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特表2022-536619物品識別及び位置特定デバイス並びにシステム、並びにそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】物品識別及び位置特定デバイス並びにシステム、並びにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220810BHJP
   G08B 13/22 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
G06Q30/06
G08B13/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571812
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2020035897
(87)【国際公開番号】W WO2020247478
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/857,059
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521111788
【氏名又は名称】ポジション イメージング, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POSITION IMAGING, INC.
【住所又は居所原語表記】155 Fleet Street, Portsmouth, New Hampshire 03801 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】ヒル, エドワード エル.
(72)【発明者】
【氏名】ショーン, イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバルティ, ナラシムハクハリ ナッラーナ
(72)【発明者】
【氏名】マーテル, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ビュジョルド, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ビルブレイ, ブレット
【テーマコード(参考)】
5C084
5L049
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA09
5C084BB21
5C084BB31
5C084CC16
5C084CC33
5C084DD80
5C084DD81
5C084DD84
5C084EE10
5C084FF02
5C084FF03
5C084HH03
5C084HH07
5L049BB72
(57)【要約】
建物内又は建物付近で対象商品の位置特定を支援するための装置は、インジケータと、対向して動作して対象商品を把持する、又は対象商品の上若しくはその付近に配置されるように適合された一対のピンサーを有する本体と、を備える。本体は、無線周波数(RF)送信機によって送信されるRF信号を受信するように構成されたRF受信機と、RF受信機及びインジケータと通信するプロセッサと、を収容する。プロセッサは、RF受信機によって受信されたRF信号から情報を取得し、RF信号から取得した情報に応答してインジケータをオンにするように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内又は前記建物付近で対象商品の位置特定を支援するための装置であって、
インジケータと、
対向して動作して、前記対象商品を把持する、又は前記対象商品の上若しくは前記対象商品付近に配置されるように適合された一対のピンサーを有する本体であって、前記本体は、
無線周波数(RF)送信機によって送信されたRF信号を受信するように構成された、RF受信機、及び
前記RF受信機及び前記インジケータと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記RF受信機によって受信された前記RF信号から情報を取得し、前記RF信号から取得した前記情報に応答して前記インジケータをオンにするように構成されている、プロセッサを収容する、本体と、を備える、装置。
【請求項2】
前記インジケータは発光ダイオード(LED)である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インジケータはスピーカである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記本体は、固有識別子を記憶するメモリを更に収容し、前記プロセッサは、前記RF信号から取得した前記情報を、前記メモリに記憶された前記固有識別子と比較し、前記RF信号から取得した前記情報が前記メモリに記憶された前記固有識別子に一致する場合、前記インジケータをオンにするように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記本体は、前記本体が経験する状態の変化を検出するように適合された1つ以上のセンサを更に収容し、前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記固有識別子が前記RF信号から取得した前記情報に一致しない場合、前記状態の変化を検出する、前記1つ以上のセンサに応答してアラームを示すように前記インジケータを動作させるように更に構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記本体は、前記装置の前記本体の状態の変化を検出するように適合された、1つ以上のセンサを更に収容する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上のセンサは加速度計を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上のセンサは接触センサを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のセンサは角度ホールセンサを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記本体は、前記インジケータを更に収容し、前記インジケータはLEDであり、前記本体は、前記LEDがオンになると、前記LEDが前記本体を照らすことを可能にする半透明の表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ユーザが、建物内又は前記建物付近で、ユーザのために取り置かれた商品を探し出すことを支援するための方法であって、
物品識別及び位置特定デバイスのメモリに固有識別子を記憶する工程と、
ユーザによる要求に応答して取り置かれた商品の上に、若しくは前記商品と共に前記物品識別及び位置特定デバイスを配置する、又は前記商品に前記物品識別及び位置特定デバイスを取り付ける工程と、
セルフ受け取りのために商品の取り置きを要求したユーザに前記固有識別子を提供する工程と、
建物構内又は前記建物構内付近にいる前記ユーザが携行するモバイルデバイスによって送信された無線周波数(RF)信号を、前記物品識別及び位置特定デバイスによって受信する工程と、
建物構内又は前記建物構内付近にいる前記ユーザが携行する前記モバイルデバイスによって送信され、受信した前記RF信号から、前記物品識別及び位置特定デバイスによって情報を取得する工程と、
前記物品識別及び位置特定デバイスによって、前記RF信号から取得した前記情報を、前記物品識別及び位置特定デバイスの前記メモリに記憶された前記固有識別子と比較する工程と、
前記RF信号から取得した前記情報が前記メモリに記憶された前記固有識別子に一致する場合、前記物品識別及び位置特定デバイスによって光を照らす工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記物品識別及び位置特定デバイス内のセンサによって、前記物品識別及び位置特定デバイスの状態の変化を検出する工程と、
前記センサが前記物品識別及び位置特定デバイスの前記状態の変化を検出したときに、前記RF信号から取得した情報が、前記物品識別及び位置特定デバイスの前記メモリに記憶された前記固有識別子に一致しない場合、及び前記物品識別及び位置特定デバイスが前記状態の変化の承認を受信しない場合、前記物品識別及び位置特定デバイスによってアラームを発する工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物品識別及び位置特定デバイスによって、RF信号を送信する工程と、
前記物品識別及び位置特定デバイスによって送信された前記RF信号に基づいて、前記モバイルデバイスの前記ユーザを前記物品識別及び位置特定デバイスへと誘導する工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記物品識別及び位置特定デバイスによって、前記物品識別及び位置特定デバイスの前記メモリに記憶された前記固有識別子を伝達するRF信号を送信する工程と、
プライベートネットワークと通信するRF送受信機によって、前記物品識別及び位置特定デバイスによって送信された前記RF信号を受信する工程と、
前記物品識別及び位置特定デバイスによって送信された前記RF信号を受信することに応答して、前記固有識別子を前記ユーザと関連付ける工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
パブリックネットワーク上での注文に応答して、要求された前記商品を前記ユーザのために取り置く工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記物品識別及び位置特定デバイスの前記メモリに前記固有識別子を記憶する前記工程は、前記ユーザによる前記商品に対する前記要求に応答して行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
インジケータと、
1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスであって、各物品識別及び位置特定デバイスは、無線周波数(RF)受信機と、前記RF受信機及び前記インジケータと通信するプロセッサと、を含み、前記プロセッサは、前記RF受信機によって受信されたRF信号から情報を取得し、前記RF信号から取得した前記情報に応答して前記インジケータをオンにするように構成されており、前記1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのうちの所与の1つは、ユーザによる受け取りのために取り置かれた商品と共に配置されている、1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスと、
1つ以上のRF送受信機と、コンピューティングシステムと、を含むネットワークであって、前記コンピューティングシステムは、前記ユーザが前記取り置かれた商品を受け取るために到着したことを認識したことに応答して、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記プロセッサに前記インジケータをオンにさせる前記情報を含むRF信号を、前記1つ以上のRF送受信機に送信させるように構成されている、ネットワークと、を備える、システム。
【請求項18】
前記1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのそれぞれは、当該物品識別及び位置特定デバイスの状態の変化を検出するように構成されたセンサと、固有識別子を記憶するメモリと、を更に含み、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記プロセッサは、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記センサが所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記状態の変化を検出するときに、前記ユーザが携行するモバイルデバイスによって送信されたRF信号から取得した情報が、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記メモリに記憶された前記固有識別子に一致しない場合、アラームを発するように更に構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのそれぞれはRF送信機を更に含み、前記ネットワークの前記コンピューティングシステムは、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記RF送信機及び前記ユーザが携行するモバイルデバイスによって送信される、前記ネットワークの前記1つ以上のRF送受信機によって受信されたRF信号に基づいて、所与の前記物品識別及び位置特定デバイスの前記位置へと前記ユーザを誘導するように更に構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記ネットワークと通信するユーザインタフェースデバイスを更に備え、前記ネットワークは、前記ユーザインタフェースデバイスを介して提供された情報に応答して、前記建物内の前記ユーザの存在を認識する、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照) 本出願は、2019年6月4日に出願された「Article Identification Device」と題する同時係属中の米国特許仮出願第62/857,059号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この仮出願の全体は、全ての目的のために参照により本明細に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、店員及び顧客が、企業又は組織に取り置かれた特定の製品の位置を特定することを支援するためのシステム、方法、及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電子商取引は、前年比で著しい成長を見せ続けており、当面は同様の成長が期待されている。多くのオンライン小売業者は、顧客の玄関まで購入品を配送する。しかしながら、「ポーチパイレーツ」、すなわち、顧客のポーチ又は玄関エリアから荷物を盗む人々が増加するにつれて、多くの顧客は、オンライン注文品が店舗に配送されるか、又は店舗で保管されることを望んでおり、店舗では、購入品が顧客の受け取りを待つことができる。このプロセスは、配送料を節約するという更なる利点を有する。したがって、小売業者は、実店舗を活用してオンラインでの売上を完遂する。これにより、当該業者の拠点における顧客の訪問数を増加させ、より多くの顧客を獲得し、より多くの売上高がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小売業者は、概して店頭受け取りを効率的に処理する態勢が整っていない。ほとんどのbuy-online-pickup-in store(BOPIS)ソリューションは高額であり、追加スタッフ又は業務の大幅な変更を必要とする。設計のお粗末な受け取りプロセスは、遅延を生じさせ、顧客を苛立たせ得る。顧客が不快な受け取りを経験すると、再び店頭受け取りを利用することは考えにくい。荷物用ロッカー及び宅配ボックスなど他のセルフ受け取り(self-pickup)ソリューションは、高額、限定的、固定的であり、場所を取り、受け取りカウンタにスタッフを配置することは、販売又は他のより生産的な営業活動からスタッフを遠ざけることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に記述される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方法で組み合わせることができる。
【0006】
一態様では、本発明は、建物内又は建物付近で対象商品の位置特定を支援するための装置に関するものであり、当該装置は、インジケータと、対向して動作して対象商品を把持する、又は対象商品の上若しくはその付近に配置されるように適合された一対のピンサーを有する本体と、を備える。本体は、無線周波数(radiofrequency、RF)送信機によって送信されたRF信号を受信するように構成されたRF受信機と、RF受信機及びインジケータと通信するプロセッサと、を収容する。プロセッサは、RF受信機によって受信されたRF信号から情報を取得し、RF信号から取得した情報に応答してインジケータをオンにするように構成されている。インジケータの実施形態としては、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)及びスピーカが挙げられる。
【0007】
本体は、固有識別子を記憶するメモリを更に収容し得、プロセッサは、RF信号から取得した情報を、メモリに記憶された固有識別子と比較し、RF信号から取得した情報がメモリに記憶された固有識別子に一致する場合、インジケータをオンにするように更に構成されてよい。本体は、装置の本体が経験する状態の変化を検出するように適合された、1つ以上のセンサを更に収容し得る。プロセッサは、メモリに記憶された固有識別子がRF信号から取得した情報に一致しない場合、状態の変化を検出する、1つ以上のセンサに応答してアラームを示すようにインジケータを動作させるように更に構成され得る。
【0008】
1つ以上のセンサの実施形態としては、加速度計、接触センサ、角度ホールセンサ、湿度センサ、静電容量式タッチセンサ、及び温度センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本体は、インジケータを更に収容し得、インジケータはLEDであり、本体は、LEDがオンになると、LEDが本体を照らすことを可能にする半透明の表面を有する。
【0010】
別の態様では、本発明は、ユーザが、自身のために建物内又は建物付近に取り置かれた商品を探し出すことを支援するための方法に関する。本方法は、物品識別及び位置特定デバイスのメモリに固有識別子を記憶させる工程と、ユーザからの要求に応答して、物品識別及び位置特定デバイスを取り置かれた商品と共に配置する、又は、物品識別及び位置特定デバイスを取り置かれた商品に取り付ける工程と、セルフ受け取り用に取り置かれた商品を要求したユーザに固有識別子を提供する工程と、物品識別及び位置特定デバイスによって、建物内又は建物付近でユーザが携行するモバイルデバイスによって送信された無線周波数(RF)信号を受信する工程と、物品識別及び位置特定デバイスによって、建物構内又は建物構内付近にいるユーザが携行するモバイルデバイスによって送信され、受信したRF信号から情報を取得する工程と、物品識別及び位置特定デバイスによって、RF信号から取得した情報を、物品識別及び位置特定デバイスのメモリに記憶された固有識別子と比較する工程と、RF信号から取得した情報がメモリに記憶された固有識別子に一致する場合、物品識別及び位置特定デバイスによって、光を照らす工程と、を含む。
【0011】
本方法は、物品識別及び位置測定デバイス内のセンサによって、物品識別及び位置測定デバイスの状態の変化を検出する工程と、センサが物品識別及び位置特定デバイスの状態の変化を検出したときに、RF信号から取得した情報が、物品識別及び位置特定デバイスのメモリに記憶された固有識別子に一致しない場合、並びに物品識別及び位置特定デバイスが状態の変化の承認を受信しない場合、物品識別及び位置特定デバイスによってアラームを発する工程と、を更に含み得る。
【0012】
一実施形態では、本方法は、物品識別及び位置特定デバイスによって、RF信号を送信する工程と、物品識別及び位置特定デバイスによって送信されたRF信号に基づいて、モバイルデバイスのユーザを物品識別及び位置特定デバイスへと誘導する工程と、を更に含む。
【0013】
一実施形態では、本方法は、物品識別及び位置特定デバイスによって、物品識別及び位置特定デバイスのメモリに記憶された固有識別子を伝達するRF信号を送信する工程と、プライベートネットワークと通信するRF送受信機によって、物品識別及び位置特定デバイスによって送信されたRF信号を受信する工程と、物品識別及び位置特定デバイスによって送信されたRF信号を受信することに応答して、固有識別子をユーザと関連付ける工程と、を更に含む。
【0014】
本方法は、パブリックネットワーク上での注文に応答して、要求された商品をユーザのために取り置く工程、又はユーザによる商品の要求に応答して、物品識別及び位置特定デバイスのメモリに固有識別子を記憶する工程、を更に含み得る。
【0015】
別の態様では、本発明は、インジケータと、1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスと、を備えるシステムに関する。各物品識別及び位置特定デバイスは、無線周波数(RF)受信機と、RF受信機及びインジケータと通信するプロセッサと、を含む。プロセッサは、RF受信機によって受信したRF信号から情報を取得し、RF信号から取得した情報に応答してインジケータをオンにするように構成されている。1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのうちの所与の1つは、ユーザによる受け取りのために取り置かれた商品と共に配置される。ネットワークは、1つ以上のRF送受信機と、コンピューティングシステムと、を含む。コンピューティングシステムは、ユーザが取り置かれた商品を受け取るために到着したことを認識することに応答して、所与の物品識別及び位置特定デバイスのプロセッサにインジケータをオンにさせる情報を含むRF信号を、1つ以上のRF送受信機に送信させるように構成されている。
【0016】
1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのそれぞれは、当該物品識別及び位置特定デバイスの状態の変化を検出するように構成されたセンサと、固有識別子を記憶するメモリと、を更に含み得る。所与の物品識別及び位置特定デバイスのプロセッサは、所与の物品識別及び位置特定デバイスのセンサが所与の物品識別及び位置特定デバイスの状態の変化を検出するときに、ユーザが携行するモバイルデバイスによって送信されたRF信号から取得した情報が、所与の物品識別及び位置特定デバイスのメモリに記憶された固有識別子に一致しない場合、アラームを発するように更に構成され得る。
【0017】
1つ以上の物品識別及び位置特定デバイスのそれぞれは、RF送信機を更に含み得、ネットワークのコンピューティングシステムは、所与の物品識別及び位置特定デバイスのRF送信機及びユーザが携行するモバイルデバイスによって送信され、ネットワークの1つ以上のRF送受信機によって受信されるRF信号に基づいて、所与の物品識別及び位置特定デバイスの位置へとユーザを誘導するように更に構成され得る。
【0018】
システムは、ネットワークと通信するユーザインタフェースデバイスを更に含み得、ネットワークは、ユーザインタフェースデバイスを介して提供された情報に応答して、建物内のユーザの存在を認識する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の上記の及び更なる利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって、よりよく理解することができ、図面内の同様の数字は、様々な図の同様の構造上の要素及び特徴を示す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
図1】店員及び顧客が、例えば、顧客がリモートで注文した、店舗内の商品の位置を特定し、当該商品を受け取ることを支援するためのシステムの一実施形態のブロック図である。
図2】顧客が興味を示し、受け取るために取り置きを要求した店舗の商品へと店員及び顧客を誘導するためのプロセスの一実施形態のフロー図である。
図3】顧客が、店舗内の顧客のために取り置かれた対象商品へと誘導される別のプロセスの一実施形態のフロー図である。
図4】起動した物品識別及び位置特定デバイスへと顧客(又は店員)を誘導するためのプロセスの一実施形態のフロー図である。
図5】例えば、店舗内の対象物品又は対象商品の位置特定を容易にするために使用される物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態のブロック図である。
図6】正しい顧客が所与の対象商品を受け取ったかどうかを検証するためのプロセスの一実施形態のフロー図である。
図7】非接触のセルフサービスで店舗から対象商品を受け取るプロセスの一実施形態のフロー図である。
図8】衣類ハンガーの首部の周囲に配設された物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態を有する衣類ハンガーの図である。
図9】カートの片側に結合された物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態を有するショッピングカートの図である。
図10】ラベルの片側に結合された物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態を有するラベルの図である。
図11】箱の蓋に結合された物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態を有する箱の図である。
図12】袋の片側に結合された物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態を有する袋の図である。 以下の説明を原文に合わせて開示する。 図8は クリップとして例示する(この図では、閉鎖位置で示す)、物品識別及び位置特定デバイスの一実施形態の等角図である。 図9は 開放位置にある図8のクリップの等角図である。 図10図9のクリップの基部に埋め込まれた接触センサ接触パッド領域の詳細図である。 図11は 例えば、フック又はペグからクリップを吊り下げるために使用される孔を有する後平面延長部を有するクリップの基部の詳細図である。 図12は クリップの基部に取り付けられたバネ及び磁石の詳細図である。 図13は クリップの基部の背面図である。 図14は クリップの上部を所定の位置にスナップ嵌めできるようにするピボットボス上の先細部の詳細図である。 図15は 接触センサによって使用されるポゴピンアセンブリの周囲に円を描いたクリップの側面図である。 図16図15のポゴピンアセンブリのポゴピンの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載のコンピュータ制御システム、方法、並びに物品識別及び位置特定デバイスは、店舗スタッフ及び顧客が、顧客のために事業所、例えば小売店に取り置かれた製品(本明細書では、対象商品又はターゲット商品とも称される)を探し出すことを支援する。例えば、事業所は、顧客が当該企業の製品を選択し、企業を直接訪問して製品を確認する、試着する、又は受け取る意図で、このような製品の取り置きを要求することができる、オンラインプレゼンスを有し得る。顧客が製品を選択すると、システムは、製品の上又はその付近に物品識別及び位置特定デバイスを貼る、取り付ける、又は配置する企業の社員に通知する(いくつかの実施形態では、物品識別及び位置特定デバイスは製品又は製品の包装に組み込まれる)。顧客又は店員のいずれかが製品にアクセスする瞬間になると、物品識別及び位置特定デバイスは、インジケータ、例えば、光又はスピーカを起動して、製品を探している人物をその位置へと導く。
【0021】
別の例として、システム、方法、並びに物品識別及び位置特定デバイスは、保管施設、荷物室(例えば、住宅)、ロッカーシステムなどに配達された対象商品で使用され得る。顧客は、荷物が事業所に到着し、セルフ受け取りを待つ荷物室に配置されたことを(例えば、電子的に)通知されてよい。店員は、荷物に物品識別及び位置特定デバイスを取り付けることができる、又は荷物を荷物室に配置する前に、荷物には、物品識別及び位置特定デバイスが既に装着されていてよい。顧客が荷物の受け取りに到着すると、物品識別及び位置特定デバイスはインジケータを起動させて、顧客が荷物室内で特定の対象商品の位置を特定することを支援する。
【0022】
図1は、顧客、買い物客、及び店員を含むユーザが、事業所、企業、店舗、又は組織の建物内で、例えばオンライン又は電話で注文した商品の位置を特定し、受け取ることを支援するためのシステム100の一実施形態を示す。システム100は、対象商品104に直接又は間接的に結合された、物品識別及び位置特定デバイス102と、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)108と通信するプライベートネットワーク(すなわち、イントラネット)106と、任意選択的に、プライベートネットワーク106と無線通信又は有線通信する走査ステーション又はキオスク109(一般にユーザインタフェースデバイスと称される)と、を含む。
【0023】
顧客は、好ましくは、対象商品の受け取りのために店舗に到着するときにモバイルデバイス110を携行しているが、必ずしも携行しているわけではない。顧客コンピューティングデバイス112は、顧客が対象商品を注文するパブリックネットワーク108と通信していてよい。
【0024】
任意選択的に、店員によって使用されるコンピューティングデバイス114(以降は店員デバイス114と称される)は、以下に詳述するように、物品識別及び位置特定デバイス並びにプライベートネットワーク106と通信しており、固有識別コード(固有識別子又は固有コードとも称される)118を用いて物品識別及び位置特定デバイスをプログラムし、固有識別子をプライベートネットワークに送信する。
【0025】
任意選択的な走査ステーション又はキオスク109は、顧客が対象商品の受け取りを要求し、情報の走査、入力、又は選択を実行することができるユーザインタフェースを提供するコンピュータ制御システムである。
【0026】
システム100の実施形態は、顧客モバイルデバイス110、店員デバイス114、及びキオスク109のいずれも有し得ない、これらのうちの1つ以上を有し得る、又はこれらの任意の組み合わせを有し得る。
【0027】
物品識別及び位置特定デバイス102は、無線周波数(RF)受信機116と、固有識別子118を記憶するメモリ(図示なし)と、インジケータ120と、を含む。物品識別及び位置特定デバイスは、特定の周波数帯域からのみ情報を取得する回路機構を備えて製造され得る。したがって、回路は、所与の物品識別及び位置特定デバイスによって選択的になる。異なる物品識別及び位置特定デバイスは異なる周波数を捕捉するように製造されているので、固有識別子の検証を必要とせずに、個別に通信され得る。物品識別及び位置特定デバイス102の実施形態は、対象商品104若しくはその包装の「アドオン」若しくは「内蔵」機能、又は物品識別及び位置特定デバイスが識別するように割り当てられた商品のコンテナのいずれかであり得る。したがって、物品識別及び位置特定デバイスの実施形態は、様々な形態を有し得る。
【0028】
例えば、物品識別及び位置特定デバイス102は、衣類(すなわち、対象商品)が吊り下げられるハンガーの首部の周囲で(留め金付きのブレスレットのように)スナップ嵌めするように、又はハンガーの首部の上方に(ドーナツの環のように)滑動するように設計され得る。物品識別及び位置特定デバイスの別の例示的な実施形態は、複数のハンガーの周囲でスナップ嵌めする、又は複数のハンガーの上方に滑動するように適合され得る(例えば、顧客が複数の衣類を識別した場合)。
【0029】
別の例として、物品識別及び位置特定デバイス102は、衣類、鞄、履物など物品に取り付けるためのクリップであり得る。更に、本明細書に記載の原理は、デバイスの様々な他の実施形態へと拡張され、例としては、タグ、ラベル、リング、チケット、ステッカー、留め具、及びコースターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
更に、物品識別及び位置特定デバイス102は、物品自体に取り付けられる必要はないが、物品と密接に結びついている。例えば、物品識別及び位置特定デバイスは、折り畳まれて、衣類が特定の顧客の受け取りを待つテーブルに置かれた、束ねられていない山積みの衣服の上に配置されてよい、又は物品識別及び位置特定デバイスは、物品運搬装置若しくはホルダに取り付けられる、又は物品運搬装置若しくはホルダにおいて具現化されてよく、その例としては、袋、箱、プレート、輸送用コンテナ、及びカートが挙げられるが、これらに限定されない。密接に結びついているこのような例では、物品識別及び位置特定デバイスは、対象物品又は対象商品に間接的に結合されていると見なされる。
【0031】
物品識別及び位置特定デバイス102のRF受信機116は、無線通信技術に従って無線信号を受信し、その例としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、802.XX(「XX」は無線及びモバイル規格のファミリを示す)、無線LAN(wireless local area network、WLAN)及び超広帯域(ultra-wideband、UWB)が挙げられるが、これらに限定されない。RF受信機は、RF信号受信機能及び送信機能を有するRF送受信機の一部であってよい。RF送受信機を用いるこのような実施形態では、物品識別及び位置特定デバイスは、固有識別子118を周期的に無線でブロードキャストすることができる、又は別のデバイス、例えば、店員デバイス114若しくはプライベートネットワーク106上の他のデバイスからの問い合わせに応答して、固有識別子を無線で送信することができる。RF送受信機はまた、感知された状態の変化を報告するメッセージ、又はプライベートネットワーク106が、物品識別及び位置特定デバイスは依然として動作中であると判定することができるメッセージを送信することができる。このようなブロードキャストの周波数は、例えば、検出された状態の変化に応答したブロードキャスト周波数の増加など状況に応じて変化することができる。
【0032】
固有識別子118は、物品識別及び位置特定デバイス102に与えられる固有値である。固有識別子118の値は、ネットワーク識別子(例えば、MACアドレス)であり得る、又はランダム若しくは疑似ランダムに生成される、又は他の情報、例えば、製品情報、顧客識別情報、若しくは顧客情報から取得され得る。製品情報の例としては、ストックキーピングユニット(stock keeping unit、SKU)番号、統一製品コード(universal product code、UPC)、及び機械可読コード、例えばバーコード及びQRコード(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。顧客識別情報は、特定の顧客を識別するために特別に関連する情報、例えば、顧客の名前、住所、店舗での会員番号(又はID)、IPアドレス、携帯電話番号などである。顧客情報は、顧客の要求に関連する任意の種類の情報を含み得、例としては、注文番号、前述の製品情報のいずれか、前述の顧客識別情報のいずれか、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
固有識別子118は、予め設定された値であり得、すなわち、物品識別及び位置特定デバイスの製造中又は製造直後(又は特定の対象商品で使用する前の任意の時間)に物品識別及び位置特定デバイスにプログラムされる。この予め設定された固有識別子118は不変であってよい。すなわち、予め設定された固有識別子118の値は、所与の物品識別及び位置特定デバイス102と永続的に関連付けられてよい。
【0034】
あるいは、固有識別子118は、動的に割り当てられた値であってよい。すなわち、物品識別及び位置特定デバイスの現場での使用時にプログラムされてよい。所与の物品識別及び位置特定デバイス102に動的に割り当てられた固有識別子118の値は可変であっても、不変であってもよい。すなわち、固有識別子118の値は、所与の物品識別及び位置特定デバイス102と一時的に、又は永続的に関連付けられてよい。店員デバイス114、プライベートネットワーク106(例えば、ネットワーク上のコンピューティングシステム122)、又はその両方は、各物品識別及び位置特定デバイス内にプログラムされた固有識別子の記録を維持することができる。
【0035】
物品識別及び位置特定デバイス102のインジケータ120は、本明細書に記載のように、通知を生成するようにトリガされると、物品識別及び位置特定デバイスが自身に、したがって、物品識別及び位置特定デバイスが結合されている対象商品104に注意を引き付けることができる出力デバイスである。インジケータの例示的な実施形態としては、発光ダイオード(LED)及びスピーカが挙げられる。別の実施形態では、インジケータ120は、物品識別及び位置特定デバイスに含まれるのではなく、リモートに存在し(ただし、無線通信範囲内)、また、物品識別及び位置特定デバイスはRF送信機を更に備え、通知を生成するようにトリガされると、物品識別及び位置特定デバイスは、リモートに存在するインジケータ120をオンにするRF信号を送信するように構成されている。
【0036】
対象商品104は、顧客がセルフで受け取る又は吟味することができるように企業によって準備された任意の物品であり得、その例としては、衣類、履物、工具、食料品など袋に入った商品、及びレストランの持ち帰り注文が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
プライベートネットワーク106は、コンピューティングシステム122(プロセッサ及びメモリを備える)と、コンピューティングシステム122に接続されている、少なくとも1つのRF送受信機(すなわち、RF受信機及びRF送信機)124と、を含む。コンピューティングシステム122で実行されるプログラムコードは、これらのRF送受信機を使用して、物品識別デバイスを管理する。コンピューティングシステム122は、顧客注文を処理し、物品識別及び位置特定デバイス102と顧客が注文した対象商品104との関連性を管理するために使用されるサーバシステム(図示なし)の一部であってよい。コンピューティングシステム122は店舗内にあるように示されているが、その代わりに、コンピュータのサードパーティネットワーク及び「クラウド」と広く称されるサーバなど他の場所に存在してよい。1つ以上のRF送受信機124は、前述の技術など無線通信技術に従って無線信号を送受信する。
【0038】
システム100のいくつかの実施形態では、コンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイス102のRF受信機116にデータを送信して、RF送受信機124が受信した、顧客モバイルデバイス110又はキオスク109からのデータに応答して物品識別位置特定デバイスを起動させるようにRF送受信機124に指示する。
【0039】
一実施形態では、各RF送受信機124は、低エネルギーRF送信機と、論理に従って動作するようにプログラムされ得るマイクロコントローラ又はプロセッサと、を含むビーコン(例えばBLEビーコン)である。このようなRF送受信機と通信するために、コンピューティングシステム122は、RF送受信機も有し、コンピューティングシステムを物品識別及び位置特定デバイスのメインマネージャにさせ、店員及び顧客と連携させることを可能にし、ビーコン上の論理を単純化するのに役立つ。
【0040】
あるいは、RF送受信機ビーコン124は、プライベートネットワーク上のコンピュータとして機能し、物品識別及び位置特定デバイスを管理することができる。これらの実施形態では、これらのRF送受信機ビーコンのそれぞれは、RF信号送信を介して物品識別及び位置特定デバイスを制御することができ、他のRF対応デバイス、例えば、顧客モバイルデバイス110及び店員デバイス114からRF信号を受信することができる。実際には、ビーコンは、コンピューティングシステム122と同様に機能し(コンピューティングシステム122は不要である)、サーバと直接通信することができる。
【0041】
更に別の実施形態では、無線周波数信号送信は使用されず、物品識別及び位置特定デバイスは、プライベート無線イーサネットによってシステム100に接続される。この実施形態では、RF送受信機の代わりにイーサネットビーコンが使用される。
【0042】
プライベートネットワーク106は、顧客モバイルデバイス110などパブリックの、又は店員デバイス114などのスタッフのメンバーが携行するデバイスなど他の無線デバイス装置が接続を許可される無線イーサネットネットワークを提供する。
【0043】
プライベートネットワーク106は、主にTCP/IP通信プロトコルを使用してパブリックネットワーク108と通信する。パブリックネットワーク108は、様々な企業が自身の商品一式を公開する、無数のウェブサイトをホストする。
【0044】
顧客モバイルデバイス110は、RF送受信機126を含み、パブリックネットワーク上の「アプリストア」から、顧客モバイルデバイス110にダウンロードされ得るアプリ128(すなわち、アプリケーションプログラム)を実行する。実行されると、このアプリは、顧客が顧客情報、例えば、顧客の名前及び住所、注文情報、バーコード情報などをプライベートネットワーク106上のRF送受信機124に送信することができるユーザインタフェースを提供する。あるいは、顧客モバイルデバイスは、TCP/IPを介して顧客情報を含むメッセージを、プライベートネットワーク上のコンピュータ122に送信することができる。このような情報は、プライベートネットワーク106によって受信されると、図2に関連してより詳細に説明するように、コンピューティングシステム122によって使用されて、物品識別及び位置特定デバイス102のうちの1つを起動させる。店舗訪問時に顧客が顧客モバイルデバイス110を携行していない場合、顧客は、適切な顧客情報を店員に提供することができ、店員は、顧客情報を、例えば、店員デバイス114又はキオスク109を通じてプライベートネットワーク106に送信することができる。一実施形態では、破線で示すように、アプリ128は、図3に関連してより詳細に説明するように、顧客モバイルデバイス110のRF送受信機126に、物品識別及び位置特定デバイス102のうちの1つを起動させるように動作することができる信号をブロードキャストさせることができる。顧客モバイルデバイス110の実施形態としては、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)、Galaxy(登録商標))、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、及びタブレットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
顧客コンピューティングデバイス112は、パブリックネットワーク108上の店舗のウェブページなどウェブページにアクセスするブラウザ(図示せず)を含む。ユーザは、ウェブページを介して店舗の1つ以上の製品を注文し、店頭受け取りを手配することができる。顧客コンピューティングデバイス112は、顧客モバイルデバイス110と同一、又は異なるコンピューティングデバイスであってよい。あるいは、顧客は、店舗で店員に電話をかけ、口頭で注文し、次いで店員は、注文に関連する顧客情報をプライベートネットワーク106に入力することができる。別の選択肢として、顧客は店舗構内に来て、店舗内、例えば、案内所若しくはヘルプデスク、又はキオスク109において注文し、店員(又は自動システム)は、顧客情報をプライベートネットワーク106に入力することができる。
【0046】
店員デバイス114は、無線通信技術、例えば、前述の技術のうちの1つを使用して、物品識別及び位置特定デバイス102のRF受信機(又は送受信機)116と、プライベートネットワーク106のRF送受信機124と、及び顧客モバイルデバイス110のRF送受信機126と無線通信することができるRF送受信機130を有する。店員デバイス114の実施形態としては、タブレット、ラップトップ、及びスマートフォンが挙げられるが、これらに限定されない。店舗スタッフは、店員デバイス114を使用して、本明細書に記載のように、システム100に顧客情報を入力する、固有識別子を用いて物品識別及び位置特定デバイス102をプログラムする、又は固有識別子を顧客モバイルデバイス110に送信することができる。
【0047】
図2は、顧客が興味を示し、セルフサービス受け取りのために取り置きを要求した店舗の商品へと顧客を誘導するためのプロセス200の一実施形態を示す。プロセス200の説明では、図1に示し、説明したシステム100の様々な要素に言及する。プロセス200を例として説明するために、衣類を販売する事業を営む事業所、及び試着を希望するスーツを識別し、セルフサービス受け取りのために当該スーツの取り置きを事業所に要望する潜在的顧客について考える。この例では、顧客は、顧客コンピューティングデバイス112を使用して、受け取る又は検討するために当該スーツを取り置きするように、パブリックネットワーク108上の事業所のウェブサイトを介してオンラインで指示する(工程202)。あるいは、顧客は、電話で、又は店舗において対面で要求する。
【0048】
店員は、顧客の要求を認識すると、識別されたスーツを事業所内で探し出す(工程204)。一実施例では、事業所のプライベートネットワーク106は、パブリックネットワーク108から顧客の要求を受信し、プライベートネットワーク106上のRF送受信機124は、店員デバイス114のRF送受信機130に要求を送信する(例えば、RF又はTCP/IPを使用して)。要求側の顧客、店員、プライベートネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせは、顧客要求に関連する顧客情報を生成又は提供し、これらは、プライベートネットワーク106上、店員デバイス114、又はその両方にあるコンピューティングシステム122に記憶され得る。
【0049】
次いで、店員は、当該スーツを取り置くことができる。例えば、店員は、一時預かり所、又は顧客の回収を待つ物品について具体的に指定された他のエリアにスーツを吊るすことができる。あるいは、店舗スタッフは、スーツを現位置に残すことができる。このエリアは、物品識別及び位置特定デバイスにそれぞれ関連付けられ、特定の顧客による受け取りを待つ、多くの物品を保持することができる。
【0050】
工程206において、スーツは物品識別及び位置特定デバイス102と関連付けられる。物品識別及び位置特定デバイスと識別された物品(例えば、スーツ)とのこの関連付けは、様々な方法で達成することができ、いくつかの方法は、特定の物品識別及び位置特定デバイスを選択するように光誘導又は音声通知を使用してよく、他の方法は、店員が任意の物品識別及び位置特定デバイスを選択することを可能にする。次いで、店員は、物品識別及び位置特定デバイスを商品に取り付けること、デバイスを商品の上若しくはその付近に配置すること、又は商品をデバイスの上若しくはその付近に配置することによって、関連付けを行うことができる。別の例では、商品は、それに取り付けられた、その付近にある、又はそれに組み込まれた物品識別及び位置特定デバイスを既に有してよく、このような場合、関連付けは予め確立されている。
【0051】
別の実施例では、店員は、物品識別及び位置特定デバイスの起動によってこのデバイスへと誘導され、したがって、どの物品識別及び位置特定デバイスを対象商品と関連付けるかという決定は、店員がデバイスの選択に関与せずに行われる。この実施例では、対象商品に物品識別及び位置特定デバイスを取り付けるという店員のアクションは、関連付けの完了を確認する役割を果たす。物品識別及び位置特定デバイスが、状態(移動、角度、接触)の変化を感知するセンサを備えて構成されている場合、この変化の通信は確認として機能することができる。物品識別及び位置特定デバイスがこのようなセンサを全く有していない場合、店員は、物品識別及び位置特定デバイス上のバーコード、光学式文字認識、又はテキストを確認に使用することができる。
【0052】
店員が物品識別及び場所特定デバイスを選択する状況では、関連付けは、デバイスが任意のセンサを有しているかどうかにかかわらず、物品識別及び位置特定デバイス上のバーコード、光学式文字認識、又はテキストの走査によって行われ得る。物品識別及び位置特定デバイスがセンサを有する場合、プライベートネットワークは、物品識別及び位置特定デバイスからのブロードキャストを監視して、どの1つのデバイスが閉鎖状態になったかを確認することができる。閉鎖状態を表す情報は、データを収集するセンサの種類に依存する。例えば、接触センサは、クリップ状態が閉鎖から開放に変化したかどうかを示し、角度センサは、0から所定の量の値を提供し、それを持続する。物品識別及び位置特定デバイスの状態を検出するこの計算は、状態変化を検出すると、物品識別及び位置特定デバイスがデータをブロードキャストするため、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122で行われる。あるいは、物品識別及び位置特定デバイスは、これらの計算を行い、プライベートネットワーク上の店員デバイス114又はコンピューティングシステム122に状態変化を報告するように構成され得る。
【0053】
工程208において、(工程206で)スーツに関連付けられた物品識別及び位置特定デバイス102の固有識別子118は、スーツの取り置きを要求した所与の顧客の顧客情報と更に関連付けられる。店員デバイス114、プライベートネットワーク106(例えば、コンピューティングシステム122)、又はその両方は、スーツ付近又はその上に位置する物品識別及び位置特定デバイスと顧客情報との間でこの固有の関連付けを確立し、維持し、記録することができる。実際には、この工程は、この物品識別及び位置特定デバイスを、当該スーツを注文した所与の顧客に一意に関連付けるように動作する。
【0054】
この固有の関連性は、様々な方法で生成され得る。このような関連付けが行われるいくつかの方法を説明する目的で、2つの定義(「デサイダ」及び「アソシエータ」)を提供する。デサイダは、物品識別及び位置特定デバイスが「結合状態」、すなわち、対象商品と共に配置されている検出可能状態になったかどうかかを決定する、プライベートネットワーク上のデバイスである。アソシエータは、物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子を顧客情報と関連付ける、プライベートネットワーク上のデバイスである。デサイダ及びアソシエータは、同一デバイスであり得ることを理解されたい。
【0055】
デサイダは、RF対応である場合には店員デバイス114、送受信機124を介してリッスンする、プライベートネットワーク上のコンピューティングシステム122、又は前述の内容の延長として、プロセッサを備えた送受信機ビーコンであり得る。デサイダは、物品の識別及び場所のデバイスの末端部に対処し、デサイダは、物品識別及び位置特定デバイスからのブロードキャストをリッスンし、物品識別及び位置特定デバイスを管理する。所与の物品識別及び位置特定は、所与の物品識別及び位置特定が「結合状態」になったかどうかをデサイダが分析し、決定した未処理の知覚データを報告するか、又は、所与の物品識別及び位置特定は、収集した未処理データを分析し、その「結合状態」に関するブロードキャストを送信する。デサイダは、「結合状態」になった物品識別及び位置特定を把握しており、アソシエータにそれを伝達する準備が整っている。
【0056】
アソシエータは、サーバ、プライベートネットワークネットワーク上のコンピューティングシステム112、又は店員デバイスであってよい。アソシエータは、デサイダが所与の物品識別及び位置特定の固有識別子を送信するときに顧客情報を有しており、アソシエータは、次いで、固有識別子を顧客情報と関連付ける。
【0057】
物品識別及び位置特定デバイスが既に固有識別子118で予めプログラムされている、一意の関連付けを行う第1の実施例では、店員(又はシステム100)は、この固有識別子の値を顧客情報と関連付ける前に、この値を物品識別及び位置特定デバイスから取得する。物品識別及び位置特定デバイス102がRF送信機を備えて構成され、したがって問い合わせに応答できる場合、店員は、自身の店員デバイス114を使用して物品識別及び位置特定デバイスに問い合わせることによって固有識別子の値を取得することができる。さもなければ、RF受信機を備えて構成されるものの、RF送信機は備えない物品識別及び位置特定デバイスの場合、店員は、物品識別及び位置特定デバイス自体への固有識別子の刻印、又は固有識別子の値に関連し得る、物品識別及び位置特定デバイス上の一意の製造者シリアル番号からなど他の手段によって固有識別子の値を決定することができる(この場合、固有識別子を走査しているデバイスにかかわらず、デサイダ及びアソシエータは、前述のデバイスのいずれかであってよい)。別の手段は、物品識別及び位置特定デバイスが、対象商品104に永続的に組み込まれ、プライベートネットワーク106上に記憶された当該商品に関する情報は、固有識別子の値を含むことであり得る。別の実施形態では、物品識別及び位置特定デバイスは、物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子を得るために走査され得るパッシブ型RFIDを有する。光誘導若しくは音声誘導を使用すること、又はデバイスを走査してそのパッシブ型RFIDを読み取ることにより、正しい物品識別及び位置特定デバイスを正しく選択したかどうかを伝えることができる。
【0058】
固有識別子118が予め設定された値ではない第2の実施例では、店員は、自身の店員デバイス114を使用してその値を動的に決定し、無線通信リンクを介して物品識別及び位置特定デバイス102にプログラムすることができる。この新しい固有識別子の値は、スーツを注文した所与の顧客に関連する顧客情報から得られてよい。店員デバイス114で稼働するアプリケーションプログラムは、現在使用中の固有識別子値の記録を維持しつつ、新しい固有識別子値を動的に取得することができる。次いで、店員デバイス114は、別の無線通信リンクを介して、物品識別及び位置特定デバイス並びに顧客情報の両方と関連付けられた新しい固有識別子値をプライベートネットワーク106に通信することができる。あるいは、プライベートネットワーク106は、現在使用されている固有識別子値の保管者であり、所与の顧客による注文に応じて新しい固有識別子を生成し、店員デバイス114又はキオスク109(店員デバイスの代わりにキオスクが注文の処理に使用されている場合)からの要求に応答して、その値を提供することができる。
【0059】
したがって、第1の実施例では、固有識別子118は、最初に(かつ永続的に)物品識別及び位置特定デバイス102と関連付けられ、続いて(かつ一時的に)所与の顧客に関連付けられる。第2の実施例では、固有識別子は、最初に(かつ一時的に又は永続的に)所与の顧客と関連付けられ、続いて(かつ一時的に)物品識別及び位置特定デバイスと関連付けられ得る。
【0060】
以下の実施例は、物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子を顧客情報と関連付ける方法を示す。顧客は、2つの商品(足の靴、及び1足の靴下)を店舗に注文したと考える。サーバ(例えば、コンピューティングシステム122)は、この情報を受信し、注文IDを生成する。サーバはまた、商品ID、例えば、靴の第1のID及び靴下の第2のIDを生成することができる。注文ID及び商品IDは、本明細書では、顧客情報(又は顧客ID)と称される。更に、本実施例のために、物品識別及び位置特定デバイスは、各商品と共に配置される(すなわち、一方は靴、他方は靴下に配置された、2つの物品識別及び位置特定デバイスが存在する)。
【0061】
これらの物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子並びに顧客ID(すなわち、注文ID又は商品ID)は、以下の少なくとも2つの方法で関連付けることができる。1)物品識別及び位置特定デバイスの各固有識別子は、2つの商品ID(両商品IDは、サーバにおいて注文IDにリンクされている)のうちの異なる1つとペアにされ、したがって、1つの顧客IDが、物品識別及び位置特定デバイスの1つの固有識別子と関連付けられ、1対1の関係と称され、2)2つの物品識別及び位置特定デバイスの両方の固有識別子は、注文IDとペアにされ、したがって、1つの顧客IDが、物品識別及び位置特定デバイスの複数の固有識別子と関連付けられ、1対多の関係と称される。
【0062】
1対1の関係の場合、顧客は、顧客が受け取る商品をユーザインタフェース(例えば、顧客モバイルデバイス又はキオスクで)見ることができる。ユーザインタフェースは、靴を受け取る場所、靴下を受け取る場所を示すことができる。すなわち、ユーザインタフェースは、商品の位置に加えて、受け取る商品を識別する。1対他の関係の場合、ユーザインタフェースは、商品の位置を示すが、商品を識別しない。
【0063】
工程210において、プライベートネットワークは、店舗構内の顧客を認識する。この認識は、様々な方法で生じ得る。一実施例では、顧客モバイルデバイス110を携行する顧客が通信範囲内に入ると、プライベートネットワーク106上のRF送受信機124は、顧客モバイルデバイス110との通信を自動的に確立する。これらの通信から、プライベートネットワーク106は顧客を識別し、顧客が現地にいるものとして認識する。
【0064】
他の例では、顧客(顧客モバイルデバイス110携行する又は携行しない)は、店舗スタッフ(例えば、ヘルプデスク、案内所、店舗の記録所にいる)、又は顧客のセルフサービス受け取りを容易にするために構成された店内ステーション(又はキオスク109)に接近することによって、商品受け取りプロセスを開始する。前者の場合、店員が、店員デバイス114を通じて顧客情報をプライベートネットワーク106に伝えることによって、顧客の物理的存在をプライベートネットワークに通知することができ、後者の場合、キオスクは、顧客とのやり取りから受け取った顧客情報をプライベートネットワーク106に伝えることによって、顧客の到着をプライベートネットワークに通知することができる。
【0065】
顧客が構内にいることが既知であるため、プライベートネットワーク106は、所与の顧客によって受け取られる対象商品104と関連付けられた顧客情報を受信する(工程212)。例えば、顧客は、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128にログインし、アプリによって提供される受け取り機能を選択することができる。次いで、アプリは、事業所内のコンピューティングシステム122と無線通信し、顧客のために取り置かれた対象商品104を識別するために必要な関連顧客情報を伝える。顧客情報は、顧客モバイルデバイス110とプライベートネットワーク106との間での初回(又は後続)通信、つまり、プライベートネットワークが顧客は店舗構内にいることを決定する(すなわち、工程210)のに使用することができる、完全に同一の通信の一部として顧客モバイルデバイス110から受信されてよい。
【0066】
別の例として、店員は、顧客とのやり取り中に、例えば、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128との通信を通じて、又はヘルプデスクにおける対面でのコミュニケーションから顧客情報を取得することができ、この顧客情報を別個の店員デバイス114を通じてシステム100に入力することができる。
【0067】
更に別の例では、顧客は、走査ステーション又はキオスク109においてQRコード(登録商標)(又は他の機械可読コード)を走査することができ、走査により、顧客情報を取得し、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122にこの情報を送信する。したがって、走査は、顧客の現地での存在をプライベートネットワーク106に通知し(すなわち、工程210)、顧客情報をプライベートネットワークに供給する(すなわち、工程212)働きをする。工程202で記載したように、顧客は、対象商品(すなわち、スーツ)をオンラインで注文したことに応答して、このQRコード(登録商標)(又は他のコード)を受信してよい。顧客は、店舗に到着する前に、顧客モバイルデバイス110のアプリ128にQRコード(登録商標)を提供する。
【0068】
プライベートネットワーク106は、顧客情報を使用して、受信した顧客情報と関連付けられた特定の物品識別及び位置特定デバイス102を識別する(工程214)。この識別のために、コンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイス102及びそれらの固有識別子118と顧客情報との相互参照を行う、データベース、スプレッドシート、又は他の同様物などを保持することができる。あるいは、コンピューティングシステム122は、企業の顧客ごとに別個のアカウントを保持することができ、各顧客アカウントには、当該顧客のために取り置かれた対象商品に使用される各物品識別及び位置特定デバイス102の固有識別子118を含む。
【0069】
工程216において、プライベートネットワーク106、すなわち、RF送受信機124を介して通信するコンピューティングシステム122は、特定の物品識別及び位置特定デバイス102に無線接続して、デバイスを起動させる。この文脈では、起動は、物品識別及び位置特定デバイスにそのインジケータ120を動作させて、その位置に注意を引くことを意味する。所与の顧客が複数の対象商品を受け取るために来店する場合、プライベートネットワークは、所与の顧客と関連付けられた各特定の物品識別及び位置特定デバイスに無線で接続して、これらを起動する。
【0070】
例えば、一実施形態では、コンピューティングシステム122は、RF送受信機に、特定の物品識別及び位置特定デバイスと関連付けられた固有識別子118を含むRF信号を送信させる。店舗内に配備され得る多数の物品識別及び位置特定デバイスの中から、プライベートネットワーク106からの通信において固有識別子に一致する固有識別子が記憶された特定の物品識別及び位置特定デバイスのみが自身を起動するのに対して、固有識別子が一致しない他の物品識別及び位置特定デバイスは、起動しない。複数の対象商品の場合、プライベートネットワークは、特定の物品識別及び位置特定デバイスと関連付けられた固有識別子を含むRF信号を送信することによって、所与の顧客と関連付けられたこれらの特定の物品識別及び位置特定デバイスのそれぞれを起動する。
【0071】
別の実施形態では、コンピューティングシステム122は、特定の物品識別及び位置特定デバイス102と1対1の無線接続を確立する。例えば、物品識別及び位置特定デバイス102がアドバタイジングを使用して自身に関する情報をブロードキャストする周辺デバイスとして動作し、プライベートネットワーク106上のRF送受信機124が中央装置として動作するBLE実施形態について考える。アドバタイズメントの送信後、各物品識別及び位置特定デバイス102は、設定時間にわたってその受信機116をオンにする。RF送受信機124は、中央装置としてアドバタイズメントを走査する。
【0072】
コンピューティングシステム122は、特定の物品識別及び位置特定デバイス(工程214で決定)との接続を確立しようとするため、中央装置は、受信したアドバタイズメントを分析し、特定の物品識別及び位置特定デバイスから1つを探し出す。このようなアドバタイズメントを発見すると、中央装置は、アドバタイズメントの受信後に、設定時間内で無線接続要求を特定の物品識別及び位置特定デバイスに送信する。
【0073】
設定時間内に接続要求を受信することによって、特定の物品識別及び位置特定デバイスは、RF送受信機124との1対1の接続を受け入れ、特定の物品識別及び位置特定デバイスにそのインジケータをオンにするように指示するメッセージをコンピューティングシステム122から受信する。前述の実施形態とは異なり、この実施形態のプロセスは、RF送受信機124から受信した固有識別子と、特定の物品識別及び位置特定デバイスにおいて記憶された固有識別子とを比較するために、特定の物品識別及び位置特定デバイスを必要としない。
【0074】
起動した物品識別及び位置特定デバイス102のプロセッサは、対象商品の位置を顧客に通知する目的で、インジケータ120(例えば、LEDを用いて構成された場合にはLED)をオンにする。LEDは、例えば、緑色に点滅することができ、顧客が物品識別及び位置特定デバイスの特定の距離内に到来した後にオンになってよく、距離は、顧客モバイルデバイス110から到着したRF信号(例えば、信号強度、到来角、又は到着時刻の測定値)に基づいて、物品識別及び位置特定デバイス102のプロセッサによって計算される。
【0075】
実際には、複数の顧客、店員、又はその両方は、指定の受け取りエリアに同時に到着して、物品識別及び位置特定デバイス102に関連付けられた商品を受け取ってよい。複数の店員を区別するために、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122は、LEDを色分けする、若しくは物品識別及び位置特定デバイスで特定の音を発する、又はその両方を行って、どの物品識別及び位置特定デバイスがどの顧客又はスタッフのメンバーに対して指定されているかを識別することを支援してよい。各スタッフに使用される店員デバイス114のユーザインタフェース又は各顧客に使用される顧客モバイルデバイス110のユーザインタフェースは、当該人物を誘導して、特定のLED、音声パターン、又はそれらの組み合わせを探す。
【0076】
ジオフェンシング原理は、物品識別及び位置特定デバイス102へと顧客を更に誘導してよく、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128は、探されている物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子を取得し(TCP/IP又はRFを介してプライベートネットワークから取得)、物品識別及び位置特定デバイスは、この固有識別子をブロードキャストし(物品識別及び位置特定デバイスがRF送信機を備えている実施形態の場合)、顧客モバイルデバイスは、物品識別及び位置特定デバイス102によって送信されたと判定したRF信号に基づいて、RSSI測定値、到来角、又は到着時間の測定値を使用することができる。あるいは、又は組み合わせて、プライベートネットワーク106は、(物品識別及び位置特定デバイス102が送信している場合に)複数のRF送受信機124によって受信される、顧客のモバイルデバイス110によって送信されるRF信号に基づいて信号強度又は到来角の測定値を使用し、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128と通信して、顧客を物品識別及び位置特定デバイス102へとナビゲートすることができる。顧客は、このような対象商品がセルフ受け取りの所与の店舗内で保持される位置を既に熟知していてよく、このような誘導を必要としなくてよく、任意選択的に、アプリ128でこの誘導機能を無効にしてよい。
【0077】
顧客が、対象商品を取得するために物品識別及び位置特定デバイスの位置に到着すると、物品識別及び位置特定デバイス102は、誤った商品を取得するなどの誤りを回避するために、1つ以上の機構を用いることができる。誤りを回避するには、物品識別及び位置特定デバイス102の状態の感知された状態の変化を、正当な顧客と相関させる必要がある。感知された状態の変化としては、温度変化(例えば、ある人物が保持すると、物品識別及び位置特定デバイスが暖かくなる)、角変化、接触変化、及び移動が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
正当な顧客とは、状態の変化が感知された瞬間に、正当な顧客が(例えば、店員デバイス114又はプライベートネットワーク106から)固有識別子を以前に受信しているという条件で、顧客モバイルデバイス110が、物品識別及び位置特定デバイス102に記憶された固有識別子に一致する固有識別子を無線でブロードキャストする人物である。この固有識別子以外の情報顧客、例えば前述の顧客情報又は顧客識別情報を使用して、顧客を検証することができる。ただし、このような情報が、ある以前の瞬間において物品識別及び位置特定デバイス102に記憶され、したがって、物品識別及び位置特定デバイス102は、顧客モバイルデバイス110によってブロードキャストされる顧客情報又は顧客識別情報と比較することができることを条件とする。
【0079】
各店員又は顧客が、所与の物品識別及び位置特定デバイス102に接近すると、店員又は顧客のモバイルデバイス110は、固有識別子を無線でブロードキャストする。物品識別及び位置特定デバイス102が、通信範囲にいる複数の顧客(又は店員)から(異なる)固有識別子を受信する場合、物品識別及び位置特定デバイス102は、より近い(例えば、最大の信号強度又は最短のタイミング測定値)デバイス110、114から受信した固有識別子を選択する。さもなければ、物品識別及び位置特定デバイス102が状態の変化を感知すると、正しい人物が商品を取得したかどうかを把握できない(複数のRF送信機から固有識別子を受信したため)。物品識別及び位置特定デバイス102による、記憶した固有識別子と最も近いデバイス110、114から受信した固有識別子との比較により、正しい人物が商品を受け取ったかどうかを判定する。あるいは、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイスから受信したブロードキャストに基づいて、正しい人物が商品を受け取ったかどうかを判定することができる。物品識別及び位置特定デバイスからのこのようなブロードキャストは、感知した状態の変化及び複数のモバイルデバイス110、114から受信したRF信号の信号強度又はタイミングの測定値に関連するデータを含む。
【0080】
一実施形態では、システムは、顧客モバイルデバイス110が物品識別及び位置特定デバイス102をタップして、物品識別及び位置特定デバイスが識別子比較を行うときの完全強度RSSI信号を受信するようにプログラムされる。物品識別及び位置特定デバイスは、顧客のモバイルデバイスがタップしたものを選択する。タップは、例えば、RSSI強度によって、又は物品識別及び位置特定デバイスの加速度計を使用することによって認識され得る。後者の例では、物品識別及び位置特定デバイスは、加速度計でのスパイクを検出すると、閾値を上回るRSSI信号を検索する。複数のRSSI信号が閾値を超える場合、物品識別及び位置特定デバイスは、最も高いエネルギー信号を有するRSSI信号を選択する。物品識別及び位置特定デバイスが状態の変化を感知し、複数の顧客モバイルデバイスからRSSI信号を受信するものの、特定の閾値を上回るRSSI信号が存在しない場合(タップ又は近接にかかわらず)、物品識別及び位置特定デバイスは、これを正しくない受け取りと見なす。
【0081】
誤りの回避を試みるとき、物品識別及び位置特定デバイスは、様々なアクションのうちの1つ以上を実行することができる。物品識別及び位置特定デバイスは、顧客モバイルデバイスから収集した情報をプライベートネットワーク106に送信することができ、コンピューティングシステム122は、正しい顧客モバイルデバイスが対象商品を受け取ったかどうかを判定することができる。あるいは、又は加えて、正しくない受け取りが検出された場合、関連する物品識別及び位置特定デバイスは、最も近い顧客モバイルデバイス(不正当な顧客)、及び正しい顧客モバイルデバイス(正当な顧客)に直接通信して、誤りが生じていることを通知することができる。
【0082】
状態の変化を感知するために、物品識別及び位置特定デバイス102は、様々なセンサのうちの1つ以上を用いて構成されてよい。例えば、加速度計及びスピーカを用いて構成されている場合、顧客のモバイルデバイス110から受信した固有識別子が、デバイス102のメモリにプログラムされた固有識別子に一致しないと、又は加速度計が物品識別及び位置特定デバイス102の移動を検出するときに、物品識別位置特定デバイス102が固有識別子を全く記憶していないと、誤った顧客が製品を持ち去っていると結論付ける。その時点で、物品識別及び位置特定デバイスのプロセッサは、物品識別及び位置特定デバイスが装備しているインジケータ120の種類に応じて、スピーカにアラームを発させる又はLEDを赤色に点滅させることによって、顧客が誤った商品を持ち去ろうとしていることを顧客に警告するように構成されてよい。
【0083】
別の例として、物品識別及び位置特定デバイス102が接触センサを用いて構成された衣料クリップである場合、物品識別及び位置特定デバイスは、クリップの開閉を把握することができ、角度ホールセンサを用いて構成されている場合、物品識別位置特定デバイスは、衣料クリップの2つの対向するアームの間の角度差を検出することができる。物品識別及び位置特定デバイスがクリップの開放を感知すると(接触センサを用いて構成された場合)、又は角度差を検出すると(角度ホールセンサを用いて構成された場合)、記憶した固有識別子と最も近い顧客モバイルデバイス110(又は、店員デバイス114)から受信した固有識別子との比較により、正しい人物が商品を受け取ったかどうかを検証する。物品識別及び位置特定デバイスのプロセッサは、顧客が、自分用ではない商品を持ち去ろうとすると直ちに、顧客又は店員に可聴的及び/又は視覚的に警告するように構成されてよい。
【0084】
状態の変化を検出する追加の実施例は、物品識別及び位置特定デバイスが特定の状態にあるようにプログラムされる区画を設定するために使用される(又は、物品識別及び位置特定デバイスを監視するプライベートネットワーク上のコンピューティングシステム122によってデバイスの状態を設定するように指示される)ジオフェンシング原理が関与する。
【0085】
例えば、所与の区画(例えば、特定の部屋)内に存在する間は「結合状態」にある物品識別位置及び位置特定デバイス102について考える。物品識別及び位置特定デバイスは、「表示状態」にならずに区画から出たと(デバイス102又はプライベートネットワーク106によって)判定される。「表示状態」は、物品識別及び位置特定デバイスがそのインジケータを起動するように通知されたときに対応する。物品識別及び位置特定デバイスが、対象商品を取りに誰かが間もなく来ることを知らない限り、当該区画を離れることを許可されない場合、(プライベートネットワークからのリモートコマンドによるか、又はそれ自身の内部プログラミング論理によるかにかかわらず)物品識別及び位置特定デバイスは「アラーム状態」になる。「アラーム状態」は、例えば、受け取りの誤りを示すためにアラームを発するように、物品識別及び位置特定デバイスがプログラムされている又は指示されている場合に対応する。この例では、検出された状態の変化は、区画の閾値を上回る物品識別及び位置特定デバイスである。この検出された状態の変化は、例えば、移動の検出など状態の他の検出された変化と組み合わされて、現在、物品識別及び位置特定デバイスが受け取りイベントに関与している(誤りか、正しいかにかかわらず)という信頼性を向上させることができる。
【0086】
別の例として、物品識別及び位置特定デバイスがある区画に入ると、「結合状態」になるようにプログラム(又は無線で指示)されてよい。あるいは、区画に入ることは、物品識別及び位置特定デバイスと対象商品との結合(すなわち、関連付け)を検証するように機能することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、物品識別及び位置特定装置102は、顧客が物品を自宅又は目的地に持ち込んだ後に、物品(すなわち、対象商品)と共に留まる。物品識別及び位置特定デバイスは、動作し続けることができ、例えば、顧客がその新たな場所で物品を探し出すこと支援する、対象商品の点検又は電池交換(電池を有する場合には、物品識別及び位置特定デバイスの電池又は対象商品の電池)のリマインダ通知を送信するなどの機能を果たす。
【0088】
図3は、顧客が、顧客のために店舗内に取り置かれた対象商品へと誘導される別のプロセス300の一実施形態を示す。プロセス300の説明では、図1に示し、説明したシステム100の様々な要素に言及する。説明を短縮するために、プロセス300は、物品識別及び位置特定デバイス102及びその固有識別子118が顧客の注文、すなわち、関連する顧客情報及び注文された対象商品に関連付けられた後に行われる。
【0089】
物品識別及び位置特定デバイス102が顧客と関連付けられた後、顧客モバイルデバイスは、物品識別及び位置特定デバイス102の固有識別子118を受信する(工程302)。顧客のモバイルデバイス110上のアプリ128は、様々な方法のうちのいずれかで固有識別子を取得することができる。1つの方法は、ユーザコンピュータデバイス112が、対象商品104の取り置きを求めるオンライン要求を送信したことに応答してウェブサイトから固有識別子を受信することである。顧客は、顧客のモバイルデバイスで稼働するアプリ128にこの固有識別子を入力するように求められる。
【0090】
第2の方法では、店員デバイス114又はプライベートネットワーク106は、顧客コンピューティングデバイス112、又は顧客モバイルデバイス110に固有識別子を含む電子的情報、例えば、電子メール又はテキストメッセージを送信し、顧客に固有識別子をアプリ128に入力するように要求することができる。
【0091】
第3の方法では、顧客のモバイルデバイス110で稼働するアプリ128は、顧客が入店したと判定されると、固有識別子を受信する(図2の工程210)。例えば、顧客が店舗内にいるとき、顧客のモバイルデバイス110からのRF信号、TCP/IP、又はUDPは、プライベートネットワーク)によって提供される無線イーサネットネットワークへの顧客モバイルデバイスの接続を許可することによって、顧客情報をプライベートネットワーク106に伝達する。アプリは、バックグラウンドプロセスでこのイーサネットネットワークを探し、顧客モバイルデバイスが十分に強い信号を検出すると自動的に接続することができる、又は顧客は手動でこのプロセスを開始することができる。店員デバイス114又はプライベートネットワーク106は、この顧客情報を使用して、顧客と関連付けられた固有識別子(具体的には顧客注文)を取得し、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128に固有識別子を無線送信させることができる。
【0092】
別の例として、店舗スタッフは、固有識別子を顧客に口頭で提供し(例えば、顧客が店舗のヘルプデスクを訪問したとき、又は店舗に電話したとき)、その値をアプリに入力するように顧客に伝えることができる。
【0093】
更に別の例では、顧客は、走査ステーションでのバーコードの走査に応答して、固有識別子を受信することができる。次いで、顧客は、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128に値を入力する。
【0094】
顧客が店舗にいる間、アプリ128は、顧客モバイルデバイス110のRF送受信機126に固有識別子を無線でブロードキャストさせるように動作する(工程304)。ブロードキャストされた固有識別子を受信する範囲内の各物品識別及び位置特定デバイス102は、この識別子が自身の記憶した固有識別子と一致するかどうかを判定する(工程306)。その記憶した固有識別子とブロードキャストされた識別子とが一致することを見出した物品識別及び位置特定デバイス102は、そのインジケータ120を起動して、顧客を取り置き商品へと誘導するのを支援する(工程308)。例えば、物品識別及び位置特定デバイス102は、LEDを点灯する(LEDを用いて構成された場合)又は音若しくは音声指示を発する(スピーカを備える場合)ことができる。LEDは緑色に点滅して、例えば、顧客の正しい対象商品を示すことができる。加えて、LEDは、物品識別及び位置特定デバイス102が、顧客のモバイルデバイス110からのRF信号に基づいて、顧客は特定の距離内にいると判定した後にのみ、LEDがオンになってよい。識別子が、物品識別及び位置特定デバイス102に記憶された識別子に一致しない場合、LEDは、例えば、関連商品が近づいて来る顧客用ではないことを示すために、赤色に点灯又は点滅することができる。
【0095】
例示として、顧客が、スーツを吊るしたハンガーを試着室へと運ぶと、物品識別及び位置特定デバイス102の前述のセンサのうちの1つ以上は、物品識別及び位置特定デバイスがハンガーに取り付けられているか、スーツに取り付けられているかにかかわらず、移動を感知することができる。物品識別及び位置特定デバイスが、盗難防止タグのように、スーツ自体に留め付けるように適合されている場合、顧客がハンガーからスーツを取り外し、ハンガーを置き去りにしたとしても、物品識別及び位置特定デバイスは、スーツの更なる移動を検出することができ、また、スーツの位置は、物品識別及び位置特定デバイスが発するRF信号に基づいて、店舗中で追跡することができる(物品識別及び位置特定デバイスがRF送信機を用いて構成される場合)。
【0096】
別の例で説明すると、物品識別及び位置特定デバイス102は、所与の顧客のために取り置かれた山積みの衣類の上に配置されてよく、顧客が店舗構内又は指定の受け取りエリアに来ると、顧客情報を使用して顧客を識別し、衣類の上の物品識別及び位置特定デバイスは、LEDを点灯させる(又はアラームを発する)。また、袋は、対象商品を保持するために使用され、フック又はペグから吊り下げられ得、物品識別及び位置特定デバイスは、袋の上のフック又はペッグに吊るされるように適合され得る。ペグから吊り下げられている所与の袋と関連付けられた製品識別及び位置特定デバイスが、その記憶した固有識別子に一致する固有識別子を無線で受信すると、物品識別及び位置特定デバイスは、そのLEDを点灯させて、接近する顧客が取得するべき袋を伝えることができる。
【0097】
図2のプロセス200に関連して記載したものと同様に、顧客モバイルデバイス110、プライベートネットワーク106、又はその両方は、対象商品へと向かうための追加ガイドとして機能することができ、顧客のモバイルデバイス110は、物品識別及び位置特定デバイス102によって送信されるRF信号に基づいて、RSSI測定値又はタイミング測定値を使用することができ(RF送信機を用いて構成された場合)、プライベートネットワーク106は、(異なる位置にある)複数のRF送受信機124で受信したRF信号に基づいて信号強度又は到来角の測定値を使用して、顧客を物品識別及び位置特定デバイス102へとナビゲートすることができる。更に、図2のプロセス200に関連して記載した顧客検証技術は、物品識別及び位置特定デバイス102の状態の変化を検知する1つ以上のセンサを使用して、所与の顧客が正しい対象商品を確実に取得するために用いられてよい。
【0098】
図4は、起動した物品識別及び位置特定デバイス102へと顧客を誘導するためのプロセス400の一実施形態を示す。プロセス400のこの説明では、図1に示し、説明したシステム100の様々な要素に言及する。プロセス400中、顧客は店舗構内にいて顧客モバイルデバイス110を携行しており、アプリ128を実行している。また、起動した物品識別及び位置特定デバイス102は、連続的に(物品識別及び位置特定デバイスの起動のため)又は周期的にRF信号を送信するRF送信機を備える。工程402において、プライベートネットワーク106上のRF送受信機124(例えば、ビーコン)は、顧客のモバイルデバイス110と通信し、顧客のモバイルデバイス110で稼働するアプリ128によって生成されたるRF信号を当該デバイスから受信する。RF送受信機124は、顧客のモバイルデバイス110によって送信されたRF信号に基づいて、到来角(AoA)測定を行う(工程404)。一実施形態では、これらのAoA測定値は、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122に伝達され(工程406)、コンピューティングシステム122は、これらのAoA測定値から顧客のモバイルデバイス110の位置を計算する(工程408)。プライベートネットワーク106は、この位置を顧客のモバイルデバイス110に送信する(工程410)。加えて、RF送受信機124のネットワークは、物品識別及び位置特定デバイスによって送信されたRF信号から、物品識別及び位置特定デバイス102の位置を判定することができ(工程412)、物品識別及び位置特定デバイスのこの位置を、顧客のモバイルデバイス110に送信する。プライベートネットワーク106は、AoA測定値を使用するのではなく、代替的に、RSSI測定値又はタイミング測定値に基づいて、顧客のモバイルデバイス110及び物品識別及び位置特定デバイス102の位置を判定することができる。
【0099】
顧客のモバイルデバイス110の位置を計算する代わりに、RF送受信機124は、AoA測定値を顧客モバイルデバイス110に送信することができ(工程414)、顧客モバイルデバイスは、AoA測定値に基づいて自身の位置を計算する(工程416)。更に、顧客モバイルデバイス110は、プライベートネットワーク106に依存して起動した物品識別及び位置特定デバイス102の位置を提供するのではなく、この位置判定を行う(工程418)。顧客モバイルデバイスで稼働するアプリ128は、物品識別位置特定デバイス102からのRF信号の強度を使用して、物品識別位置及び位置特定デバイスへと向かわせる。あるいは、アプリ128は、(例えば、物品識別及び位置特定デバイスの超広帯域信号から抽出された)タイミング測定値を使用して、物品識別及び位置特定デバイスの位置への接近度を決定し、最終的には、物品識別及び位置特定デバイスの位置へと導くことができる。
【0100】
顧客モバイルデバイスで稼働するアプリ128は、プライベートネットワークから受信したか、自身で計算したかにかかわらず、顧客モバイルデバイス110の算出された位置を使用して、顧客を物品識別位置特定デバイス102の位置へとナビゲートすることができる(工程420)。例えば、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128は、店舗のグラフィカル間取図に2つの点を表示することができ、その一方は顧客の現在位置を表し、他方は、物品識別及び位置特定デバイスの位置を表す。点灯したLED又はスピーカなど物品識別及び位置特定デバイス上の動作インジケータ120は、顧客が可視又は可聴範囲に入ると、ナビゲーションを支援し、完了することができる。
【0101】
図2図3、及び図4に関連して説明したプロセス200、300、400のいずれか又は全ての場合、顧客ではなく、店員が取り置き対象商品104を探し求める特定の状況が存在する。例えば、顧客が店舗に到着し、所望の物品は、顧客が行くことができないカウンタの後ろにある。このような状況は、一般的に、フルサービスのコインランドリー又はクロークで生じる。したがって、顧客は、物品を取得するために店員の支援を必要とする。
【0102】
顧客の代理をするように店員に通知することは、様々な方法で生じ得る。例えば、顧客が店舗に到着すると、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128は、店舗のプライベートネットワーク106と通信することができ、プライベートネットワークは、顧客の到着を店員デバイス114に通知することができる。別の例として、顧客移動デバイス110は、所望の対象商品と結合された物品識別及び位置特定デバイス102と通信することができ、この物品識別及び位置特定デバイスは、(例えば、LEDを点灯すること、既定の音を発することによって)店員に通知することができる。
【0103】
次いで、店員は、顧客のために物品を探し出し、それを取得する役割を担う。そうするために、店員デバイス114で稼働するアプリは、対象商品に結合された物品識別及び位置特定デバイス102がリッスンする固有識別子を取得する必要があり得る。店員は、様々な方法でこの固有識別子を取得することができる。すなわち、店員デバイス114は、例えば、2つのデバイス110、114間でBluetooth(登録商標)接続を確立するなど、顧客のモバイルデバイス110と「ペアになる」ことができる、顧客モバイルデバイス110は、店舗のプライベートネットワーク106に顧客情報を送信することができ、店舗のプライベートネットワーク106は、この顧客情報と関連付けられた固有識別子を、店員デバイス114に転送することができる、店員デバイス114は、店員が物品識別及び位置特定デバイス102を顧客と関連付けた(例えば、物品の取り置きを求める顧客の要求に応答して)瞬間から固有識別子を既に所有していてもよい、又は店員デバイス114は、物品識別及び位置特定デバイスが顧客モバイルデバイス110から正しい固有識別子を受信しているためにLEDを点灯している、若しくは所定の音を発している物品識別及び位置特定デバイスと通信することによって固有識別子を取得することができる。この固有識別子を所有しているとき、店員デバイス114は、それを無線で送信し、物品識別及び位置特定デバイス102は、固有識別子の受信に応答してそのLEDを点灯させる(又は点灯させ続ける)ことができ、したがって、店員は、顧客のために物品を取得することができる。あるいは、店員デバイスは、プライベートネットワーク106と通信して、特定の物品識別及び位置特定デバイスに要求を転送する。
【0104】
図5は、事業所、企業、又は組織の建物内での対象物品又は対象商品の位置特定を容易にするために使用される物品識別及び位置特定デバイス102の一実施形態の機能ブロック図である。物品識別及び位置特定デバイス102は、プロセッサ又は処理ユニット500と、メモリ502と、RF受信機116(又は別の実施形態ではRF送受信機)と、1つ以上のインジケータ120と、電源504と、を含む。メモリ502は、(前述のように)固有識別子118及びプログラムコード506を記憶し、プログラムコード506は、実行されると、本明細書に記載のように、物品識別及び位置特定デバイス102の様々な機能を制御する。メモリ502、並びにメモリ502が記憶する情報及びプログラムコードは、物品識別及び位置特定デバイス102の様々な構成要素間で物理的に分散し得る。例えば、RF受信機(又はRF送受信機)は、固有識別子を記憶することができ、プログラムコード506を記憶するメモリは、プロセッサ500の一部であり得る。任意選択的に、物品識別及び位置特定デバイス102は、1つ以上のセンサ508(仮想線で示す)を含む。
【0105】
プロセッサ又は処理ユニット500は、物品識別及び位置特定デバイス102の動作、例えば、RF受信機116が受信したRF信号を処理して、固有識別子を取り出すこと、受信した固有識別子とメモリ502に記憶された固有識別子との比較、及びこのような固有識別子が一致するときのインジケータ120の起動などを制御するプログラムコード506の命令を実行するように適合された電子回路である。
【0106】
一実施形態では、RF受信機116は、無線信号を受信するためのアンテナ510を有する。前述のように、RF受信機116は無線通信技術に従って動作し、その例としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、802.XX、WLAN、及び超広帯域(UWB)が挙げられるが、これらに限定されず、一実施形態では、RF送受信機の一部であってよい。
【0107】
1つ以上のインジケータ120としては、1つ以上の発光ダイオード(LED)、スピーカ、又はその両方が挙げられる。1つ以上のLEDは、LEDストリップとして具現化されてよい。スピーカは、異なる音量及び周波数で連続的な音又は周期的な音を発するように構成されてよく、各音は、アラーム、警告、又は成功などの暗示及び様々なビープ音を伝達するように構成されてよい。点灯順序又は一連の音は、所望の効果に応じて、低速から高速まで様々であり得る。
【0108】
1つ以上のセンサ508としては、加速度計、接触センサ、角度ホールセンサ、温度センサ、湿度センサ、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。加速度計は、物品識別及び位置特定デバイス102の移動を検出するように適合されたデバイスである。いくつかの実施形態では、加速度計はまた、物品識別及び位置特定デバイス102が地球に対して傾く角度を判定することができる。二又クリップである物品識別及び位置特定デバイス102のこれらの実施形態では、接触センサは、クリップの開閉を判定するように適合されたデバイスである(本明細書で使用するとき、クリップの開閉は、クリップの検出可能な移動の種類である)。角度ホールセンサは、他方のクリッププロングに対する一方のクリッププロングの角度位置を測定するように適合されたデバイスであり、クリップの開閉、又はクリップが開放しているべきではないときに開放しているかどうかを判定するために使用される。温度センサは、物品識別及び位置特定デバイスの環境の温度測定値を生成するように適合されたデバイスである。湿度センサは、物品識別及び位置特定デバイスの環境内の湿度を測定するように適合されたデバイスである。一般に、温度センサ及び湿度センサは、対象商品の環境を監視する役割を果たす。このようなセンサによって提供される測定値は、対象商品(item if interest)の位置特定に寄与することができ、例えば、低温の測定値は、対象商品が冷蔵されていることを示唆し得る。加えて、静電容量感知機能を有するセンサを使用して、タッチを感知することができる。この機能は、物品識別及び位置特定デバイスの特定エリアに適用することができ、実際には、ユーザがボタンの代わりにデバイスと対話することができる手段を提供する。
【0109】
一実施形態では、電源504は電池である。電池は、取り外し不能若しくは取り外し可能、有線若しくは無線で再充電可能(取り外し不能、取り外し可能にかかわらず)、交換式(再充電不能、再充電可能にかかわらず)、又は交換不能若しくは再充電不能であってよく、この場合、物品識別及び位置特定デバイス102は、電池が放電すると使い捨てである。一実施形態では、物品識別及び位置特定デバイス102は、主にスリープモードで動作して電池寿命を延ばすことができ、(そのように構成された場合)送受信するためのデューティサイクルでは、周期的に起動して、物品識別及び位置特定デバイス102にアクションを実行させ、その固有識別子を送信させる(これもまた、そのように構成された場合)固有識別子を周期的にリッスンする。電池の消費を最小限に抑えるために、他の技術を使用してよい。
【0110】
図6は、正しい顧客が所与の対象商品を受け取ったかどうかを検証するためのプロセス600の一実施形態を示す。プロセス600は、物品識別及び位置特定デバイス102が、商品の受け取り時に状態の変化を経験する(例えば、物品識別及び位置特定デバイスは、対象商品に永続的に又は一時的に取り付けられ、商品の取得時に移動する又はタッチされる)と仮定する。
【0111】
工程602において、固有情報は物品識別及び位置特定デバイス102に記憶される。この固有情報は、物品識別及び位置特定デバイス102、並びにこの物品識別及び位置特定デバイスと関連付けられた商品を受け取る顧客の両方によって所有される任意の固有情報であり得る。このような固有の情報の例としては、固有識別子、製品情報、顧客情報、又は顧客識別情報が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
顧客モバイルデバイス110は、固有情報をブロードキャストする(工程604)。物品識別及び位置特定デバイス102は、1つ以上の顧客モバイルデバイス110から固有情報を無線で受信する(工程606)。
【0113】
工程608において、物品識別及び位置特定デバイス102は、状態の変化(例えば、移動、温度変化、角変化、クリップの開放)を感知する。感知した状態の変化に応答して、物品識別及び位置特定デバイス102は、顧客モバイルデバイス110から受信した固有情報を比較する(工程610)。固有情報が2つ以上の顧客モバイルデバイス110から得られる場合、物品識別及び位置特定デバイス102は、より近い(又は最も近い)顧客デバイス110を判定し、比較時にはその装置110からの固有情報を使用する。
【0114】
一致する固有の情報を判定すると(工程612)、物品識別及び位置特定デバイス102は、LEDを点灯させてよい、又は成功を暗示する音を発してよい。不一致を検出すると(工程614)、物品識別及び位置特定デバイス102は、LEDを点滅させてよい、又はエラーの発生を暗示するアラームを発してよい。あるいは、物品識別及び位置特定デバイスは、感知した状態の変化及び消費者デバイス110から受信した信号に関連する他の情報をブロードキャストすることができ、この情報から、プライベートネットワーク106上のコンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイスがアラームを発するべきかどうかを判定する。物品識別及び位置特定デバイスが、取り外し又は移動(例えば、対象商品からのクリップの取り外し)の承認を有することを物品識別及び位置特定デバイスに伝えるRF信号を受信しない場合、物品識別及び位置特定デバイスは、アラームを発する。代わりに、物品識別及び位置特定デバイスが状態の変化の承認を受けている場合、デバイスはアラームを発しない。
【0115】
この代替的な実施形態では、物品識別及び位置特定デバイスは、一般的な「起動」状態を有する。これは、例えば、物品識別及び位置特定デバイスが動き回るたびに白色LEDの点滅を開始するためである。物品識別及び位置特定デバイスが現注文の受け取りの一部である場合、顧客による識別を可能にする「表示」状態に設定されるように指示される。感知した状態の変化に応答して、物品識別及び位置特定デバイスは、その変化のブロードキャストを開始する。コンピューティングシステム122において、プライベートネットワーク上のコンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイスのブロードキャストをリッスンし、顧客の受け取りに関する情報を一切有さない場合には、サーバと通信して、任意のこのような受け取りについて問い合わせる。受け取りが存在しない場合、又は受け取りが、このブロードキャストしている物品識別及び位置特定デバイスの固有識別子に結び付けられない場合、プライベートネットワーク上のコンピューティングシステム122は、物品識別及び位置特定デバイスをアラームに指示して、物品識別及び位置特定デバイスを「不正」状態に設定する。
【0116】
この結果が生じる別の方法は、物品識別及び位置特定デバイスが現在「結合された」状態にあり、「表示」状態に設定されることなく「起動」状態に移行する場合に、物品識別及び位置特定デバイスがアラームを発することである。物品識別及び位置特定デバイスは、そのデータをコンピューティングシステム122に更にブロードキャストし、コンピューティングシステム122は、次に何が生じるかを決定することができる。
【0117】
物品識別及び位置特定デバイス102は、成功又はエラーを報告するメッセージをプライベートネットワーク106に送信するように構成されてよい。プライベートネットワーク106は、成功又はエラー、イベント時刻など商品を含むトランザクションを記録することができ、エラーの場合は、(店員デバイス114を介して)店員に通知することができる。次いで、店員は、店舗内で顧客を探し出し、状況を改善することができる。物品識別及び位置特定デバイス102が今もなお商品に取り付けられている又は商品の一部である場合、物品識別及び位置特定デバイス102によって送信されるRF信号は、顧客へと店員を誘導する役割を潜在的に果たしてよい。
【0118】
図7は、店舗から対象商品を、非接触のセルフサービスで受け取るプロセス700の一実施形態を示す。本明細書で使用するとき、非接触とは、顧客が店舗から商品を受け取るために来店する際に、顧客と店員との間に対面でのやり取りがないことを意味する。工程702において、顧客は店舗とリモート通信を行い、購入するために商品を要求する。
【0119】
要求に応答して、システム100(図1)は、物品識別及び位置特定デバイス102(固有識別子を有する)を、対象商品及び顧客に割り当て(工程704)、割り当てられた物品識別及び位置特定デバイス102は、対象商品と物理的に共存し、顧客は、商品の受け取りの瞬間に物品識別及び位置特定デバイス102が顧客を検証することを可能にする固有識別子(又は他の固有情報)を所有する。
【0120】
顧客(又は固有識別子を有する人物)が、店舗に到着する(工程706)。店舗内での顧客の存在に応答して、物品識別及び位置特定デバイス102は、そのインジケータを起動させ(工程708)、顧客の注意を自身に、したがって対象商品に引き付ける。例えば、物品識別及び位置特定デバイスは、自身と他の起動している物品識別及び位置特定デバイスとを区別するために、光を点灯する又は点灯パターンを生じさせる、音又は音パターンを発することができる。前述したように、顧客の存在は、様々な方法で検出することができる。例えば、顧客は、店舗内の走査ステーションでバーコードを走査する、又はプライベートネットワーク106は、顧客モバイルデバイス110で稼働するアプリ128と通信する、顧客モバイルが近接距離内に入る、又は顧客は、顧客モバイルデバイス上のボタンを押す。
【0121】
物品識別及び位置特定デバイス102は、顧客が商品を取得した(例えば、移動の検出、クリップの開放)ことを感知し(工程710)、プライベートネットワーク106及び/又は店員デバイス114に通知する(工程712)。
【0122】
顧客は、商品を持って店舗を出る(工程714)。商品を取得するために、店員と対面でやり取りする必要はない。システム100は、顧客が来店し、商品を持って去ったことを把握し、記録しており、いずれのスタッフもこのイベントを認識している必要はない。顧客が誤った商品を持ち去らないように安全措置が講じられてよい。顧客の観点からは、顧客は、商品の注文から取得まで一個人とも直接やり取りすることはなかった。したがって、顧客による商品の受け取りはセルフサービスである。
【0123】
図8は、この図では閉鎖位置で示す、クリップ800の形態の物品識別及び位置特定デバイス102の実施形態を示す。クリップ800のサイズは、その使用法に応じて様々であり得る。例えば、一実施形態では、クリップは、幅約1 3/4インチ、長さ2 3/4インチ、厚さ1 1/4インチである。
【0124】
この実施形態では、クリップ800は、上部802及び基部804という2つの部分、すなわちピンサーからなる本体を有する。一般に、一対のピンサーは、ピボットにおいて接合され、物品を把持するように対向して動作する。クリップのピボット(図示せず)のバネは、クリップ800の2つの部分802、804を閉鎖位置へと付勢する。他の実施形態は、ピボットにおいて一対のピンサーを接合するために他の機構、例えばヒンジを有し、クリップを閉鎖位置に保持する他の機構、例えば機械ラッチ又は磁気ラッチを使用することができる。
【0125】
クリップの上部802は、RF受信機(又は送受信機)、プロセッサ、メモリ、電源、インジケータ、及び1つ以上のセンサなど、図5に記載の物品識別及び位置特定デバイス102の様々な構成要素を収容する。上部802の本体はわずかに凹状であり、魚尾形状の平面延長部808を有する略楕円形である。上部802の外側表面806は、内部LEDからの光が差すことができる、半透明のロゴ又はパターン810を有する。上部802の側面812はまた、内部LED照明の光が差することを可能にするために半透明であってよい。平面延長部808の外側表面にある複数の弓状隆起部814は、ユーザがクリップを挟んで開放するときにユーザの指を置くための触覚領域を設ける。上部802の下側、すなわち内面(すなわち、クリップの口内)は、複数のリブ816を有する(図8では、その端部のみを示す)。リブ816は、クリップ800の上部802の幅に延在する。
【0126】
クリップ800の基部804は、上部802の形状に類似の略楕円形状を有し、上部802の平面延長部808から空間的に離間し、それに対向する平面延長部818を含む。平面延長部818は、例えば、フック又はペグからクリップを吊り下げるようにサイズ決めされた孔820を有する。基部804の内側(クリップの口内)は、複数のリブ822を有する。基部804の外側は平面であり、したがって、クリップ800は平坦な表面に平らに配置され得る。リブ822の位置は、クリップ800の閉鎖時にリブ816、822の組が交互になるように、上部802のこれらのリブ816からずれて配置される。リブ816、822は、クリップ800が取り付けられる材料との表面接触を改善する触覚領域を設ける。リブ822は、クリップ800の基部804の幅に延在する。
【0127】
クリップ800を開放するために、ユーザは、平面延長部808、818の外側表面に自身の指を置き、十分な力を加えて平面延長部を互いに向かって押し込まれてクリップの口を開放する。上部802は、バネの軸824を中心に枢動する。クリップの記載の実施形態は、ピボットにおいて接合された上部802及び基部804を有するが、他のクリップの実施形態は、単一部品として、又は分離可能部品として構築され、ピボット点以外の位置で接合された上部802及び基部804を有し得ることを理解されたい。
【0128】
図9は、開放位置にあり、延長部808、818が互いに向かって押し込まれている、図8のクリップ800を示す。クリップ800は、枢動軸824に沿ってバネ900を有する。図示するように開放位置にあるとき、クリップ800は緊張状態にあり、バネ900は上部802及び基部804を付勢して閉鎖させようとする。基部804の内側には、リブ822及び埋め込まれた接触パッド領域902がある。クリップ800のこの実施形態は、接触センサシステム(内部に収容)を含み、接触センサシステムは、接触パッド領域902及び上部802の内側に配設された、3本のポゴピンからなるポゴピンアセンブリ904を使用する。上部802のポゴピンアセンブリ904の位置は、クリップが閉鎖位置にあるときにポゴピンアセンブリ904が接触パッド領域902と嵌合するように、基部804の接触パッド領域902の位置の向かい側である。
【0129】
図10は、図9に示す円A内の接触センサ接触パッド領域902の一実施形態の詳細図を示す。クリップの基部804の内側に埋め込まれた接触パッド領域902は、互いに隣接する行内に並べられた、3つの円形開口部1000-1、1000-2、1000-3(一般に1000)を含む。一実施形態では、中央開口部1000-2は、他の2つの開口部1000-1、1000-3の直径よりも小さい直径を有し、他の2つの開口部1000-1、1000-3のサイズは等しい。開口部1000-2は、接触パッドに至るまで開放されず、接触センサシステムによって使用されない。開口部1000-1、1000-3は、開口底部において同一の導電性接触パッドを露出させ、接触センサシステムによって使用されて、クリップが開放しているか、閉鎖しているか、又は何かに接して閉鎖しているかどうかを判定する(クリップは、角度ホールセンサの解像度のために角度ホールセンサが検出できないほど薄い何らかの物体に接して閉鎖することがあるが(したがって、角度ホールセンサにとっては、クリップは閉鎖している)、接触センサは、上部と基部との間の薄物が電気的接続を断つために開放クリップを検出する。ホールセンサ及び接触センサからの結果の組み合わせは、このデータを受信するプロセッサが、クリップが何か薄い又は小さい物体に接して閉鎖しているに違いないと結論付ける)。
【0130】
図11は、クリップの基部804を示す。クリップの上部は、基部に固定されたバネ900をより明確に示すために不在であり、後平面延長部818は、フック又はペグからクリップを吊り下げるために使用される孔820と、内側のリブ822と、接触センサ接触パッド領域902と、を備える。円Bは、バネ900の領域を包囲する。
【0131】
図12は、図11の円B内の特徴の詳細図を示し、これらの特徴は、バネ900と、磁石1200と、を含む。一実施形態では、磁石1200は、その中心を通る軸穴と、円筒の両外側にある2つの平坦部と、を有する略円筒形である。磁石1200は、磁界の回転を感知することによって動作する、ホールセンサシステムの一部である。磁石1200は、クリップ800の基部804(図8)に圧入されている。
【0132】
図13は、クリップの基部804の背面図を示し、バネ900、磁石1200、基部804の両側にある一対のピボットボス1300-1、1300-2、一対のバネボス1302-1、1302-2(一般に1302、バネ900の各側に1つ)、及びプラスチックボス1304-1、1304-2(一般に1304)を含む。バネ900の各側面には、1つのバネボス1302及び1つのボス1304が存在する。各バネボス1302は、バネ900の反対側の端部から、(バネの軸に沿って)バネの中心の孔に入る。ボス1304-1のプラスチックスナップフックは、磁石1200を定位置に保持する。円筒状磁石の両外側にある2つの平坦部は、ボス1304-1の対向する側壁に当接し、クリップの開閉時に磁石が回転しないようにする。上部802が(基部804に対して)移動すると、上部802内の回路基板上の角度ホールセンサシステムが磁界の変化を感知する(磁石1200は基部804に固定されたままである)。孔820は、バネ900の表面に位置する。詳細図円Cは、ピボットボス1300-2を包囲する。
【0133】
図14は、図13の詳細図円C内のピボットボス1300-2を示す。ピボットボス1300-2は、クリップ800の組み立て時に、クリップの上部802を基部804の所定の位置にスナップ嵌めできるようにするテーパ1400を有する。
【0134】
図15はクリップ800の側面図を示し、接触センサの一部であるポゴピンアセンブリ904の周囲に円Dを描く。接触センサシステムは、ポゴピンアセンブリ904が接触パッド領域902と電気的に接続しているかどうかに基づいて、クリップの開閉を判定する。ポゴピンアセンブリ904と接触パッド領域902との間での接触は、閉鎖したクリップを示す。接触パッド領域902及びポゴピンアセンブリ904は、クリップのそれぞれの部分の先端部又は丸みを帯びた端部付近に配設される。
【0135】
図16は、図15の円D内のポゴピンアセンブリ904の3つのポゴピン1600-1、1600-2、1600-3(一般に1600)の詳細図を示す。各ポゴピン1600は、それぞれの開口部1000に接触すると、バネ荷重を受け、内側に押し下げられ(図10)、ピン1600-1は開口部1000-1に入り、ピン1600-2は開口部1000-2に入り、ピン1600-3は開口部1000-3に入る。2つの外側ポゴピン1600-1、1600-3は、それぞれの開口部1000-1、1000-3の下にある同一の接触パッドに接触する。接触センサシステム(全体は図示せず)は、ポゴピン1600-1及び1600-3がそれぞれ開口部1000-1及び1000-3の底部の接触パッドと電気的に接触し、電気的接続が完了すると、クリップが閉鎖していると判定する。中央のポゴピン1600-2は、クリップの閉鎖時にこの接触パッドと電気的接続しないが、中央開口部1000-2のプラスチック内のくぼみと接触する。電池の充電中、中央のポゴピン1600-2は正(+)端子として使用され、ポゴピン1600-3は接地として使用される。中央のポゴピン1600-2はまた、他のポゴピン1600-1、1600-3との接続を確立することによって、クリップが導電性の商品上で閉鎖したとき(通常はそうではない)を感知するために使用され得る。
【0136】
図17は、衣類ハンガー1700のフックの上方及び首部の下方に滑動するように適合された物品識別及び位置特定装置102の一実施形態を示し、物品識別及び位置特定装置102はハンガーの肩部の上に位置している。物品識別及び位置特定装置102は、RF受信機(又は送受信機)、プロセッサ、メモリ、電源、インジケータ、及び1つ以上のセンサなど、図5に記載の物品識別及び位置特定デバイス102の様々な構成要素を収容する。物品識別及び位置特定デバイス102の本体の外部、すなわち外側に面する部分の少なくとも一部は半透明であり、内部LEDが物品識別及び位置特定デバイス102を照らして、本明細書に記載のように通知を生成することができる。
【0137】
図18は、ショッピングカート1800の側部に結合された物品識別及び位置特定デバイス102の別の実施形態を示す。本実施形態は、矩形形状の本体又はフレームを有し、RF受信機(又は送受信機)、プロセッサ、メモリ、電源、インジケータ、及び任意選択的に、図5に関連して記載した1つ以上のセンサを収容する。フレーム1802の片側は、カートから離れる方向に(すなわち、外向きに)面する半透明の窓1804であり、内部LEDが物品識別及び位置特定デバイス102を照らすことを可能にし、このデバイスの位置特定を試みる顧客の注意を喚起する。フレーム1802の反対側は、ショッピングカートに貼り付けられる、又は固着するように適合される。
【0138】
図19は、ラベル1900の片側に貼り付けられる、又は固着する、図18の物品識別及び位置特定デバイス102を示し、図20は、箱2000の上部に貼り付けられる、又は固着する、図18の物品識別及び位置特定デバイス102を示し、図21は、袋2100の側部に貼り付けられる、固着する、又は組み込まれる、図18の物品識別及び位置特定デバイス102を示す。
【0139】
図18図19図20、及び図21における物品識別及び位置特定デバイス102の位置は例示を目的としており、物品識別及び位置特定デバイス102は、本明細書に記載の原理から逸脱することなく、カート1800、ラベル1900、箱2000、及び袋2100の他の好適な位置に位置付けられ得る。このような好適な位置とは、物品識別及び位置特定デバイス102によって生成された通知が容易に視認可能であるか、又は可聴である位置である。
【0140】
当業者に理解されるように、本発明の態様は、システム、方法、及び装置として具現化されてよい。したがって、本発明のいくつかの態様は、完全にハードウェアで、ソフトウェアで(ファームウェア、プログラムコード、常駐ソフトウェア、マイクロコード)、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで完全に具現化されてよい。
【0141】
少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を上述したが、当業者は様々な変更、修正、及び改善が容易に生じることを理解するであろう。このような変更、修正、及び改善は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であることが意図される。本明細書で論じる方法及び装置の実施形態は、上述の説明に記載した、又は添付の図面に示した構成の詳細及び構成要素の配置への適用に限定されるものではない。方法及び装置は、他の実施形態において実施可能であり、様々な方法での実践又は実行が可能である。具体的な実施態様の例は、例示を目的として本明細書で提供されるものであり、限定することを意図するものではない。「1つの実施形態」又は「一実施形態」又は「別の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特徴、構造、又は特性が、本明細書に記載の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の1つの実施形態への言及は、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴が、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。
【0142】
また、本明細書で使用する表現及び用語は、説明を目的としており、限定するものと見なされるべきではない。「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、及びこれらの変形例は、その後に列挙された品目及びその等価物を包含することを意味する。「又は」への言及は、「又は」を使用して説明される任意の用語が、単一の、2つ以上の、及び全ての記載した用語のいずれかを示し得るように、包括的に解釈されてよい。前後、左右、上下(top and bottom)、上下(upper and lower)、内外、垂直及び水平への任意の言及は、説明上の便宜を意図したものであり、記載のシステム及び方法又はその構成要素を任意の1つの位置方向又は空間方向に限定するものではない。したがって、前述の説明及び図面は単なる例としてであり、本発明の範囲は、添付の「特許請求の範囲」の適切な構成及びそれらの等価物から決定されるべきである。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
【国際調査報告】