(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】固体形態のBRD4阻害剤化合物およびその調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 495/14 20060101AFI20220810BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220810BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220810BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
C07D495/14 E CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/5517
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558494
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2020080741
(87)【国際公開番号】W WO2020192637
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】201910225039.6
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521436913
【氏名又は名称】シーエスピーシー チョンチー ファーマシューティカル テクノロジー(シーチアチョアン)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】シェン チュンリー
(72)【発明者】
【氏名】リウ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ピエン ホアンユイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー チョントー
(72)【発明者】
【氏名】ウー チアフー
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB02
4C071CC04
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF02
4C071GG06
4C071JJ06
4C071KK22
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB26
4C086CB30
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA01
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
BRD4阻害剤として使用される式(I)の化合物の固体形態および結晶形、その調製方法、ならびにBRD4関連疾患を治療するための薬剤の調製におけるそれらの使用を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体形態の式(I):
【化1】
の化合物。
【請求項2】
結晶形である、請求項1に記載の固体形態の式(I)の化合物。
【請求項3】
以下を有する前記式(I)の化合物の結晶形Aである、請求項2に記載の固体形態の式(I)の化合物:
以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、14.00±0.2°;
または、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、20.07±0.2°;
または、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°;
または、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°;
または、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、14.00±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°;
または、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°、26.05±0.2°;
または、実質的に
図1に示すXRPD(粉末X線回折)パターン。
【請求項4】
289.22±3℃において吸熱ピークの開始を有する示差走査熱量測定曲線を有する、請求項3に記載の固体形態の式(I)の化合物。
【請求項5】
実質的に
図2に示すDSC(示差走査熱量測定)曲線を有する、請求項4に記載の固体形態の式(I)の化合物。
【請求項6】
熱重量分析パターンが、300.00±3℃で1.626%の重量減少を有する、請求項3に記載の固体形態の式(I)の化合物。
【請求項7】
実質的に
図3に示すTGA(熱重量分析)パターンを有する、請求項6に記載の固体形態の式(I)の化合物。
【請求項8】
以下を有する前記式(I)の化合物の結晶形Bである、請求項2に記載の固体形態の式(I)の化合物:
以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、11.87±0.2°;
または以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、12.66±0.2°;
または以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターン: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、11.87±0.2°、12.39±0.2°、12.66±0.2°、15.11±0.2°、17.35±0.2°、18.70±0.2°;
または、実質的に
図4に示すXRPD(粉末X線回折)パターン。
【請求項9】
以下を含む、請求項3に記載の固体形態の式(I)の化合物の製造方法:
(1) 前記式(I)の化合物を溶媒に添加して、懸濁液または溶液を形成する工程;
好ましくは、前記溶媒は、C
1-4アルキル-O-C
1-4アルキル、C
1-4アルキルC(=O)OC
1-4アルキル、C
1-4アルキル-CN、C
1-4アルキル-OH、またはC
1-4アルキルC(=O)C
1-4アルキルからなる群から選択される単一溶媒である;さらに好ましくは、前記単一溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、エタノール、アセトン、メタノール、またはメチルエチルケトンである;
または、好ましくは、前記溶媒は、C
1-4アルキルC(=O)C
1-4アルキルおよび水の混合溶媒、またはC
1-4アルキル-OHおよび水の混合溶媒である;さらに好ましくは、C
1-4アルキルC(=O)C
1-4アルキルおよび水からなる前記混合溶媒について、C
1-4アルキルC(=O)C
1-4アルキルと水の体積比は1~5:1、好ましくは2:1であり;C
1-4アルキル-OHおよび水からなる前記混合溶媒について、C
1-4アルキル-OHと水の体積比は1~5:1、好ましくは3:1である;さらに好ましくは、前記混合溶媒は、アセトンおよび水の混合溶媒、またはエタノールおよび水の混合溶媒である;さらに好ましくは、前記混合溶媒は、2:1の体積比のアセトン-水の混合溶媒、または3:1の体積比のエタノール-水の混合溶媒である;
または、好ましくは、前記化合物と前記溶媒との重量対体積比は、1g:5~15mL、好ましくは1g:5~12mLである;
(2) 前記懸濁液または前記溶液を、恒温サーモミキサーで撹拌し、次に分離し、乾燥して、前記式(I)の化合物の前記結晶形Aを得る工程;
好ましくは、撹拌温度は25~45℃である;
または、好ましくは、撹拌時間は12~50時間、好ましくは12~48時間である;
または、好ましくは、工程(2)における前記分離は、遠心分離または濾過である;さらに好ましくは、工程(2)における前記分離は、遠心分離である。
【請求項10】
以下を含む、請求項8に記載の固体形態の式(I)の化合物の製造方法:
(1) 前記式(I)の化合物をテトラヒドロフランに添加して、懸濁液または溶液を形成する工程;好ましくは、前記化合物とテトラヒドロフランの重量対体積比は1g:5~10mLである;
(2) 前記懸濁液または前記溶液を恒温サーモミキサーで撹拌し、次に分離し、乾燥して、前記式(I)の化合物の前記結晶形Bを得る工程;好ましくは、撹拌温度は25~45℃である;
または、好ましくは、撹拌時間は12~50時間、好ましくは12~48時間である;
または、好ましくは、工程(2)における前記分離は、遠心分離または濾過である;
さらに好ましくは、工程(2)における前記分離は、遠心分離である。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の固体形態の式(I)の化合物または任意の2つ以上の結晶形の結晶混合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
BRD4関連疾患を治療するための薬剤の製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の固体形態の式(I)の化合物または請求項11に記載の医薬組成物の使用であって、
好ましくは、BRD4関連疾患は腫瘍を含む;
より好ましくは、前記腫瘍は血液腫瘍および進行性固形腫瘍を含み、ここで該血液腫瘍は白血病、リンパ腫、および骨髄腫を含み、該進行性固形腫瘍は神経細胞腫、神経膠腫、乳がん、胃腸腫瘍、および前立腺がんを含む;
さらに好ましくは、前記白血病は急性リンパ性白血病であるか、または前記リンパ腫は急性骨髄性リンパ腫である;
さらに好ましくは、前記乳がんはトリプルネガティブ乳がんであるか、前記胃腸腫瘍は結腸直腸がんである、
医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、小分子BRD4阻害剤としての式(I)の化合物の固体形態および結晶形、ならびにその調製方法に関するものであり、BRD4関連疾患を治療するための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒストンアセチル化は遺伝子の転写および染色体構造を制御し、エピジェネティクスにおいて重要な役割を果たす。ヒストンアセチル化認識遺伝子の「リーダー」として、BET(bromodomain and extra-terminal domain)タンパク質はアセチル化されたリジン残基に特異的に結合し、他の転写因子を動員することができる。タンパク質間相互作用に関与することにより、メディエーター複合体が形成され、RNAポリメラーゼをリン酸化し、遺伝子転写を活性化し、c-Mycおよびその他の下流遺伝子を制御する。がん細胞の増殖は特定の遺伝子(たとえば、c-Myc)に大きく依存しており、特定の遺伝子の発現の増強は、がん細胞の増殖において重要な役割を果たす。研究によると、腫瘍細胞は特定の遺伝子に過度に依存しているため、BET阻害剤に高い感受性がある。BET阻害剤の存在は、BETタンパク質がヒストンアセチル化リジンに結合することを阻止し、それによって、転写因子によるMycの発現をブロックし、腫瘍の成長を阻害する。
【0003】
BETタンパク質ファミリーは、BRD2、BRD3、BRD4、BRDTの4つのメンバーからなり、各メンバーは2つのN末端タンデム(BD1およびBD2)、extra-terminal domain(ET)、いくつかの保存領域(A、B、SEED領域)、およびC末端モチーフ(CTM)からなる。その中で、BRD4は最も広く研究されているメンバーであり、リンパ腫(たとえば、急性骨髄リンパ腫)、白血病(たとえば、急性リンパ性白血病)を含む血液腫瘍、骨髄腫(たとえば、多発性骨髄腫)、および固形腫瘍、たとえば神経細胞腫、神経膠腫、乳がん(たとえば、トリプルネガティブ乳がん)、胃腸腫瘍(たとえば、結腸直腸がん)、および前立腺がん等の発生は、すべてBRD4の過剰発現に関連していることが見出されているが、BRD4を標的とする薬剤はこれまで市場で承認されていない。
【発明の概要】
【0004】
一つの態様では、本開示は、固体形態の式(I):
【0005】
【0006】
を提供する。
【0007】
本開示の一部の実施形態では、固体形態は、結晶形である。
【0008】
本開示の一部の実施形態では、結晶形は、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する式(I)の化合物の結晶形Aである: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、14.00±0.2°。
【0009】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、20.07±0.2°
【0010】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°。
【0011】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°
【0012】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、14.00±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°。
【0013】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、14.00±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、26.05±0.2°。
【0014】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°、26.05±0.2°。
【0015】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、14.87±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°。
【0016】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、14.87±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°、26.05±0.2°。
【0017】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、14.87±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、17.68±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°。
【0018】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 7.03±0.2°、11.28±0.2°、12.39±0.2°、14.00±0.2°、14.87±0.2°、15.11±0.2°、17.31±0.2°、17.68±0.2°、19.48±0.2°、20.07±0.2°、22.86±0.2°、26.05±0.2°。
【0019】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、実質的に
図1に示すXRPD(粉末X線回折)パターンを有する。
【0020】
本開示の一部の実施形態では、結晶形AのXRPDパターン分析データは、表1に示すとおりである:
【0021】
【0022】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、289.22±3℃において吸熱ピークの開始を有する示差走査熱量測定曲線を有する
【0023】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Aは、実質的に
図2に示すDSC(示差走査熱量測定)曲線を有する。
【0024】
本開示の一部の実施形態では、熱重量分析パターンにおける結晶形Aの重量減少は、300.00±3℃で1.626%である。
【0025】
本開示の一部の実施形態では、結晶形AのTGA(熱重量分析)パターンは、実質的に
図3に示すとおりである。
【0026】
本開示の一部の実施形態では、結晶形は、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する式(I)の化合物の結晶形Bである: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、11.87±0.2°。
【0027】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Bは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、12.66±0.2°
【0028】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Bは、以下の2θの角度において特徴的な回折ピークを含む粉末X線回折パターンを有する: 5.50±0.2°、8.36±0.2°、11.87±0.2°、12.39±0.2°、12.66±0.2°、15.11±0.2°、17.35±0.2°、18.70±0.2°。
【0029】
本開示の一部の実施形態では、結晶形Bは、実質的に
図4に示すXRPDパターンを有する。
【0030】
本開示の一部の実施形態では、結晶形BのXRPDパターン分析データは、表2に示すとおりである:
【0031】
【0032】
別の態様では、本開示はまた、固体形態の式(I)の化合物の製造方法を提供し、ここで、固体形態は結晶形Aであり、以下の工程を含む:
(1) 式(I)の化合物を溶媒に添加して、懸濁液または溶液を形成する工程;
(2) 懸濁液または溶液を、恒温サーモミキサーで撹拌し、次に分離し、乾燥して、式(I)の化合物の結晶形Aを得る工程。
【0033】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の工程(2)における分離は、遠心分離または濾過である。
【0034】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の工程(2)における分離は、遠心分離である。
【0035】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の溶媒は、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキルC(=O)OC1-4アルキル、C1-4アルキル-CN、C1-4アルキル-OH、またはC1-4アルキルC(=O)C1-4アルキルからなる群から選択される単一溶媒である。
【0036】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の単一溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、エタノール、アセトン、メタノール、またはメチルエチルケトンである。
【0037】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の溶媒は、C1-4アルキルC(=O)C1-4アルキルおよび水の混合溶媒、またはC1-4アルキル-OHおよび水の混合溶媒である。
【0038】
本開示の一部の実施形態では、製造方法のC1-4アルキルC(=O)C1-4アルキルおよび水からなる混合溶媒について、C1-4アルキルC(=O)C1-4アルキルと水の体積比は1~5:1、好ましくは2:1であり;またはC1-4アルキル-OHおよび水からなる混合溶媒について、C1-4アルキル-OHと水の体積比は1~5:1、好ましくは3:1である。
【0039】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の混合溶媒は、アセトンおよび水の混合溶媒、またはエタノールおよび水の混合溶媒である。
【0040】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の混合溶媒は、2:1の体積比のアセトン-水の混合溶媒、または3:1の体積比のエタノール-水の混合溶媒である。
【0041】
用語「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を含む任意の直鎖または分岐鎖基、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を指す。
【0042】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の化合物と溶媒との重量対体積比は、1g:5~15mL、または1g:5~12mL、または1g:5~10mLである。
【0043】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の撹拌温度は25℃~45℃である。
【0044】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の撹拌時間は12時間~50時間、または12時間~48時間、または12時間~24時間である。
【0045】
別の態様では、本開示はまた、固体形態の式(I)の化合物の製造方法を提供し、ここで、固体形態は結晶形Bであり、以下の工程を含む:
(1) 式(I)の化合物を溶媒に添加して、懸濁液または溶液を形成する工程;
(2) 懸濁液または溶液を、恒温サーモミキサーで撹拌し、次に分離し、乾燥して、式(I)の化合物の結晶形Bを得る工程。
【0046】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の工程(2)における分離は、遠心分離または濾過である。
【0047】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の工程(2)における分離は、遠心分離である。
【0048】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の溶媒はテトラヒドロフランである。
【0049】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の化合物と溶媒との重量対体積比は、1g:5~10mLである。
【0050】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の撹拌温度は25℃~45℃である。
【0051】
本開示の一部の実施形態では、製造方法の撹拌時間は12時間~50時間、または12時間~48時間、または12時間~24時間である。
【0052】
別の態様では、本開示は、上記のように、固体形態の式(I)の化合物または任意の2つ以上の結晶形の結晶混合物を含む医薬組成物を提供する。
【0053】
別の態様では、本開示はまた、BRD4関連疾患を治療するための薬剤の製造のための、固体形態の式(I)の化合物または上記の医薬組成物の使用も提供する。
【0054】
本開示の一部の実施形態では、BRD4関連疾患は腫瘍を含む。
【0055】
本開示の一部の実施形態では、上記使用は、腫瘍が血液腫瘍および進行性固形腫瘍を含み、ここで該血液腫瘍は白血病、リンパ腫、および骨髄腫を含み、該進行性固形腫瘍は神経細胞腫、神経膠腫、乳がん、胃腸腫瘍、および前立腺がんを含む;好ましくは、白血病は急性リンパ性白血病であるか、またはリンパ腫は急性骨髄性リンパ腫であるか、または乳がんはトリプルネガティブ乳がんであるか、または胃腸腫瘍は結腸直腸がんであることを特徴とする。
【0056】
別の態様では、本開示はまた、BRD4関連疾患の治療における使用のための固体形態の式(I)の化合物または上記の医薬組成物にも関する。
【0057】
本開示の一部の実施形態では、式(I)の化合物の固体形態または上記の医薬組成物、ここでBRD4関連疾患は腫瘍を含む。
【0058】
本開示の一部の実施形態では、式(I)の化合物の固体形態または上記の医薬組成物、ここで腫瘍は血液腫瘍および進行性固形腫瘍を含み、ここで該血液腫瘍は白血病、リンパ腫、および骨髄腫を含み、該進行性固形腫瘍は神経細胞腫、神経膠腫、乳がん、胃腸腫瘍、および前立腺がんを含む;好ましくは、白血病は急性リンパ性白血病であるか、またはリンパ腫は急性骨髄性リンパ腫であるか、または乳がんはトリプルネガティブ乳がんであるか、または胃腸腫瘍は結腸直腸がんである。
【0059】
本開示の一部の実施形態では、対象の疾患を治療する方法、ここで疾患は腫瘍を含む。
【0060】
本開示の一部の実施形態では、対象の疾患を治療する方法、ここで腫瘍は血液腫瘍および進行性固形腫瘍を含み、ここで該血液腫瘍は白血病、リンパ腫、および骨髄腫を含み、該進行性固形腫瘍は神経細胞腫、神経膠腫、乳がん、胃腸腫瘍、および前立腺がんを含む;好ましくは、白血病は急性リンパ性白血病であるか、またはリンパ腫は急性骨髄性リンパ腫であるか、または乳がんはトリプルネガティブ乳がんであるか、または胃腸腫瘍は結腸直腸がんである。
【0061】
「対象」は、哺乳動物(たとえば、マウス、ラット、ネコ、サル、イヌ、ウマ、ブタ等)、およびヒトを含むがこれらに限定されない、動物のすべてのメンバーを含む。
【0062】
用語「実質的に図〇に示す」は、粉末X線回折パターンまたはDSC曲線またはTGAパターンにおけるピークの少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%は、その図に示されていることを意味する。
【0063】
定義および説明
本明細書で使用されている以下の用語およびフレーズは、特に明記されていない限り、以下の意味を持つことを意図している。特定のフレーズまたは用語は、具体的に定義されていない限り、不明確(indefinite)または不明確(unclear)であると見なされるべきではなく、一般的な意味に従って解釈されるべきである。ブランド名が本明細書で使用される場合、それは、その対応する市販製品またはその有効成分を指すことを意図している。
【0064】
本開示の中間化合物は、以下に例示する特定の実施形態、それらと他の化学合成法との組み合わせによって形成される実施形態、および当業者に周知のそれらの同等物を含む、当業者に周知の多くの合成方法によって製造することができ、好ましい実施形態は、本開示の例が含むが、これらに限定されない。
【0065】
本開示の特定の実施形態の化学反応は、本開示の化学変化およびそれに必要な試薬および材料に適合性する好適な溶媒中で行われる。本開示の化合物を得るために、当業者は、既存の実施形態に基づいて、合成工程または反応スキームを変更または選択する必要がある場合がある。
【0066】
本開示は、本開示を決して限定することを意図するものではない例として、以下に具体的に説明される。
【0067】
本開示で使用されるすべての溶媒は市販されており、さらに精製することなく使用することができる。
【0068】
本開示で使用される溶媒は、商業的に入手することができる。本開示は、以下の略語を使用する: DCMはジクロロメタンを表す; DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表す; DMSOはジメチルスルホキシドを表す; EtOHはエタノールを表す; MeOHはメタノールを表す; TFAはトリフルオロ酢酸を表す; TsOHはp-トルエンスルホン酸を表す; mpは融点を表す; EtSO3Hはエタンスルホン酸を表す; MeSO3Hはメタンスルホン酸を表す; ATPはアデノシン三リン酸を表す; HEPESは4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸を表す; EGTAはエチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)四酢酸を表す; MgCl2は二塩化マグネシウムを表す; MnCl2は二塩化マンガンを表す; DTTはジチオスレイトールを表す。
【0069】
技術的効果
本明細書に記載の式(I)の化合物は、良好な結晶形安定性を有し、薬剤の製造が容易である; 本開示の結晶形は、BRD4に対して優れた活性を示し、より良好な薬物動力学特性および経口吸収速度を有し、高活性、良好な代謝安定性、良好な溶解性、経口投与への適合性等の特徴を有し、BRD4の異常発現によって引き起こされる疾患に対してより効果的な治療を提供することができる。
【0070】
1.1 粉末X線回折 (X線粉末回折計、XRPD)
機器モデル: Bruker D8 advanced X-ray diffractometer
試験方法: XRPDの検出には、約10~20mgのサンプルを使用した。
詳細なXRPDパラメーターは次のとおりである:
X線発生装置: Cu、 kα、(λ=1.54056Å)
管電圧: 40 kV、管電流: 40 mA
出射スリット: 1度
高さ制限スリット(Height limiting slit): 10mm
散乱スリット: 1度
受光スリット: 0.15mm
モノクロメーター: 固定されたモノクロメーター
走査範囲: 結晶形Aについて:4~33度、および結晶形Bについて:4~35度
走査速度: 10度/分
【0071】
1.2 示差走査熱量測定 (示差走査熱量計、DSC)
機器モデル: TA Q2000 differential scanning calorimeter
試験方法: サンプル(0.5~1mg)をDSCアルミニウムポットに入れて試験し、サンプルを50mL/分 N2の条件下で10℃/分の加熱速度で30℃から300℃に加熱した。
【0072】
1.3 熱重量分析 (熱重量分析機器、TGA)
機器モデル: TA Q5000IR thermal gravimetric analyzer
試験方法: サンプル(2~5mg)をTGAプラチナパンに入れて試験し、サンプルを室温から25mL/分 N2の条件下で10℃/分の加熱速度で20%の重量減少まで加熱した。
【0073】
1.4 本開示の動的水蒸気吸着(Dynamic Vapor Sorption; DVS)分析方法
機器モデル: SMS DVS advantage dynamic vapor sorption analyzer
試験条件: サンプル(10~20mg)は、試験のためにDVSサンプルトレイに配置した。
詳細なDVSパラメーター:
温度: 25℃
バランシング: dm/dt=0.01%/分(最短:10分、最長:180分)
乾燥: 120分間、0%RHでの乾燥
RH(%)試験工程: 10%
RH(%)試験工程範囲: 0%~90%~0%
【0074】
吸湿性の評価は次のように分類された。
【0075】
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】式(I)の化合物の結晶形AのCu-Kα放射線のXRPDパターンである。
【
図2】式(I)の化合物の結晶形AのDSC曲線である。
【
図3】式(I)の化合物の結晶形AのTGAパターンである。
【
図4】式(I)の化合物の結晶形BのCu-Kα放射線のXRPDパターンである。
【
図5】式(I)の化合物の結晶形AのDVS等温線(DVS isotherm)である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
特定の実施形態
本開示をよりよく理解するために、特定の実施例を参照して以下の図を作成するが、本開示は特定の実施形態に限定されない。
【実施例】
【0078】
実施例1: 式(I)の化合物の調製
【0079】
【0080】
工程1:
化合物1-1(25.00g、139.20mmol, 1.00eq)、2-ブタノン(11.04g、153.12mmol、13.63mL、1.10eq)、およびモルホリン(12.13g、139.20mmol、12.25mL、1.00eq)をエタノール(200.00mL)に溶解し、続いて硫黄華(4.46g、139.20mmol、1.00eq)を添加した。懸濁液を70℃に加熱し、窒素ガス保護下で12時間撹拌した。反応物を最初に減圧下で蒸発させて黄色の油を得、これに水(500mL)を添加し、酢酸エチル(200mL×4)で抽出した。合わせた有機相を集め、飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗製物をシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、化合物1-2を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.47 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.38 (d, J=8.0 Hz, 2H), 6.43 (br s, 2H), 2.13 (s, 3H), 1.56 (s, 3H).
【0081】
工程2:
化合物1-2(10.00g、37.63mmol、1.00eq)をクロロホルム(100.00mL)に溶解し、2-クロロアセチルクロリド(6.37g、56.45mmol、4.49mL、1.50eq)を滴下した後、反応物を70℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、続いて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物をメタノール(40mL)から再結晶して化合物1-3を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 11.81 (br s, 1H), 7.58 (dd, J=2.0, 6.4Hz, 2H), 7.45 (dd, J=2.2, 8.6Hz, 2H), 4.25 (s, 2H), 2.29 (s, 3H), 1.72 (s, 3H).
【0082】
工程3:
化合物1-3(11.00g、32.14mmol、1.00eq)およびヨウ化ナトリウム(9.63g、64.28mmol、2.00eq)をテトラヒドロフラン(50.00 mL)に添加し、混合物を60℃で2時間撹拌した。反応物を減圧下で直接蒸発させて化合物1-4を得て、これを精製せずに次の反応に直接使用した。 LCMS (ESI) m/z: 433.9 (M+1).
【0083】
工程4:
化合物1-4(14.00g、32.28mmol、1.00eq)をテトラヒドロフラン(100.00mL)に溶解し、-60℃に冷却し、アンモニアガスを30分間充填した。反応混合物をゆっくりと20℃に加熱し、3時間撹拌した。反応物を減圧下で直接蒸発させた。得られた固体を酢酸エチル(150mL)に溶解し、水(50mL×3)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた、濾過し、次に減圧下で蒸発させて化合物1-5を得て、これを次の反応で直接使用した。 LCMS (ESI) m/z: 322.9 (M+1), 344.9 (M+Na).
【0084】
工程5:
化合物1-5(10.00g、30.98mmol、1.00eq)をイソプロパノール(150.00 mL)および氷酢酸(50.00mL)に溶解し、90℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で反応溶液から除去した。残りの混合物をクロロホルム(20mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)および飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。粗生成物を酢酸エチル(50mL)から再結晶して、化合物1-6を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.98 (br s, 1H), 7.46 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.35 (d, J=8.4Hz, 2H), 4.80 (d, J=8.8Hz, 1H), 3.93 (d, J=8.6Hz, 1H), 2.28 (s, 3H), 1.59 (s, 3H).
【0085】
工程6:
五硫化リン(17.07g、76.79mmol、8.17mL、3.60eq)を、1,2-ジクロロエタン(200.00mL)中の炭酸ナトリウム(4.07g、38.39mmol、1.80eq)の連続撹拌懸濁液に添加し、20℃で1時間撹拌し、次に化合物1-6(6.50g、21.33mmol、1.00eq)を添加した。得られた懸濁液を65℃で5時間反応させた。反応混合物を20℃に冷却して濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(2L)に溶解し、飽和食塩水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗化合物をシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製、化合物1-7を得た。
【0086】
工程7:
メタノール(5.00mL)中の化合物1-7(3.50g、10.91mmol、1.00eq)の懸濁液に、0℃でヒドラジン水和物(1.67g、32.72mmol、1.62mL、純度98%、3.00eq)を添加し、反応物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、フィルターケーキをオーブン乾燥して化合物1-8を得て、これを次の反応に直接使用した。 LCMS (ESI) m/z: 318.9 (M+1).
【0087】
工程8:
トルエン(100.00mL)中の化合物1-8(2.50g、7.84mmol、1.00eq)の混合物に、オルト酢酸トリエチル(3.82g、23.52mmol、4.29mL、3.00eq)を添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で直接蒸発させ、粗化合物を酢酸エチル(10mL)から再結晶させて、化合物1-9を得た。 LCMS (ESI) m/z: 344.9 (M+1).
【0088】
工程9:
テトラヒドロフラン(180mL)中の化合物1-9(1.50g、4.38mmol、1.00eq)の溶液に、LiHMDS(1M、8.76mL、2.00eq)を-70℃で滴下して添加した。反応物をこの温度で1時間撹拌し、次にテトラヒドロフラン(20mL)中の2-ブロモ酢酸tert-ブチル(1.28g、6.57mmol、970.82.μL、1.50eq)の溶液を滴下して添加した。添加が完了した後、反応物をゆっくりと20℃に加熱して、5時間撹拌した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(100mL)で抽出し、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、得られた化合物をSFCで分離して化合物1-10(塩基性EtOH、カラム:AS(250mm×30mm,5μm)、移動相B:30%、流量(mL/分):55) ([α]25
D +54 (C 0.6, CHCl3)). LCMS (ESI) m/z: 457.0 (M+1).
【0089】
工程10:
化合物1-10(150.00mg、328.23μmol、1.00eq)をジクロロメタン(5.00mL)およびトリフルオロ酢酸(1.00mL)に溶解し、反応物を20℃で4時間撹拌した。反応混合物を減圧下で直接蒸発させ、化合物1を得て、それを次の反応で直接使用した。LCMS (ESI) m/z: 401.0 (M+1).
【0090】
【0091】
工程11:
化合物2(0.78g、3.66mmol、1eq)、カルバミン酸tert-ブチル(643.39mg、5.49mmol、1.5eq)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(335.29mg、366.15μmol、0.1eq)、炭酸セシウム(2.39g、7.32mmol、2eq)、および4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(211.86mg、366.15μmol、0.1eq)を1,4-ジオキサン(10 mL)に添加して、100℃で12時間、窒素ガス保護下で反応させた。反応混合物に水(20mL)を添加し、酢酸エチル(20mL)を添加し、不溶性物質を濾過により濾別し、水相を酢酸エチル(10mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラム装置を使用して精製を行い、化合物3を得た。 LCMS (ESI) m/z: 250.1 (M+1).
【0092】
工程12:
トリフルオロ酢酸(3.85g、33.77mmol、2.5mL、18.30eq)を無水ジクロロメタン(20mL)中の化合物3(0.46g、1.85mmol、1eq)に添加し、添加後20℃で12時間反応させた。反応物を水(20mL)で洗浄し、水相のpHを飽和重炭酸ナトリウム溶液で7に調整し、水相をジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。化合物4が得られ、さらに精製することなく次の反応に使用した。 LCMS (ESI) m/z:149.8 (M+1).
【0093】
工程13:
POCl3(76.50mg、498.90μmol、46.36μL、2eq)を、ピリジン(2mL)中の化合物1(100mg、249.45μmol、1eq)および化合物4(44.65mg、299.34μmol、1.2eq)の溶液に0℃で添加した。添加後、温度を20℃に1.5時間上昇させた。水(3ml)の添加により反応をクエンチし、2N塩酸で水相のpHを7に調整した。水相をジクロロメタン(5mL×3)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)による精製により、バイアル壁に付着するガラスペーストまたはフォームとしての式(I)の化合物を得た。 LCMS (ESI) m/z: 532.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ ppm 9.98 (br s, 1H), 7.94 (d, J=6.8Hz, 1H), 7.67 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.32-7.36 (m, 3H), 7.24-7.27 (m, 2H), 5.08-5.16 (m, 2H), 4.57-4.61 (m, 1H), 3.78-3.84 (m, 1H), 3.45-3.50 (m, 1H), 2.63 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 1.63 (s, 3H).
【0094】
実施例2: 式(I)の化合物の結晶形Aの調製
式(I)の化合物約50mgをそれぞれ秤量し、1.5mLのガラスバイアルに添加し、懸濁液が形成されるまで適切な量の溶媒(表3を参照)を添加し、これを密封フィルムで密封し、および恒温サーモミキサーで40℃で48時間撹拌した。次に、サンプルを遠心分離機で遠心分離し、遠心分離した固体を真空オーブンに添加して30℃で一晩乾燥させて、式(I)の化合物の結晶形Aを得た。
【0095】
【0096】
実施例3: 式(I)の化合物の結晶形Bの調製
式(I)の化合物約50mgをそれぞれ秤量し、1.5mLのガラスバイアルに添加し、懸濁液が形成されるまでテトラヒドロフラン(0.2mL)を添加し、これを密封フィルムで密封した。混合物をおよび恒温サーモミキサーで40℃で48時間撹拌した。次に、サンプルを遠心分離機で遠心分離し、遠心分離した固体を真空オーブンに添加して30℃で一晩乾燥させて、式(I)の化合物の結晶形Bを得た。
【0097】
実験例1: 式(I)の化合物の結晶形Aの固体安定性試験
APIおよび製剤の安定性試験に関するガイドライン(Chinese Pharmacopoeia 2015 edition volume IV 9001の一般ガイドライン)に従って、式(I)の化合物の結晶形Aの安定性を加速下(40℃/75%RH、密閉)および長期(25℃/60%RH、密閉)条件で調べた。
【0098】
式(I)の化合物の結晶形Aを1.5g秤量し、サンプル用のガラス瓶の底に配置し、それをそれぞれ薄層に広げ、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHの条件下で試験するサンプルを、2層LDPE(低密度ポリエチレン)バッグに充填した。LDPEバッグの各層を別々に密封し、次にLDPEバッグをアルミホイルバッグに入れて熱融着させた。異なる条件で配置されたサンプルは、90日目にサンプリングおよび検出され、検出結果は0日目の最初の検出結果と比較し、試験結果は次の表4に示す:
【0099】
【0100】
結論: 式(I)の化合物の結晶形Aは安定性が高い。
【0101】
実験例2: 式(I)の化合物の結晶形Aの吸湿性試験
実験材料:
SMS DVS advantage dynamic vapor sorption analyzer
実験方法:
式(I)の化合物の結晶形Aの10~15mgを、試験のためにDVSサンプルトレイに配置した。
実験結果:
式(I)の化合物の結晶形AのDVSパターンを
図5に示す。 △W=1.789%.
実験の結論:
式(I)の化合物の結晶形Aは、25℃および80%RHで1.789%の吸湿による重量の増加を有し、したがって、わずかに吸湿性である。
【0102】
実施例3: BRD4のための生化学活性アッセイ
実験の準備:
1) 実験にはBPS社のBRD4-BD1タンパク質およびBRD4-BD2タンパク質;ならびにANASPEC社のポリペプチド;Perkinelmer社の検出試薬を使用する;
2) TR-FRETの実験原理を適用して化合物をスクリーニングする;
3) 化合物を試験する。
【0103】
実験工程は下記のとおりである:
1) 化合物プレートの準備:
実験での化合物プレートの準備は、Echoによって達成された:
化合物をEchoで3倍減少させて10個の濃度に希釈した: 20000、6666.67、2222.22、740.74、246.91、82.305、27.435、9.145、3.048、1.016nM。
【0104】
2) 反応試薬の準備:
関連する試薬は、実験当日に準備する必要がある:
a) 1×アッセイバッファー(試験バッファー溶液)を準備する;
b) 3×実験成分溶液を準備する:
1. 試薬を氷上に置き、後で使用するために自然に溶かした;
2. 1×アッセイバッファー(試験バッファー溶液)を使用して、実験用に、「溶液A」(タンパク質溶液)、「溶液B」(ポリペプチド溶液)、および「溶液C」(検出試薬溶液)を調製し、反応系の成分に3X溶液を形成できるようにし、溶液A、B、Cの量を実験に求められる量に十分であった。
【0105】
3) 実験操作工程は以下のとおりである:
アッセイプレートは、ECHOを使用して実験前に調製した化合物勾配濃度および対応するDMSO溶液を含むプレートであった:
a) アッセイプレートを取り出し、5μL/ウェルの「溶液A」(タンパク質溶液)をアッセイプレートのカラム2~23に添加し、次に5μL/ウェルの1Xアッセイバッファーを実験系の最小対照としてのアッセイプレートのカラム1および24に添加する;
b) 1000rpmで30秒間遠心分離する;
c) プレートを23℃で20分間インキュベートする;
d) 5μL/ウェルの「溶液B」(ポリペプチド溶液)をインキュベーションの20分後にアッセイプレートのカラム1~24に添加する;
e) 1000rpmで30秒間遠心分離する;
f) プレートを23℃で20分間インキュベートする;
g) 5μL/ウェルの「溶液C」(検出試薬溶液)をインキュベーションの20分後にアッセイプレートのカラム1~24に添加する;
h) 1000rpmで30秒間遠心分離する;
i) プレートを23℃で40分間インキュベートする;
j) プレートをEnVisionで読み取る。
【0106】
4) データ解析:
a) 各アッセイプレートの対応する最大対照(最大対照)[Max control (maximum control)]および最小対照(最小対照)[Min control (minimum control)]を使用して各アッセイプレートのZ’値を計算し、各プレートのZ’値が0.5より大きいことを確認する;
b) XLFIT5によって試験化合物のシグナルからIC50値を計算し、それが過去の平均データの3倍以内にあることを確認し、結果を表5に示す。
【0107】
【0108】
式(I)の化合物は、BRD4-BD1およびBRD4-BD2に対して有意な阻害効果を有する。
【0109】
実施例4: ヒト乳がんMDA-MB-231_luc細胞皮下異種移植腫瘍モデルにおける式(I)の化合物のin vivo薬力学研究
1. 実験デザイン
【0110】
【0111】
【0112】
2. 実験材料
2.1 実験動物
種: マウス
系統: BALB/c ヌードマウス
週齢および重量: 6~8週齢、体重18~22グラム
性別: メス
供給元: Shanghai Sippr-BK laboratory animal Co. Ltd.
【0113】
3. 実験方法および工程
3.1 細胞培養
ヒト乳がんMDA-MB-231_luc細胞をin vitroで単層培養し、培養条件は10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含むRPMI-1640培地(供給元:Gibco;商品番号:22400-089;製造バッチ番号:4868546)であった。培養は37℃、5%CO2で行った。継代のためのパンクレアチン-EDTAによる従来法の消化処理は週に2回行った。細胞が指数増殖期にあるとき、細胞を収集し、計数し、接種した。
【0114】
3.2 腫瘍細胞接種
0.2mLの10×106 MDA-MB-231_luc細胞を各ヌードマウスの右背部に皮下接種した(PBS:マトリゲル=1:1)。グループ化および投与は、平均腫瘍体積が100~150mm3に達したときに開始した。
【0115】
3.3 腫瘍の測定および実験の指標
実験指標は、腫瘍の成長が阻害されたか、遅延したか、または治癒したかを調べることであった。腫瘍の直径は、ノギスで週に2回測定した。腫瘍体積を計算するための式は、V=0.5a×b2であった。ここで、aおよびbは、それぞれ腫瘍の長径および短径を表している。
【0116】
化合物の腫瘍阻害効果は、TGI(%)または相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価した。TGI(%)は腫瘍増殖阻害率を反映していた。TGI(%)の計算は次のとおりであった: TGI(%)=[(1-(治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-この治療群の投与開始時の平均腫瘍体積))/(溶媒対照群における治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群における治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。
【0117】
相対腫瘍増殖率T/C(%)は、以下の式に従って計算した: T/C%=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群のRTV; CRTV:陰性対照群のRTV)。相対腫瘍体積(RTV)は、腫瘍測定の結果に従って計算した。計算式はRTV=Vt/V0であった。ここで、V0はグループ化および投与時(すなわち、d0)に測定された平均腫瘍体積であり、Vtは特定の測定時の平均腫瘍体積であった。TRTVおよびCRTVは、同じ日のデータから取得した。
【0118】
実験の最後に、腫瘍の重量を測定し、T/Cweightのパーセンテージを計算する。TweightおよびCweightは、それぞれ、投与群および溶媒対照群の腫瘍重量を表した。
【0119】
3.4 統計分析
統計分析は、各時点での各群の腫瘍体積の平均値および標準誤差(SEM)を含んでいた。実験終了時の投与後21日目に治療群が最も効果が高かったため、このデータをもとに統計分析を行い、群間の差異を評価した。2つの群間の比較はT検定によって分析し、3つ以上の群間の比較は一元配置分散分析によって分析した。F値が有意に異なる場合は、Games-Howell試験を適用した。F値に有意差がない場合は、Dunnet(両面)試験を分析に使用した。すべてのデータ分析は、SPSS17.0を使用して実行した。p<0.05は有意に異なると見なされた。
【0120】
4. 実験結論
投与後21日目に、式(I)の化合物について、腫瘍増殖阻害率TGI=54.85%、T/C=52.99%、p<0.05; 動物の体重に有意な変化はなく、それらは忍容性が高かった。
【0121】
実施例5: ヒト前立腺がんPC-3細胞皮下異種移植腫瘍モデルにおける式(I)の化合物のin vivo薬力学研究
1. 実験デザイン
試験物質の調製方法は表6と同じであり、動物群および投与レジメンは表7と同じであった。
【0122】
2. 実験材料
2.1 実験動物
種: マウス
系統: BALB/c ヌードマウス
週齢および重量: 6~8週齢、体重18~22グラム
性別: オス
供給元: Shanghai Sippr-BK laboratory animal Co. Ltd.
【0123】
3. 実験方法および工程
3.1 細胞培養
ヒト前立腺がんPC-3細胞をin vitroで単層培養し、培養条件は10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含むF-12K培地(供給元:Gibco;商品番号:21127-022;製造バッチ番号:1868870)であった。培養は37℃、5%CO2で行った。継代のためのパンクレアチン-EDTAによる従来法の消化処理は週に2回行った。細胞が指数増殖期にあるとき、細胞を収集し、計数し、接種した。
【0124】
3.2 腫瘍細胞接種
0.1mLの10×106 PC-3細胞を各ヌードマウスの右背部に皮下接種した。グループ化および投与は、平均腫瘍体積が100~150mm3に達したときに開始した。
【0125】
3.3 腫瘍の測定、実験の指標および統計分析は、MDA-MB-231モデルと同じであった。
【0126】
4. 実験結論
投与後21日目に、溶媒対照群と比較して、式(I)の試験化合物は、有意な腫瘍抑制効果を有した(T/C=44.63%、TGI=58.4%、p=0.033);動物は忍容性が高かった。
【0127】
実施例6: MC38マウス結腸がん細胞動物移植腫瘍モデルにおける式(I)の化合物のin vivo抗腫瘍効果。
1. 実験デザイン
【0128】
【0129】
2. 実験材料
2.1 実験動物
種: マウス
系統: C57BL6 マウス
週齢および重量: 6~7週齢、体重16~20グラム
性別: メス
供給元: Shanghai SLAC Laboratory Animal Co. Ltd.
【0130】
3. 実験方法および工程
3.1 細胞培養
マウス結腸がんMC38細胞(OBiO Technology (Shanghai) Corp., Ltd.)をin vitroで単層培養し、培養条件はインキュベーターで5%CO2、37℃、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地(Gibco;商品番号:12100)であった。継代のための0.25%パンクレアチン-EDTAによる従来法の消化処理は週に2回行った。細胞が指数増殖期にあり、密度が80%~90%のときに、細胞を収集し、計数し、接種した。
【0131】
3.2 腫瘍細胞接種
0.1mLの2×105 MC38細胞を各マウスの右背部に皮下接種した。平均腫瘍体積が約70mm3に達したときの腫瘍体積に応じてランダムグループ化および投与を行った。
【0132】
3.3 腫瘍の測定
腫瘍の直径は、ノギスで週に2回測定した。腫瘍体積を計算するための式は、V=0.5a×b2であった。ここで、aおよびbは、それぞれ腫瘍の長径および短径を表している。
【0133】
化合物の腫瘍阻害効果は、TGI(%)または相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価した。相対腫瘍増殖率 T/C%=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群のRTV; CRTV:陰性対照群のRTV)。相対腫瘍体積(RTV)は、腫瘍測定の結果に従って計算した。計算式はRTV=Vt/V0であった。ここで、V0はグループ化および投与時(すなわち、d0)に測定された平均腫瘍体積であり、Vtは特定の測定時の平均腫瘍体積であった。TRTVおよびCRTVは、同じ日のデータから取得した。
【0134】
TGI(%)は腫瘍増殖阻害率を反映していた。 TGI(%)=[(1-(治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-この治療群の投与開始時の平均腫瘍体積))/(溶媒対照群における治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群における治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。
【0135】
実験の最後に、腫瘍の重量を測定し、Tweight/Cweightのパーセンテージを計算する。TweightおよびCweightは、それぞれ、投与群および溶媒対照群の腫瘍重量を表した。
【0136】
3.4 統計分析
統計分析は、実験終了時の腫瘍体積および腫瘍重量に基づいて、SPSSソフトウェアを使用して行った。2つの群間の比較はT検定によって分析し、3つ以上の群間の比較は一元配置分散分析によって分析した。分散が均一である場合(F値に有意差がない場合)、LSD法を分析に使用した。分散が均一でない場合(F値が有意に異なる場合)、Games-Howell法を試験に使用した。p<0.05は有意に異なると見なされた。
【0137】
4. 実験結論
投与後20日目に、式(I)の試験化合物について、15mg/kg投与群の場合: 相対腫瘍増殖率 T/C=33.68%、腫瘍増殖阻害率 TGI=68.81%、p<0.0001; 25mg/kg投与群の場合: 相対腫瘍増殖率 T / C = 27.59%、TGI=75.21%、p<0.0001; 50mg/kg投与群の場合: T/C=10.04%、TGI=93.46%、p<0.0001。良好な忍容性を有する動物の各投与群において、有意な腫瘍抑制効果が示された。
【0138】
実施例7: マウスにおける式(I)の化合物のin vivo薬物動態試験
メスのBalb/cマウスを試験動物として使用した。式(I)の化合物をマウスに静脈内および胃内に投与し、次に、異なる時点での血漿中の薬物濃度を、LC/MS/MS法によって決定した。マウスにおける式(I)の化合物のin vivo薬力学的挙動を研究し、その薬力学的特性を評価した。
【0139】
1. 実験プロトコル
1.1 実験薬: 式(I)の化合物
1.2 実験動物: 16匹の健康な成体メスBalb/cマウスを、同様の体重の原則に従って4つのグループに分け、各グループに4匹のマウスを入れた。動物はShanghai SLAC Laboratory Animal Co., Ltd.のShanghai Lingchang BioTech Co., Ltd.から購入し、動物生産ライセンス番号はSCXK(上海)2013-0018であった。
【0140】
1.3 薬物の製剤化
適切な量のサンプルを採取し、5%の最終容量のDMSOを添加し、次に95%の最終容量の20%HP-β-CDを添加した。混合物を超音波で撹拌して、0.5mg/mLの透明な溶液を得た。濾過後、静脈内投与に使用した。
【0141】
適切な量のサンプルを採取し、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に溶解した。混合物を超音波で撹拌して、胃内投与に使用される0.5mg/mLの均一な懸濁液を得た。
【0142】
1.4 投与
8匹のメスのBalb/cマウスを2つのグループに分けた。一晩絶食させた後、第一の群は、2.5mL/kgの投与量および1mg/kgの投与量で静脈内投与された。第二の群は、5mL/kgの投与量および3mg/kgの投与量で胃内投与された。
【0143】
2. 操作
メスのBalb/cマウスを静脈内投与した後、0.0833、0.25、0.5、1、2、4、8、および24時間の各時点で30μLの血液を採取し、2μLのEDTA-K2を含む試験管に入れた;および、メスのBalb/cマウスを胃内投与した後、0.0833、0.25、0.5、1、2、4、8、および24時間の各時点で30μLの血液を採取し、2μLのEDTA-K2含む試験管に入れた。管を3000gで15分間遠心分離して血漿を分離し、分離した血漿を-60℃で保管した。動物は投与の2時間後に給餌することができた。
【0144】
LC/MS/MS法を使用して、マウスへの静脈内および胃内投与後の血漿中で試験される化合物の含有量を測定した。この方法の直線範囲は2.00~6000nmol/Lであった;血漿サンプルは、アセトニトリル処理によるタンパク質沈殿後に分析された。薬物動態パラメーターの結果を表8に示した。
【0145】
【0146】
実験の結論;式(I)の化合物は、経口投与による曝露が高く、薬物クリアランス率が低く、経口生体利用効率が高い。
【0147】
実施例8: ラットにおける式(I)の化合物のin vivo薬物動態試験
オスのSDラットを試験動物として使用した。式(I)の化合物をラットに静脈内および胃内に投与し、次に、異なる時点での血漿中の薬物濃度を、LC/MS/MS法によって決定した。ラットにおける式(I)の化合物のin vivo薬力学的挙動を研究し、その薬力学的特性を評価した。
【0148】
1. 実験プロトコル
1.1 実験薬: 式(I)の化合物 (結晶形A)
1.2 実験動物: 4匹の健康な成体オスSDラットを、同様の体重の原則に従って2つのグループに分け、各グループに2匹のマウスを入れた。動物はBeijing Weitonglihua Laboratory Animals Ltdから購入し、動物生産ライセンス番号はSCXK(北京)2016-0006であった。
【0149】
1.3 薬物の製剤化
適切な量のサンプルを採取し、5%の最終容量のDMSOを添加し、次に95%の最終容量の20%HP-β-CDを添加した。混合物を超音波で撹拌して、0.5mg/mLの透明な溶液を得た。濾過後、静脈内投与に使用した。
【0150】
適切な量のサンプルを採取し、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に溶解した。混合物を超音波で撹拌して、胃内投与に使用される1mg/mLの均一な懸濁液を得た。
【0151】
1.4 投与
4匹のオスのSDラットを2つのグループに分けた。一晩絶食させた後、第一の群は、4mL/kgの投与量および2mg/kgの投与量で静脈内投与された。第二の群は、10mL/kgの投与量および10mg/kgの投与量で胃内投与された。
【0152】
2. 操作
オスのSDラットを静脈内投与した後、0.0833、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間の各時点で100μLの血液を採取し、2μLのEDTA-K2を含む試験管に入れた;および、オスのSDラットを胃内投与した後、0.0833、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間の各時点で100μLの血液を採取し、2μLのEDTA-K2含む試験管に入れた。管を3000gで15分間遠心分離して血漿を分離し、分離した血漿を-60℃で保管した。動物は投与の2時間後に給餌することができた。
【0153】
LC/MS/MS法を使用して、ラットへの静脈内および胃内投与後の血漿中で試験される化合物の含有量を測定した。この方法の直線範囲は2.00~6000nmol/Lであった;血漿サンプルは、アセトニトリル処理によるタンパク質沈殿後に分析された。薬物動態パラメーターの結果を表9に示した。
【0154】
【0155】
実験の結論;式(I)の化合物は、経口投与による曝露が高く、薬物クリアランス率が低く、経口生体利用効率が高い。
【0156】
実施例9: 式(I)の化合物がhERGカリウムイオンチャネルに及ぼす影響のアッセイ
式(I)の化合物がhERGカリウムチャネル電流に及ぼす影響を、hERGカリウムイオンチャネルを安定して発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を採用し、全自動パッチクランプQPatch技術を使用することによって調べた。
【0157】
1. 実験プロトコル
1.1 実験薬: 式(I)の化合物
1.2 実験系: CHO-hERG細胞株
1.3 細胞の調製
CHO-hERG細胞を175cm2の培養フラスコで培養した。細胞密度が60~80%に増加した後、培地を除去し、細胞を7mL PBSで1回洗浄し、次に3mLデタチン(Detachin)を添加して消化した。
【0158】
消化が完了した後、中和のために7mLの培地を添加し、次に混合物を遠心分離した。上清を除去した後、5mLの培地を添加して再懸濁し、細胞密度が2~5×106/mLになるようにした。
【0159】
1.4 溶液の調製
溶液の調製方法を以下の表10に示す。
【0160】
【0161】
2. 操作
化合物の20mM原液を細胞外液で希釈し、5μLの20mM原液を2495μLの細胞外液に添加し、500倍希釈で40μMに希釈した後、0.2%DMSOを含む細胞外液で3倍段階希釈を続けて、試験に必要な最終濃度を得る。最高の試験濃度は40μMであり、これはそれぞれ40、13.33、4.44、1.48、0.49、0.16μMであり、合計6つの濃度であった。試験におけるDMSOの最終濃度は0.2%を超えず、hERGカリウムチャネルに影響を与えない。
【0162】
単一細胞の高インピーダンスシーリングおよび全細胞モードの形成プロセスはすべて、Qpatch機器によって自動的に完了した。全細胞記録モードが得られた後、細胞は-80ミリボルトでクランプされた。細胞は、最初に-50ミリボルトの前電圧を50ミリ秒受け、次に+40ミリボルトで5秒間脱分極刺激を受け、次に-50ミリボルトで5秒間再分極され、その後電圧は-80ミリボルトに戻った。この電圧刺激は15秒ごとに適用された。データは2分間記録され、次に細胞外液が与えられ、次にデータは5分間記録された。その後、薬剤の投与が開始した。試験化合物の濃度は最低濃度から開始し、各試験濃度を2.5分間試験した。すべての濃度を継続的に投与した後、3μMのシサプリドを陽性対照化合物として投与した。少なくとも3つの細胞(n≧3)が各濃度で試験された。実験データはXLFitソフトウェアによって分析された。
【0163】
3. 結論
結果は、式(I)の化合物がIC50>40μMでhERGカリウム電流を阻害することを示している。
【国際調査報告】