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特表2022-536632縦方向集積ツェナーダイオードを備えたツェナートリガトランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】縦方向集積ツェナーダイオードを備えたツェナートリガトランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20220810BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220810BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220810BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220810BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220810BHJP
   H01L 21/331 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H01L27/06 311B
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
H01L29/90 D
H01L29/91 L
H01L29/72 P
H01L29/91 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572401
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020036558
(87)【国際公開番号】W WO2020247900
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】16/433,632
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】アクラム アリ サルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ケイ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ プラヴェーン マイソール ラジャゴパル
【テーマコード(参考)】
5F003
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F003AP01
5F003BA96
5F003BH07
5F003BH93
5F003BJ12
5F003BJ90
5F003BM01
5F003BN01
5F003BP21
5F038AV04
5F038AV05
5F038BH05
5F038BH15
5F038CA02
5F048AA01
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC06
5F048AC07
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA14
5F048BB04
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC15
5F048BG12
5F048BG13
5F048CC06
5F048CC10
(57)【要約】
半導体デバイス(100)が、ツェナーダイオード(113)を有するツェナートリガトランジスタ(104)を含み、ツェナーダイオード(113)は、ツェナートリガトランジスタ(104)の第1電流ノード(106)において縦方向に集積される。ツェナーダイオード(113)は、第1の電流ノード(106)に接するn型カソード(114)と、n型カソード(114)に接するp型アノード(115)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
p型半導体材料を含み、構成要素表面を有する基板と、
前記構成要素表面に接するツェナートリガトランジスタと、
を含み、前記ツェナートリガトランジスタが、
前記p型半導体材料に接するn型半導体材料の第1の電流ノードと、
前記p型半導体材料に接するn型半導体材料の第2の電流ノードと、
前記基板内のツェナーダイオードとを含み、前記ツェナーダイオードが、
前記第1の電流ノードに接するn型カソードと、
前記n型カソードに接し、前記p型半導体材料に接するp型アノードと、
を含み、
前記n型カソードが、前記p型アノードと前記構成要素表面との間に位置し、
前記ツェナーダイオードの降伏電位が、前記第1の電流ノードと前記第2の電流ノードとの間の降伏電位より低い、
半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1の半導体デバイスであって、前記n型カソードが前記第1の電流ノードによって横方向に囲まれる、半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1の半導体デバイスであって、前記p型アノードが、2×1018cm-3~1×1019cm-3の平均p型ドーパント密度を有する、半導体デバイス。
【請求項4】
請求項1の半導体デバイスであって、前記p型アノードが1ミクロン未満の幅を有する、半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記ツェナーダイオードが第1のツェナーダイオードであり、
前記n型カソードが第1のn型カソードであり、
前記p型アノードが第1のp型アノードであり、
前記ツェナートリガトランジスタがさらに、第2のツェナーダイオードを含み、前記第2のツェナーダイオードが、
前記第1の電流ノードに接する第2のn型のカソードと、
前記第2のn型カソードに接し、前記p型半導体材料に接する第2のp型アノードと、
を含み、
前記第2のツェナーダイオードの降伏電位が、前記第1の電流ノードと前記第2電流ノードとの間の降伏電位より低い、
半導体デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記ツェナートリガトランジスタが、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタであり、
前記第1の電流ノードが、前記横方向NPNバイポーラ接合トランジスタのコレクタであり、前記コレクタが、前記基板内に位置し、前記基板の前記構成要素面まで延在し、
前記第2の電流ノードが、前記横方向NPNバイポーラ接合トランジスタのエミッタであり、前記エミッタが、前記基板内に位置し、前記基板の前記構成要素表面まで延在し、
前記p型半導体材料が、前記横方向NPNバイポーラ接合トランジスタのベースを提供する、
半導体デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記ツェナートリガトランジスタが、縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタであり、
前記第1の電流ノードが、前記縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタのコレクタであり、前記コレクタが、前記基板内に位置し、前記基板の構成要素表面まで延在し、
前記p型半導体材料が、前記縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタのベースを提供し、
前記第2の電流ノードが、前記縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタのエミッタであり、前記縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタの前記ベースが前記基板の前記構成要素表面に垂直な方向において前記コレクタと前記エミッタとの間になるように、前記エミッタが前記基板において配置される、
半導体デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記ツェナートリガトランジスタが、接地ゲートnチャネル金属酸化物半導体(GGNMOS)トランジスタであり、
前記第1の電流ノードが、前記GGNMOSトランジスタのドレインであり、前記ドレインが、前記基板内に位置し、前記基板の前記構成要素表面まで延在し、
前記p型半導体材料が、前記GGNMOSトランジスタのボディを提供し、
前記第2の電流ノードが、前記GGNMOSトランジスタのソースであり、前記ソースが、前記基板内に位置し、前記基板の前記構成要素表面まで延在する、
半導体デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、横方向拡散nチャネル金属酸化物半導体(LDNMOS)トランジスタをさらに含み、前記LDNMOSトランジスタが、前記基板内に位置するp型ボディを含み、前記p型ボディが、前記ツェナーダイオードの前記p型アノードと同じp型ドーパント種を有し、
前記p型ボディが、前記p型アノードの平均p型ドーパント密度と実質的に等しい密度と、前記平均p型アノードの前記平均p型ドーパント密度の2倍との間の平均p型ドーパント密度を有する、
半導体デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記基板の前記構成要素表面において金属シリサイドをさらに含み、前記金属シリサイドが前記第1の電流ノードに接し、
前記金属シリサイドが、前記ツェナーダイオードの前記n型カソードから前記構成要素表面に平行な方向である横方向に分離される、
半導体デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記ツェナートリガトランジスタが第1のツェナートリガトランジスタであり、
前記ツェナーダイオードが第1のツェナーダイオードであり、
前記n型カソードが第1のn型カソードであり、
前記p型アノードが第1のp型アノードであり、
前記半導体デバイスがさらに、第2のツェナートリガトランジスタを含み、前記第2のツェナートリガトランジスタが、
前記p型半導体材料に接するn型半導体材料の第3の電流ノードと、
前記p型半導体材料に接するn型半導体材料の第4の電流ノードと、
を含み、
前記半導体デバイスがさらに、前記基板内に第2のツェナーダイオードを含み、前記第2のツェナーダイオードが、
前記第3の電流ノードに接する第2のn型のカソードと、
前記第2のn型カソードに接し、前記p型半導体材料に接する第2のp型アノードと、
を含み、
前記第1のp型アノードの第1の横幅が、前記第2のp型アノードの第2の横幅より大きく、
前記第1のp型アノードの第1の平均p型ドーパント密度が、前記第2のp型アノードの第2の平均p型ドーパント密度より大きい、
半導体デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記第2の電流ノードに電気的に結合される接地ノードと、
前記第1の電流ノードに電気的に結合される入出力(I/O)ノードと、
をさらに含む、半導体デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、スナバ回路をさらに含み、前記第1の電流ノードが、前記スナバ回路の出力ポートに電気的に結合される、半導体デバイス。
【請求項14】
半導体デバイスを形成する方法であって、
シリコンを半分以上含むp型半導体材料を含む基板を提供することと、
ツェナートリガトランジスタのツェナーダイオードのための領域を露出させる注入マスクを前記基板の上に形成することと、
前記注入マスクによって露出された前記基板内にホウ素イオンを注入することと、
前記注入マスクによって露出された前記基板内にn型ドーパントイオンを注入することと、
前記注入マスクを除去することと、
前記ツェナーダイオードのための前記領域内における前記ホウ素イオンを拡散及び活性化して、前記ツェナーダイオードのp型アノードを形成し、前記ツェナーダイオードのための前記領域内で前記n型ドーパントイオンを拡散及び活性化して、前記ツェナーダイオードのn型カソードを形成するために、前記基板をアニールすることと、
前記ツェナートリガトランジスタの第1の電流ノードを形成することであって、前記基板の前記p型半導体材料に接するn型半導体材料を含む、前記第1の電流ノードを形成することと、
を含み、
前記n型カソードが、前記第1の電流ノードの前記n型半導体材料に接し、前記p型アノードが、前記n型カソードに接し、前記基板の前記p型半導体材料に接する、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記ツェナーダイオードの前記領域の横幅が500ナノメートル未満であり、前記横幅が、前記注入マスクによって露出された前記領域の、前記基板の表面に平行な2つの直交する横方向寸法のうちの短い方である、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記注入マスクが、横方向拡散nチャネル金属酸化物半導体(LDNMOS)トランジスタのp型ボディ及びn型ソースのための領域を露出させ、
前記基板をアニールすることが、前記p型ボディのための前記領域における前記ホウ素イオンを拡散及び活性化して前記基板内に前記p型ボディを形成し、前記n型ソースのための前記領域における前記n型ドーパントイオンを拡散及び活性化して前記基板内に前記n型ソースを形成する、
方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記ツェナーダイオードのための前記領域の第1の横幅が、p型ボディのための前記領域の第2の横幅より小さく、前記第1の横幅が、前記注入マスクによって露出された前記ツェナーダイオードのための前記領域の、前記基板の表面に平行な2つの直交する横方向寸法のうちの短い方であり、前記第2の横幅が、前記注入マスクによって露出される前記p型ボディのための前記領域の、前記基板の表面に平行な2つの直交する横方向寸法のうちの短い方である、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、前記ホウ素イオンが、1×1014cm-2~1×1015cm-2の注入ドーズ量で注入され、前記n型ドーパントイオンが、1×1014cm-2~1.5×1015cm-2の注入ドーズ量で注入される、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、
前記ツェナートリガトランジスタが第1のツェナートリガトランジスタであり、
前記ツェナーダイオードが第1のツェナーダイオードであり、
前記p型アノードが第1のp型アノードであり、
前記n型カソードが第1のn型カソードであり、
前記注入マスクが、第2のツェナートリガトランジスタの第2のツェナーダイオードのための領域を露出させ、
前記基板をアニールすることが、前記第2のツェナーダイオードのための前記領域における前記ホウ素イオンを拡散及び活性化して前記基板内に前記第2ツェナーダイオードの第2のp型アノードを形成し、前記第2のツェナーダイオードのための前記領域における前記n型ドーパントイオンを拡散及び活性化して前記基板内に前記第2のツェナーダイオードの第2のn型カソードを形成し、
前記方法がさらに、前記第2のツェナートリガトランジスタの第1の電流ノードを形成することを含み、前記第2のツェナートリガトランジスタの前記第1の電流ノードが、前記基板の前記p型半導体材料に接するn型半導体材料を含み、前記第2のn型カソードが、前記第2のツェナートリガトランジスタの前記第1の電流ノードの前記n型半導体材料に接し、前記第2のp型アノードが、前記第2のn型カソードに接し、前記基板の前記p型半導体材料に接する、
方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、前記第1の電流ノード上に金属シリサイドを形成することをさらに含み、前記金属シリサイドが、前記ツェナーダイオードの前記n型カソードから、前記金属シリサイドに接する構成要素表面の表面に平行な方向である横方向に分離される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は半導体デバイスの分野に関する。より詳細には、本記載は、半導体デバイスにおけるトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、静電放電(ESD)事象から保護するためにトランジスタを含むことが多い。これらのトランジスタは、多くの場合、接合降伏に依存してオンにされる。降伏電位が高すぎて内部回路を保護できない場合があり、そのため、デバイスの劣化又は障害が生じ得る。降伏電位を下げるために外部トリガ回路が追加されることがあるが、トリガ回路は半導体デバイスの面積を増加させるので望ましくない。
【発明の概要】
【0003】
本記載においてツェナートリガトランジスタを有する半導体デバイスが紹介される。ツェナートリガトランジスタは、ツェナートリガトランジスタの第1の電流ノード内に集積されるツェナーダイオードを含む。第1の電流ノードは、半導体デバイスの基板においてp型半導体材料に接するn型半導体材料を含む。ツェナーダイオードは、第1の電流ノードに接するn型カソードと、n型カソードに接しp型半導体材料に接するp型アノードとを含む。
【0004】
半導体デバイスは、ツェナーダイオードのための開口を有する注入マスクを基板の上に形成することによって形成され得る。ホウ素及びヒ素が、注入マスクの開口によって露出される領域において基板に注入される。続いて、基板は、注入されたホウ素及びヒ素を拡散及び活性化するために加熱される。注入されたホウ素はツェナーダイオードのp型アノードのためのp型ドーパントを提供し、注入されたヒ素はツェナーダイオードのn型カソードのためのn型ドーパントを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面である。
【0006】
図2A】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、例示の形成方法を段階的に示す。
図2B】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、例示の形成方法を段階的に示す。
【0007】
図3】ツェナートリガトランジスタを含む別の例示の半導体デバイスの断面である。
【0008】
図4】ツェナートリガトランジスタを含む更なる例示の半導体デバイスの断面である。
【0009】
図5A】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5B】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5C】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5D】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5E】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5F】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
図5G】ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。
【0010】
図6】或る応用例におけるツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの回路図である。
【0011】
図7】別の応用例におけるツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本記載において、添付の図を参照する。図は一定の縮尺で描かれておらず、説明を図示するためにのみ提供される。本記載の幾つかの態様を、図示のための例示の応用例を参照して下記に説明する。本記載が理解されるように、様々な具体的な詳細、関係、及び方法を記載する。本記載は、行為又は事象の図示の順序には限定されず、幾つかの行為が、異なる順序で及び/又は他の行為又は事象と同時に生じ得る。また、すべての図示の行為又は事象が、本記載に従って方法論を実装するために必要とされるわけではない。これに加えて、本明細書に例示する実施形態の幾つかが、深さ及び幅を有する様々な領域を有する二次元図で示されているが、これらの領域は、実際は三次元構造であるデバイスの一部のみを図示している。したがって、これらの領域は、実際のデバイスにおいて製造される場合、長さ、幅、及び深さを含めて3つの次元を有する。
【0013】
図1は、ツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面である。半導体デバイス100は基板101を含む。基板101は、例えば半導体ウエハの一部とし得る。基板101はp型半導体材料102を含む。p型半導体材料102は、例えば主にシリコンを含み得る。何らかのゲルマニウム又は炭素を含むシリコンなど、p型半導体材料102のための他の半導体材料がこの例の範囲に含まれる。基板101は構成要素表面103を有する。p型半導体材料102は、半導体デバイス100の幾つかの場所において構成要素表面103まで延在し得る。
【0014】
この例の半導体デバイス100は、構成要素表面103に接するツェナートリガトランジスタ104と、横方向拡散nチャンネル金属酸化物半導体(LDNMOS)トランジスタ105とを含む。本記載の目的のため、「横方向の(lateral)」及び「横方向に」という用語は、構成要素表面103に平行な方向を指し、これは本明細書の後続の例においても同様である。この例のツェナートリガトランジスタ104は、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタ104として顕在化される。ツェナートリガトランジスタ104は、n型半導体材料の第1の電流ノード106を含む。この例において、第1の電流ノード106は、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタ104のコレクタ106として顕在化される。図1に示すように、第1の電流ノード106は基板101内に位置し得る。ツェナートリガトランジスタ104は、n型半導体材料の第2の電流ノード107を含む。この例において、第2の電流ノード107は、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタ104のエミッタ107として顕在化される。p型半導体材料102は、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタ104のベース108を提供する。半導体デバイス100は、p型半導体材料102より高いドーパント密度を有するp型ベースコンタクト領域109を含み得、そのため、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタ104のベース108への低抵抗電気接続を提供する。コレクタ106、エミッタ107、及びベース108は、フィールド酸化物110によって構成要素表面103において横方向に分離され得る。ツェナートリガトランジスタ104は、n型埋込層(NBL)111によって縦方向に電気的に絶縁され得る。本記載の目的のため、「縦方向の」及び「縦方向に」という用語は、構成要素表面103に垂直な方向を指し、これは本明細書の後続の例においても同様である。ツェナートリガトランジスタ104はさらに、構成要素表面103からNBL111に延在する絶縁構造112によって横方向に電気的に絶縁され得る。絶縁構造112は、二酸化シリコンライナを備えた深いトレンチとして、又はシンカーと称することがあるn型領域によって顕在化され得る。半導体デバイス100の動作の間、p型半導体材料102からの漏洩電流を低減するために、NBL111がp型半導体材料102に対してバイアスされ得る。この例の別のバージョンにおいて、NBL111はコレクタ106に接続され得、そのため、ツェナートリガトランジスタ104を介して流れる縦方向電流及び横方向電流両方が提供される。
【0015】
ツェナートリガトランジスタ104は、第1電流ノード106において縦方向に集積されるツェナーダイオード113を含む。ツェナーダイオード113は、第1の電流ノード106に接するn型カソード114と、ベース108においてn型カソード114及びp型半導体材料102に接するp型アノード115を含む。n型カソード114は第1の電流ノード106によって横方向に囲まれ、p型アノード115はn型カソード114の下に位置し、そのため、n型カソード114はp型アノード115と構成要素表面103の間にある。n型カソード114は、平均n型ドーパント密度が1×1019cm-3~5×1019cm-3である。n型カソード114中のn型ドーパントは主にヒ素を含み得る。p型アノード115は、平均p型ドーパント密度が2×1018cm-3~1×1019cm-3である。p型アノード115中のp型ドーパントは主にホウ素を含み得る。
【0016】
LDNMOSトランジスタ105は、基板101内にp型ボディ116を含む。p型ボディ116は、平均p型ドーパント密度が、p型アノード115の平均p型ドーパント密度に実質的に等しい密度とp型アノード115の平均p型ドーパント密度の2倍の密度の間である。本記載の目的のため、「実質的に等しい」という用語は、半導体デバイス100を製造するために使用されるイオン注入プロセスなどのプロセスの製造許容範囲内で等しいドーパント密度を含み、これは本明細書における後続の例でも同様である。「実質的に等しい」という用語はまた、半導体デバイス100におけるドーパント密度を測定するために用いられる技法において遭遇する測定許容範囲内において等しいドーパント密度を含む。p型ボディ116は、p型アノード115と同種のp型ドーパントを含む。LDNMOSトランジスタ105は、基板101内にn型ソース117を含む。図1に示すように、p型ボディ116は、n型ソース117の下及び横方向周囲に延在する。n型ソース117は、平均n型ドーパント密度が、n型カソード114の平均n型ドーパント密度に実質的に等しい密度とn型カソード114の平均n型ドーパント密度の2倍の密度との間である。n型ソース117は、n型カソード114と同種のn型ドーパントを含む。
【0017】
LDNMOSトランジスタ105は、基板101内にn型ドレイン118を含む。図1に示すように、LDNMOSトランジスタ105はさらに、構成要素表面103上にゲート誘電体層119を含み、ゲート誘電体層119は、p型ボディ116及びn型ソース117に部分的に重なり、任意選択でn型ドレイン118の上へ中途まで延在する。LDNMOSトランジスタ105は、ゲート誘電体層119上にゲート120を含む。図1に示すように、窒化シリコン、二酸化シリコン、又は酸窒化シリコンのゲート側壁スペーサ121がゲート120の側部に配置され得る。n型ドレインコンタクト領域122がn型ドレイン118内に配置され得る。n型ドレインコンタクト領域122は、n型ドレイン118に低抵抗電気接続をもたらすために高密度のn型ドーパントを有する。
【0018】
半導体デバイス100は、基板101内の要素に低抵抗電気接続をもたらすために、構成要素表面103において金属シリサイド123を含み得る。金属シリサイド123は、例えば、チタンシリサイド、白金シリサイド、コバルトシリサイド、又はニッケルシリサイドを含み得る。金属シリサイド123は、ツェナートリガトランジスタ104の第1の電流ノード106、第2の電流ノード107、及びp型ベースコンタクト領域109上、並びに、LDNMOSトランジスタ105のp型ボディ116、n型ソース117、及びn型ドレインコンタクト領域122上に配置され得る。第1の電流ノード106上の金属シリサイド123は、シリサイドブロック層124によってツェナーダイオード113から横方向に分離され得る。n型ドレインコンタクト領域122上の金属シリサイド123は、シリサイドブロック層124によってゲート120から横方向に分離され得る。
【0019】
半導体デバイス100は、構成要素表面103の上に誘電体層125を有し得る。誘電体層125は、二酸化シリコン、窒化シリコン、リンケイ酸ガラス(PSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、又は類似の誘電体材料の、一つ又は複数の副層を含み得る。半導体デバイス100のコンタクト126は、基板101内の要素に、金属シリサイド123が存在する場合にはそれを介して、電気的に接続するように誘電体層125を介して配置される。コンタクト126は、例えば、チタン含有ライナー上にタングステンを含み得る。半導体デバイス100はさらに、誘電体層125上に相互接続127を含み、そのため、コンタクト126への電気接続がなされる。相互接続127は、誘電体層125上に接着層を備えて、主にアルミニウムを含み得、又は拡散バリア上に銅を含み得る。
【0020】
第2の電流ノード107に対する第1の電流ノード106に対する正の電気パルスが、ツェナーダイオード113において降伏を誘起こし得、ツェナーダイオード113を通る電流が誘起されてツェナートリガトランジスタ104がオンになる。ツェナーダイオード113の降伏電位は、第1の電流ノード106と第2の電流ノード107の間の降伏電位より低い。ツェナーダイオード113は、例えば、5~10ボルトの降伏電位を有し得る。そのため、ツェナートリガトランジスタ104は、第1の電流ノード106に接続される構成要素上の過渡電位を低減するための保護構成要素として有利に用いられ得る。また、ツェナーダイオード113が降伏する電位差は、第1の電流ノード106とベース108との間のpn接合が降伏する電位差よりも繰り返し可能であり得、半導体製造設備において製造される多数の半導体デバイス100において、より均一な保護構成要素が有利に提供される。ツェナーダイオード113を第1の電流ノード106において縦方向に集積させると、ツェナートリガトランジスタとは別のツェナーダイオードを有する半導体デバイスと比較して、半導体デバイス100の面積が有利に減少し得る。コレクタ106上の金属シリサイド123をツェナーダイオード113から横方向に分離すると、コレクタ106内に電気抵抗が得られて、ツェナーダイオード113を通る電流の密集が有利に低減され得る。これは、2つ以上のツェナーダイオード113がコレクタ106に縦方向に集積されるツェナートリガトランジスタ104のバージョンにおいて特に有利であり得、そのため、これらのツェナーダイオード113の一つが降伏した後にツェナーダイオード113が降伏するという事例がさらに可能となる。
【0021】
図2A及び図2Bは、ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、例示の形成方法が段階的に示されている。図2Aを参照すると、半導体デバイス200が基板201を含む。基板201は、例えば、半導体ウエハとして実装され得る。基板201は、主として(例えば、半分より多く)シリコンを含むp型半導体材料202を含む。p型半導体材料202は、半導体デバイス200内の幾つかの場所において構成要素表面203まで延在し得る。フィールド酸化物210が、半導体デバイス200の要素を横方向に分離するために、構成要素表面203に形成され得る。フィールド酸化物210は、浅いトレンチ分離(STI)プロセス又はシリコンプロセスの局所酸化(LOCOS)によって形成され得る。二酸化シリコン層228が、後続の処理工程の間p型半導体材料202を保護するために、構成要素表面203上に形成され得る。二酸化シリコン層228は、例えば、5~25ナノメートルの厚さとし得、熱酸化プロセスによって形成され得る。
【0022】
半導体デバイス200は、ツェナートリガトランジスタ204のための領域と、LDNMOSトランジスタ205のための領域を含む。ツェナートリガトランジスタ204は、NBL211によって縦方向に電気的に絶縁され得る。ツェナートリガトランジスタ204は、さらに、例えば、構成要素表面203からNBL211まで延在する、深いトレンチとして顕在化される絶縁構造212によって横方向に電気的に絶縁され得る。
【0023】
注入マスク229が二酸化シリコン層228の上に形成される。注入マスク229は、ツェナートリガトランジスタ204のための領域におけるツェナーダイオード213のための第1の領域を露出させ、LDNMOSトランジスタ205のための領域におけるp型ボディ216及びn型ソース217のための第2の領域を露出させる。注入マスク229は、フォトレジストを含み得、フォトリソグラフィプロセスによって形成され得る。注入マスク229は、任意選択で、底部反射防止膜(BARC)などの反射防止層を含み得る。注入マスク229は、例えば、400ナノメートル~700ナノメートルの厚さを有し得る。ツェナーダイオード213のための注入マスク229によって露出される第1の領域は、例えば200ナノメートル~400ナノメートルなど、500ナノメートル未満の横幅230を有し得る。p型ボディ216及びn型ソース217のための注入マスク229によって露出される第2の領域は、500ナノメートルより大きな横幅231を有し得る。ツェナーダイオード213のための注入マスク229によって露出される第1の領域の横幅230は、注入マスク229によって露出される第1の領域の2つの直交する横方向寸法のうちの短い方の横寸法である。p型ボディ216及びn型ソース217のための注入マスク229によって露出される第2の領域の横幅231は、注入マスク229によって露出される第2の領域の2つの直交する横方向寸法のうちの短い方の横方向寸法である。
【0024】
ホウ素イオン232は、二酸化シリコン層228を介して、注入マスク229によって露出される第1の領域及び注入マスク229によって露出される第2の領域における基板201に注入されて、第1の領域の下の基板201内にツェナーアノード注入領域233を形成し、第2の領域の下の基板201内にボディ注入領域234を形成する。ホウ素イオン232は、例えば、10キロ電子ボルト(keV)~30keVの注入エネルギーで、1×1014cm-2~1×1015cm-2の注入ドーズ量で注入され得る。
【0025】
ホウ素イオン232は、基板201の結晶格子におけるホウ素イオン232のチャネリングが低減させるため、構成要素表面203に垂直な方向から或る角度で注入され得る。例えば、ホウ素イオン232は、構成要素表面203に垂直な方向から4度~7度の角度で、おそらくは、構成要素表面203に垂直な方向を中心として回転される2回又は4回の注入工程において、注入され得、そのため、注入マスク229によるホウ素イオン232の方向性シャドーイングが低減される。ツェナーダイオード213のための注入マスク229によって露出される第1の領域が500ナノメートル未満の横幅230を有することと組み合わせて、ホウ素イオン232を構成要素表面203に垂直な方向から或る角度で注入することで、横幅231が500ナノメートルより大きい、p型ボディ216のための注入マスク229によって露出される第2の領域よりも、注入マスク229によって露出される第1の領域において基板201におけるホウ素イオン232の有効ドーズ量が低くなり得る。注入マスク229によって露出される第1の領域におけるホウ素イオン232の有効ドーズ量は、注入マスク229によって露出される第1の領域における基板201内のホウ素イオン232の数を注入マスク229によって露出される第1の領域の面積で割ったものである。同様に、注入マスク229によって露出される第2の領域におけるホウ素イオン232の有効ドーズ量は、注入マスク229によって露出される第2の領域における基板201内のホウ素イオン232の数を注入マスク229によって露出される第2の領域の面積で割ったものである。第2の領域の横幅231が500ナノメートルより大きいので、第2の領域におけるホウ素イオン232の有効ドーズ量は、注入されるホウ素イオン232の注入ドーズ量に近くなり得る。ここで注入ドーズ量は、基板201で受け取られるホウ素イオン232のうち遮られないドーズ量である。ホウ素イオン232の注入ドーズ量は、LDNMOSトランジスタ205に対して所望の閾値電位が得られるように選択され得る。第1の領域の横幅230は、ツェナーダイオード213に対する所望の降伏電位を獲得するためのホウ素イオン232の所望の有効ドーズ量が得られるように選択され得る。
【0026】
この例においてヒ素イオン235として実装されるn型ドーパントイオン235は、二酸化シリコン層228を介して、注入マスク229によって露出される第1の領域及び注入マスク229によって露出される第2の領域における基板201に注入されて、第1の領域の下の基板201内にツェナーカソード注入領域236を形成し、第2の領域の下の基板201内にソース注入領域237を形成する。ヒ素イオン235は、例えば、10キロ電子ボルト(keV)~40keVの注入エネルギーで、1×1014cm-2~1.5×1015cm-2の注入ドーズ量で注入され得る。ツェナーアノード注入領域233は、ツェナーカソード注入領域236よりも構成要素表面203から基板201内にさらに延在し得る。同様に、ボディ注入領域234は、ソース注入領域237よりも構成要素表面203から基板201内にさらに延在し得る。ヒ素イオン235も、構成要素表面203に垂直な方向から或る角度で注入され得、その結果、ヒ素イオン235の注入ドーズ量と比較して、注入マスク229によって露出される第1の領域におけるヒ素イオン235の有効ドーズ量が同様に減少する。この例の他のバージョンにおいて、n型ドーパントイオン235はアンチモンイオンを含み得る。この例のさらなるバージョンにおいて、n型ドーパントイオン235はリンイオンを含み得る。
【0027】
注入マスク229は、ホウ素イオン232及びヒ素イオン235が注入された後に除去される。注入マスク229は、例えば、酸素プラズマプロセス又はオゾンプロセスによって除去され得、続いて硫酸と過酸化水素の水性混合物を用いる湿式清浄プロセスが行われ得る。
【0028】
図2Bを参照すると、基板201が、注入されたホウ素及び注入されたヒ素を活性化し拡散させるためのアニールプロセス238によって加熱される。アニールプロセス238は、例えば、炉プロセス又は放射加熱プロセスとし得る。基板201は、例えば、10分から60分間、800℃~1100℃の温度まで加熱される。アニールプロセス238は、酸素ガスを用いて実装され得、そのため、二酸化シリコン層228の厚みが基板201におけるシリコンの熱酸化により増加する。注入されたホウ素は、基板201内に拡散し活性化されて、ツェナートリガトランジスタ204のための領域にツェナーダイオード213のp型アノード215を形成し、LDNMOSトランジスタ205のための領域にp型ボディ216を形成する。注入されたヒ素は、基板201内に拡散し活性化されて、ツェナートリガトランジスタ204のための領域においてツェナーダイオード213のn型カソード214を形成し、LDNMOSトランジスタ205のための領域においてn型ソース217を形成する。アニールプロセス238の間の基板201の温度において、p型アノード215は、n型カソード214よりも構成要素表面203から基板201内にさらに延在する。これは、部分的には、ヒ素よりホウ素の拡散係数が高いためである。
【0029】
LDNMOSトランジスタ205のp型ボディ216及びn型ソース217と同時にツェナーダイオード213のp型アノード215及びn型カソード214を形成することで、半導体デバイス200の製造コスト及び製造の複雑さが有利に低減され得る。
【0030】
図3は、ツェナートリガトランジスタを含む別の例示の半導体デバイスの断面である。半導体デバイス300は、p型半導体材料302を含む基板301を含む。p型半導体材料302は、半導体デバイス300内の幾つかの場所において構成要素表面303まで延在し得る。この例の半導体デバイス300は、構成要素表面303に接するツェナートリガトランジスタ304と、LDNMOSトランジスタ305とを含む。
【0031】
本例のツェナートリガトランジスタ304は、縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタ304として顕在化される。ツェナートリガトランジスタ304は、n型半導体材料の第1の電流ノード306を含み、第1の電流ノード306は、縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタ304のコレクタ306として顕在化され、基板301に位置し、構成要素表面303まで延在する。この例において、図3に示すように、第1の電流ノード306は、第1のセグメント306aと、第1のセグメント306aから分離されている第2のセグメント306bとを含む。ツェナートリガトランジスタ304は、縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタ304のエミッタ307として顕在化される、n型半導体材料の第2の電流ノード307を含む。エミッタ307は、コレクタ306の下の基板301内に位置するNBL311の少なくとも一部を含む。半導体デバイス300は、n型領域339を含み得る。n型領域339は、n型シンカー339と称することがあり、エミッタ307から構成要素表面303まで延在して、エミッタ307に電気接続をもたらす。p型半導体材料302は、コレクタ306とエミッタ307の間に位置する、縦方向NPNバイポーラ接合トランジスタ304のベース308を提供する。半導体デバイス300は、図1のp型ベースコンタクト領域109と機能が類似するp型ベースコンタクト領域309を含み得る。半導体デバイス300は、構成要素表面303において、半導体デバイス300の構成要素を横方向に分離するためフィールド酸化物310を含み得る。
【0032】
ツェナートリガトランジスタ304は、第1の電流ノード306の第1のセグメント306aにおいて縦方向に集積される第1のツェナーダイオード313aと、第1の電流ノード306の第2のセグメント306bにおいて縦方向に集積される第2のツェナーダイオード313bとを含む。第1のツェナーダイオード313aは、第1のセグメント306aに接する第1のn型カソード314aを含み、ベース308において第1のn型カソード314a及びp型半導体材料302に接する第1のp型アノード315aを含む。第1のn型カソード314aは、第1のセグメント306aによって横方向に囲まれ、第1のp型アノード315aは、第1のn型カソード314aの下に位置し、そのため、第1のn型カソード314aは第1のp型アノード315aと構成要素表面303との間にある。第2のツェナーダイオード313bは、第2のセグメント306bに接する第2のn型カソード314bを含み、ベース308において第2のn型カソード314b及びp型半導体材料302に接する第2のp型アノード315bを含む。第2のn型カソード314bは、第2のセグメント306bによって横方向に囲まれ、第2のp型アノード315bは、第2のn型カソード314bの下に位置し、そのため、第2のn型カソード314bは第2のp型アノード315bと構成要素表面303との間にある。第1のn型カソード314a、第1のp型アノード315a、第2のn型カソード314b、及び第2のp型アノード315bは、図1のツェナーダイオード113を参照して説明したドーパント種及び密度を有する。
【0033】
図3に示すように、LDNMOSトランジスタ305は、基板301内のn型ソース317と、基板301内のp型ボディ316とを含み、p型ボディ316は、n型ソース317の下及びn型ソース317の横方向周囲に延在する。n型ソース317及びp型ボディ316は、図1のLDNMOSトランジスタ105を参照して説明したドーパント種及び密度を有する。LDNMOSトランジスタ305はさらに、基板301内のn型ドレイン318と、構成要素表面303上のゲート誘電体層319と、ゲート誘電体層319上のゲート320であって、側部にゲート側壁スペーサ321を備えたゲート320と、n型ドレイン318内のn型ドレインコンタクト領域322とを含み得、これらは、図1のLDNMOSトランジスタ105の対応する要素と同様である。
【0034】
半導体デバイス300は、ツェナートリガトランジスタ304のコレクタ306、n型領域339、及びp型ベースコンタクト領域309上、並びにmLDNMOSトランジスタ305のp型ボディ316、n型ソース317、及びn型ドレインコンタクト領域322上の構成要素表面303において、金属シリサイド323を含み得る。第1の電流ノード306の第1のセグメント306a上の金属シリサイド323は、シリサイドブロック層324によって第1のツェナーダイオード313aから横方向に分離され得、同様に、第1の電流ノード306の第2のセグメント306b上の金属シリサイド323は、シリサイドブロック層324によって第2のツェナーダイオード313bから横方向に分離され得る。n型ドレインコンタクト領域322上の金属シリサイド323は、シリサイドブロック層324によってゲート320から横方向に分離され得る。半導体デバイス300は、構成要素表面303の上に誘電体層325を有し得、コンタクト326が誘電体層325及び誘電体層325上の相互接続327を介して配置され、それにより、コンタクト326への電気的接続が行われる。
【0035】
第1のツェナーダイオード313aの降伏電位及び第2のツェナーダイオード313bの降伏電位はいずれも、第1の電流ノード306と第2の電流ノード307の間の降伏電位より低い。第2電流ノード307に対して、正の電気パルスが第1の電流ノード306に印加されると、第1のツェナーダイオード313aが降伏し得、第1のセグメント306aを介し、ベース308及びエミッタ307を介する電流が誘起される。第1のセグメント306a上の金属シリサイド323がシリサイドブロック層324によって第1のツェナーダイオード313aから横方向に分離させると、第1のセグメント306aにおいて抵抗がもたらされ得、そのため、第2のセグメント306bと第2の電流ノード307の間の電位差が、第2のツェナーダイオード313bが降伏し得る前に第2のツェナーダイオード313bの降伏電位を下回らず、そのため、第2のセグメント306bを通り、ベース308及びエミッタ307を通る電流が誘起される。第2のツェナーダイオード313bが最初に降伏する場合にも同様のプロセスが生じ得る。そのため、第1のツェナーダイオード313a及び第2のツェナーダイオード313bから金属シリサイド323を横方向に分離することで、ツェナートリガトランジスタ304を通る電流の密集が有利に低減され得る。
【0036】
図4は、ツェナートリガトランジスタを含む更なる例示の半導体デバイスの断面である。半導体デバイス400は、p型半導体材料402を含む基板401を含む。p型半導体材料402は、半導体デバイス400内の幾つかの場所において構成要素表面403まで延在し得る。この例の半導体デバイス400は、構成要素表面403に接するツェナートリガトランジスタ404と、LDNMOSトランジスタ405とを含む。半導体デバイス400は、構成要素表面403において、半導体デバイス400の構成要素を横方向に分離するためのフィールド酸化物410を含み得る。
【0037】
この例のツェナートリガトランジスタ404は、接地ゲートnチャネル金属酸化物半導体(GGNMOS)トランジスタ404として顕在化される。ツェナートリガトランジスタ404は、GGNMOSトランジスタ404のドレイン406として顕在化される、n型半導体材料の第1の電流ノード406を含む。ツェナートリガトランジスタ404は、GGNMOSトランジスタ404のソース407として顕在化される、n型半導体材料の第2の電流ノード407を含む。p型半導体材料402は、GGNMOSトランジスタ404のボディ領域441を提供する。ボディ領域441は、ドレイン406をソース407から横方向に分離する。半導体デバイス400は、ボディ領域441に低抵抗接続をもたらすためのp型コンタクト領域409を含み得る。ツェナートリガトランジスタ404は、ボディ領域441の上の構成要素表面403上に、ドレイン406及びソース407の上へ中途まで延在するゲート誘電体層442も含む。ツェナートリガトランジスタ404はさらに、ボディ領域441の上のゲート誘電体層442上にゲート443を含み、ゲート443は、ドレイン406及びソース407の上へ中途まで延在し得る。ゲート側壁スペーサ421がゲート443の側部上に配置され得る。
【0038】
ツェナートリガトランジスタ404は、NBL411によって縦方向に電気的に絶縁され得る。ツェナートリガトランジスタ404はさらに、NBL411から構成要素表面403まで延在するn型シンカー439によって横方向に電気的に絶縁され得る。NBL411は、p型半導体材料402からの漏洩電流を低減するために、p型半導体材料402に対してバイアスされ得る。
【0039】
ツェナートリガトランジスタ404は、第1の電流ノード406において縦方向に集積されるツェナーダイオード413を含む。ツェナーダイオード413は、第1の電流ノード406に接するn型カソード414を含み、ボディ領域441においてn型カソード414及びp型半導体材料402に接するp型アノード415を含む。n型カソード414は、第1の電流ノード406によって横方向に囲まれ、p型アノード415は、n型カソード414の下に位置し、そのため、n型カソード414は、p型アノード415と構成要素表面403との間にある。n型カソード414及びp型アノード415は、図1のツェナーダイオード113を参照して説明したドーパント種及び密度を有する。
【0040】
図4に示すように、LDNMOSトランジスタ405は、基板401内のn型ソース417と、基板401内のp型ボディ416とを含み、p型ボディ416は、n型ソース417の下及びn型ソース417の横方向周囲に延在する。n型ソース417及びp型ボディ416は、図1のLDNMOSトランジスタ105を参照して説明したドーパント種及び密度を有する。LDNMOSトランジスタ405はさらに、基板401内のn型ドレイン418と、構成要素表面403上のゲート誘電体層419と、ゲート誘電体層419上のゲート420であって、ゲート側壁スペーサ421を側部に備えたゲート420と、n型ドレイン418内のn型ドレインコンタクト領域422とを含み得、これらは、図1のLDNMOSトランジスタ105の対応する要素と同様である。
【0041】
半導体デバイス400は、ツェナートリガトランジスタ404のドレイン406、ソース407、ゲート443、p型コンタクト領域409,及びn型シンカー439上、並びにLDNMOSトランジスタ405のp型ボディ416、n型ソース417、及びn型ドレインコンタクト領域422上の構成要素表面403において、金属シリサイド423を含み得る。半導体デバイス400は、構成要素表面403の上に誘電体層425を有し得、コンタクト426が誘電体層425、及び誘電体層425上の相互接続427を介して配置されて、コンタクト426への電気的接続が行われる。この例において、ソース407、ボディ領域441、及びゲート443は、金属シリサイド423、コンタクト426、及び相互接続427を介して共に電気的に結合される。
【0042】
ツェナーダイオード413の降伏電位は、第1の電流ノード406と第2の電流ノード407との間の降伏電位より低い。第2の電流ノード407に対して第1の電流ノード406に印加される正の電気パルスが、ツェナーダイオード413における降伏を誘起こし得、そのため、ツェナーダイオード413を通る電流が誘起されて、GGNMOSランジスタ404に並列の寄生バイポーラトランジスタがオンになる。ツェナートリガトランジスタ404の第1の電流ノード406が、寄生バイポーラトランジスタのコレクタを提供し、ツェナートリガトランジスタ404のボディ領域441が、寄生バイポーラトランジスタのベースを提供し、ツェナートリガトランジスタ404の第2の電流ノード407が、寄生バイポーラトランジスタのエミッタを提供する。この例の一つのバージョンにおいて、ツェナートリガトランジスタ404の拡張された第2の電流ノード407を提供するため、NBL411は、GGNMOSトランジスタ404のソース407に接続され得る。GGNMOSトランジスタ404のソース407にNBL411を接続することで、ツェナートリガトランジスタ404を通る縦方向電流が流れて、付加的な電流容量がもたらされ得る。ツェナーダイオード413を第1の電流ノード406に縦方向に集積させることで、図1を参照して説明した利点を得ることができる。
【0043】
図5A図5Cは、ツェナートリガトランジスタを含む半導体デバイスの断面であり、別の例示の形成方法が段階的に示されている。図5Aを参照すると、半導体デバイス500は、半導体ウエハなどの基板501を含む。基板501は、主にシリコンを含むp型半導体材料502を含み、p型半導体材料502は、半導体デバイス500内の幾つかの場所において構成要素表面503まで延在する。フィールド酸化物510が、半導体デバイス500の要素を横方向に分離するために、構成要素表面503に形成され得る。二酸化シリコン層528が、後続の処理工程の間p型半導体材料502を保護するために、構成要素表面503上に形成され得る。
【0044】
半導体デバイス500は、第1のツェナートリガトランジスタ504のための領域と、第2のツェナートリガトランジスタ544のための領域とを含む。注入マスク529が、二酸化シリコン層528の上に形成される。注入マスク529は、第1のツェナートリガトランジスタ504のための領域において第1のツェナーダイオード513のための第1の領域を露出させ、第2のツェナートリガトランジスタ544のための領域において第2のツェナーダイオード545のための第2の領域を露出させる。第1のツェナーダイオード513のための注入マスク529によって露出される第1の領域は、例えば400ナノメートル~500ナノメートルの、500ナノメートル未満の第1の横幅530を有し得、そのため、その後注入されるホウ素イオン532及びヒ素イオン535の第1の有効ドーズ量が得られる。第2のツェナーダイオード545のための注入マスク529によって露出される第2の領域は、例えば250ナノメートル~350ナノメートルの、第1の横幅530より短い第2の横幅546を有し得、そのため、その後注入されるホウ素イオン532及びヒ素イオン535の第2の有効ドーズ量が得られる。第1の横幅530は、注入マスク529によって露出される第1の領域の2つの直交する横方向寸法のうちの短い方であり、第2の横幅546は、注入マスク529によって露出される第2の領域の2つの直交する横方向寸法のうちの短い方である。
【0045】
ホウ素イオン532は、二酸化シリコン層528を介して、注入マスク529によって露出された第1の領域及び注入マスク529によって露出された第2の領域における基板501に注入されて、第1の領域の下の基板501内に第1のツェナーアノード注入領域533を形成し、第2の領域の下の基板501内に第2のツェナーアノード注入領域547を形成する。ヒ素イオン535は、二酸化シリコン層528を介して、注入マスク529によって露出された第1の領域及び注入マスク529によって露出された第2の領域における基板501に注入されて、第1の領域の下の基板501内に第1のツェナーカソード注入領域536を形成し、第2の領域の下の基板501内に第2のツェナーカソード注入領域548を形成する。第2のツェナーアノード注入領域547におけるホウ素イオン532の第2の有効ドーズ量は、第2の横幅546が第1の横幅530未満である結果、第1のツェナーアノード注入領域533におけるホウ素イオン532の第1の有効ドーズ量より少なくなり得る。同様に、第2のツェナーカソード注入領域548におけるヒ素イオン535の第2の有効ドーズ量は、第1のツェナーカソード注入領域536におけるヒ素イオン535の第1の有効ドーズ量より少なくなり得る。注入マスク529は、ホウ素イオン532及びヒ素イオン535が注入された後に除去される。
【0046】
図5Bを参照すると、基板501は、注入されたホウ素及び注入されたヒ素を活性化し拡散させるためのアニールプロセス538によって加熱される。注入されたホウ素は、基板501内に拡散し活性化されて、第1のツェナートリガトランジスタ504のための領域において第1のツェナーダイオード513の第1のp型アノード515を形成し、第2のツェナートリガトランジスタ544のための領域において第2のツェナーダイオード545の第2のp型アノード549を形成する。注入されたヒ素は、基板501内に拡散し活性化されて、第1のツェナートリガトランジスタ504のための領域において第1のツェナーダイオード513の第1のn型カソード514を形成し、第2のツェナートリガトランジスタ544のための領域において第2のツェナーダイオード545の第2のn型カソード550を形成する。第1のp型アノード515は、第1のn型カソード514よりも構成要素表面503から基板501内にさらに延在し、第2のp型アノード549は、第2のn型カソード550よりも構成要素表面503から基板501内にさらに延在する。これは、部分的には、アニールプロセス538中の基板501の温度において、ヒ素よりホウ素の拡散係数が高いためである。第2のツェナーダイオード545の第2のp型アノード549及び第2のn型カソード550と同時に第1のツェナーダイオード513の第1のp型アノード515及び第1のn型カソード514を形成することで、半導体デバイス500の製造コスト及び製造の複雑さが有利に低減され得る。
【0047】
図5Cを参照すると、半導体デバイス500の形成が継続されて、第1のツェナートリガトランジスタ504及び第2のツェナートリガトランジスタ544が形成される。この例において、第1のツェナートリガトランジスタ504及び第2のツェナートリガトランジスタ544は、横方向NPNバイポーラ接合トランジスタとして実装される。第1のツェナートリガトランジスタ504は、基板501内に形成され、構成要素表面503まで延在するn型半導体材料の第1の電流ノード506と、基板501内に形成され、構成要素表面503まで延在するn型半導体材料の第2の電流ノード507とを含む。第1の電流ノード506は、第1のツェナートリガトランジスタ504のコレクタ506として実装され、第2の電流ノード507は、第1のツェナートリガトランジスタ504のエミッタ507として実装される。第1の電流ノード506及び第2の電流ノード507の下のp型半導体材料502の一部が、第1のツェナートリガトランジスタ504の第1のベース508を提供する。半導体デバイス500は、第1のベース508に接する第1のp型ベースコンタクト領域509を含み得る。
【0048】
第1のツェナーダイオード513は、第1のツェナートリガトランジスタ504の第1の電流ノード506において縦方向に集積され、そのため、第1のn型カソード514が第1の電流ノード506に接し、第1のp型アノード515が第1のn型カソード514及び第1のベース508に接するようになっている。第1のp型アノード515は、図5Aの第1の横幅530が500ナノメートル未満であるために1ミクロン未満とし得る、第1のアノード横幅551を有する。
【0049】
第2のツェナートリガトランジスタ544は、基板501内に形成され、構成要素表面501に延在するn型半導体材料の第1の電流ノード552と、基板501内に形成され、構成要素表面503まで延在するn型半導体材料の第2の電流ノード553とを含む。第1の電流ノード552は、第2のツェナートリガトランジスタ544のコレクタ552として実装され、第2の電流ノード553は、第2のツェナートリガトランジスタ544のエミッタ553として実装される。第1の電流ノード552及び第2の電流ノード553の下のp型半導体材料502の一部が、第2のツェナートリガトランジスタ544の第2のベース554を提供する。半導体デバイス500は、第2のベース554に接する第2のp型ベースコンタクト領域555を含み得る。
【0050】
第2のツェナーダイオード545は、第2のツェナートリガトランジスタ544の第1の電流ノード552において縦方向に集積され、そのため、第2のn型カソード550が第1の電流ノード552に接し、第2のp型アノード549が第2のn型カソード550及び第2のベース554に接するようになっている。第2のp型アノード549は、図5Aの第2の横幅546が図5Aの第1の横幅530未満であるために第1のアノード横幅551未満である、第2のアノード横幅556を有する。
【0051】
第2のツェナーダイオード545は、第1のツェナーダイオード513の第1の降伏電位より高い第2の降伏電位を有し得、これは、図5Aの第2のツェナーアノード注入領域547における図5Aのホウ素イオン532の第2の有効ドーズ量が図5Aの第1のツェナーアノード注入領域533内のホウ素イオン532の第1の有効ドーズ量より少なく、図5Aの第2のツェナーカソード注入領域548における図5Aのヒ素イオン535の第2の有効ドーズ量が図5Aの第1のツェナーカソード注入領域536におけるヒ素イオン535の第1の有効ドーズ量より少ない結果である。このように、図5Aの注入マスク529における第1の横幅530及び第2の横幅546を調整することにより、第1のツェナーダイオード513及び第2のツェナーダイオード545の降伏電位が、半導体デバイス500における特定の応用例について所望の値になり得る。
【0052】
図6は、或る応用例におけるツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの回路図である。半導体デバイス600は、接地ノード657及び入出力(I/O)ノード658を含む。接地ノード657は、例えば図1のp型半導体材料102に対応する、半導体デバイス600の基板における半導体材料として顕在化され得る。I/Oノード658は、半導体デバイス600のワイヤボンドパッド又はバンプボンドパッドとして顕在化され得る。半導体デバイス600は、図6に示すようにNPNバイポーラ接合トランジスタ604として顕在化され得るツェナートリガトランジスタ604を含む。NMOSトランジスタなど、ツェナートリガトランジスタ604の他の顕在化も、本例の範囲内にある。ツェナートリガトランジスタ604は、第1の電流ノード606及び第2の電流ノード607を含む。ツェナーダイオード613が、例えば本明細書の例の任意のものにおいて記載されるように、第1の電流ノード606において縦方向に集積される。この例では、ツェナーダイオード613のn型カソード614が第1の電流ノード606に接し、ツェナーダイオード613のp型アノード615がツェナートリガトランジスタ604のベース608に接する。
【0053】
接地ノード657に対するI/Oノード658への正の電気パルスが、ツェナーダイオード613における降伏を誘起こし得、ツェナーダイオード613を通る電流が誘起されて、ツェナートリガトランジスタ604がオンになる。このように、ツェナートリガトランジスタ604は、I/Oノード658上の電圧遷移がツェナーダイオード613の降伏電位を大幅に上回ることを防止し得、そのため、I/Oノード658に電気的に結合される、半導体デバイス600の構成要素が保護される。
【0054】
図7は、別の応用例におけるツェナートリガトランジスタを含む例示の半導体デバイスの回路図である。半導体デバイス700は、スイッチ760を有するスナバ回路759を含み、スイッチ760は、スナバ回路759の入力ポート761とスナバ回路759のフィルタ762との間に結合される。図7に示すように、フィルタ762は抵抗-コンデンサ(RC)ローパスフィルタ762として顕在化され得る。フィルタ762は、スナバ回路759のスイッチ760と出力ポート763との間に結合される。スナバ回路759は、スイッチ760と出力ポート763との間に結合されるツェナートリガトランジスタ704を含む。図7に示すように、ツェナートリガトランジスタ704は、GGNMOSトランジスタ704として顕在化され得る。NPNバイポーラ接合トランジスタなど、ツェナートリガトランジスタ704の他の顕在化も本例の範囲内にある。ツェナートリガトランジスタ704は、第1の電流ノード706及び第2の電流ノード707を含む。第1の電流ノード706は出力ポート763に結合され、第2の電流ノード707は入力ポート761に結合される。ツェナーダイオード713が、例えば本明細書の例の任意のものにおいて記載されるように、第1の電流ノード706において縦方向に集積される。この例において、ツェナーダイオード713のn型カソード714が第1の電流ノード706に接し、ツェナーダイオード713のp型アノード715がツェナートリガトランジスタ704のボディ741に接する。
【0055】
入力ポート761に対する出力ポート763への正の電気パルスが、ツェナーダイオード713における降伏を誘起こし得、ツェナーダイオード713を通る電流が誘起されて、ツェナートリガトランジスタ704の寄生バイポーラトランジスタがオンになる。このように、ツェナートリガトランジスタ704は、出力ポート763上の電圧遷移がツェナーダイオード713の降伏電位を大幅に上回ることを防止し得、そのため、入力ポート761に電気的に結合される、半導体デバイス700の構成要素が保護される。
【0056】
本明細書において説明する例の種々の特徴が、半導体デバイスの他の顕在化例において組み合され得る。一例において、図3を参照して説明したように、図1及び図4のツェナートリガトランジスタは、別個のツェナーダイオードによりセグメント化される第1の電流ノードを有し得る。別の例において、図4の構造は、図1又は図3に示すものに類似するシリサイドブロック層を含み得る。逆に、図1又は図3の構造は、それぞれ、シリサイドブロック層124又は324を含まなくてもよい。さらなる例において、図5A図5Cの構造は、図1図3、又は図4に示したものに類似するNBLを含み得る。逆に、図1又は図4の構造は、それぞれNBL111又は411を含まなくてもよい。
【0057】
本記載の種々の実施形態を上記で説明してきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、限定するものではない。説明された実施形態に対する多くの変更が、本記載の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本記載に従ってなされ得る。そのため、本発明の広さ及び範囲は、上記で説明した実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。そうではなく、本記載の範囲は、下記の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【国際調査報告】