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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】食感を向上させた疑似甲殻類製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/40 20160101AFI20220810BHJP
【FI】
A23L17/40 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568731
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020033222
(87)【国際公開番号】W WO2020236632
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/849,484
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521502414
【氏名又は名称】ニュー ウェーブ フーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】アキリ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ラニアー タイヤ
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AD36
4B042AG70
4B042AG72
4B042AG74
4B042AK01
4B042AK02
4B042AK08
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK11
(57)【要約】
本物の甲殻類の身の自然な食感を模倣した甲殻類類似製品が本明細書において開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本物の甲殻類の身の自然な食感を模倣した甲殻類類似製品であって、
重量で類似製品の1.5%~5%の程度のアルギン酸塩と;
カルシウムイオンとのアルギン酸塩反応前に水に存在するあらゆる二価イオンをキレート化するのに十分な程度の金属イオン封鎖剤と;
重量で類似製品の2%~6%の程度のデンプンと;
重量で類似製品の3%~12%の程度のタンパク質と;
重量で類似製品の2%~5%の程度のカルシウム塩と;
コンニャク、液体充填アルギン酸カルシウムビーズ、またはコンニャクと液体充填アルギン酸カルシウムビーズとの組み合わせと;
重量で類似製品の60%~75%の程度の水と
を含む、甲殻類類似製品。
【請求項2】
甲殻類が、エビ、ロブスター、またはカニである、請求項1記載の甲殻類類似製品。
【請求項3】
甲殻類がエビである、請求項2記載の甲殻類類似製品。
【請求項4】
コンニャクを含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項5】
コンニャクが、以下の大きさ:長さ0.5mm~8mmおよび直径0.5mm~4mmを有する、請求項4記載の甲殻類類似製品。
【請求項6】
コンニャクが、類似製品の10%~25%の程度で組み込まれている、請求項4または請求項5記載の甲殻類類似製品。
【請求項7】
液体充填アルギン酸カルシウムビーズを含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項8】
液体充填アルギン酸カルシウムビーズが類似製品の5%~15%の程度で組み込まれいる、請求項7記載の甲殻類類似製品。
【請求項9】
アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムである、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項10】
金属イオン封鎖剤が、クエン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項11】
金属イオン封鎖剤が、重量で甲殻類類似製品の0.10%~0.50%の程度のクエン酸ナトリウムである、請求項10記載の甲殻類類似製品。
【請求項12】
デンプンが物理的または化学的に加工されたデンプンである、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項13】
デンプンが、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、サゴデンプン、エンドウ豆デンプン、小麦デンプン、ワキシーまたは高アミロースデンプン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12記載の甲殻類類似製品。
【請求項14】
加工デンプンがジャガイモデンプンである、請求項12または請求項13記載の甲殻類類似製品。
【請求項15】
カルシウムが120°F~150°Fの温度に達するまで溶液中でアルギン酸塩と反応しないように、カルシウム塩が封止されている、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項16】
カルシウム塩が、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一カルシウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項17】
カルシウム塩が、封止乳酸カルシウムである、請求項15または請求項16記載の甲殻類類似製品。
【請求項18】
タンパク質が、大豆たんぱく質分離物、大豆たんぱく質濃縮物、エンドウ豆タンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質濃縮物、米タンパク質分離物、米タンパク質濃縮物、ジャガイモタンパク質分離物、ジャガイモタンパク質濃縮物、ヒヨコ豆タンパク質分離物、ヒヨコ豆タンパク質濃縮物、藻類タンパク質分離物、藻類タンパク質濃縮物、緑豆タンパク質分離物、緑豆タンパク質濃縮物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項19】
タンパク質が大豆タンパク質分離物である、請求項18記載の甲殻類類似製品。
【請求項20】
重量で甲殻類類似製品の1%~4%の程度の甘味料をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項21】
甘味料が、ステビア、リュウゼツラン、蜂蜜、ココナッツ糖、サトウキビ汁、白色グラニュー糖、糖誘導体、果糖、高甘味度代替糖、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20記載の甲殻類類似製品。
【請求項22】
甘味料が白色グラニュー糖である、請求項20または請求項21記載の甲殻類類似製品。
【請求項23】
塩化ナトリウム、塩化カリウム、またはそれらの組み合わせを重量で甲殻類類似製品の0.1%~1%の程度でさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項24】
リコピン、ベータカロチン、ターメリック、ビート、ベリー抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるエビの色を真似た天然着色料をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項25】
コンニャクと液体充填アルギン酸カルシウムビーズとの組み合わせを含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項26】
重量で甲殻類類似製品の2.5%~3.5%の程度のアルギン酸塩と;
重量で甲殻類類似製品の2%~3%の程度のデンプンと;
重量で甲殻類類似製品の5%~7%の程度のタンパク質と;
重量で甲殻類類似製品の2%~3.5%の程度のカルシウム塩と;
重量で甲殻類類似製品の12%~15%の程度のコンニャクと
を含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【請求項27】
重量で甲殻類類似製品の0.1~3%の程度の親水コロイドをさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の甲殻類類似製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2019年5月17日に出願の米国仮特許出願第62/849,484号の優先権の恩典を主張し、該出願はその全体において参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は本物の甲殻類製品の固さおよび口当たりに似た、向上した食感を有する疑似甲殻類製品に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
消費者は、甲殻類に代わる植物由来の代替物が、野生で捕獲されたかまたは養殖された甲殻類と比べてそれらの味、食感、風味、および出来栄えの点で従来の甲殻類と1対1で換えられるものであれば、そのような甲殻類代替物に強い関心を有している。エビなどの伝統的な甲殻類はまた養殖すると生態系を壊してしまい、かつ捕獲時には高い混獲率を伴う。高品質な甲殻類類似物は、伝統的手法で調達される甲殻類の消費量を削減しつつ新たな消費者の嗜好に合う可能性がある。
【0004】
植物由来の類似物の消費への消費者の習慣の変化は、動物由来の製品の購入が大幅に減少し植物由来の類似物の購入が増加した乳製品および牛肉産業において前例がある。これは植物由来の代替物が動物由来の代替物と同等の品質を有している場合に主に当てはまる。しかしながら、市販の甲殻類代替製品は野生で捕獲されたかまたは養殖された甲殻類の味、食感、および出来栄えを真似るそれらの能力に限界がある。
【0005】
先行技術の例としては甲殻類類似製品、シーフード類似製品、および身類似製品が挙げられ、これらはタンパク質をアルギン酸塩と組み合わせ、該組み合わせを熱の存在下でカルシウム塩と反応させてゲル化物を製造し、これを一例としては型を利用してエビまたは身の形に成形することによって製造される。完成した製品は典型的には冷凍される。先行技術の特許権者らは、解凍されるとエビ類似製品が天然エビの所望の食感および噛み応えを有すると主張している。例はMorimotoの米国特許第4,554,166号(特許文献1)、Shenoudaらの米国特許第4,396,634号(特許文献2)、およびBallardの米国特許出願公開第2003/0211228号(特許文献3)に記載のものを含む。
【0006】
Wuらの米国特許第4,994,366号(特許文献4)は、好ましくはスケソウダラ由来のすり身ペーストと、デンプンと、タンパク質と、コンニャクパウダーとの混合物を用いる工程を含む、模擬甲殻類製品を形成するためのプロセスを開示している。エビ類似製品の食感を向上させる試みにおいて、本発明者の1人は親水コロイド材料と、タンパク質材料と、藻類エキスとを含む類似製品を記載した特許出願である米国特許出願公開第2018/0084815号(特許文献5)を出願した。しかしながら、これらの製品は天然の甲殻類の真の食感および口当たりには達していない。
【0007】
類似製品が食材市場への浸透を達成するためには、天然のエビおよび甲殻類製品の食感および口当たりに真に類似した甲殻類類似製品を製造する必要性が当技術分野に残っている。これが代替品に対する消費者の関心を完全に捉えるであろう。本明細書において開示の発明は当技術分野における欠陥を克服する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,554,166号
【特許文献2】米国特許第4,396,634号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0211228号
【特許文献4】米国特許第4,994,366号
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0084815号
【発明の概要】
【0009】
本発明は本物の甲殻類製品に似た食感、特に本物の製品の固さおよび口当たりを有する向上した模擬甲殻類類似製品を開示する。該技術はすべての甲殻類(crustacean)または甲殻類(shellfish)製品に適用可能である。
【0010】
一態様では、本物の甲殻類の身の自然な食感を模倣した甲殻類類似製品は、重量でエビ類似製品の1.5%~5%の程度のアルギン酸塩と;カルシウムイオンとのアルギン酸塩反応前に水に存在するあらゆる二価イオンをキレート化するのに十分な程度の金属イオン封鎖剤と;重量で類似製品の2%~6%の程度のデンプンと;重量で類似製品の3%~12%の程度のタンパク質と;重量で類似製品の2%~5%の程度のカルシウム塩と;コンニャク、液体充填アルギン酸カルシウムビーズ、またはコンニャクと液体充填アルギン酸カルシウムビーズとの組み合わせと;重量で類似製品の60%~75%の程度の水とを含む。
【0011】
一態様では、甲殻類の類似製品はエビ類似製品である。
【0012】
本明細書において記載のように、すべてのパーセンテージは特に記載のない限り類似製品の重量組成に基づいている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本発明は向上した甲殻類類似製品を指向する。甲殻類類似製品は、成分を本明細書において記載の範囲で(製品の重量基準で)含み、本物の甲殻類製品の固さおよび口当たりに似た食感(および他の官能特性)を有する。
【0014】
一態様では、甲殻類類似製品は、重量でエビ類似製品の1.5%~5%の程度のアルギン酸塩と;カルシウムイオンとのアルギン酸塩反応前に水に存在するあらゆる二価イオンをキレート化するのに十分な程度の金属イオン封鎖剤と;重量で類似製品の2%~6%の程度のデンプンと;重量で類似製品の3%~12%の程度のタンパク質と;重量で類似製品の2%~5%の程度のカルシウム塩と;コンニャク、液体充填アルギン酸カルシウムビーズ、またはコンニャクと液体充填アルギン酸カルシウムビーズとの組み合わせと;重量で類似製品の60%~75%の程度の水とを含む。
【0015】
甲殻類製品はエビ、ロブスター、カニを非限定的に含む。
【0016】
一態様では、甲殻類類似製品はエビ類似製品である。
【0017】
一態様では、コンニャクは円柱または穀物様粒子の形状を有する固体形態で類似製品中に存在する。一態様では、コンニャク粒子の大きさは長さが0.5mm~8mm、直径が0.5mm~4mmの範囲である。コンニャクは重量で甲殻類類似製品の10%~25%の程度で甲殻類類似製品に組み込まれてもよい。
【0018】
コンニャクは、水に溶解させ、水酸化カルシウムなどの塩と反応させた、コンニャク粉の固いアルカリ化ゲルである。コンニャク粉は、コンニャク、コンニャクイモ、悪魔の舌、象蒟蒻としても公知であるコンニャク植物の球茎に由来する。コンニャク粒子は、約97%が水、残りの3%はほとんどがグルコマンナンと呼ばれる粘性物質の形態の繊維と、微量のタンパク質、デンプン、およびカルシウムなどのミネラルで構成されている。
【0019】
コンニャク粉またはグルコマンナン繊維は、未反応状態では、本発明において甲殻類様の食感を再現するのに不可欠である引き締まった食感および食感的に多様な口当たりを作り出すのに効果的ではない。コンニャク粉(Konjac powder)の別名はコンニャク粉(Konjac flour)およびコンニャク粉(Konnyaku powder)を含む。
【0020】
一態様では、コンニャクは、液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズを伴わず甲殻類類似製品に単独で存在する。
【0021】
別の態様では、コンニャクは、液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズと共に、甲殻類類似製品に存在する。
【0022】
さらなる態様では、液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズは、コンニャクを何ら伴わず甲殻類類似製品に単独で存在する。
【0023】
コンニャクおよび/または液体充填アルギン酸カルシウム球体もしくはビーズは、以下に記載のように、類似製品の食感を変化させる含有物として機能する。
【0024】
一態様では、甲殻類類似製品が液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズを含む場合、それらは重量で5%~15%の程度で、または重量で8%~12%の程度で加えられる。
【0025】
一態様では、液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズは、アルギン酸塩ゲルをカルシウム溶液に滴下して、キャビアの食感に似た液体中心を含む円形の製品を製造するプロセスによって作製される。一態様では、液体充填アルギン酸カルシウムビーズの大きさは直径が約0.5mm~約6mmの範囲である。液体充填アルギン酸カルシウム球体の製造に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれるwww.molecularrecipes.com/spherification-class/7-tips-making-spherification-caviar/に見出すことができる。
【0026】
本明細書において開示の甲殻類類似製品は、一態様によればアルギン酸ナトリウムである、アルギン酸塩を組み込んでいる。別の態様では、アルギン酸塩はアルギン酸カリウムである。
【0027】
金属イオン封鎖剤は、一態様によれば、クエン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0028】
金属イオン封鎖剤は、重量で類似製品の0.10%~0.50%の量で甲殻類類似製品に組み込まれてもよい。一態様では、金属イオン封鎖剤はクエン酸ナトリウムである。金属イオン封鎖剤はアルギン酸塩とカルシウムとの反応前に水に存在するあらゆる二価イオンをキレート化するように機能する。
【0029】
甲殻類類似製品に組み込まれるデンプンは、ゲルマトリクス内に遊離水を保持することによって甲殻類類似製品に凍結解凍安定性を与えるために用いられる。デンプンは、天然のデンプン、またはアルファ化デンプン、酸分解デンプン、架橋デンプン、安定化デンプン、OSAデンプン、もしくは熱不可逆性ゲル、凍結解凍安定性、およびプロセス耐性の利点を提供するための置換を有するデンプンなどの物理的もしくは化学的に加工されたデンプンのいずれかであり得る。
【0030】
一態様では、デンプンは物理的に加工されたデンプンである。例えば、そのような加工はプロセス耐性を提供するための熱水処理であってもよい。一態様では、加工デンプンは、タピオカデンプン、ワキシータピオカデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、高アミローストウモロコシデンプン、米デンプン、ワキシー米デンプン、ジャガイモデンプン、エンドウ豆デンプン、サゴデンプン、小麦デンプン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0031】
カルシウム塩は、一態様によれば、アルギン酸カルシウム溶液が120°F~150°Fの温度に達しカルシウムが封止材料から放出されるまでカルシウムがアルギン酸塩と反応できないように、封止されている。一態様では、カルシウム塩は、これが前記温度範囲に加熱されるまでカルシウムとその環境との相互作用を防止するのに効果的な脂質または食用ワックスに封止されている。一態様では、封止カルシウム塩は、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一カルシウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。一つの特定の態様では、カルシウム塩は封止乳酸カルシウムである。
【0032】
甲殻類類似製品は、以下のうちのいずれかより選択され得るタンパク質を組み込んでいる:大豆たんぱく質分離物、大豆たんぱく質濃縮物、エンドウ豆タンパク分離物、エンドウ豆タンパク濃縮物、米タンパク質分離物、米タンパク質濃縮物、ジャガイモタンパク質分離物、ジャガイモタンパク質濃縮物、ヒヨコ豆タンパク質分離物、ヒヨコ豆タンパク質濃縮物、藻類タンパク質分離物、藻類タンパク質濃縮物、緑豆タンパク質分離物、緑豆タンパク質濃縮物、レンズ豆たんぱく質、ソラマメタンパク質、白インゲン豆たんぱく質、テクスチャード植物性タンパク質(TVP)、およびそれらの組み合わせ。一つの特定の態様では、タンパク質は大豆タンパク質分離物である。
【0033】
本明細書において開示の甲殻類類似製品はまた親水コロイドを含んでもよい。好適な親水コロイドは、コンニャクガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、およびそれらの組み合わせを非限定的に含む。ガムを相乗的に組み合わせて乳化し、懸濁液をもたらし、口当たりを作り出し、粘度を高め、魚介類類似物に似た特有のゲル特性を生じさせてもよい。存在する場合、親水コロイドは重量で甲殻類類似製品の約0.1~3%の程度または量で含まれてもよい。
【0034】
一態様では、製品の柔らかさを向上させるために、アルギン酸塩、カラギーナン、およびローカストビーンが用いられる。製品のパリッと感を向上させるために低アシルジェランガムの添加を加えてもよい。バインダーとしてのアカシアガムは、0.5~3%で加えられると、繊維質の食感、増加した噛み応え、向上した口当たり、および低減した噛み切りにくさを生み出し得る。
【0035】
一つの特定の態様では、類似製品は、重量で2.5%~3.5%の程度のアルギン酸ナトリウムと、重量で0.10%~0.20%の程度の金属イオン封鎖剤と、重量で2%~3%の程度の物理的に加工されたデンプンと、重量で5%~7%の程度のタンパク質と、重量で12%~15%の程度のコンニャク粒子と、重量で2%~3.5%の程度の封止カルシウム塩とを含むエビ類似製品である。
【0036】
本明細書において開示の甲殻類類似製品はまた、甘味料、塩、および着香料などの任意成分を含んでもよい。
【0037】
甲殻類類似製品に甘味料が含まれる場合、これは重量で類似製品の1%~4%の程度で含まれる。一態様では、甘味料は以下のいずれかより選択される:ステビア、リュウゼツラン、蜂蜜、ココナッツ糖、サトウキビ糖、サトウキビ汁、白色グラニュー糖、糖誘導体、果糖、高甘味度代替糖、およびそれらの組み合わせ。しかしながら、他の甘味料も公知であり、用いられてもよい。一態様では、甘味料は白色グラニュー糖である。
【0038】
類似製品に塩が含まれる場合、これは塩化ナトリウム、塩化カリウム、およびそれらの組み合わせから、重量で類似製品の0.1%~1%の程度で選択されてもよい。他の塩も用いてもよい。
【0039】
類似製品に着色料が含まれる場合、これは天然または人工着色料を含んでもよい。一態様では、着色料は天然のエビの色を真似た色を含む。天然着色料は、リコピン、ベータカロチン、ターメリック、ビート、ベリー抽出物、およびそれらの組み合わせを非限定的に含む。一態様では、着色料が含まれる場合、これは甲殻類類似製品が加熱後に離型された後でかつ冷却および凍結される前に含まれる。
【0040】
類似製品に着香料が加えられる場合、これはエビの風味を真似るように配合された天然または人工の魚介類香味料であってもよい。そのような天然の魚介類香味料およびそれらの甲殻類類似製品への組み込みは、当技術分野で公知である。一態様では、着香料は重量で約0.06%~0.1%の程度または量で甲殻類類似製品に含まれる。別の態様では、着香料は重量で約2%~3%の程度または量で甲殻類類似製品に含まれる。
【0041】
一態様によれば、甲殻類類似製品は、動物性製品または動物由来製品を含まないという点でベジタリアン向け製品である。
【0042】
本発明は、適切に組み合わされ完成品にされると本物の甲殻類(例えば、エビ)の身(すなわち、連続ゲルというよりもむしろセルからなる製品)の自然な食感をより厳密に模倣する、成分の特有の組み合わせに関する。天然のエビは、それぞれが生体細胞である圧縮された筋線維からなる複雑な構造体である。筋肉細胞は細胞膜で構成されており、これはその内部に小さな細胞小器官およびタンパク質が浮遊した水性環境を含む。よって、これらの筋肉細胞は細長い微細な水風船であって、弾性の風船が加圧水を含むように細胞膜がその液体環境を含む水風船に似たものであると考えられる。生体細胞内のこの圧力は、膜(すなわち弾性の風船)が壊れた場合に、その内部に含まれる水が幾ばくかの力を持って弾ける膨圧である。調理したばかリのエビの尻尾においては各細胞のこの自然な膨圧が、特徴的な固さを製品に付与するものである。消費者が咀嚼すると、無数の細胞の破裂が、ほとんどの消費者に所望される特徴的な「パリッと感」、「サクサク感」、「繊維質感」を付与する。これまで、動物性もしくは植物性タンパク質または親水コロイドのいずれかから作られた模擬エビ類似物は、咀嚼時に不均質な細胞破裂の特性を付与しない連続ゲルから主に構成されている。
【0043】
本発明者らは、天然のエビの咀嚼感により近い咀嚼感を付与する甲殻類類似製品を製造した。これは、様々な種類の含有物、具体的には、いくつかは膨圧を示し、いくつかはそうではない(それでもなお、膨圧を有する生体細胞と同様の咀嚼感を呈する)物理的に加工されたデンプン、コンニャク、および/または液体充填アルギン酸カルシウム球体もしくはビーズの、すべての含有物を適切に埋め込むのに要求される必要な特性を有する連続ゲルマトリクスへの慎重な配合によって実現される。例えば、物理的に加工されたデンプンはまた、凍結解凍安定性を生み出すのに効果的であることに加えて、加熱すると膨潤して、膨圧を呈しかつアルギン酸塩/タンパク質/カルシウムゲルマトリクスによって付与される連続ゲルマトリクスの連続性を破壊するのに役立つ微細なビーズを形成する。一態様では、ゲル構造中に弱い箇所を作り出すことによってゲルマトリクスの剛性を低下させるために、重量で約1~5%の量の油を加えることができる。コンニャクを組み込んだ態様では、コンニャク粒子は連続ゲルマトリクス組成物の連続性を破壊するだけでなく、それらの非常に噛み切りにくい触感(高い強度および変形性)のために繊維のような筋肉細胞様の咀嚼特性も付与する。液体充填アルギン酸カルシウム球体またはビーズを組み込んだ態様では、微細なアルギン酸塩球体またはビーズは、液体中心を備えたアルギン酸カルシウムの外膜から作られている。これらの組み合わせは膨圧を付与することが可能である。
【0044】
甲殻類類似製品は、天然の甲殻類の望ましい官能特性の多くを実現する。そのような特性のいくつかは、硬さ、弾力性、ガム質性、噛み応え、付着性、および凝集性を非限定的に含む。付着性は、試料が表面に付着する度合いとして規定される。硬さは、所与の変形を達成する、通常はプローブを用いて試料を最初に噛み切るための力として規定される。回復性は、製品がその元の形状および大きさを回復するためにどれだけよく抵抗するかで規定される。弾力性は、力を取り除いた後に試料が元に戻る度合いである。凝集性は、試料が崩れたり壊れたりするというよりもむしろ変形する度合いとして規定される。ガム質性は、凝集性および粘着性であるという特性として規定される。ガム質性は、硬さおよび凝集力を乗算したものである。噛み応えは、食物からの持続的な弾性抵抗による、咀嚼に苦労する感覚として規定される。噛み応えは、硬さ、凝集性、および弾力性を乗算したものである。これらの特性は、例えば、公知の圧縮およびTPA試験を用いて検査することができる。
【0045】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビの硬さと同等の硬さを有する。本物のエビは約525gの力という硬さを有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約490g、または約450~750gまたはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約460~740、または470~730、480~720、もしくは490~710g、または約450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、もしくは550gの硬さを有する。
【0046】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビの回復性と同等の回復性を有する。本物のエビは約35%の回復性を有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約55%、または約30~60%またはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約35~55もしくは40~50%、または約30、35、40、45、50、55、もしくは60%の回復性を有する。
【0047】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビの凝集力と同等の凝集力を有する。本物のエビは約0.7%の凝集力を有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約0.8%、または約0.6~約0.8%またはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約0.65~0.75%、または約0.6、0.65、0.7、0.75、もしくは0.8%の凝集力を有する。
【0048】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビの弾力性と同等の弾力性を有する。本物のエビは約65%の弾力性を有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約85%、または約60~85%またはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約65~80もしくは70~75%、または約60、65、70、75、80、もしくは85%の弾力性を有する。
【0049】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビのガム質性と同等のガム質性を有する。本物のエビは約350のガム質性を有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約390、または約350~450またはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約350~400もしくは350~375、または約350、360、370、380、390、もしくは400のガム質性を有する。
【0050】
一態様では、本発明の甲殻類類似製品は、本物のエビの噛み応えと同等の噛み応えを有する。本物のエビは約230の噛み応えを有する。本発明の甲殻類類似製品の一態様は、約310~315、または約250~350またはそのうちの任意の整数、分数、もしくは範囲、または約260~340、270~330、280~320、もしくは290~310、または約250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、もしくは350の噛み応えを有する。
【0051】
一態様では、甲殻類類似製品は、上に記載の硬さ、回復性、凝集性、弾力性、ガム質性、または噛み応えのいずれか1つまたは複数の上記特性を有する。
【0052】
本発明の甲殻類類似製品は次のように調製してもよい。
【0053】
まず、次のようにアルギン酸カルシウムゲルを形成する。脱イオン水を、アルギン酸塩、金属イオン封鎖剤、デンプン、およびタンパク質(および任意で糖および塩)に加える。金属イオン封鎖剤は、プロセスの後期に熱の存在下で起こり得るアルギン酸塩-カルシウム反応前に混合物中に存在する可能性のあるあらゆる二価イオンをキレート化するように作用する。次いで、例えば、機械的撹拌を用いて成分を混ぜ合わせる。成分の混合は、条件およびバッチサイズに応じて1分間または数分間実施してもよい。次いで、所望であれば、着香料を混合物に加えてもよい。例えば、機械的撹拌を用いたさらなる混合が必要なことがある。
【0054】
一態様では、アルギン酸カルシウムゲルの形成は、高度に制御された反応である。この態様によれば、混合プロセス時に注意深くモニタリングすることは、ゲルの形成または過剰な空気の取り込みのあらゆる兆候を検出するのに有用である。この段階でのゲルの形成はプロセスエラーを示していることがある。
【0055】
コンニャク、封止乳酸カルシウム塩、および/または液体充填アルギン酸カルシウムビーズを混合物に加え、すべての成分が十分に分散して封入乳酸カルシウム塩が良好に分散した均質な混合物が実現されるまで、1~数分間低剪断下で混合してもよい。
【0056】
次いで、アルギン酸カルシウムゲルの形成を促進しないよう、に混合物を室温で保持してもよい。
【0057】
プロセスにおけるこの時点での混合物はペースト状になっていることがある。次いでペーストを、所望の形状にした(例えば、天然のエビのような形状にした)型に入れることができる。次いでペーストが185°F~210°Fの温度に達するまで、ペーストを型内で加熱してもよい。
【0058】
次いで、加熱後に類似製品を離型し、次いで一定期間(例えば、非限定的には2時間)冷却し(例えば、非限定的には40°F)、次いでそれらが0°Fに達するまで冷凍庫に入れて適切な最終触感を実現してもよい。
【0059】
よって、別の局面では、発明は本発明の甲殻類類似製品を作製する方法を指向する。この方法は、アルギン酸塩;金属イオン封鎖剤;デンプン;タンパク質;カルシウム塩;コンニャク、液体充填アルギン酸カルシウムビーズ、またはコンニャクと液体充填アルギン酸カルシウムビーズとの組み合わせ;および水を混合する工程を伴う。次いで混合物を、所望の形状に成形するかまたは成型してもよい。一態様では、次いで混合物は加熱され、次いで冷却される。一態様では、形成された製品は次いで冷凍庫で冷やされて、適切な最終触感を実現し、甲殻類類似製品が形成される。
【0060】
発明を以下の実施例によって説明するが、これらに限定されない。
【実施例
【0061】
実施例1
表1の成分を利用してベジタリアン向けエビ類似製品を製造した。製品はコンニャクおよび液体充填アルギン酸カルシウム球体の両方を含んでいた。
【0062】
(表1)
【0063】
液体充填アルギン酸カルシウム球体は、未反応のアルギン酸塩ゲルの小さな液滴を注射器でカルシウム溶液浴に滴下して液体中心を含む円形の生成物を製造するプロセスによって作製した。
【0064】
アルギン酸カルシウムゲルを形成するプロセスを開始するために、脱イオン水を、アルギン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジャガイモデンプン、大豆タンパク質分離物、糖、および塩に加えた。クエン酸ナトリウムは、プロセスの後期に熱の存在下で起こるアルギン酸塩-カルシウム反応前に混合物中に存在していた可能性のあるあらゆる二価イオンをキレート化する金属イオン封鎖剤として作用した。強力な機械的撹拌下で成分を約2分間混ぜ合わせた。次いで香味料を混合物に加え、混合物をさらに3分間強力な機械的撹拌下で混ぜた。アルギン酸カルシウムゲルの形成は高度に制御された反応であるため、混合プロセス時にゲルの形成または過剰な空気の取り込みのあらゆる兆候がないか注意深くモニタリングした。この段階でのゲルの形成はプロセスエラーを示す。
【0065】
次いでコンニャク、封止乳酸カルシウム塩、および液体充填アルギン酸カルシウムビーズを混合物に加え、すべての成分が十分に分散するまで低剪断下で1~2分間混合した。混合物は封止乳酸カルシウム塩が良好に分散した均質なものであった。アルギン酸カルシウムゲルの形成を促進しないように混合物を室温で保持した。
【0066】
プロセスにおけるこの時点での混合物はペースト状であった。ペーストを天然エビのような形にした型に入れた。次いで、ペーストが195°Fの温度に達するまで型内でペーストを加熱した。
【0067】
加熱後にエビ類似製品を離型した。次いでエビ類似製品を40°Fで2時間冷却し、次いでエビ類似製品を0°Fに達するまで冷凍庫に入れた。類似製品は、食事に出す前に、適切な最終食感を実現するために凍結工程に供した。
【0068】
社内の熟練のパネルが製品を試食し、従来のエビの試料と比較した。パネルは彼らのフィードバックを次のようにまとめた:「試料1(実施例1)は一口噛むと従来のエビの試料と同じように砕けた。さらに咀嚼すると、エビの食感はエビを食べた際に特徴的な繊維質な筋肉様の食感を有していた。口内での崩れかたはエビの崩れかたと同等であった。風味はかすかでさっぱりしていたが特有のものであった。少し塩気のあるほのかに甘くて味わいのある、エビの風味のすべての要素を有していた。」
【0069】
熟練の調理師が、様々な料理法でのエビの調理および取扱いについて次のようにフィードバックした:「試料は、様々な料理法において、前もって冷凍したエビとほぼ同様に扱えた。ソテー、グリル、ボイル、焼き、さらにはシュウマイの詰め物用にピューレするという、エビについてのあらゆる様式で調理することができる。」
【0070】
実施例2
表2の成分を利用して、ベジタリアン向けのエビ類似製品を製造した。この実施例および製造したエビ類似物は、液体充填アルギン酸カルシウム球体が混合物に組み込まれなかったという点で実施例1と異なっている。
【0071】
(表2)
【0072】
この実施例で製造したエビ類似製品を同じ熟練の試食パネルによって試食した。熟練のパネルは彼らのフィードバックを次のようにまとめた:「試料は最初の試料(実施例1)とよく似ていた。主な違いの1つはこの試料をかじると「弾けるような音」がより強かった。製品の繊維質な食感は維持されていた。これらの試料は咀嚼時には最初の試料よりもわずかに固かった。風味は最初の試料と同等であった。全体的に、この試料は試食した従来のエビの試料と同等であった。」
【0073】
調理師は、実施例2について実施例1の調理と同じフィードバックをした。
【0074】
実施例3
別のエビ類似製品を表3に記載の成分から製造した。このエビ類似製品は、液体充填アルギン酸カルシウム球体を組み込んでいなかった。
【0075】
(表3)
【0076】
製造プロセスは実施例2に記載のプロセスと同様であった。
【0077】
エビ類似製品を同じ熟練の試食パネルによって試食し、次のようにまとめた:「試料3(実施例3)は食感が試料1と似ていた。製品の繊維質な性質は増加したが、全体的な食感は試料1のものよりも柔らかであった。風味は試料1および試料2と似ていた。」
【0078】
調理師は、実施例3について実施例1および実施例2の調理と同じフィードバックをした。
【0079】
実施例4
別のエビ類似製品を表4に示す成分から製造した。この実施例および製造したエビ類似物は、コンニャクが混合物に組み込まれなかったという点で前述の実施例と異なっていた。
【0080】
(表4)
【0081】
エビ類似製品を同じ熟練の試食パネルによって試食し、次のようにまとめた:「試料4(実施例4)は試料1と食感が似ていたが、全体的な噛み心地および口当たりはより柔らかであった。この製品の繊維質感も試料1より著しく少なかった。この試料はより柔らかでより繊細な食感を好む人に最も適している。風味は試料1および試料2と似ていた。」
【0082】
調理師は、この製品の取扱いは前述の試料と似ているとフィードバックし、この試料は調理するにつれ少し柔らかく感じたと記した。
【0083】
実施例5
別のエビ類似製品を表5に示す成分から製造した。このエビ類似製品は、液化充填アルギン酸カルシウム球体を組み込んでおらず、より強い香味料の効果を含んでいた。
【0084】
(表5)
【0085】
エビ類似製品を同じ試食パネルによって試食し、次のようにまとめた:「試料5(実施例5)は試料3(実施例3)と食感が似ていたが、より強い香味料の効果を有していた。」
【0086】
調理師はより強い香味料の効果が感じられたとフィードバックした。
【0087】
実施例6
本発明の甲殻類類似体の一態様の食感特性を、Stable Micro SystemsからのExponentソフトウェアを備えたTA.XT.plus食感分析器を用して測定した。TA-23プローブを用いた圧縮試験を用いて、表6に示す設定で甲殻類類似試料の硬さ、弾力性、ガム質性、噛み応え、回復性、および凝集性を分析した。
【0088】
(表6)T.A.設定:TPA試験
【0089】
実施例5からのエビ類似製品の試料の硬さ、回復性、凝集性、弾力性、ガム質性、および噛み応えを試験した。結果は表7に示しており、本物のエビと同等である。
【0090】
(表7)甲殻類(エビ)類似物特性比較
【0091】
表7の測定値は熟練のパネリストが行った官能評価と非常によく相関しており、エビ類似物が本物のエビに似た食感的特徴および食体験をもたらすことが確認された。
【0092】
上記は本明細書において記載の特定の態様によって範囲が限定されない。事実、本明細書において記載のものに加えて、本明細書において提供される様々な変形例および方法ならびにそれらの均等物が上の記載から当業者には明らかになるであろう。そのような変形例は添付のクレームの範囲に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】