(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20220810BHJP
A24D 3/02 20060101ALI20220810BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/02
A24D3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573464
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 GB2020051412
(87)【国際公開番号】W WO2020249954
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】グリスチェンコ、アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB04
4B045AB05
4B045AB11
4B045AB16
4B045BA08
4B045BB03
4B045BB10
4B045BC03
4B045BC04
4B045BC07
4B045BC14
4B045BC24
4B045BC26
4B045BD54
(57)【要約】
非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品が開示されている。本明細書の物品は、エアロゾル発生材と、エアロゾル発生材に接続されているマウスピース とを含み、このマウスピースは、第1の材料体と、第1の材料体の下流にある第2の材料体とを含む。第2の材料体は、第1の材料体からオフセットして第1の材料体との間にキャビティを画定する。破壊可能なカプセルがキャビティ内に配置され、カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、キャビティの直径は、キャビティの長さより長い。物品の製造方法も説明されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生材と、
エアロゾル発生材に接続されているマウスピースとを含み、このマウスピースは、
第1の材料体と、
第1の材料体の下流にあり、第1の材料体からオフセットして第1の材料体との間にキャビティを画定する第2の材料体と、
キャビティ内に配置された破壊可能なカプセルとを含み、
カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、
キャビティの直径は、キャビティの長さより長い非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品。
【請求項2】
キャビティの直径は、3.5mm~8mmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の物品。
【請求項3】
キャビティの長さは、2mm~6mmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
第1の材料体および/または第2の材料体の長さは、4mm~8mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の物品。
【請求項5】
第1の材料体および/または第2の材料体の材料は、フィラメントトウを含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の物品。
【請求項6】
フィラメント状のトウは、8,000~30,000の範囲内の総繊度を含むことを特徴とする請求項5記載の物品。
【請求項7】
フィラメント状のトウは、5~12の範囲内の単糸デニールを含むことを特徴とする請求項5または6記載の物品。
【請求項8】
第1の材料体および/または第2の材料体の材料は、セルロース系材料を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の物品。
【請求項9】
第1の材料体および/または第2の材料体の材料は、紙を含むことを特徴とする請求項8記載の物品。
【請求項10】
セルロース系材料は、縮れさせたおよび/または折り曲げられたシートを含むことを特徴とする請求項8または9記載の物品。
【請求項11】
シートは20~50gsmの坪量および/または50mm~200mmの幅を有することを特徴とする請求項10記載の物品。
【請求項12】
カプセルは、シェルと、シェルに囲まれたエアロゾル変性剤とを含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の物品。
【請求項13】
エアロゾル変性剤は、風味料を含むことを特徴とする請求項12記載の物品。
【請求項14】
カプセルは実質的に球体形状であることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の物品。
【請求項15】
カプセルは、2mm~4mmの範囲内の直径を有することを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の物品。
【請求項16】
エアロゾル発生材は、タバコ材を含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の物品。
【請求項17】
実質的に円筒形状であることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の物品。
【請求項18】
15mm~23mmの範囲内の円周を有することを特徴とする請求項17記載の物品。
【請求項19】
エアロゾル冷却セクションをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の物品。
【請求項20】
第1の材料体および/または第2の材料体は、材料体の長さ1mm当たり0.5~2mmWGの圧力降下を有することを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項記載の物品。
【請求項21】
請求項1乃至20いずれか1項記載の物品と、この物品のエアロゾル発生材を加熱するための非燃焼系エアロゾル供給デバイスとを含むシステム。
【請求項22】
第1の材料体を第1の材料体が第2の材料体からオフセットするように配置して第1の材料体と第2の材料体の間にキャビティを画定し、破壊可能なカプセルをキャビティ内に配置することによってマウスピースを形成することと、
マウスピースをエアロゾル発生材に接続することとを含み、
カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、
キャビティの直径は、キャビティの長さより長い非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品、物品を含む非燃焼系エアロゾル供給システムおよび非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ産業製品は、使用時にユーザーによって吸入されるエアロゾルを発生させる。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。そのようなタバコ産業製品は、共通してエアロゾルがユーザーの口に到達するように通過するマウスピースを含む。
【発明の概要】
【0003】
本発明のいくつかの実施態様による第1の態様では非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品が提供され、この物品は、エアロゾル発生材と、このエアロゾル発生材に接続されたマウスピースとを含み、このマウスピースは、第1の材料体と、第1の材料体の下流にあり、第1の材料体との間にキャビティを画定するために第1の材料体からオフセットした第2の材料体と、キャビティ内に配置された破壊可能なカプセルとを含み、カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、キャビティの直径は、キャビティの長さより長い。
【0004】
本発明の一部の実施態様において第2の態様では第1の態様による物品と、物品のエアロゾル発生材を加熱するための非燃焼系エアロゾル供給デバイスとを含むシステムが提供される。
【0005】
本発明のいくつかの実施態様による第3の態様では非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造方法が提供され、この方法は、第1の材料体が第2の材料体からオフセットするようにして第1の材料体と第2の材料体の間にキャビティを画定するように第1の材料体を配置することによってマウスピースを形成することと、マウスピースをエアロゾル発生材に接続することとを含み、カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、キャビティの直径は、キャビティの長さより長い。
【0006】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の側部断面図であり、物品はカプセル含有マウスピースを含む。
【
図1B】
図1Aに示したマウスピースのカプセル含有部分の側部断面図である。
【
図2】
図1Aおよび1Bの物品のエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
【
図3】外カバーが外され、物品が無い状態の
図2のデバイスを示している。
【
図4】一部を断面にて示した
図2のデバイスの側面図である。
【
図5】外カバーが省略された
図2のデバイスの分解図である。
【
図7】非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中では「供給システム」なる用語はユーザーに物質を供給するシステムを包含することを意図し、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼性エアロゾル供給システム
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル化可能な材料を燃焼させずにエアロゾル化可能な材料から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を含み、これらの非燃焼性エアロゾル供給システムのうちの1つに使用するように構成された物品、および
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品などのエアロゾルを含まない供給システムおよびエアロゾルを形成せずにユーザーにニコチンを含むまたは含まない材料を供給するスヌースおよび嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品を含む。
【0009】
本開示では「燃焼性」エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給システム(またはその部材)の構成エアロゾル化可能な材料をユーザーへ供給しやすくするために燃焼させるまたは燃やすシステムである。
【0010】
本開示では「非燃焼」エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給システム(またはその部材)のエアロゾル化可能な成分材料をユーザーへ供給しやすくするために燃焼させないまたは燃やさないシステムである。
【0011】
本明細書で説明する実施態様において供給システムは、電動非燃焼系エアロゾル供給システムなどの非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0012】
本明細書で説明する非燃焼系エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイスまたは電子ニコチン供給システム(END)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル材にニコチンが含まれることは要件ではないことに留意されたい。
【0013】
本明細書で説明する非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱システムとしても知られているタバコ加熱システムであってもよい。
【0014】
本明細書で説明する非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用し、そのうちの1つまたは複数を加熱することでエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムであってもよい。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば固体、液体またはゲルの形体であってもよく、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。ハイブリッドシステムは、液状またはゲル状エアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含んでもよい。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0015】
通常は、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給システムに使用する物品とを含んでもよい。しかしながら、それ自体がエアロゾル発生部材に動力を供給する手段を含む物品は、それ自体非燃焼系エアロゾル供給システムを形成することも想定される。
【0016】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、動力源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は電力源または発熱動力源であってもよい。発熱動力源は、これに隣接するエアロゾル化可能な材料または伝熱材に熱の形体で動力を配分するようにエネルギーが加えられてもよいカーボン基材を含んでもよい。発熱動力源などの動力源は、非燃焼系エアロゾル供給を形成するために物品に供されてもよい。
【0017】
非燃焼系エアロゾル共有デバイスに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料と、エアロゾル発生部材と、エアロゾル発生領域と、マウスピースおよび/またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域とを含んでもよい。
【0018】
エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料と相互作用してエアロゾル化可能な材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成することができるヒーターであってもよい。エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料から加熱せずにエアロゾルを発生させることができる。例えば、エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料からそれに熱を加えずに例えば振動、機械、加圧または静電手段によってエアロゾルを発生させることができる。
【0019】
エアロゾル化可能な材料は、活性材、エアロゾル形成材および任意の1つ以上の機能材を含んでもよい。活性材は、ニコチン(任意にタバコまたはタバコ派生物に含まれる)と、1つ以上の他の無臭の生理的に活性な材料とを含んでもよい。無臭の生理的に活性な材料は、臭覚以外の生理的な反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0020】
エアロゾル形成材は、グリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸およびプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0021】
1つ以上の機能材は、風味料、キャリアー、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0022】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル発生領域から離れてもよい、あるいは組み合わされてもよい。
【0023】
本明細書ではエアロゾル発生材とも称するエアロゾル化可能な材料は、例えば加熱、照射または他の何らかの方法で活性化されると、エアロゾルを発生させることができる材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えばニコチンおよび/または風味剤を含むまたは含まない固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、例えば約50wt%、60wt%または70wt%の非晶質固体~約90wt%、95wt%または100wt%の非晶質固体を含んでもよい。
【0024】
エアロゾル化可能な材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材、セラミック材、複合材料、木またはタケなどの植物系材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。
【0025】
エアロゾル変性剤は、使用の際エアロゾルを変性することができる物質である。変性剤はそのようにエアロゾルを変性して人体に生理的または感覚的影響を与えてもよい。エアロゾル変性剤の例としては風味剤および感覚惹起剤などがある。感覚惹起剤は冷たいまたは酸っぱいなどの感覚を通して知覚される感覚刺激性感覚を生じさせる。
【0026】
サセプタは、交番磁界などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の誘導加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の磁気ヒステリシス加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性および磁力の両方によるものであってもよく、これにより加熱材は両方の加熱機構で加熱可能になる。
【0027】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0028】
サセプタは閉回路の形体であってもよい。サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0029】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場、例えば、電磁石によって生じたものなどの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0030】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0031】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0032】
例えばロッド状の物品などの物品は、しばしば、製品の長さに従って次のように命名される。「標準」(通常は68~75mm、例えば約68mm~約72mmの範囲)、「ショート」または「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常は75~91mm、例えば約79mm~約88mmの範囲)、「ロング」または「スーパーキング」(通常は91~105mm、例えば約94mm~約101mmの範囲)、および「超ロング」(通常、約110mm~約121mmの範囲)。
【0033】
それらはまた、タバコの円周に従って次のように命名される。「標準」(約23~25mm)、「ワイド」(25mmを超える)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、「マイクロスリム」(約16mm未満)。
【0034】
従って、キングサイズの超細型規格の紙巻きタバコは、例えば、長さが約83mm、円周が約17mmである。
【0035】
各フォーマットは異なる長さのマウスピースが設けられてもよい。マウスピースの長さは約10mm~50mmになる。チッピング紙はマウスピースをエアロゾル発生材に接続し、通常は例えば3~10mmの長さでマウスピースより長く、これによりチッピング紙がマウスピースを覆い、例えば基材からなるロッドの形体のエアロゾル発生材に重なり、マウスピースをロッドに接続する。
【0036】
本明細書で説明するチッピング紙または紙/ラッパーのいずれも知覚材料を含んでもよい。知覚材料は本明細書に記載する風味剤を含んでもよい。一部の実施態様では風味剤は、好適にはリコリス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント風味剤、好適にはメンソールおよび/またはペパーミント油および/またはスペアミント油などのハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、またはラベンダー、ウイキョウまたはアニスであってもよい。知覚材料は、糖類および/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトールまたはマンニトール)を含んでもよい。さらにまたはこれとは別に知覚材料は、物品の使用中に消費者に清涼、辛さまたは酸味感覚を送出する材料を含んでもよい。
【0037】
一部の実施態様では知覚材料は、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。これらの材料は、ラッパーおよびしたがって、物品の保存期間を長くすることに役立つ。
【0038】
知覚材料はカプセル化材料にカプセル化することができる。知覚材料は、チッピング紙または他のラッパーに塗布されるマイクロカプセルの形体で供することができる。知覚材料をカプセル化することで種々の利点が得られる。例えば、以下に説明するように, 知覚材料は、所望の味または香りを有する風味剤を含んでもよい、または風味剤からなってもよい。カプセル化は味および/または香りの寿命を高める。
【0039】
特に知覚材料のカプセル化によってユーザーによって検知される風味料を強化することによって知覚材料の香りの寿命を長くしてもよい。従って、香りは風味料が減少した後であっても(例えば、風味料がユーザーに検知されなくなったときまたは消費者に検知されにくくなったときに)ユーザーに検知され続け、ユーザーの経験を向上させる。
【0040】
またカプセルされた知覚材料は、使用前または使用時に非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の部材によって発せられる他の香りを覆うのを補助する。
【0041】
カプセルされた知覚材料は、知覚材料の風味を示す香りを発してもよい。例えば、香りは知覚材料の風味をユーザーに気づかせるものであってもよい。これによりユーザーは知覚材料の風味をすぐに認識しやすくなる。
【0042】
本明細書に記載の物品、エアロゾル発生材およびマウスピースは上記フォーマットのいずれかで作製できるがこれらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用する「上流」および「下流」なる用語は、使用の際物品またはデバイスを介して引き込まれる主流煙エアロゾル発生材の方向に対して定義される相対的な用語である。物品の部材または一部を本明細書では「マウスピース」と言うが、物品のこの部材または一部は、これとは別にユーザーの口に少なくとも部分的に入れられるように必ずしも構成されずにエアロゾル発生材の下流の部分または部材になり得る。
【0044】
本明細書で説明するフィラメント状のトウ材料はセルロースアセテート繊維トウを含んでもよい。フィラメント状のトウ材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4-ブタンジオールスクシナート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、スターチ系材料、綿、脂肪族ポリエステル材および多糖ポリマーまたはこれらを組み合わせたものなどの繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成してもよい。フィラメント状のトウ材料は、フィルター材がセルロースアセテートトウである場合、トリアセチンなどのフィルター材に適した可塑剤で可塑化してもよく、または可塑化されなくてもよい。トウは、「Y」字状または「X」字状などの他の断面、2.5~15の単糸デニール、例えば8.0~11.0の単糸デニールの繊維のデニール値および5,000~50,000、例えば10,000~40,000の総繊度値を有する繊維のようにあらゆる好適な仕様を有してもよい。
【0045】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物または代替品を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0046】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。1つ以上の風味料を本明細書で説明したエアロゾル変性剤として使用することができる。このような材料としては、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形体であってもよい。
【0047】
本明細書で図面において同等の特徴、物品または部材を示す場合には同じ参照番号が使用されている。
【0048】
図1Aは非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品1の側部断面図である。
図1Bは、
図1Aのマウスピースのカプセル含有部分の側部断面図である。
【0049】
物品1は、マウスピース2と、マウスピース2に接続される本例ではタバコ材のエアロゾル発生材からなる円筒状ロッド3とを含む。マウスピース2とエアロゾル発生材のロッド3は、物品1(図示せず)の共通の長手方向軸に沿って位置合わせされる。本明細書中で「長手方向」および「長手方向に」なる用語は、物品1の長手方向軸に沿った方向を指し、「横方向」および「横方向に」なる用語は、物品1の長手方向軸に実質的に直交する方向を指す。
【0050】
マウスピース2は、第1の材料体4aと、第2の材料体4bとを含む。第2の材料体4bは、第1の材料体4aから下流にあり、第1の材料体4aから物品1の長手方向軸に対してオフセットして第1の材料体4aと第2の材料体4bの間にキャビティを画定する。破壊可能なカプセル6がキャビティ5内に配置されている。使用時、ユーザーは、カプセル6を壊して風味剤などのカプセルの内容物を放出する。これは以下により詳しく説明する。
【0051】
図1Bに示すようにカプセル6の直径D2は、キャビティ5の長さLより短く、キャビティ5の直径D1は、キャビティ5の長さLより長い。この構成は、カプセル6の横方向の移動の範囲がその長手方向の移動の範囲より大きいという利点を供する。ユーザーが物品1を振ると、キャビティ内のカプセル8は主に横方向に動く。これによりユーザーは物品1内のカプセル6があることが触覚的かつ音的に知らされる。カプセル6の長手方向の移動範囲はその横方向の移動範囲に比べて制限されているので消費者は正確にカプセルの長手方向に位置決めしやすく、したがってカプセル6を破壊しやすくなる。消費者にカプセルの位置を示す可視的表示をマウスピースの外面に設けてもよい。
【0052】
本例ではキャビティ5は、直径D1が約5mmで長さLが4mmである。カプセル6は、実質的に楕円形であり、3mmの直径D2を有する。
【0053】
一部の例ではカプセルの直径は、2mm~6mmの範囲内であってもよい。特にカプセルの直径は、約2mm、約3mm、約4mm、約5mmまたは約6mmのいずれかであってもよい。
【0054】
一部の例ではキャビティの直径は、3.5mm~8mmの範囲内であってもよい。特にキャビティの直径は、約3.5mm、約4mm、約4.5mm、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mmまたは約8mmのいずれかであってもよい。
【0055】
一部の例ではキャビティの長さは、約2mm~約6mmの範囲内であってもよい。特にキャビティの長さは、約2mm、約3mm、約4mm、約5mmまたは約6mmのいずれかであってもよい。
【0056】
キャビティの直径は、例えば約3.5mm~6mmであってもよく、その場合カプセルの直径は、約3mm~4.5mm、キャビティの長さは約4mm~約6mmである。キャビティの直径は、例えば約4.5mm~7mmであってもよく、その場合カプセルの直径は、約3mm~4mm、キャビティの長さは、約4mm~約6mmである。キャビティの直径は、例えば約5mmでえあってもよく、その場合カプセルの直径は、約3mm、キャビティの長さは約4mmである。これとは別にキャビティの直径は、約7mmであってもよく、この場合カプセルの直径は、約3.5mm、キャビティの長さは、約5mmである。
【0057】
一部の例ではキャビティの容積は、約25mm3~約300mm3の範囲内であってもよい。特にキャビティの容積は、約25mm3、約50mm3、約75mm3、約100mm3、約150mm3、約200mm3、約250mm3または約300mm3のいずれかであってもよい。
【0058】
第1のプラグラッパー7aは、第1の材料体4aを囲み、第2のプラグラッパー7bは、第2の材料体4bを囲む。ペーパーラッパー8が第1および第2のプラグラッパー7a、7bの上に位置し、第1および第2の材料体4a、4bを接続する。ペーパーラッパー8はキャビティ5の壁を画定する。キャビティ5の直径D1は、ペーパーラッパー8の内面の2つの半径方向に対向するポイント間で測定される。
【0059】
好ましくは第1および第2のプラグラッパー7a、7bは、50g/m2未満、より好ましくは約20g/m2~40g/m2の坪量を有する。
【0060】
好ましくは第1および第2のプラグラッパー7a、7bは、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。
【0061】
好ましくは第1および第2のプラグラッパー7a、7bは、例えば100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気度を有する非孔性のプラグラッパーである。しかしながら、他の実施態様では第1および第2のプラグラッパー7a、7bは、例えば200コレスタ単位超の通気度を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0062】
本例ではペーパーラッパー8は、27g/m2の坪量を有する。ペーパーラッパー8は、50g/m2未満、より好ましくは約20g/m2~40g/m2の坪量を有してもよい。
【0063】
本例ではペーパーラッパー8は、45μmの厚さを有する。ペーパーラッパー8は、30μm~60μm、より好ましくは40μm~50μmの厚さを有する。
【0064】
好ましくはペーパーラッパー8は、例えば100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気度を有する非孔性紙である。しかしながら、他の例ではペーパーラッパーは、例えば200コレスタ単位超の通気度を有する多孔性紙であってもよい。
【0065】
材料体4a、4bは、円柱形状であり、物品1の長手方向軸に沿って位置合わせされている。本例では第1および第2の材料体4a、4bは、両方とも6mmの長さを有する。他の例では、第1および第2の材料体を異なる長さを有してもよい。好ましくは第1および第2の材料体4a、4bそれぞれの長さは約8mm未満である。より好ましくは第1および第2の材料体4a、4bそれぞれの長さは、約7mm未満である。さらにまたは別例として第1および第2の材料体4a、4bそれぞれの長さは、少なくとも約4mmである。好ましくは第1および第2の材料体4a、4bそれぞれの長さは、少なくとも約5mmである。一部の好ましい実施態様では第1および第2の材料体4a、4bそれぞれの長さは、約4mm~約8mm、より好ましくは約5mm~約7mmである。第2の材料体4bは、例えば約6mm~約8mmの長さを有してもよく、第1の材料体4aは、約5mm~約8mmの長さを有してもよい。
【0066】
本例では第1および第2の材料体4a、4bは、フィラメント状のトウから形成される。本例では材料体4に使用されるトウは、8.4の単糸デニール(d.p.f.)および21,000の総繊度を有する。これとは別にトウは、例えば9.5の単糸デニール(d.p.f.)と12,000の総繊度を有してもよい。本例ではトウは可塑化されたセルロースアセテートトウを含む。トウに使用される可塑剤は約8重量%のトウを含むが、これとは別に約5%~約12%の量を含む。本例では可塑剤はトリアセチンである。
【0067】
他の例では異なる材料を材料体4a、4bを形成するために使用してもよい。例えば、トウではなく、材料体4a、4bは、例えば紙巻きタバコに使用するための従来の紙フィルターと同じように紙から形成することも可能である。例えば、紙または他のセルロース系材料を材料体4a、4bのいずれかまたはそれぞれを形成するために折り曲げられるおよび/または縮れさせるシート材の1つ以上の部分として供してもよい。シート材は、15gsm~60gsm、例えば20~50gsmの坪量を有してもよい。シート材は、例えば15~25gsm、25~30gsm、30~40gsm、40~45gsmおよび45~50gsmの範囲のいずれかの坪量を有してもよい。さらにまたはこれとは別にシート材は、50mm~200mm、例えば60mm~150mmまたは80mm~150mmの幅を有してもよい。例えば、シート材は、20~50gsmの坪量および80mm~150mmの幅を有してもよい。これにより例えばセルロース系の材料体が本明細書で説明するような寸法を有する物品のための適した圧力降下にすることを可能にする。材料体4a、4bそれぞれの圧力降下は、例えば材料体4a、4bの長さ1mm当たり0.3~5mmWG、例えば材料体4a、4bの長さ1mm当たり0.5mmWG~2mmWGであってもよい。圧力降下は、例えば長さ1mm当たり0.5~1mmWG、長さ1mm当たり1~1.5mmWGまたは長さ1mm当たり1.5~2mmWGであってもよい。材料体4a、4bそれぞれの総圧力降下は、例えば3mmWG~8mmWGまたは4mmWG~7mmWGであってもよい。材料体4a、4bそれぞれの総圧力降下は、約5、6または7mmWGであってもよい。シート材のクリンプ係数も材料体4a、4bのいずれかまたは両方の圧力降下に影響を与えるように調節してもよい。
【0068】
これとは別に材料体4a、4bは、セルロースアセテート以外のトウ、例えばポリ乳酸(PLA)、フィラメント状のトウについて本明細書で説明した他の材料または類似の材料から形成することも可能である。セルロースアセテートまたは他の材料から形成されるに関係無くトウは、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6およびさらにより好ましくは少なくとも7のd.p.f.を有する。単糸デニールのこれらの値は、比較的粗く、厚く、これより小さいd.p.f.値を有するトウよりマウスピース2の圧力降下を小さくする狭い表面積の繊維を有するトウを供する。好ましくは充分に均一な材料体を得るためにトウは12d.p.f.以下、好ましくは11d.p.f.以下そしてさらに好ましくは10d.p.f.以下の単糸デニールを有する。
【0069】
材料体4a、4bを形成するトウの総繊度は、好ましくは最大で30,000、より好ましくは最大で28,000およびさらにより好ましくは最大で25,000である。総繊度のこれらの値によってマウスピース2の断面積の占める割合が少ないトウが供され、結果としてこれより高い総繊度値を有するトウよりマウスピース2の圧力降下が低くなる。材料体4a、4bの適した硬度のためにトウは、好ましくは少なくとも8,000、より好ましくは少なくとも10,000の総繊度を有する。好ましくは単糸デニールは、5~12であり、総繊度は、10,000~25,000である。より好ましくは単糸デニールは、6~10であり、総繊度は、11,000~22,000である。好ましくはトウのフィラメントの断面形状は、「Y」字形状であるが、他の実施態様では本明細書で供されるd.p.f.と総繊度値と同じ値の「X」字形状フィラメントなどの他の形状も使用可能である。
【0070】
材料体4a、4bを形成するために使用される材料に関係無く、材料体4a、4bそれぞれの圧力降下は、例えば材料体4a、4bの長さ1mm当たり0.3~5mmWG、例えば材料体4a、4bの長さ1mm当たり0.5mmWG~2mmWGであってもよい。圧力降下は、例えば長さ1mm当たり0.5~1mmWG、長さ1mm当たり1~1.5mmWGまたは長さ1mm当たり1.5~2mmWGであってもよい。材料体4a、4bそれぞれの総圧力降下は、例えば3mmWG~8mmWGまたは4mmWG~7mmWGであってもよい。材料体4a、4bそれぞれの総圧力降下は、約5、6または7mmWGであってもよい。
【0071】
カプセル6は、液体ペイロードを囲む固体の脆弱なシェルを有する。本例では1つのカプセル6が使用される。他の例では、複数の壊れやすいカプセル、例えば2、3またはそれ以上の壊れやすいカプセルをキャビティ5内に配置してもよい。キャビティ5の長さおよび/または直径は、必要とされる数のカプセルを収容するために増加させてもよく、キャビティ5の直径は、キャビティ5の長さより長い。複数のカプセルが使用される例では個々のカプセルは互いに同じであってもよく、あるいは大きさおよび/またはカプセルペイロードが異なってもよい。
【0072】
カプセル6は、コア-シェル構造を有する。言い換えれば、カプセル6は、例えば本明細書に記載した風味剤またはエアロゾル変性剤のうちの1つであってもよい風味剤または他の助剤などの液剤をカプセル化するシェルを含む。カプセルのシェルは風味剤または他の助剤を材料体4a、4b内に放出するためにユーザーが破裂させることができる。第1および第2のプラグラッパー7a、7bは、プラグラッパーの材料をカプセル6の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。これとは別にまたは加えてペーパーラッパー8は、ペーパーラッパー8の材料をカプセル6の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。
【0073】
カプセル6のシェルは、エアロゾル変性剤を含むコアの周囲にシェルを形成するカプセル化材またはバリアー材を含む。シェル構造は物品1の貯蔵時のエアロゾル変性剤の移動を妨げるが、使用時にはエアロゾル修飾剤とも言われるエアロゾル変性剤の放出の制御を可能にする。
【0074】
バリアー材(カプセル化剤とも言われる)は壊れやすい。カプセルはユーザーによって潰されるあるいはそうでなければ砕かれるまたは壊されてカプセル化されているエアロゾル修飾剤を放出する。典型的にはカプセルは加熱が開始される直前に壊されるが、ユーザーがエアロゾル修飾剤をいつ放出させるかを選択することができる。「壊れやすいカプセル」なる用語は、シェルがコアを放出するための圧力によって壊れるカプセルを意味し、例えばシェルは、ユーザーがカプセルのコアを放出させたいときにユーザーの指によって加えられる圧力によって破裂させることができる。
【0075】
場合によってはバリアー材は耐熱性である。即ち、場合によってはバリアーは、破裂せず、エアロゾル供給デバイスの作動中にカプセルが到達する温度で溶けるまたは機能しなくなる。具体的にはマウスピース内に位置するカプセルを例えば30℃~100℃の範囲内の温度に露して、バリアー材は少なくとも約50℃~120℃まで液体コアを保持し続けるようにしてもよい。
【0076】
他の場合にはカプセルは、加熱時に例えばバリアー材を溶かすまたはバリアー材を破裂させるカプセルの膨潤によってコア組成物を放出する。
【0077】
カプセルの総重量は、約1mg~約100mg、好適には約5mg~約60mg、約8mg~約50mg、約10mg~約20mgまたは約12mg~約18mgの範囲であってもよい。
【0078】
コア製剤の総重量は、約2mg~約90mg、好適には約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mgまたは約10mg~約15mgの範囲であってもよい。
【0079】
カプセルは、約4.5N~約40N、より好ましくは約5N~約30Nまたは約28N(例えば、約9.8N~約24.5N)の破砕強度を呈してもよい。カプセル破砕強度は、本明細書で以下に詳しく説明するようにカプセルが破裂した力を測定するゲージを使用して測定することができる。
【0080】
カプセルは実質的に球体であってもよく、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mmまたは3.0mmの直径を有してもよい。カプセルの直径は、約10.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mmまたは3.2mm未満であってもよい。具体的にはカプセルの直径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mmまたは約2.8mm~約3.2mmの範囲であってもよい。場合によってはカプセルは約3.0mmの直径を有してもよい。これらの大きさは、本明細書に記載の物品にカプセルを組み込むのに特に適している。
【0081】
好ましくは開放圧力降下(即ち、換気開口部が開いている)として測定される圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、カプセルが壊れたときに8mmH2O未満減少する。より好ましくは開放圧力降下は、6mmH2O未満、より好ましくは5mmH2O未満減少する。これらの値は同じ設計で作製された少なくとも80の物品によって得られる平均として測定される。そような小さい圧力降下の変化は、所与の製品圧力降下の正しい換気レベルの設定などの製品設計の他の態様を消費者がカプセルを壊すことを選択するかしないかに関係無く達成できることを意味する。
【0082】
バリアー材は、ゲル化剤、増量剤、バッファー、着色剤および可塑剤の1つ以上を含んでもよい。好適には、ゲル化剤は、例えば多糖またはセルロース系ゲル化剤、ゼラチン、ゴム、ゲル、ワックスまたはそれらの混合物であってもよい。好適な多糖類は、アルギン酸塩類、デキストラン類、マルトデキストリン類、シクロデキストリン類およびペクチン類を含む。好適なアルギン酸塩類は、例えばアルギン酸の塩、エステル化されたアルギン酸塩またはアルギン酸グリセリルを含む。アルギン酸の塩としてはアルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミンおよびアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸マグネシウムのようなIまたはII族金属イオンのアルギン酸塩などが挙げられる。エステル化アルギン酸塩としてはアルギン酸ポリプロピレングリコールおよびアルギン酸グリセリルが挙げられる。ある実施態様ではバリアー材はアルギン酸ナトリウムおよび/またはアルギン酸カルシウムである。好適なセルロース系材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートおよびセルロースエーテル類などである。ゲル化剤は1つ以上の加工でんぷんを含んでもよい。ゲル化剤はカラギーナンを含んでもよい。好適なゴムは、寒天、ジェランガム、アラビアゴム、プルランゴム、マンナンガム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメ、アカシアゴム、グァー、マルメロ種子ゴムおよびキサンタンガムなどである。好適なゲルは寒天、アガロース、カラギーナン、フロイダンおよびフルツセレランなどである。好適なワックスはカルナウバワックスなどである。場合によってはゲル化剤はカラギーナンおよび/またはジェランゴムを含んでもよく、これらのゲル化剤は、得られるカプセルを壊すのに必要とされる圧力が特に適している際のゲル化剤として含有させるのに特に好適である。
【0083】
バリアー材は、スターチ、加工スターチ(酸化スターチなどの)およびマルチトールなどの糖アルコールなどの増量剤を1つ以上含んでもよい。
【0084】
バリアー材は、エアロゾル発生デバイスの製造工程においてエアロゾル発生デバイス内にカプセルの配置を簡単にする着色剤を含んでもよい。着色剤は、好ましくは着色料および顔料の中から選択される。
【0085】
バリアー材は、クエン酸塩化合物またはリン酸化合物などの少なくとも1つのバッファーをさらに含んでもよい。
【0086】
バリアー材は少なくとも1つの可塑剤をさらに含んでもよく、これはグリセリン、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたは可塑性を有する別の多価アルコールそして特にクエン酸、フマル酸、リンゴ酸等の任意の一酸、二酸または三酸型の内の1つの酸などである。可塑剤の量は、シェルの合計乾式重量の1~30重量%、好ましくは2~15重量%、さらにより好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0087】
またバリアー材は1つ以上の充填材料を含む。好適な充填材料は、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータまたはガンマ)などのスターチ誘導体またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシ-メチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオールまたはこれらの混合物などである。デキストリンは好ましい充填材である。シェル中の充填材量は、シェルの総乾式重量で最大で98.5重量%、好ましくは25~95重量%、より好ましくは40~80重量%、さらにより好ましくは50~60重量%である。
【0088】
カプセルシェルは疎水性の外層を追加で含んでもよく、これはカプセルが水分によって崩壊しないようにするためのものである。疎水性の外層は、好適にはワックス、特にカルナウバワックス、カンデリラワックスまたは蜜ろう、カルボワックス、セラック(アルコール溶液または水性溶液に入った)エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、またはこれらを組み合わせたものを含む群から選択される。より好ましくはその少なくとも1つの水分バリアー剤は、エチルセルロースまたはエチルセルロースとセラックの混合物である。
【0089】
カプセルコアはエアロゾル変性剤を含む。このエアロゾル変性剤は、エアロゾルの少なくとも1つの特性を変えるあらゆる揮発性物質であってもよい。例えば、エアロゾル物質は、pH、知覚特性、水分量、供給特性または風味を変えるものであってもよい。場合によってはエアロゾル変性剤は酸、塩基、水または風味剤から選択してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性剤は1つ以上の風味剤を含む。
【0090】
風味剤は、好適にはリコリス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント風味剤、好適にはメンソールおよび/またはペパーミント油および/またはスペアミント油などのハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、またはラベンダー、ウイキョウまたはアニスであってもよい。場合によっては風味剤はメンソールを含む。
【0091】
場合によってはカプセルは、少なくとも約25%w/wの風味剤(カプセルの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。
【0092】
場合によってはコアは、少なくとも約25%w/wの風味剤(コアの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。場合によってはコアは、約75%w/w以下の風味剤(コアの総重量基準で)、好適には約65%w/w以下の風味剤、55%w/wの風味剤、または50%w/wの風味剤を含んでもよい。具体的には、カプセルは25~75%w/w(コアの総重量基準で)、約35~60%w/wまたは約40~55%w/wの範囲内の量で風味剤を含んでもよい。
【0093】
カプセルは、少なくとも約2mg、3mgまたは4mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約4.5mgのエアロゾル変性剤、5mgのエアロゾル変性剤、5.5mgのエアロゾル変性剤または6mgのエアロゾル変性剤を含んでもよい。
【0094】
場合によっては消耗品は、少なくとも約7mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約8mgのエアロゾル変性剤、10mgのエアロゾル変性剤、12mgのエアロゾル変性剤または15mgのエアロゾル変性剤を含む。あらゆる好適な溶媒を使用してもよい。
【0095】
エアロゾル変性剤が風味剤を含む場合、溶媒は好適には短鎖または中鎖油脂を含んでもよい。例えば、溶媒は、C2-C12トリグリセリドなどのグリセリンのトリエステル類、好適にはC6-C10トリグリセリドまたはCs-C12トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、中鎖トリグリセリド(MCT-C8-C12)を含んでもよく、これはパーム油および/またはココナッツ油由来のものであってもよい。
【0096】
エステル類はカプリル酸および/またはカプリン酸で形成してもよい。例えば、溶媒はカプリル酸トリグリセリドおよび/またはカプリン酸トリグリセリドである中鎖トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、Nos.73398-61-5、65381-09-1、85409-09-2によってCAS登録に特定されている化合物を含んでもよい。そのような中鎖トリグリセリドは、無味無臭である。
【0097】
溶媒の親水性親油性バランス(HLB)は、9~13、好適には1~12の範囲内であってもよい。カプセルの製造方法は、押し出しなどであり、選択的にその後遠心分離そして硬化および/または乾燥を行ってもよい。国際出願公開2007/010407A2の内容をその全体において参照することにより組み込まれる。
【0098】
エアロゾル発生材3は、例えばシステムを形成する本明細書で説明したような非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱された際にエアロゾルを供する。他の実施態様では物品1は、別個のエアロゾル供給デバイスを必要とせずにエアロゾル供給システムを形成し、該システムで使用される独自の熱源を含んでもよい。
【0099】
一部の実施態様ではエアロゾル形成材3が例えば本明細書に記載の非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱されてエアロゾルを供する際、カプセルが位置するマウスピース2の部分は、エアロゾルを発生させるためにシステムを使用する間58~70℃の温度に到達する。この温度の結果としてカプセルの内容物は、カプセルの内容物、例えばエアロゾル発生剤がシステムによって形成されたエアロゾル内にエアロゾルがマウスピース2を通過する際に揮発するのを促進するのに充分に温められる。カプセル6の内容物を温めることは、例えばカプセル6が壊れた際にその内容物がマウスピース2を通過するエアロゾル内により放出されやすくなるようにカプセル6が壊れる前に行われてもよい。これとは別にカプセル6の内容物は、カプセル6が壊された後にこの温度に温めて、ここでも結果として内容物をエアロゾル内に多く放出させてもよい。58~70℃の範囲のマウスピース温度がカプセル内容物がより放出されやすくするのに充分に高い温度であるが、カプセルが位置するマウスピース2の部分の外面がマウスピース2を押しつぶすことによってカプセル6を破裂させるために触れるのに消費者が不快に感じる温度に到達するには充分低い温度であり、有利であることが分かっている。
【0100】
ここではエアロゾル発生基材3とも言うエアロゾル発生材3は、少なくとも1つのエアロゾル形成材を含む。本例ではエアロゾル形成材はグリセリンである。これとは別の例ではエアロゾル形成材は本明細書に記載の別の材料またはそれらを組み合わせたものであってもよい。このエアロゾル形成材はエアロゾル発生材からの風味化合物などの化合物の消費者への移行を補助することによって物品の知覚性能を向上させることが分かっている。しかしながら、そのようなエアロゾル形成材を非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品内のエアロゾル発生材に添加することにはエアロゾル形成材が加熱時にエアロゾル化される際にそれが物品によって供給されるエアロゾルの質量を増加させ、この増加した質量がそれがマウスピースを通過する際に高い温度に維持されるという問題がある。エアロゾルがマウスピースを通過する際にエアロゾルが熱をマウスピース内に移送し、これが使用時に消費者の唇と接触する領域を含むマウスピースの外面を温める。マウスピースの温度は、消費者が例えば紙巻きタバコを喫煙する際に慣れている温度よりかなり高くなり、これはこのようなエアロゾル形成材に使用によって生じる望ましくない効果になり得る。
【0101】
本例では物品1は、約16.81mmの外周を有する(即ち、物品はスーパースリムフォーマットである)。他の例では、物品は、例えば15mm~25mmの外周を有する本明細書に記載のいずれのフォーマットで提供することができる。物品は加熱されてエアロゾルを放出するものであるので、加熱効率の改善は、この範囲内でより小さい外周、例えば23mm未満の円周を有する物品を使用することによって達成することができる。
【0102】
マウスピース2の外周は実質的にエアロゾル発生材のロッド3の外周と同じであり、これによりこれらの部材間が円滑になる。本例ではマウスピース2の外周は、約16.81mmである。チッピング紙11がマウスピース2の全長およびエアロゾル発生材のロッド3の一部に亘ってに巻かれ、その内面に接着剤を有し、マウスピース2とロッド3を接続する。本例ではチッピング紙11は、エアロゾル発生材ロッド3上を5mmに亘って延びるが、これとは別にロッド上を3mm~10mm、より好ましくは4mm~6mmに亘って延び、マウスピース2とロッド3を確実に取り付けられるようにしてもよい。チッピング紙11は、物品1に使用されるプラグラッパーの坪量より大きい坪量を有してもよく、例えば40gsm~80gsm、より好ましくは50gsm~70gsm、本例では58gsmの坪量を有してもよい。これらの範囲の坪量は、許容できる引張強度を有しつつ、物品1を包むのに充分に可撓性であり、紙の長手方向の抑え継ぎ目に沿ってそれ自体に接着するチッピング紙が結果として得られることが分かっている。チッピング紙11の外周は、マウスピース2に巻かれると約16.81mmになる。
【0103】
マウスピース、例えばエアロゾル発生材3の下流の物品1の部分の圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、好ましくは約40mmH2O未満である。このような圧力降下は、風味化合物などのを含む充分なエアロゾルがマウスピース2を介して消費者に移動できるようにすることが分かっている。より好ましくはマウスピース2の圧力降下は、約32mmH2O未満である。一部の実施態様では31mmH2O未満、例えば約29mmH2O、約28mmH2Oまたは約27.5mmH2Oの圧力降下を有するマウスピース2を使用することで特にエアロゾルが改善された。これとは別にまたはこれに加えてマウスピース圧力降下は、少なくとも10mmH2O、好ましくは少なくとも15mmH2Oそしてより好ましくは少なくとも20mmH2Oである。一部の実施態様ではマウスピース圧力降下は、約15mmH2O~40mmH2Oであってもよい。これらの値によりマウスピース2がエアロゾルがマウスピース2を通過する際にエアロゾルを減速させ、これによりエアロゾルの温度がマウスピース2の下流端部2bに到達する前に低下する時間がある。
【0104】
本例ではマウスピース2は、第1の材料体4aの上流に冷却部材とも言われる中空の管状部材10を含む。本例では中空の管状部材10は、第1の材料体4aの上流にあり、これに隣接し、当接している。第1の材料体4aおよび中空の管状部材10は、それぞれ実質的に全体的に円筒状の外形を画定し、共通の長手方向軸、例えば物品1の長手方向軸を共有する。
【0105】
中空の管状部材10は、平行に巻かれ、接合された継ぎ目を有する管状部材10を形成する複数の紙の層から形成される。本例では第1および第2の紙の層は二重の管に供されるが、他の例では3、4またはそれ以上の層を使用して3重、4重またはそれ以上重ねた管を形成してもよい。他の構造、例えば螺旋状に巻かれた紙の層、ボール紙管、混凝紙型工程を使用して形成された管、成型または押し出しされたプラスチック管または類似するものも使用できる。中空の管状部材10は、例えばセルロースアセテートトウなどの本明細書で説明したトウ材のうちの1つなどの本明細書で説明したような繊維材から形成することもできる。中空の管状部材10は、本明細書に記載のプラグラッパー7a、7bおよび/またはチッピング紙11として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成してもよく、これは別個の管状部材を必要としないことを意味する。この硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、製造中そして物品1が使用されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有するように製造される。例えば、硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、70g/m2~120g/m2、より好ましくは80g/m2~110g/m2の坪量を有してもよい。さらにまたはこれとは別に硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、80μm~200μm、より好ましくは100μm~160μmまたは120μm~150μmの厚さを有してもよい。プラグラッパー7a、7bおよびチッピング紙11は、中空の管状部材10のための許容できるレベルの堅さを得るためにこれらの範囲の値を有するのが望ましい。
【0106】
中空の管状部材10は、少なくとも約100μm、約1.5mm以下、好ましくは100μm~1mm、より好ましくは150μm~500μmまたは約300μmの壁厚を有する。本例では中空の管状部材10は、約290μmの壁厚を有する。
【0107】
好ましくは中空の管状部材10の長さは、約50mm未満である。より好ましくは中空の管状部材10の長さは、約40mm未満である。さらにより好ましくは中空の管状部材10の長さは、約30mm未満である。さらにまたは別例として中空の管状部材10の長さは、好ましくは少なくとも約10mmである。好ましくは中空の管状部材10の長さは、少なくとも約15mmである。一部の好ましい実施態様では中空の管状部材10の長さは、約20mm~約30mm、より好ましくは約22mm~約28mm、さらにより好ましくは約24~約26mm、最も好ましくは約25mmである。本例では中空の管状部材10の長さは、25mmである。
【0108】
中空の管状部材10は、マウスピース2の周囲に位置し、マウスピース内に空隙を画定し、これは冷却セグメントとして作用する。空隙は、エアロゾル発生材3によって発生させた加熱された揮発成分が流れるチェンバーを供する。中空の管状部材10は、エアロゾルの堆積のためのチェンバーを供するために中空であり、それでも製造中そして物品1が使用されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有する。中空の管状部材10は、エアロゾル発生材3と第1の材料体4aの間を物理的に移動する。中空の管状部材10による物理的移動は、中空の管状部材10の長さに亘って温度勾配を供する。
【0109】
中空の管状部材10は、中空の管状部材10の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と中空の管状部材10の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも40℃の温度差を設けるように構成することができる。中空の管状部材10は、好ましくは中空の管状部材10の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と中空の管状部材10の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃およびより好ましくは少なくとも100℃の温度差を供するように構成される。中空の管状部材10の長さに亘るこの温度差は、加熱された際のエアロゾル発生材3の高温から温度感受性の第1の材料体4aを保護する。
【0110】
別の物品では中空の管状部材10は、別の冷却部材、例えばエアロゾルを長手方向に通過させ、エアロゾルの冷却機能も行う材料体から形成された部材に置き換えることもできる。
【0111】
上述のものと同じまたは類似の中空の管状部材を例えばセルロースアセテートトウなどの繊維性フィルター材から形成されるマウスピース2の吸い口または下流端に設けることもできる。そのような中空の管状部材の長さは、5mm~20mm、例えば5mm~10mm、例えば約6mm、約7mmまたは約8mmであってもよい。
【0112】
一部の例では第1の材料体4a、第2の材料体4bおよび中空の管状部材10は、これら3つのセクション全てに巻かれるプラグラッパー(図示せず)を使用して組み合わされる。好ましくはプラグラッパーは、50g/m2未満、より好ましくは約20g/m2~45g/m2の坪量を有する。好ましくはプラグラッパーは、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。プラグラッパーは、好ましくは100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気性を有する非孔性プラグラッパーである。しかしながら、別の実施態様ではプラグラッパーは、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0113】
本例ではエアロゾル発生材3は、ラッパー13に包まれている。ラッパー13は、例えば紙または紙に支持された箔のラッパーであってもよい。本例ではラッパー13は、実質的に空気を通さない。別の実施態様ではラッパー13は、好ましくは100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性を有する。低通気性、例えば100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性のラッパーは、結果としてエアロゾル発生材3でのエアロゾルの形成を向上させることになることが分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはラッパー13を介したエアロゾル化合物の損失が少なくなることによると推定される。ラッパー13の通気性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラッパーおよびフィルター接合ペーパーとして使用される材料の空気透過度の測定に関するISO 2965:2009に従って測定することができる。
【0114】
本実施態様ではラッパー13はアルミニウム箔を含む。アルミニウム箔は、エアロゾル発生材3内でエアロゾルの形成を高める上で特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミニウム箔は厚さが約6μmの金属層を有する。本例ではアルミニウム箔は台紙を有する。しかしながら、別の構成ではアルミニウム箔は、他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。またアルミニウム箔は、台紙を必要としないが、例えば箔に適度な引っ張り強度を供するのに役立つ他の材料から形成された裏当て材を有することも可能であり、あるいは裏当て材を持たなくてもよい。アルミニウム以外の金属層または箔も使用可能である。ラッパーの厚さの合計は、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~50μmで、適した構造的完全性および伝熱特性を有するラッパーを供することができる厚さである。ラッパーが破れるまでのラッパーに加えることができる張力は、3,000グラム重量超、例えば3,000~10,000グラム重量または3,000~4,500グラム重量である。
【0115】
物品は物品を介して引き込まれるエアロゾルの約75%の換気レベルを有する。別の実施態様では物品は物品を介して引き込まれるエアロゾルの50%~80%、例えば65%~75%の換気レベルを有してもよい。これらのレベルの換気は、マウスピース2を介して引き込まれるエアロゾルの流れの減速を補助し、これによりエアロゾルをそれがマウスピース2の下流端部に到達する前に冷ますことができる。換気は物品1のマウスピース2内に直接設けられる。本例では換気は、中空の管状部材10内に設けられ、これはエアロゾル発生プロセスを補助する上で特に有益であることが分かっている。換気は、マウスピース2の下流吸い口端部からそれぞれ17.925mmおよび18.625mmの位置で、この場合レーザーによる穿孔として形成された第1および第2の平行な列のミシン目12を介して設けられる。これらのミシン目は、チッピング紙11および中空の管状部材10を通る。別の実施態様では換気は、マウスピース内の他の場所、例えば第1の材料体4aまたは第2の材料体4b内に設けることも可能である。
【0116】
本例ではエアロゾル発生基材3に加えられるエアロゾル形成材は、重量で14%のエアロゾル発生基材3を含む。好ましくはエアロゾル形成材は、重量で少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%のエアロゾル発生基材を含む。好ましくはエアロゾル形成材は、重量で25%未満、より好ましくは20%未満、例えば10%~20%、12%~18%または13%~16%のエアロゾル発生基材を含む。
【0117】
好ましくはエアロゾル発生材3はエアロゾル発生材からなる円筒状ロッドとして提供される。エアロゾル発生材の形に関係無く、エアロゾル発生材は約10mm~100mmの長さを有する。一部の実施態様ではエアロゾル発生材の長さは、好ましくは約25mm~50mmの範囲内、より好ましくは約30mm~45mmの範囲内およびさらにより好ましくは約30mmから40mmである。
【0118】
設けられるエアロゾル発生材3の容積は、約200mm3~約4300mm3、好ましくは約500mm3~1500mm3、より好ましくは約1000mm3~約1300mm3で異なってもよい。例えば約1000mm3~約1300mm3といったエアロゾル発生材のこれらの容積を設けることは、その範囲の下方端部から選択された容積で達成される視認性および知覚性能より良好な視認性および知覚性能を有する優れたエアロゾルを達成することが有利に示されている。
【0119】
設けられるエアロゾル発生材3の質量は、200mg超、例えば約200mg~400mg、好ましくは約230mg~360mg、より好ましくは約250mg~360mgであってもよい。より質量の大きいエアロゾル発生材を供することは、結果として質量の小さいタバコ材から発生するエアロゾルと比較して良好な知覚性能が得られるという有利なことが分かっている。
【0120】
好ましくはエアロゾル発生材または基材は、タバコ成分を含む本明細書に記載したタバコ材から形成される。
【0121】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ成分は紙再生タバコを含む。タバコ成分は、葉タバコ、押し出しされたタバコおよび/またはバンドキャストされたタバコを含む。
【0122】
エアロゾル発生材3は、1立方センチメートル当たり約700ミリグラム(mg/cc)未満の密度を有する再生タバコ材を含んでもよい。そのようなタバコ材は、高密な材料と比較してエアロゾルを放出するために速く加熱することができるエアロゾル発生材を供するという点で特に有効であることが分かっている。例えば、本発明者は、バンドキャストされた再生タバコ材および紙再生タバコ材などの種々のエアロゾル発生材の加熱した際の特性を試験した。各所与のエアロゾル発生材の場合、熱を材料に加えている間、特定のゼロ熱流温度が存在し、それ以下では正味熱流が吸熱性になり、言い換えれば材料を出るより、より多くの熱が材料に入り、それ以上では正味熱量が発熱性になり、言い換えれば材料に入るより材料を出る熱が多くなる。700mg/cc未満の密度の材料は低いゼロ熱流温度であった。材料を出る熱流のかなりの部分がエアロゾルの形成を介しているので、低いゼロ熱流温度を有することはエアロゾル発生材から最初にエアロゾルを放出するためにかかる時間に亘って有益な効果を有する。例えば、700mg/cc未満の密度を有するエアロゾル発生材は、700mg/ccを超える密度を有し、ゼロ熱流温度が164℃超だった材料と比較して、ゼロ熱流温度が164℃未満であることを発見した。
【0123】
エアロゾル発生材の密度は、材料を伝わる熱の速度にも影響を与え、低い密度、例えば700mg/cc未満の密度では材料を伝わる熱の速度が遅くなり、従ってより持続性のあるエアロゾルの放出を可能にする。
【0124】
好ましくはエアロゾル発生材3は約700mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材、例えば紙再生タバコ材を含む。より好ましくはエアロゾル発生材3は、約600mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材を含む。これとは別にまたは加えてエアロゾル発生材3は、好ましくは材料を介した充分な量の熱伝導を可能にすると考えられている少なくとも350mg/ccの密度を有する再生タバコ材料を含む。
【0125】
タバコ材は刻みくずタバコの形体で供されてもよい。刻みくずタバコは1インチ当たり少なくとも15切断片の切断幅(1センチ当たり5.9切断部、約1.7mmの切断幅に等しい)に有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも18切断片の切断幅(1センチ当たり約7.1切断片、約1.4mmの切断幅に等しい)、より好ましくは1インチ当たり少なくとも20切断片(1センチ当たり7.9切断片、約1.27mmの切断幅に等しい)の切断幅を有する。1つの例では刻みくずタバコは、1インチ当たり22切断片の切断幅(1センチ当たり8.7切断片、約1.15mmの切断幅に等しい)を有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも40切断片以下の切断幅(1センチ当たり約15.7切断片、約0.64mmの切断幅に等しい)を有する。0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~1.5mmまたは0.6mm~1.7mmの切断幅は、特に加熱された際の表面積対体積比および基材3の総合密度および圧力降下の点で好ましいタバコ材が結果として得られることが判明している。刻みくずタバコはタバコ材の形の混合物、例えば紙再生タバコ、葉タバコ、押し出しタバコおよびバンドキャストされたタバコのうちの1つ以上との混合物から形成することができる。好ましくはタバコ材は、紙再生タバコまたは紙再生タバコと葉タバコの混合物を含む。
【0126】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材は充填材成分を含んでもよい。充填材成分は、一般に非タバコ成分、即ちタバコ由来の成分を含まない成分である。充填材成分は、木繊維またはパルプまたは小麦繊維などの非タバコ繊維であってもよい。充填材成分は、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機材料であってもよい。充填材成分は、非タバコキャスト材または非タバコ押し出し材であってもよい。充填材成分は、タバコ材の重量で0~20%または組成物の重量で1~10%の量で存在してもよい。一部の実施態様では充填材成分は含まれない。
【0127】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材はエアロゾル形成材を含む。本文脈において「エアロゾル形成材」は、エアロゾルの発生を促進させる化学物質である。エアロゾル形成材は、気体の初期の気化および/または吸入可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、エアロゾル発生材からの風味の供給を向上させてもよい。一般にあらゆる好適なエアロゾル形成材または形成剤を本願明細書で説明したものを含む本発明のエアロゾル発生材に含有させてもよい。他の好適なエアロゾル形成材としては、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセリン、プロピレングリコールまたはグリセリンとプロピレングリコールの混合物であってもよい。グリセリンは、タバコ材の重量で10~20%、例えば組成物の重量で13~16%、または組成物の重量で約14%または15%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、もし含まれるのであれば、組成物の重量で0.1~0.3%の量で存在してもよい。
【0128】
エアロゾル形成材は、あらゆる部材、例えばタバコ材からなるあらゆる部材および/またはもしあれば充填材成分に含有されてもよい。これとは別にまたは加えてエアロゾル形成材はタバコ材に別個に加えられてもよい。いずれの場合においてタバコ材中のエアロゾル形成材の総量は本明細書に記載のものであってもよい。
【0129】
タバコ材は、10~90重量%のタバコ葉を含んでもよく、エアロゾル形成材は葉タバコの約10重量%の量で供される。タバコ材の重量で10%~20%のエアロゾル形成材の総量を達成するためにこれを再生タバコ材などのタバコ材の別の成分に高い重量パーセンテージに加えると有利であることが分かっている。
【0130】
本明細書に記載のタバコ材はニコチンを含む。ニコチン含有量は、タバコ材の重量で0.5~1.75%であり、例えば、タバコ材の重量で0.8~1.5%であってもよい。さらにまたはこれとは別にタバコ材は、タバコ葉の重量の1.5%超のニコチン含有量を有するタバコ葉を10~90重量%含む。ニコチン含有量が1.5%超のタバコ葉を紙再生タバコなどの低ニコチンベース材料と組み合わせて使用することで適当な量のニコチンを含むが、紙再生タバコ単独で使用するより良好な知覚性能を有するタバコ材を得られるという有利なことが分かっている。タバコ葉、例えば刻みくずタバコは、例えばタバコ葉の重量で1.5%~5%のニコチン含有量を有してもよい。
【0131】
本明細書に記載のタバコ材は本明細書に記載のような風味料のいずれかのようなエアロゾル変性剤を含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は、メンソール化された物品を形成するメンソールを含む。タバコ材は、3mg~20mgのメンソール、好ましくは5mg~18mg、そしてより好ましくは8mg~16mgのメンソールを含んでもよい。本例ではタバコ材は16mgのメンソールを含む。タバコ材は、2重量%~8重量%のメンソール、好ましくは3重量%~7重量%のメンソール、そしてより好ましくは4重量%~5.5重量%のメンソールを含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は4.7重量%のメンソールを含む。メンソールのこのような高い充填量は、例えば重量で50%超のタバコ材などの高いパーセンテージの再生タバコ材を使用することで達成される。これとは別にまたはこれに加えて高い容量のエアロゾル発生材、例えばタバコ材を使用することで例えば約500mm3超、または好適には1000mm3超のタバコ材などのエアロゾル発生材が使用される場合に達成されるメンソール充填量を増加させることができる。
【0132】
本明細書に記載の組成において、量を重量%で示した場合、誤解を避けるためにこれは、特段の記載がない限り乾燥重量基準を意味する。従って、タバコ材またはそのあらゆる成分中に存在するすべての水は、重量%の測定の目的のために完全に無視する。本明細書で説明するタバコ材の水分量は異なってもよく、例えば5~15重量%であってもよい。本明細書で説明するタバコ材の水分量は、例えばその組成物が維持される温度、圧力および湿度条件に応じて異なってもよい。水分量は、当業者に知られているようなKarl-Fisher分析によって測定してもよい。一方、誤解を避けるためにエアロゾル形成材がグリセリンまたはプロピレングルコールなどの液相にある成分の場合であっても水以外のあらゆる成分はタバコ材の重量に含まれる。しかしながら、エアロゾル形成材がタバコ材に別個に加えられる代わりにまたは加えることに加えてタバコ材のタバコ成分またはタバコ材の充填部材(ある場合)に供される場合、エアロゾル形成材はタバコ組成物または充填部材の重量で含まれず、本明細書で規定する重量%で「エアロゾル形成材」の重量で含まれる。タバコ組成物に存在する全ての他の成分は、非タバコ由来であっても(例えば紙再生タバコの場合の非タバコ繊維)タバコ成分の重量で含まれる。
【0133】
ある実施態様ではタバコ材は、本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とを含む。ある実施態様ではタバコ材は、実質的に本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とからなる。ある実施態様ではタバコ材は本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とからなる。
【0134】
紙再生タバコは、タバコ成分の重量で10%~100%の量で本明細書に記載したタバコ材のタバコ成分中に存在する。いくつかの実施態様では紙再生タバコはタバコ成分の重量で10%~80%または20%~70%の量で存在する。別の実施態様ではタバコ成分は紙再生タバコから実質的になるまたは紙再生タバコからなる。好ましい実施態様では葉タバコは、タバコ成分の重量で少なくとも約10%の量でタバコ材のタバコ成分中に存在する。例えば、葉タバコはタバコ成分の重量で少なくとも10%の量で存在してもよく、タバコ成分の残りは、紙再生タバコ、バンドキャストされたタバコまたはバンドキャストされた再生タバコおよびタバコ粒などの別の形体のタバコの組み合わせを含む。
【0135】
紙再生タバコとは、タバコ原料が可溶分の抽出物と繊維材を含む残渣となるように溶媒で抽出され、次に抽出物(通常濃縮した後、そして任意にさらなる処理をした後)を残渣からの繊維材(通常、繊維材から不純物の除いた後、そして任意に非タバコ繊維を僅かに加えて)と抽出物を繊維材に堆積させることによって再結合する工程によって形成されるタバコ材を意味する。再結合工程は製紙工程に似ている。
【0136】
紙再生タバコは、当業界で知られているあらゆる種類の紙再生タバコであってもよい。特定の実施態様では紙再生タバコは、タバコ条片、タバコ葉柄、および全葉タバコのうちの1つ以上を含む原料から製造される。別の実施態様では紙再生タバコはタバコ条片および/または全葉タバコおよびタバコ葉柄からなる原料から製造される。しかしながら、他の実施態様ではくず、微粉およびもみ殻をこれとは別にまたは加えて原料に採用してもよい。
【0137】
本明細書に記載のタバコ材に使用するための紙再生タバコは、紙再生タバコの調製のための当業者に知られている方法で調製してもよい。
【0138】
一部の例ではエアロゾル発生材3の下流にあるマウスピース2は、ラッパー、例えば第1または第2のプラグラッパー7a、7b、またはチッピング紙11を含んでもよく、これは本明細書中で説明するようにエアロゾル変性剤を含んでもよい。エアロゾル変性剤はマウスピースラッパーの内方または外方に向いた面に配置してもよい。例えば、エアロゾル変性剤は、使用中消費者の唇と接触するチッピング紙11の外方に向いた面などのラッパーの領域に設けてもよい。エアロゾル変性剤をマウスピースラッパーの外方に向いた面に配することによって、使用中にエアロゾル変性剤を消費者の唇に移行させるようにしてもよい。物品の使用中のエアロゾル変性剤の消費者の唇への移行は、エアロゾル発生基材3によって発生されるエアロゾルの感覚刺激特性(例えば味)を変えるまたはそうでなければ消費者に別の知覚経験を与える。例えば、エアロゾル変性剤は、エアロゾル発生基材3によって発せられたエアロゾルに風味を付与してもよい。エアロゾル変性剤は、少なくとも部分的に水に可溶であって、それが消費者の唾液を介してユーザーに移行するようにしてもよい。エアロゾル変性剤は、エアロゾル供給システムによって発せられた熱によって揮発するものであってもよい。これによりエアロゾル発生基材3によって発せられたエアロゾルにエアロゾル変性剤が移行しやすくなる。好適な知覚材料は、本明細書で説明した風味剤、スクラロースまたはメンソールまたはそれに類するものなどの冷却剤であってもよい。
【0139】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、本明細書に記載の物品1のエアロゾル発生材3を加熱するために使用される。非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、好ましくはコイルを含み、これは他の構成と比較して物品1への熱伝導を向上させることが分かっている。
【0140】
一部の例ではコイルは、使用時、少なくとも1つの導電性加熱素子を加熱するように構成され、これにより熱エネルギーがその少なくとも1つの導電性加熱素子からエアロゾル発生材へと伝導可能になり、これによりエアロゾル発生材の加熱を引き起こす。
【0141】
一部の例ではコイルは、使用時少なくとも1つの加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させるように構成されており、これにより少なくとも1つの加熱素子の誘導加熱および/または磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。このような構成では該または各加熱素子は、本明細書で定義されるように「サセプタ」と言ってもよい。使用時に1つの導電性加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させ、これにより少なくとも1つの導電性加熱素子の誘導加熱を引き起こすように構成されているコイルは、「誘導コイル」または「インダクタコイル」と言ってもよい。
【0142】
本デバイスは、例えば1つ以上の導電性加熱素子などの1つ以上の加熱素子を含み、これら1つ以上の加熱素子はこれら1つ以上の加熱素子の加熱ができるように好適にはコイルに対して配置するまたは配置可能であってもよい。1つ以上の加熱素子はコイルに対して固定されてもよい。これとは別に少なくとも1つの加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子は、デバイスの加熱領域への挿入のために物品1に含まれてもよく、物品1は、エアロゾル発生材3を含み、使用後加熱領域から取り除かれる。これとは別にデバイスとそのような物品1は、少なくとも1つのそれぞれ用の加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子を含んでもよく、コイルは、物品が加熱領域にあるとき、デバイスと物品それぞれの1つ以上の加熱素子の加熱を引き起こす。
【0143】
一部の例ではコイルは螺旋形である。一部の例ではコイルは、エアロゾル発生材を収容するように構成されたデバイスの加熱領域の少なくとも一部を囲む。一部の例ではコイルは加熱領域の少なくとも一部を囲む螺旋コイルである。
【0144】
一部の例ではデバイスは、加熱領域を少なくとも部分的に囲む導電性加熱素子を含み、コイルは、導電性加熱素子の少なくとも一部を囲む。一部の例では導電性加熱素子は管状である。一部の例ではコイルはインダクタコイルである。
【0145】
一部の例ではコイルを使用することによって非燃焼系エアロゾル供給デバイスを非コイルエアロゾル供給デバイス装置より速く作動温度に到達させることができる。例えば、上述のようにコイルを含む非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、最初にパフがデバイス加熱プログラムの起動から30秒未満、好ましくは25秒未満で提供できるように作動温度に到達することができる。一部の例ではデバイスは、デバイス加熱プログラムの起動から約20秒で作動温度に到達することができる。
【0146】
エアロゾル発生材の加熱を引き起こすためにデバイスに本明細書に記載したようなコイルを使用することは生成されるエアロゾルを向上させることが分かっている。例えば、消費者は本明細書に記載したもののようなコイルを含むデバイスによって発せられたエアロゾルは、他の非燃焼系エアロゾル供給システムによって製せられたエアロゾルより工場製紙巻きタバコ(factory made 紙巻きタバコ、FMC)に感覚的に近いと報告している。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはコイルを使用した際に必要とされる加熱温度に到達する時間の短縮、コイルを使用した際に達成される高い加熱温度および/またはコイルによってそのようなシステムが比較的多量のエアロゾル発生材を同時に加熱することを可能にし、結果としてFMCのエアロゾル温度に似た温度のエアロゾルが得られると推定される。FMC製品では、燃えている燃えさしがエアロゾルがロッドを通して引き込まれる際にその燃えさしの後のタバコロッドのタバコを加熱する熱いエアロゾルを発生させる。この熱いエアロゾルが燃えている燃えさしの後のロッドのタバコから風味化合物を放出させていると理解されている。本明細書に記載したようなコイルを含むデバイスは、本明細書に記載したようなタバコ材などのエアロゾル発生材を加熱して、風味化合物を放出させることもでき、結果としてFMCエアロゾルにより類似していると報告されたエアロゾルが得られると考えられている。
【0147】
本明細書に記載したようなコイル、例えばエアロゾル発生材の少なくとも一部を少なくとも200°C、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することでFMC製品のエアロゾルにより類似すると考えられている特定の特性を有するエアロゾルをエアロゾル発生材から発生させることができる。例えば、ニコチンを含むエアロゾル発生材を2秒間少なくとも250℃に誘導ヒーターを使用して加熱した場合、次の特徴のうちの1つ以上が観察された、
少なくとも10μgのニコチンがエアロゾル発生材からエアロゾル化される、
発生したエアロゾル中のニコチンに対するエアロゾル形成材の重量比は少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である、
少なくとも100μgのエアロゾル形成材がエアロゾル発生材からエアロゾル化される、
発生したエアロゾル中の平均粒径または滴径は約1000nm未満である、
エアロゾル密度は少なくとも0.1μg/ccである。
【0148】
場合によっては少なくとも10μgのニコチン、好適には少なくとも30μgまたは40μgのニコチンが、その2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。場合によっては約200μg未満、好適には約150μg未満または約125μg未満のニコチンがその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。
【0149】
場合によっては少なくとも100μgのエアロゾル形成材、好適には少なくとも200μg、500μgまたは1mgのエアロゾル形成材がその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。好適にはエアロゾル形成材はグリセリンを含んでもよいまたはグリセリンからなる。
【0150】
本明細書で定義される「平均粒径または滴径」なる用語は、エアロゾルの固体または液体成分(即ち、気体中に懸濁している成分)の大きさの平均を意味する。エアロゾルが懸濁した液滴および懸濁した固体粒子を含む場合、その用語はすべての成分を合わせた大きさの平均を意味する。
【0151】
場合によっては発生したエアロゾルの平均粒径または滴径は、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nmまたは400nm未満であってもよい。場合によっては平均粒径または滴径は約25nm、50nmまたは100nm超であってもよい。
【0152】
場合によっては上記期間の間に発生するエアロゾルの密度は、少なくとも0.1μg/ccであってもよい。場合によってはエアロゾル密度は少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/ccまたは0.4μg/ccである。場合によってはエアロゾル密度は約2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/ccまたは1.0μg/cc未満である。
【0153】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、物品1のエアロゾル発生材3を好ましくは少なくとも160℃の最大温度に加熱するように構成されている。好ましくは非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスによる加熱工程中に少なくとも一度、物品1のエアロゾル形成材3を少なくとも約200℃、または少なくとも約220℃または少なくとも約240℃,より好ましくは少なくとも約270℃の最大温度に加熱するように構成されている。
【0154】
本明細書中で説明したようなコイル、例えば少なくともエアロゾル発生材の一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することで、エアロゾルがマウスピース2の吸い口端部を出る際にFMC製品により近いと考えられているエアロゾルの発生に貢献する以前の装置より本明細書に記載した物品1のエアロゾル発生材からより高い温度のエアロゾルを発生させることができる。例えば、物品1の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃超、より好ましくは55℃超、さらにより好ましくは56℃または57℃超である。さらにまたはこれとは別に物品1の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、62℃未満、より好ましくは60℃未満、より好ましくは59℃未満である。一部の実施態様では物品1の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃~62℃、より好ましくは56℃~60℃である。
【0155】
図2は、本明細書に記載した物品1のエアロゾル発生材3などのエアロゾル発生媒体/材料からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイス100の一例を示している。大筋においてデバイス100は、デバイス100のユーザーによって吸入されるエアロゾルまたは他の吸入可能な媒体を発生させるためにエアロゾル発生媒体を含む交換可能な物品110、例えば本明細書に記載の物品1を加熱するために使用してもよい。デバイス100と交換可能な物品110は共にシステムを形成する。
【0156】
デバイス100は、デバイス100の種々の部品を囲み、収容するハウジング102(外方カバーの形体)を含む。デバイス100は、一端部に開口部104を有し、それを介して物品110が加熱集合体による加熱のために挿入される。使用時、物品110は、加熱集合体に完全にまたは部分的に挿入され、そこで加熱集合体の1つ以上の部品によって加熱される。
【0157】
この例のデバイス100は、第1端部部材106を含み、これは蓋108を含み、この蓋は、物品110が所定の位置に無いときに開口部104を閉じるために第1端部部材106に対して可動である。
図2では蓋108は開放構造に示されているが、蓋108は閉鎖構造に移動してもよい。例えば、ユーザーは矢印「B」の方向に蓋108をスライドさせる。
【0158】
デバイス100は、押されるとデバイス100を作動させるボタンまたはスイッチなどのユーザーが操作できる調整部材112を含んでもよい。例えば、ユーザーはスイッチ112を操作してデバイス100の電源を入れてもよい。
【0159】
またデバイス100は、ソケット/ポート114などの電機部品を含み、これらはデバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを収容してもよい。ソケット114はUSB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0160】
図3は、
図2のデバイス100を外方カバー102が外され、物品110が存在しない状態を示している。デバイス100は長手方向軸134を画定する。
【0161】
図3に示すように第1端部部材106は、デバイス100の一端に配され、第2端部部材116は、デバイス100の反対の端部に配置されている。第1および第2の端部部材106、116は、共にデバイス100の端部面を少なくとも部分的に画定している。例えば、第2端部部材116の底部面は、少なくとも部分的にデバイス100の底部面を画定している。外方カバー102の縁部も端部面の一部を画定している。この例では蓋108もデバイス100の上面の一部を画定している。
【0162】
開口部104に近い方のデバイスの端部は、使用時にユーザーの口に近くなるのでデバイス100の近位端(または吸い口端部)としても知られている。使用時、ユーザーは、開口部104に物品110を挿入し、ユーザー制御部を操作してエアロゾル発生材の加熱を開始し、デバイスに発生したエアロゾルを吸い込む。これによりデバイス100の近位端に向かう流路に沿ってデバイス100内にエアロゾルが流れるようにする。
【0163】
開口部104から離れている装置の他端部は、使用時にユーザーの口から離れる方の端部となるので、デバイス100の遠位端としても知られている。ユーザーがデバイスに発生したエアロゾルを吸い込むと、エアロゾルはデバイス100の遠位端から離れるように流れる。
【0164】
デバイス100は電源118をさらに含む。電源118は、例えば充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなどの)、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)およびアルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリーは加熱集合体に電気的に接続され、エアロゾル発生材を加熱するために必要に応じてそしてコントローラ(図示せず)の制御の下電力を供給する。この例ではバッテリーはバッテリー118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0165】
デバイスは少なくとも1つの電子モジュール122をさらに含む。電子モジュール122は、例えば印刷回路板(PCB)を含んでもよい。PCB122は、少なくとも1つのプロセッサーおよびメモリーなどのコントローラを支持してもよい。またPCB122は、デバイス100の種々の電子部品を共に電気的に接続する1つ以上の電気トラックを含んでもよい。例えば、バッテリー端子がPCB122に電気的に接続され、電力をデバイス100全体に配分することができるようになっている。またソケット114は電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0166】
デバイス100の例では加熱集合体は、誘導加熱集合体であり、誘導加熱工程を介して物品110のエアロゾル発生材を加熱するための種々の部材を含む。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性の物体(サセプタなどの)を加熱する工程である。誘導加熱集合体は、誘導部材、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流電流などの変動電流を誘導部材に通すためのデバイスとを含んでもよい。誘導部材内の変動電流は変動磁場を発生させる。変動磁場は、好適には誘導部材に対して位置決めされたサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を発生させる。サセプタは渦電流に対して電気抵抗を有し、従って、この抵抗に対する渦電流の流れによってサセプタがジュール加熱によって加熱されるようにする。サセプタが鉄、ニッケルまたはコバルトなどの強磁性材を含む場合、熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、即ち変動磁場と合致することの結果として磁性材の磁気双極子の向きの変化によって発せられてもい。誘導加熱では例えば伝導による加熱に較べて熱がサセプタの内側に発せられ、素早い加熱を可能にする。さらに誘電ヒーターとサセプタとの間になんら物理的な接触の必要が無く、構造および用途の自由度を高めることができる。
【0167】
デバイス100の例の誘導加熱集合体は、サセプタ構造体132(以下、「サセプタ」とする)、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを含む。第1および第2インダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、リッツ線/ケーブルから作製され、これは螺旋状に巻かれ、ヘリカルインダクタコイル124、126を供する。リッツ線は、複数の個別の線を含み、これらは個別に絶縁され、一緒にねじられて1本の線を形成する。リッツ線は、導体中の表皮効果損失を減らすように設計されている。デバイス100の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、矩形断面の銅リッツ線から作製される。他の例ではリッツ線は円形などの他の形状の断面を有してもよい。
【0168】
第1インダクタコイル124は、サセプタ132の第1セクションを加熱するための第1の変動磁場を発生させるように構成され、第2インダクタコイル126は、サセプタ132の第2セクションを加熱するための第2の変動磁場を発生させるように構成されている。この例では第1インダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向に第2インダクタコイル126と隣接する(即ち、第1および第2インダクタコイル124、126は、重ならない)。サセプタ構造体132は、単独のサセプタまたは2つ以上のサセプタを含んでもよい。第1および第2インダクタコイル124、126の端部130はPCB122に接続される。
【0169】
当然のことながら一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、少なくとも1つの互いに異なる特徴を有してもよい。例えば、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは少なくとも1つの異なる特徴を有してもよい。例えば1つの例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なるインダクタンスの値を有してもよい。
図3では第1および第2インダクタコイル124、126は、第1インダクタコイル124が第2インダクタコイル126よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれるように長さが異なる。従って、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは巻き数が異なってもよい(個々の巻き間の間隔は実質的に同じだと仮定して)。さらに別の例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なる材料から作製されてもよい。一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、実質的に同じであってもよい。
【0170】
この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、反対方向に巻かれて示されている。これはインダクタコイルが異なる時間にアクティブな時に役に立つ。例えば、最初に第1インダクタコイル124が物品110の第1セクション/部分を加熱するために作動させて、その後に第2インダクタコイル126は物品110の第2セクション/部分を加熱するために作動させてもよい。異なる方向にコイルを巻くことは、特定の種類の制御回路と使用する場合にインダクタコイルに誘導される電流の減少の補助をする。
図3では第1インダクタコイル124が右巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施態様ではインダクタコイル124、126は同じ方向に巻かれてもよく、あるいは第1インダクタコイル124は、左巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は、右巻き螺旋であってもよい。
【0171】
この例のサセプタ132は中空であり、従って中にエアロゾル発生材が収容される受け部を画定する。例えば、物品110はサセプタ132内に挿入される。この例ではサセプタ132は管状で円形の断面を有する。
【0172】
サセプタ132は1つ以上の材料から作製されてもよい。好ましくはサセプタ132はニッケルまたはコバルトのコーティングを有する炭素鋼を含む。
【0173】
一部の例ではサセプタ132は、少なくとも2つの材料を含んでもよく、これはその少なくとも2つの材料の選択的なエアロゾル化のための2つの異なる周波数で加熱することが可能である。例えば、サセプタ132の第1セクション(第1インダクタコイル124によって加熱される)は、第1の材料を含んでもよく、および第2インダクタコイル126によって加熱されるサセプタ132の第2セクションは、異なる第2の材料を含んでもよい。別の例では第1セクションは第1および第2の材料を含んでもよく、第1および第2の材料は第1インダクタコイル124の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第1および第2の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。同様に第2セクションは第3および第4の材料を含んでもよく、これら第3および第4の材料は第2インダクタコイル126の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第3および第4の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。例えば、第3の材料は第1の材料と同じでもよく、第4の材料は第2の材料と同じであってもよい。これとは別にこれら材料のそれぞれは異なってもよい。サセプタは、例えば炭素鋼またはアルミニウムを含んでもよい。
【0174】
図3のデバイス100は、一般に管状であり、少なくとも部分的にサセプタ132を囲む絶縁部材128をさらに含む。絶縁部材128は、例えばプラスチックなどの任意の絶縁材から構成されてもよい。この特定の例では絶縁部材はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。絶縁部材128は、デバイス100の種々の部品をサセプタ132内に発せられる熱から絶縁するのに役立つ。
【0175】
また絶縁部材128は、完全にまたは部分的に第1および第2インダクタコイル124、126を支持してもよい。例えば、
図3に示すように第1および第2インダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周囲で位置決めされ、絶縁部材128の半径方向外方の面と接触する。一部の例では絶縁部材128は第1および第2インダクタコイル124、126と当接しない。例えば、小さい隙間が絶縁部材128の外面と第1および第2インダクタコイル124、126の内面の間に存在してもよい。
【0176】
具体的な例ではサセプタ132、絶縁部材128および第1および第2インダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸を中心に同軸である。
【0177】
図4はデバイス100の側面を一部断面にて示している。外方カバー102がこの例では示されている。第1および第2インダクタコイル124、126の矩形の断面形状がより明らかに視認できる。
【0178】
デバイス100は、サセプタ132を所定の位置に保持するためにサセプタ132の一端と係合する支持体136をさらに含む。支持体136は第2端部部材116に接続されている。
【0179】
またデバイスは調整部材112に関連付けられた第2プリント基板138を含む。
【0180】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140およびバネ142をさらに含む。バネ142は第2の蓋140を開けて、サセプタ132に触れられるようにする。ユーザーは第2の蓋140を開けてサセプタ132および/または支持体136を掃除してもよい。
【0181】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口部104の方に延びた膨張チェンバー144をさらに含む。少なくとも部分的に膨張チェンバー144内に配置されているのは、デバイス100内に収容された際に物品110と当接し、保持する保持クリップ146である。膨張チェンバー144は端部部材106に接続されている。
【0182】
図5は外方カバー102が省略されている
図4のデバイス100の分解図である。
【0183】
図6Aは、
図4のデバイス100の一部の断面を示している。
図6Bは、
図6Aのある領域を拡大して示している。
図6Aおよび6Bは、サセプタ132内に収容された物品110を示し、物品110は、その外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法になっている。これにより加熱が最も効率的になる。この例の物品110はエアロゾル発生材110aを含む。エアロゾル発生材110aはサセプタ132内に位置決めされる。また物品110は、フィルター包装材および/または冷却構造体などの他の部材を含んでもよい。
【0184】
図6Bは、サセプタ132の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離150の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることを示している。1つの特定の例では距離150は約3mm~4mm、約3~3.5mmまたは約3.25mmである。
【0185】
図6Bは、絶縁部材128の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離152の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では距離152は約0.05mmである。別の例ではその距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128と当接し、触れるように実質的には0mmである。
【0186】
1つの例ではサセプタ132の壁厚154は約0.025mm~1mm、または約0.05mmである。
【0187】
1つの例ではサセプタ132の長さは、約40mm~60mm、約40mm~45mmまたは約44.5mmである。
【0188】
1つの例では絶縁部材128の壁厚156は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mmまたは約0.5mmである。
【0189】
使用時、本明細書に記載の物品1は、
図2~6を参照して説明したデバイス100などの非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入される。物品1のマウスピース2の少なくとも一部は、非燃焼系エアロゾル供給デバイス100から突出し、ユーザーの口の中に入れられる。エアロゾルがデバイス100を使用してエアロゾル発生材3を加熱することによって生成される。エアロゾル発生材3によって生成されたエアロゾルは、マウスピース2を通ってユーザーの口へと移動する。
【0190】
図7は、非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造方法を説明している。
【0191】
工程101で第1の材料体を第1の材料体が第2の材料体からオフセットするように配置して第1の材料体と第2の材料体の間にキャビティを画定し、破壊可能なカプセルをキャビティ内に配置することによってマウスピースが形成される。カプセルの直径は、キャビティの長さより短く、キャビティの直径は、キャビティの長さより長い。
【0192】
工程102でマウスピースは、エアロゾル発生材に接続される。
【0193】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【国際調査報告】