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特表2022-536571ユーザーに最適化された実験室環境提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】ユーザーに最適化された実験室環境提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220810BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20220810BHJP
   F24F 11/70 20180101ALN20220810BHJP
【FI】
G06Q50/10
F24F11/52
F24F11/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549172
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 KR2020006819
(87)【国際公開番号】W WO2021230410
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0058224
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317015331
【氏名又は名称】ジーティーサイエン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・キュン・カン
(72)【発明者】
【氏名】スン・クァン・ジェ
【テーマコード(参考)】
3L260
5L049
【Fターム(参考)】
3L260AB15
3L260AB18
3L260BA74
3L260FA03
3L260FC06
3L260FC22
3L260FC25
3L260JA12
3L260JA13
3L260JA18
5L049CC11
(57)【要約】
本発明の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法は、ユーザー端末からユーザー位置情報とユーザー実験情報を受信する段階と、複数個のセンサから実験室装備位置情報と実験室内部環境情報を受信する段階と、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいてユーザーに実験ガイド情報を提供する段階と、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて実験室装備を制御する段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末からユーザー位置情報とユーザー実験情報を受信する段階;
複数個のセンサから実験室装備位置情報と実験室内部環境情報を受信する段階と、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階と、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階と、を含む、ユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項2】
前記ユーザー端末からユーザー実験情報を受信する段階は、
ユーザー端末からユーザーセキュリティー等級情報とユーザーの実験に使う試薬情報を受信する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項3】
前記複数個のセンサから実験室装備位置情報を受信する段階は、
複数個のセンサから試薬棚、スマートテーブル、有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備位置情報を受信する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項4】
前記複数個のセンサから実験室内部環境情報を受信する段階は、
複数個のセンサから実験室内部で発生する有害ガス、高危険性および高揮発性有害ガス濃度を含む実験室内部の空気質情報と実験室温度情報を受信する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項5】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、
前記ユーザー位置情報に基づいて前記ユーザーが前記実験室内に位置するか否かを判断する段階と、
前記ユーザー実験情報と前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に予測される実験室内部環境情報を提供する段階と、を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項6】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、
前記ユーザー位置情報に基づいて前記ユーザーが前記実験室内に位置するか否かを判断する段階と、
前記ユーザー実験情報に基づいて前記ユーザーに前記ユーザーが使う試薬に対する物質安全保健資料を提供し、高危険群有害ガスが発生する実験をヒュームフードで遂行するように実験ガイド情報を提供する段階と、を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項7】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザー端末に実験ガイド情報を提供する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項8】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室内のスマートテーブルのディスプレイを通じて実験ガイド情報を提供する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項9】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、
前記ユーザー実験情報と前記実験室内部環境情報に基づいて実験中に予測される実験室内部環境情報によって有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項10】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断する段階と、
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階と、を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項11】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、
前記ユーザー位置情報とヒュームフードの位置情報を利用して高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断する段階と、
前記実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階と、を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項12】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、
ユーザーの実験に使う試薬情報に基づいて前記実験室内試薬棚のロック装置を制御して前記ユーザーの試薬棚内接近領域を調節する段階を含む、請求項1に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項13】
ユーザー端末からユーザー実験情報を受信する段階と、
メモリから前記ユーザー実験情報に対応する参照実験情報を読み込む段階と、
複数個のセンサから実験室内部環境情報を受信する段階と、
前記ユーザー実験情報、前記参照実験情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を含む実験ガイド情報を提供する段階と、を含む、ユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項14】
前記参照実験情報は前記ユーザーの実験に使う試薬と同一の試薬を使って以前に遂行された実験情報であり、実験が継続して遂行されることによって蓄積される、請求項13に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項15】
前記ユーザー実験情報、前記参照実験情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を含む実験ガイド情報を提供する段階は、
前記参照実験情報と前記ユーザー実験情報の類似度を分析して、前記参照実験情報での以前の環境情報とリアルタイム実験室内部環境情報に基づいて実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を計算して提供する段階を含む、請求項13に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【請求項16】
前記実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報は、
前記ユーザー実験情報に含まれた試薬情報と前記参照実験情報に含まれた試薬情報の類似度を分析して、前記参照実験情報での以前の環境情報に類似度を適用した後、リアルタイム実験室内部環境情報に補正して導き出す、請求項15に記載のユーザーに最適化された実験室環境提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザーに最適化された実験室環境提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、国内だけでなく世界的に環境、保健、安全(EHS:Environment、Health and Safety)に対する関心が高まるにつれて、その関連規制も強化されている。それに伴い、実験室および産業安全保健のために関連法令の施行令および改正を通じて、国内外の政策レベルでの研究および技術の開発が加速化している。
【0003】
産業有害物質による事故の予防と事故時の迅速な対処のために物質安全保健資料(MSDS:Material Safety Data Sheet)を提供しているが、依然として安全事故が多く発生しているのが実情である。したがって、産業安全保健に特化したデータ収集および処理のためのシステムの構築が必要である。
【0004】
前記内容は本発明の技術的思想に対する背景技術の理解を助けるためのものに過ぎず、したがって、それは本発明の技術分野の当業者に知られている先行技術に該当する内容と理解され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例はユーザーの実験室の安全事故を予防できるユーザーに最適化された実験室環境提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法は、ユーザー端末からユーザー位置情報とユーザー実験情報を受信する段階と;複数個のセンサから実験室装備位置情報と実験室内部環境情報を受信する段階と;前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階と;前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階を含む。
【0007】
前記ユーザー端末からユーザー実験情報を受信する段階は、ユーザー端末からユーザーセキュリティー等級情報とユーザーの実験に使う試薬情報を受信する段階を含むことができる。
【0008】
前記複数個のセンサから実験室装備位置情報を受信する段階は、複数個のセンサから試薬棚、スマートテーブル、有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備位置情報を受信する段階を含むことができる。
【0009】
前記複数個のセンサから実験室内部環境情報を受信する段階は、複数個のセンサから実験室内部で発生する有害ガス、高危険性および高揮発性有害ガス濃度を含む実験室内部の空気質情報と実験室温度情報を受信する段階を含むことができる。
【0010】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、前記ユーザー位置情報に基づいて前記ユーザーが前記実験室内に位置するか否かを判断する段階と;前記ユーザー実験情報と前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に予測される実験室内部環境情報を提供する段階を含むことができる。
【0011】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、前記ユーザー位置情報に基づいて前記ユーザーが前記実験室内に位置するか否かを判断する段階と;前記ユーザー実験情報に基づいて前記ユーザーに前記ユーザーが使う試薬に対する物質安全保健資料を提供し、高危険群有害ガスが発生する実験をヒュームフードで遂行するように実験ガイド情報を提供する段階を含むことができる。
【0012】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザー端末に実験ガイド情報を提供する段階を含むことができる。
【0013】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーに実験ガイド情報を提供する段階は、前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室内のスマートテーブルのディスプレイを通じて実験ガイド情報を提供する段階を含むことができる。
【0014】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、前記ユーザー実験情報と前記実験室内部環境情報に基づいて実験中に予測される実験室内部環境情報によって有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階を含むことができる。
【0015】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて、高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断する段階と;前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階を含むことができる。
【0016】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、前記ユーザー位置情報とヒュームフードの位置情報を利用して高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断する段階と;前記実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、前記実験室内の空気質と前記実験室温度を調節する段階を含むことができる。
【0017】
前記ユーザー位置情報、前記ユーザー実験情報、前記実験室装備位置情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記実験室装備を制御する段階は、ユーザーの実験に使う試薬情報に基づいて前記実験室内試薬棚のロック装置を制御して前記ユーザーの試薬棚内接近領域を調節する段階を包含することができる。
【0018】
本発明の他の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法は、ユーザー端末からユーザー実験情報を受信する段階と;メモリから前記ユーザー実験情報に対応する参照実験情報を読み込む段階と;複数個のセンサから実験室内部環境情報を受信する段階と;前記ユーザー実験情報、前記参照実験情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を含む実験ガイド情報を提供する段階を含む。
【0019】
前記参照実験情報は前記ユーザーの実験に使う試薬と同一の試薬を使って以前に遂行された実験情報であり、実験が継続して遂行されることによって蓄積され得る。
【0020】
前記ユーザー実験情報、前記参照実験情報および前記実験室内部環境情報に基づいて前記ユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を含む実験ガイド情報を提供する段階は、前記参照実験情報と前記ユーザー実験情報の類似度を分析して、前記参照実験情報での以前の環境情報とリアルタイム実験室内部環境情報に基づいて実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を計算して提供する段階を含むことができる。
【0021】
前記実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報は、前記ユーザー実験情報に含まれた試薬情報と前記参照実験情報に含まれた試薬情報の類似度を分析して、前記参照実験情報での以前の環境情報に類似度を適用した後、リアルタイム実験室内部環境情報に補正して導き出すことができる。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法によると、ユーザー情報と実験室環境情報に基づいて実験室装備を制御することによって、ユーザーの実験室内安全事故を予防することができる。また、ユーザーに実験中に予測される実験内部環境情報を提供することによって、ユーザーの実験室安全保健活動に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供システムを概略的に示した構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る図1の実験室装備の構成を概略的に示した図面である。
図3】本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法を示したフローチャートである。
図4】本発明の他の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、説明を目的として、多様な実施例の理解を助けるために多くの具体的な細部内容が提示される。しかし、多様な実施例がこのような具体的な細部内容なしに、または一つ以上の同等な方式で実施され得るということは明白である。他の例示において、広く知られている構造と装置は多様な実施例を不要に理解を難しくすることを避けるためにブロック図で表示される。
【0025】
図面において、レイヤー、フィルム、パネル、領域などの大きさまたは相対的な大きさは、明確な説明のために誇張され得る。また、同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0026】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとする時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。しかし、もし、ある部分が他の部分と「直接的に連結されている」と説明されていると、これは該当部分と他の部分の間に他の素子がないことを意味するであろう。「X、Y、およびZのうち少なくともいずれか一つ」、そして「X、Y、およびZで構成されたグループから選択された少なくともいずれか一つ」はX一つ、Y一つ、Z一つ、またはX、Y、およびZのうち二つまたはそれ以上のある組み合わせ(例えば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)として理解されるであろう。ここで、「および/または」は該当構成のうち一つまたはそれ以上のすべての組み合わせを含む。
【0027】
ここで、1番目、2番目などのような用語が多様な素子、要素、地域、レイヤー、および/またはセクションを説明するために使われ得るが、このような素子、要素、地域、レイヤー、および/またはセクションはこのような用語に限定されない。このような用語は一つの素子、要素、地域、レイヤー、および/またはセクションを他の素子、要素、地域、レイヤー、およびまたはセクションと区別するために使われる。したがって、一実施例での一番目の素子、要素、地域、レイヤー、および/またはセクションは他の実施例で2番目の素子、要素、地域、レイヤー、および/またはセクションと称することができる。
【0028】
「下」、「上」などのような空間的に相対的な用語が説明の目的で使われ得、そのようにすることによって図面で図示された通りに一つの素子または特徴と他の素子(ら)または特徴(ら)との関係を説明する。これは図面上で一つの構成要素の他の構成要素に対する関係を示すのに使われるだけであり、絶対的な位置を意味するものではない。例えば、図面に図示された装置がひっくり返されると、他の素子または特徴の「下」に位置するものとして描写された素子は他の素子または特徴の「上」の方向に位置する。したがって、一実施例で「下」という用語は、上と下の両方向を含むことができる。それだけでなく、装置はその他の方向であり得る(例えば、90度回転したあるいは他の方向で)、そして、ここで使われるそのような空間的に相対的な用語はそれによって解釈される。
【0029】
ここで使われた用語は特定の実施例を説明するためのものであり、制限するためのものではない。明細書全体で、或る部分が何らかの構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。他の定義がない限り、ここに使われた用語は本発明が属する分野で通常の知識を有する者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0030】
図1は、本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供システムを概略的に示した構成図である。
【0031】
図1を参照すると、ユーザーに最適化された実験室環境提供システム20は通信モジュール210、プロセッサ220およびメモリ230を含み、ユーザー端末10、センサ30および実験室装備40とネットワークを通じて連結されてユーザーに最適化された実験室環境提供に必要なすべてのデータおよび情報を送受信する。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システム20は通信モジュール210およびプロセッサ220でのみ構成され得る。
【0032】
ユーザー端末10はネットワークに連結されてデータを送受信できる移動通信端末機を代表的な例として説明するが、端末機は移動通信端末機に限定されるものではなく、すべての情報通信機器、マルチメディア端末機、有線/無線端末機、固定型端末機およびIP(Internet Protocol)端末機などの多様な端末機を含むことができる。また、端末機は携帯電話、スマートフォン(Smart Phone)、デスクトップ(Desktop)、タブレットコンピュータ(Tablet PC)、ノートパソコン(Note book)、VR(Virtual Reality)機器、AR(Augmented Reality)機器、ネットブック(Net book)、PMP(Portable Multimedia Player)、MID(Mobile Internet Device)、サーバー(Server)および情報通信機器などのような多様な移動通信仕様を有するモバイル(Mobile)端末機を含むことができる。
【0033】
ネットワークは、多様な形態の通信網が利用され得、例えば、無線LAN(WLAN、Wireless LAN)、ブルートゥース(登録商標)、ワイファイ(Wi-Fi)、ワイブロ(Wibro)、ワイマックス(Wimax)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA 、High Speed Downlink Packet Access)などの無線通信方式またはイーサネット(Ethernet)、xDSL(ADSL、VDSL)、HFC(Hybrid Fiber Coax)、FTTC(Fiber to The Curb)、FTTH(Fiber to The Home)などの有線通信方式が利用され得る。一方、ネットワークは、前記に提示された通信方式に限定されるものではなく、前述した通信方式以外にも、その他広く公知になっているか、今後開発されるすべての形態の通信方式を含むことができる。一実施例として、ユーザ端末10とユーザに最適化された実験室環境提供システム20は、近距離無線通信、例えば、ブルートゥース(登録商標)、RF(Radio Frequency)無線方式またはI2Cなどのシリアル通信でデータを送受信することができる。
【0034】
センサ30は複数個のセンサを含み、実験室内部の環境を感知してユーザーに最適化された実験室環境提供システム20に実験室内部環境情報を伝達する。実施例として、センサ30は温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、流速センサ、TVOCs(揮発性有機化合物、Total Volatile Organic Compounds)濃度センサ、GPSセンサを含むことができる。実施例として、センサ30は実験室装備40に内蔵され得る。
【0035】
実験室装備40はユーザーに最適化された実験室環境提供システム20によって制御されて、ユーザーに最適化された実験室環境を提供する。実施例として、実験室装備40は試薬棚、スマートテーブル、有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含むことができる。
【0036】
ユーザーに最適化された実験室環境提供システム20は、ユーザー端末10、センサ30および実験室装備40とネットワークを通じて通信するための通信モジュール210、プロセッサ220および参照実験情報を保存するメモリ230を含む。
【0037】
通信モジュール210は、ユーザー端末10、センサ30および実験室装備40とネットワークを通じて連結されてユーザーに最適化された実験室環境提供に必要なすべてのデータおよび情報を送受信する。実施例として、通信モジュール210は移動通信モジュール、無線インターネットモジュール、近距離通信モジュールのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0038】
プロセッサ220はユーザー端末10からユーザー位置情報とユーザー実験情報を受信し、センサ30から実験室装備位置情報と実験室内部環境情報を受信した後、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいてユーザーに通信モジュール210を通じて実験ガイド情報を提供する。一実施例として、プロセッサ220はユーザー端末10に実験ガイド情報を提供することができる。他の実施例として、プロセッサ220は実験室装備40に実験ガイド情報を提供することができる。また、プロセッサ220はユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて実験室装備40を制御する。
【0039】
メモリ230はユーザーに最適化された実験室環境提供に必要なすべてのデータおよび情報を保存する。実施例として、メモリ230は参照実験情報を保存することができる。
【0040】
図2は、本発明の一実施例に係る図1の実験室装備の構成を概略的に示した図面である。
【0041】
図2を参照すると、実験室装備40は試薬棚410、スマートテーブル420、有害ガス浄化装置430、ヒュームフード440および空調機450を含むことができる。
【0042】
試薬棚410は実験に必要な試薬を保管する装備であり、ユーザーに最適化された実験室環境提供システム20によりロック装置が制御されたり、試薬棚410内接近領域が調節され得る。
【0043】
スマートテーブル420はユーザーが主に実験を遂行する装備であり、ディスプレイを含むことができる。実施例として、スマートテーブル420のディスプレイを通じてユーザーに実験ガイド情報が提供され得る。
【0044】
有害ガス浄化装置430は実験室でセンサによって感知された有害ガスをフィルタによって浄化させる装備であり、ユーザーに最適化された実験室環境提供システム20によって制御され得る。
【0045】
ヒュームフード440は揮発性化学物質の露出からユーザーを保護する装備であり、火災や化学反応、臭い、流出に対する保護機能を提供し、実験室内のホコリ、煙、有害ガスを排出する。実施例として、ヒュームフード440はユーザーに最適化された実験室環境提供システム20によって制御され得る。
【0046】
空調機450は実験室空気質を制御する装備であり、エアコンと換気システムを含むことができる。実施例として、空調機450はユーザーに最適化された実験室環境提供システム20によって制御され得る。
【0047】
図3は、本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法を示したフローチャートである。
【0048】
図3を参照すると、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー端末からユーザー位置情報とユーザー実験情報を受信する(S10)。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー端末からユーザーセキュリティー等級情報とユーザーの実験に使う試薬情報を受信することができる。
【0049】
ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、複数個のセンサから実験室装備位置情報と実験室内部環境情報を受信する(S20)。一実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、複数個のセンサから試薬棚、スマートテーブル、有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備位置情報を受信することができる。他の実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、複数個のセンサから実験室内部で発生する有害ガス、高危険性および高揮発性有害ガス濃度を含む実験室内部の空気質情報と実験室温度情報を受信することができる。
【0050】
ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいてユーザーに実験ガイド情報を提供する(S30)。一実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報に基づいてユーザーが実験室内に位置するか否かを判断し、ユーザー実験情報と実験室内部環境情報に基づいてユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に予測される実験室内部環境情報を提供することができる。他の実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報に基づいてユーザーが実験室内に位置するか否かを判断し、ユーザー実験情報に基づいてユーザーにユーザーが使う試薬に対する物質安全保健資料を提供し、高危険群有害ガスが発生する実験をヒュームフードで遂行するように実験ガイド情報を提供することができる。
【0051】
本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいてユーザー端末に実験ガイド情報を提供することができる。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて実験室内のスマートテーブルのディスプレイを通じて実験ガイド情報を提供することができる。
【0052】
ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて実験室装備を制御する(S40)。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー実験情報と実験室内部環境情報に基づいて実験中に予測される実験室内部環境情報によって有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、実験室内の空気質と前記実験室温度を調節することができる。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断し、ユーザー位置情報、ユーザー実験情報、実験室装備位置情報および実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、実験室内の空気質と前記実験室温度を調節することができる。
【0053】
本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー位置情報とヒュームフードの位置情報を利用して高危険群有害ガスが発生する実験がヒュームフードで遂行されているか否かを判断し、実験室内部環境情報に基づいて有害ガス浄化装置、ヒュームフードおよび空調機を含む実験室装備を制御して、実験室内の空気質と実験室温度を調節することができる。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザーの実験に使う試薬情報に基づいて実験室内試薬棚のロック装置を制御して前記ユーザーの試薬棚内接近領域を調節することができる。
【0054】
図4は、本発明の他の実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法を示したフローチャートである。
【0055】
図4を参照すると、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、ユーザー端末からユーザー実験情報を受信し(S100)、メモリからユーザー実験情報に対応する参照実験情報を読み込む(S200)。実施例として、参照実験情報はユーザーの実験に使う試薬と同一の試薬を使って以前に遂行された実験情報であり、実験が継続して遂行されることによって蓄積され得る。
【0056】
ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、複数個のセンサから実験室内部環境情報を受信し(S300)、ユーザー実験情報、参照実験情報および実験室内部環境情報に基づいてユーザーにリアルタイム実験室内部環境情報と実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を含む実験ガイド情報を提供する(S400)。実施例として、ユーザーに最適化された実験室環境提供システムは、参照実験情報とユーザー実験情報の類似度を分析して、参照実験情報での以前の環境情報とリアルタイム実験室内部環境情報に基づいて実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報を計算して提供することができる。実施例として、実験中に時間帯別に予測される実験室内部環境情報は、ユーザー実験情報に含まれた試薬情報と参照実験情報に含まれた試薬情報の類似度を分析して、参照実験情報での以前の環境情報に類似度を適用した後、リアルタイム実験室内部環境情報に補正して導き出すことができる。
【0057】
前述したような本発明の実施例によると、本発明の一実施例に係るユーザーに最適化された実験室環境提供方法はユーザー情報と実験室環境情報に基づいて実験室装備を制御することによって、ユーザーの実験室内安全事故を予防することができる。また、ユーザーに実験中に予測される実験内部環境情報を提供することによって、ユーザーの実験室安全保健活動に寄与することができる。
【0058】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0059】
したがって、本発明の思想は説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なまたは等価的な変形があるすべてのものは本発明思想の範疇に属するものと言える。
【符号の説明】
【0060】
10:ユーザー端末
20:実験室環境提供システム
30:センサ
40:実験室装備
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】