(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】量子閉じ込めキャビティ空間における光-物質結合に基づく光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220810BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220810BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20220810BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20220810BHJP
A61N 5/06 20060101ALN20220810BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220810BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/30
G02C7/10
F21V9/20
A61N5/06 Z
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021569920
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019065365
(87)【国際公開番号】W WO2020249207
(87)【国際公開日】2020-12-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513085064
【氏名又は名称】フィールドポイント (キプロス) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コルガ, ジューロ
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
2H149
4C082
【Fターム(参考)】
2H006BE01
2H006BE05
2H148AA01
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA18
2H148AA19
2H149AA01
2H149AA21
2H149AB01
2H149BA02
2H149FC10
2H149FD47
4C082PC01
4C082PG05
(57)【要約】
【課題】新規な光学フィルタ等を提供する。
【解決手段】光学フィルタが、層構造の厚さ方向に積み重ねられた複数の層を含む層構造を備え、複数の層は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から形成された複数のナノフォトニック層と、光学的に透明な材料から形成された少なくとも1つの基板層とを含み、少なくとも1つの基板層のうちの1つが層構造の厚さ方向において複数のナノフォトニック層のうちの2つの間に配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子閉じ込めキャビティ空間における光-物質結合に基づく光学フィルタであって、層構造の厚さ方向に積み重ねられた複数の層を含む前記層構造を備え、前記複数の層は、
二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から形成された複数のナノフォトニック層と、
光学的に透明な材料から形成された少なくとも1つの基板層と、
を含み、前記少なくとも1つの基板層のうちの1つは、前記層構造の前記厚さ方向において前記複数のナノフォトニック層のうちの2つの間に配置される、光学フィルタ。
【請求項2】
前記ナノフォトニック材料がフラーレン分子を備える、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記ナノフォトニック材料がC
60フラーレン分子を備える、請求項2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基板が、5~30nm、5~20nm、5~15nm及び5~10nmから選択された範囲の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つが、3~10nm、3~7nm及び3~5nmから選択された範囲の厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基板層にはナノフォトニック材料がない、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つには、前記少なくとも1つの基板層の前記光学的に透明な材料がない、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記層構造が複数の基板層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記複数の基板層及び前記複数のナノフォトニック層が、前記層構造の前記厚さ方向において交互に配置される、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記複数の基板層のうちの少なくとも2つは相互に異なる屈折率を有する、請求項8又は9に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
前記複数の基板層のうちの少なくとも2つが、前記層構造の前記厚さ方向における相互に異なる寸法を有する、請求項8~10のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記層構造を支持する支持体を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
前記支持体が光学的に透明な材料から作製され、前記層構造上に積み重ねられた支持体層として構成される、請求項12に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
前記支持体がレンズとして構成される、請求項13に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
前記支持体がナノフォトニック材料を含む、請求項13又は14に記載の光学フィルタ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える眼鏡。
【請求項17】
光源と、請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタとを備える治療ランプ。
【請求項18】
前記光源と前記光学フィルタとの間の光路上に配置され、前記光源によって発せられる光を偏光させるように構成された偏光子を更に備える、請求項17に記載の治療ランプ。
【請求項19】
前記偏光子が、入射光を直線偏光に変換するように構成された直線偏光子として構成される、請求項18に記載の治療ランプ。
【請求項20】
前記偏光子が、ブリュースタ偏光子を備えるか又はブリュースタ偏光子として構成される、請求項19に記載の治療ランプ。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える照明手段。
【請求項22】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備えるディスプレイ。
【請求項23】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタとして構成されるか又は前記光学フィルタを備える、ディスプレイ保護箔。
【請求項24】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える窓。
【請求項25】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える玩具。
【請求項26】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える光学レンズ。
【請求項27】
光をフィルタリングするための請求項1~15のいずれか一項に記載の光学フィルタの使用。
【請求項28】
前記光が太陽光又は人工光である、請求項27に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、一般には、光学フィルタ、並び光学フィルタを備える眼鏡及びハイパー光デバイスに関する。更なる実施形態は、各々が光学フィルタを備える、光学レンズ、室内照明手段、街路照明手段、ラップトップ箔、携帯電話、車両用グレージング(自動車及びトラック)、航空機用グレージング、建物の窓等の一般的な窓、及び玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
光治療は、特に、限定ではないが皮膚疾患の治療において、過去数年で大きく重要度を増した。この分野において、治療効果は、光の波長範囲のみでなく、例えば角運動量に依拠する光子の空間分布に関連する特性も含む、治療に用いられる光の特性に密接に関係することが一般的に認識されている。これらの特性の治療効果に対する影響は、過去数年の精力的な研究の対象となっている。この分野における発展の例が、中でも、米国特許出願公開第2008/286453号及び国際特許出願第2017/211420号に開示されている。
【0003】
本開示に関係する更なる態様は、米国特許第5,640,705号、Andreani,C.L「Exciton-Plaritons in Bulk Semiconductors and in Confined Electron and Photon Systems」p.37~82,2014 in book Eds.Auffeves.A他「StrongLight-mattercoupling:From atoms to solid-state systems」Word Scientific, ISBN 978-981-4460-34-7;Carusotto,I.及びCiuti,C.「Quantum fluids of light」arXiv:1205.6500v3, 17 Oct.2012;Castelletto,S,他:「A silicone carbide room temperature single-photon source」Nature Materials,13,151~156,2014;Del Negro他「Light transport trough the band-edge states of Fibonacci quasicrystals, Physical Review Letters, 90(5):055501-1-4,2003;Kavokin,A.V.他「Microcavities」Oxford University Press, Oxford, 2017;Lounis,B.及びMoerner,W.E.「Single photons on demand from a single molecule at room temperature」Nature, 407:491-493,2000;Koruga,Dj.「Hyperpolarized light」:Fundamentals of nanobiomedical photonics」Zepter Book World, Belgrade 2018;Michler,P.他「Quantum correlation among photons from a single quantum dot at room temperature」Nature, 406:968~970,2000;Moradi A.「Electromagnetic wave propagation in a random distribution of C60 molecules」Physics of Plasmas 21,104508,2014;国際公開第9604958号;並びに国際公開第9604959号において見ることができる。
【0004】
光治療に用いられる従来の光源によって発せられた光を、角運動量に依拠する光子の所定の空間分布等の所定の特性を有する光に効率的に変換することは、高効率の光治療にとって重大である。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、光学フィルタが提供される。光学フィルタは、層構造の厚さ方向に積み重ねられた複数の層を含む層構造を備えることができ、複数の層は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から形成された複数のナノフォトニック層と、光学的に透明な材料から形成された少なくとも1つの基板層とを含み、この少なくとも1つの基板層は、層構造の厚さ方向において複数のナノフォトニック層のうちの2つの間に配置される。
【0006】
図面において、類似の参照符号は、通常、異なる図面にわたって同じ部品を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、一般的には、本発明の原理を説明することに重きが置かれている。以下の説明において、以下の図面を参照して、様々な本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】C
60分子を有する光の様々な相互作用機構を0Dキャビティとして概略的に示す。
【
図4a】光子、励起子及びポラリトンの電力スペクトルを、有効結合強度の関数として示すグラフである。
【
図4b】光子、励起子及びポラリトンの電力スペクトルを、運動量の関数として示すグラフである。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による光学フィルタを示す概略図である。
【
図6】ポアンカレ球に基づく入射光の偏光状態に対する本開示による2Dキャビティの影響を示す。
【
図7】本開示の別の例示的な実施形態による光学フィルタを示す概略図である。
【
図8】本開示の更に別の例示的な実施形態による光学フィルタを示す概略図である。
【
図9a】本開示による光学フィルタの可能な応用形態を示す概略図である。
【
図9b】本開示による光学フィルタの可能な応用形態を示す概略図である。
【
図9c】本開示による光学フィルタの可能な応用形態を示す概略図である。
【
図9d】本開示による光学フィルタの可能な応用形態を示す概略図である。
【
図10】本開示の光学フィルタを含む例示的な治療ランプを示す概略図である。
【
図11】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図12】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図13】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図14】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図15】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図16】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図17】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図18】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図19】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図20】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図21】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図22】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図23】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図24】本開示によるフィルタの特性を示すグラフである。
【
図25】本開示による光学フィルタを用いて実行される測定の結果を要約する表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は添付図面に関連し、この添付図面により、特定の詳細及び本発明を実践可能な実施形態が例示的に示される。
【0009】
本明細書において、「例示的な」という言葉は、「例、事例又は例示としての役割を果たす」を意味するために使用される。本明細書において「例示的」として記載されるいかなる実施形態又は設計も、必ずしも他の実施形態又は設計よりも好適又は有利であると解釈されるべきであるとは限らない。
【0010】
過去数年に及ぶ精力的な研究により、光治療の治療効果を、角運動量によって光子が空間的に配列された光を用いることによって大幅に増大させることができることが明らかになった。この種の光は、後続の説明において「ハイパー光」と呼ばれる。ハイパー光の特性は、
図1を参照して以下に簡単に説明される。
【0011】
図1は、ハイパー光10の特性を概略的に示す。
図1において、光子は、中心点12から発せられ、角運動量によってそれぞれの渦線に沿って配列されている。
【0012】
異なる角運動量を有する光子の渦線パターンは、ヒマワリの種のパターンに類似している。ヒマワリの種は、渦線状に配置されており、一組の渦線が左回りになっており、一組の渦線が右回りになっている。左回りの渦線数に対する右回りの渦線数の比は、黄金比Φ=(1+√5)/2≒1.62によって与えられる。
【0013】
図1に示すハイパー光における角運動量に関連付けられた右回りの渦線及び左回りの渦線の数も黄金比によって求められる。詳細には、
図1において、21本の左回りの渦線及び34本の右回りの渦線を識別することができ、この比は黄金比Φによって与えられる。
【0014】
ハイパー光を、C60のエネルギー固有状態T1g、T2g、T1u及びT2uの共鳴放射として生成することができる。しかしながら、これは、入射光のエネルギーの観点からいくつかの制約が存在することを意味する。
【0015】
本開示は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料によって形成されたキャビティ内のポラリトン、すなわち光子-励起子対に基づく、ハイパー光を生成する代替的な方式を提案する。これは、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料の特性の簡単な論考から始めて以下で詳細に説明される。
【0016】
二十面体対称性を有するそのようなナノフォトニック材料の例として、C60フラーレンが例示的に論考される。C60は、12個の五角形及び20個の六角形内に配列された60個の炭素原子で構成される。C60は2つの結合長を有する。第1の結合長は、2個の隣り合った六角形の間の辺の長さによって定義され、第2の結合長は、六角形と隣り合った五角形との間の辺の長さによって定義され、第1の結合長は、第2の結合長より大きい。C60分子は、直径が約1nmであり、固体状態では31個の回転軸のうちの1つの周りを毎秒約1.8~3・1010回、回転し、これらの軸はそれらの対称性の観点で特徴付けることができる。詳細には、C60において、5回対称を有する合計6本の回転軸C5、3回対称を有する合計10本の回転軸C3、及び2回対称を有する合計15本の対称軸C2を識別することができる。C60分子は、これらの回転軸の周りを交互にかつランダムに回転する。
【0017】
図2において、固定の一組の軸C5、C3及びC2に関するC
60分子の3つの可能な配向が示されている。各図の平面は[111]方向に対し直交する。細いロッドは、[111]方向に対し直交する[110]方向を表す。
図2における状態「a」から状態「b」への変換は、[111]方向を中心とした60°の回転を伴うのに対し、
図2における状態「a」から状態「c」への変換は、[110]方向を中心とした約42°の回転を伴う。
【0018】
入射光子は、C60分子と様々な形で、すなわち、(A)分子の外面と、及び(b)分子の内面と、相互作用することができる。五角形を通過する入射光子が内面と相互作用する確率はゼロである。したがって、五角形のエリアは、この特定の相互作用について「閉じている」と考えることができる。
【0019】
六角形を通過する光子が内面と相互作用する確率はゼロよりも高い。しかしながら、この特定の相互作用の確率は、中でも、上述した回転軸の周りのそれぞれのC
60分子の上記で説明したランダム回転によって決まる特定のC
60分子の動的状態に依拠し、これは、相互作用の確率が時間と共に変化することを意味する。この確率は、
図3に例示的に示される六角形の実効エリアの観点で表すことができる。
【0020】
図3において、C
60分子が概略的に示される。12個の五角形のうち、1つのみが例示的に示される。代表的な五角形が
図3において斜線をかけられている。この斜線は、五角形を通過する入射光子a
inがC
60分子の内面と相互作用しないこと、すなわち、分子内に画定されたキャビティと相互作用しないことを示す。
図3において、a
outは、C
60分子を通過した光子を表す。
【0021】
同様に、20個の六角形のうち、1つのみが
図3に示される。C
60分子の上記で説明した動力学に起因して、六角形は様々な実効エリアを有する場合があり、これは、C
60分子の特定の振動及び/又は回転状態に依拠して、六角形を通過した後の光子とC
60分子の内面との相互作用の確率が異なることを意味する。六角形の様々な状態は、様々な斜線によって
図3に示されている。詳細には、1つの六角形は、5つの異なる状態b
1~b
5で示され、状態b
1において、六角形は、この六角形を通過する入射光子とC
60分子の内面との最高の相互作用確率を示す完全開放であるように示されるのに対し、状態b
5において、六角形のエリアは、対応するゼロの相互作用確率を示す完全閉鎖であるように示される。状態b
2、b
3及びb
4は、ゼロと、状態b
1に関連付けられた最高確率との間の相互作用確率に対応する中間状態である。
【0022】
加えて、
図3において、B1は、全ての六角形が状態b
1にある分子全体の状態を示す。上述したように、五角形は、常に完全に閉じている。したがって、五角形は、完全に斜線をかけられたエリアとして示される。
【0023】
B5は、全ての六角形が状態b5にある分子全体の状態を示す。したがって、五角形及び六角形の双方が、完全に斜線をかけられたエリアとして示され、これは、分子のこの状態において、入射光子が分子の内部のキャビティと相互作用しないことを意味する。
【0024】
図3において、b
inは、六角形を通過し、すなわち、C
60分子の内部のキャビティに入り、その内面と、すなわちキャビティと相互作用する光子を示す。そのような相互作用の後にC
60分子を出る光子は、b
outによって表される。
【0025】
cin及びcoutによって更に示されるように、六角形を通過する、すなわち、キャビティと相互作用することなくキャビティに入る光子も存在する。
【0026】
図3において、キャビティ、並びにπ個の電子の内殻及び外殻のそれぞれの寸法、並びに炭素原子コアの位置も示される。
【0027】
12個の五角形は、C60分子の表面全体の約38%を構成する。20個の六角形は、C60分子の表面の約62%を構成する。上述したように、六角形の実効エリアは、それぞれのC60分子の上記で論考した動的挙動に起因して変化する。したがって、入射光子とC60分子の内面との相互作用の有効確率はより低い。
【0028】
C60分子の内面と相互作用する入射光子は、結合された電子-正孔対、すなわち励起子を生成することができるか、又は既存の励起子に結合してポラリトンを形成することができる。減衰する励起子も光子(放射再結合)を発し、この光子も別の既存の励起子に結合してポラリトンを形成することができる。計算により、励起子の生成の確率が約38%であるのに対し、ポラリトンを形成する確率がより低いことが明らかとなった。異なる光源を用いた計算及び実験により、約15~25%の範囲のポラリトンの生成の可能性が明らかとなった。
【0029】
入射光子とC
60分子内に形成されたキャビティとの相互作用によってポラリトンを形成することにより、光のスペクトル特性が変化し、光子の空間分布が、それらの角運動量に応じて、
図1に示す構造に変換され、これは、このようにハイパー光が生成されることを意味する。
【0030】
有効結合強度gの関数としての光子、励起子及びポラリトンの電力スペクトルが
図4aに示される。
図4における強度(パワー)は、任意の単位で与えられ、ωは光学周波数であり、gは有効結合強度である。ω/g=+1の値はラビ共鳴条件に対応し、ここでいわゆる「上位ポラリトン」が形成される。
図4aに示されるように、上位ポラリトンは、結合解除された光子及び励起子と比較して高いパワーを有する。ω/g=-1において、結合解除された光子及び励起子と比較して低いパワーを有するいわゆる「下位ポラリトン」が形成される。運動量の関数としての上位ポラリトン、下位ポラリトン、光子及び励起子のエネルギーは、
図4bに示される。これに関する更なる詳細については、例えば、Kavokin,A.V.他「Microcavities」Oxford University Press, Oxford, 2017を参照されたい。
【0031】
ハイパー光への入射光の変換効率は、中でも、キャビティの寸法に依拠する放射励起子減衰率によって決定される。C
60分子によって定義されるキャビティは、0Dキャビティ、すなわち0次元キャビティと呼ばれる。0Dキャビティに関連付けられた放射減衰率Γ
0Dは、以下の式によって与えられる。
【数1】
上記の式において、ε
0は真空における誘電率を表し、nは電子密度を表し、eは素電荷を表し、m
0は自由電子質量を表し、ωは光学周波数を表し、cは光の速度を表し、fは結合強度を表す。
【0032】
より高い放射減衰率、このためハイパー光への入射光より高い変換率は、2Dキャビティ(2次元キャビティ)によって達成することができる。2Dキャビティは、
図5に示す層構造20によって構成することができる。
【0033】
図5に示すように、層構造20は、層構造20の厚さ方向zに積み重ねられた複数の層22、24、26を備えることができる。複数の層は、複数のナノフォトニック層22及び24と、厚さ方向zにおいてナノフォトニック層22、24間に介在する基板層26とを備える。ナノフォトニック層22、24は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料、例えばフラーレン、特にC
60フラーレンを含むか又はこれから形成することができる。ナノフォトニック層22、24は、1~10nm、任意選択で1~5nm、更に任意選択で3~5nmの厚さを有することができる。
【0034】
基板層26は、光学的に透明な材料、例えばSiO2及び/又はTiO2から形成することができる。基板層26は、1~15nm、任意選択で5~10nm、更に任意選択で10~15nmの厚さを有することができる。
【0035】
基板層26には、実質的にナノフォトニック材料がなくてもよい。この種の基板層を備える層構造20は、非常に単純な方式で製造することができ、明確に定義された2Dキャビティ形状を有することができる。
【0036】
ナノフォトニック層22、24の各々がナノフォトニック材料から形成されるため、ここで、2Dキャビティは、組み合わされた0D/2Dキャビティと呼ぶこともできる。
【0037】
2Dキャビティ内の放射減衰率Γ
2Dは、以下の式によって与えられる。
【数2】
この式において、f
xyは結合強度を表し、Sは、C
60分子のサイズによって決まる単位面積を表す。このため、2次元キャビティ(0D/2Dキャビティのうちの2Dキャビティ)における放射減衰率Γ
2Dは、0Dキャビティにおける放射減衰率Γ
0Dの観点で表すことができる。
【数3】
この式において、lは、2Dキャビティの寸法を表し、この寸法は、
図5における基板層26の厚さとして識別することができるか又はこの厚さに関係付けることができる。
【0038】
この式は、キャビティの寸法、すなわち値「l」を、入射光の波長と比較して小さくなるように選択することによって、2Dキャビティにおける励起子の放射減衰率を、0Dキャビティと比較して大幅に増大させることができることを明らかに示す。
【0039】
入射光に対する組み合わされた0D/2Dキャビティの影響は、ポアンカレ球を用いて記述することができる。ポアンカレ球は、光等の電磁波の偏光状態を表すためのツールである。各偏光状態は、球上の点に対応し、表面上の完全に偏光した状態、球内の部分的に偏光した状態、及び中心の偏光していない状態を有する。直線偏光は球の赤道に位置し、円偏光は極に位置し、楕円偏光は間に位置する。直交偏光は互いに反対の球面上に位置する。
【0040】
図6に示すポアンカレ球に示されるように、入射光の偏光部分に対するキャビティの影響は、ポアンカレ球の子午線に対する交差角κによって定義される湾曲を有する軌道Pによって記述することができる。軌道Pは、キャビティ動力学の表面分布の31個の可能な解のうちの1つである。極を接続する線に対し直交する面に対する31個の軌道の投影により、ハイパー光の特性である、
図1に示すのと類似したヒマワリパターンが得られる。
【0041】
本明細書において用いられる「2Dキャビティ」という語は、ナノフォトニック材料の層によって境界を画された空間を含む構成を指す。これは、例えば、従来のキャビティにおけるような反射ミラーが必要でないことを意味する。しかしながら、入射光子の特定の部分のみがキャビティと相互作用してポラリトンを形成することを念頭に置くと、層構造20の厚さ方向zにおいて、ナノフォトニック層22及び/又は24の基板層26と反対側に追加の基板層を設けることが有利である場合がある。対応して構成される層構造(フィルタ)30が
図7に示される。
【0042】
図7に示す層構造30は、C
60等の二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から作製された第1のナノフォトニック層32と、C
60等の二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から作製された第2のナノフォトニック層34と、SiO
2又はTiO
2等の光学的に透明な材料から作製された第1の基板層36と、SiO
2又はTiO
2等の光学的に透明な材料から作製され、層構造30の厚さ方向zにおいて第1のナノフォトニック層32の第1の基板層36と反対側に配置された、第2の基板層38と、SiO
2又はTiO
2等の光学的に透明な材料から作製され、層構造30の厚さ方向zにおいて第2のナノフォトニック層34の第1の基板層36と反対側に配置された、第3の基板層40とを備える。
【0043】
第2の基板層38及び第3の基板層40は、一方で、保護層として、外部の影響に対し第1のナノフォトニック層32及び第2のナノフォトニック層34を保護するように動作することができる。加えて、上記で示したように、第2の基板層38及び第3の基板層40は、ミラーとして動作することができ、このミラーによって、光子ph、ph’の一部が反射され、それぞれ第1のナノフォトニック層32及び第2のナノフォトニック層34を通って第1の基板層36に戻る。このようにして、それぞれの光子ph、ph’は、それぞれのナノフォトニック層32及び34、このため2Dキャビティを複数回横切るようにすることができ、これにより、ひいては、これらの光子とキャビティとの相互作用確率が増大し、このため、ハイパー光への入射光の変換効率が増大する。
【0044】
上述したように、第1~第3の基板層36、38、40は、光学的に透明な材料から作製される。これらは、同じ材料又は相互に異なる材料から作製することができる。例えば、第2の基板層38及び第3の基板層40は、同じ材料、例えばTiO2から作製することができ、この材料は、例えばSiO2から作製することができる第1の基板層36の材料と異なることができる。
【0045】
基板層36、38、40の材料は、関心波長に依拠して反射特性を調整するために、入射光のスペクトル特性に依拠して選択することができる。
【0046】
以下において、上記の原理に従って構成された例示的な光学フィルタ100が
図8を参照して説明される。
【0047】
光学フィルタ100は、層構造102の厚さ方向zに積み重ねられた複数の層104a~104h及び106a~106iを含む層構造102を備えることができる。複数の層104a~104h及び106a~106iは、二十面体又は十二面体の対称性を有する複数のナノフォトニック層104a~104hと、光学的に透明な材料から形成された複数の基板層106a~106iとを備えることができる。
【0048】
図8に示すように、複数のナノフォトニック層104a~104h及び複数の基板層106a~106iは、層構造102の厚さ方向zにおいて交互に配置することができる。結果的に、この構造において、それぞれの2つの隣り合ったナノフォトニック層104a~104h間に介在する基板層106b~106hの各々が、隣り合ったナノフォトニック層と共に、
図5に示す2Dキャビティ構造を定義する。加えて、3つの連続基板層、及びそれらの間に介在するそれぞれのナノフォトニック層は、
図7に示す層構造に対応する。このため、
図5及び
図7に示す層構造の説明は
図8に示す光学フィルタ100にも適用される。
【0049】
上記で述べたように、ナノフォトニック材料は、フラーレン分子、特にC60フラーレン分子を含むことができる。
【0050】
2Dキャビティ内の励起子の放射減衰率が以下の式
【数4】
によって与えられることを念頭に置くと、キャビティのうちの少なくとも1つの寸法を、関心波長よりもはるかに短くなるように選択することが有利である場合がある。可視周波数範囲内の波長について、基板層106a~106iのうちの少なくとも1つが、5~30nm、5~15nm及び5~10nmから選択された範囲の厚さを有する。
【0051】
例示的な実施形態において、基板層106a~106iの厚さは以下のように選択することができる。基板層106a(例えば、SiO2から形成される):50~100nm、基板層106b(例えば、TiO2から形成される):5~10nm、基板層106c(例えば、SiO2から形成される):10~15nm、基板層106d(例えば、TiO2から形成される):5~10nm、基板層106e(例えば、SiO2から形成される):10~15nm、基板層106f(例えば、TiO2から形成される):5~10nm、基板層106g(例えば、SiO2から形成される):5~10nm、基板層106h(例えば、TiO2から形成される):5~10nm、基板層106i(例えば、SiO2から形成される):50~100nm。ここで、層構造102の厚さ方向zにおける最も外側の基板層106a及び106iの厚さは、他の基板層106b~106hよりも大幅に大きい厚さを有することができる。このため、これらの基板層106a及び106iは、層構造102の保護層としての役割を果たすことができる。
【0052】
このため、この例から見て取ることができるように、本開示による光学フィルタの層構造において、基板層には、例えば層構造内の光の伝播方向を制御するために、様々な厚みを与えることができる。
【0053】
励起子減衰率を特定の波長について精密に調整することができるように明確に定義されたキャビティ形状を確保するために、基板層106a~106iのうちの少なくとも1つ、任意選択で複数、又は更に任意選択で基板層106a~106iの全てに、実質的にナノフォトニック材料がなくてもよい。
【0054】
加えて、ナノフォトニック層104a~104hのうちの少なくとも1つ、任意選択で複数、又は更に任意選択でナノフォトニック層104a~104hの全てに、基板層106a~106iの光学的に透明な材料が実質的になくてもよい。例示的な実施形態において、ナノフォトニック層104a~104hのうちの少なくとも1つ、任意選択で複数のナノフォトニック層104a~104h、又は更に任意選択で全てのナノフォトニック層104a~104hにおけるナノフォトニック材料の重量分率が99%よりも高い。このようにして、ハイパー光への入射光の高変換効率を確保することができる。
【0055】
基板層106a~106iは、同じ光学的に透明な材料から作製することができる。代替的に、複数の基板層106a~106iのうちの少なくとも2つを、相互に異なる屈折率を有する相互に異なる材料から作製することができる。上記で説明したように、このようにして、基板層間のそれぞれの界面における層構造の反射特性を、関心波長について調整することができる。
【0056】
ナノフォトニック層104a~104hにおける光の過度の吸収を回避するために、それらの厚さは、3~10nm、3~7nm及び3~5nmから選択された範囲の厚さとすることができる。
図8に示す例示的な実施形態において、全てのナノフォトニック層104a~104hは、3~5nmの範囲の厚さを有することができる。
【0057】
本明細書に開示される層構造は、例えば、化学的気相成長法又は物理的気相成長法によって製造することができる。
【0058】
図8に示すように、フィルタ100は、層構造102を支持する支持体108を更に備えることができる。支持体108は、PMMA、CR39又はガラス等の光学的に透明な材料から作製することができる。支持体は少なくとも70%の可視光透過率を有することができる。
【0059】
図8には示されていないが、支持体108には、その反対側に層構造102を設けることができる。加えて、支持体108は、内部で分散し、支持体108の表面に層108bとして堆積される、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料108aを含むことができる。このようにして、支持体108は、例えばC
60のエネルギー固有状態T
1g、T
2g、T
1u及びT
2uの共鳴放射によって、ハイパー光の生成にも寄与することができる。このようにして、ハイパー光への入射光の変換効率を増大させることができる。支持体108におけるナノフォトニック材料108aの重量濃度は、0.001~0.050の範囲をとることができる。
【0060】
支持体108は、
図8に例示的に示すように平面部材として構成される必要はなく、代替的に、湾曲した本体、例えばレンズ、特に眼鏡レンズとして構成されてもよい。上記で説明した光学フィルタ100を備えたレンズ220の対を含む例示的な眼鏡200が
図9aに示される。
図9aに示す眼鏡によって、入射光はハイパー光に変換される。ハイパー光の特性は、
図1に基づいて説明したように黄金比によって求められる。例えば、米国特許出願公開第2008/286453号から既知であるように、人間の脳のクロックサイクルは黄金比に従う。特性が黄金比によって求められる光に対し被験者の目を露出することによって、脳機能を正常化させることができることが実験によりわかっている。このため、
図9aに示すような眼鏡を装着することにより、脳機能を正常化し、これによって全体の幸福度を改善することができる。
【0061】
図9aに示す眼鏡200は、太陽光を受ける場合がある。しかしながら、
図9bに示すように、本発明による光学フィルタは、任意のタイプの光(すなわち、任意の波長)をハイパー光に変換するように構成されるため、脳機能の調和(正常化)も、本開示による光学フィルタ100を装備した照明手段300によって生成された人工光によって達成することができる。この場合、上記の効果を達成するために眼鏡を携行する必要がない。
【0062】
例えば、ポータブルコンピュータの、又は玩具420の、ディスプレイ400等の他の人工光源によって発せられた光によって同様の効果を達成することができる。例示的な実施形態では、光学フィルタ100は、
図9cに例示的に示されるディスプレイ保護箔440として構成することができる。
【0063】
別の例示的な実施形態において、光学フィルタ100は、建物500の窓520として、若しくは窓520上に設けることができるか、又はこの窓520の一部として構成することができる。このようにして、建物500に入る光(例えば、太陽光又は人工光)の大部分をハイパー光に変換することができる。本開示によるフィルタ100は、道路車両の窓、航空機の窓、及び船舶の窓を含む任意の種類の窓に適用することができる。
【0064】
本開示によるフィルタ100は、治療ランプ600においても用いることができる。治療ランプ600は、以下において、ハイパー光生成デバイス又はハイパー光デバイスと呼ばれる。例示的なハイパー光デバイス600が
図10に示される。ハイパー光デバイス600は、光源602及び上記で説明した光学フィルタ100を備えることができる。光源602は、可視光を発するように構成された光源、例えばハロゲンランプとして構成することができる。
【0065】
ハイパー光デバイス600は、光源602とフィルタ100との間の光路604に沿って配置された偏光子606を更に備えることができる。偏光子606は、光源602によって発せられた光を直線偏光に変換するように構成された直線偏光子として構成することができる。偏光子606は、
図10に示すように、ブリュースタ偏光子等のビーム分割偏光子として構成することができる。
【0066】
図10に示すハイパー光デバイス600によって、光源602によって発せられる光は、まず、偏光子606によって偏光に変換することができ、次に、フィルタ100によってハイパー光に、すなわち当該技術分野において「過偏光」とも呼ばれる偏光ハイパー光に変換することができる。過偏光の光子はエネルギー及び角運動の双方によって配列される。ハイパー光デバイス600において偏光子606は必須でないことに留意されたい。
【0067】
本開示による、光とフィルタとの相互作用は、角運動量による光子の空間分布に影響を及ぼすのみでなく、光のスペクトル特性も変更する場合がある。本開示によるフィルタ、特に
図8に示すフィルタのこの態様を示す実験結果が、
図11~
図25を参照して以下で説明される。
【0068】
図11は、空中を通過した後にLEDによって発せられる光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図11において実線の黒線によって示され、「LED(空中)」と呼ばれる。加えて、ナノフォトニック材料を含まないPMMA基板を通過した後に同じLEDによって発せられる光のスペクトルが、
図11において斜線エリアとして示される。このスペクトルは、
図11において「LED(PMMA)」と呼ばれる。
【0069】
図11に明確に見て取ることができるように、約400~700nmの波長範囲において、双方のスペクトル間に大きな差がなく、これは、PMMAがLEDによって発せられる光のスペクトル特性を大幅に変化させないことを意味する。
【0070】
図12は、空中を通過した後にLEDによって発せられる光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図12において実線の黒線によって示され、「LED(空中)」と呼ばれる。加えて、上記で説明した0D/2Dキャビティ(フィルタ)を備えるPMMA基板を通過した後に同じLEDによって発せられる光のスペクトルは、斜線のエリアとして示される。このスペクトルは、
図12において「LED(PMMA&2Dキャビティ)」と呼ばれる。PMMA基板は、上記で説明した支持体に対応し、任意選択で、内部に分散したC
60分子を含むことができる。
【0071】
図12に示すスペクトル間、すなわち、LED(PMMA&2Dキャビティ)とLED(空中)との差が
図13において斜線エリアとして示される。
【0072】
図12及び
図13に示すスペクトルから明確に見て取ることができるように、2Dキャビティによって、LEDスペクトルにおける高周波数が可視スペクトルにおけるエネルギーがより低い周波数に変換される。結果として、光スペクトルに対する2Dキャビティの影響が、吸収により特定のスペクトル成分を単に抑制する従来のフィルタによって及ぼされる影響と大幅に異なり、このため積分光強度が低減する。より詳細には、本開示によるフィルタは、高エネルギーの光を低エネルギーの光に変換するように構成され、可視範囲における積分強度は、全く影響を受けないか、又は従来の光学フィルタと比較してはるかに少ない程度までしか影響を受けない。
【0073】
これらの理由により、本開示による光学フィルタは、スペクトルにおけるフィルタとして用いることができる。なぜなら、これらは、積分強度を高く保ちながら、人間の目に潜在的に有害なスペクトル範囲の入射光の強度を低減するように構成されるためである。
【0074】
図14は、空中を通過した後にLEDによって発せられる光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図14において実線の黒線によって示され、「LED(空中)」と呼ばれる。加えて、ナノフォトニック材料を含まないCR39基板を通過した後に同じLEDによって発せられる光のスペクトルが、斜線エリアとして示される。このスペクトルは、
図14において「LED(CR39)」と呼ばれる。CR39(アリルジグリコールカーボネート(ADC))は、眼鏡レンズの製造において一般的に用いられるプラスチックポリマーである。CR39基板は、上記で説明した支持体に対応し、任意選択で、内部に分散したC
60分子を含むことができるか、又はその表面のうちの1つに薄い層として堆積することができる。
【0075】
明確に見て取ることができるように、約400~700nmの波長範囲において、双方のスペクトル間に大きな差がなく、これは、CR39基板がLEDによって発せられる光のスペクトル特性を大幅に変化させないことを意味する。
【0076】
図15は、再び、空中を通過した後にLEDによって発せられる光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図15において実線の黒線によって示され、「LED(空中)」と呼ばれる。加えて、上記で説明した2Dキャビティ(フィルタ)を備えるCR39基板を通過した後に同じLEDによって発せられる光のスペクトルは、斜線のエリアとして示される。このスペクトルは、
図15において「LED(CR39&2Dキャビティ)」と呼ばれる。
図15に示すスペクトル間、すなわち、LED(CR39&2Dキャビティ)と呼ばれるスペクトルと
図15における「LED(空中)」との差が
図13において斜線エリアとして示される。
【0077】
これらの測定値は、PMMA基板を含む光学フィルタに基づいて得られる結果、すなわち、2Dキャビティによって、400~470nmの高エネルギー波長範囲における入射光のパワーが400~770nmの波長範囲におけるより低いエネルギーを有する光に変換されることを確認する。
【0078】
上記の結果は、用いられる特定の光源に依拠しない。これは、例えばオフィスで用いられる従来のネオンランプ(管)によって発せられるネオン光に基づいて取得される測定値を示す
図17~
図22に関して以下で示される。
【0079】
詳細には、
図17は、空気を通過した後のネオン光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図17において実線の黒線によって示され、「NEON(空中)」と呼ばれる。加えて、ナノフォトニック材料を含まないPMMA基板を通過した後のネオン光のスペクトルは、斜線エリアとして示される。このスペクトルは、
図17において「NEON(PMMA)」と呼ばれる。
【0080】
図17に明確に見て取ることができるように、約400~700nmの波長範囲において、双方のスペクトル間に大きな差がなく、これは、PMMA基板がネオン光によって発せられる光のスペクトル特性を大幅に変化させないことを意味する。
【0081】
図18は、再び、空中を通過した後のネオン光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図18において実線の黒線によって示され、「NEON(空中)」と呼ばれる。加えて、上記で説明した2Dキャビティを備えるPMMA基板、すなわち、光学フィルタを通過した後のネオン光のスペクトルは、斜線のエリアとして示される。このスペクトルは、
図18において「NEON(PMMA&2Dキャビティ)」と呼ばれる。
図18に示すスペクトル間、すなわち、NEON(PMMA&2Dキャビティ)とNEON(空中)との差が
図19において斜線エリアとして示される。
【0082】
図18及び
図19は、LED光に基づいて取得された結果、すなわち、フィルタがより低エネルギー光への変換により高エネルギー光の強度を減衰させることを確認する。
【0083】
図20は、空気を通過した後のネオン光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図20において実線の黒線によって示され、「NEON(空中)」と呼ばれる。加えて、ナノフォトニック材料を含まないCR39基板を通過した後のネオン光のスペクトルは、斜線エリアとして示される。このスペクトルは、
図20において「NEON(CR39)」と呼ばれる。
【0084】
明確に見て取ることができるように、約400~700nmの波長範囲において、双方のスペクトル間に大きな差がなく、これは、CR39基板がネオン光のスペクトル特性を大幅に変化させないことを意味する。
【0085】
図21は、再び、空中を通過した後のネオン光のスペクトルを示す。このスペクトルは、
図21において実線の黒線によって示され、「NEON(空中)」と呼ばれる。加えて、上記で説明した2Dキャビティを備えるCR39基板(フィルタ)を通過した後のネオン光のスペクトルは、斜線のエリアとして示される。このスペクトルは、
図21において「NEON(CR39&2Dキャビティ)」と呼ばれる。
図21に示すスペクトル間、すなわち、NEON(CR39&2Dキャビティ)とNEON(空中)との差が
図22において斜線エリアとして示される。
【0086】
図14~
図22に示す測定の結果は、本開示によるフィルタが、高エネルギー光を可視スペクトル範囲内のより低エネルギーの光に変換するように構成され、この効果が光源に依拠しないことを一貫して示す。これにより、ひいては、本開示による光学フィルタの高い汎用性が実証される。
【0087】
上記のスペクトルから見て取ることができるように、上記で論考した測定において用いられる光源は、700nmよりも高い波長において、すなわちIR領域において大きな強度を有するスペクトル成分を含まない。したがって、本開示による光学フィルタの赤外線(IR)に対する影響を分析するために、太陽光を入射光として用いて更なる測定が実行された。
【0088】
380~780nmの範囲内の太陽光の未加工スペクトルが、
図23において斜線エリアとして示される(396.24W/m
2の照射及びCIE1931色座標:x=0.3437、y=0.3590)。この図に見て取ることができるように、IR領域におけるパワーは、LED及びネオン光と比較してより大きい。
【0089】
図24において、未加工太陽光スペクトル(実線の黒線によって示される)と、本開示による光学フィルタによってフィルタリングされた太陽光スペクトル(斜線エリアによって示される)が、380~780nmの波長範囲で示される(153.61W/m
2の照射、CIE1931色座標:x=0.3192、y=0.3934)。これらのスペクトルから見て取ることができるように、高エネルギー及び低エネルギースペクトル成分の双方が、本開示による光学フィルタによって抑制される。このようにして、太陽光スペクトルは、人間の目のスペクトル感度特性に対し調整される(約97%の一致)。
【0090】
図25に示す表において、異なる光源(LED、ネオン)及び異なる支持体材料(PMMA、CR39)を用いた様々な測定結果が要約されている。
【0091】
詳細には、
図25に示す表の行において、異なる光スペクトルの特性が示される。これらの特性は、照度E
v(lux=lm/m
2)と、色温度T
cp(K=ケルビン)と、主波長λ
d(nm)と、CIE1931色空間における色座標と、主波長λ
dにおける励起効果又は確率Pe(%)と、異なる波長範囲における照射SDE(W/m
2)とを含む。「C
60(@)」は、支持体が内部に分散したC
60分子を含むことを更に示す。「C
60(nf)」は、支持体にC
60層が堆積されていることを示す。
【0092】
図25に示す表の列A0において、LEDによって発せられる光の特性が要約されている。
【0093】
列A01において、ナノフォトニック材料を含まない基板を通過した後のLED光の特性が要約されている。
【0094】
列A011において、C60分子が内部に組み込まれたPMMA支持体を含む本開示による光学フィルタを通過した後のLED光の特性が要約されている。
【0095】
列A02において、ナノフォトニック材料を含まないCR39基板を通過した後のLED光の特性が要約されている。
【0096】
列A021において、C60フィルムが設けられたCR39支持体を含む本開示による光学フィルタを通過した後のLED光の特性が要約されている。
【0097】
図25に示す表の列B0において、ネオン光の特性が要約されている。
【0098】
列B01において、ナノフォトニック材料を含まないPMMA基板を通過した後のネオン光の特性が要約されている。
【0099】
列B011において、C60分子が内部に組み込まれたPMMA支持体を含む本開示による光学フィルタを通過した後のネオン光の特性が要約されている。
【0100】
列B02において、ナノフォトニック材料を含まないCR39基板を通過した後のネオン光の特性が要約されている。
【0101】
列B021において、C60フィルムが設けられたCR39支持体を含む本開示による光学フィルタを通過した後のネオン光の特性が要約されている。
【0102】
以下において、本開示によるいくつかの例が説明される。
【0103】
実施例1は、層構造の厚さ方向に積み重ねられた複数の層を含む層構造を備える光学フィルタであって、複数の層は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から形成された複数のナノフォトニック層と、光学的に透明な材料から形成された少なくとも1つの基板層とを含み、少なくとも1つの基板層のうちの1つが層構造の厚さ方向において複数のナノフォトニック層のうちの2つの間に配置される、光学フィルタである。
【0104】
実施例2において、実施例1の主題は、任意選択で、ナノフォトニック材料がフラーレン分子を備えることを更に含むことができる。
【0105】
実施例3において、実施例2の主題は、任意選択で、ナノフォトニック材料がC60フラーレン分子を備えることを更に含むことができる。
【0106】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つの主題は、任意選択で、少なくとも1つの基板が、5~30nm、5~20nm、5~15nm及び5~10nmから選択された範囲の厚さを有することを更に含むことができる。
【0107】
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つの光学フィルタは、任意選択で、複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つが、3~10nm、3~7nm及び3~5nmから選択された範囲の厚さを有することを更に含むことができる。
【0108】
実施例6において、実施例1~5のいずれか1つの主題は、任意選択で、少なくとも1つの基板層にはナノフォトニック材料がないことを更に含むことができる。
【0109】
実施例7において、実施例1~6のいずれか1つの主題は、任意選択で、複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つには、光学的に透明な材料、例えば少なくとも1つの基板層内に含まれるタイプの光学的に透明な材料がないことを更に含むことができる。任意選択で、複数のナノフォトニック層又は更には全てのナノフォトニック層には、少なくとも1つの基板層の光学的に透明な材料がなくてもよい。
【0110】
実施例8において、実施例1~7のいずれか1つの主題は、任意選択で、層構造が複数の基板層を含むことを更に含むことができる。
【0111】
実施例9において、実施例8の主題は、任意選択で、複数の基板層及び複数のナノフォトニック層が、層構造の厚さ方向において交互に配置されることを更に含むことができる。
【0112】
実施例10において、実施例8又は9の主題は、任意選択で、複数の基板層のうちの少なくとも2つが相互に異なる屈折率を有することを更に含むことができる。
【0113】
実施例11において、実施例8~10のいずれか1つの主題は、任意選択で、複数の基板層のうちの少なくとも2つが、層構造の厚さ方向における相互に異なる寸法を有することを更に含むことができる。
【0114】
実施例12において、実施例1~11のいずれか1つの主題は、任意選択で、層構造を支持する支持体を更に備えることができる。
【0115】
実施例13において、実施例12の主題は、任意選択で、支持体が光学的に透明な材料から作製され、層構造上に積み重ねられた支持体層として構成されることを更に含むことができる。
【0116】
実施例14において、実施例13の主題は、任意選択で、支持体がレンズとして構成されることを更に含むことができる。
【0117】
実施例15において、実施例13又は14の主題は、任意選択で、支持体が、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含むことを更に含むことができる。
【0118】
実施例16によれば、実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備える眼鏡が提供される。
【0119】
実施例17は、光源と、実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタとを備える治療ランプである。
【0120】
実施例18において、実施例17の治療ランプは、任意選択で、光源と光学フィルタとの間の光路上に配置され、光源によって発せられる光を偏光させるように構成された偏光子を更に備えることができる。
【0121】
実施例19において、実施例18の治療ランプは、任意選択で、偏光子が、入射光を直線偏光に変換するように構成された直線偏光子として構成されることを更に含むことができる。
【0122】
実施例20において、実施例19の主題は、任意選択で、偏光子がブリュースタ偏光子を備えるか又はブリュースタ偏光子として構成されることを更に含むことができる。
【0123】
実施例21は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備える照明手段である。これらの照明手段は、電球又はネオン管等の室内照明手段、及び街路照明手段を含むことができる。
【0124】
実施例22は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備えるディスプレイである。ディスプレイは、コンピュータ、TV、携帯電話等のディスプレイとすることができる。
【0125】
実施例23は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタとして構成されるか又はこの光学フィルタを備えるディスプレイ保護箔である。
【0126】
実施例24は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備える窓である。窓は、建物、車両、航空機、船舶等の窓として構成することができる。
【0127】
実施例25は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備える玩具である。玩具は、ゲームコンピュータとして構成することができる。
【0128】
実施例26は、二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料を含む光学フィルタ、特に実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタを備える光学レンズである。光学レンズは、眼鏡レンズとして構成することができる。
【0129】
実施例27は、光をフィルタリングするための実施例1~15のいずれか1つの光学フィルタの使用を定義する。
【0130】
実施例28において、実施例27の主題は、任意選択で、光が太陽光又は人工光であることを更に含むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子閉じ込めキャビティ空間における光-物質結合に基づく光学フィルタであって、層構造の厚さ方向に積み重ねられた複数の層を含む前記層構造を備え、前記複数の層は、
二十面体又は十二面体の対称性を有するナノフォトニック材料から形成された複数のナノフォトニック層と、
光学的に透明な材料から形成された少なくとも1つの基板層
であって、前記少なくとも1つの基板層にはナノフォトニック材料がない、少なくとも1つの基板層と、
を含み、前記少なくとも1つの基板層のうちの1つは、
2Dキャビティが前記層構造によって画定されるように前記層構造の前記厚さ方向において前記複数のナノフォトニック層のうちの2つの間に配置される、光学フィルタ。
【請求項2】
前記ナノフォトニック材料がフラーレン分子を備える、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記ナノフォトニック材料がC
60フラーレン分子を備える、請求項2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基板
層が、5~30nm、5~20nm、5~15nm及び5~10nmから選択された範囲の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つが、3~10nm、3~7nm及び3~5nmから選択された範囲の厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記複数のナノフォトニック層のうちの少なくとも1つには、前記少なくとも1つの基板層の前記光学的に透明な材料がない、請求項1~
5のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記層構造が複数の基板層を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記複数の基板層及び前記複数のナノフォトニック層が、前記層構造の前記厚さ方向において交互に配置される、請求項
7に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記複数の基板層のうちの少なくとも2つは相互に異なる屈折率を有する、請求項
7又は
8に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記複数の基板層のうちの少なくとも2つが、前記層構造の前記厚さ方向における相互に異なる寸法を有する、請求項
7~
9のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
前記層構造を支持する支持体を更に備える、請求項1~
10のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記支持体が光学的に透明な材料から作製され、前記層構造上に積み重ねられた支持体層として構成される、請求項
11に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
前記支持体がレンズとして構成される、請求項
12に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
前記支持体がナノフォトニック材料を含む、請求項
12又は
13に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える眼鏡。
【請求項16】
光源と、請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタとを備える治療ランプ。
【請求項17】
前記光源と前記光学フィルタとの間の光路上に配置され、前記光源によって発せられる光を偏光させるように構成された偏光子を更に備える、請求項
16に記載の治療ランプ。
【請求項18】
前記偏光子が、入射光を直線偏光に変換するように構成された直線偏光子として構成される、請求項
17に記載の治療ランプ。
【請求項19】
前記偏光子が、ブリュースタ偏光子を備えるか又はブリュースタ偏光子として構成される、請求項
18に記載の治療ランプ。
【請求項20】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える照明手段。
【請求項21】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備えるディスプレイ。
【請求項22】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタとして構成されるか又は前記光学フィルタを備える、ディスプレイ保護箔。
【請求項23】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える窓。
【請求項24】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える玩具。
【請求項25】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタを備える光学レンズ。
【請求項26】
光をフィルタリングするための請求項1~
14のいずれか一項に記載の光学フィルタの使用。
【請求項27】
前記光が太陽光又は人工光である、請求項
26に記載の使用。
【国際調査報告】