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特表2022-536736有機テンプレートを用いたチャバザイトゼオライト合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】有機テンプレートを用いたチャバザイトゼオライト合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20220810BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/76 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573722
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020037714
(87)【国際公開番号】W WO2020252447
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/860,908
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521541594
【氏名又は名称】エコヴィスト・カタリスト・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ECOVYST CATALYST TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】リ,ホン-シン
(72)【発明者】
【氏名】モデン,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ペタシュコフ,アントン
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA05
4G073BA48
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA76
4G073BB03
4G073BB04
4G073BB14
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD06
4G073BD21
4G073CZ17
4G073FA02
4G073FB11
4G073FB26
4G073FC12
4G073FC19
4G073FD08
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA12
4G073GA14
4G073UA02
4G073UA05
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC02B
4G169BC03B
4G169BC16B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC66A
4G169BD02B
4G169BD05B
4G169CA03
4G169CA08
4G169CA13
4G169ED05
4G169FA01
4G169ZA14A
4G169ZA14B
4G169ZB04
4G169ZB08
4G169ZC04
4G169ZD01
4G169ZE01
(57)【要約】
CHA構造を有し、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化1】
を有する少なくとも1つの有機構造指向剤を含む、合成されたマイクロポーラス材料が開示されている。前記合成された材料より製造されるマイクロポーラス結晶性材料がまた開示されている。1つ以上の有機構造指向剤を使用するマイクロポーラス結晶性材料の製造の方法がまた開示されている。典型的にはアンモニア、尿素、アンモニアを発生させる化合物、又は炭化水素化合物の存在下、排ガスを前記開示されているマイクロポーラス結晶を含む物品に接触させる工程を含む、排ガス中における窒素酸化物の選択的触媒的還元の方法がまた開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CHA構造を有し、及び次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化1】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である)
を有する第1の有機構造指向剤(OSDA)を含む、合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項2】
約10又はそれより大きい、アルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する、請求項1の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項3】
前記SARは、10~50に及ぶ、請求項2の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項4】
少なくとも1つの第2のOSDAを更に含み、第1のOSDA及び第2のOSDAは、水酸化物又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はその混合物から選択される塩である、請求項1の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項5】
第2のOSDAは、チャバザイト(CHA)構造を有するゼオライトを形成すること可能な化合物、例えばアミン、1つの4級アンモニウム化合物、又は2つの4級アンモニウム化合物、を含む、請求項4の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項6】
第2のOSDAは、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチルピロリジニウム、N,N-ジメチルピペリジニウム、N,N-ジメチルヘキサヒドロアゼピニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、及びその混合物から選択される、請求項5のマイクロポーラス結晶性材料。
【請求項7】
R1及びR2のうちの少なくとも1つは、エチルである、請求項1の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項8】
第1のOSDAは、N,N-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを含む、請求項1の合成されたマイクロポーラス材料。
【請求項9】
焼成及び要すれば請求項1の合成されたマイクロポーラス材料をアンモニウム交換することにより製造される、マイクロポーラス結晶性材料。
【請求項10】
少なくとも1つの触媒的に活性な金属を更に含む、請求項9のマイクロポーラス結晶性材料。
【請求項11】
前記少なくとも1つの触媒的に活性な金属は、銅又は鉄を含む、請求項10のマイクロポーラス結晶性材料。
【請求項12】
前記触媒的に活性な金属は、1-10重量%のCuOにおいて存在する、銅Cuを含む、請求項11のマイクロポーラス結晶性材料。
【請求項13】
前記触媒的に活性な金属は、0.2-10重量%のFeにおいて存在する、鉄Feを含む、請求項11のマイクロポーラス結晶性材料。
【請求項14】
排ガスを請求項11に記載のマイクロポーラス結晶性材料を含む物品に少なくとも一部接触させる工程を含む、排ガス中における窒素酸化物の選択的触媒的還元の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一部接触させる工程は、アンモニア、尿素、アンモニアを発生させる化合物、又は炭化水素化合物の存在下で行われる、請求項14の方法。
【請求項16】
CHA構造を有し、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化2】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
R2は、C2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である)
を有する第1のOSDAを含む、マイクロポーラス結晶性材料の合成の方法。
【請求項17】
前記マイクロポーラス結晶性材料は、約10又はそれより大きい、アルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する、請求項16の方法
【請求項18】
前記SARは、10~50に及ぶ、請求項17の方法。
【請求項19】
アルミナの源、シリカ、1つ以上のOSDA、要すれば添加剤を含むアルカリ、水及び要すればシード材料を混合してゲルを形成する工程;
オートクレーブ中で前記ゲルを加熱して結晶性CHA製品を形成する工程
を更に含む、請求項18の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの第2のOSDAを更に含み、第1のOSDA及び第2のOSDAは、水酸化物又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はその混合物から選択される塩である、請求項16の方法。
【請求項21】
第2のOSDAは、チャバザイト(CHA)構造を有するゼオライトを形成することが可能な化合物、例えばアミン、1つの4級アンモニウム化合物、又は2つの4級アンモニウム化合物を含む、請求項20の方法。
【請求項22】
第2のOSDAは、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチルピロリジニウム、N,N-ジメチルピペリジニウム、N,N-ジメチルヘキサヒドロアゼピニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、及びその混合物から選択される、請求項21の方法。
【請求項23】
R1及びR2のうちの少なくとも1つはエチルである、請求項16の方法。
【請求項24】
第1のOSDAは、N,N-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを含む、請求項16の方法。
【請求項25】
前記CHA製品を焼成する工程;及び要すれば前記CHA製品をアンモニウム交換する工程を更に含む、請求項19の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの触媒的に活性な金属を、液相又は固相イオン交換、含浸、直接合成又はその組み合わせにより、前記マイクロポーラス結晶性材料に導入する工程を更に含む、請求項25の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの触媒的に活性な金属は、銅又は鉄を含む、請求項26の方法。
【請求項28】
前記触媒的に活性な金属は、1-10重量%のCuOとして、銅Cuを含む、請求項27の方法。
【請求項29】
前記触媒的に活性な金属は、0.2-10重量%のFeとして、鉄Feを含む、請求項27の方法。
【請求項30】
前記添加剤を含むアルカリは、カリウム又はナトリウムの源、又はその混合物を含む、請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月13日に提出された、米国仮出願第62/860,908号に対する優先権の利益を主張し、それはそのまま参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に、1つ以上の有機構造指向剤(OSDA)を使用して製造されたCHA構造を有する合成されたマイクロポーラス材料、得られるチャバザイト(CHA)ゼオライト、及び選択的触媒的還元(SCR)のためのチャバザイトゼオライトの使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
窒素酸化物(NOx)は、主にそれらの腐食挙動の理由により、汚染ガスとして長らく知られてきた。事実、それらは、酸性雨の原因の主な理由である。NOxによる汚染の主な原因は、ディーゼル自動車及び静的資源、例えば石炭火力発電所及びタービンの排ガス中におけるそれらの放出である。これらの有害な放出を避けるために、SCRが用いられ、SCRはNOxを窒素及び水に変換する際にゼオライト触媒の使用を含む。
【0004】
したがって、強化された製造の経済、性能及び排ガス中におけるNOxの選択的触媒的還元を可能とする水熱安定性特性を有する改善されたマイクロポーラス結晶性材料への継続的な要求がある。
【0005】
アルミノケイ酸塩CHA型ゼオライトは、自動車アプリケーションにおけるNOx削減のための商業的選択的触媒的還元(SCR)システムにおいて、重要な構成要素である。アルミノケイ酸塩CHA型ゼオライトは、OSDAの非存在下又は存在下において、製造することができる。一般に、OSDAの非存在下で製造されるチャバザイトゼオライトの組成範囲、例えばアルミナに対するシリカのモル比、は限定することができる。
【0006】
チャバザイトゼオライトは、時々テンプレート及び共テンプレートと称される、1つ以上のOSDAの存在下において、製造することができる。OSDA又は複数のOSDA(OSDAs)の使用は、一般に幅広いチャバザイトゼオライト組成の、例えばアルミナに対するシリカの比を可能とする。しかしながら、チャバザイトゼオライトのためのテンプレートとして使用されるあるOSDAは、大規模商業的用途のためには、コストがかかることが知られている。
【0007】
したがって、従来のテンプレート材料、具体的にはチャバザイトゼオライトを製造するためのもの、の代わりに又はそれに加えて使用することができる、新しいOSDAについての要求がある。高価な有機テンプレートをより高価でない有機テンプレートに確実に置き換える要求がまたある。より具体的には、強化された製造の経済、性能、及び水熱安定性特性を可能とし、最終的に排ガス中におけるNOxの選択的触媒的還元を可能とする、改善されたOSDAへの要求がある。
【発明の概要】
【0008】
前記要求に対処するために、CHA構造を有し、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化1】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である。)
を有するOSDAを含む、合成されたマイクロポーラス材料が開示されている。
【0009】
本明細書に記載されている合成されたマイクロポーラス材料を焼成することにより製造されるマイクロポーラス結晶性材料が、また開示されている。
【0010】
排ガス中における窒素酸化物の選択的触媒的還元の方法が、更に開示されている。1つの実施形態において、前記方法は少なくとも一部排ガスを本明細書に記載されているマイクロポーラス結晶性材料を含む物品と接触させる工程を含む。接触工程は、アンモニア、尿素、アンモニアを発生させる化合物、又は炭化水素化合物の存在下で行うことができる。
【0011】
1つの実施形態において、少なくとも10の、例えば10~50の、アルミナに対するシリカのモル比を有するマイクロポーラス結晶性材料の製造の方法が開示されており、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化2】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である。)
を有する、第1のOSDAを使用して、製造される。
【0012】
1つの実施形態において、前記方法は、アルミナ、シリカ、アルカリ金属の源、第1のOSDA、要すれば第2のOSDA、及び水を混合してゲルを形成する工程、オートクレーブ中で前記ゲルを加熱して結晶性CHA製品を形成する工程、及び前記CHA製品を焼成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図は、本明細書の一部に組み入れられ、本明細書の一部を構成する。
図1図1は、実施例1に従って製造された本発明のチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図2図2は、実施例2に従って製造された本発明のチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図3図3は、実施例4に従って製造された本発明のチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図4図4は、実施例6に従って製造された本発明のチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図5図5は、実施例8に従って製造された本発明のチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図6図6は、比較例1に従って製造されたチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図7図7は、比較例2に従って製造されたチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図8図8は、比較例3に従って製造されたチャバザイト製品のX線回折パターンである。
図9図9は、比較例4に従って製造されたチャバザイト製品のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
『合成された』は、焼成に先立つ、結晶化されたゲルの固体製品であるマイクロポーラス結晶性材料を意味する。
【0015】
『水熱安定』は、ある期間、高温及び/又は湿度条件(室温と比較して)に曝露した後、あるパーセンテージの初期表面積及び/又はマイクロポーラス体積を保持する能力を有することを意味する。例えば、1つの実施形態において、それは、1時間まで、又は16時間までに及ぶ時間、例えば1~16時間に及ぶ時間、10体積パーセント(vol%)の水蒸気の存在下、例えば、700~900°Cに及ぶ温度を含む、900°Cまでの温度といった、自動車の排ガス中において存在する条件を模した条件に曝露した後、その表面積、マイクロ孔体積及びXRDパターン強度の少なくとも65%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%までも保持していることを意味することを目的としている。
【0016】
『初期表面積』は、任意の劣化条件に曝露するより前の、新しく製造された結晶性材料の表面積を意味する。
【0017】
『マイクロ孔体積』は、20オングストローム未満の直径を有する細孔の全体積を示すのに使用される。『初期マイクロ孔体積』は、任意の劣化条件に曝露するより前の、新しく製造された結晶性材料のマイクロ孔体積を意味する。マイクロ孔体積の評価は、特に文献(Journal of Catalysis 3,32 (1964))に記載されているt-プロット法(又は時々単にt-法と称される)と呼ばれる評価法によるBET測定法由来である。
【0018】
本明細書において、『メソ孔体積』は、20オングストロームより大きく、600オングストロームの制限までの直径を有する細孔の体積である。
【0019】
同様に、『マイクロ孔面積』は20オングストローム未満の細孔における表面積をいい、『メソ孔面積』は20オングストローム~600オングストロームの細孔における表面積をいう。
【0020】
『国際ゼオライト学会の構造委員会により定義される』は、そのまま参照により本明細書に組み入れられる『Atlas of Zeolite Framework Types』 ed. Baerlocher et al. Sixth Revised Edition (Elsevier 2007)に記載されている構造に含まれるが、限定されない構造を意味することを目的としている。
【0021】
『ダブル-6-リング(d6r)』は、『Atlas of Zeolite Framework Types,』 ed. Baerlocher et al., Sixth Revised Edition (Elsevier 2007)に記載されている構造ビルディングユニットであり、そのまま参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
『選択的触媒的還元』又は『SCR』は、酸素の存在下、NOx(典型的には尿素及び/又はアンモニアとともに)の還元により、窒素及びH2Oを形成することをいう。
【0023】
『排ガス』は、工業的プロセス又は稼働において形成される及び例えば任意の形態の熱力車由来の、内燃エンジンにより形成される、任意の廃ガスをいう。
【0024】
本明細書において使用される、表現『選択される(chosen from)』又は『選択される(selected from)』は、個々の構成要素又は2つの(又はそれ以上の)構成要素の組み合わせの選択をいう。例えば、本明細書に記載されている触媒的に活性な金属は、銅及び鉄から選択することができ、前記金属は銅、又は鉄、又は銅及び鉄の組み合わせを含むことができることを意味する。
【0025】
第1の実施形態において、CHA構造を有し、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化3】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、
R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、及び
式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である)
を有する、少なくとも1つのOSDAを含む、合成されたマイクロポーラス材料が記載されている。
【0026】
本明細書に記載されている合成されたマイクロポーラス材料の1つの実施形態において、R1及びR2のうちの少なくとも1つは、エチルである。
【0027】
1つの実施形態において、少なくとも1つのOSDAは、水酸化物又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はその混合物から選択される塩である。
【0028】
示すように、その合成された形態のマイクロポーラス結晶性材料は、マイクロポーラス結晶性材料の製造のために使用されるOSDA又は複数のOSDAを含む。1つ以上の、例えば2つの、焼成前の合成したマイクロポーラス結晶性材料におけるOSDA又は複数のOSDAの存在は、液体クロマトグラフィーにより決定することができる。既知の重量の合成されたゼオライト試料をフッ酸に溶解してOSDA又は複数のOSDAを溶液中に抽出する。前記溶液は、液体クロマトグラフィーにより分析してOSDA又は複数のOSDAの濃度を決定する。合成されたゼオライトにおけるOSDA又は複数のOSDAの重量パーセンテージを溶液におけるOSDA又は複数のOSDAの濃度及び合成されたゼオライトの重量から計算する。本明細書に記載されている合成されたマイクロポーラス材料は、4級アンモニウムカチオン材料を少なくとも0.01重量%、例えば0.01~30重量%、例えば0.01~25重量%、0.1重量%~22%、又は1.0~20wt.%に及ぶ量で含む。これらの範囲の任意のバージョン、例えば0.01~22重量%、0.1~20重量%、又は0.01~1.0重量%がまた可能である。
【0029】
出願人は、驚くべきことに、OSDA(テンプレート)の使用により、CHA型ゼオライトの形成を導くことができることを発見し、OSDAは次の一般的な4級アンモニウムカチオン構造:
【化4】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖、例えばエチルであり、R2は誘導体化又は非誘導体化C2-C5アルキル鎖、例えばエチルであり、式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である。)
を有する。
【0030】
第1のOSDAは、水酸化物の形態又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物又は酢酸塩の形態、又はその混合物を含むが限定されない、塩の形態で使用することができる。
【0031】
出願人は、驚くべきことに、従来実施されてきた量よりも少なく使用される、第1のOSDA及び第2のOSDAの使用により、CHA型ゼオライトの形成に導くことができることを発見した。第1のOSDAは、次の一般的な4級アンモニウムカチオン構造:
【化5】
を有する。
【0032】
式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖、例えばエチルであり、R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖、また、例えばエチルであり、式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である。
【0033】
1つの実施形態において、第1のOSDAは、水酸化物の形態又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は酢酸塩の形態、又はその混合物を含むが限定されない、塩の形態で使用することができる。
【0034】
1つの実施形態において、第2のOSDAは、水酸化物の形態又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は酢酸塩の形態、又はその混合物を含むが限定されない塩の形態のN,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム、N-エチル-N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、又はベンジルトリメチルアンモニウムである。
【0035】
少なくとも10の、例えば10~50に及ぶ、アルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する、1つ以上のOSDAを使用して製造される有用なマイクロポーラス材料が開示されている。開示された材料は、窒素酸化物の選択的触媒的還元に特に有用である。
【0036】
1つの実施形態において、マイクロポーラス結晶性材料は、CHA(チャバザイト)の構造コードを有する結晶構造を含むことができる。CHAフレームワーク型を有するゼオライト材料は、2つの6員環及びケージを含む3次元的な8員環細孔/チャネルシステムである。
【0037】
1つの実施形態において、本明細書に記載されている合成されたマイクロポーラス材料を使用して、合成されたマイクロポーラス材料を焼成することにより、マイクロポーラス結晶性材料を製造することができる。
【0038】
1つの実施形態において、マイクロポーラス結晶性材料は、少なくとも1つの触媒的に活性な金属、例えば銅又は鉄を更に含むことができる。1つの実施形態において、触媒的に活性な金属は銅Cuを含み、少なくとも1重量%、例えば1-10重量%のCuOにおいて、存在している。1つの実施形態において、触媒的に活性な金属は鉄Feを含み、少なくとも0.2重量%、例えば0.2-10重量%のFeにおいて、存在している。
【0039】
排ガス中における窒素酸化物の選択的触媒的還元の方法が、また開示されている。1つの実施形態において、前記方法は、排ガスを本明細書に記載されているマイクロポーラス結晶性材料を含む物品に少なくとも一部接触させる工程を含む。接触工程は、典型的にはアンモニア、尿素、アンモニアを発生させる化合物、又は炭化水素化合物の存在下で行われる。
【0040】
本明細書に記載されているマイクロポーラス結晶性材料の製造の方法が、また開示されている。1つの実施形態において、前記方法は、アルミナ、シリカ、添加剤を含むアルカリの源、1つ以上の有機構造指向剤、及び水を混合してゲルを形成する工程を含む。前記方法は、オートクレーブ中で前記ゲルを加熱して結晶性のCHA製品を形成する工程、及び前記CHA製品を焼成する工程を含む。
【0041】
1つの実施形態において、前記方法は、少なくとも1つの触媒的に活性な金属、例えば銅又は鉄を、液相又は固相イオン交換、含浸、直接合成又はその組み合わせにより、マイクロポーラス結晶性材料に導入する工程を含む。
【0042】
1つの実施形態において触媒的に活性な金属は銅Cuを含み少なくとも1重量%、例えば1-10重量%のCuOにおいて存在している。1つの実施形態において、触媒的に活性な金属は鉄Feを含み少なくとも0.2重量%例えば0.2-10重量%のFeにおいて存在している。
【0043】
本明細書に記載されている方法は、1つ以上のOSDAを使用して得られるゼオライト材料を形成する。第1のOSDAは、次の4級アンモニウムカチオンの一般構造:
【化6】
(式中、R1はC1-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、R2はC2-C5誘導体化又は非誘導体化アルキル鎖であり、式中、Xは、ヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム環を構成する炭素原子の任意の組み合わせに取り付けられた、H(水素)又は誘導体化又は非誘導体化C1-C3アルキル置換基又はアルキル置換基(複数)である。)
を有する。
【0044】
1つの実施形態において、本明細書に記載されている4級アンモニウムカチオン材料は、少なくとも0.01重量%、例えば0.01~30重量%の量で、例えば0.01~25重量%、0.1重量%~22%、又は1.0~20wt.%に及ぶ量で、存在している。これらの範囲の任意のバージョン、例えば0.01~22重量%、0.1~20重量%、又は0.01~1.0重量%が、また可能である。
【0045】
1つの実施形態において、第1のOSDAは、水酸化物の形態又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は酢酸塩の形態、又はその混合物を含むが限定されない塩の形態で使用することができる。
【0046】
1つの実施形態において、前記マイクロポーラス結晶性材料は、1つ以上のOSDAを使用して製造され、第2のOSDAは、水酸化物の形態又はフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又は酢酸塩の形態、又はその混合物を含むが限定されない塩の形態にあるN,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム、N-エチル-N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、又はベンジルトリメチルアンモニウムである。
【0047】
別の実施形態において、第2の有機構造指向剤は、チャバザイト(CHA)構造を有するゼオライトを形成することが可能な化合物を含むことができる。例えば、第2の有機構造指向剤は、チャバザイト(CHA)構造を有するゼオライトを形成することが可能な化合物、例えばアミン、1つの4級アンモニウム化合物、又は2つの4級アンモニウム化合物を含むことができる。CHA構造を有するゼオライトを形成することが可能な前記化合物の非限定的な例は、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチルピロリジニウム、N,N-ジメチルピペリジニウム、N,N-ジメチルヘキサヒドロアゼピニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、及びその混合物を含む。これらの化合物、それらの製造の方法、及びそれらを使用してCHAゼオライト材料を合成するための方法は、米国特許第7,670,589号、米国特許第7,597,874号、及び国際公開第2013/035054号に記載されており、それらのすべては参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
1つの実施形態において、添加剤を含むアルカリは、カリウム、ナトリウム又はナトリウム及びカリウムの混合物の源を含む。例としては、水酸化カリウム、アルミン酸カリウム、水酸化ナトリウム及びアルミン酸ナトリウムを各々含む。
【0049】
1つの実施形態において、アルミニウムの源は、アルミン酸ナトリウム、アルミニウム塩、水酸化アルミニウム、ゼオライトを含むアルミニウム、アルミニウムアルコキシド、又はアルミナを含むが、限定されない。シリカの源は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカゲル、シリカゾル、溶融シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、ケイ素アルコキシド、又は沈殿シリカを含むが、限定されない。
【0050】
1つの実施形態において、前記ゲルを1-100時間、120-200°Cに及ぶ温度で、例えば48時間、180℃で、オートクレーブ中で加熱する。前記方法は、前記ゲルをろ過して固体製品を形成する工程、前記固体製品をDI水ですすぐ工程、前記すすいだ固体製品を乾燥する工程、前記乾燥した製品を焼成する工程、前記焼成した製品をアンモニウム又はプロトン交換する工程を更に含むことができる。
【0051】
測定法
表面積測定。表面積は、また『BET方法』とも称される、よく知られているBET(Brunauer-Emmett-Teller)窒素吸着法に従って、決定した。本明細書において、一般的な手順及びASTM D4365-95の案内が、本開示による材料へのBET方法の適用において、続く。測定される試料の一定の状態を確実にするために、すべての試料を前処理する。好適な前処理は、自由水を除くために十分な時間、例えば、3~5時間、例えば400~500°Cの温度まで試料を加熱することを含む。1つの実施形態において、前記前処理は各試料を4時間、500℃まで加熱することを含む。1つの実施形態において、本発明の材料の表面積は、500~900m/g、例えば550~900m/g、又は600~900m/gにまで及ぶ。
【0052】
マイクロ孔体積測定。マイクロ孔体積の評価は、特に文献(Journal of Catalysis 3, 32 (1964))に記載されているt-プロット法(又は時々単にt-法と呼ばれる)と呼ばれる評価法によるBET測定法由来である。
【0053】
1つの実施形態において、本明細書に記載されているチャバザイト材料は、通常0.12cm/gを上回るマイクロ孔体積を有する.1つの実施形態において、本発明の材料のマイクロ孔体積は、0.12~0.30cm/g、例えば0.15~0.30cm/g、又は0.18~0.30cm/gにまで及ぶ。
【0054】
酸性度測定。n-プロピルアミンはCHAのブレンステッド酸部位上で選択的に化学吸収(化学的に吸収)するので、n-プロピルアミンをCHA材料の酸性度を決定するためのプローブ分子として使用した。熱重量分析(TGA)システムを測定のために使用し、物理的に吸着されたn-プロピルアミンを280℃まで加熱することにより除き、化学的に吸着されたn-プロピルアミンを280-500℃の温度領域における重量変化から決定した。酸性度(酸部位の密度)の値を280~500℃間の重量変化からmmol/gの単位で計算した。次の参照D. Parrillo et al., Applied Catalysis, vol. 67, pp. 107-118, 1990.は、酸性度の測定に関連するその教示のために参照により組み入れられる、
【実施例
【0055】
以降の非限定的な実施例は、例示的であることを意図するものであるが、本開示を更に明らかにする。
【0056】
実施例1.12 SAR CHAの合成
6.1グラムの脱イオン(DI)水、1.7グラムの水酸化N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%溶液)、8.8グラムのDEHHAOH(水酸化N,N-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム(20重量%溶液)、0.53グラムの水酸化カリウム(50重量%溶液)をともに加え、混合物を形成した。次に、10.1グラムのシリカゾル(LudoxHS-40、W.R.Grace、40重量%SiO)を前記混合物に加えた。2.0グラムのアルミン酸ナトリウム(Southern Ionics、23.5重量%Al)をそれから前記混合物に加え、0.78グラムの硫酸(Macron、97重量%)を加えた。次に、0.25グラムの合成されたチャバザイトゼオライト粉末(14 SAR)をシーズとして加えた。ゲルのモル組成は[14.5 SiO:1:0 Al:0.51 KO:1.45 NaO:0.44 TMAAOH:2.2 DEHHAOH:261 HO]であった。得られたゲルを30RPMで回転しながら、ステンレス製の鋼鉄オートクレーブ(Parr Instruments、45ml)中で48時間、160℃で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で乾燥した。実施例1のXRDパターンを図1に示す。図1におけるXRDパターンによれば、実施例1由来の試料は、純粋なチャバザイトの相である。
【0057】
乾燥したゼオライト粉末を、3°C/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料を硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は12のSAR、0.01重量%のNaO及び0.19重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定したアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.77mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0058】
実施例2.14 SAR CHAの合成
504グラムのDI水、53.4グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、76.7グラムの水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム(Sachem、20.4重量%水溶液)、12.2グラムの水酸化カリウム(50重量%水溶液)、28.9グラムの硝酸(69重量%水溶液)、0.15グラムのCHA構造を有するシーズ、271グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%)、及び53.9グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は[14.5 SiO:1:0 Al:2.54 HNO:0.44 KO:1.52 NaO:0.51 TMAAOH:0.73 DEHHAOH:363 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:24時間、140℃、続いて24時間、180℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で乾燥した。実施例2のXRDパターンを図2に示す。図2におけるXRDパターンによれば、実施例2由来の試料は、純粋なチャバザイトの相である。実施例2由来の合成された試料の液体クロマトグラフィー分析によれば、合成された試料は5.5重量%の1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムOSDA及び9.6重量%N,N,N-トリメチルアダマンチルアンモニウムOSDAを含む。
【0059】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料を硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は14のSAR、0.00重量%のNaO及び0.01重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定したアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.49mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0060】
実施例3.実施例2のCu交換
実施例2由来のアンモニウム交換したゼオライトは、硝酸銅でCu交換して3.7重量%のCuOのCuO含有量を達成した。このCu交換材料を10%HO/空気中で16時間、800℃で更にスチームした。
【0061】
実施例4.14 SAR CHAの合成
756グラムのDI水、80.3グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、115.6グラムの水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム(Sachem、20.4重量%水溶液)、18.2グラムの水酸化カリウム(50重量%水溶液)、43.3グラムの硝酸(69重量%水溶液)、0.20グラムのCHA構造を有するシーズ、407グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%)、及び80.8グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は[14.5 SiO:1:0 Al:2.54 HNO :0.44 KO:1.52 NaO:0.51 TMAAOH:0.73 DEHHAOH:363 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:24時間、140℃、続いて、24時間、180℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で乾燥した。実施例4のXRDパターンを図3に示す。図3におけるXRDパターンによれば、実施例4由来の試料は、純粋なチャバザイトの相である。実施例4由来の合成された試料の液体クロマトグラフィー分析によれば、合成された試料は5.7重量%の1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムOSDA及び9.9重量%のN,N,N-トリメチルアダマンチルアンモニウムOSDAを含む。
【0062】
乾燥したゼオライト粉末を、3°C/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料を硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は14のSAR、0.02重量%のNaO及び0.24重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定したアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.65mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0063】
実施例5.実施例4のCu交換
実施例4由来のアンモニウム交換したゼオライトは、硝酸銅でCu交換して6.0重量%のCuOのCuO含有量を達成した。このCu交換材料は、10%HO/空気中で16時間、750℃で更にスチームした。
【0064】
実施例6.21 SAR CHAの合成
794グラムのDI水、81.4グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、117グラムの水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム(Sachem、20.4重量%水溶液)、7.3グラムの固体の水酸化カリウム、0.5グラムの水酸化ナトリウム(50重量%水溶液)、31.4グラムの硝酸(69重量%水溶液)、1.1グラムのCHA構造を有するシーズ、55.4グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)、及び412グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%SiO)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は[21 SiO:1:0 Al:2.63 HNO:0.42 KO:1.58 NaO:0.74 TMAAOH:1.05 DEHHAOH:525 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:48時間、160℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で乾燥した。実施例6のXRDパターンを図4に示す。図4におけるXRDパターンによれば、実施例6由来の試料は、純粋なチャバザイトの相である。実施例6由来の合成された試料の液体クロマトグラフィー分析によれば、合成された試料は10重量%の1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムOSDA及び10重量%のN,N,N-トリメチルアダマンチルアンモニウムOSDAを含む。
【0065】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は21のSAR、0.00重量%のNaO及び0.00重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.06mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0066】
実施例7.実施例6のCu交換
実施例6由来のアンモニウム交換したゼオライトは、硝酸銅でCu交換して4.4重量%のCuOのCuO含有量を達成した。このCu交換材料を10%HO/空気中、16時間、800℃で更にスチームした。
【0067】
実施例8.29 SAR CHAの合成
94.5グラムのDI水、80.9グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、203グラムの水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウム(Sachem、20.4重量%水溶液)、3.5グラムの水酸化ナトリウム(50重量%水溶液)、24.0グラムの硝酸(69重量%水溶液)、1.8グラムのCHA構造を有するシーズ、359グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%SiO)、及び34.6グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は[28 SiO:1:0 Al:3.08 HNO:1.82 NaO:1.12 TMAAOH:2.8 DEHHAOH:364 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:24時間、140℃、続いて24時間、180℃、を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で空気中で乾燥した。実施例8のXRDパターンを図5に示す。図5におけるXRDパターンによれば、実施例8由来の試料は、純粋なチャバザイトの相である。実施例8由来の合成された試料の液体クロマトグラフィー分析によれば、合成された試料は、11重量%の1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムOSDA及び9.7重量%のN,N,N-トリメチルアダマンチルアンモニウムOSDAを含む。
【0068】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は、28.8のSAR、0.00重量%のNaO及び0.00重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.01mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0069】
実施例9.実施例8のCu交換
実施例8由来のアンモニウム交換したゼオライトは、硝酸銅でCu交換して4.0重量%のCuOのCuO含有量を達成した。このCu交換材料は、10%HO/空気中において16時間、800℃で更にスチームした。
【0070】
比較例1.CHAの合成
試料は、処方において、水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを使用しなかった点を除き、実施例1由来のゲル処方に倣い、調製した。14.2グラムのDI水、1.9グラムの水酸化N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%溶液)、0.91グラムの水酸化カリウム(50重量%溶液)、0.44グラムの水酸化ナトリウム溶液(Southern Ionics、50重量%)を加え、混合物を形成した。11.3グラムのシリカゾル(Ludox HS-40、W.R.Grace、40重量%SiO)をそれから前記混合物に加えた。次に、2.3グラムのアルミン酸ナトリウム(Southern Ionics、23.5重量%Al)を前記混合物に加え、続いて0.30グラムの硫酸(Macron、97重量%)を加えた。0.28グラムの合成されたチャバザイトゼオライト粉末(14 SAR)をそれからシーズとして加えた。ゲルのモル組成は、[14.5 SiO:1:0 Al:0.78 KO:2.1 NaO:0.44 TMAAOH:261 HO]であった。得られたゲルを30RPMで回転しながら、ステンレス製の鋼鉄のオートクレーブ(Parr Instruments、45ml)中で48時間、160℃で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で空気中で乾燥した。比較例1のXRDパターンを図6に示す。図6におけるXRDパターンによれば、比較例1由来の試料は、チャバザイト及びアモルファス相の混合物である。
【0071】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は、15のSAR、0.31重量%のNaO及び1.19重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、0.37mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0072】
比較例2
試料は、処方において、水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを使用しなかった点を除き、実施例2由来のゲル処方に倣い、調製した。580グラムのDI水、54.6グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、12.4グラムの水酸化カリウム(50重量%水溶液)、21.1グラムの硝酸(69重量%水溶液)、0.15グラムのCHA構造を有するシーズ、277グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%SiO水懸濁液)、及び55.1グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は、[14.5 SiO:1:0 Al:1.81 HNO:0.44 KO:1.52 NaO:0.51 TMAAOH:363 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:24時間、140℃、続いて、24時間、180℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で空気中で乾燥した。比較例2のXRDパターンを図7に示す。図7のXRDパターンによれば、比較例2由来の試料は、チャバザイト及び未知の相の混合物である。
【0073】
乾燥したゼオライト粉末を、3°C/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は、13.6のSAR、0.02重量%のNaO及び0.03重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、1.69mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0074】
比較例3
試料は、処方において、水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを使用しなかった点を除き、実施例6由来のゲル処方に倣い、調製した。
【0075】
911グラムのDI水、83.2グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、7.4グラムの固体の水酸化カリウム、0.5グラムの水酸化ナトリウム(50重量%水溶液)、19.3グラムの硝酸(69重量%水溶液)、1.1グラムのCHA構造を有するシーズ、56.6グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)、及び422グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%SiO)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は、[21 SiO:1:0 Al:1.58 HNO:0.42 KO:1.58 NaO:0.74 TMAAOH:525 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:48時間、160℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で空気中で乾燥した。比較例3のXRDパターンを図8に示す。図8のXRDパターンによれば、比較例3由来の試料は、チャバザイト及びアモルファス相の混合物である。
【0076】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は、20.5のSAR、0.09重量%のNaO及び0.32重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、0.15mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0077】
比較例4
試料は、処方において、水酸化1,1-ジエチルヘキサヒドロ-1H-アゼピニウムを使用しなかった点を除き、実施例8由来のゲル処方に倣い、調製した。
【0078】
283グラムのDI水、87.0グラムのN,N,N-水酸化トリメチルアダマンチルアンモニウム(Sachem、25重量%水溶液)、3.7グラムの水酸化ナトリウム(50重量%水溶液)、2.4グラムの硝酸(69重量%水溶液)、2.0グラムのCHA構造を有するシーズ、386グラムのシリカゾル(Nalco、40重量%SiO)、及び37.3グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(Southern Ionics、23.5重量%Al)をこの順でともに混合した。ゲルのモル組成は、[28 SiO:1:0 Al:0.28 HNO:1.82 NaO:1.12 TMAAOH:364 HO]であった。得られたゲルを次の結晶化プロファイル:24時間、140℃、続いて24時間、180℃を使用して、150rpmでの撹拌の下、2LParrオートクレーブ中で結晶化した。回収した固体をろ過し、DI水で洗浄し、一晩105℃で空気中で乾燥した。比較例4のXRDパターンを図9に示す。図9におけるXRDパターンによれば、比較例4由来の試料は、チャバザイト及びアモルファス相の混合物である。
【0079】
乾燥したゼオライト粉末を、3℃/minのランプ速度を使用して、450℃で1時間、続いて550℃で6時間、空気中で焼成した。焼成の後、試料は、硝酸アンモニウム溶液でアンモニウム交換した。アンモニウム交換の後、試料は、27.3のSAR、0.06重量%のNaO及び0.01重量%のKOを有した。n-プロピルアミン吸着により決定されるアンモニウム交換した試料の酸性度は、0.58mmol/gであった。アンモニウム交換した試料は、表1にまとめた特性を示した。
【0080】
【表1】
【0081】
アンモニウム交換したゼオライトは、硝酸銅でCu交換し、4-6重量%のCuOのCuO含有量を達成した。Cu交換材料を10%HO/空気中、16時間、750℃又は800℃で更にスチームした。Cu交換材料のXRDパターンを水熱処理前後に測定し、XRD保持を得た。結果を表2にまとめる。スチームしたCu交換材料は、またSCR活性について評価し、結果を表3にまとめる。
【0082】
【表2】





















【0083】
【表3】
【0084】
別段示されていない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される、成分、反応条件、等の量を表すすべての数字は、すべての例において、用語『約』により改変されているものとして理解すべきである。したがって、反対に示されていない限り、以降の明細書及び添付の特許請求の範囲において規定されている数値パラメータは、本開示により得られるよう努められる所望の特性に応じて変化することができる概算である。
【0085】
本発明の他の実施形態は、本明細書についての思慮及び本明細書に開示されている発明の実践から、当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示のみとして思慮されることを意図されており、本発明の実際の範囲は以降の請求項によりに示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】