(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】相対位置決めを実現するための装置及び対応する相対位置決め方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571442
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2020093689
(87)【国際公開番号】W WO2020244480
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】201910485778.9
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920841515.2
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520435164
【氏名又は名称】北京外号信息技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WHYHOW INFORMATION TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】B-8-801, Zhonghangji Plaza, 15 Ronghua South Road, Yizhuang Economic And Technological Development Zone, Daxing District, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】方俊
(72)【発明者】
【氏名】牛旭恒
(72)【発明者】
【氏名】李江亮
(72)【発明者】
【氏名】王▲強▼
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065BB27
2F065BB29
2F065FF01
2F065FF04
2F065GG07
2F065GG14
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL50
2F065MM06
2F065PP25
2F065QQ31
(57)【要約】
本願は相対位置決めを実現する装置及び対応する相対位置決め方法を開示し、前記位置決め装置は、1つ以上の第1の位置決めマーク及び1つ以上の第2の位置決めマークと、を含み、前記第1の位置決めマークによって、1つの平面を特定することができ、前記第2の位置決めマークの少なくとも一部分は、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置し、前記方法は、位置決め装置における第1の位置決めマークと第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得するステップ(1101)と、画像形成機器によって撮影された位置決め装置を含む画像を取得するステップ(1102)と、この画像を解析することでこの画像における第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの画像形成位置情報を取得するステップ(1103)と、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報と画像形成位置情報に基づいて、この画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報と組み合わせて、この画像を撮影した時の位置決め装置に対するこの画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップ(1104)と、を含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対位置決めを実現するための装置であって、
1つの平面を決定できる1つ以上の第1の位置決めマークと、
少なくとも一部分が前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置する1つ以上の第1の位置決めマークと、を含み、
前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークは、画像形成機器によって収集可能な光を発するか、又は反射する
装置。
【請求項2】
前記装置には、同一平面に位置し且つ同一直線上にない少なくとも3つの第1の位置決めマークを含み、且つ前記第2の位置決めマークは、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の位置決めマークが位置する平面と前記第2の位置決めマークとの距離が少なくとも0.2センチメートルであるか、或いは、
前記第1の位置決めマークが位置する平面と前記第2の位置決めマークとの距離が、各第1の位置決めマーク間の最短距離の1/10より大きい
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は4つの第1の位置決めマークを含み、前記4つの第1の位置決めマークのうちの任意の3つは同一直線上にない
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記4つの第1の位置決めマークは矩形状に配列され、前記第2の位置決めマークは水平方向においてこの矩形の中間位置に位置する
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークのうちの1つ以上の位置決めマークは、情報を伝達できるデータ光源として機能するように構成されている
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
情報を伝達するための1つ以上のデータ光源又は視覚マークをさらに含む
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置には、情報を伝達するための1つ以上の視覚マークが含まれ、前記視覚マークの一部分は、前記第1の位置決めマーク又は前記第2の位置決めマークとして使用される
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
位置決め装置により実現される相対位置決め方法であって、前記位置決め装置は、1つ以上の第1の位置決めマーク及び1つ以上の第2の位置決めマークとを含み、前記第1の位置決めマークによって、1つの平面を特定することができ、前記第2の位置決めマークの少なくとも一部分は、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置し、前記方法は、
画像形成機器によって撮影された前記位置決め装置を含む画像を取得するステップと、
前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得するステップと、
前記画像における前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークの画像形成位置情報を特定するステップと、
前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークの物理的位置情報と画像形成位置情報と、前記画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報とに基づいて、前記画像を撮影した時の前記位置決め装置に対する前記画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップと、
を含む相対位置決め方法。
【請求項10】
前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークの物理的位置情報は、これらの位置決めマーク間の相対的な物理的位置情報、又はこれらの位置決めマークの絶対的な物理的位置情報を含む
請求項9に記載の相対位置決め方法。
【請求項11】
少なくとも部分的に前記画像形成機器と前記位置決め装置との間の通信によって前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得する
請求項9に記載の相対位置決め方法。
【請求項12】
前記位置決め装置には、情報を伝達するための1つ以上のデータ光源又は視覚マークがさらに含まれるか、又は、前記第1の位置決めマークと前記第2の位置決めマークのうちの1つ以上の位置決めマークが、情報を伝達できるデータ光源として機能するように構成されており、
前記データ光源又は視覚マークによって伝達される情報を前記画像形成機器によって識別できる
請求項9に記載の相対位置決め方法。
【請求項13】
前記データ光源又は視覚マークによって伝達される情報は、前記位置決め装置、前記第1の位置決めマーク又は前記第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得するために使用できる
請求項12に記載の相対位置決め方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されたときに請求項9~13の何れか一項に記載の方法を実現するために利用できるコンピュータプログラムを記憶した
記憶媒体。
【請求項15】
プロセッサとメモリとを含む電子機器であって、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたときに、請求項9~13の何れか一項に記載の方法を実現するために使用できる
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め技術の分野に関し、特に、相対位置決めを実現するための装置及び対応する相対位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の記載は単に、本発明の理解を助けるために、本発明に関連する背景情報を提供することを目的としている。本明細書に記載された内容は、明示的に説明されていない限り、本願の技術案にとっての先行技術を構成しない。
【0003】
多くの応用場面では、機器や機械の位置を特定する必要がある。たとえば、車両をナビゲーションする場合、車両の位置を特定する必要がある。また、一部の工場では、ロボットや自動運転車両を使って貨物の配送や受け渡しを行うが、貨物の配送や受け渡しにおいて、これらのロボットや自動運転車両の位置を特定する必要がある。
【0004】
現在主流となっている位置決め方式は、GPSによる位置決め、wifiによる位置決め、ブルートゥース(登録商標)による位置決めなど、無線信号による位置決めが一般的であるが、これらの位置決め方式は信号の干渉を受けやすく、正確な位置決め結果を得ることが困難である。
【0005】
視覚マーカに基づいて位置決めする方式は上述の欠点をある程度克服することができるが、画像形成精度の影響を受け、現在では近距離位置決めにおいていくつかの応用が行われているだけである。例えば、一部の拡張現実応用では、AR markerと呼ばれる視覚マーカを利用して、カメラの位置や姿勢を近距離で特定する。
図1は、二次元コードに類似した例示的なAR markerの一例を示す。また、一部のロボット応用では、視覚マーカを用いて近くのロボットに搭載されたカメラの位置や姿勢を特定してもよい。しかし、従来の視覚マーカは平面的な印刷物であることが多く、視覚マーカから遠く離れると、視覚マーカの画像形成画素数が減少し、それに基づく位置決め結果が不安定になったり、誤差が大きくなったりして、カメラの位置や姿勢を比較的正確に決定することができなくなる。
【0006】
このため、本発明は、より高い相対位置決め精度を実現できる装置及び対応する相対位置決め方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面は、相対位置決めを実現するための装置に関し、前記装置は、1つの平面を決定できる1つ以上の第1の位置決めマークと、1つ以上の第2の位置決めマークと、を含み、前記第2の位置決めマークの少なくとも一部分は、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置し、前記第1の位置決めマーク及び前記第2の位置決めマークは、画像形成機器によって収集可能な光を発するか、又は反射する。
【0008】
好ましくは、前記装置には、同一平面に位置し且つ同一直線上にない少なくとも3つの第1の位置決めマークを含み、且つ前記第2の位置決めマークは、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置する。
【0009】
好ましくは、前記第1の位置決めマークが位置する平面と前記第2の位置決めマークとの距離が少なくとも0.2センチメートルである。
【0010】
好ましくは、前記第1の位置決めマークが位置する平面と前記第2の位置決めマークとの距離が、各第1の位置決めマーク間の最短距離の1/10より大きい。
【0011】
好ましくは、前記装置は4つの第1の位置決めマークを含み、前記4つの第1の位置決めマークのうちの任意の3つは同一直線上にない。
【0012】
好ましくは、前記4つの第1の位置決めマークは矩形状に配列され、前記第2の位置決めマークは水平方向においてこの矩形の中間位置に位置する。
【0013】
好ましくは、前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークのうちの1つ以上の位置決めマークは、情報を伝達できるデータ光源として機能するように構成されている。
【0014】
好ましくは、上記装置は、情報を伝達するための1つ以上のデータ光源又は視覚マークをさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記装置には、情報を伝達するための1つ以上の視覚マークが含まれ、前記視覚マークの一部分は、前記第1の位置決めマーク又は前記第2の位置決めマークとして使用される。
【0016】
本発明の一つの側面、位置決め装置を使用して実施される相対位置決め方法に関し、前記位置決め装置は、1つ以上の第1の位置決めマーク及び1つ以上の第2の位置決めマークとを含み、前記第1の位置決めマークによって、1つの平面を特定することができ、前記第2の位置決めマークの少なくとも一部分は、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置し、前記方法は、画像形成機器によって撮影された前記位置決め装置を含む画像を取得するステップと、前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得するステップと、前記画像における前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの画像形成位置情報を特定するステップと、前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報と画像形成位置情報と、前記画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報とに基づいて、前記画像を撮影した時の前記位置決め装置に対する前記画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップと、を含む。
【0017】
前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、これらの位置決めマーク間の相対的な物理的位置情報、又はこれらの位置決めマークの絶対的な物理的位置情報を含む。
【0018】
好ましくは、少なくとも部分的に前記画像形成機器と前記位置決め装置との間の通信によって前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得する。
【0019】
好ましくは、前記位置決め装置には、情報を伝達するための1つ以上のデータ光源又は視覚マークをさらに含むか、又は、前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークのうちの1つ以上の位置決めマークが、情報を伝達できるデータ光源として機能するように構成されており、前記画像形成機器によって前記データ光源又は視覚マークによって伝達される情報を識別できる。
【0020】
好ましくは、前記データ光源又は視覚マークによって伝達される情報は、前記位置決め装置、前記第1の位置決めマーク又は前記第2の位置決めマークの相対的又は絶対的な物理的位置情報を取得するために使用できる。
【0021】
好ましくは、前記の前記画像を撮影した時の前記位置決め装置に対する前記画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップには、PnP法を用いて、前記画像を撮影した時の前記位置決め装置に対する前記画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップ、及び/又は、前記第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークに関連する透視歪みを特定し、この透視歪みに応じて、前記画像を撮影した時の前記位置決め装置に対する前記画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するステップが含まれている。
【0022】
本発明の別の側面は、コンピュータプログラム及びこのコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体に関し、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行された場合に、上記の方法を実現するために使用できる。
【0023】
本発明のさらに別の側面は、プロセッサとメモリとを含む電子機器に関し、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたときに、上記の方法を実現するために使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例をさらに説明する。
【
図1】例示的なAR markerを示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による光ラベルの正面図である。
【
図5】位置決めマークが深度差を有しない例示的な位置決め装置を示す図である。
【
図6】
図5に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて左側から撮影して得た像を示す図である。
【
図7】
図5に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて右側から撮影して得た像を示す図である。
【
図8】位置決めマークが深度差を有する本発明の一実施例による位置決め装置の斜視図である。
【
図9】
図8に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて左側から撮影して得た像を示す図である。
【
図10】
図8に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて右側から撮影して得た像を示す図である。
【
図11】本発明の一実施例による相対位置決め方法を示す図である。
【
図12】本願の一実施例による光ラベルを一つの方向から撮影した画像形成効果図である。
【
図13】本願の一実施例による光ラベルをもう一つの方向から撮影した画像形成効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、具体的な実施例により添付図面を組み合わせて本発明をさらに詳しく説明する。ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するためだけに使われるのであって、本発明を限定するために使われるのではないことは、理解しておくべきである。
【0026】
本発明の説明を容易にするために、以下では光通信装置を例に説明するが、本願の記載により、当業者であれば、本発明の案は光通信装置に限定されるものではなく、本発明の相対位置決め特徴を有する任意の装置に適用可能であることが理解できる。
【0027】
光通信装置は、光ラベルとも呼ばれ、この2つの用語は、本文で互換的に使用できる。光ラベルは、異なる発光方式で情報を伝達することができ、識別距離が遠く、可視光条件に対する要求が低いという利点があり、光ラベルによって伝達する情報は時間とともに変化することができるため、大きな情報容量と柔軟な構成能力を提供することができる。
【0028】
光ラベルには、一般的に、コントローラと少なくとも1つの光源とが含まれていてもよく、このコントローラは、異なる情報を外部に伝達するために、異なる駆動モードで光源を駆動することができる。光ラベルには、伝達しようとする情報に応じて各光源に対応する駆動モードを選択するためのコントローラがされに含まれている。例えば、異なる駆動モードにおいて、制御装置は、異なる駆動信号を用いて光源の発光方法を制御することができ、これにより、画像形成機能を有する機器を用いて光ラベルを撮影したときに、光源の像が異なる外観(例えば、異なる色、パターン、輝度等)を呈することができる。光ラベル内の光源の像を解析することにより、各光源の現在の駆動モードを解析することができ、それにより、光ラベルが現在伝達している情報を解析することができる。
【0029】
光ラベルに基づいてユーザに対応するサービスを提供するために、各光ラベルに一つの標記情報(ID)を割り当てることができ、この標記情報は光ラベルの製造者、管理者又はユーザ等が光ラベルを一意に識別又は標記するためのものである。通常、この標記情報を外部に伝達するために、光ラベル内のコントローラによって光源を駆動できるが、ユーザは機器を用いて光ラベルに対して画像収集を行うことで、この光ラベルによって伝達される標記情報を取得することができる。これにより、この標記情報に基づいて、例えば、標記情報に関連するウェブページにアクセスしたり、標記情報に関連する他の情報(例えば、この標記情報に対応する光ラベルの位置情報)を取得したりするなど、対応するサービスにアクセスすることができる。機器は、その画像取集デバイス(例えば、カメラ)によって光ラベルに対して画像を取得することによって、光ラベルを含む画像を取得し、且つ画像中の光ラベル(又は光ラベル内の個々の光源)の像を解析することによって、光ラベルによって伝達される情報を識別することができる。
【0030】
各光ラベルの標記情報(ID)又はその他の情報、例えば、この光ラベルに関連するサービス情報、この光ラベルに関連する説明情報又は光ラベルの位置情報、物理的寸法情報、物理的形状情報、姿勢又は向き情報等の属性をサーバ上に保存することができる。光ラベルは、統一又はデフォルトの物理的寸法情報や物理的形状情報等を有してもよい。機器は、識別された光ラベルの標記情報を使用して、サーバに問い合わせることでこの光ラベルに関連する他の情報を取得することができる。光ラベルの位置情報は、物理的な世界における光ラベルの実際の位置を指してもよく、地理座標情報によって示すことができる。
【0031】
図2は本発明の一実施例による光ラベルの正面図を示し、光ラベルは、外部に情報を伝達するための3つのデータ光源205と、3つのデータ光源205の両側に配置された4つの第1の位置決めマーク201と、3つのデータ光源205の上方に配置された1つの第2の位置決めマーク202とを含み、4つの第1の位置決めマーク201は同一平面上に位置し且つ同一直線上にはなく、第2の位置決めマーク202は4つの第1の位置決めマーク201が位置する平面の外側に位置し、つまり、第1の位置決めマーク201と第2の位置決めマーク202との間には深度差が存在する。第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークは、画像形成機器によって収集可能な光を発するか又は反射し、その光は、人間の目に見える光であってもよく、人間の目に見えない光であってもよい。
【0032】
図2に示した実施例では、4つの第1の位置決めマーク201が矩形状に配列され、且つ第2の位置決めマーク202が水平方向においてこの矩形の中間位置に位置するが、当業者であれば、これに制限されることなく、第1の位置決めマーク201と第2の位置決めマーク202とは別の配列方法を有していてもよいことが理解できる。
図2に示す実施例では、光ラベルの外観をよりよくするためのいくつかの特徴(例えば、光ラベルの上部の両耳に類似した部分)も示されているが、これらの特徴は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0033】
データ光源205は、外部に情報を伝達するために使用可能な任意の光源であってもよく、例えば、データ光源205は、1つのLEDランプ、複数のLEDランプからなるアレイ、ディスプレイ又はその一部であってもよく、ひいては光の照射領域(例えば、壁上の光の照射領域)をデータ光源205としてもよい。データ光源205は、例えば円形、正方形、長方形、ストライプ状等の任意の表面形状を有してもよい。データ光源205には、例えば導光板、拡散板、乱反射器などのような様々な一般的な光学デバイスが含まれてもよく、又は追加されてもよい。いくつかの実施例では、光ラベルには、3つに限定されることなく、1つ以上のデータ光源205を有することができる。
【0034】
一実施例では、情報を外部に伝達するために、データ光源205の代わりに視覚マークを使用することができ、例えば、印刷されたQRコード(登録商標)、ミニプログラムコード、バーコード等を視覚マークとして使用することができる。視覚マークは、位置決めマークの間に配置されてもよいが、例えば位置決めマークの上方、下方等の他の場所に配置されてもよい。
【0035】
第1の位置決めマーク201及び/又は第2の位置決めマーク202は、能動的に発光しないデバイスであってもよく、第1の位置決めマーク201及び/又は第2の位置決めマーク202は、環境光がないか又は環境光が比較的弱い場面でも使用できるように、例えばランプのような能動的に発光できるデバイスであってもよい。第1の位置決めマーク201及び/又は第2の位置決めマーク202は、例えば円形、正方形、長方形、三角形、六角形、楕円形などのような任意の適切な表面形状を有してもよい。第1の位置決めマーク201及び/又は第2の位置決めマーク202は、例えば、球体、円柱体、立方体などの立体位置決めマークであってもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、第1の位置決めマーク201の数は、同一直線上にない少なくとも3つの第1の位置決めマークが含まれている限り、3つ以上であってもよい。同一直線上にない3つの第1の位置決めマーク201は、1つの平面を決めるのに十分であり、第2の位置決めマーク202は、この3つの第1の位置決めマーク201によって決まる平面の外側に位置する。
【0037】
いくつかの実施例では、第2の位置決めマーク202は、光ラベル上の他の場所、例えば、第1の位置決めマーク201の下又は中に位置してもよく、光ラベル内に複数の第2の位置決めマーク202を有してもよい。一実施例では、光ラベルは、第1の位置決めマーク201の上方及び下方にそれぞれ位置する2つの第2の位置決めマーク202を含む。
【0038】
いくつかの実施例では、データ光源205は、第1の位置決めマーク201と同じ平面に位置してもよいし、異なる平面に位置してもよい。いくつかの実施例では、データ光源205は、第2の位置決めマーク202と同じ平面に位置してもよいし、異なる平面に位置してもよい。
【0039】
図3は
図2に示す光ラベルの側面図を示し、
図4は
図2に示す光ラベルの斜視図を示す。
図3及び
図4から明らかなように、第2の位置決めマーク202は、4つの第1の位置決めマーク201が位置する平面の外側に位置しており、すなわち、第1の位置決めマーク201と第2の位置決めマーク202とに深度差がある。
【0040】
上記では、光ラベルを例にして、第1の位置決めマークと第2の位置決めマークとを含む位置決め装置について説明したが、当業者であれば、本発明の案は光ラベルに限定されるものではなく、以下の条件を満たすあらゆる装置に適用可能であることが理解される。この装置は、同一平面上に位置するが同一直線上にない少なくとも3つの第1の位置決めマークと、1つ以上の第2の位置決めマークとを含み、この1つ以上の第2の位置決めマークは、第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置する。以下、上述した装置を「位置決め装置」と称してもよい。いくつかの実施例では、位置決め装置は、情報を外部に伝達するためのデータ光源を含まず、相対位置決めを可能にするための第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークのみを含んでもよく、あるいは、位置決め装置における第1の位置決めマーク及び/又は第2の位置決めマークは、それら自体が位置決めマークとして機能してもよいか、又は情報を外部に伝達可能なデータ光源として機能するように同時に構成されていてもよい。いくつかの実施例では、位置決め装置を、相対位置決めだけでなく、外部への情報伝達にも使用できるようにすることが有利である。これにより、画像形成機器は、位置決め装置の絶対位置を取得するために利用できる位置決め装置の標記情報を知ることができるようになるので、位置決め装置の絶対位置と、位置決め装置に対する画像形成機器の相対位置とから、画像形成機器の絶対位置を特定することができる。いくつかの実施例では、位置決め装置は、視覚マーク(例えば、QRコード(登録商標)、ミニプログラムコード、バーコードなど)と合わせて利用でき、両者を統合するか又は一か所に配置してもよい。いくつかの実施例では、視覚マークの一部分(例えば、視覚マーク中のある特徴点、視覚マークの角など)を、位置決め装置の第1の位置決めマーク又は第2の位置決めマークとして使用することができる。例えば、視覚マークのうちの1つ以上の特徴点を位置決め装置の1つ以上の第1の位置決めマークを用いることができる。一実施例では、視覚マークを、位置決め装置又は視覚マークの標記情報、物理的な世界における位置決め装置又は視覚マークの位置情報、又は物理的な世界における1つ以上の位置決めマークの相対的又は絶対的な位置情報を提供することに用いられる。
【0041】
異なる応用場面に応じて、第1の位置決めマーク201が位置する平面と第2の位置決めマーク202との距離又は深度差は異なる値を有してもよい。通常、必要な位置決め範囲が比較的大きい場合(例えば、位置決め装置の周囲の比較的広い範囲内で相対位置決めを可能にする必要がある場合)には、比較的大きな深度差が必要である、画像形成機器の解像度が比較的低い場合には、比較的大きな深度差が必要となる。逆に、必要な位置決め範囲が比較的小さい場合、且つ/又は画像形成機器の解像度が比較的高い場合には、比較的小さい深度差で需要を満たすことができる。理論的には、深度差が存在する場合に、第1の位置決めマークに対する第2の位置決めマークの画像形成位置の変化を観察できる(すなわち、画像形成位置の変化が画素上で区分可能である)ように、通常、深度差に対応する距離の画像形成には2画素以上とする必要となる。画像形成機器の解像度をR、位置決めに必要な最遠距離をDとすると、最小の深度差は、解像度Rで画像形成し、2画素に対応する、距離Dにおける物体の実際の長さとなる。より具体的には、画像形成機器の解像度をR=Rx*Ry、画像形成器の大きさをL*W、画像形成機器座標系において、画像形成機器のx方向の焦点距離をfx、y方向の焦点距離をfy、位置決めに必要な最遠距離をD、物体の大きさをx*y、物体の画像形成サイズをu*vとする(以上の寸法x、y、u、vは、いずれもカメラの座標系における物体のx軸及びy軸の投影寸法である)。次の式が得られる:
fx/D = u*(L/Rx)/x
fy/D = v*(W/Ry)/y
u=v=2画素とすると、
x_min = 2*L*D/(fx*Rx)
y_min = 2*W*D/(fy*Ry)
x_minとy_minの両方の最小値を深度差の最小値depth_min、すなわちdepth_min=min(x_min,y_min)としてもよい。
【0042】
例えば、4Kの解像度(2160*3840)の画像形成機器を使用する場合、識別距離が10メートルの場合、2/3センチメートルの線分の像は約2画素であるため、最小の深度差は2/3センチメートルである必要がある。識別距離が50メートルになった場合(たとえば、ある特定の室外位置決めの場面に対し)、最小の深度差は10/3センチメートルである必要がある。識別距離が1.5メートルになった場合(たとえば、ある特定の室内位置決めの場面に対し)、最小の深度差は0.1センチメートルである必要がある。
【0043】
いくつかの実施例では、第1の位置決めマークが位置する平面と第2の位置決めマークとの距離又は深度差は、少なくとも0.1センチメートル、少なくとも0.2センチメートル、少なくとも0.5センチメートル、少なくとも0.8センチメートル、少なくとも1センチメートル、又は少なくとも1.5センチメートルなどであることが好ましい。いくつかの実施例では、第1の位置決めマークが位置する平面と第2の位置決めマークとの距離又は深度差は、各第1の位置決めマーク間の距離に基づいて特定されてもよく、好ましくは、第1の位置決めマークが位置する平面と第2の位置決めマークとの距離又は深度差は、各第1の位置決めマーク間の最短距離の1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3等よりも大きい。
【0044】
以下では、一実施例における位置決め装置を用いて実現する相対位置決め方法について説明するが、この相対位置決め方法は位置決め装置に対する画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定するための方法である。位置情報と姿勢情報を総称して「位置姿勢情報」と呼ぶことができる。なお、応用場面のニーズによっては、画像形成機器の位置情報及び姿勢情報の両方を取得する必要がなく、例えば画像形成機器の位置情報のみを取得するなど、一方のみを取得してもよい。
【0045】
一実施例では、位置決め装置に対する画像形成機器の位置及び/又は姿勢を取得するために、位置決め装置に応じて座標系を設定することができ、この座標系を位置決め装置座標系と呼ぶことができる。位置決め装置上の第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークは座標系内のいくつかの空間点を構成し、当該座標系内の対応する座標を有する。画像形成機器を用いて位置決め装置を含む画像を撮影した後、例えば、位置決め装置の物理構造的特徴又は幾何構造的特徴に基づいて、これらの空間点にそれぞれ対応する画像点を画像内で見つけ出し、画像における各画像点の画像形成位置を特定することができる。座標系における各空間点の座標と、画像における対応する各画像点の画像形成位置とに基づいて、カメラの内部パラメータ情報と組み合わせて、この画像を撮影したときの、座標系における画像形成機器の位置姿勢情報(R,t)を算出することができるが、Rは座標系におけるカメラの姿勢情報を表す回転行列、tは座標系におけるカメラの位置情報を表す変位ベクトルである。R,tを算出する方法は従来技術において周知であり、例えば3D-2DのPnP(Perspective-n-Point)法を利用してR,tを算出することができるが、本発明を不明確にしないように、ここでは詳細な説明を省く。
【0046】
画像形成機器の位置姿勢情報(R,t)を計算する際には、位置決め装置上の各位置決めマークに対応する各画素点の画像上の位置を正確に特定する必要があるが、これらの位置決めマークがすべて同一平面上にあれば、挑戦的である可能性がある。
図5に位置決めマークが深度差を有しない例示的な位置決め装置を示す。具体的には、この位置決め装置は、黒い丸点で示す5つの位置決めマークP1、P2、P3、P4、P5を備え、これら5つの位置決めマークは同一平面上に位置している。この5つの位置決めマークのうち、4つの位置決めマークP1、P2、P3、P4によって1つの矩形を成しており、その矩形の中心位置に位置決めマークP5が位置している。
図6は
図5に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて左側から撮影して得た像を示し、
図7は、
図5に示した位置決め装置を画像形成機器を用いて右側から撮影して得た像を示す。位置決め装置の像には対応する透視歪みが存在することが分かる。具体的には、視覚のイメージングにおける「遠小近大」の原則に基づき、画像形成機器を用いて位置決め装置を左側から撮影する場合、位置決めマークP1とP2の間の距離は位置決めマークP3とP4の間の距離よりも大きくなり、逆に、画像形成機器を用いて位置決め装置を右側から撮影する場合には、位置決めマークP1とP2の間の距離は位置決めマークP3とP4の間の距離よりも小さくなる。位置決め装置の位置決めマークP1、P2、P3、P4、P5の物理世界座標系における座標とこれらの位置決めマークの画像形成位置とから、例えばPnP(Perspective-n-Point)法を用いて、物理世界座標系における画像形成機器の位置姿勢情報を算出することができる。しかしながら、位置決めマークの画像形成位置の特定に誤差が生じることが多く、これによって算出される画像形成機器の位置姿勢情報に誤差が生じ、画像形成機器が位置決め装置から比較的遠い場合には、これらの誤差が著しくなる。例えば、位置決め装置が画像形成機器から比較的遠い場合には、その形成される像が非常に小さく、このとき、位置決めマークP1とP2との間の距離、又は位置決めマークP3とP4との間の距離が占める画素は非常に少なく(例えば、数十画素未満)、また、これら2つの距離間の画素差はより小さく(例えば、1~3画素違うだけ)、同時に、画像処理の誤差(例えば、画像処理の画素誤差が1~2画素である場合がある)により、これら2つの距離の差を正確に特定することが困難となり、その分、画像形成機器の位置姿勢情報を正確に特定することが困難となる。
【0047】
本開示の位置決め装置を採用することにより、特定された画像形成機器の位置姿勢情報における誤差を大幅に軽減又は解消することができる。
図8は本発明の一実施例による位置決め装置の斜視図であり、
図5に示した位置決め装置と類似しているが、中心位置における位置決めマークP5を他の4つの位置決めマークP1、P2、P3、P4が位置する平面の外側に移動又は突出させている。このように、
図8に示した位置決め装置を
図5に示したように配置して、画像形成機器を用いて左側又は右側からこの位置決め装置を撮影すると、異なる画像形成効果が得られる。
図9はこの位置決め装置を画像形成機器を用いて左側から撮影して得た像を示し、
図10は、この位置決め装置を画像形成機器を用いて右側から撮影して得た像を示す。
図9及び
図10中の点線の円は、位置決めマークP5を移動させる前のこの位置決めマークP5の画像形成位置を示し、すなわち
図5に示した位置決め装置における位置決めマークP5の画像形成位置を示している。
図9と
図10から分かるように、位置決めマークP5が他の4つの位置決めマークP1、P2、P3、P4が位置する平面の外側に突出しているので、異なる位置で画像形成機器を用いてこの位置決め装置を撮影した場合には、この位置決め装置の位置決めマークP5の画像形成位置が位置決めマークP1、P2、P3、P4の画像形成位置に対して比較的著しく変化することになり、この変化をさらに解析することにより、算出された画像形成機器の位置姿勢情報における誤差を軽減又は解消するのに役立つ。
図9及び
図10は、画像形成機器を用いて位置決め装置を左側と右側から撮影した場合に得られた画像をそれぞれ示しているが、当業者であれば、他の方向において画像形成機器を用いて撮影した場合にも類似の効果が観察されることが理解できる。さらに、いくつかの実施例では、位置決め装置における位置決めマークP1、P2、P3、P4のいずれか一つを省略してもよい。
【0048】
図11は本発明の一実施例による相対位置決め方法を示し、この方法は画像形成機器により撮影された位置決め装置を含む画像を解析することにより、位置決め装置に対する画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定する。位置決め装置は、同一平面上に位置し且つ同一直線上にない少なくとも3つの第1の位置決めマークと、前記第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置する1つ以上の第2の位置決めマークとを含んでもよい。この方法は、画像形成機器によって実行されてもよいが、他の機器又は装置(例えばサーバ)によって実行されてもよいし、又は画像形成機器と他の機器によって協働して実行されてもよい。例えば、画像形成機器はそれによって撮影された位置決め装置を含む画像をサーバに送信することができ、その後、サーバはこの画像を解析して、位置決め装置に対する画像形成機器の位置を特定することができる。こうして、画像形成機器におけるソフトウェアの配置又は計算力の配置を簡略化することができる。
図11に示す方法は、以下のステップを含む。
ステップ1101:位置決め装置上の第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得する。
【0049】
第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、様々な方法で取得することができる。例えば、いくつかの応用場面(例えば、自動化工場)では、位置決め装置は、固定された仕様又は型番を有するので、画像形成機器又はサーバなどは、位置決め装置上の第1の位置決めマークと第2の位置決めマークの物理的位置情報を事前に知ることができる。いくつかの応用場面では、位置決め装置は通信機能を有し、画像形成機器は、位置決め装置の第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を取得するために、位置決め装置と通信を行うことができる(例えば、無線信号又は光により通信する)。画像形成機器はまた、位置決め装置の第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を直接取得することができるし、位置決め装置の他の情報(例えば、標記情報、仕様情報又は型番情報)も取得して、この他の情報を使用して、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報を問い合わせ又は分析によって特定できる。例えば、本願の
図2に示した光ラベルの形態の位置決め装置の場合、画像形成機器は、光ラベルによって伝えられる標記情報を識別し、この標記情報を用いて問い合わせることにより、光ラベル上の各位置決めマークの物理的位置情報を取得することができる。また、画像形成機器は、識別された光ラベルによって伝えられる情報をサーバに送信することもでき、サーバは、これらの情報を用いて、問い合わせによりこの光ラベル上の各位置決めマークの物理的位置情報を取得することができる。画像形成機器は、それが位置決め装置と通信することによって取得した任意の情報を、例えばサーバなどの他の機器又は装置に送信することができる。
【0050】
第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、相対的な物理的位置情報であってもよいし、絶対的な物理的位置情報であってもよい。いくつかの実施例では、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、各位置決めマーク間の相対的な位置関係(例えば、相対距離及び相対方向)であってもよい。いくつかの実施例では、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、位置決め装置に基づいて確立された座標系における各位置決めマークの座標情報であってもよい。例えば、1つの位置決めマークを座標系の原点とし、その座標系中の座標情報で各位置決めマークの位置を表すことができる。いくつかの実施例では、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報は、現実世界における各位置決めマークの絶対的な物理的位置情報であってもよい。当業者であれば、画像形成機器と位置決め装置との間の相対的な位置姿勢情報を特定するためには、位置決めマークの絶対的な物理的位置情報は必要ではないが、位置決めマークの絶対的な物理的位置情報を用いることにより、画像形成機器と位置決め装置との間の相対的な位置姿勢情報に基づいて、現実世界における画像形成機器の絶対的な位置姿勢情報をさらに特定することができることがわかる。
【0051】
ステップ1102:画像形成機器で撮影された位置決め装置を含む画像を取得する。
【0052】
本文で言及される画像形成機器は、ユーザによって携帯又は制御される機器(例えば、携帯電話、タブレット、スマートグラス、スマートヘルメット、スマートウォッチなど)としてもよい。しかし、例えばカメラ等の画像形成デバイスを搭載した自律移動可能な機械、例えば、ドローン、自動運転車、ロボット等であってもよいことは理解される。
【0053】
ステップ1103:前記画像を解析することで前記画像上の第1の位置決めマークと第2の位置決めマークの画像形成位置情報を取得する。
【0054】
画像形成機器により撮影された位置決め装置を含む画像を取得した後、この画像を解析することにより、画像上での位置決め装置の第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの画像形成位置を特定することができ、この画像形成位置は例えば対応する画素座標で表すことができる。
【0055】
ステップ1104:第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報と画像形成位置情報とに基づいて、前記画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報を組み合わせて、前記画像を撮影した時の位置決め装置に対する画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定する。
【0056】
画像形成機器の画像形成デバイスは、対応する内部パラメータ情報を有していてもよく、画像形成デバイスの内部パラメータ情報は例えば、画像形成デバイスの焦点距離、画素数など、画像形成デバイス自体の特性に関するパラメータである。画像形成機器は、画像を撮影する際に、その画像形成デバイスの内部パラメータ情報を取得することができる。他の機器又は装置(例えばサーバ)も、画像形成機器からこの内部パラメータ情報を受信することができる。例えば、画像形成機器がサーバに画像をアップロードする際に、その画像形成デバイスの内部パラメータ情報を別途アップロードしてもよい。いくつかの実施例では、画像形成機器は、代わりにその画像形成デバイスの型番情報をサーバにアップロードしてもよく、サーバは、この型番情報に基づいてその内部パラメータ情報を取得できる。
【0057】
第1の位置決めマークと第2の位置決めマークの物理的位置情報、第1の位置決めマークと第2の位置決めマークの画像形成位置情報、画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報を取得した後、当分野で知られている様々な方法(例えば、3D-2DのPnP(Perspective-n-Point)法、solvePnP法とも呼ばれる)を用いて、位置決め装置に対する画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定することができる。現在比較的代表的な方法として、P3P法、Iterative法、EPnP法、DLT法などがある。
【0058】
いくつかの実施例では、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの物理的位置情報、第1の位置決めマーク及び第2の位置決めマークの画像形成位置情報、画像形成機器の画像形成デバイスの内部パラメータ情報を取得した後、これらの位置決めマーク又はこれらの位置決めマークからなるパターンの透視歪みなどを解析することにより、画像撮影時の位置決め装置に対する画像形成機器の位置情報及び/又は姿勢情報を特定することもできる。例えば、画像形成機器は、様々な方法を採用して、それの位置決め装置に対する距離情報及び方向情報を決定することができる。一実施例では、画像形成機器は、位置決めマークからなるパターンの実際の大きさと、そのパターンの像のサイズとを解析することにより、画像形成機器と位置決め装置との相対距離を特定することができる(像が大きいほど距離が近く、像が小さいほど距離が遠い)。また、画像形成機器は、位置決めマークからなるパターンの実際の形状と、そのパターンの像の形状とを比較することにより、位置決め装置に対する画像形成機器の方向情報を特定することもできる。例えば、
図9に示す画像形成の場合には、画像形成機器が左側から位置決め装置を撮影したと判定でき、
図10に示す画像形成の場合には、画像形成機器が右側から位置決め装置を撮影したと判定できる。また、画像形成機器は、位置決め装置の像に応じて、それの位置決め装置に対する姿勢情報を特定してもよい。例えば、位置決め装置の画像形成位置又は画像形成領域が画像形成機器の視野の中心にある場合には、画像形成機器が位置決め装置に正対していると見なせる。さらに、画像形成機器の姿勢を特定する際に、位置決め装置の画像形成方向を考慮してもよい。画像形成機器の姿勢変化に伴い、画像形成機器上での位置決め装置の画像形成位置及び/又は画像形成方向がそれ相当に変化するので、画像形成機器上での位置決め装置の画像形成に応じて、位置決め装置に対する画像形成機器の姿勢情報を得ることができる。
【0059】
本発明の一実施例に係る光ラベルを採用することにより、光ラベルを異なる位置で撮影した場合に、その上の位置決めマークの画像形成の違いをより明らかに観察することができるので、特定される画像形成機器の位置姿勢情報における誤差を大幅に軽減又は解消することができる。
図12は本願の一実施例による光ラベルを一つの方向から撮影した画像形成効果図を示す。
図13は本願の一実施例による光ラベルをもう一つの方向から撮影した画像形成効果図を示す。
図12及び
図13の実線の円環は、第2の位置決めマーク202の像であり、さらに、破線の円環で第2の位置決めマーク202が第1の位置決めマーク201が位置する平面に位置したときの画像形成位置を示している。
図12と
図13から分かるように、第2の位置決めマーク202が第1の位置決めマーク201が位置する平面の外側に突出しているので、異なる位置で画像形成機器を用いて光ラベルを撮影した場合には、第2の位置決めマーク202の画像形成位置が第1の位置決めマーク201の画像形成位置に対して比較的著しく変化し、この変化をさらに解析することにより、算出された画像形成機器の位置姿勢情報における誤差を軽減又は解消するのに役立つ。
【0060】
上記の実施例では、主に点状の位置決めマークを用いて説明したが、一部の実施例では、第1の位置決めマーク及び/又は第2の位置決めマークが他の形状を有していてもよいことが当業者には理解されるであろう。例えば、一実施例では、
図2に示される2つの第1の位置決めマーク201(例えば、左側の2つの第1の位置決めマーク201又は右側の2つの第1の位置決めマーク201)を、1つのストライプ状の位置決めマークに置き換えてもよい。一実施例では、第1の位置決めマークは、1つの平面を共同で決めるために、1つのストライプ状位置決めマークと、このストライプ状位置決めマークと同一直線上にない1つの点状位置決めマークとを含んでもよい。一実施例では、第1の位置決めマークは、同一平面内に位置する2つのストライプ状位置決めマークを含むことができる。例えば、
図8に示された位置決め装置の場合、位置決めマークP1及びP2を、P1とP2を結ぶ1つのストライプ状位置決めマークに置き換え、位置決めマークP3及びP4を、P3及びP4を結ぶ1つのストライプ状位置決めマークに置き換えることができる。一実施例では、第1の位置決めマークとして、一人の平面多角形枠(例えば、三角形枠又は矩形枠)を使用することができ、この多角形枠はそれ自体により一つの平面が決まる。例えば、
図8に示す位置決め装置の場合、位置決めマークP1、P2、P3、P4を結ぶ一つの矩形枠を、位置決めマークP1、P2、P3、P4の代わりに使用することができる。一実施例では、第1の位置決めマークとして、一つの平面状位置決めマーク(例えば、三角形状の位置決めマークや矩形状の位置決めマーク)を用いることができ、この平面状の位置決めマーク自体が一つの平面を決める。例えば、
図8に示す位置決め装置の場合、位置決めマークP1、P2、P3、P4に代えて、位置決めマークP1、P2、P3、P4で規定される矩形の平板を用いることができる。同様に、第2の位置決めマークも、例えばストライプ状、多角形枠状、平面状等の他の形状を有してもよい。一つの場合では、第2の位置決めマークは、全体として、第1の位置決めマークが位置する平面の外側に位置してもよく、もう一つの場合では、第2の位置決めマークの一部分(例えば、第2の位置決めマークの1つの端点)が、第1の位置決めマークが位置する平面の外側にある限り、第2の位置決めマークは、第1の位置決めマークによって決まる平面と交差してもよい。
【0061】
以下、本発明の一実施例に係る位置決め装置を用いて複数回の実験により得られた位置算出結果について説明する。
【0062】
一、
X方向(左右方向)実験:位置決め装置の前方1メートルで、左右2方向の相対位置決め結果をテストし、画像形成機器の撮影位置を左右2方向にそれぞれ0.5メートル、1メートル、1.5メートルをずらした。位置決め装置を空間座標系の原点とし、画像形成機器は、左側から撮影する時にそのX座標が負の値で、右側から撮影する時にそのX座標が正の値になる。データの単位はいずれもミリメートル(mm)であり、X、Y、Zは画像形成機器の算出座標を表し、X0、Y0、Z0は位置決め装置を撮影するときの画像形成機器の実際の座標を表す。
【0063】
二、
Y方向(上下方向)検証実験:位置決め装置の前方2メートルで、上下2方向の相対位置決め結果をテストし、画像形成機器の撮影位置を上下2方向にそれぞれ0.5メートル、1メートル、1.5メートルをずらした。画像形成機器は、上側から撮影する時にそのY座標が負の値で、下側から撮影する時にそのY座標が正の値になる。データの単位はいずれもミリメートル(mm)であり、X、Y、Zは画像形成機器の算出座標を表し、X0、Y0、Z0は位置決め装置を撮影するときの画像形成機器の実際の座標を表す。
【0064】
以上の試験結果から分かるように、本発明の一実施例の位置決め装置を採用することにより、画像形成機器によって位置決め装置から数メートル離れた位置で撮影を行った場合に、相対位置決めによって算出された画像形成機器のX、Y、Z座標値と実際の座標値との誤差は通常、数十ミリメートルだけであり、比較的高い相対位置決め精度を提供する。
【0065】
本文において、「各実施例」、「いくつかの実施例」、「一実施例」又は「実施例」などの参照は、上述した実施例と組み合わせて説明した特定の特徴、構造或いは特性は少なくとも一つの実施例に含まれることを意味する。よって、本文の各箇所に現れる「各実施例において」、「いくつかの実施例において」、「一つの実施例において」又は「実施例において」などは必ずしも同じ実施例を参照するとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。したがって、1つの実施例と組み合わせて示された、又は説明された特定の特徴、構造、又は特性は、組み合わせが非論理的又は実行不可能でない限り、全体的に又は部分的に、1つ以上の他の実施例の特徴、構造、又は特性と無制限に組み合わせることができる。本文に現われた「Aによって」、「Aに基づいて」、「Aを通して」、又は「Aを用いて」に類似した表現は、非排他的な意味であり、すなわち、「Aによって」は、「Aのみによって」を含んでもよく、「AとBによって」を包んでもよい。ただし、特別に言明されているか、又は文脈によってその意味が「Aのみによって」であると明確に分かる場合については、この限りでない。本願では、明確に説明するために、一定の順序でいくつかの例示的な操作ステップを説明してきたが、当業者であれば、これらの操作ステップのそれぞれは必須なものではなく、そのうちのいくつかを省略したり、他のステップによって置き換えたりすることができることは、理解できるであろう。これらの操作ステップも必ずしも示された方法で順次実行される必要はなく、むしろ、新しい実行方法が非論理的又は実行不可能でない限り、これらの操作ステップのいくつかは、実際の必要に応じて異なる順序で実行されてもよく、又は、並列に実行されてもよい。
【0066】
本発明の少なくとも1つの実施例のいくつかの側面はこれにより説明されたが、当業者にとって、様々な変更、修正、及び改良は容易に実施できることが理解できるであろう。このような変更、修正及び改善は、本発明の精神及び範囲内であると考えられる。本発明は、好適な実施例によって説明されてきたが、本発明は、ここに記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなくなされた様々な変更及び変形をさらに含む。
【国際調査報告】