(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】骨セメントを作るための混合デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20220809BHJP
B01F 27/70 20220101ALI20220809BHJP
B01F 23/57 20220101ALI20220809BHJP
B01F 35/33 20220101ALI20220809BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20220809BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20220809BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20220809BHJP
B01F 101/20 20220101ALN20220809BHJP
【FI】
A61B17/56
B01F27/70
B01F23/57
B01F35/33
B01F35/71
B01F35/75
B01F27/112
B01F101:20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574282
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2020037479
(87)【国際公開番号】W WO2020252296
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン,クリストファー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュマン,ガブリエル・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ボボルツ,デイヴィッド・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トゥルヴォルト,アウリアンナ・サレム
【テーマコード(参考)】
4C160
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4C160LL70
4G035AB46
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA03
4G037AA11
4G037DA30
4G037EA03
4G078AA13
4G078AA26
4G078AB02
4G078BA01
4G078CA19
4G078DA01
4G078EA10
4G078EA15
(57)【要約】
骨セメントを作るための混合デバイスおよび方法である。混合デバイスのピストンは、混合パドルが回転して骨セメント成分を第1の圧力で混合して骨セメント混合物が作られるように、チャンバの第1の領域に配置される。ピストンは、チャンバの第2の領域内に位置するように入口開口部を通り抜けて、第1の圧力よりも大きい第2の圧力まで骨セメント混合物を圧縮して骨セメントが作られる。骨セメントは、送達デバイスへ移送することができる。混合デバイスは、混合段階の完了後に圧縮段階および移送段階を自動的に開始する機能部を含み、さらに、動作サイクルを自動的に終了させる機能部を含み得る。手術室における効率を向上させるために、混合デバイスを利用する3段階の直感的なワークフローもまた開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内にあり、入口開口部を画定するチャンバであって、前記チャンバが、第1の端部および第2の端部、ならびに前記第1の端部と第2の端部の間に延びる長手方向軸を有し、前記チャンバの第1の領域が、前記チャンバの前記第1の端部と前記チャンバの前記第2の端部に最も近い前記入口開口部の端部との間で長手方向に画定され、前記チャンバの第2の領域が、前記チャンバの前記第1の領域と前記第2の端部との間で長手方向に画定される、チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、面を備えるピストンと、
前記チャンバ内で回転可能な混合パドルとを備え、
前記ピストンの前記面は、前記混合パドルが骨セメント混合物を作るために回転して前記骨セメント成分を混合するときに前記チャンバが大気圧以下になるように、前記チャンバの前記第1の領域内に位置するように構成され、
前記ピストンは、前記第2の領域内での前記ピストンのさらなる移動によって前記チャンバ内の前記骨セメント混合物を圧縮するように、前記ピストンと前記チャンバの間に流体密封の閉鎖部を形成するために前記面を前記チャンバの前記第2の領域内に配置するように前記長手方向軸に沿って移動可能に構成される、混合デバイス。
【請求項2】
前記ピストンおよび前記混合パドルに動作可能に結合されたモータをさらに備え、前記モータが、前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うように構成される、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項3】
前記チャンバが、前記チャンバの前記第2の端部に隣接する出口ポートをさらに画定する、請求項1または2に記載の混合デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第1のスイッチをさらに備え、前記第1のスイッチは、前記ピストンが前記第1の領域内にある間に前記第1のスイッチが前記モータを作動させる通電状態へ移行可能である、請求項3に記載の混合デバイス。
【請求項5】
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第2のスイッチをさらに備え、前記第2のスイッチは、前記ピストンが前記第2の領域内にある間に前記第2のスイッチが前記モータを作動しないようにする非通電状態へ移行可能である、請求項4に記載の混合デバイス。
【請求項6】
前記第1のスイッチが、前記非通電状態に向けて付勢されたモーメンタリスイッチである、請求項4または5に記載の混合デバイス。
【請求項7】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線される、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチに係合するように可動であり、前記第1のスイッチを前記通電状態に維持するアクチュエータをさらに備える、請求項4から7のいずれか1項に記載の混合デバイス。
【請求項9】
前記モータに連結された回転可能な移送歯車と、
前記ピストンが前記第2の領域内にある間、前記移送歯車に沿って移動して前記第2のスイッチに係合するように構成されたストップナットと
をさらに備える、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項10】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバと、
骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチであって、前記スイッチがモーメンタリであり、かつ前記スイッチが前記モータの起動を阻止する非通電状態に付勢されている、スイッチとを備え、前記スイッチが、前記非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって動作サイクルを開始する通電状態へ移行するように構成され、
前記ピストンが、前記チャンバ内で第1の領域から第2の領域に移動して前記チャンバ内の骨セメント混合物を混合および圧縮するように構成され、前記ピストンが、前記第1のスイッチの作動中に前記第1の領域内にある、混合デバイス。
【請求項11】
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、前記第1のスイッチ、および前記モータと直列に配線された第2のスイッチを備え、前記第2のスイッチが非モーメンタリであり、かつ前記モータの起動を可能にするために最初は通電状態で配置され、前記第2のスイッチが、前記通電状態から、前記モータを作動しないようにして前記動作サイクルを終了する非通電状態へ移行するように構成され、前記ピストンが、前記第2のスイッチの作動中に前記第2の領域内にある、請求項10に記載の混合デバイス。
【請求項12】
前記ピストンが前記第1の領域にある場合に前記チャンバが大気圧以下にあり、前記ピストンが前記第2の領域にある場合に前記チャンバが大気圧よりも上にある、請求項10または11に記載の混合デバイス。
【請求項13】
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置されている第1の位置と、前記第1のスイッチに係合して前記第1のスイッチを作動させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータをさらに備える、請求項11または12に記載の混合デバイス。
【請求項14】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記モータに接続されているスイッチであって、最初は非通電状態にある前記スイッチと、
前記ハウジングに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記第1のスイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記第1のスイッチに係合して前記第1のスイッチを前記非通電状態から前記通電状態へ移行させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
【請求項15】
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置された第2のスイッチであって、最初は通電状態にあり、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線されている、第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを前記通電状態から前記非通電状態に移行させるために、前記第2のスイッチと係合するように移動可能であるストップナットと
をさらに備える、請求項14に記載の混合デバイス。
【請求項16】
前記アクチュエータが、スライダ本体と、前記スライダ本体の下面から延びるアームとを備えるスライダであり、前記アームが、動いて前記第1のスイッチと係合するように構成される、請求項15に記載の混合デバイス。
【請求項17】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、プリント回路基板に結合されずに、別々の位置で前記ハウジングに直接取り付けられる、請求項15または16に記載の混合デバイス。
【請求項18】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定するチャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチと、
前記ハウジングに結合されているアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記スイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記スイッチに係合して同時に(i)前記スイッチを非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって前記スイッチが動作サイクルを開始する通電状態へ移行させ、かつ(ii)前記入口開口部を閉じる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
【請求項19】
広がった部分、および前記チャンバの前記入口開口部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを備える漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
【請求項20】
前記ハウジングが孔部を画定し、前記入口開口部は、前記孔部を介して誘導される骨セメント成分がさらに重力の影響のもとに前記入口開口部を通り抜けて前記チャンバに入るように、前記孔部の下に配置され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるときに前記入口開口部と前記孔部の間に位置するように配置された扉をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
【請求項21】
広がった部分、および前記ハウジングの前記孔部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを含む漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、請求項19または20に記載の混合デバイス。
【請求項22】
前記漏斗デバイスが、前記ステム上に配置され、かつ前記ハウジングの相補的なロック機能部と解放可能に係合するように構成されたロック機能部をさらに備える、請求項21に記載の混合デバイス。
【請求項23】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
アッパーシェル、および前記アッパーシェルに結合されたロワーシェルを備えるハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータとを備え、
前記アッパーシェルが、前記入口開口部と連通する孔部を画定する傾斜面を有する漏斗を備える、混合デバイス。
【請求項24】
前記アッパーシェルが上面を備え、前記傾斜面が前記上面から下向きに延びている、請求項23に記載の混合デバイス。
【請求項25】
前記漏斗は形が円錐台状である、請求項23または24に記載の混合デバイス。
【請求項26】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
アッパーシェル、および前記アッパーシェルに結合されたロワーシェルを備えるハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記ハウジングに結合され、かつ前記混合デバイスの動作を示す情報を表示するように構成された表示装置と
を備える、混合デバイス。
【請求項27】
前記表示装置が、液晶表示装置(LCD)、一連の表示ランプ、デジタルタイマ、またはアナログタイマである、請求項26に記載の混合デバイス。
【請求項28】
前記情報が、前記混合デバイスの動作の残り時間、前記骨セメントを用いる作業の経過時間、および前記骨セメントを用いる作業の推定残り時間のうちの1つである、請求項26または27に記載の混合デバイス。
【請求項29】
骨セメントを用いて椎体増大処置を行うためのキットであって、前記キットが、
骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作って、前記骨セメント混合物を圧縮するための混合デバイスを備え、前記混合デバイスが、
入口開口部、および前記入口開口部と連通する出口ポートを画定するチャンバと、
前記チャンバ内で移動可能なピストンと、
前記チャンバ内で回転可能な混合パドルとを備え、
前記混合デバイスから骨セメントを受け入れるための入口ポートを画定するチャンバを備えた送達デバイスと、
前記混合デバイスおよび前記送達デバイスを収容するように寸法設定された包装とを備え、
前記送達デバイスの前記入口ポートは、前記混合デバイスと前記送達デバイスが前記包装内で互いに取り外し可能に結合され、かつ単一ユニットとして前記包装から取り出されるべく構成されるように、前記混合デバイスの前記出口ポートと連通している、キット。
【請求項30】
前記混合デバイスと前記送達デバイスとが互いに取り外し可能に結合されている場合に、前記混合デバイスの前記チャンバの長手方向軸と前記送達デバイスのチャンバの長手方向軸とは、前記混合デバイスと前記送達デバイスとが前記包装内に並列配置で配置されるように平行になっている、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記混合デバイスの前記出口ポートおよび前記送達デバイスの前記入口ポートが、前記並列配置を容易にするために、それぞれの長手方向軸に対して垂直に配置されている、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
漏斗デバイスと、前記漏斗デバイスが前記単一ユニットとして前記包装から取り出されるべく構成されるように前記漏斗デバイスと前記混合デバイスを結合する可撓性連結部とをさらに備える、請求項29から31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
前記包装内に配置された液体モノマーおよび粉末ポリマーをさらに含む、請求項29から32のいずれか1項に記載のキット。
【請求項34】
前記包装がブリスターパックである、請求項29から44のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本願は、2019年6月14日に出願された米国仮特許出願第62/861,698号の優先権およびすべての利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腰痛のよくある原因は、弱体化または損傷した椎体の高さが失われたり圧潰したりする椎体圧迫骨折である。椎体の弱体化は、急性の損傷に起因したり、より多くは骨粗鬆症などの退行性変化に起因したりすることがある。1つの治療法には椎体補強が含まれ、この椎体補強では、椎体の高さが上昇または回復され、この上昇または回復された高さで、硬化性骨セメントによって安定化される。骨セメントは通常、骨セメント成分(たとえば、粉末ポリマーおよび液体モノマー)を含み、これらは別々に包装されており、椎体補強処置の直前またはその間中に混合される。骨セメント成分の効率的で、均一で、安全な、かつ再現性のある混合は、期待される機械的特性および特質を骨セメントが有することを確実にするための開発における特別な関心領域である。手作業の混合を必要とする、知られているデバイス(たとえば、「オープンボウル」または真空技法)は、手術室スタッフが骨セメント成分を強く撹拌する必要があることにより、非効率的である。別々のスタッフが、変化したり異なったりする強度で、および/または変化したり異なったりする継続時間で、骨セメント成分を混合することがあり、その結果、骨セメントが特に均一でなかったり再現性がなかったりすることになり得る。さらに、いくつかの手動の混合デバイスでは、スタッフが骨セメント成分に曝されるおそれがあり、望ましくない。知られている電動の混合デバイスでは、前述の問題のいくつかを克服できるが、スタッフがデバイスに慣れていない場合には特に、非常に複雑なワークフローにスタッフが従事する必要がある。したがって、前述の欠点のうちの1つまたは複数を克服する、骨セメントを作るための改善された混合デバイスおよび方法が当技術分野では必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様は、骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。チャンバが入口開口部を画定し、第1の端部および第2の端部、ならびに第1の端部と第2の端部の間に延びる長手方向軸を有する。チャンバの第1の領域が、チャンバの第1の端部と、チャンバの第2の端部に最も近い入口開口部の端部との間で長手方向に画定される。チャンバの第2の領域が、チャンバの第1の領域と第2の端部との間で長手方向に画定される。混合デバイスは、チャンバ内に配置されたピストンを含む。ピストンは面を含む。混合デバイスは、チャンバ内で回転可能な混合パドルを含む。ピストンの面は、混合パドルが骨セメント混合物を作るために回転して骨セメント成分を混合するときにチャンバが大気圧以下になるように、チャンバの第1の領域内に位置するように構成される。ピストンは、第2の領域内でのピストンのさらなる移動によってチャンバ内の骨セメント混合物を圧縮するようにピストンとチャンバの間に流体密封の閉鎖部を形成するために、その面をチャンバの第2の領域内に配置するように長手方向軸に沿って移動可能である。
【0004】
いくつかの実施態様では、モータがピストンおよび混合パドルに動作可能に結合され、ピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うように構成される。ハウジングは、チャンバの第2の端部に隣接する出口ポートをさらに画定する。第1のスイッチが、ハウジングに結合されてモータに接続され得る。第1のスイッチは、ピストンが第1の領域内にある間に第1のスイッチがモータを作動させる通電状態へ移行可能とすることができる。第1のスイッチは、非通電状態に向けて付勢されたモーメンタリスイッチとすることができる。第2のスイッチが、ハウジングに結合されてモータに接続され得る。第2のスイッチは、ピストンが第2の領域内にある間に第2のスイッチがモータを作動しないようにする非通電状態へ移行可能とすることができる。第2のスイッチは、最初は通電状態において非モーメンタリスイッチとすることができる。第1のスイッチおよび第2のスイッチが、モータと直列に配線され得る。
【0005】
いくつかの実施態様では、アクチュエータがハウジングに結合され、スイッチに係合するように可動であり、ピストンが第1の領域から第2の領域に移動する間、付勢に抗してスイッチを通電状態に維持する。移送歯車がモータに結合され、動作サイクル中に回転可能であり得る。ストップナットが、ピストンが第2の領域内にある間、移送歯車に沿って並進して、アクチュエータに係合するように構成され得る。
【0006】
本開示の第2の態様は、本開示の第1の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0007】
本開示の第3の態様は、骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、ハウジングと、ハウジング内のチャンバとを含む。チャンバは、第1の領域と、第1の領域とは別個の第2の領域とを有する。混合デバイスは、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である混合パドルを含む。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内で可動である。モータが、ピストンおよび混合パドルに結合される。第1のスイッチがモータに接続される。第1のスイッチはモーメンタリであり、第1のスイッチがモータの起動を阻止する非通電状態に付勢されている。第1のスイッチは、非通電状態から、モータを作動させてピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって動作サイクルを開始する通電状態へ移行するように構成される。第2のスイッチが、第1のスイッチおよびモータと直列に配線される。第2のスイッチは、非モーメンタリであり、モータの起動を可能にするために最初は通電状態で配置される。第2のスイッチは、通電状態から、モータを作動しないようにして動作サイクルを終了する非通電状態へ移行するように構成される。ピストンは、チャンバ内で第1の領域から第2の領域に移動して、チャンバ内の骨セメント混合物を混合および圧縮するように構成される。ピストンは、第1のスイッチの作動中に第1の領域内にあり、第2のスイッチの作動中に第2の領域内にある。
【0008】
いくつかの実施態様では、チャンバは、ピストンが第1の領域にある場合に大気圧以下にあり、さらにチャンバは、ピストンが第2の領域にある場合には大気圧よりも上にある。アクチュエータがハウジングに結合されており、第1のスイッチから間隔をあけた第1の位置と、第1のスイッチに係合して第1のスイッチを作動させる第2の位置との間で可動であり得る。
【0009】
本開示の第4の態様は、本開示の第3の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0010】
本開示の第5の態様は、骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、ハウジングと、ハウジング内のチャンバとを含む。チャンバは、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する。混合パドルが、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内で可動である。モータがピストンおよび混合パドルに結合される。第1のスイッチが、モータに接続されたハウジングに取り付けられ、この第1のスイッチは、最初は非通電状態にある。第2のスイッチがハウジングに取り付けられ、第1のスイッチから間隔をあけて配置されている。この第2のスイッチは通電状態にある。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、モータと直列に配線される。アクチュエータがハウジングに結合されており、第1のスイッチから間隔をあけて配置され、かつ、入口開口部が周囲環境に対して開いている第1の位置と、第1のスイッチに係合して第1のスイッチを非通電状態から通電状態へ移行させる第2の位置との間で可動である。ストップナットが、第2のスイッチを通電状態から非通電状態に移行させるために、第2のスイッチと係合するように移動可能である。
【0011】
いくつかの実施態様では、アクチュエータは、スライダ本体と、スライダ本体の下面から延びるアームとを備えるスライダである。アームは、横方向に偏向されて第1のスイッチと係合するように構成される。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、プリント回路基板に結合されずに、別々の位置でハウジングに直接取り付けることができる。
【0012】
本開示の第6の態様は、本開示の第5の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0013】
本開示の第7の態様は、骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、ハウジングと、ハウジング内のチャンバとを含む。チャンバは、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する。混合デバイスは、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である混合パドルを含む。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内で可動である。モータが、ピストンおよび混合パドルに結合される。スイッチがモータに接続される。アクチュエータがハウジングに結合されており、第1の位置と第2の位置の間で可動である。第1の位置では、アクチュエータはスイッチから間隔をあけて配置され、入口開口部は周囲環境に対して開いている。第2の位置では、アクチュエータがスイッチに係合して同時に(i)スイッチを非通電状態から、モータを作動させてピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによってスイッチが1つの動作サイクルを開始する通電状態へ移行させ、かつ(ii)入口開口部を閉じる。
【0014】
いくつかの実施態様では、ハウジングは孔部(an aperture)を画定する。アクチュエータは、アクチュエータが第2位置にあるときに入口開口部と孔部の間に位置するように配置された扉を備え得る。入口開口部は、孔部を介して誘導される骨セメント成分がさらに重力の影響のもとに入口開口部を通り抜けてチャンバに入るように、孔部の下に配置される。漏斗デバイス(a funneling device)が、広がった部分と、ハウジングの孔部内に受け入れられるように寸法設定されたステムとを含み得る。可撓性連結部(tether)が漏斗デバイスをハウジングと結合することができる。漏斗デバイスは、ステム上にディテントを含み得る。ディテントは、ハウジングの補完的なロック機能と解放可能に係合するように構成される。
【0015】
いくつかの実施態様では、第9の態様のアクチュエータは、第1、第3、第5、および第7の態様のいずれか1つの混合デバイスに含まれ、また任意選択で、これらの対応する実施態様のいずれかに含まれ得る。
【0016】
本開示の第8の態様は、本開示の第7の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0017】
第9の態様は、骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、アッパーシェルと、アッパーシェルに結合されたロワーシェルとを有するハウジングを含む。チャンバがハウジング内にある。チャンバは、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する。混合パドルが、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内にある。モータが、ピストンおよび混合パドルに結合される。アッパーシェルは、入口開口部と連通する孔部を画定する傾斜面がある漏斗を備える。
【0018】
いくつかの実施態様では、アッパーシェルは上面を備え、この上面から傾斜面が下向きに延びている。漏斗は形が円錐台状である。
【0019】
いくつかの実施態様では、第9の態様の一体化された漏斗は、第1、第3、第5、および第7の態様のいずれか1つの混合デバイスに含まれ、また任意選択で、これらの対応する実施態様のいずれか1つの混合デバイスに含まれ得る。
【0020】
本開示の第10の態様は、本開示の第9の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0021】
第11の態様は、骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、ハウジングと、ハウジング内にあり、かつ骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定するチャンバとを含む。混合パドルが、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内で可動である。モータが、ピストンおよび混合パドルに結合される。表示装置がハウジングに結合されており、混合デバイスの動作を示す情報を表示するように構成される。
【0022】
いくつかの実施態様では、表示装置は、液晶表示装置(LCD)、一連の光源、デジタルタイマ、またはアナログタイマである。情報は、混合デバイスの動作の残り時間、骨セメントを用いる作業の経過時間、および骨セメントを用いる作業の推定残り時間のうちの1つであり得る。
【0023】
いくつかの実施態様では、第11の態様の表示装置は、第1、第3、第5、第7、および第9の態様のいずれか1つの混合デバイスと、任意選択でこれらの対応する実施態様のいずれか1つとに含まれ得る。
【0024】
本開示の第12の態様は、本開示の第9の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0025】
本開示の第13の態様は、骨セメントを作るための混合デバイスを対象とする。混合デバイスは、ハウジングと、ハウジング内のチャンバとを含む。チャンバは、第1の領域と、第1の領域とは別個の第2の領域とを有する。混合デバイスは、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るためにチャンバ内で回転可能である混合パドルを含む。ピストンが、骨セメント成分を圧縮するためにチャンバ内で可動である。モータが、ピストンおよび混合パドルに結合される。スイッチがモータに接続される。スイッチは、スイッチがモータを作動させてピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって動作サイクルを開始する通電状態と、スイッチがモータを作動しないようにすることによって動作サイクルを終了させる非通電状態との間を移行するように構成される。スイッチは、非通電状態に向けて付勢される。アクチュエータがハウジングに結合されており、スイッチから間隔があけられた第1の位置と、スイッチと係合してスイッチを非通電状態から通電状態に移行させ、スイッチを付勢に抗して通電状態に維持する第2の位置との間で可動である。ピストンは、ピストンが第2の領域内にあるときに、アクチュエータがスイッチから機械的に切り離されてスイッチが通電状態から非通電状態へ付勢復帰ができるように、チャンバ内で第1の領域から第2の領域へ移動するように構成される。
【0026】
いくつかの実施態様では、スイッチはモーメンタリスイッチである。移送歯車がモータに結合されており、動作サイクル中に回転可能である。ストップナットが移送歯車に対して回転拘束された状態で結合されて、ストップナットが移送歯車に沿って並進しアクチュエータに係合してスイッチからのアクチュエータの機械的な係合解除を行うべく構成される。ストップナットは、移送歯車の外径にねじ係合する内径を有するナット部分と、ナット部分から延びるフランジ部分であって、スイッチからのアクチュエータの機械的な切り離しを行うためにアクチュエータに係合するように構成されたフランジ部分とを含み得る。
【0027】
いくつかの実施態様では、アクチュエータは、スライダ本体と、スライダ本体の下面から延びるアームと、アームに結合されてスイッチに係合するように構成されたストップ機能部とを備えるスライダである。スライダは、アームに結合され、かつ、ストップナットが移送歯車の回転によって並進するときにストップナットが係合するように配置された、傾斜面をさらに含むことができ、ストップナットが傾斜面と係合することがアームに曲がりを与え、ストップ機能部をスイッチから係合解除する。
【0028】
本開示の第14の態様は、本開示の第3の態様による混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法と、任意選択で、その対応する実施態様のいずれかとを含む。
【0029】
本開示の第15の態様は、骨セメントを用いて椎骨増大処置を行うためのキットを対象とする。キットは、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作って、骨セメント混合物を圧縮するための混合デバイスを含む。混合デバイスは、チャンバと、チャンバ内で移動可能なピストンと、チャンバ内で可動である混合パドルとを含む。チャンバは、入口開口部、および入口開口部と連通する出口ポートを画定する。キットは、混合デバイスから骨セメントを受け入れるための入口ポートを画定するチャンバを備えた送達デバイスを含む。キットは、混合デバイスおよび送達デバイスを収容するように寸法設定された包装をさらに含む。送達デバイスの入口ポートは、混合デバイスと送達デバイスが包装内で互いに取り外し可能に結合されるように、混合デバイスの出口ポートと連通している。混合デバイスと送達デバイスは、単一ユニットとして包装から取り出されるように構成される。
【0030】
いくつかの実施態様では、混合デバイスと送達デバイスとが互いに取り外し可能に結合されている場合に、混合デバイスのチャンバの長手方向軸と送達デバイスのチャンバの長手方向軸とは、混合デバイスと送達デバイスとが包装内に並列配置で配置されるように、平行になっている。混合デバイスの出口ポートおよび送達デバイスの入口ポートは、並列配置を容易にするために、それぞれの長手方向軸に対して垂直に配置され得る。
【0031】
いくつかの実施態様では、キットは、漏斗デバイス、および漏斗デバイスと混合デバイスを結合する可撓性連結部を含む。漏斗デバイスは、単一ユニットとして包装から取り出されるように構成される。あるいは、漏斗デバイスはハウジングに一体化することができる。キットは、滅菌包装内に配置された液体モノマーおよび粉末ポリマーをさらに含み得る。包装はブリスターパックとすることができる。
【0032】
本開示の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照すればよりよく理解されることを、容易に認識されよう。図面は純粋に例示的なものであり、必ずしも原寸に比例して描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】混合デバイスおよび送達デバイスを含む混合送達システムの後面斜視図である。
【
図3】ハウジングのアッパーシェルが取り外されている混合デバイスの正面斜視図である。
【
図4】混合デバイスのチャンバの第1の領域内に配置されたピストンを示す、混合デバイスの断面立面図である。
【
図5】混合デバイスのチャンバの第2の領域内に配置されたピストンを示す、混合デバイスの断面立面図である。
【
図6】スイッチ、ピストン、および混合パドルを含む、混合デバイスのサブアセンブリの斜視図である。
【
図7】ピストンおよび混合パドルに結合された、混合デバイスの歯車列の斜視図である。
【
図8】歯車列、ピストン、および混合パドルの立面図である。
【
図9】混合パドルを歯車列に結合するパドル駆動歯車を示すために移送歯車および並進軸が取り外されている、
図7の歯車列および混合パドルの立面図である。
【
図10】チャンバ内でのピストン(および混合パドル)の長手方向の移動を行うように構成された混合デバイスのサブアセンブリの分解組立図であり、このサブアセンブリは、移送歯車、並進軸、後部チャンバハウジング、およびプッシュキャップを含む。
【
図11】動作サイクルの自動終了を行うように構成された混合デバイスの構成要素の立面図であり、この構成要素は、移送歯車上の第1の位置に配置されたストップナットを含む。
【
図12】ストップナットが移送歯車上の第2の位置に配置されてアクチュエータに係合している、
図11の構成要素の立面図である。
【
図13】アクチュエータを形成するスライダの斜視図である。
【
図15】アクチュエータの実装部が横方向に偏向してスイッチの実装部と係合している、混合デバイスの一部分の上面斜視図である。
【
図16】ストップナットの実装部が第2のスイッチに係合して動作サイクルの自動終了を行うように構成されている、混合デバイスの一部分の上面斜視図である。
【
図17】解放アセンブリがロック解除位置にある混合デバイスの後面斜視図である。
【
図18】移送導管を含む前部チャンバハウジングの斜視図である。
【
図19A】
図17の破線19A-19A内の移送導管および解放アセンブリの詳細図である。
【
図19B】移送導管および解放アセンブリの別の実施態様の詳細図である。
【
図21】
図1の混合送達システムを含むキットを使用する方法の一ステップの視覚表現(a pictorial representation)である。
【
図22】この方法の別のステップの視覚表現である。
【
図23】この方法の別のステップの視覚表現である。
【
図24】この方法の別のステップの視覚表現である。
【
図25】この方法の別のステップの視覚表現である。
【
図26】混合デバイスおよび送達デバイスを含む混合送達システムの正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、同様の符号がいくつかの図面にわたって対応する部分を示す図を参照すると、混合送達システム100が
図1に示されている。システム100は、複数の成分を混合して混合物を作るための混合デバイス102と、混合物を目標部位に送達するための送達デバイス104とを含む。システム100は、混合物の目標部位への送達が必要ないかなる処置にも有用である。1つの例では、混合デバイス102は、骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作り、この骨セメント混合物は、送達デバイス104へ移送される。特に、混合デバイス102は、作動すると、混合段階および圧縮段階を含む動作サイクルを自動的に実行し、骨セメントを送達デバイス104へ、説明される直感的なワークフローで自動的に移送する。直感的なワークフローは、ユーザが骨セメント成分に曝されることを減少させながら、手術室の効率ならびに骨セメント混合物の密度を増進する。送達デバイス104へ移送されると、送達デバイス104はユーザによって操作されて、骨セメントが、たとえば椎体形成術または椎骨形成術の間中に椎体内へ送達される。本システムに適している送達デバイス104の一例は、2019年10月17日に公開された、本願の権利者が所有する国際公開第2019/200091号に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本システムに適している送達デバイス104の別の例は、2003年4月15日に発行された、本願の権利者が所有する米国特許第6,547,432号に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
図1は、混合デバイス102に取り外し可能に結合された送達デバイス104を示す。送達デバイス104は、混合デバイス102の出口ポート108と密封流体連通して取り外し可能に配置されるように構成された入口ポート106を含む。より詳細に説明される解放アセンブリ110が、混合デバイス102と送達デバイス104の間を連通しやすくし、それによって入口ポート106と出口ポート108の間の連通が確立する。入口ポート106と出口ポート108の間の連通はさらに、混合デバイス102のチャンバ112(
図4および5参照)と、骨セメント混合物を移送するための送達デバイス104の内部のチャンバ(明示されていない)との間の流体連通を確立する。
【0036】
混合デバイス102は、ハウジング116を含む。
図1ならびに
図2および
図3はハウジング116の実施態様を示し、同じ符号は同じ構成要素であるが、機能部および設計に違いがある。
図1のハウジング116は、たとえば、送達デバイス104を支持するための、ハウジング116に結合されたクレードル114および/またはフック117を含む。クレードル114は、送達デバイス104のハウジング118を混合デバイス102から分離することを容易にするように寸法設定かつ形作られ、フック117は、送達デバイス104の延長管105を搬送および分離することを容易にするように寸法設定かつ形作られ得る。
図1は、クレードル114を、送達デバイス104のハウジング118の一部分に合わせて大まかに寸法設定された円弧状突起として示す。このような結合構成では、クレードル114は解除アセンブリ110と協働して、システム100がユニットとして、たとえば片手で動かせるようになる。1つの構成では、出口ポート108が混合デバイス102の側面に配置されると、送達デバイス104と混合デバイス102が、後でより詳細に説明される利点によって、手術室に配備される前に結合構成体の形で包装されていることが可能になる。しかし、出口ポート108の他の配置もまた企図される。
【0037】
図2の実施態様は、クレードル114から送達デバイス104のハウジング118を取り外せるようにするために、ユーザからの入力を受け取るように構成された制御面115をさらに含むクレードル114を示す。特に、クレードル114は、ユーザからの入力によってクレードル114が曲がることを可能にする材料から形成することができる。ユーザ入力がなければ、クレードル114は、送達デバイス104のハウジング118に保持力を与えることができる。別の実施態様では、混合デバイス102の移送導管306、306’および送達デバイス104の解放アセンブリ110(
図17~20参照)による保持力は、混合デバイス102と送達デバイス104の相対的な位置を維持するのに十分である。クレードル114は、送達デバイス104を支持するが、それ以外には保持力を与えない。
【0038】
ここで
図2を参照すると、混合デバイス102はハウジング116を含み、このハウジングは適切な材料および製造プロセスにより形成することができる。ハウジング116は、アッパーシェル120と、アッパーシェル120に結合されたロワーシェル122とを含み得る。アッパーシェル120およびロワーシェル122のそれぞれによって画定される空洞は、混合デバイス102の構成要素のほとんどを収容するように寸法設定される。アッパーシェル120とロワーシェル122は、互いに取り外し可能に結合することも恒久的に結合することができる。混合デバイス102が場合によって単回使用後に使い捨ての構成要素であるので、ハウジング116の内部124にアクセスする必要があるのはまれであり得る。けれども、そのような場合でも、ハウジング116は、ユーザからの入力を受けてアッパーシェル120をロワーシェル122から分離し、それによって、ハウジング116の内部124内に収容された構成要素を露出するように構成された分離機能部126を含み得る。
図1は、分離機能部126を、アッパーシェル120とロワーシェル122の間の境界で把持機能部130に隣接するタブ128として示す。把持機能部130の位置を維持しながらタブ128に加えられる入力は、アッパーシェル120とロワーシェル122の間の境界にあるディテントがもたらす保持力に打ち勝つ(
図3は、ディテントの雌部分132を明示する)。アッパーシェル120の少なくとも一部分のまわりに延びる別の把持機能部134は、必要に応じて、ハウジング116と、システム100とが、たとえば、前述のように片手でユニットとして動かせるようにすることができる。
【0039】
引き続き
図2を参照すると、ハウジング116は、孔部135を含むか画定する。孔部135は、ハウジング116のアッパーシェル120の上部壁を貫通して延びる。孔部135は、広義には、混合段階、圧縮段階、および移送段階を含む動作サイクルの開始前に骨セメント成分が通過してチャンバ112に導入されるオリフィスである。
図4および
図5はチャンバ112を示し、より詳細には、孔部135およびチャンバ112と連通する入口開口部136を含むか画定する前部チャンバハウジング164を示す。入口開口部136は、孔部135を介して導かれた骨セメント成分が重力の影響を受けて入口開口部136をさらに通過してチャンバ112に入るように、孔部135の真下に配置することができる。チャンバ112は、ハウジング116の中に配置されている。
【0040】
孔部135を介して骨セメント成分を効果的に導入しやすくするために、漏斗デバイス138を設けることができる。骨セメント成分は通常、液体モノマーおよび粉末ポリマーを含む。漏斗デバイス138は、ハウジング116の孔部135に受け入れられるように寸法設定されたステム140によって画定された狭開口部の反対側に、広がった開口部を含む。さらに、漏斗デバイス138は、漏斗デバイス138をハウジング116に結合する可撓性連結部142を含み得る。可撓性連結部142は、ハウジング116のアッパーシェル120のスロットに通すことよって保持できるが、他の適切な連結手段も企図される。いくつかの利点の中でもとりわけ、可撓性連結部142は、漏斗デバイス138がハウジング116に結合されたままで包装されることを可能にし、さらに、漏斗デバイス138を含むシステム100がユニットとして、たとえば片手で動かせるようになる。漏斗を含む知られているシステムでは、漏斗が別個に取り扱われる必要があり、手術室の滅菌バリアを越えて追加の移送が必要になる。可撓性連結部142は、
図1および
図2に示すように、初期構成では漏斗デバイス138の上下が逆にされた状態でハウジング116に結合されている。直感的なワークフローのステップの間に、ユーザは、ステム140を孔部135の中に配置するように漏斗デバイス138を操作する。この操作は、番号「1」である漏斗デバイス138上の印144で示されているように、ワークフローの最初のステップと考えることができる。いくつかの実施態様では、漏斗デバイス138は、ステム140に配置されたディテント(図示せず)を含み得る。ディテントは、孔部135の近くでハウジング116の中に画定された相補的開口部143に解放可能に係合するように構成される。ディテントが係合すると、骨セメント成分を受け入れるように漏斗デバイス138が適切に設置されていることの視覚フィードバックおよび/または触覚フィードバックがユーザに与えられる。その後、ユーザは、チャンバ112まで導かれている漏斗デバイス138に骨セメント成分を導入する。
【0041】
ユーザは、アクチュエータ148を、たとえば、ハウジング116に可動に結合されている、さらに説明されるスライダ150を作動させて、動作サイクルを開始する。アクチュエータ148は、直感的なワークフローの第2のステップに対応する印152、この場合は番号「2」を含み得る。
【0042】
動作サイクルは、チャンバ112内に配置された混合パドル154が骨セメント成分を混合する混合段階、ならびにチャンバ112内に配置されたピストン156が骨セメントを圧縮する圧縮段階、および出口ポート108を介して送達デバイス104まで移送する移送段階をそれぞれ含む。ここで
図4および
図5を参照すると、混合デバイス102の断面立面図が示されており、
図4が混合段階中の混合デバイス102を図示しており、
図5が圧縮および移送段階中の混合デバイス102を図示している。
【0043】
混合段階は、広義には、ピストン156が、チャンバ112内に封入された骨セメント成分が第1の圧力になるようにチャンバ112の第1の領域158にあるときに行われ、移送段階は、広義には、ピストン156が、骨セメント成分が第1の圧力よりも大きい第2の圧力まで圧縮されるようにチャンバ112の第2の領域160にあるときに行われる。1つの例では、第1の圧力は大気圧以下であり(たとえば、1気圧またはそれに近い、周囲の圧力と実質的に等しいなど)、第2の圧力は大気圧よりも大きい(たとえば、4~7気圧)。チャンバ112は、後部チャンバハウジング166(
図10参照)に結合された前部チャンバハウジング164(
図18参照)によって、またはその中で画定することができる。
図3を同時に参照すると、前部チャンバハウジング164は形を円筒形にすることができ、ハウジング116を越えて延びることができる。前部チャンバハウジング164は、チャンバ112を少なくとも部分的に画定する内面168を含み得る。後部チャンバハウジング166は、前部チャンバハウジング164と相補的なキャップ状の機能部とすることができ、内面168と対向するチャンバ112を少なくとも部分的に画定する前面170を画定する(
図10参照)。従来は、
図4および
図5にも示されているように、後部チャンバハウジング166の前面170は、チャンバ112の第1の端部162を画定することができ、前部チャンバハウジング164の内面168は、チャンバ112の第2の端部163を画定することができる。
【0044】
第1の領域158および第2の領域160は、
図4および
図5に概略的に表されている。チャンバ112の第1の領域158は、チャンバ112の第1の端部162と、内面168に最も近い入口開口部136の端部172との間で高さを画定することができる。より具体的には、第1の領域158は、チャンバ112の第1の端部162と、入口開口部136の端部172に交差してチャンバ112の長手方向軸LAに垂直である平面との間で画定することができる。言い換えてさらに説明すると、長手方向軸LAに沿って移動するピストン156の面174が、第1の領域158と第2の領域160の間の境界を画定する入口開口部136の端部172にまだ到達していないときに、面174は第1の領域158にあり、入口開口部136の少なくとも一部分は周囲に対して一般に開いており、チャンバ112は少なくとも実質的に大気圧にある。第2の領域160は、入口開口部136の端部172と内面168の間で画定することができる。言い換えると、長手方向軸LAに沿って移動するピストン156の面174が第2の領域160にあり、面174が入口開口部136を通り過ぎると、ピストン156とハウジング116との間に流体密封の閉鎖部が形成されて、チャンバ112を周囲から封止することができる。このようにして、動作時に、ピストン156の面174が、第1のハウジング端162と開口端172の間で長手方向に延びるチャンバ112の第1の領域158にあると、骨セメント成分が第1の圧力または大気圧で混合パドル154によって混合されて、骨セメント混合物が作られる。その後、ピストン156は、開口端172と第2のハウジング端163の間で長手方向に延びる第2の領域160に位置するように長手方向軸LAに沿って移動して、チャンバ112内の骨セメント混合物を第1の圧力または大気圧よりも大きい第2の圧力まで圧縮する。骨セメント混合物はまた、チャンバ112と連通する出口ポート108を介して送達デバイス104へ移送することもできる。容易に理解されるべきいくつかの利点の中でもとりわけ、骨セメントの圧縮中および送達デバイス104への移送中に入口開口部136を通り過ぎてチャンバ112を封止するピストン156は、既存のシステムに必要とされる多くの高圧構成要素の必要性を低減または除去する。たとえば、既存のシステムは、取り付け可能な蓋を必要とすることがあり、その蓋と、蓋をデバイスに連結する方法とは、圧縮段階に伴う高圧に耐えるように設計されなければならない。蓋およびそのインターフェースは、重大な故障を起こす傾向があることが多い。蓋およびそのインターフェースは、ユーザにとって直感的なものではないことがあり、それゆえに取り付け誤り、およびその結果としての故障を起こす傾向がある。蓋は混合器とは別に滅菌室に移さなければならないので、滅菌表面が汚染されるリスクが増大する。蓋はまた、床に落とされたりテーブルから床に転がり落ちたりして、混合ユニットが使用不能になることもある。入口開口部136を通り過ぎてチャンバ112を封止するピストン156は、取り付け可能な蓋の必要性をなくす。その結果として、混合デバイス102のチャンバ112の自己封止性が、ユーザが高圧下の骨セメント混合物に不注意で曝される可能性を低減または除去する。
【0045】
混合デバイス102は、ピストン156とハウジング116の間に流体密封の閉鎖部を形成するために、ピストン156に結合された封止要素(明示されていない)を含み得る。ピストン156の面174の近くに、ピストン156は凹部175を含み得る。凹部175は、ピストン156のまわりに環状に延びることができ、封止要素、たとえばOリングガスケットが、少なくとも部分的に凹部175内に設置される。封止要素は、ハウジング116の内面と相互作用して、ピストン156とハウジング116の間に流体密封の閉鎖部を形成する。
【0046】
ここで、混合段階の間に混合パドル154の回転を与えるための混合デバイス102の電気機械的動作について、
図4~9を参照して説明する。混合デバイス102は、
図4および
図5に示される複数の電池を含む電池パック176から電力供給することができる。1つの例では、電池パック176は、従来の8本の単3電池を含むが、リチウムイオンおよび/または他の使い捨て電池または充電可能電池などの代替品が企図される。手術室にとってあまり便利ではないが、混合デバイス102はまた、コード付き構成で電力供給されるように適合させることもできる。混合デバイス102は、電池パック176と接続するモータ178をさらに含む。さらに、混合デバイス102は、モータ178と接続し、かつ通電状態と非通電状態の間で駆動されるように構成されたスイッチ180をさらに含む。1つの例では、スイッチ180は、非通電状態に内部付勢されたモーメンタリマイクロスイッチである。これにより有利なことに、必要に応じて、スイッチ180をその元の位置に戻して混合デバイス102の動作を中止することが可能になる。別の例では、スイッチ180は非モーメンタリスイッチ、たとえばトグルスイッチである。より詳細に説明される方法でスイッチ180を駆動すると、モータ178が作動してモータ178の出力軸182に回転出力が得られる。モータ178は任意選択であり、混合デバイス102は、手動混合デバイスでもよいことが企図される。このような例では、ピストンは、ユーザからの入力を受け取るように構成された軸上のプランジャおよび混合パドルと類似していることがある。プランジャは、骨セメント成分が大気圧において混合パドル154で混合されるときに第1の領域158内にあってもよく、また、プランジャは、チャンバ112内の骨セメント混合物を大気圧よりも大きい圧力まで圧縮するために、ユーザからの入力に応じて第2の領域160へ移動することができる。あるいは、前述の米国特許第6,547,432号に開示されているように、手動混合が、ユーザへの軸方向および回転方向の入力を受けるように構成された軸上の混合ブレードを用いて行われてもよい。別の非電動構成は、混合パドル154を回転させることもピストン156を前進させることもする歯車列を操作する、手動操作クランクを含み得る。
【0047】
出力軸182は、
図7~9に最もよく示されている歯車列184に動作可能に結合されている。図示の歯車列184は、積層平歯車(a stacked spur)構成であるが、他の適切な構成も企図される(たとえば、遊星歯車、ヘリカル平歯車、ヘリカル遊星歯車など)。歯車列184は、モータ178の出力軸182に結合されたピニオン歯車186を含む。第1の平歯車188がピニオン歯車186に動作可能に結合されている。第1の平歯車188は、より大きな外径を有する第1の平歯車190を、第1の平歯車190がピニオン歯車186に結合された状態で含み、また、より小さな外径を有する第2の平歯車192を含む。第2の平歯車194が第1の平歯車188に動作可能に結合されている。第2の平歯車194は、より大きな外径を有する第1の平歯車196を、第1の平歯車196が第1の平歯車188の第2の平歯車192に結合された状態で含み、また、より小さな外径を有する第2の平歯車198を含む。第3の平歯車200が第2の平歯車194に動作可能に結合されている。第3の平歯車200は、より大きな外径を有する第1の平歯車202を、第2の平歯車202が第1の平歯車194の第2の平歯車198に結合された状態で含み、また、より小さな外径を有する第2の平歯車204を含む。第3の平歯車200、より詳細には第3の平歯車200の第1の平歯車202は、パドル駆動歯車208の入力平歯車206に動作可能に結合されている。第3の平歯車200はまた、第4の平歯車210にも動作可能に結合されている。第4の平歯車210は、より大きな外径を有する第1の平歯車212を、第1の平歯車212が第3の平歯車200の第2の平歯車204に結合された状態で含み、また、説明される移送歯車216に結合された、より小さな外径を有する第2の平歯車214を含む。
図6および
図7は一緒に、互いに動作可能に結合された前部歯車列ハウジング218と後部歯車列ハウジング220の中に配置されている歯車列184を示している。さらに、後部チャンバハウジング166は、前部歯車列ハウジング218に動作可能に結合されている。
【0048】
いくつかの実施態様では、振動および騒音が、モータ178および/または歯車列184と歯車列ハウジング218の相補的構成要素との間に制振および/または振動絶縁を使用することによって低減され得る。制振は、低い弾性率の(すなわち、よりコンプライアントな)材料、たとえばDuPont de Nemours,Inc(Wilmington、Dela)製のHytrel(登録商標)などのエラストマーポリエステルから、1つまたは複数の歯車を製造することによって行うことができる。振動の絶縁は、振動する構成要素と隣接構成要素の間、たとえばモータ178と歯車列ハウジング218の隣接部分との間(
図6参照)、または歯車列ハウジングと混合器ハウジングの間に、エラストマーまたは発泡体などのコンプライアントな材料を配置することによって行うことができる。制振または絶縁するのに適切な他の場所には、歯車列184の中で最も速く回転し、したがってほとんどのノイズの原因となる、第1の平歯車188および第2の平歯車200が含まれる。さらに、ピニオン歯車186と第1の平歯車188の間にいくらかのコンプライアンスを与えて、ノイズならびに構成要素スタックの調整の感度をさらに低減することも企図される。
【0049】
図9を特に参照すると、混合パドル154は、入力平歯車206に結合されているパドル駆動歯車208の出力軸222の端部に結合することができる。出力軸222は、混合パドル154をパドル駆動歯車208に回転可能に固定するために混合パドル154のステム224内の相補的な機能部と結合するように構成された、長手方向に延びるレールを含む。混合パドル154は、ステム224から概して半径方向に延びる面部分226をさらに含む。面部分226は、
図6および
図7から理解されるように、ピストン156の面174に隣接して配置され、面174に対して回転可能である。混合機能部228は、面部分226に結合されている。混合機能部228は、面部分226の前方に長手方向に延び、混合パドル154の回転中に混合成分を撹拌するための少なくとも1つの脚部230を含む。
図7および
図9は、全体的にU字型の混合機能部228を形成するように頭部232によって互いに結合された脚部230のうちの2つを示す。脚部230および頭部232のそれぞれは、より詳細に説明される方法で、圧縮段階および移送段階の間に面部分226に対して混合機能部228を屈曲または座屈させるように、頭部232が脚部230に対して内向きに角度が付けられた構造の板状にすることができる。混合パドル154構成の他の構成もまた企図される。
【0050】
操作の際、スイッチ180は非通電状態から通電状態へ動く。モータ178は、電池パック176または他の電源から電力を引き出し、歯車列184にトルクを供給するように動作する。この動作は、動作サイクルの開始、より具体的には動作サイクルの混合段階と考えることができる。歯車装置に関連する知られている速度対トルク特性によれば、トルクは、ピニオン歯車186から第1、第2、および第3の平歯車188、194、200のそれぞれを介し、またパドル駆動歯車208を介して混合パドル154へ伝達される。
【0051】
混合パドル154を回転させるステップでは、チャンバ112内の骨セメント成分の混合が行われる。再び
図4を参照すると、混合パドル154は、ピストン156がチャンバ112の第1の領域158内に配置されている間に回転させることができる。ここでも、ピストン156の面174は、混合パドル154が骨セメント成分をチャンバ112によって少なくとも実質的に大気圧で混合するように、チャンバ112の第1の端部162と、第1の領域158と第2の領域160を分離する境界との間に位置している。スライダ150の扉234が、混合段階を含む動作サイクル中に入口開口部136を覆うように配置されて、混合デバイス102からのデブリの流出が防止されると理解されるが、扉234は、チャンバ112の最小限を超える加圧をピストン156の移動中にもたらすことがあり得ない。扉234は、ハウジング116によって画定された孔部135と、アクチュエータ148が第2の位置にあるときにチャンバ112によって画定される入口開口部136との間に配置することができる。チャンバ112内で骨セメント成分が大気圧で混合されることが少なくとも部分的に理由となって、混合デバイス102の出口ポート108内に配置された封止要素236が、混合デバイス102から送達デバイス104への骨セメント混合物の流出または早すぎる移送を防止する。その結果、封止要素236を形成するのに、あまり複雑ではなく、より費用対効果の高い弁を利用することができる。
【0052】
図4からさらに理解されるように、混合パドル154の脚部230は、混合パドル154の頭部232が前部チャンバハウジング164の内面168に近接または隣接して配置されるように、ピストン156から前方に延びている。この配置により、混合パドル154は、骨セメント成分のどの部分も混合または撹拌が不十分にならないように、実質的にチャンバ112の全体にアクセスすることができる。言い換えると、脚部230は、チャンバ112を少なくとも部分的に画定する側壁に付着している骨セメント成分がもしあっても効果的に除去することができ、頭部232は、チャンバ112を少なくとも部分的に画定する内面168に付着している骨セメント成分がもしあっても効果的に除去することができる。しかし、前述のように、また、さらに説明されるように、ピストン156は、圧縮段階および移送段階のために第1の領域158から第2の領域160に移動する。その結果、混合パドル154は、チャンバ112内のピストン156の、このような長手方向の移動に対処しなければならなくなる。そのために、混合パドル154は、ピストン156がチャンバ112内で骨セメント混合物を圧縮している間に屈曲または座屈するように構成される。ピストン156および混合パドル154は、混合パドル154の頭部232が前部チャンバハウジング164の内面168に突き当たるまで、長手方向軸LAに沿って移動する。頭部232が脚部230に対して内向きに角度が付けられているために、ピストン156によって与えられる継続的な力により、脚部230と面部分226の間の境界面238で脚部230が変形することになる(
図7および
図8を参照)。この変形は、境界面238によって誘発される、ピボット点での座屈と考えることができる。ピストン156の面174に対する面部分226の軸方向輪郭は、ほぼまたは完全に屈曲させたときに、混合機能部228が実質的に平坦になり、ピストン156の面174に当接または隣接するように、脚部230および頭部232に対応する形になる。いくつかの利点の中でもとりわけ、この配置は、ピストン156がチャンバ112のほぼ全体にわたって長手方向に移動して骨セメント混合物を圧縮し、チャンバ112の第2の端部163の近くに配置された出口ポート108を介して移送することを可能にする(
図5参照)。
【0053】
次に、ピストン156(および混合パドル154)の長手方向の動きを与えるための混合デバイス102の電気機械的動作について、
図4、5、8、9、および
図10を参照して説明する。前述のように、第4の平歯車210は、移送歯車216に結合された第2の平歯車214を含む。
図7、8および
図10は、移送平歯車240と、移送平歯車240から延びるねじ付き軸242とを含む移送歯車216を最もよく示している。移送平歯車240は、第4の平歯車210を含む歯車列184の回転が移送歯車216に回転を与えるように、第4の平歯車210の第2の平歯車214に結合される。
図10に最もよく示されているように、移送歯車216、より具体的にはねじ付き軸242は、移送歯車216を貫通して延びる内腔246を画定する。少なくとも1つのレール機能部248が内腔246内に配置され、内腔246の長さに沿った方向に向けられている。
図10は、互いに径方向に対向して配置された2つのレール機能部248を示している。内腔246は、内腔246の後端で、移送平歯車240の前面部(明示されていない)によってさらに画定されている。内腔246よりも小さい直径を有する穿孔(図示せず)が移送平歯車240を貫通して延びており、この穿孔は、
図4および
図5に示すように、パドル駆動歯車208の出力軸222が移送歯車216を貫通して配置できるように寸法設定されており、
図7および
図9を合わせて見ることによりさらに全体的に理解される。
【0054】
図8および
図10を特に参照すると、並進軸244が移送歯車216の内腔246内に可動に配置されている。並進軸244は、内腔246内で摺動可能に可動になるように、内腔246の内径よりも小さい外径を含む。さらに、並進軸244は、説明される機能を持つ外面のまわりに配置されたねじ山250を含む。ねじ山250は、並進軸244の両側の端部245、247の間に長手方向に延びる、少なくとも1つのスロット252を画定することができる。
図10は、1つのスロット252を明示しているが、移送歯車216のレール機能部248と係合するように構成された、径方向にスロット252と対向するもう1つのスロットがあることを理解されたい。レール機能部248とスロット252が係合すると、並進軸244と移送歯車216の間での並進を可能にしながら、相対回転が防止される。並進軸244はまた、両側の端部245、247の間に延びる内腔254を画定することもでき、内腔254は、
図4および
図5に示すように、パドル駆動歯車208の出力軸222が並進軸244を貫通して配置できるように寸法設定されており、
図7および
図9を合わせて見ることによりさらに全体的に理解される。こうして、パドル駆動歯車208、並進軸244、および移送歯車216は、同軸配置とすることができる。
【0055】
たとえばコイルばねである付勢要素(図示せず)が、移送歯車216の内腔246内に配置される。付勢要素は、移送平歯車240に当接して配置された端部と、並進軸244の後端部247に当接して配置された別の端部とを含む。付勢要素は、並進軸244の後端247の反対側の前端245を、後部チャンバハウジング166に向けて付勢して接触させる。引き続き
図10を参照すると、後部チャンバハウジング166は、雌ねじ258付きの孔部256を画定している。孔部256は、パドル駆動歯車208、並進軸244、および/または移送歯車216と同軸に並べることができる。孔部256は、パドル駆動歯車208の出力軸222が後部チャンバハウジング166を貫通して配置できるように寸法設定され、さらに、雌ねじ258が並進軸244のねじ山250とねじ係合するべく構成されるように寸法設定されている。後部チャンバハウジング166は、雌ねじ258と並進軸244のねじ山250との間のねじ係合が、後部チャンバハウジング166に対する(および移送歯車216に対する)並進軸244の並進運動を与えるように、混合デバイス102の固定構成要素になっていることを理解されたい。
【0056】
後部チャンバハウジング166は、孔部256と連通し、かつ並進軸244と反対側の後部チャンバハウジング166の側面に配置される、穿孔260を画定することができる。穿孔260は、プッシュキャップ262の少なくとも一部分を最初に受け入れるように寸法設定される。
図10は、プッシュキャップ262を、穿孔260に受け入れられるように寸法設定された外側部分264を含み、かつ、雌ねじ258に隣接する穿孔260の前面266に隣接して配置されている、リング状の構造体として示している。プッシュキャップ262は、パドル駆動歯車208の出力軸222がプッシュキャップ262を貫通して配置されることを可能にするように寸法設定された孔部268を含む。前面266に係合している側と反対側のプッシュキャップ262の外側部分264は、ピストン156の後側の環状スロット(図示せず)に係合するように構成されている。
【0057】
操作の際、スイッチ180は、非通電状態から通電状態へ動く。モータ178は、電池パック176から電力を引き出し、トルクを歯車列184に供給するように動作して混合パドル154を作動させる。前述のように、この動作は、動作サイクルの混合段階の開始と考えることができ、トルクは、図示の歯車列184において、ピニオン歯車186から第1、第2、および第3の平歯車188、194、200のそれぞれを介し、またパドル駆動歯車208を介して混合パドル154へ伝達される。混合パドル154は、すぐに回転を開始する。同時に、トルクは、第1、第2、および第3の平歯車188、194、200のそれぞれを介して、第4の平歯車210から移送歯車216へ伝達される。移送歯車216は、混合パドル154の速度とは異なる速度であるが、すぐに回転を開始する。並進軸244のスロット252に係合する移送歯車216のレール機能部248によって回転が制約されるために、並進軸244は移送歯車216と一緒に回転する。その一方で付勢要素は、並進軸244のねじ山250が後部チャンバハウジング166の雌ねじ258と係合するように、前端245を付勢して後部チャンバハウジング166に接触させる。ねじ山250、258のねじ係合により、移送歯車216に対する並進軸244の並進運動が得られる。言い換えると、並進軸244は、回転と並進を同時にしていることになり得る。
【0058】
前述のように、プッシュキャップ262の少なくとも一部分は最初、前面266に隣接する穿孔260内に位置している。さらに、
図10は、前面266と反対側の後面(図示せず)との間で画定される深さまたは長さを有する、後部チャンバハウジング166の孔部256を示す。孔部256の深さは、並進軸244の前端245がプッシュキャップ262の内側部分270に係合し、その結果としてプッシュキャップ262を動かしてピストン156を動かす前に、並進軸244が移動する必要がある距離である。この距離は、ねじ山250、258のねじピッチと合わせて、動作サイクルの混合段階と、動作サイクルの圧縮段階および移送段階との間にタイムラグを設けるように特に調整されている。言い換えると、並進軸244が孔部256の奥行きにわたって移動しているタイムラグの間に、混合パドル154は回転し、先に説明した方法で骨セメント成分を混合している。1つの例では、タイムラグは30秒であるが、他の時間枠も企図される。並進軸244がプッシュキャップ262をピストン156に付勢すると、歯車列184を介して与えられる継続的なトルクにより、ピストン156が長手方向軸に沿って移動する。この移動は、動作サイクルの移行段階と考えられる。その理由は、ピストン156は動いているが、ピストン156の面174はさらに、チャンバ112の第2の領域160に入らなければならないからである(たとえば、ピストン156の面174は、入口開口部136を部分的に通過しただけであり得る)。したがって、チャンバ112は、移行段階の間、概して大気圧のままであり得る。少なくともある短い期間、混合パドル154が完全に延びて回転している間にピストン156が長手方向軸LAに沿って移動していることがあることをさらに理解されたい(先に説明したように、混合パドル154の頭部232は、さらに内部面168に接触し、屈曲または座屈し始めなければならないので)。
【0059】
図4に関連して、
図5は、長手方向軸LAに沿って移動されて、後部チャンバハウジング166から間隔をあけて配置された並進軸244を、プッシュキャップ262およびピストン156が対応して移動している状態で示す(分かりやすいように混合パドル154が取り外されている)。前述のように、ピストン156の面174は、ピストン156とハウジング116の間に流体密封の閉鎖部が形成されてチャンバ112が周囲から封止されるように、入口開口部136、より具体的には入口開口部136の端部172を通り抜ける。
図5は、第2の領域160内のピストン156の面174を示す。ピストン156は、チャンバ112内の骨セメント混合物を大気圧よりも大きい圧力にまで圧縮し、骨セメントはまた、チャンバ112と連通する出口ポート108を介して送達デバイス104へ移送することもできる。以上の説明から、スイッチ180の一回の作動により、混合デバイス102は、有利なことに、混合段階およびタイムラグがある圧縮段階および移送段階を、大気圧で骨セメント成分を混合し、その骨セメント混合物を自己封止の閉鎖システムで圧縮し移送する方法で行うことが容易に理解される。
【0060】
また、混合デバイス102はさらに、混合段階、圧縮段階および移送段階の終了に基づく所定の期間の後に、動作サイクルを自動的に終了するように構成される。
図4および
図5を再び参照し、さらに
図11~14を参照すると、ユーザは、アクチュエータ148、たとえばハウジング116に可動に結合されたスライダ150を作動させて動作サイクルを開始する。スライダ150とスイッチ180は、スライダ150を第1の位置(
図1参照)から第2の位置(
図4、5、11、12および17参照)へ動かすとスイッチ180が非通電状態から通電状態へ動いて動作サイクルを開始するように、相補的に配置されている。1つの実施態様では、スイッチ180は非通電状態に付勢することができ、スライダ150が第2の位置にあるとスイッチ180は、付勢に抗して通電状態に維持される。ピストン156が第2の領域160内にあるとき、アクチュエータ148は、スイッチ180から機械的に係合解除されて、通電状態から非通電状態への付勢されたスイッチ180の復帰が可能になる。1つの例で、より詳細に説明される方法では、ストップナット272が、スライダ150をスイッチ180から係合解除するように構成され、それによって、スイッチ180を付勢することでスイッチを非通電状態に復帰させて、動作サイクルを終了することが可能になる。別の例では、ピストン156に結合されたフランジまたはアームなどの構造体が、スライダ150をスイッチ180から係合解除し、それによって、スイッチ180を付勢することでスイッチを非通電状態に復帰させることが可能になり得る。より詳細に説明される別の実施形態では、ストップナット272’は、第2のスイッチ181’に係合して混合デバイス102を非通電状態に復帰させ、それにより動作サイクルを終了させるように構成される。さらに別の例では、ピストン156が第2の領域160内に適正にあるときにケーブルが切断されるなどの行為が行われ、その行為によりスイッチ180が、非通電状態に復帰するように付勢されることになる。あるいは、前述のように、スイッチ180が非モーメンタリスイッチであり、かつピストン156が第2の領域160内にあるときに、スイッチ180が自動的かつ機械的に非通電状態へ動いて動作サイクルを終了させ、モータ178が作動しないようにすることが企図される。
【0061】
図13は、アクチュエータ148を形成するスライダ150の斜視図である。スライダ150には、下面278の反対側の制御面276を含む、スライダ本体274が含まれる。制御面276は、たとえば、スライダ150を第1の位置から第2の位置へ動かすために、ユーザ入力を受けるように構成された面と考えることができる。スライダ150はまた、第1のアーム280と、第1のアーム280とは別個の第2のアーム282とを含む。第1のアーム280および第2のアーム282は、下面278から延びているか、または下面278に結合されている。特に、
図11~13は、下面278から下向きに延びる突起284を含むスライダ150のスライダ本体274を示し、第1のアーム280および第2のアーム282のそれぞれが突起284から概して横方向に延びている。突起284は、第1のアーム280および第2のアーム282がハウジング116の内部124に配置されるように、さらに、制御面276を含むスライダ本体274はユーザ操作のためにハウジング116の外部にあるように、第1のアーム280および第2のアーム282をスライダ本体274の下面278から間隔をあけて配置する役割を果たす。
【0062】
扉234は、第1のアーム280に結合される。扉234は、前述のように、チャンバ112の入口開口部136を覆うように、より具体的には、スライダ150が第2の位置にあるときに覆うように、寸法設定され輪郭形成される。入口開口部136を覆う扉234は閉鎖部を形成し、これは加圧されていなく、流体密封と考えることができないとはいえ、動作サイクルの混合段階の間、チャンバ112からの骨セメント成分の流出を防止する。係合部材286が第2のアーム282に結合され、ストップ機能部288および傾斜面290を含む。
図13は、ストップ機能部288を、係合部材286から横方向に延びるフランジとして示す。スライダ150が第1の位置から第2の位置へ動くと、係合部材286のストップ機能部288はスイッチ180に係合して、スイッチ180を非通電状態から通電状態へ動かす。ストップ機能部288は、さらに説明される方法でストップナット272によってスイッチ180から係合解除されるまで、スイッチ180の内部付勢に抗してスイッチ180を通電状態に引き続き維持する。
図11、
図12および
図15は、スイッチ180が係合され通電状態になるように第2の位置にあるスライダ150を示す(
図11、12、15および
図16のいくつかの支持構造体が、図示の構成要素間の相対的な位置を分かりやすく示すために取り除かれている)。
【0063】
図14は、ナット部分292およびフランジ部分294を含むストップナット272を示す。ナット部分292は、構造がリング形であり、移送歯車216のねじ付き軸242とねじ係合するように寸法設定および成形された内腔296および雌ねじ298を含む(
図4、5、7、および
図10~12参照)。フランジ部分294は、ナット部292の外面から概して半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジ300を含む。
図14は、スロットによって分離された2つのフランジ300を示すが、一つだけのフランジもまた企図される。フランジ300のそれぞれは、ハウジング116のアッパーシェル120のスロット304を画定する表面に係合するように構成された、側面302を含む。
図6を参照すると、フランジ300のうちの1つがスロット304の中に配置されて示されている。その結果、ハウジング116に対するストップナット272の回転が阻止され、したがって、移送歯車216が回転すると、ストップナット272が移送歯車216のねじ付き軸242に沿って並進することになる。
【0064】
操作の際、ユーザは、たとえば、直感的なワークフローの第2のステップで、アクチュエータ148に入力する。スライダ150は、第1の位置から第2の位置へ動く。第1のアーム280に結合された扉234は、入口開口部136を覆うように動き、第2のアーム282に結合されたストップ機能部288は、スイッチ180と係合するように動き、スイッチ180を非通電状態から通電状態へ動かす。こうして、アクチュエータ148に入力するという単一の動作により、入口開口部136を覆うバリアが同時に提供され、動作サイクルが開始される。この時点で、混合デバイス102は
図4に示される通りであってよく、ストップナット272は、移送平歯車240に近接または隣接して、ねじ付き軸242上に配置される。ナット部分292の雌ねじ298は、ねじ付き軸242のねじ山と係合している。スイッチ180が通電状態にあると、モータ178は、トルクを歯車列184、すなわち第1、第2、および第3の平歯車188、194、200のそれぞれを介して第4の平歯車210から移送歯車216に供給する。移送歯車216が回転するにつれて、また、ストップナット272が(ハウジングのスロット304内に配置されたフランジ部分294の側面302のために)回転を阻止された状態で、ストップナット272は、ねじ付き軸242に沿って並進する。
図12を参照すると、ストップナット272のフランジ部分294は、最終的に係合部材286、より具体的には係合部材286の傾斜面290に突き当たる。スライダ150の第2のアーム282は、曲がるように構成されており、ストップナット272がねじ付き軸242に沿ってさらに並進すると、フランジ部分294は傾斜面290と係合して、第2のアーム282、および第2のアーム282に結合された係合部材286を上向きに曲げる。曲がりの程度は、ストップ機能部288がスイッチ180との係合を解除し(すなわち、干渉から脱して上向きに動き)、スイッチ180が、その内部付勢を受けて自動的に非通電状態に復帰できるようなものである。スイッチ180が非通電状態にあると、モータ178は動作を中止し、ピストン156の移動および混合パドル154の回転が中止され、これは動作サイクルの終了と考えることができる。成形することができ、かつ安価であり得る単一の構成要素が、入口開口部136を覆うバリア、動作サイクルを開始すること、および動作サイクルを中止することに役立つことを理解されたい。
【0065】
混合デバイス102が動作サイクルを所定の期間後に自動的に終了させるための別の実施態様について、
図15および16を参照して説明する。
図15は、第2の位置、すなわち、入力を受けた後にスイッチ(以下、第1のスイッチ180’)に接触して動作サイクルを開始するための、アクチュエータ148を示す。第1のスイッチ180’は、内部で非通電状態に付勢されているモーメンタリスイッチである。アクチュエータ148が第1の位置から第2の位置へ動くと、第2のアーム282は、前部歯車列ハウジング218および/または後部歯車列ハウジング220内のチャネル221を下方へと並進し、チャネル221を画定する傾斜面223に突き当たる。第2のアーム282は、横方向に(
図15では左方向に)偏向して第1のスイッチ180’に接触することができる。第1のスイッチ180’は、第2のアーム282の係合部材286’からの機械的な力によって非通電状態から通電状態へ動く。第2のアーム282は、後部歯車列ハウジング220の傾斜面223によって、元の位置の方へ弾性的に曲がることが抑制され得る。混合デバイス102は、先に説明したように動作サイクルを開始する。
【0066】
スイッチ180’が通電状態にあると、モータ178は、トルクを歯車列184、すなわち第1、第2、および第3の平歯車188、194、200のそれぞれを介して第4の平歯車210から移送歯車216に供給する。
図16は、移送歯車216とねじ係合しているストップナット272’を示し、このストップナットからはフランジ部分294’が横方向に延びている。ストップナット272’がねじ付き軸242に沿って並進するとき、ストップナット272’は回転することが阻止される。混合デバイス102は、第1のスイッチ180’とは別個の第2のスイッチ181’を含む。第2のスイッチ181’は、ストップナット272’のフランジ部分294’と一直線に並ぶようにハウジング116に結合されている。第2のスイッチ181’は、最初は通電状態にある非モーメンタリスイッチとすることができる。ストップナット272’がねじ付き軸242に沿って並進すると、ストップナット272’のフランジ部分294’が最終的に第2のスイッチ181’に突き当たって、第2のスイッチ181’が通電状態から非通電状態へ動く。スイッチ181’が非通電状態にあると(第1のスイッチ180’が通電状態のままでも)、モータ178が動作を停止し、ピストン156の移動および混合パドル154の回転が停止するので、これは動作サイクルの終了と考えることができる。動作サイクルの継続時間は、必要に応じて具体的に調整することができる。ストップナット272が、距離に基づいて、第2のスイッチ181’に突き当たるためにねじ付き軸242に沿って移動しなければならない。
【0067】
第1のスイッチ180’と第2のスイッチ181’は、電池176とモータ178の間に直列に配線することができる。したがって、第1のスイッチ180’または第2のスイッチ181’のどちらかが非通電状態であると、モータ178は動作不能になる。上記の例では、第1のスイッチ180’は、最初は非通電状態であり、第2のスイッチ181’は、最初は通電状態であった。ユーザからの入力によってアクチュエータ148を動かすと、第1のスイッチ180’と第2のスイッチ181’の両方が通電状態になり、モータ178は動作可能になる。ストップナット272’が最終的に第2のスイッチ181’に突き当たると、第2のスイッチ181’は非通電状態になり、第1のスイッチは通電状態になり、モータ178は再び動作不能になる。モータ178が動作を停止し、ピストン156の移動および混合パドル154の回転が停止するので、これは動作サイクルの終了と考えることができる。
【0068】
前述のように、送達デバイス104は、骨セメント混合物を移送するための入口ポート106と出口ポート108の間の連通を確立するために混合デバイス102に取り外し可能に結合され、解放アセンブリ110は、混合デバイス102と送達デバイス104の間の取り外し可能な連結を容易にする。
図1および
図2は、初期位置またはロック位置にある解放アセンブリ110を示す。解放アセンブリ110は、初期位置またはロック位置からロック解除位置へ動いて送達デバイス104を混合デバイス102から切り離すことができるように構成される。
図17および
図19Aは、ロック解除位置にある解放アセンブリ110を示す。ここで
図17~20を参照すると、ハウジング116は、出口ポート108と連通する移送導管306を含む。
図18に最もよく示されているように、移送導管306は、前部チャンバハウジング164から外向きに延びるボスを含み得る。移送導管306の第1の端部308は、出口ポート108を画定する内壁310を含み得る。あるいは、内壁310は、前部チャンバハウジング164の側壁と結合されてもよい。移送導管306の長さは、第2の端部309と反対側の第1の端部308との間で画定され、この長さは、
図19Aに示すように、封止要素236を受け入れるように寸法設定されている。特に、封止要素236は、そのベース312内にスリットまたは自己閉鎖オリフィス(明示されていない)を備えたバケツ形状とすることができ、ベース312は、移送導管306の内壁310に隣接または当接して配置されている。スリットまたは自己閉鎖オリフィスは、特に動作サイクルの圧縮段階および移送段階の間に、チャンバ112内の骨セメント混合物から十分に高い圧力を受けると開くように構成される。対照的に、大気圧または大気圧付近で実行される動作サイクルの混合段階の間では、スリットまたは自己閉鎖オリフィスは、骨セメント成分または混合物の早すぎる流出を防止することができる。封止要素236は、ベース312から延びて移送導管306の第2の端部309付近で終端する、少なくとも1つの側壁314を含み得る。側壁314によって少なくとも部分的に画定される内径は、送達デバイス104の相補的な雄構成要素を取り外し可能に受け入れて、混合デバイス102の出口ポート108と送達デバイス104の入口ポート106との間に封止流体連通が得られるように寸法設定されている。
【0069】
図18および19Aを引き続き参照すると、移送導管306は、解放アセンブリ110の所望の動きおよび動作を容易にするために、説明される解放アセンブリ110の相補的な機能部に選択的に係合するように構成された、第1の結合機能部316および/または第2の結合機能部318を含み得る。第1の結合機能部316は、移送導管306の外面に沿って延びるリブ320とすることができ、特に第1の端部308と第2の端部309の間に延びる。
図18および
図19Aは、合わせて見たとき、互いに径方向に対向して配置された2つのリブ320を示している。第1の結合機能部316は、移送導管306に対して解放アセンブリ110が動く範囲を制限するための干渉を説明される方法で行うように構成される。1つの例では、動く最大範囲は、たとえば
図1に対して
図17に示されるように、90度の反時計方向回転である。第2の結合機能部318は、移送導管306の外面に沿って延びる、特に、第2の端部309またはその近くで円弧の範囲を定めるリブ322を含むことができる。
図18および
図19Aは、互いに径方向に対向して配置された2つのリブ322を示している。リブ322は、解放アセンブリ110を移送導管306上に軸方向に保持するように構成されている。さらに、移送導管306は、少なくとも1つの無効にできる(defeatable)機能部324(
図19Aでは隠されているが示されていないように特定されているもの)、たとえば移送導管306の外面から外向きに延びる突起または隆起状の構造体を含み得る。無効にできる機能部324は、第2の結合機能部318を形成するリブ322の一方または両方に隣接して(背後に)配置することができる。無効にできる機能部324は、送達デバイス104を混合デバイス102から不注意にロック解除しないようにするために、解除アセンブリ110をロック位置に維持するように構成される。ユーザからの入力が解放アセンブリ110に、無効にできる機能部324の干渉係合を克服する適切な力で与えられると、解放アセンブリ110はロック解除位置へ動かすことができる。
【0070】
解放アセンブリ110について、
図19Aおよび
図20を参照して説明する。解放アセンブリ110は、ヘッド部分326と、ヘッド部分326に結合された本体部分328とを含む。ヘッド部分326は、形状を概して管形とすることができ、内腔332を画定する少なくとも1つの側壁330を含み得る。内腔332の内径は、
図19Aに示すように、ヘッド部分326が移送導管306を内腔332に受け入れるように移送導管306の外径よりもわずかに大きくなっている。ヘッド部分326は、側壁330から内向きに延びて内腔332内に配置された少なくとも1つの突起334を含む。この少なくとも1つの突起334は、互いに径方向に対向して配置された2つの突起(1つを図示)であってもよい。突起334は、第1の結合機能部316、すなわちリブ320と協働して解放アセンブリ110の動く範囲を制限するように構成される。
図19Aは、解放アセンブリ110がロックされた構成に対して90度の反時計方向回転の最大運動範囲を有するように、解放アセンブリ110がロックされていない構成で、リブ320のうちの1つと係合する突起334の1つを示す。さらに、突起334は、解放アセンブリ110が移送導管306から軸方向に取り外されることを防止するために、第2の結合機能部318、すなわちリブ322と選択的に係合する。より具体的には、混合デバイス102の組み立て中、ハウジング116のアッパーシェル120とハウジング116のロワーシェル122とを結合する前に、突起334は、第2の結合機能部318を形成するリブ322間に画定された隙間を介して導かれる。このとき、解放アセンブリ110は、ロック位置に対して誇張された時計回りの向きにある。解放アセンブリ110は、突起334がリブ322の後ろの位置と、ハウジング116のロワーシェル122が一緒のハウジング116のアッパーシェル120とを想定するように、反時計回りに回転される。解放アセンブリ110の本体部分328とハウジング116のアッパーシェル120との間で干渉することにより解放アセンブリ110の時計方向の回転が防止され、突起334は再び隙間と並ぶことになり得る(それによって解放アセンブリ110を軸方向に取り外すことが可能になる)。解放アセンブリ110の本体部分328が、ハウジング116のアッパーシェル内に画定された凹部336に支持されている場合(
図17参照)、解放アセンブリ110はロック位置にあると考えることができる。
【0071】
移送導管306’の別の実施態様が
図19Bに示されている。移送導管306’は、内壁310’から延びるボス311を含む。ボス311は、ヘッド部分326’内に同軸に配置することができる。ボス311は、混合デバイス102のチャンバ112と連通する内腔を画定する側壁314’を含む。ボス311とヘッド部分326’の間の環状の空間は、この実施態様では送達デバイス104に結合されている封止要素(図示せず)を収容するように寸法設定することができる。ヘッド部分326’は、第2の結合機能部318’、特に移送導管306’の内面に沿って延びるリブ321を含み得る。リブ321は、形が螺旋状である溝323を画定するため、螺旋状の構成とすることができる。溝323は、送達デバイス104上に配置された雄ねじ(図示せず)とねじ係合するように構成された雌ねじを形成する。より具体的には、たとえば、システム100の組み立ておよび包装中に解放アセンブリ110がロック解除位置からロック位置に回転されると、溝323は送達デバイス104を混合デバイス102に向けて引き寄せるように回転し、それによって、これら2つの間の封止係合が確保される。この封止係合はさらに、送達デバイス104を混合デバイス102から不注意でロック解除しないようにする。解放アセンブリ110が、たとえば送達デバイス104を配置する前にロック位置からロック解除位置に回転されると、溝323は、送達デバイス104を混合デバイス102から遠ざけるように回転する。
【0072】
本体部分328は、ヘッド部分326から延びる細長い構造体とすることができる。
図20は、大まかに直角を形成する2つの脚部338が含まれる本体部分328を示す。脚部338の一方は、ユーザからの入力を受けるように構成された制御面340を含む。脚部338の一方はまた、この場合は数字「3」である、直感的なワークフローの第3のステップに対応できる印342も含み得る。ワークフローの第3のステップは、直感的なワークフローの第2のステップの完了後、すなわち、骨セメント混合物が送達デバイス104に移送される移送段階を含む混合デバイス102の動作サイクルの完了後に行われる。送達デバイス104を混合デバイス102から切り離すことが望まれると、ユーザは、解放アセンブリ110をロック位置からロック解除位置へ動かすための入力を制御面340に与える。特に、解除アセンブリ110は、移送導管306に対して反時計方向に回転され、その間に突起334は、無効にできる機能部324に突き当たる。さらなる入力が、無効にできる機能部324の干渉係合を克服する適切な力で与えられ、解放アセンブリ110は、
図17、
図19Aおよび
図19Bに示されるロック解除位置まで動く。
【0073】
図1と合わせて見た
図20は、ロック位置にある解放アセンブリ110を全体的に示す。解放アセンブリ110のヘッド部分326はリップ344を含み、これは軸方向に外向きに延びて、リップ344の2つの縁部346の間に空隙が画定されるように円弧の範囲を定める。空隙は、送達デバイス104の相補的な結合機能部(たとえば、ハウジング118から延びて入口ポート106を少なくとも部分的に画定するボス)の幅と少なくとも等しくなるように寸法設定することができる。リップ344およびヘッド部分326は、リップ344の各縁部346間で少なくとも実質的に円周方向に延びる溝348を画定する。溝348は、第1の溝部分350と、第1の溝部分350の両側に配置された第2の溝部分352(1つを図示)とを含む。第1の溝部分350は、第2の溝部分352よりも幅が広い。第2の溝部分352は、送達デバイス104の相補的な結合機能部(たとえば、ボスから延びる、径方向に対向するタブ)を保持するように寸法設定され構成されている。送達デバイス104のタブは、送達デバイス104が軸方向に切り離されたり、空隙を半径方向に通り抜けたりすることがないように、送達デバイス104が解放アセンブリ110と結合されるときに6時および12時の位置に配置することができる。
【0074】
解放アセンブリ110がロック解除位置にある場合、第1の溝部分350は、送達デバイス104のタブの一方と位置合わせされており、空隙が送達デバイス104のタブの他方と位置合わせされている。第1の溝部350の幅が比較的大きいことにより、第1の溝部350が6時の位置に配置された状態では、送達デバイス104が解放アセンブリ110に対して軸方向にある程度移動することが可能になる(
図19A参照)。合わせて、空隙は12時の位置に配置され、送達デバイス104を解放アセンブリ110および混合デバイス102から切り離すように送達デバイス104を解放アセンブリ110に対して上向きに操作することが可能になる。別の入力がクレードル114の制御面115に与えられて、送達デバイス104のハウジング118をクレードル114から取り外すことができるようになる。
【0075】
混合送達システム100は、手術室におけるいくつかの利点をもたらす。第1に、混合デバイス102および送達デバイス104は、効率的に包装することができる。ここで
図19および
図20を参照すると、混合デバイス102および送達デバイス104を含むキットが示されている。キットはさらに、たとえばベース356およびカバー358を有するブリスターパック354である、パッケージを含み得る。ベース356は、混合送達システム100に大まかに合わせて輪郭形成された熱成形プラスチックとすることができ、カバー358は、接着剤でベース356に結合された剥離フィルムとすることができる。混合デバイス102および送達デバイス104がブリスターパック354のベース356内に配置される、スペースを意識した方法は、骨セメント成分(すなわち、液体モノマー360(
図25参照)および粉末ポリマー362)を都合よくブリスターパック354内に含めることに対処することができる。ブリスターパック354の内容物全体は、ブリスターパックが開封される前には滅菌状態であり得る。そのため、外科技術者は、たとえば、混合デバイス102、送達デバイス104、液体モノマー360および粉末ポリマー362のそれぞれを別個に取り出す必要なしに、ブリスターパック354だけを手術室の滅菌バリアを越えて渡せばよい。あるいは、ブリスターパック354は、混合送達システム100と接触することによる損傷からカバー358を保護するために、包装挿入物、たとえば熱成形トレイを含み得る。この包装挿入物は、液体モノマー360および粉末ポリマー362を保持して1つのステップで滅菌野に移送することを可能にする機能を含むことができる。さらに、混合送達デバイス100、液体モノマー360、および粉末ポリマー362は、トレイ挿入物で覆われた内側ブリスタートレイに入れることもでき、これらのすべてが1つのステップで滅菌野に移送され得る。滅菌バリアを越えて渡される品物が少なければ、効率が向上し、滅菌野を汚染する可能性が減る。別の例では、液体モノマー360および粉末ポリマー362は、単一のユニットとして混合送達デバイス100の残りの部分と共に包装から取り出すことができるように、混合デバイスに直接連結することができる。別の例では、粉末ポリマー362は、チャンバ112に入れることができる。このように配置することにより、粉末ポリマー362を滅菌野に移送し、粉末を漏斗デバイス138に介して導入するステップがなくなる。加えて、液体モノマー360は、チャンバ112と直接連結できるように容器に入れ(たとえば、シリンジ、フォイルパウチ、または投与デバイス)、それによって漏斗デバイスの必要性をなくすこともできる。
【0076】
第2に、先に述べたように、混合デバイス102と送達デバイス104を並列に配置することは、手術室に配備する前に混合デバイス102と送達デバイス104が結合構成でコンパクトに包装されることを可能にする。再び
図1を参照すると、混合デバイス102は、
図4および
図5を参照して先に説明したチャンバ112の長手方向軸LAMを含む。さらに、送達デバイス104は、長手方向軸LADを含む。送達デバイス104の長手方向軸LADは大まかに、送達デバイス104のハウジング118の端部間で画定することができ、かつ/または、送達デバイス104のチャンバと同軸にすることができる。
図1から大まかに理解されるように、送達デバイス104が混合デバイス102に結合されている状態で、それぞれの長手方向軸LAD、LAMは平行である。それぞれの長手方向軸LAD、LAMが平行に配置されると、前述の効率的な包装が可能になる。この平行配置を容易にするために、移送導管306(および送達デバイス104の入口ポート106)によって画定される出口ポート108は、それぞれの長手方向軸LAD、LAMに対して垂直に配置される。言い換えると、長手方向軸LAMに沿って最初にチャンバ112内を移動する骨セメント混合物は大まかに、出口ポート108を介して送達デバイス104の入口ポート106へ向かうように横に向けられる。その後、骨セメント混合物は、送達デバイス104のチャンバ内を長手方向軸LADに沿って移動するように、大まかに横に向けることができる。さらに、送達デバイス104が混合デバイス102に結合されている場合、それぞれの長手方向軸LAD、LAMは、前述の並列配置を行うために、実質的に水平な同一平面にある。平行および並列に配置することは、それぞれのハウジング116、118の長さが、結合構成で(平面で見たときに)概ね等しくなることを可能にする。言い換えると、混合デバイス102および送達デバイス104の各構造体が互いに越えて延びることは、たとえあってもまれであり、それによって、対応する包装に無用な収容部を必要とすることが最小限になる。
【0077】
図22は、ブリスターパック354のベース356内の混合送達システム100を示し、
図23は、混合送達システム100がユニットとしてベース356から、ユーザの左手(LH)である片手で取り出されていることを示す。さらに、可撓性連結部142により、漏斗デバイス138を混合デバイス102および送達デバイス104と共に片手で動かすことが可能になる。さらに、手術室に配備する前に混合送達システム100を結合構成の形で包装することにより、ユーザは、外科処置の開始前または開始後に送達デバイス104を混合デバイス102に結合することを必要とせずに、システム100を直ちに使用することが可能になる。ユーザエラーのリスクが最小限になり、ユーザは、送達デバイス104と混合デバイス102の間に閉鎖封止システムが形成されていることを確信することができる。
【0078】
混合送達システム100が手術室の滅菌野にある場合、ユーザは、
図22および
図23に大まかに示されるように、3ステップの直感的なワークフローを開始することができる。番号「1」である漏斗デバイス138上の印144で示されているように、第1のステップは、ユーザが漏斗デバイス138を反転させて孔部135内に配置することを含む。数字「1」の印はまた、漏斗デバイス138をどこに挿入するかをユーザに知らせる助けになるように、ハウジング116上、好ましくは孔部135の近くに含まれてもよい。ユーザは、液体モノマー360および粉末ポリマー362を、混合デバイス102内のチャンバ112まで導かれるように漏斗デバイス138に導入する。番号「2」であるアクチュエータ148上の印152で示されているように、第2のステップは、ユーザがアクチュエータ148に入力を与えること、たとえばスライダ150を第1の位置から第2の位置まで動かすことを含む。アクチュエータ148を動かすことによる、先に詳細に説明した方法では、混合デバイス102は、骨セメント成分を大気圧で混合し、その骨セメント混合物を自己封止で圧縮し移送するようにして、動作サイクルを自動的に実行する。さらに、混合デバイス102は、混合段階、圧縮段階および移送段階の終了に基づく所定の期間後に、自動的に非通電となって動作サイクルを終了する。混合デバイス102が非通電になるのは、直感的なワークフローのステップ2の完了を示す。ユーザは、経過時間(たとえば、1分未満または1分以上)、および/またはモータ178、歯車列184などに関連し得る騒音がないことから混合デバイス102の非通電を認識することができる。番号「3」である解放アセンブリ110上の印342で示されているように、直感的なワークフローの第3のステップは、解放アセンブリ110に入力を与えて解放アセンブリ110をロック位置からロック解除位置へ動かし、それによって、送達デバイス104を混合デバイス102から切り離せるようにすることを含む。送達デバイス104は、
図25に示されるように、使用する準備がされる。
【0079】
骨セメント混合物は、液体モノマー成分および粉末ポリマー成分を含むと説明したが、2つよりも多い成分を含むもの、2つの液体成分を含むもの、または1つもしくは複数のペースト成分を含むものを含む、他の例示的な骨セメント成分を上述の方法およびシステムによって混合することができる。加えて、上述のシステムおよび方法は、骨移植材、生物学的薬剤、他の硬化性物質、およびこれらの組み合わせなどの、骨セメント以外の混合物を送達するために使用することもできる。
【0080】
上記の教示に照らし合わせて多くの修正および変形が可能であること、ならびに本発明は、具体的に説明されたものとは別の方法で実施されてもよいことがさらに企図される。例として
図26を参照すると、混合デバイス102および送達デバイス104の様式化された諸実施態様を含む混合送達システム100が示されている。送達デバイス104は、いくつかある中でとりわけ、前述の国際公開第2019/200091号、または前述の米国特許第6,547,432号に開示されている、
図1に示されたものと同じであっても類似していてもよい。あるいは、送達デバイス104は油圧機構を含むこともでき、この場合、混合デバイス102が骨セメントを油圧ポンプで加圧可能なカートリッジへ移送する。
【0081】
混合デバイス102は、先に論じられた、簡潔にするための特定の変形だけが説明されている実施態様と多くの点で少なくとも類似している内部構造および動作を含み得る。引き続き
図26を参照すると、漏斗デバイス138は、ハウジング116に一体化することができる。特に、ハウジング116のアッパーシェル120は、上面から下向きに延びる傾斜面139である漏斗138’を画定する。漏斗138’は、チャンバ(図示せず)につながる孔部(図示せず)と連通している。漏斗138’の一体化により、混合デバイス102の底面積、それゆえに混合送達システム100の底面積がさらに低減する。底面積が低減すると包装が簡素化され、手術室内で消費されるスペースが少なくなり得る。さらに、漏斗138’を一体化すると、ユーザが
図1の漏斗デバイス138を孔部135に挿入する必要性を取り除くことによって、ユーザのワークフローを簡素化することができる。
【0082】
混合デバイス102の解放アセンブリ110は、先に説明したレバーとは対照的に、ボタン364であってもよい。
図27は、ハウジング116のアッパーシェル122の上面に配置された、知られている多くの「排出」印付きのボタン364を示す。ボタン364は作動させることができ、ボタン364に結合された解放アセンブリの内部機構(図示せず)が、システム100を初期位置またはロック位置からロック解除位置へ動かして、送達デバイス104を混合デバイス102から切り離すことを可能にし得る。解放アセンブリ110がシステム100を初期位置またはロック位置からロック解除位置へ動かすので、内部機構は、送達デバイス104がもはやドッキングされていなく、かつ使用のために送達デバイス104を完全に取り外すことが適切であることを視覚的に表示するために、送達デバイス104の一部分を混合デバイス102からわずかに離すようにさらに構成することができる。
【0083】
1つの実施態様では、混合デバイス102からの送達デバイス104の解放または「ドッキング解除」は、混合デバイス102の1つまたは複数の構成要素の動きに基づくことができる。たとえば、機械的、電気機械的、または電気的なアクチュエータ(複数も可能)は、圧縮段階および移送段階の完了を示すチャンバ112の第2の領域160内の位置にピストン156があるときを検出することができる。この位置に基づいて、アクチュエータ(複数も可能)は、システム100をロック位置からロック解除位置に動かし、かつ/または送達デバイス104の一部分を混合デバイス102からわずかに離す。
【0084】
混合デバイス102は、たとえばデジタル数値表示装置である表示装置366を含み得る。表示装置366は、アッパーシェル120の前面に配置されているように示されているが、他の適切な位置も企図される。表示装置366は、システム100の動作、より具体的には混合デバイス102の動作に関する情報をユーザに与えるように構成される。1つの例では、表示装置366は、動作サイクルの残り時間を表示する。言い換えると、表示装置366は、最初の時間からゼロまでカウントダウンする。別の例では、表示装置366は、動作サイクルの経過時間を表示する。言い換えると、表示装置366は、ゼロからカウントアップする。さらに別の例では、表示装置366は、骨セメントの残りの作業時間の推定を表示する。温度センサ(図示せず)が混合デバイス102に含まれ得る。骨セメントの総作業時間が外部温度に依存するために、温度センサによって検知された温度(たとえば、室温)に基づいて骨セメントの総作業時間を決定するためのアルゴリズムをメモリ(図示せず)に格納することができる。タイマ機能と組み合わせて、プロセッサは、残りの作業時間を総作業時間と経過作業時間の差として決定することができる。残りの作業時間を数値として表示する表示装置366に加えて、他のタイプの視覚的な印が提示されてもよい。表示装置366は、残りの作業時間が所定のしきい値未満になると色を変えることができる(たとえば、緑、黄、赤)。同様に、表示装置366は点滅することができ、かつ/または可聴警報を発することができる。さらに、タイマは一連の光源、動くバー、アナログ時計などであってもよい。
【0085】
いくつかの実施態様では、表示装置366は、混合デバイス102の動作または骨セメントに関する情報間で選択的または自動的に移行するように構成することができる。たとえば、表示装置366は、上述のように、動作サイクルの残りの時間を含む第1の出力を与えることができる。次に、ゼロに達した後、表示装置366は、第1の出力から、経過作業時間を示すためのゼロからのカウントアップを含む第2の出力へ自動的に移行することができる。ユーザは、第1の入力、第2の入力、および/または任意の追加の入力の間で選択的に切り替えることができる。
【0086】
混合デバイス102は、有用性を高めるために、少なくとも1つの表示ランプ368、370、372を含み得る。少なくともいくつかの点において、表示ランプ368、370、372は、ワークフローを介してユーザを案内するための印146、152、342(
図2および20を参照)に類似していてもよい。第1の表示ランプ368は、漏斗デバイス138の近辺、上部、付近、または周囲に配置することができ、したがって、骨セメント成分をチャンバ112の中へ漏斗デバイス138を介して誘導するステップに対応している。第2の表示ランプ370は、電源ボタン374の近辺、上部、付近、または周囲に配置することができ、したがって、動作サイクルを開始するように混合デバイス102を操作するステップに対応している。第3の表示ランプ372は、ボタン364の近辺、上部、付近、または周囲に配置することができ、したがって、解放アセンブリ110をロックされた構成からロック解除された構成へ移行させるステップに対応している。表示ランプ368、370、372は、発光ダイオード(LED)または他の適切な表示ランプとすることができる。
【0087】
表示ランプ368、370、372は、コントローラまたはプロセッサと接続することができる。いくつかの動作に基づいて、コントローラは、表示ランプ368、370、372のうちの1つまたは複数を選択的に点灯するように制御して、次に何をすべきかをユーザに通知することができる。1つのワークフローでは、電源ボタン374を作動させて、混合デバイス102をオンにすること、すなわち、混合デバイス102のスリープのような状態から解除することができる。コントローラは、骨セメント成分をチャンバ112の中へ漏斗デバイス138を介して誘導することがワークフローの最初のステップであり得るので、第1の表示ランプ368を点灯する信号を送信する。第1の表示ランプ368は、コントローラと接続しているセンサ(たとえば、チャンバ112内の荷重センサ、および孔部135付近の光学センサ)が、骨セメント成分がチャンバ112の中へ導かれたことを検出するまで点灯したままになり得る。コントローラは、電源ボタン374を押すことがワークフローの第2のステップであり得るので、センサから受信した信号に基づいて、第1の表示ランプ368を消灯し第2の表示ランプ370を点灯するための対応する信号を送信する。混合デバイス102は、先に説明した動作サイクルの混合段階、圧縮段階、および移送段階を開始する。表示装置366は、動作サイクルの状態に関する情報を提示することができる。完了すると、コントローラは、解放アセンブリ110をロック構成からロック解除構成へ移行させることがワークフローの第3のステップであり得るので、第2の表示ランプ370を消灯し第3の表示ランプ372を点灯するための対応する信号を送信する。ユーザは、ボタン364を押して送達デバイス104を混合デバイス102から取り外すことができる。ボタン364が押されると、表示装置366は、たとえば室温に基づいて、残りの作業時間を総作業時間と経過作業時間との差として表示し始めることができる。
【0088】
いくつかの実施態様について、以下の例示的な条項を参照して説明することができる。
【0089】
条項1 - 入口開口部を画定するチャンバを含む混合デバイスを用いて骨セメントを作る方法であって、チャンバが第1の端部を第2の端部の反対側に含み、入口開口部が第1の端部と第2の端部の間にあり、混合デバイスが、チャンバ内に配置されたピストンとチャンバ内に配置された混合パドルとをさらに含み、ピストンの面が、チャンバの第1の端部と入口開口部の間で長手方向に延びるチャンバの第1の領域内に位置する場合に、混合パドルを用いて骨セメント成分を第1の圧力で混合して骨セメント混合物を作るステップと、ピストンをチャンバの第2の端部に向けて、ピストンの面が入口開口部を通り過ぎてチャンバの第2の領域内に位置するように移動させて、骨セメント混合物を第1の圧力よりも大きい第2の圧力で圧縮するステップとを含む、方法。
【0090】
条項2 - 第1の圧力が大気圧である、条項1に記載の方法。
【0091】
条項3 - 第2の領域においてピストンとチャンバの間に流体密封の閉鎖部を形成するステップをさらに含む、条項1または2に記載の方法。
【0092】
条項4 - チャンバが、チャンバの第2の端部に隣接する出口ポートをさらに画定し、ピストンを移動させるステップが、ピストンを第2の領域内で長手方向軸に沿って移動させて、骨セメントを混合デバイスから出口ポートを介して強制的に排出することをさらに含む、条項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
条項5 - 混合パドルを回転させてチャンバ内の骨セメント成分を混合することをさらに含む、条項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
条項6 - 長手方向軸に沿って移動するピストンと、チャンバの第2の端部を画定するハウジングの内面とのそれぞれに伴う力で混合パドルを屈曲させるステップをさらに含む、条項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
条項7 - 混合デバイスを用いて骨セメントを作り、この骨セメントを、混合デバイスに結合された送達デバイスへ移送する方法であって、混合デバイスは、入口開口部を画定するチャンバと、チャンバ内に配置されたピストンと、チャンバ内に配置された混合パドルと、ピストンおよび混合パドルに結合されたモータと、ハウジングに結合されたアクチュエータと、アクチュエータに結合された扉とを含み、この方法は、少なくとも2つの骨セメント成分を入口開口部を介してチャンバの中に導入するステップと、アクチュエータを第1の位置から第2の位置へ移動させて入口開口部を扉で覆い、同時にモータをピストンが第1の領域内にある間に起動するステップとを含み、モータを起動すると混合パドルが回転して、チャンバ内の少なくとも2つの骨セメント成分が大気圧で混合されて骨セメント混合物が作られ、ピストンが入口開口部を介してチャンバの第2の領域内に移動して、(i)骨セメント混合物を大気圧よりも大きい第2の圧力で圧縮し、(ii)骨セメントを送達デバイスへ移送する、方法。
【0096】
条項8 - 混合デバイスは、混合デバイスを送達デバイスに結合する解放アセンブリをさらに含み、本方法が、解放アセンブリを、解放アセンブリの方向付け機能部が送達デバイスの相補的な方向付け機能部と係合しているロック位置から、方向付け機能部と相補的な方向付け機能部の係合が解除されて送達デバイスを混合デバイスから切り離すことを可能にするロック解除位置へ動かす入力を与えるステップをさらに含む、条項7に記載の方法。
【0097】
条項9 - 少なくとも2つの骨セメント成分は液体モノマーおよび粉末ポリマーであり、骨セメント成分をチャンバに導入するステップが、入口開口部を介して液体モノマーと粉末ポリマーの両方を導くことをさらに含む、条項7または8に記載の方法。
【0098】
条項10 - 骨セメントを作るための混合デバイスであって、ハウジングと;ハウジング内のチャンバであって、第1の領域、および第1の領域とは別個の第2の領域を有するチャンバと;骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るため、チャンバ内で回転可能な混合パドルと;骨セメント成分を圧縮するため、チャンバ内で可動のピストンと;ピストンおよび混合パドルに結合されたモータと;モータに接続されたスイッチであって、モータを作動させてピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによってスイッチが動作サイクルを開始する通電状態と、モータを非通電にすることによってスイッチが動作サイクルを終了させる非通電状態との間を移行するようにスイッチが構成されており、このスイッチは非通電状態に向けて付勢されているスイッチと;ハウジングに結合されたアクチュエータであって、アクチュエータがスイッチから間隔をあけて配置されている第1の位置と、アクチュエータがスイッチと係合してスイッチを非通電状態から通電状態に移行させ、スイッチを付勢に抗して通電状態に維持する第2の位置との間で可動であるアクチュエータとを備え、ピストンは、ピストンが第2の領域内にあるときに、アクチュエータがスイッチから機械的に切り離されてスイッチが通電状態から非通電状態へ付勢復帰ができるように、チャンバ内で第1の領域から第2の領域へ移動するように構成されている、混合デバイス。
【0099】
条項11 - スイッチがモーメンタリスイッチである、条項10に記載の混合デバイス。
【0100】
条項12 - モータに結合されており、動作サイクル中に回転可能である移送歯車と;移送歯車に結合されたストップナットであって、移送歯車に沿って並進しアクチュエータに係合して、スイッチからのアクチュエータの機械的な係合解除を行うべく構成されるように移送歯車に対して回転拘束されている、ストップナットとをさらに含む、条項10または11に記載の混合デバイス。
【0101】
条項13 - ストップナットが、移送歯車の外径にねじ係合する内径を有するナット部分と、ナット部分から延びるフランジ部分であって、スイッチからのアクチュエータの機械的な切り離しを行うためにアクチュエータに係合するように構成されたフランジ部分とをさらに備える、条項12に記載の混合デバイス。
【0102】
条項14 - アクチュエータが、スライダ本体と、スライダ本体の下面から延びるアームと、アームに結合されてスイッチに係合するように構成されたストップ機能部とを備えるスライダである、条項10~13のいずれか1つに記載の混合デバイス。
【0103】
条項15 - スライダが、アームに結合され、かつ、ストップナットが移送歯車の回転によって並進するときにストップナットが係合するように配置された、傾斜面をさらに備え、ストップナットが傾斜面と係合することがアームに曲がりを与え、ストップ機能部をスイッチから係合解除する、条項14に記載の混合デバイス。
【0104】
条項16 - 骨セメントを作るための混合デバイスであって、ハウジングと;ハウジング内のチャンバであって、第1の領域および第1の領域とは別個の第2の領域を有するチャンバと;骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るため、チャンバ内で回転可能な混合パドルと;骨セメント成分を圧縮するため、チャンバ内で可動のピストンと;ピストンおよび混合パドルに結合されたモータと;モータに接続されたスイッチであって、モータを作動させてピストンの移動および混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによってスイッチが動作サイクルを開始する通電状態と、モータを非通電にすることによってスイッチが動作サイクルを終了させる非通電状態との間を移行するようにスイッチが構成されており、このスイッチはモーメンタリであり非通電状態に向けて付勢されているスイッチと;ハウジングに結合されたアクチュエータであって、アクチュエータがスイッチから間隔をあけて配置されている第1の位置と、アクチュエータがスイッチと係合してスイッチを非通電状態から通電状態に移行させ、スイッチを付勢に抗して通電状態に維持する第2の位置との間で可動であるアクチュエータとを備える、混合デバイス。
【0105】
以上の開示は、網羅的なものではなく、あるいは本発明を特定の形態に限定するものではない。使用されている用語は、その性質を限定することではなく説明の言葉であるというものである。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内にあり、入口開口部を画定するチャンバであって、前記チャンバが、第1の端部および第2の端部、ならびに前記第1の端部と第2の端部の間に延びる長手方向軸を有し、前記チャンバの第1の領域が、前記チャンバの前記第1の端部と前記チャンバの前記第2の端部に最も近い前記入口開口部の端部との間で長手方向に画定され、前記チャンバの第2の領域が、前記チャンバの前記第1の領域と前記第2の端部との間で長手方向に画定される、チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、面を備えるピストンと、
前記チャンバ内で回転可能な混合パドルとを備え、
前記ピストンの前記面は、前記混合パドルが骨セメント混合物を作るために回転して前記骨セメント成分を混合するときに前記チャンバが大気圧以下になるように、前記チャンバの前記第1の領域内に位置するように構成され、
前記ピストンは、前記第2の領域内での前記ピストンのさらなる移動によって前記チャンバ内の前記骨セメント混合物を圧縮するように、前記ピストンと前記チャンバの間に流体密封の閉鎖部を形成するために前記面を前記チャンバの前記第2の領域内に配置するように前記長手方向軸に沿って移動可能に構成される、混合デバイス。
【請求項2】
前記ピストンおよび前記混合パドルに動作可能に結合されたモータをさらに備え、前記モータが、前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うように構成される、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項3】
前記チャンバが、前記チャンバの前記第2の端部に隣接する出口ポートをさらに画定する、請求項1または2に記載の混合デバイス。
【請求項4】
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第1のスイッチをさらに備え、前記第1のスイッチは、前記ピストンが前記第1の領域内にある間に前記第1のスイッチが前記モータを作動させる通電状態へ移行可能である、請求項3に記載の混合デバイス。
【請求項5】
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第2のスイッチをさらに備え、前記第2のスイッチは、前記ピストンが前記第2の領域内にある間に前記第2のスイッチが前記モータを作動しないようにする非通電状態へ移行可能である、請求項4に記載の混合デバイス。
【請求項6】
前記第1のスイッチが、前記非通電状態に向けて付勢されたモーメンタリスイッチである、請求項4または5に記載の混合デバイス。
【請求項7】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線される、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチに係合するように可動であり、前記第1のスイッチを前記通電状態に維持するアクチュエータをさらに備える、請求項4から7のいずれか1項に記載の混合デバイス。
【請求項9】
前記モータに連結された回転可能な移送歯車と、
前記ピストンが前記第2の領域内にある間、前記移送歯車に沿って移動して前記第2のスイッチに係合するように構成されたストップナットと
をさらに備える、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項10】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバと、
骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチであって、前記スイッチがモーメンタリであり、かつ前記スイッチが前記モータの起動を阻止する非通電状態に付勢されている、スイッチとを備え、前記スイッチが、前記非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって動作サイクルを開始する通電状態へ移行するように構成され、
前記ピストンが、前記チャンバ内で第1の領域から第2の領域に移動して前記チャンバ内の骨セメント混合物を混合および圧縮するように構成され、前記ピストンが、前記第1のスイッチの作動中に前記第1の領域内にある、混合デバイス。
【請求項11】
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、前記第1のスイッチ、および前記モータと直列に配線された第2のスイッチを備え、前記第2のスイッチが非モーメンタリであり、かつ前記モータの起動を可能にするために最初は通電状態で配置され、前記第2のスイッチが、前記通電状態から、前記モータを作動しないようにして前記動作サイクルを終了する非通電状態へ移行するように構成され、前記ピストンが、前記第2のスイッチの作動中に前記第2の領域内にある、請求項10に記載の混合デバイス。
【請求項12】
前記ピストンが前記第1の領域にある場合に前記チャンバが大気圧以下にあり、前記ピストンが前記第2の領域にある場合に前記チャンバが大気圧よりも上にある、請求項10または11に記載の混合デバイス。
【請求項13】
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置されている第1の位置と、前記第1のスイッチに係合して前記第1のスイッチを作動させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータをさらに備える、請求項11または12に記載の混合デバイス。
【請求項14】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記モータに接続されているスイッチであって、最初は非通電状態にある前記スイッチと、
前記ハウジングに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記第1のスイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記第1のスイッチに係合して
、前記第1のスイッチを前記非通電状態から
前記アクチュエータが前記モータを作動させるために前記第1のスイッチと係合する通電状態へ移行させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
【請求項15】
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置された第2のスイッチであって、最初は通電状態にあり、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線されている、第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを前記通電状態から前記非通電状態に移行させるために、前記第2のスイッチと係合するように移動可能であるストップナットと
をさらに備える、請求項14に記載の混合デバイス。
【請求項16】
前記アクチュエータが、スライダ本体と、前記スライダ本体の下面から延びるアームとを備えるスライダであり、前記アームが、動いて前記第1のスイッチと係合するように構成される、請求項15に記載の混合デバイス。
【請求項17】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、プリント回路基板に結合されずに、別々の位置で前記ハウジングに直接取り付けられる、請求項15または16に記載の混合デバイス。
【請求項18】
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定するチャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチと、
前記ハウジングに結合されているアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記スイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記スイッチに係合して同時に(i)前記スイッチを非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって前記スイッチが動作サイクルを開始する通電状態へ移行させ、かつ(ii)前記入口開口部を閉じる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
【請求項19】
広がった部分、および前記チャンバの前記入口開口部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを備える漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
【請求項20】
前記ハウジングが孔部を画定し、前記入口開口部は、前記孔部を介して誘導される骨セメント成分がさらに重力の影響のもとに前記入口開口部を通り抜けて前記チャンバに入るように、前記孔部の下に配置され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるときに前記入口開口部と前記孔部の間に位置するように配置された扉をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
【請求項21】
広がった部分、および前記ハウジングの前記孔部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを含む漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、
請求項20に記載の混合デバイス。
【請求項22】
前記漏斗デバイスが、前記ステム上に配置され、かつ前記ハウジングの相補的なロック機能部と解放可能に係合するように構成されたロック機能部をさらに備える、請求項21に記載の混合デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
以上の開示は、網羅的なものではなく、あるいは本発明を特定の形態に限定するものではない。使用されている用語は、その性質を限定することではなく説明の言葉であるというものである。
なお、出願時の特許請求の範囲は、以下のようなものである。
[請求項1]
骨セメント成分から骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内にあり、入口開口部を画定するチャンバであって、前記チャンバが、第1の端部および第2の端部、ならびに前記第1の端部と第2の端部の間に延びる長手方向軸を有し、前記チャンバの第1の領域が、前記チャンバの前記第1の端部と前記チャンバの前記第2の端部に最も近い前記入口開口部の端部との間で長手方向に画定され、前記チャンバの第2の領域が、前記チャンバの前記第1の領域と前記第2の端部との間で長手方向に画定される、チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、面を備えるピストンと、
前記チャンバ内で回転可能な混合パドルとを備え、
前記ピストンの前記面は、前記混合パドルが骨セメント混合物を作るために回転して前記骨セメント成分を混合するときに前記チャンバが大気圧以下になるように、前記チャンバの前記第1の領域内に位置するように構成され、
前記ピストンは、前記第2の領域内での前記ピストンのさらなる移動によって前記チャンバ内の前記骨セメント混合物を圧縮するように、前記ピストンと前記チャンバの間に流体密封の閉鎖部を形成するために前記面を前記チャンバの前記第2の領域内に配置するように前記長手方向軸に沿って移動可能に構成される、混合デバイス。
[請求項2]
前記ピストンおよび前記混合パドルに動作可能に結合されたモータをさらに備え、前記モータが、前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うように構成される、請求項1に記載の混合デバイス。
[請求項3]
前記チャンバが、前記チャンバの前記第2の端部に隣接する出口ポートをさらに画定する、請求項1または2に記載の混合デバイス。
[請求項4]
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第1のスイッチをさらに備え、前記第1のスイッチは、前記ピストンが前記第1の領域内にある間に前記第1のスイッチが前記モータを作動させる通電状態へ移行可能である、請求項3に記載の混合デバイス。
[請求項5]
前記ハウジングに結合され、かつ前記モータに接続された第2のスイッチをさらに備え、前記第2のスイッチは、前記ピストンが前記第2の領域内にある間に前記第2のスイッチが前記モータを作動しないようにする非通電状態へ移行可能である、請求項4に記載の混合デバイス。
[請求項6]
前記第1のスイッチが、前記非通電状態に向けて付勢されたモーメンタリスイッチである、請求項4または5に記載の混合デバイス。
[請求項7]
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線される、請求項5に記載の混合デバイス。
[請求項8]
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチに係合するように可動であり、前記第1のスイッチを前記通電状態に維持するアクチュエータをさらに備える、請求項4から7のいずれか1項に記載の混合デバイス。
[請求項9]
前記モータに連結された回転可能な移送歯車と、
前記ピストンが前記第2の領域内にある間、前記移送歯車に沿って移動して前記第2のスイッチに係合するように構成されたストップナットと
をさらに備える、請求項5に記載の混合デバイス。
[請求項10]
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバと、
骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチであって、前記スイッチがモーメンタリであり、かつ前記スイッチが前記モータの起動を阻止する非通電状態に付勢されている、スイッチとを備え、前記スイッチが、前記非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって動作サイクルを開始する通電状態へ移行するように構成され、
前記ピストンが、前記チャンバ内で第1の領域から第2の領域に移動して前記チャンバ内の骨セメント混合物を混合および圧縮するように構成され、前記ピストンが、前記第1のスイッチの作動中に前記第1の領域内にある、混合デバイス。
[請求項11]
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、前記第1のスイッチ、および前記モータと直列に配線された第2のスイッチを備え、前記第2のスイッチが非モーメンタリであり、かつ前記モータの起動を可能にするために最初は通電状態で配置され、前記第2のスイッチが、前記通電状態から、前記モータを作動しないようにして前記動作サイクルを終了する非通電状態へ移行するように構成され、前記ピストンが、前記第2のスイッチの作動中に前記第2の領域内にある、請求項10に記載の混合デバイス。
[請求項12]
前記ピストンが前記第1の領域にある場合に前記チャンバが大気圧以下にあり、前記ピストンが前記第2の領域にある場合に前記チャンバが大気圧よりも上にある、請求項10または11に記載の混合デバイス。
[請求項13]
前記ハウジングに結合され、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置されている第1の位置と、前記第1のスイッチに係合して前記第1のスイッチを作動させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータをさらに備える、請求項11または12に記載の混合デバイス。
[請求項14]
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記モータに接続されているスイッチであって、最初は非通電状態にある前記スイッチと、
前記ハウジングに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記第1のスイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記第1のスイッチに係合して前記第1のスイッチを前記非通電状態から前記通電状態へ移行させる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
[請求項15]
前記スイッチが第1のスイッチであり、前記混合デバイスが、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記第1のスイッチから間隔をあけて配置された第2のスイッチであって、最初は通電状態にあり、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが前記モータと直列に配線されている、第2のスイッチと、
前記第2のスイッチを前記通電状態から前記非通電状態に移行させるために、前記第2のスイッチと係合するように移動可能であるストップナットと
をさらに備える、請求項14に記載の混合デバイス。
[請求項16]
前記アクチュエータが、スライダ本体と、前記スライダ本体の下面から延びるアームとを備えるスライダであり、前記アームが、動いて前記第1のスイッチと係合するように構成される、請求項15に記載の混合デバイス。
[請求項17]
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、プリント回路基板に結合されずに、別々の位置で前記ハウジングに直接取り付けられる、請求項15または16に記載の混合デバイス。
[請求項18]
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
ハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定するチャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記モータに接続されたスイッチと、
前記ハウジングに結合されているアクチュエータであって、前記アクチュエータが前記スイッチから間隔をあけて配置され、かつ前記入口開口部が周囲に対して開いている第1の位置と、前記アクチュエータが前記スイッチに係合して同時に(i)前記スイッチを非通電状態から、前記モータを作動させて前記ピストンの移動および前記混合パドルの回転の少なくとも一方を行うことによって前記スイッチが動作サイクルを開始する通電状態へ移行させ、かつ(ii)前記入口開口部を閉じる第2の位置との間で可動である、アクチュエータと
を備える、混合デバイス。
[請求項19]
広がった部分、および前記チャンバの前記入口開口部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを備える漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
[請求項20]
前記ハウジングが孔部を画定し、前記入口開口部は、前記孔部を介して誘導される骨セメント成分がさらに重力の影響のもとに前記入口開口部を通り抜けて前記チャンバに入るように、前記孔部の下に配置され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるときに前記入口開口部と前記孔部の間に位置するように配置された扉をさらに備える、請求項18に記載の混合デバイス。
[請求項21]
広がった部分、および前記ハウジングの前記孔部内に受け入れられるように寸法設定されたステムを含む漏斗デバイスと、
前記漏斗デバイスを前記ハウジングと結合する可撓性連結部と
をさらに備える、請求項19または20に記載の混合デバイス。
[請求項22]
前記漏斗デバイスが、前記ステム上に配置され、かつ前記ハウジングの相補的なロック機能部と解放可能に係合するように構成されたロック機能部をさらに備える、請求項21に記載の混合デバイス。
[請求項23]
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
アッパーシェル、および前記アッパーシェルに結合されたロワーシェルを備えるハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータとを備え、
前記アッパーシェルが、前記入口開口部と連通する孔部を画定する傾斜面を有する漏斗を備える、混合デバイス。
[請求項24]
前記アッパーシェルが上面を備え、前記傾斜面が前記上面から下向きに延びている、請求項23に記載の混合デバイス。
[請求項25]
前記漏斗は形が円錐台状である、請求項23または24に記載の混合デバイス。
[請求項26]
骨セメントを作るための混合デバイスであって、前記混合デバイスが、
アッパーシェル、および前記アッパーシェルに結合されたロワーシェルを備えるハウジングと、
前記ハウジング内のチャンバであって、骨セメント成分を受け入れるように構成された入口開口部を画定する前記チャンバと、
前記骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作るために前記チャンバ内で回転可能である混合パドルと、
前記骨セメント成分を圧縮するために前記チャンバ内で可動であるピストンと、
前記ピストンおよび前記混合パドルに結合されたモータと、
前記ハウジングに結合され、かつ前記混合デバイスの動作を示す情報を表示するように構成された表示装置と
を備える、混合デバイス。
[請求項27]
前記表示装置が、液晶表示装置(LCD)、一連の表示ランプ、デジタルタイマ、またはアナログタイマである、請求項26に記載の混合デバイス。
[請求項28]
前記情報が、前記混合デバイスの動作の残り時間、前記骨セメントを用いる作業の経過時間、および前記骨セメントを用いる作業の推定残り時間のうちの1つである、請求項26または27に記載の混合デバイス。
[請求項29]
骨セメントを用いて椎体増大処置を行うためのキットであって、前記キットが、
骨セメント成分を混合して骨セメント混合物を作って、前記骨セメント混合物を圧縮するための混合デバイスを備え、前記混合デバイスが、
入口開口部、および前記入口開口部と連通する出口ポートを画定するチャンバと、
前記チャンバ内で移動可能なピストンと、
前記チャンバ内で回転可能な混合パドルとを備え、
前記混合デバイスから骨セメントを受け入れるための入口ポートを画定するチャンバを備えた送達デバイスと、
前記混合デバイスおよび前記送達デバイスを収容するように寸法設定された包装とを備え、
前記送達デバイスの前記入口ポートは、前記混合デバイスと前記送達デバイスが前記包装内で互いに取り外し可能に結合され、かつ単一ユニットとして前記包装から取り出されるべく構成されるように、前記混合デバイスの前記出口ポートと連通している、キット。
[請求項30]
前記混合デバイスと前記送達デバイスとが互いに取り外し可能に結合されている場合に、前記混合デバイスの前記チャンバの長手方向軸と前記送達デバイスのチャンバの長手方向軸とは、前記混合デバイスと前記送達デバイスとが前記包装内に並列配置で配置されるように平行になっている、請求項29に記載のキット。
[請求項31]
前記混合デバイスの前記出口ポートおよび前記送達デバイスの前記入口ポートが、前記並列配置を容易にするために、それぞれの長手方向軸に対して垂直に配置されている、請求項30に記載のキット。
[請求項32]
漏斗デバイスと、前記漏斗デバイスが前記単一ユニットとして前記包装から取り出されるべく構成されるように前記漏斗デバイスと前記混合デバイスを結合する可撓性連結部とをさらに備える、請求項29から31のいずれか1項に記載のキット。
[請求項33]
前記包装内に配置された液体モノマーおよび粉末ポリマーをさらに含む、請求項29から32のいずれか1項に記載のキット。
[請求項34]
前記包装がブリスターパックである、請求項29から44のいずれか1項に記載のキット。
【国際調査報告】