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特表2022-536744太陽エネルギーの超集光および長距離光ファイバー輸送のための装置、および熱・光解離によってH2/O2混合物を生成するための関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】太陽エネルギーの超集光および長距離光ファイバー輸送のための装置、および熱・光解離によってH2/O2混合物を生成するための関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F24S 23/00 20180101AFI20220810BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20220810BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20220810BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
F24S23/00
G02B6/04 Z
C01B3/04 A
G02B6/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573751
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 FR2020050880
(87)【国際公開番号】W WO2020249883
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1906296
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521541963
【氏名又は名称】ニュース
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン パレ
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250CD20
2H250CZ01
(57)【要約】
太陽エネルギー集光器から水素/酸素対を生成するためのデバイスは、1つまたは複数の光ファイバーによって形成される太陽エネルギーを収集するための手段を含み、中空の光ファイバーの入口および出口が、プリフォームの未延伸領域によって形成され、太陽光束の長距離輸送を可能にすることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の光ファイバー(1)からなる太陽エネルギーを収集するための手段を含む太陽エネルギー集光器から水素/酸素対を生成するためのデバイスであって、
前記中空の光ファイバーの入口および出口が、太陽光束の輸送を許容するプリフォーム(2)の非延伸領域(3)によって形成されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、浸食を防止するために表面が硬化された空洞(11)を有し、真空化手段に接続された、例えば、グラファイト製の反応器(11)からなるエネルギー変換モジュールを備え、前記モジュールは、透過した光エネルギーを受ける領域において前記空洞(11)内部に水微粉化ノズル(4)を含み、前記グラファイト反応器(11)は、酸素と水素とを分離するために渦に開口する出口(8)を有することを特徴とする、請求項1に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項3】
前記微粉化ノズル(4)が、前記光ファイバー(1)の出口端部に対向して同軸または略垂直に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、光学窓またはガストラップを有する光学カップリング(コリメーション)を含む中空のファイバー(1)に面する端部に形成されたプリフォーム(2)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項5】
前記反応器(11)が、高温に曝される水または水蒸気の非常に微細なミストを噴霧するための水注入器(17)を備え、光エネルギーのビームとの相互作用から生じる光子の作用が、2つの元素H2およびOへの自然に発生する化学的解離を生じさせることを特徴とする、請求項3に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項6】
前記反応器(11)が、熱・光解離によって霧状の水を解離し、水素と酸素の2つの別個の流れを生成するサイクロン渦流型デバイスによって分離された異なる質量の分子のジェットを生成する分離器を有することを特徴とする、請求項3に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、残留水を再循環させる反応器への前濾過および再注入と、静電および電磁タイプの分離デバイスによって形成され、h2/o2化合物の分離および濾過を高め、ならびにそれらの方向の向け直すことを許容することを特徴とする請求項1に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、熱・光解離反応を生じるように意図された1つまたは複数の光ファイバーを受け入れる反応器によって形成され、その効率は、最終効率を改善する電磁放射(LEDダイオード/レーザー/X線)を生成する追加の分離手段の付加によって改善されることを特徴とする、請求項1に記載の水素/酸素対を生成するための装置。
【請求項9】
前記デバイスは、h2/o2タイプのガス混合物の再結合または爆発を防止する分子クエンチング(急冷)を行うと共に、吸引を生成する真空化手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の水素/酸素対を生成するための装置。
【請求項10】
前記デバイスは、
プリフォームと、
ファイバーと、
水およびh2/o2化合物からの化学的アタックに対する保護層で覆われた光学構成要素と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の水素/酸素対を生成するためのデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油/化石燃料および従来の電池(貯蔵)に代わる「無料の」方法(太陽エネルギー源)を用いた、非常に低価格(原油の価格と同等またはそれより低い)での太陽エネルギーの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
利点は、複雑なまたは高価な材料(希少金属、触媒など)を回避すること、電解槽または燃料電池などにおいて摩耗またはメンテナンスがないこと、豊富で利用可能な材料(炭素/グラファイト、水など)、無料のエネルギー源(太陽、水)であること、および社会的または環境的影響がなく、少なくとも40年の耐用年数を有する100%クリーンな再生可能エネルギーを提供することである。本発明は、別個に貯蔵された後、特定のバーナーで燃焼(発熱反応)されて熱力学的装置または炉に供給される、特にh2/o2混合物を燃焼させることによって、貯蔵を行うと共に燃料電池に供給する可能性を示し、燃焼は、本発明において無制限に再利用される水蒸気を生成する。
【0003】
動作原理:
本発明は、太陽光の超集光(10,000sunのオーダー)の原理と、コアが空(光損失のない純粋な導波管)である理想的な中空の光ファイバー(またはファイバー束)に通じる窓を装備していても装備していなくてもよいプリフォームであって、入口が集光された光束を損傷なく受けるのに十分な直径のプリフォームに集光された太陽光束を注入する原理とに基づいている。プリフォームは、充填され(棒/延伸されたチューブ)または入口窓によって閉じられることが可能であり、対向する端部も閉じられており、ファイバーの内部が真空下にあり、真空は、広いスペクトルにわたって光の伝導を妨げない。
【0004】
導波管アセンブリは、反射によって導波管を構成する異なる屈折率のガラス、すなわち、異なる光学特性を有する2つの同軸ガラス管からなり、次いで、延伸されてファイバーを形成し、コアは理想的には真空下にある。ガストラップ(「ゲッター」とも呼ばれる)または真空コアにアクセスするのに適切なデバイスは、任意の汚染物質/脱気を吸収/放出することを可能にする。100μwの工業用レーザ光ファイバーは、100kwを輸送することが可能であり、1.000μの中空ファイバーは、1.6MWに達し、それを超えることを可能にするであろう(特に、非特許文献1を参照されたい)。
【0005】
反応器内のファイバーの端部は、中実であるか、または窓、コリメーション光学系、集光器、集束光学系などを備えることができる第2のより小型なプリフォームで終端し、これは、適した光学構造を形成する適切な光学特性を有するガラスまたは材料で作られ、例えば、光学二重レンズを用いることによって特に異なる波長を考慮して、一点に合焦させることを可能にする。光学系は、1つ(または複数)の反射防止処理、および場合によっては冷却または温度制御デバイスを受ける。光ファイバーは、低電力設備にとっては理想的には非常に短く、反応器は太陽光集光器上に設置される。非常に高い出力では、反応器は、太陽光集光源から離れていることが可能であり、これは1つまたは複数の遠隔集光器を含み得、パラメータを完全に最適化する、すなわち、1MW以上(1.000μ)の光を伝搬ことができる高度に集光された太陽エネルギーの長距離光ファイバー輸送ができるシステムを有する。
【0006】
次いで、ファイバーまたはファイバー束の端部は、好ましくは硬質表面で覆われた、理想的には黒鉛または適切な材料から作製された真空キャビティからなる「反応器」(解離器がより正確である)に到達する。一端には、水(または水蒸気)の流れを放出するノズルがあり、水(または水蒸気)の流れは、太陽光束によって遮断され、解離される。ノズルおよびファイバーは、同軸であることが可能であり、またはより大きいまたはより小さい角度を形成することが可能であり、光学端部/光学構成要素または熱ショックのいかなる劣化または汚染も回避する。光学構成要素は、水分子またはh2およびo2化合物からの化学的アタックに対する保護で覆われている。ファイバーの大きな集合はまた、ノズルに対してほぼ垂直であることが可能である。反応器は、損傷した構成要素の容易な交換を可能にするために開く。
【0007】
反応器は、避けられない損失による高温に曝されるので、この熱源を使用して、真空チャンバを確実に冷却しながら、真空チャンバを取り囲むデバイス、例えば管状デバイスを介して高温の水蒸気を生成することが可能である。この高温高圧の水蒸気は真空チャンバ内に到達し、光束によって直ちに解離される。水蒸気の利点は、解離に必要なエネルギーの一部を輸送することである。
【0008】
全体的な有効効率を増加させるために、特定の電磁放射(マイクロ波など)、LEDまたはレーザダイオード、可視光線、UV線、X線、およびこれらの波の混合からの光など、解離に適した波長で水/水蒸気フラックス上に集中フラックスを送る追加の電磁波源の存在を考慮することが可能である。
【0009】
水/光束は、解離を完全に最適化し、構成要素の劣化または他の有害な現象を回避するように調節される。異なる場所に配置されたセンサがこの目的のために設けられており、それらは安全装置としても機能する。
【0010】
反応器内の真空は、反応器内での分子再結合または爆発を防止する化学的クエンチングを実施することを可能にし、次いで、解離されていない水/水蒸気を再循環させると共に、最終分離(精製)デバイスに向かってo2/h2原子を吸引すること、およびガスの純度に有害な汚染を回避することを可能にする。
【0011】
反応器から出発して、原子は、異なる原子質量(係数1-16)によって分離を容易にするRanque-Hilsch型であることが可能な渦に同伴されて、交換器を形成するその壁は、解離されるべき水を予熱する一方で、冷却を可能にする。次いで、渦は2つの別個の回路に分離し、一方は好ましくは酸素を含有し、他方は水素を含有する。
【0012】
前濾過デバイスは、解離していない水を反応器に戻して再注入することを可能にする。
【0013】
次いで、静電界および電磁界を用いる追加の分離方法、または1組のデバイスの結合、および優れた分子分離を可能にし、原子を正しい回路に戻す任意の他の適切な方法が得られる。最終精製は、化学濾過法、分子篩、その他の方法などの手段によって実施することが可能であり、その目的は、特に太陽光燃料、または「PAC」、「電池」または任意の他の装置のために、同じ閉回路設備内で特に無制限に再循環させることを可能にする高純度ガスを供給することである。
【0014】
特にシリカから作製された光学構成要素は、理想的には、それらの特性を劣化させ得るO2/H2またはH2Oとの起こり得る化学反応からそれらを保護するために保護層で覆われる。
【0015】
本発明の分野:
本発明は、「solar fuel」(登録商標)と呼ばれる水素/酸素対の形態の太陽起源のNRE(new renewable energy)を製造する分野に関し、太陽起源のNREは、本明細書で用いられる「反応器」内で太陽光の超集光を行う特殊な光ファイバーと関連付けられた太陽光発電プラントから、非常に高い効率で、摩耗またはメンテナンスまたは化学物質を用いることなしに水分子を解離することにより製造される。
【0016】
33kwh/kg(Li/イオン電池=200wh/kg)のエネルギー密度を有するこの水素/酸素対は、例えば、非常に高密度のエネルギー貯蔵(太陽光燃料)、ヒートポンプパワー(燃料電池)、モーターまたは従来は炭化水素類で作動する全ての燃焼装置(炉、火炎、ヒーター、DHW、調理機器など)、またはロケットエンジンおよび全ての宇宙船などの異なるタイプのプロセスを供給することを可能にする。
【0017】
本発明は、理想的には、超集光器と呼ばれる、焦点において20,000sunまでの集光率を可能にする太陽光集光器を実装する。したがって、理想的には中空である光ファイバーを用いて、30,000sunオーダーの集光率を達成し、太陽光束をターゲットに向かって長距離輸送するか、またはそれを反応器に注入することが可能となる。
【0018】
エネルギー密度は、水フラックスに対する可視および不可視の光スペクトルのいくつかの帯域の組み合わされた作用に関するので、したがって、我々が熱・光解離(thermophotolysis)と呼ぶ方法において、このエネルギー密度は、単に光/物質相互作用によって水分子の自発的かつ完全な解離を確実にするのに十分である。用語「Thermo」は、赤外線からの温度/熱撹拌に由来し、用語「photo」は、可視またはより高いスペクトルの光子(UV線、X線)に由来し、「lysis」は、解離に由来する。
【0019】
歴史的に最近開発され使用されてきたエネルギーを輸送する方法の1つに、光導波管の使用がある。
【0020】
おそらく最もよく知られたタイプの光導波管は光ファイバーである。最近のものはシリカ、ガラス、またはポリマーで作ることが可能である。一般的に、それは、屈折率ncのコアと、コアの屈折率より小さい屈折率ngを有するクラッドとから作られる。それが運ぶ放射は、全内部反射によってコア内を伝搬する。
【0021】
本発明の別の態様によれば、光ファイバーは中空コアタイプであることが有利であり、その場合、伝送される光パワーは使用される材料の純度に左右されず、したがって非常に高いパワーを伝送することが可能である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、エネルギー変換器は、高強度の光エネルギーの影響下で水分子を水素と酸素に解離させる原理を用いている。
【0023】
先行技術:
先行技術として特許文献1が知られており、特許文献1には、吸収性ターゲットへ強められた光束として送出するために、入射太陽エネルギーを受動的に集光する光ファイバー太陽光受光器を含む改良型太陽光集光器が記載されている。本発明の一実施形態では、本太陽光集光器は、一端で弓形集光面に成形されたファイバーのボールを含み、ファイバーは、ボールの対向する端部で平坦な出力面に向かって先細になっている。集光面において集光器に入射する太陽放射は、ボールのテーパ部分内で集光され、出力面に対して動作可能な関係で配置された吸収ターゲットに強められたフラックスとして送出され、吸収ターゲットは、クックポット、蓄熱体、または熱電発電機の高温接合部のいずれかである。
【0024】
特許文献2には、ガス混合物を生成するための別の方法および装置が記載されている。
【0025】
先行技術の欠点:
電気分解またはPAC(燃料電池)による水素および酸素の生成に関する従来技術の解決策は、それらの低い効率(50/60%程度の収率)、高価な材料(白金、重金属など)の使用、化学薬品の使用、高度に専門化した労働を必要とする増加したメンテナンス、摩耗/腐食によるそれらの構成要素の定期的な交換、および非常に低い効率の電気エネルギー源(PV 6%、火力/原子力発電所 30%)によって特徴付けられ、全体的な変換性能は最終的にわずか数%に達するまで低下する。加えて、既知の電源は、重大な社会的および環境的影響を有する。
【0026】
太陽光経路を介した水素および酸素の生成に関する先行技術の解決策は、急速に劣化し、特に効率が低い高価な材料を用いる高温触媒に関連するヘリオスタットデバイスを有する重い放物面集光器などの複雑な機器を必要とするので、これらの先行技術の解決策は、満足のいくものではない。
【0027】
水素および酸素を生成するためのエネルギー変換に関する先行技術の解決策も、その構成要素の急速な劣化によって、耐用年数が短く、工業プロセスに適しておらず、複雑で低効率の装置を必要とするので、満足のいくものではない。
【0028】
直射日光手段による水素および酸素生成に関する先行技術の解決策は、40%の効率を超えて水分子を解離するのに十分なエネルギー密度を得ることを可能にせず、急速に劣化する触媒を使用すると共に、反応器チャンバの有意な冷却を必要とする強靭且つ大型の放物面集光器を必要とするので、満足のいくものではない。
【0029】
光ファイバーによる太陽エネルギーの輸送に関する先行技術の解決策は、ファイバーの劣化なしに最適な太陽エネルギー収集を可能にするために各々のファイバーに複雑な処理を必要とするので、満足のいくものではない。加えて、エネルギー量は、デバイスの実際の効率を許容するには低すぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第3780722号明細書
【特許文献2】仏国特許第2310309号明細書
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Laurent Provino, Laurent Brilland, Achille Monteville, David Landais, Olivier Le Goffic, Denis Tregoat et David Mechin, “Les fibres optiques microstructures”, Photoniques, vol. 65, pp. 47-50 (2018)
【発明の概要】
【0032】
これらの欠点を改善するために、本発明は、第1に、1つ(または複数の)の光ファイバーからなる太陽エネルギーを収集する手段を含む超集光器と呼ばれる高密度太陽エネルギー集光器において、光ファイバーの入口がプリフォームの非延伸領域によって形成され、出口端がエネルギー変換モジュールに導入されることを特徴とする、高密度太陽エネルギー集光器に関する。
【0033】
有利な実施形態によれば、前記エネルギー変換モジュールは、例えば、グラファイト製であることが可能であり、その内面が浸食現象を回避するために硬化されている反応器によって形成され、反応器は、その構成要素を交換するかまたはメンテナンスを提供することを可能にするために容易に開かれることが可能である。
【0034】
前記反応器は、伝達された光エネルギーを受ける領域に水微粉化ノズルを内部に含む真空化手段に接続され、グラファイト反応器は、2つの分けられた回路に見い出される酸素および水素を分離するための渦への出口開口部を有する。
【0035】
渦の終端では、真空化手段は、有利には2つの別個のセクションに分割され、一方は水素を吸引し、他方は酸素を吸引して、それらが混合するのを防止する。前記真空化手段は、不完全に分離されていないガス又は水蒸気を再循環させ、それらを反応器に再注入することを可能にする装置を装備している。特定の変形形態によれば、太陽エネルギーを収集するための光ファイバーの出口端部は、前記空洞に係合される。
【0036】
有利には、前記微粉化ノズルは、前記光ファイバーの出口端部に対向して同軸に又は非同軸に配置される。
【0037】
一変形形態によれば、前記反応器は、ビームの光エネルギーとの相互作用から生じる温度にさらされることになる非常に微細な流れまたは水蒸気を霧化するための水噴射器を含み、その自然に発生する化学解離によって、2つの元素H2およびO2に解離する。
【0038】
別の変形形態によれば、前記反応器は、熱・光解離によって霧状の水または水蒸気を解離し、水素および酸素の2つの別個の流れを生成するサイクロン渦型の装置によって分離された異なる質量の分子のジェットを生成するための分離器を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の本発明の非限定的な例の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
図1】ファイバーの概略図を示す図である。
図2】エネルギー変換器の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1および図2を参照して説明される本発明は、好ましくは中空である1つまたは複数の光ファイバーからなる太陽エネルギーを収集するための手段を含む太陽エネルギー集光器から水素/酸素対を生成するためのデバイスに関する。光ファイバー(1)の入口および出口は、太陽光束の長距離輸送を許容するプリフォームの非延伸領域(3)によって形成される。
【0041】
中空ファイバー(1)のプリフォーム(2)の端部は、窓(3)またはガストラップ(「ゲッター」としても知られている)を有する光学カップリング(コリメーション)を含む。
【0042】
ファイバー(1)の他端部はまた、焦点(6)に向かう集光光学系(5)を有するプリフォーム/出口窓(4)を有する。
【0043】
エネルギー変換モジュールは、水/水蒸気入口(12)を有し、真空下で容積(11)を画定する反応器(11)と、ノズルに供給する高圧水/水蒸気入口(13)とからなる。
【0044】
光ファイバー(14)は、垂直に対して同軸の異なる可能な形態を有する。h2/o2出口(15)は、渦及び熱交換器に開口している。
【0045】
装置アイテム(16)は、残留h2oの前濾過を行う。分離器(17)は、追加の静電/電磁分離を提供する。解離していない水は回路に再注入される。
【0046】
モジュール(19)は、原子をそれらの最終回路に向け直す。フィルター(20)は、最終的な濾過/精製と、真空ポンプモータによる2つに分けられたポンプユニット(H2およびO2)(21)とを提供する。
【0047】
エネルギー変換モジュールは、例えば、グラファイト製の反応器(11)であって、その表面が浸食されるのを防止するために硬化された空洞(11)を有し、真空化手段に接続された反応器(11)からなり、前記モジュールは、透過した光エネルギーを受け取る領域において前記空洞(11)の内部に水微粉化ノズル(4)を含み、グラファイト反応器(11)は、酸素と水素とを分離するために渦に開口する出口(18)を有する。
【0048】
微粉化ノズルは、同軸または略垂直に、前記光ファイバーの出口端に対向して配置される。
【0049】
反応器(10)は、高温に曝される水または水蒸気の非常に微細なミストを噴霧するための水注入器を含み、光エネルギーのビームとの相互作用から生じる光子の作用は、その2つの元素H2およびOへの自然に発生する化学的解離を生じさせる。
【0050】
エネルギー収集器とエネルギー変換器との間のエネルギー輸送の説明:
エネルギー収集器とエネルギー変換器との間で、ヘリオスタットによって集光された太陽エネルギーは、光ファイバーまたは光ファイバーの束によって輸送される。
【0051】
光ファイバーは、集光器によって送られるすべての太陽放射の入射を可能にする開口数を有する。開口数は0.42より大きいことが好ましい。光ファイバーはまた、太陽スペクトルを可能な限り効率的に、すなわち最小限の吸収で伝送しなければならない。特に、注入された太陽放射が高く集光される場合や、ファイバーが太陽スペクトルのある帯域を強く吸収し、その第1の区分内のガイドに熱が生じる場合、ファイバーの許容度は少なくとも500℃である。
【0052】
加えて、耐熱性により、蓄熱器との結合がより容易になる。実際に、エネルギー変換器がガイドに過度の熱を伝達して、変換器の近くのその区分に過熱を生じさせることを防止するために取らなければならない特別な手段はより少なくなる。ガイドの可撓性または操作性はまた、ガイドを集光器マトリクス上に設置することをより容易にするために考慮されるべき利点である。応力は、考慮すべきガイドの最小曲率半径にかかることが多い。
【0053】
好ましくは、ファイバーまたはファイバー束は、耐熱性と共に、良好であることが可能である太陽スペクトルの透過性のため、優先的に中空シリカに基づいている。実際に、太陽スペクトルを集積した後において、このようなシリカファイバーの吸収性は低く、伝送がコア内で行われる場合には0.014dB/m-0.348dB/m程度であり、ファイバーが中空である場合には損失はより低くなる。
【0054】
これは、ファイバーの端部における反射による損失を考慮しない場合、1メートルの長さのファイバー部分に注入された太陽スペクトルの92.3%-99.7%が透過されることになり、これらの損失は、それが中空ファイバーである場合にはより低くなる。
【0055】
集光器が有することが可能な最大焦点距離は、コアにおいて1.5mmを超えない市販のシリカファイバーの直径に関して、制限がある。実際、焦点距離が長くなればなるほど、焦点は大きくなる。太陽によって与えられる焦点の理論的な大きさは、集光器の焦点距離の0.01倍である。
【0056】
完全な集光器を考慮すると、集光器によって収集されたすべての太陽エネルギーを1.5mmのシリカファイバーに注入したい場合、焦点距離が150mmを超えることは不可能である。このパラメータを改善するために、輸送は、例えば、その種が維持されるガラスの1つまたは複数の棒または円筒の延伸によって形成される1つまたは複数のファイバーによって提供される。
【0057】
光ファイバーは、例えば、100ミリメートルの初期直径および数十センチメートルから数メートルであり得る長さを有する棒(または円筒もしくは他の形状)を延伸することによって形成される。
【0058】
第1のステップは、管および/または同心円状に取り付けられた円筒状シリカ棒を組み立てることからなる。全域を加熱して、ガラス棒の均質性を確保する。
【0059】
このようにして得られた棒は、理想的にはタワー内に垂直に設置され、例えばガス、電気又は太陽ランプで加熱される。ガラスは、スプールに巻き取られるために、伸張し、「徐々に下がる」。一定の直径を確保するために、ファイバーの厚さを測定し、巻取りモーターの速度を制御する。
【0060】
所望の長さが得られると、棒が先細部分(1)によって延長される延伸領域が維持され、棒は数ミリメートルの長さを有する尾部(2)を維持するように切断され、その端部は横断面(3)に沿って研磨される。切断はまた、クリーンな切断を達成するために行われることが可能である。
【0061】
延長された収集面のために、このようにして生成されたいくつかのファイバーを組み合わせて束を形成し、その収集領域は、前端部(3)の並置によって形成される。
【0062】
成形はまた、任意の他の適切な延伸プロセスを用いて実施されることが可能であり、このプロセスは、水平(シリカクロマトグラフィーのキャピラリーカラムを延伸するためのデバイスによって引き出される)であってもよく、またはその加熱/融解は、太陽光経路によって実施されてもよい。
【0063】
エネルギー変換器の説明:
本発明の非限定的な態様によれば、太陽エネルギーによる水の解離は、表面が硬化され、部分真空下の空洞(11)を有する黒鉛体(10)によって理想的に形成された反応器内で、H2およびO2、またはH2O2などの他の分子の生成を伴う、太陽光および場合によっては追加の放射線の作用下で、任意選択で触媒を存在させて、水の分解を確実に行う熱・光解離の原理によって確実になされる。
【0064】
この反応器は、熱および光子の複合作用による水の化学的解離、すなわち、衝突点において2500℃で、または触媒もしくは適切な放射線の存在下でより低い温度で、100%の効率に近づく分子の分解を可能にすることが意図される。したがって、それは、2 H2O→2 H2+O2およびΔH°=286kJ/モルを与える吸熱化学反応である。分子分離は、分子が超音速で放出されるサイクロン渦流によって、または膜濾過によって、または熱化学的若しくは任意の他の好適な方法によって行うことが可能であり、原子の分子量はかなり異なる。
【0065】
照射、特に太陽放射からの照射による水の光解離によって水素/酸素を調製することによって、光エネルギー、特に太陽エネルギーを、水素および酸素の形態の化学エネルギーに変換することが可能であり、次いでこれを分離し、貯蔵することが可能である。次いで、貯蔵された水素/酸素の形態のこの化学エネルギーは、輸送されることが可能であるか、または後で使用されることが可能である。
【0066】
反応器(11)は、例えば、超音速流に関連する浸食現象を回避するために、理想的にはグラファイトなどの薄層で覆われた黒鉛または炭素/黒鉛から作製される。
【0067】
集光器から来る太陽エネルギーは、ファイバ(13)によって軸方向に伝達される。反応器はまた、様々な接続を有する:
1)ビームの光エネルギーとの相互作用から生じる2500℃の温度に曝され、その2つの元素H2およびOへの自然に発生する化学解離を生じさせる、非常に微細な水ミストを霧化するための水注入器(17)。
2)集光された太陽光束をもたらす1つまたは複数の光ファイバー。
3)分離器:熱・光解離によって解離された水は、水素と酸素の2つの別個の流れを生成するサイクロン渦型装置によって分離された異なる質量の分子のジェットを生成する。
4)再注入および解離される分離デバイスからの非解離水分子の戻り。水素イオンを、Ranque-Hilsch渦ならびに静電場および/または電磁場を用いて酸素イオンから分離することが可能である。
図1
図2
【国際調査報告】