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特表2022-536654クリーンルーム用途のための小型ラインガイド並びにその製造方法及びスリーブユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】クリーンルーム用途のための小型ラインガイド並びにその製造方法及びスリーブユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20220810BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220810BHJP
   F16L 3/015 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
H02G11/00
H02G3/04 075
F16L3/015
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021573221
(86)(22)【出願日】2020-06-13
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020025283
(87)【国際公開番号】W WO2021004654
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】202019103276.6
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/050842
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/000047
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ロッセル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
【テーマコード(参考)】
3H023
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC34
3H023AC64
3H023AC71
3H023AC75
3H023AD18
3H023AD21
3H023AD54
5G357DA02
5G357DB01
5G357DB02
5G357DB10
5G357DC11
5G357DC20
5G357DD01
5G357DD16
5G357DE08
5G357DG04
5G371AA05
5G371AA07
5G371BA01
5G371CA02
5G371CA03
(57)【要約】
本発明は、電気ケーブルを備え、特に2本のタワー間の偏向曲げ部を形成するように前後に移動可能な細長い可撓性シースを備える、クリーンルーム用途のためのコンジットを製造する方法に関する。可撓性シースは、各々が少なくとも1本のケーブルのための多数の平行な受容部を有し、各受容部は第1の端部から第2の端部への長手方向にチャネルの態様で延在する。方法は、連続するケーブルの少なくとも1つのケーブル束を提供する工程と、可撓性シースを提供する工程とを備える。シースは予め作製され、ケーブル束は予め作製されたシースの受容部に導入され、予め作製されたシースは、防塵態様で開放状態を閉塞するために、クロージャの2つの相互作用する閉塞形材を有する少なくとも1つのスリーブユニットを備え、ケーブル束は長手方向に横断して開放シースに挿入され、あるいは、予め作製されたシースは周方向に閉塞されるように製造された少なくとも1つのスリーブユニットを備え、ケーブル束は閉塞したスリーブユニットに長手方向に引き込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に2本のランの間の方向転換アークの形成によって、往復して変位可能な電気ライン及び細長く柔軟なエンクロージャを有する、クリーンルーム用途のためのラインガイドの製造の方法であって、前記柔軟なエンクロージャは少なくとも1本の各ラインに対して多数の平行な受容手段を有し、各受容手段は第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在し、前記方法は、少なくとも:
-相互に関連するラインの少なくとも1つのライン束を提供する工程と、
-前記柔軟なエンクロージャを提供する工程と、
を含み、
前記エンクロージャが予め作製され、該予め作製されたエンクロージャの受容手段に前記ライン束が導入され、
-前記予め作製されたエンクロージャは、開放状態を防塵閉塞するためのクロージャの2つの協働する閉塞形材を有する少なくとも1つのエンクロージャユニットを備え、前記ライン束は開放された前記エンクロージャに前記長手方向に横断して導入され、又は
-前記予め作製されたエンクロージャは周囲が閉塞されて製造された少なくとも1つのエンクロージャユニットを含み、前記ライン束は閉塞された前記エンクロージャユニットに前記長手方向に引き込まれる、方法。
【請求項2】
相互に関連するラインの前記ライン束は、各々がそれ自体の絶縁体を有する少なくとも2本の撚線を備えるワイヤ束を含み、及び/又は前記ライン束は外側シースを有さない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ライン束は、摺動可能な材料、好ましくはその外側にフッ素ポリマーを含む材料を含む、外側分離層を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外側分離層は、バンディングの形態、特にPTFEベアリングフィルム又はPTFEベアリング不織布のストリップの形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バンディングは、少なくとも1つの外装、特に2つの外装を、反対方向に有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-前記ライン束は、少なくとも2本の高可撓性ストランドライン、特に0.1mm未満、特に0.08mm以下の個々の線径のストランドライン、及び/若しくは超微細ストランドラインを含み、
-前記ライン束は、例えば、PTFE、PFA、PVDF、ETFE、FEPなどのようなフッ素ポリマーを含む絶縁体を有する少なくとも2本のストランドラインを含み、並びに/又は
-前記ライン束は、耐引張コア要素を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ライン束は、少なくとも6本の層状ストランドワイヤ又は束状ストランドワイヤを備えるワイヤ束を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記開放されたエンクロージャは、前記閉塞形材によって前記ライン束の導入後に防塵閉塞される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各エンクロージャユニットは予め作製され、両側において対向関係にありかつ前記エンクロージャユニットと一体の2つの固定用ストリップを有し、前記予め作製されたエンクロージャユニットを相互に平行に接続してエンクロージャを形成する工程を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
特にクリーンルーム用途のための、例えば、ケーブル、ホースなどのようなラインのためのラインガイドであって、特に2本のランの間の方向転換アークの形成によって、往復して変位可能であり、かつ少なくとも1本の各ラインに対して複数の受容手段を有する細長く柔軟なエンクロージャを備え、各受容手段は第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在し、
前記エンクロージャは別個に予め作製され、それぞれのライン束は少なくとも一部の受容手段に導入され、前記エンクロージャは前記ライン束の外側シースを形成する、ラインガイド。
【請求項11】
相互に関連するラインの前記ライン束は、各々がそれ自体の絶縁体を有する少なくとも2本の撚線を備えるワイヤ束を含み、及び/又は前記ライン束は外側シースを有さない、請求項10に記載のラインガイド。
【請求項12】
前記ライン束は、摺動可能な材料、好ましくはその外側にフッ素ポリマーを含む材料を含む外側分離層を含む、請求項10又は請求項11に記載のラインガイド。
【請求項13】
前記外側分離層は、バンディングの形態、特にPTFEベアリングフィルム又はPTFEベアリング不織布のストリップの形態である、請求項12に記載のラインガイド。
【請求項14】
前記バンディングは、少なくとも1つの外装、特に2つの外装を反対方向に有する、請求項13に記載のラインガイド。
【請求項15】
-前記ライン束は、少なくとも2本の高可撓性ストランドライン、特に0.1mm未満、特に0.08mm以下の個々の線径のストランドライン、及び/若しくは超微細ストランドラインを含み、
-前記ライン束は、例えば、PTFE、PFA、PVDF、ETFE、FEPなどのようなフッ素ポリマーを含む絶縁体を有する少なくとも2本のストランドラインを含み、並びに/又は
-前記ライン束は、耐引張コア要素を含む、
請求項10から15のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項16】
前記ライン束は、少なくとも6本の層状ストランドワイヤ又は束状ストランドワイヤを備えるワイヤ束を含む、請求項10から15のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項17】
各ライン束は、前記予め作製されたエンクロージャの対応する受容手段に交換可能に導入される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法又は請求項10から16のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項18】
前記予め作製されたエンクロージャは、
-協働する閉塞形材を有してそれぞれ製造された複数のエンクロージャユニット、特に、開放状態において一体に押出し加工されたエンクロージャユニットを有し、及び/若しくは
-周囲が閉塞されて製造された複数のエンクロージャユニット、特に、閉塞した形材の形態で押出し加工されたエンクロージャユニットを有し、
-各エンクロージャユニットは、両側において対向するとともに前記エンクロージャユニットと一体の2つの固定用ストリップを有し、それによって隣接エンクロージャユニットが相互に平行に接続され、並びに/又は
-前記エンクロージャは、曲げ弾性プラスチックのエンクロージャユニットを備え、各エンクロージャユニットは前記長手方向に一定の断面のものである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法又は請求項10から16のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項19】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって製造された、クリーンルーム用途のためのラインガイド。
【請求項20】
ラインガイドの細長く柔軟なエンクロージャのためのプラスチックのエンクロージャユニットであって、該エンクロージャユニットは少なくとも1本のラインをガイドするための少なくとも1つの受容手段を形成し、第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在し、可撓性プラスチックを含むエンクロージャ壁を有し、
-前記エンクロージャユニットは、一方の長手面に第1の固定用ストリップを含み、他方の長手面に第2の固定用ストリップを含み、前記第1及び第2の固定用ストリップは、解放可能な接続を形成するために相互に一致する関係で設計され、
-前記第1及び第2の固定用ストリップは、前記エンクロージャ壁と比較して曲げ剛性が高く、前記第1及び第2の固定用ストリップは、特に、前記エンクロージャ壁と比較して硬度が高く、及び/又は、特に、曲げ剛性が高い設計構成のものであるプラスチックを含む、
エンクロージャユニット。
【請求項21】
前記第1及び第2の固定用ストリップは、特に共押出し法を用いて又は後の前記エンクロージャ壁に対する前記第1及び第2の固定用ストリップの材料結合接続によって、前記エンクロージャ壁のための第1のプラスチック並びに前記第1及び第2の固定用ストリップのためのより硬度の高い第2のプラスチックから、前記エンクロージャ壁と一体に製造される、請求項20に記載のエンクロージャユニット。
【請求項22】
前記エンクロージャ壁において及び/又は固定用ストリップにおいて少なくとも外側に、少なくとも1つの滑り摩擦低減層、特に前記第1及び第2のプラスチックに関して低い滑り係数の第3のプラスチックを含む層を有し、前記エンクロージャユニットは、好ましくは、3種の異なるプラスチックからの3層押出し法で製造され、及び/又は前記第3のプラスチックは、好ましくは、ポリエチレン、特に、PE-HMW又はPE-UHMWである、請求項21又は請求項22に記載のエンクロージャユニット。
【請求項23】
前記第1及び第2の固定用ストリップは雄型及び雌型の断面の共役関係で設計され、前記滑り摩擦低減層は少なくとも前記雌型の固定用ストリップの外側に設けられ、
前記滑り摩擦低減層は、前記エンクロージャ壁の外面の大部分の表面部分を少なくとも片面で覆い、及び/又は
前記滑り摩擦低減層は、前記エンクロージャ壁の厚みの20%未満の層厚のものである、請求項22に記載のエンクロージャユニット。
【請求項24】
前記エンクロージャユニットは、熱可塑性エラストマー(TPE)、特に、TPS、TPU又はTPOから、好ましくは熱間押出し法での製造に適したTPEから一元的な材料の態様で製造される、請求項20に記載のエンクロージャユニット。
【請求項25】
前記第1及び第2の固定用ストリップは、前記長手方向において連続して一定の断面を有する押出し加工された固定用形材の形態において相互に共役の関係で設計され、相互に係合する関係で協働し、及び/又は
前記第1及び第2の固定用ストリップは、中心面に対して、特に中立素分に対して対称構成のものであり、前記第1の固定用ストリップ及び/又は前記第2の固定用ストリップは、2つの対称配置傾斜挿入部分を有する、請求項20から23のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット。
【請求項26】
前記固定用形材は、接続方向において相互に一致する固定用ストリップの接続と比較して、前記接続方向と反対の関係に非常に高い力を付加することによってのみ解放可能であり、又は前記長手方向にのみ解放可能であるような構成のものであり、前記第1及び第2の固定用ストリップは、好ましくは、かかり機能を有する断面のものである、請求項20から25のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット。
【請求項27】
各受容手段は、前記長手方向に対して横断してラインが前記受容手段の1つに対して導入又は除去可能な開放状態を防塵閉塞するために、前記長手方向に延在する、クロージャの2つの協働する閉塞ストリップを有する、請求項20から26のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット。
【請求項28】
前記第1及び第2の固定用ストリップは、前記長手方向に対して横断して接続方向への前記第1及び第2の固定用ストリップの接続によって相互に一致する固定用ストリップを有する複数のエンクロージャユニットを相互に解放可能に固定するために、前記長手方向に対して横断して前記接続方向に相互に接続されるように適合された、請求項20から27のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット。
【請求項29】
前記閉塞ストリップは、前記第1及び第2の固定用ストリップの接続方向に略垂直な力によってそれぞれ開閉可能である、請求項27又は28に記載のエンクロージャユニット。
【請求項30】
少なくとも1本の各ラインの独立した案内のための1つのみの管状受容手段を形成する請求項20から29のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、例えば、機械又は設備の2つの相対移動可能な接続位置間に動的にガイドされる信号若しくは電源のためのケーブル又は空気圧若しくは油圧ホースなどのラインのためのラインガイドデバイスの分野に関する。特に、例えば、半導体又はフラットスクリーンの製造、薬学的設備、医療デバイスなどにおいて、クリーンルームでの使用に適したラインガイドデバイスが提案される。このような用途では、ラインガイドデバイスによる粒子の放出は、特に望ましくなく、最大限最小化されるべきである。
【背景技術】
【0002】
エネルギーガイドチェーンは標準的なラインガイドデバイスであるが、回転ジョイントを有するチェーンリンク構造の従来のエネルギーガイドチェーンは、摩耗に起因してそれ自体のチェーンリンクが動作中に粒子を放出するので、クリーンルームにはあまり適さない。クリーンルームの背景における使用に適し、それに関してさらに開発されたエネルギーガイドチェーンが、特許文献1に提案された。このエネルギーガイドチェーンは、フレキシブルジョイント接続によって極めて少ない摩耗塵埃しか放出しない。
【0003】
しかし、それ自体がおそらくは少ない摩耗塵埃しか放出しないエネルギーガイドチェーンにおいてガイドされるラインであっても、それらが移動し、屈曲し、変位に伴って相互に擦れるにつれて動作中に粒子を放出するのは周知の問題である。したがって、例えば、ケーブル自体の被覆も、変位に伴って粒子を周囲に放出する。
【0004】
その理由のため、防塵密閉されたラインが知られている。その目的のためにさらに開発されたクリーンルーム用途のための多数のラインガイドデバイスが、特許文献2において本出願人によって提案された。その構造(図10~16参照)の1つは、商品名「e-skin」で出願人(イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング、ケルン、D-51147)から差し当たり入手可能である。
【0005】
ここで、本発明は、具体的には、通常は第1の接続位置とそれに対して移動可能な接続位置との間の2本のランの間の方向転換アークの形成とともに、可逆的に又は往復して変位可能な細長く柔軟なエンクロージャを有する、クリーンルーム用途に適したラインガイドデバイス又はライン保護ガイドに関する。この場合、提案されるエンクロージャは少なくとも1本のラインをガイドするための管状構成の多数の受容手段を有し、各受容手段は、第1の端部から、保護ガイドが接続位置において搭載される第2の端部への長手方向に通路状に延在する。
【0006】
この種の上記一般的な種類のライン保護ガイドは、例えば、W.L.Gore&Associates、Inc.による商品名「GORE(登録商標)Trackless High Flex」又はHitachi Cable America Inc.による商品名「ChannelFLEX(商標)」又は「EcoFlex(商標)」で入手可能である。関係する技術の一般的記載として(請求項1の分類部分で記載されるような)ここで見られる前述のライン保護ガイドの変形例が、例えば、特許文献3又は特許文献4に記載される。
【0007】
通常、それらの周知のライン保護ガイドはいずれも、相互に溶接されてからエンクロージャを形成する2枚のフィルム間の積層ラインによって製造される。この態様の製造は、例えば、特許文献5(その11ページの下部)から知られている。また、ライン、特に電気ケーブルが追加のエンクロージャに押出し加工されることも、例えば、特許文献6又は特許文献7に既に記載されているように周知である。
【0008】
このようなライン保護ガイドは、技術的には、単純な構造のものであり、軽量かつ小型の構成のものである。それらには、例えば、特許文献2に関しては、使用において著しい不利益がある。保守作業、特に、複数のライン又は複数のラインストランドを含むラインガイド内の個々のライン又は個々のラインストランドの交換は、多大な手間をかけないと可能とならない。特に、所望のプラグ又はカップリングで既に好適に予め作製されているラインによる個々のライン又は個々のラインストランドの交換は、現場ではできない。それができれば、保守を大幅に簡素化してコストを低減することになる。それに対して、上記の一般的な種類のラインガイドは、通常は、完全にアセンブリとして新たに交換されるので、この場合でも無傷のラインが交換される必要がある。さらに、設置されたラインガイドに対する後の変更、例えば、更なるラインを追加することは、容易にはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第02/086349号
【特許文献2】国際公開第2016/042134号
【特許文献3】独国特許発明第102012100290号明細書
【特許文献4】米国特許第8662456号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/049509号
【特許文献6】欧州特許出願公開第0490022号明細書
【特許文献7】独国特許発明第112014005554号明細書
【発明の概要】
【0010】
この背景を念頭に、本発明の第1の主請求項による第1の課題は、比較的小型の構造のものでありかつ/又は軽量であり、少なくとも部分的に上記の不利益を克服するラインガイドを提案することである。本発明は、特に、個々のライン若しくは個々のラインストランドの交換及び/又は後の変更を簡素化することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、そのようなラインガイドの新規な製造方法を提案するものである。
【0012】
それは、請求項1による製造方法及び請求項10によるライン保護ガイドによって達成される。
【0013】
またさらに、それからは独立して、請求項20による、現行技術を改良したエンクロージャユニットが提案される。
【0014】
第1の態様(請求項1~19)
特に2本のランの間の方向転換アークの形成とともに、往復して変位可能な電気ライン及び細長く柔軟なエンクロージャを有する、クリーンルームのためのラインガイドの製造方法が提案され、柔軟なエンクロージャは、少なくとも1本の各ラインに対して多数の平行な受容手段を有し、各受容手段は第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在する。方法は、少なくとも、
-相互に関連するラインの少なくとも1つのライン束を提供する工程と、
-柔軟なエンクロージャを提供する工程と、
を含む。
【0015】
本発明によると、請求項1に記載の方法において、エンクロージャが予め作製され、予め作製されたエンクロージャの受容手段にライン束が導入されることが規定され、
-予め作製されたエンクロージャは開放状態を防塵閉塞するためのクロージャの2つの協働する閉塞形材(profile)を有する少なくとも1つの及び特に複数のエンクロージャユニットを備え、ライン束は開放されたエンクロージャに長手方向に横断して導入され、又は
-予め作製されたエンクロージャは周囲が閉塞されて製造された少なくとも1つの及び特に複数のエンクロージャユニットを含み、ライン束は閉塞されたエンクロージャユニットに長手方向に引き込まれる。
【0016】
したがって、ラインは、所定位置に積層されることも材料結合フラットリボンケーブルで押出し加工されることもなく、したがって容易にかつ非破壊的に、しかも個別に交換可能である。
【0017】
請求項10の分類部分によるラインガイドにおける本発明による更なる中心概念によると、本発明によると、エンクロージャは別個に予め作製され、それぞれのライン束は少なくとも一部の受容手段に導入され、エンクロージャはライン束の外側シースを形成することが規定される。
【0018】
この点において更なる決定的な効果は、ライン束がそれ自体の外側シースを必要とせず、又はそれを有さないことである。一方で、それは、不要な重量を節減し、ライン束の直径の減少を可能とする。したがって、より多くのラインが、受容手段の断面を一定としたまま挿入可能となる。
【0019】
したがって、標準的な要件は上記一般的な種類のラインガイドには過剰であるため、本発明は、とりわけ、電気ラインに関して、特に機械的保護を与えるように標準的に設けられる外側シースに特化した実現に基づき、それは非常に簡素にみえる。それらは、エンクロージャ自体によって容易に形成され、すなわち、それによって交換され得る。したがって、ライン束は、共通のエンクロージャを有し、実際の導電体とエンクロージャとの間にそれら自体のそれぞれの追加の外側シースを有さない。
【0020】
請求項1による方法又は請求項10によるラインガイドの好適な実施形態では、相互に関連するラインのライン束が、各々がそれら自体の絶縁体を有する少なくとも2本の撚線を備えるワイヤ束を含むことが規定され得る。
【0021】
特に、全てのライン束がそれら自体の外側シースを特に有さないことが規定され得る。
【0022】
ライン束が、摺動可能材料、好ましくはその外側にフッ素ポリマーを含む材料を備える外側分離層を含むことが規定され得る。それは、特に、閉塞状態で製造されるエンクロージャ(開放できないエンクロージャ)にライン束を引き込むことを容易とする。
【0023】
外側分離層は、バンディング、特に、PTFEベアリングフィルム又はPTFEベアリング不織布のストリップの形態であり得る。バンディングは、少なくとも1つの外装、特に反対方向に2つの外装を有し得る。あるいは、例えば、長手方向に平行にその周囲にフィルムを配置することによって分離層を有することも可能である。
【0024】
好ましくは、ライン束は、少なくとも2本の非常に可撓性の高いストランドライン、特に、個々の線径が0.1mm未満、特に0.08mm以下のストランドライン及び/又は極細ストランドラインを含み、それは多くの曲げ変化とともに非常に長い寿命について有利である。
【0025】
ライン束が、例えば、PTFE、PFA、PVDF、ETFE、FEPなどのようなフッ素ポリマーを含む絶縁体を有する少なくとも2本のストランドラインを含むことが規定され得る。このような絶縁体は、例えば、ラインを引き込むことを容易化し及び/又はその内部での摩耗塵埃を減少させるために、バンディングがなくてもそれら自体の摺動作用を与えることができる。
【0026】
耐引張コア要素が、例えば、5本以上のワイヤで束を撚る場合にそれを引き込むことを容易化し又は一方で中心空洞を回避するように、ライン束に設けられてもよい。
【0027】
ライン束は、少なくとも6本の層状撚線又は束撚線を備えるワイヤ束を含み得る。
【0028】
開放可能なエンクロージャを用いる方法では、開放されたエンクロージャは、閉塞形材によるライン束の導入後に防塵閉塞され得る。
【0029】
各エンクロージャユニットが予め作製され、両側において対向関係にあるとともにエンクロージャユニットと一体の2本の固定用ストリップを有することが規定され、予め作製されたエンクロージャユニット同士を平行に接続してエンクロージャを形成する工程を含むことが規定され得る。
【0030】
さらに、本発明は、各ライン束が、予め作製されたエンクロージャの対応の受容手段において交換可能に嵌合可能となるという本来的な有利な効果を与える。
【0031】
予め作製されたエンクロージャが、協働する閉塞形材によってそれぞれ製造された複数のエンクロージャユニット、特に、開放状態において一体に押出し加工されたエンクロージャユニットを有し、及び/又は周囲が閉じられて製造された複数のエンクロージャユニット、特に、閉塞した形材の形態で押出し加工されたエンクロージャユニットを有することが、さらに規定され得る。
【0032】
各エンクロージャユニットは、両側に対向するとともにエンクロージャユニットと一体の2つの固定用ストリップを有し、それによって隣接エンクロージャユニット同士が平行に接続され、及び/又はエンクロージャが曲げ弾性プラスチックのエンクロージャユニットを備え、各エンクロージャユニットは長手方向に一定の断面のものであることが、規定され得る。
【0033】
第2の態様(請求項20~30)
上記態様と有利に組み合わされ得るが特に請求項20による独立した発明としても請求される態様によると、より具体的には、ラインガイドの細長く柔軟なエンクロージャについて、プラスチックの新規なエンクロージャユニットが提案され、そのエンクロージャユニットは、第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在する、少なくとも1本のラインをガイドするための少なくとも1つの受容手段を形成し、可撓性プラスチックを含むエンクロージャ壁を有する。
【0034】
本発明の第2の態様は、エンクロージャユニットが第1の固定用ストリップを一方の長手面に含むとともに第2の固定用ストリップを他方の長手面に含み、固定用ストリップは、解放可能な接続を形成するために相互に一致する関係で設計され、固定用ストリップは、エンクロージャ壁と比較して曲げ剛性が高く、固定用ストリップは、特にエンクロージャ壁と比較して硬度が高く及び/又は特に曲げ剛性が高い設計構成のものであるプラスチックを含むことを特徴とする。
【0035】
この構成は、接続の実用上の扱いの観点で及び個々のエンクロージャユニットの解放に伴って、著しく有利な効果を与え、それでもなお非破壊的に解放可能な、より強固な接続も可能とする。
【0036】
展開例において、固定用ストリップは、特に、共押出し法を用いて又は後のエンクロージャ壁に対する固定用ストリップの材料結合接続によって、エンクロージャ壁のための第1のプラスチック及び固定用ストリップのためのより高硬度の第2のプラスチックから、エンクロージャ壁と一体に製造されることが規定される。
【0037】
さらに、エンクロージャユニットは、エンクロージャ壁において及び/又は固定用ストリップにおいて少なくとも外部に少なくとも1つの滑り摩擦低減層を有し得る。その目的のため、特に、第1及び第2のプラスチックに関して低い滑り係数の第3のプラスチックを含む層が用いられてもよい。第3のプラスチックは、好ましくは、ポリエチレン、特に、PE-HMW又はPE-UHMWである。
【0038】
プラスチックに関する滑り係数は、Rz=2.4mmの高さ粗さ、0.15~1MPaの間の表面圧及び0.5m/sの摺動速度の硬化鋼に関する測定値として決まる。
【0039】
エンクロージャユニットは、例えば、3種の異なるプラスチックからの3層押出し法で製造され得る。
【0040】
固定用ストリップが雄型及び雌型の断面の共役関係で設計される場合、滑り摩擦低減層は少なくとも雌型固定用ストリップの外側に設けられてもよい。
【0041】
追加的又は代替的に、滑り摩擦低減層は、エンクロージャ壁の外面の大部分の表面部分を少なくとも片面で覆うようにしてもよい。
【0042】
滑り摩擦低減層がエンクロージャ壁の厚みの20%未満の層厚のものであると有利である。
【0043】
更なる特に好適な実施形態では、エンクロージャユニットは、熱可塑性エラストマー(TPE)、特に、TPS、TPU又はTPOから一元的な材料の態様で製造される。エンクロージャユニットは、好ましくは、熱間押出し法での製造に適したTPEから製造され得る。
【0044】
各受容手段について、開放状態を防塵閉塞するために、長手方向に延在する、クロージャの2つの協働する閉塞ストリップが設けられてもよく、ラインは長手方向に横断して受容手段の1つに導入され又はそこから除去され得る。
【0045】
好ましくは、固定用ストリップは、長手方向に対して横断して接続方向への固定用ストリップの接続によって相互に一致する固定用ストリップを有する複数のエンクロージャユニットを相互に解放可能に固定するために、長手方向に対して横断して接続方向に相互に接続されるように適合される。
【0046】
最後に記載した2つの構成と組み合わせると、閉塞ストリップが固定用ストリップの接続方向に略垂直な力によってそれぞれ開閉可能な場合に取扱いに関して特に実用的となる。
【0047】
更なる特徴
ライン保護ガイドにおいて、エンクロージャが、特に少なくとも1つの受容手段において横方向に、少なくとも1以上の長手方向に延在する機能領域を有することがさらに提案され、それは、必要に応じて受容手段が開放可能であり、個々の受容手段が選択的に完全に新たなラインに交換可能であり、又は個々のエンクロージャユニットが選択的に完全に新たなラインストランドに交換可能である限り、追加の機能を与える。
【0048】
この点におけるラインストランドという用語は、ラインの束、特に相互に関連するラインを示すのに用いられる。特に、この点において、1以上の受容手段を有する1以上のエンクロージャユニットによって受容される個々のラインストランドの部分的な交換が考慮されるべきである。
【0049】
その目的のため、機能領域が、特に、完成したエンクロージャを分解することなく、1本以上のラインが長手方向又は横方向/径方向に対して横断して挿入又は除去可能となるように、1以上の受容手段を開閉するためのクロージャを与えることが規定され得る。その目的のため、機能領域は、特に、可能な限り封塵関係での閉塞のために設計され、1以上の受容手段の開放状態を可能とする2つの協働する閉塞形材を有していてもよく、ラインは長手方向に対して横断して挿入又は除去され得る。
【0050】
代替的又は追加的に、第2の態様による基本的概念によると、機能領域は、エンクロージャ又は受容手段の少なくとも一部の必要に応じた解放又は嵌合のための固定用ストリップを含み又は形成することが規定される。固定用ストリップは、基本的には、対応するストリップ又は協働する機能領域への非破壊的な解放可能な接続のために、積極的なロック係合及び/又は強制ロック係合によって、任意の接続原理に応じて設計され得る。固定用ストリップは、特に固定用バー又は固定用形材の形態で設計可能である。
【0051】
機能的拡大のための両概念は同様に、例えば、クリーンルームにおいて動作位置における粒子の漏出を防止するのにエンクロージャ全体が分解されることを要さずに、プラグ、コネクタ、カップリングなどが既に装備されているラインによる後の交換又は後付けを可能とする。第1の態様では、ラインは、エンクロージャを改造することなく交換可能である。第2の態様では、対象となるラインとともにエンクロージャの一部のみが交換される。この点において、1本以上のラインを有する個々の受容手段の交換又はラインストランドを有するエンクロージャユニットの交換の双方が考慮されるべきである。
【0052】
エンクロージャユニットは、1本以上のライン又はラインストランドのための少なくとも1つの受容手段をそれぞれ有する。受容手段は、特に、管状構成のものであり得る。
【0053】
実施形態では、エンクロージャは、好ましくは一体からなる軟質弾性又は曲げ弾性プラスチックを含む少なくとも1つのエンクロージャユニットを含む。エンクロージャユニットは、例えば、2つの対称二分エンクロージャ部分、すなわち、長手方向に同様に分割された管部分を備える多部品構造体のものであってもよい。ここでは、一体のエンクロージャユニットが好適であり、例えば、粒子の漏出に関して封止整合性を向上することができる。
【0054】
好適な実施形態では、少なくとも1つの機能領域はエンクロージャユニットに一体にそれぞれ接続される(すなわち、破壊によってのみ解放可能である)。その目的のため、それは、エンクロージャユニットと一体に直接に製造されてもよいし、又は別個に製造されて後に接合加工によって、例えば、適切な熱接合加工、特に溶接によってユニットに材料結合関係で接合されてもよい。本発明の範囲は、特に、例えば、種々の特に適するプラスチック、特に熱可塑性プラスチックからの押出しによって、一方では機能領域を有さない「簡素化された形材」の、他方では機能領域の別個の製造を含む。そして、例えば、プラスチックを溶接するための溶接加工によって、機能領域は、エンクロージャユニットの残余部分に長手方向に材料結合関係で接続されて一部品を形成し得る。
【0055】
実施形態において、特に第2の態様によると、エンクロージャは、複数の別個のエンクロージャユニットから構成される。この場合、各エンクロージャユニットは、それぞれ1つのみの受容手段を形成し、それぞれ、エンクロージャユニットと一体の横方向固定用ストリップ、例えば、バー又は形材部分を有し得る。さらに、エンクロージャユニットはまた、複数の受容手段を含み、それぞれ、エンクロージャユニットと一体の横方向固定用ストリップを有し得る。このように、個々のエンクロージャユニットは、相互に平行に接続されてエンクロージャを形成し得る。展開例では、この点において、各エンクロージャユニットは、両側で対向関係にあるとともにエンクロージャユニットと一体にある2本の固定用ストリップを有していてもよく、そのストリップによって隣接エンクロージャユニットが平行な関係で接続可能となる。固定用ストリップは、例えば、共役構成の相互に一致する関係での直接の協働、又は積極的ロック関係での相互への係合のために設計されていてもよい。それらはまた、エンクロージャユニットを相互に固定するのに使用される別個の固定用バーと協働し得る。
【0056】
好適な実施形態では、エンクロージャは、それぞれが同じ又は異なる数の受容手段を有する複数のエンクロージャユニットによって形成される。任意選択的に、個々のエンクロージャユニットは、特に、ラインストランドが1つのみのエンクロージャユニットによって受容され得るような多数の受容手段を有し得る。これは、有利なことに、エンクロージャ内の個々のラインストランドがそれぞれ関連のエンクロージャユニットの交換によって交換され得ることを可能とする。この点において、ラインストランドという用語は、特に、例えば、耐摩耗性又は寿命に応じてグループ化された機能的に相互に関連するラインの束又は群を示すものとして用いられる。
【0057】
各エンクロージャユニットは、横方向に、特に固定用ストリップと対向関係で、2つの閉塞形材をエンクロージャユニットと一体に有し得る。
【0058】
実施形態では、エンクロージャユニットの閉塞形材は、隣接エンクロージャユニットの固定用ストリップに対する接続によって積極的ロック関係及び/又は強制ロック関係で閉塞可能であることが規定され得る。このように、例えば、対向配置された固定用ストリップに係合する閉塞形材のサイズが過大な場合、追加の嵌合工程なしに特に強固な閉塞を達成することができる。あるいは、隣接エンクロージャユニットは、固定用ストリップと協働する別個の柔軟な固定用バーによって相互に平行にそれぞれ接続されてもよい。このように、クロージャの解放(第1の態様)は固定物(第2の態様)から独立したものであり、すなわち、エンクロージャユニットの分離は隣接エンクロージャユニットの無用な開放をもたらすことはないため、摩耗粒子が意図せずに排出されることはない。
【0059】
更なる実施形態は、エンクロージャユニットが、複数の平行な受容手段を形成する小分け部分を含み、エンクロージャユニットが、特に、エンクロージャユニットと一体の少なくとも2つの閉塞形材を有することを規定する。このように、とりわけ、嵌合されるべき個々のエンクロージャユニットが各ラインについて設けられないので、ガイドされるべき多数のラインを有する用途に関して組立ての手間が軽減可能となる。この実施形態では、各受容手段は、好ましくは、全てのラインが別個にアクセス可能なままとなるようにそれ自体の関連のクロージャを有する。その目的のため、各受容手段は、エンクロージャユニットと一体の一対の協働する閉塞形材を有し得る。
【0060】
長いガイドライン又は特に軟質弾性エンクロージャ若しくはエンクロージャユニットを伴う場合、少なくとも1つの、好ましくは2つの横方向外側受容手段に、特に個々のチェーンリンクを備えるサポートチェーンを設けることが可能であり、サポートチェーンは方向転換アークの方向転換半径を予め決定するように及び/又は直線位置に自己支持型ランを支持するように設計される。
【0061】
好適な実施形態では、固定用形材が、特に各場合においてそれと一体となる小分けされたエンクロージャユニットの場合、エンクロージャの各狭面において固定用ストリップとして設けられる。拡張性に加えて、このように、例えば、サポートチェーンの代替として、異なる種類のサポートデバイスをエンクロージャの固定用形材の外部に搭載することができる。これは、使用可能な受容通路はサポート機能には不要であることを意味する。その目的のため、それぞれの外部サポートデバイスがエンクロージャの各狭面において固定用形材に接続されてもよく、そのサポートデバイスは、方向転換アークの方向転換半径を予め決定するために及び/又は直線位置における自己支持型ランを支持するために、低いレベルの摩耗しか伴わないように設計される。好ましくは、その目的のため、各サポートデバイスは、キャリアバンド及びそれに垂直な当接要素、特に、T字形当接要素を有し、そのT字アームは径方向内向きに方向転換アークにおいて又は直線位置において当接状態にある。キャリアバンドは、好ましくは、中立素分(neutral fibre)のレベルにある。
【0062】
特に、固定機能を有する(又は開放機能を有しない)第2の態様によると、実施形態は、エンクロージャが、複数の別個かつ周方向に閉塞したエンクロージャユニットを含むことを規定する。この場合、各エンクロージャユニットは、1つのみの受容手段をそれぞれ形成し得る。各エンクロージャユニットは、両側において対向関係にありかつエンクロージャユニットと一体にある2つの固定用ストリップを固定目的のための機能領域として有していてもよい。この場合、固定用ストリップは、相互に直接に積極的ロック協働のために、例えば、ジップクロージャ若しくはスライドクロージャなどの態様で適合されてもよいし、又は積極的ロック及び/若しくは強制ロック関係で別個の固定用バーと協働してもよい。
【0063】
2つの態様の各々並びに閉塞及び固定機能の組合せによると、エンクロージャユニットは、長手方向に一定の断面のものであり得る。これにより、好ましくは、軟質弾性又は曲げ弾性プラスチックからの押出し加工における形材状の製造が可能となる。機能領域は、この場合には別個に押出し加工されてもよい。
【0064】
クロージャとして作用する機能領域は、例えば、機能領域が、長手方向全体にわたって一定でありかつプレスクロージャ又は歯のないスライドクロージャとして協働するプラスチックの2つの共役相互係合閉塞形材を有する場合、押出しによって製造可能である。この場合、各閉塞形材は、2つの係合形材を含み、いわゆる二重閉塞を形成し得る。
【0065】
第2の態様によると、各々がそれぞれの固定用形材を有する2つの横方向に対向配置された機能領域が設けられてもよく、固定用形材は、好ましくは、長手方向のみに解放可能な積極的ロック接続、例えば、実矧ぎ接続などのために設計される。このように、エンクロージャユニットの動作中の意図しない解放が回避可能となる。
【0066】
好ましくは、隣接受容手段は、中立素分を予め決定するバンド形態の中間領域によって、相互に平行に接続又は結合される。代替的又は追加的に、好ましくは、協働する閉塞形材を備える各クロージャに関して、界面はエンクロージャの中立素分のレベルにある。中立素分は、特に受容手段の断面を介して中心に延在するものである。
【0067】
クランプデバイスが端部でエンクロージャに設けられてもよく、それは、エンクロージャ及び任意選択的に軸方向におけるラインを閉塞して塵埃粒子の漏出を防止する。通常の使用状況では、少なくとも2本のライン及び大抵は複数のラインが、それぞれの受容手段において相互に分離されてガイドされ、エンクロージャによって可能な限り防塵的に封入される。端部においても、粒子は発生しないものとする。
【0068】
請求項20又は請求項22によると、本発明はまた、エンクロージャの製造のための個々の部品としてのエンクロージャユニットに関する。それはプラスチック、特に軟質弾性又は曲げ弾性プラスチックから製造され、第1の端部から第2の端部への長手方向に通路状に延在する、少なくとも1本のラインをガイドするための少なくとも1つの管状受容手段を有する。
【0069】
前述した2つの態様の組合せによると、エンクロージャユニットは、長手面において、ラインが長手方向に対して横断して受容手段に導入され又はそこから除去され得る開放状態を、可能な限り封塵する態様で閉塞するために長手方向に延在する2つの協働する形材を含み、他方の面において、それは、特に、更なるエンクロージャユニットの対応する機能領域との積極的ロック及び/又は強制ロック係合による更なるエンクロージャユニットへの解放可能な接続のために長手方向に延在する固定用ストリップを有する。この場合、エンクロージャユニットは、少なくとも1本の各ラインの別個の案内のための特に平行かつ管状の先述の複数の受容手段を形成し、又はそれぞれ1つのみの受容手段を形成し得る。
【0070】
第2の態様(固定機能)のみを伴う実施形態では、エンクロージャユニットは第1の固定用形材を一方の長手面に有するとともに第2の固定用形材を他方の長手面に有し、固定用形材は、構造的に同一の固定用形材を有する複数のエンクロージャユニットを相互に解放可能に固定するように相互に一致する関係で積極的ロック及び/又は強制ロック接続によって解放可能な接続のために設計される。構造的に同一の固定用形材の場合、特にバー又は形材に考慮がなされることになり、エンクロージャユニットは第1の長手面にバーを有するとともに第2の長手面に形材を有していてもよく、第1のエンクロージャユニットのバーは積極的ロック及び/又は強制ロック関係で第2のエンクロージャユニットの形材に接続可能である。この場合、第1のエンクロージャユニットは、特に、第2のエンクロージャユニットと構造的に同一であってもよく、例えば、異なる数の受容手段を有していてもよい。
【0071】
更なる実施形態では、エンクロージャユニットは第1の固定用形材を一方の長手面に有するとともに第2の固定用形材を他方の長手面に有し、固定用形材は、構造的に同一のエンクロージャユニットを相互に解放可能に固定するように相互に一致する関係で積極的ロック及び/又は強制ロック係合によって解放可能な接続のために設計される。
【0072】
またさらに、エンクロージャユニットは、少なくとも1本の各ライン又はラインストランドの別個の案内のために複数の又は1つのみの管状受容手段を有し得る。この実施形態は、エンクロージャユニットが、動作位置における粒子の漏出が確実に防止されるように受容手段の周囲に周方向に閉塞されて製造される場合に有利である。
【0073】
本発明の更なる詳細及び有利な効果は、添付図面を参照して、例示による好適な実施形態の以降の説明から、上記の概略に対する限定なしに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1A】柔軟なエンクロージャを有する変位可能なライン保護ガイドの例示による第1の実施形態を、端部領域の部分図として、部分的に破断した態様で示す。
図1B】ライン保護ガイド又はラインガイドデバイスの標準的な配置構成を模式側面図で示す。
図2】例えば、相互に関連するラインを備えるライン束を形成する4本の個々のワイヤの撚りを示す。
図3】それ自体の外側シースなしにライン束を製造するために、図2の撚られた個々のワイヤの反対方向での外装によるバンディングを示す。
図4】防塵動的ラインガイドのためのエンクロージャの製造のために、閉塞状態において予め作製されるエンクロージャユニットに、図3に示すライン束を引き込む方法工程を模式的に示す。
図5A】開放可能なエンクロージャユニットへの図3に示すライン束の横方向の挿入を代替方法工程として示し、防塵動的ライン案内のためのエンクロージャを製造するために後に相互に接続された2つのエンクロージャユニットの閉塞状態を例示し、同時に、開閉可能な予め作製されたエンクロージャユニットの好適な変形例を示す。
図5B】開放可能なエンクロージャユニットへの図3に示すライン束の横方向の挿入を代替方法工程として示し、防塵動的ライン案内のためのエンクロージャを製造するために後に相互に接続された2つのエンクロージャユニットの閉塞状態を例示し、同時に、開閉可能な予め作製されたエンクロージャユニットの好適な変形例を示す。
図6図4又は図5A~5Bにそれぞれ示す原理によって製造されたエンクロージャの単に模式的な斜視図である。
図7A】閉塞状態で予め作製されたエンクロージャユニットの好適な変形例を(いわゆる個別ポッドとして)示す。
図7B】閉塞状態で予め作製されたエンクロージャユニットの好適な変形例を(いわゆる個別ポッドとして)示す。
図7C】閉塞状態で予め作製されたエンクロージャユニットの好適な変形例を(いわゆる個別ポッドとして)示す。
図8A】外部の異なる領域において滑り摩擦低減層を有するエンクロージャユニットの変形例を示す。
図8B】外部の異なる領域において滑り摩擦低減層を有するエンクロージャユニットの変形例を示す。
図8C】外部の異なる領域において滑り摩擦低減層を有するエンクロージャユニットの変形例を示す。
図9A】複数の受容手段を有し、横方向の固定用形材によって相互に解放可能に接続されたエンクロージャユニットを有する更なる実施形態を示す。
図9B】複数の受容手段を有し、横方向の固定用形材によって相互に解放可能に接続されたエンクロージャユニットを有する更なる実施形態を示す。
図9C】複数の受容手段を有し、横方向の固定用形材によって相互に解放可能に接続されたエンクロージャユニットを有する更なる実施形態を示す。
図9D】複数の受容手段を有し、横方向の固定用形材によって相互に解放可能に接続されたエンクロージャユニットを有する更なる実施形態を示す。
図10A】個々に充填され得る複数の受容手段、及び関連する機能領域の好適な断面を有するエンクロージャユニットを有する特に好適な実施形態を示す。
図10B】個々に充填され得る複数の受容手段、及び関連する機能領域の好適な断面を有するエンクロージャユニットを有する特に好適な実施形態を示す。
図10C】個々に充填され得る複数の受容手段、及び関連する機能領域の好適な断面を有するエンクロージャユニットを有する特に好適な実施形態を示す。
図10D】個々に充填され得る複数の受容手段、及び関連する機能領域の好適な断面を有するエンクロージャユニットを有する特に好適な実施形態を示す。
図11図10A~10Dに関する変形例としての更なる実施形態を示す。
図12図10A~10Dに関する変形例としての更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1A~1Bは、ライン(不図示)のための往復可能なライン保護ガイドの第1の実施形態を模式的に示す。それは、プラスチックからなる複数の個々のエンクロージャユニット101から構成される細長く柔軟なエンクロージャ100を有する。各エンクロージャユニット101は、可撓性のある軟質弾性プラスチック、特に熱可塑性のもの、例えば、PE、PU、TPU、PTFE、延伸PTFE、PPなどから製造される。その長さにわたって、各エンクロージャユニット101は、長手方向Lに垂直に全体にわたって一定の断面のものである(図1B)。エンクロージャユニット101は、例えば、適切なプラスチック押出し加工における押出し品の形態で安価に製造可能であり、例えば、約100mm~約1500mmの適宜の長さに切断可能である。構造的に同一のエンクロージャユニット101は、その内部に、ラインの保護案内のための略円筒状の受容手段102を形成し、その目的のため、受容手段102の断面に関して薄型規格のものである壁領域103を有する管状構成のものである。柔軟なエンクロージャの受容手段102は、その中を平行にガイドされるライン同士での摩耗が発生し得ないように、相互から空間的に分離される。
【0076】
図1Aは、2つのクランプ部131、132を有する2つの端部クランプデバイス130の一方をさらに示し、クランプ部の間で、エンクロージャ100の全てのエンクロージャユニット101が、その中にガイドされるライン(不図示)とともに、例えば、クランプネジによって端部で軸方向に塵埃閉塞される。クランプデバイス130はまた、同時に、ライン(不図示)の引張応力緩和に備え、例えば、この点においてここに取り込まれる独国特許発明第102012100290号明細書(特許文献3)の教示に類似するそれ自体公知の構造的構成のものであり得る。
【0077】
図1Aは、2つのサポートチェーン135の一方を示し、それは2つの横方向外側のエンクロージャユニット101の受容手段102に収容され、個々のチェーンリンクを備える。任意選択的なサポートチェーン135は、一方では、チェーンがキンクすることから保護するように方向転換アーク4(図8)の最小許容半径を予め決定し、他方では、直線位置におけるチェーンリンクのための当接によって可動ラン、例えば、上側ラン1(図8)におけるエンクロージャ100の自己支持長を増加させることができる。
【0078】
図1Bは、可動の上側ラン1及び固定の下側ラン3を構成する、例えば、図1Aによる防塵エンクロージャ100を用いた動的ラインガイドの構成を模式的に示す。それらのランの間において、エンクロージャ100は、仮想軸Aを中心として所定の曲げ半径の方向転換アーク4を形成する。方向転換アーク4は、上側ラン1が可動接続部7とともに変位された場合に固定接続部5に対して所定距離にわたって移動する。ここでは任意の空間位置が関与し得るが、エンクロージャ100は縦方向又は横方向に移動することもできる。エンクロージャ100の2つの端部は、例えば、図1Aに示すようなクランプデバイスによって、防塵閉塞される。エンクロージャ100は、全体としてホース状構成のものであり、とりわけ、適切な構成に起因して及び/又は適切な材料の選択によって、印加される少量の力による方向転換アーク4の可逆的可撓的曲率を可能とするとともに最小限の抵抗で可動接続部7の移動動作をもたらすのに充分に可撓性がある。
【0079】
図9A~9Dは、複数の個々のエンクロージャユニット901から構成されるエンクロージャ900を模式的に示す。エンクロージャユニット901の各々は、1以上の受容手段902を形成する。図1~6とは対照的に、エンクロージャユニット901は、長手方向L及び周方向において閉塞され、すなわち、それらは1以上の受容手段902の周囲において中断することなく延在するエンクロージャ壁903を有する。エンクロージャ壁903は、例えば、略レンズ形状又は2点が尖った楕円形状の断面を有し、又は楕円形の、長細く丸みを帯びた若しくは丸みを帯びた断面の管、ホースなどの形態である。好ましくは、受容手段902を与えるのに図9A~9Dに示すレンズ形状断面が用いられる。それは、特に、中立素分に対して対称に、それらの弦において相互に嵌合される2つの同一円部分から構成され得る。この断面形状は、折曲げ、すなわち、方向転換アークにおける摩耗を減少させる。エンクロージャユニット901は、少なくとも大部分において、例えば、延伸PTFEを含み、特に、押出し加工される柔軟な永久弾性的可撓性プラスチックから製造される。
【0080】
図9A~9Dに示すエンクロージャユニット901は、非破壊的に開放することはできず、すなわち、図1~6における状況とは異なり、ラインは、軸方向に、すなわち、長手方向にそこを通されなければならない。一方で、保守作業中に粒子の無用な漏出が、それにより確実に防止可能となる。保守及び拡張の簡素化が、専ら固定機能の概念、すなわち、個々のエンクロージャユニット901の平行な固定のために協働する機能領域920、921によって、受容手段902における閉塞機能なしにエンクロージャユニット901によって達成される。この点において、各エンクロージャユニット901は、例えば、エンクロージャユニット901の交換によって異なるラインストランドから独立してプラグなどとともに予め作製されたラインストランドを新たに交換するために、関連するラインストランドを有し得る。
【0081】
図9A~9Dに示す各エンクロージャユニット901は、両側において正反対でありかついずれも閉塞エンクロージャ壁903と一体に製造され又は後にそれに接続される機能領域920、921を有し、機能領域は長手方向Lに連続して延在する。機能領域920、921の各々は、積極的ロック及び/又は強制ロック係合による解放可能な接続のために、固定用形材及び/又は固定用バーを固定用ストリップとして有する。機能領域920、921は、隣接エンクロージャユニット901に対するエンクロージャユニット901の必要に応じた解放又は嵌合のために協働するように設計される。適切な設計構成は、図10A~10Dを参照して後述する。
【0082】
図9B~9Dは、例示として、2個の接続エンクロージャユニット901を示し、第1のエンクロージャユニット901が3個の受容手段902を構成する。図9Bでは、第2のエンクロージャユニット901も、3個の受容手段902を有する。図9Cでは、第2のエンクロージャユニット901は2個の受容手段902を有し、一方、図9Dでは、1つの受容手段902がある。エンクロージャユニット901によって構成される異なる数の受容手段902によって、ラインストランド(不図示)に対する、特に、ラインストランド(不図示)内のライン(不図示)の数に対するエンクロージャユニット901の適合が可能となる。したがって、エンクロージャ900内で適合された数の受容手段902を有するエンクロージャユニット901の要件による構成は、個々のラインストランド(不図示)がエンクロージャユニット901の交換によって必要な分だけ交換されることを可能とする。
【0083】
例えば、押出しを可能とするように長手方向に一定の断面の固定用形材を機能領域920、921として用いることができる。ここでは、機能領域920、921はまた、エンクロージャ壁903に沿う2面において対向関係で平面内にストリップ形態で延在する。機能領域920、921の固定用ストリップは、例えば、プレスクロージャバッグと同様に、相互に係合する固定用形材を有するプレスクロージャの態様で設計される。ここで、機能領域920、921は、固定用形材又は固定用バーをそれぞれ接続する、おそらくは図2のような別個の固定用バーとも、固定のために協働する。
【0084】
好ましくは、機能領域920、921は、例えば、機能領域920、921のための可撓性はあるが強度又は硬度がより高いプラスチックを有する一元的な材料を用いて又は異なるプラスチックから、押出し加工においてエンクロージャ壁903と一体に製造される。機能領域920、921は、例えば、押出し又は射出成形によって別個に製造可能であり、エンクロージャユニット901の残余の形材に一体的に接続可能であり、例えば、適切な手順によって長手方向に連続して溶接される。好ましくは、その目的のため、エンクロージャ壁903及び機能領域920、921は、熱可塑性材料からなる。
【0085】
図10A~10Dは、図4A~4Dに示す原理の変形例を表すエンクロージャユニット1001の特に好適な更なる例を示す。この場合も、エンクロージャユニット1001は可撓性の屈曲可能なプラスチックからなり、好ましくは押出し加工され、閉塞状態においてライン6に対して複数の、例えば、3個の受容手段1002を有する(図10B)。この場合、各受容手段1002に対するエンクロージャユニット1001は、それ自体のそれぞれの専用又は関連の機能領域1010を有し、それはクロージャの形態であり、ここでは特に、共役関係で相互に係合する2つの係合形材又は閉塞形材を有するストリップ状閉塞バーの形態であり、すなわち、爪形材1012に係合可能なフック形材1011の形態である。フック形材1011及び爪形材1012には、少なくとも1つの逃げ溝構成、好ましくは2つの対称逃げ溝構成がそれぞれ設けられ、かかり状機能によって相互に係合し、すなわち、それらは比較的容易に閉塞又は接続するが、非常に大きな力の付加によってのみ解放される。
【0086】
さらに、両方の対向狭面において、エンクロージャユニット1001はまた、相互に並置された関係で横方向の位置において又はサポートデバイス(図3A参照)において、対応して構造的に同一の機能領域1020及び1021を有する複数のエンクロージャユニット1001のモジュール式固定のために作用するそれぞれの機能領域1020及び1021を有する。機能領域(固定用ストリップ又はバンド)1020、1021は、ここでも、閉塞用機能領域1010と同様又は構造的に同一のそれぞれ爪形材1022及びフック形材1025の形態である。
【0087】
図10C~10Dは、フック形材1011及び爪形材1012の拡大した断面図を模式的に示し、構造的に同一の構成のものが閉塞用機能領域1020及び1021にも使用され得る。フック形材1011及び爪形材1012は、(図10C~10Dの平面に垂直な)長手方向全体にわたって一定の断面のものであり、方向転換アーク4(図4)における軸Aを中心に屈曲可能な可撓性ストリップ又はバンドの形態である。フック形材1011は、中立素分Nに対して対称のダブルフック形材の形態であり、例えば、ここに示すように、矢印形状、マッシュルーム形状などのものであり、それぞれの対応する後方逃げ溝構成又は逃げ溝を有する。後方面1027は、かかりとしての作用を強化し、無用な解放を確実に防止するように、対称面及び接続方向に関して所定角度で後方に傾斜して延在していてもよい。爪形材1012は、中立素分Nに関して対称に対応する断面のものである。爪形材1012は、フック形材1011と一致又は共役関係の関係において一致する断面を有する内側受容手段を有し、受容手段は強制ロック接続を達成するように小さめのサイズのものであってもよい。その受容手段の周囲において、爪形材1012は、フック形材1011の背部と顎状に係合してそれを堅く保持する2つの爪状バー又はストリップを形成する。フック形材1011及び爪形材1012の他の形態も、特に歯のないジップファスナー、特にプラスチックからなるスライド又はプレスクロージャの場合のように、それぞれ検討され得る。上記の構造は、固定用機能領域1020、1021に適宜使用され得る。それらの全長にわたって実質的に均一な断面のものでありかつその構造としてのスライダなしに動作される相互係合部品を有する機能領域(ジップファスナー)1010又は1020、1021は、押出し加工を用いて容易に実施可能であるので、好適である。
【0088】
図10A~10Dに示すような中立素分Nのレベルでの閉塞用機能領域1010並びに固定用機能領域1020及び1021の配置構成は、特に有利である。ゼロラインともいわれる中立素分Nは、曲げがあっても、特に方向転換アーク4(図8)の変位があっても長さが変化しない断面の層であり、すなわち、湾曲があっても長手方向に一定の寸法を保持する層である。
【0089】
閉塞用機能領域1010並びに固定用機能領域1020及び1021は、受容手段1002の壁と一元的な材料で製造可能であり、又は例えば、接続及びエンクロージャユニット1001全体の安定性を高めるように比較的曲げ剛性の高いプラスチックから、例えば、押出し加工を用いて製造可能である。
【0090】
図11は、固定用機能領域1120及び1121が図10A~10Dに示す原理に従って設計されたエンクロージャユニット1101を有する変形例を示す。上記と対照的に、閉塞用機能領域1110は、図4A~4Cに示す原理に基づくダブルフック係合形材の形態である。なお、この点において、図4A~4Cの図は、閉塞用機能領域410が大きく拡大された縮尺で示されているので縮尺通りではない。標準的には、機能領域1010、1020及び1021又は1110、1120及び1121は、それぞれ、例えば、1.5mm~約3mmのミリメートル範囲の、断面での構造的な高さのものである。
【0091】
図12図10A~10Dに関する変形例を示し、変形例は図12の各エンクロージャユニット1201は1つのみの個々に開閉可能な受容手段を形成するという本質的な相違を有する。図10A~10Dと同様にフック形材1212及び爪形材1211を有する対応の閉塞用機能領域1210に加えて、図12における各受容手段では、各個々の受容手段はまた、それ自体の固定用形材、例えば、爪形材1211及びフック形材1212を各狭面側において両側に有する。
【0092】
図2~6に戻り、フラットリボンラインのための好適な製造方法がここに提案され、それは図1A~1Cに示すようなクリーンルーム用途のためのラインガイドとして使用可能である。
【0093】
図2~3は、各ストランドの個々のワイヤ21の、0.08mm以下の個々の線径の非常に柔軟なストランドラインからなる複数の個々のワイヤ20を示す。個々のワイヤ20はそれ自体公知の態様で撚られ、とりわけピッチ長がストランドラインに適合される。各ストランドは、それ自体の適切な絶縁体22を有する。そして、個々のワイヤ20を備えるストランド構造(図2の右側)が、図3(右側)に示すように、好ましくは2枚のPTFEフィルム23のバンド又はストリップを備える外装で巻かれ、それらは反対方向に巻回される。
【0094】
結果として得られるライン束30(図3の左側)は、それ自体の外側シースを有さず、例えば、ケーブル製造者からの購入によって提供され得る。このようなライン束30(図3の左側)の製造の手順は、それ自体公知であるが、関連する基準から離れて、通常は後の押出し加工によってライン束30に適用されることになる外側シースは、ここでは意図的には設けられない。ライン束は、例えば、スクリーニング目的のための組紐又はメッシュ、耐引張コア要素などのようなここには図示しない構成要素をさらに有していてもよい。
【0095】
図4は、本発明によるクリーンルーム用途のためのラインガイドの製造のための2つの工程の一方を示す。図4を参照すると、ここでは例示として、図9A~9Dを参照して前述したような複数のエンクロージャユニット901を備える予め作製されたエンクロージャが提供される。したがって、予め作製されたエンクロージャ900は、1以上の受容手段902を有する周囲閉塞状態において製造された少なくとも1つのエンクロージャユニット901を有する。閉塞状態において製造されるエンクロージャユニット901の場合、ライン束30は、緩く又はエンクロージャ壁903に対して自由空間を以て長手方向Lに閉塞エンクロージャユニットに引き込まれ、すなわち、引張りワイヤ又は適切な手順によってエンクロージャユニットに引き込まれる。その後又はその前に、エンクロージャユニット901は、図6に模式的に示すように、複数のライン束(電気ライン)30を有するラインガイドが製造されるように接続されてエンクロージャ900を構成し得る(図9A~9D参照)。
【0096】
代替的に、図5A~5Bが示すように、クロージャの2つの協働する閉塞形材511、512を有する開閉可能なエンクロージャユニット501を用いることもできる。図11に関する変形例として、ここで、配置構成として1つの相互係合形材バーのみでクロージャ510を示すが、他の構成は図11と同様である。
【0097】
クロージャ510は、エンクロージャユニット501が押出しによって製造可能な開放状態を防塵閉塞するために作用する。
【0098】
図5A~5Bに示す製造方法では、図2~3に示すように提供されるライン束30は、例えば、そのように納品され、開放されたエンクロージャユニット501に長手方向に対して横断して導入されてから、エンクロージャユニット501が図5A~5Bに示すように閉塞される。このように、複数のライン束(電気ライン)30を有するラインガイドは、2本のライン束30についてのみ図5Bに模式的に示すようにも製造可能である。その後又はその前に、エンクロージャユニット501は、エンクロージャ500を構成するように接続され得る(図5B参照)。
【0099】
図7A~7Bは、図4で使用される好適なエンクロージャユニット901の2つの変形例を示す拡大図を示し、変形例では、周囲に延在するエンクロージャ壁903が横方向の固定のために機能領域920、921と一元的な材料で製造される。図7Cは、図9~10に示すように形成される機能領域920、921が、これとは対照的に、エンクロージャ壁903よりも硬度の高い異なるプラスチックから製造された変形例を示す。
【0100】
図8A~8Cは、第1及び第2のプラスチック(図7C)との比較において摺動係数の低い第3のプラスチック、特にPE-HMW又はPE-UHMWを含む滑り摩擦低減層を示す。その製造動作は、例えば、3種の異なるプラスチックからの3層押出し加工を用いて行われ得る。図8Aでは、滑り摩擦低減層801は、エンクロージャ壁903において外部にのみ設けられる。
【0101】
図8Bでは、横方向の固定のために機能領域920、921上にも全周の関係において滑り摩擦低減層802が設けられる。
【0102】
図8Cは、雄型フック形状コネクタ521以外でほぼ全周に延在する滑り摩擦低減層803を有する、図5A~5Bに関する変形例を示す。更なる滑り摩擦低減層、特に、PE-HMW又はPE-UHMWが、受容手段(図8A~8Cでは不図示)の内側、すなわち、ライン束30を向くエンクロージャ壁503及び903の側に設けられてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C-10D】
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に2本のラン(1、3)の間の方向転換アーク(4)の形成によって、往復して変位可能な電気ライン及び細長く柔軟なエンクロージャ(100;500;900)を有する、クリーンルーム用途のためのラインガイドの製造の方法であって、前記柔軟なエンクロージャ(100;500;900)は少なくとも1本の各ラインに対して多数の平行な受容手段(902;1002;1102)を有し、各受容手段(902;1002;1102)は第1の端部から第2の端部への長手方向(L)に通路状に延在し、前記方法は、少なくとも:
-相互に関連するラインの少なくとも1つのライン束(30)を提供する工程と、
-前記柔軟なエンクロージャ(100;500;900)を提供する工程と、
を含み、
前記エンクロージャ(100;500;900)が予め作製され、該予め作製されたエンクロージャ(900)の受容手段(902;1002;1102)に前記ライン束(30)が導入され、
相互に関連するラインの前記少なくとも1つのライン束(30)は、各々がそれ自体の絶縁体(22)を有する少なくとも2本の撚線(20)を備えるワイヤ束を含み、前記少なくとも1つのライン束(30)は、それ自体のそれぞれの外側シースを有さず、
-前記予め作製されたエンクロージャ(100;500)は、開放状態を防塵閉塞するためのクロージャ(510)の2つの協働する閉塞形材(511、512)を有する少なくとも1つのエンクロージャユニット(101;501)を備え、前記ライン束(30)は開放された前記エンクロージャ(100;500)に前記長手方向(L)に横断して導入され、又は
-前記予め作製されたエンクロージャ(900)は周囲が閉塞されて製造された少なくとも1つのエンクロージャユニット(901)を含み、前記ライン束(30)は閉塞された前記エンクロージャユニット(901)に前記長手方向(L)に引き込まれる、方法。
【請求項2】
前記ライン束(30)は、摺動可能な材料、好ましくはその外側にフッ素ポリマーを含む材料を含む、外側分離層(23)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外側分離層(23)は、バンディングの形態、特にPTFEベアリングフィルム(23)又はPTFEベアリング不織布のストリップの形態である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記バンディングは、少なくとも1つの外装、特に2つの外装を、反対方向に有する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
-前記ライン束(30)は、少なくとも2本の高可撓性ストランドライン、特に0.1mm未満、特に0.08mm以下の個々の線径のストランドライン、及び/若しくは超微細ストランドラインを含み、
-前記ライン束(30)は、例えば、PTFE、PFA、PVDF、ETFE、FEPなどのようなフッ素ポリマーを含む絶縁体(22)を有する少なくとも2本のストランドラインを含み、並びに/又は
-前記ライン束(30)は、耐引張コア要素を含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ライン束(30)は、少なくとも6本の層状ストランドワイヤ又は束状ストランドワイヤを備えるワイヤ束(20)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記開放されたエンクロージャ(100;500)は、前記閉塞形材(511、512)によって前記ライン束(30)の導入後に防塵閉塞される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各エンクロージャユニット(101;501;901)は予め作製され、両側において対向関係にありかつ前記エンクロージャユニット(101;501;901)と一体の2つの固定用ストリップ(520、521;920、921)を有し、前記予め作製されたエンクロージャユニット(101;501;901)を相互に平行に接続してエンクロージャ(100;500;900)を形成する工程を含む請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特にクリーンルーム用途のための、例えば、ケーブル、ホースなどのようなラインのためのラインガイドであって、特に2本のラン(1、3)の間の方向転換アーク(4)の形成によって、往復して変位可能であり、かつ少なくとも1本の各ラインに対して複数の受容手段(902;1002;1102)を有する細長く柔軟なエンクロージャ(100;500;900)を備え、各受容手段(902;1002;1102)は第1の端部から第2の端部への長手方向(L)に通路状に延在し、
前記エンクロージャ(100;500;900)は別個に予め作製され、それぞれのライン束(30)は少なくとも一部の受容手段(902;1002;1102)に導入され、相互に関連するラインの前記少なくとも1つのライン束(30)は、各々がそれ自体の絶縁体を有する少なくとも2本の撚線(20)を備えるワイヤ束を含み、前記少なくとも1つのライン束(30)は、それ自体のそれぞれの外側シースを有さず、前記エンクロージャ(100;500;900)は前記ライン束(30)の外側シースを形成する、ラインガイド。
【請求項10】
相互に関連するラインのライン束は、各々がそれ自体の絶縁体を有する少なくとも2本の撚線を備えるワイヤ束を含み、各ライン束(30)はそれ自体の外側シースを有さない、請求項に記載のラインガイド。
【請求項11】
前記ライン束(30)は、摺動可能な材料、好ましくはその外側にフッ素ポリマーを含む材料を含む外側分離層(23)を含む、請求項に記載のラインガイド。
【請求項12】
前記外側分離層は、バンディングの形態、特にPTFEベアリングフィルム(23)又はPTFEベアリング不織布のストリップの形態である、請求項10に記載のラインガイド。
【請求項13】
前記バンディングは、少なくとも1つの外装、特に2つの外装を反対方向に有する、請求項11に記載のラインガイド。
【請求項14】
-前記ライン束(30)は、少なくとも2本の高可撓性ストランドライン、特に0.1mm未満、特に0.08mm以下の個々の線径のストランドライン、及び/若しくは超微細ストランドラインを含み、
-前記ライン束(30)は、例えば、PTFE、PFA、PVDF、ETFE、FEPなどのようなフッ素ポリマーを含む絶縁体を有する少なくとも2本のストランドラインを含み、並びに/又は
-前記ライン束(30)は、耐引張コア要素を含む、
請求項から12のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項15】
前記ライン束(30)は、少なくとも6本の層状ストランドワイヤ又は束状ストランドワイヤを備えるワイヤ束(20)を含む、請求項から13のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項16】
各ライン束(30)は、前記予め作製されたエンクロージャ(100;500;900)の対応する受容手段(902;1002;1102)に交換可能に導入される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法又は請求項から14のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項17】
前記予め作製されたエンクロージャ(500;900)は、
-協働する閉塞形材(511、512)を有してそれぞれ製造された複数のエンクロージャユニット(501)、特に、開放状態において一体に押出し加工されたエンクロージャユニット(501)を有し、及び/若しくは
-周囲が閉塞されて製造された複数のエンクロージャユニット(901)、特に、閉塞した形材の形態で押出し加工されたエンクロージャユニット(901)を有し、
-各エンクロージャユニット(501;901)は、両側において対向するとともに前記エンクロージャユニット(501;901)と一体の2つの固定用ストリップ(520、521;920、921)を有し、それによって隣接エンクロージャユニット(501;901)が相互に平行に接続され、並びに/又は
-前記エンクロージャ(500;900)は、曲げ弾性プラスチックのエンクロージャユニット(501;901)を備え、各エンクロージャユニット(501;901)は前記長手方向(L)に一定の断面のものである、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法又は請求項から14のいずれか一項に記載のラインガイド。
【請求項18】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法によって製造された、クリーンルーム用途のためのラインガイド。
【請求項19】
ラインガイドの細長く柔軟なエンクロージャ(100;500;900)のためのプラスチックのエンクロージャユニット(101;501;901)であって、該エンクロージャユニット(101;501;901)は少なくとも1本のラインをガイドするための少なくとも1つの受容手段(902)を形成し、第1の端部から第2の端部への長手方向(L)に通路状に延在し、可撓性プラスチックを含むエンクロージャ壁(503;903)を有し、
-前記エンクロージャユニット(101;501;901)は、一方の長手面に第1の固定用ストリップ(520;920)を含み、他方の長手面に第2の固定用ストリップ(521;921)を含み、前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、解放可能な接続を形成するために相互に一致する関係で設計され、
-前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、前記エンクロージャ壁(503;903)と比較して曲げ剛性が高く、前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、特に、前記エンクロージャ壁(503;903)と比較して硬度が高く、及び/又は、特に、曲げ剛性が高い設計構成のものであるプラスチックを含む、
エンクロージャユニット(101;501;901)
【請求項20】
前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、特に共押出し法を用いて又は後の前記エンクロージャ壁(503;903)に対する前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)の材料結合接続によって、前記エンクロージャ壁(503;903)のための第1のプラスチック並びに前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)のためのより硬度の高い第2のプラスチックから、前記エンクロージャ壁(503;903)と一体に製造される、請求項18に記載のエンクロージャユニット(501;901)
【請求項21】
前記エンクロージャ壁(503;903)において及び/又は固定用ストリップ(520、521;920、921)において少なくとも外側に、少なくとも1つの滑り摩擦低減層(801;802;803)、特に前記第1及び第2のプラスチックに関して低い滑り係数の第3のプラスチックを含む層を有し、前記エンクロージャユニット(101;501;901)は、好ましくは、3種の異なるプラスチックからの3層押出し法で製造され、及び/又は前記第3のプラスチックは、好ましくは、ポリエチレン、特に、PE-HMW又はPE-UHMWである、請求項18又は請求項19に記載のエンクロージャユニット(101;501;901)
【請求項22】
前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は雄型及び雌型の断面の共役関係で設計され、前記滑り摩擦低減層(802;803)は少なくとも前記雌型の固定用ストリップ(520;920)の外側に設けられ、
前記滑り摩擦低減層(801)は、前記エンクロージャ壁(903)の外面の大部分の表面部分を少なくとも片面で覆い、及び/又は
前記滑り摩擦低減層(801;802;803)は、前記エンクロージャ壁(903)の厚みの20%未満の層厚のものである、請求項20に記載のエンクロージャユニット(101;501;901)
【請求項23】
前記エンクロージャユニット(101;501;901)は、熱可塑性エラストマー(TPE)、特に、TPS、TPU又はTPOから、好ましくは熱間押出し法での製造に適したTPEから一元的な材料の態様で製造される、請求項18に記載のエンクロージャユニット(101;501;901)
【請求項24】
前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、前記長手方向(L)において連続して一定の断面を有する押出し加工された固定用形材の形態において相互に共役の関係で設計され、相互に係合する関係で協働し、及び/又は
前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、中心面に対して、特に中立素分に対して対称構成のものであり、前記第1の固定用ストリップ(520;920)及び/又は前記第2の固定用ストリップ(521;921)は、2つの対称配置傾斜挿入部分を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット(501;901)
【請求項25】
前記固定用形材は、接続方向において相互に一致する第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)の接続と比較して、前記接続方向と反対の関係に非常に高い力を付加することによってのみ解放可能であり、又は前記長手方向(L)にのみ解放可能であるような構成のものであり、前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、好ましくは、かかり機能を有する断面のものである、請求項18から23のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット(501;901)
【請求項26】
各受容手段(1002;1102)は、前記長手方向(L)に対して横断してラインが前記受容手段(1002;1102)の1つに対して導入又は除去可能な開放状態を防塵閉塞するために、前記長手方向(L)に延在する、クロージャ(510;1010;1110)の2つの協働する閉塞ストリップ(511、512;1011、1012)を有する、請求項18から24のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット(501;1001;1101)
【請求項27】
前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)は、前記長手方向(L)に対して横断して接続方向への前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521;920、921)の接続によって相互に一致する固定用ストリップ(520、521;920、921)を有する複数のエンクロージャユニット(501;901)を相互に解放可能に固定するために、前記長手方向(L)に対して横断して前記接続方向に相互に接続されるように適合された、請求項18から25のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット(501;901)
【請求項28】
前記閉塞ストリップ(511、512)は、前記第1及び第2の固定用ストリップ(520、521)の接続方向に略垂直な力によってそれぞれ開閉可能である、請求項25又は26に記載のエンクロージャユニット(501)
【請求項29】
少なくとも1本の各ラインの独立した案内のための1つのみの管状受容手段を形成する請求項18から27のいずれか一項に記載のエンクロージャユニット(501;1201)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
図10A~10Dは、図9A~9Dに示す原理の変形例を表すエンクロージャユニット1001の特に好適な更なる例を示す。この場合も、エンクロージャユニット1001は可撓性の屈曲可能なプラスチックからなり、好ましくは押出し加工され、閉塞状態においてライン6に対して複数の、例えば、3個の受容手段1002を有する(図10B)。この場合、各受容手段1002に対するエンクロージャユニット1001は、それ自体のそれぞれの専用又は関連の機能領域1010を有し、それはクロージャの形態であり、ここでは特に、共役関係で相互に係合する2つの係合形材又は閉塞形材を有するストリップ状閉塞バーの形態であり、すなわち、爪形材1012に係合可能なフック形材1011の形態である。フック形材1011及び爪形材1012には、少なくとも1つの逃げ溝構成、好ましくは2つの対称逃げ溝構成がそれぞれ設けられ、かかり状機能によって相互に係合し、すなわち、それらは比較的容易に閉塞又は接続するが、非常に大きな力の付加によってのみ解放される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
さらに、両方の対向狭面において、エンクロージャユニット1001はまた、相互に並置された関係で横方向の位置において又はサポートデバイスにおいて、対応して構造的に同一の機能領域1020及び1021を有する複数のエンクロージャユニット1001のモジュール式固定のために作用するそれぞれの機能領域1020及び1021を有する。機能領域(固定用ストリップ又はバンド)1020、1021は、ここでも、閉塞用機能領域1010と同様又は構造的に同一のそれぞれ爪形材1022及びフック形材1025の形態である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
図10C~10Dは、フック形材1011及び爪形材1012の拡大した断面図を模式的に示し、構造的に同一の構成のものが閉塞用機能領域1020及び1021にも使用され得る。フック形材1011及び爪形材1012は、(図10C~10Dの平面に垂直な)長手方向全体にわたって一定の断面のものであり、方向転換アーク4(図1B)における軸Aを中心に屈曲可能な可撓性ストリップ又はバンドの形態である。フック形材1011は、中立素分Nに対して対称のダブルフック形材の形態であり、例えば、ここに示すように、矢印形状、マッシュルーム形状などのものであり、それぞれの対応する後方逃げ溝構成又は逃げ溝を有する。後方面1027は、かかりとしての作用を強化し、無用な解放を確実に防止するように、対称面及び接続方向に関して所定角度で後方に傾斜して延在していてもよい。爪形材1012は、中立素分Nに関して対称に対応する断面のものである。爪形材1012は、フック形材1011と一致又は共役関係の関係において一致する断面を有する内側受容手段を有し、受容手段は強制ロック接続を達成するように小さめのサイズのものであってもよい。その受容手段の周囲において、爪形材1012は、フック形材1011の背部と顎状に係合してそれを堅く保持する2つの爪状バー又はストリップを形成する。フック形材1011及び爪形材1012の他の形態も、特に歯のないジップファスナー、特にプラスチックからなるスライド又はプレスクロージャの場合のように、それぞれ検討され得る。上記の構造は、固定用機能領域1020、1021に適宜使用され得る。それらの全長にわたって実質的に均一な断面のものでありかつその構造としてのスライダなしに動作される相互係合部品を有する機能領域(ジップファスナー)1010又は1020、1021は、押出し加工を用いて容易に実施可能であるので、好適である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
図10A~10Dに示すような中立素分Nのレベルでの閉塞用機能領域1010並びに固定用機能領域1020及び1021の配置構成は、特に有利である。ゼロラインともいわれる中立素分Nは、曲げがあっても、特に方向転換アーク4(図)の変位があっても長さが変化しない断面の層であり、すなわち、湾曲があっても長手方向に一定の寸法を保持する層である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
図11は、固定用機能領域1120及び1121が図10A~10Dに示す原理に従って設計されたエンクロージャユニット1101を有する変形例を示す。上記と対照的に、閉塞用機能領域1110は、図5A~5Cに示す原理に基づくダブルフック係合形材の形態である。なお、この点において、図5A~5Cの図は、閉塞用機能領域510が大きく拡大された縮尺で示されているので縮尺通りではない。標準的には、機能領域1010、1020及び1021又は1110、1120及び1121は、それぞれ、例えば、1.5mm~約3mmのミリメートル範囲の、断面での構造的な高さのものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
図2~6に戻り、フラットリボンラインのための好適な製造方法がここに提案され、それは図1A1Bに示すようなクリーンルーム用途のためのラインガイドとして使用可能である。
【国際調査報告】