(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559718
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 CN2019082050
(87)【国際公開番号】W WO2020206631
(87)【国際公開日】2020-10-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エルブイ,イハン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジシェン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ティモシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ケント,スーザン エル.
(72)【発明者】
【氏名】マクドウェル,エリン エー.
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA45
2H199CA47
2H199CA63
2H199CA65
(57)【要約】
光学システム(200)が、薄い外形を有する小型のシステムに広い視野角を提供する。光学システム(200)は、ディスプレイ(10)と、反射偏光子(60)と、ミラー(100)と、部分反射体(110)とを含み、画像源と観察者(30)の目との間に折り返された光経路を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
観察者による観察のために画像を放射するように適合されたディスプレイであって、放射された前記画像が、前記ディスプレイと前記観察者との間の折り返された光軸に沿って伝播する中心画像光線を含む、ディスプレイと、
反射偏光子であって、前記中心画像光線が、青色波長範囲内の少なくとも1つの波長λ
b、緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長λ
g、及び、赤色波長範囲内の少なくとも1つの波長λ
rのそれぞれについて、約30°~約60°の第1の入射角で前記反射偏光子に入射し、前記反射偏光子が、第1の偏光状態を有する前記入射中心画像光線の少なくとも70%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する前記入射中心画像光線の少なくとも70%を反射し、λ
bとλ
gとの間の少なくとも1つの波長λ
bg、及び、λ
gとλ
rとの間の少なくとも1つの波長λ
grのそれぞれについて、前記反射偏光子が、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれを有する前記入射中心画像光線の少なくとも70%を透過する、反射偏光子と、
ミラーであって、前記ミラーと前記ディスプレイが前記反射偏光子の両側に配置され、前記中心画像光線が前記ミラーに実質的に垂直入射して、少なくともλ
b、λ
g、及びλ
rについて、前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれで、前記ミラーが前記入射中心画像光線の少なくとも70%を反射するようになっている、ミラーと、
部分反射体であって、前記部分反射体と前記観察者が前記反射偏光子の両側に配置され、前記中心画像光線が部分反射体に実質的に垂直入射して、少なくともλ
b、λ
g、及びλ
rについて、かつ前記第1の偏光状態及び前記第2の偏光状態のそれぞれについて、前記部分反射体が前記入射中心画像光線の少なくとも30%を反射し及び透過するようになっている、部分反射体と、
を備える、光学システム。
【請求項2】
前記折り返された光軸の少なくとも第1の部分が、前記折り返された光軸の少なくとも第2の部分に直交する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記青色波長範囲が約425nm~約475nmであり、前記緑色波長範囲が約525nm~約575nmであり、前記赤色波長範囲が約625nm~約675nmである、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記ミラーと前記反射偏光子との間に配置された第1のリターダ層と、前記部分反射体と前記反射偏光子との間に配置された第2のリターダ層とを更に備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記第1のリターダ層及び前記第2のリターダ層のそれぞれが実質的に1/4波リターダ層である、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記ディスプレイが有機発光ディスプレイ(OLED)である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記ディスプレイが液晶ディスプレイ(LCD)である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記反射偏光子がワイヤーグリッド偏光子である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
前記反射偏光子が多層光学フィルム偏光子である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
前記観察者が、前記部分反射体によって透過された、周辺画像からの光を受け取って観察するようになされている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項11】
前記周辺画像が第3の強度を有し、前記光学システムによって透過され前記観察者によって観察される前記周辺画像が第4の強度を有し、前記第4の強度の前記第3の強度に対する比率が少なくとも0.15である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項12】
前記第4の強度の前記第3の強度に対する比率が少なくとも0.2である、請求項11に記載の光学システム。
【請求項13】
前記ディスプレイによって放射される前記画像が実質的に偏光されていない、請求項1に記載の光学システム。
【請求項14】
前記ディスプレイによって放射される前記画像が第1の強度を有し、前記光学システムによって透過されて前記観察者によって観察される前記画像が第2の強度を有し、前記第2の強度の前記第1の強度に対する比率が少なくとも0.6である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項15】
前記第2の強度の前記第1の強度に対する比率が少なくとも0.7である、請求項14に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して光学システムに関し、具体的には折り返された光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
照明された物体から画像を形成することができる光学システムには、多数の重要な用途が見出される。光学システムは、ディスプレイ、及びディスプレイと観察者の目との間の光経路における様々な光学構成要素を含み得る。そのようなシステムでは、サイズが小型であること、広い視野角及び高いコントラストを有すること、並びに、あらゆる周囲照明条件で観察可能であることが有利である。光経路を折り返すことにより、空間に制限のある用途に求められる小型の光学システムが得られる。そのような光学システムは、観察者に画像を提供するために、仮想現実ディスプレイなどのヘッドマウントディスプレイに含まれることがある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される様々な態様及び実施形態は、折り返された光経路を有する光学システムに関する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、光学システムが、観察者による観察のために画像を放射するように適合されたディスプレイを含む。放射された画像は、ディスプレイと観察者との間の折り返された光軸に沿って伝搬する中心画像光線を含む。光学システムは、反射偏光子を含む。中心画像光線は、青色波長範囲内の少なくとも1つの波長λb、緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長λg、及び、赤色波長範囲内の少なくとも1つの波長λrのそれぞれについて、約30°~約60°の第1の入射角で反射偏光子に入射する。反射偏光子は、第1の偏光状態を有する入射中心画像光線の少なくとも70%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する入射中心画像光線の少なくとも70%を反射する。更に、λbとλgとの間の少なくとも1つの波長λbg、及び、λgとλrとの間の少なくとも1つの波長λgrのそれぞれについて、反射偏光子は、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれを有する入射中心画像光線の少なくとも70%を透過する。光学システムはミラーを更に含み、ミラーとディスプレイは反射偏光子の両側に配置される。中心画像光線は、ミラーに実質的に垂直入射して、少なくともλb、λg、及びλrについて、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれで、ミラーが入射中心画像光線の少なくとも70%を反射するようになっている。光学システムは部分反射体を更に含み、部分反射体と観察者は反射偏光子の両側に配置される。中心画像光線は、部分反射体に実質的に垂直入射して、少なくともλb、λg、及びλrについて、かつ第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、部分反射体が入射中心画像光線の少なくとも30%を反射し及び透過するようになっている。
【0005】
本出願の上記及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかしながら、上記概要は、いかなる場合も請求の主題の限定として解釈されるべきではなく、そのような主題は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照してより詳細に論じられる。
【
図1】一実施形態による折り返された光学系の概略図である。
【0007】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本説明の光学システムをヘッドマウント式ディスプレイ内などの装置で使用して、薄い外形を有する小型のシステムに効率的で広い視野角を提供し得る。いくつかの実施形態では、光学システムは、ディスプレイと、反射偏光子と、ミラーと、部分反射体とを含み、画像源と観察者の目との間に折り返された光経路を提供する。
【0009】
図1及び
図2に概略的に示されるように、光学システム(200)のディスプレイ(10)は、観察者(30)による観察のために画像(20)を放射するように適合されている。観察者は眼鏡を着用し、眼鏡によって形成された画像を見るとともに、眼鏡の外側の周囲画像もまた見ることができる。放射された画像(20)は、ディスプレイと観察者(30)との間の折り返された光軸(50)に沿って伝搬する、中心画像光線(40)を有する。ディスプレイは1つ以上のLEDを含んでもよく、それには、いくつかの事例では1つ以上のレーザーダイオードが含まれる。いくつかのそのようなLEDを組み合わせて、所望の光スペクトル分布を作り出すことができる。ディスプレイは、フルカラー画像を提供するために、赤色、緑色、及び青色のサブ要素を有してもよい。例えば、赤色、緑色、及び青色のLEDの出力を組み合わせて名目上白色の光を提供してもよいし、代わりに、又は、加えて、白色LEDを使用してもよい。ディスプレイ10は、例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display;LCD)及び有機発光ダイオード(organic light emitting diode;OLED)ディスプレイを含めた、どのような好適なタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイ10は、実質的に平坦又は平面状であってもよく、湾曲していてもよく、あるいは、互いに対して鈍角に配置された複数の平坦又は平面状のパネルを含んでもよい。一定の態様では、ディスプレイによって放射される画像は、実質的には偏光されていなくてもよい。
【0010】
光学システムは反射偏光子を更に含み、中心画像光線(40)は約15°~約75°の第1の入射角(a1)で反射偏光子(60)に入射する。いくつかの態様では、第1の入射角(a1)は、約30°~約60°であってもよい。反射偏光子(60)は、広帯域反射偏光子、又は、ノッチ反射偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子(60)は、吸収型直線偏光子、多層ポリマー反射偏光子、又は、反射偏光子と吸収型直線偏光子のラミネート(laminate)であるか、それを含んでもよく、第1の偏光状態(P)を有する光を実質的に透過し、かつ直交する第2の偏光状態(S)を有する光を実質的に反射して、その結果、ディスプレイ(10)によって放射された光を偏光させる。一定の実施形態では、反射偏光子(60)は、ワイヤーグリッド偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子60は、多層光学フィルム偏光子であってもよい。一実施形態によれば、青色波長範囲(70)内の少なくとも1つの波長λb、緑色波長範囲(80)内の少なくとも1つの波長λg、及び赤色波長範囲(90)内の少なくとも1つの波長λrのそれぞれについて、反射偏光子(60)は、第1の偏光状態(P)を有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70%を透過し、直交する第2の偏光状態(S)を有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70%を反射する。一定の態様では、反射偏光子(60)は、第1の偏光状態(P)を有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70~80%又は75~85%を透過し、直交する第2の偏光状態(S)を有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70~80%又は75~80%を反射する。
【0011】
λbとλgとの間の少なくとも1つの波長λbg、及び、λgとλrとの間の少なくとも1つの波長λgrのそれぞれについて、反射偏光子は、第1の偏光状態(P)及び第2の偏光状態(S)のそれぞれを有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70%、又は70~80%、又は75~85%を透過する。
【0012】
光学システム(200)はミラー(100)を更に含み、ミラーとディスプレイ(10)は反射偏光子(60)の両側に配置される。いくつかの態様では、ミラー(100)は、本明細書の他の箇所に記載するとおり、表面の平坦性が高く、散乱性が低く、広範な入射角にわたって適用可能な、広い範囲に対して高い反射率を有する広帯域誘電体ミラーであってもよい。中心画像光線(40)は、ミラー(100)に実質的に垂直入射して、青色波長範囲(70)内の少なくとも1つの波長λb、緑色波長範囲(80)内の少なくとも1つの波長λg、及び赤色波長範囲(90)内の少なくとも1つの波長λrについて、第1の偏光状態(P)と第2の偏光状態(S)のそれぞれで、ミラー(100)が入射中心画像光線(40)の少なくとも70%、又は70~80%、又は75~85%を反射するようになっている。
【0013】
光学システム(200)は、部分反射体(110)を更に含み、部分反射体と観察者(30)は反射偏光子(60)の両側に配置される。部分反射体(110)は、所望又は所定の少なくとも1つの波長について、少なくとも25%、少なくとも30%、又は、少なくとも30~40%、あるいは、いくつかの実施形態では少なくとも40~50%の平均光反射率を有してもよく、その所望又は所定の少なくとも1つの波長について、少なくとも30%の平均光透過率を有してもよい。この所望又は所定の少なくとも1つの波長は、所望又は所定の複数の波長であってもよく、それらは、単一の連続した波長範囲(例えば、400nm~700nmの可視範囲)でもよいし、あるいは、複数の連続した波長範囲であってもよい。一定の実施形態によれば、青色波長範囲は約425nm~約475nmであってもよく、緑色波長範囲は約525nm~約575nmであってもよく、赤色波長範囲は約625nm~約675nmであってもよい。
【0014】
いくつかの態様では、部分反射体はノッチ反射体であってもよく、所望又は所定の少なくとも1つの波長は、例えば少なくとも一部が100nm以下又は50nm以下の半値全幅反射帯域を有する、1つ以上の波長範囲を含んでもよい。他の態様では、部分反射体は、例えばアルミニウム又は銀などの金属を、プラスチック又はガラス板に蒸着させて得られる50/50ビームスプリッタであってもよい。本開示の一態様によれば、部分反射体(110)は、周囲画像(150)によって放射された光(140)を透過する。観察者(30)は、部分反射体(110)が透過した周囲画像(150)から光(140)を受け取って観察するようになされている。
【0015】
一実施形態によれば、中心画像光線(40)は、部分反射体(110)に実質的に垂直入射して、青色波長範囲(70)内の少なくとも1つの波長λb、緑色波長範囲(80)内の少なくとも1つの波長λg、及び赤色波長範囲(90)内の少なくとも1つの波長λrについて、かつ第1の偏光状態(P)と第2の偏光状態(S)のそれぞれについて、部分反射体(110)が入射中心画像光線(40)の少なくとも30%、又は少なくとも約30~約50%を反射し及び透過するようになっている。
【0016】
折り返された光軸(50)は少なくとも、第1の部分(51)及び第2の部分(52)を含む。いくつかの実施形態では、折り返された光軸(50)の第1の部分(51)は、折り返された光軸(50)の第2の部分(52)に直交する。
【0017】
光学システム(200)は、例えばディスプレイ(10)が放射する直線偏光された光の偏向を、例えば回転偏光(円偏光又は楕円偏光)された光に変化させるために、ミラー(100)と反射偏光子(60)との間に配置された第1のリターダ層(120)を含む。いくつかの実施形態では、第1のリターダ層(120)は実質的に1/4波リターダ層であってもよい。一定の実施形態では、第1のリターダ層(120)は、反射偏光子(60)にラミネートされた(laminated)フィルムであってもよく、又は、反射偏光子(60)に施されたコーティングであってもよい。例えば、第1のリターダ(120)は、反射偏光子(60)にラミネートされた配向ポリマーフィルム、又は反射偏光子(60)に施された液晶ポリマーコーティングであってもよい。1/4波リターダを形成するための好適なコーティングには、本明細書の他の箇所に記載するとおり、線状光重合性ポリマー(LPP)材料及び液晶ポリマー(LCP)材料が含まれるが、これらに限定されない。光学システム(200)に含まれる第1のリターダ(120)は、少なくとも1つの所望の波長のうち少なくとも1つの波長における1/4波リターダであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの所望の波長は複数の所望の波長であり、第1のリターダ層(120)は、複数の所望の波長のうち少なくとも1つの波長における1/4波リターダである。
【0018】
光学システム(200)は、部分反射体(110)と反射偏光子(60)との間に配置された第2のリターダ層(130)を更に含む。いくつかの実施形態では、第2のリターダ層(130)は実質的に1/4波リターダ層であってもよい。いくつかの態様では、部分反射体(110)及び第2の1/4波リターダ(130)は、例えば、部分反射体に1/4波リターダをコーティングすることによって、又は、1/4波リターダフィルムに部分反射体コーティングをコーティングすることによって、又は、部分反射体フィルムと1/4波リターダフィルムとを一緒にラミネートすることによって作成することができる。光学システム(200)に含まれる第2のリターダ(130)は、少なくとも1つの所望の波長のうち少なくとも1つの波長における1/4波リターダであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの所望の波長は複数の所望の波長であり、第2のリターダ層(130)は、複数の所望の波長のうち少なくとも1つの波長における1/4波リターダである。
【0019】
一部の態様では、ディスプレイ(10)によって放射される画像は第1の強度(I1)を有する。光学システムにより透過され、観察者(30)によって観察される画像は、第2の強度(I2)を有する。ディスプレイ(10)によって放射される画像は、第1の偏光状態(P)を有する光を実質的に透過する反射偏光子(60)を通過する際に、強度が低下する。第1の偏光状態(P)を有する光は、第1のリターダ(120)を通過し、この光の大部分はミラー(100)によって反射して第1のリターダ(120)を通過し、このリターダは第1の偏光状態(P)を第2の偏光状態(S)に変換する。第2の偏光状態(S)を有する入射中心画像光線(40)の少なくとも70%が反射偏光子(60)によって反射して、第2の強度(I2)で観察者(30)に到達する。いくつかの実施形態では、第2の強度の第1の強度に対する比率は、少なくとも0.5、若しくは少なくとも0.6、若しくは少なくとも0.7、又は、0.6~0.75であってもよい。反射偏光子(60)に入射し、この反射偏光子によって反射する、ディスプレイ(10)が放射した中心画像光線(40)の第2の偏光状態(S)は、第2の波リターダ(130)を通して部分反射体(110)によって部分的に反射し、このリターダは第2の偏光状態(S)を第1の偏光状態(P)に変換する。第2のリターダ(130)が放射した、第1の偏光状態(P)を有する入射中心画像光線の少なくとも70%が反射偏光子(60)によって透過され、観察者(30)に到達する。
【0020】
一部の態様では、周囲画像(150)は第3の強度(I3)を有する。光学システムにより透過され、観察者(30)によって観察される周囲画像(150)は、第4の強度(I4)を有する。周囲画像の第3の強度(I3)は、その画像(150)が放射した光(140)が部分反射体(110)を通過した後に低下し、更に、第1の偏光状態(P)を有する光を実質的に透過する反射偏光子(60)によって透過される際にも、光が観察者(30)に到達する前に強度が低下する。いくつかの実施形態では、第4の強度の第3の強度に対する比率は、少なくとも0.15、若しくは少なくとも0.20、又は、少なくとも約0.20~0.30であってもよい。
【0021】
以下は、例示的な実施形態のリストである。
【0022】
実施形態1.光学システムであって、観察者による観察のために画像を放射するように適合されたディスプレイであって、放射された画像が、ディスプレイと観察者との間の折り返された光軸に沿って伝播する中心画像光線を有する、ディスプレイと、反射偏光子であって、中心画像光線が、青色波長範囲内の少なくとも1つの波長λb、緑色波長範囲内の少なくとも1つの波長λg、及び、赤色波長範囲内の少なくとも1つの波長λrのそれぞれについて、約30°~約60°の第1の入射角で反射偏光子に入射し、反射偏光子が、第1の偏光状態を有する入射中心画像光線の少なくとも70%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する入射中心画像光線の少なくとも70%を反射し、λbとλgの間の少なくとも1つの波長λbg、及び、λgとλrの間の少なくとも1つの波長λgrのそれぞれについて、反射偏光子が、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれを有する入射中心画像光線の少なくとも70%を透過する、反射偏光子と、ミラーであって、ミラーとディスプレイが反射偏光子の両側に配置され、中心画像光線がミラーに実質的に垂直入射して、少なくともλb、λg、及びλrについて、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれで、ミラーが入射中心画像光線の少なくとも70%を反射するようになっている、ミラーと、部分反射体であって、部分反射体と観察者が反射偏光子の両側に配置され、中心画像光線は部分反射体に実質的に垂直入射して、少なくともλb、λg、及びλrについて、かつ第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、部分反射体が入射中心画像光線の少なくとも30%を反射し及び透過するようになっている、部分反射体と、を備える、光学システム。
【0023】
実施形態2.折り返された光軸の少なくとも第1の部分が、折り返された光軸の少なくとも第2の部分に直交する、実施形態1の光学システム。
【0024】
実施形態3.青色波長範囲が約425nm~約475nmである、実施形態1の光学システム。
【0025】
実施形態4.緑色波長範囲が約525nm~約575nmである、実施形態1の光学システム。
【0026】
実施形態5.赤色波長範囲が約625nm~約675nmである、実施形態1の光学システム。
【0027】
実施形態6.ミラーと反射偏光子との間に配置された第1のリターダ層と、部分反射体と反射偏光子との間に配置された第2のリターダ層とを更に含む、実施形態1の光学システム。
【0028】
実施形態7.第1のリターダ層及び第2のリターダ層のそれぞれが実質的に1/4波リターダ層である、実施形態6の光学システム。
【0029】
実施形態8.ディスプレイが有機発光ディスプレイ(OLED)である、実施形態1の光学システム。
【0030】
実施形態9.ディスプレイが液晶ディスプレイ(LCD)である、実施形態1の光学システム。
【0031】
実施形態10.反射偏光子がワイヤーグリッド偏光子である、実施形態1の光学システム。
【0032】
実施形態11.反射偏光子が多層光学フィルム偏光子である、実施形態1の光学システム。
【0033】
実施形態12.観察者が、部分反射体によって透過された、周辺画像からの光を受け取って観察するようになされている、実施形態1の光学システム。
【0034】
実施形態13.周辺画像が第3の強度を有し、光学システムによって透過されて観察者によって観察される周辺画像が第4の強度を有し、第4の強度の第3の強度に対する比率が少なくとも0.15である、実施形態1の光学システム。
【0035】
実施形態14.第4の強度の第3の強度に対する比率が少なくとも0.2である、実施形態13の光学システム。
【0036】
実施形態15.ディスプレイによって放射される画像が実質的に偏光されていない、実施形態1の光学システム。
【0037】
実施形態16.ディスプレイによって放射される画像が第1の強度を有し、光学システムによって透過されて観察者によって観察される画像が第2の強度を有し、第2の強度の第1の強度に対する比率が少なくとも0.6である、実施形態1の光学システム。
【0038】
実施形態17.第2の強度の第1の強度に対する比率が少なくとも0.7である、実施形態16の光学システム。
【0039】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
【国際調査報告】