使用して、尿試料を採取した。
【0220】
結果
四頭筋、心臓、および横隔膜組織をホモジナイズし、エクソン51スキッピングのレベルを決定するためのRT-PCR分析のため処理した。ビヒクル処置群からエクソンスキッピングを検出しなかった。図4に示すように、エクソンスキッピングを、三つの筋肉群における全ての用量で検出した。エクソンスキッピングにおける用量依存性増加を、四頭筋、心臓および横隔膜で観察した。IV投与とSC投与の両方が、図5に示すように、測定可能なエクソンスキッピングレベルをもたらした。1日目のSC投与のバイオアベイラビリティは104%であった。
【0221】
結論として、12回の投与について、静脈内注入によるエテプリルセンの投与は、カニクイザルにおける本試験の条件下で臨床上十分に忍容であった。有害な所見の不存在に基づき、12回毎週IVボーラス投与した男性および女性カニクイザルにおけるAVI-4658についての有害作用を観察しないレベルは320mg/kg(IVおよびSC)で、研究の71日目での1020時間mg/mL(IV)および1250時間mg/mL(SC)の平均AUCに対応した。1日目のSC投与のバイオアベイラビリティは、104%であり、これは、IV投与とSC投与の両方を使用して、エテプリルセンを投与することができることを示す。IV投与とSC投与の両方が、測定可能なエクソンスキッピングレベルをもたらした。
【0222】
実施例3.高用量エテプリルセンを用いたヒト患者の治療
患者
適している患者は、エクソン51をスキップすることで修正できるDMD遺伝子のフレーム外欠損を有する、7~13歳(包括的)の男児である。患者は、スクリーニング往診とベースライン往診の両方で、平均6分間歩行試験(6MWT)距離≧300および≦450メートル(介助なし)を達成した。患者は、治療前および治療中に十分な大きさ(1cm)の筋生検を得られるように、無傷の右および左二頭筋(好ましい生検部位)または代替の上腕筋群を有する。患者はまた、無作為化の少なくとも24週間前に、安定用量または経口コルチコステロイドと同等の用量にあり、用量は、研究全体を通じて一定に維持すると予想する(体重の変化に対応するための修正を除く)。患者はまた、安定した肺機能(予測換気量の50%以上、夜間換気の必要なし)を有し、肺機能は、研究期間中、有意に代償不全となる可能性は低い。
【0223】
研究薬剤
エテプリルセン[配列5’-CTCCAACATCAAGGAAGATGGCATTTCTAG-3’](配列番号1)は、リン酸緩衝生理食塩水(100mg/ml)の単回使用バイアルにおいて、Sarepta Therapeutics, Inc.によって供給される。エテプリルセンを、通常の生理食塩水150mlで再構成し、60分間かけて注入する。プラセボを、研究の最初の24週間投与する。プラセボを、リン酸緩衝生理食塩水の同一のバイアルとして供給し、エテプリルセンと同じ方法で投与する。
【0224】
試験設計
非盲検用量漸増:
本研究の目的は、100および200mg/kgエテプリルセンの毎週のIV投与の安全性および忍容性を評価すること、ならびに100および200mg/kgエテプリルセンの薬物動態を評価することである。
【0225】
適したDMD患者4人のコホートを、用量100mg/kg、続いて200mg/kg、それぞれの用量レベルで4週間、毎週のエテプリルセンIVで処置し、それぞれ4週間の処置期間は、患者記載に基づき延長してもよい。患者4人が、それぞれ2週間の処置期間を完了した後、安全性および忍容性データを検討して、患者がさらに2週間投与を継続するかどうかを決定する。コホートは、それぞれの用量レベルで患者さらに2人に広げてもよく、2週間の処置後に、適用可能な4週間の処置期間内に投与を開始する。利用可能なデータを評価して、研究の二重盲検部分を開始できるように、100mg/kg、または100mg/kgと200mg/kg両方の毎週のIV投与が、DMD患者において十分に安全であり、忍容性があるかどうかを決定する。非盲検用量漸増中の患者は、別個のコホートとして選択した高用量での処置を継続する。
【0226】
二重盲検:
これは、エクソン51をスキッピングすることによる治療に適している、遺伝子的に確認した欠失変異を有するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者約114人において、週1回IV投与した、1または2回のより高容量のエテプリルセン、100mg/kgおよび200mg/kg、ならびに30mg/kgの安全性および有効性の無作為化、二重盲検、用量設定および用量比較評価である。無作為化は、ベースラインNSAA総スコア(≦22または>22)によって階層化する。患者を、3つの用量群:30、100および200mg/kgに、1:1:1の比で無作為化し、ただし、後者の2つの用量は、非盲検用量漸増において安全かつ忍容性であると決定される。用量設定の完了時に、100mg/kgまたは200mg/kgのいずれかを受けていた患者は、選択した高用量を継続し、一方、30mg/kgに既に無作為化された患者は、その用量を継続する。
【0227】
100mg/kg用量のみを、用量漸増において許容可能であるとみなす場合、用量設定を行わず、用量比較のため、患者を30または100mg/kg用量に1:2の比で無作為化する。
【0228】
すべての患者は、投与前にベースラインの筋生検を受ける。それぞれの患者は、12、24週または48週のいずれかで1回の追加筋生検を受ける(12週目に患者24人、24週目に患者45人、および48週目に患者45人)。12週目の筋生検データについて、中間解析を行い、高用量選択のためジストロフィン発現を評価し、追加の中間解析を、24週目に、高用量を選択しない場合、48週目に行う。高用量を選択すると、12週目、24週目または48週目のいずれかで、患者は、研究の用量比較部分に入り、高用量を選択するための中間解析が、24週目または48週目に必要ない場合、それらの週におけるジストロフィン発現の評価を、用量比較の一部として行う。PD(ジストロフィン発現評価項目)と安全性評価項目の両方を、高用量選択のために考慮する。
【0229】
中間解析
二重盲検部分中に100mg/kg~200mg/kgの高用量選択を可能にするために、上記のとおり、これらの時点で予定した筋生検組織を採取し、ウェスタンブロットを使用してジストロフィン発現について測定した後、12、24および48週目の筋生検データにおいて中間解析を行い、ジストロフィン発現を評価する。研究の完全性を維持するため、独立した外部非盲検統計群により、非盲検筋生検中間解析を行う。用量選択の決定は、筋肉生検の中間解析のいずれかで生じる。用量選択の決定が、より早い時点(すなわち、12週目または24週目)で生じる場合、続く筋生検中間解析を、ジストロフィン発現評価項目における用量比較のため行う。
【0230】
実施例4.高用量ゴロディルセンを用いたDMD患者筋管アッセイ
高用量ゴロディルセンの薬理活性を、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの十分に特徴付けられたin vitro細胞モデルにおいて評価した。
【0231】
実験設計
使用した細胞モデルは、エクソン52欠損(DMD Del52)を有するDMD患者から単離し、細胞の必須の主要骨格筋特徴を保存することを示した方法(Mamchaoui et al.,“Immortalized pathological human myoblasts:towards a universal tool for the study of neuromuscular disorders,”Skeletal Muscle,2011,1(1):34;Thorley et al.,“Skeletal muscle characteristics are preserved in hTERT/cdk4 human myogenic cell lines,”Skeletal Muscle,2016,6(1):43;両方の参考文献の内容、その全体を本明細書に取り込む)を使用して、Institute of Myologyによって不死化させた筋細胞株である。
【0232】
細胞株および培養条件
筋芽細胞を、16歳の健康なドナーおよびエクソン52における欠損を有する16歳のDMD患者の脊椎傍筋肉から単離し、既に記載(Mamchaoui et al.,“Immortalized pathological human myoblasts:towards a universal tool for the study of neuromuscular disorders,”Skeletal Muscle,2011,1(1):34)されるとおり、hTERTおよびCDK4の異所性発現によって、Institute of Myologyにより不死化させた。細胞を、培地199 1体積、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)4体積、20%ウシ胎児血清、50μg/mlゲンタマイシン、25μg/mlフェチュイン、0.5μg/ml bFGF、5ng/ml EGF、0.2μg/mlデキサメタゾン、5μg/mlインスリンを含有する増殖培地中、1%コラーゲンIおよび0.5% MaxGel(Sigma-Aldrich E0282)でコーティングした組織培養プレートにおいて、50μl/cm2にて、3時間、37℃で維持した。
【0233】
in vitroアッセイ
使用したゴロディルセンのロットを、Bachemで合成し、純度を92%で評価した。陽性対照化合物および陰性対照化合物を、アッセイの品質管理のためそれぞれのプレートに含めた。陽性対照は、30μM SRP-5051、ロット番号RD00128-17であり、陰性対照は、30μM RC-1001(MZ-194-170)であった。すべての化合物を無菌水に溶解し、アッセイ前に、分光光度計によって濃度を確認した。筋芽細胞を、増殖培地中、6000細胞/ウェルで、50μl/ウェル、3時間、37℃で、1%コラーゲンIおよび0.5%MaxGel(Sigma-Aldrich E0282)でコーティングした96ウェル透明底撮像プレート(Perkin Elmer #6055300)において播種した。播種の24時間後に、培養物を、DMEM、2%熱不活化FBS、50μg/mlゲンタマイシンおよび10μg/mlインスリンを含有する分化培地に切り替えた。分化培地への切り替えから48時間後に、オリゴヌクレオチドを加え、培養物を、分析の前さらに4日間インキュベートした。
【0234】
細胞染色およびハイコンテンツ画像解析
培養物をPBSで1回洗浄し、PBS中の4%パラホルムアルデヒド溶液で10分間、室温で固定し、PBSで1回リンスした。染色のため、培養物をブロッキングし、PBS中の3%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.2% Triton(登録商標) X-100で1時間、室温で透過処理した。細胞を、一次抗体ウサギ抗MyoD(1:100、Fisher Scientific、# NC0819717)、マウス抗ジストロフィンMANDRA1(IgG1(7A10)、Santa Cruz、#sc-47760)、マウス抗ジストロフィン(IgG2ak、MANDYS106、EMD Millipore、# MABT827)、マウス抗ミオシン重鎖(IgG2B、1:1000、R&D System、#MAB4470)ならびに二次抗体Alexa Fluor 488ロバ抗ウサギ(1:1000、Life Technologies、#A21206)、Alexa Fluor 555ヤギ抗マウスIgG2a(1:1000、Life Technologies、#A21137)、Alexa Fluor 555ヤギ抗マウスIgG1(1:1000、Life Technologies、# A21127)およびAlexa Fluor 647ヤギ抗マウスIgG2b(1:1000、Life Technologies、#A21242)を用いて染色した。核を、撮像前に、DAPI(PBS中1μg/ml)で、RTで20分間染色した。撮像および解析を、GE InCell2200および6600装置およびInCell Investigatorソフトウェアパッケージを使用して行った。
【0235】
結果
モデルにおけるジストロフィンタンパク質の産生を、化合物への4日間の連続曝露後の免疫蛍光染色によって評価し、ハイコンテンツ画像解析によって測定した。ジストロフィンタンパク質を、濃度>10μM SRP-4053/ゴロディルセンで検出した(図6)。Emaxを40Mで達成し、これにより、このアッセイにおいてジストロフィン産生について約30μMのEC50の割り当てを可能にした(図7)。
【0236】
実施例5.非ヒト霊長類における高用量ゴロディルセンの安全性
ゴロディルセンを、オスのカニクイザルに、用量レベル0(ビヒクル)、5、40、または320mg/kgでの、12週間、週1回のIVボーラス注射によって投与し、続いて、4週間の回復期間を経た。ヒトにおける用量320mg/kgは、NHPにおける320mg/kgによってもたらされるAUCおよびCmaxPKと同等であるAUCおよびCmaxPKをもたらすと予想する。NHPにおいて観察し用量と線形曝露関係に基づき、ヒト200mg/kgの用量は、類似のAUCおよびCmaxPKを示すと予測する。
【0237】
ゴロディルセン血漿曝露(AUC0-t、Cmax)は、投与段階を通して一貫して高く、用量の増加と共に増加し、12週間の投与後の血漿蓄積の証拠はなかった。臨床徴候、BW、心血管パラメーター(QT間隔を含む)、眼科検査、または臨床病理パラメーターに対するゴロディルセンに関連する作用はなかった。BbおよびC3a補体断片の一過性の増加を観察し、C5aの散発的増加も生じたが、一貫したパターンを示さず、これは、ゴロディルセンが、補体活性化の末端経路に有意に影響しなかったことを示唆している。精巣サイズの統計上有意な増加(対照よりも約50%高い精巣重量:BW比)を、320mg/kgで観察し、対照と比べて、男性におけるわずかに低い黄体形成ホルモン濃度≧5mg/kgおよび卵胞刺激ホルモン濃度≧40mg/kgであったが、テストステロンは影響を受けなかった。他の生殖評価項目(精子数、精子運動性、および形態)に対する関連する作用を示さず、器官重量変化に対する組織病理学的相関性もなかったため、これらの可逆的な所見を有害でないとみなした。示したゴロディルセンに関連する組織病理学的所見のみが、320mg/kgにおいて、動物1匹の甲状腺において最小限のびまん性濾胞細胞肥大であり、これも有害でないとみなした。NOAELは、試験した最高用量レベル320mg/kg(Cmax=1,790μg/mL、AUC0 t=2,550μg・時間/mL)であるとみなした。
*********************
【0238】
本明細書で引用される全ての出版物および特許出願は、各個々の出版物または特許出願が具体的かつ個々に参照によって組み込まれるように指示されているかのように、参照により本明細書に取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2022536495000001.app
【国際調査報告】