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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】SMAの新規治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20220810BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220810BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220810BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20220810BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P43/00 121
A61K9/48
A61K9/20
A61K47/12
A61K9/08
A61K9/16
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/18
A61P25/00
A61P21/00
A61K31/5517
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573344
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2020066003
(87)【国際公開番号】W WO2020249577
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】19179563.2
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】クレッツル,ハイデマリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB07
4C076BB13
4C076CC01
4C076CC09
4C076DD38A
4C076DD42Z
4C076DD43Z
4C076DD49Q
4C076DD59S
4C076DD61T
4C076DD67A
4C076DD67T
4C076EE23C
4C076EE58T
4C076FF02
4C076FF09
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF61
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086CB12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA60
4C086MA66
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA09
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA94
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療における使用のための7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、SMAの治療に使用されるその医薬組成物、その治療のその方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療がCYP3A基質の併用の回避、禁忌、又は中止を含むことを特徴とする、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項2】
特にヒト(男性又は女性のヒトなど)である患者(特に前記リスジプラムを必要とする患者)における、請求項1に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項3】
SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項4】
リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%又は15%低減される、請求項3に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項5】
CYP3A基質がミダゾラムである、請求項3に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項6】
ミダゾラムが経口用量として、i.v.、i.m又は直腸内投与される、請求項3又は4に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項7】
リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgで、2歳より年上の体重20kg未満の患者には0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgで、患者に投与される、請求項3~5のいずれか一項に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項8】
患者が、I型SMA;II型SMA又はIII型SMAを有する、請求項3~6のいずれか一項に記載のSMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項9】
リスジプラムの併用投与中の、例えば鎮静療法を必要とする、又は睡眠障害若しくは発作の治療のための、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラムであって、患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項10】
リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項11】
SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項12】
リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の通常処方量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項13】
SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の通常処方量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項14】
リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのミダゾラムの経口又はi.vでの標準投与量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項15】
リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムが、治療的有効量で患者に投与するため、及びあらゆる経口用量又はあらゆる静脈内(i.v.)用量でのミダゾラムの併用投与を回避するためのものである、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【請求項16】
ミダゾラムの投与量が、リスジプラムとミダゾラムとの併用投与中に、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項17】
ミダゾラムの投与量が、リスジプラムとミダゾラムとの併用投与中に、ミダゾラムの標準投与量の10%又は15%低減される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項18】
リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgで、2歳より年上の体重20kg未満の患者には0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgで、経口投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項19】
リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgの用量で経口投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項20】
リスジプラムの1日の総用量が、2歳より年上の体重20kg未満の患者には、1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラムの用量で経口投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項21】
リスジプラムの1日の総用量が、体重20kg以上の患者には、1日に5mgのリスジプラムの用量で経口投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項22】
ミダゾラムが、カプセル剤又は錠剤である単位投与形態で経口投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項23】
単位投与形態でのミダゾラムの量が7.5mg又は15mgである、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項24】
ミダゾラムの併用投与中に、2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラムが患者に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項25】
ミダゾラムの併用投与中に、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラムが患者に投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項26】
患者が、II型SMA又はIII型SMAを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のためのリスジプラム。
【請求項27】
リスジプラムの併用投与中の、例えば鎮静療法を必要とする、又は睡眠障害若しくは発作の治療のための、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラムであって、患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項28】
患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が10%又は15%低減される、請求項27に記載のミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項29】
患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が低減される、リスジプラムの併用投与中の発作の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項30】
ミダゾラムが、経口用量又は静脈内(i.v.)用量での投与用であり、リスジプラムの併用投与中は回避される、発作の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項31】
ミダゾラムが、経口用量又は静脈内(i.v.)用量での投与用であり、リスジプラムの併用投与中は回避される、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【請求項32】
ミダゾラムの投与量が、リスジプラムの投与中に、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、請求項27~31のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項33】
ミダゾラムが、ミダゾラムのクリアランス低減の可能性又はミダゾラムへの曝露増大の可能性を避けるために回避される、請求項27~32のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項34】
ミダゾラムの併用投与中に、2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラムが、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムが患者に投与される、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項35】
ミダゾラムの併用投与中に、リスジプラムが、2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総投与量で投与される、請求項27~34のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項36】
ミダゾラムの併用投与中に、リスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの1日の総投与量で投与される、請求項27~35のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項37】
患者がSMAを有する、請求項27~36のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項38】
患者が、I型SMA、II型SMA又はIII型SMAを有する、請求項27~37のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項39】
患者が、II型SMA又はIII型SMAを有する、請求項27~38のいずれか一項に記載の使用のためのミダゾラム。
【請求項40】
2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量でのミダゾラムの使用。
【請求項41】
2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量でのミダゾラムの使用。
【請求項42】
2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量での使用のためのミダゾラム。
【請求項43】
2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量での使用のためのミダゾラム。
【請求項44】
ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAの治療のための、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総用量でのリスジプラムの使用。
【請求項45】
ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAの治療のための、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総用量での使用のためのリスジプラム。
【請求項46】
ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAを治療するための使用のための、薬学的に許容される添加物と5mgのリスジプラムとを含む医薬組成物。
【請求項47】
ミダゾラムの標準投与量の10%又は15%の低減されたミダゾラムの用量が併用投与される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のための(a)任意選択で容器内に配置された、リスジプラムと、(b)リスジプラムの使用のための添付文書、包装ラベル、説明書若しくは他のラベリングとを含む包装又はキット。
【請求項49】
十分に高い薬物濃度、例えばクエン酸緩衝系、リンゴ酸緩衝系、マレイン酸緩衝系、又は酒石酸緩衝系、最も詳細には酒石酸緩衝系を提供するために、pH4未満、特にpH3.8未満、さらに詳細にはpH3.6未満、最も詳細にはpH3.0~3.2の緩衝系にリスジプラムを溶解することにより経口水溶液として製剤化されたリスジプラムを含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
経口溶液の構成のための乾燥粉末又は顆粒としてリスジプラムを含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項51】
リスジプラム、希釈剤、例えばソルビトール、イソマルト、又は特にマンニトール、及びそれらの組み合わせを含み、これにより経口溶液の構成の間の粉末ブレンドの迅速な溶解が確実になる、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項52】
・リスジプラム;及び
・クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、特にリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細には酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤として緩衝系の対応する酸、特に酒石酸
を含む、請求項46~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
・7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・緩衝系、特にクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、さらに詳細にはリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細には酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤として緩衝系の対応する酸、特に酒石酸;及び
・希釈剤、特にマンニトール、又はマンニトールとイソマルトの混合物、さらに詳細にはマンニトール
を含む、請求項46~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
・1~10重量%の7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・5~15重量%の緩衝系、特にクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、さらに詳細にはリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤としての緩衝系の対応する酸、特に酒石酸;
・40~70重量%の希釈剤、特にマンニトール又はマンニトールとイソマルトの混合物、さらに詳細にはマンニトール;
・1~4重量%の酸化防止剤、特にアスコルビン酸;
・0.5~2重量%の安定剤、特にエデト酸二ナトリウム;
・0.5~2重量%の滑沢剤、特にPEG6000;
・0~3重量%の甘味料、特にスクラロース又はサッカリンナトリウム、最も詳細にはスクラロース;及び
・0~20重量%の香料、特にイチゴ香料又はバニラ香料;
を含み、
成分の総量が100重量%を超えない、請求項46~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
・2~6重量%の7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・9~13重量%の酒石酸塩緩衝系;
・45~55重量%の第一の希釈剤としてのマンニトールと、8~10重量%の第二の希釈剤としてのイソマルト;
・1~3重量%の酸化防止剤としてのアスコルビン酸;
・0.5~2重量%の安定剤としてのエデト酸二ナトリウム;
・0.5~2重量%の滑沢剤としてのPEG6000;
・1.5~2重量%の甘味料としてのスクラロース;及び
・13~17重量%のイチゴ香料
を含み、
成分の総量が100重量%を超えない、請求項46~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
本明細書で上述した発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療における使用のための7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、SMAの治療に使用されるその医薬組成物、その治療のその方法に関する。
【0002】
さらに詳細には、本明細書に開示される本発明は、リスジプラムとしても知られる7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンと、CYP3A基質である分子、さらに詳細にはCYP3A基質がミダゾラムである分子との間の薬物相互作用の驚くべき発見に基づいている。
【0003】
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、広義には、筋力低下及び筋萎縮を引き起こす脊髄及び脳幹における進行性運動ニューロン喪失を特徴とする遺伝性及び後天性中枢神経系(中枢神経系)疾患の集合を表す。SMAは、筋萎縮に繋がり麻痺をもたらす脊髄の前角からのアルファ運動ニューロンの退行変性を特徴とする。したがって、このアルファ運動ニューロンの退行変性は、実質的に患者の生命予後を危うくする。健常な対象では、これらのニューロンは脳から筋肉へメッセージを送信し、筋肉を収縮させる。このような刺激の非存在下で、筋肉は萎縮する。その後、全身の脱力感及び筋肉の萎縮、さらに詳細には胴体、上腕及び大腿の萎縮に加えて、これらの障害は重度の呼吸器系の問題を伴うことがある。
【0004】
乳児SMAは、この神経変性障害の最も重篤な形態である。症状には、筋力低下、不十分な筋緊張、弱い泣き声、跛行又は転倒傾向、吸引又は嚥下の困難、肺又は咽頭における分泌物蓄積、摂食困難、及び気道感染症に対する感受性の上昇が含まれる。脚が腕より弱い傾向があり、頭の持ち上げ又は座位といった発達のマイルストーンを達成できない。一般に、症状が現れるのが早い程、寿命が短い。運動ニューロン細胞が劣化すると、その後すぐに症状が現れる。疾患の重篤な形態は致死性であり、すべての形態は既知の治療法を持たない。SMAの経過は運動ニューロン細胞劣化の速度と、その結果である脱力感の重症性とに直接関係する。SMAの重篤な形態を有する乳児は、呼吸をサポートする筋肉の脆弱性により、呼吸器系の合併症のために死亡することが多い。それよりも軽度の形態のSMAを有する幼児は、それよりもずっと長く生存するが、特にスペクトルの重症限界に近い者は、高度な医療サポートを必要としうる。SMA障害の臨床スペクトルは、以下の5群に分けられた:
1)0型SMA(子宮内SMA)は、疾患の最も重篤な形態であり、出生前に始まる。通常、0型SMAの最初の症状は、妊娠30週~36週の間に最初に観察されうる胎児の動きの減少である。出生後、これらの新生児はほとんど動かず、嚥下と呼吸に困難性を有し、出生後まもなく死亡する。
2)I型SMA(乳児SMA又はウェルドニッヒ・ホフマン病)は、0~6カ月の間に症状を示す;この形態のSMAは極めて重篤である。患者は座れるようになることはなく、通常2歳までに死亡する。
3)II型SMA(中期SMA)の発症年齢は7~18カ月である。患者は支えなしで座れるようになるが、補助なしで立ち上がったり歩いたりすることはできない。この群の予後は概ね呼吸器系の関与度合に依存する。
4)III型SMA(若年性SMA又はクーゲルベルク・ウェランダー病)は、通常18カ月後に診断される。3型SMAの個体は、疾患の経過のどこかの時点で独立して歩くことができるが、青年期又は成人期の間に車椅子に縛られるようになることが多い。
5)IV型SMA(成人発症SMA)。脱力感は通常、舌、手、又は足において青年期後期に始まり、次いで身体の他のエリアに進行する。成人SMAの経過は他よりもはるかに遅く、余命にほとんど又はまったく影響しない。
【0005】
脊髄性筋萎縮症のすべての形態には、脊髄の前角からのニューロンの退行変性に続いて進行性の筋力低下及び萎縮が伴う。SMAは現在、乳児死亡の最も多い原因の一つである。SMAは世界のすべての地域で女児又は男児に等しく発症し、その罹患率は1/6000~1/10000の間である。
【0006】
現在のところ、運動機能の安定化又は改善を提供する承認されたSMAの経口治療は存在しない。複数の薬物候補が、現在非臨床及び臨床環境において調査中である(Lewelt A,et al,Curr Neurol Neurosci Rep. 2012;12:42-532;Arnold et al.,Muscle Nerve. 2015;51:157-67)。SMN2プレmRNA内のエクソン7の取り込みを促進するくも膜下腔内投与のアンチセンスオリゴヌクレオチドであるヌシネルセンは、US、EU及び他の管轄で承認を受けた。最近、オナセムノゲンアベパルボベック(onasemnogene abeparvovac-xio)が、静脈内投与される遺伝子療法としてUSにおいて承認を得た。
【発明の概要】
【0007】
SMAの遺伝学的基礎及び病態生理学の理解が進み、治療のための複数の戦略が検討されてきたものの、診療施設での経口治療として成功が実証されたものはまだない。本発明は、このような経口治療の需要に対応することを意図している。7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンは、現在臨床第II/III相において調査されている。
【0008】
第I相の第2部において、そのINN名リスジプラムでも知られる7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの複数用量の安全性及び忍容性と、経口投与(BP41361)に続くミダゾラムの薬物動態に対するリスジプラムの影響とを調査する非盲検研究が、18~55歳の健常な参加者に実施されている。
【0009】
リスジプラムは、インビトロでCYPである1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、又は2D6の有意な可逆的又は時間依存的阻害を示さなかったが、驚くべきことに、リスジプラムはCYP3A4/5の時間依存的阻害を示すことが分かった。
【0010】
リスジプラムによるCYP3A4/5の時間依存的阻害は、患者を、ミダゾラムといったCYP3Aにより代謝される薬物の過剰投与に曝しうる。CYP3Aによって代謝されるこれらの薬物の通常の治療的曝露より高いレベルに曝露される患者は、望ましくない有害事象に遭遇する可能性があり、これはいくつかの事例では重篤な有害事象に帰結しうる。特に、ミダゾラムに過剰に曝露されるという有害事象は、鎮静、傾眠、錯乱、協調障害、反射神経の低下、バイタルサインへの影響、呼吸抑制及び呼吸停止、昏睡、並びに最悪の場合は死に繋がりうる。
【0011】
ミダゾラムは、経口投与後に迅速に吸収され、実質的な腸及び肝臓初回通過代謝を受ける。ミダゾラムは、ヒトCYP3Aにより主に肝臓及び腸で、その薬理的に活性な代謝物である1-OH-ミダゾラムへと代謝される。続くUDP-グルクロン酸転移酵素媒介性フェーズII反応において、主な尿代謝物である1’-OH-ミダゾラム-グルクロニドが形成され;用量の63%~80%が24時間以内に尿中でコンジュゲートされているのが見られ、1%のみが変化せずに排泄される。単回経口用量の投与後のミダゾラムの平均t1/2は、2.2~6.8時間の範囲である。
【0012】
CYP3A阻害剤又は誘発剤とのPKの相互作用は、特にCYP3Aが上部消化管にも存在するため、静脈内投与と比較してミダゾラムの経口投与でより大きく、非経口投与経路では全身クリアランスのみが影響を受けるであろうが、経口投与経路により全身クリアランス及び生物学的利用能の両方が変化を受ける。
【0013】
ミダゾラムの薬力学的特性及びその代謝物には、鎮静作用、抗不安作用、健忘作用、及び催眠作用が含まれる。ベンゾジアゼピンの薬理効果は、中枢神経系(CNS)の主な抑制性神経伝達物質である、CNS中γ-アミノ酪酸ベンゾジアゼピン受容体との可逆的相互作用により生じると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CYP3A4(ミダゾラム)の残存活性(パーセント)パネルA:リスジプラム(RO7034067)、パネルB:ポジティブコントロール阻害剤
図2】CYP3A4(テストステロン)の残存活性(パーセント)パネルA:リスジプラム(RO7034067)、パネルB:ポジティブコントロール阻害剤
図3】CYP3A4(ミダゾラム)の残存活性(パーセント)パネルA:リスジプラム(RO7034067)プラス(+)及びマイナス(-)NADPH、パネルB:ポジティブコントロール阻害剤+NADPH
図4】CYP3A4(テストステロン)の残存活性(パーセント)パネルA:リスジプラム(RO7034067)プラス(+)及びマイナス(-)NADPH、パネルB:ポジティブコントロール阻害剤+NADPH
図5】リスジプラム(RO7034067)によるCYP3A4の不活性化パネルA:残効性対時間の自然対数、パネルB:kobs対濃度を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0016】
本出願で用いる命名法は、別段の指示がない限り、IUPAC系統的命名法に基づく。
【0017】
本発明の種々の特徴及び実施形態が本明細書に開示されるが、本発明の他の特徴、修正例及び等価物が、提供される教示に基づいて当業者には明らかであろう。記載される本発明は、提供される実施例及び実施形態に限定されず、当業者であれば種々の代替的等価物を理解するであろう。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。例えば、「1つの」個体は「複数の個体」も含む。
【0018】
別段の記述がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下に示される意味を有する。
【0019】
用語「FMO3」は、ジメチルアニリンモノオキシゲナーゼ[N-オキシド形成]3及びトリメチルアミンモノオキシゲナーゼとしても知られるフラビン含有モノオキシゲナーゼ3を指し、その酵素番号(EC番号)はEC1.14.13.148であり、MGIリファレンスは1100496であり、細胞遺伝子学的位置は1q24.3であり、ゲノム座標(GRCh38)は1:171,090,872-171,117,818である。
【0020】
互換可能に使用される「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、飼い馴らされた動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、個体又は対象はヒトである。本発明の特定の実施形態では、対象は脊髄性筋萎縮症(SMA)を有するヒトである。別の具体的な実施形態では、対象は、両方の染色体上のSMN1遺伝子の不活性化突然変異又は欠失によって引き起こされ、SMN1遺伝子機能の喪失をもたらすSMAを有するヒトである。
【0021】
本明細書で使用される用語「回避する」及びその文法的変形は、代替として絶つ(abstain)、停止する(desist)、控える(forbear)、及びやめる(refrain)という用語、並びにそれらの文法的変形を有すると企図される。いくつかの事例では、代替用語は同等である。例えば、「回避すること」は「やめること」を意味する。Merriam- Webster Online Dictionary,11th ed.,24 November 2009.本明細書で使用される用語「中止する」及びその文法的変形は、代替として停止する(cease)、やめる(stop)、一時停止する(suspend)、及び放棄する(quit)という用語を有すると企図される。
【0022】
「脊髄性筋萎縮症」(又はSMA)という用語は、両方の染色体上のSMN1遺伝子の不活性化突然変異又は欠失によって引き起こされ、SMN1遺伝子機能の喪失をもたらす疾患に関する。SMAの症状としては、SMAの種類に依存して、筋力低下、不十分な筋緊張、弱い泣き声、弱い咳、跛行又は転倒傾向、吸引又は嚥下の困難、呼吸困難、肺又は咽喉における分泌物の蓄積、手の汗ばみを伴うかためたこぶし、舌のちらつき/振動、横になったときも頭が頻繁に片側に傾く、腕よりも弱い傾向のある脚、脚が頻繁に「カエル脚」の位置をとる、摂食困難、気道感染症に対する感受性の上昇、腸/膀胱の衰弱、正常より低い体重、支えなしで座れないこと、歩行できないこと、這い這いできないこと、及び緊張低下、食欲不振、並びに前角細胞(anterior hom cells)喪失に関連する多発性先天性拘縮(関節拘縮症)が挙げられる。
【0023】
「脊髄性筋萎縮症(SMA)を治療する」又は「脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療」という用語は、以下の効果の1つ以上を含む:(i)SMAの重症度の軽減若しくは回復;(ii)SMAの発現の遅延;(iii)SMAの進行の阻害;(iv)対象の入院加療の低減;(v)対象の入院期間の短縮;(vi)対象の生存の延長;(vii)対象の生活の質の改善;(viii)SMAに関連する症状の数の減少;(ix)SMAに関連する1つ以上症状の重症度の軽減若しくは回復;(x)SMAに関連する症状の持続期間の短縮;(xi)SMAに関連する症候の再発予防;(xii)SMAの発生又は発症の抑制;及び/又は(xiii)SMAに関連する症候の進行の阻害。さらに詳細には、「SMAを治療する」とは、以下の有益な効果のうちの1つ以上を意味する:(i)筋力低下の減少;(ii)筋力の増大;(iii)筋萎縮の低減;(iv)運動機能の損失の低減;(v)運動ニューロンの増加;(vii)運動ニューロンの喪失の低減;(viii)SMN欠損運動ニューロンの変性からの保護;(ix)運動機能の増大;(x)肺機能の増大;及び/又は(xi)肺機能の喪失の低減。
【0024】
用語「併用」は、同時投与又は共投与と互換可能と理解される。したがって、これらの用語は、2つの薬剤が身体に同時に作用することが可能な方法で両方の薬剤が投与される限り、同じ経路による又は異なる経路による、同時の又は異なる時点での投与を包含すると理解される。例えば、併用は、同じ若しくは異なる施術者により処方されたものであるか、又は同じ若しくは異なる適応症のために処方されたものであるかを問わず、併用投与される医薬を指すことができる。さらに詳細には、リスジプラムは経口投与されてよく、一方ミダゾラムは、経口投与、静脈内投与、筋肉注射、鼻腔内送達、直腸内投与、又は頬を通して投与されてよい。
【0025】
具体的には、「SMAを治療すること」は、ヒト乳児若しくはヒト幼児が補助なしで座ること、又はヒト乳児、ヒト幼児、ヒト小児若しくはヒト成人が補助なしで立ち上がること、補助なしで歩くこと、補助なしで走ること、補助なしで呼吸すること、補助なしで睡眠中に寝返りを打つこと、又は補助なしで嚥下するための機能的能力をもたらすか、又はそのような機能的能力を保持することを助ける。
【0026】
用語「mg/kg」」は、治療対象の体重1kg当たりに使用される7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンのミリグラムでの用量を指す。例えば、0.25mg/kgは、治療される患者の体重1kg当たり0.25ミリグラムの7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの用量を意味する。
【0027】
用語「患者」は、SMAを有すると診断されたヒト(例えば、男性又は女性のヒト)、特にSMAを有すると診断され、CYP3A酵素によって代謝される治療法を必要とするヒト、さらに詳細にはミダゾラムを必要とするヒトを指す。
【0028】
「医薬品有効成分」(又は「API」)という用語は、特定の生物学的活性を有する医薬組成物中の化合物又は分子を表す。
【0029】
「薬学的に許容される賦形剤」、「薬学的に許容される担体」及び「治療的に不活性な賦形剤」という用語は、互換的に使用可能であり、例えば、医薬製品を製造する際に使用される崩壊薬、結合剤、充填剤、溶媒、緩衝剤、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、担体、希釈剤又は潤滑剤といった、治療活性を有さず、投与される対象に対して非毒性である、医薬組成物中の任意の薬学的に許容される成分を指す。
【0030】
「医薬組成物」との用語は、その中に含まれる有効成分の生物学的活性を有効にし、組成物が投与される対象に対して受け入れられないほど毒性である追加の成分を含まないような形態での調製物を指す。用語「薬学的に許容される」とは、一般的に安全であり、非毒性であり、且つ生物学的にも非生物学的にも望ましくないものではなく、獣医学的及びヒト薬学的使用に許容される、医薬組成物の調製において有用な材料の属性を示す。
【0031】
「緩衝液」又は「緩衝系」という用語は、医薬調製物のpHを安定化させる、薬学的に許容される賦形剤又は賦形剤混合物を意味する。適切な緩衝液は当技術分野で周知であり、文献に見出すことができる。特定の薬学的に許容される緩衝液は、クエン酸塩緩衝液、リンゴ酸塩緩衝液、マレイン酸塩緩衝液又は酒石酸塩緩衝液、最も詳細には酒石酸塩緩衝液を含む。本発明の特定の緩衝系は、有機酸とその選択された塩との組み合わせ、例えば三塩基性クエン酸ナトリウムとクエン酸、リンゴ酸とリンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウムと酒石酸、又は酒石酸二ナトリウムと酒石酸、特に酒石酸ナトリウムカリウムと酒石酸を含む。あるいは、有機酸(特に酒石酸)は、酸と対応する塩との組み合わせの代わりに、「酸性化剤」として単独で使用してもよい。使用される緩衝液とは無関係に、pHは、当技術分野で既知の酸又は塩基、例えば塩酸、酢酸、リン酸、硫酸及びクエン酸、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムで調整することができる。特定の酸性化剤は酒石酸である。
【0032】
「薬学的に許容される担体」は、医薬組成物中の、有効成分以外の成分であって、対象にとって非毒性の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤若しくは酸性化剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「抗酸化剤」は、医薬品有効成分の酸化を防止する、薬学的に許容される賦形剤を意味する。抗酸化剤は、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAを含む。
【0034】
「界面活性剤」という用語は、タンパク質組成物を撹拌及び剪断などの機械的ストレスから保護するために使用される、薬学的に許容される賦形剤を意味する。薬学的に許容される界面活性剤の例としては、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(BRIJ(登録商標))、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(TRITON-X(登録商標))又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。
【0035】
「ポロキサマー」という用語は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)の2本の親水性鎖に隣接するポリ(プロピレンオキシド)(PPO)の中央の疎水性鎖で構成される非イオン性トリブロックコポリマーを意味し、各PPO又はPEO鎖は異なる分子量であってもよい。ポロキサマーは、商品名Pluronicsとしても知られている。特定のポロキサマーは、ポロキサマー188であり、これは、PPO鎖の分子質量が1800g/molであり、PEO含有量が80%(w/w)であるポロキサマーである。
【0036】
「ポリソルベート」という用語は、典型的にはエチレンオキシドと共重合した、ソルビトールのオレイン酸エステル及びその無水物を意味する。特定のポリソルベートは、ポリソルベート20(ポリ(エチレンオキシド)(20)ソルビタンモノラウレート、TWEEN20(登録商標))又はポリソルベート80(ポリ(エチレンオキシド)(80)ソルビタンモノラウレート、TWEEN80(登録商標))である。
【0037】
「親水親油性バランス」(HLB)値は、非イオン性界面活性剤の親水性の程度を意味する。HLB値は、Griffin W.C.,Journal of the Society of Cosmetic Chemists(1949)1:311に記載されているように、界面活性剤分子の親水性部分の分子質量とその全分子質量との比によって決定される。
【0038】
「親水性」という用語は、分子又は分子の一部の、極性溶媒、特に水、若しくは水素結合によって駆動される他の極性部分との相互作用、双極子-イオン相互作用、及び/又は双極子-双極子相互作用の能力を意味する。
【0039】
「親油性」及び「疎水性」という用語は互換的に使用することができ、分子又は分子の一部の、ロンドン分散力によって駆動される脂肪、油、及び非極性溶媒などの非極性環境において溶解する傾向を意味する。
【0040】
用語「Cmax」(単位ng/mLで表される)は、観察された最大血漿濃度を意味する。
【0041】
用語「Tmax」(時間の単位で、又は研究集団のTmaxに関する時間の中央値として表される)は、薬物投与後Cmaxに達するまでの観察時間を意味し;複数の時点でそれが起こる場合、Tmaxはこの値を有する最初の時点と定義される。
【0042】
用語「AUCT0-24h」(ng・h/mLの単位で表される)は、血漿濃度時間曲線下面積(AUC)を意味する。
用語「sdOCT」は、スペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィを指す。
【0043】
本発明による7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンは、式(I)
【化1】

の化合物を指し、
これはリスジプラム、RG7916、RO7034067、CAS番号1825352-65-5としても知られている。この化合物を作製及び使用する方法は、EP3143025A1に記載されている。リスジプラムを含む医薬組成物を作製及び使用する方法は、国際公開第2017080967号に記載されている。
【0044】
「CYP3A」は、チトクロームP450酵素の最も豊富で最も臨床的に重要なサブファミリーである。CYP3Aサブファミリーは、4つのヒトアイソフォーム、3A4、3A5、3A7及び3A43を有し、CYP3A4は薬物相互作用と最も一般的に関連する。CYP3Aアイソフォームは、肝臓の全チトクロームP450の概ね50%を構成し、胃腸管、腎臓、及び肺全体に広く発現され、したがって最終的に初回通過代謝の大部分を担っている。このことは、初回通過代謝の増加又は減少が、通常よりはるかに小さい又は大きい薬物の用量当量を投与するという効果を持ちうるために重要である。150を上回る薬物がCYP3A4の既知の基質であり、これには、オピエート鎮痛剤、ステロイド、抗不整脈薬、三環系抗うつ薬、カルシウムチャネル遮断薬及びマクロライド系抗生物質が含まれる。CYP3A基質は、例えば免疫抑制剤(即ちシクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、化学療法剤(即ちドセタキセル、タモキシフェン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エルロチニブ、エトポシド、イホスファミド、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、イマチニブ、イリノテカン、ソラフェニブ、スニチニブ、ベムラフェニブ、テムシロリムス、アナストロゾ-ル、ゲフィチニブ)、アゾール系抗真菌薬(即ちケトコナゾール、イトラコナゾール)、マクロライド(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン)、抗うつ薬(即ちアミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、シクロベンザプリン、ミルタザピン、ネファゾドン、レボキセチン、ベンラファキシン、テラゾドン、ビラゾドン)、SSRI(即ちシタロプラム、ノルフルオキセチン、セルトラリン)、統合失調症治療薬(即ちハロペリドール、アリピプラゾール、リスペリドン、ジプラシドン、ピモジド、クエチアピン)、オピオイド(即ちアルフェンタニル、ブプレノルフィン、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、メサドン、レバセチルメタドール、トラマドール)、ベンゾジアゼピン(即ちアルプラゾラム、ミダゾラム、トリアゾラム、ジアゼパム、クロナゼパム)、催眠薬(即ちゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム)、スタチン系薬剤(即ちアトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチン)、カルシウムチャネル遮断薬(即ちジルチアゼム、フェロジピン、ニフェジピン、ベラパミル)、性ホルモンアゴニスト及びアンタゴニスト(即ちフィナステリド、エストラジオール、プロゲステロン、エチニルエストラジオール、テストステロン、トレミフェン、ビカルタミド)、H1-受容体アンタゴニスト(即ちテルフェナジン、アステミゾール、クロルフェナミン)、プロテアーゼ阻害剤(即ちインジナビル、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル)及びその他薬物(即ちアムロジピン、レルカニジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、アミオダロン、ドロネダロン、キニジン、シルデナフィル、タダラフィル、キニン、ネビラピン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、アルベンダゾール、シサプリド、アプレピタント、カフェイン、シロスタゾール、デキストロメトルファン、ドンペリドン、エプレレノン、リドカイン、オンダンセトロン、プロプラノロール、サルメテロール、ワルファリン、クロピドグレル、オメプラゾール、ナテグリニド、メトキセタミン、モンテルカスト、ビラプリサン、ロサルタン)である。
【0045】
ミダゾラムも知られている。8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]は、式(II):
【化2】

のジアゼピンである。
【0046】
ミダゾラムは、鎮静、抗不安、健忘及び催眠特性を有する、文献に十分な記載のある製品である。ミダゾラムは、その塩酸塩の形態、例えば、例として商品名VERSED(登録商標)で販売されている2.5mg/mlのミダゾラムを含有するグリセリンベースのシロップ剤の形態で市販されている。ミダゾラムは、そのマレイン酸塩の形態、例えば、例として商標DORMICUM(登録商標)の、錠剤当たり7.5mg又は15mgを含有する錠剤の形態でも販売されている。例えば、口腔内経路による投与のために製剤化されている製品はEPISTATUS(登録商標)である。ミダゾラムの口腔内製剤は、EP1323422にも開示されている。ミダゾラムは、短時間作用型ベンゾジアゼピンである。ミダゾラムは、専らCYP3Aによって代謝される。
【0047】
用語「標準処方量」、「通常処方量」,「常用量」及び「標準投与量」は、互換可能に使用することができ、標準且つリーフレットの指示による承認された処方薬物の投与量を指す。標準用量は、薬物が投与される形態又は経路に応じて変化しうる。例えば、iv、im(筋肉内)及び直腸内用に1ml(5mgのミダゾラム)、3ml(15mgのミダゾラム)、5ml(5mgのミダゾラム)及び10ml(50mgのミダゾラム)のアンプルの形態で販売されるミダゾラムの「標準投与量」を、表1に見ることができる。7.5mg及び15mgの錠剤の形態で錠剤として販売されるミダゾラムの「標準」投与量の別の例では、標準用量は、成人については7.5~15mgであり、例えばより高齢の患者については7.5mgが通常用量である。
【0048】
【表1】


【0049】
本明細書で使用される用語「治療的有効量」は、特定された疾患又は状態を治療、改善、若しくは予防するため、又は検出可能な治療効果、予防効果、若しくは抑制効果を呈するために十分な化合物の量を指す。効果は、例えば、臨床状態の改善、又は症状の軽減により検出することができる。対象に対する正確な有効量は、対象の体重、サイズ、及び健康状態;状態の性質及び範囲;並びに投与のために選択された治療薬又は治療薬の組み合わせに依存する。薬物が米国食品医薬品局(FDA)によって承認済みである場合,「治療的有効量」は、特定された疾患又は状態の治療のためにFDA又はそれと同等の外国機関によって承認された投与量を指す。
【0050】
本明細書で使用される「リスジプラム療法を必要とする」患者は、リスジプラムの投与の恩恵を受けるであろう患者である。この患者は、リスジプラム療法が症状の改善に有用でありうるいずれかの疾患又は状態に苦しんでいる可能性がある。リスジプラムは、脊髄性筋萎縮症の治療のために開発中である。
【0051】
本明細書で使用される「ミダゾラム療法」を必要とする患者は、睡眠障害又は発作の治療法である、鎮静療法を必要とする患者と理解される。
【0052】
SMAの治療における使用のためのリスジプラムの提供、SMAの治療のための医薬の製造におけるリスジプラムの使用、及びアドバイス、警告、中止、用量低減若しくは下方への用量滴定、包装及びキットを含む治療方法、並びに/又はリスジプラムの調製若しくは包装の方法を含むが、これらに限定されない本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、リスジプラム、使用、方法、包装、キット、アドバイス、警告、中止若しくは用量滴定は、CYP3A酵素の基質であるいずれの薬物にも適用されうる。実施形態は、CYP3A酵素の基質である他のいずれの薬物にも適用される。別の特定の実施形態では、CYP3A基質の投与量は、CYP3A基質の通常処方量と比較して低減されるべきである。別の特定の実施形態では、CYP3A基質の投与量は、CYP3A基質の標準処方量の10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は98%低減される。
【0053】
一態様において、本発明は、患者におけるリスジプラムの、いずれかのCYP3A基質、特にあらゆる用量のミダゾラムとの併用を回避することに関する。患者は、リスジプラム療法を必要とし、CYP3A基質での治療を必要とし、特にミダゾラムによって提供されるような鎮静療法を必要とする。このような方法では、CYP3A基質、特にミダゾラムは、リスジプラム投与中に回避され、又は逆も然りである。関連する方法では、CYP3A基質、特にミダゾラムは、リスジプラム投与中に中止される。
【0054】
このような方法の実施形態では、方法は、他の経路による同等の用量での、リスジプラムと、CYP3A基質、特にミダゾラムとの併用投与を回避する。例えば、表1に基づいて、1日当たりミダゾラム3.5~7.5mg i.vの静脈内(i.v)投与又は1日当たり7.5~15mgの経口錠剤の形態。
【0055】
別の実施形態では、ミダゾラムのクリアランスが減少する可能性があるため、リスジプラム療法中はあらゆる用量でのミダゾラムの併用投与が回避されるべきである。回避されるミダゾラムの用量は、投与量範囲(例えば限定しないが、ミダゾラムの標準投与量の10%~100%の間、ミダゾラムの標準投与量の30%~100%の間、又はミダゾラムの標準投与量の40%~100%)内でありうる。
【0056】
ミダゾラムの標準投与量を回避することを含む方法の例では、方法は、リスジプラムの治療的有効量を患者に投与することと、ミダゾラムではなく、且つ好ましくはCYP3Aの基質ではない代替的鎮静療法を投与することとを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、患者には、別の投与量で(即ち、標準投与量より低い用量で)ミダゾラムが投与される。したがって、種々の実施形態では、患者には、1日当たりの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%である用量でミダゾラムが投与される。
【0058】
いくつかの態様では、本開示は、リスジプラム療法をリスジプラム療法を必要とする患者(例えば、SMAを有する患者)に投与する方法を提供し、この方法は、患者に対してリスジプラムの治療的有効量を投与することと、患者に対し、以下の方法のうちのいずれか1つ、2つ、3つ、又はそれより多くをアドバイスすることとを含む:
a)患者に対し、任意の用量、特に標準投与量のミダゾラムを、回避又は中止するべきであるとアドバイスすること、
b)患者に対し、リスジプラムの、標準投与量のミダゾラムとの共投与がミダゾラムの治療効果又は有害反応プロファイルを変化させうるとアドバイスすること、
c)患者に対し、リスジプラムと標準投与量のミダゾラムとの共投与がミダゾラムへの曝露の増大をもたらすとアドバイスすること、及び/又は
d)患者に対し、ミダゾラムのクリアランスの低減及び/又はミダゾラムの曝露の増大の可能性があるため、リスジプラムを投与される患者においてはあらゆる用量のミダゾラムが注意して使用されるべきであることをアドバイスすること。
【0059】
本明細書に記載される方法の種々の実施形態では、リスジプラムとミダゾラムを同時に投与する方法が提供され、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgで、年齢2歳より年上の体重20kg未満の患者には0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgで、患者にリスジプラムが投与され、患者には、経口で又は他の経路により与えられる低減した投与量のミダゾラムが投与される(リスジプラムを投与されていない患者と比べて、又は患者に以前に投与されたミダゾラムの投与量に比べて低減した)。例えばミダゾラムの投与量は、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%、特に10%、15%、20%、25%又は30%、さらに詳細には10%又は15%減少させる。
【0060】
いくつかの実施形態では、ミダゾラムの用量は、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される。具体的な実施形態では、ミダゾラムの用量は、以前に投与された用量に対して約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される。さらなる実施形態では、ミダゾラムの用量は、以前に投与されたミダゾラムの用量に対して約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又はそれより多い割合だけ、又は以前に投与された用量の約50%~約98%、若しくは約60%~約90%の範囲の用量へと、低減される。
【0061】
さらに具体的な実施形態では、ミダゾラムの用量は、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%又は30%、さらに詳細には10%又は15%低減される。
【0062】
上述のように、中止若しくは用量低減、包装及びキット、並びに/又はリスジプラムを調製若しくは包装する方法を含むがそれらに限定されない本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、リスジプラム、使用、方法、包装、キット、アドバイス、警告、中止又は用量滴定は、ミダゾラムの経口標準投与量(即ち7.5mg)だけでなく、ミダゾラムの別の経路、例えば静脈内(i.v.)投与により与えられる他のいずれかの同等の用量にも適用されうる。
【0063】
別の態様では、任意選択で容器内に配置された、リスジプラムと、本明細書に記載される方法のいずれかについての説明若しくは指示を含む添付文書、包装ラベル、説明書又は他のラベリングとを含む包装又はキットが提供される。
【0064】
添付文書、包装ラベル、説明書又は他のラベリングは、例えば、2カ月~2歳の間の患者には投与量0.2mg/kgで、又は2歳より年上の体重20kg未満の患者には投与量0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgでリスジプラムを投与することにより、リスジプラムを必要とする患者、例えばSMAを有する患者を治療するための指示をさらに含んでもよい。
【0065】
関連する態様では、本開示は、リスジプラムを、任意選択で容器内に、本明細書に開示される方法のいずれかのための添付文書又は包装ラベル又は説明書と一緒に包装することを含む、リスジプラム薬を調製又は包装する方法を提供する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるもののキットのいずれかを、病院、医師、又は患者に対して提供、販売、又は納品することを含む、リスジプラムを必要とする患者を治療する方法が開示される。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかのための添付文書又は包装ラベル又は説明書と一緒にミダゾラムを含むキットを、病院、医師、又は患者に対して提供又は納品することを含む、ミダゾラムの標準投与量の、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の投与量で、特に10%、15%、20%、25%又は30%、さらに詳細には10%又は15%低減した投与量でミダゾラムを必要とする患者を治療する方法が提供される。
【0068】
本明細書に記載される発明により、本発明のさらに詳細な実施形態が以下に記載される。
【0069】
実施形態1. リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【0070】
実施形態2. SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【0071】
実施形態3. リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の通常処方量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【0072】
実施形態4. SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の通常処方量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、SMAの治療における使用のためのリスジプラム。
【0073】
実施形態5. リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのミダゾラムの経口又はi.vでの標準投与量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【0074】
実施形態6. SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のための、ミダゾラムの標準投与量の経口用量又はi.v用量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0075】
実施形態7. リスジプラム療法及びCYP3A基質療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の投与量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0076】
実施形態8. リスジプラム療法及びCYP3A基質療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のためのCYP3A基質の通常処方量が、CYP3A基質の標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0077】
実施形態9. リスジプラム療法及びミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のための、経口、i.v、im、直腸内、口腔内又は他のいずれかの投与経路のミダゾラムの標準投与量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0078】
実施形態10. リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のための、ミダゾラムの標準投与量の経口用量又はi.v用量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0079】
実施形態11. SMAの治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムの併用投与中に、患者への投与のための、ミダゾラムの標準投与量の経口又はi.v.用量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、リスジプラム。
【0080】
実施形態12. リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラムであって、リスジプラムが、治療的有効量で患者に投与するため、及びあらゆる経口用量又はあらゆる静脈内(i.v.)用量でのミダゾラムの併用投与を回避するためのものである、リスジプラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのリスジプラム。
【0081】
実施形態13. リスジプラムとミダゾラムとの併用投与中に、ミダゾラムの投与量が、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0082】
実施形態14. リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgで、2歳より年上の体重20kg未満の患者には0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgで、患者に投与される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0083】
実施形態15. リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgで、2歳より年上の体重20kg未満の患者には0.25mg/kgで、体重20kg以上の患者には5mgで、経口投与される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0084】
実施形態16. リスジプラムの1日の総用量が、2カ月~2歳の間の患者には0.2mg/kgの用量で経口投与される、実施形態1から15のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0085】
実施形態17. リスジプラムの1日の総用量が、2歳より年上の体重20kg未満の患者には、1日に体重1キログラム当たりリスジプラム0.25mgの用量で経口投与される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0086】
実施形態18. リスジプラムの1日の総用量が、体重20kg以上の患者には、1日にリスジプラムの用量5mgで経口投与される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0087】
実施形態19. ミダゾラムが、カプセル剤又は錠剤である単位投与形態で経口投与される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0088】
実施形態20. 単位投与形態でのミダゾラムの量が、7.5mg又は15mgである、実施形態1~16のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0089】
実施形態21. ミダゾラム併用投与中、2カ月~2歳の間の患者には、1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラムが患者に投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0090】
実施形態22. ミダゾラム併用投与中に、2歳より年上の体重20kg未満の患者には、1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラムが患者に投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0091】
実施形態23. ミダゾラム併用投与中、体重20kg以上の患者には、1日に5mgのリスジプラムが患者に投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0092】
実施形態24. ミダゾラム併用投与中、リスジプラムが、2カ月~2歳の間の患者には、1日に体重1キログラム当たりリスジプラム0.20mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0093】
実施形態25. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には、1日に体重1キログラム当たりリスジプラム0.25mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0094】
実施形態26. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、体重20kg以上の患者には、1日にリスジプラム5mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0095】
実施形態27. ミダゾラム併用投与中、リスジプラムが、2カ月~2歳の間の患者には、1日に体重1キログラム当たりリスジプラム約0.20mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0096】
実施形態28. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には、1日に体重1キログラム当たりリスジプラム約0.25mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0097】
実施形態29. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、体重20kg以上の患者には、1日にリスジプラム約5mgの1日の総投与量で投与される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0098】
実施形態30. 患者がSMAを有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0099】
実施形態31. 患者が、I型SMA;II型SMA又はIII型SMAを有する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0100】
実施形態32. 患者が、II型SMA又はIII型SMAを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0101】
実施形態33. 患者がI型SMAを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0102】
実施形態34. 患者がII型SMAを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0103】
実施形態35. 患者がIII型SMAを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラム。
【0104】
実施形態36. リスジプラムの併用投与中の、例えば鎮静療法を必要とする、又は睡眠障害若しくは発作の治療のための、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラムであって、患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【0105】
実施形態37. 患者への投与のためのミダゾラムの標準投与量が低減される、リスジプラムの併用投与中の発作の治療における使用のためのミダゾラム。
【0106】
実施形態38. ミダゾラムが、経口用量又は静脈内(i.v.)用量での投与用であり、リスジプラムの併用投与中に回避される、発作の治療における使用のためのミダゾラム。
【0107】
実施形態39. ミダゾラムが、経口用量又は静脈内(i.v.)用量での投与用であり、リスジプラムの併用投与中に回避される、ミダゾラム療法を必要とする患者の治療における使用のためのミダゾラム。
【0108】
実施形態40. ミダゾラムの投与量が、リスジプラム投与中に、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される、実施形態36~39のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0109】
実施形態41. ミダゾラムのクリアランス低減の可能性又はミダゾラムへの曝露増大の可能性を避けるために回避される、実施形態36~40のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0110】
実施形態42. ミダゾラム併用投与中に、2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラムが、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムが患者に投与される、実施形態36~41のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0111】
実施形態43. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総投与量で投与される、実施形態36~42のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0112】
実施形態44. ミダゾラム併用投与中に、リスジプラムが、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの1日の総投与量で投与される、実施形態36~42のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0113】
実施形態45. 患者がSMAを有する、実施形態36~44のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0114】
実施形態46. 患者が、I型SMA、II型SMA又はIII型SMAを有する、実施形態36~45のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0115】
実施形態47. 患者が、II型SMA又はIII型SMAを有する、実施形態36~46のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0116】
実施形態48. 患者がI型SMAを有する、実施形態36~46のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0117】
実施形態49. 患者がII型SMAを有する、実施形態36~46のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0118】
実施形態50. 患者がIII型SMAを有する、実施形態36~46のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラム。
【0119】
実施形態51. 2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量でのミダゾラムの使用。
【0120】
実施形態52. 2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量でのミダゾラムの使用。
【0121】
実施形態53. 2カ月~2歳の間の患者には1日に体重1キログラム当たり0.20mgのリスジプラム、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり約0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に約5mgのリスジプラムの用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量での使用のためのミダゾラム。
【0122】
実施形態54. 2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の用量でのリスジプラムの併用中の、ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%低減される1日の総用量での使用のためのミダゾラム。
【0123】
実施形態55. ミダゾラムのクリアランス低減の可能性又はミダゾラムへの曝露増大の可能性を回避するための、実施形態51~54のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラムの使用又はミダゾラム。
【0124】
実施形態56. ミダゾラムが、カプセル剤又は錠剤である1つ以上の単位投与形態である、実施形態51~55のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラムの使用又はミダゾラム。
【0125】
実施形態57. 1つ以上の単位投与形態の各々のミダゾラムの量が7.5mg又は15mgである、実施形態51~56のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラムの使用又はミダゾラム。
【0126】
実施形態58. SMAを有する患者における、実施形態51~57のいずれか1つに記載の使用のためのミダゾラムの使用又はミダゾラム。
【0127】
実施形態59. ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAの治療のための、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総用量でのリスジプラムの使用。
【0128】
実施形態60. ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAの治療のための、2歳より年上の体重20kg未満の患者には1日に体重1キログラム当たり0.25mgのリスジプラム、又は体重20kg以上の患者には1日に5mgのリスジプラムの1日の総用量での使用のためのリスジプラム。
【0129】
実施形態61. SMAが、I型SMA、II型SMA又はIII型SMAからなる群から選択される、実施形態59~60のいずれか1つに記載の使用のためのリスジプラムの使用又はリスジプラム。
【0130】
実施形態62. ミダゾラムの標準投与量の10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の低減されたミダゾラムの用量を併用投与される患者におけるSMAを治療するための使用のための、薬学的に許容される添加物と5mgのリスジプラムとを含む医薬組成物。
【0131】
実施形態63.(a)任意選択で容器内に配置された、リスジプラムと、(b)実施形態51~62のいずれか1つに記載の使用のための使用又はリスジプラムのための添付文書、包装ラベル、説明書又は他のラベリングとを含む包装又はキット。
【0132】
実施形態64. 十分に高い薬物濃度、例えばクエン酸緩衝系、リンゴ酸緩衝系、マレイン酸緩衝系、又は酒石酸緩衝系、最も詳細には酒石酸緩衝系を提供するために、pH4未満、特にpH3.8未満、さらに詳細にはpH3.6未満、最も詳細にはpH3.0~3.2のpHの緩衝系にリスジプラムを溶解することにより経口水溶液として製剤化されたリスジプラムを含む、実施形態62に記載の医薬組成物。
【0133】
実施形態65. 経口溶液の構成のための乾燥粉末又は顆粒としてリスジプラムを含む、実施形態62に記載の医薬組成物。
【0134】
実施形態66. リスジプラム、希釈剤、例えばソルビトール、イソマルト、又は特にマンニトール、及びそれらの組み合わせを含み、これにより経口溶液の構成の間の粉末ブレンドの迅速な溶解が確実になる、実施形態62に記載の医薬組成物。
【0135】
実施形態67.
・リスジプラム;及び
・クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、特にリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細には酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤として緩衝系の対応する酸、特に酒石酸
を含む、実施形態62~66のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0136】
実施形態68.
・7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・緩衝系、特にクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、さらに詳細にはリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細には酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤として緩衝系の対応する酸、特に酒石酸;及び
・希釈剤、特にマンニトール、又はマンニトールとイソマルトの混合物、さらに詳細にはマンニトール
を含む、実施形態62~67のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0137】
実施形態69.
・1~10重量%の7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・5~15重量%の緩衝系、特にクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、若しくは酒石酸塩から選択される緩衝系、さらに詳細にはリンゴ酸塩若しくは酒石酸塩、最も詳細酒石酸塩;又は代替的に、単独で酸性化剤としての緩衝系の対応する酸、特に酒石酸;
・40~70重量%の希釈剤、特にマンニトール又はマンニトールとイソマルトの混合物、さらに詳細にはマンニトール;
・1~4重量%の酸化防止剤、特にアスコルビン酸;
・0.5~2重量%の安定剤、特にエデト酸二ナトリウム;
・0.5~2重量%の滑沢剤、特にPEG6000;
・0~3重量%の甘味料、特にスクラロース又はサッカリンナトリウム、最も詳細にはスクラロース;及び
・0~20重量%の香料、特にイチゴ香料又はバニラ香料;
を含み、
成分の総量が100重量%を超えない、実施形態62~68のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0138】
実施形態70.
・2~6重量%の7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン又はその薬学的に許容される塩;
・9~13重量%の酒石酸塩緩衝系;
・45~55重量%の第一の希釈剤としてのマンニトールと、8~10重量%の第二の希釈剤としてのイソマルト;
・1~3重量%の酸化防止剤としてのアスコルビン酸;
・0.5~2重量%の安定剤としてのエデト酸二ナトリウム;
・0.5~2重量%の滑沢剤としてのPEG6000;
・1.5~2重量%の甘味料としてのスクラロース;及び
・13~17重量%のイチゴ香料
を含み、
成分の総量が100重量%を超えない、実施形態62~69のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【実施例
【0139】
以下の実施例は、本発明の実施を説明することのみを意図しており、限定のために提供されていない。
【0140】
本出願においては、以下の略記と定義が使用されている:
【表2】

【0141】
実施例1:
リスジプラムによるヒト肝ミクロソームにおけるチトクロムP450触媒活性の阻害の評価
本研究の目的は、ヒト肝ミクロソーム試験系において、リスジプラムによるシトクロムP450(CYP)アイソフォームCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4/5の直接的及び時間依存的阻害を決定することであった。
【0142】
12.5μMまでのリスジプラム試験濃度では、CYP 1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、又は2D6の有意な可逆的又は時間依存的阻害は検出されなかった。
【0143】
リスジプラムは、CYP3A4/5(ミダゾラム 1’-ヒドロキシラーゼ及びテストステロン6β-ヒドロキシラーゼ)の直接的阻害を引き起こす可能性が低いことを示した。12.5μMまで試験されたリスジプラムは、基質としてのミダゾラム及びテストステロンに対して、それぞれ最大28%及び55%の阻害を呈した。11μMのIC50が、テストステロン代謝のリスジプラム阻害について推定された。(この試験では、50μMのテストステロン濃度を使用した。)
【0144】
リスジプラムをHLMと共にプレインキュベートしたときの結果は、リスジプラムがCYP3A4/5の時間依存性阻害剤である可能性を示した。KI値及びkinact値は、それぞれ13μM及び0.065min-1と推定された。しかしながら、溶解度の限界により、時間依存性不活性化効果が、試験されたリスジプラム濃度で飽和に達しなかったため、これらの値には若干の不確実性が存在する。
【0145】
リスジプラムの直接的及び時間依存的阻害データを表2にまとめる。CYP3A4KI及びkinactパラメータを表3にまとめる[0079]
表3。
【0146】
直接的及び時間依存的阻害の決定のためのポジティブコントロール阻害剤は、適切に機能する試験系を実証した。
【0147】
【表3】
【0148】
【表4】
【0149】
目的
本研究の目的は、モデル基質及びヒト肝ミクロソームを使用してリスジプラムがインビトロでヒトチトクロームP450(CYP)の触媒活性を阻害するかどうかを決定することであった。
【0150】
法規制の順守
これは、試験プロトコール及び適用可能なコーニングライフサイエンス-ディスカバリーラボウェア標準業務手順書(SOP)に従って行われた非-GLP試験であった。
【0151】
主要なコンピューターシステム支援:
本研究に使用された主要なコンピューター/ソフトウェアシステムは、LC-MS/MSデータを生成するためのMicrosoft EXCEL、及びAnalyst(登録商標)ソフトウェアv1.6.2(Applied Biosystems)を含んでいた。
【0152】
試験物
試験物であるリスジプラムは、治験依頼者によって供給された。試験物に関する情報を、以下(表4)に記載する。
【0153】
【表5】
【0154】
チトクロームP450酵素の触媒活性の阻害は、代謝に基づく薬物相互作用の主要な機序である。(時間-及びNADPH-依存的阻害の)IC50シフト又はKI/kinact値の決定は、代謝に基づく薬物間相互作用の予測に役立つ(1-3)
【0155】
試験系の説明
本研究は、Corning UltraPool HLM 150TMのプールされたヒト肝ミクロソーム(Corningカタログ番号452117)を使用して実行された。使用されたHLM調製物のバッチデータシートを表5に示す。表5表5:バッチデータシート
【表6】
【0156】
・すべてのチトクロームP450アッセイは、NADPH生成系(1.3mMのNADP、3.3mMのグルコース 6-ホスフェート及び0.4U/mlのグルコース 6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、3.3mMのMgCl2を用いて0.8mg/mlのタンパク質で行われ(例外は0.5mg/mlであったCYP3A4)、20分又は10分間インキュベートされた(CYP2C8、CYP2C9、CYP3A4及びCYP4A)。0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)が、CYP2B6、CYP2C8、及びCYP2C19(0.05M)と、0.1Mのトリス(pH7.5)を使用したCYP2A6、CYP2C9、及びCYP4A以外のすべてのP450酵素に使用された。FMOアッセイは、同じNADPH生成系、3.3mMのMgCl2、1.2mMのジエチレントリアミン五酢酸、0.5mg/mlのTriton X-100を用いた0.05Mのリシン緩衝液(pH9.5)中において同じ容量及びタンパク質濃度で行われ、10分間インキュベートされた。UGTグルクロン酸抱合アッセイは、50mMのトリス-HCl緩衝液(pH7.5)中に、UGT1A1と1A4については0.5mg/ml、1A6については0.1mg/ml、1A9については0.15mg/ml、2B7については0.8mg/mlのタンパク質を、2mMのUDPGA、10mMのMgCl2、25ug/mlのアラメチシンと共に含んでいた。UGT1A1は30分、1A4は20分、1A6は15分、1A9は10分、2B7は25分にわたりインキュベートした。活性は、(タンパク質(mg)x分)当たりのpmolでの生成物として表し、例外としてチトクロームc還元酵素は(タンパク質(mg)x分)当たりのnmolでの生成物として表す。
・ウェスタンブロットアッセイが標準プロトコールを使用して実行された。SDS-ゲル電気泳動は、Laemmliの方法(Laemmli、U.K、1970、Nature、227:680-685)によるものであった。HLM中のCYPタンパク質存在量は、組み換えP450アイソフォームから得られる真正標準を使用して定量化された。
・プールは、ドナー当たり等しいミリグラムのミクロソームから構成される。
・危険警報:このミクロソーム調製物は、新規に凍結されたヒト組織から調製された。すべてのドナー組織は、以下:HIV I/II、HTLV I/II、CMV、HBV及びHCVのためのPCRにより病原体について試験した結果陰性であったが、本発明者らは、この物質をポテンシャルバイオハザードと考慮することを推奨する。
・CMVについて陽性の血清学を有するドナーは、ドナー統計シートにおいて単一のアスタリスクにより特定される。CMV血清学が不明であるドナーは、2つのアスタリスクにより特定される。血清学についてCMV陰性であるドナーはunmである。
【0157】
【化3】
【0158】
実験:CYP450の阻害
試験デザイン
酵素/基質の対とインキュベーション条件
IC50及びIC50シフトのアッセイを行って試験物により直接的及び時間依存的酵素阻害を評価した。酵素/基質の対とインキュベーション条件を表6及び表7に列挙する。インキュベーションにおける最終的な有機溶媒濃度は試験物のすべての濃度について一定であった。
【0159】
直接的阻害アッセイ
反応混合物(400μL)は、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に、7種の非ゼロ濃度(0、0.1、0.2、0.5、1.3、3.2、8.0及び12.5μM)の試験物、ミクロソームのタンパク質、NADPH-再生系(1.3mMのNADP+、3.3mMのグルコース-6-ホスフェート、0.4U/mLのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、3.3mMの塩化マグネシウム)及び1種の濃度のプローブ基質(表6)を含んでいた。希釈したHLMタンパク質の付加により反応を開始し、示される時間(表6)にわたって37℃でインキュベートした。反応は、100μLの停止液(安定な同位体で標識した内標準を含有するアセトニトリル中0.1%のギ酸)を付加し、氷を置くことにより停止した。
【0160】
【表7】
【0161】
時間依存的阻害アッセイ(IC50シフト)
プレインキュベーション反応混合物は、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に、NADPH-再生系(1.3mMのNADP+、3.3mMのグルコース-6-ホスフェート、0.4U/mLのグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、及び3.3mMの塩化マグネシウム)あり及びなしで、7種類の非ゼロ濃度(0、0.1、0.2、0.5、1.3、3.2、8.0及び12.5μM)の試験物及びミクロソームのタンパク質を含んでいた。NADPH-再生系なしでのインキュベーションは、代わりに水を有していた。反応はHLMにより開始し、37℃でインキュベートした。
【0162】
30分のプレインキュベーション時間の後、40μL(又はCYP2C19だけは80μL)のアリコートを、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中にNADPH-再生系及び1種類の濃度のプローブ基質(表7)を含有する予め温めた二次反応混合物(400μLの最終容量)中に移した。反応物を、表7に特定された時間にわたり37℃でインキュベートし、100μLの停止液(安定な同位体で標識した内標準を含有するアセトニトリル中0.1%のギ酸)を付加し、氷を置くことにより停止した。
【0163】
【表8】
【0164】
時間依存的阻害(CYP3A4のK及びKinact
プレインキュベーション反応混合物は、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に、8種類の非ゼロ濃度(0、0.1、0.2、0.5、1.3、3.2、8.0及び12.5μM)の試験物、ミクロソームのタンパク質、及びのNADPH-再生系(1.3mMのNADP+、3.3mMのグルコース-6-ホスフェート、0.4U/mLのグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、及び3.3mMの塩化マグネシウム)を含んでいた。反応を、希釈したHLMタンパク質の付加により開始し、37℃でインキュベートした。6つの異なるプレインキュベーション時間(表8)の後、二次インキュベーションのアリコート40μLを、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中にNADPH-再生系及びプローブ基質としてのミダゾラムを含有する予め温めた二次反応混合物(400μLの最終容量)に移した。反応物を、37℃でインキュベートし、反応混合物(200μL)のアリコートと停止液(50μL、安定な同位体で標識した内標準を含有するアセトニトリル中0.1%のギ酸)とを組み合わせ、氷を置くことにより停止させた。
【0165】
【表9】
【0166】
複製物
すべてのインキュベーションは重複して行われた。
【0167】
解析
試料を遠心分離して、析出されたタンパク質をペレットに圧縮した。上清を、後続のLC/MS/MSによる解析のために-20℃で貯蔵した。プローブ基質の代謝物を、LC/MS/MS(表9)により解析した。触媒活性を、ピーク面積比(被解析物/内標準)に基づく各代謝物についての標準曲線を使用して計算した。
【0168】
【表10】
【0169】
ポジティブコントロール
以下のポジティブコントロールCYP阻害剤を、IC50シフトアッセイのために、NADPHあり及びなしでの30分のプレインキュベーション時点を使用し、上述の方法に従って、IC50(表10)及びIC50シフトアッセイ(表11)のために使用した。
【0170】
KI/kinactアッセイのために、ポジティブコントロール時間依存性阻害剤を、試験物と同じプレインキュベーション時点を使用して、単一濃度(0.8μM)で含めた。
【0171】
【表11】
【0172】
【表12】
【0173】
計算:
残存活性パーセント
残存%=(C+I/C-I100
式中:
+I 阻害剤の存在下で形成されたプローブ基質代謝物の濃度
-I 阻害剤の非存在下で形成されたプローブ基質代謝物の濃度
【0174】
IC50
IC50値は、XLfit(モデル205、4つのパラメータのロジスティック適合度)を使用する非線形回帰によって決定された;最大値及び最小値は、100%及び0%に固定された。
【0175】
Fit=A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))
式中:
Aはyの最小値であり、
Bはyの最大値であり、
CはIC50であり、50%阻害に関連付けられる阻害剤濃度であり、
Dは勾配係数である。
【0176】
IC50シフト
IC50シフト=IC50(-NADPH)/IC50(+NADPH)
式中:
IC50(-NADPH)は、NADPHの非存在下でのプレインキュベーション後に得られるIC50値であり、IC50(+NADPH)は、NADPHの存在下でのプレインキュベーション後に得られるIC50値である。
【0177】
及びkinact
inact及びK値を決定するために、残効性の自然対数(阻害剤が存在していない時間に観察される活性の損失について補正済み)を、各試験物濃度のプレインキュベーション時間に対してプロットした。不活性化の一次速度定数(λ又はkobs)を、曲線の線形部分の勾配から推定した。不活性化動力学的パラメータ(kinact及びK)を、以下のようにGraphPad Prismソフトウェアのバージョン6.01を使用した非線形回帰を使用して決定した:
【数1】

式中、
λ又はkobsは、LN(残効性)対プレインキュベーション時間のプロットの勾配から推定される不活性化の一次速度定数であり、
[I]は、阻害剤濃度であり、
inactは、酵素不活性化の最大速度[min-1]であり
は、最大酵素不活性化の50%をもたらす阻害剤の濃度である。
【0178】
時間依存的不活性化効果は、試験物の溶解度の限界のためにリスジプラム濃度では飽和に到達しないので、kinact/KIの比は、kobs対試験濃度(y=勾配・x)の線形フィッティングの勾配に基づいて推定された。
【0179】
結果及び考察:
CYPアイソフォームの直接的阻害
リスジプラムによるCYPアイソフォームの直接的阻害を表2にまとめる。12.5μMまでのリスジプラム試験濃度では、CYP 1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、又は2D6の有意な可逆的阻害は検出されなかった。リスジプラムは、最大で28%及び55%の阻害がそれぞれ基質としてのミダゾラム及びテストステロンについて観察された場合、CYP3A4/5の直接的阻害を引き起こす可能性は低いことが実証された。CYP3A4/5媒介性のテストステロン 6β-ヒドロキシル化の阻害について、11μMのIC50が推定された。ここでは、Km濃度65μMを下回る50μMの基質濃度を用いた。リスジプラムでの個々のCYP3A4阻害データを表12及び表13に列挙する。リスジプラム又はポジティブコントロールの濃度の関数としての残存活性(パーセント)を図1及び図2のグラフに提示する。すべてのポジティブコントロール阻害剤は許容基準(表10参照)を満たし、したがって適正に機能する試験系を実証した。
【0180】
【表13】
【0181】
【表14】
【0182】
CYPアイソフォームの時間依存的阻害
リスジプラムによるCYPアイソフォームの時間依存的阻害の結果を表2にまとめる。12.5μMまでのリスジプラム試験濃度では、CYP 1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、又は2D6の有意な時間依存的阻害は検出されなかった。IC50シフト>2でNADPHの存在下でリスジプラムがHLMと共にプレインキュベートされたとき、ミダゾラム及びテストステロンヒドロキシラーゼ阻害におけるリスジプラムの見かけ上の力価の増加が観察された。これらの結果は、リスジプラムがCYP3A4/5の時間依存的阻害剤である可能性を示した。
【0183】
リスジプラム及びポジティブコントロールによるCYP3A4の個々の時間依存的阻害データを表14、15、16、及び17にまとめる。データは図3及び図4のグラフに提示する。すべてのポジティブコントロール阻害剤は許容基準(表11参照)を満たし、したがって適正に機能する試験系を実証した。
【0184】
【表15】
【0185】
【表16】
【0186】
【表17】
【0187】
【表18】
【0188】
及びkinactの決定
リスジプラムによるCYP 3A4/5のK及びkinactの決定の結果を表3にまとめる。K値及びkinact値は、それぞれ13μM及び0.065min-1と推定された。しかしながら、時間依存的不活性化が、溶解度の限界のために試験されたリスジプラム濃度で飽和に達しなかったため、これらの値には若干の不確実性が存在する。リスジプラム及びポジティブコントロールによる個々の残存活性(パーセント)データを表18にまとめる。不活性化のグラフ及びkobs対濃度のグラフを図5に示す。
【0189】
【表19】
【0190】
結論
結論として、リスジプラムは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19及びCYP2D6の直接的又は時間依存的阻害を引き起こす可能性が低いことを示した。
【0191】
リスジプラムは、試験された濃度でCYP3A4/5の若干の阻害を示した。加えて、リスジプラムは、CYP3A4/5を除き、すべてのアイソフォームの時間依存的阻害を引き起こす可能性が低いことを示した。追跡CYP3A4/5不活性化動態アッセイの結果、K及びkinactは、それぞれ13μM及び0.065min-1と推定された。
【0192】
実施例2:
第I相2部の、健常な参加者における経口投与後の、リスジプラムの複数用量の安全性、忍容性及び薬物動態と、ミダゾラムの薬物動態に対するリスジプラムの影響を調査するために、非盲検試験が実行されている。
【0193】
この試験の第1部は、14日間にわたり1日1回(QD)健常な参加者に投与されたリスジプラムの複数経口用量の安全性、忍容性、及び薬物動態(PK)を調査する。第1部で収集されるPK及び安全性データは、用量を決定するため及びこの試験の第2部の開始を可能にするために使用されることになる。
この試験の第2部は、リスジプラムとチトクロームP450 3A基質との薬物間相互作用をチェックするために、健常な参加者への投与後の、ミダゾラムのPKに対するリスジプラムの複数経口用量の影響を評価する。
【0194】
試験デザイン
これは、健常な成人男性及び女性参加者における経口投与後の、リスジプラムの複数用量の安全性、忍容性、及びPK(第1部)と、ミダゾラムのPKに対するリスジプラムの影響(第2部)とを調査するための、第I相2部の、非盲検非無作為化試験となるであろう。
【0195】
治療の群及び期間
【表20】
【0196】
試験の長さ
各参加者の試験の総期間は概ね8週となり、以下のように分割される:
・スクリーニング:最長27日間(-28~-2日目)
・臨床期間中:-1~16日目(第1部)又は-1~18日目(第2部)
・非入院患者の来院:18日目と20日目(第1部)又は20日目と22日目(第2部)
・安全性の追跡(試験後):第1部及び第2部における試験薬物の最終用量後10±2日目
【0197】
試験の終了
試験の終了は、最後の参加者の最終来院の日と定義する。
【0198】
参加者集団
この試験の参加者は、所与の適格性基準のすべてを満たす年齢18以上55歳以下の健常な女性及び男性のボランティアとなるであろう。
組み入れ/除外基準
【0199】
組み入れ基準
参加者は、以下の基準のすべてが当てはまる場合にのみ、試験に含まれる資格がある:
1)臨床治験に参加する同意書を提供する意向及び能力。
2)健常な参加者。
健康状態は、病歴及び手術歴、身体検査の結果、バイタルサイン、12誘導ECG、及び臨床検査による評価(血液学、凝固、血液化学、血清学、及び尿検査)の詳細な検討に基づいて治験責任者により定義される。
3)スクリーニングにおいて、年齢18以上55歳以下の男性及び女性の参加者。
女性参加者:女性参加者は、妊娠の可能性のない女性(WONCBP)である場合に参加資格がある。
4)スクリーニングにおいて、18.0以上32.0kg/m2以下の肥満度指数(BMI)
5)治療期間中及び最後の試験薬物投与後4カ月までの適切な避妊方法の使用。男性は、同期間中は精子提供をやめなければならない。
試験に許容されると考えられる男性参加者のための避妊方法:
・妊娠していない女性パートナーがいる場合、妊娠の可能性のある女性であるパートナーとの、殺精子剤を含むコンドームなどの避妊手段+追加の避妊方法であって、併せて年間失敗率<1%をもたらすもの。追加の避妊方法は、以下のうちの1つでなければならない:殺精子剤、子宮内避妊器具、注射可能な又は埋め込み式の避妊薬、経口ホルモン避妊薬(例えば、「プロゲステロンのみのピル」、錠剤、パッチ剤、又は女性用避妊器具とエストロゲン及びプロゲステロンの両方)との組み合わせでのダイアフラム避妊は、治療期間中と、リスジプラムの最後の用量後少なくとも4カ月間必要とされる。
・妊娠した女性パートナーがいる場合、治療期間中と、リスジプラムの最後の用量後少なくとも28日間の、胎児の曝露を回避するためのコンドームなどの避妊手段。
禁欲(通常の好ましいライフスタイルの一部として禁欲を実施するもの、定期禁欲、例えば、カレンダー、排卵、自然家族計画法、又は排卵後方法を含む)及び離脱は、この試験では許容される避妊方法ではない。WONCBP及び男性のみが本試験に適格であることに注意されたい。
6)試験のすべての局面を完了する意向及び能力。
【0200】
除外基準
参加者は、以下の基準のいずれかが当てはまる場合、試験から除外される:
1)臨床的に有意なGI、腎性、肝性、気管支肺の、神経学的、精神医学的、心血管性、内分泌学的、血液学的、又はアレルギー性の疾患、代謝異常、がん、又は肝硬変の病歴
2)試験の遂行に干渉しうる、又は治験責任者の意見において、この試験の参加者に許容できないリスクを提起しうる、併発疾患若しくは状態又はその治療であって、限定されないが以下を含む併発疾患若しくは状態:
・スクリーニング前一か月以内のいずれかの大きな病気、又はスクリーニング前1週間以内及び初回の試験薬物投与までのいずれかの熱性の病気。
3)薬物の吸収、代謝、又は排出を変える可能性のあるいずれかの病状の履歴又は証拠。
4)胃運動に影響するか又は胃腸管を変化させる胃腸管の手術歴(合併症のない虫垂摘出術及びヘルニア修復は例外)(胆嚢摘出術は除外される)。
5)臨床的に有意なECG異常(3回の連続する測定の平均に基づく[初回測定値が範囲外である場合、さらに2回を完了して平均をとる])(例えば、PQ/PR間隔>210ms、男性には>450ms、女性には>470msでフリデリシアの公式[QTcF]を使用して心拍数について補正されたQT間隔)又は心血管疾患(例えば、心不全、環状動脈疾患、心筋症、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群の家族歴、突然死の家族歴)の履歴又は存在。
6)過去5年以内の悪性腫瘍の病歴
7)スクリーニングのみでの、確認された(3回の連続する測定の平均に基づく[初回測定値が範囲外である場合、さらに2回を完了して平均をとる])収縮期血圧>140又は<90mmHg、及び拡張期血圧>90又は<50mmHg。
8)スクリーニングのみでの、確認された(3回の連続する測定の平均に基づく)安静時脈拍数(PR)>100又は<40bmp。
9)臨床検査の結果(血液学、化学パネル、及び尿検査を含む)における臨床的に有意な異常(治験責任者よる判断で)。不確定又は疑問のある結果の場合、適格性を確認するために、スクリーニング中に実施される試験を1日目に繰り返してもよい。
10)スクリーニングでのヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1、HIV-2、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルス(血清学)試験の陽性結果。
11)試験薬物投与又はスクリーニングで実施される陽性薬物スクリーニング試験前2年以内のアルコール乱用のなんらかの疑い又は病歴及び/又は依存性薬物の日常的使用/常用のなんらかの病歴又は疑い。
12)スクリーニングの1か月前からフォローアップまでのタバコ含有製品のいずれかの使用(限定しないが以下を含む:喫煙、葉巻など)。
13)試験薬物の初回投与前3カ月以内及び試験期間中の500mLを上回る献血又は血液製剤。
14)スクリーニング前90日以内の治験薬の医薬製品又は医薬機器試験への参加。
15)禁止医薬又はハーブ療法の使用。
16)自発的な若しくは試験薬物投与後の、又は食物若しくは環境要因への曝露後の、過敏症又はアレルギー反応のいずれかの臨床的に有意な病歴。
17)試験薬物の製剤中の添加物のいずれかに対する過敏症の病歴。
18)ミダゾラム又は他のいずれかのベンゾジアゼピン若しくはその製剤成分に対する過敏症の病歴(これは第2部の参加者にのみ適用される)。
19)第2部の参加者について:急性角度緑内障の病歴。
20)治験責任者の判断において、自殺の危険を提示している参加者、又は自殺又は殺人を試みた履歴を有するあらゆる参加者。
21)司法、後見人、又は保佐人の監督下にある参加者。
22)治験責任者の意見において、この試験に参加すべきでない参加者。
【0201】
参加者の数
合計で最大40名の参加者が、以下のようにしてこの試験に登録されうる:
・第1部:6名の評価可能な参加者を獲得するために、8名の参加者が登録される。
・第2部:少なくとも26名の評価可能な参加者を獲得するために、28名の参加者が登録される。
【0202】
第2部での脱落率が予測を上回った場合に26名の評価可能な参加者を達成するために、さらに4名の参加者がいる。
【0203】
第1部では、参加者は、14日間連続して5mgの用量のリスジプラムをQD投与される。5mgの用量のリスジプラムは、SMAを有する患者において、1年を上回る治療について安全であり且つ良好な忍容性を有することを示した。試験の第2部への進行の決定は、最低4名の第1部参加者からの、最後の試験薬物投与後48時間まで(48時間を含む)に収集されたAE、ECG、バイタルサイン、臨床安全性試験の結果(即ち、血液学、臨床化学、及び尿検査)と、最後の試験薬物投与後24時間まで(24時間を含む)の利用可能な血漿PKデータとを含むすべての利用可能な安全性及び忍容性データの検証後に行う。第2部のリスジプラム用量は、第2部で2000ng.h/mLの平均曝露(定常状態における投与間隔の平均AUC[AUCtau])(即ち、SMA患者に観察される治療的曝露)を達成する目的で、第1部で得られたPK及び安全性データに基づいて決定される。
【0204】
第2部の開始に先立ち、第1部のデータを評価し、この試験の第2部で投与されるリスジプラム用量を選択するために、用量漸増会議が実施される。
【0205】
第2部では、すべての試験参加者は、1日目に単回経口用量2mgのミダゾラムを投与される。3日目に、リスジプラムでの14日間のQD治療期間を開始し(定常状態で2000ng.h/mLの平均AUCtauを標的とする;正確な用量は第1部の結果に基づく)、ミダゾラム2mgの単回用量を15日目に再び投与する(リスジプラムの13回目の用量の1時間後)。
【0206】
両方の試験部において、PK血液試料は表19に指定される時点で収集される。安全性モニタリングは、後述するように治験期間を通じて実施される。
【0207】
第1部及び第2部の活動のスケジュール(SoA)を表19に示す。
【0208】
併用医薬
アセトアミノフェン、閉経後女性のためのホルモン補充療法、及びAEを治療するための医薬を除き、併用医薬は認めない。
【0209】
スクリーニング前30日からフォローアップ来院までに参加者が使用したあらゆる医薬又はワクチン(市販薬[OTC]又は処方薬、承認済みの健康補助食品及びハーブサプリメント、栄養補助食品を含む)と、あらゆる非投薬介入(例えば、個人心理療法、認知行動療法、禁煙療法、及びリハビリテーション療法)は、使用理由、投与日(開始日及び終了日を含む)、及び投与量情報(用量及び頻度を含む)と共に記録されなければならない。
【0210】
許可された治療
ホルモン補充療法を使用する参加者は、その使用を継続すべきである。
【0211】
用量≦2g/日のアセトアミノフェンは、必要に応じて使用が許可される。AEの治療に必要とされる他の併用医薬は、治験責任者がケースバイケースで検討することができる。
【0212】
禁止されている療法
スクリーニングの30日以内に摂取されたすべての医薬(処方薬及びOTC)は、適切なeCRFに記録される。
【0213】
原則として、例外の理論的根拠が治験責任者と治験依頼者との間で話し合われて明確に文書化され、治験施設のファイルに保管されない限り、アセトアミノフェン、閉経後女性のためのホルモン補充療法、及びAEを治療するための医薬を例外として、併用医薬は認められない。
【0214】
参加者は、治験治療の開始前14日以内又は5半減期(いずれか長い方)からフォローアップ来院の完了まで、治験責任者及び治験依頼者の意見において医薬が試験に干渉しない限り、処方薬又は非処方薬(ビタミン及び食事又はハーブサプリメントを含む)の摂取を断たなければならない。
【0215】
以下の医薬は明示的に禁止される:
・CYP3A4の任意の阻害剤(例えば、ケトコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ラニチジン、シメチジン)。
・CYP3A4の任意の誘導剤(例えば、リファンピシン、リファブチン、グルココルチコイド、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ)。
・任意の有機カチオントランスポーター2及びMATE基質(例えば、アマンタジン、シメチジン、メマンチン、アミロライド、ファモチジン、メトホルミン、ピンドロール、ラニチジン、プロカインアミド、バレニクリン、アシクロビル、ガンシクロビル、オキサリプラチン、セファレキシン、セフラジン、フェキソフェナジン)。
・既知のまたは潜在的な網膜毒性を有する医薬(例えば、クロロキン及びヒドロキシクロロキン、チオリダジン、レチガビン、ビガバトリン、デスフェロキサミン、トピラメート、ラタノプロスト、ナイアシン、ロシグリタゾン、タモキシフェン、カンタキサンチン、シルデナフィル、インターフェロン、ミノサイクリンの慢性使用)。
【0216】
活動のスケジュール
活動のスケジュールを表19に示す
【0217】
【表21】

【0218】
用量決定基準
第2部への進行への決定は、最低4名の第1部の参加者からの、最後の試験薬物投与後48時間までに収集されたすべての安全性及び忍容性情報(AE、ECG、バイタルサイン、及び臨床検査結果を含む)と、最後の試験薬物投与後24時間までに収集されたすべてのPKデータとの検証後に行う。第2部で投与されるリスジプラムの用量は、定常状態での平均AUCtau2000ng.h/mL(SMAを有する患者に観察される治療的曝露)を標的とするために選択される。第2部で投与される用量は、第1部で試験される5mgの用量のリスジプラムが安全であり且つ良好な耐容性を示し、停止規則を満たさなかった場合のみ、第1部より大きくすることができる。
【0219】
第2部への進行の決定は、治験依頼者である臨床病理学者と治験責任者、及びその決定を補助するために彼らが必要と考える任意の他の者(複数可)によって共同で行われる。
【0220】
第2部の最大可能用量は、18mgのリスジプラムであり、この用量はいかなる状況においても超過されない。
【0221】
停止規則基準
第2部でのリスジプラムの用量は、以下の状況のうちの1つが、第1部で5mgのリスジプラムで治療した参加者に発生する場合、それがリスジプラムの投与とは無関係であることが明らかでない限り、5mgを超えて増加されない。
・参加者の≧50%における同じ種類の重篤なAE。
・参加者の≧50%における同じ種類の臨床的に有意な臨床検査値の異常。
・参加者の≧50%における同じ種類のECGの臨床的に有意な変化。
・治験依頼者である臨床病理学者と治験責任者の共同裁量における、第2部での用量を増加するべきでないことを示す他の所見。
【0222】
個々の停止規則
ベースライン(利用可能であれば)と比較して、以下の状況のうちの1つが発生する場合、それがリスジプラムの投与とは無関係であることが明らかでない限り、所与の個々の参加者において投薬を停止する:
・SAE。
・別の説明がない場合の、関連するビリルビンの増加>2×ULN、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)<2×ULNを伴う、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の何らかの上昇>3×基準値上限(ULN)。
・治験依頼者である臨床病理学者と治験責任者の共同裁量における、投薬が停止されるべきであることを示す他の所見。
【0223】
ライフスタイルの考察
食事及び食事制限
臨床研究ユニットに拘束されている間、参加者は、他の研究に関連する活動と矛盾しないスケジュール通りの時間に標準化された食事を摂る。参加者は、臨床検査評価用の血液試料の収集前に一晩(少なくとも8時間)絶食する。
【0224】
参加者は、1日目(第1部)及び1、3、及び15日目(第2部)の投薬前に一晩(少なくとも8時間)絶食し、投薬時に摂取する水の量を除いて、投与前1時間から投与後2時間まで水分の摂取を控える。食物は投与後4時間から許可される。試験中の他のすべての時間において、参加者は自由に水を摂取することができる。
【0225】
ケシの実を含む飲食物は、チェックイン(1日目)の7日前から試験期間を通して(フォローアップ来院後まで)許可されない。
【0226】
グレープフルーツ/グレープフルーツジュース又はセビリアオレンジを含む飲食物は、試験薬物投与(1日目)の14日前から試験期間を通して(フォローアップ来院後まで)許可されない。
【0227】
カフェイン含有飲食物は、チェックイン(1日目)の48時間前から14日目の退院まで許可されない。
【0228】
アルコールの摂取は、チェックイン(1日目)の48時間前からフォローアップ来院まで許可されない。
【0229】
運動
参加者は、チェックイン(1日目)の7日前からフォローアップ来院まで激しい運動を控えることが求められ、そうでない場合もこの間正常レベルの身体活動を維持する(即ち、新たな運動プログラムを開始することも、いずれの異常に激しい労作に関与することもない)。
【0230】
参加者は、試験期間中に軽いレクリエーション活動に参加してもよい(例えば、テレビ視聴、読書)。
【0231】
安全性評価
すべての安全性評価の予定の時点をSoAに示す(表19)。
【0232】
安全性評価は、SAE及び特に注目されるAE(AESI)を含むAEの監視及び記録;治験実施計画書に規定された安全性に関する臨床検査による評価、バイタルサイン、及びECGの測定;及び試験の安全性評価に重要とみなされるその他の治験実施計画書に規定された試験からなる。
【0233】
身体検査
・完全な身体検査には、少なくとも、頭部、眼、耳、鼻、喉、頸部、及びリンパ節に加えて心血管性、呼吸器系、GI、皮膚科学的、及び筋骨格系の評価が含まれる。身長、体重、及びBMIも、所定の時間に計算され、記録される。治験責任者の判断で、刺激的な症状が現れた場合には、他の身体系のさらなる検査を実施することができる。
・簡単な身体検査には、少なくとも、皮膚、肺、心血管系、及び腹部(肝臓及び脾臓)の評価が含まれる。
・治験者は、過去の重篤な病気に関連する臨床徴候に特に注意を払うべきである。
身体検査には、内診、直腸診、又は乳房診察は含まれない。
【0234】
ベースラインで特定された異常のすべては、一般病歴及びベースライン条件eCRFに記録されるべきである。
【0235】
臨床的に示される場合、限定された、症状に応じた身体検査を実施するべきである。ベースラインの異常からの変化は、参加者の注記に記録すべきである。新規の又は悪化した臨床的に有意な異常は、有害事象eCRFにAEとして記録すべきである。
【0236】
バイタルサイン
温度、PR、及び収縮期及び拡張期血圧を、SoAに概要を示すように(表19)評価する。
【0237】
血圧及び脈拍の測定は、完全自動装置を用いて仰臥位で評価される。自動装置が利用できない場合にのみ、手動技術が使用される。可能であれば、すべての血圧測定のために同じ腕及びデバイスを使用する。
【0238】
血圧及び脈拍の測定は、気が散らない(例えば、テレビ、携帯電話のない)静かな環境において、参加者を少なくとも5分安静にさせた後で行われるべきである。
【0239】
心電図
単回12誘導ECGは、自動的に心拍数を計算し、PR、QRS、QT、及びQT間隔を測定するECGマシンを使用して、SoAに概要を示すように(表19)取得する。
【0240】
ばらつきを最小化するために、参加者が各ECG評価に先立ち≧10分間安静姿勢にあることが重要である。心拍数の変化を防止するため、仰臥位の体位が、各ECG評価ごとに一貫して維持されるべきである。ECG前の安静期間とECG記録中は、気を散らす環境(例えば、テレビ、ラジオ、会話)を避けるべきである。予定されているすべてのバイタルサインの測定及び採血の前に、心電図を実施するべきである。
【0241】
臨床安全性に関する臨床検査による評価
実施するべき臨床検査のリストが表20に示されており、これら評価はSoA(表19)に従って行われなければならない。
【0242】
【表22】
【0243】
薬物動態
試験治療薬(及び必要に応じてその代謝産物[複数可])の濃度を評価するための必須の血液試料を収集する。各試料収集の日時をeCRFに記録する。リスジプラム及びミダゾラム(第2部のみ)のレベルは、検証済みのアッセイを使用して解析される。PK試料は、活動のスケジュールの表(表20参照)に概要を示した通りに採取する。試験期間中、PKサンプリングの時点は、試験治療薬のPKの適切な特徴づけを確実に可能にするために、出現データに基づいて修正されうる。代謝物は、タンデム質量解析アッセイを用いる特定の検証済み液体クロマトグラフィーか、又は必要に応じて目的に合った他の方法により測定されうる。
【0244】
PK血液試料は、最後の治験総括報告書の日付の後で、又は治験管理チームによる試料破棄の承認後に、破棄される。サンプリング手順、試料保存、及び輸送に関する詳細は、試料の文書に記載されている。
【0245】
PK時点のタイミング又は追加のいかなる変更も、関連する治験チームのメンバーが文書化及び承認し、次いで治験依頼者及び治験施設の治験ファイルに保管しなければならないが、これは治験実施計画書の改訂とはならない。
【0246】
統計解析
安全性解析
すべての安全性解析は、安全性解析集団に基づく。安全性解析は、表21に詳細に示す。
【0247】
【表23】
【0248】
薬物動態解析
解析は、PK解析集団に対して実行される。すべてのPKパラメータは、一覧表及び記述による要約統計量(算術平均、標準偏差、幾何平均、幾何変動係数、中央値、最小値、最大値)により提示される。Tmaxについては、中央値、最小値、及び最大値のみが提示される。
【0249】
薬物動態パラメータは、血漿中濃度-時間プロファイルから直接読み取るか、又は標準的なノンコンパートメント法を用いて算出する。
以下のPKパラメータは、必要に応じてリスジプラム及びその代謝産物(複数可)と、必要に応じてミダゾラム及びその代謝産物(複数可)とについて計算される。必要に応じて他のPKパラメータを追加で計算してもよい。
・Tmax 観察された最大血漿濃度の時間
・Cmax 観察された最大血漿濃度
・Ctrough 観察されたトラフ血漿濃度
・AUCtau 投与間隔にわたる血漿濃度-時間曲線下面積
・AUClast 時間0から最後の定量化可能濃度(tlast)の時間までの血漿濃度-時間曲線下面積
・AUCinf 無限大に外挿された血漿濃度-時間曲線下面積
・λ 見かけ上の終末消失速度定数
・t1/2 見かけ上の血漿終末消失半減期
・CLss/F 定常状態での見かけ上の総血漿クリアランス
・ARAUC AUCの蓄積率
・ARCmax Cmaxの蓄積率
【0250】
第2部では、対数変換したPKパラメータ Cmax及びAUCinf(又は、AUCinf が適切に推定できない場合は、AUClast又は時間ゼロから共通投与後時間までの代替の部分的AUC、AUC0-t)に適用された分散分析を使用して、ミダゾラムの単回経口用量(及び必要に応じてその代謝産物[複数可])のPKに対するリスジプラムの複数経口用量の影響を探索する。モデルには、治療を固定効果として、及び対象を確率効果として含める。モデル推定から、幾何平均比(ミダゾラム単独対リスジプラムとの組み合わせでのミダゾラム)を、対応する両側90%信頼間隔と共に求める。
【0251】
参考文献
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図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】