(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】光学系特性の調整によるディスクリート部品の組み立てにおける位置誤差の補償
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220809BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/60 311Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573570
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020037230
(87)【国際公開番号】W WO2020252164
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521359324
【氏名又は名称】キューリック・アンド・ソファ・ネザーランズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール・セムラー
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフス・ヘンドリクス・ヘフス
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL00
5F044RR12
5F047FA01
(57)【要約】
方法は、レーザアシスト移載システム内に取り付けられたディスクリート部品アセンブリのディスクリート部品と、ターゲット基板上のターゲット位置との間のアライメント誤差を決定するステップであり、ディスクリート部品アセンブリが、動的剥離層によって支持体に付着されたディスクリート部品を含む、アライメント誤差を決定するステップと、アライメント誤差に基づいてビームオフセット特性を決定するステップと、レーザアシスト移載システムの光学素子に、ビームオフセット特性を示す信号をもたらすステップであり、光学素子が、ビームオフセット特性に従って、ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を調整するように構成される、信号をもたらすステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザアシスト移載システム内に取り付けられたディスクリート部品アセンブリのディスクリート部品と、ターゲット基板上のターゲット位置との間のアライメント誤差を決定するステップであり、前記ディスクリート部品アセンブリが、動的剥離層によって支持体に付着された前記ディスクリート部品を含む、アライメント誤差を決定するステップと、
前記アライメント誤差に基づいてビームオフセット特性を決定するステップと、
前記レーザアシスト移載システムの光学素子に、前記ビームオフセット特性を示す信号をもたらすステップであり、前記光学素子が、前記ビームオフセット特性に従って、前記ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を調整するように構成される、信号をもたらすステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ビームオフセット特性に従って、前記ディスクリート部品に対する前記ビームパターンの前記位置を前記光学素子によって調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガルバノメータレーザスキャナを用いて前記ビームパターンの前記位置を調整するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アライメント誤差を決定するステップが、前記アライメント誤差の大きさおよび前記アライメント誤差の方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ビームオフセット特性を決定するステップが、前記ディスクリート部品の中心と前記ディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットを決定することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
オフセットを決定することが、前記ディスクリート部品の前記中心と前記ディスクリート部品の前記オフセット位置との間の前記オフセットの大きさおよび方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アライメント誤差を少なくとも部分的に補償するためにビームオフセット特性を決定するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ビームパターンがビームオフセット特性に従って前記ディスクリート部品アセンブリに入射すると前記ディスクリート部品が前記基板上の前記ターゲット位置に移載されるように、前記ビームオフセット特性を決定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マシンビジョンシステムを用いて前記アライメント誤差を決定するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ビームを前記動的剥離層に照射するステップを含み、前記ディスクリート部品に対する前記ビームパターンの前記位置が、前記ビームオフセット特性に従って調整され、前記照射によって前記ディスクリート部品がキャリア基板から剥離する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ターゲット基板上の前記ターゲット位置に前記ディスクリート部品を受容するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンピューティングシステムを備えるシステムであって、
前記コンピューティングシステムが、メモリに接続された1つまたは複数のプロセッサを備え、前記1つまたは複数のプロセッサが、
ディスクリート部品アセンブリのディスクリート部品と、ターゲット基板上のターゲット位置との間のアライメント誤差を決定することであり、前記ディスクリート部品アセンブリが、動的剥離層によって支持体に付着された前記ディスクリート部品を含み、レーザアシスト移載システム内に取り付けられた、アライメント誤差を決定することと、
前記アライメント誤差に基づいてビームオフセット特性を決定することと、
前記レーザアシスト移載システムの光学素子に、前記ビームオフセット特性を示す信号をもたらすことであり、前記光学素子が、前記ビームオフセット特性に従って、前記ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を調整するように構成される、信号をもたらすこと、
とを行うように構成される、システム。
【請求項13】
前記光学素子を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記光学素子は、ガルバノメータレーザスキャナを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ビームオフセット特性を決定することが、前記ディスクリート部品の中心と前記ディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットを決定することを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
オフセットを決定することが、前記ディスクリート部品の前記中心と前記ディスクリート部品の前記オフセット位置との間の前記オフセットの大きさおよび方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つまたは複数のプロセッサおよびメモリが、前記アライメント誤差を少なくとも部分的に補償するためにビームオフセット特性を決定するように構成される、請求項12から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数のプロセッサおよびメモリが、前記ビームパターンがビームオフセット特性に従って前記ディスクリート部品アセンブリに入射すると前記ディスクリート部品が前記基板上の前記ターゲット位置に移載されるように、前記ビームオフセット特性を決定するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数のプロセッサおよびメモリが、マシンビジョンシステムを実行する、請求項17または18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の請求
本願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2019年6月11日出願の米国特許出願第62,859,830号に対する優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、一般に、ディスクリート部品を基板上に組み立てることに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0238592号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、アセンブリは、基板と、基板の表面に配置されたビンガム流体を含むコーティングと、ビンガム流体を含むコーティング内に部分的に埋め込まれた、または上に配置されたディスクリート部品とを含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0006】
ビンガム流体は、フラックス、はんだペースト、導電性インク、半導電性インク、ゲル、および化学的に不活性な材料のうちの1つまたは複数を含む。
【0007】
ディスクリート部品は、発光ダイオード(LED)を含む。
【0008】
基板は、半導体ウエハを含む。基板は、テープを含む。基板は、剛性基板を含む。基板は、プリント回路基板を含む。
【0009】
一態様では、アセンブリは、基板と、基板上に配置され、第1の表面が基板と接触している、ビンガム流体を含むコーティングとを含み、コーティングは、ディスクリート部品がコーティングの第1の表面の反対の第2の表面に投じられるとき、ディスクリート部品がコーティング上に配置される、または内部に部分的に埋め込まれるように構成される。
【0010】
実施形態は、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0011】
ビンガム流体は、フラックス、はんだペースト、導電性インク、半導電性インク、ゲル、および化学的に不活性な材料のうちの1つまたは複数を含む。ビンガム流体は、導電性ペーストを含む。
【0012】
基板は、プリント回路基板を含む。
【0013】
一態様では、方法は、キャリア上に配置されディスクリート部品が付着した動的剥離構造に照射するステップであり、それによってディスクリート部品がキャリアから剥離する、照射するステップと、剥離したディスクリート部品を、基板の表面上に配置されたビンガム流体を含むコーティング内または上に受容するステップとを含む。
【0014】
実施形態は、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0015】
動的剥離層に照射するステップは、レーザエネルギーを動的剥離層に照射することを含む。
【0016】
照射するステップは、動的剥離層の少なくとも一部分のアブレーションを誘起する。
【0017】
方法は、照射するステップの前に、動的剥離層の付着を減少させるステップを含む。
【0018】
動的剥離層に照射するステップは、キャリアを通して動的剥離層に照射することを含む。
【0019】
ディスクリート部品は、LEDを含む。
【0020】
基板は、テープを含む。基板は、プリント回路基板を含む。
【0021】
一態様では、方法は、ターゲット基板の表面に、ビンガム流体を含むコーティングを形成するステップと、コーティング内または上に、レーザアシスト移載プロセスによってキャリアから移載されるディスクリート部品を受容するステップとを含む。
【0022】
一実施形態では、ビンガム流体を含むコーティングを形成するステップは、フラックス、はんだペースト、導電性インク、半導電性インク、ゲル、および化学的に不活性な材料のうちの1つまたは複数をターゲット基板の表面に配置することを含む。
【0023】
一態様では、方法は、レーザアシスト移載システム内に取り付けられたディスクリート部品アセンブリのディスクリート部品と、ターゲット基板上のターゲット位置との間のアライメント誤差を決定するステップであり、ディスクリート部品アセンブリが、動的剥離層によって支持体に付着されたディスクリート部品を含む、アライメント誤差を決定するステップと、アライメント誤差に基づいてビームオフセット特性を決定するステップと、レーザアシスト移載システムの光学素子に、ビームオフセット特性を示す信号をもたらすステップであり、光学素子が、ビームオフセット特性に従って、ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を調整するように構成される、信号をもたらすステップとを含む。
【0024】
実施形態は、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0025】
方法は、ビームオフセット特性に従って、ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を光学素子によって調整するステップを含む。方法は、ガルバノメータレーザスキャナを用いてビームパターンの位置を調整するステップを含む。
【0026】
アライメント誤差を決定するステップは、アライメント誤差の大きさおよびアライメント誤差の方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む。
【0027】
ビームオフセット特性を決定するステップは、ディスクリート部品の中心とディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットを決定することを含む。オフセットを決定することは、ディスクリート部品の中心とディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットの大きさおよび方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む。
【0028】
方法は、アライメント誤差を少なくとも部分的に補償するためにビームオフセット特性を決定するステップを含む。方法は、ビームパターンがビームオフセット特性に従ってディスクリート部品アセンブリに入射するとディスクリート部品が基板上のターゲット位置に移載されるように、ビームオフセット特性を決定するステップを含む。
【0029】
方法は、マシンビジョンシステムを用いてアライメント誤差を決定するステップを含む。
【0030】
方法は、ビームを動的剥離層に照射するステップを含み、ディスクリート部品に対するビームパターンの位置は、ビームオフセット特性に従って調整され、照射によってディスクリート部品がキャリア基板から剥離する。
【0031】
方法は、ターゲット基板上のターゲット位置にディスクリート部品を受容するステップを含む。
【0032】
一態様では、システムは、コンピューティングシステムを含み、コンピューティングシステムは、メモリに接続された1つまたは複数のプロセッサを含み、1つまたは複数のプロセッサは、ディスクリート部品アセンブリのディスクリート部品と、ターゲット基板上のターゲット位置との間のアライメント誤差を決定することであり、ディスクリート部品アセンブリが、動的剥離層によって支持体に付着されたディスクリート部品を含み、レーザアシスト移載システム内に取り付けられた、アライメント誤差を決定することと、アライメント誤差に基づいてビームオフセット特性を決定することと、レーザアシスト移載システムの光学素子に、ビームオフセット特性を示す信号をもたらすことであり、光学素子は、ビームオフセット特性に従って、ディスクリート部品に対するビームパターンの位置を調整するように構成される、信号をもたらすこととを行うように構成される。
【0033】
実施形態は、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0034】
システムは、光学素子を含む。光学素子は、ガルバノメータレーザスキャナを含む。
【0035】
ビームオフセット特性を決定することは、ディスクリート部品の中心とディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットを決定することを含む。オフセットを決定することは、ディスクリート部品の中心とディスクリート部品のオフセット位置との間のオフセットの大きさおよび方向のうちの1つまたは複数を決定することを含む。
【0036】
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリは、アライメント誤差を少なくとも部分的に補償するためにビームオフセット特性を決定するように構成される。1つまたは複数のプロセッサおよびメモリは、ビームパターンがビームオフセット特性に従ってディスクリート部品アセンブリに入射するとディスクリート部品が基板上のターゲット位置に移載されるように、ビームオフセット特性を決定するように構成される。
【0037】
1つまたは複数のプロセッサおよびメモリは、マシンビジョンシステムを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図4】ディスクリート部品およびターゲット基板の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書には、ディスクリート部品を支持体からターゲット基板に移載するレーザアシストプロセスにおける位置誤差に対処するアプローチが述べられる。いくつかの例では、ディスクリート部品アセンブリに入射するビームパターンは、ターゲット基板に移載されることになるディスクリート部品に対してオフセットすることがある。ビームパターンのオフセットの結果、ディスクリート部品がターゲット基板に移載されるときに位置誤差が生じる。ビームパターンのオフセットは、位置誤差がターゲット基板とディスクリート部品アセンブリとの間のアライメント誤差を補償するように調整され得、それによってレーザアシスト移載プロセスの精度が向上する。ビームパターンのオフセットは、光学素子によって実施することができ、それによって迅速な調整が実現し、高スループットの移載の達成が可能になる。
【0040】
図1Aは、基板130上にディスクリート部品102を高スループット、低コスト、非接触で組み立てるレーザアシスト移載プロセスを示している。ディスクリート部品という用語は、一般に、例えば、電子、電気機械、光電池、フォトニックもしくは光電子の部品、モジュール、またはシステムなどの製品または電子デバイスの一部となる任意のユニット、例えば半導体材料の一部に回路が形成されている任意の半導体材料を示す。いくつかの例では、ディスクリート部品は、発光ダイオード(LED)とすることができる。ディスクリート部品は、最大厚さが100μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、10μm以下または5μm以下であるという意味で、極薄であり得る。ディスクリート部品は、1辺が300μm、1辺が100μm、1辺が50μm、1辺が20μm、または1辺が10μm以下の最大長または幅寸法を持つという意味で、超小型であり得る。ディスクリート部品は、超薄かつ超小型であってもよい。
【0041】
レーザアシスト移載プロセスでは、ディスクリート部品アセンブリ108は、部品移載システム100内に配置される。ディスクリート部品アセンブリ108は支持体110を含み、支持体110の前側には動的剥離構造112が配置される。ディスクリート部品102は、動的剥離構造112によって支持体110に付着される。支持体110は、ガラスもしくは剛性ポリマー基板などの剛性支持体、またはテープなどの可撓性支持体とすることができる。動的剥離構造112は、単一層構造、または2、3もしくは4層以上の層を有する構造などの多層構造とすることができる。
【0042】
レーザアシスト移載プロセスでは、支持体110の後側に、例えばビームパターン116であるレーザ光などの放射が照射される。ビームパターン116は、例えば単一光源または複数光源からの(図示のような)単一ビームまたは複数ビームパターンとすることができる。支持体110は、放射(例えば、レーザエネルギー)の波長に対して透過性である。所与の波長に対して透過性の要素とは、所与の波長の少なくともいくらかの放射が通過する要素である。放射は、支持体110を通過し、動的剥離構造112の一領域に入射し、レーザビームパターン116が入射する領域(照射領域と呼ぶ)内の動的剥離構造の少なくとも部分的な厚さにおけるアブレーションを引き起こす。アブレーションは、閉じ込められた気体を発生させ、それが膨張して動的剥離構造112内に応力を引き起こす。この応力により、動的剥離構造112の材料の少なくとも一部が変形し、1つまたは複数のブリスタ118が形成される。例えば、ビームパターン116が単一ビームまたは密な間隔の複数ビームパターンの場合、単一ブリスタ118が形成される。ビームパターン116が十分に離間した複数ビームを含む場合、複数ブリスタ118のパターンが形成される。ここで、ブリスタ118という用語は、一般的に、単一ブリスタか複数ブリスタパターンのどちらかを示す。
【0043】
ブリスタ118は、ディスクリート部品102に機械的な力を及ぼす。ブリスタ118によって及ぼされる機械的な力がディスクリート部品102と動的剥離構造112との間の付着に打ち勝つのに十分であるとき、(重力と組み合わせて)ブリスタ118によって及ぼされる機械的な力は、ターゲット基板130への移載のために、ディスクリート部品を支持体110から(例えば、下方向に)離れるように押し出す。
【0044】
レーザアシスト移載プロセスのさらなる説明は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0238592号において見出すことができる。
【0045】
移載ベクトル150は、支持体110からのディスクリート部品102の剥離のときのディスクリート部品102の移動方向を示し、ターゲット基板130上でのディスクリート部品102の最終的な配置の方を指す。移載ベクトル150の方向は、ディスクリート部品102に対するレーザビームパターン116の位置の関数である。入射レーザビームパターン116が
図1Aおよび
図1Bに示されるようにディスクリート部品102に対して中心にあるとき、結果的に生じるブリスタ118(例えば、単一ブリスタまたは複数ブリスタパターン)もディスクリート部品112に対して中心にあり、移載ベクトル150(法線移載ベクトルと呼ぶ)は、動的剥離構造112の表面に対して垂直である。その結果、ディスクリート部品102は、ターゲット基板130上の、ディスクリート部品アセンブリ108内におけるディスクリート部品102の位置の真下の位置に着地する。
【0046】
レーザアシスト移載プロセスの目的は、ターゲット基板130上の特定のターゲット位置140にディスクリート部品102を移載することであり得る。ターゲット位置140とは、ターゲット基板130上の、ディスクリート部品102の中心が位置決めされることが意図される位置とすることができる。例えば、ターゲット基板130がプリント回路基板などのデバイス基板である場合、ターゲット位置140は、ターゲット基板130上の、ボンドパッドなどの相互連結要素がディスクリート部品102上の相互連結要素に対して整列されることになる位置とすることができる。
【0047】
ターゲット基板130上のターゲット位置140とディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の位置を整列させるため、ターゲット基板130は、ディスクリート部品アセンブリ108に対して動かされる、またはディスクリート部品アセンブリ108がターゲット基板130に対して動かされる、またはその両方であってもよい。相対運動は、線形並進運動ステージ、アクチュエータ、または他の適当な機械的調整デバイスなどの機械的調整機構を用いて実施することができる。例えば、ディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の中心のグローバルx-y座標系における座標が、ターゲット位置のグローバルx-y座標と合うように調整され得る。
【0048】
ディスクリート部品アセンブリ108とターゲット基板130の相対的な位置合わせの機械的調整では、場合によって、例えば機械的調整デバイスの不正確さから生じる、x軸、y軸またはその両方に沿った逸脱などの誤差が起こりやすい。そのような誤差は、結果的にディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間のアライメント誤差になり得る。例えば機械的調整に起因する誤差に加えて、またはその代わりに、他の誤差源もディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間のアライメント誤差の一因となり得る。例えば、ディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の予想位置とディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の実際位置との差は、前処理の間、例えばディスクリート部品102のシンギュレーションの間、または支持体110上へのディスクリート部品102の配置の間に生じ得る。ターゲット位置140とディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の位置との間のx-y座標アライメントがディスクリート部品108の予想位置に基づく場合、前処理から生じるこの差は、結果的にディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間のアライメント誤差になり得る。いくつかの例では、そのようなアライメント誤差は、少なくとも部分的に、レーザアシスト移載プロセスの開始前に、ターゲット基板130とディスクリート部品アセンブリ108の相対位置の機械的な微調整によって対処できる。
【0049】
図2A~
図2Cを参照すると、いくつかの例では、レーザアシスト移載プロセスの間にビームパターン116をディスクリート部品102の中心からオフセットさせることができ、つまりビームパターン116は、ディスクリート部品の中心からオフセットした位置に入射する。ビームパターン116のオフセットは、少なくとも部分的に、ディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間のアライメント誤差の補償に用いることができる。
【0050】
ビームパターン116がディスクリート部品102からオフセットする(例えば、中心にない)場合、結果的に生じるブリスタ118(例えば、単一ブリスタまたは複数ブリスタパターン)もディスクリート部品102に対して中心にない。このオフセットによって、移載ベクトル150(傾斜移載ベクトルと呼ぶ)は、表面の法線から角度αだけ逸れる。移載ベクトル150の角度αは、ディスクリート部品102の中心からのビームパターン116の(ビームオフセットと呼ぶこともある)オフセットの大きさdおよび方向に関連する。(例えば、
図1Aに示されるような)法線移載ベクトルの場合、ディスクリート部品102は、ディスクリート部品アセンブリ内のディスクリート部品102の位置の真下にあるターゲット位置140に移載されることになる。傾斜移載ベクトルによってディスクリート部品102は、ターゲット基板130上の、ターゲット位置140に対してずれたオフセット位置134に移載される。
【0051】
図2Bおよび
図2Cは、ビームパターン116がディスクリート部品102の中心からオフセットした、ディスクリート部品102が取り付けられたディスクリート部品アセンブリ108の上面図である。破線枠132は、移載後のターゲット基板130上のディスクリート部品102の位置を示しており、この破線枠の中心はオフセット位置134上にある。ターゲット位置140とオフセット位置134との間の距離は、ビームパターン116のオフセットによって誘起される位置誤差εである。位置誤差εは、
図2Bに示されるようにx軸に沿うこともあり、y軸に沿うこともあり(図示せず)、
図2Cに示されるようにx軸とy軸のそれぞれに沿った成分を有することもある。
【0052】
位置誤差εの大きさは、ビームオフセットの大きさd、およびディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102の底面とターゲット基板130の上面との間の間隙135の高さgに関連する。例えば、ビームオフセットの大きさdは、間隙の高さgを所与として位置誤差εと直接的な線形関係を有することができる。移載ベクトル150が指す空間方向は、ビームオフセットの方向と反対である。例えば、
図2Aでは、ビームパターン116は図面の左にオフセットされる一方、移載ベクトル150は図面の右の方を指す。
【0053】
上記で論じたように、アライメント誤差は、ディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間で生じ得る。そうした誤差を補償するため、ビームパターン116は、位置誤差εがディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間アライメント誤差と一致するように、意図的にオフセットされ得る。オフセットをビームパターン116に導入することによるアライメント誤差の補償は、レーザアシスト移載プロセスにおける正確なアライメントの達成の助けとなり得、アライメントの迅速な達成を可能にすることができ、それによって高いスループットの移載プロセスが促進される。
【0054】
一例では、
図3を参照すると、レーザアシスト移載システム300において、アライメント誤差α(図示せず)は、ディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間にあり得る。アライメント誤差αは、例えば、機械的アライメント機構における不正確さ、支持体110上へのディスクリート部品102の位置決め誤差、または他の原因に起因し得る。アライメント誤差の補償のため、ビームパターン116は、傾斜移載ベクトル150を生じさせ結果的にアライメント誤差αと等しい位置誤差εになるようにオフセットされ得る。こうして、ディスクリート部品102は、ディスクリート部品アセンブリ108内のディスクリート部品102のx-y座標とターゲット位置140のx-y座標との間にアライメント誤差αがあるにもかかわらず、そのターゲット位置140に直接移載される。
【0055】
レーザアシスト移載システム300は、レーザなどの光源302を含む。光源302からの光ビーム306は、光源302からの光ビーム306からビームパターン116を形成することができるレンズまたは回折光学素子(例えば、ビームスプリッタ)などの1つまたは複数の光学素子304に入射することができる。ビームパターン116は、(図示のような)単一光ビームであってよく、または光ビーム306よりもサイズ(例えば、直径)が小さい光ビームである複数のビームレットを含んでもよい。
【0056】
カメラなどの光検出器310が、ディスクリート部品102とターゲット基板130上のターゲット位置140との相対位置の画像を撮像するように配置される。光検出器310からの画像312は、メモリに接続されアライメント誤差αを決定するように画像312を処理するように構成される1つまたは複数のプロセッサを含むコンピューティングシステム314に提供される。例えば、コンピューティングシステム314は、ディスクリート部品102とターゲット位置140を識別しディスクリート部品102の中心とターゲット位置140との間の離間の大きさおよび方向を決定するためにマシンビジョンアプローチを実施することができる。
【0057】
アライメント誤差αに基づいて、コンピューティングシステム314は、ビームパターン116がビームオフセット特性分だけオフセットするときディスクリート部品102がターゲット位置140に移載されるように、ビームパターン116についてのビームオフセット特性を決定する。ビームオフセット特性は、ビームオフセットの大きさdおよびビームオフセットの方向を示す。いくつかの例では、ビームオフセット特性は、ビームパターン116におけるビームレットの数または配置など、他のパラメータを示すことができる。
【0058】
コンピューティングシステム314は、例えばビームオフセット特性に従ってビームパターン116の位置を調整するように1つまたは複数の光学素子318を制御するように、ビームオフセット特性を示す信号316をレーザアシスト移載システム300にもたらす。一例では、1つまたは複数の光学素子318は、ビームパターン116の位置を調整することができるガルバノメータレーザスキャナなどのスキャナとすることができる。
【0059】
スキャナによってビームオフセット特性を実施することによって、アライメント誤差の補償が迅速に達成され、それによってディスクリート部品あたりの移載時間を短くすることが可能になり、したがってレーザアシスト移載プロセスのスループットが増加する。
【0060】
図4を参照すると、いくつかの例では、レーザアシスト移載プロセスにおいてディスクリート部品102を受容するターゲット基板430は、その表面に配置されるダイ捕捉材料402を含むコーティングを含むことができる。ダイ捕捉材料(DCM)402は、キャリア基板からディスクリート部品が移載されるときにそれらを受容し、ターゲット基板上でのディスクリート部品の移載後の動きを減らしつつ、それらをターゲット位置に保持する材料とすることができる。ディスクリート部品を受容しターゲット位置でそれらを保持するプロセスは、ディスクリート部品の捕捉と呼ぶこともある。DCMは、ディスクリート部品102がコーティング402上に投じられるときのディスクリート部品102の速度を減速させる粘性流体とすることができる。
【0061】
場合によって、ディスクリート部品102は、コーティング402のDCMに捕捉された後、コーティング内で「浮遊」することがある。ディスクリート部品102の浮遊は、ディスクリート部品102の元の配置位置からの任意の距離のゆっくりとしたずれである。浮遊は、表面張力、熱ドリフト、部品衝突後の流体の平準化、ブラウン運動、または他の要因、または複数の要因の組合せによって引き起こされ得る。受容されたディスクリート部品の浮遊は、例えば浮遊が移載プロセスにおける全体的な位置誤差の一因になり得るという点で望ましくないことがある。例えば、部品の浮遊によって、位置誤差が既定の基準を超過し、それによって配置されたディスクリート部品がその所期用途に対して使用不可能になることがある。密な間隔で配置されたディスクリート部品を含む適用例などのいくつかの例では、部品の浮遊によって、到来するディスクリート部品がすでにあったディスクリート部品と接触し、それによってすでにあったディスクリート部品にさらなる位置誤差が追加される、またはディスクリート部品のセットに他の望ましくない特性が引き起こされることがある。
【0062】
いくつかの例では、コーティング402のDCMの流動学的特性は、レーザアシスト移載プロセスの精度および確実性を高めるため、特定の適用例、例えば特定のサイズまたは質量のディスクリート部品に合わせて調整することができる。
【0063】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、いくつかの例では、ターゲット基板530は、基板504の表面に配置されたビンガム流体を含むコーティング502を含む。ビンガム流体は、低応力では剛体のような挙動を示すが、その降伏応力以上では粘性流体のように流れる粘塑性材料である。ビンガム流体は、ビンガム液、ビンガム塑性体、構造化液体(structured liquid)、または粘塑性固体と呼ぶこともある。ビンガム流体は、ゲル(例えば、アルコゲル、ヒドロゲル、オルガノゲル、もしくは他のタイプのゲル)、合成ポリマー、粘着ペースト、フラックス、はんだペースト、懸濁液、導電性もしくは半導電性のインク(例えば、有機インク)、化学的に不活性な材料、またはそれらの任意の2つ以上の組合せを含むことができる。
【0064】
レーザアシスト移載プロセスでディスクリート部品102がターゲット基板530に移載されるとき、ディスクリート部品102は、ビンガム流体を含むコーティング502によって捕捉され、(
図5Bに示されるように)コーティングに部分的に埋め込まれる、またはコーティングの上面に配置される。部分的に埋め込まれるとは、ディスクリート部品102の底面136がコーティング502の上面506よりも下にあり、ディスクリート部品102の上面508がコーティング502の上面506よりも上にあることを意味する。一旦、ディスクリート部品102がコーティング502に部分的に埋め込まれると、ビンガム流体の流動学的特性により、ディスクリート部品102はその位置から自然にずれるまたは浮遊することができなくなる。したがって、部品配置の正確さおよび精度は、ダイ捕捉材料としてビンガム流体を含むコーティングを使用することにより高められ得る。
【0065】
基板504は、ウエハテープなどのテープであってもよい。基板504は、ガラス基板または半導体基板などの剛性基板であってもよい。基板504は、プリント回路基板(PCB)などのデバイス基板であってもよい。いくつかの例では、基板504は、マルチチップスタックでの使用が意図される半導体ウエハまたはその一部分などの半導電性基板であってもよい。
【0066】
基板504がデバイス基板である場合、ビンガム流体を含むコーティング502は、ディスクリート部品102と、基板504上のボンドパッドのような電気接点との相互接続を促進することができる。例えば、ビンガム流体を含むコーティング502は、導電性はんだペーストなどの導電性ペーストとすることができる。
図5Cを参照すると、いくつかの例では、ディスクリート部品102のレーザアシスト移載後、ディスクリート部品102の底面136を基板504上の電気接点に接触させる加工ステップが行われ得る。一例では、ビンガム流体を含むコーティング502は、はんだ付け工程中に除去されるはんだフラックスとすることができる。一例では、コーティング502に部分的に埋め込まれたディスクリート部品102を含む基板504のアセンブリに、例えばサーモード(thermode)から圧力が掛けられ、それによってビンガム流体がディスクリート部品102と基板504との間から押し出され、それによってディスクリート部品102と基板504との間の電気接触が有効になる。
【0067】
いくつかの実施形態を述べてきた。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されよう。例えば、上述したステップのいくつかは、順序に依存しない可能性があり、記述された順序と異なる順序で実行することができる。
【0068】
他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100 部品移載システム
102 ディスクリート部品
108 ディスクリート部品アセンブリ
110 支持体
112 動的剥離構造
116 ビームパターン
118 ブリスタ
130 ターゲット基板
132 破線枠
134 オフセット位置
135 間隙
136 底面
140 ターゲット位置
150 移載ベクトル
300 レーザアシスト移載システム
302 光源
304 光学素子
306 光ビーム
310 光検出器
312 画像
314 コンピューティングシステム
316 信号
318 光学素子
402 ダイ捕捉材料、コーティング
430 ターゲット基板
502 コーティング
504 基板
506 上面
508 上面
530 ターゲット基板
【国際調査報告】