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特表2022-536670偏光計、および入射光線の偏光状態を判定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】偏光計、および入射光線の偏光状態を判定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 4/04 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
G01J4/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573345
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 CA2020050786
(87)【国際公開番号】W WO2020248046
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/859,827
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/930,629
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
(71)【出願人】
【識別番号】517094323
【氏名又は名称】ラヴァル大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ゾンジン
(72)【発明者】
【氏名】シ ウェイ
(57)【要約】
基板102と、入射光線10を光線に偏光分離する基板上の偏光スプリッタ104と、光線から偏光成分を形成する基板上の干渉測定回路106と、偏光成分を出力する出力導波路120とを全体的に有する偏光計100が説明される。干渉測定回路は、光線の1つを第1の位相遅延導波路116aと第2の位相遅延導波路116bに分離する第1のパワースプリッタ114a、光線の別の1つを第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称の第3の位相遅延導波路116cと第4の位相遅延導波路116dに分離する第2のパワースプリッタ114b、第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに結合する第1の偏光カプラ118a、および、第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合する第2の第1の偏光カプラ118bを有し、偏光成分の強度および干渉測定回路の干渉測定パターンは入射光線の偏光状態を示す性質をもつ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光計であって、
基板と、
入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する前記基板上の偏光スプリッタと、
前記基板上の干渉測定回路であって、
前記第1の光線を第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路にパワー分離する第1のパワースプリッタ、および前記第2の光線を、前記第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称の第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路にパワー分離する第2のパワースプリッタ、
前記第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ、および前記第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラ
を有する、干渉測定回路と、
前記偏光成分を出力する複数の出力導波路であって、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが入射光線の偏光状態を示す性質をもつ、複数の出力導波路と
を備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項2】
請求項1に記載の偏光計であって、前記偏光成分の各成分をそれぞれ受け取り、前記強度を示す性質をもつ第1、第2、第3、および第4の信号の各信号を生成する、前記基板上の第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットをさらに備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項3】
請求項2に記載の偏光計であって、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットが、前記偏光成分の所与のスペクトル成分の強度を測定する、前記基板上の光検知器をそれぞれ有することを特徴とする、偏光計。
【請求項4】
請求項2に記載の偏光計であって、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットに通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記第1、第2、第3、および第4の信号および前記干渉測定パターンに基づいて、前記入射光線の前記偏光状態を判定することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項5】
請求項4に記載の偏光計であって、前記判定することが、前記入射光線の複数のスペクトル成分の各成分にそれぞれ関連付けられた複数の偏光状態を判定することを含むことを特徴とする、偏光計。
【請求項6】
請求項5に記載の偏光計であって、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットが、前記偏光成分の前記複数のスペクトル成分の強度を測定する光スペクトル解析器をさらに有することを特徴とする、偏光計。
【請求項7】
請求項6に記載の偏光計であって、前記光スペクトル解析器が、前記スペクトル成分のうちの所与の成分を、前記スペクトル成分のうちの前記選択された成分の強度を測定する光検知器に向けるように調整可能な調整可能フィルタを有することを特徴とする、偏光計。
【請求項8】
請求項1に記載の偏光計であって、前記第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路が、対応するサブ波長回折格子を有することを特徴とする、偏光計。
【請求項9】
請求項1に記載の偏光計であって、前記第1の光線が第1の電場成分を有し、前記第2の光線が、前記第1の電場成分に対して直角の第2の電場成分を有し、前記第1、第2、第3、および第4の偏光成分が、前記第1の電場成分と第2の電場成分との線形結合であることを特徴とする、偏光計。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光計であって、前記干渉測定パターンが、前記線形結合を示す性質をもつことを特徴とする、偏光計。
【請求項11】
請求項1に記載の偏光計であって、前記第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路が、第1、第2、第3、および第4の位相遅延θ、θ、θ、およびθのうちの各位相遅延を有し、少なくとも前記第1の位相遅延θと第4の位相遅延θが互いに異なることを特徴とする、偏光計。
【請求項12】
請求項11に記載の偏光計であって、前記第1の偏光成分の強度Iが、前記第1の光線の強度を示す性質をもち、前記第2の偏光成分の強度Iが、前記第2の光線の強度を示す性質をもち、強度Iが、前記第3の偏光成分の強度を示し、強度Iは、前記第4の偏光成分の強度を示すことを特徴とする、偏光計。
【請求項13】
請求項12に記載の偏光計であって、前記干渉測定パターンが合成行列Wによって表され、前記入射光線の前記偏光状態Sが、以下の等式に比例した等式を使用して判定可能であり、
S=W・I
Sが、前記入射光線の前記偏光状態(S、S、S、Sを示すベクトルであり、Iが、前記強度(I、I、I、Iを示すベクトルである、
ことを特徴とする、偏光計。
【請求項14】
請求項13に記載の偏光計であって、前記合成行列Wが、以下の行列に等しい行列によって与えられることを特徴とする、偏光計。
【数1】
【請求項15】
請求項1に記載の偏光計であって、前記偏光スプリッタが、前記第1の光線をそれぞれ出力する第1のスプリッタ出力と第2のスプリッタ出力、ならびに前記第2の光線をそれぞれ出力する第3のスプリッタ出力と第4のスプリッタ出力を有し、前記第1のスプリッタ出力と第2のスプリッタ出力の1つが、前記第1のパワースプリッタに光結合され、第3のスプリッタ出力と第4のスプリッタ出力の1つが、前記第2のパワースプリッタに光結合されることを特徴とする、偏光計。
【請求項16】
請求項1に記載の偏光計であって、前記干渉測定回路が、第1の干渉測定回路であり、前記偏光計が、前記第1の光線と第2の光線との線形結合として前記第1の偏光成分と第2の偏光成分を形成する前記基板上の第2の干渉測定回路をさらに備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項17】
請求項11に記載の偏光計であって、前記第1の光線を、前記第1の干渉測定回路の前記第1のパワースプリッタおよび前記第2の干渉測定回路の第1のパワースプリッタに向かってパワー分離する第1の非対称パワースプリッタ、ならびに前記第2の光線を、前記第1の干渉測定回路の前記第2のパワースプリッタおよび前記第2の干渉測定回路の前記第2のパワースプリッタに向かってパワー分離する第2の非対称パワースプリッタをさらに備え、前記第1および第2の非対称パワースプリッタが、結合係数PRを有する前記第2の干渉測定回路に向かって結合し、PR’=1-PRの相補結合係数を有する前記第1の干渉測定回路に向かって結合することを特徴とする、偏光計。
【請求項18】
請求項17に記載の偏光計であって、前記干渉測定パターンが、以下の行列に等しい合成行列Wによって表され、
【数2】
τが、PR/(1-PR)を示す、
ことを特徴とする、偏光計。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の偏光計であって、前記第1および第2のパワースプリッタが、約50%の分割比を有することを特徴とする、偏光計。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の偏光計であって、前記出力導波路が、前記基板に沿って前記基板の共通エリアに向かって延びることを特徴とする、偏光計。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の偏光計であって、前記偏光スプリッタが表面格子であることを特徴とする、偏光計。
【請求項22】
入射光線の偏光状態を判定する方法であって、
前記入射光線が、偏光スプリッタを有する基板に衝突するステップと、
前記偏光スプリッタが、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離するステップと、
前記基板上に延びる導波路を有する干渉測定回路の全体に前記第1の光線と第2の光線を伝搬させるステップと、
前記干渉測定回路が、干渉測定パターンに従って前記第1の光線と第2の光線を互いに干渉させるステップであって、第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するために前記第1の光線と第2の光線を互いに対して非対称に位相遅延させるステップを含み、前記偏光成分が前記入射光線の前記偏光状態を十分に判定する、ステップと、
前記偏光成分の強度を同時に測定するステップと、
コントローラを使用して、前記測定された強度および前記干渉測定パターンに基づいて前記偏光状態を判定するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記第1の光線が第1の電場成分を有し、前記第2の光線が、前記第1の電場成分に対して直角の第2の電場成分を有し、前記第1、第2、第3、および第4の偏光成分が、前記第1の電場成分と第2の電場成分との線形結合であることを特徴とする、方法。
【請求項24】
偏光撮像装置であって、基板と、対応する間を空けられた入射光線を受け取るために前記基板上で互いに間を空けられた複数の偏光スプリッタであって、前記複数の間を空けられた入射光線のうちの各入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する、偏光スプリッタと、前記偏光スプリッタの1つ以上に光結合された複数の干渉測定回路であって、前記第1の光線と第2の光線を互いに干渉させて少なくとも第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成し、前記偏光成分が前記間を空けられた入射光線のそれぞれの偏光状態を十分に定義する、干渉測定回路と、前記入射光線の前記偏光成分を出力する複数の出力導波路とを備え、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが、前記入射光線の前記偏光状態を示す性質をもつことを特徴とする、偏光撮像装置。
【請求項25】
請求項24に記載の偏光撮像装置であって、各干渉測定回路が、前記第1の光線を第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路にパワー分離する第1のパワースプリッタ、および前記第2の光線を、前記第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称の第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路にパワー分離する第2のパワースプリッタ、前記第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに偏光結合して前記第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ、および前記第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合して前記第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラを有する前記基板上の干渉測定回路を有することを特徴とする、偏光撮像装置。
【請求項26】
請求項24に記載の偏光撮像装置であって、前記入射光線の前記偏光成分の各成分をそれぞれ受け取り、前記強度を示す性質をもつ第1、第2、第3、および第4の信号の各信号を生成する前記基板上の検出器ユニットをさらに備えることを特徴とする、偏光撮像装置。
【請求項27】
請求項26に記載の偏光撮像装置であって、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットに通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記第1、第2、第3、および第4の信号および前記干渉測定パターンに基づいて、前記入射光線の前記偏光状態を判定し、前記偏光状態に基づいて偏光イメージを生成することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることを特徴とする、偏光撮像装置。
【請求項28】
偏光計であって、
基板と、
前記基板上の偏光スプリッタであって、所与の偏光状態を有する入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する、偏光スプリッタと、
前記基板上の干渉測定回路であって、前記第1および第2の偏光成分のうちの各偏光成分を受け取る第1および第2の位相遅延導波路、前記第1および第2の偏光成分を互いに結合し、第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路に向かって前記偏光成分を分離するマルチモード干渉カプラ、ならびに、前記第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに結合し、これにより前記第1の偏光成分と第2の偏光成分の干渉に基づいて第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するマルチモードカプラを有し、少なくとも前記第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路が互いに非対称である、干渉測定回路と、
前記偏光成分を出力する出力導波路であって、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが、前記入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を示す性質をもつ、出力導波路と
を備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項29】
請求項28に記載の偏光計であって、前記出力導波路に光結合され、複数のスペクトル成分における前記偏光成分の強度を測定する光スペクトル解析器をさらに備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項30】
請求項29に記載の偏光計であって、前記光スペクトル解析器に通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記測定された強度および前記干渉測定パターンに基づいて前記入射光線の前記スペクトル的に分解された偏光状態を判定することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることを特徴とする、偏光計。
【請求項31】
分光偏光測定を実施する方法であって、
スペクトル的に変動する偏光状態を有する入射光線を受け取るステップと、
前記入射光線をそれぞれの偏光成分を有する複数の光線に偏光分離するステップと、
前記それぞれの偏光成分がそれぞれの時間的遅延に遭遇する干渉測定パターンに従って前記複数の光線を互いに干渉させるステップと、
前記複数の光線の光スペクトルを測定するステップであって、前記光スペクトルがスペクトル的に間を空けられた強度値を有する、ステップと、
前記干渉測定パターンおよび前記測定された光スペクトルに基づいて、前記入射光線の前記スペクトル的に変動する偏光状態を判定するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記光スペクトルをスペクトルドメイン表現から時間ドメイン表現に変換し、これにより対応する時間的遅延における前記偏光成分を示す時間的に間を空けられた強度値を取得するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記偏光成分を互いに絶縁して、前記このように絶縁された偏光成分を前記時間ドメインから前記スペクトルドメインに変換し、これにより前記偏光成分に関連付けられた個々の光スペクトルを取得するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、前記光スペクトルをスペクトルドメイン表現から時間ドメイン表現に変換する前記ステップが、前記光スペクトルの逆フーリエ変換を実施するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、前記このように絶縁された偏光成分を前記時間ドメインから前記スペクトルドメインに変換する前記ステップが、前記このように絶縁された偏光成分のフーリエ変換を実施するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項36】
偏光計であって、
基板と、
入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する前記基板上の偏光スプリッタと、
前記基板上にあり、前記第1の光線と第2の光線を互いに干渉させ、これにより第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成する干渉測定回路であって、前記偏光成分が前記入射光線の偏光状態を十分に定義する、干渉測定回路と、
前記偏光成分を出力する複数の出力導波路と、
前記基板上の光スペクトル解析器であって、前記複数の出力導波路に光結合され、前記偏光成分の複数のスペクトル成分の強度を測定し、前記測定された強度が、前記入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を示す性質をもつ、光スペクトル解析器と
を備えることを特徴とする、偏光計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本改善は一般に偏光計、すなわち偏光検出器(optical polarization detector)に関し、より詳細にはオンチップ偏光計に関する。
【背景技術】
【0002】
光線は、光線が軸に沿って伝搬しながら振動する常に互いに垂直の電場および磁場から成る。
【0003】
偏光は一般に、光線の伝搬軸上にいる観察者に向かって光線が伝搬するときに場が作る形状のことを言う。光線の偏光状態を知ることは、量子通信および標準的な通信、リモートセンシング、天文学、ならびに生物医学診断法など、非常に多くの用途で重要になり得る。慣例により、偏光のタイプは、基準として機能する電場によって判定される。例えば、線形タイプの偏光は、観察者の視点で見ると1つの方向の中で電場が振動していることを示す。円形または長円形のタイプの偏光では、電場は、それぞれ円形または長円形の形状で回転する。回転は、右手の法則を使用して認識可能な2つの考え得る方向を有することができる。光線は、電場の回転方向が右手の法則による光線の伝搬方向に関するものである場合、右回転して偏光される。そうではなく、電場の回転方向が左手の法則による光線の伝搬方向に関するものである場合、光線は左回転して偏光される。
【0004】
入射光線の偏光状態の数量化は、一般に、任意の所与のタイプの偏光を伴ってふるまう光線部分の相対的重要性を測定可能な偏光計を使用して実施される。言い換えれば、偏光計は光線をその主な偏光成分に分割し、これらを別々に測定する。既存の偏光計はある程度満足のいくものであったが、改善の余地が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
業界には、自由空間伝搬および成分を回避する基板統合型偏光計の必要性があることがわかった。1つの態様では、偏光スプリッタ、干渉測定回路、および出力導波路を有し、これら全てが基板上に収容される基板ベースの偏光計が説明される。このような基板ベースの偏光計は、フットプリントとコストを最小限にしつつ、堅牢性を著しく改善することができる。入射光線を受け取ると、偏光スプリッタは、入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する。例えば、第1の光線は第1の電場成分Eであることが可能であり、その一方で第2の光線は、第1の電場成分に対して直角の第2の電場成分Eであることが可能である。干渉測定回路を使用して第1の偏光成分と第2の偏光成分を互いに干渉させ、入射光線の偏光状態をまとめて十分に定義可能な第1、第2、第3、および第4の偏光成分を形成する。そうするために干渉測定回路は、第1の光線を第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路にパワー分離する第1のパワースプリッタ、および、第2の光線を第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路にパワー分離する第2のパワースプリッタを有する。干渉測定回路は、第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ、および、第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラを有する。第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路は、第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称なので、第3の偏光成分と第4の偏光成分は互いに相補的である。したがって、偏光計は、そのように分離された偏光成分の各成分をそれぞれ出力する基板ベースの出力導波路を有する。偏光成分の強度を測定し、干渉測定回路の干渉測定パターンを考慮すると、入射光線の偏光状態を十分に判定することができる。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、偏光計が提供され、基板と、入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する前記基板上の偏光スプリッタと、前記基板上の干渉測定回路であって、前記第1の光線を第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路にパワー分離する第1のパワースプリッタ、および前記第2の光線を、前記第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称の第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路にパワー分離する第2のパワースプリッタ、前記第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ、および前記第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラを有する、干渉測定回路と、前記偏光成分を出力する複数の出力導波路であって、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが入射光線の偏光状態を示す性質をもつ、複数の出力導波路とを備える。
【0007】
さらに本開示の第1の態様によれば、偏光計は、例えば、前記偏光成分の各成分をそれぞれ受け取り、前記強度を示す性質をもつ第1、第2、第3、および第4の信号の各信号を生成する、前記基板上の第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットをさらに備えることができる。
【0008】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットは、例えば、偏光成分の所与のスペクトル成分の強度を測定する、基板上の光検知器をそれぞれ有することができる。
【0009】
さらに本開示の第1の態様によれば、偏光計は、例えば、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットに通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記第1、第2、第3、および第4の信号および前記干渉測定パターンに基づいて、前記入射光線の偏光状態を判定することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることができる。
【0010】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記判定することは、例えば、入射光線の複数のスペクトル成分の各成分にそれぞれ関連付けられた複数の偏光状態を判定することを含むことができる。
【0011】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットは、例えば、偏光成分の複数のスペクトル成分の強度を測定する光スペクトル解析器をさらに有することができる。
【0012】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記光スペクトル解析器は、例えば、前記スペクトル成分のうちの所与の成分を、前記スペクトル成分のうちの選択された成分の強度を測定する光検知器に向けるように調整可能な調整可能フィルタを有することができる。
【0013】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路は、例えば、対応するサブ波長回折格子を有することができる。
【0014】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1の光線は、例えば、第1の電場成分を有することができ、前記第2の光線は、前記第1の電場成分に対して直角の第2の電場成分を有し、前記第1、第2、第3、および第4の偏光成分は、前記第1の電場成分と第2の電場成分との線形結合である。
【0015】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記干渉測定パターンは、例えば、前記線形結合を示す性質をもつことが可能である。
【0016】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路が、例えば、第1、第2、第3、および第4の位相遅延θ、θ、θ、およびθのうちの各位相遅延を有することができ、少なくとも前記第1の位相遅延θと第4の位相遅延θは互いに異なる。
【0017】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1の偏光成分の強度Iは、例えば、前記第1の光線の強度を示す性質をもつことが可能であり、前記第2の偏光成分の強度Iは、前記第2の光線の強度を示す性質をもち、強度Iは、前記第3の偏光成分の強度を示し、強度Iは、前記第4の偏光成分の強度を示す。
【0018】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記干渉測定パターンは、例えば、合成行列Wによって表されることが可能であり、前記入射光線の前記偏光状態Sは、以下の等式に比例した等式を使用して判定可能である。
【0019】
S=W・I
【0020】
Sは、前記入射光線の前記偏光状態(S、S、S、Sを示すベクトルであり、Iは、前記強度(I、I、I、Iを示すベクトルである。
【0021】
さらに本開示の第1の態様によれば、合成行列Wは、例えば、以下の行列に等しい行列によって与えられることが可能である。
【0022】
【数1】
【0023】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記偏光スプリッタは、例えば、前記第1の光線をそれぞれ出力する第1のスプリッタ出力と第2のスプリッタ出力、ならびに前記第2の光線をそれぞれ出力する第3のスプリッタ出力と第4のスプリッタ出力を有することができ、前記第1のスプリッタ出力と第2のスプリッタ出力の1つが、前記第1のパワースプリッタに光結合され、第3のスプリッタ出力と第4のスプリッタ出力の1つが、前記第2のパワースプリッタに光結合される。
【0024】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記干渉測定回路は、例えば、第1の干渉測定回路を有することができ、前記偏光計は、前記第1の光線と第2の光線との線形結合として前記第1の偏光成分と第2の偏光成分を形成する前記基板上の第2の干渉測定回路をさらに備える。
【0025】
さらに本開示の第1の態様によれば、偏光計は、例えば、前記第1の光線を、前記第1の干渉測定回路の前記第1のパワースプリッタおよび前記第2の干渉測定回路の第1のパワースプリッタに向かってパワー分離する第1の非対称パワースプリッタ、ならびに第2の光線を、前記第1の干渉測定回路の前記第2のパワースプリッタおよび前記第2の干渉測定回路の前記第2のパワースプリッタに向かってパワー分離する第2の非対称パワースプリッタをさらに備えることができ、第1および第2の非対称パワースプリッタは、結合係数PRを有する第2の干渉測定回路に向かって結合し、PR’=1-PRの相補結合係数を有する第1の干渉測定回路に向かって結合する。
【0026】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記干渉測定パターンは、例えば、以下の行列に等しい合成行列Wによって表されることが可能である。
【0027】
【数2】
【0028】
τは、PR/(1-PR)を示す。
【0029】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記第1および第2のパワースプリッタは、例えば、約50%の分割比を有することができる。
【0030】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記出力導波路は、例えば、前記基板に沿って前記基板の共通エリアに向かって延びることができる。
【0031】
さらに本開示の第1の態様によれば、前記偏光スプリッタは、例えば、表面格子が可能である。
【0032】
本開示の第2の態様によれば、入射光線の偏光状態を判定する方法が提供され、方法は、前記入射光線が、偏光スプリッタを有する基板に衝突することと、前記偏光スプリッタが、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離することと、前記基板上に延びる導波路を有する干渉測定回路の全体に前記第1の光線と第2の光線を伝搬させることと、前記干渉測定回路が、干渉測定パターンに従って前記第1の光線と第2の光線を互いに干渉させることであって、第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するために前記第1の光線と第2の光線を互いに対して非対称に位相遅延させることを含み、前記偏光成分が前記入射光線の前記偏光状態を十分に判定する、干渉させることと、前記偏光成分の強度を同時に測定することと、コントローラを使用して、前記測定された強度および前記干渉測定パターンに基づいて前記偏光状態を判定することとを含む。
【0033】
さらに本開示の第2の態様によれば、前記第1の光線は、例えば、第1の電場成分を有することができ、前記第2の光線は、前記第1の電場成分に対して直角の第2の電場成分を有し、前記第1、第2、第3、および第4の偏光成分は、前記第1の電場成分と第2の電場成分との線形結合である。
【0034】
本開示の第3の態様によれば、偏光撮像装置が提供され、基板と、対応する間を空けられた入射光線を受け取るために基板上で互いに間を空けられた複数の偏光スプリッタであって、前記複数の間を空けられた入射光線のうちの各入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する、偏光スプリッタと、偏光スプリッタの1つ以上に光結合された複数の干渉測定回路であって、第1の光線と第2の光線を互いに干渉させて少なくとも第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成し、偏光成分が前記間を空けられた入射光線のそれぞれの偏光状態を十分に定義する、干渉測定回路と、前記入射光線の前記偏光成分を出力する複数の出力導波路とを備え、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが、前記入射光線の前記偏光状態を示す性質をもつ。
【0035】
さらに本開示の第3の態様によれば、各干渉測定回路は、例えば、前記基板上の干渉測定回路であって、前記第1の光線を第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路にパワー分離する第1のパワースプリッタ、および前記第2の光線を、前記第1の位相遅延導波路と第2の位相遅延導波路に対して非対称の第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路にパワー分離する第2のパワースプリッタ、前記第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ、および前記第2の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラを有する、干渉測定回路を有することができる。
【0036】
さらに本開示の第3の態様によれば、偏光撮像装置は、例えば、前記入射光線の前記偏光成分の各成分をそれぞれ受け取り、前記強度を示す性質をもつ第1、第2、第3、および第4の信号の各信号を生成する前記基板上の検出器ユニットをさらに備えることができる。
【0037】
さらに本開示の第3の態様によれば、偏光撮像装置は、例えば、前記第1、第2、第3、および第4の検出器ユニットに通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記第1、第2、第3、および第4の信号および前記干渉測定パターンに基づいて、前記入射光線の偏光状態を判定し、前記偏光状態に基づいて偏光イメージを生成することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることができる。
【0038】
本開示の第4の態様によれば、偏光計が提供され、基板と、前記基板上の偏光スプリッタであって、所与の偏光状態を有する入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する、偏光スプリッタと、前記基板上の干渉測定回路であって、前記第1および第2の偏光成分のうちの各偏光成分を受け取る第1および第2の位相遅延導波路、前記第1および第2の偏光成分を互いに結合し、第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路に向かって偏光成分を分離するマルチモード干渉カプラ、ならびに、第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに結合し、これにより第1の偏光成分と第2の偏光成分の干渉に基づいて第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するマルチモードカプラを有し、少なくとも第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路が互いに非対称である、干渉測定回路と、偏光成分を出力する出力導波路であって、前記偏光成分の強度および前記干渉測定回路の干渉測定パターンが、入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を示す性質をもつ、出力導波路とを備える。
【0039】
さらに本開示の第4の態様によれば、偏光計は、例えば、出力導波路に光結合され、複数のスペクトル成分における偏光成分の強度を測定する光スペクトル解析器をさらに備えることができる。
【0040】
さらに本開示の第4の態様によれば、偏光計は、例えば、前記光スペクトル解析器に通信連結されたコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、測定された強度および前記干渉測定パターンに基づいて前記入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を判定することを行うステップを実施する命令を格納したメモリとを有する、コントローラをさらに備えることができる。
【0041】
本開示の第5の態様によれば、分光偏光測定を実施する方法が提供され、方法は、スペクトル的に変動する偏光状態を有する入射光線を受け取ることと、入射光線をそれぞれの偏光成分を有する複数の光線に偏光分離することと、前記それぞれの偏光成分がそれぞれの時間的遅延に遭遇する干渉測定パターンに従って複数の光線を互いに干渉させることと、複数の光線の光スペクトルを測定することであって、光スペクトルがスペクトル的に間を空けられた強度値を有する、測定することと、干渉測定パターンおよび測定された光スペクトルに基づいて、入射光線のスペクトル的に変動する偏光状態を判定することとを含む。
【0042】
さらに本開示の第5の態様によれば、方法は、例えば、光スペクトルをスペクトルドメイン表現から時間ドメイン表現に変換し、これにより対応する時間的遅延における偏光成分を示す時間的に間を空けられた強度値を取得することをさらに含むことができる。
【0043】
さらに本開示の第5の態様によれば、方法は、例えば、偏光成分を互いに絶縁して、このように絶縁された偏光成分を時間ドメインからスペクトルドメインに変換し、これにより偏光成分に関連付けられた個々の光スペクトルを取得することをさらに含むことができる。
【0044】
さらに本開示の第5の態様によれば、前記光スペクトルをスペクトルドメイン表現から時間ドメイン表現に変換することは、例えば、光スペクトルの逆フーリエ変換を実施することを含むことができる。
【0045】
さらに本開示の第5の態様によれば、このように絶縁された偏光成分を時間ドメインからスペクトルドメインに前記変換することは、例えば、このように絶縁された偏光成分のフーリエ変換を実施することを含むことができる。
【0046】
本開示の第6の態様によれば、偏光計が提供され、基板と、入射光線を受け取り、前記入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する前記基板上の偏光スプリッタと、前記基板上にあり、第1の光線と第2の光線を互いに干渉させ、これにより第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成する干渉測定回路であって、偏光成分が入射光線の偏光状態を十分に定義する、干渉測定回路と、前記偏光成分を出力する複数の出力導波路と、前記基板上の光スペクトル解析器であって、複数の出力導波路に光結合され、偏光成分の複数のスペクトル成分の強度を測定し、測定された強度が、入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を示す性質をもつ、光スペクトル解析器とを備える。
【0047】
本改善に関する多くのさらなる特徴およびその組合せが、本開示を読んだ後、当業者には見えてくるであろう。
【0048】
図では、
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】1つ以上の実施形態による、基板にマウントされた偏光計の第1の例の概略図であり、偏光スプリッタ、干渉測定回路、検出器ユニット、およびコントローラを示す。
図2】1つ以上の実施形態による、入射光線の偏光状態を判定するための方法の例のフローチャートである。
図3】1つ以上の実施形態による、図1のコントローラのコンピューティングデバイスの例の概略図である。
図4】1つ以上の実施形態による、基板にマウントされた偏光計の第2の例の概略図であり、θ、θ、θ、およびθが、各位相遅延導波路の位相遅延を示し、I、I、I、およびIが、各導波路出力における強度を示す。
図5A】1つ以上の実施形態による、基板ベースの偏光スプリッタの例の斜視図であり、その自由空間の対応するものとは対照的に示されている。
図5B】1つ以上の実施形態による、基板ベースの偏光カプラスプリッタの例の斜視図であり、その自由空間の対応するものとは対照的に示されている。
図5C】1つ以上の実施形態による、基板ベースの位相遅延導波路の例の斜視図であり、その自由空間の対応するものとは対照的に示されている。
図6】1つ以上の実施形態による、図4の偏光計の(θ-θ)と(θ-θ)に応じた条件数を示すグラフである。
図7】1つ以上の実施形態による、図4の偏光計の(θ-θ)と(θ-θ)に応じたノイズ分散変位(noise variance excursion)Δγを示すグラフである。
図8A】1つ以上の実施形態による、図4の偏光計の走査電子顕微鏡像であり、挿入図は偏光スプリッタの拡大図を示す。
図8B】1つ以上の実施形態による、図8Aの偏光スプリッタの波長に応じた効率性を示すグラフである。
図9】1つ以上の実施形態による、図4の偏光計をテストする実験装備の例の概略図である。
図10】1つ以上の実施形態による、図9の実験装備と市販の自由空間偏光計の両方を使用して測定された種々の光線の偏光成分を示すグラフである。
図11】1つ以上の実施形態による、入射光線のスペクトル成分に応じて図4の偏光計を使用して測定された入射光線の偏光成分を示すグラフである。
図12】1つ以上の実施形態による、第1および第2の干渉測定回路につながる非対称パワースプリッタを用いて示された偏光計の第3の例の概略図である。
図13】1つ以上の実施形態による、図12の非対称パワースプリッタの例の概略図である。
図14】1つ以上の実施形態による、図12の偏光計の(θ’-θ’)と(θ’-θ’)に応じた条件数を示すグラフである。
図15】1つ以上の実施形態による、図12の偏光計と市販の自由空間偏光計の両方を使用して測定された種々の光線の偏光成分を示すグラフである。
図16】1つ以上の実施形態による、偏光スプリッタローテイタに光結合されたエッジカプラの形で提供された偏光スプリッタを用いて示された偏光計の第4の例の上面図である。
図17】1つ以上の実施形態による、各位相遅延導波路の一部として非対称サブ波長回折格子を用いて示された偏光計の第5の例の概略図である。
図18】1つ以上の実施形態による、図17の偏光計の非対称サブ波長回折格子の2つの拡大図である。
図19】1つ以上の実施形態による、入射光線のスペクトル成分に応じて図18の非対称サブ波長回折格子によって伝えられた位相差を示すグラフである。
図20】1つ以上の実施形態による、図17の偏光計の非対称パワースプリッタの結合係数、および図17の偏光計によって伝えられた位相差のスペクトルを示すグラフである。
図21】1つ以上の実施形態による、補償後に図17の偏光計によって伝えられた位相差のスペクトルを示すグラフである。
図22】1つ以上の実施形態による、調整可能フィルタおよび光検知器アセンブリをそれぞれ有する光スペクトル解析器の形で提供された検出器ユニットを用いて示された偏光計の第6の例の概略図である。
図23】1つ以上の実施形態による、図22の調整可能フィルタを動作させるために使用される火力のスペクトルのグラフである。
図24】1つ以上の実施形態による、図22の調整可能フィルタのドロップポートの別の伝送スペクトルを表す光電流のスペクトルを示すグラフである。
図25】1つ以上の実施形態による、図34Eの連続的に連結されたダブルマイクロリング共振器のドロップポートの伝送スペクトルを表す光電流のスペクトルを示すグラフである。
図26】1つ以上の実施形態による、対応するピクセル素子としてそれぞれ機能する、機能する複数の偏光計を組み込む基板ベースの偏光撮像装置の例の概略図である。
図26A】1つ以上の実施形態による、図26の挿入図26Aを示す図26の偏光撮像装置の拡大図である。
図26B】1つ以上の実施形態による、図26の挿入図26Bを示す図26の偏光撮像装置の拡大図である。
図27】1つ以上の実施形態による、マルチモード干渉計および光スペクトル解析器を組み込む干渉測定回路を用いて示された分光偏光計の別の例の概略図である。
図28A】1つ以上の実施形態による、図27の光スペクトル解析器の例の概略的かつ部分的な図である。
図28B】1つ以上の実施形態による、図27の分光偏光計の解像度を示す波長に応じた強度を示すグラフである。
図29】1つ以上の実施形態による、分光偏光測定を実施する方法の例のフローチャートである。
図30A】1つ以上の実施形態による、スペクトル的に間を空けられた強度値を示す光スペクトルの例の図である。
図30B】1つ以上の実施形態による、図30Aの光スペクトルの時間ドメイン表現の例の図である。
図30C】1つ以上の実施形態による、種々の偏光成分と関連付けられた例示的な個々の光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本開示による偏光計100の第1の例を示す。図示のように、偏光計100は基板ベースである。言い換えれば偏光計100は、互いに光結合された種々の光学構成要素を基板102上に有する。例えば光学構成要素は、基板102上に永久に固定されること、統合されること、スタックされること、置かれること、またはそうでなければサポートされ得る。基板102は、フォトニック集積回路(PIC:photonic-integrated circuit)で一般に使用される材料などの様々な材料から形成され得る。このような材料の例は、リン化インジウム、ケイ素、窒化ケイ素、およびゲルマニウムを含むがこれらに限定されず、導波路は、電磁スペクトルの可視光領域から遠赤外線領域までの光を誘導する。より具体的には、光学構成要素は、この特定の実施形態では、偏光スプリッタ104、干渉測定回路106、検出器ユニット108、およびコントローラ110を含むことができるがこれらに限定されない。下記で説明されるように、偏光計100は未知の偏光状態[S ,S ,S ,S ]を有する入射光線10を受け取り、次に、入射光線10の所与の偏光状態[S,S,S,S]を判定するために入射光線10を処理する。
【0051】
図示のように、偏光計100は偏光スプリッタ104を基板102上に有する。偏光スプリッタ104は入射光線10を受け取り、入射光線10を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線12と第2の偏光成分を有する第2の光線14に偏光分離する。
【0052】
偏光計100は、偏光スプリッタ104に光結合された干渉測定回路106を有する。干渉測定回路106は、偏光スプリッタ104から第1の光線12と第2の光線14を受け取る。受け取ると干渉測定回路106は、干渉測定パターン112に従って第1の光線12と第2の光線14の干渉を実施し、これにより入射光線10の偏光状態[S,S,S,S]を十分に定義する4つの別個の偏光成分を生ずる。
【0053】
より具体的には、干渉測定回路106は、第1の光線12を第1の位相遅延導波路116aと第2の位相遅延導波路116bにパワー分離する第1のパワースプリッタ114a、および第2の光線14を第3の位相遅延導波路116cと第4の位相遅延導波路116dにパワー分離する第2のパワースプリッタ114bを有する。第1のパワースプリッタ114aおよび第2のパワースプリッタ114bは、この例では約50%の分離比を有することができる。干渉測定回路106は、第1の位相遅延導波路116aと第3の位相遅延導波路116cを互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ118a、および第2の位相遅延導波路116bと第4の位相遅延導波路116dを互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラ118bを有する。図示のように、第3の位相遅延導波路116cと第4の位相遅延導波路116dは、第1の位相遅延導波路116aと第2の位相遅延導波路116bに対して非対称である。位相遅延導波路のこれらの2つのペアの間で非対称であることにより、第3の偏光成分と第4の偏光成分は、第1の偏光成分と第2の偏光成分との2つの異なる線形結合であり、これにより入射光線10の偏光状態[S,S,S,S]を十分に定義する。
【0054】
したがって、偏光計100は、干渉測定回路106に光結合された出力導波路120を有し、これにより偏光成分を出力する。下記で論じられるように、偏光成分の強度は、干渉測定回路106の干渉測定パターン112を知っている状態で処理されたとき、入射光線の偏光状態10を示す性質をもつ。
【0055】
本具体例では、偏光計100は、第1、第2、第3、および第4の検出器ユニット122を基板102上に有する。検出器ユニット122のそれぞれが、出力導波路120によって出力された偏光成分の各成分を受け取り、偏光成分の強度を示す性質をもつ第1、第2、第3、および第4の信号の各信号を生成する。この例では検出器ユニット122が基板102上に示されているが、検出器ユニット122は基板102上にある必要はないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、検出器ユニット122は出力導波路120に光結合されるが、基板102上にはない。例えば、出力導波路120は、検出器ユニット122が光結合されたエッジカプラにつながっていてもよい。これらの実施形態では、出力導波路120は、基盤の共通エリアに向かって(例えばエッジカプラまたは他の任意のタイプの出力構成要素に向かって)基板に沿って延びていてもよい。それでも、他のいくつかの実施形態では、検出器ユニット122は基板102の共通エリアを共有しなくてもよい。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、検出器ユニット122は基板102から離れていることが可能である。
【0056】
さらに図1を参照すると、偏光計100は、検出器ユニット122に通信連結された基板ベースのコントローラ110を有する。コントローラ110は、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、第1、第2、第3、および第4の信号、ならびに干渉測定回路106の干渉測定パターン112に基づいて、入射光線10の偏光状態[S,S,S,S]を判定することができる命令を格納した非一時メモリとを有する。この例で概略的に示されたように、測定された強度に基づいて入射光線10の偏光状態[S,S,S,S]を判定する際に使用するために、干渉測定パターン112に関する情報124がコントローラ110のメモリに格納され得る。コントローラ110は基板102上にある必要はない。いくつかの実施形態では、コントローラ110は、いくつかの実施形態では基板102から離れている。
【0057】
入射光線の偏光状態を判定する方法200のフローチャートを示す図2への参照がここで行われる。
【0058】
ステップ202において、所与の偏光状態を有する入射光線が、基板ベースの偏光スプリッタで受け取られる。
【0059】
いくつかの実施形態では、偏光スプリッタは、2つ、4つ、またはそれより多いスプリッタ出力を有する表面格子の形で提供される。これらの実施形態では、入射光線は一般に、基板に対して斜めまたは垂直に衝突する。他のいくつかの実施形態では、偏光スプリッタは、エッジカプラおよび偏光スプリッタローテイタを備えるアセンブリの形で提供される。このような実施形態では、入射光線は、入射光線がエッジカプラに衝突するとき、基板の表面に実質的に平行である。偏光スプリッタローテイタは、種々の導波路構造を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、偏光スプリッタローテイタは入射光を受け取る入力導波路を有し、入射光は、基本的な準横電(TE)モード(fundamental quasi-transverse-electric mode)と基本的な準横磁(TM)モード(fundamental quasi-transverse-magnetic mode)に分解される。次に偏光スプリッタローテイタは、これらのモードを、複合偏光(hybrid-polarization)モードをサポートする非対称光カプラを通じて伝搬させる。非対称光カプラはTMモードを別の導波路に結合し、これをTEモードに同時にコンバートする。他のいくつかの実施形態では、TEモードとTMモードは、非対称光カプラの前にあるマルチモード複合偏光導波路を通じて伝搬される。マルチモード複合偏光導波路は、TMモードを2次準横電モード(TE)にコンバートし、その一方で非対称光カプラは、TEモードを別の導波路におけるTEモードに結合し、これにより入射光線を偏光分離する。例えば偏光依存性レスポンスを有するナノ粒子または誘電体構造を使用した他のタイプの偏光スプリッタが同様に使用され得る。
【0060】
ステップ204において、基板ベースの偏光スプリッタは、入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の偏光成分と第2の偏光成分は互いに直角であることが可能である。これらの実施形態では、第1の偏光成分は0°で偏光されること、すなわち水平線形偏光が可能であり、その一方で第2の偏光成分は90°で偏光されること、すなわち垂直線形偏光が可能である。同様に、第1の偏光成分は第1の電場成分Exから成ることが可能であり、その一方で第2の偏光成分は第1の電場成分Exに対して直角の第2の電場成分Eyから成ることが可能である。
【0062】
上述のように、偏光スプリッタは、入射光線から分離された第1の光線と第2の光線を出力するいくつかのスプリッタ出力を有することができる。いくつかの実施形態では、偏光スプリッタは4つのスプリッタ出力を有し、スプリッタ出力のうちの2つが第1の光線を出力し、スプリッタ出力のうちの他の2つが第2の光線を出力する。いくつかの実施形態では、偏光は、第1の光線と第2の光線の各光線をそれぞれ出力する2つのスプリッタ出力を有する。このような2方向または4方向の偏光スプリッタを有する偏光計の例が下記で説明される。
【0063】
ステップ206において、第1の光線と第2の光線は、基板上に延びる導波路を有する基板ベースの干渉測定回路の全体に伝搬される。
【0064】
4方向偏光スプリッタを有する実施形態では、第1の光線と第2の光線を伝搬させるスプリッタ出力のうちの2つは、それほど干渉することなく、各出力導波路に直接つなげることができる。これらの実施形態では、第1の偏光成分と第2の偏光成分は、第1の光線と第2の光線からそれぞれ成る。スプリッタ出力のうちの他の2つは干渉測定回路につながり、第1の光線と第2の光線が互いに干渉されて第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成する。2方向偏光スプリッタを有する実施形態では、第1の光線と第2の光線は2つ以上の干渉測定回路を使用して干渉され、入射光線の偏光状態を十分に定義する4つの異なる偏光成分を提供することができる。
【0065】
ステップ208において、第1の光線と第2の光線は干渉測定パターンに従って互いに干渉され、これは、第1の光線と第2の光線を互いに対して非対称に位相遅延させ、これによりさらなる偏光成分を形成することを含む。
【0066】
このステップでは、第1の光線と第2の光線が対称の干渉測定パターンに従って互いに干渉されたとすると、第3の偏光成分と第4の偏光成分は互いに等しくなるはずであり、これは入射光線の偏光状態を部分的にしか定義しないはずである。非対称の干渉測定パターンを組み込むことによって、ステップ208は、第3の偏光成分と第4の偏光成分が入射光線の偏光状態の異なる態様を有する方式で第1の光線と第2の光線とが互いに干渉されることを保証する。したがって、入射光線の偏光状態は、第1、第2、第3、および第4の偏光成分によって十分に判定され得る。
【0067】
ステップ210において、偏光成分の強度が測定される。測定された強度は、いくつかの実施形態では、対応する信号のピーク強度であることが可能であり、その一方で、測定された強度は、他のいくつかの実施形態では、対応する信号の曲線の下の面積であることが可能である。強度は、(対応する導波路出力と光結合され、対応する偏光成分の強度を測定する)フォトダイオード(PD)などのそれぞれの光検知器を使用して測定されることが可能である。これらの実施形態では、光検知器は、所与の単色スペクトル帯域内の強度を測定してもよい。したがって、入射光線の偏光状態は、ただ1つのスペクトル成分または帯域と関連付けられてよい。それでも、他のいくつかの実施形態では、検出器ユニットは、偏光成分のそれぞれについての複数のスペクトル成分における強度を測定する光スペクトル解析器を有することができる。これらの実施形態では、入射光線の偏光状態は、入射光線のスペクトル成分の各成分とそれぞれ関連付けられた複数の偏光状態を含むことができる。言い換えれば、検出器ユニットの構造に応じて、偏光計は、入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を判定する分光偏光計であることが可能である。
【0068】
ステップ212において、入射光線の偏光状態が、ステップ208の測定された強度と干渉測定パターンに基づいて判定される。
【0069】
上述のように、第1の光線は第1の電場成分を有することができ、その一方で第2の光線は、第1の電場成分に直角の第2の電場成分を有することができる。これらの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の偏光成分は、第1の電場成分と第2の電場成分との線形結合であることが可能である。これにより、干渉測定パターンはこれらの線形結合を示す性質をもつ。例えば、Sが入射光線の偏光状態(S、S、S、Sを示し、S、S、S、およびSがストークスパラメータ(すなわち任意の所与の偏光状態を数量化する典型的な方式)を表し、Iが、検出器ユニットを使用して測定された第1、第2、第3、および第4の偏光成分の強度(I、I、I、Iを示し、Wが、干渉測定パターンを表す行列を示すと仮定する。入射光線の偏光状態Sは、以下の等式に等しい等式を使用して判定され得る。
【0070】
S∝W・I (1)
【0071】
したがって、行列Wによって表される干渉測定回路の干渉測定パターンを知っている状態で、測定された強度(I、I、I、Iに基づいて入射光線の偏光状態を抽出することができる。行列Wの他の例が下記で説明される。
【0072】
入射光線の偏光状態を判定するために実施される計算は、コントローラによって実施されることが可能である。計算は、いくつかの実施形態では強度が測定されると同時に準リアルタイムに発生してよく、その一方で他のいくつかの実施形態では、測定された強度は、その後の計算のためにコントローラのメモリに格納されることが可能である。コントローラは、ハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組合せとして提供されることが可能である。ハードウェア構成要素はコンピューティングデバイス300の形で実装されることが可能であり、コンピューティングデバイス300の例が、図3を参照しながら説明される。
【0073】
図示のように、コンピューティングデバイス300は、プロセッサ302、メモリ304、およびI/Oインターフェース306を有することができる。入射光線の偏光状態を判定するための命令308はメモリ304に格納され、プロセッサ302によってアクセス可能であることが可能である。例えば、行列Wで表現される干渉測定パターンはメモリ304に格納され、プロセッサ302によってアクセス可能であることが可能である。
【0074】
プロセッサ302は、例えば、汎用マイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ、デジタル信号処理(DSP)プロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、再構成可能プロセッサ、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、またはこれらの任意の組合せが可能である。
【0075】
メモリ304は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CDROM)、電気光学メモリ、光磁気メモリ、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、および電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、強誘電体RAM(FRAM)など、内部または外部にあるコンピュータ可読メモリの任意のタイプの適切な組合せを含むことができる。干渉測定パターンはメモリ304に格納され、プロセッサ302によってアクセス可能であることが可能である。
【0076】
各I/Oインターフェース306は、コンピューティングデバイス300が、1つ以上の入力デバイス(1つ以上の光検出器、キーボード、マウス、ポインタなど)、または1つ以上の出力デバイス(ディスプレイ、リモートネットワークなど)と相互接続することを可能にする。
【0077】
各I/Oインターフェース306は、(インターネット、イーサネット、基本電話サービス(POTS)線、公衆交換電話網(PSTN)、サービス総合デジタル網(ISDN)、デジタル加入者線(DSL)、同軸ケーブル、光ファイバ、衛星、モバイル、ワイヤレス(例えばWi-Fi、WiMAX)、SS7シグナリングネットワーク、固定回線、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク等を含み、これらの任意の組合せを含む)データを搬送可能なネットワーク(または複数のネットワーク)に接続することによって、コントローラが他の構成要素と通信すること、他の構成要素とデータを交換すること、ネットワークリソースにアクセスし接続すること、アプリケーションをサーブすること、および、他のコンピューティングアプリケーションを実施することを可能にする。
【0078】
上記で説明されたコンピューティングデバイス300は、単なる例であることを意図している。当業者には明らかなように、コントローラの他の適切な実施形態も提供されることが可能である。
【0079】
図4は、基板にマウントされた偏光計400の第2の例の概略図である。図示のように、位相遅延導波路416a、416b、416c、および416dは、各位相遅延θ、θ、θ、およびθを有し、導波路出力420は、対応する検出器ユニットを使用して測定されることになる強度I、I、I、およびIにつながる。この例では、偏光計400は、CMOS互換のフォトニック製作プロセスを使用したシリコンフォトニック(SiP)4光検知器(PD)振幅分割偏光計(4PD-DOAP:four photodetectors(PDs) division-of-amplitude polarimeter)である。偏光計400のデザインは、光学構成要素の数を最小限にすることを目標にしている。
【0080】
図示のように、偏光計400は、基板402、基板402上の偏光スプリッタ404、および(基板402上に延び、第1、第2、第3、および第4の偏光成分を出力する)出力導波路420を有する。この例では、基板402は、標準的な厚さ220nmのシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハのためにデザインされる。
【0081】
偏光スプリッタ404は所与の偏光状態を有する入射光線10を受け取り、入射光線10を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線12と第2の偏光成分を有する第2の光線14に偏光分離する。
【0082】
この例では、偏光スプリッタ404は、4つのスプリッタ出力を有する4方向偏光スプリッタである。図示のように、スプリッタ出力のうちの2つは、第1の光線12と第2の光線14をそれほど干渉させずに、それぞれの出力導波路420に直接伝搬させる。スプリッタ出力のうちの他の2つは干渉測定回路406につながり、第1の光線12と第2の光線14を互いに干渉させて第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成する。
【0083】
干渉測定回路406は、第1の光線12を第1の位相遅延導波路416aと第2の位相遅延導波路416bにパワー分離する第1のパワースプリッタ414a、およびさらに、第2の光線14を第3の位相遅延導波路416cと第4の位相遅延導波路416dにパワー分離する第2のパワースプリッタ414bを有する。干渉測定回路406は、第1の位相遅延導波路416aと第3の位相遅延導波路416cを互いに偏光結合して第3の偏光成分を形成する第1の偏光カプラ418a、および、第2の位相遅延導波路416bと第4の位相遅延導波路416dを互いに偏光結合して第4の偏光成分を形成する第2の第1の偏光カプラ418bも有する。
【0084】
認識され得るように、偏光計400の構成要素は、本具体例では次のように互いに光結合される。偏光スプリッタは、第1の光線を出力する第1と第2のスプリッタ出力、および第2の光線を出力する第3と第4のスプリッタ出力を有する。この例では、第1と第3のスプリッタ出力は、それぞれの検出器ユニットにつながる対応する出力導波路に光結合される。第2のスプリッタ出力は第1のパワースプリッタにつながり、その一方で第4のスプリッタ出力は、対応する導波路を介して第2のパワースプリッタにつながる。上述のように、第1のパワースプリッタは第2のスプリッタ出力からの第1の光線を受け取り、第1と第2の位相遅延導波路を出力する。第2のパワースプリッタは第4のスプリッタ出力からの第2の光線を受け取り、第3と第4の位相遅延導波路を出力する。第1の偏光カプラは第1と第3の位相遅延導波路を受け取り、これにより第1の光線と第2の光線を互いに結合し、対応する出力導波路につなげる。同様に、第2の偏光カプラは第2と第4の位相遅延導波路を受け取り、これにより第1の光線と第2の光線を互いに非対称に結合し、対応する出力導波路につなげる。
【0085】
上述のように、第3の位相遅延導波路416cと第4の位相遅延導波路416dは、第1の位相遅延導波路416aと第2の位相遅延導波路416bに対して非対称である。より具体的には、この例では、第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路416a、416b、416c、および416dは、第1、第2、第3、および第4の位相遅延θ、θ、θ、およびθのうちの各位相遅延を有し、少なくとも第1の位相遅延θと第4の位相遅延θは互いに異なる。
【0086】
図示のように、出力導波路420は、偏光成分の強度が測定されることが可能な基板402の共通部分402aに向かって第1、第2、第3、および第4の偏光成分を出力する。この例で示されるように、第1の偏光成分の強度Iは第1の光線12の強度を示す性質をもち、第2の偏光成分の強度Iは第2の光線14の強度を示す性質をもち、強度Iは、第1の光線12と第2の光線14の線形結合から生じた第3の偏光成分の強度を示し、強度Iは、第1の光線12と第2の光線14との異なる線形結合から生じた第4の偏光成分の強度を示す。
【0087】
偏光計400は、最適な状態に保たれた偏光計の完全解析行列を生成することができる。具体的には、偏光計400は、高速同時測定のために入射光線をいくつかの光線に分離する振幅分割偏光計(DOAP:division-of-amplitude polarimeter)である。ストークスベクトルの完全再現は原則として4つの強度測定しか必要としないので、偏光計400の干渉測定回路406は、入射光線の完全偏光状態(SoP:state of polarization)を再現可能な4つの偏光成分を提供する方式で入射光線10を分離する。
【0088】
上述のように、SoPは典型的には、4×1ストークスベクトルによって特徴付けられる。したがって、SoPの完全再現は最低4つの別個の測定を必要とし、最低4つの別個の測定は、偏光計のミュラー行列(解析行列)によって判定された4つ以上の解析状態にストークスベクトルを投影することによって実現され得る。伝統的な自由空間光学システムでは、この動作は、回転する偏光子を介して、または固定偏光子を組み合わせたリターダを介して実現され得る。PICでは、これは、機械可動部品のない導波路干渉計を通じて実現され得る。例えば図5A図5Cは、自由空間ストークス偏光計で一般に使用されるいくつかの自由空間光学構成要素500’のPICの複製500を示す。SPSは、逆方向に誘導する2つの単一モード導波路に(理想的には等しいパワーで)それぞれが結合する、2つの直交E-フィールド成分(ExおよびEy)を分解することができる。図5Aに示したように、SPSは、従来の自由空間光学システムにおける偏光ビームスプリッタ(PBS:polarization beam splitter)と半波長板(HWP:half-wave plate)とを結合したものとして機能する。オンチップビーム結合器(すなわち3-dBのY-分岐)は、図5Bに示されているように、ExとEyを一致させて結合し(自由空間内では直交しているが、2つの導波路では同じモードに結合する)、45°の線形偏光子に等しい
【数3】
を出力する。図5Cは、異なる長さの2つの導波路によるリターダとして機能する2つの位相遅延導波路を示し、ExとEyの間の位相差を導入することができる。
【0089】
偏光計400は、PDによって検出可能な一連の強度にストークスベクトルを変換する。解析行列Wは変換を以下のように定義する。
【0090】
I=W・S+n (2)
【0091】
ここで、S=(S,S,S,Sは入力されたストークスベクトルであり、I=(I,I,…,Iは測定された強度を表すN次元ベクトルであり、単位行列と混同されるべきではない。PDのノイズ寄与はnである。推定されるストークスベクトル
【数4】
は、以下によって与えられる。
【0092】
【数5】
【0093】
ここで、Wは、合成行列としても知られるWの一般逆行列を示す。ここで、N=4のケースだけが考慮され、その結果W=W-1である。推定されるストークスベクトルの誤差は、以下によって取得されることが可能である。
【0094】
【数6】
【0095】
等式(4)は、推定誤差がノイズレベルおよび合成行列による影響を受けることを示す。ノイズnについて、共分散行列Γを用いて予想を行い、以下を取得することができる。
【0096】
【数7】
【0097】
加算性白色ガウスノイズ(AWGN:additive white Gaussian noise)の存在下で、また、各PDにおけるノイズがゼロ平均であり、分散
【数8】
で等しく分布されるとき、以下を有することができる。
【0098】
【数9】
【0099】
条件数κ=||W||・||W-1||は、偏光計の性能を評価するためにしばしば使用される性能指数であり、ここで||*||は、(この例の全体にわたってLノルムとして取られる)行列形式である。検出SNRは、条件数が最小限にされるとき最大化される。
【0100】
ショットノイズ(例えばポアソンノイズ)の存在下では、各PDにおける独立したノイズを仮定すると、ノイズ共分散行列は、i番目の検出信号電力に比例したi番目のエントリによる対角線である。行列Aのi,j要素を示すAijについて、これは以下を意味する。
【0101】
Γi,j∝(WS)i,j (7)
【0102】
したがって、ストークス推定の分散は、ポアソンノイズによって決まるSoPである。信号電力はPDの両端間で変化するので、ポアソンノイズは等しく分布しない(AWGNとは異なる)。最善の性能のために、偏光計400はノイズ分散を均一にするはずである。
【0103】
したがって行列Qは以下によって定義される。
【0104】
【数10】
【0105】
ここで、u=(Qi1,Qi2,Qi3であり、Pは偏光の度合いである。ポアソン分散はSによって決まるので、
【数11】
の各成分は、この成分と関連付けられたいくつかの最大分散
【数12】
および最小分散
【数13】
を有することになる。これらの極値Δγの間の平均変位は以下によって与えられる。
【0106】
【数14】
【0107】
すなわち、偏光計400はゼロ変位のノイズを均一にすることができ、最大ノイズ分散
【数15】
は各ストークスベクトル成分上の最小ノイズ分散
【数16】
に等しい。したがって光学的構造は、条件数κと分散差Δγを最小限にすることを求められる。
【0108】
したがって入射光は、4方向偏光スプリッタによって4つの導波路に分離される。4つの導波路(例えば、
【数17】

【数18】

【数19】

【数20】
)内を伝搬する光波は、入射光のSoPについての完全な情報を搬送する。光路のうちの2つは、2つの50:50パワースプリッタによって4つの経路に分離され、次に、これらは、一意のθ位相遅延導波路を別々に通過し、50:50偏光カプラを使用してクロスカップリングされる。
【0109】
第1の位相遅延導波路416aと第3の位相遅延導波路416cを通過する第1の光線12と第2の光線14は構造によって互いに干渉性であり、これらは強度Iをもたらすように結合する。第2の位相遅延導波路416bと第4の位相遅延導波路416dを通過する第1の光線12と第2の光線14も干渉性であり、Iをもたらす。偏光計400のこのセクションは、クロスコヒーレント解析器(crossing coherent analyzer)と呼ばれる。
【0110】
この例では、残りの導波路426は、どの構成要素も通過せず、強度IおよびIをそれぞれもたらす。4つの出力(強度IからI)の間で等しく非偏光を分散させるために、3-dB光減衰器がPDの前に追加される。上述のように、第1および第2の位相遅延導波路416aおよび416bと第3および第4の位相遅延導波路416cおよび416dとの間の非対称性は、位相遅延導波路の2つのペアの間の差である位相遅延によって提供される。例えば、いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路416a、416b、416c、および416dは、第1、第2、第3、および第4の位相遅延θ、θ、θ、およびθのうちの各位相遅延を有する。例えば、非対称性は、少なくとも第1の位相遅延θと第4の位相遅延θが互いに異なること(θ≠θ)を保証することによって取得され得る。
【0111】
偏光計400の解析行列Wは、したがって以下の通りである。
【0112】
【数21】
【0113】
図6は偏光計400の条件数κを示し、(θ-θ)と(θ-θ)の関数としてプロットされている。最小条件数κminは、以下のとき取得されることが可能である。
【0114】
(θ-θ+θ-θ)=(2m±0.365)π (11)
【0115】
ここで、mは任意の整数である。
【0116】
偏光計400は、Δγを最小限にすること、すなわち
【数22】
を最小限にすることによって、次に改善されることが可能である。等式(11)のθupに伴う
【数23】
の変形形態が図7に描写されている。m=0の場合、最小値
【数24】
は、(θ-θ)=0.1825πまたは0.3175πで観察される。このデザインのために、0.1825πになるように(θ-θ)が選択されている(図7の矢印参照)。偏光計400の実験的特性評価は以下の段落で論じられる。解析行列Wは以下の通りである。
【0117】
【数25】
【0118】
偏光計400は、シリコンおよび酸化被膜の厚さがそれぞれ220nmおよび2μmのSOIプラットフォーム上の電子ビームリソグラフィを用いるCMOS互換プロセスを使用して製作された。偏光計400の走査電子顕微鏡(SEM)像が図8Aに提示されている。ストリップ導波路のサイズは500nm×220nmである。偏光スプリッタは、(図8Aの挿入図に示されているような)695nmの間隔Λおよび440nmの孔径Dを有する(シリコンを通じて完全にエッチングされた)円筒孔の30×30アレイを使用して形成される。SPSの数値効率は図8Bに示されており、その3-dB帯域幅が35nmであること、および中心波長が1550nmであることを示す。
【0119】
偏光計400をテストするための実験装備が図9に示されている。線形偏光された光線は、波長可変レーザを使用して生成される。SoPは、偏光子(650~2000nm、Thorlabs)、HWP(1550nm、Thorlabs)、および4分の1波長板(QWP、1550nm、Thorlabs)によって制御される。偏光子の方向は、X軸に対して0°に固定される。HWPおよびQWPを回転させると、任意のSoPの生成を可能にすることができる。2つのステッピングモータの回転(K10CR1/M、Thorlabs)が、HWPとQWPの角度を制御するために別々に使用される。偏光計400の4つの出力導波路は、光ファイバを通じてオフチップ光検知器を使用して読み取られる。
【0120】
HWPとQWPの回転を通じて、一連のSoPがポアンカレ球体の表面にわたって広く拡散できるように、一連のSoPが生成され得る。偏光計400は、種々の入射光線の複数のSoPを測定するために使用された。測定結果および対応する入力SoPが図10に描写されている。入力SoPと測定SoPとの間に十分な一致が観察される。偏光計400はパッケージ化されていないので、実験装備の振動はほぼ0.8-dBの強度測定相対誤差を生じるはずであり、これは、SoP測定のほぼ0.114の二乗平均平方根(RMS)誤差をもたらすはずである。したがって、ストークスベクトルの再現のRMS誤差は非常に高く、この例では0.147に達する。RMS誤差は、チップ上の統合型PDをパッケージ化するか、使用した後、著しく低減され得る。
【0121】
偏光計400は、複数のスペクトル成分(例えば波長)に反応する。したがって、HWPおよびQWPの方向はX軸に対して20°および60°にそれぞれ固定され、1540nmから1565nmまで、入射光線のスペクトル成分の調整を可能にする。波長に応じた入力SoPは、図11の断続線で示されている。図11の誤差の棒を伴うドットは偏光計400の測定結果である。測定結果は、他の波長における対応する入力SoPによく一致することが観察され得る。
【0122】
図4を参照しながら説明された偏光計400の条件数は、
【数26】
であり、これは、フルストークス偏光計の理論上の最小値より高い。各ストークス要素推定のノイズ分散は、信号依存ポアソンショットノイズの存在下では、入射SoPの影響を受けやすい。
【0123】
図12は、基板にマウントされた偏光計1200の第3の例の概略図である。この例では、偏光計1200は、CMOS互換のフォトニック製作プロセスを使用したシリコンフォトニック(SiP)4光検知器(PD)振幅分割偏光計(4PD-DOAP)の別の例である。偏光計1200のデザインのデザインは、測定に最適なフレームを実現するために、わずかにより複雑な回路デザインを使用し、この測定フレームは、加算性白色ガウスノイズと信号依存ショットノイズの両方の存在下で、推定分散を最小限かつ均一にする。ストークス偏光計に最適な測定フレーム内で、4つのPDを有するDOAPが、より多くのPDを有するDOAPに比べて、最低限の等しく重みをつけられた分散を有することを、さらなる理論的検討が明らかにしている。我々が知る限りでは、これは、チップスケールの十分な証明であり、最適な測定フレームを有するソリッドステートフルストークス偏光計が、各ストークスチャネル上の最低限かつ均一なノイズ分散をもたらす。
【0124】
図示のように、偏光計1200は、基板1202、基板1202上の偏光スプリッタ1204、ならびに、(基板1202上に延び、第1、第2、第3、および第4の偏光成分を出力する)出力導波路1220を有する。基板1202は、標準的な厚さ220nmのシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハのためにデザインされる。
【0125】
偏光スプリッタ1204は所与の偏光状態を有する入射光線10を受け取り、入射光線10を少なくとも第1の光線12と第2の光線14に偏光分離する。
【0126】
この例では、偏光スプリッタ1204は、2つのスプリッタ出力を有する2方向偏光スプリッタである。図示のように、スプリッタ出力の第1の出力は、第1の光線12を第1の非対称スプリッタ1228aに向かって伝搬させ、その一方でスプリッタ出力の第2の出力は、第2の光線14を第2の非対称スプリッタ1228bに向かって伝搬させる。第1の非対称スプリッタ1128aと第2の非対称スプリッタ1228bのうちの1つの分岐が第1の干渉測定回路1206aにつながるので、その他の分岐は第2の干渉測定回路1206bにつながる。図示のように、第1の非対称スプリッタ1128aと第2の非対称スプリッタ1228bは、結合係数PRで第2の干渉測定回路1206bに向かって結合し、PR’=1-PRの相補結合係数で第1の干渉測定回路1206aに向かって結合する。
【0127】
第1の干渉測定回路1206aと第2の干渉測定回路1206bのそれぞれは、図4に示された偏光計400の干渉測定回路406と同様の構造を有する。図12を再び参照すると、第1の非対称パワースプリッタ1228aは、第1の光線12を、第1の干渉測定回路の第1のパワースプリッタおよび第2の干渉測定回路の第1のパワースプリッタに向かってパワー分離する。同様に、第2の非対称パワースプリッタ1228bは、第2の光線14を、第1の干渉測定回路の第2のパワースプリッタおよび第2の干渉測定回路の第2のパワースプリッタに向かってパワー分離する。
【0128】
認識され得るように、偏光計1200の構成要素は、本具体例では次のように互いに光結合される。偏光スプリッタは、第1と第2の光線を出力する第1と第2のスプリッタ出力をそれぞれ有する。第1および第2の光線は第1および第2の非対称パワースプリッタを介して、第1および第2の干渉測定回路のそれぞれの干渉測定回路に向かって非対称に両方分離される。したがって第1の光線は第1の干渉測定回路の第1のパワースプリッタに向かって、また第2の干渉測定回路の第1のパワースプリッタに向かって伝搬される。同様に第2の光線は第1の干渉測定回路の第2のパワースプリッタに向かって、また第2の干渉測定回路の第2のパワースプリッタに向かって伝搬される。したがって第1の干渉測定回路の第1の偏光カプラは第1の偏光成分につながり、第1の干渉測定回路の第2の偏光カプラは第2の偏光成分につながり、第2の干渉測定回路の第1の偏光カプラは第3の偏光成分につながり、第2の干渉測定回路の第2の偏光カプラは第4の偏光成分につながる。
【0129】
図示のように、第1の干渉測定回路1206aの第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路1216a、1216b、1216c、および1216dは、第1、第2、第3、および第4の位相遅延θ’、θ’、θ’、およびθ’のそれぞれの位相遅延を有し、その一方で第2の干渉測定回路1206bの第1、第2、第3、および第4の位相遅延導波路1216a、1216b、1216c、および1216dは、前記第4、第3、第2、および第1の位相遅延θ’、θ’、θ’、およびθ’のそれぞれの位相遅延を有し、少なくとも前記第1の位相遅延θ’と第4の位相遅延θ’は互いに異なる。
【0130】
したがって偏光計1200は、2つの干渉測定回路1206aおよび1206bを有し、それぞれが、それぞれのクロスコヒーレント解析器および2つの非対称パワースプリッタ(APS)1228aおよび1228bを有する。APS1228aおよび1228bは、偏光スプリッタ1204と干渉測定回路1206aおよび1206bとの間にある。図13は、非対称パワースプリッタの例を示す。APSの弱い方の出力電力比および比較的長い方の出力電力比の値が、PRおよび(1-PR)でそれぞれ示されている。この例では、APSの分離領域の長さ(L)および幅(2w)は、2.32μmおよび1.4μmにそれぞれ等しい。APSの非対称を制御することによって、出力電力比PRが制御され得る。その上、2-ポートSPSが、4-ポートSPSを置き替えるためにデザインされている。2-ポートSPSの効率を向上させるために、2つの分布ブラッグ反射(DBR:distributed Bragg reflection)回折格子がSPSの2つの非稼働ポートに追加されている。DBR回折格子は、光を反射して所望の導波路に戻すことができる。
【0131】
この例では、偏光計1200は、入射光線の偏光状態Sが等式S=W・Iを使用して判定可能な合成行列Wで表された干渉測定パターンを有し、ここで、Sは入射光線の前記偏光状態(S、S、S、Sを示すベクトルであり、Iは偏光成分の強度(I’、I’、I’、I’)を示すベクトルである。合成行列Wは、以下の行列に等しい行列によって与えられる。
【0132】
【数27】
【0133】
ここで、τはPR/(1-PR)によって表された結合係数の比を示す。
【数28】
およびΔγ=0の性質を有する(任意の行の順列内に)2つの解析行列しかない。2つの解析行列WおよびW’は以下の公式を有する。
【0134】
【数29】
【0135】
【数30】
【0136】
ここで、Aは正の値(0<A≦1/2)であり、ここでA=1/4である。等式(13)を等式(14)および(15)と比較すると、
【数31】
のとき、偏光計の条件数が光学性能を達成する可能性を有するはずであることを得ることができる。
【数32】
のとき、(θ’-θ’)および(θ’-θ’)の関数としての条件数が図14に提示されており、図14は、(θ’-θ’)=2nπ±π/4かつ(θ’-θ’)=2nπ±3π/4(ここでnは整数)のとき、光学的条件数(
【数33】
)が取得され得ることを示す。解析Wは、(θ’-θ’)=3π/4かつ(θ’-θ’)=π/4のときに達成され得る。
【0137】
(θ’-θ’)=3π/4、(θ’-θ’)=π/4、および
【数34】
の構造は、製作され、実験的に示されるように選ばれた。この例では、偏光計1200は350×460μmのフットプリントを有する。DBRは、いくつかの実施形態では、シリコンと二酸化ケイ素の8つの互層(alternating layer)から成ることが可能である。シリコン層の幅、および格子間隔は、それぞれ160nmおよび360nmである。偏光計1200は一連のSoPを測定するために使用され、対応する結果が図15に描写されている。測定結果は入力SoPとよく一致する。測定結果のRMS誤差はほぼ0.081であり、これは、実験装備の振動によって引き起こされた同じ0.8-dBの強度測定相対誤差の下での偏光計1200のRMS誤差より44%低い。
【0138】
偏光計1200は、入力ストークスベクトルを測定の強度ベクトルに投影するプロジェクタとみなすことができる。簡略化のために、
【数35】
になるように解析行列Wを正規化し、ここでiは行列のi番目の行を意味する。したがって、換算されたベクトルwi1=(wi2,wi3,wi4)のエンドポイントはポアンカレ球体の表面上にある。測定フレーム(すなわちベクトル{w}のセット)は、換算されたベクトルwのエンドポイントによって頂点が定義される多面体によって記述され得る。プラトン多面体が最小条件数を達成できることが示されてきた。測定フレームが非正4面体(irregular tetrahedron)の偏光計1200は最小条件数を有していない。正4面体は、ポアソンノイズの存在下で、2つの特定の方向を除いて、ノイズ分散の均一化を実現できないと証明されてきたN=4の球体の2-デザインである。それでも、この限界は、最も単純な球体の3-デザインである正8面体によって破られることが可能である。正8面体は、別の方向に回転されたとき、依然としてこのような性質のままであるという1つの例である。
【0139】
いくつかの多面体は最低限かつ均一なポアソンノイズ分散を実現することができるが、異なる加算性ガウスノイズを受ける恐れがある。ここで、(等しく重みをつけられた分散(EWV)と呼ばれる)4つのストークスチャネルの全分散に対する検出数Nのインパクトを検査する。プラトン多面体のケースを考察する。各PDによって受け取られた光電力はS/Nに比例する(すなわちDOAP、および、「光子不足(photon-starved)」のシナリオで使用される時分割偏光計(DOTP:division of time polarimeter))。これらのケースでは、解析行列Wは以下の性質を有する。
【0140】
【数36】
【0141】
および
【0142】
【数37】
【0143】
ここで、WはWの転置である。AWGNについて、EWVaddが以下によって与えられる。
【0144】
【数38】
【0145】
ここで、
【数39】
は加算性ノイズの分散であり、Tr()は、*の主対角線(左上から右下への対角線)上の要素の合計を意味する。等式(15)および(16)に基づいて、以下を得ることができる。
【0146】
【数40】
【0147】
ポアソンノイズについて、EWVPoiは以下の式を有する。
【0148】
EWVPoi=W11・S・Tr[(WW)-1] (20)
【0149】
等式(16)、(17)、および(20)に基づいて、以下を得ることができる。
【0150】
EWVPoi=10S (21)
【0151】
等式(19)から、加算性ノイズの存在下では、EWVaddはNを増加させることがわかる。したがって、2つの特定の方向の正4面体が最善のアーキテクチャである。その一方で等式(20)は、EWVPoiがPDの数に無関係であることを示す。全般的に4PD-DOAPが信号処理において比較的低コストであるだけでなく、SoPの再現時のノイズによる影響をあまり受けない。結論は、パワー分離が必要でなく、SoPが比較的低スピードで検出されるDOTPの逆になり得ることに留意されたい。このケースでは、人々は通常、ノイズを抑制するために、より多くの測定を行う。
【0152】
上記の段落は、ガウスノイズとポアソンノイズ両方の存在下で光学フレームを有するチップスケールのソリッドステートフルストークス偏光計の実証を論じている。2つの超小型フルストークス偏光計400および1200は、最小数の検出器ユニットおよびCMOS互換製造プロセスを有する。これらの偏光計のデザインは、条件数と推定される分散の両方を考慮して最適化された。最小条件数(
【数41】
)およびポアソンショットノイズ均一化(Δγ=0)を伴う光学的4PD-DOAP解析行列(WおよびWb’)の偏光計アーキテクチャはPICにおいて実現されてきた。みごとな一致が、偏光計400および1200と卓上の市販計器とを使用した測定結果の間で示されてきた。ストークス偏光計の光学フレーム内で、パワー分割を通じて4つを超えて検出数を増加させることは、加算性ガウスノイズを高くする一方で、ポアソンショットノイズは影響を受けないことが示された。したがって、4PD-DOAPは、論理的に光学的なDOAPデザインを提供する。偏光計400および1200は、窒化ケイ素、ならびに可視および中赤外線の範囲のためのゲルマニウムなどの、他の材料プラットフォームに拡張されることがさらに可能である。さらに、これらの小型の偏光計400および1200は、包括的な光学ベクトル解析がさらに広い用途のために単一のチップ上で実現され得るように、分光計などの他のシリコンフォトニックデバイスと容易に統合されることが可能である。
【0153】
上述のように、偏光スプリッタは、エッジカプラおよび偏光スプリッタローテイタを備えるアセンブリの形で提供されることが可能である。図16は、このような偏光スプリッタを備える偏光計1600の第3の例の上面図を示している。図示のように、偏光計1600は、上面および少なくとも外側面またはエッジを有する基板を有する。上記で説明されたものなどの干渉測定回路も基板上にある。
【0154】
図示のように、偏光スプリッタは、基板の外側面またはエッジ上に配置されたエッジカプラを有する。このようにして、基板の上面に平行に入射する光線は、エッジカプラを介して偏光計1600の導波路内に注入されることになる。入射光線の偏光を分離するために、偏光スプリッタは、入射光線を第1の光線と第2の光線に偏光分離する偏光スプリッタローテイタを有する。いくつかの実施形態では、偏光スプリッタローテイタは、入射光線の2つの直交線形偏光成分(すなわちTEおよびTMモード)を、干渉測定回路の第1のパワースプリッタと第2のパワースプリッタにそれぞれ向けられた2つの導波路に分離する。入射光線のTMモードは、これによりTEモードに回転される。
【0155】
偏光計は、第1、第2、第3、および第4の偏光成分を受け取るために干渉測定回路に光結合されたフォトダイオードなどの、間を空けられた光検知器の形で提供された検出ユニットを有する。図示のように、フォトダイオードは、偏光成分を受け取り、センサに電気的に結合された導電性パッドでピックアップされ得る対応する信号を生成するセンサを有する。本実施形態では、検出器ユニットは、有線接続を介してコントローラに通信結合されることが可能である。他のいくつかの実施形態では、信号はワイヤレスでも通信されることが可能である。
【0156】
いくつかの実施形態では、偏光成分が十分に伝搬可能なスペクトル帯域を増加させることが好ましくなり得る。図17は偏光計1700の第4の例を示している。偏光計1200と同様であるが、偏光計1700の位相遅延導波路は波長に無関係である。第1および第2の非対称パワースプリッタについて、弱い方の経路と比較的強い方の経路の出力電力比が、PRおよび(1-PR)によってそれぞれ示されている。2つの経路における位相偏移はそれぞれφおよびφである。クロスコヒーレント解析器は、サブ波長回折格子(SWG)の形で提供された位相遅延導波路から成り、この例が図18に示されている。図19は、所与のスペクトル帯域にわたる図18の2つのSWGの間の位相差を示す。4つのSWG導波路の位相偏移は、θ、θ、θ、およびθとそれぞれ表される。
【0157】
上述のように、(θ-θ)-(φ-φ)=2nπ±π/4かつ(θ-θ)+(φ-φ)=2nπ±3π/4、または、(θ-θ)-(φ-φ)=2nπ±3π/4かつ(θ-θ)+(φ-φ)=2nπ±π/4(ここでnは整数)のとき、ガウスノイズおよびポアソンショットノイズの存在下で最適な偏光計を得ることができる。ここで、(θ-θ)-(φ-φ)=π/4および(θ-θ)+(φ-φ)=3π/4のパラメータは、ブロードバンドの最適な偏光計をデザインするための例として選択される。最適な偏光計は、本具体例では
【数42】
も必要とする。
【0158】
図20は、波長に応じた非対称パワースプリッタのPR/(1-PR)および(φ-φ)を示す。PR/(1-PR)の変動は、1.45μmから1.65μmまでの波長範囲にわたって0.05未満である。(φ-φ)の平均および変動は、それぞれ12.81°および8.28°である。(φ-φ)を補償するために、(θ-θ)の平均および変動はそれぞれ57.81°および8.28°のはずである。W=1.5μm、W=1.3μm、LT1=LT3=5.4μm、およびNp1=Np3=11の非対称SWG PSが、このような位相偏移を実現するために選択された。図21に示されているように、(θ-θ)-(φ-φ)の変動は補償後4°まで減少する。同様に、(θ-θ)の平均および変動は、それぞれ122.19°および-8.28°のはずである。-8.28°の変動を達成するために、図17に示されているように、2つのSWG PSを共にカスケードした。2つのSWG PSの構造パラメータは、W21=1.3μm、W41=1.5μm、LT21=LT41=3μm、Np21=Np41=108、およびW22=1.5μm、W42=1.3μm、LT22=LT42=6.8μm、Np22=Np42=0であった。波長に応じた(θ-θ)+(φ-φ)が図21に提示されている。
【0159】
図22は、別の実施形態による、偏光計2200の第5の例を示す。図示のように、偏光計2200は、第1、第2、第3、および第4の偏光成分の各成分をそれぞれ搬送する出力導波路につながる偏光スプリッタおよび干渉測定回路を有する。認識され得るように、本実施形態の偏光スプリッタおよび干渉測定回路は、図4の偏光計400を参照しながら説明されたものと同様である。
【0160】
説明されるように、偏光計2200は、入射光線のスペクトル的に変動する偏光状態を判定するのに適している。より具体的には、検出器ユニットのそれぞれは、対応する偏光成分の複数のスペクトル成分における強度を測定することができる光スペクトル解析器を有する。各光スペクトル解析器は、選択されたスペクトル成分における強度を測定する対応するフォトダイオードに向かって所与のスペクトル成分を向けるように調整可能な調整可能フィルタを有する。所与のスペクトル帯域にわたって調整可能フィルタを通過することによって、複数のスペクトル成分における強度測定は連続的に測定され得る。光スペクトル解析器の構造は、実施形態によって異なる可能性がある。それでも、この特定の実施形態では、各光スペクトル解析器または分光計は、入射偏光成分から所与のスペクトル成分をピックアップするためのフィルタとして機能することができるマイクロリング共振器の形で提供される。図示のように、各マイクロリング共振器は、加熱要素を使用してマイクロリング共振器の温度を加減することによって調整され得る。マイクロリングを縮小または拡大することによって、結合状態が変化することになり、これにより調整可能フィルタとして機能する。4つの出力スペクトルI(λ)からI(λ)は、上述のように線形行列操作を通じて波長依存ストークスパラメータを再現するために最後に使用される。
【0161】
偏光計2200は、これにより、スペクトルドメインと偏光ドメイン両方における物質と光の相互作用を測定するために、ブロードバンドソースまたは光周波数コムと組み合わせて使用されることが可能な分光偏光計の例である。図示のように、光スペクトル解析器は干渉測定回路から偏光成分を受け取り、複数のスペクトル的に間を空けられたチャネルに向かって偏光成分の方向を変える。スペクトル的に間を空けられたチャネルのそれぞれは、所与のスペクトル成分または波長を有する。図示のように、この例では、光スペクトル解析器は、スペクトル的に間を空けられたチャネルの方向を複数の光検出器(例えばフォトダイオード)に変えるマイクロリング共振器を有する。したがって、光検出器はマイクロリング共振器のドロップポートに少なくとも光結合され、複数のスペクトル的に間を空けられたチャネルから対応する強度値を測定する。コントローラは、この例では基板から離れており、測定された強度値および干渉測定回路の干渉測定パターンに基づいて入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を判定するように構成されることが可能である。
【0162】
いくつかの実施形態では、偏光計2200は、2μmの埋設酸化被膜および3μmの酸化物クラッド法を用いて標準的な厚さ220nmのシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハに基づいてデザインされ得る。偏光スプリッタは、任意の偏光状態を2つの直交線形偏光成分(EおよびE)に投影し、直交線形偏光成分(EおよびE)を異なる導波路に結合するために使用される、表面偏光スプリッタ(SPS:surface polarization splitter)の形で提供され得る。次に干渉測定回路は、2つの直交E-フィールド成分を4つの偏光成分にコンバートする。各偏光成分のスペクトルは、熱的に調整可能なシリコンデュアルマイクロリング共振器およびGe-PDから成る光スペクトル解析器を使用して測定される。4つのスペクトル測定は、これにより、入力光のストークススペクトルが行列操作を介して最後に抽出され得る波長依存偏光の完全な情報をキャプチャする。図22に描写されているように、黒い矢印は光の伝搬方向を指す。
【0163】
SPSは、この例ではSi基板上のサブ波長円筒孔の2Dアレイから成るナノアンテナ構造を使用する。ナノアンテナは、光ファイバまたは自由空間からの光の両方の直交線形偏光成分が平面導波路の基本的なTEモードに結合されるようにデザインされる。同時に、SPSは、図22に示されているような逆の方向の2つのスプリッタ出力に各直交成分を等しく分解する。
【0164】
干渉測定回路は、3-dBブロードバンド指向性カプラ(BDC)、3-dBパワー分離/組合せのための3つのY字路、および少量の遅延線から成る。SPSの出力を利用して、PAは、入射光のストークスベクトルを、干渉動作を通じた4つの強度チャネル(
【数43】
および
【数44】
それぞれの直接検出からのIおよびI
【数45】

【数46】
との間の干渉からのI
【数47】

【数48】
との間の干渉からのI)に投影する。ここで、入射偏光は、波長(λ)依存ストークスベクトル(S(λ)=(S(λ)、S(λ)、S(λ)、S(λ)))で示され、ここで(Y)は行列(Y)の転置を意味する。波長依存強度ベクトル(I(λ)=(I(λ)、I(λ)、I(λ)、I(λ)))を定義すると、I(λ)とS(λ)との間の関係は以下によって示され得る。
S(λ)∝M(λ)I(λ) (22)
ここでM(λ)はPAの合成行列である。提案された分光偏光計デザインで使用されるBDCは、100nmを超える広い帯域幅を有する。したがって合成行列M(λ)は実質的に、この例で考慮されるスペクトル範囲で影響を受けない波長である可能性があり、以下の式で書かれることが可能である。
【0165】
【数49】
【0166】
PA回路に続いて、4つのシリコンデュアルマイクロリング共振分光計(Si-DMRS)が、強度チャネルのスペクトルを測定するために使用される。各Si-DMRSは、SDMRおよびGe-PDから成る。SDMR内のMRは、わずかに異なるFSRを有する。バーニア効果により、カスケード型アーキテクチャは、ウエハ規模の製作にとって挑戦的な超小型MRを使用しなくても、大きく拡張されたFSRを実現することができる。SDMRの拡張されたFSRは、以下によって与えられる。
【0167】
【数50】
【0168】
ここで、FSR1(2)、D1(2)、およびng1(2)は、それぞれ単一のMRのFSR、直径、および群指数であり、下付き文字1(2)は第1(第2)のMRを示す。2つのリングの直径が非常に近いとき、ng1≒ng2であることに留意されたい。等式6.3によれば、SDMRの拡張されたFSRは、直径の差を減少させることによって増加させることができる。各MRの温度を個別に変化させるために、各MRの最上部で金属ヒータが使用される。MRに加えられる火力(HP)を調整して、各強度チャネルの波長I(λ)は連続的にスイープされ、その後、Ge-PDによって検出され得る。この例で示されているように、製作されたシリコンフォトニックチップは、プリント回路基板(PCB)の中心に位置する。製作されたシリコンフォトニックチップのフットプリントは、約1×0.6mm以下のフットプリントであることが可能である。いくつかの実施形態では、チップは16個の電気I/Oポートを含む。
【0169】
フルストークス分光計を用いた実験の前に、同じチップ上のGe-PDと統合された単一のSi-DMRSが最初に特徴付けられた。本具体例では、2つのMRの直径は、それぞれ、大きい方のマイクロリングについて26μm、および、小さい方のマイクロリングについて22μmが可能である。ドープされたGeまたはGe金属接点のないGe-PDデザインが偏光計2200に採用された。ゲルマニウム格子はこの例ではドーパントまたは金属接点に擾乱されないので、背景損失、帯域幅、および暗電流におけるより良い性能を可能にすることができる。Ge-PDは、1550nm波長において、-4V反転バイアスにおいて、1.12A/Wの応答、および約15nAの暗電流を有するように測定された。
【0170】
図23は、大きい方のマイクロリング(赤いドット)および小さい方のマイクロリング(青い正方形)のヒータ上の共振波長と火力との間の関係を示す。大きい方と小さい方のマイクロリングに適用されたHPに応じた中心波長は、波長可変レーザを使用して各チャネルに対して校正された。校正結果が図23に示されている。調整効率は、大きい方および小さい方のマイクロリングに対してそれぞれ約10mW/nmおよび約11mW/nmである。バーニア効果により、大きい方および小さい方のマイクロリングに対して拡張されたFSR全体をカバーするのに必要な最大HPは、それぞれ約70mWおよび約100mWだけである。偏光計2200の安定性を検証するために、いくつかの測定が、同じHP校正を使用して1週間以内に実施された。測定結果は6日間にわたってみごとな一致を示し、偏光計2200の非常に安定した動作を示している。
【0171】
図24および図25に示されているように、製作されたSDMRのドロップポートの伝送スペクトルは、ほぼ1561nmの共振波長を有することができる。図24で最もよくわかるように、20-dBの線幅が、この例ではほぼ0.9nmになり得る。信号対雑音比(SNR)を増加させるために、バイモーダルフィルタ形状が、フィルタのエッジでロールオフがシャープになるようにデザインされた。図25に示されているものなどの、50nmの拡張されたFSRが測定される。
【0172】
実例の実験では、偏光計2200は、キラル物質(すなわちコレステリック液晶(CLC)スラブ)の偏光を特徴付けるために使用された。キラル物質は、機械的なねじれ力を有するキラル分子から成り、機械的なねじれ力は、巨視的ならせん状の自己組織化(macroscopic helicoidal self-organization)を課す。結果として、長分子軸の局所平均方向はレイヤからレイヤへと周期的に回転しており、自然分子らせん(すなわち「構造的キラリティ(structural chirality)」)を形成する。分子混合パラメータを正しく選ぶことにより、CLCスラブは、左(または右)円偏光だけが通過できる所望のスペクトル範囲でスペクトル共振フィルタ(例えばロッキングフィルタ)のように機能する。最も複雑な挙動は、偏光の影響を受けやすい反射、および(強いばらつきを伴う)強い偏光回転が存在する共振波長範囲のエッジで発生する。提案された分光偏光計の効力を示すために、1550nmに近い共振範囲のエッジを有するCLCサンプルが製作された。
【0173】
前のセクションで説明された同じ手順に従って4つのSi-DMRS全てが校正された。PAの波長依存合成行列M(λ)も、4つの既知の独立した偏光状態を使用して校正された。結果は、線形偏光入力(S=1)を伴うCLCサンプル後のストークススペクトルを示す。偏光計2200と市販の卓上計器との間の測定結果にみごとな一致が観察される。製作されたCLC材料の共振範囲は1.52μm未満であることがわかった。共振範囲では、左円偏光だけがCLCを通過することができ、Sは-1に向かって展開し、その一方でSとSは、波長が減少するにつれてゼロに近づく。一方で、非共振範囲(1.58μmを上回る)では、CLC材料は入力偏光状態を変化させない。したがってSは、波長を0から1に向かって徐々に増加させることがわかった一方で、Sは、非共振範囲内で-1から0まで増加する。
【0174】
コンパクトであるにも関わらず、偏光計2200は、ストークススペクトルの高い解像度(1nm)および広範な帯域幅(50nm)により高性能のままであるが、偏光計2200はその限界にまだ達していない。例えば、等式24によれば、大きい方のマイクロリングの直径を24μmまで増加させることによって100nmの帯域幅が取得され得る。これに加えて、偏光計2200のスペクトル解像度は、重大な損失を持ち込むことなく、2つのマイクロリングの間のクロスカップリング係数を減少させることによって、もう1桁だけ(0.1nmまで)さらに証明され得る。
【0175】
Si-DMRSの使用により、エネルギー消費量は著しく低減される。偏光計2200は、ストークススペクトルの1つの測定を完了させるためにほぼ3.6Jのエネルギーを浪費することがわかった。従来の機器に比べて、この値は数桁の改善に相当し得る。その上、偏光計2200のエネルギー消費量は、MRの近くに熱の分離溝を追加すること(>10倍)、および、HPの通過周波数を増加させること(>100倍)によって、著しく改善され得る。実験装備の限界により、通過周波数は5Hzだけである。マイクロリングの熱反応時間が4μs未満である間、通過周波数250kHzが考えられることを示す。(現在の実験における50に対する)多くのスペクトル通過ステップ1,000に対するより高い通過周波数5kHzを仮定すると、偏光計2200の総エネルギー消費量は、約72mJだけであると推定される。このケースでは、ストークススペクトルの1つの測定が0.2s内で達成され得る。
【0176】
シリコンフォトニックチップ上に偏光計2200などの統合型偏光計を実現することは、高速で手頃なフルストークス分光法への道を開く。デバイスのコストとサイズを減少させるために、従来のソリューションは、分光成分の数の低減、および必然的に、測定スピードとストークススペクトル解像度の妥協を伴う。対照的に、この例での偏光計2200は、フットプリントおよびコストをほとんど増加させずに、Si-DMRS全てが単一のチップ上に統合され得るので、高速と高解像度の同時実現を可能にする。偏光計2200は、確立された大型ウエハ製造設備を使用した大量生産へのより簡単な経路を示す、業界標準のシリコン光子鋳造プロセスを使用して製作される。動作周波数範囲は、同じアーキテクチャ以外の他のCMOS互換材料(例えばSiNおよびGe)を使用することによって可視領域および中赤外線領域に容易に拡張され得る。スケールの節約およびシリコンPIC統合の長所を活用して、偏光計2200は、モノのインターネット、製剤分析、天文学などの分野での利用にとって巨大な可能性を有する。
【0177】
デバイスは、シンガポールのIME(現在はAMF Pte Ltd)における193nm深UVリソグラフィを用いる市販のCMOS互換SOIプロセスを使用して製作された。デバイスはその後、実験室でパッケージ化された。電気接続は、Westbondの7400A Wire Bonderを使用して実現された。プラスチックカバーシェルは、3Dプリンタ(Ultimaker S5)を使用して製作された。
【0178】
サンプル製作。使用されるCLC材料は、市販のNematic Liquid Crystal(NLC)20608(Qingdao Chemicals)とキラル分子CB15(Merck)との混合である。これらの比率(75:25wt%比)は、近IR領域内の選択的反射帯域を有するCLCが取得され得るように調節された。CLC混合は透明点(等方相転移)を超えて熱せられ、毛細管法によって厚さ9.6μmのLCセルに充填され、その後、室温までゆっくり冷やされた。セルは、基板表面に平行にCLC分子を整列させた配向層でコートされた2つのインジウムスズ酸化物/ITO/コートされた透明ガラス基板から成る。
【0179】
本文に記述されたHPの校正は、光電力約3dBmの波長可変レーザソース(Agilent 81600B)を使用して実施された。Ge-PDからの光電流はKeithley2612Bソースメータで読み取られた。ヒータのHPは、Keysight E3631A電源を使用して駆動された。高出力広帯域のErbium ASEソース(INO)からの光は、Si-DMRSを特徴付けるために使用された。市販の光スペクトル解析器(OSA:optical spectrum analyzer、Yokogawa AQ6370D)は、その光のスペクトルを測定するために使用された。提案された分光偏光計の合成行列は、偏光子(650-2000nm、Thorlabs)、HWP(1550nm、Thorlabs)、および4分の1波長板(QWP、1550nm、Thorlabs)によって校正された。2つのステッピングモータローテイタ(K10CR1/M、Thorlabs)は、HWPおよびQWPの角度を別々に制御するために使用された。
【0180】
図26は、実施形態による、偏光撮像装置2600の例を示している。図示のように、偏光撮像装置は、基板、対応する間を空けられた入射光線を受け取るために基板上で互いに間を空けられた複数の偏光スプリッタを有する。偏光スプリッタは、入射光線のそれぞれを、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する。偏光撮像装置は、偏光スプリッタの1つ以上に光結合された干渉測定回路を有する。干渉測定回路は、他の偏光計の例を用いて上記で論じられたものなど、少なくとも第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するために第1の光線と第2の光線との間で干渉させる。より具体的には、この例では、偏光撮像装置は入射光線の偏光成分を出力する出力導波路を有し、前記偏光成分の強度および干渉測定回路の干渉測定パターンは前記入射光線の偏光状態を示す性質をもつ。偏光成分は間を空けられた入射光線のそれぞれの偏光状態を十分に定義するので、偏光イメージは偏光成分の強度に基づいて生成され得る。
【0181】
本具体例では、偏光撮像装置は、入射光線を受け取るための基板上のアレイに配置されたいくつかの偏光計を有する。いくつかの実施形態では、偏光計は、上記で説明されたものと同様である。図示のように、偏光撮像装置は、基板上で互いに光結合された複数の偏光スプリッタおよび複数の干渉測定回路を有する。いくつかの実施形態では、偏光スプリッタと同等、または偏光スプリッタより少ない数の干渉測定回路があることが可能である。後者のケースでは、偏光スプリッタと干渉測定回路を互いに連続的に結合するために光スイッチが使用されてよい。図26Aに最もよく示されているように、偏光スプリッタは、本実施形態では2方向偏光スプリッタが可能である。図26Bは、偏光スプリッタが、シリコンを通じて完全にエッチングされた円筒孔のアレイを有する表面偏光スプリッタであることをさらに示している。いくつかの実施形態では、干渉測定回路は上記で説明されたものと同様である。図示のように、偏光撮像装置は、干渉測定回路からの対応する強度値を測定するための、干渉測定回路から入射してくる出力導波路に結合された複数の検出器ユニットを有する。いずれのケースでも、偏光撮像装置は、測定された強度値に基づいてアレイの偏光スプリッタのそれぞれと関連付けられた偏光状態を判定し、入射光線の判定された偏光状態に基づいて偏光イメージを出力するコントローラを有する。
【0182】
この例では、偏光撮像装置はコンパクトなフットプリントを有することができ、これにより比較的大きい曲線因子を実現する。既に述べたように、いくつかの偏光スプリッタは、各SPSによって受け取られた偏光状態が時系列に解析され得るように、オンチップ光スイッチを通じて光干渉測定回路と統合型PDの1つのセットを共有することができる。各偏光スプリッタPSは、2つのオンチップ光スイッチを通じてバス導波路と接続する。偏光スプリッタのオンチップ光スイッチがオンになると、入射光の2つの直交電場成分は、対応する偏光スプリッタから2つのバス導波路にそれぞれ伝搬することができる。次に、入射光の2つの直交電場成分が、光干渉測定回路に注入される。光干渉測定回路の出力ポートの光強度を測定して、対応する偏光スプリッタの入射光の偏光状態を再現することができる。この例では、これらの偏光スプリッタが1つずつオンになると、偏光イメージが取得され得る。
【0183】
この例では、分光偏光解析が論じられる。例えば、ストークスパラメータをチャネルドスペクトルに変調可能なチャネルドスペクトルモジュレータ(CSM:channelled spectrum modulator)、および、チャネルドスペクトルを取得するためのオンチップ光スペクトル解析器(OSA)の原理が提供される。
【0184】
図27は、別の実施形態による、偏光計2700の別の例を示す。図示のように、偏光計2700は、基板、偏光スプリッタ、干渉測定回路、および出力導波路を有する。
【0185】
より具体的には、偏光スプリッタは、所与の偏光状態を有する入射光線を受け取る。次に偏光スプリッタは、入射光線を、少なくとも、第1の偏光成分を有する第1の光線と第2の偏光成分を有する第2の光線に偏光分離する。
【0186】
図示のように、干渉測定回路は、前記第1および第2の偏光成分のうちの各偏光成分を受け取る第1および第2の位相遅延導波路を有する。第1の偏光成分と第2の偏光成分を互いに結合し、その後、第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路に向かって偏光成分を分離するために、マルチモード干渉カプラが提供される。干渉測定回路は、第3の位相遅延導波路と第4の位相遅延導波路を互いに結合し、これにより第1の偏光成分と第2の偏光成分との干渉に基づいて第3の偏光成分と第4の偏光成分を形成するマルチモードカプラを有する。図示のように、少なくとも第1の位相遅延導波路と第3の位相遅延導波路は、互いに対して非対称である。このようにして、そのように形成された偏光成分は、入射光線の偏光状態を十分に判定する。
【0187】
この例では、出力導波路は、複数のスペクトル成分の偏光成分の強度を測定する光スペクトル解析器に向かって偏光成分を出力する。したがって、コントローラで処理すると、測定された強度、および同様に干渉測定回路の干渉測定パターン(例えば各位相遅延導波路の位相遅延)に基づいて、入射光線のスペクトル的に分解された偏光状態を判定することができる。
【0188】
この例で示されているように、偏光カプラは、入射光線を光の2つの直交偏光成分に分離する表面偏光スプリッタの形で提供される。この分離の後、偏光成分は、ストークスパラメータをチャネルドスペクトルに変調可能な干渉測定回路(例えばチャネルドスペクトルモジュレータ(CSM))を通過する。最後に、光はオンチップ光スペクトル解析器(OSA)に供給される。チャネルドスペクトルモジュレータは、スプリッタ出力に光結合され、第1の干渉計出力につながる第1の干渉計要素、第1の干渉計出力に光結合されたマルチモード干渉計、および、マルチモード干渉計に光結合され、第2の干渉計出力につながる第2の干渉計を有することができる。認識され得るように、チャネルドスペクトルモジュレータは、互いに干渉し、スペクトル的に分解された偏光成分を有する光線を含む、変調された光線を出力することができる。
【0189】
図示のように、オンチップOSAは、CSMから偏光成分を受け取り、複数のスペクトル的に間を空けられたチャネルに偏光成分の方向を変える分光計回路を有し、スペクトル的に間を空けられたチャネルのそれぞれは、偏光成分の所与のスペクトル成分を有する。したがって、スペクトル的に依存する強度値を抽出するために、間を空けられたチャネルのそれぞれが解析される。いくつかの実施形態では、オンチップOSAは、空間的に多重化された手法で強度値を検出する複数の光検出器を有することができる。それでも、他のいくつかの実施形態では、オンチップOSAは、時間的に多重化された手法で強度値を検出する単一の光検出器を有することができる。
【0190】
図27に示されているように、各波数σ(波長λの逆数)について、光の2つの直交成分(E(σ)およびE(σ))は、SPSによって2つの導波路にそれぞれ結合されることになる。CSMでは、光がマルチモード干渉(MMI)を通過する前後で、上り経路と下り経路との間の長さの相違がそれぞれLおよびLである場合、CSMから出てくる光の電場E(σ)は、以下によって与えられることが可能である。
【0191】
【数51】
【0192】
【数52】
【0193】
ここで、neff(σ)は、導波路内を伝搬する波数σの光の実効屈折率を示す。ブロードバンドスペクトルを有する光の偏光状態(SoP)は、ストークスパラメータS(σ)、S(σ)、S(σ)、およびS(σ)で記述されることが多い。ストークスパラメータと光の2つの直交成分(E(σ)およびE(σ))との間の関係は、以下によって書かれることが可能である。
【0194】
(σ)=|E(σ)|+|E(σ)|
【0195】
(σ)=|E(σ)|-|E(σ)|
【0196】
(σ)=2Re(E(σ)・E(σ))、
【0197】
(σ)=-2Im(Ex(σ)・Ey(σ)) (26)
【0198】
ここで、Re(*)およびIm(*)は、の実数成分および虚数成分である。等式(3.1)および(3.2)に基づいて、チャネルドスペクトル(P(σ))は、以下の通り取得され得る。
【0199】
【数53】
【0200】
【数54】
【0201】
【数55】
【0202】
ここで、S23(σ)=S(σ)-iS(σ)である。P(σ)は、S(σ)、S(σ)、およびS23(σ)についての情報をそれぞれ搬送する3つの準コサイン成分を含む。したがって、チャネルドスペクトルP(σ)を復調すると、波長と共に変化するSoPが取得され得る。
【0203】
図27をさらに参照すると、光スペクトル解析器は、リング共振器、光位相アレイ、および線形フォトダイオードアレイを有する。各リング共振器は、往復長Lおよび自己結合係数τをそれぞれ有する。リング共振器の自由スペクトル領域(FSR)は波長λに応じて変化し、以下によって与えられることが可能である。
【0204】
【数56】
【0205】
ここでnは群指数である。共振スペクトルの半値全幅(FWHM)は、以下によって与えられることが可能である。
【0206】
【数57】
【0207】
ここで、aは単一パス振幅透過であり、リングにおける伝搬損失とカプラにおける損失の両方を含む。
【0208】
図28Aは、文字dで示されているような、出力経路間の距離を示す。(1+i)番目の出力導波路の長さは、i番目の出力導波路の長さよりΔL長い。θの方向における電場は、以下によって与えられることが可能である。
【0209】
【数58】
【0210】
ここで、Nは出力経路の数である。図28Bに示されているように、最大強度は以下のとき現れる。
【0211】
【数59】
【0212】
ここで、mは順序番号である。また、最小強度は以下のとき現れる。
【0213】
【数60】
【0214】
Δλ=λ-λをセットすると、等式(31)引く等式(32)が以下を取得することができる。
【0215】
【数61】
【0216】
中心(すなわちθ=0)において、等式(31)および(33)に基づいて、スペクトルの解像度は、以下によって与えられることが可能である。
【0217】
【数62】
【0218】
等式(34)は、周期数Nおよび経路の長さの差ΔLを増加させることによって、結果として生じる分光偏光計の解像度を増加させ得ることを示す。この分光偏光計について、FSRは、高解像度を実現するための光位相アレイ分光計の解像度に等しい。したがって、分光偏光計の解像度は、リング共振器のFWHMによって判定され得る。
【0219】
図29は、分光偏光測定を実施する方法2900の例のフローチャートを示す。方法2900は、上記で説明された分光偏光計によって実施されることが可能である。
【0220】
ステップ2902において、スペクトル的に変動する偏光状態を有する入射光線が受け取られる。
【0221】
ステップ2904において、入射光線は、各偏光成分を有する複数の光線に偏光分離される。
【0222】
ステップ2906において、光線は、各偏光成分がそれぞれの時間的遅延に遭遇する干渉測定パターンに応じて互いに干渉される。
【0223】
ステップ2908において、光スペクトルがスペクトル的に間を空けられた強度値を有するように、光線部分の光スペクトルが測定される。光スペクトルの例が図30Aに示されている。
【0224】
ステップ2910において、光スペクトルは、スペクトルドメイン表現から時間ドメイン表現に変換され、これにより、図30Bに示されているものなどの、対応する時間的遅延における偏光成分を示す時間的に間を空けられた強度値を取得する。このステップでは、変換は逆フーリエ変換を含むことができる。ステップ2912において、偏光成分は互いに絶縁され、次に、このように絶縁された偏光成分は時間ドメインからスペクトルドメインに変換され、これにより偏光成分に関連付けられた個々の光スペクトルを取得し、この例が図30Cに示されている。このステップでは、変換はフーリエ変換を含むことができる。ステップ2910および2912は、いくつかの実施形態では任意選択でよいことに留意されたい。
【0225】
ステップ2914において、入射光線のスペクトル的に変動する偏光状態は、干渉測定パターンおよび個々の光スペクトルに基づいて判定される。
【0226】
理解できるように、上記で説明され、図示された例は例示であることのみ意図されている。例えば、表現「パワースプリッタ」または「パワーカプラ」は、指向性カプラ、Y-接点、マルチモード干渉計(MMI)、および、光電力をその偏光に関わらず分離または結合可能な他の任意の光学構成要素を包含するように広く解釈されるためのものである。範囲は、添付の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図26A-26B】
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図30C
【国際調査報告】