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特表2022-536647統合された、乾燥剤をベースとする冷却および除湿
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】統合された、乾燥剤をベースとする冷却および除湿
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20220810BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
B01D53/26 300
B01D53/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573181
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020037044
(87)【国際公開番号】W WO2020252059
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/859,432
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/986,908
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510219947
【氏名又は名称】アライアンス フォー サステイナブル エナジー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,ジェイソン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】コズバル,エリック
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052CF00
4D052DA10
4D052HA00
4D052HA11
4D052HA12
4D052HA14
4D052HA15
4D052HA49
4D052HB01
(57)【要約】
i)熱および物質交換システムとii)電気分解スタックのどちらも備える統合システムが、使用に関連する方法と共に開示されている。本開示システムは、液体乾燥剤として、塩溶液の2つの流れを使用して、空気を冷却および/または除湿する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿システムであって、
熱および物質交換器と、
少なくとも1つの電気透析スタックと、
高塩イオン濃度液体乾燥剤と、
低塩イオン濃度液体乾燥剤とを備え、
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、単一の連続流中に存在し、前記連続流が、前記熱および物質交換器と前記少なくとも1つの電気透析スタックとを連結し、
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤が、前記熱および物質交換器中の処理空気流から水を吸収し、前記少なくとも1つの電気透析スタック中の前記低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出し、
前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、前記熱および物質交換器中の除去空気流に水を放出し、前記少なくとも1つの電気透析スタック中の前記高塩イオン濃度液体乾燥剤からイオンを受け入れる、除湿システム。
【請求項2】
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、同じ塩溶液を含む、請求項1に記載の除湿システム。
【請求項3】
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される塩溶液を含む、請求項1または請求項2に記載の除湿システム。
【請求項4】
前記塩溶液が、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される、請求項2または請求項3に記載の除湿システム。
【請求項5】
前記塩溶液が塩化リチウムである、請求項2から4のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項6】
前記熱および物質交換器に入るときに、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤と前記低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、20重量%(wt%)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気分解スタックに入るときに、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤と前記低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、10重量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項8】
前記熱および物質交換器に入るときに、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤が、35重量%の塩イオン濃度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項9】
前記熱および物質交換器に入るときに、前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、15重量%の塩イオン濃度を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤が、前記低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換され、前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換される、請求項1から9のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項11】
カソードとアノードとの間に直列に配列した、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の電気透析スタックを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項12】
空気を除湿する方法であって、
熱および物質交換器において、処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させて、前記処理空気流を除湿するステップと、
前記熱および物質交換器において、低塩イオン濃度液体乾燥剤から除去空気流に水を放出させるステップと、
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤を少なくとも1つの電気透析スタックに移動させるステップと、
前記少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤から前記低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出して、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤を前記低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップと、
前記少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤から前記低塩イオン濃度液体乾燥剤にイオンを受け入れて、前記低塩イオン濃度液体乾燥剤を前記高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップとを含み、
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、単一の連続流中を流れ、前記連続流が、前記熱および物質交換器と前記少なくとも1つの電気透析スタックとを連結し、
前記変換された高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記変換された低塩イオン濃度液体乾燥剤が、前記物質および熱交換器に移動される、方法。
【請求項13】
前記熱および物質交換器において、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤から前記低塩イオン濃度液体乾燥剤に熱を除去して、前記除湿された処理空気流を冷却するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤および前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される同じ塩溶液を含む、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塩溶液が、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記塩溶液が塩化リチウムである、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させ、および低塩イオン濃度液体乾燥剤から水を放出させる際に、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤と前記低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、20重量%(wt%)である、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤から前記低塩イオン濃度液体乾燥剤への塩イオンの追い出しを開始する際、および
前記少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤から前記低塩イオン濃度液体乾燥剤へのイオンの受け入れを開始する際に、
前記高塩イオン濃度液体乾燥剤と前記低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、10重量%である、
請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処理空気流から水を吸収させる際に、前記高塩イオン濃度液体乾燥剤が、35重量%の塩イオン濃度を有する、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記除去空気流に水を放出させる際に、前記低塩イオン濃度液体乾燥剤が、15重量%の塩イオン濃度を有する、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年6月10日に出願の米国仮特許出願第62/859,432号、および2020年3月9日に出願の米国仮特許出願第62/986,908号への優先権を主張する。
【0002】
[契約起源]
米国政府は、米国エネルギー省と国立再生可能エネルギー研究所の管理者および運営者であるAlliance for Sustainable Energy,LLCとの間の契約番号DE-AC36-08GO28308に基づいて、本発明の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
空気の除湿は、適度に加湿されている、快適かつ健康的な室内環境を実現するため、世界中で使用されている。従来の除湿システムは、供給空気を適切な状態にするために有用であるが、多量のエネルギー(例えば、電気)を使用するので、操作に費用がかかる。エネルギー需要の増大に伴って、空気の除湿費用は増大することが予想され、一層効率のよい空気の除湿方法および技術に対する需要が増大している。さらに、放出または漏れがある場合、環境を破壊する恐れのある、多数の従来的な冷却剤などの化学品および物質を使用しない除湿技術の需要が増大している。メンテナンスもまた、多数の空気除湿技術に伴う懸念事項であり、その結果、とりわけ、住宅用のメンテナンス要件の増大と認識される新しい技術のいずれも、市場に受け入れられない。
【0004】
最新の蒸気圧縮システムは、空気を最初に過冷却して湿気を除去し、次に、この空気を所望の温度まで再加熱することによって、湿度制御を実現する。このプロセスは非効率的である。天然ガスにより駆動される開放吸収システムは、良好な湿度制御を伴う、代替肢を提供する。しかし、これらは、非効率的(単一効果の再生)または複雑で高価であるかのどちらかであり、依然として多大な研究が必要である(二重効果の再生)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示によって提供される実施形態は、全電気選択肢を提供し、空気からの水を再利用することにより水の消費をなくことによって、乾燥剤技術の弱点をなくすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本開示は、熱および物質交換器と、少なくとも1つの電気透析スタックと、高塩イオン濃度液体乾燥剤と、低塩イオン濃度液体乾燥剤とを含む、除湿システムであって、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器と少なくとも1つの電気透析スタックとを連結する単一の連続流中に存在する、除湿システムを提供する。
【0007】
一部の実施形態では、高塩イオン濃度液体乾燥剤は、熱および物質交換器中の処理空気流から水を吸収し、少なくとも1つの電気透析スタック中の低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出す。
【0008】
一部の実施形態では、低塩イオン濃度液体乾燥剤は、熱および物質交換器中の除去空気流に水を放出(脱着)し、少なくとも1つの電気透析スタック中の高塩イオン濃度液体乾燥剤からイオンを受け入れる。
【0009】
一部の実施形態では、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤は、同じ塩溶液を含む。
【0010】
一部の実施形態では、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される塩溶液を含む。
【0011】
一部の実施形態では、塩溶液は、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される。
【0012】
一部の実施形態では、塩溶液は塩化リチウムである。
【0013】
一部の実施形態では、熱および物質交換器に入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差は、20重量%(wt%)である。
【0014】
一部の実施形態では、少なくとも1つの電気分解スタックに入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差は、10重量%である。
【0015】
一部の実施形態では、熱および物質交換器に入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤は、35重量%の塩イオン濃度を有する。
【0016】
一部の実施形態では、熱および物質交換器に入るときに、低塩イオン濃度液体乾燥剤は、15重量%の塩イオン濃度を有する。
【0017】
一部の実施形態では、少なくとも1つの電気透析スタックでは、高塩イオン濃度液体乾燥剤は、低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換され、低塩イオン濃度液体乾燥剤は、高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換される。
【0018】
一部の実施形態では、本システムは、カソードとアノードとの間に直列に配列した、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の電気透析スタックを備える。
【0019】
第2の態様では、本開示は、熱および物質交換器において、処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させて、処理空気流を除湿するステップと、熱および物質交換器において、低塩イオン濃度液体乾燥剤から除去空気流に水を放出させるステップと、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤を少なくとも1つの電気透析スタックに移動させるステップと、少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出して、高塩イオン濃度液体乾燥剤を低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップと、少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤にイオンを受け入れて、低塩イオン濃度液体乾燥剤を高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップとを含む、空気を除湿する方法であって、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器と少なくとも1つの電気透析スタックとを連結する単一の連続流中を流れ、変換された高塩イオン濃度液体乾燥剤および変換された低塩イオン濃度液体乾燥剤が、物質および熱交換器に移動される、方法を提供する。
【0020】
一部の実施形態では、本方法は、熱および物質交換器において、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤に熱を除去して、除湿された処理空気流を冷却するステップをさらに含む。
【0021】
一部の実施形態では、高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される同じ塩溶液を含む。
【0022】
一部の実施形態では、塩溶液は、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される。
【0023】
一部の実施形態では、塩溶液は塩化リチウムである。
【0024】
一部の実施形態では、処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させる、および低塩イオン濃度液体乾燥剤から水を放出させる際に、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差は、20重量%(wt%)である。
【0025】
一部の実施形態では、少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤への塩イオンの追い出しを開始する際、および少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤へのイオンの受け入れを開始する際に、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差は、10重量%である。
【0026】
一部の実施形態では、処理空気流から水を吸収させる際に、高塩イオン濃度液体乾燥剤は、35重量%の塩イオン濃度を有する。
【0027】
一部の実施形態では、除去空気流に水を放出させる際に、低塩イオン濃度液体乾燥剤は、15重量%の塩イオン濃度を有する。
【0028】
例示的な実施形態は、図面の参照図に例示されている。本明細書において開示されている実施形態および図は、限定よりはむしろ、例示として見なされるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施形態によって提供される、冷却および除湿システムを概略形態で例示する図である。図示されている実施形態は、単一熱および物質交換器100、ならびに3つの電気分解スタック102、104および106からなる統合システムを含む。
図2】本開示の実施形態によって提供される、別の冷却および除湿システムを概略形態で例示する図である。図示されている実施形態は、単一熱および物質交換器200、ならびに単一電気分解スタック202からなる統合システムであって、電気分解スタック202が、イオン交換が行われ得る単一スタック内に複数のチャネルを含む、統合システムを含む。
図3】本開示の実施形態によって提供される、さらに別の冷却および除湿システムを概略形態で例示する図である。図示されている実施形態は、熱および物質交換器と電気分解スタックの両方を備える統合連続システムの一般的な構成を表す。
図4】熱および物質交換器において行われる水吸収、ならびに電気透析スタックにおいて行われるイオン分離/乾燥剤濃縮を行う除湿システムの一部を、概略形態で例示する図である。
図5】熱および物質交換器において行われる冷却、ならびに電気透析スタックにおいて行われるイオン分離/乾燥剤希釈を行う除湿システムの一部を、概略形態で例示する図である。
図6】高塩溶液濃度乾燥剤への低塩溶液濃度乾燥剤からの同時の流体のフローを実証する、一般化した熱および物質交換器を、概略形態で例示する図である。
図7】一般化した電気透析スタックを、概略形態で例示する図である。
図8】周囲空気湿度の範囲に対する、図6の熱および物質交換器に示されている吸収剤を使用した場合の、乾燥剤流れの濃度を示すグラフである。この図は、2つの液体乾燥剤流れの間の濃度差が小さい場合でさえも、高い除湿効率を示す。
図9】実施例2に記載されているモデルの様々な流体間の熱移動流を例示する図である。LD=液体乾燥剤、ω=絶対湿度、q=熱移動(検出可能なものまたは潜在的なもの)、Jv=乾燥剤への物質フラックス。
図10】希薄な流れの最小濃度に対する、乾燥剤流れを35%まで濃縮するための推定電気入力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するものではない、典型的かつ例示的であることを意図するシステム、手段および方法と連携して説明され、例示されている。様々な実施形態では、上記の課題の1つまたは複数が、低減される、またはなくなる一方、他の実施形態は、他の改善を対象としている。
【0031】
言い回し「入口供給空気」、「入口供給エア流れ」、「処理空気」および「処理空気流」は、本明細書において互換的に使用される。すべてが、本開示によって提供されるシステムおよび方法によって冷却および除湿されるエア流れを指す。
【0032】
本開示は、空気の除湿およびコンディショニングのためのシステムおよび方法を提供する。これは、1つまたは複数の熱および物質交換器および1つまたは複数の電気透析スタックを備える、単一統合システムによる、密閉ループにおいてシステムを流れる液体乾燥剤の使用を含む。熱および物質交換器は、処理空気(除湿されることになる)から、塩イオン濃度の高い液体乾燥剤流れ(すなわち、高濃度液体乾燥剤流れ)へ熱および湿気を移動させる。移動された熱は、次に、高濃度乾燥剤流れから、塩イオン濃度の低い液体乾燥剤流れ(すなわち、低濃度液体乾燥剤流れ)に移動される。これ以降、熱および湿気は、低塩イオン濃度乾燥剤流れから、排出空気流に移動されて、排出空気流はこのシステムから除去される。そのように行う際に、熱および物質交換器は、ある空間、例えば、建物(家、オフィスまたはその他)内の部屋から処理空気を除去し、処理空気を除湿および冷却が行われる熱および物質交換器に通過して移動させて、次に、その処理空気は、それが除去された空間に再導入する。最終結果は、除湿および冷却された空気の、空気が元々取り除かれた空間からその空間への再導入である。処理空気からの水の除去により、水を高濃度液体乾燥剤流れに添加することによって、この流れのイオン濃度が希釈される。同様に、低濃度乾燥剤流れから排出空気への水の除去により、低濃度流れ中のイオンが濃縮される。そのような乾燥剤流れの体積を再構成するため、処理空気を除湿して冷却した後に、高濃度液体乾燥剤流れおよび低濃度液体乾燥剤流れは、熱および物質交換器から1つまたは複数の電気透析スタックに移動されて、ここで、高濃度液体乾燥剤流れは、低濃度液体乾燥剤流れに変換され、同様に、低濃度液体乾燥剤流れは、高濃度液体乾燥剤流れに変換された後に、さらなる空気の除湿のため、熱および物質交換器に戻される。
【0033】
したがって、本開示によって提供されるシステムは、1つまたは複数の熱および物質交換器と1つまたは複数の電気透析スタックとの間で統合された機能を含む。本開示システムは、密閉空間において環境的快適さを維持するため、処理空気フローを除湿および/または冷却するために働く。液体乾燥剤空調ユニットなどの当分野で公知のこのような他のシステムとは異なり、本開示によって提供される実施形態では、加熱ステップは必要とされない。このようなステップは高価であり、処理空気フローの温度および湿度に応じて、かなりのエネルギー投入を必要とする可能性がある。本明細書において開示されている新規システムおよび方法は、製造業者と消費者の両方に対し、かなりの費用およびエネルギーの削減をもたらすことが期待されることを考慮する。
【0034】
処理空気の除湿は、間接的な蒸発冷却器および/または熱交換器として、1つまたは複数の物質および熱交換器(または移動アセンブリ)の使用により実現される。物質および熱交換器はそれぞれ、スタックを交互にして形成されており、各々は、一部の実施形態では、膜材料の第1の(上部)層またはシート、分離壁、および膜材料の第2の(または、下部)層またはシートを含む。上部膜および下部膜は、蒸気状態の水分子に対して透過性である一方、分離壁は、水に対して非透過性であるが、熱の移動を可能にする(すなわち、分離壁は薄層である、かつ/または熱を伝導する材料から作製されている)。各物質および熱交換器では、高濃度液体乾燥剤は、第1の膜層と分離壁との間を流れ、低濃度液体乾燥剤は、分離壁と第2の膜層との間を流れる。一部の実施形態では、1つまたは複数の物質および熱交換器が、縦一列で使用される場合、空気流の流れ順序は逆転し、こうして、それらは、互いに反対の方向に流れる。2つ超の物質および熱交換器が縦一列で使用される場合、流れ順序のこのような反転が繰り返されて、供給空気および排出空気フローチャネルまたはチャンバが交互に形成される。処理空気(または、除湿および冷却される空気)は、第1の水透過膜の第1の側に沿った第1のチャネルを通過するように向けられる一方、事前冷却された排出空気の一部(例えば、1つまたは複数の物質および熱交換器を通過した前のフローによって既に除湿および冷却された処理空気のフラクション)は、通常、入ってくる処理空気のフローに対して向流する配列で、第2の水透過膜の第2の側に沿った第2のチャネルを通過するように向けられる。したがって、高濃度液体乾燥剤フローは、処理空気から第1の水透過膜のもう一方の側に存在する一方、低濃度液体乾燥剤フロー(すなわち、排気されるように向けられた、先に処理された空気のフラクション)は、排出エアフローからの第2の水透過膜のもう一方の側に存在する。上述の通り、排出空気または除去空気のフローは、以下の通り、物質および熱交換器の所望の配列に応じて、処理空気フローと対向し得るか、または同じ方向とすることができる。
第1のチャンバ:
→処理空気の取込み→
第1の水透過膜
→高イオン濃度液体乾燥剤→
水非透過性、熱透過性プレート
第2のチャンバ:
→低イオン濃度流体乾燥剤→
第2の水透過膜
←排出空気←(または)→排出空気→
このような配列は、例えば、図2に見ることができる。様々な実施形態では、供給空気入口エアフロー、供給出口エアフロー、排出エアフロー、および両方の液体乾燥剤フローは、1つまたは複数のマニホールドアセンブリなどを介して、熱および物質交換器に配管されており、熱および物質交換器は、例えば、間接蒸発冷却器などの単一ユニットとしての筐体に設けられ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、処理空気の除湿および蒸発冷却は、水透過膜によって処理空気と高濃度液体乾燥剤とが分離されることによって達成される。膜は、蒸気状態の水分子に対して透過性となる1種または複数の物質または材料から形成されている。膜に対する水分子の浸透は、処理空気流の除湿および蒸発冷却の後の推進力となり得る/推進力である。上記の通り、複数の空気流は、単一熱および物質交換器のチャンバを流れるよう配列され得、こうして、いくつかの実施形態では、事前冷却された空気の排出エアフローである二次(排気)空気流は加湿されて、処理空気流からのエンタルピーを吸収する。処理空気流は水透過膜の反対側に沿って、高濃度液体乾燥剤を流すことによって、冷却、およびそれと同時に除湿され、水は膜を横切って移動することが可能となる。
【0036】
低濃度液体乾燥剤のフローと排出エアフローチャネルまたはチャンバとを分離するために、同じタイプの膜も使用され、こうして、この膜は、低濃度液体乾燥剤と排出空気流とを分離する。ウィッキング材料/表面、または他のデバイスを使用して、水のフローを含ませるまたは制御することができるが(例えば、直接的な接触ウィッキング表面は、膜による液体乾燥剤の閉じ込めの使用と組み合わせて使用され得る)、膜液体の制御により、プロセスエアフローの冷却および除湿をもたらす、本明細書において開示されている熱および物質交換器の構成に有用な、スタックまたはマニホールド構造体の製造が容易になる。このような構成では、空気流は、対向フロー、事前冷却された排出空気を含む対向フロー、交差フロー、並行フローおよび衝突フローで配列されて、1つ超の熱および物質交換器を含む、単一蒸発冷却ユニットにおいて、熱および物質の所望の同時交換を行うことができる。
【0037】
本明細書において開示されている実施形態は、一般に、高塩濃度および低塩濃度の部分を含む流れとして記載され得る、液体乾燥剤の連続流の1つを使用する。塩濃度が高い流れの部分は、約20重量%~約45重量%の塩を含有する。塩濃度が低い流れの部分は、約3重量%~約30重量%の塩を含有する。濃度は、高濃度液体乾燥剤流れに吸収された水の量によって制御され、これは、一部の実施形態では、低濃度流れから放出された水に一致する。
【0038】
高濃度液体乾燥剤の塩イオン濃度は、処理空気流の目標湿度に影響をもたらすために、変わり得る。処理空気流の湿度の所望のレベルが小さくなる程、高濃度液体乾燥剤の塩イオン濃度が増加し得る。高濃度液体乾燥剤の塩イオン濃度の増加により、処理空気流からより多くの水を除去することが可能となる。
【0039】
低濃度液体乾燥剤の塩イオン濃度はまた、処理空気流の目標湿度および/または温度に影響を及ぼすために、変わり得る。低濃度液体乾燥剤は、排気または除去空気流に水を放出し、この流れは、一部の実施形態では、周囲環境に反映する。周囲湿度がより低いと、この低濃度乾燥剤中での一層高い濃度が可能となり、本開示システムの完全性を維持するために十分な水を放出させることが依然として可能であることを意味する。周囲湿度では、低濃度液体乾燥剤の濃度は、水の放出速度を維持するために低下させることができる。
【0040】
当業者が認識している通り、低濃度および高濃度液体乾燥剤のどちらの塩イオン濃度も、使用される塩溶液に基づいて、やはり変わり得る。一部の塩溶液は、他のものよりも効率的に処理空気流を除湿するために働き、効率が一層低いものは、目標出口湿度を実現するため、一層高い塩イオン濃度を必要とすることがある。
【0041】
一部の実施形態はまた、第2の熱および物質交換器を含み、第1の熱および物質交換器は、空気流から、例えば、周囲空気または建物からの還気空気から入口処理空気を受け取り、第2の熱および物質交換器は、排気または除去空気として、除湿された処理空気の流れを受け取る。第2の熱および物質交換器のための排気または除去空気として働く除湿処理空気は、第1の熱および物質交換器によって生成されて、ここから流れる。
【0042】
本明細書においてプレートとも称される分離壁は、上記の第1および第2のチャンバを分離する。この壁は、高濃度および低濃度液体乾燥剤に対して非透過性であるが、低濃度液体乾燥剤の方に移動することになる処理空気の供給から除去された熱を伝導するか、またはこの熱を許容する材料(プラスチックなど)から形成されている。
【0043】
様々な実施形態では、低濃度液体乾燥剤および高濃度液体乾燥剤は、ハロゲン化物塩溶液を含む。本明細書に記載されている通り、乾燥剤流れのフローは重なるか、または連続準8字型パターンで本開示システムを移動し、低濃度乾燥剤流れは処理されて、高濃度乾燥剤流れになる、およびその反対となる。そのために、両方の乾燥剤流れは、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液から作製されており、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度である。乾燥剤溶液は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る、ハロゲン化物塩とすることができる。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0044】
本開示システムは、i)1つまたは複数の熱および物質交換器とii)1つまたは複数の電気分解スタックの両方を備える統合システムである。上で手短に、および以下に詳細に明記した通り、水は処理空気流から除去される。これは、本開示システムに2つの利点をもたらす。第1に、処理空気が除湿された後に密閉空間に戻され、その密閉空間において、湿度温度制御を行う一助となる。第2に、処理空気流から除去された水は、直接、高濃度乾燥剤流れに移動される。対照的に、水は、低濃度乾燥剤流れから排気または除去空気流に除去されて、この水は、次に、本システムから除去される。乾燥剤流れのフローは重なるか、または準8字型パターンで作動し、低濃度乾燥剤流れは電気分解により処理されて、高濃度乾燥剤流れになる、およびその反対となる。高濃度乾燥剤流れを介して、水を本開示システムに導入することによって、本開示システムは、より多くの処理空気を冷却および除湿する際に使用するための空気からの水を再利用する。そのようにすることによって、本システムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0045】
本発明者らは、驚くべきことに、i)熱および物質交換システムとii)電気分解スタックの両方を備える統合システムは、液体乾燥剤として、塩溶液の2つの流れを使用して、大きな効率を伴って空気を冷却および除湿するように操作され得ると決定づけた。熱および物質交換システムでは、高濃度液体乾燥剤と低濃度液体乾燥剤との間の濃度差は、20重量%とかなり高くなり得、一部の実施形態では、熱および物質交換器に入る高濃度液体乾燥剤は、約35重量%の塩イオン濃度を有しており、熱および物質交換器に入る低濃度液体乾燥剤は、約15重量%の塩イオン濃度を有する。純水の乾燥剤流れは、使用されない。
【0046】
高濃度(約35重量%)流体乾燥剤と低濃度(約15重量%)流体乾燥剤との間に、これまで電気透析の探索は行われてこなかった。本開示は、これらの濃度を有する流体乾燥剤流れを利用するシステムを提供する。すなわち、本開示は、i)熱および物質交換システム(これにより、高濃度および低濃度流体乾燥剤が使用されて、空気を除湿および/または冷却する)、およびii)交換器を出た消費された高濃度液体乾燥剤から消費された低濃度液体乾燥剤にイオンを移動させて、1つの流体フローを他の流体フローに効率よく変換する、電気透析システムを備えるシステムを提供する。これは、多段階電気化学脱イオン化システムを使用して実現され、このシステムは、いくつかのイオン輸送段階にわたるこのような勾配を分布させることによって、膜の濃度勾配を低下させる。液体乾燥剤として様々なイオン濃度で同じハロゲン化物塩溶液の2つの流れを使用することは、本明細書において開示されているものなどの統合システムでは、文献中に開示されていない。
【0047】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図面を参照することによって、および以下の記載を検討することによって明白になろう。
【0048】
第1の実施形態では、本開示は、図1に図示されている空間から除去された処理空気を除湿して、次に、この空間に再供給するためのシステムを提供する。本システムは、複数の電気透析スタック(102、104、106)に直接連結されている、熱および物質交換器100を備える単一統合システムである。熱および物質交換器100は、入口供給空気180の流れが流れる第1のフローチャネル1100、高濃度液体乾燥剤150を受け取り、これを産出するための、第1のフローチャネル1100に隣接した第2のフローチャネル196、低濃度液体乾燥剤158を受け取り、これを産出するための、第2のフローチャネル196に隣接した第3のフローチャネル1104、および排出空気199の流れが流れる第3のフローチャネル1104に隣接した第4のフローチャネル1102を含む。第1および第2のフローチャネルは、第1および第2のフローチャネルを分離する第1の蒸気透過膜198によって部分的に画定されており、湿気(水蒸気)176は、第1の蒸気透過膜198を横切って、入口供給空気180の流れから高濃度液体乾燥剤150まで移動する。第3および第4のフローチャネルは、第3および第4のフローチャネルを分離する第2の蒸気透過膜186によって部分的に画定されている。湿気178は、第2の蒸気透過膜186を横切り、低濃度液体乾燥剤158から排出空気199の流れまで流れる。第2および第3のフローチャネルは、第2のフローチャネル196および第3のフローチャネル1104を分離する分離壁182によって部分的に画定されている。分離壁182は、移動される熱184を第2のフローチャネル196から第3のフローチャネル1104まで移動させることを可能にする。
【0049】
この実施形態では、高濃度液体乾燥剤150は、約35重量%の塩イオン濃度を有する第2のフローチャネル196に入り、低濃度液体乾燥剤158は、約15重量%の塩イオン濃度を有する第3のチャネル1104に入る(塩イオン濃度の差は約20重量%である)。本開示システムでは、この点として、2つの乾燥剤間の塩イオン濃度がその最大点にある。2つの乾燥剤は、熱および物質交換器を移動するので、入口供給空気180から水を得た高濃度液体乾燥剤150は、その塩濃度が35重量%から30重量%まで低下している。熱および物質交換器から第3の電気分解スタック106に移動するとき、それは30重量%の濃度にある。さらに、低濃度液体乾燥剤158は、第1の電気分解スタック102に移動すると、排出空気199に水を失い、これにより、その塩濃度は15重量%から20重量%まで増加する。
【0050】
図1に図示されている実施形態はまた、3つの電気透析スタック102、104、106を備える。第1の電気透析スタック102は、第1の陽イオン透過膜171によって部分的に画定された第1の電気透析フローチャネル190を含み、ここに20重量%の塩濃度を有する中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れが流れ込み、ここから、15重量%の塩濃度を有する低濃度液体乾燥剤158の第1の流れが流れ出て、乾燥剤156は、第1のスタック102における電気分解の間に、その塩イオンを5重量%失う。第1の電気透析スタック102はまた、第1の陽イオン透過膜171によって部分的に画定された第2の電気透析フローチャネル191を含み、ここに、20重量%のイオン濃度を有する、熱および物質交換器をちょうど出た低濃度液体乾燥剤158が流れ込み、ここから、25重量%の塩濃度を有する中間の高濃度液体乾燥剤162の第1の流れが流れ出て、乾燥剤158は、第1のスタック102における電気分解の間に、塩イオンを5重量%得る。陽イオン170は、低濃度液体乾燥剤158から、第1の陽イオン透過膜171を横切って、中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れに流れ込む。陽イオン170の添加によって、低濃度液体乾燥剤158の陽イオン含有量は増加するか、または一層、濃縮された状態になり、これによって、中間の高濃度液体乾燥剤162の第1の流れが生じる。陽イオン170の除去によって、中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れの陽イオン濃度は減少するか、または一層の希薄な状態になり、これによって、低濃度液体乾燥剤158が再生される。
【0051】
第2の電気透析スタック104は、第2の陽イオン透過膜173によって部分的に画定された第3の電気透析フローチャネル192を含み、ここに、25重量%の塩イオン濃度を有する中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れが流れ込み、ここから、20重量%の塩イオン濃度を有する中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れが流れ出て、乾燥剤154は、第2のスタック104における電気分解の間に、その塩イオンを5重量%失う。第2の電気透析スタック104はまた、第2の陽イオン透過膜173によって部分的に画定された第4の電気透析フローチャネル193を含み、ここに、約25重量%の塩イオン濃度を有する中間の高濃度液体乾燥剤162の第1の流れが流れ込み、ここから、30重量%の塩イオン濃度を有する中間の高濃度液体乾燥剤164の第2の流れが流れ出て、乾燥剤162は、第2のスタック104における電気分解の間に、その塩イオンを5重量%得る。陽イオン172は、中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れから、第2の陽イオン透過膜173を横切って、中間の高濃度液体乾燥剤162の第1の流れに流れ込む。陽イオン172の除去によって、中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れの陽イオン濃度は減少するか、または希釈され、これによって、中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れが生成する。陽イオン172の添加によって、中間の高濃度液体乾燥剤162の第1の流れの陽イオン濃度が高められ、これによって、中間の高濃度液体乾燥剤164の第2の流れが生成する。
【0052】
第3の電気透析スタック106は、第3の陽イオン透過膜175によって部分的に画定された第5の電気透析フローチャネル194を含み、ここに、30重量%の塩イオン濃度を有する高濃度液体乾燥剤152が流れ込み、ここから、25重量%の塩イオン濃度を有する中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れが流れ出て、乾燥剤152は、第3のスタック106における電気分解の間に、その塩イオンを5重量%失う。第3の電気透析スタック106はまた、第3の陽イオン透過膜175によって部分的に画定された第6の電気透析フローチャネル195を含み、ここに、30重量%の塩イオン濃度を有する中間の高濃度液体乾燥剤164の第2の流れが流れ込み、ここから、35重量%の塩イオン濃度を有する高濃度液体乾燥剤150が流れ出て、乾燥剤164は、第3のスタック106における電気分解の間に、塩イオンを5重量%得る。陽イオン174は、高濃度液体乾燥剤150から、第3の陽イオン透過膜175を横切り、中間の高濃度液体乾燥剤164の第2の流れに流れ込む。陽イオン174の除去によって、高濃度液体乾燥剤150の陽イオン濃度は減少するか、または希釈されて、中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れが生成する。陽イオン174の添加によって、中間の高濃度液体乾燥剤164の第2の流れの陽イオン濃度は増加するか、または高められ、高濃度液体乾燥剤150が再生する。
【0053】
3つの電気透析スタック102、104および106の各々において、陽イオンは、3つの電気透析スタック102、104、106の各々に印加される電場に従って、陽イオン透過膜171、173、175を横切って移動する。手短に述べると、正に帯電した陽イオンは、カソードから離れるように移動する(図示せず)か、または電気化学セルの正に帯電した構成成分は、負に帯電した構成成分またはアノードの方向に移動する(図示せず)。図1に図示されている実施形態では、カソードは、3つの電気透析スタック102、104、106の各々の左側に位置しており、これによって、陽イオン170、172、174は、陽イオン透過膜171、173、175を横切って、カソードから離れるように移動する。アノードは、3つの電気透析スタック102、104、106の各々の右に位置しており、これによって、陽イオン170、172、174は、アノードの方向に移動する。陽イオン透過膜171、173、175は、陽イオンに対してしか透過性ではないので、塩溶液に存在する陰イオンは移動しない。正味の効果は、乾燥剤流れ162、164および150が、3つの電気透析スタック102、104、106を通って流れる際に、イオンによってますます濃縮された状態になることである。同様に、陽イオン174、172および170が、乾燥剤流れ154、156および158から除去されると、それらのイオン濃度は低下し、ますます希薄な状態になる。図示された実施形態は、一方の側に単一カソード(図1中の左)およびもう一方の側に単一アノード(図1中の右)を有する、単一電気化学セルとすることができる。代替的に、図示されている実施形態では、3つの電気透析スタック102、104、106の各々は、それ自体がカソードおよびアノードを有する、それ自体が電気化学セルとすることができる。このような代替的な実施形態では、カソードおよびアノードの配列は、上記の通り、図1と同じであり、左にカソードおよび右にアノードがあり、これにより、陽イオン170、172、174の図示されている移動が可能となる。
【0054】
この実施形態では、低濃度液体乾燥剤158および高濃度液体乾燥剤150は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液である。図1に示されている通り、乾燥剤流れ150および158のフローは重なるか、または連続準8字型パターンで図1に図示されている本開示システムを通過して移動し、低濃度乾燥剤流れ158は処理されて、高濃度乾燥剤流れ150になる、およびその反対となる。そのために、乾燥剤流れはどちらも、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液から作製されており、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤150は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤158は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0055】
この実施形態では、入口供給空気180から除去された水176は、高濃度乾燥剤流れ150に直接、移動して入る。対照的に、水178は、低濃度乾燥剤流れ158から排気または除去空気流199に除去されて、この水は、次に、本統合システムから除去される。図1に示される通り、乾燥剤流れ150および158のフローは重なるか、または準8字型パターンで作動し、低濃度乾燥剤流れ158は電気分解により処理されて、高濃度乾燥剤流れ150になる、およびその反対となる。高濃度乾燥剤流れ150を介して、この実施形態のシステムに水176を導入することによって、本開示システムは、その後の運転サイクルにおいて、より多くの入口供給空気180の冷却および除湿に使用するために、入口供給空気180からの水を再利用する。そのようにすることによって、本実施形態のシステムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0056】
図1に図示されている実施形態は、3つの電気透析スタックを含む。当業者は、電気透析スタックの数は変わり得ること、および所望の陽イオン濃度を有する低濃度液体乾燥剤158および高濃度液体乾燥剤150を生成するために、十分な数の電気透析スタックを使用することができることを認識している。1つより多い熱および物質交換器も使用することができる。同様に、2つの液体乾燥剤流れしか示されていないが、当業者は、追加の溶液フローを用いて一対のチャネルを複数回、繰り返すこともできることを認識している。3つより少ないまたは3つより多い電気透析スタックを収容するためのシステムへの改変、一対のチャネルを繰り返す際の複数の溶液フロー、および1つより多い熱および物質交換器が、当業者に公知であろう。
【0057】
第2の実施形態では、本開示は、図2に図示されている空間に供給される空気を除湿するためのシステム、および関連する使用方法を提供する。図2は、熱および物質交換器200および単一の多層電気透析スタック202を備える、単一統合システムを図示する。熱および物質交換器200は、入口供給空気270の流れが流れる第1のフローチャネル290、高濃度液体乾燥剤210の流れが流れる第1のフローチャネル290に隣接した第2のフローチャネル292、低濃度液体乾燥剤224の流れが流れる第2のフローチャネル292に隣接した第3のフローチャネル294、および排出空気282の流れが流れる第3のフローチャネル294に隣接した第4のフローチャネル296を含む。第1および第2のフローチャネル290および292は、第1および第2のフローチャネル290および292を分離する第1の蒸気透過膜274によって部分的に画定されており、湿気272(水蒸気)は、入口供給空気270の流れから高濃度液体乾燥剤210に流れ、高濃度液体乾燥剤210は、入口供給空気270からの水の添加により体積が増加する。同様に、第3および第4のフローチャネル294および296は、第3および第4のフローチャネル294および296を分離する第2の蒸気透過膜278によって部分的に画定されている。湿気280(水蒸気)は、低濃度液体乾燥剤224から排出空気282に流れる。水が低濃度液体乾燥剤224から排出空気282に除去されるにつれて、低濃度液体乾燥剤224の体積が減少する。第2および第3のフローチャネルは、第2および第3のフローチャネル292および294を分離する分離壁276によって部分的に画定されており、分離壁276は、水または水蒸気のフローに対して非透過性であるが、第2のフローチャネル292から第3のフローチャネル294に熱278を移動させることが可能な材料から作製されている。入口供給空気270は、第1のフローチャネル290を通過して流れる際に、熱278の移動によりその温度が低下する。
【0058】
図2に示されている通り、低濃度液体乾燥剤224および高濃度液体乾燥剤210は、次に、熱および物質交換器200から統合された多層電気透析スタック202に移動する。図2に図示されている電気透析スタック202は、7つのフローチャネルを含む。第1の電解質溶液242の流れを受け取る第1のフローチャネルは、アノードプレート250によって部分的に、および第1の陽イオン交換膜252によって部分的に画定されている。第1のフローチャネルに隣接する第2のフローチャネルは、第1の陽イオン交換膜252によって部分的に、および第1の陰イオン交換膜254によって部分的に画定されている。この第2のフローチャネルは、低濃度液体乾燥剤224の第1の部分230を受け取り、高濃度液体乾燥剤210の第1の部分236を産出する。第2のフローチャネルに隣接する第3のフローチャネルは、第1の陰イオン交換膜254によって部分的に、および第2の陽イオン交換膜256によって部分的に画定されている。この第3のフローチャネルは、高濃度液体乾燥剤210の第1の部分216を受け取り、低濃度液体乾燥剤224の第1の部分220を産出する。第3のフローチャネルに隣接する第4のフローチャネルは、第2の陽イオン交換膜256によって部分的に、および第2の陰イオン交換膜258によって部分的に画定されている。この第4のフローチャネルは、低濃度液体乾燥剤224の第2の部分232を受け取り、高濃度液体乾燥剤210の第2の部分238を産出する。第4のフローチャネルに隣接する第5のフローチャネルは、第2の陰イオン交換膜258によって部分的に、および第3の陽イオン交換膜260によって部分的に画定されている。この第5のフローチャネルは、高濃度液体乾燥剤210の第2の部分218を受け取り、低濃度液体乾燥剤224の第2の部分222を産出する。第5のフローチャネルに隣接する第6のフローチャネルは、第3の陽イオン交換膜260によって部分的に、および第3の陰イオン交換膜262によって部分的に画定されている。この第6のフローチャネルは、低濃度液体乾燥剤224の第3の部分234を受け取り、高濃度液体乾燥剤210の第3の部分240を産出する。第2の電解質溶液244の流れを受け取る第7のフローチャネルは、第3の陰イオン交換膜262によって部分的に、およびカソードプレート264によって部分的に画定されている。一部の実施形態は、上記の電気透析スタックに類似した、追加の電気透析スタックを含む。
【0059】
図2に示される通り、高濃度液体乾燥剤210は、熱および物質交換器200を出た後、電気透析スタック202に移動されて、ここで、2つの部分216および218に分かれ、これらの部分は、それぞれ、第3および第5のチャネルに入る。さらに、低濃度液体乾燥剤224は、熱および物質交換器200を出た後、電気透析スタック220に移動されて、ここで、3つの部分230、232および234に分かれ、これらの部分は、それぞれ、第2、第4および第6のチャネルに入る。次に、電気透析は、図示したチャネルで行われ、陽イオンは、カソードプレート264から離れてアノードプレート250の方に移動し、陰イオンは、アノードプレート250から離れてカソードプレート264の方に移動する。液体乾燥剤がチャネルを通って移動するにつれて、イオンは、示された方向で、イオン透過膜252、254、256、258、260および262を横切って移動する。電気透析の結果は、第2、第4および第6のチャネルを通過して移動する液体乾燥剤中のイオンの濃度が増加することである。次に、フラクション236、238および240はプールされて、熱および物質交換器200にリサイクルされる高濃度液体乾燥剤224となる。それに伴って、第3および第5のチャネルを通過して移動する液体乾燥剤中のイオンの濃度は減少する。次に、フラクション220および222はプールされて、熱および物質交換器200にリサイクルされる低濃度液体乾燥剤224となる。
【0060】
この実施形態では、低濃度液体乾燥剤224は、熱および物質交換器200を出た後に、電気透析スタック202に移動されて、ここで、電気透析が施される。そのような電気透析の結果は、低濃度液体乾燥剤224が、次に、高濃度液体乾燥剤210に変換されて移動し、熱および物質交換器200に戻ることである。同様に、高濃度液体乾燥剤210は、熱および物質交換器200を出た後に、電気透析スタック202に移動されて、ここで、電気透析が施される。そのような電気透析の結果は、高濃度液体乾燥剤210が、次に、低濃度液体乾燥剤224に変換されて移動し、熱および物質交換器200に戻ることである。熱および物質交換器200と電気透析スタック202との統合により、2つの液体乾燥剤流れは、入口供給空気270が処理されている間に、交換されることが可能となる。これにより、体積およびイオン含有物は、より少ない電気を使用しながら、液体乾燥剤流れ間を行き来して移動するので、両方の乾燥剤流れの再使用を繰り返すことが可能となる。最終結果は、現在、上市されている間接的蒸発冷却および除湿システムよりもエネルギー効率が高い統合システムである。
【0061】
さらに、この実施形態では、低濃度液体乾燥剤224および高濃度液体乾燥剤210は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液である。図2に示されている通り、乾燥剤流れ210および224のフローは重なるか、または連続準8字型パターンで図2に図示されている本開示システムを通過して移動し、低濃度乾燥剤流れ224は処理されて、高濃度乾燥剤流れ210になる、およびその反対となる。そのために、乾燥剤流れはどちらも、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液から作製されており、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤210は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤224は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0062】
この実施形態では、入口供給空気270から除去された水272は、高濃度乾燥剤流れ210に直接、移動して入る。対照的に、水280は、低濃度乾燥剤流れ224から排気または除去空気流282に除去されて、この水は、次に、本統合システムから除去される。図2に示される通り、乾燥剤流れ210および224のフローは重なるか、または準8字型パターンで作動し、低濃度乾燥剤流れ224は電気分解により処理されて、高濃度乾燥剤流れ210になる、およびその反対となる。高濃度乾燥剤流れ210を介して、この実施形態のシステムに水272を導入することによって、本開示システムは、その後の運転サイクルにおいて、より多くの入口供給空気270の冷却および除湿に使用するために、入口供給空気270からの水を再利用する。そのようにすることによって、本実施形態のシステムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0063】
第3の実施形態では、図2を参照すると、本開示は、
熱および物質交換器200において、加湿された入口供給空気270を第1のフローチャネル290に通して、および高濃度流体乾燥剤210を第1の蒸気透過膜274の反対側に沿った第2のフローチャネル292に通して移動させるステップと、
熱および物質交換器200において、低濃度流体乾燥剤224を第3のフローチャネル294に通して、および排出空気流282を第2の蒸気透過膜278の反対側に沿った第4のフローチャネル296に通して移動させるステップであって、蒸気非透過性分離壁276が、第2のフローチャネル292および第3のフローチャネル294を分離する、ステップと、
熱および物質交換器200から入口供給空気270を産出するステップと、
高濃度流体乾燥剤210および低濃度流体乾燥剤224を、熱および物質交換器200から電気透析スタック202に移動させるステップと、
それぞれ、第2のフローチャネル292および第3のフローチャネル294においてさらに使用するために、高濃度流体乾燥剤210および低濃度流体乾燥剤224を再利用するステップと
を含む、入口供給空気270を冷却および除湿する方法であって、
水蒸気272が、加湿された入口供給空気270から、第1の膜274を横切って、高濃度流体乾燥剤210に移動して、入口供給空気270を除湿し、
熱278が、高濃度流体乾燥剤210から分離壁276を横切って、低濃度流体乾燥剤224に移動して、入口供給空気270を冷却し、
水蒸気280が、低濃度流体乾燥剤224から、第2の水透過膜278を横切って、排出空気流282に移動し、
電気分解スタック202において、再利用前に、高濃度流体乾燥剤210は処理されて、低濃度流体乾燥剤224になり、低濃度流体乾燥剤224が処理されて、高濃度流体乾燥剤210になる、
方法を提供する。
【0064】
この実施形態では、電気分解スタック202において、高濃度流体乾燥剤210の処理は、
高濃度流体乾燥剤210流れを、高濃度流体乾燥剤216および218という2つの流れに分割するステップと、
電気分解によって、陽イオンを高濃度流体乾燥剤216および218の2つの流れから、2つの陽イオン透過膜256および260を横切って離れるように移動させ、かつ陰イオンを高濃度流体乾燥剤216および218の2つの流れから、2つの陰イオン透過膜254および258を横切って離れるように移動させて、低濃度流体乾燥剤220および224という2つの流れを生成するステップと、
低濃度流体乾燥剤220および224という2つの流れを一緒にして、低濃度流体乾燥剤224流れを生成するステップと
を含む。
【0065】
この実施形態では、電気分解スタック202において、低濃度流体乾燥剤224の処理は、
低濃度流体乾燥剤224流れを、低濃度流体乾燥剤230、232および234という3つの流れに分割するステップと、
電気分解によって、陽イオンを3つの陽イオン透過膜252、256および260を横切って、低濃度流体乾燥剤230、232および234の3つの流れに移動させて、かつ電気分解によって、陰イオンを3つの陰イオン透過膜254、258および262を横切って、低濃度流体乾燥剤230、232および234という3つの流れに移動させて、高濃度流体乾燥剤236、238および240という3つの流れを生成するステップと、
高濃度流体乾燥剤236、238および240という3つの流れを一緒にして、高濃度流体乾燥剤210流れを生成するステップと
を含む。
【0066】
この実施形態では、電気透析スタック202において、再利用前に、高濃度流体乾燥剤216および218という2つの流れは、一連の交互にある陽イオン透過膜および陰イオン透過膜の反対側に沿って、低濃度流体乾燥剤230、232および234という3つの流れの間にインターカレートされている。一部の実施形態では、交互にある陽イオン透過膜および陰イオン透過膜の順序は、陽イオン透過膜252、陰イオン透過膜254、陽イオン透過膜256、陰イオン透過膜258、陽イオン透過膜260および陰イオン透過膜262となる。
【0067】
図2に示されている通り、陽イオンおよび陰イオンは、上記の電気分解により、高濃度流体乾燥剤216および218の2つの流れからイオン透過膜を横切って、低濃度流体乾燥剤230、232および234という3つの流れに移動する。高濃度流体乾燥剤216および218の2つの流れ中のイオンの濃度は、低下した状態になり、低濃度流体乾燥剤230、232および234の3つの流れ中のイオンの濃度は増加する。電気透析の結果は、高濃度液体乾燥剤210が、第2のフローチャネル292を出た後に、電気分解により低濃度液体乾燥剤224に変換されて移動し、第3のフローチャネル294に戻ることである。熱および物質交換器200と電気透析スタック202との統合により、2つの液体乾燥剤流れは、入口供給空気270が処理されている間に、交換されることが可能となる。これにより、体積およびイオン含有物は、より少ない電気を使用しながら、液体乾燥剤流れ間を行き来して移動するので、両方の乾燥剤流れの再使用を繰り返すことが可能となる。最終結果は、現在、上市されている間接的蒸発冷却および除湿システムよりもエネルギー効率が高い統合システムである。
【0068】
さらに、この実施形態では、低濃度液体乾燥剤224および高濃度液体乾燥剤210は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液である。図2に示されている通り、乾燥剤流れ210および224のフローは重なるか、または連続準8字型パターンで図2に図示されている本開示システムを通過して移動し、低濃度乾燥剤流れ224は処理されて、高濃度乾燥剤流れ210になる、およびその反対となる。そのために、乾燥剤流れはどちらも、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液から作製されており、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤210は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤224は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0069】
この実施形態では、入口供給空気270から除去された水272は、高濃度乾燥剤流れ210に直接、移動して入る。対照的に、水280は、低濃度乾燥剤流れ224から排気または除去空気流282に除去されて、この水は、次に、本統合システムから除去される。図2に示される通り、乾燥剤流れ210および224のフローは重なるか、または準8字型パターンで作動し、低濃度乾燥剤流れ224は電気分解により処理されて、高濃度乾燥剤流れ210になる、およびその反対となる。高濃度乾燥剤流れ210を介して、この実施形態のシステムに水272を導入することによって、本開示システムは、その後の運転サイクルにおいて、より多くの入口供給空気270の冷却および除湿に使用するために、入口供給空気270からの水を再利用する。そのようにすることによって、本実施形態のシステムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0070】
第4の実施形態では、本開示は、図3で提供されている通り、空気を冷却して除湿するためのさらに別のシステムを提供する。この実施形態では、処理空気流300は、蒸気透過膜304の第1の側に沿った熱および物質交換器を通って移動される。高濃度液体乾燥剤320もまた、蒸気透過膜304の第2の側に沿って、熱および物質交換器を通って移動される。処理空気流300および高濃度液体乾燥剤320は、第1の蒸気透過膜304によって分離される。水蒸気302は、処理空気流300から第1の蒸気透過膜304を横切って、高濃度液体乾燥剤320に流れる。これにより、高濃度液体乾燥剤320は、第1の処理空気流300からの水蒸気302によって希釈され、ここで、次に、熱および物質交換器から電気分解スタックへと移動される。結果は、プロセスエア流れが除湿されるということである。
【0071】
除去空気流314が受け入れられて、第2の水蒸気透過膜310の第1の側に沿って、熱および物質交換器を通って流れる。低濃度液体乾燥剤332もまた、第2の水蒸気透過膜310の第2の側に沿って、熱および物質交換器を通って流れる。クーラント(冷却体)空気流314および低濃度液体乾燥剤332は、第2の蒸気透過膜310によって分離される。水蒸気312は、第2の蒸気透過膜310を横切って、低濃度液体乾燥剤332から除去空気流314に流れ込む。したがって、低濃度液体乾燥剤332は、低濃度液体乾燥剤332から除去空気流への水蒸気312の蒸発によって一層濃縮された状態になり、ここで、次に、電気透析スタックへと移動される。
【0072】
熱および物質交換器において、高濃度液体乾燥剤320および低濃度液体乾燥剤332は、水蒸気非透過性障壁306によって分離される。高濃度流体乾燥剤320からの熱308は、障壁306を横切って、低濃度流体乾燥剤332に移動する。結果は、入口空気300の冷却となる。
【0073】
電気分解スタックにおいて、熱および物質交換器からの高濃度液体乾燥剤320は、2つの高濃度流れ324および326に分割されて、電気透析スタック344および352の個別のチャネルに流される。電気透析中、電気透析スタックは、高濃度流れ324および326からイオンを除去し、低濃度のイオンを含有する流れ328および330を生成する。次に、低濃度流れ328および330は一緒にされて、低濃度液体乾燥剤332を生成し、これは、リサイクルされて、熱および物質交換器に戻される。
【0074】
さらに、電気分解スタックでは、熱および物質交換器からの低濃度液体乾燥剤332は、チャネル344および352の間に位置する電気透析スタックの単一中央部チャネル348に流される。電気分解の間に、電気透析スタックは、中央部チャネル348にイオンを移動させて、高濃度液体乾燥剤320を生成し、これは、リサイクルされて、熱および物質交換器に戻される。
【0075】
イオンは、イオン透過膜342、346、350および354を横切ることによって、チャネル344および352からチャネル348に移動する。電気分解では、イオンは、スタックに印加された電流に従い移動し、陽イオンは、カソードから離れてアノードの方に移動し、陰イオンは、アノードから離れてカソードの方に移動する。図示した実施形態では、構造体340は、電気透析スタックの所望の構成に応じて、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。同様に、構造体356は、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。当業者が認識している通り、構造体340がカソードである場合、構造体356はアノードである。同様に、構造体340がアノードである場合、構造体356はカソードである。追加の電気透析フローチャネルおよび膜は、アノードとカソードとの間に位置することができ、複数の電気透析スタックが、直列で配列され得る。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれより多くの電気透析スタックを、直列に配列させることができる。
【0076】
この実施形態では、低濃度液体乾燥剤332は、熱および物質交換器を出た後に、電気透析スタックに移動されて、ここで、電気透析が施される。そのような電気透析の結果は、低濃度液体乾燥剤332が、次に、高濃度液体乾燥剤320に変換されて移動し、熱および物質交換器に戻ることである。同様に、高濃度液体乾燥剤320は、熱および物質交換器を出た後に、電気透析スタックに移動されて、ここで、電気透析が施される。そのような電気透析の結果は、高濃度液体乾燥剤320が、次に、低濃度液体乾燥剤332に変換されて移動し、熱および物質交換器に戻ることである。熱および物質交換器と電気透析スタックとの統合により、2つの液体乾燥剤流れは、入口供給空気300が処理されている間に、交換されることが可能となる。これにより、体積およびイオン含有物は、より少ない電気を使用しながら、液体乾燥剤流れ間を行き来して移動するので、両方の乾燥剤流れの再使用を繰り返すことが可能となる。最終結果は、現在、上市されている間接的蒸発冷却および除湿システムよりもエネルギー効率が高い統合システムである。
【0077】
さらに、この実施形態では、低濃度液体乾燥剤332および高濃度液体乾燥剤320は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液である。図3に示されている通り、乾燥剤流れ320および332のフローは重なるか、または連続準8字型パターンで図3に図示されている本開示システムを通過して移動し、低濃度乾燥剤流れ332は処理されて、高濃度乾燥剤流れ320になる、およびその反対となる。そのために、乾燥剤流れはどちらも、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液から作製されており、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤320は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤332は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、臭化リチウム(LiBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0078】
この実施形態では、入口供給空気300から除去された水302は、高濃度乾燥剤流れ320に直接、移動して入る。対照的に、水312は、低濃度乾燥剤流れ332から排気または除去空気流314に除去されて、この水は、次に、本統合システムから除去される。図3に示される通り、乾燥剤流れ320および332のフローは重なるか、または準8字型パターンで作動し、低濃度乾燥剤流れ332は電気分解により処理されて、高濃度乾燥剤流れ320になる、およびその反対となる。高濃度乾燥剤流れ320を介して、この実施形態のシステムに水302を導入することによって、本開示システムは、その後の運転サイクルにおいて、より多くの入口供給空気300の冷却および除湿に使用するために、入口供給空気300からの水を再利用する。そのようにすることによって、本実施形態のシステムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0079】
図4および図5は、本開示によって提供される除湿システムの第5の実施形態を図示しており、水吸収(熱および物質交換器において行われる)およびイオン分離(電気透析スタックにおいて行われる)のさらに他の例を例示している。この実施形態では、図4に図示されているプロセスは、図5に図示されているプロセスから離れて行われ得る。このようなプロセスは、閉鎖された統合システム内の個別の構造体間に分割されることがある。図4および図5の図示されている実施形態は、互いに連続するループでは行われないが、それらは、このような操作のために調節され得る。むしろ、図4および図5の図示されている実施形態は、2つの補足的であるが、個別のループで行われる。
【0080】
図4に提示されているこの実施形態の部分では、水吸収のプロセスは、湿気402が水蒸気の形態で、処理空気400から蒸気透過膜404を横切って、液体乾燥剤420に移動することを含み、液体乾燥剤420からの熱408は、水蒸気非透過性障壁406を横切って、クーラント側(例えば、図5に図示されているものなど)に移動する。
【0081】
処理空気400は、空気と膜404の一方の側を流れる乾燥剤流れ420とを分離する蒸気透過膜404のもう一方の側に沿って流れる。一部の実施形態では、乾燥剤流れ420は、高濃度の塩イオンを含有して、高濃度乾燥剤流れ420になる。湿気(水蒸気)402は、膜404を横切り、処理空気400から高濃度乾燥剤流れ420まで流れる。高濃度液体乾燥剤420を含有するフローチャネルの反対側に、水蒸気に対して非透過性であるが、熱の形態のエネルギーの自由移動を可能にする、障壁406が存在している。図示した実施形態では、熱408は、高濃度乾燥剤流れ420から、障壁406を横切って、クーラント側に流れる。水402が、一旦、処理空気400から高濃度液体乾燥剤420まで移動されると、乾燥剤420は、熱および物質交換器から電気透析スタックまで移動される。
【0082】
この実施形態では、水402は、入口供給空気400から除去されて移動し、高濃度乾燥剤流れ420に入る。したがって、本開示システムは、その後の運転サイクルにおいて、より多くの入口供給空気400の冷却および除湿に使用するために、入口供給空気400からの水を直接、再利用することが可能である。そのようにすることによって、本実施形態のシステムは、都市資源からそれほど多くの水を利用しないことが可能となり、環境影響を和らげる。
【0083】
電気透析スタックでは、高濃度乾燥剤流れ420は、チャネル444および452に流れ込む、高濃度流れ424および426に分割される。低濃度の塩イオン434を含有する流体乾燥剤のフローは、別の位置(図示せず)から運ばれて移動され、チャネル444と452との間に位置する中央部チャネル448に入る。電気分解の間に、電気透析スタックは、中央部チャネル448にイオンを移動させて、高濃度液体乾燥剤420を生成し、これは、リサイクルされて、熱および物質交換器に戻る。
【0084】
イオンは、曲線の矢印によって図示されている方向でイオン透過膜442、446、450および454を横切ることによって、チャネル444および452からチャネル448に移動する。電気分解では、イオンは、スタックに印加された電流に応じて移動し、陽イオンは、カソードから離れてアノードの方に移動し、陰イオンは、アノードから離れてカソードの方に移動する。図示した実施形態では、構造体440は、電気透析スタックの所望の構成に応じて、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。同様に、構造体456は、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。当業者が認識している通り、構造体440がカソードである場合、構造体456はアノードである。同様に、構造体440がアノードである場合、構造体456はカソードである。追加の電気透析フローチャネルおよび膜は、アノードとカソードとの間に位置することができ、複数の電気透析スタックが、直列で配列され得る。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれより多くの電気透析スタックを、直列に配列させることができる。
【0085】
この実施形態では、低濃度の塩イオン434を含有する流体乾燥剤は、電気透析の結果として、塩イオンが高度に濃縮された状態になり、後の処理リサイクルのため、熱および物質交換器に移動されて戻される高濃度液体乾燥剤420になる。
【0086】
高濃度流れ424および426は、電気分解の間に塩イオンを失い、低濃度流れ428および430になり、これらは、低濃度流体乾燥剤432へと一緒にされて、これは、本統合システムの別の部分において、低濃度液体乾燥剤として使用するためのシステムの別の部分に移動される。
【0087】
さらに、この実施形態では、低濃度の塩イオン434を含有する流体乾燥剤および高濃度液体乾燥剤420は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液である。図4に図示されているシステムは、閉鎖システムの一部を表し、それにより、低濃度の塩イオン434を含有する流体乾燥剤は、処理されて、高濃度乾燥剤流れ420となる。一貫性のある操作性を確実にするため、塩溶液は、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液でなければならず、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤420は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤432は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0088】
図5に提示されているこの実施形態の一部では、水冷却のプロセスは、熱500の、水蒸気非透過性障壁502を横切る、液体乾燥剤520への移動を含む。液体乾燥剤520からの水蒸気506は、蒸気透過膜504を横切り、除去またはクーラント空気508のフローへと移動する。熱500は、図4に図示されているものなどの、水吸収プロセスに由来し得る。
【0089】
一部の実施形態では、乾燥剤流れ520は、低濃度の塩イオンを含有して、低濃度乾燥剤流れ520になる。低濃度流体乾燥剤520は、乾燥剤流れ520と膜504の一方の側を流れる除去またはクーラント空気508とを分離する蒸気透過膜504のもう一方の側に沿って流れる。湿気(水蒸気)506は、膜504を横切り、低濃度流体乾燥剤520から除去またはクーラント空気508まで流れる。低濃度液体乾燥剤520を含有するフローチャネルの反対側に、水蒸気に対して非透過性であるが、熱の形態のエネルギーの自由移動を可能にする、障壁502が存在している。図示した実施形態では、熱500は、水を吸収する側から障壁502を横切って、低濃度乾燥剤流れ520に流れ込む。水402が、一旦、低濃度液体乾燥剤520から移動されると、乾燥剤520は、熱および物質交換器から電気透析スタックまで移動される。
【0090】
電気透析スタックでは、高濃度の塩イオン526を含有する流体乾燥剤の第1のフローは、別の位置(図示せず)から運ばれ、チャネル544および552に流れて入る高濃度流れ528および530に分割される。熱および物質交換器から来る低濃度流体乾燥剤520は、チャネル544と552との間に位置する中央部チャネル548に移動されて入る。電気分解の間に、電気透析スタックは、イオンを中央部チャネル548に移動させて、高濃度の塩イオン524を含有する流体乾燥剤の第2のフローを生成し、これは、閉鎖統合システムの別の部分に移動される。
【0091】
電気分解の間に、高濃度流れ528および530は塩イオンを失い、低濃度流れ532および534になる。それらの流れは一緒になって、低濃度流体乾燥剤520を形成し、これは、次に、さらなる処理ラウンドのために、熱および物質交換器にリサイクルされる。
【0092】
イオンは、曲線の矢印によって図示されている方向でイオン透過膜542、546、550および554を横切ることによって、チャネル544および552からチャネル548に移動する。電気分解では、イオンは、スタックに印加された電流に応じて移動し、陽イオンは、カソードから離れてアノードの方に移動し、陰イオンは、アノードから離れてカソードの方に移動する。図示した実施形態では、構造体540は、電気透析スタックの所望の構成に応じて、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。同様に、構造体556は、カソードまたはアノードのどちらか一方とすることができる。当業者が認識している通り、構造体540がカソードである場合、構造体556はアノードである。同様に、構造体540がアノードである場合、構造体556はカソードである。追加の電気透析フローチャネルおよび膜は、アノードとカソードとの間に位置することができ、複数の電気透析スタックが、直列で配列され得る。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれより多くの電気透析スタックを、直列に配列させることができる。
【0093】
さらに、この実施形態では、高濃度の塩イオン526を含有する流体乾燥剤、および低濃度液体乾燥剤520は、それぞれ、同じハロゲン化物塩溶液を含有する。一貫性のある操作性を確実にするため、塩溶液は、同じ溶液、多くの場合、ハロゲン化物塩溶液でなければならず、2つの間の差異は、特定の乾燥剤フロー流れ中のイオンの濃度であり、すなわち、両方の乾燥剤が、熱および物質交換器に入るときに、高濃度液体乾燥剤524は、35重量%の塩イオン濃度を有しており、低濃度液体乾燥剤520は、15重量%の塩イオン濃度を有する。ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化リチウム(LiCl)、塩化銅(II)(CuCl)、塩化銀(AgCl)、塩化カルシウム(CaCl)、フッ化塩素(ClF)、ブロモメタン(CHBr)、ヨードホルム(CHI)、塩化水素(HCl)、臭化リチウム(LiBr)、臭化水素(HBr)およびそれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClおよびCaClから選択される。一部の実施形態では、ハロゲン化物塩溶液は、LiClである。乾燥剤はまた、酢酸カリウムまたは酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(CAS番号143314-17-4)とすることができる。
【0094】
[実験例]
[実験例1]
図6は、本開示によって提供される実施形態に一致する熱および物質交換器を図示する。図6は、「プレート」の左側に、水蒸気がどのように、膜を通過して拡散し、濃縮された塩溶液乾燥剤流れに吸収され得るかを示している。「プレート」の右側において、水は希釈された塩溶液乾燥剤流れから蒸発し、膜を通過して、個々のエア流れに入る。一層低い濃度を有する塩溶液(「プレート」の右側)は一層高い蒸気圧を有しており、したがって、水をクーラント空気流に蒸発させる一方、水蒸気は処理空気流から除去されて、高濃度塩溶液に吸収される。吸収および蒸発は、同時に行われ、高濃度溶液から低濃度溶液への熱移動のための強力な推進力を誘発する。本明細書において提示されている通り、図6に図示されているものなどの熱および物質交換器は、統合システムの一部として働くことができ、このシステムはやはり、乾燥剤を濃縮するためのイオン移動を使用して、電気化学的再生のための1つまたは複数の電気分解スタックを含み、物質および熱交換器は、4流体用吸収剤を提供し、希釈された乾燥剤流れからの水を受け入れない。4つの流体は、処理空気流、高濃度塩溶液流体乾燥剤、低濃度塩溶液流体乾燥剤、および除去またはクーラント空気流である。
【0095】
[実験例2]
電気透析または他のイオン-分離技術が、有望な再生法であり、ここで、塩イオンおよび水分子は、エネルギー集約液体/蒸気相変化なしに分離される。このプロセスは、既に希釈された乾燥剤流れからイオンを移動させて、イオンを、イオン交換膜を横切らせて輸送し、強力な乾燥剤流れをさらに濃縮する。どちらの流れも、その後の使用のために保管され得る。電気透析は、本開示によって提供されるシステムおよび方法に有用な、高濃度乾燥剤向けではなく、脱塩および廃水処理に一般的である。既存の研究は、もっぱら、電気透析を液体-乾燥剤サイクルにどのように統合するかではなく、1つの濃度から別の濃度まで水分を運ぶためのエネルギーに着目している。
【0096】
本願の出願前に行われていることが公知の電気化学的再生が、図7に示されており、ここで、正イオンおよび負イオンが、陽イオン膜および陰イオン膜を横切って移動し、濃縮および希釈された液体流れを生成する。しかし、先行技術となる電気化学的再生法からの希釈された流れの取り出しは、非常に低濃度の乾燥剤を必要とし、こうして、濃縮物が標準的な蒸気圧縮型エアコン向けであるのと同様に、乾燥剤は排水管に廃棄され得る(ほとんど純水)。しかし、電気透析および他の電気化学プロセスの性能は、大きな濃度勾配にわたり作業する場合、特に希釈された流れが非常に低濃度である場合、悪化する。これは、乾燥剤の再生に必要であり、35%(重量基準)の液体乾燥剤を生じる。
【0097】
対照的に、本明細書において開示されている手法は、純水よりもむしろ、低濃度乾燥剤流れ(約15重量%)を生成する。水は、低濃度溶液を4流体型除湿器の冷却側に向かわせることによって除去され(図6に示されている)、ここで、この溶液は蒸発して、濃縮された乾燥剤流れを蒸発および冷却し、乾燥剤からの吸収熱を除去する。高(約35%重量%)濃度流体乾燥剤と中(約15%重量%)濃度流体乾燥剤との間に、これまで電気透析の探索は行われてこなかった。本開示は、これらの濃度を有する流体乾燥剤流れを利用するシステムを提供する。上で説明した通り、これは、多段階電気化学脱イオン化システムを使用して達成することができ、このシステムは、いくつかのイオン輸送段階にわたるこのような勾配を分布させることによって、膜の濃度勾配を低下させる。
【0098】
吸収剤のモデルを作製し、このプロセスの場合に、濃度の差がどのように低下され得るかを示す。モデル化の結果が、図8に示されている。周囲湿度に応じて、濃度差は非常に小さく、効率を劇的に向上させることができる。希釈された流れは、高い周囲空気湿度にある場合でさえも、依然として、純水(これは、排水管に排出するために必要であろう)からほど遠く、かなり少ない段階で、一層効率的な電気化学プロセスが可能である。
【0099】
乾燥剤流れの必要な濃度を予測するため、図2に示されている4つの流体、すなわち2つのエア流れおよび2つの乾燥剤流れのモデルを構築した。2つの空気チャネルは約3mmの幅であり、乾燥剤チャネルは約0.5mmの幅である。20ミクロンの多孔質膜を乾燥剤と空気との間に使用する。このモデルは、以下の流れ方向での交差フロー幾何学と仮定する。
・ 高濃度乾燥剤 - 垂直方向下向き
・ 低濃度乾燥剤 - 垂直方向下向き
・ 処理空気流 - 水平方向
・ クーラント空気流 - 垂直方向下向き
【0100】
このモデルは、デバイス内の各節点における4つの流体間での熱および物質の移動を計算する有限差分モデルである。水平方向に15個の節点が存在し、垂直方向に8個の節点が存在する。熱および質量移動係数は、膜を横切る水蒸気拡散の場合を含め、文献からの相関関係に基づいて、各流体の場合に計算する。膜は、両方の液体乾燥剤流れに含まれ得る、どちらにも含まれ得ない、またはいくつかの組合せに含まれ得る。
【0101】
異なる流れ間の熱および物質移動のフローを、温度、湿度および濃度プロファイルと共に図9に示す。プロセス側の乾燥剤の蒸気圧を低くして、空気から乾燥剤への湿度駆動ポテンシャルを設定する。乾燥剤への水蒸気の吸収は、蒸発エンタルピーを放出し、乾燥剤を加熱する。次に、そのような乾燥剤中の熱は、プロセスエア流れに移動され、プレートを横切って、低濃度液体乾燥剤に入る。水蒸気は、この第2の乾燥剤流れから蒸発し、これにより熱が吸収される。これにより、クーラントエア流れ、やはりまたプレートを横切って高濃度乾燥剤が冷却される。乾燥剤薄膜内の濃度分極はまた、水分子が乾燥剤薄膜内部で拡散する物質移動係数の推定値を使用して計算される。
【0102】
このモデルは、Engineering Equation Solverプログラムで、反復ソルバーを使用して、出口温度および出口濃度または湿度を計算する。このモデルは以下の独立変数を有する。
・ 液体乾燥剤の流速(4L/分)
・ 乾燥剤の入口温度(30℃)
・ 還気空気温度(27℃)
・ 還気空気入口絶対湿度(11.1g/kg)
・ プロセスおよびクーラント側のエアフロー速度(3400m/時)
・ 入口クーラント空気温度(35℃)
・ 入口クーラント空気絶対湿度(10g/kg~20g/kgの範囲)
・ 注:プロセス側入口温度および湿度は、30%の換気空気(30%の室外空気(これは、クーラント空気に一致する)および70%の還気空気)であると見なして計算する。
【0103】
出口絶対湿度は、モデル(8g/kg)で指定し、次に、異なる入口絶対湿度の場合に実行する。このモデルは、必要な出口絶対湿度をもたらすための強い側および弱い側の必要な濃度を解明し、その結果、クーラントエア流れにおける水蒸発速度は、プロセス側の水蒸気吸収速度に一致する。これは、システムに入る水およびシステムから出ていく水に関する物質収支を確保する。
【0104】
このモデル化結果が、図8に示されている。これは、濃度が、希釈された流れを排水管に廃棄するために必要な濃度よりもどの程度高いかを示すものである(質量分率<0.0002)。希釈された流れの質量分率が高いほど、電気透析再生器は、それほど多くのエネルギーを使用しない。
【0105】
[実験例3]
図1は、3つの電気透析スタックが、どのように熱および物質交換器と統合して、その結果、乾燥剤が連続流中に流れるかを示している。図1の上部に示されている通り、高濃度液体乾燥剤150は、第2のフローチャネル196に入るときに、最も濃縮された状態にあり、ここで、溶液の質量あたりの塩の質量濃度は、約35重量%の塩濃度となる。そのプロセスは、以下の通り続く。
プレート182のプロセス側/左側において、高濃度流体乾燥剤150は、処理空気180から水を吸収し、第2のフローチャネル196を出ると、濃度は35重量%塩濃度から30重量%の塩濃度に低下する。
電気透析スタック106において、高濃度流体乾燥剤150は、第5の電気透析フローチャネル194を通過して移動すると、イオン174を放して膜175を横切り、塩濃度は、30重量%の塩(高濃度流体乾燥剤150がチャネル194に入るとき)から、チャネル194を出るときには25重量%の塩までさらに低下し、中間の低濃度液体乾燥剤154の第1の流れとして出る、および
対照的に、第6の電気透析フローチャネル195において移動する第2の中間の高濃度液体乾燥剤流れ164は、これがチャネル195に入るときに塩濃度が30%から、ここでリサイクルされる高濃度液体流体乾燥剤流れ150として、フローチャネル195を出るときに35%まで増加する。
電気透析スタック104において、中間/低濃度流体乾燥剤154は、第3の電気透析フローチャンバ192を通過して移動すると、イオン172を放して膜173を横切り、塩濃度が25重量%の塩(中間/低濃度流体乾燥剤154がチャネル192に入るとき)から、チャネル192を出るときには20重量%の塩までさらに低下し、中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れとして出る、および
対照的に、第4の電気透析フローチャネル193において移動する第1の中間の高濃度液体乾燥剤流れ162は、これがチャネル193に入るときの塩濃度が25%から、第2の中間の高濃度液体乾燥剤164として、フローチャネル193を出るときに30%まで増加する。
電気透析スタック102において、中間の低濃度液体乾燥剤156の第2の流れは、フローチャンバ190を通過して移動すると、イオン170を放して膜171を横切り、塩濃度は20重量%の塩(第2の流れがチャネル190に入るとき)から、チャネル190を出るときには15重量%の塩までさらに低下し、ここでリサイクルされた低濃度流体乾燥剤流れ158として出る、および
対照的に、熱および物質交換器100の第3のフローチャネル1104を出て、ここでは、第2の電気透析フローチャネル191を通過して移動する低濃度流体乾燥剤流れ158は、これがフローチャネル191を出るときの塩濃度が20%から、第1の中間の高濃度液体乾燥剤流れ162としてフローチャネル191を出るときには、25%まで増加する。
リサイクルした低濃度流体乾燥剤158は、熱および物質交換器100まで移動して戻り、ここで、第3のフローチャネル1104に入る。水は、乾燥剤158から蒸発して、クーラントまたは排出エア流れ199に入り、これは、次に、外側に排出され、流体乾燥剤158の塩濃度を15重量%から20重量%まで濃縮する。このステップはまた、熱および物質交換器のフローチャネル196において、高濃度乾燥剤150によって吸収された、本システムから水を除去する。
【0106】
低濃度流体乾燥剤158は、物質および熱交換器100から電気透析スタック102に入り、3つの電気透析スタック102、104および106通過して進むにつれて、高濃度液体乾燥剤150になるまで、徐々に濃縮される。
【0107】
そのプロセスは、さらなる電気透析スタックを追加することによって、低濃度乾燥剤158の濃度を15%未満まで低下させるように修正され得る。
【0108】
乾燥剤保管用タンクもまた、流れ150(最高濃度)および流れ158(最低濃度)に追加され得る。これによって、本システムは冷却需要とは別の時間に電気を使用し、後に使用するために2つの乾燥剤濃縮物を保管することが可能となる。それはまた、乾燥剤の平均水分含量の変更が可能となり、こうして、本システムの体積を濃度変化に応じて、増加および減少することができる。
【0109】
図1における構成は、各電気透析スタックを横切る濃度変化を低下させる。図示した実施形態では、2つの流れに関して5%の濃度変化が示されており、どちらの流れも同じ濃度で入る。次に、各電気透析スタックを横切る最大デルタ濃度は、わずか5%である一方、濃度の全変化は、20%(35%から15%)となる。この変化はまた、同じ全濃度変化を有する電気透析スタックの数を増やすことによって低下することができる(例えば、20%を超える6つのEDスタックは、EDスタックあたり、わずか2.5%のデルタ濃度を有するであろう)。
【0110】
エネルギーの追加なしに水を乾燥剤流れ158から除去する熱および物質交換器に、チャネル1104における低濃度液体乾燥剤流れ158を統合しない場合、液体乾燥剤を使用する電気透析をベースとするシステムは、乾燥剤を排水管に廃棄する必要があるであろう。これには非常に低い濃度が必要となり、こうして、塩イオンは、廃棄物-水流れを汚染せず、イオンをこのシステムから除去することによって減らない。飲料水の閾値は、約0.2千分率であり、これはやはり、1年あたりの廃水流れに捨てられる塩が約1~2kg、または1年あたりに失われる本システムの全塩イオンの約6%に相当する。したがって、開示された実施形態は、最新技術をかなり進歩させる。
【0111】
[実験例4]
開示された統合システムのエネルギー影響を理解するため、水をエア流れから吸収させた後に、乾燥剤を30%質量分率から35%質量分率まで再生するために必要なエネルギーを推定することが有用である。これは、以下に記載されている計算を使用して行い、結果を図10に示す。
【0112】
1L/分の乾燥剤フローの場合の全出力をkWで図10に示す。本開示システムの操作は、最小濃度に応じて、0.5~1.5kWの間を使用する一方、乾燥剤濃度を、先行技術システムによって必要とされている0.2千分率まで低下させるには4kWが必要である。したがって、本開示システムは、一式の電気透析スタック単独として12~38%のエネルギーしか使用しない。
【0113】
節電に加え、本開示システムは、以下によって、乾燥剤の濃縮のための電気透析プロセスの性能を改善する。
都市廃水流れにLiCl(または、他の乾燥剤)イオンを廃棄することがなくなることと、
置き換える必要のある、システムからのこの乾燥剤の損失がなくなることと、
必要な電気透析スタックの数が減ることによって、電気透析スタックの資本コストが削減されることと、
本質的に本プロセスにおいて、蒸発により、除湿されたエア流れへの冷却をもたらし、これにより、本開示システムから所望の出口温度を維持するために必要な冷却が最小限になること。
【0114】
エネルギー消費量の計算:
上に示されているマニホールドの電気透析構成要素の総エネルギー消費量は、各ユニットに必要な出力を求め、次にこれらの値を合計することによって計算される。各電気透析スタックでは、
【0115】
【数1】
の電流が印加されなければならず、式中、Qは、体積流量であり、Fは、ファラデーの定数であり、Nは、スタックにおけるCEM/AEM対の数であり、Aは、断面積であり、
【0116】
【数2】
は、入口および(望ましい)出口の塩濃度である。
【0117】
電圧低下の大部分が抵抗損により生じると仮定すると(すなわち、すべての接合部電位を無視する)、必要な電圧入力は、
【0118】
【数3】
であることが分かり得る。
【0119】
各層の導電率は、塩流れの濃度の関数として変化し、濃度が低いほど、導電率が低くなる。これらの結果は、イオン-イオン相互作用を無視する希釈溶液理論を使用しており、これは、抵抗損を計算する際に考慮され得る。濃縮された溶液の理論は、イオン-イオン「摩擦」が低下するので、塩濃度の低下というわずかな利益を予測するものである。しかし、この効果は、濃度効果と比べると、小さいはずである。
【0120】
イオン導電率は、局所塩濃度および化学種の拡散係数の関数となる。
【0121】
【数4】
【0122】
本発明者らが、リンス液中では、局所電気的中性であると仮定した場合、全イオン導電率は、
【0123】
【数5】
であり、式中、cは、バルクリンス液濃度を指し、すなわち、それは、CinまたはCoutを指すことができる。
【0124】
電圧式に導電率を代入することにより、本発明者らは、各電気透析スタック(以下の表1中のA、BおよびC)によって必要とされる様々な電位の低下を計算することが可能となる。各スタックに対してN=20、1mmの分離距離と仮定し、一定流速Q=1L/分および面積A=25cmを使用すると、各ユニットによって必要とされる電位は、
【0125】
【表1】
である。
【0126】
こうして、必要な全出力は、表1のデータに示されている例の場合、0.461kWとなろう(ωmax=0.35、ωmin=0.15)。より希薄な流れを含むユニットは、導電率が一層低いために、より高い電圧の印加を必要とする。様々な数のモジュールを使用して、様々な最小濃度に対する出力を計算することができ、これは、図9における曲線を与える。
【実施例
【0127】
[明記された実施例]
以下に明記した実施例は、本開示によって提供されるシステムおよび方法の実施形態を指す。
[実施例1]
熱および物質交換器と、
少なくとも1つの電気透析スタックと、
高塩イオン濃度液体乾燥剤と、
低塩イオン濃度液体乾燥剤と
を備える、除湿システムであって、
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器と少なくとも1つの電気透析スタックとを連結する単一の連続流中に存在し、
高塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器中の処理空気流から水を吸収し、少なくとも1つの電気透析スタック中の低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出し、
低塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器中の除去空気流に水を放出し、少なくとも1つの電気透析スタック中の高塩イオン濃度液体乾燥剤からイオンを受け入れる、
除湿システム。
【0128】
[実施例2]
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、同じ塩溶液を含む、実施例1の除湿システム。
【0129】
[実施例3]
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される塩溶液を含む、実施例1または実施例2の除湿システム。
【0130】
[実施例4]
塩溶液が、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される、実施例2または実施例3の除湿システム。
【0131】
[実施例5]
塩溶液が塩化リチウムである、実施例2から4のいずれか1つの除湿システム。
【0132】
[実施例6]
熱および物質交換器に入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、20重量%(wt%)である、実施例1から5のいずれか1つの除湿システム。
【0133】
[実施例7]
少なくとも1つの電気分解スタックに入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、10重量%である、実施例1から6のいずれか1つの除湿システム。
【0134】
[実施例8]
熱および物質交換器に入るときに、高塩イオン濃度液体乾燥剤が、35重量%の塩イオン濃度を有する、実施例1から7のいずれか1つの除湿システム。
【0135】
[実施例9]
熱および物質交換器に入るときに、低塩イオン濃度液体乾燥剤が、15重量%の塩イオン濃度を有する、実施例1から8のいずれか1つの除湿システム。
【0136】
[実施例10]
少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤が、低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換され、低塩イオン濃度液体乾燥剤が、高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換される、実施例1から9のいずれか1つの除湿システム。
【0137】
[実施例11]
カソードとアノードとの間に直列に配列した、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の電気透析スタックを備える、実施例1から10のいずれか1つの除湿システム。
【0138】
[実施例12]
熱および物質交換器において、処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させて、処理空気流を除湿するステップと、
熱および物質交換器において、低塩イオン濃度液体乾燥剤から除去空気流に水を放出させるステップと、
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤を少なくとも1つの電気透析スタックに移動させるステップと、
少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤に塩イオンを追い出し、高塩イオン濃度液体乾燥剤を低塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップと、
少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤にイオンを受け入れて、低塩イオン濃度液体乾燥剤を高塩イオン濃度液体乾燥剤に変換するステップと
を含む、空気を除湿する方法であって、
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、熱および物質交換器と少なくとも1つの電気透析スタックとを連結する単一の連続流中を流れ、
変換された高塩イオン濃度液体乾燥剤および変換された低塩イオン濃度液体乾燥剤が、物質および熱交換器に移動される、
方法。
【0139】
[実施例13]
熱および物質交換器において、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤に熱を除去して、除湿された処理空気流を冷却するステップをさらに含む、実施例12の方法。
【0140】
[実施例14]
高塩イオン濃度液体乾燥剤および低塩イオン濃度液体乾燥剤が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化塩素、ブロモメタン、ヨードホルム、塩化水素、臭化リチウム、臭化水素、酢酸カリウム、酢酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよびそれらの組合せから選択される同じ塩溶液を含む、実施例12または実施例13の方法。
【0141】
[実施例15]
塩溶液が、塩化リチウムおよび塩化カルシウムから選択される、実施例14の方法。
【0142】
[実施例16]
塩溶液が塩化リチウムである、実施例14または実施例15の方法。
【0143】
[実施例17]
処理空気流から高塩イオン濃度液体乾燥剤に水を吸収させる、および低塩イオン濃度液体乾燥剤から水を放出させる際に、高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、20重量%(wt%)である、実施例12から16のいずれか1つの方法。
【0144】
[実施例18]
少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤への塩イオンの追い出しを開始する際、および
少なくとも1つの電気透析スタックにおいて、高塩イオン濃度液体乾燥剤から低塩イオン濃度液体乾燥剤へのイオンの受け入れを開始する際に、
高塩イオン濃度液体乾燥剤と低塩イオン濃度液体乾燥剤との間の塩イオン濃度の差が、10重量%である、
実施例12から16のいずれか1つの方法。
【0145】
[実施例19]
処理空気流から水を吸収させる際に、高塩イオン濃度液体乾燥剤が、35重量%の塩イオン濃度を有する、実施例12から18のいずれか1つの方法。
【0146】
[実施例20]
除去空気流に水を放出させる際に、低塩イオン濃度液体乾燥剤が、15重量%の塩イオン濃度を有する、実施例12から19のいずれか1つの方法。
【符号の説明】
【0147】
100 熱および物質交換器、物質および熱交換器
102 電気分解スタック、電気透析スタック
104 電気分解スタック、電気透析スタック
106 電気分解スタック、電気透析スタック
150 高濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、高濃度乾燥剤流れ、高濃度流体乾燥剤、高濃度液体流体乾燥剤流れ、
152 高濃度液体乾燥剤
154 中間の低濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、中間/低濃度流体乾燥剤
156 中間の低濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ
158 低濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、低濃度乾燥剤流れ、低濃度流体乾燥剤流れ、低濃度液体乾燥剤流れ
162 中間の高濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、中間の高濃度液体乾燥剤流れ
164 中間の高濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、中間の高濃度液体乾燥剤流れ
170 陽イオン
171 陽イオン透過膜
172 陽イオン
173 陽イオン透過膜
174 陽イオン
175 陽イオン透過膜
176 湿気(水蒸気)、水
178 湿気、水
180 入口供給空気、処理空気
182 分離壁、プレート
184 熱
186 蒸気透過膜
190 電気透析フローチャネル、フローチャンバ、チャネル
191 電気透析フローチャネル
192 電気透析フローチャネル、電気透析フローチャンバ
193 電気透析フローチャネル
194 電気透析フローチャネル
195 電気透析フローチャネル
196 フローチャネル
198 蒸気透過膜
199 排出空気、除去空気流、排出エア流れ
200 熱および物質交換器
202 電気分解スタック、電気透析スタック
210 高濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、高濃度乾燥剤流れ、高濃度流体乾燥剤
216 部分、高濃度流体乾燥剤
218 部分、高濃度流体乾燥剤
220 部分、電気透析スタック、フラクション、低濃度流体乾燥剤
222 部分、フラクション
224 低濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ、低濃度乾燥剤流れ、低濃度流体乾燥剤
230 部分、低濃度流体乾燥剤
232 部分、低濃度流体乾燥剤
234 部分、低濃度流体乾燥剤
236 部分、フラクション、高濃度流体乾燥剤
238 部分、フラクション、高濃度流体乾燥剤
240 部分、フラクション、高濃度流体乾燥剤
242 電解質溶液
244 電解質溶液
250 アノードプレート
252 陽イオン交換膜、イオン透過膜、陽イオン透過膜
254 陰イオン交換膜、イオン透過膜、陰イオン透過膜
256 陽イオン交換膜、イオン透過膜、陽イオン透過膜
258 陰イオン交換膜、イオン透過膜、陰イオン透過膜
260 陽イオン交換膜、イオン透過膜、陽イオン透過膜
262 陰イオン交換膜、イオン透過膜、陰イオン透過膜
264 カソードプレート
270 入口供給空気
272 湿気(水蒸気)、水
274 蒸気透過膜
276 分離壁
278 蒸気透過膜、熱
280 湿気(水蒸気)、水
282 排出空気、除去空気流、排出空気流
290 フローチャネル
292 フローチャネル
294 フローチャネル
296 フローチャネル
300 処理空気流、入口空気、入口供給空気
302 水蒸気、水
304 蒸気透過膜
306 水蒸気非透過性障壁
308 熱
310 水蒸気透過膜、蒸気透過膜
312 水蒸気、水
314 除去空気流、クーラント空気流
320 高濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ
324 高濃度流れ
326 高濃度流れ
328 流れ、低濃度流れ
330 流れ、低濃度流れ
332 低濃度液体乾燥剤、乾燥剤流れ
340 構造体
342 イオン透過膜
344 電気透析スタック、チャネル
346 イオン透過膜
348 中央部チャネル
352 電気透析スタック、チャネル
354 イオン透過膜
356 構造体
400 処理空気、入口供給空気
402 湿気、湿気(水蒸気)、水
404 蒸気透過膜
406 水蒸気非透過性障壁
408 熱
420 液体乾燥剤、乾燥剤流れ、高濃度乾燥剤流れ、高濃度液体乾燥剤
424 高濃度流れ
426 高濃度流れ
428 低濃度流れ
430 低濃度流れ
432 低濃度流体乾燥剤
434 塩イオン
440 構造体
442 イオン透過膜
444 チャネル
446 イオン透過膜
448 中央部チャネル
450 イオン透過膜
452 チャネル
454 イオン透過膜
456 構造体
500 熱
502 水蒸気非透過性障壁
504 蒸気透過膜
506 水蒸気、湿気(水蒸気)
508 除去またはクーラント空気
520 液体乾燥剤、乾燥剤流れ、低濃度乾燥剤流れ、低濃度流体乾燥剤、低濃度液体乾燥剤
524 塩イオン、高濃度液体乾燥剤
526 塩イオン
528 高濃度流れ
530 高濃度流れ
532 低濃度流れ
534 低濃度流れ
540 構造体
542 イオン透過膜
544 チャネル
546 イオン透過膜
548 中央部チャネル
550 イオン透過膜
552 チャネル
554 イオン透過膜
556 構造体
1100 フローチャネル
1102 フローチャネル
1104 フローチャネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】