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特表2022-536546遺伝子操作RNAを用いた内因性ADARによる標的化RNA編集
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】遺伝子操作RNAを用いた内因性ADARによる標的化RNA編集
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20220809BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220809BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220809BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220809BHJP
   A61K 48/00 20060101ALN20220809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220809BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALN20220809BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20220809BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/55
C12N15/63 Z
C12N15/864 100Z
C12N5/10
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K31/7105
A61P3/00
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502174
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2020101246
(87)【国際公開番号】W WO2021008447
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/095802
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 文▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】伊 宗裔
(72)【発明者】
【氏名】▲チゥ▼ 良
(72)【発明者】
【氏名】田 峰
(72)【発明者】
【氏名】王 春慧
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲詩▼▲優▼
(72)【発明者】
【氏名】周 卓
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC21
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC21
(57)【要約】
本出願は、標的RNA中のアデノシンを脱アミノ化するために宿主細胞にデアミナーゼ動員RNAを導入することによってRNAを編集する方法を提供する。本出願はまた、RNA編集方法に使用されるデアミナーゼ動員RNA、ならびにそれを含む組成物、およびキットを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記dRNAは環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法。
【請求項2】
前記dRNAは、3’ライゲーション配列および5’ライゲーション配列をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である、および/または
(ii)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記dRNAは環状RNAである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記dRNAはRNAリガーゼRtcBによって環化され、任意選択的に、前記RNAリガーゼRtcBは前記宿主細胞において内因的に発現される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイストリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイストリボザイム配列と、をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記5’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P1である、または
(ii)前記5’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記3’ツイスト酵素配列がツイスト酵素P1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
前記dRNAは、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる方法。
【請求項9】
(i)前記dRNAは前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含み、
(ii)前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含み、
(iii)前記snoRNA配列の長さは少なくとも約70ヌクレオチドであり、
(iv)前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含み、
(v)前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含み、および/または
(vi)前記snoRNA配列は、C/DボックスsnoRNA配列、H/ACAボックスsnoRNA配列、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列、またはオーファンsnoRNA配列である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である、請求項6~7または10に記載の方法。
【請求項12】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法。
【請求項13】
前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドであり、任意選択的に、前記構築体はAAVベクターである、請求項6~7および10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ADARは前記宿主細胞によって内因的に発現され、任意選択的に、前記宿主細胞はT細胞である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記標的RNA配列の長さが50ヌクレオチドより長く、任意選択的に、前記標的RNA配列の長さが約100~約150ヌクレオチドであり、
(ii)前記標的RNA配列は、前記標的RNA配列の標的アデノシンの真向かいにあるシチジン、アデノシンまたはウリジンを含み、任意選択的に、前記標的RNA配列は前記標的RNA配列の標的アデノシンの真向かいにあるシチジンミスマッチを含み、例えば、前記シチジンミスマッチは前記標的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド離れ、かつ前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチド離れて位置し、
(iii)前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンのそれぞれに対向する1つ以上のグアノシンをさらに含み、
(iv)前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンに対向する2つ以上の連続するミスマッチヌクレオチドを含み、
(v)前記標的RNA中の標的アデノシンの5’に最も近い隣接物がU、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的RNA中の標的アデノシンの3’に最も近い隣接物がG、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がG>C>A≒Uであり、
(vi)前記標的RNA中の前記標的アデノシンは、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフであり、任意選択的に、前記3塩基モチーフはUAGであり、前記標的RNAは、前記3塩基モチーフ中のウリジンの真向かいにあるAと、前記標的アデノシンの真向かいにあるシチジンと、前記3塩基モチーフ中のグアノシンの真向かいにあるシチジン、グアノシンまたはウリジンとを含み、および/または、
(vii)前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAであり、任意選択的に、前記標的RNAはプレメッセンジャーRNAである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ADAR3阻害剤および/またはインターフェロン刺激物質を前記宿主細胞に導入することをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
それぞれが異なる標的RNAを標的とする複数のdRNAまたは構築体を導入することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記標的RNAの編集効率が少なくとも40%である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記構築体または前記dRNAは免疫応答を誘導しない、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記宿主細胞にADARを導入することをさらに含み、任意選択的に、前記ADARはE1008変異を含むADAR1である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシング、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転を引き起こし、任意選択的に、前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNAによってコードされるタンパク質の点変異、トランケート、伸長および/または誤折り畳みを引き起こし、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転によって機能的、全長的、正確に折り畳まれたおよび/または野生型のタンパク質を引き起こす、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記宿主細胞は真核細胞であり、任意選択的に、前記宿主細胞は哺乳動物細胞であり、例えば、前記宿主細胞はヒト細胞またはマウス細胞である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
編集されたRNA、または請求項1~23のいずれか1項に記載の方法により製造された編集されたRNAを有する宿主細胞。
【請求項25】
個体の疾患または病状を治療または予防する方法であって、
請求項1~23のいずれか1項に記載の方法により、前記個体の細胞において前記疾患または病状に関連する標的RNAを編集することを含む、方法。
【請求項26】
(i)前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患または1つ以上の獲得性遺伝子変異に関連する疾患または病状であり、
(ii)前記標的RNAはGからAへの変異を有し、および/または
(iii)前記疾患または病状は、単遺伝子または多遺伝子の疾患または病状である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(i)前記標的RNAはTP53であり、前記疾患または病状はがんであり、
(ii)前記標的RNAはIDUAであり、前記疾患または病状はムコ多糖症I型(MPSI)であり、
(iii)前記標的RNAはCOL3A1であり、前記疾患または病状はエーラス・ダンロス症候群であり、
(iv)前記標的RNAはBMPR2であり、前記疾患または病状はジュベール症候群であり、
(v)前記標的RNAはFANCCであり、前記疾患または病状はファンコニ貧血であり、
(vi)前記標的RNAはMYBPC3であり、前記疾患または病状は原発性家族性肥大型心筋症であり、あるいは
(vii)前記標的RNAはIL2RGであり、前記疾患または病状はX連鎖の重篤な複合免疫不全である、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含む標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員して、前記dRNAは、環状であるかまたは環状RNAを形成することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
【請求項29】
前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的であり、および/または
(ii)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、請求項28に記載のdRNA。
【請求項30】
前記dRNAは環状RNAである、請求項28または29に記載のdRNA。
【請求項31】
前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである、請求項28または29に記載のdRNA。
【請求項32】
請求項28~31のいずれか1項に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体。
【請求項33】
前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイストリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイストリボザイム配列とをさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記5’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P1であり、または
(ii)前記5’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記3’ツイスト酵素配列はツイスト酵素P1である、請求項32に記載の構築体。
【請求項34】
標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端における核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
【請求項35】
(i)前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含み、
(ii)前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含み、
(iii)前記snoRNA配列の長さが少なくとも約70ヌクレオチドであり、
(iv)前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含み、
(v)前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含み、および/または
(vi)前記snoRNA配列は、C/DボックスsnoRNA配列、H/ACAボックスsnoRNA配列、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列、またはオーファンsnoRNA配列である、請求項34に記載のdRNA。
【請求項36】
請求項34または35に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体。
【請求項37】
前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である、請求項32~33および36のいずれか1項に記載の構築体。
【請求項38】
宿主細胞に取り込まれるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、構築体。
【請求項39】
前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、請求項37または38に記載の構築体。
【請求項40】
前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドであり、任意選択的に、前記構築体はAAVベクターである、請求項32~33および36~39のいずれか1項に記載の構築体。
【請求項41】
前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである、請求項28~40のいずれか1項に記載の構築体またはdRNA。
【請求項42】
請求項28~40のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞。
【請求項43】
宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、請求項28~40のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月12日に提出された国際特許出願番号PCT/CN2019/095802の優先権を主張しており、その内容は、その全体が引用により本出願に組み込まれている。
【0002】
(ASCIIテキストファイルでの配列表の提出)
以下の提出されたASCIIテキストファイルの内容は、その全体が参照により本出願に取り込まれる:配列表のコンピュータ可読形態(CRF)(ファイル名:FD00254PCT-ST25.txt、記録日付:2020年7月10日、サイズ:16KB)。
【0003】
本開示は、一般に、標的RNA中の1つ以上のアデノシンを脱アミノ化するためにアデノシンデアミナーゼを動員することができる遺伝子操作RNAを用いてRNAを編集する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
ゲノム編集は、疾患の生物医学研究や治療開発に使われる強力なツールである。遺伝子操作ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR系のCasタンパク質)を用いた編集技術は、多くの生物においてゲノムを操作するために応用されている。最近、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)などのデアミナーゼタンパク質を用いたRNA編集のための新しいツールが開発された。哺乳動物の細胞には、3種類のADARタンパク質が存在し、すなわち、Adar1(p110とp150の2つのアイソタイプ)、Adar2、およびAdar3(触媒活性を持たない)である。ADARタンパク質の触媒基質は二本鎖RNAであり、ADARはアデノシン(A)核酸塩基から-NH基を除去することで、Aをイノシン(I)に変えることができる。(I)はグアノシン(G)として認識され、その後の細胞転写および翻訳過程でシチジン(C)と対合する。標的RNA編集を実現するために、ADARタンパク質またはその触媒ドメインをλNペプチド、SNAPタグまたはCasタンパク質(dCas13b)と融合し、そしてキメラADARタンパク質を標的部位に動員するためにガイドRNAを設計する。あるいは、過剰発現したADAR1やADAR2蛋白がR/Gモチーフを持つガイドRNAとともに標的化RNA編集を行うことが可能であることも報告されている。
【0005】
しかし、現在利用可能なADAR媒介RNA編集技術は一定の制限がある。例えば、遺伝子治療の場合、最も効果的なインビボ送達はウイルスベクターを介して行われるが、高度に理想的なアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、負荷(~4.5kb)の大きさに制限されていることから、タンパク質とガイドRNAの両方を保持することが困難である。また、最近、ADAR1の過剰発現はRNAに対する異常な過剰編集により多発性骨髄腫の発がん性を引き起こし、大量の全面的なオフターゲット編集を生じさせることが報告されている。また、タンパク質またはその非ヒト由来ドメインの異所性発現は、免疫原性を誘発する潜在的なリスクを有する。さらに、既存の適応性免疫およびp53媒介性DNA損傷応答は、治療的タンパク質(例えばCas9)の効果を損なうことがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Porteus, M. H. & Carroll, D. Gene targeting using zinc finger nucleases. Nat Biotechnol 23, 967-973 (2005).
【非特許文献2】Boch, J. et al. Breaking the code of DNA binding specificity of TAL-type III effectors. Science 326, 1509-1512 (2009).
【非特許文献3】Moscou, M. J. & Bogdanove, A. J. A simple cipher governs DNA recognition by TAL effectors. Science 326, 1501 (2009).
【非特許文献4】Miller, J. C. et al. A TALE nuclease architecture for efficient genome editing. Nat Biotechnol 29, 143-148 (2011).
【非特許文献5】Jinek, M. et al. A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity. Science 337, 816-821 (2012).
【非特許文献6】Cong, L. et al. Multiplex genome engineering using CRISPR/Cas systems. Science 339, 819-823 (2013).
【非特許文献7】Mali, P. et al. RNA-guided human genome engineering via Cas9. Science 339, 823-826 (2013).
【非特許文献8】Komor, A. C., Kim, Y. B., Packer, M. S., Zuris, J. A. & Liu, D. R. Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage. Nature 533, 420-424 (2016).
【非特許文献9】Ma, Y. et al. Targeted AID-mediated mutagenesis (TAM) enables efficient genomic diversification in mammalian cells. Nat Methods 13, 1029-1035 (2016).
【非特許文献10】Gaudelli, N. M. et al. Programmable base editing of A*T to G*C in genomic DNA without DNA cleavage. Nature 551, 464-471 (2017).
【非特許文献11】Tan, M. H. et al. Dynamic landscape and regulation of RNA editing in mammals. Nature 550, 249-254 (2017).
【非特許文献12】Nishikura, K. Functions and regulation of RNA editing by ADAR deaminases. Annu Rev Biochem 79, 321-349 (2010).
【非特許文献13】Bass, B. L. & Weintraub, H. An unwinding activity that covalently modifies its double-stranded RNA substrate. Cell 55, 1089-1098 (1988).
【非特許文献14】Wong, S. K., Sato, S. & Lazinski, D. W. Substrate recognition by ADAR1 and ADAR2. RNA 7, 846-858 (2001).
【非特許文献15】Montiel-Gonzalez, M. F., Vallecillo-Viejo, I., Yudowski, G. A. & Rosenthal, J. J. Correction of mutations within the cystic fibrosis transmembrane conductance regulator by site-directed RNA editing. Proc Natl Acad Sci U S A 110, 18285-18290 (2013).
【非特許文献16】Sinnamon, J. R. et al. Site-directed RNA repair of endogenous Mecp2 RNA in neurons. Proc Natl Acad Sci U S A 114, E9395-E9402 (2017).
【非特許文献17】Montiel-Gonzalez, M. F., Vallecillo-Viejo, I. C. & Rosenthal, J. J. An efficient system for selectively altering genetic information within mRNAs. Nucleic Acids Res 44, e157 (2016).
【非特許文献18】Hanswillemenke, A., Kuzdere, T., Vogel, P., Jekely, G. & Stafforst, T. Site-Directed RNA Editing in Vivo Can Be Triggered by the Light-Driven Assembly of an Artificial Riboprotein. J Am Chem Soc 137, 15875-15881 (2015).
【非特許文献19】Schneider, M. F., Wettengel, J., Hoffmann, P. C. & Stafforst, T. Optimal guideRNAs for re-directing deaminase activity of hADAR1 and hADAR2 in trans. Nucleic Acids Res 42, e87 (2014).
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【非特許文献21】Vogel, P., Schneider, M. F., Wettengel, J. & Stafforst, T. Improving site-directed RNA editing in vitro and in cell culture by chemical modification of the guideRNA. Angewandte Chemie 53, 6267-6271 (2014).
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【発明の概要】
【0007】
本出願は、内在性RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(「ADAR」)タンパク質を利用してRNA編集を行うことができる、ADARで動員されたRNA(「dRNA」または「arRNA」)を用いてRNA編集を行う方法を提供する。本明細書は、また、遺伝子操作dRNA、またはこれらの方法において使用される遺伝子操作dRNAをコードする核酸を含む構築体、ならびに、それらを含む組成物およびキットを提供する。本明細書は、また、個体の細胞中の疾患または病症に関連する標的RNAを編集することを含む、個体の疾患または病状を治療または予防する方法を提供する。
【0008】
一態様では、本明細書は、
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記dRNAは環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0009】
一部の実施形態において、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである。一部の実施形態において、前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAはRNAリガーゼによって環化される。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼは、RNAリガーゼRtcBである。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼRtcBは宿主細胞において内因的に発現される。一部の実施形態において、前記dRNAは環状RNAである。
【0010】
一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスター(twister)リボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列とをさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP1である。
【0011】
別の態様では、本明細書は、
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
前記dRNAは、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる。
【0012】
一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、少なくとも約70ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記3’snoRNA配列は、配列番号1の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記5’snoRNA配列は、配列番号2の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、H/ACAボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む。一部の実施形態において、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である。一部の実施形態において、前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドである。一部の実施形態において、前記構築体はAAVベクターである。
【0013】
別の態様では、本明細書は、
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む。
【0014】
一部の実施形態において、前記pol IIプロモーターはCMVプロモーターである。一部の実施形態において、前記CMVプロモーターは、配列番号3の核酸配列を含む。
【0015】
以下の実施形態は、上述した3つの態様のすべてに適用可能である。一部の実施形態において、前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドである。一部の実施形態において、前記構築体はAAVベクターである。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞によって内因的に発現される。一部の実施形態において、前記宿主細胞はT細胞である。一部の実施形態において、前記標的RNA配列の長さは50ヌクレオチドより長い。一部の実施形態において、前記標的RNA配列の長さは、約100~約180ヌクレオチドである。一部の実施形態において、標的RNA配列は、約100~約150ヌクレオチドの長さである。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の標的アデノシンの真向かいにあるシチジン、アデノシンまたはウリジンを含む。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の標的アデノシンの真向かいにあるシチジンミスマッチを含む。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド、かつ前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチドの箇所に存在する。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンのそれぞれに対向する1つ以上のグアノシンをさらに含む。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンに対向する2つ以上の連続するミスマッチヌクレオチドを含む。
【0016】
一部の実施形態において、前記標的RNA中の標的アデノシンの5’に最も近い隣接物が、U、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的RNA中の標的アデノシンの3’に最も近い隣接物が、G、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がG>C>A≒Uである。一部の実施形態において、前記標的RNA中の標的アデノシンは、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフである。一部の実施形態において、前記3塩基モチーフはUAGであり、前記標的RNAは、前記3塩基モチーフ中のウリジンの真向かいにあるAと、前記標的アデノシンの真向かいにあるシチジンと、前記3塩基モチーフ中のグアノシンの真向かいにあるシチジン、グアノシンまたはウリジンとを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNAである。
【0017】
一部の実施形態において、前記方法は、ADAR3阻害剤を前記宿主細胞に導入することをさらに含む。一部の実施形態において、前記方法は、インターフェロン刺激物質を前記宿主細胞に導入することをさらに含む。一部の実施形態において、前記方法は、それぞれが異なる標的RNAを標的とする複数のdRNAまたは構築体を導入することを含む。一部の実施形態において、前記方法は、ADAR(例えば、外来ADAR)を前記宿主細胞に導入することをさらに含む。一部の実施形態において、前記標的RNAの編集効率は少なくとも40%である。一部の実施形態において、前記構築体または前記dRNAは免疫応答を誘導しない。一部の実施形態において、前記ADARは、E1008変異を含むADAR1である。
【0018】
一部の実施形態において、前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシング、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転を引き起こす。一部の実施形態において、前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNAによってコードされるタンパク質の点変異、トランケート、伸長および/または誤折り畳み(ミスフォールディング)を引き起こし、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転によって機能的、完全長的、正確に折り畳まれたおよび/または野生型のタンパク質を引き起こす。一部の実施形態において、前記宿主細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ヒト細胞またはマウス細胞である。本明細書は、また、上記3つの態様のいずれか1つによって提供される方法によって産生された編集RNA、または前記編集RNAを有する宿主細胞を提供する。
【0019】
別の態様では、本明細書は、上記のいずれか1つの方法に従って、前記疾患または病状に関連する標的RNAを前記個体の細胞において編集することを含む、個体の疾患または病状を治療または予防する方法を提供する。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患または1つ以上の獲得性遺伝子変異に関連する疾患または病状である。一部の実施形態において、前記標的RNAはG-A変異を有する。一部の実施形態において、前記疾患または病状は単一遺伝子疾患または病状である。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、多遺伝子疾患または病状である。
【0020】
一部の実施形態において、前記標的RNAはTP53であり、前記疾患または病状はがんである。一部の実施形態において、前記標的RNAはIDUAであり、前記疾患または病状はムコ多糖症I型(MPSI)である。一部の実施形態において、前記標的RNAはCOL3A1であり、前記疾患または病状はエーラス・ダンロス(Ehlers-Danlos)症候群である。一部の実施形態において、前記標的RNAはBMPR2であり、前記疾患または病状はジュベール(Joubert)症候群である。一部の実施形態において、前記標的RNAはFANCCであり、前記疾患または病状はファンコニ(Fanconi)貧血である。一部の実施形態において、前記標的RNAはMYBPC3であり、前記疾患または病状は原発性家族性肥大型心筋症である。一部の実施形態において、前記標的RNAはIL2RGであり、前記疾患または病状はX連鎖重症複合免疫不全である。
【0021】
別の態様では、本明細書は、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含む標的RNAを編集するためのデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、前記dRNAはRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、前記dRNAは環状であるかまたは環状RNAを形成することができる、デアミナーゼ動員RNAを提供する。一部の実施形態において、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである。一部の実施形態において、前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAは環状RNAである。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである。本明細書は、また、本態様に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体を提供する。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列とをさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP1である。本明細書は、また、本態様に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞を提供する。本明細書は、また、本態様に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞において標的RNAを編集するキットを提供する。
【0022】
別の態様では、本明細書は、また、標的RNAを編集するためのデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端の核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)を提供する。
【0023】
一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、少なくとも約70ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記3’snoRNA配列は、配列番号1の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記5’snoRNA配列は、配列番号2の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、H/ACAボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である。本明細書は、また、本態様に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体を提供する。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む。一部の実施形態において、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである。本明細書は、また、本態様に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞を提供する。本明細書は、また、本態様に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞において標的RNAを編集するキットを提供する。
【0024】
別の態様では、本明細書は、宿主細胞に取り込まれるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む構築体を提供する。
【0025】
一部の実施形態において、前記pol IIプロモーターはCMVプロモーターである。一部の実施形態において、前記CMVプロモーターは、配列番号3の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドである。一部の実施形態において、前記構築体はAAVベクターである。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである。本明細書は、また、本態様に記載の構築体を含む宿主細胞を提供する。本明細書は、また、本態様に記載の構築体を含む宿主細胞において標的RNAを編集するキットを提供する。
【0026】
なお、本明細書に記載の様々な実施形態の1つ、一部、または全ての特徴は、組み合わされて本出願に記載の他の実施形態を形成してもよい。本出願のこれらの実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】pol IIプロモーター(CMV)によって駆動されるarRNAを発現するプラスミドと、pol IIIプロモーター(U6)によって駆動されるarRNAを発現するプラスミドを48時間トランスフェクションした後のFACS解析を示す。EGFP陽性百分率はトランスフェクション効率により正規化され、トランスフェクション効率はmCherry陽性率により決定される。データは、平均値±s.d.(n=3)である。
図2A】snoRNA末端を側面に持つsno-arRNA151によるレポーター(Reporter)のmRNA上で標的化されたRNA編集の媒介を示す。図2Aは、arRNAを発現するプラスミドの模式図を示す。ヒトU6プロモーター下で標的蛍光レポーター-1の151-ntarRNAを発現させる。図2Bは、sno-arRNAまたはarRNAトランスフェクションの結果に対するFACSの結果を示す。sno-arRNA151、arRNA151、sno-Ctrl RNA151またはCtrl RNA151はレポーターを発現するプラスミドとともにHEK293T細胞にトランスフェクションされた。図2Cは、図2BにおけるFACS結果の定量化を示す。
図2B】snoRNA末端を側面に持つsno-arRNA151によるレポーター(Reporter)のmRNA上で標的化されたRNA編集の媒介を示す。図2Aは、arRNAを発現するプラスミドの模式図を示す。ヒトU6プロモーター下で標的蛍光レポーター-1の151-ntarRNAを発現させる。図2Bは、sno-arRNAまたはarRNAトランスフェクションの結果に対するFACSの結果を示す。sno-arRNA151、arRNA151、sno-Ctrl RNA151またはCtrl RNA151はレポーターを発現するプラスミドとともにHEK293T細胞にトランスフェクションされた。図2Cは、図2BにおけるFACS結果の定量化を示す。
図2C】snoRNA末端を側面に持つsno-arRNA151によるレポーター(Reporter)のmRNA上で標的化されたRNA編集の媒介を示す。図2Aは、arRNAを発現するプラスミドの模式図を示す。ヒトU6プロモーター下で標的蛍光レポーター-1の151-ntarRNAを発現させる。図2Bは、sno-arRNAまたはarRNAトランスフェクションの結果に対するFACSの結果を示す。sno-arRNA151、arRNA151、sno-Ctrl RNA151またはCtrl RNA151はレポーターを発現するプラスミドとともにHEK293T細胞にトランスフェクションされた。図2Cは、図2BにおけるFACS結果の定量化を示す。
図3A】CMVプロモーターで発現されたsno-arRNAとhU6プロモーターで発現されたsno-arRNAの編集効果をプロットしたものである。図3Aは、hU6から誘導されるsno-arRNAまたはarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Bは、CMVまたはhU6から誘導されるarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Cは、CMVまたはhU6から誘導されるsno-arRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。
図3B】CMVプロモーターで発現されたsno-arRNAとhU6プロモーターで発現されたsno-arRNAの編集効果をプロットしたものである。図3Aは、hU6から誘導されるsno-arRNAまたはarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Bは、CMVまたはhU6から誘導されるarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Cは、CMVまたはhU6から誘導されるsno-arRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。
図3C】CMVプロモーターで発現されたsno-arRNAとhU6プロモーターで発現されたsno-arRNAの編集効果をプロットしたものである。図3Aは、hU6から誘導されるsno-arRNAまたはarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Bは、CMVまたはhU6から誘導されるarRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。図3Cは、CMVまたはhU6から誘導されるsno-arRNAの異なる時点での定量FACS結果を示す。
図4A】LEAPERシステムにおいて環状arRNAを使用する場合の編集効果を示す。図4Aは、環状arRNA発現の模式図を示す。環状arRNA転写物の側面は5’および3’ライゲーション配列であり、それぞれ自己切断後の側面は5’-ツイスターP3U2Aおよび3’-ツイスターP1リボザイムである。得られたRNA末端をRtcBで認識して連結する。図4Bは、レポーター-1およびレポーター-3の模式図を示す。mCheryおよびEGFP遺伝子は、3×(レポーター-1の場合)または1×(レポーター-3の場合)GGGGSコード領域およびインフレームUAG終止コドンを含む配列によって連結されている。分子発現を報告する細胞はmCherry蛋白質のみを産生するが、レポーター転写物のUAG終止コドンを標的とした編集はUAGをUIGに転化し、それによって下流のEGFP発現を可能にする。図4Cは、環状arRNA71、環状arRNA25-71-25、環状arRNA50-71-50、環状arRNA111、環状arRNA25-111-25、環状arRNA50-111-50、環状Ctrl RNA123(非標的配列)、arRNA71、Ctrl RNA71、arRNA111、Ctrl RNA111を発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-1を安定に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後と7日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Dは、Ctrl RNA151(環状)、31-、51-、71-、91-、111-、131-、151-nt環状arRNAを発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-3を安定的に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Eは、レポーター-1を発現させたプラスミド0.5μg、および環状arRNA111を発現させたプラスミド0.5μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(2×10個細胞/孔)に接種したHeLaおよびA549細胞をコトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。
図4B】LEAPERシステムにおいて環状arRNAを使用する場合の編集効果を示す。図4Aは、環状arRNA発現の模式図を示す。環状arRNA転写物の側面は5’および3’ライゲーション配列であり、それぞれ自己切断後の側面は5’-ツイスターP3U2Aおよび3’-ツイスターP1リボザイムである。得られたRNA末端をRtcBで認識して連結する。図4Bは、レポーター-1およびレポーター-3の模式図を示す。mCheryおよびEGFP遺伝子は、3×(レポーター-1の場合)または1×(レポーター-3の場合)GGGGSコード領域およびインフレームUAG終止コドンを含む配列によって連結されている。分子発現を報告する細胞はmCherry蛋白質のみを産生するが、レポーター転写物のUAG終止コドンを標的とした編集はUAGをUIGに転化し、それによって下流のEGFP発現を可能にする。図4Cは、環状arRNA71、環状arRNA25-71-25、環状arRNA50-71-50、環状arRNA111、環状arRNA25-111-25、環状arRNA50-111-50、環状Ctrl RNA123(非標的配列)、arRNA71、Ctrl RNA71、arRNA111、Ctrl RNA111を発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-1を安定に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後と7日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Dは、Ctrl RNA151(環状)、31-、51-、71-、91-、111-、131-、151-nt環状arRNAを発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-3を安定的に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Eは、レポーター-1を発現させたプラスミド0.5μg、および環状arRNA111を発現させたプラスミド0.5μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(2×10個細胞/孔)に接種したHeLaおよびA549細胞をコトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。
図4C】LEAPERシステムにおいて環状arRNAを使用する場合の編集効果を示す。図4Aは、環状arRNA発現の模式図を示す。環状arRNA転写物の側面は5’および3’ライゲーション配列であり、それぞれ自己切断後の側面は5’-ツイスターP3U2Aおよび3’-ツイスターP1リボザイムである。得られたRNA末端をRtcBで認識して連結する。図4Bは、レポーター-1およびレポーター-3の模式図を示す。mCheryおよびEGFP遺伝子は、3×(レポーター-1の場合)または1×(レポーター-3の場合)GGGGSコード領域およびインフレームUAG終止コドンを含む配列によって連結されている。分子発現を報告する細胞はmCherry蛋白質のみを産生するが、レポーター転写物のUAG終止コドンを標的とした編集はUAGをUIGに転化し、それによって下流のEGFP発現を可能にする。図4Cは、環状arRNA71、環状arRNA25-71-25、環状arRNA50-71-50、環状arRNA111、環状arRNA25-111-25、環状arRNA50-111-50、環状Ctrl RNA123(非標的配列)、arRNA71、Ctrl RNA71、arRNA111、Ctrl RNA111を発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-1を安定に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後と7日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Dは、Ctrl RNA151(環状)、31-、51-、71-、91-、111-、131-、151-nt環状arRNAを発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-3を安定的に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Eは、レポーター-1を発現させたプラスミド0.5μg、および環状arRNA111を発現させたプラスミド0.5μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(2×10個細胞/孔)に接種したHeLaおよびA549細胞をコトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。
図4D】LEAPERシステムにおいて環状arRNAを使用する場合の編集効果を示す。図4Aは、環状arRNA発現の模式図を示す。環状arRNA転写物の側面は5’および3’ライゲーション配列であり、それぞれ自己切断後の側面は5’-ツイスターP3U2Aおよび3’-ツイスターP1リボザイムである。得られたRNA末端をRtcBで認識して連結する。図4Bは、レポーター-1およびレポーター-3の模式図を示す。mCheryおよびEGFP遺伝子は、3×(レポーター-1の場合)または1×(レポーター-3の場合)GGGGSコード領域およびインフレームUAG終止コドンを含む配列によって連結されている。分子発現を報告する細胞はmCherry蛋白質のみを産生するが、レポーター転写物のUAG終止コドンを標的とした編集はUAGをUIGに転化し、それによって下流のEGFP発現を可能にする。図4Cは、環状arRNA71、環状arRNA25-71-25、環状arRNA50-71-50、環状arRNA111、環状arRNA25-111-25、環状arRNA50-111-50、環状Ctrl RNA123(非標的配列)、arRNA71、Ctrl RNA71、arRNA111、Ctrl RNA111を発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-1を安定に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後と7日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Dは、Ctrl RNA151(環状)、31-、51-、71-、91-、111-、131-、151-nt環状arRNAを発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-3を安定的に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Eは、レポーター-1を発現させたプラスミド0.5μg、および環状arRNA111を発現させたプラスミド0.5μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(2×10個細胞/孔)に接種したHeLaおよびA549細胞をコトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。
図4E】LEAPERシステムにおいて環状arRNAを使用する場合の編集効果を示す。図4Aは、環状arRNA発現の模式図を示す。環状arRNA転写物の側面は5’および3’ライゲーション配列であり、それぞれ自己切断後の側面は5’-ツイスターP3U2Aおよび3’-ツイスターP1リボザイムである。得られたRNA末端をRtcBで認識して連結する。図4Bは、レポーター-1およびレポーター-3の模式図を示す。mCheryおよびEGFP遺伝子は、3×(レポーター-1の場合)または1×(レポーター-3の場合)GGGGSコード領域およびインフレームUAG終止コドンを含む配列によって連結されている。分子発現を報告する細胞はmCherry蛋白質のみを産生するが、レポーター転写物のUAG終止コドンを標的とした編集はUAGをUIGに転化し、それによって下流のEGFP発現を可能にする。図4Cは、環状arRNA71、環状arRNA25-71-25、環状arRNA50-71-50、環状arRNA111、環状arRNA25-111-25、環状arRNA50-111-50、環状Ctrl RNA123(非標的配列)、arRNA71、Ctrl RNA71、arRNA111、Ctrl RNA111を発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-1を安定に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後と7日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Dは、Ctrl RNA151(環状)、31-、51-、71-、91-、111-、131-、151-nt環状arRNAを発現させたプラスミド1μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(3×10個細胞/孔)に接種してレポーター-3を安定的に発現したHEK293T細胞をトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。図4Eは、レポーター-1を発現させたプラスミド0.5μg、および環状arRNA111を発現させたプラスミド0.5μgをそれぞれ用いて、12ウェルプレート(2×10個細胞/孔)に接種したHeLaおよびA549細胞をコトランスフェクションした実験結果を示す。トランスフェクションしてから2日後にFACS解析を行った。トランスフェクション効率によりEGFP+細胞の割合を正規化する。
図5】複数の環状arRNAを48時間および96時間コトランスフェクションした後のFACS解析を示し、EGFP陽性百分率をmCherry陽性で決定されたトランスフェクション効率で正規化したものである。データは、平均値±s.d.(n=3)である。
図6A】HEK293T細胞において複数の環状arRNAを48時間および96時間コトランスフェクションした後のFACS解析を示す。EGFP陽性百分率はmCherry陽性により決定されたトランスフェクション効率により正規化される。データは、平均値±s.d.(n=3)である。
図6B】HEK293T細胞において複数の環状arRNAを48時間および96時間コトランスフェクションした後のFACS解析を示す。EGFP陽性百分率はmCherry陽性により決定されたトランスフェクション効率により正規化される。データは、平均値±s.d.(n=3)である。
図7】EGFP陽性(EGFP+)細胞の定量を示す。様々な長さのTornado-Ctrl RNA111 ウイルスおよび標的Tornado-arRNAウイルスを含むTornado-arRNAレンチウイルスを用いて、レポーター-1を安定に発現した細胞に感染させ、感染2日後にFACSを行った。データは、平均値±s.e.m(n=2)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書は、RNA編集方法(本明細書では、「改良LEAPER」方法と称する)、ならびに宿主細胞中の標的RNAを編集するために、特に設計されたRNA、本明細書では、デアミナーゼ動員RNA(「dRNA」)またはADAR動員RNA(「arRNA」)、またはこれらのdRNAをコードする核酸を含む構築体を提供する。
【0029】
本出願発明者らは、内因性ADARを利用してdRNA(「arRNA」とも呼ばれる)を用いて標的RNAを編集する「LEAPER」(内因性ADARを用いたプログラム可能なRNA編集)を開発している。LEAPER方法はPCT/CN2018/110105およびPCT/CN2020/084922に記載されており、その内容は引用によって全体として本明細書に組み込まれている。具体的には、標的転写物に部分的に相補的である標的RNAを用いて、天然ADAR1またはADAR2を動員し、標的RNA中の特定の部位でアデノシンをイノシンに変化させる。このようにして、宿主細胞においてADARタンパク質を異所性または過剰発現させることなく、ある系においてRNA編集を達成することができる。
【0030】
本出願は、例えば、標的細胞中のdRNAのレベルを増加させることによって、RNA編集の効率を向上させることを可能にする、改良LEAPER方法を提供する。一方、改良LEAPER方法は、環状dRNAまたは環状RNAを形成し得るdRNAの使用に関する。別の態様では、前記改良LEAPER方法は、標的RNA配列の3’または5’末端に連結された1つ以上の核小体低分子RNA(snoRNA)を含むdRNAの使用に関する。別の態様では、改良LEAPER方法は、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)の制御下に置かれたdRNAに関する。改良LEAPER方法は、LEAPER方法と比較してdRNAの編集効率を著しく向上させることを実証している。理論に縛られることなく、改良LEAPER方法で使用されるdRNAの安定性や量の増加は、RNA編集効率のこのような向上に寄与すると考えられている。
【0031】
したがって、本出願の一態様は、1つ以上の改良LEAPER方法による標的RNAの編集方法を提供する。
【0032】
別の態様では、改良LEAPER方法のためのdRNAおよび構築体を提供する。
【0033】
本明細書はまた、前記RNA編集方法を用いて個体の疾患または病状を治療または予防する方法および組成物を提供する。
【0034】
I.定義
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用されているすべての特許、出願、開示された出願やその他の刊行物は、全体として本明細書に組み込まれている。この節に記載された定義が、引用によって本明細書に組み込まれた特許、出願またはその他の出版物に記載された定義と相反するかまたは一致しない場合、この節に記載された定義は、引用によって本明細書に組み込まれた定義よりも優先される。
【0035】
なお、別個の実施形態の文脈で説明された本開示のいくつかの特徴は、明確にするために、個別の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔さから、個別の実施形態の文脈で説明された本開示の様々な特徴は、別個に、または任意の適切なサブセットとして提供されてもよい。特定の方法ステップ、試薬、または条件に関連する実施形態のすべての組合せは、本開示によって明示的に包含され、それぞれおよび各組合せが別々にかつ明示的に開示されているかのように、本明細書において開示される。
【0036】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「1/1種(a/an)」および「該/前記(the)」は、文脈で特に明示的に説明されていない限り、複数の対象を含む。なお、特許請求の範囲は任意の構成要素を除外するように記載されてもよい。このように、このような陳述は、請求項の構成要素の明細書と共に「唯一」、「のみ」などの排他的な用語を使用する先行基礎として、または「負の」制限を使用することを意図している。
【0037】
用語「デアミナーゼ動員RNA」、「dRNA」、「ADAR動員RNA」、および「arRNA」は、本明細書では相互に交換して使用可能であり、ADARを動員してRNA中の標的アデノシンを脱アミノ化することができる遺伝子操作RNAを意味する。
【0038】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」および「核酸」は、相互に交換して使用可能である。これらは、任意の長さのヌクレオチドの重合形態、すなわちデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその類似体を意味する。
【0039】
本明細書で使用されるように、「アデニン」、「グアニン」、「シトシン」、「チミン」、「ウラシル」、および「ヒポキサンチン」という用語は、それ自体が核酸塩基を意味する。「アデノシン」、「グアノシン」、「シチジン」、「チミジン」、「ウリジン」および「イノシン」という用語は、リボースまたはデオキシリボースに部分的に結合した核酸塩基を意味する。「ヌクレオシド」という用語は、リボースまたはデオキシリボースに結合した核酸塩基を意味する。「ヌクレオチド」という用語は、それぞれの核酸塩基-リボシル-リン酸または核酸塩基-デオキシリボシル-リン酸を意味する。アデノシンおよびアデニン(「A」と略称される)、グアノシンおよびグアニン(「G」と略称される)、シトシンおよびシチジン(「C」と略称される)、ウラシルおよびウリジン(「U」と略称される)、チミンおよびチミジン(「T」と略称される)、イノシンおよびヒポキサンチン(「I」と略称される)という用語は、対応する核酸塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを意味するために、相互に交換して使用されることがある。場合によって、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドという用語は、文脈において異なるものとすることが明確に要求されない限り、相互に交換して使用することができる。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「導入(introducing/introduction)」は、1つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、dRNA、または本明細書で記載されたベクターを含む1つまたは複数の構築体)、その1つまたは複数の転写物を宿主細胞に送達することを意味する。本発明は、標的化可能なRNA編集のための基本プラットフォームとして使用され、前記RNAは、例えば、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNA、および小さなRNA(例えばmiRNA)である。本出願の方法は、本明細書に記載のdRNAまたは構築体を宿主細胞に導入するために、ウイルス、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、およびコンジュゲーションを含むが、これらに限定されない多くの送達システムを採用することができる。従来のウイルスベースおよび非ウイルスベースの遺伝子導入方法は哺乳動物細胞または標的組織への核酸導入に有用である。このような方法は、培養生物または宿主生物中の細胞に、本出願のdRNAをコードする核酸を投与するために使用され得る。非ウイルスベクター送達システムは、DNAプラスミド、RNA(例えば、本明細書に記載の構築体の転写物)、ベア核酸、およびリポソームのような送達ベクターと複合化された核酸を含む。ウイルスベクター送達システムは、宿主細胞に送達するための遊離または組み込まれたゲノムを有するDNAおよびRNAウイルスを含む。
【0041】
本出願の文脈において、「標的RNA」とは、完全に相補性または実質的に相補性を有するようにデアミナーゼ動員RNA配列が設計されたRNA配列を意味し、標的配列とdRNAとの間のハイブリダイゼーションは、前記標的アデノシンを脱アミノ化させるRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員する標的アデノシン含有二本鎖RNA(dsRNA)領域を形成する。一部の実施形態において、前記ADARは、真核細胞(例えば、ヒト細胞のような哺乳動物細胞)のような宿主細胞に天然に存在する。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に導入される。
【0042】
本明細書で使用されるように、「相補性」とは、核酸が従来のワトソン・クリック(Watson-Crick)塩基対を介して他の核酸と水素結合を形成する能力を意味する。相補性のパーセンテージは、第2の核酸と水素結合(すなわちワトソン・クリック塩基対)を形成し得る核酸分子中の残基のパーセンテージ(例えば、約10分の5、6、7、8、9、10、すなわち、相補性は約50%、60%、70%、80%、90%、100%)を表す。「完全に相補的」とは、核酸配列の連続する全ての残基が、第2の核酸配列の連続する残基と同じ数の連続する残基と水素結合を形成することを意味する。本明細書で使用されるように、「実質的に相補的」とは、約40、50、60、70、80、100、150、200、250またはそれ以上のヌクレオチドの領域において、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の相補性の程度を意味するか、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を意味する。
【0043】
本明細書で使用されるように、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェントな条件」とは、標的配列と相補性を有する核酸が、主に前記標的配列にハイブリダイズし、非標的配列とは実質的にハイブリダイズしないような条件をいう。ストリンジェントな条件は、通常、配列依存的であり、多くの要因によって変化する。一般に、配列が長いほど、配列がその標的配列に特異的にハイブリダイズする温度が高くなる。ストリンジェントな条件の非制限的な例は、Tijssen (1993), Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology- Hybridization With Nucleic Acid Probes Part I, Second Chapter 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assay,」 Elsevier, N,Yに詳細に記載されている。
【0044】
「ハイブリダイゼーション」とは、1つ以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合により安定化された複合体を形成する反応をいう。水素結合による結合は、ワトソン-クリック塩基対、ホグスタイン(Hoogstein)結合、またはその他の配列特異的な方法で起こり得る。与えられた配列にハイブリダイズし得る配列は、与えられた配列の「補体」と呼ばれる。
【0045】
本明細書で使用されるように、用語「具備する」、「含有」、および「含む」は、オープンで非限定的な意味で使用される。なお、本明細書に記載の本出願の態様および実施形態は、「からなる」および/または「実質的に、からなる」態様および実施形態を含みうる。
【0046】
なお、用語「約」が明示的に使用されているか否かにかかわらず、本明細書で与えられた各数量は、実際に与えられた値を指し、また、与えられた値に基づく実験および/または測定条件の同値および近似値を含む、当業者によって合理的に推測される与えられた値の近似値も指す。
【0047】
本明細書で使用されるように、「担体」は、使用された用量および濃度でそれに曝露された細胞または哺乳動物に対して毒性のない、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤を含む。生理学的に許容される担体は、通常、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の非限定的な例としては、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む単糖、二糖およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールやソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩生成対イオン;および/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、PLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0048】
本明細書で使用されるように、物質の用語「有効量」または「治療有効量」は、少なくとも、特定の疾患の測定可能な改善または予防をもたらすのに必要な最小限の濃度である。本明細書における有効量は、疾患の状態、患者の年齢、性別、体重、および個体内で所望の応答を引き起こす当該物質の能力などの要因によって変化することがある。有効量は、治療上の有益な作用が、治療上の有毒または有害な作用を全て上回る量でもある。がんに関しては、有効量は、腫瘍の縮小を引き起こし、および/または腫瘍の成長速度を低下させる(例えば、腫瘍の成長を阻害する)、またはがんにおける他の望ましくない細胞の増殖を予防または遅延するのに十分な量を含む。一部の実施形態において、有効量は、がんの進行を遅延させるのに十分な量である。一部の実施形態において、有効量は、再発を予防または遅延するのに十分な量である。一部の実施形態において、有効量は、個体の再発率を低下させるのに十分な量である。有効量は、1回または複数回で投与することができる。薬剤または組成物の有効量は、(i)がん細胞の数を減少させること、(ii)腫瘍の大きさを縮小すること、(iii)がん細胞の周囲の器官への浸潤をある程度抑制、遅延、低減し、好ましくは停止させること、(iv)腫瘍の転移を抑制する(すなわち、ある程度低減、好ましくは停止する)こと、(v)腫瘍の増殖を抑制すること、(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防または遅延すること、(vii)腫瘍の再発率を低下させること、および/または(viii)がんに関連する1つ以上の症状をある程度緩和すること。有効量は、1回または複数回の投与で投与されることができる。本開示の目的のために、薬剤、化合物または医薬組成物の有効量は、直接的または間接的に予防または治療を達成するのに十分な量である。臨床の文脈で理解されているように、他の薬剤、化合物、または医薬組成物と組み合わせると、有効量の薬剤、化合物、または医薬組成物を達成することができるか、達成することができない。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の治療薬を投与する場合に考慮され、1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて所望の結果が得られるまたは得られた場合、有効量の単一薬剤が投与されたものとみなすことができる。
【0049】
ここで述べるように、「宿主細胞」とは、本明細書に記載のように修飾できれば、宿主細胞として使用できるあらゆる種類の細胞を意味する。例えば、前記宿主細胞は、内因的に発現されるRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を有する宿主細胞であってもよいし、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)が当分野で公知の方法により導入された宿主細胞であってもよい。前記宿主細胞は、例えば、原核細胞、真核細胞または植物細胞であってもよい。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ヒト細胞系または非ヒト細胞系を含む哺乳動物細胞系のような、予め確立された細胞系から誘導される。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ヒト個体などの個体から誘導される。
【0050】
「組換えAAVベクター(rAAVベクター)」は、少なくとも1つ(一部の実施形態において2つ)のAAV逆方向末端反復配列(ITR)に側面を有する1つ以上の異種配列(すなわち、非AAV由来の核酸配列)を含むポリヌクレオチドベクターを意味する。このようなrAAVベクターは、適切なヘルパーウイルス(または適切なヘルパー機能を発現する)に感染し、AAV repおよびcap遺伝子産物(すなわち、AAV RepおよびCapタンパク質)を発現する宿主細胞中に存在する場合、感染性ウイルス粒子として複製してパッケージングすることができる。rAAVベクターがより大きなポリヌクレオチド(例えば、染色体中またはクローニングまたはトランスフェクションのためのプラスミドのような別のベクター中)に組み込まれる場合、rAAVベクターは、「プロベクター(pro-vector)」と称されてもよく、AAVパッケージング機能および適切な補助機能の存在下で複製およびキャプシド化によって「救い出す」ことができる。rAAVベクターは、プラスミド、線状人工染色体、脂質との複合化して、リポソームにカプセル化し、ウイルス粒子、特にAAV粒子にカプシド化しているものを含むが、これらに限定されない様々な形態のいずれであってもよい。rAAVベクターは、「組換えアデノ随伴ウイルス粒子(rAAV粒子)」を生成するために、AAVウイルスキャプシドにパッケージングされてもよい。
【0051】
用語「AAV逆方向末端反復(ITR)」配列は、天然の一本鎖AAVゲノムの両末端に約145ヌクレオチドの配列が存在するものであり、この分野で広く知られている。ITRの最も外側の125個のヌクレオチドは2種類の任意の方向の1つに存在することができ、それによって異なるAAVゲノム間および単一のAAVゲノムの両端間の異質性をもたらす。最も外側の125個のヌクレオチドは、いくつかの短い自己相補的領域(A、A’、B、B’、C、C’およびD領域と呼ばれる)も含み、それによって、ITRのこの部分内での鎖内塩基対の発生が可能になる。
【0052】
「プロトコル」とは、通常、商業用医薬品の包装に含まれる取扱書であって、通常商業用医薬品の包装に含まれる適応症に関する情報を含み、これらの情報には、適応症、用法、用量、投与方法、禁忌症、この包装製品と組み合わせて使用される他の薬物、および/またはこの薬物の使用に関する警告に関する情報が含まれている。
【0053】
「被験者」、「患者」、または「個体」は、人間または他の動物のような哺乳動物を含み、通常は人間である。一部の実施形態において、治療剤および組成物が投与される患者などの被験者は、哺乳動物、通常ヒトなどの霊長類である。一部の実施形態において、前記霊長類はサルまたは類人猿である。前記被験者は、男性または女性であってもよく、幼児、少年、青少年、成人および高齢者を含む任意の適切な年齢であってもよい。一部の実施形態において、前記被験者は、非霊長類哺乳動物、例えば齧歯類、イヌ、ネコ、ウシまたはウマなどの農場動物である。
【0054】
本明細書で使用されるように、「治療」という用語は、臨床病理学的過程において、治療される個体または細胞の自然な過程に有益かつ望ましい効果をもたらすように設計された臨床的介入を意味する。本開示の目的のために、治療による望ましい効果は、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善または低減、および予後の緩和または改善を含むが、これらに限定されない。例えば、がんに関連する1つ以上の症状が軽減または解消され、がん細胞の増殖を減少させる(またはがん細胞を破壊する)こと、癌細胞への殺傷を増加させること、その疾患による症状を軽減させること、その疾患の伝播を予防すること、その疾患の再発を予防すること、その疾患に罹患した人々の生活の質を向上させること、その疾患の治療に必要な他の薬物の投与量を減少させること、その疾患の進行を遅延させること、および/またはその個体の生存を延長させることを含むが、これらに限定されるものではなく、この場合、その個体は成功的に「治療」するものとする。
【0055】
II.RNA編集方法
本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞(例えば真核細胞)に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる、方法を提供する。
【0056】
環状dRNA
一つの態様では、本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞(例えば真核細胞)に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、(3)前記dRNAは、環状RNAであるか環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0057】
一部の実施形態において、本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、前記宿主細胞において内因的に発現されるADARを動員して、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、(3)前記dRNAは環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、任意のタンパク質、またはこのタンパク質(例えば、Cas、ADAR、またはADARとCasの融合タンパク質)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含まない。
【0058】
一部の実施形態において、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、前記宿主細胞において内因的に発現されるADARを動員して、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、(3)前記dRNAは環状RNAである方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、任意のタンパク質、またはこのタンパク質(例えば、Cas、ADAR、またはADARとCasの融合タンパク質)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含まない。
【0059】
一部の実施形態において、本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、前記宿主細胞において内因的に発現されるADARを動員して、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、(3)前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、任意のタンパク質、またはこのタンパク質(例えば、Cas、ADAR、またはADARとCasの融合タンパク質)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含まない。
【0060】
一部の実施形態において、本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することと、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することとを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、ADARを動員して、前記標的RNA中の標的アデノシン(「A」)残基を脱アミノ化することができ、(3)前記dRNAは、環状RNAであるか、または環状RNAを形成することができる方法を提供する。一部の実施形態において、前記ADARは、宿主細胞の内因的にコードされるADARであり、前記ADARの導入は、前記宿主細胞におけるADARの過剰発現を含む。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に対して外因的である。一部の実施形態において、前記ADARをコードする核酸を含む構築体は、プラスミドまたはウイルスベクター(例えば、AAVまたはレンチウイルスベクター)のようなベクターである。
【0061】
一態様では、本出願は、複数のdRNAまたは前記dRNAをコードする1つ以上の構築体を宿主細胞に導入することによって、前記宿主細胞中の複数の標的RNA(例えば、少なくとも約2、3、4、5、10、20、50、100、1000またはそれ以上)を編集する方法を提供する。
【0062】
一態様では、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである。一部の実施形態において、Litke, J.L.およびJaffrey, S.R. Highly efficient expression of circular RNA aptamers in cells using autocatalytic transcripts. Nat Biotechnol 37,667-675 (2019)に記載されたTornado発現系(「持続的過剰発現のためのツイスター最適化RNA」)を使用して循環を行い、これは、全体として本明細書に引用によって組み込まれている。要するに、Tornado発現の転写物は、ツイスターリボザイムを側面に有する標的RNAを含む。ツイスターリボザイムは自己切断が可能なあらゆる触媒RNA配列である。このリボザイムは急速に自己接触分解を受け、残りの末端はRNAリガーゼで連結されている。
【0063】
一部の実施形態において、dRNAは、前記dRNAをコードする核酸を含む構築体によって導入される。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列とをさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記dRNAは自己触媒的に開裂する。一部の実施形態において、前記触媒されたdRNA産物は、3’末端に5’-ヒドロキシル基および2’,3’-環状リン酸エステルを含む。一部の実施形態において、前記触媒されたdRNA産物は、一般的に存在する内在性RNAリガーゼ(例えば、RNAリガーゼRtcB)によって連結される。一部の実施形態において、前記構築体はプラスミドまたはウイルスベクターである。
【0064】
一部の実施形態において、前記dRNA転写物は、さらに5’および/または3’ライゲーション配列を側方に有し、それに、それぞれ5’-ツイスターリボザイムおよび/または3’-ツイスターリボザイムを側方に有する。一部の実施形態において、前記dRNAは、3’ライゲーション配列を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、5’ライゲーション配列を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、互いに完全に相補的である。
【0065】
一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、独立して、少なくとも約20ヌクレオチドが、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、独立して、約20~30ヌクレオチド、約30~40ヌクレオチド、約40~50ヌクレオチド、約50~60ヌクレオチド、約60~70ヌクレオチド、約70~80ヌクレオチド、約80~90ヌクレオチド、約90~100ヌクレオチド、約100~125ヌクレオチド、約125~150ヌクレオチド、約20~50ヌクレオチド、約50~100ヌクレオチド、または約100~150ヌクレオチドである。
【0066】
一部の実施形態において、前記dRNAはRNAリガーゼによって環化される。RNAリガーゼの非制限的な例としては、RtcB、T4RNAリガーゼ1、T4RNAリガーゼ2、Rnl3およびTrl1が含まれる。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼは前記宿主細胞において内因的に発現される。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼは、RNAリガーゼRtcBである。一部の実施形態において、前記方法は、RNAリガーゼ(例えば、RtcB)を前記宿主細胞に導入することをさらに含む。
【0067】
一部の実施形態において、前記dRNAは宿主細胞に導入される前に環化される。一部の実施形態において、前記dRNAは化学的に合成される。一部の実施形態において、前記dRNAは、in vitroの酵素的連結(例えば、RNAまたはDNAリガーゼを使用する)または化学的連結(例えば、臭化シアンまたは類似の縮合剤を使用する)によって環化される。
【0068】
1つまたは2つのsnoRNA末端を有するdRNA
別の態様では、本出願は、デアミナーゼ-動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞(例えば真核細胞)において標的RNAを編集する方法であって、前記dRNAは、(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列、および(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列を含み、前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる方法を提供する。
【0069】
一部の実施形態において、本明細書は、デアミナーゼ-動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞(例えば真核細胞)において標的RNAを編集する方法であって、前記dRNAは、(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、宿主細胞の内因的に発現されるRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員し、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、任意のタンパク質、またはタンパク質(例えば、Cas、ADAR、またはADARとCasの融合タンパク質)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含まない。
【0070】
一部の実施形態において、本明細書は、(a)デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体、および(b)ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞(例えば、真核細胞)において標的RNAを編集する方法であって、前記dRNAは、(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。一部の実施形態において、前記ADARは、前記宿主細胞の内因的にコードされるADARであり、ADARの導入は、前記宿主細胞におけるADARの過剰発現を含む。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に対して外因的である。一部の実施形態において、前記ADARをコードする核酸を含む構築体は、プラスミドまたはウイルスベクター(例えば、AAVまたはレンチウイルスベクター)のようなベクターである。
【0071】
一態様では、本出願は、複数のdRNAまたは前記dRNAをコードする1つ以上の構築体を宿主細胞に導入することによって、宿主細胞中の複数の標的RNA(例えば、少なくとも約2、3、4、5、10、20、50、100、1000またはそれ以上)を編集する方法を提供する。
【0072】
核小体低分子RNA(snoRNA)は、他のRNA(例えば、リボソームRNA、トランスファーRNA、および核内低分子RNA)の化学修飾を導くことが知られている小さな非コードRNA分子である。snoRNAはその特定の二次構造特徴により、ボックス(box)C/DとボックスH/ACAの2種類に分けられる。snoRNAは、2つの構造的特徴により、補助タンパク質と共に対応するRNA結合タンパク質(RBP)に結合し、機能的な核小体低分子リボ核タンパク質(snoRNP)複合体を形成することが可能である。ボックスC/D snoRNAはメチル化に関連していると考えられ、H/ACAボックスsnoRNAは偽ウリジン化に関連していると考えられている。snoRNAの他のファミリーには、例えば、複合H/ACAおよびC/DボックスsnoRNA、および孤立したsnoRNAが含まれる。本明細書に記載のsnoRNA配列は、天然に存在するsnoRNA、その一部またはそれらの変体を含み得る。
【0073】
一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)と、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)とを含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチドが、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約110ヌクレオチド、少なくとも約120ヌクレオチド、少なくとも約130ヌクレオチド、少なくとも約140ヌクレオチド、少なくとも約150ヌクレオチド、少なくとも約160ヌクレオチド、少なくとも約170ヌクレオチド、少なくとも約180ヌクレオチド、少なくとも約190ヌクレオチド、または少なくとも約200ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、約50~75ヌクレオチド、約75~100ヌクレオチド、約100~125ヌクレオチド、約125~150ヌクレオチド、約150~175ヌクレオチド、約175~200ヌクレオチド、約50~100ヌクレオチド、約100~150ヌクレオチド、約150~200ヌクレオチド、約125~175ヌクレオチド、または約100~200ヌクレオチドである。
【0074】
一部の実施形態において、前記3’snoRNA配列は、配列番号1の核酸配列(5’-AAGATTGTGTGTGGATCGATGATGACTTCCATATATACATTCCTTGGAAAGCTGAACAAAATGAGTGAAAACTCTATACCGTCATTCTCGTCGAACTGAGGTCCAGCACATTACTCCAACAG-3’)を含む。一部の実施形態において、前記5’snoRNA配列は、配列番号2の核酸配列(5’- GAGTGAGATCTTGGACCAATGATGACTTCCATACATGCATTCCTTGGAAAGCTGAACAAAATGAGTGGGAACTCTGTACTATCATCTTAGTTGAACTGAGGTCCACCGGGGGCTAA-3’)を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、H/ACAボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である。
【0075】
Pol IIプロモーターを有する構築体
別の態様では、本明細書は、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0076】
一部の実施形態において、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、前記宿主細胞の内因的に発現されるRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員し、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、任意のタンパク質、またはタンパク質(例えば、Cas、ADAR、またはADARとCasの融合タンパク質)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含まない。
【0077】
一部の実施形態において、本明細書は、(a)デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体、(b)ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員し、前記標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞の内在的にコードされるADARであり、前記ADARの導入は、前記宿主細胞におけるADARの過剰発現を含む。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に対して外因的である。一部の実施形態において、ADARをコードする核酸を含む前記構築体は、プラスミドまたはウイルスベクター(例えば、AAVまたはレンチウイルスベクター)などのベクターである。
【0078】
一態様では、本出願は、複数のdRNAまたは前記dRNAをコードする1つ以上の構築体を宿主細胞に導入することによって、前記宿主細胞中の複数の標的RNA(例えば、少なくとも約2、3、4、5、10、20、50、100、1000またはそれ以上)を編集する方法を提供する。一部の実施形態において、1つのPol IIプロモーター(例えば、CMV)は2つ以上のdRNAの発現を駆動している。
【0079】
Pol IIプロモーターの非制限的な例としては、CMV、SV40、EF-1α、CAG、およびRSVが含まれる。一部の実施形態において、前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターである。一部の実施形態において、前記CMVプロモーターは、配列番号3の核酸配列を含む:(5’- CGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCT-3’)。
【0080】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記宿主細胞は原核細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は真核細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞はヒト細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞はネズミ細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は植物細胞または真菌細胞である。
【0081】
本明細書に記載の方法または使用のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記宿主細胞は、HEK293T、HT29、A549、HepG2、RD、SF268、SW13およびHeLa細胞のような細胞株である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、線維芽細胞、上皮細胞または免疫細胞のような初代細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞はT細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は有糸分裂後の細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、例えば、小脳細胞のような脳細胞のような中枢神経系(CNS)の細胞である。
【0082】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に内因的である。一部の実施形態において、前記RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)は、宿主細胞中、例えば真核細胞中に天然または内因的に存在する。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞によって内因的に発現される。一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に外因的に導入される。一部の実施形態において、前記ADARはADAR1および/またはADAR2である。一部の実施形態において、前記ADARは、hADAR1、hADAR2、マウスADAR1およびADAR2の群より選ばれる1つ以上のADARである。一部の実施形態において、前記ADARはADAR1であり、例えば、ADAR1のp110とアイソタイプである(「ADAR1p110」)および/またはADAR1のp150アイソタイプ(「ADAR1p150」である。一部の実施形態において、前記ADARはADAR2である。一部の実施形態において、前記ADARは、宿主細胞によって発現されたADAR2、例えば、小脳細胞によって発現されたADAR2である。
【0083】
一部の実施形態において、前記ADARは宿主細胞に対して外因的であるADARである。一部の実施形態において、前記ADARは、天然に存在するADARの過剰に活性化された変異体である。一部の実施形態において、前記ADARは、E1008Q変異を含むADAR1である。一部の実施形態において、前記ADARは結合ドメインを含む融合タンパク質ではない。一部の実施形態において、前記ADARは、遺伝子操作された二本鎖核酸結合ドメインを含まない。一部の実施形態において、前記ADARは、前記dRNA中の相補的なRNA配列に融合されたMS2ヘアピンに結合されたMCPドメインを含まない。一部の実施形態において、前記ADARはDSBを含まない。
【0084】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記宿主細胞は高いADAR1発現レベル(例えば、ADAR1p110および/またはADAR1p150)を有し、例えば、β-チューブリンのタンパク質発現レベルに対して、少なくとも約10%、20%、50%、100%、2x、3x、5xまたはそれ以上のいずれか1つである。一部の実施形態において、前記宿主細胞は高いADAR2発現レベルを有し、例えば、β-チューブリンのタンパク質発現レベルに対して、少なくとも約10%、20%、50%、100%、2x、3x、5x、またはそれ以上である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は低いADAR3発現レベルを有し、例えば、β-チューブリンのタンパク質発現レベルに対して、約5x、3x、2x、100%、50%、20%、またはそれ以下である。
【0085】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNAは、少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250ヌクレオチドのいずれか1つの数のヌクレオチドを含む。本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNAは、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250ヌクレオチド以下のいずれか1つの数のヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは、約40~260、45~250、50~240、60~230、65~220、70~220、70~210、70~200、70~190、70~180、70~170、70~160、70~150、70~140、70~130、70~120、70~110、70~100、70~90、70~80、75~200、80~190、85~180、90~170、95~160、100~200、100~150、100~175、110~200、110~175、110~150または105~140ヌクレオチドのいずれか1つのヌクレオチドの数である。
【0086】
本明細書に記載の方法または用途のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNAはADAR-動員ドメインを含まない。「ADAR動員ドメイン」は、ADARに高親和性で結合するヌクレオチド配列または構造であってもよく、または、遺伝子操作されたADAR構築体に融合されたADARの結合パートナーに結合するヌクレオチド配列であってもよい。例示的なADAR動員ドメインとしては、GluR-2、GluR-B(R/G)、GluR-B(Q/R)、GluR-6(R/G)、5HT2CおよびFlnA(Q/R)ドメインを含むが、これらに限定されるものではなく、例えば、Wahlstedt, Helene,およびMarie, “Site-selective versus promiscuous A-to-I editing.“ Wiley Interdisciplinary Reviews: RNA 2.6 (2011): 20 761-771を参照し、これは引用により本明細書に組み込まれている。一部の実施形態において、前記dRNAは二本鎖部分を含まない。一部の実施形態において、前記dRNAは、MS2ステムループのようなヘアピンを含まない。一部の実施形態において、前記dRNAは一本鎖である。一部の実施形態において、前記dRNAはDSB結合ドメインを含まない。一部の実施形態において、前記dRNAは相補的なRNA配列からなる(または本質的にそれからなる)。
【0087】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNAは化学修飾を含まない。一部の実施形態において、前記dRNAは2’-O-メチルヌクレオチドまたはホスホロチオエート結合を有するヌクレオチドのような化学修飾されたヌクレオチドを含まない。一部の実施形態において、前記dRNAは、最初の3残基および後の3残基のみで2’-O-メチルおよびホスホロチオエート結合修飾を含む。一部の実施形態において、前記dRNAはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)ではない。
【0088】
本明細書に記載のdRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含む。本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNA中の標的RNA配列は、少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250ヌクレオチドのいずれか1つの数のヌクレオチドを含む。本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNA中の標的RNA配列は、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250ヌクレオチド以下のいずれか1つの数のヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、前記dRNA中の標的RNA配列のヌクレオチド長は、約40~260、45~250、50~240、60~230、65~220、70~220、70~210、70~200、70~190、70~180、70~170、70~160、1070~150、70~140、70~130、70~120、70~110、70~100、70~90、70~80、75~200、80~190、85~180、90~170、95~160、100~200、100~150、100~175、110~200、110~160、110~175、110~150、140~160、105~140または105~155ヌクレオチドのいずれか1つの数のヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNA中の標的RNA配列の長さは、約71ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは約111ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは約151ヌクレオチドである。
【0089】
一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の標的アデノシン残基の真向かいにあるシチジン、アデノシンまたはウリジンを含む。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の標的アデノシン残基の真向かいにあるシチジンミスマッチを含む。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチド、例えば、少なくとも10、15、20、25、30またはそれ以上のヌクレオチドの箇所に存在する。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記相補的なRNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド、例えば、少なくとも25、30、35またはそれ以上のヌクレオチドの箇所に存在する。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の3’末端から20(例えば、15、10、5以下)ヌクレオチド内には存在しない。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド(例えば、少なくとも25、30、35以上のヌクレオチド)および前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチド(例えば、少なくとも10、15、20、25、30以上のヌクレオチド)に存在する。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の中心に位置する。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、前記dRNA中の標的配列の中心の20ヌクレオチド(例えば、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド)内に位置する。
【0090】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、1、2、3、4、5、6、または複数のGのような1つ以上のグアノシン(G)をさらに含み、すなわち、各Gは、前記標的RNAにおいて非標的アデノシンと正対している。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の非標的アデノシン(A)に対向する2つ以上の連続するミスマッチヌクレオチド(例えば、2、3、4、5またはそれ以上のミスマッチヌクレオチド)を含む。
【0091】
一部の実施形態において、前記標的RNAは、約20個以下の非標的A、例えば、約15個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個の非標的Aのいずれか1つを超えない数の非標的Aを含む。非標的Aに対向するGと連続するミスマッチヌクレオチドはADARのオフターゲット編集作用を低下させることができる。
【0092】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の5’に最も近い隣接物が、U、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的アデノシン残基の3’に最も近い隣接物が、G、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がG>C>A≒Uである。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基は、前記標的RNAにおいて、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフにある。一部の実施形態において、前記3塩基モチーフはUAGであり、前記dRNAは、3塩基モチーフにおいてUの真向かいにあるA、標的Aの真向かいにあるC、および3塩基モチーフにおいてGの真向かいにあるC、GまたはUを含む。一部の実施形態において、前記3塩基モチーフは、前記標的RNA中のUAGであり、前記dRNAは、標的RNAのUAGに対向するACC、ACG、またはACUを含む。一部の実施形態において、前記3塩基モチーフは、標的RNA中のUAGであり、前記dRNAは、標的RNAのUAGに対向するACCを含む。
【0093】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNA、および小さなRNA(例えばmiRNA)からなる群より選ばれるいずれか1つのRNAである。一部の実施形態において、前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNAである。一部の実施形態において、前記標的RNAはメッセンジャーRNAである。
【0094】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記方法は、ADAR3の阻害剤を宿主細胞に導入することをさらに含む。一部の実施形態において、ADAR3の阻害剤は、ADAR3に対するshRNAまたはADAR3に対するsiRNAのような、ADAR3に対するRNAiである。一部の実施形態において、前記方法は、インターフェロン刺激物質を宿主細胞に導入することをさらに含む。一部の実施形態において、前記ADARはインターフェロンにより誘導されてもよく、例えば、前記ADARはADARp150である。一部の実施形態において、インターフェロンの刺激物質はIFNである。一部の実施形態において、ADAR3の阻害剤および/またはインターフェロンの刺激物質は、前記dRNAをコードする同じ構築体(例えば、ベクター)によってコードされる。
【0095】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的RNAの編集効率は、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%またはそれ以上のいずれか1つである。一部の実施形態において、前記標的RNAの編集効率は少なくとも約40%である。一部の実施形態において、前記編集効率は、サンガー(Sanger)シーケンシングによって決定される。一部の実施形態において、前記編集効率は次世代シーケンシングによって決定される。一部の実施形態において、前記編集効率は、レポーター遺伝子(例えば、EGFPのような蛍光レポーター)の発現を評価することによって決定される。
【0096】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記方法は、低いオフターゲット編集率を有する。一部の実施形態において、前記方法は、標的RNA中の非標的Aに対して、約1%未満(例えば、約0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.001%以下のいずれか1つ)の編集効率を有する。一部の実施形態において、前記方法は、標的RNA中の非標的Aを編集しない。一部の実施形態において、前記方法は、非標的RNA中のAに対して、約0.1%未満(例えば、約0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.001%以下のいずれか1つ)の編集効率を有する。
【0097】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記方法は、先天性免疫応答のような免疫応答を誘導しない。一部の実施形態において、前記方法は、宿主細胞におけるインターフェロンおよび/またはインターロイキンの発現を誘導しない。一部の実施形態において、前記方法は、宿主細胞においてIFN-βおよび/またはIL-6の発現を誘導しない。
【0098】
本明細書に記載の方法のいずれか1つによって製造された編集されたRNAまたは編集されたRNAを有する宿主細胞も提供される。一部の実施形態において、前記編集されたRNAはイノシンを含む。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、ミスセンス変異、早期終止コドン、可変的スプライシング部位または異常なスプライシング部位を有するRNAを含む。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、変異したタンパク質、トランケートされたタンパク質、または誤って折り畳まれたタンパク質を含む。
【0099】
核酸の非ウイルス送達方法としては、リポフェクション、ヌクレオフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック法、ウイルスソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸結合体、エレクトロポレーション、ナノ粒子、エキソマー、マイクロバブルまたは遺伝子銃、裸のDNA、および人工ウイルス粒子が含まれる。
【0100】
核酸送達のためのRNAまたはDNAウイルスベースのシステムは、ウイルスを特定の細胞に標的化し、ウイルスペイロードを細胞核に輸送するのに効率的である。
【0101】
本明細書に記載の方法のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNAをコードするウイルスベクター(例えばAAVまたはレンチウイルスベクター)を宿主細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記ベクターは組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターである。一部の実施形態において、前記構築体は、1つまたは複数のAAV逆方向末端反復配列(ITR)配列を側面に有する。一部の実施形態において、前記構築体は2つのAAV ITRを側面に有する。一部の実施形態において、前記AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrh8、AAVrh8R、AAV9、AAV10、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV2R471A、AAVDJ、ヤギAAV、ウシAAV、またはマウスAAV血清型ITRである。一部の実施形態において、前記AAV ITRはAAV2 ITRである。一部の実施形態において、前記ベクターは、スタッファー核酸をさらに含む。一部の実施形態において、前記スタッファー核酸は、前記dRNAをコードする核酸の上流または下流に位置する。一部の実施形態において、前記ベクターは自己相補型rAAVベクターである。一部の実施形態において、前記ベクターは、前記dRNAをコードする第1の核酸配列と、前記dRNAの相補配列をコードする第2の核酸配列とを含み、第1の核酸配列は、その長さの大部分または全長に沿って、第2の核酸配列と鎖内塩基対を形成し得る。一部の実施形態において、前記第1の核酸配列および第2の核酸配列は変異したAAV ITRによって連結され、前記変異したAAV ITRは、D領域の欠失を含み、末端解離配列の変異を含む。一部の実施形態において、前記ベクターはキャプシドによってrAAV粒子中に包まれている。一部の実施形態において、前記AAVウイルス粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrh8、AAVrh8R、AAV9、15AAV10、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV2R471A、AAV2/2-7m8、AAVDJ、AAV2N587A、AAV2E548A、AAV2N708A、AAV2V708K、AAV2-HBKO、AAVDJ8、AAVPHP.B、AAVPHP.eB、AAVBR1、AAVHSC15、AAVHSC17、ヤギAAV、AAV1/AAV2キメラ、ウシAAV、マウスAAVまたはrAAV2/HBoV1血清型キャプシドを含む。
【0102】
一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNAをコードするプラスミドを宿主細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNA(例えば、合成dRNA)を宿主細胞内にエレクトロポレーションすることを含む。一部の実施形態において、前記方法は、前記dRNAを宿主細胞にトランスフェクションすることを含む。
【0103】
脱アミノ化後、標的RNAおよび/または前記標的RNAがコードするタンパク質の修飾は、標的RNA中の標的アデノシンの位置に応じて異なる方法を用いて決定することができる。例えば、標的RNA中の「A」が「I」に編集されているか否かを決定するために、前記分野で知られているRNAシーケンシング方法を用いて、前記RNA配列の修飾を検出することができる。前記RNA編集は、標的アデノシンがmRNAのコード領域に位置する場合、前記mRNAがコードするアミノ酸配列の変化をもたらし得る。例えば、「A」から「I」への形質転換により、点変異を先天的なmRNAに導入することができ、またはmRNA中の獲得点変異を逆転させて野生型遺伝子産物を生成することができる。当該分野で知られている方法によるアミノ酸のシーケンシングは、コードされたタンパク質中のアミノ酸残基の変化を発見するのに有用である。終止コドンの修飾は、機能性、伸長性、トランケート、全長および/または野生型のタンパク質の存在を評価することによって決定され得る。例えば、標的アデノシン残基(UGAまたはUAG)またはA(UAA)に対する修飾は、前記標的アデノシンがUGA、UAGまたはUAA終止コドンに位置する場合、リードスルー変異および/または伸長タンパク質を生成することができ、または前記標的RNAによってコードされるトランケートされたタンパク質を逆転させて、機能性、全長および/または野生型タンパク質を生成することができる。標的RNAの編集はまた、前記標的RNA中に異常なスプライシング部位および/または可変的スプライシング部位を生じさせ、それにより、伸長した、トランケートされた、または誤って折り畳まれたタンパク質を生じさせるか、または前記標的RNA中にコードされた異常なスプライシング部位または可変的スプライシング部位を逆転させて、機能的、正しく折り畳まれた、全長および/または野生型タンパク質を生じさせることができる。一部の実施形態において、本出願は、ミスセンス変異、早期終止コドン、標的RNAによってコードされる異常なスプライシングまたは可変的スプライシング部位などの、先天的および後天的な遺伝的変化の編集を考慮する。既知の方法を用いて、前記標的RNAがコードするタンパク質の機能を評価することにより、前記RNA編集が所望の効果を達成するか否かを見出すことができる。アデノシン(A)を脱アミノ化してイノシン(I)にすることにより、タンパク質をコードする変異RNA中の標的部位の変異Aを修正することができるので、前記脱アミノ化イノシンを同定することにより、機能性タンパク質の存在の有無や、変異アデノシンの存在に起因する疾患や薬剤耐性に関連するRNAが逆転しているか、部分的に逆転しているかを評価することができる。同様に、アデノシン(A)を脱アミノ化してイノシン(I)にすることにより、得られたタンパク質に点変異を導入することができるので、前記脱アミノ化してイノシンにすることを同定することは、疾患の原因または疾患の関連因子を同定するための機能的指標を提供することができる。
【0104】
このリードアウト(read-out)は、標的アデノシンの存在が異常なスプライシングを引き起こす場合、異常なスプライシングの発生および頻度の評価とすることができる。一方、標的アデノシンを脱アミノ化してスプライシング部位を導入したい場合、同様の方法を用いて、所望のタイプのスプライシングが発生しているか否かを調べることができる。当業者に公知の方法を用いて、標的アデノシンの脱アミノ化後のイノシンの存在を同定するのに好適な例示的方法は、RT-PCRおよびシーケンシングである。
【0105】
標的アデノシンの脱アミノ化作用としては、例えば、点変異、早期終止コドン、異常なスプライシング部位、可変的スプライシング部位、および得られたタンパク質の誤折り畳みが含まれる。これらの作用は、遺伝的に受け継がれるか後天性遺伝子変異に起因するかにかかわらず、疾患に関連するRNAおよび/またはタンパク質の構造および機能の変化を誘導したり、薬剤耐性の発生に関連するRNAおよび/またはタンパク質の構造および機能の変化を誘導したりすることができる。従って、本出願のdRNA、前記dRNAをコードする構築体、およびRNA編集方法は、遺伝的遺伝子疾患または病状、または獲得遺伝子変異に関連する疾患または病状を、疾患に関連するRNAおよび/またはタンパク質の構造および/または機能を変化させることにより予防または治療するのに有用である。
【0106】
一部の実施形態において、前記標的RNAは制御性RNAである。一部の実施形態において、前記編集すべき標的RNAは、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNA、または小さなRNA(例えば、miRNA、pri-miRNA、pre-miRNA、piRNA、siRNA、snoRNA、snRNA、exRNAまたはscaRNA)である。標的アデノシンの脱アミノ化作用としては、例えば、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAまたは小さなRNA(例えばmiRNA)の構造および機能の変化、例えば、三次元構造の変化および/または前記標的RNAの機能の喪失または機能の獲得が含まれる。一部の実施形態において、標的RNA中の標的Aの脱アミノ化は、前記標的RNAの1つ以上の下流分子(例えば、タンパク質、RNA、および/または代謝物)の発現レベルを変化させる。下流分子の発現レベルの変化は、発現レベルの増減であってもよい。
【0107】
本出願の一部の実施形態は、宿主細胞における標的RNAの多重編集に関するものであり、これは、標的遺伝子の異なる変体または宿主細胞における異なる遺伝子のスクリーニングに有用である。一部の実施形態において、前記方法は複数のdRNAを宿主細胞に導入することを含み、前記複数のdRNAのうち少なくとも2つは、異なる配列を有するおよび/または異なる標的RNAを有する。一部の実施形態において、各dRNAは、異なる配列および/または異なる標的RNAを有する。一部の実施形態において、前記方法は、宿主細胞中の単一の標的RNA内に複数(例えば、少なくとも2、3、5、10、50、100、1000またはそれ以上)の修飾を生成する。一部の実施形態において、前記方法は、宿主細胞中の複数(例えば、少なくとも2、3、5、10、50、100、1000またはそれ以上)の標的RNAにおいて修飾を生成する。一部の実施形態において、前記方法は、複数の宿主細胞集団における複数の標的RNAを編集することを含む。一部の実施形態において、宿主細胞の各集団は、他の宿主細胞集団と異なるdRNAまたは異なる標的RNAを有するdRNAを受け取る。
【0108】
III.デアミナーゼ動員RNA、構築体およびライブラリー
また、本明細書はまた、本明細書に記載の方法のいずれにも使用され得るデアミナーゼ動員RNAまたは構築体を提供する。本節に記載されたdRNAまたは構築体のいずれも、本明細書に記載のRNAの編集および処理に使用することができる。本明細書に記載のdRNAまたは構築体に対する任意の特徴およびパラメータは、あたかもそれぞれの組み合わせが別個に記載されているかのように、互いに組み合わされ得ることが意図される。本明細書に記載のdRNAは、CRISPR/Cas系に用いられるtracrRNA、crRNA、またはgRNAを含まない。一部の実施形態において、ADARを動員して、標的RNA中の標的アデノシンを脱アミノ化するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、前記標的RNAにハイブリダイズする相補的RNA配列を含むdRNAを提供する。
【0109】
一態様では、本発明は、本明細書に記載のデアミナーゼ-動員RNAのいずれか1つを含む構築体を提供する。一部の実施形態において、前記構築体は、ウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)またはプラスミドである。一部の実施形態において、前記構築体は単一のdRNAをコードする。一部の実施形態において、前記構築体は、複数(例えば、約1、2、3、4、5、10、20またはそれ以上)のdRNAをコードする。
【0110】
一態様では、本出願は、複数のデアミナーゼ動員RNAまたは本明細書に記載の複数の構築体を含むライブラリーを提供する。
【0111】
一態様では、本出願は、デアミナーゼ動員RNAまたは本明細書に記載の構築体を含む組成物または宿主細胞を提供する。一部の実施形態において、前記宿主細胞は、原核細胞または真核細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、前記宿主細胞はヒト細胞である。
【0112】
環状dRNAおよび構築体
一態様では、本明細書は、標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、前記標的RNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、前記dRNAはRNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、前記dRNAは環状であるかまたは環状RNAを形成することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)を提供する。
【0113】
一部の実施形態において、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである。一部の実施形態において、前記dRNAは、Tornado法によって循環される。一部の実施形態において、前記dRNA転写物の側面も5’および/または3’ライゲーション配列であり、その側面はそれぞれ5’-ツイスターリボザイムおよび/または3’-ツイスターリボザイムである。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が互いに相補的である。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、互いに完全に相補的である。
【0114】
一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、独立して、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、独立して、約20~30ヌクレオチド、約30~40ヌクレオチド、約40~50ヌクレオチド、約50~60ヌクレオチド、約60~70ヌクレオチド、約70~80ヌクレオチド、約80~90ヌクレオチド、約90~100ヌクレオチド、約100~125ヌクレオチド、約125~150ヌクレオチド、約20~50ヌクレオチド、または約50~100ヌクレオチド、または約100~150ヌクレオチドである。
【0115】
一部の実施形態において、前記dRNAはRNAリガーゼによって環化される。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼは宿主細胞において内因的に発現される。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼは、RNAリガーゼRtcBである。一部の実施形態において、前記RNAリガーゼRtcBは宿主細胞において内因的に発現される。一部の実施形態において、前記dRNAは、invitroの酵素的連結(例えば、RNAまたはDNAリガーゼを使用する)または化学的連結(例えば、臭化シアンまたは類似の縮合剤を使用する)によって環化される。
【0116】
本明細書はまた、前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を提供する。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記dRNAをコードする核酸を含む構築体によって導入される。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列をさらに含む。一部の実施形態において、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列とをさらに含む。一部の実施形態において、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記5’ツイスター配列は、ツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列は、ツイスターP1である。一部の実施形態において、前記dRNAは自己触媒的に切断される。一部の実施形態において、前記触媒されたdRNA産物は、3’末端に5’-ヒドロキシルおよび2’,3’-環状リン酸エステルを含む。一部の実施形態において、前記触媒されたdRNA産物は、一般的に存在する内在性RNAリガーゼ(例えば、RNAリガーゼRtcB)によって連結される。一部の実施形態において、前記構築体はプラスミドまたはウイルスベクターである。
【0117】
1つまたは2つのsnoRNA末端を有するdRNAおよび構築体
別の態様では、本明細書は、(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に位置する核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含む、標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)を提供する。
【0118】
一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約110ヌクレオチド、少なくとも約120ヌクレオチド、少なくとも約130ヌクレオチド、少なくとも約140ヌクレオチド、少なくとも約150ヌクレオチド、少なくとも約160ヌクレオチド、少なくとも約170ヌクレオチド、少なくとも約180ヌクレオチド、少なくとも約190ヌクレオチド、または少なくとも約200ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記snoRNA配列の長さは、約50~75ヌクレオチド、約75~100ヌクレオチド、約100~125ヌクレオチド、約125~150ヌクレオチド、約150~175ヌクレオチド、約175~200ヌクレオチド、約50~100ヌクレオチド、約100~150ヌクレオチド、約150~200ヌクレオチド、約125~175ヌクレオチド、または約100~200ヌクレオチドである。
【0119】
一部の実施形態において、前記3’snoRNA配列は、配列番号1の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記5’snoRNA配列は、配列番号2の核酸配列を含む。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、H/ACAボックスsnoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である。一部の実施形態において、前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である。
【0120】
Pol IIプロモーターを有する構築体
別の態様では、本明細書は、宿主細胞に取り込まれるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体であって、(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、構築体を提供する。
【0121】
一部の実施形態において、Pol IIプロモーターがコードヌクレオチド配列に作動可能に連結されることにより、前記プロモーターは前記コードヌクレオチド配列の転写または発現を制御する。前記Pol IIプロモーターは、その制御下にあるコードヌクレオチド配列5’(上流)に存在してもよい。前記Pol IIプロモーターとコード配列との間の距離は、前記プロモーターが由来する遺伝子のうち前記プロモーターが制御する遺伝子と前記プロモーターとの間の距離とほぼ同じであってもよい。当技術分野で知られているように、この距離の変化は、プロモーター機能を失うことなく適応することができる。一部の実施形態において、前記構築体は、前記コードヌクレオチド配列の転写または発現を調節する5’UTRおよび/または3’UTRを含む。一部の実施形態において、前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターである。一部の実施形態において、前記CMVプロモーターは、配列番号3の核酸配列を含む。一部の実施形態において、1つのPol IIプロモーター(例えば、CMV)は2つ以上のdRNAの発現を駆動する。
【0122】
本明細書に記載のdRNA、構築体、ライブラリー、または組成物のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の編集すべき標的アデノシンの真向かいにあるシチジン、アデノシン、またはウリジンを含む。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の非標的アデノシンのそれぞれに正対する1つ以上のグアノシンをさらに含む。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の5’に最も近い隣接物が、U、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的アデノシン残基の3’に最も近い隣接物が、G、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度が、G>C>A≒Uである。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の5’に最も近い隣接物がUである。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の5’に最も近い隣接物がCまたはAである。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の3’に最も近い隣接物がGである。一部の実施形態において、前記標的アデノシン残基の3’に最も近い隣接物がCである。
【0123】
本明細書に記載のdRNA、構築体、ライブラリーまたは組成物のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記標的RNA中の前記標的アデノシン残基は、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフ中にある。一部の実施形態において、前記3塩基モチーフはUAGであり、前記dRNAは、前記3塩基モチーフ中のUの真向かいにあるA、標的Aの真向かいにあるC、および前記3塩基モチーフ中のGの真向かいにあるC、GまたはUを含む。一部の実施形態において、前記標的RNA中の3塩基モチーフはUAGであり、前記dRNAは、前記標的RNA中のUAGに対向するACC、ACGまたはACUを含む。
【0124】
一部の実施形態において、前記dRNAは、標的RNA中の標的アデノシン残基の真向かいにあるシチジンミスマッチを含む。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、相補的RNA配列の中心から20、15、10、5、4、3、2、または1ヌクレオチド内のように、相補的RNA配列の中心付近にある。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、相補的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記シチジンミスマッチは、相補的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチドである。
【0125】
本明細書に記載のdRNA、構築体、ライブラリー、または組成物のいずれか1つに係る一部の実施形態において、前記dRNAは、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250ヌクレオチドを超えるいずれか1つの数のヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは、約40~260、45~250、50~240、60~230、65~220、70~210、70~200、70~190、70~180、70~170、70~160、70~150、70~140、70~130、70~120、70~110、70~100、70~90、70~80、75~200、80~190、85~180、90~170、95~160、100~150または105~140ヌクレオチドのいずれか1つのヌクレオチドの数である。
【0126】
本出願のdRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含む。前記標的RNA配列は、標的RNAと完全に相補的または実質的に相補的であり、前記標的RNA配列が標的RNAにハイブリダイズすることを可能にする。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNAと100%の配列相補性を有する。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、標的RNA中の少なくとも約20、40、60、80、100、150、200またはそれ以上のヌクレオチドの連続的な伸長の少なくとも約70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%またはそれ以上のいずれか1つに相補的である。一部の実施形態において、前記標的RNA配列と前記標的RNAとの間のハイブリダイゼーションによって形成されたdsRNAは、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の非ワトソン-クリック塩基対の対(すなわちミスマッチ)を有する。
【0127】
ADAR、例えばヒトADAR酵素は、多くの因子に応じて異なる特異性で二本鎖RNA(dsRNA)構造を編集する。重要な要素の1つは、dsRNA配列を構成する2本の鎖の相補性の程度である。dRNAと標的RNAとの完全な相補性は、通常、ADARの触媒ドメインによってアデノシンを非差別的に脱アミノ化させる。ADARの特異性および効率は、dsRNA領域にミスマッチを導入することによって修飾され得る。例えば、A-Cミスマッチは、編集すべきアデノシンの脱アミノ化の特異性および効率を高めることから、好ましく推奨される。逆に、G-Aミスマッチは、標的アデノシン残基以外の他のA(アデノシン)位置(すなわち「非標的A」)において、オフターゲット編集を減少させることができる。dRNAと標的RNAとの間のdsRNAのハイブリダイゼーションと形成には基本的な相補性を有する限り、dRNAとその標的RNAとの間のdsRNAの形成は必ずしも完全な相補性を必要としない。一部の実施形態において、前記dRNA配列またはその一本鎖RNA領域は、最適にアライメントされた場合、標的RNAと70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれか一つの配列相補性を有する。最適なアライメントは、配列アライメントに使用される任意の適切なアルゴリズムを使用して決定してもよく、その非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wimschアルゴリズム、Burrows-Wheeler変換に基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)が含まれる。
【0128】
標的アデノシンに隣接するヌクレオチドも、脱アミノ化の特異性および効率に影響を与える。例えば、アデノシンの脱アミノ化の特異性および効率に関しては、標的RNA配列中の編集すべき標的アデノシンの5’に最も近い隣接物の優先度がU>C≒A>Gであり、標的RNA配列中の編集すべき標的アデノシンの3’に最も近い隣接物の優先度がG>C>A≒Uである。一部の実施形態において、標的RNA中の前記標的アデノシンが、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフにあり得る場合、アデノシンの脱アミノ化の特異性および効率は、他の3塩基モチーフ中のアデノシンよりも高い。一部の実施形態において、編集すべき標的アデノシンが、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、AAG、AACまたはAAAからなる群より選ばれる3塩基モチーフにある場合、アデノシンの脱アミノ化効率は他のモチーフ中のアデノシンよりもかなり高い。同一の3塩基モチーフに対して、dRNAの設計が異なると、脱アミノ化効率が異なる可能性もある。3塩基モチーフUAGを例にとると、一部の実施形態において、dRNAが、編集すべき標的アデノシンの真向かいにあるシチジン(C)、ウリジンの真向かいにあるアデノシン(A)、およびグアノシンの真向かいにあるシチジン(C)、グアノシン(G)またはウリジン(U)を含む場合、前記標的アデノシンは、他のdRNA配列を用いた場合よりも脱アミノ化効率が高い。一部の実施形態において、dRNAが、標的RNAのUAGに対向するACC、ACGまたはACUを含む場合、前記標的RNAのUAG中のAの編集効率は、約25~90%(例えば、約25~80%、25%~70%、25%~60%、25%~50%、25%~40%、または25%~30%)に達することができる。
【0129】
標的RNA中には、標的アデノシンに加えて、編集されたくない1種以上のアデノシンが存在していてもよい。これらのアデノシンは、編集効率をできるだけ低くすることが好ましい。本開示によれば、標的RNAにおいてグアノシンとアデノシンが正対している場合、脱アミノ化の効率が著しく低下することを見出した。従って、オフターゲット脱アミノ化を低減するために、dRNAは、標的RNA中の編集すべき標的アデノシン以外の1つ以上のアデノシンの真向かいにある1つ以上のグアノシンを含むように設計されてもよい。
【0130】
標的RNA配列を編集するために必要なレベルの特異性および効率は、用途に依存する。本特許出願の指示に従うと、当業者は、標的RNA配列に対して相補的または実質的に相補的な配列を有するdRNAを必要に応じて設計することができ、いくつかの試行錯誤を経て、所望の結果を得ることができる。本明細書で使用されるように、「ミスマッチ」という用語は、二本鎖RNA(dsRNA)において対向するヌクレオチドであって、ワトソン-クリック塩基対の規則に従って完全な塩基対を形成しないものを意味する。ミスマッチ塩基対としては、例えば、G-A、C-A、U-C、A-A、G-G、C-C、U-U塩基対が含まれる。標的RNAにおいて標的アデノシン残基が編集されるA-Cマッチングを例にとると、dRNAは、編集されるAに対向するCを含むように設計され、これにより、標的RNAとdRNAとのハイブリダイゼーションにより形成されるdsRNAにおいてA-Cミスマッチが生じる。
【0131】
一部の実施形態において、dRNAと標的RNAとの間のハイブリダイゼーションにより形成されるdsRNAはミスマッチを含まない。一部の実施形態において、dRNAと標的RNAとの間のハイブリダイゼーションによって形成されるdsRNAは、1つ以上、例えば1、2、3、4、5、6、7またはそれ以上のミスマッチのいずれか1つ(例えば、異なるタイプのミスマッチの同じタイプ)のミスマッチを含む。一部の実施形態において、dRNAと標的RNAとの間のハイブリダイゼーションにより形成されるdsRNAは、G-A、C-A、U-C、A-A、G-G、C-CおよびU-Uから選ばれる1、2、3、4、5、6および7種類のミスマッチのような1つ以上のミスマッチを含む。
【0132】
dRNAと標的RNAとのハイブリダイゼーションにより形成されるdsRNA中のミスマッチヌクレオチドが突起を形成することができ、このように、標的RNAの編集効率を向上させることができる。前記ミスマッチにより形成された1つ(標的アデノシン上にのみ形成された)または複数の突起があってもよい。他の突起により誘導されるミスマッチは、標的アデノシンの上流および/または下流にあり得る。前記突起は、単一のミスマッチ突起(1つのミスマッチ塩基対に起因)または複数のミスマッチ突起(複数の連続するミスマッチ塩基対、例えば2つまたは3つの連続するミスマッチ塩基対に起因)とすることができる。
【0133】
前記dRNA中の標的RNA配列は一本鎖である。前記dRNAは、完全に一本鎖であってもよいし、1つ以上(例えば、1、2、3またはそれ以上)の二本鎖領域および/または1つ以上のステムループ領域を有していてもよい。一部の実施形態において、前記標的RNA配列は、少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200またはそれ以上のヌクレオチドのいずれか1つである。一部の実施形態において、前記標的RNA配列の長さは、約40~260、45~250、50~240、60~230、65~220、70~220、70~210、70~200、570~190、70~180、70~170、70~160、70~150、70~140、70~130、70~120、70~110、70~100、70~90、70~80、75~200、80~190、85~180、90~170、95~160、100~200、100~150、100~175、110~200、110~160、110~175、110~150、140~160、105~140または105~155ヌクレオチドのいずれか1つである。一部の実施形態において、前記dRNA中の標的RNA配列の長さは、約71ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは約111ヌクレオチドである。一部の実施形態において、前記dRNAの長さは約151ヌクレオチドである。
【0134】
一部の実施形態において、前記dRNAは、標的RNA配列に加えて、前記dRNAを安定化するための領域、例えば、1つ以上の二本鎖領域および/またはステムループ領域を含む。一部の実施形態において、前記dRNAの二本鎖領域またはステムループ領域は、約200個以下、150個以下、100個以下、50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、10個以下の塩基対のいずれか1つを含む。一部の実施形態において、前記dRNAはステムループまたは二重鎖領域を含まない。一部の実施形態において、前記dRNAはADAR動員ドメインを含む。一部の実施形態において、前記dRNAはADAR動員ドメインを含まない。
【0135】
前記dRNAは、1つ以上の修飾を含んでいてもよい。一部の実施形態において、前記dRNAは、核酸塩基修飾および/または骨格修飾を含む1つ以上の修飾ヌクレオチドを有する。例示的なRNA修飾は、ホスホロチオエート骨格修飾、リボース中の2’-置換(例えば、2’-O-メチルおよび2’-フルオロ置換)、LNAおよびL-RNAを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記dRNAは核酸塩基または骨格に対する修飾を有さない。
【0136】
本出願はまた、上記の各節に記載されたいずれか1つの構築体を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載のdRNAを含む構築体も考慮する。本明細書で使用されるように、「構築体」という用語は、RNAとして転写され得る、またはタンパク質として発現され得るコードヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を意味する。一部の実施形態において、前記構築体は、RNAまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された1つ以上の調節要素を含む。前記構築体が宿主細胞に導入されると、適切な条件下で、前記構築体中のコードヌクレオチド配列を転写または発現させることができる。
【0137】
一部の実施形態において、前記構築体は、コードヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含み、これにより、前記プロモーターは、前記コードヌクレオチド配列の転写または発現を制御する。プロモーターは、その制御下にあるコードヌクレオチド配列5’(上流)に位置していてもよい。前記プロモーターとコード配列との間の距離は、該プロモーターが由来する遺伝子のうち、前記プロモーターが制御する遺伝子と前記プロモーターとの距離とほぼ同じであってもよい。当技術分野で知られているように、この距離の変化は、プロモーター機能を失うことなく適応することができる。一部の実施形態において、前記構築体は、コードヌクレオチド配列の転写または発現を調節する5’UTRおよび/または3’UTRを含む。一部の実施形態において、前記プロモーターはU6プロモーターである。一部の実施形態において、前記プロモーターは、上記の部分に記載されたPoly IIプロモーターである。
【0138】
一部の実施形態において、前記構築体は、本出願に開示されたいずれか1つのdRNAをコードするベクターである。「ベクター」という用語は、既に連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。ベクターは、一本鎖、二本鎖または部分的に二本鎖の核酸分子;1つまたは複数の自由端を含んだり、自由端を持っていなかったりする(例えば、環状の)核酸分子;DNA、RNA、またはその両方を含む核酸分子;当該分野で知られている他のポリヌクレオチド変異体を含むが、これらに限定されない。ベクターの1種は「プラスミド」であり、標準的な分子クローニング技術により、他のDNAセグメントを挿入し得る環状二本鎖DNAループを意味する。いくつかのベクターは、それらが導入された宿主細胞において自律的に複製することができる(例えば、細菌複製開始点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター(episomal mammalian vector))。宿主細胞に導入された後、他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)が宿主細胞のゲノムに組み込まれ、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、いくつかのベクターは、それらに作動可能に連結されたコードヌクレオチド配列の転写または発現を指導することができる。本明細書では、このようなベクターを「発現ベクター」と呼ぶ。
【0139】
組換え発現ベクターは、宿主細胞において核酸を転写または発現するのに適した形態の本出願の核酸を含んでもよい。一部の実施形態において、前記組換え発現ベクターは、転写または発現のための宿主細胞に基づいて選択することができ、転写または発現すべき核酸配列に作動可能に連結された1つ以上の調節エレメントを含む。組換え発現ベクターにおいて、「動作可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の発現を可能にするように(例えば、in vitro転写/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞に導入された後に宿主細胞において)、調節エレメントに連結されることを意味する。
【0140】
一部の実施形態において、前記ベクターはrAAVベクターである。一部の実施形態において、前記rAAVベクターはAAV血清型由来のベクターであり、AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrh8、AAVrh8R、AAV9、AAV10、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV2R471A、AAV DJ、ヤギAAV、ウシAAVまたはマウスAAVキャプシド血清型などであってもよいが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記AAV中の核酸は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrh8、AAVrh8R、AAV9、AAV10、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV2R471A、AAV DJ、ヤギAAV、ウシAAVまたはマウスAAVキャプシド血清型などのITRを含む。一部の実施形態において、前記AAV中の核酸はまた、本明細書に記載のdRNAをコードする。本開示の範囲内では、任意のAAV血清型の使用が考慮される。一部の実施形態において、前記ベクターはキャプシドによってrAAV粒子に包まれている。一部の実施形態において、前記AAVウイルス粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAVrh8、AAVrh8R、AAV9、AAV10、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV2R471A、AAV2/2-7m8、AAV DJ、AAV2 N587A、AAV2 E548A、AAV2 N708A、AAV2 V708K、AAV2-HBKO、AAVDJ8、AAVPHP.B、AAVPHP.eB、AAVBR1、AAVHSC15、AAVHSC17、ヤギAAV、AAV1/AAV2キメラ、ウシAAV、マウスAAVまたはrAAV2/HBoV1血清型キャプシドを含む。
【0141】
一部の実施形態において、前記dRNAをコードするヌクレオチド配列を含む構築体(例えばウイルスベクターのようなベクター)を提供する。一部の実施形態において、前記ADARをコードするヌクレオチド配列を含む構築体(例えばウイルスベクターのようなベクター)を提供する。一部の実施形態において、前記dRNAをコードする第1のヌクレオチド配列および前記ADARをコードする第2のヌクレオチド配列を含む構築体を提供する。一部の実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列は、同じプロモーターに動作可能に連結されている。一部の実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列は、異なるプロモーターに動作可能に連結されている。一部の実施形態において、前記プロモーターは誘導可能である。一部の実施形態において、前記構築体は前記ADARをコードしない。一部の実施形態において、前記ベクターは、ADAR3の阻害剤(例えば、ADAR3 shRNAまたはsiRNA)および/またはインターフェロンの刺激物質(例えば、IFN-α)をコードする核酸配列をさらに含む。
【0142】
IV.治療方法
本明細書に記載のRNA編集方法および組成物は、遺伝性遺伝子疾患および薬剤耐性を含むがこれらに限定されない、個体の疾患または病状の治療または予防に有用である。
【0143】
一部の実施形態において、本明細書に記載のRNA編集方法のいずれか1つを使用して標的RNAを編集することを含む、個体(例えば、ヒト個体)の細胞中の標的RNAをエクスビボで編集する方法を提供する。
【0144】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体の細胞に導入することを含む個体(例えば、ヒト個体)の細胞中の標的RNAをエクスビボで編集する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0145】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体の細胞に導入することを含む個体(例えば、ヒト個体)の細胞中の標的RNAをエクスビボで編集する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。
【0146】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体の細胞に導入することを含む前記個体(例えば、ヒト個体)の細胞中の標的RNAをエクスビボで編集する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。一部の実施形態において、前記ADARは内因的に発現される。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を細胞に導入することをさらに含む。
【0147】
一部の実施形態において、前記標的RNAは、個体の疾患または病状に関連する。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患、または1つ以上の獲得性遺伝子変異(例えば、薬剤耐性)に関連する疾患または病状である。一部の実施形態において、前記方法は、個体から細胞を得ることをさらに含む。
【0148】
一部の実施形態において、個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、本明細書に記載のRNA編集方法のいずれか1つを使用して、前記個体の細胞において前記疾患または病状に関連する標的RNAを編集することを含む方法を提供する。
【0149】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、前記疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0150】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。
【0151】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を、個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0152】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記方法は、編集されたRNAを有する細胞を培養することをさらに含む。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、編集されたRNAを有する細胞を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患、または1つ以上の獲得性遺伝子変異(例えば、薬剤耐性)に関連する疾患または病状である。
【0153】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0154】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる。
【0155】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む個体(例えば、ヒト個体)の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0156】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患、または1つ以上の獲得性遺伝子変異(例えば、薬剤耐性)に関連する疾患または病状である。
【0157】
本出願の方法を使用して治療するのに適した疾患および状態は、例えばG-A変異、例えばRNA転写物におけるミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは可変的スプライシングを引き起こすG-A変異などの変異に関連する疾患を含む。本出願の方法によって回復され得る疾患関連変異の例としては、がんに関連するTP53W53X(例えば、158G>A)、I型ムコ多糖症(MPSI)に関連するIDUAW402X(例えばエクソン9におけるTGG>TAG変異)、エーラス・ダンロス症候群に関連しているCOL3A1W1278X(例:3833G>A変異)、原発性肺高血圧に関連するBMPR2W298X(例えば、893G>A)、ジュベール(Joubert)症候群に関連するAHI1W725X(例えば、2174G>A)、ファンコニー貧血に関連するFANCCW506X(例えば、1517G>A)、原発性家族性肥大型心筋症に関連するMYBPC3W1098X(例えば、3293GA)、およびX連鎖重症連合免疫不全に関連するIL2RGW237X(例えば、710G>A)が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記疾患または病状はがんである。一部の実施形態において、前記疾患または病状は単一遺伝子疾患である。一部の実施形態において、前記疾患または病状は、多遺伝子疾患である。
【0158】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するがんを治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0159】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を、個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する癌を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAが、ADARを動員して、標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。
【0160】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を、個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するがんを治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0161】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞にエクスビボで導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはTP53W53X(例えば、158G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号4の核酸配列(5’-GGGAGCAGCCUCUGGCAUUCUGGGAGCUUCAUCUGGACCUGGGUCUUCAGUGAACCAUUGUUCAAUAUCGUCCGGGGACAGCAUCAAAUCAUCCAUUGCUUGGGACGGCAA-3’)を含む。
【0162】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関するがんを治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0163】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するがんを治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0164】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体においてに変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するがんを治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0165】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはTP53W53X(例えば、158G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号4の核酸配列を含む。
【0166】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー(Hurler)症候群またはシャイエ(Scheie)症候群)を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0167】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー症候群またはシャイエ症候群)を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる方法を提供する。
【0168】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー症候群またはシャイエ症候群)を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0169】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはIDUAW402X(例えば、エクソン9におけるTGG>TAG変異)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号5の核酸配列(5’- GACGCCCACCGUGUGGUUGCUGUCCAGGACGGUCCCGGCCUGCGACACUUCGGCCCAGAGCUGCUCCUCAUCUGCGGGGCGGGGGGGGGCCGUCGCCGCGUGGGGUCGUUG-3’)を含む。
【0170】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー症候群またはシャイエ症候群)を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0171】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー症候群またはシャイエ症候群)を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0172】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するMPSI(例えば、ハーラー症候群またはシャイエ症候群)を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0173】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはIDUAW402X(例えば、エクソン9におけるTGG>TAG変異)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号5の核酸配列を含む。
【0174】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する疾患または病状であるエーラス・ダンロス症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法を提供する。
【0175】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する疾患または病状であるエーラス・ダンロス症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0176】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する疾患または病状であるエーラス・ダンロス症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0177】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはCOL3A1W1278X(例えば、3833G>A変異)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号6の核酸配列(5’-CAUAUUACAGAAUACCUUGAUAGCAUCCAAUUUGCAUCCUUGGUUAGGGUCAACCCAGUAUUCUCCACUCUUGAGUUCAGGAUGGCAGAAUUUCAGGUCUCUGCAGUUUCU-3’)を含む。
【0178】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するエーラス・ダンロス症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0179】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するエーラス・ダンロス症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0180】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するエーラス・ダンロス症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0181】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはCOL3A1W1278X (例えば、3833G>A変異)である。一部の実施形態において、dRNAは配列番号6の核酸配列を含む。
【0182】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性肺高血圧を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0183】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性肺高血圧を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAが、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0184】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を、個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性肺高血圧を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0185】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはBMPR2W298X(例えば、893G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号7の核酸配列(5’-GUGAAGAUAAGCCAGUCCUCUAGUAACAGAAUGAGCAAGACGGCAAGAGCUUACCCAGUCACUUGUGUGGAGACUUAAAUACUUGCAUAAAGAUCCAUUGGGAUAGUACUC-3’)を含む。
【0186】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性肺高血圧の方法を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0187】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性肺高血圧症を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0188】
一部の実施形態において、有効量のdRNAを個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性肺高血圧を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む方法を提供する。
【0189】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはBMPR2W298X(例えば、893G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号7の核酸配列を含む。
【0190】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するジュベール症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0191】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するジュベール症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAが、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0192】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するジュベール症候群を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0193】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはAHI1W725X(例えば、2174G>A)である。一部の実施形態において、dRNAは、配列番号8の核酸配列(5’-GUGAACGUCAAACUGUCGGACCAAUAUGGCAGAAUCUUCUCUCAUCUCAACUUUCCAUAUCCGUAUCAUGGAAUCAUAGCAUCCUGUAACUACUAGCUCUCUUACAGCUGG-3’)を含む。
【0194】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するジュベール(Joubert)症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0195】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するジュベール症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0196】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するジュベール症候群を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0197】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはAHI1W725X(例えば、2174G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号8の核酸配列を含む。
【0198】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するファンコニ貧血を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0199】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するファンコニ貧血を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0200】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するファンコニ貧血を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0201】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはFANCCW506X(例えば、1517G>A)である。一部の実施形態において、dRNAは、配列番号9の核酸配列(5’-GCCAAUGAUCUCGUGAGUUAUCUCAGCAGUGUGAGCCAUCAGGGUGAUGACAUCCCAGGCGAUCGUGUGGCCUCCAGGAGCCCAGAGCAGGAAGUUGAGGAGAAGGUGCCU-3’)を含む。
【0202】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するファンコニ貧血を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0203】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するファンコニ貧血を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0204】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異を有する(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するファンコニ貧血を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0205】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはFANCCW506X(例えば、1517G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号9の核酸配列を含む。
【0206】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスヒドロで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性家族性肥大型心筋症を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0207】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスヒドロで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性家族性肥大型心筋症を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAが、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0208】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスヒドロで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連する原発性家族性肥大型心筋症を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0209】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはMYBPC3W1098X(例えば、3293G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号10の核酸配列(5’-CAAGACGGUGAACCACUCCAUGGUCUUCUUGUCGGCUUUCUGCACUGUGUACCCCCAGAGCUCCGUGUUGCCGACAUCCUGGGGUGGCUUCCACUCCAGAGCCACAUUAAG-3’)を含む。
【0210】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性家族性肥大型心筋症を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0211】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異を有する(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性家族性肥大型心筋症を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0212】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異を有する(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有する原発性家族性肥大型心筋症を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0213】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはMYBPC3W1098X(例えば、3293G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号10の核酸配列を含む。
【0214】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエキスビトロで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するX連鎖重症複合免疫不全を治療する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0215】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するX連鎖重症複合免疫不全を治療する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0216】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体から単離された細胞にエクスビボで導入することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を有する標的RNAに関連するX連鎖重症複合免疫不全を治療する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0217】
一部の実施形態において、前記ADARは、単離された細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を単離された細胞に導入することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはIL2RGW237X(例えば、710G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは、配列番号11の核酸配列(5’-AGGAUUCUCUUUUGAAGUAUUGCUCCCCCAGUGGAUUGGGUGGCUCCAUUCACUCCAAUGCUGAGCACUUCCACAGAGUGGGUUAAAGCGGCUCCGAACACGAAACGUGUA-3’)を含む。
【0218】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異を有する(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するX連鎖重症複合免疫不全を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法を提供する。
【0219】
一部の実施形態において、有効量のdRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するX連鎖重症複合免疫不全を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、方法を提供する。
【0220】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む有効量の構築体を個体に投与することを含む、個体において変異(例えば、G>A変異)を含有する標的RNAを有するX連鎖重症複合免疫不全を治療または予防する方法であって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法を提供する。
【0221】
一部の実施形態において、前記ADARは、個体の細胞において内因的に発現されるADARである。一部の実施形態において、前記方法は、ADARまたは前記ADARをコードする核酸を含む構築体を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記標的RNAはIL2RGW237X(例えば、710G>A)である。一部の実施形態において、前記dRNAは配列番号11の核酸配列を含む。
【0222】
通常、前記組成物(例えば、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体)の投与量、スケジュール、および経路は、個体のサイズおよび病状に応じて、標準的な薬理学的慣行に従って決定され得る。例示的な投与経路は、静脈内、動脈内、腹膜内、肺内、小胞内、筋内、気管内、皮下、眼内、鞘内、または経皮を含む。
【0223】
本出願のRNA編集方法は、動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)だけでなく、例えば、ADARが内因的に発現している植物または真菌において、植物または真菌のRNAを修飾するために用いることができる。本明細書に記載の方法は、改良された特性を有する遺伝子操作植物および真菌を生成するために用いることができる。
【0224】
本明細書に記載のいずれか1つの治療方法に用いる、dRNA、構築体、編集されたRNAを有する細胞、および組成物のいずれか1つ、ならびに、疾患または病状を治療する薬物の製造に用いる、本明細書に記載のdRNA、構築体、編集済み細胞、および組成物のいずれか1つをさらに提供する。
【0225】
V.組成物、キットおよび製品
本明細書はまた、本明細書に記載の、dRNA、構築体、ライブラリー、または編集されたRNAを有する宿主細胞のいずれか1つを含む組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
【0226】
一部の実施形態において、本明細書に記載のdRNAまたは前記dRNAをコードする構築体のいずれか1つと、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版, Osol, A. 編集(1980))とを含む医薬組成物が提供される。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用される用量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウムクロリド、フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;p-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸プロピル等のp-ヒドロキシ安息香酸アルキル;カテコール;レゾルシン;シクロヘキサノール;3-ペンタノールおよびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む単糖、二糖およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩生成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。一部の実施形態において、凍結乾燥製剤が提供される。インビボ投与に使用される医薬組成物は、無菌でなければならない。これは、例えば、無菌濾過膜による濾過によって達成され得る。
【0227】
本明細書に記載のdRNA、構築体、組成物、ライブラリー、または編集された宿主細胞のいずれか1つを含む、本明細書に記載のRNA編集方法または治療方法のいずれか1つに使用できるキットがさらに提供される。
【0228】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を含む、宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、前記dRNAは、疾患または病状に関連する標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記dRNAは、環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、キットが提供される。
【0229】
一部の実施形態において、dRNAまたは前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を含む、宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、前記dRNAは、(1)標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列と、(2)標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができる、キットが提供される。
【0230】
一部の実施形態において、dRNAをコードする核酸を含む構築体を含む、宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、前記dRNAは、標的RNAにハイブリダイズする標的RNA配列を含み、前記dRNAは、ADARを動員して標的RNA中の標的アデノシン残基を脱アミノ化することができ、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、キットが提供される。
【0231】
一部の実施形態において、前記キットは、ADARまたはADARをコードする核酸を含む構築体をさらに含む。一部の実施形態において、前記キットは、ADAR3の阻害剤またはその構築体をさらに含む。一部の実施形態において、前記キットは、インターフェロンの刺激物質またはその構築体をさらに含む。一部の実施形態において、前記キットは、本明細書に記載のRNA編集方法または治療方法のいずれか1つを実行するための説明書をさらに含む。
【0232】
本出願のキットは、適切な包装に入っている。適切な包装には、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟な包装(例えば、密封されたポリエステルフィルム(Mylar)またはビニール袋)などが含まれるが、これらに限定されない。キットは、トランスフェクションまたは形質導入試薬、細胞培養培地、緩衝液、および解釈情報などの追加コンポーネントを選択可能に提供する場合がある。
【0233】
したがって、本出願はまた、製品を提供する。該製品は、容器と、容器上または容器に関連付けられたラベルまたはプロトコルを含むことができる。適切な容器には、バイアル(密封されたバイアルなど)、ボトル、ジャー、柔軟な包装などが含まれる。一部の実施形態では、前記容器は医薬組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。前記医薬組成物を収容する容器は、再構成された製剤の反復投与(例えば、2~6回の投与)を可能にする複数回使用可能なバイアルであってもよい。プロトコルとは、治療用製品の市販パッケージに通常含まれている説明書を指し、そのような製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌、および/または警告などの情報が含まれている。また、該製品は、注射用静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および注射器を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0234】
前記キットまたは製品は、薬局(例えば、病院薬局および調剤薬局)での保管および使用に十分な量で包装された、複数の単位用量の医薬組成物のおよび使用説明書を含んでもよい。
【0235】
以下の例示的な実施形態および実施例は、本出願の純粋な例として意図されているので、本発明を何らの方式で限定するものとはみなされない。以下の例示的な実施形態および実施例、ならびに詳細な説明は、限定的なものではなく、説明として提供される。
【0236】
例示的な実施形態
本出願は、以下の実施形態を提供する。
1.デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記dRNAは環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる方法。
2.前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
3.前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である、実施形態2に記載の方法。
4.前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、実施形態2または3に記載の方法。
5.前記dRNAはRNAリガーゼRtcBによって環化される、実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.前記RNAリガーゼRtcBは前記宿主細胞において内因的に発現される、実施形態4に記載の方法。
7.前記dRNAは環状RNAである、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
8.前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
9.前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
10.前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列をさらに含む、請求項9に記載の方法。
11.前記3’ツイスター配列はツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列はツイスターP1である、実施形態10に記載の方法。
12.前記5’ツイスター配列はツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列はツイスターP1である、実施形態10に記載の方法。
13.デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、前記dRNAは、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる、方法。
14.前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む、実施形態13に記載の方法。
15.前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含む、実施形態13または14に記載の方法。
16.前記snoRNA配列の長さは少なくとも約70ヌクレオチドである、実施形態13~15のいずれか1項に記載の方法。
17.前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含む、実施形態13~16のいずれか1項に記載の方法。
18.前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含む、実施形態13~17のいずれか1項に記載の方法。
19.前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である、実施形態13~18のいずれか1項に記載の方法。
20.前記snoRNA配列はH/ACAボックスsnoRNA配列である、実施形態13~18のいずれか1項に記載の方法。
21.前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である、実施形態13~18のいずれか1項に記載の方法。
22.前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である、実施形態13~18のいずれか1項に記載の方法。
23.前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、実施形態13~22のいずれか1項に記載の方法。
24.前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、実施形態9~12および23のいずれか1項に記載の方法。
25.前記プロモーターはポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である、実施形態24に記載の方法。
26.デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含む、宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは、標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、方法。
27.前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターである、実施形態25または26に記載の方法。
28.前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、実施形態27に記載の方法。
29.前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドである、実施形態9~12および23~28のいずれか1項に記載の方法。
30.前記構築体はAAVベクターである、実施形態29に記載の方法。
31.前記ADARは前記宿主細胞によって内因的に発現される、実施形態1~30のいずれか1項に記載の方法。
32.前記宿主細胞はT細胞である、実施形態31に記載の方法。
33.標的RNA配列の長さは50ヌクレオチドより長い、実施形態1~32のいずれか1項に記載の方法。
34.前記標的RNA配列の長さは約100~約150ヌクレオチドである、実施形態33に記載の方法。
35.前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の標的アデノシンの真向かいにあるシチジン、アデノシンまたはウリジンを含む、実施形態1~34のいずれか1項に記載の方法。
36.前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の標的アデノシンの真向かいにあるシチジンミスマッチを含む、実施形態35に記載の方法。
37.前記シチジンミスマッチは、前記標的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド離れ、前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチド離れて位置する、実施形態36に記載の方法。
38.前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンのそれぞれに対向する1つ以上のグアノシンをさらに含む、実施形態1~37のいずれか1項に記載の方法。
39.前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンに対向する2つ以上の連続するミスマッチヌクレオチドを含む、実施形態1~38のいずれか1項に記載の方法。
40.前記標的RNA中の標的アデノシンの5’に最も近い隣接物が、U、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的RNA中の前記標的アデノシンの3’に最も近い隣接物が、G、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がG>C>A≒Uである、実施形態1~39のいずれか1項に記載の方法。
41.前記標的RNA中の前記標的アデノシンは、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフに位置する、実施形態1~40のいずれか1項に記載の方法。
42.前記3塩基モチーフはUAGであり、前記標的RNAは、前記3塩基モチーフ中のウリジンの真向かいにあるAと、前記標的アデノシンの真向かいにあるシチジンと、前記3塩基モチーフ中のグアノシンの真向かいにあるシチジン、グアノシンまたはウリジンとを含む、実施形態41に記載の方法。
43.前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである、実施形態1~42のいずれか1項に記載の方法。
44.前記標的RNAはプレメッセンジャーRNAである、実施形態43に記載の方法。
45.ADAR3阻害剤および/または前記宿主細胞に導入することをさらに含む、実施形態1~44のいずれか1項に記載の方法。
46.インターフェロン刺激物質を前記宿主細胞に導入することをさらに含む、実施形態1~45のいずれか1項に記載の方法。
47.それぞれが異なる標的RNAを標的とする複数のdRNAまたは構築体を導入することを含む、実施形態1~46のいずれか1項に記載の方法。
48.前記標的RNAの編集効率が少なくとも40%である、実施形態1~47のいずれか1項に記載の方法。
49.前記構築体または前記dRNAは免疫応答を誘導しない、実施形態1~48のいずれか1項に記載の方法。
50.ADAR(例えば外来ADAR)を前記宿主細胞に導入することをさらに含む、実施形態1~49のいずれか1項に記載の方法。
51.前記ADARは、E1008変異を含むADAR1である、実施形態50に記載の方法。
52.前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシング、または前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転をもたらす、実施形態1~51のいずれか1項に記載の方法。
53.前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNAによってコードされるタンパク質の点変異、トランケート、伸長および/または誤折り畳みを引き起こすか、又は前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転により、機能的、全長的、正確に折り畳まれたおよび/または野生型のタンパク質を生成する、実施形態52に記載の方法。
54.前記宿主細胞は真核細胞である、実施形態1~53のいずれか1項に記載の方法。
55.前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、実施形態54に記載の方法。
56.前記宿主細胞はヒト細胞またはマウス細胞である、実施形態55に記載の方法。
57.編集されたRNAまたは実施形態1~56のいずれか1項に記載の方法によって製造された編集されたRNAを有する宿主細胞。
58.個体の疾患または病状を治療または予防する方法であって、前記疾患または病状に関連する標的RNAを、前記個体の細胞において、実施形態1~57のいずれか1項に記載の方法に従って編集することを含む方法。
59.前記疾患または病状は、遺伝性遺伝子疾患または1つ以上の獲得性遺伝子変異に関連する疾患または病状である、実施形態58に記載の方法。
60.前記標的RNAはG-A変異を有する、実施形態58または59に記載の方法。
61.疾患または病状は単一遺伝子疾患または病状である、実施形態58~60のいずれか1項に記載の方法。
62.前記疾患または病状は多遺伝子疾患または病状である、実施形態58~61のいずれか1項に記載の方法。
63.(i)前記標的RNAはTP53であり、前記疾患または病状はがんであり、
(ii)前記標的RNAはIDUAであり、前記疾患または病状はムコ多糖症I型(MPSI)であり、
(iii)前記標的RNAはCOL3A1であり、前記疾患または病状がエーラス・ダンロス(Ehlers-Danlos)症候群であり、
(iv)前記標的RNAはBMPR2であり、前記疾患または病状はジュベール症候群であり、
(v)前記標的RNAはFANCCであり、前記疾患または病状はファンコニ(Fanconi)貧血であり、
(vi)前記標的RNAはMYBPC3であり、前記疾患または病状は原発性家族性肥大型心筋症であり、または
(vii)前記標的RNAはIL2RGであり、前記疾患または病状はX連鎖重症複合免疫不全である、実施形態58~62のいずれか1項に記載の方法。
64.標的RNAを編集するためのデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
前記dRNAは、前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、前記dRNAは、環状であるかまたは環状RNAを形成することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
65.前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含む、実施形態64に記載のdRNA。
66.前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である、実施形態65に記載のdRNA。
67.前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、実施形態65または66に記載のdRNA。
68.前記dRNAは環状RNAである、実施形態64~67のいずれか1項に記載のdRNA。
69.前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである、実施形態64~67のいずれか1項に記載のdRNA。
70.実施形態64~69のいずれか1項に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体。
71.前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイスターリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイスターリボザイム配列とをさらに含む、実施形態70に記載の構築体。
72.前記3’ツイスター配列はツイスターP3U2Aであり、前記5’ツイスター配列はツイスターP1である、実施形態71に記載の構築体。
73.前記5’ツイスター配列はツイスターP3U2Aであり、前記3’ツイスター配列はツイスターP1である、実施形態72に記載の構築体。
74.標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端における核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
75.前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含む、実施形態74に記載のdRNA。
76.前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(3’snoRNA配列)を含む、実施形態75に記載のdRNA。
77.snoRNA配列の長さは少なくとも約70ヌクレオチドである、実施形態74~76のいずれか1項に記載のdRNA。
78.前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含む、実施形態76~77のいずれか1項に記載のdRNA。
79.前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含む、実施形態75~78のいずれか1項に記載のdRNA。
80.前記snoRNA配列はC/DボックスsnoRNA配列である、実施形態74~79のいずれか1項に記載のdRNA。
81.前記snoRNA配列はH/ACAボックスsnoRNA配列である、実施形態74~79のいずれか1項に記載のdRNA。
82.前記snoRNA配列は、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列である、実施形態74~79のいずれか1項に記載のdRNA。
83.前記snoRNA配列はオーファンsnoRNA配列である、実施形態74~79のいずれか1項に記載のdRNA。
84.実施形態74~83のいずれか1項に記載のdRNAをコードする核酸を含む構築体。
85.前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、実施形態70~73および84のいずれか1項に記載の構築体。
86.前記プロモーターはポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)である、実施形態85に記載の構築体。
87.宿主細胞に取り込まれるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体であって、
(1)前記dRNAは、標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含む、構築体。
88.前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターである、実施形態86または87に記載の構築体。
89.前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、実施形態88に記載の構築体。
90.前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドである、実施形態70~73および84~89のいずれか1項に記載の構築体。
91.前記構築体はAAVベクターである、実施形態90に記載の構築体。
92.前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである、実施形態64~91のいずれか1項に記載の構築体またはdRNA。
93.実施形態64~91のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞。
94.宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、実施形態64~91のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含む、キット。
【0237】
実施例
材料および方法
プラスミドの構築
二重蛍光レポーターは、mCherryおよびEGFP(EGFPの第1のコドンATGが欠失された)をコードするDNAをPCRにより増幅することによってクローン化され、3×GSリンカーおよびターゲティングDNA配列がPCR中にプライマーを介して付加された。次に、PCR産物をタイプIIの制限酵素BsmB1(Thermo)とT4 DNAリガーゼ(NEB)で切断して連結し、pLentiバックボーン(pLenti-CMV-MCS-SV-Bsd、Stanley Cohen Lab, Stanford University)に挿入した。
【0238】
dLbuCas13 DNAは、Lbuプラスミド(Addgene#83485)からPCRにより増幅された。ADAR1DDとADAR2DDは、厦門大学のハン(Han)の研究室からのAdar1(p150)cDNAとAdar2 cDNAから増幅された。ADAR1DDまたはADAR2DDをオーバーラップPCRによってdLbuCas13DNAに融合し、融合したPCR産物をpLentiバックボーンに挿入した。
【0239】
哺乳動物細胞でのdRNAの発現のために、dRNA配列(短いdRNAの場合)を直接に合成し、オーバーラップssDNAを合成したことによってアニーリングしたか、またはPCR増幅し、ゴールデンゲート(Golden-gate)クローニングによりU6発現下で対応するベクターにクローニングした。
【0240】
全長ADAR1(p110)およびADAR1(p150)はADAR1(p150)cDNAからPCR増幅され、全長ADAR2はADAR2 cDNAからPCR増幅され、それぞれpLentiバックボーンにクローニングされた。
【0241】
二重蛍光レポーターの2つのバージョン(レポーター-1、および-3)について、mCherryおよびEGFP(EGFPの開始コドンATGが欠失された)をPCR増幅し、BsmBI(Thermo Fisher Scientific、ER0452)を使用して消化し、続いて、T4 DNAリガーゼ(NEB、M0202L)を介したGGGGSリンカーとのライゲーションが行われた。そして、ライゲーション産物をpLenti-CMV-MCS-PUROバックボーンに挿入した。
【0242】
dLbuCas13-ADARDD(E1008Q)を発現する構築体の場合、ADAR1DD遺伝子はADAR1p150構築体(厦門大学のJiahuai Han研究室からの贈り物)から増幅された。dLbuCas13遺伝子は、Lbu_C2c2_R472A_H477A_R1048A_H1053Aプラスミド(Addgene#83485)からPCRによって増幅された。ADAR1DD(高活性E1008Q変異体)はオーバーラップPCRによって生成され、dLbuCas13に融合された。ライゲーション産物はpLenti-CMV-MCS-BSDバックボーンに挿入された。
【0243】
arRNAを発現する構築体の場合、arRNAの配列を合成し、pLenti-sgRNA-lib 2.0(Addgene#89638)バックボーンにゴールデンゲート(golden-gate)によりクローニングし、arRNAの転写をhU6プロモーターによって駆動した。ADARを発現する構築体の場合、全長ADAR1p110およびADAR1p150はADAR1p150構築体からPCR増幅され、全長ADAR2はADAR2構築体(厦門大学のJiahuai Han研究室からの贈り物)からPCR増幅された。次に、増幅された産物をpLenti-CMV-MCS-BSDバックボーンにクローニングした。
【0244】
病原性変異を有する遺伝子を発現する構築体については、TP53の全長コード配列(Vigenebioから購入)および他の6つの疾患関連遺伝子(COL3A1、BMPR2、AHI1、FANCC、MYBPC3およびIL2RG、中国医学科学院病原体生物学研究所のJianwei Wangの研究室からの贈り物)は、G>A突然変異が導入された対応する遺伝子をコードする構築体から、誘発PCRにより増幅された。増幅産物は、ギブソン(Gibson)クローニング法によりpLenti-CMV-MCS-mCherryバックボーンにクローニングされた。
【0245】
哺乳動物の細胞株と細胞培養
哺乳動物細胞株は、ダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium,10-013-CV,Corning,Tewksbury,MA,USA))を用いて37℃、5%COで培養され、10%ウシ胎児血清(蘭州百霊生物技術有限公司、蘭州、中国)を添加し、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充した。ADAR1-KO細胞株はEdiGene Chinaから購入し、ジェノタイピングの結果もEdiGene Chinaから提供された。
【0246】
HeLaおよびB16細胞株は、Z.Jiangの研究室(北京大学)からのものであった。また、HEK293T細胞株は、C.Zhangの研究室(北京大学)からのものであった。RD細胞株は、J Wangの研究室(北京協和医学院および中国医学科学院の病原体生物学研究所)からのものであった。SF268細胞株は、中国医学科学院、基礎医学研究所、セルセンターから入手した。A549およびSW13細胞株は、EdiGene Inc.から入手した。HepG2、HT29、NIH3T3、およびMEF細胞株は、北京大学の我らの研究室で維持されていた。これらの哺乳動物細胞株は37℃、5%CO下で、10%ウシ胎児血清(CellMax、SA201.02)を含むダルベッコ改良イーグル培地(Corning、10-013-CV)で培養され、さらに1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充した。特に明記されていない限り、細胞はX-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬(Roche、06366546001)で製造元の説明に従ってトランスフェクトされた。
【0247】
ヒト初代肺線維芽細胞(#3300)およびヒト初代気管支上皮細胞(#3210)は、ScienCell Research Laboratories、Inc.から購入し、線維芽細胞培地(ScienCell、#2301)および気管支上皮細胞培地(ScienCell、#3211)でそれぞれ培養された。両方の培地にそれぞれ15%ウシ胎児血清(BI)と1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加した。GM06214およびGM01323初代細胞は、Coriell Institute for Medical Researchに注文し、15%ウシ胎児血清(BI)および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むダルベッコ改良イーグル培地(Corning、10-013-CV)で培養された。すべての細胞は37℃で5%CO下で培養された。
【0248】
レポーターシステムのトランスフェクション、FACS解析およびサンガー(Sanger)シーケンシング
二重蛍光レポーター編集実験では、293T-WT細胞または293T-Adar1-KO細胞を6ウェルプレートに播種し(6×10細胞/ウェル)、24時間後、1.5μgのレポータープラスミドと1.5μgのdRNAプラスミドを、X-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬(06366546001;Roche、Mannheim、ドイツ)を、サプライヤーのプロトコルに従って使用して同時トランスフェクトした。48~72時間後、細胞を収集し、FACS解析を実行した。レポーターmRNA編集をさらに確認するために、FACS Ariaフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して、レポーターおよびdRNAプラスミドをトランスフェクトした293T-WT細胞からのEGFP陽性細胞を選別し、続いて全RNAを単離した(TIANGEN、DP430)。次に、RT-PCR(TIANGEN、KR103-04)を介してRNAをcDNAに逆転写し、標的遺伝子座を対応するプライマーペア(23PCRサイクル)でPCR増幅し、PCR産物をサンガーシーケンシング用に精製した。
【0249】
ADAR1(p110)、ADAR1(p150)、またはADAR2のレスキュー(RESCUE)および過剰発現実験では、293T-WT細胞または293T-ADAR1-KO細胞を12ウェルプレート(2.5×10細胞/ウェル)に播種し、24時間後、X-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬(06366546001、Roche、Mannheim、ドイツ)を使用して、0.5μgのレポータープラスミド、0.5μgのdRNAプラスミドおよび0.5μgのADAR1/2プラスミド(pLentiバックボーンを対照として)を同時トランスフェクトした。48~72時間後、細胞を収集し、FACS解析を実行した。
【0250】
内因性mRNA実験では、293T-WT細胞を6ウェルプレートに播種した(6×10細胞/ウェル)。約70%コンフルエントになったときに、X-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬(06366546001、Roche、Mannheim、ドイツ)を使用して3μgのdRNAプラスミドをトランスフェクトした。72時間後、次のRNA分離のために、細胞を収集し、FACSを介してGFP陽性またはBFP陽性細胞(対応する蛍光マーカーによる)を選別した。
【0251】
ヒト初代T細胞の分離と培養
初代ヒトT細胞は、健康なヒトドナーからの白血球アフェレーシス産物から単離された。簡単に説明すると、末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll遠心分離(Dakewei、AS1114546)で分離し、EasySepヒトT細胞分離キット(STEMCELL、17951)を使用してT細胞をPBMCから磁気ネガティブセレクションで分離した。分離後、T細胞をX-vivo15培地、10%FBSおよびIL2(1000 U/ml)で培養し、CD3/CD28 DynaBeads(ThermoFisher、11131D)で2日間刺激した。健康なドナーからの白血球アフェレーシス製品は、AllCells LLC Chinaから購入した。すべての健康なドナーはインフォームドコンセントを提供した。
【0252】
レンチウイルスパッケージとレポーター細胞株の構築
発現プラスミドは、X-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬を介して、2つのウイルスパッケージングプラスミドpR8.74およびpVSVG(Addgene)とともにHEK293T-WT細胞に同時トランスフェクトされた。72時間後、上清ウイルスを回収し、-80℃で保存した。HEK293T-WT細胞をレンチウイルスに感染させ、72時間後、mCherry陽性細胞をFACSで選別して培養し、限界希釈法により、EGFPバックグラウンドが非常に低い二重蛍光レポーターシステムを安定して発現する単一クローン細胞株を選択した。
【0253】
安定したレポーター細胞株の場合、レポーター構築体(pLenti-CMV-MCS-PUROバックボーン)を、2つのウイルスパッケージングプラスミドpR8.74およびpVSVGとともにHEK293T細胞に同時トランスフェクトした。72時間後、上澄みウイルスを回収し、-80℃で保存した。HEK293T細胞をレンチウイルスに感染させた後、mCherry陽性細胞をFACSで選別して培養し、検出可能なEGFPバックグラウンドのない二重蛍光レポーターシステムを安定して発現する単一クローン細胞株を選択した。HEK293T ADAR1-/-およびTP53-/-細胞株は、以前に報告された方法60に従って生成された。ADAR1を標的とするsgRNAとCMV駆動のピューロマイシン耐性遺伝子を含むPCR増幅されたドナーDNAをHEK293T細胞に同時トランスフェクトした。次に、トランスフェクションの7日後に細胞をピューロマイシンで処理した。ピューロマイシン耐性細胞から単一クローンを単離した後、シーケンシングとウエスタンブロットによる検証を行った。
【0254】
内因性または外因性で発現した転写産物のRNA編集
二重蛍光レポーターでのRNA編集を評価するために、HEK293T細胞またはHEK293T ADAR1-/-細胞を6ウェルプレート(6×10細胞/ウェル)に播種した。24時間後、細胞に1.5μgのレポータープラスミドと1.5μgのarRNAプラスミドを同時トランスフェクトした。ADAR1p110、ADAR1p150、またはADAR2タンパク質発現の影響を調べるために、編集効率をEGFP陽性率とディープシーケンシングによってアッセイした。
【0255】
HEK293T ADAR1-/-細胞を12ウェルプレートに播種した(2.5×10細胞/ウェル)。24時間後、細胞に0.5μgのレポータープラスミド、0.5μgのarRNAプラスミドおよび0.5μgのADAR1/2プラスミド(対照としてのpLentiバックボーン)を同時トランスフェクトした。編集効率は、EGFP陽性率とディープシーケンシングによって解析された。
【0256】
内因性mRNA転写産物のRNA編集を評価するために、HEK293T細胞を6ウェルプレートに播種した(6×10細胞/ウェル)。24時間後、細胞に3μgのarRNAプラスミドをトランスフェクトした。編集効率は、ディープシーケンシングによって解析された。
【0257】
複数の細胞株でのRNA編集効率を評価するために、8~9×10(RD、SF268、HeLa)または1.5×10(HEK293T)細胞を12ウェルプレートに播種した。HT29、A549、HepG2、SW13、NIH3T3、MEF、B16などのトランスフェクションが困難な細胞の場合、2~2.5×10個の細胞を6ウェルプレートに播種した。24時間後、レポーターとarRNAプラスミドをこれらの細胞に同時トランスフェクトした。編集効率は、EGFP陽性率によって解析された。
【0258】
EGFP陽性率を評価するために、トランスフェクションの48~72時間後に、蛍光活性化細胞選別(FACS)解析によって細胞を選別して収集した。mCherryシグナルは、レポーター/arRNA発現細胞の蛍光選択マーカーとして機能し、EGFP/mCherry細胞のパーセンテージは編集効率の読み取り値として計算された。
【0259】
AからIへの編集率のNGS定量化のために、トランスフェクションの48~72時間後に、細胞をFACSアッセイによって選別および収集してRNA単離(TIANGEN、DP420)をした。次に、RT-PCR(TIANGEN、KR103-04)を介して全RNAをcDNAに逆転写し、次の表に記載されている対応するプライマーを使用して、標的遺伝子座をPCR増幅した。
【0260】
【表1】
【0261】
PCR産物は、サンガーシーケンシングまたはNGS(Illumina HiSeq X Ten)のために精製された。
【0262】
複数の細胞株でのテスト
HEK293T(陽性対照)およびHEK293T ADAR1-/-(陰性対照)細胞に加えて、1つのマウス細胞株(NIH3T3)およびさまざまな組織や器官に由来する7つのヒト細胞株(RD、HeLa、SF268、A549、HepG2、HT-29、SW13)を選択して実験を行った。トランスフェクション効率の高い細胞株では、約8~9×10細胞(RD、HeLa、SF268)または1.5×10(HEK293T)を12ウェルプレートの各ウェルに播種し、トランスフェクションが困難なもの(A549、HepG2、HT-29、SW13、NIH3T3)について、2~2.5x10細胞を6ウェルプレートに播種した。そして、これらの細胞はすべて、37℃、5%COでダルベッコ改良イーグル培地(DMEM、Corning)で維持され、この培地には、10%ウシ胎児血清(FBS、CellMax)が補充された。24時間後、CG2レポーターと71nt dRNA(35-C-35)プラスミドをX-tremeGENE HP DNAトランスフェクション試薬(Roche)で異なるタイプの細胞に同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をトリプシンで処理し、FACS(BD)で解析した。トランスフェクション効率の低い細胞ではmCherryおよびBFP陽性細胞が非常に少なかったため、6ウェルプレートに播種した細胞について、FACS解析のための総細胞数を1×10に増やした。
【0263】
実施例1:CMVプロモーターを用いたarRNA発現の駆動によるLEAPERの最適化
RNAポリメラーゼII(Pol II)により編集効率が向上するか否かを調べるために、Pol IIプロモーター(CMV)で駆動されるarRNAを発現するプラスミドを構築した。CMVで駆動されるarRNAとU6プロモーターとのRNA編集効率(arRNA51)を、EGFP発現に基づくレポーター系(レポーター1、図4B)を用いて比較した。未処理の細胞をモックコントロール(Mock)として使用した。非標的RNAでトランスフェクションされた細胞は、コントロール(Ctrl RNA)としても使用された。その結果、RNA編集においてCMV-arRNAがU6-arRNAよりも優れていることがわかった(図1)。
【0264】
【表2】
【0265】
実施例2:sno-arRNA媒介RNA編集
arRNAを安定化し、その核局在化を増強するために、arRNAはsnoRNA末端を有するように操作された。標的蛍光レポーター-1の151-nt arRNAの側面にsnoRNA末端があった(図2A):
5’末端:
GAGTGAGATCTTGGACCAATGATGACTTCCATACATGCATTCCTTGGAAAGCTGAACAAAATGAGTGGGAACTCTGTACTATCATCTTAGTTGAACTGAGGTCCACCGGGGGCTAA (配列番号19);
3’端末:
AAGATTGTGTGTGGATCGATGATGACTTCCATATATACATTCCTTGGAAAGCTGAACAAAATGAGTGAAAACTCTATACCGTCATTCTCGTCGAACTGAGGTCCAGCACATTACTCCAACAG (配列番号20)
名称はsno-arRNA151であった。
二重蛍光レポーター-1は、mCheryの配列(配列番号21)、3×GSリンカーおよびAを標的とする配列(配列番号22)、およびeGFPの配列(配列番号23)を含む。
ATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGGATAACATGGCCATCATCAAGGAGTTCATGCGCTTCAAGGTGCACATGGAGGGCTCCGTGAACGGCCACGAGTTCGAGATCGAGGGCGAGGGCGAGGGCCGCCCCTACGAGGGCACCCAGACCGCCAAGCTGAAGGTGACCAAGGGTGGCCCCCTGCCCTTCGCCTGGGACATCCTGTCCCCTCAGTTCATGTACGGCTCCAAGGCCTACGTGAAGCACCCCGCCGACATCCCCGACTACTTGAAGCTGTCCTTCCCCGAGGGCTTCAAGTGGGAGCGCGTGATGAACTTCGAGGACGGCGGCGTGGTGACCGTGACCCAGGACTCCTCCCTGCAGGACGGCGAGTTCATCTACAAGGTGAAGCTGCGCGGCACCAACTTCCCCTCCGACGGCCCCGTAATGCAGAAGAAGACCATGGGCTGGGAGGCCTCCTCCGAGCGGATGTACCCCGAGGACGGCGCCCTGAAGGGCGAGATCAAGCAGAGGCTGAAGCTGAAGGACGGCGGCCACTACGACGCTGAGGTCAAGACCACCTACAAGGCCAAGAAGCCCGTGCAGCTGCCCGGCGCCTACAACGTCAACATCAAGTTGGACATCACCTCCCACAACGAGGACTACACCATCGTGGAACAGTACGAACGCGCCGAGGGCCGCCACTCCACCGGCGGCATGGACGAGCTGTACAAG (mCherryの配列) (配列番号21)
【0266】
【化1】
【0267】
(配列は、3×GSリンカー(斜体および太字で示されている)および標的A(大きい太字Aで示されている)を含む)(配列番号22)
【0268】
GTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAA (eGFPの配列) (配列番号23)。
【0269】
次に、ヒトU6で駆動されたsno-arRNA151、arRNA151、sno-Ctrl RNA151またはCtrl RNA151を、レポーターを発現するプラスミドとともにHEK293T細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後に、FACS解析によりEGFP陽性率を定量化した。FACSの結果、snoRNA末端を側面とするsno-arRNA151は、線型arRNAよりも低い、EGFP陽性率約38%でレポーターmRNA上の標的RNA編集を媒介できることが示された(図2B~2C)。
snoRNA末端がarRNAを安定化しているかどうかを調べるために、異なる時点でEGPF陽性率を測定した。ヒトU6プロモーター下のsno-arRNA151、arRNA151、sno-Ctrl RNA151またはCtrl RNA151をHEK293T-レポーター細胞にトランスフェクションした。EGFP陽性率はトランスフェクション後3日、6日、12日の3時点で測定した。その結果、sno-arRNAは、延長した期間において、arRNAよりも高い編集効率を示し、snoRNA末端がarRNAを分解から保護し、sno-arRNAの存在量を増強することが示された(図3A)。
arRNAの発現レベルをさらに高めるために、ウイルスベースの強力なプロモーターであるCMVを用いてarRNAまたはsno-arRNAを発現させた。その結果、CMVプロモーターが発現するarRNA(CMV_arRNA)は、U6プロモーターが発現するarRNA(U6_arRNA)よりも高い編集効率を示すことがわかった。また、U6_arRNA群のEGFP陽性率は時間の経過とともに低下したが、CMV_arRNAのEGFP陽性率はトランスフェクション6日後も増加した。同様に、CMVプロモーターが発現するsno-arRNA(CMV_sno-arRNA)は、U6プロモーターが発現するsno-arRNA(U6_sno-arRNA)よりも高い編集効率を実現した(図3B、および図3C)。
以上の結果から、snoRNA末端がarRNAを安定化し、CMVプロモーターにより駆動されるarRNAまたはsno-arRNAの発現量を増加させることが可能であることが判明した。この2種類の策はいずれもarRNAの編集効率を顕著に高めることができた。
【0270】
実施例3:環状arRNA媒介RNA編集
レポーター-1を標的とした環状arRNA71および環状arRNA111の両方を発現したプラスミドを用いて、mCherryとEGFPの間にインフレーム終止コドンを含むレポーター-1を安定に発現するHEK293T細胞をトランスフェクションした(図4B)。EGFP蛍光はRNA上の標的編集の効率を示す。最も効果的なarRNAの構造を調べるために、環状arRNAの側面には、両端のライゲーション配列に連結された25-ntまたは50-ntのリンカーが設けられている(図4A)。比較のために、線状(非環状)arRNA71およびarRNA111も同時にトランスフェクションした。その結果、環状arRNAは、線状arRNAに比べて、EGFP細胞の比率とEGFP強度を強く改善することが明らかになった(図4C)一方、25-ntまたは50-ntリンカーを持つ環状arRNAは効率の向上を低減してしまった(図4C)。
レポーター-3を安定的に発現したHEK293T(図4B)において、長さが編集効率に与える影響をさらにテストした。レポーターEGFP比率に基づいて、環状arRNAの長さは編集効率と正の相関があり、111-ntから151-ntまでの間にピークに達しており(図4D)、また、71-ntは環状arRNA活性の最小長であった(図4D)。
二重蛍光レポーター-3は、mChery配列(配列番号21)、1×GSリンカー(斜体および太字で示される)および標的Aを含む配列(配列番号24)、およびeGFP(配列番号23)を含む。
【0271】
【化2】
【0272】
(配列は、3×GSリンカー(斜体および太字で示されている)および標的A(大きい太字Aで示されている)を含む)(配列番号24)
【0273】
HeLaおよびA549細胞に環状arRNAを使用すると、ADAR1の低発現またはADAR3の高発現のため、我々がテストした複数の細胞株の中でLEAPERの効率が相対的に低下していた。その結果、EGFPレポーターアッセイに基づいて、両細胞株において環状arRNAが編集効率を大幅に向上させることが明らかになった(図4E)。
【0274】
【表3】
【0275】
【表4】
【0276】
実施例4:環状arRNAを有するLEAPERシステムを用いた早期終止コドンの修正
多くの疾患は早期終止コドン(PTC)によって引き起こされる。PTC関連疾患の治療におけるLEAPER-環状arRNAの潜在力を検査するため、1つのインフレームUAA終止コドンレポーターを構築した。3種類の環状arRNA(すなわち、Tornado-arRNA111-A1、Tornado-arRNA111-A2およびTornado-arRNA111-2A)を設計してこのレポーターのUAA部位を標的とし、3種類の異なるarRNAのEGFP陽性率を比較した。その結果、TAAコドンの2番目のアデノシンを標的とするTornado-arRNA111-A2はより効果的であった(図5)。
【0277】
実施例5:環状arRNAを有するLEAPERシステムを用いたmRNAスプライシングの調節
新しいスプライシング生成物を生成するようにmRNAスプライシングを操作することは、デュシェーン(Duchene)筋ジストロフィーのような疾患の治療戦略である。RG6スプライシングレポーターを用いてLEAPER環状arRNAがスプライシング受容体サイトを変化させることができるかどうかを測定した。スプライスアクセプターサイトを標的とするように、Tornado-arRNA71(71-nt)、Tornado-arRNA71(111-nt)およびTornado-arRNA71+BP(受容体サイトと分岐点の両方を標的とする111-nt)を含む3種類の環状arRNAを設計した。HEK293T細胞では、LEAPE-Tornadoによってスプライシングパターンが変化すると、RG6レポーターはEGFPタンパク質よりも多くのdsRNAタンパク質を発現していることを報告している(図6A)。LEAPER-環状arRNAが細胞のスプライシング機構を効果的に標的化できることを見出した(図6B)。
【0278】
実施例6:環状arRNAを用いたLEAPERシステムによるレンチウイル送達
治療用RNAの連続投与は、その有効性に重要である。環状arRNAを持つLEAPERをレンチウイルで送達することでRNA編集が可能かどうかをテストした。その結果、環状arRNAを持つLEAPERは、レンチウイル送達によって機能し、それにより、多様なTornado-arRNAをゲノムに組み込み、安定的に発現させることができることがわかった。Tornado-arRNAの長さは編集効率と正の相関を示した(図7)。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図7
【配列表】
2022536546000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記dRNAは環状RNAであるか、環状RNAを形成することができる、方法。
【請求項2】
前記dRNAは、3’ライゲーション配列および5’ライゲーション配列をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的である、および/または
(ii)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記dRNAは環状RNAであり、または、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAであり、前記dRNAはRNAリガーゼRtcBによって環化され、任意選択的に、前記RNAリガーゼRtcBは前記宿主細胞において内因的に発現される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含み、
好ましくは、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイストリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイストリボザイム配列と、をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記5’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P1である、または
(ii)前記5’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記3’ツイストリボザイム配列がツイスト酵素P1である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)または前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
前記dRNAは、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端に連結された核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる方法。
【請求項6】
(i)前記dRNAは前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含み、
(ii)前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含み、
(iii)前記snoRNA配列の長さは少なくとも約70ヌクレオチドであり、
(iv)前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含み、
(v)前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含み、および/または
(vi)前記snoRNA配列は、C/DボックスsnoRNA配列、H/ACAボックスsnoRNA配列、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列、またはオーファンsnoRNA配列である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記dRNAをコードする核酸を含む構築体を前記宿主細胞に導入することを含み、
好ましくは、前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)であり、
更に好ましくは、前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、
請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体を宿主細胞に導入することを含む、前記宿主細胞において標的RNAを編集する方法であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含み、
好ましくは、前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、方法。
【請求項9】
前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドであり、任意選択的に、前記構築体はAAVベクターである、請求項および7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記ADARは前記宿主細胞によって内因的に発現され、任意選択的に、前記宿主細胞はT細胞である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記標的RNA配列の長さが50ヌクレオチドより長く、任意選択的に、前記標的RNA配列の長さが約100~約150ヌクレオチドであり、
(ii)前記標的RNA配列は、前記標的RNA配列の標的アデノシンの真向かいにあるシチジン、アデノシンまたはウリジンを含み、任意選択的に、前記標的RNA配列は前記標的RNA配列の標的アデノシンの真向かいにあるシチジンミスマッチを含み、例えば、前記シチジンミスマッチは前記標的RNA配列の3’末端から少なくとも20ヌクレオチド離れ、かつ前記標的RNA配列の5’末端から少なくとも5ヌクレオチド離れて位置し、
(iii)前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンのそれぞれに対向する1つ以上のグアノシンをさらに含み、
(iv)前記標的RNA配列は、前記標的RNA中の非標的アデノシンに対向する2つ以上の連続するミスマッチヌクレオチドを含み、
(v)前記標的RNA中の標的アデノシンの5’に最も近い隣接物がU、C、AおよびGから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がU>C≒A>Gであり、前記標的RNA中の標的アデノシンの3’に最も近い隣接物がG、C、AおよびUから選ばれるヌクレオチドであり、優先度がG>C>A≒Uであり、
(vi)前記標的RNA中の前記標的アデノシンは、UAG、UAC、UAA、UAU、CAG、CAC、CAA、CAU、AAG、AAC、AAA、AAU、GAG、GAC、GAAおよびGAUからなる群より選ばれる3塩基モチーフであり、任意選択的に、前記3塩基モチーフはUAGであり、前記標的RNAは、前記3塩基モチーフ中のウリジンの真向かいにあるAと、前記標的アデノシンの真向かいにあるシチジンと、前記3塩基モチーフ中のグアノシンの真向かいにあるシチジン、グアノシンまたはウリジンとを含み、および/または、
(vii)前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAであり、任意選択的に、前記標的RNAはプレメッセンジャーRNAである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ADAR3阻害剤および/またはインターフェロン刺激物質を前記宿主細胞に導入することをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
それぞれが異なる標的RNAを標的とする複数のdRNAまたは構築体を導入することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記標的RNAの編集効率が少なくとも40%である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記構築体または前記dRNAは免疫応答を誘導しない、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記宿主細胞にADARを導入することをさらに含み、任意選択的に、前記ADARはE1008変異を含むADAR1である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシング、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転を引き起こし、任意選択的に、前記標的RNA中の標的アデノシンの脱アミノ化は、前記標的RNAによってコードされるタンパク質の点変異、トランケート、伸長および/または誤折り畳みを引き起こし、または、前記標的RNA中のミスセンス変異、早期終止コドン、異常なスプライシングまたは選択的スプライシングの逆転によって機能的、全長的、正確に折り畳まれたおよび/または野生型のタンパク質を引き起こす、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞は真核細胞であり、任意選択的に、前記宿主細胞は哺乳動物細胞であり、例えば、前記宿主細胞はヒト細胞またはマウス細胞である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
編集されたRNA、または請求項1~18のいずれか1項に記載の方法により製造された編集されたRNAを有する宿主細胞。
【請求項20】
標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含む標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員して、前記dRNAは、環状であるかまたは環状RNAを形成することができる、
好ましくは、前記dRNAは、3’ライゲーション配列と5’ライゲーション配列をさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列は、少なくとも部分的に互いに相補的であり、および/または
(ii)前記3’ライゲーション配列および前記5’ライゲーション配列の長さは、約20~約75ヌクレオチドである、
デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
【請求項21】
前記dRNAは環状RNAであり、または、前記dRNAは、環状RNAを形成し得る線状RNAである、請求項20に記載のdRNA。
【請求項22】
請求項20または21に記載のdRNAをコードする核酸を含み、
好ましくは、構築体は、前記dRNAをコードする核酸の3’末端に連結された3’ツイストリボザイム配列と、前記dRNAをコードする核酸の5’末端に連結された5’ツイストリボザイム配列とをさらに含み、任意選択的に、
(i)前記3’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記5’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P1であり、または
(ii)前記5’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P3U2Aであり、前記3’ツイストリボザイム配列はツイスト酵素P1である、
構築体。
【請求項23】
標的RNAを編集するデアミナーゼ動員RNA(dRNA)であって、
(1)前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列と、
(2)前記標的RNA配列の3’および/または5’末端における核小体低分子RNA(snoRNA)配列とを含み、
前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができる、デアミナーゼ動員RNA(dRNA)。
【請求項24】
(i)前記dRNAは、前記標的RNA配列の5’末端に連結されたsnoRNA配列(「5’snoRNA配列」)を含み、
(ii)前記dRNAは、前記標的RNA配列の3’末端に連結されたsnoRNA配列(「3’snoRNA配列」)を含み、
(iii)前記snoRNA配列の長さが少なくとも約70ヌクレオチドであり、
(iv)前記3’snoRNA配列は配列番号1の核酸配列を含み、
(v)前記5’snoRNA配列は配列番号2の核酸配列を含み、および/または
(vi)前記snoRNA配列は、C/DボックスsnoRNA配列、H/ACAボックスsnoRNA配列、C/DボックスとH/ACAボックスとの複合snoRNA配列、またはオーファンsnoRNA配列である、請求項23に記載のdRNA。
【請求項25】
請求項23または24に記載のdRNAをコードする核酸を含み、
好ましくは、構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、前記プロモーターは、ポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)であり、
前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、
構築体。
【請求項26】
宿主細胞に取り込まれるデアミナーゼ動員RNA(dRNA)をコードする核酸を含む構築体であって、
(1)前記dRNAは前記標的RNAに少なくとも部分的に相補的である標的RNA配列を含み、
(2)前記dRNAは、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(ADAR)を動員することができ、かつ
(3)前記構築体は、前記dRNAをコードする核酸に作動可能に連結されたポリメラーゼIIプロモーター(「Pol IIプロモーター」)を含み、
好ましくは、前記Pol IIプロモーターはCMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターは配列番号3の核酸配列を含む、
構築体。
【請求項27】
前記構築体はウイルスベクターまたはプラスミドであり、任意選択的に、前記構築体はAAVベクターである、請求項22および25または26に記載の構築体。
【請求項28】
前記標的RNAは、プレメッセンジャーRNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、長鎖非コードRNAおよび小さなRNAからなる群より選ばれるRNAである、請求項2027のいずれか1項に記載の構築体またはdRNA。
【請求項29】
請求項2027のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含む宿主細胞。
【請求項30】
宿主細胞において標的RNAを編集するキットであって、請求項2027のいずれか1項に記載の構築体またはdRNAを含むキット。
【国際調査報告】