(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】新抗原組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20220810BHJP
C07K 2/00 20060101ALI20220810BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20220810BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20220810BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220810BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220810BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220810BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220810BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220810BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C07K2/00
C07K14/705
C12N5/0783
A61P35/00
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K39/00 H
A61P37/04
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573448
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2020037019
(87)【国際公開番号】W WO2020252039
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518344612
【氏名又は名称】ビオンテック ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジュネジャ, ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】ドン, ジェンシン
(72)【発明者】
【氏名】アイザート, ロビン ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ケイラバディ, マハブーベ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065CA24
4B065CA44
4C085AA03
4C085BB01
4C085DD62
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB05
4C086ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書の開示は、ネオエピトープを含む免疫療法用ポリペプチド、免疫療法用ポリペプチドを含む抗原提示細胞、および免疫療法用ポリペプチドを含む医薬組成物に関する。疾患または状態の処置における免疫療法用ポリペプチドの使用も本明細書に開示される。本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して免疫応答を活性化する、促進する、増大させる、および/または増強する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープを含むポリペプチドであって、式(I):
Y
n-B
t-A
r-X
m-A
s-C
u-Z
p
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、
(i)X
mが前記エピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、
(a)前記MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、または
(b)前記MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である;
(ii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のA
rの変数rが0である場合、Y
nは、B
t-A
r-X
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のA
rの変数rが1であり、式(I)のB
tの変数tが0である場合、Y
nは、X
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のA
rの変数rが1であり、式(I)のB
tの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Y
nは、B
tをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;
さらに、nが0から1000までの整数である;
(iii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のA
sの変数sが0である場合、Z
pは、X
m-A
s-C
uをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のA
sの変数sが1であり、式(I)のC
uの変数uが0である場合、Z
pは、X
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のA
sの変数sが1であり、式(I)のC
uの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Z
pは、C
uをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;
さらに、pが、0から1000までの整数である;
さらに、
nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、
pが0である場合、nは1から1000までの整数である;
(iv)A
rがリンカーであり、rが0または1である;
(v)A
sがリンカーであり、sが0または1である;
(vi)各Bが独立に、X
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である前記対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数である;かつ
(vii)各Cが独立に、X
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である前記対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数であり、
さらに、
(a)前記ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)前記ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)前記エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)前記ポリペプチドが前記APCによるプロセシングを受けると、Y
nおよび/またはZ
pが前記エピトープから切断される、
ポリペプチド。
【請求項2】
前記エピトープがクラスII MHCによって提示されるものであり、mが9から25までの整数である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
Y
n-B
t-A
rおよび/またはA
s-C
u-Z
pにより、ポリペプチドの溶解性がY
n-B
t-A
rおよび/またはA
s-C
u-Z
pを含有しない対応するペプチドと比較して増強される、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが前記APCによるプロセシングを受けると、前記エピトープがY
n-B
t-A
rおよび/またはA
s-C
u-Z
pから遊離する、請求項1から3までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
nが1から1000までの整数である場合、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、かつ/または、
pが1から1000までの整数である場合、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
nが1から1000までの整数である場合、前記APCによるエピトープ提示が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、かつ/または、
pが1から1000までの整数である場合、前記APCによるエピトープ提示が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強される、請求項1から5までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記APCにより前記エピトープが免疫細胞に提示される、請求項1から6までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、かつ/または、
pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強される、請求項1から7までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、かつ/または、
pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、X
mおよびX
mをコードする前記対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強される、請求項1から8までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
Y
nおよび/またはZ
pが、リシン(Lys)、ポリ-Lys(ポリK)およびポリ-Arg(ポリR)からなる群から選択される配列を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリKが、ポリ-L-Lysを含む、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記ポリRが、ポリ-L-Argを含む、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリKまたはポリRが、それぞれ少なくとも2つ、3つまたは4つの連続したリシン残基またはアルギニン残基を含む、請求項10から12までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記エピトープが、MHC IIクラスHLAに結合する、請求項1から13までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記エピトープが、前記MHC IIクラスHLAに10分間~24時間の安定性で結合する、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記エピトープが、前記MHC IIクラスHLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項17】
対象においてAPCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない、請求項1から16までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項18】
ヒト血漿中で安定である、請求項1から17までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項19】
ヒト血漿中で1時間から5日間までの半減期を有する、請求項1から18までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記対象が、ヒトである、請求項1から19までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記エピトープが、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、1μM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、または50nM未満の親和性で結合する、請求項1から20までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記エピトープが、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、12時間よりも長い、9時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、45分間よりも長い、30分間よりも長い、15分間よりも長い、または10分間よりも長い安定性で結合する、請求項1から21までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記HLA対立遺伝子が、HLA-A02:01対立遺伝子、HLA-A03:01対立遺伝子、HLA-A11:01対立遺伝子、HLA-A03:02対立遺伝子、HLA-A30:01対立遺伝子、HLA-A31:01対立遺伝子、HLA-A33:01対立遺伝子、HLA-A33:03対立遺伝子、HLA-A68:01対立遺伝子、HLA-A74:01対立遺伝子、および/またはHLA-C08:02対立遺伝子およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項21または22に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記エピトープが、腫瘍特異的エピトープを含む、請求項1から23までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む、請求項1から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記少なくとも1つの突然変異型アミノ酸が、前記対象のゲノム内の核酸配列における挿入、欠失、フレームシフト、ネオORF、または点突然変異によってコードされるものである、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記エピトープが、RASエピトープである、請求項1から26までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記エピトープが、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸および前記G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASペプチド配列を含む、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記G12、G13、またはQ61における突然変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む、請求項28または29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記RASエピトープが、VVVGAAGVGK、VVVGAAGVG、VVVGAAGV、VVGAAGVGK、VVGAAGVG、VGAAGVGK、VVVGACGVGK、VVVGACGVG、VVVGACGV、VVGACGVGK、VVGACGVG、VGACGVGK、VVVGADGVGK、VVVGADGVG、VVVGADGV、VVGADGVGK、VVGADGVG、VGADGVGK、VVVGARGVGK、VVVGARGVG、VVVGARGV、VVGARGVGK、VVGARGVG、VGARGVGK、VVVGASGVGK、VVVGASGVG、VVVGASGV、VVGASGVGK、VVGASGVG、VGASGVGK、VVVGAVGVGK、VVVGAVGVG、VVVGAVGV、VVGAVGVGK、VVGAVGVG、またはVGAVGVGKのアミノ酸配列を含む、請求項27から30までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項32】
Y
nが、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KTEY、KTEYK、KTEYKL、KTEYKLV、KTEYKLVV、KTEYKLVVV、KKTEY、KKTEYK、KKTEYKL、KKTEYKLV、KKTEYKLVV、KKTEYKLVVV、KKKTEY、KKKTEYK、KKKTEYKL、KKKTEYKLV、KKKTEYKLVV、KKKTEYKLVVV、KKKKTEY、KKKKTEYK、KKKKTEYKL、KKKKTEYKLV、KKKKTEYKLVV、KKKKTEYKLVVV、IDIIMKIRNA、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFIIFFIFFWMC、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFAAFWFW、IFFIFFIIFFFFFFFFFFFFIIIIIIIWEC、FIFFFIIFFFFFIFFFFFIFIIIIIIFWEC、TEY、TEYK、TEYKL、TEYKLV、TEYKLVV、TEYKLVVV、WQAGILAR、HSYTTAE、PLTEEKIK、GALHFKPGSR、RRANKDATAE、KAFISHEEKR、TDLSSRFSKS、FDLGGGTFDV、CLLLHYSVSK、KKKKIIMKIRNA、またはMTEYKLVVVのアミノ酸配列を含む、請求項1から31までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
Z
pが、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KKNKKDDI、KKNKKDDIKD、AGNDDDDDDDDDDDDDDDDDKKDKDDDDDD、AGNKKKKKKKNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、AGRDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD、SALTI、SALTIQL、GKSALTIQL、GKSALTI、SALTIK、SALTIQLK、GKSALTIQLK、GKSALTIK、SALTIKK、SALTIQLKK、GKSALTIQLKK、GKSALTIKK、SALTIKKK、SALTIQLKKK、GKSALTIQLKKK、GKSALTIKKK、SALTIKKKK、SALTIQLKKKK、GKSALTIQLKKKK、GKSALTI、KKKK、QGQNLKYQ、ILGVLLLI、EKEGKISK、AASDFIFLVT、KELKQVASPF、KKKLINEKKE、KKCDISLQFF、KSTAGDTHLG、ATFYVAVTVP、LTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDG、またはTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGEのアミノ酸配列を含む、請求項1から32までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
KTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKKK、またはTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKKKのアミノ酸配列を含む、請求項1から33までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記エピトープが、RASエピトープではない、請求項1から26までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
KKKKKPKRDGYMFLKAESKIMFAT、KKKKYMFLKAESKIMFATLQRSS、KKKKKAESKIMFATLQRSSLWCL、KKKKKIMFATLQRSSLWCLCSNH、またはKKKKMFATLQRSSLWCLCSNHではない、請求項1から35までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項37】
Y
nおよび/またはZ
pが、前記エピトープが引き出されたタンパク質とは異なるタンパク質のアミノ酸配列を含む、請求項1から36までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項38】
Y
nおよび/またはZ
pが、pp65、HIV、またはMART-1などのCMVのタンパク質のアミノ酸配列を含む、請求項1から37までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項39】
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20よりも大きい整数である、請求項1から38までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項40】
pが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20よりも大きい整数である、請求項1から39までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
請求項1から40までのいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項42】
mRNAである、請求項41に記載のポリヌクレオチド。
【請求項43】
請求項1から40までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項41もしくは42に記載のポリヌクレオチド;および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項44】
疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に請求項43に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法。
【請求項45】
前記疾患または前記状態が、肺がん、非小細胞肺がん、膵がん、結腸直腸がん、子宮がん、前立腺がん、肝がん、胆道悪性腫瘍、子宮体がん、子宮頸がん、膀胱がん(bladder cancer)、肝がん、骨髄性白血病および乳がんからなる群から選択されるがんである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
投与するステップが、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
抗原特異的T細胞を調製する方法であって、請求項1から40までのいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項41または42に記載のポリヌクレオチドを含む抗原提示細胞を用いてT細胞を刺激するステップを含む方法。
【請求項48】
ex vivoで実施される、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年6月12日出願の米国仮出願第62/860,493号の利益を主張するものである。本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月7日出願の国際出願第PCT/US2020/031898号に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
がん免疫療法は、免疫系を使用してがんを処置するものである。免疫療法では、がん細胞が多くの場合、免疫系により検出することができる分子を表面上に有するという事実を活用する。この分子は腫瘍抗原として公知であり、多くの場合タンパク質または他の巨大分子(例えば炭水化物)である。能動免疫療法は、腫瘍抗原を標的とすることによって腫瘍細胞を攻撃するように免疫系を方向づけるものである。受動免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強するものであり、モノクローナル抗体、リンパ球、およびサイトカインの使用を含む。腫瘍ワクチンは、一般には、腫瘍細胞を認識し、溶解させる抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するように共に働く腫瘍抗原と免疫賦活分子(例えば、アジュバント、サイトカイン、またはToll様受容体(TLR)リガンド)で構成される。悪性細胞内の遺伝的変化(例えば、逆位、転座、欠失、ミスセンス突然変異、スプライス部位突然変異など)の結果として生じる腫瘍新抗原は最も腫瘍特異的なクラスの抗原を代表するものであり、患者に特異的であり得るかまたは共有され得る。腫瘍新抗原は腫瘍細胞に特有のものであり、これは、突然変異およびその対応するタンパク質が腫瘍にしか存在しないからである。腫瘍新抗原はまた中枢性免疫寛容も回避し、したがって、免疫原性である可能性がより高い。したがって、腫瘍新抗原は、体液性免疫および細胞性免疫のどちらも含めた免疫認識の優れた標的をもたらすものである。
【0003】
ワクチン接種でT細胞応答を引き出すためには、抗原提示細胞(APC)によりエピトープ含有ペプチドがプロセシングされ、エピトープが主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)IまたはMHC II上に提示されなければならない。治癒的かつ腫瘍特異的な免疫療法の開発に関する極めて重要な関門の1つは、適正な免疫応答を生じさせるための抗原提示のためのプロセシングおよび最小エピトープの遊離が不十分であることである。したがって、効率的かつ十分なエピトープのプロセシングおよび提示を確実にするための追加的ながん治療用ワクチンの開発が必要とされている。
【0004】
参照による組込み
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的にかつ個別に参照により組み込まれることが示されたものと同じく参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一部の態様では、抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープを含むポリペプチドであって、式(I):
Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zp
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、
(i)Xmがエピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、
(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、または
(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である;
(ii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のArの変数rが0である場合、Ynは、Bt-Ar-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが0である場合、Ynは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Ynは、Btをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;
さらに、nが0から1000までの整数である;
(iii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のAsの変数sが0である場合、Zpは、Xm-As-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが0である場合、Zpは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Zpは、Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;
さらに、pが、0から1000までの整数である;
さらに、nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、
pが0である場合、nは1から1000までの整数である;
(iv)Arがリンカーであり、rが0または1である;
(v)Asがリンカーであり、sが0または1である;
(vi)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数である;かつ
(vii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYnおよび/またはZpがエピトープから切断される、
ポリペプチドが本明細書で提供される。
【0006】
一部の実施形態では、エピトープは、クラスII MHCによって提示される。一部の実施形態では、mは9から25までの整数である。一部の実施形態では、tは1、2、3、4、または5またはそれよりも大きく、rは0である。一部の実施形態では、uは1、2、3、4、または5またはそれよりも大きく、sは0である。一部の実施形態では、tは1またはそれよりも大きく、rは0であり、nは1~1000である。一部の実施形態では、uは1またはそれよりも大きく、sは0であり、pは1~1000である。一部の実施形態では、tは0である。一部の実施形態では、uは0である。一部の実施形態では、tは少なくとも1であり、Btはリシンを含む。一部の実施形態では、uは少なくとも1であり、Cuはリシンを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとBtがエピトープから切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとCuがエピトープから切断される。一部の実施形態では、nは1から5までまたは7から1000までの整数である。一部の実施形態では、pは1から4までまたは6から1000までの整数である。
【0007】
一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない。一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープを含まない。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、エピトープは少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列における挿入、欠失、フレームシフト、ネオORF、または点突然変異によってコードされるものである。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYnおよび/またはZpがエピトープから切断される。一部の実施形態では、Xmのmは少なくとも8であり、Xmは、AA1AA2AA3AA4AA5AA6AA7AA8AA9AA10AA11AA12AA13AA14AA15AA16AA17AA18AA19AA20AA21AA22AA23AA24AA25であり、ここで、各AAはアミノ酸であり、AA9、AA10、AA11、AA12、AA13、AA14、AA15、AA16、AA17、AA18、AA19、AA20、AA21、AA22、AA23、AA24、およびAA25のうちの1つまたは複数は必要に応じて存在し、さらに、少なくとも1つのAAが突然変異型アミノ酸である。一部の実施形態では、rは1である。一部の実施形態では、sは1である。一部の実施形態では、rは1であり、sは1である。一部の実施形態では、rは0である。一部の実施形態では、sは0である。一部の実施形態では、rは0であり、sは0である。
【0008】
一部の実施形態では、Arおよび/またはAsは非ポリペプチドリンカーである。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsは化学リンカーである。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsは非天然(non-natural)アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsはアミノ酸を含まない。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsは天然アミノ酸を含まない。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsはペプチド結合以外の結合を含む。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsはジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、ArとAsは異なる。一部の実施形態では、ArとAsは同じである。
【0009】
一部の実施形態では、ポリペプチドは親水性尾部を含む。一部の実施形態では、Yn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpにより、ポリペプチドの溶解性がYn-Bt-Arおよび/またはAs-Zpを含有しない対応するペプチドと比較して増強される。一部の実施形態では、Xmの各Xは天然アミノ酸である。
【0010】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとエピトープがYn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpから遊離する。一部の実施形態では、ポリペプチドはArおよび/またはAsにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、nが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、かつ/または、ポリペプチドは、pが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断される。
【0011】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、nが1から1000までの整数である場合、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、ここで、tは少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrは0である;かつ/または、ポリペプチドは、pが1から1000までの整数である場合、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、ここで、uは少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsは0である。
【0012】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、nが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率でArにおいて切断され、かつ/または、ポリペプチドは、pが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率でAsにおいて切断される。
【0013】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強される。
【0014】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、ここで、tは少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrは0である;かつ/または、APCによるエピトープ提示は、pが1から1000までの整数である場合、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、ここで、uは少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsは0である。
【0015】
一部の実施形態では、APCによりエピトープが免疫細胞に提示される。一部の実施形態では、APCによりエピトープが食細胞に提示される。一部の実施形態では、APCによりエピトープが樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に提示される。一部の実施形態では、APCによりエピトープが免疫細胞、食細胞、樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に優先的にまたは特異的に提示される。
【0016】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強される。
【0017】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、ここで、tは少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrは0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、ここで、uは少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsは0である。
【0018】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強される。
【0019】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、ここで、tは少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrは0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、ここで、uは少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsは0である。
【0020】
一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpは、ポリ-Lys(ポリK)およびポリ-Arg(ポリR)からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpは、ポリK-AA-AAおよびポリR-AA-AAからなる群から選択される配列を含み、ここで、各AAはアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。一部の実施形態では、ポリKはポリ-L-Lysを含む。一部の実施形態では、ポリRはポリ-L-Argを含む。一部の実施形態では、ポリKまたはポリRはそれぞれ少なくとも3つまたは4つの連続したリシン残基またはアルギニン残基を含む。一部の実施形態では、Arおよび/またはAsはジスルフィド;p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC);およびAA-AA-PABCからなる群から選択され、ここで、各AAはアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。一部の実施形態では、AA-AA-PABCはAla-Lys-PABC、Val-Cit-PABC、およびPhe-Lys-PABCからなる群から選択される。
【0021】
一部の実施形態では、A
rおよび/またはA
sは、
【化1】
である。
【0022】
一部の実施形態では、A
rおよび/またはA
sは、
【化2】
であり、式中、R
1およびR
2は、独立に、Hまたは(C
1~C
6)アルキルであり;jは1または2であり;G
1はHまたはCOOHであり;iは1、2、3、4、または5である。
【0023】
一部の実施形態では、ポリペプチドはユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは切断前にユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは対象においてAPCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは対象の血液中で、APCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは血液中でプロテアーゼによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはプラスミン、血漿カリクレイン、組織カリクレイン、トロンビン、または凝固因子によって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で安定である。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で1時間から5日間までの半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドはリソソーム、エンドリソソーム、エンドソーム、または小胞体(ER)において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはアミノペプチダーゼによって切断される。一部の実施形態では、アミノペプチダーゼは、インスリン調節性アミノペプチダーゼ(IRAP)または小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP)である。一部の実施形態では、ポリペプチドはプロテアソームおよび/または免疫プロテアソームのトリプシン様ドメインによってプロセシングされる。一部の実施形態では、トリプシン様ドメインは、トリプシン様活性、キモトリプシン様活性、またはペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)活性を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはプロテアーゼによって切断される。一部の実施形態では、プロテアーゼは、トリプシン様プロテアーゼ、キモトリプシン様プロテアーゼ、またはペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)である。一部の実施形態では、プロテアーゼは、アスパラギンペプチドリアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、およびトレオニンプロテアーゼからなる群から選択される。一部の実施形態では、プロテアーゼは、カルパイン、カスパーゼ、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンW、およびカテプシンZからなる群から選択されるシステインプロテアーゼである。
【0024】
一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0025】
一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスI HLAに結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスI HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスI HLAに0.1nM~2000nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスII HLAに結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスII HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHCクラスII HLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、nは1から20までまたは5から12までの整数である。一部の実施形態では、pは1から20までまたは5から12までの整数である。一部の実施形態では、エピトープは腫瘍特異的エピトープを含む。
【0026】
一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも2つのポリペプチドを含み、少なくとも2つのポリペプチドのうちの2つまたはそれよりも多くが同じ式Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zpを有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも2つのポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのXmは同じである。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのYnは同じである。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのZpは同じである。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのArおよび/またはAsは異なる。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはr=0であり、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはr=1である。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはs=0であり、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはs=1である。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれよりも多くのポリペプチドまたはポリペプチド分子を含む。
【0027】
一部の実施形態では、エピトープはRASエピトープである。一部の実施形態では、エピトープは、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸およびG12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASペプチド配列を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異はG12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpはpp65、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、またはMART-1などのサイトメガロウイルス(CMV)のタンパク質のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、nおよび/またはpは1、2、3、または3よりも大きい整数である。一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpはリシンまたはポリ-リシンを含む。一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpはK、KK、KKK、KKKKまたはKKKKKを含む。
【0028】
一部の実施形態では、エピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、1μM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、または50nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、エピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、12時間よりも長い、9時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、45分間よりも長い、30分間よりも長い、15分間よりも長い、または10分間よりも長い安定性で結合する。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、HLA-A02:01対立遺伝子、HLA-A03:01対立遺伝子、HLA-A11:01対立遺伝子、HLA-A03:02対立遺伝子、HLA-A30:01対立遺伝子、HLA-A31:01対立遺伝子、HLA-A33:01対立遺伝子、HLA-A33:03対立遺伝子、HLA-A68:01対立遺伝子、HLA-A74:01対立遺伝子、および/またはHLA-C08:02対立遺伝子およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0029】
一部の実施形態では、エピトープは、GADGVGKSAL、GACGVGKSAL、GAVGVGKSAL、GADGVGKSA、GACGVGKSA、GAVGVGKSA、KLVVVGACGV、FLVVVGACGL、FMVVVGACGI、FLVVVGACGI、FMVVVGACGV、FLVVVGACGV、MLVVVGACGV、FMVVVGACGL、YLVVVGACGV、KMVVVGACGV、YMVVVGACGV、MMVVVGACGV、DTAGHEEY、TAGHEEYSAM、DILDTAGHE、DILDTAGH、ILDTAGHEE、ILDTAGHE、DILDTAGHEEY、DTAGHEEYS、LLDILDTAGH、DILDTAGRE、DILDTAGR、ILDTAGREE、ILDTAGRE、CLLDILDTAGR、TAGREEYSAM、REEYSAMRD、DTAGKEEYSAM、CLLDILDTAGK、DTAGKEEY、LLDILDTAGK、ILDTAGKE、ILDTAGKEE、DTAGLEEY、ILDTAGLE、DILDTAGL、ILDTAGLEE、GLEEYSAMRDQY、LLDILDTAGLE、LDILDTAGL、DILDTAGLE、DILDTAGLEEY、AGVGKSAL、GAAGVGKSAL、AAGVGKSAL、CGVGKSAL、ACGVGKSAL、DGVGKSAL、ADGVGKSAL、DGVGKSALTI、GARGVGKSA、KLVVVGARGV、VVVGARGV、SGVGKSAL、VVVGASGVGK、GASGVGKSAL、VGVGKSAL、VVVGAGCVGK、KLVVVGAGC、GDVGKSAL、DVGKSALTI、VVVGAGDVGK、TAGKEEYSAM、DTAGHEEYSAM、TAGHEEYSA、DTAGREEYSAM、TAGKEEYSA、AAGVGKSA、AGCVGKSAL、AGDVGKSAL、AGKEEYSAMR、AGVGKSALTI、ARGVGKSAL、ASGVGKSA、ASGVGKSAL、AVGVGKSA、CVGKSALTI、DILDTAGK、DILDTAGREEY、DTAGHEEYSAMR、DTAGKEEYS、DTAGKEEYSAMR、DTAGLEEYS、DTAGLEEYSA、DTAGLEEYSAMR、DTAGREEYS、DTAGREEYSAMR、GAAGVGKSA、GACGVGKSA、GACGVGKSAL、GADGVGKS、GAGDVGKSA、GAGDVGKSAL、GASGVGKSA、GCVGKSAL、GCVGKSALTI、GHEEYSAM、GKEEYSAM、GLEEYSAMR、GREEYSAM、GREEYSAMR、HEEYSAMRD、KEEYSAMRD、KLVVVGASG、LDILDTAGR、LEEYSAMRD、LVVVGARGV、LVVVGASGV、REEYSAMRDQY、RGVGKSAL、TAGLEEYSA、TEYKLVVVGAA、VGAAGVGKSA、VGADGVGK、VGASGVGKSA、VGVGKSALTI、VVVGAAGV、VVVGAVGV、YKLVVVGAC、YKLVVVGAD、YKLVVVGAR、またはDILDTAGKEのアミノ酸配列を含む。
【0030】
一部の実施形態では、Ynは、IDIIMKIRNA、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFIIFFIFFWMC、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFAAFWFW、IFFIFFIIFFFFFFFFFFFFIIIIIIIWEC、FIFFFIIFFFFFIFFFFFIFIIIIIIFWEC、TEY、TEYKLV、WQAGILAR、HSYTTAE、PLTEEKIK、GALHFKPGSR、RRANKDATAE、KAFISHEEKR、TDLSSRFSKS、FDLGGGTFDV、CLLLHYSVSK、KKKKIIMKIRNA、またはMTEYKLVVVのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Zpは、KKNKKDDI、KKNKKDDIKD、AGNDDDDDDDDDDDDDDDDDKKDKDDDDDD、AGNKKKKKKKNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、AGRDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD、SALTI、SALTIQL、GKSALTIQL、GKSALTI、QGQNLKYQ、ILGVLLLI、EKEGKISK、AASDFIFLVT、KELKQVASPF、KKKLINEKKE、KKCDISLQFF、KSTAGDTHLG、ATFYVAVTVP、LTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDG、またはTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGEのアミノ酸配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、エピトープはRASエピトープではない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、KKKKKPKRDGYMFLKAESKIMFAT、KKKKYMFLKAESKIMFATLQRSS、KKKKKAESKIMFATLQRSSLWCL、KKKKKIMFATLQRSSLWCLCSNH、またはKKKKMFATLQRSSLWCLCSNHではない。
【0032】
一部の実施形態では、エピトープはGATA3エピトープである。一部の実施形態では、GATA3エピトープは、MLTGPPARV、SMLTGPPARV、VLPEPHLAL、KPKRDGYMF、KPKRDGYMFL、ESKIMFATL、KRDGYMFL、PAVPFDLHF、AESKIMFATL、FATLQRSSL、ARVPAVPFD、IMKPKRDGY、DGYMFLKA、MFLKAESKIMF、LTGPPARV、ARVPAVPF、SMLTGPPAR、RVPAVPFDL、またはLTGPPARVPのアミノ酸配列を含む。
【0033】
一部の態様では、本明細書に記載のポリペプチドを含む細胞が本明細書で提供される。一部の実施形態では、細胞は抗原提示細胞である。一部の実施形態では、細胞は樹状細胞である。一部の実施形態では、細胞は成熟抗原提示細胞である。
【0034】
一部の態様では、ポリペプチドを切断する方法であって、本明細書に記載のポリペプチドを抗原提示細胞(APC)と接触させるステップを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、方法をin vivoで実施する。一部の実施形態では、方法をex vivoで実施する。
【0035】
一部の態様では、ポリペプチドを製造する方法であって、Yn-Arおよび/またはAs-Zpをエピトープ配列を含む配列と連結するステップを含み、エピトープ配列が、抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるものであり;(i)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Ynが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされず、nが0から1000までの整数であり;(ii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Zpが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされず、pが、0から1000までの整数であり;かつ、(iii)Arがリンカーであり、Asがリンカーであり、rおよびsの少なくとも一方が1であり、さらに、(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または、(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYnおよび/またはZpがエピトープから切断される、方法が本明細書で提供される。
【0036】
一部の態様では、ポリペプチドを製造する方法であって、YnをBt-Xmと連結し、かつ/またはZpをXm-Cuと連結するステップを含み、Xmが、抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープ配列であり;かつ、(i)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流にある対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、tが0から1000までの整数である;(ii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、uが0から1000までの整数である;(iii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Ynが、Bt-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされず、nが0から1000までの整数であり;かつ、(iv)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Zpが、Xm-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされず、pが、0から1000までの整数である;さらに、(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYn-Btおよび/またはCu-Zpがエピトープから切断される、方法が本明細書で提供される。
【0037】
一部の実施形態では、nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、pが0である場合、nは1から1000までの整数である。一部の実施形態では、各Xは、独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる任意の連続したアミノ酸配列を含むペプチド配列のアミノ酸を表し、かつ、(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数である、または(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である。
【0038】
一部の態様では、本明細書に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、免疫調節剤またはアジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、免疫調節剤またはアジュバントは、ポリ-ICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、ARNAX、STINGアゴニスト、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGA微小粒子、レシキモド、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、ベータ-グルカン、Pam2Cys、Pam3Cys、Pam3CSK4、およびAquila’s QS21スチムロンからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫調節剤またはアジュバントは、ポリ-ICLCを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、ワクチン組成物である。一部の実施形態では、医薬組成物は水性または液体である。
【0039】
一部の実施形態では、エピトープは、医薬組成物中に1ngから10mgまで、または5μgから1.5mgまでの量で存在する。一部の実施形態では、医薬組成物はDMSOをさらに含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は水を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は1mMよりも低い濃度または1mMよりも高い濃度で存在するpH調節剤を含む。一部の実施形態では、pH調節剤はジカルボン酸塩またはトリカルボン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はコハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はクエン酸のトリカルボン酸塩、またはトリクエン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤は、コハク酸二ナトリウムである。一部の実施形態では、コハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩は医薬組成物中に0.1mM~1mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、コハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩は医薬組成物中に1mM~5mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、対象に投与されると、エピトープに対する免疫応答が増大する。
【0040】
一部の態様では、疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、疾患または状態はがんである。一部の実施形態では、がんは、肺がん、非小細胞肺がん、膵がん、結腸直腸がん、子宮がん、および肝がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、投与するステップは、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む。
【0041】
一部の態様では、対象の予防方法であって、対象の細胞を本明細書に記載のポリペプチド、細胞、または医薬組成物と接触させるステップを含む方法が本明細書で提供される。
【0042】
一部の態様では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープを同定するステップと、エピトープを含むポリペプチドを作製するステップであって、ポリペプチドが、式(I)、
Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zp
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、
(i)Xmがエピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、
(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、また (b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である;
(ii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のArの変数rが0である場合、Ynは、Bt-Ar-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが0である場合、Ynは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Ynは、Btをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;
さらに、nが0から1000までの整数である;
(iii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のAsの変数sが0である場合、Zpは、Xm-As-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが0である場合、Zpは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Zpは、Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;
さらに、pが、0から1000までの整数である;
さらに、nが0である場合、pは1から1000までの整数である;かつ
pが0である場合、nは1から1000までの整数である;
(iv)Arがリンカーであり、rが0または1である;
(v)Asがリンカーであり、sが0または1である;
(vi)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数であり;かつ、
(vii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYnおよび/またはZpがエピトープから切断される、
ステップとを含む方法が本明細書で提供される。
【0043】
一部の実施形態では、同定するステップは、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールから、対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールには存在しない、1つまたは複数の異なる突然変異を含む複数の候補ペプチド配列をコードする複数の核酸配列を選択することを含み、ここで、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールおよび対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールは、全ゲノム配列決定または全エクソーム配列決定によって配列決定される。一部の実施形態では、同定するステップは、複数の候補ペプチド配列のうちのいずれの候補ペプチド配列が同じ対象のHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質と複合体を形成するかを、HLAペプチド結合解析によって予測するまたは測定することをさらに含む。一部の実施形態では、同定するステップは、HLAペプチド結合解析に基づいて、候補ペプチド配列から、複数の選択された腫瘍特異的ペプチドまたは複数の選択された腫瘍特異的ペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを選択することをさらに含む。
【0044】
一部の実施形態では、方法は、ポリペプチドを対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、投与するステップは、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む。一部の実施形態では、対象において免疫応答が引き出される。一部の実施形態では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープは新抗原、腫瘍関連抗原、突然変異した腫瘍関連抗原であり、かつ/または、対象の腫瘍細胞におけるエピトープの発現が正常な対象の細胞におけるエピトープの発現と比較して高い。
【0045】
抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープを含むポリペプチドであって、式(I):
Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zp
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、Xmがエピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、または(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数であり;各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、式(I)のArの変数rが0である場合、Ynは、Bt-Ar-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされないか、式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが0である場合、Ynは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされないか、または式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Ynは、Btをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;さらに、nが0から1000までの整数である;各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、式(I)のAsの変数sが0である場合、Zpは、Xm-As-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされないか、式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが0である場合、Zpは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされないか、または式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Zpは、Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;さらに、pが、0から1000までの整数である;さらに、nが0である場合、pは1から1000までの整数である;pが0である場合、nは1から1000までの整数である;Arがリンカーであり、rが0または1であり、Asがリンカーであり、sが0または1であり、各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、tが0から1000までの整数である;かつ、各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、uが0から1000までの整数である;さらに、ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない; ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/またはポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとYnおよび/またはZpがエピトープから切断される、
ポリペプチドが本明細書で提供される。
【0046】
一部の実施形態では、エピトープは、クラスII MHCによって提示されるものであり、mは9から25までの整数である。
【0047】
一部の実施形態では、Yn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpにより、ポリペプチドの溶解性がYn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpを含有しない対応するペプチドと比較して増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとエピトープがYn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpから遊離する。一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、ポリペプチドは、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、ポリペプチドは、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断される。一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強される。一部の実施形態では、APCによりエピトープが免疫細胞に提示される。
【0048】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強される。
【0049】
一部の実施形態では、nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強される。
【0050】
一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpは、リシン(Lys)、ポリ-Lys(ポリK)およびポリ-Arg(ポリR)からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、ポリKはポリ-L-Lysを含む。一部の実施形態では、ポリRはポリ-L-Argを含む。一部の実施形態では、ポリKまたはポリRはそれぞれ少なくとも2つ、3つまたは4つの連続したリシン残基またはアルギニン残基を含む。
【0051】
一部の実施形態では、エピトープはMHC IIクラスHLAに結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHC IIクラスHLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、エピトープはMHC IIクラスHLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する。
【0052】
一部の実施形態では、ポリペプチドは対象においてAPCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で安定である。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で1時間から5日間までの半減期を有する。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0053】
一部の実施形態では、エピトープはHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、1μM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、または50nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、エピトープはHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、12時間よりも長い、9時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、45分間よりも長い、30分間よりも長い、15分間よりも長い、または10分間よりも長い安定性で結合する。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、HLA-A02:01対立遺伝子、HLA-A03:01対立遺伝子、HLA-A11:01対立遺伝子、HLA-A03:02対立遺伝子、HLA-A30:01対立遺伝子、HLA-A31:01対立遺伝子、HLA-A33:01対立遺伝子、HLA-A33:03対立遺伝子、HLA-A68:01対立遺伝子、HLA-A74:01対立遺伝子、および/またはHLA-C08:02対立遺伝子およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、エピトープは腫瘍特異的エピトープを含む。一部の実施形態では、エピトープは少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は対象のゲノム内の核酸配列における挿入、欠失、フレームシフト、ネオORF、または点突然変異によってコードされるものである。
【0054】
一部の実施形態では、エピトープはRASエピトープである。一部の実施形態では、エピトープは、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸およびG12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASペプチド配列を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、RASエピトープは、VVVGAAGVGK、VVVGAAGVG、VVVGAAGV、VVGAAGVGK、VVGAAGVG、VGAAGVGK、VVVGACGVGK、VVVGACGVG、VVVGACGV、VVGACGVGK、VVGACGVG、VGACGVGK、VVVGADGVGK、VVVGADGVG、VVVGADGV、VVGADGVGK、VVGADGVG、VGADGVGK、VVVGARGVGK、VVVGARGVG、VVVGARGV、VVGARGVGK、VVGARGVG、VGARGVGK、VVVGASGVGK、VVVGASGVG、VVVGASGV、VVGASGVGK、VVGASGVG、VGASGVGK、VVVGAVGVGK、VVVGAVGVG、VVVGAVGV、VVGAVGVGK、VVGAVGVG、またはVGAVGVGKのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Ynは、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KTEY、KTEYK、KTEYKL、KTEYKLV、KTEYKLVV、KTEYKLVVV、KKTEY、KKTEYK、KKTEYKL、KKTEYKLV、KKTEYKLVV、KKTEYKLVVV、KKKTEY、KKKTEYK、KKKTEYKL、KKKTEYKLV、KKKTEYKLVV、KKKTEYKLVVV、KKKKTEY、KKKKTEYK、KKKKTEYKL、KKKKTEYKLV、KKKKTEYKLVV、KKKKTEYKLVVV、IDIIMKIRNA、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFIIFFIFFWMC、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFAAFWFW、IFFIFFIIFFFFFFFFFFFFIIIIIIIWEC、FIFFFIIFFFFFIFFFFFIFIIIIIIFWEC、TEY、TEYK、TEYKL、TEYKLV、TEYKLVV、TEYKLVVV、WQAGILAR、HSYTTAE、PLTEEKIK、GALHFKPGSR、RRANKDATAE、KAFISHEEKR、TDLSSRFSKS、FDLGGGTFDV、CLLLHYSVSK、KKKKIIMKIRNA、またはMTEYKLVVVのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Zpは、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KKNKKDDI、KKNKKDDIKD、AGNDDDDDDDDDDDDDDDDDKKDKDDDDDD、AGNKKKKKKKNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、AGRDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD、SALTI、SALTIQL、GKSALTIQL、GKSALTI、SALTIK、SALTIQLK、GKSALTIQLK、GKSALTIK、SALTIKK、SALTIQLKK、GKSALTIQLKK、GKSALTIKK、SALTIKKK、SALTIQLKKK、GKSALTIQLKKK、GKSALTIKKK、SALTIKKKK、SALTIQLKKKK、GKSALTIQLKKKK、GKSALTI、KKKK、QGQNLKYQ、ILGVLLLI、EKEGKISK、AASDFIFLVT、KELKQVASPF、KKKLINEKKE、KKCDISLQFF、KSTAGDTHLG、ATFYVAVTVP、LTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDG、またはTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGEのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKKK、またはTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKKKのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、エピトープはRASエピトープではない。一部の実施形態では、ポリペプチドはKKKKKPKRDGYMFLKAESKIMFAT、KKKKYMFLKAESKIMFATLQRSS、KKKKKAESKIMFATLQRSSLWCL、KKKKKIMFATLQRSSLWCLCSNH、またはKKKKMFATLQRSSLWCLCSNHではない。
【0055】
一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpは、エピトープが引き出されたタンパク質とは異なるタンパク質のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、Ynおよび/またはZpは、pp65、HIV、またはMART-1などのCMVのタンパク質のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20よりも大きい整数である。一部の実施形態では、pは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20よりも大きい整数である。
【0056】
一部の実施形態では、エピトープはTMPRSS2:ERGエピトープである。一部の実施形態では、TMPRSS2:ERGエピトープはALNSEALSVのアミノ酸配列を含む。
【0057】
本明細書に記載のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドも本明細書で提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはmRNAである。
【0058】
本明細書に記載のポリペプチドまたは本明細書に記載のポリヌクレオチド;および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0059】
疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。一部の実施形態では、疾患または状態は、肺がん、非小細胞肺がん、膵がん、結腸直腸がん、子宮がん、前立腺がん、肝がん、胆道悪性腫瘍、子宮体がん、子宮頸がん、膀胱がん(bladder cancer)、肝がん、骨髄性白血病および乳がんからなる群から選択されるがんである。一部の実施形態では、投与するステップは、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む。
【0060】
抗原特異的T細胞を調製する方法であって、本明細書に記載のポリペプチドまたは本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む抗原提示細胞を用いてT細胞を刺激するステップを含む方法も本明細書で提供される。一部の実施形態では、方法をex vivoで実施する。
【0061】
本開示の特色は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本開示の原理が利用される例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明、および以下の付属図を参照することにより、本開示の特色および利点のよりよい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、簡易化した例示的な、抗原提示細胞(APC)によるエピトープXのエピトーププロセシングおよびHLA対立遺伝子X上への提示を示す。天然の状況では、ペプチドは、エピトープ配列に天然に隣接するアミノ酸またはアミノ酸配列を含む。合理的な状況では、ペプチドは、エピトープ配列のN末端および/またはC末端に、エピトープ配列をコードするゲノムによってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/またはリンカーを含む。
【0063】
【
図2】
図2は、例示的な、カテプシンBにより切断可能なリンカーを含有するポリペプチドのカテプシンBによる切断を図解する。
【0064】
【
図3】
図3は、T細胞受容体(TCR)を形質導入した細胞を使用してポリペプチドをin vitroにおいてエピトープのプロセシングおよび提示についてスクリーニングするための実験設計の図を示す(結果は
図4および5に示されている)。
【0065】
【
図4】
図4は、KRAS特異的ジャーカット細胞を等量の、KRAS-G12Vエピトープのみを含有するペプチドまたはKRAS-G12VエピトープとKRAS-G12VエピトープのN末端およびC末端に天然に隣接する追加的なアミノ酸配列とを含有するペプチドのいずれかを負荷させた末梢血単核細胞(PBMC)と48時間にわたって共培養した後にKRAS特異的ジャーカット細胞から分泌されたIL-2のレベル(pg/mL)を実証するグラフを示す。
【0066】
【
図5】
図5は、KRAS特異的ジャーカット細胞を、等量の、KRAS-G12Vエピトープのみを含有するペプチド、KRAS-G12VエピトープとKRAS-G12VエピトープのN末端およびC末端に天然に隣接する追加的なアミノ酸配列とを含有するペプチド、またはKRAS-G12Vエピトープと、KRAS-G12VエピトープのN末端および/またはC末端の合理的に設計された天然に隣接するものではない追加的なアミノ酸配列とを含有するペプチド(合理的な状況)のいずれかを負荷させた末梢血単核細胞(PBMC)と48時間にわたって共培養した後にKRAS特異的ジャーカット細胞から分泌されたIL-2のレベル(pg/mL)を実証するグラフを示す。
【0067】
【
図6】
図6は、免疫原性試験の実験設計の図を示す。マウスを0日目、7日目、および14日目に種々のポリペプチド設計を用いて免疫化し、7日目、14日目、および21日目に採血して抗原特異的CD8+T細胞応答を評価した(結果は
図7~9に示されている)。
【0068】
【
図7】
図7は、総免疫応答を実証するグラフを示す(7A:H-2K
b、7B:H-2D
b、7C:総計)。
【0069】
【
図8】
図8は、K4-エピトープを用いた免疫化により、H-2K
bにより提示されたエピトープに対する免疫応答が増強されることを実証するグラフを示す(8A:Alg8、8B:Lama4)。
【0070】
【
図9】
図9は、K4-エピトープを用いた免疫化により、H-2D
bにより提示されたエピトープに対する免疫応答が増大することを実証するグラフを示す(9A:Reps1、9B:Adpgk、9C:Irgq、9D:Obsl1)。
【0071】
【
図10】
図10は、ジャーカット細胞を、TMPRSS2::ERGエピトープのみを含有するペプチドを負荷させた293T細胞、または、天然の状況のTMPRSS2::ERGエピトープを含有するペプチド(すなわち、ペプチドは、エピトープ配列のN末端および/もしくはC末端に天然に隣接するアミノ酸もしくはアミノ酸配列をさらに含む)をコードするプラスミドを用いて形質導入した293T細胞、非天然の状況のTMPRSS2::ERGエピトープを含有するペプチド(すなわち、ペプチドは、エピトープ配列に天然に隣接するものではないアミノ酸もしくはアミノ酸配列をさらに含む)をコードするプラスミドを用いて形質導入した293T細胞、または非天然の状況で無関連のエピトープをコードするプラスミドを用いて形質導入した293T細胞(対照として)と24時間にわたって共培養した(ジャーカットと293T細胞の比5:1)後にジャーカット細胞によって分泌されたIL-2のレベル(pg/mL)を実証するグラフを示す。
【0072】
【
図11】
図11は、HLA-A11:01対立遺伝子によってコードされるMHCと結合した下線が引かれているRAS-G12Vエピトープに結合するTCRを形質導入したジャーカット細胞と共培養した後に漸増量の示されているRAS-G12V突然変異型ペプチドと接触させた、FLT3Lで処理したPBMCにおけるペプチド濃度(nM)に対するIL-2濃度(pg/mL)のグラフを示す。
【0073】
【
図12】
図12は、
図11からの示されているRAS-G12V突然変異型ペプチドの、健康なドナー由来のPBMCを使用したin vitroにおける免疫原性(上)およびペプチドを用いて免疫化したHLA-A11:01トランスジェニックマウスを使用したin vivoにおける免疫原性(下)の両方を例示するデータを示す。
【0074】
【
図13A】
図13Aは、細胞における発現のために使用した、ショートマー(9~10アミノ酸、上)およびロングマー(25アミノ酸、下)を使用したmRNA構築物の例示的な概略図を示す。
【0075】
【
図13B】
図13Bは、多量体特異的CD8+細胞の総CD8+細胞に対するパーセンテージの例示的なグラフを示す。多量体アッセイに使用した抗原が示されている。
【0076】
【
図13C】
図13Cは、多量体陽性CD8+T細胞の検出の例示的なフローサイトメトリー分析を、ショートマーペプチド(9~10アミノ酸)で刺激したAPCおよびロングマーペプチド(25アミノ酸)で刺激したAPCならびに同じショートマーペプチド(9~10アミノ酸)をコードするRNAを含有するAPCおよびロングマーペプチド(25アミノ酸)をコードするRNAを含有するAPCを比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
詳細な説明
エピトープのプロセシングおよび提示を増強して免疫応答を刺激するための方法の発見に基づいた、個々の腫瘍特異的抗原またはネオエピトープを含む新しい免疫療法用組成物ならびにその使用が本明細書に記載されている。したがって、本明細書に記載の開示は、例えば、腫瘍関連抗原またはネオエピトープに対する免疫応答を刺激するため、がん、疾患または状態の処置に使用するための免疫原性組成物またはがんワクチンを創出するために使用することができるペプチドを提供する。
【0078】
以下の説明および例は、本開示の実施形態を詳細に例示するものである。本開示は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、したがって、変動し得ることが理解されるべきである。本開示の多数の変形および改変が存在し、それらが本開示の範囲内に包含されることが当業者には理解されよう。
【0079】
用語は全て、当業者によって理解されるように理解されることが意図されている。別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本開示が関係する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0080】
本明細書で使用される節の見出しは、単に構成目的のものであり、記載の主題を限定するものとは解釈されない。
【0081】
本開示の種々の特色を単一の実施形態の関連で説明することができるが、特色を別々にまたは任意の適切な組合せで提供することもできる。逆に、本開示を本明細書では明確にするために別々の実施形態の関連で説明することができるが、本開示を単一の実施形態で実行することもできる。
【0082】
以下の定義は、当業者を補うものであり、本出願を対象とし、いかなる関連するまたは関連しない場合にも帰するものではない、例えば、いかなる共同所有特許または出願にも帰するものではない。本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本開示の試験のための実施に使用することができるが、本明細書には、好ましい材料および方法が記載されている。したがって、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定的とすることを意図するものではない。
1.定義
【0083】
本明細書において使用される用語は、単に特定の場合を説明するためのものであり、限定的とすることを意図するものではない。本出願では、他に特に指定がなければ、単数形の使用は複数形を含む。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈によりそうでないことが明白に示されない限り、複数の形態も含むものとする。
【0084】
本出願では、「または」の使用は、別段の指定のない限り、「および/または」を意味する。「および/または」および「これらの任意の組合せ」という用語およびそれらの文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、互換的に使用され得る。これらの用語は、あらゆる組合せが具体的に意図されていることを表し得る。単に例示的な目的で、以下の句「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはこれらの任意の組合せ」は、「個別にA;個別にB;個別にC;AおよびB;BおよびC;AおよびC;ならびにA、B、およびC」を意味し得る。「または」という用語は、文脈が具体的に離接的使用を指すものである場合を除き、接続的または離接的に使用され得る。
【0085】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容される誤差範囲内に入ることを意味し得、許容される誤差範囲は、値の測定または決定の仕方、すなわち、測定系の限界に一部依存することになる。例えば、「約」は、当技術分野における慣習に従って、1または1よりも大きい標準偏差内に入ることを意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物系またはプロセスに関しては、この用語は、値の1桁分以内、5倍以内、より好ましくは2倍以内であることを意味し得る。本出願および特許請求の範囲に特定の値が記載されている場合、別段の指定のない限り、特定の値に対する許容される誤差範囲内に入ることを意味する「約」という用語を前提とすべきである。
【0086】
本明細書および請求項(複数可)で使用される場合、「含む(comprising)」という単語(および含む(comprising)の任意の形態、例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」など)、「有する(having)」(および有する(having)の任意の形態、例えば「有する(have)」および「有する(has)」など)、「含む(including)」(および含む(including)の任意の形態、例えば「含む(includes)」および「含む(include)」など)または「含有する(containing)」(および含有する(containing)の任意の形態、例えば「含有する(contains)」および「含有する(contain)」)などは、包括的またはオープンエンドであり、追加的な、列挙されていない要素または方法のステップは排除されない。本明細書において考察されている任意の実施形態を本開示の任意の方法または組成物に関して実行することができ、逆もまた同じであることが意図されている。さらに、本開示の組成物を使用して本開示の方法を実現することができる。
【0087】
本明細書において「一部の実施形態」、「ある実施形態」、「一実施形態」または「他の実施形態」と言及される場合、実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造、または特徴が本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本開示の理解を容易にするために、いくつかの用語および句を以下に定義する。
【0088】
ペプチドまたはタンパク質を記載するために使用される命名法は従来の慣習に従い、各アミノ酸残基のアミノ基が左側(アミノ末端またはN末端)およびカルボキシル基が右側(カルボキシ末端またはC末端)に示される。ペプチドエピトープ内のアミノ酸残基の位置が参照される場合、アミノからカルボキシルへの方向で番号付けされ、エピトープ、またはそれが一部になり得るペプチドもしくはタンパク質のアミノ末端に位置する残基が1位になる。本開示の選択された特定の実施形態を表す式では、アミノ末端基およびカルボキシル末端基は、具体的には示していないが、別段の指定のない限り、生理的pH値で想定されるそれらの形態にある。アミノ酸構造式において、各残基は一般に標準の3文字または1文字の名称で表される。L形態のアミノ酸残基は大文字1文字または最初の文字が大文字の3文字記号で表され、D形態を有するアミノ酸残基のD形態は小文字1文字または小文字3文字記号で表される。しかし、大文字を伴わずに3文字記号またはフルネームが使用される場合にはLアミノ酸残基を指し得る。グリシンは非対称炭素原子を有さず、単に「Gly」または「G」と称される。本明細書に記載のペプチドのアミノ酸配列は、一般に、標準の1文字記号を使用して示される(A、アラニン;C、システイン;D、アスパラギン酸;E、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;H、ヒスチジン;I、イソロイシン;K、リシン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリン;T、トレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;およびY、チロシン)。
【0089】
「残基」という用語は、ペプチドまたはタンパク質にアミド結合もしくはアミド結合模倣物によって組み入れられるアミノ酸残基もしくはアミノ酸模倣物残基、またはアミノ酸もしくはアミノ酸模倣物をコードする核酸(DNAもしくはRNA)を指す。
【0090】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、およびそれらの文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、アミノ酸残基のポリマーを指す。「成熟タンパク質」は、全長(full-length)であり、必要に応じて、グリコシル化または所与の細胞環境においてタンパク質に典型的な他の修飾を含むタンパク質である。本明細書に開示されるポリペプチドおよびタンパク質(その機能的部分および機能的バリアントを含む)は、1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含み得る。そのような合成アミノ酸は当技術分野で公知であり、それらとしては、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-およびトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリンβ-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リシン、N’,N’-ジベンジル-リシン、6-ヒドロキシリシン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、およびα-tert-ブチルグリシンが挙げられる。本開示では、工学的に操作された細胞における本明細書に記載のポリペプチドの発現にはポリペプチド構築物の1つまたは複数のアミノ酸の翻訳後修飾が付随し得ることがさらに意図されている。翻訳後修飾の非限定的な例としては、リン酸化、アセチル化およびホルミル化を含めたアシル化、グリコシル化(N結合およびO結合を含む)、アミド化、ヒドロキシル化、メチル化およびエチル化を含めたアルキル化、ユビキチン化、ピロリドンカルボン酸の付加、ジスルフィド架橋の形成、硫酸化、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、ファルネシル化、ゲラニル化、グリピエーション、リポイル化およびヨウ素化が挙げられる。
【0091】
「ペプチド」という用語は、1つのアミノ酸残基と他のアミノ酸残基が一般にはα-アミノと隣のアミノ酸残基のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続したアミノ酸残基のひと続きを指す。
【0092】
「合成ペプチド」は、非天然供給源から得られる、例えば、人間により作出されたペプチドを指す。そのようなペプチドは、化学合成または組換えDNA技術などの方法を使用して作製することができる。「合成ペプチド」は「融合タンパク質」を含む。
【0093】
「エピトープ」は、例えば免疫グロブリン、T細胞受容体、HLA分子、またはキメラ抗原受容体によって認識される部位を一緒になって形成する、一次、二次、および三次ペプチド構造、ならびに電荷などの分子の集合的な特色である。あるいは、エピトープは、特定の免疫グロブリンによる認識に関与するアミノ酸残基のセット、またはT細胞に関しては、T細胞受容体タンパク質、キメラ抗原受容体、および/もしくは主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)受容体による認識に必要な残基のセットと定義することができる。「T細胞エピトープ」は、クラスIまたはIIのMHC分子がペプチド提示MHC分子またはMHC複合体の形態で結合することができ、次いで、この形態で、Tリンパ球またはヘルパーT細胞などのT細胞が認識し、結合することができるペプチド配列を意味するものと理解されるべきである。エピトープは、天然の供給源から単離することによって調製することもでき、当技術分野における標準のプロトコールに従って合成することもできる。合成エピトープは、人工的なアミノ酸残基、「アミノ酸模倣物」、例えば、天然に存在するLアミノ酸残基のD異性体またはシクロヘキシルアラニンなどの天然に存在しないアミノ酸残基などを含み得る。本開示全体を通して、エピトープは一部の場合ではペプチドまたはペプチドエピトープと称され得る。本明細書に記載のエピトープまたは類似体ならびに追加的なアミノ酸(複数可)を含むタンパク質またはペプチドがそれでも本開示の範囲内に入ることが理解されるべきである。ある特定の実施形態では、ペプチドは抗原の断片を含む。ある特定の実施形態では、本開示のペプチドの長さは限定される。長さが限定される実施形態は、本明細書に記載のエピトープを含むタンパク質またはペプチドがネイティブな配列に対して100%の同一性を有する領域(すなわち、連続したアミノ酸残基のひと続き)を含む場合に生じる。読み取りからのエピトープの規定を回避するために、例えば、天然分子全体に対して、ネイティブなペプチド配列に対して100%の同一性を有するあらゆる領域の長さが限定される。したがって、本明細書に記載のエピトープおよびネイティブなペプチド配列に対して100%の同一性を有する領域を含むペプチドに関しては、ネイティブな配列に対して100%の同一性を有する領域は、一般に、600アミノ酸残基未満またはそれと等しい、500アミノ酸残基未満またはそれと等しい、400アミノ酸残基未満またはそれと等しい、250アミノ酸残基未満またはそれと等しい、100アミノ酸残基未満またはそれと等しい、85アミノ酸残基未満またはそれと等しい、75アミノ酸残基未満またはそれと等しい、65アミノ酸残基未満またはそれと等しい、および50アミノ酸残基未満またはそれと等しい長さを有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の「エピトープ」は、ネイティブなペプチド配列に対して100%の同一性を有する51アミノ酸残基未満、任意の変化量で5アミノ酸残基まで;例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸残基の領域を有するペプチドによって構成される。
【0094】
「引き出された(derived)」という用語およびその文法上の等価物は、エピトープの考察に使用される場合、「調製された(prepared)」およびその文法上の等価物と同義語である。引き出されたエピトープは、天然の供給源から単離することもでき、当技術分野における標準のプロトコールに従って合成することもできる。合成エピトープは、天然に存在するLアミノ酸残基のD異性体などの人工的なアミノ酸残基「アミノ酸模倣物」またはシクロヘキシルアラニンなどの非天然アミノ酸残基を含み得る。引き出されたまたは調製されたエピトープはネイティブなエピトープの類似体であり得る。
【0095】
「免疫原性」ペプチドまたは「免疫原性」エピトープまたは「ペプチドエピトープ」は、対立遺伝子特異的モチーフを含むペプチドであり、したがって、当該ペプチドはHLA分子に結合し、細胞媒介性または体液性応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL(例えば、CD8+))、ヘルパーTリンパ球(Th(例えば、CD4+))および/またはBリンパ球応答を誘導する。したがって、本明細書に記載の免疫原性ペプチドは、適当なHLA分子に結合し、その後、当該ペプチドに対するCTL(細胞傷害性)応答、またはHTL(および体液性)応答を誘導することができる。
【0096】
「新抗原」は、タンパク質の腫瘍特異的変化から生じるクラスの腫瘍抗原を意味する。新抗原は、これだけに限定されないが、例えば、タンパク質配列内の置換、フレームシフト突然変異、融合ポリペプチド、インフレーム欠失、挿入、内因性レトロウイルスポリペプチドの発現、およびポリペプチドの腫瘍特異的過剰発現から生じる腫瘍抗原を包含する。
【0097】
「突然変異型ペプチド」、「腫瘍特異的ペプチド」、「新抗原ペプチド」、および「新抗原性ペプチド」という用語は、本明細書では「ペプチド」と互換的に使用され、1つの残基、一般にはL-アミノ酸が他の残基、一般にはL-アミノ酸と一般にはα-アミノと隣のアミノ酸のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続したひと続きを指す。同様に、「ポリペプチド」という用語は、本明細書では「突然変異型ポリペプチド」、「新抗原ポリペプチド」、および「新抗原性ポリペプチド」と互換的に使用され、1つの残基、例えばL-アミノ酸が他の残基、例えばL-アミノ酸と一般にはα-アミノと隣のアミノ酸のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続した一続きを指す。ポリペプチドまたはペプチドは、種々の長さであってよく、中性(非荷電)形態であっても塩の形態であってもよく、また、グリコシル化、側鎖の酸化、またはリン酸化などの修飾を有さないものであっても、これらの修飾を含有するものであってもよく、修飾により本明細書に記載のポリペプチドの生物活性が損なわれない条件に供することができる。ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの隣接配列を含む。「隣接配列」という用語は、本明細書で使用される場合、新抗原ペプチドの、ネオエピトープの一部ではない断片または領域を指す。
【0098】
「ネオエピトープ」、「腫瘍特異的ネオエピトープ」、「腫瘍特異的エピトープ」、または「腫瘍抗原」は、非疾患細胞、例えば非がん性細胞または生殖細胞系列細胞などの参照には存在しないが、疾患細胞、例えばがん細胞には見いだされるエピトープまたは抗原性決定領域を指す。これは、対応するエピトープが正常な非疾患細胞または生殖細胞系列細胞において見いだされるが、疾患細胞、例えば、がん細胞における1つまたは複数の突然変異に起因して、エピトープの配列が変化し、その結果、ネオエピトープが生じた状況を含む。「ネオエピトープ」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチドまたは新抗原性ペプチド内の抗原性決定領域を指す。ネオエピトープは、少なくとも1つの「アンカー残基」および少なくとも1つの「アンカー残基隣接領域」を含み得る。ネオエピトープは、「分離領域」をさらに含み得る。「アンカー残基」という用語は、HLA上の特異的なポケットに結合し、HLAとの相互作用の特異性をもたらすアミノ酸残基を指す。一部の場合では、アンカー残基は、標準的アンカー位置にあり得る。他の場合では、アンカー残基は、非標準的アンカー位置にあり得る。ネオエピトープは、HLA分子に、ペプチド結合性溝内のポケットの中に突出した一次および二次アンカー残基を通じて結合し得る。ペプチド結合性溝では、特定のアミノ酸が、提示されたネオエピトープのアンカー残基の対応する側鎖を収容するポケットを構成する。HLA I分子およびHLA II分子のどちらも、異なる対立遺伝子の間でペプチド結合性選好が存在する。HLAクラスI分子は短いネオエピトープに結合し、当該ネオエピトープのN末端およびC末端がネオエピトープ結合性溝の末端に位置するポケット内に係留される。大多数のHLAクラスI結合性ネオエピトープは約9アミノ酸であるが、より長いネオエピトープも、それらの中心部分のふくらみに収容され得、その結果、約8~12アミノ酸の結合性ネオエピトープがもたらされる。HLAクラスIIタンパク質に結合するネオエピトープのサイズに制約はなく、約16アミノ酸から25アミノ酸まで変動し得る。HLAクラスII分子のネオエピトープ結合性溝は両末端において開いており、それにより、長さが比較的長いペプチドが結合することが可能になる。ネオエピトープの認識にはコアの9アミノ酸残基長のセグメントが最も大きく寄与するが、アンカー残基隣接領域もペプチドのHLAクラスII対立遺伝子に対する特異性のために重要である。一部の場合では、アンカー残基隣接領域はN末端残基である。別の場合では、アンカー残基隣接領域はC末端残基である。さらに別の場合では、アンカー残基隣接領域はN末端残基およびC末端残基の両方である。一部の場合では、アンカー残基隣接領域には少なくとも2つのアンカー残基が隣接している。アンカー残基が隣接しているアンカー残基隣接領域は「分離領域」である。
【0099】
「主要組織適合性遺伝子複合体」または「MHC」は、生理的免疫応答を担う細胞相互作用の調節において役割を果たす遺伝子のクラスターである。ヒトでは、MHC複合体はヒト白血球抗原(HLA)複合体としても公知である。MHCおよびHLA複合体の詳細な説明については、Paul, Fundamental Immunology, 3rd Ed., Raven Press, New York (1993)を参照されたい。「主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)のタンパク質または分子」、「MHC分子」、「MHCタンパク質」または「HLAタンパク質」は、タンパク質抗原のタンパク質分解性切断の結果生じたペプチドに結合し、潜在的なリンパ球エピトープ(例えば、T細胞エピトープおよびB細胞エピトープ)を表し、それらを細胞表面に輸送し、そこで特定の細胞、特に細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、またはB細胞に提示することができるタンパク質を意味するものと理解されるべきである。ゲノム内の主要組織適合性遺伝子複合体は、細胞表面上に発現される遺伝子産物が内因性および/または外来抗原に結合し、それを提示するため、したがって、免疫学的プロセスを調節するために重要なものである、遺伝子領域を含む。主要組織適合性遺伝子複合体は、異なるタンパク質、すなわちMHCクラスIの分子およびMHCクラスIIの分子をコードする2つの遺伝子群に分類される。2つのMHCクラスの細胞生物学および発現パターンはこれらの異なる役割に適合する。
【0100】
「ヒト白血球抗原」または「HLA」はヒトクラスIまたはクラスII主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)タンパク質である(例えば、Stites, et al., Immunology, 8th Ed., Lange Publishing, Los Altos, Calif. (1994)を参照されたい)。
【0101】
「ペプチド-MHC(pMHC)安定性」は、生化学的アッセイにおいて特定のペプチドの半分量が同類HLAから解離するのにかかる時間の長さを指す。
【0102】
「抗原提示細胞」(APC)は、MHC分子と結び付いたタンパク質抗原のペプチド断片を細胞表面上に提示する細胞である。一部のAPCは抗原特異的T細胞を活性化し得る。成熟プロフェッショナル抗原提示細胞は、抗原をファゴサイトーシスによってまたは受容体媒介性エンドサイトーシスによってのいずれかで内部移行させ、次いで、クラスII MHC分子と結合した抗原の断片を膜上にディスプレイすることに関して非常に効率的である。T細胞が抗原提示細胞の膜上の抗原-クラスII MHC分子複合体を認識し、それと相互作用する。次いで、追加的な共刺激シグナルが抗原提示細胞によって生成され、それにより、T細胞の活性化が導かれる。共刺激分子の発現はプロフェッショナル抗原提示細胞の決定的な特色である。プロフェッショナル抗原提示細胞の主要な型は、最も広範な抗原提示の範囲を有し、おそらく最も重要な抗原提示細胞である樹状細胞、マクロファージ、B細胞、およびある特定の活性化された上皮細胞である。「樹状細胞(DC)」は、末梢組織において捕捉された抗原を、MHCクラスII抗原提示経路およびMHCクラスI抗原提示経路の両方を介してT細胞に提示する白血球集団である。樹状細胞は免疫応答の強力な誘導因子であり、これらの細胞の活性化が抗腫瘍性免疫の誘導のための極めて重要なステップであることが周知である。樹状細胞は、「未成熟」細胞と「成熟」細胞に都合よくカテゴリー化され、これを、2つのよく特徴付けられた表現型を区別する単純なやり方として使用することができる。しかし、この命名法は、分化の可能性のある中間段階を全て排除するものと解釈されるべきではない。未成熟樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングに関する能力が高い抗原提示細胞と特徴付けられ、これは、Fc受容体(FcR)およびマンノース受容体の高発現と相関する。成熟表現型は、一般には、これらのマーカーは低発現であるが、クラスI MHCおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4-1BB)などのT細胞活性化を担う細胞表面分子が高発現であることを特徴とする。
【0103】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「核酸」、「ポリ核酸」、または「オリゴヌクレオチド」という用語およびそれらの文法上の等価物は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNA、例えばmRNAを含む。したがって、これらの用語は、二本鎖および一本鎖DNA、三本鎖DNA、ならびに二本鎖および一本鎖RNAを包含する。この用語は、例えばメチル化によっておよび/またはキャップ形成によって修飾された形態のポリヌクレオチド、ならびに修飾されていない形態のポリヌクレオチドも含む。この用語はまた、天然に存在しないまたは合成ヌクレオチドならびにヌクレオチド類似体を含む分子を含むものとする。本明細書において開示または意図されている核酸配列およびベクターを、例えばトランスフェクション、形質転換、または形質導入によって細胞に導入することができる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/もしくはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み入れることができる任意の基質であり得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドおよび核酸は、in vitro転写されたmRNAであり得る。一部の実施形態では、本開示の方法を使用して投与されるポリヌクレオチドはmRNAである。
【0104】
「参照」は、本開示の方法において腫瘍検体から得られた結果を相関させ、比較するために使用することができるものである。一般には、「参照」は、患者または1もしくは複数の異なる個体、例えば健康な個体、特に同じ種の個体のいずれかから得られた1つまたは複数の正常な検体、特に、がん疾患の影響を受けていない検体に基づいて得ることができる。「参照」は、十分に多数の正常な検体を試験することによって経験的に決定することができる。
【0105】
「突然変異」または「突然変異体」という用語は、参照と比較した核酸配列の変化または差異(ヌクレオチドの置換、付加、挿入、または欠失)を指す。「体細胞突然変異」は、生殖細胞(精子および卵)以外の体の細胞のいずれかに生じ得るものであり、したがって、子供には伝えられない。これらの変更によりがんまたは他の疾患が引き起こされ得る(必ずしもではない)。一部の実施形態では、突然変異は非同義突然変異である。「非同義突然変異」という用語は、翻訳産物におけるアミノ酸置換などのアミノ酸変化をもたらす突然変異、例えばヌクレオチド置換を指す。「フレームシフト」は、突然変異により遺伝子のコドン周期性(「読み枠」としても公知)の通常の相が乱され、非ネイティブなタンパク質配列の翻訳がもたらされる場合に生じる。遺伝子における異なる突然変異により同じ変更された読み枠が実現される可能性がある。ミスセンス突然変異、融合転写物、フレームシフト、および/または終止コドン喪失などの、ゲノムにおける種々の突然変異事象によってオープンリーディングフレーム(ORF)が変更されると、「ネオORF」が創出され得る。ネオORFは、正常なゲノムには存在しない新規のアミノ酸配列をコードし得る。
【0106】
「保存的アミノ酸置換」は、1アミノ酸残基が同様の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられた置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。例えば、チロシンのフェニルアラニンでの置換は保存的置換である。ペプチド機能を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換を同定する方法は当技術分野で周知である。
【0107】
「ネイティブな」または「野生型」配列は、天然に見いだされる配列を指す。そのような配列は、天然ではより長い配列を含み得る。
【0108】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、結合対の2つのメンバー、例えばHLA結合性ペプチドとクラスIまたはII HLAの間の結合の強度の評価基準を指す。KDは解離定数であり、単位は容積モル濃度である。親和定数は解離定数の逆数である。時には親和定数がこの化学的実体を説明するための一般用語として使用される。親和定数は結合のエネルギーの直接的な評価基準である。親和性は、実験的に、例えば、市販のBiacore SPR unitを使用して表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定することができる。親和性は、阻害濃度50(IC50)として表すこともでき、これは、ペプチドの50%が取って代わられる濃度である。同様に、ln(IC50)はIC50の自然対数を指す。Koffは、例えば、HLA結合性ペプチドとクラスIまたはII HLAの解離についての解離速度定数を指す。本開示全体を通して、「結合データ」または「結合解析」の結果は、「IC50」によって表され得る。IC50は、結合アッセイにおいて、標識された参照ペプチドの結合の50%阻害が観察される、試験したペプチドの濃度である。アッセイが実行される条件(すなわち、HLAタンパク質および標識された参照ペプチド濃度の限定)を考慮すると、これらの値はKD値に近づく。結合を決定するためのアッセイは当技術分野で周知であり、例えば、PCT公開第WO94/20127およびWO94/03205、ならびにSidney et al., Current Protocols in Immunology 18.3.1 (1998);Sidney, et al., J. Immunol. 154:247 (1995);およびSette, et al., Mol. Immunol. 31:813 (1994) などの他の刊行物に詳細に記載されている。あるいは、結合は、参照標準ペプチドによる結合と比べて表すことができる。例えば、参照標準ペプチドのIC50と比べたIC50に基づくものであってよい。結合はまた、以下を使用するものを含めた他のアッセイ系を使用して決定することもできる:生細胞(例えば、Ceppellini et al., Nature 339: 392 (1989); Christnick et al., Nature 352: 67 (1991); Busch et al., Int. Immunol. 2: 443 (1990); Hill et al., J. Immunol. 147: 189 (1991); del Guercio et al., J. Immunol. 154: 685 (1995))、界面活性剤溶解物を使用した無細胞系(例えば、Cerundolo et al., J. Immunol. 21: 2069 (1991))、固定化した精製MHC(例えば、Hill et al., J. Immunol. 152, 2890 (1994); Marshall et al., J. Immunol. 152: 4946 (1994))、ELISA系(例えば、Reay et al., EMBO J. 11: 2829 (1992))、表面プラズモン共鳴(例えば、Khilko et al., J. Biol. Chem. 268: 15425 (1993));高流量可溶性相アッセイ(Hammer et al., J. Exp. Med. 180: 2353 (1994))、およびクラスI MHC安定化またはアセンブリの測定(例えば、Ljunggren et al., Nature 346: 476 (1990); Schumacher et al., Cell 62: 563 (1990); Townsend et al., Cell 62: 285 (1990); Parker et al., J. Immunol. 149: 1896 (1992))。「交差反応性結合」は、ペプチドに1つよりも多くのHLA分子が結合することを示す;同義語は縮重結合である。
【0109】
「天然に存在する」という用語およびその文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、物体を天然に見いだすことができるという事実を指す。例えば、生物体(ウイルスを含む)内に存在し、天然の供給源から単離することができ、実験室で人間によって意図的に改変されていないペプチドまたは核酸は、天然に存在するものである。
【0110】
「抗原プロセシング」または「プロセシング」およびその文法上の等価物は、ポリペプチドまたは抗原の、前記ポリペプチドまたは抗原の断片であるプロセシング産物への分解(例えば、ポリペプチドのペプチドへの分解)、および、細胞、例えば抗原提示細胞による特定のT細胞への提示のためのこれらの断片の1つまたは複数のMHC分子との結びつき(例えば、結合によるもの)を指す。
【0111】
「対象」という用語は、これだけに限定されないが、特定の処置のレシピエントになるヒト、非ヒト霊長類、イヌ科の動物、ネコ科の動物、齧歯類などを含めた任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。一般には、「対象」および「患者」という用語は、ヒト対象に関して本明細書では互換的に使用される。
【0112】
「細胞」およびそれらの文法上の等価物は、ヒトまたは非ヒト動物起源の細胞を指す。
【0113】
「T細胞」は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む。T細胞という用語は、Tヘルパー1型T細胞およびTヘルパー2型T細胞の両方も含む。
【0114】
本開示によると、「ワクチン」という用語は、投与されると、がん細胞などの病原体または疾患細胞を認識し、攻撃する免疫応答、例えば細胞性または体液性免疫応答を誘導する医薬調製物(医薬組成物)または製品に関する。ワクチンは、疾患の防止または処置のために使用することができる。「個人に合わせたがんワクチン」または「個別化がんワクチン」という用語は、特定のがん患者に関し、がんワクチンが個々のがん患者の必要性または特別な状況に適合させたものであることを意味する。
【0115】
「有効量」または「治療有効量」または「治療効果」という用語は、対象または哺乳動物における疾患または障害を「処置する(treat)」ために治療効果のある量を指す。治療有効量の薬物には治療効果があり、したがって、疾患もしくは障害の発症を防止すること;疾患もしくは障害の発症を緩徐化すること;疾患もしくは障害の増悪を緩徐化すること;疾患または障害に付随する症状の1つまたは複数をいくらかの程度まで軽減すること;罹患率および死亡率を低下させること;生活の質を改善すること;またはそのような影響の組合せがなされ得る。
【0116】
「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」または「処置すること(to treat)」または「緩和すること(alleviating)」または「緩和すること(to alleviate)」という用語は、(1)診断された病的状態または障害を治癒する、緩徐化する、その症状を和らげる、および/または増悪を止める治療的措置;ならびに(2)標的化された病的状態または障害を防止するまたはその発症を緩徐化させる予防的または防止的措置の両方を指す。したがって、処置を必要とするものは、すでに障害を有するもの;障害を有しやすいもの;および障害を防止すべきものを含む。
【0117】
「薬学的に許容される」は、一般に無毒性であり、不活性であり、かつ/または生理的に適合性の組成物または組成物の構成成分を指す。
【0118】
「医薬賦形剤」または「賦形剤」は、アジュバント、担体、pH調整および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、保存剤などの材料を含む。「医薬賦形剤」は、薬学的に許容される賦形剤である。
【0119】
「免疫調節剤」またはその文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、免疫系を刺激または抑制することができ、個体の体が疾患、例えば、感染、がんなどと闘うために役立ち得る物質を指し得る。免疫系の特定の部分に影響を及ぼす特異的免疫調節剤の例としては、これだけに限定されないが、モノクローナル抗体、サイトカイン、およびワクチンが挙げられる。非特異的免疫調節剤は免疫系に全般的に影響を及ぼし、その非限定的な例としては、カルメット-ゲラン桿菌(BCG)およびレバミソールが挙げられる。
【0120】
「がん」という用語およびその文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、正常調節の喪失という独特の形質により、制御されない成長、分化の欠如、局所的組織浸潤、および転移がもたらされる、細胞の過剰増殖を指し得る。本発明の組成物および方法に関して、がんは、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱がん(bladder cancer)、骨がん、脳がん、乳がん、肛門、肛門管、直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、頸部、胆嚢、もしくは胸膜のがん、鼻、鼻腔、もしくは中耳のがん、口腔のがん、外陰部のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎がん(kidney cancer)、喉頭がん(larynx cancer)、白血病、液性腫瘍、肝がん、肺がん、リンパ腫、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵がん、腹膜、網、および腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん(rectal cancer)、腎がん(renal cancer)、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、固形腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿管がん、および/または膀胱がん(urinary bladder cancer)のいずれかを含めた任意のがんであり得る。本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、細胞または組織の、例えば悪性型または良性型の異常な成長を指す。
【0121】
「エクソーム」という用語は、機能的なタンパク質をコードするゲノムの一部、またはゲノム内のタンパク質コード遺伝子の全てのエクソンもしくはコード領域を包含する配列を指す。エクソームは種に応じて全ゲノムの約1~2%である。
【0122】
「希釈剤」は、石油、動物、野菜または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含めた、水および油などの滅菌された液体を含む。水も医薬組成物用の希釈剤である。生理食塩水溶液および水性ブドウ糖およびグリセロール溶液も、例えば注射液の希釈剤として使用することができる。
【0123】
「受容体」は、リガンドに結合することができる生体分子または分子の群を意味するものと理解されるべきである。受容体は、細胞、細胞形成、または生物体における情報の伝達に役立ち得る。受容体は、少なくとも1つの受容体単位を含み、例えば、各受容体単位がタンパク質分子からなり得る。受容体は、リガンドの構造を補完する構造を有し、リガンドと結合パートナーとして複合体を形成することができる。情報は、特に、細胞の表面上でリガンドと複合体を形成した後の受容体のコンフォメーションの変化によって伝達される。一部の実施形態では、受容体は、特に、リガンド、特に適切な長さのペプチドまたはペプチド断片と受容体/リガンド複合体を形成することができるMHCクラスIおよびIIのタンパク質を意味するものと理解されるべきである。
【0124】
「リガンド」は、受容体の構造と相補的な構造を有し、この受容体と複合体を形成することができる分子を意味するものと理解されるべきである。一部の実施形態では、リガンドは、適切な長さおよびアミノ酸配列内の適切な結合性モチーフを有するペプチドまたはペプチド断片であり、したがって、MHCクラスIまたはMHCクラスIIのタンパク質と複合体を形成することができるペプチドまたはペプチド断片を意味するものと理解されるべきである。
【0125】
一部の実施形態では、「受容体/リガンド複合体」も同様に、ペプチドを提示するまたはペプチド断片を提示するクラスIまたはクラスIIのMHC分子を含む「受容体/ペプチド複合体」または「受容体/ペプチド断片複合体」を意味するものと理解されるべきである。
【0126】
「モチーフ」という用語は、特定のHLA分子によって認識される、長さが規定されたアミノ酸配列内の残基のパターン、例えば、約15アミノ酸残基未満の長さ、または約13アミノ酸残基未満の長さ、例えば、クラスI HLAモチーフについては約8アミノ酸残基から約13アミノ酸残基まで(例えば、8、9、10、11、12、または13)、およびクラスII HLAモチーフについては約6アミノ酸残基から約25アミノ酸残基まで(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)のペプチドを指す。モチーフは、一般には、所与のヒトHLA対立遺伝子によってコードされる各HLAタンパク質によって異なる。これらのモチーフは、一次および二次アンカー残基のパターンが異なる。一部の実施形態では、MHCクラスIモチーフは9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、または11個のアミノ酸残基の長さのペプチドを同定する。
【0127】
本明細書で使用される「同一」という用語およびその文法上の等価物、または2つの核酸配列またはポリペプチドのアミノ酸配列に関して「配列同一性」は、指定の比較ウインドウにわたって最大の対応でアラインメントした場合に2つの配列内の残基が同じであることを指す。「比較ウインドウ」は、本明細書で使用される場合、配列を、同じ数の連続した位置の参照配列と、2つの配列を最適にアラインメントした後に比較することができる少なくとも約20カ所、通常約50~約200カ所、より通常では約100~約150カ所の連続した位置のセグメントを指す。比較のために配列をアラインメントする方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math., 2: 482 (1981)の局所相同性アルゴリズムによって;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol., 48: 443 (1970)のアラインメントアルゴリズムによって;Pearson and Lipman, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 85: 2444 (1988)の類似性法の検索によって;これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行によって(これだけに限定されないが、IntelligenticsによるPC/Geneプログラム中のCLUSTAL、Mountain View Calif.、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびWisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.、Madison、Wis.、U.S.A.中のTFASTAを含む)行うことができる;CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp, Gene, 73: 237-244 (1988)およびHiggins and Sharp, CABIOS, 5: 151-153 (1989); Corpet et al., Nucleic Acids Res., 16: 10881-10890 (1988); Huang et al., Computer Applications in the Biosciences, 8: 155-165 (1992);ならびにPearson et al., Methods in Molecular Biology, 24: 307-331 (1994)によって十分に記載されている。アラインメントはまた、多くの場合、検査および手動のアラインメントによっても実施される。実施形態の1つのクラスでは、本明細書のポリペプチドは、例えば、BLASTP(またはCLUSTAL、または任意の他の利用可能なアラインメントソフトウェア)により、デフォルトパラメータを使用して測定して、参照ポリペプチドまたはその断片に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。同様に、核酸も出発核酸を参照して説明することができ、核酸は、例えば、BLASTN(またはCLUSTAL、または任意の他の利用可能なアラインメントソフトウェア)により、デフォルトパラメータを使用して測定して、参照核酸またはその断片に対して、例えば50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し得る。1つの分子がより大きな分子に対してある特定の配列同一性のパーセンテージを有するといえる場合、2つの分子を最適にアラインメントした場合に、より小さな分子内の前記パーセンテージの残基が、2つの分子を最適にアラインメントした順序に従ってより大きな分子内の残基とマッチすることを意味する。
【0128】
「実質的に同一」という用語およびその文法上の等価物は、核酸またはアミノ酸配列に適用される場合、核酸またはアミノ酸配列が、上記のプログラム、例えばBLASTを使用し、標準のパラメータを使用して、参照配列と比較して少なくとも90%またはそれよりも大きい、少なくとも95%、少なくとも98%、および少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。例えば、BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)では、デフォルトとしてワード長(word length)(W)11、期待値(expectation)(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムでは、デフォルトとしてワード長(word length)(W)3、期待値(expectation)(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1992)を参照されたい)。配列同一性のパーセンテージは、比較ウインドウにわたって最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって決定し、ここで、2つの配列を最適にアラインメントするために、比較ウインドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列内に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定してマッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較のウインドウの位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出する。複数の実施形態では、少なくとも約50残基の長さである配列の領域にわたって、少なくとも約100残基の領域にわたって実質的な同一性が存在し、複数の実施形態では、配列は少なくとも約150残基にわたって実質的に同一である。複数の実施形態では、配列はコード領域の長さ全体にわたって実質的に同一である。
【0129】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、目的の1つまたは複数の遺伝子または配列を宿主細胞に送達し、通常はそこで発現させることができる構築物を意味する。ベクターの例としては、これだけに限定されないが、ウイルスベクター、ネイキッドDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド、またはファージベクター、カチオン性縮合剤と結び付いたDNAもしくはRNA発現ベクター、およびリポソームに封入されたDNAもしくはRNA発現ベクターが挙げられる。
【0130】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然に見いだされない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、もはや天然に見いだされる形態ではない程度まで精製されたものを含む。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。一部の実施形態では、「単離されたポリヌクレオチド」は、PCRまたは定量的PCR反応で増幅されたポリヌクレオチドを含むPCRまたは定量的PCR反応物を包含する。
【0131】
「単離された」、「生物学的に純粋」という用語またはそれらの文法上の等価物は、材料が、その材料がネイティブな状態で見いだされる場合に通常付随する構成成分を実質的にまたは基本的に含まないことを指す。したがって、本明細書に記載の単離されたペプチドは、ペプチドのin situ環境でそれらに通常付随する材料の一部または全部を含有しない。「単離された」エピトープは、エピトープが引き出される抗原の配列全体を含まないエピトープを指す。一般には「単離された」エピトープには、ネイティブな配列の長さ全体にわたって100%の同一性を有する配列をもたらす追加的なアミノ酸残基は付着していない。ネイティブな配列は、エピトープが引き出される腫瘍関連抗原などの配列であり得る。したがって、「単離された」という用語は、材料がその元の環境(例えば、天然に存在する場合には天然の環境)から取り出されていることを意味する。「単離された」核酸は、その天然の環境から取り出された核酸である。例えば、生きている動物の中に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはペプチドは単離されたものではないが、天然系において共存する材料の一部または全部から分離された同じポリヌクレオチドまたはペプチドは単離されたものである。そのようなポリヌクレオチドはベクターの一部であり得、かつ/またはそのようなポリヌクレオチドまたはペプチドは組成物の一部であり得、それでもなお、そのようなベクターまたは組成物はその天然の環境の一部ではないという点で「単離された」ものである。単離されたRNA分子は、本明細書に記載のDNA分子のin vivoまたはin vitroにおけるRNA転写物を含み、合成により作製されたそのような分子をさらに含む。
【0132】
「実質的に純粋」という用語は、本明細書で使用される場合、材料が少なくとも50%純粋である(すなわち、夾雑物を含まない)、少なくとも90%純粋である、少なくとも95%純粋である、少なくとも98%純粋である、または少なくとも99%純粋であることを指す。
【0133】
「トランスフェクション」、「形質転換」、または「形質導入」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞に物理的または化学的方法を使用することによって導入することを指す。多くのトランスフェクション技法が当技術分野で公知であり、それらとしては、例えば、リン酸カルシウムDNA共沈澱(例えば、Murray E. J. (ed.), Methods in Molecular Biology, Vol. 7, Gene Transfer and Expression Protocols, Humana Press (1991)を参照されたい);DEAE-デキストラン; 電気穿孔;カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子促進性微小粒子衝撃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈澱(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が挙げられる。ファージベクターまたはウイルスベクターは、感染性粒子を適切なパッケージング細胞で成長させた後、宿主細胞に導入することができ、パッケージング細胞の多くは市販されている。
2.増強された切断およびその使用
【0134】
治癒的かつ腫瘍特異的免疫療法の開発に関する極めて重要な関門の1つは、適正な免疫応答を生じさせるための抗原提示のためのプロセシングおよび最小エピトープの遊離が不十分であることである。抗原のプロセシングおよび提示は、タンパク質の断片化またはタンパク質分解、タンパク質断片またはペプチドの主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子との結び付き、およびT細胞上のT細胞受容体(TCR)による認識のための細胞表面上でのペプチド-MHC(pMHC)分子の発現をもたらす、細胞内で生じるプロセスを指す。抗原提示は、抗原提示細胞(APC)およびある特定の他の細胞の表面上に見いだされるMHCクラスI分子およびMHCクラスII分子によって媒介される。MHCクラスIおよびMHCクラスII分子により短いペプチドが細胞表面に送達され、それにより、これらのペプチドがそれぞれ細胞傷害性(CD8+)T細胞およびヘルパー(CD4+)T細胞によって認識されることが可能になる。TCRは、抗原を細胞表面上でMHC分子と結合したペプチドの形態でのみ認識することができ、T細胞によって認識される抗原は、高分子構造の分解、個々のタンパク質のアンフォールディング、および、それらの、抗原プロセシングによる短い断片への切断から生じるペプチドである。
【0135】
細胞表面上の抗原提示には、最小エピトープを遊離するためのプロテアソームによるペプチドの正確なプロセシング、細胞質基質および小胞体(ER)アミノペプチダーゼ、効率的な抗原プロセシング関連輸送体(TAP)の輸送、およびMHCクラスI分子との十分な結合が必要である。エピトープ生成の効率は、エピトープ自体だけでなく、その隣接領域またはエピトープのアミノ酸配列に隣接するアミノ酸配列にも依存する。エピトープ配列およびエピトープ配列に隣接するアミノ酸配列を含むペプチドからの最小エピトープのプロセシングの効率は完全には理解されていないが、ペプチド内の切断部位の両側の特定のアミノ酸残基および近くの他の競合する切断部位を含めた多数の因子の影響を受けることが公知である。
【0136】
プロセシングおよび最小エピトープの遊離が不十分である問題に対処するための1つのやり方は、ペプチドの切断およびプロセシングならびにエピトープの提示を増強するためにエピトープ配列のN末端および/またはC末端に付加することができる特定のアミノ酸残基または配列を試験し、設計することである。例えば、効率的にプロセシングされることが公知の他のエピトープ由来のアミノ酸残基または配列をエピトープ配列に付加することができる。別の例は、一般にエピトープの周囲に観察されることが公知のアミノ酸残基を使用することである(Abelin, et al., 2017, Immunity 46, 315-326)。この手法では、ペプチドの製造(例えば、合成、精製、および/もしくは製剤化)を容易にすることまたは容易な下流の修飾(例えば、他の分子とのコンジュゲーション)を含めた追加的な利益を付与することができる。
【0137】
効率的なプロセシングおよび最小エピトープの遊離に関する現在の関門に対処する別のやり方は、プロテアーゼにより切断可能なリンカーを使用して、エピトープ含有ペプチドをエピトープの遊離のための部位特異的プロテアーゼプロセシングの標的とすることである。例えば、樹状細胞(DC)の内側で容易に切断されて最小エピトープ配列を遊離し得る特定のリンカーを使用して、ワクチン接種後のCD8依存性免疫応答を増強することができる。これらのペプチドは、さらに、非プロフェッショナルAPCの表面上のMHCクラスI分子への非選択的結合性は有さず、その代わりに、特異的(例えば、エンドサイトーシス)経路を通過して適当にプロセシングされ、T細胞に提示される。さらに、十分なエピトープのプロセシングおよび提示を促進するための別の例は、2つの戦略、すなわち、特定のアミノ酸残基と特定のリンカーを組み合わせることである。
【0138】
対象のゲノムによってコードされるエピトープ配列、対象のゲノム内のエピトープ配列をコードする核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされる場合もありコードされない場合もあるアミノ酸もしくはアミノ酸配列、アミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/またはリンカーを含むポリペプチドが本明細書で提供される。エピトープ配列へのアミノ酸、アミノ酸配列、および/またはリンカーの付加により、免疫応答を生じさせるためのAPCによるエピトープのプロセシングおよび提示を増強することができる。一態様では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、アミノ酸配列またはペプチド配列のものである。一実施形態では、アミノ酸配列またはペプチド配列は、エピトープ配列をコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされない。別の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列はエピトープ配列と連続しており、エピトープ配列をコードする対象のゲノムによってコードされる。例えば、エピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列は、ポリペプチドの切断を増強する1つまたは複数のアミノ酸残基(例えば、リシン)を含み得る。そのような実施形態では、ポリペプチドはエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み得、対象のゲノム内のエピトープ配列をコードする核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含み得る。
【0139】
一部の実施形態では、エピトープは、APCのクラスI MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープは、APCのクラスII MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープの各アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる任意の連続したアミノ酸配列を含むペプチド配列のアミノ酸を表す。一部の実施形態では、エピトープは、8~12個の連続したアミノ酸残基を含み、APCのクラスI MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープは、8個、9個、10個、11個、または12個の連続したアミノ酸残基を含み、APCのクラスI MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープは、9~25個の連続したアミノ酸残基を含み、APCのクラスII MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープは、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、または25個の連続したアミノ酸残基を含み、APCのクラスII MHCによって提示される。一部の実施形態では、エピトープ配列は、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、または25個の連続したアミノ酸残基を含み、そのうち、13番目~25番目のアミノ酸のうちの1つまたは複数は必要に応じて存在し、少なくとも1つのアミノ酸が突然変異型アミノ酸である。一部の実施形態では、エピトープ配列は、AA1AA2AA3AA4AA5AA6AA7AA8AA9AA10AA11AA12AA13AA14AA15AA16AA17AA18AA19AA20AA21AA22AA23AA24AA25を含み、ここで、各AAはアミノ酸であり、AA9、AA10、AA11、AA12、AA13、AA14、AA15、AA16、AA17、AA18、AA19、AA20、AA21、AA22、AA23、AA24、およびAA25のうちの1つまたは複数は必要に応じて存在し、少なくとも1つのAAが突然変異型アミノ酸である。
【0140】
一部の実施形態では、エピトープ配列およびエピトープ配列と連続しており、対象のゲノム内のエピトープをコードする核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドはリンカーを含まない場合がある。一部の実施形態では、エピトープ配列およびエピトープ配列と連続しており、対象のゲノム内のエピトープをコードする核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドは、リンカーを含む場合がある。一部の実施形態では、エピトープ配列およびエピトープ配列をコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドは、リンカーをさらに含む場合がある。一部の実施形態では、エピトープ配列およびエピトープ配列をコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドはリンカーを含まない場合がある。
【0141】
一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は0~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列は0~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列は0~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、0アミノ酸残基よりも長い、1アミノ酸残基よりも長い、2アミノ酸残基よりも長い、3アミノ酸残基よりも長い、4アミノ酸残基よりも長い、5アミノ酸残基よりも長い、6アミノ酸残基よりも長い、7アミノ酸残基よりも長い、8アミノ酸残基よりも長い、9アミノ酸残基よりも長い、10アミノ酸残基よりも長い、15アミノ酸残基よりも長い、20アミノ酸残基よりも長い、25アミノ酸残基よりも長い、30アミノ酸残基よりも長い、35アミノ酸残基よりも長い、40アミノ酸残基よりも長い、45アミノ酸残基よりも長い、50アミノ酸残基よりも長い、55アミノ酸残基よりも長い、60アミノ酸残基よりも長い、65アミノ酸残基よりも長い、70アミノ酸残基よりも長い、75アミノ酸残基よりも長い、80アミノ酸残基よりも長い、85アミノ酸残基よりも長い、90アミノ酸残基よりも長い、95アミノ酸残基よりも長い、100アミノ酸残基よりも長い、150アミノ酸残基よりも長い、200アミノ酸残基よりも長い、250アミノ酸残基よりも長い、300アミノ酸残基よりも長い、350アミノ酸残基よりも長い、400アミノ酸残基よりも長い、450アミノ酸残基よりも長い、500アミノ酸残基よりも長い、550アミノ酸残基よりも長い、600アミノ酸残基よりも長い、650アミノ酸残基よりも長い、700アミノ酸残基よりも長い、750アミノ酸残基よりも長い、800アミノ酸残基よりも長い、850アミノ酸残基よりも長い、900アミノ酸残基よりも長い、または950アミノ酸残基よりも長いアミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列は、0アミノ酸残基よりも長い、1アミノ酸残基よりも長い、2アミノ酸残基よりも長い、3アミノ酸残基よりも長い、4アミノ酸残基よりも長い、5アミノ酸残基よりも長い、6アミノ酸残基よりも長い、7アミノ酸残基よりも長い、8アミノ酸残基よりも長い、9アミノ酸残基よりも長い、10アミノ酸残基よりも長い、15アミノ酸残基よりも長い、20アミノ酸残基よりも長い、25アミノ酸残基よりも長い、30アミノ酸残基よりも長い、35アミノ酸残基よりも長い、40アミノ酸残基よりも長い、45アミノ酸残基よりも長い、50アミノ酸残基よりも長い、55アミノ酸残基よりも長い、60アミノ酸残基よりも長い、65アミノ酸残基よりも長い、70アミノ酸残基よりも長い、75アミノ酸残基よりも長い、80アミノ酸残基よりも長い、85アミノ酸残基よりも長い、90アミノ酸残基よりも長い、95アミノ酸残基よりも長い、100アミノ酸残基よりも長い、150アミノ酸残基よりも長い、200アミノ酸残基よりも長い、250アミノ酸残基よりも長い、300アミノ酸残基よりも長い、350アミノ酸残基よりも長い、400アミノ酸残基よりも長い、450アミノ酸残基よりも長い、500アミノ酸残基よりも長い、550アミノ酸残基よりも長い、600アミノ酸残基よりも長い、650アミノ酸残基よりも長い、700アミノ酸残基よりも長い、750アミノ酸残基よりも長い、800アミノ酸残基よりも長い、850アミノ酸残基よりも長い、900アミノ酸残基よりも長い、または950アミノ酸残基よりも長いアミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列は、0アミノ酸残基よりも長い、1アミノ酸残基よりも長い、2アミノ酸残基よりも長い、3アミノ酸残基よりも長い、4アミノ酸残基よりも長い、5アミノ酸残基よりも長い、6アミノ酸残基よりも長い、7アミノ酸残基よりも長い、8アミノ酸残基よりも長い、9アミノ酸残基よりも長い、10アミノ酸残基よりも長い、15アミノ酸残基よりも長い、20アミノ酸残基よりも長い、25アミノ酸残基よりも長い、30アミノ酸残基よりも長い、35アミノ酸残基よりも長い、40アミノ酸残基よりも長い、45アミノ酸残基よりも長い、50アミノ酸残基よりも長い、55アミノ酸残基よりも長い、60アミノ酸残基よりも長い、65アミノ酸残基よりも長い、70アミノ酸残基よりも長い、75アミノ酸残基よりも長い、80アミノ酸残基よりも長い、85アミノ酸残基よりも長い、90アミノ酸残基よりも長い、95アミノ酸残基よりも長い、100アミノ酸残基よりも長い、150アミノ酸残基よりも長い、200アミノ酸残基よりも長い、250アミノ酸残基よりも長い、300アミノ酸残基よりも長い、350アミノ酸残基よりも長い、400アミノ酸残基よりも長い、450アミノ酸残基よりも長い、500アミノ酸残基よりも長い、550アミノ酸残基よりも長い、600アミノ酸残基よりも長い、650アミノ酸残基よりも長い、700アミノ酸残基よりも長い、750アミノ酸残基よりも長い、800アミノ酸残基よりも長い、850アミノ酸残基よりも長い、900アミノ酸残基よりも長い、または950アミノ酸残基よりも長いアミノ酸残基の長さを含む。
【0142】
一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、1~5または7~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、6アミノ酸残基の長さを含まない。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされるペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列は、1~5または7~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされるペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列は、6アミノ酸残基の長さを含まない。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされるペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列は、1~4または6~1000アミノ酸残基の長さを含む。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされるペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列は、5アミノ酸残基の長さを含まない。
【0143】
一部の実施形態では、ポリペプチドはリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない。一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープを含まない。一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される少なくとも2つの異なるエピトープを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはクラスI MHCによって提示される少なくとも3つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの異なるエピトープを含む。一部の実施形態では、エピトープは少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は対象のゲノム内の核酸配列における挿入、欠失、フレームシフト、ネオORF、または点突然変異によってコードされるものである。一部の実施形態では、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流または上流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列は、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けるとエピトープから切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの異なるポリペプチド分子を含む。
【0144】
一部の実施形態では、本開示は、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流または上流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーを含むポリペプチドを含む。アミノ酸またはアミノ酸配列および/またはリンカーは、ポリペプチドに溶解性、安定性、免疫原性、抗原プロセシング、または抗原提示の増大などの所望の特性をもたらすことができるものである。一部の実施形態では、ポリペプチドは、例えば免疫応答を生じさせるためのAPCによるエピトープのプロセシングおよび提示を増強するアミノ酸またはアミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、エピトープ配列のN末端および/またはC末端のいずれかのアミノ酸またはアミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、ポリ-リシン(ポリ-LysまたはポリK)またはポリ-アルギニン(ポリ-ArgまたはポリR)を含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、エピトープを発現する対象において発現されない(例えば、エピトープ配列をコードする対象のゲノムによってコードされない)タンパク質のポリペプチド配列のものであり得る。別の実施形態では、ポリペプチドは、プロテアーゼによって切断可能なリンカーを含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、プロテアーゼにより切断可能なリンカーとアミノ酸またはアミノ酸配列の両方を含み得る。一部の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、および/もしくは(IV)のポリペプチド、または式(I)、(II)、(III)、および/もしくは(IV)のポリペプチドの薬学的に許容される塩が本明細書で提供され、ここで、立体化学は、不確定の、例えばラセミ化合物またはジアステレオマーの混合物または個々のジアステレオマーである。式(I)、(II)、(III)、および/または(IV)の化合物の調製の任意の段階で、式(I)、(II)、(III)、および/または のいずれかに対応する化合物の異性体の混合物(例えばラセミ化合物)を利用することができることが当業者には理解されよう。調製の任意の段階で、単一の立体異性体を、異性体の混合物(例えば、ラセミ化合物)から例えばキラルクロマトグラフィーによる分離を使用して単離することによって得ることができる。
【0145】
一部の実施形態では、リンカーは非ポリペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは化学リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは非天然アミノ酸を含む。一部の実施形態では、非天然アミノ酸はβ-γ-δ-アミノ酸を含む。一部の実施形態では、非天然アミノ酸はL-α-アミノ酸の誘導体を含む。一部の実施形態では、リンカーはアミノ酸を含まない。一部の実施形態では、リンカーは天然アミノ酸を含まない。一部の実施形態では、リンカーはペプチド結合以外の結合を含む。一部の実施形態では、リンカーはジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは1つよりも多くのリンカーを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは第1のリンカーおよび第2のリンカーを含み、第1のリンカーはエピトープのN末端に存在し、第2のリンカーはエピトープのC末端に存在する。一部の実施形態では、第1のリンカーと第2のリンカーは異なる。一部の実施形態では、第1のリンカーと第2のリンカーは同じである。
【0146】
一部の実施形態では、ポリペプチドは親水性尾部を含む。一部の実施形態では、エピトープ配列、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流または上流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列および/またはリンカーを含むポリペプチドは、同じエピトープ配列を含むがアミノ酸またはアミノ酸配列および/またはリンカーを伴わないポリペプチドと比較して増強された溶解性を有する。一部の実施形態では、エピトープ配列および対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドは、同じエピトープ配列を含むがアミノ酸またはアミノ酸配列を伴わないポリペプチドと比較して増強された溶解性を有する。例えば、エピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列は、ポリペプチドの溶解性を増強する1つまたは複数のアミノ酸残基(例えば、リシン)を含み得る。そのような実施形態では、ポリペプチドはエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み得、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流または上流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含み得る。
【0147】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによってプロセシングされると、エピトープ配列を含むポリペプチドからエピトープが遊離する。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、同じエピトープを含むがエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーは含まないポリペプチドと比較して、エピトープが高い率で遊離する。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、同じエピトープを含むがエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーは含まないポリペプチドと比較して、エピトープが高い率で遊離する。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、エピトープが高い率で遊離する。一部の実施形態では、ポリペプチドがリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがリンカーは含まないポリペプチドと比較して、エピトープが高い率で遊離する。一部の実施形態では、ポリペプチドがプロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがプロテアーゼによって切断可能なリンカーは含まないポリペプチドと比較して、エピトープが高い率で遊離する。
【0148】
一部の実施形態では、エピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含むアミノ酸またはアミノ酸配列を含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、同じエピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含むアミノ酸またはアミノ酸配列を含むが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーは含まない対応するポリペプチドと比較して、エピトープが高い率で遊離する。
【0149】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーを含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーを含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、ポリペプチドが高い率で切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドがリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがリンカーは含まないポリペプチドと比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドがプロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがプロテアーゼによって切断可能なリンカーは含まないポリペプチドと比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。
【0150】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。
【0151】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、(i)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および(ii)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/または(iii)リンカーを含む場合、長さおよびエピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列が同じである、対応するポリペプチドと比較して、ポリペプチドが高い率で切断される。
【0152】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによってプロセシングされると、ポリペプチドがリンカー領域において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列、およびリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、ポリペプチドがリンカー領域において高い率で切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列、およびリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、ポリペプチドがリンカー領域において高い率で切断される。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、ポリペプチドがリンカー領域において高い率で切断される。
【0153】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによってプロセシングされると、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがリンカーは含まないポリペプチドと比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがプロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがプロテアーゼによって切断可能なリンカーは含まないポリペプチドと比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。
【0154】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。
【0155】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、(i)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および(ii)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/または(iii)リンカーを含む場合、長さおよびエピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列が同じである、対応するポリペプチドと比較して、APCによるエピトープ提示が増強される。
【0156】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによってプロセシングされると、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがリンカーは含まないポリペプチドと比較して、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがプロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがプロテアーゼによって切断可能なリンカーは含まないポリペプチドと比較して、免疫原性が増強される。
【0157】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、免疫原性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、免疫原性が増強される。
【0158】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、(i)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および(ii)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/または(iii)リンカーを含む場合、長さおよびエピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列が同じである、対応するポリペプチドと比較して、免疫原性が増強される。
【0159】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによってプロセシングされると、抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、APCによる抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、エピトープを含むポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸もしくはアミノ酸配列および/またはリンカーをさらに含む場合、長さおよびエピトープが同じであり、アミノ酸またはアミノ酸配列がエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる対応するポリペプチドと比較して、抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列が、対象において発現されるタンパク質のペプチド配列のものではない場合、抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがリンカーは含まないポリペプチドと比較して、抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドがプロテアーゼによって切断可能なリンカーを含む場合、同じエピトープを含むがプロテアーゼによって切断可能なリンカーは含まないポリペプチドと比較して、抗腫瘍活性が増強される。
【0160】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、抗腫瘍活性が増強される。一部の実施形態では、ポリペプチドが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含まないアミノ酸またはアミノ酸配列をさらに含む場合、エピトープ配列および核酸配列によってコードされるエピトープ配列と連続しているアミノ酸またはアミノ酸配列を含み、リンカーを含まない、同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して、抗腫瘍活性が増強される。
【0161】
一部の実施形態では、ポリペプチドが、(i)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および(ii)エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流もしくは下流の核酸配列によってコードされないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、および/または(iii)リンカーを含む場合、長さおよびエピトープおよびエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされるアミノ酸またはアミノ酸配列が同じである、対応するポリペプチドと比較して、抗腫瘍活性が増強される。
【0162】
一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、APCによりエピトープが免疫細胞に提示される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、APCによりエピトープが免疫細胞に優先的にまたは特異的に提示される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、APCによりエピトープが食細胞に提示される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、APCによりエピトープが食細胞に優先的にまたは特異的に提示される。一部の実施形態では、ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、APCによりエピトープが樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に提示される。一部の実施形態では、APCによりエピトープが樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に優先的にまたは特異的に提示される。
【0163】
一部の実施形態では、ポリペプチドはポリ-Lys(ポリK)およびポリ-Arg(ポリR)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、ポリペプチドはポリK配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリK-AA-AAおよびポリR-AA-AAからなる群から選択される配列を含み、ここで、各AAはアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。好ましい実施形態では、ポリペプチドはポリK-AA-AAを含む。一部の実施形態では、ポリKはポリ-L-Lysを含む。一部の実施形態では、ポリKは少なくとも2個の連続したリシン残基を含む。一部の実施形態では、ポリKは少なくとも3個の連続したリシン残基、例えばLys-Lys-Lysを含む。好ましい実施形態では、ポリKは少なくとも4個の連続したリシン残基、例えばK4としても公知のLys-Lys-Lys-Lysを含む。一部の実施形態では、ポリKは少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の連続したリシン残基を含む。一部の実施形態では、ポリRはポリ-L-Argを含む。一部の実施形態では、ポリRは少なくとも2個の連続したアルギニン残基を含む。一部の実施形態では、ポリRは少なくとも3個の連続したアルギニン残基、例えばArg-Arg-Argを含む。一部の実施形態では、ポリRは少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または少なくとも7個の連続したアルギニン残基を含む。一部の実施形態では、ポリRは少なくとも8個の連続したアルギニン残基、例えば、R8としても公知のArg-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg-Arg-Argを含む。一部の実施形態では、ポリRは少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の連続したアルギニン残基を含む。一部の実施形態では、ポリK内のリシン単位および/またはポリR内のアルギニン単位はそれぞれ(L)立体化学的配置、(D)立体化学的配置、または(L)立体化学的配置と(D)立体化学的配置の任意の混合物を有し得る。
【0164】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、ジスルフィド、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、およびAA-AA-PABCからなる群から選択されるリンカーを含み、ここで、AAは、アミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。一部の実施形態では、AA-AA-PABCはアラニン-リシン-PABC(Ala-Lys-PABC)、バリン-シトルリン-PABC(Val-Cit-PABC)、およびフェニルアラニン-リシン-PABC(Phe-Lys-PABC)からなる群から選択される。一部の実施形態では、AA-AA-PABCはAla-Lys-PABCである。一部の実施形態では、AA-AA-PABCはVal-Cit-PABCである。一部の実施形態では、AA-AA-PABCはPhe-Lys-PABCである。一部の実施形態では、Val-Cit-PABC内のバリン単位およびシトルリン単位はそれぞれ(L)立体化学的配置を有する。一部の実施形態では、Phe-Lys-PABC内のフェニルアラニン単位およびリシン単位はそれぞれ(L)立体化学的配置を有する。一部の実施形態では、Val-Cit-PABC内のバリン単位およびシトルリン単位はそれぞれ(D)立体化学的配置を有する。一部の実施形態では、Phe-Lys-PABC内のフェニルアラニン単位およびリシン単位はそれぞれ(D)立体化学的配置を有する。一部の実施形態では、Val-Cit-PABC内のバリン単位およびシトルリン単位は(L)立体化学的配置と(D)立体化学的配置の混合物を有する。一部の実施形態では、Phe-Lys-PABC内のフェニルアラニン単位およびリシン単位は(L)立体化学的配置と(D)立体化学的配置の混合物を有する。
【0165】
一部の実施形態では、ポリペプチドは以下の構造を有するリンカーを含む:
【化3】
【0166】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、
【化4】
であるリンカーを含み、式中、R
1およびR
2は、独立に、Hまたは(C
1~C
6)アルキルであり;jは1または2であり;G
1はHまたはCOOHであり;iは1、2、3、4、または5である。
【0167】
一部の実施形態では、Arおよび/またはAsは式(III)または式(IV)であり、式中、R1およびR2は、独立に、Hまたは(C1~C6)アルキルであり;jは1または2であり;G1はHまたはCOOHであり;iは1、2、3、4、または5である。
【0168】
一部の実施形態では、ポリペプチドは式(III)または式(IV)であるリンカーを含む。
【0169】
式(IV)のジスルフィドリンカーは、Zhang, Donglu, et al., ACS Med. Chem. Lett. 2016, 7, 988-993;およびPillow, Thomas H., et al., Chem. Sci., 2017, 8, 366-370. PABC-containing peptides can be synthesized according to Laurent Ducry (ed.), Antibody-Drug Conju gates, Methods in Molecular Biology, vol. 1045, DOI 10.1007/978-1-62703-541-5_5, Springer Science+Business Media, LLC 2013に従って合成することができる。一部の実施形態では、固相ペプチド合成用に作られた任意の樹脂を使用することができる。
抗原プロセシング経路
【0170】
本明細書に記載のポリペプチドは、エピトープ提示のために異なる経路でプロセシングされてエピトープを遊離し得る。最適なペプチド抗原を生成するために、抗原のプロセシングおよび提示経路内に2つの重要なプロセシング事象が存在する。細胞質タンパク質は主にプロテアソームによってプロセシングされる。次いで、短いペプチドが、その後のMHCクラスI分子とのアセンブリのために抗原プロセシング関連輸送体(TAP)によって小胞体(ER)内に輸送される。外因性タンパク質は主にMHCクラスII分子によって提示される。抗原はファゴサイトーシス、マクロピノサイトーシス、およびエンドサイトーシスを含めたいくつかの経路によって内部移行し、最終的に成熟または後期エンドソーム区画に輸送され、そこでプロセシングされ、MHCクラスII分子に負荷される。細胞質/核抗原もその後のプロセシングおよびMHCクラスII分子との提示のためにオートファジーによってエンドソームネットワーク内に輸送され得る。
【0171】
最初のペプチドタンパク質分解は細胞の細胞質基質内で起こり、プロテアソームまたは免疫プロテアソームによって大きなタンパク質断片が小さなペプチドに分解される。このプロセシング事象は、多くの場合、クラスI MHCに結合するペプチドの最終的なC末端残基の生成を担う。プロテアソームは、2つのサブユニット、大きな多機能性プロテアーゼ(LMP)2およびLMP7を含めた多数のサブユニットを含有する大きなタンパク質分解性複合体である。分解のために結合したタンパク質はユビキチンとの共有結合による連結によってプロテアソームに標的化される。LMP2およびLMP7により、タンパク質分解性複合体がクラスI MHC Iに結合するペプチドを生じるように誘導される。次いで、細胞質基質で生成されたペプチドはTAPによってERに輸送される。TAPは11~14アミノ酸のペプチドを優先的に輸送するので、ペプチドは多くの場合に安定なクラスI MHC結合のためには長すぎ、ERへの進入時にさらなるプロセシングが必要になる。このプロセシングは、小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP)1およびERAP2によって抗原性ペプチドのN末端領域がトリミングされることを含む。このプロセスにより、クラスI MHCとの結び付きに対して高い親和性を有するペプチドのプールが創出される。
【0172】
正常な細胞環境では、古典的クラスII MHC分子は樹状細胞(DC)またはマクロファージなどのプロフェッショナルAPCにおいてのみ発現される。ファゴサイトーシス、エンドサイトーシス、またはピノサイトーシスによって内部移行する外因性または細胞外抗原は主にクラスII MHC上でCD4+T細胞に対して提示される。しかし、細胞質基質抗原の小さなサブセットもオートファジーの結果としてクラスII MHC上に発現される。簡単に述べると、エンドサイトーシスによって取り込まれた抗原は、古典的には初期エンドソーム(pH6.0~pH6.5)、後期エンドソームまたはエンドリソソーム(pH5.0~pH6.0)、およびリソソーム(pH4.5~pH5.0)と記載される、次第に酸性度が大きくなり、タンパク質分解活性が大きくなる区画からなる小胞経路でプロセシングされる。ファゴサイトーシスによって内部移行した抗原は同様の経路をたどり、ファゴソームとリソソームの融合によって形成されたファゴリソソームに終着する。リソソームおよびファゴリソソーム(pH4.0~pH4.5)は、一般的にカテプシンと称されるいくつかの酸性pH最適プロテアーゼを含有する。マクロファージなどの高度に分解性の細胞では、これらの酵素による逐次的な切断の結果、非常に短いペプチドおよび遊離アミノ酸が生じ、それらが細胞質基質内に移動して、新しいタンパク質合成のためのtRNAを補充する。タンパク質分解活性が低いAPCでは、大きな中間体がクラスII MHC結合のためのペプチドの優勢な供給源を形成し、これらのペプチドは通常13~18アミノ酸からなる。
【0173】
クラスI MHCおよびクラスII MHCはどちらも内因性抗原からプロセシングされたペプチドおよび外因性抗原からプロセシングされたペプチドに接近することができる。例えば、クラスII MHCは、リソソームにおいて分解される、内因性膜タンパク質から引き出されたペプチドに結合する。同様に、クラスI MHCは、エンドサイトーシスまたはファゴサイトーシスによって内部移行した外因性タンパク質から引き出されたペプチドに結合し得、これは交差提示と称される現象である。DCの特定のサブセットがこのプロセスの媒介に関して特に熟練しており、これは、ナイーブCD8+T細胞による一次応答の開始のために極めて重要である。
【0174】
一態様では、ポリペプチドを切断する方法であって、本明細書に記載のポリペプチドをAPCと接触させるステップを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、方法をin vivoで実施することができる。一部の実施形態では、方法をin vitroで実施することができる。
【0175】
一部の実施形態では、ポリペプチドはユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは切断前にユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはプロテアソームおよび/または免疫プロテアソームによるプロセシングの前にユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはエピトープ配列上ではないリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第1のリシンにおいてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第2のリシンにおいてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第3のリシンにおいてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第4のリシンにおいてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第5のリシン、第6のリシン、第7のリシン、第8のリシン、第9のリシン、または第10のリシンにおいてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも1つのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは1つよりも多くのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの1つよりも多くのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドは各リシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの2個のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの3個のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの4個のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの5個、6個、7個、8個、9個、または10個のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基において逐次的にユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基において逐次的にユビキチン化されない。
【0176】
一部の実施形態では、ポリペプチドはAla-Lys-PABCのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはPhe-Lys-PABCのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKおよびAA-AA-PABCを含み、ここで、各AAはアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKおよびAA-AA-PABCの少なくとも1つのリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKおよびAA-AA-PABCの1つまたは複数のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKおよびAla-Lys-PABCの1つまたは複数のリシン残基においてユビキチン化される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKおよびPhe-Lys-PABCの1つまたは複数のリシン残基においてユビキチン化される。
【0177】
一部の実施形態では、ポリペプチドはAPCによって内部移行する。一部の実施形態では、ポリペプチドはAPCによってエンドサイトーシスを介して内部移行する。一部の実施形態では、ポリペプチドはAPCによってファゴサイトーシスを介して内部移行する。一部の実施形態では、ポリペプチドはAPCによってピノサイトーシスを介して内部移行する。一部の実施形態では、ポリペプチドは細胞質において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはエンドソームにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはエンドリソソームにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはリソソームにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはERにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはアミノペプチダーゼによって切断される。一部の実施形態では、アミノペプチダーゼはインスリン調節性アミノペプチダーゼ(IRAP)である。一部の実施形態では、アミノペプチダーゼは小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP)である。一部の実施形態では、ポリペプチドはプロテアソームおよび/または免疫プロテアソームのトリプシン様ドメインによってプロセシングされる。一部の実施形態では、トリプシン様ドメインはトリプシン様活性を含む。一部の実施形態では、トリプシン様ドメインはキモトリプシン様活性を含む。一部の実施形態では、トリプシン様活性はペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)活性を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはプロテアーゼによって切断される。一部の実施形態では、プロテアーゼはトリプシン様プロテアーゼである。一部の実施形態では、プロテアーゼはキモトリプシン様プロテアーゼである。一部の実施形態では、プロテアーゼはペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)である。一部の実施形態では、プロテアーゼは、アスパラギンペプチドリアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、およびトレオニンプロテアーゼからなる群から選択される。好ましい実施形態では、プロテアーゼはシステインプロテアーゼである。一部の実施形態では、システインプロテアーゼは、カルパイン、カスパーゼ、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンW、およびカテプシンZからなる群から選択される。一部の実施形態では、プロテアーゼはカテプシンBである。一部の実施形態では、プロテアーゼはカテプシンCである。一部の実施形態では、プロテアーゼはカテプシンFである。一部の実施形態では、プロテアーゼはカテプシンZである。
【0178】
一部の実施形態では、ポリペプチドはリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKのリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第1のリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第2のリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第3のリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第4のリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの第5のリシン残基、第6のリシン残基、第7のリシン残基、第8のリシン残基、第9のリシン残基、または第10のリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドは1つよりも多くのポリKのリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基において逐次的に切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはポリKの各リシン残基において逐次的に切断されない。
【0179】
一部の実施形態では、ポリペプチドはAA-AA-PABCにおいて切断され、ここで、各AAはアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である。一部の実施形態では、ポリペプチドはAla-Lys-PABCにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはAla-Lys-PABCのリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはPhe-Lys-PABCにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはPhe-Lys-PABCのリシン残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはVal-Cit-PABCにおいて切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドはVal-Cit-PABCのシトルリン(Cit)残基において切断される。一部の実施形態では、ポリペプチドが切断されるとエピトープが遊離する。
【0180】
ペプチドに基づく薬物の全身治療への適用を限定する1つの主要な欠点は、ペプチドのタンパク質分解である。注射経路によって投与されたペプチドは血流に到達する。血流は、止血、線維素溶解、および組織変換、すなわち、傷害の場合の重要なプロセスにおいて機能するプロテアーゼを含有する。したがって、ペプチドを、血液中、血清中、または血漿中に存在するプロテアーゼに対して安定化することが重要である。一態様では、本明細書に記載のポリペプチドは、血漿中、血液中、および/または血清中で安定である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対象におけるAPCによる内部移行の前には切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対象におけるAPCによるプロセシングの前には切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは対象の血液中でAPCによる内部移行の前には切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対象の血液中でAPCによるプロセシングの前には切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは血液中でプロテアーゼによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはプラスミンによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは血漿カリクレインによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは組織カリクレインによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはトロンビンによって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは凝固因子によって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドは凝固第XII因子によって切断されない。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で安定である。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血液中で安定である。一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血清中で安定である。
【0181】
一部の実施形態では、ポリペプチドはヒト血漿中で1時間から5日間までの半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは約1時間~約120時間の半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは約1時間~約5時間、約1時間~約10時間、約1時間~約12時間、約1時間~約24時間、約1時間~約36時間、約1時間~約48時間、約1時間~約60時間、約1時間~約72時間、約1時間~約84時間、約1時間~約96時間、約1時間~約120時間、約5時間~約10時間、約5時間~約12時間、約5時間~約24時間、約5時間~約36時間、約5時間~約48時間、約5時間~約60時間、約5時間~約72時間、約5時間~約84時間、約5時間~約96時間、約5時間~約120時間、約10時間~約12時間、約10時間~約24時間、約10時間~約36時間、約10時間~約48時間、約10時間~約60時間、約10時間~約72時間、約10時間~約84時間、約10時間~約96時間、約10時間~約120時間、約12時間~約24時間、約12時間~約36時間、約12時間~約48時間、約12時間~約60時間、約12時間~約72時間、約12時間~約84時間、約12時間~約96時間、約12時間~約120時間、約24時間~約36時間、約24時間~約48時間、約24時間~約60時間、約24時間~約72時間、約24時間~約84時間、約24時間~約96時間、約24時間~約120時間、約36時間~約48時間、約36時間~約60時間、約36時間~約72時間、約36時間~約84時間、約36時間~約96時間、約36時間~約120時間、約48時間~約60時間、約48時間~約72時間、約48時間~約84時間、約48時間~約96時間、約48時間~約120時間、約60時間~約72時間、約60時間~約84時間、約60時間~約96時間、約60時間~約120時間、約72時間~約84時間、約72時間~約96時間、約72時間~約120時間、約84時間~約96時間、約84時間~約120時間、または約96時間~約120時間の半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは約1時間、約5時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、または約120時間の半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも約1時間、約5時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、または約96時間の半減期を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは多くても約5時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、または約120時間の半減期を有する。
3.新抗原およびその使用
【0182】
治癒的かつ腫瘍特異的免疫療法の開発に関する極めて重要な関門の1つは、自己免疫を回避するために高度に特異的かつ制限された腫瘍抗原を同定および選択することである。悪性細胞内の遺伝的変化(例えば、逆位、転座、欠失、ミスセンス突然変異、スプライス部位突然変異など)の結果として生じる腫瘍新抗原は最も腫瘍特異的なクラスの抗原を代表するものである。新抗原は、それらを同定し、最適化された抗原を選択し、ワクチンまたは免疫原性組成物に使用するための新抗原を作製することに関する技術的な難しさに起因して、がんワクチンまたは免疫原性組成物にまれにしか使用されていない。これらの問題には、腫瘍にはDNAレベルで存在するが、がんを有する対象の高い割合に由来する対応する生殖細胞系列試料には存在しない新形成/腫瘍における突然変異を同定すること;同定された突然変異を1つまたは複数のペプチド-MHC結合予測アルゴリズムで解析して、新形成/腫瘍内で発現され、高い割合の患者HLA対立遺伝子に結合する複数の新抗原T細胞エピトープを生成すること;ならびに、高い割合のがんを有する対象を処置するために適したがんワクチンまたは免疫原性組成物に使用するために、全ての新抗原ペプチドおよび予測された結合性ペプチドのセットから選択された複数の新抗原性ペプチドを合成することによって対処することができる。
【0183】
例えば、ペプチド配列決定情報を治療用ワクチンに翻訳することは、高い割合の個体のHLA分子に結合し得る突然変異したペプチドを予測することを含み得る。特定の突然変異のいずれを免疫原として利用するかの効率的な選択には、突然変異したペプチドのいずれが高い割合の患者のHLA対立遺伝子に効率的に結合するかを予測できることが必要である。最近、検証された結合性ペプチドおよび非結合性ペプチドを用いたニューラルネットワークに基づく学習手法により、主要なHLA-AおよびHLA-B対立遺伝子についての予測アルゴリズムの正確度が進歩している。しかし、進歩したニューラルネットワークに基づくアルゴリズムを使用してHLA-ペプチド結合規則をコード化したとしても、いくつかの因子により、HLA対立遺伝子上に提示されるペプチドの予測力が限定される。
【0184】
ペプチド配列決定情報の治療用ワクチンへの翻訳の別の例は、薬物を長いペプチドの多エピトープワクチンとして製剤化することを含み得る。実際に可能な限り多くの突然変異したエピトープの標的化は、免疫系の巨大な能力を利用し、免疫標的化された遺伝子産物の下方モジュレーションによって免疫学的エスケープの機会を防ぎ、エピトープ予測手法の公知の不正確さの埋め合わせをするものである。合成ペプチドにより、多数の免疫原を効率的に調製するため、および突然変異型エピトープの同定を有効なワクチンに迅速に翻訳する有用な手段がもたらされる。ペプチドは、細菌または動物夾雑物質を含まない試薬を利用して容易に化学的に合成し、容易に精製することができる。サイズが小さいことにより、タンパク質の突然変異した領域に明確に焦点を当てることが可能になり、他の構成成分(突然変異していないタンパク質またはウイルスベクター抗原)に由来する無関連の抗原性競合を低減することも可能になる。
【0185】
ペプチド配列決定情報の治療用ワクチンへの翻訳のさらに別の例は、強力なワクチンアジュバントとの組合せを含み得る。有効なワクチンには、免疫応答を開始するために強力なアジュバントが必要であり得る。例えば、TLR3ならびにMDA5およびRIG3のRNAヘリカーゼ-ドメインのアゴニストであるポリ-ICLCは、ワクチンアジュバントとしての望ましい特性がいくつか示されている。これらの特性としては、in vivoにおける免疫細胞の局所的活性化および全身活性化の誘導、刺激性ケモカインおよびサイトカインの産生、ならびに樹状細胞(DC)による抗原提示の刺激が挙げられる。さらに、ポリ-ICLCにより、ヒトにおける長続きするCD4+およびCD8+応答が誘導され得る。ヒトにおける長続きするCD4+およびCD8+応答が誘導され得る。重要なことに、転写およびシグナルトランスダクション経路の上方制御の著しい類似性が、ポリ-ICLCを用いたワクチン接種を受けた対象と高度に有効な複製コンピテント黄熱病ワクチンを受けた志願者において、認められている。さらに、最近の第1相試験において、ポリ-ICLCとNYESO-1ペプチドワクチンの組合せ(Montanideに加えて)を用いた免疫化を受けた卵巣癌患者の>90%でCD4+T細胞およびCD8+T細胞の誘導、ならびにペプチドに対する抗体応答が示された。同時に、ポリ-ICLCは、現在までに25件よりも多くの臨床試験で広範囲にわたって試験されており、比較的良性の毒性プロファイルが示されている。
ペプチド
【0186】
一部の態様では、本開示は、腫瘍特異的突然変異を含む単離されたペプチドを提供する。これらのペプチドおよびポリペプチドは、本明細書では、「新抗原性ペプチド」または「新抗原性ポリペプチド」と称される。「ペプチド」という用語は、本明細書では「突然変異型ペプチド」、「新抗原ペプチド」および「新抗原性ペプチド」と互換的に使用され、1つの残基、一般にはL-アミノ酸が他の残基、一般にはL-アミノ酸と一般にはα-アミノと隣のアミノ酸のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続した一続きを指す。同様に、「ポリペプチド」という用語は、本明細書では「突然変異型ポリペプチド」、「新抗原ポリペプチド」、および「新抗原性ポリペプチド」と互換的に使用され、1つの残基、例えばL-アミノ酸が他の残基、例えばL-アミノ酸と一般にはα-アミノと隣のアミノ酸のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続した一続きを指す。ポリペプチドまたはペプチドは、種々の長さであってよく、中性(非荷電)形態であっても塩の形態であってもよく、また、グリコシル化、側鎖の酸化、またはリン酸化などの修飾を有さないものであってもこれらの修飾を含有するものであってもよく、修飾により本明細書に記載のポリペプチドの生物活性が損なわれない条件に供することができる。
【0187】
一部の実施形態では、ゲノムまたはエクソーム配列決定方法を使用して腫瘍特異的突然変異を同定する。任意の適切な配列決定方法、例えば次世代シーケンシング(NGS)技術を本開示に従って使用することができる。今後、方法の配列決定ステップのスピードアップのために第3世代配列決定方法がNGS技術の代わりになり得る。明瞭にするために、「次世代シーケンシング」または「NGS」という用語は、本開示に関しては、全ゲノムを小片に分けることにより、核酸鋳型を全ゲノムに沿って並行してランダムに読み取る、サンガー化学として公知の「従来の」配列決定方法体系とは対照的に、全ての新規のハイスループット配列決定技術を意味する。そのようなNGS技術(大規模並列処理の配列決定技術としても公知)では、全ゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム(ゲノムの全ての転写された配列)、またはメチローム(ゲノムの全てのメチル化された配列)の核酸配列情報を非常に短期間で、例えば、1~2週間以内、例えば、1~7日以内または24時間未満以内に送達することが可能であり、また、原理上は、単一細胞配列決定手法が可能になる。市販されているまたは文献で言及されている多数のNGSプラットフォーム、例えば、WO2012/159643に詳細に記載されているものを本開示に関して使用することができる。
【0188】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、これだけに限定されないが、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、約10アミノ酸、約11アミノ酸、約12アミノ酸、約13アミノ酸、約14アミノ酸、約15アミノ酸、約16アミノ酸、約17アミノ酸、約18アミノ酸、約19アミノ酸、約20アミノ酸、約21アミノ酸、約22アミノ酸、約23アミノ酸、約24アミノ酸、約25アミノ酸、約26アミノ酸、約27アミノ酸、約28アミノ酸、約29アミノ酸、約30アミノ酸、約31アミノ酸、約32アミノ酸、約33アミノ酸、約34アミノ酸、約35アミノ酸、約36アミノ酸、約37アミノ酸、約38アミノ酸、約39アミノ酸、約40アミノ酸、約41アミノ酸、約42アミノ酸、約43アミノ酸、約44アミノ酸、約45アミノ酸、約46アミノ酸、約47アミノ酸、約48アミノ酸、約49アミノ酸、約50アミノ酸、約60アミノ酸、約70アミノ酸、約80アミノ酸、約90アミノ酸、約100アミノ酸、約110アミノ酸、約120アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約300アミノ酸、約350アミノ酸、約400アミノ酸、約450アミノ酸、約500アミノ酸、約600アミノ酸、約700アミノ酸、約800アミノ酸、約900アミノ酸、約1,000アミノ酸、約1,500アミノ酸、約2,000アミノ酸、約2,500アミノ酸、約3,000アミノ酸、約4,000アミノ酸、約5,000アミノ酸、約7,500アミノ酸、約10,000アミノ酸またはそれよりも多くのアミノ酸残基、およびその中で導き出せる任意の範囲を含み得る。特定の実施形態では、新抗原性ペプチド分子は100アミノ酸と等しいまたはそれ未満である。
【0189】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、約8アミノ酸残基から約50アミノ酸残基までの長さ、または約8アミノ酸残基から約30アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約20アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約18アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約15アミノ酸残基まで、または約8アミノ酸残基から約12アミノ酸残基までの長さであり得る。一部の実施形態では、ペプチドは、約8アミノ酸残基から約500アミノ酸残基までの長さ、または約8アミノ酸残基から約450アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約400アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約350アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約300アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約250アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約200アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約150アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約100アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約50アミノ酸残基まで、または約8アミノ酸残基から約30アミノ酸残基までの長さであり得る。
【0190】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、またはそれよりも多くのアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、55アミノ酸残基、60アミノ酸残基、70アミノ酸残基、80アミノ酸残基、90アミノ酸残基、100アミノ酸残基、150アミノ酸残基、200アミノ酸残基、250アミノ酸残基、300アミノ酸残基、350アミノ酸残基、400アミノ酸残基、450アミノ酸残基、500アミノ酸残基、またはそれよりも多くのアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、多くても8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、またはそれ未満のアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、多くても8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、55アミノ酸残基、60アミノ酸残基、70アミノ酸残基、80アミノ酸残基、90アミノ酸残基、100アミノ酸残基、150アミノ酸残基、200アミノ酸残基、250アミノ酸残基、300アミノ酸残基、350アミノ酸残基、400アミノ酸残基、450アミノ酸残基、500アミノ酸残基、またはそれ未満のアミノ酸残基の長さであり得る。
【0191】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも11アミノ酸、少なくとも12アミノ酸、少なくとも13アミノ酸、少なくとも14アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも16アミノ酸、少なくとも17アミノ酸、少なくとも18アミノ酸、少なくとも19アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも21アミノ酸、少なくとも22アミノ酸、少なくとも23アミノ酸、少なくとも24アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、少なくとも26アミノ酸、少なくとも27アミノ酸、少なくとも28アミノ酸、少なくとも29アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、少なくとも350アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくとも450アミノ酸、少なくとも500アミノ酸、少なくとも1000アミノ酸、または少なくとも1500アミノ酸の全長(total length)を有する。
【0192】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、多くても8アミノ酸、多くても9アミノ酸、多くても10アミノ酸、多くても11アミノ酸、多くても12アミノ酸、多くても13アミノ酸、多くても14アミノ酸、多くても15アミノ酸、多くても16アミノ酸、多くても17アミノ酸、多くても18アミノ酸、多くても19アミノ酸、多くても20アミノ酸、多くても21アミノ酸、多くても22アミノ酸、多くても23アミノ酸、多くても24アミノ酸、多くても25アミノ酸、多くても26アミノ酸、多くても27アミノ酸、多くても28アミノ酸、多くても29アミノ酸、多くても30アミノ酸、多くても40アミノ酸、多くても50アミノ酸、多くても60アミノ酸、多くても70アミノ酸、多くても80アミノ酸、多くても90アミノ酸、多くても100アミノ酸、多くても150アミノ酸、多くても200アミノ酸、多くても250アミノ酸、多くても300アミノ酸、多くても350アミノ酸、多くても400アミノ酸、多くても450アミノ酸、多くても500アミノ酸、多くても1000アミノ酸、または多くても1500アミノ酸の全長(total length)を有する。
【0193】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、エピトープを含み得る。ある特定の実施形態では、エピトープは、これだけに限定されないが、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、約10アミノ酸、約11アミノ酸、約12アミノ酸、約13アミノ酸、約14アミノ酸、約15アミノ酸、約16アミノ酸、約17アミノ酸、約18アミノ酸、約19アミノ酸、約20アミノ酸、約21アミノ酸、約22アミノ酸、約23アミノ酸、約24アミノ酸、約25アミノ酸、約26アミノ酸、約27アミノ酸、約28アミノ酸、約29アミノ酸、約30アミノ酸、約31アミノ酸、約32アミノ酸、約33アミノ酸、約34アミノ酸、約35アミノ酸、約36アミノ酸、約37アミノ酸、約38アミノ酸、約39アミノ酸、約40アミノ酸、約41アミノ酸、約42アミノ酸、約43アミノ酸、約44アミノ酸、約45アミノ酸、約46アミノ酸、約47アミノ酸、約48アミノ酸、約49アミノ酸、約50アミノ酸、約60アミノ酸、約70アミノ酸、約80アミノ酸、約90アミノ酸、約100アミノ酸、約110アミノ酸、約120アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約300アミノ酸、約350アミノ酸、約400アミノ酸、約450アミノ酸、約500アミノ酸、約600アミノ酸、約700アミノ酸、約800アミノ酸、約900アミノ酸、約1,000アミノ酸、約1,500アミノ酸、約2,000アミノ酸、約2,500アミノ酸、約3,000アミノ酸、約4,000アミノ酸、約5,000アミノ酸、約7,500アミノ酸、約10,000アミノ酸またはそれよりも多くのアミノ酸残基、およびその中で導き出せる任意の範囲を含み得る。
【0194】
ある特定の実施形態では、エピトープは、約8アミノ酸残基から約50アミノ酸残基までの長さ、または約8アミノ酸残基から約30アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約20アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約18アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約15アミノ酸残基まで、または約8アミノ酸残基から約12アミノ酸残基までの長さであり得る。一部の実施形態では、ペプチドは、約8アミノ酸残基から約500アミノ酸残基までの長さ、または約8アミノ酸残基から約450アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約400アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約350アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約300アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約250アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約200アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約150アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約100アミノ酸残基まで、約8アミノ酸残基から約50アミノ酸残基まで、または約8アミノ酸残基から約30アミノ酸残基までの長さであり得る。
【0195】
ある特定の実施形態では、エピトープは、少なくとも8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、またはそれよりも多くのアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、エピトープは、少なくとも8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、55アミノ酸残基、60アミノ酸残基、70アミノ酸残基、80アミノ酸残基、90アミノ酸残基、100アミノ酸残基、150アミノ酸残基、200アミノ酸残基、250アミノ酸残基、300アミノ酸残基、350アミノ酸残基、400アミノ酸残基、450アミノ酸残基、500アミノ酸残基、またはそれよりも多くのアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、エピトープは、多くても8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、またはそれ未満のアミノ酸残基の長さであり得る。一部の実施形態では、エピトープは、多くても8アミノ酸残基、9アミノ酸残基、10アミノ酸残基、11アミノ酸残基、12アミノ酸残基、13アミノ酸残基、14アミノ酸残基、15アミノ酸残基、16アミノ酸残基、17アミノ酸残基、18アミノ酸残基、19アミノ酸残基、20アミノ酸残基、21アミノ酸残基、22アミノ酸残基、23アミノ酸残基、24アミノ酸残基、25アミノ酸残基、26アミノ酸残基、27アミノ酸残基、28アミノ酸残基、29アミノ酸残基、30アミノ酸残基、31アミノ酸残基、32アミノ酸残基、33アミノ酸残基、34アミノ酸残基、35アミノ酸残基、36アミノ酸残基、37アミノ酸残基、38アミノ酸残基、39アミノ酸残基、40アミノ酸残基、41アミノ酸残基、42アミノ酸残基、43アミノ酸残基、44アミノ酸残基、45アミノ酸残基、46アミノ酸残基、47アミノ酸残基、48アミノ酸残基、49アミノ酸残基、50アミノ酸残基、55アミノ酸残基、60アミノ酸残基、70アミノ酸残基、80アミノ酸残基、90アミノ酸残基、100アミノ酸残基、150アミノ酸残基、200アミノ酸残基、250アミノ酸残基、300アミノ酸残基、350アミノ酸残基、400アミノ酸残基、450アミノ酸残基、500アミノ酸残基、またはそれ未満のアミノ酸残基の長さであり得る。
【0196】
より長いペプチドをいくつかのやり方で設計することができる。一部の実施形態では、HLA結合性ペプチドが予測されるまたは公知である場合、より長いペプチドは、(1)対応する遺伝子産物それぞれのN末端およびC末端に向かって2~5アミノ酸の伸長を有する個々の結合性ペプチド;または(2)それぞれ伸長した配列を有する結合性ペプチドの一部または全部の連鎖を含む。他の実施形態では、配列決定により、長い(>10残基)ネオエピトープ配列が腫瘍に存在すること(例えば、新規のペプチド配列を導くフレームシフト、リードスルーまたはイントロン包含に起因して)が明らかになった場合、より長いペプチドは、単一のより長いペプチドとしてまたは重複したいくつかのより長いペプチドとしてのいずれかの新規の腫瘍特異的アミノ酸のひと続き全体からなり得る。一部の実施形態では、より長いペプチドの使用により、患者細胞による内因性プロセシングが可能になり、より有効な抗原提示およびT細胞応答の誘導が導かれ得ることが推定される。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くのペプチドを使用することができ、その場合、ペプチドは重複し、長い新抗原性ペプチドにわたって重ならないように並べられる。
【0197】
一部の実施形態では、MHCクラスIの免疫原性抗原、新抗原ペプチド、またはそのエピトープは、12アミノ酸残基またはそれ未満の長さであり、通常は約8アミノ酸残基から約12アミノ酸残基の間からなる。一部の実施形態では、MHCクラスIの免疫原性抗原、新抗原ペプチド、またはそのエピトープは、約8、約9、約10、約11、または約12アミノ酸残基である。一部の実施形態では、MHCクラスIIの免疫原性抗原、新抗原ペプチド、またはそのエピトープは25アミノ酸残基またはそれ未満の長さであり、通常は約9アミノ酸残基から約25アミノ酸残基の間からなる。一部の実施形態では、MHCクラスIIの免疫原性抗原、新抗原ペプチド、またはそのエピトープは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25アミノ酸残基である。
【0198】
一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはHLAタンパク質(例えば、MHCクラスI HLAまたはMHCクラスII HLA)に結合する。特定の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはHLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドよりも大きな親和性で結合する。特定の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープは少なくとも5000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満またはそれ未満のIC50またはKDを有する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに0.1nM~2000nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1000nM、1100nM、1200nM、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、または2000nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1000nM、1100nM、1200nM、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、または2000nMの親和性で結合する。
【0199】
一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、または60分間の安定性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスI HLAに1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、または60分間の安定性で結合する。一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープはMHCクラスII HLAに1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の安定性で結合する。
【0200】
一部の実施形態では、ポリペプチドは約0.5から約12まで、約2から約10まで、または約4から約8までのpI値を有し得る。一部の実施形態では、ペプチドは少なくとも4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、またはそれよりも大きいpI値を有し得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは多くても4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、またはそれ未満のpI値を有し得る。
【0201】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、ペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、ペプチド配列のアミノ酸またはアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、0~1000個、1~900個、5~800個、10~700個、20~600個、30~500個、40~400個、50~300個、60~200個、または70~100個のアミノ酸残基を含む。好ましい実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、1個から20個までのアミノ酸残基を含む。別の好ましい実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、5個から12個までのアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、少なくとも500個、少なくとも1000個、または少なくとも1500個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、アミノ酸またはアミノ酸配列は、約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、約40個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約150個、約200個、約250個、約300個、約350個、約400個、約450個、約500個、約1000個、または約1500個のアミノ酸残基を含む。
【0202】
一態様では、ポリペプチドを製造する方法であって、アミノ酸またはアミノ酸配列および/またはリンカーをエピトープ配列を含む配列のN末端および/またはC末端に連結するステップを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、溶液形態、凍結乾燥形態であり得る、または結晶形態であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、組換えDNA技術または化学合成によって合成的に調製することもでき、またはネイティブな腫瘍または病原生物などの天然の供給源から単離することもできる。エピトープまたはネオエピトープは、個別に合成することもでき、またはポリペプチド内に直接または間接的に接合することもできる。本明細書に記載のポリペプチドは他の天然に存在する宿主細胞のタンパク質およびその断片を実質的に含まないものであり得るが、一部の実施形態では、ポリペプチドを、ネイティブな断片または粒子と接合するように合成的にコンジュゲートすることができる。
【0203】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドを多種多様なやり方で調製することができる。一部の実施形態では、ポリペプチドを、従来の技法に従って溶液中でまたは固体支持体上で合成することができる。種々の自動合成機が市販されており、公知のプロトコールに従って使用することができる。例えば、Stewart & Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d. Ed., Pierce Chemical Co., 1984を参照されたい。さらに、個々のポリペプチドを、化学的ライゲーションを使用して接合して、より大きなポリペプチドを作製することができ、これは、それでも本開示の範囲内に入る。
【0204】
あるいは、ポリペプチドまたはポリペプチドの一部をコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、適当な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトし、発現に適した条件下で培養(cultivate)する組換えDNA技術を使用することができる。これらの手順は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harb or Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に概して記載されている通り、当技術分野で一般に公知である。したがって、本明細書に記載の1つまたは複数の新抗原性ペプチドを含む組換えペプチドを使用して、適当なT細胞エピトープを提示することができる。
【0205】
一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列における1つまたは複数のヌクレオチドの挿入によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列における1つまたは複数のヌクレオチドの欠失によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列におけるフレームシフトによってコードされる。フレームシフトは、突然変異により遺伝子のコドン周期性(「読み枠」としても公知)の通常の相が乱され、非ネイティブなタンパク質配列の翻訳がもたらされる場合に生じる。遺伝子における異なる突然変異により同じ読み枠の変更が実現される可能性がある。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列におけるネオORFによってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の核酸配列における点突然変異によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、融合ポリペプチド、インフレーム欠失、挿入、内因性レトロウイルスポリペプチドの発現、およびポリペプチドの腫瘍特異的過剰発現をもたらす突然変異を有する遺伝子によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の第1の遺伝子と第2の遺伝子の融合によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の第1の遺伝子と第2の遺伝子のインフレーム融合によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の第1の遺伝子と第1の遺伝子のスプライスバリアントのエクソンの融合によってコードされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸は、対象のゲノム内の第1の遺伝子と第1の遺伝子の潜在エクソンの融合によってコードされる。
【0206】
一部の態様では、本開示は、少なくとも2つのポリペプチド分子を含むポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くがエピトープを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが同じエピトープを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが同じ長さの同じエピトープを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くがエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のものであるアミノ酸またはアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のものであるアミノ酸またはアミノ酸配列は同じである。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のものであるアミノ酸またはアミノ酸配列は同じである。
【0207】
一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くがリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くがエピトープのN末端および/またはC末端にリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが異なるリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのN末端にリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのN末端にリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのC末端にリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのC末端にリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はリンカーを含まない。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのN末端にリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのN末端にリンカーを含まない。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのC末端にリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子はエピトープのC末端にリンカーを含まない。
【0208】
ジスルフィドリンカーは、当技術分野で周知の方法を使用して合成することができる。例えば、ジスルフィドリンカーは、Zhang, Donglu, et al., ACS Med. Chem. Lett. 2016, 7, 988-993;およびPillow, Thomas H., et al., Chem. Sci., 2017, 8, 366-370に従って合成することができる。ジスルフィドリンカー合成およびジスルフィド含有ペプチド合成の例は実施例3および4に示されている。PABC含有ペプチドは、当技術分野で周知の方法を使用して合成することができる。例えば、PABC含有ペプチドは、Laurent Ducry (ed.), Antibody-Drug Conju gates, Methods in Molecular Biology, vol. 1045, DOI 10.1007/978-1-62703-541-5_5, Springer Science + Business Media, LLC 2013に従って合成することができる。PABC含有ペプチド合成の例は実施例5に示されている。一部の実施形態では、固相ペプチド合成のために作られた任意の樹脂を使用することができる。
【0209】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、またはそれよりも多くのポリペプチドまたはポリペプチド分子を含む。例えば、ポリペプチドは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、または100個またはそれよりも多くのポリペプチドまたはポリペプチド分子を含み得る。
【0210】
一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープを含むポリペプチドはRASエピトープを含む。一部の実施形態では、ペプチドは、置換突然変異、例えば、KRAS G12C、G12D、G12V、Q61H、もしくはQ61L突然変異、またはNRAS Q61KもしくはQ61R突然変異を有するタンパク質から引き出すことができる。置換は、ペプチドの長さに沿って任意の場所に位置し得る。例えば、置換は、ペプチドのN末端側の3分の1、ペプチドの中央の3分の1またはペプチドのC末端側の3分の1に位置し得る。別の実施形態では、置換された残基はN末端から2~5残基離れたところまたはC末端から2~5残基離れたところに位置する。ペプチドは、ペプチドが挿入された残基の1つまたは複数または全てを含む腫瘍特異的挿入突然変異から同様に引き出すことができる。一部の実施形態では、エピトープは、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸およびG12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RAS配列を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。
【0211】
一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、アミノ酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、アミノ酸配列は、pp65などの、サイトメガロウイルス(CMV)のタンパク質のものである。一部の実施形態では、アミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のタンパク質のものである。一部の実施形態では、アミノ酸配列は、MART-1のタンパク質のものである。一部の実施形態では、pp65などのCMVのタンパク質のアミノ酸配列は、1つ、2つ、3つ、または3つよりも多くのアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、pp65などのCMVのタンパク質のアミノ酸配列は、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、または100個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、HIVのタンパク質のアミノ酸配列は、1つ、2つ、3つ、または3つよりも多くのアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、HIVのタンパク質のアミノ酸配列は、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、または100個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、MART-1のタンパク質のアミノ酸配列は、1つ、2つ、3つ、または3つよりも多くのアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、MART-1のタンパク質のアミノ酸配列は、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、または100個のアミノ酸残基を含む。
【0212】
一部の実施形態では、RASエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、RASエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、950nM未満、900nM未満、850nM未満、800nM未満、750nM未満、600nM未満、550nM未満、500nM未満、450nM未満、400nM未満、350nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、または10nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、RASエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、23時間よりも長い、22時間よりも長い、21時間よりも長い、20時間よりも長い、19時間よりも長い、18時間よりも長い、17時間よりも長い、16時間よりも長い、15時間よりも長い、14時間よりも長い、13時間よりも長い、12時間よりも長い、11時間よりも長い、10時間よりも長い、9時間よりも長い、8時間よりも長い、7時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、55分間よりも長い、50分間よりも長い、45分間よりも長い、40分間よりも長い、35分間よりも長い、30分間よりも長い、25分間よりも長い、20分間よりも長い、15分間よりも長い、10分間よりも長い、9分間よりも長い、8分間よりも長い、7分間よりも長い、6分間よりも長い、5分間よりも長い、4分間よりも長い、3分間よりも長い、2分間よりも長い、または1分間よりも長い安定性で結合する。
【0213】
一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、HLA-A02:01対立遺伝子、HLA-A03:01対立遺伝子、HLA-A11:01対立遺伝子、HLA-A03:02対立遺伝子、HLA-A30:01対立遺伝子、HLA-A31:01対立遺伝子、HLA-A33:01対立遺伝子、HLA-A33:03対立遺伝子、HLA-A68:01対立遺伝子、HLA-A74:01対立遺伝子、および/またはHLA-C08:02対立遺伝子およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A02:01である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A03:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A11:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A03:02対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A30:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A31:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A33:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A33:03対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A68:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-A74:01対立遺伝子である。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子はHLA-C08:02である。
【0214】
一部の態様では、本開示は、第1のペプチドおよび第2のペプチドを含む単一のポリペプチド、または第1のペプチドおよび第2のペプチドをコードする単一のポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物は1つまたは複数の追加的なペプチドを含み、1つまたは複数の追加的なペプチドは第3のネオエピトープを含む。一部の実施形態では、第1のペプチドおよび第2のペプチドは同じ転写開始点から転写される配列によってコードされる。一部の実施形態では、第1のペプチドは第1の転写開始点から転写される配列によってコードされ、第2のペプチドは第2の転写開始点から転写される配列によってコードされる。一部の実施形態では、ポリペプチドは少なくとも26アミノ酸、27アミノ酸、28アミノ酸、29アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、80アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸、150アミノ酸、200アミノ酸、250アミノ酸、300アミノ酸、350アミノ酸、400アミノ酸、450アミノ酸、500アミノ酸、600アミノ酸、700アミノ酸、800アミノ酸、900アミノ酸、1,000アミノ酸、1,500アミノ酸、2,000アミノ酸、2,500アミノ酸、3,000アミノ酸、4,000アミノ酸、5,000アミノ酸、7,500アミノ酸、または10,000アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1の配列;および対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2の配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する少なくとも8個または9個の連続したアミノ酸の第1の配列;および対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する少なくとも16個または17個の連続したアミノ酸の第2の配列を含む。
【0215】
一部の実施形態では、第2のペプチドは第1のペプチドよりも長い。一部の実施形態では、第1のペプチドは第2のペプチドよりも長い。一部の実施形態では、第1のペプチドは少なくとも9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、20アミノ酸、21アミノ酸、22アミノ酸、23アミノ酸、24アミノ酸、25アミノ酸、26アミノ酸、27アミノ酸、28アミノ酸、29アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、80アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸、150アミノ酸、200アミノ酸、250アミノ酸、300アミノ酸、350アミノ酸、400アミノ酸、450アミノ酸、500アミノ酸、600アミノ酸、700アミノ酸、800アミノ酸、900アミノ酸、1,000アミノ酸、1,500アミノ酸、2,000アミノ酸、2,500アミノ酸、3,000アミノ酸、4,000アミノ酸、5,000アミノ酸、7,500アミノ酸、または10,000アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、第2のペプチドは少なくとも17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、20アミノ酸、21アミノ酸、22アミノ酸、23アミノ酸、24アミノ酸、25アミノ酸、26アミノ酸、27アミノ酸、28アミノ酸、29アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、80アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸、150アミノ酸、200アミノ酸、250アミノ酸、300アミノ酸、350アミノ酸、400アミノ酸、450アミノ酸、500アミノ酸、600アミノ酸、700アミノ酸、800アミノ酸、900アミノ酸、1,000アミノ酸、1,500アミノ酸、2,000アミノ酸、2,500アミノ酸、3,000アミノ酸、4,000アミノ酸、5,000アミノ酸、7,500アミノ酸、または10,000アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、第1のペプチドは対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する少なくとも9個の連続したアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、第2のペプチドは対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する少なくとも17個の連続したアミノ酸の配列を含む。
【0216】
一部の実施形態では、第1のペプチド、第2のペプチド、または両方が少なくとも1つの隣接配列を含み、少なくとも1つの隣接配列はネオエピトープの上流または下流にある。一部の実施形態では、少なくとも1つの隣接配列は、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、少なくとも1つの隣接配列は非野生型配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの隣接配列はN末端隣接配列である。一部の実施形態では、少なくとも1つの隣接配列はC末端隣接配列である。一部の実施形態では、第1のペプチドの少なくとも1つの隣接配列は、第2のペプチドの少なくとも1つの隣接配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、第1のペプチドの少なくとも1つの隣接領域は第2のペプチドの少なくとも1つの隣接領域とは異なる。一部の実施形態では、少なくとも1つの隣接残基は突然変異を含む。
【0217】
一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含むネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの突然変異型アミノ酸を含むネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの非突然変異型アミノ酸を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの非突然変異型アミノ酸を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの非突然変異型アミノ酸を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸;少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの非突然変異型アミノ酸;および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの非突然変異型アミノ酸を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。
【0218】
一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列、および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。
【0219】
一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの連続したアミノ酸を含む配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸および少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの連続したアミノ酸を含む配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の上流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの連続したアミノ酸を含む配列、および、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸の下流にあり、対応する野生型配列に対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個またはそれよりも多くの連続したアミノ酸を含む配列を含むタンパク質から引き出されたネオエピトープ配列を含む。
【0220】
一部の実施形態では、エピトープは、TMPRSS2:ERGエピトープである。一部の実施形態では、TMPRSS2:ERGエピトープは、ALNSEALSVのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、GADGVGKSAL、GACGVGKSAL、GAVGVGKSAL、GADGVGKSA、GACGVGKSA、GAVGVGKSA、KLVVVGACGV、FLVVVGACGL、FMVVVGACGI、FLVVVGACGI、FMVVVGACGV、FLVVVGACGV、MLVVVGACGV、FMVVVGACGL、YLVVVGACGV、KMVVVGACGV、YMVVVGACGV、MMVVVGACGV、DTAGHEEY、TAGHEEYSAM、DILDTAGHE、DILDTAGH、ILDTAGHEE、ILDTAGHE、DILDTAGHEEY、DTAGHEEYS、LLDILDTAGH、DILDTAGRE、DILDTAGR、ILDTAGREE、ILDTAGRE、CLLDILDTAGR、TAGREEYSAM、REEYSAMRD、DTAGKEEYSAM、CLLDILDTAGK、DTAGKEEY、LLDILDTAGK、ILDTAGKE、ILDTAGKEE、DTAGLEEY、ILDTAGLE、DILDTAGL、ILDTAGLEE、GLEEYSAMRDQY、LLDILDTAGLE、LDILDTAGL、DILDTAGLE、DILDTAGLEEY、AGVGKSAL、GAAGVGKSAL、AAGVGKSAL、CGVGKSAL、ACGVGKSAL、DGVGKSAL、ADGVGKSAL、DGVGKSALTI、GARGVGKSA、KLVVVGARGV、VVVGARGV、SGVGKSAL、VVVGASGVGK、GASGVGKSAL、VGVGKSAL、VVVGAGCVGK、KLVVVGAGC、GDVGKSAL、DVGKSALTI、VVVGAGDVGK、TAGKEEYSAM、DTAGHEEYSAM、TAGHEEYSA、DTAGREEYSAM、TAGKEEYSA、AAGVGKSA、AGCVGKSAL、AGDVGKSAL、AGKEEYSAMR、AGVGKSALTI、ARGVGKSAL、ASGVGKSA、ASGVGKSAL、AVGVGKSA、CVGKSALTI、DILDTAGK、DILDTAGREEY、DTAGHEEYSAMR、DTAGKEEYS、DTAGKEEYSAMR、DTAGLEEYS、DTAGLEEYSA、DTAGLEEYSAMR、DTAGREEYS、DTAGREEYSAMR、GAAGVGKSA、GACGVGKSA、GACGVGKSAL、GADGVGKS、GAGDVGKSA、GAGDVGKSAL、GASGVGKSA、GCVGKSAL、GCVGKSALTI、GHEEYSAM、GKEEYSAM、GLEEYSAMR、GREEYSAM、GREEYSAMR、HEEYSAMRD、KEEYSAMRD、KLVVVGASG、LDILDTAGR、LEEYSAMRD、LVVVGARGV、LVVVGASGV、REEYSAMRDQY、RGVGKSAL、TAGLEEYSA、TEYKLVVVGAA、VGAAGVGKSA、VGADGVGK、VGASGVGKSA、VGVGKSALTI、VVVGAAGV、VVVGAVGV、YKLVVVGAC、YKLVVVGAD、YKLVVVGAR、またはDILDTAGKEのアミノ酸配列を含む。
【0221】
一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、例えばN末端に、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KTEY、KTEYK、KTEYKL、KTEYKLV、KTEYKLVV、KTEYKLVVV、KKTEY、KKTEYK、KKTEYKL、KKTEYKLV、KKTEYKLVV、KKTEYKLVVV、KKKTEY、KKKTEYK、KKKTEYKL、KKKTEYKLV、KKKTEYKLVV、KKKTEYKLVVV、KKKKTEY、KKKKTEYK、KKKKTEYKL、KKKKTEYKLV、KKKKTEYKLVV、KKKKTEYKLVVV、IDIIMKIRNA、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFIIFFIFFWMC、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFAAFWFW、IFFIFFIIFFFFFFFFFFFFIIIIIIIWEC、FIFFFIIFFFFFIFFFFFIFIIIIIIFWEC、TEY、TEYK、TEYKL、TEYKLV、TEYKLVV、TEYKLVVV、WQAGILAR、HSYTTAE、PLTEEKIK、GALHFKPGSR、RRANKDATAE、KAFISHEEKR、TDLSSRFSKS、FDLGGGTFDV、CLLLHYSVSK、KKKKIIMKIRNA、またはMTEYKLVVVのアミノ酸配列をさらに含む。
【0222】
一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、例えばC末端に、K、KK、KKK、KKKK、KKKKK、KKKKKKK、KKKKKKKK、KKNKKDDI、KKNKKDDIKD、AGNDDDDDDDDDDDDDDDDDKKDKDDDDDD、AGNKKKKKKKNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、AGRDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD、SALTI、SALTIQL、GKSALTIQL、GKSALTI、SALTIK、SALTIQLK、GKSALTIQLK、GKSALTIK、SALTIKK、SALTIQLKK、GKSALTIQLKK、GKSALTIKK、SALTIKKK、SALTIQLKKK、GKSALTIQLKKK、GKSALTIKKK、SALTIKKKK、SALTIQLKKKK、GKSALTIQLKKKK、GKSALTI、KKKK、QGQNLKYQ、ILGVLLLI、EKEGKISK、AASDFIFLVT、KELKQVASPF、KKKLINEKKE、KKCDISLQFF、KSTAGDTHLG、ATFYVAVTVP、LTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDG、またはTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGEのアミノ酸配列をさらに含む。
【0223】
一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQL、KKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、KKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKK、TEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGADGVGKSALTIQLKKKK、およびTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLKKKK、TEYKLVVVGACGVGKSALTIQLKKKKからなる群から選択される。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQL、KKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQL、KKKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQL、およびKKKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLからなる群から選択される。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KKKTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLである。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KKKTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLである。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KKKKTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLである。一部の実施形態では、RASエピトープを含むポリペプチドは、KKKKTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLである。
【0224】
一部の実施形態では、KRAS G12C突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETC LLDILDTAGQEの配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12C突然変異を含むペプチドはKLVVVGACGVのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12C突然変異を含むペプチドはLVVVGACGVのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12C突然変異を含むペプチドはVVGACGVGKのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12C突然変異を含むペプチドはVVVGACGVGKのネオエピトープ配列を含む。
【0225】
一部の実施形態では、KRAS G12D突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEの配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12D突然変異を含むペプチドはVVGADGVGKのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12D突然変異を含むペプチドはVVVGADGVGKのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12D突然変異を含むペプチドはKLVVVGADGVのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12D突然変異を含むペプチドはLVVVGADGVのネオエピトープ配列を含む。
【0226】
一部の実施形態では、KRAS G12V突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEの配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12V突然変異を含むペプチドはKLVVVGAVGVのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12V突然変異を含むペプチドはLVVVGAVGVのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12V突然変異を含むペプチドはVVGAVGVGKのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS G12V突然変異を含むペプチドはVVVGAVGVGKのネオエピトープ配列を含む。
【0227】
一部の実施形態では、KRAS Q61H突然変異を含むペプチドはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGHEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMの配列を含む。一部の実施形態では、KRAS Q61H突然変異を含むペプチドはILDTAGHEEYのネオエピトープ配列を含む。
【0228】
一部の実施形態では、KRAS Q61L突然変異を含むペプチドはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGLEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMの配列を含む。一部の実施形態では、KRAS Q61L突然変異を含むペプチドはILDTAGLEEYのネオエピトープ配列を含む。一部の実施形態では、KRAS Q61L突然変異を含むペプチドはLLDILDTAGLのネオエピトープ配列を含む。
【0229】
一部の実施形態では、NRAS Q61K突然変異を含むペプチドはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGKEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNSKSFADINLYREQIKRVKDSDDVPMの配列を含む。一部の実施形態では、NRAS Q61K突然変異を含むペプチドはILDTAGKEEYのネオエピトープ配列を含む。
【0230】
一部の実施形態では、NRAS Q61R突然変異を含むペプチドはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGREEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNSKSFADINLYREQIKRVKDSDDVPMの配列を含む。一部の実施形態では、NRAS Q61R突然変異を含むペプチドはILDTAGREEYのネオエピトープ配列を含む。
【0231】
一部の実施形態では、RAS Q61H突然変異を含むペプチドはTCLLDILDTAGHEEYSAMRDQYMの配列を含む。一部の実施形態では、RAS Q61H突然変異を含むペプチドは表1に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表1に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表1のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表1. RAS Q61H突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表1-1】
【表1-2】
【0232】
一部の実施形態では、RAS Q61R突然変異を含むペプチドはTCLLDILDTAGREEYSAMRDQYMの配列を含む。一部の実施形態では、RAS Q61R突然変異を含むペプチドは表2に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表2に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表2のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表2. RAS Q61R突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0233】
一部の実施形態では、RAS Q61K突然変異を含むペプチドはTCLLDILDTAGKEEYSAMRDQYMの配列を含む。一部の実施形態では、RAS Q61K突然変異を含むペプチドは表3に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表3に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表3のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表3. RAS Q61K突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表3-1】
【表3-2】
【0234】
一部の実施形態では、RAS Q61L突然変異を含むペプチドはTCLLDILDTAGLEEYSAMRDQYMの配列を含む。一部の実施形態では、RAS Q61L突然変異を含むペプチドは表4に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表4に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表4のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表4. RAS Q61L突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0235】
一部の実施形態では、RAS G12A突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGAAGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12A突然変異を含むペプチドは表5に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表5に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表5のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表5. RAS G12A突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0236】
一部の実施形態では、RAS G12C突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12C突然変異を含むペプチドは表6に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表6に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表6のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表6. RAS G12C突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表6-1】
【表6-2】
【0237】
一部の実施形態では、RAS G12D突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12D突然変異を含むペプチドは表7に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表7に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表7のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表7. RAS G12D突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表7-1】
【表7-2】
【0238】
一部の実施形態では、RAS G12R突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGARGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12R突然変異を含むペプチドは表8に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表8に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表8のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表8. RAS G12R突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表8-1】
【表8-2】
【0239】
一部の実施形態では、RAS G12S突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGASGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12S突然変異を含むペプチドは表9に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表9に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表9のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表9. RAS G12S突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表9-1】
【表9-2】
【0240】
一部の実施形態では、RAS G12V突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G12V突然変異を含むペプチドは表10に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表10に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表10のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表10. RAS G12V突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0241】
一部の実施形態では、RAS G13C突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGAGCVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G13C突然変異を含むペプチドは表11に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表11に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表11のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表11. RAS G13C突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表11】
【0242】
一部の実施形態では、RAS G13D突然変異を含むペプチドはMTEYKLVVVGAGDVGKSALTIQLの配列を含む。一部の実施形態では、RAS G13D突然変異を含むペプチドは表12に提示されている配列を含む。一部の実施形態では、表12に提示されているペプチド配列はHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するまたはそれに結合することが予測され、その対立遺伝子は表12のペプチド配列の隣の対応する列に提示されている。
表12. RAS G13D突然変異を含むペプチド配列、対応するHLA対立遺伝子、および結合潜在性の順位
【表12-1】
【表12-2】
【0243】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドはRASエピトープを含まない。一部の実施形態では、エピトープはRASエピトープではない。一部の実施形態では、ポリペプチドはKKKKKPKRDGYMFLKAESKIMFAT、KKKKYMFLKAESKIMFATLQRSS、KKKKKAESKIMFATLQRSSLWCL、KKKKKIMFATLQRSSLWCLCSNH、またはKKKKMFATLQRSSLWCLCSNHを含まない。
【0244】
一部の実施形態では、抗原、新抗原ペプチド、またはエピトープを含むポリペプチドはGATA3エピトープを含む。一部の実施形態では、GATA3エピトープは、MLTGPPARV、SMLTGPPARV、VLPEPHLAL、KPKRDGYMF、KPKRDGYMFL、ESKIMFATL、KRDGYMFL、PAVPFDLHF、AESKIMFATL、FATLQRSSL、ARVPAVPFD、IMKPKRDGY、DGYMFLKA、MFLKAESKIMF、LTGPPARV、ARVPAVPF、SMLTGPPAR、RVPAVPFDL、またはLTGPPARVPのアミノ酸配列を含む。
ペプチド修飾
【0245】
一部の実施形態では、本開示は、修飾されたペプチドを含む。修飾は、抗原性ペプチド自体の一次アミノ酸配列を変更しない共有結合性の化学修飾を含み得る。修飾により、所望の特性、例えば、in vivo半減期の延長、安定性の増大、クリアランスの低減、免疫原性もしくはアレルゲン性の変更、特定の抗体の生成を可能にすること、細胞標的化、抗原取り込み、抗原プロセシング、HLA親和性、HLA安定性、または抗原提示を有するペプチドをもたらすことができる。一部の実施形態では、ペプチドは、例えば免疫応答を生じさせるためのAPCによるエピトープのプロセシングおよび提示を増強する1つまたは複数の配列を含み得る。
【0246】
一部の実施形態では、ポリペプチドを、所望の特質がもたらされるように修飾することができる。例えば、ペプチドの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性を誘導する能力を、ヘルパーT細胞応答を誘導することができる少なくとも1つのエピトープを含有する配列と連結することによって増強することができる。一部の実施形態では、免疫原性ペプチド/ヘルパーTコンジュゲートをスペーサー分子によって連結する。一部の実施形態では、スペーサーは、生理的条件下で実質的に非荷電である、アミノ酸またはアミノ酸模倣物などの比較的小さな中性分子を含む。スペーサーは、例えば、Ala、Glyまたは他の非極性アミノ酸または中性極性アミノ酸の中性スペーサーから選択することができる。必要に応じて存在するスペーサーは同じ残基に含まれる必要はなく、したがって、ヘテロオリゴマーまたはホモオリゴマーであり得ることが理解されよう。新抗原性ペプチドをヘルパーTペプチドに、ペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかにおいて直接かまたはスペーサーを介してのいずれかで連結することができる。新抗原性ペプチドまたはヘルパーTペプチドのいずれかのアミノ末端をアシル化することができる。ヘルパーTペプチドの例としては、破傷風トキソイド残基830~843、インフルエンザ残基307~319、ならびにマラリアスポロゾイト周囲残基382~398および残基378~389が挙げられる。
【0247】
本開示のペプチド配列を、必要に応じて、DNAレベルで変化させることによって、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、ペプチドをコードするDNAを予め選択した塩基において突然変異させることによって、変更することができる。
【0248】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、結果生じるペプチドの物理的特性(例えば、安定性または溶解性)を改変するための置換を含有し得る。例えば、ペプチドを、システイン(C)をα-アミノ酪酸(「B」)で置換することによって修飾することができる。システインは、その化学的性質に起因して、ジスルフィド架橋を形成する傾向を有し、ペプチドを構造的に十分に変更して、結合能を低下させる。α-アミノ酪酸でCを置換することにより、この問題が緩和されるだけでなく、ある特定の場合には結合能および架橋結合能も実際に改善される。システインのα-アミノ酪酸での置換は、新抗原性ペプチドの任意の残基において、例えば、ペプチド内のエピトープまたは類似体のアンカー位置または非アンカー位置、またはペプチドの他の位置において行うことができる。
【0249】
ペプチドを、例えばアミノ酸の付加または欠失によって化合物のアミノ酸配列を伸長させるまたは短縮することによって修飾することもできる。ペプチドまたは類似体を、ある特定の残基の順序または組成を変更することによって修飾することもできる。生物活性に必須のある特定のアミノ酸残基、例えば、極めて重要な接触部位にある残基または保存された残基は、一般に、生物活性に対する有害作用を伴わずに変更することができないことが当業者には理解されよう。極めて重要なものではないアミノ酸は、L-α-アミノ酸などのタンパク質に天然に存在するアミノ酸、またはそれらのD異性体に限定する必要はなく、β-γ-δ-アミノ酸、ならびにL-α-アミノ酸の多くの誘導体などの非天然アミノ酸を含んでもよい。
【0250】
一部の実施形態では、HLA結合に対する静電気的電荷、疎水性などの影響を決定するために、ペプチドを、単一のアミノ酸置換を有する一連のペプチドを使用して修飾することができる。例えば、一連の正に荷電したアミノ酸(例えば、LysまたはArg)または負に荷電したアミノ酸(例えば、Glu)による置換をペプチドの長さに沿って行い、それにより、種々のHLA分子およびT細胞受容体に対する感受性の異なるパターンを明らかにすることができる。さらに、Ala、Gly、Pro、または同様の残基などの小さな比較的中性の部分を使用した多数の置換を使用することができる。置換は、ホモオリゴマーであってもヘテロオリゴマーであってもよい。置換されるまたは付加される残基の数および型は、必須の接触点の間に必要な間隔、および、求められるある特定の機能的特質(例えば、疎水性対親水性)に依存する。親ペプチドの親和性と比較したHLA分子またはT細胞受容体に対する結合親和性の増大もそのような置換によって実現することができる。いずれにしても、そのような置換には、例えば、結合を妨害し得る立体的および電荷干渉が回避されるように選択されたアミノ酸残基または他の分子断片を使用すべきである。アミノ酸置換は一般には単一の残基の置換である。置換、欠失、挿入、またはこれらの任意の組合せを組み合わせて最終的なペプチドを実現することができる。
【0251】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、アミノ酸模倣物または非天然(unnatural)アミノ酸残基、例えばD-またはL-ナフチルアラニン;D-またはL-フェニルグリシン;D-またはL-2-チエネイルアラニン;D-またはL-1、-2、3-、または4-ピレネイルアラニン;D-またはL-3チエネイルアラニン;D-またはL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-またはL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロフェニルアラニン;D-またはL-p-ビフェニル-フェニルアラニン;D-またはL-p-メトキシビフェニルフェニルアラニン;D-またはL-2-インドール(アリル)アラニン;およびD-またはL-アルキルアラニンを含み得、ここで、アルキル基は置換または非置換メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-イソチル、イソペンチル、または非酸性アミノ酸残基であり得る。非天然アミノ酸の芳香環としては、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジル芳香環が挙げられる。種々のアミノ酸模倣物または非天然(unnatural)アミノ酸残基を有する修飾されたペプチドは、in vivoにおいて増大した安定性を有し得る。そのようなペプチドは、改善された貯蔵寿命または製造特性も有し得る。
【0252】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドを、末端NH2アシル化によって、例えば、アルカノイル(C1~C20)またはチオグリコールイルアセチル化、末端カルボキシルアミド化、例えば、アンモニア、メチルアミンなどによって修飾することができる。一部の実施形態では、これらの修飾により、支持体または他の分子との連結のための部位をもたらすことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、これだけに限定されないが、グリコシル化、側鎖の酸化、ビオチン化、リン酸化、表面活性材料、例えば脂質の付加などの修飾を含有し得る、または化学修飾、例えばアセチル化することができる。さらに、ペプチド内の結合は、ペプチド結合以外の結合、例えば、共有結合、エステルまたはエーテル結合、ジスルフィド結合、水素結合、イオン結合などであり得る。
【0253】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、担体、例えば、当技術分野で周知のものなど、例えば、サイログロブリン、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン、破傷風トキソイド、ポリL-リシンおよびポリL-グルタミン酸などのポリアミノ酸残基、インフルエンザウイルスタンパク質、B型肝炎ウイルスコアタンパク質などを含み得る。
【0254】
ペプチドを、通常はタンパク質の一部ではない追加的な化学的部分を含有するようにさらに修飾することができる。それらの誘導体化された部分により、溶解性、生物学的半減期、タンパク質の吸収、または結合親和性を改善することができる。当該部分により、ペプチドの任意の望ましい副作用を低減または排除することもできる、などである。これらの部分の概要はRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (2000)に見いだすことができる。例えば、所望の活性を有する新抗原性ペプチドを、必要に応じて、ある特定の所望の特質、例えば、薬理学的特徴の改善をもたらす一方で、修飾されていないペプチドの、所望のHLA分子に結合し、適当なT細胞を活性化する生物活性の実質的に全てが増大するまたは少なくとも保持されるように修飾することができる。例えば、ペプチドを、保存的または非保存的のいずれかの置換などの種々の変化に供することができ、そのような変化により、それらの使用に関して、HLA結合の改善などのある特定の利点をもたらすことができる。そのような保存的置換は、アミノ酸残基を生物学的にかつ/または化学的に同様の別のアミノ酸残基で置き換えること、例えば、1つの疎水性残基で別の疎水性残基を置き換えること、または1つの極性残基で別の極性残基を置き換えることを包含し得る。単一のアミノ酸置換の効果をD-アミノ酸を使用して厳密に調べることもできる。そのような修飾は、例えば、Merrifield, Science 232: 341-347 (1986), Barany & Merrifield, The Peptides, Gross & Meienhofer, eds. (N.Y., Academic Press), pp. 1-284 (1979);およびStewart & Young, Solid Phase Peptide Synthesis, (Rockford, III., Pierce), 2d Ed. (1984)に記載されている通り、周知のペプチド合成手順を使用して行うことができる。
【0255】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドを、タンパク質などの、大きな、ゆっくりと代謝される巨大分子;多糖、例えばセファロース、アガロース、セルロース、セルロースビーズなど;ポリマーアミノ酸、例えばポリグルタミン酸、ポリリシンなど;アミノ酸共重合体;不活化ウイルス粒子;不活化細菌毒素、例えば、ジフテリア、破傷風、コレラ、ロイコトキシン分子に由来するトキソイドなど;不活化細菌;および樹状細胞とコンジュゲートすることができる。
【0256】
ペプチドに対する変化としては、これだけに限定されないが、担体タンパク質とのコンジュゲーション、リガンドとのコンジュゲーション、抗体とのコンジュゲーション、PEG化、ポリシアル化、HES化、組換えPEG模倣物、Fc融合、アルブミン融合、ナノ粒子付着、ナノ粒子封入、コレステロール融合、鉄融合、アシル化、アミド化、グリコシル化、側鎖の酸化、リン酸化、ビオチン化、表面活性材料の付加、アミノ酸模倣物の付加、または非天然(unnatural)アミノ酸の付加を挙げることができる。
【0257】
グリコシル化は、タンパク質の物理的特性に影響を及ぼし得、また、タンパク質の安定性、分泌、および細胞内の局在に関しても重要であり得る。適当なグリコシル化は生物活性に重要であり得る。実際、真核生物由来のいくつかの遺伝子は、タンパク質をグリコシル化するための細胞プロセスを欠く細菌(例えば、E.coli)において発現させると、グリコシル化の欠如に起因して、わずかな活性でまたは活性を有さずに回収されるタンパク質が生じる。グリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を変更することによって実現することができる。ペプチドまたはタンパク質に対する変更は、例えば、1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基(O結合グリコシル化部位に関して)またはアスパラギン残基(N結合グリコシル化部位に関して)の付加、またはそれによる置換によって行うことができる。N結合オリゴ糖およびO結合オリゴ糖ならびに各型において見いだされる糖残基の構造は異なり得る。どちらにも一般に見いだされる糖の1つの型はN-アセチルノイラミン酸(以降シアル酸と称する)である。シアル酸は、通常、N結合オリゴ糖およびO結合オリゴ糖の両方の末端残基であり、負電荷に起因して、糖タンパク質に酸性特性を付与することができる。本開示の複数の実施形態は、N-グリコシル化バリアントの生成および使用を含む。炭水化物の除去は、化学的にもしくは酵素的に、またはグリコシル化されるアミノ酸残基をコードするコドンの置換によって実現することができる。化学的な脱グリコシル技法は公知であり、また、ポリペプチドの炭水化物部分の酵素による切断は種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼを使用することによって実現することができる。
【0258】
コンジュゲーションのための追加的な適切な構成成分および分子としては、例えば、リンパ系を標的化するための分子、サイログロブリン;ヒト血清アルブミン(HAS)などのアルブミン;破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイド;ポリ(D-リシン:D-グルタミン酸)などのポリアミノ酸;ロタウイルスのVP6ポリペプチド;インフルエンザウイルス赤血球凝集素、インフルエンザウイルス核タンパク質;キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);ならびにB型肝炎ウイルスコアタンパク質および表面抗原;または前述の任意の組合せが挙げられる。
【0259】
別の型の修飾は、別のタンパク質(例えば、対象タンパク質に対して異種のアミノ酸配列を有するタンパク質)または担体分子などの1つまたは複数の追加的な構成成分または分子をポリペプチド配列のN末端および/またはC末端にコンジュゲートする(例えば、連結する)ことである。したがって、例示的なポリペプチド配列は、別の構成成分または分子とのコンジュゲートとして提供することができる。一部の実施形態では、アルブミンと本開示のペプチドまたはタンパク質の融合を、例えば、HSAまたはその断片をコードするDNAと1つまたは複数のポリペプチド配列をコードするDNAを接合する遺伝子操作によって実現することができる。その後、融合ポリペプチドが発現されるように、適切な宿主に対して、融合したヌクレオチド配列を、例えば適切なプラスミドの形態で用いて形質転換またはトランスフェクトを行うことができる。発現は、in vitroにおいて、例えば原核細胞または真核細胞で行うこともでき、またはin vivoにおいて、例えばトランスジェニック生物体で行うこともできる。本開示の一部の実施形態では、融合タンパク質の発現を哺乳動物細胞株、例えばCHO細胞株において実施する。さらに、アルブミン自体を、循環半減期が延長されるように改変することができる。改変アルブミンと1つまたは複数のポリペプチドの融合は、上記の遺伝子操作技法によって、または化学的コンジュゲーションによって実現することができる;結果生じる融合分子は非改変アルブミンとの融合物の半減期を超える半減期を有する(例えば、WO2011/051489を参照されたい)。直接融合の代替として、コンジュゲートした脂肪酸鎖(アシル化)を通じたアルブミン結合を含めたいくつかのアルブミン結合戦略が開発されている。血清アルブミンは脂肪酸の輸送タンパク質であるので、アルブミン結合活性を有するこれらの天然リガンドが、小さなタンパク質治療薬の半減期延長のために使用されている。
【0260】
コンジュゲーションのための追加的な候補構成成分および分子としては、単離または精製に適したものが挙げられる。非限定的な例としては、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対)などの結合性分子、抗体、受容体、リガンド、レクチン、または、例えばプラスチックもしくはポリスチレンビーズ、プレートもしくはビーズ、磁気ビーズ、テストストリップ、および膜を含めた固体支持体を含む分子が挙げられる。陽イオン交換クロマトグラフィーなどの精製方法を使用してコンジュゲートを電荷の差異によって分離することができ、それにより、コンジュゲートがそれらの種々の分子量に有効に分離される。陽イオン交換クロマトグラフィーによって得られた画分の内容物を、従来の方法、例えば、質量分析、SDS-PAGE、または分子実体を分子量によって分離するための他の公知の方法を使用して分子量によって同定することができる。
【0261】
一部の実施形態では、本開示のペプチドまたはタンパク質配列のアミノ末端またはカルボキシル末端を免疫グロブリンFc領域(例えば、ヒトFc)と融合して融合コンジュゲート(または融合分子)を形成することができる。Fc融合コンジュゲートにより生物学的製剤の全身半減期が延長されることが示されており、したがって、生物学的製剤製品に必要な投与の頻度をより低くすることができる。Fcは血管を裏打ちする内皮細胞内の新生Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は分解から保護され、循環中に再放出され、分子を循環中により長く保持する。このFc結合が、内因性IgGが長い血漿中半減期を保持する機構であると考えられている。ごく最近のFc融合技術では、生物学的製剤の薬物動態および薬力学的特性を従来のFc融合コンジュゲートと比較して最適化するために単一コピーの生物学的製剤と抗体のFc領域が連結されている。
【0262】
本開示では、1つまたは複数の特性を改善するための、ペプチドの現在公知のまたは開発中の他の修飾の使用が意図されている。本開示のペプチドの循環半減期を延長するため、安定性を増大させるため、クリアランスを低減するため、または免疫原性もしくはアレルゲン性を変更するためのそのような方法の1つは、ペプチド配列をHES化によって修飾することを伴い、これは、分子の特徴を修飾するために、他の分子と連結したヒドロキシエチルデンプン誘導体を利用する。HES化の種々の態様は、例えば、米国特許出願第2007/0134197号および同第2006/0258607号に記載されている。
【0263】
ペプチドの安定性はいくつかのやり方でアッセイすることができる。例えば、ペプチダーゼならびにヒト血漿および血清などの種々の生物学的媒体が安定性を試験するために使用されている。例えば、Verhoef, et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinetics 11: 291 (1986)を参照されたい。本明細書に記載のペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを使用して都合よく決定される。プロトコールは以下の通りである:プールしたヒト血清(AB型、熱失活させていないもの)を使用前に遠心分離によって破損させる。次いで、血清をRPMI-1640または別の適切な組織培養培地で25%まで希釈する。所定の時間間隔で少量の反応溶液を取り出し、6%水性トリクロロ酢酸(TCA)またはエタノールのいずれかに添加する。濁った反応試料を15分間にわたって冷却し(4℃)、次いで高速回転させて沈殿した血清タンパク質をペレット化する。次いで、ペプチドの存在を逆相HPLCにより、安定性特異的クロマトグラフィー条件を使用して決定する。
【0264】
血漿中半減期が短いことまたはプロテアーゼ分解を受けやすいことに伴う問題は、ペプチドまたはタンパク質配列を種々の非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンのいずれかとコンジュゲートまたは連結すること(例えば、一般にはタンパク質と非タンパク質性ポリマー、例えばPEGの両方と共有結合した連結性部分を介して)を含めた種々の修飾によって克服することができる。そのようなPEGとコンジュゲートした生体分子は、より良好な物理的および熱的安定性、酵素による分解の受けやすさからの保護、溶解性の増大、より長いin vivo循環半減期およびクリアランスの低減、免疫原性および抗原性の低減、ならびに毒性の低減を含めた、臨床的に有用な特性を有することが示されている。
【0265】
ポリペプチドまたはタンパク質配列とのコンジュゲーションに適したPEGは、一般に、室温で水に可溶性であり、一般式R-(O-CH2-CH2)n-O-Rを有し、式中、Rは水素またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、また、nは1から1000までの整数である。Rが保護基である場合、一般に、炭素を1個~8個有する。ポリペプチド配列とコンジュゲートするPEGは直鎖であっても分枝であってもよい。分枝PEG誘導体、「星型PEG」およびマルチアームPEGが本開示により意図されている。本開示では、PEGが異なるn値を有し、したがって、種々の異なるPEGが特定の比率で存在するコンジュゲートの組成物も意図されている。例えば、一部の組成物は、n=1、2、3、および4であるコンジュゲートの混合物を含む。一部の組成物では、n=1のコンジュゲートのパーセンテージは18~25%であり、n=2のコンジュゲートのパーセンテージは50~66%であり、n=3のコンジュゲートのパーセンテージは12~16%であり、n=4のコンジュゲートのパーセンテージは最大5%である。そのような組成物は、当技術分野で公知の反応条件および精製方法によって作製することができる。例えば、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを分離することができ、次いで、例えば、所望の数のPEGが付着したコンジュゲートを含有する画分を同定し、修飾されていないタンパク質配列および他の数のPEGが付着したコンジュゲートを含まないように精製する。
【0266】
PEGを本開示のペプチドまたはタンパク質と末端反応性基(「スペーサー」)を介して結合させることができる。スペーサーは、例えば、ポリペプチド配列の1つまたは複数の遊離のアミノ基またはカルボキシル基とPEGの結合を媒介する末端反応性基である。遊離のアミノ基と結合させることができるスペーサーを有するPEGとしては、N-ヒドロキシスクシニルイミドPEGが挙げられ、これは、PEGのコハク酸エステルをN-ヒドロキシスクシニルイミドで活性化することによって調製することができる。遊離のアミノ基と結合させることができる別の活性化PEGは、2,4-ビス(O-メトキシポリエチレングリコール)-6-クロロ-s-トリアジンであり、これは、PEGモノメチルエーテルを塩化シアヌールと反応させることによって調製することができる。遊離のカルボキシル基に結合する活性化PEGとしては、ポリオキシエチレンジアミンが挙げられる。
【0267】
本開示のペプチドまたはタンパク質配列の1つまたは複数とスペーサーを有するPEGのコンジュゲーションは、種々の従来の方法によって行うことができる。例えば、コンジュゲーション反応を、試薬とペプチド/タンパク質のモル比4:1から30:1までを利用し、溶液中、pH5から10まで、4℃から室温までの温度で、30分間~20時間にわたって行うことができる。反応条件は、所望の程度の置換が優勢に生じるように反応が方向付けられるように選択することができる。一般に、低温、低pH(例えば、pH=5)、および短い反応時間では、付着するPEGの数が減少する傾向があり、一方、高温、中性~高pH(例えば、pH>7)、およびより長い反応時間では付着するPEGの数が増加する傾向がある。当技術分野で公知の種々の手段を使用して反応を終結させることができる。一部の実施形態では、反応混合物を酸性化し、例えば-20℃で凍結させることによって反応を終了させる。
ネオエピトープ
【0268】
ネオエピトープは、免疫系によって認識される新抗原性ペプチドまたは新抗原性ポリペプチドの新抗原性決定部分を含む。ネオエピトープは、非疾患細胞、例えば非がん性細胞または生殖細胞系列細胞などの参照には存在しないが、疾患細胞、例えばがん細胞には見いだされるエピトープを指す。これは、対応するエピトープが正常な非疾患細胞または生殖細胞系列細胞において見いだされるが、疾患細胞、例えば、がん細胞における1つまたは複数の突然変異に起因して、エピトープの配列が変化し、その結果、ネオエピトープが生じた状況を含む。「ネオエピトープ」という用語は、本明細書では「腫瘍特異的エピトープ」または「腫瘍特異的ネオエピトープ」と互換的に使用され、1つの残基、一般にはL-アミノ酸が他の残基、一般にはL-アミノ酸と、一般にはα-アミノと隣のアミノ酸のカルボキシル基の間のペプチド結合によって接続した一続きを指す。ネオエピトープは、種々の長さであってよく、中性(非荷電)形態であっても塩の形態であってもよく、また、グリコシル化、側鎖の酸化、またはリン酸化などの修飾を有さないものであってもこれらの修飾を含有するものであってもよく、修飾により本明細書に記載のポリペプチドの生物活性が損なわれない条件に供することができる。本開示は、表1~12の腫瘍特異的突然変異を含む単離されたネオエピトープを提供する。
【0269】
一部の実施形態では、MHCクラスI HLAに対する本明細書に記載のネオエピトープは、12アミノ酸残基またはそれ未満の長さであり、通常、約8アミノ酸残基から約12アミノ酸残基の間からなる。一部の実施形態では、MHCクラスI HLAに対する本明細書に記載のネオエピトープは、約8、約9、約10、約11、または約12アミノ酸残基である。一部の実施形態では、MHCクラスII HLAに対する本明細書に記載のネオエピトープは、25アミノ酸残基またはそれ未満の長さであり、通常、約9アミノ酸残基から約25アミノ酸残基の間からなる。一部の実施形態では、MHCクラスII HLAに対する本明細書に記載のネオエピトープは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25アミノ酸残基である。
【0270】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、タンパク質の第1のネオエピトープを含む第1のペプチドおよび同じタンパク質の第2のネオエピトープを含む第2のペプチドを含み、ここで、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なり、また、第1のネオエピトープは突然変異を含み、第2のネオエピトープも同じ突然変異を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、タンパク質の第1の領域の第1のネオエピトープを含む第1のペプチドおよび同じタンパク質の第2の領域の第2のネオエピトープを含む第2のペプチドを含み、ここで、第1の領域は第2の領域のアミノ酸を少なくとも1つ含み、第1のペプチドは第2のペプチドとは異なり、また、第1のネオエピトープは第1の突然変異を含み、第2のネオエピトープは第2の突然変異を含む。一部の実施形態では、第1の突然変異と第2の突然変異は同じである。一部の実施形態では、突然変異は、点突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異、リードスルー突然変異、遺伝子融合突然変異、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0271】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープはクラスI HLAタンパク質と結合してクラスI HLA-ペプチド複合体を形成する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープはクラスII HLAタンパク質と結合してクラスII HLA-ペプチド複合体を形成する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープはクラスI HLAタンパク質と結合してクラスI HLA-ペプチド複合体を形成する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープはクラスII HLAタンパク質と結合してクラスII HLA-ペプチド複合体を形成する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープはCD8+T細胞を活性化する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープはCD4+T細胞を活性化する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープはCD4+T細胞を活性化する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープはCD8+T細胞を活性化する。一部の実施形態では、CD4+T細胞のTCRはクラスII HLA-ペプチド複合体に結合する。一部の実施形態では、CD8+T細胞のTCRはクラスII HLA-ペプチド複合体に結合する。一部の実施形態では、CD8+T細胞のTCRはクラスI HLA-ペプチド複合体に結合する。一部の実施形態では、CD4+T細胞のTCRはクラスI HLA-ペプチド複合体に結合する。
【0272】
一部の実施形態では、第2のネオエピトープは第1のネオエピトープよりも長い。一部の実施形態では、第1のネオエピトープは少なくとも8アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープは8アミノ酸から12アミノ酸までの長さを有する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープは少なくとも8個の連続したアミノ酸の配列を含み、ここで、8個の連続したアミノ酸のうちの少なくとも1個が野生型配列の対応する位置では異なる。一部の実施形態では、第1のネオエピトープは少なくとも8個の連続したアミノ酸の配列を含み、ここで、8個の連続したアミノ酸のうちの少なくとも2個が野生型配列の対応する位置では異なる。一部の実施形態では、第2のネオエピトープは少なくとも16アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープは16アミノ酸から25アミノ酸までの長さを有する。一部の実施形態では、第2のネオエピトープは少なくとも16個の連続したアミノ酸の配列を含み、ここで、16個の連続したアミノ酸のうちの少なくとも1個が野生型配列の対応する位置では異なる。一部の実施形態では、第2のネオエピトープは少なくとも16個の連続したアミノ酸の配列を含み、ここで、16個の連続したアミノ酸のうちの少なくとも2個が野生型配列の対応する位置では異なる。
【0273】
一部の実施形態では、ネオエピトープは少なくとも1つのアンカー残基を含む。一部の実施形態では、第1のネオエピトープ、第2のネオエピトープまたはその両方が少なくとも1つのアンカー残基を含む。一実施形態では、第1のネオエピトープの少なくとも1つのアンカー残基は標準的アンカー位置または非標準的アンカー位置にある。別の実施形態では、第2のネオエピトープの少なくとも1つのアンカー残基は標準的アンカー位置または非標準的アンカー位置にある。さらに別の実施形態では、第1のネオエピトープの少なくとも1つのアンカー残基は第2のネオエピトープの少なくとも1つのアンカー残基とは異なる。
【0274】
一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基は野生型残基である。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基は置換である。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基は突然変異を含まない。
【0275】
一部の実施形態では、第2のネオエピトープまたは両方が少なくとも1つのアンカー残基隣接領域を含む。一部の実施形態では、ネオエピトープは少なくとも1つのアンカー残基を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基は少なくとも2つのアンカー残基を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのアンカー残基は少なくとも1アミノ酸を含む分離領域によって分離されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基隣接領域は分離領域内にはない。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンカー残基隣接領域は、(a)少なくとも2つのアンカー残基のうちのN末端アンカー残基の上流にある;(b)少なくとも2つのアンカー残基のうちのC末端アンカー残基の下流にある;または(a)と(b)の両方である。
【0276】
一部の実施形態では、ネオエピトープは、HLAタンパク質(例えば、MHCクラスI HLAまたはMHCクラスII HLA)に結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープは、HLAタンパク質に、対応する野生型ペプチドよりも大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープは、5,000nM未満、1,000nM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、またはそれ未満のIC50を有する。一部の実施形態では、ネオエピトープは、約1pMから約1mMの間、約100pMから約500μMの間、約500pMから約10μMの間、約1nMから約1μMの間、または約10nMから約1μMのHLA結合親和性を有し得る。一部の実施形態では、ネオエピトープは、少なくとも2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1,000nM、1,500nM、または2,000nM、またはそれよりも大きなHLA結合親和性を有し得る。一部の実施形態では、ネオエピトープは、多くても2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1,000nM、1,500nM、または2,000nMのHLA結合親和性を有し得る。
【0277】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープはHLAタンパク質に対応する野生型ネオエピトープよりも大きな親和性で結合する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープはHLAタンパク質に1,000nM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、250nM未満、150nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満または10nM未満のKDまたはIC50で結合する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープはHLAクラスIタンパク質に1,000nM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、250nM未満、150nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満または10nM未満のKDまたはIC50で結合する。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープはHLAクラスIIタンパク質に2,000nM未満、1,500nM未満、1,000nM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、250nM未満、150nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満または10nM未満のKDまたはIC50で結合する。
【0278】
一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスI HLAに結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスI HLAに0.1nM~2000nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスI HLAに0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1000nM、1100nM、1200nM、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、または2000nMの親和性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに0.1nM、0.2nM、0.3nM、0.4nM、0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、15nM、20nM、25nM、30nM、35nM、40nM、45nM、50nM、55nM、60nM、65nM、70nM、75nM、80nM、85nM、90nM、95nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1000nM、1100nM、1200nM、1300nM、1400nM、1500nM、1600nM、1700nM、1800nM、1900nM、または2000nMの親和性で結合する。
【0279】
一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスI HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープは、MHCクラスI HLAに10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、または60分間の安定性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープは、MHCクラスI HLAに1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに10分間~24時間の安定性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、または60分間の安定性で結合する。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII HLAに1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間の安定性で結合する。
【0280】
ある態様では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープは、対象によって発現されるHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合する。別の態様では、突然変異は対象の非がん細胞には存在しない。さらに別の態様では、第1のネオエピトープおよび/または第2のネオエピトープは、対象のがん細胞の遺伝子によってコードされるまたは発現された遺伝子である。一部の実施形態では、第1のネオエピトープは、表1~12の1列目に記載されている突然変異を含む。一部の実施形態では、第2のネオエピトープは、表1~12の1列目に記載されている突然変異を含む。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列ALNSEALSVVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列MALNSEALSVを含み得る。
【0281】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはKRASタンパク質から引き出される。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはNRASタンパク質から引き出される。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはG12C、G12D、G12V、Q61H、またはQ61L置換の突然変異を含むKRASタンパク質から引き出される。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは、Q61KまたはQ61R置換の突然変異を含むNRASタンパク質から引き出される。一部の実施形態では、ネオエピトープは、置換突然変異、例えば、KRAS G12C、G12D、G12V、Q61H、またはQ61L突然変異、またはNRAS Q61KまたはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは、MTEYKLVVVGACGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列KLVVVGACGVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列LVVVGACGVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列VVGACGVGKを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列VVVGACGVGKを含み得る。一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはMTEYKLVVVGADGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEVVGADGVGKのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列VVVGADGVGKを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列KLVVVGADGVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列LVVVGADGVを含み得る。
【0282】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはMTEYKLVVVGAVGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列KLVVVGAVGVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列LVVVGAVGVを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列VVGAVGVGKを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列VVVGAVGVGKを含み得る。
【0283】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGHEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列ILDTAGHEEYを含み得る。
【0284】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGLEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列ILDTAGLEEYを含み得る。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列LLDILDTAGLを含み得る。
【0285】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGKEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNSKSFADINLYREQIKRVKDSDDVPMのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列ILDTAGKEEYを含み得る。
【0286】
一部の実施形態では、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープはAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGREEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNSKSFADINLYREQIKRVKDSDDVPMのKRASまたはNRASタンパク質配列から引き出される。例えば、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープは配列ILDTAGREEYを含み得る。
【0287】
一部の実施形態では、ネオエピトープは、DTAGHEEY、TAGHEEYSAM、DILDTAGHE、DILDTAGH、ILDTAGHEE、ILDTAGHE、DILDTAGHEEY、DTAGHEEYS、LLDILDTAGH、DILDTAGRE、DILDTAGR、ILDTAGREE、ILDTAGRE、CLLDILDTAGR、TAGREEYSAM、REEYSAMRD、DTAGKEEYSAM、CLLDILDTAGK、DTAGKEEY、LLDILDTAGK、ILDTAGKE、ILDTAGKEE、DTAGLEEY、ILDTAGLE、DILDTAGL、ILDTAGLEE、GLEEYSAMRDQY、LLDILDTAGLE、LDILDTAGL、DILDTAGLE、DILDTAGLEEY、AGVGKSAL、GAAGVGKSAL、AAGVGKSAL、CGVGKSAL、ACGVGKSAL、DGVGKSAL、ADGVGKSAL、DGVGKSALTI、GARGVGKSA、KLVVVGARGV、VVVGARGV、SGVGKSAL、VVVGASGVGK、GASGVGKSAL、VGVGKSAL、VVVGAGCVGK、KLVVVGAGC、GDVGKSAL、DVGKSALTI、VVVGAGDVGK、TAGKEEYSAM、DTAGHEEYSAM、TAGHEEYSA、DTAGREEYSAM、TAGKEEYSA、AAGVGKSA、AGCVGKSAL、AGDVGKSAL、AGKEEYSAMR、AGVGKSALTI、ARGVGKSAL、ASGVGKSA、ASGVGKSAL、AVGVGKSA、CVGKSALTI、DILDTAGK、DILDTAGREEY、DTAGHEEYSAMR、DTAGKEEYS、DTAGKEEYSAMR、DTAGLEEYS、DTAGLEEYSA、DTAGLEEYSAMR、DTAGREEYS、DTAGREEYSAMR、GAAGVGKSA、GACGVGKSA、GACGVGKSAL、GADGVGKS、GAGDVGKSA、GAGDVGKSAL、GASGVGKSA、GCVGKSAL、GCVGKSALTI、GHEEYSAM、GKEEYSAM、GLEEYSAMR、GREEYSAM、GREEYSAMR、HEEYSAMRD、KEEYSAMRD、KLVVVGASG、LDILDTAGR、LEEYSAMRD、LVVVGARGV、LVVVGASGV、REEYSAMRDQY、RGVGKSAL、TAGLEEYSA、TEYKLVVVGAA、VGAAGVGKSA、VGADGVGK、VGASGVGKSA、VGVGKSALTI、VVVGAAGV、VVVGAVGV、YKLVVVGAC、YKLVVVGAD、YKLVVVGAR、およびDILDTAGKEからなる群から選択される配列を含む。
【0288】
一部の実施形態では、ネオエピトープはRASエピトープを含む。一部の実施形態では、ネオエピトープは、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸およびG12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RAS配列を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。一部の実施形態では、G12、G13、またはQ61における突然変異は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む。
【0289】
一部の実施形態では、突然変異型RAS配列を含むネオエピトープは、GADGVGKSAL、GACGVGKSAL、GAVGVGKSAL、GADGVGKSA、GACGVGKSA、GAVGVGKSA、KLVVVGACGV、FLVVVGACGL、FMVVVGACGI、FLVVVGACGI、FMVVVGACGV、FLVVVGACGV、MLVVVGACGV、FMVVVGACGL、YLVVVGACGV、KMVVVGACGV、YMVVVGACGV、MMVVVGACGV、DTAGHEEY、TAGHEEYSAM、DILDTAGHE、DILDTAGH、ILDTAGHEE、ILDTAGHE、DILDTAGHEEY、DTAGHEEYS、LLDILDTAGH、DILDTAGRE、DILDTAGR、ILDTAGREE、ILDTAGRE、CLLDILDTAGR、TAGREEYSAM、REEYSAMRD、DTAGKEEYSAM、CLLDILDTAGK、DTAGKEEY、LLDILDTAGK、ILDTAGKE、ILDTAGKEE、DTAGLEEY、ILDTAGLE、DILDTAGL、ILDTAGLEE、GLEEYSAMRDQY、LLDILDTAGLE、LDILDTAGL、DILDTAGLE、DILDTAGLEEY、AGVGKSAL、GAAGVGKSAL、AAGVGKSAL、CGVGKSAL、ACGVGKSAL、DGVGKSAL、ADGVGKSAL、DGVGKSALTI、GARGVGKSA、KLVVVGARGV、VVVGARGV、SGVGKSAL、VVVGASGVGK、GASGVGKSAL、VGVGKSAL、VVVGAGCVGK、KLVVVGAGC、GDVGKSAL、DVGKSALTI、VVVGAGDVGK、TAGKEEYSAM、DTAGHEEYSAM、TAGHEEYSA、DTAGREEYSAM、TAGKEEYSA、AAGVGKSA、AGCVGKSAL、AGDVGKSAL、AGKEEYSAMR、AGVGKSALTI、ARGVGKSAL、ASGVGKSA、ASGVGKSAL、AVGVGKSA、CVGKSALTI、DILDTAGK、DILDTAGREEY、DTAGHEEYSAMR、DTAGKEEYS、DTAGKEEYSAMR、DTAGLEEYS、DTAGLEEYSA、DTAGLEEYSAMR、DTAGREEYS、DTAGREEYSAMR、GAAGVGKSA、GACGVGKSA、GACGVGKSAL、GADGVGKS、GAGDVGKSA、GAGDVGKSAL、GASGVGKSA、GCVGKSAL、GCVGKSALTI、GHEEYSAM、GKEEYSAM、GLEEYSAMR、GREEYSAM、GREEYSAMR、HEEYSAMRD、KEEYSAMRD、KLVVVGASG、LDILDTAGR、LEEYSAMRD、LVVVGARGV、LVVVGASGV、REEYSAMRDQY、RGVGKSAL、TAGLEEYSA、TEYKLVVVGAA、VGAAGVGKSA、VGADGVGK、VGASGVGKSA、VGVGKSALTI、VVVGAAGV、VVVGAVGV、YKLVVVGAC、YKLVVVGAD、YKLVVVGAR、またはDILDTAGKEのアミノ酸配列を含む。
【0290】
一部の実施形態では、突然変異型RAS配列を含むネオエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に結合する。一部の実施形態では、突然変異型RAS配列を含むネオエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、4μM未満、3μM未満、2μM未満、1μM未満、950nM未満、900nM未満、850nM未満、800nM未満、750nM未満、600nM未満、550nM未満、500nM未満、450nM未満、400nM未満、350nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、または10nM未満の親和性で結合する。一部の実施形態では、突然変異型RAS配列を含むネオエピトープは、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、23時間よりも長い、22時間よりも長い、21時間よりも長い、20時間よりも長い、19時間よりも長い、18時間よりも長い、17時間よりも長い、16時間よりも長い、15時間よりも長い、14時間よりも長い、13時間よりも長い、12時間よりも長い、11時間よりも長い、10時間よりも長い、9時間よりも長い、8時間よりも長い、7時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、55分間よりも長い、50分間よりも長い、45分間よりも長い、40分間よりも長い、35分間よりも長い、30分間よりも長い、25分間よりも長い、20分間よりも長い、15分間よりも長い、10分間よりも長い、9分間よりも長い、8分間よりも長い、7分間よりも長い、6分間よりも長い、5分間よりも長い、4分間よりも長い、3分間よりも長い、2分間よりも長い、または1分間よりも長い安定性で結合する。
【0291】
置換は、ネオエピトープの長さに沿って任意の場所に位置し得る。例えば、置換は、ペプチドのN末端側の3分の1、ペプチドの中央の3分の1またはペプチドのC末端側の3分の1に位置し得る。別の実施形態では、置換された残基はN末端から2~5残基離れたところまたはC末端から2~5残基離れたところに位置する。ペプチドは、ペプチドが挿入された残基の1つまたは複数または全てを含む腫瘍特異的挿入突然変異から同様に引き出すことができる。
【0292】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドを、細菌性または動物性夾雑物質を含まない試薬を利用して容易に化学的に合成することができる(Merrifield RB: Solid phase peptide synthesis. I. The synthesis of a tetrapeptide. J. Am. Chem. Soc.85: 2149-54, 1963)。一部の実施形態では、ペプチドを、(1)一様な合成および切断条件を使用した多チャネル機器での並行固相合成;(2)カラムストリッピングを用いたRP-HPLCカラムでの精製;およびペプチド間の再洗浄、ただし置換えなし;その後、(3)最も情報価値のあるアッセイの限定されたセットを用いた解析によって調製する。医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)フットプリントを個々の患者についてペプチドのセットに基づいて定義することができ、したがって、異なる患者についてのペプチドの合成間にのみ切換え手順一式が必要である。一部の実施形態では、固相ペプチド合成用に作られた任意の樹脂を使用することができる。
ポリヌクレオチド
【0293】
あるいは、本開示のペプチドをコードする核酸(例えば、ポリヌクレオチド)を使用して、in vitroで新抗原性ペプチドを作製することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、RNA、一本鎖および/または二本鎖、またはネイティブな形態もしくは例えばホスホロチオエート骨格を有するポリヌクレオチドなどの安定化された形態のポリヌクレオチドもしくはこれらの組合せのいずれであってもよく、また、ペプチドをコードする限りはイントロンを含有してもしなくてもよい。一部の実施形態では、in vitroでの翻訳を使用してペプチドを作製する。
【0294】
本開示に記載の新抗原性ポリペプチドのそれぞれをコードする新抗原性ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」または「核酸」という用語は、本開示では「突然変異型ポリヌクレオチド」、「突然変異型ヌクレオチド」、「突然変異型核酸」、「新抗原性ポリヌクレオチド」、「新抗原性ヌクレオチド」または「新抗原性突然変異型核酸」と互換的に使用される。遺伝暗号の重複性に起因して種々の核酸配列が同じペプチドをコードし得る。これらの核酸のそれぞれが本開示の範囲内に入る。ペプチドをコードする核酸はDNAであってもRNA、例えば、mRNAであってもよく、またはDNAとRNAの組合せであってもよい。一部の実施形態では、ペプチドをコードする核酸は自己増幅性mRNAである(Brito et al., Adv. Genet. 2015; 89: 179-233)。本明細書に記載のペプチドをコードするあらゆる適切なポリヌクレオチドが本開示の範囲内に入る。
【0295】
一部の実施形態では、2つの連続的な抗原性ペプチドのコード配列はスペーサーまたはリンカーによって分離されている。一部の実施形態では、2つの連続的な抗原性ペプチドのコード配列は互いに隣り合っている。一部の実施形態では、2つの連続的な抗原性ペプチドのコード配列はスペーサーまたはリンカーによって分離されていない。
【0296】
一部の実施形態では、スペーサーまたはリンカーは最大5000個のヌクレオチド残基を含む。例示的なスペーサー配列はGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCである。別の例示的なスペーサー配列はGGCGGCAGCCTGGGCGGCGGCGGCAGCGGCである。別の例示的なスペーサー配列はGGCGTCGGCACCである。別の例示的なスペーサー配列はCAGCTGGGCCTGである。別の例示的なスペーサーは、AAAまたはAAGなどの、リシンをコードする配列である。別の例示的なスペーサー配列はCAACTGGGATTGである。
【0297】
一部の実施形態では、mRNAは、APCによる抗原エピトープのプロセシングおよび提示を増強するための1つまたは複数の追加的な構造を含む。
【0298】
一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサー領域は切断部位を含有し得る。切断部位は、一連のエピトープ配列を含むタンパク質産物が提示のために別々のエピトープ配列に切断されることを確実にするものである。好ましい切断部位は、配列内のエピトープの意図しない切断を回避するために、ある特定のエピトープの隣に位置付けられる。一部の実施形態では、一連のエピトープをコードするmRNA上のエピトープおよび切断領域の設計はランダムなものではない。
【0299】
「RNA」という用語は「mRNA」を含み、一部の実施形態ではそれに関する。「mRNA」という用語は「メッセンジャー-RNA」を意味し、DNA鋳型を使用して生成され、ペプチドまたはポリペプチドをコードする「転写物」に関する。一般には、mRNAは、5’-UTR、タンパク質コード領域、および3’-UTRを含む。mRNAは細胞内およびin vitroにおいて限られた半減期しか有さない。一部の実施形態では、mRNAは自己増幅性mRNAである。本開示に関しては、mRNAは、DNA鋳型からのin vitro転写によって生成することができる。in vitro転写方法体系は当業者に公知である。例えば、種々のin vitro転写キットが市販されている。
【0300】
RNAの安定性および翻訳効率を必要に応じて改変することができる。例えば、安定化効果を有し、かつ/またはRNAの翻訳効率を上昇させる1つまたは複数の修飾により、RNAを安定化し、その翻訳を増加させることができる。そのような修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT/EP2006/009448に記載されている。本開示に従って使用されるRNAの発現を増大させるために、RNAを、コード領域、すなわち、発現されるペプチドまたはタンパク質をコードする配列内で、発現されるペプチドまたはタンパク質の配列を変更することなく、GC含量が増加してmRNA安定性が増大し、コドン最適化が実施され、したがって、細胞における翻訳が増強されるように修飾することができる。
【0301】
「修飾」という用語は、本開示で使用されるRNAに関しては、RNAの、前記RNAに天然には存在しないあらゆる修飾を含む。一部の実施形態では、RNAは無キャップ5’-三リン酸を有さない。そのような無キャップ5’-三リン酸の除去を、RNAをホスファターゼで処理することによって実現することができる。他の実施形態では、RNAは、その安定性を増大させ、かつ/または細胞傷害性を低減するために、修飾されたリボヌクレオチドを有し得る。一部の実施形態では、RNA内の例えばシチジンを5-メチルシチジンで部分的にまたは完全に置換することができる。あるいは、例えばウリジンをプソイドウリジンで部分的にまたは完全に置換する。
【0302】
一部の実施形態では、「修飾」という用語は、5’-キャップまたは5’-キャップ類似体を有するRNAをもたらすことに関する。「5’-キャップ」という用語は、mRNA分子の5’末端に見いだされるキャップ構造を指し、一般に、mRNAと普通でない5’-5’三リン酸連結で接続したグアノシンヌクレオチドからなる。一部の実施形態では、このグアノシンが7位においてメチル化されている。「従来の5’-キャップ」という用語は、天然に存在するRNA5’-キャップ、7-メチルグアノシンキャップ(m G)を指す。本開示に関しては、「5’-キャップ」という用語は、RNAキャップ構造と似ており、in vivoおよび/または細胞内でRNAに付着するとRNAを安定化し、かつ/またはRNAの翻訳を増強する能力を有するように修飾されている5’-キャップ類似体を含む。
【0303】
ある特定の実施形態では、本開示の新抗原性ペプチドをコードするmRNAをそれを必要とする対象に投与する。一部の実施形態では、本開示は、修飾されたヌクレオシドを含むRNA、オリゴリボヌクレオチド、およびポリリボヌクレオチド分子、それを含む遺伝子治療ベクター、それを含む遺伝子治療方法および遺伝子転写サイレンシング方法を提供する。一部の実施形態では、投与されるmRNAは少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む。
【0304】
本明細書に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、化学的技法、例えば、Matteucci, et al., J. Am. Chem. Soc. 103: 3185 (1981)のホスホトリエステル法によって合成することができる。類似体を含む、またはそれからなるペプチドをコードするポリヌクレオチドは、単に、適当な所望の核酸塩基(複数可)でネイティブなエピトープをコードする核酸残基を置換することによって作出することができる。
【0305】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えば宿主細胞からのペプチドまたはタンパク質の発現および/または分泌に役立つ、ポリヌクレオチドと同じ読み枠で融合したペプチドまたはタンパク質(例えば、ポリペプチドの細胞からの輸送を調節する分泌配列として機能するリーダー配列)のコード配列を含み得る。リーダー配列を有するポリペプチドは、タンパク質前駆体であり、成熟型のポリペプチドの形成のために宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有し得る。
【0306】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えばコードされるペプチドの精製を可能にするマーカー配列と同じ読み枠で融合したペプチドまたはタンパク質のコード配列を含み得、次いでそれを個別化疾患ワクチンまたは免疫原性組成物に組み入れることができる。例えば、マーカー配列は、細菌宿主の場合ではマーカーと融合した成熟ポリペプチドの精製をもたらすための、pQE-9ベクターによって供給されるヘキサ-ヒスチジンタグであり得る、または、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)を使用する場合には、マーカー配列は、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質から引き出された赤血球凝集素(HA)タグであり得る。追加的なタグとしては、これだけに限定されないが、カルモジュリンタグ、FLAGタグ、Mycタグ、Sタグ、SBPタグ、Softag 1、Softag 3、V5タグ、Xpressタグ、Isopeptag、SpyTag、ビオチンカルボキシル担体タンパク質(BCCP)タグ、GSTタグ、蛍光タンパク質タグ(例えば、緑色蛍光タンパク質タグ)、マルトース結合性タンパク質タグ、Nusタグ、Strep-タグ、チオレドキシンタグ、TCタグ、Tyタグなどが挙げられる。
【0307】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、同じ読み枠で融合して、多数の新抗原性ペプチドを産生させることができる単一のコンカテマー化新抗原性ペプチド構築物を創出する本記載のペプチドまたはタンパク質の1つまたは複数のコード配列を含み得る。
【0308】
一部の実施形態では、組換え技術を使用し、目的の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによってDNA配列を構築する。必要に応じて、配列に対して部位特異的突然変異誘発によって突然変異誘発を行ってその機能的類似体をもたらすことができる。例えば、Zoeller et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 81: 5662-5066 (1984)および米国特許第4,588,585号を参照されたい。別の実施形態では、目的のペプチドまたはタンパク質をコードするDNA配列を、オリゴヌクレオチド合成機を使用して化学合成によって構築する。そのようなオリゴヌクレオチドを所望のペプチドのアミノ酸配列に基づき、目的の組換えポリペプチドを産生させる宿主細胞において選好されるコドンを選択して設計することができる。標準の方法を適用して、目的の単離されたポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を使用して逆翻訳された遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いでライゲーションすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは一般には相補的アセンブリのための5’または3’突出を含有する。
【0309】
アセンブルされたら(例えば、合成、部位特異的突然変異誘発、または別の方法によって)、目的の特定の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、必要に応じて、所望の宿主におけるタンパク質の発現に適した発現調節配列に作動可能に(operatively)連結する。適当なアセンブリは、ヌクレオチドの配列決定、制限マッピング、および適切な宿主における生物活性ポリペプチドの発現によって確認することができる。当技術分野では周知の通り、宿主において高発現レベルのトランスフェクトされた遺伝子を得るために、選択された発現宿主において機能的である転写および翻訳発現調節配列を遺伝子に作動可能に(operatively)連結することができる。したがって、本開示はまた、本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドおよびネオエピトープの産生および投与に有用なベクターおよび発現ベクター、ならびにそのようなベクターを含む宿主細胞も対象とする。
【0310】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドまたはタンパク質を発現させることができる発現ベクターも調製することができる。異なる細胞型のための発現ベクターが当技術分野で周知であり、過度な実験を伴わずに選択することができる。一般に、DNAをプラスミドなどの発現ベクターに発現のための適当な方向性および正確な読み枠で挿入する。必要であれば、DNAを所望の宿主(例えば、細菌)によって認識される適当な転写および翻訳制御調節ヌクレオチド配列と連結することができるが、そのような調節は一般に発現ベクターで利用可能である。次いで、ベクターをクローニングのために標準の技法を使用して宿主細菌に導入する(例えば、Sambrook et al. (1989)Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. を参照されたい)。
【0311】
本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドの作製および投与に適した多数のベクターおよび宿主系は当業者には公知であり、また、市販されている。例として以下のベクターを提示する。細菌:pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pBluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);pCR(Invitrogen)。真核生物:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia);p75.6(Valentis);pCEP(Invitrogen);pCEI(Epimmune)。しかし、任意の他のプラスミドまたはベクターも宿主において複製可能かつ生存可能である限りは使用することができる。
【0312】
本明細書に記載の新抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ユビキチン化シグナル配列および/または標的化配列、例えば、結果生じるペプチドの小胞体への移動を容易にする小胞体(ER)シグナル配列なども含み得る。
【0313】
一部の実施形態では、本明細書に記載の新抗原性ペプチドをウイルスまたは細菌ベクターによって投与および/または発現させることもできる。発現ベクターの例としては、ワクシニアまたは鶏痘などの弱毒化ウイルス宿主が挙げられる。免疫プロトコールにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターはStover et al., Nature 351: 456-460 (1991)によって記載されている。本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドの治療的投与または免疫化に有用な多種多様な他のベクター、例えば、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、Salmonella Typhimuriumベクター、無毒化炭疽毒素ベクター、センダイウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、カナリアポックスベクターなどは、本明細書の説明から当業者には明らかになるであろう。一部の実施形態では、ベクターは改変ワクシニアアンカラ(Modified Vaccinia Ankara)(VA)(例えば、Bavarian Noridic(MVA-BN))である。
【0314】
種々の哺乳動物または昆虫細胞培養系も組換えタンパク質の発現に有利に使用される。哺乳動物細胞において組換えタンパク質の発現を実施することができ、それは、そのようなタンパク質が一般に正確にフォールディングされ、適当に修飾され、完全に機能的であるからである。適切な哺乳動物宿主細胞株の例としては、Gluzman(Cell 23: 175, 1981)によって記載されているサル腎臓細胞のCOS-7株、ならびに、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、293、HeLaおよびBHK細胞株を含めた適当なベクターを発現させることができる他の細胞株が挙げられる。哺乳動物発現ベクターは、複製開始点、発現される遺伝子と連結した適切なプロモーターおよびエンハンサー、および他の5’または3’隣接非転写配列などの非転写エレメント、ならびに、必要なリボソーム結合性部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、および転写終結配列などの5’または3’非翻訳配列を含み得る。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系はLuckow and Summers, Bio/Technology 6: 47 (1988)によって概説されている。
【0315】
宿主細胞を、例えばクローニングベクターまたは発現ベクターであり得るベクターを用いて遺伝子操作する(形質導入または形質転換またはトランスフェクトする)。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であってよい。工学的に操作された宿主細胞を、プロモーターの活性化、形質転換体の選択またはポリヌクレオチドの増幅のために、必要に応じて改変した従来の栄養培地で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、選択された宿主細胞で発現のために以前に使用されたものであり、当業者には明らかになろう。
【0316】
適当な宿主の代表的な例として、以下を挙げることができる:細菌細胞、例えば、E.coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimuriumおよびPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属の中の種々の種など;真菌細胞、例えば、酵母など;昆虫細胞、例えば、DrosophilaおよびSf9など;動物細胞、例えば、Gluzman, Cell 23: 175 (1981)によって記載されているサル腎臓線維芽細胞のCOS-7株など、ならびに適合するベクターを発現させることができる他の細胞株、例えば、C127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞株またはBowes黒色腫;植物細胞など。適当な宿主の選択は、本明細書における教示から当業者の範囲内に入ると考えられる。
【0317】
本明細書に記載のポリヌクレオチドをヒト細胞(例えば、樹状細胞を含めた免疫細胞)に投与し、発現させることができる。ヒトコドン使用表を使用して各アミノ酸のコドン選択をガイドすることができる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば上記のものなどのエピトープおよび/または類似体の間にスペーサーアミノ酸残基を含む、またはエピトープおよび/または類似体(および/またはCTL(例えば、CD8+)、Th(例えば、CD4+)、およびB細胞エピトープ)の隣に天然に存在する隣接配列を含み得る。
【0318】
ヒト標的細胞における発現を確実にするために、当業者に周知の標準の制御配列をベクターに含めることができる。いくつかのベクターエレメントが望ましい:ポリヌクレオチドのための下流のクローニング部位、例えばミニ遺伝子挿入を有するプロモーター;効率的な転写終結のためのポリアデニル化シグナル;E.coli複製開始点;およびE.coli選択マーカー(例えば、アンピシリンまたはカナマイシン耐性)。多数のプロモーター、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーターをこの目的のために使用することができる。例えば、他の適切なプロモーター配列に関しては米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号を参照されたい。一部の実施形態では、プロモーターはCMV-IEプロモーターである。
【0319】
ベクターはいくつかの異なる方法によって動物組織に導入することができる。2つの最もよく用いられている手法は、DNAを生理食塩水中に入れ、標準の皮下針を使用して注射すること、および遺伝子銃による送達である。DNAワクチンプラスミドの構築およびその後のこれらの2つの方法による宿主への送達の概略図はScientific American (Weiner et al., (1999)Scientific American 281 (1): 34-41)で例示されている。生理食塩水中での注射は、通常は骨格筋に対して筋肉内(IM)に、または皮内(ID)に行われ、DNAは細胞外空間に送達される。これは、電気穿孔により、ブピバカインなどの筋毒素を用いて筋線維に一時的に損傷を与えることによって;または生理食塩水もしくはスクロースの高張性溶液を使用することによって補助することができる(Alarcon et al., (1999). Adv. Parasitol. Advances in Parasitology 42: 343-410)。この送達方法に対する免疫応答は、針の型、針のアラインメント、注射のスピード、注射の体積、筋型、ならびに注射を受ける動物の年齢、性別および生理的状態を含めた多くの因子の影響を受け得る(Alarcon et al., (1999). Adv. Parasitol. Advances in Parasitology 42: 343-410)。
【0320】
他の一般に使用される送達方法である遺伝子銃による送達では、金またはタングステン微小粒子に吸着させたプラスミドDNA(pDNA)を、圧縮ヘリウムを加速因子として使用して弾道的に加速させて標的細胞に入れる(Alarcon et al., (1999). Adv. Parasitol. Advances in Parasitology 42: 343-410;Lewis et al., (1999). Advances in Virus Research (Academic Press) 54: 129-88)。
【0321】
代替の送達方法は、鼻粘膜および肺粘膜などの粘膜表面へのネイキッドDNAのエアロゾル滴下注入(Lewis et al., (1999). Advances in Virus Research (Academic Press) 54: 129-88)ならびにpDNAの眼および膣粘膜への局部投与(Lewis et al., (1999) Advances in Virus Research (Academic Press) 54: 129-88)を含み得る。粘膜表面送達はまた、カチオン性リポソーム-DNA調製、生分解性マイクロスフェア、腸粘膜への経口投与のための弱毒化赤痢菌またはListeriaベクター、および組換えアデノウイルスベクターを使用しても実現されている。DNAまたはRNAを細胞に、細胞膜を軽度に機械的に破壊し、細胞を一時的に透過性にした後に送達することもできる。そのような膜の軽度の機械的破壊は、細胞を穏やかに小さな開口部を通過させることによって実現することができる(Sharei et al., Ex Vivo Cytosolic Delivery of Functional Macromolecules to Immune Cells, PLOS ONE (2015))。
【0322】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、巨大分子の複合体などのコロイド分散系、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルション、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含めた脂質に基づく系が挙げられる。in vitroおよびin vivoにおける送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。非ウイルス送達系を利用する場合では、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。「リポソーム」は、囲い込まれた脂質二重層または凝集体の生成によって形成される種々の単一および多重膜脂質ビヒクルを包含する一般用語である。リポソームは、リン脂質二分子膜と内部の水性媒体を持つ小胞構造を有すると特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された多数の脂質層を有する。脂質層はリン脂質を過剰な水溶液中に懸濁させると自然発生的に形成される。脂質構成成分は自己再構成を受けた後、閉じた構造を形成し、水および溶解した溶質を脂質二重層の間に閉じ込める(Ghosh et al., Glycobiology 5: 505-10 (1991))。しかし、溶液中で正常な小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造を想定することができる、またはただ単に脂質分子の一様でない凝集体として存在する。リポフェクタミン-核酸複合体も意図されている。
【0323】
核酸を宿主細胞に導入するための(in vitro、ex vivoまたはin vivo)脂質製剤の使用が意図されている。別の態様では、核酸を脂質に結び付けることができる。脂質に結び付いた核酸は、リポソームの水性内部に封入すること、リポソームの脂質二重層内に散在させること、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に結び付く連結用分子を介してリポソームに付着させること、リポソーム中に閉じ込めること、リポソームと複合体を形成させること、脂質を含有する溶液中に分散させること、脂質と混合すること、脂質と組み合わせること、脂質中に懸濁液として含有させること、ミセルに含有させるもしくはそれと複合体を形成させること、または他のやり方で脂質と結び付けることができる。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中でいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、二重層構造で、ミセルとして、または「崩壊」した構造で存在し得る。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物はまた、溶液中に単に散在し得、場合によって、サイズまたは形状が一様でない凝集体を形成する。脂質は、天然に存在する脂質または合成脂質であり得る脂肪性物質である。例えば、脂質は、細胞質中に天然に存在する脂肪性液滴ならびに長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体を含有する化合物のクラス、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドなどを含む。使用に適した脂質は商業的供給源から得ることができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中脂質のストック溶液を約-20℃で保管することができる。クロロホルムはメタノールよりも容易に蒸発するので、単に溶媒として使用する。
4.抗原提示細胞(APC)
【0324】
抗原提示細胞(APC)は、MHC分子に付随するタンパク質抗原のペプチド断片を細胞表面上に提示する。提示されるペプチドはAPCの細胞表面上のペプチド-MHC複合体(pMHC)としてMHC分子に結び付いている。ペプチド-MHC複合体のプロセシングおよび提示には、以下を含む一連の逐次的段階が伴い得る:タンパク質のプロテアーゼ媒介性消化;抗原プロセシング関連輸送体(TAP)によって媒介される小胞体(ER)内へのペプチド輸送;新しく合成されたMHC分子を使用したペプチド-MHC I分子の形成;およびペプチド-MHC分子の細胞表面への輸送。
【0325】
一部のAPCは抗原特異的T細胞を活性化し得る。例えば、pMHCと相互作用するT細胞受容体(TCR)を含むT細胞は、TCR-pMHCが形成されると、活性化され得る、刺激され得る、誘導され得る、または増大し得る。一部の実施形態では、提示させるペプチド配列を含む抗原ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸(例えば、RNA)をAPCに導入することにより、APCのMHC(例えば、クラスI MHCまたはクラスII MHC)にペプチドを負荷させ、APCによって提示させることができる。
【0326】
生物学的展望から、体細胞突然変異により免疫応答を生じさせるためにはいくつかの基準が満たされる必要がある:突然変異を含有する対立遺伝子が細胞によって発現されるべきであり、突然変異はタンパク質コード領域内にあり、かつ非同義であるべきであり、翻訳されたタンパク質がプロテアソームまたは他の細胞タンパク質分解経路によって切断されるべきであり、かつ突然変異を含有するエピトープがMHC複合体によって提示されるべきであり、提示されたエピトープがTCRによって認識されるべきであり、最後に、TCR-pMHC複合体により、T細胞を活性化するシグナル伝達カスケードが開始されるべきである。
【0327】
単球は、血流中を循環し、次いで組織中に移動することができ、そこでマクロファージおよび樹状細胞に分化し得る。古典的単球は一般にはCD14細胞表面受容体を高レベルで発現することを特徴とする。単球およびB細胞はコンピテントなAPCであり得るが、それらの抗原提示能は以前に感作されたT細胞の再活性化に限定されると思われる。これらの細胞型は、機能的にナイーブなまたは抗原刺激を受けていないT細胞集団を直接活性化することはできない可能性がある。プロフェッショナル抗原提示細胞は、抗原をファゴサイトーシスによってまたは受容体媒介性エンドサイトーシスによってのいずれかで内部移行させ、次いで、MHC分子と結合した抗原の断片をそれらの膜上にディスプレイすることに関して非常に効率的である。T細胞はAPCの膜上の抗原-MHC分子複合体を認識し、それと相互作用する。次いで、APCによって追加的な共刺激シグナルが生成され、それによりT細胞の活性化が導かれる。共刺激分子の発現はプロフェッショナルAPCの典型的な特色である。
【0328】
プロフェッショナルAPCは、抗原をファゴサイトーシスによってまたは受容体媒介性エンドサイトーシスによってのいずれかで内部移行させ、次いで、MHC分子と結合した抗原の断片をそれらの膜上にディスプレイすることに関して非常に効率的であり得る。T細胞はAPCの膜上の抗原-MHC分子複合体を認識し、それと相互作用し得る。次いで、APCによって追加的な共刺激シグナルが生成され得、それによりT細胞の活性化が導かれる。共刺激分子の発現はプロフェッショナル抗原提示細胞の決定的な特色であり得る。プロフェッショナルAPCの例としては、これだけに限定されないが、樹状細胞(DC)、マクロファージ、およびB細胞を挙げることができる。プロフェッショナルAPCはMHCクラスII、ICAM-1およびB7-2を高レベルで発現し得る。
【0329】
プロフェッショナルAPCの主要な型の1つはDCであり、DCは最も広範な抗原提示の範囲を有する。プロフェッショナルAPCの他の主要な型としては、マクロファージ、B細胞、および、ある特定の活性化された上皮細胞が挙げられる。DCは、抗原(例えば、末梢組織において捕捉された抗原)をMHCクラスIIおよびI抗原提示経路を介してT細胞に提示する白血球集団である。DCはナイーブT細胞および以前に抗原刺激を受けたT細胞(例えば、メモリーT細胞)の両方を活性化することができる。DCは、末梢組織において捕捉された抗原をMHCクラスIおよびII抗原提示経路を介してT細胞に提示する白血球集団であり得る。DCは、免疫応答の強力な誘導因子であり得、これらの細胞の活性化は抗腫瘍性免疫の誘導のための極めて重要なステップであり得る。
【0330】
DCは、「未成熟」細胞と「成熟」細胞にカテゴリー化することができ、これを、2つのよく特徴付けられた表現型を区別する単純なやり方として使用することができる。しかし、この命名法は、分化の可能性がある中間段階を全て排除するものと解釈されるべきではない。未成熟DCは、抗原の取り込みおよびプロセシングに関する能力が高いAPCとして特徴付けることができ、この能力の高さはFcγ受容体およびマンノース受容体の高発現と相関する。成熟表現型は、一般には、これらのマーカーは低発現であるが、クラスI MHCおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)および共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4-1BB)などのT細胞活性化を担う細胞表面分子が高発現であることを特徴とする。成熟DCは、CD11b+、CD11c+、HLA-DR+、CD80+、CD86+、CD54+、CD3-、CD19-、CD14-、CD141+(BDCA-3)、および/またはCD1a+であり得る。DC成熟化は、そのような抗原提示DCによりT細胞の抗原刺激が導かれるDC活性化の状態と称することができ、一方、未成熟DCによる提示では、寛容が生じる。DC成熟化は、生得的受容体によって検出される微生物の特色(例えば、細菌DNA、ウイルスRNA、内毒素など)を有する生体分子、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNF、インターロイキン、およびインターフェロン)、DC表面上のCD40へのCD40Lのライゲーション、および細胞死に際している細胞から放出された物質によって引き起こされ得る。DC成熟化を誘導し得るサイトカインのさらなる非限定的な例としては、IL-4、GM-CSF、TNF-α、IL-1β、PGE1、およびIL-6が挙げられる。例えば、骨髄細胞をin vitroにおいて顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)などのサイトカインと共に培養することにより、DCを引き出すことができる。例えば、PBMCから単離されたCD14+単球からDCを引き出すことができる。単球からDCを引き出すために使用することができるサイトカインまたは増殖因子としては、これだけに限定されないが、GM-CSF、IL-4、FLT3L、TNF-α、IL-1β、PGE1、IL-6、IL-7、IFN-α、R848、LPS、ss-rna40、およびポリI:Cが挙げられる。
【0331】
一般には、非プロフェッショナル抗原提示細胞はMHCクラスIIタンパク質を構成的には発現しない。MHCクラスIIタンパク質は、一般には、非プロフェッショナルAPCがIFN-γなどのある特定のサイトカインによる刺激を受けた時にのみ発現される。
【0332】
APCの供給源は、一般には、in vitroにおいて抗原ペプチドを発現し、提示することができるAPCまたはAPC前駆体を含む組織供給源であり得る。一部の実施形態では、APCは、標的RNAを負荷させ、かつ/または必要なサイトカインまたは因子で処理すると増殖し、プロフェッショナルAPCになることができる。
【0333】
一態様では、抗原性ポリペプチドまたはタンパク質を、本明細書に記載のそのようなポリペプチド、ペプチド、タンパク質、またはポリヌクレオチドを含有する細胞として提供することができる。一部の実施形態では、細胞は抗原提示細胞(APC)である。一部の実施形態では、細胞は樹状細胞(DC)である。一部の実施形態では、細胞は成熟抗原提示細胞である。一部の実施形態では、新抗原性ペプチドまたはタンパク質を、本明細書に記載のそのようなポリペプチド、ペプチド、タンパク質、またはポリヌクレオチドを含有するAPC(例えば、樹状細胞)として提供することができる。他の実施形態では、そのようなAPCを使用して、患者に使用するT細胞を刺激することができる。したがって、本開示の一実施形態は、本明細書に記載の1つまたは複数の新抗原性ペプチドまたはポリヌクレオチドをパルスしたまたは負荷させたAPC(例えば、樹状細胞)を少なくとも1つ含有する組成物である。一部の実施形態では、そのようなAPCは、自己(例えば、自己樹状細胞)である。あるいは、患者から単離した末梢血単核細胞(PBMC)にex vivoで新抗原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを負荷させることができる。関連する実施形態では、そのようなAPCまたはPBMCを患者に注射し戻す。一部の実施形態では、APCは樹状細胞である。関連する実施形態では、樹状細胞は新抗原性ペプチドまたは核酸をパルスした自己樹状細胞である。新抗原性ペプチドは、適当なT細胞応答を生じさせる任意の適切なペプチドであってよい。腫瘍関連抗原由来のペプチドをパルスした自己樹状細胞を使用したT細胞療法がMurphy et al. (1996) The Prostate 29, 371-380およびTjua et al. (1997)The Prostate 32, 272-278に開示されている。一部の実施形態では、T細胞はCTL(例えば、CD8+)である。一部の実施形態では、T細胞はヘルパーTリンパ球(Th(例えば、CD4+))である。
【0334】
一部の実施形態では、本開示は、同じく対象に投与することができる細胞に基づく免疫原性医薬組成物を含む組成物を提供する。例えば、APCに基づく免疫原性医薬組成物を、適切な、当技術分野において理解されている周知の技法、担体、および賦形剤のいずれかを使用して製剤化することができる。APCは、単球、単球由来細胞、マクロファージ、および樹状細胞を含む。時には、APCに基づく免疫原性医薬組成物は、樹状細胞に基づく免疫原性医薬組成物であり得る。
【0335】
樹状細胞に基づく免疫原性医薬組成物は、当技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。一部の場合では、樹状細胞に基づく免疫原性医薬組成物をex vivoまたはin vivo方法によって調製することができる。ex vivo方法は、本明細書に記載のポリペプチドをex vivoでパルスした自己DCを、DCを患者への投与前に活性化するまたは負荷させるために使用することを含み得る。in vivo方法は、本明細書に記載のポリペプチドとカップリングした抗体を使用して特異的なDC受容体を標的化することを含み得る。DCに基づく免疫原性医薬組成物は、TLR3、TLR-7-8、およびCD40アゴニストなどのDC活性化因子をさらに含み得る。DCに基づく免疫原性医薬組成物は、アジュバント、および薬学的に許容される担体をさらに含み得る。
【0336】
抗原提示細胞(APC)は、ヒトおよび非ヒト霊長類、他の哺乳動物、および脊椎動物を含めた種々の供給源から調製することができる。ある特定の実施形態では、APCをヒトまたは非ヒト脊椎動物の血液から調製することができる。白血球の富化集団からAPCを単離することもできる。白血球の集団は当業者に公知の方法によって調製することができる。そのような方法は、一般には、ヘパリン添加血液の収集、アフェレーシスまたは白血球フェレーシス、バフィーコートの調製、ロゼット形成、遠心分離、密度勾配遠心分離(例えば、フィコール、コロイドシリカ粒子、およびスクロースを使用する)、非白血球細胞の示差的溶解、および濾過を含む。白血球集団は、血液を対象から採取し、除細動して血小板を除去し、赤血球(red blood cell)を溶解させることによって調製することもできる。白血球集団を必要に応じて単球樹状細胞前駆体を富化させることができる。
【0337】
血液細胞集団は、富化された白血球の集団の所望の使用に応じて種々の対象から得ることができる。対象は健康な対象であり得る。あるいは、例えば、がん患者または免疫賦活が有益になる他の患者などの、免疫賦活を必要とする対象から血液細胞を得ることができる。同様に、例えば、自己免疫障害(例えば、関節リウマチ、糖尿病、ループス、多発性硬化症など)を有する患者などの、免疫抑制を必要とする対象から血液細胞を得ることができる。HLAが適合する健康な個体から白血球の集団を得ることもできる。
【0338】
血液をAPCの供給源として使用する場合、血中白血球を、それらの生存能を維持する従来の方法を使用して得ることができる。本開示の一態様によると、血液を、ヘパリンまたは他の適切な抗凝固薬を含んでもよく含まなくてもよい培地中に希釈することができる。培地に対する血液の体積は約1対1であってよい。培地中の血液を4℃、約1,000rpm(150g)で遠心分離することによって細胞を濃縮することができる。赤血球(erythrocyte)を溶解させる当技術分野で公知の任意の数の溶液、例えば塩化アンモニウム中に細胞を再懸濁させることにより、血小板および赤血球を枯渇させることができる。例えば、混合物は体積で約1:1の培地と塩化アンモニウムであってよい。血小板および赤血球を実質的に含まない白血球の集団が得られるまで、細胞を遠心分離することによって濃縮し、所望の溶液で洗浄することができる。血中白血球を血小板および赤血球から分離するための培地として組織培養に一般に使用される任意の等張性溶液を使用することができる。そのような等張性溶液の例はリン酸緩衝食塩水、ハンクス平衡塩類溶液、および完全成長培地であり得る。APCおよび/またはAPC前駆細胞をエルトリエーションによって精製することもできる。
【0339】
一実施形態では、APCは、炎症性または他のように活性化された状態の非標準APCであり得る。例えば、非標準APCは、インターフェロン-ガンマで刺激された上皮細胞、T細胞、B細胞、および/またはAPC活性を誘導する因子もしくは条件によって活性化された単球を含み得る。そのような非標準APCは、当技術分野で公知の方法に従って調製することができる。
【0340】
APCは、APCの型に応じて所望の通り培養し、増大させ、分化させ、かつ/または、成熟させることができる。APCは、例えば培養プレート、フラスコ、培養バッグ、およびバイオリアクターなどの任意の適切な培養容器中で培養することができる。
【0341】
ある特定の実施形態では、APCを適切な培養培地または成長培地で培養して、調製物中のAPCの数を維持し、かつ/または増大させることができる。培養培地は単離されるAPCの型に応じて選択することができる。例えば、成熟樹状細胞などの成熟APCは、それらの維持および増大に適した成長培地で培養することができる。培養培地にはアミノ酸、ビタミン、抗生物質、二価カチオンなどを補充することができる。さらに、サイトカイン、増殖因子および/またはホルモンを成長培地に含めることができる。例えば、成熟樹状細胞の維持および/または増大のために、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および/またはインターロイキン4(IL-4)などのサイトカインを添加することができる。他の実施形態では、未成熟APCを培養し、かつ/または増大させることができる。未成熟樹状細胞は、標的mRNAを取り込み、新しい抗原をプロセシングする能力を保持し得る。一部の実施形態では、未成熟樹状細胞をそれらの維持および培養に適した培地で培養することができる。培養培地にはアミノ酸、ビタミン、抗生物質、二価カチオンなどを補充することができる。さらに、サイトカイン、増殖因子および/またはホルモンを成長培地に含めることができる。
【0342】
他の未成熟APCも同様に培養するまたは増大させることができる。未成熟APC調製物を成熟させて成熟APCを形成することができる。APCの成熟化は新抗原性ペプチドへの曝露中または曝露後に起こり得る。ある特定の実施形態では、未成熟樹状細胞の調製物を成熟させることができる。適切な成熟化因子としては、例えば、サイトカインTNF-α、細菌産生物(例えば、BCG)などが挙げられる。別の態様では、単離されたAPC前駆体を使用して未成熟APC調製物を調製することができる。APC前駆体を培養し、分化させ、かつ/または成熟させることができる。ある特定の実施形態では、単球樹状細胞前駆体を、アミノ酸、ビタミン、サイトカイン、および/または二価カチオンを補充した適切な培養培地の存在下で培養して、単球樹状細胞前駆体の未成熟樹状細胞への分化を促進することができる。一部の実施形態では、APC前駆体をPBMCから単離する。PBMCはドナー、例えばヒトドナーから得ることができ、新鮮に使用することまたは今後の使用のために凍結させることができる。一部の実施形態では、APCを1つまたは複数のAPC調製物から調製することができる。一部の実施形態では、APCは、第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープを含む第1の新抗原性ペプチドおよび第2の新抗原性ペプチドまたは第1のネオエピトープおよび第2のネオエピトープを含む第1の新抗原性ペプチドおよび第2の新抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを負荷させたAPCを含む。一部の実施形態では、APCは自己APC、同種APC、または人工APCである。
5.アジュバント
【0343】
本明細書で提供される組成物を受ける患者において引き出される免疫応答(体液性および/または細胞)を増強するために、アジュバントを使用することができる。ある時には、アジュバントは、Th1型応答を引き出すことができるものである。他のある時には、アジュバントは、Th2型応答を引き出すことができるものである。Th1型応答はIFN-γなどのサイトカインの産生を特徴とし得、対照的に、Th2型応答はIL-4、IL-5、およびIL-10などのサイトカインの産生を特徴とし得る。
【0344】
一部の態様では、MPLAおよびMDPなどの脂質に基づくアジュバントを本明細書に開示される免疫原性医薬組成物と共に使用することができる。例えば、モノホスホリルリピドA(MPLA)は、リポソーム抗原の特異的なTリンパ球への提示の増加を引き起こすアジュバントである。さらに、ムラミルジペプチド(MDP)もまた、適切なアジュバントとして本明細書に記載の免疫原性医薬製剤と併せて使用することができる。
【0345】
適切なアジュバントは当技術分野で公知であり(WO2015/095811を参照されたい)、それらとしては、これだけに限定されないが、ポリ(I:C)、ポリ-ICLC、Hiltonol、STINGアゴニスト、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel(登録商標)ベクター系、PLG微小粒子、レシキモド、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、ベータ-グルカン、Pam2Cys、Pam3Cys、Pam3CSK4、サポニンから引き出されるAquila’s QS21スチムロン(Aquila Biotech, Worcester、Mass.、USA)、マイコバクテリア抽出物および合成細菌の細胞壁模倣物、ならびにRibi’s Detox.QuilまたはSuperfosなどの他の独自のアジュバントが挙げられる。アジュバントとしては、不完全フロイントまたはGM-CSFも挙げられる。樹状細胞に特異的ないくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)およびそれらの調製物は以前に記載されている(Dupuis M, et al., Cell Immunol. 1998; 186 (1): 18-27;Allison A C;Dev. Biol. Stand. 1998; 92: 3-11)(Mosca et al. Frontiers in Bioscience, 2007; 12: 4050-4060)(Gamvrellis et al. Immunol & Cell Biol. 2004; 82: 506-516)。サイトカインも使用することができる。いくつかのサイトカインが、樹状細胞のリンパ組織への遊走に影響を及ぼすため(例えば、TNF-アルファ)、Tリンパ球に対する効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟化を加速するため(例えば、GM-CSF、PGE1、PGE2、IL-1、IL-1b、IL-4、IL-6およびCD40L)(米国特許第5,849,589号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)ならびに免疫アジュバントとして作用させるため(例えば、IL-12)(Gabrilovich D I, et al., J. Immunother. Emphasis Tumor Immunol. 1996 (6): 414-418)に直接連結されている。
【0346】
アジュバントにはサイトカインなどの刺激性分子も含まれる。サイトカインの非限定的な例としては、CCL20、a-インターフェロン(IFN-a)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ(リンホトキシン アルファ(LTα))、GM-CSF、上皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-la、MIP-1-、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の突然変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFκB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、およびTAP2が挙げられる。
【0347】
追加的なアジュバントとしては、MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、IL-22、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFκB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびその機能性断片が挙げられる。
【0348】
一部の態様では、アジュバントは、toll様受容体(TLR)のモジュレーターであり得る。TLRのモジュレーターの例としては、TLR-9アゴニストが挙げられ、イミキモドなどのTLRの小分子モジュレーターに限定されない。本明細書に記載の免疫原性医薬組成物と組み合わせて使用されるアジュバントの他の例としては、これだけに限定されないが、サポニン、CpG ODNなどを挙げることができる。時には、アジュバントは、細菌トキソイド、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー、アルミニウム塩、リポソーム、CpGポリマー、水中油エマルション、またはこれらの組合せから選択される。時には、アジュバントは水中油エマルションである。水中油エマルションは少なくとも1つの油と少なくとも1つの界面活性物質とを含み得、油(複数可)および界面活性物質(複数可)は生分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。エマルション中の油滴は直径5μm未満であり得、さらにはサブミクロンの直径を有し、これらの小さなサイズは安定なエマルションをもたらすためにマイクロフルダイザーを用いて実現される。220nm未満のサイズを有する液滴をフィルター滅菌に供することができる。
6.処置方法および医薬組成物
【0349】
本明細書に記載の新抗原治療薬(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含有するAPCまたは樹状細胞)は、これだけに限定されないが、がんの処置などの治療的処置方法を含めた種々の適用において有用である。一部の実施形態では、治療的処置方法は免疫療法を含む。ある特定の実施形態では、新抗原性ペプチドは、免疫応答を活性化させる、促進する、増大させる、および/もしくは増強するため、既存の免疫応答を新しい標的に向け直すため、腫瘍の免疫原性を増大させるため、腫瘍成長を阻害するため、腫瘍体積を縮小させるため、腫瘍細胞のアポトーシスを増加させるため、ならびに/または腫瘍の腫瘍形成能を低下させるために有用である。使用方法は、in vitroにおける方法、ex vivoにおける方法、またはin vivoにおける方法であり得る。
【0350】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して対象における免疫応答を活性化させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、対象の予防方法であって、対象の細胞に本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して対象における免疫応答を促進するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して対象における免疫応答を増大させるための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して免疫応答を増強するための方法を提供する。
【0351】
一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、細胞性免疫を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、T細胞活性または液性免疫を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)またはヘルパーTリンパ球(Th)活性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、T細胞活性を増大させることおよびNK細胞活性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、CTL活性を増大させることおよびNK細胞活性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、制御性T(Treg)細胞の抑制活性を阻害するまたは低下させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、抗腫瘍活性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答の活性化、促進、増大、および/または増強は、免疫原性を増大させることを含む。一部の実施形態では、免疫応答は抗原性刺激の結果である。一部の実施形態では、抗原性刺激は腫瘍細胞である。一部の実施形態では、抗原性刺激はがんである。
【0352】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の新抗原性ペプチドまたはタンパク質を含むポリペプチド、細胞、または医薬組成物を使用して免疫応答を活性化する、促進する、増大させる、および/または増強する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、新抗原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを腫瘍細胞に送達するポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に腫瘍細胞に内部移行する新抗原性ポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、腫瘍細胞に内部移行する新抗原性ポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含み、当該新抗原性ペプチドが細胞によってプロセシングされる。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、腫瘍細胞に内部移行する新抗原性ポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含み、ネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示される。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、腫瘍細胞に内部移行し、細胞によってプロセシングされる新抗原性ポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含み、抗原性ペプチドが腫瘍細胞の表面上に提示される。
【0353】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、少なくとも1つの新抗原性ペプチドを含む外因性ポリペプチドを腫瘍細胞に送達する本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを治療有効量で投与するステップを含み、ここで、新抗原性ペプチドから引き出された少なくとも1つのネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示される。一部の実施形態では、抗原性ペプチドはMHCクラスI分子との複合体として腫瘍細胞の表面上に提示される。一部の実施形態では、抗原性ペプチドはMHCクラスII分子との複合体として腫瘍細胞の表面上に提示される。
【0354】
一部の実施形態では、方法は、腫瘍細胞を、少なくとも1つの新抗原性ポリペプチドを含む外因性ポリペプチドを腫瘍細胞に送達する本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと接触させるステップを含み、ここで、少なくとも1つの新抗原性ポリペプチドから引き出された少なくとも1つのネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示される。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスI分子との複合体として腫瘍細胞の表面上に提示される。一部の実施形態では、ネオエピトープはMHCクラスII分子との複合体として腫瘍細胞の表面上に提示される。
【0355】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、少なくとも1つの抗原性ペプチドを含む外因性ポリペプチドを腫瘍細胞に送達する本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを治療有効量で投与するステップを含み、ここで、エピトープまたはネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示され、腫瘍細胞に対する免疫応答が誘導される。一部の実施形態では、エピトープまたはネオエピトープに対する免疫応答が増大する。一部の実施形態では、腫瘍細胞に対する免疫応答が増大する。一部の実施形態では、新抗原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドにより少なくとも1つの新抗原性ペプチドを含む外因性ポリペプチドが腫瘍細胞に送達され、ここで、エピトープまたはネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示され、腫瘍成長が阻害される。
【0356】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、少なくとも1つの新抗原性ペプチドを含む外因性ポリペプチドを腫瘍細胞に送達する本明細書に記載の新抗原性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを治療有効量で投与するステップを含み、ここで、少なくとも1つの新抗原性ペプチドから引き出されたネオエピトープが腫瘍細胞の表面上に提示され、腫瘍細胞を対象としたT細胞による死滅が誘導される。一部の実施形態では、腫瘍細胞を対象としたT細胞による死滅が増強される。一部の実施形態では、腫瘍細胞を対象としたT細胞による死滅が増大する。
【0357】
一部の実施形態では、対象における免疫応答を増大させる方法は、対象に本明細書に記載の新抗原性治療薬を治療有効量で投与するステップを含み、ここで、薬剤は、本明細書に記載の新抗原に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態では、対象における免疫応答を増大させる方法は、対象に抗体を治療有効量で投与するステップを含む。
【0358】
本開示は、既存の免疫応答を腫瘍に向け直す方法を提供する。一部の実施形態では、既存の免疫応答を腫瘍に向け直す方法は、対象に本明細書に記載の新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む。一部の実施形態では、既存の免疫応答はウイルスに対するものである。一部の実施形態では、ウイルスは、麻疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV;水痘ウイルス)、インフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ポリオウイルス、風疹ウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、およびサイトメガロウイルス(CMV)からなる群から選択される。一部の実施形態では、ウイルスは水痘帯状疱疹ウイルスである。一部の実施形態では、ウイルスはサイトメガロウイルスである。一部の実施形態では、ウイルスは麻疹ウイルスである。一部の実施形態では、既存の免疫応答は自然ウイルス感染症後に獲得されたものである。一部の実施形態では、既存の免疫応答はウイルスに対するワクチン接種後に獲得されたものである。一部の実施形態では、既存の免疫応答は細胞媒介性応答である。一部の実施形態では、既存の免疫応答はCTLまたはTh細胞を含む。
【0359】
一部の実施形態では、対象における既存の免疫応答を腫瘍に向け直す方法は、(i)新抗原に特異的に結合する抗体と(ii)少なくとも1つの本明細書に記載の新抗原性ペプチドとを含む融合タンパク質を投与するステップを含み、ここで、(a)融合タンパク質は腫瘍関連抗原またはネオエピトープとの結合後に腫瘍細胞に内部移行する;(b)新抗原性ペプチドはプロセシングされ、MHCクラスI分子と結び付いて腫瘍細胞の表面上に提示される;かつ(c)新抗原性ペプチド/MHCクラスI複合体がCTLによって認識される。一部の実施形態では、CTLはメモリーT細胞である。一部の実施形態では、メモリーT細胞は新抗原性ペプチドを用いたワクチン接種の結果である。
【0360】
本開示は、腫瘍の免疫原性を増大させる方法を提供する。一部の実施形態では、腫瘍の免疫原性を増大させる方法は、腫瘍または腫瘍細胞に本明細書に記載の新抗原治療薬を有効量で接触させるステップを含む。一部の実施形態では、腫瘍の免疫原性を増大させる方法は、対象に本明細書に記載の新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む。
【0361】
本開示は、本明細書に記載の新抗原治療薬を使用して腫瘍の成長を阻害するための方法も提供する。ある特定の実施形態では、腫瘍の成長を阻害する方法は、in vitroで細胞混合物に新抗原治療薬を接触させるステップを含む。例えば、免疫細胞(例えば、T細胞)と混合した不死化細胞株またはがん細胞株を、新抗原性ペプチドを添加する培地で培養する。一部の実施形態では、腫瘍細胞を患者試料、例えば、組織生検、胸水、または血液試料から単離し、免疫細胞(例えば、T細胞)と混合し、新抗原治療薬を添加する培地で培養する。一部の実施形態では、新抗原治療薬により、免疫細胞の活性が増大する、促進される、かつ/または増強される。一部の実施形態では、新抗原治療薬により腫瘍細胞成長が阻害される。一部の実施形態では、新抗原治療薬により腫瘍細胞の死滅が活性化される。
【0362】
一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象は腫瘍を有する、または対象は腫瘍を有していたが、少なくとも部分的に除去されていた。
【0363】
一部の実施形態では、腫瘍の成長を阻害する方法は、既存の免疫応答を新しい標的に向け直すステップであって、対象に新抗原治療薬を治療有効量で投与することを含み、既存の免疫応答が、新抗原性ペプチドによって腫瘍細胞に送達された抗原性ペプチドに対するものである、ステップを含む。
【0364】
ある特定の実施形態では、腫瘍はがん幹細胞を含む。ある特定の実施形態では、腫瘍中のがん幹細胞の頻度が新抗原治療薬の投与によって低下する。一部の実施形態では、対象における腫瘍中のがん幹細胞の頻度を低下させる方法であって、対象に新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む方法が提供される。
【0365】
さらに、一部の態様では、本開示は、対象における腫瘍の腫瘍形成能を低下させる方法であって、対象に本明細書に記載の新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、腫瘍はがん幹細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍中のがん幹細胞の頻度を低下させることにより、腫瘍の腫瘍形成能が低下する。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載の新抗原治療薬を使用することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の新抗原治療薬を投与することにより、腫瘍中のがん幹細胞の頻度が低下する。
【0366】
一部の実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は結腸直腸腫瘍、膵腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝腫瘍、乳腺腫瘍、腎腫瘍、前立腺腫瘍、神経内分泌腫瘍、胃腸腫瘍、黒色腫、子宮頸部腫瘍、膀胱腫瘍、神経膠芽腫、および頭頸部腫瘍からなる群から選択される腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は卵巣腫瘍である。一部の実施形態では、腫瘍は乳腺腫瘍である。一部の実施形態では、腫瘍は肺腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は膵腫瘍である。ある特定の実施形態では、腫瘍は黒色腫腫瘍である。一部の実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。
【0367】
本開示は、さらに、対象におけるがんを処置するための方法であって、対象に本明細書に記載の新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、がんを処置する方法は、既存の免疫応答を新しい標的に向け直すステップを含み、方法は、対象に新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含み、既存の免疫応答は、新抗原性ペプチドによってがん細胞に送達された抗原性ペプチドに対するものである。
【0368】
本開示は、がんを処置する方法であって、対象(例えば、処置を必要とする対象)に本明細書に記載の新抗原治療薬を治療有効量で投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象はがん性腫瘍を有する。ある特定の実施形態では、対象は腫瘍を有していたが、少なくとも部分的に除去されている。
【0369】
対象は、例えば、哺乳動物、ヒト、妊娠中の女性、高齢の成人、成人、青年、前青年期の若者、小児、幼児、乳児、新生児(newborn)、または新生児(neonate)であり得る。対象は患者であり得る。一部の場合では、対象はヒトであり得る。一部の場合では、対象は小児(すなわち、思春期の年齢より下の若年のヒト)であり得る。一部の場合では、対象は乳児であり得る。一部の場合では、対象は人工栄養乳児であり得る。一部の場合では、対象は臨床試験に登録されている個体であり得る。一部の場合では、対象は実験動物、例えば、哺乳動物または齧歯類であり得る。一部の場合では、対象はマウスであり得る。一部の場合では、対象は肥満または過体重の対象であり得る。
【0370】
一部の実施形態では、対象は、1つまたは複数の異なるがん処置モダリティを用いた処置を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、照射療法、化学療法、または免疫療法のうちの1つまたは複数を用いた処置を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、以前の治療を1ライン、2ライン、3ライン、4ライン、または5ライン受けている。一部の実施形態では、以前の治療は細胞傷害性治療である。
【0371】
ある特定の実施形態では、がんは、結腸直腸がん、膵がん、肺がん、卵巣がん、肝がん、乳がん、腎がん(kidney cancer)、前立腺がん、胃腸がん、黒色腫、子宮頸がん、神経内分泌がん、膀胱がん(bladder cancer)、子宮がん、神経膠芽腫、および頭頸部がんからなる群から選択されるがんである。ある特定の実施形態では、がんは膵がんである。ある特定の実施形態では、がんは卵巣がんである。ある特定の実施形態では、がんは結腸直腸がんである。ある特定の実施形態では、がんは乳がんである。ある特定の実施形態では、がんは前立腺がんである。ある特定の実施形態では、がんは肺がんである。ある特定の実施形態では、がんは非小細胞肺がんである。ある特定の実施形態では、がんは子宮がんである。ある特定の実施形態では、がんは肝がんである。ある特定の実施形態では、がんは黒色腫である。一部の実施形態では、がんは固形がんである。一部の実施形態では、がんは固形腫瘍を含む。
【0372】
一部の実施形態では、がんは血液のがんである。一部の実施形態では、がんは急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)(AML)、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)からなる群から選択される。
【0373】
一部の実施形態では、新抗原治療薬を併用療法として投与する。2つまたはそれよりも多くの治療剤を用いた併用療法では、異なる作用機構で働く薬剤を使用するが、必須ではない。作用機構が異なる薬剤を使用した併用療法により、相加効果または相乗効果をもたらすことができる。併用療法では、各薬剤の用量を単独療法での使用よりも少なくし、それにより、薬剤(複数可)の毒性副作用を低減し、かつ/または治療指数を増大させることが可能になり得る。併用療法により、耐性がん細胞が発生する可能性を低減することができる。一部の実施形態では、併用療法は、免疫応答に影響を及ぼす(例えば、応答を増強または活性化する)治療剤および腫瘍/がん細胞に影響を及ぼす(例えば、阻害するまたは死滅させる)治療剤を含む。
【0374】
一部の場合では、免疫原性医薬組成物を追加的な薬剤と共に投与することができる。追加的な薬剤の選択は、少なくとも一部において、処置される状態に依存し得る。追加的な薬剤としては、例えば、抗PD1、抗CTLA4、抗PD-L1、抗CD40もしくは抗TIM3薬剤(例えば、抗PD1、抗CTLA4、抗PD-L1、抗CD40もしくは抗TIM3抗体)などのチェックポイント阻害薬剤;または、例えば、NSAID、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ケトプロフェン、もしくはアスピリンなどの、炎症性状態を処置するために使用される薬物を含めた、病原体感染症(例えば、ウイルス感染症)に対する治療効果を有する任意の薬剤を挙げることができる。例えば、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(ONO-4538/BMS-936558、MDX1 106、OPDIVO)、ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDA)、ピジリズマブ(CT-011)、およびMPDL328OA(ROCHE)からなる群から選択されるPD-1/PD-L1アンタゴニストであり得る。別の例として、製剤は、ビタミンC、Eまたは他の抗酸化剤などの1つまたは複数の補給剤をさらに含有し得る。
【0375】
本開示の方法を使用して当技術分野で公知の任意の型のがんを処置することができる。本開示の方法によって処置されるがんの非限定的な例としては、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎がん(renal cancer)(例えば、明細胞癌)、前立腺がん(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、膵臓腺癌、乳がん、結腸がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、食道がん、頭頸部の扁平上皮細胞癌、肝がん、卵巣がん、子宮頸がん、甲状腺がん、神経膠芽腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、および他の新生物悪性腫瘍を挙げることができる。
【0376】
さらに、本明細書に提示される疾患または状態は、本開示の処置方法を使用して成長を阻害することができる不応性または再発性悪性腫瘍を含む。一部の実施形態では、本開示の処置方法によって処置されるがんは、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、子宮体がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、卵管がん、原発性腹膜がん、結腸がん、結腸直腸がん、肛門生殖器領域の扁平上皮細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺がん、非小細胞肺がん、肺の扁平上皮細胞癌、胃がん、膀胱がん(bladder cancer)、胆嚢がん(gall bladder cancer)、肝がん、甲状腺がん、喉頭がん(laryngeal cancer)、唾液腺がん、食道がん、頭頸部がん、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部の扁平上皮細胞癌、前立腺がん、膵がん、中皮腫、肉腫、血液がん、白血病、リンパ腫、神経腫、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、本開示の方法によって処置されるがんとしては、例えば、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頸管、眼瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭、および食道)、および腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸管、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳腺、および卵巣)が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の方法によって処置されるがんは、肉腫(例えば、筋原肉腫)、白血症、神経腫、黒色腫、およびリンパ腫をさらに含む。一部の実施形態では、本開示の方法によって処置されるがんは乳がんである。一部の実施形態では、本開示の処置方法によって処置されるがんはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。一部の実施形態では、本開示の処置方法によって処置されるがんは卵巣がんである。一部の実施形態では、本開示の処置方法によって処置されるがんは結腸直腸がんである。
【0377】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物を用いた処置を受ける患者または患者の集団は固形腫瘍を有する。一部の実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌、肺がん、膀胱がん(bladder cancer)、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、胆嚢がん(gall bladder cancer)、喉頭がん(laryngeal cancer)、肝がん、甲状腺がん、胃がん、唾液腺がん、前立腺がん、膵がん、またはメルケル細胞癌である。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物を用いた処置を受ける患者または患者の集団は血液がんを有する。一部の実施形態では、患者は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(「AML」)、または多発性骨髄腫(「MM」)などの血液がんを有する。一部の実施形態では、処置を受ける患者または患者の集団は、卵巣がん、肺がんおよび黒色腫からなる群から選択されるがんを有する。
【0378】
本開示に従って防止および/または処置することができるがんの特定の例としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:腎がん(renal cancer)、腎がん(kidney cancer)、多形神経膠芽腫、転移性乳がん;乳癌;乳房肉腫;神経線維腫;神経線維腫症;小児腫瘍;神経芽細胞腫;悪性黒色腫;表皮の癌腫;白血病、例えば、これだけに限定されないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨芽球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病および骨髄異形成症候群などの急性骨髄球性白血病、これだけに限定されないが、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病などの慢性白血病など;真性赤血球増加症;リンパ腫、例えば、これだけに限定されないが、ホジキン病、非ホジキン病など;多発性骨髄腫、例えば、これだけに限定されないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫など;ワルデンストレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症;良性単クローン性免疫グロブリン血症;重鎖病;骨がんおよび結合組織肉腫、例えば、これだけに限定されないが、骨肉腫(bone sarcoma)、骨髄腫骨疾患、多発性骨髄腫、コレステリン腫誘導性骨肉腫、骨のパジェット病、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫など;脳腫瘍、例えば、これだけに限定されないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏枝神経膠腫、非神経膠腫、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、および原発性脳リンパ腫など;これだけに限定されないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、乳管内癌、髄様乳がん、粘液乳がん、管状乳がん、乳頭状乳がん、パジェット病(若年性パジェット病を含む)および炎症性乳がんを含めた乳がん;副腎がん(adrenal cancer)、例えば、これだけに限定されないが、褐色細胞腫および副腎皮質癌など;甲状腺がん、これだけに限定されないが、乳頭状または甲状腺濾胞がん、甲状腺髄様がんおよび甲状腺未分化がんなど;膵がん、例えば、これだけに限定されないが、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、VIP産生腫瘍、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは膵島細胞腫瘍など;下垂体がん、例えば、これだけに限定されないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端巨大症、および尿崩症など;眼がん、例えば、これだけに限定されないが、虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、および毛様体黒色腫、および網膜芽細胞腫などの眼内黒色腫など;膣がん、例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、および黒色腫など;外陰がん、例えば、扁平上皮細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病など;子宮頸がん、例えば、これだけに限定されないが、扁平上皮細胞癌、および腺癌など;子宮がん、例えば、これだけに限定されないが、子宮内膜癌および子宮肉腫など;卵巣がん、例えば、これだけに限定されないが、上皮性卵巣癌、境界型腫瘍、胚細胞性腫瘍、および間質腫瘍;子宮頸癌;食道がん、例えば、これだけに限定されないが、扁平上皮がん、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌腫など;胃がん、例えば、これだけに限定されないが、腺癌、キノコ状(ポリープ状)、潰瘍性、表在拡大型、びまん性拡散性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫;結腸がん;結腸直腸がん、KRAS突然変異型結腸直腸がん;結腸癌;直腸がん(rectal cancer);肝がん、例えば、これだけに限定されないが、肝細胞癌および肝芽腫、腺癌などの胆嚢がん(gallbladder cancer)など;胆管細胞癌、例えば、これだけに限定されないが、乳頭状、結節性、およびびまん性など;肺がん、例えば、KRAS突然変異型非小細胞肺がん、非小細胞肺がん、扁平上皮細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺がんなど;肺癌;精巣がん、例えば、これだけに限定されないが、胚腫瘍、セミノーマ、退形成の、古典的(典型的)、精母細胞性、非セミノーマ、胎児性癌、奇形腫癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、前立腺がん、例えば、これだけに限定されないが、アンドロゲン非依存性前立腺がん、アンドロゲン依存性前立腺がん、腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫など;陰茎がん;口腔がん、例えば、これだけに限定されないが、扁平上皮細胞癌など;基底がん;唾液腺がん、例えば、これだけに限定されないが、腺癌、粘膜表皮癌、および腺様嚢胞癌など;咽頭がん、例えば、これだけに限定されないが、扁平上皮細胞がん、およびいぼ状がんなど;皮膚がん、例えば、これだけに限定されないが、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌および黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、末端黒子型黒色腫など;腎がん(kidney cancer)、例えば、これだけに限定されないが、腎細胞がん、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮がん(腎盤および/または尿管)など;腎癌;ウィルムス腫瘍;膀胱がん(bladder cancer)、例えば、これだけに限定されないが、移行上皮癌、扁平上皮細胞がん、腺癌、癌肉腫など。さらに、がんとして、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性肺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、および乳頭状腺癌が挙げられる。
【0379】
がんとしては、これだけに限定されないが、B細胞がん、例えば、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、例えばアルファ鎖病、ガンマ鎖病、およびミュー鎖病などの重鎖病、良性単クローン性免疫グロブリン血症、および免疫細胞アミロイドーシス、黒色腫、乳がん、肺がん、気管支がん、結腸直腸がん、前立腺がん(例えば、転移性、ホルモン不応性前立腺がん)、膵がん、胃がん、卵巣がん、膀胱がん(urinary bladder cancer)、脳または中枢神経系がん、末梢神経系がん、食道がん、子宮頸がん、子宮または子宮体がん、口腔または咽頭のがん、肝がん、腎がん(kidney cancer)、精巣がん、胆道がん、小腸または虫垂癌、唾液腺がん、甲状腺がん、副腎がん(adrenal gland cancer)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、血液学的組織のがんなどが挙げられる。本開示に包含される方法に適用可能ながんの型の他の非限定的な例としては、ヒト肉腫および癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫(angiosarcoma)、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結腸直腸がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、肝がん、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、骨がん、脳腫瘍、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏枝神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫;白血病、例えば、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨芽球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病および赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病);ならびに真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、および重鎖病が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の方法によって表現型が決定されるがんは、これだけに限定されないが、膀胱がん(bladder cancer)、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、婦人科のがん、腎がん(renal cancer)、喉頭がん(laryngeal cancer)、肺がん、口腔がん、頭頸部がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、または皮膚がんなどの上皮がんである。他の実施形態では、がんは、乳がん、前立腺がん、肺がん、または結腸がんである。さらに他の実施形態では、上皮がんは、非小細胞肺がん、非乳頭状腎細胞癌、子宮頸癌、卵巣癌(例えば、漿液性卵巣癌)、または乳癌である。上皮がんは、これだけに限定されないが、漿液性、類内膜性、粘液性、明細胞、ブレンナー、または未分化を含め、種々の他のように特徴付けることができる。一部の実施形態では、本開示を、これだけに限定されないが、マントル細胞リンパ腫を含めたリンパ腫またはそのサブタイプの処置、診断、および/または予後判定に使用する。リンパ球増殖性障害も増殖性疾患とみなされる。
【0380】
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬剤と少なくとも1種の追加的な治療剤の組合せにより、相加的または相乗的結果がもたらされる。一部の実施形態では、併用療法により、薬剤の治療指数の増加がもたらされる。一部の実施形態では、併用療法により、追加的な治療剤(複数可)の治療指数の増加がもたらされる。一部の実施形態では、併用療法により、薬剤の毒性および/または副作用の低減がもたらされる。一部の実施形態では、併用療法により、追加的な治療剤(複数可)の毒性および/または副作用の低減がもたらされる。
【0381】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の新抗原治療薬を投与することに加えて、方法または処置は、少なくとも1種の追加的な治療剤を投与することをさらに含む。追加的な治療剤は、薬剤を投与する前に、それと並行して、かつ/またはその後に投与することができる。一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な治療剤は、1種、2種、3種、またはそれよりも多くの追加的な治療剤を含む。
【0382】
本明細書に記載の新抗原治療薬と組み合わせて投与することができる治療剤としては、化学療法剤が挙げられる。したがって、一部の実施形態では、方法または処置は、本明細書に記載の薬剤を化学療法剤と組み合わせてまたは化学療法剤のカクテルと組み合わせて投与することを含む。薬剤を用いた処置は、化学療法を投与する前に、それと並行して、またはその後に行うことができる。併用投与は、単一の医薬製剤としてもしくは別々の製剤を使用した同時投与、またはいずれかの順序で、一般に全ての活性薬剤が生物活性を同時に発揮し得る期間内での連続的な投与を含み得る。そのような化学療法剤の調製および投薬スケジュールは、製造者の指示に従って、または当業者によって経験的に決定された通り使用することができる。調製およびそのような化学療法の投薬スケジュールはThe Chemotherapy Source Book, 4th Edition, 2008, M. C. Perry, Editor, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAにも記載されている。
【0383】
化学療法剤の有用なクラスとしては、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNA副溝結合物質、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)および三核白金錯体およびカルボプラチンなどの白金複合体)、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸代謝拮抗薬、代謝拮抗薬、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗薬、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが挙げられる。ある特定の実施形態では、第2の治療剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、トポイソメラーゼ阻害剤、または血管新生阻害剤である。
【0384】
本開示において有用な化学療法剤としては、これだけに限定されないが、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN)など;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロロメラミンを含めたエチレンイミンおよびメチルアメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シトシンアラビノシド、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン(elformithine);エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL)およびドセタキセル(TAXOTERE);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン(XELODA);および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。化学療法剤としては、腫瘍に対するホルモン作用を制御するまたは阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FARESTON)を含めた抗エストロゲン剤;ならびに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなど;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体も挙げられる。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤はシスプラチンである。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤はカルボプラチンである。
【0385】
ある特定の実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(例えば、トポイソメラーゼIまたはII)の作用に干渉する化学療法剤である。トポイソメラーゼ阻害剤としては、これだけに限定されないが、ドキソルビシンHCl、ダウノルビシンクエン酸塩、ミトキサントロンHCl、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCl、テニポシド(VM-26)、およびイリノテカン、ならびにこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。一部の実施形態では、追加的な治療剤はイリノテカンである。
【0386】
ある特定の実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗薬である。代謝拮抗薬は、正常な生化学的反応に必要な代謝産物と類似した構造を有するが、それでも細胞の1つまたは複数の正常機能、例えば細胞分裂などに干渉するのに十分に異なる化学物質である。代謝拮抗薬としては、これだけに限定されないが、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサートナトリウム、ラルチトレキセド(ralitrexed)、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン、5-アザシチジン、6メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビン、ならびにこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤はゲムシタビンである。
【0387】
ある特定の実施形態では、化学療法剤は、これだけに限定されないが、チューブリンに結合する薬剤を含めた抗有糸分裂薬剤である。一部の実施形態では、薬剤はタキサンである。ある特定の実施形態では、薬剤は、パクリタキセルもしくはドセタキセル、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体である。ある特定の実施形態では、薬剤は、パクリタキセル(TAXOL)、ドセタキセル(TAXOTERE)、アルブミン結合型パクリタキセル(ABRAXANE)、DHA-パクリタキセル、またはPG-パクリタキセルである。ある特定の代替的な実施形態では、抗有糸分裂薬剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはビンデシンなどのビンカアルカロイド、またはその薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体を含む。一部の実施形態では、抗有糸分裂薬剤は、キネシンEg5の阻害剤または有糸分裂キナーゼの阻害剤、例えば、Aurora AまたはPlk1などである。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤はパクリタキセルである。一部の実施形態では、追加的な治療剤はアルブミン結合型パクリタキセルである。
【0388】
一部の実施形態では、追加的な治療剤は、小分子などの薬剤を含む。例えば、処置は、本開示の薬剤と、これだけに限定されないがEGFR、HER2(ErbB2)、および/またはVEGFを含めた腫瘍関連抗原に対する阻害剤として作用する小分子との併用投与を伴い得る。一部の実施形態では、本開示の薬剤を、ゲフィチニブ(IRESSA)、エルロチニブ(TARCEVA)、スニチニブ(SUTENT)、ラパチニブ、バンデタニブ(ZACTIMA)、AEE788、CI-1033、セジラニブ(RECENTIN)、ソラフェニブ(NEXAVAR)、およびパゾパニブ(GW786034B)からなる群から選択されるプロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与する。一部の実施形態では、追加的な治療剤はmTOR阻害剤を含む。別の実施形態では、追加的な治療剤は、化学療法またはTreg細胞の数を減少させる他の阻害剤である。ある特定の実施形態では、治療剤はシクロホスファミドまたは抗CTLA4抗体である。別の実施形態では、追加的な治療薬は骨髄系由来サプレッサー細胞の存在を減少させるものである。さらなる実施形態では、追加的な治療薬はカルボタキソールである。別の実施形態では、追加的な治療剤は細胞をTヘルパー1応答にシフトさせるものである。さらなる実施形態では、追加的な治療剤はイブルチニブである。
【0389】
一部の実施形態では、追加的な治療剤は抗体などの生体分子を含む。例えば、処置は、本開示の薬剤と、これだけに限定されないが、EGFR、HER2/ErbB2、および/またはVEGFに結合する抗体を含めた、腫瘍関連抗原に対する抗体との併用投与を伴い得る。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤は、がん幹細胞マーカーに特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤は、血管新生阻害剤である抗体(例えば、抗VEGFまたはVEGF受容体抗体)である。ある特定の実施形態では、追加的な治療剤は、ベバシズマブ(AVASTIN)、ラムシルマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、ペルツズマブ(OMNITARG)、パニツムマブ(VECTIBIX)、ニモツズマブ、ザルツムマブ、またはセツキシマブ(ERBITUX)である。
【0390】
本明細書で提供される薬剤および組成物は、単独で、または、外科手術、放射線照射、化学療法、および/または骨髄移植(自己、同系、同種、または無関係)などの従来の治療レジメンと組み合わせて使用することができる。例えば、がん患者の大部分では腫瘍抗原のセットが有用であり得る。
【0391】
一部の実施形態では、少なくとも1つまたは複数の化学療法剤を、免疫原性ワクチンを含む組成物に加えて投与することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の化学療法剤は化学療法剤の異なるクラスに属するものであり得る。
【0392】
化学療法剤の例としては、これだけに限定されないが、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、クロラムブシル、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、およびメルファラン)など;ニトロソ尿素(例えば、N-ニトロソ-N-メチル尿素、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン、およびセムスチン);スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン);テトラジン(例えば、ダカルバジン(DTIC)、ミトゾロミドおよびテモゾロミド(Temodar(商標)));アジリジン(例えば、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン);ならびに白金薬物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン);非古典的アルキル化剤、例えば、プロカルバジンおよびアルトレタミン(ヘキサメチルメラミン)など;代謝拮抗剤、例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン(Ara-C(登録商標))、デシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ネララビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ペントスタチン、チオグアニン、ビダーザなど;微小管阻害剤、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシンおよびビンフルニン)など;タキサン(例えば、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)));ポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);エポチロン(例えば、イキサベピロン(Ixempra(登録商標)));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));抗腫瘍抗生物質、例えば、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、エピルビシン、イダルビシン)など;アクチノマイシン-D;およびブレオマイシン;トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、トポテカンおよびイリノテカン(CPT-11)など;トポイソメラーゼII阻害剤、例えば、エトポシド(VP-16)、テニポシド、ミトキサントロン、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンなど;コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))など;L-アスパラギナーゼ;ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));免疫療法剤、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、サリドマイド、レナリドマイド(Revlimid(登録商標))、BCG、インターロイキン2、インターフェロン-アルファおよびProvenge(登録商標)などのがんワクチンなど;ホルモン治療剤、例えば、フルベストラント(Faslodex(登録商標))、タモキシフェン、トレミフェン(Fareston(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、酢酸メゲストロール(Megace(登録商標))、エストロゲン、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、ニルタミド(Nilandron(登録商標))、ロイプロリド(Lupron(登録商標))およびゴセレリン(Zoladex(登録商標))など;分化剤、例えば、レチノイド、トレチノイン(ATRAまたはAtralin(登録商標))、ベキサロテン(Targretin(登録商標))および三酸化ヒ素(Arsenox(登録商標))など;ならびに標的化治療剤、例えば、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))およびスニチニブ(Sutent(登録商標))などが挙げられる。一部の実施形態では、化学療法はカクテル治療である。カクテル治療の例としては、これだけに限定されないが、CHOP/R-CHOP(リツキサン、シクロホスファミド、ヒドロキシドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)、EPOCH(エトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシドキソルビシン)、Hyper-CVAD(シクロホスファミド、ビンクリスチン、ヒドロキシドキソルビシン、デキサメタゾン)、FOLFOX(フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、オキサリプラチン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド)、DHAP(高用量シタラビン[ara-C]、デキサメタゾン、シスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン、シタラビン[ara-C]、シスプラチン)およびCMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル)が挙げられる。
【0393】
ある特定の実施形態では、追加的な治療剤は第2の免疫療法剤を含む。一部の実施形態では、追加的な免疫療法剤として、これだけに限定されないが、コロニー刺激因子、インターロイキン、免疫抑制機能を遮断する抗体(例えば、抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗CD3抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIGIT抗体)、免疫細胞機能を増強する抗体(例えば、抗GITR抗体、抗OX-40抗体、抗CD40抗体もしくは抗4-1BB抗体)、toll様受容体(例えば、TLR4、TLR7、TLR9)、可溶性リガンド(例えば、GITRL、GITRL-Fc、OX-40L、OX-40L-Fc、CD40L、CD40L-Fc、4-1BBリガンドもしくは4-1BBリガンド-Fc)、またはB7ファミリーのメンバー(例えば、CD80、CD86)が挙げられる。一部の実施形態では、追加的な免疫療法剤は、CTLA-4、CD28、CD3、PD-1、PD-L1、TIGIT、GITR、OX-40、CD-40、または4-1BBを標的とするものである。
【0394】
一部の実施形態では、追加的な治療剤は免疫チェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗TIGIT抗体、抗LAG3抗体、抗TIM3抗体、抗GITR抗体、抗4-1BB抗体、または抗OX-40抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は抗TIGIT抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、ニボルマブ(OPDIVO)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA)、ピジリズマブ、MEDI0680、REGN2810、BGB-A317、およびPDR001からなる群から選択される抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、BMS935559(MDX-1105)、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、およびアベルマブ(MSB0010718C)からなる群から選択される抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、イピリムマブ(YERVOY)およびトレメリムマブからなる群から選択される抗CTLA-4抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、BMS-986016およびLAG525からなる群から選択される抗LAG-3抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、MEDI6469、MEDI0562、およびMOXR0916からなる群から選択される抗OX-40抗体である。一部の実施形態では、追加的な治療剤は、PF-05082566からなる群から選択される抗4-1BB抗体である。
【0395】
一部の実施形態では、新抗原治療薬を、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポエチン(Ang)、BMP、BDNF、EGF、エリスロポエチン(EPO)、FGF、GDNF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、幹細胞因子(SCF)、GDF9、HGF、HDGF、IGF、遊走刺激因子、ミオスタチン(GDF-8)、NGF、ニューロトロフィン、PDGF、トロンボポエチン、TGF-α、TGF-β、TNF-α、VEGF、PlGF、ガンマ-IFN、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、およびIL-18からなる群から選択される生物学的分子と組み合わせて投与することができる。
【0396】
一部の実施形態では、本明細書に記載の新抗原治療薬を用いた処置は、腫瘍の外科的除去、がん細胞の除去、または処置を行う医師によって必要だとみなされる任意の他の外科療法を伴い得る。
【0397】
ある特定の実施形態では、処置は、本明細書に記載の新抗原治療薬を放射線療法と組み合わせて投与することを伴う。薬剤を用いた処置は、放射線療法を施行する前に、それと並行して、またはその後に行うことができる。そのような放射線療法の投薬スケジュールは熟練した医療実践者が決定することができる。
【0398】
併用投与は、単一の医薬製剤としてもしくは別々の製剤を使用した同時投与、または、いずれかの順序で、一般に全ての活性薬剤が生物活性を同時に発揮し得る期間内での連続的な投与を含み得る。
【0399】
本明細書に記載の新抗原治療薬と少なくとも1種の追加的な治療剤の組合せは、任意の順序で投与することもでき、同時に投与することができることが理解されよう。一部の実施形態では、薬剤を、第2の治療剤を用いた処置を以前に受けている患者に投与する。ある特定の他の実施形態では、新抗原治療薬および第2の治療剤を実質的に同時にまたは平行して投与する。例えば、対象に薬剤を与えると同時に第2の治療剤(例えば、化学療法)を用いた処置の過程を行うことができる。ある特定の実施形態では、新抗原治療薬を第2の治療剤を用いた処置から1年以内に投与する。さらに、2種(またはそれよりも多く)の薬剤または処置を対象に数時間のうちにまたは数分間のうちに(すなわち、実質的に同時に)投与することができることが理解されよう。
【0400】
疾患の処置に関して、本明細書に記載の新抗原治療薬の適当な投薬量は、処置される疾患の型、疾患の重症度および経過、疾患の応答性、薬剤を治療目的で投与するのか予防目的で投与するのか、以前の治療、患者の臨床歴などに依存し、これらは全て処置を行う医師の自由裁量である。新抗原治療薬を一度に投与することもでき、数日間から数カ月間まで続く一連の処置にわたって、または治癒がもたらされるかもしくは病態の低減(例えば、腫瘍サイズの縮小)が実現されるまで投与することもできる。最適な投薬スケジュールは、患者の体内の薬物蓄積の測定値から算出することができ、個々の薬剤の相対的な効力に応じて変動する。投与を行う医師が最適投薬量、投薬方法体系、および反復速度を決定することができる。
【0401】
一部の実施形態では、新抗原治療薬を最初のより高い「負荷」用量で投与し、その後、1つまたは複数のより低い用量で投与することができる。一部の実施形態では、投与の頻度を変化させることもできる。一部の実施形態では、投薬レジメンは、初回用量を投与し、その後、追加的な用量(または「維持」用量)を週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与することを含み得る。例えば、投薬レジメンは、最初の負荷用量を投与し、その後、例えば初回用量の2分の1の維持用量を毎週投与することを含み得る;投薬レジメンは、最初の負荷用量を投与し、その後、例えば初回用量の2分の1の維持用量を隔週で投与することを含み得る;または投薬レジメンは、3回の初回用量を3週間にわたって投与し、その後、例えば同じ量の維持用量を隔週で投与することを含み得る。
【0402】
当業者には公知の通り、あらゆる治療剤の投与により、副作用および/または毒性が導かれる可能性がある。一部の場合では、副作用および/または毒性は、特定の薬剤を治療有効用量で投与することが妨げられるほど重度である。一部の場合では、治療を中止しなければならず、他の薬剤を試すことができる。しかし、治療クラスが同じである多くの薬剤は同様の副作用および/または毒性を示す、つまり、患者は治療を停止しなければならないか、または、可能であれば、治療剤に付随する不愉快な副作用を受けなければならない。
【0403】
一部の実施形態では、投薬スケジュールを特定の投与数または「サイクル」に限定することができる。一部の実施形態では、薬剤を3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、またはそれよりも多くのサイクルで投与する。例えば、薬剤を2週間毎、6サイクルにわたって投与する、薬剤を3週間毎、6サイクルにわたって投与する、薬剤を2週間毎、4サイクルにわたって投与する、薬剤を3週間毎、4サイクルにわたって投与する、などである。投薬スケジュールは当業者が決定することができ、また、その後改変することができる。
【0404】
本開示は、対象に本明細書に記載の新抗原治療薬を投与する方法であって、薬剤、化学療法剤などの投与に付随する副作用および/または毒性を低減し得る、1つまたは複数の薬剤を投与するための断続的な投薬戦略を使用することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、ヒト対象におけるがんを処置する方法は、対象に治療有効用量の新抗原治療薬を治療有効用量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、ここで、薬剤の一方または両方を断続的な投薬戦略に従って投与する。一部の実施形態では、ヒト対象におけるがんを処置する方法は、対象に治療有効用量の新抗原治療薬を治療有効用量の第2の免疫療法剤と組み合わせて投与することを含み、ここで、薬剤の一方または両方を断続的な投薬戦略に従って投与する。一部の実施形態では、断続的な投薬戦略は、対象に初回用量の新抗原治療薬を投与し、その後の用量の薬剤を約2週間に1回投与することを含む。一部の実施形態では、断続的な投薬戦略は、対象に初回用量の新抗原治療薬を投与し、その後の用量の薬剤を約3週間に1回投与することを含む。一部の実施形態では、断続的な投薬戦略は、対象に初回用量の新抗原治療薬を投与し、その後の用量の薬剤を約4週間に1回投与することを含む。一部の実施形態では、薬剤を断続的な投薬戦略を使用して投与し、追加的な治療剤を毎週投与する。
【0405】
本開示は、本明細書に記載の新抗原治療薬を含む組成物を提供する。本開示は、本明細書に記載の新抗原治療薬および薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物も提供する。一部の実施形態では、医薬組成物を免疫療法に使用する。一部の実施形態では、組成物を腫瘍成長の阻害に使用する。一部の実施形態では、医薬組成物を対象(例えば、ヒト患者)における腫瘍成長の阻害に使用する。一部の実施形態では、組成物をがんの処置に使用する。一部の実施形態では、医薬組成物を対象(例えば、ヒト患者)におけるがんの処置に使用する。
【0406】
本開示の新抗原治療薬と薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体または賦形剤)を組み合わせることにより、保存および使用のための製剤を調製する。当業者は、一般に、薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または安定剤が製剤または医薬組成物の不活性成分になるように考慮する。例示的な製剤はWO2015/095811に列挙されている。
【0407】
適切な薬学的に許容されるビヒクルとしては、これだけに限定されないが、非毒性緩衝剤、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸など;塩、例えば、塩化ナトリウムなど;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;保存剤、例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールなど;低分子量ポリペプチド(例えば、約10アミノ酸残基未満);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなど;炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリンなど;キレート剤、例えば、EDTAなど;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなど;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウムなど;金属錯体、例えば、Zn-タンパク質錯体など;および非イオン界面活性物質、例えば、TWEEN(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22st Edition, 2012, Pharmaceutical Press, London.)。一部の実施形態では、ビヒクルは水中5%ブドウ糖である。
【0408】
一態様では、医薬の投与に適合する溶媒(水性または非水性)、溶液、エマルション、分散媒、コーティング、等張化および吸収促進または遅延剤を含む薬学的に許容されるまたは生理的に許容される組成物が本明細書で提供される。したがって、医薬組成物または医薬製剤は、対象における医薬としての用途に適した組成物を指す。組成物は、特定の投与経路(すなわち、全身または局所)に適合するように製剤化することができる。したがって、組成物は、種々の経路による投与に適した担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【0409】
一部の実施形態では、組成物は、組成物中の免疫細胞の安定性を改善するために、許容される添加剤をさらに含み得る。許容される添加剤は、免疫細胞の特定の活性を変更しないものであり得る。許容される添加剤の例としては、これだけに限定されないが、マンニトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、トレハロース、ソルボース、スクロース、ガラクトース、デキストラン、ブドウ糖、フルクトース、ラクトース、およびそれらの混合物などの糖が挙げられる。許容される添加剤をブドウ糖などの許容される担体および/または賦形剤と組み合わせることができる。あるいは、許容される添加剤の例として、これだけに限定されないが、ペプチドの安定性を増大させ、溶液のゲル化を低減するためのポリソルベート20またはポリソルベート80などの界面活性物質が挙げられる。界面活性物質を組成物に溶液の0.01%~5%の量で添加することができる。そのような許容される添加剤の添加により、保管中の組成物の安定性および半減期が増大する。
【0410】
本明細書に記載の医薬組成物は、局所処置または全身処置のいずれかのための任意の数のやり方で投与することができる。投与は、表皮もしくは経皮吸収パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤による局部的なもの;ネブライザーによるものを含めた散剤もしくはエアロゾルの吸入もしくは吹送による肺内、気管内、および鼻腔内へのもの;経口的なもの;または静脈内、動脈内、腫瘍内、皮下、腹腔内、筋肉内(例えば、注射もしくは注入)もしくは頭蓋内(例えば、くも膜下腔内または脳室内)を含めた非経口的なものであり得る。
【0411】
医薬組成物は、例えば、注射によって投与することができる。投与は、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射であってよい。注射用の組成物は、水溶液(水溶性の場合)、または、滅菌注射溶液または分散を即時調製するための分散および滅菌粉末を含む。静脈内投与に関しては、適切な担体として、生理学的食塩水、静菌水、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。流動性を、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散剤の場合では必要な粒子サイズを維持することによっておよび界面活性物質を使用することによって維持することができる。抗細菌剤および抗真菌剤として、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが挙げられる。等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムを組成物に含めることができる。得られた溶液は、そのまま使用するために包装することもでき、凍結乾燥することもできる。凍結乾燥した調製物は、後で投与前に滅菌溶液と組み合わせることができる。静脈内注射または苦痛部位への注射に関しては、活性成分を、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性、および安定性を有する非経口的に許容される水溶液にする。例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを使用して適切な溶液を調製することは当業者には十分可能である。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤を必要に応じて含めることができる。必要量の活性成分を上に列挙されている成分のうちの1つ、または成分の組合せと共に適当な溶媒に組み入れ、その後、必要に応じて濾過滅菌することによって滅菌注射溶液を調製することができる。一般に、分散剤は、基本的な分散媒および上に列挙されているものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性成分を組み入れることによって調製される。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合では、好ましい調製方法は、真空乾燥およびフリーズドライであり得、それにより、予め滅菌濾過したその溶液から活性成分プラス任意の追加的な所望の成分の粉末が得られる。
【0412】
組成物は、慣習的に、例えば、単位用量の注射によってなどで、静脈内に投与することができる。注射に関しては、活性成分は、実質的にパイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性、および安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを使用して適切な溶液を調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤を必要に応じて含めることができる。さらに、組成物をエアロゾル化によって投与することができる。
【0413】
組成物を医薬または本明細書で提供される方法のいずれかに使用することが検討されている場合、組成物は発熱物質を実質的に含まないものであり得、したがって、組成物がヒト患者に投与された場合に炎症性反応も安全でないアレルギー反応も引き起こさないことが意図されている。組成物を発熱物質について試験すること、および発熱物質を実質的に含まない組成物を調製することは、当業者には十分に理解され、市販のキットを使用して実現することができる。
【0414】
許容される担体は、吸収を安定化させる、増加させるもしくは遅延させる、またはクリアランスを増加させるもしくは遅延させる化合物を含有し得る。そのような化合物としては、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロースもしくはデキストランなど;低分子量タンパク質;ペプチドのクリアランスもしくは加水分解を低減する組成物;または賦形剤もしくは他の安定剤および/もしくは緩衝剤が挙げられる。吸収を遅延させる薬剤としては、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが挙げられる。リポソーム担体を含む医薬組成物を安定化するため、またはその吸収を増加もしくは減少させるために、界面活性剤を使用することもできる。消化から保護するために、化合物を組成物との複合体にして、酸および酵素による加水分解に対する抵抗性を付与することができる、または、化合物を、リポソームなどの適当に抵抗性を持つ担体との複合体にすることができる。化合物を消化から保護する手段は当技術分野で公知である(例えば、Fix (1996)Pharm Res. 13: 1760 1764; Samanen (1996)J. Pharm. Pharmacol. 48: 119 135;および米国特許第5,391,377号)。
【0415】
組成物は、投薬形態(dosage formulation)と適合する様式で、かつ治療有効量で投与することができる。投与される数量は、処置を受ける対象、対象の免疫系の活性成分を利用する能力、および所望の結合能の程度に依存する。投与される必要がある活性成分の正確な量は実践者の判断に依存し、各個体に特有である。最初の投与およびブースター接種に適したレジームも同様に変動するが、最初の投与、その後、1つまたは複数の時間間隔でその後の注射または他の投与による反復用量が代表的である。あるいは、血液中の濃度を維持するために十分な連続した静脈内注入が意図されている。
【0416】
一部の場合では、1つまたは複数の薬剤を含む医薬組成物は、局部投与されるかまたは特定の感染部位もしくはその付近に注射されると、局所的および局限的効果を発揮する。例えば、局所的および/または局限的効果をもたらすために、例えば、粘性液体、溶液、懸濁剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)に基づく溶液、リポソーム製剤、ゲル剤、ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、坐薬、フォーム剤、またはエアロゾル噴霧剤の直接局部適用を局所投与に使用することができる。そのような製剤のための薬学的に適当なビヒクルとしては、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロールまたはポリエチレングリコール)、脂肪酸エステル、油、脂肪、シリコーンなどが挙げられる。そのような調製物はまた、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル)ならびに/または抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびトコフェロール)も含み得る。Dermatological Formulations: Percutaneous absorption, Barry (Ed.), Marcel Dekker Incl, 1983も参照されたい。別の実施形態では、輸送体、担体、またはイオンチャネル阻害剤を含む局所/局部製剤を使用して表皮または粘膜ウイルス感染症を処置する。
【0417】
一部の場合では、免疫原性医薬組成物は、担体および賦形剤(これだけに限定されないが、緩衝剤、炭水化物、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドもしくはグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤、懸濁化剤、増粘剤および/または保存剤を含む)、水、石油起源、動物起源、野菜起源または合成起源の油、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など、生理食塩水溶液、水性ブドウ糖およびグリセロール溶液、香味剤、着色料、粘着性低下剤および他の許容される添加剤、アジュバント、または結合剤、生理的条件に近づけるために必要な他の薬学的に許容される補助物質、例えば、pH緩衝剤、張度調整剤、乳化剤、湿潤剤などを含み得る。賦形剤の例としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、イネ、穀粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。別の場合では、医薬調製物は保存剤を実質的に含まない。他の場合では、医薬調製物は少なくとも1つの保存剤を含有し得る。本明細書に記載の医薬組成物を投与するために当業者に公知の任意の適切な担体を使用することができ、担体の型は投与形式に応じて変動することが理解されよう。
【0418】
免疫原性医薬組成物は、チオメルサールまたは2-フェノキシエタノールなどの保存剤を含み得る。一部の場合では、免疫原性医薬組成物は、水銀材料を実質的に含まない(例えば、<10μg/mL)、例えば、チオメルサールを含まない。α-トコフェロールコハク酸エステルを水銀化合物の代替として使用することができる。
【0419】
張度を調節するために、ナトリウム塩などの生理的な塩を免疫原性医薬組成物に含めることができる。他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、および/または塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
【0420】
免疫原性医薬組成物は、200mOsm/kg~400mOsm/kgの間、240~360mOsm/kgの間、または290~310mOsm/kgの範囲内の重量オスモル濃度を有し得る。
【0421】
免疫原性医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(特に水酸化アルミニウムアジュバントと共に);またはクエン酸緩衝剤などの1つまたは複数の緩衝剤を含み得る。一部の場合では、緩衝剤を5~20mMまたは10~50mMの範囲で含める。
【0422】
免疫原性医薬組成物はpH調節剤を含み得る。一部の実施形態では、pH調節剤は1mMよりも低い濃度または1mMよりも高い濃度で存在する。一部の実施形態では、pH調節剤は10nM未満、20nM未満、30nM未満、40nM未満、50nM未満、60nM未満、70nM未満、80nM未満、90nM未満、100nM未満、200nM未満、300nM未満、400nM未満、500nM未満、600nM未満、700nM未満、800nM未満、900nM未満、または1mM未満の濃度で存在する。一部の実施形態では、pH調節剤は1mMよりも高い、2mMよりも高い、3mMよりも高い、4mMよりも高い、5mMよりも高い、6mMよりも高い、7mMよりも高い、8mMよりも高い、9mMよりも高い、10mMよりも高い、15mMよりも高い、20mMよりも高い、25mMよりも高い、30mMよりも高い、35mMよりも高い、40mMよりも高い、45mMよりも高い、50mMよりも高い、60mMよりも高い、70mMよりも高い、80mMよりも高い、90mMよりも高い、100mMよりも高い、200mMよりも高い、300mMよりも高い、400mMよりも高い、500mMよりも高い、600mMよりも高い、700mMよりも高い、800mMよりも高い、または900mMよりも高い濃度で存在する。一部の実施形態では、pH調節剤はジカルボン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はトリカルボン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はコハク酸のジカルボン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はジコハク酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はクエン酸のトリカルボン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤はトリクエン酸塩である。一部の実施形態では、pH調節剤は、コハク酸二ナトリウムである。一部の実施形態では、コハク酸のジカルボン酸塩は医薬組成物中に0.1mM~1mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、ジコハク酸塩は医薬組成物中に0.1mM~1mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、コハク酸のジカルボン酸塩は医薬組成物中に1mM~5mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、ジコハク酸塩は医薬組成物中に1mM~5mMの濃度で存在する。免疫原性医薬組成物のpHは約5.0から約8.5の間、約6.0から約8.0の間、約6.5から約7.5の間、または約7.0から約7.8の間であり得る。
【0423】
免疫原性医薬組成物は滅菌されたものであり得る。免疫原性医薬組成物は、非発熱性であり得、例えば、用量当たり<1EU(内毒素単位、標準の評価基準)を含有し、用量当たり<0.1EUであり得る。組成物はグルテンを含まないものであり得る。
【0424】
免疫原性医薬組成物は、界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性物質(「Tweens(登録商標)」として公知)、またはオクトキシノール(例えば、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100)もしくはt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)を含み得る。界面活性剤は痕跡量でのみ存在し得る。免疫原性医薬組成物は、オクトキシノール-10およびポリソルベート80をそれぞれ1mg/mL未満で含み得る。痕跡量で残留する他の構成成分は抗生物質(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、ポリミキシンB)であり得る。
【0425】
免疫原性医薬組成物は、当技術分野で周知の適切なビヒクル中の滅菌溶液または懸濁液として製剤化することができる。医薬組成物は、従来の周知の滅菌技法によって滅菌することもでき、滅菌濾過することもできる。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装することもでき、凍結乾燥し、凍結乾燥した調製物を投与前に滅菌溶液と組み合わせることもできる。
【0426】
例えば本明細書に開示される免疫細胞などの活性薬剤と1つまたは複数のアジュバントの組合せを含む医薬組成物を、ある特定のモル比を含むように製剤化することができる。例えば、約99:1~約1:99のモル比の本明細書に記載の免疫細胞などの活性薬剤と1つまたは複数のアジュバントの組合せを使用することができる。一部の場合では、本明細書に記載の免疫細胞などの活性薬剤と1つまたは複数のアジュバントの組合せのモル比の範囲は、約80:20~約20:80;約75:25~約25:75、約70:30~約30:70、約66:33~約33:66、約60:40~約40:60;約50:50;および約90:10~約10:90から選択することができる。本明細書に記載の免疫細胞などの活性薬剤と1つまたは複数のアジュバントの組合せのモル比は約1:9であり得、一部の場合では約1:1であり得る。本明細書に記載の免疫細胞などの活性薬剤と1つまたは複数のアジュバントの組合せは、同じ投薬量単位として、例えば、1つのバイアル、坐薬、錠剤、カプセル剤、エアロゾル噴霧剤として一緒に製剤化することもでき、別々の単位として、例えば、2つのバイアル、坐剤、錠剤、2つのカプセル剤、錠剤とバイアル、エアロゾル噴霧剤などとして各薬剤を形成し、かつ/または化合物を製剤化することもできる。
【0427】
治療用製剤は単位剤形であってよい。そのような製剤としては、錠剤、ピル、カプセル剤、粉末、顆粒剤、水もしくは非水性媒体中の溶液もしくは懸濁液、または坐剤が挙げられる。
【0428】
本明細書に記載の新抗原性ペプチドをマイクロカプセルに封入することもできる。そのようなマイクロカプセルは、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22st Edition, 2012, Pharmaceutical Press, Londonに記載されている通り、コアセルベーション技法によってまたは界面重合によって、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)に、またはマクロエマルションに調製される。
【0429】
ある特定の実施形態では、医薬製剤は、リポソームと複合体を形成した本明細書に記載の新抗原治療薬を含む。リポソームを作製する方法は当業者に公知である。例えば、いくつかのリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発によって生成することができる。リポソームを規定された孔径のフィルターを通して押出し成形して、所望の直径を有するリポソームを得ることができる。
【0430】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の新抗原性ペプチドを含む持続放出調製物を作製することができる。持続放出調製物の適切な例としては、薬剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、ここで、マトリックスは成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態である。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル、例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸)またはポリ(ビニルアルコール)、ポリ乳酸、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタミン酸の共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸共重合体および酢酸リュープロリドで構成される注射用マイクロスフェア)、酢酸スクロースイソブチレート、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0431】
本開示は、免疫原性ワクチンを含む処置方法を提供する。疾患(例えば、がんまたはウイルス感染症など)の処置方法が提供される。方法は、対象に免疫原性抗原を含む組成物を有効量で投与することを含み得る。一部の実施形態では、抗原はウイルス抗原を含む。一部の実施形態では、抗原は腫瘍抗原を含む。
【0432】
調製することができるワクチンの非限定的な例としては、ペプチドに基づくワクチン、核酸に基づくワクチン、抗体に基づくワクチン、および抗原提示細胞に基づくワクチンが挙げられる。
【0433】
ワクチン組成物は、活性薬剤を処理して薬学的に使用することができる調製物にすることを容易にする賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理的に許容される担体を使用して製剤化することができる。適当な製剤は選択される投与経路に依存し得る。周知の技法、担体、および賦形剤のいずれも当技術分野において理解されている通り適切に使用することができる。
【0434】
一部の場合では、ワクチン組成物をペプチドに基づくワクチン、核酸に基づくワクチン、抗体に基づくワクチン、または細胞に基づくワクチンとして製剤化する。例えば、ワクチン組成物は、カチオン性脂質製剤中ネイキッドcDNA;リポペプチド(例えば、Vitiello, A. et al., J. Clin. Invest. 95: 341, 1995)、例えばポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェアに封入されたネイキッドcDNAまたはペプチド(例えば、Eldridge, et al., Molec. Immunol. 28: 287-294, 1991: Alonso et al, Vaccine 12: 299-306, 1994;Jones et al, Vaccine 13: 675-681, 1995を参照されたい); 免疫刺激複合体に含有されたペプチド組成物(ISCOMS)(例えば、Takahashi et al, Nature 344: 873-875, 1990;Hu et al, Clin. Exp. Immunol. 113: 235-243, 1998);または多数の抗原ペプチド系(MAP)(例えば、Tam, J. P.、Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 85: 5409-5413, 1988;Tarn, J.P., J. Immunol. Methods 196: 17-32, 1996を参照されたい)を含み得る。時には、ワクチンをペプチドに基づくワクチン、または、核酸がポリペプチドコードする、核酸に基づくワクチンとして製剤化する。時には、ワクチンを抗体に基づくワクチンとして製剤化する。時には、ワクチンを細胞に基づくワクチンとして製剤化する。
【0435】
同定された疾患特異的免疫原性新抗原ペプチドのアミノ酸配列を使用して、薬学的に許容される組成物を開発することができる。抗原の供給源は、これだけに限定されないが、糖タンパク質、ペプチド、および超抗原を含めた天然または合成タンパク質;抗体/抗原複合体;リポタンパク質;RNAまたはその翻訳産物;およびDNAによってコードされるDNAまたはポリペプチドであり得る。抗原の供給源はまた、形質転換されていない細胞もしくは細胞株、形質転換された細胞もしくは細胞株、トランスフェクトされた細胞もしくは細胞株、または形質導入された細胞もしくは細胞株も含み得る。細胞に対する形質転換、トランスフェクト、または形質導入は、組換え抗原を発現させるために使用することができる当業者に公知の種々の発現ベクターまたはレトロウイルスベクターのいずれかを使用して行うことができる。発現は、組換え抗原(複数可)をコードするDNA分子を含有する発現ベクターまたはレトロウイルスベクターを用いて形質転換、トランスフェクト、または形質導入された任意の適当な宿主細胞において実現することもできる。当業者に公知の任意の数のトランスフェクション、形質転換、および形質導入プロトコールを使用することができる。組換えワクシニアベクターおよびワクシニアベクターを感染させた細胞を抗原の供給源として使用することができる。
【0436】
医薬組成物は、合成の疾患特異的免疫原性新抗原ペプチドを含み得る。医薬組成物は、2つまたはそれよりも多くの疾患特異的免疫原性新抗原ペプチドを含み得る。医薬組成物は、疾患特異的免疫原性ペプチドの前駆体(例えば、タンパク質、ペプチド、DNAおよびRNAなど)を含み得る。疾患特異的免疫原性ペプチドの前駆体は、同定された疾患特異的免疫原性新抗原ペプチドに対して生じ得るまたは生じさせることができる。一部の実施形態では、治療用組成物は、免疫原性ペプチドの前駆体を含む。疾患特異的免疫原性ペプチドの前駆体はプロドラッグであり得る。一部の実施形態では、疾患特異的免疫原性新抗原ペプチドを含む医薬組成物はアジュバントをさらに含み得る。例えば、新抗原ペプチドをワクチンとして利用することができる。一部の実施形態では、免疫原性ワクチンは、薬学的に許容される免疫原性新抗原ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、免疫原性ワクチンは、免疫原性新抗原ペプチドの薬学的に許容される前駆体(例えば、タンパク質、ペプチド、DNAおよびRNAなど)を含み得る。一部の実施形態では、処置方法は、対象に免疫原性新抗原ペプチドを特異的に認識する抗体を有効量で投与することを含む。
【0437】
本明細書に記載の方法は、免疫原性新抗原ペプチドを使用して同じ個体に対する治療薬(例えば、ワクチンまたは治療用抗体など)を開発する、個別化薬の状況において有用である。したがって、対象における疾患を処置する方法は、本明細書に記載の方法に従って対象における免疫原性新抗原ペプチドを同定するステップと、ペプチド(またはその前駆体)を合成するステップと、ペプチドまたはペプチドを特異的に認識する抗体を対象に投与するステップとを含み得る。
【0438】
一部の実施形態では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープまたは免疫原性新抗原ペプチドを同定するステップは、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールから、対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールには存在しない、1つまたは複数の異なる突然変異を含む複数の候補ペプチド配列をコードする複数の核酸配列を選択することを含み、ここで、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールおよび対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールは、全ゲノム配列決定または全エクソーム配列決定によって配列決定される。一部の実施形態では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープまたは免疫原性新抗原ペプチドを同定するステップは、複数の候補ペプチド配列のうちのいずれの候補ペプチド配列が同じ対象のHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質と複合体を形成するかを、HLAペプチド結合解析によって予測するまたは測定することをさらに含む。一部の実施形態では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープまたは免疫原性新抗原ペプチドを同定するステップは、HLAペプチド結合解析に基づいて、候補ペプチド配列から、複数の選択された腫瘍特異的ペプチドまたは複数の選択された腫瘍特異的ペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを選択することをさらに含む。一部の実施形態では、対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープは、新抗原、腫瘍関連抗原、突然変異した腫瘍関連抗原であり、かつ/または、対象の腫瘍細胞におけるエピトープの発現が正常な対象の細胞におけるエピトープの発現と比較して高い。
【0439】
一部の実施形態では、免疫原性新抗原の発現パターンは、患者に特異的なワクチンを生成するための必須の基礎としての機能を果し得る。一部の実施形態では、免疫原性新抗原の発現パターンは、特定の疾患を有する患者の群に対するワクチンを生成するための必須の基礎としての機能を果し得る。したがって、患者群における特定の疾患、例えば特定の型の腫瘍を選択的に処置することができる。
【0440】
一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、大きな患者群において自己抗疾患T細胞が認識することができる、構造的に正常な抗原である。一部の実施形態では、構造的に正常な新抗原が発現される疾患にかかっている対象の群の抗原発現パターンを決定する。
【0441】
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが同じ長さの同じエピトープを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが同じエピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流または下流の核酸配列によってコードされないペプチド配列のものであるアミノ酸またはアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くが異なるリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはエピトープのN末端にリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはエピトープのN末端にリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはエピトープのC末端にリンカーを含まず、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはエピトープのC末端にリンカーを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはリンカーを含まない。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはエピトープのN末端にリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはエピトープのN末端にリンカーを含まない。一部の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドはエピトープのC末端にリンカーを含み、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドはエピトープのC末端にリンカーを含まない。
【0442】
一部の実施形態では、エピトープは、医薬組成物中に1ngから10mgまで、または5μgから1.5mgまでの量で存在する。一部の実施形態では、エピトープは、1ngから10mgまでの量で存在する。一部の実施形態では、エピトープは、1ngから100ngまで、10ngから200ngまで、20ngから300ngまで、30ngから400ngまで、40ngから500ngまで、50ngから600ngまで、60ngから700ngまで、70ngから800ngまで、80ngから900ngまで、90ngから1μgまで、100ngから2μgまで、200ngから3μgまで、300ngから4μgまで、400ngから5μgまで、500ngから6μgまで、600ngから7μgまで、700ngから8μgまで、800ngから9μgまで、900ngから10μgまで、1μgから100μgまで、20μgから200μgまで、30μgから300μgまで、40μgから400μgまで、50μgから500μgまで、60μgから600μgまで、70μgから700μgまで、80μgから800μgまで、90μgから900μgまで、100μgから1mgまで、200μgから1.1mgまで、300μgから1.2mgまで、400μgから1.3mgまで、500μgから1.4mgまで、600μgから1.5mgまで、700μgから2mgまで、800μgから3mgまで、900μgから4mgまで、1mgから5mgまで、1.3mgから6mgまで、1.5mgから7mgまで、2mgから8mgまで、3mgから9mgまで、または4mgから10mgまでの量で存在する。一部の実施形態では、エピトープは、約1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、6ng、7ng、8ng、9ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、45ng、50ng、55ng、60ng、65ng、70ng、75ng、80ng、85ng、90ng、95ng、100ng、110ng、120ng、130ng、140ng、150ng、160ng、170ng、180ng、190ng、200ng、250ng、300ng、350ng、400ng、450ng、500ng、550ng、600ng、650ng、700ng、750ng、800ng、850ng、900ng、または950ngの量で存在する。一部の実施形態では、エピトープは、約1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg、200μg、250μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、550μg、600μg、650μg、700μg、750μg、800μg、850μg、900μg、950μgの量で存在する。一部の実施形態では、エピトープは、約1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量で存在する。
【0443】
免疫原性新抗原を作製するための種々のやり方が存在する。タンパク質またはペプチドは、標準の分子生物学的技法によるタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの発現、天然の供給源からのタンパク質もしくはペプチドの単離、in vitroにおける翻訳、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成を含めた当業者に公知の任意の技法によって作出することができる。一般に、そのような疾患特異的新抗原は、in vitroまたはin vivoのいずれかで作製することができる。免疫原性新抗原をin vitroでペプチドまたはポリペプチドとして作製することができ、次いでそれを個別化ワクチンまたは免疫原性組成物に製剤化し、対象に投与することができる。免疫原性新抗原のin vitroにおける産生は、ペプチド合成または種々の細菌組換え発現系、真核生物組換え発現系もしくはウイルス組換え発現系のいずれかにおけるDNAもしくはRNA分子からのペプチド/ポリペプチドの発現、その後の発現されたペプチド/ポリペプチドの精製を含み得る。あるいは、免疫原性新抗原をコードする分子(例えば、DNA、RNA、およびウイルス発現系)を対象に導入し、そこでコードされる免疫原性新抗原を発現させることにより、免疫原性新抗原をin vivoにおいて作製することができる。一部の実施形態では、免疫原性新抗原ペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用してin vitroで新抗原ペプチドを作製することができる。
【0444】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、免疫原性新抗原をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、一本鎖および/または二本鎖、ネイティブな形態または安定化された形態のポリヌクレオチド、またはこれらの組合せであり得る。免疫原性新抗原ペプチドをコードする核酸は、当該核酸がペプチドをコードする限りはイントロンを含有してもしなくてもよい。一部の実施形態では、in vitroでの翻訳を使用してペプチドを作製する。
【0445】
新抗原をコードする配列を含む発現ベクター、ならびに発現ベクターを含有する宿主細胞も意図されている。本開示における使用に適した発現ベクターは、核酸配列に作動可能に(operationally)連結した少なくとも1つの発現調節エレメントを含み得る。発現調節エレメントは、核酸配列の発現を調節および制御するためにベクターに挿入される。発現調節エレメントの例は当技術分野で周知であり、それらとしては、例えば、lac系、ファージラムダのオペレーター領域およびプロモーター領域、酵母プロモーター、およびポリオーマ、アデノウイルス、レトロウイルス、またはSV40から引き出されたプロモーターが挙げられる。追加的なオペレーターエレメントとしては、これだけに限定されないが、リーダー配列、終結コドン、ポリアデニル化シグナルおよび宿主系における核酸配列の適当な転写およびその後の翻訳のために必要であるまたは好ましい任意の他の配列が挙げられる。発現調節エレメントの正確な組合せは選択される宿主系に依存することが当業者には理解されよう。発現ベクターは核酸配列を含有する発現ベクターの宿主系への移入およびその後の複製のために必要な追加的なエレメントを含有すべきことがさらに理解されよう。そのようなエレメントの例としては、これだけに限定されないが、複製開始点および選択マーカーが挙げられる。
【0446】
新抗原ペプチドは、所望の新抗原ペプチドをコードするRNAまたはcDNA分子の形態で提供することができる。本開示の1つまたは複数の新抗原ペプチドは、単一の発現ベクターによってコードされ得る。一般に、DNAをプラスミドなどの発現ベクターに、発現に適した方向および正確な読み枠で挿入し、必要であれば、DNAを、所望の宿主(例えば、細菌)によって認識される適当な転写および翻訳制御調節ヌクレオチド配列に連結することができるが、そのような調節は発現ベクターに一般に利用可能である。次いで、ベクターを標準の技法を使用してクローニングのために宿主細菌に導入する。真核生物宿主、特に哺乳動物またはヒトに有用な発現ベクターとしては、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、およびサイトメガロウイルス由来の発現調節配列を含むベクターが挙げられる。細菌宿主に有用な発現ベクターとしては、pCR1、pBR322、pMB9を含めたE.coli由来のプラスミドおよびそれらの誘導体などの公知の細菌プラスミド、M13および繊維状一本鎖DNAファージなどのより広い宿主域のプラスミドが挙げられる。ポリペプチドの発現に適した宿主細胞はポリヌクレオチドの節[0250]において考察されている。細菌宿主、真菌宿主、酵母宿主、および哺乳動物細胞宿主との使用に適したクローニングおよび発現ベクターは当技術分野で周知である。
【0447】
形質転換された宿主によって産生されるタンパク質を任意の適切な方法に従って精製することができる。そのような標準の方法としては、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性およびサイジングカラムクロマトグラフィーなど)、遠心分離、示差的溶解性、またはタンパク質精製のための任意の他の標準の技法によるものが挙げられる。ヘキサヒスチジン、マルトース結合性ドメイン、インフルエンザコート配列、グルタチオン-S-トランスフェラーゼなどのアフィニティータグをタンパク質に付着させて、適当なアフィニティーカラムを通過させることによる容易な精製を可能にすることができる。単離されたタンパク質をタンパク質分解、核磁気共鳴、およびX線結晶構造解析などの技法を使用して物理的に特徴付けることもできる。
【0448】
ワクチンは、本明細書に記載のポリペプチド配列に結合する実体を含み得る。実体は抗体であり得る。抗体に基づくワクチンは、適切な、当技術分野において理解されている周知の技法、担体、および賦形剤のいずれかを使用して製剤化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチドを、抗体治療薬などの新抗原に特異的な治療薬を作出するために使用することができる。例えば、新抗原を使用して、新抗原を特異的に認識する抗体を生じさせ、かつ/または同定することができる。これらの抗体を治療薬として使用することができる。抗体は、天然の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体であり得る、または抗体断片であり得る。抗体は、本明細書に記載のポリペプチドの1つまたは複数を認識し得る。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のポリペプチドに対して多くても40%、50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチドを認識し得る。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のポリペプチドに対して少なくとも40%、50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を有するポリペプチドを認識し得る。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のポリペプチドの長さの少なくとも30%、40%、50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるポリペプチド配列を認識し得る。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のポリペプチドの長さの多くても30%、40%、50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であるポリペプチド配列を認識し得る。
【0449】
本開示は、新抗原ペプチド/ポリペプチドを、それを必要とする対象にin vivoで、例えばDNAワクチンの形態で送達するためのビヒクルとしての、核酸分子の使用も意図している。
【0450】
一部の実施形態では、ワクチンは核酸ワクチンである。一部の実施形態では、核酸は、免疫原性ペプチドまたはペプチド前駆体をコードする。一部の実施形態では、核酸ワクチンは、免疫原性ペプチドまたはペプチド前駆体をコードする配列に隣接する配列を含む。一部の実施形態では、核酸ワクチンは1つよりも多くの免疫原性エピトープを含む。一部の実施形態では、核酸ワクチンはDNAに基づくワクチンである。送達方法はポリヌクレオチドの節[0250]において考察されている。
【0451】
ポリヌクレオチドは、実質的に純粋なものであってもよく、適切なベクターまたは送達系に含有されていてもよい。適切なベクターおよび送達系としては、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、または1種よりも多くのウイルスのエレメントを含有するハイブリッドに基づく系などのウイルスベクターおよび送達系が挙げられる。非ウイルス送達系としては、カチオン性脂質およびカチオン性ポリマー(例えば、カチオン性リポソーム)が挙げられる。
【0452】
ウイルスに基づく系を使用して1つまたは複数の新抗原ペプチドをコードし、in vivoで発現させることができる。ウイルスベクターを本開示において組換えベクターとして使用することができ、ここで、ウイルスの感染力を損なうことなく新しい遺伝子を導入するために、ウイルスゲノムの一部を欠失させる。本開示のウイルスベクターは非病原性ウイルスである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは哺乳動物における特定の細胞型に対するトロピズムを有する。別の実施形態では、本開示のウイルスベクターは、樹状細胞およびマクロファージなどのプロフェッショナル抗原提示細胞に感染することができる。本開示のさらに別の実施形態では、ウイルスベクターは、哺乳動物の任意の細胞に感染することができる。ウイルスベクターは腫瘍細胞にも感染し得る。本開示で使用されるウイルスベクターとしては、これだけに限定されないが、ワクシニアウイルス、アビポックスウイルス、鶏痘ウイルス、および高度に弱毒化されたワクシニアウイルス(AnkaraまたはMVA)などのポックスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルスなどが挙げられる。
【0453】
ワクチンを種々の経路によって送達することができる。送達経路は、経口投与(頬側投与および舌投与下を含む)、直腸投与、経鼻投与、局部投与、経皮吸収パッチによる投与、肺への投与、膣への投与、坐薬による投与、または非経口投与(筋肉内投与、動脈内投与、くも膜下腔内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)またはエアロゾル化、吸入または吹送による投与に適した形態を含み得る。薬物送達システムに関する一般的な情報は、Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (Lippencott Williams & Wilkins, Baltimore Md. (1999)に見いだすことができる。本明細書に記載のワクチンは、筋肉投与することもでき、皮内注射または皮下注射によって投与することもでき、例えばイオン導入によってなど、経皮投与することもできる。ワクチンの表皮投与を使用することができる。本明細書に記載のワクチンは、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射によって投与することができる。
【0454】
一部の場合では、ワクチンはまた、鼻腔を介した投与用に製剤化することもできる。担体が固体である、経鼻投与に適した製剤は、嗅剤が摂取されるように、すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を通じた急速吸入によって投与される、例えば約10~約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗粉末を含み得る。製剤は、経鼻スプレー、点鼻剤、またはネブライザーによるエアロゾル投与によるものであり得る。製剤は、ワクチンの水性または油性溶液を含み得る。
【0455】
ワクチンは、懸濁液、シロップ剤、またはエリキシル剤などの液体調製物であり得る。ワクチンはまた、非経口投与、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、または静脈内投与(例えば、注射用投与)のための調製物、例えば、滅菌懸濁液またはエマルションなどでもあり得る。
【0456】
ワクチンは、単回免疫化のための材料を含み得る、または、多数回の免疫化のための材料を含み得る(すなわち、「複数回用量」キット)。複数回用量の取り合わせには保存剤を含めることが好ましい。複数回用量組成物に保存剤を含めることの代替として(またはそれに加えて)、材料を取り出すための無菌アダプターを有する容器に組成物を含めることができる。
【0457】
ワクチンは、約0.5mLの投薬量体積で投与することができるが、小児には半分の用量(すなわち約0.25mL)を投与することができる。時には、ワクチンを高用量、例えば、約1mlで投与することができる。
【0458】
ワクチンは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれよりも多くの投薬コースレジメンで投与することができる。時には、ワクチンを1回、2回、3回、または4回投薬コースレジメンで投与する。時には、ワクチンを1回投薬コースレジメンで投与する。時には、ワクチンを2回投薬コースレジメンで投与する。
【0459】
第1の投薬と第2の投薬の施行は、約0日、1日、2日、5日、7日、14日、21日、30日、2カ月、4カ月、6カ月、9カ月、1年、1.5年、2年、3年、4年、またはそれよりも長く離すことができる。
【0460】
本明細書に記載のワクチンは、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、またはそれよりも多くの年毎に投与することができる。時には、本明細書に記載のワクチンを2年、3年、4年、5年、6年、7年、またはそれよりも多くの年毎に投与する。時には、本明細書に記載のワクチンを4年、5年、6年、7年、またはそれよりも多くの年毎に投与する。時には、本明細書に記載のワクチンを1回投与する。
【0461】
投薬例は限定するものではなく、単に本明細書に記載のワクチンを投与するための特定の投薬レジメンを例証するために使用されている。ヒトへの使用のための有効量は動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であることが見いだされている循環濃度、肝臓濃度、局部濃度および/または胃腸濃度が実現されるように製剤化することができる。当業者は、動物データおよび他の型の同様のデータに基づいて、ヒトに適したワクチン組成物の有効量を決定することができる。
【0462】
有効量とは、薬剤または薬剤の組合せについて言及する場合、一般に、医学もしくは製薬技術分野の種々の規制もしくは顧問組織(例えば、FDA、AMA)によって、または製造者もしくは供給者によって推奨または認可されている用量範囲、投与形式、製剤などを意味する。
【0463】
一部の態様では、本明細書に記載のワクチンおよびキットを2℃から8℃の間で保管することができる。一部の場合では、ワクチンを凍結せずに保管する。一部の場合では、ワクチンを-20℃または-80℃などの温度で保管する。一部の場合では、ワクチンを、太陽光を避けて保管する。
7.キット
【0464】
本明細書に記載の新抗原治療薬を投与に関する指示と共にキットの形態で提供することができる。一般には、キットは、単位剤形で容器に入れられた所望の新抗原治療薬および投与に関する指示を含む。追加的な治療薬、例えば、サイトカイン、リンフォカイン、チェックポイント阻害剤、抗体をキットに含めることもできる。同様に望ましい可能性がある他のキット構成成分としては、例えば、滅菌シリンジ、ブースター投薬量、および他の所望の賦形剤が挙げられる。
【0465】
本明細書に記載の1つまたは複数の方法で使用するためのキットおよび製造品も本明細書で提供される。キットは、1つまたは複数のネオエピトープを含む1つまたは複数の新抗原性ポリペプチドを含有し得る。キットは、本明細書に記載のペプチドまたはタンパク質の1つもしくは複数をコードする核酸、本明細書に記載のペプチドの1つもしくは複数を認識する抗体、または本明細書に記載のペプチドの1つもしくは複数を用いて活性化されるAPCに基づく細胞も含有し得る。キットは、ワクチンの組立ておよび送達に必要なアジュバント、試薬、および緩衝剤をさらに含有し得る。
【0466】
キットはまた、本明細書に記載の方法で使用するためのペプチドおよびアジュバントなどの別々のエレメントの1つをそれぞれが含むバイアル、管などの1つまたは複数の容器を受け入れるように区画化された担体、パッケージ、または容器も含み得る。適切な容器としては、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料で形成されたものであってよい。
【0467】
本明細書で提供される製造品は包装材料を含有する。医薬包装材料の例としては、これだけに限定されないが、選択された製剤および意図された投与形式および処置に適したブリスターパック、ビン、管、袋、容器、ビン、および任意の包装材料が挙げられる。キットは、一般には、内容物および/または使用に関する指示が列挙されたラベル、ならびに使用に関する指示を伴う添付文書を含む。指示のセットも一般に含められる。
【0468】
本開示を特定の例によってより詳細に説明する。以下の実施例は例示する目的で提供され、本開示をどのようにも限定するものではない。本開示に従った代替的な実施形態を得るために変化させるまたは改変することができる、極めて重要なものではない種々のパラメータは当業者には容易に理解されよう。本明細書において列挙されている特許、特許出願、および印刷刊行物は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0469】
これらの実施例は、例示する目的でのみ提供され、本明細書に提示される特許請求の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
ポリペプチドの切断およびプロセシングの増強の評価
【0470】
T細胞受容体(TCR)を形質導入した細胞を使用して、ポリペプチドをin vitroにおいてエピトープのプロセシングおよび提示についてスクリーニングした。CD8を確証されたTCRと共に発現する工学的に操作されたジャーカット細胞をエフェクター細胞として調製した。標的細胞に関しては、特定のHLA対立遺伝子を有する末梢血単核細胞(PBMC)を、FLT3リガンドを用いて終夜刺激し、異なる状況の目的のエピトープを含有するポリペプチドを1時間にわたって負荷し、サイトカインを用いて成熟化させた。工学的に操作されたジャーカット細胞とPBMCを48時間共培養し、工学的に操作されたジャーカット細胞によって分泌されたIL-2のレベルをTCRによるペプチド認識についての読み取りとして測定した。実験設計を
図3に示し、結果を
図4および
図5に示す。
(実施例2)
新抗原性ポリペプチドの免疫原性
【0471】
特定のエピトープを中心に設計した多数のポリペプチドの免疫原性、ならびにこれらのポリペプチドに対するT細胞応答の質を試験した。8~12週齢の雌C57BL/6マウス(Taconic Biosciences)84匹を到着次第ランダムに前向きに処置群に割り当てた。動物を3日間気候順化させた後、試験を開始した。動物を、LabDiet(商標)5053滅菌齧歯類固形飼料および滅菌水を自由に提供して維持した。群1の動物12匹はワクチン無接種対照としての機能を果たした。群2~7それぞれの動物12匹は50μgのpolyIC:LCおよび10μgの各ポリペプチド(表13に定義されている;太字の配列は最小エピトープを表す)またはモル濃度を釣り合わせた等価の代替ペプチド設計(表14に定義されている)を受けた。Kif18bをCD4ヘルパーペプチドとして使用し、群2~7のマウス全てに対して改変せずに使用した。7日目、14日目、および21日目に後眼窩採血によって血液を採取した。毎日、動物を秤量し、全体的な健康についてモニタリングした。21日目の試験完了時、動物の体重が0日目の体重と比較して>30%減少した場合;または動物が瀕死で見つかった場合に、動物をCO2過剰投与によって安楽死させた。
【0472】
【0473】
表14.実験設計(
図6も参照されたい)
【表14】
【0474】
MHC四量体を現場で製造し、免疫原性アッセイでペプチド特異的T細胞増大を測定するために使用する。評価のために、1%FCSおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するPBS(FACS緩衝剤)中の細胞1×105個に四量体を添加する。細胞を暗闇中、37℃で15分間インキュベートする。次いで、CD8などのT細胞マーカーに特異的な抗体、およびCD4/CD11b/CD11c/CD19などの無関連の細胞型に特異的な抗体を製造者により推奨される最終濃度まで添加し、細胞を暗闇中、4℃で20分間インキュベートする。細胞を低温FACS緩衝剤で洗浄し、LSR2(Becton Dickinson)機器ですぐに分析し、FacsDiva software(Becton Dickinson)を使用することによって解析する。四量体陽性細胞の分析のために、リンパ球ゲートを前方および側方散乱プロットから取得する。データをD4-CD11b-CD11c-CD19-CD8+/四量体+である細胞のパーセンテージとして報告する。
【0475】
K4-エピトープを用いた免疫化により、評価したエピトープ6種のうち5種に対する免疫応答が有意に増大した。Alg8、Lama4、Reps1、Adpgk、およびObsl1に対する免疫応答が有意に増大した。K4-エピトープを用いた免疫化により、免疫原性が低いエピトープ(例えば、Obsl1)の免疫原性が増大する。K4-Val-Cit-PABC-エピトープでの免疫化により、Alg8特異的免疫応答が増大する。結果を
図7~9に示す。
(実施例3)
ジスルフィドリンカー(化合物5)の合成
【0476】
【0477】
2,2’-ビス(5-ニトロピリジル)ジスルフィド2(2mmol)を10mLのジクロロメタンに懸濁させ、ジクロロメタン(4mL)中の対応するメルカプトアルコール1(1mmol、R1およびR2は本明細書で定義されている)を懸濁液に添加した。得られた懸濁液を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を5mLのジメチルホルムアミド中に再溶解させ、C18逆相カラムを使用し、アセトニトリルおよび0.05%のTFAを含有する水の勾配を用いて精製した。所望の画分を混ぜ合わせ、凍結乾燥して(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルアルコール3を生じさせた(収率約65~82%、純度>90%、220nmにおけるUPLC-MS/UV分析)。
【0478】
【0479】
(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルアルコール3(0.5mmol、R1およびR2は本明細書で定義されている)のジメチルホルムアミド中溶液(2mL)にN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(1.5mmol)を添加し、その後、4-ニトロフェニルクロロギ酸エステル4(0.55mmol)を添加した。この溶液を室温で16時間撹拌し、次いで、C18逆相カラムを使用し、アセトニトリルおよび0.05%のTFAを含有する水の勾配を用いて精製した。所望の画分を混ぜ合わせ、凍結乾燥して、4-ニトロフェニル-(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルカーボネート5を生じさせた(収率約90~98%、純度>90%、220nmにおけるUPLC-MS/UV分析)。
(実施例4)
ジスルフィド含有ペプチドの合成
【0480】
ステップ1:4-ニトロ-2-ピリジルチオ活性化ジスルフィドペプチド8の形成
【化7】
【0481】
上記のスキームに従って、ペプチド結合樹脂6(固相ペプチド合成用に作られた任意の樹脂を使用することができる)のN末端を、リンカー5(R1およびR2は本明細書で定義されている)を使用して手動で、または自動ペプチド合成機でそれに応じてプログラムしてアシル化した。より詳細には、樹脂6(0.05mmol)をジメチルホルムアミド中で5分間にわたって膨潤させ、排液した。対応する4-ニトロフェニル-(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルカーボネート5(0.2mmol)およびOxyma Pure Novabiochem(登録商標)(Oxyma Pureとしても公知、0.3mmol)をジメチルホルムアミド1mL中に溶解させ、膨潤した樹脂6に添加し、次いで、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.3mmol)を添加した。得られた樹脂懸濁液を3時間撹拌し、排液し、次いで、得られたペプチド結合樹脂7をジメチルホルムアミド(5×、5mL)、ジクロロメタン(5×、5mL)、およびメタノール(2×、5mL)ですすいだ。ペプチド結合樹脂7を減圧下で1時間乾燥させ、3mLの95%トリフルオロ酢酸(TFA)、2.5%水、2.5%トリイソプロピルシラン(TIPS)を使用して室温で3時間にわたって切断して、非結合ペプチド8と7から切断された樹脂の両方を含有する切断溶液(「A」)を形成した。次いで、この切断溶液Aを50mL円錐管中に濾過し、排液し、7から切断された樹脂を95:5のTFA:水溶液(1mL)で洗浄し、濾過し、排液し、合わせて、濾過されたペプチド溶液(「B」)を生じさせた。濾過されたペプチド溶液Bから、非結合ペプチド8を、氷冷ジエチルエーテルで沈殿させ、3600rpmで5分間遠心分離し、ジエチルエーテルをデカントすることによって単離した。次いで、得られたペプチドペレットを氷冷ジエチルエーテル20mLですすいで懸濁液を生じさせ、次いでそれをボルテックスし、3600rpmで3分間再度遠心分離した。これを合計3回の洗浄にわたって繰り返してペレットを徹底的にすすいで、4-ニトロフェニル-(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルカルバメートペプチド8を生じさせ、これを、さらなる精製を伴わずに次の合成ステップに移した。
【0482】
ステップ2:ジスルフィド含有ペプチド10を形成するためのジスルフィド交換反応
【化8】
【0483】
上のスキームに記載されている通り、粗製4-ニトロフェニル-(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルカルバメートペプチド8(R
1およびR
2は本明細書で定義されている)に所望のチオール含有分子9(G
1およびjは本明細書で定義されている)を用いてジスルフィド交換を受けさせた。より詳細には、4-ニトロフェニル-(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイルアルキルカルバメートペプチド8(0.05mmol)をジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、次いで、所望のチオール含有化合物9(0.05mmol)の1:1ジメチルホルムアミド-1Mのトリス緩衝剤中溶液を添加した。得られた黄色の溶液を2時間撹拌し、C18逆相カラムを使用してアセトニトリルおよび0.05%のTFAを含有する水の勾配を用いて精製した。所望の画分を混ぜ合わせ、凍結乾燥してジスルフィド含有ペプチド10を生じさせた(収率約10~30%、純度>95%、220nmにおけるUPLC-MS/UV分析、固相ペプチド合成から出発)。
(実施例5)
PABC含有ペプチド(13)の合成
【化9】
【0484】
上のスキームに記載されている通り、ペプチド結合樹脂6のN末端を、Fmoc-AA-AA-PAB-PNP11を使用して手動で、または自動ペプチド合成機でそれに応じてプログラムしてアシル化した。より詳細には、樹脂6(0.05mmol)をジメチルホルムアミド中で5分間にわたって膨潤させ、排液した。対応するFmoc-AA-AA-PAB-PNP11(0.2mmol)およびOxyma Pure Novabiochem(登録商標)(Oxyma Pureとしても公知、0.3mmol)をジメチルホルムアミド1mL中に溶解させ、樹脂6に添加し、次いで、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.3mmol)を添加した。得られた樹脂懸濁液を3時間撹拌し、排液し、次いで、得られたFmocで保護された樹脂12をジメチルホルムアミド(5×、5mL)ですすいだ。最終的なN末端α-Fmocをジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで除去した(2×、5分間)。この時点で、脱保護した中間体12を必要に応じて標準のFmoc固相ペプチド合成を使用して12のN末端において追加的なアミノ酸残基と反応させることができ、その後、すぐ上で考察されているものと類似の手順を使用してN末端α-Fmoc脱保護を行うことができる。所望のFmoc脱保護の完了後、次いで、樹脂12(またはアミノ酸の伸長を有する類似体)をジメチルホルムアミド(5×、5mL)、ジクロロメタン(5×、5mL)、次いでメタノール(2×、5mL)ですすいだ。ペプチド結合樹脂12を減圧下で1時間乾燥させ、3mLの70%トリフルオロ酢酸(TFA)、10%フェノール、10%トリイソプロピルシラン(TIPS)および10%チオアニソールを使用して室温で30分にわたって切断して、非結合ペプチド13と12から切断された樹脂の両方を含有する切断溶液(「A」)を形成した。次いで、この切断溶液Aを50mL円錐管中に濾過し、排液して、濾過されたペプチド溶液(「B」)を生じさせた。12から切断された樹脂を95:5のTFA:水溶液(1mL)で洗浄し、濾過し、排液し、濾過されたペプチド溶液Bと合わせた。非結合ペプチド13を、濾過されたペプチド溶液Bから、氷冷ジエチルエーテルを用いて沈殿させ、3600rpmで5分間遠心分離し、ジエチルエーテルをデカントすることによって単離した。次いで、得られたペプチドペレットを氷冷ジエチルエーテル20mLですすいで懸濁液を生じさせ、次いでそれをボルテックスし、3600rpmで3分間再度遠心分離した。これを合計3回の洗浄にわたって繰り返してペレットを徹底的にすすいで、化合物13を生じさせた(収率約10~30%、純度>95%、220nmにおけるUPLC-MS/UV分析、固相ペプチド合成から出発)。
(実施例6)
TMPRSS2::ERGエピトープのプロセシングの評価
【0485】
T細胞受容体(TCR)を形質導入した細胞を使用して、in vitroにおけるTMPRSS2::ERGエピトープのプロセシングおよびHLA-A02:01上への提示を評価した。CD8を確証されたTCRと共に発現する工学的に操作されたジャーカット細胞をエフェクター細胞として調製した。標的細胞に関しては、HLA-A02:01を天然に発現する293T細胞に、i)TMPRSS2::ERGエピトープのみを含有するペプチドを24時間にわたって負荷させたか、またはii)異なる状況のTMPRSS2::ERGエピトープを含有するペプチドをコードするプラスミド(天然の状況のエピトープ、すなわち、ペプチドは、エピトープ配列のN末端および/もしくはC末端に天然に隣接するアミノ酸もしくはアミノ酸配列をさらに含む、非天然の状況のエピトープ、すなわち、ペプチドは、エピトープ配列に天然に隣接するものではないアミノ酸もしくはアミノ酸配列、例えばCMVpp65配列をさらに含む)、もしくは非天然の状況の無関連のエピトープを含有するペプチドをコードするプラスミドを用いて安定に形質導入した(対照として)。工学的に操作されたジャーカット細胞および293T細胞を24時間共培養し、工学的に操作されたジャーカット細胞によって分泌されたIL-2のレベルをTCRによるペプチド認識についての読み取りとして測定した。結果を
図10に示す。
(実施例7)
ポリペプチドの切断およびプロセシングの増強ならびに免疫原性の比較
【0486】
T細胞受容体(TCR)を形質導入した細胞を、エピトープのプロセシングおよび提示について、RAS-G12Vエピトープのみを含有するペプチド、RAS-G12VエピトープおよびN末端のみにエピトープに隣接する追加的なアミノ酸配列を含有するペプチド、またはRAS-G12VエピトープおよびN末端とC末端の両方にエピトープに隣接する追加的なアミノ酸配列を含有するペプチドからのRAS-G12V-HLA-A11:01エピトープのプロセシングのin vitroにおける比較のために使用した。CD8を確証されたTCRと共に発現する工学的に操作されたジャーカット細胞をエフェクター細胞として調製した。標的細胞に関しては、特定のHLA対立遺伝子を有する末梢血単核細胞(PBMC)を、FLT3リガンドを用いて終夜刺激し、異なる状況のRAS-G12Vエピトープを含有するポリペプチドを1時間にわたって負荷し、サイトカインを用いて成熟化させた。工学的に操作されたジャーカット細胞とPBMCを48時間共培養し、工学的に操作されたジャーカット細胞によって分泌されたIL-2のレベルをTCRによるペプチド認識についての読み取りとして測定した。結果を
図11に示す。
(実施例8)
エピトープの周囲の状況が異なるRAS突然変異型ペプチドの免疫原性評価
【0487】
材料:
AIM V media(Invitrogen)
Human FLT3L、preclinical CellGenix#1415-050 Stock 50ng/μL
TNF-α、preclinical CellGenix#1406-050 Stock 10ng/μL
IL-1β、preclinical CellGenix#1411-050 Stock 10ng/μL
PGE1またはアルプロスタジル-Cayman from Czech republic Stock 0.5μg/μL
R10 media-RPMI1640 glutamax+10%Human serum+1%PenStrep
20/80 Media-18%AIM V+72%RPMI1640 glutamax+10%Human Serum+1%PenStrep
IL7 Stock 5ng/μL
IL15 Stock 5ng/μL
手順:
ステップ1:PBMC(または目的の細胞)5百万個を、AIM V培地2mL中FLT3Lを伴う24ウェルプレートの各ウェルにプレーティングする
ステップ2:ペプチド負荷および成熟化-AIMV中
1.目的のペプチドプール(ペプチドなし条件以外)をPBMC(または目的の細胞)とそれぞれのウェル中で混合する。
2.1時間インキュベートする。
3.インキュベーション後に成熟化カクテル(TNF-α、IL-1β、PGE1、およびIL-7を含む)を各ウェルに混合する。
ステップ3:ヒト血清を各ウェルに体積で10%の最終濃度で添加し、混合する。
ステップ4:培地を、IL7+IL15を補充した新鮮なRPMI+10%HS培地に交換する。
ステップ5:インキュベーション期間中、1~6日毎に、培地をIL7+IL15を補充した新鮮な20/80培地と交換する。
ステップ6:PBMC(または目的の細胞)5百万個をAIM V培地2ml中FLT3Lを伴う新しい6ウェルプレートの各ウェルにプレーティングする。
ステップ7:再刺激のためのペプチド負荷および成熟化-(新しいプレート)
1.目的のペプチドプール(ペプチドなし条件以外)をPBMC(または目的の細胞)とそれぞれのウェル中で混合する。
2.1時間インキュベートする。
3.インキュベーション後に成熟化カクテルを各ウェルに混合する
ステップ8:再刺激:
1.第1の刺激FLT3L培養物の計数を行い、培養細胞5百万個を新しい再刺激プレートに添加する。
2.培養物の体積を5mLにし(AIM V)、ヒト血清(体積で10%)500ulを添加する。
ステップ9:培地3mlを除去し、IL7+IL15を補充したRPMI+10%HS培地6mlを添加する。
ステップ10:培地の75%をIL7+IL15を補充した新鮮な20/80培地に交換する。
ステップ11:必要であれば再刺激を繰り返す。
抗原特異的誘導の分析
【0488】
MHC四量体を購入するかまたは現場で製造し、免疫原性アッセイにおいてペプチド特異的T細胞増大を測定するために使用する。評価のために、四量体を1%FCSおよび0.1%アジ化ナトリウムを含有するPBS(FACS緩衝剤)中、細胞1×105個に製造者の指示に従って添加する。細胞を暗闇中、室温で20分間インキュベートする。次いで、CD8などのT細胞マーカーに特異的な抗体を製造者により推奨される最終濃度まで添加し、細胞を暗闇中、4℃で20分間インキュベートする。細胞を低温FACS緩衝剤で洗浄し、1%ホルムアルデヒドを含有する緩衝剤に再懸濁させる。細胞をLSR Fortessa(Becton Dickinson)機器で取得し、FlowJoソフトウェア(Becton Dickinson)を使用することによって解析する。四量体陽性細胞の分析のために、リンパ球ゲートを前方および側方散乱プロットから取得する。データをCD8+/四量体+である細胞のパーセンテージとして報告する。
【0489】
ペプチド免疫原性ワークフロー(すなわち、T細胞誘導および四量体分析)を使用して、
図11に記載の3種のペプチド設計の相対的な免疫原性を評価した。3種のドナーにわたるヒット率に基づいて、C末端にエピトープを有するペプチドの免疫原性が中間にエピトープを有するペプチドと比べて増大したことを示す例示的なデータは
図12、上に示されている。実施例2に記載の通り、同じ3種のペプチド設計を、in vivoマウスワクチン接種戦略を用いても評価した。C末端にエピトープを有するペプチドの免疫原性が中間にエピトープを有するペプチドと比べて増大したことを示す例示的なデータが
図12、下に示されている。
(実施例9)
ペプチドをコードするmRNAでAPCを刺激した場合の高いCD8ヒット率
【0490】
図13Aに図示されている通り、ショートマー(9~10アミノ酸)またはロングマー(25アミノ酸)を連鎖状の新抗原のひと続きの形態で構築した。抗原の配列が色付きの枠で表されている。リンカー配列(K、QLGL、またはGVGT-青色の丸で表されている)をNetChop(ヒトプロテオームの切断を予測するためのアルゴリズム)によって予測される通り抗原配列の間に追加した。配列が抗原配列内で切断されることが予測される場合、抗原配列間での切断を促進するために切断部位を追加した。次いで、PBMCに上述の多抗原をコードするmRNA構築物をヌクレオフェクトし、T細胞を刺激するために使用した。一致するペプチドのプールを用いて並列比較を実施し、それらの長さおよび配列はRNAのひと続き内にコードされるものと同じであった。短いRNA配列および長いRNA配列により多量体に対して同様のCD8+T細胞応答性が生じた(表15)。特に、ロングマーおよびショートマーをコードするmRNAを使用して頑強なCD8応答が観察された。
表15 - ペプチドおよびRNAロングマーおよびショートマー媒介性活性化の比較
【表15-1】
【表15-2】
【0491】
図13Bに示されている通り、Gli3エピトープはペプチドならびにmRNAによって十分に表され、提示されるが、Gli3ショートマーエピトープをコードするmRNAを負荷したPBMCでは、より高いGli3特異的CD8+T細胞がもたらされた(多量体アッセイによって検出して)。多量体アッセイの代表的なフローサイトメトリー結果が
図13Cに示されている。このひと続きでは、Gli3配列に先行する配列は非天然の状況に由来するものである。これは、ポリペプチドのひと続きからのGli3の増強されたプロセシングおよび提示を有し得、ペプチドと比較して増大した応答を有し得る。さらに、mRNAショートマーのひと続きではME-1 T細胞応答が生じ、これは一致する短いペプチドプールには存在しなかった。我々のひと続きでは、ME-1はエピトープ配列の前後に切断部位を有し、このエピトープに対するプロセシングおよび提示の増強により優れたT細胞応答が導かれた可能性がある。
実施形態の段落
【0492】
抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープを含むポリペプチドであって、式(I):
Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zp
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、
(i)Xmがエピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、
(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、または
(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である;
(ii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のArの変数rが0である場合、Ynは、Bt-Ar-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが0である場合、Ynは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Ynは、Btをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;
さらに、nが0から1000までの整数である;
(iii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のAsの変数sが0である場合、Zpは、Xm-As-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが0である場合、Zpは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Zpは、Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;
さらに、pが、0から1000までの整数である;
さらに、
nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、
pが0である場合、nは1から1000までの整数である;
(iv)Arがリンカーであり、rが0または1である;
(v)Asがリンカーであり、sが0または1である;
(vi)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数であり;かつ、
(vii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Ynおよび/またはZpがエピトープから切断される、
ポリペプチド。
【0493】
エピトープが、クラスII MHCによって提示される、段落[0492]のポリペプチド。
【0494】
mが9から25までの整数である、段落[0492]または段落[0493]のポリペプチド。
【0495】
tが1、2、3、4、または5またはそれよりも大きく、rが0である、段落[0492]から[0494]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0496】
uが1、2、3、4、または5またはそれよりも大きく、sが0である、段落[0492]から[0495]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0497】
tが1またはそれよりも大きく、rが0であり、nが1~1000である、段落[0492]から[0496]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0498】
uが1またはそれよりも大きく、sが0であり、pが1~1000である、段落[0492]から[0497]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0499】
tが0である、段落[0492]から[0498]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0500】
uが0である、段落[0492]から[0499]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0501】
tが少なくとも1であり、Btがリシンを含む、段落[0492]から[0500]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0502】
uが少なくとも1であり、Cuがリシンを含む、段落[0492]から[0501]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0503】
ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Btがエピトープから切断される、段落[0492]から[0502]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0504】
ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Cuがエピトープから切断される、段落[0492]から[0503]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0505】
nが1から5までまたは7から1000までの整数である、段落[0492]から[0504]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0506】
pが1から4までまたは6から1000までの整数である、段落[0492]から[0505]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0507】
クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない、段落[0492]から[0506]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0508】
クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープを含まない、段落[0492]から[0507]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0509】
少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む、段落[0492]から[0508]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0510】
エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む、段落[0492]から[0509]までのいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0511】
少なくとも1つの突然変異型アミノ酸が、対象のゲノム内の核酸配列における挿入、欠失、フレームシフト、ネオORF、または点突然変異によってコードされるものである、段落[0510]のポリペプチド。
【0512】
ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Ynおよび/またはZpがエピトープから切断される、段落[0492]から[0511]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0513】
Xmのmが少なくとも8であり、Xmが、AA1AA2AA3AA4AA5AA6AA7AA8AA9AA10AA11AA12AA13AA14AA15AA16AA17AA18AA19AA20AA21AA22AA23AA24AA25であり、各AAがアミノ酸であり、AA9、AA10、AA11、AA12、AA13、AA14、AA15、AA16、AA17、AA18、AA19、AA20、AA21、AA22、AA23、AA24、およびAA25のうちの1つまたは複数は必要に応じて存在し、さらに、少なくとも1つのAAが突然変異型アミノ酸である、段落[0492]から[0512]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0514】
rが1である、段落[0492]から[0513]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0515】
sが1である、段落[0492]から[0514]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0516】
rが1であり、sが1である、段落[0492]から[0515]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0517】
rが0である、段落[0492]から[0516]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0518】
sが0である、段落[0492]から[0517]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0519】
rが0であり、sが0である、段落[0492]から[0518]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0520】
Arおよび/またはAsが、非ポリペプチドリンカーである、段落[0492]から[0519]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0521】
Arおよび/またはAsが、化学リンカーである、段落[0492]から[0520]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0522】
Arおよび/またはAsが、非天然アミノ酸を含む、段落[0492]から[0521]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0523】
Arおよび/またはAsが、アミノ酸を含まない、段落[0492]から[0522]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0524】
Arおよび/またはAsが、天然アミノ酸を含まない、段落[0492]から[0523]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0525】
Arおよび/またはAsが、ペプチド結合以外の結合を含む、段落[0492]から[0524]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0526】
Arおよび/またはAsが、ジスルフィド結合を含む、段落[0492]から[0525]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0527】
ArとAsが異なる、段落[0492]から[0526]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0528】
ArとAsが同じである、段落[0492]から[0527]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0529】
親水性尾部を含む、段落[0492]から[0528]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0530】
Yn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpにより、ポリペプチドの溶解性がYn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpを含有しない対応するペプチドと比較して増強される、段落[0492]から[0529]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0531】
Xmの各Xが、天然アミノ酸である、段落[0492]から[0530]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0532】
ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、エピトープがYn-Bt-Arおよび/またはAs-Cu-Zpから遊離する、段落[0492]から[0531]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0533】
Arおよび/またはAsにおいて切断される、段落[0492]から[0532]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0534】
nが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断される、段落[0492]から[0533]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0535】
nが1から1000までの整数である場合、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、tが少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrが0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率で切断され、uが少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsが0である、段落[0492]から[0533]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0536】
nが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率でArにおいて切断され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの切断と比較して高い率でAsにおいて切断される、段落[0492]から[0535]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0537】
nが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強される、段落[0492]から[0536]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0538】
nが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、tが少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrが0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、APCによるエピトープ提示が、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドのエピトープ提示と比較して増強され、uが少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsが0である、段落[0492]から[0536]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0539】
APCによりエピトープが免疫細胞に提示される、段落[0492]から[0538]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0540】
APCによりエピトープが食細胞に提示される、段落[0492]から[0539]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0541】
APCによりエピトープが樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に提示される、段落[0492]から[0540]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0542】
APCによりエピトープが免疫細胞、食細胞、樹状細胞、マクロファージ、肥満細胞、好中球、または単球に優先的にまたは特異的に提示される、段落[0492]から[0541]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0543】
nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強される、段落[0492]から[0542]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0544】
nが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、tが少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrが0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、免疫原性が、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの免疫原性と比較して増強され、uが少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsが0である、段落[0492]から[0542]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0545】
nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、XmおよびXmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされる少なくとも1つの追加的なアミノ酸を含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強される、段落[0492]から[0544]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0546】
nが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、Bt-Xmを含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、tが少なくとも1であり、式(I)中の変数Arのrが0であり、かつ/または、pが1から1000までの整数である場合、抗腫瘍活性が、Xm-Cuを含む同じ長さの対応するポリペプチドの抗腫瘍活性と比較して増強され、uが少なくとも1であり、式(I)中の変数Asのsが0である、段落[0492]から[0544]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0547】
Ynおよび/またはZpが、ポリ-Lys(ポリK)およびポリ-Arg(ポリR)からなる群から選択される配列を含む、段落[0492]から[0546]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0548】
Ynおよび/またはZpが、ポリK-AA-AAおよびポリR-AA-AAからなる群から選択される配列を含み、各AAが、アミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である、段落[0547]のポリペプチド。
【0549】
ポリKが、ポリ-L-Lysを含む、段落[0547]または段落[0548]のポリペプチド。
【0550】
ポリRが、ポリ-L-Argを含む、段落[0547]または段落[0548]のポリペプチド。
【0551】
ポリKまたはポリRが、それぞれ少なくとも3つまたは4つの連続したリシン残基またはアルギニン残基を含む、段落[0547]から[0550]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0552】
Arおよび/またはAsが、ジスルフィド;p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC);およびAA-AA-PABCからなる群から選択され、各AAがアミノ酸またはその類似体もしくは誘導体である、段落[0492]から[0551]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0553】
AA-AA-PABCが、Ala-Lys-PABC、Val-Cit-PABC、およびPhe-Lys-PABCからなる群から選択される、段落[0552]のポリペプチド。
【0554】
A
rおよび/またはA
sが、
【化10】
である、段落[0492]から[0551]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0555】
A
rおよび/またはA
sが、
【化11】
であり、
式中、
R
1およびR
2が、独立に、Hまたは(C
1~C
6)アルキルであり、
jが、1または2であり、
G
1が、HまたはCOOHであり、
iが、1、2、3、4、または5である、
段落[0492]から[0551]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0556】
ユビキチン化される、段落[0492]から[0555]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0557】
切断前にユビキチン化される、段落[0556]のポリペプチド。
【0558】
リシン残基においてユビキチン化される、段落[0556]または[0557]のポリペプチド。
【0559】
対象においてAPCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない、段落[0492]から[0558]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0560】
対象の血液中で、APCによるプロセシングの前にもAPCによる内部移行の前にも切断されない、段落[0492]から[0559]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0561】
血液中でプロテアーゼによって切断されない、段落[0492]から[0560]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0562】
プラスミン、血漿カリクレイン、組織カリクレイン、トロンビン、または凝固因子によって切断されない、段落[0492]から[0561]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0563】
ヒト血漿中で安定である、段落[0492]から[0562]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0564】
ヒト血漿中で1時間から5日間までの半減期を有する、段落[0492]から[0563]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0565】
リソソーム、エンドリソソーム、エンドソーム、または小胞体(ER)において切断される、段落[0492]から[0564]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0566】
アミノペプチダーゼによって切断される、段落[0492]から[0565]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0567】
アミノペプチダーゼが、インスリン調節性アミノペプチダーゼ(IRAP)または小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP)である、段落[0566]のポリペプチド。
【0568】
プロテアソームおよび/または免疫プロテアソームのトリプシン様ドメインによってプロセシングされる、段落[0492]から[0565]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0569】
トリプシン様ドメインが、トリプシン様活性、キモトリプシン様活性、またはペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)活性を含む、段落[0568]のポリペプチド。
【0570】
プロテアーゼによって切断される、段落[0492]から[0565]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0571】
プロテアーゼが、トリプシン様プロテアーゼ、キモトリプシン様プロテアーゼ、またはペプチジルグルタミル-ペプチドヒドロラーゼ(PGPH)である、段落[0570]のポリペプチド。
【0572】
プロテアーゼが、アスパラギンペプチドリアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、およびトレオニンプロテアーゼからなる群から選択される、段落[0570]のポリペプチド。
【0573】
プロテアーゼが、カルパイン、カスパーゼ、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンW、およびカテプシンZからなる群から選択されるシステインプロテアーゼである、段落[0572]のポリペプチド。
【0574】
対象が、哺乳動物である、段落[0492]から[0573]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0575】
対象が、ヒトである、段落[0492]から[0574]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0576】
エピトープが、MHC IクラスHLAに結合する、段落[0492]から[0575]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0577】
エピトープが、MHC IクラスHLAに10分間~24時間の安定性で結合する、段落[0576]のポリペプチド。
【0578】
エピトープが、MHC IクラスHLAに0.1nM~2000nMの親和性で結合する、段落[0576]のポリペプチド。
【0579】
エピトープが、MHC IIクラスHLAに結合する、段落[0492]から[0575]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0580】
エピトープが、MHC IIクラスHLAに10分間~24時間の安定性で結合する、段落[0579]のポリペプチド。
【0581】
エピトープが、MHC IIクラスHLAに0.1nM~2000nM、1nM~1000nM、10nM~500nM、または1000nM未満の親和性で結合する、段落[0579]のポリペプチド。
【0582】
nが、1から20までまたは5から12までの整数である、段落[0492]から[0581]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0583】
pが、1から20までまたは5から12までの整数である、段落[0492]から[0582]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0584】
エピトープが、腫瘍特異的エピトープを含む、段落[0492]から[0583]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0585】
少なくとも2つのポリペプチドを含み、少なくとも2つのポリペプチドのうちの2つまたはそれよりも多くが同じ式Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zpを有する、段落[0492]から[0584]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0586】
少なくとも2つのポリペプチド分子を含む、段落[0585]のポリペプチド。
【0587】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのXmが同じである、段落[0585]または[0586]のポリペプチド。
【0588】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのYnが同じである、段落[0585]から[0587]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0589】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのZpが同じである、段落[0585]から[0588]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0590】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの2つまたはそれよりも多くのArおよび/またはAsが異なる、段落[0585]から[0589]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0591】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはr=0であり、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはr=1である、段落[0585]から[0590]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0592】
少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第1のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはs=0であり、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチド分子のうちの第2のポリペプチドまたはポリペプチド分子についてはs=1である、段落[0585]から[0591]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0593】
少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれよりも多くのポリペプチドまたはポリペプチド分子を含む、段落[0492]から[0592]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0594】
エピトープが、RASエピトープである、段落[0492]から[0593]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0595】
エピトープが、G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸およびG12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASペプチド配列を含む、段落[0594]のポリペプチド。
【0596】
G12、G13、またはQ61における突然変異を含む突然変異型RASタンパク質の少なくとも8個の連続したアミノ酸が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む、段落[0595]のポリペプチド。
【0597】
G12、G13、またはQ61における突然変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V、Q61H、Q61L、Q61K、またはQ61R突然変異を含む、段落[0595]または[0596]のポリペプチド。
【0598】
Ynおよび/またはZpが、pp65、HIV、またはMART-1などのCMVのタンパク質のアミノ酸配列を含む、段落[0492]から[0597]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0599】
nおよび/またはpが、1、2、3、または3よりも大きい整数である、段落[0492]から[0598]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0600】
エピトープが、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に10μM未満、1μM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、または50nM未満の親和性で結合する、段落[0492]から[0599]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0601】
エピトープが、HLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質に24時間よりも長い、12時間よりも長い、9時間よりも長い、6時間よりも長い、5時間よりも長い、4時間よりも長い、3時間よりも長い、2時間よりも長い、1時間よりも長い、45分間よりも長い、30分間よりも長い、15分間よりも長い、または10分間よりも長い安定性で結合する、段落[0492]から[0600]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0602】
HLA対立遺伝子が、HLA-A02:01対立遺伝子、HLA-A03:01対立遺伝子、HLA-A11:01対立遺伝子、HLA-A03:02対立遺伝子、HLA-A30:01対立遺伝子、HLA-A31:01対立遺伝子、HLA-A33:01対立遺伝子、HLA-A33:03対立遺伝子、HLA-A68:01対立遺伝子、HLA-A74:01対立遺伝子、および/またはHLA-C08:02対立遺伝子およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、段落[0600]または段落[0601]のポリペプチド。
【0603】
エピトープが、GADGVGKSAL、GACGVGKSAL、GAVGVGKSAL、GADGVGKSA、GACGVGKSA、GAVGVGKSA、KLVVVGACGV、FLVVVGACGL、FMVVVGACGI、FLVVVGACGI、FMVVVGACGV、FLVVVGACGV、MLVVVGACGV、FMVVVGACGL、YLVVVGACGV、KMVVVGACGV、YMVVVGACGV、MMVVVGACGV、DTAGHEEY、TAGHEEYSAM、DILDTAGHE、DILDTAGH、ILDTAGHEE、ILDTAGHE、DILDTAGHEEY、DTAGHEEYS、LLDILDTAGH、DILDTAGRE、DILDTAGR、ILDTAGREE、ILDTAGRE、CLLDILDTAGR、TAGREEYSAM、REEYSAMRD、DTAGKEEYSAM、CLLDILDTAGK、DTAGKEEY、LLDILDTAGK、ILDTAGKE、ILDTAGKEE、DTAGLEEY、ILDTAGLE、DILDTAGL、ILDTAGLEE、GLEEYSAMRDQY、LLDILDTAGLE、LDILDTAGL、DILDTAGLE、DILDTAGLEEY、AGVGKSAL、GAAGVGKSAL、AAGVGKSAL、CGVGKSAL、ACGVGKSAL、DGVGKSAL、ADGVGKSAL、DGVGKSALTI、GARGVGKSA、KLVVVGARGV、VVVGARGV、SGVGKSAL、VVVGASGVGK、GASGVGKSAL、VGVGKSAL、VVVGAGCVGK、KLVVVGAGC、GDVGKSAL、DVGKSALTI、VVVGAGDVGK、TAGKEEYSAM、DTAGHEEYSAM、TAGHEEYSA、DTAGREEYSAM、TAGKEEYSA、AAGVGKSA、AGCVGKSAL、AGDVGKSAL、AGKEEYSAMR、AGVGKSALTI、ARGVGKSAL、ASGVGKSA、ASGVGKSAL、AVGVGKSA、CVGKSALTI、DILDTAGK、DILDTAGREEY、DTAGHEEYSAMR、DTAGKEEYS、DTAGKEEYSAMR、DTAGLEEYS、DTAGLEEYSA、DTAGLEEYSAMR、DTAGREEYS、DTAGREEYSAMR、GAAGVGKSA、GACGVGKSA、GACGVGKSAL、GADGVGKS、GAGDVGKSA、GAGDVGKSAL、GASGVGKSA、GCVGKSAL、GCVGKSALTI、GHEEYSAM、GKEEYSAM、GLEEYSAMR、GREEYSAM、GREEYSAMR、HEEYSAMRD、KEEYSAMRD、KLVVVGASG、LDILDTAGR、LEEYSAMRD、LVVVGARGV、LVVVGASGV、REEYSAMRDQY、RGVGKSAL、TAGLEEYSA、TEYKLVVVGAA、VGAAGVGKSA、VGADGVGK、VGASGVGKSA、VGVGKSALTI、VVVGAAGV、VVVGAVGV、YKLVVVGAC、YKLVVVGAD、YKLVVVGAR、またはDILDTAGKEのアミノ酸配列を含む、段落[0492]から[0602]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0604】
Ynが、IDIIMKIRNA、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFIIFFIFFWMC、FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFAAFWFW、IFFIFFIIFFFFFFFFFFFFIIIIIIIWEC、FIFFFIIFFFFFIFFFFFIFIIIIIIFWEC、TEY、TEYKLV、WQAGILAR、HSYTTAE、PLTEEKIK、GALHFKPGSR、RRANKDATAE、KAFISHEEKR、TDLSSRFSKS、FDLGGGTFDV、CLLLHYSVSK、KKKKIIMKIRNA、またはMTEYKLVVVのアミノ酸配列を含む、段落[0492]から[0603]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0605】
Zpが、KKNKKDDI、KKNKKDDIKD、AGNDDDDDDDDDDDDDDDDDKKDKDDDDDD、AGNKKKKKKKNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、AGRDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD、SALTI、SALTIQL、GKSALTIQL、GKSALTI、QGQNLKYQ、ILGVLLLI、EKEGKISK、AASDFIFLVT、KELKQVASPF、KKKLINEKKE、KKCDISLQFF、KSTAGDTHLG、ATFYVAVTVP、LTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDG、またはTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGEのアミノ酸配列を含む、段落[0492]から[0604]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0606】
エピトープが、RASエピトープではない、段落[0492]から[0593]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0607】
KKKKKPKRDGYMFLKAESKIMFAT、KKKKYMFLKAESKIMFATLQRSS、KKKKKAESKIMFATLQRSSLWCL、KKKKKIMFATLQRSSLWCLCSNH、またはKKKKMFATLQRSSLWCLCSNHではない、段落[0492]から[0606]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0608】
エピトープが、GATA3エピトープである、段落[0492]から[0593]までのいずれか1つのポリペプチド。
【0609】
GATA3エピトープが、MLTGPPARV、SMLTGPPARV、VLPEPHLAL、KPKRDGYMF、KPKRDGYMFL、ESKIMFATL、KRDGYMFL、PAVPFDLHF、AESKIMFATL、FATLQRSSL、ARVPAVPFD、IMKPKRDGY、DGYMFLKA、MFLKAESKIMF、LTGPPARV、ARVPAVPF、SMLTGPPAR、RVPAVPFDL、またはLTGPPARVPのアミノ酸配列を含む、段落[0608]のポリペプチド。
【0610】
段落[0492]から[0609]までのいずれか1つのポリペプチドを含む細胞。
【0611】
抗原提示細胞である、段落[0610]の細胞。
【0612】
樹状細胞である、段落[0611]の細胞。
【0613】
成熟抗原提示細胞である、段落[0610]の細胞。
【0614】
ポリペプチドを切断する方法であって、段落[0492]から[0609]までのいずれか1つのポリペプチドをAPCと接触させるステップを含む方法。
【0615】
in vivoで実施される、段落[0614]の方法。
【0616】
ex vivoで実施される、段落[0614]の方法。
【0617】
ポリペプチドを製造する方法であって、Yn-Arおよび/またはAs-Zpをエピトープ配列を含む配列と連結するステップを含み、エピトープ配列が、抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるものであり、かつ、
(i)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Ynが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされず、
nが0から1000までの整数である;
(ii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Zpが、エピトープをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされず、
pが、0から1000までの整数である;かつ
(iii)Arがリンカーであり、Asがリンカーであり、rおよびsの少なくとも一方が1である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Ynおよび/またはZpがエピトープから切断される、
方法。
【0618】
ポリペプチドを製造する方法であって、YnをBt-Xmと連結し、かつ/またはZpをXm-Cuと連結するステップを含み、Xmが、抗原提示細胞(APC)のクラスI MHCまたはクラスII MHCによって提示されるエピトープ配列であり;かつ、
(i)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流にある対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数である;
(ii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数である;
(iii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Ynが、Bt-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされず、
nが0から1000までの整数である;かつ
(iv)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、Zpが、Xm-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされず、
pが、0から1000までの整数である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Yn-Btおよび/またはCu-Zpがエピトープから切断される、
方法。
【0619】
nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、かつ、pが0である場合、nは1から1000までの整数である、段落[0617]または[0618]の方法。
【0620】
各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる任意の連続したアミノ酸配列を含むペプチド配列のアミノ酸を表し、(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数である、または、(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である、段落[0617]から[0619]までのいずれか1つの方法。
【0621】
段落[0492]から[0609]までのいずれか1つのポリペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0622】
免疫調節剤またはアジュバントをさらに含む、段落[0621]の医薬組成物。
【0623】
免疫調節剤またはアジュバントが、ポリ-ICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、ARNAX、STINGアゴニスト、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGA微小粒子、レシキモド、SRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、ベータ-グルカン、Pam2Cys、Pam3Cys、Pam3C-SK4、およびAquila’s QS21スチムロンからなる群から選択される、段落[0622]の医薬組成物。
【0624】
免疫調節剤またはアジュバントが、ポリ-ICLCを含む、段落[0622]または[0623]の医薬組成物。
【0625】
ワクチン組成物である、段落[0621]から[0624]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0626】
水性または液体である、段落[0621]から[0625]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0627】
エピトープが、医薬組成物中に1ngから10mgまで、または5μgから1.5mgまでの量で存在する、段落[0621]から[0626]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0628】
DMSOをさらに含む、段落[0621]から[0627]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0629】
薬学的に許容される賦形剤が、水を含む、段落[0621]から[0628]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0630】
1mMよりも低い濃度または1mMよりも高い濃度で存在するpH調節剤を含む、段落[0621]から[0629]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0631】
pH調節剤が、ジカルボン酸塩またはトリカルボン酸塩である、段落[0630]の医薬組成物。
【0632】
pH調節剤が、コハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩である、段落[0630]の医薬組成物。
【0633】
pH調節剤が、クエン酸のトリカルボン酸塩、またはトリクエン酸塩である、段落[0630]の医薬組成物。
【0634】
pH調節剤が、コハク酸二ナトリウムである、段落[0630]の医薬組成物。
【0635】
コハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩が、医薬組成物中に0.1mM~1mMの濃度で存在する、段落[0632]の医薬組成物。
【0636】
コハク酸のジカルボン酸塩、またはジコハク酸塩が、医薬組成物中に1mM~5mMの濃度で存在する、段落[0632]の医薬組成物。
【0637】
対象に投与されると、エピトープに対する免疫応答が増大する、段落[0621]から[0636]までのいずれか1つの医薬組成物。
【0638】
疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に段落[0621]から[0637]までのいずれか1つの医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法。
【0639】
疾患または状態が、がんである、段落[0638]の方法。
【0640】
がんが、肺がん、非小細胞肺がん、膵がん、結腸直腸がん、子宮がん、および肝がんからなる群から選択される、段落[0639]の方法。
【0641】
投与するステップが、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む、段落[0638]から[0640]までのいずれか1つの方法。
【0642】
対象の予防方法であって、対象の細胞を段落[0492]から[0613]までまたは[0621]から[0637]までのいずれか1つのポリペプチド、細胞、または医薬組成物と接触させるステップを含む方法。
【0643】
対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープを同定するステップと、エピトープを含むポリペプチドを作製するステップであって、ポリペプチドが、式(I):
Yn-Bt-Ar-Xm-As-Cu-Zp
式(I)、
または薬学的に許容されるその塩の構造を有し、
(i)Xmがエピトープであり、各Xが独立に、対象のゲノム内の核酸配列によってコードされる連続したアミノ酸配列のアミノ酸を表し、かつ、
(a)MHCがクラスI MHCであり、mが8から12までの整数であるか、または
(b)MHCがクラスII MHCであり、mが9から25までの整数である;
(ii)各Yが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のArの変数rが0である場合、Ynは、Bt-Ar-Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが0である場合、Ynは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のArの変数rが1であり、式(I)のBtの変数tが1またはそれよりも大きい場合、Ynは、Btをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流の核酸配列によってコードされない;
さらに、nが0から1000までの整数である;
(iii)各Zが独立に、アミノ酸、その類似体、または誘導体であり、かつ、
(A)式(I)のAsの変数sが0である場合、Zpは、Xm-As-Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、
(B)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが0である場合、Zpは、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない、または
(C)式(I)のAsの変数sが1であり、式(I)のCuの変数uが1またはそれよりも大きい場合、Zpは、Cuをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流の核酸配列によってコードされない;
さらに、pが、0から1000までの整数である;
さらに、
nが0である場合、pは1から1000までの整数であり、
pが0である場合、nは1から1000までの整数である;
(iv)Arがリンカーであり、rが0または1である;
(v)Asがリンカーであり、sが0または1である;
(vi)各Bが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ上流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
tが0から1000までの整数であり;かつ
(vii)各Cが独立に、Xmをコードする対象のゲノム内の核酸配列のすぐ下流である対象のゲノム内の核酸配列によってコードされるアミノ酸を表し、
uが0から1000までの整数である;
さらに、
(a)ポリペプチドが、クラスI MHCによって提示される4つの異なるエピトープからなるものではない;
(b)ポリペプチドが、少なくとも2つの異なるポリペプチド分子を含む;
(c)エピトープが、少なくとも1つの突然変異型アミノ酸を含む;かつ/または
(d)ポリペプチドがAPCによるプロセシングを受けると、Ynおよび/またはZpが、エピトープから切断される、
ステップとを含む方法。
【0644】
同定するステップが、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールから、対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールには存在しない、1つまたは複数の異なる突然変異を含む複数の候補ペプチド配列をコードする複数の核酸配列を選択することを含み、対象の腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールおよび対象の非腫瘍細胞由来の配列決定された核酸配列のプールが、全ゲノム配列決定または全エクソーム配列決定によって配列決定される、段落[0643]の方法。
【0645】
同定するステップが、複数の候補ペプチド配列のうちのいずれの候補ペプチド配列が同じ対象のHLA対立遺伝子によってコードされるタンパク質と複合体を形成するかを、HLAペプチド結合解析によって予測するまたは測定することをさらに含む、段落[0643]または[0644]の方法。
【0646】
同定するステップが、HLAペプチド結合解析に基づいて、候補ペプチド配列から、複数の選択された腫瘍特異的ペプチドまたは複数の選択された腫瘍特異的ペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを選択することをさらに含む、段落[0643]から[0645]までのいずれか1つの方法。
【0647】
ポリペプチドを対象に投与するステップをさらに含む、段落[0643]から[0646]までのいずれか1つの方法。
【0648】
投与するステップが、皮内注射、鼻腔内噴霧塗布、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射、経口投与、または皮下注射を含む、段落[0647]の方法。
【0649】
対象において免疫応答が引き出される、段落[0643]から[0648]までのいずれか1つの方法。
【0650】
対象の腫瘍細胞によって発現されるエピトープが、新抗原、腫瘍関連抗原、突然変異した腫瘍関連抗原であり、かつ/または、対象の腫瘍細胞におけるエピトープの発現が、対象の正常な細胞におけるエピトープの発現と比較して高い、段落[0643]から[0649]までのいずれか1つの方法。
【配列表】
【国際調査報告】