(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】アミノ酸輸送阻害剤としてのジベンジルアミン類
(51)【国際特許分類】
C07C 229/26 20060101AFI20220810BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220810BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220810BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220810BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
C07C229/26 CSP
A61P35/00
A61K45/00
A61P35/02
A61K31/198
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573593
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020037527
(87)【国際公開番号】W WO2020252336
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511183973
【氏名又は名称】ヴァンダービルト ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】VANDERBILT UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】305 Kirkland Hall,2201 West End Avenue,Nashville, Tennessee 37240, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】マニング,エイチ.チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC751
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206FA53
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB28
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BP30
4H006BP60
4H006BS10
(57)【要約】
これらの化合物はアミノ酸輸送阻害剤である。アミノ酸輸送阻害剤は、癌を含むさまざまな疾患、障害、又は状態を治療するのに有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
R
1は、水素及びC
1-C
6アルキルからなる群から選択され、
R
2a及びR
2bは、水素、C
1-C
6アルキル及び-C(=O)R
7からなる群から独立して選択され、かつR
2Cは水素であるか、又は
R
2aは、水素、C
1-C
6アルキル及び-C(=O)R
7からなる群から選択され、かつR
2b及びR
2Cは一緒になって、5員又は6員ヘテロシクロ基を形成し、
【化2】
は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
【化3】
は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
Ar
1は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
Ar
2は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
mは0、1、2、又は3であり、
nは1、2、又は3であり、
ただし、mはnに等しくなく、
R
7は、C
1-C
6アルキル及び-OR
8からなる群から選択され、
R
8は、C
1-C
6アルキル及びアラルキルからなる群から選択され、
【化4】
は単結合又は二重結合を表す)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項2】
式II-A:
【化5】
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項3】
式II-B:
【化6】
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項4】
式III-A:
【化7】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項5】
式III-B:
【化8】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項6】
式III-C:
【化9】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項7】
式III-D:
【化10】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項8】
oが1である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項9】
oが2である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項10】
式IV:
【化11】
(式中、
R
5a、R
5b、R
5C及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5a及びR
5bは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5C及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5b及びR
5Cは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5a及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5C及びR
5dは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5a及びR
5bは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択され、
R
6a、R
6b、R
6C及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6a及びR
6bは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6C及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6b及びR
6Cは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6a及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6C及びR
6dは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6a及びR
6bは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項11】
式V-A:
【化12】
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項12】
式V-B:
【化13】
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項13】
式VI-A
【化14】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項14】
式VI-B
【化15】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項15】
式VI-C
【化16】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項16】
式VI-D
【化17】
(式中、
oは1又は2である)
の請求項10に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項17】
oが1である、請求項13~16のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項18】
oが2である、請求項13~16のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項19】
R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C及びR
6dが水素である、請求項10~18のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項20】
Ar
1が置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項21】
Ar
1が置換又は非置換のフェニルである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項22】
Ar
1が、
【化18】
であり、かつR
3a、R
3b、R
3C及びR
3dが水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される、請求項21に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項23】
Ar
2が置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項24】
Ar
2が置換又は非置換のフェニルである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項25】
Ar
2が、
【化19】
であり、かつR
4a、R
4b、R
4C、R
4dが水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される、請求項24に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項26】
mが0である請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項27】
nが1である請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項28】
R
2bが水素である請求項1~3、10~12又は19~27のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項29】
R
2aが水素である請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項30】
R
1が水素である請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項31】
(S)-2-アミノ-4-((2-((2-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((2-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((2-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((2-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((2-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)(2-((3-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ) ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル) アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-((3-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル) アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(3-メトシキフェノキシ)ベンジル)(2-((3-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ) ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンジル) アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンジル) アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-メトシキフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、
(S)-2-アミノ-4-((2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸、及び
(S)-2-アミノ-4-((2-(3-フルオロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物、及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項33】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物の治療有効量を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象において癌を治療する方法。
【請求項34】
前記癌が固形腫瘍である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記癌が血液癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記癌が、表3のいずれか1以上の癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が、表4のいずれか1以上の癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量を対象に投与することをさらに含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
癌の治療に使用するための請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記癌が固形腫瘍である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記癌が血液癌である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記癌が、表3のいずれか1以上の癌である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記癌が、表4のいずれか1以上の癌である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項44】
癌の治療に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物。
【請求項45】
前記癌が固形腫瘍である、請求項44に記載の使用のための化合物。
【請求項46】
前記癌が血液癌である、請求項44に記載の使用のための化合物。
【請求項47】
前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、請求項44に記載の使用のための化合物。
【請求項48】
前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、請求項44に記載の使用のための化合物。
【請求項49】
癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量と組み合わせて対象に投与するための、請求項44~48のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項50】
癌の治療の薬剤製造のための、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物の使用。
【請求項51】
前記癌が固形腫瘍である、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記癌が血液癌である、請求項50に記載の使用。
【請求項53】
前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、請求項50に記載の使用。
【請求項54】
前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、請求項50に記載の使用。
【請求項55】
前記化合物が、癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量と組み合わせて投与するための、請求項50~54のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩を含む、癌の治療薬又は予防薬。
【請求項57】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物、及び癌を有する対象に前記化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物を投与するための説明書を含むキット。
【請求項58】
前記癌が固形腫瘍である、請求項57に記載のキット。
【請求項59】
前記癌が血液癌である、請求項57に記載のキット。
【請求項60】
前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、請求項57に記載のキット。
【請求項61】
前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、請求項57に記載のキット。
【請求項62】
癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬をさらに含む、請求項57~62のいずれか一項に記載のキット。
【請求項63】
癌を有する対象を治療する方法であって、BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせにおける変異が対象の生物学的サンプルに存在する場合、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項64】
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物を用いる治療の候補として、癌を有する対象を特定する方法であって、
(a)BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせにおける変異が対象の生物学的サンプルに存在する場合、対象を治療の候補と特定すること、又は
(b)BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせにおける変異が対象の生物学的サンプルに存在しない場合、対象が治療の候補ではないと特定すること
を含む方法。
【請求項65】
癌を有する対象の治療結果を予測する方法であって、
(a)BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせにおける変異が対象の生物学的サンプルに存在する場合、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩を対象に投与すると、好ましい治療反応を引き起こす可能性があると予測し、
(b)BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせにおける変異が生物学的サンプルに存在しない場合、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩を対象に投与すると、好ましくない治療反応を引き起こす可能性があると予測すること
を含む方法。
【請求項66】
(a)対象が癌を有し、
(b)前記癌が、BRAF、KRAS、p53又はPI3KCA、あるいはそれらの組み合わせに変異があることを特徴とする、
請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物の治療有効量を、必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項67】
前記変異がBRAFにおける変異である、請求項63~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記BRAFにおける変異がV600E変異である、請求項67に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アミノ酸輸送阻害剤、例えば、グルタミン輸送阻害剤、例えば、アラニン-セリン-システイントランスポーター2(ASCT2)阻害剤を提供する。アミノ酸輸送阻害剤は、癌を含むさまざまな疾患、障害、又は状態を治療するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
グルタミン及び他のアミノ酸は、癌代謝の複数の態様に関与している(Hensleyら、J. Clin. Invest. 123:3678-3684(2013))。例えば、グルタミンは血液や筋肉に最も豊富に含まれるアミノ酸であり、エネルギー生成に利用される。グルタミンは、癌細胞の急速な増殖に必要なバイオマスの前駆体でもある(WindmuellerとSpaeth、J. Biol. Chem. 249:5070-5079(1974))。グルタミン代謝は、炭素源を提供することに加えて、核酸や他のアミノ酸を合成するための窒素源としても機能する。グルタミンはまた、さまざまなメカニズムを通じて細胞の酸化還元恒常性の調節に関与している(Altmanら、Nat. Rev. Cancer 16:773(2016))。したがって、癌細胞はグルタミンに依存しており、外因性グルタミンがないと生き残ることができない。ChoiとPark、Biomol Ther 26(1):19-28(2018)。
【0003】
ヒトにおけるいくつかの膜輸送タンパク質は、グルタミンの吸収、再吸収、及び組織への送達を調整することによって、グルタミンの恒常性を確保する。アミノ酸トランスポーターには、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1及びLAT2が含まれる。例えば、Pochiniら、Frontiers in Chemistry 2(ArtiCle 61):1-22(2014);BhutiaとGanapathy、Biochimica et Biophysica Acta 1863:2531-2539(2016)を参照。
【0004】
ASCT2は、グルタミンを含む中性アミノ酸の取り込みを媒介する細胞表面溶質運搬トランスポーターである(KanaiとHediger、Pflugers Arch 447:469-479(2004);Kekudaら、J Biol Chem 271:18657-18661(1996))。グルタミンの取り込みを防ぐためにASCT2をブロックすると、黒色腫における(Wang Qら、Int J Cancer 135:1060-1071(2014))、非小細胞肺癌における(Hassaneinら、Clin Cancer Res 19:560-570(2013);Hassaneinら、Int J Cancer 137:1587-1597(2015))、前立腺癌における(Wangら、J Pathol 236:278-289(2015))、急性骨髄性白血病における(Willemsら、Blood 122:3521-3532(2013))、及びトリプルネガティブ乳癌における(van Geldermalsenら、Oncogene 35、3201-3208(2016))腫瘍細胞の増殖をうまく防ぐことが示されている。
【0005】
ASCT2阻害剤は、WO 2018/107173、Schulteら、Bioorg Med Chem Lett 25(1):113-116(2015)、Schulteら、Bioorg Med Chem Lett 26(3):1044-1047(2016)、及びSchulteら、Nat Med 24(2):194-202(2018)に開示されている。癌細胞生物学におけるグルタミンの重要性に照らして、新しいASCT2及び他のグルタミントランスポーター阻害剤の当技術分野における必要性が存在する。例えば、Scaliseら、Front Cell Dev Biol 6:96(2018)を参照。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、以下の式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-D、ならびに医薬的に許容されるそれらの塩及び溶媒和物を提供し、それらは本明細書において「開示の化合物」と総称される。
【0007】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」及び1以上の医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、対象に少なくとも1つの「開示の化合物」の有効量を投与することを含む、対象においてASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1及び/又はLAT2を含む1以上のアミノ酸(例えば、グルタミン)トランスポーターを阻害する方法を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む、対象の疾患、障害又は状態を治療するための方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を、1以上の任意に選択される治療薬と組み合わせて対象に投与することを含む、対象における疾患、障害、又は状態を治療するための方法を提供する。
【0011】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1及び/又はLAT2を含む1以上のアミノ酸(例えば、グルタミン)トランスポーターの阻害に反応する疾患、障害、又は状態を治療するための方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1及び/又はLAT2を含む1以上のアミノ酸(例えば、グルタミン)トランスポーターを阻害するための「開示の化合物」の使用を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、1以上の医薬的に許容される担体との混合物中に「開示の化合物」の治療有効量を含む、対象の疾患、障害、又は状態を治療するための医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、対象が必要とする癌の治療に使用するための「開示の化合物」を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は、哺乳動物の癌を治療するための薬剤の製造に使用するための「開示の化合物」を提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」を含む、癌の治療薬又は予防薬を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、「開示の化合物」を含むキットを提供する。
【0018】
別の態様では、本開示は、対象の生物学的サンプルにおいてBRAF、KRAS、p53及び/又はPI3KCAのいずれか1以上に変異が存在する場合、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む、癌を有する対象を治療する方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、対象の生物学的サンプルにMYCの過剰発現が存在する場合、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む、癌を有する対象を治療する方法を提供する。
【0020】
本開示の追加の実施形態及び利点は、部分的に、以下の記載で示され、その記載から得られるか、又は本開示の実施によって知ることができる。本開示の実施形態及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている要素及び組み合わせによって実現及び達成されるであろう。前述の要約及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0021】
本発明の詳細な説明
I.「開示の化合物」
一実施形態では、「開示の化合物」は、式I:
【化1】
(式中、
R
1は、水素及びC
1-C
6アルキルからなる群から選択され、
R
2a及びR
2bは、水素、C
1-C
6アルキル及び-C(=O)R
7からなる群から独立して選択され、かつR
2Cは水素であるか、又は
R
2aは、水素、C
1-C
6アルキル及び-C(=O)R
7からなる群から選択され、かつR
2b及びR
2Cは一緒になって、5員又は6員ヘテロシクロ基を形成し、
【化2】
は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
【化3】
は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
Ar
1は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
Ar
2は、置換又は非置換のC
6-C
10アリール及び置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
mは0、1、2、又は3であり、
nは1、2、又は3であり、
ただし、mはnに等しくなく、
R
7は、C
1-C
6アルキル及び-OR
8からなる群から選択され、
R
8は、C
1-C
6アルキル及びアラルキルからなる群から選択され、
【化4】
は単結合又は二重結合を表す)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0022】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式II-A:
【化5】
(式中、
R
1、R
2a、R
2b、Ar
1、Ar
2、
【化6】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0023】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式II-B:
【化7】
(式中、
R
1、R
2a、R
2b、Ar
1、Ar
2、
【化8】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0024】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式III-A:
【化9】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、Ar
1、Ar
2、
【化10】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0025】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式III-B:
【化11】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、Ar
1、Ar
2、
【化12】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0026】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式III-C:
【化13】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、Ar
1、Ar
2、
【化14】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0027】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式III-D:
【化15】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、Ar
1、Ar
2、
【化16】
m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0028】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、oが1である式III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0029】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、oが2である式III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0030】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化17】
は、
【化18】
からなる群から選択され、
"*"で示される結合は、-O(CH
2)
m-Ar
1に結合し、
R
5は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、
pは0、1、2、3又は4である
化合物である。
【0031】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化19】
は、
【化20】
からなる群から選択され、
"*"で示される結合は、-O(CH
2)
m-Ar
1に結合し、
R
5は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、
qは0、1、2又は3である
化合物である。
【0032】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化21】
は、
【化22】
からなる群から選択され、
"*"で示される結合は、-O(CH
2)
m-Ar
1に結合し、
Xは-C(H)=、-C(R
5)=及び -N= からなる群から選択され、
R
5は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択される
化合物である。
【0033】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化23】
は、
【化24】
からなる群から独立して選択され、
"*"で示される結合はそれぞれ、-O(CH
2)
n-Ar
2に結合し、
R
6は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、
rは0、1、2、3又は4である
化合物である。
【0034】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化25】
は、
【化26】
からなる群から選択され、
"*"で示される結合は、-O(CH
2)
n-Ar
2に結合し、
R
6は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、
sは0、1、2又は3である
化合物である。
【0035】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C又はIII-Dのいずれか一つの化合物であり、
【化27】
は、
【化28】
からなる群から選択され、
"*"で示される結合は、-O(CH
2)
m-Ar
1に結合し、
Xは-C(H)=、-C(R
6)=及び -N= からなる群から選択され、
R
6は、それぞれハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
4アルコキシ及びC
1-C
4ハロアルコキシからなる群から独立して選択される
化合物である。
【0036】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式IV:
【化29】
(式中、
R
1、R
2a、R
2b、R
2C、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式Iに関連して定義されるとおりであり、
R
5a、R
5b、R
5C及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5a及びR
5bは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5C及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5b及びR
5Cは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5a及びR
5dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
5C及びR
5dは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
5a及びR
5bは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択され、
R
6a、R
6b、R
6C及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6a及びR
6bは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6C及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6b及びR
6Cは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6a及びR
6dは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択されるか、又は
R
6C及びR
6dは一緒になって、縮合した置換又は非置換のフェニル又は縮合した置換又は非置換の5員又は6員へテロアリール基を形成し、かつR
6a及びR
6bは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0037】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式V-A:
【化30】
(式中、
R
1、R
2a、R
2b、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0038】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式V-B:
【化31】
(式中、
R
1、R
2a、R
2b、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0039】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式VI-A
【化32】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0040】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式VI-B
【化33】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0041】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式VI-C
【化34】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0042】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、式VI-D
【化35】
(式中、
oは1又は2であり、
R
1、R
2a、R
5a、R
5b、R
5C、R
5d、R
6a、R
6b、R
6C、R
6d、Ar
1、Ar
2、m及びnは、式IVに関連して定義されるとおりである)
の化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0043】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、oが1である式VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0044】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、oが2である式VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0045】
別の実施形態では、「開示の化合物」はR5a、R5b、R5C、R5d、R6a、R6b、R6C及びR6dが水素、ハロ、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル及びC1-C4アルコキシからなる群から独立して選択される、式IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0046】
別の実施形態では、「開示の化合物」はR5a、R5b、R5C、R5d、R6a、R6b、R6C及びR6dが水素である、式IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0047】
別の実施形態では、「開示の化合物」はAr1が置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0048】
別の実施形態では、「開示の化合物」はAr1が置換又は非置換のフェニルである、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0049】
別の実施形態では、Ar
1が、
【化36】
であり、かつR
3a、R
3b、R
3C及びR
3dが水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0050】
別の実施形態では、「開示の化合物」はAr2が置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0051】
別の実施形態では、「開示の化合物」はAr2が置換又は非置換のフェニルである、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0052】
別の実施形態では、Ar
2が、
【化37】
であり、かつR
4a、R
4b、R
4C、R
4dが水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロアルキル及びC
1-C
4アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0053】
別の実施形態では、「開示の化合物」はmが0でありnが1である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0054】
別の実施形態では、「開示の化合物」はmが0でありnが2である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0055】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、mが0でありnが3である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0056】
別の実施形態では、「開示の化合物」はmが1でありnが2である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0057】
別の実施形態では、「開示の化合物」はmが1でありnが3である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0058】
別の実施形態では、「開示の化合物」はmが2でありnが3である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0059】
別の実施形態では、「開示の化合物」はR2bが水素である、式I、II-A、II-B、III-A、IV、V-A又はV-Bのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0060】
別の実施形態では、「開示の化合物」はR2aが水素である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0061】
別の実施形態では、「開示の化合物」はR1が水素である、式I、II-A、II-B、III-A、III-B、III-C、III-D、IV、V-A、V-B、VI-A、VI-B、VI-C又はVI-Dのいずれか一つの化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【0062】
別の実施形態では、「開示の化合物」は表1のいずれか一以上選択される化合物又は医薬的に許容されるその塩もしくはその溶媒和物である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【0063】
「開示の化合物」の塩、水和物、及び溶媒和物もまた、本明細書に開示される方法で使用することができる。本開示はさらに、ラセミ化合物及び光学活性異性体の両方を含む「開示の化合物」のすべての可能な立体異性体及び幾何異性体を含む。「開示の化合物」が単一の鏡像異性体として所望される場合、最終生成物の分離によって、又は異性体的に純粋な出発物質からの立体特異的合成又は不斉補助試薬の使用のいずれかによって得られる。Z. Maら、Tetrahedron:Asymmetry, 8(6), ページ883-888 (1997) を参照。最終生成物、中間体、又は出発物質の分離は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって達成することができる。さらに、「開示の化合物」の互変異性体が可能である状況では、本開示は、化合物のすべての互変異性体形態を含むことを意図している。
【0064】
本開示は、医薬的に許容される塩を含む、「開示の化合物」の塩の調製及び使用を包含する。本明細書で使用される場合、医薬の「医薬的に許容される塩」は、「開示の化合物」の塩又は双性イオン形態を指す。「開示の化合物」の塩は、化合物の最終的な単離及び精製中に、又は化合物を適切なカチオンを有する酸と反応させることによって別々に調製することができる。「開示の化合物」の医薬的に許容される塩は、医薬的に許容される酸で形成された酸付加塩であり得る。医薬的に許容される塩を形成するために使用できる酸の例には、硝酸、ホウ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリンなどの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及びクエン酸などの有機酸が含まれる。本開示の化合物の塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、カンフォレート(camphorate)、カンファースルホン酸塩、二グルコン酸塩、グリセロールリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸塩、イセチオン酸塩、サリチル酸塩、メタンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸、プロピオン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及びp-トルエンスルホン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本開示の化合物に存在する利用可能なアミノ基は、塩化、臭化及びヨウ化のメチル、エチル、プロピル、及びブチルで;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、及び硫酸ジアミルで;塩化、臭化及びヨウ化のデシル、ラウリル、ミリスチル、及びステリルで;ならびに臭化ベンジル及び臭化フェネチルで、四級化され得る。前述に照らして、本明細書に見られる任意の参照するべき「開示の化合物」は、「開示の化合物」の化合物、ならびにそれらの医薬的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を含むことを意図している。
【0065】
本開示は、「開示の化合物」の溶媒和物の使用を包含する。溶媒和物は通常、化合物の生理学的活性又は毒性を有意に変化させないため、薬理学的同等物として機能し得る。本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、「開示の化合物」と溶媒分子、例えば、二溶媒和物、一溶媒和物又は半溶媒和物との組み合わせ、物理的結合(physical association)及び/又は溶媒和であり、ここで、溶媒分子と「開示の化合物」の比率は、それぞれ約2:1、約1:1又は約1:2である。この物理的結合には、水素結合を含むさまざまな程度のイオン結合と共有結合が含まれる。1以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合など、特定の例では、溶媒和物を単離することができる。したがって、「溶媒和物」は、液相及び分離可能な溶媒和物の両方を包含する。「開示の化合物」は、水、メタノール、エタノールなどの医薬的に許容される溶媒を有する溶媒和形態として存在することができ、本開示は、「開示の化合物」の溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を含むことが意図される。溶媒和物の1つのタイプは水和物である。「水和物」は、溶媒分子が水である溶媒和物の特定のサブグループに関する。溶媒和物は通常、薬理学的同等物として機能し得る。溶媒和物の調製は当技術分野で知られている。例えば、酢酸エチル及び水を用いるフルコナゾールの溶媒和物の調製を記載しているM. Cairaら、J. Pharmaceut. Sci., 93(3):601-611 (2004) を参照。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、E.C. van Tonderら、AAPS Pharm. Sci. Tech., 5(1): Article 12 (2004)、及びA.L. Binghamら、Chem. Commun. 603-604 (2001)に記載されている。溶媒和物を調製する通常の非限定的なプロセスは、「開示の化合物」を20℃以上から約25℃の温度で所望の溶媒(有機物、水、又はそれらの混合物)に溶解し、次に結晶を形成するのに十分な速度で溶液を冷却し、既知の方法、例えば濾過によって結晶を単離することを含む。赤外分光法などの分析技術を使用して、溶媒和物の結晶中の溶媒の存在を確認することができる。
【0066】
II.「開示の治療法」及び「キット」
「開示の化合物」は、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1、及び/又はLAT2媒介アミノ酸(例えばグルタミン)輸送を阻害し、したがってさまざまな疾患、障害、及び状態を治療するのに有用である。特に「開示の化合物」は、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1、及び/又はLAT2媒介のグルタミン輸送の阻害によって恩恵を得る疾患、障害、及び状態を治療する方法において有用である。本開示の方法によって治療可能な疾患、障害、及び状態には、癌及び他の増殖性障害が含まれるが、これらに限定されない。「開示の化合物」は、通常、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1、及び/又はLAT2と、500μM未満、例えば、300μM未満、200μM未満、100μM未満、50μM未満、25μM未満、5μM未満、又は約1μM未満の阻害定数(Ki)で結合する。
【0067】
一実施形態では、本開示は、癌の治療に関連する治療方法、使用、及び組成物を提供する。これらの方法、使用、及び組成物は、対象が必要とする「開示の化合物」の治療有効量を、対象に投与することを含む。
【0068】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、単一の化学療法剤として癌を有する対象に投与される。
【0069】
別の実施形態では、「開示の化合物」は、1以上の任意に選択される治療薬と組み合わせて、癌を有する対象に投与される。「開示の化合物」と任意に選択される治療薬は、異なる周期性、異なる持続時間、異なる濃度、異なる投与経路などの1以上の組み合わせの条件下で、投与することができる。いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、断続的な投薬スケジュールに従って患者に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、任意に選択される治療薬より先に投与される。例えば、免疫チェックポイント阻害剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、もしくは18時間前に、1、2、3、4,5,もしくは6日前に、又は1、2、3、もしくは4週間前に投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、任意に選択される治療薬より後に投与される。例えば、免疫チェックポイント阻害剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、もしくは18時間後に、1、2、3、4、5、もしくは6日後に、又は1、2、3、もしくは4週間後に投与される。
【0072】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬は同時に、しかし異なるスケジュールで投与される。例えば、「開示の化合物」は毎日投与され、一方、任意で選択される治療薬は週に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。他の実施形態では、開示の化合物は1日1回投与されるの対し、任意に選択される治療薬は週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。
【0073】
本明細書で提供される治療方法は、その意図された目的を達成するのに有効な量で、「開示の化合物」を癌患者に投与することを含む。個々のニーズは異なるが、各成分の有効量の最適範囲の決定は当業者の技術力の範囲内である。典型的には、「開示の化合物」は、約0.05mg/kg~約500mg/kg、約0.05mg/kg~約100mg/kg、約0.05mg/kg~約50mg/kg、又は約0.05mg/kg~約10mg/kgの量で投与される。組成物の投与量は、約0.05mg/週~約100mg/週を含むがこれらに限定されない任意の投与量であり得る。特定の用量には、1日1回又は1週間に1回の0.05、1、2、5、10、20、500、及び100 mg/kgが含まれる。一実施形態では、「開示の化合物」は、週に1、2、3、4、又は5回投与される、すなわち、「開示の化合物」は、断続的な投薬スケジュールに従って投与される。これらの投与量は例示的なものであるが、より高い又はより低い投与量がメリットとなる個々の例があり得、そのようなものは本開示の範囲内である。実際には、医師は、特定の患者の年齢、体重、及び反応によって異なり得る個々の患者に最も適した実際の投薬計画を決定する。
【0074】
「開示の化合物」の単位経口用量は、約0.01~約1000mg、例えば、約0.01~約100mgの「開示の化合物」を含み得る。一実施形態では、「開示の化合物」の単位経口用量は、0.05mg、1mg、3mg、5mg、7mg、9mg、10mg、12mg、14mg、15mg、17mg、20mg、22mg、25 mg、27mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、又は100mgである。単位用量は、例えば、1以上の錠剤又はカプセルとして、1日1回以上投与することができる。単位用量はまた、対象にIVによって又は皮下投与され得る。実際には、医師は、特定の患者の年齢、体重、及び反応によって異なり得る個々の患者に最も適した実際の投薬計画を決定する。
【0075】
「開示の化合物」を未処理の(raw)化学物質として投与することに加えて、医薬製剤又は組成物の一部として投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤又は組成物は、1以上の医薬的に許容される担体、賦形剤、及び/又は助剤を含み得る。いくつかの実施形態では、1以上の担体、賦形剤、及び助剤は、「開示の化合物」を、医薬的に使用することができる製剤又は組成物に加工することを容易にする。製剤は、特に経口、皮下、又は局所投与が可能であり、錠剤、糖衣錠、徐放性ロゼンジ及びカプセル、マウスリンス及びマウスウォッシュ、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアジェル、及びシャンプーなどの1つのタイプの投与に使用でき、坐剤など直腸投与が可能な製剤、ならびに静脈内注入、皮下注射、局所又は経口による投与に適した溶液は、1つ以上の担体、賦形剤、及び/又は助剤とともに、約0.01~99パーセントの活性化合物を、一実施形態では約0.25~75パーセントの活性化合物を含む。
【0076】
本明細書で提供される化合物及び医薬組成物は、「開示の化合物」の有益な効果を経験し得る任意の対象に投与することができる。本明細書で提供される方法及び組成物は、そのように限定されることを意図されていないが、そのような対象の中で最も重要なものは、哺乳動物、例えば、ヒトである。他の対象には、獣医動物(牛、羊、豚、馬、犬、猫など)が含まれる。一実施形態では、対象はヒト癌患者である。
【0077】
本明細書で提供される医薬製剤は、従来の混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、又は凍結乾燥プロセスによって製造される。したがって、経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を固体賦形剤と組み合わせて得ることができ、適切な助剤を添加した後、必要に応じて得られた混合物を粉砕し顆粒の混合物を処理して、望ましい又は必要な錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。
【0078】
適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えばラクトース又はスクロース、マンニトール又はソルビトールなどの糖類、セルロース製剤、及び/又はリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム、ならびに、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/又はポリビニルピロリドンを使用するデンプンペーストなどの結合剤である。必要に応じて、上記のデンプンなどの崩壊剤、ならびにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩を添加することもできる。助剤は、適切な流量調整剤及び潤滑剤であり得る。適切な助剤には、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸又は、例えばステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムといったそれらの塩、及び/又はポリエチレングリコールが含まれる。糖衣錠コアには、必要に応じて胃液に耐性のある適切なコーティングが施されている。この目的のために、濃縮糖溶液を使用することができ、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を任意に含み得る。胃液に耐性のあるコーティングを製造するために、フタル酸アセチルセルロース又はフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース製剤の溶液が使用される。染料又は顔料は、例えば、識別のために、又は活性化合物用量の組み合わせを特徴づけるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0079】
経口的に使用することができる他の医薬製剤には、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、ならびにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤で作られた柔らかく密封されたカプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意に選択される安定剤と混合することができる顆粒の形態の活性化合物を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、一実施形態では、脂肪油又は流動パラフィンなどの適切な液体に溶解又は懸濁される。さらに、安定剤を加えることができる。
【0080】
直腸に使用することができる可能な医薬製剤には、例えば、1以上の活性化合物と坐剤基剤との組み合わせからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、例えば、天然又は合成トリグリセリド、又はパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能な基材には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、又はパラフィン炭化水素が含まれる。
【0081】
非経口投与に適した製剤には、水溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩及びアルカリ性溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与することができる。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、例えば、ゴマ油などの脂肪油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、トリグリセリド又はポリエチレングリコール-400が含まれる。水性注射懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランを含む、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。場合により、懸濁液はまた、安定剤を含み得る。
【0082】
治療有効量の「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬は、標準的な製薬慣行に従って処方することができ、必要とするヒト対象に投与される。そのような治療が必要かどうかは、個々の症例に依存し、兆候、症状、及び/又は存在する機能不全、特定の兆候、症状及び/又は機能不全を発症するリスク、及び/又は、その他の要因を考慮した医学的評価(診断)の対象となる。
【0083】
「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬は、任意の適切な経路によって、例えば、経口、頬側、吸入、舌下、直腸、膣、腰椎穿刺による大槽内又は髄腔内、経尿道、経鼻、経皮によって、すなわち、経皮的又は非経口的(静脈内、筋肉内、皮下、冠状動脈内、皮内、乳房内、腹腔内、関節内、髄腔内、眼球後部、肺内への注射及び/又は特定の部位への外科的移植を含む)に投与することができる。非経口投与は、針と注射器を使用して、又は高圧技術を使用して達成することができる。
【0084】
医薬組成物には、「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬が、その意図された目的を達成するために有効な量で投与されるものが含まれる。正確な処方、投与経路、及び投与量は、診断された状態又は疾患を考慮して個々の医師によって決定される。投与量及び間隔は、治療効果を維持するのに十分な「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬のレベルを提供するために、個別に調整することができる。
【0085】
「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬の毒性及び治療効果は、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手順によって、例えば、患者に毒性を引き起こさない最高用量として定義され化合物の最大耐量(MTD)を決定するために、測定することができる。最大耐量と治療効果(例えば、腫瘍増殖の阻害)との間の用量比が治療指数である。投与量は、使用される剤形、及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変えることができる。治療有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0086】
治療に使用するための「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬の治療有効量は、治療される状態の性質、活性が望まれる時間の長さ、及び対象の年齢及び状態、によって変化するが、最終的には主治医によって決定される。例えば、投与量及び間隔を個別に調整して、所望の治療効果を維持するのに十分な「開示の化合物」及び/又は任意に選択される治療薬の血漿レベルを提供することができる。所望の用量は、好都合には、単回用量で、又は適切な間隔をおいて、例えば、1日あたり1、2、3、4又はそれ以上のサブ用量を複数回の投与として、投与することができる。多くの場合、複数回の投与が望まれるか、又は必要とされる。例えば、「開示の化合物」は、1日1回投与、4日間隔で1日1回として4回投与(q4d×4)、3日間隔で1日1回として4回投与(q3d×4)、5日間隔で1日1回投与(qd × 5)、3週間にわたって週に1回の投与(qwk3)、2日間の休息を伴う1日5回の投与、及びさらに1日5回の投与(5/2/5)といった頻度か、又は状況に適していると判断された投与計画で投与することができる。
【0087】
任意に選択される治療薬は、治療有効量で投与される。例えば、任意に選択される治療薬が免疫チェックポイント阻害剤であり、免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である場合、1~20mg/kgが2~4週間ごとに静脈内注入として投与される。例えば、50 mg、60 mg、70 mg、80 mg、90 mg、100 mg、200 mg、300 mg、400 mg、500 mg、600 mg、700 mg、800 mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg及び2000mgの抗体を投与することができる。
【0088】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体ニボルマブである場合、3mg/kgを2週間ごとに60分にわたって静脈内注入によって投与し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体ペムブロリズマブの場合、2~3週間ごとに30分以上かけて2mg/kgを点滴静注し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-L1抗体アベルマブの場合、10mg/kgを2週間ごとに静脈内注入し得る。Disisら、J. Clin Oncol. 33(2015)(suppl; abstr 5509)。免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-L1抗体MPDL3280Aの場合、3週間ごとに20 mg/kgを点滴静注し得る。Herbstら、Nature 515:563-80(2014)。免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体イピルムマブの場合、3mg/kgを3週間ごとに90分以上かけて静脈内注入し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体トレメリムマブの場合、15mg/kgを12週間ごとに静脈内注入し得る。Naidoら、British Journal of Cancer 111:2214-19(2014);Drugs R D、10:123-32(2010)。免疫チェックポイント阻害剤が抗LAG3抗体GSK2831781の場合、1.5~5 mg/kgを2~4週間ごとに120分以上かけて静脈内注入し得る。免疫チェックポイント阻害剤が抗TIM3抗体の場合、1~5mg/kgを2~4週間ごとに30~90分以上かけて静脈内注入し得る。インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)経路の阻害剤がテモゾロミドと組み合わせた阻害剤インドキシモドである場合、27.7mg/kg/用量BIDにエスカレートする18.5mg/kg/用量BIDインドキシモドを、5日ごとの200mg/m2のテモゾロミドと。
【0089】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は抗体であり、1~20mg/kgが2~4週間ごとに静脈内注入によって投与される。別の実施形態では、50~2000mgの抗体は、2~4週間ごとに静脈内注入によって投与される。別の実施形態では、「開示の化合物」は、抗体の投与の前に投与される。別の実施形態では、「開示の化合物」は、抗体の投与日の3~7日前に投与される。別の実施形態では、「開示の化合物」はまた、抗体が投与された日、及びその後疾患が進行するまで、又は「開示の化合物」の投与がもはや有益でなくなるまで連続して投与される。
【0090】
一実施形態では、癌患者は、3週間ごとに静脈内注入による2mg/kgのペムブロリズマブを投与され、例えば、ペムブロリズマブ投与前の1~7日間に約0.1~100mgの「開示の化合物」の投与を受け、任意にペムブロリズマブの投与日に、及び任意にその後疾患が進行するまで、又は治療上の利益がなくなるまで投与を受ける。
【0091】
別の実施形態では、癌患者は、2週間ごとに静脈内注入による3mg/kgのニボルマブを投与され、例えば、ニボルマブ投与前の1~7日間に約0.1~100mgの「開示の化合物」の投与を受け、任意にニボルマブの投与日に、及び任意にその後疾患が進行するまで、又は治療上の利益がなくなるまで投与を受ける。
【0092】
別の実施形態では、癌患者は、2週間ごとに静脈内注入による3mg/kgのニボルマブを投与され、例えば、ニボルマブ投与前の1~7日間の約0.1~100mgの「開示の化合物」の投与を受け、任意にニボルマブの投与日に、及び任意にその後疾患が進行するまで、又は治療上の利益がなくなるまで投与を受ける。
【0093】
別の実施形態では、「開示の化合物」及び免疫チェックポイント阻害剤による癌患者の治療は、免疫チェックポイント阻害剤が単独で投与される場合よりも速く抗増殖応答を誘導する。
【0094】
一実施形態では、本開示は、癌が固形腫瘍である対象の癌を治療する方法を提供する。別の実施形態では、癌は血液癌である。
【0095】
別の実施形態では、癌は、表3のいずれか1以上の癌である。
【表2-1】
【表2-2】
【0096】
例示的な血液癌には、表4に列挙される癌が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、血液癌は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(B細胞慢性リンパ性白血病を含む)、又は急性骨髄性白血病である。
【表3】
【0097】
別の実施形態では、癌は、頭頸部の扁平上皮癌、食道の腺癌扁平上皮癌、胃の腺癌、結腸の腺癌、肝細胞癌、胆道系胆管細胞癌、胆嚢腺癌、膵臓腺癌、乳房の非浸潤性乳管癌、乳房腺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膀胱の移行上皮癌、膀胱扁平上皮癌、子宮頸部の扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、子宮内膜癌、陰茎扁平上皮癌、及び皮膚の扁平上皮癌からなる群から選択される。
【0098】
別の実施形態では、前癌性腫瘍は、頭頸部の白板症、バレット食道、胃の異形成、結腸の腺腫、慢性肝炎、胆管過形成、膵上皮内腫瘍、肺の異型腺腫様過形成、膀胱の異形成、子宮頸部上皮内腫瘍、陰茎上皮内腫瘍、及び皮膚の光線性角化症からなる群から選択される。
【0099】
別の実施形態では、癌は、肝細胞癌、神経膠芽細胞腫、肺癌、乳癌、頭頸部癌、前立腺癌、黒色腫、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。
【0100】
別の実施形態では、癌は、結腸直腸癌、乳癌、リンパ腫、黒色腫、腎癌、及び肺癌からなる群から選択される。
【0101】
別の実施形態では、癌は、従来の癌治療に耐性を示すようになってきている。本明細書で使用される用語「従来の癌治療」は、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁、又は同様の規制当局によって、ヒトでの治療的使用について試験及び/又は承認された任意の癌治療薬、生物製剤、又は放射線療法、又は癌治療薬及び/又は生物製剤及び/又は放射線療法の組み合わせを指す。
【0102】
別の実施形態では、対象は、「開示の化合物」なしで、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの抗癌剤で事前に治療されている。例えば、事前の免疫チェックポイント療法は、抗PD-1療法又は抗PD-L1療法であり得る。
【0103】
別の実施形態では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含み、「開示の化合物」が断続的な投薬スケジュールに従って対象に投与される、癌を有する対象を治療する方法を提供する。
【0104】
別の実施形態では、本開示は、癌を有する対象を治療する方法を提供し、その方法は「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬、例えば免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与することを含み、「開示の化合物」が、断続的な投薬スケジュールに従って対象に投与される。
【0105】
別の実施形態では、本開示は、癌を有する対象を治療する方法を提供し、その方法は治療有効量の「開示の化合物」、免疫チェックポイント阻害剤、及び第3の任意に選択される治療薬、例えば放射線を対象に適用することを含む。
【0106】
別の実施形態では、本開示は、本開示の方法を実施するための使用を容易にする方法で包装された「開示の化合物」(又は「開示の化合物」を含む組成物)を含むキットを提供する。一実施形態では、キットは、密封されたボトル又は器などの容器に包装された「開示の化合物」(又は「開示の化合物」を含む組成物)を含み、本開示の方法を実施するための化合物又は組成物の使用が記載されているラベルが容器に貼付されているか又はキットに含まれている。一実施形態では、化合物又は組成物は、単位剤形で包装される。キットはさらに、意図された投与経路に従って組成物を投与するのに適した装置を含むことができる。
【0107】
本開示は、治療方法に関して次の特定の実施形態を提供する。
【0108】
実施形態I. 治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
【0109】
実施形態II. 前記癌が固形腫瘍である、実施形態Iの方法。
【0110】
実施形態III. 前記癌が血液癌である、実施形態Iの方法。
【0111】
実施形態IV. 前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、実施形態Iの方法。
【0112】
実施形態V. 前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、実施形態Iの方法。
【0113】
実施形態VI. 癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量を対象に投与することをさらに含む、実施形態I~Vのいずれか1つの方法。
【0114】
実施形態VII. 癌の治療に使用するための「開示の化合物」及び1以上の医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【0115】
実施形態VIII. 前記癌が固形腫瘍である、実施形態VIIの医薬組成物。
【0116】
実施形態IX. 前記癌が血液癌である、実施形態VIIの医薬組成物。
【0117】
実施形態X 前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、実施形態VIIの医薬組成物。
【0118】
実施形態XI. 前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、実施形態VIIの医薬組成物。
【0119】
実施形態XII. 癌の治療に使用するための「開示の化合物」。
【0120】
実施形態XIII. 前記癌が固形腫瘍である、実施形態XIIの使用のための化合物。
【0121】
実施形態XIV. 前記癌が血液癌である、実施形態XIIの使用のための化合物。
【0122】
実施形態XV 前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、実施形態XIIの使用のための化合物。
【0123】
実施形態XVI. 前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、実施形態XIIの使用のための化合物。
【0124】
実施形態XVII. 癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量と組み合わせて対象に投与される、実施形態XII~XVIのいずれか1つの使用のための化合物。
【0125】
実施形態XVIII. 癌治療のための医薬品の製造のための「開示の化合物」の使用。
【0126】
実施形態XIX. 前記癌が固形腫瘍である、実施形態XVIIIの使用。
【0127】
実施形態XX. 前記癌が血液癌である、実施形態XVIIIの使用。
【0128】
実施形態XXI 前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、実施形態XVIIIの使用。
【0129】
実施形態XXII. 前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、実施形態XVIIIの使用。
【0130】
実施形態XXIII. 前記化合物が、癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬の治療有効量と組み合わせて投与される、実施形態XVIII~XXIIのいずれか1つの使用。
【0131】
実施形態XXIV. 「開示の化合物」を含む、癌の治療薬又は予防薬。
【0132】
実施形態XXV. 「開示の化合物」及び癌を有する対象に化合物を投与するための説明書を含むキット。
【0133】
実施形態XXVI. 前記癌が固形腫瘍である、実施形態XXVのキット。
【0134】
実施形態XXVII. 前記癌が血液癌である、実施形態XXVのキット。
【0135】
実施形態XXVIII. 前記癌が表3のいずれか1以上の癌である、実施形態XXVのキット。
【0136】
実施形態XXIX. 前記癌が表4のいずれか1以上の癌である、実施形態XXVのキット。
【0137】
実施形態XXX. 癌の治療に有用な1以上の任意に選択される治療薬をさらに含む、実施形態XXV~XXIXのいずれか1つのキット。
【0138】
III.任意に選択される治療薬
本開示のいくつかの治療方法及び使用において、「開示の化合物」は、疾患、障害、又は状態、例えば癌を有する対象に、単剤として投与される。本開示の他の治療方法及び使用において、「開示の化合物」は、1以上の任意に選択される治療薬と組み合わせて、疾患、障害、又は状態、例えば癌を有する対象に投与される。一実施形態では、「開示の化合物」は、1つの任意に選択される治療薬と組み合わせて投与される。別の実施形態では、「開示の化合物」は、2つの任意に選択される治療薬と組み合わせて投与される。別の実施形態では、「開示の化合物」は、3つの任意に選択される治療薬と組み合わせて投与される。癌患者の治療に有用な任意に選択される治療薬には、当該技術分野で知られているものだけでなく、将来開発されるものも含まれる。
【0139】
任意に選択される治療薬は、それらの所望の治療効果を提供する量で投与される。任意に選択される各治療薬の有効投与範囲は当該技術分野で知られており、任意に選択される治療薬は、そのように確立された範囲内で必要とする個体に投与される。
【0140】
「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬は、単一単位用量として一緒に、又は複数単位用量として別々に、及び任意の順序で、例えば、「開示の化合物」が任意に選択される治療薬の前に投与されるか、又はその逆の順序で、投与することができる。「開示の化合物」及び任意に選択される治療薬の1以上の用量を対象に投与することができる。
【0141】
一実施形態では、任意に選択される治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤である。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系阻害剤のチェックポイントを遮断する治療法である。免疫チェックポイントは、刺激的又は抑制的であり得る。抑制性免疫チェックポイントの遮断は免疫系の機能を活性化し、癌免疫療法に使用することができる。Pardoll, Nature Reviews. Cancer 12:252-64(2012)。腫瘍細胞は、特定のT細胞受容体に付着すると、活性化されたT細胞の活性を消す(turn off)。免疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍細胞がT細胞に付着するのを防ぎ、その結果、T細胞は活性化されたままとなる。要するに、細胞及び可溶性成分による協調作用は、癌による病原体及び損傷と戦う。免疫系経路の調節は、経路の少なくとも1つの構成要素の発現又は機能的活性を変化させて、免疫系による応答を調節することを含み得る。米国2015/0250853。免疫チェックポイント阻害剤の例には、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、cd47阻害剤、及びB7-H1阻害剤が含まれる。したがって、一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、及びcd47阻害剤からなる群から選択される。
【0142】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム細胞死(PD-1)阻害剤である。PD-1はT細胞共抑制受容体であり、腫瘍細胞が宿主の免疫系を回避する能力において極めて重要な役割を果たす。PD-1とPD-1のリガンドであるPD-L1との相互作用を遮断すると、免疫機能が強化され、抗腫瘍活性が媒介される。PD-1阻害剤の例には、PD-1に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗PD-1抗体には、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、STI-A1014、及びピジルズマブが含まれるが、これらに限定されない。抗PD-1抗体の利用可能性、製造方法、作用機序、及び臨床研究の一般的な議論については、米国特許出願公開第2013/0309250号、米国特許第6,808,710号、米国特許第7,595,048号、米国特許第8,008,449号、米国特許第8,728,474号、米国特許第8,779,105号、米国特許第8,952,136号、米国特許第8,900,587、米国特許第9,073,994号、米国特許第9,084,776号、及びNaidoら、British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照。
【0143】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(B7-H1又はCD274としても知られている)阻害剤である。PD-L1阻害剤の例には、PD-L1に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗PD-L1抗体には、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びBMS-936559が含まれるが、これらに限定されない。利用可能性、製造方法、作用機序、及び臨床研究の一般的な議論については、米国特許第8,217,149号、米国特許出願公開第2014/0341917号、米国特許出願公開第2013/0071403号、国際公開第2015/036499号、及びNaidoら、British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照。
【0144】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤である。細胞傷害性Tリンパ球抗原4としても知られるCTLA-4は、免疫系をダウンレギュレートするタンパク質受容体である。CTLA-4は、抗原提示細胞上の共刺激分子に結合する「ブレーキ」として特徴付けられ、T細胞上のCD28との相互作用を防ぎ、T細胞の活性化を抑制する明白な阻害シグナルを生成する。CTLA-4阻害剤の例には、CTLA-4に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗CTLA-4抗体には、イピリムマブ及びトレメリムマブが含まれるが、これらに限定されない。利用可能性、製造方法、作用機序、及び臨床研究の一般的な議論については、米国特許第6,984,720号、米国特許第6,207,156号、及びNaidoら、British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照。
【0145】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3阻害剤である。リンパ球活性化遺伝子3であるLAG3、は、T細胞の恒常性、増殖、及び活性化を調節する負の共シミュレーション(co-simulatory)受容体である。さらに、LAG3は制御性T細胞(Treg)抑制に有効な機能に関与することが報告されている。LAG3分子の大部分は微小管形成中心に近い細胞に保持され、抗原特異的T細胞の活性化後にのみ誘導される。米国特許出願公開第2014/0286935号。LAG3阻害剤の例には、LAG3に特異的に結合する抗体が含まれる。特定の抗LAG3抗体には、GSK2831781が含まれるが、これに限定されない。利用可能性、製造方法、作用機序、及び研究の一般的な議論については、米国特許出願公開第2011/0150892号、米国特許出願公開第2014/0093511号、米国特許出願公開第2015/0259420号、及びHuangら、Immunity 21:503-13(2004)を参照。
【0146】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3阻害剤である。T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン3であるTIM3は、TH1及びTC1 T細胞応答の持続時間と大きさを制限するように機能する免疫チェックポイント受容体である。TIM3経路は、腫瘍組織の免疫抑止を構成する2つの報告された免疫細胞集団である機能不全のCD8+ T細胞及びTregで発現するため、抗癌免疫療法の標的と見なされる。Anderson、Cancer Immunology Research 2:393-98(2014)。TIM3阻害剤の例には、TIM3に特異的に結合する抗体が含まれる。TIM3阻害剤の利用可能性、製造方法、作用機序、及び研究の一般的な議論については、米国特許 出願公開第2015/0225457号、米国特許出願公開第2013/0022623号、米国特許第8,522,156号、Ngiowら、Cancer Res 71:6567-71(2011)、Ngiowら、Cancer Res 71:3540-51(2011)、及びAnderson、Cancer Immunology Res 2:393-98(2014)を参照。
【0147】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、cd47阻害剤である。Unanue、E.R.、PNAS 110:10886-87(2013)を参照。
【0148】
用語「抗体」は、所望の生理活性を示す限り、インタクトモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成される多重特異性抗体、及び抗体断片を含むことを意味する。別の実施形態では、「抗体」は、抗体のFc部分を有さない可溶性受容体を含むことを意味する。一実施形態では、抗体は、組換え遺伝子工学の方法によって作製されたヒト化モノクローナル抗体及びその断片である。
【0149】
別のクラスの免疫チェックポイント阻害剤には、阻害剤シグナル伝達を誘発することなく、T細胞上のPD-1受容体に結合して遮断するポリペプチドが含まれる。そのようなペプチドには、米国特許第8,114,845号に開示されているように、B7-DCポリペプチド、B7-H1ポリペプチド、B7-1ポリペプチド及びB7-2ポリペプチド、ならびにそれらの可溶性断片が含まれる。
【0150】
別のクラスの免疫チェックポイント阻害剤には、PD-1シグナル伝達を阻害するペプチドの部分を有する化合物が含まれる。そのような化合物の例は、米国特許第8,907,053号に開示されており、構造:
【化38】
を有する化合物又は医薬的に許容されるその塩であり、化合物は、PD-1シグナル伝達経路を阻害することができる治療薬として有用な少なくとも5つのアミノ酸を含む。
【0151】
別のクラスの免疫チェックポイント阻害剤には、骨髄細胞及び腫瘍細胞に浸潤することによって発現されるインドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)などの特定の代謝酵素の阻害剤が含まれる。IDO酵素は、T細胞の同化機能に必要なアミノ酸を枯渇させるか、又はリンパ球機能を変化させることができる細胞質ゾル受容体の特定の天然リガンドを合成することにより、免疫応答を阻害する。Pardoll, Nature Reviews. Cancer 12:252-64(2012);Lob、Cancer Immunol Immunother 58:153-57(2009)。特定のIDO遮断薬には、レボ-1-メチルトリプトファン(L-1MT)及び1-メチル-トリプトファン(1MT)が含まれるが、これらに限定されない。Qianら、Cancer Res 69:5498-504(2009);及びLobら、Cancer Immunol Immunother 58:153-7(2009)。
【0152】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、STI-A1110、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、STI-A1014、イピリムマブ、トレメリムマブ、GSK2831781、BMS-936559又はMED14736である。
【0153】
別の実施形態では、任意に選択される治療薬はエピジェネティック薬である。本明細書で使用される場合、用語「エピジェネティック薬」は、エピジェネティックレギュレーターを標的とする治療薬を指す。エピジェネティックレギュレーターの例には、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、及びDNAメチルトランスフェラーゼが含まれる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、ボリノスタットが含まれるが、これに限定されない。
【0154】
別の実施形態では、任意に選択される治療薬は、癌を治療するために「開示の化合物」と組み合わせて投与することができる化学療法剤又は他の抗増殖剤である。「開示の化合物」と組み合わせて使用できる従来の治療法及び抗癌剤の例には、手術、放射線療法(例えば、ガンマ放射線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法、及び全身性放射性同位体)、内分泌治療、生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、温熱療法及び凍結療法、あらゆる有害作用を弱める薬剤(例えば、抗催吐剤)、及び他の承認された生物学的療法又は化学療法、例えば、細胞を殺すか又は分裂を止めることによって、癌細胞の成長を止めるために薬物を使用する治療法が含まれる。化学療法は、治療されている癌の種類とステージに応じて、口に、注射で、注入で、又は皮膚上に施すことができる。
【0155】
非限定的な例示の抗増殖性化合物には、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;抗アンドロゲン;ゴナドレリンアゴニスト;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性剤;テモゾロミドなどのアルキル化剤;レチノイド、カロンテノイド、又はトコフェロール;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;代謝拮抗剤;白金化合物;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液性腫瘍の治療に使用される化合物;Flt-3阻害剤;Hsp90阻害剤;キネシン紡錘体タンパク質阻害剤;MEK阻害剤;抗腫瘍抗生物質;ニトロソ尿素;タンパク質又は脂質キナーゼ活性を標的とする/減少させる化合物、タンパク質又は脂質ホスファターゼ活性を標的とする/減少させる化合物、又は任意のさらなる抗血管新生化合物が含まれる。
【0156】
非限定的な例示のアロマターゼ阻害剤には、アタメスタン、エキセメスタン、及びフォルメスタンなどのステロイド、ならびにアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、及びレトロゾールなどの非ステロイドが含まれる。
【0157】
非限定的な抗エストロゲンには、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、及び塩酸ラロキシフェンが含まれる。抗アンドロゲンには、ビカルタミドが含まれるが、これに限定されない。ゴナドレリンアゴニストには、アバレリクス、ゴセレリン、及び酢酸ゴセレリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
非限定的な例示のトポイソメラーゼI阻害剤には、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシン及びその類似体、9-ニトロカンプトテシン、及び高分子カンプトテシン複合体(conjugate)PNU-166148が含まれる。トポイソメラーゼII阻害剤には、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、及びネモルビシンなどのアントラサイクリン、ミトキサントロンやロソキサントロンなどのアントラキノン、エトポシドやテニポシドなどのポドフィロトキシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
微小管活性剤には、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物、及びパクリタキセル及びドセタキセルなどのタキサン、ディスコデルモリド、コチシン(cochicine)及びエポチロン及びそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない微小管重合阻害剤が含まれる。
【0160】
非限定的な例示のアルキル化剤には、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、及びカルムスチン及びロムスチンなどのニトロソ尿素が含まれる。
【0161】
非限定的な例示のマトリックスメタロプロテナーゼ阻害剤(「MMP阻害剤」)には、コラーゲンペプチド模倣及び非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、バチマスタット、マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270B、及びAAJ996が含まれる。
【0162】
非限定的な例示のmTOR阻害剤には、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)を阻害し、シロリムス、エベロリムス、CCI-779、及びABT578などの抗増殖活性を有する化合物が含まれる。
【0163】
非限定的な例示の代謝拮抗剤には、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、ゲムシタビン、5-アザシチジン及びデシタビンなどのDNA脱メチル化化合物、メトトレキサート及びエダトレキサート、ならびにペメトレキセドなどの葉酸アンタゴニストが含まれる。
【0164】
非限定的な例示の白金化合物には、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナム、及びオキサリプラチンが含まれる。
【0165】
非限定的な例示のメチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤には、ベンガミド又はその誘導体及びPPI-2458が含まれる。
【0166】
非限定的な例示のビスホスホネートには、エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸、及びゾレドロン酸が含まれる。
【0167】
非限定的な例示のヘパラナーゼ阻害剤には、PI-88及びOGT2115などのヘパリン硫酸分解を標的とする、減少させる、、又は阻害する化合物が含まれる。
【0168】
Rasの発癌活性を標的とする、減少させる、、又は阻害する非限定的な例示の化合物には、L-744832、DK8G557、ティピファニブ、及びロナファルニブなどのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が含まれる。
【0169】
非限定的な例示のテロメラーゼ阻害剤には、テロメスタチンなどのテロメラーゼ受容体を阻害する化合物などの、テロメラーゼの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物が含まれる。
【0170】
非限定的な例示のプロテアソーム阻害剤には、ボルテゾミブを含むがこれらに限定されない、プロテアソームの活性を標的とする、減少させる、、又は阻害する化合物が含まれる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブである。
【0171】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物である非限定的な例示のFMS様チロシンキナーゼ阻害剤には、インターフェロン、I-β-D-アラビノフランシルシトシン(ara-c)及びビスルファン(bisulfan)、未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、減少させる、又は阻害する化合物であるALK阻害剤が含まれる。
【0172】
非限定的な例示のFlt-3阻害剤には、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248、及びMLN518が含まれる。
【0173】
非限定的な例示のHSP90阻害剤には、HSP90の固有のATPアーゼ活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、又は、ユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、減少させる、又は阻害する化合物が含まれる。HSP90の固有のATPアーゼ活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物は、特に、ゲルダナマイシン誘導体である17-アリルアミノ、17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体、他のゲルダナマイシン関連化合物、ラジシコール及びHDAC阻害剤などのHSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質、又は抗体である。
【0174】
非限定的な例示のタンパク質チロシンキナーゼ及び/又はセリン及び/又はスレオニンキナーゼ阻害剤又は脂質キナーゼ阻害剤には、a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、イマチニブ、SUlOl、SU6668、及びGFB-111といったN-フェニル-2-ピリミジンアミン誘導体などのPDGFRの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物などの、PDGFRの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、c)インスリン様成長因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物などの、IGF-IRの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリー又はエフリンB4阻害剤の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、e)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、f)Ret受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、g)イマチニブなどのKit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、h)イマチニブなどのc-Kit受容体チロシンキナーゼの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、i)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えばBcr-Ablキナーゼ)及びイマチニブやニロチニブといったN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体などの変異体;PD180970;AG957;NSC 680410;PD173955;又はダサチニブの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、j)プロテインキナーゼC(PKC)のメンバー及びセリン/スレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、及びRas/MAPKファミリーメンバー、及び/又はミドスタウリンといった米国特許第5,093,330号に開示されているスタウロスポリン誘導体などのサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、さらなる化合物の例には、UCN-01、サフィンゴール、BAY 43-9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモフォシン;RO 318220及びRO320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;PD184352又はQAN697、又はAT7519が含まれる、k)メシル酸イマチニブなどのタンパク質チロシンキナーゼ又はチルホスチンA23/RG-50810;AG 99;チルホスチンAG213;チルホスチンAG 1748;チルホスチンAG 490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)エナンチオマー;チルホスチンAG 555;AG 494;チルホスチンAG556、AG957及びアダホスチン(4‐{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン)などのチルホスチンの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、l)CP 358774、ZD 1839、ZM 105180;トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、抗体El.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3及びE7.6.3、及び7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体などの受容体型チロシンキナーゼの上皮成長因子ファミリー(ホモ又はヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)及びそれらの変異体の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物、m)c-Met受容体の活性を標的とする、減少させる、又は阻害する化合物が含まれる。
【0175】
タンパク質又は脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させる、又は阻害する非限定的な例示の化合物には、オカダ酸又はその誘導体などのホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、又はCDC25の阻害剤が含まれる。
【0176】
さらなる抗血管新生化合物には、タンパク質又は脂質キナーゼ阻害とは無関係のそれらの活性のための別のメカニズムを有する化合物、例えば、サリドマイド及びTNP-470が含まれる。
【0177】
追加の非限定的な例示の化学療法化合物であって、その1以上が「開示の化合物」と組み合わせて使用され得るものには、アバスチン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナム、PKC412、6-メルカプトプリン(6-MP)、リン酸フルダラビン、オクトレオチド、SOM230、FTY720、6-チオグアニン、クラドリビン、6-メルカプトプリン、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジン又は医薬的に許容されるその塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンコハク酸塩、アンギオスタチン、エンドスタチン、アントラニル酸アミド、ZD4190、ZD6474、SU5416、SU6668、ベバシズマブ、rhuMAb、rhuFab、マクゴン(macugon);FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、RPI 4610、ベバシズマブ、ポルフィマーナトリウム、アネコルタベ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-a-エピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17a-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、植物アルカロイド、ホルモン化合物及び/又はアンタゴニスト、リンホカイン又はインターフェロンなどの生物学的反応修飾物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド誘導体、shRNA、及びsiRNAが含まれる。
【0178】
本明細書で提供される治療方法での使用のために、いくつかの適切な任意に選択される治療薬、例えば、抗癌剤が企図される。実際、本明細書で提供される方法は、アポトーシスを引き起こす薬剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素及び抗体);生物学的模倣物(例えば、ゴシポール又はBH3模倣物);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、オリゴマー化又は複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモン;白金化合物;モノクローナル又はポリクローナル抗体(例えば、抗癌剤、毒素、ディフェンシンと結合した抗体)、毒素;放射性核種;生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)及びインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫治療剤;造血成長因子;腫瘍細胞の分化を誘導する薬剤(例えば、全トランス型レチノイン酸);遺伝子治療試薬(例えば、アンチセンス治療試薬及びヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管新生阻害剤;プロテアソーム阻害剤:NF-κB修飾因子;抗CDK化合物;HDAC阻害剤などの、多数の任意に選択される治療薬の投与を含むことができるが、これらに限定されない。開示された化合物との同時投与に適した化学療法化合物及び抗癌療法などの任意に選択される治療薬の他の多くの例は、当業者に知られている。
【0179】
特定の実施形態では、抗癌剤は、アポトーシスを引き起こす又は刺激する薬剤を含む。アポトーシスを引き起こす又は刺激する薬剤には、例えば、DNAを挿入、架橋、アルキル化、又はその他の方法で損傷又は化学的に修飾することによって、DNAと相互作用又は修飾する薬剤が含まれる。アポトーシスを引き起こす薬剤には、放射線(例えば、X線、ガンマ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1又はTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。追加の抗癌剤には、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、及びBcr-Ablキナーゼ阻害剤(GLEEVECなど);アンチセンス分子;抗体(例えば、ハーセプチン、リツキサン、ゼヴァリン、アバスチン);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェン及びタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド、ケトコナゾール、及びコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);抗炎症薬(例えば、ブタゾリジン、デカドロン、デルタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、デキソン、ヘキサドロール、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン、オラデキソン、オラソン、オキシフェンブタゾン、ペディアプレド、フェニルブタゾン、プラケニル、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン、及びタンデリル);及び癌化学療法薬(例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、マイロターグ、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテール又はタキソール);細胞シグナル伝達分子;セラミドとサイトカイン;スタウロスポリンなどが含まれる。
【0180】
さらに他の実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、癌を有する対象(癌患者)に、「開示の化合物」の治療有効量、免疫チェックポイント阻害剤、及び少なくとも1つの追加の任意に選択される治療薬、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、及び天然産物(例えば、ハーブ及び他の植物及び/又は動物由来の化合物)から選択される抗過剰増殖剤又は抗腫瘍薬を投与することを含む。
【0181】
本発明の方法での使用に適したアルキル化剤には、1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);及びクロラムブシル)、2)エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、3)スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、4)ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)、及び5)トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド)が含まれるが、これらに限定されない。
【0182】
いくつかの実施形態では、本発明の方法での使用に適した代謝拮抗剤には、1)葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン))、2)ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデ-オキシウリジン;FudR)、及びシタラビン(シトシンアラビノシド)、及び3)プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、及びペントスタチン(2’-デオキシコホルマイシン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0183】
さらなる別の実施形態では、本開示の方法での使用に適した化学療法剤には、1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン)、2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、3)抗生物質(例:ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、及びマイトマイシン(マイトマイシンC)、4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、5)生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロンアルファ)、6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(cis-DDP)及びカルボプラチン)、7)アントラセンディオン(例:ミトキサントロン)、8)置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH)、10)副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)及びアミノグルテチミド)、11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及び酢酸メゲストロール)、13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール)、14)抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン)、15)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン)、16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、及び17)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、リュープロリド)が含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
癌治療の文脈で日常的に使用される任意の腫瘍溶解剤は、本開示の治療方法に使用される。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、米国での使用が承認されている腫瘍溶解剤の処方集を維持している。FDAの国際的対応機関は、同様の処方集を維持している。当業者は、米国で承認されたすべての化学療法薬に必要な「製品ラベル」が、例示の薬剤についての承認された適応症、投薬情報、毒性データなどを記載していることを理解するであろう。
【0185】
抗癌剤には、抗癌活性を有することが確認されている化合物がさらに含まれる。例には、3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセタート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG- 013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジクオン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクテイナシジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エキシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルホスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリントニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レスタウルチニブ、リュープロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ、マフォスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノルトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピキサントロン、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシン類似体、rhuアンジオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-、15992、SGN-0010、SGN- 40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タランパネル、タリキダール、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、チマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロン酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロートン、及びゾスキダル三塩酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
一実施形態では、任意に選択される治療薬は、表5に列挙される抗癌剤又は抗癌剤の組み合わせのうちの1つを含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【0187】
抗癌剤及び他の任意に選択される治療剤のより詳細な説明について、当業者は、the Physician's Desk Reference及びGoodman and Gilman's「Pharmaceutical Basis of Therapeutics 第10版、Eds. Hardmanら、2002」を含むがこれらに限定されない、任意の数の有益なマニュアルを参照されたい。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、放射線療法と組み合わせて「開示の化合物」を投与することを含む。本明細書で提供される方法は、放射線の治療用量を患者に送達するために使用される種類、量、又は送達及び投与システムによって制限されない。例えば、患者は、光子照射療法、粒子線照射療法、他のタイプの放射線療法、及びそれらの組み合わせを受けることができる。いくつかの実施形態では、放射線は、線形加速器を使用して患者に送達される。さらに他の実施形態では、放射線は、ガンマナイフを使用して送達される。
【0189】
放射線源は、患者の外部又は内部にあり得る。外部放射線療法は最も一般的であり、例えば線形加速器を使用して、皮膚を通して腫瘍部位に高エネルギー放射線の放射を向けることを含む。放射線の放射は腫瘍部位に局在するが、正常で健康な組織への曝露を避けることはほぼ不可能である。ただし、外部放射線は通常、患者によって十分に許容される。内部放射線療法は、癌細胞を特異的に標的とする送達システムの使用を含む、腫瘍部位又はその近くの体内にビーズ、ワイヤー、ペレット、カプセル、粒子などの放射線放出源を移植することを含む(例えば、癌細胞結合リガンドに付着した粒子を使用)。このような移植物は、治療後に除去するか、体内に放置しておくことができる。内部放射線療法の種類には、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法などが含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
患者は、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択性細胞毒素、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン挿入剤(intercalator)、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(高熱)など)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミフォスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6など)を任意に選択して受けることができる。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を促進する。放射線防護剤は、放射線の有害な影響から健康な組織を保護する。
【0191】
許容できない負の副作用がなく放射線の線量が患者によって許容される限り、任意の種類の放射線を患者に照射することができる。適切な種類の放射線療法には、例えば、電離(電磁)放射線療法(例えば、X線又はガンマ線)又は粒子線放射線療法(例えば、高線形エネルギー放射線)が含まれる。電離放射線は、電離、すなわち電子の獲得又は喪失を生成するのに十分なエネルギーを有する粒子又は光子を含む放射線として定義される(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,770,581号に記載されている)。放射線の影響は、臨床医によって少なくとも部分的に制御することができる。一実施形態では、放射線の線量は、最大の標的細胞曝露及び毒性の低減のために分割される。
【0192】
一実施形態では、患者に照射される放射線の総線量は、約0.01グレイ(Gy)~約100Gyである。別の実施形態では、治療の過程で、約10Gy~約65Gy(例えば、約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、又は60Gy)が照射される。いくつかの実施形態では、放射線の全部の線量を1日の間に照射することができるが、総線量は、理想的には、分割されて、数日にわたって投与される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日間、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、又は56日間(約1~8週間)にわたって照射される。したがって、1日あたりの放射線量は約1~5 Gy(例えば、約1 Gy、1.5 Gy、1.8 Gy、2 Gy、2.5 Gy、2.8 Gy、3 Gy、3.2 Gy、3.5 Gy、3.8 Gy、4 Gy、4.2 Gy、又は4.5 Gy)、又は1~2 Gy(例えば、1.5~2 Gy)になる。毎日の放射線の線量は、標的細胞の破壊を誘導するのに十分でなければならない。一実施形態では、一定期間引き延ばした場合、放射線は毎日照射されず、それによって動物を休ませて、治療の効果を実現される。例えば、放射線は、望ましくは、治療の各週について、連続する5日間照射され、2日間照射されず、それによって週に2日の休息が可能である。ただし、放射線は、動物の反応性や潜在的な副作用に応じて、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、又は7日すべて/週、照射することができる。放射線療法は、治療期間中いつでも開始できる。一実施形態では、放射線は、第1週又は第2週に開始され、治療期間の残りの期間にわたって照射される。例えば、放射線は、例えば、固形腫瘍を治療するための6週間を含む治療期間の1~6週又は2~6週に照射される。あるいは、放射線は、5週間を含む治療期間の1~5週又は2~5週に照射される。しかしながら、これらの例示的な放射線療法の照射スケジュールは、本明細書で提供される方法を制限することを意図していない。
【0193】
IV.バイオマーカー
別の実施形態では、本開示は、バイオマーカーが対象の生物学的サンプルに存在する場合、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む、癌を有する対象を治療する方法を提供する。別の実施形態では、その方法が、バイオマーカーが生物学的サンプルに存在するかどうかを特定することを含む。例えば、Goossensら、Transl Cancer Res. 4:256 269(2015);Kamel and Al-Amodi、Genomics Proteomics Bioinformatics 15:220 235(2017);及びKonikovaand Kusenda、Neoplasma 50:31-40(2003)を参照。
【0194】
本明細書で使用される用語「バイオマーカー」は、遺伝子、タンパク質、タンパク質の断片、ペプチド、ポリペプチド、核酸などの任意の生物学的化合物、又はインビボでの癌患者又は癌患者から得られた生物学的サンプルにおいて検出及び/又は定量化することができる染色体転座のような、染色体異常を指す。バイオマーカーは、全分子そのままである場合もあれば、その一部又は断片である場合もあり得る。一実施形態では、バイオマーカーの発現レベルが測定される。バイオマーカーの発現レベルは、例えば、タンパク質又はRNA、例えば、mRNA、バイオマーカーのレベルを検出することによって測定することができる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの部分又は断片は、例えば、抗体又は他の特異的結合剤によって検出又は測定することができる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの測定可能な態様は、癌の特定のステージなど、患者の所与の状態に関連している。タンパク質又はRNAレベルで検出されるバイオマーカーの場合、そのような測定可能な態様には、例えば、癌患者におけるバイオマーカーの存在、不在、又は濃度、すなわち発現レベル、又は癌患者から得られた生物学的サンプルが含まれ得る。核酸レベルで検出されるバイオマーカーの場合、そのような測定可能な態様には、例えば、バイオマーカーの対立遺伝子バージョン、又はバイオマーカーの変異のタイプ、変異の速度、及び/又は変異の程度、本明細書では変異状態とも呼ばれる、が含まれ得る。
【0195】
タンパク質又はRNAの発現レベルに基づいて検出されるバイオマーカーについて、例えば、異なる群におけるバイオマーカーの平均又は中央値の発現レベルが統計学的に有意である場合、異なる表現型の状態で測定された発現レベルは異なると見なすことができる。統計的有意性の一般的な検定には、特に、t検定、分散分析、クラスカル・ウォリス、ウィルコクソン、マン・ホイットニー、マイクロアレイの有意性分析、オッズ比などが含まれる。バイオマーカーは、単独または組み合わせにより、対象がある表現型の状態に属するか、別の表現型の状態に属するかの相対的な可能性の指標となる。したがって、それらは、とりわけ、疾患のマーカーとして、及び特定の治療計画が患者に有益な転帰をもたらす可能性が高いことの指標として有用である。一実施形態では、バイオマーカーの測定可能な態様は、その発現状態である。一実施形態では、バイオマーカーの測定可能な態様は、その変異状態である。
【0196】
一実施形態では、バイオマーカーは、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAのいずれか1以上の変異状態であり、別の表現型の状態、例えば、正常で疾患のない対象又はBRAF、KRASなどに変異のない癌を有する患者と比較すると、ある表現型状態の対象、例えば、血液癌を有する対象に、示差的に存在する。これらのバイオマーカーの変異を検出する方法は当技術分野で知られている。
【0197】
別の実施形態において、バイオマーカーは、別の表現型の状態、例えば、正常で疾患のない対象又はMYCの過剰発現のない癌を有する患者と比較すると、ある表現型状態の対象、例えば、血液癌を有する対象に示差的に存在するMYCの発現状態である。MYCの発現状態の方法は当技術分野で知られている。
【0198】
別の実施形態において、バイオマーカーは、BRAF、KRAS、又はその両方の変異状態であり、別の表現型状態、例えば、正常で疾患のない対象又はBRAF、KRAS、又はその両方に変異のない癌を有する患者と比較すると、ある表現型状態の対象、例えば、血液癌を有する対象に、示差的に存在する。BRAF及びKRASの変異を検出する方法は当技術分野で知られている。例えば、Loesら、Tumor Biol. 36(2):1003-1013(2015)を参照。
【0199】
バイオマーカー基準は、生物学的サンプルが対象から得られる前に決定するか、得られると同時に決定するか、又は得られた後に決定することができる。本明細書に記載の方法で使用するためのバイオマーカー基準は、例えば、癌のない対象からのサンプルのデータ、癌を有する、例えば転移性でない乳癌を有する対象からのサンプルのデータ、及び癌を有する、例えば転移性の乳癌を有する対象からのサンプルのデータを含むことができる。異なるクラスの対象、例えば、罹患している対象と罹患していない対象との比較を行い、所定の閾値バイオマーカー基準を確立することができる。基準は、同じアッセイで実行することも、以前のアッセイからの既知の基準にすることもできる。
【0200】
バイオマーカーの平均又は中央値の発現又は変異レベルが群の間で異なる、すなわち、より高い又はより低いと計算される場合、バイオマーカーは、異なる表現型状態の群の間で示差的に存在する。したがって、バイオマーカーは、対象、例えば、癌患者がある表現型の状態又は別の状態に属することの指標を提供する。
【0201】
個々の生物学的化合物、例えば、BRAF又はKRASに加えて、本明細書で使用される用語「バイオマーカー」は、複数の生物学的化合物の群、セット、又は配列(array)を含むことを意味する。例えば、BRAFとKRASの変異状態の組み合わせがバイオマーカーを構成する場合がある。用語「バイオマーカー」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、又はそれ以上の生物学的化合物を含み得る。
【0202】
患者におけるバイオマーカーの発現レベル又は変異状態の特定は、当技術分野で知られている多くの方法のいずれかを使用して実施することができる。特定のタンパク質を定量するため、及び/又はBRAF及び/又はKRAS変異状態、又は患者又は生物学的サンプル中の任意の他のバイオマーカーの発現又は変異レベルを検出するための当技術分野で知られている任意の方法は、本開示の方法で使用し得る。例には、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、又はRT-PCR、フローサイトメトリー、ノーザンブロット、ウエスタンブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、RIA(放射免疫測定法)、RNA発現の遺伝子チップ分析、免疫組織化学又は免疫蛍光が含まれるが、それらに限定されない。例えば、Slagleら、Cancer 83:1401 (1998)を参照。本開示の特定の実施形態は、バイオマーカーRNA発現(転写)を特定する方法を含む。本開示の他の実施形態は、生物学的サンプルにおけるタンパク質発現を特定する方法を含む。例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、Cold Spring Harbour、NY、(1988);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York 3rd Edition、(1995);Kamel and Al-Amodi、Genomics Proteomics Bioinformatics 15:220-235(2017)を参照。ノーザンブロット又はRT-PCR分析では、RNA分解酵素を含まない(RNAse free)技術を使用して腫瘍組織サンプルからRNAを単離する。そのような技術は、当技術分野で一般的に知られている。
【0203】
本開示の一実施形態では、生物学的サンプルが患者から得られ、生物学的サンプルは、バイオマーカーの発現又は変異状態の特定のためにアッセイされる。
【0204】
本開示の別の実施形態では、腫瘍細胞サンプルにおけるバイオマーカー転写のノーザンブロット分析が実施される。ノーザン分析は、サンプル中のmRNAレベルを検出及び/又は定量するための標準的な方法である。最初に、RNAはノーザンブロット分析を使用して分析するサンプルから単離される。分析では、RNAサンプルは最初に変性条件下でアガロースゲルでの電気泳動を介してサイズによって分離される。次に、RNAを膜に転写し、架橋し、標識プローブとハイブリダイズさせる。通常、ノーザンハイブリダイゼーションは、インビボでの放射標識又は非同位体標識DNAの重合、又はハイブリダイゼーションプローブとしてのオリゴヌクレオチドの生成を伴う。通常、RNAサンプルを保持する膜は、プローブが膜をコーティングするのを防ぎ、非特異的なバックグラウンドシグナルを低減するために、プローブハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイズ又はブロックされる。ハイブリダイゼーションの後、通常、ハイブリダイズしていないプローブは、バッファーを数回交換して洗浄することにより除去される。洗浄及びハイブリダイゼーション状態のストリンジェンシーは、当業者によって設計、選択、及び実施することができる。検出は、検出可能な標識プローブと適切な検出方法を使用して実施される。放射性標識及び非放射性プローブ及びそれらの使用は、当技術分野でよく知られている。検定されているバイオマーカーの存在及び/又は相対的な発現レベルは、例えば、濃度測定を使用して定量化することができる。
【0205】
別の実施形態では、バイオマーカー発現及び/又は変異状態は、RT-PCRを使用して特定される。RT-PCRにより、標的遺伝子のPCR増幅の進行状況をリアルタイムで検出できる。本開示のバイオマーカーの発現及び/又は変異状態を検出するために必要とされるプライマー及びプローブの設計は、当業者の技術範囲内である。RT-PCRを使用して、腫瘍組織サンプルにおける本開示のバイオマーカーをコードするRNAのレベルを特定することができる。本開示の一実施形態では、生物学的サンプルからのRNAは、RNAseを含まない条件下で単離され、次いで逆転写酵素での処理によってDNAに変換される。RNAからDNAへの逆転写酵素変換の方法は当技術分野でよく知られている。PCRの説明は、次の参考文献に記載されている:Mullisら、Cold Spring Harbour Symp. Quant. Biol. 51:263(1986);欧州特許第50,424号;欧州特許第84,796号;欧州特許第258,017号;欧州特許第237,362号;欧州特許第201,184号;米国特許第4,683,202号;米国特許第4,582,788号;米国特許第4,683,194号。
【0206】
RT-PCRプローブは、標的増幅産物(バイオマーカー遺伝子)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを加水分解するために、PCRに使用されるDNAポリメラーゼの5’-3’ヌクレアーゼ活性に依存する。RT-PCRプローブは、5 '末端に蛍光レポーター色素が結合し、3'末端に消光剤(quesncher)部分が結合した(又はその逆の)オリゴヌクレオチドである。これらのプローブは、PCR産物の内部領域にハイブリダイズするように設計されている。ハイブリダイズしていない状態では、蛍光分子と消光分子が近接しているため、プローブからの蛍光シグナルの検出が妨げられる。PCR増幅中に、ポリメラーゼがRT-PCRプローブが結合しているテンプレートを複製すると、ポリメラーゼの5’-3’ヌクレアーゼ活性がプローブを切断する。これにより、蛍光色素と消光色素が分離され、FRETは発生しなくなる。したがって、蛍光は、プローブの切断量に比例して、各サイクルで増加する。反応から放出される蛍光シグナルは、通例の及び従来の技術を使用して市販されている装置を用いて、経時的に測定又は追跡することができる。
【0207】
本開示の別の実施形態では、バイオマーカーによってコードされるタンパク質の発現は、ウエスタンブロット分析によって検出される。ウエスタンブロット(免疫ブロットとしても知られている)は、組織ホモジネート又は抽出物などのサンプルにおけるタンパク質検出の方法である。ゲル電気泳動を使用して、変性タンパク質を質量によって分離する。次に、タンパク質はゲルから膜(例えば、ニトロセルロース又はフッ化ポリビニリデン(PVDF))に転写され、タンパク質に特異的に結合する一次抗体を使用して検出される。次に、結合した抗体は、検出可能な標識(例えば、ビオチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)と結合した二次抗体によって検出することができる。二次標識シグナルの検出は、タンパク質の存在を示す。
【0208】
本開示の別の実施形態では、バイオマーカーによってコードされるタンパク質の発現は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって検出される。本開示の一実施形態では、「サンドイッチELISA」は、プレートを捕捉抗体でコーティングし、存在する任意の抗原が捕捉抗体に結合するサンプルを加え、抗原にも結合する検出抗体を加え、検出抗体に結合する酵素結合二次抗体を加え、及び二次抗体上の酵素によって検出可能な形態に変換される基質を加えることを含む。二次抗体からのシグナルの検出は、バイオマーカー抗原タンパク質の存在を示す。
【0209】
RAFキナーゼ(A-RAF、BRAF、及びC-RAF)は、細胞増殖及び生存シグナル伝達を制御するマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の重要な構成要素である。(以下、Nature Reviews Cancer 3(1):11-22(2003);Wellbrockら、Nature Reviews Molecular Cell Biology 5(11):875-85(2004)。MAPキナーゼ(MAPK)経路は、多くの発達障害で調節不全になっている中心的なシグナル伝達経路である。RAS、RAF、MAPK又は細胞外シグナル調節キナーゼ(MEK)と細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)で構成されるMAPK経路は、上皮増殖因子受容体、上皮間葉移行因子(MET)、血管内皮増殖因子受容体などの癌関連受容体チロシンキナーゼを含む細胞表面の受容体からのシグナルを統合する(Avruch、Biochim Biophys Acta 1773(8):1150-60(2007)。MAPK経路の遺伝子変異はヒトの癌で最も一般的である。黒色腫の最大60%がBRAF変異を内部に持ち(Daviesら、Nature 417:949-54(2002))、KRAS変異は、膵臓、結腸、及び肺の腫瘍のそれぞれ約60%、30%、及び15%と推定されている(Vakianiら、J Pathol 223(2):219-29(2011)。BRAF変異はまた、甲状腺乳頭癌又は未分化甲状腺癌の40%に(Kimuraら、Cancer Res 63(7):1454-7(2003))及び他のいくつかの種類の腫瘍のごく一部で(Vakianiら、J Pathol 223(2):219-29(2011)発見されている。報告されているBRAF変異の多くは、600のアミノ酸の位置でグルタミン酸がバリンに置換(V600E変異)されたものである。BRAF V600E変異は、BRAFを構成的に活性化し、MAPK経路の下流のシグナル伝達を活性化させる(Daviesら、Nature 417:949-54(2002)。
【0210】
一実施形態では、本開示は、癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAにおける変異が対象の生物学的サンプルに存在する場合、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む。別の実施形態では、前記方法は、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAにおける変異が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0211】
別の実施形態では、本開示は、「開示の化合物」による治療の候補として癌を有する対象を特定する方法を提供し、前記方法は、
(a)BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAに変異が存在する場合、対象を治療の候補として特定すること、又は、
(b)BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAに変異が存在しない場合、対象を治療の候補ではないと特定すること
を含む。別の実施形態では、前記方法は、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAにおける変異が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0212】
別の実施形態では、本開示は、癌を有する対象における治療結果を予測する方法を提供し、前記方法は、
(a)生物学的サンプルにおいてBRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAに変異がある場合、「開示の化合物」を対象に投与することが、好ましい治療反応を引き起こす可能性が高く、かつ
(b)生物学的サンプルにおいてBRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAに変異がない場合、「開示の化合物」を対象に投与することが、好ましくない治療反応を引き起こす可能性が高いこと
を含む。別の実施形態では、前記方法は、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAの変異が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0213】
別の実施形態では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を、必要とする対象に投与することを含む方法を提供し、
(a)前記対象が癌を有し、
(b)前記癌が、BRAF、KRAS、p53、及び/又はPI3KCAに変異を有することを特徴とする。
【0214】
別の実施形態では、本開示は、変異がBRAFにおける変異である、上記のバイオマーカー関連の方法のいずれかを提供する。別の実施形態では、BRAFにおける変異は、V600E変異である。
【0215】
別の実施形態では、本開示は、癌を有する対象を治療する方法を提供し、前記方法は、MYCの過剰発現が対象の生物学的サンプルに存在する場合、「開示の化合物」の治療有効量を対象に投与することを含む。別の実施形態では、前記方法は、MYCの過剰発現が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0216】
別の実施形態では、本開示は、「開示の化合物」による治療の候補として癌を有する対象を特定する方法を提供し、前記方法は、
(a)MYCの過剰発現が存在する場合、対象を治療の候補として特定すること、又は
(b)MYCの過剰発現が存在しない場合、対象を治療の候補ではないと特定すること
を含む。別の実施形態では、前記方法は、MYCの過剰発現が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0217】
別の実施形態では、本開示は、癌を有する対象における治療結果を予測する方法を提供し、前記方法は、
(a)生物学的サンプルにおいてMYCの過剰発現がある場合、「開示の化合物」を対象に投与することが、好ましい治療反応を引き起こす可能性が高く、かつ
(b)生物学的サンプルにおいてMYCの過剰発現がない場合、「開示の化合物」を対象に投与することが、好ましくない治療反応を引き起こす可能性が高いこと
を含む。別の実施形態では、前記方法は、MYCの過剰発現が生物学的サンプルに存在するか存在しないかを特定することを含む。
【0218】
別の実施形態では、本開示は、「開示の化合物」の治療有効量を、必要とする対象に投与することを含む方法を提供し、
(a)前記対象が癌を有し、かつ
(b)前記癌が、MYCの過剰発現を有することを特徴とする。
【0219】
V.定義
本開示を説明する文脈における(特に特許請求の範囲の文脈における)用語「a」、「an」、「the」、及び同様の参照語は、特に指示しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別途の記載がない限り、単に範囲内にある各別個の値を個別に参照する省略法として役立つことを意図しており、各別個の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語、例えば「など」の使用は、開示をより良く説明することを意図しており、別段の主張がない限り本開示の範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる文言も、本開示の実施に不可欠であると主張されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0220】
本明細書で使用される用語「約」は、言及された数±10%を含む。したがって、「約10」は、9~11を意味する。
【0221】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、疾患又は状態、及び/又はそれに関連する症状を除去、軽減、又は改善することを指す。
疾患や状態を治療することを妨げるものではないが、疾患や状態を治療することは、病気や状態、又はそれに関連する症状を完全に除去することを必要としない。しかしながら、一実施形態では、1以上の任意に選択される治療薬の有無にかかわらず、対象への「開示の化合物」の投与は、癌の寛解をもたらす。
【0222】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、障害の1以上の症状の改善をもたらすのに十分な、又は障害の進行を防止するのに十分な、又は障害の退行を引き起こすのに十分な治療薬の量を指す。例えば、癌の治療に関して、一実施形態では、治療有効量は、治療反応、例えば、血球数の正常化、腫瘍増殖速度の低下、腫瘍塊の減少、転移の数の減少、腫瘍進行までの時間の増加、及び/又は対象の生存時間の少なくとも約2%の増加などを引き起こす、治療薬の量を指す。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約5%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約10%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約15%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約20%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約25%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約30%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約35%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約40%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約45%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約50%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約55%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約60%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約65%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約70%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約75%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約80%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約85%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約90%である。別の実施形態では、治療反応は少なくとも約95%である。別の実施形態では、治療反応は、少なくとも約100%かそれ以上である。
【0223】
用語「医薬的に許容される担体」又は「医薬的に許容されるビヒクル」は、標準的な医薬担体、溶媒、界面活性剤、又はビヒクルのいずれかを包含する。適切な医薬的に許容されるビヒクルには、水性ビヒクル及び非水性ビヒクルが含まれる。標準的な医薬担体及びそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第19版、1995年に記載されている。
【0224】
用語「容器」は、受容可能かつ閉鎖具を意味し、したがって医薬品の保管、輸送、調剤、及び/又は取り扱いに適している。
【0225】
用語「インサート(insert)」は、医師、薬剤師、及び患者が製品の使用に関して情報に基づいた決定を下せるようにするために必要な安全性及び有効性データとともに、医薬品の投与方法の説明を提供する医薬品に付随する情報を意味する。パッケージインサートは、一般的に医薬品の「ラベル」と見なされる。
【0226】
いくつかの実施形態では、組み合わせて投与される場合、2つ以上の薬剤は、相乗効果を有することができる。本明細書で使用される用語「相乗効果」又は「相乗的組み合わせ」又は「相乗的組成物」などの、用語「相乗作用」、「相乗的な」、「相乗的に」及びそれらの派生用語は、薬剤と少なくとも1つの追加の治療薬との組み合わせの生物学的活性が、個別に投与された場合のそれぞれの薬剤の生物学的活性の合計よりも大きいという状況を指す。例えば、本明細書で使用される用語「相乗的に有効な」は、「開示の化合物」と薬剤の総効果が各薬剤の個々の効果の合計よりも大きくする任意に選択される治療薬、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などとの間の相互作用を指す。例えば、Berenbaum、Pharmacological Reviews 41:93-141(1989)を参照。
【0227】
相乗作用は、「相互作用指数(SI)」で表すことができ、F. C. Kullら、Applied Microbiology 9:538 (1961) によって記載された方法によって、以下の数式:
QaQA+ QbQB = 相互作用指数 (SI)
(数式中、
QAは、成分Aに対して終点を生じさせた、単独で作用する成分Aの濃度であり、
Qaは、終点を生じさせた、混合物中の成分Aの濃度であり、
QBは、成分Bに関して終点を生じさせた、単独で作用する成分Bの濃度であり、
Qbは、終点を生じさせた、混合物中の成分Bの濃度である。)
によって決定される比率から決定される。
【0228】
一般に、Qa/QA及びQb/QBの合計が1より大きい場合、拮抗作用が示される。合計が1に等しい場合、加算性が示される。合計が1未満の場合、相乗作用が示される。SIが低いほど、その特定の混合物によって示される相乗作用が大きくなる。したがって、「相乗的組み合わせ」は、単独で使用した場合に個々の成分の観察された活性に基づいて予想できるものよりも高い活性を有する。さらに、成分の「相乗的に有効な量」は、例えば、組成物中に存在する別の治療薬において相乗効果を引き出すために必要な成分の量を指す。
【0229】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ハロ」は、-Cl、-F、-Br、又は-Iを指す。
【0230】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「シアノ」は、-CNを指す。
【0231】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0232】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルキル」は、1~12個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素、すなわちC1-C12アルキル、または指定された炭素原子数、例えばメチルなどのC1アルキル、エチルなどのC2アルキルなどを指す。一実施形態では、アルキルは、C1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキル、すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はイソ-ブチルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C3アルキル、すなわち、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。非限定的な例示のC1-C12アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、3-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが含まれる。
【0233】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルケニル」は、1つ又は2つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基を指す。一実施形態では、アルケニル基は、C2-C6アルケニル基である。別の実施形態では、アルケニル基は、C2-C4アルケニル基である。別の実施形態では、アルケニル基は、1つの炭素-炭素二重結合を有する。非限定的な例示のアルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec-ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが含まれる。
【0234】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルキニル」は、1つの炭素-炭素三重結合を含むアルキル基を指す。一実施形態では、アルキニルはC2-C6アルキニルである。別の実施形態では、アルキニルは、C2-C4アルキニルである。非限定的な例示のアルキニル基には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2-ブチニル基、ペンチニル基、及びヘキシニル基が含まれる。
【0235】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アラルキル」又は「(アリール)アルキル」は、1つ、2つ、又は3つの置換又は非置換のアリール基で置換されたアルキルを指す。一実施形態では、アルキルは、1つの置換又は非置換のアリール基で置換されている。一実施形態では、アリールは、置換又は非置換のフェニル又は置換又は非置換のナフチルである。別の実施形態では、アリールは、置換又は非置換のフェニルである。一実施形態では、アルキルはC1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1又はC2アルキルである。非限定的な例示の(アリール)アルキル基には、ベンジル、フェネチル、-CHPh2、及び-CH(4-F-Ph)2が含まれる。
【0236】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ハロアルキル」は、1以上のフッ素、塩素、臭素、及び/又はヨウ素原子によって置換されたアルキル基を指す。一実施形態では、アルキルは、1つ、2つ、又は3つのフッ素及び/又は塩素原子によって置換されている。別の実施形態では、アルキルは、1つ、2つ、又は3つのフッ素原子によって置換されている。別の実施形態では、アルキルは、C1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキルである。別の実施形態では、アルキル基は、C1又はC2アルキルである。非限定的な例示のハロアルキル基には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、及びトリクロロメチル基が含まれる。
【0237】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルコキシ」は、末端酸素原子に結合したアルキル基を指す。一実施形態では、アルキルはC1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキル基である。非限定的な例示のアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、及びtert-ブトキシが含まれる。
【0238】
単独で又は別の基の一部として使用される用語「アミノ」は、式-NRa1Ra2のラジカルを指し、Ra1及びRa2は、独立して、水素、シクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、又は(アリール)アルキルであるか、又は、Ra1とRa2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員の置換又は非置換のヘテロシクロを形成する。非限定的な例示のアミノ基には、-NH2、-NH(CH3)、及び-N(CH3)2が含まれる。
【0239】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、1つ又は2つのヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。一実施形態では、アルキルはC1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルはC1-C4アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1又はC2アルキルである。別の実施形態では、ヒドロキシアルキルは、モノヒドロキシアルキル基であり、すなわち、1つのヒドロキシ基で置換されている。別の実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、ジヒドロキシアルキル基であり、すなわち、2つのヒドロキシ基で置換されている。非限定的な例示のヒドロキシルアルキル基には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基、例えば、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、1,2-ジヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシ-1-メチルプロピル、及び1,3-ジヒドロキシプロプ-2-イルが含まれる。
【0240】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「カルボキサミド」は、式-C(=O)NRb1Rb2のラジカルを指し、Rb1及びRb2は、独立して水素、シクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、又は(アリール)アルキルであるか、又は、Rb1及びRb2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員の置換又は非置換のヘテロシクロを形成する。非限定的な例示のアミノ基は、-C(= O)NH2である。
【0241】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「スルホンアミド」は、式-S(=O)2NRC1RC2のラジカルを指し、RC1及びRC2は、独立して水素、シクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロ、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、又は(アリール)アルキルであるか、又は、Rca1及びRC2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員の置換又は非置換のヘテロシクロを形成する。非限定的な例示のアミノ基は、-S(=O)2NH2である。
【0242】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルキルカルボニル」は、アルキル基で置換されたカルボニル基、すなわち、-C(=O)-を指す。一実施形態では、アルキルはC1-C4アルキルである。非限定的な例示のアルキルカルボニル基は、-COCH3である。
【0243】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルキルスルホニル」は、アルキル基で置換されたスルホニル基、すなわち、-SO2-を指す。一実施形態では、アルキルはC1-C4アルキルである。非限定的な例示のアルキルスルホニル基は、-SO2CH3である。
【0244】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アルコキシアルキル」は、1つのアルコキシ基で置換されたアルキル基を指す。一実施形態では、アルコキシはC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、アルコキシは、C1-C4アルコキシである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキルである。非限定的な例示のアルコキシアルキル基には、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、sec-ブトキシメチル、及びペンチルオキシメチルが含まれる。
【0245】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「(アミノ)アルキル」は、1つのアミノ基で置換されたアルキルを指す。一実施形態では、アルキルはC1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキルである。非限定的な例示の(アミノ)アルキル基には、-CH2NH2、CH2CH2N(H)CH3、及び-CH2CH2N(CH3)2が含まれる。
【0246】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「(シアノ)アルキル」は、1つのシアノ基で置換されたアルキルを指す。一実施形態では、アルキルはC1-C6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1-C4アルキルである。非限定的な例示の(シアノ)アルキル基には、-CH2CH2CN及び-CH2CH2CNが含まれる。
【0247】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「(カルボキサミド)アルキル」は、カルボキサミド基で置換されたアルキルを指す。一実施形態では、アルキルはC1-C4アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、C1又はC2アルキルである。非限定的な例示の(カルボキサミド)アルキル基には、-CH2C(=O)NH2及び-CH2C(=O)N(CH3)2が含まれる。
【0248】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ハロアルコキシ」は、末端酸素原子に結合したハロアルキル基を指す。一実施形態では、ハロアルキルは、C1-C4ハロアルキル基である。非限定的な例示のハロアルコキシ基は、-OCF3である。
【0249】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「アリール」は、6~14個の炭素原子を有する芳香族環系、すなわち、C6-C14アリールを指す。非限定的な例示のアリール基には、フェニル(「Ph」と略される)及びナフチルが含まれる。一実施形態では、アリール基はフェニルである。
【0250】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「置換又は非置換のアリール」は、非置換であるか、又は1、2、3、4、又は5つの置換基で置換されたアリールを指し、置換基はそれぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、例えば、-NH2、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、又は(カルボキサミド)アルキルである。
【0251】
一実施形態では、置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のフェニルである。別の実施形態では、置換又は非置換のフェニルは、4つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のフェニルは、3つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のフェニルは、2つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のフェニルは、1つの置換基を有する。非限定的な例示の置換又は非置換のアリール基には、2-メチルフェニル、2-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、2,6-ジ-フルオロフェニル、2,6-ジ-クロロフェニル、2-メチル、3-メトキシフェニル、2-エチル、3-メトキシフェニル、3,4-ジ-メトキシフェニル、3,5-ジ-フルオロフェニル3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジメトキシ、4-メチルフェニル、2-フルオロ-3-クロロフェニル、及び3-クロロ-4-フルオロフェニルが含まれる。置換又は非置換のアリールという用語は、縮合した置換又は非置換のシクロアルキル基及び縮合した置換又は非置換のヘテロシクロ基を有するアリール基を含む。非限定的な例には、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル、1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[C]アゼピン-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル、及び2-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]アゼピン-1-イルが含まれる。
【0252】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、5~14個の環員を有する単環式及び二環式芳香族環系、すなわち、1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5~14員ヘテロアリールを指す。各ヘテロ原子は、独立して酸素、硫黄、又は窒素である。一実施形態では、ヘテロアリールは3つのヘテロ原子を有する。別の実施形態では、ヘテロアリールは2つのヘテロ原子を有する。別の実施形態では、ヘテロアリールは1つのヘテロ原子を有する。別の実施形態では、ヘテロアリールは、5~10員のヘテロアリールである。別の実施形態では、ヘテロアリールは、5つの環原子、例えば、チエニル(4つの炭素原子及び1つの硫黄原子を有する5員のヘテロアリール)を有する。別の実施形態では、ヘテロアリールは、6つの環原子、例えば、ピリジル(5つの炭素原子及び1つの窒素原子を有する6員のヘテロアリール)を有する。非限定的な例示のヘテロアリール基には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾニル、クロメニル、キサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルが含まれる。一実施形態では、ヘテロアリールは、チエニル(例えば、チエン-2-イル及びチエン-3-イル)、フリル(例えば、2-フリル及び3-フリル)、ピロリル(例えば、1H-ピロール-2-イル及び1H-ピロール-3-イル)、イミダゾリル(例えば、2H-イミダゾール-2-イル及び2H-イミダゾール-4-イル)、ピラゾリル(例えば、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、及び1H-ピラゾール-5-イル)、ピリジル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、及びピリジン-4-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、及びピリジン-5-イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、及びチアゾール-5-イル)、イソチアゾリル(例えば、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、及びイソチアゾール-5-イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、及びオキサゾール-5-イル)及びイソキサゾリル(例えば、イソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、及びイソキサゾール-5-イル)から選択される。ヘテロアリールという用語には、Nオキシドも含まれる。非限定的な例示のN-オキシドは、ピリジルN-オキシドである。
【0253】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「置換又は非置換のヘテロアリール」は、非置換であるか、又は1、2、3、又は4つの置換基で置換されたヘテロアリールを指し、置換基はそれぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、例えば、-NH2、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、又は(カルボキサミド)アルキルである。一実施形態では、置換又は非置換のヘテロアリールは、2つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のヘテロアリールは、1つの置換基を有する。利用可能な任意の炭素又は窒素原子で置き換えることができる。
【0254】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「シクロアルキル」は、飽和及び部分的に不飽和の、例えば、1つ又は2つの二重結合を含む、3~12個の炭素原子を含む単環式、二環式、又は三環式脂肪族炭化水素、すなわち、C3-12シクロアルキル、又は指定された炭素数、例えば、シクロプロピルなどのC3シクロアルキル、シクロブチルなどのC4シクロアルキルなどを指す。一実施形態では、シクロアルキルは二環式であり、すなわち、2つの環を有する。別の実施形態では、シクロアルキルは単環式であり、すなわち、1つの環を有する。別の実施形態では、シクロアルキルはC3-8シクロアルキルである。別の実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキル、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。非限定的な例示のC3-12シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロヘキセニル、及びスピロ[3.3]ヘプタンが含まれる。
【0255】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「置換又は非置換のシクロアルキル」は、非置換であるか、又は1つ、2つ、又は3つの置換基で置換されており、置換基はそれぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、例えば、-NH2、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、又は(カルボキサミド)アルキルである。一実施形態では、置換又は非置換のシクロアルキルは、2つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のシクロアルキルは、1つの置換基を有する。
【0256】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「ヘテロシクロ」は、飽和及び部分的に不飽和の、例えば、1つ又は2つの二重結合を含む、3~14個の環員を含む単環式、二環式、又は三環式基、すなわち、1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む3~14員ヘテロシクロを指す。各ヘテロ原子は、独立して酸素、硫黄、又は窒素である。各硫黄原子は独立して酸化され、スルホキシド、つまりS(=O)、又はスルホン、つまりS(=O)2を生成する。
【0257】
ヘテロシクロという用語は、1以上の-CH2-基が、1以上の-C(=O)-基で置き換えられている基を含み、イミダゾリジニル-2-オンなどの環状ウレイド基、ピロリジン-2-オン又はピペリジン-2-オン、及びオキサゾリジニル-2-オンなどの環状カルバメート基などの環状アミド基を含む。
【0258】
ヘテロシクロという用語はまた、縮合された置換又は非置換のアリール又は置換又は非置換のヘテロアリール基を有する基、例えば、インドリン、インドリン-2-オン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2.3-C]ピリジン、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]アゼピン、又は1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[d]アゼピン-2-オンを含む。
【0259】
一実施形態では、ヘテロシクロ基は、1つの環及び1つ又は2つの酸素原子を含む4~8員の環状基、例えば、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロピラン、又は1つ又は2つの窒素原子を含む4~8員の環状基、例えば、ピロリジン、ピペリジン、又はピペラジン、又は1つの酸素と1つの窒素原子を含む4~8員の環状基、例えば、モルホリンであり、1つの-CH2-基が1つの-C(=O)-基で置き換えられても、例えばピロリジン-2-オン又はピペラジン-2-オン、又は置き換えられなくもよい。別の実施形態では、ヘテロシクロ基は、1つの環及び1つ又は2つの窒素原子を含む5~8員の環状基であり、1つの-CH2-基が1つの-C(=O)-基で置き換えられても置き換えられなくもよい。別の実施形態では、ヘテロシクロ基は、1つの環及び1つ又は2つの窒素原子を含む5又は6員の環状基であり、1つの-CH2-基が1つの-C(=O)-基で置き換えられても置き換えられなくもよい。別の実施形態では、ヘテロシクロ基は、2つの環及び1つ又は2つの窒素原子を含む8~12員の環状基である。ヘテロシクロは、利用可能な炭素原子又は窒素原子を介して分子の残りの部分に結合できる。
【0260】
本明細書で単独で又は別の基の一部として使用される用語「置換又は非置換のヘテロシクロ」は、非置換であるか、又は1、2、3、又は4つの置換基で置換されたヘテロシクロ基を指し、置換基はそれぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、例えば、-NH2、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、又は(カルボキサミド)アルキルである。一実施形態では、置換又は非置換のヘテロシクロは2つの置換基を有する。別の実施形態では、置換又は非置換のヘテロシクロは、1つの置換基を有する。置換は、ヘテロシクロ基の任意の利用可能な炭素又は窒素原子上で起こり得る。
【0261】
本開示は、1以上の原子を異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えることによって同位体標識(すなわち、放射標識)されている「開示の化合物」のいずれかを包含する。開示された化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば2H(又は重水素(D))、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Cl、それぞれ、例えば、3H、11C、及び14Cが含まれる。一実施形態では、「開示の化合物」内に位置する実質的にすべての原子が、異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている組成物が提供される。別の実施形態では、「本開示の化合物」内に位置する原子の一部が置き換えられている、すなわち、「開示の化合物」が、異なる原子質量又は質量数を有する原子を有する位置で濃縮されている組成物が提供される。同位体標識された「開示の化合物」は、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。
【0262】
「開示の化合物」は、1以上のキラル中心を含み得、したがって、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じさせ得る。本開示は、「開示の化合物」のすべての可能な立体異性体形態、ならびにそれらのラセミ体及び分解された形態及びそれらの混合物の使用を包含する。個々の鏡像異性体は、本開示を考慮して当技術分野で知られている方法に従って分離することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的非対称中心を含む場合、特に明記されない限り、それらはE及びZの両方の幾何異性体を含むことが意図されている。すべての互変異性体も本開示に包含される。
【0263】
本明細書で使用される場合、用語「立体異性体」は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子のすべての異性体の総称である。これには、鏡像異性体及び互いに鏡像ではない1以上のキラル中心を持つ化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0264】
用語「キラル中心」又は「不斉炭素原子」は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
【0265】
用語「鏡像異性体」及び「鏡像異性の」は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがって光学活性であり、鏡像異性体が偏光面を一方向に回転させ、その鏡像化合物がその反対方向の偏光面を回転させる分子を指す。
【0266】
用語「ラセミ」は、等量の鏡像異性体の混合物を指し、その混合物は光学的に不活性である。一実施形態では、「開示の化合物」はラセミ体である。
【0267】
用語「絶対配置」は、キラル分子実体(又は基)の原子の空間的配置及びその立体化学的記述、例えば、R又はSを指す。
【0268】
本明細書で使用される立体化学用語及び規則は、特に明記されない限り、Pure & Appl. Chem 68:2193(1996)に記載されているものと一致することを意図している。
【0269】
用語「鏡像体過剰率」又は「ee」は、一方の鏡像異性体が他方と比較してどれだけ存在するかについての尺度を指す。RとSの鏡像異性体の混合物の場合、鏡像体過剰率は│R-S│× 100として定義され、RとSは、R + S = 1となる混合物中の鏡像異性体のそれぞれのモル又は重量の割合である。キラル物質の光学回転の知識により、鏡像体過剰率は([α] obs / [α] max)× 100として定義され、[α] obsは鏡像異性体の混合物の光学回転であり、[α] maxは純粋な鏡像異性体の光学的回転である。鏡像体過剰率の測定は、NMR分光法、キラルカラムクロマトグラフィー、又は光学偏光測定を含むさまざまな分析技術を使用することで可能である。
【0270】
一実施形態では、1以上のキラル中心を有する「開示の化合物」は、鏡像異性的に濃縮されており、例えば、eeは約5%以上である。別の実施形態では、eeは約10%である。別の実施形態では、eeは約20%である。別の実施形態では、eeは約30%である。別の実施形態では、eeは約40%である。別の実施形態では、eeは約50%である。別の実施形態では、eeは約60%である。別の実施形態では、eeは約70%である。別の実施形態では、eeは約80%である。別の実施形態では、eeは約85%である。別の実施形態では、eeは約90%である。別の実施形態では、eeは約91%である。別の実施形態では、eeは約92%である。別の実施形態では、eeは約93%である。別の実施形態では、eeは約94%である。別の実施形態では、eeは約95%である。別の実施形態では、eeは約96%である。別の実施形態では、eeは約97%である。別の実施形態では、eeは約98%である。別の実施形態では、eeは約99%である。
【0271】
用語「疾患」又は「状態」又は「障害」は、原則として病的状態又は機能であると見なされ、特定の徴候、症状、及び/又は機能不全の形態で現れ得る障害及び/又は異常を表わす。「開示の化合物」は、アミノ酸(例えば、グルタミン)トランスポーター、例えば、ASCT2を阻害し、癌及び増殖性疾患などの疾患及び状態の治療に使用することができ、アミノ酸(例えば、グルタミン)トランスポーター、例えば、ASCT2の阻害が、利点を提供する。
【0272】
本明細書で使用される用語「アミノ酸トランスポーター」などは、グルタミンを含むがこれに限定されないアミノ酸を、細胞膜を横切って輸送する膜輸送タンパク質を指す。アミノ酸トランスポーターは当技術分野でよく知られている。
【0273】
本明細書で使用される用語「グルタミントランスポーター」又は「グルタミン輸送タンパク質」などは、細胞膜を横切ってグルタミンを輸送する膜輸送タンパク質を指す。ASCT2及び他のグルタミントランスポーターは当技術分野でよく知られている。例えば、ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター又は「BOAT1」は、SLC6A19遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。ナトリウム共役型中性アミノ酸トランスポーター1又は「SNAT1」は、SLC38A1遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。ナトリウム共役型中性アミノ酸トランスポーター2又は「SNAT」は、SLC38A2遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。ナトリウム共役型中性アミノ酸トランスポーター3又は「SNAT3」は、SLC38A3遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。ナトリウム共役型中性アミノ酸トランスポーター5又は「SNAT5」は、SLC38A5遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。ナトリウム共役型中性アミノ酸トランスポーター7又は「SNAT7」は、SLC38A7遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。大型中性アミノ酸トランスポーター小サブユニット1又は「LAT1」は、SLC7A5遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。大型中性アミノ酸トランスポーター小サブユニット2又は「LAT2」は、SLC7A8遺伝子によってコードされる膜輸送タンパク質である。
【0274】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「グルタミントランスポーター媒介性障害」、すなわち、ASCT2、BOAT1、SNAT1、SNAT2、SNAT3、SNAT5、SNAT7、LAT1、及び/又はLAT2媒介グルタミン輸送を阻害することで利点を得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなグルタミントランスポーターを介した障害は、グルタミントランスポーターが役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表される。いくつかの実施形態では、グルタミントランスポーター媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0275】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「ASCT2媒介性障害」、すなわち、ASCT2媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなASCT2を介した障害は、ASCT2が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表される。いくつかの実施形態では、ASCT2媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0276】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「BOAT1媒介性障害」、すなわち、BOAT1媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなBOAT1を介した障害は、BOAT1が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表される。いくつかの実施形態では、BOAT1媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0277】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「SNAT1媒介性障害」、すなわち、SNAT1媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなSNAT1を介した障害は、SNAT1が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、SNAT1媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0278】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「SNAT2媒介性障害」、すなわち、SNAT2媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなSNAT2を介した障害は、SNAT2が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、SNAT2媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0279】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「SNAT3媒介性障害」、すなわち、SNAT3媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなSNAT3を介した障害は、SNAT3が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、SNAT3媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0280】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「SNAT5媒介性障害」、すなわち、SNAT5媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなSNAT5を介した障害は、SNAT5が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、SNAT5媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0281】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「SNAT7媒介性障害」、すなわち、SNAT7媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなSNAT7を介した障害は、SNAT7が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、SNAT7媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0282】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「LAT1媒介性障害」、すなわち、LAT1媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなLAT1を介した障害は、LAT1が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、LAT1媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0283】
いくつかの実施形態では、「開示の化合物」は、「LAT2媒介性障害」、すなわち、LAT2媒介アミノ酸(例えば、グルタミン)輸送を阻害することで利点が得られる疾患、障害、又は状態を治療するために使用され得る。このようなLAT2を介した障害は、LAT2が役割を果たすことが知られている任意の病的状態によって表わされる。いくつかの実施形態では、LAT2媒介性障害は、癌などの増殖性疾患である。
【0284】
本明細書で使用される用語「生物学的サンプル」は、バイオマーカーにおける発現状態及び/又は変異状態を検出するのに適した対象からの任意の組織又は体液を指す。有用な生物学的サンプルの例には、生検された組織及び/又は細胞、例えば、固形腫瘍、リンパ腺、炎症組織、状態又は疾患に関与する組織及び/又は細胞、血液、血漿、漿液、脳脊髄液、唾液、尿、リンパ液、脳脊髄液などが含まれるが、これらに限定されない。他の適切な生物学的サンプルは、関連技術の通常の技術者によく知られているであろう。当技術分野で知られている任意の技術を使用して、生物学的サンプルをバイオマーカーについて分析することができる。そのような技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法論、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)方法論、又は蛍光in situハイブリダイゼーションと組み合わせた細胞質軽鎖免疫蛍光(cIg-FISH)が含まれるが、これらに限定されない。生物学的サンプルは、臨床医の通常の知識の範囲内にある十分な技術を使用して得することができる。本開示の一実施形態では、生物学的サンプルは、腫瘍細胞又は血液細胞を含む。
【0285】
VI.一般的な合成方法
「開示の化合物」は、一般的なスキーム1に示されるように調製することができる。
一般的なスキーム1
【化39】
【0286】
簡単に言えば、化合物Aを、還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OCOCH3)3)の存在下で化合物Bと還元的アミノ化を行わせ、化合物Cを得ることができる。
化合物Cを化合物Dで2回目の還元的アミノ化を行い、R1がC1-C6アルキル、R2aが-C(=O)OtBu(BoC)、R2bが水素、及びR2Cが水素である式Iの化合物を得ることができる。この化合物を脱保護すると、R1、R2a、R2b、及びR2Cが水素である式Iの化合物が得られる。
【0287】
実施例
実施例1
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(2-フルオロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸(Cpd. 番号9)の合成
スキーム1A
【化40】
スキーム1B
【化41】
【0288】
スキーム1Aに示されるように、ABL 3 3を還元的アミノ化により95%を超える収率で調製した。粗生成物を、DCM:MeOHで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した(計算質量 = 505、実測値 = 506)。
【0289】
スキーム1Bに示されるように、Cpd. 番号 9を還元的アミノ化によりABL 33から95%を超える収率で調製した。粗生成物を逆相クロマトグラフィーによって精製した(計算質量 = 548;実測値 = 549)。
【0290】
実施例2
(S)-2-アミノ-4-((2-((4-クロロベンジル)オキシ)ベンジル)(2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸(Cpd. 番号11)の合成
スキーム2
【化42】
【0291】
スキーム2に示されるように、Cpd. 番号 11をABL 3 3(スキーム1Aを参照)から還元的アミノ化により、99%を超える収率で調製した。粗生成物を逆相クロマトグラフィーによって精製した(計算質量564、実測値565)。
【0292】
実施例3
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸(Cpd. 番号20)の合成
スキーム3A
【化43】
スキーム3B
【化44】
【0293】
スキーム3Aに示されるように、ABL 40を還元的アミノ化によって99%を超える収率で調製した。粗生成物を、DCM;MeOHで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した(計算質量500、実測値501)。
【0294】
スキーム3Bに示されるように、Cpd. 番号20を還元的アミノ化によって99%を超える収率で調製した。粗生成物を逆相クロマトグラフィーによって精製した(計算質量 = 561、実測値 = 562)。
【0295】
実施例4
(S)-2-アミノ-4-((2-(4-クロロフェノキシ)ベンジル)(2-((3-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)アミノ)ブタン酸(Cpd. 番号21)の合成
スキーム4A
【化45】
スキーム4B
【化46】
【0296】
Cpd. 番号21を、実施例1に記載された2段階の還元的アミノ化プロセスを使用して、76%の収率で調製した(計算質量545、実測値546)。
【0297】
実施例5
グルタミン取り込み阻害アッセイ
アッセイの24時間前に、HEK293細胞を、ウェルあたり12K細胞の密度で、96ウェルプレート(ポリD-リジンでコーティングされた)に播種した。アッセイ時(24時間後)、これらのコンディショニングにより、約50%のコンフルエンスが得られた。生細胞における3H標識グルタミン(3H-GLN)の蓄積は、示された濃度のビヒクル又は試験試薬と15分間インキュベーションすることによって評価した。3H-GLNの最終濃度は500nMであった。各化合物を3回評価した。アッセイのために、細胞をアッセイバッファー(pH 6)で3回(100μL)すすいだ。化合物をシングルアッドプロトコル(single-add protocol)で転送し、3H-GLNと15分間インキュベートした。取り込み期間の後、上清を除去し、細胞単層を100μlのアッセイバッファーで3回洗浄した。続いて、細胞を50μlの1M NaOHで溶解し、150μlのシンチレーション液を各ウェルに添加した。プレートを室温で20分間インキュベートし、4℃保存に一晩移し、翌日、トップカウントプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して読み取った。代表的な「開示の化合物」の結果を表2に示す。
【0298】
生存率(細胞力価(Cell Titer))を、製造業者のプロトコルに従って、96ウェルプレートフォーマットで市販の化学発光試薬(CellTiter-Glo、Promega Corp. G7572)を使用して評価した。細胞を、示された濃度のビヒクル又は試験剤のいずれかに曝露し、48時間インキュベートした。続いて、CellTiter-Glo試薬を添加し、標準設定のプレートリーダー(BioTek Synergy 4)を使用してプレートを読み取った。
【表5】
【0299】
これにより、本明細書の方法、化合物、及び組成物を完全に説明したので、当業者は、本明細書又はその任意の実施形態で提供する方法、化合物、及び組成物の範囲に影響を与えることなく、条件、配合、及び他のパラメータの広い範囲及び同等の範囲内で同じことが実行できることを理解されるであろう。本明細書で引用されるすべての特許、特許出願及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に完全に組み込まれる。
【国際調査報告】