(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】フェニル基含有化合物、その中間体,製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C07C 309/18 20060101AFI20220809BHJP
C07C 303/22 20060101ALI20220809BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220809BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220809BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220809BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220809BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220809BHJP
C07C 69/96 20060101ALN20220809BHJP
C07C 68/02 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
C07C309/18 CSP
C07C303/22
A61K31/337
A61P35/00
A61P35/04
A61K47/20
A61K31/704
C07C69/96 Z
C07C68/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503467
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2020101842
(87)【国際公開番号】W WO2021008516
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】201910650358.1
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520440180
【氏名又は名称】上海現代薬物製剤工程研究中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MODERN PHARMACEUTICAL ENGINEERING RESEARCH CENTER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1111 Halei Road, Zhangjiang, Pudong New Area, Shanghai 201203, China
(71)【出願人】
【識別番号】510027560
【氏名又は名称】上海医薬工業研究院
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Institute of Pharmaceutical Industry
【住所又は居所原語表記】No.1320 West Beijing Road,Jing’an District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チョーフォン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ユエチュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヤーニー
(72)【発明者】
【氏名】フー、チンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ピエン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】コー、チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユエ
(72)【発明者】
【氏名】イー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ニウ、ミンハオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チウホイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076CC27
4C076DD57
4C076FF16
4C076FF36
4C086AA01
4C086BA02
4C086EA10
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA21
4C086NA03
4C086ZB26
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AB84
4H006AC48
4H006AC61
4H006BB20
4H006BB21
4H006BJ50
4H006BP30
4H006KA53
4H006KC14
(57)【要約】
フェニル基含有化合物、その中間体、製造方法及び使用である。式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、ここで、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ又はC(=O)OR
8であり;ここで、R
8はC
1~C
4アルキルであり;R
6は(II)、(II)又は(IV)であり、R
7は-OH、-NH
2、-NHCH
3、-N(CH
3)
2又はC
1-4アルコキシである。当該化合物は、より低い臨界ミセル濃度(CMC)、良好な希釈耐性を有し、難溶性薬物をカプセル化して小分子ミセルを形成することができ、薬物担持量が大きく、良好な安定性を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は独立して水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ又はC(=O)OR
8であり、R
8はC
1~C
4アルキルであり;
R
6は
【化2】
であり;
R
7は-OH、-NH
2、-NHCH
3、-N(CH
3)
2又はC
1-4アルコキシである。)
【請求項2】
式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、式Iで表される化合物のR
6は、イオンと
【化3】
を形成し;
及び/又は、式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、式Iで表される化合物のR
7は、イオンと、-O
-Na
+を形成し;
及び/又は、前記R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が独立してC
1~C
6アルキルである場合、前記C
1~C
6アルキルはC
1~C
4アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルであり、より好ましくはメチルであり;
及び/又は、前記R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が独立してC
1~C
6アルコキシである場合、前記C
1~C
6アルコキシは、C
1~C
4アルコキシであり、好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシまたはtert-ブトキシであり、より好ましくはメトキシであり;
及び/又は、前記R
8は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルであり;
及び/又は、R
7がC
1-4アルコキシである場合、前記C
1-4アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ又はtert-ブトキシであり、好ましくはメトキシであり;
及び/又は、前記R
6は
【化4】
であり;
及び/又は、前記R
7は、C
1-4アルコキシであることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は
【化5】
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IIIで表される化合物及び式IIで表される化合物を、以下に示すアミンエステル交換反応をさせる工程、
【化6】
を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物の製造方法。
【請求項5】
極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IVで表される化合物及び式Vで表される化合物を、以下に示す縮合反応をさせる工程、
【化7】
を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の式Iで表される化合物の製造方法。
【請求項6】
式IIIで表される化合物。
【化8】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、請求項1~3のいずれか一項に定義した通りである。)
【請求項7】
前記式IIIで表される化合物は
【化9】
であることを特徴とする、請求項6に記載の式IIIで表される化合物。
【請求項8】
医薬補助剤としての請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
前記医薬補助剤は、ミセル投与系における薬物担体であり;前記薬物担体における前記薬物は、好ましくは疎水性薬物であり;前記疎水性薬物は、好ましくはドセタキセル、ドキソルビシン又はパクリタキセルであり、より好ましくはドセタキセルであることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項9に記載の疎水性薬物及び物質Xを含み、前記物質Xは請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする、疎水性薬物ミセル。
【請求項11】
前記疎水性薬物と前記物質Xの質量比は、1.25:1~3:1であることを特徴とする請求項10に記載の疎水性薬物ミセル。
【請求項12】
工程1:請求項9に記載の疎水性薬物、請求項10に記載の前記物質X、及びメタノールを混合して材料Aを得る工程、
工程2:前記材料Aからメタノールを除去し、水和物化し、濾過し、凍結乾燥させる工程を含む特徴とする、疎水性薬物ミセルの製造方法。
【請求項13】
前記物質Xと前記疎水性薬物の質量比は、1.25:1~3:1であり;
及び/又は、前記メタノールの体積は前記疎水性薬物を溶解する程度であればよく、前記メタノールの体積と前記疎水性薬物の質量比は、好ましくは1:4mL/gであり;
及び/又は、工程1において、前記疎水性薬物、前記物質X、及びメタノールを混合した後、更に超音波工程を含み、前記超音波工程の後に前記材料Aを得;
及び/又は、前記メタノールを除去する方法は、回転蒸発及び乾燥であり;前記回転蒸発の温度は、好ましくは30~50℃であり;前記乾燥の温度は好ましくは30~50℃であり;
及び/又は、前記水和物化に使用される注射用水の体積と前記疎水性薬物の質量比は、1:10mL/g~3:10mL/gであり、好ましくは1:10mL/g、3:20mL/g、1:5mL/g、1:4mL/g又は3:10mL/gであり;
及び/又は、前記水和の回転速度は100~200r/分であり;
及び/又は、前記水和時間は5~20分であり;
及び/又は、前記濾過に使用されるフィルターは微多孔性フィルター膜であり;前記微多孔性フィルター膜の孔径は、好ましくは0.22μmであることを特徴とする、請求項12に記載の疎水性薬物ミセルの製造方法。
【請求項14】
疎水性薬物ミセルであって、
請求項12又は13に記載の製造方法により製造され、前記疎水性薬物は、好ましくはドセタキセルである、疎水性薬物ミセル。
【請求項15】
前期化学療法に失敗した末期又は転移性乳癌、或いはシスプラチンベースを主とした化学療法に失敗した末期又は転移性非小細胞肺癌の治療のための薬物の製造における、請求項10、11又は14に記載のドセタキセルミセルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は出願日が2019年7月18である中国特許出願CN2019106503581の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、薬学の分野に属し、投与ミセル系、特にフェニル基含有化合物、その中間体,製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ミセル系は、最も単純なコロイド状投与系の1つであり、難溶性薬物の水溶性を高めることができ、優れたパッシブターゲティング担体系である。ミセルは、ポリマーミセルと小分子ミセルに分けられる。ポリマーミセルは、両親媒性ブロックコポリマーが水中で自己組織化し、疎水性薬物分子をミセル内に可溶化させることにより、薬物の血液循環時間と半減期を延長する。一般的には、ポリエチレングリコール-ポリ乳酸ブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン-ラセミポリ乳酸ブロックコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシスチレンブロックコポリマー及びポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーなどが挙げられる。小分子ミセルの薬物担体はあまり一般的ではない。小分子ミセルは、界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度よりも高い場合に形成され、界面活性剤は、極性親水性基及び非極性疎水性基で構成され、他のポリマー担体と比較して、薬物の担持量が高く、良好な安全性を有する。
【0004】
CN1668583Aには、N-(オールトランスレチノイル)-L-システイン酸メチルエステル(N-(all-trans-retinoyl)-L-cysteic acid methyl ester)及びそのナトリウム塩を小分子ミセルとして使用できることが報告されている。N-(オールトランスレチノイル)-L-システイン酸メチル及びそのナトリウム塩をドセタキセルやドキソルビシンなどの細胞毒性化合物と組み合わせると、相乗効果があり:N-(オールトランススレチノイル)-L-システイン酸メチルエステル及びそのナトリウム塩は、難溶性薬物(例えドセタキセル、パクリタキセルなど)を水溶性製剤に製造することができ、薬物の溶解性を高め、薬理活性を高めることができ;それとドキソルビシンは水溶性製剤に製造することができ、その薬物の治療域を拡大し、治療効果を改善することができる。
【0005】
しかし、N-(オールトランスレチノイル)-L-システイン酸メチルエステルは、安定性が低く、吸湿性が強く、
【0006】
本発明の好ましい実施形態において、前記R1、R2、R3、R4及びR5が独立してC1~C6アルコキシである場合、前記C1~C6アルコキシは、好ましくはC1~C4アルコキシであり、より好ましくはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシまたはtert-ブトキシであり、更により好ましくはメトキシである。
【0007】
本発明の好ましい実施形態において、前記R8は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルである。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、前記R6は好ましくは
【0009】
【0010】
である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、R7がC1-4アルコキシである場合、前記C1-4アルコキシは、好ましくは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ基、n-ブトキシ、イソブトキシ又はtert-ブトキシであり、より好ましくはメトキシである。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、前記R7は、好ましくは、C1-4アルコキシである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、前記R1、R2及びR5は独立してC1~C6アルキルであり;前記R3はC1~C6アルコキシであり;前記R4は水素であり;前記R6は
【0014】
【0015】
であり;前記R7はC1-4アルコキシである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は、好ましくは
【0017】
【0018】
である。
【0019】
本発明はまた、極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IIIで表される化合物と式IIで表される化合物とを、以下に示すアミンエステル交換反応をさせる工程を含む式Iで表される化合物の製造方法を提供する。
【0020】
固形体で保存できないという欠陥があり、産業生産や輸送のいずれも問題が存在する。
【0021】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存の投与担体の種類が単一である欠陥を克服するための、フェニル基含有化合物、その中間体、製造方法及び使用を提供することである。本発明のフェニル基含有化合物は、より低い臨界ミセル濃度(CMC)及び良好な安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、以下の技術的解決手段により上記技術的問題を解決する。
【0024】
本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【0025】
【0026】
ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は独立して水素、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ又はC(=O)OR8であり、R8はC1~C4アルキルであり;
R6は、
【0027】
【0028】
(対応して、式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、R6は、
【0029】
【0030】
であり得る)であり;
R7は、-OH、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2又はC1-4アルコキシ(対応して、式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、R7は、-O-Na+であり得る)である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、前記R1、R2、R3、R4及びR5が独立してC1~C6アルキルである場合、前記C1~C6アルキルは好ましくはC1~C4アルキルであり、より好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルであり、更により好ましくはメチルである。
【0032】
【0033】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、上記で定義した通りである。
【0034】
前記アミンエステル交換反応において、前記極性非プロトン性溶媒は、本分野における当該タイプの反応において通常の極性非プロトン性溶媒であり得、本発明で、特に好ましくは、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒及びスルホキシド系溶媒の1種又は複数種である。前記アミド系溶媒は、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド及びN,N-ジメチルアセトアミドの1種又は複数種であり、より好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドである。前記エーテル系溶媒は、好ましくはテトラヒドロフランである。前記ケトン系溶媒は、好ましくはアセトン及び/又はN-メチルピロリドンである。前記ニトリル系溶媒は、好ましくはアセトニトリルである。前記スルホキシド系溶媒は、好ましくはジメチルスルホキシドである。前記極性非プロトン性溶媒は、好ましくはアミド系溶媒、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒であり、より好ましくはテトラヒドロフラン、アセトニトリル及びN、N-ジメチルホルムアミドである。
【0035】
前記アミンエステル交換反応において、前記極性非プロトン性溶媒中の前記式IIIで表される化合物のモル濃度は、当技術分野における当該タイプの反応の通常のモル濃度であり得、本発明で、特に好ましくは0.01~0.2mol/Lであり、より好ましくは0.05~0.8mol/L(例えば、0.0625mol/Lである)である。
【0036】
前記アミンエステル交換反応において、前記塩基は、当技術分野における当該タイプの反応の通常の塩基であり得、本発明は、特に好ましくは有機アミンであり、より好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリ-n-ブチルアミン及びN-メチルモルホリン中の1種又は複数種であり、更により好ましくはトリエチルアミンである。
【0037】
前記アミンエステル交換反応において、前記塩基と前記式IIIで表される化合物のモル比は、当技術分野における当該タイプの反応の通常のモル比であり得、本発明のモル比は、特に好ましくは、1.5:1~3:1であり、より好ましくは、1.8:1~2.5:1(例えば、2.02:1)である。
【0038】
前記アミンエステル交換反応において、前記式IIで表される化合物と前記式IIIで表される化合物のモル比は、当技術分野における当該タイプの反応の通常のモル比であり得、本発明は、特に好ましくは1:1~3:1であり、より好ましくは1:1~2:1(例えば、1.5:1)である。
【0039】
前記アミンエステル交換反応において、反応の進行は当技術分野の通常のモニタリング方法(例えば、TLC、HPLC又はNMR)によってモニターすることができ、一般的には、式IIIで示される化合物の消失をモニターした時点を反応の終点とする。前記反応の反応時間は、好ましくは1~24時間であり、より好ましくは4~12時間(例えば、4時間及び12時間)である。
【0040】
前記アミンエステル交換反応において、前記反応の反応温度は、当技術分野における当該タイプの反応の通常の反応温度であり得、本発明で、特に好ましくは室温である。
【0041】
前記アミンエステル交換反応において、前記反応が完了した後、更に後処理工程を含むことができる。前記後処理工程は、好ましくは、反応溶液の濃縮、クエンチング、抽出、再抽出、洗浄、濾過及び乾燥である。前記クエンチングに使用される試薬は、好ましくは水である。前記抽出に使用される試薬は、好ましくメチルtert-ブチルエーテルである。前記再抽出に使用される試薬は、好ましくは酢酸エチルである。前記洗浄に使用される試薬は、好ましくは飽和塩化ナトリウム溶液である。前記乾燥の温度は、好ましくは40℃である。前記乾燥に使用される計器は、好ましくは真空乾燥オーブンである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、前記式Iで表される化合物の製造方法は、前記極性非プロトン性溶媒、前記塩基及び前記式IIで表される化合物を混合し、前記式IIIで表される化合物を添加して反応させる工程を含む。
【0043】
本発明は、更に、極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IVで表される化合物及び式Vで表される化合物を、以下に示す縮合反応をさせる工程を含むことができる式Iで表される化合物の製造方法を提供する。
【0044】
【0045】
ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、上記に定義した通りである。
【0046】
前記縮合反応において、前記極性非プロトン性溶媒は、本分野の当該種類の反応において通常の極性非プロトン性溶媒であり得、本発明で、特に好ましくは、エーテル系溶媒及び/又はニトリル系溶媒、好ましくはエーテル系溶媒及びニトリル系溶媒であり、より好ましくは、体積比が1:2であるエーテル系溶媒及びニトリル系溶媒である。前記エーテル系溶媒は、好ましくはテトラヒドロフランである。前記ニトリル系溶媒は、好ましくはアセトニトリルである。前記極性非プロトン性溶媒は、好ましくは、体積比が1:2のテトラヒドロフランとアセトニトリルの混合溶媒である。
【0047】
前記縮合反応において、前記極性非プロトン性溶媒中の前記式IVで表される化合物のモル濃度は、本分野における当該タイプの反応の通常のモル濃度であり得、本発明で、特に好ましくは0.01~1mol/Lであり、より好ましくは0.1~0.2mol/L(例えば、1/6mol/L)である。
【0048】
前記縮合反応において、前記塩基は、本分野における当該タイプの反応の通常の塩基であり得、本発明は、特に好ましくは有機アミンであり、より好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリ-n-ブチルアミン及びN-メチルモルホリンの1種又は複数種であり、更により好ましくはトリエチルアミンである。
【0049】
前記縮合反応において、前記塩基と前記式IVで表される化合物のモル比は、本分野における当該タイプの反応の通常のモル比であり得、前記モル比は1:1を超え、本発明のモル比は、特に好ましくは、1:1~3:1であり、より好ましくは、1:1~1.5:1(例えば、1.15:1)である。
【0050】
前記縮合反応において、前記式Vで表される化合物及び前記式IVで表される化合物のモル比は、本分野における当該タイプの反応の通常のモル比であり得、本発明は、特に好ましくは1:1~3:1であり、より好ましくは1:1~1.5:1(例えば、1.1:1)である。
【0051】
前記縮合反応において、反応の進行は本分野の通常のモニタリング方法(例えば、TLC、HPLC又はNMR)によってモニターすることができ、一般的には、式IVで示される化合物の消失をモニターした時点を反応の終点とする。前記反応の反応時間は、好ましくは10~60分、より好ましくは25~35分(例えば、30分)である。
【0052】
前記縮合反応において、前記反応の反応温度は、本分野における当該タイプの反応の通常の反応温度であり得、本発明で、特に好ましくは0~-40℃であり、より好ましくは-10~-30℃(例えば、-20℃)である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、前記縮合反応は、前記極性非プロトン性溶媒、前記塩基及び前記式IVで表される化合物を混合し、前記式Vで表される化合物を添加して、反応させる工程を含む。
【0054】
本発明は、更に、式IIIで表される化合物を提供し、
【0055】
【0056】
ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、上記に定義した通りである。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、前記式IIIで表される化合物は、好ましくは
【0058】
【0059】
である。
【0060】
本発明はまた、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を医薬補助剤とする使用を提供する。
【0061】
前記医薬補助剤は、好ましくは、ミセル投与系における薬物担体である。前記薬剤担体における前記薬物は、好ましくは疎水性の薬物である。前記疎水性薬剤は、好ましくはドセタキセル、ドキソルビシン又はパクリタキセルであり、より好ましくはドセタキセルである。
【0062】
本発明はまた、前記疎水性薬物及び物質Xを含み、前記物質Xは前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩である疎水性薬物ミセルを提供する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、前記疎水性薬物ミセルにおいて、前記疎水性薬物と前記物質Xの質量比は、好ましくは、1.25:1~3:1である。
【0064】
本発明はまた、以下の工程を含む疎水性薬物ミセルの製造方法を提供し:
工程1:上記疎水性薬物、上記物質X、及びメタノールを混合して材料Aを得る工程;
工程2:前記材料Aからメタノールを除去し、水和物化し、濾過し、凍結乾燥させる工程。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、前記疎水性薬物ミセルの製造方法において、前記物質Xと前記疎水性薬物の質量比は、好ましくは、1.25:1~3:1である。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、前記メタノールの体積は前記疎水性薬物を溶解できる程度であればよく、前記メタノールの体積と前記疎水性薬物の質量比は、好ましくは1:4mL/gである。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、工程1で、前記疎水性薬物、前記物質X、及びメタノールを混合した後、更に超音波工程を含み、前記超音波工程後前記材料Aを得ることができる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、前記メタノールを除去する方法は、好ましくは、回転蒸発及び乾燥である。前記回転蒸発の温度は、好ましくは30~50℃(例えば、40℃)である。前記乾燥の温度は好ましくは30~50℃(例えば、40℃)である。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、前記水和物化に使用される注射用水の体積及び前記疎水性薬物の質量比は、好ましくは1:10mL/g~3:10mL/gであり、より好ましくは1:10mL/g、3:20mL/g、1:5mL/g、1:4mL/g又は3:10mL/gである。
【0070】
本発明の好ましい実施形態において、前記水和の回転速度は、本分野における薄膜水和化法の通常の水和の回転速度であり得、本発明で、特に好ましくは100~200r/分(例えば、100r/分)である。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、前記水和時間は、本分野における薄膜水和法の従来の水和時間であり得、本発明で、特に好ましくは5~20分(例えば10分)である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、前記濾過に使用されるフィルターは、好ましくは微多孔性フィルター膜である。前記微多孔性フィルター膜の孔径は、好ましくは0.22μmである。
【0073】
本発明はまた、上記の製造方法に従って製造される疎水性薬物ミセルを提供し、前記疎水性薬物は好ましくはドセタキセルである。
【0074】
本発明はまた、前期化学療法に失敗した末期又は又は転移性乳癌、或いはシスプラチンベースの化学療法に失敗した末期又は移性非小細胞肺癌の治療のための薬物の製造におけるドセタキセルミセルの使用を提供する。
【0075】
本発明において、室温は10~30℃を指す。
【0076】
本発明において、疎水性薬物は、非極性であり、水に不溶で、中性及び非極性溶液(有機溶媒など)に容易に溶解する傾向がある薬物を指す。疎水性薬剤は、ドセタキセル、ドキソルビシン又はパクリタキセルを含むが、これらに限定されない。
【0077】
本分野の常識を違反しない限り、前記好ましい条件は、任意に組み合わせて、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
【0078】
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【発明の効果】
【0079】
本発明の積極的な進歩効果は、より低い臨界ミセル濃度(CMC)を有し、希釈耐性が良好で、難溶性薬物をカプセル化して小分子ミセルを形成することができ、高い薬物担持量、及び良好な安定性を有するフェニル基含有化合物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1は、ピレン蛍光プローブにより測定した担体のCMC値である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を記載された実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選ばれる。
【実施例】
【0082】
実施例1
【0083】
【0084】
アシトレチン酪酸無水物の製造:25mLの三口フラスコに、室温で、アシトレチン(0.32g、1mmol)、2mLのテトラヒドロフラン、4mLのアセトニトリル、0.16mLのトリエチルアミンを順次に添加し、低温冷却タンクに入れ、機械的撹拌し、反応系を-20℃に冷却した際、クロロホルム酸ブチル(0.14mL、1.1mmol)をゆっくりと添加し、添加完了後、30分間反応を続けた。アシトレチン酪酸無水物の反応溶液を得た。
【0085】
【0086】
担体の製造:25mLの四つ口フラスコに、室温で、L-システイン酸メチルエステル(0.33g、1.5mmol)、10mLのN、N-ジメチルホルムアミド、0.26mLのトリエチルアミンを添加し、機械的攪拌し、室温で、ほぼ溶解するまで撹拌した後、上記のアシトレチン酪酸無水物反応溶液を滴下し始めた。滴下完了した後、4時間反応を続けた。反応完了後、反応溶媒の一部をスピンオフし、20mLの水を添加し、未反応のアシトレチン(20mLx3)をメチルtert-ブチルエーテルで抽出し、反応生成物を酢酸エチル(20mLx2)で抽出した。酢酸エチル相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、第2回に固体を析出し、濾過した後、固体を40℃の真空乾燥オーブンに入れて乾燥させ、410mgの淡黄色固体を得、生成物の収率は84%であり、純度は99.78%であった
【0087】
ナトリウム担体の製造:25mLの四つ口フラスコに、室温で、L-システイン酸メチルエステル(0.33g、1.5mmol)、10mLのN,N-ジメチルホルムアミド、0.26mLのトリエチルアミンを添加し、機械的攪拌し、室温で、ほぼ溶解するまで撹拌した後、上記アシトレチン酪酸無水物反応溶液を滴下し始めた。滴下完了した後、4時間反応を続けた。反応完了後、反応溶媒の一部をスピンオフし、6mlの飽和重炭酸ナトリウムを添加し、1時間反応を続け、20mLの水を添加し、未反応のアシトレチン(20mLx3)をメチルtert-ブチルエーテルで抽出し、反応生成物を酢酸エチル(20mLx2)で抽出した。酢酸エチル相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、第2回目に固体を析出し、濾過後、固体を40℃の真空乾燥オーブンに入れて乾燥させ、410mgの淡黄色固体を得、生成物の収率は82%であり、純度は99.64%であった。
【0088】
担体:MS(ESI)m/z490.29(M-H+);1H NMR(400MHz,MeOD)δ8.00(s,1H,NH),7.06(dd,J=14.9,11.5Hz,1H,CH=CH-),6.72(d,J=16.3Hz,1H,-CH=CH-),6.65(s,1H,Ph-H),6.38(d,J=15.0Hz,1H,-CH=CH-),6.32-6.19(m,2H,-CH=CH-),4.58(s,1H,CH),3.80(s,3H,-O-CH3),3.77(s,3H,C-O-CH3),3.02(s,1H,CH2),2.88(s,1H,CH2),2.33(s,3H,CH3),2.29(s,3H,CH3),2.23(s,3H,CH3),2.12(s,6H,CH3).
【0089】
担体:HPLC検出条件:カラム:Inertsil ODS-SP(4.6×250mm、5μm);移動相:アセトニトリル:リン酸緩衝液(43:57);緩衝液:20mmol/Lのリン酸二水素カリウム及びリン酸水素二ナトリウム;流量:1.0mL/分;カラム温度:40℃;検出波長:355nm;注入量:10μL;製品のピークの保持時間:21.234分、HPLC検出結果は表1に示した。
【0090】
【0091】
実施例2
【0092】
【0093】
アシトレチン酪酸無水物の製造:50mLの三口フラスコに、室温で、アシトレチン(0.98g、3mmol)、6mLのテトラヒドロフラン、12mLのアセトニトリル、0.48mLのトリエチルアミンを順次に添加し、低温冷却タンクに入れ、機械的撹拌し、反応系を-20℃に冷却し、クロロホルム酸ブチル(0.42mL、3.3mmol)をゆっくりと添加し、添加完了後、30分間反応を続けた。アシトレチン酪酸無水物の反応溶液を得た。
【0094】
【0095】
担体の製造:100mLの四つ口フラスコに、室温で、L-システイン酸メチルエステル(0.99g、4.5mmol)、30mLのN,N-ジメチルホルムアミド、0.78mLのトリエチルアミンを添加し、機械的攪拌し、室温で、ほぼ溶解するまで撹拌した後、上記アシトレチン酪酸無水物反応溶液を滴下し始めた。滴下完了した後、12時間反応を続けた。反応完了後、反応溶媒の一部をスピンオフし、60mLの水を添加し、未反応のアシトレチン(60mLx3)をメチルtert-ブチルエーテルで抽出し、反応生成物を酢酸エチル(60mLx3)で抽出した。酢酸エチル相を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、第2回目に固体を析出し、濾過後、固体を40℃の真空乾燥オーブンに入れて乾燥させ、1.21gの淡黄色固体を得、製品の収率は82%であり、純度は99.69%であった。MS(ESI)及び1H NMRデータは、実施例1の担体と同様である。
【0096】
実施例3 ピレン蛍光プローブによる臨界ミセル濃度(CMC)の測定
アセトンで1.0mg/mLのピレン母液を製造し、0.01mg/mLに100倍希釈し、10μLを1.5mLEPチューブに取り、常温で、避光した換気所にアセトンを蒸発させた。1mLの各濃度の担体溶液を添加し(実施例1の担体を純水に溶解し、異なる濃度に製造した)、6時間振とうして平衡化し、蛍光分光光度計でI1(373nm)及びI3(384nm)での蛍光強度値を測定し、LogCに対してI1/I3をプロットし、測定されたCMCは6.5μg/mLであった。
【0097】
実施例4 担体の安定性試験
実施例1の担体を固形体の形態で、常温正常光線、常温避光、4℃の避光環境及び-18℃の避光環境に置き、1d、3d、7d、30d、60d、90d、120d放置した後の担体残量をそれぞれ測定し、ここで、残存量をHPLCで測定し、その測定結果は表2に示した通りであった。
【0098】
【0099】
実施例5 薄膜水和法によるドセタキセルナノミセルの製造
ドセタキセル(DTX)、実施例1の担体を秤量し、完全に溶解するまでメタノールで超音波処理した後、40℃で5分間所定の速度で回転蒸発させ、溶媒メタノールを除去し、40℃の真空乾燥オーブンに2時間置き、残留溶媒を除去し、注射用水を添加し水和し、水和速度を100r/分とし、水和時間を10分とし、0.22μmの微多孔性フィルター膜(PES)で濾過し、凍結乾燥を行い、ナノミセルの凍結乾燥製剤を得、製剤の特性データは表3に示した通りであった。
【0100】
【0101】
実施例5 薄膜水和法によるドセタキセルナノミセルの製造
20mgのDTX、30mgの実施例1の担体を秤量し、完全に溶解するまで5mLのメタノールで超音波処理した後、40℃で5分間所定の速度で回転蒸発させ、溶媒メタノールを除去し、40℃の真空乾燥オーブンに2時間置き、残留溶媒を除去し、注射用水を添加し水和物化し、水和速度を100r/分とし、水和時間を10分とし、0.22μmの微多孔性フィルター膜(PES)で濾過し、凍結乾燥して、ナノミセルの凍結乾燥製剤を得、製剤の特性データは表4に示した通りであった。
【0102】
【0103】
比較例1
N-(オールトランスレチノイル)-L-システイン酸メチルエステルのナトリウム塩を固形体の形態で、常温正常光線、常温避光、4℃の避光環境及び-18℃の避光環境(他の条件は実施例4と同様)に置き、1d、3d、7d、30d放置した後の外観と残量をそれぞれ測定し、残量をHPLCで測定し、測定の結果は表5に示した通りであった。
【0104】
【0105】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明だけで、本発明の原理と実質に反しないという前提下において、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は独立して水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ又はC(=O)OR
8であり、R
8はC
1~C
4アルキルであり;
R
6は
【化2】
であり;
R
7は-OH、-NH
2、-NHCH
3、-N(CH
3)
2又はC
1-4アルコキシである。)
【請求項2】
式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、式Iで表される化合物のR
6は、イオンと
【化3】
を形成し;
及び/又は、式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩において、式Iで表される化合物のR
7は、イオンと、-O
-Na
+を形成し;
及び/又は、前記R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が独立してC
1~C
6アルキルである場合、前記C
1~C
6アルキルはC
1~C
4アルキルであ
り;
及び/又は、前記R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5が独立してC
1~C
6アルコキシである場合、前記C
1~C
6アルコキシは、C
1~C
4アルコキシであ
り;
及び/又は、前記R
8は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチルであり;
及び/又は、R
7がC
1-4アルコキシである場合、前記C
1-4アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ又はtert-ブトキシであ
り;
及び/又は、前記R
6は
【化4】
であり;
及び/又は、前記R
7は、C
1-4アルコキシであることを特徴とする、請求項1に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は
【化5】
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IIIで表される化合物及び式IIで表される化合物を、以下に示すアミンエステル交換反応をさせる工程、
【化6】
を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物の製造方法。
【請求項5】
極性非プロトン性溶媒中で、塩基の作用下で、式IVで表される化合物及び式Vで表される化合物を、以下に示す縮合反応をさせる工程、
【化7】
を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の式Iで表される化合物の製造方法。
【請求項6】
式IIIで表される化合物。
【化8】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、請求項1~3のいずれか一項に定義した通りである。)
【請求項7】
前記式IIIで表される化合物は
【化9】
であることを特徴とする、請求項6に記載の式IIIで表される化合物。
【請求項8】
医薬補助剤としての請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
前記医薬補助剤は、ミセル投与系における薬物担体であり;前記薬物担体におけ
る薬物は
、疎水性薬物であり;前記疎水性薬物は
、ドセタキセル、ドキソルビシン又はパクリタキセルで
あることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項9に記載の疎水性薬物及び物質Xを含み、前記物質Xは請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする、疎水性薬物ミセル。
【請求項11】
前記疎水性薬物と前記物質Xの質量比は、1.25:1~3:1であることを特徴とする請求項10に記載の疎水性薬物ミセル。
【請求項12】
工程1:請求項9に記載の疎水性薬物、請求項10に記載の前記物質X、及びメタノールを混合して材料Aを得る工程、
工程2:前記材料Aからメタノールを除去し、水和物化し、濾過し、凍結乾燥させる工程を含む特徴とする、疎水性薬物ミセルの製造方法。
【請求項13】
前記物質Xと前記疎水性薬物の質量比は、1.25:1~3:1であり;
及び/又は、前記メタノールの体積は前記疎水性薬物を溶解する程度であればよ
く;
及び/又は、工程1において、前記疎水性薬物、前記物質X、及びメタノールを混合した後、更に超音波工程を含み、前記超音波工程の後に前記材料Aを得;
及び/又は、前記メタノールを除去する方法は、回転蒸発及び乾燥であり
;
及び/又は、前記水和物化に使用される注射用水の体積と前記疎水性薬物の質量比は、1:10mL/g~3:10mL/gであ
り;
及び/又は、前記水和の回転速度は100~200r/分であり;
及び/又は、前記水和時間は5~20分であり;
及び/又は、前記濾過に使用されるフィルターは微多孔性フィルター膜で
あることを特徴とする、請求項12に記載の疎水性薬物ミセルの製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の製造方法により製造さ
れる、疎水性薬物ミセル。
【請求項15】
前期化学療法に失敗した末期又は転移性乳癌、或いはシスプラチンベースを主とした化学療法に失敗した末期又は転移性非小細胞肺癌の治療のための薬物の製造における、請求項10、11又は14に記載のドセタキセルミセルの使用。
【国際調査報告】